(発明の詳細な説明)
本発明は、血液障害を有する患者の診断および処置のための方法および組成物を提供する。
本明細書中で使用される場合、「処置」は、疾患または障害、1つの疾患または障害の症状あるいは疾患または障害に向かう素因を治癒(curing)する、治癒(healing)する、緩和する、軽減する、変化させる、軽減する、回復する、改善するまたは影響する目的で、患者への治療剤の適用または投与、あるいは患者から単離された組織または細胞株への治療剤の適用または投与として規定され、患者は、疾患または障害、疾患または障害の症状あるいは疾患または障害に向かう素因を有する。治療剤としては、低分子、ペプチド、抗体、リボザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な分子は、本明細書中に記載される。
本明細書中で使用される場合、血液障害としては、赤血球関連障害が挙げられるが、これに限定されない。本明細書中で使用される場合、用語「赤血球関連障害」は、異常な(増大したかまたは欠損した)赤芽球増殖(例えば、赤白血病)および異常な(増大したかまたは欠損した)赤芽球分化(例えば、貧血)を含む障害を含む。赤血球関連障害としては、以下が挙げられる:貧血(例えば、薬物(化学療法)誘導性貧血、遺伝的な細胞膜異常に起因する溶血性貧血(例えば、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症および遺伝性熱変形赤血球症);後天的な細胞膜欠損に起因する溶血性貧血(例えば、発作性夜間血色素尿症および有棘細胞貧血);抗体反応によって引き起こされる溶血性貧血(例えば、RBC抗原に対する抗体、またはABO系、Lewis系、Ii系、Rh系、Kidd系、Duffy系およびKell系の抗原に対する抗体);メトヘモグロビン血症;赤血球生成の不全(例えば、再生不良性貧血、赤芽球ろう、骨髄異形成症候群、鉄芽球性貧血および先天性異常赤血球生成貧血の結果としてのもの);非溶血性障害における二次的貧血(例えば、化学療法、アルコール中毒症または肝臓疾患の結果としてのもの);慢性疾患の貧血(例えば、慢性腎不全);ならびに内分泌欠損疾患。
本発明のポリペプチドまたは核酸の活性または発現を調節する薬剤を使用して、貧血、特に、薬物誘導性貧血または癌治療、慢性腎不全、悪性疾患、成人性または若年性の慢性関節リウマチ、ヘモグロビン合成の障害、早熟およびHIV感染のジドブジン処置に関連する貧血を処置し得る。処置を受ける被験体は、さらに二次薬剤(例えば、エリスロポイエチン)でさらなる少なくとも1つの状態の症状まで処置される。処置のオーダーは、逆にされ得る。この2つの処置は、同時に投与され得る。処置の間のタイミングは、変化され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「エリスロポイエチン」または「EPO」は、腎臓において生産される糖タンパク質をいい、これは、赤血球生成(赤血球生成:erythrogenesis)を刺激するのに責任がある主要なホルモンである。EPOは、骨髄における拘束された(committed)赤血球先祖の分裂および分化を刺激する。正常な血漿エリスロポイエチンレベルは、0.01〜0.03単位/mLの範囲であり、そして低酸素症または貧血の間、100〜1,000倍まで上昇し得る。GraberおよびKrantz,Ann.Rev.Med.29:51(1978);EschbachおよびAdamson,Kidney Intl.28:1(1985)。組換えヒトエリスロポイエチン(rHuEpoまたはエポエチン(epoietin)α)は、EPOGEN.RTM.(エポエチンα、組換えヒトエリスロポイエチン)(Amgen Inc.,Thousand Oaks,Calif.)およびPROCRIT.RTM.(エポエチンα、組換えヒトエリスロポイエチン)(Ortho Biotech Inc.,Raritan,N.J.)として市販される。
赤血球関連障害の別の例は、赤血球増加症である。赤血球造血症(過剰および/または異所性のエリスロポイエチン生成によって引き起こされる赤血球過剰生産の障害)は、癌(例えば、腎細胞癌、悪性肝細胞癌および中枢神経系癌)によって引き起こされ得る。赤血球増加症(erythrocytosis)に関連する疾患としては、赤血球増加症(polycythemia)(例えば、真性赤血球増加症、二次赤血球増加症および相対的赤血球増加症)が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、血液障害は、B細胞に関与する障害を含み、これらとしては、前駆体B細胞新生物(例えば、リンパ芽球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫)が挙げられるが、これに限定されない。末梢B細胞新生物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ種、濾胞性リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫(diffuse large B−cell lymphoma)、バーキットリンパ腫、プラスマ細胞新生物、多発性骨髄腫および関連要素、リンパプラスマ細胞リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma)(ヴァルデンストレームマクログロブリン血症)、成熟細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫(MALToma)ならびにヘアリーセル白血病。
本明細書中で使用される場合、血液障害は、骨髄の障害を含み、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:造血性(hematopoeitic)幹細胞に関与する疾患;拘束されたリンパ先祖細胞;B細胞およびT細胞を含むリンパ細胞;拘束された骨髄様先祖(単球、顆粒球および巨核球を含む);および拘束された赤血球先祖。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:白血病(B−リンパ性白血病、T−リンパ性白血病、未分化型白血病を含む);赤白血病、巨核芽球白血病、単球;[白血病は、分化状態であるか分化状態でない];慢性および急性リンパ芽球性白血病、慢性および急性リンパ性白血病、慢性および急性骨髄性白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、慢性および急性骨髄性白血病、骨髄単球性白血病;慢性および急性骨髄芽球性白血病、慢性および急性骨髄性白血病、慢性および急性の前骨髄性白血病、慢性および急性の骨髄球白血病、単球マクロファージ直系の血液悪性疾患(例えば、若年性慢性骨髄性白血病);二次AML、前駆体血液障害;不応性貧血;再生不良性貧血;反応性皮膚(reactive cutaneous)血管内皮細胞腫症;樹状細胞における改変された発現に関与する線維性障害、全身性硬化症、E−M症候群、流行性毒性油症候群(epidemic toxic oilsyndrome)、強皮症の好酸球性筋膜炎の限局性形態、ケロイドおよび線維性大腸症を含む障害;血管腫様悪性線維性組織球腫;癌(原発性の頭部および頚部の扁平上皮細胞癌を含む);肉腫(カポージ肉腫を含む);線維腺腫および葉状腫瘍(乳房線維腺腫を含む);間質腫瘍;葉状腫瘍(組織球腫を含む);赤芽球症;神経線維腫症;血管内皮の疾患;古い外傷における粒状の脱髄;神経膠症、血管原性水腫、脈管性疾患、アルツハイマー病およびパーキンソン病;T細胞リンパ腫;B細胞リンパ腫。
本明細書中で使用される場合、血液障害は、血小板障害を含み得、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:減少した血小板の数に関する障害、血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病(急性特発性血小板減少性紫斑病を含む)、薬物誘導性血小板減少症、HIV関連血小板減少症および血栓性細小血管症を含む);血栓性血小板減少性紫斑病および溶血性尿毒症症候群。
血液障害はまた、血栓症を含み得る。血栓症は、血小板機能不全を生じ得る(例えば、心筋梗塞において見られる)、アンギナ、高血圧、脂質障害;真性糖尿病;骨髄異形成症候群;骨髄増殖性症候群(真性赤血球増加症および血小板血症(thombocythemia)を含む);血栓性血小板減少性紫斑病;HIV誘導性血小板障害(AIDS血小板減少症);ヘパリン誘導性血小板減少症;血小板凝集/脱顆粒をもたらす壁細胞の改変/相互作用、血管内皮細胞活性化/損傷、単球/マクロファージの溢血および平滑筋細胞の増殖;自己免疫疾患(例えば、これらに限定されないが、脈管炎、抗リン脂質症候群、全身性エリテマトーデス);炎症性疾患(例えば、これらに限定されないが、免疫活性化);対宿主性移植片病;放射線誘導性過剰凝固(hypercoagulation);遺伝性(常染色体優性または劣性)(例えば、限定されないが、タンパク質C/S、抗トロンビンIII欠損およびLeiden変異第V因子を含む凝固因子の経路)または後天性(例えば、限定されないが、凝固因子の自己免疫、癌関連異常調節(dysregulation)および薬物誘導性異常調節)のいずれかの凝固因子の異常調節。
本明細書中で使用される場合、血液障害は、赤血球障害を含み得、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:貧血(例えば、溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症、赤血球酵素欠損:グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ欠損に起因する溶血性疾患を含む))、鎌状赤血球疾患、セラサミア症候群、発作性夜間血色素尿症、免疫溶血性貧血、および外傷から赤血球を生じる溶血性貧血;ならびに減少した赤血球生成の貧血(巨赤芽球性貧血を含む)(例えば、ビタミンB12欠損の貧血):悪性貧血および葉酸欠損の貧血、鉄欠損貧血、慢性疾患の貧血、再生不良性貧血、赤芽球ろうおよび骨髄不全の他の形態。
本明細書中で使用される場合、血液学的障害としては、T細胞の障害が挙げられ得、これには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:細胞媒介性過敏症(例えば、遅延型過敏症およびT細胞媒介性細胞傷害性)および移植拒絶;自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性硬化症、炎症性ミオパシー、混合型結合組織疾患および結節性多発性動脈炎)および他の脈管炎(vasculitides);免疫欠損症候群(原発性免疫欠損(例えば、胸腺発育不全、重症複合型免疫不全疾患およびAIDS)が挙げられるが、これらに限定されない);白血球減少症;白血球の反応性(炎症性)増殖(白血球増加症、急性非特異的リンパ節炎および慢性非特異的リンパ節炎が挙げられるが、これらに限定されない);白血球の腫瘍性増殖(リンパ新生物(例えば、前駆体T細胞新生物(例えば、急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫、末梢T細胞およびナチュラルキラー細胞の新生物)(これには、末梢T細胞リンパ腫、不特定の成体成人T細胞白血病/リンパ腫、菌状息肉腫およびセザリー症候群が挙げられる))ならびにホジキン病が挙げられるが、これらに限定されない)。
本発明の1つの局面は、例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832媒介性障害または252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832関連障害(例えば、造血障害(例えば、赤血球関連障害))を処置および診断するために適用可能なアッセイにおける試薬または標的として有用である252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のポリペプチドおよびその生物学的に活性なフラグメントまたは抗原性フラグメントを特徴とする。別の実施形態において、本発明は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を有する252、304、1980、14717、9941、19310または17832ポリペプチドを提供する。好ましいポリペプチドは、少なくとも1つの二重特異的ホスファターゼ触媒ドメインを含む、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質であり、好ましくは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性(例えば、本明細書中に記載されるような252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性)を有する252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質である。
関連する局面において、本発明は、融合タンパク質を形成するために非252、304、1980、14717、9941、19310または17832のポリペプチドに作動可能に連結される252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のポリペプチドまたはフラグメントを提供する。
別の局面において、本発明は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のポリペプチドと反応する、より好ましくはそれらを特異的に結合する、抗体およびそれらの抗原結合フラグメントを特徴とする。
別の局面において、本発明は、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節する化合物をスクリーニングする方法を提供する。
さらに別の局面において、本発明は、例えば、スクリーニングされた化合物を用いて、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するためのプロセスを提供する。特定の実施形態において、本方法は、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832のポリペプチドまたは核酸の減少した活性または発現に関連する状態(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832を発現する細胞(例えば、造血細胞(例えば、骨髄(好中球)細胞、単球、赤血球、骨髄細胞、CD34発現細胞、巨核球))の異常な増殖の処置を含む。状態としては、白血病(例えば、赤白血病)の場合のような造血細胞の活性または増殖の増加;または例えば、貧血の場合のような、造血細胞の分化の減少が挙げられ得る。
さらに別の局面において、本発明は、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832を発現する細胞(例えば、造血細胞(例えば、骨髄(好中球)細胞、単球、赤血球、骨髄細胞、CD34発現細胞、巨核球))の増殖、生存および/または分化を調節(例えば、増強または阻害)するための方法を提供する。本方法は、その細胞を、細胞の増殖および/または分化を調節するのに有効な量の薬剤(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832のポリペプチドまたは核酸の活性または発現を調節する)と接触させる工程を包含する。
好ましい実施形態において、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832のポリペプチドは、配列番号3、6、9、12、15、18、または21と同一または実質的に同一なアミノ酸配列を有する。他の実施形態において、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832のポリペプチドは、配列番号3、6、9、12、15、18、または21の、少なくとも15、20、50、100、150、180、200またはそれ以上連続するアミノ酸のフラグメントである。
好ましい実施形態において、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の核酸は、配列番号1、4、7、10、13、16または19と同一または実質的に同一なヌクレオチド配列を有する。他の実施形態において、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の核酸は、配列番号1、4、7、10、13、16または19の、少なくとも50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600またはそれ以上連続するヌクレオチドのフラグメントである。
好ましい実施形態において、薬剤は、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の核酸の発現を、例えば、転写、mRNA安定性などを調節することによって、調節(例えば、増大または減少)する。
好ましい実施形態において、この薬剤は、ペプチド、ホスホペプチド、低分子(例えば、コンビナトリアルライブラリーのメンバー)または抗体、あるいはこれらの任意の組み合わせである。この抗体は、細胞毒、細胞傷害性剤および反応性金属イオンからなる群より選択される治療部分に結合体化され得る。
さらなる好ましい実施形態において、この薬剤は、アンチセンス、リボザイムまたは三重らせん分子、あるいは、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の核酸、あるいはこれらの任意の組み合わせである。
好ましい実施形態において、この薬剤は、細胞傷害性剤と合わせて投与される。
好ましい実施形態において、細胞(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832を発現する細胞)は、造血細胞(例えば、骨髄細胞、リンパ細胞または赤血球細胞、あるいはその前駆細胞)である。このような細胞の例としては、骨髄細胞(多形核細胞)、赤血球細胞、リンパ球、単球、細網細胞、プラスマ細胞および巨核球、ならびに異なる系統への幹細胞、そして約束された先祖細胞への前駆体(例えば、赤血球細胞の前駆体(赤芽球)、マクロファージの前駆体(単芽球)、血小板の前駆体(巨核球)、多形核白血球の前駆体(骨髄芽球)およびリンパ球の前駆体(リンパ芽球))が挙げられる。
好ましい実施形態において、細胞(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832を発現する細胞)は、骨髄細胞(例えば、骨髄CD34発現細胞)である。CD34発現細胞の例としては、未成熟造血前駆細胞、骨髄中の造血コロニー形成細胞(単能性(CFU−GM、BFU−E)および多能性祖先細胞(CFU−GEMM、CFU−MixおよびCFU−芽細胞));ならびに間質細胞前駆体、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)発現Bリンパ前駆体およびTリンパ前駆体、初期骨髄細胞および初期赤血球細胞、が挙げられる。
好ましい実施形態において、細胞(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832を発現する細胞)は、骨髄赤血球系細胞(例えば、赤血球祖先細胞(例えば、GPA(低)CD71+細胞)または分化した細胞(例えば、赤血球または巨核球))である。
好ましい実施形態において、細胞(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832を発現する細胞)は、タンパク質(例えば、サイトカイン)と、さらに接触される。好ましくは、このタンパク質は、G−CSF、GM−CSF、幹細胞因子および好ましくはエリトロポイエチンからなる群より選択される。このタンパク質接触工程は、薬剤が接触される前か、それと同時か、またはその後で、生じ得る。例えば、細胞(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832を発現する細胞)は、被験体(例えば、患者)から獲得され、そしてタンパク質とエキソビボで接触される。処理された細胞は、被験体に戻し導入され得る。あるいは、このタンパク質接触工程は、インビボで生じ得る。
好ましい実施形態において、この薬剤と、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832のポリペプチドまたは核酸とは、インビトロまたはエキソビボで接触される。
好ましい実施形態において、この接触工程は、例えば、治療プロトコルまたは予防プロトコルの一部として、被験体においてインビボでもたらされる。好ましくは、被験体は、ヒト(例えば、造血障害(例えば、白血病または赤血球関連障害)を有する患者)である。例えば、この被験体は、貧血(例えば、溶血性貧血、異常な赤血球生成、非造血障害における二次的貧血、慢性疾患(例えば、慢性腎不全)の貧血);内分泌欠損疾患;および/または赤血球増加症(例えば、多血症)を有する患者であり得る。あるいは、被験体は、癌患者(例えば、白血病性の癌(例えば、赤血球白血病)または癌腫(例えば、腎臓癌腫)を有する患者)であり得る。他の実施形態において、この被験体は、非ヒト動物(例えば、実験動物)である。
接触工程は、反復され得る。
好ましい実施形態において、この薬剤は、細胞(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832を発現する細胞(例えば、造血細胞(例えば、骨髄(好中球)細胞、単球、赤血球系細胞、骨髄細胞、CD34発現細胞、巨核球)))の増殖を減少し、そして/またはこれらの分化を増強する。このような薬剤は、癌(例えば、白血病性癌)を処置または予防するために使用され得る。
好ましい実施形態において、この薬剤は、造血細胞(例えば、骨髄(好中球)細胞、単球、赤血球系細胞、骨髄細胞、CD34発現細胞、巨核球)の数を、祖先細胞の増殖、生存を増大すること、そして/またはその分化を刺激することによって、増大させる。このような薬剤は、造血障害(例えば、貧血(例えば、溶血性貧血、異常な赤血球生成、非造血障害における二次的貧血、慢性疾患(例えば、慢性腎不全)の貧血);内分泌欠損疾患;および/または赤血球増加症(例えば、多血症))を処置または予防するために使用され得る。
別の局面において、本発明は、造血(例えば、赤血球生成)を調節する方法を特徴とし、この方法は、232発現細胞、252発現細胞、304発現細胞、1980発現細胞、14717発現細胞、9941発現細胞、19310発現細胞、または17832発現細胞(例えば、造血細胞(例えば、骨髄性(好中球)細胞、単球、赤血球、骨髄細胞、CD34発現細胞、巨核球)と、252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチド、もしくは17832ポリペプチド、または252核酸、304核酸、1980核酸、14717核酸、9941核酸、19310核酸、もしくは17832核酸の活性または発現を増大または減少させる薬剤とを接触させ、それにより、造血細胞の分化を調節する工程を包含する。
なお別の局面において、本発明は、被験体における造血障害(例えば、赤血球関連障害)を処置または予防する方法を特徴とする。この方法は、252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチド、もしくは17832ポリペプチド、または252核酸、304核酸、1980核酸、14717核酸、9941核酸、19310核酸、もしくは17832核酸の活性または発現を調節する薬剤の有効量を、その被験体に投与し、その結果、この造血障害が緩和されるか、または血液学的障害の少なくとも1つの症状を低減させる工程を包含する。
(本発明の分子)
(遺伝子ID 252)
非翻訳領域を含む、約1790ヌクレオチド長のヒト252配列(配列番号1)、(GI:1486234、プロスタグランチンEレセプター(EP4)としても公知)は、終止コドンを含む約1467ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号1のコードとして示されるヌクレオチド、配列番号2)を含む。このコード配列は、488アミノ酸のタンパク質(配列番号3)(GI:1486235)をコードする。
TaqMan分析により評価した場合に、252 mRNAは、種々のヒト組織において低レベルで広範に発現したが、骨髄のCD34+前駆細胞において高レベルで発現した。高レベルの発現はまた、インビボにおいて、CD11b−/CD15+好中球集団において見出され、そして252mRNAのレべルは、骨髄造血の間、恒常的であった。252はプロスタグランチンEについてのレセプターであり、種々の前駆体細胞およびコロニー形成単位(CFU)混合物に関して刺激性の効果を有することが公知である。この経路のアゴナイズは、CD34+細胞の増殖を刺激し全ての系統における細胞数を増大させる。発現パターンに起因して252活性を調節する薬剤は、本明細書中で開示されるような造血障害に有用な治療剤である。
(遺伝子ID 304)
非翻訳領域を含む約1824ヌクレオチド長のヒト304配列(配列番号4)(GI:563981、バソプレシンV1bレセプターとしても公知)は、終止コドンを含む約1275ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号4のコードとして示されるヌクレオチド、配列番号5)を含む。このコード配列は、424アミノ酸のタンパク質(配列番号6)(GI:563982)をコードする。
TaqMan分析により評価した場合に、304 mRNAの発見は、非常にわずかな組織において発現し、骨髄細胞のCD34+前駆細胞が最も顕著であった。発現はまた、腎臓および単一肺腫瘍において見出された。304 mRNAの発現は、骨髄の分化系統において観察されなかった。
304は、バソプレシンV3レセプターである。このレセプターを会するシグナル伝達は、内皮細胞に影響することが知られている。このレセプターをアゴナイズすることによって、本発明者らは前駆体細胞増殖を刺激し、そして全ての系統の細胞数を増加することができる。従って、304活性を調節する薬剤は、本明細書中で開示されるような血液疾患に有用な治療剤である。
(遺伝子ID 1980)
非翻訳領域を含む約2943ヌクレオチド長のヒト1980配列(配列番号7)(GI:251839、グルタミンレセプターサブユニットとしても公知)は、終止コドンを含む約2943ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号7のコードとして示されるヌクレオチド、配列番号8)を含む。このコード配列は、980アミノ酸のタンパク質(配列番号9)(GI:251840)をコードする。
Taqman発現分析は、CD34+前駆体細胞において高レベルの1980 mRNA発現を示す。インビトロおよびインビボで、他の全ての細胞の系統において発現はなかった。発現はまた、正常なヒトの脳および腎臓ならびにヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)においても見られた。1980は、グルタミンレセプターのサブユニットの1つである。その十分記載された、シナプスシグナル経路に関する効果とは別に、異なる細胞型において種々の役割を果たすことが公知である。多くの細胞型において増殖および生存を促進することが公知であり、そしてその阻害は細胞の分化を誘導し得る。このレセプターをアゴナイズすることによって、本発明者らは前駆体細胞増殖を刺激し、そして全ての系統の細胞数を増加することができる。従って、1980活性を調節する薬剤は、本明細書中で記載されるような血液疾患に有用な治療剤である。
(遺伝子ID 14717)
非翻訳領域を含む約2042ヌクレオチド長のヒト14717配列(配列番号10)(GI:2204346、ヒト躁病縞前駆体としても公知)は、終止コドンを含む約966ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号10のコードとして示されるヌクレオチド、配列番号11)を含む。このコード配列は、321アミノ酸のタンパク質(配列番号12)(GI:2204347)をコードする。
TaqMan分析により評価した場合、14717mRNAは、CD34+前駆体細胞およびインビトロの赤血球培養において高発現し、14717mRNAレベルは、分化の間、増加した。高レベルでの14717mRNA発現はまた、GPA−lo細胞においても見出され、赤血球新生において有する役割と一致する。さらなるTaqMan分析により、14717mRNAは、試験した全ての正常ヒト組織においては低いことを示したが、HUVEC細胞における高レベルの発現が注目された。
14717または躁病縞は、Notchのプロセシングに関与するグルコシルトランスフェラーゼである。14717は、Notchの細胞表面への移動に必要である。14717は、Notchを通じたシグナル伝達に必要であることが知られている。14717の活性の調節は、Notchの機能を阻害することによって赤血球新生を刺激する。Notchは、細胞をコミットされていない状態に維持することによって、分化を阻害することが知られている。Notchを介したシグナル伝達の減少は、赤血球のコミットおよび分化の破壊を生じる。従って、14717活性のモジュレーターは、本明細書中で開示されるような血液疾患治療剤として有用である。
(遺伝子ID 9941)
非翻訳領域を含む約1740ヌクレオチド長のヒト9941配列(配列番号13)(GI:407005、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼとしても公知)は、終止コドンを含む約1422ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号13のコードとして示されるヌクレオチド、配列番号14)を含む。このコード配列は、473アミノ酸のタンパク質(配列番号15)(GI:407006)をコードする。
TaqMan分析により、9941mRNAは正常なヒトの脳、T細胞(CD3+、CD4+およびCD8+)、CD61+骨髄巨核球において、および血小板RNAにおいて見出され、そして心臓虚血および不安定性狭心症の患者からの血小板において上昇したレベルで見出された。
ジーンターゲティングにより決定された、小脳の発達および機能に必須の9941カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼIV[J Neurosci 2000 Nov 15;20(22):RC107]。カルシウム移動は、血小板活性化および脱顆粒の重要な要素である。カルシウム依存性シグナル伝達は、血小板活性化の間のシグナル伝達酵素の細胞骨格転位に関連した。9941活性をアンタゴナイズすることにより、血小板の反応性が阻害される。従って、9941活性のモジュレーターは、本明細書中に開示されるような血液障害(血栓症を含むがこれらに限定されない)の有用な治療剤である。
(遺伝子ID 19310)
非翻訳領域を含む約2291ヌクレオチド長のヒト19310配列(配列番号16)(GI:7021036、オキシダーゼとしても公知)は、終止コドンを含む約1668ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号16のコードとして示されるヌクレオチド、配列番号17)を含む。このコード配列は、555アミノ酸のタンパク質(配列番号18)(GI:7021037)をコードする。
TaqMan分析により評価されるように、19310mRNAは正常なヒトの脳、巨核球前駆体、骨髄巨核球(CD61+)、および血小板において発現することが見出された。正常なボランティアの血小板と比較して、わずかに上昇したレベルの19310mRNAが、心筋梗塞後の患者由来の血小板において検出された。
ポリアミンは、血小板の凝集を阻害する。ポリアミンオキシダーゼは、ポリアミンの異化を媒介する2つの酵素うちの2番目のものである。さらに、ポリアミンは、ポリアミンオキシダーゼの合成を刺激し得る。19310酵素活性を阻害することにより、ポリアミンの酵素分解が防止され、それによって抗血小板活性が促進され、止血が維持される。従って、19310活性のモジュレーターは、本明細書中に開示されるような血液障害(血栓症を含むがこれらに限定されない)の有用な治療剤である。
(遺伝子ID 17832)
非翻訳領域を含む約2649ヌクレオチド長のヒト17832配列(配列番号19)(GI:13325107、カリウムチャネル、スーパーファミリーK(TWIK−2)としても公知)は、終止コドンを含む約942ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号19のコードとして示されるヌクレオチド、配列番号20)を含む。このコード配列は、313アミノ酸のタンパク質(配列番号21)(GI:13325108)をコードする。
TaqMan分析により評価される場合、17832 mRNAの発現は、培養巨核球において高レベルで見出され、骨髄巨核球(CD61+細胞)においてそれより中程度で見出され、そして正常なボランティアの血小板と比較して心筋梗塞および真性赤血球増加症患者由来の血小板において増大したレベルで見出された。
17832またはTWIK−2は、潜在的なPKCリン酸化部位(Ser158)を含み、そしてプロテインキナーゼCアクチベーターPMAによって刺激され得る[JBC 1999;274(12):7887−92]。病理的な剪断応力およびトロンビンは、PKCを活性化し、そして血小板の凝集を刺激する[JBC 1993;268(5):3520−4]。巨核球および血小板における17832機能は、高い剪断応力および/またはトロンビン活性化部位での血小板凝集の補償的機構またはフィードバック阻害であり得る。従って、17832のモジュレーターは、本明細書中に開示されるような血液障害(血栓症を含むがこれらに限定されない)の有用な治療剤である。
本発明の種々の局面は、以下の小節においてさらに詳細に記載される。
(I.スクリーニングアッセイ)
本発明は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質に結合するか、例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性に対して刺激効果または阻害効果を有するか、あるいは例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の基質の発現または活性に対して刺激効果または阻害効果を有する、モジュレーター(すなわち、候補化合物もしくは試験化合物または候補薬剤もしくは試験薬剤(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子(有機または無機)または他の薬物))を同定するための方法(これは、本明細書中で「スクリーニングアッセイ」とも呼ばれる)を提供する。本明細書中に記載のアッセイを使用して同定される化合物は、血液学的障害を処置するのに有用であり得る。
