JP2005512016A - A2スーパーモチーフを有するサブユニットワクチン - Google Patents

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Abstract

A2スーパータイプ対立遺伝子を有している個体において有効なワクチンを設計するための方法が、記載される。既知のA2−スーパータイプ結合ペプチドの単一アミノ酸置換アナログ、および巨大なペプチドライブラリーが、A2−スーパータイプ分子のペプチド結合特異性を厳密に規定するために利用される。分子の各々は、特有の優先度を有することが指摘されるが、特異性における広範な重複が見出された。ペプチドの結合に与える2次的な影響について検査は、対立遺伝子特異的な優先度を明らかにし、共有される特徴がまた、同定され、そしてA2−スーパーモチーフを規定するために使用された。さらに、A2−スーパータイプ分子に結合するペプチドの予測のためのアルゴリズムの発達において使用するための係数が、提供される。

Description

本明細書中に開示される主題は、集団(特に、A2スーパータイプ対立遺伝子を有することで特徴づけられる集団のこれらメンバー)の大部分に有効なワクチンの設計に関する。A2スーパーモチーフを含むサブユニットワクチンは、このような集団を網羅するよう設計され得る。
所定の哺乳動物の遺伝子構造は、その種の免疫系に関連する構造をコードする。ヒト集団において、多大な遺伝子の多様性が存在するが、よりヒトと他の種を比較すると、共通の機能および効果も存在する。哺乳動物において、免疫機能に関連する特定の分子は、主要組織適合性複合体と呼ばれる。
MHC分子は、クラスI分子またはクラスII分子のいずれかに分類される。クラスII MHC分子は、主に細胞上に発現され、免疫応答(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、マクロファージなど)を開始し、そして持続することに関与する。クラスII MHC分子がヘルパーTリンパ球によって認識され、ヘルパーTリンパ球の増殖および提示される特定の免疫原性ペプチドに対する免疫応答の増幅を誘発する。クラスI MHC分子は、ほとんど全ての有核細胞で発現され、そして細胞毒性Tリンパ球(CTL)によって認識される。次いで、CTLは抗原保有細胞を破壊する。CTLは、腫瘍拒絶およびウイルス感染と闘うことにおいて特に重要である。
CTLは、インタクトな外来抗原自体ではなく、MHCクラスI分子と結合したペプチドフラグメントの形成において抗原を認識する。抗原は、通常、内因的に細胞によって合成され得、そして一部のタンパク質抗原は、細胞質中で小さいペプチドフラグメントへと分解される。いくつかのこれらの小さいペプチドは、前ゴルジ区画へと転移し、適切な折りたたみおよびサブユニットβ2ミクログロブリンとの会合を促進するクラスI重鎖と相互作用する。ペプチド−MHCクラスI複合体は、次いで発現および特異的なCTLによる潜在的な認識のために細胞表面に送られる。
ヒトMHCクラスI分子(HLA−A2.1)の結晶構造の研究は、ペプチド結合溝が、クラスI重鎖のα1ドメインおよびα2ドメインの折りたたみによって創造されことを示す(Bjorkmanら、Nature 329:506(1987))。しかし、これらの研究において、溝と結合するペプチドの同定は、決定されなかった。
Buusら、Science 242:1065(1988)は、MHCからの結合ペプチドの酸溶離の方法について初めて記載した。引き続き、Rammenseeと彼の共同研究者(Falkら、Nature 351:290(1991))は、クラスI分子と結合する天然のプロセッシングを受けたペプチドを特徴づけるためのアプローチを開発した。他の研究者は、質量分析によってクラスIのB型(Jardetzkyら、Nature 353:326(1991))およびA2.1型(Huntら、Science 225:1261(1992))から溶離したペプチドの従来の自動化された配列決定により、様々なHPLC画分において、より豊富なペプチドの直接的なアミノ酸配列決定に成功した。MHCクラスIにおいて天然のプロセッシングを受けたペプチドの特徴付けの総説は、Rotzschke&Falk(Rotzschke & Falk、Immunol.Today 12:447(1991))によって示されている。PCT公開WO97/34621(本明細書中に参考として援用する)は、A2.1対立遺伝子の結合モチーフを有するペプチドについて記載する。
Setteら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:3296(1989)は、MHC対立遺伝子特異的モチーフが、MHC結合能力を予測するために使用され得ることを示した。Schaefferら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 86:4649(1989)は、MHCの結合が免疫原性に関係することを示した。他(De Bruijnら、Eur.J.Immunol、21:2963−2970(1991);Pamerら、991 Nature 353:852−955(1991))は、クラスI結合モチーフが、動物モデル中の潜在的な免疫原性ペプチドの同定に適用され得るという予備的な証明を提供した。所定のクラスIアイソタイプの多くのヒト対立遺伝子に対して特異的なクラスIモチーフは、いまだ記載されない。これらの異なる対立遺伝子の組み合わせの頻度が、大きなフラクション(すなわち、おそらくヒトの異系交配集団の大部分)をカバーするように十分に高いことが望ましい。
当該分野の発達にもかかわらず、先行技術は、有用なヒトペプチドに基づくワクチンまたははこの研究に基づく治療的薬剤を、まだ提供していない。
(要旨)
本発明は、集団の大部分を効果的に標的化すると予想されるワクチン設計のためのパラメーターを提供する。本明細書中に示される手引きに従って、特定の感染性生物またはウイルスまたは腫瘍に対するワクチンを調製するために、関連する抗原は、感染症あるいは腫瘍に対する細胞毒素T応答をもたらす可能性が最も高いエピトープの位置を決定するために評価される。本明細書中に示される方法に従って抗原のアミノ酸配列を分析することによって、適切なエピトープのセットが、同定され得る。これらのエピトープから成るペプチドは、A2スーパータイプに特徴的な1つ以上のHLA対立遺伝子と結合するそれらの能力を、容易に試験され得る。一般的に、500nM未満のIC50によって表される親和性で結合するペプチドは、細胞毒性Tリンパ球(CTL)応答を誘発する可能性が高い。これらのペプチドのこのような能力はまた、容易に確認され得る。ワクチンは、次いでこのように同定された免疫原性ペプチドに基づいて設計され得る。ワクチン自身は、ペプチド自体、インビボでペプチドを生成すると考えられる前駆体またはインビボでの生成のためのこれらのペプチドをコードしている核酸から成り得る。
従って、1つの局面において、本発明は、病原体あるいは腫瘍の抗原特徴においてエピトープを同定する方法に関する。この方法によって同定されたエピトープは、任意に選択されたペプチドよりも、A2スーパータイプの対立遺伝子を有する個体において免疫応答を増強することが見込まれる。この方法は、2番目の位置のアミノ酸が小さいかまたは脂肪族の疎水性残基(L、I、V、M、A、T、またはQ)であり、そしてセグメントのC末端のアミノ酸が、小さいかまたは脂肪族の疎水性残基(L、I、V、M、A、またはT)でもある、8〜11のアミノ酸のセグメントに対する抗原のアミノ酸配列を分析する工程を包含する。好ましい実施形態において、2番目の位置の残基は、LまたはMである。他の好ましい実施形態において、このセグメントは、9〜10のアミノ酸を含む。別の好ましい実施形態において、このセグメントが10マーである場合、セグメントは1番目の位置にQまたはN、および/または8番目の位置にR、HまたはK、を含み、そして3番目の位置のD、E、およびGを欠損する。また好ましくは、2番目の位置およびC末端はVである。
HLA−A2.1分子の結合モチーフの部分配列を有する免疫原性ペプチドを含む組成物が、本明細書中に記載される。ペプチド中の適切なMHC対立遺伝子と結合する免疫原性エピトープは、好ましくは8〜11残基長、より好ましくは9〜10残基長であり、そして2番目の位置およびC末端のような特定の位置の保存された残基を含む。さらに、このペプチドは、他の位置(例えば、9アミノ酸長のペプチドの場合、1番目の位置、3番目の位置、6番目の位置および/または7番目の位置、そして10アミノ酸長のペプチドの場合、1番目の位置、3番目の位置、4番目の位置、5番目の位置、7番目の位置、8番目の位置、およびまたは9番目の位置)に本明細書中に定義されるようなネガティブな結合残基を含まない。本発明は、HLA A2.1に効率よく結合するペプチドの選定を可能にするモチーフ内の位置を定義する。
本明細書中に記載された配列モチーフを使って、多くの免疫原性標的タンパク質上のエピトープが同定され得る。適当な抗原の例としては、以下が挙げられる:前立腺癌特異抗原(PSA)、B型肝炎コア抗原およびB型肝炎表面抗原(HBVc、HBVs)、C型肝炎抗原、エプスタイン・バー・ウイルス抗原、ヒト免疫不全1型ウイルス(HIV1)、カポージ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原、ラッサウイルス、ヒト結核菌(MT)、p53、CEA、トリパノソーマ表面抗原(TSA)、およびHer2/neu。これらをコードするペプチドおよび核酸は、インビボおよびエキソビボの両方での治療的用途および診断的用途のための薬学的組成物において有用である。
(定義)
用語「ペプチド」は、本発明中で「オリゴペプチド」と交換可能に使用され、隣接しているアミノ酸のαアミノ基とカルボニル基の間のペプチド結合によって代表的に他と結合された一連の残基(代表的にLアミノ酸)を意味する。オリゴペプチドは、一般的に、250アミノ酸長未満であり、そして150アミノ酸長、100アミノ酸長、75アミノ酸長、50アミノ酸長、25アミノ酸長または15アミノ酸長未満であり得る。さらに、本発明のオリゴペプチドは、ネイティブ抗原の15連続アミノ酸長以上を含まないようであり得る。
ペプチド化合物を記載するために使用される学術用語は、従来の習慣に従い、アミノ基をそれぞれのアミノ酸残基の左側(N末端)に示し、そしてカルボキシル基を右側(C末端)に示す。本発明の選択された特定の実施形態を示す式において、アミノ末端基およびカルボキシル末端基は、特に示されるわけではないが、他に特定されない限り、生理学的なpH値で想定される形態中にある。アミノ酸構造式において、それぞれの残基は、一般的に標準の3文字または1文字の表記によって表される。アミノ酸残基のL型は、単一の大文字または3文字記号の大文字の頭文字によって表され、そしてD型を有するこれらのアミノ酸のD型は、単一の小文字または小文字の3文字記号によって表される。グリシンは、不斉炭素原子を有さず、単に「Gly」またはGという。
「免疫原性ペプチド」または「エピトープ」は、ペプチド配列がMHC分子を結合し、そしてCTL応答を誘発するような対立遺伝子特有モチーフを含むペプチドまたはアミノ酸配列である。本発明の免疫原性ペプチドは、適切なHLA−A2分子に結合し得、そして免疫原性ペプチドを誘導する抗原に対する細胞毒性T細胞応答を誘発し得る。本発明の免疫原性ペプチドは、約15残基長未満、しばしば約12残基長未満、そして通常、約8残基長と約11残基長との間から成り、好ましくは、9残基または10残基である。
発明のアルゴリズムを用いて、免疫原生ペプチドが、便利に同定される。アルゴリズムは、免疫原性ペプチドの選択を可能にするスコアを生成する数学的手順である。一般的に、特定の親和性での結合の高い見込みを有する、そして免疫原性でもあるペプチドの選択を可能にするために、「結合閾値」と共にアルゴリズムスコアを使用する。アルゴリズムは、ペプチドの特定の位置における特定のアミノ酸のMHC結合に対する効果、またはモチーフを含むペプチドの特定の置換基の結合に対する効果のいずれかに基づく。
結合結果は、しばしば、用語「IC50」で表される。IC50は、結合アッセイにおいて参照ペプチドの結合の50%の阻害が観察されるペプチドの濃度である。本明細書中に記載されるようなアッセイを実施する条件が与えられれば(すなわち、限定的なHLAタンパク質および標識されるペプチドの濃度)、これらの値は、K値に近い。結合を測定するためのアッセイは、PCT公開WO94/20127およびWO94/03205中に詳細に記載される。アッセイ条件が様々であり、そして使用される特定の試薬(例えば、HLA調製など)に依存する場合、IC50値が、しばしば劇的に、変化し得ることに注意すべきである。例えば、HLA分子の過剰な濃度は、所定のリガンドの見かけ上の測定されたIC50を増加し、そして従って本当のK値を反映しない。
結合は、参照ペプチドに関連する割合としてしばしば表される。特定のアッセイの感度の多少によって、試験されるペプチドのIC50は、いくらか変化し得る。しかし、参照ペプチドに対する結合は、有意に変化しない。例えば、参照ペプチドのIC50が10倍に上昇するような、アッセイ実行条件下において、試験ペプチドのIC50値はまた、約10倍にシフトする。従って、曖昧さを避けるために、標準ペプチドのIC50に関連して、ペプチドが良い結合剤、中程度の結合剤、弱い結合剤、またはネガティブ結合剤なのかどうかの評価は、そのIC50に一般的に基づく。結合は、割合として報告され得るか、または実施例1に記載されるようなIC50値を規格化するために使用され得る。
本明細書中に使用される場合、HLAクラスI分子に対する高い親和性は、50nM未満のIC50値またはK値での結合として定義される。中程度の親和性は、約50と約500nMとの間のIC50(またはK)での結合である。
「保存された残基」は、ペプチドの特定の位置で、ランダムな分布によって予測されるよりも有意に高い頻度で生じるアミノ酸である。代表的に保存された残基は、MHC構造が免疫原性ペプチドとの接触点を提供し得るものである。定義された長さのペプチド内の1〜3、好ましくは2の保存された残基は、免疫原性ペプチドのためのモチーフを定義する。それらの残基は、代表的にペプチド結合溝と密接に接触し、それらの側鎖は、その溝の特定のポケットの中に埋もれる。代表的に、免疫原性ペプチドは、3つまでの保存された残基、より通常は2つの保存された残基を含む。
本明細書中に使用される場合、「ネガティブな結合残基」は、特定の位置(例えば、9マーの1番目の位置、3番目の位置および/または7番目の位置)に存在する場合、非結合剤または弱い結合剤であるペプチドを生じ、そして免疫原生を有さない(すなわち、CTL応答を誘発しない)アミノ酸である。
用語「モチーフ」は、特定のMHC対立遺伝子により認識される、定義された長さ(通常約8アミノ酸〜約11アミノ酸)のペプチドにおける残基のパターンをいう。ペプチドモチーフは、それぞれのヒトMHC対立遺伝子について代表的に異なり、高度に保存された残基およびネガティブな残基のパターンに関して異なる。
対立遺伝に対する結合モチーフは、正確さの程度の増加により定義され得る。1つの場合において、全ての保存された残基が、ペプチド中の正確な位置に存在し、そして1番目の位置、3番目の位置、および/または7番目の位置にネガティブな残基が存在しない。
「スーパーモチーフ」は、2つ以上のHLA対立遺伝子によってコードされたHLA分子によって共有されるペプチド結合特異性である。好ましいスーパーモチーフ保有エピトープは、2つ以上のHLA抗原によって、高度または中程度の親和性(本明細書中に定義されるように)で認識される。
「HLAスーパータイプまたはファミリー」は、本明細書中に使用される場合、共有されるペプチド結合特異性を基礎としてグループ化されたHLA分子のセットを表す。特定のアミノ酸モチーフを保有しているペプチドに対してある程度類似する結合親和性を共有するHLAクラスI分子は、HLAスーパータイプに分類される。用語HLAスーパーファミリー、HLAスーパータイプファミリーおよびHLAxx様スーパータイプ分子(xxが特定のHLAタイプを意味する)は、同義語である。
句「単離された」または「生物学的に純粋」は、ネガティブの状態で見出される場合に通常それに伴う成分を実質的にあるいは本質的に含まない材料をいう。従って、本発明のペプチドは、インサイチュの環境でそれらに通常関連する材料を含まない(例えば、抗原提示細胞上のMHC I分子)。タンパク質が均一なバンドまたは優性のバンドになるまで単離された場合にさえ、所望のタンパク質と同時精製された、天然タンパク質の5%〜10%の範囲内の微量の不純物が存在する。本発明の単離されたペプチドは、このような内因性の同時精製タンパク質を含まない。
用語「残基」は、アミド結合またはアミド結合模倣物によりオリゴペプチドに組み込まれたアミノ酸またはアミノ酸模倣物をいう。
(好ましい実施形態の説明)
本発明は、ワクチン設計のためのエピトープに基づくアプローチに一部、関する。こようなアプローチは、CTL免疫応答を誘発するための機構が、抗原提示細胞上に提示されたHLA分子と結合する約8〜11アミノ酸のペプチドとして、CTLエピトープを提示する工程を包含するという十分に確立した知見に基づく。HLA分子は、クラスIMHCの産物であり、ここで、産物は、多くの有核細胞上で発現される。
MHCクラスI対立遺伝子の産物は、A、BおよびC HLA分子として一般的に特徴付けられる。これらの各カテゴリーにおいて、多数の対立遺伝子改変体が、その集団中に存在し;実に、500を超えるほどのクラスI対立遺伝子およびクラスII対立遺伝子が存在すると思われる。細胞傷害性T細胞応答は、エピトープが、免疫される個体細胞の表面に含まれるクラスI HLAによって示されなければ、誘発され得ないので、このエピトープがその個体によって示されるHLAに結合し得るものであることが重要である。
従って、有効なワクチンを設計するための出発点は、首尾良く存在し得る多数のエピトープを産生するワクチンを確保することである。このエピトープ自体を示すペプチドを投与することは可能であり得る。このような投与は、被験体の細胞に見られる「空の」HLA分子の掲示に依存する。免疫原性ペプチド自体の使用のための1つのアプローチにおいて、これらのペプチドは、エキソビボで処置される被験体由来の抗原提示細胞とともにインキュベートされ得、次いで、その細胞を被験体に戻す。
あるいは、8〜11のアミノ酸ペプチドは、それをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を投与することによってインサイチュで産生され得る。このような核酸分子を得る手段は、WO 99/58658に記載され、この開示は、本明細書中で参考文献として援用される。さらに、この免疫原性ペプチドは、大きいペプチド分子の一部分として投与され得、そして切断されて所望のペプチドを放出する。より大きなペプチドは、外来性のアミノ酸を含み得、通常、より少ない方がより良い、。従って、このようなアミノ酸を含むペプチドは、典型的には25アミノ酸以下であり、より典型的には20アミノ酸以下であり、そしてより典型的には15アミノ酸以下である。この前駆体はまた、様々な、異なるかまたは同じCTLエピトープを含むヘテロポリマーまたはホモポリマーであり得る。もちろん、種々の免疫原性ペプチドを産生するペプチドおよび核酸の混合物もまた、使用され得る。このペプチドワクチン、核酸分子、またはヘテロポリマーもしくはホモポリマーの設計は、所望のエピトープの封入に依存する。本発明は、A2スーパータイプによって特徴付けられる個体の広範な集団範囲にわたって有効である、関連エピトープを同定するための実例を提供する。以下の頁に、A2スーパーモチーフを同定するための実験方法および結果を記載する。
ペプチドは、HLA−A2スーパータイプ対立遺伝子に結合するエピトープを含むことが好ましい。これらのモチーフは、任意の所望の抗原由来のT細胞エピトープを規定するのに使用され得、特に、これらはヒトウイルス疾患、癌または自己免疫疾患に関連し、これらに対して、潜在的な抗原または自己抗原標的のアミノ酸配列が公知である。
多くの潜在的な標的タンパク質のエピトープが、HLA結合モチーフに基づいて同定され得る。適切な抗原の例としては、前立腺特異的抗原(PSA)、B型肝炎コア抗原(HBVc)およびB型肝炎表面抗原(HBVs)、C型肝炎抗原、エプスタイン−バーウイルス抗原、黒色腫抗原(例えば、MAGE−1)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原、p53、CEA、トリパノソーマ表面抗原(TSA)、およびHer2/neuが挙げられる。
