JP2005516740A - ガラス製安全注射器及びガラス製注射器のための関連安全キット - Google Patents

Abstract

安全注射器（１００）は、ガラス製注射筒（１）と；注射筒（１）の内側を滑ることができ、後部に手動操作可能な心棒（２０）を備えたプランジャー（２）と；注射筒（１）の前端部（１０）に取り付けられた注射針（１１）と；注射筒（１）に一体的に取り付けられた鞘（３）と；使用時収縮位置から針（１１）が保護される安全前進位置へと移動するよう滑ることができるように鞘に取り付けられたスリーブ（４）と；スリーブが使用時位置にあるときの位置と安全位置にあるときの位置とにおいてスリーブ（４）をロックさせるよう鞘及びスリーブに互恵的に備えられたロック手段と；スリーブ（４）を使用時収縮位置から安全前進位置へと移動させられるようロック手段（４３）と協同するようにピストンの心棒（２０）に一体的に取り付けられた操作手段（２２）とを具備している。

Description

発明の詳細な説明

［説明（DESCRIPTION）］
本発明は、一旦注射が行われた後に針の保護を行う自動安全装置を備えた使い捨てのガラス製注射器に関するものである。また、本発明は、使い捨てガラス製注射器に適用できる関連安全キットに関するものでもある。

注射器は、プランジャーを受け入れるよう後部が開いている円筒形の注射筒を通常備えている。また、注射筒の頭部には中空の針が取り付けられている。

保健規則上の理由及び感染症の伝達を避けるために、注射器は通常一度しか使用できず、その後は廃棄されなければならない。このため、複数回の使用を防止できる使い捨て注射器の需要が増大している。

その上、通常、安全面において注射器には問題点が有る。つまり、一旦注射器が使用されると、針が注射筒の頭部に露出されたまま残り、傷害又は針刺し事故の危険を伴っている。

これらの問題点を克服するために、針をカバーするよう安全装置を有している使い捨てのプラスチック製注射器が市場に出回っている。

国際特許出願公開番号ＷＯ９９／３７３４５には、注射筒の軸に沿って取り付けられ、注射できるよう針を露出している収縮位置から完全に針をカバーする伸張位置へと滑ることができる針カバースリーブ（needle covering sleeve）を有する使い捨て安全注射器が記載されている。この注射器では、注射器の再使用を防止すると共に針刺し事故に対する保護を行っている。

上記スリーブは、一旦注射が行われると自動機構による手段によって使用者の仲介なしに自動的に引き出される。

一方、ガラス製注射器は、通常再使用ができるように設計されている。つまり、ガラス製注射筒は高温で滅菌できるようになっている。このため、ガラスシリンジには、通常、一旦注射が行われた後に針を保護するための安全装置が備えられていない。

周知のように、注射器の胴体に予め液剤が入っており、即注射可能なプレフィルド注射器（prefilled syringes）が市場に広く出回っている。しかしながら、ワクチンや解毒剤等のようにプラスチック製の容器内で保存できない液剤もある。従って、それらの液剤はガラス製のプレフィルド注射器に収められている。

以上の理由と衛生上及び実用上の理由とから、市場には使い捨てタイプのガラス製注射器が存在する。しかし、使い捨てのガラス製注射器には、針を保護するための安全装置を有していないという問題点が有る。

本発明の目的は、従来技術における上記の問題点を解消し、実用的で、多目的用途に使用でき、経済的で、かつ、組み立てが容易なガラス製安全注射器を提供することにある。

また、本発明の別の目的は、複数回の使用を試みることを防止できる使い捨てタイプのガラス製注射器を提供することにある。

また、本発明の別の目的は、非常に安全で、使用後に不慮の傷害及び無分別な試み（tampering）を防止することのできるガラス製安全注射器を提供することにある。

これらの目的は、添付の独立請求項１に列挙した特徴点を有する発明によって達成することができる。

また、本発明の好ましい（advantageous）実施の形態は、従属請求項から明白である。

本発明に係る注射器は、中空で前後が開いているガラス製注射筒と；注射筒の内側を滑ることができ、手動操作可能な心棒（stem）を後部に備えているプランジャー（plunger）と；注射筒の先端部に取り付けられた注射針とを具備している。

