JP6792410B2 - 流水用耐摩耗部材 - Google Patents

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Description

本発明は、石英粒を含む水が流通する流水用耐摩耗部材に関するものである。
水の流れを利用して電力を生み出す水力発電は、河川や農業用水路などに発電用水車を設置して、水力で水車の羽根車を回し、それによる動力で発電機を回して発電を行う。水車の接水部の材料としては、例えばSS400の構造用鋼等が用いられる。
河川水には、けい砂(主に石英粒(SiO2)からなる砂)を含む土砂が含有されている。このため、水車の接水部は、けい砂が繰り返し接触することから、長年の使用により摩耗する。水車が摩耗すると、運転効率が低下したり、羽根のバランスが悪くなって振動が発生したり、水漏れが発生したりする等の不具合が生じる。このような不具合を防止するため、水車は、オーバーホールによる分解点検と修繕が定期的に必要となるが、オーバーホールは水車修繕に多額の費用を要するため、頻繁に行うことができない。
そこで、長期に亘る使用に耐え得る水車とするために、接水部の材料としてステンレス鋼を使用し、耐摩耗性を向上させる方法がある(特許文献1、特許文献2)。この場合、オーステナイト系ステンレス鋼は、振動すると応力腐食割れを発生することや、温度差での伸縮が大きいため寸法に誤差が生じて曲がる等の理由から使用されにくかった。また、フェライト系ステンレス鋼は、特許文献1の[従来の技術]に記載されているように、一般的に耐衝撃性に劣る等の理由から使用されにくかった。
そこで、水車の接水部の材料として特許文献2のように、機械的性質(特に硬度)に比較的優れたマルテンサイト系ステンレス鋼を使用することがあった。マルテンサイト系ステンレス鋼は、フェライト系ステンレス鋼やフェライトオーステナイト二相系ステンレス鋼とは異なり、焼入れにより硬度を高めることができる。このため、マルテンサイト系ステンレス鋼は、機械的強度を高めることができるため、水車の材料として採用されてきた。さらに、マルテンサイト系ステンレス鋼を用いても摩耗が十分に抑えられない場合は、セラミック溶射を行うことにより摩耗性能を向上させていた。
特開平9−195003号公報 特開平8−001375号公報
水車の接水部の材料は、構造用鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を使用する。河川水にケイ砂を含む土砂の含有が多い場合等、水車の接水部の材料は、摩耗が大きいことから寿命が短くなり、分解点検を行う周期が、構造用鋼で3年であり、マルテンサイト系ステンレス鋼で6年である。水車の接水部の材料は、マルテンサイト系ステンレス鋼を使用した場合、構造用鋼と比較して一定の摩耗低減効果があるが、水車の分解点検を行う周期(約15年)と比べると半分以下に留まる。このため、さらに寿命を延ばすことが必要であるが、材料からの摩耗性能を向上する方法がなかった。
マルテンサイト系ステンレス鋼は、一般的にステンレス鋼の中で最も腐食しやすく、水中で使用した場合、容易に腐食するという問題がある。
水車の接水部の材料は、表面へセラミック溶射を行うことで、摩耗低減効果を得ることができる。ところが、セラミック溶射は、水車の摺動部へは適用ができないことと、欠損した部分のみを上塗りすることができない、等の問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みて、石英粒を含む水の流通において耐摩耗性が向上して長寿命化を図ることができる流水用耐摩耗部材を提供する。
本発明の流水用耐摩耗部材は、基部と、当該基部表面に設けられた被覆部とを備えた材料にて構成され、前記被覆部が石英粒を含む水の流通時の接触面となる流水用耐摩耗部材において、前記被覆部を、フェライト系ステンレス鋼にて構成したものである。
本発明の流水用耐摩耗部材によれば、石英粒を含む水の流通時の接触面となる被覆部をフェライト系ステンレス鋼にて構成している。フェライト系ステンレス鋼は、ステンレス鋼の中でも腐食しにくいものであるため、被覆部は耐腐食性に優れたものとなる。石英粒を含む水(例えば河川水)が流通する際、被覆部に石英粒が衝突する。この場合、水の介在によって石英粒が自由に回転していることから、1つの石英粒が被覆部に当接すると跳ね返り、次いで別の石英粒が当接して跳ね返り、これが繰り返し行われる。すなわち、石英粒を含む水が流通する際の摩耗は、空気中の摩耗のように、ある石英粒が面に当接して、それが他の石英粒に押さえつけられて(拘束されて)連続的に摩擦する機構とは異なる。従って、空気中での耐摩耗性の向上は硬度を高めることが重要であったが、流水中においては、硬度ではなく耐腐食性を高めることで、エロージョン及びコロージョンの耐性が高まり、結果的に耐摩耗性を向上させることができる。
