JP2005511016A - フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチド及びポリヌクレオチド配列並びにそれらの調製方法及び使用方法 - Google Patents

フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチド及びポリヌクレオチド配列並びにそれらの調製方法及び使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、Rhodotorula属のフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチド、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、並びにこれら産生物の調製及び使用方法を提供する。特に、当該ポリペプチドは、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、フェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の産生に用いることができる。

Description

本発明は、Rhodotorula属フェニルアラニンリアーゼポリペプチド、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、並びにこれらの産生物の調製及び使用方法に関する。
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL; EC 4.3.1.5)は、ある種の植物、酵母、及びストレプトマイセス属において見出される酵素である。PALは、L−フェニルアラニンからトランス桂皮酸への非酸化的脱アミノ化を触媒する。この酵素は、フェニルケトン尿症(非特許文献1)及びガンの治療及び診断において重要な役割を有し、アンモニアとトランス桂皮酸からL−フェニルアラニンを商業的に製造するのに用いられる。フェニルアラニンを産生する発酵培地内で用いられるPAL産生酵母菌株については、多くの文献が記載している。Rhodotorula glutinisは、誘導物質の存在下、PAL活性を得るために用いることができるが、誘導から約6時間後に活性が最大に達し、その後減少する。同様に、PALも発酵中に誘導物質が欠乏すると急速に失活し、大部分のRhodotorula rubra菌株の発酵中では約2〜5時間の半減期である。特許文献1は、PAL生産に有益なRhodotorula rubra変異株(特にGX 5902, GX 5903, GX 5904)を開示する。Rhodotorula graminis野生型株KGX 39(GX 5007としても知られている)は、同様にPAL活性を有する土壌分離株である(非特許文献2)。KGX 39は、Rhodotorula rubraの他の産生株よりもいくつかの利点を有する。KGX 39は、15〜20%早く発育し、酵母抽出物の要求がより少なく、誘導中にL−メチオニンの要求がなく、発酵時のPAL半減期が約8〜9時間である。しかし、Rhodotorula graminis KGX 39は、発酵中に得られるPAL力価が低いために産生菌株として望ましくない。過産生性PAL変異株は、特許文献2に記載されているように、KGX 39菌株の突然変異により得られる。この突然変異株(ATCC 20804として寄託)は、高度なPAL特異的活性及び力価、高度なPAL特異的産生性、高度な安定性を有し、従来利用可能であったあらゆるPAL産生酵母菌株よりも最大PAL濃度になるまでの発酵時間が短い。
合成のためのキラル出発物質として、フェニルアラニン様構造を有する各種光学活性非天然アミノ酸を産生するために酵母由来PALを用いることが、近年発表されている(特許文献3を参照、引用することによりここに組み込まれる)。この文献によれば、アンモニアの立体特異的導入は、立体特異的転移のために、生体触媒として微生物細胞(すなわち、酵母菌株Rhodotorula graminis ATCC 20804)を用いることにより達成される。Rhodotorula graminis ATCC 20804由来のフェニルアラニンアンモニアリアーゼは、3位置換アクリル酸の二重結合にアンモニア分子を立体選択的に導入するための幅広い基質特異性を示すことが見出された。この新たに発見されたRhodotorula graminis PALの特異性は、商業的に有益であると証明されるであろう。
特に、フェニルアラニン及びその誘導体は、様々なタイプの生物学的活性分子の合成において基本的構築ブロックとしても用いられている。例えば、ヒト免疫不全ウイルス及びヒトサイトメガロウイルス感染の治療に用いられるプロテアーゼ阻害剤は、ファルマフォコアとしてフェニルアラニン様構造を含む。近年、これら薬物候補の合成のためのキラル出発物質として、フェニルアラニン様構造を有する各種光学活性非天然アミノ酸(すなわち、自然界に見出されないアミノ酸)を調製する一般的工程に対する需要がある。Rhodotorula graminisの幅広い基質特異性に基づき、そのPALのポリペプチド及び核酸配列を得ることは、例えば、とりわけ、これらの合成反応におけるPAL酵素活性の最適化にとって有益であろう。
従って、フェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードするポリヌクレオチドは、酵母Rhodosporidium toruloides(特許文献4)及びRhodotorula rubra(非特許文献3)から単離されるが、他の菌株のポリヌクレオチド配列を得ることは、なお有益である。フェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及び他のフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の産生に用いることができる菌株に対する需要がある。本発明は、とりわけ、そのような需要に合致する方法、ベクター、配列、及び組成物に関する。付加的な発明の特徴のみならず、本発明のこれら及び他の目的と利点は、ここで与えられる発明の説明から明らかである。説明及び例示は、本発明の理解を高めるために提供されるが、本発明の範囲を制限するものではない。
米国特許第4,598,047号 米国特許第4,757,015号 米国特許第5,981,239号 国際公開公報88/02824号 Ambrus et al., Science, 201, 837-839 (1978) Durham et al., J. Bact., 160, 771-777 (1984) Filpula et al., Nucleic Acids Research, 16, 11381 (1988)
本発明が解決しようとする課題は、Rhodotorula属フェニルアラニンリアーゼポリペプチド、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及びこれら産生物の調製及び使用方法を提供することにある。
本発明は、Rhodotorula属酵母、特に、Rhodotorula graminis酵母の、新規な精製及び単離された酵母PAL配列を提供する。
もちろん、発明の配列は、ポリペプチド/タンパク質フォーム(例えば、ポリペプチド配列)、又はそれらをコードする核酸(例えば、精製核酸種、及び/又はある種のベクター)として任意に提供される。ここで用いるように、「pal」は、核酸配列を意味し、「PAL」は、アミノ酸配列を意味する。
PALポリペプチド
本発明は、新規な精製及び単離された酵母PALポリペプチドを提供する。
タンパク質及びペプチドを含むアミノ酸に対する慣例的な略語は、ペプチド分野において一般的に認められ、IUPAC-IUB生化学学術用語委員会(European J. Biochem., 138, 9-37 (1984)を参照)によって推薦されているように、ここでは用いられている。同様に、タンパク質及びペプチド配列は、N末端アミノ酸が左、C末端アミノ酸が右(関連して核酸配列は、5’から3’方向に記載される)という標準的取り決めに従って記載されている。ここで用いられるように「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって結合するアミノ酸のあらゆる長さの分子鎖を意味する。ここで用いられるように「タンパク質」という用語は、全長(すなわち完全)タンパク質を意味する。ここで用いられるように「ペプチド」という用語は、「ポリペプチド」という用語を含み、より特異的には3以上のアミノ酸の直線状ポリマーであり、完全タンパク質(すなわち、アミノ末端及びカルボキシ末端の両方を有する)、又は不完全タンパク質(すなわち、アミノ末端又はカルボキシ末端のいずれかを欠く)意味する。このように本発明のポリペプチドは、望ましくは当該技術分野の公知の方法で修飾されうる。
本発明のタンパク質は、好ましくは一つのアミノ末端及び一つのカルボキシ末端を有する。しかし、修飾された末端を有するタンパク質及びペプチドについては、エンドペプチダーゼの活性が減少するために、修飾されたアミノ−及び/又はカルボキシ末端を有するタンパク質及びペプチドは、in vivoにおいてより半減期が長くなることが期待されるため、修飾されたアミノ末端及び/又はカルボキシ末端を有するポリペプチドが好ましい。ポリペプチドは、D−若しくはL−ペプチド、又はD−及びL−アミノ酸型の混合物を含みうる。L−アミノ酸を含むポリペプチド(特に、タンパク質)が好ましい。しかし、D−アミノ酸が天然に存在するプロテアーゼによって認識されないために、D−アミノ酸を含むタンパク質及びポリペプチドは、in vivoの生物学的活性の維持が優れていることが期待されることから、D−型アミノ酸も好ましい。
このように本発明は、精製および単離された酵母PALポリペプチドを提供する。典型的なPALポリペプチドは、配列番号:13に規定されるアミノ酸配列を有する。本発明のポリペプチドは、好ましくは天然細胞源から単離され、若しくは化学的に合成され、又は、望ましくは本発明の宿主細胞を含む組み換え手段によって産生される。本発明のPALポリペプチドは、好ましくは全長ポリペプチド又はフラグメント、切断物、欠失変異体、及び特異的なPAL生物学的活性を保持する、それらの変異体のような変異ポリペプチドである。ここで使用される「生物学的に活性」という用語は、天然に存在するPALタンパク質の構造的、調節的又は生化学的機能活性の少なくとも一つを有するPALポリペプチドを意味する。特に、本発明のPALタンパク質は、適切な基質を与えれば、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及びフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸を産生する能力を有する。
本発明のポリペプチド及びポリペプチドフラグメントは、好ましくは当該技術分野における公知の方法で調製される。このような方法には、細胞から直接産生物を単離すること、これら産生物をコードするDNAを単離又は合成すること及びそのDNAを組み換え産物を産生するために使用すること、ここのアミノ酸から産生物を化学的に合成すること、並びに現存産生物の化学的開裂によるフラグメントの産生が含まれるが、これらに限定されるものではない。
PALポリペプチドは、可溶化細胞分画のような生物学的試料から、当該技術分野における公知の標準的方法によって単離することができる。適切な方法には、免疫親和性精製のみならず沈殿やイオン交換、疎水性相互作用及びゲル濾過といった液体クロマトグラフのプロトコールが含まれる。例えば、Deutscher(Ed.), Methods Enzymol (Guide to Protein Chemistru, Section VII), 182:309 (1990) 及び Scopes, Protein Purification, Springer Verlag, New York (1987)を参照のこと。また、精製した物質は、SDS-PAGEゲルによりタンパク質を分離し、関心のあるバンドを切り取り、当該技術分野における公知の方法によってポリアクリルアミド基質からタンパク質を電気泳動することにより得られることが望ましい。界面活性剤であるSDSは、透析又はPierce社製Extracti-Gelカラムのような適切なカラムの使用といった公知の方法によって、タンパク質から除去される。
本発明のPALポリペプタイドは、当該技術分野における公知の方法によって、全体的又は部分的に化学合成することもできる。特に、化学合成は、PALポリペプチド(すなわち、PALフラグメント)の一部分、中でも全長約200アミノ酸以下のフラグメントの産生に有用であることが証明されている。タンパク質を合成する適切な方法は、Stuart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 2d ed., pierce Chemical Co. (1984) 及び Bodanszky, Principles of Peptide Synthesis, (Springer-Verlag, Heidelberg: 1984)に記載されている。例えば、ペプチドは、固相技術によって合成され、樹脂から解離させられ、そして高速エキタイクロマトグラフィー(HPLC)により精製される。例えば、Roberge et al., Science, 269:202-204 (1995) を参照のこと。特に、ペプチドは、固相合成(例えば、Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85, 2149-54 (1963); Barany et al., Int. J. Peptide Protein Res., 30, 705-739 (1987); 及び米国特許第5,424,398号を参照のこと)及びそれらの修正法を用いて合成することができる。この合成は、製造者の指示に従って、自動ペプチド合成機(例えば、Perkin Elmer ABI 431Aペプチド合成機、又は他の適当な合成機)を用いることによっても実行可能である。第三級ブトキシカルボニル(t-BOC)又は9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)アミノ酸保護基の除去、及び樹脂からのペプチドの分離は、例えば、低温おける酸処理によって達成することができる。ペプチドを含む混合物は、その後、例えばジメチルエーテルを用いて非ペプチド有機化合物を除去するために抽出され、合成ペプチドは、樹脂粉末から(例えば、約25%w/v酢酸を用いて)抽出される。ペプチドの合成に続いて、任意にさらなる精製(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いる)を、不完全ペプチド又は遊離アミノ酸を除去するために行うことができる。合成ペプチドの組成を確認するために、アミノ酸分析及び/又はシーケンシング(例えば、Edman分解法)を合成ペプチドについて行うことができる。以下詳細に記載するように(ポリペプチド発現系に関する節)、組み換え体PALタンパク質は、palヌクレオチド配列を含む発現ベクターにより形質転換され、培養液中で発育する宿主細胞の中で産生され、宿主細胞から単離される。本発明のPALをコードするポリヌクレオチドは、任意の手段によってPALポリペプチドの定方向発現ができる任意の方法で、原核又は真核細胞へと導入することができる。このような方法において、宿主細胞は、適切な培養培地中で成長し、目的とするポリペプチド産物は、宿主細胞又は細胞が成長した培地中から単離される。ポリペプチドの単離は、当該技術分野において公知である、いかなる適切な方法によっても達成することができる。
本発明は、ここで述べるPALポリペプチドの配列と実質的に相同であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。例えば、本発明は、配列番号:13に規定されるポリペプチド配列と、対応アミノ酸配列が少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%又は95%の同一性を有し、さらにより好ましくは少なくとも98%の同一性(又は望ましくは類似性も)を有するポリペプチドを含む。
本発明の好ましいポリペプチドに関するパーセント配列「同一性」は、必要であれば最大パーセント配列同一性を達成するために、配列を配列比較し、ギャップを導入した後、配列同一性の部分としていかなる保存的置換基をも考慮せずに、参照PAL配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。本発明の好ましいポリペプチドに関するパーセント配列「類似性」は、必要であれば最大パーセント配列同一性を達成するために、配列を配列比較し、ギャップを導入した後、配列同一性の部分として保存的置換基も考慮して、参照PAL配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。
配列を比較する目的の配列比較は、各種の多重配列比較サーバを使用することによって実行することができ、サーバの大部分、例えばClustal W, MAP, PIMA, Block Maker, MSA, MEME,及び Match-Box は、インターネットを通じて利用可能である。好ましくは、Clustal W (Higgins et al., Gene, 73, 237-244 (1998); Higgins et al., Meth. Enzymol., 266, 383-402 (1996)) をポリペプチド(及びポリヌクレオチド)の配列の配列比較に使用する。同様に、BLASTPプログラムは、タンパク質データベースに対するアミノ酸クエリー配列を比較し、TBLASTNは、直接6種の読み枠(両ストランド)に翻訳されたヌクレオチド配列データベースに対するタンパク質クエリー配列を比較し、本発明において用いることができる。
二つのアミノ酸配列が実質的に相同(すなわち、類似又は同一)であるかどうかの決定は、Pearson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:2444-2448 (1988) のとおりにFASTAサーチに基づくことができる。別の手段として(あまり好ましくないが)、パーセント相同性は、全長100アミノ酸四つのギャップが配列比較を最大化するために導入される場合、比較される配列において同一のアミノ酸残基を配列比較する、二つの配列の小さい方におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして計算される。DayHoff in Atlas of Protein Sequence and Structure, Vol.5, p124, National Biochemical Research Foundation, Washington, D.C. (1972) を参照のこと。
配列の類似性を決定するために、特に好ましい方法は、比較される配列間で最大の一致が得られるようにデザインされる。同一性及び類似性を決定する方法は、(例えば、上述したような)公衆に利用可能なコンピュータプログラムに集積されている。二つの配列間の配列間の同一性及び類似性を決定する好ましいコンピュータプログラムの方法は、GAP (Devereux et al., Nucleic Acids Research 12(1):387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, WI)、BLASTP、BLASTN、及びFASTA (Altschul et al., J. Molec. Biol. 215:403-410 (1990)) を含むGCGプログラムパッケージを含むが、これらに限定されるものではない。BLASTXプログラムは、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)及び他の情報源(Altschul et al., BLAST Manual, NCB NLM NIH Bethesda, MD 20894; Altschul et al., J. Biol., 215:403-410 (1990))から提供され、公衆に利用可能である。周知であるSmith-Watermanアルゴリズムも相対的同一性を決定するために利用しうる。
例えば、コンピュータアルゴリズムGAPを用いて、パーセント配列同一性を決定すべきふたつのポリペプチドは、それぞれのアミノ酸の最適な適合(アルゴリズムによって決定される「適合化スパン」)のために配列比較される。PAM250又はBLOSUM62といった比較基質のみならず、ギャップ開口ペナルティー(3X平均対角として計算される;「平均対角」は、使用される比較基質の対角の平均である;「対角」は、特定の比較基質による完全なアミノ酸適合に割り当てられた値又は数である)及びギャップ伸張ペナルティー(通常ギャップ開口ペナルティーの1/10である)もアルゴリズムと共同して用いられる。標準的比較基質(PAM250比較基質として Dayhoff et al., Atlas of Protein Sequence and Structure, vol.5, supp.3 (1978) を参照のこと;BLOSUM62比較基質として Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:10915-10919 (1992) を参照のこと)もアルゴリズムのために用いられる。
ポリペプチド配列比較のための好ましいパラメーターは、以下のものを含む:
アルゴリズム:Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. (1970) 48:443-453.
比較基質:BLOSUM62, Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-10919 (1992).
ギャップペナルティー:12
ギャップ長ペナルティー:4
類似性の閾値:0
上記パラメーターは、GAPアルゴリズムを用いるポリペプチド比較に対するデフォルトパラメーターである(末端ギャップに対するペナルティーなし)。
核酸配列比較のための好ましいパラメーターは、以下のものを含む:
アルゴリズム:Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. (1970) 48:443-453.
