JP2005511009A - Glyt1トランスポーターの新規変異体及びエクソン - Google Patents
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Abstract
本発明は、ナトリウム及び塩化物に依存するグリシン・トランスポーターI型(GlyT1)の新規のスプライス変異体に対応するポリペプチド配列及びポリヌクレオチド配列に関する。これらのポリペプチド及びポリヌクレオチドは、疾患、例えば統合失調症を含む神経疾患及び精神疾患の治療及び診断において有用である。本発明はまた、これら新規のポリペプチドに対して特異的な抗体、及び、本明細書に記載されたポリヌクレオチド、ポリペプチド又は抗体を含む診断キットを提供する。
Description
発明の分野
本発明は、ナトリウム及び塩化物に依存するグリシン・トランスポーターI型(GlyT1)の新規のエクソン及び新規のスプライス変異体をコードするポリヌクレオチドに関し、また、神経疾患及び精神疾患、例えば統合失調症の治療及び診断におけるこれらの使用に関する。本発明はまた、例えば診断試薬として有用なこれらの新規のポリペプチドに対して特異的な抗体を扱う。
本発明は、ナトリウム及び塩化物に依存するグリシン・トランスポーターI型(GlyT1)の新規のエクソン及び新規のスプライス変異体をコードするポリヌクレオチドに関し、また、神経疾患及び精神疾患、例えば統合失調症の治療及び診断におけるこれらの使用に関する。本発明はまた、例えば診断試薬として有用なこれらの新規のポリペプチドに対して特異的な抗体を扱う。
発明の背景
神経伝達物質トランスポーターは、シナプス伝達の調節において重大な役割を果たす。シナプス前末端及び周囲のグリア細胞上に配置されたこれらのトランスポーターは、シナプスから神経伝達物質を隔離し、これにより神経伝達物質のシナプス濃度を調節し、シナプス伝達の持続時間及び規模に影響を与える。トランスポーターはまた、伝達物質の隣接シナプスへの広がりを防止することにより、シナプス伝達の範囲を制限するのを助ける。神経機能においてこれらのトランスポーターが重要な役割を演じていることを考えると、トランスポーターは、薬理学的調整にとって魅力的なターゲットであり、多数の心理学的・神経学的状態のいずれかを治療する新規の方法を潜在的に提供する。
神経伝達物質トランスポーターは、シナプス伝達の調節において重大な役割を果たす。シナプス前末端及び周囲のグリア細胞上に配置されたこれらのトランスポーターは、シナプスから神経伝達物質を隔離し、これにより神経伝達物質のシナプス濃度を調節し、シナプス伝達の持続時間及び規模に影響を与える。トランスポーターはまた、伝達物質の隣接シナプスへの広がりを防止することにより、シナプス伝達の範囲を制限するのを助ける。神経機能においてこれらのトランスポーターが重要な役割を演じていることを考えると、トランスポーターは、薬理学的調整にとって魅力的なターゲットであり、多数の心理学的・神経学的状態のいずれかを治療する新規の方法を潜在的に提供する。
アミノ酸グリシンは、哺乳動物の中枢神経系及び末梢神経系における抑制性シナプス及び興奮性シナプスの両方で機能する。グリシンの興奮性機能及び抑制性機能は、2つの異なるタイプの受容体によって媒介される。これらの受容体のそれぞれは、異なるタイプのグリシン・トランスポーターと連携する。興奮性シナプスにおいて、グリシンは、N-メチル-D-アスパルテート(NMDA)受容体と呼ばれるグルタミン酸受容体のクラスで、必須コ-アゴニストとして作用する。ニューロンにおけるこれらの受容体の活性化は、ナトリウム及びカルシウムの伝導性を増大させ、これによりニューロンを脱分極して、ニューロンが活動電位を発火させる可能性を高める。
NMDA受容体と併せて興奮性シナプスに関与すると考えられるグリシン・トランスポーターのクラスはGlyT-1である。GlyT-1の少なくとも4つの変異体(GlyT-1a, GlyT-1b, GlyT-1c及びGlyT-1d)が記載されている。GlyT1及びGlyT2の双方は、ナトリウム依存性及び塩化物依存性の神経伝達物質トランスポーターから成るより広範囲な群の構成員である。この群の構成員は、典型的には12の膜貫通ドメインを有している(Olivares他(1997)J.Biol.Chem.272:1211-1217; Uhl, Trends in Neuroscience 15:265-268, 1992; Clark他、BioEssays 15:323-332,1993)。この群の構成員のN末端及びC末端の双方は細胞内にあると考えられている。
NMDA受容体活性は、多数の心理学的及び神経学的な機能、例えば学習及び記憶、及び、統合失調症、痴呆、注意欠陥多動障害、及び種々の神経変性障害を含む多数の疾患及び状態に関係している。従ってGlyT1蛋白質のモジュレーターを使用して、これら及びその他の状態を治療することができる。本発明はこれら及びその他の必要性に対処する。
発明の概要
本発明は、GlyT1グリシン・トランスポーターの8つの新規のスプライス変異体をコードするcDNA配列に対応するポリヌクレオチド及びポリペプチドに関する。この新規のcDNA配列と特異的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチド・プローブ又はプライマーもまた、本発明の一部である。前記プライマー及びプローブを使用したDNA増幅・検出法も同様に本発明の一部である。
本発明は、GlyT1グリシン・トランスポーターの8つの新規のスプライス変異体をコードするcDNA配列に対応するポリヌクレオチド及びポリペプチドに関する。この新規のcDNA配列と特異的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチド・プローブ又はプライマーもまた、本発明の一部である。前記プライマー及びプローブを使用したDNA増幅・検出法も同様に本発明の一部である。
本発明の更なる対象は、本明細書中に記載された核酸配列のうちのいずれかを含む組換えベクター、並びに、これらの核酸配列又は組換えベクターを含む細胞宿主及び形質転換非ヒト動物から成る。
本発明はまた、本発明のポリペプチドのうちのいずれかと相互作用する物質又は分子、或いは、本発明のポリペプチドのうちのいずれかの活性を調整する物質又は分子のスクリーニング方法に関する。
このようなものとして、1つの観点において、本発明は、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示された核酸配列のうちのいずれかの最小12, 25, 50, 100, 250, 500, 1000又はそれ以上のヌクレオチドから成る連続的なスパンに対して最小約70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又は100%の同一性を有する核酸配列、又はこれらの配列のうちのいずれかに対して相補的な配列を含む、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを提供する。別の観点では、本発明は、機能性GlyT1トランスポーターをコードする核酸配列を含む分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示された核酸配列のうちのいずれかと、緊縮条件下又は中度条件下で特異的にハイブリッド形成する、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを提供する。
別の観点において、本発明は、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:14〜21として示された配列のうちのいずれかに対して最小約70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%又はこれ以上の同一性を有する核酸配列を含み、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:2〜9として示された配列のいずれかに対して最小約90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又は100%の同一性を有する配列を含む、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを提供する。
別の観点において、本発明は、グリシン・トランスポーターをコードする分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが、緊縮ハイブリッド形成条件下又は中度ハイブリッド形成条件下で、SEQ ID NO:14〜21として示された配列のうちのいずれかを含む核酸とハイブリッド形成し、前記ポリヌクレオチドがSEQ ID NO:2〜9として示された配列のいずれかを含む、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを提供する。
別の観点において、本発明は、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6, 12, 25, 50, 100, 200, 300, 400, 500又はそれ以上のアミノ酸から成る連続的なスパンに対して最小約70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又はこれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを提供する。1実施態様の場合、ポリペプチドは、SEQ ID NO:26〜33として示されたアミノ酸配列のうちのいずれかを含む。
別の観点において、本発明は、GlyT1ポリペプチドを生成する方法であって、前記方法が: a) プロモーターに作用連関された、SEQ ID NO:26〜33として示されたポリペプチドのうちのいずれか1つをコードする核酸を含む宿主細胞を提供するステップと;b) 前記ポリペプチドの発現を導く条件下で前記宿主細胞を培養するステップと、c) 前記宿主細胞から前記ポリペプチドを分離するステップと、を含む、GlyT1ポリペプチドを生成する方法を提供する。
別の実施態様の場合、ポリヌクレオチドは固形支持体に付着されている。別の実施態様の場合、ポリヌクレオチドはさらに標識を含む。別の実施態様の場合、ポリヌクレオチドがプロモーターに作用連関される。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドのうちのいずれかの生物学的に活性のフラグメントを提供する。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つを含むポリヌクレオチド・アレイを提供する。1実施態様において、アレイはアドレス可能である。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドのうちのいずれかを含む組換えベクターを提供する。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載された組換えベクター又はポリヌクレオチドのうちのいずれかを含む宿主細胞を提供する。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドのうちの少なくとも1つを含むポリヌクレオチド・アレイを提供する。1実施態様において、アレイはアドレス可能である。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドのうちのいずれかを含む組換えベクターを提供する。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載された組換えベクター又はポリヌクレオチドのうちのいずれかを含む宿主細胞を提供する。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載された組換えベクター又はポリヌクレオチドのうちのいずれかを含むヒト以外の宿主動物又は哺乳動物を提供する。
別の観点において、本発明は、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:26〜33として示された配列のうちのいずれかの最小6, 12, 25, 50, 100, 250, 500又はそれ以上のアミノ酸から成る連続的なスパンに対して最小約70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又はこれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドを提供する。1実施態様の場合、ポリペプチドは、SEQ ID NO:26〜33として示された配列のうちのいずれかを含む。
別の観点において、本発明は、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:26〜33として示された配列のうちのいずれかの最小6, 12, 25, 50, 100, 250, 500又はそれ以上のアミノ酸から成る連続的なスパンに対して最小約70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又はこれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドを提供する。1実施態様の場合、ポリペプチドは、SEQ ID NO:26〜33として示された配列のうちのいずれかを含む。
別の観点において、本発明は、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:2〜9又はSEQ ID NO:14〜21として示された核酸配列のうちのいずれかによってコードされたアミノ酸配列を含む、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドを提供する。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載されたポリペプチドのうちのいずれかの生物学的に活性のフラグメントを提供する。
本発明はさらに、本発明のポリペプチドを形成する方法に関する。
別の観点において、本発明は、分離型又は精製型の抗体であって、該抗体が、本明細書中に記載されたポリペプチドのうちのいずれか、例えばSEQ ID NO:2〜9又はSEQ ID NO:14〜21として示された配列のうちのいずれかによってコードされたポリペプチド、又は、SEQ ID NO:26〜33として示されたアミノ酸配列のうちのいずれかを含むポリペプチドのエピトープ含有フラグメントに選択的に結合することができる分離型又は精製型の抗体を提供する。
本発明はさらに、本発明のポリペプチドを形成する方法に関する。
別の観点において、本発明は、分離型又は精製型の抗体であって、該抗体が、本明細書中に記載されたポリペプチドのうちのいずれか、例えばSEQ ID NO:2〜9又はSEQ ID NO:14〜21として示された配列のうちのいずれかによってコードされたポリペプチド、又は、SEQ ID NO:26〜33として示されたアミノ酸配列のうちのいずれかを含むポリペプチドのエピトープ含有フラグメントに選択的に結合することができる分離型又は精製型の抗体を提供する。
別の観点において、本発明は、本明細書中に記載されたポリペプチドのうちのいずれか、例えばSEQ ID NO:2〜9又はSEQ ID NO:14〜21のうちのいずれかによってコードされたポリペプチド、又は、SEQ ID NO:26〜33として示された配列のうちのいずれかを含むポリペプチドに、抗GlyT1抗体を結合する方法であって、前記方法は、前記抗体が前記ポリペプチドに特異的に結合することができる条件下で、前記抗体を前記ポリペプチドと接触させることを含む。
本発明はさらに、トランスジェニック植物又はトランスジェニック動物であって、前記トランスジェニック植物又はトランスジェニック動物が、本発明のポリヌクレオチドに関して形質転換されており、本発明のポリペプチドを発現させるか、或いは、これらの植物又は動物において、本発明のポリヌクレオチドがポリヌクレオチドの不活性変異形、又は変更された特性を有する置換変異形で特異的に破壊又は置換されている、トランスジェニック植物又はトランスジェニック動物に関する。
別の観点において、本発明は、本明細書に記載されたポリヌクレオチド、ポリペプチド又は抗体のうちのいずれかを含む診断キットを提供する。
本発明はまた、例えば生体試料において、本明細書中に記載されたGlyT1変異体のうちのいずれかの発現及び/又は生物学的活性を検出するためのキット、これらの使用、及び方法を提供する。1つのこのような方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、例えばRT-PCRを使用して発現を検定することにより、変異体のいずれかをコードするmRNAを検出することを伴う。別の方法の場合、ノーザンブロット・ハイブリッド形成を用いる。或いは、本明細書中に記載されたポリペプチドのうちのいずれか、例えばGlyT1特異的抗体、好ましくは変異体特異的な抗GlyT1抗体に結合する化合物を使用して、試験試料中の遺伝子発現を検出する方法を達成することもできる。
別の観点において、本発明は、細胞内のGlyT1遺伝子の発現を検出する方法であって、前記方法が:a) 前記細胞又は前記細胞からの抽出物を、i) 本明細書中に記載されたGlyT1ポリヌクレオチドのうちのいずれかと緊縮条件下でハイブリッド形成するポリヌクレオチド、又は、ii) 本明細書中に記載されたGlyT1ポリペプチドのうちのいずれかに特異的に結合する化合物、のいずれかと接触させるステップと、b) 前記ポリヌクレオチドと前記細胞又は抽出物内のRNA種との間のハイブリッド形成の存在又は不存在を検出するか、又は、前記化合物と前記細胞又は抽出物内のタンパク質との結合の存在又は不存在を検出するステップとを含み、前記ハイブリッド形成又は前記結合の存在が検出される場合、このことは、前記GlyT1遺伝子が前記細胞内で発現させられていることを示す、細胞内のGlyT1遺伝子の発現を検出する方法を提供する。
別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチドはオリゴヌクレオチド・プライマーであり、前記ハイブリッド形成は、前記ハイブリッド形成は、前記プライマーの配列を含む増幅生成物の存在を検出することにより検出される。別の実施態様の場合、前記化合物は抗GlyT1抗体である。
別の観点において、本発明は、GlyT1ポリペプチドの候補モジュレーターを同定する方法であって、前記方法が: a) 本明細書中に記載されたGlyT1ポリペプチドを試験化合物と接触させ;そしてb)前記化合物が前記ポリペプチドに特異的に結合するか否かを見極めることを含み、前記化合物が前記ポリペプチドに結合することが検出される場合、このことは、前記化合物が前記GlyT1ポリペプチドの候補モジュレーターであることを示す、GlyT1ポリペプチドの候補モジュレーターを同定する方法を提供する。
1実施態様の場合、この方法はさらに、前記候補モジュレーターの存在において前記GlyT1ポリペプチドの活性を試験することを含み、前記候補モジュレーターの不存在における前記GlyT1ポリペプチドの活性と比較して、前記候補モジュレーターの存在におけるGlyT1ポリペプチドの活性に差が検出される場合、このことは、該候補モジュレーターが前記GlyT1ポリペプチドのモジュレーターであることを示す。
別の観点において、本発明は、GlyT1ポリペプチドのモジュレーターを同定する方法であって、前記方法が: a) 本明細書中に記載されたポリペプチドのうちのいずれかを試験化合物と接触させ;そして、b) 前記化合物の存在及び不存在において前記ポリペプチドの活性を検出することを含み、前記候補化合物の不存在における前記活性と比較して、前記化合物の存在における前記活性に差が検出される場合、このことは、前記化合物が前記GlyT1ポリペプチドのモジュレーターであることを示す、GlyT1ポリペプチドのモジュレーターを同定する方法を提供する。
これらの方法の1実施態様の場合、前記ポリペプチドが細胞又は細胞膜内に存在し、前記活性がグリシン輸送活性を含む。
別の観点において、本発明は製薬組成物の製造方法であって、a) 本明細書中に記載された方法のうちのいずれかを用いてGlyT1ポリペプチドのモジュレーターを同定し、そしてb) 前記モジュレーターを生理学的に許容可能なキャリヤと組み合わせることを含む、製薬組成物の製造方法を提供する。
別の観点において、本発明は製薬組成物の製造方法であって、a) 本明細書中に記載された方法のうちのいずれかを用いてGlyT1ポリペプチドのモジュレーターを同定し、そしてb) 前記モジュレーターを生理学的に許容可能なキャリヤと組み合わせることを含む、製薬組成物の製造方法を提供する。
本発明はまた、ヒト又はヒト以外の動物を同定するための診断方法及び本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用であって、本明細書中に記載された変異体のうちのいずれか1つ又はその組み合わせの発現レベルが上昇又は低下していて、個体が変異体の発現をそれぞれ抑制又は促進するための治療から恩恵を被ると考えられるヒト又はヒト以外の動物を同定するための診断方法及び及び本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用に関する。さらに本発明は、本明細書中に記載された変異形のうちのいずれか1つ又はその組み合わせの発現又は生物学的活性に関連する疾患又は障害を発生させるリスクが増大しているか又は該疾患又は障害を現在有している個体又はヒト以外の動物を同定する方法に関する。
本発明はまた、本発明による変異体のうちのいずれかの活性又は発現を調整(例えば増大又は抑制)する能力に関して、化合物をスクリーニングするためのキット、使用、及び方法に関する。このような化合物の使用もまた本発明の範囲内にある。
本発明はまた、製薬学的又は生理学的に許容可能な組成物であって、活性物質、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体、並びに、典型的には製薬上許容可能なキャリヤを含む組成物に関する。
本発明はまた、製薬学的又は生理学的に許容可能な組成物であって、活性物質、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体、並びに、典型的には製薬上許容可能なキャリヤを含む組成物に関する。
本発明は、任意の障害、好ましくは神経的又は精神的な障害、例えば統合失調症の診断又は治療において、又は、神経的又は精神的な障害、例えば統合失調症を含む任意の障害を治療するための薬剤の調製において、本明細書中に記載されたGlyT1ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、モジュレーター又はキットのうちのいずれかを使用することを提供する。
別の観点において、本発明はコンピュータ可読媒体であって、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示された配列のうちのいずれかの最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパンを含む核酸コードから成る群から選択された配列を保存している、コンピュータ可読媒体を提供する。
別の観点において、本発明はコンピュータ可読媒体であって、SEQ ID NO:26〜33として示されたアミノ酸配列のうちのいずれかの最小6, 8, 10, 12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むポリペプチドコードから成る配列を保存している、コンピュータ可読媒体を提供する。
別の観点において、本発明は、プロセッサ及びデータ・ストレージ・デバイスを含むコンピュータ・システムであって、前記データ・ストレージ・デバイスが、本明細書中に記載されたコンピュータ可読媒体のうちのいずれかを含む、コンピュータ・システムを提供する。
別の観点において、本発明は、プロセッサ及びデータ・ストレージ・デバイスを含むコンピュータ・システムであって、前記データ・ストレージ・デバイスが、本明細書中に記載されたコンピュータ可読媒体のうちのいずれかを含む、コンピュータ・システムを提供する。
1実施態様の場合、コンピュータ・システムはさらに、配列比較子、及び基準配列が保存されているデータ・ストレージ・デバイスを含む。別の実施態様の場合、コンピュータ・システムはさらに、前記配列内の構成要件を同定する識別子を含む。
配列リストに提供された配列の簡単な説明
SEQ ID NO:1は、5'調節領域(上流未転写領域)、エクソン及びイントロン、及び3'調節領域(下流未転写領域)を含む、GlyT1遺伝子のゲノム配列を提供する。
SEQ ID NO:2〜9は、GlyT1遺伝子の新規のエクソンを提供する。
SEQ ID NO:10〜13は、既知のGlyT1変異体(GlyT1a, GlyT1b, GlyT1c, GlyT1d)をコードするDNA配列を提供する。
SEQ ID NO:14〜21は、新規のGlyT1変異体(Genset変異体1〜8)をコードする新規のDNA配列を提供する。
SEQ ID NO:1は、5'調節領域(上流未転写領域)、エクソン及びイントロン、及び3'調節領域(下流未転写領域)を含む、GlyT1遺伝子のゲノム配列を提供する。
SEQ ID NO:2〜9は、GlyT1遺伝子の新規のエクソンを提供する。
SEQ ID NO:10〜13は、既知のGlyT1変異体(GlyT1a, GlyT1b, GlyT1c, GlyT1d)をコードするDNA配列を提供する。
SEQ ID NO:14〜21は、新規のGlyT1変異体(Genset変異体1〜8)をコードする新規のDNA配列を提供する。
SEQ ID NO:22〜25は、既知のGlyT1変異体のタンパク質配列を提供する。
SEQ ID NO:26〜33は、新規のGenset GlyT1変異体のタンパク質配列を提供する。
SEQ ID NO:34及び35は、オリゴヌクレオチドSLC6A9LF及びSLC6A9LRの配列を提供する。これらのオリゴヌクレオチドは、本発明により提供されたGlyT1変異体のクローニングに使用された。
SEQ ID NO:36は、実施例2にさらに記載されている付加的なPU 5'配列を含有するプライマー配列を提供する。
SEQ ID NO:37は、実施例2にさらに記載されている付加的なRP 5'配列を含有するプライマー配列を提供する。
SEQ ID NO:26〜33は、新規のGenset GlyT1変異体のタンパク質配列を提供する。
SEQ ID NO:34及び35は、オリゴヌクレオチドSLC6A9LF及びSLC6A9LRの配列を提供する。これらのオリゴヌクレオチドは、本発明により提供されたGlyT1変異体のクローニングに使用された。
SEQ ID NO:36は、実施例2にさらに記載されている付加的なPU 5'配列を含有するプライマー配列を提供する。
SEQ ID NO:37は、実施例2にさらに記載されている付加的なRP 5'配列を含有するプライマー配列を提供する。
配列リストに関連するモジュレーションに基づいて、下記コードを配列リスト内に使用することにより、配列内の2対立遺伝子マーカーの位置を示し、そして多形性塩基に存在する対立遺伝子のそれぞれを同定した。配列内のコード「r」は、多形性塩基の一方の対立遺伝子がグアニンであり、これに対して他方の対立遺伝子がアデニンであることを示す。配列内のコード「y」は、多形性塩基の一方の対立遺伝子がチミンであり、これに対して他方の対立遺伝子がシトシンであることを示す。配列内のコード「m」は、多形性塩基の一方の対立遺伝子がアデニンであり、これに対して他方の対立遺伝子がシトシンであることを示す。配列内のコード「k」は、多形性塩基の一方の対立遺伝子がグアニンであり、これに対して他方の対立遺伝子がチミンであることを示す。配列内のコード「s」は、多形性塩基の一方の対立遺伝子がグアニンであり、これに対して他方の対立遺伝子がシトシンであることを示す。配列内のコード「w」は、多形性塩基の一方の対立遺伝子がアデニンであり、これに対して他方の対立遺伝子がチミンであることを示す。
幾つかの事例において、2対立遺伝子マーカーの多形性塩基は、コードされたポリペプチド内の1又は2以上のアミノ酸の同一性を変える。これは、VARIANTの構成要件を使用し、多形性アミノ酸の位置にXaaを置き、そしてXaaを2つの代替アミノ酸として定義付けすることによって、添付の配列リストに示される。例えば2対立遺伝子マーカーの一方の対立遺伝子が、ヒスチジンをコードするコドンCACであり、これに対して2対立遺伝子マーカーの他方の対立遺伝子が、グルタミンをコードするCAAである場合、コードされたポリペプチドのための配列リストは、多形性アミノ酸の位置にXaaを含有することになる。この場合、Xaaは、ヒスチジン又はグルタミンとして定義されることになる。
別の事例において、Xaaは、ヌクレオチド配列が曖昧なために未知の同一性を有するアミノ酸を示すことがある。この事例において、特徴UNSUREが使用され、その未知のアミノ酸の位置にXaaが配置され、そしてXaaが20のアミノ酸のうちのいずれかのアミノ酸として、或いは遺伝子コードによって示唆される限定数のアミノ酸として定義付けされる。
詳細な説明
本発明は、GlyT1遺伝子に関連する新規のポリヌクレオチド及びポリペプチドに関する。これらの新規のポリヌクレオチドと特異的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチド・プローブ及びプライマーもまた、本発明の一部である。本発明の更なる対象は、本明細書中に記載された核酸配列のうちのいずれかを含む組換えベクター、並びに、前記核酸配列又は組換えベクターを含む細胞宿主から成る。本発明はまた、本発明のタンパク質の活性を調整する分子をスクリーニングする方法を包含する。本発明はまた、診断試薬として有用な本発明によるポリペプチドに対して特異的な抗体を扱う。
本発明は、GlyT1遺伝子に関連する新規のポリヌクレオチド及びポリペプチドに関する。これらの新規のポリヌクレオチドと特異的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチド・プローブ及びプライマーもまた、本発明の一部である。本発明の更なる対象は、本明細書中に記載された核酸配列のうちのいずれかを含む組換えベクター、並びに、前記核酸配列又は組換えベクターを含む細胞宿主から成る。本発明はまた、本発明のタンパク質の活性を調整する分子をスクリーニングする方法を包含する。本発明はまた、診断試薬として有用な本発明によるポリペプチドに対して特異的な抗体を扱う。
定義
本発明をより詳細に説明する前に、定義を以下に説明し、本発明を本明細書中で説明するために使用される用語の意味及び範囲を定義する。
「GlyT1遺伝子」という用語は、本明細書に使用される場合、ゲノムDNAの未翻訳調節領域を含み、また本明細書中に記載された変異体のうちのいずれかを含む、GlyT1タンパク質をコードするゲノム配列、mRNA配列及びcDNA配列を包含する。
本発明をより詳細に説明する前に、定義を以下に説明し、本発明を本明細書中で説明するために使用される用語の意味及び範囲を定義する。
「GlyT1遺伝子」という用語は、本明細書に使用される場合、ゲノムDNAの未翻訳調節領域を含み、また本明細書中に記載された変異体のうちのいずれかを含む、GlyT1タンパク質をコードするゲノム配列、mRNA配列及びcDNA配列を包含する。
GlyT1「変異体」は、任意のGlyT1ポリヌクレオチド又はポリペプチド、具体的には、1又は2以上のヌクレオチド又はアミノ酸で他のGlyT1配列とは異なるGlyT1ポリペプチド又はポリヌクレオチド、特に、示唆的なmRNAスプライシングの結果として生じる他のGlyT1配列とは異なるGlyT1ポリペプチド又はポリヌクレオチドを意味することができる。最も具体的には、GlyT1変異体は、SEQ ID NO:14〜21及び26〜33として本明細書中に示される新規のGlyT1ポリヌクレオチド又はポリペプチド、及び、これらの同類置換関連体を意味する。
「機能性」グリシン・トランスポーターは、フルレングスGlyT1のようなグリシン・トランスポーターの1又は2以上の検出可能な活性、例えばin vitro及びin vivoアッセイにおいて膜を横切ってグリシンを輸送する能力、またグリシン結合、トランスポーターを発現させる細胞内のニューロン活性化、付加的なリガンドとの相互作用などをも含む活性を有する任意のポリペプチドを意味する。このようなアッセイの例は、「GlyT1活性のモジュレーターの同定方法」の項に見出すことができる。
「分離型(単離された)」という用語は、物質がその元の環境(この物質が自然発生型の場合には自然環境)から取り出されることを必要とする。例えば生きている動物内に存在する自然発生型ポリヌクレオチド又はポリペプチドは分離型ではないが、しかし、自然系内に共存する物質の幾つか又は全てから切り離された同じポリヌクレオチド又はDNA又はポリペプチドは分離型である。このようなポリヌクレオチドはベクターの一部であってよく、且つ/又は、このようなポリヌクレオチド又はポリペプチドは組成物の一部であってよい。さらにこのようなポリヌクレオチド又はポリペプチドは、ベクター又は組成物がその自然環境の部分ではないという点で、やはり分離型であると云える。
例えば生きている動物内に存在する自然発生型(天然)ポリヌクレオチドは分離型でないが、しかし、自然系内で共存する物質のいくつか又は全てから切り離された同じポリヌクレオチドは分離型である。「分離型」の定義から具体的に排除されるのは、自然発生型染色体(例えば染色体スプレッド)、人工的な染色体ライブラリー、ゲノム・ライブラリー及びcDNAライブラリーであって、in vitro核酸調製物として、又はトランスフェクト又は形質転換された宿主細胞調製物として存在し、これらの宿主細胞がin vitro異種調製物であるか、又は単独コロニーの異種個体群として平板培養されるものである。また具体的に排除されるのは、特定のポリヌクレオチドがベクター分子中で5%未満の数の核酸インサートを形成する上記ライブラリである。さらに具体的に排除されるのは、全細胞ゲノムDNA調製物又は全細胞RNA調製物(機械的に剪断されるか又は酵素的に消化された前記全細胞調製物を含む)である。さらに具体的に排除されるのは、in vitro調製物として、又は電気泳動法によって分離された異種混合物(前記混合物のブロット転移を含む)としての上記全細胞調製物であり、本発明のポリヌクレオチドは、電気泳動培地中で異種ポリヌクレオチドから更には分離(例えばアガロースゲル又はナイロン・ブロット中で異種バンド個体群から単一バンドを摘出することによる更なる分離)されていない。
「精製型(された)」という用語は絶対的な純粋性を必要とするものではなく、むしろ相対的な定義として意図されている。出発材料又は天然材料を少なくとも1桁、好ましくは2又は3桁、より好ましくは4又は5桁まで精製することが特に考えられる。例としては、0.1%濃度から10%濃度に精製することは2桁の精製である。例えば、cDNAライブラリから分離された個々のcDNAクローンは、コンベンショナルには電気泳動同質性にまで精製されている。これらのクローンから得られる配列は、ライブラリ又は総ヒトDNAから直接的には得られなかった。cDNAクローンはこのように、自然発生型ではなく、むしろ、部分的に精製された自然発生型物質(メッセンジャーRNA)を操作することを介して得られる。mRNAのcDNAライブラリへの変換は、合成物質(cDNA)の形成を伴い、純粋な個々のcDNAクローンは、クローン選択によって合成ライブラリから分離することができる。こうして、メッセンジャーRNAからcDNAライブラリを形成し、続いてそのライブラリから個々のクローンを分離する結果、天然メッセージのほぼ104〜106倍の精製が得られる。
「精製型」という用語はさらに本明細書において、例えばポリペプチド又はポリヌクレオチド、炭水化物、脂質などを含むその他の化合物から分離されている本発明のポリペプチド又はポリヌクレオチドを記述するのに使用される。「精製型」という用語は、オリゴマー形、例えばホモ二量体、ヘテロ二量体、三量体からの本発明の単量体ポリペプチドの分離を特定するために使用することができる。「精製型」という用語は、線状ポリヌクレオチドからの共有結合閉鎖型ポリヌクレオチドの分離を特定するために使用することもできる。試料の最小約50%、好ましくは60〜75%が単一のポリヌクレオチド配列又はコンフォメーション(線状対共有結合閉鎖型)を示すとき、ポリヌクレオチドは実質的に純粋である。実質的に純粋なポリペプチド又はポリヌクレオチドは典型的には、それぞれポリペプチド又はポリヌクレオチドの試料の約50重量/重量%、好ましくは60〜90重量/重量%、より普通には95%を占め、そして好ましくは約99%を上回る純度である。ポリペプチド及びポリヌクレオチドの純度、又は同質性は、当業者に良く知られた多くの手段、例えば試料のアガロース又はポリアクリルアミド・ゲル電気泳動によって示され、続いてゲルの染色時に単一バンドが視覚化される。或る目的では、HPLC又は当業者に良く知られたその他の手段によって、より高い分離度を提供することができる。別の実施態様として、本発明のポリペプチド及びポリペプチドの精製は、異種ポリペプチド及び異種ポリヌクレオチド(DNA, RNA又はその両方)に対する「最小」純度(%)として表現することができる。好ましい実施態様として、本発明のためのポリペプチド及びポリヌクレオチドは、それぞれ異種ポリペプチド及び異種ポリヌクレオチドに対して最小;10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又は100%の純度である。更なる好ましい実施態様として、ポリペプチド及びポリヌクレオチドは、それぞれ異種ポリペプチド又は異種ポリヌクレオチドに対して、又はキャリヤ中に存在するもの以外のすべての化合物及び分子に対する重量/重量比として、90%〜100%の、任意の数から小数点以下第3位までの範囲の純度(例えば純度最小99.995%のポリペプチド又はポリヌクレオチド)を有する。純度(%)を表す小数点第3位までのそれぞれの数は、個々の種の純度として主張することができる。