これらの抗原由来のエピトープを含むペプチドは、合成され得、次いで、例えば、精製されたクラスI分子および放射性ヨウ化ペプチドおよび/または空のクラスI分子を発現する細胞を使用するアッセイ(例えば、免疫蛍光染色および流動微蛍光測定によるアッセイ)、ペプチド依存性クラスIアッセンブリアッセイ、ならびに、ペプチド競合によるCTL認識の阻害において、適切なMHC分子に結合するそれらの能力について試験され得る。クラスI分子に結合するこれらのペプチドは、感染されたかまたは免疫化された個体由来のCTLに対する標的として役立つ能力、および潜在的な治療薬剤としてウイルス感染した標的細胞または腫瘍細胞と反応し得るCTL集団を生じ得る、インビトロまたはインビボの一次CTL応答を誘導する能力について、さらに評価され得る。
このMHCクラスI抗原は、HLA−A座、HLA−B座およびHLA−C座によってコードされる。HLA−A抗原およびHLA−B抗原は、細胞表面において、ほとんど等しい密度で発現されるにもかかわらず、HLA−Cの発現は、明らかに低い(おそらく10分の1ほど)。これらの座のそれぞれに、多数の対立遺伝子が存在する。本発明のペプチド結合モチーフは、各対立遺伝子サブタイプに対して、比較的特異的である。
ペプチドベースのワクチンについて、ペプチドは、好ましくは、ヒトの集団に広く分布するMHCI分子によって認識されるモチーフを含むか、または一般的に多様な集団によって認識されるモチーフを含む。MHC対立遺伝子は、異なる民族および人種において異なる頻度で生じるので、標的MHC対立遺伝子の選択は、標的集団に依存し得る。表1は、異なる人種間のHLA−A座産物における種々の対立遺伝子の頻度を示す。例えば、白色人種集団の大多数は、4つのHLA−A対立遺伝子サブタイプ(具体的には、HLA−A2.1、A1、A3.2、およびA24.1)に結合するペプチドによってカバーされ得る。同様に、アジア人の集団の大多数は、5番目の対立遺伝子HLA−A11.2に結合するペプチドの付加で包囲される。
Figure 2005512016
B.DuPont,Immunobiology of HLA,Vol.I,Histocompatibility Testing 1987,Springer−Verlag,NewYork 1989より編集した表。
N=黒色人種;A=アジア人;C=白色人種。括弧内の数字は、分析した個体の数を示す。
HLA−A2.1モチーフ保有ペプチドと他のHLA−A2対立遺伝子特異性分子との交差反応結合が生じ得る。HLA−A2.1との結合特異性を共有するこれらの対立遺伝子特異的分子は、HLA−A2.1スーパータイプを含むとみなされる。A2スーパータイプHLA分子のBポケットは、残基(この命名は、1文字アミノ酸コードを使用し、下付文字は、ペプチド位置を示す)F/Y、A24、M45、E/N63、K/N66、V67、H/Q70およびY/C99を含むコンセンサスモチーフによって特徴付けられる。同様に、このA2スーパータイプFポケットは、残基D77、T80、L81およびY116(155)を含むコンセンサスモチーフによって特徴付けられる。A0201に結合するペプチドの約66%が、3以上のA2スーパータイプ対立遺伝子間で交差反応する。
本明細書中で規定されるA2スーパータイプは、生存細胞結合アッセイ(del Guercio,M.−Fら,J.Immunol.154:685,1995)からの交差反応データ(Fruci,Dら,Hum.Immunol.38:187,1993)およびHLA−A2対立遺伝子特異的分子に結合する、天然にプロセスされるペプチドの配列決定によって得られるデータ(Sudo,T.ら,J.Immunol.155:4749,1995)と一致する。従って、HLA分子のファミリー(すなわち、これらのペプチドに結合するHLA−A2スーパータイプ)は、少なくとも9のHLA−Aタンパク質:A0201、A0202、A0203、A0204、A0205、A0206、A0207、A6802、およびA6901からなる。
本明細書中に記載されるように、このHLA−A2スーパーモチーフは、2番目の位置に主要なアンカー残基としてL、I、V、M、A、TまたはQを、そしてエピトープのC末端位置に主要なアンカー残基としてL、I、V、M、A、またはTを有するペプチドリガンドを含む。ここで要求される本発明に最も特に関連するHLA−A2モチーフは、2位にV、A、TまたはQを含み、そしてC末端アンカー位置にL、I、V、M、AまたはTを含む。HLA−A2スーパーモチーフを含むペプチドエピトープは、1より多いHLA−A2スーパータイプ分子を結合し得る。
本発明のペプチドを同定するのに使用され得る手順は、Falkら、Nature 351:290(1991)に開示され、本明細書中に参考文献として援用される。手短に言えば、MHCクラスI分子の大規模な単離を含む方法は、典型的には、適切な細胞または細胞株からの免疫沈降またはアフィニティークロマトグラフィーによる。所望のMHC分子を単離する他の方法の例は、当業者に同様に周知であり、これらとしては、イオン交換クロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、サイズ排除、高速リガンドクロマトグラフィー、および上記の技術全ての組合せが挙げられる。
典型的な場合において、免疫沈降は、所望の対立遺伝子を単離するのに使用され得る。使用される抗体の特異性に基づいて、多くのプロトコルが使用され得る。例えば、対立遺伝子特異的mAb試薬は、HLA−A、HLA−B、およびHLA−C分子の親和性精製に使用され得る。HLA−A分子を単離するためのいくつかのmAb試薬が入手可能である。モノクローナルBB7.2は、HLA−A2分子の単離に適切である。標準的な技術を使用して、これらのmAbで調製される親和性カラムは、各HLA−A対立遺伝子産物の精製に首尾良く使用される。
対立遺伝子特異的mAbに加え、広範に反応性の抗HLA−A mAb、抗HLA−B mAb、抗HLA−C mAb(例えば、W6/32 B9.12.1およびB1.23.2)が、以下の実施例の節に記載されるように代替的な親和性精製プロトコルに使用され得る。
単離されるMHC分子の溝に結合するペプチドに結合されるペプチドは、典型的には、酸処理によって溶出される。ペプチドはまた、クラスI分子から、種々の標準的な変性手段(例えば、熱、pH、界面活性剤、塩、カオトロピズム試薬、またはこれらの組合せ)によって分離され得る。
ペプチド画分は、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってMHC分子からさらに分離され、そして配列決定される。ペプチドは、当業者に周知の種々の他の標準的な手段(濾過、限外濾過、電気泳動、サイズクロマトグラフィー、特定の抗体を用いる沈降、イオン交換クロマトグラフィー、等電点電気泳動など)によって分離され得る。
単離されるペプチドの配列決定は、Edman分解(Hunkapiller,M.Wら,Methods Enzymol.91,399[1983])のような標準的な技術に従って実施され得る。配列決定に適切な他の方法としては、前に記載したような個体ペプチドの質量分析配列決定(Huntら,Science 225:1261(1992)(これは、本明細書中で参考文献として援用される))が挙げられる。異なるクラスI分子由来のバルク異種ペプチドのアミノ酸配列決定(例えば、プールされるHPLC画分)は、典型的には、各クラスI対立遺伝子に対して特有の配列モチーフを明らかにする。
異なるクラスI対立遺伝子に特異的なモチーフ定義は、アミノ酸配列が公知である抗原タンパク質由来の潜在的なペプチドエピトープの同定を可能にする。典型的に、潜在的なペプチドエピトープの同定は、最初に、モチーフの存在に対する所望の抗原のアミノ酸配列をスキャンするためのコンピュータを使用して実行される。
モチーフ保有エピトープの同定の後、エピトープ配列が合成される。MHCクラス分子を結合する能力は、種々の異なる方法で測定される。ひとつの手段としては、以下に示す関連出願に記載されるようなクラスI分子結合アッセイがある。文献に記載される他の代替手段としては、抗原提示の阻害(Setteら、J.Immunol.141:3893(1991)、インビトロアッセンブリアッセイ(Townsendら、Cell 62:285)、およびRMA.S(Meliefら、Eur.J.Immunol.21:2963(1991)のような変異された細胞を使用するFACSベースのアッセイ)が挙げられる。
本明細書中に開示されるように、より高いHLA結合親和性は、より大きい免疫原性と関連する。より大きい免疫原性は、いくつかの異なる方法で明らかにされ得る。免疫原性は、免疫応答が全てにおいて誘発されるか否か、および任意の特定の応答の強さ、ならびに応答が誘発される多様な集団の限度に対応し得る。例えば、ペプチドは、集団の多様なアレイにおける免疫応答を誘発し得るが、強い応答を生じる実例はない。本明細書に開示される原理に従って、中間の親和性で結合する約50%のペプチドとは対照的に、90%に近い高度な結合ペプチドが、免疫原性であることが見出されている。さらに、より高度な結合親和性ペプチドは、より強い免疫原性応答を導く。結果的に、高い親和性の結合ペプチドが使用される場合、同様の生物学的効果を誘発するためにより少ないペプチドが必要とされる。従って、本発明の好ましい実施形態において、高い親和性結合エピトープが、特に有用である。それにもかかわらず、先行技術を超える実質的な改善は、中間体または高度な結合ペプチドを用いて達成された。
HLAクラスI分子に対する結合親和性と分散したペプチドエピトープの免疫原性との関係は、本発明者らによる技術で初めて決定される。これらの実験(ここで、分散したペプチドが参照される)において、インビボにおけるペプチドの細胞内プロセッシングは、より長いフラグメントが使用されたとしてもこのようなペプチドを導くことに留意のこと。従って、1以上のエピトープを含むより長いペプチドは、本発明の範囲内である。結合親和性と免疫原性との間の関係は、2つの異なる実験アプローチで分析される(Setteら、J.Immunol.153:5586−5592,1994)。第1のアプローチにおいて、10,000倍の範囲にわたるHLA結合親和性における潜在的なエピトープの免疫原性範囲は、HLA−A0201トランスジェニックマウスで分析される。第2のアプローチにおいて、約100の異なるB型感染ウイルス(HBV)を誘導する潜在的なエピトープの抗原性は、全てA0201結合モチーフを保有し、急性肝炎患者由来のPBL(末梢血リンパ球)を使用することによって評価された。これらのアプローチに従って、約500nM(好ましくは50nM以下)の親和性閾値が、CTL応答を誘発するペプチドエピトープの能力と関連することが決定された。これらのデータは、天然にプロセスされたペプチドおよび合成されたT細胞エピトープに対するクラスI結合親和性測定に対して当てはまる。これらのデータはまた、T細胞応答の形成における決定因子選択の重要な役割を示す(例えば、Schaefferら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:4649−4653、1989を参照のこと)。
従って、CTL誘導ペプチドは、好ましくは、500nM以下のクラスI HLA分子に対するIC50を有するペプチドを含む。腫瘍に関連する抗原由来のモチーフ保有ペプチドエピトープの場合において、200nMの結合親和性閾値が、CTL集団を得ることによる腫瘍細胞の死滅に関連して示される。
好ましい実施形態において、HLA−A2対立遺伝子特異的分子に対する結合活性の評価に続いて、ペプチドが示す高い親和性または中間の親和性が、さらなる分析のために考慮される。選択されるペプチドは、スーパータイプファミリーの他のメンバーについて試験され得る。好ましい実施形態において、交差反応結合を示すペプチドは、次いで、ワクチン内または細胞内スクリーニングアッセイに使用される。
例えば、HLA−A2結合アッセイにおいて陽性を試験するペプチド(すなわち、500nM以下の結合親和値を有するペプチド)は、インビトロで特定のCTL応答を誘導するペプチドの能力についてアッセイされる。例えば、ペプチドとともにインキュベートされる抗原提示細胞は、応答細胞集団においてCTL応答を誘導する能力についてアッセイされ得る。抗原提示細胞は、末梢血単核細胞または樹状細胞のような正常細胞であり得る(Inabaら、J.Exp.Med.166:182(1987);Boog、Eur.J.Immunol.18:219[1988])。
あるいは、内部でプロセスされるペプチドを有するクラスI分子を導く能力が欠失している変異哺乳動物細胞株(例えば、マウス細胞株RMA−S(Kaerreら、Nature、319:675(1986);Ljunggrenら、Eur.J.Immunol.21:2963−2970(1991))およびヒトT体細胞ハイブリッド、T−2(Cerundoloら、Nature 345:449−452(1990)))およびヒトクラスI分子をコードする適切な遺伝子でトランスフェクトされる細胞株が、ペプチドが外因的にこれらに加えられる場合、1次のCTL応答をインビトロで誘導するペプチドの能力を試験するために、好都合に使用される。使用され得る他の真核生物細胞株としては、種々の昆虫細胞株(例えば、蚊の幼虫(ATCC細胞株CCL 125、126、1660、1591、6585、6586)、カイコ(ATCC CRL 8851)、アワヨトウの幼虫(ATCC CRL 1711)、ガ(ATCC CCL 80))、およびDrosophila細胞株(例えば、Schneider細胞株(Schneider J.Embryol.Exp.Morphol.27:353−365[1927]を参照のこと)が挙げられる。
末梢血リンパ球は、正常なドナーまたは患者の簡単な静脈穿刺または白血球搬出に続いて都合良く単離され、そしてCTL前駆体の応答細胞源として使用される。1つの実施形態において、適切な抗原提示細胞は、10〜100μMのペプチドとともに血清を含まない培地において4時間、適切な培養条件でインキュベートされる。このペプチドをロードされた抗原提示細胞は、次いで、インビトロで7〜10日間、最適な培養条件下で応答細胞集団とともにインキュベートされる。ポジティブなCTL活性化は、放射標識された標的細胞を殺すCTLの存在について培養物をアッセイすることによって決定され得、特定のペプチドパルス標的物と、ペプチド配列由来の関連ウイルスまたは腫瘍抗原の内因的にプロセスされた形態を発現する標的細胞の両方を誘導した。
CTLの特異性およびMHC制限は、適切なヒトMHCクラスIまたは不適切なヒトMHCクラスIを発現する異なるペプチド標的細胞に対して試験することによって決定される。MHC結合アッセイにおける陽性を試験し、特異的なCTL応答を生じるペプチドは、免疫原性ペプチドとして本明細書中で参照される。
Kastら(J.Immunol.152:3904−3912、1994)は対立遺伝子特異的HLAクラスI分子に結合するエピト−プの90%を占めるモチーフ保有ペプチドを示す。この研究において、9アミノ酸長であり8つのアミノ酸によって重ね合わされるすべての可能性のあるペプチド(240ペプチド)(これは、ヒトパピローマウイルス16型のE6タンパク質およびE7タンパク質の配列全体にわたる)は、異なる民族間において高い頻度で発現される5つの対立遺伝子特異的HLA分子への結合について評価された。この不偏性のペプチドのセットは、HLAクラスIモチーフの予測値を評価し得る。240個のペプチドのセットから、高い親和性または中間の親和性を有する対立遺伝子特異的HLA分子に結合する22個のペプチドが同定された。これらの22個のペプチドのうち20個(すなわち91%)は、モチーフ保有であった。従って、この研究は、ワクチンに封入するためのペプチドエピトープの同定のためにモチーフの値を示した。モチーフベースの同定技術の適用は、潜在的なエピトープの90%のスクリーニングを排除する。モチーフを使用しないことが不可能でなければ、利用可能なペプチドの質、およびスクリーニングプロセスの複雑性は、抗原の包括的な評価を極めて困難にする。
本発明の免疫原性ペプチドエピトープは、同じ抗原、同じ供給源由来の抗原、および/または異なる供給源由来の抗原のさらなるペプチドエピトープを含む、ポリエピトープワクチン組成物に含まれ得る。さらに、クラスIIエピトープは、クラスIエピトープとともに含まれ得る。同じ抗原由来のペプチドエピトープは、配列中において連続する隣接エピトープであり得るかまたはタンパク質の異なる領域から得られ得る。
以下により詳細に記すように、この免疫原性ペプチドは、合成的に調製され得る(例えば、化学合成によって、または組換えDNA技術によって、またはウイルス全体もしくは腫瘍のような天然の供給源からの単離によって)。しかしながら、このペプチドは、好ましくは、他の天然に発生する宿主細胞タンパク質およびこのフラグメントを実質的に含まず、いくつかの実施形態において、このペプチドは、ネイティブのフラグメントまたは粒子に合成的に結合体化され得る。
このポリペプチドまたはペプチドは、多様な長さであり得、中性(電荷を帯びていない)形態かまたは塩形態のいずれか、および修飾(例えば、グリコシル化、側鎖酸化、もしくはリン酸化)なしかこれらの修飾を含むかのいずれか、であり得、この修飾が本明細書中に記載されるようなポリペプチドの生物学的活性を破壊しない条件に供される。
望ましくは、このペプチドは、大きいペプチドの全ての生物学的活性を実質的に維持しつつ、可能な限り小さい。可能な場合、本発明のペプチドエピトープを、内因的にプロセスされるウイルスペプチドもしくは腫瘍細胞ペプチド(これらは細胞表面においてMHCクラスI分子に結合する)と釣り合ったサイズである、9または10アミノ酸残基長に最適化するが望ましくあり得る。
望ましい活性を有するペプチドは、必要に応じて修飾され、特定の望ましい特性(例えば、改善された薬学的特性)を提供し得るが、その一方、所望のMHC分子に結合する未修飾ペプチドの全ての生物学的活性を実質的に増加させるか少なくとも保持し、適切なT細胞を活性化させる。例えば、このペプチドは、様々な変化(例えば、置換、保存か非保存のいずれか)に供され得、ここでこのような変化は、これらの使用において、特定の利点(例えば、改良されたMHC結合性)を提供し得る。保存的な置換とは、アミノ酸残基を別のものと置きかえることを意味し、これは、生物学的および/または化学的に類似している(例えば、ある疎水性残基が別のものに、またはある極性残基が別のものに)。この置換基としては、以下のような組合せが挙げられる:例えば、Gly、Ala;Val、Ile、Leu、Met;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;およびPhe、Tyr。単一のアミノ酸置換基の効果はまた、D−アミノ酸を使用してプローブされ得る。このような修飾物は、例えば、Merrifield、Science 232:341−347(1986)、BaranyおよびMerrifield、The Peptides、GrossおよびMeienhofer(編)(N.Y,、Academic Press)、1−284頁(1979);ならびにStewartおよびYoung、Solid Phase Peptide Synthesis(Rockford、Ill.、Pierce)、第2版(1984)に記載されるような、周知のペプチド合成手段を使用して作製され得る。
このペプチドはまた、化合物のアミノ酸配列を伸長させるかまたは減少させることによって(例えば、アミノ酸の付加または欠失によって)修飾され得る。本発明のペプチドまたはアナログはまた、特定の残基の順番または組成を変化させることによって修飾され得、生物学的活性に対して必須である特定のアミノ酸残基(例えば、臨界(critical)接触部位または保存された残基におけるもの)は、一般的には生物学的活性に対して有害な効果を有さずに変化されないことが容易に理解される。この非臨界アミノ酸は、L−α−アミノ酸のように、タンパク質中に天然に生じるアミノ酸に限定される必要はないが、β−γ−δ−アミノ酸のような非天然アミノ酸、ならびに天然アミノ酸のD−異性体のようなL−α−アミノ酸の多くの誘導体が含まれ得る。