比較基質:適合=+10、不適合=0
ギャップペナルティー:50
ギャップ長ペナルティー:3
上記パラメーターは、核酸分子比較に対するデフォルトパラメーターである。
その他の典型的アルゴリズム、ギャップ開口ペナルティー、ギャップ伸張ペナルティー、比較基質、類似性の閾値等は、プログラム手順書、Wisconsin Package, Version9, September, 1997に説明されているパラメーターの使用を含み当該技術分野の熟練者によって用いられることが可能である。なすべき個々の選択は、DNAとDNA、タンパク質とタンパク質、及びタンパク質とDNAというなすべき特定の比較に依存する;さらに、その選択は、比較が配列対間(この場合、GAP又はBestFitが一般的には好ましい)、又は一つの配列と大規模な配列データベース間(この場合、FASTA又はBLASTAが好ましい)であるかどうかに依存する。
二つのアミノ酸配列を配列比較するためのある種の配列比較スキームは、二つの配列の短い領域のみ適合化し、この小さな配列比較領域は、二つの全長配列間に顕著な関連性がないにもかかわらず、非常に高い配列同一性を有する。従って、好ましい具体例において、選択された配列比較方法は、請求項に記載された全長ポリペプチドの少なくとも66の近接アミノ酸にまたがる配列比較を生じる。
もし二つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドがお互いにハイブリダイズするならば、ポリペプチドは、本発明のPALポリペプチドと相同性を有すると考えられる。より厳密なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションが起こるならば、より高度の相同性が見られる。ハイブリダイゼーション条件の調整及びバイブリダイゼーション条件と相同性の程度との間の関連性は、上述したように、及び後述する実施例に記載されるように、当該技術分野における熟練者によって理解される(Sambrook et al.,(Eds.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor, New York, pp. 9.47〜9.51 (1989)を参照のこと)。このように相同的ポリペプチドは、特定の厳密性を有するハイブリダイゼーション条件下で、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドである。ここで述べたハイブリダイゼーションに基づく関連性は、比較されるポリペプチドに割り当てられた特定の「同一性」又は「類似性」の値を与えないが、このような値は、一般的には推定することが可能である。
このように構造的に相同であるポリペプチドは、本発明のポリペプチドとして相同的ポリペプチドが実質的に同じ機能を有する限り、機能的相同性を示すことが望ましい。構造的に相同であるポリペプチドは、類似した生物学的活性を示すならば、機能的に相同であると考えられる。一般的に、二つの自然進化したタンパク質間で24〜80の適切に整列された残基が同一であれば、二つのポリペプチド/タンパク質は、同様の三次元構造を及び同様の機能を有する(Chothia et al., EMBO J., 5, 823-826 (1986);Feng et al., J. Mol. Evol., 21, 112-125 (1985))。
一方、二つのポリペプチド又は二つのポリヌクレオチドは、構造において実質的に相同であるが、機能において異なると考えられることは、よく知られている。例えば、対立形質における一塩基多形(SNPs)は、抗体−若しくはリガンド−結合親和性、又は酵素基質特異性等の、1又はそれ以上の測定可能なパラメーターを伴う機能において実質的相違を有するポリペプチドとして発現する。置換、欠失、スプライシング変異体等の他の構造上の相違は、別の構造的に同一又は相同であるポリペプチドの機能に影響する。
本発明のPALポリペプチドは、配列番号:13に規定されるPALポリペプチドの機能的誘導体を含む。このような機能的誘導体は、PALタンパク質の構造的特徴又は生物学的活性と実質的に類似する構造的特徴又は生物学的活性を有するポリペプチド産物を含む。従って、機能的誘導体は、変異体、フラグメント、及び親PALタンパク質の化学的誘導体を含む。
ここで使用するように、「変異体」という用語は、PAL分子全体又はそのフラグメントと、構造及び機能が実質的に類似する分子を意味する。両方の分子が実質的に類似の構造、及び/又は類似の生物学的活性を有するならば、一つの分子は、もう一つの分子と「実質的に類似」であると呼ばれる。このように、一つの分子が別の分子に見られない構造を有したり、又はアミノ酸残基の配列が同一でなくとも、ここで用いられる用語としては、二つの分子が類似の活性を有するならば、それらは変異体と考えられる。変異体ポリペプチドのうち、PALポリペプチドのアミノ酸配列において一又はそれ以上の変化を有する変異体は、本発明の提供する変異体ポリペプチドに含まれる。このような配列ベースの変化には、それらの組み合わせ以外に、ポリペプチド配列における欠失、置換、又は挿入が含まれる。
PALポリペプチドの欠失変異体は、配列中の少なくとも一つのアミノ酸残基が取り除かれたポリペプチドである。欠失は、タンパク質の一方若しくは両方の末端、又はPALアミノ酸配列内の(すなわち、内部の)1又はそれ以上の残基の除去によって影響される。欠失変異体は、例えば、本発明のPALポリペプチドの全ての不完全フラグメント、特に、アミノ及び/又はカルボキシ末端の1,2,3,4,5又は6残基の欠失を含むPALポリペプチドを含む。ここで使用するように、「フラグメント」という用語は、PALタンパク質の全てのポリペプチドサブセットを意味する。このようなフラグメントは、例えば、配列番号:13に規定されるアミノ酸配列の特定アミノ酸の他、その配列のN末端伸張フラグメント及びC末端切断も含む。PALの生物学的活性上の特徴(例えば、PALの生物学的活性上の特徴の全て)を示すPALフラグメントが望ましい。このようなフラグメントの同定は、当該技術分野において周知であり、ここで詳細に説明される。
PALポリペプチドの少なくとも一つのアミノ酸残基が除去され、又は別の残基によって置き換えられたポリペプチドを含む置換変異体が提供される。ある一面において、自然界における置換は、好ましくは保存的であるが、本発明は、非保存的である置換にも及ぶ(例えば、変化した生物学的活性が望まれるような場合である)。保存的置換は、一つのアミノ酸を類似の性質を有する他のアミノ酸で置換することとして、当該技術分野において認識されている。保存的置換基(ここでさらに説明されるような)を有する、好ましいいかなる置換体も調製することができる。目的とするアミノ酸置換体は、二次及び三次タンパク質構造への寄与だけでなく、正規及び他のアミノ酸のよく知られた物理化学的パラメーター(例えば、大きさ、形態、極性、電荷、水素結合能、溶解性、化学的反応性、疎水性、親水性、又は残基の両親媒性)に基づいて調製される。置換変異体は、1又はそれ以上の保存的アミノ酸置換、すなわち、目的とする類似した物理化学的性質を有する別のアミノ酸による、あるアミノ酸の置換を有する置換体を含みうる。説明のため、正規のアミノ酸を、以下のカテゴリーに従って分類し、この目的のための保存的置換基は、これらの分類に従って定義される。

脂肪族側鎖 Gly,Ala,Val,Leu,Ile
芳香族側鎖 Phe,Tyr,Trp
脂肪族水酸化側鎖 Ser,Thr
塩基性側鎖 Lys,Arg,His
酸性側鎖 Asp,Glu
アミド側鎖 Asn,Gln
硫黄含有側鎖 Cys,Met
第二級アミノ基 Pro

PAL分子の特徴を調節したい場合、好ましい置換体は、表1に従って調整される。保存的置換体は、表1に示されるように、Clustal Wプログラムで「強い同一性」又は「弱い同一性」として表される部分として分類される置換基を、一般的に含む。
Figure 2005511016
PALペプチドの構造上及び/又は機能上の置換基の変化は、ほんの弱い類似性を示す(強い類似性とは対照的に)保存的置換基の選択によって作り出され、又は表1の置換基よりも進行性の保存的置換基、すなわち、(a)置換基領域におけるポリペプチドバックボーンの二次構造、(b)標的部位における分子の疎水性、及び/又は(c)側鎖の大部分を維持する効果がより顕著に異なる残基の選択によって作り出される。一般的に、より進行性の置換基は、(a)グリシン及び/又はプロリンが他のアミノ酸によって置換されるか、又は欠失若しくは挿入されている、(b)親水性残基が疎水性残基の替わりに置換している、(c)システイン残基が、他の残基の替わりに(又は、その残基によって)置換されている、(d)電子活性側鎖を有する残基が、電子不活性側鎖を有する残基の替わりに(又は、その残基によって)置換されている、及び/又は(e)かさ高い側鎖を有する残基が、そのような側鎖を有しない残基の替わりに(又は、その残基によって)置換されているような置換基である。
しかし、置換変異体は、主要な配列(例えば、37 C.F.R§1.822に記載される)において、アミノ酸残基の替わりに置換される、非正規の又は非天然に見出されるアミノ酸残基をも含みうる。置換変異体は、アミノ酸残基がPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの修飾によって導入されるそれらのポリペプチドを含む。
PALアミノ酸配列(例えば、欠失及び/又は置換を有するPALアミノ酸配列を含む)に加えて、少なくとも一つのアミノ酸残基が存在する望ましい挿入変異体も提供される。挿入は、ポリペプチド末端の片方若しくは両方に位置し、又はPALアミノ酸配列内(すなわち、配列内部)に位置する。挿入変異体は、PALポリペプチドのアミノ又はカルボキシ末端が、他のポリペプチドと融合している融合タンパク質を含む。このような融合タンパク質の例として、免疫原性ポリペプチド、循環半減期の長いタンパク質(例えば、免疫グロブリン定常部)、マーカータンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質)及び目的とするタンパク質の精製を促進するタンパク質又はポリペプチド(例えば、ポリヒスチジン配列用のFLAG(登録商標)タグ等)が含まれるが、これらに限定されるものではない。末端挿入の別の例が、組み換え体宿主からの誘導体の分泌を促進するために、宿主細胞及び分子のN末端と非相同的又は相同的である、シグナル配列の融合である。配列内挿入(すなわち、PAL分子配列内の挿入)は、好ましくは1〜50残基、より好ましくは1〜10残基、最も好ましくは1〜5残基の範囲である。
本発明のポリペプチド変異体には、成熟したPAL産物、例えば、付加的アミノ酸残基(例えば、−1位又は−n位における1又はそれ以上の付加的メチオニン残基)を有する産物以外に、リーダー又はシグナル配列が除去されたPAL産物が含まれる。このような変異体は、原核又は真核宿主細胞における組み換えタンパク質の産生に、特に有用である。
本発明は、特異的発現系の利用により得られる付加的アミノ酸残基を有するPAL変異体も提供する。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合産物として目的とするポリペプチドを発現する、商業的に利用可能なベクターの利用により、目的とするポリペプチドからGST成分が開裂すれば、−1位の付加的グリシン酸残基を有する目的とするポリペプチド(Gly−1−PAL)が得られる。他のベクター系における発現から得られる変異体は、PALポリペプチドのアミノ及び/又はカルボキシ末端が、免疫グロブリン鎖の定常領域若しくはそのフラグメント、又は抗原若しくは抗原フラグメントのような標的成分といった、他のポリペプチドと融合している融合タンパク質として意図される。
本発明のポリペプチドは、例えば、糖修飾、アミド化、カルボキシ化若しくはリン酸化によって、又は本発明のポリペプチドの酸付加塩、アミド、エステル、特にC末端エステル、及びN−アシル誘導体を創造することによって、改良することができる。ポリペプチドは、他の成分と共有結合性又は非共有結合性の錯体を形成することによるペプチド誘導体を創造するように改良することもできる。共有結合性錯体は、化学成分がポリペプチドを含む、又はN−及び/又はC−末端のアミノ酸側鎖にある官能基と結合することによって調製することができる。さらなる改良は、当該技術分野における通常の熟練者にとって明らかであり、本発明によってもたらされる。
特に、本発明は、配列番号:13に規定されるPALポリペプチドの化学的誘導体であるPALポリペプチド産物を提供する。ここで使用するように、「化学的誘導体」という用語は、通常、自然界に見られる分子の一部ではない付加的化学成分を含む分子を意味する。このような成分は、溶解性、吸収、生物学的半減期等の増大といった望ましい性質を誘導体分子に与える。このように、PALポリペプチドの化学的誘導体は、アミノ酸残基の挿入、欠失又は置換よりも(及び/又はそれに加えて)修飾を生み出すポリペプチドを含む。好ましくは、自然界においては共有結合性であり、例えば、ポリマー、脂質、非天然アミノ酸、並びに他の有機及び無機成分との化学結合を含む。特に、本発明の誘導体は、好ましくはフェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及びフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の産生のために用いることができるように、PALポリペプチドの能力を増強するために調製されうる。
例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、又はポピプロピレングリコールといった1又はそれ以上の水溶性ポリマー付加物を含むようにポリペプチドを修飾する方法は、当該技術分野において公知である。ポリエチレングリコール(PEG)サブユニッを用いて共有結合的に修飾されたPAL産物が、特に好ましい。水溶性ポリマーは、例えばPAL産物のアミノ酸末端といった特定部位において結合したり、ポリペプチドの1又はそれ以上の側鎖とランダムに接触することができる。付加的誘導体は、1又はそれ以上の検出可能な標識、タグ、キレート剤等を含むように修飾されたPAL種のみならず、固体担体、ピン微粒子、又はクロマトグラフ樹脂に固定化されたPAL種を含む。
二機能性試薬を用いる誘導体化は、PALを水溶性担体基質に架橋結合させるために用いられる。臭化シアン活性化炭化水素のような活性な水不溶性基質、及び米国特許第3,969,287号、第3,691,016号、第4,195,128号、第4,247,642号、第4,229,537号、及び第4,330,440号に記載されている活性基質は、タンパク質固定化に用いられる。PAL固定化は、その精製及び/又はアッセイに特に有用である。
PAL変異体の発現は、野生型PALポリペプチドの生物学的活性の特徴を研究するにおいて有用であることが期待される。pal変異体は、PALの全ての生物学的若しくは免疫学的特徴を維持するように、又はPALの1以上の生物学的若しくは免疫学的特徴を奪うように設計することが可能である。例えば、フラグメント及び切断は、特定の性質の関連するドメインの消去するために設計され、又は置換及び欠失は、特定のドメインに関連する性質の不活性化のために設計される。このような変異体(優性阻害変異体)の強制発現(過発現)は、その表現型を変異体と関連して観察することによって、自然界の宿主におけるin vivoのタンパク質機能を研究するために用いることができる。
200残基までを有するPALの機能的誘導体は、in vitro合成によって容易に調製することができる。必要があれば、そのようなフラグメントは、精製又は粗製タンパク質の標的アミノ酸残基と、選択した側鎖又は末端残基と反応することができる有機誘導化剤を反応させることによる、当該技術分野における公知の方法を用いて改良することができる。生じた共有結合性誘導体は、生物学的活性に重要な残基の同定に用いられる。同様に、当該技術分野における公知である他の方法も用いることができる。
変化したアミノ酸配列を有するPALの機能的誘導体は、PALをコードするDNAの変位によっても調製することができる。もし、最終作生物が目的とする活性を有するならば、アミノ酸欠失、挿入、及び置換のいかなる組み合わせも、最終作成物を産生するために用いられる。機能的誘導体をコードするDNA中で作られる変異体は、明らかに、リーディングフレーム外の配列に位置してはならず、好ましくは二次的なmRNA構造を生み出す相補的領域を作成しない(欧州特許公報第75,444号参照のこと)。
アミノ酸配列中の変異を導入する部位は、前もって決められているが、変異それ自体は、前もって決められる必要がない。例えば、与えられた部位における変異の実行を最適化するリンカー走査型変異原性のようなランダムな変異原性は、その後発現し、目的とする活性の最も好ましい組み合わせのためにスクリーンされる、多数の誘導体を産生するための標的コドン又は標的領域において実行される。あるいは、部位特異的変異誘発又は他の周知の技術は、DNAの公知の配列中の前もって決められた部位における変異体を作成するために用いられる。
部位特異的変異誘発は、Sambrook et al., supra, and McPherson (Ed.), Directed Mutagenesis: A Practical Approach, IRL Press, Oxford (1991) のような刊行物によって実証されているように、当該技術分野において周知である。部位特異的変異誘発は、目的とする変異のDNA配列をコードする特異的なオリゴヌクレオチド配列の利用を通じて、pal機能的誘導体の産生をさせる。部位特異的変異誘発方法及び試薬は、市販品、例えば、Stratagene社(La Jolla CA)から販売されているQuikChange(商標)キットを用いることができる。この方法を用いれば、正確なアミノ酸欠失、挿入、又は置換を発生させることができる。本発明によると、アミノ酸配列欠失は、好ましくは1〜50残基、より好ましくは1〜30残基、さらにより好ましくは1〜10残基の範囲であり、典型的には近接する。
PAL活性を変更するために設計される変異は、他のフェニルアラニンアンモニアリアーゼタンパク質(特に、進化論的に類似の属/種のPALタンパク質)中の相同的部位に存在するアミノ酸残基の導入によって導かれる。いかなる特定の修飾、例えば、置換、欠失、挿入等のPALの生物学的活性に対する正確な影響も、経験的に予想することは困難である。しかし、当該技術分野における熟練者であれば、通常のスクリーニングアッセイによって、その効果が評価されることが理解できる。例えば誘導体は、典型的には、天然型PAL分子をコードするDNAのリンカー走査型部位特異的変異誘発によって作成される。誘導体は、その後組み換え体宿主中で発現し、例えば免疫親和性クロマトグラフィーによって、任意に細胞培地から精製される。細胞可溶化液又は精製した誘導体の活性は、目的とする特性のための適切なスクリーニングアッセイにおいてスクリーニングされる。例えば、与えられた抗体に対する親和性のような、機能的誘導体の免疫学的特徴の変化は、競合的免疫アッセイによって測定される。発現産物の他のパラメーターの変化は、適切なアッセイによって測定される。
palポリヌクレオチド
本発明は、とりわけ、酵母PALポリヌクレオチドをコードする、新規な精製及び単離されたポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドは、DNA配列及びRNA転写物、並びにセンス及び相補的アンチセンス鎖の両方を含む。本発明のDNA配列は、好ましくはcDNA又はゲノム配列を含む。ここで用いられるように、「核酸」という用語は、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列、及びそのフラグメント又は部分、並びにセンス鎖又はアンチセンス鎖を表現するものであっても、二本鎖又は一本鎖である細胞又は合成起源(又はそれらの混合)のDNA又はRNAを意味する。核酸という用語は、どのような長さのものであれ、「ポリヌクレオチド」という用語と互いに交換できる。比較すると、「オリゴヌクレオチド」は、約50bp以下の核酸種である。本発明による典型的な二本鎖ポリヌクレオチドは、PALポリペプチドをコードする配列を有する一番目の鎖(すなわち、コード鎖)、さらにDNAについてのワトソン−クリック塩基対ルールに従った一番目の鎖から推定される配列を有する二番目の鎖(すなわち、「相補的」又は「非コード」鎖)からなる。二本鎖又は「二重鎖」構造は、DNA:DNA、DNA:RNA、又はRNA:RNA核酸であろう。本発明による好ましい二本鎖DNAは、配列番号:12に規定されるヌクレオチド配列を有するcDNA(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)、又は配列番号:28に規定される配列を有するゲノムDNA(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)である。本発明による典型的な一本鎖ポリヌクレオチドは、PALポリペプチドをコードするメッセンジャーRNA(mRNA)である。別の典型的な一本鎖ポリヌクレオチドは、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定されるポリヌクレオチドのコード鎖又は非コード鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーである。これ以外の核酸構造、例えば、三重構造も本発明が意図するものである。
本発明のPALcDNAは、PALポリペプチドのためのタンパク質コード領域を有し、野生型遺伝子の一塩基多形のような、本発明の好ましいポリヌクレオチドの対立形質変異体を含む。対立形質変異体は、野生型(優性)遺伝子配列の変形であることが当該技術分野において知られており、そのことは、野生型遺伝子からのcDNAと比較して、変異体からのcDNAにおける変化として同様に反映される。対立形質変異体は、in vitroの操作から生じる自然界に見出されない変異体と異なり、自然界に見出される配列からのcDNAとして検出される。
本発明は、特に、PALをコードするRNAポリヌクレオチドの逆転写に続く、二本鎖DNA(例えば、以下の実施例に記載される)を提供するための、相補鎖の二本目の合成を通じて得られるcDNAを含む。また、本発明は、PALをコードするゲノムDNAを提供する。例えば、望ましくは、配列番号:13に規定されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするcDNA配列を提供する。好ましい具体例において、本発明は、配列番号:12(例えば、37〜2196番目又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