「ポリペプチド」という用語は、ポリマーの長さに関係なしに、アミノ酸のポリマーを意味する。従って、ポリペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質がポリペプチドの定義の中に含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾を特定又は排除することはない。例えば、グリコシル基、アセチル基、リン酸基及び脂質基などの共有結合を含むポリペプチドは「ポリペプチド」という用語によって明らかに包含される。また定義の中に含まれるのは、アミノ酸の1又は2以上の類似体(例えば非自然発生型アミノ酸、無関係な生体系内でのみ自然発生するアミノ酸、哺乳動物系由来の修飾アミノ酸など)、置換されたリンケージを有するポリペプチド、並びに、自然発生型及び非自然発生型双方の、当業者に知られたその他の修飾を含有するポリペプチドである。
「組換え型ポリペプチド」という用語は、人工的に設計されているポリペプチドであって、最初の自然環境内では連続ポリペプチド配列としては見出されない2以上のポリペプチド配列を含むものに言及するために使用されるか、又は、組換え型ポリペプチドから、すなわち組換えDNA方法を用いて発現させられているポリペプチドに言及するために使用される。
本明細書中に使用される「非ヒト動物(ヒト以外の動物)」という用語は、任意のヒト以外の脊椎動物、トリ、より普通には哺乳動物、好ましくは霊長類、家畜、例えばブタ、ヤギ、ヒツジ、ロバ及びウマ、ウサギ又は齧歯動物、より好ましくはラット又はマウスを意味する。本明細書中に使用される「動物」という用語は、任意の脊椎動物、好ましくは哺乳動物を意味する。「動物」及び「哺乳動物」という両用語は、「非ヒト(ヒト以外)」という用語が前に付いていない限り、ヒト被験体を明らかに含む。
本明細書中に使用される「抗体」という用語は、ポリペプチド、又は1以上の結合ドメインから成るポリペプチド群を意味する。この結合ドメインにおいて、抗体結合ドメインが抗体分子の可変ドメインの折畳みから形成され、これにより三次元結合空間を形成する。この三次元結合空間は、抗原の抗原決定基の形態に対して相補的な、抗原との免疫反応を可能にする内面形状及び電荷分布を有する。抗体は結合ドメインを含む組換え型タンパク質、並びに、Fab, Fab', F(ab)2及びF(ab')2フラグメントを含むフラグメントを含む。
本明細書中に使用される「抗原決定基」は、抗原分子の部分、この場合にはGlyT1ポリペプチドである。このGlyT1ポリペプチドは、抗原抗体反応の特異性を決定する。「エピトープ」は、ポリペプチドの抗原決定基を意味する。一般にエピトープは、このエピトープに固有の空間的コンフォメーションにおいて3つという少数のアミノ酸を含むことができる。一般には、エピトープは6以上のこのようなアミノ酸を含み、より普通には最小8〜10のこのようなアミノ酸を含む。エピトープを形成するアミノ酸を決定する方法は、x線結晶学、二次元核磁気共鳴、及びエピトープ・マッピング、例えばGeysen他、1984;国際公開第84/03564号パンフレット、及び同第84/03506号パンフレットに記載されたPepscan法を含む。
本明細書全体を通して、「ヌクレオチド配列」という表現は、ポリヌクレオチド又は核酸を無差別に表すために使用することができる。より正確には、「ヌクレオチド」という表現は核物質自体を包含し、ひいては、特定のDNA又はRNA分子を生化学的に特徴付ける配列情報(すなわち4つの塩基文字の中から選ばれた文字の連続)に制限されるものではない。
本明細書に交換可能に使用される「核酸」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、単鎖形又はデュプレックス形の2以上のヌクレオチドから成るRNA、DNA又はRNA/DNAハイブリッド配列を含む。「ヌクレオチド」という用語は、一本鎖形又はデュプレックス形の任意の長さのRNA、DNA又はRNA/DNAハイブリッド配列を含む分子を記述するための形容詞として本明細書中に使用される。「ヌクレオチド」という用語はまた、個々のヌクレオチド又は種々のヌクレオチドに言及するための名詞として本明細書中に使用され、プリン又はピリミジン、リボース又はデオキシロボース糖分、及びリン酸基、又はオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド内のヌクレオチドの場合にはホスホジエステル結合を含む、分子又はより大型の核酸分子内の個々のユニットを意味する。「ヌクレオチド」という用語は、「修飾ヌクレオチド」を包含するように本明細書中に使用される。「修飾ヌクレオチド」は、例えば類似結合基、プリン、ピリミジン、及び糖の1以上の修飾、(a)別の結合基、(b)プリンの類似形、(c)ピリミジンの類似形、又は(d)類似糖を含む。例えば国際公開第95/04064号パンフレットを参照されたい。本発明のポリヌクレオチド配列は、任意の周知の方法、例えば合成、組換え、ex vivo発生、又はこれらの組み合わせ、並びに、当業者に良く知られた任意の精製法を用いることにより調製することができる。
本明細書中に使用される「作用連関(作用可能に連結された)」という用語は、機能的な関係におけるポリヌクレオチド要素の連関を意味する。例えば、プロモータ又はエンハンサーは、コーディング配列の転写に影響を与える場合、コーディング配列に作用連関される。
「形質」及び「表現型」という用語は本明細書中で交換可能に使用され、生物の任意の目視可能、検出可能又はその他の形式で測定可能な特性、例えば疾患の症状又は疾患に対する感受性を意味する。典型的には、「形質」及び「表現型」という用語は、疾患の症状又は疾患に対する感受性、治療に対する有益な応答又は治療に関連する副作用に言及するために、本明細書中に使用される。好ましくは、前記形質の一例としては神経的及び精神的な状態、例えば統合失調症が挙げられる。
「対立遺伝子」という用語は、ヌクレオチド配列の変異体に言及するために本明細書中に使用される。2対立遺伝子多形は2つの形を有する。2倍体生物は、対立遺伝子形に関してホモ接合型又はヘテロ接合型であってよい。
「ヘテロ接合率」という用語は、特定の対立遺伝子においてヘテロ接合型である個体の、個体群における発生率に言及するために本明細書中に使用される。2対立遺伝子系において、ヘテロ接合率は平均で2Pa(1-Pa)に等しい。この式において、Paは最低頻度対立遺伝子の頻度である。遺伝学的な研究において有用なものとするために、遺伝子マーカーが適正レベルのヘテロ接合性を有し、これにより、ランダムに選択された人物がヘテロ接合型となる合理的な見込みが得られるようにすべきである。
明細書中に使用される「遺伝子型」と云う用語は、個体又は試料中に存在する対立遺伝子の同一性を意味する。本発明の関連において、遺伝子型は好ましくは個体又は試料中に存在する2対立遺伝子マーカーの対立遺伝子の記述を意味する。2対立遺伝子マーカーに関して試料又は個体の「遺伝子型を特定する」という用語は、2対立遺伝子マーカーにおいて個体によって担持された特異的対立遺伝子又は特異的ヌクレオチドを決定することを伴う。
明細書中に使用される「突然変異」と云う用語は、相異なるゲノム又は個体の間のDNA配列における1%未満の頻度を有する相違を意味する。
「ハプロタイプ」と云う用語は、個体又は試料中に存在する対立遺伝子の組み合わせを意味する。本発明の関連において、ハプロタイプという用語は、好ましくは、所与の個体中に見出される、表現型と関連し得る2対立遺伝子マーカーの対立遺伝子の組み合わせを意味する。
「ハプロタイプ」と云う用語は、個体又は試料中に存在する対立遺伝子の組み合わせを意味する。本発明の関連において、ハプロタイプという用語は、好ましくは、所与の個体中に見出される、表現型と関連し得る2対立遺伝子マーカーの対立遺伝子の組み合わせを意味する。
明細書中に使用される「多形(多型)」という用語は、異なるゲノム又は個体の間で2又は3以上の別のゲノム配列又は対立遺伝子が発生することを意味する。「多形性」という用語は、特定のゲノム配列の2又は3以上の変異体を個体群内に見出すことができる状態を意味する。「多形性部位」は変異が発生する遺伝子座である。単一のヌクレオチド多形とは、1つのヌクレオチドが多形性部位において別のヌクレオチドによって置換されることである。また、単一ヌクレオチドの削除又は単一ヌクレオチドの挿入によって、単一ヌクレオチド多形が生じる。本発明の関連において、「単一ヌクレオチド多形」は好ましくは単一ヌクレオチド置換を意味する。典型的には、異なる個体間で、多形性部位は2つの異なるヌクレオチドによって占有することができる。
「2対立遺伝子多形」及び「2対立遺伝子マーカー」という用語は、個体中にかなり高い頻度で2つの対立遺伝子を有する単一ヌクレオチド多形に言及するために交換可能に使用される。「2対立遺伝子多形」は、2対立遺伝子マーカー部位に存在するヌクレオチド変異体を意味する。典型的には、本発明の2対立遺伝子マーカーの低頻度対立遺伝子の頻度は、1%を上回ることが実証されており、好ましくは頻度は10%を上回り、より好ましくは頻度は最小20%(すなわちヘテロ接合率は最小0.32)であり、一層好ましくは頻度は最小30%(すなわちヘテロ接合率は最小0.42)である。低頻度対立遺伝子の頻度が30%以上である2対立遺伝子は「高品質2対立遺伝子マーカー」と呼ばれる。
ポリヌクレオチドの中心に対するポリヌクレオチド中のヌクレオチドの位置は、本明細書中では下記のように説明する。ポリヌクレオチドが奇数のヌクレオチドを有する場合、ポリヌクレオチドの3'及び5'末端から等距離のヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの「中心」に位置すると考えられ、中心のヌクレオチドにすぐに隣接する任意のヌクレオチド、又は中心のヌクレオチド自体は、「中心の1ヌクレオチド以内にある」と考えられる。ポリヌクレオチド内のヌクレオチドが奇数である場合、ポリヌクレオチドの中央にある5つのヌクレオチド位置のうちのいずれもが、中心の2ヌクレオチド以内にあると考えられる(以下同様)。ポリヌクレオチドが偶数のヌクレオチドを有する場合、ポリヌクレオチドの中心には結合があり、ヌクレオチドはない。従って、2つの中心ヌクレオチドのいずれもが、「中心の1ヌクレオチド以内」にあると考えられ、ポリヌクレオチド中央に位置する4つのヌクレオチドのいずれも、「中心の2ヌクレオチド以内」にあると考えられる(以下同様)。1又は2以上のヌクレオチドの置換、挿入又は抹消を伴う多形に関して、多形の置換、挿入又は抹消されたポリヌクレオチドとポリヌクレオチドの3'末端との間隔と、多形の置換、挿入又は抹消されたポリヌクレオチドとポリヌクレオチドの5'末端との間隔との差がゼロ又は1ヌクレオチド分である場合には、多形、対立遺伝子又は2対立遺伝子マーカーは、ポリヌクレオチドの「中心に」ある。この差が0〜3である場合、多形は「中心の1ヌクレオチド以内」にあると考えられる。この差が0〜5である場合、多形は「中心の2ヌクレオチド以内」にあると考えられる。この差が0〜7である場合、多形は「中心の3ヌクレオチド以内」にあると考えられる(以下同様)。
「上流」と云う用語は、特定の基準点からポリヌクレオチドの5'末端に向いた位置に言及するために本明細書中で使用され、「下流」は3'方向の位置を意味する。
「塩基対」及び「ワトソン-クリック塩基対」と云う用語は、二重螺旋DNAに見出されるように、配列同一性によって互いに水素結合することができるヌクレオチドに言及するために、本明細書中に交換可能に使用される。このDNAは、2つの水素結合によってアデニン残基にリンクされたチミン残基又はウラシル残基と、3つの水素結合によってリンクされたシトシン残基及びグアニン残基とを有する(Stryer, L., Biochemistry, 第4版、1995)。
「塩基対」及び「ワトソン-クリック塩基対」と云う用語は、二重螺旋DNAに見出されるように、配列同一性によって互いに水素結合することができるヌクレオチドに言及するために、本明細書中に交換可能に使用される。このDNAは、2つの水素結合によってアデニン残基にリンクされたチミン残基又はウラシル残基と、3つの水素結合によってリンクされたシトシン残基及びグアニン残基とを有する(Stryer, L., Biochemistry, 第4版、1995)。
「相補的」又は「その相補形」という用語は、相補的な領域全体にわたって別の特定のポリヌクレオチドと一緒にワトソン-クリック塩基対を形成することができるポリヌクレオチドの配列に言及するために、本明細書中に使用される。本発明の目的上、第1のポリヌクレオチド中の各塩基がその相補塩基と対合されている場合に、第1のポリヌクレオチドが第2ポリヌクレオチドに対して相補的であると判断される。相補塩基は一般に、A及びT(又はA及びU)、又はC及びGである。「相補形」は、「相補ポリヌクレオチド」、「相補核酸」及び「相補ヌクレオチド配列」と同義語として本明細書に使用される。これらの用語は、配列にだけ基づいてポリヌクレオチド対に使用され、2つのポリヌクレオチドが実際に結合することになるような特定の一連の条件には基づいては、使用されない。
変異体及びフラグメント
1-ポリヌクレオチド
本発明はまた、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドの変異体及びフラグメントに関する。
ポリヌクレオチドの変異体という用語は、本明細書中で使用される場合には、基準ポリヌクレオチドとは異なるポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドの変異体は、自然発生型変異体、例えば自然発生型の対立遺伝子変異体であってよく、或いは、自然発生することが知られていない変異体であってよい。このような非自然発生型のポリヌクレオチド変異体は突然変異生成技術によって形成することができる。この技術は、ポリヌクレオチド、細胞又は生物に適用される技術を含む。一般に、基準体及び変異体のヌクレオチド配列が全体的に緊密に類似し、多くの領域で同一であるように、相違が制限される。
1-ポリヌクレオチド
本発明はまた、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドの変異体及びフラグメントに関する。
ポリヌクレオチドの変異体という用語は、本明細書中で使用される場合には、基準ポリヌクレオチドとは異なるポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドの変異体は、自然発生型変異体、例えば自然発生型の対立遺伝子変異体であってよく、或いは、自然発生することが知られていない変異体であってよい。このような非自然発生型のポリヌクレオチド変異体は突然変異生成技術によって形成することができる。この技術は、ポリヌクレオチド、細胞又は生物に適用される技術を含む。一般に、基準体及び変異体のヌクレオチド配列が全体的に緊密に類似し、多くの領域で同一であるように、相違が制限される。
本発明によるポリヌクレオチド変異体の一例としては、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のヌクレオチド配列から成る群から選択されたポリヌクレオチドに対して、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のヌクレオチド配列から成る群から選択されたポリヌクレオチドの12以上の連続的なヌクレオチドから成る任意のポリヌクレオチド・フラグメントに対して最小95%の同一性を有するヌクレオチド配列、及び、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のヌクレオチド配列から成る群から選択されたポリヌクレオチドに対して、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のヌクレオチド配列から成る群から選択されたポリヌクレオチドの12以上の連続的なヌクレオチドから成る任意のポリヌクレオチド・フラグメントに対して好ましくは最小99%、より好ましくは99.5%、最も好ましくは最小99.8%の同一性を有するヌクレオチド配列が挙げられる。
具体的には、本発明は、GlyT1遺伝子内の2対立遺伝子マーカーを含む領域にまたがるポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列を含む。このようなマーカーを同定する方法、及び診断、遺伝子マッピング、関連研究のためのこれらのマーカーの使用、及びその他の応用が当業者によく知られている。
変異ポリヌクレオチドに存在するヌクレオチドの変化はサイレントであってよく、これは、これらの変化がポリヌクレオチドによってコードされたアミノ酸を変化させないことを意味する。しかし、ヌクレオチドの変化はまた、基準配列によってコードされたポリペプチド中のアミノ酸置換、付加、欠失、融合及びトランケーションをもたらす。置換、欠失又は付加は、1又は2以上のヌクレオチドを伴ってよい。変異体は、コーディング領域又は非コーディング領域又はその両方で変化させることができる。コーディング領域における変化は、同類(保存)又は非同類(非保存)アミノ酸置換、欠失又は付加を生み出すことができる。
本発明の関連において、特に好ましい実施態様は、ポリヌクレオチドが、成熟GlyT1タンパク質と同じ生物学的機能又は活性を実質的に維持するポリペプチドをコードする実施態様であるか、或いは、ポリヌクレオチドが、特定の生物学的活性を維持又は増大する一方で第2の生物学的活性を低減するポリペプチドをコードする実施態様である。
ポリヌクレオチド・フラグメントは、所与のヌクレオチド配列、好ましくはGlyT1遺伝子及びその変異体のヌクレオチド配列の一部とは全体的に同じであるが、しかしこの配列の全てとは同じではない配列を有するポリヌクレオチドである。このフラグメントは、GlyT1遺伝子のイントロン又はエクソンの一部であってよい。このフラグメントはまた、GlyT1の調節領域の一部であってもよい。
このようなフラグメントは「独立型」、すなわち、他のポリヌクレオチドの一部ではなく、或いは他のポリヌクレオチドに融合されていなくてよい。或いは、このようなフラグメントは単一の大型ポリヌクレオチド内に構成されていてよい。この大型ポリヌクレオチドから、フラグメントは部分又は領域を形成する。実際に、これらのフラグメントのうちのいくつかは単一大型ポリヌクレオチド内に存在することができる。
任意には、このようなフラグメントは、最小8, 10, 12, 15, 18, 20, 25, 35, 40, 50, 70, 80, 100, 250, 500, 1000のヌクレオチドの長さの連続的なスパンから成るか、又は本質的にこのような連続的なスパンから成っていてよい。
2-ポリペプチド
本発明はまた、本明細書中に記載されたポリペプチドの、突然変異型GlyT1タンパク質を含む変異体、フラグメント、類似体及び誘導体に関する。
変異体は、1) アミノ酸残基のうちの1又は2以上が保存又は非保存アミノ酸残基と置換されており、このような置換型アミノ酸残基が、遺伝コードによってコードされた残基であってもなくてもよい変異体、又は2) アミノ酸残基のうちの1又は2以上が置換基を含む変異体、又は3) 突然変異型GlyT1が別の化合物、例えばポリペプチドの半減期を増大させるための化合物(例えばポリエチレングリコール)と融合された変異体、又は4) 突然変異型GlyT1に付加的なアミノ酸、例えばリーダー又は分泌配列、又は突然変異型GlyT1の精製のために採用される配列又はプレタンパク質配列が融合されている変異体、であってよい。このような変異体は当業者の知識の範囲にあると判断される。
本発明はまた、本明細書中に記載されたポリペプチドの、突然変異型GlyT1タンパク質を含む変異体、フラグメント、類似体及び誘導体に関する。
変異体は、1) アミノ酸残基のうちの1又は2以上が保存又は非保存アミノ酸残基と置換されており、このような置換型アミノ酸残基が、遺伝コードによってコードされた残基であってもなくてもよい変異体、又は2) アミノ酸残基のうちの1又は2以上が置換基を含む変異体、又は3) 突然変異型GlyT1が別の化合物、例えばポリペプチドの半減期を増大させるための化合物(例えばポリエチレングリコール)と融合された変異体、又は4) 突然変異型GlyT1に付加的なアミノ酸、例えばリーダー又は分泌配列、又は突然変異型GlyT1の精製のために採用される配列又はプレタンパク質配列が融合されている変異体、であってよい。このような変異体は当業者の知識の範囲にあると判断される。
ポリペプチド・フラグメントは、所与のヌクレオチド配列、好ましくはGlyT1遺伝子によってコードされたポリペプチド配列の一部とは全体的に同じであるが、しかしこの配列の全てとは同じではない配列を有するポリヌクレオチドである。
本発明によるポリペプチドのアミノ酸配列内のアミノ酸置換の場合、1つ又はいくつかのアミノ酸を「等価」のアミノ酸によって置換することができる。「等価」アミノ酸という表現は、同様の特性を有するアミノ酸のうちの1つを置換することができる任意のアミノ酸であって、ペプチド化学分野における当業者が、ポリペプチドの二次構造及び水感応性の性質が実質的に変わらないことを期待するようなアミノ酸、を表すのに使用することができる。一般に、アミノ酸の下記の基は等価の変化を示す:(1) Ala, Pro, Gly, Glu, Asp, Gln, Asn, Ser, Thr;(2) Cys, Ser, Tyr, Thr;(3) Val Ile, Leu, Met, Ala, Phe; (4)Lys, Arg, His;(5)Phe, Tyr, Trp, His。
本発明による当該修飾GlyT1ペプチド分子の具体的な実施態様の一例としては、タンパク質分解に対して耐性のペプチド分子、-CONH-ペプチド結合が(CH2NH)還元結合、(NHCO)レトロ・インバーソ結合、(CH2-O)メチレン-オキソ結合、(CH2-S)チオメチレン結合、(CH2CH2)カルバ結合、(CO-CH2)セトメチレン結合、(CHOH-CH2)ヒドロキシエチレン結合、(N-N)結合、E-アルセン結合又は-CH=CH-結合によって修飾され置換されているペプチドが挙げられる。本発明はまた、1以上のペプチド結合が上述のように修飾されているヒトGlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体を包含する。
このようなフラグメントは「独立型」、すなわち、他のポリヌクレオチドの一部ではなく、或いは他のポリペプチドに融合されていなくてよい。或いは、このようなフラグメントは単一の大型ポリペプチド内に構成されていてよい。この大型ポリペプチドから、フラグメントは部分又は領域を形成する。しかし、いくつかのフラグメントは単一大型ポリペプチド内に構成されていてよい。
本発明のポリペプチド・フラグメントの代表例として、5, 6, 7, 8, 9又は10〜15, 10〜20, 15〜40, 30〜55アミノ酸長を有するポリペプチド・フラグメントを挙げることができる。1実施態様の場合、フラグメントはGlyT1タンパク質中に少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含有する。
核酸間又はポリペプチド間の同一性
「配列同一性百分率」及び「相同性百分率」という用語は、ポリヌクレオチド間及びポリペプチド間の比較に言及するために本明細書中に使用され、比較窓全体にわたって、最適にアラインメントされた2つの配列を比較することによって、決定される。比較窓におけるポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのための(付加又は抹消を含まない)基準配列と比較して、付加又は抹消(欠失)(すなわちギャップ)を含むことができる。この百分率は、同一の核酸塩基又は核酸残基が両配列内に発生する位置の数を測定することにより、マッチングされた位置の数を出し、マッチングされた位置の数を比較窓内の位置の総数で割算し、そしてその結果に100を掛けることにより、配列同一性百分率を出すことによって計算される。相同性は、当業者に知られている種々の配列比較アルゴリズム及びプログラムのうちのいずれかを使用して評価される。このようなアルゴリズム及びプログラムの一例としては、TBLASTN, BLASTP, FASTA, TFASTA及びCLUSTALW(Pearson及びLipman, 1988; Altschul他、1990; Thompson他、1994; Higgins他、1996; Altschul他、1990; Altschul他、1993)が挙げられる。特に好ましい実施態様の場合、タンパク質配列及び核酸配列の相同性は、当業者に良く知られたBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)を用いて評価される(例えばKarlin及びAltshul, 1990; Altshul, 1990, 1993, 1997参照)。具体的には下記のタスクを実行するために、5つの特定のBLASTプログラムが使用される:
「配列同一性百分率」及び「相同性百分率」という用語は、ポリヌクレオチド間及びポリペプチド間の比較に言及するために本明細書中に使用され、比較窓全体にわたって、最適にアラインメントされた2つの配列を比較することによって、決定される。比較窓におけるポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのための(付加又は抹消を含まない)基準配列と比較して、付加又は抹消(欠失)(すなわちギャップ)を含むことができる。この百分率は、同一の核酸塩基又は核酸残基が両配列内に発生する位置の数を測定することにより、マッチングされた位置の数を出し、マッチングされた位置の数を比較窓内の位置の総数で割算し、そしてその結果に100を掛けることにより、配列同一性百分率を出すことによって計算される。相同性は、当業者に知られている種々の配列比較アルゴリズム及びプログラムのうちのいずれかを使用して評価される。このようなアルゴリズム及びプログラムの一例としては、TBLASTN, BLASTP, FASTA, TFASTA及びCLUSTALW(Pearson及びLipman, 1988; Altschul他、1990; Thompson他、1994; Higgins他、1996; Altschul他、1990; Altschul他、1993)が挙げられる。特に好ましい実施態様の場合、タンパク質配列及び核酸配列の相同性は、当業者に良く知られたBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)を用いて評価される(例えばKarlin及びAltshul, 1990; Altshul, 1990, 1993, 1997参照)。具体的には下記のタスクを実行するために、5つの特定のBLASTプログラムが使用される:
(1)BLASTP及びBLAST3は、アミノ酸クエリー配列を、タンパク質配列データベースと比較し;
(2)BLASTNは、ヌクレオチド・クエリー配列を、ヌクレオチド配列データベースと比較し;
(2)BLASTNは、ヌクレオチド・クエリー配列を、ヌクレオチド配列データベースと比較し;
(3)BLASTXは、クエリー・ヌクレオチド配列(両ストランド)の6フレーム概念的翻訳生成物を、タンパク質配列データベースと比較し;
(4)BLASTNは、クエリー・タンパク質配列を、6つの全てのリーディング・フレームにおいて翻訳されたヌクレオチド配列データベース(両ストランド)と比較し;
(5)TBLASTXは、ヌクレオチド・クエリー配列の6フレーム翻訳を、ヌクレオチド配列データベースの6フレーム翻訳と比較する。
(4)BLASTNは、クエリー・タンパク質配列を、6つの全てのリーディング・フレームにおいて翻訳されたヌクレオチド配列データベース(両ストランド)と比較し;
(5)TBLASTXは、ヌクレオチド・クエリー配列の6フレーム翻訳を、ヌクレオチド配列データベースの6フレーム翻訳と比較する。
BLASTプログラムは、類似セグメントを同定することにより、相同配列を同定する。これらの類似セグメントは、クエリー・アミノ酸配列又はクエリー核酸配列と、好ましくはタンパク質又は核酸の配列データベースから得られる試験配列との間の「高スコアリング・セグメント対」と呼ばれる。高スコアリング・セグメント対は好ましくは、スコアリング・マトリックスによって同定(すなわちアラインメント)される。このスコアリング・マトリックスの多くは当業者に知られている。好ましくは、使用されるスコアリング・マトリックスはBLOSUM62マトリックス(Gonnet他、1992;Henikoff及びHenikoff, 1993)である。余り好ましくはないが、PAM又はPAM250マトリックスを使用することもできる(例えばSchwartz及びDayhoff編、1978参照)。BLASTプログラムは、同定された全ての高スコアリング・セグメント対の統計的有意性を評価し、好ましくは、ユーザ指定された有意性閾値、例えばユーザ指定された相同性百分率を満たすセグメントを選択する。好ましくは、高スコアリング・セグメント対の統計的有意性は、Karlinの統計的有意性を求める式を使用して評価される(例えばKarlin及びAltschul, 1990参照)。
BLASTプログラムは、デフォルト・パラメータ又はユーザによって提供された修正パラメータと共に使用することができる。
緊縮ハイブリッド形成条件(ストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件)
本発明によるこのようなハイブリッド形成用の核酸を定義することを目的とした場合、緊縮ハイブリッド形成条件は下記の通りである:
ハイブリッド形成ステップは、6 x SSC緩衝液、5 x デンハート溶液、0.5% SDS及び100μg/mlのサケ精子DNAの存在において65℃で実現される。
緊縮ハイブリッド形成条件(ストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件)
本発明によるこのようなハイブリッド形成用の核酸を定義することを目的とした場合、緊縮ハイブリッド形成条件は下記の通りである:
ハイブリッド形成ステップは、6 x SSC緩衝液、5 x デンハート溶液、0.5% SDS及び100μg/mlのサケ精子DNAの存在において65℃で実現される。
ハイブリッド形成ステップに続いて、下記4つの洗浄ステップ:
好ましくは2 x SSC及び0.1%SDS緩衝液中65℃で、5分間にわたる2回の洗浄ステップ;
好ましくは2 x SSC及び0.1%SDS緩衝液中65℃で、30分間にわたる1回の洗浄ステップ;
好ましくは0.1 x SSC及び0.1%SDS緩衝液中65℃で、10分間にわたる1回の洗浄ステップ
が行われる。これらのハイブリッド形成条件は、約20ヌクレオチド長の核酸分子に好適である。云うまでもなく、上述のハイブリッド形成条件は、当業者に良く知られている技術に基づいて、所望の核酸の長さに従って適合させるべきである。好適なハイブリッド形成条件は、Hames及びHiggins(1985)の著作に開示された教示内容に基づいて適合されていてよい。
好ましくは2 x SSC及び0.1%SDS緩衝液中65℃で、5分間にわたる2回の洗浄ステップ;
好ましくは2 x SSC及び0.1%SDS緩衝液中65℃で、30分間にわたる1回の洗浄ステップ;
好ましくは0.1 x SSC及び0.1%SDS緩衝液中65℃で、10分間にわたる1回の洗浄ステップ
が行われる。これらのハイブリッド形成条件は、約20ヌクレオチド長の核酸分子に好適である。云うまでもなく、上述のハイブリッド形成条件は、当業者に良く知られている技術に基づいて、所望の核酸の長さに従って適合させるべきである。好適なハイブリッド形成条件は、Hames及びHiggins(1985)の著作に開示された教示内容に基づいて適合されていてよい。
GlyT1 cDNA配列
GlyT1遺伝子の発現は、多数の明確なmRNA種、SEQ ID NO:14〜21として示される8つの新規の核酸配列の生成を導くことが判っている。
本発明の別の対象は、精製型、分離型又は組換え型の核酸であって、SEQ ID NO:14〜21のヌクレオチド配列、これらに対して相補的な配列、並びにその対立遺伝子変異体及びフラグメントを含む核酸である。さらに、本発明の好ましいポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 2〜9配列から成るか、本質的にSEQ ID NO: 2〜9配列から成るか、又はSEQ ID NO: 2〜9配列を含む精製型、分離型又は組換え型のGlyT1 cDNAを含む。本発明の特に好ましい核酸は、精製型、分離型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21又はこれらの相補形の最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパンを含む分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを含む。
GlyT1遺伝子の発現は、多数の明確なmRNA種、SEQ ID NO:14〜21として示される8つの新規の核酸配列の生成を導くことが判っている。
本発明の別の対象は、精製型、分離型又は組換え型の核酸であって、SEQ ID NO:14〜21のヌクレオチド配列、これらに対して相補的な配列、並びにその対立遺伝子変異体及びフラグメントを含む核酸である。さらに、本発明の好ましいポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 2〜9配列から成るか、本質的にSEQ ID NO: 2〜9配列から成るか、又はSEQ ID NO: 2〜9配列を含む精製型、分離型又は組換え型のGlyT1 cDNAを含む。本発明の特に好ましい核酸は、精製型、分離型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21又はこれらの相補形の最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパンを含む分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを含む。
本発明はまた、精製型又は分離型の核酸であって、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のポリヌクレオチドと最小95%のヌクレオチド同一性を有するポリヌクレオチド、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のポリヌクレオチド、又はこれらに対して相補的な配列又はこれらの生物学的に活性なフラグメントと有利には99%のヌクレオチド同一性、好ましくは99.5%のヌクレオチド同一性、最も好ましくは99.8%のヌクレオチド同一性を有するポリヌクレオチドを含む精製型又は分離型の核酸に関する。
本発明の別の対象は、精製型、分離型又は組換え型の核酸であって、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21の配列、又はこれらに対して相補的な配列、又はこれらの変異体、又はこれらの生物的に活性なフラグメントを含むポリヌクレオチドと、本明細書中に定義された緊縮ハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成するポリヌクレオチドを含む、精製型、分離型又は組換え型の核酸に関する。
本発明の新規のcDNAは、既に同定されているエクソン、並びに新規のエクソンの新規の組み合わせを含む。例えば、表Iは、既に同定されている変異体GlyT1a- GlyT1d並びに本発明により提供される新規の変異体中に存在するエクソンのリストを提供する。SEQ ID NO:1は、GlyT1遺伝子のゲノムDNA配列を提供し、本明細書中で言及されたエクソンのそれぞれの位置を示す。新規の変異体のエクソン構造は図1にも示される。
SEQ ID NO:14(Genset変異体1)のcDNAは、位置1のヌクレオチドから始まり位置234のヌクレオチドで終わる5'-UTR領域と、ヌクレオチド位置235〜789にまたがるオープン・リーディング・フレームと、位置790のヌクレオチドから始まり位置2265のヌクレオチドで終わる3'-UTR領域とを含む。このcDNAによってコードされたタンパク質は、184個のアミノ酸を含み、SEQ ID NO:26として示されている。
SEQ ID NO:15(Genset変異体2)のcDNAは、位置1のヌクレオチドから始まり位置234のヌクレオチドで終わる5'-UTR領域と、ヌクレオチド位置235〜612にまたがるオープン・リーディング・フレームと、位置613のヌクレオチドから始まり位置2088のヌクレオチドで終わる3'-UTR領域とを含む。このcDNAによってコードされたタンパク質は、125個のアミノ酸を含み、SEQ ID NO:27として示されている。
