JP2005518521A - 固体支持体を用いるペプチド分析 - Google Patents

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Abstract

本発明はポリペプチドを確認する方法に関する。本方法は次の各段階を含む:
(a)ポリペプチドのN−末端またはポリペプチドのペプチド1種またはそれ以上のN−末端を、活性化された酸部分に結合するスルホニル部分を含む酸性試薬1種またはそれ以上で誘導化して、ペプチド誘導体1種またはそれ以上を提供する段階;
(b)質量分析技術を使用して少なくとも1種のペプチド誘導体を分析して、フラグメンテーションパターンを提供する段階;および
(c)得られたフラグメンテーションパターンを解析する段階。
そのうえに、本発明方法は少なくとも段階(a)の間は該ペプチドまたはポリペプチドが固体の支持体に固定されていることを特徴とする。
さらに、本発明はまた、質量分析技術によってポリペプチドを確認するためのキットに関する。

Description

発明の詳細な説明
技術分野
本発明はポリペプチドを確認するための改良された方法に関し、その方法では酸性試薬を用いてペプチドを誘導化した後に質量分析を用いて分析する。本発明はまた本方法での使用に適する試薬を含むキットに関する。
発明の背景
ポリペプチドの確認および配列決定は蛋白質学分野の急速な発展と共にますます重要になっている。この分野では新遺伝子の発現産物をその機能および構成について研究する。
マトリックス支援レーザー脱着イオン化(MALDI)質量分析はペプチドおよびポリペプチドの配列決定のために開発された方法である(MALDI質量分析の原理を説明する参考文献としては、たとえばSpengler et al. "Peptide Sequencing by Matrix-assisted Laser-desorption Mass Spectrometry", Rapid Communications in Mass Spectrometry, Vol. 6, pp. 105-108 (1992) を参照)。MALDI質量分析は質量分析の領域に数々の利点を提供する。例えばこの方法は通常の電気スプレー三重四極装置よりも感度が高い。飛行時間型(TOF)質量分析器と組み合わせて使用する時には、MALDI質量分析は三重四極装置で分析できるものよりも高質量のペプチドにも使用できる。MALDI質量分析はまた最少なサンプル精製を用いて複雑な混合物を分析するためにも有用である。一方、電気スプレーイオン化法は液体クロマトグラフィー法(LC)および様々な型の毛細管電気泳動(CE)法を含む強力な分離技術と容易に連結できる。サンプルの精製にLCおよびCEを使用し、注入装置を用いれば高度に自動化した分析が可能である。
しかしながら最近のMALDI法も、それ程ではないが電気スプレーイオン化質量分析法も、予想可能なタンデム質量分析フラグメンテーションパターンを適切に提供しない。例えば、多重イオンシリーズ(a−イオン、b−イオンおよびy−イオンを含む)が観察されることが多く、効率的な解析および配列決定のためには複雑過ぎるMALDI―ポスト・ソース・ディケイ・スペクトルを与える。多重イオンシリーズ(b−イオンおよびy−イオン)プラス内部フラグメントおよび一重に荷電したイオンおよび多重に荷電したイオンが電気スプレーイオン化法によって発生する多重荷電前駆体イオンから形成され、得られるタンデム質量スペクトルは最初から解析が困難なことが多い。従って、フラグメンテーションに関する問題が質量分析を使用する迅速なポリペプチド配列決定法の性能を限定してきた。その結果、質量分析、殊にMALDI質量分析術、はこの分野における評価が低かった。
いくつかの研究グループが化学的誘導化技術を用いてポリペプチド配列決定の分野における質量分析の有用性向上を試みてきた。この技術はペプチドのMSMSスペクトルでフラグメンテーションを促進し、誘導するために利用され、感度の向上および得られるスペクトルの複雑性低下を目指した。この研究は殆どがカチオン性誘導体を提供した。例えば、四級アンモニウム基を用いる誘導化および静電的SIMSイオン化法を使用する分析が提案された。しかしながら、MALDI質量分析および低エネルギー衝突活性化による電気スプレーイオン化を使用するこの技術の利用は、一般的な効果を証明するに到らなかった。
最近、Keough ら(WO 00/43792、Procter & Gamble社)はアミノ酸配列決定のためにpKa値2未満の酸部分1個またはそれ以上で被分析物ポリペプチドのN末端を誘導化した後に、たとえばMALDI質量分析のような質量分析法で分析する方法を提案した。この酸性部分は、好ましくはスルホン酸またはジスルホン酸誘導体である。この誘導体は荷電部位から開始する骨格アミド結合の切断を促進し、y−イオンを含む一連のフラグメントイオンのみを選択的に検出することを可能にする。しかしながら、Keoughらの反応は、彼らが使用した試薬が水に不安定なため、一般に非水条件下に行われる。従って、質量分析による商業的に有用なアミノ酸配列決定法のためには、なお操作法、中でも自動化操作法の要請を満たすような方法の改良が求められている。
発明の要約
本発明の目的の一つは質量分析技術を用いてペプチドまたはポリペプチドを確認する方法を提供することにあり、その方法はその堅牢さ、感度およびフラグメンテーションスペクトル解析の容易さのために、先行技術の方法よりも自動化に適するものである。この目的は酸性誘導化試薬を固体支持体上に固定されたポリペプチドと接触させることによって達成される。
そこで、本発明はポリペプチドを確認する方法に関し、この方法は次の各段階を含む:
(a)ポリペプチドのN−末端またはポリペプチドのペプチド1個またはそれ以上のN−末端を、活性化された酸部分に結合するスルホニル部分またはスルホン酸部分を含む酸性試薬少なくとも1種を用いて水性溶液中誘導化して、ペプチド誘導体を1種またはそれ以上提供する段階(ただし、この試薬は水溶液中での半減期が室温では10分以上、好ましくは20分以上、最も好ましくは30分以上である);
(b)その誘導体少なくとも1種を質量分析技術で分析して、フラグメンテーションパターンを提供する段階;および
(c)得られたフラグメンテーションパターンを解析する段階。
但し、本方法では少なくとも段階(a)の間はこのポリペプチドが固体支持体に固定化されているものとする。
本発明の各目的は、特定的には上記請求項に定義するようにして達成される。以下に本発明を特定的態様およびその具体的実施例も参照しつつ、さらに詳細に説明する。
図面の簡単な説明
図1は、実施例2に記載するウマミオグロビンの未誘導化サンプル(MALDIターゲット上、15fmol)についてリフレクトロンスペクトルを示す。
図2は、図1に関して記載したサンプルの誘導化サンプル(MALDIターゲット上、<15fmol)についてリフレクトロンスペクトルを示す。
図3は、リジン末端ペプチド(図2、m/z 1271)の誘導化で生じたm/z 1449.5についてPSDスペクトルを示す。
図4は、得られたy−イオン7種の質量(反応物から−42Da)を与えて前記プロテインをPepFrag でどのように同定したかを示す。
図5は、アルギニン末端ペプチド(m/z 1742.8)についてフラグメンテーションスペクトルを示す。
図6は、得られたy−イオン8種の質量を用いてプロテインをPepFragで確認したことを示す。
図7は、実施例3に記載するBSAトリプシン消化ペプチド500 fmol の固相スルホン化を示す。
図8は、実施例3に記載するBSAトリプシン消化ペプチド4.5 pmol の溶液中でのスルホン化を示す。
図9A〜図9Dは以下の実施例12で検討するNMRスペクトルを示す。
図10A〜図10Bは本発明に使用するNHSエステルの安定性を図示する。より特に、図10AはDO中3−スルホプロピオン酸NHSエステルの安定性を示し、図10BはDO中3−スルホ安息香酸NHSエステルの安定性を示す。
図11A〜図11Cは実施例17に記載のようにスルホン化したペプチドについてMALDI・PSDスペクトルおよび相対的反応性のデータを示す。
図12は、EttanTMMALDI-TOFで得た4VP−BSAの未誘導化トリプシン消化物についてリフレクトロンスペクトル、ポジティブモード(平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。
図13は、4VP−BSA(EttanTM MALDI-TOF)の誘導化トリプシン消化物についてリフレクトロンスペクトル(平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。
図14は、EttanTM MALDI-TOF で得た4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物(図13)から得たペプチド(I)の完全y−イオンシリーズを示すPSDスペクトル(ポジティブモード)を示す。
図15は、4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物(図13)から得たペプチド(II)についてPSDスペクトル(ポジティブモード)を示す。
図16は、4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物(図13)から得たペプチド(III)m/z 1704 についてPSDスペクトル(300ショットシグナル蓄積)を示す。
図17は、EttanTM MALDI-TOF で得たクーマジー染色2−Dゲルからの未誘導化プロテイン消化物についてリフレクトロンスペクトルの初回例(ポジティブモード、100ショット蓄積、平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。
図18は、図17と同じ2−Dサンプル(残りの95%)であるがNHSエステルでN−末端誘導化後のリフレクトロンスペクトル(ポジティブモード、平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。
図19は、誘導化ペプチド m/z 1927 についてPSDスペクトル(300ショット蓄積)を示す。
図20は、EttanTM MALDI-TOF で得たクーマジー染色2−Dゲルから得たプロテインスポットの未誘導化トリプシン消化物についてリフレクトロンスペクトルの第二例(100ショット蓄積、平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。
図21は、図19と同じ2−Dサンプルであるが既述のようにZipTipTM で浄化し、水性溶液中でNHSを用いて誘導化した後のリフレクトロンスペクトル(ポジティブモード、平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。
図22は、誘導化したペプチド m/z 1705(図12参照)についてPSDスペクトル(シグナルを300ショット蓄積)を示す。
図23は、後続する多重式スルホン化用に実験室用遠心分離機に入れたサンプル充填済 ZipTipsTM を示す。
図24は、スルホン化反応後に遠心分離機内で行うサンプル洗浄を示す。
図25は、MALDIサンプルステージ上に固体支持体から誘導化サンプルの直接負荷を示す。
図26は、固体支持体上でフィブリノペプチドAをスルホン化して得たMALDI質量スペクトルを示す。各サンプルはペプチド三濃度(10、1および0.1pmole)で、スルホン化は二重実験で行った。
図27は、スルホン化反応中に形成される望ましくないエステル副産物を逆戻りさせるためのヒドロキシルアミン塩酸塩の使用を示す。上のスペクトルは遠心分離機内の固体支持体上でスルホン化したASHLGLARから得た。下のスペクトルはヒドロキシルアミン塩酸塩で処理した後の同じスルホン化ペプチドから得た。
図28は、プロテイン消化物のスルホン化を示す。上のスペクトルは天然プロテイン消化物から得た。下のスペクトルはスルホン化後の消化物から得た。
定義
本明細書では用語「確認する」は、完全配列の決定とは必ずしも同義語ではなく、それは、ポリペプチドを確認するための部分配列決定または既知プロテインに由来するペプチドとの異同を確認するための部分配列決定も含むためである。さらに、この用語にはまた少数の可能性の中で最も可能性の高いものに基づく暫定的な確認を行うことも含む。
さらに、本明細書で使用する用語「イオン化」は、被分析物に電子単位プラス1またはそれ以上または電子単位マイナス1またはそれ以下の電荷を作製または保持する過程を示す。
本明細書で使用する用語「水性環境」は、水に基づくいかなる溶液、懸濁液またはその他の形をも含む。これには約20%未満の有機溶媒を含有する。
本明細書で使用する用語「電気スプレーイオン化」はアースした対電極に対して高電圧の毛細管電極から静電的に溶液を噴霧することによって溶液からイオンを形成する過程を示す。この定義には電気スプレーイオン化および空気支援電気スプレーイオン化の両方を含むことが意図されており、後者はイオンスプレーとも称せられる。本明細書で使用する用語「電気スプレーイオン化」は全ての液体流速に適用され、また、マイクロスプレー実験およびナノスプレー実験も含むことが意図されている。さらに、この定義は分離せずにイオン源に直接注入されたペプチドの分析および電気スプレーイオン化の前に分離されたペプチドまたはペプチド混合物の分析にも適用することが意図されている。適当なオンライン分離法には、限定するものではないが、HPLC、毛細管HPLCおよび毛細管電気泳動を含む。電気スプレーイオン化実験は、限定するものではないが、三重四極質量分析器、イオントラップ、直交加速飛行時間型分析装置およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴装置など、を含む種々の質量分析装置で実施できる。
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」はアミノ酸残基2個またはそれ以上を有する分子を示す。
本明細書で使用する用語「野生型」は突然変異のない生体によって産生されるポリペプチドを示す。
本明細書で使用する用語「変異型」は野生型ポリペプチドの配列とは異なるアミノ酸配列を持つポリペプチドを示す。
