JP2005511053A - リボフラビンの産生改善のための遺伝的系統の最適化 - Google Patents

リボフラビンの産生改善のための遺伝的系統の最適化 Download PDF

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Abstract

本発明は、リボフラビンを産生でき、rib1、rib2、rib4およびrib7の群からの遺伝子産物の少なくとも2つにおいて野生型ATCC10895より高い活性を持ち、その後、培地から産生されたリボフラビンを単離することができるAshbya属の微生物を培養することによる、リボフラビンの微生物による産生に関する。

Description

本発明はリボフラビンの産生のための組換え方法に関する。Ashbya属の生物でのリボフラビン生合成遺伝子またはそれらの組合せの特異的な選択およびそれらの発現により、これらの生体内のリボフラビンの産生は増加する。
リボフラビンとも呼ばれるビタミンB2は、すべての植物および多数の微生物によって産生される。ヒトおよび動物はそれを合成できないため、それらにとって必須である。リボフラビンは代謝に重要な役割を果たす。上述のように、例えば、炭水化物利用に関与する。ビタミンB2の欠乏は、口および咽頭粘膜の炎症、皮膚の痒みおよび炎症ならびに類似の皮膚損傷、結膜炎、視力低下および角膜混濁を引き起こす。乳幼児および子供では、成長の阻害および体重減少が起こりうる。従って、例えばビタミン欠乏の場合におけるビタミン補助食品および飼料添加物として、ビタミンB2は大きな経済的重要性を持つ。また様々な食品にも添加される。更にまた、例えばマヨネーズ、アイスクリーム、ブラマンジェなどへの食品着色料としても使用される。
ビタミンB2は化学的に合成されるか、または微生物によって産生されるかのいずれかである(例えば、B.Kurthら、1996, Riboflavin, in: Ullmann's Encyclopedia of industrial chemistry, VCH Weinheim参照)。化学合成では、リボフラビンは一般的に多段階過程での最終生成物として得られ、例えばD-リボースのような比較的高価な出発物質を使用することが必要となる。
リボフラビンの化学合成の代替法は、ビタミンB2を産生する微生物の発酵である。この目的のために使用される出発物質は、糖質または植物油などの再生可能な原料である。Eremothecium ashbyiiまたはAshbya gossypiiなどの発酵菌類によるリボフラビンの産生が知られている(The Merck Index, Windholzら編、Merck & Co., 1183頁, 1983)が、例えばカンジダ(Candida)、ピチア(Pichia)およびサッカロミセス(Saccharomyces)などの酵母、または、例えばバチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)種もしくはコリネバクテリア(Coryne bacteria)などの細菌もまたリボフラビン生産体として記述されている。EP-A-0 405 370およびEP-A-0 821 063は組換え菌株を用いたリボフラビンの産生を記載し、その菌株はリボフラビン生合成遺伝子によるバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)の形質転換によって得られている。
国際公開第WO 95/26406号および国際公開第WO 94/11515号は、リボフラビン生合成のために特異的な遺伝子を真核生物Ashbya gossypiiおよびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からクローニングする方法、これらの遺伝子で形質転換した微生物、およびリボフラビン合成のためのこのような微生物の用法を記載する。
国際公開第WO 99/61623号は、リボフラビン生合成遺伝子(rib3、rib4、rib5)の選択をリボフラビン産生増加のために使用する方法を記載する。
上述の生物の両方で、6つの酵素がグアノシン三リン酸(GTP)およびリブロース-5-リン酸から始まるリボフラビンの産生を触媒する。GTPシクロヒドロラーゼ-II(rib1遺伝子産物)は、GTPを2,5-ジアミノ-6-(リボシルアミノ)-4-(3H)-ピリミジノン-5-リン酸に変換する。この化合物は、続いて2,5-ジアミノ-6-(リボシルアミノ)-4-(3H)-ピリミジノン-5-リン酸還元酵素(rib7遺伝子産物)によって還元され、2,5-ジアミノ-リビチルアミノ-2,4-(1H,3H)-ピリミジン-5-リン酸を生じ、その後、それは特異的デアミナーゼ(rib2遺伝子産物)によって脱アミノ化され、5-アミノ-6-リビチルアミノ-2,4-(1H,3H)-ピリミジンジオン-5-リン酸を生じる。その後リン酸が非特異的ホスファターゼによって除去される。
GTPの他に、リボフラビン生合成の最終酵素段階の第二の出発物質であるリブロース-5-リン酸は、3,4-ジヒドロキシ-2-ブタノン-4-リン酸シンターゼ(rib3遺伝子産物)によって変換され、3,4-ジヒドロキシ-2-ブタノン-4-リン酸(DBP)を生じる。
DBPおよび5-アミノ-6-リビチルアミノ-2,4-(1H,3H)-ピリミジンジオンの双方とも、6,7-ジメチル-8-リビチルルマジンの酵素的合成の出発物質である。この反応は、rib4遺伝子産物(DMRLシンターゼ)によって触媒される。DMRLは、その後すぐに、リボフラビンシンターゼ(rib5遺伝子産物)によってリボフラビンに変換される(Bacherら、(1993), Bioorg. Chem. Front. Vol. 3, Springer Verlag)。