SEQ ID NO:16(Genset変異体3)のcDNAは、位置1のヌクレオチドから始まり位置234のヌクレオチドで終わる5'-UTR領域と、ヌクレオチド位置235〜429にまたがるオープン・リーディング・フレームと、位置430のヌクレオチドから始まり位置2014のヌクレオチドで終わる3'-UTR領域とを含む。このcDNAによってコードされたタンパク質は、64個のアミノ酸を含み、SEQ ID NO:28として示されている。
SEQ ID NO:17(Genset変異体4)のcDNAは、位置1のヌクレオチドから始まり位置234のヌクレオチドで終わる5'-UTR領域と、ヌクレオチド位置235〜924にまたがるオープン・リーディング・フレームと、位置925のヌクレオチドから始まり位置2242のヌクレオチドで終わる3'-UTR領域とを含む。このcDNAによってコードされたタンパク質は、229個のアミノ酸を含み、SEQ ID NO:29として示されている。
SEQ ID NO:18(Genset変異体5)のcDNAは、位置1のヌクレオチドから始まり位置234のヌクレオチドで終わる5'-UTR領域と、ヌクレオチド位置235〜519にまたがるオープン・リーディング・フレームと、位置520のヌクレオチドから始まり位置2322のヌクレオチドで終わる3'-UTR領域とを含む。このcDNAによってコードされたタンパク質は、94個のアミノ酸を含み、SEQ ID NO:30として示されている。
SEQ ID NO:19(Genset変異体6)のcDNAは、位置1のヌクレオチドから始まり位置234のヌクレオチドで終わる5'-UTR領域と、ヌクレオチド位置235〜1605にまたがるオープン・リーディング・フレームと、位置1606のヌクレオチドから始まり位置2167のヌクレオチドで終わる3'-UTR領域とを含む。このcDNAによってコードされたタンパク質は、456個のアミノ酸を含み、SEQ ID NO:31として示されている。
SEQ ID NO:20(Genset変異体7)のcDNAは、位置1のヌクレオチドから始まり位置234のヌクレオチドで終わる5'-UTR領域と、ヌクレオチド位置235〜1887にまたがるオープン・リーディング・フレームと、位置1888のヌクレオチドから始まり位置2371のヌクレオチドで終わる3'-UTR領域とを含む。このcDNAによってコードされたタンパク質は、550個のアミノ酸を含み、SEQ ID NO:32として示されている。
SEQ ID NO:21(Genset変異体8)のcDNAは、位置1のヌクレオチドから始まり位置234のヌクレオチドで終わる5'-UTR領域と、ヌクレオチド位置235〜801にまたがるオープン・リーディング・フレームと、位置802のヌクレオチドから始まり位置2277のヌクレオチドで終わる3'-UTR領域とを含む。このcDNAによってコードされたタンパク質は、188個のアミノ酸を含み、SEQ ID NO:33として示されている。
従って本発明は、精製型、分離型及び/又は組換え型の核酸であって、本明細書中に提供されたGlyT1 cDNAのいずれかの5'UTRのヌクレオチド配列、これらに対して相補的な配列、又はこれらの対立遺伝子変異体を含む、精製型、分離型及び/又は組換え型の核酸に関する。本発明はまた、精製型、分離型及び/又は組換え型の核酸であって、本明細書中に提供されたGlyT1 cDNAのいずれかの3'UTRのヌクレオチド配列、これらに対して相補的な配列、又はこれらの対立遺伝子変異体を含む、精製型、分離型及び/又は組換え型の核酸に関する。
この項の題名は「GlyT1 cDNA配列」であるが、念のために述べれば、任意のサイズ及び配列の核酸フラグメントを、この項に記載されたポリヌクレオチドによって構成することもでき、GlyT1のゲノム配列をこのような2又は3以上のゲノム配列の両側又はこれらの配列の間にフランキングすることができる。
コーディング領域
本明細書中に提供された新規GlyT1 cDNAのオープン・リーディング・フレームは、前項で概要を述べたように、SEQ ID NO:14〜21の対応mRNA中に含有されている。本発明はまた、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6つのアミノ酸、好ましくは最小8又は10個のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50, 100, 200又はこれ以上のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むポリペプチドをコードする、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを実現する。
本明細書中に提供された新規GlyT1 cDNAのオープン・リーディング・フレームは、前項で概要を述べたように、SEQ ID NO:14〜21の対応mRNA中に含有されている。本発明はまた、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6つのアミノ酸、好ましくは最小8又は10個のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50, 100, 200又はこれ以上のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むポリペプチドをコードする、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを実現する。
本発明の新規のGlyT1 cDNAのうちのいくつかは新規のエクソンを含む。これらのエクソンはSEQ ID NO:2〜9として示される。従って本発明はまた、精製型、分離型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、これらのポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:2〜9のヌクレオチド配列、これらに対して相補的な配列、並びにこれらの対立遺伝子変異体及びフラグメントを含む。本発明の特に好ましい核酸は、分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドであって、SEQ ID NO:2〜9、これらの相補形の最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 300又はこれ以上のヌクレオチドから成る連続的なスパンを含むポリヌクレオチド、又は、SEQ ID NO:2〜9として示された配列のいずれかと最小約70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又はこれ以上の同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、を含む。好ましい実施態様の場合、本発明はSEQ ID NO:14〜21として示された配列のうちのいずれかと最小約70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又はこれ以上の同一性を有する核酸配列、又はSEQ ID NO:14〜21として示された配列のうちのいずれかと、緊縮又は中度条件下でハイブリッド形成する核酸配列を提供する。この核酸配列は、SEQ ID NO:2〜9として示された配列のうちのいずれかを含む。
GlyT1遺伝子のコーディング配列を含有する上記に開示されたポリヌクレオチドのうちのいずれかを、このポリヌクレオチドが好適な発現シグナルの制御下にある場合には、所望の宿主細胞又は所望の宿主生物中に発現させることができる。発現シグナルは、本発明のGlyT1遺伝子中の調節領域内に含有される発現シグナルであってよく、或いはこれとは異なり、シグナルは外生的な調節核酸配列であってよい。このようなポリヌクレオチドは、好適な発現シグナルのもとにある場合には、その発現及び/又は増幅のためのベクター内に挿入されてもよい。
GlyT1の調節配列
上述のように、GlyT1遺伝子のゲノム配列は、非コーディング5'-フランキング領域及び非コーディング3'-フランキング領域の両方に、調節配列を含有する。これらの領域は、種々のcDNAのエクソンを含有するコーディング領域と境を接する。新規のGlyT1 cDNAのこれらの5'-調節配列の位置は、「GlyT1 cDNA配列」(前出)と題された項に記載されている。
上述のように、GlyT1遺伝子のゲノム配列は、非コーディング5'-フランキング領域及び非コーディング3'-フランキング領域の両方に、調節配列を含有する。これらの領域は、種々のcDNAのエクソンを含有するコーディング領域と境を接する。新規のGlyT1 cDNAのこれらの5'-調節配列の位置は、「GlyT1 cDNA配列」(前出)と題された項に記載されている。
例えば、検出可能なマーカー遺伝子(すなわちベータ・ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコール・アセチル・トランスフェラーゼなど)(例えばSambrook他(1989))を担持する組換えベクター中に候補配列を挿入することにより、本明細書中に記載された新規のcDNA(例えば5'UTR又は3'UTR)のうちのいずれかの生物学的に活性のポリヌクレオチド・フラグメント又は変異体を検出することができる。
特に、SEQ ID NO:1又は14〜21のヌクレオチド配列又はこれらのフラグメントのうちのいずれかの少なくともコピーを試験試料中で検出する上で、これらの5'及び3'調節領域のうちのいずれかに由来するポリヌクレオチドが有用である。GlyT1コーディング領域の5'末端及び3'末端に配置された調節要素を担持するポリヌクレオチドを使用することにより、当該異種ポリヌクレオチドの転写活性及び翻訳活性を制御することもできる。加えて、GlyT1遺伝子の調節領域に由来するポリヌクレオチドを使用して、同種のゲノム又は異種のゲノム中の他の場所にあるGlyT1遺伝子又は関連遺伝子を同定することができる。
このように、本発明はまた精製型又は分離型の核酸であって、5'及び3'調節領域、これらに対して相補的な配列、及び生物学的に活性のこれらのフラグメント又は変異体から成る群から選択されたポリヌクレオチドを含む、精製型又は分離型の核酸に関する。
本発明はまた、精製型又は分離型の核酸であって、5'及び3'調節領域から成る群から選択されたポリヌクレオチドと最小95%ヌクレオチド同一性を有するポリヌクレオチドを含み、有利には、5'及び3'調節領域、これらに対して相補的な配列、これらの変異体及び生物学的に活性のこれらのフラグメントから成る群から選択されたポリヌクレオチドと、有利には99%のヌクレオチド同一性、好ましくは99.5%のヌクレオチド同一性、最も好ましくは99.8%のヌクレオチド同一性を有するポリヌクレオチドを含む、精製型又は分離型の核酸に関する。
本発明の別の対象は、精製型、分離型又は組換え型の核酸であって、本明細書中で定義された緊縮ハイブリッド形成条件下で、5'及び3'調節領域のヌクレオチド配列、これらに対して相補的な配列、これらの変異体及び生物学的に活性のこれらのフラグメントから成る群から選択されたポリヌクレオチドとハイブリッド形成するポリヌクレオチドを含む、核酸から成る。
5'調節領域の好ましいフラグメントは、約1500又は1000のヌクレオチド、好ましくは約500のヌクレオチド、より好ましくは約400のヌクレオチド、さらにより好ましくは300のヌクレオチド、及び最も好ましくは約200個のヌクレオチドの長さを有する。
3'調節領域の好ましいフラグメントは最小50, 100, 150, 200, 300又は400の塩基の長さである。
SEQ ID NO:14〜21の「生物学的に活性」の調節ポリヌクレオチド誘導体は、組換え細胞宿主内に組換えポリペプチド又は組換えポリヌクレオチドを発現させるための調節領域として機能を発揮する前記ポリヌクレオチドのフラグメントを含むか、或いはこのフラグメントから成るポリヌクレオチドである。このフラグメントは、転写又は翻訳のエンハンサー又はリプレッサーとして役立つこともできる。本発明の目的では、前記調節ポリヌクレオチドが、転写又は翻訳の調節情報を含有するヌクレオチド配列を含有する場合に、核酸又はポリヌクレオチドが、組換えポリペプチド又は組換えポリヌクレオチドを発現させるための調節領域として「機能を発揮」する。このような配列は次いで、所望のポリペプチド又は所望のポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列に「作用(可能に連結)連関」させることができる。
本発明の調節ポリヌクレオチドは、例えばSambrook他(1989)において記載されているように、好適な制限酵素を使用して開裂することにより、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO: 14〜21のうちのいずれかのヌクレオチド配列から調製することができる。調節ポリヌクレオチドは、エクソヌクレアーゼ酵素、例えばBal31(Wabiko他、1986)によってSEQ ID NO:1又はSEQ ID NO: 14〜21のうちのいずれかを消化することにより、調製することもできる。これらの調節ポリヌクレオチドは、本明細書の他の箇所で記載したように、核酸化学合成により調製することもできる。
本発明の調節ポリヌクレオチドは、組換え発現ベクターの一部であってよい。この組換え発現ベクターは、所望の宿主細胞又は宿主生物内にコーディング配列を発現させるのに使用することができる。本発明による組換え発現ベクターは、本明細書の他の箇所に記載されている。
上述のポリヌクレオチド、例えばRNA分子によってコードされた所望の核酸は、所望のコーディング・ポリヌクレオチドに対して、例えばGlyT1コーディング配列に対して相補的であってよく、従ってアンチセンス・ポリヌクレオチドとして有用である。
このようなポリヌクレオチドは、宿主細胞又は宿主組織内に所望のポリペプチド又は所望の核酸を発現させるために、組換え発現ベクター内に含まれてよい。本明細書中に記載されているようなポリヌクレオチドを含有する好適な組換えベクターは、本明細書の他の箇所に開示されている。
このようなポリヌクレオチドは、宿主細胞又は宿主組織内に所望のポリペプチド又は所望の核酸を発現させるために、組換え発現ベクター内に含まれてよい。本明細書中に記載されているようなポリヌクレオチドを含有する好適な組換えベクターは、本明細書の他の箇所に開示されている。
ポリヌクレオチド構造
「ポリヌクレオチド構造」及び「組換えポリヌクレオチド」という用語は、最初の自然環境内では連続的なヌクレオチド配列として見出されない2以上のヌクレオチド配列を含む、人工的に設計された線状又は環状の精製型又は分離型ポリヌクレオチドに言及するために、交換可能に使用される。
「ポリヌクレオチド構造」及び「組換えポリヌクレオチド」という用語は、最初の自然環境内では連続的なヌクレオチド配列として見出されない2以上のヌクレオチド配列を含む、人工的に設計された線状又は環状の精製型又は分離型ポリヌクレオチドに言及するために、交換可能に使用される。
細胞レベル及び多細胞生物レベルの両方でGlyT1タンパク質の合成が欠如することの生理学的且つ表現型の結果を研究するために、本発明はまた、GlyT1ゲノム配列又は変異体、これらの誘導体又はフラグメントによってコードされる特異的cDNAの条件付き発現を可能にするDNA構造及び組換えベクターを包含する。
本発明は、本明細書に記載されたポリヌクレオチドのうちのいずれか1つを含む組換えベクターを具体化する。好ましくは、本発明によるポリヌクレオチド構造は、「GlyT1 cDNA配列」項、「コーディング領域」項、及び「オリゴヌクレオチド・プローブ及びプライマー」項に記載されたポリヌクレオチドのうちのいずれかを含む。
1つの好ましいDNA構造は、Gossen他(1992,1995)及びFurth他(1994)によって記載されているような、GlyT1遺伝子発現を制御するためのE.coliトランスポゾンTn 10に由来するテトラサイクリン耐性オペロンtetに基づく。このようなDNA構造は、最小プロモーター及び/又はGlyT1遺伝子の5'-調節配列に融合されたTn10(tetop)に由来する7個のtetオペレーター配列を含有する。前記最小プロモーター又は前記GlyT1調節配列は、センス又はアンチセンス・オリゴヌクレオチドをコードするか、又は、GlyT1ポリペプチド(好ましくは本明細書中に提供される新規のGlyT1ポリペプチド)又はこのペプチド・フラグメントを含むポリペプチドをコードする当該ポリヌクレオチドに作用連関される。同じ細胞が野生型(tTA)又は突然変異型(rTA)リプセッサーをコードするヌクレオチド配列を含み、このリプレッサーがプロモーター、例えばHCMVIE1エンハンサー/プロモータ又はMMTV-LTRの制御下にある、ヘルペス単純ウィルスのウィルスタンパク質VP16の活性化ドメインに融合されている場合には、このDNA構造は、当該ヌクレオチド配列の条件付き発現系として機能を発揮する。実際、本発明の好ましいDNA構造は、tetオペレーター配列を含有するポリヌクレオチド、及び、tTA又はrTAリプレッサーをコードする配列を含有するポリヌクレオチドの両方を含む。
本発明のDNA構造を使用して、本発明の所望のヌクレオチド配列、好ましくは新規のGlyT1 cDNA配列の所望のヌクレオチド配列を、標的ゲノムの所定の位置に導入し、標的遺伝子の変更コピーを発生させ(ノックアウト相同組換え)、又は、標的遺伝子のコピーを、相同組換え事象が発生するのを可能にするのに十分に相同の別のコピーによって置換させる(ノックイン相同組換え)ことができる。
核アンチセンスDNA構造
本発明のベクターを含有するその他の組成物は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として核酸配列のうちのいずれのオリゴヌクレオチド・フラグメント、好ましくは、本発明の新規のGlyT1 cDNAのうちのいずれかの開始コドンを含むフラグメントを、対応GlyT1 cDNAの発現を阻害するアンチセンス・ツールとして含む。本発明によるアンチセンス・ポリヌクレオチドを使用する好ましい方法は、Sczakiel他(1995)によって記載された手順、又は、国際公開第95/24223号パンフレットに記載された手順である。これらの文献の開示内容の全体を参考のため、本明細書中に引用する。
本発明のベクターを含有するその他の組成物は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として核酸配列のうちのいずれのオリゴヌクレオチド・フラグメント、好ましくは、本発明の新規のGlyT1 cDNAのうちのいずれかの開始コドンを含むフラグメントを、対応GlyT1 cDNAの発現を阻害するアンチセンス・ツールとして含む。本発明によるアンチセンス・ポリヌクレオチドを使用する好ましい方法は、Sczakiel他(1995)によって記載された手順、又は、国際公開第95/24223号パンフレットに記載された手順である。これらの文献の開示内容の全体を参考のため、本明細書中に引用する。
好ましくは、アンチセンス・ツールは、GlyT1 mDNAの5'末端に対して相補的なポリヌクレオチド(15-200bp長)の中で選択される。1つの実施態様の場合、所望の標的遺伝子の種々異なる部分に対して相補的な種々異なるアンチセンス・ポリヌクレオチドの組み合わせが使用される。本発明による好ましいアンチセンス・ポリヌクレオチドは、翻訳開始コドンATG又はスプライシング部位を含有する本発明のGlyT1 mRNAのうちのいずれかの配列に対して相補的である。本発明によるさらに好ましいアンチセンス・ポリヌクレオチドは、本発明のGlyT1 mRNAのうちのいずれかのスプライシング部位に対して相補的である。
好ましくは、本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチドは、自己開裂リボザイム配列と置換されている3'ポリアデニル化シグナルを有するので、RNAポリメラーゼII転写物がこれらの3'末端のポリ(A)なしで生成され、これらのアンチセンス・ポリヌクレオチドは、Liu他(1994)によって記載されているような核から輸出することができない。好ましい実施態様の場合、これらのGlyT1アンチセンス・ポリヌクレオチドはまた、リボザイム・カセット内にヒストン幹-ループ構造を含み、これにより、3'-5'ヌクレオチド鎖分解、例えばEckner他(1991)によって記載されている構造に対して開裂型転写物を安定化させる。
オリゴヌクレオチド・プローブ及びプライマー
SEQ ID NO:14〜21として示された新規のcDNAのうちのいずれかの発現、又は、SEQ ID NO:2〜9として示された新規のエクソン、これらのフラグメント、相補形又はこれらの変異体のうちのいずれかを含む任意のcDNAの発現を試験試料中で検出するうえで、GlyT1遺伝子に由来するポリヌクレオチドが有用である。
SEQ ID NO:14〜21として示された新規のcDNAのうちのいずれかの発現、又は、SEQ ID NO:2〜9として示された新規のエクソン、これらのフラグメント、相補形又はこれらの変異体のうちのいずれかを含む任意のcDNAの発現を試験試料中で検出するうえで、GlyT1遺伝子に由来するポリヌクレオチドが有用である。
本発明の特に好ましいプローブ及びプライマーは、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21又はこれらの相補形の最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500, 1000又はこれ以上のヌクレオチドから成る連続的なスパンを含むか、このスパンから成るか、又は本質的にこのスパンから成る分離型、精製型又は組換え型のポリヌクレオチドを含む。
従って、本発明は核酸プローブであって、これらの核酸プローブが、本明細書に記載された新規のcDNA又はエキソン、例えばSEQ ID NO:2〜9又は14〜21又はこれらに対して相補的な配列のうちのいずれかと、上記に定義された緊縮ハイブリッド形成条件下で、特異的にハイブリッド形成することを特徴とする、核酸プローブに関する。
好ましい実施態様の場合、前記プローブは、SEQ ID NO:34, 35, 36及び37から選択された配列、及びこれらに対して相補的な配列を含むか、この配列から成るか、又は本質的にこの配列から成る。
付加的な実施態様の場合、本発明は、GlyT1遺伝子によってコードされた特定のcDNA種の発現、例えば、本明細書中に提供された新規のcDNAのうちのいずれかの発現、又は本明細書中に提供された新規エクソンのうちのいずれかを含む任意のcDNAの発現を見極めるためにハイブリッド形成アッセイ、配列決定アッセイ及び酵素に基づくミスマッチ検出アッセイにおいて使用するためのポリヌクレオチドを包含する。
本発明は本発明によるポリヌクレオチドの使用であって、本明細書中に提供された新規cDNAのうちのいずれかの発現、又は本明細書中に提供された新規エクソンのうちのいずれかを含む任意のcDNAの発現を、好ましくはハイブリッド形成アッセイ、配列決定アッセイ及びミクロ配列決定アッセイ、酵素に基づくミスマッチ検出アッセイにおいて、又は本発明の新規エクソンのいずれかを含むヌクレオチド・セグメントを増幅することによって、又は、本発明の新規cDNAのうちのいずれかにおいて見出された任意の新規のエクソン-エクソン接合(すなわち、新規エクソン配置から生じた新規接合、例えば表I参照)にまたがるヌクレオチド・セグメントを増幅することによって検出するために、本発明によるポリヌクレオチドを使用することに関する。
本発明によるプローブ又はプライマーは、8〜1000のヌクレオチド長を有し、或いは、最小12, 15, 18, 20, 25, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 100, 250, 500又は1000のヌクレオチド長であるように特定される。より具体的には、これらのプローブ及びプライマーは典型的には8, 10, 15, 20又は30〜100のヌクレオチドの範囲、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜30のヌクレオチドの範囲にある。これよりも短いプローブ及びプライマーは、標的核酸配列に対する特異性を欠く傾向があり、一般には、鋳型と十分に安定的なハイブリッド複合体を形成するには、より低い温度を必要とする。これよりも長いプローブ及びプライマーは生成が高価であり、自己ハイブリッド形成してヘアピン構造を形成できることがある。特定の一連のアッセイ条件下でプライマー及びプローブの適切な長さは、当業者によって経験的に決定することができる。
安定的なハイブリッドの形成はDNAの融点(Tm)に依存する。Tmは、プライマー又はプローブの長さ、溶液のイオン強度及びG+C含量に依存する。プライマー又はプローブのG+C含量が高くなればなるほど、融点も高くなる。なぜならば、G:C対は3つのH結合によって保持されるのに対して、A:T対は2つしか有さないからである。本発明のプローブ中のGC含量は普通10〜75%、好ましくは35〜60%、より好ましくは40〜55%の範囲にある。
プライマー及びプローブは、任意の好適な方法によって調製することができる。この方法は例えば、適切な配列のクローニング及び制限、及び、Narang他(1979)のホスホジエステル法、Brown他(1979)のホスホジエステル法、Beaucage他(1981)のリン酸ジエチルアミダイト法、及び欧州特許第0707592号明細書に記載された固形(体)支持体法のような方法による直接化学合成を含む。
プライマー及びプローブは、任意の好適な方法によって調製することができる。この方法は例えば、適切な配列のクローニング及び制限、及び、Narang他(1979)のホスホジエステル法、Brown他(1979)のホスホジエステル法、Beaucage他(1981)のリン酸ジエチルアミダイト法、及び欧州特許第0707592号明細書に記載された固形(体)支持体法のような方法による直接化学合成を含む。
検出プローブは一般に核酸配列又は非荷電核酸類似体、例えば、国際公開第92/20702号パンフレットに開示されたペプチド核酸、米国特許第5,185,444号明細書;同第5,034,506号明細書及び同第5,142,047号明細書に記載されたモルフォリノ類似体である。プローブは、プローブに付加的なdNTPを添加できないと云う点で、「延長不能」にされなければならない場合がある。類似体は通常の場合、それ自体で、且つ単独で延長不能であり、核酸プローブは、ヒドロキシル基が延長にもはや関与することができないようにプローブの3'末端を修飾することにより、延長不能にすることができる。例えば、プローブの3'末端を捕捉標識又は検出標識で機能化することにより、ヒドロキシル基を消費又はその他の形式でブロックすることができる。或いは、3'ヒドロキシル基を単に開裂、置換又は修飾することもできる。米国特許第4,869,905号に記載された修飾は、プローブを延長不能にするのに用いることができる。
所望の場合には、分光的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、又は化学的手段によって検出され得ることが当業者に知られている任意の標識を組込むことにより、本発明のポリヌクレオチドのうちのいずれかに標識付けすることができる。例えば、有用な標識は、放射性物質(32P, 35S, 3H, 125Iを含む)、蛍光色素(5-ブロモデソキシウリジン、フルオレセイン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニン)又はビオチンを含む。好ましくは、ポリヌクレオチドは3'及び5'末端に標識付けされる。核酸フラグメントの非放射性標識付けの例は、仏国特許第7810975号明細書に、又は、Urdea他(1988)又はSanchez-Pescador他(1988)によって記載されている。加えて、本発明によるプローブは構造特性を有していてよく、これによりプローブはシグナル増幅を可能にする。このような構造特性は例えば、Urdea他(1991)によって、又は欧州特許第0225807号明細書(Chiron)に記載されているような分枝DNAプローブである。
プライマーを捕捉するために標識を使用することにより、プライマー又はプライマー延長生成物、例えば増幅されたDNAの固形支持体上での固定化を容易にすることもできる。プライマー又はプローブに捕捉標識が付着され、この捕捉標識は、固相試薬の特異結合員(例えばビオチン及びストレプトアビジン)と結合対を形成する特異結合員であってよい。従って、ポリヌクレオチド又はプローブによって担持された標識のタイプに応じて、標識DNAを捕捉又は検出することが採用されてよい。さらに、云うまでもなく、本明細書中に提供されたポリヌクレオチド、プライマー又はプローブはそれ自体が捕捉標識として役立つことがある。例えば、固相試薬の結合員が核酸配列である場合には、固相試薬の結合員は、これがプライマー又はプローブの相補部分と結合することにより、このプライマー又はプローブを固相に固定化するように選択されてよい。ポリヌクレオチド・プローブ自体が結合員として役立つ場合には、当業者には明らかなように、プローブは標的に対して相補的でない配列又は「尾部」を含有することになる。ポリヌクレオチド・プライマー自体が捕捉標識として役立つ場合、プライマーの少なくとも一部は、固相上で核酸とハイブリッド形成するように遊離状態になる。DNA標識付け技術は当業者に良く知られている。
本発明のプローブは多くの目的にとって有用である。これらのプローブは、ゲノムDNAとのサザン・ハイブリダイゼーションにおいて特に使用することができる。これらのプローブはPCR増幅生成物を検出するのに使用することもできる。これらのプローブは、その他の技術により、GlyT1遺伝子又はmRNAにおけるミスマッチを検出するのに使用することもできる。
本発明のポリヌクレオチド、プライマー及びプローブのうちのいずれかを固形支持体上に好都合に固定化することができる。固形支持体は当業者に知られており、反応トレイのウェルの壁、試験管、ポリスチレン・ビーズ、磁気ビーズ、ニトロセルロース・ストリップ、膜、ミクロ粒子、例えばラテックス粒子、ヒツジ(又はその他の動物)の赤血球、デュラサイト及びその他を含む。固形支持体は重要ではなく、当業者によって選択することができる。従って、ラテックス粒子、微粒子、磁気又は非磁気ビード、膜、プラスチック管、マイクロタイター・ウェルの壁、ガラスチップ又はシリコンチップ、ヒツジ(又はその他の好適な動物)の赤血球及びデュラサイトが全ての好適な例である。固相上に核酸を固定化する好適な方法は、イオン系、疎水性、共有結合性の相互作用などを含む。本明細書中に使用される固形支持体は、不溶性の任意の材料を意味し、或いは、その後の反応により不溶性にされてよい。固形支持体は、捕捉試薬を引き付けて固定化する固有能力で選ぶことができる。或いは、固相は、捕捉試薬を引き付けて固定化する能力を有する付加的な受容体を保持することができる。付加的な受容体は、捕捉試薬に対して対向荷電された荷電物質、又は、捕捉試薬に共役された荷電物質に対して対向荷電された荷電物質を含むことができる。さらに別の実施態様として、受容体分子は、固形支持体上(又は固形支持体に)固定化された任意の特異結合員、及び、特異結合反応を通して捕捉試薬を固定化する能力を有する任意の特異結合員であってよい。受容体分子は、アッセイ実施前又はアッセイ実施中に固形支持体材料に対する捕捉試薬の間接的な結合を可能にする。従って固相は、試験管のプラスチック、誘導体化プラスチック、磁性又は非磁性金属、ガラス又はケイ素の表面、ミクロタイター・ウェル、シート、ビード、ミクロ粒子、チップ、ヒツジ(又はその他の好適な動物)の赤血球、duracytes(登録商標)及び当業者に知られたその他の形態であってよい。本発明のポリヌクレオチドは個別に固形支持体に付着させるか、又は固形支持体上に固定化することができる。或いは、本発明のポリヌクレオチドは、最小2, 5, 8, 10, 12, 15, 20又は25個の区別可能なポリヌクレオチドから成る群として単一の固形支持体に付着させるか、又は固形支持体上に固定化することができる。加えて、本発明の1又は2以上のポリヌクレオチドと同じ固形支持体に、本発明のもの以外のポリヌクレオチドを付着させることができる。
オリゴヌクレオチド・アレイ
本発明の複数のオリゴヌクレオチド・プライマー又はプローブを含む支持体は、例えば本明細書中に提供されたcDNAのうちの複数のcDNAの発現を検出するために、又は、1又は2以上の異種遺伝子の発現と関連した本発明のcDNAのうちの1又は2以上の発現を検出するために使用することができる。
本発明の複数のオリゴヌクレオチド・プライマー又はプローブを含む支持体は、例えば本明細書中に提供されたcDNAのうちの複数のcDNAの発現を検出するために、又は、1又は2以上の異種遺伝子の発現と関連した本発明のcDNAのうちの1又は2以上の発現を検出するために使用することができる。
固形支持体上のオーバーラップ領域又はランダム位置において、本明細書中で提供される任意のポリヌクレオチドを付着させることができる。或いは、本発明のポリヌクレオチドは順序付けされたアレイで付着されてもよい。任意の他のポリヌクレオチドの付着部位とオーバーラップしない固形支持体の区別可能な領域には、それぞれのポリヌクレオチドが付着される。好ましくは、ポリヌクレオチドのこのような順序付けアレイは、区別可能な位置が記録されてアッセイ手順の一部としてアクセスすることができる場所に「アドレス可能」であるように設計される。アドレス可能なポリヌクレオチド・アレイは典型的には、種々異なる既知の位置で支持体表面にカップリングされる複数の種々異なるオリゴヌクレオチド・プローブを含む。各ポリヌクレオチド位置の正確に位置を知っておくと、これらのアドレス可能なアレイは、ハイブリッド形成アッセイにおいて特に有用になる。当業者に知られたアドレス可能なアレイ技術はいずれも、本発明のポリヌクレオチドと一緒に採用することができる。これらのオリゴヌクレオチド・アレイの具体的な1実施態様が、Genechips(登録商標)として知られており、Genechipsに関しては、米国特許第5,143,854号明細書;国際公開第90/15070号及び同第92/10092号の各パンフレットにおいてその概要が記載されている。これらのアレイは一般に、機械的な合成法又は光指向合成法を使用して生成することができる。これらの合成法は、フォトリソグラフィ法及び固相オリゴヌクレオチド合成(Fodor他、1991)の組み合わせを組込む。「Very Large Scale Immobiliezed Polymer Synthesis(VLSIPS(登録商標))」として一般に認識されている技術の開発により、固形支持体上でのオリゴヌクレオチド・アレイの固定化が可能にされている。このVLSIPSにおいて、典型的には、プローブがチップの固形表面上に高密度アレイの形で固定化される。VLSIPS(登録商標)技術の例は、米国特許第5,143,854号明細書;及び同第5,412,087号明細書及び国際公開第90/15070号、同第92/10092号及び同第95/11995号の各パンフレットに提供されている。これらの文献には、光指向合成技術のような技術を通してオリゴヌクレオチド・アレイを形成する方法が記載されている。固形支持体上に固定化されたヌクレオチド・アレイを提供するのを目標にした戦略を練る上で、ハイブリッド形成パターン及び配列情報を最大化しようと、チップ上でオリゴヌクレオチド・アレイを順序付けして表示するための更なる提示戦略が開発された。このような提示戦略の例が、国際公開第94/12305号、同第94/11530、同第97/29212号及び同第97/31256号の各パンフレットに開示されている。これらのパンフレットの全体を参考のため本明細書中に引用する。
従って、本発明は、プローブ及びプライマーとして1以上の上記ポリヌクレオチドを含む、核酸分子のアレイに関する。好ましくは、本発明は、プローブ及びプライマーとして2以上の上記ポリヌクレオチドを含む、核酸分子のアレイに関する。
GlyT1タンパク質及びポリペプチド・フラグメント:
「GlyT1ポリペプチド」という用語は、本発明のタンパク質及びポリペプチドの全てを包含するために、本明細書中に使用される。また本発明の形成部分は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、並びに、このようなポリペプチドを含む融合ポリペプチドである。本発明は、SEQ ID NO:26〜33の配列のうちのいずれかから成るか、本質的にこの配列から成るか、又はこの配列を含む分離型又は精製型GlyT1タンパク質を含む、ヒトに由来するGlyT1タンパク質を具体化する。
「GlyT1ポリペプチド」という用語は、本発明のタンパク質及びポリペプチドの全てを包含するために、本明細書中に使用される。また本発明の形成部分は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、並びに、このようなポリペプチドを含む融合ポリペプチドである。本発明は、SEQ ID NO:26〜33の配列のうちのいずれかから成るか、本質的にこの配列から成るか、又はこの配列を含む分離型又は精製型GlyT1タンパク質を含む、ヒトに由来するGlyT1タンパク質を具体化する。