これらのアッセイは、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質に結合する化合物、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質と相互作用する他の細胞内タンパク質または細胞外タンパク質に結合する化合物、および他の細胞内タンパク質または細胞外タンパク質と252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質との相互作用を妨害する化合物を同定するように設計されている。例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質(これは、膜貫通レセプター型タンパク質である)の場合、このような技術は、このようなレセプターのためのリガンドを同定し得る。252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質のリガンドまたは基質は、例えば、血液学的障害の少なくとも1つの症状に対して使用され得る。このような化合物としては、ペプチド、抗体、または有機低分子化合物もしくは無機低分子化合物が挙げられ得るがこれらに限定されない。このような化合物はまた、他の細胞性タンパク質を含み得る。
アッセイによって同定される化合物(例えば、本明細書に記載の化合物)は、例えば、血液学的障害を処置するのに有用であり得る。血液学的障害状態が、細胞または組織における、全体的に低いレベルの252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子発現および/あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質により生じる場合、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質と相互作用する化合物は、結合した252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質の活性を強調するかまたは増幅する化合物を含み得る。このような化合物は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質活性のレベルの効果的な増大を引き起し、したがって、症状を改善する。
他の例において、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子における変異は、血液学的障害にいたる有害な効果を有する、異常型または過剰量の、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質を生じさせ得る。同様に、生理学的状態は、血液学的障害に至る、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子発現の過剰な増大を引き起こし得る。このような場合、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質に結合する化合物は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の活性を阻害するタンパク質として同定され得る。本節で記載されるような技術によって同定される化合物の有効性を試験するためのアッセイは、本明細書中に議論されている。
1つの実施形態において、本発明は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質またはポリペプチドあるいはそれらの生物学的に活性な部分の基質である候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。別の実施形態において、本発明は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質またはポリペプチドまたはその生物学的活性な部分に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物は、以下に挙げられる当該分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法における多くのアプローチのうちの任意のものを使用して得られ得る:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な並列固相ライブラリーまたは液相ライブラリー;デコンボルーション処理を必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティクロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、化合物の、ペプチドライブラリー、非ペプチドオリゴマーライブラリー、または低分子ライブラリーに適用可能である(Lam,K.S.(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、例えば、以下において、当該分野で見出され得る:DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら(1994)、J.Med.Chem.37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Chem.37:1233。
化合物のライブラリーは、溶液中(例えば、Houghten(1992)Biotechniques 13:412〜421)、またはビーズ上(Lam(1991)Nature 354:82〜84)、チップ上(Fodor(1993)Nature 364:555〜556)、細菌上(Ladner、米国特許第5,223,409号)、芽胞上(Ladner、USP’409号)、プラスミド上(Cullら(1992)ProcNatl Acad Sci USA 89:1865〜1869)またはファージ上(ScottおよびSmith(1990)Science 249:386〜390);(Devlin(1990)Science 249:404〜406);(Cwirlaら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378〜6382);(Felici(1991)J.Mol.Biol.222:301〜310);(Ladner 前出)に提示され得る。
1つの実施形態において、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、ここで252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質もしくは17832タンパク質またはその生物学的に活性な部分を発現する細胞を、試験化合物と接触させ、そして試験化合物が252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する能力を決定する。試験化合物が252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する能力の決定を、例えば、細胞内カルシウム、IP3、cAMP、またはジアシルグリセロール濃度、細胞内タンパク質のリン酸化プロフィール、細胞増殖および/または移動、例えば、細胞表面接着分子もしくは造血に関連する遺伝子の遺伝子発現、あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832により調節される転写因子の活性をモニタリングすることによって達成し得る。この細胞は、哺乳動物由来(例えば、神経細胞由来)であり得る。1つの実施形態において、レセプタードメインと相互作用する化合物が、リガンドとして(すなわち、レセプターに結合し、シグナル伝達経路を調節するよう)機能するそれらの能力についてスクリーニングされ得る。リガンドの同定、およびリガンド−レセプター複合体の活性の測定は、この相互作用のモジュレーター(例えば、アンタゴニスト)の同定を導く。このようなモジュレーターは、血液学的障害の処置に有用であり得る。
基質への252、304、1980、14717、9941、19310または17832の結合を調節する試験化合物の能力、あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832に結合する試験化合物の能力もまた、決定され得る。基質への252、304、1980、14717、9941、19310または17832の結合を調節する試験化合物の能力の決定は、例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の基質を、放射性同位体または酵素標識とカップリングさせることによって達成され得、その結果、252、304、1980、14717、9941、19310または17832への、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の基質の結合は、複合体中の標識された252、304、1980、14717、9941、19310または17832の基質を検出することによって、決定され得る。252、304、1980、14717、9941、19310または17832はまた、放射性同位体または酵素標識とカップリングされて、複合体中の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の基質への252、304、1980、14717、9941、19310または17832の結合を調節する試験化合物の能力をモニタリングし得る。252、304、1980、14717、9941、19310または17832と結合する試験化合物の能力の決定は、例えば、その化合物と、放射性同位体または酵素標識とをカップリングさせることによって達成され、その結果、252、304、1980、14717、9941、19310または17832へのこの化合物の結合は、複合体中の標識された252、304、1980、14717、9941、19310または17832の化合物を検出することによって決定され得る。例えば、化合物(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のリガンドまたは基質)を、125I、35S、14C、または3Hで、直接的または間接的のいずれかで標識し得、そしてこの放射性同位体が、放射線の直接的な計数によってか、またはシンチレーション計数によってかで検出され得る。化合物はさらに、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素標識され得、そして適切な基質の産物への変換を測定することによって、この酵素標識を検出し得る。
相互作用するもののいずれも標識することなく、252、304、1980、14717、9941、19310または17832と相互作用する化合物(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のリガンドまたは基質)の能力を決定することもまた、本発明の範囲内である。例えば、微視的生理機能測定器を使用して、化合物も252、304、1980、14717、9941、19310または17832のいずれも標識することなく、252、304、1980、14717、9941、19310または17832との化合物の相互作用を検出し得る(McConnell,H.M.ら(1992)Science 257:1906−1912)。本明細書中で使用される場合、「微視的生理機能測定器(microphysiometer)」(例えば、細胞センサー(Cytosensor))は、光アドレス可能な電位差計センサー(LAPS)を使用して、細胞がその環境を酸性化する速度を測定する分析機器である。この酸性化速度の変化を、化合物と252、304、1980、14717、9941、19310または17832との間の相互作用の指標として使用し得る。
別の実施形態において、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、これは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の標的分子(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の基質)を発現する細胞を、試験化合物と接触させる工程、ならびにこの試験化合物が、この252、304、1980、14717、9941、19310または17832の標的分子の活性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物が、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の標的分子の活性を調節する能力の決定は、例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質が、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の標的分子と結合または相互作用する能力を決定することによって、達成され得る。
252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質あるいはこれらの生物学的に活性なフラグメントが、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の標的分子と結合または相互作用する能力の決定は、直接結合の決定に関して上記の方法の1つによって、達成され得る。好ましい実施形態において、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質が252、304、1980、14717、9941、19310または17832の標的分子と結合または相互作用する能力の決定は、その標的分子の活性を決定することによって、達成され得る。例えば、この標的分子の活性は、その標的の細胞セカンドメッセンジャー(すなわち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3、cAMP)の誘導を検出すること、適切な基質への標的の触媒活性/酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする核酸に作動可能に連結された標的応答性調節エレメントを含む)の誘導を検出すること、または標的で調節された細胞応答(例えば、遺伝子発現)を検出することにより、決定され得る。
なお別の実施形態において、本発明のアッセイは無細胞アッセイであり、ここで、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質もしくは17832タンパク質またはこれらの生物学的に活性な部分は、試験化合物と接触され、そして試験化合物が、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質もしくは17832タンパク質またはこれらの生物学的に活性な部分に結合する能力が決定される。本発明のアッセイにおいて使用される252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の好ましい生物学的に活性な部分は、非252分子、非304分子、非1980分子、非14717分子、非9941分子、非19310分子または非17832分子との相互作用に関与するフラグメント(例えば、高い表面確立スコアを有するフラグメント)を含む。試験化合物の、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質への結合は、上記のように直接的にかまたは間接的にかのいずれかで測定され得る。好ましい実施形態において、このアッセイは、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質もしくは17832タンパク質またはこれらの生物学的に活性な部分を、252、304、1980、14717、9941、19310または17832に結合する既知の化合物と接触させ、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物を試験化合物と接触させる工程、および試験化合物が252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、試験化合物が252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、試験化合物が、既知の化合物と比較して優先的に252、304、1980、14717、9941、19310または17832あるいはこれらの生物学的に活性な部分に結合する能力を決定する工程を含む。252、304、1980、14717、9941、19310または17832の、既知の標的タンパク質との相互作用を調節する化合物は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質(特に、変異体252タンパク質、変異体304タンパク質、変異体1980タンパク質、変異体14717タンパク質、変異体9941タンパク質、変異体19310タンパク質または変異体17832タンパク質)の活性を調節するのに有用であり得る。
別の実施形態において、アッセイは、無細胞アッセイであり、ここで、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質、またはその生物学的に活性な部分が試験化合物と接触され、そしてその試験化合物が252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパクまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力が決定される。この試験化合物が252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質の活性を調節する能力の決定は、例えば、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質が、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の標的分子に結合する能力を、直接的結合の決定のための上記方法の1つによって決定することにより、達成され得る。252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質が252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の標的分子に結合する能力を決定することはまた、リアルタイムのBiomolecular Interaction Analysis(BIA)のような技術を用いて達成され得る(Sjolander,S.およびUrbaniczky,C.(1991)Anal.Chem.63:2338〜2345およびSzaboら(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699〜705)。本明細書において用いる場合、「BIA」は、いずれの相互作用物(例えば、BIAcore)も標識することなく、リアルタイムで生体特異的相互作用を研究するための技術である。表面プラズモン共鳴(surface plasmon resornance)(SPR)の光学的現象(optical phenomenon)における変化は、生物学的分子の間のリアルタイム反応の指標として用いられ得る。
別の実施形態において、この試験化合物が252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質の活性を調節する能力の決定は、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質が、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の標的分子の下流エフェクター活性をさらに調節する能力を決定することにより、達成され得る。例えば、このエフェクター分子の適切な標的に対する活性が決定され得るかまたはこのエフェクターの適切な標的に対する結合が、上に記載のように決定され得る。
なお別の実施形態において、無細胞アッセイは、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質またはその生物学的に活性な部分に、この252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質に結合する既知の化合物を接触させてアッセイ混合物を形成させる工程、このアッセイ混合物を、試験化合物と接触させる工程、およびこの試験化合物が252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物が252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のと相互作用する能力を決定する工程は、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質が、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の標的分子と優先的に結合するか、またはその252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の標的分子の活性を優先的に調節する能力を決定する工程を包含する。
本発明の上記アッセイ方法の1つより多い実施形態において、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832またはその標的分子のいずれかを固定して、そのタンパク質の一方または両方の非複合体化形態からの複合体化形態の分離を促進し、そしてそのアッセイの自動化に適用させることが、望ましくあり得る。試験化合物の252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質への結合、または候補化合物の存在下および非存在下での252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質の標的分子との相互作用は、これらの反応物を収容するために適切な任意の容器内で、達成され得る。このような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管が挙げられる。1つの実施形態において、そのタンパク質の一方または両方がマトリックスに結合することを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が、提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical、St.Louis、MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着され得、次いで、これらは、試験化合物と合わせられるか、あるいは試験化合物および非吸着の標的タンパク質または252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質のいずれかと合わせられ、そしてこの混合物が、複合体形成に貢献する条件下(例えば、塩およびpHに関して生理学的条件)でインキュベートされる。インキュベーションに続いて、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、結合していないあらゆる成分を除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固定し、例えば、上記のように、複合体を直接的または間接的のいずれかで決定する。あるいは、複合体がマトリックスから解離され得、そして252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の結合レベルまたは活性レベルを、標準的な技術を使用して決定し得る。
タンパク質をマトリックス上に固定するための他の技術もまた、本発明のスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質または252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の標的分子のいずれかが、ビオチンとストレプトアビジンとの結合体化を利用して固定され得る。ビオチン化された252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質または標的分子は、当該分野において公知の技術を使用して、ビオチンNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)から調製され得(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals、Rockford、IL)、そしてストレプトアビジン被覆した96ウェルのプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定され得る。あるいは、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質または標的分子と反応性であるが、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質の標的分子への結合を妨害しない抗体が、そのプレートのウェルに誘導体化され得、そして結合していない標的またはタンパク質が、抗体の結合体化によってウェル内にトラップされ得る。このような複合体を検出するための方法には、GST固定複合体に関しての上記のものに加えて、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質または標的分子と反応性の抗体を使用する複合体の免疫検出、ならびに252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質または標的分子に関する酵素活性の検出に依存する酵素結合アッセイが挙げられる。
別の実施形態において、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の発現のモジュレーターは、細胞が候補化合物と接触され、そして細胞中での252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNAまたはタンパク質の発現が決定される方法において同定される。候補化合物の存在下での252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNAまたはタンパク質の発現のレベルは、候補化合物の非存在下での252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較される。次いで、候補化合物は、この比較に基づき、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の発現のモジュレーターとして同定され得る。例えば、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも存在下で多い(統計的に有意に多い)場合、候補化合物は、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNAまたはタンパク質発現の刺激物質として同定される。あるいは、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも存在下でより低い(統計学的に有意に低い)場合、候補化合物は、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNAまたはタンパク質発現のインヒビターとして同定される。細胞中での252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNA発現またはタンパク質発現のレベルは、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のmRNAまたはタンパク質の検出について本明細書中に記載される方法により決定され得る。
本発明のなお別の局面において、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイ(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら、(1993)Cell 72:223〜232;Maduraら(1993)J.Biol.Chem.268:12046〜12054;Bartelら(1993)Biotechniques 14:920〜924;Iwabuchiら(1993)Oncogene 8:1693−1696;およびBrent WO94/10300を参照のこと)において「ベイト(bait)タンパク質」として使用されて、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832(「252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の結合タンパク質」または「252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832−bp」)と結合または相互作用し、そして252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の活性に関与する他のタンパク質を同定し得る。このような252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の結合タンパク質はまた、例えば、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の媒介性シグナル伝達経路の下流エレメントとして、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質または252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の標的によるシグナル伝達に関与する可能性がある。あるいは、このような252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の結合タンパク質は、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のインヒビターである可能性がある。
ツーハイブリッドシステムは、別個のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインからなる大半の転写因子のモジュラー性質に基づく。手短には、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を利用する。1つの構築物において、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質をコードする遺伝子は、公知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。もう一方の構築物において、同定されていないタンパク質(「プレイ(prey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列のライブラリー由来のDNA配列は、公知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「ベイト」タンパク質および「プレイ」タンパク質がインビボで相互作用して252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832に依存性の複合体を形成し得る場合、転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは、近接する。このように近接することにより、転写因子に応答性の転写調節部位に作動可能に連結したレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写が可能になる。レポーター遺伝子の発現が、検出され得、そして機能的転写因子を含む細胞コロニーは、単離され得、そして252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を得るために使用され得る。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるアッセイの2つ以上の組み合わせに関する。例えば、調節剤は、細胞ベースのアッセイまたは無細胞アッセイを用いて同定され得、そして252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質の活性を調節する因子の能力は、例えば、動物(例えば、本明細書中に記載される、血液学的障害の動物モデル)においてインビボで確認され得る。
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規薬剤に関する。従って、適切な動物モデルにおいて、本明細書中で記載されるように同定された薬剤をさらに使用することは本発明の範囲内である。例えば、本明細書中に記載されるように同定された薬剤(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の調節剤、アンチセンスの252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の核酸分子、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832に特異的な抗体、または252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の結合パートナー)は、このような薬剤を用いる処置の効果、毒性、または副作用を決定するために、動物モデルにおいて使用され得る。あるいは、本明細書中に記載されるように同定される薬剤は、このような薬剤の作用の機構を決定するために、動物モデルにおいて使用され得る。さらに、本発明は、本明細書中に記載されるような処置についての上記スクリーニングアッセイによって同定された新規薬剤の使用に関する。
