JP2005512023A - 遠隔遺伝子分析及び診察用のシステム、方法及びキット - Google Patents

遠隔遺伝子分析及び診察用のシステム、方法及びキット Download PDF

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Abstract

遺伝子検査用の方法、システム及びキット。特に、遺伝子源材料の取得が、その材料の検査及び結果の解釈を行う場所とは異なる場所で行われる状況で用いる方法、システム及びキット。

Description

本発明は、遺伝子源材料のサンプリング及び検査を、結果の分析及び結果に基づく診察報告書の作成とは異なる場所で、遺伝子源材料の採取及び試験を行うことを可能とする機能を含む、遺伝子の検査、分析及び診察を簡略化し改善するシステム及び方法に関する。
分子診断は、病気を媒介するすべてのタンパク質の鋳型である核酸、DNA及びRNAの両方の核酸を検査することによって人間の病気を特徴づけることを伴なう。現在、分子診断では、ゲノムを構成するヌクレオチド配列に固有の変化について、DNAを抽出し、改変し、分析するための様々な技術的な手法を用いることが必要である。突然変異又は多型と呼ぶこれらの変化は、ヒトとして我々が誰であり、我々の間の違いは何なのかを決める基礎であり、それらの一部は病気の原因になる。
一般に、大部分の遺伝子検査は、1)試料の取得、2)核酸の精製、3)遺伝子化学処理、4)データの解釈、5)解釈結果の報告という5つの主要なステップ又はプロセスを含む。(1)体質的又は遺伝性疾患、(2)癌などの後天性疾患、(3)感染症、及び(4)遺伝的素因性疾患を含む4つの遺伝子検査の範疇があるが、それらの検査を実施する技術的な熟練度、並びに検査の情報を解釈して利用可能な結果にする医学的専門知識は、異なっている。
利用可能な遺伝子検査の数は著しく増加しているが、既存の検査の大部分は、希で極めて難解なタイプの疾患用のものである。これらの検査は、それぞれ複雑で従来からコストが高いので、大部分の遺伝子検査は、比較的数が少ない集約化された検査室で行われている。一般に地域の検査室、病院又は診療所で行われる試料の取得以外は、上記の集約化された検査室が、その検査室のある場所で必要なすべての遺伝子検査ステップを行う。本発明の目的は、病院及び診療所内に見られる比較的小規模で、最新設備がそれほど整っていない検査室で、コスト効果が高い最新の遺伝子検査法を利用可能にすることである。
このような業務を行うには適さないと以前は考えられていた場所に最新の遺伝子検査を導入するために、本発明では、遺伝子検査における様々なステップを、サンプルを収集する場所の近くで実施するものと、検査を解釈する場所に関連するものとに分割する。テレメディスンモデルを用いることで、検査専門知識を有する中央サイト(central location)に検査結果を送信する。
具体的には、本発明は、遺伝子検査プロセスを簡略化し改善して、遺伝子源材料の検査を、結果の分析及び遺伝子検査結果報告書の作成とは異なる場所で安全で効果的に行うことができるようにし、それによって、より多くの臨床検査室がこのような検査を行うことを可能にするシステム及び方法を含む。本発明は、患者に関する追加の情報を収集すること、並びにこのような情報を遺伝子検査結果とともに用いて、医師と患者に、より完全で有用な結果及びフィードバックが提供できる、システム及び方法に関する。
本発明では、検査及び報告書の精度、質及び患者のプライバシーを確保するために、ハードウェア、ソフトウェア、通信リンク、遺伝学的及び医学的な専門知識及び品質管理をコンピュータ化した制御システムとして実施することができる。本発明は、試料の取得及び核酸の精製、遺伝子化学処理、データ収集、データ検証、データ送信、データの解釈及び解釈結果の報告というプロセスのすべて又は一部を行うために、ネットワーク化され、コンピュータ化された機器を使用するシステム及び方法を含み得る。特定のネットワーク用ハードウェア又はソフトウェアを選択することは、以下で具体的に説明する以外は本発明の範囲に不可欠なことではない。
本発明の一の態様は、(既存のキットの改善を含めて)様々な試料取得タイプに対応することができる特別に設計された遺伝子検査キットであり、遺伝子検査に必要な核酸抽出及び遺伝子化学処理のためのコンポーネントを含む。好ましい実施形態では、サンプル試料が極めて微量でも、大量の投入DNAサンプルが得られる可能性を高くするために核酸の抽出処理を増強する。別の好ましい実施形態では、急速抽出法の利用に基づくアッセイを行うために核酸抽出指示を増強する。別の好ましい実施形態は、アッセイのより良いコントロールと、プロトコール操作の簡略化によって、遺伝子検査プロトコールの(PCR又は非PCR)遺伝子化学処理ステップを簡略化するキットである。このような結果を実現する一の方法は、指示に従うことがより容易になるように機器を選択し、アッセイを構成することである(たとえば、スタックラックとその他のキット要素の配置)。別の好ましい実施形態では、このキットにより、(i)様々な試薬の混合物の集合物を形成すること、(ii)コントロールを予め使用者用のそれぞれのウェルに分取しておくこと、(iii)コントロールをゲノムDNAの利用に基礎付けることによってコントロールを改善すること、のうち1つ又は複数を実施することによって非PCR遺伝子化学技術が改善される。
本発明の別の態様は、遠隔サイトのデータベースから、PCR遺伝子データ及び/又は非PCR遺伝子データなどの遺伝子化学処理によって生成された関連するすべての遺伝子データを、自動的に収集するか、あるいは遠隔サイト又は中央サイトから起動して収集する遺伝子検査データ収集プロセス及びシステムである。
本発明の別の態様は、必要とされた遺伝子検査及び他の関連するファクタに基づいて、その患者に関して収集又は要求する患者及び他の関連情報を決定する遺伝子検査データ収集プロセス又はシステムである。このようなデータには、非限定的に、患者の料金請求情報、他の患者の遺伝子データ、標準医療記録データ、患者の健康状態を特徴づける身体的な特徴、過去の検査室での検査、身体検査又は特別な調査、有資格医療専門家からのコメント並びに患者の家族歴及び家系に関連するその他の情報、患者の環境状況に関する情報(たとえば、患者の居住地域、有害物質への曝露及び気候ファクタなどの環境エフェクタ)、遺伝型データに相関させるとデータを単独で考慮する場合に比べてゲノム検査プロセスを改善する任意の他の情報を含めることができる。好ましい実施形態では、このプロセス又はシステムは、任意の遠隔サイトデータベースから、入手可能な他の任意の遺伝子技術データ(たとえば、比色、蛍光、放射性同位元素又は他の方法で表現された生体分子信号出力からの写真又はデジタル画像データ)からの関連するすべての遺伝子データを(自動的に、あるいは遠隔サイト又は中央サイトから起動して)収集又は解析することができる。別の好ましい実施形態では、このプロセス又はシステムは、遠隔サイトデータベースから、関連する患者のデータを、このような情報が入手可能な範囲で(自動的に、あるいは遠隔サイト又は中央サイトから起動して)自動的に収集又は解析することができる。別の好ましい実施形態では、このプロセス又はシステムは、システムで作成される同意書の書式、インターネット上で記入する書式、又は検査施設への電子メール、あるいは任意の他の等価なデータ収集技術の形で、検査要求者(たとえば医師)からの要求書及び/又は関連する患者データを作成する。別の好ましい実施形態では、このプロセス又はシステムは、生データ、すなわち未処理の関連患者データを、他の必要なデータ要素の送信準備が整ったときに収集することができる。
本発明の別の実施形態は、遺伝子検査データ収集プロセス又はシステムによって収集された遺伝子検査情報の適合性を決める遺伝子検査データ検証サブプロセス又はサブシステムである。このシステム又はプロセスは、たとえば、遺伝子検査データ収集プロセス又はシステムによって収集された他の関連する患者データが適切かつ完全であり、その他の点でも送信する準備が整っているかどうか決定することを含み得る。別の例では、このシステム又はプロセスは、遺伝子検査データ収集プロセス又はシステムによって収集された関連する患者データが不適切かつ不完全であり、その他の点でも送信する準備が整っていない場合、データの誤りや不整合性及び補正勧告を説明する報告書を遠隔サイトで作成することができる。
本発明の別の態様は、遺伝子検査データ検証プロセス又はシステムによって検証された関連する患者データの一部又はすべてを電子的に送信する準備をするデータ送信準備サブプロセス又はサブシステムである。好ましい一の実施形態では、送信に先立ち、患者を特定するすべての情報を隠し、かつ/又は暗号化して、患者が特定されるのを防ぐ。別の好ましい実施形態では、送信に先立ち、このサブシステム又はサブプロセスは、収集されたすべてのデータを複数の2つのファイルに分割する。たとえば、1つのファイルには、患者を特定するが秘密ではない情報を含め、別のファイルには、他の秘密情報ではあるが患者を特定しない情報を含めることができる。このシステムでは、これらのファイルの一方又は両方を暗号化することができる。別の好ましい実施形態では、送信に先立ち、収集されたすべてのデータを、更に大きく改変せずに単に暗号化する。
本発明の別の態様は、収集されたすべてのデータを中央サイトに送信するデータ送信サブプロセス又はサブシステムである。このデータ送信は、遠隔サイト又は中央サイトから起動することができる。いずれの場合でも、上記で説明したように生成かつ/又は暗号化した別々のファイルを異なる時間に、かつ/又は異なる通信チャネルで送信することができる(たとえば、別々のファイルに1つ又は複数の仮想私設ネットワークを使用することができる)。データを集めてバッチにして、中央サイトに速く効率的に送信することが好ましいが必要条件ではない。
本発明の別の態様は、中央サイトにおいて、患者情報を電子的に受信し、その情報の初期妥当性検査を行う解釈プロセス又はシステムである。たとえば、有資格健康管理専門家による検討及び妥当性検査を行うために、予備遺伝子検査診断を実施することができる。予備遺伝子検査診断の後、この解釈プロセス又はシステムによって、自動的な遺伝子検査結果の(他の関連する患者情報と組み合わせによる)検討、分析を行なうことを含むことが好ましく、それは有資格健康管理専門家による検討、確認を含む。
別の好ましい実施形態では、エキスパートシステムにより、個々の遺伝子検査に関する自然言語による説明が生成される。これらの説明は、このような検査の適切な臨床応用例及び重要性を教示し、このような検査の利用法についての特定の問い合わせに答え、このような検査を個人に適用したときに、その結果について正規の状況別解釈を提供することを含めて(ただし、これらに限定されるものではない)、様々な目的に用いることができる。
このエキスパートシステムの好ましい(ただし、必要条件ではない)実施形態は、1つ又は複数の以下のコンポーネントを備える。
a)関連する遺伝学的な状態についての最新の知識を含むエキスパートデータベース。このような知識の対象には、ある種の遺伝パターンの人体での発現から生じる異常、このような発現を引き起こす基礎となる機序;遺伝型、性別及び年齢などのヒトの状態がこれらの異常の発現の可能性及び程度に及ぼす影響;投薬、処置、食餌療法及び生活選択がこれらの異常の発現の可能性及び程度に及ぼす影響;このような発現に対して賢明と思われる、又は賢明と考えられる標準医療慣行への推奨される適応;このような異常を発現する可能性のある人々に対して推奨される一般的な健康習慣(health practice)、ある異常に対する遺伝的な説明を更に完全に特徴づけるためのさらなる検査勧告;及び既知の遺伝型を有する人々の血縁者に対する健康に関連する勧告があり得る。
b)遺伝子検査、遺伝的異常によって発現する異常、並びに生活状態、習慣及び選択がこれらの異常の起こり得る発現に及ぼす影響についての説明を求めるためにアクセスできる電子システムに対するインターフェース。
c)遺伝的異常について検査中の人々及びこの検査によって決定され得られた遺伝型に関する人口統計的な情報及び特定の状態についての情報を含む電子システムに対するインターフェース。
d)上記インターフェースに送られた情報を一時的に保持し、以下に説明する制御機構が利用できるようにするデータ記憶サブシステム。
e)このデータ記憶サブシステムの内容を調べ、この内容に基づいて、エキスパートデータベースから適切なデータを集めて一貫した説明又は解釈にする制御機構。
f)データベースの出力を閲覧可能にするか、あるいは印刷可能な報告書の一部を作成させるための表示及び/又は報告出力モジュール。
好ましい一の実施形態では、このエキスパートデータベースは、特定の遺伝子検査ごとに遺伝子検査の存在論(ontology)における関連要素に論理的に対応する区画に分割される。別の好ましい実施形態では、1つ又は複数の論理的区画に記憶された情報は、検査中の患者に関する状態情報に応じて、かつ上記制御機構の制御下で、出力として表現できるあるいはできない可変成分を含む。別の好ましい実施形態では、このエキスパートデータベースにより、(遺伝学カウンセラーなどの)内容に関するエキスパートが、これらの区画の1つ又は複数に情報を付加することができ、したがって、コンピュータプログラミング要員が更に介在する必要なしに、このような情報を説明及び解釈に含めるために利用することができる。
本発明の別の態様は、検査を解釈した後で、医学用語で遺伝子検査の解釈結果について報告書を自動的に作成する報告サブプロセス又はサブシステムである。それに加えて、分析結果を医学的かつ/又は遺伝学的な用語で記述する説明的な遺伝子検査結果を含む包括的な報告書を含むことが好ましく、患者の前後関係情報と、検査中の疾患に関する遺伝型がこの前後関係データにどんな影響(もしあれば)を及ぼすかとを認識する記述;疾患のリスクと、その遺伝型結果を仮定した場合のこのリスクの改変と、(このようなリスクの改変を既知と仮定した場合の)前後関係データとに関する記述、及び治療又は予後に存在し得る影響の記述のうち、少なくとも一部を含み得るコメントセクションを更に含むことが好ましい(但し、必要条件ではない)。好ましい実施形態では、任意の電子的その他の技術(たとえば、インターネットを介した直接ダイヤルアップなどを用いたパスワードタイプの認証)を利用して、遠隔検査サイトにおいてしかアクセスできないデータベースに(上記報告書を含めて)情報を入力することができる。別の好ましい実施形態では、ハードコピー又は電子文書の送信技術(たとえば、文書を添付した、又は添付なしの電子メール)によって、中央サイトから遠隔サイト(又は患者)に報告書を送信する。
本発明の別の態様は、遺伝子ベースの検査用の統合検査キットである。この統合検査キットにより、簡便さ、使い易さ及び遺伝子検査結果の質の向上が得られ、遺伝子検査の技術的な態様を実施する際に検査室の助けとなる。このキットは、それ自体で用いることもできるし、インターネットベースの診察及び報告を含む統合遺伝子検査システムの一部として用いることもできる。それぞれの材料及び試薬を一体化するとともに、検査手順を改善した統合キットとしたので、これらの特殊な検査を、大部分の臨床検査室の設備で実施することができる。試料の取得、核酸精製、遺伝子化学処理及び検査の解釈に至る他のステップのプロセスを、特別な訓練又は固有の検査室技能を必要としないところまで簡略化すると、全体として、従来よりもはるかに多くの検査室において、したがって、個々の医療行為により近い場所で、これらの検査を実施することができる。これにより、これらヘルスケアーサービスの利用可能性及びそれらのコスト効果がともに改善されることになる。
添付の図面に本発明の特定の実施形態を例として示すが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。たとえば、概略的な用語で本発明を示し説明するが、本発明の多くの態様は、任意の組合せのコンピュータハードウェア又はソフトウェアによって実施することができる。