本発明は、ポリペプチドであって、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21、これらの相補配列、又はこれらのフラグメントから成る群から選択されたヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドに関する。
本発明は、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドであって、該ポリペプチドが、SEQ ID NO:26〜33の最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含む、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドを具体化する。本発明はまた、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドであって、該ポリペプチドが、SEQ ID NO:2〜9として示されるエクソンのうちのいずれかによってコードされた最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含む、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドを具体化する。
本発明はまた、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドであって、該ポリペプチドが、SEQ ID NO:26〜33のアミノ酸配列のうちのいずれかと、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示された核酸配列、又はこれらのフラグメントのうちのいずれかによってコードされたアミノ酸配列のうちのいずれかと、最小約70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 95%, 98%又は99%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含む、分離型、精製型又は組換え型のポリペプチドを包含する。
GlyT1タンパク質は、ヒト又は哺乳動物の組織試料から分離されるか、或いは、ヒト又は哺乳動物遺伝子から発現させられる。本発明のGlyT1ポリペプチドは、当業者に知られた普通の発現方法を用いて形成することができる。例えば、所望のポリペプチドをコードするポリペプチドは、任意の好都合な宿主に適した発現ベクター内に連結される。真核細胞又は原核細胞宿主系を使用して、組換えポリペプチドを生成することができる。次いでポリペプチドは、溶解された細胞から、又は培地から分離され、そして所期用途に必要となる範囲にまで精製される。当業者に知られた任意の技術、例えば微分抽出、塩分別、クロマトグラフィ及び遠心分離などを用いて精製を実施することができる。例えばタンパク質を精製するための種々の方法に関する「Method in Enzymology」を参照されたい。
加えて、化学合成によって、より短いタンパク質フラグメントを生成することができる。或いは、本発明のタンパク質は、ヒト又はヒト以外の動物の細胞又は組織から抽出することができる。タンパク質精製法は当業者に知られており、粒子を破壊するために洗剤又はカオトロピック剤を使用し、これに続いて、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティ・クロマトグラフィ、密度に応じた沈降、又はゲル電気泳動により、ポリペプチドを微分抽出及び分離することを含む。
任意のGlyT1ポリヌクレオチド、好ましくはSEQ ID NO:14〜21として示された新規のcDNAは、GlyT1タンパク質及びポリペプチドを発現させるために使用することができる。発現させるべきGlyT1タンパク質又はポリペプチドをコードする核酸は、コンベンショナルなクローニング技術を用いて、発現ベクター内のプロモーターに作用連関させることができる。発現ベクター内のGlyT1インサートは、GlyT1タンパク質又はその一部に対応する完全コーディング配列を含むことができる。例えば、GlyT1由来インサートは、SEQ ID NO:26〜33のGlyT1タンパク質、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示された核酸のうちのいずれかによってコードされたタンパク質の10以上の連続的なアミノ酸を含むポリペプチドをコードすることができる。
発現ベクターは、当業者に知られた哺乳動物、酵母、昆虫又は細菌発現系のうちのいずれかである。Genetics Institute (Cambridge, MA), Stratagene(La Jolla, California), Promega(Madison, Wisconsin)、及びInvitrogen(San Diego, California)を含む種々の供給元から、商業的に利用可能なベクター及び発現系が入手可能である。Hatfield他、米国特許第5,082,767号明細書(この開示内容全体を参考のため本明細書中に引用する)において説明されているように、所望の場合には、発現を促進して適切なタンパク質折畳みを容易にするために、その配列のコドン・コンテキスト及びコドン対合が、発現ベクターが導入される特定の発現生物に合わせて最適化される。
1実施態様の場合、cDNAのポリAシグナルを通したcDNA配列のコーディング配列全体は、発現ベクター内のプロモーターに作用連関させられる。或いは、GlyT1タンパク質の一部をコードする核酸が、開始部位として作用するためのメチオニンを欠いている場合、コンベンショナルな技術を用いて、核酸の第1コドンの次に開始メチオニンを導入することができる。同様に、GlyT1 cDNAに由来するインサートがポリAシグナルを欠いている場合、例えばBg1I及びSalI制限エンドヌクレアーゼ酵素を使用してpSG5(Stratagene)からポリAシグナルを切除して、これを哺乳動物発現ベクターpXT1(Stratagene)内に組込むことにより、この配列を構造に付加することができる。pXT1は、LTRと、モロニー・マウス白血病ウィルスに由来するgag遺伝子の一部とを含有する。構造内のLTRの位置は、効率的な安定的なトランスフェクションを可能にする。ベクターはヘルペス単純チミジン・キナーゼ・プロモーターと、選択的なネオマイシン遺伝子とを含む。
完成した構造は、製品の仕様において説明された条件下で、リポフェクチン(Life Technologies, Inc., Grand Island, New York)を使用して、マウスNIH 3T3細胞中にトランスフェクトすることができる。トランスフェクトされた細胞を600μg/ml G418(Sigma, St. Louis, Missouri)中で成長させた後、陽性のトランスフェクト細胞が選択される。
発現させられたタンパク質は、コンベンショナルな精製技術、例えば硫酸アンモニウム沈澱、又は、サイズ又は電荷に基づくクロマトグラフィ分離を用いて精製することができる。核酸インサートによってコードされたタンパク質はまた、標準的な免疫クロマトグラフィ技術を用いて精製することもできる。このような手順において、発現させられたGlyT1タンパク質又はその部分、例えば細胞抽出物を含有する溶液が、GlyT1タンパク質又はその部分に対する抗体がクロマトグラフィ・マトリックスに付着されているカラムに塗布される。発現させられたタンパク質は、免疫クロマトグラフィ・カラムに結合することが可能になる。その後、カラムは非特異的に結合されたタンパク質を除去するために洗浄される。特異的に結合された発現タンパク質は、次いでカラムから放出され、標準的な技術を用いて回収される。
GlyT1タンパク質又はその一部の発現を確認するために、GlyT1タンパク質又はその一部をコードするインサートを有する発現ベクターを含有する宿主細胞から発現させられたタンパク質を、インサートを有さない発現ベクターを含有する宿主細胞中で発現させられたタンパク質と比較することができる。インサートを有する発現ベクターを含有する細胞から採取した試料中に、インサートを有さない発現ベクターを含有する細胞から採取した試料中には存在しないバンドが存在する場合、このことは、GlyT1タンパク質又はその一部が発現させられていることを示す。一般に、このバンドは、GlyT1タンパク質又はその部分に対して期待される移動度を有することになる。しかし、このバンドは、修飾、例えばグリコシル化、ユビキチン化又は酵素的開裂の結果として期待されるものとは異なる移動度を有してよい。
発現GlyT1タンパク質又はその一部を特異的に認識することができる抗体は、標準的な方法を用いて調製することができ、これらの抗体について下記に説明する。
抗体生成が不可能な場合、キメラ・ポリペプチドを採用した精製スキームにおいて使用するために設計された発現ベクター内に、GlyT1タンパク質又はその一部をコードする核酸を組込むことができる。このような戦略の場合、GlyT1タンパク質又はその一部をコードする核酸は、キメラの他方の半部をコードする遺伝子を有するフレームに挿入される。キメラのこの他方の半部は例えば、ベータ-グロブリン又はニッケル結合ポリペプチドをコードする配列である。次いで、ベータ-グロブリン又はニッケルに対する抗体が付着されたクロマトグラフィ・マトリックスを使用することにより、キメラタンパク質が精製される。ベータ-グロブリン遺伝子又はニッケル結合ポリペプチドと、GlyT1タンパク質又はその一部との間に、プロテアーゼ開裂部位が遺伝子工学的に作り出される。こうして、キメラの2つのポリペプチドは、プロテアーゼ消化により互いに分離される。
抗体生成が不可能な場合、キメラ・ポリペプチドを採用した精製スキームにおいて使用するために設計された発現ベクター内に、GlyT1タンパク質又はその一部をコードする核酸を組込むことができる。このような戦略の場合、GlyT1タンパク質又はその一部をコードする核酸は、キメラの他方の半部をコードする遺伝子を有するフレームに挿入される。キメラのこの他方の半部は例えば、ベータ-グロブリン又はニッケル結合ポリペプチドをコードする配列である。次いで、ベータ-グロブリン又はニッケルに対する抗体が付着されたクロマトグラフィ・マトリックスを使用することにより、キメラタンパク質が精製される。ベータ-グロブリン遺伝子又はニッケル結合ポリペプチドと、GlyT1タンパク質又はその一部との間に、プロテアーゼ開裂部位が遺伝子工学的に作り出される。こうして、キメラの2つのポリペプチドは、プロテアーゼ消化により互いに分離される。
ベータ-グロブリン・キメラタンパク質を発生させるための1つの有用な発現ベクターは、pSG5(Stratagene)である。pSG5はウサギ・ベータ-グロブリンをコードする。ウサギ・ベータ-グロブリン遺伝子のイントロンIIは、発現させられた転写物のスプライシングを容易にし、構造内に組込まれたポリアデニル化信号は、発現レベルを増大する。これらの技術は分子生物学の当業者によく知られている。標準的な方法がDavis他(1986)によって記載されているような方法テキストにおいて発表されている。これらの方法の多くはStratagene, Life Technologies, Inc, 又はPromegaから入手可能である。さらに、in vitro翻訳システム、例えばIn vitro Express(登録商標)翻訳キット(Stratagene)を用いて、この構造からポリペプチドを生成することができる。
本発明のGlyT1ポリペプチドと結合する抗体
任意のGlyT1ポリペプチド又は全タンパク質を使用することにより、上述のような、発現させられたGlyT1タンパク質又はそのフラグメントに特異的に結合可能な抗体を発生させることができる。
任意のGlyT1ポリペプチド又は全タンパク質を使用することにより、上述のような、発現させられたGlyT1タンパク質又はそのフラグメントに特異的に結合可能な抗体を発生させることができる。
好ましい実施態様の場合、本発明の新規のGlyT1ポリペプチド(例えばSEQ ID NO:26〜33として示された配列を含むポリペプチド)のうちのいずれか、又は、本発明の新規のエクソン(SEQ ID NO:2〜9)のうちのいずれかによってコードされた配列を含むポリペプチドを特異的に認識する抗体が調製される。抗体組成物をGlyT1の第1変異体に特異的に結合するためには、この抗体は、ELISA, RIA又はその他の、抗体に基づく結合アッセイにおいて、GlyT1タンパク質のフルレングス第1変異体に対する結合親和性が、GlyT1タンパク質のフルレングス第2変異体に対する結合親和性よりも、最小5%, 10%, 15%, 20%, 25%, 50%又は100%だけ大きいことを実証しなければならない。
好ましい実施態様において、本発明は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体組成物であって、エピトープ含有ポリペプチドに選択的に結合することができ、このエピトープ含有ポリペプチドがSEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの6以上のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100以上のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9によってコードされている、ポリクローナル又はモノクローナル抗体組成物に関する。
好ましい実施態様において、本発明はポリペプチドの抗体の製造における使用であって、このポリペプチドがSEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの6以上のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100以上のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又はSEQ ID NO:2〜9によってコードされている、ポリペプチドの抗体の製造における使用に関する。
所望される抗体結合相手とは異なるGlyT1種を発現させる、野生型であるか又は形質転換型であるかは無関係な非ヒト動物又は非ヒト哺乳動物、及び、GlyT1(すなわち本明細書中に記載されたGlyT1ノックアウト動物)を発現させない動物は、抗体を調製するのに特に有用である。GlyT1ノックアウト動物は、GlyT1タンパク質の露出領域の全て又は殆どを外来抗原として認識することになり、従って、より広範囲なGlyT1エピトープ・アレイを有する抗体を生成することになる。さらに、アミノ酸を10〜30しか有さないより小型のポリペプチドは、GlyT1タンパク質のうちのいずれか1つに対する特異結合を得る上で有用であると云える。加えて、抗原配列と似たGlyT1種を生成する体液性免疫系は、動物の天然GlyT1種と抗原配列との差を優先的に認識し、抗原配列におけるこれらの固有の部位に対する抗体を生成することになる。このような技術は、GlyT1タンパク質のうちのいずれか1つに特異的に結合する抗体を得る上で特に有用になる。
いずれのプロトコルに従って調製された抗体調製物も、生体試料中の抗原担持物質の濃度を決定する定量免疫アッセイにおいて有用である。これらの抗体調製物は、生体試料中の抗原の存在を同定するために、半定量的又は定性的に使用される。これらの抗体は、そのタンパク質を発現させる細胞を殺すか、又は体内のそのタンパク質のレベルを低減するための治療用組成物中で使用することもできる。
本発明の抗体は、多数の標識のうちのいずれかを使用して標識付けすることができる。これらの標識は、当業者に知られた放射性、蛍光又は酵素標識を含む。
従って、本発明はまた、生体試料中の本発明によるGlyT1ポリペプチドの存在を特異的に検出する方法であって、前記方法が、SEQ ID NO:26〜33のアミノ酸配列を含むGlyT1ポリペプチド、又はSEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示された核酸配列のうちのいずれかによってコードされたGlyT1ポリペプチドに特異的に結合するポリクローナル又はモノクローナル抗体と、前記生体試料とを接触させ;そして、形成された抗原抗体複合体を検出することを含む、方法に関する。
従って、本発明はまた、生体試料中の本発明によるGlyT1ポリペプチドの存在を特異的に検出する方法であって、前記方法が、SEQ ID NO:26〜33のアミノ酸配列を含むGlyT1ポリペプチド、又はSEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示された核酸配列のうちのいずれかによってコードされたGlyT1ポリペプチドに特異的に結合するポリクローナル又はモノクローナル抗体と、前記生体試料とを接触させ;そして、形成された抗原抗体複合体を検出することを含む、方法に関する。
本発明はまた、生体試料中の本発明によるGlyT1ポリペプチドの存在をin vitroで検出するための診断キットであって、前記キットが、SEQ ID NO:26〜33のアミノ酸配列を含むGlyT1ポリペプチド、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示された核酸配列のうちのいずれかによってコードされたGlyT1ポリペプチドに特異的に結合するポリクローナル又はモノクローナル抗体;又は、任意には標識付けされたこれらのペプチド・フラグメント又は変異体に特異的に結合するポリクローナル又はモノクローナル抗体;及び、形成された抗原抗体複合体の検出を可能にする試薬、を含み、前記試薬が任意には標識を担持するか、又は、特に上述のモノクローナル又はポリクローナル抗体がそれ自体は標識付けされていない場合には、標識付けされた試薬によってそれ自体が認識され得るようになっている。
組換えベクター
「ベクター」という用語は、環状又は線状DNA又はRNA分子を表すために使用される。この分子は二本鎖又は一本鎖であり、また、細胞宿主内又は単細胞又は多細胞の宿主生物内に移されようとする当該1以上のポリヌクレオチドを含む。
「ベクター」という用語は、環状又は線状DNA又はRNA分子を表すために使用される。この分子は二本鎖又は一本鎖であり、また、細胞宿主内又は単細胞又は多細胞の宿主生物内に移されようとする当該1以上のポリヌクレオチドを含む。
本発明は組換えベクター群であって、これらのベクターは、本明細書中に提供された新規GlyT1 cDNAのうちのいずれかに由来する任意の調節ポリヌクレオチド又はコーディング・ポリヌクレオチドを含む、組換えベクター群を包含する。
第1の好ましい実施態様の場合、好適な細胞宿主内のGlyT1 cDNAに由来する、挿入されたポリヌクレオチドを増幅するために、本発明の組換えベクターが使用される。このポリヌクレオチドは、組換えベクターが複製する度に増幅される。
本発明による組換えベクターの第2の好ましい実施態様は、本発明の調節ポリヌクレオチド及び/又はコーディング核酸を含む発現ベクターを含む。或る実施態様の範囲内では、GlyT1ポリペプチドを発現させるために、発現ベクターが採用される。次いでこのGlyT1ポリペプチドを精製し、そして例えばリガンド・スクリーニング・アッセイにおいて又はイムノゲンとして使用して、これによりGlyT1タンパク質に対する特異的抗体を生じさせる。その他の実施態様の場合、トランスジェニック動物を構成するために、また遺伝子治療のために発現ベクターが使用される。発現は、適切な信号がベクター内に提供されることを必要とする。前記信号は、種々の調節要素、例えば、ウィルス起源及び哺乳動物起源の両方に由来するエンハンサー/プロモーターを含む。これらのエンハンサー/プロモーターは、宿主細胞内の当該遺伝子の発現を推進する。本発明の発現ベクターには、生成物を発現させる永久的な安定した細胞クローンを確立するための支配的な薬剤選択マーカーが一般に含まれる。それというのもこれらの発現ベクターは、薬剤選択マーカーの発現をポリペプチドの発現に連関させる要素であるからである。
より具体的には、本発明はまた発現ベクターであって、該発現ベクターが、GlyT1タンパク質、好ましくはSEQ ID NO:26〜33のアミノ酸配列のうちのいずれかのGlyT1タンパク質、又はこれらの変異体又はフラグメントを含む、発現ベクターに関する。
本発明はまた、GlyT1コード配列の発現に有用な組換え発現ベクターであって、前記ベクターはSEQ ID NO:2〜9又は14〜21の核酸を含む、組換え発現ベクターに関する。
本発明のベクター内に見出すことができる要素のうちのいくつかの詳細を、本発明の他の箇所に記載する。
本発明のベクター内に見出すことができる要素のうちのいくつかの詳細を、本発明の他の箇所に記載する。
本発明はまた、脊椎動物起源、好ましくは哺乳動物起源及び具体的にはヒト起源の一次、二次の、及び不滅化された相同組換え宿主細胞であって、a)外生的(異種)ポリヌクレオチドを標的遺伝子の外生的染色体DNA中に挿入し、b)外生的染色体DNAを抹消し、及び/又はc)外生的染色体DNAを外生的ポリヌクレオチドと置換するように遺伝子工学的に作り出された、相同組換え宿主細胞を包含する。ポリヌクレオチド配列の挿入、抹消及び/又は置換により、標的遺伝子のコーディング配列及び/又は標的遺伝子と関連する調節領域、例えばプロモーター及びエンハンサー配列を生じさせる。
本発明はさらに、in vitro又はin vivoで細胞中の、通常は細胞中で発現させられない標的遺伝子の発現を変化させる方法であって、(a)(i)標的付け配列;(ii)調節配列及び/又はコーディング配列;及び(iii)必要な場合には未対合スプライス・ドナー部位、を含むポリヌクレオチド構造をin vitro又はin vivoで細胞にトランスフェクトし、これによりトランスフェクト細胞を生成するステップと; (b)相同組換えに適した条件下でin vitro又はin vivoでトランスフェクト細胞を維持し、これにより同相組換え細胞を生成するステップと;(c)遺伝子発現に適した条件下でin vitro又はin vivoで相同組換え細胞を維持するステップとを含む方法に関する。変更を加えられた発現を伴う細胞を形成する方法、及びこれらの細胞を形成するのに使用されるポリヌクレオチド構造も提供される。
標的遺伝子、例えばGlyT1遺伝子の発現を変化させる別の方法は、GlyT1ポリペプチドを発現させることができる細胞中に導入することによって行われ、細胞内のGlyT1ポリペプチドの存在がGlyT1遺伝子の発現を変化させる。例えば、ポリヌクレオチドは、外生的なGlyT1プロモーターを活性のより高い又はより低いプロモーターと置換するように作用することができ、或いは、GlyT1遺伝子の近傍のゲノム中に挿入するとGlyT1の発現が増大又は減少するようなエンハンサー要素を含んでよい。
標的遺伝子、例えばGlyT1遺伝子の発現を変化させる別の方法は、GlyT1ポリペプチドを発現させることができる細胞中に導入することによって行われ、細胞内のGlyT1ポリペプチドの存在がGlyT1遺伝子の発現を変化させる。例えば、ポリヌクレオチドは、外生的なGlyT1プロモーターを活性のより高い又はより低いプロモーターと置換するように作用することができ、或いは、GlyT1遺伝子の近傍のゲノム中に挿入するとGlyT1の発現が増大又は減少するようなエンハンサー要素を含んでよい。
当業者に知られた技術、例えば米国特許第6,054,288号;同第6,048,729号;6,048,724号;6,048,524号;5,994,127号;5,968,502号;5,965,125号;5,869,239号;5,817,789号;5,783,385号;5,733,761号;5,641,670号;5,580,734号の各明細書;及び国際公開第96/29411号及び同第94/12650号の各パンフレット、Koller他(1989), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932〜8935を含む科学論文に記載された技術によって、組成物を生成することができ、方法を実施することができる。
1. 本発明の発現ベクターの一般的な特徴
本発明において使用することができる組換えベクターの一例として、YAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、ファージ、ファージミド、コスミド、プラスミド、及び、染色体、非染色体、半合成又は合成DNAを含むことができる線状DNA分子が挙げられる。このような組換えベクターは転写ユニットを含み、この転写ユニットは下記(1)(2)及び(3)から成る集成体(アセンブリー)を含む:
本発明において使用することができる組換えベクターの一例として、YAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、ファージ、ファージミド、コスミド、プラスミド、及び、染色体、非染色体、半合成又は合成DNAを含むことができる線状DNA分子が挙げられる。このような組換えベクターは転写ユニットを含み、この転写ユニットは下記(1)(2)及び(3)から成る集成体(アセンブリー)を含む:
(1) 遺伝子発現における調節の役割を有する1又は2以上の遺伝子要素、例えばプロモーター又はエンハンサー。エンハンサーは、通常、転写を増大させるようにプロモーターに対して作用する約10〜約300bpの長さのcis作用性DNA要素である。
(2) mRNAに転写され、最終的にはポリペプチドに翻訳される構造配列又はコーディング配列。前記構造配列又はコーディング配列は(1)に記載された調節要素に作用連関される。
(3) 適切な転写開始配列及び転写終止配列。酵母又は真核発現系において使用するように意図された構造ユニットは、好ましくは、宿主細胞によって、翻訳されたタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。或いは、リーダー配列又は輸送配列なしで組換えタンパク質が発現させられる場合、この組換えタンパク質はN-末端残基を含むことができる。この残基は続いて、最終生成物を提供するために、発現させられた組換えタンパク質から開裂されても、開裂されなくてもよい。
一般に、組換え発現ベクターは、複製起源、宿主細胞の形質転換を可能にする選択マーカー、及び、高度に発現させられた遺伝子に由来するプロモーターを含むことになり、これにより、下流構造配列の転写を導く。異種構造配列は、適切な相において、翻訳開始配列、翻訳終止配列及び好ましくは、翻訳されたタンパク質の分泌をペリプラスム空間又は細胞外培地内に導くことができるリーダー配列と集成される。ベクターが哺乳動物宿主細胞内の所望の配列をトランスフェクトして発現させるように適合される特定の実施態様の場合、好ましいベクターは、所望の宿主内の複製起源、好適なプロモーター及びエンハンサー、及び任意の所要のリボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル、スプライスのドナー部位及びアクセプター部位、転写終止配列、及び5'にフランキングする非転写配列を含むことになる。SV40ウィルスゲノム、例えばSV40起源、初期プロモーター、エンハンサー、スプライス・シグナル及びポリアデニル化・シグナルに由来するDNA配列を使用して、所要の非転写遺伝子要素を提供することができる。
SEQ ID NO:26〜33のGlyT1ポリペプチド、又はそのフラグメント又は変異体のin vivoでの発現は、宿主生物内での天然型遺伝子の発現に関連する、又は生物学的に不活性のGlyT1タンパク質の生成に関連する遺伝的欠損を補正するのに有用である。
従って、本発明はまた、治療されるべき患者の有機的組織体中に適切な遺伝物質を導入することにより、SEQ ID NO:26〜33のGlyT1ポリペプチド、又はそのフラグメント又は変異体をin vivo生成するように主に設計された組換え発現ベクターを含む。この遺伝物質は、生物から予め抽出された細胞内にin vitroで導入することができ、修飾された細胞は続いて前記生物において、直接にin vivoで適切な組織内に再導入することができる。
2. 調節要素
プロモーター
本発明による発現ベクターにおいて使用される好適なプロモーター領域は、発現させなければならない異種遺伝子を有する細胞宿主を考慮に入れて選択される。当該核酸配列の発現を制御するために採用される具体的なプロモーターは、これが標的細胞中で核酸の発現を導くことができさえすれば、重要なことではないと考えられる。従って、ヒト細胞が標的にされる場合、ヒト細胞内で発現させられることが可能なプロモーター、例えばヒト・プロモーター又はウィルス・プロモーターに隣接して、そしてこのプロモーターの制御下にあるように核酸コーディング領域を配置することが好ましい。
プロモーター
本発明による発現ベクターにおいて使用される好適なプロモーター領域は、発現させなければならない異種遺伝子を有する細胞宿主を考慮に入れて選択される。当該核酸配列の発現を制御するために採用される具体的なプロモーターは、これが標的細胞中で核酸の発現を導くことができさえすれば、重要なことではないと考えられる。従って、ヒト細胞が標的にされる場合、ヒト細胞内で発現させられることが可能なプロモーター、例えばヒト・プロモーター又はウィルス・プロモーターに隣接して、そしてこのプロモーターの制御下にあるように核酸コーディング領域を配置することが好ましい。
好適なプロモーターは、これが発現を制御する核酸に対して異種であってよく、或いは、発現させられるべきコーディング配列を含有する天然型ポリヌクレオチドに対して外生的であってもよい。加えて、プロモーターは一般に、構造プロモーター/コーディング配列が挿入されている組換えベクター配列に対して異種である。
例えばCAT(クロラムフェニコール・トランスフェラーゼ)ベクター及びより好ましくはpKK232-8及びpCM7ベクターを使用して、任意の所望の遺伝子から、プロモーター領域を選択することができる。
好ましい細菌プロモーターは、LacI、 LacZ、 T3又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ・プロモーター、gpt、ラムダPR、PL及びtrpプロモーター(欧州特許第0036776号明細書)、ポリヘドリン・プロモーター、又はバキュロウィルス(Kit Novagen)に由来するp10タンパク質プロモーター(Smith他、1983;O'Reilly他、1992)、ラムダPRプロモーター又はtrcプロモーターである。
好ましい細菌プロモーターは、LacI、 LacZ、 T3又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ・プロモーター、gpt、ラムダPR、PL及びtrpプロモーター(欧州特許第0036776号明細書)、ポリヘドリン・プロモーター、又はバキュロウィルス(Kit Novagen)に由来するp10タンパク質プロモーター(Smith他、1983;O'Reilly他、1992)、ラムダPRプロモーター又はtrcプロモーターである。
真核細胞プロモーターは、CMV、即時型HSVチミジン・キナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウィルス由来のLTR、及びマウス・メタロチオネイン-Lを含む。好都合なベクター及びプロモーターの選択は、当業者の通常の技術レベルの範囲内にある。
プロモーターの選択は、遺伝子工学分野の当業者の能力の範囲内に十分に入る。例えば、Sambrook他(1989)又はFully他(1996)によって記載された手順を参考にすることができる。
プロモーターの選択は、遺伝子工学分野の当業者の能力の範囲内に十分に入る。例えば、Sambrook他(1989)又はFully他(1996)によって記載された手順を参考にすることができる。
その他の調節要素
cDNAインサートが採用される場合、典型的には、遺伝子転写物の適切なポリアデニル化を生じさせるためのポリアデニル・シグナルを含むことが望まれることになる。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の功を奏する実施にとって重要であると考えられない。任意のこのような配列、例えばヒト成長ホルモン及びSV40ポリアデニル化シグナルを採用することができる。また発現カセットの要素として考えられるのはターミネーターである。これらの要素は、メッセージ・レベルを向上させ、そしてカセットからその他の配列中へのリードスルーを最小化するために役立つことができる。
cDNAインサートが採用される場合、典型的には、遺伝子転写物の適切なポリアデニル化を生じさせるためのポリアデニル・シグナルを含むことが望まれることになる。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の功を奏する実施にとって重要であると考えられない。任意のこのような配列、例えばヒト成長ホルモン及びSV40ポリアデニル化シグナルを採用することができる。また発現カセットの要素として考えられるのはターミネーターである。これらの要素は、メッセージ・レベルを向上させ、そしてカセットからその他の配列中へのリードスルーを最小化するために役立つことができる。
3.選択マーカー
このようなマーカーは、発現構造を含有する細胞の容易な同定を可能にする細胞に、変化を付与することになる。形質転換宿主細胞の選択のための選択マーカー遺伝子は好ましくは、真核細胞培養の場合にはジヒドロ葉酸レダクターゼ又はネオマイシン耐性、S. cerevisiae又はテトラサイクリン、E.coliにおいてはリファンピリン又はアンピシリン耐性、又はマイコバクテリアの場合レバン・サッカラーゼであり、このレバン・サッカラーゼは負の選択マーカーである。
このようなマーカーは、発現構造を含有する細胞の容易な同定を可能にする細胞に、変化を付与することになる。形質転換宿主細胞の選択のための選択マーカー遺伝子は好ましくは、真核細胞培養の場合にはジヒドロ葉酸レダクターゼ又はネオマイシン耐性、S. cerevisiae又はテトラサイクリン、E.coliにおいてはリファンピリン又はアンピシリン耐性、又はマイコバクテリアの場合レバン・サッカラーゼであり、このレバン・サッカラーゼは負の選択マーカーである。
4.好ましいベクター
細菌ベクター
限定されない代表的例としては、細菌の使用のための有用な発現ベクターは、選択マーカー、及び、pBR322(ATCC37017)の遺伝子要素を含む商業的に入手可能なプラスミドに由来する細菌複製起源を含むことができる。このような商業的ベクターは、例えばpKK223-3(Pharmacia, Uppsala, Sweden)及びGEM1(Promega Biotec, Madison, WI, USA)を含む。
多数の他の好適なベクター、例えば下記の細菌ベクター:pQE70, aQE60, pQE-9(Qiagen), pbs, pD10, phagescript、psiX174, Pbluescript SK, pbsks, pNH8A, pNH16A, pNH18A, pNH46A(Stratagene); ptrc99a, pKK223-3, pKK233-3, pDR540, pRIT5(Pharmacia); pWLNEO, pSV2CAT, pOG44, pXT1, pSG(Stratagene); pSVK3, pBPV, pMSG, pSVL(Pharmacia);pQE-30(QLAexpress)が当業者に知られている。
細菌ベクター
限定されない代表的例としては、細菌の使用のための有用な発現ベクターは、選択マーカー、及び、pBR322(ATCC37017)の遺伝子要素を含む商業的に入手可能なプラスミドに由来する細菌複製起源を含むことができる。このような商業的ベクターは、例えばpKK223-3(Pharmacia, Uppsala, Sweden)及びGEM1(Promega Biotec, Madison, WI, USA)を含む。
多数の他の好適なベクター、例えば下記の細菌ベクター:pQE70, aQE60, pQE-9(Qiagen), pbs, pD10, phagescript、psiX174, Pbluescript SK, pbsks, pNH8A, pNH16A, pNH18A, pNH46A(Stratagene); ptrc99a, pKK223-3, pKK233-3, pDR540, pRIT5(Pharmacia); pWLNEO, pSV2CAT, pOG44, pXT1, pSG(Stratagene); pSVK3, pBPV, pMSG, pSVL(Pharmacia);pQE-30(QLAexpress)が当業者に知られている。
バクテリオファージ・ベクター
P1バクテリオファージ・ベクターは、約80〜約100kbの範囲の大型インサートを含有することができる。
P1バクテリオファージ・ベクター、例えばp158又はp158/neo8の構造は、Sternberg(1992, 1994)によって明白に記載されている。GlyT1ヌクレオチド配列を含む組換えP1クローンは、40kbを上回る大型ポリヌクレオチドを挿入するように設計されてよい(Linton他、1993)。形質転換試験のためのP1 DNAを発生させるために、McCormick他(1994)によって記載されたプロトコルが好ましいプロトコルである。手短に云うと、P1プラスミドを抱くE.coli(好ましくは菌株NS3529)が、カナマイシン25μg/mlを含有する好適なブイヨン培地中に一晩成長させられる。P1 DNAは製造者の指示書に従って、Qiagen Plasmid Maxiキット(Qiagen, Chatsworth, CA, USA)を使用して、アルカリ溶菌によってE.coliから精製される。P1 DNAは、キット内に含有される洗浄・溶離緩衝液を使用して、2つのQiagenチップ500カラム上で細菌ライゼートから精製される。次いで、70%エタノールでDNAを沈澱させる前に、フェノール/クロロホルム抽出が実施される。TE(10mM Tris-HCl, pH7.4, 1mM EDTA)中にDNAを可溶化した後、DNAの濃度が分光光度測定法によって評価される。