この注射器を本発明に係る安全注射器にするために、ガラス製注射筒上には、鞘が一体的に取り付けられると共に、当該鞘には、使用時収縮位置から前進安全位置へと移動するよう滑ることができるようにスリーブが取り付けられている。ここで、スリーブが使用時収縮位置にある状態では、針が注射することができるようにスリーブから突出しており、スリーブが安全前進位置にある状態では、スリーブによって針が保護されている。

また、鞘及びスリーブには、スリーブが使用時収縮位置にあるときの位置と安全前進位置にあるときの位置とにおいてスリーブをロックさせるようロック手段及び止め具が互恵的に取り付けられている。また、プランジャーが注射ストローク（injection stroke）の終点にあるときにロック手段と協同する（cooperate）ことのできる操作手段がピストン心棒の後部に据えられている。これによって、スリーブは使用時収縮位置から安全前進位置へと動くことができるようになっている。

本発明に係る注射器の利点は明白であり、一旦注射が行われるとスリーブによって針をカバーする能力を備えることによって、ガラス製の注射器を安全なものにすることができる点である。

本発明のさらなる特徴点は、以下の詳細な説明によって明らかにされる。以下の詳細な説明は単に具体例を示しているだけであり、従って本発明の実施の形態を制限するものではない。また、本発明の実施の形態は、添付の図面によって次のように説明される。

図１は、本発明に係る注射器の平面図である。図中において注射器は使用可能な状態であり、注射筒の頭部には針カバーキャップが取り付けられている。

図２は、図１の安全注射器の軸方向における断面図であり、注射筒及びピストン心棒の側面を示している。

図３は、図１の切断面III‐IIIに沿った軸方向における断面図であり、ピストン心棒の側面を示している。図中においてピストン心棒は注射位置の終点にあり、針カバーキャップが除去されている。

図４は、図３と同様に軸方向における断面図である。図中において針は安全な位置にある。

図５は、注射筒をカバーするための鞘を説明する透視図である。

本発明に係る安全注射器を図と共に説明する。なお、本発明の注射器全体は符号１００で表される。

注射器１００は、図２及び図４に示すガラス製の注射筒１を具備している。注射筒１は実質的に円筒形の形状で中空となっており、前後に円筒形小室開口部（cylindrical chamber open）を有している。また、注射筒１は、針１１を食い込ませる頭部１０を先端部に有している。また、注射筒１は、使用者が掴めるよう放射状に突出したフランジ１２を後端部に有している。

図３に示すように、ゴム製のプランジャー２は、注射筒１の円筒形小室（cylindrical chamber）を堅く密閉しながら軸方向に滑ることができる。また、プランジャー２は、ガラス製又はプラスチック製の心棒２０によって先端部が支持されている。心棒２０は、使用者が手動で操作することができるよう注射筒１の外側に配置されたフランジ２１を後端部に有している。

心棒２０の後部には、フランジ２１に近接した部分において心棒２０の周縁に配置される円錐台ブロック（frusto conical block）２２が備えられている。円錐台ブロック２２は、心棒２０の後方に向かって半径が大きくなる先細の側面を有している。

円錐台ブロック２２は、心棒の後部と一体的に形成されていいてもよいし、或いは、心棒２０にあてがわれる別個の部材となっていてもよい。後者の場合、円錐台ブロック２２は、心棒を前端部から後部のフランジ２１に対して接触するまで強制的に挿入するために軸方向の穴（axial hole）２４を有している。この場合、円錐台ブロック２２は、弾力性を得ることができるよう輪状溝２３を有している。