図1は、本発明の好ましい一の実施形態の概略図である。機能を示す一般用語では、このシステムは、試料の取得、核酸精製、遺伝子化学処理、データ収集、生データの検出及び検証、送信、解釈並びに報告という8つの主要なコンポーネントを含む。このシステムは、それぞれ単一の機能コンポーネントに寄与する離散サブシステムを含むこともできるし、完全な統合システムとすることもできる。同様に、個々のコンポーネントのいずれか又はすべてをサブシステムに統合することができる。したがって、具体的に説明し要求しない限り、以下の説明を、必ずしも各コンポーネントの物理的又は機能的な分離を定義するものと理解すべきではない。
概括的には図1に、臨床検査室ベースの遺伝子検査システム200、データ収集システム300、データ送信システム400、(インターネットを単なる例として示す)コンピュータネットワーク500、中央データ分析/解釈システム600、エキスパートデータベース650及び報告データ700を含む遠隔遺伝子検査システム100を示す。本発明の範囲に関係しない既知の技術に従って遠隔遺伝子検査システム100の様々なコンポーネントを合わせて接続するのに必要な従来方式のネットワーク用のハードウェア及びソフトウェアを稲妻状の印で概略的に示す。
遠隔臨床検査室ベースの遺伝子検査システム200は、概略的にいくつかのサブシステム、具体的には、試料取得サブシステム210、核酸精製サブシステム220、遺伝子化学処理サブシステム230及び分析技術サブシステム240を備える。以下にこれらをより詳細に説明する。
図2に、本発明の遺伝子検査のオペレーションスキーム及び本発明によって遺伝子検査を実施する機能を地域の検査室に付与する方法を概略的に示す。本発明は、概括的には核酸精製抽出、遺伝子化学処理及び検査結果の分析プロセスを含む。これらのステップを別々に区別して示す。というのは、本発明は、これらの全体的なステップをキットに集約することができるという点でこの状況を改善するものだからである。
図3に、遺伝子検査キットの一の実施形態を示す。概括的には、このキットは、単一プロトコールにより遺伝子検査の技術的な態様を実施するのに必要な試薬及び材料を含む。図3〜10に示すように、この遺伝子検査キットの1つのバージョンは、DNA抽出用の抽出ラック及び試薬要素、反応コンポーネントを集めるプロセスをより簡単にする新たに構成した提案において遺伝子化学処理のコンポーネント、Invaderを含む反応ラック、反応プレート及びテンプレートガイド並びにそれらに対応する交換用使い捨てプラスチック補給品を含む。この検査キットの最後のコンポーネントは、この検査の技術的な態様の各ステップ、並びにこのシステムのデータ送信ステップの開始及び終了を説明するプロトコールブックである。
図12は、本発明の遠隔医療プロセスの全体的アーキテククチャの概略図である。分析装置からデータを収集するプロセスは、まず遠隔サイトのコンピュータ400で行われる。データは、符号化又は患者の情報が特定されないような方法で分散化されたデータを含む安全なプロセスによってインターネット410を介して送信される。送信される分析データ及び患者特有の人口統計データは、(たとえば、128ビットの暗号化処理又は他の所望の方法で)暗号化され、システムファイアウォール420で解読され、中央コンピュータ430に集められる。中央コンピュータ430は、送信された結果を解釈する人たちに指示メッセージを与え、それによって、これらのデータファイルに対する作業が行われる。有資格健康管理専門家440が、エキスパートデータベース450を用いてこれらのデータを解釈する。完了した検査結果を送信して、検査が実施されたサイトに戻し、検査要求者460に印刷して渡すか、あるいは何らかの方法で電子的に配信する。
遺伝子検査の解釈に用いるエキスパートデータベース650は、遺伝子検査解釈の態様に関する大量の抽象的な医療情報を有するソフトウェアデータ処理プログラムなどの電子プラットホームからなる。このエキスパートデータベースは、これらの検査を、病状、リスク評価、他の寄与遺伝子及びこの病状に対する治療の任意選択肢に適用することなどの主題を含み得る。特定の検査を開始し、その後そのデータを送信すると、それによってデータベースを仕分ける要求が登録されて、解釈者には、解釈された任意選択肢の一部だけが提示される。このシステムにより、集められた自然言語の1節において好ましい組合せのコメントが提供される。所与の分析検査結果に対するこのようなコメントの選択は、遠隔検査室からインターネットを介して提供される演繹的知識によって導かれる。半自動検査解釈が生成されると、介在する医師によって、検査解釈が、承認、拒絶又は改変される。
図15〜17に、検査データを送信した結果、生成される可能な報告書を示す。
試料の取得
検査する試料は、患者にとって最も好都合な環境、たとえば病院又は診療所で患者から取得する。本発明は、必要なすべての指示及びコントロールを含み、既存技術を使用できるキットであって、検査技師が、関連する遺伝子検査を実施するのに必要な試料サンプルをうまく取得することができるキットを提供することを含み得る。
核酸の精製
感度の高い診断検査に適する1つ(又は複数)の遺伝子材料の単離では、細胞内容物、並びに血液、細胞、組織又は体液サンプルに含まれる他の汚染物から分離(精製)したDNA及びRNAが求められる。理想的には、このようなプロセスは、患者からサンプルの取得を行う診療所内又はその近くの臨床検査室で実施する。
好都合な核酸精製方法はどれも本発明とともに用いるのに適しているが、米国ミネソタ州ミネアポリス所在のGentra Systems社から提供される方法が好ましい。Qiagen N.V.社、Xtrana社その他から市販されているものなど、代替可能な核酸抽出システム又は方法も同等である。また、類似の結果が得られるが、まだ未開発又は市販化されていないものも同様である。Gentra Systems社の技術の具体的な詳細は、以下の文献の関連する部分に記載されている(この内容全体を参照により組み込む)。これらの文献は、このプロセスのオンサイトDNA抽出段階で使用する製品及びプロセスの例として示す。
・「低PHのRNA単離試薬、方法及びキット(LOW PH RNA ISOLATION REAGENTS,METHOD,AND KIT)」という名称の米国特許第5,973,137号
・「マルチウェルプレートにおける相互汚染の防止(PREVENTING CROSS−CONTAMINATION IN A MULTI−WELL PLATE)」という名称の国際特許出願WO00066267A1号
・「コンピュータにより実施する核酸単離方法及び機器(COMPUTER−IMPLEMENTED NUCLEIC ACID ISOLATION METHOD AND APPARATUS)」という名称の国際特許出願WO00049557A2号
・「DNA単離用溶解マトリックスを用いた組成物及び方法(COMPOSITIONS AND METHODS FOR USING A LYSING MATRIX FOR ISOLATING DNA)」という名称の国際特許出願WO09938962A3号
・「DNA単離用の溶離試薬、方法及びキット(ELUTING REAGENTS,METHODS AND KITS FOR ISOLATING DNA)」という名称の国際特許出願WO09939010A1号
・「核酸を単離するための機器及び方法(APPARATUSES AND METHODS FOR ISOLATING NUCLEIC ACID)」という名称の国際特許出願WO09913976A1号
本発明に含まれるキットはまた、検査技師が、試料サンプルから核酸の精製をうまく実施するのに必要なすべての指示及びコントロールと共に既存技術を含むことができる。
遺伝子化学処理
医師及び患者は、遺伝子検査プロセスの遺伝子化学処理(操作及び増幅)の部分を、患者のサンプルを収集し抽出する(取得する)健康管理設備内又はその近くの臨床検査室の現場で行うことによって利益を受ける。現場でサンプルを取得し、抽出し、増幅し又は何らかの他の手段の遺伝子操作を行うことにより、サンプルを遠隔サイトに輸送することに関連する危険性及びコストが減り、結果の適時性が増す。
本発明とともに用いるのに適した可能な遺伝子化学技術には、(a)Roche Laboratories社からLIGHTCYCLERの商品名で知られているもの、(b)Luminex社からLABMAPの商品名で知られているもの、及び(c)Motorola社からESENSORの商品名で知られているものを含めて、周知の様々な市販のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)手法が含まれる。他の適切な手法には、AutoGenomics社からINFINITIの商品名で知られているシステムを含めて、様々な製造元から市販されているマイクロアレイ技術が含まれる。
好ましい一の実施形態では、遺伝子化学処理戦略として、操作者にとって使用法がより簡単であり得る非PCR手法を用いる。この遺伝子化学処理を本発明に応用するには、マイクロウェル培養プレートに入れられてマスター試薬と個々に混合されるサンプルコントロール用DNAからなる反応コンポーネントの集合物を、キットの範囲内にすべて統合することが必要である。更に、このシステムでは分析装置である蛍光光度計を使用する。この装置は、培養を行うだけでなく、インターネットベースの制御ソフトウェアとのインターフェースとしての役割を果たす。この遺伝子化学処理を用いるには、溶液ベースの反応及び/又はマイクロアレイなどの固体支持体上で得られる蛍光から遺伝子検査データを検出することが含まれるが、これに限定されるものではない。いずれの場合でも、この遺伝子化学処理によって生成されるデータをこのシステムに入力し、インターネットを介して送信した後で解釈する。
他の適切な非PCR手法は、米国ウイスコンシン州マジソン所在のThird Wave Technologies社からINVADER(登録商標)の商品名で市販されているものであり、以下の文献の関連する部分に記載されている(この内容全体を参照により組み込む)。
・「核酸構造探索による多型分析(POLYMORPHISM ANALYSIS BY NUCLEIC ACID STRUCTURE PROBING)」という名称の米国特許第6,214,545号
・「構造架橋オリゴヌクレオチドによる核酸構造探索による多型分析(POLYMORPHISM ANALYSIS BY NUCLEIC ACID STRUCTURE PROBING WITH STRUCTURE−BRIDGING OLIGONUCLEOTIDES)」という名称の米国特許第6,210,880号
・「構造架橋オリゴヌクレオチドを用いた標的依存性反応(TARGET−DEPENDENT REACTIONS USING STRUCTURE−BRIDGING OLIGONUCLEOTIDES)」という名称の米国特許第6,194,149号
検査技師が試料サンプルからうまく核酸精製を実施することができることに加えて、本発明の一部として、このキットにより、検査技師が現場で遺伝子化学ステップを実施することもできる。
追加の遺伝子情報の収集
遺伝子増幅又は何らかの他の遺伝子操作手段に関して上記で説明した典型的な遺伝子化学プロセスに加えて、本発明では、任意の一連の分析技術を利用して生のすなわち未解釈の検査データを生成することもできるはずである。これらの技術には、アガロース及びポリアクリルアミドのゲル電気泳動法、キャピラリ電気泳動法、光ファイバセンサデバイス、平面導波路型感知デバイス、DNAマイクロアレイ、微小機械式バイオセンサ、非アレイベースのチップセンサ、実時間蛍光検出器、デジタル画像取得法、蛍光光度計などを含めることができるが、これらはすべて周知の原理によるものである。
上記で説明したコンポーネントの集合体は、本発明の単なる好ましい一の実施形態であることに留意されたい。本発明の全範囲には、内容全体を参照により組み込む「INTEGRATED MICROCHIP GENETIC TESTING SYSTEM」という名称の米国特許第6,054,277号に開示されているシステムを含めて(ただし、これに限定されるものではない)、任意の統合遺伝子検査システム200が含まれる。
統合キット
図3〜10に示すように、本発明の好ましい態様では、統合遺伝子検査キットを用いて、大部分の分子遺伝アッセイを実施するのに必要なステップの技術的かつ操作的な態様を整理し簡略化する。一般用語では、このような実施形態の主要コンポーネントは、DNA又はRNAベースの検査を実施するための試薬及び使い捨ての材料を含む特別なパッケージである。これらの検査には、突然変異によるヌクレオチドサブステーション、単一のヌクレオチド多型及び小さなヌクレオチドの欠失又は挿入の検出を含めて、一連の遺伝子配列局所変化のいずれかを含めることができるはずである。このパッケージは、各検査手順に使用する様々な試薬を収容する一連の装置を含み得る。これらの装置には、特別な試料を収集するための装置、サンプルを標識するための材料、検査請求書式、並びに核酸抽出及び遺伝子化学処理手順の手引きをする特別な「ラック」が含まれる(ただし、これらに限定されるものではない)。
この検査キットは本質的にコンポーネントからなるので、様々な供給業者から集め、一カ所にまとめてから要求元の検査室に送付することもできるし、検査を実施する検査室に直接送付し、現地で、通常はキットボックス中の指定場所にそれぞれのコンポーネントを合わせることによって即座に組み立てることもできる。
このキットは、普通なら別々のプロトコールであり得るものを組み合わせて統合された文書にした詳細な手順説明書も含み得る。この手順説明書は、複雑な手順を伝えるために特別な指示を用いて、訓練を受けておらず、かつ/又は経験の浅い作業者がそのとおりにたどることができる直裁的なレシピになっている。この手順説明書は、試薬ボリュームを計算し、時間を推定し、この手順の他の態様を行うプロセスを簡略化するための(ウェブサイト上で利用可能なものなど)いくつかの電子ツールへのアクセスのしかた及び使い方に関する指示も含み得る。この手順説明書は、遺伝子検査結果報告書の価値を高めることになる患者固有の情報を集めるための書式も含み得る。
別の好ましい実施形態は、品質管理を行い、試薬のロット番号及び有効期限を追跡するための、キット中の基本的なコンポーネントの標示方法に関するものである。この標示により、それぞれのラック及び材料の設計とあいまって、電子的に登録されたサプライチェーン監視システムによってキットの補充が可能になる。物理的なキットに、基本的なコンポーネントの標示を統合し、かつ、前記要素と電子的な供給/情報管理監視システムとの連係を統合するのはすべて、検査をより高品質なものにし、後でその検査結果を医学的に解釈して患者医療用の報告書にするのに役立てるためである。
本発明により生成されるデータの品質を高めるのは、遺伝子検査データの解釈を強化して一連の報告書にするためである。本発明の一の実施形態は、より包括的な遺伝子検査システムの一部として利用され、本発明により、サンプルから得られる核酸の抽出及び遺伝子化学処理のステップが容易になり、また、コンピュータに接続され、インターネットに接続された蛍光光度計による結果の提示が容易になる。本発明は、その場で、すなわちオンサイトで分析される結果が生成される蛍光光度計又は類似の生体分析装置とともに用いることもできるし、様々なタイプのデータを遠隔コンピュータ及びデータベースに送信し、そこで有資格健康管理専門家が、専門的な解釈を行い、様々な報告書を組み合わせて提供することを含む統合遺伝子検査システムの一部として用いることもできる。安全なインターネットポータルであるこの同じシステムによって、本発明を用いて、生成中の検査結果の品質管理を監視し、キット要素の在庫を追跡し、材料の安全性データ、試薬の保管及び有効期限などの不可欠な情報にアクセスする。この点に関して、このキットに、キットのコンポーネントについての情報を記録し記憶するための搭載型又は埋込み型デバイスを含めることが可能であるが、必要条件ではない。たとえば、可能な一の実施形態では、EPROM又は類似のデータ記録デバイスにより、組立、輸送又は保管中のキットの保管及び/又は輸送状態についての知覚情報を収集することができ、このような情報を本発明の動作に組み込むことができる。