任意の化合物(上記アッセイ系において同定されるような化合物が挙げられるがこれらに限定されない)が、血液学的障害を処置する能力について試験され得る。血液学的障害の少なくとも1つの症状に対するこのような能力を示す化合物の同定のための細胞ベースのアッセイおよび動物モデルベースのアッセイは、本明細書中に記載される。
さらに、血液学的障害の動物ベースのモデル(例えば、本明細書中に記載されるようなモデル)は、血液学的障害を処置し得る化合物を同定するために使用され得る。このような動物モデルは、血液学的障害を処置する上で有効であり得る薬物、医薬品、治療、および介入の同定のための試験基質として使用され得る。例えば、動物モデルは、血液学的障害を処置する能力を示すことが予測される化合物に対して、曝露された動物における血液学的障害のこのような改善を導くのに十分な濃度および十分な時間、曝露され得る。この曝露に対する動物の応答は、処置の前および後の血液学的障害の症状の逆転を評価することによりモニタリングされ得る。
介入に関して、血液学的障害の任意の局面を逆転する任意の処置が、ヒト血液学的障害治療介入の候補として考慮されるべきである。試験薬剤の投薬量は、用量応答曲線を得ることによって決定され得る。
さらに、遺伝子発現パターンは、血液学的障害の少なくとも1つの徴候に対する化合物の能力を評価するために使用され得る。例えば、1つ以上の遺伝子の発現パターンは、「遺伝子発現プロフィール」または「転写プロフィール」の一部を形成し得、次いで、このような評価において使用され得る。本明細書中で使用される場合、「遺伝子発現プロフィール」または「転写プロフィール」は、所定のセットの条件下で、所定の組織または細胞型について獲得されるmRNA発現のパターンを含む。遺伝子発現プロフィールは、例えば、ディファレンシャルディスプレイ手順、ノーザン分析、および/またはRT−PCRを使用することによって、作製され得る。1つの実施形態において、252遺伝子配列、304遺伝子配列、1980遺伝子配列、14717遺伝子配列、9941遺伝子配列、19310遺伝子配列または17832遺伝子配列は、このような遺伝子発現プロフィールの作製および確証のためのプローブおよび/またはPCRプライマーとして使用され得る。
遺伝子発現プロフィールは、細胞および/または動物ベースのモデル系における、既知の状態(心臓血管疾患または正常のいずれか)について特徴付けられ得る。その後、これらの既知の遺伝子発現プロフィールは、効果を確認するために比較され得、試験化合物は、このような遺伝子発現プロフィールを改変する必要があり、そしてそのプロフィールをより望ましいプロフィールの化合物とより緊密に類似させる必要がある。
例えば、化合物の投与は、血液学的障害疾患モデル系の遺伝子発現プロフィールを、コントロール系とより緊密に類似させ得る。あるいは、化合物の投与は、コントロール系の遺伝子発現プロフィールに、血液学的障害または血液学的障害疾患状態を模倣させ始め得る。このような化合物は、例えば、目的の化合物のさらなる特徴付けにおいて使用され得るか、または、さらなる動物モデルの作製において使用され得る。
(II.細胞ベースおよび動物ベースのモデル系)
血液学的障害のためのモデルとしての役割を果たす、細胞ベースおよび動物ベースの系が、本明細書中に記載される。これらの系は、種々の適用において使用され得る。例えば、細胞ベースおよび動物ベースのモデル系を使用して、心臓血管疾患に関連する、差次的に発現される遺伝子(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832)をさらに特徴付けし得る。さらに動物ベースおよび細胞ベースのアッセイは、以下に記載されるような血液学的障害を回復させ得る化合物を同定するように設計された、スクリーニングストラテジーの一部として使用され得る。従って、動物ベースおよび細胞ベースのモデルを使用して、血液学的障害を処置する際に有効であり得る薬物、医薬品、治療および介入を同定し得る。さらに、このような動物モデルを使用して、動物被験体におけるLD50およびED50を決定し得、そしてこのようなデータを使用して、潜在的な血液学的障害処置のインビボでの効力を決定し得る。
(A.動物ベースの系)
血液学的障害の動物ベースのモデル系としては、非組換え動物および操作されたトランスジェニック動物が挙げられ得るがこれらに限定されない。
血液学的障害についての非組換え動物モデルとしては、例えば、遺伝的モデルが挙げられ得る。
さらに、血液学的障害を示す動物モデルは、例えば、当業者に周知であるトランスジェニック動物を作製するための技術とともに、上記の252遺伝子配列、304遺伝子配列、1980遺伝子配列、14717遺伝子配列、9941遺伝子配列、19310遺伝子配列または17832遺伝子配列を使用することによって、操作され得る。例えば、252遺伝子配列、304遺伝子配列、1980遺伝子配列、14717遺伝子配列、9941遺伝子配列、19310遺伝子配列または17832遺伝子配列が、目的の動物のゲノムに導入され得、そしてこの目的の動物のゲノムにおいて過剰発現され得るか、あるいは内因性の252遺伝子配列、304遺伝子配列、1980遺伝子配列、14717遺伝子配列、9941遺伝子配列、19310遺伝子配列または17832遺伝子配列が存在する場合、これらは、過剰発現され得るか、また、あるいは、252遺伝子発現、304遺伝子発現、1980遺伝子発現、14717遺伝子発現、9941遺伝子発現、19310遺伝子発現または17832遺伝子発現を過少発現させるかまたはこれらの遺伝子発現を不活化させるために破壊され得るかのいずれかであり得る。
本発明の宿主細胞をまた使用して、非ヒトトランスジェニック動物を作製し得る。例えば、1つの実施形態において、本発明の宿主細胞は、受精卵または胚性幹細胞であり、この細胞に、252コード配列、304コード配列、1980コード配列、14717コード配列、9941コード配列、19310コード配列もしくは17832コード配列が導入されている。次いで、このような宿主細胞を使用して、非ヒトトランスジェニック動物を作製し得、ここにおいて、外因性の252配列、304配列、1980配列、14717配列、9941配列、19310配列もしくは17832配列が、それらのゲノムまたは相同組換え動物に導入され、ここで、内因性の252配列、304配列、1980配列、14717配列、9941配列、19310配列もしくは17832配列が、変更されている。このような動物は、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832の機能および/または活性を研究するため、ならびに252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性もしくは17832活性のモジュレーターを同定および/または評価するために、有用である。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」は、非ヒト動物であり、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくは、ラットまたはマウスのようなげっ歯類であり、ここで、これらの動物の1つ以上の細胞が、導入遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが挙げられる。導入遺伝子は、外因性DNAであり、この外因性DNAは、トランスジェニック動物が成長する細胞のゲノムに取り込まれ、かつ成熟動物のゲノムにおいて維持され、それによってこのトランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織における、コードされた遺伝子産物の発現を指向する。本明細書中で使用される場合、「相同組換え動物」は、非ヒト動物であり、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくは、マウスであり、ここで、内因性の252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子は、この内因性遺伝子と、その動物の成長前にこの動物の細胞(例えば、動物の胎児性細胞)に導入された外因性DNA分子との間の相同組換えによって変更されている。
本発明の方法において使用されるトランスジェニック動物は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のコード核酸を、受精卵の雄前核に、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって導入し、そして卵母細胞を偽妊娠雌養母動物において成長させることによって作製され得る。252、304、1980、14717、9941、19310または17832のcDNA配列は、導入遺伝子として、非ヒト動物のゲノムに導入され得る。あるいは、ヒトの252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の非ヒトホモログ(例えば、マウスまたはラットの252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子)が、導入遺伝子として使用され得る。あるいは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子ホモログ(例えば、別の252、304、1980、14717、9941、19310または17832のファミリーメンバー)は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のcDNA配列へのハイブリダイゼーションに基づいて単離され得、そして導入遺伝子として使用され得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた、導入遺伝子の発現の効力を増加させるように、この導入遺伝子に含まれ得る。組織特異的調節配列は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の導入遺伝子に作動可能に連結されて、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の発現を特定の細胞に指向し得る。胚操作およびマイクロインジェクションを介して、トランスジェニック動物(特に、マウスのような動物)を作製するための方法は、当該分野において慣習的であり、例えば、以下に記載されている:米国特許第4,736,866号および同第4,870,009号(両方が、Lederらによる)、米国特許第4,873,191号(Wagnerらによる)、ならびにHogan,B.,Manipulating the Mouse Embryo(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)。類似の方法が、他のトランスジェニック動物の作製のために使用される。トランスジェニック始原(founder)動物は、そのゲノムにおける252、304、1980、14717、9941、19310または17832の導入遺伝子の存在、および/あるいは動物の組織または細胞における252、304、1980、14717、9941、19310または17832のmRNAの発現に基づいて、同定され得る。次いで、トランスジェニック始原動物を使用して、導入遺伝子を保有するさらなる動物を育種し得る。さらに、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質をコードする導入遺伝子を有するトランスジェニック動物はさらに、他の導入遺伝子を有する他のトランスジェニック動物を産出し得る。
相同組換え動物を作製するために、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の少なくとも一部を含むベクターが調製され、このベクターに、欠失、付加または置換が導入されて、それによって、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子が変更される(例えば、機能的に破壊される)。この252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子は、ヒト遺伝子であり得るが、より好ましくは、ヒトの252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の非ヒトホモログである。例えば、ラットの252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子を使用して、マウスゲノムにおいて内因性の252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子を変更するのに適切な、相同組換え核酸分子(例えば、ベクター)を構築し得る。好ましい実施形態において、相同組換え核酸分子は、相同組換えの際に、内因性の252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子が機能的に破壊される(すなわち、もはや機能的タンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ように、設計される。あるいは、相同組換え核酸分子は、相同組換えの際に、内因性の252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子が変異されるか、さもなければ変更されるが依然として機能的タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域が変更され、それによって内因性の252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の発現を変更し得る)ように、設計され得る。相同組換え核酸分子において、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の変更された部分は、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子のさらなる核酸配列によって、その5’末端および3’末端に隣接され、相同組換え核酸分子によって保有される外因性の252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子と、細胞(例えば、胚性幹細胞)における内因性252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子との間に、相同組換えが生じることを可能にする。隣接するさらなる252、304、1980、14717、9941、19310または17832の核酸配列は、内因性遺伝子との首尾よい相同組換えに十分な長さの核酸配列である。代表的には、隣接したDNA(5’末端と3’末端との両方)の数キロベースが、この相同組換え核酸分子に含まれる(例えば、相同組換えベクターの記載については、Thomas,K.R.およびCapecchi,M.R.(1987)Cell 51:503を参照のこと)。相同組換え核酸分子は、細胞(例えば、胚性幹細胞株)に(例えば、エレクトロポレーションによって)導入され、そして導入された252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子が内因性の252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子と相同に組み換わる細胞が、選択される(例えば、Li,E.ら(1992)Cell 69:915を参照のこと)。次いで、これらの選択された細胞は、動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注射され、凝集キメラを形成し得る。(例えば、Bradley,A.Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,E.J.Robertson編(IRL,Oxford,1987)113−152頁)を参照のこと)。次いで、キメラ胚は、適切な偽妊娠雌養母動物に移植され得、そしてこの胚は、生殖(term)され得る。生殖細胞において相同組換えされたDNAを含む子孫を使用して、動物を繁殖させ得、ここで、この動物の全ての細胞は、導入遺伝子の生殖系列伝達によって相同組換えされたDNAを含む。相同組換え核酸分子(例えば、ベクター)または相同組換え動物を構築するための方法は、以下にさらに記載される:Bradley,A.(1991)Current Opinion in Biotechnology 2:823−829、およびLe Mouellecらによる、PCT国際公開番号:WO 90/11354;Smithiesらによる、WO 91/01140;Zijlstraらによる、WO 92/0968;およびBernsらによる、WO 93/04169。
別の実施形態において、本発明の方法において使用するためのトランスジェニック非ヒト動物が作製され得、この動物は、導入遺伝子の調節された発現を可能にする、選択された系を含む。このような系の1つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の記載については、例えば、Laksoら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系である(O’Gormanら(1991)Science 251:1351−1355)。cre/loxPリコンビナーゼ系を使用して導入遺伝子の発現を調節する場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が、必要とされる。このような動物は、「二重」トランスジェニック動物の構築によって(例えば、2種のトランスジェニック動物(一方は、選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を含み、他方は、リコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む)を交配させることによって)提供され得る。
本明細書中に記載される非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、以下に記載される方法に従って作製され得る:Wilmut,I.ら(1997)Nature 385:810−813およびPCT国際公開番号WO 97/07668およびWO 97/07669。簡潔には、トランスジェニック動物由来の細胞(例えば、体細胞)が単離され得、そして増殖周期を出てGo期に入るように誘導され得る。次いで、休止細胞が、例えば、電気パルスの使用を介して、この休止細胞が単離される同じ種の動物由来の除核された卵母細胞に融合され得る。次いで、この再構築された卵母細胞は、桑実胚または未分化胚芽細胞が成長するように培養され、次いで、偽妊娠雌養母動物に移される。この雌養母動物に由来する子孫は、細胞(例えば、体細胞)が単離される動物のクローンである。
次いで、容易に検出可能なレベルの252、304、1980、14717、9941、19310または17832のmRNAあるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832のペプチド(252、304、1980、14717、9941、19310または17832のエピトープに対する抗体を使用して、免疫細胞化学的に検出される)を発現する、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のトランスジェニック動物は、特徴的な血液学的障害を表示する動物を同定するために、さらに評価されるべきである。
(B.細胞ベースの系)
252、304、1980、14717、9941、19310または17832タンパク質をコードする、252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子配列を含み、かつこれらを発現し、そしてさらに例えば、造血(hematopoiesis)に関連する細胞表現型を示す細胞を使用して、効果を示す化合物を同定し得る。このような細胞としては、以下が挙げられ得る:非組換え単球細胞株(例えば、U937(ATCC番号CRL−1593)、THP−1(ATCC番号TIB−202)、およびP388D1(ATCC番号TIB−63));内皮細胞(例えば、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト微小血管内皮細胞(HMVEC)、およびウシ大動脈内皮細胞(BAEC));ならびに、一般的な哺乳動物細胞株(例えば、HeLa細胞およびCOS細胞(例えば、COS−7(ATCC番号CRL−1651)、血液学に関連する細胞を構成する上記の細胞))。さらに、このような細胞としては、組換え細胞株、トランスジェニック細胞株が挙げられ得る。例えば、上で議論される、本発明の血液学的障害の動物モデルを使用して、この障害に対する細胞培養モデルとして使用され得る細胞株(これは、例えば、造血に関与する1種以上の細胞型を含む)を作製し得る。本発明の血液学的障害モデルのトランスジェニック動物由来の一次培養物が利用され得るが、連続した細胞株の作製が、好ましい。トランスジェニック動物から連続した細胞株を誘導するために使用され得る技術の例については、Smallら(1985)Mol.Cell Biol.5:642−648を参照のこと。
あるいは、例えば、造血に関与することが知られている細胞型の細胞は、細胞内での252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子発現の量を増加または低下させ得る配列でトランスフェクトされ得る。例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子配列は、目的の細胞のゲノムに導入され得、そしてこの目的の細胞のゲノムにおいて過剰発現され得るか、あるいは内因性の252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子配列が存在する場合、これらは、過剰発現され得るか、またはあるいは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子を過少発現させるかまたはこれらの遺伝子発現を不活化させるために破壊され得るかのいずれかであり得る。
252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子を過剰発現させるために、252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子のコード部分は、目的の細胞型(例えば、内皮細胞)において遺伝子発現を駆動し得る調節配列に連結され得る。このような調節領域は、当業者に周知であり、そして過度な実験を行うことなく利用され得る。標的遺伝子を発現させるための組換え方法は、上に記載されている。
内因性の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子配列の過少発現のために、このような配列は、単離され得、そして目的の細胞型のゲノムに再導入された場合、内因性の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の対立遺伝子が不活性化されるように、操作され得る。好ましくは、この操作された252、304、1980、14717、9941、19310または17832の配列は、遺伝子ターゲティングを介して導入され、その結果、内因性の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の配列は、操作された252、304、1980、14717、9941、19310または17832の配列を、細胞のゲノムに組み込む際に破壊される。252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子を用いた、宿主細胞のトランスフェクションは、上に記載されている。
化合物で処置されたかあるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子を用いてトランスフェクトされた細胞は、例えば、造血に関連する表現型について試験され得る。
252、304、1980、14717、9941、19310または17832の核酸のトランスフェクションは、標準的な技術(例えば、Ausubel(1989)前出、に記載される)を使用することによって、達成され得る。トランスフェクトされた細胞は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の組換え遺伝子配列の存在について、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のmRNAの発現および蓄積について、ならびに252、304、1980、14717、9941、19310または17832の組換えタンパク質産物の存在について、評価されるべきである。252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子発現の減少が望ましい例において、標準的な技術を使用して、内因性の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子発現および/あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質産生の低下が達成されるか否かを、実証し得る。
(III.予測医学)
本発明はまた、予測医学の分野に関し、ここにおいて、診断アッセイ、予後アッセイ、モニタリング臨床試験が、診断(予測)目的のために使用され、それによって個体を予防的に処置する。従って、本発明の1つの局面は、生物学的サンプル(例えば、血液、血清、細胞(例えば、内皮細胞)、または組織(例えば、血管組織))の状況において、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質および/または核酸の発現、ならびに252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を決定し、それによって、個体が、血液学的障害の素因に罹患しているかまたは血液学的障害を被っているか否かを決定するための診断アッセイに関する。本発明はまた、個体が血液学的障害を発病する危険性があるか否かを決定するための、診断(または予測)アッセイを提供する。例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832遺伝子における変異が、生物学的サンプルにおいてアッセイされ得る。このようなアッセイは、診断目的または予測目的のために使用され得、それによって個体は、血液学的障害の発症前に、予防的に(phophylactically)処置される。
本発明の別の局面は、臨床試験における、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性に対する、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のモジュレーター(例えば、抗252、304、1980、14717、9941、19310または17832抗体、あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832のリボザイム)の影響のモニタリングに関する。
これらの因子および他の因子は、以下の節で、さらに詳細に記載される。
(A.診断アッセイ)
被験体が疾患に罹患しているか否かを決定するために、生物学的サンプルが被験体から得られ得、そしてこの生物学的サンプルは、この生物学的サンプル中で、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)を検出することができる、化合物または因子と接触され得る。252、304、1980、14717、9941、19310または17832のmRNAまたはゲノムDNAを検出するために好ましい因子は、標識核酸プローブであり、このプローブは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のmRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズし得る。この核酸プローブは、例えば、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、もしくは配列番号19に示される252、304、1980、14717、9941、19310または17832の核酸またはそれらの一部(例えば、少なくとも15ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、45ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、250ヌクレオチド長または500ヌクレオチド長であり、かつストリンジェントな条件下で、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするに十分であるオリゴヌクレオチド)であり得る。本発明の診断アッセイにおいて使用するのに適切な他のプローブが、本明細書中に記載されている。
サンプル中で、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質を検出するのに好ましい因子は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質に結合し得る抗体であり、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナル抗体であり得るかまたは、より好ましくは、モノクローナル抗体であり得る。インタクトな抗体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2)が、使用され得る。プローブまたは抗体に関して、用語「標識(された)」は、検出可能な物質をそのプローブまたは抗体にカップリング(すなわち、物理的に連結する)し、そして直接的に標識される別の試薬との反応性によってこのプローブまたは抗体を間接的に標識することによる、プローブまたは抗体の直接的な標識を含むことが意図される。間接的な標識の例は、蛍光標識された二次抗体を使用し、そして蛍光標識されたストレプトアビジンで検出され得るように、ビオチンでDNAプローブを末端標識する、一次抗体の検出を含む。
用語「生物学的サンプル」は、被験体から単離された組織、細胞、および生物学的流体、ならびに被験体内に存在する組織、細胞、および流体を含むことが意図される。すなわち、本発明の検出方法を使用して、インビトロおよびインビボで、生物学的サンプル中の252、304、1980、14717、9941、19310または17832のmRNA、タンパク質、またはゲノムDNAを検出し得る。例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のmRNAを検出するためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質を検出するためのインビトロ技術としては、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光検査法が挙げられる。252、304、1980、14717、9941、19310または17832のゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質を検出するためのインビボ技術は、被験体に、標識された抗252、304、1980、14717、9941、19310または17832抗体を導入することを含む。例えば、抗体は、被験体における存在および位置が、標準的な画像化技術によって検出され得る放射標識マーカーで、標識され得る。
別の実施形態において、本方法はさらに、以下の工程を包含する:コントロール被験体から、コントロールの生物学的サンプルを得る工程;このコントロールサンプルを、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAを検出することができる化合物または因子と接触させる工程であって、その結果、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在が、生物学的サンプル中で検出される、工程;ならびに、コントロールサンプルにおける252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在を、試験サンプルにおける252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較する工程。
(B.予後アッセイ)
本発明はさらに、異常な252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性に関連する疾患を有するかまたはそのような疾患を発症する危険性のある被験体を同定するための方法に関する。
本明細書中で使用される場合、用語「異常な」は、野生型の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性から逸脱した、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性を含む。異常な発現または活性は、発現または活性の増加または減少、ならびに野生型の発生的な発現のパターンまたは亜細胞の発現パターンに従わない、発現または活性を含む。例えば、異常な252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性は、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子における変異により、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子が、過少発現または過剰発現される場合、ならびにこのような変異によって、非機能的な252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質または野生型様式で機能しないタンパク質(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の基質と相互作用しないタンパク質、または非252基質、非304基質、非1980基質、非14717基質、非9941基質、非19310基質または非17832基質と相互作用するタンパク質)が生じる状況、を含むことが意図される。
