JP2002517242A - 前立腺癌腫瘍抗原−1(pcta−1)の多型マーカー - Google Patents

前立腺癌腫瘍抗原−1(pcta−1)の多型マーカー

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、PCTA-1遺伝子のゲノム配列およびcDNA配列に関する。また、本発明は、PCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーおよびこれらのマーカーと前立腺癌との間に確立される関連性とに関する。本発明によれば、前立腺癌に対して個体が持つ素因を判断するための手段と、前立腺癌を診断し、かつ前立腺癌に作用する薬剤に対する最終的な治療応答を予測/検出する手段とが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、PCTA-1遺伝子のゲノム配列およびcDNA配列、PCTA-1遺伝子のバイア
レリックマーカーおよびこれらのマーカーと前立腺癌との間の関連性に関する。
本発明によれば、前立腺癌に対して個体が持つ素因を判断するための手段と、こ
の癌を診断し、かつ前立腺癌に作用する治療薬に対する最終的な応答を予測/検
出する手段とが得られる。
【0002】 (発明の背景) 前立腺癌 前立腺癌の出現率は、ここ数十年の間に劇的に増加している。西欧諸国ならび
に米国の白人個体群では平均して男性100,000人あたり30〜50人の割合である。
これらの国々では、前立腺癌は近年最も多く診断される悪性腫瘍になりつつあり
、米国人男性で診断される癌4例あたり1例が前立腺癌である。前立腺癌の出現率
は、中国での100,000人あたり2人からアメリカ黒人男性の100,000人あたり80人
にまでおよぶ極めて個体群特有のものである。
【0003】 フランスでは、前立腺癌の出現率は男性100,000人あたり35人であり、10年ご
とに10/100,000人の割合で増え続けている。当然ながら前立腺癌による死亡率も
増加している。フランス人男性の癌による死因の第2位が前立腺癌であり、70歳
を超える高齢のフランス人男性では前立腺癌が第1位である。このため、前立腺
癌は公衆衛生の面で非常に大きな問題となっている。
【0004】 前立腺癌は不顕性の病気である。多くの男性が明らかな疾病徴候のない状態で
前立腺癌細胞を保因している。前立腺癌以外の原因で亡くなった個体の検視解剖
を行うと、50歳の男性で30%、80歳の男性では60%に前立腺癌細胞が認められる。
さらに、前立腺癌の診断がなされた後では患者は10年以内で死に至る可能性があ
る。
【0005】 この疾病は通常、前立腺内部での限られた範囲の腫瘤から前立腺表面の損傷お
よび浸潤へと変化し、局所的にリンパ節に転移した後、骨髄に転移する形で進行
する。癌の骨への転移は普通に起こるものであり、ひどい疼痛を伴うことも多い
【0006】 残念なことに、症例の80%では前立腺癌の診断が確定する頃には癌はすでに骨
に転移した後である。特に興味深いことに、前立腺自体の内部よりも転移部位で
の方が前立腺癌の成長速度がはやいという観察結果がある。
【0007】 前立腺癌の早期診断は、今日では主に前立腺特異抗原(PSA)値を頼りに行われ
ており、この方法を用いると臨床徴候が認められるようになる7年も前から前立
腺癌を検出することができる。しかしながら、PSA値による診断では器官にある
悪性疾患と非悪性疾患とを正確に区別することができないことや、前立腺癌があ
っても必ず血清PSA濃度が上昇するとは限らないことから、この方法の有効性に
は限度がある。さらに、疾病の進行度を予測する上では、PSA値や物理的な検査
、組織生検および骨スキャンなどの現段階で利用できる他の方法の有意性も限ら
れている。
【0008】 したがって、現在よりも一貫して前立腺癌を早期に予測できる高信頼度の診断
法には高い需要がある。
【0009】 早期に前立腺癌を予測することは重要であるが、現段階で利用可能な薬物は高
価であってなおかつ重い副作用を生じるものであるため、治療を先送りにできる
期間をどこまで見極められるかということの方が興味深い。しかしながら、前立
腺腫瘍の攻撃性は極めて多様である。6か月ごとに倍増する比較的攻撃性の高い
腫瘍もあれば、5年ごとに2倍になる程度の成長の遅い腫瘍もある。事実、ほとん
どの前立腺癌は比較的ゆっくり成長し、臨床的には決して顕在化してこない。前
立腺癌に冒された患者は高齢者で、癌が実際に発症する前に他の疾病で亡くなる
ことが非常に多い。したがって、前立腺癌腫を治療する上で重要な問題は、患者
の寿命があるはずのうちに進行する腫瘍と進行しない腫瘍とをどのようにして区
別するかにある。
【0010】 したがって、一度診断された前立腺癌腫瘍の攻撃性あるいは発症の可能性の評
価に使用できる検出手段にも高い需要がある。
【0011】 さらに、現段階では前立腺癌の羅患性を予測する手段がない。個体の前立腺癌
に対する羅患性を検出することも極めて有益であろう。これによって、腫瘍の発
生を予防治療し、慎重に経過観察することが可能になる。
【0012】 前立腺癌の成長速度は遅く、結果として常に活発に分割される癌細胞がほとん
どないため、前立腺癌は一般に放射線や化学療法に強い。手術は治療の頼みの綱
ではあるが、ほとんど効果が得られないため射精管を摘出することになり、これ
がインポテンスにつながる。経口薬としての卵胞ホルモンおよび黄体形成ホルモ
ン放出ホルモン類似体も前立腺癌の治療に使用される。こうしたホルモン療法は
多くの患者に顕著な治療効果をもたらすが、それも一時的に症状を抑えているだ
けである。実際問題として、これらの癌の大半は耐ホルモン性癌細胞の発生によ
ってすぐに再発してしまい、卵胞ホルモン療法が心臓血管系の重篤な合併症に結
びつくことがある。したがって、前立腺癌の予防療法および治療法には高い需要
がある。
【0013】 前立腺癌の治療では効果/耐性の予測が非常に重要な場合がある。確かに、現
在利用されている主な治療法であるホルモン療法は重篤な副作用を伴う。一方、
化学療法については、化学的感受性の高い腫瘍のある患者の数が限られているた
め、使用できる例は限られてしまう。さらに、前立腺癌患者の年齢層や化学療法
に対する耐性が低いことから判断しても、この治療法を一貫して利用するのは非
常に困難である。
【0014】 したがって、前立腺癌患者に投与する薬物の最終的な効果並びにこの薬剤に対
する患者の最終的な耐性を有意に評価することで、前立腺癌治療の効果/危険比
を高められる可能性がある。
【0015】 前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1) 国際特許出願公開第WO96/21671号には、PCTA-1という名の新規なタンパク質に
ついて記載されている。この文献には、cDNAをコードしているPCTA-1(GenBank L
78132)のクローニングとシークエンシングについて記載されている。このcDNAは
長さ3.85kbであり、配列がラットのガレクチン-8と約80%相同である。
【0016】 国際特許出願公開第WO96/21671号は、ガレクチン遺伝子ファミリーのほとんど
のメンバに見られる多くの保存された構造モチーフがPCTA-1タンパク質で維持さ
れていることに言及している。このタンパク質の予想アミノ酸配列にもとづいて
、PCTA-1はヒトのラットガレクチン-8に相当するタンパク質ではないかと言われ
ている。ガレクチンは広範にわたる組織に分布し、明確な発生調節機能を持ち、
特定の組織で他のタンパク質とは異なるレベルで認められ、哺乳動物細胞で生理
学的に重要な多くのプロセスに寄与しているという仮説を裏付けている。癌との
直接的な関連性については、ガレクチンは細胞同士の相互作用および細胞とマト
リックスとの相互作用を媒介できるという所見がある。
【0017】 (発明の開示) 本願発明者らは、関連性解析によってPCTA-1遺伝子のゲノム配列をその調節領
域と共に特徴づけし、PCTA-1のバイアレリックマーカーのアレルには前立腺癌と
関連したものがあることを示した。
【0018】 したがって、本発明は、PCTA-1遺伝子のゲノム配列、新規なcDNA配列およびこ
れらのcDNAによってコードされるタンパク質の同定および特徴づけに関する。ま
た、本発明は、かかる配列に位置するバイアレリックマーカーならびに前立腺癌
に関連した有意な多型を選択することに関する。
【0019】 PCTA-1のゲノム配列と特異的にハイブリダイズされるオリゴヌクレオチドプロ
ーブおよびプライマーも本発明の一部である。本発明のさらに他の目的は、本発
明において説明する核酸配列のうちいずれかを含む組換えベクター、特に、PCTA
-1の調節領域またはPCTA-1タンパク質をコードする配列を含む組換えベクター、
ならびに前記核酸配列または組換えベクターを含む細胞宿主からなる。
【0020】 前立腺癌に対する遺伝的な羅患性、前立腺癌の早期発症、前立腺癌腫瘍の攻撃
性、PCTA-1遺伝子の変更発現もしくはすでに起こりかけている発現、または修飾
PCTA-1タンパク質の産生などを高信頼度で検出するためのアッセイの設計に、選
択した多型を使用する。これらの多型を使用して、このような疾病の診断、病期
判定、予後推測および監視を行うことができ、これらのプロセスを治療方法の一
環として含めることも可能である。また、薬剤スクリーニングプロトコルに選択
された多型を使用し、新規な薬物あるいは既存の薬物の治療効果および副作用を
正確かつ効果的に評価することもできる。
【0021】 また、本発明は、PCTA-1遺伝子の発現を調節または阻害する分子のスクリーニ
ング方法、より好ましくは前立腺癌に作用する薬剤のスクリーニング方法も包含
する。
【0022】 (配列表に列挙した配列の簡単な説明) 配列番号1は、5'調節領域(上流の非翻訳領域)、エキソン(0、1、2、3、4、5、
6、6bis、7、8、9、9bisおよび9ter)およびイントロンおよび3'調節領域(下流の
非翻訳領域)を有するPCTA-1のゲノム配列を含む。 配列番号2は、エキソン0、1、2、3、4、5、6、7、8および9を有するPCTA-1のc
DNA配列を含む。 配列番号3は、エキソン0、1、2、3、4、5、6、6bis、7、8および9を有するPCT
A-1のcDNA配列を含む。 配列番号4は、エキソン0、1、2、3、4、5、6、7、8、9bisおよび9terを有する
PCTA-1のcDNA配列を含む。 配列番号5は、配列番号2のcDNAでコードされるアミノ酸配列を含む。 配列番号6は、配列番号3のcDNAでコードされるアミノ酸配列を含む。 配列番号7は、配列番号4のcDNAでコードされるアミノ酸配列を含む。 配列番号8は、マウスPCTA-1のcDNA配列を含む。 配列番号9は、配列番号8のcDNAでコードされるアミノ酸配列を含む。 配列番号10は、実施例2でさらに説明する別のPU 5'配列を含むプライマーを含
む。 配列番号11は、実施例2でさらに説明する別のPR 5'配列を含むプライマーを含
む。
【0023】 (発明の詳細な説明) 定義 本発明を一層詳細に説明する前に、下記の定義によって、本願明細書で本発明
の説明に用いる用語の意味と範囲を示し、定義する。
【0024】 「PCTA-1遺伝子」という用語は、エキソン、イントロン、プロモーター、調節
領域、5'UTR、3' UTR、決して転写されることなくPCTA-1のコード配列の上流ま
たは下流のいずれにも位置しない領域の各要素のうちいくつかまたはこれらの要
素すべてを含み得る実体を定義することを意図している。本願明細書において、
「PCTA-1遺伝子」という用語は、PCTA-1タンパク質をコードするゲノム配列、mR
NA配列およびcDNA配列を包含する。
【0025】 「異種タンパク質」という用語は、本願明細書で使用するにあたり、PCTA-1タ
ンパク質以外で任意のタンパク質あるいはポリペプチドを示すことを意図したも
のである。具体的には、異種タンパク質は、別の実験におけるマーカーとしてPC
TA-1調節領域と併用できる化合物、あるいは毒素を産生したい特定の細胞に対す
る毒素として、好ましくは前立腺癌細胞に対する毒素として使用できる化合物で
ある。
【0026】 本願明細書において、「毒素遺伝子」という用語は、一般には哺乳動物細胞で
ある真核生物細胞で発現されると、この細胞を死滅させるまたは無能にするか、
あるいはこの細胞に、アポトーシス、細胞分裂停止または老化を引き起こすポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を示す。
【0027】 「単離された」という表現で示す物質は、その本来あるべき環境(たとえば、
天然由来のものである場合は自然環境)から外れたものでなければならない。た
とえば、生きた動物が持つ天然由来のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単
離されたとは言わないが、同じポリヌクレオチドまたはDNAまたはポリペプチド
を天然系で共存しているいくつかの物質またはすべての物質から分離すると、こ
れは単離されたことになる。かかるポリヌクレオチドは、ベクターおよび/また
はかかるポリヌクレオチドの一部の場合がある。あるいは、ポリペプチドが組成
物の一部であることもある。このような状態であっても、そのベクターや組成物
が天然環境の一部をなしているのでなければ、単離されているとする。
【0028】 「精製された」という用語で示す物質は完全に純粋なものである必要はなく、
相対的に定義することを意図したものである。少なくとも1桁、好ましくは2桁ま
たは3桁、より好ましくは4桁または5桁上まで出発原料または天然原料を精製す
ることが、特に意図するところである。一例として、濃度0.1%から濃度10%に精
製すれば2桁の精製となる。本願明細書では、他の核酸、含水炭素、脂質および
タンパク質(ポリヌクレオチドの合成に使用される酵素など)を含むがこれに限定
されるものではない他の化合物から分離された本発明のポリヌクレオチドまたは
ポリヌクレオチドベクター、あるいは線状ポリヌクレオチドから共有結合的に緊
密なポリヌクレオチドを分離することを示す上で、「精製された」という表現を
使用する。ポリヌクレオチドは、試料の少なくとも約50%、好ましくは60〜75%が
単一のポリヌクレオチド配列およびコンホメーション(直線状vs共有結合的に近
い状態)を呈する限り、実質的に純粋なものである。実質的に純粋なポリヌクレ
オチドは通常、約50%、好ましくは60〜90%w/wの核酸試料を含み、より一般的に
は純度が約95%、好ましくは約99%を上回る。ポリヌクレオチドの純度または均一
性は、試料のアガロースゲル電気泳動またはポリアクリルアミドゲル電気泳動な
どの従来技術において周知のさまざまな手段を適用し、次いでゲルの染色時に単
一のポリヌクレオチドバンドを可視化するなどの方法によって示される。特定の
目的では、HPLCまたは従来技術において周知の他の手段によって一層高い解像度
を得ることができる。
【0029】 本願明細書で同義に用いられるものとして、「核酸」「オリゴヌクレオチド」
および「ポリヌクレオチド」という用語は、2つ以上のヌクレオチドの一本鎖ま
たは二本鎖のいずれかで構成されるRNA配列、DNA配列またはRNA/DNAハイブリッ
ド配列を含む。本願明細書において、形容詞としての「ヌクレオチド」という用
語は、特に長さを限定せず一本鎖または二本鎖のRNA配列、DNA配列またはRNA/DN
Aハイブリッド配列を含む分子を示す。本願明細書では、「ヌクレオチド」とい
う用語を、分子を意味する個々のヌクレオチドまたは多種多様なヌクレオチド、
あるいは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに含まれるヌクレオチド
である場合はプリンまたはピリミジン、リボースまたはデオキシリボース糖部分
およびリン酸基またはリン酸ジエステル連鎖を含む、大きな核酸分子に含まれる
個々の単位を示す名詞としても使用する。本願明細書では、「ヌクレオチド」と
いう用語を、少なくとも1つの修飾を含む「修飾ヌクレオチド」を包含するもの
として使用するが、(a)選択的結合基、(b)プリンの類似形態、(c)ピリミジンの
類似形態、または(d)たとえば類似の糖類などの類似の結合基、プリン、ピリミ
ジンおよび糖は、たとえばPCT公開第国際特許出願公開第WO95/04064号を参照の
こと。これは特に、αアノマーまたはβアノマーを含むオリゴヌクレオチド、ホ
スホロチオネートまたはメチルホスホネートタイプのヌクレオチド間結合を含む
オリゴヌクレオチド、あるいはオリゴチオヌクレオチドであってもよい。本発明
のポリヌクレオチド配列は、合成、組換え、ex vivo生成またはこれらの組み合
わせの他、従来技術において周知の精製方法を用いるなど、周知のどのような方
法で調製したものであってもよい。
【0030】 本願明細書全体を通して、ポリヌクレオチドまたは核酸を同じように示すのに
「ヌクレオチド配列」という表現を用いることがある。正確に言うと、「ヌクレ
オチド配列」という表現は、核材料自体を包含するため、特定のDNAまたはRNA分
子を生化学的に特徴づけする配列情報(すなわち、4つの基本文字を組み合わせた
文字の羅列)に限定されるものではない。
【0031】 「プロモーター」という用語は、遺伝子の特異的な転写を開始するのに必要な
細胞合成装置が認識できるDNA配列を示す。
【0032】 プロモーターなどの制御配列に「作用的に結合した」配列は、前記調節要素の
核酸に対する位置および配向が正しく、興味の対象となる核酸の発現とRNAポリ
メラーゼの開始を制御できる状態にあることを意味する。本願明細書において、
「作用的に結合した」という用語は、ポリヌクレオチド要素が官能的に連鎖をな
した状態を示す。たとえば、プロモーターまたはエンハンサーがコード配列の転
写に影響するような場合、これらのプロモーターやエンハンサーがコード配列に
作用的に結合しているという。正確には、2つのDNA分子(プロモーター領域を含
むポリヌクレオチドと所望のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードする
ポリヌクレオチドなど)間の連鎖によって(1)フレームシフト突然変異の導入が生
じない、あるいは(2)プロモーターを含むポリヌクレオチドがコーディングポリ
ヌクレオチドの転写を指示する性能に影響が出ない場合に、これら2つのポリヌ
クレオチドが「作用的に結合した」状態にあるという。
【0033】 「プライマー」という用語は、標的ヌクレオチド配列と相補であり、標的ヌク
レオチド配列とのハイブリッド形成に使用される特異的オリゴヌクレオチド配列
を示す。DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素のいずれかが触媒
するヌクレオチド重合の開始点として機能するのがプライマーである。
【0034】 「プローブ」という用語は、試料中に存在する特異的ポリヌクレオチド配列の
同定に使用できる定義済の核酸セグメント(あるいは本願明細書で定義するよう
なポリヌクレオチドなどのヌクレオチド類似セグメント)であって、同定対象と
なる特異的ポリヌクレオチド配列の相補配列であるヌクレオチド配列を含む前記
核酸セグメントを示す。
【0035】 「塩基対の」および「Watson & Crick塩基対の」という表現は、本願明細書で
は同義に用いられ、二重らせん状のDNAにおいて見られるものと同様に、アデニ
ン残基が2つの水素結合によってチミン残基またはウラシル残基と結合し、シト
シン残基およびグアニン残基が3つの水素結合によって結合した、その配列の同
一性がゆえに、互いに水素結合可能なヌクレオチドを示す(Stryer、L.、Biochem
istry、4th edition、1995を参照のこと)。
【0036】 「相補的」または「これらの相補体」という用語は、本願明細書では、相補領
域全体がそのまま別の特定のポリヌクレオチドとWatson & Crick塩基対を形成す
ることのできるポリヌクレオチドの配列を示す。本発明の目的で、第1のポリヌ
クレオチドの各塩基がその相補塩基と対になっている場合に、この第1のポリヌ
クレオチドは第2のポリヌクレオチドと相補であるとみなす。相補塩基は一般に
、AとT(あるいはAとU)、CとGである。本願明細書では、「相補」という語を「相
補ポリヌクレオチド」「相補核酸」および「相補ヌクレオチド配列」の同義語と
して使用する。これらの用語は、単純に各ポリヌクレオチドの配列にのみ基づい
てポリヌクレオチドの対に適用されるものであり、2つのポリヌクレオチドが実
際に結合した特定の条件を指していうものではない。
【0037】 「ポリペプチド」という用語は、ポリマーの長さとは無関係にアミノ酸のポリ
マーを示す。したがって、ポリペプチドの定義には、ペプチド、オリゴペプチド
およびタンパク質が含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾を指
定するものでもなければこれを除外するものでもなく、たとえば、グリコシル基
、アセチル基、リン酸基、脂質基などが共有結合的に付加されたポリペプチドも
ポリペプチドという用語に明示的に包含される。さらに、この定義には、1種ま
たはそれ以上のアミノ酸類似物(たとえば、非天然由来のアミノ酸、生物学的な
独立系において天然でのみ生じるアミノ酸、哺乳動物の系由来の修飾アミノ酸な
どを含む)を含有するポリペプチド、置換結合を含むポリペプチドの他、従来技
術において周知の天然由来および非天然由来の他の修飾も含まれる。
【0038】 本願明細書では、「組換えポリペプチド」という用語を、人為的に設計され、
もとの天然環境にある連続したポリペプチド配列には見られないポリペプチド配
列を少なくとも2つ含むポリペプチドを示すものとして使用する。あるいは、組
換えポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドを示すものとして使用する。
【0039】 本願明細書では、核酸、脂質、含水炭素、他のタンパク質を含むがこれに限定
されるものではない他の化合物から分離された本発明のポリペプチドを示す上で
、「精製された」という表現を使用する。ポリペプチドは、試料の少なくとも約
50%、好ましくは60〜75%が単一のポリペプチド配列を呈する限り、実質的に純粋
なものである。実質的に純粋なポリペプチドは通常、約50%、好ましくは60〜90%
w/wのタンパク質試料を含み、より一般には純度が約95%、好ましくは約99%を上
回る。ポリペプチドの純度または均一性は、試料のアガロースゲル電気泳動また
はポリアクリルアミドゲル電気泳動などの従来技術において周知のさまざまな手
段を適用し、次いでゲルの染色時に単一のポリペプチドバンドを可視化するなど
の方法によって示されている。特定の目的では、HPLCまたは従来技術において周
知の他の手段によって一層高い解像度を得ることができる。
【0040】 本願明細書において、「非ヒト動物」という用語は、人間以外のあらゆる脊椎
動物および鳥類を示し、通常は哺乳動物、好ましくは霊長類、ブタ、ヤギ、ヒツ
ジ、ロバおよびウマなどの家畜動物、ウサギすなわちげっ歯類、さらに好ましく
はラットまたはマウスである。本願明細書において、「動物」という用語は、あ
らゆる脊椎動物、好ましくは哺乳動物の意味で用いられる。「動物」および「哺
乳動物」のいずれの用語も、「非ヒト」という用語が明記されている場合を除き
、ヒトの被検体も明示的に含むものとする。
【0041】 本願明細書において、「抗体」という用語は、ポリペプチド単体または少なく
とも1つの結合ドメインで構成される複数のポリペプチドの集合を意味する。こ
の場合、抗体結合ドメインは、抗体分子の可変ドメインの折り畳みで形成され、
内面形状および電荷の分布が抗原の抗原決定基の特徴と相補的な三次元結合空間
を形成する。これによって、抗原に対する免疫反応が可能になる。抗体としては
、結合ドメインを含む組換えタンパク質の他、Fab、Fab'、F(ab)2およびF(ab')2
フラグメントをはじめとするフラグメントがあげられる。
【0042】 本願明細書において、「抗原決定基」は、抗原-抗体反応の特異性を決定する
抗原分子の一部であり、この場合はPCTA-1ポリペプチドである。「エピトープ」
は、ポリペプチドの抗原決定基を意味する。エピトープは、空間コンホメーショ
ンにわずか3個のアミノ酸を含むことができるものであるが、これはエピトープ
独特の特徴である。通常、エピトープにはこのようなアミノ酸が少なくとも6個
含まれており、一般にはこのようなアミノ酸が少なくとも8〜10個含まれる。エ
ピトープを構成しているアミノ酸の判断方法としては、x線結晶解析、二次元核
磁気共鳴の他、Geysen et al. 1984、国際特許出願公開第WO84/03564号および同
第WO 84/03506号などに記載されているようなPepscan法をはじめとするエピトー
プマッピングがあげられる。
【0043】 「アレル」という用語は、本願明細書では、ヌクレオチド配列の変異体を示す
。バイアレリック多型は2つの形態を有する。複相生物は、アレル形態がホモ接
合性のこともあればヘテロ接合性のこともある。
【0044】 「ヘテロ接合率」という用語は、本願明細書では、特定のアレルでヘテロ接合
的である個体が個体群に出現する率を示す。バイアレリックの系では、ヘテロ接
