JP2005520056A - Fe系硬面処理合金 - Google Patents
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Abstract
本発明のFe系硬面処理合金は原子力発電所弁に使われるCo系ステライト合金に替わりうる優秀な耐摩耗性、キャビテーション腐蝕抵抗性及び耐蝕性を示した。特に、本発明のFe系硬面処理合金を原子力発電所弁の硬面処理合金に使用する場合、高価なCoを安価のFeに替える効果を得られ、58Coと60Co放射性同位元素により形成される放射線場を効果的に縮小させられる。
Description
本発明は硬面処理合金に係り、さらに詳細には原子力発電所の弁の硬面処理を含めて産業現場にて多様に使用できるFe系硬面処理合金に関する。
一般的に、原子力発電所では1年間ほど稼動した後で2〜3ヵ月の休止期間に核燃料の交替と蒸気発生機の伝熱管などの装置に対する検査及び保守がなされる。蒸気発生機の伝熱管は1次系統と2次系統間の境界をなす部分であり、破裂時に放射能を含有する1次系統冷却水が流出されうるために、非破壊方法で健全性を検査し、必要時にプラッギングやスリービングなどの保守が行われる。かような検査及び保守作業は放射能物質が蓄積されている蒸気発生機の伝熱管下部の水室にてなされ、この時原子力発電所の作業者が放射線に被曝する。原子力発電所作業者の放射線被曝量は放射線場の強さと放射線場内での作業時間とに比例する。従って、原子力発電所作業者の放射線被曝量を減らすためには放射線場の強さを弱めて原子力発電所作業者の作業時間を減らさなければならない。
一方、原子力発電所の1次系統放射線場は主に58Coと60Co放射性同位元素により形成されると知られている。これは原子力発電所の1次系統内弁の硬面処理合金のCo系ステライト合金が摩耗と腐蝕とで金属疲労を起こすことにより発生したものであると把握されている。
前記硬面処理は金属部品の寿命を長くするために接触する表面に耐摩耗材料を育成溶接する方法で、保守する部分が少なくて保守による休止期間が短くて低水準の母材使用が可能であって全体的にコスト節減につながるメリットがある。前記原子力発電所弁を硬面処理する理由は、原子力発電所弁が90〜343℃の温度と5〜30ksiの接触応力が加えられる厳しい摩耗環境にて作動し、接触面にてゴーリング(galling)が発生しやすいためである。前記ゴーリングは高荷重非潤滑条件にて金属間摩耗時に発生しやすい深刻な表面損傷を指す用語であり、摩耗表面の巨視的な塑性変形により表面粗度が大きく高まる現象である。原子力発電所弁にてゴーリングが発生すれば、接触面が粗くなって漏水が発生することはもとより、激しい場合には原子力発電所弁の作動が不可能な固着状態に至ることもありうるために、原子力発電所弁においてゴーリングの発生は絶対に容認されない。
前記原子力発電所弁の硬面処理合金に使われるコバルト系ステライト合金は、例えばステライト6の場合、Fe 5wt(重量)%、Ni 0.4wt%、C 1.1wt%、Cr 28wt%、Mn 2wt%、W 4wt%及び残りはCoよりなる合金である。以下にて、ステライト合金と述べるのはステライト6を意味する。前記コバルト系ステライト合金は深刻な金属間摩耗が発生する高温用部品や腐蝕抵抗性が要求される分野にて広く使われている。しかし、コバルトが原子力発電所の1次系統放射線場を形成する主要原因であることが明らかにされつつコバルト系ステライト合金に替わりうるCoの入らない硬面処理合金の開発研究が進められてきた。
Coのない硬面処理合金に対する性能評価研究は主に米国・EPRI(Electric Power Research Institute)により行われ、Coのない合金のうちNi系デロロ50合金とEPRIにより開発されたFe系ノレム(NOREM)合金が比較的優秀な耐摩耗性を示し、一部の原子力発電所弁に適用されていると知られている。前記Ni系デロロ50合金は、Fe 4wt%、C 0.60wt%、Cr 13wt%、Si 4wt%及び残りはNiより構成される合金であり、Fe系ノレム合金は一例として、C 1.25wt%、Mn 4.5wt%、Cr 25.0wt%、Si 3.3wt%、Ni 4.0wt%、Mo 2.0wt%、N 0.16wt%、残りはFeより構成される合金である。