P1バクテリオファージ・ベクターは、約80〜約100kbの範囲の大型インサートを含有することができる。
P1バクテリオファージ・ベクター、例えばp158又はp158/neo8の構造は、Sternberg(1992, 1994)によって明白に記載されている。GlyT1ヌクレオチド配列を含む組換えP1クローンは、40kbを上回る大型ポリヌクレオチドを挿入するように設計されてよい(Linton他、1993)。形質転換試験のためのP1 DNAを発生させるために、McCormick他(1994)によって記載されたプロトコルが好ましいプロトコルである。手短に云うと、P1プラスミドを抱くE.coli(好ましくは菌株NS3529)が、カナマイシン25μg/mlを含有する好適なブイヨン培地中に一晩成長させられる。P1 DNAは製造者の指示書に従って、Qiagen Plasmid Maxiキット(Qiagen, Chatsworth, CA, USA)を使用して、アルカリ溶菌によってE.coliから精製される。P1 DNAは、キット内に含有される洗浄・溶離緩衝液を使用して、2つのQiagenチップ500カラム上で細菌ライゼートから精製される。次いで、70%エタノールでDNAを沈澱させる前に、フェノール/クロロホルム抽出が実施される。TE(10mM Tris-HCl, pH7.4, 1mM EDTA)中にDNAを可溶化した後、DNAの濃度が分光光度測定法によって評価される。
目的がトランスジェニック動物、特にトランスジェニック・マウス中にGlyT1ヌクレオチド配列を含むP1クローンを発現させることである場合、例えば、P1ポリリンカー(SfiI, NotI又はSalI)内のレア切断部位でP1 DNAを開裂することによって、P1 DNAフラグメントからベクター配列を取り出すことが望ましい。次いで、YACからDNAの分離に関して最初に報告された方法(Schedl他、1993a; Peterson他、1993)と類似した方法を使用して、パルスフィールド・アガロースゲル上でベクター配列からP1インサートが精製される。このような段階において、結果として生じた精製されたインサートDNAは、必要な場合にはMillipore Ultrafree-MC filter Unit(Millipore, Bedford, MA, USA-30,000分子量限界)上で濃縮し、次いでミクロ透析膜(Milliporeから入手可能なタイプVS, 0.025μM)上で、100mM NaCl, 30μMスペルミンを含有するマイクロインジェクション緩衝液(10mM Tris-HCl, pH7.4; 250μM EDTA)に対して透析することができる。精製されたP1 DNAインサートの無傷性は、1%アガロース(Sea Kem GTG; FMCバイオ生成物)パルスフィールド・ゲル上で電気泳動法により評価され、臭化エチジウムによる染色によって評価される。
バキュロウィルス・ベクター
SEQ ID NO:26〜33のGlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体の発現のための好適なベクターは、バキュロウィルス・ベクターである。バキュロウィルス・ベクターは、昆虫細胞及び昆虫細胞株内で繁殖することができる。具体的な好適な宿主ベクター系は、pVL1392/1393バキュロウィルス転移ベクター(Pharmingen)である。バキュロウィルス転移ベクターは、Spodoptera frugiperdaに由来のSF9細胞株(ATCC No.CRL 1711)をトランスフェクトするのに使用される。
SEQ ID NO:26〜33のGlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体の発現のための好適なベクターは、バキュロウィルス・ベクターである。バキュロウィルス・ベクターは、昆虫細胞及び昆虫細胞株内で繁殖することができる。具体的な好適な宿主ベクター系は、pVL1392/1393バキュロウィルス転移ベクター(Pharmingen)である。バキュロウィルス転移ベクターは、Spodoptera frugiperdaに由来のSF9細胞株(ATCC No.CRL 1711)をトランスフェクトするのに使用される。
バキュロウィルス発現系内にSEQ ID NO:26〜33のGlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体を発現させるための他の好適なベクターは、Chai他(1993)、Vlasak他(1983)及びLenhard他(1996)によって記載されたものを含む。
ウィルス・ベクター
1つの特定の実施態様の場合、ベクターはアデノウィルスに由来する。本発明による好ましいアデノウィルスは、Felman及びSteg(1996)又はOhno他によって記載されたウィルスである。本発明のこの特定の実施態様による別の好ましい組換えアデノウィルスは、ヒト・アデノウィルス2又は5型(Ad 2又はAd 5)又は動物起源のアデノウィルス(仏国特許出願第93.05954号明細書)である。
1つの特定の実施態様の場合、ベクターはアデノウィルスに由来する。本発明による好ましいアデノウィルスは、Felman及びSteg(1996)又はOhno他によって記載されたウィルスである。本発明のこの特定の実施態様による別の好ましい組換えアデノウィルスは、ヒト・アデノウィルス2又は5型(Ad 2又はAd 5)又は動物起源のアデノウィルス(仏国特許出願第93.05954号明細書)である。
レトロウィルス・ベクター及びアデノ関連ウィルス・ベクターは一般に、外生的なポリヌクレオチドを特にヒトを含む哺乳動物にin vivoで転移させるための最適な組換え遺伝子送達系であると一般には理解されている。これらのベクターは、細胞中への遺伝子の効率的な送達を可能にし、転移させられた核酸は、宿主の染色体DNA中に安定的に組込まれる。
本発明のin vitro又はin vivoレトロウィルス遺伝子送達ビヒクルを調製又は構成するための特に好ましいレトロウィルスは、Mink細胞病巣誘発性ウィルス、マウス肉腫ウィルス、細網内皮症ウィルス及びラウス肉腫ウィルスから成る群から選択されたレトロウィルスを含む。特に好まれるマウス白血病ウィルスは、4070A及び1504Aウィルス、Abelson(ATCC No VR-999), Friend(ATCC No VR-245), Gross(ATCC No VR-590), Rauscher(ATCC No VR-998)及びモロニー・マウス白血病ウィルス(ATCC No VR-190; 国際公開第94/24298号パンフレット)を含む。特に好ましいラウス肉腫ウィルスは、Bryan高力価(ATCC No VR-334, VR-657, VR-726, VR-659及びVR-728)を含む。Roth他(1996)、国際公開第93/25234号パンフレット、同第94/06920号パンフレット、Roux他(1989)、Julan他(1992)及びNeda他(1991)に記載されたベクターである。
本発明により検討されるさらに別のウィルス・ベクター系は、アデノ関連ウィルス(AAV)を含む。アデノ関連ウィルスは自然発生型欠損ウィルスである。このウィルスは、効率的な複製及び生産寿命サイクルのためのヘルパー・ウィルスとして、別のウィルス、例えばアデノウィルス又はヘルペスウィルスを必要とする(Muzyczka他、1992)。アデノ関連ウィルスは、非分裂細胞中にDNAを組込むことができる数少ないウィルスの中の1つでもあり、高頻度の安定的な組込みを示す(Flotte他、1992;Samulski他、1989;McLaughlin他、1989)。AAVの1つの有利な特徴は、形質転換細胞に対して、一次細胞を形質導入する効果が低減されることに基づいている。
BACベクター
E.coli中でゲノムDNAの大型フラグメント(100〜300kb)を安定的に維持するために、細菌人工染色体(BAC)クローニング・システム(Shizuya他、1992)が形成されている。好ましいBACベクターは、Kim他(1996)によって記載されているpBeloBAC11ベクターを含む。サイズ選択されたゲノムDNAを使用して、このベクターを用いてBACライブラリが調製される。このDNAは、ベクター内のBam HI又はHindIII部位中への連結を可能にする酵素を用いて部分的に消化されている。これらのクローニング部位を、T7及びSP6 RNAポリメラーゼ転写開始部位がフランキングしている。これらの部位は、RNA転写又はPCR法によって末端プローブを発生させるために使用することができる。E.coli中にBACライブラリを構成した後、BAC DNAが超螺旋環として宿主細胞から精製される。サイズ決定及びレシピエント細胞中へのBACの導入の双方に先立って、これらの環状分子が線状形に変換される。クローニング部位は2つのNot I部位によってフランキングされ、Not I消化によって、クローンされたセグメントがベクターから摘出されるのを可能にする。或いは、pBeloBAC11ベクター内に含有されたDNAインサートは、商業的に入手可能な酵素ラムダ・ターミナーゼでBACベクターを処理することにより、線状化することもできる。このラムダ・ターミナーゼは、固有のcosN部位における開裂を導くが、しかしこの開裂方法は、インサートDNA及びBAC配列の双方を含有するフルレングスBACクローンをもたらす。
E.coli中でゲノムDNAの大型フラグメント(100〜300kb)を安定的に維持するために、細菌人工染色体(BAC)クローニング・システム(Shizuya他、1992)が形成されている。好ましいBACベクターは、Kim他(1996)によって記載されているpBeloBAC11ベクターを含む。サイズ選択されたゲノムDNAを使用して、このベクターを用いてBACライブラリが調製される。このDNAは、ベクター内のBam HI又はHindIII部位中への連結を可能にする酵素を用いて部分的に消化されている。これらのクローニング部位を、T7及びSP6 RNAポリメラーゼ転写開始部位がフランキングしている。これらの部位は、RNA転写又はPCR法によって末端プローブを発生させるために使用することができる。E.coli中にBACライブラリを構成した後、BAC DNAが超螺旋環として宿主細胞から精製される。サイズ決定及びレシピエント細胞中へのBACの導入の双方に先立って、これらの環状分子が線状形に変換される。クローニング部位は2つのNot I部位によってフランキングされ、Not I消化によって、クローンされたセグメントがベクターから摘出されるのを可能にする。或いは、pBeloBAC11ベクター内に含有されたDNAインサートは、商業的に入手可能な酵素ラムダ・ターミナーゼでBACベクターを処理することにより、線状化することもできる。このラムダ・ターミナーゼは、固有のcosN部位における開裂を導くが、しかしこの開裂方法は、インサートDNA及びBAC配列の双方を含有するフルレングスBACクローンをもたらす。
5. 組換えベクターの送達
本発明のポリヌクレオチド及びポリヌクレオチド構造の発現を生じさせるために、これらの構造は細胞(又はタンパク質発現を支援することができる細胞抽出物)内に送達されなければならない。このような送達は、細胞株を形質転換するための研究手順におけるようにin vitroで、又は特定の疾患状態の治療におけるようにin vivoで達成することができる。
本発明のポリヌクレオチド及びポリヌクレオチド構造の発現を生じさせるために、これらの構造は細胞(又はタンパク質発現を支援することができる細胞抽出物)内に送達されなければならない。このような送達は、細胞株を形質転換するための研究手順におけるようにin vitroで、又は特定の疾患状態の治療におけるようにin vivoで達成することができる。
1メカニズムはウィルス感染であり、この場合、発現構造は、感染性ウィルス粒子内にカプセル化される。
培養された哺乳動物細胞中にポリヌクレオチドを転移させるための幾つかの非ウィルス法も本発明によって検討され、これらの方法の一例としては、リン酸カルシウム沈澱(Graham他、1973;Chen他、1987); DEAE-デキストラン(Gopal, 1985)、エレクトロポレーション(Tur-Kaspa他、1986; Potter他、1984)、直接マイクロインジェクション(Harland他、1985)、DNAがローディングされたリポソーム(Nicolau他、1982; Fraley他、1979)及び受容体媒介性トランスフェクション(Wu及びWu, 1987;1988)が挙げられる。これらの技術のいくつかは、in vivo又はex vivoでの使用のためにうまく適合することができる。
培養された哺乳動物細胞中にポリヌクレオチドを転移させるための幾つかの非ウィルス法も本発明によって検討され、これらの方法の一例としては、リン酸カルシウム沈澱(Graham他、1973;Chen他、1987); DEAE-デキストラン(Gopal, 1985)、エレクトロポレーション(Tur-Kaspa他、1986; Potter他、1984)、直接マイクロインジェクション(Harland他、1985)、DNAがローディングされたリポソーム(Nicolau他、1982; Fraley他、1979)及び受容体媒介性トランスフェクション(Wu及びWu, 1987;1988)が挙げられる。これらの技術のいくつかは、in vivo又はex vivoでの使用のためにうまく適合することができる。
一旦発現ポリヌクレオチドが細胞中に送達されると、このポリヌクレオチドはレシピエント細胞のゲノム中に安定的に組込むことができる。この組込みは相同組換え(遺伝子置換)を介して同系の位置及び配向で行われてよく、或いは、ランダムな非特異的位置(遺伝子増強)において組込みが行われてもよい。さらに別の実施態様の場合、核酸はDNAの別個のエピソーム・セグメントとして、細胞中に安定的に維持することができる。このような核酸セグメント又は「エピソーム」は、維持及び複製を可能にするのに十分な配列をコードする。この複製は、宿主細胞サイクルとは無関係であるか、又はこのサイクルと同期する。
脊椎動物の細胞内部にin vivoでタンパク質又はペプチドを送達するための方法の1つの特定の実施態様は、生理学的に許容可能なキャリヤと、当該ポリペプチドを作用的にコードするネイクド(裸)ポリヌクレオチドとを含む調製物を、細胞を含む組織の間隙空間内に導入するステップを含み、これにより、ネイクド・ポリヌクレオチドは細胞内部に取り込まれ、生理学的効果を有する。このことは、in vitroでの転移に特に適用できるが、しかしin vivoにも同様に適用することができる。
「ネイクド」ポリヌクレオチドを含む、in vitro及びin vivoで使用するための組成物は、国際公開第90/11092号(Vical Inc.)及び同第95/11307号(Institut Pasteur, INSERM, Universite d'Ottawa)の各パンフレット、並びに、Tacson他(1996)及びHuygen他(1996)の論文に記載されている。
本発明のさらに別の実施態様の場合、本発明のポリヌクレオチド構造を含む本発明のネイクド・ポリヌクレオチドの細胞中への転移は、粒子衝撃(biolistic)で進めることができる。前記粒子は、Klein他(1987)によって記載されているような、DNAをコーティングされたマイクロ・プロジェクタイルであり、これらは高速に加速されることにより、細胞膜を穿孔して細胞を殺すことなしに細胞中に入ることが可能になる。
別の実施態様の場合、本発明のポリヌクレオチドは、多様な標準的な方法のいずれかを用いて、リポソーム内に捕捉することができる(Ghosh及びBacchawat, 1991; Wong他,1980; Nicolau他, 1987)。
特定の実施態様の場合、本発明は、本明細書中に記載されたGlyT1タンパク質又はポリペプチドのin vivo生成のための組成物を提供する。この組成物は、このポリペプチドを作用的にコードするネイクド・ポリヌクレオチドであって、生理学的に許容可能なキャリヤ中の溶液の形を成し、組織の細胞が前記タンパク質又はポリペプチドを発現させるようにするために、組織内に導入するのに適したネイクド・ポリヌクレオチドを含む。
所望の宿主生物に注入されるべきベクター量は、注入部位に応じて変化する。指示用量として、ベクターは0.1〜100μgの量で、動物体内、好ましくは哺乳動物、例えばマウスの体内に注入されることになる。
所望の宿主生物に注入されるべきベクター量は、注入部位に応じて変化する。指示用量として、ベクターは0.1〜100μgの量で、動物体内、好ましくは哺乳動物、例えばマウスの体内に注入されることになる。
本発明によるベクターの別の実施態様の場合、このベクターは宿主細胞に、好ましくは治療されるべき動物から予め採取された宿主細胞、より好ましくは体細胞、例えば筋細胞中にin vitroで導入することができる。後続のステップにおいて、所望のGlyT1ポリペプチド又は所望のそのフラグメントをコードするベクターで形質転換されている細胞は動物体内に再導入され、これにより、体内に組換えタンパク質を局所的又は全身的に送達する。
細胞宿主
本発明の別の対象は、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドのうちの1つ、及び具体的には、GlyT1調節ポリヌクレオチド、又はSEQ ID NO:2〜9及び14〜21又はこれらのフラグメント又は変異体から成る群から選択されたGlyT1ポリペプチドのコーディング配列を含むポリヌクレオチドで形質転換又はトランスフェクトされている宿主細胞を含む。また、組換えベクター、例えば上述のもののうちの1つで形質転換された宿主細胞(原核細胞)又はトランスフェクトされた宿主細胞(真核細胞)も含まれる。より具体的には、本発明の宿主細胞は、「GlyT1遺伝子のゲノム配列」、「GlyT1 cDNA配列」、「コーディング領域」、「ポリヌクレオチド構造」及び「オリゴヌクレオチド・プローブ及びプライマー」の各項において説明したポリヌクレオチドのうちのいずれかを含むことができる。
本発明の別の対象は、本明細書中に記載されたポリヌクレオチドのうちの1つ、及び具体的には、GlyT1調節ポリヌクレオチド、又はSEQ ID NO:2〜9及び14〜21又はこれらのフラグメント又は変異体から成る群から選択されたGlyT1ポリペプチドのコーディング配列を含むポリヌクレオチドで形質転換又はトランスフェクトされている宿主細胞を含む。また、組換えベクター、例えば上述のもののうちの1つで形質転換された宿主細胞(原核細胞)又はトランスフェクトされた宿主細胞(真核細胞)も含まれる。より具体的には、本発明の宿主細胞は、「GlyT1遺伝子のゲノム配列」、「GlyT1 cDNA配列」、「コーディング領域」、「ポリヌクレオチド構造」及び「オリゴヌクレオチド・プローブ及びプライマー」の各項において説明したポリヌクレオチドのうちのいずれかを含むことができる。
本発明による付加的な組換え宿主細胞は、本明細書中に記載されたベクターのうちのいずれか、より具体的には「組換えベクター」の項に記載されたベクターのうちのいずれかを含む。
本発明の発現ベクターの受容体として使用される好ましい宿主細胞は下記の通りである:
(a)原核宿主細胞:Escherichia coli菌株(I.E.DH5-α菌株)、Bacillus subtilis, Salmonella typhimurium、及びPseudomanas, Streptomyces及びStapylococcusのような種に由来する菌株。
(b) 真核宿主細胞:HeLa細胞(ATCC No.CCL2; No.CCL2.1; No.CCL2.2), Cv 1細胞(ATCC No.CCL70), COS細胞(ATCC No.CRL1650; No.CRL1651), Sf-9細胞(ATCC No.CRL1711), C127細胞(ATCC No.CRL-1804), 3T3(ATCC No.CRL-6361), CHO(ATCC No.CCL-61), ヒト腎臓293(ATCC No.45504; No.CRL-1573)及びBHK(ECACC No.84100501; No.84111301)。
(a)原核宿主細胞:Escherichia coli菌株(I.E.DH5-α菌株)、Bacillus subtilis, Salmonella typhimurium、及びPseudomanas, Streptomyces及びStapylococcusのような種に由来する菌株。
(b) 真核宿主細胞:HeLa細胞(ATCC No.CCL2; No.CCL2.1; No.CCL2.2), Cv 1細胞(ATCC No.CCL70), COS細胞(ATCC No.CRL1650; No.CRL1651), Sf-9細胞(ATCC No.CRL1711), C127細胞(ATCC No.CRL-1804), 3T3(ATCC No.CRL-6361), CHO(ATCC No.CCL-61), ヒト腎臓293(ATCC No.45504; No.CRL-1573)及びBHK(ECACC No.84100501; No.84111301)。
(c) その他の哺乳動物宿主細胞。
哺乳動物、及び典型的にはヒトの細胞におけるGlyT1遺伝子発現は、本発明によるGlyT1オリゴヌクレオチドによって、動物細胞のゲノム中にGlyT1遺伝子の対向部分の代わりに、GlyT1ゲノム配列又はcDNA配列を挿入することにより、阻害又は促進することができる。これらの遺伝子変更は、既述の特定のDNA構造を使用して相同組換え事象によって発生させることができる。
哺乳動物、及び典型的にはヒトの細胞におけるGlyT1遺伝子発現は、本発明によるGlyT1オリゴヌクレオチドによって、動物細胞のゲノム中にGlyT1遺伝子の対向部分の代わりに、GlyT1ゲノム配列又はcDNA配列を挿入することにより、阻害又は促進することができる。これらの遺伝子変更は、既述の特定のDNA構造を使用して相同組換え事象によって発生させることができる。
使用可能な細胞宿主の1つの種類は、哺乳動物接合体、例えばマウス接合体である。例えば、マウス接合体は、当該精製DNA分子でマイクロインジェクションを施されてよい。例えばこの精製DNA分子は、100mM NaCl, 30μMスペルミン及び70μMスペルミジンを含有する10 mM Tris-HCl, pH7.4, 250μM EDTA中の濃度範囲を、BACインサートの場合1ng/ml、P1バクテリオファージ・インサートの場合3nm/μlに調節されている。マイクロインジェクションされるべきDNAが大きなサイズを有している場合、Schedl他(1993b)によって記載されているように、このDNAの機械的な破損を回避するために、ポリアミン及び高塩濃度を使用することができる。
本明細書に記載されたDNA構造を含む本発明のポリヌクレオチドのうちのいずれか1つは、胚幹(ES)細胞株、好ましくはマウスES細胞株中に導入することができる。ES細胞株は、着床前胚盤胞の内部細胞塊の多能性の未確定細胞に由来する。好ましいES細胞株は下記の通りである:ES-E14TG2a(ATCC No.CRL-1821), ES-D3(ATCC No.CRL1934及びCRL-11632), YS001(ATCC No.CRL-11776), 36.5(ATCC No.CRL-11116)。未確定状態にES細胞を維持するために、これらのES細胞は、成長を阻害された支持細胞の存在において培養される。これらの支持細胞は、好適なシグナルを提供することにより、この胚表現型を維持し、ES細胞付着のためのマトリックスとして作用する。好ましい支持細胞は一次胚線維芽細胞である。これらの細胞は、事実上任意のマウス菌株の第13〜14日目の組織から確立される。これらのマウス菌株は、Abbondanzo他(1993)によって記載されているような培地中で維持され、そしてRobertson(1987)によって記載されているように放射線により、又はPease及びWilliams(1990)によって記載されているようにLIFの阻害濃度の存在により、成長を阻害される。
宿主細胞中の構造をコンベンショナルに使用することにより、組換え配列によってコードされた遺伝子生成物を生成することができる。
好適な宿主を形質転換し、そして宿主を好適な細胞密度に成長させるのに続いて、適切な手段、例えば温度変化又は化学的な誘発によって、選択されたプロモーターが誘発され、細胞が付加的な期間にわたって培養される。
好適な宿主を形質転換し、そして宿主を好適な細胞密度に成長させるのに続いて、適切な手段、例えば温度変化又は化学的な誘発によって、選択されたプロモーターが誘発され、細胞が付加的な期間にわたって培養される。
細胞は典型的には遠心分離によって採取され、物理的又は化学的手段によって破壊され、そしてその結果生じた粗抽出物は更なる精製のために保持される。
タンパク質の発現において採用された微生物細胞は任意の好都合な方法によって破壊することができる。この方法は、凍結-解凍サイクル、超音波処理、機械的な破壊、又は細胞溶解剤の使用を含む。このような方法は当業者によって良く知られている。
タンパク質の発現において採用された微生物細胞は任意の好都合な方法によって破壊することができる。この方法は、凍結-解凍サイクル、超音波処理、機械的な破壊、又は細胞溶解剤の使用を含む。このような方法は当業者によって良く知られている。
トランスジェニック動物
「トランスジェニック動物」又は「宿主動物」という用語は、本発明による核酸のうちの1つを含むように、遺伝学的且つ人工的に操作されたゲノムを有する動物を表すのに本明細書中で使用される。好ましい動物はヒト以外の哺乳動物であり、Mus(例えばマウス)、Rattus(例えばラット)及びOryctogalus(例えばウサギ)から選択された属に属する動物を含む。これらの動物は、本発明による核酸を挿入することにより人工的且つ遺伝学的に変更されたゲノムを有している。1実施態様の場合、本発明は、本発明の組換えベクターを含む非ヒト宿主哺乳動物及び動物を包含する。
「トランスジェニック動物」又は「宿主動物」という用語は、本発明による核酸のうちの1つを含むように、遺伝学的且つ人工的に操作されたゲノムを有する動物を表すのに本明細書中で使用される。好ましい動物はヒト以外の哺乳動物であり、Mus(例えばマウス)、Rattus(例えばラット)及びOryctogalus(例えばウサギ)から選択された属に属する動物を含む。これらの動物は、本発明による核酸を挿入することにより人工的且つ遺伝学的に変更されたゲノムを有している。1実施態様の場合、本発明は、本発明の組換えベクターを含む非ヒト宿主哺乳動物及び動物を包含する。
本発明のトランスジェニック動物は全て、多数のこれらの細胞内に、クローニングされた組換え又は合成DNA配列、より具体的には、本明細書中に記載されているようなGlyT1コーディング配列、GlyT1調節ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド構造、又はアンチセンス・ポリヌクレオチドをコードするDNA配列を含む精製型又は分離型の核酸のうちの1つを含む。
一般に、本発明によるトランスジェニック動物は、本発明において説明されているポリヌクレオチド、組換えベクター及び細胞宿主のうちの任意の1つを含む。より具体的には、本発明のトランスジェニック動物は、「GlyT1遺伝子のゲノム配列」、「GlyT1 cDNA配列」、「コーディング領域」、「ポリヌクレオチド構造」及び「オリゴヌクレオチド・プローブ及びプライマー」、「組換えベクター」及び「細胞宿主」の各項において説明したポリヌクレオチドのうちのいずれかを含むことができる。
第1の好ましい実施態様の場合、これらのトランスジェニック動物は、GlyT1活性の効果を研究するための、例えば心理学的障害、例えば統合失調症、又はその他の精神障害を研究するための良好な試験モデルであると云える。このような1実施態様の場合、本発明の新規のGlyT1タンパク質のうちのいずれかをコードするポリヌクレオチドの1つ又はいくつかのコピーがゲノム中に挿入されているようなトランスジェニック動物が生成される。
第2の好ましい実施態様の場合、これらのトランスジェニック動物は、GlyT1遺伝子の調節ポリヌクレオチドの制御下で、当該の所望のポリペプチドを発現させることができ、これにより、この当該タンパク質の合成において、そして最終的にはこの当該タンパク質の組織特異的な発現において良好な収量が得られる。
第2の好ましい実施態様の場合、これらのトランスジェニック動物は、GlyT1遺伝子の調節ポリヌクレオチドの制御下で、当該の所望のポリペプチドを発現させることができ、これにより、この当該タンパク質の合成において、そして最終的にはこの当該タンパク質の組織特異的な発現において良好な収量が得られる。
当業者に良く知られたコンベンショナルな技術に従って、本発明のトランスジェニック動物を設計することができる。トランスジェニック動物、及び具体的にはトランスジェニック・マウスの生成に関するより詳細に関しては、米国特許第4,873,191号;同第5,464,764号;又は同第5,789,215号の各明細書を参照することができる。これらの文献を、トランスジェニック・マウスをの生成方法を開示する参考文献として本明細書中に引用する。
本発明のトランスジェニック動物は、外生的な遺伝物質が内部に組込まれたゲノムを有する動物を生じさせる手順を適用することにより生成される。この手順は、遺伝物質又はその部分を得ることを伴う。この遺伝物質又はその部分は、本明細書中に記載されているようなGlyT1コーディング配列、GlyT1調節ポリヌクレオチド、又はGlyT1アンチセンス・ポリヌクレオチドをコードするDNA配列をコードする。
本発明の組換えポリヌクレオチドは、胚細胞又はES幹細胞株中に挿入される。この挿入は好ましくは、Thomas他(1987)によって記載されているように、エレクトロポレーションによって行われる。エレクトロポレーションを施された細胞は(選択マーカーを介した選択、PCR、又はサザンブロット分析によって)スクリーニングされ、これにより、ゲノム中に外生的組換えポリヌクレオチドが組込まれている陽性細胞が、好ましくは相同組換え事象を介して見出される。本発明により利用することができる陽性-陰性選択手順の例が、Mansour他(1988)によって説明されている。
次いで陽性細胞がBradleyによって記載されているように、陽性ES細胞は、分離され、クローニングされ、そしてマウスに由来する日齢3.5日の胚盤胞中に注入される。次いで胚盤胞は、雌宿主動物内に挿入され、所定の期間まで成長させておかれる。
或いは、陽性ES細胞は、Wood他(1993)又はNagy他(1993)によって記載されているように、日齢2.5日の8〜16細胞分裂時期(桑実胚)の胚と接触させられる。ES細胞は、生殖細胞系を生じさせることになる細胞を含む胚盤胞を広範囲にコロニー化するように内部化される。
或いは、陽性ES細胞は、Wood他(1993)又はNagy他(1993)によって記載されているように、日齢2.5日の8〜16細胞分裂時期(桑実胚)の胚と接触させられる。ES細胞は、生殖細胞系を生じさせることになる細胞を含む胚盤胞を広範囲にコロニー化するように内部化される。
雌宿主の子孫を試験することにより、どの動物がトランスジェニックであって、例えば、挿入された外生的DNA配列を含むか、そしてどの動物が野生型であるかが見極められる。
このように本発明はまた、本発明による核酸、組換え発現ベクター、又は組換え宿主細胞に関する。
本発明のトランスジェニック動物に由来する組換え細胞株
本発明の別の対象は、本明細書中に記載されたトランスジェニック動物から得られる組換え宿主細胞を含む。1実施態様の場合、本発明は、非ヒト宿主哺乳動物、及び、本発明の組換えベクターを含む動物、又は、本発明の新規のGlyT1ポリペプチドのうちのいずれかを発現させる動物を包含する。
本発明の別の対象は、本明細書中に記載されたトランスジェニック動物から得られる組換え宿主細胞を含む。1実施態様の場合、本発明は、非ヒト宿主哺乳動物、及び、本発明の組換えベクターを含む動物、又は、本発明の新規のGlyT1ポリペプチドのうちのいずれかを発現させる動物を包含する。
Chou(1989)及びShay他(1991)によって記載されているように、onc遺伝子、例えばSV40大型T抗原を発現させるベクターを一次細胞培養にトランスフェクトすることにより、本発明によるトランスジェニック動物の任意の組織から得られた細胞から、in vitroで組換え細胞株を確立することができる。
GlyT1ポリペプチドと相互作用する物質のスクリーニング法
本発明の目的において、リガンドは、GlyT1タンパク質又はそのフラグメント又は変異体に結合することができるか、或いは、GlyT1をコードするポリヌクレオチド又はそのフラグメント又はその変異体の発現をモジュレートするための分子、例えばタンパク質、ペプチド、抗体、又は任意の化合物を意味する。
本発明の目的において、リガンドは、GlyT1タンパク質又はそのフラグメント又は変異体に結合することができるか、或いは、GlyT1をコードするポリヌクレオチド又はそのフラグメント又はその変異体の発現をモジュレートするための分子、例えばタンパク質、ペプチド、抗体、又は任意の化合物を意味する。
本発明によるリガンド・スクリーニング方法において、生体試料又はGlyT1タンパク質の推定上のリガンドとして試験されるべき定義済の分子を、対応する精製GlyT1タンパク質、例えば前述のような組換え細胞宿主によって生成された対応精製組換えGlyT1タンパク質と接触させることにより、このタンパク質と被験推定リガンド分子との間の複合体を形成する。本明細書中に記載されたアッセイのうちのいずれかにおいて、GlyT1は、アッセイ中に細胞又は細胞膜内に存在していてよい。
一例としては、SEQ ID NO:26〜33の最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又はSEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされた本発明の新規のGlyT1タンパク質のうちのいずれか又はフラグメントと、薬剤又は小分子、例えば複合的な化学アプローチを通して生成された分子との相互作用を研究するために、Wang他(1997)によって記載されたHPLC法に結び付けられたマイクロ透析、又はBush他(1997)によって記載されたアフィニティ毛管電気泳動法を利用することができる。これらの文献を参考のため本明細書に引用する。
更なる方法において、SEQ ID NO:26〜33の最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントと相互作用するペプチド、薬剤、脂肪酸、リポタンパク質又は小タンパク質を、下記のようなアッセイを用いて同定することができる。結合に関して試験されるべき分子は、検出可能な標識、例えば蛍光タグ、放射性タグ又は酵素タグを標識付けされ、固定化されたGlyT1タンパク質又はそのフラグメントと、特異的結合が発生するのを可能にする条件下で接触させられる。非特異的に結合された分子を取り出した後、結合された分子が適切な手段を使用して検出される。
本発明の別の対象は、GlyT1ポリペプチドと相互作用する候補物質をスクリーニングするための方法及びキットを含む。
GlyT1タンパク質又はその1つのフラグメント又は変異体と相互作用する当該物質をスクリーニングする方法に関する。GlyT1タンパク質又はそのフラグメント又は変異体に共有結合又は非共有結合する能力によって、これらの物質又は分子は、in vitro又はin vivoの両方で使用することができるので有利である。
GlyT1タンパク質又はその1つのフラグメント又は変異体と相互作用する当該物質をスクリーニングする方法に関する。GlyT1タンパク質又はそのフラグメント又は変異体に共有結合又は非共有結合する能力によって、これらの物質又は分子は、in vitro又はin vivoの両方で使用することができるので有利である。
in vitroで、前記相互作用分子は、試料、好ましくは生体試料中のGlyT1タンパク質の存在を同定するために、検出手段として使用することができる。
候補物質のスクリーニング方法であって、該方法は、下記のステップ:
a) SEQ ID NO:26〜33のうちの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントを含むか、これから成るか、これから本質的に成るポリペプチドを提供し;
b) 候補物質を獲得し;
c) 前記ポリペプチドを前記候補物質と接触させ;
d) 前記ポリペプチドと前記候補物質との間に形成された複合体を検出する
ステップを含む。
a) SEQ ID NO:26〜33のうちの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントを含むか、これから成るか、これから本質的に成るポリペプチドを提供し;
b) 候補物質を獲得し;
c) 前記ポリペプチドを前記候補物質と接触させ;
d) 前記ポリペプチドと前記候補物質との間に形成された複合体を検出する
ステップを含む。