合率は平均で2Pa(1-Pa)に等しい。式中、Paは共通アレルの最小頻度を意味する
。遺伝研究に役立つものとするために、遺伝マーカーのヘテロ接合性を適当なレ
ベルに定め、無作為に選択した個人がヘテロ接合的になる確率が最も高くなるよ
うにする必要がある。
【0045】 「遺伝子型」という用語は、本願明細書では、個体または試料中に存在するア
レルの同一性を示す。本発明の文脈では、遺伝子型は、個体または試料中に存在
するバイアレリックマーカーアレルのことを示すものであると好ましい。試料ま
たは個体のバイアレリックマーカーでの「遺伝子型を判定する」という表現は、
バイアレリックマーカーの部分で個体が保持している特異的ヌクレオチドまたは
特異的アレルを特定することである。
【0046】 「変異」という用語は、本願明細書では、頻度1%未満の異なるゲノムまたは個
体間のDNA配列の違いを示す。
【0047】 「ハプロタイプ」という用語は、個体または試料中に存在するアレルの組み合
わせを示す。本発明の文脈では、ハプロタイプは、特定の個体において見出され
、表現型に関連している場合があるバイアレリックマーカーアレルの組み合わせ
を示すものであると好ましい。
【0048】 「多型」という用語は、本願明細書では、異なるゲノムまたは個体間で2以上
の選択的ゲノム配列またはアレルが出現することを示す。「多型の」という表現
は、特異的ゲノム配列の2以上の変異体が個体群に見出される可能性がある状態
を示す。「多型部位」は、バリエーションが発生する座である。単一ヌクレオチ
ド多型は、単一塩基対の変化である。一般に、単一ヌクレオチド多型は、多型部
位で1つのヌクレオチドが別のヌクレオチドに置換されて生じる。ヌクレオチド
が1つ欠失したり、あるいはヌクレオチドが1つ挿入される場合も単一ヌクレオチ
ド多型となる。本発明の文脈では、「単一ヌクレオチド多型」は、単一ヌクレオ
チド置換を示すものであると好ましい。しかしながら、多型は、好ましくは1〜5
個のヌクレオチドの挿入または欠失を含むものであってもよい。ヌクレオチド修
飾にもさらにいくつかの隣接した一塩基多型の存在が必要なことがある。この種
のヌクレオチド修飾は通常、「可変モチーフ(variable motif)」と呼ばれる。一
般に、「可変モチーフ」には2〜10の隣接した一塩基多型が必要である。場合に
よっては、2つ以上の連続した一塩基多型を多型ではない1つの塩基で中断できる
こともある。これも広い意味で「可変モチーフ」であるとみなされる。一般に、
異なるゲノム間または異なる個体間では、多型部位は2つの異なるヌクレオチド
によって引き起こされることがある。
【0049】 「バイアレリック多型」および「バイアレリックマーカー」という用語は、本
願明細書では、個体群でかなり高い頻度にて出現するアレル2個を含む多型、通
常は単一ヌクレオチド多型を意味するものとして同義に用いられる。「バイアレ
リックマーカーアレル」は、バイアレリックマーカー部位に存在するヌクレオチ
ド変異体を示す。一般に、本発明によるバイアレリックマーカーのあまり一般的
ではないアレルの頻度は1%を上回り、好ましくは頻度が10%を上回り、さらに好
ましくは頻度が少なくとも20%(すなわち、ヘテロ接合率は少なくとも0.32)、さ
らに一層好ましくは頻度が少なくとも30%(すなわち、ヘテロ接合率は少なくとも
0.42)であることが実証されている。あまり一般的ではないアレルの頻度が30%以
上のバイアレリックマーカーを「高品質バイアレリックマーカー」とする。
【0050】 本願明細書において、「バイアレリックマーカーを定義する」という表現は、
バイアレリックマーカーの多型塩基が配列に含まれていることを意味する。バイ
アレリックマーカーを定義する配列は、バイアレリックマーカーの多型塩基が含
まれてさえいれば、意図した用途に応じてどのような長さのものとしてもよい。
この配列の長さは2〜100ヌクレオチド長であり、好ましくは20、30、40および60
の範囲、さらに好ましくは約47ヌクレオチド長である。同様に、「マーカー」ま
たは「バイアレリックマーカー」という用語を使うには、(必ずしもはっきりし
ているわけではないが)多型アレルを実際に同定できるだけの十分な長さを持つ
配列でなければならない。この長さは通常、少なくとも4ヌクレオチド長、5ヌク
レオチド長、6ヌクレオチド長、10ヌクレオチド長、15ヌクレオチド長、20ヌク
レオチド長、25ヌクレオチド長あるいは40ヌクレオチド長である。
【0051】 本願明細書において、「PCTA-1関連バイアレリックマーカー」または「PCTA-1
遺伝子のバイアレリックマーカー」という表現は、PCTA-1遺伝子と連鎖不平衡状
態にある一組のバイアレリックマーカーに関するものとして用いられる。 PCTA
-1関連バイアレリックマーカーという用語は、表2に開示されるバイアレリック
マーカーA1〜A125をすべて包含する。
【0052】 ポリヌクレオチドにおいてこのポリヌクレオチドの中心に対するヌクレオチド
の位置は、本願明細書では以下の通りとする。ポリヌクレオチドに含まれるヌク
レオチドの数が奇数である場合は、ポリヌクレオチドの3'末端および5'末端から
等距離にあるヌクレオチドをそのポリヌクレオチドの「中心に」あるとみなし、
中心のヌクレオチドに隣接するヌクレオチドまたは中心のヌクレオチド自体を「
中心から1ヌクレオチド以内」とする。ポリヌクレオチドに含まれるヌクレオチ
ドの数が奇数であれば、たとえばポリヌクレオチドの中心にある5カ所のヌクレ
オチド位置はいずれも中心から2ヌクレオチド以内ということになる。ポリヌク
レオチドに含まれるヌクレオチドの数が偶数である場合は、このポリヌクレオチ
ドには結合が含まれ、ポリヌクレオチドの中心のヌクレオチドは存在しない。し
たがって、中心の2つのヌクレオチドのいずれも「中心から1ヌクレオチド以内」
とみなされ、ポリヌクレオチドの中心にある4つのヌクレオチドはいずれも「中
心から2ヌクレオチド以内」という具合になる。1つ以上のヌクレオチドの置換、
挿入または欠失が絡む多型の場合は、多型の置換、挿入または欠失されたポリヌ
クレオチドとポリヌクレオチドの3'末端からの距離と、多型の置換、挿入または
欠失されたポリヌクレオチドとポリヌクレオチドの5'末端からの距離との差が、
0ヌクレオチドまたは1ヌクレオチドの場合に、その多型、アレルまたはバイアレ
リックマーカーがポリヌクレオチドの「中心にある」とする。この差が0〜3の場
合、その多型は「中心から1ヌクレオチド以内」であるとされる。差が0〜5の場
合、その多型は「中心から2ヌクレオチド以内」であるとされる。差が0〜7であ
れば、その多型は「中心から3ヌクレオチド以内」という具合になる。
【0053】 「形質」および「表現型」という用語は、本願明細書では同義に用いられ、生
物の可視的な性質、検出可能な性質またはこれ以外の場合であれば測定可能な性
質一切を意味するものであり、一例としては疾患の徴候または疾患に対する感受
性があげられる。好ましくは、「形質」または「表現型」という用語は、本願明
細書で使用する場合、前立腺癌、前立腺癌の早期発症、前立腺癌に対する治療ま
たはワクチン接種に関する有効な応答または副作用、前立腺癌に対する羅患性、
前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、PCTA-1遺伝子の変更発現もしくはすでに起こりか
けている発現、PCTA-1タンパク質の変更産生もしくはすでに起こりかけている産
生、または修飾PCTA-1タンパク質の産生を包含するが、これに限定されるもので
はない。しかしながら、「形質」または「表現型」という用語は、他のタイプの
癌を意味するものであってもよい。
【0054】 「前立腺癌に対する羅患性」という表現は、本願明細書において、個体が自己
の寿命があるうちに前立腺癌の一形態、特にPCTA-1タンパク質が発現される前立
腺癌の一形態を発症する尤度が高いことを示すものとして用いられる。この尤度
は、本発明のバイアレリックマーカーと前立腺癌または他の一層具体的な特徴(P
CTA-1遺伝子の変更発現、PCTA-1タンパク質の変更産生または修飾PCTA-1タンパ
ク質の産生などの前立腺癌の発症につながる特徴)との間に成り立つ関連性に強
く関係している。
【0055】 前立腺癌腫瘍の「攻撃性」という用語は、これらの腫瘍が転移する可能性を意
味する。
【0056】 「前立腺癌の治療」という表現は、本願明細書で使用するにあたり、予防また
は治療のいずれかの目的での物質の投与を示すことを意図している。予防目的で
投与する場合、癌の有意な徴候が生物学的または臨床的に認められる前に治療を
施す。治療目的で投与する場合、前立腺癌の病理徴候を軽減し、癌腫瘍の大きさ
を制限または癌腫瘍の成長あるいは転移を抑え、あるいはこれらを除去するため
の治療を施す。
【0057】 「前立腺癌に作用する薬剤」という表現は、成長率または転移率を抑え、哺乳
動物での腫瘍細胞の生存度を落とすことができる、哺乳動物で腫瘍の大きさを小
さくするかまたは腫瘍をなくすことができる、あるいは癌のある哺乳動物または
ヒトの平均寿命を延ばすことができる医薬品または化合物を意味する。また、前
立腺癌に作用する薬剤には、個体群、特にハイリスク個体群で癌が発症する危険
性を少なくする化合物も含まれる。前立腺癌に作用する薬剤の一例としては、ホ
ルモン治療薬(たとえば、酢酸メドロキシプロゲステロン、リン酸エストラムス
チン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト、フルタミド、ニルタミド
、グロセレリン(groserelin)および酢酸サイプロステロン(cyprosterone acetat
e)などの抗アンドロゲン剤、スチルベストロール他のエストロゲン剤などの抗ゴ
ナドトロピン剤、メゲストール酢酸塩などのプロゲストゲン剤)または化学治療
薬(たとえば、カルボプラチン、シスプラチン、メトトレキセート、マイトマイ
シン、エピルビシン、ビンブラスチン、5-フルオロウラシル、ミトザントロン、
シクロホスファミド、インターフェロン、N-(4-ヒドロキシフェニル)レチンアミ
ド(4HPR))があげられる。これらの薬剤同士を併用することも可能である。
【0058】 「前立腺癌に作用する薬剤に対する副作用」という表現は、薬剤の主な薬理学
的作用が長期にわたっておよぶことで生じる治療の副作用、あるいは特有の宿主
因子と薬剤との相互作用によって生じる特異体質の副反応を意味する。これらの
副作用には、皮膚科学的毒性、血液学的毒性または肝臓毒性などの副反応が含ま
れるがこれに限定されるものではなく、さらに、胃および腸管での潰瘍形成、血
小板機能障害、腎性傷害、腎炎、多量の水様分泌物を伴う血管運動性鼻炎、血管
神経性浮腫、全身性蕁麻疹および気管支喘息から、咽頭浮腫および気管支収縮、
低血圧、性的機能異常およびショックまでも含まれる。具体的には、これらの副
作用は、吐き気/嘔吐、深部静脈血栓および体液貯留などの心臓脈管系での副作
用、女性化乳房などを含む。
【0059】 「前立腺癌に作用する薬剤に対する応答」という表現は、化合物代謝機能、プ
ロドラッグを活性薬に変化させる機能、個体での薬剤の薬動学(吸収、分布、脱
離)および薬動力学(レセプター関連)も含まれるがこれに限定されるものではな
い薬効を意味する。
【0060】 本発明の文脈では、薬物に対する「ポジティブな応答」を、疾病、生存期間の
延長または治療対象となる条件に関連する徴候の軽減を含むものと定義すること
ができる。
【0061】 本発明の文脈では、薬物に対する「ネガティブな応答」を、薬物投与後の観察
で徴候の軽減または生存期間の延長につながる、薬物に対するポジティブな応答
に欠ける状態、あるいは副作用を引き起こす状態を含むものと定義することがで
きる。
【0062】 変異体およびフラグメント 1-ポリヌクレオチド 本発明は、本願明細書において述べるポリヌクレオチドの変異体およびフラグ
メント、特に、本発明による1つまたはそれ以上のバイアレリックマーカーを含
むPCTA-1遺伝子の変異体およびフラグメントにも関するものである。
【0063】 ポリヌクレオチドの変異体は、本願明細書で使用する用語として、基準ポリヌ
クレオチドとは異なるポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドの変異体は、
天然由来のバイアレリック変異体などの天然由来の変異体であっても、天然には
産生されないことが分かっている変異体であってもよい。ポリヌクレオチド、細
胞または有機体で用いられているものと同様の突然変異誘起技術によって、上記
のような非天然由来のポリヌクレオチド変異体を作出してもよい。通常は両者の
違いには限りがあるため、基準の核酸配列と変異体の核酸配列は全体的に見れば
類似しており、多くの領域が同一である。
【0064】 本発明によるポリヌクレオチドの変異体としては、配列番号1、2、3、4、8の
ヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチドと、あるいは配列
番号1、2、3、4、8のヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオ
チドの連続した少なくとも8ヌクレオチドからなる任意のポリヌクレオチドフラ
グメントと、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列があげられるが、これ
に限定されるものではなく、配列番号1、2、3、4、8のヌクレオチド配列からな
る群から選択されるポリヌクレオチドと、あるいは配列番号1、2、3、4、8のヌ
クレオチド配列からなる群から選択されるポリヌクレオチドの連続した少なくと
も8ヌクレオチドからなる任意のポリヌクレオチドフラグメントと、好ましくは
少なくとも99%同一であり、特に少なくとも99.5%同一であり、最も好ましくは少
なくとも99.8%同一である。
【0065】 変異体ポリヌクレオチドに存在するヌクレオチドの変化はサイレントの場合も
あるが、これは、そのポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸には何ら
変化がないということを意味する。しかしながら、ヌクレオチドが変化すること
で、基準配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸に置換、付加、欠失
、融合および切り詰めが生じることもある。置換、欠失または付加には、1つま
たはそれ以上のヌクレオチドが関与することがある。変異体もコード領域または
非コード領域の一方または両方で変化する場合がある。コード領域が変わると、
保存的または非保存的なアミノ酸置換、欠失または付加が生じ得る。
【0066】 本発明の文脈において、特に好ましい実施形態は、ポリヌクレオチドが、成熟
したPCTA-1タンパク質と実質的に同一の生物学的機能または活性が保持されたポ
リペプチドをコードする実施形態、あるいはポリヌクレオチドが、特定の生物学
的活性を維持または増大しつつ、一方では第2の生物学的活性を抑制するポリペ
プチドをコードする実施形態である。
【0067】 ポリヌクレオチドフラグメントは、特定のヌクレオチド配列、好ましくはPCTA
-1遺伝子およびその変異体のヌクレオチド配列と一部が完全に同一であるが全て
が同じではない配列を含むポリヌクレオチドである。このフラグメントは、PCTA
-1遺伝子のエキソンまたはイントロンの一部であってもよい。また、PCTA-1遺伝
子の制御配列、好ましくはプロモーターの制御配列の一部であってもよい。好ま
しくは、かかるフラグメントは、バイアレリックマーカーA1〜A125およびその相
補体のうち少なくとも1つ、またはこれらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリッ
クマーカーを含む。
【0068】 このようなフラグメントは、「自立状態」すなわち、他のポリヌクレオチドの
一部でもなければ他のポリヌクレオチドと融合したものでもない状態にあっても
よく、さらに大きな単一のポリヌクレオチドの一部または領域をなすものであっ
てもよい。しかしながら、複数のフラグメントがさらに大きな1つのポリヌクレ
オチドを構成していてもよい。
【0069】 本発明のポリヌクレオチドフラグメントの代表例として、約4、6、8、15、20
、25、40、10〜30、30〜55、50〜100、75〜100または100〜200ヌクレオチド長の
ポリヌクレオチドフラグメントがあげられる。好ましいフラグメントは、P1〜P1
25およびその相補配列などの約47ヌクレオチド長のフラグメントで、本願明細書
において説明するPCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーを少なくとも1つ含む
フラグメントである。もちろん、ポリヌクレオチドP1〜P125およびその相補配列
は約47ヌクレオチド長よりも短いもしくは長くてもよいが、フラグメントの一方
の末端に位置し得るプライマーのバイアレリックマーカーを少なくとも含むもの
であると好ましいことは理解できよう。
【0070】 2-ポリペプチド 本発明は、変異PCTA-1タンパク質をはじめとして、本願明細書で説明するポリ
ペプチドの変異体、フラグメント、類似物および誘導体にも関する。
【0071】 変異体は、1)1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミ
ノ酸残基で置換されたものであり、このような置換されたアミノ酸残基が遺伝暗
号でコードされたものであってもコードされていないものであってもよいもので
あるか、2)1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が置換基を含むものであるか、3)P
CTA-1タンパク質がポリペプチドのハーフライフを延ばす化合物(たとえばポリエ
チレングリコール)などの他の化合物と融合したものであるか、4)PCTA-1タンパ
ク質配列または前タンパク質配列の精製に用いられるリーダー配列または二次配
列などの、PCTA-1タンパク質と別のアミノ酸とが融合したものである。このよう
な変異体については、当業者であれば理解できよう。
【0072】 ポリペプチドフラグメントというのは、特定のポリペプチド配列、好ましくは
PCTA-1遺伝子およびその変異体によってコードされたポリペプチドと一部が完全
に同一であるが全てが同じではない配列を含むポリペプチドである。好ましいフ
ラグメントとしては、前立腺癌で何らかの役割を果たし得るPCTA-1タンパク質の
活性領域のフラグメントや、抗原特性を有し、PCTA-1タンパク質に対する抗体の
産生に使用できる領域のフラグメントがあげられる。
【0073】 本発明によるポリペプチドのアミノ酸配列におけるアミノ酸置換の場合、1つ
または複数のアミノ酸を「等価な」アミノ酸で置換することができる。「等価な
」アミノ酸という表現は、本願明細書において、ペプチド化学分野の当業者がポ
リペプチドの二次構造および水分解性に何ら実質的な変化がないと予想できるよ
うな、同様の特性を有するアミノ酸のうちの1つを置換し得る任意のアミノ酸を
示すものとして用いられる。一般に、以下のアミノ酸群が等価な変化を表す:(1
)Ala、Pro、Gly、Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Thr、(2)Cys、Ser、Tyr、Thr、(3)
Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe、(4)Lys、Arg、His、(5)Phe、Tyr、Trp、His。
【0074】 興味の対象となっている本発明の修飾PCTA-1ペプチド分子の特定の実施形態と
しては、タンパク質分解に対する耐性のあるペプチド分子や、-CONH-ペプチド結
合が、(CH2NH)還元結合、(NHCO)retro inverso結合、(CH2-O)メチレン-オキシ結
合、(CH2-S)チオメチレン結合、(CH2CH2)カルバ結合、(CO-CH2)セトメチレン結
合、(CHOH-CH2)ヒドロキシエチレン結合)、(N-N)結合、E-アルセン結合または-C
H=CH-結合によって修飾および代置されたペプチドであるペプチド分子があげら
れるが、これに限定されるものではない。本発明はまた、少なくとも1つのペプ
チド結合が上述のようにして修飾された、ヒトPCTA-1ポリペプチドまたはそのフ
ラグメントまたは変異体も包含する。
【0075】 このようなフラグメントは、「自立状態」すなわち、他のポリペプチドの一部
でもなければ他のポリペプチドと融合したものでもない状態にあってもよく、さ
らに大きな単一のポリペプチドの一部または領域をなすものであってもよい。し
かしながら、複数のフラグメントがさらに大きな1つのポリペプチドを構成して
いてもよい。
【0076】 本発明のポリペプチドフラグメントの代表例として、約5、6、7、8、9または1
0〜15、10〜20、15〜40、あるいは30〜55アミノ酸長のフラグメントがあげられ
る。好ましいフラグメントは、PCTA-1タンパク質に少なくとも1つのアミノ酸変
異部分を含むフラグメントである。
【0077】 核酸またはポリペプチド同士の同一性 「配列同一性率」および「相同率」という用語は、本願明細書では、ポリヌク
レオチドおよびポリペプチドの比較結果を示すものとして同義に用いられ、比較
ウィンドウで最適な状態に整列された配列2つを比較することによって求められ
るものである。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の比較ウ
ィンドウ内にある部分には、2つの配列の最適なアライメントについての基準配
列(付加や欠失がないもの)と比較したときに付加または欠失(すなわちギャップ
)が含まれていることがある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配
列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マッ
チ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に100を掛けて
配列同一性のパーセンテージを算出する。相同については、従来技術において周
知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適当なものを
用いて評価する。かかるアルゴリズムおよびプログラムとしては、TBLASTN、BLA
STP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALW(PearsonおよびLipman, 1988、Altschul et
al., 1990、Thompson et al., 1994、Higgins et al., 1996、Altschul et al.,
1993)があげられるが、何らこれらに限定することを意図したものではない。特
に好ましい実施形態では、従来技術において周知のBasic Local Alignment Sear
ch Tool(BLAST)(たとえば、KarlinおよびAltschul, 1990、Altschul et al., 19
90、1993、1997を参照のこと)を用いてタンパク質配列および核酸配列の相同性
を評価する。特に、5つの専用BLASTプログラムを用いて以下の作業を実施する。 (1) BLASTPおよびBLAST3で、アミノ酸のクエリー配列をタンパク質配列デー
タベースと比較 (2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベース
と比較 (3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を6つの読み枠で変換し
た概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較 (4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を6つの読み枠(両方の鎖)すべてで
変換したヌクレオチド配列データベースと比較 (5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を6つの読み枠で変換したものを、6
つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較 BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好まし
くはタンパク質配列データベースまたは核酸配列データベースから得られた被検
配列との間で、本願明細書では「ハイスコアセグメント対」と呼ぶ類似のセグメ
ントを特定することによって相同配列を同定するものである。ハイスコアセグメ
ント対は、多くのものが従来技術において周知のスコアリングマトリックスによ
って同定(すなわち整列化)されると好ましい。好ましくは、使用するスコアリン
グマトリックスはBLOSUM62マトリックスである(Gonnet et al., 1992、Henikoff
およびHenikoff, 1993)。このマトリックスほど好ましいものではないが、PAMま
たはPAM250マトリックスも使用できる(たとえば、SchwartzおよびDayhoff, eds.