本明細書で使用する用語「水に対して安定」は水溶液中室温では、10分以上、好ましくは約20分以上、最も好ましくは約30分以上である半減期を持つ試薬を示す。
用語「活性化された酸」は水性環境下でアミド結合を形成することができる、酸の誘導体、好ましくはカルボン酸の誘導体を示す。
本明細書で使用する用語「固定化」はペプチドおよび/またはポリペプチドが固体支持体にどの程度吸着されるかを定義する用語で、ペプチドおよび/またはポリペプチドの結合が反応の間持続するに十分な強さであることを意味する。例えば支持体をCl8でコーティングすると、ペプチドと支持体との間の疎水性結合は反応と浄化の段階を通じてペプチドを保持するために十分な強さを持つ。
本明細書では以下の略号を使用する:
Figure 2005518521
本発明の詳細な説明
本発明の第一の側面はポリペプチドを確認する方法である。その方法は次の各段階を含む:
(a)ポリペプチドのN−末端またはポリペプチドのペプチド1個またはそれ以上のN−末端を、活性化された酸部分に結合するスルホニル部分またはスルホン酸部分を含む酸性試薬少なくとも1種を用いて誘導化して、ペプチド誘導体を1種またはそれ以上提供する段階(ただし、この試薬は水溶液中での半減期が室温では10分以上、好ましくは約20分以上、最も好ましくは30分以上である);
(b)その誘導体少なくとも1種を質量分析技術で分析してフラグメンテーションパターンを提供する段階;および
(c)得られたフラグメンテーションパターンを解析する段階。
但し、本方法では少なくとも段階(a)の間にペプチドまたはポリペプチドが固体支持体に固定化されているものとする。
本発明で使用する固体支持体は本明細書に定義する条件下にペプチドまたはポリペプチドを固定化できる任意の適当なサブストレートでもよい。そこで、一態様では、前記固体支持体はCl8で誘導化したシリカに基づく媒体からなる。この固体支持体は、たとえばマイクロタイタープレートのウェルのようなプラスチック表面に;たとえばMALDIスライドのような金属表面に;コンパクトディスクの表面(Gyros AB, Uppsala, Sweden)に;またはたとえば市販のZipTipTM(Millipore Corp, USA たとえば WO 98/37949参照)のような混合構造中に存在できる。本発明の固体支持体は結合性能が高いと、誘導化法の効率が高まる。またこの固体支持体は、たとえばMALDIマッピングの前に薄いペプチド消化物溶液を濃縮するためにまたは脱塩するために便利な手段であって、シグナル/ノイズ比を大幅に改善する。固体支持体へのポリペプチド固定化でもたらされる他の利点には反応時間を短縮すること;ペプチドおよびポリペプチドのグアニジン化および/またはスルホン化に必要なサンプル操作の数を削減すること;および操作全体の処理量を増加することなどがある。固体支持体上で誘導化されたプロテイン消化物のスペクトルはトリプシンペプチド数の増加、プロテイン配列範囲の改善、およびデータベース検索スコアの高度化を示すことが多い。事実、本発明者は固体支持体の代わりに溶液中で行う対応する化学反応で得られるよりも感度が5倍も高いことを証明することができた。
ZipTipTMのような物質は質量分析による配列決定をする前にペプチドまたはポリペプチドを誘導化するための支持体として以前に使用されたことがない。しかし、単に薄い溶液を濃縮するために、および単にたとえばアルカリ塩のような低分子量夾雑物を除去して溶液を浄化するだけのために使用されていた。
有利な態様では、所望に応じてたとえばヒロドキシルアミン、メルカプトエタノール、ジチオスレイトールまたは酢酸ヒドラジドのような、望ましくないエステル基を加水分解する適当な化学物質を添加することによって、段階(a)終了後に存在するエステル副産物の量を削減するかまたはなくす。誘導化したペプチドまたはポリペプチドを分析の前に洗浄して過剰な試薬を除去する。本明細書では用語「酸性」試薬はペプチドまたはポリペプチドに結合したときにpKaが2未満、好ましくは0未満、より好ましくは−2未満である部分を1個またはそれ以上含む試薬を意味する。
本方法はたとえば野生型ポリペプチド、変異型ポリペプチドおよび/または合成ポリペプチドのようなポリペプチドを配列決定するために有用である。本方法は、たとえば生物学分野および薬学分野などで使用する高分子量ポリペプチドを確認するために殊に有用である。さらに特定的には、本方法は以下に列挙する目的に使用できる:ペプチドまたはポリペプチドの迅速な配列決定を必要とする生物学研究を促進するために;プロテインの翻訳後修飾を確認するために;たとえば商業的洗濯および生産物浄化に使用するような変異型プロテインにおけるアミノ酸修飾を確認するために;遺伝子クローニングのためのオリゴヌクレオチドプローブの設計を支援するために;指向性エボリューション研究で生成する産物を迅速に確認するために;コンビナトリアルライブラリーおよびペプチドライブラリーの確認において;および蛋白質学において。
そこで段階(b)では、本発明は誘導体を分析するために質量分析技術を利用する。この技術にはマトリックス支援レーザー脱着イオン化(MALDI)質量分析または電気スプレーイオン化を含むことができる。これらイオン化技術は、限定するものではないが、三重四極装置、イオントラップ、リフレクター飛行時間型分析器、直交加速飛行時間型質量分析機およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴装置などを含む様々な質量分析機で実施できる。得られたスペクトルは標準的操作法に従って常用的に改めて分析される。しかしながら、最も好適な態様では段階(b)においてMALDI質量分析を使用する。MALDI質量分析器は商業的に入手可能であって、文献にも記載されている。例えばKussmann M. and Roepstorff P., Spectroscopy 1998, 14: 1-27 を参照。
そこで、前記の通り先行技術ではMALDI質量分析技術による配列決定を促進するためにスルホン酸基をペプチドのN−末端に付加してきた。以前に提案された試薬は水に対する安定性が低いものを含む(この点については、たとえばT. Keough, R. S. Youngquist, M. P. Lacey, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 96, 7131 (1999); T. Keough, M. P. Lacey, A. M. Fieno, R. A. Grant, Y. Sun, M. D. Bauer, K. B. Begley, Electrophoresis, 66, 2252 (1999); T. Keough, M. P. Lacey, R. S. Youngquist, Rapid Commun. Mass Spectrom. 14, 2348 (2000) を参照)。本発明は酸性試薬を使用する方法に関し、その方法では以前に提案されたものと逆に固体支持体上に固定されたポリペプチドについて行う。最も有利な態様では、本発明はたとえばNHSエステルのようなエステル部分に結合するスルホニルまたはスルホン酸部分を含有する酸性試薬を利用する。このような試薬については以下に詳記する。
そこで、一態様では、本発明は実際の質量分析段階の前の誘導化段階で水に対して安定な試薬を使用する改良された一段階法を提供する。水に可溶で水に安定な試薬を使い、有機溶媒を避ける利点は明白で、乾燥工程および溶媒変更が不要なために誘導化操作の自動化が容易な点を含む。
本発明が固体支持体に固定したトリプシン処理ポリペプチドを利用することはまた、自動化への適応性強化に寄与する。特に有利な態様では段階(a)および先行するグアニジン化段階の両方を固体支持体上で行う。この態様は、購入可能な自動化システム例えばProSpot(登録商標) (Amersham Biosciences AB, Uppsala, Sweden)またはcompact disksのような微小流体(microfluidics)サンプル調製装置(Gyros AB, Uppsala, Sweden)に容易に適合されるため、例えば標準的96穴フォーマットで多数のサンプルに同時に有利に行える。このような適合化にはたとえば固体支持体取出しピペット、インキュベーション、その他の段階を含むであろう。この態様ではグアニジン化反応およびスルホン化反応を、同じミクロタイタープレートのウェル内のペプチドまたはポリペプチド内容物について行い、続いてZipTipTM上に固定化する。従って、サンプルの固定化または結合する必要があるのは一度だけで、それが操作全体を単純化する。またこの態様が溶液中での対応する反応と比較して感度を5倍も向上することが証明された。当該目的のための溶液中のペプチドの使用と固体支持体に固定化したペプチドの使用との相違点についてはスルホン化段階で比較している実施例4を参照。
さらに、本発明はまた、固体支持体に固定化してあるペプチドおよび/またはポリペプチドのリジン残基をグアニジン化で保護する方法に関する。
別の態様では、スルホン化段階の時間を短縮するため、および誘導化操作を効率化するためにスルホン化試薬を段階(a)の間に遠心してペプチドまたはポリペプチド−負荷Zip TipsTM、またはその他の使用する固相を通して液体を強制的に流す。この方法は固定化されたペプチドまたはポリペプチドの上に化学的試薬を流すための機械的に単純な手段を提供する。本発明者は予期に反してこの態様を使用すれば殆ど定量的な誘導化が可能であることを発見した。下記実施例3を参照。
この態様での方法がグアニジン化段階(以下に詳記)も含むなら、この反応は2−Dゲルからトリプシン消化物を溶離する間に行うのが好都合である。たとえば、 Hale et al. (Anal. Biochem. 28, (2000), 110-117)を参照。ゲルからペプチドを抽出する間のグアニジン化は自動装置で行うことができ、トリプシン消化ペプチドを次に固体支持体に固定化して前記のようにスルホン化する。
従って、特に有利な態様では、本方法はコンピュータに支援される方法であって、段階(c)で適切なソフトウエアを利用する。そこで、質量分析で得られた質量対電荷の比率のデータ分析を用いて、得られたフラグメンテーションパターンを解析する。たとえばMALDI−TOF実験から得たペプチドの質量スペクトルとプロテインから得られる理論的スペクトルとを比較するために数種のソフトウエアプログラムが開発されている。この問題に関する総説は Kussmann, Roepstorff (Kussmann M. Roepstorff P., Spectroscopy 1998, 14: 1-27) を参照。
本方法で使用する一群の試薬の利点は容易に結晶形で保存できる点にある。そこで、保存中の安定性、従って試薬の寿命は大いに改善される。従って、本発明は多数の常用操作において安価な取扱が可能で簡単に実用化される試薬を利用する。
本方法で使用する酸性試薬はペプチドまたはポリペプチドと結合した時に約2未満、さらに好ましくは約0未満、最も好ましくは約−2未満のpKaを有し得る。この分野の熟練者は当技術分野でよく知られている標準的方法を用いてポリペプチドまたはペプチドに共有結合した酸性部分のpKa値を測定できる。例えばその方法には滴定または電気化学的方法を含み得る。試薬内の活性化された部分は、たとえば3−スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルまたは2−スルホ安息香酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルのようなN−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)エステルでありうる。
この分野の熟練者が想起するように、緩衝液が酸性試薬に対して被分析物と有効に競合しない限り、この試薬を適当な緩衝液と組み合わせて使用できる。一態様では、この緩衝液は約8〜12の範囲、例えば9〜10の範囲、特定的態様では9.4のpHを提供する。適当な緩衝剤の一つは0.25M−NaHCOである。あるいは、試薬は単に水に溶解して使用するが、この場合は後続反応のために最終溶液は塩基性でなければならないので、最終溶液のpHを調節する。さらに本方法では通常実用上の見地から単一の試薬を使用するが、本発明は各々がNHSエステル部分に結合するスルホニル部分またはスルホン酸部分を含むと定義される試薬2種またはそれ以上を混合して利用する方法も包含することを理解すべきである。
前記の例示した試薬の製造は本明細書の実験の部に例示する。本方法で使用する活性化された酸は当技術分野の通常な熟練者によく知られている技術に従って製造される。本発明の化合物を調製するために使用する出発物質は既知であるか、既知方法で製造されるかまたは出発物質として購入できる。
有機化学分野における熟練した通常の専門家はこれ以上の指示なしに有機化合物を容易に標準的な処理をすることができると認識される。そのような処理の例は、たとえば J. March著, Advanced Organic Chemistry, John Wiley & Sons, 1992 のような標準的教科書に記載されている。
通常の熟練した当業者は、化合物内の他の官能基をマスクまたは保護して反応収率を増加および/または望ましくない副反応回避をすると、ある種の反応は実施が最適になることを容易に認識する。通常の熟練者はしばしば収率の向上または望ましくない反応の回避を達成するために保護基を利用する。このような反応は文献にも記載され、普通の専門家の熟練範囲内にある。そのような取扱例の多数は、たとえばT. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1981. に見出される。
本方法に使用する化合物は、当技術分野の通常の熟練者に知られている様々な操作法を使用して製造してもよい。限定を意図するものではないが一般的製造法には以下のものを含む:
本発明に従って使用する活性化された酸は下記一般構造の化合物内の酸基を活性化し、続いて本発明の水に安定な試薬を作製する反応に付すことによって製造できる。
Figure 2005518521
[式中、Yは脂肪族および/または芳香族フラグメントを含み、要すれば別のスルホン酸を含んでいてもよいスペーサーである]