本明細書中に記載されるアッセイ(例えば、前述の診断アッセイまたは以下のアッセイ)を使用して、疾患を有する被験体または疾患が発症する危険性のある被験体を同定し得る。生物学的サンプルを、被験体より取得し得、そして遺伝的変更の存在または非存在について試験し得る。例えば、このような遺伝的変更は、以下の少なくとも1つの存在を確認することにより検出され得る:1)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子由来の1つ以上のヌクレオチドの検出、2)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子への1つ以上のヌクレオチドの付加、3)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの置換、4)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の染色体再構築、5)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける変更、6)ゲノムDNAのメチル化パターンのような、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の異常な改変、7)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、8)252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の非野生型レベル、9)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子対立遺伝子喪失、および10)252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の不適切な翻訳後修飾。
本明細書中で記載されるように、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子における遺伝的変更を検出するために使用され得る当該分野において公知の多くのアッセイが、存在する。例えば、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子における遺伝的変更は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号を参照のこと)(例えば、アンカーPCRまたはRACE PCR)あるいは、ライゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら(1988)Science 241:1077−1080;およびNakazawaら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:360−364を参照のこと)においてプローブ/プライマーを使用して検出され得、これらのうちの後者は、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子における点変異を検出するために特に有用であり得る(Abravayaら(1995)Nucleic Acids Res.23:675−682を参照のこと)。この方法は、被験体から生物学的サンプルを収集する工程、このサンプルから核酸(例えば、ゲノムDNA、mRNAまたはこれらの両方)を単離する工程、(存在するならば)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件下で、この核酸サンプルを、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーと接触させる工程;ならびに増幅産物の存在または非存在を検出するかまたは増幅産物のサイズを検出しそしてコントロールサンプルと長さを比較する工程。PCRおよび/またはLCRが、本明細書中に記載される変異を検出するために使用される任意の技術と組合わせて予備的増幅工程として使用するに好ましくあり得ることは、明白である。
代替の増幅法としては以下が挙げられる:持続的配列増幅(Guatelli,J.C.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅系(Kwoh,D.Y.ら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−βレプリカーゼ(Lizardi,P.M.ら(1988)Bio−Technology 6:1197)、または他の核酸増幅法のいずれか、その後の当業者に周知の技術を使用する増幅分子の検出。これらの検出スキームは、このような分子が非常に少数で存在する場合に、核酸分子の検出に特に有用である。
代替の実施形態において、生物学的サンプル由来の252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子における変異は、制限酵素切断パターンにおける変更によって同定され得る。例えば、サンプルおよびコントロールDNAが、単離され、(必要に応じて)増幅され、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され、そしてフラグメント長サイズが、ゲル電気泳動によって決定され、そして比較される。サンプルとコントロールDNAとの間のフラグメント長サイズの差異は、サンプルDNA中の変異を示す。さらに、配列特異的リボザイム(例えば、米国特許第5,498,531号)の使用は、リボザイム切断部位の発生または喪失によって、特異的変異の存在についてスコア付けられ得る。
他の実施形態において、252、304、1980、14717、9941、19310または17832における遺伝的変異は、生物学的サンプル由来の核酸およびコントロール核酸(例えば、DNAまたはRNA)を、何百個または何千個のオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイにハイブリダイズさせることによって同定され得る(Cronin,M.T.ら(1996)Human Mutation 7:244−255;Kozal,M.J.ら(1996)Nature Medicine 2:753−759)。例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832における遺伝的変異は、Cronin,M.T.ら(1996)(上述)に記載されるような光生成DNAプローブを含む2次元アレイにおいて同定され得る。簡単には、プローブの第1のハイブリダイゼーションアレイを使用して、連続的で重複するプローブの線状アレイを作製することによって、サンプルおよびコントロールにおけるDNAの長鎖を通して走査して配列間の塩基変化を同定し得る。この工程は、点変異の同定を可能とする。この工程の後、検出される全ての改変体または変異に相補的なより小さな特定化されたプローブアレイを使用することによって、特異的変異の特徴付けを可能にする第2のハイブリダイゼーションアレイが続く。各変異アレイは、パラレルプローブセット、野生型遺伝子に対するある相補体および変異遺伝子に対する他の相補体から構成される。
なお別の実施形態において、当該分野において公知の種々の配列決定反応のいずれかを使用して、生物学的サンプル中の252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子を直接的に配列決定し得、そして生物学的サンプル中の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の配列を、対応する野生型(コントロール)配列と比較することによって変異を検出し得る。配列決定反応の例としては、MaxamおよびGilbert(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:560またはSanger(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463によって開発された技術に基く反応が挙げられる。種々の自動化配列決定手順が、質量分析法による配列決定(例えば、PCT国際公開番号WO94/16101;Cohenら(1996)Adv.Chromatogr.36:127−162;およびGriffinら(1993)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147−159を参照のこと)を含む診断アッセイ(Naeve,C.W.(1995)Biotechniques 19:448−53)を行う場合に利用され得ることもまた、企図される。
252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子における変異を検出するための他の方法としては、切断剤からの保護がRNA/RNA異種二重鎖またはRNA/DNA異種二重鎖中でミスマッチした塩基を検出するために使用される方法が挙げられる(Myersら(1985)Science 230:1242)。一般に、「ミスマッチ切断」の分野の技術は、野生型252配列、野生型304配列、野生型1980配列、野生型14717配列、野生型9941配列、野生型19310配列または野生型17832配列を含む(標識された)RNAまたはDNAを、組織サンプルより得られた潜在的変異RNAまたはDNAとハイブリダイズさせることによって形成される異種二重鎖を提供することによって開始する。二本鎖二重鎖は、コントロール鎖とサンプル鎖との間の塩基対ミスマッチに起因して存在するような二本鎖の一本鎖領域を切断する因子で処理される。例えば、ミスマッチ領域を酵素的に消化するために、RNA/DNA二重鎖はRNaseで処理され得、DNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処理され得る。他の実施形態において、DNA/DNA二重鎖またはRNA/DNA二本鎖のいずれかが、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムで処理され、そして、ミスマッチ領域を消化するためにピペリジンで処理される。ミスマッチ領域の消化後、次いで、生じた物質が、変異部位を決定するために変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズで分けられる。例えば、Cottonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397およびSaleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286−295を参照のこと。好ましい実施形態において、コントロールDNAまたはRNAが、検出のために標識され得る。
さらに別の実施形態において、ミスマッチ切断反応は、細胞のサンプルより得られた252 cDNA、304 cDNA、1980 cDNA、14717 cDNA、9941 cDNA、19310 cDNAまたは17832 cDNA中の点変異を検出およびマッピングするために規定された系において二本鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する1つ以上のタンパク質(「DNAミスマッチ修復」酵素と呼ばれる)を使用する。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチでAを切断し、そしてHeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチでTを切断する(Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657−1662)。例示的実施形態に従って、252配列、304配列、1980配列、14717配列、9941配列、19310配列または17832配列(例えば、野生型の252配列、304配列、1980配列、14717配列、9941配列、19310配列または17832配列)に基くプローブは、試験細胞からのcDNA産物または他のDNA産物にハイブリダイズされる。二重鎖は、DNAミスマッチ修復酵素で処理され、そして存在する場合、切断産物は、電気泳動的プロトコルなどから検出され得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
他の実施形態において、電気泳動的移動度の変更を使用して、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子における変異を同定する。例えば、一本鎖コンフォーメーション多型(SSCP)を使用して、変異体核酸と野生型核酸との間の電気泳動的移動度の差異を検出し得る(Oritaら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA:86:2766;Cotton(1993)Mutat.Res.285:125−144およびHayashi(1992)Genet.Anal.Tech.Appl.9:73−79もまた参照のこと)。サンプルおよびコントロールの252核酸、304核酸、1980核酸、14717核酸、9941核酸、19310核酸または17832核酸の一本鎖DNAフラグメントは変性され、そして再生される。一本鎖核酸の二次構造は、配列に従って変化し、電気泳動的移動度において生じた変更は、単一の塩基変化の検出さえ可能にする。DNAフラグメントは、標識されたプローブで標識されても検出されてもよい。このアッセイの感度は、(DNAではなく)RNAを用いることにより増強され、ここで二次構造は、配列の変化により感受性である。好ましい実施形態において、目的の方法は、電気泳動的移動度の変化に基いて二本鎖へテロ二重鎖分子を分離するためにヘテロ二重鎖分析を利用する(Keenら(1991)Trends Genet 7:5)。
なお別の実施形態において、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドにおける変異体または野生型フラグメントの移動は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用してアッセイされる(Myersら(1985)Nature 313:495)。DGGEが分析の方法として使用される場合、DNAは、例えば、PCRによって約40bpの高融解GCリッチDNAのGCクランプを付加することによって、完全には変性しないことを保証するために改変される。さらなる実施形態において、温度勾配は、コントロールDNAおよびサンプルDNAの移動度における差異を同定するために、変性勾配の代わりに使用される(RosenbaumおよびReissner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
点変異を検出するための他の技術の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸張が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーが調製され得、ここで、公知の変異が中心的におきかえられ、次いで完全な一致が見出される場合のみハイブリダイゼーションが可能となる条件下で標的DNAにハイブリダイズされる(Saikiら(1986)Nature 324:163;Saikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230)。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、このオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする膜に結合され、標識された標的DNAとハイブリダイズされる場合に、PCR増幅した標的DNAまたは多数の異なる変異にハイブリダイズされる。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子(allelec)特異的増幅技術は、本発明と組み合わせて使用され得る。特異的増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、分子の中心において(Gibbsら、(1989)Nucleic Acids Res.17:2437−2448)、または適切な条件下でミスマッチがポリメラーゼ伸張を防ぐかまたは減少し得る1つのプライマーの最も3’末端にて(Prossner(1993)Tibtech 11:238)目的の変異をもたらし得る(その結果、増幅は差次的ハイブリダイゼーションに依存する)。さらに、変異の領域に新規な制限部位を導入して、切断に基づく検出をおこすことが望ましくあり得る(Gaspariniら、(1992)Mol.Cell.Probes 6:1)。特定の実施形態において、増幅はまた、増幅のためのTaqリガーゼを使用して行われ得ることが予期される(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189)。このような場合において、連結は、増幅の存在または非存在について探索することによって特定の部位での公知の変異の存在を検出し得る5’配列の3’末端にて、完全な一致が存在する場合にのみ生じる。
さらに、本明細書中に記載される予後アッセイは、被験体が疾患を有効に処置するために252、304、1980、14717、9941、19310または17832のモジュレーター(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、または低分子)を投与され得るか否かを決定するために使用され得る。
(C.臨床試験の間の効果のモニタリング)
本発明はさらに、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のモジュレーター(例えば、本明細書中において同定された252、304、1980、14717、9941、19310または17832のモジュレーター)の、疾患の処置に対する有効性を決定するための方法を提供する。例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子の発現増加、タンパク質レベル増加、または252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性のアップレギュレートにおける、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のモジュレーターの有効性は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子の発現減少、タンパク質レベル減少、または252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性のダウンレギュレートを示す被験体の臨床試験においてモニタリングされ得る。あるいは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子の発現減少、タンパク質レベル減少、あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性のダウンレギュレートにおける252、304、1980、14717、9941、19310または17832のモジュレーターの有効性は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現増加、タンパク質レベル増加、あるいは252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性の増加を示す被験体の臨床試験においてモニタリングされ得る。このような臨床試験において、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子、および好ましくは、例えば、造血に関与する他の遺伝子の発現または活性が、「読み出し」すなわち特定の細胞の表現型のマーカーとして使用され得る。
例えば(限定のためではなく)、(例えば、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイにおいて同定される)252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する因子での処置によって細胞において調節される、252、304、1980、14717、9941、19310または17832を含む遺伝子が、同定され得る。従って、血液障害を罹患する被験体に対する252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する因子の効果を(例えば、臨床試験において)研究するために、細胞が単離され得、そしてRNAが調製され得、252、304、1980、14717、9941、19310または17832、および血液障害に関連する他の遺伝子の発現レベルについて分析され得る。遺伝子発現レベル(例えば、遺伝子発現パターン)は、本明細書中に記載されるようなノザンブロット分析またはRT−PCRによって、あるいは本明細書中に記載される方法の1つによって生成されるタンパク質の量を測定することによって、または252、304、1980、14717、9941、19310または17832、または他の遺伝子の活性レベルを測定することによって、定量され得る。この方法において、遺伝子発現パターンは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する因子に対する細胞の生理学的応答を示すマーカーとして作用し得る。この応答状態は、個体を252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する因子で処置する前、およびその間の種々の時点で決定され得る。
好ましい実施形態において、本発明は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する因子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、または本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定される低分子)での被験体の処置の有効性をモニタリングするための方法を提供し、以下の工程を包含する:(i)この因子の投与前に予め投与するサンプルを被験体から得る工程;(ii)この投与前サンプル中の252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルを検出する工程;(iii)投与後の1つ以上のするサンプルを被験体から得る工程;(iv)これらの投与後のサンプル中の252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルを検出する工程;(v)投与前サンプル中の252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルを、投与後サンプル中の252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルと比較する工程;ならびに(vi)被験体に対する因子の投与を適宜変更する工程。例えば、因子の投与増加は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性を、検出された(すなわち、因子の有効性を増加させる)レベルよりも高いレベルに増加することが、好ましくあり得る。あるいは、因子の投与減少は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性を、検出された(すなわち、因子の有効性を減少させる)レベルよりも低いレベルに減少することが、望ましくあり得る。このような実施形態に従って、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性は、観察可能な表現型応答の非存在下ですら、因子の有効性の指標として使用され得る。
(IV.処置方法)
本発明は、被験体(例えば、疾患の危険性のある(または疾患に罹患している疑いのある)ヒト)を処置する予防法および治療法の両方を提供する。処置の予防法および治療法の両方の観点で、このような処置は、薬理ゲノム学(pharmacogenomics)の分野から得られる知識に基づいて、特異的に仕立てられ(tailore)得るかまたは改変され得る。「薬理ゲノム学」は、本明細書中で使用される場合、遺伝子配列決定、統計的遺伝学および遺伝子発現分析のようなゲノム技術の、臨床開発および市場での薬物に対する適用をいう。より詳細には、この用語は、患者の遺伝子がどのように薬物に対する患者の応答(例えば、患者の「薬物応答表現型」または「薬物応答遺伝子型」)を決定するのかについての研究をいう。
従って、本発明の別の局面は、個々の薬物応答遺伝子型に従って、本発明の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の分子、または、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のモジュレーターのいずれかを用いる被験体の予防処置または治療処置を仕立てるための方法を提供する。薬理ゲノム学によって、臨床医(clinician)または内科医(physician)は、この処置から最も利益を得る患者に対して予防処置または治療処置を標的化することが可能になり、そして毒性薬物関連副作用を被る患者の処置を避けることが可能になる。
(A.予防方法)
一局面において、本発明は252発現、304発現、1980発現、14717発現、9941発現、19310発現または17832発現あるいは252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性を調節する薬剤を患者に投与することによって、患者における疾患を防ぐ方法を提供する。血液学的な障害に対する危険性のある患者は、例えば、本明細書中に記載の任意の診断的または予後的なアッセイまたはそれらの組み合わせによって同定され得る。予防薬の投与は、異常な252発現、304発現、1980発現、14717発現、9941発現、19310発現または17832発現あるいは異常な252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性の特徴的症状の発生に先立って生じ得、これのよって疾患が予防されるか、あるいは、その進行が遅延される。252、304、1980、14717、9941、19310または17832の起始異常の型に依存して、例えば、252アゴニスト、304アゴニスト、1980アゴニスト、14717アゴニスト、9941アゴニスト、19310アゴニストまたは17832アゴニストあるいは252アンタゴニスト薬剤、304アンタゴニスト薬剤、1980アンタゴニスト薬剤、14717アンタゴニスト薬剤、9941アンタゴニスト薬剤、19310アンタゴニスト薬剤または17832アンタゴニスト薬剤が、患者の処置に関して使用され得る。適切な薬剤は、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。
(B.治療的方法)
本明細書中に記載したのは、血液学的障害を回復し得る方法および組成物である。特定の血液学的障害は、少なくとも部分的に遺伝子産物の過度のレベルによって、あるいは異常または過剰な活性を示す遺伝子産物の存在によってもたらされる。このように、このような遺伝子産物のレベルおよび/または活性の減少は、血液学的障害の回復をもたらす。遺伝子発現のレベルまたはタンパク質の活性の減少に関する技術は、以下に議論される。
あるいは、特定の他の血液学的障害は、少なくとも一部、遺伝子発現のレベルの欠損または減少、もしくはタンパク質の活性のレベルの減少によってもたらされる。このように、遺伝子の発現および/またはこのようなタンパク質の活性のレベルの増加は、血液学的障害の回復をもたらす。
いくつかの場合において、疾患状態における遺伝子のアップレギュレーションは、疾患状態に対しての応答において、その遺伝子産物に対する保護的な役割を反映する。このような遺伝子発現または遺伝子産物の活性の促進は、それが影響する保護的な効果を強固にする。いくつかの血液学的障害の状態は、このような保護的遺伝子の活性のレベルの異常に低い値に起因し得る。これらの場合において、また、遺伝発現のレベルおよび/またはこのような遺伝子産物の活性の増加は、血液学的障害の回復をもたらす。標的遺伝子発現レベルまたは標的遺伝子産物活性レベルを増加させるための技術は本明細書中に議論される。
従って、本発明の別の側面は、処置目的のための252発現、304発現、1980発現、14717発現、9941発現、19310発現または17832発現または、252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性を修飾する方法に関係する。従って、例示的な実施例において、本発明の修飾方法は、細胞と252、304、1980、14717、9941、19310または17832との結合、もしくは、その細胞(例えば、内皮細胞または卵巣細胞)に関連した、252タンパク質活性、304タンパク質活性、1980タンパク質活性、14717タンパク質活性、9941タンパク質活性、19310タンパク質活性または17832タンパク質活性の1つ以上の活性化を修飾する試薬との結合を含む。252タンパク質活性、304タンパク質活性、1980タンパク質活性、14717タンパク質活性、9941タンパク質活性、19310タンパク質活性または17832タンパク質活性を修飾する試薬は、本明細書で記載されるように、(例えば、核酸またはタンパク質、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の自発的標的分子(例えば、252リガンド、304リガンド、1980リガンド、14717リガンド、9941リガンド、19310リガンドまたは17832リガンドもしくは252基質、304基質、1980基質、14717基質、9941基質、19310基質または17832基質)、252抗体、304抗体、1980抗体、14717抗体、9941抗体、19310抗体または17832抗体、252アゴニスト、304アゴニスト、1980アゴニスト、14717アゴニスト、9941アゴニスト、19310アゴニストまたは17832アゴニスト、もしくは252アンタゴニスト、304アンタゴニスト、1980アンタゴニスト、14717アンタゴニスト、9941アンタゴニスト、19310アンタゴニストまたは17832アンタゴニスト、252アゴニストのペプチド模放物、、304アゴニストのペプチド模放物、1980アゴニストのペプチド模放物、14717アゴニストのペプチド模放物、9941アゴニストのペプチド模放物、19310アゴニストのペプチド模放物または17832アゴニストのペプチド模放物もしくは252アンタゴニストのペプチド模放物、304アンタゴニストのペプチド模放物、1980アンタゴニストのペプチド模放物、14717アンタゴニストのペプチド模放物、9941アンタゴニストのペプチド模放物、19310アンタゴニストのペプチド模放物または17832アンタゴニストのペプチド模放物、あるいは他の小さな分子のような試薬であり得る。1つの実施形態において、試薬は、1つ以上の252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性を刺激する。そのような刺激試薬の実施例は、活性化252タンパク質、活性化304タンパク質、活性化1980タンパク質、活性化14717タンパク質、活性化9941タンパク質、活性化19310タンパク質または活性化17832タンパク質および細胞に導入される252、304、1980、14717、9941、19310または17832をコードする核酸分子を含む。別の実施形態において、試薬は1つ以上の252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性を抑制する。そのような抑制剤の実施例は、アンチセンス252核酸分子、アンチセンス304核酸分子、アンチセンス1980核酸分子、アンチセンス14717核酸分子、アンチセンス9941核酸分子、アンチセンス19310核酸分子またはアンチセンス17832核酸分子、抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体または抗17832抗体、および252インヒビター、304インヒビター、1980インヒビター、14717インヒビター、9941インヒビター、19310インヒビターまたは17832インヒビターを含む。これらの修飾方法は、インビトロで(例えば、試薬と一緒の細胞培養によって)、あるいは、インビボで(例えば、試薬を被験体に投与することによって)行われ得る。このように、本発明は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質、もしくは252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子または17832核酸分子の異所性のまたは望まない発現または活性によって特徴付けられた疾患または異常に罹患した個体の処置方法を提供する。1つの実施形態において、方法は、試薬(例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定された試薬)、または252発現、304発現、1980発現、14717発現、9941発現、19310発現または17832発現もしくは252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性を修飾する(例えば、アップレギュレートするかまたはダウンレギュレートする)試薬の組合せの投与を包含する。別の実施形態において、方法は、減少した、異所性の、または望まない252発現、304発現、1980発現、14717発現、9941発現、19310発現または17832発現または、252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性を補うための処置として、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質、もしくは252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子または17832核酸分子の投与を包含する。
252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性の刺激は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832が、異常にダウンレギュレートするおよび/または増加252活性、増加304活性、増加1980活性、増加14717活性、増加9941活性、増加19310活性または増加17832活性が、有用な効果を有する状況において所望である。同様に、252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性の抑制は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832が、異常にアップレギュレートされるおよび/または減少252活性、減少304活性、減少1980活性、減少14717活性、減少9941活性、減少19310活性または減少17832活性が、有用な効果を有する状況において所望である。