, 1978を参照のこと)。BLASTプログラムは、同定されたすべてのハイスコアセグ
メント対の統計学的な有意性を評価し、好ましくはユーザー固有の相同率などの
ユーザーが独自に定める有意性の閾値レベルを満たすセグメントを選択する。統
計学的な有意性を求めるKarlinの式を用いてハイスコアセグメント対の統計学的
な有意性を評価すると好ましい(KarlinおよびAltschul, 1990を参照のこと)。
【0078】 厳密なハイブリダイゼーション条件 一例であり限定するものではないが、厳密度の高い条件を用いて行われる手順
は次の通りである。6ラSSC、トリス-HCl(pH7.5)50mM、EDTA 1mM、0.02%PVP、0.02 %フィコール、0.02%BSAおよび変性サケ精子DNA500μg/mlで構成される緩衝液に
て、65℃で8時間から一晩かけて、DNAを含有するフィルタをプレハイブリダイゼ
ーションする。好ましいハイブリダイゼーション温度である65℃にて48時間、変
性サケ精子DNA100μg/mlと32P標識プローブ5〜20ラ106cpmとを含むプレハイブリ ダイゼーション混合物中でフィルタをハイブリダイズさせる。あるいは、SSC緩
衝液(1ラSSCが0.15M NaClおよび0.05M Naクエン酸塩に相当)の存在下、65℃でハ イブリダイゼーションステップを行うことができる。続いて、2ラSSC、0.01%PVP 、0.01%フィコールおよびBSA0.01%を含有する溶液中で37℃で1時間、次いで0.1ラ
SSCで50℃にて45分かけてフィルタを洗浄することができる。あるいは、2ラSSCと 0.1%SDSまたは0.5ラSSCと0.1%SDSまたは0.1ラSSCと0.1%SDSを含有する溶液で68℃ にて15分かけてフィルタを洗浄することができる。洗浄ステップの後、ハイブリ
ダイズしたプローブをオートラジオグラフィによって検出することが可能である
。厳密度が高く使用可能な他の条件は当業者間で周知のものであり、Sambrook e
t al., 1989およびAusubel et al., 1989に引用されている。これらのハイブリ
ダイゼーション条件は、約20ヌクレオチド長の核酸分子に適している。上述した
ハイブリダイゼーション条件が当業者間で周知の技術を用いて所望の核酸長に応
じて調整されることは、言うまでもないことであろう。適したハイブリダイゼー
ション条件は、たとえばHamesおよびHiggins(1985)またはSambrook et al.(1989
)の本に開示されている教示内容に沿ったものなどである。
【0079】 PCTA-1遺伝子のゲノム配列 本発明は、PCTA-1遺伝子のゲノム配列に相当する精製された核酸および/また
は単離された核酸に関する。このゲノムPCTA-1配列は、配列番号1のヌクレオチ
ド配列、その相補配列、そのフラグメントまたは変異体を含むものであると好ま
しい。
【0080】 本発明はPCTA-1のゲノム配列を包含する。PTCA-1遺伝子配列は、配列番号1に
含まれる13のエキソンすなわち、エキソン0、エキソン1、エキソン2、エキソン3
、エキソン4、エキソン5、エキソン6、エキソン6bis、エキソン7、エキソン8、
エキソン9、エキソン9bisおよびエキソン9terと、イントロン領域と、プロモー
ターと、5'UTRと、3'UTRと、コード領域の上流および下流に位置する調節領域と
、を含むコード配列を含む。
【0081】 PCTA-1遺伝子のエキソンおよびイントロンの位置の詳細を表Aに示し、これを
配列番号1の特徴としてあげておく。
【0082】
【表1】
【0083】 イントロン0は、エキソン0とエキソン1との間などに位置するヌクレオチド配
列を示す。イントロン6は、エキソン6とエキソン6bisとの間に位置するヌクレオ
チド配列を示す。イントロン6bisは、エキソン6bisとエキソン7との間に位置す
るヌクレオチド配列を示す。イントロン8は、エキソン8とエキソン9または9bis
との間に位置するヌクレオチド配列を示す。イントロン9bisは、エキソン9bisと
エキソン9terとの間に位置するヌクレオチド配列を示す。
【0084】 本発明には、配列番号1のヌクレオチド配列またはその相補配列またはそのフ
ラグメントと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%あるいは95%ヌクレオチド同一
性を有するヌクレオチド配列を含む、精製されたポリヌクレオチド、単離された
ポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドも包含される。配列番号1のヌ
クレオチド配列とのヌクレオチド差は一般に、核酸全体に無作為に分布させるこ
とができる。とはいえ、好ましい核酸は配列番号1のヌクレオチド配列に対する
ヌクレオチド差がエキソンに含まれるコード配列の外に優先的に位置するような
ものである。これらの核酸ならびにそのフラグメントおよび変異体を、オリゴヌ
クレオチドプライマーまたはプローブとして使用して、被検試料に含まれるPCTA
-1遺伝子のコピーの存在を検出したり、あるいはPCTA-1配列内で標的ヌクレオチ
ド配列を増幅したりすることができる。
【0085】 本発明の他の目的は、先に定義したような厳密なハイブリダイゼーション条件
下で配列番号1のヌクレオチド配列またはその相補配列またはその変異体とハイ
ブリダイズされる、精製された核酸、単離された核酸または組換え核酸からなる
【0086】 本発明の特に好ましい核酸としては、配列番号1の少なくとも12、15、18、20
、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレ
オチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精
製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続ス
パンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜70715、70795〜82207、82297〜83612
、83824〜85297、85418〜86388、86446〜87495、87523〜88294、88384〜89483、
89650〜92748、97156〜98309、98476〜99329、99491〜100026、100212〜100281
、100396〜100538、100682〜100833、100995〜101920、102087〜102970、103264
〜103724および103753〜106746のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を
含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の別の好ましい核酸と
しては、配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70
、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその
相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまた
は組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1の70728位、
87860位、88297位、94432位および95340位のヌクレオチドG、配列番号1の82218
位、83644位、83808位、87787位、87806位、94218位および97144位のヌクレオチ
ドA、配列番号1の87902位、88215位、88283位、92760位、93726位および94422位
のヌクレオチドCならびに配列番号1の93903位および94170位のヌクレオチドTか
らなる群から選択されるヌクレオチド少なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオ
チドがあげられる。本発明の他の好ましい核酸としては、配列番号1の少なくと
も12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500
または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリ
ヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであ
って、前記連続スパンが、配列番号1の86435位、93592位、93680位、93681位、9
3682位、93728位、93761位および95445位のヌクレオチドG、配列番号1の86434位
、88355位、93240位、93471位および93747位のヌクレオチドA、配列番号1の9368
3位、95126位および95444位のヌクレオチドCならびに配列番号1の94154位および
94430位のヌクレオチドTからなる群から選択されるヌクレオチド少なくとも1つ
を含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の他の好ましい核酸として
は、配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80
、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補
体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組
換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド
位置92975〜92977、93711〜93715、94151〜94153、94240〜94243、94770〜94773
、94804〜94808、95121〜95122、95129〜95135、95148〜95153、95154〜95159、
95173〜95178、95367〜95374、95410〜95413、95418〜95420、95430〜95436、95
533〜95535および95677〜95677からなる群から選択されるヌクレオチド位置を含
んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。このセクションで述べるポリヌ
クレオチドが任意のサイズおよび配列の核酸フラグメントで構成されたものであ
ってもよいことに注意されたい。
【0087】 本発明の好ましい態様は、後述するバイアレリック多型のうちのうち少なくと
も1つ、その相補体、そのフラグメントまたは変異体を含む、精製されたPCTA-1
遺伝子および/または単離されたPCTA-1遺伝子および/または組換えPCTA-1遺伝子
である。いくつかの実施形態では、PCTA-1遺伝子またはそのフラグメントは、ヌ
クレオチド配列P1〜P125、その相補配列、そのフラグメントまたは変異体のうち
のうち少なくとも1つを含む。好ましい実施形態では、PCTA-1遺伝子またはその
フラグメントが、A1〜A125およびその相補体からなる群から選択されるバイアレ
リックマーカーを含む。
【0088】 このセクションには「PCTA-1遺伝子のゲノム配列」というタイトルを付したが
、このセクションで述べるポリヌクレオチドが、PCTA-1のゲノム配列を片側また
はこのようなゲノム配列2つ以上の間でフランキングして任意のサイズおよび配
列の核酸フラグメントで構成されたものであってもよいことに注意されたい。
【0089】 PCTA-1 cDNA配列 また、本発明は、PCTA-1タンパク質をコードする精製されたcDNAおよび/また
は単離されたcDNAにも関する。このcDNAは、配列番号2、3、4、その相補配列お
よびその機能フラグメントおよび変異体からなる群から選択されるヌクレオチド
配列を含むものであると好ましい。さらに、本発明の好ましいポリヌクレオチド
としては、配列番号2、3、4およびその相補配列からなる群から選択される配列
からなる、実質的にこれからなる、またはこれを含む、精製されたPCTA-1 cDNA
、単離されたPCTA-1 cDNAまたは組換えPCTA-1 cDNAがあげられる。
【0090】 また、本発明は、配列番号2、3、4からなる群から選択されるポリヌクレオチ
ドに対するヌクレオチド同一性が少なくとも95%であり、配列番号2、3、4からな
る群から選択されるポリヌクレオチドまたはその相補配列またはその生物学的に
活性なフラグメントに対するヌクレオチド同一性が99%であると都合がよく、ヌ
クレオチド同一性が99.5%であると好ましく、ヌクレオチド同一性が99.8%である
と最も好ましいポリヌクレオチドを含む、精製された核酸または単離された核酸
にも関するものである。
【0091】 本発明のもう1つの目的は、本願明細書にて定義する厳密なハイブリダイゼー
ション条件下で、配列番号2、3、4のヌクレオチド配列からなる群から選択され
るポリヌクレオチド、その相補配列またはその変異体またはその生物学的に活性
なフラグメントとハイブリダイズされるポリヌクレオチドを含む、精製された核
酸、単離された核酸または組換え核酸からなる。
【0092】 遺伝子の5'UTR領域および3'UTR領域は、特にmRNA安定性を制御することで適当
な発現レベルを達成する上で何らかの役割を果たし得る調節要素を含むことが多
いという点から特に重要なものである。本願発明者らは、5'UTRがエキソン0とエ
キソン1の一部とにあり、3'UTRがエキソン9の一部にある完全PCTA-1 cDNA(配列
番号2)をクローニングした。さらに、エキソン0および1ならびに部分的にエキソ
ン2を含み、配列番号1の特徴として位置している5'ESTを特徴づけした。国際特
許出願公開第WO96/21671号に開示されている部分エキソン1の開始点にはATGコド
ンが位置しているため、このコドンのすぐ上流にはPCTA-1遺伝子のプロモーター
が位置していると仮定できる。しかしながら、本願発明者らは、予想外にもPCTA
-1ゲノムDNAには国際特許出願公開第WO96/21671号に開示された部分エキソン1の
上流にさらに別のエキソン配列が含まれていることを見出した。かかる配列に関
する知識がなければ、当業者がPCTA-1プロモーターを同定するのは極めて考えに
くいことであった。全PCTA-1のゲノム配列があり、本願発明者らが所有権のある
5'ESTデータベースにアクセスしてこそ、全cDNA配列およびPCTA-1プロモーター
の同定が可能になったのである。本発明は、配列番号2の位置範囲1〜266からな
る5'ESTのヌクレオチド配列に関する。
【0093】 エキソン0、1、2、3、4、5、6、7、8および9を含むPCTA-1 cDNAの主な特徴の
詳細を表Bに示す。本発明は、配列番号2で表Bに示す5'UTRおよび3'UTRの精製さ
れた配列および/または単離された配列またはその相補配列またはそのアレル変
異体に関するものである。本発明の特に好ましい核酸としては、配列番号2の少
なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、20
0、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離され
たポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチ
ドであって、前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1〜162のうち少
なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあ
げられる。本発明のさらに他の好ましい核酸としては、配列番号2の少なくとも1
2、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500ま
たは1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌ
クレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであっ
て、前記連続スパンが、配列番号2の253位、363位、527位、2471位および5397位
のヌクレオチドA、配列番号2の1013位、1979位および2675位のヌクレオチドC、
配列番号2の176位、749位、2685位、3593位のヌクレオチドGならびに配列番号2
の2156位および2423位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレオチド少
なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の別の好まし
い核酸としては、配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50
、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンま
たはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオ
チドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号2の7
08位、807位、1493位、1724位および2000位のヌクレオチドA、1936位、3379位お
よび3697位のヌクレオチドC、709位、1845位、1933位、1934位、1935位、1981位
、2014位および3698位のヌクレオチドGならびに2407位および2683位のヌクレオ
チドTからなる群で選択されるヌクレオチド少なくとも1つを含む、前記ポリヌク
レオチドがあげられる。本発明の他の好ましい核酸としては、配列番号2の少な
くとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200
、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離され
たポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチ
ドであって、前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1229〜1231、196
4〜1968、2404〜2406、2493〜2496、3023〜3026、3057〜3061、3374〜3375、338
2〜3388、3401〜3406、3407〜3412、3426〜3431、3620〜3627、3663〜3666、367
1〜3673、3683〜3689、3786〜3788および3930〜3932からなる群から選択される
ヌクレオチド位置を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。このセク
ションで述べるポリヌクレオチドが任意のサイズおよび配列の核酸フラグメント
で構成されたものであってもよいことに注意されたい。
【0094】 断続した遺伝子の大半が、1タイプのスプライスmRNAを生むRNAに転写される。
しかしながら、いくつかの遺伝子のRNAのなかには選択的スプライシングのパタ
ーンに沿ったものもあり、この場合は1つの遺伝子から2つ以上のmRNA種ができる
。開始配列または停止配列の使い方が変わればスプライシングパターンも変わる
ため、場合によっては一次転写で発現の最終パターンが伝達されることもある。
あるいは、1つの一次転写が2通り以上にスプライシングされ、中間のエキソンに
置換、付加または欠失が起こる場合もある。さらに、場合によっては複数の産物
がいずれも同一の細胞で作られることもあるが、別のケースでは特定条件下での
み特定のスプライシングパターンが起こるようにプロセスを調節する。
【0095】 選択的スプライシングでは、少なくとも3つのPCTA-1 cDNAが作出される。本願
発明者らは、別の42のアミノ酸をコードするエキソン6bisをさらに含む、配列番
号3で示すPCTA-1 cDNAのマイナー種を同定した。さらに他の実施形態では、本発
明は、エキソン6とエキソン7との間に位置するPCTA-1遺伝子の別のエキソン、す
なわち、配列番号1の特徴として表1に詳細を示したエキソン6bis、その相補配列
およびそのフラグメントまたは変異体に関するものである。本発明では、配列番
号1に開示するエキソン6bisを含むPCTA-1 cDNAを例示する。
【0096】 エキソン0、1、2、3、4、5、6、6bis、7、8および9を含む第2のPCTA-1 cDNAの
主な特徴の詳細を表Bに示す。この新規なPCTA-1タンパク質のアミノ酸配列を配
列番号6で示す。本発明の特に好ましい核酸としては、配列番号3の少なくとも12
、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500また
は1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌク
レオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって
、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1〜162および747〜872のう
ち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチド
があげられる。本発明のさらに他の好ましい核酸としては、配列番号3の少なく
とも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、5
00または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポ
リヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドで
あって、前記連続スパンが、配列番号3の253位、363位、527位、2597位および55
23位のヌクレオチドA、配列番号3の1139位、2105位および2801位のヌクレオチド
C、配列番号3の176位、875位、2811位、3719位のヌクレオチドGならびに配列番
号3の2282位および2549位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレオチド
少なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の別の好ま
しい核酸としては、配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、5
0、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパン
またはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレ
オチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号3
の708位、807位、1619位、1850位および2126位のヌクレオチドA、2062位、3505
位および3823位のヌクレオチドC、709位、1971位、2059位、2060位、2061位、21
07位、2140位および3824位のヌクレオチドGならびに2533位および2809位のヌク
レオチドTからなる群で選択されるヌクレオチド少なくとも1つを含む、前記ポリ
ヌクレオチドがあげられる。本発明の他の好ましい核酸としては、配列番号3の
少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、
200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離さ
れたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオ
チドであって、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1355〜1357、1
892〜1894、2090〜2094、2530〜2532、2619〜2622、3149〜3152、3183〜3187、3
500〜3501、3508〜3514、3527〜3532、3533〜3538、3552〜3557、3746〜3749、3
789〜3792、3797〜3799、3809〜3815、3912〜3914および4056〜4058からなる群
から選択されるヌクレオチド位置を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげら
れる。このセクションで述べるポリヌクレオチドが任意のサイズおよび配列の核
酸フラグメントで構成されたものであってもよいことに注意されたい。
【0097】 本願発明者らは、エキソン9に対する代替エキソン(エキソン9bisおよび9terと
呼ぶ)を含むPCTA-1 cDNAの種を同定した。これらのエキソンの配列を配列番号4
で示す。エキソン9bisおよび9terはそれぞれ、エキソン9の開始点および停止点
に相当する。エキソン9bisと9terとの間に位置するエキソン9のポリヌクレオチ
ドをスプライスするか、あるいは欠失させる。エキソン9bisと9terとの組み合わ
せは、PCTA-1遺伝子の読み枠を拡大する。
【0098】 エキソン0、1、2、3、4、5、6、7、8、9bisおよび9terを含む第2のPCTA-1 cDN
Aの主な特徴の詳細を表Bに示す。このcDNAによってコードされる新規なPCTA-1タ
ンパク質のアミノ酸配列を配列番号7で示す。本発明の特に好ましい核酸として
は、配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80
、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補
体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組
換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド
位置1〜162のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポ
リヌクレオチドがあげられる。本発明のさらに他の好ましい核酸としては、配列
番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100
、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む
、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリ
ヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号4の253位、363位、527位お
よび2460位のヌクレオチドA、配列番号4の1013位のヌクレオチドCならびに配列
番号4の176位および749位のヌクレオチドGからなる群で選択されるヌクレオチド
少なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の別の好ま
しい核酸としては、配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、5
0、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパン
またはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレ
オチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号4
の708位および807位のヌクレオチドAならびに709位のヌクレオチドGからなる群
で選択されるヌクレオチド少なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげ
られる。本発明の他の好ましい核酸としては、配列番号4の少なくとも12、15、1
8、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000
ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチ
ド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記
連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1136〜1137の対を含んでなる、前
記ポリヌクレオチドがあげられる。このセクションで述べるポリヌクレオチドが
任意のサイズおよび配列の核酸フラグメントで構成されたものであってもよいこ
とに注意されたい。
【0099】 本発明はさらに、PCTA-1遺伝子の13のエキソンからなる群から選択されるヌク
レオチド配列またはその相補配列を含む、精製されたポリヌクレオチド、単離さ
れたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドを例示するものである。ま
た、本発明では、PCTA-1遺伝子の少なくとも2つのエキソンの組み合わせを含む
、精製された核酸、単離された核酸または組換え核酸であって、ポリヌクレオチ
ドが、核酸内で配列番号1と同一順序で前記核酸の5'-末端から3'-末端に配列さ
れている前記核酸についても扱う。本発明による精製された核酸または単離され
た核酸の特定の実施形態では、前記核酸が、その5'末端にエキソン0を含み、そ
の3'末端にエキソン9または9terを含むものであると好ましい。
【0100】 PCTA-1の3'UTR配列は、複数のポリアデニル化部位を含んでいるように見える
。これらのポリアデニル化部位は、PCTA-1ゲノムDNAの転写によって生じるmRNA
の安定性に何らかの影響をおよぼすものであり得る。
【0101】 また、本発明は、マウスPCTA-1タンパク質、特に、配列番号8のヌクレオチド