典型的には、単一のアミノ酸置換基を有するペプチド系は、結合に対する電荷、疎水性などの効果を決定するのに使用される。例えば、一連の、正に帯電したアミノ酸置換基(例えば、LysまたはArg)または負に帯電したアミノ酸置換基(例えば、Glu)は、種々のMHC分子およびT細胞レセプターに対する感度の、異なるパターンを示すペプチドの長さに沿って作製される。さらにAla、Gly、Pro、または類似の残基のような小さく、比較的に中性の部分を使用して、複数の置換が実行され得る。この置換は、ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーであるマルチエピトープペプチドを産生し得る。置換されるかまたは付与される残基の数および型は、本質的な接触点間に必要な空間、および見られる特定の機能特性(例えば、疎水性対親水性)に依存する。親ペプチドの親和性と比較して、MHC分子レセプターまたはT細胞レセプターに対する結合親和性の増加はまた、このような置換によって達成され得る。いずれの事象においても、このような置換は、例えば、結合を破壊し得る立体障害および電荷障害を避けるために選択されるアミノ酸残基残基または他の分子フラグメントを使用する。
アミノ酸置換基は、典型的には単一の残基である。置換基、欠失物、挿入物またはこれらの任意の組合せが、最終的なペプチドに達するために組み合わされ得る。置換の改変体は、少なくとも1つのペプチド残基が取り除かれ、そして異なる残基がその場所に挿入されるものである。このような置換は、一般的には、ペプチドの特徴を最終的に変えることが望まれる場合、以下の表2に従ってなされる。
Figure 2005512016
機能(例えば、MHC分子またはT細胞レセプターに対する親和性)における実質的な変化は、表2における置換よりも保存性の低い置換を選択すること、すなわち、(a)置換の範囲におけるペプチド骨格の構造、例えば、シート構造もしくはヘリックス構造、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性、あるいは(c)側鎖の嵩高さの維持におけるそれらの効果においてより有意に異なる残基を選択することによって成される。一般に、ペプチド特性において最も大きな変化を生じると予想される置換は、(a)親水性残基(例えば、セリル)が、疎水性残基(例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、もしくはアラニル)によって置換されるか;(b)電気陽性側鎖を有する残基(たとえば、リジル、アルギニル、もしくはヒスチジル)が、電気陰性側鎖(例えば、グルタミルもしくはアスパルチル)によって置換されるか;または(c)かさばった側鎖を有する残基(例えば、フェニルアラニン)が、側鎖を有さない残基(例えば、グリシン)によって置換される置換である。
このペプチドはまた、免疫原性ペプチド中に2つ以上の残基のアイソスターを含み得る。本明細書中で定義されるようなアイソスターは、第1の配列の立体配座が、第2の配列に特異的な結合部位に適合するので、第2の配列と置換され得る、2つ以上の残基の配列である。この用語は、詳細には、当業者に周知のペプチド骨格修飾を含む。このような修飾としては、アミド窒素、α−炭素、アミドカルボニル、アミド結合の完全な置換、伸長、欠損もしくは骨格の架橋の修飾が挙げられる。一般に、Spatola,Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins,Vol.VII(Weinstein編,1983)を参照のこと。
種々のアミノ酸模倣物または非天然アミノ酸を用いたペプチドの修飾は、特に、インビボでのペプチドの安定性の増加において有用である。安定性は、多数の方法においてアッセイされ得る。例えば、ペプチダーゼおよび種々の生物学的培地(例えば、ヒト血漿およびヒト血清)が、安定性を試験するために使用されている。例えば、Verhoefら,Eur.J.Drug Metab.Pharmacokin.11:291〜302(1986)を参照のこと。本発明のペプチドの半減期は、25%ヒト血清(v/v)アッセイを用いて都合よく測定される。このプロトコルは、一般に以下のとおりである。プールされたヒト血清(AB型、非加熱不活性化)を、使用の前に遠心分離によって脱脂する。次いで、この血清を、RPMI組織培養培地を用いて25%に希釈し、そしてペプチド安定性を試験するために使用する。所定時間の間隔で、少量の反応溶液を取り出し、そして6%トリクロロ酢酸水溶液またはエタノールのいずれかに添加する。混濁した反応サンプルを、15分間冷却(4℃)し、次いでスピンして沈殿した血清タンパク質をペレット化する。次いで、ペプチドの存在を、安定性特異的クロマトグラフィー条件を用いて逆相HPLCによって測定する。
本発明のペプチド、またはCTL刺激活性を有するそのアナログを修飾して、向上された血清の半減期以外の所望される特性を提供し得る。例えば、CTL活性を誘導するペプチドの能力は、ヘルパーT細胞の応答を誘導し得る少なくとも1つのエピトープを含む配列への結合によって増強され得る。
いくつかの実施形態において、ヘルパーTペプチドは、集団の大多数におけるヘルパーT細胞によって認識されるものである。これは、多くのMHCクラスII分子、ほとんどのMHCクラスII分子、または全てのMHCクラスII分子に結合するアミノ酸配列を選択することによって成し遂げられ得る。これらは、「大まかにMHC制限された」ヘルパーT配列として公知である。大まかにMHC制限されたアミノ酸配列の例としては、抗原由来の配列(例えば、破傷風毒素の830〜843位(QYIKANSKFIGITE)、Plasmodium falciparumのスポロゾイト周囲(CS)タンパク質の378〜398位(DIEKKIAKMEKASSVFNVVNS)、およびStreptococcusの18kDタンパク質の1〜16位(YGAVDSILGGVATYGAA))が挙げられる。
あるいは、自然において見出されないアミノ酸配列を用いて、大まかにMHC制限された様式において、ヘルパーTリンパ球を刺激し得る合成ペプチドを調製することが可能である。Pan−DR−結合エピトープまたはPADRETM分子(Epimmune,San Diego,CA)と呼ばれるこれらの合成化合物は、ほとんどのHLA−DR(ヒトMHCクラスII)分子に対するその結合活性に基づいて設計される(例えば、米国特許第5,736,142号を参照のこと)。
特に好ましい免疫原性ペプチド/ヘルパーT結合体は、スペーサー分子によって連結される。このスペーサーは、代表的に比較的小さい、中性の分子(例えば、アミノ酸またはアミノ酸模倣物)からなり、これらは、生理学的条件下で実質的に荷電していない。このスペーサーは、代表的に、例えば、Ala、Glyまたは非極性アミノ酸または中性の極性アミノ酸の他の中性のスペーサーから選択される。必要に応じて存在するスペーサーは、同じ残基からなる必要がなく、従ってヘテロオリゴマー、もしくはホモオリゴマーであり得ることが理解される。存在する場合、このスペーサーは、通常少なくとも1個または2個の残基であり、より一般的には3〜6個の残基である。あるいは、CTLペプチドは、スペーサーなしでヘルパーTペプチドに結合され得る。
この免疫原性ペプチドは、CTLペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端で直接か、またはスペーサーを介してのいずれかでヘルパーTペプチドに結合され得る。免疫原性ペプチドまたはヘルパーTペプチドのいずれかのアミノ末端が、アシル化され得る。例示的なヘルパーTペプチドとしては、破傷風トキソイド830〜843、インフルエンザ307〜319、マラリアのスポロゾイト周囲382〜398および378〜389が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物中に、CTLをプライムする少なくとも1つの成分を含むことが所望され得る。脂質は、ウイルス抗原に対してインビボでCTLをプライムし得る因子として同定されている。例えば、パルミチン酸残基は、Lys残基のαアミノ基およびεアミノ基に付着され得、次いで、例えば、1つ以上の連結残基(例えば、Gly、Gly−Gly−、Ser、Ser−Serなど)を介して、免疫原性ペプチドに連結され得る。次いで、脂質化ペプチドは、ミセル形態で直接注射され得るか、リポソームに組み込まれ得るか、またはアジュバント(例えば、フロイントの不完全アジュバント)において乳化され得る。好ましい実施形態において、特に有効な免疫原は、Lysのαアミノ基およびεアミノ基に付着されたパルミチン酸を含み、これは連結(例えば、Ser−Ser)を介して、免疫原性ペプチドのアミノ末端に付着される。
CTL応答の脂質プライムの別の例として、E.coliリポタンパク質(例えば、トリパルミトイル−S−グリセリルシステイニルセリル−セリン(PCSS)は、適切なペプチドに共有結合している場合、ウイルス特異的なCTLをプライムするために使用され得る。Deresら,Nature 342:561〜564(1989)を参照のこと。例えば、本発明のペプチドは、PCSSと結合され得、そしてリポペプチドを、個体に投与して、標的抗原に対するCTL応答を特異的にプライムし得る。さらに、中和抗体の導入もまた、適切なエピトープを示すペプチドに結合体化したPCSSでプライムされ得るので、この2つの組成物を、結合して、感染に対する体液性応答および細胞媒介性応答の両方をより効果的に誘発し得る。
さらに、さらなるアミノ酸を、ペプチドの末端に付加して、互いにペプチドを結合し易くすること、キャリア支持体、もしくはより大きなペプチドに結合すること、ペプチドもしくはオリゴペプチドの物理学的特性もしくは化学的特性を修飾することなどを提供し得る。アミノ酸(例えば、チロシン、システイン、リジン、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸など)は、ペプチドもしくはオリゴペプチドのC末端もしくはN末端で導入され得る。いくつかの場合におけるC末端での修飾は、ペプチドの結合特性を変更し得る。さらに、ペプチド配列またはオリゴペプチド配列は、末端−NHのアシル化(例えば、アルカノイル(C〜C20)またはチオグリコリルアセチル化)、末端カルボキシルアミド化(例えば、アンモニア、メチルアミンなど)によって修飾されることによって天然の配列から異なり得る。いくつかの例において、これらの修飾は、支持体もしくは他の分子に連結するための部位を提供し得る。
本発明のペプチドは、広く多様な方法において調製され得る。その比較的短いサイズのため、ペプチド(個別のエピトープまたはポリエピトープペプチド)は、従来技術に従って、溶液中もしくは固体支持体上で合成され得る。種々の自動合成機が、市販され、そして公知のプロトコルに従って使用され得る。例えば、StewartおよびYoung,Solid Phase Peptide Synthesis,2d.ed.,Pierce Chemical Co.(1984),前出を参照のこと。
あるいは、本発明のペプチドの調製は、組換えDNA技術の使用を含み得、ここで、目的の免疫原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列が、発現ベクター中に挿入され、適切な宿主細胞に形質転換されるか、またはトランスフェクトされ、そして発現に適切な条件下で培養される。これらの手順は、本明細書中で参考として援用されるSambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(1982)に記載されるように、一般に、当該分野において公知である。従って、本発明の1つ以上のペプチド配列を含む融合タンパク質が、適切なT細胞エピトープを示すために使用され得る。
本明細書中で検討される長さのペプチドについてのコード配列が、化学技術(例えば、Matteucciら,J.Am.Chem.Soc.103:3185(1981)のホスホトリエステル方法)によって合成され得る場合、修飾は、天然のペプチド配列をコードする配列について適切な塩基を置換することによって単純になされ得る。次いで、このコード配列に、適切なリンカーを提供し得、そして当該分野において一般に、利用可能な発現ベクター中にライゲーションし得、そしてベクターを使用して、適切な宿主を形質転換して、所望の融合タンパク質を生成し得る。多数のこのようなベクターおよび適切な宿主系が、現在利用可能である。融合タンパク質の発現のために、コード配列は、作動可能に連結された開始コドンおよび終止コドン、プロモーター領域およびターミネーター領域を有し、そして通常複製系を有して、所望の細胞宿主における発現のための発現ベクターを提供する。例えば、細菌宿主に適合するプロモーター配列は、所望のコード配列の挿入のための都合の良い制限部位を含むプラスミドに提供される。生じる発現ベクターは、適切な細菌宿主に形質転換される。当然、適切なベクター配列およびコントロール配列を用いて、酵母細胞宿主または哺乳動物細胞宿主もまた使用され得る。
本発明のペプチドおよびその薬学的組成物およびワクチン組成物は、感染症および癌の治療的処置および/または予防のために哺乳動物(特にヒト)への投与に有用である。本発明の免疫原性ペプチドを用いて処置され得る疾患の例としては、前立腺癌、B型肝炎、C型肝炎、AIDS、腎臓癌腫、頸部癌腫、リンパ腫、CMV感染症および尖圭コンジローマ(condlyloma acuminatum)が挙げられる。
薬学的組成物について、本発明の免疫原性ペプチドは、しばしば、すでに癌に羅患しているか、または目的のウイルスに感染された個体に投与される。感染症の潜伏期または急性期における個体は、免疫原性ペプチドを別個に用いて処置され得るか、または適切な他の処置と組み合わせて処置され得る。治療的適用において、組成物は、感染疾患因子または腫瘍の抗原への効果的なCTL応答を誘発および治療するのに十分な量、または少なくとも部分的に症状および/または合併症を抑止する量、患者に投与される。これを成し遂げるのに適切な量は、「治療的に有効な用量」または「単位用量」として定義される。この使用について有効な量は、例えば、ペプチド組成、投与の様式、処置される疾患の段階および重症度、患者の体重および健康の一般的な状態、ならびに指示する医師の判断に依存する。一般に、ヒトについての初回免疫(治療的投与または予防的投与のため)についての用量範囲は、70kgの患者について、約1.0μg〜約20,000μgのペプチド、好ましくは100μg−、150μg−、200μg−、250μg−、300μg−、400μg−、または500μg−20,000μgであり、続いて患者の血液中の特異的CTL活性を測定することによる患者の応答および状態に依存して、数週〜数ヶ月にわたるレジメンの追加免疫に従って同じ用量範囲の投薬量を追加免疫する。組換え核酸投与が使用される実施形態において、投与された物質を滴定して、適切な治療応答を成し遂げる。本発明のペプチドおよび組成物が、一般に深刻な疾患状態、すなわち生命にかかわる状況または潜在的に生命にかかわる状況において用いられ得ることが、留意されなければならない。このような場合に、本発明の組成物における外来性の物質の最小化の観点、および例えば、ペプチドの比較的無毒の性質の観点において、実質的に過剰のこれらの組成物を投与することは、可能であり、そして処置する医師によって所望され得る。
治療的使用について、投与は、感染症の初めの徴候の際、または腫瘍の検出もしくは外科的除去の際、または急性の感染症の場合において診断の直後に開始するべきである。これに続いて、少なくとも症状が実質的に寛解されるまで、およびその後の期間、用量を追加免疫する。慢性の感染症において、用量のローディングに続いて、用量の追加免疫が、必要とされ得る。
本発明の組成物を用いた感染した個体の処置は、急性的に感染した個体における感染症の回復を促進し得る。慢性の感染症の発生に感受性の(または素因化する)個体について、この組成物は、急性から慢性への感染症の進展を予防する方法において特に、有用である。感受性の個体が、例えば、本明細書中に記載されるように、感染の前または感染の間に同定される場合、この組成物はそれらを標的化し得、より大きな集団への投与の必要性を最小化する。
このペプチド組成物はまた、慢性の感染症を処置するために使用され得、そして免疫系を刺激して、例えば、キャリアにおけるウイルス感染細胞を除去する。細胞傷害性T細胞応答を効果的に刺激するのに十分な処方、および投与の様式において、ある量の免疫増強ペプチドを提供することが、重要である。従って、慢性の感染症の治療のために、免疫化用量に続く、確立された間隔(例えば、1〜4週間)での用量の追加免疫は、個体を効果的に免疫化する期間を延長するためにおそらく必要とされ得る。慢性の感染症の場合において、投与を、少なくとも臨床的症状または実験室検査が、感染が除去されたか、または実質的に抑止されたことを示すまで、およびその後の期間続けるべきである。
治療的処置のための薬学的組成物は、非経口投与、局所的投与、経口投与または局部投与について意図される。本発明のペプチドは、ペプチドをコードする核酸の形態で投与され得る。好ましくは、この薬学的組成物は、非経口的(例えば、静脈内、皮下、皮内、または筋肉内)に投与される。従って、本発明は、受容可能なキャリア(好ましくは、水性キャリア)中に溶解されるか、または懸濁される免疫原性ペプチドの溶液を含む、非経口投与のための組成物を提供する。種々の水性キャリア(例えば、水、緩衝化された水、0.8%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸など)が、使用され得る。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌され得るか、またはろ過滅菌され得る。生じる水溶液は、そのまま使用されるようにパッケージングされ得るか、または凍結乾燥され得、凍結乾燥された調製物は、投与の前に滅菌溶液と合せられる。この組成物は、近似の生理学的条件に必要とされる薬学的に受容可能な補助物質(例えば、pH調整剤および緩衝剤、等張性調整剤、湿潤剤など(例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、チオエタノールアミンオレアートなど)を含み得る。
薬学的処方物における本発明のCTL刺激ペプチドの濃度は、広く(すなわち、約0.1重量%未満から、通常は少なくとも約2重量%から20重量%〜50重量%以上と同じ程度)変化し得、そして選択された投与の特定の様式に従って、主として流体容量、粘性などによって選択される。ペプチド組成物のヒト単位用量形態は、代表的に、ヒト単位用量の受容可能なキャリア(好ましくは水性キャリア)を含む薬学的組成物に含まれ、そしてヒトに対するこのような組成物の投与について使用されると当業者によって公知の流体の容量で、投与される。
本発明のペプチドはまた、特定の組織(例えば、リンパ組織)に対してペプチドを標的化するリポソームを介して投与され得るか、または感染細胞に対して選択的に標的化され得、ならびにペプチド組成物の半減期を増加し得る。リポソームは、乳化物、泡沫体、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散物、ラメラ層などを含む。これらの調製物において、送達されるペプチドは、リポソームの一部として、単独あるいは例えば、リンパ系細胞間で優性なレセプターに結合する分子(例えば、CD45抗原に結合するモノクローナル抗体)または他の治療的組成物もしくは免疫原性組成物との組合せで組み込まれる。従って、本発明の所望のペプチドで充填または装飾のいずれかをされたリポソームは、リンパ系細胞の部位を対象にし得、ここでリポソームは、次いで、選択された治療的/免疫原性ペプチド組成物を送達する。本発明における使用のためのリポソームは、標準のビヒクル形成脂質から形成され、これは、一般に、中性および陰性に荷電したリン脂質およびステロール(例えば、コレステロール)を含む。脂質の選択は、一般に、例えば、血流におけるリポソームのサイズ、リポソームの酸不安定性および酸安定性の考察によって導かれる。種々の方法が、例えば、Szokaら、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980),米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号および同第5,019,369号に記載されるように、リポソームを調製するために利用される。