本発明の好ましい実施形態は、遺伝子検査キットの外部標示を有する紙又はプラスチック製の検査キットボックスを備える。このキットボックスの内部は、以下に示す検査キットの各コンポーネント(ただし、これらに限定されるものではない)を入れるための一連の区画を含む。まず、サンプルである抽出したDNAの処理及び遺伝子化学処理の設定に使用する様々な使い捨て材料を入れるために、たとえば矩形スペースの区画がある。典型的な材料には、使い捨てピペットチップの箱、ホールピペット及び追加の小型遠心分離器チューブの補給品が含まれるが、これらに限定されるものではない。パッケージされて供給される材料の数は、各キット内で意図する検査数に見合った数である。このキットボックスは、個々の検査の好都合なバッチ数に構成可能であるが、一般に、24、48及び60検査数用に構成される。
このキットボックスの内部カバーは、移動可能なフラップ材料を含み得る。これを配置すると、手順説明書を支持する棚として働く。このフラップ材料は、多くの方法で内部カバーに固定することができるが、フラップをフック及び環状留め金具又は再利用可能な粘着物によって取り付けることを含む。又は、このフラップ材料をあらかじめ切断してクリップで留めるか、あるいは、単にカバー材料から打ち抜くことができる。
キットボックス内の第2区画は、一連の様々な特殊ラックを含む。一の実施形態では、2つの別々のラックがあり、1つは核酸抽出操作ステップ用のものであり、1つは遺伝子化学反応物を集めるためのものである。これらのラックは、(紙又はプラスチック若しくはそれらの同等物など)任意の材料から構築されるが、最も基本的な形態では、1種(又は複数種)のサンプルを保持するチューブを、これらサンプルの様々な処理ステップにおいて設置するための穴を1つの面上に備えた矩形の支持体からなる。これらのラックは、比較的大型のキットボックスのスペース内で使用するか、あるいは、取り外して別の要素として使用することができるように設計する。穴のサイズは、特定のタイプのチューブ、すなわち、血液採取用ガラス真空チューブ、サンプル処理用の小型遠心分離器チューブなどを保持するために、設計上重要である。これらの穴の配置は、マルチチャネルピペット装置を使用するために重要であり、そのため、各穴の中心間距離を2つの隣接するピペットチップの間隔に一致させる。この寸法で隣接する穴間隔は、第2の寸法で隣接する複数の穴からなる列の間隔に関係している。この列間隔は、チューブのスナップトップが重なり合わず、個々のチューブをラックから比較的簡単に取り出すことができるようにするための設計上の特徴である。全体的な設計の他の特徴は、本発明の一部である個々のラックのところで説明する。
別の特定のコンポーネントは、キャプチャマトリックスカラム(capture matrix columns)と称する技術によって、血液サンプルからDNAを抽出する際の操作ステップを簡略化するように設計されたラックである。このラックの基本設計では、一連のチューブを垂直の向きの列の形で置き、個々のサンプルを各列を横切って水平に処理することを意図している。各列は、キャプチャマトリックスカラム抽出手順用のこれら一連のチューブを入れる穴を有する。各列は、この技術的な手順において別々のステップを行うように意図されている。このラックは、様々な製造業者の抽出システムに対応するように改変することができる。好ましい一の実施形態は、GENERATION CAPTURE COLUMN SYSTEMの商品名で知られるGentra Systems社の抽出システム用に設計されたものである。この場合には、「患者サンプル」と標示し得る第1列目すなわちラックの左側は、1組8つの標準成人サイズの真空血液チューブを保持する。第2列は、抽出システムのカラムチューブ用に指定され、「バッフィコート(Buffy Coat)」と標示する。第3列にも、1組の抽出システムカラムチューブを入れ、「洗浄」と標示する。第4列には、別の1組のチューブを入れ、「溶出及び洗浄」と標示する。最後の第5列には、標準の1.5mLの1組の小型遠心分離器チューブを入れ、「溶出及びDNA」と標示する。上記で説明したように、チューブの列間隔及び各列内の個々のチューブ穴間隔はともに、プロトコールブックの指示に従って左から右に向かって試料を処理することを簡略化するように設定されている。ラック上部には、それぞれの列のチューブに添加するそれぞれの「洗浄」溶液及び「溶出」溶液を置くための2つの追加の穴がある。
別のコンポーネントは混合ラックである。混合ラックの一の実施形態は、適切な寸法の矩形の厚紙ボックスであり、以下に列挙する機能を満たすように働くパターンで上面を打ち抜いた穴を備える。別の実施形態は、正確に離間して配置され、かつ寸法設定されたマトリックス状の穴か、あるいは、この装置の機能に必要な特定の穴だけを備えた断熱又は非断熱性のプラスチック又は紙製ラックの上に載せる、紙、プラスチックその他の印刷可能な材料でできている印刷された表面プレートである。
このラックは、米国ウイスコンシン州マジソン所在のThird Wave Technologies社からINVADERの商品名で市販されている好ましい非PCR手法において不可欠な試薬である1つ又は複数のマスター混合物及びコントロールDNAサンプルを準備する操作ステップを簡略化するように設計されている。この混合ラックの基本設計では、シリーズ中でマスター混合物を構成する一連の試薬を配置する。連続した試薬チューブのそれぞれのチューブから適切なボリュームの試薬を、そのシリーズの最後のチューブであり、その特定のバッチの検査用のマスター混合物を含み、マスター混合物と標示されたチューブに加える。複数のチューブからなるマスター混合物シリーズはそれぞれ、ラックを横切って水平な向きになっており、そのシリーズ内の各チューブは色分けされたキャップを有する。キャップの色分けは、ラック上の色分け及び標示に対応する。一例では、5種類の試薬によりマスター混合物が構成される。これらの試薬を1、2、3、4、5と標示された5本のチューブ内に入れる。あるバッチの検査を実施するのに必要な各試薬のボリュームを計算し、そのバッチのマスター混合物を集めるのに、まず、マスター混合物チューブに試薬1(チューブ1)を添加する。第2に、試薬2(チューブ2)のボリュームをマスター混合物チューブに添加する。次いで、3(チューブ3)をマスター混合物チューブに入れ、その後、4及び5を同じように入れる。1つのマスター混合物チューブに各試薬を順次添加するプロセスは、ラック自体とチューブ上部の上で色分けした標示とともに、単一色の濃度を徐々に変えて用いることによって比較的簡単になる。それぞれ混合して共通の試薬にするこれらの試薬を保持するこの一連の穴を、濃淡が段階的に変わるパターンの色で標示することが好ましい。こうすると、より淡い、又はより濃い色をすべて組み合わせたものは、最終的にそのシリーズ中の最も淡い、又は最も濃い色で標示されたものに加えられる。
同様に、ラック内でのDNAコントロールチューブの向き及びこれらのコントロールの配置は、反応プレートにこれらの試薬を順に同様な向きで添加することに相当しており、ラック内のこれらのコントロールチューブ間隔は、マルチチャネルピペット装置の隣接するチップの中心間距離に対応している。この混合ラックの設計、すなわち、スタンドアロン型装置として、あるいは完全なキットという状況の中でそれぞれのチューブの配置、これらのチューブの標示及びラック内でのこれらの向きを考慮することは、以下により詳細に論じるキット手順説明書中の簡単な操作手順に関係する。更に、あるバッチの遺伝子検査を実施するために特定のバッチのマスター混合物に必要な試薬の適切なボリュームの決定することは、ウェブベースのプログラムにも関連づけられている。
遺伝子検査キットの第3コンポーネントは反応プレートである。この反応プレートは、上記で説明したように抽出したDNAサンプルと、混合ラック内に集められた1回の検査ボリュームの好ましいINVADERマスター混合物と、他の任意選択の添加材料とが、所与の1つの遺伝子検査、あるいは、複数の遺伝子検査を複合的に組み合わせるときにはそれらについて、個々の検査反応の組を形成するところである。様々なボリュームのサンプルと試薬を混合して反応プレート中の個々の反応ウェルに入れるのは難しいことがある。というのは、DNA抽出及びINVADERマスター混合で使用する様々なサイズのチューブから微量なボリュームを、極めて小さく特定の位置にあるウェルに、手作業で、あるいは自動化されているが手持ち式のピペット装置で加えることが求められるからである。
この目的のために、本発明は、紙、プラスチック又はそれに類似した材料の平面シート形式の装置も含み得る。この装置は、その下にある反応プレートの穴に対応する一連の小さな穴を含み、それらの穴を通して個々の特定の反応成分サンプル及びコントロールを添加する。
一の実施形態では、C×Dの寸法のマイラー積層紙カードの一方の面に、1つのタイプの反応、たとえば、特定の遺伝子マーカの野生型又は正常な遺伝子アレルについての遺伝子化学反応に対応する番号と文字を標示する。その反対側の面に、同じ遺伝子マーカの突然変異又は代替遺伝子アレルについての標示を施す。したがって、特定のアレルについて所望の遺伝子化学反応を実施するには、操作者は、単にそのガイドの適切な面を選択し、下にある反応プレートの特定の一縁部に対してその面を上向きにして位置決めする。次いで、ガイドの穴により、その反応用のそれぞれのサンプルを配置するウェルが位置合わせされる。ガイドの反対側の面を使用するときは、これらの穴を、代替反応用に指定されたウェルに位置合わせする。この装置は、操作者が、誤ったサンプル又は反応物を誤った反応ウェルに配置するのを防ぐ助けになる。
本発明の別のコンポーネントは、サンプルの取得から始まり、ウェブポータルを活動状態にして結果を送信し、その遺伝子反応を分析する方法の最終ステップまで続く特定の遺伝子検査の実施に必要な、計画された手作業の操作をそれぞれ説明し示す手順説明書である。この手順説明書は、遺伝子検査に必要な全体的操作のみならず個々の操作がより簡単に実施されるように設計されている。この説明書では、様々な供給業者の市販製品に必要なそれぞれ本質的に異なる操作が1つの文書に統合される。この説明書により、こうした遺伝子検査に熟練しているが時折しか行わない操作者が、これらの遺伝子検査の専門の操作者によって得られるものに匹敵する分析結果を、この遺伝子検査システムから得ることができる。
完全なキットの設計の範囲内で、任意の好都合な方法によって、この説明書をキットボックスの内部カバーに固定し得る。このキット及び説明書は、この説明書を内部カバー上の支持部上で使用するか、あるいは、ベンチ又は机上で使用するために、三脚内で両方の表紙を保持する付属の紙製ベースを用いて、自立表示型の説明書として使用することができるように設計されている。
一般に、実施する特定の遺伝子検査及び使用する市販製品に基づく様々なバージョンの説明書があろう。各バージョンは、手順の各ステップを、見開き2頁の書籍フォーマットの通常は左側の1頁に詳述するというフォーマットに従って構成される。反対側の頁に、各操作ステップの1つ又は複数の図も示される。この説明書の1つの特徴は、手順ガイドバーである。この手順ガイドバーは、2頁フォーマットの両側上部全体にわたって、完全なプロトコールにおける連続ステップがどのようなものであるかを使用者に案内するスライドバー又は前向き矢印の組の図を伴って、操作ステップを完全に列挙したものからなり、更に、各2頁フォーマットごとに、1つの操作ステップの詳細が示される。1組の頁に詳述される個々のステップは、ガイドバー上のそのステップの位置で、フォントをより大きく又は太くし、かつ文章を拡大する表示技術を用いて、手順ガイドバー内で強調表示される。
図11に示すように、検査プロトコールについての詳細な指示に加えて、この説明書では、特定の検査プロトコールを補足し得るウェブベースツールの使用法も説明する。これらのツールには、必要な混合物を構成する各試薬のそれぞれのボリュームを列挙する単一のウェブページ表示が含まれる。本発明は、このウェブページのプログラム作成も含み、それによって、操作者は、その手順の特定のバッチの実行で意図する検査サンプル数を入力するだけでよい。このプログラムにより、マスター混合物を集成するのに必要な各試薬のボリュームが計算される。
図13に示すように、別のウェブベースツールは、患者についての情報、患者の病歴、遺伝歴についての関連情報、及び検査プロセスで生成された遺伝子データの解釈に役立つ他の固有な人口統計データを入れる表形式表示のデータフィールドである。本発明のこの態様により、診断検査の精度に不可欠である患者の人口統計データの入力プロセスがより簡単になる。これは、遺伝子参照データベースに関連づけることができる。一の実施形態では、選択したデータフィールドに入力された情報により、遺伝子データベースからの参照情報を仕分けし選択する機能が起動する。
このキットの追加のコンポーネントは、好都合で簡単なツールである請求パッドであり、これによって、医師及び患者が、後でウェブベースツールに入力される情報を提供することができる。本発明のこの部分の一の実施形態は、検査を受ける患者についての不可欠な人口統計的及び医学的データを提供する遺伝子検査の選択に関する質問の表である。この請求パッドからの情報がウェブベースツールに入力されると、遺伝子データベースが起動する。この請求パッドの1つの追加の特徴は、患者の医療に用いる各遺伝子検査が有資格医師によって「請求される」という要件を満たすことである。この請求パッドにより、この規制を遵守するための好都合な手段が得られる。
試薬チューブを取り囲み、低温、常温又は高温を維持するために、このキットの他の内部スペースにセルロース、プラスチックその他の材料などの断熱材料を充填することができる。
データ収集
生の又は未解釈の遺伝子データを生成し、明瞭性を高めるのに必要な任意の増強を行った後で、このデータは、遠隔サイトにおいて任意の好都合な方法でデータ収集システム300によって収集される。科学的臨床データに加えて、その患者についての関連する人口統計データも、データ収集システム300に提供するか、あるいはデータ収集システム300が収集することが好ましい。実施された遺伝子検査に基づいて、データ収集システム300は、遠隔サイトで集められ、中央データ分析/解釈システム600で分析され、かつ/又は報告書データ700の形で報告される分析データの解釈を強化する患者の人口統計データを、遠隔サイトから入手可能な範囲で収集する。患者の報告書について関連する人口統計データは、患者の識別子、性別、年齢、臨床歴、料金請求情報、並びに、書面又は数字の識別子、患者の健康状態を特徴づける現在及びいままでの身体的な特徴、過去の検査室身体検査又は特別な調査、並びに有資格医療専門家からの注解を含めて、その患者についての他の相関情報からなり得るが、これらに限定されるものではない。
本発明の一の態様は、患者との接触が行われた場所又は検査の技術的な態様が実施された場所にあるか、又はその場所に付属する電子データベースから、患者の人口統計データを解析し、抽出し、また、何らかの方法で引き出すことができることである。患者の人口統計情報を引き出すこのプロセスは、このシステムの外にある情報システムを必要とすることがある。
更に、医師、看護士又は検査室技術者は、「遺伝子検査要求パッド」で提供された回答に基づいて、このシステムに患者の人口統計情報を入力することができる。この遺伝子検査要求パッドは、遺伝子検査の解釈に関連する情報をシステムに好都合に転記する媒体である。集められた情報は各検査ごとに異なるが、生年月日、性別、病状リスト、目下の特定の検査に関する特定の質問に対する回答、並びに遺伝子検査の適用に先立つ任意の追加の検査室データなどの情報を含み得る。提供される単一の検査又は複数の検査の組合せに対して、その選択された検査の解釈に関連する質問及び人口統計データを含むように遺伝子検査要求パッドをカスタマイズする。