本発明はさらに、GlyT1ポリペプチドと相互作用する候補物質をスクリーニングするためのキットに関し、前記キットは:
a) SEQ ID NO:26〜33のアミノ酸配列のうちのいずれかから成る群からアミノ酸配列、又は、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むペプチド・フラグメント、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたアミノ酸配列を有するGlyT1タンパク質と;
a) SEQ ID NO:26〜33のアミノ酸配列のうちのいずれかから成る群からアミノ酸配列、又は、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むペプチド・フラグメント、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたアミノ酸配列を有するGlyT1タンパク質と;
b) 任意には、GlyT1タンパク質又はそのペプチド・フラグメント又は変異体と、候補物質との間に形成された複合体を検出するためのに有用な手段
を含む。
を含む。
上記キットの好ましい実施態様の場合、検出手段は、GlyT1タンパク質又はそのペプチド・フラグメント又は変異体に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体を含む。
GlyT1ポリペプチドとの相互作用に関して、種々の候補物質又は候補分子を検定することができる。これらの物質又は分子の一例としては、生体起源の天然型又は合成型の有機化合物又は分子、例えばポリペプチドが挙げられる。候補物質又は候補分子がポリペプチドを含む場合、このポリペプチドは、ファージに基づくランダムなペプチド・ライブラリに属するファージ・クローンの、結果として生じた発現生成物であってよい。或いは、このポリペプチドは、2ハイブリッド・スクリーニング・アッセイを実施するのに適したベクター内でクローニングされたcDNAライブラリの、結果として生じた発現生成物であってよい。
GlyT1ポリペプチドとの相互作用に関して、種々の候補物質又は候補分子を検定することができる。これらの物質又は分子の一例としては、生体起源の天然型又は合成型の有機化合物又は分子、例えばポリペプチドが挙げられる。候補物質又は候補分子がポリペプチドを含む場合、このポリペプチドは、ファージに基づくランダムなペプチド・ライブラリに属するファージ・クローンの、結果として生じた発現生成物であってよい。或いは、このポリペプチドは、2ハイブリッド・スクリーニング・アッセイを実施するのに適したベクター内でクローニングされたcDNAライブラリの、結果として生じた発現生成物であってよい。
本発明はさらに、本明細書中に記載されたスクリーニング法を実施するのに有用なキットに関する。好ましくはこのようなキットは、GlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体を含み、そして任意には、GlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体と候補物質との間に形成された複合体を検出するのに有用な手段を含む。好ましい実施態様の場合、検出手段は、対応するGlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体を含む。
A. ランダムなポリペプチド・ライブラリから得られた候補リガンド
スクリーニング法の特定の実施態様の場合、推定上のリガンドは、ファージ・ベクター中に含有されるDNAインサートの発現生成物である(Parmley及びSmith, 1988)。具体的にはランダムなペプチド・ファージが使用される。ランダムなDNAインサートは、8〜20のアミノ酸長のペプチドをコードする(Oldenburg K.R.他、1992; Valadon P.他、1996;Lucas A.H., 1994; Westerink M.A.J., 1995; Felici F.他,1991)。この特定の実施態様によれば、固定化されたGlyT1タンパク質に結合するタンパク質を発現させる組換えファージは維持され、GlyT1タンパク質と組換えファージとの間に結合された複合体は、GlyT1タンパク質に対するポリクローナル又はモノクローナル抗体によって、続いて免疫沈降させることができる。
スクリーニング法の特定の実施態様の場合、推定上のリガンドは、ファージ・ベクター中に含有されるDNAインサートの発現生成物である(Parmley及びSmith, 1988)。具体的にはランダムなペプチド・ファージが使用される。ランダムなDNAインサートは、8〜20のアミノ酸長のペプチドをコードする(Oldenburg K.R.他、1992; Valadon P.他、1996;Lucas A.H., 1994; Westerink M.A.J., 1995; Felici F.他,1991)。この特定の実施態様によれば、固定化されたGlyT1タンパク質に結合するタンパク質を発現させる組換えファージは維持され、GlyT1タンパク質と組換えファージとの間に結合された複合体は、GlyT1タンパク質に対するポリクローナル又はモノクローナル抗体によって、続いて免疫沈降させることができる。
組換えファージにおけるリガンド・ライブラリが構成されると、ファージ個体群が固定化GlyT1タンパク質と接触させられる。次いで複合体調製物が洗浄され、これにより、非特異的に結合された組換えファージが除去される。GlyT1タンパク質に特異的に結合するファージは、次いで、緩衝液(酸pH)によって溶離され、ハイブリドーマ抗GlyT1によって生成されたモノクローナル抗体によって、免疫沈降される。そしてこのファージ個体群は続いて、細菌(例えばE.coli)の過剰感染によって増幅される。選択ステップは数回、好ましくは2〜4回繰り返すことにより、より特異的な組換えファージ・クローンを選択することができる。最後のステップは、感染された細菌中で発現させて分離するか、又は別の宿主-ベクター系内でファージ・インサートを発現させるか、又は選択された組換えファージ内に含有されるインサートを配列決定することにより、選択された組換えファージ・クローンによって生成されたペプチドを特徴付けすることを含む。
B. 競合試験によって得られた候補リガンド
或いは、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントに結合するペプチド、薬剤又は小分子は、競合試験において同定することができる。このようなアッセイにおいて、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントは、表面、例えばプラスチック・プレートに固定化される。増大する量のこれらのペプチド、薬剤又は小分子が、検出可能な標識付けされた既知のGlyT1タンパク質リガンドの存在において、固定化されたGlyT1タンパク質、又はそのフラグメントに接触させられる。例えば、GlyT1リガンドには、蛍光タグ、放射性タグ又は酵素タグが検出可能に標識付けされてよい。試験分子がGlyT1タンパク質又はそのフラグメントに結合する能力は、試験分子の存在において結合された、結合可能に標識付けされた既知のリガンドの量を測定することにより、見極められる。試験分子が存在する場合、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントに結合された既知のリガンドの量が減少すると、このことは、試験分子がGlyT1タンパク質又はそのフラグメントに結合することができることを示す。
或いは、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントに結合するペプチド、薬剤又は小分子は、競合試験において同定することができる。このようなアッセイにおいて、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントは、表面、例えばプラスチック・プレートに固定化される。増大する量のこれらのペプチド、薬剤又は小分子が、検出可能な標識付けされた既知のGlyT1タンパク質リガンドの存在において、固定化されたGlyT1タンパク質、又はそのフラグメントに接触させられる。例えば、GlyT1リガンドには、蛍光タグ、放射性タグ又は酵素タグが検出可能に標識付けされてよい。試験分子がGlyT1タンパク質又はそのフラグメントに結合する能力は、試験分子の存在において結合された、結合可能に標識付けされた既知のリガンドの量を測定することにより、見極められる。試験分子が存在する場合、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントに結合された既知のリガンドの量が減少すると、このことは、試験分子がGlyT1タンパク質又はそのフラグメントに結合することができることを示す。
C. アフィニティ・クロマトグラフィによって得られた候補リガンド
SEQ ID NO:26〜33の最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントと相互作用する蛋白質又はその他の分子を、アフィニティ・カラムを使用して見出すこともできる。これらのアフィニティ・カラムは、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントを含有する。GlyT1タンパク質又はそのフラグメントは、コンベンショナルな技術を用いて、カラムに付着させることができる。これらのコンベンショナルな技術は好適なカラム・マトリックス、例えばアガロースAffiGel(登録商標)に対する化学的なカップリング、又は当業者に良く知られたその他のマトリックスを含む。この方法のいくつかの実施態様において、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)に融合されたGlyT1タンパク質又はそのフラグメントを有するキメラ・タンパク質を含有する。細胞タンパク質の混合物、又は上述のような発現させられたタンパク質のプールがアフィニティ・カラムに塗布される。次いで、カラムに付着されたGlyT1タンパク質又はそのフラグメントと相互作用する蛋白質又はその他の分子を分離され、Ramunsen他(1997)(この開示内容を参考のため本明細書中に引用する)に記載されているような2-D電気泳動ゲル上で分析することができる。或いは、アフィニティ・カラム上に保持されたタンパク質を、電気泳動に基づいた方法によって精製し、そして配列決定することができる。これと同じ方法を用いて、抗体を分離し、これによりファージ表示生成物をスクリーニングするか、又はファージ表示ヒト抗体をスクリーニングすることができる。
SEQ ID NO:26〜33の最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントと相互作用する蛋白質又はその他の分子を、アフィニティ・カラムを使用して見出すこともできる。これらのアフィニティ・カラムは、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントを含有する。GlyT1タンパク質又はそのフラグメントは、コンベンショナルな技術を用いて、カラムに付着させることができる。これらのコンベンショナルな技術は好適なカラム・マトリックス、例えばアガロースAffiGel(登録商標)に対する化学的なカップリング、又は当業者に良く知られたその他のマトリックスを含む。この方法のいくつかの実施態様において、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)に融合されたGlyT1タンパク質又はそのフラグメントを有するキメラ・タンパク質を含有する。細胞タンパク質の混合物、又は上述のような発現させられたタンパク質のプールがアフィニティ・カラムに塗布される。次いで、カラムに付着されたGlyT1タンパク質又はそのフラグメントと相互作用する蛋白質又はその他の分子を分離され、Ramunsen他(1997)(この開示内容を参考のため本明細書中に引用する)に記載されているような2-D電気泳動ゲル上で分析することができる。或いは、アフィニティ・カラム上に保持されたタンパク質を、電気泳動に基づいた方法によって精製し、そして配列決定することができる。これと同じ方法を用いて、抗体を分離し、これによりファージ表示生成物をスクリーニングするか、又はファージ表示ヒト抗体をスクリーニングすることができる。
D. 光学バイオセンサー法によって得られた候補リガンド
SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントと相互作用する蛋白質を、Edwards及びLeatherbarrow(1997)において、またSzabo他(1995)において記載されているような光学バイオセンサーを使用することによりスクリーニングすることもできる(上記文献の開示内容を参考のため本明細書中に引用する)。この技術は、標識付け分子を必要とせずに分子間の相互作用をリアルタイムで検出することを可能にする。この技術は、表面プラズモン共鳴(SPR)現象に基づいている。手短に云えば、試験されるべき候補リガンドは表面(例えばカルボキシメチルデキストラン・マトリックス)に付着される。被験試料を含有しない表面側に光ビームが当てられ、この光ビームは前記表面によって反射させられる。SPR現象は、角度及び波長の特異的な関連により、反射光の強度を減少させる。候補リガンド分子の結合は表面上の屈折率を変化させる。この変化は、SPRシグナルの変化として検出される。GlyT1タンパク質及びそのフラグメントと相互作用することができる候補リガンド分子又は候補物質をスクリーニングするために、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントは表面上に固定化される。この表面は、検定されるべき候補分子が貫流する細胞の1つの側を含む。GlyT1タンパク質又はそのフラグメント上での候補分子の結合は、SPRシグナルの変化として検出される。試験される候補分子は、複合的な化学反応によって生成されたタンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質又は小分子であってよい。このような技術は、外生的な又は組換え発現させられたGlyT1タンパク質を表面に示す、真核細胞、原核細胞又は脂質小胞を固定化することにより実施することもできる。
SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントと相互作用する蛋白質を、Edwards及びLeatherbarrow(1997)において、またSzabo他(1995)において記載されているような光学バイオセンサーを使用することによりスクリーニングすることもできる(上記文献の開示内容を参考のため本明細書中に引用する)。この技術は、標識付け分子を必要とせずに分子間の相互作用をリアルタイムで検出することを可能にする。この技術は、表面プラズモン共鳴(SPR)現象に基づいている。手短に云えば、試験されるべき候補リガンドは表面(例えばカルボキシメチルデキストラン・マトリックス)に付着される。被験試料を含有しない表面側に光ビームが当てられ、この光ビームは前記表面によって反射させられる。SPR現象は、角度及び波長の特異的な関連により、反射光の強度を減少させる。候補リガンド分子の結合は表面上の屈折率を変化させる。この変化は、SPRシグナルの変化として検出される。GlyT1タンパク質及びそのフラグメントと相互作用することができる候補リガンド分子又は候補物質をスクリーニングするために、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントは表面上に固定化される。この表面は、検定されるべき候補分子が貫流する細胞の1つの側を含む。GlyT1タンパク質又はそのフラグメント上での候補分子の結合は、SPRシグナルの変化として検出される。試験される候補分子は、複合的な化学反応によって生成されたタンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質又は小分子であってよい。このような技術は、外生的な又は組換え発現させられたGlyT1タンパク質を表面に示す、真核細胞、原核細胞又は脂質小胞を固定化することにより実施することもできる。
この方法の主な利点は、GlyT1タンパク質と、GlyT1タンパク質と相互作用する分子との間の会合速度の測定を可能にすることである。従って、GlyT1タンパク質又はそのフラグメントと相互作用するリガンド分子を、強い又は逆に弱い会合定数を通して、特異的に選択することが可能である。
E. 2ハイブリッド・スクリーニング・アッセイを通して得られた候補リガンド
酵母2ハイブリッド・システムは、in vivoでタンパク質間相互作用を研究するように設計されており(Fields及びSong, 1989)、酵母Gal4タンパク質のDNA結合ドメインにベイト(bait)タンパク質を融合することに依存する。この技術は米国特許第5,667,973号明細書及び同第5,283,173号明細書(Field他)にも記載されている。これら両特許明細書の技術的な教示内容を参考のため本明細書に引用する。
酵母2ハイブリッド・システムは、in vivoでタンパク質間相互作用を研究するように設計されており(Fields及びSong, 1989)、酵母Gal4タンパク質のDNA結合ドメインにベイト(bait)タンパク質を融合することに依存する。この技術は米国特許第5,667,973号明細書及び同第5,283,173号明細書(Field他)にも記載されている。これら両特許明細書の技術的な教示内容を参考のため本明細書に引用する。
2ハイブリッド・アッセイによるライブラリ・スクリーニングの一般的な手順は、Harper他(1993)又はCho他(1998)又はFromont-Racine他(1997)によって説明されているように実施することができる。
ベイトタンパク質又はポリペプチドは、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6のアミノ酸、好ましくは最小8〜10のアミノ酸、より好ましくは最小12, 15, 20, 25, 30, 40, 50又は100のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むか、又は、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされたGlyT1タンパク質又はフラグメントを含むか、本質的にこれから成るか、又はこれから成る。
より正確には、GlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体をコードするヌクレオチド配列は、GAL4タンパク質のDNA結合ドメインをコードするポリヌクレオチドに融合される。融合されたヌクレオチド配列は、好適な発現ベクター、例えばpAS2又はpM3中に挿入される。
より正確には、GlyT1ポリペプチド又はそのフラグメント又は変異体をコードするヌクレオチド配列は、GAL4タンパク質のDNA結合ドメインをコードするポリヌクレオチドに融合される。融合されたヌクレオチド配列は、好適な発現ベクター、例えばpAS2又はpM3中に挿入される。
次いで、特別に設計されたベクター内にヒトcDNAライブラリが構成され、これにより、ヒトcDNAインサートが、GAL4タンパク質の転写ドメインをコードするベクター内のヌクレオチド配列に融合される。好ましくは、使用されるベクターはpACTベクターである。ヒトcDNAのヌクレオチド・インサートによってコードされるポリペプチドは「プレイ(prey)」ポリペプチドと呼ばれる。
第3のベクターは、検出可能なマーカー遺伝子、例えばベータ・ガラクトシダーゼ遺伝子又はCAT遺伝子を含有する。この遺伝子は、転写活性化ドメインとDNA結合ドメインの双方を含有する完全なGal4タンパク質の結合に反応する調節配列の制御下に置かれる。例えば、ベクターpG5ECを使用することができる。
2つの異なる酵母菌株も使用される。その一例として、2つの異なる酵母菌株は下記の通りである:
-Y190、(MATa, Leu2-3, 112ura3-12, trp1-901, his3-D200, ade2-101, gal4Dgal180D URA3 GAL-LacZ, LYS GAL-HIS3, cyh')である表現型;
-Y187、(MATa, gal4 gal80 his3 trp1-901 ade2-101 ura3-52 leu2-3,-112 URA3 GAL-lacZmet)である表現型。これはY190の対向交配型である。
2つの異なる酵母菌株も使用される。その一例として、2つの異なる酵母菌株は下記の通りである:
-Y190、(MATa, Leu2-3, 112ura3-12, trp1-901, his3-D200, ade2-101, gal4Dgal180D URA3 GAL-LacZ, LYS GAL-HIS3, cyh')である表現型;
-Y187、(MATa, gal4 gal80 his3 trp1-901 ade2-101 ura3-52 leu2-3,-112 URA3 GAL-lacZmet)である表現型。これはY190の対向交配型である。
手短に云えば、20μgのpAS2/GLYT1及び20μgのpACT-cDNAライブラリを酵母菌株Y190中に同時形質転換する。ヒスチジン、ロイシン及びトリプトファンを欠くが、しかしヒスチジン合成インヒビター3-AT(50mM)を含有する最小培地上で成長した形質転換体を選択する。フィルター・リフト・アッセイによってベータ・ガラクトシダーゼに関して陽性コロニーをスクリーニングする。次いで、ヒスチジン、ロイシンを欠くが、しかしトリプトファン及びシクロヘキシミド(10mg/ml)を含有するプレート上で、二重陽性コロニー(His+, beta-gal+)を成長させ、これにより、pAS2/GLYT1プラスミドを損失するがしかしpACT-cDNAライブラリ・プラスミドを保持するものを選択する。その結果生じたY190菌株を、GlyT1を発現させるY187菌株、又は無関係の制御タンパク質、例えばシクロフィリンB、ラミン又はSNF1と、例えばHarper他(1993)及びBram他(Bram RJ他、1993)によって記載されているようなGal4融合体として交配させ、そしてフィルター・リフト・アッセイによってベータ・ガラクトシダーゼに関してスクリーニングする。制御Gal4融合体との交配後にbeta-gal-である酵母クローンは偽陽性であると考えられる。
本発明による2ハイブリッド法の別の実施態様の場合、GlyT1又はそのフラグメント又は変異体と、細胞タンパク質との相互作用を、Matchmaker Two Hybrid System 2(カタログ番号K1604-1, Clontech)を使用して評価することができる。Matchmaker Two Hybrid System 2(カタログ番号K1604-1, Clontech)に添付のマニュアルに記載されているように(この開示内容を参考のため本明細書中に引用する)、GlyT1タンパク質又はその一部をコードする核酸が、酵母転写アクチベーターGAL4のDNA結合ドメインをコードするDNAを有するフレーム内にあるように、発現ベクター中に挿入される。所望のcDNA、好ましくはヒトcDNAが、GAL活性化ドメインをコードするDNAを有するフレーム内にあるように、第2発現ベクター中に挿入される。2つの発現プラスミドは酵母内に形質転換され、この酵母は選択培地上で平板培養される。この選択培地は、発現ベクターのそれぞれにおける選択マーカーの発現、並びにHIS3遺伝子のGAL4依存性発現を選択する。ヒスチジンを欠いている培地上で成長することができる形質転換体は、GAL4依存性lacZ発現に関してスクリーニングされる。ヒスチジン選択及びlacZアッセイの両方において陽性の細胞は、GlyT1と、最初に選択されたcDNAインサートによってコードされたタンパク質又はペプチドとの間の相互作用を含有する。
GlyT1活性のモジュレーターを同定する方法
多数のアッセイ、アゴニスト及びアンタゴニストのうちのいずれもが知られており、本明細書中に記載したGlyT1ポリペプチドのうちのいずれかの活性を評価するのに使用することができる。アッセイはin vitro、ex vivo及びin vivoアッセイを含む。例えば、トランスポーターをコードする核酸がトランスフェクトされた細胞(例えばCOS-7細胞、ゼノプス卵母細胞、ヒト胚腎臓293細胞)内でトランスポーターの活性が測定されるアッセイ、又は、トランスポーター(例えば軟骨細胞、胎盤絨毛膜細胞、海馬錘体神経)を自然発現させる細胞を含有する組織ホモジェネート又は生体試料を使用するアッセイ、そしてトランスポーター活性を評価するための多数の方法のうちのいずれかを用いて、例えばシグナル伝達分子活性又はレベル、トランスポーター活性に応答する遺伝子の転写レベルを検出することなどによるアッセイを使用することができる。GlyT1ポリペプチドのうちのいずれかのモジュレーターとして同定された化合物、及び、GlyT1ポリペプチドと物理的に相互作用することが判っている化合物は、数多くの用途を有している。これらの用途は、多数の神経障害及び心理的障害、例えばNMDA受容体シグナル化に関連する障害、例えば統合失調症を治療又は予防することを含む。
多数のアッセイ、アゴニスト及びアンタゴニストのうちのいずれもが知られており、本明細書中に記載したGlyT1ポリペプチドのうちのいずれかの活性を評価するのに使用することができる。アッセイはin vitro、ex vivo及びin vivoアッセイを含む。例えば、トランスポーターをコードする核酸がトランスフェクトされた細胞(例えばCOS-7細胞、ゼノプス卵母細胞、ヒト胚腎臓293細胞)内でトランスポーターの活性が測定されるアッセイ、又は、トランスポーター(例えば軟骨細胞、胎盤絨毛膜細胞、海馬錘体神経)を自然発現させる細胞を含有する組織ホモジェネート又は生体試料を使用するアッセイ、そしてトランスポーター活性を評価するための多数の方法のうちのいずれかを用いて、例えばシグナル伝達分子活性又はレベル、トランスポーター活性に応答する遺伝子の転写レベルを検出することなどによるアッセイを使用することができる。GlyT1ポリペプチドのうちのいずれかのモジュレーターとして同定された化合物、及び、GlyT1ポリペプチドと物理的に相互作用することが判っている化合物は、数多くの用途を有している。これらの用途は、多数の神経障害及び心理的障害、例えばNMDA受容体シグナル化に関連する障害、例えば統合失調症を治療又は予防することを含む。
GlyT1活性に対する化合物の効果は、数多くの方法のうちのいずれかで、例えばグリシン輸送又は取込み(例えばin vitroでの海馬錘体神経の全細胞パッチクランプ記録の使用)、脊椎自律神経節を通したシナプス伝達、シナプス後ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)活性、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)機能、NMDA受容体活性を評価するための任意の動物モデルを試験することにより、例えば行動アッセイ、又は細胞又は動物内のグリシン輸送を評価するための他のアッセイを使用することにより、評価することができる。
アゴニスト及びアンタゴニスト、インヒビター又はアクチベーターを含む、本発明のアッセイにおいて使用するのに適したリガンドの一例としては、サルコシン(GlyT1インヒビター)、アルファ-メチルアミノイソ酪酸(MeAIB)(グリシン輸送のインヒビター)、グリシンメチルエステル、グリシンエチルエステル、2-アミノ-5-ホスホノ吉草酸(グリシン輸送のインヒビター)、7-クロロ-キヌレン酸(グリシン輸送のインヒビター)、ドキセピン、アミトリプチリン、N[3-(4'-フルオロフェニル-3-4'-フェニルフェノキシ)プロピル]サルコシン(NFPS;インヒビター)、ノルトリプチリン、並びに、これらの化合物のうちのいずれかに構造的に関連した任意の化合物、又は、本明細書中に記載したグリシン・トランスポーターのうちのいずれかと相互作用するか又はこれをモジュレートする任意の他の化合物が挙げられる。このような化合物は本発明中に記載されたアッセイにおいて正又は負の対照として使用することができ、又は、このアッセイに含むことができる。それというのも試験化合物は、トランスポーターに対するリガンドの既知の効果をモジュレートする能力に関して評価されるからである。GlyT1トランスポーターに対する既知の活性を有するこれらの化合物は、好ましくは「リード化合物」として使用して、これにより、例えば活性又は副作用の不存在という点に関して、潜在的に特性が向上させられた関連化合物を同定することもできる。
上述のように、本明細書中に記載されたグリシン・トランスポーターのうちのいずれかに対する既知のリガンド(例えばグリシン)の結合をin vitro、in vivo又はex vivoで変化させる、化合物の能力を利用することもできる。
グリシン・トランスポーター活性、及びグリシン・トランスポーターと相互作用するリガンドを検定する方法が、前出のHoriuchi他(2001)PNAS 98(4): 1448-53; Tsen他(2000) Nat Neurosci 3(3):126-32; Evan他(1999) FEBS Lett 463(3):301-6; Barker他(1999) J Physiol 514(Pt3):795-808; Liu他(1994) Biochim Biophys Acta 1194(1):176-84; Kim他(1994) Mol Pharmacol 45(4):608-17; Liu他(1992) FEBS Lett 305(2):110-4; Bergeron他(1998) Proc Natl Acad Sci USA 95(26):15730-4; Nunez他(2000)Br J Pharmacol 129(1):200-6に記載されている。これらの文献のそれぞれの開示内容全体を参考のため本明細書中に引用する。
グリシン・トランスポーター活性、及びグリシン・トランスポーターと相互作用するリガンドを検定する方法が、前出のHoriuchi他(2001)PNAS 98(4): 1448-53; Tsen他(2000) Nat Neurosci 3(3):126-32; Evan他(1999) FEBS Lett 463(3):301-6; Barker他(1999) J Physiol 514(Pt3):795-808; Liu他(1994) Biochim Biophys Acta 1194(1):176-84; Kim他(1994) Mol Pharmacol 45(4):608-17; Liu他(1992) FEBS Lett 305(2):110-4; Bergeron他(1998) Proc Natl Acad Sci USA 95(26):15730-4; Nunez他(2000)Br J Pharmacol 129(1):200-6に記載されている。これらの文献のそれぞれの開示内容全体を参考のため本明細書中に引用する。
GlyT1 cDNAの発現を阻害する方法
本発明によるその他の治療用組成物は有利には、対応GlyT1 cDNAの発現を阻害するためのアンチセンスとして、GlyT1の核酸配列のオリゴヌクレオチド・フラグメントを含む。
本発明によるアンチセンス・ポリヌクレオチドを使用する好ましい方法は、Sczakiel他(1995)によって記載された手順である。
好ましくは、アンチセンス・ツールは、当該GlyT1 mRNAの5'末端に対して相補的なポリヌクレオチド(15〜200bp長)の中から選ばれる。別の実施態様の場合、所望の標的遺伝子の種々異なる部分に対して相補的な種々異なるアンチセンス・ポリヌクレオチドの組み合わせが使用される。
本発明によるその他の治療用組成物は有利には、対応GlyT1 cDNAの発現を阻害するためのアンチセンスとして、GlyT1の核酸配列のオリゴヌクレオチド・フラグメントを含む。
本発明によるアンチセンス・ポリヌクレオチドを使用する好ましい方法は、Sczakiel他(1995)によって記載された手順である。
好ましくは、アンチセンス・ツールは、当該GlyT1 mRNAの5'末端に対して相補的なポリヌクレオチド(15〜200bp長)の中から選ばれる。別の実施態様の場合、所望の標的遺伝子の種々異なる部分に対して相補的な種々異なるアンチセンス・ポリヌクレオチドの組み合わせが使用される。
本発明による好ましいアンチセンス・ポリヌクレオチドは、翻訳開始コドンATG又はスプライシング・ドナー又はアクセプター部位を含有するGlyT1のmRNAの配列に対して相補的である。
アンチセンス核酸は、細胞内デュプレックスの形成を可能にするのに十分な長さ及び融点を有し、この細胞内デュプレックスは、デュプレックス内でのGlyT1 mRNAの発現を阻害するのに十分な安定性を有するべきである。遺伝子治療において使用するのに適したアンチセンス核酸を設計するための戦略が、Green他(1986)及びIzant及びWeintraub(1984)において開示されている。これらの開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
アンチセンス核酸は、細胞内デュプレックスの形成を可能にするのに十分な長さ及び融点を有し、この細胞内デュプレックスは、デュプレックス内でのGlyT1 mRNAの発現を阻害するのに十分な安定性を有するべきである。遺伝子治療において使用するのに適したアンチセンス核酸を設計するための戦略が、Green他(1986)及びIzant及びWeintraub(1984)において開示されている。これらの開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
いくつかの戦略において、プロモーターに対してGlyT1コーディング領域の配向を逆転して、細胞内で正常に転写されるストランドと対向するストランドを転写することにより、アンチセンス分子が得られる。アンチセンス分子は、in vitro転写系、例えばT7又はSP6ポリメラーゼを採用して転写物を生成する転写系を用いて、転写することができる。別のアプローチは、アンチセンス配列を含有するDNAを、好適な発現ベクター内のプロモーターに作用連関させることにより、GlyT1アンチセンス核酸をin vivoで転写することを伴う。
或いは、Rossi他(1991)によって、また、国際公開第94/23026号、同第95/04141号、同第92/18522号の各パンフレット、及び欧州特許出願公開第0572287号明細書において、好適なアンチセンス戦略が記載されている。
本発明に従って使用されるアンチセンス技術とは別の技術は、相補的なポリヌクレオチド尾部を介して標的配列に結合することになるリボザイム、及び、その標的部位を加水分解することにより、対応RNAを開裂することになるリボザイム(例えば「ハンマーヘッド・リボザイム」)を使用することを含む。手短に云うと、ハンマーヘッド・リボザイムの単純化されたサイクルは、(1)相補的アンチセンス配列を介して標的RNAに特異的に結合する配列;(2)標的ストランドの開裂可能なモチーフの部位特異的な加水分解;及び(3)別の触媒サイクルを引き起こす開裂生成物の解離、を含む。実際、長鎖アンチセンス・ポリヌクレオチド(最小30塩基長)、又は長いアンチセンス・アームを有するリボザイムの使用することが有利である。アンチセンス・リボザイムのための好ましい送達系(デリバリー・システム)は、これらのアンチセンス・リボザイムを親油基に共有結合するか、又は好都合なベクターとしてリポソームを使用することにより達成される。本発明による好ましいアンチセンス・リボザイムは、Sczakiel他(1995)によって記載されているように調製される。この論文において言及された具体的な調製手順を参考のため本明細書中に引用する。
本発明に従って使用されるアンチセンス技術とは別の技術は、相補的なポリヌクレオチド尾部を介して標的配列に結合することになるリボザイム、及び、その標的部位を加水分解することにより、対応RNAを開裂することになるリボザイム(例えば「ハンマーヘッド・リボザイム」)を使用することを含む。手短に云うと、ハンマーヘッド・リボザイムの単純化されたサイクルは、(1)相補的アンチセンス配列を介して標的RNAに特異的に結合する配列;(2)標的ストランドの開裂可能なモチーフの部位特異的な加水分解;及び(3)別の触媒サイクルを引き起こす開裂生成物の解離、を含む。実際、長鎖アンチセンス・ポリヌクレオチド(最小30塩基長)、又は長いアンチセンス・アームを有するリボザイムの使用することが有利である。アンチセンス・リボザイムのための好ましい送達系(デリバリー・システム)は、これらのアンチセンス・リボザイムを親油基に共有結合するか、又は好都合なベクターとしてリポソームを使用することにより達成される。本発明による好ましいアンチセンス・リボザイムは、Sczakiel他(1995)によって記載されているように調製される。この論文において言及された具体的な調製手順を参考のため本明細書中に引用する。
神経障害及び精神障害の治療
本発明のGlyT1ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及びこれらのモジュレーターは、多数の疾患又は状態のうちのいずれかを治療又は予防するのに使用することができる。例えば、グリシン又はグリシン・トランスポーター活性のレベルの上昇又は低減に関連する任意の疾患、障害又は状態を、本明細書中に記載されたポリペプチドのうちのいずれかの活性又は発現をモジュレートすることによって治療又は予防することができる。