配列を含むcDNA、その相補配列またはそのフラグメントおよびその変異体をコー
ドする、精製されたcNDA配列および/または単離されたcDNA配列に関するもので
ある。このマウスcDNAの主な特徴の詳細を表Bに示す。さらに、本発明の好まし
いポリヌクレオチドとしては、配列番号8の配列およびその相補配列からなる、
実質的にこれからなる、またはこれを含む、精製されたPCTA-1 cDNA、単離され
たPCTA-1 cDNAまたは組換えPCTA-1があげられる。
【0102】 また、本発明は、配列番号8のポリヌクレオチドに対するヌクレオチド同一性
が少なくとも95%であり、配列番号8のポリヌクレオチドまたはその相補配列また
はその生物学的に活性なフラグメントに対するヌクレオチド同一性が99%である
と都合がよく、ヌクレオチド同一性が99.5%であると好ましく、ヌクレオチド同
一性が99.8%であると最も好ましいポリヌクレオチドを含む、精製された核酸ま
たは単離された核酸にも関するものである。
【0103】 本発明のもう1つの目的は、本願明細書にて定義する厳密なハイブリダイゼー
ション条件下で、配列番号8のポリヌクレオチド、その相補配列またはその変異
体またはその生物学的に活性なフラグメントとハイブリダイズされるポリヌクレ
オチドを含む、精製された核酸、単離された核酸または組換え核酸からなる。
【0104】 本発明の特に好ましい核酸としては、配列番号8の少なくとも12、15、18、20
、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレ
オチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精
製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続ス
パンが、配列番号8のヌクレオチド位置1〜500、501〜1000、1001〜1500および15
01〜1738のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリ
ヌクレオチドがあげられる。
【0105】
【表2】
【0106】 このセクションには「PCTA-1 cDNA配列」というタイトルを付したが、このセ
クションで述べるポリヌクレオチドが、PCTA-1のゲノム配列を片側またはこのよ
うなゲノム配列2つ以上の間でフランキングして任意のサイズおよび配列の核酸
フラグメントで構成されたものであってもよいことに注意されたい。
【0107】 コード領域 また、本発明は、配列番号5、6、7、その相補配列およびそのフラグメントお
よびその変異体からなる群から選択されるヒトPCTA-1タンパク質をコードするヌ
クレオチド配列にも関するものである。本発明は、配列番号5の少なくとも6アミ
ノ酸、好ましくは少なくとも8アミノ酸または10アミノ酸、さらに好ましくは少
なくとも12、15、20、25、30、40、50、100アミノ酸の連続スパンを含むポリペ
プチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
ドおよび組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
ン残基ならびに/または 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
群で選択される少なくとも1つの残基を含む、前記ポリヌクレオチドを例示する
ものである。
【0108】 また、本発明は、配列番号6の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8
または10アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50ま
たは100アミノ酸の連続スパンを含むポリペプチドをコードする、単離されたポ
リヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドおよび組換えポリヌクレオチドで
あって、前記連続スパンが、 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位のリシ
ン残基ならびに/または 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基からなる
群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、2つ、3つ、5つ
または10、特に、配列番号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2つ、3つ、
5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドを例示するものである。
【0109】 配列番号7の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8または10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド、
精製されたポリヌクレオチドおよび組換えポリヌクレオチドであって、前記連続
スパンが、 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
ン残基ならびに/または 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、2つ
、3つ、5つまたは10、特に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なくとも1つ、
2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドを例示するもので
ある。
【0110】 また、本発明は、配列番号9のマウスPCTA-1タンパク質、その相補配列および
そのフラグメントおよびその変異体をコードするヌクレオチド配列に関する。特
に、本発明は、配列番号9の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8また
は10アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または
100アミノ酸の連続スパンを含むポリペプチドをコードする、単離されたポリヌ
クレオチド、精製されたポリヌクレオチドおよび組換えポリヌクレオチドであっ
て、前記連続スパンが、配列番号9のアミノ酸位置1〜50、51〜100、101〜150、1
51〜200、201〜250および251〜316のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは1
0を含んでなる、前記ポリヌクレオチドを例示するものである。
【0111】 PCTA-1遺伝子のコード配列を含む上記にて開示したポリヌクレオチドは、この
ポリヌクレオチドを適当な発現シグナルの制御下におけば所望の宿主細胞または
所望の宿主生物で発現させられるものである。発現シグナルは、本発明のPCTA-1
遺伝子の制御領域に含まれる発現シグナルであっても、シグナルと対照的に外来
調節核酸配列であってもよい。このようなポリヌクレオチドは、適当な発現シグ
ナル下におくことで、これを発現および/または増幅させるためのベクターに挿
入することができるものである。
【0112】 PCTA-1遺伝子の制御配列 また、本発明は、PCTA-1遺伝子の上流の調節領域(5'調節領域)、その相補配列
およびそのフラグメントまたは変異体、特に、配列番号1の1位と68647位との間
に位置するヌクレオチド配列、ならびにこれに含まれる連続した8〜3000ヌクレ
オチド、好ましくは連続した8〜500ヌクレオチドの任意の配列の精製された配列
および/または単離された配列にも関するものである。特に、本発明はさらに、
この調節領域内の特定の要素も含む。これらの要素はプロモーター領域を含む。
プロモーター領域は、PCTA-1遺伝子の第1エキソンよりも上流の10kbの領域、好
ましくは5kbの領域、さらに好ましくは2kbの領域、一層好ましくは1kbの領域、
特に500bpに位置しているように見える。好ましくは、このプロモーター領域が
、配列番号1の66647位と68647位との間に位置するヌクレオチド配列ならびに、
これに含まれる連続した少なくとも8ヌクレオチド、好ましくは連続した8〜400
ヌクレオチド、さらに好ましくは8〜300ヌクレオチド、その相補配列およびその
フラグメントおよび変異体の任意の機能配列を含む。本発明において特に重要で
あるこの領域については後述する。
【0113】 さらに、本発明には、配列番号1の97156位と106746位との間に位置するヌクレ
オチド配列に含まれる配列など、PCTA-1コード配列(3'調節領域)よりも下流の制
御配列、その相補配列およびそのフラグメントおよび変異体も含まれる。
【0114】 5'調節領域または3'調節領域の関連の生物学的に活性なポリヌクレオチドフラ
グメントまたは変異体を同定する上で、当業者であれば、5'調節領域または3'調
節領域の生物学的に活性なポリヌクレオチドフラグメントまたは変異体の制御下
におくと発現が検出されるマーカー遺伝子(すなわち、βガラクトシダーゼ、黒
ラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼなど)を持つ組換えベクターの使
用について説明したSambrook et al.の書籍(Sambrook et al., 1989)を参照され
たい。PCTA-1遺伝子の第1エキソンの上流に位置するゲノム配列を、クロンテッ
ク社から入手可能なpSEAP-Basic、pSEAP-Enhancer、pβgal-Basic、pβgal-Enha
ncerまたはpEGFP-1 Promoter Reporterベクター、あるいはプロメガ社から入手
可能なpGL2-basicまたはpGL3-basicプロモーターレスルシフェラーゼレポーター
遺伝子ベクターなどの適当なプロモーターレポーターベクターにクローニングす
る。簡単に説明すると、これらのプロモーターレポーターベクターは各々、分泌
後のアルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、βガラクトシダーゼまたは緑色
蛍光タンパク質などの容易にアッセイ可能なタンパク質をコードするレポーター
遺伝子の上流に位置する複数のクローニング部位を含む。PCTA-1コード領域上流
の配列をレポーター遺伝子上流のクローニング部位に両方の配向で挿入し、適当
な宿主細胞に導入する。レポータータンパク質のレベルをアッセイし、クローニ
ング部位にインサートがないベクターでのレベルと比較する。インサートを含む
ベクターの発現レベルが対照ベクターよりも高いことから、インサートにプロモ
ーターが存在することが分かる。必要であれば、エンハンサーを含むベクターに
上流配列をクローニングし、弱いプロモーター配列での転写レベルから増大させ
てもよい。インサートのないベクターで観察されたレベルを上回る有意なレベル
から、挿入された上流配列にプロモーター配列が存在することが分かる。
【0115】 エキソヌクレアーゼIIIでの消化または適当な制限エンドヌクレアーゼ消化な
どの従来の手法を用いて、上流DNAに5'および/または3'の入れ子状態の欠失を構
築することによって、上流ゲノムDNA内のプロモーター配列をさらに定義しても
よい。このようにして得られる欠失フラグメントをプロモーターレポーターベク
ターに挿入し、欠失が少なくなったか否か、プロモーター活性を消失させたか否
かを判断することができる。このようにして、プロモーターの境界を定義しても
よい。所望であれば、部位定方向突然変異誘発またはリンカースキャニングによ
ってプロモーター内の個々の潜在的な調節部位を同定し、プロモーター内の潜在
的な転写因子結合部位を個々にまたは組み合わせで消失させてもよい。これらの
変異種が転写レベルに対しておよぼす影響については、プロモーターレポーター
ベクターのクローニング部位に変異種を挿入することで判断することができる。
このタイプのアッセイは当業者間で周知であり、国際特許出願公開第WO97/17359
号、米国特許第5,374,544号、欧州特許第EP582,796号、米国特許第5,698,389号
、同第5,643,746号、同第5,502,176号および同第5,266,488号に記載されている
【0116】 異なるタイプの細胞および組織sでPCTA-1プロモーターに作用的に結合する検
出可能なポリヌクレオチドの発現レベルによって、PCTA-1遺伝子のプロモーター
の強度および特異性を評価することができる。検出可能なポリヌクレオチドは、
あらかじめ定義されたオリゴヌクレオチドプローブと特異的にハイブリダイズさ
れるポリヌクレオチドか、PCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグメントまたは変
異体を含む、検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドのいずれであ
ってもよい。このタイプのアッセイは当業者間で周知であり、米国特許第5,502,
176号および同第5,266,488号に記載されている。一実施形態では、健常な細胞と
癌細胞とでPCTA-1遺伝子のプロモーターの有効性を評価する。好ましい実施形態
では、健常な細胞とさまざまな悪性腫瘍度となり得る癌細胞、さらに好ましくは
前立腺組織から採取した細胞で、PCTA-1遺伝子のプロモーターの有効性を評価す
る。これらの方法のうちいくつかについては、以下において詳細に説明する。
【0117】 PCTA-1コード領域の5'末端および3'末端に位置する調節要素を含むポリヌクレ
オチドを都合よく使用して、興味の対象である異種ポリヌクレオチドの転写活性
および翻訳活性を制御してもよい。
【0118】 このため、本発明は、5'調節領域および3'調節領域からなる群から選択される
ポリヌクレオチドまたはその相補配列または生物学的に活性なフラグメントまた
はその変異体を含む、精製された核酸または単離された核酸にも関するものであ
る。「5'調節領域」は、配列番号1の1位と68647位との間に位置するヌクレオチ
ド配列を意味する。「3'調節領域」は、配列番号1の97156位と106746位との間に
位置するヌクレオチド配列を意味する。
【0119】 本発明は、5'調節領域および3'調節領域からなる群から選択されるポリヌクレ
オチドに対するヌクレオチド同一性が少なくとも95%であり、5'調節領域および3
'調節領域からなる群から選択されるポリヌクレオチドまたはその相補配列また
はその生物学的に活性なフラグメントに対するヌクレオチド同一性が99%である
と都合がよく、ヌクレオチド同一性が99.5%であると好ましく、ヌクレオチド同
一性が99.8%であると最も好ましいポリヌクレオチドを含む、精製された核酸ま
たは単離された核酸にも関するものである。
【0120】 本発明のもう1つの目的は、本願明細書にて定義する厳密なハイブリダイゼー
ション条件下で、5'調節領域および3'調節領域のヌクレオチド配列からなる群か
ら選択されるポリヌクレオチド、その相補配列またはその変異体またはその生物
学的に活性なフラグメントとハイブリダイズされるポリヌクレオチドを含む、精
製された核酸、単離された核酸または組換え核酸からなる。
【0121】 本発明の好ましい核酸としては、配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25
、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチ
ドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製さ
れたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパン
が、配列番号1のヌクレオチド位置1〜4000、4001〜8000、8001〜12000、12001〜
16000、16001〜20000、20001〜24000、24001〜28000、28001〜32000、32001〜36
000、36001〜40000、40001〜44000、44001〜48000、48001〜52000、52001〜5600
0、56001〜60000、60001〜64000、64001〜68647のうち少なくとも1つ、2つ、3つ
、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の特
に好ましい核酸としては、配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35
、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続
スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリ
ヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列
番号1のヌクレオチド位置66647〜68647のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つま
たは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。
【0122】 配列番号1の「生物学的に活性な」ポリヌクレオチド誘導体は、組換え細胞宿
主で組換えポリペプチドまたは組換えポリヌクレオチドを発現するための制御領
域として機能するポリヌクレオチドのフラグメントを含むまたは選択的にこのフ
ラグメントからなる前記ポリヌクレオチドを対象としたものである。これは、エ
ンハンサーまたはリプレッサーとして機能し得る。
【0123】 本発明の目的で、核酸またはポリヌクレオチドは、前記調節ポリヌクレオチド
が転写調節情報と翻訳調節情報を持つ核酸配列を含み、このような配列が所望の
ポリペプチドまたは所望のポリヌクレオチドをコードする核酸配列と「作用的に
結合した」状態に所在する場合に、組換えポリペプチドまたは組換えポリヌクレ
オチドを発現するための制御領域として「機能する」。
【0124】 本発明の調節ポリヌクレオチドは、たとえばSambrook et al.(1989)の本に記
載されているように適当な制限酵素を用いて切断することで、配列番号1のヌク
レオチド配列から調製可能である。この調節ポリヌクレオチドは、Bal31(Wabiko
et al., 1986)などのエキソヌクレアーゼ酵素で配列番号1を消化して調製する
ことも可能である。さらに、本願明細書の他の箇所で述べるような核酸の化学合
成によって調節ポリヌクレオチドを調製することもできる。
【0125】 本発明の好ましい5'-調節ポリヌクレオチドとしては、PCTA-1 cDNAの5'-非翻
訳領域(5'-UTR)、あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体があ
げられる。本発明の好ましい3'-調節ポリヌクレオチドとしては、PCTA-1 cDNAの
3'-非翻訳領域(3'-UTR)、あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたは変
異体があげられる。
【0126】 本発明のさらに他の目的は、 a) (i) 5'調節領域のポリヌクレオチドを含むヌクレオチド配列またはその
相補配列と、 (ii) 5'調節領域のヌクレオチド配列に対するヌクレオチド同一性が少なく
とも95%であるポリヌクレオチドを含むヌクレオチド配列またはその相補配列と
、 (iii) 厳密なハイブリダイゼーション条件下で5'調節領域のヌクレオチド
配列またはその相補配列とハイブリダイズされるポリヌクレオチドを含むヌクレ
オチド配列と、 (iv) (i)、(ii)および(iii)のポリヌクレオチドの生物学的に活性なフラグ
メントまたは変異体と、からなる群から選択される調節ヌクレオチド配列を含む
核酸と、 b) 上記の(a)で定義した核酸と作用的に結合された、所望のポリペプチドま
たは興味の対象である核酸をコードするポリヌクレオチドと、 c) 任意に、3'-調節ポリヌクレオチド、好ましくはPCTA-1遺伝子の3'-調節ポリ
ヌクレオチドを含む核酸と、を含む、精製された核酸または単離された核酸から
なるものである。
【0127】 上記にて定義した核酸の特定の実施形態では、前記核酸が、PCTA-1 cDNAの5'-
非翻訳領域(5'-UTR)またはその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体を含
む。上記にて定義した核酸の第2の特定の実施形態では、前記核酸が、PCTA-1 cD
NAの3'-非翻訳領域(3'-UTR)またはその生物学的に活性なフラグメントまたは変
異体を含む。
【0128】 調節5'調節領域のポリヌクレオチド、またはその生物学的に活性なフラグメン
トまたは変異体を、所望のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするポ
リヌクレオチドの5'-末端に作用的に結合させる。
【0129】 3'調節領域の調節ポリヌクレオチド、またはその生物学的に活性なフラグメン
トまたは変異体を、所望のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするポ
リヌクレオチドの3'-末端に作用的に結合させると都合がよい。
【0130】 上述した核酸によってコードされる所望のポリペプチドは、さまざまな性質ま
たは由来のものでよく、原核生物または真核生物由来のタンパク質もこれに包含
される。PCTA-1調節領域の制御下で発現されるポリペプチドとしては、バクテリ
ア抗原、菌抗原またはウイルス抗原があげられる。また、「ハウスキーピング」
タンパク質といった細胞内タンパク質などの真核生物タンパク質、レセプターな
どの膜結合タンパク質、サイトカインなどの内在性メディエーターのような分泌
タンパク質なども包含される。所望のポリペプチドはPCTA-1タンパク質であって
もよく、特に、配列番号5、6、7、9からなる群で選択されるアミノ酸配列のタン
パク質またはそのフラグメントまたは変異体であってもよい。
【0131】 通常はRNA分子である上述したポリヌクレオチドによってコードされる所望の
核酸は、PCTA-1コード配列などの所望のコードポリヌクレオチドと相補の関係に
あり、アンチセンスポリヌクレオチドとして有用な場合もある。
【0132】 このようなポリヌクレオチドを組換え発現ベクターに組み込み、宿主細胞また
は宿主生物で所望のポリペプチドまたは所望の核酸を発現させてもよい。本願明
細書に記載されているものなどのポリヌクレオチドを含む好適な組換えベクター
は、本願明細書の他の部分にて開示されている。
【0133】 ポリヌクレオチドコンストラクト 本願明細書では、「ポリヌクレオチドコンストラクト」および「組換えポリヌ
クレオチド」という用語を同義なものとして使用する。この用語は、人為的に設
計され、もとの天然環境にある連続した核酸配列には見られない核酸配列を少な
くとも2つ含む、線状または環状の、精製または単離されたポリヌクレオチドを
示す。
【0134】 組換え細胞宿主およびトランスジェニック動物での時間的および空間的PCTA-1遺
伝子発現を指揮できるDNAコンストラクト PCTA-1タンパク質の合成がなされなくなることで、生理学的および表現型の面
でどのような結果が生じるのかを研究するために、細胞レベルと多細胞生物レベ
ルの両方で、本発明は、配列番号1、2、3、4、8のPCTA-1ヌクレオチド配列また
はそのフラグメントと比して1つ以上の塩基に置換や欠失、付加が生じたPCTA-1
ゲノム配列またはcDNAの特定アレル、さらにはこのゲノム配列またはcDNAのコピ
ーの特定アレルのコンディショナル発現が可能なDNAコンストラクトおよび組換
えベクターを包含するものであり、これらの塩基置換、欠失または付加はエキソ
ン、イントロンまたは制御配列のいずれに存在していてもよいが、PCTA-1ゲノム
配列の5'-制御配列またはエキソン、あるいは配列番号2、3、4または8のPCTA-1
cDNAに位置していると好ましい。好ましい実施形態では、PCTA-1配列は本発明の
バイアレリックマーカーを含むものである。好ましい実施形態では、PCTA-1配列
は、本発明のバイアレリックマーカー、好ましくはバイアレリックマーカーA1〜
A125およびその相補体のうちの1つを含むものである。
【0135】 本発明では、本発明において述べるポリヌクレオチドのうちいずれか1つを含
む組換えベクターを例示する。具体的には、本発明によるポリヌクレオチドコン
ストラクトは、「PCTA-1 cDNA配列」「コード領域」「オリゴヌクレオチドプロ
ーブおよびプライマー」の各セクションに記載したポリヌクレオチドのうちいず
れを含むものであってもよい。
【0136】 第1の好ましいDNAコンストラクトは、Gossen et al.(1992、1995)およびFurth
et al.(1994)に記載されているような、E. coli転移因子Tn10から得たPCTA-1遺
伝子発現制御用のテトラサイクリン耐性オペロンtetを主な構成要素とするもの
である。かかるDNAコンストラクトは、PCTA-1遺伝子の最小プロモーターまたは5
'-調節配列のいずれかと融合したTn10(tetop)のtetオペレーター配列7つを含ん
でおり、前記最小プロモーターまたは前記PCTA-1制御配列は、センスオリゴヌク
レオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドかポリペプチド(PCTA-1ポリペ
プチドまたはそのペプチドフラグメント)のいずれかをコードする、興味の対象
となるポリヌクレオチドに作用的に結合されている。このDNAコンストラクトは
、HCMVIE1エンハンサー/プロモーターまたはMMTV-LTRなどのプロモーターによる
制御下で、同じ細胞が単純ヘルペスウイルスのウイルスタンパク質VP16の活性ド
メインに融合した野生型(tTA)またはミュータント(rTA)レプレッサーのいずれか
をコードするヌクレオチド配列を含む場合に、興味の対象となるヌクレオチド配
列のコンディショナル発現系として機能する。特に、本発明の好ましいDNAコン
ストラクトは、tetオペレーター配列を含むポリヌクレオチドと、tTAレプレッサ
ーまたはrTAレプレッサーをコードする配列を含むポリヌクレオチドの両方を含
む。
【0137】 特定の実施形態では、コンディショナル発現DNAコンストラクトが、ミュータ
ントテトラサイクリンレプレッサーrTAをコードする配列を含む。興味の対象と
なるポリヌクレオチドの発現は、テトラサイクリンの非存在下でサイレントであ
り、テトラサイクリンが存在すると誘起される。
【0138】 相同的組換えを可能にするDNAコンストラクト: 交換ベクター(replacement ve
ctor) 第2の好ましいDNAコンストラクトは、5'-末端から3'-末端に、(a)PCTA-1ゲノ
ム配列で構成される第1のヌクレオチド配列と、(b)ネオマイシン耐性(neo)に対
するマーカーなどのポジティブ選択マーカーを含むヌクレオチド配列と、(c)PCT
A-1ゲノム配列で構成され、第1のPCTA-1ヌクレオチド配列(a)よりも下流のゲノ
ムに位置する第2のヌクレオチド配列と、を含む。
【0139】 好ましい実施形態では、このDNAコンストラクトは、ヌクレオチド配列(a)の上
流またはヌクレオチド配列(c)の下流に位置するネガティブ選択マーカーも含む
。ネガティブ選択マーカーは、チミジンキナーゼ(tk)遺伝子(Thomas et al., 19
86)、ハイグロマイシンβ遺伝子(Te Riele et al., 1990)、hprt遺伝子(Van der
Lugt et al., 1991、Reid et al., 1990)またはジフテリア毒Aフラグメント(Dt
-A)遺伝子(Nada et al., 1993、Yagi et al. 1990)からなるものであると好まし
い。ポジティブ選択マーカーは、PCTA-1タンパク質をコードする配列を中断する
ようにPCTA-1エキソン配列内に位置するものであると好ましい。これらの交換ベ
クターについては、たとえば、Thomas et al.(1986、1987)、Mansour et al.(19
88)およびKoller et al.(1992)に記載されている。
【0140】 第1の核酸配列(a)および第2の核酸配列(c)は、PCTA-1制御配列、イントロン配
列、エキソン配列、あるいは制御配列および/またはイントロン配列および/また
はエキソン配列の両方を含む配列内のどこにでも位置する。核酸配列(a)および(
c)のサイズは、1〜50kb、好ましくは1〜10kb、さらに好ましくは2〜6kb、最も好
ましくは2〜4kbの範囲である。
【0141】 相同的組換えを可能にするDNAコンストラクト: Cre-LoxP系 これらの新規なDNAコンストラクトでは、P1ファージの部位特異的組換え系を
利用している。P1ファージは、Creと呼ばれるリコンビナーゼを含む。このリコ
ンビナーゼは、loxP部位の34塩基対と特異的に相互作用する。loxP部位は、8bp
の保存配列で分離された13bpのパリンドローム配列2つで構成される(Hoess et a
l., 1986)。同一の配向を有する2つのloxP部位間のCre酵素による組換えによっ
て、DNAフラグメントに欠失が生じる。
【0142】 Cre-loxP系と相同的組換え法との併用については、Gu et al.(1993、1994)に
よってはじめて明らかにされた。簡単に説明すると、ゲノムの標的位置に挿入す
る対象となる問題のヌクレオチド配列が、少なくとも2つのloxP部位を同一配向
で有し、これらの部位が組換えゲノムから切除すべきヌクレオチド配列のそれぞ
れの末端に位置する。切除現象を起こすには、組換え細胞宿主の核内にリコンビ
ナーゼ(Cre)酵素がなければならない。リコンビナーゼ酵素は、(a)Araki et al.