((i)標的遺伝子の発現、合成、または活性を抑制する方法)
上記で述べたように、循環器疾患に関係する遺伝子は、遺伝子活性の増加レベルを介して、このような異常を引き起こし得る。いくつかのケースでは、そのようなアップレギュレーションは、疾患状態における原因効果または増悪効果を有し得る。種々の技術が、そのような遺伝子および/またはタンパク質の発現、合成、または活性を抑制するために使用され得る。
例えば、化合物(例えば、上記に記載したアッセイで同定された化合物)は、抑制活性を示し、血液疾患の少なくとも1つの徴候に対する発明に従って使用され得る。このような分子は、小さな有機分子、ペプチド、抗体などを含むが、それらに制限されない。
例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質に対する内因性リガンドに結合した化合物が投与され得る。リガンドに結合した252タンパク質、リガンドに結合した304タンパク質、リガンドに結合した1980タンパク質、リガンドに結合した14717タンパク質、リガンドに結合した9941タンパク質、リガンドに結合した19310タンパク質またはリガンドに結合した17832タンパク質の得られた量の減少は、内皮細胞の生理学を修飾する。この目的で特異的に使用され得る化合物は、例えば、可溶性タンパク質またはペプチド(例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の1つ以上の細胞外ドメイン、または細胞外部分および/またはそのアナログ(例えば、Ig標識融合タンパク質のような可溶性融合タンパク質)を含む。(Ig標識融合タンパク質の産生の説明については、例えば、米国特許第5,116,964号を参照のこと)。あるいは、252レセプター部位、304レセプター部位、1980レセプター部位、14717レセプター部位、9941レセプター部位、19310レセプター部位または17832レセプター部位と結合するが、タンパク質を活性化しない(例えば、レセプター−リガンドアンタゴニスト)化合物は(例えば、リガンドアナログまたは抗体)、252タンパク質活性、304タンパク質活性、1980タンパク質活性、14717タンパク質活性、9941タンパク質活性、19310タンパク質活性または17832タンパク質活性の抑制において効果的であり得る。
さらに、252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の発現を抑制するアンチセンス分子およびリボザイム分子はまた、異所性の252遺伝子活性、304遺伝子活性、1980遺伝子活性、14717遺伝子活性、9941遺伝子活性、19310遺伝子活性または17832遺伝子活性を抑制するための発明に従って使用され得る。さらに、三重らせん分子が、異所性の252遺伝子活性、304遺伝子活性、1980遺伝子活性、14717遺伝子活性、9941遺伝子活性、19310遺伝子活性または17832遺伝子活性を抑制するために使用され得る。
本発明の方法で使用されるアンチセンス核酸分子は、被験体に代表的に投与されるかインサイチュで生成され、その結果、それらの分子は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質をコードする細胞内mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするか結合し、それによって(例えば、転写および/または翻訳を抑制することによって)、タンパク質の発現を抑制する。ハイブリダイゼーションは、安定な二本鎖を形成するための従来のヌクレオチド相補性によって、または、例えば、二重らせんの主要な溝における特異的な相互作用を介して、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合に行われ得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例は、組織部位における直接投与を包含する。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的にするために修飾され得、次に体系的に投与され得る。例えば、体系的投与では、アンチセンス分子が修飾され得、その結果、その分子は、例えば、アンチセンス核酸分子を、細胞表面レセプターまたは細胞表面抗原と結合するペプチドまたは抗体を結合することによって、選択された細胞表面に発現するレセプターまたは抗原と、特異的に結合する。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書中で記載されるベクターを用いて、細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を獲得するために、アンチセンス核酸分子が、強力なpol IIプロモーターまたは強力なpol IIIプロモーターの制御下に置かれるベクター構築物が好ましい。
さらなる別の実施形態において、本発明の方法で使用されるアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二重鎖ハイブリッドを形成し、ここで、通常のβ−ユニットとは対照的に、二本鎖ハイブリッドは、互いに平行に並ぶ(Gaultierら(1987)Nucleic Acids.Res. 15:6625〜6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−O−メチルリボヌクレオチドを含む(Inoueら(1987)Nucleic Acids Res. 15:6131〜6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら(1987)FEBS Lett.215:327〜330)。
さらに別の実施形態において、本発明の方法で使用されるアンチセンス核酸は、リボザイムである。リボザイムは、一本鎖核酸(例えば、mRNA)を切断することができるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子であり、それらは相補的領域を有する。このように、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach(1988)Nature334:585〜591))は、252mRNA転写産物、304mRNA転写産物、1980mRNA転写産物、14717mRNA転写産物、9941mRNA転写産物、19310mRNA転写産物または17832mRNA転写産物を触媒的に切断するために使用され得、それによって、252mRNA、304mRNA、1980mRNA、14717mRNA、9941mRNA、19310mRNAまたは17832mRNAの翻訳を抑制する。577をコードする核酸、20739をコードする核酸、571145をコードする核酸に特異性を有するリボザイムは、本明細書中で公開する252cDNA、304DNA、1980DNA、14717DNA、9941DNA、19310DNAまたは17832DNAのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1または配列番号3)に基づいて設計され得る。例えば、Tetrahymena L−19 IVS RNA誘導体が構築され、ここで、活性部位のヌクレオチド配列は、577,20739をコードするmRNAまたは57145をコードするmRNA(例えば、Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号を参照のこと)において切断されるヌクレオチド配列に相補的である。あるいは、252mRNA、304mRNA、1980mRNA、14717mRNA、9941mRNA、19310mRNAまたは17832mRNAはまた、RNA分子プールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択するために使用され得る(例えば、Bartel,DおよびSzostak,J.W.(1993)Science 261:1411〜1418を参照のこと)。
252遺伝子発現、304遺伝子発現、1980遺伝子発現、14717遺伝子発現、9941遺伝子発現、19310遺伝子発現または17832遺伝子発現はまた、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の制御領域と相補的なヌクレオチド配列(例えば、252、30プロモーターおよび/またはエンハンサー4、1980プロモーターおよび/またはエンハンサー、14717プロモーターおよび/またはエンハンサー、9941プロモーターおよび/またはエンハンサー、19310プロモーターおよび/またはエンハンサーまたは17832プロモーターおよび/またはエンハンサー)を標的することによって抑制され得、標的細胞中で252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の転写を防ぐ三重らせん構造を形成する(例えば、Helene,C(1991)Anticancer Drug Des. 6(6):569〜84;Helene,Cら(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27〜36;およびMaher,L.J.(1992)Bioassay14(12):807〜15を参照のこと)。252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質に特異的であり、その活性を干渉する抗体はまた、252タンパク質機能、304タンパク質機能、1980タンパク質機能、14717タンパク質機能、9941タンパク質機能、19310タンパク質機能または17832タンパク質機能を修飾するかまたは抑制するために使用され得る。そのような抗体は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質自体に対して、またはそのタンパク質の部分に対応するペプチドに対して、本明細書中に記載される標準的技術を用いて生成され得る。そのような抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、Fabフラグメント、単一鎖抗体、またはキメラ抗体を包含するが、それらに制限されない。
標的遺伝子タンパク質が細胞内であり、そして全抗体が使用される場合において、内在化抗体が好ましい。リポフェクチンリポソームが、抗体または標的エピトープを細胞に結合させるFab領域のフラグメントを送達するために使用され得る。抗体のフラグメントが使用される場合、標的タンパク質の結合ドメインと結合する最小の抑制フラグメントが好ましい。例えば、標的遺伝子タンパク質抗体の可変領域のドメインに対応するアミノ酸配列を有するペプチドが使用され得る。そのようなペプチドは、化学合成され得るかまたは当業者に周知の方法を用いる組み換えDNA技術を介して産生され得る(例えば、Creighton(1983)、前出;およびSambrookら(1989)前出に記載されている)。細胞内標的遺伝子エピトープと結合する単一鎖中和抗体がまた、投与され得る。そのような単一鎖抗体は、例えば、Marascoら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:7889〜7893)に記載されるような技術を用いて、標的細胞集団内の単一鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を発現することによって投与され得る。
いくつかの例では、標的遺伝子タンパク質は、細胞外であり、膜貫通タンパク質(例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパ2ク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質)である。例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパ2ク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の1つ以上の細胞外ドメインに特異的であり、そしてその活性に干渉する抗体は、血液疾患または血液異常の治療に特に有益である。そのような抗体は、その抗体が血流kら標的ドメインに直接アクセスできるので、特に有用である。ペプチド投与に適切な下記に記載ある任意の投与技術は、抑制的標的遺伝子抗体を、それらの活性部位に効果的に投与するために使用され得る。
((ii)標的遺伝子活性を再生または増大させる方法)
血液学的障害を生じる遺伝子は、疾患状況内で過小発現され得る。あるいは、このような遺伝子のタンパク質産物の活性は、低下され得、血液学的障害の発症を導く。このような遺伝子発現のダウンレギュレートまたはタンパク質活性の低下は、疾患状態に対する原因的影響または悪化させる影響を有し得る。
いくつかの場合、疾患状態においてアップレギュレートされる遺伝子は、予防効果を発揮し得る。種々の技術が、血液学的障害状態に対する予防効果を発揮する、遺伝子および/またはタンパク質の発現、合成、または活性を増大させるために用いられ得る。
この節に記載されるものは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性のレベルを血液学的障害が改善されるレベルまで、増大させ得る方法である。252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性のレベルは、例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子発現のレベルを増加させるか、または存在する活性な252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質のレベルを増加させることのいずれかによって、増加され得る。
例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質は、血液学的障害の少なくとも1つの症状に対して十分なレベルで、このような症状を示す患者に投与され得る。以下で議論される技術のいずれかが、このような投与のために用いられ得る。当業者は、以下に記載されるような技術を利用して、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質の有効な、非毒性用量の濃度を決定する方法を容易に知る。
さらに、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質をコードするRNA配列は、血液学的障害を示す患者に、血液学的障害が改善される252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質のレベルを生じるのに十分な濃度で、直接投与され得る。化合物の細胞内投与を達成する以下に記載される技術(例えば、リポソーム投与)のいずれかは、このようなRNA分子の投与のために用いられ得る。RNA分子は、例えば、本明細書中に記載されるような組換え技術により作製され得る。
さらに、被験体は、遺伝子置換治療により処置され得る。252、304、1980、14717、9941、19310または17832の機能を有する、正常な252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質の産生を指向する、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子、あるいはその部分の1以上のコピーは、DNAを細胞へと導入する他の粒子(例えば、リポソーム)に加えて、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびレトロウイルスベクターを含むが、これらに限定されない、ベクターを用いて細胞へと挿入され得る。さらに、上記のような技術は、ヒト細胞への、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の遺伝子配列の導入のために用いられ得る。
次いで、細胞、好ましくは、252、304、1980、14717、9941、19310または17832発現遺伝子配列を含む自系の細胞は、血液学的障害の改善を可能にする位置で被験体へと導入または再導入され得る。このような細胞置換技術は、例えば、遺伝子産物が、分泌された、細胞外遺伝子産物である場合、好ましくあり得る。
(C.薬学的組成物)
本発明の別の局面は、疾患に罹患した被験体を処置するための方法に関する。これらの方法は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性を調節する因子(例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイにより同定される因子)、またはこのような因子の組み合わせを、被験体に投与することを包含する。別の実施形態では、この方法は、低下した、異常な、または望ましくない、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の発現または活性を補償するための治療として、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質または核酸分子を、被験体に投与することを包含する。
252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性の刺激は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832が異常にダウンレギュレートされる、そして/あるいは上昇した252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性が、有益な効果を有すると考えられる状況において望ましい。同様に、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性の阻害は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832が、異常にアップレギュレートされる、そして/あるいは減少した252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性が、有益な効果を有すると考えられる状況において望ましい。
252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する因子は、このような投与に適切な薬学的組成物を用いて、被験体に投与され得る。このような組成物は、代表的には、因子(例えば、核酸分子、タンパク質、または抗体)および薬学的に受容可能なキャリアを含む。本明細書中で使用される場合、語「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的投与に適合性の、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌性および抗真菌性の薬剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。このような媒体および薬剤の、薬学的に活性な物質のための使用は、当該分野で周知である。この活性な化合物と非適合性である任意の従来の媒体または薬剤の範囲を除いて、組成物におけるそれらの使用が企図される。補助的な活性化合物もまた、この組成物に組み込まれ得る。
本発明の治療方法において使用される薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合性となるように処方される。投与経路の例としては、非経口的(例えば、静脈内、皮内、皮下)、経口(例えば、吸入)、経皮(局所的)、経粘膜、および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:滅菌希釈剤(例えば、注射のための水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム);キレート試薬(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝液(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩)、および張性を調整するための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはブドウ糖)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)を用いて調整され得る。非経口的調製物は、ガラスまたはプラスチックから作製されるアンプル、使い捨てシリンジ、または複数用量のバイアルに封入され得る。
注入用途のために適切な薬学的組成物としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散体、および滅菌注射可能な溶液または分散体の即席調製のための滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与のために適切なキャリアとしては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、この組成物は、無菌でなければならず、そして容易な注入性(syringability)が存在する程度に流動性であるべきである。この組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の混入作用に対して保護されなければならない。このキャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散体の場合において要求される粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤(例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注入可能組成物の長期の吸収は、この組成物中に吸収を遅延する薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を含むことによってもたらされ得る。
滅菌の注入可能な溶液は、上記に列挙された成分のうちの1つまたは組み合わせと共に、必要とされる量の252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する因子(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832のタンパク質のフラグメントまたは抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体もしくは抗17832抗体)を適切な溶媒に取り込み、続いて、必要に応じて滅菌濾過することによって調製され得る。一般に、分散体は、基礎分散媒体および上記に列挙される成分のうちの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルに、この活性化合物を取り込むことによって調製される。滅菌の注入可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分の粉末および以前に滅菌濾過されたその溶液からの任意のさらなる所望の成分を得る、真空乾燥および凍結乾燥である。
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤に加圧され得る。経口治療投与の目的で、この活性化合物は、賦形剤と共に組み込まれ、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用される。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のための流体キャリアを使用して調製され得、ここで、流体キャリア中の化合物は、経口的に適用され、そしてスウィッシュ(swish)され、そして吐き出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント材料が、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などが、以下の成分のいずれかまたは同様の性質を有する化合物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶セルロース、ガムトラガントまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogel、またはコーンスターチ);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotes);グライダント(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);あるいは矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバー)。
吸入による投与について、この化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素のような気体)を含む圧縮容器またはディスペンサー、あるいは噴霧器から、エアロゾルスプレーの形態で送達される。
全身的投与はまた、経粘膜手段または経皮手段により得る。経粘膜投与または経皮投与について、浸透されるバリアに対して適切な浸透剤が、処方物中で使用される。このような浸透剤は、一般的に、当該分野で公知であり、そして、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用によって達成され得る。経皮投与については、この活性化合物は、当該分野で一般的に公知である軟膏剤、軟膏、ゲル、またはクリーム剤へ処方される。
252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する薬剤はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤ベースと共に)または保持浣腸の形態で調製され得る。
1つの実施形態において、この252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する薬剤は、身体からの迅速な排出に対してこの化合物を保護するキャリアを用いて調製され(例えば、制御放出処方物)、これには、移植片およびマイクロカプセル化された送達系が挙げられる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような、生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような処方物の調製のための方法は、当業者には明らかである。これらの材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手可能である。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて、感染させた細胞へ標的化されるリポソームを含む)がまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で、経口組成物または非経口組成物を処方することが、特に有益である。本明細書で使用される場合、投薬単位形態は、処置される被験体のための単位投薬量として適切な、物理的に個々の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと関連して、所望の治療的効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態についての詳細は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の活性を調節する薬剤の固有の特性、および達成される特定の治療効果、ならびに被験体の処置のためのこのような薬剤を調合する当該分野に固有の制限によって影響を受け、これらに直接依存する。
そのような薬剤の毒性および治療効力は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死性である用量)およびED50(集団のうちの50%において治療上有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的薬学的手順によって決定され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、そしてそれは、比LD50/ED50として表され得る。大きな治療指数を示す薬剤が、好ましい。毒性副作用を示す薬剤が使用され得るが、非感染細胞に対して生じ得る損傷を最小にして副作用を低減するために、罹患した組織部位にそのような薬剤を標的化する送達システムを設計するために注意が払われるべきである。
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータは、ヒトにおける使用のために一定範囲の投与量を処方する際に使用され得る。そのような252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832調節剤の投薬量は、好ましくは、毒性をほとんど伴わないかまたは全く伴わない、ED50を含む一定範囲の循環濃度内に入る。その投薬量は、使用される投薬形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動し得る。本発明の治療方法において使用されるどの薬剤についても、治療上有効な用量は、細胞培養アッセイからまず推定され得る。細胞培養において決定されるようなIC50(すなわち、症状の最大阻害半分を達成する試験化合物濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するための用量が、動物モデルにおいて処方され得る。そのような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために、使用され得る。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
本明細書中で規定される場合、タンパク質またはポリペプチドの治療上有効な量(すなわち、有効投薬量)は、約0.001〜30mg/kg体重、好ましくは、約0.01〜25mg/kg体重、より好ましくは、約0.1〜20mg/kg体重、およびなおより好ましくは、約1〜10mg/kg体重、2〜9mg/kg体重、3〜8mg/kg体重、4〜7mg/kg体重、または5〜6mg/kg体重の範囲である。特定の要因が、被験体を有効に処置するために必要な投薬量に影響し得ることを当業者は認識し、そのような要因としては、疾患もしくは障害の重篤度、以前の処置、被験体の全身の健康および/または年齢、ならびに存在する他の疾患が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、治療上有効な量のタンパク質、ポリペプチド、または抗体を用いる被験体の処置は、単回処置を包含し得るか、または好ましくは、一連の処置を包含し得る。
好ましい例において、被験体は、約0.1〜20mg/kg体重の間の範囲にある抗体、タンパク質、またはポリペプチドを用いて、1週間に1回、約1〜10週間の間、好ましくは2〜8週間の間、より好ましくは約3〜7週間の間、そしてなおより好ましくは約4週間、5週間、または6週間の間、処置される。処置に使用される抗体、タンパク質、またはポリペプチドの有効投薬量は、特定の処置経過にわたって増加または減少し得ることもまた、認識される。投薬量の変化は、本明細書中に記載される診断アッセイの結果から生じ得、そしてその結果から明らかになり得る。
本発明は、発現または活性を調節する薬剤を包含する。薬剤は、例えば、低分子であり得る。例えば、そのような低分子としては、ペプチド、ペプチド模倣物、アミノ酸、アミノ酸アナログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、約10,000グラム/モル未満の分子量を有する有機化合物もしくは無機化合物(すなわち、ヘテロ有機化合物および有機金属化合物を含む)、約5,000グラム/モル未満の分子量を有する有機化合物もしくは無機化合物、約1,000グラム/モル未満の分子量を有する有機化合物もしくは無機化合物、約500グラム/モル未満の分子量を有する有機化合物もしくは無機化合物、ならびにそのような化合物の塩、エステル、および他の薬学的に受容可能な形態が挙げられるが、これらに限定されない。低分子薬剤の適切な用量は、当業者である医師、獣医師、または研究者の知識内にある多数の要因に依存することが理解される。この低分子の用量は、例えば、処置される被験体またはサンプルの身元、サイズおよび状態に依存して変化し、さらに、該当する場合は、その組成物が投与される経路、ならびに本発明の核酸もしくはポリペプチドに対してその低分子が有することを実施者が望む効果に依存して変化する。
例示的な用量としては、被験体またはサンプルの重量1kgあたり、ミリグラム量またはマイクログラム量の低分子(例えば、約1μg/kg〜約500mg/kg、約100μg/kg〜約5mg/kg、または約1μg/kg〜約50μg/kg)が挙げられる。低分子の適切な用量は、調節されるべき発現または活性に関するその低分子の能力に依存することが、さらに理解される。そのような適切な用量は、本明細書中に記載されるアッセイを使用して決定され得る。これらの低分子のうちの1つ以上が、本発明のポリペプチドまたは核酸の発現もしくは活性を調節するために動物(例えば、ヒト)に投与される場合、医師、獣医師、または研究者は、例えば、最初に比較的低用量を処方し、その後、適切な応答が得られるまでその用量を増加させ得る。さらに、特定の任意の動物被験体についての特定の用量レベルは、種々の要因(使用される特定の化合物の活性、被験体の年齢、被験体の体重、被験体の全身の健康、被験体の性別、および被験体の食餌、投与時期、投与経路、排出速度、任意の薬物組み合わせ、ならびに調節されるべき発現または活性の程度を含む)に依存することが、理解される。