本発明のGlyT1ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及びこれらのモジュレーターは、多数の疾患又は状態のうちのいずれかを治療又は予防するのに使用することができる。例えば、グリシン又はグリシン・トランスポーター活性のレベルの上昇又は低減に関連する任意の疾患、障害又は状態を、本明細書中に記載されたポリペプチドのうちのいずれかの活性又は発現をモジュレートすることによって治療又は予防することができる。
好ましい1実施態様の場合、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、及びモジュレータのうちのいずれかが、異常なNMDA受容体活性と関連する状態を治療又は予防するために使用される。
NMDA受容体は、記憶及び学習を含む多数の神経機能及び心理機能に関与している。例えば、NMDA媒介性神経伝達の機能の減少は、統合失調症の症状に関与することが示唆されているので(Olney及びFarber, Archives General Psychiatry 52: 998-1007 (1996))、GlyT1トランスポーターを阻害する(ひいてはNMDA受容体のグリシン活性を増加させる)作用物質を使用して、統合失調症又はその他の精神状態を治療することができる。このようなインヒビターを使用することにより、痴呆関連障害、並びにその他の状態、例えば注意欠陥障害及び器質脳障害を治療することもできる。加えて、トランスポーターのアクチベーター(NMDA受容体のグリシン活性を減少させる)を使用することにより、脳梗塞又は頭部損傷に関連する神経細胞死、並びに神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、多発脳梗塞性痴呆、AIDS痴呆、パーキンソン病、ハンチントン病、又は筋萎縮性側索硬化症を治療することができる。
生理学的に許容可能な製薬組成物及びそれらの投与
本発明中に記載された化合物のうちのいずれかを使用して、本明細書中に記載された障害のうちのいずれかを治療するか又は提示するために、これらの化合物は、容易に利用可能な出発材料を利用し、そして当業者に良く知られている一般的な合成法を採用して調製することができる。
本発明中に記載された化合物のうちのいずれかを使用して、本明細書中に記載された障害のうちのいずれかを治療するか又は提示するために、これらの化合物は、容易に利用可能な出発材料を利用し、そして当業者に良く知られている一般的な合成法を採用して調製することができる。
患者の状態、疾患の症状の重篤性、及び製薬組成物の投与様式のような因子に応じて、化合物の有効用量を変化させることができる。患者がヒトである場合、典型的な化合物の有効用量は一般に、最小約1mg/24時間/患者、しばしば最小約101mg/24時間/患者、そして多くの場合最小約25mg/24時間/患者の量で化合物を投与することを必要とする。患者がヒトである場合、典型的な化合物の有効用量は、一般に約500 mg/24時間/患者を超えない、しばしば約400 mg/24時間/患者を超えない、多くの場合約300 mg/24時間/患者を超えない化合物の投与を必要とする。加えて、有効用量の投与は、患者の血漿中の化合物の濃度が通常500ng/mlを超えない、多くの場合通常100ng/mlを超えないようになっている。
本発明の化合物は、1日当たり約0.1mg〜約1,000mgの範囲の用量レベルで、患者に投与することができる。約70kgの体重を有する通常のヒトの大人の場合、1日当たり、体重1kg当たり、約0.01mg〜約100mgの範囲の用量で十分である。しかし、使用される特定の用量を変化させることができる。例えば、用量は、患者の要件、治療されている状態の重篤性、及び使用されている化合物の薬理学的活性を含む多数の因子に依存することができる。特定の患者に対する最適用量の決定は当業者に良く知られている。好ましい1用量は、1日当たり約10mg〜約70mgである。精神病患者のための投与計画を選ぶ際には、1日当たり約30mg〜約70mgの用量から投与を開始し、状態が制御されるようになったら、1日当たり約1mg〜約10mgという低用量に低減することがしばしば必要になる。正確な用量は、投与様式、治療されるべき患者への投与形態、治療されるべき患者の体重、及び医師又は獣医の好み及び経験に依存することになる。
上述の状態の治療には、1日当たり、体重1kg当たり、約0.1mg〜約140mgのオーダーの用量レベル(1日当たり1患者当たり約0.5mg〜約7g)が有用である。単一用量を形成するためにキャリヤ材料と組み合わされた活性成分の量は、治療を受ける宿主及び特定の投与モードに応じて変化することになる。投与ユニット形は一般に、約1mg〜約500mgの活性成分を含有することになる。
しかし云うまでもなく、任意の特定の患者に対する特異的な用量レベルは、採用された特異的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食習慣、投与時間、投与ルート、及び排泄速度、薬剤の組み合わせ、及び治療を受ける特定の疾患の重篤性を含む種々の因子に依存することになる。
本発明の方法による有用な好ましい化合物は、患者の血液-脳バリヤを横切る能力を有する。従ってこのような化合物は、患者の中枢神経系に入る能力を有している。本発明を実施する上で有用な典型的な化合物のlog P値は0よりも大きく、しばしば約1よりも大きく、多くの場合約1.5よりも大きい。このような典型的な化合物のlog P値は一般に約4未満であり、しばしば約3.5未満であり、多くの場合約3未満である。log P値は、化合物が拡散バリヤ、例えば生体膜を横切る能力の尺度を提供する。Hansch他 J. Med. Chem., 第11巻、第1頁(1968)を参照されたい。或いは、本発明の組成物は、血液-脳バリヤをバイパスするための当業者に知られた組成物及び方法を用いることによって、血液-脳バリヤをバイパスするか(米国特許第5,686,416号明細書;同第5,994,392号明細書、これらの明細書全体を本明細書中に引用する)、或いは、脳内に直接的に注入することもできる。好適な部位は、大脳皮質、小脳、中脳、脳幹、視床下部、脊髄及び心室組織、及び、頸動脈小体及び副腎皮質を含むPNSの領域を含む。組成物は、ボーラスとして、又はその他の方法、例えば浸透圧ポンプを使用することによって投与することができる。
本発明の化合物は単独で、又は組成物の一部として投与することができる。この組成物はその他の成分、例えば賦形剤、希釈剤及びキャリヤを含有する。これらの成分の全ては当業者に良く知られている。組成物は、経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内又は皮下)、くも膜下槽内、膣内、腹腔内、膀胱腔内、局所(粉末、軟膏又はドロップ)で、又は口腔又は鼻腔スプレーとして、ヒト及び動物に投与することができる。
非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容可能な滅菌水性又は非水性溶液、分散体、懸濁液又はエマルジョン、及び、滅菌注射用溶液又は分散体中に再構成するための滅菌粉末を含むことができる。好適な水性及び非水性キャリヤ、希釈剤、溶剤又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、これらの好適な混合物、植物油(例えばオリーブ油)、及び注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルを含む。例えば、レシチンのようなコーティングを使用することにより、また分散体の場合には所要の粒度を維持することにより、そして界面活性剤を使用することにより、適切な流動性を維持することができる。
非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容可能な滅菌水性又は非水性溶液、分散体、懸濁液又はエマルジョン、及び、滅菌注射用溶液又は分散体中に再構成するための滅菌粉末を含むことができる。好適な水性及び非水性キャリヤ、希釈剤、溶剤又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、これらの好適な混合物、植物油(例えばオリーブ油)、及び注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルを含む。例えば、レシチンのようなコーティングを使用することにより、また分散体の場合には所要の粒度を維持することにより、そして界面活性剤を使用することにより、適切な流動性を維持することができる。
これらの組成物はアジュバント、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含有することもできる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール及びソルビン酸などによって保証することができる。等張剤、例えば糖及び塩化ナトリウムなどを含むことが望ましい場合もある。吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを使用することにより、注射用製薬形の吸収を延長することができる。
経口投与のための固形投与形は、カプセル、錠剤、丸薬、粉末及び顆粒を含む。このような固形投与形の場合、活性化合物は、1以上の習慣的な不活性賦形剤(又はキャリヤ(担体))、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、又は(a)充填剤又は増量剤、例えば澱粉、ラクトース、サクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸;(b)バインダー、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、サクロース及びアカシア;(c)湿潤剤、グリセロール;(d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカ澱粉、アルギン酸、或る特定の複合ケイ酸塩及び炭酸ナトリウム;(e)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(f)吸収促進剤、例えば第四アンモニウム化合物;(g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール;(h)吸着剤、例えばカオリン及びベントナイト;及び(i)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物と混和される。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、投与形は、緩衝剤を含むこともできる。
ラクトース又は乳糖のような賦形剤並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用した軟質及び硬質ゼラチンカプセル中の充填剤として、同様のタイプの固形組成物を採用することもできる。固形投与形、例えば錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬及び顆粒を、コーティング及びシェル、例えば腸溶コーティング及び当業者に良く知られたその他のもので調製することができる。固形投与形は、不透明化剤を含有することができ、遅延された状態で腸管の特定部分に活性化合物を放出するような組成物から成っていてもよい。使用することができる包埋組成物の例は、高分子物質及びワックスである。活性化合物は、適切な場合には、上述の賦形剤のうちの1又は2以上を有するマイクロカプセル化形であってもよい。
経口投与のための液状投与形は、製薬上許容可能なエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。活性化合物に加えて、液状投与形は、当業者に一般に知られている不活性希釈剤、例えば水又はその他の溶剤、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、具体的には綿実油、落花生油、トウモロコシ胚油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタン脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物などを含有することができる。このような不活性希釈剤の他に、組成物はアジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤を含むこともできる。
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、これらの物質の混合物などを含有することができる。
直腸投与のための組成物は好ましくは座剤である。座剤は、本発明の化合物を好適な非刺激性の賦形剤又はキャリヤ、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール又は座剤ワックスと混合することにより、調製することができる。賦形剤又はキャリヤは常温では固形であるが、しかし体温では液状となり、従って直腸又は膣腔内で溶融され、活性成分を放出する。
本発明の化合物の局所投与のための投与形は軟膏、粉末、スプレー及び吸入剤を含む。活性成分は滅菌条件下で、生理学的に許容可能なキャリヤ、及び必要な場合には任意の保存剤、緩衝液又はプロペラントと混和される。眼科用配合物、眼軟膏、粉末及び溶液も本発明の範囲内にあるものと考えられる。
加えて、本発明の化合物は不溶媒和形、並びに、製薬上許容可能な溶剤、例えば水及びエタノールなどを有する溶媒和形で存在していてよい。一般に、溶媒和形は、本発明の目的において、不溶媒和形と同等であると考えられる。
水性懸濁液が、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混和された活性材料を含有している。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ガムトラガカント及びアラビアゴムである。分散剤又は湿潤剤は、自然発生型ホスファチド、例えばレシチン、又は、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又は、エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。水性懸濁液は1又は2以上の保存剤、例えばエチル、又はn-プロピル p-ヒドロキシベンゾエート、1又は2以上の着色剤、1又は2以上の香味剤、及び1又は2以上の甘味剤、例えばサクロース又はサッカリンを含有してもよい。植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油中に、又は鉱物油、例えば液状パラフィン中に活性成分を懸濁させることにより、油性懸濁液を配合することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。上述のような甘味剤及び風味剤を添加することにより、口当たりがよい経口調製物を提供することができる。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸を添加することにより保存することができる。
水を添加することにより水性懸濁液を調製するのに適した分散可能な粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1又は2以上の保存剤と混和された活性成分を提供する。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は上述のものによって例示される。付加的な賦形剤、例えば甘味剤、香味剤及び着色剤が存在してもよい。
本発明の製薬組成物は水中油型エマルジョンの形を成していてよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油又は落花生油、又は鉱物油、例えば液状パラフィン又はこれらの混合物であってよい。好適な乳化剤は自然発生型ゴム、アラビアゴム又はトラガカント、自然発生型ホスファチド、例えば大豆、レシチン、及び、脂肪酸及びヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、無水物、例えばソルビタンモノレエート、及び、前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノレエートであってよい。このエマルジョンは甘味剤及び風味剤を含有することもできる。
甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はサクロースとともに、シロップ及びエリキシルを配合することができる。このような配合物は、緩和剤、保存剤、風味剤及び着色剤を含有することもできる。製薬組成物は、滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形を成していてよい。この懸濁液は、上述の好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、よく知られた技術に従って配合することができる。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶剤中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール溶液であってもよい。採用することができる許容可能なビヒクル及び溶剤の中には水、リンガー液及び生理食塩水がある。さらに、滅菌性の不揮発性油が溶剤又は懸濁媒質としてコンベンショナルに採用される。このような目的において、合成モノ-又はジグリセリドを含む任意の無刺激性油を採用することができる。加えて脂肪酸、例えばオレイン酸が注射液の調製に使用される。
甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はサクロースとともに、シロップ及びエリキシルを配合することができる。このような配合物は、緩和剤、保存剤、風味剤及び着色剤を含有することもできる。製薬組成物は、滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形を成していてよい。この懸濁液は、上述の好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、よく知られた技術に従って配合することができる。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶剤中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール溶液であってもよい。採用することができる許容可能なビヒクル及び溶剤の中には水、リンガー液及び生理食塩水がある。さらに、滅菌性の不揮発性油が溶剤又は懸濁媒質としてコンベンショナルに採用される。このような目的において、合成モノ-又はジグリセリドを含む任意の無刺激性油を採用することができる。加えて脂肪酸、例えばオレイン酸が注射液の調製に使用される。
一般式Iの化合物は、薬剤の直腸投与のための座剤の形で投与されてもよい。これらの組成物は、好適な非刺激性賦形剤と薬剤とを混合することにより調製することができる。この賦形剤は常温では固形であるが、しかし直腸温度では液状であり、従って、直腸内では溶融されることになり、これにより薬剤を放出する。このような材料はカカオバター及びポリエチレングリコールである。
一般式Iの化合物は滅菌媒質中で非経口投与されてよい。使用されるビヒクル及び濃度に依存する薬剤は、ビヒクル中に懸濁又は溶解することができる。有利には、アジュバント、例えば局部麻酔薬、保存剤及び緩衝剤をビヒクル中に溶解することができる。
コンピュータ関連の実施態様
本明細書中に使用する「本発明の核酸コード」という用語は核酸配列であって、下記a)b)及びc)のうちのいずれか1つを含むか、a)b)及びc)のうちのいずれか1つから本質的に成るか、又はa)b)及びc)のうちのいずれか1つから成るヌクレオチド配列を包含する:a)SEQ ID NO:1の最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパン(前記連続的なスパンは、SEQ ID NO:2〜9のうちのいずれかの次のヌクレオチド位置のうちの最小1,2,3,5又は10を含む);b)SEQ ID NO:2〜9のうちのいずれかの最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパン、又はそのフルレングス配列;c)SEQ ID NO:14〜21のうちのいずれかの最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパン、又はそのフルレングス配列;及びd)前記ヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対して相補的なヌクレオチド配列。「本発明の核酸コード」という用語はさらに、上記配列のうちのいずれかに対して相同のヌクレオチド配列を包含する。相同配列とは、これらの連続的なスパンに対して最小約99%, 98%, 97%, 96%, 95%, 90%, 85%, 80%又は75%の相同性を有する配列を意味する。相同性は、デフォルト・パラメータ又は変更された任意のパラメータを有するBLAST2Nを含む、本明細書中に記載された任意の方法を用いて決定することができる。相同性配列は、本発明の核酸コードにおいてチミンの代わりにウリジンが配置されたRNA配列を含むこともできる。本発明の核酸コードが、伝統的な一文字フォーマット(Stryer, Lubert. Biochemistry,第3版の裏表紙内側参照, W.H.Freeman & Co., New York)で、又は配列内のヌクレオチドの同一性を記録するその他の任意のフォーマット又はコードで表すことができるのは明らかである。
本明細書中に使用する「本発明の核酸コード」という用語は核酸配列であって、下記a)b)及びc)のうちのいずれか1つを含むか、a)b)及びc)のうちのいずれか1つから本質的に成るか、又はa)b)及びc)のうちのいずれか1つから成るヌクレオチド配列を包含する:a)SEQ ID NO:1の最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパン(前記連続的なスパンは、SEQ ID NO:2〜9のうちのいずれかの次のヌクレオチド位置のうちの最小1,2,3,5又は10を含む);b)SEQ ID NO:2〜9のうちのいずれかの最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパン、又はそのフルレングス配列;c)SEQ ID NO:14〜21のうちのいずれかの最小12, 15, 18, 20, 25, 30, 35, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 150, 200, 500又は1000のヌクレオチドから成る連続的なスパン、又はそのフルレングス配列;及びd)前記ヌクレオチド配列のうちのいずれか1つに対して相補的なヌクレオチド配列。「本発明の核酸コード」という用語はさらに、上記配列のうちのいずれかに対して相同のヌクレオチド配列を包含する。相同配列とは、これらの連続的なスパンに対して最小約99%, 98%, 97%, 96%, 95%, 90%, 85%, 80%又は75%の相同性を有する配列を意味する。相同性は、デフォルト・パラメータ又は変更された任意のパラメータを有するBLAST2Nを含む、本明細書中に記載された任意の方法を用いて決定することができる。相同性配列は、本発明の核酸コードにおいてチミンの代わりにウリジンが配置されたRNA配列を含むこともできる。本発明の核酸コードが、伝統的な一文字フォーマット(Stryer, Lubert. Biochemistry,第3版の裏表紙内側参照, W.H.Freeman & Co., New York)で、又は配列内のヌクレオチドの同一性を記録するその他の任意のフォーマット又はコードで表すことができるのは明らかである。
本明細書中で使用される「本発明のポリペプチド・コード」という用語は、SEQ ID NO:26〜33のうちのいずれかの最小6, 8, 10, 12, 15, 20, 25, 30, 40, 50, 100又は100以上のアミノ酸から成る連続的なスパンを含むポリペプチド配列、又はSEQ ID NO:2〜9又は14〜21のうちのいずれかによってコードされた配列を包含する。本発明の核酸コードが、伝統的な一文字フォーマット又は三文字フォーマット(Stryer, Lubert. Biochemistry,第3版の裏表紙内側参照, W.H.Freeman & Co., New York)で、又は配列内のヌクレオチドの同一性を記録するその他の任意のフォーマット又はコードで表すことができるのは明らかである。
本発明の核酸コード及び本発明のポリペプチドコードは、コンピュータによって読み、そしてアクセスすることができる任意の媒体上で保存し、記録し、そして操作することができる。本明細書中で使用される「記録」及び「保存」という用語は、コンピュータ媒体に情報を保存するプロセスを意味する。当業者であれば、コンピュータ可読媒体に情報を記録するための目下周知の方法のいずれかを容易に採用して、これにより、本発明の核酸コードのうちの1又は2以上、又は本発明のポリペプチド・コードのうちの1又は2以上を含む製品を形成することができる。本発明の別の観点は、最小2, 5, 10, 15, 20, 25, 30又は50の本発明の核酸コードが記録されているコンピュータ可読媒体である。本発明の別の観点は、最小2, 5, 10, 15, 20, 25, 30又は50の本発明のポリペプチド・コードが記録されているコンピュータ可読媒体である。
コンピュータ可読媒体は、磁気可読媒体、光学可読媒体、電子可読媒体及び磁気/光学媒体を含む。例えば、コンピュータ可読媒体はハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)又は読み出し専用メモリー、並びに、当業者に知られた他のタイプの他の媒体であってよい。
本発明の実施態様は、システム、具体的には本明細書中に記載された配列情報を保存して操作するコンピュータ・システムを含む。本明細書中に使用される「コンピュータ・システム」という用語は、本発明の核酸コードのヌクレオチド配列、又は本発明のポリペプチド・コードのアミノ酸配列を分析するために使用されるハードウェア・コンポーネント、ソフトウェア・コンポーネント及びデータ・ストレージ・コンポーネントを意味する。1実施例において、コンピュータ・システムはSun Enterprise 1000サーバー(Sun Microsystems, Palo Alto, CA)である。コンピュータ・システムは好ましくは、配列データを処理し、評価し、アクセスし、そして操作するためのプロセッサを含む。このプロセッサは任意の周知のタイプの中央演算処理装置、例えばIntel Corporation製のPentium III、又は、Sun, Motorola, Compaq又はInternational Business Machines製の同様のプロセッサであってよい。
好ましくは、コンピュータ・システムは、プロセッサと、データを保存するための1又は2以上の内部データ・ストレージ・コンポーネントと、データ・ストレージ・コンポーネントに保存されたデータを検索するための1又は2以上のデータ検索デバイスとを含む汎用システムである。
具体的な1実施態様の場合、コンピュータ・システムは、メイン・メモリー(好ましくはRAMとして実行される)に接続されたバスに接続されたプロセッサと、1又は2以上の内部データ・ストレージ・デバイス、例えばハード・ドライブ及び/又はデータが記録されたその他のコンピュータ可読媒体を含む。いくつかの実施態様の場合、コンピュータ・システムはさらに、内部データ・ストレージ・デバイスに保存されたデータを読み出すための1又は2以上のデータ検索デバイスを含む。
データ検索デバイスは、例えばフロッピーディスク・ドライブ、コンパクトディスク・ドライブ、磁気テープ・ドライブなどを示すことができる。いくつかの実施態様の場合、内部データ・ストレージ・デバイスは、取り外し可能なコンピュータ可読媒体、例えば、制御論理及び/又はデータが記録されたフロッピーディスク、コンパクトディスク、磁気テープなどである。コンピュータ・システムは有利には、データ検索デバイス内への挿入時にデータ・ストレージ・コンポーネントから制御論理及び/又はデータを読み出すための適切なソフトウェアを含むか、又はこのソフトウェアによってプログラミングされてよい。
コンピュータ・システムは、コンピュータ・ユーザーに出力を表示するのに使用されるディスプレイを含む。なお、コンピュータ・システムをネットワーク内又は広域ネットワーク内で他のコンピュータ・システムにリンクして、これによりこのコンピュータ・システムに対する集権的アクセスを可能にすることができる。
本発明の核酸コードのヌクレオチド配列、又は本発明のポリペプチド配列コードのアミノ酸配列に対するアクセス及び処理のためのソフトウェア(例えばサーチ・ツール、比較ツール及びモデリング・ツールなど)が、実行中にメイン・メモリー中に存在していてよい。
いくつかの実施態様の場合、コンピュータ・システムはさらに、コンピュータ可読媒体に保存された本発明の上述の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードを、コンピュータ可読媒体に保存された基準ヌクレオチド配列又は基準ポリペプチド配列と比較するための配列比較子を含んでよい。「配列比較子」という用語は、ヌクレオチド配列又はポリペプチド配列を、他のヌクレオチド又はポリペプチド配列及び/又は化合物と比較するためにコンピュータ・システム上で実行される1又は2以上のプログラムを意味する。このような配列及び/又は化合物の一例としては、データ・ストレージ手段内に保存されたペプチド、ペプチド擬似体、及び化学物質が挙げられる。例えば、配列比較子は、コンピュータ可読媒体上に保存された本発明の核酸コードのヌクレオチド配列、又は本発明のポリペプチド・コードのアミノ酸配列を、コンピュータ可読媒体に保存された基準配列と比較し、これにより、相同性、生物学的機能に関連するモチーフ、又は構造モチーフを識別することができる。本明細書の他の箇所で特定された種々の配列比較子プログラムは、本発明のこの観点において使用するために具体的に検討される。
1実施態様の場合、新しい配列とデータベース内の配列との間の相同性レベルを決定するために、新しいヌクレオチド又はタンパク質の配列を、配列のデータベースと比較するプロセスが用いられる。配列のデータベースは、コンピュータ・システム内に保存された私的なデータベース、又は好適なデータベース、例えばインターネットによって利用可能なGENBANK、PIR又はSWISSPROT内に保存することができる。
このプロセスは開始状態で始まり、次いで、比較されるべき新しい配列がコンピュータ・システム内のメモリーに保存される状態に移る。上述のように、メモリーは、RAM又は内部ストレージ・デバイスを含む任意のタイプのメモリーであってよい。
次いでプロセスは、配列のデータベースが分析及び比較のために開かれる状態に移る。次いでプロセスは、データベース内に保存された第1配列がコンピュータ上のメモリー内に読み込まれる。次いで、第1配列が第2配列と同じか否かを見極めるために、比較が行われる。注意すべき重要な点は、このステップが、新しい配列とデータベース内の第1配列との正確な比較を行うことに留まらないことである。2つのヌクレオチド又はタンパク質の配列を、たとえこれらが同一でない場合にも比較するための方法が、当業者に良く知られている。例えば、2つの被験配列の間の相同性レベルを上昇させるために、1つの配列内にギャップを導入することができる。比較中に配列内に導入されるのがギャップであろうとその他の構成要件であろうと、これを制御するパラメータが、通常、コンピュータ・システムのユーザーによって入力される。
2つの配列の比較が行われると、2つの配列が同じであるかどうかが決定状態で見極められる。もちろん「同じ」であるという用語は、絶対的に同一である配列に限定されるものではない。ユーザーによって入力された相同性パラメータ内にある配列は、このプロセスでは「同じ」ものとマークされる。
2つの配列が同じであると見極められた場合、プロセスは、データベースからの配列名がユーザーに表示される。この状態はユーザーに、表示された名称が、入力された相同性制約を満たすことを知らせる。保存された配列の名称がユーザーに表示されると、このプロセスは、それ以上の配列がデータベース内に存在するか否かが見極められる決定状態に移る。それ以上の配列がデータベース内に存在しない場合には、このプロセスは最終状態で終了する。しかしそれ以上の配列がデータベース内に存在する場合には、プロセスは、新しい配列と比較できるように、データベース内の次の配列にポインターが移動される状態に動かされる。こうして、新しい配列は、データベース内の配列毎にこの配列とアラインメントされ、比較される。
なお、決定状態において、配列が相同性ではないと見極められた場合には、プロセスは、比較のためのデータベース内でその他の配列が利用可能であるか否かを見極めるために、直ちに決定状態に移る。
従って、本発明の1つの観点はコンピュータ・システムであって、プロセッサと、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードが保存されたデータ・ストレージ・デバイスと、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードと比較されるべき基準ヌクレオチド配列又はポリペプチド配列が検索可能に保存されたデータ・ストレージ・デバイスと、比較を実施するための配列比較子とを含む、コンピュータ・システムである。配列比較子は、配列間の相同性レベルを示し、本発明の核酸コード及び本発明のポリペプチドにおける生物学的機能に関与するモチーフ及び構造モチーフを識別することができ、或いは、これらの核酸コード及びポリペプチド・コードと比較された配列内の構造モチーフを識別することができる。幾つかの実施態様の場合、データ・ストレージ・デバイスには、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードのうちの最小2, 5, 10, 15, 20, 25, 30又は50のコードの配列が保存されていてよい。
従って、本発明の1つの観点はコンピュータ・システムであって、プロセッサと、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードが保存されたデータ・ストレージ・デバイスと、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードと比較されるべき基準ヌクレオチド配列又はポリペプチド配列が検索可能に保存されたデータ・ストレージ・デバイスと、比較を実施するための配列比較子とを含む、コンピュータ・システムである。配列比較子は、配列間の相同性レベルを示し、本発明の核酸コード及び本発明のポリペプチドにおける生物学的機能に関与するモチーフ及び構造モチーフを識別することができ、或いは、これらの核酸コード及びポリペプチド・コードと比較された配列内の構造モチーフを識別することができる。幾つかの実施態様の場合、データ・ストレージ・デバイスには、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードのうちの最小2, 5, 10, 15, 20, 25, 30又は50のコードの配列が保存されていてよい。
本発明の別の観点は、本発明の核酸コードと基準ヌクレオチド配列との間の相同性レベルを見極める方法であって、相同性レベルを見極めるコンピュータ・プログラムを使用することにより、核酸コードと基準ヌクレオチド配列とを読むステップと、核酸コードと基準ヌクレオチド配列との間の相同性をコンピュータ・プログラムで見極めるステップとを含む、方法である。コンピュータ・プログラムは、相同性レベルを見極めるための多数のコンピュータ・プログラムのうちのいずれかであってよい。これらのコンピュータ・プログラムは、本明細書中に具体的に挙げたコンピュータ・プログラムを含み、デフォルト・パラメータ又は任意の修正パラメータを有するBLAST2Nを含む。この方法は、上記コンピュータ・システムを使用して実行することができる。この方法は、コンピュータ・プログラムを使用することにより、本発明の上記核酸コードのうちの2, 5, 10, 15, 20, 25, 30又は50のコードを読み、そして核酸コードと基準ヌクレオチド配列との間の相同性を見極めることにより実施することもできる。
別の実施態様の場合、2つの配列が相同であるかどうかを見極めるプロセスが、コンピュータにおいて実施される。このプロセスは開始状態で始まり、次いで、比較されるべき第1配列がメモリーに保存される状態に移る。次いで、比較されるべき第2配列はメモリー内に保存される。次いで、このプロセスは、第1配列内の最初の文字が読まれ、次いで、第2配列の最初の文字が読まれる状態に移る。云うまでもなく、配列がヌクレオチド配列である場合、この文字は普通、A, T, C, G又はUである。配列がタンパク質配列である場合、この文字は、1文字アミノ酸コードであるので、第1及び第2の配列を容易に比較することができる。