このシステムでは、人口統計データを収集する好ましい実施形態は、遺伝子検査要求パッドの質問に対する回答を入力することができるフィールドを伴う簡単なスプレッドシートである。これは、音声による指示、タイプ入力、タッチスクリーンあるいは電子的なボタン又はメニューを選択するなど、任意の適当な技術によってデータを入力することを含み得る。
以下に示す任意の方法で、人口統計的な患者データを利用することができる。第1に、このデータを用いて、ある患者をその患者のそれぞれの分析結果に関連づける検査識別番号を生成することができる。第2に、人口統計データを選択することによって、エキスパートデータベース650内にある解釈情報を仕分けすることができる。第3に、このデータを用いて反応プレート上のサンプル配置を整理することができる。
データ収集システムの好ましい実施形態では、コンピュータネットワーク技術及びシステムを利用して、できるだけ人間の関与が少ない状態で電子的にデータを収集する。分析データを引き出すには、接続されたコンピュータを介してアナログデータ源とのソフトウェアインターフェースを生成することが必要である。このコンピュータは、遠隔地検査室から離れた場所にある中央サーバにインターネットを介して接続される。このインターフェースにより、このシステムは、操作者の操作の助けを借りずに遠隔地検査室にアドレスすることができる。本発明の一の実施形態では、蛍光光度計の暖気運転を行い、この装置にアドレスして、反応プレートの培養が行われているかどうか判断することができる。これは、ソフトウェアから得られる「スカウト」機能によって実現される。この機能は、装置に、その様々な機能についての問い合わせを行うものである。このソフトウェアにより、培養を周期的に中断し、次いで反応プレートを読み取って、この動作が完了したかどうかを判断することができる。このソフトウェアは、各反応プレート中のコントロールを読み取って、十分なレベルの蛍光信号が生成されたかどうか判断する。反応が完了した場合には、システムは解釈者にこのプレートを読み出すよう促し、そうでない場合には、プレートを培養モードに戻し、後でこのプロセスを繰り返す。このソフトウェアは、熱源、プレート及び/又はプレートホルダの機械的な動き、反応の機械的な撹拌及びこの機械の読出し機能の動作の制御などのアッセイ動作を制御するように設計される。このインターフェースにより、あるバッチの検査が読み出された後で、数値結果を取得し、処理することもできる。
どんな情報を収集するか、及びこのような情報をデータ収集システム300によってどのように収集するかを決める機能は、本発明の重要な実施形態である。
遺伝子検査データの検証
遠隔サイトでデータを収集することに加えて、遠隔サイトの選択及び機能に応じて、データ収集システム300は、中央サイトに送信する前に、品質管理その他の目的で、生データその他のデータを数学的に表現し、かつ/又は変換する機能も含み得る。具体的には、データ収集システム300は、収集されたデータの予備検討を自動的に実施して、中央サイトが遺伝子検査を完了し、有用な報告書その他のフィードバックを作成するために必要な情報が存在するかどうか判断することができる。このような検討により、不十分な又は一貫性のないデータが収集されたと判定される場合には、データ収集システム300は、このような問題を確認する遠隔サイトの使用者向けの報告書をこの問題に対する是正勧告とともに作成する。このような問題をデータ収集システム300において見つけ出すことに加えて、中央データ分析/解釈システム600にこのような機能を設けることもできるはずである。
本発明は、現場で生成され増幅された遺伝子検査データが完成し、このデータ及び特定の患者人口統計情報が、診断及び遺伝学の専門家が集められた中央サイトに独自のハードウェア及びソフトウェアシステムによって送信されたかを検証することを含み得る。こうすると、医師及び患者に提供される検査結果及び情報の質及び価値が高まる。このシステムのこの態様の可能な一の実施形態は、検査結果が検討を行うのに利用可能であることを知らせる指定された専門家宛の電子メール又は音声メールメッセージを生成することを含む。この指示メッセージは、接続されている遠隔サイトの1つから、あるバッチの検査反応が完全に受信されたときに自動的に生成することができる。別の任意選択の実施形態は、任意の数の指定された熟練解釈者の1人に検査データを送り、割り当てられた検査結果を読むように各解釈者を促すことを含む。
送信用遺伝子検査データの準備
遺伝子検査データを収集し検証した後で、データ収集システム300は、それらを解釈し報告書を作成する中央データ分析/解釈システム600に送信する遺伝子検査データを準備する。1)遠隔サイトの選択又は機能、2)送信する遺伝子検査データのタイプ、及び3)使用する送信システムに応じて、データ収集システム300による送信用遺伝子検査データの準備は、代替形態を取り得る。
一代替形態では、データ収集システム300が、患者を特定するのに用いることができ、所望の又は義務づけられたプライバシー要件に反する患者を特定するすべての情報を、その患者の遺伝子検査に関する他のデータから隠す。この代替形態では、中央データ分析/解釈システム600に送信される情報は、患者を特定することができる情報を含まない。中央データ分析/解釈システム600から(以下で説明する)解釈及び報告書が戻されたときに、遠隔サイトのデータ収集システム300は、遠隔サイトにおいて、患者データを特定するデータと検査結果を相関させることができるはずである。こうすると、名前で指定された患者に明確に関連づけられた遺伝子検査又は人口統計データは、その地域臨床検査室から外に出ることはない。このように手配すると、遠隔遺伝子検査手順全体の非公開性が大きく強化される。
別の代替形態では、データ収集システム300が、別々に送信することができる2つの別々のファイルにデータを分割する。一方のファイルは、患者の名前、住所、職業、年齢、性別、体重及び第三者の支払者情報など一般に秘密とみなされない患者に関する情報を含み、他方のファイルは、遺伝子検査データ及び病歴など秘密の患者データを含み得る。秘密情報を含むファイルは、患者を特定する情報を含まない。データを分割した後で、異なる送信形式によって異なる時間に情報を送信することを含めて、これら2つのファイルの情報を別々に送信することができる。これら2つのファイルを受信した後で、中央データ分析/解釈システム600は、これら2つのファイルを相関させて、(以下で説明する)報告書を作成するのに必要な所定の解釈及び分析を実施する。この代替形態では、中央データ分析/解釈システム600は、その患者に関するすべての情報を有し、患者を特定することができる患者に関する遺伝子検査その他の秘密データが送信されることはない。
別の代替形態では、データ収集システム300が、任意の好都合な暗号化技術を利用して、送信する情報の任意の部分を暗号化する。この暗号化送信は、受信後、分析/解釈システム600によって解読される。
これらのデータ準備の代替形態のいずれかあるいはすべてを任意の所望の組合せで用いて、遺伝子検査データその他の情報を、遠隔サイトから分析/解釈システム600に安全確実に親展送信することができる。
遺伝子検査データの送信
次いで、生の解釈していない、おそらくは暗号化されたデータを、自動的に送信するか、あるいは操作者によって送信を開始し、上記で説明した検査プロセスを実施する臨床検査室とは異なる場所に存在し得る中央データ分析/解釈システム600に送る。この送信は、任意の好都合なデータ送信方式を利用して実現することができる。好ましい実施形態では、安全な遠隔インターネットポータル400が設けられ、それに臨床サイトからアクセスする。別の好ましい実施形態では、中央データ分析/解釈システム600が、従来方式のアプリケーションサービスプロバイダアーキテクチャを利用して、臨床データ収集システム300上で動作するアプリケーション400にサービスを提供する。
選択したデータ送信方式に関わらず、このシステムのこのコンポーネントの機能は、生の未解釈分析データと関連する患者人口統計データを別個に取得することを含む。これらのデータの送信、解釈及び報告処理は、各タイプのデータを安全な親展形態で維持することを含めて、本発明の重要な実施形態である。図12に、遺伝子検査情報が、コンピュータネットワークの非限定的な例としてインターネットを介して送信される本発明の一の実施形態を示す。
データの解釈
中央サイトに常駐する医学及び遺伝学の専門家が、遠隔サイトから送信された遺伝子データを読み、解釈し、その患者の遺伝プロフィールを決める。更に、遺伝子データとともに提供されるその患者に関する人口統計情報により、中央サイトに常駐する医学及び遺伝学の専門家の能力が大きく高められ、それによって以下に論じるように、臨床専門家(医師)及び患者宛の報告書において追加の有用な助言が提供される。
データが解釈されると、一連の報告書700が作成され、データ供給元の診療所に安全に返信される。任意の第2データ送信方式を用いることができるが、好ましい手法は、供給元臨床検査室から中央データ解釈施設にデータを送信するのに用いたのと同じデータ送信方式、すなわち双方向通信方式を用いることである。
報告書の典型的な内容は、遺伝子検査自体の分析測定値、保険の払戻しデータ(たとえば、実施された手順の推奨CPTコード)及び遺伝学カウンセリングを含む。好ましい実施形態では、臨床専門家(医師)宛の技術的な報告書及び患者宛の技術的ではない別の報告書が含まれる。このシステムでは、遠隔サイトで行われた検査ステップの実施における技術的な問題を識別することができる。このような問題は、追加のサンプル又はステップを必要とし、それによって確実に質の高い検査結果が得られる。遠隔サイトに対してこのような問題を特定し、それによって是正措置を取ることができる。
本発明の別の態様は、医学的及び科学的な文献から得られた追加の情報を、カスタマイズした解釈及び注解の構築に組み込む方法である。これらの検査の熟練解釈者は、検査中の状態の様々な臨床及び病理学的な態様に関する、あらかじめ記載済みの大量の情報を含む統合エキスパートシステムデータベースに全面的に又は部分的に依拠する。このエキスパートシステムは、本発明の一部であり、以下に詳細に説明する。
このエキスパートシステムは、遺伝子検査システムに統合される。一般用語で、このエキスパートシステムは、1つ又は複数の様々な市販ソフトウェア製品から構築する電子データベースである。このデータベースは、様々な公共及び購読ベースの情報探索源から入手可能とした医学的及び科学的な文献を手作業及び自動的な検討を行うことによって得られる。このデータベースは、その疾患、検査及び臨床的症状に固有の指定キーワードに基づく様々な供給源からの情報を照合する。このデータベースの仕分けは、個々の患者の検査から得られた結果を、提供された人口統計情報と組み合わせたものに従って改変される。したがって、このエキスパートシステムは、任意の1人の患者のサンプルに必要なものよりも多くの情報を含み、遠隔地検査室から送信された特定の結果を用いて、関連の参考資料及び注解の仕分けを開始し、それらを熟練解釈者に提示する。
このエキスパートシステムは、患者の人口統計及び分析データを仕分けすることが必要な時点でこのシステムの他の態様と統合される。このように接続すると、1人の患者からの特定の分析結果に基づいて、関連する注解の1次仕分けが開始される。この1次仕分けにより、大きなデータセットから、特定の遺伝子検査結果に基づくリスク及び治療の任意選択肢などのサブセット情報が得られる。これらが提供されると、性別、年齢、投薬及び既存の病状などの情報を含めて、人口統計データにより後続のデータベースの仕分けが開始される。この後続の仕分けにより、選択した注解及び参考資料の組が、提供された人口統計及び分析データ条件すべてに関連するものに更に減少する。その結果、あらかじめ記載済みの解釈及び注解の組が著しく少なくなり、次いで、それらを用いて専門家がカスタマイズした遺伝子検査報告書を作成することができる。
完全なシステムのサブシステムであるエキスパートシステム650は、公共及び市販の供給源(Medline、PubMed、Compendex、GeneBank、www.genetest.com及びwww.webmd.comなど)から得られる医学文献からのエントリを含む。これらの供給源内で実施する探索から、エキスパートシステムは、特定の疾患又は遺伝学的な状態について選択した情報を抜粋する。このエキスパートシステムは、得られたデータの様々な範疇を指定し、これらを仕分け機能で用いる。このような範疇には、特定の遺伝学的な結果に関連する疾患、ある種の人口統計又は分析検査結果を仮定したときの疾患についてのリスク計算及び治療の任意選択肢が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明の一の実施形態を示す概略図である。 本発明による遺伝子検査の動作様式を示す概略図である。 遺伝子検査キットを示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の一の態様を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の一の態様を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。
本発明は、遺伝子源材料のサンプリング及び検査を、結果の分析及び結果に基づく診察報告書の作成とは異なる場所で、遺伝子源材料の採取及び試験を行うことを可能とする機能を含む、遺伝子の検査、分析及び診察を簡略化し改善するシステム及び方法に関する。
分子診断は、病気を媒介するすべてのタンパク質の鋳型である核酸、DNA及びRNAの両方の核酸を検査することによって人間の病気を特徴づけることを伴なう。現在、分子診断では、ゲノムを構成するヌクレオチド配列に固有の変化について、DNAを抽出し、改変し、分析するための様々な技術的な手法を用いることが必要である。突然変異又は多型と呼ぶこれらの変化は、ヒトとして我々が誰であり、我々の間の違いは何なのかを決める基礎であり、それらの一部は病気の原因になる。
一般に、大部分の遺伝子検査は、1)試料の取得、2)核酸の精製、3)遺伝子化学処理、4)データの解釈、5)解釈結果の報告という5つの主要なステップ又はプロセスを含む。(1)体質的又は遺伝性疾患、(2)癌などの後天性疾患、(3)感染症、及び(4)遺伝的素因性疾患を含む4つの遺伝子検査の範疇があるが、それらの検査を実施する技術的な熟練度、並びに検査の情報を解釈して利用可能な結果にする医学的専門知識は、異なっている。
利用可能な遺伝子検査の数は著しく増加しているが、既存の検査の大部分は、希で極めて難解なタイプの疾患用のものである。これらの検査は、それぞれ複雑で従来からコストが高いので、大部分の遺伝子検査は、比較的数が少ない集約化された検査室で行われている。一般に地域の検査室、病院又は診療所で行われる試料の取得以外は、上記の集約化された検査室が、その検査室のある場所で必要なすべての遺伝子検査ステップを行う。本発明の目的は、病院及び診療所内に見られる比較的小規模で、最新設備がそれほど整っていない検査室で、コスト効果が高い最新の遺伝子検査法を利用可能にすることである。
このような業務を行うには適さないと以前は考えられていた場所に最新の遺伝子検査を導入するために、本発明では、遺伝子検査における様々なステップを、サンプルを収集する場所の近くで実施するものと、検査を解釈する場所に関連するものとに分割する。テレメディスンモデルを用いることで、検査専門知識を有する中央サイト(central location)に検査結果を送信する。