リボフラビン産生におけるこれらの進歩にも関わらず、未だ、需要の増加に対応したより効率的なリボフラビンの産生を行うためのビタミンB2生産性の改善および増大が必要である。
ビタミンB2生産性を更に改善することが本発明の目的である。本発明者らは、リボフラビンを産生でき、且つ、rib1、rib2、rib4およびrib7よりなる群から選択される少なくとも2つの遺伝子産物において野生型ATCC 10895より高い活性を示すAshbya属の微生物を培養し、産生されたリボフラビンを培地から単離することによる、リボフラビンの微生物による産生方法によって、この目的が達成されることを発見した。
リボフラビンの産生増加のための方法は、リボフラビンを合成でき、且つ、例えば以下のrib遺伝子産物の組合せが活性の増加を示す生物で実施されることが好ましい:すなわち、1+2、1+4、1+7、2+4、2+7、4+7(番号は各々の場合で当該のrib遺伝子産物を示す)。
特に、以下のrib遺伝子産物の組合せが活性の増加を示す生物が好ましい;1+2+4、1+2+7、1+4+7、2+4+7(番号は各々の場合で当該のrib遺伝子産物を示す)。
rib遺伝子産物の活性の増加は、基準生物として用いられるAshbya gossypii ATCC 10895株との比較で評価される。rib遺伝子産物の活性、すなわち酵素活性の測定の適切な方法は、当業者にとって公知であり、文献に記載されている。
更に、ビタミンB2生産性の増加に有利であるのは、天然の酵素活性を増加させること、および、遺伝子発現の増加のために上述の遺伝子の組合せを導入することの併用である。
本発明による方法に適切な生物または宿主生物は、原則として、リボフラビンを合成できるAshbya属のすべての生物である。
rib遺伝子産物という用語は、配列番号2、4、6、8に挙げた配列に記載されたポリペプチド配列のみを表すのではなく、これらの配列の5%以下、好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下のアミノ酸コドンの置換、挿入または欠失によって得られるポリペプチド配列をも包含する。このような配列は、例えば、天然の対立遺伝子変異として生じ、または、例えば変異原性物質もしくは電磁放射線による原種の変異原処理およびそれに続いてリボフラビン生産性の増大について選抜することによって得ることができる。
本発明のrib遺伝子rib1、rib2、rib4およびrib7の組合せ、ならびに/または、それらの遺伝子およびそれらの遺伝子産物の活性増加は、著しく増加したリボフラビン生産性をもたらす。上述の遺伝子は、原則として、当業者にとって既知のすべての方法によって用いられる生物に導入され得る。すなわち、それらは形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、遺伝子銃として知られる方法の使用、またはマイクロインジェクションによって、生物やそれらの細胞に導入されることが有利である。微生物の場合、当業者は、Sambrook, J.ら(1989) Molecular cloning: A laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、F.M. Ausubelら(1994) Current protocols in molecular biology, John Wiley and Sons、D.M. Gloverら DNA Cloning Vol. 1, (1995), IRL Press (ISBN 019-963476-9)、Kaiser etら(1994) Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press、またはGuthrieらGuide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, 1994, Academic Pressによる教科書中から適切な方法を見いだすであろう。記載されうる有用な方法の例は、例えば、ドイツ出願第DE 19801120.2号に記載されるような、ura-3遺伝子、特にAshbya ura-3遺伝子による、および/または、下記に記述されるREMI法(=「制限酵素介在性組込み(Restriction Enzyme Mediated Integration)」)による、相同組換えまたは非相同組換えによるDNAの導入である。
REMI法は、両端を同一の制限エンドヌクレアーゼで切断された直鎖状DNA構築物およびDNA構築物の制限切断に用いたこの制限エンドヌクレアーゼの同時形質転換に基づく。その結果、制限エンドヌクレアーゼは、制限酵素と共にDNA構築物を導入した生物のゲノムDNAを切断する。これは相同的修復機構の活性化を引き起こす。これらの修復機構はエンドヌクレアーゼによって引き起こされたゲノムDNA鎖の開裂を修復し、そうすることによって、またある頻度で同時に形質転換したDNA構築物をもゲノムに組み込む。通常DNAの両端の制限切断部位は保持される。
この手法は菌類の挿入突然変異誘発のためにBolkerら(Mol Gen Genet, 248, 1995: 547-552)によって報告された。その方法はサッカロミセスにおける非相同組換えの存在を解明するために、SchiestlおよびPetes(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 1991: 7585-7589)によって使用された。その方法は誘導性リポーター遺伝子の安定した形質転換および調節された発現のために、Brownら(Mol. Gen. Genet. 251, 1996: 75-80)によって記述された。今までのところ、このシステムは代謝経路の最適化のため、または市販用のタンパク質の過剰発現のための遺伝子組換え手段としてはまだ使用されていない。