注射筒１には、注射筒１の略全側面をカバーする管状鞘３が取り付けられている。図５にも示すように、鞘３は、輪状接触面（an annular abutment surface）３５を規定するよう外向きに放射状に突出したカラー（collar）３０を先端部に具備している。

カラー３０には、互いに正反対の方向に外向きに放射状に突出した２つのつめ３１が備えられている。鞘３の側面には、つめ３１に合わせて互いに正反対の位置に配置された２つの縦長スロット（longitudinal slots）３２が備えられている。これによって、各縦長スロット３２は、後部接触面（a rear abutment surface）３３及び前部接触面（a front abutment surface）３４を規定している。

つめ３はプラスチック素材製であり、ガラス製注射筒１に弾力的に押し付けられて固定される。注射筒１は、一体化した鞘３と共に、実質的に円筒形で中空のスリーブ４の内側に軸方向に滑ることができるよう取り付けられている。これによって、スリーブ４から注射筒１の頭部１０が軸方向前方に突出しており、頭部１０には針カバーキャップ８が嵌め込まれている。

スリーブ４は、径の大きい円筒形後部４０と径の小さい円筒形前部４１とを有しており、内側において輪状接触面４２を規定している。図２に示すように、鞘３上のカラー３０の輪状接触面３５とスリーブ４の輪状接触面４２との間には、鞘３に巻きついている垂直螺旋圧縮ばね（a helicoidal compression spring）６が配置されている。

図１に端的に示すように、最大径を有する鞘の側壁部分４０には、２つの後部タング（rear tongues）４３が形成されている。後部タング４３は、互いに正反対の位置に縦長に配置されており、たわむことができる。各後部タング４３は、内部で鞘のカラー３０のつめ３１のそれぞれが嵌合する矩形スロット４４を有しており、スリーブ４の内側で鞘３が確実に保持されるようになっている。

各後部タング４３は、最大径部４０の端まで達する互いに平行な縦長の２つの切欠き４５によって規定されている。これによって、各後部タング４３は外向きに放射状にたわむことができる。その上、各後部タング４３は、最大径部４０の後端部を越えて後方に突出した後部を有している。ここで、各タング４３の後端部は、心棒の円錐台ブロック２２の先細の側面と協同することができる先細の表面４６を有している。

大径部４０の後端部には、使用者が掴むことができるようにフランジ５５が放射状に突出している。スリーブ上の後部フランジ５５は、後部タング４３と干渉しないよう後部タング４３のある領域には存在しない。スリーブ上のフランジ５５は、ガラス製注射筒１の後部フランジ１２が接触する輪状接触面を後部壁に有している。

スリーブの最小径部４１の側部には、２つの中央タング（central tongues）４７が形成されている。中央タング４７は、互いに正反対の位置に縦長に配置され、たわむことができる。各中央タング４７は、実質的にＵ字型のノッチ４８によって規定されており、外向きに放射状にしなることができるようになっている。

各中央タング４７は、鞘３の縦長スロット３２のそれぞれと係合することができる内向きに突出したつめ４９を有している。これによって、注射筒１が鞘３と共にスリーブ４の内側に挿入された際には中央タング４７が広げられ、つめ４９が鞘上のスロット３２のそれぞれにおいて係合した際には弾力的に嵌まり込むようになっている。

スリーブの最小径部４１の側壁には、２つの前部タング５０が形成されている。前部タング５０は、互いに正反対の位置で縦長に配置されている。各前部タング５０は、実質的にＵ字型のノッチ５１によって規定されており、外向きに放射状にしなることができるようになっている。通常状態において各前部タング５０は内向きに収束しており、また、前端部には接触面５２を有している。