免疫細胞を標的化するために、リポソームに組込まれるリガンドが、例えば、所望の免疫系細胞の細胞表面決定因子について特異的なその抗体またはフラグメントを含み得る。ペプチドを含むリポソーム懸濁物は、特に、投与の様式、送達されるペプチド、および処置される疾患の段階に従って変化する用量において、静脈内投与、局部投与、局所投与などをされ得る。
固体組成物について、従来の非毒性固体キャリアが使用され得、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。経口投与について、薬学的に受容可能な非毒性組成物が、任意の通常用いられる賦形剤(例えば、前記で列挙したキャリア)、および一般に10〜95%の活性成分、すなわち、本発明の1つ以上のペプチド、およびより好ましくは、25〜75%の濃度で組み込むことによって形成される。
エアロゾルの投与について、免疫原性ペプチドが、好ましくは、界面活性剤および噴霧剤とともに微細的に分割された形態で供給される。ペプチドの代表的なパーセンテージは、0.01重量%〜20重量%、好ましくは1%〜10%である。当然、この表面活性剤は、非毒性でなければならず、そして好ましくは噴霧剤に可溶性である。このような薬剤の代表は、6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸(例えば、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレステリン酸およびオレイン酸)の脂肪族多価アルコールまたはその環式無水物とのエステルまたは部分エステルである。混合されたエステル(例えば、混合されたグリセリドまたは天然のグリセリド)が、用いられ得る。この界面活性剤は、組成物の0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.25〜5%を構成し得る。組成物の残りは、通常噴霧剤である。キャリアもまた、所望される場合、例えば、鼻腔内送達のためにレクチンを用いるように含まれ得る。
従って、本発明の局面は、活性な成分として免疫原性的に有効な量の本明細書中に記載される免疫原性ペプチドを含むワクチンに関する。このペプチドはまた、レシピエントにおける発現において本発明のペプチドをコードする核酸の形態で投与され得る。このペプチドは、それ自体のキャリアと組み合わせて、または活性ペプチド単位のホモポリマーもしくはヘテロポリマーとして、ヒトを含む宿主に導入され得る。このようなポリマーは、増加した免疫学的反応の利点を有し、そして、異なるペプチドがポリマーを作製するために使用される場合、ウイルス細胞または腫瘍細胞の異なる抗原の決定因子と反応する抗体および/またはCTLを誘導するさらなる能力の利点を有する。有用なキャリアが、当該分野において周知であり、そして例えば、サイログロブリン、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、破傷風トキソイド、ポリアミノ酸(例えば、ポリ(リジン:グルタミン酸))、インフルエンザ、B型肝炎ウイルス核タンパク質、B型肝炎ウイルス組換えワクチンなどが挙げられる。このワクチンはまた、生理学的に容認できる(受容可能な)希釈剤(例えば、水、リン酸緩衝化生理食塩水、または生理食塩水)を含み得、そしてさらに代表的にアジュバンドを含み得る。フロイントの不完全アジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、または明礬のような物質は、アジュバントとして当該分野において周知の物質である。そして、上記で示されるように、CTL応答は、本発明のペプチドを脂質(例えば、PCSS)に結合体化させることによってプライムされ得る。注射、エアロゾル、経口、経皮または他の経路を介する、本明細書中に記載されるようなペプチド組成物を用いる免疫化の際、宿主の免疫系は、所望される抗原に特異的な大量のCTLを生成することによってワクチンに応答し、そしてこの宿主は少なくとも、後の感染に対する部分的な免疫となるか、または慢性の感染症の発生に抵抗する。
いくつかの例において、本発明のペプチドワクチンを目的のウイルス、特にウイルスのエンベロープ抗原に応答する中和抗体を誘導するワクチンと合わせることが、所望され得る。
治療または免疫化の目的のために、本発明のペプチドは、本発明の1つ以上のペプチドをコードする核酸の形態で投与され得る。この核酸は、本発明のペプチドおよび必要に応じて1つ以上のさらなる分子をコードし得る。多数の方法が、核酸を患者に送達するために一般に使用される。例えば、核酸は、「むきだし(naked)のDNA」として直接送達され得る。このアプローチは、例えば、Wolffら,Science 247:1465〜1468(1990)および米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号に記載される。核酸はまた、例えば、米国特許第5,204,253号に記載されるような弾道的送達を用いて投与され得る。DNAのみからなる粒子が、投与され得る。あるいは、DNAは、粒子(例えば金粒子)に接着され得る。
この核酸はまた、陽イオン性化合物(例えば、陽イオン性脂質)と複合体化して送達され得る。脂質媒介遺伝子の送達方法は、例えば、WO96/18372;WO93/24640;Mannino & Gould−Fogerite,BioTechniques 6(7):682〜691(1988);Roseの米国特許第5,279,833号;WO91/06309;およびFelgnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413〜7414(1987)に記載される。
本発明のポリペプチドはまた、弱毒化されたウイルス宿主(例えば、ワクシニアまたは鶏痘)によって発現され得る。このアプローチは、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現するベクターとしてのワクシニアウイルスの使用を含む。急性に感染された宿主もしくは慢性に感染された宿主、または感染されていない宿主への導入において、組換えワクシニアウイルスは、免疫原性ペプチドを発現し、そしてこれによって宿主のCTL応答を誘発する。免疫化プロトコルにおいて有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載される。別のベクターはBCG(カルメット−ゲラン杆菌)である。BCGベクターは、例えば、Stoverら(Nature 351:456〜460(1991))に記載される。本発明のペプチドの治療的投与または免疫化に有用な広く多様な他のベクター(例えば、Salmonella typhiベクターなど)が、本明細書中の記載から当業者に明らかとなる。
本発明のペプチドをコードする核酸を投与する好ましい手段は、必要に応じて他の分子と共に、本発明の複数のエピトープをコードするミニ遺伝子構築物を使用する。ヒト細胞中での発現のための、選択されたCTLエピトープ(ミニ遺伝子)をコードするDNA配列を作製するために、このエピトープのアミノ酸配列は、たとえば、逆翻訳される。ヒトコドン使用表は、各アミノ酸についてのコドン選択を案内するために使用される。これらのエピトープコードDNA配列は、直接的に隣接されており、連続するポリペプチド配列をコードする分子を作製する。必要に応じて、発現および/または免疫原性を最適化するために、さらなるエレメントがミニ遺伝子の設計に組み込まれ得る。逆翻訳され、そしてミニ遺伝子配列に含まれ得るアミノ酸配列の例としては、以下が挙げられる:ヘルパーT白血球エピトープ、リーダー(シグナル)配列、および小胞体保持シグナル。さらに、CTLエピトープのMHCの提示は、CTLエピトープに隣接する合成的(例えば、ポリ−アラニン)または天然に存在する隣接領域配列を含むことによって、改善され得る。
ミニ遺伝子配列は、ミニ遺伝子の+鎖および−鎖をコードするオリゴヌクレオチドを構築することによって、DNAに変換される。重複するオリゴヌクレオチド(30塩基長〜100塩基長)は、周知の技術を使用して適切な条件下で、合成され、リン酸化され、精製され、そしてアニールされる。オリゴヌクレオチド末端は、T4 DNAリガーゼを用いて連結される。次いで、この合成ミニ遺伝子(CTLエピトープポリペプチドをコードする)は、所望の発現ベクターにクローニングされ得る。
当業者に周知の標準調節配列は、一般に、標的細胞中での発現を保証するために、ベクター中に含まれる。種々のベクターエレメントが必要とされる:ミニ遺伝子挿入のための下流クローニング部位を有するプロモーター;有効な転写終結のためのポリアデニル化シグナル;E.coli由来の複製;およびE.coliの選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性またはカナマイシン耐性)。多数のプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーター)が、この目的のために使用され得る。他の適切なプロモーター配列について、米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号を参照のこと。
さらなるベクターの改変が、ミニ遺伝子発現および免疫原性の最適化のために所望され得る。時には、イントロンが効率的な遺伝子発現のために必要とされ、そして、1つ以上の合成イントロンまたは天然に存在するイントロンが、ミニ遺伝子の転写される領域に組み込まれ得る。mRNA安定化配列を含むこともまた、ミニ遺伝子の発現を増大させるために考慮され得る。免疫刺激配列(ISSまたはCpG)が、DNAワクチンの免疫原性において役割を担うことが、最近報告されている。これらの配列はまた、免疫原性を増強することが見出された場合、ベクター中のミニ遺伝子コード配列の外側に組み込まれ得る。
いくつかの実施形態において、バイシストロン性の発現ベクター(これは、ミニ遺伝子コード化エピトープ、および免疫原性を増大させるかまたは減少させるために含まれる第2のタンパク質の生成を可能にする)が使用され得る。免疫応答を有利に増強し得るタンパク質またはポリペプチドの例としては、同時発現される場合は、サイトカイン(例えば、IL2、IL12、GM−CSF)、サイトカイン誘導分子(例えば、LeIF)または共刺激分子が挙げられる。さらに、ヘルパーT白血球(HTL)エピトープが使用される場合、このHTLエピトープは、細胞内標的化シグナルに連結され得、そして、CTLエピトープとは別に発現され得る。これは、CTLエピトープとは異なる細胞画分にHTLエピトープを配向させる。これは、HTLエピトープのMHCクラスII経路へのより効率的な流入を促進し得、その結果、CTL誘導を促進し、そして、改善する。CTL誘導とは対照的に、免疫抑制分子(例えば、TGF−β)の共発現によって免疫応答を特異的に減少させることは、特定の疾患において有利であり得る。
いったん発現ベクターが選択されると、ミニ遺伝子はプロモーターの下流のポリリンカー領域にクローニングされる。このプラスミドは、適切なE.coli株に形質転換され、そして、DNAは、標準的な技術を使用して調製される。ミニ遺伝子の配向およびDNA配列、ならびにベクター中に含まれる他の全てのエレメントは、制限酵素地図およびDNA配列分析を使用して確認される。正確なプラスミドを有する細菌細胞は、マスター細胞バンクおよびワーキング細胞バンクとして保存され得る。
プラスミドDNAの治療量は、例えば、E.coliの発酵、続く精製によって生成される。ワーキング細胞バンクからのアリコートは、培養培地(例えば、Terrific Broth)に接種するために使用され、そして、周知の技術に従って、振盪フラスコまたはバイオリアクター中で飽和状態まで増殖させる。プラスミドDNAは、標準的生物分離(bioseparation)技術(例えば、Quiagen製の固相陰イオン交換樹脂)を使用して、生成され得る。必要とされる場合、スーパーコイルのDNAは、ゲル電気泳動または他の方法を使用して、開環状形態および直鎖状形態から単離され得る。
精製されたプラスミドDNAは種々の処方物を使用して、注入のために調製され得る。この最も簡単なものは、滅菌リン酸緩衝液化生理食塩水(PBS)中での、凍結乾燥されたDNAの再構成である。種々の方法が記載されており、そして、新規な技術が利用可能になり得る。上記に記載したように、核酸は、カチオン性脂質と共に便利に処方される。さらに、保護相互作用的非凝縮物(PINC)と集団的にいわれる糖脂質、融合誘導リポソーム、ペプチドおよび化合物はまた、可変物(例えば、安定性、筋肉内分散または特定の器官または細胞型への輸送)に影響するような精製されたプラスミドDNAと複合体化し得る。
標的細胞感作はまた、ミニ遺伝子コード化CTLエピトープの発現およびMHCクラスI提示のための機能的アッセイとして使用され得る。プラスミドDNAは、標準的CTLクロム放出アッセイのための標的として適切な哺乳動物細胞株へ導入され得る。使用されるトランスフェクション法は、最終処方物に依存する。エレクトロポレーションは、「裸の」DNAのために使用され得る一方、カチオン性脂質は、直接のインビトロトランスフェクションを可能にする。緑蛍光タンパク質(GFP)を発現するプラスミドは、蛍光細胞分析装置(FACS)を使用して、トランスフェクトされた細胞を濃縮させるために同時トランスフェクトされ得る。次いで、これらの細胞は、クロミウム51で標識され、そして、エピトープ特異的CTL系統についての標的細胞として使用される。51 Cr放出により検出される細胞溶解は、ミニ遺伝子コード化CTLエピトープのMHC提示の生成を示す。
インビボ免疫原性は、ミニ遺伝子DNA処方物の機能試験のための2番目のアプローチである。適切なヒトMHC分子を発現するトランスジェニックマウスは、DNA産物を用いて免疫化され得る。投与の用量および経路は、処方物依存的である(例えば、PBS中のDNAについてのIM、脂質複合体化DNAについてのIP)。免疫化の21日後に、脾細胞は回収され、そして、試験される各エピトープをコードするペプチドの存在下で、1週間再刺激される。これらのエフェクター細胞(CTL)は、標準的技術を使用して、ペプチド負荷され、クロム51標識された標的細胞の細胞溶解についてアッセイされる。ミニ遺伝子コード化エピトープに対応するペプチドのMHC負荷により感作された標的細胞の溶解は、インビボでのCTL誘導のためのDNAワクチン機能を立証する。
適切なハプロタイプのトランスジェニック動物はさらに、ミニ遺伝子DNAのインビボでの免疫原性を最適化する際に、有用な手段を提供し得る。さらに、ヒトMHC分子によって認識されるCTLエピトープに対して交叉反応を有する保存性HLA分子を有する動物(例えば、サル)は、CTLエピトープのヒト免疫原性を決定するために使用され得る(Bertoniら、J.Immunol.161:4447〜4455(1998))。
このようなインビボ研究は、インビトロアッセイでは容易に評価できないワクチンの開発(例えば、投与経路、ワクチン処方、組織体内分布ならびに一次リンパ器官および二次リンパ器官の関与)にとって重要な変数を扱うために必要とさる。それらの単純性および可動性のために、HLAトランスジェニックマウスは、高等動物種(例えば、非ヒト霊長類)におけるより厄介で高価な研究と比較して、少なくとも初期のワクチン開発の研究にとっては魅力的な代替物である。
抗原性ペプチドは、同様に、エキソビボでCTLを誘発するために使用され得る。得られたCTLは、他の慣習的な形態の治療薬に対して応答しないか、または治療薬のペプチドワクチンアプローチに対して応答しない患者における慢性感染症(例えば、ウイルス性または細菌性)または腫瘍を処置するために使用され得る。特定の病原(病原菌または腫瘍抗原)に対するエキソビボのCTL応答は、組織培養物中で、抗原提示細胞(APC)および適切な免疫原性ペプチドの供給源と一緒に患者のCTL前駆細胞(CTLp)をインキュベートすることで誘導される。適切なインキュベーション時間(典型的には1〜4週間)(このとき、CTLpは活性化され、そして成熟し、そしてエフェクターCTLに拡大する)後、細胞は患者に再度注入され、ここで、その細胞は、特定の標的細胞(感染された細胞または腫瘍細胞)を破壊する。
ペプチドはまた、診断試薬としての使用を見出し得る。例えば、本発明のペプチドは、このペプチドまたは関連するペプチドを使用する処置レジメンに対する特定の個人の感受性を決定するために使用され得、従って、現存の処置プロトコルの変更および罹患した個体の予後の決定において役立ち得る。
例えば、本発明のペプチドは、病原または免疫原への曝露後の抗原特異的CTLの存在について末梢血単球細胞を評価するための四量体染色アッセイにおいて使用され得る。HLA四量体化複合体は、抗原特異的CTLを直接的に可視化するため(例えば、Oggら、Science 279:2103〜2106、1998;およびAltmanら、Science 174:94〜96、1996を参照のこと)、そして、末梢血単核球細胞のサンプル中の抗原特異的CTL集団の頻度を決定するために使用される。本発明のペプチドを使用する四量体試薬は、以下のように生成される:対立遺伝子特異的HLA分子またはスーパータイプ分子に結合するペプチドは、対応するHLA重鎖およびβミクログロブリンの存在下でリフォールディングされて、3分子複合体を生成する。この複合体は、以前にタンパク質中に操作された部位の重鎖のカルボキシル末端でビオチン化される。次いで、四量体形成は、ストレプトアビジンの添加によって誘導される。蛍光標識されたストレプトアビジンを用いて、四量体は、抗原特異的細胞を染色するために使用され得る。次いで、この細胞は、例えば、フローサイトメトリーを用いて同定され得る。このような分析は、診断的目的または予後の目的のために使用され得る。
さらに、このペプチドはまた、どの個体が慢性感染症を発症する実質的な危険性を有するかを予測するために使用され得る。
本出願は、以下に関する:米国特許出願番号第08/589,108号(96年1月23日提出され、現在は取り下げられた)、および同第08/205,713号(94年3月4日に提出された)(これは、同第08/159,184号(93年11月29日に提出された)の一部継続であり、現在は取り下げられた(これは、同第08/073,205(93年6月4日に提出)の一部継続であり、現在は取り下げられた(これは、同第08/027、146号(93年3月5日に提出)の一部継続であり、現在は取り下げられた)))。この出願はまた、以下に関する:米国特許出願番号60/013,980号(96年3月21日に提出され、現在は取り下げられた)、同第08/454,033(95年5月26日提出)、同第08/349,177号(94年12月2日提出)および同第08/753,622号(96年1月27日提出、現在は取り下げられた。)。上記の出願の各々は、本明細書中に参考として援用される。
(実施例)
(実施例1:ペプチド)
利用するペプチドは、Ruppert,Jら「Prominent Role of Secondary Anchor Residues in Peptide Binding to HLA−A2.1 Molecules」、Cell 74:929〜937(1993)によって以前記載されたように合成するか、または、Chiron Mimotopes(Chiron Corp.,Australia)から粗製物質として購入した。合成ペプチドを、典型的に、逆相HPLCによって>95%の均一性まで精製した。合成ペプチドの純度を、分析用逆相HPLCおよびアミノ酸分析、配列決定ならび/または質量分析を用いて決定した。凍結乾燥したペプチドを、100%のDMSO中に4〜20mg/mlで再懸濁し、次いで、PBS+0.05%(v/v)NP40(Fluka Biochemika,Buchs,Switzerland)中に必要濃度まで希釈した。
(実施例2.MHC精製)