本発明による特に好ましいポリヌクレオチド配列は、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定される。しかし、遺伝情報は、その情報コード化特性において重複的又は「変性的」であるため、当該技術分野において周知であるように、異なるヌクレオチド配列が同じポリペプチド配列をコードしうる。従って、本発明は、本発明のPALポリヌクレオチド及びその機能的類似体をコードする別の(変性化)ヌクレオチドを含む。例えば、本発明は、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)のpal配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、本発明は、対応ヌクレオチド配列が配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定されるヌクレオチド配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
これらの情報に従い、配列(例えば、実験室で合成された物)は、例えば、palポリヌクレオチド又はポリペプチド配列を参照し、又はそれに基づいて、一部若しくは全部理論的に得ることが可能である。典型的な理論的配列は、配列番号:20及び21に説明される推定された一致を含む。
特に、本発明は、好ましくは配列番号:20に記載の塩基配列を含む単離及び精製された酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリヌクレオチドであって、
117番目、135番目、190番目、191番目、195番目、276番目、1196〜1198番目、1724〜1735番目、1880番目、1881番目、及び2187〜2475番目の残基が欠損し、
13番目、34番目、46番目、115番目、164番目、251番目、266番目、315番目、330番目、333番目、340番目、348番目、423番目、450番目、456番目、468番目、555番目、570番目、675番目、681番目、716番目、723番目、783番目、921番目、1176番目、1380番目、1383番目、1407番目、1446番目、1449番目、1452番目、1488番目、1542番目、1554番目、1563番目、1617番目、1677番目、1683番目、1776番目、1872番目、1895番目、1950番目、1971番目、及び1976番目の残基がB(すなわち、C又はG又はT(若しくはU)からなる群から選択される)であり、
49番目、119番目、463番目、715番目、1270番目、1684番目、1708番目、1762番目、1768番目、2001番目、2145番目、及び2183番目の残基がD(すなわち、A又はG又はT(若しくはU)からなる群から選択される)であり、
59番目、73番目、102番目、145番目、233番目、264番目、357番目、483番目、758番目、1042番目、1241番目、1470番目、1509番目、1690番目、1745番目、1962番目、及び2151番目の残基がH(すなわち、A又はC又はT(若しくはU)からなる群から選択される)であり、
51番目、57番目、144番目、168番目、201番目、312番目、405番目、475番目、963番目、1043番目、1281番目、1308番目、1675番目、1678番目、1681番目、1693番目、1952番目、及び2146番目の残基がV(すなわち、A又はC又はGからなる群から選択される)であり、
79番目、729番目、1710番目、及び1873番目の残基がY(すなわち、C又はT(若しくはU)からなる群から選択される)であり、
84番目、199番目、及び1723番目の残基がW(すなわち、A又はT(若しくはU)からなる群から選択される)であり、
82番目、200番目、732番目、及び744番目の残基がS(すなわち、C又はGからなる群から選択される)であり、
106番目、108番目、284番目、及び743番目の残基がM(すなわち、A又はCからなる群から選択される)であり、
730番目の残基がK(すなわち、C又はT(若しくはU)からなる群から選択される)であり、
76番目及び77番目の残基がAであり、
68番目、75番目、1855番目、1857番目、1858番目、1862番目、及び1874番目の残基がCであり、並びに
69番目、1856番目、1859番目、1861番目、及び1875番目の残基がTであるポリペプチドを提供する。本発明は、望ましくは配列番号:29に記載の配列を含む単離及び精製された酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリヌクレオチドを提供する。
ここで用いられるように、「同一性」という用語は、配列を比較するために用いられる尺度である。同一性は、二つの配列(すなわち、遺伝子)が、共通の進化の過程を有するという同一性又は類似性データから引き出される結論である「相同性」とは異なる。特に、同一性は、同じ残基(すなわち、アミノ酸又は核酸)を有する配列の配列比較における位置を示す数である。
本発明のポリペプチドに関連するパーセント配列は、配列比較後にpalをコードするヌクレオチド、及び、必要があれば最大パーセント配列同一性を達成するための導入ギャップと一致する候補配列におけるヌクレオチド塩基のパーセンテージとして定義される。自動でパーセント同一性を計算するためのコンピュータソフトを利用する(商業的又は公的出所から)ことができる。類似性は、類似する残基(すなわちアミノ酸残基、核酸配列には行えない)を有する配列の配列比較における位置の数である。
特に、類似性の比較を目的とするヌクレオチド配列の配列比較は、標準的手段であるBLAST (Basic Local Alignment Tool, Altschul et al., Meth. Enzymol., 266, 466-480 (1996)又はこのプログラムのヌクレオチド誘導体版、BLASTN(ヌクレオチド配列データベースに対するヌクレオチドクエリーを比較する)、BLASTX(タンパク質配列データベースに対するヌクレオチドクエリー配列(両鎖)の6フレーム概念翻訳を比較する(Madden et al., Meth. Enzymol., 266, 131-140 (1996))、又はFASTA(Pearson, Proc. Natl. Acad. Sci., 85, 2444-2448 (1988))を使用することにより実行される。他の適切なプログラムも、当該技術分野において公知である配列整列及び配列比較のために、同様に使用することができる。このような比較を行うための特に好ましいプログラムは、Clustal Wである。
本発明の変異体ポリペプチドは、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定されるヌクレオチド、及びそれらの相同体のフラグメントをさらに含む。PALポリペプチドをコードする全長ポリヌクレオチドの開示は、当該技術分野における通常の熟練者が、全長ポリヌクレオチドのあらゆる可能なフラグメントを容易に利用できるようにする。例えば、これらは全長タンパク質の開裂、又は当該タンパク質の一部分のみの合成(すなわち、組み換え体又は化学的手段を用いて)によって産生することができる。本発明のフラグメントポリヌクレオチドは、好ましくはPALをコードするヌクレオチド配列に対して特有の配列を含み、それゆえ高度に厳密又は適度に厳密な条件下で、PALをコードするポリヌクレオチド又は当該特有の配列を含むそのフラグメントに対してのみ(すなわち、特異的に)ハイブリダイズする。本発明のcDNA配列のポリヌクレオチドフラグメントは、コード領域に特有の配列を含むのみならず、非翻訳配列(例えば、リーダー配列)に由来する全長配列のフラグメントも含む。本発明のポリヌクレオチドに特有の配列は、他の既知のポリヌクレオチドとの配列比較を通じて認識され、当該技術分野において通常使用されるコンピュータソフトウェア、例えば上述した公的配列データベースにおいて利用可能な配列比較プログラムの使用を通じて同定される。
本発明は、ポリヌクレオチドのPALファミリーのメンバーをコードする、1又はそれ以上のポリヌクレオチド中で保護されるフラグメントポリヌクレオチドも提供する。このようなフラグメントは、「サイン」配列と呼ばれる、PALポリペプチドに特異的な配列を含む。保護されたサイン配列は、多くの場合、PALファミリーのメンバーをコードするポリヌクレオチドの簡単な比較の結果、識別することができる。本発明のポリヌクレオチドフラグメントは、放射性及び非放射性標識を含む検出方法によって標識することができる。
本発明によるハイブリダイゼーションは、相補的一本鎖核酸分子の特異的会合を通じての部分的又は完全二本鎖核酸分子の形成工程を含む。本発明は、それゆえPALタンパク質をコードするポリヌクレオチドのコード鎖又は非コード鎖とハイブリダイズする、核酸種の使用を、さらに意図する。好ましいハイブリダイズ種は、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定されるヌクレオチド配列のコード鎖又は非コード鎖とハイブリダイズする。遺伝暗号の重複性がないために、PALをコードするポリヌクレオチド、すなわち、同じアミノ酸配列をコードするが、異なるコドン使用に依存するポリヌクレオチドとハイブリダイズする種も、本発明の意図するところである。
ハイブリダイズする種は、例えばPAL、又はゲノムの対立遺伝子のcDNAのような緊密に関連する分子をコードするヌクレオチド配列(例えば、cDNA又はゲノム配列)を検出することができる核酸ハイブリダイゼーション又は増幅プローブ(例えば、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド)を含む。プローブの特異性、すなわち、高度保存的、保存的又は非保存的な領域又はドメインに由来しているかどうか、及びハイブリダイゼーション又は増幅条件の厳密性(高度、中程度又は低度)は、プローブが自然界に見出されるPALから作成された、又は関連する配列から作成されたcDNAのみ同定するかどうかを決定する。関連するヌクレオチド配列を検出するためのプローブは、PALファミリーのメンバーの保存的又は高度保存的領域から選択され、このようなプローブは、変性プローブにおいて使用される。同一のヌクレオチド配列の検出、又は最大の特異性が要求される検出のために、オリゴヌクレオチドプローブは、palポリヌクレオチドの非保存的ヌクレオチド領域又は特有領域から選択される。ここで用いるように、「非保存的ヌクレオチド領域」という用語は、ここで開示されるpalに特有の領域であり、関連するpalファミリーのメンバーには見出されないヌクレオチド領域を意味する。
ハイブリダイゼーションの特異性は、典型的にはハイブリダーゼーションが行われる条件の厳密性の程度に基づいて特徴付けられる。ハイブリダイゼーション条件の厳密性の程度は、核酸結合複合体(例えば、Berger and Kimmel, “Guide to Molecular Cloning Techniques,” Methods in Enzymology, Vol.152, Academic Press, San Diego CA (1987)を参照のこと)の融解温度(Tm)に関連する。「最高の厳密性」は、典型的には約Tm−5℃(プローブのTmより5℃以下);「高度の厳密性」は、Tmより約5〜10℃以下;「中程度の厳密性」は、Tmより約10〜20℃以下;「低度の厳密性」は、Tmより約20〜25℃以下で起こる。
また、ハイブリダイゼーションの厳密性は、ハイブリダイゼーションにおいて用いられる物理化学的条件にも関連する。例えば、典型的な中程度厳密性ハイブリダイゼーション条件は:3倍生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)、0.1%サルコシル、20mMリン酸ナトリウム、pH6.8中、65℃でハイブリダイゼーション;0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する2倍SSC中、65℃で洗浄、である。典型的な高度厳密性ハイブリダイゼーション条件は:50%ホルムアミド、5倍SSC中、42℃で一晩ハイブリダイゼーション;0.1%SDSを含有する0.5倍SSC中、50℃で洗浄、である。等価な厳密性の条件が、温度及び緩衝液、又は塩濃度を変化させることにより達成されることは、Ausybel et al., (Eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1994), pp6.0.3-6.4.10に記載されているように、当該技術分野において知られている。ハイブリダイゼーション条件の修正は、経験的に決定されるか、又はオリゴヌクレオチドプローブの長さ、及び当該プローブのグアノシン/シトシン(GC)塩基対のパーセンテージに基づいて正確に計算される。ハイブリダイゼーション条件は、Sambrook et al., (Eds.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press: Cold Spring Harbor, New York (1989), pp.9.47-9.51.に記載されているように計算することができる。
技術者であれば、より厳密な条件下のハイブリダイゼーションは、標的配列と相同性又は配列同一性がより高度な種の同定を可能にすることを理解するであろう。対照的に、より低度に厳密な条件下のハイブリダイゼーションは、標的配列と相同性又は配列同一性が低度ではあるが、なお顕著な程度の種の同定が可能である。それゆえ、中程度(適度)から最大に厳密な条件下で、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に記載のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができる核酸種も、本発明の範囲内である。好ましくは、当該ハイブリダイズ種は、高度に厳密な条件下で、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定されるポリヌクレオチドのコード鎖又は非コード鎖とハイブリダイズする。
本発明のポリヌクレオチドは、PALアミノ酸配列をコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)のコード鎖又は非コード鎖とハイブリダイズするポリペプチド(すなわち、あらゆる長さの核酸種)及びオリゴヌクレオチド(すなわち、典型的には長さが約5〜50ヌクレオチドの核酸オリゴマー)を含む。特に、本発明は、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定されるポリヌクレオチドのコード鎖又は非コード鎖とハイブリダイズする、ポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの長さは、好ましくはポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドが標的核酸分子とハイブリダイズすることができるような長さである。オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションに用いる場合、オリゴヌクレオチドは、望ましくは必要以上に長くすべきではない。従って、望ましいオリゴヌクレオチドは、多くても約30〜50ヌクレオチド、好ましくは多くても約20〜25ヌクレオチド、より好ましくは多くても約10〜15ヌクレオチドを含む。ポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションに用いる場合、ベクターに含まれる任意のpalフラグメントは、ハイブリダイゼーションのためにその全体が用いられる。このようなポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドは、ここで説明するように、DNA合成のためのプライマーとして(例えば、PCRにおけるプライマーである「アンプリマー」として)、試料中の標的DNAの存在を検出するプローブとして(例えば、ノーザン又はサザンブロット、及びin situハイブリダイゼーション)、治療剤として(例えば、アンチセンス治療において)、又はその他の目的で用いられる。オリゴヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖であるが、二本鎖形態は、弱められ又は傷つけられた一方又は両方の末端を有する。
オリゴヌクレオチドは、天然資源から公知の方法によって獲得又は由来される。また、オリゴヌクレオチドは、当該技術分野における公知の方法に従って、合成的にも産生される。このような方法には、例えば、適切な配列のクローニング及び制限、又はホスホトリエステル法(例えば、Narang et al., Methods Enzymol., 68, 90 (1979)を参照のこと);ホスホジエステル法(例えば、Brown et al., Methods Enzymol., 68, 109 (1979)を参照のこと);ジエチルホスホラミダイト法(例えば、Beaucage et al., Tetrahedron Lett., 22, 1859 (1981)を参照のこと);固体担体法(例えば、米国特許第4,458,066号を参照のこと);及びその他の適切な方法のような、いかなる適切な方法による直接化学合成を含む。
PALをコードするポリヌクレオチドの単離に好ましい出所は、実施例5に記載されるように、ATCC PTA-2224菌株である。従って、本発明は、酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする精製及び単離された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが、好ましくは、ATCC PTA-2224菌株から得られるポリヌクレオチドも提供する。本発明は、望ましくは、配列番号:13に記載の配列をコードする酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドがATCC PTA-2224菌株から得られるポリヌクレオチドも提供する。本発明は、さらに好ましくは、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に特定されるコード領域を有し、及び好ましくはポリヌクレオチドがATCC PTA-2224菌株から得られるポリヌクレオチドである酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする、単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドも提供する。
本発明のpalポリヌクレオチドは、PAL又はその機能的等価物をコードするポリヌクレオチドを有する、及びヌクレオチド残基の欠失、挿入又は置換を起こしうる変異体を含む。ここで用いるように、「欠失」とは、1又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基が、それぞれ存在しない、ヌクレオチド又はアミノ酸配列中の変化である。ここで用いるように、「挿入」又は「付加」とは、1又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基が、それぞれ加えられた結果生じるヌクレオチド又はアミノ酸配列中の変化である。ここで用いるように、「置換」とは、1又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基が、それぞれ異なるヌクレオチド又はアミノ酸にそれぞれ置き換えられた、ヌクレオチド又はアミノ酸配列中の変化である。
本発明の範囲内にあるポリヌクレオチド変異体は、pal配列の対立遺伝子又は別の天然産生形態(例えば、palcDNA又は自然界に見られるpal遺伝子と一致するゲノム配列)を含む。対立遺伝子は、構造、機能、又は発現するポリペプチドを変化させる若しくは変化させない、自然発生的突然変異、すなわち、ゲノムヌクレオチド配列中の欠失、挿入又は置換を生じる。これら突然変異的変化のいずれのタイプも、対立形質配列において、独立して又は他と共に、1又はそれ以上の回数で起こりうる。単一塩基の変異が、順番に明白な表現型の相違と結びつけられる、別のポリペプチドを定義する、一塩基多形(SNPs)も起こりうる。もちろん、コードするポリペプチドを変化させず、又はコードする変化が表現型に影響しないため、SNPsは、サイレントである。これら遺伝子レベルの変化は、本発明により得られるcDNA配列に影響しうる。
本発明は、さらに他の酵母種、好ましくはRhodotorula属の他の種、より好ましくは他の微生物種に見られる酵母palDNAの天然相同体を含む。一般的にこれらの種の相同体は、R.graminis由来するpalのタンパク質コード領域内において、ヌクレオチドレベルで顕著な相同性を共有する。このように、本発明は、R.graminisPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、例えば、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に規定されるポリヌクレオチドのタンパク質コードと、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のヌクレオチド同一性を分配するポリヌクレオチドを意図する。本発明のポリヌクレオチドに関連するパーセント配列「同一性」は、配列比較後にpalをコードするヌクレオチド、及び、必要があれば最大パーセント配列同一性を達成するための導入ギャップと一致する候補配列におけるヌクレオチド塩基のパーセンテージとして定義される。自動的にパーセント同一性を計算するためのコンピュータソフトウェアも利用可能である(商業的又は公的出所から)。
本発明は、クローニング、プロセシング、及び/又はpalポリヌクレオチド配列によってコードされる産生物の発現を、選択的に修飾するように操作されるポリヌクレオチドを含む。突然変異は、発現するポリペプチド産物のアミノ酸配列の調節を同時に維持しつつ、当該技術分野における周知の技術、例えば、新たな制限部位への部位特異的変異誘発の挿入、糖修飾のパターンの変更、又はある種の発現系の利用に固有なコドン優先度の変更を用いて導入される。例えば、特定の原核又は真核宿主細胞に好まれるコドンは、palポリヌクレオチド発現速度を増加するために、又はより長い半減期のような望ましい性質を有する組み換え体RNA転写物を産生するために選択することができる。
palポリヌクレオチドは、当該技術分野において周知の化学的方法を用いて、部分的又は全体的に合成することができる。「化学的に合成された」とは、ここで用いられるように、及び当該技術分野において理解されているように、「酵素的に」と対立して、純粋化学的にポリヌクレオチドを産生する方法を意味する。「全部」化学的に合成されたポリヌクレオチド配列は、それゆえ完全に化学的手段によって産生される;「部分的に」化学的に合成されたポリヌクレオチドは、生じる核酸の一部のみが化学的手段によって産生されたものを含む。DNA合成に適した化学的手段は、例えば、Ceruthers, Science, 230, 281-285 (1985)、及び他の多くの文献に記載されている。