(1995)に記載されているようにCre酵素を直接所望の細胞に接種するか、あるい
はBaubonis et al.(1993)に記載されているように酵素を細胞にリポフェクショ
ンすることによって、この酵素を含む培地で組換え細胞宿主をインキュベートす
る方法、(b)細胞宿主を、組換え細胞宿主で機能するプロモーター(任意に誘導性
であってもよい)と作用的に結合されたCreコード配列を含み、Gu et al.(1993)
およびSauer et al.(1988)に記載されているようにして組換え細胞宿主に導入さ
れるベクターとトランスフェクトする方法、(c)組換え細胞宿主で機能するプロ
モーター(任意に誘導性であってもよい)と作用的に結合されたCreコード配列を
含み、Gu et al.(1994)に記載されているように無作為挿入現象または相同的組
換え現象によって細胞宿主のゲノムに挿入されるポリヌクレオチドを、細胞宿主
のゲノムに導入する方法のいずれかによって、所望のタイミングで導入可能なも
のである。
【0143】 特定の実施形態では、選択可能なマーカーが同一配向のloxP部位によってフラ
ンキングされるように相同的組換えによってPCTA-1遺伝子に挿入される配列を含
むベクターが構築される。Cre酵素での処理によって、選択可能なマーカーが除
去され、相同的組換え現象によって挿入されていた興味の対象であるPCTA-1配列
が残る可能性がある。また、2つの選択可能なマーカーすなわち、組換え現象を
探査するためのポジティブ選択マーカーと、相同的組換え現象を探査するための
ネガティブ選択マーカーが必要である。Cre-loxP系で用いられるベクターおよび
方法については、Zou et al.(1994)に記載されている。
【0144】 このため、本発明の第3の好ましいDNAコンストラクトは、5'-末端から3'-末端
に、(a)PCTA-1ゲノム配列で構成される第1のヌクレオチド配列と、(b)ポジティ
ブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドを含み、loxP部位などのリコンビ
ナーゼによって認識される部位を定義する2つの配列を同一配向でさらに含むヌ
クレオチド配列と、(c)PCTA-1ゲノム配列で構成され、第1のPCTA-1ヌクレオチド
配列(a)よりも下流のゲノムに位置する第2のヌクレオチド配列と、を含む。
【0145】 loxP部位などのリコンビナーゼによって認識される部位を定義する配列は、ヌ
クレオチド配列(b)内でコンディショナル切除が探査されるヌクレオチド配列の
境界となる適した位置にあると好ましい。特定の実施形態では、相同的組換え現
象から所望の時間経過後に切除がなされるようにするために、2つのloxP部位が
ポジティブ選択マーカー配列の両側に位置している。
【0146】 上述した第3のDNAコンストラクトを使用する方法の好ましい実施形態では、リ
コンビナーゼが認識する2つの部位、好ましくは2つのloxP部位で境界が定められ
ているポリヌクレオチドフラグメントが所望のタイミングで切除される。これは
、組換え宿主細胞のゲノム内に、プロモーター配列、好ましくは誘導性プロモー
ター、より好ましくは組織特異的プロモーター配列、最も好ましくはGu et al.(
1994)に記載されているような誘導性で組織特異的なプロモーター配列に作用的
に結合されたCre酵素をコードする配列が存在するためである。
【0147】 組換え細胞宿主のゲノム中にCre酵素が存在することで、上述したようなloxP
部位を含む興味の対象であるPCTA-1由来配列を持つ第1のトランスジェニック動
物と、Gu et al.(1994)に記載されているように適当なプロモーター配列に作用
的に結合されたCreコード配列を持つ第2のトランスジェニック動物の2種類のト
ランスジェニック動物を繁殖できる場合がある。
【0148】 AntonおよびGraham(1995)ならびにKanegae et al.(1995)に記載されているよ
うに、Cre遺伝子を含むためCre酵素の移入に必要な細胞の感染または器官のin v
ivo感染が可能なアデノウイルスベースのベクターを用いることで、Cre酵素発現
の空間時間制御を行うことができる。
【0149】 上述したDNAコンストラクトを使用して、本発明の所望のヌクレオチド配列、
好ましくはPCTA-1ゲノム配列またはPCTA-1 cDNA配列、最も好ましくはPCTA-1ゲ
ノム配列またはcDNA配列の変化したコピーを、標的ゲノムの予め定められた位置
内に導入し、標的遺伝子の変化したコピーを作出する(ノックアウト相同的組換
え)か、あるいは標的遺伝子のコピーを相同的組換え現象が可能な程度に十分な
相同性を持つ別のコピーと交換する(ノックイン相同的組換え)ことができる。特
定の実施形態では、上述したDNAコンストラクトを使用して、本発明のバイアレ
リックマーカーを少なくとも1つ、好ましくはA1〜A125およびこれらの相補体か
らなる群から選択されるバイアレリックマーカーを少なくとも1つ含むPCTA-1ゲ
ノム配列またはPCTA-1 cDNA配列を導入することができる。
【0150】 オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー 配列番号1のヌクレオチド配列またはそのフラグメント、相補体またはその変
異体の少なくともコピーの存在を被検試料で検出するには、PCTA-1遺伝子由来の
ポリヌクレオチドが有用である。
【0151】 本発明の特に好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号1の少な
くとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200
、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離され
たポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチ
ドであって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜70715、70795
〜82207、82297〜83612、83824〜85297、85418〜86388、86446〜87495、87523〜
88294、88384〜89483、89650〜92748、97156〜98309、98476〜99329、99491〜10
0026、100212〜100281、100396〜100538、100682〜100833、100995〜101920、10
2087〜102970、103264〜103724および103753〜106746のうち少なくとも1つ、2つ
、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明
の別の好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号1の少なくとも12
、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500また
は1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌク
レオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって
、前記連続スパンが、配列番号1の70728位、87860位、88297位、94432位および9
5340位のヌクレオチドG、配列番号1の82218位、83644位、83808位、87787位、87
806位、94218位および97144位のヌクレオチドA、配列番号1の87902位、88215位
、88283位、92760位、93726位および94422位のヌクレオチドCならびに配列番号1
の93903位および94170位のヌクレオチドTからなる群から選択されるヌクレオチ
ド少なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の他の好
ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号1の少なくとも12、15、18
、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌ
クレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド
、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連
続スパンが、配列番号1の86435位、93592位、93680位、93681位、93682位、9372
8位、93761位および95445位のヌクレオチドG、配列番号1の86434位、88355位、9
3240位、93471位および93747位のヌクレオチドA、配列番号1の93683位、95126位
および95444位のヌクレオチドCならびに配列番号1の94154位および94430位のヌ
クレオチドTからなる群から選択されるヌクレオチド少なくとも1つを含む、前記
ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の他の好ましいプローブおよびプライマ
ーとしては、配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60
、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたは
その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1のヌク
レオチド位置92975〜92977、93711〜93715、94151〜94153、94240〜94243、9477
0〜94773、94804〜94808、95121〜95122、95129〜95135、95148〜95153、95154
〜95159、95173〜95178、95367〜95374、95410〜95413、95418〜95420、95430〜
95436、95533〜95535および95677〜95677からなる群から選択されるヌクレオチ
ド位置を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。
【0152】 本発明のもう1つの目的は、配列番号2のヌクレオチド配列、その相補配列なら
びにそのアレル変異体およびフラグメントを含む、精製されたポリヌクレオチド
、単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドである。本発明の
特に好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号2の少なくとも12、1
5、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1
000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレ
オチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、
前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1〜162のうち少なくとも1つ、
2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本
発明の別の好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号2の少なくと
も12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500
または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリ
ヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであ
って、前記連続スパンが、配列番号2の253位、363位、527位、2471位および5397
位のヌクレオチドA、配列番号2の1013位、1979位および2675位のヌクレオチドC
、配列番号2の176位、749位、2685位、3593位のヌクレオチドGならびに配列番号
2の2156位および2423位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレオチド少
なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の特に好まし
いプローブおよびプライマーとしては、配列番号2の少なくとも12、15、18、20
、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレ
オチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精
製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続ス
パンが、配列番号2の708位、807位、1493位、1724位および2000位のヌクレオチ
ドA、1936位、3379位および3697位のヌクレオチドC、709位、1845位、1933位、1
934位、1935位、1981位、2014位および3698位のヌクレオチドGならびに2407位お
よび2683位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレオチド少なくとも1つ
を含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の他の好ましいプローブお
よびプライマーとしては、配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35
、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続
スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリ
ヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列
番号2のヌクレオチド位置1229〜1231、1964〜1968、2404〜2406、2493〜2496、3
023〜3026、3057〜3061、3374〜3375、3382〜3388、3401〜3406、3407〜3412、3
426〜3431、3620〜3627、3663〜3666、3671〜3673、3683〜3689、3786〜3788お
よび3930〜3932からなる群から選択されるヌクレオチド位置を含んでなる、前記
ポリヌクレオチドがあげられる。
【0153】 本発明の他の目的は、配列番号3のヌクレオチド配列、その相補配列ならびに
そのアレル変異体およびフラグメントを含む、精製されたポリヌクレオチド、単
離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドである。本発明の特に
好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号3の少なくとも12、15、1
8、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000
ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチ
ド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記
連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1〜162および747〜872のうち少な
くとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげ
られる。本発明の別の好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号3
の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150
、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離
されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレ
オチドであって、前記連続スパンが、配列番号3の253位、363位、527位、2597位
および5523位のヌクレオチドA、配列番号3の1139位、2105位および2801位のヌク
レオチドC、配列番号3の176位、875位、2811位、3719位のヌクレオチドGならび
に配列番号3の2282位および2549位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌク
レオチド少なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の
別の好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号3の少なくとも12、1
5、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1
000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレ
オチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、
前記連続スパンが、配列番号3の708位、807位、1619位、1850位および2126位の
ヌクレオチドA、2062位、3505位および3823位のヌクレオチドC、709位、1971位
、2059位、2060位、2061位、2107位、2140位および3824位のヌクレオチドGなら
びに2533位および2809位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレオチド
少なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の他の好ま
しいプローブおよびプライマーとしては、配列番号3の少なくとも12、15、18、2
0、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌク
レオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、
精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続
スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1355〜1357、1892〜1894、2090〜2094
、2530〜2532、2619〜2622、3149〜3152、3183〜3187、3500〜3501、3508〜3514
、3527〜3532、3533〜3538、3552〜3557、3746〜3749、3789〜3792、3797〜3799
、3809〜3815、3912〜3914および4056〜4058からなる群から選択されるヌクレオ
チド位置を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。
【0154】 本発明の別の目的は、配列番号4のヌクレオチド配列、その相補配列ならびに
そのアレル変異体およびフラグメントを含む、精製されたポリヌクレオチド、単
離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドである。本発明の特に
好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号4の少なくとも12、15、1
8、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000
ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチ
ド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記
連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1〜162のうち少なくとも1つ、2つ
、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明
の別の好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号4の少なくとも12
、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500また
は1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌク
レオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって
、前記連続スパンが、配列番号4の253位、363位、527位および2460位のヌクレオ
チドA、配列番号4の1013位のヌクレオチドCならびに配列番号4の176位および749
位のヌクレオチドGからなる群で選択されるヌクレオチド少なくとも1つを含む、
前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の別の好ましいプローブおよびプラ
イマーとしては、配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50
、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンま
たはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオ
チドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号4の7
08位および807位のヌクレオチドAならびに709位のヌクレオチドGからなる群で選
択されるヌクレオチド少なくとも1つを含む、前記ポリヌクレオチドがあげられ
る。本発明の他の好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号4の少
なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、20
0、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体を含む、単離され
たポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチ
ドであって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1136〜1137の対
を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。
【0155】 本発明のさらに別の目的は、配列番号8のヌクレオチド配列、その相補配列な
らびにそのアレル変異体およびフラグメントを含む、精製されたポリヌクレオチ
ド、単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドである。本発明
の特に好ましい核酸としては、配列番号8の少なくとも12、15、18、20、25、30
、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの
連続スパンまたはその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製された
ポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、
配列番号8のヌクレオチド位置1〜500、501〜1000、1001〜1500および1501〜1738
のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる、前記ポリヌクレオ
チドがあげられる。
【0156】 このように、本発明は、先に定義した厳密なハイブリダイゼーション条件下で
、 a) 配列番号1の1〜70715、70795〜82207、82297〜83612、83824〜85297、854
18〜86388、86446〜87495、87523〜88294、88384〜89483、89650〜92748、97156
〜98309、98476〜99329、99491〜100026、100212〜100281、100396〜100538、10
0682〜100833、100995〜101920、102087〜102970、103264〜103724および103753
〜106746またはその変異体またはその相補配列、 b) 配列番号2の1〜162またはその変異体またはその相補配列、 c) 配列番号3の1〜162および747〜872またはその変異体またはその相補配列
、 d) 配列番号4の1〜162またはその変異体またはその相補配列、 e) 配列番号8またはその変異体またはその相補配列 のヌクレオチド配列からなる群から選択される核酸と特異的にハイブリダイズさ
れることを特徴とする核酸プローブにも関するものである。
【0157】 好ましい実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、PCTA-1遺伝子の
イントロンまたは制御配列の少なくとも一部とハイブリダイズさせることができ
るものである。本発明の特に好ましいオリゴヌクレオチドは、PCTA-1遺伝子のイ
ントロンまたは制御配列に含まれる配列とハイブリダイズされる。他の好ましい
実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドとエキソン0、1、6bis、9および9te
rの群で選択されるエキソンの少なくとも一部とをハイブリダイズさせることが
できる。
【0158】 また、本発明は、PCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーのアレル、好ましく
は癌に関連したアレルであり、特に前立腺癌、前立腺癌の早期発症、前立腺癌に
対する羅患性、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、PCTA-1遺伝子の変更発現もしくは
すでに起こりかけている発現、PCTA-1タンパク質の変更産生もしくはすでに起こ
りかけている産生、または修飾PCTA-1タンパク質の産生に関連したものであると
好ましいアレルを検出するためのオリゴヌクレオチドと複数のオリゴヌクレオチ
ドからなるグループとにも関するものである。これらのオリゴヌクレオチドは、
PCTA-1遺伝子、好ましくは多型PCTA-1遺伝子、さらに好ましくはPCTA-1遺伝子の
うち、前立腺癌、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベルまたはPCTA-1遺伝子の発現の調節
の修飾に関連した特異的アレルを含む多型部位のある領域とハイブリダイズ可能
であることを特徴とするものである。これらのオリゴヌクレオチドは、DNA増幅
およびマイクロシークエンシングなどのさまざまなプロセスで利用するプライマ
ーとして、あるいはハイブリッド解析におけるDNA認識用のプローブとして有用
なものである。
【0159】 したがって、本発明によるプローブの他の好ましい実施形態は、A1〜A125から
なる群から選択されるバイアレリックマーカーまたはその相補体を含む核酸(配
列でのそれぞれの位置を表2に示す)からなるものである。いくつかの実施形態で
は、オリゴヌクレオチドは、P1〜P125およびその相補配列から選択される配列の
多型塩基を含む。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列P1〜P125のう
ち1つおよびその相補配列に含まれる多型塩基などのPCTA-1遺伝子の多型塩基の
すぐ隣に3'末端を含む。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、バイアレリ
ックマーカーA1〜A125およびその相補体をはじめとするPCTA-1遺伝子のバイアレ
リックマーカーのアレル同士の違いを区別することができる。
【0160】 一実施形態では、本発明は、配列番号1、2、3、4のいずれか1つの8〜50ヌクレ
オチドの連続スパンおよびその相補体からなる、実質的にこれからなる、または
これを含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドおよび
組換えポリヌクレオチドであって、前記スパンが、前記配列中にPCTA-1関連バイ
アレリックマーカーを含み、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが
、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にある
バイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイ
アレリックマーカーが、A1〜A44、A46〜A53、A57、A58、A62〜A76、A81、A82、A
86〜A91、A107、A118およびA123〜A125ならびにその相補体、あるいは任意に、
これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され
、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A45、A54、A60、A61、A7
7〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109、A110、A114およびA122ならびにそ
の相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマー
カーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカー
が、A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A108、A111〜A113、A115〜A117およびA11
9〜A121ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にある
バイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記連続スパンが18
〜47ヌクレオチド長であり、前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌクレオチ
ドの中心から4ヌクレオチド以内にあり、任意に、前記ポリヌクレオチドが前記
連続スパンからなり、前記連続スパンが25ヌクレオチド長であり、前記バイアレ
リックマーカーが前記ポリヌクレオチドの中心にあり、任意に、前記ポリヌクレ
オチドが前記連続スパンからなり、前記連続スパンが47ヌクレオチド長であり、
前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌクレオチドの中心にあり、任意に、前
記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端に存在し、任意に、前記
連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端に位置し、前記バイアレリ
ックマーカーが前記ポリヌクレオチドの3'末端に位置する、前記ポリヌクレオチ
ドを包含する。好ましい実施形態では、前記プローブが、P1〜P125およびその相
補配列からなる群から選択される配列を含む、これからなる、あるいは実質的に
これからなるものである。
【0161】 もう1つの実施形態では、本発明は、配列番号1、2、3および4の8〜50ヌクレオ
チドの連続スパンまたはその相補体を含む、これからなる、あるいは実質的にこ
れからなる、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドおよび
組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオ
チドの3'末端に位置し、前記ポリヌクレオチドの3'末端が前記配列中のPCTA-1関
連バイアレリックマーカーの20ヌクレオチド上流の範囲内に位置し、任意に、前
記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体、あるいは
任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から
選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A46〜
A53、A57、A58、A62〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A125
ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレ
リックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリッ
クマーカーが、A45、A54、A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A
109、A110、A114およびA122ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連
鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、
前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A
108、A111〜A113、A115〜A117およびA119〜A121ならびにその相補体、あるいは
任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から
選択され、任意に、前記ポリヌクレオチドの3'末端が、前記配列の前記PCTA-1関
連バイアレリックマーカーの1ヌクレオチド上流に位置し、任意に、前記ポリヌ
クレオチドが、実質的に、配列D1〜D125およびE1〜E125から選択される配列から
なる、前記ポリヌクレオチドを包含する。
【0162】 さらに他の実施形態では、本発明は、配列B1〜B47およびC1〜C47から選択され
る配列を含む、これからなる、または実質的にこれからなる、単離されたポリヌ
クレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドを包含
する。
【0163】 別の実施形態では、本発明は、配列番号1、2、3、4またはその相補体中のPCTA
-1関連バイアレリックマーカーのヌクレオチドの同一性を判定するハイブリダイ
ゼーションアッセイ、シークエンシングアッセイ、酵素ベースのミスマッチ検出
アッセイに使用するためのポリヌクレオチドと、配列番号1、2、3、4またはその
相補体中のPCTA-1関連バイアレリックマーカーを含むヌクレオチドのセグメント
の増幅に使用するためのポリヌクレオチドであって、任意に、前記PCTA-1関連バ
イアレリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これら
と連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意
に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A46〜A53、A57、A58
、A62〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A125ならびにその相
補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカー
からなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、
A45、A54、A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109、A110、A11
4およびA122ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態に
あるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連
バイアレリックマーカーが、A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A108、A111〜A11
3、A115〜A117およびA119〜A121ならびにその相補体、あるいは任意に、これら
と連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択される、前
記ポリヌクレオチドを包含する。
【0164】 安定したハイブリッドが形成されるかどうかは、DNAの融点(Tm)に左右される
。Tmは、プライマー長またはプローブ長、溶液のイオン強度およびG+C含有量に
左右される。プライマーまたはプローブのG+C含有量が高くなればなるほど融点
も高くなる。G:C対は水素結合3つで保持されているが、A:T対には水素結合が1つ
しかないためである。本発明のプローブのGC含量は一般に10〜75%、好ましくは3
5〜60%、より好ましくは40〜55%の範囲である。
【0165】 本発明によるプローブまたはプライマーは8〜1000ヌクレオチド長であるか、
少なくとも12、15、18、20、25、35、40、50、60、70、80、100、250、500また
は1000ヌクレオチド長のものに特定される。具体的には、これらのプローブおよ
びプライマーの長さは、8、10、15、20または30〜100ヌクレオチド、好ましくは
10〜50、さらに好ましくは15〜30ヌクレオチドの範囲で可変である。これよりも
短いプローブおよびプライマーでは標的核酸配列に対する特異性を欠きやすく、
一般に鋳型との間の十分に安定したハイブリッド錯体を形成するには温度を低め
にする必要がある。一方、上記の範囲よりも長いプローブおよびプライマーは作
製に費用がかかり、まれに自家ハイブリダイズによってヘアピン構造が形成され
てしまう。特定のアッセイ条件の組み合わせでのプライマーおよびプローブの適
切な長さについては、当業者らが経験的に判断できる。好ましいプローブまたは
プライマーは、ヌクレオチド配列P1〜P125およびその相補配列、B1〜B47、C1〜C
47、D1〜D125、E1〜E125(配列中でのそれぞれの位置を表1、2、3および4に示す)
からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む核酸からなる。
【0166】 たとえば適した配列のクローニングおよび制限の他、たとえばNarang et al.(
1979)のリン酸ジエステル法、Brown et al.(1979)のリン酸ジエステル法、Beauc
age et al.(1981)のジエチルホスホラミダイト法およびEP 0 707 592に記載され
ている固相支持体法などの方法による直接的な化学合成による方法をはじめとす
る適当な何らかの方法を用いて、プライマーおよびプローブを調製することがで
きる。
【0167】 検出プローブは一般に、国際特許出願公開第WO92/20702号に開示されているペ
プチド核酸、米国特許第5,185,444号、同第5,034,506号および同第5,142,047号
に開示されているモルホリノ類似物などの核酸配列または無電荷の核酸類似物で
ある。プローブに別のdNTPが付加されることのないように、プローブを「非伸展
可能な」状態にしてもよい。類似物はそれ自体が非伸展可能であるため、ヒドロ
キシル基が伸長に関与できなくなるようにプローブの3'末端を修飾することで、
核酸プローブを非伸展可能にすることができる。たとえば、プローブの3'末端を
捕捉標識または検出標識で官能化し、ヒドロキシル基を消費するかブロックする
。あるいは、3'ヒドロキシル基を単に切断、置換または修飾してもよい。1993年
4月19日出願の米国特許出願第07/049,061号には、プローブを非伸展可能にする
のに使用できる修飾について記載されている。
【0168】 所望であれば、本発明のポリヌクレオチドはいずれも、分光学的、光化学的、
生化学的、免疫化学的または化学的な手段によって、従来技術において周知の標
識を検出可能にすることで標識可能なものである。たとえば、有用な標識として
、放射性物質(32P、35S、3H、125Iなど)、蛍光染料(5-ブロモデソキシウリジン
、フルオロセイン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニンなど)またはビ
オチンがあげられる。好ましくは、ポリヌクレオチドをその3'末端と5'末端で標
識する。核酸フラグメントの非放射性標識の一例が、フランス特許第FR-7810975
号またはUrdea et al.(1988)またはSanchez-Pescador et al.(1988)に記載され
ている。また、本発明によるプローブは、シグナル増幅を可能にするという点で
構造上の特徴を有する場合がある。このような構造上の特徴としては、たとえば
、Urdea et al.によって1991に説明されたものや欧州特許第EP 0 225 807(Chiro
n)号に記載されているものなどの枝分れDNAプローブがあげられる。
【0169】 さらに、標識を使用してプライマーを捕捉し、プライマーまたは増幅DNAなど
のプライマー伸長産物のいずれかの固相支持体での固定化を容易にすることもで
きる。捕捉された標識は、プライマーまたはプローブと結合するため、固相の試
薬の特異的結合メンバー(たとえば、ビオチンおよびストレプトアビジン)との間
で結合対を形成する特異的結合メンバーとなり得る。したがって、ポリヌクレオ
チドまたはプローブの標識のタイプに応じて、このメンバーを標的DNAの捕捉ま
たは検出用に使用することができる。さらに、本願明細書において提供するポリ
ヌクレオチド、プライマーまたはプローブは、それ自体が、捕捉標識として機能
するものであることは理解できよう。たとえば、固相試薬の結合メンバーが核酸
配列である場合、プライマーまたはプローブの相補部分と結合することでプライ
マーまたはプローブを固相に固定化するようにメンバーを選択してもよい。ポリ
ヌクレオチドプローブ自体が結合メンバーとして機能する場合は、標的に対して
相補的ではない配列すなわち「尾」がプローブに含まれることは当業者であれば
理解できよう。ポリヌクレオチドプライマー自体が捕捉標識として機能する場合
は、プライマーの少なくとも一部が固相上で核酸と自由にハイブリダイズされる
。DNA標識法は当業者間で周知のものである。
【0170】 本発明のプローブはさまざまな目的に有用である。ゲノムDNAに対するサザン
ハイブリッドに使用できることも注目すべき点である。また、プローブを用いて
PCR増幅産物を検出することもできる。さらに、他の手法を用いてPCTA-1遺伝子
またはmRNAにおけるミスマッチの検出に利用することもできる。
【0171】 本発明のポリヌクレオチド、プライマーおよびプローブはいずれも、固相支持
体に適宜固定化することができる。固相支持体は当業者間で周知のものであり、
反応トレーの穴の壁面、試験管、ポリスチレンビーズ、磁気ビーズ、ニトロセル
ロースストリップ、膜、ラテックス粒子などの微粒子、ヒツジ(または他の動物)
の赤血球細胞、duracytesなどを含む。固相支持体は重要度の高いものではなく
、当業者が適宜選択すればよい。したがって、ラテックス粒子、微粒子、磁気ビ
ーズまたは非磁気ビーズ、膜、プラスチックチューブ、マイクロタイターの穴の
壁、ガラスチップまたはシリコンチップ、ヒツジ(または他の適した動物)の赤血
球細胞およびduracytesはいずれも、好適な例である。固相に核酸を固定化する
ための好適な方法としては、イオン的相互作用、疎水的相互作用、共有結合的相
互作用などがあげられる。本願明細書では、「固相支持体」は不溶性または以後
の反応によって不溶性にすることのできるあらゆる材料を意味する。捕捉試薬を
引きつけて固定化する固有の性能に応じて固相支持体を選択することができる。
あるいは、捕捉試薬を引きつけて固定化する機能を有する別のレセプターを固相
に保定することもできる。別のレセプターとしては、捕捉試薬自体または捕捉試
薬に共役結合される荷電物質と反対の電荷に荷電した荷電物質をあげることがで
きる。さらに別の選択肢として、レセプター分子は、固相支持体に固定化(結合)
され、特異的結合反応によって捕捉試薬を固定化する機能を有するものであれば
、どのような特異的結合メンバーであってもよい。レセプター分子は、アッセイ
の実行前またはアッセイの実行時に捕捉試薬の固相支持体材料への間接的な結合
を可能にするものである。すなわち、プラスチック、誘導体化プラスチック、磁
性または非磁性金属、検査チューブのガラス表面またはシリコン表面、マイクロ
タイターの穴、シート、ビーズ、微小粒子、チップ、ヒツジ(または他の適した
動物)の赤血球細胞、duracytes(登録商標)および当業者間で周知の他の構成な
どを固相とすることができる。本発明のポリヌクレオチドは、固相支持体で個々
に、あるいはまたは少なくとも2種類、5種類、8種類、10種類、12種類、15種類
、20種類または25種類の本発明のポリヌクレオチドのグループで単一の固相支持
体に結合または固定化することができるものである。また、本発明によるもの以
外のポリヌクレオチドを1種またはそれ以上の本発明のポリヌクレオチドと同一
の固相支持体に結合させてもよい。
【0172】 したがって、本発明は、試料中の配列番号1、2、3、4、8、そのフラグメント
または変異体およびその相補配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を
含む核酸の存在を検出する方法であって、 a) 配列番号1、2、3、4、8の核酸配列、そのフラグメントまたは変異体およ
びその相補配列からなる群から選択される核酸に含まれるヌクレオチド配列とハ
イブリダイズ可能な1つまたは複数の核酸プローブとアッセイ対象試料とを接触
させるステップと、 b) 試料中でプローブと核酸との間に生成されるハイブリッド錯体を検出する
ステップと、を含む検出方法についても扱う。
【0173】 本発明はさらに、試料中の配列番号1、2、3、4、8、そのフラグメントまたは
変異体およびその相補配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む核
酸の存在を検出するキットであって、 a) 配列番号1、2、3、4、8の核酸配列、そのフラグメントまたは変異体およ
びその相補配列からなる群から選択される核酸に含まれるヌクレオチド配列とハ
イブリダイズ可能な1つまたは複数の核酸プローブと、 b) 任意に、ハイブリッド反応に必要な試薬と、を含むキットにも関する。
【0174】 この検出方法およびキットの第1の好ましい実施形態では、前記1つまたは複数
の核酸プローブを検出可能な分子で標識する。前記方法およびキットの第2の好
ましい実施形態では、前記1つまたは複数の核酸プローブが基質に固定化された
ものである。第3の好ましい実施形態では、1つまたは複数の核酸プローブが、ヌ
クレオチド配列P1〜P125およびその相補配列、B1〜B47、C1〜C47、D1〜D125、E1
〜E125からなる群から選択される配列か、A1〜A125およびその相補体からなる群
から選択されるバイアレリックマーカーのいずれかを含む。
【0175】 オリゴヌクレオチドアレイ 本発明の複数のオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブを含む基質を用
いて、PCTA-1遺伝子の標的配列を検出または増幅することができる。また、これ
を用いてPCTA-1遺伝子のコード配列または非コード配列の変異を検出することも
できる。
【0176】 本願明細書に記載のポリヌクレオチドはいずれも、固相支持体上のオーバーラ
ップ領域内または無作為に選択した位置に結合されてもよい。あるいは、本発明
のポリヌクレオチドは、一定の順序でアレイ状に結合されてもよく、この場合、
各ポリヌクレオチドは固相支持体上の他のいかなるポリヌクレオチドの結合部位
とも重複しない別の領域に結合される。好ましくは、別の位置を記録し、アッセ
イ手順の一部としてアクセスできるように、このようなポリヌクレオチドの一定
順序のアレイを「アドレス指定可能な」ように設計する。アドレス指定可能なポ
リヌクレオチドアレイは一般に、異なる既知の位置にある基質の表面に結合する
複数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含む。各ポリヌクレオチド位置を正
確に知ることで、これらの「アドレス指定可能な」アレイがハイブリダイゼーシ
ョンアッセイにおいて特に有用なものとなる。この場合、当業者間で周知のアド
レス指定可能なアレイテクノロジーを本発明のポリヌクレオチドと併用すること
が可能である。これらのポリヌクレオチドアレイの特定の一実施形態はGenechip
s(登録商標)として周知であり、米国特許第5,143,854号、国際特許出願公開第
WO90/15070号および同第92/10092号にその概略が説明されている。これらのアレ
イは一般に、機械的な合成方法または光指向性合成方法を用いて作製できる。こ
れらの方法では、フォトリソグラフィによる方法と固相オリゴヌクレオチド合成
との組み合わせを利用している(Fodor et al., 1991)。オリゴヌクレオチドアレ
イの固相支持体への固定化は、一般に「Very Large Scale Immobilized Polymer
Synthesis(VLSIPS(登録商標))」と呼ばれるテクノロジーの開発によって可能
になったものである。このテクノロジーでは一般に、チップの固体表面上でプロ
ーブを高密度アレイ状に固定化する。VLSIPS(登録商標)テクノロジーの例は、
米国特許第5,143,854号および同第5,412,087号ならびに国際特許出願公開第WO90
/15070号、同第WO 92/10092号および同第WO 95/11995号にあげられている。これ
らの公報では、光指向性合成法などの手法によってオリゴヌクレオチドアレイを
形成する方法について説明されている。固相支持体に固定化されるヌクレオチド
のアレイを提供することを目的とした設計戦略では、ハイブリダイゼーションパ
ターンと配列情報を最大化しようという試みの中で、チップ上でオリゴヌクレオ
チドアレイを順序付けて表示するための別のプレゼンテーション戦略が開発され
た。このようなプレゼンテーション戦略の例が、国際特許出願公開第WO94/12305
号、同第WO94/11530号、同第WO97/29212号および同第WO97/31256号に開示されて
いる。
【0177】 本発明のオリゴヌクレオチドアレイの別の実施形態では、オリゴヌクレオチド
プローブマトリックスを有効利用して、PCTA-1遺伝子、好ましくはその調節領域
に生じる変異を検出することができる。この特定の目的のために、既知の変異を
持つ遺伝子とのハイブリッド形成が可能なヌクレオチド配列が含まれるように、
(1つまたは複数のヌクレオチドの欠失、挿入または置換のいずれかによって)プ
ローブを特別に設計する。既知の変異とは、たとえばHuang et al.(1996)または
Samson et al.(1996)によって用いられている手法などを用いて同定済のPCTA-1
遺伝子における変異を意味する。
【0178】 PCTA-1遺伝子の変異の検出に用いられるもう1つの手法は、高密度DNAアレイを
使用するものである。高密度DNAアレイの単位要素を構成している各オリゴヌク
レオチドプローブを、PCTA-1ゲノムDNAまたはcDNAの特異的なサブシーケンスに
一致するように設計する。このため、標的遺伝子配列のサブシーケンスに対して
相補なオリゴヌクレオチドからなるアレイを用いて、野生型遺伝子配列と標的配
列との同一性を判断し、その量を測定し、PCTA-1遺伝子の標的配列と基準の野生
型遺伝子配列との差を検出する。このような設計のうちの1つに4Lタイル状アレ
イがあるが、このアレイは、4つ一組のプローブ(A、C、G、T)で実現され、好ま
しくは15個のヌクレオチドオリゴマーで実現されるものである。4つのプローブ
のセット各々において、ミスマッチのあるプローブよりも完全な相補体の方が強
くハイブリダイズされる。したがって、4Lのプローブを含むタイル状アレイすな
わち、既知の野生型基準配列に含まれている可能性のあるすべての変異を含む全
プローブセットで、長さLの核酸標的の変異が探査される。標的配列に1塩基でも
違いがあると、15merプローブセットのタイル状アレイのハイブリッドシグナル
が乱れる。結果として、変異位置をフランキングするシグナルすなわちプローブ
の「足跡」に特徴の欠損ができることになる。この手法は1996年にChee et al.