リボフラビン合成に関連して、生合成遺伝子がREMI法を用いて上述の生物のゲノムに組み込まれ得ること、および、特に、例えばリジン、メチオニン、スレオニンもしくはトリプトファンなどのアミノ酸、ビタミンA、B2、B6、B12、C、D、E、F、S-アデノシルメチオニン、ビオチン、パントテン酸もしくは葉酸などのビタミン、β-カロテン、リコピン、カンタキサンチン、アスタキサンチンもしくはゼアキサンチンなどのカロチノイド、または、リパーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、ニトリラーゼ、プロテアーゼなどの加水分解酵素、例えばMIF、MAF、TNFなどのリンフォカイン、インターロイキン1などのインターロイキン、γ-インターフェロンなどのインターフェロン、tPA、プロテオホルモン、グリコホルモンなどのホルモン、バソプレッシン、エンドルフィン、エンドスタチン、アンギオスタチンなどのオリゴまたはポリペプチドホルモン、増殖因子エリスロポエチン、GPIIb/IIIa或いはavbIIIなどの転写因子インテグリン、様々なグルタミン酸受容体などの受容体もしくはアンギオテンシンなどの血管新生因子のようなタンパク質の、生合成経路の一次代謝産物または二次代謝産物を産生するための産生過程が最適化され得ることが示された。
REMI法を用いて、本発明の遺伝子または他の上述の遺伝子の核酸断片をゲノムの転写活性部位に導入することができる。
ゲノムに導入されるDNA構築物内に少なくとも1つのリポーター遺伝子と共に核酸をクローニングすることは有用である。このリポーター遺伝子は、増殖アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイまたは光度測定を介した容易な検出を可能にするはずである。記載されうるリポーター遺伝子の例は、抗生物質耐性遺伝子、加水分解酵素遺伝子、蛍光タンパク質遺伝子、生物発光遺伝子、グルコシダーゼ遺伝子、ペルオキシダーゼ遺伝子、またはリボフラビン遺伝子などの生合成遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、β-ガラクトシダーゼ遺伝子、gfp遺伝子、リパーゼ遺伝子、エステラーゼ遺伝子、ペルオキシダーゼ遺伝子、β-ラクタマーゼ遺伝子、アセチルトランスフェラーゼ遺伝子、ホスホトランスフェラーゼ遺伝子、アデニルトランスフェラーゼ遺伝子である。これらの遺伝子は、その転写活性すなわち遺伝子発現の容易な測定および定量を可能にする。従って、2の要因によって異なる生産性を示すゲノム内での位置が同定され得る(図1参照)。図1は、組込み後にそれらの異なるビタミンB2(リボフラビン)生産性と共に得られたクローンLu21#1およびLU21#2を示す。
例えばリボフラビンの場合のように、生合成遺伝子自体が容易な検出を可能にしている場合には、更なるリポーター遺伝子を省略することができる。
生物に1つ以上の遺伝子を導入する場合、これらのすべてをリポーター遺伝子と共に単一のベクターにて生物に導入するか、または、個々の遺伝子をリポーター遺伝子と共に個別のベクターで生物に導入することができ、多種のベクターは同時にもしくは連続的に導入することができる。当該の活性をコードしている遺伝子断片はまた、REMI法にも使用されうる。
原則としてすべての既知の制限酵素は、生物のゲノムに生合成遺伝子を組み込むための本発明の方法に適している。制限切断部位として4塩基対のみを認識する制限酵素は、ゲノムまたは組み込まれるベクター内で高頻度に切断するためあまり好まれず、BamHI、EcoRI、BglII、SphI、SpeI、XbaI、XhoI、NcoI、SalI、ClaI、KpnI、HindIII、SacI、PstI、BpnI、NotI、SrfIもしくはSfiI、記載したもの以外の可能性のある酵素のいくつかのような、切断部位として6、7、8またはそれ以上の塩基対を認識する酵素が好まれる。酵素を用いた時、もはや導入されるDNA内に切断部位を持たないことが有利であり、これは組込み効率を増加させる。一般的に、5〜500 U、好ましくは10〜250 U、特に好ましくは10〜100 Uの酵素がREMI混合物に用いられる。酵素は、ショ糖、トレハロースもしくはグルコースのような糖、グリセロールもしくはポリエチレングリコールのようなポリオールなどの浸透圧安定化のための物質、pH 5〜9、好ましくは6〜8、特に好ましくは7〜8において良好な緩衝範囲を持つTris、MOPS、HEPES、MESまたはPIPESなどの緩衝剤、および/または、Mg、Cu、Co、Fe、Mn或いはMoの無機塩もしくは有機塩などの核酸を安定させるための物質を含む水溶液中で有利に使用される。適切な場合、更にEDTA、EDDA、DTT、β-メルカプトエタノールまたはヌクレアーゼ阻害剤などの物質が存在しうる。しかし、これらの添加なしでもREMI法を行うことは可能である。
本発明の方法は、5〜80℃、好ましくは10〜60℃、特に好ましくは20〜40℃までの温度範囲で行われる。例えば、エレクトロポレーション、負荷された小胞との融合、または、リチウム塩、ルビジウム塩或いはカルシウム塩などの種々のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩(リチウム塩が好ましい)を用いた不安定化のような、細胞膜の不安定化のための既知の方法はすべて、本方法に適している。
単離後、核酸は直接または精製後に本発明の反応に使用できる。
本発明のrib遺伝子の組合せの植物への導入は、原則として当業者にとって既知のすべての方法で達成され得る。