EBV形質転換細胞株JY(A0201)、M7B(A0202)、FUN(A0203)、DAH(A0205)、CLA(A0206)、KNE(A0207)、AP(A0207)およびAMAI(A6802)を、MHC分子の一次供給源として使用した。単一のMHC対立遺伝子をトランスフェクトした721.221株もまた、A0202およびA0207の供給源として使用した。細胞を、2mMのL−グルタミン(GIBCO,Grand Island,NY)、100U(100μg/ml)のペニシリン−ストレプトマイシン溶液(GIBCO)、および10%の熱不活性化FCS(Hazelton Biologics)を補充したRPMI 1640培地(Flow Laboratories,McLean,VA)中で培養することで、インビトロに維持した。ラージスケール培養物を、ローラービン(roller bottle)中に維持した。HLA分子を細胞溶解物から精製した(Sidney,J.ら、「The Measurement of MHC/Peptide Interactions by Gel Infiltration」Curr Prot Immunol 18.3.1−18.3.19(1998))。簡単に言うと、細胞を50mMのTris−HCL(pH 8.5)(1%(v/v)のNP−40 150mMのNaCl、5mMのEDTAおよび2mMのPMSFを含む)中に10細胞/mlの濃度で溶解した。次いで、溶解物を、0.45μMの濾紙を通過させ、10,000×gでの20分間の遠心分離によって核および細片を取り除き、そしてMHC分子を、モノクローナル抗体に基づく親和クロマトグラフィーによって精製した。
親和精製のために、不活性化Sepharose CL4BおよびProtein A Sepharoseのカラムを、プレカラム(pre−column)として使用した。クラスI分子を、抗HLA(A,B,C)抗体W6/32(Sidney,J.ら、前述)と結合体化したProtein A Sepharoseビーズを繰り返し通過させることで捕獲した。HLA−A分子をさらに、B1.23.2カラムを通過させることで、HLA−B分子およびHLA−C分子から精製した。2〜4回の通過後、W6/32カラムを、10カラム体積の10mMのTris−HCL(pH 8.0)(1%(v/v)NP−40を含む)、2カラム体積のPBSおよび2カラム体積のPBS(0.4%(w/v)のn−オクチルグルコシドを含む)で洗浄した。クラスI分子を、0.4%(w/v)のn−オクチルグルコシドを含む0.15MのNaCl溶液中の50mMジメチルアミン(pH 11.5)で溶出した。1/26体積の2.0M Tris(pH 6.8)を溶出液に添加し、pHを約8.0まで下げた。次いで、この溶出液を、Centriprep 30コンセントレーター(Amicon,Beverly,MA)中で2000rpmで遠心分離することによって濃縮した。タンパク質純度、濃度および枯渇工程の有効性を、SDS−PAGEおよびBCAアッセイによってモニタリングした。
(実施例3.MHC−ペプチド結合アッセイ)
ペプチドの可溶性クラスI分子への結合を測定するための定量アッセイは、放射性標識化標準ペプチドの結合阻害に基づく。これらのアッセイを、以前記載されたように(Sidney,J.ら、前述)実施した。簡単に言えば、1〜10nMの放射性標識したペプチドを、1μMのヒトβミクログロブリン(Scripps Laboratories,San Diego,CA)およびプロテアーゼインヒビターの混合物の存在下で、1μM〜1nMの精製したMHCと共に、室温で同時インキュベート(co−incubate)した。2日間のインキュベーション後、放射能に結合したMHCのパーセントを、TSK 2000カラムを使用して、サイズ除外ゲル濾過クロマトグラフィーによって決定した。あるいは、放射能に結合したMHCのパーセントを、W6/32抗体コーティングプレート上のMHC/ペプチド複合体を捕獲することによって、そして、TopCountミクロシンチレーションカウンター(Packard Instrument Co.,Meriden,CT)(Southwoodら、Epimmune Technical Report Epi 063−99)を使用して結合cpmを決定することで、決定した。
0201アッセイ、A0202アッセイ、A0203アッセイ、A0205アッセイ、A0206アッセイおよびA0207アッセイのために利用する放射性標識した標準ペプチドは、HBVコア18〜27エピトープのF>Yアナログ(配列FLPSDYFPSV)であった。各分子についてのこのペプチドの平均IC50は、各々、5.0nM、4.3nM、10nM、4.3nM、3.7nMおよび23nMであった。HBV pol 646のC>Aアナログ(配列FTQAGYPAL)、またはMAGE 1 282(配列YVIKVSARV)を、A6802アッセイのための標識として利用した。A6802についてのこれらのIC50は、各々40nMおよび8nMであった。
競合アッセイの場合において、放射性標識したペプチドの結合を50%阻害するペプチド濃度を算出した。ペプチドを、最初に、1または2の高用量で試験した。次いで、ポジティブな阻害を生じるペプチドのIC50を続く実験で決定し、ここで、2〜6の希釈液を試験した。利用する条件下(ここで、[標識]<[MHC]およびIC50≧[MHC])で、測定したIC50値は、Kdの真価の適切な近似値であった。各競合ペプチドを、2〜4の独立した実験において試験した。ポジティブコントロールとして、放射標識したプローブの非標識バージョンもまた、各実験において試験した。
(実施例4:代替的結合アッセイ)
Epstein−Barrウイルス(EBV)形質転換ホモ接合細胞株、線維芽細胞、CIRまたは721.22形質導入体を、HLAクラスI分子の供給源として使用した。これらの細胞を、2mMのL−グルタミン(GIBCO,Grand Island,NY)、50μMの2−ME、100μg/mlのストレプトマイシン、100U/mlのペニシリン(Irvine Scientific)および10%の熱不活性化FCS(Irvine Scientific,Santa Ana,CA)を補充したRPMI 1640培地中で培養することで、インビトロに維持した。細胞を、225cmの組織培養フラスコ、またはラージスケール培養については、ローラービン装置中で増殖させた。細胞を、259ローターを備えるIEC−CRU5000遠心機を使用して、1500RPMで遠心分離することで回収し、そして、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(0.01MのPO、0.154MのNaCl、pH 7.2)で3回洗浄した。
細胞をペレット化し、そして、−70℃で保存するか、または洗浄溶解物を調製するために、洗浄溶解溶液で処置した。細胞溶解物を、ストック洗浄溶液[1%のNP−40(Sigma)またはRenex 30(Accurate Chem.Sci.Corp.,Westbury,NY 11590)、150mMのNaCl、50mMのTris(pH 8.0)]を細胞ペレット(以前に計測した)に、1mlの洗浄溶液あたり50×10〜100×10細胞の比率で添加することで調製した。プロテアーゼインヒビターのカクテルを、細胞ペレットへの添加の直前に、予備測定した体積のストック洗浄溶液に添加した。プロテアーゼインヒビターカクテルの添加により、以下の最終濃度を生成した:フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、2mM;アプロチニン、5μg/ml;ロイペプチン、10μg/ml;ペプスタチン、10μg/ml;ヨードアセトアミド、100μM;およびEDTA、3ng/ml。細胞溶解物を、断続的に混合しながら、4℃で1時間進行させた。規定通りに、5×10〜10×10の細胞を、50ml〜100mlの洗浄溶液中で溶解した。溶解物を、15,000×gで、4℃で30分間の遠心分離し、続いて上清画分を0.2μフィルター単位(Nalgene)を通過させることで、洗浄した。
HLA−A抗原の精製を、mAb結合体化Sepharoseビーズを用いて調製した親和カラムを使用して達成した。抗体生成のために、細胞を、巨大組織培養フラスコ(Corning 25160−225)において、10%のFBSを含むRPMI中で増殖させた。抗体を、硫酸アンモニウム細分化、続くプロテイン−A−Sepharose(Sigma)の親和クロマトグラフィーによって、洗浄した組織培養培地から精製した。簡単に言うと、飽和硫酸アンモニウムを、免疫グロブリンを沈殿化させるために、4℃で一晩、ゆっくり攪拌しながら45%(体積/体積)となるまで組織培養上清に添加した。沈殿化したタンパク質を、10,000×gで30分間遠心分離することで回収した。次いで、この沈殿物を最小体積のPBSに溶解し、そして、透析チューブ(Spectro/Por 2,Mol,wt.cutoff 12,000−14,000,Spectum Medical Ind.)に移した。透析を、4℃で24時間〜48時間にわたり、透析緩衝液を4〜6回変えながら、PBS(タンパク質溶液体積の≧20倍)に対して行なった。透析したタンパク質溶液を、遠心分離(10,000×g、30分間)で洗浄し、そして、溶液のpHを、1NのNaOHを用いてpH 8.0に調整した。Protein−A−Sepharose(Sigma)を、製造者の説明書に従って水和し、そして、Protein−A−Sepharoseカラムを調製した。10mlのベッド体積(bed volume)のカラムは、典型的に、50mg〜100mgのマウスIgGに結合する。
タンパク質サンプルを、多量の充填体積に関しては蠕動ポンプを使用して、または少量の体積(<100ml)に関しては重力で、プロテイン−A−Sepharoseカラムに充填した。このカラムを、PBSで数回洗浄し、そして、溶出液を、ベースラインに達するまで、分光光度計においてA280でモニタリングした。結合した抗体を、適切なpH(1NのNaOHで適切なpHに調整した)で0.1Mのクエン酸を使用して溶出した。マウスIgG−1について、pH 6.5を使用し、IgG2aについて、pH 4.5を使用し、そして、IgG2bおよびIgG3について、pH 3.0を使用した。2MのTris塩基を使用し、溶出液を中性化した。抗体を含む画分(A280でモニタリングした)をプールし、PBSに対して透析し、さらに、Amicon Stirred Cellシステム(YM30膜を有するAmicon Model 8050)を使用して濃縮した。抗A2 mAb、BB7.2は、親和精製のために有用であった。
HLA−A抗原を、mAb結合体化Sepharoseビーズを用いて調製した親和カラムを使用して、精製した。この親和カラムを、上記のような親和精製mAbとプロテイン−A−Sepharoseビーズ(Sigma)をインキュベートすることで調製した。1mlのビーズあたり5mg〜10mgのmAbが好ましい比率である。mAb結合ビーズを、ホウ酸塩緩衝液(ホウ酸緩衝液:100mMの四ホウ酸ナトリウム、154mMのNaCl(pH 8.2))で、洗浄液がベースラインでA280を示すまで洗浄した。200mMのトリエタノールアミン中のジメチルピメリミデート(20mM)を添加して、結合したmAbをプロテイン−A−Sepharoseへ共有結合的に架橋させた(Schneiderら、J.Biol.Chem.257:10766(1982))。ローテータ上で、室温で45分間のインキュベーション後、過剰の架橋剤を、10ml〜20mlの20mMエタノールアミン(pH 8.2)で2回ビーズを洗浄することで除去した。各洗浄工程の間に、懸濁液を室温で5分間、ローテータ上に配置した。ビーズを、ホウ酸塩緩衝液およびPBS+0.02%のアジ化ナトリウムを用いて洗浄した。
次いで、細胞溶解物(5〜10×10細胞当量)を、5〜10mlの親和カラムにゆっくり通過させ(1分あたり0.1〜0.25mlの流速)、固定化した抗体に抗原を結合させた。溶解物をカラムに通過させた後、このカラムを、20カラム体積の洗浄ストック溶液+0.1%のドデシル硫酸ナトリウム、20カラム体積の0.5MのNaCl、20mMのTris(pH 8.0)および10カラム体積の20mMのTris(pH 8.0)で連続的に洗浄した。mAbに結合したHLA−A抗原を、塩基性緩衝溶液(水中の50mMのジメチルアミン)で溶出した。代替物として、酸性溶液(例えば、0.15〜0.25Mの酢酸)をまた使用して、結合した抗原を溶出した。溶出液のアリコート(1/50)を、比色アッセイ(BCAアッセイ、Pierce)、もしくはSDS−PAGE、または両方のいずれかを使用するタンパク質定量のために除去した。SDS−PAGE分析を、タンパク質標準として既知量のウシ血清アルブミン(Sigma)を使用して、Laemmli(Laemmli,U.K.,Nature 227:680(1970))が記載したように実施した。対立遺伝子特異的抗体を使用して、特異的MHC分子を精製した。HLA−A2の場合においては、mAb BB7.2を使用した。
ペプチドのクラスI HLA分子への結合を測定するために利用したプロトコルの詳細な説明は、出版されている(Setteら、Mol.Immunol.31:813,1994;Sidneyら、Current Protocols in Immunology,Margulies編、John Wiley & Sons,New York,18.3節、1998)。簡単に言えば、精製したMHC分子(5nM〜500nM)を、プロテアーゼインヒビターカクテルの存在下で、PBS(0.05%のNonidet P−40(NP40)(または、H−2 IAアッセイについては、20% w/vジギトニン)を含む)中、種々の非標識ペプチドインヒビター、および1〜10nMの125I−放射性標識プローブペプチドと、48時間インキュベートした。プロテアーゼインヒビター(各々、CalBioChem、La Jolla,CA製)の最終濃度は、1mMのPMSF、1.3nMの1.10フェナントロリン、73μMのペプスタチンA、8mMのEDTA、6mMのN−エチルマレイミドおよび200μMのN α−p−トシル−L−リジンクロロメチルケトン(TLCK)であった。全てのアッセイを、pH 7.0で実施した。
インキュベーションに続いて、MHC−ペプチド複合体を、7.8mm×15cm TSK200カラム(TosoHaas 16215,Montgomeryville,PA)のゲル濾過によって遊離ペプチドから分離し、0.5%のNP40および0.1%のNaNを含むPBS(pH 6.5)を用いて、1.2 ml/分で溶出した。TSKカラムからの溶出液を、Beckman 170放射性同位体検出器を通過させ、そして、放射能をプロットし、そして、Hewlett−Packard 3396A積分器を使用して積分し、そして、ペプチド結合画分を決定した。
放射性標識したペプチドを、クロラミン−T−法を使用してヨウ素化した。特異的放射性標識プローブペプチドを、各アッセイで使用した。典型的に、予備実験において、各MHC調製物を、固定量の放射性標識ペプチドの存在下で滴定し、全放射能の10〜20%に結合するのに必要なHLA分子の濃度を決定した。続く全ての阻害アッセイおよび直接結合アッセイを、これらのHLA濃度を使用して実施した。
[標識]<[HLA]およびIC50≧[HLA]の条件下なので、測定したIC50値は、Kの真値の適切な近似値であった。ペプチドインヒビターを、典型的に、120μg/ml〜1.2ng/mlの範囲の濃度で試験し、そして、2〜4の完全に独立した実験において試験した。異なる実験から得たデータを比較するために、相対的な結合数量を、阻害のためのポジティブコントロール(すなわち、各結合アッセイ中に含まれる参照ペプチド)のIC50を各試験ペプチド(典型的に、放射性標識プローブペプチドの非標識バージョン)についてのIC50で割ることによって、各ペプチドに対して算出した。データベースの目的および実験間の比較のために、相対結合値を編集した。これらの値を、続いて、参照ペプチドの標準ヒストリカルIC50を目的のペプチドの相対的結合で割ることによって、正規化されたIC50nM値へ変換し得る。このデータ編集の方法は、最も正確であること、そして、異なる日付に、または異なるロットの精製MHCを用いて試験したペプチドの比較について一貫性があることを証明した。例えば、本明細書中に記載したHLA−A2.1結合アッセイのための標準参照ペプチド(またはポジティブコントロール)は、FLPSDYFPSVの配列を有するペプチドであって、このペプチドは、複数の繰り返される結合アッセイにおいて、5nMの平均ヒストリカルIC50値を有する。この標準値を使用して、本明細書中に記載したように、HLA−A2.1結合についての報告されたIC50値を正規化する。従って、試験HLA−A2.1モチーフを有するペプチドの相対的結合値を、標準参照IC50値(すなわち5nM)を試験HLA−A2.1モチーフを有するペプチドの相対的結合値で割ることによって、正規化したIC50に変換し得る。
(実施例5:配列および結合の分析)
実施例3に記載されるアッセイを使用して、阻害に対するポジティブなコントロールのIC50をそれぞれ試験したペプチドに対するIC50で割ることによって、相対結合値を、それぞれのペプチドについて計算した。これらの値は、続いて、阻害に対するポジティブなコントロールのIC50nMを目的のペプチドの相対結合値で割ることによって、IC50nM値に逆算され得る。データ編集のこの方法は、異なる日にかまたは異なるロットの精製されたMHCで試験されたペプチドを比較して、正確であり、かつ矛盾しないことが証明されている。規格化された相対結合値はまた、特定の特徴を有する全てのペプチドについて、幾何学的平均、または平均相対結合値(ARB)の計算を可能にする(Ruppert,J.ら、「Prominent Role of Secondary Anchor Residues in Peptide Binding to HLA−A2.1 Molecules」,Cell 74:929−937(1993);Sidney,J.ら、「Definition of an HLA−A3−Like Supermotif Demonstrates the Overlapping Peptide Binding Repertoires of Common HLA Molecules」,Hum Immunol.45:79−93(1996);Sidney,J.ら、「Specificity and Degeneracy in Peptide Binding to HLA−B7−Like Class I Molecules」,J.Immunol.157:3480−3490(1996);Kondo,A.ら、「Prominent Roles of Secondary Anchor Residues in Peptide Binding to HLA−A24 Human Class I Molecules」,J.Immunol.155:4307−4312(1995);Kondo,A.ら、「Two Distinct HLA−A0101−Specific Submotifs Illustrate Alternative Peptide Binding Modes」,Immunogenetics 45:249−258(1997);Gulukota,K.ら、「Two Complementary Methods for Predincting Peptides Binding Major Histocompatibility Complex Molecules」,J.Mol.Biol.267:1258−1267(1997);Southwood,S.ら、「Several Common HLA−DR Types Share Largely Overlapping Peptide Binding Repertoires」,J.Immunol 160:3363−3373(1998))。