が説明したものである。
【0179】 したがって、本発明は、プローブおよびプライマーとして上述したポリヌクレ
オチドを少なくとも1つ含む核酸分子のアレイに関する。好ましくは、本発明は
、プローブおよびプライマーとして上述したポリヌクレオチドを少なくとも2つ
含む核酸のアレイに関する。
【0180】 本発明のさらに他の目的は、P1〜P125、B1〜B47、C1〜C47、D1〜D125、E1〜E1
25からなる群から選択される配列、その相補配列、その連続した少なくとも8、1
0、12、15、18、20、25、30または40ヌクレオチド長のフラグメントのうち少な
くとも1つと、A1〜A125からなる群から選択されるバイアレリックマーカーおよ
びその相補配列を含む配列のうち少なくとも1つのいずれかを含む、核酸配列の
アレイからなる。
【0181】 また、本発明は、P1〜P125、B1〜B47、C1〜C47、D1〜D125、E1〜E125からなる
群から選択される配列、その相補配列、その連続した少なくとも8ヌクレオチド
のフラグメントのうち少なくとも2つと、A1〜A125からなる群から選択されるバ
イアレリックマーカーおよびその相補体を含む配列のうち少なくとも2つのいず
れかを含む、核酸配列のアレイに関するものである。
【0182】 PCTA-1タンパク質およびそのポリペプチドフラグメント 「PCTA-1ポリペプチド」という用語は、本願明細書では、本発明のあらゆるタ
ンパク質およびポリペプチドを含むものとする。また、本発明のポリヌクレオチ
ドにコードされるポリペプチドならびにこのようなポリペプチドを含む融合ポリ
ペプチドも本発明の一部を構成する。
【0183】 本発明は、単離または精製されたPCTA-1タンパク質を含む、ヒト由来のPCTA-1
タンパク質であって、配列番号5の配列からなる、あるいは実質的に配列番号5の
配列からなる、あるいは配列番号5の配列を含む、PCTA-1タンパク質を例示する
ものである。本発明のPCTA-1タンパク質は、アミノ酸170位のバリン残基をセリ
ン残基で置換し、アミノ酸203位のグルタミン残基をリシン残基で置換した、ヒ
トPCTA-1のアミノ酸配列の天然由来の変異体をベースにしたものであることに注
意されたい。本願明細書では、配列番号5のアミノ酸170位にセリンを含み、アミ
ノ酸203位にリシンを含む、この変異体タンパク質およびそのフラグメントを総
称して「170-Ser 203-Lys変異体」と呼ぶ。別の実施形態では、本発明は、配列
番号5のPCTA-1タンパク質またはその変異体またはフラグメントをコードする、
精製された核酸および/または単離された核酸に関するものである。
【0184】 また、本発明は、配列番号6、7およびその変異体および機能フラグメントから
なる群で選択される配列を含む、精製されたPCTA-1タンパク質および/または単
離されたPCTA-1タンパク質にも関するものである。別の実施形態では、本発明は
、配列番号6、7からなる群で選択される配列またはその変異体またはフラグメン
トを含むPCTA-1タンパク質をコードする、精製された核酸および/または単離さ
れた核酸に関するものである。
【0185】 本発明は、配列番号9のものなどのマウスPCTA-1タンパク質のアミノ酸配列、
そのフラグメントおよび変異体も包含する。本発明は、配列番号9のマウスPCTA-
1タンパク質、その相補配列およびそのフラグメントおよび変異体をコードする
ヌクレオチド配列にも関するものである。
【0186】 さらに、本発明は、ヒトおよびマウスの修飾PCTA-1タンパク質と、そのフラグ
メントおよび変異体とに関するものである。「修飾PCTA-1タンパク質」という用
語は、配列番号5、6または7の未変性PCTA-1タンパク質と比較したときに、アミ
ノ酸の置換、欠失または付加が少なくとも1つ認められるPCTA-1タンパク質を示
すことを意図したものである。具体的には、好ましい修飾PCTA-1タンパク質とし
て、以下のアミノ酸置換を少なくとも1つを含むタンパク質があげられる。 配列番号5の18位のFからYへの置換、35位のRからCへの置換、55位のVからMへ
の置換および183位のSからRへの置換、 配列番号6の18位のFからYへの置換、35位のRからCへの置換、55位のVからMへ
の置換、204位のDからYへの置換および225位のSからRへの置換、 配列番号7の18位のFからYへの置換、35位のRからCへの置換、55位のVからMへ
の置換および183位のSからRへの置換。
【0187】 このような置換が2以上ある修飾タンパク質も本発明の範囲に包含される。他
の好ましい実施形態としては、本発明の修飾PCTA-1タンパク質の領域、特に、上
述した置換が少なくとも1つある領域があげられる。特に好ましい領域は、抗原
特性を有し、ワクチン剤として使用可能であったり、PCTA-1タンパク質に対する
抗体を産生する領域、最も好ましくは上述した特定の置換のうち少なくとも1つ
を含む領域である。
【0188】 「修飾PCTA-1タンパク質」という用語はまた、配列番号7のアミノ酸配列1〜21
1からなる切断型PCTA-1タンパク質も示している。
【0189】 本発明は、配列番号5の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10ア
ミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100ア
ミノ酸の連続スパンを含む、単離されたポリペプチド、精製されたポリペプチド
および組換えポリペプチドであって、前記連続スパンが、 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
ン残基ならびに/または 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
群で選択される少なくとも1つの残基を含む、前記ポリペプチドを例示するもの
である。
【0190】 本発明は、配列番号6の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10ア
ミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100ア
ミノ酸の連続スパンを含む、単離されたポリペプチド、精製されたポリペプチド
および組換えポリペプチドであって、前記連続スパンが、 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位のリシ
ン残基ならびに/または 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基からなる
群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、2つ、3つ、5つ
または10、特に、配列番号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2つ、3つ、
5つまたは10を含む、前記ポリペプチドを例示するものである。
【0191】 本発明は、配列番号7の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10ア
ミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100ア
ミノ酸の連続スパンを含む、単離されたポリペプチド、精製されたポリペプチド
および組換えポリペプチドであって、前記連続スパンが、 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/またはアミノ酸203位のリシン
残基、および/または 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、2つ
、3つ、5つまたは10、特に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なくとも1つ、
2つ、3つ、5つまたは10を含む、前記ポリペプチドを例示するものである。
【0192】 本発明はまた、実質的に配列番号7のアミノ酸位置1〜211からなる、あるいは
この位置からなる、切断型PCTA-1タンパク質に関するものである。
【0193】 他の好ましい実施形態では、配列番号5、6、7のアミノ酸の連続範囲が、PCTA-
1タンパク質配列のアミノ酸の欠失、付加、交換、切断を含む突然変異部位また
は機能的突然変異を含む。
【0194】 本発明は、配列番号9の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10ア
ミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100ア
ミノ酸の連続スパンを含む、単離されたポリペプチド、精製されたポリペプチド
および組換えポリペプチドを例示するものである。
【0195】 PCTA-1タンパク質は、ヒトまたは哺乳動物の組織試料から単離されるか、ある
いはヒトまたは哺乳動物の遺伝子から発現されたものであると好ましい。本発明
のPCTA-1ポリペプチドは、従来技術において周知の一般に用いられる発現方法に
よって生成できる。所望のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを好都合
な宿主に適した発現ベクターに連結する。組換えポリペプチドと、さらに一般的
な系のうちのいくつかのサマリーを形成するには、真核生物宿主系と原核生物宿
主系の両方を使用する。次に、ポリペプチドを連結後の細胞または培地から単離
し、意図した用途に合う程度まで精製する。精製は、微分抽出、塩分画、クロマ
トグラフィ、遠心などの従来技術において周知のいずれかの方法で行う。タンパ
ク質のさまざまな精製方法については、たとえば、Methods in Enzymologyを参
照のこと。
【0196】 また、短めのタンパク質フラグメントであれば化学的な合成によって作出する
。あるいは、本発明のタンパク質をヒトまたは非ヒト動物の細胞または組織から
抽出する。タンパク質の精製方法は従来技術において周知であり、一例としては
、洗浄剤またはカオトロピック剤を使用して粒子を破壊した後、イオン交換クロ
マトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、密度による遠心沈降およびゲル
電気泳動によってポリペプチドを微分抽出および分離することがあげられる。
【0197】 配列番号2、3、4、8をはじめとしてどのようなPCTA-1 cDNAを用いてPCTA-1タ
ンパク質およびポリペプチドを発現させてもよい。発現対象となるPCTA-1タンパ
ク質またはポリペプチドをコードする核酸を、従来のクローニングテクノロジー
を用いて発現ベクターでプロモーターに作用的に結合させる。発現ベクターのPC
TA-1インサートは、PCTA-1タンパク質の完全なコード配列を含むものであっても
そのフラグメントを含むものであってもよい。たとえば、PCTA-1由来のインサー
トで上述したようにしてポリペプチドをコードすることができる。
【0198】 発現ベクターは、従来技術において周知の哺乳動物、酵母、昆虫またはバクテ
リアの発現系であればどのようなものであってもよい。ジェネティクスインステ
ィテュート社(マサチューセッツ州Cambridge)、ストラタジーン社(カリフォルニ
ア州La Jolla)、プロメガ社(ウィスコンシン州Madison)およびインビトロゲン社
(カリフォルニア州San Diego)をはじめとするさまざまな提供業者から、市場販
売されているベクターおよび発現系を入手することができる。必要があれば、発
現を促進して正しいタンパク質折り畳みを容易にするために、Hatfield, et al.
の米国特許第5,082,767号に説明されているように発現ベクターを導入する特定
の発現生物に合わせて配列のコドンコンテキストおよびコドンペアリングを最適
化する。
【0199】 一実施形態では、cDNAのポリAシグナルによるPCTA-1 cDNAの完全コーディング
配列を発現ベクターでプロモーターに作用的に結合させる。あるいは、PCTA-1タ
ンパク質のフラグメントをコードする核酸にメチオニンがなく、開始部位として
機能する場合は、従来の手法を利用して開始メチオニンを核酸の第1コドンの隣
に導入することができる。同様に、PCTA-1 cDNAから得たインサートにポリAシグ
ナルがない場合は、BglIおよびSalI制限エンドヌクレアーゼ酵素を用いてpSG5(
ストラタジーン)からポリAシグナルを抜き、これを哺乳動物の発現ベクターpXT1
(ストラタジーン)に組み込むことで、上記の配列をコンストラクトに付加するこ
とができる。pXT1は、Moloneyマウス白血病ウイルスから得られるLTRとgag遺伝
子の一部とを含む。コンストラクトにおけるLTRの位置がゆえに、安定したトラ
ンスフェクションを効率よく行うことができる。ベクターは、単純ヘルペスウイ
ルスのチミジンキナーゼプロモーターおよび選択可能なネオマイシン遺伝子を含
む。PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントをコードする配列がポリAシグナ
ルに対して正しい位置にくるように慎重に注意を払いながら、PCTA-1 cDNAまた
はそのフラグメントと相補的であり、5'プライマーに組み込まれたPst Iと、対
応するcDNA3'プライマーの5'末端におけるBglIIとに対する制限エンドヌクレア
ーゼ配列を含有するオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、配列番号2、3、
4および8からなる群から選択されるPCTA-1 cDNAを含むバクテリアベクターからP
CTA-1タンパク質またはそのフラグメントをコードする核酸をPCRによって得る。
これによって生じるPCR反応で得られる精製フラグメントをPstIで消化し、エキ
ソヌクレアーゼでブラントエンド化し、Bgl IIで消化し、精製してpXT1に連結し
(この時点でポリAシグナルを含む)、BglIIで消化する。
【0200】 産物の説明部分で概説した条件下でリポフェクチン(ニューヨーク州Grand Isl
and、ライフテクノロジーズ社)を使用して、連結産物をマウスNIH 3T3細胞にト
ランスフェクトする。G418(ミズーリ州St. Louis、シグマ社)600ug/ml中にてト
ランスフェクト細胞の成長後にポジティブなトランスフェクタントを選択する。
【0201】 あるいは、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントをコードする核酸をpED6
dpc2(マサチューセッツ州Cambridge、ジェネティクスインスティテュート社)に
クローニングする。このようにして得られるpED6dpc2コンストラクトを、COS 1
細胞などの適当な宿主細胞にトランスフェクトする。メトトレキセート耐性細胞
を選択し、エキスパンドする。
【0202】 上述した手順を用いて、検出可能な表現型またはそのフラグメントを生む原因
であるミュータントPCTA-1タンパク質を発現させることもできる。
【0203】 硫酸アンモニウム沈降またはクロマトグラフィを用いた分取などの従来の精製
法を利用して、サイズまたは電荷に応じて発現タンパク質を精製する。核酸イン
サートによってコードされたタンパク質を、標準的な免疫クロマトグラフィ法を
用いて精製してもよい。このような手順では、細胞抽出物など発現PCTA-1タンパ
ク質またはそのフラグメントを含有する溶液を、PCTA-1タンパク質またはそのフ
ラグメントに対する抗体を仕込んだカラムに入れ、これをクロマトグラフィのマ
トリックスに取り付ける。発現タンパク質を免疫クロマトグラフィのカラムに結
合させる。その後、カラムを洗浄して非特異的に結合したタンパク質を除去する
。特異的に結合した発現タンパク質をカラムから分離し、標準的な手法を用いて
回収する。
【0204】 PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントの発現を確認するには、PCTA-1タン
パク質またはそのフラグメントをコードするインサートを含む発現ベクターを含
有する宿主細胞から発現したタンパク質を、インサートを含まない発現ベクター
を含有する宿主細胞から発現したタンパク質と比較すればよい。インサートを含
む発現ベクターを含有する細胞から得た試料には、インサートを含まない発現ベ
クターを含有する細胞から得た試料にはないバンドが存在することから、PCTA-1
タンパク質またはそのフラグメントが発現されていることが分かる。通常、この
バンドはPCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと移動度が同じである。しか
しながら、このバンドの移動度は、グリコシル化、ユビキチン結合または酵素切
断などによる修飾の結果として生じるはずの移動性とは異なる場合がある。
【0205】 発現PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントを特異的に認識できる抗体につ
いては後述する。
【0206】 抗体産生ができない場合は、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントをコー
ドする核酸を、キメラポリペプチドを用いる精製スキームで使用するように設計
した発現ベクターに組み込む。このような戦略では、PCTA-1タンパク質またはそ
のフラグメントをコードする核酸を、キメラのもう片方をコードする遺伝子と共
にフレームに挿入する。キメラのもう片方は、β-グロビンまたはニッケル結合
ポリペプチドコード化配列である。このようにして、β-グロビンまたはニッケ
ルに対する抗体を有するクロマトグラフィのマトリックスを用いてキメラタンパ
ク質を精製する。プロテアーゼ切断部位を、β-グロビン遺伝子またはニッケル
結合ポリペプチドとPCTA-1タンパク質またはそのフラグメントとの間で操作する
。これによって、キメラの2つのポリペプチドがプロテアーゼで消化されて互い
に分離する。
【0207】 β-グロビンキメラタンパク質の生成に有用な発現ベクターの1つに、pSG5(ス
トラタジーン)があげられる。これは、ウサギβ-グロビンをコードするものであ
る。ウサギβ-グロビン遺伝子のイントロンIIによって、発現転写物のスプライ
シングが容易になり、コンストラクトに組み込まれたポリアデニル化シグナルに
よって発現のレベルが増大する。これらの手法は分子生物分野の当業者間で周知
のものである。標準的な方法は、Davis et al.(1986)などの方法テキストにおい
て公開されている。さらに、ストラタジーン社、ライフテクノロジーズ社または
プロメガ社からの多くの方法を利用できる。また、In vitro Express(登録商標
)Translation Kit(ストラタジーン)などのin vitro翻訳系を用いてコンストラ
クトからポリペプチドを生成してもよい。
【0208】 本発明のPCTA-1ポリペプチドと結合する抗体 任意のPCTA-1ポリペプチドまたはタンパク質全体を利用し、発現されたPCTA-1
タンパク質またはそのフラグメントに上述したような形で特異的に結合できる抗
体を生成することができる。
【0209】 本発明の一抗体組成物は、配列番号5のPCTA-1タンパク質の170-Ser 203-Lys変
異体に特異的に結合できるか、あるいはこれと特異的に結合する。本発明の他の
抗体組成物は、配列番号6、7、9のアミノ酸配列からなる群で選択されるPCTA-1
タンパク質に特異的に結合できるか、あるいはこれと特異的に結合する。PCTA-1
の第1の変異体に特異的に結合する抗体組成物として機能するには、ELISAやRIA
、他の抗体ベースの結合実験において、PCTA-1タンパク質の第2の全長変異体の
結合親和性よりもPCTA-1タンパク質の第1の全長変異体の結合親和性の方が、少
なくとも5%、10%、15%、20%、25%、50%あるいは100%高くなければならない。
【0210】 好ましい実施形態では、本発明は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル
抗体であり、エピトープを含有する以下のポリペプチドのうちいずれか1つと選
択的に結合できるか、あるいは選択的に結合する抗体組成物に関するものである
。 a) 配列番号5の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記エピトープが、 i) 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位
のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基、を含む、前記ポリペプチド。 b) 配列番号6の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記エピトープが、 i) 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位
のリシン残基ならびに/または ii) 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または iii) エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、2つ、
3つ、5つまたは10、特に、配列番号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2
つ、3つ、5つまたは10、を含む、前記ポリペプチド。 c) 配列番号7の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記エピトープが、 i) 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/またはアミノ酸203位の
リシン残基および/または ii) 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または iii) エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも
1つ、2つ、3つ、5つまたは10、特に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なく
とも1つ、2つ、3つ、5つまたは10、を含む、前記ポリペプチド。 d) 配列番号9の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチド。
【0211】 また、本発明は、変異PCTA-1タンパク質またはその変異PCTA-1タンパク質のエ
ピトープを含むフラグメントまたは変異体と特異的に結合できる、精製された抗
体または単離された抗体にも関するものである。他の好ましい実施形態では、本
発明は、PCTA-1タンパク質の連続したアミノ酸を少なくとも10含み、突然変異を
引き起こす形質によってコード可能なアミノ酸を少なくとも1つ含む、ポリペプ
チドと結合できる抗体に関するものである。
【0212】 好ましい実施形態では、本発明は、以下のポリペプチドのうちいずれか1つを
抗体の作出に使用することに関するものである。 a) 配列番号5の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記連続スパンが、 i) 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位の
リシン残基、ならびに/または ii) 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残
基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基から
なる群で選択される少なくとも1つの残基、を含む、前記ポリペプチド。 b) 配列番号6の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記連続スパンが、 i) 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位の
リシン残基ならびに/または ii) 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残
基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基から
なる群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または iii) エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、2つ、3
つ、5つまたは10、特に、配列番号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2つ
、3つ、5つまたは10、を含む、前記ポリペプチド。 c) 配列番号7の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記連続スパンが、 i) 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/またはアミノ酸203位のリ
シン残基および/または ii) 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残
基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基から
なる群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または iii) エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも1
つ、2つ、3つ、5つまたは10、特に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なくと
も1つ、2つ、3つ、5つまたは10、を含む、前記ポリペプチド。 d) 配列番号9の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチド。
【0213】 抗体の調製には、抗体が結合すると望ましいPCTA-1とは異なる種のPCTA-1を発
現する、野生型またはトランスジェニック動物としての非ヒト動物または哺乳動
物と、PCTA-1を発現しない動物(すなわち本願明細書で説明するPCTA-1ノックア
ウト動物)が特に有用である。PCTA-1ノックアウト動物は、PCTA-1タンパク質の
曝露領域の大半または全体を外来抗原として認識し、PCTA-1エピトープのアレイ
が拡がった抗体を産生する。さらに、いずれかのPCTA-1タンパク質に対する特異
的結合を得る上で、アミノ酸を10〜30個しか含まない小さ目のポリペプチドが有
用なこともある。また、PCTA-1の抗原配列と類似の種を産生する動物の体液性免
疫系は、動物の天然PCTA-1種と抗原配列との違いを優先的に認識し、抗原配列に