具体的には、本発明は、遺伝子検査プロセスを簡略化し改善して、遺伝子源材料の検査を、結果の分析及び遺伝子検査結果報告書の作成とは異なる場所で安全で効果的に行うことができるようにし、それによって、より多くの臨床検査室がこのような検査を行うことを可能にするシステム及び方法を含む。本発明は、患者に関する追加の情報を収集すること、並びにこのような情報を遺伝子検査結果とともに用いて、医師と患者に、より完全で有用な結果及びフィードバックが提供できる、システム及び方法に関する。
本発明では、検査及び報告書の精度、質及び患者のプライバシーを確保するために、ハードウェア、ソフトウェア、通信リンク、遺伝学的及び医学的な専門知識及び品質管理をコンピュータ化した制御システムとして実施することができる。本発明は、試料の取得及び核酸の精製、遺伝子化学処理、データ収集、データ検証、データ送信、データの解釈及び解釈結果の報告というプロセスのすべて又は一部を行うために、ネットワーク化され、コンピュータ化された機器を使用するシステム及び方法を含み得る。特定のネットワーク用ハードウェア又はソフトウェアを選択することは、以下で具体的に説明する以外は本発明の範囲に不可欠なことではない。
本発明の一の態様は、(既存のキットの改善を含めて)様々な試料取得タイプに対応することができる特別に設計された遺伝子検査キットであり、遺伝子検査に必要な核酸抽出及び遺伝子化学処理のためのコンポーネントを含む。好ましい実施形態では、サンプル試料が極めて微量でも、大量の投入DNAサンプルが得られる可能性を高くするために核酸の抽出処理を増強する。別の好ましい実施形態では、急速抽出法の利用に基づくアッセイを行うために核酸抽出指示を増強する。別の好ましい実施形態は、アッセイのより良いコントロールと、プロトコール操作の簡略化によって、遺伝子検査プロトコールの(PCR又は非PCR)遺伝子化学処理ステップを簡略化するキットである。このような結果を実現する一の方法は、指示に従うことがより容易になるように機器を選択し、アッセイを構成することである(たとえば、スタックラックとその他のキット要素の配置)。別の好ましい実施形態では、このキットにより、(i)様々な試薬の混合物の集合物を形成すること、(ii)コントロールを予め使用者用のそれぞれのウェルに分取しておくこと、(iii)コントロールをゲノムDNAの利用に基礎付けることによってコントロールを改善すること、のうち1つ又は複数を実施することによって非PCR遺伝子化学技術が改善される。
本発明の別の態様は、遠隔サイトのデータベースから、PCR遺伝子データ及び/又は非PCR遺伝子データなどの遺伝子化学処理によって生成された関連するすべての遺伝子データを、自動的に収集するか、あるいは遠隔サイト又は中央サイトから起動して収集する遺伝子検査データ収集プロセス及びシステムである。
本発明の別の態様は、必要とされた遺伝子検査及び他の関連するファクタに基づいて、その患者に関して収集又は要求する患者及び他の関連情報を決定する遺伝子検査データ収集プロセス又はシステムである。このようなデータには、非限定的に、患者の料金請求情報、他の患者の遺伝子データ、標準医療記録データ、患者の健康状態を特徴づける身体的な特徴、過去の検査室での検査、身体検査又は特別な調査、有資格医療専門家からのコメント並びに患者の家族歴及び家系に関連するその他の情報、患者の環境状況に関する情報(たとえば、患者の居住地域、有害物質への曝露及び気候ファクタなどの環境エフェクタ)、遺伝型データに相関させるとデータを単独で考慮する場合に比べてゲノム検査プロセスを改善する任意の他の情報を含めることができる。好ましい実施形態では、このプロセス又はシステムは、任意の遠隔サイトデータベースから、入手可能な他の任意の遺伝子技術データ(たとえば、比色、蛍光、放射性同位元素又は他の方法で表現された生体分子信号出力からの写真又はデジタル画像データ)からの関連するすべての遺伝子データを(自動的に、あるいは遠隔サイト又は中央サイトから起動して)収集又は解析することができる。別の好ましい実施形態では、このプロセス又はシステムは、遠隔サイトデータベースから、関連する患者のデータを、このような情報が入手可能な範囲で(自動的に、あるいは遠隔サイト又は中央サイトから起動して)自動的に収集又は解析することができる。別の好ましい実施形態では、このプロセス又はシステムは、システムで作成される同意書の書式、インターネット上で記入する書式、又は検査施設への電子メール、あるいは任意の他の等価なデータ収集技術の形で、検査要求者(たとえば医師)からの要求書及び/又は関連する患者データを作成する。別の好ましい実施形態では、このプロセス又はシステムは、生データ、すなわち未処理の関連患者データを、他の必要なデータ要素の送信準備が整ったときに収集することができる。
本発明の別の実施形態は、遺伝子検査データ収集プロセス又はシステムによって収集された遺伝子検査情報の適合性を決める遺伝子検査データ検証サブプロセス又はサブシステムである。このシステム又はプロセスは、たとえば、遺伝子検査データ収集プロセス又はシステムによって収集された他の関連する患者データが適切かつ完全であり、その他の点でも送信する準備が整っているかどうか決定することを含み得る。別の例では、このシステム又はプロセスは、遺伝子検査データ収集プロセス又はシステムによって収集された関連する患者データが不適切かつ不完全であり、その他の点でも送信する準備が整っていない場合、データの誤りや不整合性及び補正勧告を説明する報告書を遠隔サイトで作成することができる。
本発明の別の態様は、遺伝子検査データ検証プロセス又はシステムによって検証された関連する患者データの一部又はすべてを電子的に送信する準備をするデータ送信準備サブプロセス又はサブシステムである。好ましい一の実施形態では、送信に先立ち、患者を特定するすべての情報を隠し、かつ/又は暗号化して、患者が特定されるのを防ぐ。別の好ましい実施形態では、送信に先立ち、このサブシステム又はサブプロセスは、収集されたすべてのデータを複数の2つのファイルに分割する。たとえば、1つのファイルには、患者を特定するが秘密ではない情報を含め、別のファイルには、他の秘密情報ではあるが患者を特定しない情報を含めることができる。このシステムでは、これらのファイルの一方又は両方を暗号化することができる。別の好ましい実施形態では、送信に先立ち、収集されたすべてのデータを、更に大きく改変せずに単に暗号化する。
本発明の別の態様は、収集されたすべてのデータを中央サイトに送信するデータ送信サブプロセス又はサブシステムである。このデータ送信は、遠隔サイト又は中央サイトから起動することができる。いずれの場合でも、上記で説明したように生成かつ/又は暗号化した別々のファイルを異なる時間に、かつ/又は異なる通信チャネルで送信することができる(たとえば、別々のファイルに1つ又は複数の仮想私設ネットワークを使用することができる)。データを集めてバッチにして、中央サイトに速く効率的に送信することが好ましいが必要条件ではない。
本発明の別の態様は、中央サイトにおいて、患者情報を電子的に受信し、その情報の初期妥当性検査を行う解釈プロセス又はシステムである。たとえば、有資格健康管理専門家による検討及び妥当性検査を行うために、予備遺伝子検査診断を実施することができる。予備遺伝子検査診断の後、この解釈プロセス又はシステムによって、自動的な遺伝子検査結果の(他の関連する患者情報と組み合わせによる)検討、分析を行なうことを含むことが好ましく、それは有資格健康管理専門家による検討、確認を含む。
別の好ましい実施形態では、エキスパートシステムにより、個々の遺伝子検査に関する自然言語による説明が生成される。これらの説明は、このような検査の適切な臨床応用例及び重要性を教示し、このような検査の利用法についての特定の問い合わせに答え、このような検査を個人に適用したときに、その結果について正規の状況別解釈を提供することを含めて(ただし、これらに限定されるものではない)、様々な目的に用いることができる。
このエキスパートシステムの好ましい(ただし、必要条件ではない)実施形態は、1つ又は複数の以下のコンポーネントを備える。
a)関連する遺伝学的な状態についての最新の知識を含むエキスパートデータベース。このような知識の対象には、ある種の遺伝パターンの人体での発現から生じる異常、このような発現を引き起こす基礎となる機序;遺伝型、性別及び年齢などのヒトの状態がこれらの異常の発現の可能性及び程度に及ぼす影響;投薬、処置、食餌療法及び生活選択がこれらの異常の発現の可能性及び程度に及ぼす影響;このような発現に対して賢明と思われる、又は賢明と考えられる標準医療慣行への推奨される適応;このような異常を発現する可能性のある人々に対して推奨される一般的な健康習慣(health practice)、ある異常に対する遺伝的な説明を更に完全に特徴づけるためのさらなる検査勧告;及び既知の遺伝型を有する人々の血縁者に対する健康に関連する勧告があり得る。
b)遺伝子検査、遺伝的異常によって発現する異常、並びに生活状態、習慣及び選択がこれらの異常の起こり得る発現に及ぼす影響についての説明を求めるためにアクセスできる電子システムに対するインターフェース。
c)遺伝的異常について検査中の人々及びこの検査によって決定され得られた遺伝型に関する人口統計的な情報及び特定の状態についての情報を含む電子システムに対するインターフェース。
d)上記インターフェースに送られた情報を一時的に保持し、以下に説明する制御機構が利用できるようにするデータ記憶サブシステム。
e)このデータ記憶サブシステムの内容を調べ、この内容に基づいて、エキスパートデータベースから適切なデータを集めて一貫した説明又は解釈にする制御機構。
f)データベースの出力を閲覧可能にするか、あるいは印刷可能な報告書の一部を作成させるための表示及び/又は報告出力モジュール。
好ましい一の実施形態では、このエキスパートデータベースは、特定の遺伝子検査ごとに遺伝子検査の存在論(ontology)における関連要素に論理的に対応する区画に分割される。別の好ましい実施形態では、1つ又は複数の論理的区画に記憶された情報は、検査中の患者に関する状態情報に応じて、かつ上記制御機構の制御下で、出力として表現できるあるいはできない可変成分を含む。別の好ましい実施形態では、このエキスパートデータベースにより、(遺伝学カウンセラーなどの)内容に関するエキスパートが、これらの区画の1つ又は複数に情報を付加することができ、したがって、コンピュータプログラミング要員が更に介在する必要なしに、このような情報を説明及び解釈に含めるために利用することができる。
本発明の別の態様は、検査を解釈した後で、医学用語で遺伝子検査の解釈結果について報告書を自動的に作成する報告サブプロセス又はサブシステムである。それに加えて、分析結果を医学的かつ/又は遺伝学的な用語で記述する説明的な遺伝子検査結果を含む包括的な報告書を含むことが好ましく、患者の前後関係情報と、検査中の疾患に関する遺伝型がこの前後関係データにどんな影響(もしあれば)を及ぼすかとを認識する記述;疾患のリスクと、その遺伝型結果を仮定した場合のこのリスクの改変と、(このようなリスクの改変を既知と仮定した場合の)前後関係データとに関する記述、及び治療又は予後に存在し得る影響の記述のうち、少なくとも一部を含み得るコメントセクションを更に含むことが好ましい(但し、必要条件ではない)。好ましい実施形態では、任意の電子的その他の技術(たとえば、インターネットを介した直接ダイヤルアップなどを用いたパスワードタイプの認証)を利用して、遠隔検査サイトにおいてしかアクセスできないデータベースに(上記報告書を含めて)情報を入力することができる。別の好ましい実施形態では、ハードコピー又は電子文書の送信技術(たとえば、文書を添付した、又は添付なしの電子メール)によって、中央サイトから遠隔サイト(又は患者)に報告書を送信する。
本発明の別の態様は、遺伝子ベースの検査用の統合検査キットである。この統合検査キットにより、簡便さ、使い易さ及び遺伝子検査結果の質の向上が得られ、遺伝子検査の技術的な態様を実施する際に検査室の助けとなる。このキットは、それ自体で用いることもできるし、インターネットベースの診察及び報告を含む統合遺伝子検査システムの一部として用いることもできる。それぞれの材料及び試薬を一体化するとともに、検査手順を改善した統合キットとしたので、これらの特殊な検査を、大部分の臨床検査室の設備で実施することができる。試料の取得、核酸精製、遺伝子化学処理及び検査の解釈に至る他のステップのプロセスを、特別な訓練又は固有の検査室技能を必要としないところまで簡略化すると、全体として、従来よりもはるかに多くの検査室において、したがって、個々の医療行為により近い場所で、これらの検査を実施することができる。これにより、これらヘルスケアーサービスの利用可能性及びそれらのコスト効果がともに改善されることになる。
添付の図面に本発明の特定の実施形態を例として示すが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。たとえば、概略的な用語で本発明を示し説明するが、本発明の多くの態様は、任意の組合せのコンピュータハードウェア又はソフトウェアによって実施することができる。
図1は、本発明の好ましい一の実施形態の概略図である。機能を示す一般用語では、このシステムは、試料の取得、核酸精製、遺伝子化学処理、データ収集、生データの検出及び検証、送信、解釈並びに報告という8つの主要なコンポーネントを含む。このシステムは、それぞれ単一の機能コンポーネントに寄与する離散サブシステムを含むこともできるし、完全な統合システムとすることもできる。同様に、個々のコンポーネントのいずれか又はすべてをサブシステムに統合することができる。したがって、具体的に説明し要求しない限り、以下の説明を、必ずしも各コンポーネントの物理的又は機能的な分離を定義するものと理解すべきではない。
概括的には図1に、臨床検査室ベースの遺伝子検査システム200、データ収集システム300、データ送信システム400、(インターネットを単なる例として示す)コンピュータネットワーク500、中央データ分析/解釈システム600、エキスパートデータベース650及び報告データ700を含む遠隔遺伝子検査システム100を示す。本発明の範囲に関係しない既知の技術に従って遠隔遺伝子検査システム100の様々なコンポーネントを合わせて接続するのに必要な従来方式のネットワーク用のハードウェア及びソフトウェアを稲妻状の印で概略的に示す。
遠隔臨床検査室ベースの遺伝子検査システム200は、概略的にいくつかのサブシステム、具体的には、試料取得サブシステム210、核酸精製サブシステム220、遺伝子化学処理サブシステム230及び分析技術サブシステム240を備える。以下にこれらをより詳細に説明する。
図2に、本発明の遺伝子検査のオペレーションスキーム及び本発明によって遺伝子検査を実施する機能を地域の検査室に付与する方法を概略的に示す。本発明は、概括的には核酸精製抽出、遺伝子化学処理及び検査結果の分析プロセスを含む。これらのステップを別々に区別して示す。というのは、本発明は、これらの全体的なステップをキットに集約することができるという点でこの状況を改善するものだからである。
図3に、遺伝子検査キットの一の実施形態を示す。概括的には、このキットは、単一プロトコールにより遺伝子検査の技術的な態様を実施するのに必要な試薬及び材料を含む。図3〜10に示すように、この遺伝子検査キットの1つのバージョンは、DNA抽出用の抽出ラック及び試薬要素、反応コンポーネントを集めるプロセスをより簡単にする新たに構成した提案において遺伝子化学処理のコンポーネント、Invaderを含む反応ラック、反応プレート及びテンプレートガイド並びにそれらに対応する交換用使い捨てプラスチック補給品を含む。この検査キットの最後のコンポーネントは、この検査の技術的な態様の各ステップ、並びにこのシステムのデータ送信ステップの開始及び終了を説明するプロトコールブックである。