また、本発明の他の流水用耐摩耗部材は、基部と、当該基部表面に設けられた被覆部とを備えた材料にて構成され、前記被覆部が石英粒を含む水の流通時の接触面となる流水用耐摩耗部材において、前記被覆部を、フェライト相及びオーステナイト相を有する二相系ステンレス鋼にて構成したものである。
前記構成において、前記被覆部を構成するフェライト系ステンレス鋼又は二相系ステンレス鋼は、質量%でCを0.03%以下としてもよい。また、フェライト系ステンレス鋼は質量%で、Si:1.00%以下、Mn:1.00%以下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:11.00%〜13.50%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるもの(いわゆるSUS410L)としてもよい。
フェライト相及びオーステナイト相を有する二相系ステンレス鋼は、腐食しにくいものであるため、被覆部は耐腐食性に優れたものとなる。これにより、エロージョン及びコロージョンの耐性を高めることができて、耐摩耗性を向上させることができる。
前記構成において、前記被覆部を構成するフェライト系ステンレス鋼又は二相系ステンレス鋼は、シャルピー衝撃試験の延性破面遷移温度が室温以下であるのが好ましく、また、0.2%耐力が205N/mm2以上、引張強さが440N/mm2以上、伸びが20%以上であるのが好ましい。これにより、被覆部は、マルテンサイト系ステンレス鋼と同等以上の機械的強度を有しつつ、耐摩耗性が向上する。
本発明の流水用耐摩耗部材は、石英粒を含む水が流通するものに使用されるのが好ましく、特に、水車のランナ、ライナ、ガイドベーン、ケーシング、及び導水管であるのが好適である。
本発明の流水用耐摩耗部材は、石英粒を含む水の流通において耐摩耗性を向上させて長寿命化を図ることができる。
本発明の実施形態を示す流水用耐摩耗部材として、水車の構成部材に適用した状態を示す簡略図である。 前記図1の流水用耐摩耗部材を構成する材料の断面図を示す。 摩耗試験における試験サイクルを示すグラフ図である。 試験片1〜試験片6の摩耗試験において、各試験片の重量減少量を示すグラフ図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
流水用耐摩耗部材の一例として、本実施形態では水車の河川水の接水部に適用する場合について説明する。河川水とは、主に石英粒(SiO2)からなるけい砂を含む土砂が含有された水である。すなわち、水車の接水部は、水が介在した状態で石英粒が接触し、エロージョン及びコロージョンが発生しやすい環境となっている。
水車(フランシス水車)は、図1に示すように、主として羽根車(ランナ)1と、ランナ1の外側に設けられて、ランナ1への流水量を調節するガイドベーン2と、ランナ1及びガイドベーン2を支持するライナ3と、河川水を貯留するケーシング4と、ケーシング4に河川水を導く導水管5とを備えている。水車の接水部とは、流水が接触する全ての箇所をいい、図1においては、ランナ1、ガイドベーン2、ライナ3、ケーシング4、及び導水管5の全てが水車の接水部となる。
水車の接水部は、図2に示すように、基部6と、当該基部6表面に設けられた被覆部7とを備えた材料にて構成されている。被覆部7は、河川水の流通時の接触面となる。被覆部7は、例えばアーク溶接等の方法により基部6表面に接合されている。
被覆部7は、フェライト系ステンレス鋼にて構成している。フェライト系ステンレス鋼とはJIS G 4304において規定するフェライト系ステンレス鋼である。また、フェライト系ステンレス鋼は、主としてC、Si、Mn、P、S、Cr、Feおよび不可避的不純物等にて構成されるが、これらの質量%や組成比率は任意なものとすることができる。
被覆部7を構成するフェライト系ステンレス鋼の一例として、本実施形態では、質量%でC:0.03%以下、Si:1.00%以下、Mn:1.00%以下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:11.00%〜13.50%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるものとしており、JIS規格におけるSUS410Lを使用している。SUS410Lは、13Cr−低Cタイプの組成で、SUS410SよりもCを低くして、溶接部の曲げ性、加工性、耐高温酸化性に優れたステンレス鋼材である。