適当な酸の例は、限定するものではないが、たとえば2−スルホ酢酸、3−スルホプロピオン酸、3−スルホ安息香酸、4−スルホ安息香酸、2−ブロモ−5−スルホ安息香酸および2−スルホ安息香酸などである。ここに有用なスルホニル基に関する一般的な参考文献としてはたとえば WO 00/43792 を参照。
当業者はこれら化合物のプロトン化された酸に加え、限定するものではないが、ナトリウム塩およびカリウム塩を含む塩が本発明化合物の合成に有用であることに想到するであろう。活性化された酸は大部分が本技術分野の常法を用いて容易に製造できる。ペプチド合成および活性エステル製造に関する最近の総説および成書には次のものがある: a) Alberico, F., Carpino, L.A., Coupling reagents and activation., Method. Enzymol., 1997, 289, 104-126; b) Bodansky, M, Principles of Peptide Synthesis, 2ed., Springer-Verlag: Berlin, 1993; c) Humphrey, J.M., Chamberlin, A.R., Chemical Synthesis of Natural Product Peptides: Coupling Methods for the Incorporation of Noncoded Amino Acids into Peptides. Chem. Rev., 1997, 97, 2243-2266; d) Handbook of Reagents for Organic Synthesis: Activating Agents and Protecting Groups, Pearson, A J. andRoush, W.R., ed., John Wiley & Sons, 1999。この構造を持つ反応性誘導体には例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステルのような活性エステル、たとえば塩酸およびスルホン酸のような有機酸または無機酸の混合無水物および該構造を持つ酸の対称無水物を含む。これらの活性化された物質は本発明の水に安定な試薬として直接有用でありうる。しかしながら、たとえば酸塩化物のような活性の高い物質は本明細書に定義する水に対する安定さはないかもしれないが、たとえばこれを更にN−ヒドロキシサクシンイミドのような試薬と反応させれば、本発明の水に安定な試薬である活性化された酸を生成させることができる。
文献に見出される無数の活性エステルの中で、N−ヒドロキシサクシンイミドに由来するエステル(Anderson, G.W., Zimmerman, J.E., Callahan, F.M., J Am. Chem. Soc., 1964, 86, 1839 [総説はKlausner, Y.S.; Bodansky, M.S., Synthesis, 1972, 453参照]、オルトおよびパラ−ニトロフェニルエステル(Bodansky, M., Funk, K.W., Fink, M.L., J. Org Chem., 1973, 38, 3565; Bodansky, M.; Du Vigneaud, V.; J Am. Chem. Soc., 1959, 81, 5688)、2,4,5−トリクロロフェニルエステル(Pless, J., Boissonnas, R.A. Helv. Chim. Acta, 1963, 46, 1609)、ペンタクロロフェニルエステル (Kovacs, J., Kisfaludy, L., Ceprini, M. Q., J. Am. Chem. Soc., 1967, 89, 183)およびペンタフルオロフェニルエステル (Kisfaludy, L., Roberts, J.E., Johnson R.H., Mayers, G.L., Kovacs, J., J. Org. Chem., 1970, 35, 3563) には最も実用的興味がある。他の活性化された酸部分としてはたとえば2−ピリジルチオエステル (Lloyd, K., Young, G.T., J Chem. Soc. (C), 1971, 2890) のようなチオエステル、シアノメチルエステル (Schwyzer, R., Iselin, B., Feurer M., Helv. Chim. Acta; 1955, 38, 69)、N−アシルイミダゾリド(Wieland, T., Vogeler, K., Angew. Chem., 1961, 73, 435)、アシルアジド(Curtius, T., Ber. dtsch. chem. Ges., 1902, 35, 3226; Fujii, N., Yajima, H., J, Chem. Soc. Perkin Trans I, 1981, 789)またはベンゾトリアゾール由来の中間体(Dormoy, J.R., Castro, B., Tetrahedron, 1981, 37, 3699) も考慮される。
この活性化されたエステルの使用は同様にして、たとえば4−ジメチルアミノピリジン(Hoefle, G., Steglich, W., Vorbrueggen, H., Angew. Chem., Int. Ed. Engl., 1978, 17, 569; Scriven, E. F. V., Chem. Soc. Rev., 1983, 12, 129)のような選択されたアシル化触媒と組合せても可能である。本試薬の仔細な分子構造はスルホニル部分またはスルホン酸部分と活性化された酸部分とが存在し、水に対する安定性およびアミンとの化学的反応性が保持されている限り、本質的なものではない。続いてたとえば反応のために至適なpHを確認するために、またはたとえばヒドロキシル基での望ましくない副反応が少ない特定の活性化された酸を確認するために、常法の実験を行うことができる。
ポリペプチドまたはそのペプチドはどのような方法で得てもよい。例えば、必要ならば目的とするポリペプチドを分析のために分離する。分離には例えば一次元および二次元の電気泳動などを含む数種の操作法を利用してもよい。あるいは、このポリペプチドはこの技術分野でよく知られているコンビナトリアル化学の方法によって合成してもよい。この例では、生成ポリペプチドのC末端にまたはその付近に塩基性または疎水性残基、好ましくは塩基性残基(最も好ましくはアルギニンまたはリジン)を有するポリペプチドを合成することが最も好ましい。
消化はゲル内または膜上、好ましくはゲル内を含む様々な方法で行ってもよい(例えばShevchenko et al.,"Mass Spectrometric Sequencing of Proteins from Silver-Stained Polyacrylamide Gels", Analytical Chemistry, Vol. 68, pp. 850-858 (1996) を参照)。そこで、有利な態様の一つでは本発明方法はゲル内消化を使用する。ポリペプチドに消化、すなわち酵素的消化または化学的消化のいずれか、好ましくは酵素的消化、を施すことが可能である。得られるペプチドのC−末端またはその付近に塩基性または疎水性残基、最も好ましくは塩基性を与える消化操作を利用するのが最も好ましい。
ポリペプチドは、たとえばトリプシン、エンドプロテイナーゼLysC、エンドプロテイナーゼArgCまたはキモトリプシンなどを用いて酵素的に消化してもよい。トリプシン、エンドプロテイナーゼLysCまたはエンドプロテイナーゼArgCは、ポリペプチド自身のC末端を除いて、ポリペプチドから生成するペプチドでは典型的にはC末端がアルギニンまたはリジン残基(塩基性残基)で終結するので好適である。特に生成するペプチドのC−末端またはその付近に塩基性残基ができれば、他の酵素も使用できる。例えば典型的には疎水性アミノ酸残基で切断するキモトリプシンを使用してもよい。あるいは、たとえばシアノーゲンブロミドのような化学的消化(消化方法の一般的参考文献としては例えば U.S. Pat. No. 5 821 063を参照)も使用できる。
そこで、特定的態様では本方法を使用してポリペプチドまたはプロテインを確認する。この場合、第一段階は該ポリペプチドまたはプロテインを消化、好ましくは酵素的消化してペプチドを得ることを含む。好適な態様ではこの酵素はトリプシンである。
特に有利な態様では、本方法は誘導化段階の前に特定の残基を保護する段階も含む。例えばポリペプチドまたはプロテインをトリプシンで消化する場合、たとえば望ましくないスルホン化反応を避けるためにLys残基を保護してもよい。グアニジン化によるこのような保護操作の一例は下記実験の部(実施例8参照)に詳記する。グアニジン化はたとえば地図作成実験のような後続する段階へのペプチド回収に悪影響なしにLys側鎖を選択的に保護できるので有利に使用される。さらにその上、未処置プロテインにあるリジン残基はグアニジン化してもトリプシン消化を受けるので、リジン含有ペプチドは定量分析のために使用できる。例えば、一群の対照プロテインは天然同位元素存在度の硫酸水素O−メチルイソ尿素のような試薬でグアニジン化できる。処置群のプロテインは重同位元素を豊富化した同じ試薬、たとえば13Cおよび/または15N含有硫酸水素O−メチルイソ尿素など、でグアニジン化できる。プロテイン混合物を集め、分離後にトリプシン消化を行うことができる。興味深いプロテインがMALDIマッピングおよび配列決定で確認され、同位元素標識リジン含有ペプチドと同位元素無標識リジン含有ペプチドとにおける存在度の比率を比較して定量する。
本方法は好ましくはプロテイン消化物からのポリペプチドについて使用する。ポリペプチドとしては好ましくは約50アミノ酸残基未満、より好ましくは約40アミノ酸残基未満、更に好ましくは約30アミノ酸残基未満、なおさら好ましくは約20アミノ酸残基未満、最も好ましくは約10アミノ酸残基未満、を含むものを使用できる。
本発明の第二の側面は3−スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステル化合物そのものである。この化合物は前記固体支持体上で行うペプチドの誘導化に用いる試薬として特に有用である。
本発明の第三の側面は2−安息香酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステル化合物そのものである。この化合物は前記固体支持体上で行うペプチドの誘導化に用いる試薬としてまた有用である。
本発明の第四の側面はポリペプチドを確認するためのキットであって、そのキットは酸性試薬を適当な容器内に含む。この酸性試薬は活性化された酸部分に結合するスルホニル部分またはスルホン酸部分を有しており、好ましくは固体の状態でキットに入れてある。一態様ではこの試薬は事前に秤量されており、別な態様ではバルク試薬として入れてある。このキットにはpHを8〜11の範囲内にする緩衝液も入れてもよい。安定性の理由から緩衝液は末端使用者が使用直前に添加する。本発明のキットはモデルペプチドを含めることもできる。このキットにはその使用法に関するたとえばパンフレットの形での説明書を添付することもできる。
そこで、一態様では、本キットはペプチドまたはポリペプチドを確認する本発明の方法を行うために必要な装置および手段を含む。特定的態様の一つは、本発明の新規試薬1種またはそれ以上およびマトリックス支援レーザー脱着イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析での使用に必要な手段を含むキットである。別の一態様は本発明の新規試薬1種またはそれ以上およびさらに電気スプレーイオン化質量分析(ESI−MS)での使用に必要な手段を含むキットである。特別な態様の一つでは、本キットは試薬のコンパートメントとは別のコンパートメントに入れたヒドロキシルアミン塩酸塩を含む。この塩酸塩は誘導化終了後の反応物に添加して、側鎖にヒドロキシル基を持つ内部アミノ酸残基との反応で生成する望ましくないエステル副産物を戻すために使用する。
本発明の第五の側面は、質量分析技術において、たとえば3−スルホプロピオン酸N−ヒロドキシサクシンイミドエステルまたは2−スルホ安息香酸N−ヒロドキシサクシンイミドエステルなどのN−ヒロドキシサクシンイミド(NHS)エステルのようなエステル部分に結合するスルホニル部分またはスルホン酸部分を含む酸性試薬の使用であって、誘導化の間は該ペプチドを固体支持体に固定するものである。さらに特定的には、本発明は本発明方法における前記試薬の使用に関する。
図面の詳細な説明
図1は下記実施例2に記載する未誘導化サンプルであるウマミオグロビン(MALDI標的上15fmol)についてリフレクトロンスペクトルを示す。
図2は、図1に記載する誘導化サンプル(MALDI標的上<15fmol)についてリフレクトロンスペクトルを示す。固体支持体上での効率的リジン残基のグアニジン化のために、およびグアニジン化されたペプチドの良好な応答のために、未誘導化サンプルの分析に比べて誘導化サンプルのリフレクトロンスペクトルではリジンで終結するペプチドのシグナルが劇的に増大した。誘導化ペプチド2種(リジン終結ペプチド1種 m/z 1449.5;アルギニン終結ペプチド1種 m/z 1742.8)を使用してPSD分析を行った。
図3は m/z 1449.5のPSDスペクトルを示す。
図4は観察された7個のy−イオン(グアニジン化反応による質量増加−42Da)を与え、PepFrag でどのように前記プロテインを確認するかを示す。
図5はアルギニン終結ペプチド(m/z 1742.8)のフラグメンテーションスペクトルを示す。
図6は得られたy−イオン8個を使ってPep-Frag で行ったプロテインの確認を示す。
図7は実施例3に記載する固相上で行ったBSAトリプシン消化物ペプチド500fmolのスルホン化を示す。
図8は実施例3に記載する溶液中で行ったBSAトリプシン消化物ペプチド4.5 pmolのスルホン化を示す。
図9A〜9Dは下記実施例4に記載するNMRスペクトルを示す。特定的には図9Aは3−スルホプロピオン酸のスペクトルを示す;図9Bは3−スルホプロピオン酸無水物の13C−NMRスペクトルを示す;図9Cは無水物炭素のスペクトルを示す;図9Dは3−スルホプロピオン酸無水物から製造したNHSエステルのスペクトルを示す。