図12は、本発明の遠隔医療プロセスの全体的アーキテククチャの概略図である。分析装置からデータを収集するプロセスは、まず遠隔サイトのコンピュータ400で行われる。データは、符号化又は患者の情報が特定されないような方法で分散化されたデータを含む安全なプロセスによってインターネット410を介して送信される。送信される分析データ及び患者特有の人口統計データは、(たとえば、128ビットの暗号化処理又は他の所望の方法で)暗号化され、システムファイアウォール420で解読され、中央コンピュータ430に集められる。中央コンピュータ430は、送信された結果を解釈する人たちに指示メッセージを与え、それによって、これらのデータファイルに対する作業が行われる。有資格健康管理専門家440が、エキスパートデータベース450を用いてこれらのデータを解釈する。完了した検査結果を送信して、検査が実施されたサイトに戻し、検査要求者460に印刷して渡すか、あるいは何らかの方法で電子的に配信する。
遺伝子検査の解釈に用いるエキスパートデータベース650は、遺伝子検査解釈の態様に関する大量の抽象的な医療情報を有するソフトウェアデータ処理プログラムなどの電子プラットホームからなる。このエキスパートデータベースは、これらの検査を、病状、リスク評価、他の寄与遺伝子及びこの病状に対する治療の任意選択肢に適用することなどの主題を含み得る。特定の検査を開始し、その後そのデータを送信すると、それによってデータベースを仕分ける要求が登録されて、解釈者には、解釈された任意選択肢の一部だけが提示される。このシステムにより、集められた自然言語の1節において好ましい組合せのコメントが提供される。所与の分析検査結果に対するこのようなコメントの選択は、遠隔検査室からインターネットを介して提供される演繹的知識によって導かれる。半自動検査解釈が生成されると、介在する医師によって、検査解釈が、承認、拒絶又は改変される。
図15〜17に、検査データを送信した結果、生成される可能な報告書を示す。
試料の取得
検査する試料は、患者にとって最も好都合な環境、たとえば病院又は診療所で患者から取得する。本発明は、必要なすべての指示及びコントロールを含み、既存技術を使用できるキットであって、検査技師が、関連する遺伝子検査を実施するのに必要な試料サンプルをうまく取得することができるキットを提供することを含み得る。
核酸の精製
感度の高い診断検査に適する1つ(又は複数)の遺伝子材料の単離では、細胞内容物、並びに血液、細胞、組織又は体液サンプルに含まれる他の汚染物から分離(精製)したDNA及びRNAが求められる。理想的には、このようなプロセスは、患者からサンプルの取得を行う診療所内又はその近くの臨床検査室で実施する。
好都合な核酸精製方法はどれも本発明とともに用いるのに適しているが、米国ミネソタ州ミネアポリス所在のGentra Systems社から提供される方法が好ましい。Qiagen N.V.社、Xtrana社その他から市販されているものなど、代替可能な核酸抽出システム又は方法も同等である。また、類似の結果が得られるが、まだ未開発又は市販化されていないものも同様である。Gentra Systems社の技術の具体的な詳細は、以下の文献の関連する部分に記載されている(この内容全体を参照により組み込む)。これらの文献は、このプロセスのオンサイトDNA抽出段階で使用する製品及びプロセスの例として示す。
・「低PHのRNA単離試薬、方法及びキット(LOW PH RNA ISOLATION REAGENTS,METHOD,AND KIT)」という名称の米国特許第5,973,137号
・「マルチウェルプレートにおける相互汚染の防止(PREVENTING CROSS−CONTAMINATION IN A MULTI−WELL PLATE)」という名称の国際特許出願WO00066267A1号
・「コンピュータにより実施する核酸単離方法及び機器(COMPUTER−IMPLEMENTED NUCLEIC ACID ISOLATION METHOD AND APPARATUS)」という名称の国際特許出願WO00049557A2号
・「DNA単離用溶解マトリックスを用いた組成物及び方法(COMPOSITIONS AND METHODS FOR USING A LYSING MATRIX FOR ISOLATING DNA)」という名称の国際特許出願WO09938962A3号
・「DNA単離用の溶離試薬、方法及びキット(ELUTING REAGENTS,METHODS AND KITS FOR ISOLATING DNA)」という名称の国際特許出願WO09939010A1号
・「核酸を単離するための機器及び方法(APPARATUSES AND METHODS FOR ISOLATING NUCLEIC ACID)」という名称の国際特許出願WO09913976A1号
本発明に含まれるキットはまた、検査技師が、試料サンプルから核酸の精製をうまく実施するのに必要なすべての指示及びコントロールと共に既存技術を含むことができる。
遺伝子化学処理
医師及び患者は、遺伝子検査プロセスの遺伝子化学処理(操作及び増幅)の部分を、患者のサンプルを収集し抽出する(取得する)健康管理設備内又はその近くの臨床検査室の現場で行うことによって利益を受ける。現場でサンプルを取得し、抽出し、増幅し又は何らかの他の手段の遺伝子操作を行うことにより、サンプルを遠隔サイトに輸送することに関連する危険性及びコストが減り、結果の適時性が増す。
本発明とともに用いるのに適した可能な遺伝子化学技術には、(a)Roche Laboratories社からLIGHTCYCLERの商品名で知られているもの、(b)Luminex社からLABMAPの商品名で知られているもの、及び(c)Motorola社からESENSORの商品名で知られているものを含めて、周知の様々な市販のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)手法が含まれる。他の適切な手法には、AutoGenomics社からINFINITIの商品名で知られているシステムを含めて、様々な製造元から市販されているマイクロアレイ技術が含まれる。
好ましい一の実施形態では、遺伝子化学処理戦略として、操作者にとって使用法がより簡単であり得る非PCR手法を用いる。この遺伝子化学処理を本発明に応用するには、マイクロウェル培養プレートに入れられてマスター試薬と個々に混合されるサンプルコントロール用DNAからなる反応コンポーネントの集合物を、キットの範囲内にすべて統合することが必要である。更に、このシステムでは分析装置である蛍光光度計を使用する。この装置は、培養を行うだけでなく、インターネットベースの制御ソフトウェアとのインターフェースとしての役割を果たす。この遺伝子化学処理を用いるには、溶液ベースの反応及び/又はマイクロアレイなどの固体支持体上で得られる蛍光から遺伝子検査データを検出することが含まれるが、これに限定されるものではない。いずれの場合でも、この遺伝子化学処理によって作成されたデータをこのシステムに入力し、インターネットを介して送信した後で解釈する。
他の適切な非PCR手法は、米国ウイスコンシン州マジソン所在のThird Wave Technologies社からINVADER(登録商標)の商品名で市販されているものであり、以下の文献の関連する部分に記載されている(この内容全体を参照により組み込む)。
・「核酸構造探索による多型分析(POLYMORPHISM ANALYSIS BY NUCLEIC ACID STRUCTURE PROBING)」という名称の米国特許第6,214,545号
・「構造架橋オリゴヌクレオチドによる核酸構造探索による多型分析(POLYMORPHISM ANALYSIS BY NUCLEIC ACID STRUCTURE PROBING WITH STRUCTURE−BRIDGING OLIGONUCLEOTIDES)」という名称の米国特許第6,210,880号
・「構造架橋オリゴヌクレオチドを用いた標的依存性反応(TARGET−DEPENDENT REACTIONS USING STRUCTURE−BRIDGING OLIGONUCLEOTIDES)」という名称の米国特許第6,194,149号
検査技師が試料サンプルからうまく核酸精製を実施することができることに加えて、本発明の一部として、このキットにより、検査技師が現場で遺伝子化学ステップを実施することもできる。
追加の遺伝子情報の収集
遺伝子増幅又は他の遺伝子操作手段に関して上記した典型的な遺伝子化学プロセスに加えて、本発明では、一連の分析技術を利用して生のすなわち未解釈の検査データを作成することもできる。これらの技術には、アガロース及びポリアクリルアミドのゲル電気泳動法、キャピラリ電気泳動法、光ファイバセンサデバイス、平面導波路型感知デバイス、DNAマイクロアレイ、微小機械式バイオセンサ、非アレイベースのチップセンサ、実時間蛍光検出器、デジタル画像取得法、蛍光光度計などを含めることができるが、これらはすべて周知の原理によるものである。
上記で説明したコンポーネントの集合体は、本発明の単なる好ましい一の実施形態であることに留意されたい。本発明の全範囲には、内容全体を参照により組み込む「INTEGRATED MICROCHIP GENETIC TESTING SYSTEM」という名称の米国特許第6,054,277号に開示されているシステムを含めて(ただし、これに限定されるものではない)、任意の統合遺伝子検査システム200が含まれる。
統合キット
図3〜10に示すように、本発明の好ましい態様では、統合遺伝子検査キットを用いて、大部分の分子遺伝アッセイを実施するのに必要なステップ技術的かつ操作的な点において組織化し簡略化する。概括的には、このような実施形態の主要コンポーネントは、DNA又はRNAベースの検査を実施するための試薬及び使い捨ての材料を含む特別なパッケージである。これらの検査には、突然変異によるヌクレオチドサブステーション、単一のヌクレオチド多型及び小さなヌクレオチドの欠失又は挿入の検出を含む、一連の遺伝子配列の局所的変化を含めることができる。このパッケージは、各検査手順に使用する様々な試薬を収容する一連の装置を含み、特別な試料を収集するための装置、サンプルを標識するための材料、検査請求書式、並びに核酸抽出及び遺伝子化学処理手順をガイドする特別な「ラック」を含むことができる(ただし、これらに限定されるものではない)。
この検査キットは本質的にコンポーネントからなるので、様々な供給業者から集め、一カ所にまとめてから要求元の検査室に送付することもできるし、検査を実施する検査室に直接送付し、現地で、通常はキットボックス中の指定場所にそれぞれのコンポーネントを合わせることによって即座に組み立てることもできる。
このキットは、普通なら別々のプロトコールであると思われるものを組み合わせて統合した詳細な手順説明書も含み得る。この手順説明書は、複雑な手順を伝えるの特別な指示を、訓練を受けておらず、かつ/又は経験の浅い作業者がそのとおりにたどることができる直裁的なレシピとして使用することができる。この手順説明書は、試薬ボリュームを計算し、時間を推定し、この手順の他の態様を行うプロセスを簡略化するための(ウェブサイト上で利用可能なものなど)いくつかの電子ツールへのアクセスの仕方及び使い方に関する指示も含むことができる。この手順説明書は、遺伝子検査結果報告書の価値を高めることになる患者固有の情報を集めるための書式も含み得る。
別の好ましい実施形態は、品質管理、並びに試薬のロット番号及び有効期限の追跡のために、キット中の基本的なコンポーネントをラベリングする方法に関するものである。このラベリングにより、それぞれのラック及び材料の設計とあいまって、電子的に登録されたサプライチェーン監視システムによってキットの補充が可能になる。基本的なコンポーネントがラベリングされた物理的なキットを統合し、かつ、前記基本的要素と電子的な供給/情報管理監視システムとを連係するのは、すべて、検査をより高品質なものにし、後でその検査結果を医学的に解釈して患者医療用の報告書にするのに役立てるためである。
本発明により作成されるデータの品質を高めるのは、遺伝子検査データの解釈を強化して一連の報告書にするためである。本発明の一の実施形態は、より包括的な遺伝子検査システムの一部として利用され、本発明により、サンプルから得られる核酸の抽出及び遺伝子化学処理のステップが容易になり、また、コンピュータに接続され、インターネットに接続された蛍光光度計による結果の提示が容易になる。本発明は、その場で、すなわちオンサイトで分析された結果を生じる蛍光光度計又は類似の生体分析装置で利用することもできるし、様々なタイプのデータを遠隔コンピュータ及びデータベースに送信し、そこで有資格健康管理専門家が、専門的な解釈を行い、様々な報告書を組み合わせて提供することを含む統合遺伝子検査システムの一部として用いることもできる。この同じシステム、即ち安全なインターネットポータルによって、本発明を、作成中の検査結果の品質管理を監視し、キット要素の在庫を追跡し、材料の安全性データ、試薬の保管及び有効期限などの不可欠な情報にアクセスするために使用する。この点に関して、このキットに、キットのコンポーネントについての情報を記録し記憶するための搭載型又は埋込み型デバイスを含めることが可能であるが、必要条件ではない。たとえば、可能な一の実施形態では、EPROM又は類似のデータ記録デバイスにより、組立、輸送又は保管中のキットの保管及び/又は輸送状態についての知覚情報を収集することができ、このような情報を本発明の動作に組み込むことができる。
本発明の好ましい実施形態は、遺伝子検査キットの外部標示を有する紙又はプラスチック製の検査キットボックスを備える。このキットボックスの内部は、以下に示す検査キットの各コンポーネント(ただし、これらに限定されるものではない)を入れるための一連の区画を含む。まず、サンプルの処理、DNAの抽出及び一連の遺伝子化学処理に使用する様々な使い捨て材料を入れるために、たとえば矩形スペースの区画がある。典型的な材料には、使い捨てピペットチップの箱、ホールピペット及び追加の小型遠心分離器チューブの補給品が含まれるが、これらに限定されるものではない。パッケージされて供給される材料の数は、各キット内で意図する検査数に見合った数である。このキットボックスは、個々の検査の好都合なバッチ数に構成可能であるが、一般に、24、48及び60検査数用に構成される。
このキットボックスの内部カバーは、展開した際に、手順説明書を支持する棚として働く、可動フラップ材を有するものでもよい。このフラップ材は、多くの方法で内部カバーに固定することができるが、フラップをフック及び環状留め金具又は再利用可能な粘着物によって取り付けることができる。又は、このフラップ材料をあらかじめ切断してクリップで留めるか、あるいは、単にカバー材料から打ち抜くことができる。
キットボックス内の第2区画は、一連の様々な特殊ラックを含む。一の実施形態では、2つの別々のラックがあり、1つは核酸抽出操作ステップ用のものであり、1つは遺伝子化学反応物を集めるためのものである。これらのラックは、(紙又はプラスチック若しくはそれらの同等物など)任意の材料から構築されるが、最も基本的な形態では、サンプルを保持するチューブを、これらサンプルの様々な処理ステップにおいて設置する一の面上に穴を備えた矩形の支持体からなる。これらのラックは、比較的大型のキットボックスのスペース内で使用するか、あるいは、取り外して別の要素として使用することができるように設計する。穴のサイズは、特定のタイプのチューブ、すなわち、血液採取用ガラス真空チューブ、サンプル処理用の小型遠心分離器チューブなどを保持するための設計において重要である。これらの穴の配置は、マルチチャネルピペット装置を使用するために重要であり、そのため、各穴の中心間距離を2つの隣接するピペットチップの間隔に一致させる。この寸法で隣接する穴間隔は、第2の寸法で隣接する複数の穴からなる列の間隔に関係している。この列間隔は、チューブのスナップトップが重なり合わず、個々のチューブをラックから比較的簡単に取り出すことができるようにするための設計上の特徴である。全体的な設計の他の特徴は、本発明の一部である個々のラックのところで説明する。