植物ゲノムへの外来遺伝子の導入は形質転換と呼ばれる。この状況においては、記述された形質転換の方法および植物組織または植物細胞からの植物の再生方法が、一過性のまたは恒常的な形質転換のために用いられる。適切な方法は、ポリエチレングリコール誘導性のDNA取り込みによるプロトプラストの形質転換、遺伝子銃の使用、エレクトロポレーション、乾燥胚(dry embryo)のDNA溶液中での培養、マイクロインジェクション、およびアグロバクテイウムを介した遺伝子導入である。上述の方法は、例えばB. Jenesら、Techniques for Gene Transfer, in: Transgenic Plants, Vol. 1, Engineering and Utilization, S.D. KungおよびR. Wu編, Academic Press (1993) 128-143、および、Potrykus Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Molec. Biol. 42 (1991) 205-225中に記載されている。発現されるべき構築物は、例えばpBin19(Bevanら、Nucl. Acids Res. 12 (1984) 8711)のようなアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の形質転換に適したベクターにクローニングされていることが好ましい。アグロバクテリウム・ツメファシエンスを用いた植物の形質転換は、例えばNucl. Acid Res. (1988) 16, 9877中でHofgenおよびWillmitzerによって記載されている。
本発明の発現ベクターで形質転換されたアグロバクテリアはまた、植物、特に、穀類、トウモロコシ、大豆、米、綿、甜菜、カノーラ、ヒマワリ、亜麻、麻、ジャガイモ、タバコ、トマト、菜種、アルファルファ、レタス、ならびに種々の樹木、木の実およびブドウの種、ならびにマメ科植物などの作物植物の形質転換のために、例えば、表面を傷つけた葉や葉の切片をアグロバクテリア溶液に浸し、その後適切な培地中でそれらを培養することによる、既知の方法にも使用され得る。
遺伝子改変植物細胞は当業者にとって既知のすべての方法によって再生され得る。適切な方法は、S. D. KungおよびR. Wu、Potrykus、またはHofgenおよびWillmitzerによる上記の文献に記載されている。
細胞内でrib遺伝子産物の酵素活性を増加させる様々な可能性がある。
1つの可能性は、内在性のrib遺伝子1、2、4および7を改変して、そのコードする酵素の1、2、4および7の活性が元の酵素活性より増加させることである。様々な酵素活性の増加は、例えば、触媒中心の変化による基質変換の増加をもたらすことによって、または酵素阻害剤の影響を無効にする、すなわちそれらが特異性の増加した活性を持つもしくはそれらの活性が阻害されないことによって、達成され得る。更に有利な実施形態では、酵素活性の増加はまた、例えば酵素合成を抑制する因子の排除による、または合成の増加を促進する因子もしくは調節エレメントの活性の増加による、または好ましくは更なる遺伝子コピーの導入による、細胞での酵素合成の増加によっても達成されうる。これらの方法は比活性を改変せずに細胞内の遺伝子産物の総活性を増加させる。これらの方法の組合せを使用して、比活性および総活性の両方が増加させることも可能である。原則として、これらの改変は当業者にとって既知のすべての方法によって遺伝子、調節エレメントまたはそれらのプロモーターの核酸配列に導入できる。この目的のために、配列は、例えば、D.M. Gloverら、DNA Cloning Vol. 1, (1995), IRL Press (ISBN 019-963476-9), 6章, 193ページ以下に記載されたような部位特異的変異導入などの突然変異導入法を受けることができる。
dITPを用いたランダム変異導入のためのPCR法は、Speeら(Nucleic Acids Research, Vol. 21, No. 3, 1993: 777-778)によって記載されている。
分子進化のためのin vitro組換え技術の使用は、Stemmer(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 91, 1994: 10747-10751)によって記載されている。
Mooreら(Nature Biotechnology Vol. 14, 1996: 458-467)はPCR法および組換え法の組合せを記載している。
改変された核酸配列はその後ベクターを介して生物に戻される。
酵素活性を増加させるため、遺伝子発現が増進され、ひいては活性が増加するように、天然の遺伝子の上流に改変したプロモーター領域を置くこともまた可能である。3'末端に、例えばmRNAの安定性を増加させ、ひいては翻訳の増加をもたらす配列を導入することも可能である。これもまた酵素活性の増加を引き起こす。
rib遺伝子1、2、7および4の更なる遺伝子コピーが共に細胞内に導入されることが好ましい。これらの遺伝子コピーは、天然の調節、遺伝子発現の増加を可能にするように天然の調節領域を改変した修飾調節を受けることができ、または、異種遺伝子のもしくは実際に異なる種由来の遺伝子の他の調節配列が使用されうる。
上述の方法の組合せは特に有利である。
配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7の配列の遺伝子、またはその機能的同等物の組合せは、本発明の方法に有用である。
生物内での異種遺伝子の最適な発現をもたらすために、生物の固有のコドン使用に従って核酸配列を改変することは有利である。コドン使用は当該の生物の他の既知の遺伝子のコンピューター評価によって容易に決定できる。