図10A〜10Bは本発明NHS-エステルの安定性を図示する。特定的には図10Aは3−スルホプロピオン酸NHSエステルのDO中における安定性を示す;図10Bは2−スルホ安息香酸NHSエステルのDO中における安定性を示す。この分析は JEOLの270MHz−NMR装置で行った。NHSエステルをNMRチューブに入れ、DOで700μLに希釈した。シングルパルスH−NMRを行ってスペクトルを分析した。加水分解は3−スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドの2.92ppmシグナルの積分値または2−スルホ安息香酸N−ヒドロキシサクシンイミドの3.01ppmにあるシグナルの積分値とN−ヒドロキシサクシンイミドの2.76ppmにあるプロトンシグナルとの比率から測定した。
図11A〜11Cは各誘導体について得られたMALDI−PSD質量スペクトルおよび実施例7に記載のようにしてスルホン化したペプチドの相対的反応性を示す。
特に、図11Aは2−スルホ安息香酸アセトアミドを含むペプチド(上図)および3−スルホプロピオンアミドを含むペプチド(下図)についてのフラグメンテーションパターンの比較を示す。3−スルホプロピオンアミドは誘導体の損失(出発ペプチドを再生するので情報が得られない)が少なく、さらに低質量フラグメントの収率が高いので、好適である。図11BはプロピオニルスルホネートNHSエステル(上図)と2−スルホ安息香酸NHSエステル(下図)との1nM−モデルペプチドに対する反応性を比較する。3−スルホプロピオン酸NHSエステルは出発ペプチドから最終産物への変換が良好である。図11Cは図11Bと同じであるが、この反応にはモデルペプチドとして、FibAを10 pmol使用した。
図12はEttanTM MALDI-TOFで得た4VP−BSAの未誘導化トリプシン消化物250fmolについてリフレクトロンスペクトル、ポジティブモード(平均質量、濾過後、スムージング5)を示す。(3−スルホプロピオン酸無水物NHSエステルと反応させた後ペプチドI〜IIIを定量的に誘導化した(図13参照))
図13は4VP−BSA(Ettan MALDI-ToFTM)の誘導化トリプシン消化物についてリフレクトロンスペクトル(平均質量、濾過後、スムージング5)を示す。このペプチドは前記水性条件下に3−スルホプロピオン酸NHSエステルで誘導化したものである。図中にI〜IIIと記号をつけた各ペプチドは定量的に誘導化され、PSD分析を行った。
図14はEttanTM MALDI-TOFで得た4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物から得たペプチド(I)(図13)の完全y−イオンシリーズについてPSDスペクトル(ポジティブモード)を示す。イオンゲートは誘導化親イオンの質量m/z 1064に設定し、300ショットのシグナルを蓄積した。
図15は4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物(図13)から得られたペプチド(II)についてフラグメンテーションスペクトル(PSD、ポジティブモード)を示す。ここではイオンゲートを m/z 1616 に設定し、300ショットのシグナルを蓄積した。ギャップには×マークを付けた。
図16は4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物(図13)から得られたペプチド(III)m/z 1704についてPSDスペクトル(300ショットのシグナルを蓄積)を示す。ギャップには×マークを付けた。ペプチド MH+ m/z 1715 は誘導化ペプチドとともにイオンゲートを通過した。
図17はEttan MALDI-TOFで得たクーマジー染色2−Dゲルから得た未誘導化プロテイン消化物のリフレクトロンスペクトル(ポジティブモード、100ショット蓄積、平均質量、濾過後、スムージング5)の初回例を示す。全溶離トリプシン消化物の5%を用いてこのスペクトルを得た(丸でマークしたピークは図18には完全に誘導化されて現れ得る)。
図18は、図17と同じ2−Dサンプル(残り95%)であるがN−末端をNHSエステルで誘導化した後のリフレクトロンスペクトル(ポジティブモード、平均質量、濾過後、スムージング5)を示す。このサンプルはμC18 ZipTipTM 上で浄化し、プロトコルに従って誘導化した。このペプチド m/z 1791(前図の値)は定量的に誘導化され、標識の質量が増加して m/z 1927 として観測された。
図19は誘導化ペプチド m/z 1927 についてPSDスペクトル(300ショット蓄積)を示す。このフラグメント(y−イオン)の質量を用いてPepFragで確認した。このプロテインはアクチンであることが確認された。
図20はEttanTM MALDI-TOF由来クーマジー染色2−Dゲルから得たプロテインスポットの未誘導化トリプシン消化物のリフレクトロンスペクトル(100ショット蓄積、平均質量、濾過後、スムージング5)の第二例を示す。サンプルの5%をこの分析に使用した。マークしたペプチドを誘導化した後にPSD分析を行った(図21参照)。
図21は図19と同じ2−Dサンプルであるが既述のようなZipTipsTM 浄化および水溶液中NHSエステルで誘導化して得たサンプルについてのリフレクトロンスペクトル(ポジティブモード、平均質量、濾過後、スムージング5)を示す。ペプチド m/z 1569.9(図20)を定量的に誘導化したものである。標識質量(+136)が増加し、m/z 1705.9 が観察された。
図22は誘導化ペプチド m/z 1705(図20参照)についてPSDスペクトル(300ショットのシグナルを蓄積)を示す。このフラグメント質量(y−イオン)を利用してPepFragでプロテインの確認を行った。このプロテインは大腸菌サクシニルCoAシンセターゼであることが確認された。
図23は続いて行う多重様式でのスルホン化のために、実験室用遠心分離機に装填したサンプル負荷 ZipTipsTM を示す。
図24はスルホン化反応後に行った遠心分離機内でのサンプル洗浄を図示する。
図25は固体支持体からMALDIサンプル台への誘導化サンプルの直接的な負荷を示す。
図26は固体支持体上に固定したフィブリノペプチドAをスルホン化した後に得られたMALDI質量スペクトルを示す。ペプチドサンプルを3段階の濃度(10、1、0.1 pmol)でスルホン化の二重実験を行った。
図27はヒドロキシルアミン塩酸塩の使用であってスルホン化反応中に形成された望ましくないエステル副産物を逆戻りさせるための使用を示す。上のスペクトルは遠心分離機内の固体支持体上でスルホン化したASHLGLARから得た。下のスペクトルは同じスルホン化したペプチドをヒドロキシルアミン塩酸塩で処理した後に得た。
図28はプロテイン消化物のスルホン化を示す。上のスペクトルは天然プロテイン消化物から得られた。下のスペクトルはスルホン化した消化物から得られた。
実験の部
本実施例は例示目的のみを意図するものであって、請求項に記載する本発明を限定するものと解すべきではない。下記のまたは本明細書を通じて引用する参考文献は全て参考のために引用するものである。
実施例1 固体支持体上でのスルホン化、一般的方式
試薬
3−スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステル
緩衝液および試薬
硫酸水素O−メチルイソ尿素。
0.25M−NaHCO、pH11.9。
0.25M−NaHCO、pH9.4。
50%ヒドロキシルアミン溶液/15M−溶液1μL。
アセトニトリル(ACN)。
トリフルオロ酢酸(TFA)。
α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸のMALDI−TOF分析用マトリックス。
脱イオン18.2MΩ(DI)水から調製した緩衝液および溶液。
MilliporeのC18ZipTipTM(ZT)(μC18 ZipTipsで代用もできる)。
一般操作:
サンプルを乾燥し、0.1%TFA10μL中に再構成する。あるいは、サンプルを約20μLまで乾燥する。この場合、サンプルをZipTipsに負荷する前に酸性にする。
18ZipTipTM(ZT)の形の固体支持体を50%ACN;0.5%TFAで活性化する。次にZipTipTM を0.1%TFAで平衡化させる。トリプシン消化ペプチドを含むサンプルをZipTip上のサンプルに負荷する(ピペットで10回上下する)。
別の容器中で硫酸水素O−メチルイソ尿素溶液(86mg/mL−MQHO)2μLを8μLの0.25M−NaHCO、pH11.9と混合する。ZipTipTM に得られた混合物を負荷する(ピペットで〜5回上下する)。上部の溶液でチップを取り出し、エッペンドルフチューブに入れ、栓を閉めて、生成物を37℃の加熱ブロックに2時間入れる。
次にチップを0.1%TFAで洗浄する(ピペットで〜5回上下する)。
インキュベーション直前にスルホン化試薬溶液を新たに調製して、0.25M−NaHCO、pH9.4(10mg/100μL)に溶解する。
次にスルホン化試薬溶液をピペットで10回出し入れして ZipTipTM に通し、本方法の段階(a)を行う。この溶液は少なくとも3分間チップ上に残す。もしも反応をシングルポジションマイクロピペッタで手動によって行うなら、C18カラム上部の溶液でチップを取り、マイクロピペッタを取り、片付けるのが好都合である。そうすれば段階(a)の完了を待つ間に次のサンプルに取掛かることが可能になる。
内部アミノ酸の望ましくないスルホン化の量を減らすために、15M−ヒドロキシルアミン溶液1μLを試薬溶液に加える。混合し、ZTに負荷し、ピペットで10回出し入れする。別な態様では、ヒドロキシルアミン溶液少量をスルホン化したペプチドを含むZTに通す。そこで、直前に記載した態様では、ヒドロキシルアミンは本来の反応液には入らない。
好ましくはZTを0.1%TFAで洗い、サンプルを80%アセトニトリル:0.5%TFA10μLで溶離する。
得られる誘導体を分析するために、サンプルを乾燥し、0.1%TFA3μLに再構成する。この段階での完全な乾燥で、サンプル容積の差がなくなり、操作を標準化されので、より精密な分析が可能になる。これは自動化操作には特に望ましい。サンプルを飽和α−シアノ−マトリックスの50%ACN中0.5%溶液と1:1に混合する。次にサンプルをMALDI標的に負荷し、分析する。
前記の通り低濃度の分析に特に適する一態様では、サンプルを乾燥しない。浄化産物をZTから例えばMALDIマトリックスを含む0.5%TFA:50%ACN2.5μLを用いてMALDIサンプルプレート上に直接溶離した。こうしてサンプル取扱中の損失が減少、好ましくは完全回避され、生成物全部をMSに移すことができる。
実施例2 固体支持体に固定化したウマミオグロビンの低濃度トリプシン消化物のグアニジン化およびスルホン化
プロテインのアルキル化およびトリプシン消化
ウマミオグロビン(Sigma)をMQ水に溶解して濃度1μg/μLとし、その50μLを変性緩衝液(8M−尿素、50mM−トリス−HCl、pH8.0、50mM−DTT(化合物は全てplusoneTM)450μLと混合し、37℃で1時間インキュベーションして、プロテインを変性し、スルフィド結合を切断した。システインSH基を次にアルキル化緩衝液(8M−尿素、50mM−トリス−HCl、pH8.0、125mM−2−ヨードアセトアミド)500μLを加えて2−ヨードアセトアミド(MERCK)で化学的に閉鎖した。反応は37℃で1時間進行させた。次にサンプルを10mM−NHHCO15mLと平衡させたNAP−10カラムで精製した。サンプルを加え(1000μL)、10mM−NHHCO900μLで溶離した。溶離したサンプルにトリプシン(Promega, V511A)5μgを加えてプロテインを消化した。トリプシン消化反応物を37℃で一夜(約14時間)放置し、これに濃トリフルオロ酢酸(TFA、Pierce)5μLを最終濃度0.5%まで加えて反応を停止した。消化サンプルを0.1%TFAで最終濃度15fmol/μLになるまで段階的に希釈した。得られた材料は−20℃で保存した。
固体支持体上でのグアニジン化およびスルホン化:
C18ZipTipTM(Millipore)(ZT)を50%アセトニトリル、0.5%TFA(ピペットで2回上下する)で活性化した。次にこのZTを0.1%TFAで平衡化(ピペットで2回上下)させた。ウマミオグロビントリプシン消化物(0.1%TFA10μL中150 fmol)をZT(ピペットでゆっくり10回上下)に負荷した。O−メチルイソ尿素(84mg/mL−MQHO)の保存溶液を調製した。このO−メチルイソ尿素保存溶液2μLを0.25M−NaHCOpH11.7緩衝液8μLと混合し、この溶液をZTに負荷した。ZTをエッペンドルフチューブに37℃に2時間封入してサンプルを反応させた。ZTを0.1%TFA10μLで洗浄(ピペットで2回上下)した。3−スルホプロピオン酸無水物NHSエステルをpH9.4の0.25M−NaHCO緩衝液に最終濃度100mg/mLまで溶解した。NHSエステル溶液10μLをZTに負荷した。サンプルを室温で3分間反応させた。15M−ヒドロキシルアミン溶液1μLをNHSエステル試薬に加え、ZTに負荷した(ピペットで5回上下)。
チップを0.1%TFAで洗浄し、サンプルを80%アセトニトリル:0.5%TFA10μLで溶離した。このサンプルを窒素下に乾燥し、50%アセトニトリル3μL中に再構成した。Ettan MALDIスポッタを用いてサンプル0.3μLをMALDIターゲットに負荷して、飽和α−シアノマトリックス溶液0.3μLと混合した。このサンプルをEttan MALDI ToFを用いてPSDモードのリフレクトロンで分析した。
ウマミオグロビンのトリプシン消化物150fmoleの10分の1量を、ZipTipTM に固定化した後グアニジン化およびスルホン化し、Ettan TM MALDI ToF を用いて分析した。比較として図1にウマミオグロビン未誘導化サンプル(MALDI標的上15fmol)のリフレクトロンスペクトルを示し、図2は誘導化サンプル(MALDI標的上<15fmol)のリフレクトロンスペクトルを示す。固体支持体上のリジンの効率的なグアニジン化のために、リジンで終結するペプチドのリフレクトロンスペクトルに見られるシグナルは誘導化サンプルでは未誘導化サンプルの分析値と比較して劇的に増加した。誘導化ペプチド2種(一方はリジン末端ペプチド m/z 1449.5、他方はアルギニン末端ペプチド m/z 1742.8)のPSD分析を行った。図3はm/z 1449.5のPSDスペクトルを示す。観測されたy−イオン質量(グアニジン化反応の−42Da質量増加)を入力してプロテインを PepFrag で同定した(図4)。図5はアルギニン端末ペプチド m/z 1742.8 のフラグメンテーションスペクトルを示す。得られたy−イオン8個を用いて PepFrag でプロテイン同定を行った(図6)。