さらに、抗体(またはそのフラグメント)は、治療部分(例えば、細胞毒)、治療剤、または放射性金属イオンに結合体化され得る。細胞毒または細胞傷害性薬剤は、細胞に対して有害な任意の薬剤を包む。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロパロノール、およびピューロマイシン、ならびにそれらのアナログまたはホモログが挙げられる。治療剤としては、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルダカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(前名ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(前名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の結合体は、所定の生物学的応答を改変するために使用され得、その薬物部分は、古典的な化学的治療剤に限定するように解釈されるべきではない。例えば、その薬物部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。そのようなタンパク質としては、例えば、トキシン(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリアトキシン);タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲン活性化因子);または生物学的応答改変因子(例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、あるいは他の増殖因子が挙げられ得る。
そのような治療部分を抗体に結合体化するための技術は、周知である。例えば、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeldら編(Alan R.Liss,Inc.,1985)、pp.243〜56のArnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」;Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら編(Marcel Dekker,Inc.,1987)pp.623〜53のHellstromら「Antibodies For Drug Delivery」;Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,Pincheraら編,pp.475〜506(1985)のThorpe,「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」;Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwinら編(Academic Press 1985)pp.303〜16の「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」;ならびにThorpeら「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」Immunol.Rev.62:119〜58(1982)を参照のこと。あるいは、抗体は、Segalによって米国特許第4,676,980号中に記載されるように、抗体へテロ結合体を形成するために二次抗体と結合され得る。
本発明の方法において使用される核酸分子は、ベクター中に挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとして使用され得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照のこと)または定位注射(例えば、Chenら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054〜3057を参照のこと)によって、被験体に送達され得る。その遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、受容可能な希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含み得るか、または遺伝子送達ビヒクルが組み込まれた徐放マトリクスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクター(例えば、レトロウイルスベクター)が組換え細胞からインタクトで産生され得る場合、その薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含み得る。
(D.薬理ゲノム学(pharmacogenomics))
本発明の治療法と組み合わせて、薬理ゲノム学(すなわち、被験体の遺伝子型と、外来化合物または外来薬物に対するその被験体の応答との間の関連性の研究)が、考慮され得る。治療剤の代謝における差異は、薬理学的に活性な薬物の用量と血液濃度との間の関係を変更することによって、重篤な毒性または治療の失敗をもたらし得る。従って、医師または臨床医は、252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性を調節する薬剤を投与するか否か、ならびに252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性または17832活性を調節する薬剤を用いる処置の投薬量および/もしくは治療レジメンを調整するか否かを決定する際に、適切な薬理ゲノム学研究において得られる知識を適用することを考慮し得る。
薬理ゲノム学は、罹患した個人における変化した薬物の性質および異常な作用に起因する、薬物に対する応答における臨床学的に有意な遺伝的変動を取り扱う。例えば、Eichelbaum,M.ら、(1996)Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.23(10〜11):983〜985およびLinder,M.W.ら、(1997)Clin.Chem.43(2):254〜266を参照のこと。一般に、2つの型の薬理ゲノム学的条件は、区別され得る。遺伝的条件は、薬物が身体に作用する様式を変更する(変化した薬物作用)単一因子として伝達したか、または遺伝的条件は、身体が薬物に作用する様式を変更する(変化した薬物代謝)単一因子として伝達した。これらの薬理ゲノム学的条件は、稀な遺伝子欠損または天然に存在する多型のいずれかとして、存在し得る。例えば、グルコース−6−リン酸アミノペプチダーゼ欠損(G6PD)は、一般的な遺伝性酵素病であり、ここで、主な臨床学的合併症は、酸化剤薬物(抗マラリア薬、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの消費後の溶血である。
「ゲノムワイド相関解析(genome−wide association)」として知られている、薬物応答を予測する遺伝子を同定するための1つの薬理ゲノム学的アプローチは、すでに知られている遺伝子関連マーカー(例えば、「二座対立遺伝子」マーカーマップ(これは、ヒトゲノム上の60,000〜100,000の多型部位または変動部位からなり、その部位の各々は、2つの改変体を有する))からなるヒトゲノムの高分解能マップに、主に依存する。このような高分解能ゲノムマップは、特定の観察された薬物応答または副作用に関連したマーカーを同定するために、フェーズII/フェーズIIIの薬物試験に参加した統計学的に有意な数の患者の各々のゲノムのマップと比較され得る。あるいは、このような高分解能マップは、ヒトゲノムにおいて、数千万個の公知の一塩基多型(SNP)の組み合わせから生じ得る。本明細書中で使用される場合、「SNP」とは、DNAストレッチにおいて、単一のヌクレオチド塩基において生じる共通の変化である。例えば、SNPは、1000塩基のDNAごとに1回生じ得る。SNPは、疾患プロセスに関与し得るが、大部分は、疾患に関連していないかもしれない。このようなSNPの発生に基づく遺伝マップを考慮すると、個体は、個々のゲノムにおける特定のSNPパターンに依存して、複数の遺伝カテゴリーへと分類され得る。このような様式において、処置レジメンは、遺伝的に類似する個体の間で共通であり得る特性を考慮して、そのような遺伝的に類似する個体の群に合わせて変更され得る。
あるいは、「候補遺伝子アプローチ」と呼ばれる方法が、薬物応答を予測する遺伝子を同定するために用いられ得る。この方法に従って、薬物標的をコードする遺伝子が既知である場合(例えば、本発明の方法において使用される252、304、1980、14717、9941、19310または17832タンパク質)、その遺伝子の共通のすべての改変体は、その集団においてかなり容易に同定され得、そして別の遺伝子バージョンに対する1つの遺伝子バージョンを有することが特定の薬物応答に関連するか否かが決定され得る。
例示的実施形態として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続時間の両方の主要な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)およびシトクロムP450酵素であるCYP2D6およびCYP2C19)の遺伝子多型の発見は、標準的かつ安全な用量の薬物を摂取した後に、患者が予測される薬物効果を得ることも過大な薬物応答および重篤な毒性を示すこともない理由に関する説明を提供した。これらの多型は、その集団中で2つの表現型(代謝が速い者(EM)および代謝が遅い者(PM))の状態で発現される。PMの普及率は、種々の集団間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は、非常に多型性であり、いくつかの変異が、PMにおいて同定されており、そのすべてが、機能的CYP2D6の不在をもたらす。CYP2D6およびCYP2C19の代謝速度が遅い者は、標準的用量を受けたときに、過大な薬物応答および副作用を非常に頻繁に経験する。代謝物が活性な治療部分である場合、PMは、CYP2D6が形成した代謝物であるモルヒネにより媒介されるコデインの鎮痛効果について示されるような、治療応答を示さない。その他の極端な者は、標準的用量に対して応答しない、いわゆる代謝が著しく速い者である。最近、著しく速い代謝の分子的基礎が、CYP2D6遺伝子増幅に起因することが同定された。
あるいは、「遺伝子発現プロファイリング」と呼ばれる方法が、薬物応答を予測する遺伝子を同定するために用いられ得る。例えば、薬物(例えば、本発明の方法において使用される252、304、1980、14717、9941、19310もしくは17832分子または252、304、1980、14717、9941、19310または17832モジュレーター)を投薬された動物の遺伝子発現は、毒性に関連する遺伝子経路が作動するかの指標を与え得る。
上記薬理ゲノム学的アプローチのうちの1つより多くから得られる情報が、被験体の予防的処置または治療的処置のための、適切な投薬量および処置レジメンを決定するために使用され得る。この知識は、投薬または薬物選択に適用される場合、有害な反応または治療の失敗を回避し得、それによって、252、304、1980、14717、9941、19310または17832活性を調節する薬剤で、心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)に罹患している被験体を処置する場合、治療効果または予防効果を増強し得る。
(V.本発明の方法において使用される、組換え発現ベクターおよび宿主細胞)
本発明の方法(例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイ)は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832タンパク質(またはその一部)をコードする核酸を含むベクター(好ましくは発現ベクター)の使用を包含する。本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」とは、これが連結された別の核酸を輸送可能である、核酸分子を指す。1つの型のベクターは、「プラスミド」であり、「プラスミド」とは、さらなるDNAセグメントが連結され得る、環状の二本鎖DNAの輪を指す。別の型のベクターは、ウイルスベクターであり、そのベクターにおいて、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノム中に連結され得る。特定のベクターは、これらが導入される宿主細胞中で自律複製可能である(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中に導入された際に、宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、それによって、その宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、これらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指向可能である。そのようなベクターは、本明細書中で「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」と「ベクター」とは、互換可能に使用され得る。なぜなら、プラスミドは、ベクターの最も一般的に使用される形態であるからである。しかし、本発明は、等価な機能を提供する、そのような他の形態の発現ベクター(例えば、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス))を包含することが意図される。
本発明の方法において使用される組換え発現ベクターは、宿主細胞中での核酸の発現に適切な形態にある本発明の核酸を含む。このことは、その組換え発現ベクターが、発現されるべき核酸配列に作動可能に連結された1つ以上の調節配列(発現のために使用される宿主細胞に基づいて選択される)を含むことを意味する。組換え発現ベクターにおいて、「作動可能に連結された」とは、目的のヌクレオチド配列が、(例えば、インビトロでの転写/翻訳系において、またはそのベクターが宿主細胞中に導入される場合は、その宿主細胞において)そのヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で調節配列に連結されていることを意味することが意図される。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。そのような調節配列は、例えば、Goeddel(1990)Methods Enzymol.185:3〜7に記載される。調節配列とは、多くの型の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指向する配列、および特定の宿主細胞においてのみそのヌクレオチド配列の発現を指向する配列(例えば、組織特異的調節配列)を包含する。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるタンパク質発現レベルなどのような因子に依存し得ることが、当業者により認識される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞内に導入され得、それにより本明細書中に記載されるような核酸によってコードされるタンパク質またはペプチド(融合タンパク質または融合ペプチドを含む)(例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832タンパク質、252、304、1980、14717、9941、19310または17832タンパク質の変異体形態、融合タンパク質など)を産生し得る。
本発明の方法において使用される組換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞における252、304、1980、14717、9941、19310または17832タンパク質の発現のために設計され得る。例えば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832タンパク質は、E.coliのような細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞、または哺乳動物細胞において発現され得る。適切な宿主細胞は、Goeddel(1990)前出においてさらに記載される。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写および翻訳され得る。
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指向する構成性プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターを使用して、E.coliにおいて最も頻繁に行われる。融合ベクターは、ベクター中にコードされるタンパク質に、通常は、組換えタンパク質のアミノ末端に、多くのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、代表的には、3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現を増大させること;2)組換えタンパク質の可溶性を増大させること;および3)アフィニティー精製におけるリガンドとして作用することにより、組換えタンパク質の精製を補助すること。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解性切断部位は、融合部分と組換えタンパク質の接合部に導入され、融合タンパク質の精製に続いて、組換えタンパク質を融合部分から分離することが可能になる。このような酵素、およびそれらのコグネイト認識配列は、第Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼを含む。代表的な融合発現ベクターとしては、それぞれ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを、標的組換えタンパク質に融合させる、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith,D.B.およびJohnson,K.S.(1988)Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,MA)およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,NJ)が挙げられる。
精製融合タンパク質は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832活性アッセイ(例えば、以下に詳細に記載される直接的アッセイまたは競合アッセイ)において、または252、304、1980、14717、9941、19310または17832タンパク質に特異的な抗体を生成するために利用され得る。好ましい実施形態において、本発明のレトロウイルス発現ベクターにおいて発現される252、304、1980、14717、9941、19310または17832融合タンパク質は、骨髄細胞に感染させるために利用され得る。続いて、この骨髄細胞は、照射されたレシピエントに移植される。次いで、被験体レシピエントの病態は、十分な時間(例えば、6週間)が経過した後に試験される。
別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して、哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed,B.(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J.6:187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞において使用される場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントにより提供される。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。原核生物細胞および真核生物細胞両方について適切な他の発現系については、Sambrook,J.ら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989の第16章および第17章を参照のこと。
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型においてこの核酸の発現を優先的に指向し得る(例えば、組織特異的調節エレメントがこの核酸を発現させるために使用される)。
本発明の方法は、本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクター(このDNA分子は、この発現ベクターにアンチセンス方向にてクローニングされる)をさらに使用し得る。すなわち、このDNA分子は、(このDNA分子の転写による)252、304、1980、14717、9941、19310または17832mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現を可能にする様式にて、調節配列に作動可能に連結される。種々の細胞型(例えば、ウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサー)におけるアンチセンスRNA分子の連続的発現を指向する、アンチセンス方向にクローニングされる核酸に作動可能に連結される調節配列が選択され得るか、またはアンチセンスRNAの構成的発現、組織特異的発現、または細胞型特異的発現を指向する調節配列が、選択され得る。このアンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化ウイルスの形態にあり得、この中でアンチセンス核酸は、高効率調節領域の制御下で生成され、その活性は、ベクターが導入される細胞型により決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子発現の調節の議論については、Weintraub,H.ら,Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis,Reviews−Trends in Genetics,Vol.1(1)1986を参照のこと。
本発明の別の局面は、本発明の252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子または17832核酸分子(例えば、組換え発現ベクター内の252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子または17832核酸分子、あるいは宿主細胞ゲノムの特定の部位への相同組換えを可能にする配列を含む、252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子または17832核酸分子)が導入される宿主細胞の使用に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で交換可能に使用される。このような用語は、特定の被験体細胞のみならず、このような細胞の子孫または潜在的子孫もまた言及することが理解される。特定の改変が、変異または環境的影響のいずれかに起因して、次の世代に生じ得るので、このような子孫は、実際に、親細胞と同一でなくてもよいが、本明細書中で使用される用語の範囲内になお含まれる。
宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)で発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
ベクターDNAは、従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術を介して、原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。本明細書中で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来性の核酸(例えば、DNA)を宿主細胞中に導入するための当該分野で認識される種々の技術をいうことを意図し、これらとしては、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムの共沈殿、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションが挙げられる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)および他の実験室マニュアルに見出され得る。
本発明の方法において使用される宿主細胞(例えば、培養物中の原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞)を使用して、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質を生成(すなわち、発現)し得る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質を生成するための方法を提供する。1つの実施形態において、本方法は、本発明の宿主細胞(この細胞中に252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入されている)を適切な培地中で培養する工程、その結果252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質を生成する工程を、包含する。別の実施形態において、本方法はさらに、培地または宿主細胞から252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質を単離する工程を包含する。
(VI.本発明の方法において使用される、単離された核酸分子)
本発明の方法は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質もしくは17832タンパク質、またはその生物学的に活性な部分をコードする、単離された核酸分子、ならびに、252をコードする核酸分子、304をコードする核酸分子、1980をコードする核酸分子、14717をコードする核酸分子、9941をコードする核酸分子、19310をコードする核酸分子もしくは17832をコードする核酸分子(例えば、252 mRNA、304 mRNA、1980 mRNA、14717 mRNA、9941 mRNA、19310 mRNAまたは17832 mRNA)を同定するための、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用に足りる核酸フラグメント、および252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子または17832核酸分子を増幅または変異誘発するためのPCRプライマーとしての使用のためのフラグメントの使用を、包含する。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)、ならびにヌクレオチドアナログを使用して作製されたDNAアナログまたはRNAアナログを含むことを意図される。この核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
本発明の方法において使用される核酸分子(例えば、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、もしくは配列番号19、またはその部分のヌクレオチド配列を有する核酸分子)を、標準的な分子生物学的技術および本明細書中に提供される配列情報を使用して単離し得る。ハイブリダイゼーションプローブとして、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、もしくは配列番号19の核酸配列の全部または一部を使用して、252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子または17832核酸分子を、(例えば、Sambrook,J.Fritsh,E.F.,およびManiatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989に記載されるような)標準的なハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術を使用して単離し得る。
さらに、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、もしくは配列番号19の全部または一部を含有する核酸分子を、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、または配列番号19の配列に基づいて設計した合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、単離し得る。
本発明の方法において使用される核酸を、標準的なPCR増幅技術に従って、テンプレートとしてのcDNA、mRNAあるいはゲノムDNA、および適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、増幅し得る。さらに、252ヌクレオチド配列、304ヌクレオチド配列、1980ヌクレオチド配列、14717ヌクレオチド配列、9941ヌクレオチド配列、19310ヌクレオチド配列または17832ヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドを、標準的な合成技術(例えば、自動DNA合成機を使用すること)によって、調製し得る。
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される単離された核酸分子は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、もしくは配列番号19に示されるヌクレオチド配列、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、もしくは配列番号19に示されるヌクレオチド配列の相補体、またはこれらのヌクレオチド配列の任意の部分を含む。配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16または配列番号19に示されるヌクレオチド配列に相補的である核酸分子とは、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16または配列番号19に示されるヌクレオチド配列に十分に相補的である核酸分子であり、その結果、この核酸分子は配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16または配列番号19に示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズし得、それによって安定な二重鎖を形成する。
なお別の好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される単離された核酸分子は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、もしくは配列番号19に示されるヌクレオチド配列の全長、またはこのヌクレオチド配列の任意の部分に、少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上同一であるヌクレオチド配列を含有する。