おける独特な部位に対する抗体を産生する。このような手法は、いずれかのPCTA
-1タンパク質に特異的に結合される抗体を得る上で特に有用である。
【0214】 いずれかの抗体法に従って調製した抗体調製物は、生物学的試料中の抗原産生
物質の濃度を判断する定量的なイムノアッセイにおいて有用なものである。また
、これらの調製物は、生物学的試料中の抗原の存在を半定量的あるいは定性的に
同定するのにも用いられる。さらに、タンパク質を発現する細胞を死滅させる目
的あるいは体内のタンパク質濃度を落とす目的で治療用組成物に抗体を使用して
もよい。
【0215】 本発明の抗体は、従来技術において周知の任意の放射性標識、蛍光標識または
酵素標識で標識できる。
【0216】 したがって、本発明は、生物学的試料において本発明によるPCTA-1ポリペプチ
ドの存在を特異的に検出するための方法であって、 a) 生物学的試料と、配列番号5、6、7、9からなる群から選択されるアミノ酸
配列を含むPCTA-1ポリペプチドまたはそのペプチドフラグメントまたは変異体を
特異的に結合するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体とを接触させる
ステップと、 b) 形成される抗原-抗体錯体を検出するステップと、を含む、前記方法にも
関するものである。
【0217】 また、本発明は、生物学的試料において本発明によるPCTA-1ポリペプチドの存
在をin vitro検出するための診断用キットであって、 a) 任意に標識される、配列番号5、6、7、9からなる群から選択されるアミノ
酸配列を含むPCTA-1ポリペプチドまたはそのペプチドフラグメントまたは変異体
を特異的に結合するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体と、 b) 形成される抗原-抗体錯体の検出を可能にし、任意に標識が付されている
か、特に上述したモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が自己標識され
ない場合に、標識された試薬によって認識が可能な試薬と、を含む前記診断用キ
ットにも関するものである。
【0218】 PCTA-1関連バイアレリックマーカー 本発明のバイアレリックマーカーの利点 本発明のPCTA-1関連バイアレリックマーカーには、RFLP(制限酵素フラグメン
ト長多型)マーカーおよびVNTR(タンデムリピートの繰り返し数)マーカーなどの
他の遺伝マーカーにはない多くの重要な利点がある。
【0219】 第1系統のマーカーはRFLPであったが、これは制限酵素フラグメントの長さの
違いを検出するマーカーの一種である。しかしながら、RFLPの同定およびタイプ
判別に用いられる方法では、材料や手間、時間の無駄が比較的多い。第2系統の
遺伝マーカーはVNTRであったが、これはミニサテライトまたはマイクロサテライ
トのいずれかに分類できる。ミニサテライトは5〜50bpを単位として繰り返され
るタンデムリピートのDNA配列であり、ヒト染色体の0.1〜20kb長の範囲の領域に
沿って分布している。ミニサテライトには考え得るアレルが多く存在するため、
ミニサテライトが持つ情報性は極めて高い。サザンブロットによってミニサテラ
イトの違いを解析し、被検個体から採取した試料に含まれるタンデムリピートの
数を確認する。しかしながら、サザンブロッティング法でタイプ判別ができる潜
在的VNTRはわずか104しかない。さらに、多数を開発およびアッセイしようとす
ると、RFLPマーカーとVNTRマーカーのいずれもコスト高かつ時間のかかるもので
ある。
【0220】 単一ヌクレオチド多型またはバイアレリックマーカーをRFLPおよびVNTRと同じ
ように使用して、いくつかの利点を得ることができる。SNPは、ヒトゲノム中に
高密度で存在し、最も頻度の高いタイプの変異を示す。推定で107を上回る数の
部位がヒトゲノムの3×109個の塩基対に沿って分散している。したがって、RFLP
マーカーまたはVNTRマーカーよりも高い頻度かつ高い均一性で発生するのである
が、これは、かかるマーカーが興味の対象となる遺伝座に極めて近いところで見
つかる可能性が極めて大きいことを意味している。SNPはVNTRマーカーと比べる
と可変性に欠けるが、突然変異という点ではVNTRマーカーよりも安定している。
【0221】 さらに、本発明のバイアレリックマーカーなどの特徴づけした異なる形態の単
一ヌクレオチド多型の識別は容易なことが多いため、したがって定法でタイプ判
別をすることができる。バイアレリックマーカーには単一ヌクレオチドベースの
アレルが含まれており、共通のアレルは2つしかないため、並列性の高い検出と
自動スコアリングを行うことができる。本発明のバイアレリックマーカーによれ
ば、多数の個体について遺伝子型を高速かつ高スループットで得られる可能性が
ある。
【0222】 バイアレリックマーカーは、ゲノム中に高密度で含まれており、十分に情報性
があり、多数をアッセイすることが可能である。これらの利点が組み合わさるこ
とで、バイアレリックマーカーがゲノム研究において極めて価値のあるものとな
る。バイアレリックマーカーは、家系での連鎖解析やアレル共有法、個体群での
連鎖不平衡解析、症例-対照個体群または形質陽性個体群と形質陰性個体群の関
連性解析などに使用できる。本発明の重要な態様は、バイアレリックマーカーを
用いることで、関連性解析を行って複雑な形質に関与している遺伝子を同定でき
るという点にある。関連性解析では、血縁のない症例個体群と対照個体群の頻度
を解析するものであり、一般に多因子性の形質または散発性の形質の検出に用い
られる。関連性解析は個体群全体に対して実施できるものであり、羅患家系に含
まれる関連した個体で実施する解析(連鎖解析)に限定されるものではない。異な
る遺伝子のバイアレリックマーカーを、疾病や治療に対する応答との直接的な関
連性に関して並列にスクリーニングすることができる。このような多遺伝子法を
使用すると、特定の表現型や医薬品応答、散発性形質または複雑な遺伝的病因が
絡む疾病状態に複数の遺伝因子がどのような相乗効果をおよぼすか検討する上で
必要な統計力になるため、多遺伝子法はさまざまなヒトゲノム解析での強力なツ
ールである。
【0223】 PCTA-1関連バイアレリックマーカーおよびこれに関連したポリヌクレオチド 本発明は、PCTA-1遺伝子の配列に位置する精製されたPCTA-1関連バイアレリッ
クマーカーおよび/または単離されたPCTA-1関連バイアレリックマーカー、好ま
しくは、前立腺癌、前立腺癌の早期発症、特に前立腺癌である癌の治療のために
投与される予防薬または治療薬に対する応答、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、PC
TA-1遺伝子の変更発現もしくはすでに起こりかけている発現、PCTA-1タンパク質
の変更産生もしくはすでに起こりかけている産生、または修飾PCTA-1タンパク質
の産生に関連したアレルを含むバイアレリックマーカーにも関するものである。
PCTA-1関連バイアレリックマーカーという用語は、A1〜A125で示すされるバイア
レリックマーカーを含む。本発明はまた、これらのバイアレリックマーカーのセ
ットにも関するものである。
【0224】 125個のバイアレリックマーカーを同定した。これらのマーカーには、欠失が3
、挿入が6、可変モチーフが2含まれていた。40個のバイアレリックマーカーすな
わち、A45、A54〜A56、A59〜A61、A75、A76、A85、A93〜A122がエキソン領域に
位置していた。39個のバイアレリックマーカーすなわち、A44、A46〜A53、A57〜
A58、A62〜A74、A77〜A84、A86〜A92がPCTA-1遺伝子のイントロン領域に位置し
ていた。3個のバイアレリックマーカーA123、A124およびA125が3'調節領域にあ
った。43個のバイアレリックマーカーすなわち、A1〜A43が5'調節領域に位置し
ていた。特に、このうち16個のA28〜A43はPCTA-1遺伝子のプロモーター領域にあ
った。
【0225】 エキソンのバイアレリックマーカーのうち、6つがPCTA-1タンパク質のアミノ
酸配列を変化させる。まず、バイアレリックマーカーA54は残基のチロシンかフ
ェニルアラニンのいずれかをコードする。バイアレリックマーカーA56は残基の
システインかアルギニンのいずれかをコードする。マーカーA60は残基のバリン
またはメチオニンのいずれかをコードする。マーカーA75は、残基のアスパラギ
ン酸またはチロシンのいずれかをコードする。マーカーA76は、ロイシン残基ま
たはSTOPのいずれかをコードする。最後に、バイアレリックマーカーA85は残基
のセリンまたはアルギニンのいずれかをコードする。
【0226】 本発明は、PCTA-1関連バイアレリックマーカーの多型塩基、好ましくは、A1〜
A125およびその相補体からなる群から選択されるバイアレリックマーカーの多型
塩基を含む、精製されたヌクレオチド配列および/または単離されたヌクレオチ
ド配列にも関するものである。この配列は、8〜1000ヌクレオチド長であり、好
ましくは、配列番号1、2、3、4からなる群から選択されるヌクレオチド配列の連
続した少なくとも8、10、12、15、18、20、25、35、40、50、60、70、80、100、
250、500または1000ヌクレオチド(かかる長さが特定の配列と矛盾しないものと
する)またはその変異体または相補配列を含む。これらの核酸配列は、考慮対象
のバイアレリックマーカーのアレル1またはアレル2のいずれかの多型塩基を含む
。任意に、前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌクレオチドの中心から6、5
、4、3、2または1ヌクレオチドの位置にあってもよく、あるいは前記ポリヌクレ
オチドの中心にあってもよい。任意に、前記連続した範囲の3'末端が前記ポリヌ
クレオチドの3'末端に存在してもよい。任意に、バイアレリックマーカーが前記
ポリヌクレオチドの3'末端に存在してもよい。任意に、前記ポリヌクレオチドの
3'末端が、前記配列のPCTA-1関連バイアレリックマーカー内またはかかるマーカ
ーの少なくとも2、4、6、8、10、12、15、18、20、25、50、100、250、500また
は1000ヌクレオチド上流に位置していてもよい。任意に、前記配列の前記PCTA-1
関連バイアレリックマーカーの1ヌクレオチド上流に位置していてもよい。任意
に、前記ポリヌクレオチドがさらに標識を有していてもよい。任意に、前記ポリ
ヌクレオチドが固相に結合可能なものであってもよい。さらに他の実施形態では
、上記にて定義したポリヌクレオチドを単独または組み合わせで使用することが
できる。
【0227】 好ましい実施形態では、表2に示すバイアレリックマーカーのうち1つの多型塩
基を含む配列が、単位複製配列として表1に示す配列またはその変異体またはそ
の相補配列のうち1つを含むポリヌクレオチドの連続スパンを含む、このポリヌ
クレオチドからなる、このポリヌクレオチドに含まれる、あるいはこのポリヌク
レオチドを含む、ヌクレオチド配列からなる群から選択される。
【0228】 本発明はさらに、PCTA-1タンパク質をコードする核酸であって、A1〜A125およ
びその相補体からなる群から選択されるバイアレリックマーカーの多型塩基を含
む、前記核酸に関するものである。
【0229】 また、本発明は、PCTA-1遺伝子の配列に位置するバイアレリックマーカーを定
義する配列を含む、精製されたヌクレオチド配列および/または単離されたヌク
レオチド配列にも関するものである。バイアレリックマーカーを定義する配列が
、配列P1〜P125のうちのいずれか1つまたはその相補配列の多型塩基を含むと好
ましい。いくつかの実施形態では、バイアレリックマーカーを定義する配列が、
P1〜P125からなる群から選択される配列、多型塩基を含むそのフラグメントまた
はその変異体またはその相補配列のうち1つを含む。
【0230】 本発明はまた、上記にて定義した精製および/または単離された核酸配列のセ
ットに関する。特に、精製されたヌクレオチド配列および/または単離されたヌ
クレオチド配列のセットは、PCTA-1遺伝子の配列に位置するバイアレリックマー
カーの組み合わせを定義する配列のグループを含み、好ましくは、前記バイアレ
リックマーカーまたはその組み合わせのアレルが、前立腺癌、前立腺癌腫瘍の攻
撃性レベル、またはPCTA-1遺伝子の発現レベルと関連したものである。
【0231】 好ましい実施形態では、本発明は、精製されたヌクレオチド配列および/また
は単離されたヌクレオチド配列のセットであって、各配列が、PCTA-1遺伝子の配
列に位置するバイアレリックマーカーを定義する配列を含み、バイアレリックマ
ーカーを定義する配列の約30〜100%、好ましくは約40〜60%、さらに好ましくは5
0〜60%が、P1〜P125からなる群またはそのフラグメントまたはその変異体または
その相補配列から選択され、前記フラグメントが多型塩基を含むことを特徴とす
る前記セットに関するものである。
【0232】 特に、本発明は、精製されたヌクレオチド配列および/または単離されたヌク
レオチド配列のセットであって、各配列が、PCTA-1遺伝子の配列に位置する異な
るバイアレリックマーカーを定義する配列を含み、前記バイアレリックマーカー
は、ヌクレオチド配列P1〜P125のうち1つまたはその相補配列に含まれているか
、好ましくはPCTA-1遺伝子の配列に位置するバイアレリックマーカー、さらに好
ましくはバイアレリックマーカーA1〜A125およびその相補体であるか、および/
またはマーカーA1〜A125のうち1つと連鎖不平衡状態にある。
【0233】 本発明はまた、P1〜P125からなる群から選択される少なくとも2、好ましくは4
、5、6、7、8またはそれ以上のヌクレオチド配列、または多型塩基を含むそのフ
ラグメントまたはその変異体またはその相補配列のセットにも関するものである
【0234】 本発明はさらに、P1〜P125からなる群から選択されるヌクレオチド配列または
多型塩基を含むそのフラグメントまたはその変異体またはその相補配列に関する
【0235】 また、本発明は、PCTA-1関連バイアレリックマーカーの1つまたはそれ以上の
ヌクレオチドの同一性を判定するのに任意のポリヌクレオチドを使用すること、
またはこの判定に使用するための任意のポリヌクレオチドにも関する。また、PC
TA-1関連バイアレリックマーカーの1つまたはそれ以上のヌクレオチドの同一性
を判定するのに使用される本発明のポリヌクレオチドは、本願明細書で開示した
いずれかの限定事項のあるポリヌクレオチド、あるいは単独または組み合わせで
特定される下記のポリヌクレオチドを包含する。任意に、前記PCTA-1関連バイア
レリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連
鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、
前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A46〜A53、A57、A58、A62
〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A125ならびにその相補体
、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーから
なる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A45
、A54、A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109、A110、A114お
よびA122ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にある
バイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイ
アレリックマーカーが、A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A108、A111〜A113、A
115〜A117およびA119〜A121ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連
鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、
前記ポリヌクレオチドは本願明細書にて開示する配列を含んでもよい。任意に、
前記ポリヌクレオチドは、本願明細書に記載されている任意のポリヌクレオチド
からなる、または実質的にこれからなるものであってもよく、任意に、前記判定
は、ハイブリダイゼーションアッセイ、シークエンシングアッセイ、マイクロシ
ークエンシングアッセイ、または酵素ベースのミスマッチ検出アッセイによって
実施できる。好ましいポリヌクレオチドは、PCTA-1関連バイアレリックマーカー
のヌクレオチドの同一性を判定するハイブリダイゼーションアッセイに使用でき
る。他の好ましいポリヌクレオチドは、PCTA-1関連バイアレリックマーカーのヌ
クレオチドの同一性を判定するシークエンシングアッセイまたはマイクロシーク
エンシングアッセイに使用できる。第3の好ましいポリヌクレオチドは、PCTA-1
関連バイアレリックマーカーのヌクレオチドの同一性を判定する酵素ベースのミ
スマッチ検出アッセイに使用できる。第4の好ましいポリヌクレオチドは、PCTA-
1関連バイアレリックマーカーを含むヌクレオチドセグメントの増幅に使用でき
る。任意に、上述したポリヌクレオチドのいずれか1つを、固相支持体、アレイ
またはアドレス指定可能なアレイに結合してもよく、任意に、前記ポリヌクレオ
チドを標識してもよい。
【0236】 また、本発明は、PCTA-1関連バイアレリックマーカーを含むヌクレオチドセグ
メントの増幅に任意のポリヌクレオチドを使用すること、またはこの増幅のため
の任意のポリヌクレオチドを包含する。また、PCTA-1関連バイアレリックマーカ
ーを含むヌクレオチドセグメントの増幅に使用するための本発明のポリヌクレオ
チドは、本願明細書で開示したいずれかの限定事項のあるポリヌクレオチド、あ
るいは単独または組み合わせで特定されるポリヌクレオチドを包含する。任意に
、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体、ある
いは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群
から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A
46〜A53、A57、A58、A62〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A
125ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイ
アレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレ
リックマーカーが、A45、A54、A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A10
6、A109、A110、A114およびA122ならびにその相補体、あるいは任意に、これら
と連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意
に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A55、A56、A59、A92、A94〜A10
1、A108、A111〜A113、A115〜A117およびA119〜A121ならびにその相補体、ある
いは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群
から選択され、任意に、前記ポリヌクレオチドは本願明細書にて開示する配列を
含んでもよい。任意に、前記ポリヌクレオチドは、本願明細書に記載の任意のポ
リヌクレオチドからなる、または実質的にこれからなるものであってもよい。任
意に、前記増幅をPCRまたはLCRによって行ってもよい。任意に、前記ポリヌクレ
オチドを固相支持体、アレイまたはアドレス指定可能なアレイに結合してもよい
。任意に、前記ポリヌクレオチドを標識してもよい。
【0237】 従来技術において周知のいずれかの方法に対して、ここに開示された配列から
本発明のバイアレリックマーカーを含むポリヌクレオチドの増幅またはシークエ
ンシング反応用のプライマーを設計してもよい。プライマーの好ましいセットは
、配列番号1、2、3、4からなる群から選択される配列またはその相補配列または
その変異体に対して同一性を持つ連続スパンの3'末端が、プライマーの3'末端に
存在するように作られたものである。このような配置によって、プライマーの3'
末端を選択した核酸配列とのハイブリダイズが可能になり、プライマーの増幅反
応効率またはシークエンシング反応効率が劇的に高くなる。バイアレリックマー
カーの多型塩基が連続した範囲の3'末端に位置し、この連続した範囲がプライマ
ーの3'末端に存在するように、アレル特異的プライマーを設計してもよい。この
ようなアレル特異的プライマーは、バイアレリックマーカーに存在する2つのア
レルのうち一方を含む核酸試料と併用する限りにおいて、増幅反応またはシーク
エンシング反応を選択的に刺激しやすいものである。本発明のプライマーの3'末
端は、前記配列のPCTA-1関連バイアレリックマーカー内またはこのPCTA-1関連バ
イアレリックマーカーの少なくとも2ヌクレオチド、4ヌクレオチド、6ヌクレオ
チド、8ヌクレオチド、10ヌクレオチド、12ヌクレオチド、15ヌクレオチド、18
ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレ
オチド、250ヌクレオチド、500ヌクレオチドまたは1000ヌクレオチド上流、ある
いはシークエンシングや増幅における意図した用途に適した他の任意の位置また
は新規な配列またはマーカーに位置する。したがって、増幅プライマーの他の好
ましいセットは、実質的に、配列番号1、2、3および4からなる群から選択される
配列の8〜50ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補配列またはその変異体か
らなる単離されたポリヌクレオチドであって、前記連続スパンの3'末端が前記ポ
リヌクレオチドの3'末端に位置し、前記ポリヌクレオチドの3'末端が前記配列中
のPCTA-1関連バイアレリックマーカーの上流に位置する。好ましくは、これらの
増幅プライマーは、配列B1〜B47およびC1〜C47からなる群から選択される配列を
含む。3'末端がPCTA-1のバイアレリックマーカーの1ヌクレオチド上流に位置す
るプライマーには、マイクロシークエンシングアッセイで特別な用途がある。好
ましいマイクロシークエンシングプライマーを表4に示す。任意に、前記PCTA-1
関連バイアレリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、
これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され
、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A46〜A53、A57
、A58、A62〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A125ならびに
その相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマ
ーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカ
ーが、A45、A54、A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109、A11
0、A114およびA122ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡
状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA
-1関連バイアレリックマーカーが、A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A108、A11
1〜A113、A115〜A117およびA119〜A121ならびにその相補体、あるいは任意に、
これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され
、任意に、マイクロシークエンシングプライマーは、ヌクレオチド配列D1〜D125
およびE1〜E125からなる群から選択される。さらに好ましいマイクロシークエン
シングプライマーは、ヌクレオチド配列D15、D24、D30、D34、D36、D38、D41、D
44、D50、D53、D54、D56、D57、D59、D76、D85、D93、D108、D111、D115、D124
、E11、E14、E22、E25、E26、E35、E42、E52、E53、E55、E56、E60、E61、E64、
E73、E75、E93、E96からなる群から選択される。
【0238】 本発明のプローブは、ここに開示の配列から従来技術において周知のいずれの
方法に対して設計することもでき、特に、本願明細書に開示のマーカーが存在す
る場合の試験が可能な方法に対して設計することができる。好ましいプローブの
セットを、どのような特定のアッセイ条件の組み合わせであってもバイアレリッ
クマーカーの一方のアレルに選択的に結合するが、他方のアレルには結合しない
ように本発明のハイブリダイゼーションアッセイにおいて周知の方法で使用でき
るように設計してもよい。好ましいハイブリダイゼーションプローブは、考慮対
象のバイアレリックマーカーのアレル1またはアレル2の多型塩基を含む。任意に
、前記バイアレリックマーカーは、ハイブリダイゼーションプローブの中心から
6、5、4、3、2または1ヌクレオチドの位置または前記プローブの中心にあっても
よい。好ましい実施形態では、配列P1〜P125およびその相補配列からなる群でプ
ローブを選択する。
【0239】 本発明のポリヌクレオチドは、配列表に列挙した多型塩基を取り囲む正確なフ
ランキング配列を含むものに限定されるものではないことに注意されたい。それ
どころか、バイアレリックマーカーを取り囲むフランキング配列を意図した用途
に合わせて任意の度合いで伸長または短縮するが、本発明では特にこのような配
列も念頭においていることを理解されたい。連続スパンの外にあるフランキング
領域は、ヒトの被検体に実際に発生するネイティブフランキング配列と相同であ
る必要はない。用途が想定されたヌクレオチドと適合する任意のヌクレオチド配
列を付加することが特に考慮される。
【0240】 「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」の部分で説明するように、