別の特定のコンポーネントは、キャプチャマトリックスカラム(capture matrix columns)と称する技術によって、血液サンプルからDNAを抽出する際の操作ステップを簡略化するように設計されたラックである。このラックの基本設計では、個々のサンプルを各列を横切って水平に処理することを意図して、一連のチューブを垂直方向に向けて配設している。各列は、キャプチャマトリックスカラム抽出手順用のこれら一連のチューブを入れる穴を有する。各列は、この技術的な手順において別々のステップを行うように意図されている。このラックは、様々な製造業者の抽出システムに対応するように改変することができる。好ましい一の実施形態は、GENERATION CAPTURE COLUMN SYSTEMの商品名で知られるGentra Systems社の抽出システム用に設計されたものである。この場合には、「患者サンプル」としてラベリングし得る第1列目すなわちラックの左側は、1組8つの標準成人サイズの真空血液チューブを保持する。第2列は、抽出システムのカラムチューブ用に指定され、「バッフィコート(Buffy Coat)」としてラベリングされる。第3列にも、1組の抽出システムカラムチューブを入れ、「洗浄」としてラベリングされる。第4列には、別の1組のチューブを入れ、「溶出及び洗浄」としてラベリングされる。最後の第5列には、標準の1.5mLの1組の小型遠心分離器チューブを入れ、「溶出及びDNA」としてラベリングされる。上記で説明したように、チューブの列間隔及び各列内の個々のチューブ穴間隔はともに、プロトコールブックの指示に従って左から右に向かって試料を処理することを簡略化するように設定されている。ラック上部には、それぞれの列のチューブに添加するそれぞれの「洗浄」溶液及び「溶出」溶液を置くための2つの追加の穴がある。
別のコンポーネントは混合ラックである。混合ラックの一の実施形態は、適切な寸法の矩形の厚紙ボックスであり、以下に列挙する機能を満たすように寄与するパターンで上面を打ち抜いた穴を備える。別の実施形態は、正確に離間して配置され、かつ寸法設定されたマトリックス状の穴か、あるいは、この装置の機能に必要な特定の穴だけを備えた断熱又は非断熱性のプラスチック又は紙製ラックの上に載せる、紙、プラスチックその他の印刷可能な材料でできている印刷された表面プレートである。
このラックは、米国ウイスコンシン州マジソン所在のThird Wave Technologies社からINVADERの商品名で市販されている好ましい非PCR手法において不可欠な試薬である1つ又は複数のマスター混合物及びコントロールDNAサンプルを準備する操作ステップを簡略化するように設計されている。この混合ラックの基本設計では、一系列においてマスター混合物を構成する一連の試薬を配置する。連続した試薬チューブのそれぞれのチューブから適切なボリュームの試薬を、その系列の最後のチューブであり、その特定のバッチの検査用のマスター混合物を含み、マスター混合物としてラベリングされたチューブに加える。複数のチューブからなるマスター混合物系列はそれぞれ、ラックを横切って水平な向きになっており、その系列内の各チューブは色分けされたキャップを有する。キャップの色分けは、ラック上の色分け及びラベリングに対応する。一例では、5種類の試薬によりマスター混合物が構成される。これらの試薬を1、2、3、4、5と標示された5本のチューブ内に入れる。あるバッチの検査を実施するのに必要な各試薬のボリュームを計算し、そのバッチのマスター混合物を集めるのに、まず、マスター混合物チューブに試薬1(チューブ1)を添加する。第2に、試薬2(チューブ2)のボリュームをマスター混合物チューブに添加する。次いで、3(チューブ3)をマスター混合物チューブに入れ、その後、4及び5を同じように入れる。1つのマスター混合物チューブに各試薬を順次添加するプロセスは、ラック自体とチューブ上部の上で色分けした標示とともに、単一色の濃度を徐々に変えて用いることによって比較的簡単になる。それぞれ混合して共通の試薬にするこれらの試薬を保持するこの一連の穴を、濃淡が段階的に変わるパターンの色で標示することが好ましい。こうすると、より淡い、又はより濃い色をすべて組み合わせたものは、最終的にそのシリーズ中の最も淡い、又は最も濃い色で標示されたものに加えられる。
同様に、ラック内でのDNAコントロールチューブの向き及びこれらのコントロールの配置は、反応プレートにこれらの試薬を順に同様な向きで添加することに相当しており、ラック内のこれらのコントロールチューブ間隔は、マルチチャネルピペット装置の隣接するチップの中心間距離に対応している。この混合ラックの設計、すなわち、スタンドアロン型装置として、あるいは完全なキットという状況の中でそれぞれのチューブの配置、これらのチューブの標示及びラック内でのこれらの向きを考慮することは、以下により詳細に論じるキット手順説明書中の簡単な操作手順に関係する。更に、あるバッチの遺伝子検査を実施するために特定のバッチのマスター混合物に必要な試薬の適切なボリュームの決定することは、ウェブベースのプログラムにも関連づけられている。
遺伝子検査キットの第3コンポーネントは反応プレートである。この反応プレートは、上記で説明したように抽出したDNAサンプルと、混合ラック内で混和された1回検査ボリュームの好ましいINVADERマスター混合物と、他の任意選択の添加材料とが、所与の1つの遺伝子検査のための、あるいは複数の遺伝子検査を複合的に組み合わせる際の複合的遺伝子検査のための、個々の検査反応の組を構成するところである。様々なボリュームのサンプルと試薬を混合して反応プレート中の個々の反応ウェルに入れるのは難しいことがある。というのは、DNA抽出及びINVADERマスター混合で使用する様々なサイズのチューブから、極めて小さく特定の位置にあるウェルに、手作業で、あるいは自動化されているが手持ち式のピペット装置で、微量をピペッティングすることが求められるからである。
この目的のために、本発明は、紙、プラスチック又はそれに類似した材料の平面シート形式の装置も含み得る。この装置は、その下にある反応プレートの穴に対応する一連の小さな穴を含み、それらの穴を通して個々の特定の反応成分サンプル及びコントロールを添加する。
一の実施形態では、C×Dの寸法のマイラー積層紙カードの一方の面に、1つのタイプの反応、たとえば、特定の遺伝子マーカの野生型又は正常な遺伝子アレルについての遺伝子化学反応に対応する番号と文字をラベリングする。その反対側の面に、同じ遺伝子マーカの突然変異又は代替遺伝子アレルについてラベリングする。したがって、特定のアレルについて所望の遺伝子化学反応を実施するために、操作者は、単にそのガイドの適切な面を選択し、下にある反応プレートの特定の一縁部に対してその面を上向きにして位置決めする。次いで、ガイドの穴により、その反応用のそれぞれのサンプルを配置するウェルが位置合わせされる。ガイドの反対側の面を使用するときは、これらの穴を、代替反応用に指定されたウェルに位置合わせする。この装置は、操作者が、誤ったサンプル又は反応物を誤った反応ウェルに配置するのを防ぐ助けになる。
本発明の別のコンポーネントは、サンプルの取得から始まり、ウェブポータルを活動状態にして結果を送信し、その遺伝子反応を分析する方法の最終ステップまで続く特定の遺伝子検査の実施に必要な、計画された手作業の操作をそれぞれ説明し示す手順説明書である。この手順説明書は、遺伝子検査に必要な全体的操作のみならず個々の操作がより簡単に実施されるように設計されている。この説明書では、様々な供給業者の市販製品に必要なそれぞれ本質的に異なる操作が1つの文書に統合される。この説明書により、こうした遺伝子検査に従事していても時折しか行わない操作者が、これら遺伝子検査の専門の操作者によって得られる分析結果に匹敵する結果を、この遺伝子検査システムから得ることができる。
完全なキットの設計の範囲内で、任意の好都合な方法によって、この説明書をキットボックスの内部カバーに固定し得る。このキット及び説明書は、この説明書を内部カバー上の支持部上で使用するか、あるいは、ベンチ又は机上で使用するために、三脚内で両方の表紙を保持する付属の紙製ベースを用いて、自立表示型の説明書として使用することができるように設計されている。
一般に、実施する特定の遺伝子検査及び使用する市販製品に基づく様々なバージョンの説明書があろう。各バージョンは、手順の各ステップを、見開き2頁の書籍フォーマットの通常は左側の1頁に詳述するというフォーマットに従って構成される。反対側の頁に、各操作ステップの1つ又は複数の図も示される。この説明書の1つの特徴は、手順ガイドバーである。この手順ガイドバーは、2頁フォーマットの両側上部全体にわたって、完全なプロトコールにおける連続ステップがどのようなものであるかを使用者に案内するスライドバー又は前向き矢印の組の図を伴って、操作ステップを完全に列挙したものからなり、更に、各2頁フォーマットごとに、1つの操作ステップの詳細が示される。1組の頁に詳述される個々のステップは、ガイドバー上のそのステップの位置で、フォントをより大きく又は太くし、かつ文章を拡大する表示技術を用いて、手順ガイドバー内で強調表示される。
図11に示すように、検査プロトコールについての詳細な指示に加えて、この説明書では、特定の検査プロトコールを補足し得るウェブベースツールの使用法も説明する。これらのツールには、必要な混合物を構成する各試薬のそれぞれのボリュームを列挙する単一のウェブページ表示が含まれる。本発明は、このウェブページのプログラム作成も含み、それによって、操作者は、その手順の特定のバッチの実行で意図する検査サンプル数を入力するだけでよい。このプログラムにより、マスター混合物を集成するのに必要な各試薬のボリュームが計算される。
図13に示すように、別のウェブベースツールは、患者についての情報、患者の病歴、遺伝歴についての関連情報、及び検査プロセスで生成された遺伝子データの解釈に役立つ他の固有な人口統計データを入れるデータフィールドの表形式の表示である。本発明のこの態様により、診断検査の精度に不可欠である患者の人口統計データの入力プロセスがより簡単になる。これは、遺伝子参照データベースに関連づけることができる。一の実施形態では、選択したデータフィールドに入力された情報により、遺伝子データベースからの参照情報を仕分けし選択する機能が起動する。
このキットの追加のコンポーネントは、オーダーパッドであり、、これは、医師及び患者が、後でウェブベースツールに入力するであろう情報を提供できる、便利で簡便なツールである。本発明のこの部分の一の実施形態は、検査を受ける患者についての不可欠な人口統計的及び医学的データを提供する遺伝子検査の選択に関する質問の表である。このオーダーパッドからの情報がウェブベースツールに入力されると、遺伝子データベースが起動する。このオーダーパッドの1つの追加の特徴は、患者の医療に用いる各遺伝子検査が有資格医師によって「オーダーされる」という要求を満たすことである。このオーダーパッドは、この承諾を規制する、好都合な手段を提供する。
試薬チューブを取り囲み、低温、常温又は高温を維持するために、このキットの他の内部スペースにセルロース、プラスチックその他の材料などの断熱材料を充填することができる。
データ収集
生、即ち未解釈の遺伝子データを生成し、明瞭性を高めるのに必要な増強を行った後で、このデータは、遠隔サイトにおいて任意の好都合な方法でデータ収集システム300によって収集される。科学的臨床データに加えて、その患者についての関連する人口統計データも、データ収集システム300に提供するか、あるいはデータ収集システム300が収集することが好ましい。実施された遺伝子検査に基づいて、データ収集システム300は、遠隔サイトで集められ、中央データ分析/解釈システム600で分析され、かつ/又は報告書データ700の形で報告される分析データの解釈を強化する患者の人口統計データを、遠隔サイトから入手可能な範囲で収集する。患者の報告書について関連する人口統計データは、患者の識別子、性別、年齢、臨床歴、料金請求情報、並びに、書面又は数字の識別子、患者の健康状態を特徴づける現在及びいままでの身体的な特徴、過去の検査室身体検査又は特別な調査、並びに有資格医療専門家からのコメントを含む、その患者についての他の関連情報からなり得るが、これらに限定されるものではない。
本発明の一の態様は、患者との接した場所又は検査の技術的な態様が実施された場所にあるか、又はその場所に付属する場所で、患者の人口統計データを、解析し、抽出し、または、電子データベースから何らかの方法で引き出すことができることである。患者の人口統計情報を引き出すこのプロセスは、このシステムの外にある情報システムを必要とすることがある。
更に、医師、看護士又は検査技師は、「遺伝子検査要求パッド」で提供された回答に基づいて、このシステムに患者の人口統計情報を入力することができる。この遺伝子検査要求パッドは、遺伝子検査の解釈に関連する情報をシステムに転記するのに好都合な媒体である。集められる情報は、各検査ごとに異なるが、生年月日、性別、病状リスト、当面実施する特定の検査に関する具体的質問に対する回答、並びに遺伝子検査の適用に先立つ任意の追加の検査室データなどの情報を含み得る。提供される単一の検査又は複数の検査の組合せに対して、その選択された検査の解釈に関連する質問及び人口統計データを含むように遺伝子検査要求パッドをカスタマイズする。
このシステムにおいて、人口統計データを収集する好ましい実施形態は、遺伝子検査要求パッドの質問に対する回答を入力することができるフィールドを伴う簡単なスプレッドシートである。これは、音声による指示、タイプ入力、タッチスクリーンあるいは電子的なボタン又はメニューを選択するなど、任意の適当な技術によってデータを入力することを含み得る。
以下に示す任意の方法で、人口統計的な患者データを利用することができる。
第1に、このデータを用いて、ある患者をその患者のそれぞれの分析結果に結びつける検査識別番号を作成することができる。第2に、人口統計データを選択することによって、エキスパートデータベース650内にある解釈情報を仕分けすることができる。第3に、このデータを用いて反応プレート上のサンプル配置を体系化することができる。
データ収集システムの好ましい実施形態では、コンピュータネットワーク技術及びシステムを利用して、できるだけ人間の関与が少ない状態で電子的にデータを収集する。分析データを引き出すには、接続されたコンピュータを介してアナログデータ源に対するソフトウェアインターフェースを作製することが必要である。このコンピュータは、遠隔地検査室から離れた場所にある中央サーバにインターネットを介して接続される。このインターフェースにより、このシステムは、操作者の操作という助けを借りずに遠隔地検査室をアドレス指定することができる。本発明の一の実施形態では、蛍光光度計の暖気運転を行い、この装置にアドレスして、反応プレートの培養が行われているかどうか判断することができる。これは、ソフトウェアから得られる「スカウト」機能によって実現される。この機能は、装置に、その様々な機能についての問い合わせを行うものである。このソフトウェアにより、培養を周期的に中断し、次いで反応プレートを読み取って、この動作が完了したかどうかを判断することができる。このソフトウェアは、各反応プレート中のコントロールを読み取って、十分なレベルの蛍光信号が生成されたかどうか判断する。反応が完了した場合には、システムは解釈者にこのプレートを読み出すよう促し、そうでない場合には、プレートを培養モードに戻し、後の機会までにこのプロセスを繰り返す。このソフトウェアは、熱源、プレート及び/又はプレートホルダの機械的な動き、反応の機械的な撹拌及びこの機械の読出し機能の動作の制御などのアッセイ動作を制御するように設計される。このインターフェースにより、あるバッチの検査が読み出された後で、数値結果を取得し、処理することもできる。
どんな情報を収集するか、及びこのような情報をデータ収集システム300によってどのように収集するかを決める機能は、本発明の重要な実施形態である。
遺伝子検査データの検証