本発明によれば、palポリヌクレオチド分子は、細胞内安定性及び半減期を増大させるために修飾される。可能な修飾には、分子の5’及び/又は3’末端の側方配列の付加、又は分子バックボーン内でリン酸ジエステル結合よりもホスホロチオネート若しくは2’O−メチル結合の使用が含まれるが、これらに限定されるものではない。当該技術分野において知られているような他の修飾も、本発明によって意図される。
本発明はまた、palペプチド核酸(PNA)も提供する。これらpalPNAは、対応するオリゴヌクレオチドよりもより高い親和性と特異性をもつDNA又はRNAをコードする相補的palに、分子をハイブリダイズさせる核酸塩基を有する中性の「ペプチド様」バックボーンを持った情報分子を提供する。このようなPNA分子は、in vitroの適用において、特に有用である。

本発明による作成物
本発明はまた、例えば、本発明によるPALポリペプチド配列を含む又はコードする作成物を提供する。「作成物」とは、本発明によるポリペプチド、又はそれがコードするポリヌクレオチド配列が、より大きな分子と結合し、若しくはその一部を形成する分子の形態である。palポリヌクレオチド及び/又はPALポリペプチド配列と、分子中の付着部位との結合は、好ましくは非共有結合(例えば、抗原/抗体結合における)、又は共有結合によるものである。
このラインに沿って、「作成物」には、ベクター(例えば、配列をコードするポリペプチドのポリヌクレオチドベクターへの遺伝子取り込みを有する)、複合型ベクター(例えば、コードする配列、ポリペプチド配列又は他の成分が、ベクターと非共有的に結合している)、又は細胞移入に影響しうる他の適当な成分を含むが、これらに限定されるものではない。ここで用いるように、「ベクター」は、細胞内への移入、例えば、特に、遺伝子移入に影響しうる媒体であり、その用語の一般的意味は、当該技術分野における熟練者に理解されているとおりである。本発明によるベクターは、好ましくは、本発明によるPALポリペプチドをコードする核酸配列を含む。配列をコードする核酸は、翻訳時に融合タンパク質又は抗原融合物(例えば、コードする配列と他のコードする配列の近位により)を形成するように、ベクター上で任意に修飾することができる。
本発明のベクターには、プラスミド、ファージ、又はウイルスが含まれるが、これらに限定されるものではない。特に、望ましいベクターは、ここでさらに説明するようにPALポリペプチド配列(例えば、配列番号:13)をコードする核酸配列を含む。本発明のベクターには、専ら細胞内位相に用いられるものに限らず、他のベクター、例えば、実際に細胞と接触するために用いられるベクターの合成に用いられる中間型ベクター(例えば、転移ベクター)も含まれる。ウイルス性ベクター(特にレトロウイルスベクター、とりわけ複製欠損ウイルスベクター)に関しては、このようなベクターは、完全キャプシド(すなわち、レトロウイルスゲノムのようなウイルスゲノムを含む)又は空キャプシド(すなわち、ウイルスゲノムが欠如、不完全、又は物理的若しくは化学的手段によって分解されている)を含む。ウイルスベクターは、好ましくは、1又はそれ以上の成分を移送する手段として完全キャプシドを含む。ウイルス、プラスミド、及びファージをそれらの核酸配列の形(すなわち、RNA又はDNA)で移転する方法を利用可能であるため、同様にベクターも、キャプシドタンパク質のようないかなる関連タンパク質、及びいかなるエンベロープ脂質も介在せずに、RNA又はDNAを含みうる。同様に、リポソームが細胞膜との融合によって細胞に影響するために、ベクターは、コートタンパク質をコードする核酸と共に、リポソームを含みうる。このようなリポソームは、例えば、Life Technologies, Bethesda, Md.(現Invitrogen, Carlsbad, CA)や他の販売先から商業的に入手可能であり、製造業者の推奨に従って使用しうる。PALポリペプチド又はpalポリヌクレオチド(ここで説明する方法を用いて調製される)は、製造業者の指示に従ってリポソームを調製した後、又はリポソームの調製中にリポソームに添加することができる。
上述したように、本発明によるPALポリペプチドは、融合タンパク質又は抗原融合物を含みうる。このような融合タンパク質又は抗原融合物は、PALポリペプチドが、例えば、それら核酸の形態であり、「パッセンジャー遺伝子」を形成するように使用可能な状態で結合する配列、任意のスペーサー配列及びさらにペプチド配列をコードするベクター手段によって産生することができる。パッセンジャー遺伝子は、好ましくはベクターが内部移行する細胞内において発現する。「スペーサー配列」は、望ましくは核酸配列の適切なスペーシングを確保するために用いられる、任意の配列である。スペーサーは、好ましくはコード又は非コードDNAを含み、約1〜1000bp、好ましくは約1〜100bp、より好ましくは約1〜10bpを含む。
「核酸」とは、ポリヌクレオチド(DNA又はRNA)である。「遺伝子」とは、タンパク質又は新生RNA分子をコードするあらゆる核酸配列である。「遺伝子産物」とは、与えられた遺伝子若しくはコード配列から転写された未翻訳RNA分子(例えば、mRNA又はアンチセンスRNA)、又は与えられた遺伝子若しくはコード配列から転写されたmRNA分子から翻訳されたポリペプチド鎖(すなわち、タンパク質又はペプチド)である。遺伝子がコード配列に加えてあらゆる非コード配列(例えば、イントロン、及びプロモーターのような任意の調節配列)を含むとしても、「コード配列」又は「コード領域」は、いかなる非コード(例えば、調節)DNAも含まない。palゲノムDNAのコード配列は、イントロンによって中断される。分子の塩基配列が、典型的に自然界で見出される遺伝子又はコード配列から変化させられているならば、又は塩基配列が典型的に自然界で見出されるものと異なるならば、遺伝子又はコード配列は、組み換え体である。この発明によれば、全体的又は部分的に合成される遺伝子又はコード配列は、ゲノム又は相補的DNA(cDNA)配列を含み、DNA、PNA(ペプチド核酸)又はRNAのいずれかの形態で提供される。
非コード配列又は調節配列は、プロモーター配列を含むが、これに限定されない。「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼの結合を指示するDNA配列であり、それによってRNA合成を促進する。「エンハンサー」とは、近接する遺伝子の転写を励起又は阻害するDNAのシス動作性成分である。転写を阻害するエンハンサーは、「サイレンサー」とも呼ばれる。エンハンサーは、いずれの配向性においても、及び転写される領域の下流領域から数千塩基対以上離れた距離においても機能する点で、プロモーター中においてのみ見出される配列特異的DNA結合タンパク質(プロモーター成分とも呼ばれる)のためのDNA結合部位と異なる。本発明によれば、プロモーターがそのコード配列の転写を調節することができる場合(例えば、コード配列及びプロモーターがパッセンジャー遺伝子を構成する場合)、コード配列は、プロモーター「使用可能なように結合」する。
先行文献は、容易に行うことができる、当該技術分野における熟練者に周知の標準的実験法を開示する。ポリペプチド又はDNA合成のための自動化機器は、商業的に入手可能である。宿主細胞、クローニングベクター、DNA発現調節配列、オリゴヌクレオチドリンカー、及びその他の試薬と成分も、商業的に入手可能である。
細胞内移送方法
本発明のPALポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド配列は、様々な応用のために(PALの産生及び単離を促進するためにも)任意に細胞内に導入しうる。本発明による細胞は、どのような細胞でもよく、好ましくは真核細胞又は原核細胞のどちらでもよい。真核細胞は、核膜によって覆われた核を有する細胞である。in vitroへの応用(例えば、産業的応用)には、単細胞種の真核細胞(例えば、単細胞酵母細胞)が好ましく、治療/診断への応用(例えば、in vivo応用)には、哺乳類(任意に、ヒト)細胞が好ましい。
産業的応用以外に用いられる細胞には、このようにトリ細胞、齧歯類、霊長類(チンパンジー、猿、類人猿、ゴリラ、オランウータン、又はテナガザル)、ネコ、イヌ、有蹄動物(反芻動物、又はブタ)だけでなく、特にヒト細胞を含む哺乳類細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。産業的応用を含むin vitro応用のためには、大腸菌、バシラス属、分裂酵母、Pichia属、酵母菌属、ストレプトマイセス属、シュードモナス属、Erwinia属、及びクロストリジウム属のいずれの種でもよく、好ましいの細胞は、酵母細胞である。産業的応用には、宿主組織が、Escherichia coli、Bacillus subtilis、Pichia pastoris、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Pseudomonas putida、Erwinia chrysanthemi、Bacillus stearothermophilus、Erwinia sp.、Clostridia sp.、Rhodosporidum、Toruloides等の産業株(すなわち、産生株)であることが好ましい。細胞は、細胞内への移入後、palポリヌクレオチド配列が安定的に保存される、又は少なくとも一定期間保存される(すなわち、典型的にはいかなる場合でも3ヶ月以上;3ヶ月後でも不確定であることも含み潜在的である)細胞が好ましい。ここでさらに説明するように、新生RNAは、pal配列から任意に転写される。
このように細胞は、単独の存在として、又は細胞の大きな集合の一部として存在しうる。このような「細胞の大きな集合」には、例えば、細胞培養液(混合又は純粋)、組織(例えば、筋肉その他の組織)、器官(例えば、心臓、肺、肝臓、胆嚢、膀胱、目、及びその他の器官)、器官系(例えば、骨格系、循環系、呼吸器系、消化管系、泌尿器系、神経系、外皮系又はその他の器官系)、又は生体(例えば、トリ、非ヒト哺乳類、ヒト等)を含みうる。
本発明による作成物、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞内への導入が実行された方法は、好ましくはそこに移入された部分を有する細胞を生じる部分と、細胞との接触を含む。このような「接触」は、当該技術分野における熟練者に知られたいかなる手段によっても、及びここで説明されるように、細胞と影響する部分の外見上の接触又は相互接触状態によって実行することができる。例えば、接触は、同じ溶液中の小容量のこれら成分をミキシングすることにより実行することができる。例えば、作成物、ポリペプチド又はポリヌクレオチドが宿主に投与され、宿主内部を血流や他の体液によって移動するような場合、細胞及びその部分は、小容量で接触させることを要しない。
本発明の方法は、例えば、研究、診断若しくは治療(例えば、PKUの減少)、又は産業的利用(例えば、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及びフェニルアラニン様構造を有する他の光学活性非天然アミノ酸の産生)のために、in vitro又はin vivoの細胞を接触させるために用いられる。本発明による「接触」には、細胞内に産生物が導入されるあらゆる手段を含む;その方法は、特定の導入方法に依存せず、そのように解釈されない。導入方法は、当該技術分野における熟練者に周知であり、ここで例証される。
従って、本発明の産生物(例えば、ベクター、組成物、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド)の導入は、例えば、in vitro(例えば、遺伝子治療のex vivo型方法において、又は組織培養研究において)、又は電気穿孔法、形質転換、形質導入、抱合若しくは三親性抱合、(共)形質移入、(共)感染、陽イオン性脂質を用いた膜融合、DNAコート微粒子銃を用いる高密度照射、リン酸カルシウムDNA沈殿とのインキュベーション、単一細胞への直接微量注入等in vivoにおいても達成することができる。同様に、産生物も陽イオン性脂質、例えばリポソームの手段によって導入することができる。このようなリポソームは、商業的に入手できる(例えば、Lipofection(登録商標)、Lipofectamine(商標)等、Life Technologies, GIBCO BRL, Gaithersburg, Md.(現Invitrogen, Carlsbad, CA)及びその他の商業的販売業者によって供給される)。また、低レベルのポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドは、自発的に細胞に取り込まれる。その他の方法も利用可能であり、当該技術分野における熟練者に知られている。
当該技術分野における熟練者は、本発明の産生物を遺伝子治療、化学療法、細胞標識、等に利用する目的で、投与に用いることができる1以上の経路、を通して、動物(例えば、ヒト)に投与するのに適した方法を理解するであろう。さらに、特定の経路は、より直接的、より効果的反応、又は他の経路よりも、より便利若しくは侵襲性の低い手段を提供することを理解するであろう。
PALポリペプチド産生系
PALをコードするDNAの知識により、技術者は、PALの産生を可能にし、又は増加させるように細胞を修飾することができる。従って、コードされたPALポリペプチドを発現させるために本発明のポリヌクレオチドの導入によって安定的若しくは一時的に修飾され、又はPALポリペプチドの導入によって安定的に若しくは一時的に修飾された、原核又は真核細胞を含む宿主細胞が提供される。特に、これらの細胞系は、PALポリペプチドの産生のために、望ましくは用いられる。産業的宿主細胞(すなわち、産業的条件下でポリペプチドの高レベル産生のために適合させられた宿主細胞)の使用により、細胞は、任意に産業的発酵反応、例えば、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及びフェニルアラニン様構造を有するその他の光学活性非天然アミノ酸の産生に用いることができる。
PALをコードするポリヌクレオチド及びPALポリペプチドが細胞内へ導入される形式は、本発明による「作成物」として上述される。特に、本発明は、望ましくはPALをコードする配列を取り込んだプラスミド及びウイルス性DNAのような自己複製組み換え体発現作成物を提供する。
本発明は、さらに望ましくは内因性又は外因性発現調節DNA配列及び転写ターミネーターと作用的に結合した、PALをコードするポリヌクレオチドを含む。発現調節DNA配列は、プロモーター、エンハンサー及びオペレーターを含み、発現作成物が使用される発現系に基づいて一般的には選択される。好ましいプロモーター及びエンハンサー配列は、一般的にオペレーター配列が遺伝子発現を調節する能力に基づいて選択されるのに対して、遺伝子発現を増大させる能力に基づいて一般的には選択される。本発明の好ましい作成物は、宿主細胞における複製に必要な配列も含む。発現作成物は、好ましくはコードされるPALポリペプチドの産生に用いられるが、作成物自身の増幅にも用いられる。
このように、本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは環状プラスミドの一部として、又はウイルスベクターに含まれる単離タンパク質をコードする領域を含む線形DNAとして、又はその他の適当な手段によって宿主細胞内へ導入される。宿主細胞内へのDNA導入方法は、形質転換、形質移入、電気穿孔法、核注入、又はリポソーム、ミセル、ゴースト細胞及び原形質体との融合を含む。
適切な発現ベクター(例えば、Pouwels et al., Cloning Vectors: A Laboratory Manual (Elsevior, N.Y.:1985)に記載される)及び対応する適切な宿主は、本発明によるポリペプチド/タンパク質の産生に用いることができる。発現宿主は、細菌、酵母、真菌、哺乳類、植物、バキュロウイルス系(例えば、Luckow et al., Bio/Technology, 6, 47 (1988)に記載される)を含む昆虫宿主細胞系を含み、及びCOS-7、C127、3T3、CHO、HeLa、BHK細胞系等も含むが、これらに限定されるものではない。ある種の適切な原核宿主細胞には、例えば、E. Coli株SG-936、HB 101、W3110、X1776、X2282、DHI及びMRC1、Pseudomonas種、B. subtilisのようなBacillus種、Salmonella及びStreptomyces種が含まれるが、これらに限定されるものではない。適切な真核宿主細胞には、Saccharomyces cerevisiaeのような酵母が含まれる。Schizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris及び他の真菌、sf9又はsf21細胞(Spodoptera frugiperda)のような昆虫細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような動物細胞、JY 293及びNIH3T3細胞のような酵母細胞、Arabidopsis thaliana細胞のような植物細胞が、他の適切な細胞、特に産業的応用を含むin vitro応用のためのここで(「細胞内移送方法」というタイトルの節)既に説明した細胞を含む。palヌクレオチド配列、又はその一部は、mRNAプローブを産生するためのベクター内へクローンされる。このようなベクターは、当該技術分野において公知であり、商業的に入手可能であり、標識化ヌクレオチド及びT7、T3、又はSP6のような適当なRNAポリメラーゼと添加することによって、in vitroでRNAプローブを合成するのに用いられる。
もちろん、通常の熟練技術者は、発現宿主の選択が産生されるポリペプチド/タンパク質のタイプを細分化することを承知している。例えば、酵母又は哺乳類細胞(例えば、COS-7細胞)中で産生されるペプチドの糖修飾は、Escherichia coliのような細菌細胞中で産生されるペプチドの糖修飾とは異なる。宿主細胞のタイプ、PAL産生物の発現形式、発育条件等は、公知の基準に従って熟練技術者によって選択される。微生物宿主細胞、特に酵母宿主細胞は、最適な生物学的活性を本発明の組み換え体発現産物に与えるために必要である、このような翻訳後修飾(例えば、糖修飾、切断、脂質化、及びリン酸化)を提供すると期待される。PALポリペプチドの糖修飾化及び非糖修飾化形態が受け入れられる。組み換え体細胞によって産生されるタンパク質は、好ましくは、配列及び/又は用いたベクターに依存して分泌され、細胞内に含まれる。当該技術分野における熟練者に理解されるであろうが、palポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターは、特定の原核又は真核細胞膜を通してPALの選択を支配するシグナル配列を用いて設計される。
同様に、palをコードする領域の非コードDNA上流の性質は、宿主に適した転写/翻訳シグナルから構成される。最も望ましくは、S. cerevisiaeホスホグリセレートキナーゼ及び接合因子遺伝子の転写シグナルは、リボソーム結合部位の5’位に位置する。用いられる作成物は、作成物の連続した維持の選択のために、任意に標準的レプリコン(例えば、2μm)及び選択可能なマーカー(例えば、Leu2、Trp等)を用いることができる。E. coli中での使用について、ラムダPL、tac、trp、rac、又はlac等の周知のプロモーターは、好ましくは適切な細菌性リボソーム結合部位を用いて、使用しうる。このような作成物のために、任意にCo/EI、RSF1010、及びRI(Runaway)レプリコンを使用しうる。
本発明の宿主細胞は、大規模産生方法又はPALポリペプチド産物の使用において有用である。例えば、宿主細胞で産生され、単離される組み換え体PALポリペプチドは、薬物スクリーニングアッセイのようなin vitroの結合アッセイにおいて使用される。このような方法において、宿主細胞は、適切な培養液中で発育し、目的とするポリペプチド産物は、細胞又は細胞が発育した培養液から単離される。このような宿主細胞(例えば、産業株又は産生株)は、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及びフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の生産のために、産業的発酵培地中で用いられる。ポリペプチド産物は、免疫親和性クロマトグラフィー、受容体親和性クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、レクチン親和性クロマトグラフィー、サイズ排除濾過、陽イオン又は陰イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLC等の簡便なクロマトグラフ法を含む、当該技術分野における公知の精製方法、並びに、以下の実施例に記載された精製方法によって単離されうる。
この他の精製方法には、PALポリペプチドが非相同的アミノ酸配列と結合している融合タンパク質として、目的のタンパク質が発現し、精製される方法を含む。適切な非相同的配列は、他の薬剤によって認識できる特異的タグ、標識、又はキレート成分を含む。例えば、特異的に同定可能なように選択された非相同的タンパク質と融合するPALタンパク質を産生することが可能である。PALタンパク質を非相同的タンパク質から分離し、その後精製するために、融合タンパク質は、PAL配列と非相同的タンパク質の間に位置する開裂部位(例えば、XA因子又はエンテロキナーゼ感受性配列)を含むように操作される。
典型的な非相同的ペプチドドメインは、固定化金属(Porath, Protein Expr. Purif., 3:263-281 (1992))で精製可能なヒスチジン−トリプトファンモジュールのような金属キレート化ペプチド、及び固定化免疫グロブリンで精製可能なプロテインAドメインを含む。別の有用なシステムは、例えば、米国特許第4,703,004号、第4,782,137号、第4,851,431号、及び第5,011,912号に記載される、ペプチド伸張/免疫親和性精製システムに用いられる二価陽イオン結合ドメイン及びそれに特異的な抗体である。このシステムは、Immunex Corp (Seattle WA)からFLAG(登録商標)システムとして商業的に使用可能である。その他の適切な非相同的融合対は、固定化グルタチオンを用いて親和性により精製される、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)である。他の有用な融合対は、免疫グロブリン及びそのフラグメント、例えばFcフラグメントを含む。