固体支持体に固定化したペプチドまたはポリペプチドにこの反応を行う時にはグアニジン化およびスルホン化の反応時間が短縮する。誘導化操作の全効率が向上し、希薄な被分析物溶液を反応前に濃縮できるので、そして分析前のサンプル操作が少ないためサンプル損失が少ないので、良好な感度が得られる。この例は15fmolと少量のプロテインから出発して誘導化PSD分析法によるプロテイン確認を示す。
実施例3 固体支持体に固定したペプチドおよびポリペプチドの別途スルホン化
溶液中のペプチドおよびポリペプチド混合物を最終容積10μL〜50μLまで濃縮する。各溶液のpHを酸性にし、ペプチド/ポリペプチド溶液を C18ZipTipsTM に負荷する。サンプルを負荷したZipTipsTM をドリルアウトし、栓をしたマイクロセントリフュージチューブに入れて図23に示すように実験室用遠心分離機に装填する。サンプルを負荷したチップを0.1%TFAで洗浄する。これは0.1%TFA25μLを各チップの上に加え、遠心分離することによって達成される。遠心力はチップ上の溶液を動かすのに十分である。溶液をマイクロセントリフュージチューブの底に集める。
この洗浄段階をさらに2回反復する。次にサンプルをたとえばプロピオニルスルホネートNHSエステルなどを用いてスルホン化する。使用直前にスルホン化試薬を濃度10mg/100μLの塩基(HO:DIEA=19:1、v/v)に調製する。試薬溶液のpHを調べ、必要ならば調整して使用直前に塩基性を確かめる。
サンプルを負荷した各チップの上にスルホン化溶液5μLを加えてサンプルをスルホン化する。再度サンプルを遠心分離してスルホン化試薬をチップから除く。遠心分離機内のサンプル全てを並行してこの方法を用いてスルホン化する。要すれば、サンプルを負荷したチップをさらにヒドロキシルアミン塩酸塩で処理してスルホン化段階の間に形成された望ましくないエステル副産物を戻す。この反応は新鮮ヒドロキシルアミン塩酸塩溶液(2M、HO:DIEA=19:1v/v、使用前にpHを塩基性に調整)5μLを各サンプル負荷チップの上に負荷することによって実施する。このサンプルを遠心し、チップ上の溶液を除く。次にこのサンプルを図24に示すように0.1%TFA25μLで3回洗浄する。誘導化されたサンプルを ZipTipsTM から分析用MALDIサンプル台に直接負荷する。サンプルを図25に示すようにα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸または2,5−ジヒドロキシ安息香酸のような適当なMALDIマトリックス10mg/mLを含む溶液少量(2.5μL、ACN:0.1%TFA=1:1、v/v)でサンプル台上に溶離する。
この方法の有用性は次の図面数枚に示すデータで例示する。例えば、図26は上記本発明に従ってスルホン化したフィブリノペプチドA(ADSGEGDFLAEGGGVR)のさまざまな量で測定したMALDI質量スペクトルを示す。出発FibAのMH質量は1536.7であって、所望のモノスルホネート産物の質量は1672.7Daである。この実験では質量の目盛りを正確に補正しなかったので測定した分子量は約0.5Daの誤差がある。このスペクトルからスルホン化が100fmole濃度でも定量的に近いことがわかる。この2回の分析では質量分析装置に入れたサンプルが多すぎたので10pmoleサンプル中に低質量イオン(低微量2個)が見られたことに注目すべきである。スルホン化生成物より低質量のイオンは主に分析の間にイオン源中で起きるフラグメンテーション過程で生成する。
図27では直前の記載に従ってスルホン化した小さなArg末端ペプチド(ASHLGLAR)のMALDI質量スペクトルを比較する。図中、上のスペクトルはスルホン化後に測定した。これは所望産物のシグナルを約m/z 960に、望ましくない二重スルホン化産物のシグナルを約m/z 1096に示す。下のスペクトルは同じスルホン化したペプチドを前記のようにヒドロキシルアミン塩酸塩で処理した後に得た。望ましくないスルホン化産物約m/z 1096には相対的存在度が著しく減少することに注目すべきである。図28のスペクトルはこの方法を用いればプロテイン消化物が効率的にスルホン化できることを示す。図で上のスペクトルはスルホン化してない天然のトリプシン消化物のスペクトルである。下のスペクトルは本方法でスルホン化したプロテイン消化物のスペクトルである。上図のスペクトルに見られるペプチド質量は本方法でスルホン化した後に136Da上方にシフトした。この実験ではプロテイン消化物のスルホン化は定量的に近かった。
実施例4 水溶液中のスルホン化と固体支持体上のスルホン化との比較
溶液中のスルホン化
一般的方法
サンプル(BSAトリプシン消化ペプチド)を水5μLに溶解した。20%DIEA溶液10μL、続いてNHSエステル溶液5μLを加えた。15分後、ヒドロキシルアミンを添加してスルホン化段階の間に生成したかもしれない望ましくないエステル基を加水分解した。得られた溶液に50% TFAを加えてpHを酸性(<4)にした。反応したペプチドを逆相クロマトグラフィー(RPC)の固相支持体(ZipTipTM、Millipore)に注入し、0.5%TFAおよび80%アセトニトリルを用い溶離した。溶離したサンプルを乾燥し、さらにMALDIでの分析のために0.5%TFA、50%ACN3μL中に再構成した。
サンプル:BSAトリプシン消化ペプチド。
反応容器:500μLエッペンドルフチューブ。
総容量:20μL。
水:5μL。
塩基容量:20% DIEA(混り合わないのでピペットする前によく振盪する)10μLまたは純DIEA2μL。
NHSエステルの容量:5μL(10mg/100μL)。
反応時間:15分またはそれ以上。
ヒドロキシルアミン添加量:2μL。
中和:ZipTipTM で浄化する前に50%TFA3μLを加えて中和する。
ペプチドを結合するための ZipTipTM の調整:C18マトリックスを50%アセトニトリルで湿らせ、0.1%TFAと平衡させる。
溶離:別のチューブに入れた0.5%TFAおよび80%アセトニトリル。
マトリックス製造用:0.5%TFA、50%アセトニトリル。
固体支持体上のスルホン化
一般方法
サンプル(C末端にアルギニンまたはホモアルギニンを持つペプチド)を、好ましくは化学抵抗性マトリックス上のC18のような固体支持体に結合した。本発明者は Milliporeの Zip TipsTM C18を0.6μL使用している。これを反応混合物(NHSエステル+塩基)と3分間またはそれ以上接触させた。反応混合物にヒドロキシルアミンを加えてスルホン化の間に形成したかもしれない望ましくないエステル副産物を加水分解し、ピペットで5回上下する。0.1%TFAで固体支持体を洗浄し、溶離してさらに分析した。
ペプチド結合用ZipTipの調製:C18マトリックスを50%アセトニトリルで湿らせ、0.1%TFAと平衡させる。
サンプル:BSAトリプシン消化ペプチド。
反応容器:500μLエッペンドルフチューブ。
プロピオン酸NHSエステルの容量:0.25M−炭酸水素ナトリウム(10mg/100μL)溶液10μL。
反応時間:最低3分間。
ヒドロキシルアミン添加量:1μL。
溶離:別のチューブに入れた0.5%TFAおよび80%アセトニトリル。
マトリックス製造用:0.5%TFA、50%アセトニトリル。
MALDI分析
このスルホン化反応にはアルギニンペプチド(下記の表および図7と図8参照)5種の強度を検討し、比較した。
表1:検討したペプチド
Figure 2005518521
結果
前記図7および図8についての検討を参照。
溶液中および固相上で行った反応結果の比較
1.固相の反応時間は約3分;溶液中の反応時間は15分。
2.重炭酸ナトリウム溶液を液相で使用する時はスペクトルにノイズ比が非常に大きいシグナルが現れるが、固相ではベースラインには影響がない。
3.液相中でDIEAを塩基として使用する時は溶液の完全な混合が必要。
4.図7および図8に示すように、固相上の500fmoleと溶液中のBSAペプチド4.5ピコモルとはMALDIスペクトルに対して類似の感度を示した。
実施例5 3−スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルの製造
原料
合成用試薬:
N−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)内部供給、Art-Nr 30070800。
ALDRICHの3−メルカプトプロピオン酸、99+%、CAS-107-96-0。
過酸化水素(30%水溶液)。
KEBO の氷酢酸、100%、CAS-64-19-7。
Merckの水酸化カリウムペレット。
Merckのn−ヘプタン、99%。
ALDRICHの塩化チオニル、99+%、CAS-7719-09-7。
Merckのn−ヘキサン、99%。
ALDRICHのジイソプロピルアミン、99%、CAS-7087-68-5。
ALDRICHのジクロロメタン、99.8%、無水、CAS-75-09-2。
Air Liquideのアルゴンガスチューブ。
KEBOの酢酸エチル、CAS-141-78-6。
KEBO,のメタノール、CAS-67-56-1。
MerckのTLC Silica gel 60 F254、プラスチックシート。
分析用試薬:
Cambridge Isotope Laboratoriesの重クロロホルム 99.8%、CAS-865-49-6
Larodan Fine Chemicalsの重水(DO)、CAS-7789-20-0
方法
NMR−分析:
この分析はJEOLの270MHz−NMR装置で行った。
NHSエステル10mgをNMRチューブ入れ、CDClで700μLに希釈した。シングルパルスH−NMRを測定し、スペクトルを分析した。この分析は3−スルホプロピオン酸無水物の場合と同様に行った。3−スルホプロピオン酸の場合は、溶媒としてCDClの代わりにDOを用いた。
3−スルホプロピオン酸無水物についてH−NMR(前記)と同様にして、デカップリングした13C−NMRを測定した。
融点測定:
NHSエステル結晶の融点はBuechi Melting Point B-540装置で測定した。結晶数個をバイアルに入れ、溶融するまで加熱した。温度範囲は160℃から185℃、温度勾配は1℃/分であった。
水中安定性試験:
NHSエステル10mgをNMRチューブに入れ、DO700μLを加えた。シングルパルスH−NMRを測定し、スペクトルを分析した。同じサンプルを室温(20〜25℃)で保存し、次に5時間後および24時間後にH−NMRスペクトルを測定した。
空気中安定性試験:
NHSエステル10mgをNMRチューブに入れ、前記のように重クロロホルムを溶媒にして分析した。次にNHSエステル約100mgをフラスコに入れて、開栓して空気中室温(20〜25℃)で数日間保存した。エステルの加水分解はNMRで追跡した。
合成:
3−スルホプロピオン酸の合成。
Figure 2005518521
三頚丸底フラスコ(500mL)に温度計、滴下濾斗、および脱ガス管を取り付けた。安全瓶2個(相互に直列に結合、後者に25%KOH溶液を入れる)のガストラップをパイプに取り付けた。反応中、窒素バルーンが系内を不活性雰囲気に維持した。酢酸(70mL)および過酸化水素(70g、30%水溶液、620ミリモル)をフラスコに入れ、この溶液を攪拌しつつ水浴上で50℃に加熱した。3−メルカプトプロパン酸(8.20mL、94ミリモル)を滴下漏斗から約1時間にわたって非常に注意深く加えた。直ちに発熱反応が始まり、温度が約80℃に上昇した。そこで溶液を温度が再び50℃になるまでエタノール/CO 浴(−72℃)で冷却した。この操作を滴下漏斗から3−メルカプトプロパン酸を添加し終わるまで反復した。次に反応物を50℃で2時間および室温で一夜攪拌した。
容積が30mLになるまでロータリーエバポレータ(水浴40℃、100mb)で溶媒を蒸発し、残留溶媒はヘプタン3×300mLとの共沸蒸留で除去した。得られた油状物を高真空下にデシケータで一夜乾燥した。粗製生成物は油状物中の白色沈殿となった。NMRスペクトルから推測すると収率は約50%であった。図1参照。
3−スルホプロピオン酸無水物の合成:
Figure 2005518521
三頚丸底フラスコに3−スルホプロピオン酸(前実験の粗生成物20g)を入れた。還流冷却器とセプタムをフラスコに取り付けた。磁気攪拌機で攪拌しつつSOCl(140mL)をセプタム経由で30分間にわたって注意深く加えた。SOClの添加終了後混合物を3時間還流した。還流中に全内容物が溶解して褐赤色溶液となった。約5分間冷却後、ヘキサン(140mL)を添加した。直ちに白色固体が沈殿し、フラスコの底部に褐色の油が生成した。この溶液を白色固体が溶解するまで再加熱し、溶液を他のフラスコにデカンテーションして油を除いた。溶液を1時間かけて室温にまで冷やし、次に週末にわたって冷蔵庫中に置いて結晶化させた。
沈殿を窒素雰囲気下に濾過し、冷n−ヘキサン(冷蔵庫から)で洗浄し、デシケータ中で一夜高真空下に乾燥した。無水物は水に著しく敏感なので、濾過に使った装置全てを事前にオーブンで乾燥し、デシケータ中で冷却した。
3−スルホプロピオン酸無水物からNHSエステルの合成:
Figure 2005518521
使用する全装置を合成の前にオーブン(100℃)で乾燥し、デシケータに入れた。
NHS(420mg、3.68ミリモル)を秤量してセプタムとアルゴンバルーンを取り付けた丸底フラスコ(100mL)に入れた。DCM(20mL、無水、99.5%)を加え、マグネティックスターラで攪拌を開始した。攪拌しながらDIEA(0.64mL、3.68ミリモル)と3−スルホプロピオン酸無水物(0.50g、3.68ミリモル)とを注意深く添加した。反応物をアルゴン雰囲気下に3時間攪拌した。溶媒を蒸発(RT、100mbar)し、生成物を真空オーブン中で一夜乾燥(RT、1mbar)した。得られた結晶を最少量の温EtOAc/MeOH=9:1に溶解した。全てが溶解した後に、溶液を約3時間かけて室温まで冷却し、次にフリーザー中で一夜冷却した。夜の間に白色結晶が形成され、これをガラスフィルター(p3)で濾取、冷酢酸エチル(5℃)で洗浄した。最後に結晶を高真空下にデシケータ中で乾燥してNHSエステルのDIEA塩を白色結晶(収率42%)をとして得た。