しかし、前記Ni系デロロ50合金とFe系ノレム合金とは一部制限された条件にて耐摩耗性を試験したので、90〜343℃の高温水中にて5〜30ksiの接触応力が加えられる原子力発電所弁の多様な使用条件に対する適用可能性を判断し難い。
特に、最近にNi系デロロ50合金の耐摩耗性は接触応力より温度に大きく依存しつつ酸化摩耗が発生する200〜250℃以下の温度では30ksiの高い接触応力でも耐摩耗性が大きく低下すると分かった。また、Fe系ノレム合金の耐摩耗性は15ksiの接触応力にて180℃までは優秀な耐摩耗性を示すが、190℃以上では耐摩耗性が急激に低下すると分かった。特に、30ksiの高い接触応力では120℃程度の低い温度でも激しい摩耗を示すと分かった。
前述の如く、コバルト系ステライト合金に替わるための原子力発電所弁用硬面処理合金として、Ni系デロロ50合金の場合に200℃程度以下の低い温度にて、Fe系ノレム合金の場合190℃程度以上の高い温度にて耐摩耗性が大きく低下する現象を示すことにより原子力発電所弁の作動条件である90〜343℃の温度と5〜30ksiの接触応力範囲とに対して優秀な耐摩耗性を保持できる新しい硬面処理合金の開発が要求されている。
本発明がなそうとする技術的課題は、原子力発電所弁の硬面処理時に同位元素による放射線発生などが起こるCo系ステライト合金の問題点を解決して優秀な耐摩耗性を有するだけではなく、優秀なキャビテーション腐蝕抵抗性及び耐蝕性を有する硬面処理合金を提供するところにある。
前記技術的課題を達成するために、本発明の一例により14wt%〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びC、1.5wt%以下のSi、残りはFeより構成される硬面処理合金を提供する。特に、本発明は前記Cr 20wt%、C 1.7wt%またはC 1.3wt%、Si 1wt%及び残りはFeより構成される硬面処理合金を提供する。
本発明の他の例により14wt%(重量%)〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びC、1.5wt%以下のSi、残りはFeより構成される原子力発電所弁用硬面処理合金を提供する。特に、前記Cr 20wt%、C 1.7wt%またはC 1.3wt%、Si 1wt%及び残りはFeより構成される原子力発電所弁用硬面処理合金を提供する。
本発明のさらに他の例により14wt%(重量%)〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びC、1.5wt%以下のSi、1〜2wt%のCe及び残りはFeより構成される硬面処理合金を提供する。特に、前記Cr 20wt%、C 1.7wt%またはC 1.3wt%、Si 1wt%、Ce 1〜2wt%及び残りはFeより構成される硬面処理合金を提供する。
また、本発明のさらに他の例により14wt%〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びC、1.5wt%以下のSi、1〜2wt%のCe及び残りはFeより構成される原子力発電所弁用硬面処理合金を提供する。前記Cr 20wt%、C 1.7wt%またはC 1.3wt%、Si 1wt%、Ce 1〜2wt%及び残りはFeより構成される原子力発電所弁用硬面処理合金を提供する。