ARBに基づくHLA−A2スーパータイプ(supertype)分子に対して結合するペプチドに影響する二次相互作用のマップを、既に記載されるように導いた(Ruppert,J.ら、「Prominent Role of Secondary Anchor Residues in Peptide Binding to HLA−A2.1 Molecules」,Cell 74:929−937(1993);Sidney,J.ら、「Definition of an HLA−A3−Like Supermotif Demonstrates the Overlapping Peptide Binding Repertoires of Common HLA Molecules」,Hum Immunol.45:79−93(1996);Sidney,J.ら、「Specificity and Degeneracy in Peptide Binding to HLA−B7−Like Class I Molecules」,J.Immunol.157:3480−3490(1996);Kondo,A.ら、「Prominent Roles of Secondary Anchor Residues in Peptide Binding to HLA−A24 Human Class I Molecules」,J.Immunol.155:4307−4312(1995);Kondo,A.ら、「Two Distinct HLA−A0101−Specific Submotifs Illustrate Alternative Peptide Binding Modes」,Immunogenetics 45:249−258(1997);Gulukota,K.ら、「Two Complementary Methods for Predicting Peptides Binding Major Histocompatibility Complex Molecules」,J.Mol.Biol.267:1258−1267(1997))。本質的に、与えられた大きさ(8個、9個、10個または11個のアミノ酸)および少なくとも1つの許容される主要なアンカー残基を有する全てのペプチドを、分析のために選択した。それぞれの大きさの群におけるペプチドの結合能力は、特定の位置に特定のアミノ酸残基を含有するペプチドについてのARB値を決定することにより分析した。主要なアンカー位置での特異性の決定について、ARB値を、最高の結合に関連する残基を保有するペプチドのARBと比較して規格化した。第2アンカー決定について、ARB値を、考えられる全てのペプチドセットのARBに比較して規格化した。すなわち、例えば、ARB値を、1番目の位置にA、または位置7にFなどを含有する全ての9マーペプチドについて決定した。いくつかの分析のために、特定のアミノ酸のまれな出現について、残基を、既に記載されるような個々の化学的類似性に従って分類した(Ruppert,J.ら、前出;Sidney,J.ら、前出;Sidney,J.ら、前出;Kondo,A.ら、前出;Kondo,A.ら、前出;Gulukota,K.ら、前出;Southwood,S.ら、前出)。
(HLA−A2−スーパータイプ分子の頻度)
主要な人種集団において最も頻繁な対立遺伝子の形態を代表するA2−スーパータイプ分子のパネルを選択するために、D.MannおよびM.Fernandez−Vinaが提供する非公開の人口分類データを利用した。これらのデータは、公開されたデータと一致し(Sudo,T.ら、「DNA Typing for HLA Class I Alleles:I.Subsets of HLA−A2 and of −A28」,Hum.Immunol.33:163−173(1992);Ellis,J.M.ら、「Frequencies of HLA−A2 alleles in Five US Population Groups」,Hum.Immunol.61:334−340(2000);Krausa,P.ら、「Genetic Polymorphism Within HLA−A02:Significant Allelic Variation Revealed in Different Populations」,Tissue Antigens 45:233−231(1995)およびImanishi,T.ら、「Allele and Haplotype Frequencies for HLA and Complement Loci in Various Ethnic Groups」Tsuji,K.ら、(編);HLA 1991,Proceedings of the Eleventh International Histo−Compatibility Workshop and Conference,Vol.1.,Oxford University Press,Oxford,pp.1065−1220(1992))、そして表3に示される。考えられる4つの主要な人種集団について、7つのHLA対立遺伝子が、A2スーパータイプ対立遺伝子の圧倒的多数を代表することが明らかであった。この集団に含まれるのは、A0201、A0202、A0203、A0205、A0206、A0207、およびA6802である。これらの対立遺伝子のそれぞれは、全体的な人口の2%以上存在し、そしてまた少なくとも1つの主要な人種において5%より多い頻度で生じる。他の対立遺伝子は、いずれか1つの主要な人種集団において、1.3%以下の少数の頻度でのみ示される。さらに、少数の対立遺伝子は、全体的な人口において1%を越える頻度で示されない。これらの知見に基づいて、A0201、A0202、A0203、A0205、A0206、A0207、およびA6802を、A2−スーパータイプにおける、ペプチド結合特異性および交差反応性を規定する研究のために選択した。
(A2スーパータイプ分子の主要なアンカー位置)
以前の研究は、A2−スーパータイプとして命名されるクラスI分子のセットについて、大きく重複するペプチド結合特異性を示した。ここで、A2−スーパータイプ分子の主要なペプチド結合特異性を、さらに詳細に試験した。これらの結果のいくつかは、既に公開され、そして参考の目的でのみここに示される(Ruppert,J.ら、前出およびSidney,J.ら、「The HLA−A0207 Peptide Binding Repertoire is Limited to a Subset of the A0201 Repetoire」,Hum.Immunol.,58:12−20(1997))。
最初の一連の研究において、非保存的リジン(K)の置換を、複数のA2−スーパータイプ分子に結合することが既に記載された、2つのペプチドの全ての位置に導入した:1)HCV NS3 590 9マーペプチド(配列YLVAYQATV)、および2)HBVコア18F>Y 10マーアナログペプチド(配列FLPSDYFPSV)。これらのペプチドを、A0201、A0202、A0203、A0205、A0206、A0207およびA6802に結合するそれらの能力について試験した。表4aおよび表4bにおいて、結合能力を、親ペプチドに対する相対的な比率として示す。結合能力が、最高の結合剤(binder)の10倍以内であるペプチドが、好ましいと考えられ;相対結合能力が、最高の結合剤よりも10〜100倍未満であるペプチドが、許容されると考えられる。ダッシュ「−」は、0.01未満の相対結合を示す。HCV NS3590ペプチド(表4a)の場合において、2番目の位置およびC末端のK置換は、それぞれのHLA分子に対する結合において、100倍より大きい減少を生じた。結合において100倍よりも大きい減少はまた、Kが1番目の位置および5番目の位置で置換された場合、A6802の場合においても観察された。置換がいくつかの他の位置(特に、3番目の位置および7番目の位置)でなされた場合、10〜100倍の範囲の結合能力の減少を観察した。10マーHBVコア18F>Yリガンド(表4b)を調べた場合、結合能力における100倍を越える減少をまた、このペプチドが2番目の位置およびC末端で置換されたときに観察した。結合における有意な減少をまた、以下の7番目の位置での置換で観察した。
同時に、これらのデータは、A2−スーパータイプ分子が、位置2およびC末端におけるアンカー残基を介して、9マーペプチドリガンドおよび10マーペプチドリガンドの両方に結合することを示す。ペプチドの中間に関するさらなる第1アンカーまたは第2アンカーの存在は、9マーペプチドおよび10マーペプチドの両方の結合が、通常、7番目の位置での置換により減少される事実により、実証される。
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(2番目の位置およびC末端のアンカー残基の特異性)
これらの結果に基づいて、2番目の位置およびC末端でのA2−スーパータイプ分子のリガンド特異性を、さらなるHCV NS3 590およびHBVコア18F>Yの単一置換アナログ、ならびにまたポリ−アラニンペプチド(ペプチド953.01;配列ALAKAAAAV)の単一置換アナログを使用して分析した。これらの分析について、アンカー残基について好ましいアミノ酸を、最適な残基の10倍以内の結合能力に関連するアミノ酸として規定した。相対結合能力が、0.01〜0.1の間であるアミノ酸を、許容されるとして規定し、そして0.01未満の結合能力に関連するアミノ酸を、許容されないとして判断した。添付の表において、ダッシュ「−」は、0.01未満の相対結合を示す。結合能力を、それぞれの個々の分子について最高の結合親和性を有する関連アナログに対する相対的な比率として表現する。
2番目の位置において、小さな脂肪族残基および疎水性残基は、一般的に許容されることを見出したが、他の残基(大きな極性残基、芳香族残基、および荷電した残基を含む)は、典型的に、十分に許容されなかった(表5a、表5b、および表5c)。L、I、V、およびMは、ほとんどの場合(>80%)においてアンカー残基として好まれた(表5d)。表5dにおける対立遺伝子/ペプチドの組合わせは、所定の残基が、1〜0.1の範囲(好まれる)または0.1〜0.01の範囲(許容される)の相対結合に関連された事例の数について言及する。A、T、Q、およびSは、アンカー残基としてそれほど頻繁に好まれないが、試験された状況の>80%において、好ましいかまたは許容されるかのいずれかであった。試験された他のアミノ酸は、いずれの状況においても好ましくなく、そして単にまれに許容されるのみではなかった。
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C末端において、Vは、A0201、A0206、およびA6802について全ての3つの親ペプチドの場合において、そしてA0203およびA0205についての3つの場合のうちの2つにおいて、最適な残基であることが見出された(表6a、表6b、および表6c)。全体的に、VまたはLのいずれかは、試験されたペプチドに関係なく、それぞれの分子について最適なC末端残基であった。表6dにおける対立遺伝子/ペプチドの組合わせは、所定の残基が、1〜0.1の範囲(好ましい)または0.1〜0.01の範囲(許容される)の相対結合に関連された事例の数について言及する。脂肪族アミノ酸/疎水性アミノ酸V、L、およびIは、MHC−ペプチドの場合の66.7%を越えるアンカー残基として好ましい。M、A、およびTは、その際に約50%許容された。試験した他の残基は、少しも許容されないか、またはまれに許容されるのみかのいずれかであった。
(A A0201のペプチド結合特異性の再評価)
0201結合の優れた特異性を、8残基長および11残基長の間の4000個を越えるペプチドのデータベースを使用してより詳細に研究した。2番目の位置にLまたはMを保有する30%を越えるペプチドが、500nM以上の親和性でA0201に結合することが見出された(図1a)。脂肪族残基I、V、A、T、およびQを保有する5%と15%との間のペプチドは、500nM以上のIC50で結合した。芳香族残基(F、W、およびY)、荷電した残基(R、H、K、D、およびE)、極性残基(SおよびN)および小さい残基(C、G、およびP)を含む、他の残基は、500nM以上のIC50で会合しなかった。
単一置換分析に対応して、Vは、最適なA0201 C末端アンカー残基であることが見出された(図1b)。全体的に、C末端にVを有するペプチドの31.9%が、A0201結合剤であった。I、L、S、C、M、TおよびAはまた、500nM以上のIC50で結合するペプチドの7.1〜28.6%で許容された。
ペプチド長(8残基と11残基との間)と結合能力との間の相関を、次に分析した。9マーペプチドの27.6%は、以前の推定によく一致する、500nM以下のIC50で結合することが見出された(Ruppert,J.ら、前出)(表7a)。ARB値を、最適な大きさのペプチドセットに対して規格化し、そして参考の目的のために示す。
より長いペプチドはまた、結合し得るが、いくぶん十分ではなかった;10マーペプチドの17.8%、および11マーペプチドの14.5%は、500nM以上の親和性を有した。最終的に、8マーペプチドが、500nMを越える結合能力を有するペプチドの3.5%で、A0201にまれにしか結合しないことを観察した。
0201ペプチド結合データベースを、さらに、A0201モチーフのストリンジェンシーを評価するために分析した。予想されるように、それぞれのアンカー位置に好ましい残基を有するペプチドは、最も頻繁に結合し(48.7%)、そしてライブラリ中の他のペプチドよりもより高い平均相対結合能力を有した(表7b)。1つの好ましい残基および1つの許容される残基を有するペプチドはまた、17.6〜28.4%の範囲で比較的頻繁に結合した。最終的に、少なくとも1つの許容されない残基を有するか、または両方の主要なアンカー位置に許容される残基を有する、ペプチドは、仮にあるとしても、0〜7.1%の範囲内の結合の頻度で、まれにしか結合しなかった。リガンドの大きさの関数としての主要なアンカー優先傾向に関して、有意な差は検出されなかった。
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第2アンカー効果を同定するために、それぞれの大きさの群におけるペプチドのA0201結合能力を、さらに、特異的であるが大きさに依存する位置の特定のアミノ酸残基を含有する、ペプチドについてのARB値を決定することにより分析した。対応する残基/位置の対によって、8〜11マーの配列について得られたARB値を、表8a〜表8dに示す。表8a〜表8dにおける全てのペプチドは、主要なアンカー位置に、少なくとも1つの好ましいおよび1つの許容される残基を有した。第2アンカー位置で、3倍以上の結合能力の増加に対応する値を、強調およびボールド体のフォントにより示す。結合親和性において3倍の減少に関連したネガティブな効果を、下線およびイタリック体のフォントにより示す。さらに、好ましいアンカーまたは許容されるアンカーであることを決定された残基を、ボールド体のフォントにより示す。アンカー位置でのARB値を、図1に記載される分析から導いた。予測的なアルゴリズムについての係数として、この表に示される値の使用を可能にするために、許容されないアンカー残基についての値を、非モチーフペプチドを除去するために、結合能力の1000倍の減少に相当する、0.001に設定した。
表8a、表8b、表8c、および表8dにおいて、それぞれ93個の8マーペプチド、1389個の9マーペプチド、953個の10マーペプチド、および95個の11マーペプチドのパネルの分析の結果は、種々のウイルス、細菌、または病原体の起源に由来する天然に存在する配列に基づく。示されるARB値を、例えば、Sidneyら、Human Immunology 62:1200(2001)およびSidneyら、J.Immunology 157:3480(1996)に記載されるように計算した。9マーペプチドおよび10マーペプチドについて、ARB値を、個別に考えられるそれぞれの残基について導いた。8マーペプチドおよび11マーペプチドの研究について(それぞれ、表8aおよび表8d)、ARB値は、Ruppertら、Cell 74:929(1993)に記載されるように、化学的に類似な残基の分類に基づいた。8マー、9マー、10マー、および11マーのパネルの平均幾何学的結合能力は、それぞれ14420nM、1581nM、3155nM、および3793nMであった。
概要のマップを、図2a〜図2dに示す。ほとんどの位置において、いくつかの二次的影響を検出し得る。ネガティブな影響の過半数(55%)は、酸性残基(DおよびE)または塩基性残基(R、H、およびK)の存在に関連した。プロリン(P)および大きな極性残基(Q、およびN)はまた、頻繁に破壊的(disruptive)であった。一方、それぞれの特定の大きさは、独特の優先傾向に関連し、ほとんどの場合(79%)、好ましい残基は、芳香族(F、W、またはY)または疎水性(L、I、V、またはM)であった。ほとんどのペプチド長は、3番目の位置において、F、Y、およびMに対して優先傾向を示した。同様に、全てのペプチドの大きさは、C−2位置において、芳香族残基または疎水性残基に対して優先傾向を共有した。
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いくつかの異なる優先傾向のパターンをまた、所定の大きさのペプチドについて観察した。例えば、8マーペプチドは、9マーペプチド、10マーペプチド、および11マーペプチドにより好ましい疎水性残基または芳香族残基について、1番目の位置または3番目の位置のいずれにおいてもいかなる優先傾向を有さなかった。11マーペプチドは、ペプチドの中間にわたる複数の位置におけるGについての優先傾向において独特であった。
(他のA2−スーパータイプ分子の主要なアンカー特異性)
次のセットの分析において、A0201の次に最も有力なA2−スーパータイプ対立遺伝子の4つ、A0202、A0203、A0206、およびA6802の主要なアンカー特異性を評価した。A2−スーパータイプ結合データベースにおけるペプチドは、しばしば、A0201ベースの偏り(例えば、A0201結合ペプチドのみを選択するアルゴリズム、またはA0201に高いスコアのペプチドを選択するアルゴリズム)を使用する選択を反映する。結果として、ほとんどの場合において、非−A0201分子についてのペプチド結合データは、スーパータイプに好ましいかまたは許容される残基を有する、ペプチドに対してのみ利用可能である。この制限にもかかわらず、約400個のペプチドのデータベースが、研究のために利用可能であった。十分な大きさのデータベースは、A0205およびA0207の分析を可能にするために利用できないが、A0207の特異性の分析は、既に公開されている(Sidney,J.ら、前出)。
2番目の位置の特異性の分析を、図3a〜dにまとめる。一般に、V、T、A、I、およびMは、それぞれの分子の場合において許容された。対立遺伝子特異的な優先傾向がまた、観察された。A0202の場合において、Qは、最も好ましい残基であった。他の残基(L、I、V、A、TおよびM)は、許容され、そして0.08〜0.30の範囲内のARBを有し、ほぼ等価であった。対照的に、A0203は、L、MおよびQについて優先傾向を有した。残基V、A、IおよびTは、全体的により低い結合親和性で会合した。第3のパターンは、A0206について観察され、ここで、Q、V、I、A、およびTは、0.47と1.0との間のARB値を有して、全て十分に許容であったが、LおよびMは、あまり許容でなかった。最終的に、A6802について、VおよびTが、ARB>0.45を有して、最適な残基であった。Aはまた、好ましいが、より低いARB(0.13)を有した。結合における有意な減少を、0.050と0.020との間のARBを有する、IおよびMで観察した。LおよびQは、ARB<0.010を有し、許容されなかった。C末端で、I、V、L、A、MおよびTは、試験された全てのA2−スーパータイプ分子を用いて、ARB>0.060を有し、許容された(図4a〜d)。IおよびVは、それぞれの対立遺伝子によって、最も好ましい2つの残基であった;Vは、A0203、A0206、およびA6802について最適な残基であった。Lは、代表的に、次に最も好ましい残基であった。T、A、およびMは、通常、より低いARB値で会合された。
結論として、A0201によって好ましいかまたは許容される、2番目の位置およびC末端のアンカー残基はまた、他のA2−スーパータイプ分子によって十分に許容された。それぞれの対立遺伝子は、2番目の位置で、幾分独特なパターンの優先傾向を有したが、C末端でそれぞれの対立遺伝子によって示された優先傾向のパターンは、全く同様であった。
(A2−スーパータイプ分子に結合するペプチドに関する二次的影響)
ペプチドリガンドの同一のライブラリを、A0202、A0203、A0206、およびA6802のリガンドの大きさの優先傾向を決定するために分析した。それぞれの対立遺伝子について、ARB値を、最適な大きさのペプチドセットに対して規格化する。本発明者らは、それぞれの分子について、9〜11マーのペプチドが、ARB>0.36を有し、十分に許容されることを見出した(表9a〜d)。A0203、A0206、およびA6802について、9マーのペプチドは、最適であるが、10マーは、A0202の場合に最適であった。全ての対立遺伝子について、8マーのペプチドは、それぞれの場合においてARB<0.11を有し、それほど十分に許容されなかった。