結果および検討
合成
3−スルホプロピオン酸の合成:
この合成は全く簡単で、粗製の3−スルホプロピオン酸が白色のスラリーとして得られた。肝心な点は反応温度を50℃に維持することであって、これは氷浴と油浴を随時交換して行ったが、多分これが最も有効な方法だとは思われない。反応中に温度が20℃から80℃の間で変動した。もしも反応温度がもっとよく制御できていたらおそらく収率は高くなったであろう。次工程(無水物の合成)には必要なかったのでこれ以上の精製は行わなかったが収率の計算は難しくなった。NMRスペクトルによれば少なくとも1種の副産物およびおそらく出発物質(NMR分析参照)の何れかが見出された。純度推測値は大体50%であったと思われる。
3−スルホプロピオン酸無水物の合成:
予期の通り、この無水物は水に対して著しく敏感で、装置を全て使用前にオーブンで乾燥することおよび反応と精製をアルゴン雰囲気下に行うことが必要であった。反応および再結晶は非常に毒性の高い溶媒であるSOCl中で行った。生成物、3−スルホプロピオン酸無水物は明褐色結晶として回収された。信頼できる収率計算のためには出発物質が純粋であることが必須である。
3−スルホプロピオン酸無水物からNHSエステルの合成:
今回も反応前に材料をオーブン中で乾燥し、反応はアルゴン雰囲気中で行った。反応は全く単純で、2時間攪拌後に溶媒を蒸発して粗製NHSエステル/DIEA塩を白色/黄色の固体として得た。精製後の収率は42%であった。反応時間がさらに長く、NHSおよび/またはDIEAの量が過剰であったなら、収率は向上したかもしれない。収率は、100%純3−スルホプロピオン酸無水物についても算出した。
精製:
粗NHSエステル/DIEA塩を再結晶した。この操作は最初の試験ではEtOAc/MeOH=7:3で再結晶を試し、その後、EtOAc/MeOH=9:1で行った。前試験では冷却後結晶は生じなかった。
無水物の合成(前記)では、一種の再結晶をSOCl中で行った。しかしこれは実際には反応混合物の単なる再加熱と、フラスコの底に溜まった油を除去するためのデカンテーションであった。通常の再結晶でさらに純度の高い無水物が得られるであろう。
キャラクタリゼーション:
融点測定
粗製NHSエステル/DIEA塩の融点は145〜155℃の間であった。しかし再結晶後の融点は176〜178℃になった。精製後に融点が高く、鋭くなったことは、生成物が実際に純粋になったことを示す。
NMR分析:
NMR分析で得たスペクトルを図1に示す。
3−スルホプロピオン酸:
表2 3−スルホプロピオン酸のH−NMRスペクトル(CDCl)の解析
Figure 2005518521
このスペクトルはδ2.78、δ2.85、δ3.18およびδ3.52にピークを与える副産物および出発物質も含んでいた。これは未精製のときに予期されたものである。
3−スルホプロピオン酸無水物:
表3 3−スルホプロピオン酸無水物のH−NMRスペクトル(CDCl)の解析
Figure 2005518521
表4 3−スルホプロピオン酸のデカップリングした 13C−NMRスペクトルの解析(CDCl
Figure 2005518521
両スペクトルを比較し、標品のスペクトルで確認した。
3−プロピオン酸無水物からのNHSエステル:
表5 H−NMRスペクトル(CDCl)の解析
Figure 2005518521
粗製生成物中の典型的な不純物は、NHSおよびDIEAである。NHSはδ2.68(s)にピークを与え、DIEAは表中の前記ppmと殆ど同じppmにピークを与える。そのためDIEA不純物はNHS不純物よりも特定するのが困難であるが、ピークの積分値を観測すれば推測はできる。残留溶媒があれば、MeOHはδ3.49(s)に、EtOAcはδ2.05(s)、δ1.26(t)およびδ4.12(q)に、DCMはδ5.30(s)にピークを与える。
実施例6 3-スルホプロピオン酸N-ヒドロキシサクシンイミドエステルの別途合成
3−スルホプロピオン酸の製造:
1L三頚フラスコに攪拌機、温度計、窒素導入口、滴下漏斗および加熱マントルを取付け、効率的なドラフト内に設置した。酢酸165.4mLおよび30%H、165.4mL、1.46モルを容器に加えた。この混合物を50℃に加熱した。マントルを除去した後、50℃で3−メルカプトプロピオン酸50g、0.471モルの滴下を開始した。この反応は発熱反応であって、外部から冷却する必要がある。ドライアイス/アセトン浴で温度を50〜55℃に維持した。添加終了後(約5分所要)も反応物は約30分間発熱を続けた後冷え始めた。発熱が終わった時、マントルを付けて温度をさらに2時間50℃に維持した。ヨード澱粉試験紙を使う過ヨード酸試験は溶液に過酸化水素の存在が続いていたことを示した。2時間後、透明な無色の溶液を放冷し、フラッシュエバポレーション用フラスコに移した。ロータリーエバポレータの浴温を50℃に設定し、約5〜6mmHgの真空源に接続した。この工程は後の酢酸エチル抽出を妨害しないように酢酸をできるだけ除去するために必要であった。この温度および真空度でこれ以上の酢酸/水/Hが留出しなくなった時(約1〜1.5時間)、サンプルを取り出すと重量は約100−120gであった。これは生成物の理論重量72gより多く、これは使用した蒸発技術では除去し難い水を表す。この物質は−20℃でも凍結しないので、凍結乾燥では残留する水を除去できなかった。希薄に希釈すればおそらくこの物質はサンプルの凍結を持続するであろうが、余計な水を加えることは望ましくない操作である。濃厚溶液を水500mLで希釈し、酢酸エチル300mLづつで3回抽出した。酢酸エチル抽出物はH陽性であったがその強度は抽出毎に減少した。水層を最後に約100gまで濃縮した。この生成物は粘度の高い油状物であって白色沈殿を含んでいた。DO中のH−NMRは内部基準として加えた痕跡のアセトニトリル(2.06ppm)の他にシングレットを3.23ppmと2.78ppmに示した。註:このピークは濃度に依存してシフトする。微量の不純物が3.58、2.9および2.23ppmに観測された。同じサンプルの13C−NMRは174.8、45.5および28.4ppmにピークを示した。
β−スルホプロピオン酸無水物の製造:
上記反応で得られたサンプル全体 (〜100g)を効率的なドラフト中、塩化チオニル652.4g、5.48モルで処理した。
残留水が激しい反応を起こす可能性があったので塩化チオニルは少量づつ加えた。激しい発煙はなかったが、塩酸と二酸化硫黄が発生したのでアダプターでコンデンサーの頭部に結合したtygon管を用いてドラフトの後に導いた。添加終了後、混合物を12時間加熱還流しつつ磁気的に攪拌した。冷却、攪拌を続けている間に、β−スルホプロピオン酸無水物が沈殿した。フラスコに栓をして2時間フリーザに入れて沈殿量を最大にした。固体の無水物をグローブバッグ中N2下に濾過し、フィルターケーキを石油エーテル50mLづつで2回洗浄した。この無水物は水に対して極めて敏感に反応して出発物質3−スルホプロピオン酸に戻るのでグローブバッグ(ドライボックスでもよい)の使用は非常に重要である。無水物の固体をグローブバッグ内で密栓付フラスコに移し、真空デシケータに移し、栓を去り、P25上で1mm真空に暴露した。乾燥した無水物の重量は39g、収率は61%であった。1H−NMR分析はCDCl3中で各々3.8および3.45ppmにシングレットを示した。同じサンプルの13C−NMRは161.9、48および32ppmにピークを示した。融点:74.6℃。文献値:76〜77℃。
再現性:
同じスケールと技法を用いて全過程(両反応)を反復した。殆ど同一の結果を得られた。粗製物質の重量は84gであった。註:塩化チオニル添加後の混合物を仔細に観察すると30〜45分間に過剰な塩化チオニルで反応物中の水が消費されるに従って、美しい白色の固体が沈殿することが判明した。これは無水の3−スルホプロピオン酸であると推測される。還流下に更に1時間攪拌するとこれが全て溶解し、以前に観察したように反応した。β−スルホプロピオン酸無水物の第二サンプルの最終重量は40.7gであった。収率:63.5%。1H−NMR(CDCl3 )分析は3.8ppm と3.45ppmとにシングレットを示した。同じサンプルの13C−NMRは161.9、48および32ppmにピークを示した。
3-スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルジイソプロピルエチルアミン塩:
500mL三頚フラスコにマグネティックスターラーバー、温度計、窒素導入口および滴下漏斗を装備した。室温でフラスコにN−ヒドロキシサクシンイミド3.9g,0.0338モルを入れた。CHCl100mLを加え、混合物を攪拌しながらジイソプロピルエチルアミン4.37g、5.9mL、0.0338モルを加えた。註:このN−ヒドロキシサクシンイミドは、ジイソプロピルエチルアミンを加えると溶解した。β−スルホプロピオン酸無水物4.6g、0.0338モルをCHCl80mLに溶解し、この溶液を攪拌しつつ滴下漏斗を用いて添加した。添加が進行するにつれて反応混合物は暗色になった。添加完了後、混合物を更に3時間室温で攪拌した後、単頚フラスコに移し、溶媒をロータリーエバポレータで蒸発して明褐色固体残渣を得た。残渣をCHCl50mLに溶解し、活性炭2gとともに室温で1時間攪拌した。続いてガラス繊維濾紙およびセライト床で濾過した。セライトをCHCl25mLで一回洗浄した。ロータリーエバポレータでCHClを除去した。固体の残渣をメタノール20mLに50℃で溶解した。この溶液を酢酸エチル180mLに注入し、溶液を一夜フリーザ中に置いた。翌朝、黄褐色固体が沈殿し、これを濾取した。冷酢酸エチル(フリーザ温度)約50mLを用いて固体を濾紙上で洗浄した。このエステルは出発無水物よりも水に対してはるかに安定であると思われたがこの濾過はNを詰めたグローブバッグを用いて行った。乾燥したサンプルの重量は7.3g、収率:86%であった。1H−NMR(CDCl3 )分析は9.175(1H−bs)、3.6ppm(2H−m)、3.1ppm(4H−s)、3.0ppm(2H−m)、1.35ppm(15H−m)にピークを示した。 同じサンプルの13C−NMRは173.3、168.8、167.4、53.9、45.7、42.2、27.4、25.3、18.3、17.1、11.9ppmにピークを示した。サンプルの融点は175〜176℃であった。文献値:176〜178℃。
註:再結晶段階には最少量のメタノール/酢酸エチル溶媒を使用するように注意すべきである。多すぎると生成物が全くまたは僅かしか沈殿しなくなり得る。
実施例7 2−スルホ安息香酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルの製造
2−スルホ安息香酸環状無水物のN−ヒドロキシサウシンイミド(NHS)エステルは、DIPEA塩として反応式3に従って下記記載のようにして製造した。
Figure 2005518521
装置全てを使用前にオーブンで乾燥し、アルゴンを満たしたデシケータ中に移した。反応はアルゴン雰囲気下に行った。NHSおよび2−スルホ安息香酸環状無水物は使用前に真空乾燥した。NHS(673.2、5.85ミリモル)を入れた丸底フラスコに塩化メチレン(1.9mL)およびDIEA(1.019mL、5.85ミリモル)を加えた。次に2−スルホ安息香酸環状無水物(1.077g、5.85ミリモル)の塩化メチレン(19mL)溶液を少量づつ(7×)反応液に加え、室温に2時間20分放置した。反応混合物を二分し、各々濃縮して粘度の高い明黄色残渣(画分1:1.11gおよび画分2:1.24g)を得た。
画分1をMQ(11.098mL、100mg/mL)に溶解し、濾過し、3×1mLを逆相分取HPLC(カラム:Supelcosil LC-18、10cm×21.2mm、2μ;流速10mL/分。方法:0〜10分、定常0.1%TFA−B含有5%アセトニトリル水。2分、サンプル注入。10〜15分、5〜12%勾配B水)に付した。各画分を蒸発させ、凍結乾燥して白色固体/粘性の透明油状物(合計237.7mg)として未精製産物DIEA塩、それに加えてNHS、DIEAおよび副産物を得た。以前の実験ではもっと良い結果を得た。そこでは逆相分取HPLC(同じカラムと同じ系を用い、別の方法(0〜6分、定常0.1%TFA B含有5%アセトニトリル水。2分、サンプル注入。6〜18分、5〜25%勾配B水)に付して、生成物をDIEA塩として得た。これには約5%の残留NHSおよび芳香族構造部分での副産物が痕跡量混入していた。
1H-NMR (D2O)δ: 8.0-8.1 (dd, 1H), 7.9-8.0 (dd, 1H), 7.7-7.8 (m, 2H), 3.6-3.8 (m, 2H), 3.1-3.2 (m, 2H), 3.0 (s, 4H), 1.2-1.3 (m, 15 H), 2.7 (s, 0.2 H, NHSピーク)。
アセトン(2.5mL、0℃冷、氷水浴)を画分2に滴下し、室温20分間および4℃25分間後に白色沈殿を得た。この沈殿を濾取、アセトン(24mL、0℃冷、氷水浴)で注意深く洗浄してDIEA塩(612.7mg、46.3%)として生成物を得た。
1H-NMR (D2O)δ: 8.0-8.1 (dd, 1H), 7.9-8.0 (dd, 1H), 7.7-7.8 (m, 2H), 3.6-3.8 (m, 2H), 3.1-3.3 (m, 2H), 3.0 (s, 4H), 1.2-1.3 (m, 15 H)。
実施例8 他種のNHSエステルの合成
Figure 2005518521
2−ブロモ−5−スルホ安息香酸をジオキサン1mLおよび水0.5mLに溶解する。ジイソプロピルエチルアミン2当量を加える。溶液をよく攪拌しつつ、これにO−(N−サクシンイミジル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムBF4(TSTU)の固体1.2当量を加える。この反応物を30分間攪拌し,次にロータリーエバポレータで濃縮し、続いて高真空下に乾燥する。2%水:アセトニトリルを移動相としてシリカゲルカラムを調製する。サンプルを2%水:アセトニトリルに負荷する。カラムは2%水:アセトニトリルから始め、極性を徐々に上げて5%水:アセトニトリルとし、最後に10%水:アセトニトリル80mLで行う。生成物含有画分を10%水アセトニトリル中、TLCで確認する。陰イオンMSでも確証する。NMRによればこの物質は約1当量のDIEAを含む。