ある実例において組み換え体PALを発現する宿主細胞の同定は、適切な発現系の同定において有用である。従って、本発明の発現作成物は、操作条件において作成物を生み出す宿主細胞の同定を可能とする、1又はそれ以上の選択可能なマーカーをコードする配列を含む。非相同的プロモーターDNAの挿入に加えて、増幅可能なマーカーDNA(例えば、ada、dhfr、及びリン酸カルバミルシンターゼ、アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、及びジヒドロオロターゼをコードする多機能CAD遺伝子)及び/又は非相同的プロモーターDNAに加えて挿入されるイントロンDNAも意図される。PALをコードする配列に結合されるならば、標準的選別方法によるマーカーDNAの増幅は、細胞中のPALをコードする配列の共増幅を生じる。誘導又は選別に応じたマーカー遺伝子の発現の検出は、通常pal発現も示す。あるいは、palポリヌクレオチドがマーカー遺伝子配列内へ挿入されれば、palを含む組み換え体細胞は、マーカー遺伝子機能の欠損によって同定される。
PALのコード配列を含み、palを発現する宿主細胞は、当該技術分野における熟練者に知られる、様々な他の手段によっても同定される。このような手段には、PCR増幅、ハイブリダイゼーション、酵素アッセイ、又は核酸又はタンパク質の検出及び/又は定量化のための膜ベース、溶液ベース、若しくはチップベース技術を含む免疫アッセイ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない。PAL活性の測定のためには、好ましくは酵素アッセイが行われる。
palポリヌクレオチド配列の存在は、配列番号:12(例えば、37〜2196番目の残基又はその一部)又は配列番号:28(例えば、1〜2589番目の残基又はその一部、特に、1〜361番目の残基、449〜880番目の残基、961〜1295番目の残基、1365〜1529番目の残基、1587〜1748番目の残基、1822〜1947番目の残基、2008〜2589番目の残基、及び/又は2008〜2586番目の残基又はその一部)に開示されるpalのフラグメントをプローブとして用いる、DNA−DNA若しくはDNA−RNAハイブリダイゼーション又は増幅によって検出される。標識化ハイブリダイゼーション又はpalポリヌクレオチド配列を検出するためのPCRプローブは、オリゴ標識、ニックトランスレーション、末端標識を含む様々な方法によって作成される。palポリヌクレオチド配列は、好ましくはPCR増幅によって検出される。
本発明の一具体例において、PAL又はその変異体及び/又はPAL又はその変異体を発現する宿主細胞系列は、抗体、ペプチド、又はPALの生物学的又は免疫学的活性の修飾因子として作用する、有機若しくは無機分子のような他の分子のスクリーンするために用いられる。例えば、PALの活性を中和することができる抗PAL抗体は、in vitroで(すなわち、酵母細胞やその他において)PAL媒介性活性を阻害するために用いられる。選択的には、組み換え的に発現させられるpal若しくはその変異体、又はPAL若しくはその辺遺体を発現する細胞系列を用いるコンビナトリアル化学によって作成される、ペプチドライブラリー又は有機物ライブラリーのスクリーニングは、PALの生物学的又は免疫学的活性を修飾することによって機能する治療的分子の同定にとって有用である。合成化合物、天然化合物、及び潜在的、生物学的に活性な物質の他の出所は、当該技術分野における熟練者によって日常的と考えられる多くの方法でスクリーンされうる。
PALポリヌクレオチド及びポリペプチドプローブ
本発明は、試料中のPALをコードするポリヌクレオチド又はPALポリペプチドの存在を検出する方法を、さらに提供する。本方法は、試料中の限定された標的の存在を認識する標識プローブの使用を含む。プローブは、好ましくはPALポリペプチドを認識する抗体、又はPALポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを認識するオリゴヌクレオチド(又はポリヌクレオチド)である。
本発明のプローブは、当該技術分野における公知の方法に従って、検出可能な程度に標識されうる。一般的にプローブは、プローブに検出可能な標識(レポーター)成分を接触させることによって修飾可能であり、また検出可能なプローブは、そこで引用される検出可能な標識成分を用いて製造される。検出可能な標識成分は、放射性原子、高電子密度原子、酵素、色素原及び着色化合物、蛍光発生原及び蛍光化合物、多くの特異的結合対等を含む、その多くが当該技術分野において知られている、いかなる検出可能な成分であってもよい。
オリゴヌクレオチドプローブを標識する方法は、例えば、Leary et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA., 80:4045 (1983);Renz and Kurz, Nucleic Acids Res., 12:3435 (1984);Richardson and Gumport, Nucleic Acids Res., 11:6167 (1983);Smith et al., Nucleic Acids Res., 13:2399 (1985);Meinkoth and Wahl, Anal Biochem., 138:267 (1984) に記載されている。ポリヌクレオチドプローブを標識する他の方法は、例えば、米国特許第4,711,955号、第4,687,732号、第5,241,060号、第5,244,787号、第5,328,824号、第5,580,990号、及び第5,714,327号に記載されており、さらに当該技術分野における公知である方法も用いることができる。
抗体を標識する方法は、例えば、Hunter et al. (1962) 及び David et al., Biochemistry, 13:1014-1021 (1974) に記載されている。抗体を標識するためのさらなる方法は、米国特許第3,940,475号及び第3,645,090号に記載されている。
本発明による標識成分は、好ましくは放射活性がある。有用な放射性標識の例には、32P、125I、131I、及び3Hが含まれる。放射性標識の使用は、英国特許第2,034,323号、並びに米国特許第4,358,535号及び第4,302,204号に記載されている。
用いることができる非放射性標識の例には、酵素、色素原、電子顕微鏡観察によって検出可能な原子及び分子、磁気的性質により検出可能な金属イオンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
有用な酵素的標識は、基質に検出可能な変化を引き起こす酵素を含む。有用な酵素(及びその基質)は、例えば西洋わさびペルオキシダーゼ(ピロガロール及びo-フェニレンジアミン)、β-ガラクトシダーゼ(フルオレセインβ-D-ガラクトピラノシド)、及びアルカリホスファターゼ(リン酸5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイル/ニトロブルーテトラゾリウム)を含む。酵素的標識の利用は、例えば、Rotmanにより英国特許第2,019,404号、欧州特許第63,879号、及び Rotman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 47:1981-91 (1961) に記載されている。この他の酵素的標識も同様に、本発明に用いることができる。
有用なレポーター成分は、例えば、色素以外にも蛍光、リン光、化学発光、生物発光分子を含む。本発明に有用な特異的着色又は蛍光化合物は、例えば、フルオレセイン、クマリン、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、ウンベリフェロン、ルミノール(登録商標)等を含むが、これらに限定されるものではない。色素原又は蛍光原、すなわち着色若しくは蛍光になるように、又はその色若しくは放出スペクトルを変化するように修飾される(例えば、酸化される)ことができる分子は、特定条件下でレポーター成分として作用するプローブ内へ取り込まれることができる。
標識成分は、当該技術分野における周知の方法でプローブに抱合される。標識成分は、プローブ上の官能基を通じて直接結合する。プローブはそのような官能基を有するか、又は有するようにさせることが可能である。適切な官能基の例には、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、マレイミド、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩が含まれる。選択的には、酵素及び色素原のような標識成分は、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド等のカップリング剤によって、抗体又はヌクレオチドと抱合される。標識成分は、上述した方法を用いて、プローブに結合するリガンドによってプローブに抱合され、及び標識成分に結合するリガンドのための受容体に抱合される。あらゆる公知のリガンド−受容体結合対の組み合わせが適している。適当なリガンド−受容体対には、例えば、ビオチン−アビジン又はビオチン−ストレプトアビジン、及び抗体−抗原が含まれる。
palポリヌクレオチド及びPALポリペプチドの使用方法
本発明のDNA及びアミノ酸配列の開示を通じて寄与された情報の科学的価値は、当該技術分野における熟練者に明らかである。一連の実施例のように、PALのcDNA又はゲノムDNAの配列の知識は、PALをコードするゲノムDNA配列及びpal発現調節配列の同定を可能とし(例えば、サザンハイブリダイゼーション又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を通じて)、変異誘発において、酵素特性を増強した変異体を得ることを目的とする。中程度から高度に厳密な条件下で、本発明のDNA配列を用いて実施されるDNA/DNAハイブリダイゼーションは、palの対立遺伝子変異体をコードするDNAを単離することが期待される。同様に、PALと相同的なタンパク質をコードする非酵母種遺伝子は、サザン及び/又はPCR分析によって同定される。代案として、相補性研究は、非酵母タンパク質だけでなく他の酵母PAL産物、及び1又はそれ以上のPALの生物学的特性を共有するタンパク質をコードするDNAの同定に有用となりうる。本発明のオリゴヌクレオチドは、palを発現する細胞の能力を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイにおいても有用である。本発明のポリヌクレオチドは、疾病状態にあるpal部位における遺伝子変化を同定するのに有用な診断方法の基礎となる。
本発明のオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、ここで説明するように、様々な目的のためにDNAを増幅する方法において用いられる。本発明の方法による「増幅」とは、鋳型核酸配列の指数関数的増幅による、トレース量の特異的核酸配列を検出するためのあらゆる分子生物学上の技術を意味する。特に適した増幅技術は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)及びそれらの改良法を含む。PCRは、高感度の技術として知られ、幅広く利用されている。PCRは、例えば、Innis et al., PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc., San Diego (1990);Dieffenbach and Dveksler, PCR Primer:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plaonview NY (1995);並びに、米国特許第4,683,195号、第4,800,195号、及び第4,965,188号に記載されている。LCRは、より最近発展し、Landegren等 (Science 241:1077 (1988)) 及び Barany等(PCR methods and Applications 1:5 (1991))に記載されている。LCRキットは、Stratagene社から購入可能である。LCRは、高度に特異的であることが知られており、点変異を検出することが可能である。ある状況では、検出の正確性を高めるためにPCRとLCRを組み合わせることが望ましい。この他の増幅技術も、本発明に一致して用いることができる。
オリゴヌクレオチド増幅プライマーは、一本鎖オリゴヌクレオチドの対応対としてしばしば提供される;一本はセンス配向(5’→3’)、一本はアンチセンス配向(3’→5’)である。このような特異的プライマー対は、特定の遺伝子又は条件の同定に最適化された条件下で用いることができる。選択的には、同じプライマー対、オリゴマーのネステッド対、又はオリゴマーの変性プールは、緊密に関連するDNA又はRNAの検出及び/又は定量のための、より厳密度の低い条件下で用いられる。
オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、特定化された核酸配列を伸張するための、当該技術分野において知られている様々な方法において用いられる。これらの方法は、未知の隣接配列を決定するために既知の配列を用いることができ、それによってプロモーター及び制御エレメントのような上流配列の検出及び定量が可能である。典型的な方法は、Gobinda et al., PCR Methods Applic., 2:318-322 (1993);Triglia et al., Nucleic Acids Res., 16:8186 (1988);Lagerstrom et al., PCR Methods Applic., 1:111-119 (1991);Parker et al., Nucleic Acids Res., 19:3055-3060 (1991) に記載されている。市販キット、例えば、Clontech社(Palo Alto CA)のPromoterFinder(登録商標)キットが利用可能である。
例えば、制限部位ポリメラーゼ連鎖反応は、既知部位に隣接する未知配列を検索するために、汎用プライマーを用いる直接的方法である。この方法では、ゲノムDNAは、プライマーの存在下で、リンカー配列及び既知領域に特異的なプライマーへと、まず増幅される。増幅された配列は、同じリンカープライマー及び最初のプライマー内部の別の特異的プライマーを用いる、2回転目のPCRを受ける。各回転のPCR産物は、適当なRNAポリメラーゼを用いて転写され、逆転写酵素を用いて配列化される。
逆PCRは、既知領域に基づく多岐のプライマーを用いて、配列を増幅又は伸張するために用いることができる(Triglia et al., Nucleic Acids Res., 16:8186 (1988))。プライマーは、Oligo 4.0(National Biosciences, Inc., Plymouth MN)又は他の適当なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含量50%以上、約68〜72℃の温度で標的配列とアニールするように設計される。この方法では、遺伝子の既知領域中の適切なフラグメントを産生するために、いくつかの制限酵素が用いられる。フラグメントは、その後分子内連結により環状化され、PCR鋳型として用いられる。
捕獲PCRは、酵母及び酵母人工染色体(YAC)DNA中で、公知配列に隣接するDNAフラグメントのPCR増幅のための方法である(Largerstorm et al., PCR Methods Applic., 1:111-119 (1991))。捕獲PCRは、操作した二本鎖配列を、PCR前にDNA分子の未知部分へと配置するために、複数の制限酵素消化及び連結を必要とする。PromoterFinder(登録商標)は、PCR、ネステッドプライマー及び「ウォークイン」ゲノムDNAに対する特別のライブラリーを用いる、Clontech社(Palo Alto CA)から購入可能なキットである。この工程は、ライブラリーをスクリーンする必要がなく、イントロン/エキソン結合を発見するのに役立つ。
このような方法は、ゲノムライブラリーを検索するために、5’配列を伸張するために、及びプロモーター、イントロン、オペレーター、エンハンサー、リプレッサー等の成分を含む、内因性palゲノム配列を得るために用いられる。全長cDNAのスクリーニングのための好ましいライブラリーは、より大きなcDNAを含むためのサイズ選択的なライブラリーである。さらに、ランダムに準備されたライブラリーは、遺伝子の5’及び上流領域を含む、より多くの配列を含む際に好ましい。
オリゴヌクレオチドプローブは、内因性ゲノム配列をマッピングするためにも役立つ。配列は、周知技術を用いて、特定の染色体又は染色体の特定領域へと位置づけられる。これらには、染色体拡散に対するin situハイブリダイゼーション(Venna et al., Yeast Chromosomes:A Manual of Basic Technique, Pergamon Press, New York NY (1988))、フローソート染色体標品、又はYAC、細菌人工染色体(BAC)、細菌性P1作成物、若しくは単一染色体cDNAライブラリーのような人工染色体合成を含む。
本発明によって提供されるDNA配列情報は、例えば、相同性組み換え又は「ノックアウト」戦略(Capecchi, Science, 244:1288-1292 (1989))を通して、機能的palを発現できない、又はpal変異体を発現する微生物の発育を可能とする。このような微生物は、PAL活性の研究モデルとして有用である。
ここで述べるように、本発明は、PALをコードするポリヌクレオチドを認識し、ハイブリダイズするアンチセンス核酸配列を提供する。遺伝子発現の修飾は、プロモーター、エンハンサー及びイントロンのようなpal遺伝子の調節領域に対するアンチセンス配列の設計によって得られる。例えば、リーダー配列の−10〜+10領域の間の転写開始部位が好ましい。アンチセンスRNA及びDNA分子は、転写物がリボソームに結合することを妨害することによって、mRNAnoの翻訳を阻害するように設計される。通常の技術をもった研究者は、本発明のアンチセンス分子が、palDNAを特異的に認識し、ハイブリダイズするアンチセンス分子を含むことを理解するであろう(他の既知分子をコードするDNAとpalDNAの配列比較によって決定されるように)。
本発明のアンチセンス分子は、タンパク質のPALファミリーの他の構成物をコードするDNAを認識し、ハイブリダイズするアンチセンス分子も含む。PALファミリーの他の構成物をコードする複数DNAにハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチドは、PALタンパク質ファミリーに対する特徴又はサイン配列を同定するための配列比較を通して、同定可能である。従って、このようなアンチセンス分子は、標的pal配列に対して、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の同一性を有する。
アンチセンスポリヌクレオチドは、特に、palmRNAを発現する細胞によるpal発現の制御と関係がある。pal発現制御配列又はpalRNAと特異的に結合することができるアンチセンスポリヌクレオチド(好ましくは、10〜20bpのオリゴヌクレオチド)は、例えば、ウイルスベクター又はリポソームのようなコロイド分散系によって、細胞内へ導入される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞内のpal標的ヌクレオチド配列と結合し、標的配列の転写又は翻訳を阻害する。ホスホロチオネート及びメチルホスホネートアンチセンスオリゴヌクレオチドは、特に、本発明下に治療的使用に対して期待される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ポリL-リジン、トランスフェリン、ポリリジン、又は5’末端のコレステロール成分によって、さらに修飾される。アンチセンス技術の最近の報告として、Delihas et al., Nature Biotechnology, 15:751-753 (1997)を参照のこと。
本発明は、リボザイム技術の手法によってpal発現を調節する方法をさらに含む。再考のために、Gibson and Shillitoe, Mol. Biotechnol., 7:125-137 (1997) を参照のこと。リボザイム技術は、(i)標的mRNAに対する相補的RNAのハイブリダイゼーション;(ii)相補的RNAに固有のエンドヌクレアーゼ活性を通じた、ハイブリダイズされたmRNAの開裂、を通じた配列特異的方法でpalmRNAの翻訳を阻害するために用いることができる。リボザイムは、リボヌクレアーゼ保護アッセイにおいて相補的オリゴヌクレオチドを用いるといった経験的方法により同定されるが、より好ましくは、利用できるリボザイム開裂部位のための標的分子のスキャニングに基づいて、特異的に設計される(Bramlage et al., Trends Biotechnol., 16:434-438 (1998))。標的細胞へのリボザイムの移送は、当該技術分野において周知であり、慣行されている外因的又は内因的移送技術を用いて実行することができる。外因的方法は、標的化リポソーム又は微量注入を含む。内因的方法は、ウイルスベクター及び非ウイルス性プラスミドの使用を含む。
リボザイムは、PALをコードするポリヌクレオチドに特有の領域に対して相補的であるように設計された場合、palの発現を特異的に調節できる。それゆえ、「特異的に調節する」とは、本発明のリボザイムが、PALをコードするポリヌクレオチドのみ認識することを意味する。同様に、リボザイムは、タンパク質のPALファミリーの全て、又は一部の発現を調節するように設計できる。このタイプのリボザイムは、PALファミリー構成物をコードするポリヌクレオチドの全て、又は一部を保護するヌクレオチド配列を認識するように設計される。
本発明は、オリゴヌクレオチド定方向性の三重らせん体構造(Hogeboom塩基対方法論としても知られている)の使用を通じて、palの転写を調節する方法を含む。再考のために、Lavrovsky et al., Biochem. Mol. Med., 62:11-22 (1997) を参照のこと。三重らせん体ハイブリダイゼーションは、ポリメラーゼ、転写因子、又は制御因子の結合のために充分に開くという本来の二重らせんの能力を損なう。ハイブリダイゼーション用の好ましい標的配列は、pal発現の転写的制御を可能とするプロモーター及びエンハンサー領域を含む。三重らせん体構造が可能なオリゴヌクレオチドは、一方では、標的DNA配列の部位特異的共有結合性修飾に用いられる、DNA損傷剤と結合することが可能である。上述のLavrovsky等の文献を参照のこと。