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第2アンカー残基の、ペプチドのA0202、A0203、A0206、およびA6802を結合する能力に対する影響を、次に試験した。入手可能なペプチドの数のみが、9マーおよび10マーのリガンドの分析を可能にした。9マーおよび10マーのペプチドに対する、特定の位置での特定の残基の存在の関数としてのARB値は、表10〜13に示され、要旨は図5〜8に描かれる。上に示されるように、ポジティブな効果およびネガティブな効果は、それぞれ結合親和性の3倍以上の増加または減少に関連して規定される。
表10aおよび10bにおいて、268個の9マーペプチドのパネルおよび120個の10マーペプチドのパネルそれぞれを、A0202対立遺伝子への結合に対して試験した。表11aおよび11bにおいて、272個の9マーペプチドのパネルおよび122個の10マーペプチドのパネルそれぞれを、A0203対立遺伝子への結合に対して試験した。表12aおよび12bにおいて、268個の9マーペプチドのパネルおよび120個の10マーペプチドのパネルそれぞれを、A0206対立遺伝子への結合に対して試験した。表13aおよび13bにおいて、268個の9マーペプチドのパネルおよび120個の10マーペプチドのパネルそれぞれを、A6802対立遺伝子への結合に対して試験した。全てのペプチドは、種々のウイルス起源、細菌起源または病原体起源由来の天然に生じる配列に基づいており、主要なアンカー位置に少なくとも1個の好ましい残基および許容される残基を有した。ARB値は、概して、例えば、Ruppertら、Cell 74:929(1993)に記載されるように、化学的に類似する残基からなる群に基づく。結合能力の3倍以上の増加に対応する第2アンカー位置における値は、太文字および拡大されたフォントによって示される。結合親和性の3倍の減少に関連する、ネガティブな効果は、下線を付され、そしてイタリック体のフォントによって示される。好ましいアンカーまたは許容されるアンカーであると決定される残基もまた、太文字フォントで示される。この表に示される値の、予測的アルゴリズムに対する係数としての使用を許容するために、許容されないアンカー残基に対する値を、結合能力の1000倍の減少と等価な、0.001にセットし、非モチーフペプチドを取り除いた。表10a、10b、11a、11b、12a、12b、13a、および13b中の各々のパネルの平均幾何学的結合能力は、それぞれ、401nM、342nM、85nM、95nM、387nM、643nM、838nM、および1055nMであった。
概して、有害な影響は、しばしば(35%)、荷電残基(D、E、R、H、またはK)に関連した。有害な影響のさらに35%は、GまたはPに起因し得る。ポジティブな影響は、比較的均等に、塩基性残基(R、H、K)、酸性残基(D、E)、疎水性残基(F、W、Y、L、I、V、M)または小さな残基(A、P)に起因し得る。
各々の分子は、選択および忌避について独特のパターンを有するのに対し、いくつかの共通の傾向が10マーペプチドの場合に示され得る。例えば、全ての分子に対して、QおよびNは1番目の位置を好み、そしてR、H、およびKは8番目の位置を好んだ。D、E、およびGは、3番目の位置では、10マーペプチドにとって、一様に有害であった。9マーペプチドについて、一致した選択も忌避も認められなかった。
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要約すると、このセクションのこのデータは、A0202、A0203、A0206、およびA6802に結合する9マーおよび10マーのペプチドに対する詳細なモチーフを記載する。各々のモチーフは、良好な結合ペプチドまたは不十分な結合ペプチドと関連する特定の性質によって、特徴付けられる。
(コンセンサス A2−スーパーモチーフ)
A2スーパータイプ分子に対する、上に記載されるモチーフは、非常に類似し、大部分が重複する。この点において、分子特異的モチーフによって、通常共有される性質を組み込むコンセンサスモチーフが、同定され得る(図9)。コンセンサスモチーフは、ペプチドリガンドの2番目の位置の疎水的かつ脂肪族残基の存在を指示する。この位置で、V、LおよびMが好ましいのに対して、T、Q、A、およびIは、全て許容される。各々のA2−スーパータイプ分子に関して各々の残基の選択のランクに基づいて、Vが最も好ましい残基である。C末端において、コンセンサスモチーフは、疎水的な脂肪族残基L、I、V、M、A、およびTの存在を指示する。Vは最も頻出する最適残基であるのに対して、LおよびIはまた好ましく、代表的には、次に最も最適な残基であると考えられる。M、A、およびTは、許容される残基であると考えられる。
0201、A0202、A0203、A0206、およびA6802に対する、第2アンカーマップは、9マーおよび10マーのペプチドに対して、スーパータイプコンセンサス第2アンカーモチーフを誘導するために使用された(図9)。任意の分子に対して有害ではなく、3個以上のA2−スーパータイプ分子に対して好ましいと考えられる残基は、スーパータイプコンセンサスモチーフに対して好ましいと考えられた。逆に、3個以上の分子に対して有害であると同定された残基は、コンセンサスモチーフにおいて、有害であると示された。コンセンサスモチーフは、詳細なA0201モチーフと有意に重複し、そして、1番目の位置および/または3番目の位置での芳香族残基に対する選択、ならびに3番目の位置での荷電残基に対する共有された忌避を含む。
(A0201の結合親和性とA2−スーパータイプ交差反応性との間の相関)
他のA2−スーパータイプ対立遺伝子と比較した、A0201の4つの主要なエスニシティ(ethnicity)における優勢のために(例えば、表3を参照のこと)、A0201結合体が、どのように良好に、他のA2−スーパータイプ分子と結合するかを決定することは、興味深かった。A0201と良好な親和性(IC50<500nM)で結合するペプチドは、しばしば、他のA2−スーパータイプ分子と結合することが見出された(表14a)。36.1%と73.6%との間のA0201結合ペプチドは、他のA2−スーパータイプ分子と結合した。A0201親和性の関数として、A2−スーパータイプの縮重の分析はまた、興味深い結果を出した。IC50<500nMでA0201に結合するペプチドの72.8%は、3個以上のA2−スーパータイプ分子と結合する(表14b)。一般的な規則として、ペプチドのA0201に対する結合親和性が高ければ高いほど、このペプチドがまた、3個以上のスーパータイプ分子に結合する可能性はより高くなる。20nM以上の親和性で、A0201に結合するペプチドの96%を越えるペプチドはまた、3個以上のA2−スーパータイプ分子を結合する。対比すると、500nMよりよい親和性でA0201に結合しなかったA2−スーパーモチーフペプチドは、わずか(10%)のみが、3個以上のA2スーパーモチーフ分子を結合し、4個以上の分子を結合しない。
要約すると、ペプチドの、A0201および他のA2−スーパータイプ分子への交差反応結合のこの分析は、このファミリーのHLA分子がこれらのペプチドリガンドにおける類似する構造的特徴を認識するという事実を確認する。A0201結合親和性は、複数のA2−スーパータイプ対立遺伝子を結合する傾向と相関することが示された。
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(分析)
本分析の結果は、HLA−A0201および他のA2−スーパータイプ分子に結合するペプチドの特性の詳細な定義を可能にする。A2−スーパータイプ分子は、大いに重複するペプチド結合特異性だけでなく、有意に重複するペプチド結合レパートリーも共有する。縮重するA2スーパータイプ結合能力と関連するペプチドリガンドの特異的な特徴を同定した。この特徴は、スーパータイプ関係に対する論理的説明を提供する。
以前の研究において、A0201のペプチド結合特異性が分析され、第2アンカー特徴の同定を含む、詳細なモチーフを構築した。本分析において、10倍大きなデータベースで実行した場合、本発明者らは、このデータを確認し、分析を拡張して8マーおよび11マーペプチドを含めた。全体的に、8マーおよび11マーペプチドに対するA0201の特異性は、大いに、9マーおよび10マーペプチドに対する特異性に類似した。例えば、ペプチドの大きさに関わらず、結合能力へのネガティブな影響の大部分は、第2アンカー位置における荷電残基の存在に関連したのに対して、ポジティブな影響の大部分は、疎水性残基の存在に関連した。8マーおよび11マーペプチドに対する詳細なモチーフの定義は、より完全なエピトープの同定を許容するはずである。A0201結合体の同定は、ARB値に基づくアルゴリズムの使用によって大いに容易化されている。本発明の分析において、以前に利用可能であったデータベースよりも実質的に大きなデータベースを使用し、アルゴリズム係数の精密化を許容する。より新規の係数が有意により大きなデータセットに基づくので、これらは統計的により正確になり、エピトープのより効率的でより正確な予測を供給するはずである。それどころか最近の分析は、より大きなデータセットに基づく、改訂されたA0201 9マー多項式アルゴリズムが、小さなデータセットおよびニューラルネットワーク予想方法論の両方に基づく、より古いアルゴリズムより正確であることを示している。エピトープ予想の正確さの増加に加えて(Ruppert,J.ら、(上述);Sidney,J.ら、(上述);Kondo,A.ら、(上述);Gulukota,K.ら、(上述);Parker,K.C.ら、「Sequence Motifs Important for Peptide Binding to the Human MHC Class I Molecule, HLA−A2」、J.Immunol.149:3580−3587(1992)およびMilik,M.ら、「Application of an Artificial Neural Network to Predict Specific Class I MHC Binding Peptide Sequences」、Nature(Biotech)16:753−756(1998))、第1アンカー位置および第2アンカー位置の両方を規定する詳細なペプチド結合モチーフは、最適化されたリガンドの合理的設計を可能にする。例えば、第1位置および/または第2位置で準最適残基を有する天然の配列を同定し得る。この準最適残基は、増大した結合親和性を有するエピトープを生成する最適のアンカーで置換され得る(Sidney,J.ら、(上述);Pogue,R.R.ら、「Amino−Terminal Alteration of the HLA−A0201−Restricted Human Immunodeficiency Virus Pol Peptide Increases Complex Stability and in Vitro Immunogenicity」、Proc.Nat’l.Acad.Sci.,USA,92:8166−8170(1995)およびBakker,A.B.ら、「Analogues of CTL epitopes With Improved MHC Class−I Binding Capacity Elicit Anti−Melanoma CTL Recognizing the Wide−Type Epitope」、Int.J.Cancer,70:302−309(1997))。この型の改変に従った場合、応答を誘発できないまたは貧弱な免疫原である野生型ペプチドは、高度に免疫原性になり得る(Pogue,R.R.ら、(上述);Bakker,A.B.ら、(上述);Parkhurst,M.R.,「Improved Induction of Melanoma Reactive CTL With Peptides From the Melanoma Antigen gp100 Modified at HLA−A0201 Binding Peptides」、J.Immunol.157:2539−2548(1996);Rosenberg,S.A.ら、「Immunologic and Therapeutic Evaluation of a Synthetic Peptide Vaccine for the Treatment of Patients With Metastatic Melanoma」、Nature(Med)4:321−327(1998);Sarobe,P.ら、「Enhanced in vitro Potency and in vivo Immunogenicity of a CTL Epitope From Hepatitis C Virus Core Protein Following Amino Acid Replacement at Secondary HLA−A2.1 binding positions」、J.Clin.Invest.102:1239−1248(1998)およびAhlers,J.D.ら、「Enhanced Immunogenicity of HIV−1 Vaccine Construct by Modification of the Native Peptide Sequence」、Proc.Nat’l Acad.Sci.,USA,94:10856−10861(1997))。そのようなアナログペプチドによって誘導されたCTLは、ほとんどの例において、野生型抗原配列を発現する標的細胞を認識し得ることが示されている。この現象は、ナイーブなT細胞の、分化をエフェクターに誘導する刺激に対して必要とされる現象と比べて、標的細胞認識に対する、より低いストリンジェント性の、エピトープ結合の必要性を反映する可能性がある(Cho,B.K.ら、「Functional Differences Between Memory and Naive CD8 T Cells」、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA96:2976−2981(1999);Sykulev,Y.ら、「Evidence That A Single Peptide−MHC Complex On A Target Cell Can Elicit Acytolytic T Cell Response」、Immunity 4:565−571(1996))。従って、本明細書中に記載される詳細なモチーフは、天然に存在するCTLエピトープの同定だけでなく、増加した結合能力および/または免疫原性特性を有する、操作されたエピトープの設計も容易にする。
他のA2−スーパータイプ分子に対するペプチド結合特異性はまた、単一置換アナログペプチドおよびペプチドライブラリーを使用して調査された。以前の報告(del Guercio,M−Fら、「Binding of a Peptide Antigen to Multiple HLA Alleles Allows Definition of an A2−Like Supertype」、J.Immunol.154:685−693(1995)および(Sidney,J.ら、「Practical,Biochemical and Evolutionary Implications of the Discovery of HLA Class I Supermotifs」、Immunol Today 17:261−266(1996));NIH−NIAID contract NO1−AI−45241に提出された報告も参照のこと)と一致して、本発明者らは、A2−スーパータイプ分子の第1アンカーモチーフが顕著に類似することを見出した。ペプチドライブラリーの使用は、第2アンカー選択および各々の分子の忌避の詳細な特徴づけを可能にした。各々のA2−スーパータイプ分子が独特の特異性を有するのに対して、コンセンサスパターンに基づくスーパーモチーフが、同定され得ることが示された。スーパーモチーフが、A2−スーパータイプ分子間に共有されるペプチドリガンドの特徴を記載するので、高度に交差反応性のペプチドの効果的な同定を可能にすることが予期され、そして、ペプチドリガンドのスーパータイプ縮重の調整を可能にする、アンカー固定のための適切な戦略を示す。本分析のさらなる結果は、A0202、A0203、A0206、およびA6802に結合するペプチドを予測するためにアルゴリズムにおいて、使用され得る係数の偏差であった。
HLA A0201が、一般的な集団でのおよび主要なエスニック(ethnic)集団の両方における断然最も有力なA2−スーパータイプ対立遺伝子である場合、使用されたペプチドスクリーニング戦略は、まず、A0201結合体の同定に注目した。A0201に結合するペプチドの70%以上は、少なくとも2個のさらなるA2−スーパータイプ分子にもまた結合し、他のA2−スーパータイプ対立遺伝子に結合する傾向は、A0201結合親和性と関連したことが決定された。
結論として、本明細書中に記載されるデータは、A2−スーパータイプとして示される、HLA−A分子の群の、共有されたペプチド結合特異性の正式な証明を提供する。これらの分子が、これらのペプチドリガンドの第1アンカー位置および第2アンカー位置での、類似する特徴を認識するだけでなく、これらはまた、主に重複するペプチド結合レパートリーも共有する。これらの分子が主に重複するレパートリーも共有することの証明は、潜在的なワクチン構築物の設計に対する有意な含みを有する。それどころか、A2−スーパータイプのペプチド結合レベルでの交差反応性が、免疫的に妥当であり得るという考えは、感染症(Khanna R.ら、「Identification of Cytotoxic T−Cell Epitopes Within Epstein−Barr Virus(EBV)Oncogene Latent Membrane Protein 1(LMP1):Evidence for HLA A2 Supertype−Restricted Immune Recognition of EBV−Infected Cells by LMP1−Specific Cytotoxic T lymphocytes」、Eur J Immunol,28:451−458(1998);Bertoletti,A.ら、「Molecular Features of the Hepatitis B Virus Nucleocapsid T−Cell Epitope 18−27: Interaction With HLA An T−Cell Receptor」、Hepatology 26:1027−1034(1997);Livingston,B.D.ら、「Immunization With the HBV Core 18−27 Epitope Elicits CTL Responses in Humans Expressing Different HLA−A2 Supertype Molecules」、Hum Immunol 60:1013−1017,(1999);Bertoni,R.ら、「Human Histocompatibility Leukocyte Antigen−Binding Supermotifs Predict Broadly Cross−Reactive Cytotoxic T Lymphocyte Responses in Patients With Acute Hepatitis」、J Clin Invest 100:503−513(1997);およびDoolan,D.L.ら、「Degenerate Cytotoxic T−Cell Epitopes from P.falciparum Restricted by Multiple HLA−A and HLA−B Supertype Alleles」、Immunity 7:97−112(1997))および癌(Fleischhauer,K.ら、「Multiple HLA−A Alleles Can Present an Immunodominant Peptide of the Human Melanoma Antigen Melan−A/MART−1 To A Peptide−Specific HLA−A0201+Cytotoxic Cell Line」、J Immunol,157:787−797(1996);Rivoltini,L.ら、「Binding and Presentation of Peptides Derived From Melanoma Antigens MART−1 and Glycoprotein−100 by HLA−A2 Subtypes:Implications for Peptide−Based Immunotherapy」、J Immunol 156:3882−3891(1996);Kawashima,I.,「The Multi−Epitope Approach for Immunotherapy for Cancer:Identification of Several CTL Epitopes from Various Tumor−Associated Antigens Expressed on Solid Epithelial Tumors」、Hum Immunol 59:1−14(1998))設定の両方における、多くの研究で示された。