フェライト系ステンレス鋼は、ステンレス鋼の中でも腐食しにくいものであるため、被覆部7は耐腐食性に優れたものとなる。河川水が流通する際、被覆部7に石英粒が衝突する。この場合、水の介在によって石英粒が自由に回転していることから、1つの石英粒が被覆部7に当接すると跳ね返り、次いで別の石英粒が当接して跳ね返り、これが繰り返し行われる。すなわち、石英粒を含む水が流通する際の摩耗は、空気中の摩耗のように、ある石英粒が面に当接して、それが他の石英粒に押さえつけられて(拘束されて)連続的に摩擦する機構とは異なる。従って、空気中での耐摩耗性の向上は硬度を高めることが重要であったが、流水中においては、硬度ではなく耐腐食性を高めることで、エロージョン及びコロージョンの耐性が高まり、結果的に耐摩耗性を向上させることができる。
さらに、被覆部7を構成するフェライト系ステンレス鋼は、機械的性質が、マルテンサイト鋼ステンレスの機械的性質と同等か、それ以上のものとしている。これにより、被覆部7は、マルテンサイト系ステンレス鋼と同等以上の機械的強度を有しつつ、耐摩耗性が向上する。具体的には、被覆部7を構成するフェライト系ステンレス鋼は、0.2%耐力が205N/mm2以上、引張強さが440N/mm2以上、伸びが20%以上、シャルピー衝撃試験の延性破面遷移温度が室温以下のものを使用している。なお、SUS410(マルテンサイト系ステンレス鋼)の機械的性質は、0.2%耐力が205N/mm2以上、引張強さが440N/mm2以上、伸びが20%である。
このように本実施形態の流水用耐摩耗部材は、石英粒を含む水の流通において耐摩耗性を向上させて長寿命化を図ることができる。
本発明の他の実施形態として、被覆部7は、フェライト相及びオーステナイト相を有する二相系ステンレス鋼にて構成してもよい。二相系ステンレス鋼は、腐食しにくいものであるため、被覆部は耐腐食性に優れたものとなる。これにより、前記実施形態と同様に、流水中においては、硬度ではなく耐腐食性を高めることで、エロージョン及びコロージョンの耐性が高まり、結果的に耐摩耗性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。被覆部がフェライト系ステンレス鋼にて構成される場合、実施形態の組成(質量%)は一例であって、実施形態のものに限られない。また、被覆部7が二相系ステンレス鋼にて構成される場合も組成(質量%)は種々のものとできる。本発明の流水用耐摩耗部材は、水車の接水部に限られず、石英粒を含む水が流通するものであればよく、例えばポンプの接水部等に使用することもできる。また、被覆部7を構成するフェライト系ステンレス鋼又は二相系ステンレス鋼は、前記実施形態のように、マルテンサイト系ステンレス鋼の機械的性質(0.2%耐力が205N/mm2以上、引張強さが440N/mm2以上、伸びが20%以上)と同等以上の機械的強度を有しているものが好ましいが、必ずしもこれに限らない。すなわち、実施形態で説明したフェライト系ステンレス鋼又は二相系ステンレス鋼は一例であって、本発明を構成するフェライト系ステンレス鋼又は二相系ステンレス鋼は、マルテンサイト系ステンレス鋼の機械的性質を下回るものも含む。
ステンレス鋼の摩耗及び機械的強度を確認するための試験を行った。試験は、材料1(SUS410L1:フェライト系)、材料2(SUS410L2:フェライト系)、材料3(SUS410S1:マルテンサイト系)、材料4(SUS410S2:マルテンサイト系)、材料5(LDX2101:二相系)、材料6(現在水車に適用しているSUS410:マルテンサイト系)の6種類の材料を使用して行った。表1に、材料1〜材料6の成分を示す。
材料1〜材料6について夫々試験片を作成し、摩耗試験を行った。まず、材料1〜材料6について、夫々所定の熱処理を行った後、後述する表3〜表8に示すように、80mm(直径)×12mm(内径)×10mm(厚さ)の形状の試験片1〜試験片6を作成した。また、水溶液(30℃、50mg/l Cl-の条件により調整)と、JIS6号けい砂(平均粒径250μm、モース硬度7)とを混合したスラリー溶液を準備した。なお、スラリー溶液の濃度は7.0重量%とした。表2に6号けい砂の成分を示す。
最初に、夫々の試験片について外観撮影及び重量計測を行った。その後、図3の試験サイクルに示すように、夫々の試験片について回転速度0〜7200rpm(6600rpmのとき、試験片の最外周の速度が100km/hに相当)で回転させながらノズル口流速3.90m/sec(14km/h)でスラリー溶液を試験片に吹き付けて一定時間(15h)摩耗させた後に各試験片の外観撮影及び重量計測を行う試験を2回繰り返した。0h(試験前)、15h後(1回目の摩耗後)、30h後(2回目の摩耗後)において、試験片1〜試験片6の外観撮影及び重量計測の結果を表3〜表8に示す。また、各試験片の重量減少量を図4に示す。