本発明のアンチセンスRNA及びDNA分子、並びにリボザイムは、RNA分子を合成するために、当該技術分野におけるあらゆる公知の方法によって調製することができる。このような方法は、固相ホスホラミダイト化学合成のようなオリゴヌクレオチドを化学的に合成する技術を含む。選択的には、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のin vitro又はin vivoの転写によって産生される。このようなDNA配列は、T7又はSP6のような適当なRNAポリメラーゼプロモーターを用いて、様々なベクター内に取り込まれる。選択的には、アンチセンスRNAを構造的、誘導的に合成するアンチセンスcDNA作成物は、細胞系列、細胞、又は組織内に導入することができる。
遺伝子産物の通常機能を損なうことになる遺伝子の突然変異は、酵母においては有害な表現型を示し、哺乳類の遺伝子の導入は、有益な効果を有する。このように本発明は、PAL酵素に関連するフェニルアラニンアンモニアリアーゼ活性の欠乏又は欠損によって特徴付けられるそれら疾病状態の治療において示されるように、PAL活性を導入又は修復するための遺伝子の導入(すなわち、遺伝子治療)を含む。適切な細胞への機能的PALコード配列の移送は、ベクター、より好ましくはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、又はレトロウイルス)の使用によりex vivo、in situ、若しくはin vivoで、又は物理的DNA移送方法(例えば、リポソーム又は化学的処理)の使用によりex vivoで、影響を受ける。例えば、Anderson, Nature, 392 (6679 Suppl):25-30 (1998) を参照のこと。選択的には他の疾病状態において、発現の阻害、又はPAL活性の阻害は、それら疾病の治療に有用である。アンチセンス治療又は遺伝子治療は、palポリヌクレオチド配列の発現を、負に制御するために応用することが可能である。
本発明によって提供されるDNA及びアミノ酸配列情報は、PALタンパク質の構造及び機能の系統的回析を可能にする。PALに関するDNA及びアミノ酸配列情報は、PALポリペプチドが相互作用する分子の同定も可能にする。PAL活性を調節する(すなわち、増加する、減少する、又は遮断する)薬剤は、推定上のモジュレーターをPALとインキュベーションすること、及びPAL活性に対する推定上のモジュレーターの影響を定量することによって、同定される。PALポリペプチドの活性を調節する化合物の選択性は、PALに対する活性と、他のタンパク質に対する活性を比較することによって評価することができる。
選択的モジュレーターは、例えば、抗体、及びPALポリペプチド又はPALをコードするポリヌクレオチドと特異的に結合する他のタンパク質又はペプチド、PALをコードするポリヌクレオチドと特異的に結合するオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、及びPALポリペプチド又はPALをコードするポリヌクレオチドと特異的に反応する非ペプチド化合物(例えば、単離された又は合成された有機化合物)を含む。野生型palの生物学的活性又は細胞座決定に影響するような、palの突然変異体は、本発明に含まれる。その他の選択的モジュレーターは、特異的制御又はpalをコードするヌクレオチド配列を認識するモジュレーターを含む。PAL活性のモジュレーターは、異常なPAL活性が関係する幅広い疾病及び生理学的状態の治療において治療上有用であり、又はフェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、若しくは他のフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の商業的産生においても有用である。
フェニルケトン尿症及び潜在的ガンとフェニルアラニンの関係、並びにヒト免疫不全ウイルス及びヒトサイトメガロウイルス感染の治療に最近用いられる、プロテアーゼ阻害剤のファルマコフォア中のフェニルアラニン様構造物の使用が与えられたことにより、PALをコードするポリヌクレオチド配列は、pal発現又はPAL活性によって、生じる、関連する、又は修復される疾病、例えば、フェニルケトン尿症、ガン、ヒト免疫不全ウイルス、感染、及び/又はヒトサイトメガロウイルス感染の診断に用いられる。定性的又は定量的問題は、サザン若しくはノーザン分析、ドットブロット、又は他のメンブレンベース技術;PCR技術;尿試験紙、ピン若しくはチップ技術;及びELISA若しくは他の複数試料形式技術を含み、これらすべての技術は、内因性palポリヌクレオチド又はPALポリペプチドの存在又は非存在下で、例えば、フェニルケトン尿症、ガン、ヒト免疫不全ウイルス、感染、及び/又はヒトサイトメガロウイルス感染の診断に用いられる。これら形式の技術は、当該技術分野において周知であり、商業的に入手可能な診断キットとして用いられている。
このようなアッセイは、特定の治療管理の有効性を評価するために適合され、動物研究、臨床試験、又は個々の患者の治療モニターリングに用いられ、あるいは微生物(例えば、酵母研究)に用いられる。疾病の診断の基礎を提供するために、pal発現についての通常又は標準プロフィールを確立しなければならない。これは、健常被験者から採取した生物学的試料とpalポリヌクレオチドを、ハイブリダイゼーション又は増幅に適した条件下で結合させることによって達成される。標準的ハイブリダイゼーションは、既知量のpalポリヌクレオチドが使用されている同じ実験で作成される陽性コントロールの稀釈系列を用いて、健常被験者に対して得られた値と比較することによって定量化される。健常者の試料から得られる基準値は、pal発現に関連する疾病又は疾患によって強く影響される患者(又は酵母試料)の試料から得られた値と比較される。基準値と患者値の間の偏差は、疾病状態の存在を証明する。もし疾病が証明されれば、希望があれば現存の治療剤が投与され、治療プロフィール又は評価がもたらされる。値が増加するか、又は通常若しくは基準値に戻るかどうか評価するために、アッセイは定期的に繰り返される。連続治療プロフィールは、数日又は数か月の期間の間、治療効果を示すために使用されてもよい。
特に、抗PAL抗体は、PALポリペプチドの異常発現に特徴付けられる又は関連する症状、疾病若しくは疾患の診断に有用であり、及び/又は酵母異常若しくは過剰PAL産生を検出するために有用である。PALポリペプチドに対するアッセイ(診断用アッセイを含む)は、体液、細胞、組織、切片、又はこれらの抽出物といった生体試料中のPALポリペプチドを検出するための、標識抗体を用いる方法を含む。ポリペプチド又は抗体は、好ましくは、ここで説明する検出可能な標識成分を用いて、共有結合的又は非共有結合的にそれら標識成分と結合することによって標識化される。生体試料中のPALポリペプチドの存在を検出するための抗体ベース方法は、抗体と結合したタンパク質の存在を検出するための上述したアッセイ、及び酵素結合免疫抗体法(ELISA)、放射免疫活性法(RIA)、蛍光標識式細胞分取(FACS)及びフローサイトメトリー、ウェスタン分析、サンドイッチアッセイ等の公知の形式に基づく。これら形式は、通常、抗体とPALタンパク質を含むと疑われる試料とのインキュベーション、及び抗体とタンパク質の複合体の検出に基づく。抗体は、インキュベーション段階の前、途中、後のいずれかで標識化される。抗体の特異的濃度、インキュベーションの温度及び時間は、他のアッセイ条件と同様、試料中の抗体濃度、試料の性状等を含む様々な因子のために、修正することができる。当該技術分野における熟練者は、日常的経験を用いることによって、各の定量のための実施可能で最適なアッセイ条件を決定することが可能である。Hampton et al., Serological Methods:A Laboratory Manual, APS Press, St Paul MN (1990) を参照のこと。
試料中のPALタンパク質の定量、又は疾病の診断のための基礎を提供するために、PALポリペプチド発現の正常又は基準値は、確立されなければならない。これは、動物又は酵母について、正常試料又は健常被験者から採取された体液又は細胞と、PALポリペプチドに対する抗体を結合させることによって達成される。標準的複合体形成量は、既知量の抗体が既知濃度の精製PALポリペプチドと結合している、陽性コントロールの稀釈系列との比較によって定量化される。その後、正常試料から得られた標準値は、試験対照、例えば、pal発現に関連する疾病又は疾患に強く影響された患者の試料から得られた値と比較される。基準値と試験値の間の偏差は、疾病状態の存在を証明する。
本発明はさらに、PAL発現又は活性又を増加する方法(例えば、通常はそれを含まない宿主に対してこの活性を与える意味の「増加」を含む、及び/又は産業的利用方法を提供する。その方法は、palポリヌクレオチド、PALポリペプチド、及び/又はPAL発現又は活性を増加させるために有効量のPAL作用薬の投与を含む。この方法は、酵母又は哺乳類においても用いることができる。哺乳類に用いられるように、本方法は、症状又は病態がpal発現又はPAL活性によって仲介される、又は回復されるいかなる状態の治療においても有用である(例えば、哺乳類の場合、フェニルケトン尿症及び/又はガン予防/治療)。産業的利用(例えば、酵母又は他の適当な産生宿主において)としては、組み換え体手段によって産生されるPALは、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及び他のフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の商業的産生において用いられる。例えば、本発明の酵素は、発酵培地の替わりにフェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及び他のフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の産生に用いることが可能であり、又はPAL産生株を既に含む発酵培地中に添加することも可能である。その他の可能性及び変動も、当該技術分野における熟練者には理解可能である。
ここで用いるように、「治療」とは、疾病を罹患したが、まだ疾患を罹患したと診断されていない哺乳類(特に、ヒト)に疾病が生じるのを防止すること;その疾病を阻害すること、すなわち疾病の進行を妨害すること;疾病を軽減すること、すなわち疾病を退行させること;又は疾病を回復させること、すなわちその疾患に関連する症状の重症度を減少させることを意味する。「疾病」は、医学的疾病、疾患、病態、症状、症候群等を、制限なしで含むように意図される。
特に、本発明の方法は、フェニルケトン尿症である又はであると思われる哺乳類(すなわち、特にヒト)の治療的又は予防的処置において用いられる。さらに本発明は、哺乳類において、有効量のPALをその哺乳類に投与することを含む、新生物組織増殖、例えばガンの治療方法に関する。この具体例において、本方法は、化学療法又は抗ガン剤及び/又は放射線治療の免疫賦活剤投与をさらに含む。
腫瘍又は新生物は、細胞増殖が制御されず、増進的である、組織の新たな増殖を含む。このような増殖のいくつかは良性であるが、他のものは生物の死を導く「悪性」と呼ばれる。悪性新生物又は「ガン」は、活発な細胞増殖を示すことに加えて、ガンが周辺組織に侵入し、転移する点で良性増殖と区別される。さらに悪性新生物は、分化の大きな欠損(大きな「脱分化」)、並びに相互及び周辺組織に関連する組織化に特徴付けられる。この性質は、「退形成」と呼ばれる。
レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス若しくはワクシニアウイルス、又は様々な細菌性プラスミドに由来する発現ベクターは、標的細胞集団への組み換え体palセンス又はアンチセンス分子の移送に用いられる。当該技術分野における熟練者に周知の方法は、palを含む組み換え体ベクターを作成するために用いられる。例えば、上述のSambrook等及びAusubel等に記載の技術を参照のこと。選択的には、組み換え体palは、リポソームとして標的細胞に移送されうる。
全長cDNA又はゲノム配列、及び/又はそこから得られた制御成分は、研究者が遺伝子機能のセンス(Youssoufian and Lodish, Mol. Cell. Biol., 13:98-104 (1993))又はアンチセンス(Eguchi et al., Annu. Rev. Biochem., 60:631-652 (1991))調査のツールとして、palポリヌクレオチドを用いることを可能にする。cDNA又はゲノムDNAから得られた調節配列は、発現を抑制するためにin vitro又はin vivoで用いることができる。このような技術は、今日当該技術分野において周知であり、センス若しくはアンチセンスオリゴヌクレオチド、又はより大きなフラグメントは、コード領域又は調節領域の様々な部位から設計される。
さらにpal発現は、PALの生物学的活性を阻止するのに好ましい条件下で、高レベルでpalポリヌクレオチドを発現する発現ベクターを用いて、細胞又は組織を形質移入することによって調節される。このような作成物は、翻訳不能なセンス又はアンチセンス配列で細胞を氾濫させる。DNAへの組み込みがなくとも、このようなベクターは、内因性ヌクレアーゼによってベクターのすべてのコピーが無能化されるまで、RNA分子を転写し続ける。このような一過性の発現は、非複製ベクター又は適当な複製成分を取り込んだベクターを用いることによって達成される。ベクターを細胞又は組織内に導入する方法は、ここで議論される方法を含む。加えて、これら形質転換又は形質移入方法のいくつかは、ex vivo療法において同等に適している。さらに、ここに開示されるpalポリヌクレオチド配列は、これらに限定されるものではないが、三塩基遺伝子コード及び特異的塩基対相互作用のような、最近知られたヌクレオチド配列の性質に依存するのであれば、未だ確立されていない分子生物学的技術においても用いられる。
PALポリペプチドと免疫活性を有する抗体の調製
本発明は、PALポリペプチドに特異性を有する抗体の産生を可能とする。PALに対する抗体は、例えば、精製天然型PAL、精製組み換え体PAL、PALの精製組み換え体ペプチドフラグメント、又はアミノ酸配列を予測するPALに由来する合成ペプチドの調製を用いた、実験動物の免疫化を典型的に含む、当該技術分野のあらゆる公知の方法によって産生することができる。このことは、Harlow et al. (Eds.), Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor NY (1988) で議論されている。また、当該技術分野において開示され、PALと反応することが知られている抗体は、本発明で用いることができる。
PALポリペプチド組成物
本発明は、薬学的組成物を含むPALポリペプチド含有組成物に、さらに関連する。薬学的組成物は、任意にPALポリペプチド又はpalヌクレオチドを含み、又は生体適合性の薬学的担体、免疫賦活剤若しくは賦形剤とともに、pal発現若しくはPAL活性のモジュレーターとして活性のある、化学的若しくは生物学的化合物(「薬剤」)を含む。従って、組成物(例えば、薬物学的組成物)中の活性薬剤は、palポリヌクレオチド配列、palアンチセンス分子、PALポリペプチド、タンパク質、ペプチド、又はインヒビター、アンタゴニスト(抗体を含む)若しくはアゴニストのような、生体モジュレーターの全部又は一部から選択される。好ましくは、薬剤は、pal発現又はPAL活性により介在され、特徴付けられ、又は回復される医学的症状の治療において活性である。組成物は、薬剤を唯一の活性成分として、又は賦形剤若しくは他の薬学的に許容される担体と混合された、他のヌクレオチド配列、ポリペプチド、薬物、若しくはホルモンと組み合わせた薬剤を含む。薬学的組成物以外の組成物は、任意に液体、すなわち水又は水ベースの液体を含む。産業的発酵に用いられるこのような組成物は、望ましくは、発酵に必要な成分、例えば安定化剤、添加剤、抗体、宿主細胞その他を加えた培養液を、任意に含む。産業的発酵に用いられる組成物は、添加されたPALポリペプチドをさらに含む。
薬学的組成物に添加されるべき薬学的に許容される賦形剤は、当該技術分野における熟練者に周知であり、容易に入手できる。賦形剤の選択は、本発明の産生物を投与するために用いられる特定の方法によって、部分的に決定される。従って、本発明の状況において用いられる適切な処方には、幅広い変化がある。下記方法及び賦形剤は、単に典型的であり、全く制限ではない。
薬学的組成物の処方及び投与技術は、Remingtonの Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co, Easton PA, 1990 に見出され、さらに当該技術分野における熟練者に周知である。
本発明の薬学的組成物は、いかなる従来法、例えば、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、溶融紡糸、スプレー乾燥、又は親油化工程を用いて、製造される。しかし、最適な薬学的処方は、投与経路及び求められる用量に依存して、当該技術分野における熟練者によって決定される。そのような処方は、投与される薬剤の物理的状態、安定性、in vivoの放出速度、及びin vivoのクリアランス速度に影響する。治療される症状に依存して、これら薬学的組成物は、処方され、及び全身的又は局所的に投与される。
薬学的組成物は、経口的及び経腸的技術を含むあらゆる従来法によって、患者に投与さる。非経口的投与様式は、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、髄内、筋肉内、関節内、くも膜下腔内、及び脳室内注射を含む、消化管経路以外の経路による組成物の投与様式を含む。経腸投与様式は、例えば、経口(頬側及び舌下を含む)及び直腸投与を含む。経内皮投与様式は、経粘膜投与及び経皮投与を含む。経粘膜投与は、経鼻、吸入、及び深部肺投与;膣投与;及び直腸投与のみならず、経腸投与も含む。経皮投与は、ペースト剤又は軟膏の局所適用だけでなく、例えば、パッチ及びイオン泳動装置を含む、受動的又は能動的な経皮投与様式を含む。外科的技術は、デポ(リザーバー)組成物、浸透圧ポンプ等の埋め込みを含む。炎症治療に対する好ましい投与経路は、関節炎のような局在的炎症に対する局在的又は局所的送達、及び再灌流障害又は敗血症のような全身性症状に対する静脈送達を含む。
薬学的組成物は、適切な薬学的に許容される担体を含むように処方され、また、活性化合物の薬剤的に用いられる製剤への加工を容易にするための賦形剤及び助剤を任意に含む。投与様式は、一般的に担体の性質を決定する。例えば、非経口的投与に用いる処方は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。非経口投与に適した担体は、食塩水、緩衝化食塩水、ブドウ糖、水、及び他の生理学的に適合する溶液から選択されうる。非経口投与に用いる好ましい担体は、ハンクス溶液、リンゲル溶液、又は生理学的緩衝化食塩水のような生理学的に適合するバッファーである。組織又は細胞投与のためには、透過すべき特定のバリアーに適当な浸潤剤が処方に用いられる。このような浸潤剤は、当該技術分野において一般的に知られている。タンパク質を含む製剤のためには、処方は、ポリオール(例えば、ショ糖)のような安定化剤及び/又は界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤)等を含む。
選択的には、非経口投与的に使用される処方は、適切な油性注射用懸濁剤として調製される活性化合汚物の懸濁剤を含む。適切な疎水性溶媒又は媒体は、ゴマ油のような脂肪油、及びオレイン酸エチル又はトリグリセライドのような合成脂肪酸エステル、又はリポソームを含む。水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランのような、懸濁液の粘度を増加させる物質を含む。懸濁液は、高濃度溶液の調製を可能とするために、化合物の溶解性を増加させる適当な安定化剤を含む。乳化剤、例えば、乳化剤又は分散剤(界面活性化物質;界面活性剤)によって任意に安定化された水中油型及び油中水型分散系を含む。活性薬剤を含むリポソームも、非経口投与に用いられる。
選択的には、経口投与に適した用量の薬剤を含む薬学的組成物は、当該技術分野において周知の薬学的に許容される担体を用いて処方される。経口投与用に処方された製剤は、錠剤、丸剤、カプセル、カシュー、糖衣錠、ハッカドロップ、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、又は粉末の形態で用いられる。例示すると、経口的に使用する薬学的製剤は、固体賦形剤と活性化合物を混合し、任意に生じた混合物を粉砕し、必要であれば錠剤又は糖衣錠コアを得るために適当な助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工することによって得ることができる。経口処方は、非経口的使用で説明した処方と同様に、例えば、緩衝化水溶液、懸濁液等を用いることに注意する必要がある。
好ましい経口処方は、錠剤、糖衣錠、及びゼラチンカプセルを含む。これらの製剤は、制限なしに、以下に記載の一つ又は賦形剤を含む:
a)乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類のような稀釈剤;
b)ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ由来のデンプン;
c)メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースのようなセルロース物質類、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム及びトラガカントゴムのようなゴム類、ゼラチン及びコラーゲンのようなタンパク質類;
d)架橋化ポリビニルピロリドン、デンプン類、寒天、アルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムのようなその塩、又は発泡成分のような崩壊若しくは溶解剤;
e)ケイ酸、タルク、ステアリン酸又はそのマグネシウム若しくはカルシウム塩、及びポリエチレングリコールのような滑沢剤;
f)香料、及び甘味剤;
g)例えば、製品を識別するための、又は活性化合物の量(用量)を特徴付けるための着色剤又は色素;及び
h)防腐剤、安定化剤、膨潤剤、乳化剤、溶液促進剤、浸透圧調製用の塩類、及びバッファーのような、その他の成分。
ゼラチンカプセルは、ゼラチン及びグリセロール又はソルビトールのようなコーティングで作られた、ソフトで密封されたカプセルのみならず、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセルも含む。プッシュフィットカプセルは、充填剤、結合剤、滑沢剤、及び/又は安定化剤等と混合された活性成分を含むことができる。ソフトカプセルでは、活性成分は、脂肪油、液状パラフィン、又は液状ポリエチレングリコールのような適切な液体中に、安定化剤とともに又は安定化剤なしで、溶解又は懸濁している。