以上の本発明のFe系硬面処理合金を原子力発電所弁の硬面処理に使用する場合に、放射線場形成の源泉であるCoを除去することにより、約35%程度の放射線量が減少する。さらに、本発明のFe系硬面処理合金は耐摩耗性、キャビテーション腐蝕抵抗性及び耐蝕性にすぐれてポンプのインペラ、タービンブレード、弁などのような産業現場に使われうる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、次に例示する本発明の実施例はさまざまな他の形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は当業界にて当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
まず、Fe系合金の場合に変形有機マルテンサイト変態、すなわち応力を受ければマルテンサイト上への変態によりα’とεと2種のマルテンサイトが形成されると知られている。γ→α’変形有機マルテンサイト変態の場合、積層欠陥、双晶のようなせん断が形成及び交差されねばならず、交差された部分がα’マルテンサイトのエンブリョとして作用すべき複雑な過程をたどる。一方に、γ→ε変形有機マルテンサイト変態はショックレ部分電位が移動した形跡がεマルテンサイトになる単純な過程をたどると知られている。かようなマルテンサイト相が合金表面を硬化させることにより優秀な耐摩耗性を与えると考えられる。従って、Fe系硬面処理合金が低い温度にて優秀な耐摩耗性を示したことは多量の炭化物分散相とともに基地相の低い積層欠陥エネルギー、特に変形有機マルテンサイト変態による高い加工硬化率に起因すると予想され、変形有機マルテンサイト変態が発生しうる最高温度(Md温度)を原子力発電所弁の作動温度である343℃以上に高めれば、高温にて高い加工硬化率が保持されて優秀な耐摩耗性を示しうると判断される。このために、本発明者はMd温度が450℃ほどと高くて変形有機マルテンサイト変態が可能であるオステナイト領域を選択してFe系硬面処理合金を発明した。この場合には、高硬度の分散相が比較的少なく含まれていて硬面処理工程での困難が大きくないと予想されるために、Fe系硬面処理合金の高温耐摩耗性を向上させられる最も効果的な方法になると判断される。
図1は本発明によるFe系硬面処理合金の状態を示した図面である。
具体的に、図1にCrとCとを含有するFe系硬面処理合金のCrとC含量による相形成挙動を示した。一般的に、CrとCの含量が変化する場合にオステナイト相が安定した領域は(a)と示されたシュフラ図と示しうる。すなわち、(a)と示されたラインの上側にオステナイト相が安定していると見られる。しかし、本発明によりCrとC添加量が直線(b)と示された部分の外側、すなわち▲と示された部分側になれば、オステナイト相の形成が抑制されてフェライトが現れたのであるが、それはCrとC添加量が増加するにつれて炭化物量が増加するためであると考えられる。また、(b)直線の内側にて直線(c)と示された領域の内部は収縮現象がひどく発生しない領域を示している。
そして、CrとCの含量が共晶点以上に増加すれば、●で示されたように過共晶組織が形成される。過共晶組職は初晶炭化物がまず形成された後でオステナイト相と炭化物との共晶組織が形成されるために、炭化物の量が多くて粗大な微細組織を示し、冷却速度による微細組織の差が大きくて溶接性が低下する短所がある。特に、過共晶組職ではC含量が十分でない場合には基地相内のC含量が枯渇してフェライトが形成できるが、かようなフェライト相はオステナイト相に比べて加工硬化率が低いために変形有機マルテンサイト変態が発生せず、塑性変形が容易に発生して高荷重摩耗過程にて激しい摩耗が発生する。従って、優秀な溶接性と変形有機マルテンサイト変態による優秀な耐摩耗性とを兼備するためには亜共晶オステナイト系合金が適し、かような境界は直線(d)の左側部分と示された領域、すなわち濃い◆で示された領域である。