rib遺伝子1、2、7および4の遺伝子発現は、rib1、2、7、4遺伝子のコピー数の増加によって、および/または、rib1、2、7および4の遺伝子発現に正の効果を持つ調節因子の強化によって、有利に増加され得る。このように、調節エレメントの強化は、望ましくは、転写レベルでプロモーターおよびエンハンサーなどのより強力な転写シグナルを使用することによってもたらされ得る。しかしその他に、例えばrib1、2、7および4のmRNAの安定性の改善またはこのmRNAのリボゾームでの読み取り効率の増加による翻訳の促進も可能である。
遺伝子のコピー数を増加させるために、rib1、2、7および4遺伝子、またはその相同的遺伝子を、例えば、好ましくは当該のrib遺伝子に配置される調節遺伝子配列もしくは類似の効果を持つプロモーター活性を包含する核酸断片またはベクターに組み込むことが可能である。
特に用いられる調節配列は、遺伝子発現を増加させるものである。しかし別の方法として、上述の遺伝子の各々は個別のベクターに導入され、当該の産生生物に形質転換され得る。
本発明の核酸断片は、望ましくは遺伝子形質発現の増加のための1つ以上の調節シグナルと機能しうる形で連結された、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7のrib遺伝子配列またはそれらの機能的同等物を意味すると理解される。これらの調節配列は、例えば、誘導因子またはリプレッサーが結合し、その結果核酸の発現を調節する配列である。これらの新規の調節配列に加えて、またはこれらの配列の代わりに、これらの配列の天然の調節が実際の構造遺伝子の上流に依然として存在してもよく、適切な場合、天然の調節が削除され、遺伝子発現が増加するような方法で遺伝子組換えが行われてもよい。しかし、遺伝子構築物はもっと単純な構造でもよい。すなわち付加的な調節シグナルは配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7またはそれらの機能的同等物の配列の上流に挿入されず、その調節とともに天然のプロモーターは除去されなかった。その代わりに、天然の調節配列は、もはや調節が行われず遺伝子発現が増加するように突然変異された。これらの改変プロモーターはまた、活性を増加させるために天然の遺伝子のそれら自身の上流に挿入されうる。更に、遺伝子構築物は、有利に、プロモーターに機能しうる形で連結されたエンハンサー配列として知られているものを1つ以上包含してもよく、これらは核酸配列の発現増加を可能にする。また、更なる調節エレメントまたはターミネーターなどの付加的な有利な配列も、DNA配列の3'末端に挿入されうる。遺伝子構築物中に1つ以上のrib遺伝子のコピーが存在してもよい。
本発明の方法に有用な調節配列の例は、例えば、グラム陰性菌で有利に用いられるcos、tac、trp、tet、trp-tet、lpp、lac、lpp-lac、lacIq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、λ-PR、または、λ-PLプロモーターなどのプロモーターに存在する。更なる有利な調節配列は、例えば、グラム陽性プロモーターamyおよびSPO2、酵母もしくは菌類のプロモーターADC1、MFα、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADH、または、植物プロモーターCaMV35S [ Franckら、Cell 21 (1980) 285-294 ]、PRP1 [ Wardら、Plant. Mol. Biol. 22 (1993)]、SSU、OCS、lib4、usp、STLS1、B33、LEB4、nos、もしくは、ユビキチン或いはファゼオリンプロモーターに存在する。この状況において、例えば、Hansenula由来のピルビン酸デカルボキシラーゼおよびメタノールオキシダーゼプロモーターもまた有用である。更なる有利な植物プロモーターは、例えば、ベンゼンスルホンアミド誘導性プロモーター(EP 388186)、テトラサイクリン誘導性プロモーター(Gatzら、(1992) Plant J. 2, 397-404)、アブシジン酸誘導性プロモーター(EP 335528)、または、エタノールもしくはシクロヘキサノン誘導性プロモーター(WO 9321334)である。プリンもしくはそれらの前駆体の生合成が起こる組織または植物の部分において発現を確実にするそれらの植物プロモーターは特に有利である。葉特異的発現を確実にするプロモーターは特に記載する必要がある。ジャガイモ細胞質FBPaseプロモーターまたはジャガイモST-LSIプロモーター(Stockhausら、EMBO J. 8 (1989) 2445-245)は記載されるべきである。ダイズのホスホリボシルピロリン酸アミドトランスフェラーゼプロモーター(Genbank登録番号U87999も参照)またはEP 249676に記載される別の根粒特異的プロモーターもまた有利に用いられるかもしれない。
原則として、上述のすべての天然のプロモーターはそれらの調節配列と共に、本発明の方法に使用できる。更に、合成プロモーターもまた有利に使用されうる。
上述の核酸断片(=遺伝子構築物)に加えて、生物に導入される更なる遺伝子が存在しうる。これらの遺伝子は別々の調節を受けることもでき、または、rib遺伝子と同じ調節領域下に置かれることもできる。これらの遺伝子は、例えば、合成の増加を可能にする更なる生合成遺伝子である。