糖衣錠コアは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適当な有機溶媒又は溶媒混液も含む、濃縮糖溶液のような適当なコーティングにより提供される。
薬学的組成物は、これに限定されるものではないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等の多くの酸と形成される、活性薬剤の塩として提供される。遊離塩基型に対応する塩類は、水溶液又は他のプロトン溶媒中でより溶解性が高い。
上述したように、薬剤自身及び薬剤の処方の特徴は、投与された薬剤の物理的状態、安定性、in vivo放出速度、及びin vivoクリアランス速度に影響する。このような薬物動態学的及び薬物動力学的情報は、in vitro及びin vivoの前臨床研究を通じて収集され、その後、ヒトにおける臨床試験の間に確認される。このように、本発明の方法に用いられるいかなる化合物も、哺乳類、特にヒトにおける治療学的有効量は、生化学的及び/又は細胞ベースのアッセイから、まず評価される。その後、用量は、pal発現又はPALポリペプチド活性を調節する、望ましい循環濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいて公式化される。ヒトにおける研究が実施されているため、様々な疾病及び症状に対する最適な用量及び治療期間に関して、さらなる情報が明らかになるであろう。
このような化合物の毒性及び治療上の有用性は、細胞培養又は動物実験における標準的な薬学的手段、例えば、LD50(集団の50%が死ぬ量)及びED50(集団の50%で治療上有効な量)によって評価される。毒性及び治療的効果の間の比は、典型的にLD50/ED50比で表される「治療係数」である。より大きな治療係数を示す化合物が好ましい。このような細胞培養及び付加的動物研究から得られるデータは、ヒトへの使用における用量範囲を定量化することに用いることができる。このような化合物の用量は、毒性がほとんどない又は全くないED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。もちろん、同様の研究は、そのポリペプチド又はポリヌクレオチドをコードする形態に、微生物発酵培養を実行できるようにするためのPAL添加を保証するために、例えば、適切なL−フェニルアラニンの製造(例えば、アンモニア及びt-桂皮酸塩から)又はフェニルアラニン類似体、及びフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の製造を保証するために、実施される。
本発明の方法のために、投与量のタイミングと順序を調節する、効果的な投与計画が用いられる。薬剤の投与量は、好ましくは薬剤の有効量を含む薬学的用量単位を含む。ここで用いるように、「有効量」は、pal発現又はPAL活性を提供又は調節するために、又は1若しくはそれ以上薬学的用量単位の投与を通じて、宿主細胞又は患者の生理学的パラメーターに測定可能な変化を誘導するために、充分な量を意味する。
ヒト患者に対する典型的用量は、体重1kgあたり活性薬剤量約0.001〜約100(mg/kg)の範囲である。活性薬剤の用量単位は、効能、投与経路等に依存して、典型的には約0.01mg〜約10000mg、好ましくは約0.1mg〜約1000mgを含む。投与経路に依存して、適切な用量は、体重、体表面積、又は臓器サイズに従って計算される。最終的な用量投与計画は、薬物の作用を変化させる様々な因子、例えば、薬剤の特異的活性、疾病状態の重篤度、患者の感受性、年齢、症状、体重、性別、患者の食事、感染の重篤度等を考慮して、充分な医学的技量を持った内科医の参加によって決定される。考慮すべきさらなる因子として、投与の時間及び回数、薬物の組み合わせ、反応感受性、及び/又は治療に対する耐性/反応が含まれる。ここで説明されるあらゆる処方を含む、治療に適した用量のさらなる洗練は、酵母における実験で観察された薬物動力学的データのみならず、特に用量情報及び開示されたアッセイを考慮して、過度の実験を行うことなく、熟練開業医によって日常的に行われる。最適な用量は、用量反応データとともに体液又は他の試料中の薬剤濃度を定量するための、確立されたアッセイの使用を通じて確認される。
投薬回数は、患者の薬物動態学的パラメーター、及び投与経路に依存する。用量及び投与は、充分量の活性成分の提供するために、又は目的とする効果を維持するために調節される。従って、薬学的組成物は、単一用量、複数の別個の用量、連続注入、徐放デポ、又はそれらの組み合わせで、薬剤の目的とする最低濃度を維持するために必要であるために、投与される。短時間作用型薬学的組成物(すなわち、短半減期)は、1日1回又は1日1回以上(例えば、1日に2,3又は4回)投与できる。長時間作用型薬学的組成物は、3〜4日毎、毎週、又は隔週に投与される。皮下、腹腔内、又は硬膜下ポンプのようなポンプ類は、連続注入にとって好ましい。
薬学的に許容しうる担体を処方された、本発明の化合物を含む組成物は、調製され、適当な容器の中に保管され、表示された症状の治療のためにラベルが貼られる。ラベルに表示される症状には、これらに限定されないが、フェニルケトン尿症の治療及び診断が含まれる。薬学的組成物の剤形、及び医学的症状の治療における組成物の使用に対する指示を含んだ、パッケージ挿入物を含むキットも意図される。
以下の実施例は、さらに本発明を例証するが、もちろん、その範囲を制限するように解釈されるべきではない。
本実施例は、例えば、ベクター及びプラスミドの作成、そのようなベクター及びプラスミドへのポリペプチドをコードする遺伝子の挿入、又は宿主細胞へのベクター及びプラスミドの導入に関連する実施例が属する技術分野における、通常の技術を有する者に周知である従来法の理解を予想する。このような方法は、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989), Ausubel et al. (Eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994);及び Ausubel et al. (Eds.), Short Protocols in Molecular Biology, 4th ed., John Wiley & Sons, Inc. (1999) を含む多くの刊行物において詳細に開示されている。
Rhodotorula graminis フェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードするポリヌクレオチドの取得
この実施例は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼcDNAの単離及び配列を開示する。
酵母Rhodotorula graminisの変異株である(ATCC 20804)株は、4〜5倍高水準の誘導性フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を産生する(Omdorff等、1988年、米国特許第4,757,015号)。
R. graminis ATCC 20804株は、American Type Culture Collection(ATCC;10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209)から入手し、20%グリセロール中、液体窒素内で保存した。凍結保存品の約3mLを、1LのPAL Fernbuch培地を含むFernbuchフラスコに接種するために用いた。細胞は、28℃、30時間、約250rpmで撹拌しながら発育させた。この初期培養液は、12LのPAL発酵培地を接種するために用いられ、28℃で(pH6、1vvmの通気)、約30時間、250rpmでインキュベートし、一部はより短時間で取り除いた。
PAL Fernbuch培地は、10 g/LのAmberex 695酵母抽出物(例えば、Red Atar Bioproducts, Juneau, WI)、52.5 mL/LのHFCS高フルクトースコーンシロップ、及び0.1 mL/LのMazur消泡剤(例えば、PGG Industries Inc., Gurnee, IL製)を含む。この培地のpHは、6.1に調整された(例えば、45%KOHを用いて)。PAL 発酵培地は、5g/LのAmberex 695酵母抽出物、2.0 g/Lのリン酸アンモニウム、9.0 g/LのL−フェニルアラニン、1.5 g/LのL−イソロイシン、及び0.4mL Mazur消泡剤を含む。
PAL遺伝子は、RT−PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)を用いてクローンされる。最初の段階において、全RNAは、製造者の指示に従って、Qiagen Inc.(Valencia, CA)製のRNeasy(商標)キットを用いて、ATCC 20804の指数関数的発育細胞から単離された。cDNA調製は、GIBCO BRL(Rockville, MD, 現Invitrogen, Carlsbad, CA)のSuperscript Preamplification(商標)キットを用いて、RNAから作成される。cDNAは、その後、R. ruba PALアミノ酸配列及びR. graminisマンデル酸脱水素酵素遺伝子のコドン利用パターンから設計された変性プライマー(配列番号:1に記載のOLI61、及び配列番号:2に記載のOLI63)を用いる、タッチダウンPCRによって増幅される。
タッチダウンPCRパラメーターは、以下の通りである;94℃、4分間で1サイクル、これを2サイクル続けて、94℃、30秒;63〜51℃、20秒;72℃、2.5分の増幅2ラウンド毎に1℃温度を下げた。次に、94℃、30秒;50℃、20秒;72℃、2.5分のサイクルを25サイクル行った。
望ましいサイズ(約2.1キロベース、R. rubaのPALコードに一致したザイズ)のPCRフラグメントは、単離され、pBR322ベクター内にクローンされ、二本鎖配列シーケンスのためLark Technologies Inc.(Houston, TX)に従う。
R. graminis PAL遺伝子の特定末端の配列は、上述したDNA配列を用いて得られた。すなわち、PALの5’末端は、GIBCO BRL(現Invitrogen, Carlsbad, CA)の5’RACEキットを用いて、上述した通りに調製したcDNAを用いてクローンした。cDNAの3’末端は、dCヌクレオチドを有するC末端であり、ポリC−C末端、及びR. graminisのPAL−DNA配列から設計された、遺伝子特異的逆プライマー GSP2(配列番号:4に記載)にハイブリダイズする、正方向プライマー AAP(配列番号:3に記載)を用いて増幅した。ネステッドプライマー AUAP(配列番号:5に記載)及びGSP4(配列番号:6に記載)を用いる増幅を、さらに行った後、フラグメントは、pCMV Srort-βgalベクターに内にクローンされ、シーケンシングのためにLark Technologies Inc. に従った。増幅のために、より特異的には5’RACE(rapid amplification of cDNA ends)増幅のために、94℃、2分の1サイクルを行った。続いて、94℃、30秒;57℃、20秒;72℃、70秒を30サイクル行った。これに続いて、72℃、5分の1サイクルを行った。
PAL遺伝子の3’末端は、GIBCO BRL(現Invitrogen, Carlsbad, CA)の3’RACEキットを用いてクローンした。第一鎖合成は、RT−PCR実験用にATCC 20804株から単離された全RNAを用いて実施した。アダプター配列AP(配列番号:7に記載)を含むオリゴdTプライマーを用いた。3’末端は、正方向遺伝子特異的プライマー(GSP5)(配列番号:8に記載)及び逆プライマー(AUAP)(配列番号:5に記載)を用いて増幅した。AUAP及びGSP6(配列番号:9に記載)を用いた増幅をもう1回行った後、pCMV Sport-βgal内へクローンされ、シーケンスのためにLark Technologies に従った。3’RACE増幅のために、5’RACE増幅のために用いたのと同じパラメーターを用いた。
Rhodotorula graminisと、他の菌株のフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチド及びポリヌクレオチド配列の比較
他の菌株も本発明に従って、PAL配列を単離するために用いることができる。例えば、R. graminis KGX39株を用いることができる。従って、本実施例は、親株であるR. graminis KGX39株のPALのcDNAシーケンシングを開示する。
KGX39のPAL遺伝子は、ATCC 20804と同様の方法で単離されるが、実施例1に記載される変性プライマーの替わりに、ATCC 20804PAL遺伝子のコード領域前後の配列と一致する特異的プライマー(すなわち、OLI77(配列番号:10に記載)及びOLI78(配列番号:11に記載))をPAL増幅のために用いた。PALフラグメントは、pBR322ベクター内にクローンされ、二本鎖シーケンスのためにLark Technologies に従った。KGX39のPALも、コード領域のみを増幅したOLI74(配列番号:22に記載)及びOLI75(配列番号:23に記載)プライマーを用いてクローンした。これらのクローンもシーケンスした。
もたらされた配列情報に基づいて、KGX39のコード領域の配列は、一塩基変化の可能な例外とともに、ATCC 20804のコード領域の配列と同一であった。すなわち、配列番号:12及び13の配列の反映されるように、ATCC 20804のために得られた配列は、KGX39のために得られた配列が、AlaをコードするGCCを含むのに対し、コドン153位(配列番号:12の番号で)にValをコードするGTCを含む。ゲノムクローンのために得られた配列のために、残基153がGTCにコードされるValであるように思われる。このことは、ATCC 20804とその親株との間のPAL活性のあらゆる相違は、ゲノムコード配列の変異(例えば、制御変異)、又はPALと相互作用するポリペプチドの相違のためであることを示唆する。
Rhodotorula graminisと、他種のフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチド及びポリヌクレオチド配列の比較
上述したように決定されたATCC 20804のPALヌクレオチド配列(配列番号:12に記載)を用いて、他種の配列の調査を行った。これら比較を明らかにするため、調査は、ポリヌクレオチド配列の翻訳に基づいて予測されるポリペプチド配列(配列番号:13に記載)を用いて行った。
まず、類似配列の調査は、R. graminis 配列が知られる前に、R. ruba配列を用いて、BLASTP(デフォルトパラメーター)を用いて実施された。最善の相同性を示す28配列は、その後PILEUP Multiple Sequence Alignment プログラム(ギャップ重量:12、ギャップ長重量:4)を用いて分析した。R. graminis配列が決定した後、その配列も分析に加えた。
明らかにされた配列のうち、29配列は、すべて活性部位であると考えられるものの中で相同性を示す。目視検査は、少なくともR. graminisのPALポリペプチドにある程度の同一性を有すると思われる、酵母配列Gil29592spp1024poly_Rhorb(Rhodotorula rubra PAL種)及び Gil29593spp11544paly_Rhoto(Rhodosporidium toruloides種)を除いて、目視検査は、PALポリペプチド(例えば、配列番号:14及び15にそれぞれ記載される、Muscaria amanitaポリヌクレオチド及びポリペプチド配列と比較する)と比較する配列間の強力かつ充分な相違を明らかにした。
Clustal Wプログラムは、その後、R. graminisのPALポリヌクレオチド及びポリペプチド配列を、R. toruloides(すなわち、GenBank 目録番号X51513)及びR. mucilaginosa(すなわち、以前R. rubraに関連していたGenBank 目録番号X13094は、Rhodotorula mucilaginosa株としての再分類に対応して、目録番号X13095としてアップデートされた)の対応配列に対して比較するために用いられた。これらを比較する際に、配列のエキソンのみを含んだ。R. toruloidesのPAL相対配列は、配列番号:18(ポリヌクレオチド)及び配列番号:19(ポリペプチド)に記載される。 R. rubra/mucilaginosaのPAL相対配列は、配列番号:16(ポリヌクレオチド)及び配列番号:17(ポリペプチド)に記載される。
これら配列とR. graminisの配列の比較は、図1A−1B(ポリペプチド配列)及び図2A−2F(ポリヌクレオチド配列)に表される。その配列は、核酸レベルで同一性56%、類似性86%を示した(図2A−2F)。配列間の全般的な一致は、配列番号:20(ポリヌクレオチド配列)及び配列番号:21(ポリペプチド配列)と同様、図面にも記載されている。
Rhodotorula graminisのフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドの単離
これらの研究のために、酵母Rhodotorula graminis株ATCC 20804は、グルコース供給バッチ発酵を用いて、20LのBiolafitte発酵槽内で発育させられた。pHは、25%(v/v)HSO又は10N NaOHを用いて6.0に維持した。温度は、28℃に18時間維持し、次に10℃以下に急冷した。細胞は、取り除かれ、限外濾過によって濃縮され、通常は、液体窒素中に滴下して調製する冷凍ビーズとして保存された。これらの発育及び保存条件とすることで、最大のPAL活性が得られる。
接種は、実施例1に開示したように調製した。発酵は、培地を細胞発育条件(500rpmで撹拌、気流は1vvm(12slpm))に維持することによって実行した。初期グルコース濃度が1g/L以下に低下した場合、12g/Lに戻るようにグルコースを添加する(268g)。グルコース濃度が再び1g/L以下に低下した場合、500mL の25% Amberex 695及びイソロイシン供給(発酵槽内濃度が1.0g/L)が追加される。ピークPAL活性が測定された後、タンクは散布され、ヘッドスペースは、窒素で置換される。散布は、タンクが一度嫌気性になれば停止され、rpmは250に低下され、タンクは20℃以下に冷却される。発酵槽が20℃以下になれば、細胞は、限外濾過によって採取される。
ATCC 20804のPAL活性は、PAL細胞(6〜15 mg/mL、50mMトリスバッファー、pH8.8)を50mMトリスバッファー(pH8.8)、25mM L−フェニルアラニン、及び0.0001%(w/v)塩化セチルピリジニウムを含む溶液980μLに添加することによって定量した。混合液は、吸光光度計内で30℃にインキュベートし、桂皮酸塩の発生を280nm(又は他の試験物質に対する対応λmax)で追跡した。吸光度の増加速度は、直線的増加期の間、測定した。280nmにおける1分間あたりの吸光度変化の、反応混合液中の細胞の吸光度(660nm)に対する比率(Δλmax/分)/(660nmの吸光度)は、PAL株の「特異的活性」を定量するための手段として用いられた。精製PAL分画の活性は、各分画50μLを、96ウェルマイクロプレートの各ウェル中の150μLアッセイ溶液に添加することによって定量した。プレートは、30℃でインキュベートし、ΔA280は読み取りの間、ミキシングしながら測定した。
酵素精製のために、洗浄した全てのR. graminis細胞は、25%(v/v)グリセロールを含む、5倍量の50mMリン酸カリウムバッファー、pH7.0中に懸濁させた。細胞は、M-110EHマイクロフルイダイザー(Microfluidics, Newton, MA)を用いて、25,000 psiで破壊した。粗可溶化液は、細胞細片を除去し、PALを含有する細胞抽出液を得るために、遠心分離した。抽出液は、30%硫酸アンモニウム飽和に移し、沈殿を遠心分離によって除去した。上清は、その後65%硫酸アンモニウム飽和に移し、酵素を含む沈殿を遠心分離によって除去した。ペレットは、約25%(v/v)グリセロールを含む50mMトリスバッファー(pH8.5)(バッファーA)中に再懸濁させた。これは、硫酸アンモニウム(AS)分画と呼んだ。AS分画は、1.7M硫酸アンモニウム及び10%(v/v)グリセロールを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)(バッファーA)中で平衡化させた、150mLフェニルSepharose HP(Pharmacia, Peapack, New Jersey)を充填した、XK50カラム(Pharmacia, Peapack, New Jersey)へと導入した。カラムは、1.7〜0M硫酸アンモニウムバッファー(バッファーB)の逆線形勾配を用いて溶出させた。酵素は、硫酸アンモニウム濃度約170mMで溶出されたので、80%バッファーBの初期平衡で、勾配を0.34〜0M硫酸アンモニウムに調整した。活性分画をプールし、HIC分画と呼んだ。HIC分画は、85%硫酸アンモニウム濃度に移行され、活性の95%を含む沈殿タンパク質は、凍結ペレットとして保存した。ペレットは、10%(v/v)グリセロールを含む25mMリン酸カリウムバッファー、pH7.0中に再懸濁させ、50mMリン酸カリウム、pH7.0に対して透析した。次に、濃縮/透析HIC分画は、10%(v/v)グリセロールを含む0.05〜0.5Mリン酸カリウムバッファー(pH7.0)を用いる、AX1000弱陰イオン交換カラム、250×21.4mm(SynChrom, Linden IN)に流された。活性分画は、約25mS/cmの伝導度で流出し、プールされ、AX分画と呼んだ。AX分画は、85%硫酸アンモニウム濃度に移行され、活性の95%を含む沈殿タンパク質は、凍結ペレットとして保存した。酵素は、SDS-PAGE分析によって純度約75%と判定された。
タンパク質は、ウシ血清アルブミンを標準として用いるBradfordアッセイによって定量した。
pY141の作成
この実施例は、配列番号:12に記載のポリヌクレオチドを含み、配列番号:13に記載の配列をコードするプラスミドpY141の作成を開示する。PALフラグメントは、プライマーOLI105(配列番号:24に記載)、OLI80(配列番号:25に記載)、及び製造者の指示に従って、Clontech Advantage-HF PCR Kit(Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto, CA)を用いて、実施例1に開示されるクローン化PALから増幅した。タッチダウンPCRパラメーターは、以下の通りである:1サイクルごと、94℃、30秒;70〜62℃、20秒;72℃、1分の増幅1ラウンド毎に1℃ずつ温度を減少させた。次に、94℃、30秒;61℃、20秒;72℃、1分のサイクルを20サイクル行った。最終サイクルは、72℃、5分であった。望ましいサイズ(約2.1キロベース)のPCRフラグメントは、単離され、ベクターpBR322の長EcoRI/SphIフラグメントと結合し、プラスミドpY141を生じた。