結果的に、高温、高圧の環境、例えば90〜343℃の高温水中にて5〜30ksiの接触応力が加えられる環境で優秀な耐摩耗性を有する本発明のFe系硬面処理合金の組成範囲を本発明者らが確認した結果、濃い◆で示された14wt%〜30wt%のCrと0.4wt%〜2.8wt%のCであり、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びCと、1.5wt%以下のSiと、残りはFeより構成されることが分かった。前記1.5wt%以下のSiが合金元素として添加されている理由は硬面処理のための育成溶接時に溶接の広がり性を向上させるためである。前述の組成範囲のFe系硬面処理合金は後述する如く本発明者らが確認した結果、キャビテーション腐蝕抵抗性も優秀であることが分かった。
さらに、本発明者らは前述のようなFe系硬面処理合金にCeを1〜2wt%を添加した場合に優秀な耐摩耗性だけでなく、キャビテーション腐蝕抵抗性及び耐蝕性が優秀であることが分かった。すなわち、本発明者らは優秀な耐摩耗性、キャビテーション腐蝕抵抗性及び耐蝕性を有するFe系硬面処理合金として、14wt%〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCであって図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びCと、1.5wt%以下のSi、1〜2wt%のCe及び残りはFeより構成されることが分かった。
以下では、本発明による硬面処理合金と従来の原子力発電所弁の硬面処理に使われる硬面処理合金間の耐摩耗性、キャビテーション腐蝕抵抗性及び耐蝕性を比較して説明する。
特に、本発明のFe系硬面処理合金は前述の組成範囲にて一例として20wt%のCr、1.3または1.7wt%のC、1wt%のSi、残りはFeより構成される合金を利用して説明する。そして、1.3wt%のCを含有した場合は1.3Cと略称し、1.7wt%を含有した場合は1.7Cと略称する。
さらに、本発明のFe系硬面処理合金の他の例として、14wt%〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びC、1.5wt%以下のSi、1〜2wt%のCe及び残りはFeより構成される合金を利用して説明する。前記Ceが1wt%添加されたFe系硬面処理合金はAT−NC1と略称し、Ceが2wt%添加されたFe系硬面処理合金はAT−NC2と略称する。
図2は本発明及び従来技術による硬面処理合金の温度による摩耗損失量を示したグラフである。
具体的に、図2は硬面処理合金の摩耗特性を評価するために100サイクルの間温度により摺動磨消を実験した結果である。ノレム合金の場合には変形有機マルテンサイトの相変態発生が始まる温度である190℃以上では深刻な摩耗現象であるゴーリングが発生して原子力発電所弁の硬面処理合金に使用するのは不適である。
一方、本発明の硬面処理合金である1.7Cの場合には、常温から450℃までのあらゆる領域にてステライト合金より優秀な耐摩耗性を示した。本発明の硬面処理合金である1.3Cの場合には、350℃までステライト合金と似た耐摩耗性を示した。そして、本発明の硬面処理合金であるAT−NC1の場合にもほとんど常温から400℃までのあらゆる領域にてステライト合金と似た耐摩耗性を示した。
図3は本発明及び従来技術による硬面処理合金の摩耗距離(サイクル)による摩耗損失量を示したグラフである。
具体的に、X軸は摩耗度(摩耗サイクル数)を示し、Y軸は摩耗量を示す。図3に示されたように、本発明の硬面処理合金である1.7C及びAT−NC1の場合、摩耗度を高めても従来のステライト合金より摩耗量が小さくて優秀な耐摩耗性を有することが分かる。
図4Aないし図4Gは本発明及び従来技術による硬面処理合金の摺動時間による摩擦係数を示したグラフである。
具体的に、図4A及び図4Bはそれぞれステライト合金及びノレム合金を450℃の温度と15ksiの接触応力条件にて測定した結果である。図4C及び図4Dは本発明の硬面処理合金である1.7Cをそれぞれ300℃及び450℃の温度と15ksiの接触応力条件にて測定した結果である。図4E及び図4Fは本発明の硬面処理合金である1.3Cをそれぞれ250℃及び450℃の温度と15ksiの接触応力条件にて測定した結果であり、図4Gは本発明の硬面処理合金であるAT−NC1を400℃の温度と15ksiの接触応力条件にて測定した結果である。