さらに、本発明の方法において使用される核酸分子は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16または配列番号19の核酸配列の部分(例えば、プローブもしくはプライマーとして使用され得るフラグメント)、または252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の部分(例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の生物学的に活性な部分)をコードするフラグメント)のみを含み得る。代表的に、プローブ/プライマーは、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。代表的に、オリゴヌクレオチドは、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16または配列番号19のセンス配列、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16または配列番号19のアンチセンス配列、あるいは配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16または配列番号19の天然に存在する対立遺伝子の改変体または変異体の少なくとも約12または15、好ましくは約20または25、より好ましくは約30、35、40、45、50、55、60、65または75個連続したヌクレオチドにストリンジェントな条件下で、ハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。1つの実施形態において、本発明の方法において使用される核酸分子は、100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、1000〜1100、1100〜1200、1200〜1300以上のヌクレオチド長よりも長く、かつストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16または配列番号19の核酸分子にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、お互いに有意に同一または相同であるヌクレオチ配列が、お互いにハイブリダイズされたままである状態でハイブリダイゼーションおよび洗浄するための条件を記載することを意図する。好ましくは、この条件は、少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、なおより好ましくは少なくとも約85%または90%で、互いに同一な配列が、互いにハイブリダイズしたままであるような条件である。このようなストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、そしてCurrent Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編、John Wiley & Sons,Inc.(1995),2節,4節および6節に見出され得る。さらなストリンジェントな条件は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1989),7節、9節および11節に見出され得る。好ましい、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的な例としては、約65〜70℃での、4×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でハイブリダイゼーション(または約42〜50℃での、4×SSC+50%ホルムアミド中でハイブリダイゼーション)、次いで約65〜70℃での、1×SSCで1回以上の洗浄が挙げられる。好ましい、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的な例としては、約65〜70℃での、1×SSC中でハイブリダイゼーション(または約42〜50℃での、1×SSC+50%ホルムアミド中でハイブリダイゼーション)、次いで約65〜70℃での、0.3×SSCで1回以上の洗浄が挙げられる。好ましい、低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の非限定的な例としては、約50〜60℃での、4×SSC中でハイブリダイゼーション(または約40〜45℃での、6×SSC+50%ホルムアミド中でハイブリダイゼーション)、次いで約50〜60℃での、2×SSCで1回以上の洗浄が挙げられる。上記の値の中間の範囲(例えば、65〜70℃または42〜50℃)もまた、本発明に含まれることが意図される。SSPE(1×SSPEは、0.15M NaCl、10mM NaH2PO4および1.25mM EDTA、pH 7.4である)は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄緩衝液中でSSC(1×SSCは、0.15M NaClおよび15mMクエン酸ナトリウムである)に置き換わり得る;洗浄は、各ハイブリダイゼーションが終了した後で、15分間実行される。50塩基対長未満であることが予測されるハイブリッドのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(Tm)より5〜10℃低くあるべきであり、ここでTmが以下の式に従って決定される。18塩基対長未満であるハイブリッドについて、Tm(℃)=2(A塩基+T塩基の数)+4(G塩基+C塩基の数)。18塩基対長と49塩基対長の間のであるハイブリッドについて、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)、ここで、Nはハイブリッド中の塩基の数であり、そして[Na+]は、ハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオンの濃度である(1×SSCに対する[Na+]=0.165M)。膜(例えば、ニトロセルロース膜、またはナイロン膜)への核酸分子の非特異的ハイブリダイゼーションを減少させるために、さらなる試薬が、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄緩衝液に添加され得ることが当業者によってまた認識され、この試薬としては、限定されないが以下が挙げられる:ブロッキング剤(例えば、BSA、もしくはサケまたはニシンの精子キャリアDNA)、界面活性剤(例えば、SDS)、キレート剤(例えば、EDTA)、Ficoll、PVPなど。ナイロン膜が使用される場合、特にさらなる好ましい、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的な例としては、約65℃での、0.25〜0.5M NaH2PO4、7% SDS中でハイブリダイゼーション、次いで65℃での、0.02M NaH2PO4、1% SDSで1回以上の洗浄である(例えば、ChurchおよびGilbert(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1991−1995,(または代替的に0.2×SSC、1% SDS)。
好ましい実施形態において、プローブは、プローブに結合した標識基をさらに含む(例えば、標識基は、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素または酵素補因子であり得る)。このようなプローブは、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質を誤発現する(misexpress)細胞または組織を同定するための診断的試験キットの一部として使用され得る(例えば、被験体由来の細胞サンプル中の252コード核酸、304コード核酸、1980コード核酸、14717コード核酸、9941コード核酸、19310コード核酸または17832コード核酸のレベルを測定すること、例えば、252 mRNAレベル、304 mRNAレベル、1980 mRNAレベル、14717 mRNAレベル、9941 mRNAレベル、19310 mRNAレベルまたは17832 mRNAレベルを検出するか、またはゲノムの252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子が変異されているか除去されているかを測定することによって)。
本発明の方法は、遺伝暗号の縮重に起因して、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、または配列番号19に示されるヌクレオチド配列とは異なり、従って、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、または配列番号19に示されるヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質と同じ252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質をコードする核酸分子の使用をさらに含む。別の実施形態において、本発明の方法に含まれる単離された核酸分子は、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号12、配列番号15、配列番号18、または配列番号21に示されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
本発明の方法は、ヒト252、ヒト304、ヒト1980、ヒト14717、ヒト9941、ヒト19310、またはヒト17832の対立遺伝子改変体(例えば、機能的対立遺伝子改変体および非機能的対立遺伝子改変体)の使用をさらに含む。機能的対立遺伝子改変体は、ヒト252タンパク質、ヒト304タンパク質、ヒト1980タンパク質、ヒト14717タンパク質、ヒト9941タンパク質、ヒト19310タンパク質、またはヒト17832タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列改変体であって、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の活性を維持するアミノ酸配列改変体である。機能的対立遺伝子改変体は、代表的に、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号12、配列番号15、配列番号18、または配列番号21の1つ以上のアミノ酸の保存的置換、またはそのタンパク質の非必須領域における非必須残基の置換、欠失、もしくは挿入のみを含む。
非機能的対立遺伝子改変体は、ヒト252タンパク質、ヒト304タンパク質、ヒト1980タンパク質、ヒト14717タンパク質、ヒト9941タンパク質、ヒト19310タンパク質、またはヒト17832タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列改変体であって、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の活性を有さないアミノ酸配列改変体である。非機能的対立遺伝子改変体は、代表的には、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号12、配列番号15、配列番号18、または配列番号21のアミノ酸配列の非保存的な置換、欠失、もしくは挿入または未成熟短縮化(premature truncation)、あるいはこのタンパク質の必須残基または必須領域の置換、挿入、または欠失を含む。
本発明の方法は、ヒト252タンパク質、ヒト304タンパク質、ヒト1980タンパク質、ヒト14717タンパク質、ヒト9941タンパク質、ヒト19310タンパク質、またはヒト17832タンパク質の非ヒトオルソログをさらに使用し得る。ヒト252タンパク質、ヒト304タンパク質、ヒト1980タンパク質、ヒト14717タンパク質、ヒト9941タンパク質、ヒト19310タンパク質、またはヒト17832タンパク質のオルソログは、非ヒト生物から単離され、そして同じ252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の活性を有するタンパク質である。
本発明の方法は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、もしくは配列番号19のヌクレオチド配列またはそれらの一部を含む核酸分子であって、変異が導入されている核酸分子の使用をさらに包含する。変異は、「非必須」アミノ酸残基または「必須」アミノ酸残基でのアミノ酸置換を導き得る。「非必須」アミノ酸残基とは、その生物学的活性を変化することなく252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の野生型配列(例えば、配列番号3、配列番号6、配列番号9、配列番号12、配列番号15、配列番号18、または配列番号21の配列)から変化され得る残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性のために必要とされる。例えば、本発明の252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の間で保存されたアミノ酸残基は、変化を受容する可能性は低い。
変異は、標準技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)により配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、または配列番号19に導入され得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換が、1つ以上の予想される非必須アミノ酸残基でなされる。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるアミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当該分野において規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無荷電の極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。従って、好ましくは、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質において予想される非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖のファミリーからの別のアミノ酸残基で置換される。あるいは、別の実施形態において、変異は、例えば、飽和変異誘発(saturation mutagenesis)によって、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832のコード配列の全てまたは一部に沿って、ランダムに導入され得、そして得られた変異体は、活性を保持する変異体を同定するために、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832の生物学的活性についてスクリーニングされ得る。配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、または配列番号19の変異誘発の後、コードされたタンパク質が、組換え発現され得、そしてそのタンパク質の活性が、本明細書中に記載されたアッセイを用いて決定され得る。
本発明の別の局面は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号13、配列番号16、または配列番号19のヌクレオチド配列に対するアンチセンスである単離された核酸分子の使用に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的である(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的であるかまたはmRNA配列に相補的である)ヌクレオチド配列を含む。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸に水素結合し得る。アンチセンス核酸は、全長252コード鎖、全長304コード鎖、全長1980コード鎖、全長14717コード鎖、全長9941コード鎖、全長19310コード鎖、または全長17832コード鎖または、それらの一部のみに相補的であり得る。1実施形態において、アンチセンス核酸分子は、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対するアンチセンスである。用語「コード領域」とは、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいう。別の実施形態において、このアンチセンス核酸分子は、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対するアンチセンスである。用語「非コード領域」とは、コード領域に隣接する5’配列および3’配列であって、アミノ酸に翻訳されない配列をいう(5’および3’の非翻訳領域ともいう)。
本明細書中に開示される252、304、1980、14717、9941、19310、または17832をコードするコード鎖配列を考慮して、本発明のアンチセンス核酸は、WatsonおよびCrickの塩基対形成の法則に従って、設計され得る。アンチセンス核酸分子は、252mRNA、304mRNA、1980mRNA、14717mRNA、9941mRNA、19310mRNA、または17832mRNAの全コード領域に相補的であり得るが、より好ましくは、252mRNA、304mRNA、1980mRNA、14717mRNA、9941mRNA、19310mRNA、または17832mRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、252mRNA、304mRNA、1980mRNA、14717mRNA、9941mRNA、19310mRNA、または17832mRNAの翻訳開始部位の周辺領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を使用して、化学的合成および酵素的連結反応を使用して構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、あるいは分子の生物学的安定性を増大するように、またはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増大するように設計された、種々に改変されたヌクレオチドを使用して、化学的に合成され得る。例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る。アンチセンス核酸を生成するために使用され得る改変ヌクレオチドの例としては、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)および2,6−ジアミノプリン。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを使用して、生物学的に生成され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されるRNAは、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向のRNAである)。本発明の方法において使用されるアンチセンス核酸分子は、さらに、上記の第IV節において記載される。
なお別の実施形態において、本発明の方法において使用される252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子、または17832核酸分子は、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格において改変されて、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは可溶性を改善し得る。例えば、核酸分子のデオキシリボースリン酸骨格は、ペプチド核酸を生成するために改変され得る(Hyrup B.ら、(1996)Bioorganic&Medicinal Chemistry 4(1):5−23を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」すなわち「PNA」は、核酸模倣物(例えば、DNA模倣物)をいい、ここで、デオキシリボースリン酸骨格は、偽ペプチド骨格によって置換され、そして4種の天然の核酸塩基だけが維持される。PNAの中性の骨格は、低イオン強度の条件下で、DNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、標準的な固相ペプチド合成プロトコルを使用して、Hyrup B.ら、(1996)前出;Perry−O’Keefeら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.93:14670−675に記載されるように実施され得る。
252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子、または17832核酸分子のPNAは、本明細書中に記載される治療適用および診断適用において使用され得る。例えば、PNAは、例えば、転写もしくは翻訳の停止を誘導するか、または複製を阻害することによって、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンス因子またはアンチ遺伝子(antigene)因子として使用され得る。252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子、または17832核酸分子のPNAはまた、遺伝子中の単一塩基対の変異の分析において(例えば、PNA指向性のPCRクランピングによって);他の酵素と組み合わせて使用する場合には、「人工制限酵素」として(例えば、S1ヌクレアーゼ(Hyrup B.ら、(1996)前出));またはDNA配列決定もしくはハイブリダイゼーションのためのプローブもしくはプライマーとして(Hyrup B.ら、(1996)前出;Perry−O’Keefeら、(1996)前出)、使用され得る。
別の実施形態において、252、304、1980、14717、9941、19310、または17832のPNAは、(例えば、PNAの安定性または細胞取り込みを増強するために)、PNAに親油性もしくは他のヘルパー基を結合させることによってか、PNA−DNAキメラの形成によってか、またはリポソームもしくは当該分野で公知の他の薬物送達技術の使用によって、改変され得る。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を組み合わせ得る252核酸分子、304核酸分子、1980核酸分子、14717核酸分子、9941核酸分子、19310核酸分子、または17832核酸分子のPNA−DNAキメラが、生成され得る。このようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNAse HおよびDNAポリメラーゼ)に、DNA部分と相互作用させ、一方、PNA部分は、高い結合親和性および結合特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合の数および方向に関して選択される、適切な長さのリンカーを使用して、連結され得る(Hyrup B.ら、(1996)前出)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup B.ら、(1996)前出およびFinn P.J.ら、(1996)Nucleic Acids Res.24(17):3357−63に記載されるように実施され得る。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホロアミダイトカップリング化学および改変ヌクレオシドアナログを使用して、固体支持体上で合成され得る。例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホラミダイトが、PNAとDNAの5’末端との間として使用され得る(Mag、M.ら、(1989)Nucleic Acid Res.17:5973−88)。次いで、PNAモノマーは、段階的な様式でカップリングされて、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成する(Finn P.J.ら、(1996)前出)。あるいは、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いて合成され得る(Peterser、K.H.ら、(1975)Bioorganic Med.Chem.Lett.5:1119−11124)。
他の実施形態において、本発明の方法において使用されるオリゴヌクレオチドは、他の付随的な基(例えば、(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的化するための)ペプチド、または細胞膜を通る輸送を促進するための因子(例えば、Letsingerら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556;Lemaitreら、(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652;PCT公開番号WO88/09810を参照のこと)もしくは血液脳関門を通る輸送を促進するための因子(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照のこと)を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発性切断因子(例えば、Krolら、(1988)Bio−Techniques 6:958−976を参照のこと)またはインターカレート剤(例えば、Zon(1988)Pharm. Res.5:539−549を参照のこと)を用いて改変され得る。この目的で、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチドハイブリダイゼーション誘発性架橋剤、輸送因子またはハイブリダイゼーション誘発性切断因子)に結合体化され得る。
(VII.本発明の方法において使用される、単離された252タンパク質、単離された304タンパク質、単離された1980タンパク質、単離された14717タンパク質、単離された9941タンパク質、単離された19310タンパク質、または単離された17832タンパク質、および抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体、または抗17832抗体)
本発明の方法は、単離された252タンパク質、単離された304タンパク質、単離された1980タンパク質、単離された14717タンパク質、単離された9941タンパク質、単離された19310タンパク質、または単離された17832タンパク質およびこれらの生物学的に活性な部分、ならびに抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体、または抗17832抗体を惹起するための免疫原として使用されるのに適切なポリペプチドフラグメントの使用を包含する。1つの実施形態において、ネイティブの252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を使用する、適切な精製スキームによって、細胞供給源または組織供給源から単離され得る。別の実施形態において、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質は、組換えDNA技術によって生成される。組換え発現と代替的に、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質、あるいは252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチド、または17832ポリペプチドは、標準的なペプチド合成技術を使用して、化学的に合成され得る。
本明細書中で使用する場合、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の「生物学的に活性な部分」は、252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性、または17832活性を有する、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質のフラグメントを含む。252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、994タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の生物学的に活性な部分は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質のアミノ酸配列に十分に同一であるかまたはこれらに由来する、アミノ酸配列(例えば、全長の252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質より少ないアミノ酸を含み、かつ252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の少なくとも1つの活性を示す、配列番号3、6、9に示されるアミノ酸配列)を含むペプチドを含む。代表的には、生物学的に活性な部分は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフ(例えば、アポトーシス活性の調節に関与すると考えられている、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質のN末端領域)を含む。252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、25、50、75、100、125、150、175、200、250、300アミノ酸長以上である、ポリペプチドであり得る。252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の生物学的に活性な部分は、252活性、304活性、1980活性、14717活性、9941活性、19310活性、または17832活性を調節する薬剤を開発するための標的として使用され得る。
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質は、配列番号3、6、9、12、15、18、または21に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態において、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質は、配列番号3、6、9、12、15、18、または21に対して実質的に同一であり、そして配列番号3、6、9、12、15、18、または21のタンパク質の機能的活性を保持するが、上記第V節において詳細に記載されるように、天然の対立遺伝子変化または変異誘発に起因して、アミノ酸配列が異なる。従って、別の実施形態において、本発明の方法において使用される252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質は、配列番号3、6、9、12、15、18、または21に対して少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一なアミノ酸配列を含むタンパク質である。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、これらの配列は、最適比較目的で整列される(例えば、ギャップが、最適な整列のために、第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方に導入され得、そして非同一配列は、比較目的で無視され得る)。好ましい実施形態において、比較目的で整列される参照配列の長さは、参照配列の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも60%、およびさらにより好ましくは、少なくとも70%、80%または90%の長さである(例えば、500アミノ酸残基を有する、配列番号3、6、9、12、15、18、または21の252アミノ酸配列、304アミノ酸配列、1980アミノ酸配列、14717アミノ酸配列、9941アミノ酸配列、19310アミノ酸配列、または17832アミノ酸配列に、第二の配列を整列させる場合、少なくとも75、好ましくは少なくとも150、より好ましくは少なくとも225、なおより好ましくは少なくとも300およびなおより好ましくは少なくとも400またはそれ以上のアミノ酸残基が整列される)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドが、比較される。第1の配列における位置が、第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められる場合、これらの分子は、その位置で同一である(本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と等しい)。2つの配列間の同一性パーセントは、それらの配列により共有される同一の位置の数の関数である(2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要のある、ギャップの数、および、各ギャップの長さが考慮される)。
配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成され得る。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)中のGAPプログラムに組み込まれたNeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.48:444−453(1970))のアルゴリズムを用い、Blosum 62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれか、ならびにギャップウェイト16、14、12、10、8、6、または4およびレングスウェイト(length weight)1、2、3、4、5、または6を用いて決定される。さらに別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)中のGAPプログラムを用い、NWSgapdna.CMPマトリクスならびにギャップウェイト40、50、60、70、または80およびレングスウェイト1、2、3、4、5、または6を用いて決定される。別の実施形態において、2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0または2.0U)に組みこまれたE.MeyersおよびW.Miller(Comput.Appl.Biosci.4:11−17(1988))のアルゴリズムを使用し、PAM120ウェイトレジデューテーブル(weight redidue table)、ギャップレングスペナルティー12、およびギャップペナルティー4を用いて決定され得る。
本発明の方法はまた、252キメラタンパク質、304キメラタンパク質、1980キメラタンパク質、14717キメラタンパク質、9941キメラタンパク質、19310キメラタンパク質、または17832キメラタンパク質、あるいは252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質、または17832融合タンパク質を使用し得る。本明細書中で使用される場合、252、304、1980、14717、9941、19310、もしくは17832の「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非252ポリペプチド、非304ポリペプチド、非1980ポリペプチド、非14717ポリペプチド、非9941ポリペプチド、非19310ポリペプチド、または非17832ポリペプチドに作動可能に連結された、252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチド、または17832ポリペプチドを含む。「252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチド、または17832ポリペプチド」は、252分子、304分子、1980分子、14717分子、9941分子、19310分子、または17832分子に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、一方、「非252ポリペプチド、非304ポリペプチド、非1980ポリペプチド、非14717ポリペプチド、非9941ポリペプチド、非19310ポリペプチド、または非17832ポリペプチド」は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質に実質的に相同でないタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチド(例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質とは異なり、かつ同じ生物または異なる生物由来のタンパク質)をいう。252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質または17832融合タンパク質において、252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチド、または17832ポリペプチドは、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の全てまたは一部に対応し得る。好ましい実施形態において、252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質または17832融合タンパク質は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。別の好ましい実施形態において、252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質または17832融合タンパク質は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質において、用語「作動可能に連結した」は、252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチド、または17832ポリペプチドおよび非252ポリペプチド、非304ポリペプチド、非1980ポリペプチド、非14717ポリペプチド、非9941ポリペプチド、非19310ポリペプチド、または非17832ポリペプチドは、互いにインフレームで融合されることを示すことが意図される。非252ポリペプチド、非304ポリペプチド、非1980ポリペプチド、非14717ポリペプチド、非9941ポリペプチド、非19310ポリペプチド、または非17832ポリペプチドは、252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチド、または17832ポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