プラスミドpY141は、宿主細胞E. coli XL1-Blue内へ導入され、結果として生じるRY624株は、PTA-2224株として、ATCC(American Type Culture Collection), 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209に2000年7月12日に寄託された。
pal遺伝子配列
この実施例は、R. graminisのフェニルアラニンアンモニアリアーゼゲノムDNAの単離及びシーケンシングを開示する。pal遺伝子は、野生型株KGX39及び変異株ATCC 20804から単離した。
ゲノムクローンは、オリゴヌクレオチドOLI89(配列番号:26)及びOLI90(配列番号:27)を有する適切な染色体DNAの増幅によって調製した。染色体DNAは、酵母DNA単離に対する製造者のプロトコールに従って、Qiagen Genomic DNA Buffer Kitを用いて調製した。ゲノムKGX39PALクローンのために、Clontech Advantage-HF PCR Kitを以下のタッチダウンパラメーターで用いた。1サイクルは、95℃、1分。次に、94℃、30秒;68〜61℃、20秒;72℃、1分の増幅1ラウンド毎に1℃温度を下げた。次に、94℃、30秒;60℃、20秒;72℃、1分のサイクルを20サイクル行った。最終サイクルは、72℃、5分であった。PCRフラグメントは、単離され、pBR322ベースのベクター(すなわち、あらゆるpBR322ベースのベクターを用いることができると考えられるが、便宜のために、NSC Technologies (Mount Prospect, IL)で作成されるpPOT5)内にクローンされる。PCRフラグメントは、二本鎖シーケンシングのために、ACGT, Inc.(Northbrook, IL)に提出した。
ゲノムATCC 20804PALクローンのために、以下のPCRパラメーターのStratagene 社のPfu DNA polymerase kitを用いた。1サイクルは、95℃、1分。次に、94℃、35秒;68℃、35秒;75℃、4分のサイクルを25サイクル行った。最終サイクルは、72℃、5分であった。PCRフラグメントは、単離され、pBR322ベースのベクター(pPOT5)内に導入され、ACGT, Inc.(Northbrook, IL)によってシーケンスされた。
Rhodotorula graminisフェニルアラニンアンモニアリアーゼ遺伝子の配列
この実施例は、R. graminisのPALゲノム配列を開示する。
ATCC 20804のために得られた配列は、KGX39のために得られた配列が、AlaをコードするGCAを含むのに対し、コドン2位(配列番号:12の番号で)にAlaをコードするGCCを含むことを除いて、見出された配列情報(配列番号:28に記載)に基づき、KGX39(図4)及びATCC 20804(図3)両方のために単離されたPAL遺伝子は、同一に見える。得られたゲノム配列間の矛盾、及び得られたcDNA配列間の矛盾(既に議論した)は、コドン2位及び153位で、cDNA及びゲノム配列における同一性の欠如を引き起こす。cDNA及びゲノム配列間のさらなる相違は、配列番号:28の2688番目のヌクレオチドが、配列番号:12の対応位置である2298番目のヌクレオチドがCであるのに対して、Tであることにも観察される。上記他の相違と同じく、非コードDNAにおける相違は、シーケンシングエラーによるものであると考えられた。より重要なのは、cDNA配列と比較して、ゲノム配列のコード領域(配列番号:28に記載)は、362〜448番目、881〜960番目、1296〜1364番目、1530〜1586番目、1749〜1821番目、及び1948〜2007番目(配列番号:28の順番)の残基におけるイントロンの存在によって妨害される。
ここで引用した全ての文献、特に2000年7月24日に出願した米国出願09/624,693、及び2001年7月24日に出願したPCT国際出願PCT/US01/23270は、それらが開示するものすべての参照によって、それらの全体がここに組み込まれる。
本発明は、ある好ましい具体例を強調して説明されたが、好ましい具体例における修正を用いることができること、及び、特にここに記載されたものと別のやり方で、発明が実行されると意図されることは、当該技術分野における通常の熟練者にとって明らかである。従って、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨及び目的の範囲内に含まれる、全ての修正を含む。
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、並びにこれらの産生物の調製及び使用方法は、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似体、及びフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の産業的産生に有用である。また、本発明のポリペプチドは、フェニルケトン尿症、ガン、ヒト免疫不全性ウイルス感染、及びヒトサイトメガロウイルス感染等の治療においても有用である。
R. graminis菌株ATCC 20804(配列番号:13)、R. toruloides(配列番号:19)、R. mucilaginosa(配列番号:17)、及び実施例3に記載されるこれら配列の共通配列(配列番号:21)の、PALポリペプチド配列の配列比較である。配列の空所は、ハイフンを用いて示され、「X」(すなわち、3文字コード「Xaa」)は、そのアミノ酸残基においては、配列間に共通性がないことを意味する。 R. graminis菌株ATCC 20804(配列番号:13)、R. toruloides(配列番号:19)、R. mucilaginosa(配列番号:17)、及び実施例3に記載されるこれら配列の共通配列(配列番号:21)の、PALポリペプチド配列の配列比較である。配列の空所は、ハイフンを用いて示され、「X」(すなわち、3文字コード「Xaa」)は、そのアミノ酸残基においては、配列間に共通性がないことを意味する。 R. graminis(配列番号:12、37〜2419番目の残基)、R. toruloides(配列番号:18)、R. rubra/mucilaginosa(配列番号:16、646〜2787番目の残基)、及びこれら配列の共通配列(配列番号:20)のPALポリペプチド配列(cDNA配列)の配列比較である。配列の空所は、ハイフンを用いて示され、「N」は、その核酸残基においては、配列間に共通性がないことを意味する。 R. graminis(配列番号:12、37〜2419番目の残基)、R. toruloides(配列番号:18)、R. rubra/mucilaginosa(配列番号:16、646〜2787番目の残基)、及びこれら配列の共通配列(配列番号:20)のPALポリペプチド配列(cDNA配列)の配列比較である。配列の空所は、ハイフンを用いて示され、「N」は、その核酸残基においては、配列間に共通性がないことを意味する。 R. graminis(配列番号:12、37〜2419番目の残基)、R. toruloides(配列番号:18)、R. rubra/mucilaginosa(配列番号:16、646〜2787番目の残基)、及びこれら配列の共通配列(配列番号:20)のPALポリペプチド配列(cDNA配列)の配列比較である。配列の空所は、ハイフンを用いて示され、「N」は、その核酸残基においては、配列間に共通性がないことを意味する。 R. graminis(配列番号:12、37〜2419番目の残基)、R. toruloides(配列番号:18)、R. rubra/mucilaginosa(配列番号:16、646〜2787番目の残基)、及びこれら配列の共通配列(配列番号:20)のPALポリペプチド配列(cDNA配列)の配列比較である。配列の空所は、ハイフンを用いて示され、「N」は、その核酸残基においては、配列間に共通性がないことを意味する。 R. graminis(配列番号:12、37〜2419番目の残基)、R. toruloides(配列番号:18)、R. rubra/mucilaginosa(配列番号:16、646〜2787番目の残基)、及びこれら配列の共通配列(配列番号:20)のPALポリペプチド配列(cDNA配列)の配列比較である。配列の空所は、ハイフンを用いて示され、「N」は、その核酸残基においては、配列間に共通性がないことを意味する。 R. graminis(配列番号:12、37〜2419番目の残基)、R. toruloides(配列番号:18)、R. rubra/mucilaginosa(配列番号:16、646〜2787番目の残基)、及びこれら配列の共通配列(配列番号:20)のPALポリペプチド配列(cDNA配列)の配列比較である。配列の空所は、ハイフンを用いて示され、「N」は、その核酸残基においては、配列間に共通性がないことを意味する。 下線を付されたイントロンを有するATCC 20804(配列番号:28)のPALゲノムDNA配列である。 下線を付されたイントロンを有するKGX 39(配列番号:28)のPALゲノムDNA配列である。

Claims (32)

  1. 配列番号:13に記載の塩基配列を含む酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製されたポリヌクレオチド。
  2. 配列番号:21に記載の塩基配列を含む酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製されたポリヌクレオチド。
  3. 酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製されたポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが配列番号:13と少なくとも90%同一であるポリヌクレオチド。
  4. 配列番号:28の1〜2589番目の残基、配列番号:28の1〜361番目の残基、配列番号:28の449〜880番目の残基、配列番号:28の961〜1295番目の残基、配列番号:28の1365〜1529番目の残基、配列番号:28の1587〜1748番目の残基、配列番号:28の1822〜1947番目の残基、配列番号:28の2008〜2589番目の残基、及び配列番号:28の2008〜2586番目の残基からなる配列群から選択される配列を含む、単離及び精製された酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリヌクレオチド。
  5. 配列番号:20に記載の塩基配列を含む単離及び精製された酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリヌクレオチド。
  6. 配列番号:20に記載の塩基配列を含む単離及び精製された酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリヌクレオチドであって、
    117番目、135番目、190番目、191番目、195番目、276番目、1196〜1198番目、1724〜1735番目、1880番目、1881番目、及び2187〜2475番目の残基が欠損し、
    13番目、34番目、46番目、115番目、164番目、251番目、266番目、315番目、330番目、333番目、340番目、348番目、423番目、450番目、456番目、468番目、555番目、570番目、675番目、681番目、716番目、723番目、783番目、921番目、1176番目、1380番目、1383番目、1407番目、1446番目、1449番目、1452番目、1488番目、1542番目、1554番目、1563番目、1617番目、1677番目、1683番目、1776番目、1872番目、1895番目、1950番目、1971番目、及び1976番目の残基がBであり、
    49番目、119番目、463番目、715番目、1270番目、1684番目、1708番目、1762番目、1768番目、2001番目、2145番目、及び2183番目の残基がDであり、
    59番目、73番目、102番目、145番目、233番目、264番目、357番目、483番目、758番目、1042番目、1241番目、1470番目、1509番目、1690番目、1745番目、1962番目、及び2151番目の残基がHであり、
    51番目、57番目、144番目、168番目、201番目、312番目、405番目、475番目、963番目、1043番目、1281番目、1308番目、1675番目、1678番目、1681番目、1693番目、1952番目、及び2146番目の残基がVであり、
    79番目、729番目、1710番目、及び1873番目の残基がYであり、
    84番目、199番目、及び1723番目の残基がWであり、
    82番目、200番目、732番目、及び744番目の残基がSであり、
    106番目、108番目、284番目、及び743番目の残基がMであり、
    730番目の残基がKであり、
    76番目及び77番目の残基がAであり、
    68番目、75番目、1855番目、1857番目、1858番目、1862番目、及び1874番目の残基がCであり、並びに
    69番目、1856番目、1859番目、1861番目、及び1875番目の残基がTであるポリペプチド。
  7. 配列番号:29に記載の塩基配列を含む単離及び精製された酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリヌクレオチド。
  8. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが配列番号:28の1〜2589番目の残基、配列番号:28の1〜361番目の残基、配列番号:28の449〜880番目の残基、配列番号:28の961〜1295番目の残基、配列番号:28の1365〜1529番目の残基、配列番号:28の1587〜1748番目の残基、配列番号:28の1822〜1947番目の残基、配列番号:28の2008〜2589番目の残基、及び配列番号:28の2008〜2586番目の残基からなる配列群から選択される配列と、少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド。
  9. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードし、高度に厳密な条件下で配列番号:28の1〜2589番目の残基、配列番号:28の1〜361番目の残基、配列番号:28の449〜880番目の残基、配列番号:28の961〜1295番目の残基、配列番号:28の1365〜1529番目の残基、配列番号:28の1587〜1748番目の残基、配列番号:28の1822〜1947番目の残基、配列番号:28の2008〜2589番目の残基、及び配列番号:28の2008〜2586番目の残基からなる配列群から選択される塩基配列と特異的にハイブリダイズする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、
    前記高度に厳密な条件が50%ホルムアミド中、5倍SSC、42℃で一晩かけて行うハイブリダイゼーション、並びに50℃の0.5倍SSC及び0.1%SDS中における洗浄を含むポリペプチド。
  10. 酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドがATCC PTA−2224菌株から得られるポリヌクレオチド。
  11. 配列番号:13の1〜6番目の1以上のアミノ酸の欠損によってN末端が切断された配列番号:13に記載の塩基配列を含む酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチド。
  12. 配列番号:13の715〜720番目の1以上のアミノ酸の欠損によってC末端が切断された配列番号:13に記載の塩基配列を含む酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチド。
  13. 配列番号:12の37〜2196番目の残基を含む単離及び精製された酵母ポリヌクレオチド。
  14. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが配列番号:12の37〜2196番目の残基と、少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド。
  15. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードし、高度に厳密な条件下で配列番号:12の37〜2196番目の残基と特異的にハイブリダイズする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、
    前記高度に厳密な条件が50%ホルムアミド中、5倍SSC、42℃で一晩かけて行うハイブリダイゼーション、並びに50℃の0.5倍SSC及び0.1%SDS中における洗浄を含むポリヌクレオチド。
  16. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが配列番号:28の1〜2589番目の残基、配列番号:28の1〜361番目の残基、配列番号:28の449〜880番目の残基、配列番号:28の961〜1295番目の残基、配列番号:28の1365〜1529番目の残基、配列番号:28の1587〜1748番目の残基、配列番号:28の1822〜1947番目の残基、配列番号:28の2008〜2589番目の残基、及び配列番号:28の2008〜2586番目の残基からなる配列群から選択される配列と、少なくとも90%同一であるポリヌクレオチド。
  17. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが配列番号:12の37〜2196番目の残基と、少なくとも90%同一であるポリヌクレオチド。
  18. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが配列番号:28の1〜2589番目の残基、配列番号:28の1〜361番目の残基、配列番号:28の449〜880番目の残基、配列番号:28の961〜1295番目の残基、配列番号:28の1365〜1529番目の残基、配列番号:28の1587〜1748番目の残基、配列番号:28の1822〜1947番目の残基、配列番号:28の2008〜2589番目の残基、及び配列番号:28の2008〜2586番目の残基からなる配列群から選択される配列と、少なくとも95%同一であるポリヌクレオチド。
  19. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドをコードする単離及び精製された酵母ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが配列番号:12の37〜2196番目の残基と、少なくとも95%同一であるポリヌクレオチド。
  20. 請求項1乃至19のいずれか1項に記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドを含む作成物。
  21. 請求項20に記載の作成物を含む宿主細胞。
  22. 配列番号:13又は配列番号:21に記載の配列を含む単離及び精製された酵母フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリヌクレオチド。
  23. 請求項22に記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドを含む組成物。
  24. 単離及び精製されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドの調製方法であって、
    (a)ポリペプチドが産生される条件で、請求項21に記載の宿主細胞を成長させる、
    (b)宿主細胞又は宿主細胞が成長している培地からポリペプチドを単離する、というステップを含む方法。
  25. 請求項21に記載の宿主細胞に、トランス桂皮酸又はトランス桂皮酸塩とアンモニアを添加することを含む及びL−フェニルアラニンの産生方法。
  26. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドに対して、他の産生宿主よりも請求項21に記載の宿主細胞を使用することを含む、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似物、又は他のフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の産生方法の改良。
  27. 請求項22に記載の単離及び精製されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドに、トランス桂皮酸又はトランス桂皮酸塩とアンモニアを含む組成物を添加する、ことを含むL−フェニルアラニンの産生方法。
  28. 他のフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドを用いるよりも請求項22に記載の単離及び精製されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドを使用することを含む、フェニルアラニン、フェニルアラニン類似物、又は他のフェニルアラニン様構造を有する光学活性非天然アミノ酸の産生方法の改良。
  29. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドを用いる治療が有効な疾病、疾患、又は症状である哺乳類の治療方法であって、請求項20に記載の作成物の前記哺乳類への投与を含む方法。
  30. 前記疾病、疾患、又は症状がフェニルケトン尿症、ガン、ヒト免疫不全性ウイルス感染、及びヒトサイトメガロウイルス感染からなる群より選択される請求項29に記載の方法。
  31. フェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドを用いる治療が有効な疾病、疾患、又は症状である哺乳類の治療方法であって、請求項22に記載のフェニルアラニンアンモニアリアーゼポリペプチドの前記哺乳類への投与を含む方法。
  32. 前記疾病、疾患、又は症状がフェニルケトン尿症、ガン、ヒト免疫不全性ウイルス感染、及びヒトサイトメガロウイルス感染からなる群より選択される請求項31に記載の方法。
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