(実施例6:予防的使用に対するペプチド組成物)
本発明のワクチン組成物は、ヒトにおいて感染の防止または癌の処置に対して使用される。例えば、複数のCTLエピトープおよびHTLエピトープを含む、ポリエピトープ性ペプチドエピトープ組成物は、HCV感染に対する危険にある個体に投与される。この組成物は、複数のエピトープを含む、単一の脂質化されたポリペプチドとして提供される。ワクチンは、フロイントの不完全アジュバントから構成される水性キャリアで投与される。初期の免疫に対するペプチドの用量は、ヒト用量容積で投与される70kgの患者について、約1μg〜約50,000μgまでである。ワクチンの初期の投与に続いて、4週間でブースター投薬量を投与され、続いて、PBMCサンプル中にエピトープ特異的CTL集団の存在を決定する技術によって、患者における免疫応答の大きさの評価を行う。さらなるブースター用量は、必要な場合に投与される。この組成物は、HCV感染に対する予防として、安全でかつ効果的であることが見出される。
あるいは、ポリエピトープ性組成物は、当該技術分野で公知でかつ本明細書中に開示される方法論に従って核酸として投与され得る。
上記議論は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を限定しない。本発明のほかの改変体は、当業者に直ちに明らかになり、そして、添付された特許請求の範囲に含まれる。本明細書中に引用される、全ての刊行物、特許、および特許出願は、参考として本明細書によって援用される。
図1aは、HLA−A0201の2位およびC末端の詳細な特異性を示す。2番目の位置(a)またはC末端(b)の特定の残基の優先性が、500nMまたはそれより好ましいIC50でA0201に結合する特定の残基を保有するペプチドのパーセントの関係として示される。2番目の位置(a)あるいはC末端(b)に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように計算され、最も高い結合能力を有する残基に対して表示される。2番目の位置にLを有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、1991nMであった。C末端にVを有するペプチドの平均(幾何学の的)結合能力は、2133nMであった。分析に含まれるペプチドは、2番目の位置かC末端で、本明細書中に記載されるように少なくとも1つの寛容化されたアンカー残基を有した。 図1bは、HLA−A0201の2位およびC末端の詳細な特異性を示す。2番目の位置(a)またはC末端(b)の特定の残基の優先性が、500nMまたはそれより好ましいIC50でA0201に結合する特定の残基を保有するペプチドのパーセントの関係として示される。2番目の位置(a)あるいはC末端(b)に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように計算され、最も高い結合能力を有する残基に対して表示される。2番目の位置にLを有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、1991nMであった。C末端にVを有するペプチドの平均(幾何学の的)結合能力は、2133nMであった。分析に含まれるペプチドは、2番目の位置かC末端で、本明細書中に記載されるように少なくとも1つの寛容化されたアンカー残基を有した。 図2は、A0201モチーフのマップを示す。8マー(b)ペプチド、10マー(c)ペプチドおよび11マー(d)ペプチドのA0201モチーフの概要マップ。第2のアンカー位置で、好ましい(または有害な)ように示された残基は、同じ位置で他の残基を有する同じサイズのペプチドの少なくとも3倍以上(または3倍未満)の平均結合能力に関連する。第1のアンカー位置で、好ましい残基は、同じ位置で最適な残基の10倍以内の平均の結合能力に関連するものである。寛容化された第1のアンカー残基は、同じ位置で最適な残基の10倍と100倍との間の平均の結合能力に関連するものである。 図3aは、HLA−A2−スーパータイプ分子の2番目の位置の詳細な特異性を示す。2番目の位置に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように、それぞれのA2スーパータイプ分子について計算され、そしてそれぞれの特異的分子について最も高いARBを有する残基に対して表示される。最も高いARBを有するの残基を保有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、A0202、A0206およびA6802について、それぞれ、55nM、59nM、89nMおよび41nMであった。 図3bは、HLA−A2−スーパータイプ分子の2番目の位置の詳細な特異性を示す。2番目の位置に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように、それぞれのA2スーパータイプ分子について計算され、そしてそれぞれの特異的分子について最も高いARBを有する残基に対して表示される。最も高いARBを有するの残基を保有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、A0202、A0206およびA6802について、それぞれ、55nM、59nM、89nMおよび41nMであった。 図3cは、HLA−A2−スーパータイプ分子の2番目の位置の詳細な特異性を示す。2番目の位置に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように、それぞれのA2スーパータイプ分子について計算され、そしてそれぞれの特異的分子について最も高いARBを有する残基に対して表示される。最も高いARBを有するの残基を保有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、A0202、A0206およびA6802について、それぞれ、55nM、59nM、89nMおよび41nMであった。 図3dは、HLA−A2−スーパータイプ分子の2番目の位置の詳細な特異性を示す。2番目の位置に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように、それぞれのA2スーパータイプ分子について計算され、そしてそれぞれの特異的分子について最も高いARBを有する残基に対して表示される。最も高いARBを有するの残基を保有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、A0202、A0206およびA6802について、それぞれ、55nM、59nM、89nMおよび41nMであった。 図4aは、HLA−A2−スーパータイプ分子のC末端の詳細な特異性を示す。C末端に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように、それぞれのA2スーパータイプ分子について計算され、そしてそれぞれの特異的分子について最も高いARBを有する残基に対して表示される。最も高いARBを有するの残基を保有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、A0202、A0203、A0206およびA6802について、それぞれ、291nM、48nM、250nMおよび553nMであった。 図4bは、HLA−A2−スーパータイプ分子のC末端の詳細な特異性を示す。C末端に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように、それぞれのA2スーパータイプ分子について計算され、そしてそれぞれの特異的分子について最も高いARBを有する残基に対して表示される。最も高いARBを有するの残基を保有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、A0202、A0203、A0206およびA6802について、それぞれ、291nM、48nM、250nMおよび553nMであった。 図4cは、HLA−A2−スーパータイプ分子のC末端の詳細な特異性を示す。C末端に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように、それぞれのA2スーパータイプ分子について計算され、そしてそれぞれの特異的分子について最も高いARBを有する残基に対して表示される。最も高いARBを有するの残基を保有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、A0202、A0203、A0206およびA6802について、それぞれ、291nM、48nM、250nMおよび553nMであった。 図4dは、HLA−A2−スーパータイプ分子のC末端の詳細な特異性を示す。C末端に特定の残基を保有するペプチドのARB値は、本明細書中に記載されるように、それぞれのA2スーパータイプ分子について計算され、そしてそれぞれの特異的分子について最も高いARBを有する残基に対して表示される。最も高いARBを有するの残基を保有するペプチドの平均(幾何学的)結合能力は、A0202、A0203、A0206およびA6802について、それぞれ、291nM、48nM、250nMおよび553nMであった。 図5は、A0202モチーフのマップを示す。9マー(a)ペプチドおよび10マー(b)ペプチドのA0202モチーフの概要マップ。第2のアンカー位置で、好ましい(または有害な)と示された残基は、同じ位置で他の残基を有する同じサイズのペプチドの少なくとも3倍以上(または3倍未満)の平均結合能力に関連する。第1のアンカー位置で、好ましい残基は、同じ位置で最適な残基の10倍以内の平均結合能力に関連するものである。寛容化された第1のアンカー残基は、同じ位置で最適な残基の10倍と100倍との間の平均結合能力に関連するものである。 図6は、A0203モチーフのマップを示す。9マー(a)ペプチドおよび10マー(b)ペプチドのA0203モチーフの概要マップ。第2のアンカー位置で、好ましい(または有害な)と示された残基は、同じ位置で他の残基を有する同じサイズのペプチドの少なくとも3倍以上(または3倍未満)の平均結合能力に関連する。第1のアンカー位置で、好ましい残基は、同じ位置で最適な残基の10倍以内の平均結合能力に関連するものである。寛容化された第1のアンカー残基は、同じ位置で最適な残基の10倍と100倍との間の平均結合能力に関連するものである。 図7は、A0206モチーフのマップを示す。9マー(a)ペプチドおよび10マー(b)ペプチドのA0206モチーフの概要マップ。第2のアンカー位置で、好ましい(または有害な)と示された残基は、同じ位置で他の残基を有する同じサイズのペプチドの少なくとも3倍以上(または3倍未満)の平均結合能力に関連する。第1のアンカー位置で、好ましい残基は、同じ位置で最適な残基の10倍以内の平均結合能力に関連するものである。寛容化された第1のアンカー残基は、同じ位置で最適な残基の10倍と100倍との間の平均結合能力に関連するものである。 図8は、A6802モチーフのマップを示す。9マー(a)ペプチドおよび10マー(d)ペプチドのA6802モチーフの概要マップ。第2のアンカー位置で、好ましい(または有害な)と示された残基は、同じ位置で他の残基を有する同じサイズのペプチドの少なくとも3倍以上(または3倍未満)の平均結合能力に関連する。第1のアンカー位置で、好ましい残基は、同じ位置で最適な残基の10倍以内の平均結合能力に関連するものである。寛容化された第1のアンカー残基は、同じ位置で最適な残基の10倍と100倍との間の平均結合能力に関連するものである。 図9は、9マー(a)ペプチドおよび10マー(b)ペプチドのA2−スーパータイプ結合能力に対する、第2のアンカーの影響および第1のアンカーの影響のA2スーパーモチーフの要約を示す。示される残基は、3つ以上のA2−スーパータイプ分子に対する結合に有意な影響を及ぼす。影響した分子の数は、括弧で示される。第2アンカーの位置で、残基が、1つ以上の分子への有害な影響がない場合にのみ、好ましいとみなされる。1つの分子の関系において、有害であった好ましい残基は、小さい、イタリック体で示される。第1のアンカー位置での評価は、本明細書中で考察されるように、単一の置換およびペプチドライブラリー分析に基づく。

Claims (28)

  1. HLA−A2スーパーモチーフ制限ペプチドを同定するための方法であって:
    8〜11アミノ酸からなるペプチドをA0201、A0202、A0203、A0204、A0205、A0206、A0207、A6802、およびA6901の対立遺伝子によってコードされる3つ以上のHLA分子と接触させる工程であって、ここで、該ペプチドのN末端から2番目の位置のアミノ酸が、L、I、V、M、A、TまたはQであり、そしてC末端のアミノ酸が、L、I、V、M、AまたはTである、工程;
    IC50の値を測定する工程;および
    500nMより小さいIC50値で、少なくとも3つのHLA分子に結合するペプチドをHLA−A2スーパーモチーフ制限ペプチドとして、同定する工程、
    を包含する方法。
  2. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、V、A、TまたはQである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、L、I、M、またはQである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、IまたはQである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記C末端アミノ酸が、L、I、V、M、A、またはTである、請求項57に記載の方法。
  6. 前記C末端アミノ酸が、Tである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ペプチドが、HIV抗原、HBV抗原、HCV抗原、HPV抗原、PSA抗原、エプスタイン−バーウイルス抗原、KSHV抗原、ラッサウイルス抗原、MT抗原、p53抗原、CEA抗原、TSA抗原、MAGE抗原、またはHer2/neu抗原に由来する、請求項1に記載の方法。
  8. 免疫原性HLA−A2スーパーモチーフ制限ペプチドを同定するための方法であって:
    8〜11アミノ酸からなるペプチドをA0201、A0202、A0203、A0204、A0205、A0206、A0207、A6802、およびA6901の対立遺伝子によってコードされる3つ以上のHLA分子と接触させる工程であって、ここで、ペプチド/HLA−A2複合体を形成するために、該ペプチドのN末端から2番目の位置のアミノ酸が、L、I、V、M、A、TまたはQであり、そしてC末端のアミノ酸が、L、I、V、M、AまたはTである、工程;
    該ペプチド/HLA−A2複合体が、CTL応答を誘導するか否かを決定する工程、および
    少なくとも3つのHLAと複合して該CTL応答を誘導するペプチドをHLA−A2スーパーモチーフ制限ペプチドとして、同定する工程、
    を包含する方法。
  9. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、V、A、T、またはQである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、L、I、M、またはQである、請求項8に記載の方法。
  11. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、IまたはQである、請求項8に記載の方法。
  12. 前記C末端アミノ酸が、L、I、V、M、A、またはTである、請求項8に記載の方法。
  13. 前記C末端アミノ酸が、Tである、請求項8に記載の方法。
  14. 前記ペプチドが、HIV抗原、HBV抗原、HCV抗原、HPV抗原、PSA抗原、エプスタイン−バーウイルス抗原、KSHV抗原、ラッサウイルス抗原、MT抗原、p53抗原、CEA抗原、TSA抗原、MAGE抗原、またはHer2/neu抗原に由来する、請求項8に記載の方法。
  15. HLA−A2スーパーモチーフ制限ペプチドを作製するための方法であって:
    目的の抗原のアミノ酸配列を提供する工程;
    推定T細胞エピトープを該配列内で同定する工程であって、ここで、該推定エピトープは、8〜11アミノ酸からなり、ここで、該エピトープのN末端から2番目の位置のアミノ酸が、L、I、V、M、A、T、またはQであり、そしてC末端アミノ酸が、L、I、V、M、A、またはTである工程;
    該エピトープを含む該目的の抗原の1つ以上のペプチドフラグメントを調製する工程;
    該ペプチドをA0201、A0202、A0203、A0204、A0205、A0206、A0207、A6802、およびA6901の対立遺伝子によってコードされる3つ以上のHLA分子と接触させる工程;
    IC50の値を測定する工程;および
    500nMより小さいIC50値を有し、少なくとも3つのHLA分子に結合するペプチドをHLA−A2スーパーモチーフ制限ペプチドとして、選択する工程、
    を包含する方法。
  16. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、V、A、T、またはQである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、L、I、M、またはQである、請求項15に記載の方法。
  18. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、IまたはQである、請求項15に記載の方法。
  19. 前記C末端アミノ酸が、L、I、V、M、A、またはTである、請求項15に記載の方法。
  20. 前記C末端アミノ酸が、Tである、請求項15に記載の方法。
  21. 前記抗原が、HIV、HBV、HCV、HPV、PSA、エプスタイン−バーウイルス、KSHV、ラッサウイルス、MT、p53、CEA、TSA、MAGE、またはHer2/neuである、請求項15に記載の方法。
  22. 免疫原性HLA−A2スーパーモチーフ制限ペプチドを作製するための方法であって:
    目的の抗原のアミノ酸配列を提供する工程;
    推定T細胞エピトープを該配列内で同定する工程であって、ここで、該推定エピトープは、8〜11アミノ酸からなり、ここで、該エピトープのN末端から2番目の位置のアミノ酸が、L、I、V、M、A、T、またはQであり、そしてC末端アミノ酸が、L、I、V、M、A、またはTである工程;
    該エピトープを包含する該目的の抗原の1つ以上のペプチドフラグメントを調製する工程;
    ペプチド/HLA−A2複合体が、CTL応答を誘導するか否かを決定する工程、および
    少なくとも3つのHLAと複合してCTL応答を誘導するペプチドをHLA−A2スーパーモチーフ制限ペプチドとして、選択する工程、
    を包含する方法。
  23. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、V、A、T、またはQである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、L、I、M、またはQである、請求項22に記載の方法。
  25. 前記ペプチドの2番目の位置のアミノ酸が、IまたはQである、請求項22に記載の方法。
  26. 前記C末端アミノ酸が、L、I、V、M、A、またはTである、請求項22に記載の方法。
  27. 前記C末端アミノ酸が、Tである、請求項22に記載の方法。
  28. 前記抗原が、HIV、HBV、HCV、HPV、PSA、エプスタイン−バーウイルス、KSHV、ラッサウイルス、MT、p53、CEA、TSA、MAGE、またはHer2/neuである、請求項22に記載の方法。
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