遠隔サイトでデータを収集することに加えて、遠隔サイトの選択及び機能に応じて、データ収集システム300は、中央サイトに送信する前に、品質管理その他の目的で、生データその他のデータを数学的に表現し、かつ/又は変換する機能も含み得る。具体的には、データ収集システム300は、収集されたデータの予備検討を自動的に実施して、中央サイトが遺伝子検査を完了し、有用な報告書その他のフィードバックを作成するために必要な情報が存在するかどうか判断することができる。このような検討により、不十分な又は一貫性のないデータが収集されたと判定される場合には、データ収集システム300は、この問題の是正の推奨をともなう、このような問題を確認する遠隔サイトの使用者向けの報告書を作成する。このような問題をデータ収集システム300において見つけ出すことに加えて、中央データ分析/解釈システム600にこのような機能を設けることもできる。
本発明は、現場で生成され増幅された遺伝子検査データ及び特定の患者人口統計情報が、診断及び遺伝学の専門家が集められた中央サイトに独自のハードウェア及びソフトウェアシステムによって送信されることによって、現場で生成され増幅された遺伝子検査データが完全か否か、を検証することを含み得る。こうすると、医師及び患者に提供される検査結果及び情報の質及び価値が高まる。このシステムのこの態様の可能な一の実施形態は、検査結果が検討を行うのに利用可能であることを知らせる指定された専門家宛の電子メール又は音声メールメッセージを作成することを含む。この指示メッセージは、接続されている遠隔サイトの1つから、あるバッチの検査反応が完全に受信されたときに自動的に生成することができる。別の任意選択の実施形態は、任意の数の指定された熟練解釈者の1人に検査データを送り、割り当てられた検査結果を読むように各解釈者を促すことを含む。
送信用遺伝子検査データの準備
遺伝子検査データを収集し検証した後で、データ収集システム300は、それらを解釈し報告書を作成する中央データ分析/解釈システム600に送信する遺伝子検査データを準備する。1)遠隔サイトの選択又は機能、2)送信する遺伝子検査データのタイプ、及び3)使用する送信システムに応じて、データ収集システム300による送信用遺伝子検査データの準備は、代替的な形態を取り得る。
一の代替的な形態において、データ収集システム300は、患者を特定するのに用いることができるが、望まれる又は義務づけられたプライバシーの要求に反する患者を特定するすべての情報を、その患者の遺伝子検査に関する他のデータから隠すことができる。この代替的な形態において、中央データ分析/解釈システム600に送信される情報は、患者を特定することができる情報を含まない。中央データ分析/解釈システム600から(以下で説明する)解釈及び報告書が戻されたときに、遠隔サイトのデータ収集システム300は、遠隔サイトにおいて、患者データを特定するデータと検査結果を相関させることができる。こうすると、名前で指定された患者に明確に関連づけられた遺伝子検査又は人口統計データは、その地域臨床検査室から外に出ることはない。このように手配すると、遠隔遺伝子検査手順全体の非公開性が大きく強化される。
別の代替的な形態では、データ収集システム300が、別々に送信することができる2つの別々のファイルにデータを分割する。一方のファイルは、患者の名前、住所、職業、年齢、性別、体重及び第三者の支払者情報など一般に秘密とみなされない患者に関する情報を含み、他方のファイルは、遺伝子検査データ及び病歴など秘密の患者データを含み得る。秘密情報を含むファイルは、患者を特定する情報を含まない。データを分割した後で、異なる送信形式によって異なる時間に情報を送信することを含めて、これら2つのファイルの情報を別々に送信することができる。これら2つのファイルを受信した後で、中央データ分析/解釈システム600は、これら2つのファイルを相関させて、(以下で説明する)報告書を作成するのに必要な所定の解釈及び分析を実施する。この代替的な形態では、中央データ分析/解釈システム600は、その患者に関するすべての情報を有し、患者を特定することができる患者に関する遺伝子検査その他の秘密データが送信されることはもはやない。
別の代替形態では、データ収集システム300が、任意の好都合な暗号化技術を利用して、送信する情報の任意の部分を暗号化する。この暗号化送信は、受信後、分析/解釈システム600によって解読される。
これらのデータ準備の代替的な形態のいずれかあるいはすべてを任意の所望の組合せで用いて、遺伝子検査データその他の情報を、遠隔サイトから分析/解釈システム600に安全、確実かつ秘密に送信することができる。
遺伝子検査データの送信
次いで、生の解釈していない、おそらくは暗号化されたデータを、自動的に送信するか、あるいは操作者によって送信を開始し、上記で説明した検査プロセスを実施する臨床検査室とは異なる場所に存在し得る中央データ分析/解釈システム600に送る。この送信は、任意の好都合なデータ送信方式を利用して実現することができる。好ましい実施形態では、安全な遠隔インターネットポータル400が設けられ、それに臨床サイトからアクセスする。別の好ましい実施形態では、中央データ分析/解釈システム600が、従来方式のアプリケーションサービスプロバイダアーキテクチャを利用して、臨床データ収集システム300上で動作するアプリケーション400にサービスを提供する。
選択したデータ送信方式に関わらず、このシステムのこのコンポーネントの機能は、生の未解釈分析データと関連する患者人口統計データを別個に取得することを含む。これらのデータの送信、解釈及び報告処理は、各タイプのデータを安全で秘密の形態において維持することを含めて、本発明の重要な実施形態である。図12に、遺伝子検査情報が、コンピュータネットワークの非限定的な例としてインターネットを介して送信される本発明の一の実施形態を示す。
データの解釈
中央サイトに常駐する医学及び遺伝学の専門家が、遠隔サイトから送信された遺伝子データを読み、解釈し、その患者の遺伝プロフィールを決める。更に、遺伝子データとともに提供されるその患者に関する人口統計情報により、中央サイトに常駐する医学及び遺伝学の専門家の能力が大きく高められ、それによって以下に論じるように、臨床専門家(医師)及び患者宛の報告書において追加の有用な助言が提供される。
データが解釈されると、一連の報告書700が作成され、データ供給元の診療所に安全に返信される。任意の第2データ送信方式を用いることができるが、好ましい手法は、供給元臨床検査室から中央データ解釈施設にデータを送信するのに用いたのと同じデータ送信方式、すなわち双方向通信方式を用いることである。
報告書の典型的な内容は、遺伝子検査自体の分析測定値、保険の払戻しデータ(たとえば、実施された手順の推奨CPTコード)及び遺伝学カウンセリングを含む。好ましい実施形態では、臨床専門家(医師)宛の技術的な報告書及び患者宛の技術的ではない別の報告書が含まれる。このシステムでは、遠隔サイトで行われた検査ステップの実施における技術的な問題を同定することができる。このような問題は、追加のサンプル又はステップを必要とし、それによって確実に質の高い検査結果が得られる。遠隔サイトに対してこのような問題を特定し、それによって是正措置を取ることができる。
本発明の別の態様は、医学的及び科学的な文献から得られた追加の情報を、カスタマイズした解釈及びコメントの構築に組み込む方法である。これらの検査の熟練解釈者は、検査されている症状の様々な臨床的及び病理学的な態様に関する、あらかじめ記載済みの大量の情報を含む統合エキスパートシステムデータベースに全面的に又は部分的に依拠する。このエキスパートシステムは、本発明の一部であり、以下に詳細に説明する。
このエキスパートシステムは、遺伝子検査システムに統合される。概括的には、このエキスパートシステムは、1つ又は複数の様々な市販ソフトウェア製品から構築される電子データベースである。このデータベースは、様々な公共及び購読ベースの情報探索源から入手可能とした医学的及び科学的な文献を手作業及び自動的な検討を行うことによって得られる。このデータベースは、その疾患、検査及び臨床的症状に固有の指定キーワードに基づく様々な供給源からの情報を照合する。このデータベースの仕分けは、個々の患者の検査から得られた結果を、提供された人口統計情報と組み合わせたものに従って改変される。したがって、このエキスパートシステムは、任意の1人の患者のサンプルに必要なものよりも多くの情報を含み、遠隔地検査室から送信された特定の結果を用いて、関連する参考資料及びコメントの仕分けを開始し、それらを熟練解釈者に提示する。
このエキスパートシステムは、患者の人口統計及び分析データを仕分けすることが必要な時点でこのシステムの他の態様と統合される。このように接続すると、1人の患者からの特定の分析結果に基づいて、関連するコメントの1次仕分けが開始される。この1次仕分けにより、大きなデータセットから、特定の遺伝子検査結果に基づくリスク及び治療の任意選択肢などのサブセット情報が得られる。これらが提供されると、性別、年齢、投薬及び既存の病状などの情報を含めて、人口統計データにより後続のデータベースの仕分けが開始される。この後続の仕分けにより、選択した注解及び参考資料の組が、提供された人口統計及び分析データ条件すべてに関連するものに更に減少する。その結果、あらかじめ記載済みの解釈及び注解の組が著しく少なくなり、次いで、それらを用いて専門家がカスタマイズした遺伝子検査報告書を作成することができる。
完全なシステムのサブシステムであるエキスパートシステム650は、公共及び市販の供給源(Medline、PubMed、Compendex、GeneBank、www.genetest.com及びwww.webmd.comなど)から得られる医学文献からのエントリを含む。これらの供給源内で実施する探索から、エキスパートシステムは、特定の疾患又は遺伝学的な状態について選択した情報を抜粋する。このエキスパートシステムは、得られたデータの様々な範疇を指定し、これらを仕分け機能で用いる。このような範疇には、特定の遺伝学的な結果に関連する疾患、ある種の人口統計又は分析検査結果を仮定したときの疾患についてのリスク計算及び治療の任意選択肢が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明の一の実施形態を示す概略図である。 本発明による遺伝子検査の動作様式を示す概略図である。 遺伝子検査キットを示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の一の態様を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の一の態様を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。
別の特定のコンポーネントは、キャプチャマトリックスカラム(capture matrix columns)と称する技術によって、血液サンプルからDNAを抽出する際の操作ステップを簡略化するように設計されたラックである。このラックの基本設計では、各カラムを水平に横切る個々のサンプルを処理することを意図して、一連のチューブを垂直方向に配設したカラムを設けている。カラムは、キャプチャマトリックスカラム抽出手順用のこれら一連のチューブを入れる穴を有する。各カラムは、この技術的な手順において別々のステップを行うように意図されている。このラックは、様々な製造業者の抽出システムに対応するように改変することができる。好ましい一の実施形態は、GENERATION CAPTURE COLUMN SYSTEMの商品名で知られるGentra Systems社の抽出システム用に設計されたものである。この場合には、「患者サンプル」としてラベリングし得る第1カラムすなわちラックの左側は、1組8つの標準成人サイズの真空血液チューブを保持する。第2カラムは、抽出システムのカラムチューブ用に指定され、「バッフィコート(Buffy Coat)」としてラベリングされる。第3カラムにも、1組の抽出システムカラムチューブを入れ、「洗浄」としてラベリングされる。第4カラムには、別の1組のチューブを入れ、「溶出及び洗浄」としてラベリングされる。最後の第5カラムには、標準の1.5mLの1組の小型遠心分離器チューブを入れ、「溶出及びDNA」としてラベリングされる。上記で説明したように、チューブの列間隔及び各カラム内の個々のチューブ穴間隔はともに、プロトコールブックの指示に従って左から右に向かって試料を処理することを簡略化するように設定されている。ラック上部には、それぞれのカラムのチューブに添加するそれぞれの「洗浄」溶液及び「溶出」溶液を置くための2つの追加の穴がある。
本発明の一の実施形態を示す概略図である。 本発明による遺伝子検査の動作様式を示す概略図である。 遺伝子検査キットを示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 遺伝子検査キットの一部を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の一の態様を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の一の態様を示す概略図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の実施形態のスクリーンの写真を概略的な表現で示す図である。 本発明の検査プロトコールの一ページの実施形態を概略的な表現で示 す図であり、この図は、患者の核酸を精製した試料を、当該プロトコールの遺伝子化学的ステップのために、本発明の反応プレートのウェルへ移入するところを例示するものである。 本発明の検査プロトコールの一ページの実施形態を概略的な表現で示 す図であり、この図は、コントロール試料を、当該プロトコールの遺伝子化学的ステップのために、患者の核酸試料を含む本発明の反応プレートのウェルへ移入するところを例示するものである。 本発明の検査プロトコールの一ページの実施形態を概略的な表現で示 す図であり、この図は、混合ラックへ、第V因子、Leiden 及び第II因子遺伝子検査のためのマスター混合物を作成するために試薬を連続的に移入するところを例示するものである。 図21Bとともに、本発明のある検査プロトコールの2つの関連す るページの実施形態を概略的な表現で示す図であり、この図は、(i)あるプロトコールステップがあるステップの可視的なイメージと相対して併記される方法、(ii)図21Aに記載されているプロトコールステップを拡大して示す実施形態のトップにあるガイドバー、(iii)図21Bの可視的イメージにおける、患者試料チューブ、マイクロ遠心分離チューブ、両キット成分、を例示するものである。 図21Aとともに、本発明のある検査プロトコールの2つの関連す るページの実施形態を概略的な表現で示す図であり、この図は、(i)あるプロトコールステップがあるステップの可視的なイメージと相対して併記される方法、(ii)図21Aに記載されているプロトコールステップを拡大して示す実施形態のトップにあるガイドバー、(iii)図21Bの可視的イメージにおける、患者試料チューブ、マイクロ遠心分離チューブ、両キット成分、を例示するものである。

Claims (4)

  1. 遺伝子検査解釈の専門知識を有する中央サイトに検査結果を送信する、遠隔医療モデルの遺伝子検査を実施する方法。
  2. 検査結果の分析及び遺伝子検査結果報告書の作成を行う場所とは異なる場所で遺伝子源材料を検査する、遺伝子検査方法。
  3. 核酸抽出用のコンポーネントと、複数試料タイプのそれぞれの遺伝子検査に必要なコンポーネントとをともに含む、複数試料タイプ用の遺伝子検査キット。
  4. 遠隔サイトで実施し、その後中央サイトで解釈する所望の遺伝子検査に関連する遺伝子データを、前記遠隔サイトのデータベースから自動的に収集するか、あるいは前記遠隔サイト又は前記中央サイトから収集を開始する、遺伝子検査データ収集プロセス。
JP2003530808A 2001-09-21 2002-09-18 遠隔遺伝子分析及び診察用のシステム、方法及びキット Pending JP2005512023A (ja)

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