実施例9 ペプチドのスルホン化
モデルペプチドおよびさまざまなプロテインのトリプシン消化物を、脱イオン水とジイソプロピルエチルアミン(DIEA)とを19:1v/vの比率で混合して調製した塩基約20μLに溶解した。ゲル内消化物からのペプチド混合物を最終容積約20μLに濃縮してDIEA1μLを加え、溶液を塩基性とした。これにスルホン酸の活性エステル試薬100mg/mLを5μL加え、溶液をふりまぜる。各反応物のpHを測定して塩基性を確認し、必要なら調整する。反応をRTで30分間進行させる。各サンプルを5μLの1N−HClで酸性とし、C18 mini-column(μC18 Zip TipsTM, Millipore, Bedford MA)を用いて直接精製する。スルホン化されたペプチドを0.1%TFA含有アセトニトリル:HO=1:1v/v、4〜20μLでカラムから溶離する。
実施例10 トリプシン消化ペプチド内Lys側鎖のグアニジン化による保護および後続するスルホン化
モデルペプチドおよびさまざまなプロテインのトリプシン消化物を塩基約20μLに溶解した。この塩基は脱イオン水とジイソプロピルエチルアミン(DIEA)とを19:1v/vの比率で混合して調製したものである。ゲル内消化物からのペプチド混合物を最終容積約20μLに濃縮し、DIEA1μLを加えて溶液を塩基性とした。0.5M−硫酸水素O−メチルイソ尿素水2μLを加え、溶液をふりまぜた。各溶液のpHを測定して試薬の添加後にその塩基性を確認し、必要なら調整した。反応を室温(RT)で様々な長さの時間(数時間から2日間)進行させた。典型的には室温での反応は一夜進行させた。翌朝、100mg/mLスルホン酸活性エステル試薬を5μL加え、溶液をふりまぜる。各反応物のpHを測定してその塩基性を確認し、必要なら修正する。反応はRTで30分進行させる。サンプルを5μLの1N−HClで酸性として、直接C18 mini-columns(μC18 Zip TipsTM, Millipore, Bedford MA)を用いて精製する。グアニジン化されたスルホン化ペプチドを0.1%TFA含有アセトニトリル:HO=1:1v/v、4〜20μLづつでカラムから溶離させた。
実施例11 使用した装置の実験室的説明(図3)
誘導化ペプチドは、Applied Biosystems(Framingham、MA、01701)のVoyager DE−STR飛行時間型質量分析器にNレーザー(337nm、パルス幅3nsec、反復速度20Hz)を装着して分析した。質量スペクトルは全て遅延引き出し機構のリフレクトロンモードで得た。外部質量補正は低質量標準ペプチドで行ったが、質量測定の精度は典型的には±0.2Daであった。PSDフラグメントイオンのスペクトルは適当な誘導化された前駆体イオンを時間イオン選択によって分離した後に観測した。リフレクトロンに次のような比で段階的に電圧を印加してフラグメントイオンを最終検出器にリフォーカスした:1.0000(前駆体イオンセグメント)、0.9126、0.6049、0.4125、0.2738、0.1975および0.1273(フラグメントイオンセグメント)。個々のセグメントは Applied Biosystems が開発したソフトウエアを用いてステッチした。前駆イオンセグメントは全て検出器の飽和を避けるために低レーザーパワー(変動減衰=1800)<256レーザーパルスで観測した。PSD捕捉の残りのセグメントではレーザーパワーを増強した(変動減衰=2100)。PSDのデータは20MHzのデジタル化レートで得た;それ故フラグメントイオンは全て単一同位元素質量としてではなく、化学的平均として測定した。質量補正は標準ペプチドを外部基準として行った。全PSD実験で準安定イオンの分解を測定した。
PSDタンデム質量スペクトルはNCBI非リダンダントプロテイン配列データベース(最新更新は本願出願時点では2001年3月2日)について、二つの方法で検索した。第一の方法は、未解析PSDスペクトルをUCSFが開発した検索ツール(P.R. Baker, K.R. Clauser, http://prospector.ucsf.edu参照)のProtein Prospector suite のMS‐Tagプログラムで検索した。検索の入力には測定された前駆体イオン質量およびフラグメントイオン質量を含めた。観測されたグアニジン化ペプチドのフラグメントイオン質量はいずれのデータベースについても検索する前に添加されたグアニジウム基の質量42Da差引いた。使用した中庸の誤差許容範囲は典型的には単一同位元素前駆体イオンでは±0.6Da、化学的平均フラグメントイオンでは±2.0Daであった。y-型フラグメントイオンのみに許容される可能性があった。a、b、(b+HO)、(b−NH)および内部分解物イオンなどのような他種のフラグメントイオンはスルホン化後のPSDスペクトルでは顕著ではないので、考慮しなかった。あるいはPSDデータを手動で解析した。誘導した配列タグはProtein ProspectorソフトウエアパッケージのMS−エドマンプログラムを用いて検索した。MS−エドマンでは入力に前駆体イオンまたはフラグメントイオンの質量を必要としない。MS−エドマンは観測された配列タグのみを使用する。このプログラムでは(K、QおよびE)または(I、L、NおよびD)のように類似の質量を持ち不鮮明な残基の組合せをすべて考慮する。
実施例12 データベースの説明
ポリペプチドおよびそのペプチドの配列は、未解析y−イオンシリーズの質量またはy−イオン質量から誘導した配列タグのいずれか、質量スペクトルフラグメンテーションデータを配列データベース検索の入力として取り入れるソフトウエアを用いて効率的にかつ正確に決定できることもある。熟練した専門家が通常に利用する検索ソフトウエアは、限定するものではないが、"Protein Prospector"(米国サンフランシスコのカリホルニア大学またはhttp://prospector.ucsf.eduから購入できる)および"Peptide Search"(ドイツ国ハイデルベルグのEuropean Molecular Biology Laboratoryまたはhttp://www.mann.embl-heidelberg.deから購入できる)を含む。
本発明で作成されたフラグメンテーションパターンは多数の配列データベースで検索できる。このようなデータベースには、限定するものではないが、次例を含む:NCBI non-redundant database (ncbi.nlm.nih.gov/blast/db.nr.z);SWISPROT (ncbi.nlm.gov/repository/SWISS-PROT/sprot33.dat.z);EMBL (FTP://ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/peptidesearch/), OWL (ncbi.nlm.nih.gov/repository/owl/FASTA.z);dbEST (ncbi.nlm.nih.gov/repository/dbEST/dbEST.weekly.fasta.mmddyy.z);およびGenebank (ncbi.nlm.nih.gov/genebank/genpept.fsa.z)。目的とするポリペプチドの完全配列はしばしば配列データベースから本発明方法を使用して生成する関連ペプチド誘導体1種またはそれ以上から得られるフラグメンテーションデータを検索することによって検索できる。
勿論、データベース検索技術を用いる時は、y−イオンまたは(y−NH)イオンのみが許容されるフラグメントであると特定して検索を限定することが最も効率的である。その理由はy−および(y−NH)イオンは本方法を利用するフラグメンテーションパターンに観察される最も顕著な分子種だからである。a−、b−、(b+HO)、(b−HO)、(b−NH)および内部分解物イオンなどのような他種のフラグメントイオン型は本発明方法を使用して誘導化したペプチドのスペクトルでは顕著ではないので許容しなくてもよい。本発明で生成する誘導体は単純なフラグメンテーションパターンを提供し、これが誘導化のない同じペプチドのスペクトルでの検索と比較してしばしば優れたデータベース検索特異性を与える。
実施例13 NHSエステル誘導化ペプチドのdPSD
モデルプロテイン・トリプシン消化物のNHSエステル誘導化体のdPSD:
4−ビニルピリジンアシル化ウシ血清アルブミン(4VP−BSA)(Sigma)をNHSエステルによるdPSDのためのモデルプロテインとして使用した。
ビニルピリジンを用いるアシル化:
凍結乾燥プロテイン(2.4mg)を8M−尿素、50mM−トリスHCl、pH8.0および50mM−DTTを含む緩衝液800μLに溶解し、30℃で30分間インキュベーションした。4−ビニルピリジン10μLを加え(ジスルフィド結合形成阻止用)、サンプルを30℃で1時間インキュベーションした。100mM−NHHCO、pH8.8と平衡させた NAP-10 column (Amersham Pharmacia Biotech) を用いて脱塩し、サンプルを1.2mLで溶離した。このサンプルをトリプシン(Promega、トリプシン1μg/100μgプロテイン)を用いて30℃で6時間消化し、TFAを最終濃度1%まで加えて反応を止めた。最終濃度100ng/μL(1.5pmole/μL)になるまで0.5%TFA:50%AcNで消化物を希釈した。
3−スルホプロピオン酸無水物のNHSエステルを用いるN−末端誘導化:
4VP−BSAのトリプシン消化物(3pmole)をスピードバックで乾燥し、脱イオン水:ジイソプロピルエチルアミン=19:1v/v10μLに再構成した。NHSエステルを脱イオン水に溶解し(NHSエステル10mg/HO100μL)、その5μLを各サンプルに加えた。反応混合物をふりまぜ、室温に15分間放置して反応させた。サンプルに10%TFA1μLを加えて酸性とし、製造社の説明書に従ってμC18 Zip TipsTM(Millipore)で精製した。MALDI標的にサンプルを直接α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸の50%AcN:0.1%TFA飽和溶液で溶離し、リフレクトロンポジティブモードおよびPSDポジティブモードの EttanTM MALDI-TOF で分析した。
大腸菌由来プロテインの誘導化トリプシン消化物のNHSエステルのdPSD
大腸菌低速上清物の製造:大腸菌(E. coli)(40μg、B株、ATCC11303)を8M−尿素、4%chaps、2%3〜10pharmalyt、65mM−DTTを含む還元緩衝液20mLに入れ、細胞を超音波(7×20秒間、氷冷下)で破壊した。溶解物を10000×g、8℃で40分間遠心分離した。低速上清(LSS)は使用まで−20℃で保存した。
二次元(2D)電気泳動による分離:大腸菌のLSS(1mg)をIPGレヒドレーション緩衝液(8M−尿素/2%CHAPS/2%IPG緩衝液4〜7/10mM−DTT)で希釈し、IPGストリップ(24cm、pH3−10、NL Amersham Pharmacia Biotech)に一夜レヒドレーションした。製造社説明書に従って二次元電気泳動を行った。二次元(2―D)電気泳動で分離後、ゲルを40%エタノール(EtOH)、10%酢酸(HAc)で1時間固定し、40%EtOH、10%HAc中、0.1%クーマジーブリリアントブルーで30分間染色し、20%EtOH、5%HAc中で一夜脱色した。
トリプシン消化:中強度(低pmole)から低強度(高fmole)までのプロテインスポット(直径1.4mm)を取り、EttanTMspot picker(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてミクロタイタープレートに移した。各プロテインを50%メタノール、50mM−炭酸水素アンモニウム(AMBIC)100μLで3×30分間脱色し、Tubo-Vap中で15分間乾燥した。これをトリプシン(40ng/μL、20mM−AMBIC、Promega)5μLで EttanTMTA Digester(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて37℃で60分間消化した。0.5%TFA,50%アセトニトリル35μLで2×20分間ペプチドを抽出した。抽出物を室温で一夜乾燥した。
N−末端の誘導化:各サンプルを脱イオン水20μL中に再構成した。各サンプル(20%)1μLをα−シアノマトリックス溶液と1:1混合し、EttanTM MALDI-TOF を用いてリフレクトロンポジティブモードで分析した。各サンプルの残り19μLにDIEA1μLとスルホプロピオン酸NHSエステル10mg/100μL溶液5μLを加えた。サンプルをピペットで完全に混合し、室温で15分間反応させた。TFA(1μL、10%)を各サンプルに加え、μC18Zip TipsTM(Millipore)で精製した。α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸の50%AcN:0.1%TFA飽和溶液でサンプルをMALDIターゲット上に直接溶離し、EttanTM MALDI-TOF を用いてリフレクターポジティブモードおよびPSDポジティブモードで分析した。
NHSエステルを用いる自動化dPSD:
最近の化学は自動化に適している。EttanTM Digester とEttanTM Spotter を用いればサンプルの取扱いおよび反応混合物は自動的に操作できる。実験的には、マイクロタイタープレートの各ウェルに入れたモデルペプチドまたはペプチド混合物を水(18MΩまたはそれ以上の品質、Omega)100μL中に再構成する。この時点で液体ハンドラーはサンプルを反応物2個に二分できる。一方は5μLをMSによる直接分析に、他方は化学修飾に用いる。化学修飾用に設計した物質を室温で1時間乾燥する。ハンドラー(たとえばGilson 215 multiprobe)は次に乾燥した物質にDIEA(ジイソプロピルエチルアミン)含有緩衝液中、反応性誘導化試薬10μLを加えて再構成する。吸引を繰返して反応物を混合する。この化学修飾段階を室温で約15分間進行させる。最後に各サンプルを前記と同様に後処理し、MSで分析する。