次に本発明に係る注射器１００の操作について説明する。

図１及び図２に示すように、ばね６は、初期状態において鞘３のカラー３０の輪状接触面３５とスリーブ４の輪状接触面４２との間で圧縮されている。鞘のつめ３２はスリーブの後部タング４３のスロット４４において係合しており、スリーブ４に対して鞘２及び注射筒１の集合部材が軸方向に移動するのを防止している。さらに、中央タング４７のつめ４９は鞘の縦長スロット３２の前部接触面３３と接触しており、スリーブ４に対して鞘３が軸方向後方に移動するのを防止している。

注射筒１の小室（chamber）は注射する液剤によって予め満たされている（pre-filled）。そして、注射を行い、プランジャー２が注射筒の小室内でストローク（stroke）の終点に達した際に、図３に示すように、円錐台ブロック２２の先細の表面が後部タング４３の後端部４６の先細の表面と協同し、後部タング４３を外向きに放射状にしならせる。

従って、鞘３のつめ３１はタング４３のスロット４４から解放され（disengage）、スリーブ４は、鞘３及び注射筒１の集合部材に堅く拘束されなくなる。その結果、図４に示すように、圧縮されていたばね６が発射され（is released）て、伸張すると共にスリーブ４を鞘及び注射筒の集合部材に対して軸方向前方に滑らせる。この滑りは、スリーブの中央タング４７のつめ４９が鞘の縦長スロット３２の後部接触面３４のそれぞれと接触するまで続く。

鞘及び注射筒の集合部材に対するスリーブ４の軸方向における上記移動は、スリーブの中央タング４７のつめ４９が鞘上の縦長スロット３２のそれぞれの中を滑るので、ガイドされる。さらに、スリーブの前部タング５０の後端部５２が鞘３の前端部を通過する際、前部タング５０は内向きに弾力的に収束する。

この状況において、針１１はスリーブ４の内側で安全な位置に保護される。なお、注射器１００が安全位置の状態にあるときは、鞘及び注射筒の集合部材に対してスリーブ４の軸方向におけるあらゆる移動が防止される。つまり、鞘３の前端部が集束性を有する前方タング５０の後端部５２と接触し、鞘上のスロット３２の後部接触面３４がスリーブの中央タング４７のつめ４９のそれぞれと接触した状態となる。

本発明は、上述の安全注射器１００以外に、鞘３、ばね６、スリーブ４及び円錐台ブロック２２を具備している安全キットにも関することは言うまでもない。また上記安全キットは、公知のガラス製注射器を安全注射器にするために適用される単独の物品である。

本発明の本実施例に対して、添付した特許請求の範囲に記載した発明の範囲において当業者がなしうる種々の細部における改変や変更をしてもよいことは言うまでもない。

図１は、本発明に係る注射器の平面図である。図中において注射器は使用可能な状態であり、注射筒の頭部には針カバーキャップが取り付けられている。 図２は、図１の安全注射器の軸方向における断面図であり、注射筒及びピストン心棒の側面を示している。 図３は、図１の切断面III‐IIIに沿った軸方向における断面図であり、ピストン心棒の側面を示している。図中においてピストン心棒は注射位置の終点にあり、針カバーキャップが除去されている。 図４は、図３と同様に軸方向における断面図である。図中において針は安全な位置にある。 図５は、注射筒をカバーするための鞘を説明する透視図である。

Claims (10)