例えば、1つの実施形態において、融合タンパク質は、GST−252融合タンパク質、GST−304融合タンパク質、GST−1980融合タンパク質、GST−14717融合タンパク質、GST−9941融合タンパク質、GST−19310融合タンパク質またはGST−17832融合タンパク質であり、ここで、252配列、304配列、1980配列、14717配列、9941配列19310配列、または17832配列が、GST配列のC末端に融合されている。このような融合タンパク質は、組換え252、組換え304、組換え1980、組換え14717、組換え9941、組換え19310、または組換え17832の精製を容易にし得る。
別の実施形態において、この融合タンパク質は、そのN末端において異種シグナル配列を含む252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、252、304、1980、14717、9941、19310の発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用によって増大され得る。
本発明の方法において使用される252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質または17832融合タンパク質は、薬学的組成物中に組み込まれ得、そして被験体にインビボで投与され得る。252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質または17832融合タンパク質は、252基質、304基質、1980基質、14717基質、9941基質、19310基質または17832基質のバイオアベイラビリティーに影響を与えるために使用され得る。252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質または17832融合タンパク質の使用は、例えば、以下によって引き起こされる障害の処置のために治療的に有用であり得る:(i)252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質をコードする遺伝子の異常な改変または変異;(ii)252遺伝子、304遺伝子、1980遺伝子、14717遺伝子、9941遺伝子、19310遺伝子または17832遺伝子の誤調節;ならびに(iii)252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の異常な翻訳後修飾。
さらに、本発明の方法において使用される252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質または17832融合タンパク質は、被験体において抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体または抗17832抗体を産生するための免疫原として、252リガンド、304リガンド、1980リガンド、14717リガンド、9941リガンド、19310リガンドまたは17832リガンドを精製するために、そして252、304、1980、14717、9941、19310、または17832と、252基質、304基質、1980基質、14717基質、9941基質、19310基質または17832基質との相互作用を阻害する分子を同定するためのスクリーニングアッセイにおいて、使用され得る。
好ましくは、本発明の方法において使用される252キメラタンパク質、304キメラタンパク質、1980キメラタンパク質、14717キメラタンパク質、9941キメラタンパク質、19310キメラタンパク質、もしくは17832キメラタンパク質または252融合タンパク質、304融合タンパク質、1980融合タンパク質、14717融合タンパク質、9941融合タンパク質、19310融合タンパク質、または17832融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術によって産生される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントは、従来技術に従って、例えば、連結のために平滑末端または付着末端を使用し、適切な末端を提供するための制限酵素消化を使用し、適切な場合粘着末端をフィルイン(fill−in)し、所望でない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理を使用し、そして酵素的連結を使用することによって一緒にインフレームで連結される。別の実施形態において、融合遺伝子は、自動化DNA合成機を含む従来技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、引き続いてアニーリングおよび再増幅されてキメラ遺伝子配列を生成し得る2つの連続遺伝子フラグメント間の相補的突出を生じるアンカープライマーを使用して実施され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら、編、John Wiley&Sons:1992を参照のこと)。さらに、すでに融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をコードしている多くの発現ベクターが市販されている。252コード核酸、304コード核酸、1980コード核酸、14717コード核酸、9941コード核酸、19310コード核酸、または17832コード核酸は、この融合部分が、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質にインフレームで連結されるように、このような発現ベクター中にクローニングされ得る。
本発明はまた、252アゴニスト、304アゴニスト、1980アゴニスト、14717アゴニスト、9941アゴニスト、19310アゴニストまたは17832アゴニスト(模倣物)、あるいは252アンタゴニスト、304アンタゴニスト、1980アンタゴニスト、14717アンタゴニスト、9941アンタゴニスト、19310アンタゴニストまたは17832アンタゴニストのいずれかとして機能する、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の改変体の使用に関する。252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の改変体は、変異誘発(例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の別個の点変異または短縮)によって生成され得る。252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質のアゴニストは、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性と実質的に同じ生物学的活性またはそのサブセットを保持し得る。252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質のアンタゴニストは、例えば、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の、252、304、1980、14717、9941、19310または17832媒介性の活性を拮抗的に調節することによって、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の天然に存在する形態の活性の1以上を阻害し得る。従って、特定の生物学的効果は、機能が限定された改変体を用いる処置によって誘発され得る。1つの実施形態において、タンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性のサブセットを有する改変体を用いる被験体の処置は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の天然に存在する形態を用いた処置と比較して、被験体における副作用がより小さい。
1つの実施形態において、252アゴニスト、304アゴニスト、1980アゴニスト、14717アゴニスト、9941アゴニスト、19310アゴニストまたは17832アゴニスト(模倣物)、あるいは252アンタゴニスト、304アンタゴニスト、1980アンタゴニスト、14717アンタゴニスト、9941アンタゴニスト、19310アンタゴニストまたは17832アンタゴニストのいずれかとして機能する、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の改変体は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性について、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の変異体(例えば、短縮変異体)のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって、同定され得る。1つの実施形態において、252改変体、304改変体、1980改変体、14717改変体、9941改変体、19310改変体または17832改変体の多様なライブラリーは、核酸レベルでのコンビナトリアル変異誘発によって生成され、そして多様な遺伝子ライブラリーによってコードされる。252改変体、304改変体、1980改変体、14717改変体、9941改変体、19310改変体または17832改変体の多様なライブラリーは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することによって生成され得、その結果、潜在的な252配列、304配列、1980配列、14717配列、9941配列、19310配列または17832配列の縮重セットは、個々のポリペプチドとしてか、あるいはその中に252配列、304配列、1980配列、14717配列、9941配列、19310配列または17832配列のセットを含むより大きい融合タンパク質のセットとして(例えば、ファージディスプレイについて)発現可能である。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的な252改変体、304改変体、1980改変体、14717改変体、9941改変体、19310改変体または17832改変体のライブラリーを生成するために使用され得る、種々の方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学的合成は、自動化DNA合成機において実施され得、次いで、この合成遺伝子は、適切な発現ベクター中に連結され得る。遺伝子の縮重セットの使用は、潜在的な252配列、304配列、1980配列、14717配列、9941配列、19310配列または17832配列の所望のセットをコードする全ての配列を1つの混合物中で提供することを可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法は、当該分野で公知である(例えば、Narang、S.A.(1983)Tetrahedron 39:3;Itakuraら、(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakuraら、(1984)Science 198:1056;Ikeら、(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照のこと)。
さらに、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のタンパク質コード配列のフラグメントのライブラリーは、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選択のために、252フラグメント、304フラグメント、1980フラグメント、14717フラグメント、9941フラグメント、19310フラグメントまたは17832フラグメントの多様な集団を生成するために使用され得る。1つの実施形態において、コード配列フラグメントのライブラリーは、252コード配列、304コード配列、1980コード配列、14717コード配列、9941コード配列、19310コード配列または17832コード配列の二本鎖PCRフラグメントを、ニック形成が1分子当たりほぼ1回だけ生じるような条件下でヌクレアーゼで処理し、二重鎖DNAを変性し、異なるニック形成産物由来のセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成するためにDNAを再生し、S1ヌクレアーゼでの処理によって、再形成された二重鎖から一本鎖部分を除去し、そして得られたフラグメントライブラリーを発現ベクター中に連結することによって、生成され得る。この方法によって、種々のサイズの252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質のN末端フラグメント、C末端フラグメントおよび内部フラグメントをコードする、発現ライブラリーが誘導され得る。
点変異または短縮によって作成されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするためのいくつかの技術、および選択された特性を有する遺伝子産物についてのcDNAライブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技術が、当該分野で公知である。このような技術は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質のコンビナトリアル変異誘発によって生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングのために適合可能である。大きい遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための高スループットの分析に使用されやすい、最も広く使用される技術は、代表的に、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクター中にクローニングする工程、ベクターの得られたライブラリーで適切な細胞を形質転換する工程、および所望の活性の検出が、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下でコンビナトリアル遺伝子を発現する工程を包含する。再帰的アンサンブル変異誘発(recursive ensemble mutagenesis (REM))(これは、ライブラリー中の機能的変異体の頻度を増強する新たな技術である)は、252改変体、304改変体、1980改変体、14717改変体、9941改変体、19310改変体または17832改変体を同定するためのスクリーニングアッセイと組み合わせて使用され得る(ArkinおよびYourvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgraveら、(1993)Protein Engineering 6(3):327−331)。
本発明の方法はさらに、抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体または抗17832抗体の使用を包含する。単離された252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質、またはその部分もしくはそのフラグメントは、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体調製のための標準的技術を用いて、252、304、1980、14717、9941、19310または17832と結合する抗体を生成するための免疫原として使用され得る。全長252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質が使用され得るか、または、代わりに252、304、1980、14717、9941、19310または17832の抗原性ペプチドフラグメントが、免疫原として使用され得る。252、304、1980、14717、9941、19310または17832の抗原性ペプチドは、配列番号3,6,9に示されるアミノ酸配列の少なくとも8つのアミノ酸残基を含み、そしてそのペプチドに対して励起される抗体が、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質と特異的免疫複合体を形成するように252、304、1980、14717、9941、19310または17832のエピトープを含む。好ましくは、その抗原ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基を含み、より好ましくは、少なくとも15個のアミノ酸残基を含み、よりさらに好ましくは、少なくとも20個のアミノ酸残基を含み、そして、最も好ましくは、少なくとも30個のアミノ酸残基を含む。
抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、タンパク質の表面(例えば、親水性領域、および高い抗原性を有する領域)に位置する252、304、1980、14717、9941、19310または17832の領域である。
252免疫原、304免疫原、1980免疫原、14717免疫原、9941免疫原、19310免疫原または17832免疫原は、代表的には、適切な被験体(例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)をその免疫原で免疫することによって抗体を調製するために使用される。適切な免疫原性製調製物は、例えば、組み換え法で発現される252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質または化学合成252ポリペプチド、304ポリペプチド、1980ポリペプチド、14717ポリペプチド、9941ポリペプチド、19310ポリペプチドまたは17832ポリペプチドを含み得る。調製物はさらに、フロインドの完全アジュバントまたは不完全アジュバント、または同様な免疫刺激性試薬のようなアジュバントを含み得る。適切な被験体を、免疫原性252調製物、304調製物、1980調製物、14717調製物、9941調製物、19310調製物または17832調製物で免疫することによって、ポリクローナル抗252抗体反応、ポリクローナル抗304抗体反応、ポリクローナル抗1980抗体反応、ポリクローナル抗14717抗体反応、ポリクローナル抗9941抗体反応、ポリクローナル抗19310抗体反応またはポリクローナル抗17832抗体反応が誘導される。
本明細書中で使用される用語「抗体」は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫的に活性部位(すなわち、252、304、1980、14717、9941、19310または17832のような抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子)をいう。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部位の例は、(例えば、ペプシンのような)酵素で、抗体を処理することによって生成され得るF(ab)フラグメントおよびF(ab’)2フラグメントを包含する。本発明は、252分子、304分子、1980分子、14717分子、9941分子、19310分子または17832分子と結合するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832の特定エピトープと免疫反応することができる抗原結合部位の1つの種のみを含む抗体分子の集団をいう。従って、モノクローナル抗体組成物は、代表的には、それが免疫反応する特定の252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質または17832タンパク質に対して単一結合親和性を示す。
ポリクローナル抗252抗体、ポリクローナル抗304抗体、ポリクローナル抗1980抗体、ポリクローナル抗14717抗体、ポリクローナル抗9941抗体、ポリクローナル抗19310抗体またはポリクローナル抗17832抗体は、上記に記載のように、適切な被験体を、252免疫原、304免疫原、1980免疫原、14717免疫原、9941免疫原、19310免疫原または17832免疫原で免疫することによって、調製され得る。免疫される被験体中における抗252抗体力価、抗304抗体力価、抗1980抗体力価、抗14717抗体力価、抗9941抗体力価、抗19310抗体力価または抗17832抗体力価は、標準的技術(例えば、免疫化252、304、1980、14717、9941、19310または17832を用いる、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))のような)によって経時的にモニターされ得る。所望であれば、252、304、1980、14717、9941、19310または17832に対して指向された抗体分子は、(例えば、血液から)哺乳動物から単離され得、さらに、IgG画分を得るための、プロテインAクロマトグラフィーのような、周知の技術によって精製され得る。免疫後の適切な時間で、例えば、抗252抗体力価、抗304抗体力価、抗1980抗体力価、抗14717抗体力価、抗9941抗体力価、抗19310抗体力価または抗17832抗体力価が最高のときに、抗体産生細胞は、被験体から得られ得、そして例えば、KohlerおよびMilstein(1975)Nature256;495−497に初めに記載されるハイブリドーマ技術のような標準的技術によって、モノクローナル抗体を調製するために使用され得る(Brownら(1981)J.Immunol.127;539−46;Brownら(1980)J.Biol.Chem.255:4980−83;Yehら(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:2927−31;およびYehら(1982)Int.J.Cancer 29:269−75),より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunol Today 4:72),EBVハイブリドーマ技術(Coleら(1985)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss,Inc.,77−96頁)またはトリオーマ技術もまた参照のこと)。モノクローナル抗体ハイブリドーマを産生するための技術は周知である(一般的に、Kenneth,R.H.Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses,Plenum Publishing Corp.,New York,New York(1980);Lerner,E.A.(1981)Yale J.Biol.Med.54:387−402;Gefter,M.L.ら(1977)Somatic Cell Gent.3:231−36を参照のこと)。要するに、不死化細胞株(代表的には骨髄腫細胞)が、上記に記載のように、252免疫原、304免疫原、1980免疫原、14717免疫原、9941免疫原、19310免疫原または17832免疫原で免疫される哺乳動物からのリンパ球(代表的には脾臓細胞)と融合され、そして得られるハイブリドーマ細胞の培養上清は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832と結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定するために、スクリーニングされる。
リンパ球と不死化細胞株とを融合するために使用される任意の多くの周知のプロトコルが、抗252モノクローナル抗体、抗304モノクローナル抗体、抗1980モノクローナル抗体、抗14717モノクローナル抗体、抗9941モノクローナル抗体、抗19310モノクローナル抗体、または抗17832モノクローナル抗体を生成する目的で使用され得る(例えば、G.Galfreら(1977)Nature 266:55052;Gefterら(1977)前述;Lerner(1981)前述;およびKenneth(1980)前述を参照のこと)。さらに、当業者は、これもまた有用であるような方法の多くのバリエーションがあることを認識する。代表的には、不死化細胞株(例えば、骨髄腫細胞)は、リンパ求と同じ哺乳動物種に由来する。例えば、マウスハイブリドーマは、本発明の免疫原性調製物で免疫されたマウスからのリンパ球と、不死化マウス細胞株とを融合することによって作製され得る。好ましい不死化細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(を含む培養培地「HAT培地」)に感受性であるマウス骨髄細胞株である。任意の多くの骨髄細胞株(例えば、P3−NS1/1−Ag4−1,P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14骨髄細胞株)は、標準的技術(に従って、融合パートナーとして使用され得る。このような骨髄細部株は、ATCCから入手可能である。代表的に、HAT感受性マウス骨髄細胞は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を用いて、マウス脾臓細胞と融合される。その融合から生じるハイブリドーマ細胞は、次にHAT培地を用いて選択され、その培地は、融合されない骨髄腫細胞および非増殖的に融合した骨髄細胞を殺す(融合しなかった脾臓細胞は、形質転換されていないので、数日後に死ぬ)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、(例えば、標準的なELISAアッセイを用いて)252、304、1980、14717、9941、19310または17832と結合する抗体のハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって、検出される。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代わりに、抗252モノクローナル抗体、抗304モノクローナル抗体、抗1980モノクローナル抗体、抗14717モノクローナル抗体、抗9941モノクローナル抗体、抗19310モノクローナル抗体、または抗17832モノクローナル抗体は、252、304、1980、14717、9941、19310または17832を用いて組み換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングすることによって、同定および単離され得、それによって252、304、1980、14717、9941、19310または17832と結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離する。ファージディスプレイライブラリーを生成およびスクリーニングするためのキットは、市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System,カタログ番号27−9400−01;およびStratagene SurfZAP(登録商標)Phage Display Kit,カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーを生成およびスクリーニングする使用のために特に適した方法および試薬の例は、例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Kangら、PCT国際公開番号WO92/18619;DowerらPCT国際公開番号WO91/17271;WnterらPCT国際公開番号WO92/20791;MarklandらPCT国際公開番号WO92/15679;BreitlingらPCT国際公開番号WO93/01288;McCaffertyら,PCT国際公開番号WO92/01047;GarrardらPCT国際公開番号WO92/09690;LadnerらPCT国際公開番号WO90/02809;Fuchsら(1991)Bio/Technology 9:1370−1372;Hayら(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:81−85;Huseら(1989)Science 246:1275−1281;Griffithsら(1993)EMBO J 12:725−734;Hawkinsら(1992)J.Mol.Biol.226:889−896;Clarksonら(1991)Nature 352:624−628;Gramら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3576−3580;Garradら(1991)Bio/Technology 9:1373−1377;Hoogenboomら(1991)Nuc.Acid Res.19:4133−4137;Barbasら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7978−7982;およびMcCaffertyら(1990)Nature 348:552−554)において見られ得る。
さらに、キメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体のような、ヒト部分および非ヒト部分の両方を包含し、標準的な組み換えDNA技術を用いて作製され得る、組み換え抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体、または抗17832抗体は、本発明の方法の範囲内である。そのようなキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野で公知の組み換えDNA技術、例えば、Robinsonら、国際出願番号PCT/US86/02269;Akiraら、欧州特許出願第184,187号;Taniguchi,M.,欧州特許出願第171,496号;Morrisonら,欧州特許出願第173,494号;Neubergerら,PCT国際公開番号WO86/01533;Cabillyら,米国特許第4,816,567号;Cabillyら,欧州特許出願第125,023号;Betterら(1988)Science 240:1041−1043;Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443;Liuら(1987)J.Immunol.139:3521−3526;Sunら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218;Nishimuraら(1987)Canc.Res.47:999−1005;Woodら(1985)Nature 314:446−449;Shawら(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559;Morrison,S.L.(1985)Science 229:1202−1207;Oiら(1986)BioTechniques4:214;Winter米国特許第5,225,339号;Johnesら(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyanら(1988)Science 239:1534;およびBeidlerら(1988)J.Immunol.141:4053−4060に記載される方法を用いて産生され得る。
抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体、または抗17832抗体は、252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質の存在量および発現パターンを評価するために、(例えば、細胞溶解物または細胞上清中の)252タンパク質、304タンパク質、1980タンパク質、14717タンパク質、9941タンパク質、19310タンパク質、または17832タンパク質を検出するために使用され得る。抗252抗体、抗304抗体、抗1980抗体、抗14717抗体、抗9941抗体、抗19310抗体、または抗17832抗体は、臨床試験手順(例えば、所定の処置レジメンの効率を決定するために)の一部として、組織におけるタンパク質のレベルをモニタリングするために診断的に使用され得る。検出は、検出可能な物質に抗体を結合させる(すなわち、物理的連結)ことによって促進され得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、□−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子団複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ;そして適切な放射活物質の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hが挙げられる。
本発明はさらに、限定と解釈されるべきではない以下の実施例によって例示される。本願、ならびに図面および配列表を通して引用される全ての参考文献、特許および公開された特許出願の内容は、本明細書中に参考として援用される。