一般的に、モータにより駆動される弁の場合には、摩擦係数が大きくなれば故障を誘発しうるために原子力発電所弁用の硬面処理合金は設計過程にて一定以下の摩擦係数を要求されている。図4Bに示されたようにノレム合金は深刻な摩耗とこれによる表面の不均一性により1.0以上の高い瞬間摩擦係数を示すだけではなく常温でも0.4以上の高い摩擦係数を示す。一方、本発明の硬面処理合金である1.7C、1.3C及びAT−NC1は1.0以下の摩擦係数を示し、図4Aのステライト合金と似た水準の優秀な摩擦係数を示した。
図5Aないし図5Gは本発明及び従来技術による硬面処理合金の摩耗後の光学顕微鏡写真である。
具体的に、図5Aないし図5Cはそれぞれ本発明の硬面処理合金である1.7C、ノレム合金、ステライト合金を常温(25℃)で1,000サイクル摩耗後の表面を光学顕微鏡で観察した結果であり、図5Dないし図5Gはそれぞれ本発明の硬面処理合金である1.7C、ノレム合金、ステライト合金及び本発明の硬面処理合金であるAT−NC1を300℃で1,000サイクル摩耗後の表面を光学顕微鏡で観察した結果である。
図5A、図5D及び図5Gの本発明の硬面処理合金である1.7C及びAT−NC1と、図5C及び図5Fのステライト合金は実験条件に関係なく全て滑らかな表面を示すが、図5B及び図5Eのノレム合金の場合には300℃で摩耗後にゴーリングが発生して非常に粗い表面が観察された。
次には、原子力発電所弁近くで流体の流速差により気泡が発生して消滅するが、かような気泡消滅過程で発生した圧力により弁表面が損傷を受ける。かようなキャビテーションによる腐蝕(損傷)を観察するために、常温で材料の表面に超音波を利用して50時間気泡を形成した後で表面損傷を確認する実験を進めた。
図6は本発明及び従来技術による硬面処理合金のキャビテーション腐蝕抵抗性を示したグラフである。
具体的に、ノレム合金の場合にはステライト合金に比べて約1.6倍の損失量(キャビテーション腐蝕量)を示した。しかし、本発明のFe系硬面処理合金である1.7CとAT−NC2の場合には、ステライト合金に比べて損失量が大きく減少する現象を示した。結果的に、本発明のFe系硬面処理合金はキャビテーション腐蝕抵抗性が優秀であることが分かる。
図7Aないし図7Hは本発明及び従来技術による硬面処理合金を10時間常温でキャビテーション腐蝕を進めた後で観察した光学顕微鏡写真である。
具体的に、図7A及び図7Bは従来のステライト合金にキャビテーション腐蝕を行った結果である。図7A及び図7Bに見られるように、材料のキャビテーション腐蝕過程で最も脆弱な部分である基地相と析出物間の境界にて亀裂が発生して落ちてしまったのが観察できる。図7C及び図7Dは従来のノレム合金をキャビテーション腐蝕を行った結果である。図7C及び図7Dで見られるように、基地相と析出物とを識別できないほどにキャビテーション腐蝕が進み、材料の損失がひどく発生したことが見られる。
図7E及び図7Fと図7G及び図7Hとはそれぞれ本発明の硬面処理合金である1.7C及びAT−NC1にキャビテーション腐蝕を行った結果である。図7Eないし図7Hに見られるように、本発明の硬面処理合金はステライト合金及びノレム合金とは異なり炭化物と基地相間にて亀裂をほとんど観察できなかった。結果的に、本発明による硬面処理合金は耐摩耗特性だけでなくキャビテーション腐蝕抵抗性もステライト合金と同等か、むしろ優秀であることが分かり、同じFe系ノレム合金よりもあらゆる特性が非常に秀でることが分かる。
次には、耐蝕性を評価するために7日間300℃及び水中の圧力容器にて従来及び本発明による硬面処理合金を腐蝕させた後でその結果を<表1>及び図8Aないし図8Dに示した。図8Aないし図8Dにて、図8A及び図8Bは本発明の硬面処理用合金AT−NC1及びAT−NC2を腐蝕させた後の表面写真であり、図8C及び図8Dは一般的なSUS304合金及びSUS409合金を腐蝕させた後の表面写真である。