結果:
4VP−BSA・トリプシン消化ペプチドの定量的N−末端誘導化は水溶液中、3−スルホプロピオン酸無水物のNHSエステルで得られた。図4、図5は各々未誘導化および誘導化4VP−BSAのリフレクトロンスペクトルを示す。ペプチドI〜IIIをdPSD分析に使用した(図6〜図8)。フラグメンテーションスペクトルはy−イオンのみを示した。ペプチド三種の各フラグメンテーションデータを用いて NCBInr protein sequence database (PepFrag、www.proteometric.com) に対する明確な確認のために使用できた。
クーマジー染色2Dゲルから得た大腸菌プロテインを含むゲルプラグ2個を、NHSエステルを用いてdPSDで同定した。このプロテインをトリプシンで消化し、ゲルプラグから抽出し、記載の通りに誘導化した。図9および図10は一方のゲルプラグから得た未誘導化サンプルおよび誘導化サンプルのリフレクトロンスペクトルを示す。丸印を付けたペプチドを定量的に誘導化し、PSD分析(図11)に付した。このフラグメントイオン(y−イオン)の質量を用いてPepFragでプロテイン確認を行った。PepFragが示唆した候補はProFound (proteometrics.com) のトリプシン消化地図を検索して得た候補と一致した。第二ゲルプラグから得た未誘導化サンプルおよびNHSエステル誘導化サンプルのリフレクトロンスペクトルを図12と図13に示す。ペプチド m/z 1569を定量的に誘導化し(m/z 1705)、PSD分析(図14)に用いた。得られたy−イオンを用いてPepFragでプロテイン確認を行った結果、ProFound のペプチドマスで得られた候補と同じ候補を示した。
図1は、実施例2に記載するウマミオグロビンの未誘導化サンプル(MALDIターゲット上、15fmol)についてリフレクトロンスペクトルを示す。 図2は、図1に関して記載したサンプルの誘導化サンプル(MALDIターゲット上、<15fmol)についてリフレクトロンスペクトルを示す。 図3は、リジン末端ペプチド(図2、m/z 1271)の誘導化で生じたm/z 1449.5についてPSDスペクトルを示す。 図4は、得られたy−イオン7種の質量(反応物から−42Da)を与えて前記プロテインをPepFrag でどのように同定したかを示す。 図5は、アルギニン末端ペプチド(m/z 1742.8)についてフラグメンテーションスペクトルを示す。 図6は、得られたy−イオン8種の質量を用いてプロテインをPepFragで確認したことを示す。 図7は、実施例3に記載するBSAトリプシン消化ペプチド500 fmol の固相スルホン化を示す。 図8は、実施例3に記載するBSAトリプシン消化ペプチド4.5 pmol の溶液中でのスルホン化を示す。 図9Aは以下の実施例12で検討するNMRスペクトルを示す。 図9Bは以下の実施例12で検討するNMRスペクトルを示す。 図9Cは以下の実施例12で検討するNMRスペクトルを示す。 図9Dは以下の実施例12で検討するNMRスペクトルを示す。 図10Aは本発明に使用するNHSエステルの安定性を図示する。 図10Bは本発明に使用するNHSエステルの安定性を図示する。 図11Aは実施例17に記載のようにスルホン化したペプチドについてMALDI・PSDスペクトルおよび相対的反応性のデータを示す。 図11Bは実施例17に記載のようにスルホン化したペプチドについてMALDI・PSDスペクトルおよび相対的反応性のデータを示す。 図11Cは実施例17に記載のようにスルホン化したペプチドについてMALDI・PSDスペクトルおよび相対的反応性のデータを示す。 図12は、EttanTMMALDI-TOFで得た4VP−BSAの未誘導化トリプシン消化物についてリフレクトロンスペクトル、ポジティブモード(平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。 図13は、4VP−BSA(EttanTM MALDI-TOF)の誘導化トリプシン消化物についてリフレクトロンスペクトル(平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。 図14は、EttanTM MALDI-TOF で得た4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物(図13)から得たペプチド(I)の完全y−イオンシリーズを示すPSDスペクトル(ポジティブモード)を示す。 図15は、4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物(図13)から得たペプチド(II)についてPSDスペクトル(ポジティブモード)を示す。 図16は、4VP−BSAの誘導化トリプシン消化物(図13)から得たペプチド(III)m/z 1704 についてPSDスペクトル(300ショットシグナル蓄積)を示す。 図17は、EttanTM MALDI-TOF で得たクーマジー染色2−Dゲルからの未誘導化プロテイン消化物についてリフレクトロンスペクトルの初回例(ポジティブモード、100ショット蓄積、平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。 図18は、図17と同じ2−Dサンプル(残りの95%)であるがNHSエステルでN−末端誘導化後のリフレクトロンスペクトル(ポジティブモード、平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。 図19は、誘導化ペプチド m/z 1927 についてPSDスペクトル(300ショット蓄積)を示す。 図20は、EttanTM MALDI-TOF で得たクーマジー染色2−Dゲルから得たプロテインスポットの未誘導化トリプシン消化物についてリフレクトロンスペクトルの第二例(100ショット蓄積、平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。 図21は、図19と同じ2−Dサンプルであるが既述のようにZipTipTM で浄化し、水性溶液中でNHSを用いて誘導化した後のリフレクトロンスペクトル(ポジティブモード、平均質量、濾過後、スムーシング5)を示す。 図22は、誘導化したペプチド m/z 1705(図12参照)についてPSDスペクトル(シグナルを300ショット蓄積)を示す。 図23は、後続する多重式スルホン化用に実験室用遠心分離機に入れたサンプル充填済 ZipTipsTM を示す。 図24は、スルホン化反応後に遠心分離機内で行うサンプル洗浄を示す。 図25は、MALDIサンプルステージ上に固体支持体から誘導化サンプルの直接負荷を示す。 図26は、固体支持体上でフィブリノペプチドAをスルホン化して得たMALDI質量スペクトルを示す。 図27は、スルホン化反応中に形成される望ましくないエステル副産物を逆戻りさせるためのヒドロキシルアミン塩酸塩の使用を示す。 図28は、プロテイン消化物のスルホン化を示す。
本明細書に示す本発明の修正および変形の多くが本発明の精神および範囲から逸脱することなしに行えるであろうことは明白である。記載された特定的態様は単なる実例であって、本発明は添付する請求項の記載によってのみ限定される。

Claims (29)

  1. ポリペプチドを確認する方法であって、次の各段階を含む方法:
    (a)ポリペプチドのN−末端を、またはポリペプチドのペプチド1個またはそれ以上のN−末端を、活性エステル部分に結合するスルホニル部分またはスルホン酸部分を含み、水性溶液中での半減期が室温で10分以上であり誘導体を1種またはそれ以上製造する酸性試薬少なくとも1種を用いて誘導化して、ペプチド誘導体を1種またはそれ以上提供する段階;
    (b)該誘導体少なくとも1種を質量分析の技術を用いて分析して、フラグメンテーションパターンを提供する段階;および
    (c)得られるフラグメンテーションパターンを解析してポリペプチドを確認する段階;
    ただし、このペプチドまたはポリペプチドは少なくとも段階(a)の間は固体支持体に固定化されているものとする。
  2. 固体支持体がC18で誘導化したシリカに基づく媒体を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 段階(a)をpH8〜12、たとえばpH9〜10の範囲に緩衝された溶液中で行う、請求項1または2に記載の方法。
  4. 誘導化ポリペプチドに求核試薬を1種またはそれ以上加え、続いて洗浄段階を加えることによって段階(a)の後の望ましくないエステル副生成物の量を削減またはエステル副生成物をなくする、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  5. 誘導化ポリペプチドにヒドロキシルアミン塩酸塩を加え、続いて洗浄段階を加えることによって段階(a)の後の望ましくないエステル副生成物の量を削減またはエステル副生成物をなくする請求項4に記載の方法。
  6. ポリペプチドに結合した時に酸性試薬がpKa約2未満である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  7. 段階(b)で使用する質量分析技術がマトリックス支援レーザー脱着イオン化(MALDI)質量分析である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  8. 段階(b)で使用する質量分析技術が電気スプレーイオン化(ESI)法である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  9. 段階(c)においてフラグメンテーションパターンをソフトウエアプログラムまたはデータベースを使用して解析する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  10. 全段階を自動化操作または半自動化操作の一部として行う、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  11. 活性化された酸部分がN−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)エステルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  12. 試薬が3−スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  13. 試薬が2−スルホ安息香酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. ポリペプチドが酵素消化で得られる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  15. 酵素がトリプシンである、請求項14に記載の方法。
  16. ポリペプチドと試薬とを遠心分離する間に段階(a)を行う、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  17. さらに、スルホン化段階の前にリジン残基を保護する段階を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  18. 段階(a)に従って行うスルホン化段階の前にリジン残基を保護する段階を含み、その保護も固体支持体に固定されたペプチドおよび/またはポリペプチドに対して行われる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  19. ペプチドをスルホン化反応の前に固体支持体に固定化し、固定化したままでグアニジン化する、ペプチドおよび/またはポリペプチドのリジン残基を保護する方法。
  20. 活性エステル部分と結合するスルホニル部分またはスルホン酸部分を含み、請求項1〜19のいずれかに記載の方法で使用するための、試薬。
  21. ポリペプチドを固体支持体に固定化して行うペプチド誘導化方法であって、その試薬が3−スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルおよび2−スルホ安息香酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルから構成される群から選択されるペプチド誘導化方法における、使用に適する試薬。
  22. 質量分析技術でポリペプチドを確認するためのキットであって、そのキットは活性化された酸部分に結合するスルホニル部分またはスルホン酸部分を有する形の試薬少なくとも1種を容器内に含み、その試薬は水性溶液中、室温での半減期が10分以上、好ましくは約20分以上、最も好ましくは約30分以上である。
  23. さらにpH約8〜12、たとえばpH9〜10の緩衝液を試薬と別の区画に含む、請求項22に記載のキット。
  24. また別の区画にヒドロキシルアミン塩酸塩を含む、請求項22または23に記載のキット。
  25. 該試薬がポリペプチドと結合した時にpKa約2未満である、請求項22〜24のいずれかに記載のキット。
  26. 質量分析技術がマトリックス支援レーザー脱着イオン化(MALDI)質量分析である、請求項22〜25のいずれかに記載のキット。
  27. 質量分析技術が電気スプレーイオン化(ESI)である、請求項22〜26のいずれかに記載のキット。
  28. 活性化された酸部分がN−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)エステルである、請求項22〜27のいずれかに記載のキット。
  29. NHSエステルを3−スルホプロピオン酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルおよび2−スルホ安息香酸N−ヒドロキシサクシンイミドエステルから構成される群から選択される、請求項22〜28のいずれかに記載のキット。
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