上述の宿主生物での発現のために、核酸断片は、例えば、宿主での最適な遺伝子発現を可能にするプラスミド、ファージまたは他のDNAなどのベクターに有利に挿入される。適切なプラスミドの例は、例えば、大腸菌(E. coli)でのpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、λgt11またはpBdCI、ストレプトマイセス(Streptomyces)でのpIJ101、pIJ364、pIJ702もしくはpIJ361、バチルスでのpUB110、pC194もしくはpBD214、コリネバクテリウムでのpSA77もしくはpAJ667、菌類でのpALS1、pIL2もしくはpBB116、酵母での2 μM、pAG-1、YEp6、YEp13もしくはpEMBLYe23、植物でのpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004もしくはpDH51、または、上述のプラスミドの派生物である。上述のプラスミドは、可能なプラスミドの小規模な選集を構成する。更なるプラスミドは当業者にとって周知であり、例えばCloning Vectors(Pouwels P.H.ら編、Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985, ISBN 0 444 904018)という本に見いだすことができる。適切な植物ベクターは、特に「Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology」(CRC Press)、6/7章、pp. 71-119に記載される。
存在する遺伝子を更に発現させるために、核酸断片は更にまた、発現を向上させるための3'-および/または5'-末端調節配列を有利に包含し、その配列は最適な発現のために選択された宿主生物および遺伝子に応じて選抜される。
これらの調節配列は、遺伝子およびタンパク質の制御された発現を可能にすることを目的としている。宿主生物によって、これは、例えば、誘導後にのみ遺伝子が発現および/または過剰発現されることを意味するかもしれず、または、直ちに発現および/または過剰発現されることを意味するかもしれない。
この状況において、調節配列または調節因子は、導入された遺伝子の発現に正の効果を持つ、すなわち増加させ得ることが好ましい。従って、調節エレメントの強化は、プロモーターおよび/またはエンハンサーのような強い転写シグナルによって転写レベルに作用できることが好ましい。しかしまた、例えばmRNAの安定性を増加させることによる、翻訳の促進も可能である。
ベクターの更なる実施形態では、本発明の遺伝子構築物はまた、有利に、直鎖状DNAの形で微生物に導入され、非相同または相同組換えを介して、宿主生物のゲノムに組み込まれることもできる。この直鎖状DNAは、直鎖状にしたプラスミド、あるいはベクターとしての核酸断片のみから構成され得る。
細胞内で自己複製する任意のプラスミド(しかし、特に、サッカロミセス・セレビジエ(S. cerevisiae)2∝mプラスミドの複製起点を持つプラスミド)もベクターとして使用されうるが、また、上述のように、宿主ゲノムに組み込む直鎖状DNA断片も使用されうる。この組込みは非相同または相同組換えを介して達成できるが、記載されるように、相同組換えを介することが好ましい(Steinerら、Genetics, Vol. 140, 1995: 973-987)。この状況において、遺伝子rib1、rib2、rib4およびrib7は、ゲノム内の異なる位置もしくは異なるベクター上に別々に存在するかもしれず、または、ゲノム内もしくはベクター上に一緒に存在するかもしれない。
本発明の方法で用いられる、rib遺伝子1、2、7および4、またはそれらの機能的同等物の組合せを包含する生物は、リボフラビン産生の増加を示す。
本発明の方法において、リボフラビンの産生に用いられる生物は、これらの生物の成長を可能にする培地中で培養される。この培地は、合成培地または天然培地の形を取りうる。当業者にとって既知の培地が生物に応じて使用され選択される。使用される培地は、炭素源、窒素源、無機塩および、適切な場合、微生物の増殖を支持するため少量のビタミンおよび微量元素を含む。
有用な炭素源の例は、ブドウ糖、フルクトース、マンノース、キシロース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、ショ糖、ラフィノース、デンプン、或いは、セルロースなどの単糖、二糖、もしくは、多糖類のような糖質、糖蜜のような複合糖質源、フルクトース-1,6-二リン酸のような糖リン酸、マンニトールのような糖アルコール、グリセロールのような多価アルコール、メタノールもしくはエタノールのようなアルコール、クエン酸、乳酸、もしくは、酢酸のようなカルボン酸、大豆油もしくは菜種油のような脂肪、例えばカザミノ酸(Difco)として知られるアミノ酸混合物のようなアミノ酸、グリシンもしくはアスパラギン酸のような個々のアミノ酸、または、アミノ糖である。最後に記載したものはまた、同時に窒素源としても使用されうる。
有用な窒素源は、有機もしくは無機窒素化合物、またはこれらの化合物を包含する物質である。例は、NH4Clもしくは(NH4)2SO4などのアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、または、コーンスティープリカー、醸造用酵母自己消化物、大豆ミール、小麦グルテン、酵母抽出物、肉エキス、カゼイン水解物、酵母、もしくは、ジャガイモタンパク質などの複合窒素源であり、これらのすべてはまた、しばしば同時に窒素源としても作用し得る。
無機塩の例は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、マンガン、カリウム、亜鉛、銅および鉄の塩である。これらの塩の陰イオンとして、塩化物イオン、硫酸イオンおよびリン酸イオンが特に記載されうる。本発明の方法において生産性を増加させるための重要な要因は、産生培地におけるFe2+またはFe3+イオン濃度の制御である。