<表1>に示されているが、従来及び本発明による硬面処理合金の耐蝕性評価実験にて、試片が小さいために耐蝕性を評価するだけの顕著な重さ変化を観察し難かったが、図8Bに示された本発明による硬面処理用合金であるAT−NC2はSUS304と対等な程度の表面腐蝕状態を示した。
図9は従来技術及び本発明による硬面処理合金の分極実験結果を示したグラフである。
具体的に、図9の分極実験条件はスキャン速度、3mV/sec、温度25℃の10%NaOH溶液の条件にて行う。図9に示されたように、本発明のFe系硬面処理用合金AT−NC2はステライト合金と同様に2次不動態被膜が形成されるが分かって優秀な耐蝕性を示すと予想された。
前述の如く、本発明のFe系硬面処理合金を原子力発電所弁の硬面処理に使用する場合に、放射線場形成の源泉であるCoを除去することにより35%程度の放射線量の低減効果を見られる。
本発明のFe系硬面処理合金を原子力発電所弁の硬面処理に使用する場合に、原子力発電所作業者の被曝線量を減少させて作業者の安全性向上はもとより、作業者の作業時間延長による運営効率増大と維持費用節減効果が期待され、低準位放射性廃棄物の処理費用を減らして原子力発電所の安全性に対する信頼度を高められる。
本発明のFe系硬面処理合金は従来の原子力発電所弁の硬面処理に使われたステライト合金と同じような耐蝕性、キャビテーション腐蝕抵抗性及び耐蝕性を有するために代替可能であり、高価格なコバルトの使用を排除することにより放射線漏れの危険も減らし価格面でも競争力を有しうる。
そして、本発明のFe系硬面処理合金は原子力発電所弁の硬面処理以外にも産業現場に広く利用されているポンプのインペラ、タービンブレード、弁のように摩耗及び腐蝕により破損されて随時替えられていた部品の寿命を簡単な溶接を通じた硬面処理だけで相当期間延長させられるので、機械稼動の効率と維持費用とを大きく改善できる。
本発明のFe系硬面処理合金は原子力発電所弁の硬面処理用合金以外にも産業現場に広く利用されているポンプのインペラ、タービンブレード、弁のように摩耗及び腐蝕により破損されて随時替えられていた部品に使われうる。
Claims (8)
- 14wt%〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びCと、1.5wt%以下のSiと、残りはFeより構成される硬面処理合金。
- 前記Cr 20wt%、C 1.7wt%またはC 1.3wt%、Si 1wt%及び残りはFeより構成される請求項1に記載の硬面処理合金。
- 14wt%〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びCと、1.5wt%以下のSiと、残りはFeより構成される原子力発電所弁用硬面処理合金。
- 前記Cr 20wt%、C 1.7wt%またはC 1.3wt%、Si 1wt%及び残りはFeより構成される請求項3に記載の原子力発電所弁用硬面処理合金。
- 14wt%〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びC、1.5wt%以下のSi、1〜2wt%のCe及び残りはFeより構成される硬面処理合金。
- 前記Cr 20wt%、C 1.7wt%またはC 1.3wt%、Si 1wt%、Ce 1〜2wt%及び残りはFeより構成される請求項5に記載の硬面処理合金。
- 14wt%〜30wt%のCr、0.4wt%〜2.8wt%のCとして、図1の点I〜VI〜Iで示される範囲内のCr及びC、1.5wt%以下のSi、1〜2wt%のCe及び残りはFeより構成される原子力発電所弁用硬面処理合金。
- 前記Cr 20wt%、C 1.7wt%またはC 1.3wt%、Si 1wt%、Ce 1〜2wt%及び残りはFeより構成される請求項7に記載の原子力発電所弁用硬面処理合金。
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