1. 中空で前後が開いているガラス製注射筒（１）と、
   上記注射筒（１）の内側で滑り可能なプランジャー（２）であって、後端部（２１）によって上記注射筒から引き出される手動操作可能な心棒（２０）を後部に備えているプランジャー（２）と、
   上記注射筒（１）の前端部（１０）に取り付けられた注射針（１１）とを具備する安全注射器において、
   上記ガラス製注射筒（１）に一体的に取り付けられた鞘（３）と、
   注射することができるよう上記針（１１）が上記スリーブより前方に突出した使用時収縮位置から上記針（１１）が上記スリーブ（４）によって保護される安全前進位置へと移行するよう上記鞘上に滑ることができるように取り付けられたスリーブ（４）と、
   上記スリーブ（４）が上記使用時収縮位置にあるときの位置と上記安全前進位置にあるときの位置とにおいて、上記スリーブ（４）をロックするよう上記鞘及び上記スリーブに互恵的に備えられたロック手段及び静止手段と、
   上記プランジャー（２）が注射ストロークの終点にあるときに上記スリーブ（４）が使用時収縮位置から安全前進位置へと移動させることができるよう上記ロック手段と協同するように上記プランジャーの心棒（２０）の後部に一体的に取り付けられた操作手段（２２）とを具備していることを特徴とする安全注射器（１００）。
2. 上記スリーブ（４）と上記鞘（３）との間に配置された弾性力発生手段（６）を具備していることを特徴とする請求項１に記載の安全注射器（１００）。
3. 上記弾性力発生手段の一端は、上記スリーブの大径部（４０）と小径部（４１）との間に規定される輪状接触面（４２）と接触しており、上記弾性力発生手段の他端は、上記鞘（３）の先端部で外向きに突出したカラー（３０）によって規定される輪状接触面と接触していることを特徴とする請求項２に記載の安全注射器（１００）。
4. 上記ロック手段は、上記スリーブ（４）の側壁の後部において縦長に形成された２つの後部弾力性タング（４３）が備えられたスロット（４４）のそれぞれと係合するよう上記鞘から互いに正反対の向きに放射状に突出した２つのつめ（３１）を具備していることを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項に記載の安全注射器（１００）。
5. 上記後部タング（４３）のそれぞれは、上記スリーブの側壁において上記スリーブの後端部まで形成された互いに平行で縦長の２つの切欠きによって規定されており、上記タング（４３）の後端部はスリーブの後端部を越えて放射状に突出していることを特徴とする請求項４に記載の安全注射器（１００）。
6. 上記操作手段は、上記プランジャー（２）が注射ストロークの終点に達したときに上記後部タングの上記スロット（４４）から上記鞘のつめ（３１）を解放するよう上記後部タングを外向きに広げるために上記後部タング（４３）と協同する円錐台ブロック（２２）を具備していることを特徴とする請求項４又は５に記載の安全注射器（１００）。
7. 上記静止手段は、上記スリーブ（４）の側壁の中央部において互いに正反対の位置に縦長に備えられたたわみ可能な１対の中央タング（４７）を具備しており、中央タング（４）は、上記鞘（３）に備えられた縦長の溝（３２）のそれぞれと係合する内向きに突出したそれぞれのつめ（４９）が備えられていることを特徴とする請求項１乃至６の何れか１項に記載の安全注射器（１００）。
8. 上記鞘（３）の上記縦長の溝（３２）のそれぞれは、上記鞘（４）が上記使用時収縮位置にあるときに上記鞘の上記中央タングの上記つめ（４９）のそれぞれと接触する後部接触面（３３）と、上記スリーブ（４）が上記安全前進位置にあるときに上記つめ（４９）のそれぞれと接触する前部接触面（３４）とを有することを特徴とする請求項７に記載の安全注射器（１００）。
9. 上記静止手段は、上記スリーブの側壁の後部において互いに正反対の位置に縦長に備えられたたわみ可能な１対の後部タング（５０）を具備しており、上記中央タング（５０）は、内向きに収束性を有すると共に上記スリーブ（４）が上記安全前進位置にあるときに上記鞘（３）の前端部と接触することができる接触面（５２）を有することを特徴とする請求項１乃至８の何れか１項に記載の安全注射器（１００）。
10. 上記各中央タング（４７）及び上記各前部タング（５０）は、上記スリーブの側壁の中央部及び前部にそれぞれ形成された実質的にＵ字型のそれぞれの切欠き（４８、５１）によって定義されることを特徴とする請求項７又は９に記載の安全注射器（１００）。

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