適切な場合、培養液は、例えば、ビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸もしくはピリドキシンなどのビタミンもしくは成長促進剤、アラニン、システイン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン、セリン、フェニルアラニン、オルニチンもしくはバリンなどのアミノ酸、クエン酸、ギ酸、ピメリン酸もしくは乳酸などのカルボン酸、または、ジチオスレイトールなどの物質のような更なる成長因子が添加される。
上述の栄養素の混合比は、発酵の種類に依存し、各々個別の事例で調節される。培地のすべての成分は、適切な場合、殺菌後別々もしくは一緒に発酵の初めに供給されてもよく、または、それらは発酵の間、必要に応じて連続的にもしくは回分式に供給されてもよい。
培養条件は、生物の成長が最適で、起こり得る最高の生産量が達成されるように設定される。好ましい培養温度は、15℃〜40℃である。25℃〜37℃の間の温度が特に有利である。pH値は3〜9までの範囲内に設定されることが好ましい。pH値が5〜8の間であることが特に有利である。一般的に、2〜3時間から数日まで、好ましくは8時間から21日まで、特に4時間から14日までの培養時間は、通常十分である。最大量の生成物はこの期間以内に培地中に蓄積する。
培地の有利な最適化は、当業者によって、例えば教科書Applied Microbial Physiology, 「A Practical Approach」(P.M. Rhodes, P.F. Stanbury編、IRL Press, 1997, pages 53-73, ISBN 0 19 963577 3))中に見いだされ得る。Bacillusおよび更なる生物のために有利な培地および培養条件は、例えば、公開EP-A-0 405 370、特に実施例9において、Candidaについては公開WO 88/09822、特に表3において、AshbyaについてはSchmidtらによる報告(Microbiology、142、1996:419-426)中に見いだすことができる。
本発明の方法は、連続的に、または、回分培養もしくは流加培養として不連続的に実施され得る。
リボフラビン生産性は本発明の方法によって、使用される生物の初期の生産性レベルに応じて、程度の差はあるが増加し得る。通常、生産性は、開始時の生物の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは20%、特に非常に好ましくは少なくとも100%以上にまで有利に増加し得る。
Ashbya gossypiiおよびサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)からのrib遺伝子1、2、3、4、5および7の単離は、特許WO 95/26406およびWO 93/03183ならびに特に実施例に記載され、同様に実施される。これらの出版物は、本明細書に明確に参照される。
配列1は、形質転換に必要な選択マーカーに加えて、rib1、rib2、rib4およびrib7遺伝子断片を持つDNA構築物を示す。
例えば、クローニング、制限切断、アガロースゲル電気泳動、DNA断片の連結、微生物の形質転換、バクテリアの増殖および配列解析組換えDNAのような一般的な方法は、特記しない限り、Sambrookら(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press: ISBN 0-87969-309-6)に記載されたように行った。
組み換えDNA分子は、Sanger法(Sangerら、(1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA74, 5463-5467)に従ってABIレーザー蛍光DNAシーケンサーを用いて配列決定した。ポリメラーゼ連鎖反応から生じた断片を配列決定し、発現させるべき構築物におけるポリメラーゼの誤読を避けるために確認した。
実施例1
rib1、rib2、rib4およびrib7遺伝子コピーを包含するDNA構築物(ベクターTef-G418-Tef rib1,2,7,4)のクローニング
rib遺伝子の発現構築物:ベクターTefG418Tefrib3,4,5は、WO 99/61623に記載されている。このベクターをKpnIで切断し、沈殿させ、再溶解し、その後NheIで部分的に消化した。NheIおよびKpnIで一旦切断した、より大きい断片をアガロースゲルから単離した。rib7遺伝子はベクターpJR765(WO 95/26406に記載される)からPCRを用いて増幅された(プライマー:TCGAGGTACCGGGCCCCCCCTCGA; TCGAACTAGTAGACCAGTCAT)。特異的なPCR産物をKpnI/SpeIで切断し、上記のKpnI/NheI切断ベクターにライゲーションした。これによって、ベクターTefG418Tefrib7,4が生じた。
rib2遺伝子をベクターpJR758(WO 95/26406)からPCRによって増幅し、その結果生じた産物をSpeIおよびNheIで切断した(プライマー:CCCAACTAGTCTGCAGGACAATTTAAA; AGTGCTAGCCTACAATTCGCAGCAAAAT)。このDNA断片を、NheI切断、ホスファターゼ処理したベクターTefG418Tefrib7,4にライゲーションした。これによってベクターTefG418Tefrib7,4,2が生じた。
rib1遺伝子をベクターpJR765(WO 95/26406)からPCRによって増幅し(プライマー:GTAGTCTAGAACTAGCTCGAAACGTG; GATTCTAGAACTAGAACTAGTGGATCCG)、XbaIで切断した。このDNA断片を、NheI切断、ホスファターゼ処理したベクターTefG418Tefrib7,4,2にライゲーションした。
その結果生じたDNA構築物はベクターTef-G418-rib1,2,7,4を構成する。
実施例2
真菌Ashbya gossypiiへのDNA構築物の形質転換