2つの文字が同じであるかどうかが、決定状態で見極められる。これらの文字が同じ場合、プロセスは、第1及び第2の配列内の次の文字が読まれる状態に移る。次の文字が同じであるかどうかが見極められる。同じである場合、プロセスは、2つの文字が同じでなくなるまで、このループを続ける。次の2つの文字が同じでないことが見極められると、プロセスは、それぞれの配列において読むべき文字がそれ以上あるかどうかを見極める決定状態に移る。
読むべき文字がもはやない場合には、プロセスは、第1及び第2の配列の間の相同性レベルがユーザーに表示される状態に移る。相同性レベルは、第1配列における文字の総数のうち、配列間で同じ文字の比率を計算することにより見極められる。第1ヌクレオチド配列内の文字がすべて、第2配列内の文字毎にアラインメントされる場合には、相同性レベルは100%となる。
或いは、コンピュータ・プログラムは、本発明の核酸コードのヌクレオチド配列を基準核酸配列と比較し、これにより、本発明の核酸コードが基準核酸配列と1又は2以上の位置で異なるかどうかを見極める、コンピュータ・プログラムであってよい。任意には、このようなプログラムは、基準ポリヌクレオチド又は本発明の核酸コードの配列に対する、挿入、欠失又は置換を施されたヌクレオチドの長さ及び同一性を記録する。1実施態様の場合、コンピュータ・プログラムは、本発明の核酸コードのヌクレオチド配列が、基準ヌクレオチド配列に対して1又は2以上の単一ヌクレオチド多形(SNP)を含有するかどうかを見極めるプログラムであってよい。これらの単一ヌクレオチド多形はそれぞれ単一の塩基置換、挿入又は抹消を含んでよい。
本発明の別の観点は、本発明のポリペプチド・コードと、基準ポリペプチド配列との相同性レベルを見極める方法であって、相同性レベルを見極めるコンピュータ・プログラムを使用することにより、本発明のポリペプチド・コードと基準ポリペプチド配列とを読むステップと、ポリペプチド・コードと基準ヌクレオチド配列との間の相同性をコンピュータ・プログラムで見極めるステップとを含む、方法である。
従って、本発明の別の観点は、本発明の核酸コードが基準ヌクレオチド配列とは1又は2以上のヌクレオチドだけ異なるかどうかを見極める方法であって、核酸配列間の差を識別するコンピュータ・プログラムを使用することによって、核酸コードと基準ヌクレオチド配列とを読むステップと、核酸コードと基準ヌクレオチド配列との差をコンピュータ・プログラムで識別するステップとを含む、方法である。幾つかの実施態様の場合、コンピュータ・プログラムは、単一のヌクレオチド多形を識別するプログラムである。この方法は、上記コンピュータ・システム及び上述の方法によって実行することができる。この方法は、コンピュータ・プログラムを使用することにより、本発明の核酸コード及び基準ヌクレオチド配列のうちの最小2, 5, 10, 15, 20, 25, 30又は50個を読み、そしてコンピュータ・プログラムにより核酸コードと基準ヌクレオチド配列との差を識別することにより実施することもできる。
他の実施態様において、コンピュータに基づくシステムはさらに、本発明の核酸コードのヌクレオチド配列又は本発明のポリペプチド・コードのアミノ酸配列内の構成要件を識別するための識別子を含むことができる。
「識別子」は、本発明の核酸コードの上記ヌクレオチド配列又は本発明のポリペプチド・コードのアミノ酸配列内の特定の構成要件を識別する1又は2以上のプログラムを意味する。1実施態様の場合、識別子は、本発明のcDNAコード内のオープン・リーディング・フレームを識別するプログラムを含んでよい。
別の実施態様の場合、配列内の所定の構成要件の存在を検出するために、識別子プロセスが用いられる。このプロセスは開始状態で始まり、次いで構成要件に関して検査されるべき第1配列がコンピュータ・システム内のメモリーに保存される状態に移る。このようなデータベースは、各構成要件の名称と共にその構成要件の属性リストを含むことになる。例えば、構成要件名は「開始コドン」であってよく、属性は「ATG」となる。別の例では、構成要件名は「TAATAA Box」であり、構成要件属性は「TAATAA」となる。このようなデータベースの例は、University of Wisconsin Genetics Computer Group(www.gcg.com)によって生成される。
構成要件のデータベースが開かれると、プロセスは、最初の構成要件がデータベースから読まれる状態に移る。最初の構成要件の属性が第1配列と比較される。次いで、この構成要件の属性が第1配列に見出されるかどうかが決定状態で見極められる。属性が見出されると、プロセスは、見出された構成要件の名称がユーザーに表示される状態に移る。
次いでプロセスは、データベース内にこれ以上の構成要件が存在するかどうかが見極められる決定状態に移る。それ以上の構成要件が存在しない場合には、このプロセスは最終状態で終了する。しかしそれ以上の構成要件がデータベース内に存在する場合には、このプロセスは次の配列構成要件を読み、次の構成要件の属性が第1配列と比較される状態にループ・バックする。
なお、決定状態において、第1配列内に構成要件属性が見出されない場合には、プロセスは、データベース内にそれ以上の構成要件が存在するかどうかを見極めるために、直接的に決定状態に移る。
別の実施態様の場合、識別子は分子モデリング・プログラムを含んでよい。このプログラムは、本発明のポリペプチド・コードの3次元構造を見極める。幾つかの実施態様の場合、分子モデリング・プログラムは標的配列を識別する。これらの標的配列は、既知の3次元タンパク質構造における残基の構造環境を表すプロフィールと最も適合性を有する(米国特許第5,436,850号明細書参照)。別の技術の場合、所与の群におけるタンパク質の3次元構造は、その群における構造的に保存された領域を定義するために、スーパーインポーズされる。このタンパク質モデリング技術はまた、本発明のポリペプチド・コードの構造に接近するために相同タンパク質の既知の3次元構造を使用する(例えば米国特許第5,557,535号明細書参照)。プロテアーゼ及び抗体のモデルを形成するために、コンベンショナルな相同性モデリング技術が日常的に使用されている(Sowdhamini他(1997))。当該タンパク質が鋳型タンパク質に対して低い配列同一性を有する場合、比較アプローチを使用して、3次元タンパク質モデルを形成することもできる。いくつかの事例において、配列同一性が極めて低いにもかかわらず、同様の3次元構造にタンパク質が折り畳まれる。例えば、多数の螺旋状サイトカインの3次元構造が、配列相同性が低いにもかかわらず、同様の3次元トポロジーで折り畳まれる。
スレッディング法の最近の開発により、標的と鋳型との間の構造的な関連を配列レベルで検出できない数多くの状況において生じ得る折畳みパターンを識別することができる。ハイブリッド法の場合、多重配列スレッディング(MST)を使用して、折畳み認識が行われ、ディスタンス・ジオメトリ・プログラムDRAGONを使用してスレッディング出力から構造等価を推論することにより、低分解能モデルが構成され、そして分子モデリング・パッケージ、例えばQUANTAを使用して全原子表示が構成される。
この3ステップ・アプローチによれば、新規の折畳み認識アルゴリズムMSTを使用することにより、候補鋳型が先ず識別される。MSTは、1又は2以上の3D構造上に複数のアラインメント配列を同時にスレッディングすることができる。第2ステップにおいて、MST出力から得られた構造等価が残基間距離制約に変換され、二次構造予測から得られた補助的な情報と一緒に、ディスタンス・ジオメトリ・プログラムDRAGON中に供給される。プログラムはバイアスされない状態で制約を組み合わせ、多数の低分解能モデル確認を迅速に生成する。第3ステップにおいて、これらの低分解能モデル確認は全原子モデルに変換され、分子モデリング・パッケージQUANTAを使用してエネルギーを最小化される(Aszodi他(1997)参照)。
分子モデリング分析の結果は、次いで合理的な薬剤設計技術に使用して、本発明のポリペプチド・コードの活性をモジュレートする作用物質を同定することができる。
従って、本発明の別の観点は、本発明の核酸コード内の構成要件を識別する方法であって、構成要件を識別するコンピュータ・プログラムを使用することにより、核酸コード又はポリペプチド・コードを読み、そしてコンピュータ・プログラムで、核酸コード又はポリペプチド・コード内の構成要件を識別することを含む、方法である。1実施態様の場合、コンピュータ・プログラムは、オープン・リーディング・フレームを識別するコンピュータ・プログラムを含む。更なる実施態様の場合、コンピュータ・プログラムはポリペプチド配列内の構造モチーフを識別する。別の実施態様の場合、コンピュータ・プログラムは分子モデリング・プログラムを含む。この方法は、コンピュータ・プログラムを使用することにより、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードのうちの単一の配列又は最小2, 5, 10, 15, 20, 25, 30又は50のコードを読み、そしてコンピュータ・プログラムで核酸コード又はポリペプチド・コード内の構成要件を識別することによって実施することができる。
従って、本発明の別の観点は、本発明の核酸コード内の構成要件を識別する方法であって、構成要件を識別するコンピュータ・プログラムを使用することにより、核酸コード又はポリペプチド・コードを読み、そしてコンピュータ・プログラムで、核酸コード又はポリペプチド・コード内の構成要件を識別することを含む、方法である。1実施態様の場合、コンピュータ・プログラムは、オープン・リーディング・フレームを識別するコンピュータ・プログラムを含む。更なる実施態様の場合、コンピュータ・プログラムはポリペプチド配列内の構造モチーフを識別する。別の実施態様の場合、コンピュータ・プログラムは分子モデリング・プログラムを含む。この方法は、コンピュータ・プログラムを使用することにより、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードのうちの単一の配列又は最小2, 5, 10, 15, 20, 25, 30又は50のコードを読み、そしてコンピュータ・プログラムで核酸コード又はポリペプチド・コード内の構成要件を識別することによって実施することができる。
本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードは、種々のフォーマットで種々のデータ・プロセッサ・プログラム内で保存して操作することができる。例えば、これらのコードは、ワード処理ファイル、例えばMicrosoftWORD又はWORDPERFECTにテキストとして保存するか、又は当業者に良く知られた種々のデータベース・プログラム、例えばDB2, SYBASE又はORACLEにASCIIファイルとして保存することができる。加えて、配列比較子、識別子、又は基準ヌクレオチド配列源又は基準ポリペプチド配列源として、多くのコンピュータ・プログラム及びデータベースを使用して、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードと比較することができる。下記リストは本発明を限定しようとするものではなく、本発明の核酸コード又は本発明のポリペプチド・コードと共に有用なプログラム及びデータベースに指針を提供しようとするものである。
使用可能なプログラム及びデータベースの一例として下記のものが挙げられる:MacPattern(EMBL), DiscoveryBase(Molecular Applications Group), GeneMine(Molecular Applications Group), Look(Molecular Applications Group), MacLook(Molecular Applications Group), BLAST及びBLAST2(NCBI), BLASTN及びBLASTX(Altschul他、1990), FASTA(Pearson及びLipman, 1988), FASTDB(Brutlag他、1990), Catalyst(Molecular Simulations Inc.), Catalyst/SHAPE(Molecular Simulations Inc.), Cerius2.DBAccess(Molecular Simulations Inc.), HypoGen(Molecular Simulations Inc.), Insight II(Molecular Simulations Inc.), Discover(Molecular Simulations Inc.), CHARMm(Molecular Simulations Inc.), Felix(Molecular Simulations Inc.), Delphi(Molecular Simulations Inc.), QuanteMM(Molecular Simulations Inc.), Homology(Molecular Simulations Inc.), Modeler(Molecular Simulations Inc.), ISIS(Molecular Simulations Inc.), Quanta/Protein Design(Molecular Simulations Inc.), WebLab(Molecular Simulations Inc.), WebLab Diversity Explorer(Molecular Simulations Inc.), Gene Explorer(Molecular Simulations Inc.), SeqFold(Molecular Simulations Inc.), EMBL/Swissproteinデータベース、MDL Available Chemicals Directoryデータベース、MDL Drug Data Reportデータベース、Comprehensive Medicinal Chemistryデータベース、DerwentのWorld Drug Indexデータベース、BioByteMasterFileデータベース、Genbankデータベース、及びGenseqnデータベース。この開示内容から、当業者には他の多くのプログラム及びデータベースが明らかになる。
上述のプログラムを使用して検出することができるモチーフは、ロイシン・ジッパーをコードする配列、ヘリックス-ターン-ヘリックス・モチーフ、グリコシル化部位、ユビキチン化部位、アルファ・ヘリックス、及びベータ・シート、コードされたタンパク質の分泌を導くシグナル・ペプチドをコードするシグナル配列、転写調節に関連する配列、例えばホメオボックス、酸性ストレッチ、酵素活性部位、基質結合部位及び酵素開裂部位を含む。
本明細書全体にわたって、種々の刊行物、特許明細書、特許出願明細書が引用されている。本明細書に引用されたこれらの刊行物、特許明細書、特許出願明細書の開示内容を、本発明が関連する技術をより完全に説明するために、本明細書に引用する。
実施例
実施例1
DNA抽出
ドナーは血縁関係がなく、健康である。これらのドナーは、フランス異種個体群を表すのに十分な多様性を示す。100個体に由来するDNAを抽出し、2対立遺伝子マーカーの検出に関して試験した。
EDTAの存在において各ドナーから、30mlの末梢静脈血を採取した。2000rpmで10分間にわたって遠心分離した後、細胞(ペレット)を捕集した。溶解溶液(50mlの最終容積:10 mM Tris pH7.6; 5mM MgCl2; 10mM NaCl)によって、赤血球を溶解した。溶解溶液中のペレットを再懸濁した後、上澄み中に存在する残留赤血球を排除するのに必要な回数だけ、この溶液を遠心分離(10分間、2000rpm)した。
実施例1
DNA抽出
ドナーは血縁関係がなく、健康である。これらのドナーは、フランス異種個体群を表すのに十分な多様性を示す。100個体に由来するDNAを抽出し、2対立遺伝子マーカーの検出に関して試験した。
EDTAの存在において各ドナーから、30mlの末梢静脈血を採取した。2000rpmで10分間にわたって遠心分離した後、細胞(ペレット)を捕集した。溶解溶液(50mlの最終容積:10 mM Tris pH7.6; 5mM MgCl2; 10mM NaCl)によって、赤血球を溶解した。溶解溶液中のペレットを再懸濁した後、上澄み中に存在する残留赤血球を排除するのに必要な回数だけ、この溶液を遠心分離(10分間、2000rpm)した。
-3ml TE 10-2(Tris-HCl 10mM, EDTA 2mM)/NaCl 0.4M
-200μl SDS 10%
-500μl K-プロテイナーゼ(TE 10-2/NaCl 0.4M中の2mg K-プロテイナーゼ)
から成る3.7mlの溶解溶液を用いて、42℃で一晩にわたって白血球ペレットを溶解した。
-200μl SDS 10%
-500μl K-プロテイナーゼ(TE 10-2/NaCl 0.4M中の2mg K-プロテイナーゼ)
から成る3.7mlの溶解溶液を用いて、42℃で一晩にわたって白血球ペレットを溶解した。
タンパク質の抽出のために、1mlの飽和型NaCl(6M)(1/3.5 v/v)を添加した。強力な撹拌後、溶液を10000rpmで20分間にわたって遠心分離した。
DNAの沈澱のために、前の上澄みに2〜3容積の100%エタノールを添加し、そして2000rpmで30分間にわたって溶液を遠心分離した。DNA溶液を70%エタノールで3回濯ぐことにより、塩を排除し、そして2000rpmで20分間にわたって遠心分離した。ペレットを37℃で乾燥させ、そして1mlのTE 10-1又は1mlの水中に再懸濁した。260nmのODを測定することにより(1単位OD=50μg/ml DNA)、DNA濃度を上昇させた。
DNA溶液中のタンパク質の存在を見極めるために、OD260/OD280比を測定した。OD260/OD280比が1.8〜2であるDNA調製物だけ、引き続き行われる下記実施例に使用した。
各個体に由来する等量のDNAを混合することにより、プールを構成した。
各個体に由来する等量のDNAを混合することにより、プールを構成した。
実施例2
PCRによるゲノムDNAの増幅
実施例1のDNA試料の特異的ゲノム配列の増幅を、予め得たDNAのプール上で実施した。加えて、50個体試料を同様に増幅した。
PCRによるゲノムDNAの増幅
実施例1のDNA試料の特異的ゲノム配列の増幅を、予め得たDNAのプール上で実施した。加えて、50個体試料を同様に増幅した。
下記のプロトコルを使用してPCRアッセイを実施した:
最終容積 25μl
DNA 2ng/μl
MgCl2 2mM
dNTP(各) 200μM
プライマー(各) 2.9ng/μl
Ampli Taq Gold DNA ポリメラーゼ 0.05単位/μl
PCR緩衝液(10x=0.1M TrisHCl pH8.3 0.5M KCl) 1x
最終容積 25μl
DNA 2ng/μl
MgCl2 2mM
dNTP(各) 200μM
プライマー(各) 2.9ng/μl
Ampli Taq Gold DNA ポリメラーゼ 0.05単位/μl
PCR緩衝液(10x=0.1M TrisHCl pH8.3 0.5M KCl) 1x
本明細書中に開示されたGlyT1遺伝子の配列情報及びOSPソフトウェア(Hillier & Gree, 1991)を使用して、各第1プライマー対を設計した。第1プライマー対は約20のヌクレオチド長であり、そしてSEQ ID NO:36及び37として示された配列を有した。
プライマーPUは、下記の付加的なPU5'配列:TGTAAAACGACGGCCAGTを含有し;下記RP5'配列:CAGGAAACAGCTATGACCを含有する。付加的なPU5'配列を含有するプライマーは、SEQ ID NO:36として記載される。付加的なRP5'配列を含有するプライマーは、SEQ ID NO:37で記載される。
これらのプライマーの合成を、GENSET UFPS 24.1シンセサイザー上で、ホスホルアミダイト法に従って実施した。
DNA増幅をGenius IIサーモサイクラー上で実施した。95℃で10分間にわたって加熱した後、40サイクルを実施した。各サイクルは、30秒間にわたって95℃、1分間にわたって54℃、そして30秒間にわたって72℃で行った。最終的な延長に際しては、72℃、10分間で増幅を終えた。蛍光光度計及び挿入剤としてPicogreen(Molecular Probes)を使用して、得られた増幅生成物の量を96ウェル・マイクロタイター・プレート上で測定した。
DNA増幅をGenius IIサーモサイクラー上で実施した。95℃で10分間にわたって加熱した後、40サイクルを実施した。各サイクルは、30秒間にわたって95℃、1分間にわたって54℃、そして30秒間にわたって72℃で行った。最終的な延長に際しては、72℃、10分間で増幅を終えた。蛍光光度計及び挿入剤としてPicogreen(Molecular Probes)を使用して、得られた増幅生成物の量を96ウェル・マイクロタイター・プレート上で測定した。
さらに、RT-PCRを使用することにより、正常個体及び/又は統合失調症個体の細胞内に存在する新規のcDNAを同定した。8つの新規のスプライス変異体を同定した。これらをSEQ ID NO:14〜21(ヌクレオチド配列)及びSEQ ID NO:26〜33(ポリペプチド配列)として示し、これらを図1に示す。新規の変異体のうちのいくつかは新規のエクソンを含む。これらのエクソンをSEQ ID NO:2〜9として本明細書に示す。
実施例3
2対立遺伝子マーカーの同定-増幅されたゲノムDNAの配列決定
実施例2で得られた増幅DNAの配列決定を、ABI377シーケンサー上で実施した。色素ターミネーター・サイクル配列決定プロトコルを用いた自動ジデオキシ・ターミネーター配列決定反応を用いて、増幅生成物の配列を決定した。配列決定反応生成物を配列決定ゲル上で走行させ、そしてゲル画像分析を用いて配列を決定した(ABI Prism DNA Sequencing Analysisソフトウェア(2.1.2バージョン))。
2対立遺伝子マーカーの同定-増幅されたゲノムDNAの配列決定
実施例2で得られた増幅DNAの配列決定を、ABI377シーケンサー上で実施した。色素ターミネーター・サイクル配列決定プロトコルを用いた自動ジデオキシ・ターミネーター配列決定反応を用いて、増幅生成物の配列を決定した。配列決定反応生成物を配列決定ゲル上で走行させ、そしてゲル画像分析を用いて配列を決定した(ABI Prism DNA Sequencing Analysisソフトウェア(2.1.2バージョン))。
実施例4
GlyT1タンパク質に対する抗体組成物の調製
GlyT1タンパク質又はその一部をコードする発現ベクターを含有する、トランスフェクト又は形質転換された細胞から、実質的に純粋なタンパク質又はポリペプチドを分離する。最終調整物中のタンパク質の濃度を、例えばAmiconフィルター・デバイス上で濃縮することにより、数μg/mlレベルに調節した。次いで、タンパク質に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体を下記のように調製することができる:
GlyT1タンパク質に対する抗体組成物の調製
GlyT1タンパク質又はその一部をコードする発現ベクターを含有する、トランスフェクト又は形質転換された細胞から、実質的に純粋なタンパク質又はポリペプチドを分離する。最終調整物中のタンパク質の濃度を、例えばAmiconフィルター・デバイス上で濃縮することにより、数μg/mlレベルに調節した。次いで、タンパク質に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体を下記のように調製することができる:
A. ハイブリドーマ融合によるモノクローナル抗体生成
Kohler, G.及びMilstein, C.,(1975)の古典的な方法及びその派生的な方法に従って、マウス・ハイブリドーマから、GlyT1タンパク質又はその一部中のエピトープに対するモノクローナル抗体を調製することができる。Harlow及びLane(1988)も参照されたい。
Kohler, G.及びMilstein, C.,(1975)の古典的な方法及びその派生的な方法に従って、マウス・ハイブリドーマから、GlyT1タンパク質又はその一部中のエピトープに対するモノクローナル抗体を調製することができる。Harlow及びLane(1988)も参照されたい。
手短かに云えば、数μgのGlyT1タンパク質又はその一部をマウスに数週間にわたって繰り返し接種する。次いでマウスを殺し、そして脾臓の抗体生成細胞を分離する。脾臓細胞をポリエチレングリコールによって、マウス骨髄腫細胞と融合し、過剰の未融合細胞を、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)上で系を成長させることにより破壊する。うまく融合された細胞を希釈し、希釈液のアリコートをマイクロタイター・プレートのウェル内に置き、ここで培養の成長を続ける。もともとEngvall(1980)によって記載されたようなイムノアッセイ手順、例えばELISAによって、及びその派生的な方法によって、ウェルの上澄み流体中で抗体を検出することにより、抗体生成クローンを同定する。選択された陽性クローンを延長し、これらのモノクローナル抗体生成物を使用のために採取することができる。モノクローナル抗体生成のための詳細な手順は、Davis, L.他、Basic Methods in Molecular Biology Elsevier, New York, 第21〜2項に記載されている。
B. 免疫化によるポリクローナル抗体生成
GlyT1タンパク質又はその一部で好適な非ヒト動物を免疫化することにより、GlyT1タンパク質又はその一部中の異種エピトープに対する抗体を含有するポリクローナル抗血清を調製することができる。GlyT1タンパク質又はその一部は修飾しないか、又は修飾して免疫原性を向上させることができる。好適な非ヒト動物は好ましくは、通常の場合マウス、ラット、ウサギ、ヤギ又はウマから選択された非ヒト哺乳動物である。或いは、GlyT1濃度を富化された粗調製物を使用して、抗体を生成することができる。このようなタンパク質、フラグメント又は調整物を、当業者に知られた適切なアジュバント(例えば水酸化アルミニウム、RIBIなど)の存在において、非ヒト哺乳動物中に導入する。さらに、抗原性を増大させることになる作用物質で、このタンパク質、フラグメント又は調整物を前処理することができる。この作用物質は当業者に知られており、例えばメチル化されたウシ血清アルブミン(mBSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、B型肝炎表面抗原、及びキーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)を含む。免疫化動物に由来する血清を周知の手順に従って捕集し、処理しそして試験する。血清が不所望のエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する場合、ポリクローナル抗体は免疫アフィニティ・クロマトグラフィによって精製することができる。
GlyT1タンパク質又はその一部で好適な非ヒト動物を免疫化することにより、GlyT1タンパク質又はその一部中の異種エピトープに対する抗体を含有するポリクローナル抗血清を調製することができる。GlyT1タンパク質又はその一部は修飾しないか、又は修飾して免疫原性を向上させることができる。好適な非ヒト動物は好ましくは、通常の場合マウス、ラット、ウサギ、ヤギ又はウマから選択された非ヒト哺乳動物である。或いは、GlyT1濃度を富化された粗調製物を使用して、抗体を生成することができる。このようなタンパク質、フラグメント又は調整物を、当業者に知られた適切なアジュバント(例えば水酸化アルミニウム、RIBIなど)の存在において、非ヒト哺乳動物中に導入する。さらに、抗原性を増大させることになる作用物質で、このタンパク質、フラグメント又は調整物を前処理することができる。この作用物質は当業者に知られており、例えばメチル化されたウシ血清アルブミン(mBSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、B型肝炎表面抗原、及びキーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)を含む。免疫化動物に由来する血清を周知の手順に従って捕集し、処理しそして試験する。血清が不所望のエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する場合、ポリクローナル抗体は免疫アフィニティ・クロマトグラフィによって精製することができる。
抗原及び宿主の両方に関連する多くの因子により、効果的なポリクローナル抗体生成が影響される。また、宿主動物は、接種部位及び用量に応じて変化し、抗原の用量が不十分であるか又は過剰であると、抗血清力価が低くなる。低用量(ngレベル)の抗原を複数の皮内部位に投与するのが最も信頼性が高いと考えられる。ポリクローナル抗血清を生成して処理する技術は当業者に知られている。例えば、Mayer及びWalker(1987)を参照されたい。ウサギのための効果的な免疫プロトコルが、Vaitukaitis, J.他(1971)において見出すことができる。
規則的なインターバルでブースター注射を施し、例えば既知の抗原濃度に対して寒天内で二重免疫拡散を行うことにより準定量的に測定して、抗体力価が低下し始めたときに、抗血清を採取することができる。例えば、Ouchterlony, O.他(1973)を参照されたい。抗体のプラトー濃度は通常、血清の0.1〜0.2mg/ml(約12 M)の範囲にある。例えばFisher, D.(1980)によって記載されているように、競合的結合曲線を作成することにより、抗原に対する血清の親和性を測定する。
生体試料中の抗原担持物質の濃度を測定する定量イムノアッセイにおいて、モノクローナル又はポリクローナル・プロトコルに従って調製された抗体調製物が有用であり;これらの抗体調製物を準定量的又は定性的に使用することにより、生体試料中の抗原の存在が同定される。抗体は、そのタンパク質を発現させる細胞を殺すか、又は体内のそのタンパク質のレベルを低減するための治療用組成物において使用することもできる。
本発明の好ましい実施態様を例示して説明してきたが、本発明の本質及び範囲を逸脱することなしに当業者によって種々の変更を加え得ることは明らかである。
本発明の好ましい実施態様を例示して説明してきたが、本発明の本質及び範囲を逸脱することなしに当業者によって種々の変更を加え得ることは明らかである。
Claims (25)
- 単離、精製され又は組換え型のポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示す核酸配列のうちのいずれか、又は該配列のうちのいずれかに対して相補的な配列を含むことを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
- 機能性グリシン・トランスポーターをコードする単離され、精製され又は組換え型のポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが、SEQ ID NO:14〜21として示す配列のうちのいずれかに対して少なくとも約90%の同一性を含む核酸配列を含むことを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
- ポリペプチドをコードする単離され、精製され又は組換え型のポリヌクレオチドであって、該ポリペプチドが、SEQ ID NO:26〜33として示すアミノ酸配列のうちのいずれかを含むことを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドが固形支持体に付着されている、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とするポリヌクレオチド・アレイ。
- 前記アレイがアドレス可能である、請求項5に記載のアレイ。
- 標識をさらに含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドがプロモーターに作用可能に連結されている、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- 請求項8に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする組換えベクター。
- 請求項9に記載の組換えベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。
- 請求項9に記載の組換えベクターを含むことを特徴とする非ヒト宿主動物又は哺乳動物。
- 単離され、精製され又は組換え型のポリペプチドであって、SEQ ID NO:26〜33として示すアミノ酸配列のうちのいずれかを含むことを特徴とする、前記ポリペプチド。
- 単離され、精製され又は組換え型のポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、SEQ ID NO:2〜9又は14〜21として示す核酸配列のうちのいずれかによってコードされたアミノ酸配列を含むことを特徴とする、前記ポリペプチド。
- GlyT1ポリペプチドを生成する方法であって、前記方法が:
a) プロモーターに作用可能に連結された、SEQ ID NO:26〜33として示すポリペプチドのうちのいずれか1つをコードする核酸を含む宿主細胞を提供するステップと;
b) 前記ポリペプチドの発現を誘導する条件下で前記宿主細胞を培養するステップと、
c) 前記宿主細胞から前記ポリペプチドを単離するステップと
を含むことを特徴とする、前記方法。 - 単離され又は精製された抗体であって、該抗体が、SEQ ID NO:2〜9として示す配列のいずれか1つによってコードされたポリペプチドのエピトープ含有フラグメントに選択的に結合することができることを特徴とする、前記抗体。
- 前記抗体が前記ポリペプチドに特異的に結合することができる条件下で、前記抗体を前記ポリペプチドと接触させることを含むことを特徴とする、請求項12のポリペプチドに抗GlyT1抗体を結合する方法。
- 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする診断キット。
- 細胞内のGlyT1遺伝子の発現を検出する方法であって、前記方法が:
a) 前記細胞又は前記細胞からの抽出物を、
i) 請求項1、2又は3に記載のポリヌクレオチドとストリンジェント条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又は
ii) 請求項12に記載のポリペプチドに特異的に結合する化合物
のいずれかと接触させるステップと、
b) 前記ポリヌクレオチドと前記細胞又は抽出物内のRNA種との間のハイブリッド形成の存在又は不存在を検出するか、又は前記化合物と前記細胞又は抽出物内のタンパク質との結合の存在又は不存在を検出するステップと
を含み、
前記ハイブリダイゼーション又は前記結合の存在の検出が、前記GlyT1遺伝子が前記細胞内で発現していることを指標することを特徴とする、前記方法。 - 前記ポリヌクレオチドがオリゴヌクレオチド・プライマーであり、前記ハイブリッド形成が、前記プライマーの配列を含む増幅生成物の存在を検出することにより検出される、請求項18に記載の方法。
- 前記化合物が抗GlyT1抗体である、請求項18に記載の方法。
- GlyT1ポリペプチドの候補モジュレーターを同定する方法であって、前記方法が:
a) 請求項12に記載のポリペプチドを試験化合物と接触させ;そして
b)前記化合物が前記ポリペプチドに特異的に結合するか否かを測定する
ことを含み、
前記化合物が前記ポリペプチドに結合することの検出が、前記化合物が前記GlyT1ポリペプチドの候補モジュレーターであることを指標することを特徴とする、前記方法。 - 前記候補モジュレーターの存在下で前記GlyT1ポリペプチドの活性を試験することをさらに含み、前記候補モジュレーターの不存在下での前記GlyT1ポリペプチドの活性と比較しての、前記候補モジュレーターの存在下でのGlyT1ポリペプチドの活性の差が、該候補モジュレーターが前記GlyT1ポリペプチドのモジュレーターであることを指標する、請求項21に記載の方法。
- GlyT1ポリペプチドのモジュレーターを同定する方法であって、前記方法が:
a) 請求項12に記載のポリペプチドを試験化合物と接触させ;そして、
b) 前記化合物の存在及び不存在において前記ポリペプチドの活性を検出することを含み、
前記候補化合物の不存在下での前記活性と比較しての、前記化合物の存在下での前記活性の差が、前記化合物が前記GlyT1ポリペプチドのモジュレーターであることを指標することを特徴とする、前記方法。 - 前記ポリペプチドが細胞又は細胞膜内に存在し、前記活性がグリシン輸送活性を含む、請求項22又は23に記載の方法。
- 医薬組成物の製造方法であって、
a) 請求項21〜24のいずれか1項に記載の方法を用いてGlyT1ポリペプチドのモジュレーターを同定し、そして
b) 前記モジュレーターを生理学的に許容される担体と組み合わせる
ことを含むことを特徴とする、前記方法。
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