試験片1(表3参照)、試験片2(表4参照)、及び試験片5(表7参照)は、15h後及び30h後において、表面の変色がほとんど見られない。これに対して、特に試験片4(表6参照)は30h後の下面、試験片6(表8参照)は15h後の上下面で茶色の変色が確認され、腐食生成物(さび)が発生したことがわかる。これにより、石英粒を含む水が流通する状態では、マルテンサイト系ステンレス鋼は、フェライト系ステンレス鋼及び二相系ステンレス鋼よりも腐食しやすいことがわかった。
また、図4から試験片1、試験片2、及び試験片5は、15h後及び30h後の重量減少量が小さかったのに対し、試験片3、試験片4、及び試験片6は、15h後及び30h後の重量減少量が大きい。これにより、石英粒を含む水が流通する状態では、フェライト系ステンレス鋼及び二相系ステンレス鋼は、マルテンサイト系ステンレス鋼よりも摩耗しにくいことがわかった。
以上より、摩耗試験の結果から、石英粒を含む水が流通する状態では、腐食しやすさと摩耗しやすさとに相関があることがわかった。すなわち、前記状態において、フェライト系ステンレス鋼及び二相系ステンレス鋼は、マルテンサイト系ステンレス鋼よりも腐食しにくいものであるとともに、マルテンサイト系ステンレス鋼よりも摩耗しにくいものであった。
次に、材料1〜材料6について、シャルピー衝撃試験、引張試験、及び硬さ測定を行った。シャルピー衝撃試験は、各材料につき異なる温度(20℃、0℃、−20℃等の温度)×3体の計18体について行い、それぞれ延性破面率と吸収エネルギーからの遷移曲線を取得し、延性破面遷移温度を算出した。試験方法は、490Jの半自動シャルピー衝撃試験機を使用し、JIS Z2242に基づいて行った。
引張試験は、各材料につき3温度(20℃、0℃、−20℃)について行い、それぞれ0.2%耐力、引張強さ、破断伸びを測定・算出した。試験片は、JIS Z2241に基づいた14A号試験片を使用し、300kN試験機にて5mm/minの速度で行った。硬さ測定は、ブリネル硬さ測定法により行った。
表9に、各試験片の引張試験、硬さ測定、及びシャルピー衝撃試験の結果を示す。
材料1(フェライト系ステンレス鋼)は、0.2%耐力、引張強さ、伸びにおいて、材料3(マルテンサイト系ステンレス鋼)とほぼ同等の値を示した。また、材料2(フェライト系ステンレス鋼)では、0.2%耐力や引張強さが材料3、材料4、及び材料6(マルテンサイト系ステンレス鋼)よりも高いか、ほぼ同等のものとなっている。さらに、材料5(二相系ステンレス鋼)では、0.2%耐力、引張強さ、伸びにおいて、材料3、材料4、及び材料6(マルテンサイト系ステンレス鋼)よりも高いものとなっている。これにより、フェライト系ステンレス鋼及び二相系ステンレス鋼の機械的性質は、マルテンサイト系ステンレス鋼とほぼ同等か、それ以上のものであることが分かった。
シャルピー衝撃試験の結果より、延性破面遷移温度は、材料2(フェライト系ステンレス鋼)が−8℃と室温よりも十分低く、材料5(二相系ステンレス鋼)が遷移なしであった。また、材料1(フェライト系ステンレス鋼)の延性破面率遷移温度は14℃であり、6つの材料の中では高いものとなったが、室温を超えるものではなく、また、現在水車に適用している材料6よりも低いことから、材料1も実用化に適したものであることがわかった。
以上より、材料1、材料2、及び材料5は、機械的性質が良好なものであることから、フェライト系ステンレス鋼及び二相系ステンレス鋼は、例えば水車の接水部等、河川水が流通する部材の実用化に適したものであることが分かった。
1 ランナ
2 ガイドベーン
3 ライナ
4 ケーシング
5 導水管
6 基部
7 被覆部

Claims (4)

  1. 基部と、当該基部表面に設けられた被覆部とを備えた材料にて構成され、前記被覆部が石英粒を含む河川水の流通時の接触面となる流水用耐摩耗部材において、
    前記被覆部は、質量%でCが0.03%以下のフェライト系ステンレス鋼にて構成され、かつ、前記基部表面に接合され、石英粒を含む河川水の流水中におけるエロ―ジョン及びコロージョンの耐性が高められたことを特徴とする流水用耐摩耗部材。
  2. 前記被覆部を構成するフェライト系ステンレス鋼は、シャルピー衝撃試験の延性破面遷移温度が室温以下であることを特徴とする請求項1に記載の流水用耐摩耗部材。
  3. 前記被覆部を構成するフェライト系ステンレス鋼は、0.2%耐力が205N/mm2以上、引張強さが440N/mm2以上、伸びが20%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流水用耐摩耗部材。
  4. 水車のランナ、ライナ、ガイドベーン、ケーシング、及び導水管のいずれかであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の流水用耐摩耗部材。
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