実施例1に記載されたDNA構築物(ベクターTef-G418-rib1,2,4,7)を制限酵素XbaIで完全に切断し、rib遺伝子配列を持つインサートをアガロースゲル分離によって精製した。
MA2培地(10 g/l Bacto peptone、1 g/l 酵母抽出物、0.3 g/l ミオイノシトールおよび10 g/l D-グルコース)にAshbya gossypii胞子を植菌した。その培養物を4℃で12時間培養し、その後28℃で13時間振とう培養した。細胞懸濁液を遠沈し、細胞沈殿物を5 mlの50 mMカリウムリン酸バッファーpH 7.5、25 mM DTTに溶解した。28℃、30分間の熱処理の後、細胞を再度遠沈し、25 mlのSTMバッファー(270 mMショ糖、10 mM TRIS-HCl pH 7.5、1mM MgCl2)に溶解した。その後、この0.5 mlの懸濁液を約3 mgの上記で精製されたインサートおよび40 U SpeI酵素で処理し、Biorad Gene Pulser(100Ω、20μF、1.5 kV)でエレクトロポレーションした。エレクトロポーレーション後、細胞を1 mlのMA2培地で処理し、MA2寒天培養プレート上で培養した。抗生物質による選抜を行うために、プレートを28℃で5時間培養し、その後、抗生物質G418(200 mg/ml)を含む5mlの低融点アガロース層で覆った。形質転換細胞を顕微操作(SteinerおよびPhilipsen(1995)Genetics、140; 973-987)によってクローン精製した。構築物の組込みの成功は、形質転換細胞のゲノムDNAをPCR分析することによって確認した。CarleおよびOlson(Proc. Natl. Acad. Sci, 1985, 82, 3756-3760)ならびにWrightおよびPhilipsen(Gene, 1991, 109, 99-105)に記述されたように、ゲノムDNAを単離した。構築物特異的プライマーを用い、R. Saikiの方法(PCR Protocols, 1990, Academic Press, 13-20)によってPCRを行った。PCR断片はアガロースゲルでの分離によって分析される。
すべての形質転換細胞についてPCRによって、ゲノムへの組込みの成功を確認した。
実施例3
組換えAshbya gossypiiクローンでのリボフラビン測定
Ashbya gossypii LU21(野生型株、ATCC 10895)ならびに、実施例1に記載された構築物による形質転換によってそこから得られたLU21#1および#2株を、28℃で寒天培地上で4日間増殖させた。10mlの培地(27.5 g/l 酵母抽出物、0.5 g/l MgSO4、50 ml/l 大豆油、pH 7.0)を含む3つの100mlの三角フラスコに、このプレートから植菌した。28℃、180rpmで40時間の振とう培養後、培養液の1 mlの分画を、20 mlのYPD培地(10 g/l 酵母抽出物、20 g/l Bacto-peptone、20 g/l ブドウ糖)を含む250 mlの三角フラスコに移した。28℃、300rpmで培養し、190時間後、各フラスコから1 mlのサンプルを採取し、1 mlの1 M 過塩素酸で処置した。サンプルを濾過し、リボフラビン含量をHPLC分析によって測定した。リボフラビン標準品(10 mg/l、20 mg/l、30 mg/l、40 mg/l、50 mg/l)による検量を行った。
リボフラビン測定のためのHPLC法のパラメーター:
カラム ODS Hypersil 5mm 200×2.1 mm(HP)
溶離液A 340 ml H3PO4(89%)でpH 2.3にした水溶液
溶離液B 100%アセトニトリル
勾配
停止時間 0〜6分間:2%Bから50%B
6〜6.5分間:50%Bから2%B
流速 0.5 ml/min
検出 280 nm
温度 40℃
注入 2〜10 μl
当初の株と比較して、rib遺伝子1、2、4および7の追加遺伝子コピーを包含するクローン#1および#2によるバッチは、リボフラビン生産性の著しい増加を示す(図1)。
図1は、異なるクローンのリボフラビン産生を示す。改変していない株と比較して、rib1、2、4および7遺伝子の導入によって、最高135%のリボフラビン産生の増加が得られた。
【配列表】
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Claims (6)

  1. リボフラビンを産生でき、rib1、rib2、rib4およびrib7からなる群より選択される遺伝子産物の少なくとも2つが野生型ATCC 10895のものより高い活性を示すAshbya属の微生物を培養し、産生されたリボフラビンを培地から単離することによる、リボフラビンの微生物による産生方法。
  2. rib1、rib2、rib4およびrib7からなる群より選択される3つの遺伝子産物がより高い活性を示す、請求項1で請求される方法。
  3. rib1、rib2、rib4およびrib7からなる群より選択される4つの遺伝子産物がより高い活性を示す、請求項1に記載の方法。
  4. 遺伝子発現の増加によってrib遺伝子産物のより高い遺伝子活性がもたらされる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 遺伝子コピー数の増加によって遺伝子発現の増加がもたらされる、請求項4に記載の方法。
  6. rib遺伝子産物が配列番号2、4、6、8に示されたポリペプチド配列、またはこれらの配列の5%以下のアミノ酸コドンの置換、挿入もしくは欠失によって得られるポリペプチド配列を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
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