プライマーおよびプローブを標識したり、あるいは固相支持体に固定化したりし
てもよい。
【0241】 固相支持体に結合する本発明のポリヌクレオチドは、本願明細書の開示内容に
記載の限定事項のあるポリヌクレオチド、あるいは単独または組み合わせで特定
される下記のポリヌクレオチドを包含する。任意に、前記ポリヌクレオチドを、
単独でまたは少なくとも2、5、8、10、12、15、20または25の本発明の異なるポ
リヌクレオチドで構成されるグループで単一の固相支持体に結合させてもよい。
任意に、本発明のポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドを、本発明のポリヌ
クレオチドと同一の固相支持体に結合させてもよい。任意に、多数のポリヌクレ
オチドを固相支持体に結合させる場合、これらのポリヌクレオチドを無作為に定
まる位置に結合させてもよいし、順序の決まったアレイで結合させてもよい。任
意に、前記順序の決まったアレイがアドレス指定可能なものであってもよい。
【0242】 本発明は、1種またはそれ以上の本発明のポリヌクレオチドと、必要な試薬の
一部またはすべてと、PCTA-1関連バイアレリックマーカーにおけるヌクレオチド
の同一性を判断することによって被検体の遺伝子型を判定するための指示書とを
含む診断用キットも包含する。キットに含まれるポリヌクレオチドは、任意に、
固相支持体に結合されていてもよく、あるいは、ポリヌクレオチドのアレイの一
部であるかまたはアドレス指定可能なアレイであってもよい。このキットでは、
シークエンシングアッセイ法、マイクロシークエンシングアッセイ法、ハイブリ
ダイゼーションアッセイ法または酵素ベースのミスマッチ検出アッセイ法を含む
がこれに限定されるものではない従来技術で周知のいずれかの方法で、マーカー
位置におけるヌクレオチドの同一性を判定することができる。
【0243】 新規なバイアレリックマーカー同定方法 ゲノムフラグメントを単一ヌクレオチド多型についてスクリーニングする際に
は、オリゴヌクレオチドプローブとのディファレンシャルハイブリダイゼーショ
ン、ゲル電気泳動で測定される移動度の変化の検出または増幅した核酸の直接シ
ークエンシングなど、多種多様ある方法のうちどれを使用してもよい。バイアレ
リックマーカーを同定するための好ましい方法は、血縁のない適当数の個体に由
来するゲノムDNAフラグメントの比較シークエンシングを必要とするものである
【0244】 第1の実施形態では、血縁のない個体から得たDNA試料を一緒にプールし、続い
て興味の対象となるゲノムDNAを増幅して配列決定する。このようにして得られ
た核酸配列を解析し、有意な多型を同定する。この方法の大きな利点の1つは、D
NA試料をプールすることで、実施しなければならないDNA増幅反応とシークエン
シング反応の回数が実質的に減ることにつながるという事実にある。さらに、こ
の方法は非常に感受性の高いものであるため、この方法で得られるバイアレリッ
クマーカーでは、関連性解析を行う際に有用となるあまり一般的ではないアレル
が十分な頻度を示すのが普通である。
【0245】 第2の実施形態では、DNA試料のプールを設けず、増幅とシークエンシングを個
別に行う。この方法は、候補遺伝子内での関連性解析を行うためにバイアレリッ
クマーカーの同定が必要な場合に用いると好ましいことが多い。好ましくは、プ
ロモーター領域またはエキソン領域などの極めて関係の深い遺伝子領域を、バイ
アレリックマーカーについてスクリーニングする。この方法で得られるバイアレ
リックマーカーの方が、関連性解析を行うための情報性という点で劣ることがあ
る。たとえば、頻度の低いアレルの頻度が約10%未満になることもあり得るので
ある。しかしながら、かかるバイアレリックマーカーは関連性解析を行う上では
十分に情報性のあるものであるため、このような情報性の低いバイアレリックマ
ーカーを本発明のゲノム関連性解析に含めると、場合によっては原因変異を直接
同定できることがあるが、浸透度次第では珍しい変異である可能性が残ることも
理解できよう。
【0246】 以下、本発明のバイアレリックマーカーを同定するために本願発明者らが使用
した好ましい方法の様々なパラメーターについて説明する。
【0247】 ゲノムDNA試料 本発明のバイアレリックマーカーを生成する上でのソースとなるゲノムDNA試
料は、民族のバックグラウンドが明らかになっている異種起源の個体群に対応す
る、血縁のない個体から得たものであると好ましい。DNA試料を得る個体の数は
、好ましくは約10〜約1000、好ましくは約50〜約200の範囲で実質的に変えるこ
とができる。通常、特定の個体群の多型性に十分な多様性を持たせ、できるだけ
多くのマーカーを同定し、かつ統計的に有意な結果を生成するためには、少なく
とも約100個体からDNA試料を集めることが好ましい。
【0248】 解析対象となるゲノムDNAのソースに関して言えば、特に制限なくどのような
被検試料でも用いることが可能である。これらの検査試料としては、本願明細書
において説明する本発明の方法によって試験可能な生物学的試料があげられる。
また、全血、血清、血漿、脳脊髄液、尿、リンパ液の他、呼吸器、腸管および泌
尿生殖器、涙、唾液、乳、白血球、骨髄腫などでのさまざまな外分泌液、細胞培
養の上澄み液などの生物学的な流体、腫瘍組織および非腫瘍組織、リンパ節組織
を含む固定組織標本、骨髄吸引液および固定細胞標本などのヒトおよび動物の体
液もあげられる。本発明に使用されるゲノムDNAの好ましいソースは、各ドナー
の辺縁末梢静脈血から採取したものである。ゲノムDNAを生物学的試料から調製
する手法は当業者間で周知である。好ましい実施形態を実施例1で詳細に説明す
る。当業者であれば、プールしたDNA試料またはプールしていないDNA試料のどち
らかを選択して増幅できる。
【0249】 DNA増幅 DNA増幅方法を用いることで、ゲノムDNA試料でのバイアレリックマーカーの同
定を容易にすることができる。増幅ステップのためにDNA試料については、プー
ルしてもプールせずにおいてもよい。DNA増幅手法は当業者間で周知である。
【0250】 本発明の文脈で使用できる増幅手法としては、EP-A-320 308、国際特許出願公
開第WO9320227号およびEP-A-439 182に記載されているリガーゼ連鎖反応(LCR)、
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR、RT-PCR)、Guatelli J. C., et al.(1990)およびCom
pton J.(1991)に記載されている核酸配列にもとづく増幅法(NASBA)、欧州特許出
願第4544610号に記載されているようなQ-β増幅、Walker et al.(1996)およびEP
A 684 315に記載されているようなSDA、国際特許出願公開第WO9322461号に記載
されているような標的増幅法などの手法があげられるが、これに限定されるもの
ではない。
【0251】 LCRおよびGap LCRは指数的増幅手法であり、いずれもDNA分子にアニールされ
た隣接プライマーを結合するDNAリガーゼに依存している。リガーゼ連鎖反応(LC
R)ではプローブ対を使用するが、これには一次(第1および第2)プローブ2本と二
次(第3および第4)プローブ2本が含まれている。すべてのプローブを標的に対し
てモル過剰な状態で使用する。第1のプローブを標的鎖の第1のセグメントとハイ
ブリダイズさせ、第2のプローブと標的鎖の第2のセグメントをハイブリダイズさ
せる。第1のセグメントと第2のセグメントが連続しているため、一次プローブは
5'ホスフェート-3'ヒドロキシルの関係で互いに隣接し、リガーゼは2本のプロー
ブと共有結合的に融合すなわち連結して融合産物となることができる。また、第
3の(二次)プローブは第1のプローブの一部にハイブリダイズすることが可能であ
り、第4の(二次)プローブは同様の隣接方法で第2のプローブの一部にハイブリダ
イスすることができる。もちろん、標的が最初に二本鎖である場合は、二次プロ
ーブを第1の例で標的相補体にハイブリダイズさせる。一次プローブの連結鎖が
標的鎖から分離した後、第3および第4のプローブとハイブリダイズされるが、こ
れを連結すれば相補的な二次結合産物が得られる。連結産物は機能的に標的また
はその相補体に相当するものだということを理解するのは重要なことである。ハ
イブリダイゼーションと連結のサイクルを繰り返すことで、標的配列を増幅する
ことができる。複合的なLCR法については、すでに説明がなされている(国際特許
出願公開第WO9320227)。Gap LCR(GLCR)は、プローブ同士が隣接しているのでは
なく、2〜3塩基分だけ離れた状態で行われるLCRである。
【0252】 mRNAの増幅について見ると、mRNAをcDNAに逆転写し、続いてポリメラーゼ連鎖
反応(RT-PCR)を行うこと、米国特許第5,322,770号に記載されているように両方
のステップに1つの酵素を用いること、あるいはMarshall et al.(1994)に記載さ
れているように非対称Gap LCR(RT-AGLCR)を使用することは、いずれも本発明の
範囲内である。AGLCRはGLCRに手を加えてRNAの増幅を可能にしたものである。
【0253】 PCRテクノロジーは、本発明で用いられる好ましい増幅手法である。さまざま
なPCR手法が当業者間で周知である。PCRテクノロジーについては、White(1997)
および「PCR Methods and Applications」というタイトルの刊行物(1991、Cold
Spring Harbor Laboratory Press)を参照のこと。これらのPCR手順の各々で、増
幅対象となる核酸配列の片側のPCRプライマーを、dNTPおよびTaqポリメラーゼ、
PfuポリメラーゼまたはVentポリメラーゼなどの熱安定性ポリメラーゼと共に、
適宜調製した核酸試料に付加する。試料中の核酸を変性させ、PCRプライマーを
試料中の相補核酸配列に特異的にハイブリダイズさせる。ハイブリダイズ後のプ
ライマーを伸長させる。その後、修飾、ハイブリダイゼーションおよび伸長をも
う1サイクル開始する。このサイクルを複数回繰り返し、プライマー部位間に核
酸配列のある増幅フラグメントを作出する。PCRについては、米国特許第4,683,1
95号、同第4,683,202号および同第4,965,188号をはじめとするいくつかの特許に
も説明されている。
【0254】 PCRテクノロジーは、新しいバイアレリックマーカーの同定に使用される好ま
しい増幅手法である。本発明の目的に適したPCR反応の代表例を実施例2に示す。
【0255】 本発明の一態様は、好ましくはPCRテクノロジーを用いて行う、被検試料にお
けるヒトPCTA-1遺伝子、特に配列番号1のゲノム配列のフラグメントまたは配列
番号2、3、4、8のcDNA配列、あるいはそのフラグメントまたはその変異体の増幅
方法である。この方法は、 a) 被検試料と、上述したような増幅プライマーの対を含み、増幅対象となる
ポリヌクレオチド領域のいずれかの側に位置する増幅反応試薬とを接触させ、 b) 任意に、増幅産物を検出するステップと、を含む。
【0256】 本発明はまた、被検試料におけるPCTA-1遺伝子配列、特に配列番号1のゲノム
配列または配列番号2、3、4、9のcDNA配列の一部、あるいはその変異体を増幅す
るためのキットであって、 a) 幅対象となるPCTA-1領域のいずれかの側に位置するオリゴヌクレオチドプ
ライマーの対と、 b) 任意に、増幅反応に必要な試薬と、を含むキットにも関する。
【0257】 上記の増幅方法およびキットの一実施形態では、増幅領域に対して相補な配列
を有する標識プローブとのハイブリダイゼーションによって増幅産物を検出する
。上記の増幅方法およびキットのもう1つの実施形態では、プライマーが、ヌク
レオチド配列B1〜B47、C1〜C47、D1〜D125およびE1〜E125からなる群から選択さ
れる配列を含む。
【0258】 本発明の第1の実施形態では、本願発明者らによって生成されたゲノム配列情
報を使用して、バイアレリックマーカーを同定する。配列決定後のゲノムDNAフ
ラグメントを使用して、500bpのフラグメント増幅用のプライマーを設計する。
これらの500bpのフラグメントをゲノムDNAから増幅し、バイアレリックマーカー
でスキャンする。OSPソフトウェア(Hillier L.およびGreen P.、1991)を用いて
プライマーを設計してもよい。いずれのプライマーも、シークエンシングプライ
マーとして機能する共通のオリゴヌクレオチド尾を特定の標的塩基の上流に含む
ものであってもよい。当業者であれば、こうした目的で利用できるプライマー伸
長物に馴染みがあるであろう。
【0259】 候補遺伝子をコードするゲノム配列の増幅に有用な好ましいプライマーとして
は、遺伝子のプロモーター、エキソンおよびスプライス部位に的が絞られる。遺
伝子のこうした機能的領域に位置すると、バイアレリックマーカーが最終的に原
因変位をとげる確率が高くなる。本発明の好ましい増幅プライマーは、実施例2
および表1にさらに詳細に示す、ヌクレオチド配列B1〜B47およびC1〜C47を含む
【0260】 増幅したゲノムDNAのシークエンシングと単一ヌクレオチド多型の同定 次に、上述したようにして生成した増幅産物の配列を、当業者が容易に利用で
きる周知の何らかの方法で決定する。ジデオキシ法(サンガー法)またはマキサム
・ギルバート法のいずれかを用いたDNAのシークエンシング方法は当業者間で周
知である。かかる方法は、たとえば、Sambrook et al.(1989)に開示されている
。別の方法としては、Chee et al.(1996)に記載されているような高密度DNAプロ
ーブ配列へのハイブリダイゼーションがあげられる。
【0261】 好ましくは、染料プライマーサイクルシークエンシングプロトコルを使用して
、増幅したDNAで自動ジデオキシターミネーターシークエンシング反応を行う。
シークエンシング反応での反応産物をシークエンシングゲルに仕込み、ゲル画像
解析によって配列を求める。多型探査は、同一の位置に異なる塩基が発生すると
泳動パターンのピークに重畳が見られることを利用して行われる。各ジデオキシ
ターミネーターには異なる蛍光分子で標識がしてあるため、バイアレリック部位
に対応する2つのピークが配列上の同一位置にある2つの異なるヌクレオチドに対
応する別の色として現れる。しかしながら、2つのピークが存在するのは自然放
射によるノイズが原因のアーチファクトの可能性もある。このようなアーチファ
クトを排除するために、2つのDNA鎖を配列決定し、ピークとの比較を実施する。
多型配列として登録されるためには、両方の鎖で多型が検出される必要がある。
【0262】 上述した手順によって、バイアレリックマーカーを含む増幅産物を同定するこ
とができる。100の個体で構成されるシークエンシングプールによって検出され
るバイアレリック多型頻度の検出限界を既知のアレル頻度のシークエンシングプ
ールで確認したところ、マイナーなアレルで約0.1である。しかしながら、プー
リング法によって検出されたバイアレリック多型のうち90%を超える多型では、
マイナーアレルの頻度が0.25を上回っている。したがって、この方法で選択した
バイアレリックマーカーの頻度は、マイナーアレルで少なくとも0.1、メジャー
アレルで0.9未満である。好ましくは、マイナーアレルで少なくとも0.2、メジャ
ーアレルで0.8未満、さらに好ましくはマイナーアレルで少なくとも0.3、メジャ
ーアレルで0.7未満である。よって、ヘテロ接合率は0.18を上回る値、好ましく
は0.32を上回る値、さらに好ましくは0.42を上回る値である。
【0263】 別の実施形態では、バイアレリックマーカーが個々のDNA試料のシークエンシ
ングによって検出され、このようなバイアレリックマーカーのマイナーアレルの
頻度は0.1未満であってもよい。
【0264】 本発明のバイアレリックマーカーの確認 個体群に両方のアレルが存在することを確認して、遺伝マーカーとしての多型
の有用性を評価する。バイアレリックマーカーの確認は、本発明の方法で個体の
グループの遺伝子型を判定し、両方のアレルが存在することを示して行う。アレ
ルの遺伝子型判定に使うものとしては、マイクロシークエンシングが好ましい方
法である。遺伝子型判定ステップによる確認は、グループの各個体から採取した
個体試料ごとに行ってもよいし、2つ以上の個体から採取した試料のプールにつ
いて遺伝子型を判定して行ってもよい。問題のアレルに対して個体がヘテロ接合
的なものである場合には、1個体でグループを形成することもできる。好ましく
は、1つのグループに少なくとも3個体が含まれるようにし、さらに好ましくは1
つのグループに5個体または6個体が含まれるようにする。これによって、1回の
確認試験で試験対象となるバイアレリックマーカー2つ以上を確認できることが
多いためである。しかしながら、確認試験を行う対象が小さなグループの場合、
サンプリングエラーが原因で被検個体のいずれにも2つのアレルがなかった場合
に、偽の負の結果となってしまうことがある。したがって、配列内の特定の位置
に真のバイアレリックマーカーがあることを示す場合よりも、特定の最初の結果
がアーチファクトであるということを示す上で確認プロセスの有用性が落ちてし
まう。本発明の遺伝子型判定法、ハプロタイプ判定法、関連性解析法および相互
作用解析法はいずれも、任意に、有用性が確認できたバイアレリックマーカーを
用いて単独で実施できるものである。
【0265】 本発明のバイアレリックマーカーの頻度の評価 バイアレリックマーカー部位における最小共通アレルの頻度を決定することに
より、有効なバイアレリックマーカーの遺伝マーカーとしての有用性をさらに評
価する。あまり一般的ではないアレルの頻度が高くなればなるほど、関連性解析
および相互作用解析でのバイアレリックマーカーの有用性は高くなる。最小共通
アレルの決定は、本発明の方法で個体のグループの遺伝子型を判定し、両方のア
レルが存在することを示して行う。遺伝子型判定ステップによる頻度判断は、グ
ループの各個体から採取した個体試料ごとに行ってもよいし、2つ以上の個体か
ら採取した試料のプールについて遺伝子型を判定して行ってもよい。このグルー
プの大きさは、全体が個体群を代表できるだけのものでなければならない。好ま
しくは、このグループには少なくとも20個体が含まれ、さらに好ましくはグルー
プには少なくとも50個体が含まれ、最も好ましくはグループには少なくとも100
個体が含まれる。もちろん、グループが大きくなればなるほどサンプリングエラ
ーが減るため、頻度決定の精度も高くなる。本発明の特定のバイアレリックマー
カーの共通性が低いアレルの頻度については、表2を参照のこと。あまり一般的
ではないアレルの頻度が30%以上のバイアレリックマーカーを「高品質バイアレ
リックマーカー」とする。本発明の遺伝子型判定法、ハプロタイプ判定法、関連
性解析法および相互作用解析法はいずれも、任意に、高品質バイアレリックマー
カーを用いて単独で実施できるものである。
【0266】 バイアレリックマーカーで個体の遺伝子型を判定する方法 本発明の1種またはそれ以上のバイアレリックマーカーでの遺伝子型を生物学
的試料で判定するための方法が得られる。これらの方法はいずれも、in vitroに
て行うことのできるものである。かかる遺伝子型判定方法は、従来技術において
周知の手法でPCTA-1バイアレリックマーカー部位でのヌクレオチドの同一性を判
断することを含む。これらの方法には、関連性解析時の遺伝子型判定症例-対照
個体群での用途の他、特定の形質に関連していることが知られているバイアレリ
ックマーカーのアレルを検出する状況で用途がある。いずれの場合も、個体のゲ
ノム中に含まれるバイアレリックマーカーの両方のコピーを判断し、個体が特定
のアレルについてホモ接合性であるかヘテロ接合性であるかを判断することがで
きる。
【0267】 これらの遺伝子型判定方法は、単一の個体またはプールしたDNA試料から得た
核酸試料で行うことができる。
【0268】 バイアレリックマーカーの同定について上述した方法と同様の方法を用いて、
あるいは後述するような他の遺伝子型判定方法を用いて、遺伝子型判定を行うこ
とができる。好ましい実施形態では、異なる個体から採取して増幅したゲノムフ
ラグメントの配列同士を比較し、新しいバイアレリックマーカーを同定するが、
診断や関連性解析での用途で既知のバイアレリックマーカーの遺伝子型を判定す
る場合はマイクロシークエンシングを使用する。
【0269】 一実施形態では、本発明は、生物学的試料においてPCTA-1関連バイアレリック
マーカーまたはその相補体のヌクレオチドの同一性を判定することを含む、遺伝
子型判定方法であって、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1
〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイ
アレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレ
リックマーカーが、A1〜A44、A46〜A53、A57、A58、A62〜A76、A81、A82、A86〜
A91、A107、A118およびA123〜A125ならびにその相補体、あるいは任意に、これ
らと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任
意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A45、A54、A60、A61、A77〜A
80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109、A110、A114およびA122ならびにその相
補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカー
からなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、
A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A108、A111〜A113、A115〜A117およびA119〜A
121ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイ
アレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記生物学的試料が、単
一の被検体に由来するものであり、任意に、前記バイアレリックマーカーのヌク
レオチドの同一性を前記個体のゲノムに存在する前記バイアレリックマーカーの
両コピーについて判定し、任意に、前記生物学的試料が、複数の被検体に由来す
るものであり、任意に、本発明の遺伝子型判定方法は、本願明細書で開示したい
ずれかの限定事項のある方法、あるいは単独または組み合わせで特定される下記
の方法を包含し、任意に、前記判定ステップの前に、バイアレリックマーカーを
含む前記配列の一部を増幅するステップをさらに含み、任意に、前記増幅を、PC
R、LCR、または宿主細胞に複製開始領域および前記フラグメントを含む組換えベ
クターの複製によって行い、任意に、前記判定を、ハイブリダイゼーションアッ
セイ、シークエンシングアッセイ、マイクロシークエンシングアッセイまたは酵
素ベースのミスマッチ検出アッセイによって行う、前記方法を包含する。
【0270】 遺伝子型判定対象核酸のソース 所望の特異核酸配列を含んでいることが明らかであるか、あるいはその疑いが
認められるのであれば、精製状態または非精製状態のどのような核酸ソースでも
起始核酸として使用できる。上述したように、細胞、組織、体液などからDNAま
たはRNAを抽出すればよい。本発明の遺伝子型判定方法に用いられる核酸はどの
ような哺乳動物ソース由来のものであってもよいものではあるが、核酸試料を採
取する被検体および個体は一般にヒトであると理解される。
【0271】 バイアレリックマーカーを含むDNAフラグメントの増幅 本発明によるバイアレリックマーカーを1種またはそれ以上含むヌクレオチド
セグメントを増幅するための方法およびポリヌクレオチドが得られる。バイアレ
リックマーカーを含むDNAフラグメントの増幅は、さまざまな方法や目的で利用
されるものであり、遺伝子型判定に限定されるものではないことは理解できよう
。ただし、すべてではないとはいえ多くの遺伝子型判定法では、興味の対象とな
っているバイアレリックマーカーを含むDNA領域をあらかじめ増幅しておく必要
がある。このような方法によって、バイアレリックマーカーにわたっているか、
あるいはこれに対して遠位または近位にある部位と配列とを含む配列の濃度また
は総数が明らかに増す。診断アッセイでも本発明のバイアレリックマーカーを持
つDNAセグメントの増幅に依存する場合がある。DNAの増幅は従来技術において周
知のいずれかの方法で行えばよい。増幅手法については、上記「DNA増幅」の項
にて説明したとおりである。
【0272】 また、本発明は、好ましくは本発明の文脈において同定される多型塩基または
そのフラグメントまたは変異体を被験試料に少なくとも1つを含む、PCTA-1遺伝
子領域を増幅するための方法にも関する。この方法は、標的PCTA-1遺伝子配列ま
たはそのフラグメントを含む疑いのある被験試料と、好ましくは多型塩基のいず
れかの側に位置する、増幅プライマーの対を含む増幅反応試薬とを接触させるス
テップを含む。好ましい増幅プライマーは、B1〜B47およびC1〜C47からなる。こ
の方法はさらに、増幅産物を検出するステップを含んでもよい。たとえば、単位
複製配列の内部領域とハイブリダイズ可能な検出プローブを用いて増幅産物を検
出してもよい。いくつかの実施形態では、配列P1〜P125およびその相補配列のう
ちの1つに多型塩基が含まれる。
【0273】 後述するように、これらの増幅方法の中には、単一ヌクレオチド多型の検出に
特に適しており、標的配列の増幅と多型ヌクレオチドの同定を同時に行うことの
できるものがある。
【0274】 バイアレリックマーカーを上述したようにして同定することで、本発明のバイ
アレリックマーカーを含むDNAフラグメントを増幅するためのプライマーとして
利用可能な適切なオリゴヌクレオチドを設計できる。増幅は、もともと本願明細
書に記載の新規なバイアレリックマーカーの発見に使用していたプライマーか、
あるいは本発明のバイアレリックマーカーを含むDNAフラグメントの増幅が可能
な任意のプライマーのセットを用いて行うことができる。
【0275】 いくつかの実施形態では、本発明によって、本発明のバイアレリックマーカー
1種またはそれ以上を有するDNAフラグメントを増幅するためのプライマーが得ら
れる。好ましい増幅プライマーを実施例2に列挙する。列挙したプライマーはご
く一例であり、1つまたはそれ以上の本発明のバイアレリックマーカーを含む増
幅産物を産生する他のどのようなプライマーセットも使用できることは理解でき
よう。
【0276】 増幅対象となるセグメントの長さはプライマー間の間隔によって決まる。本発
明の文脈では、バイアレリックマーカーを持つ増幅セグメントは大きさが少なく
とも約25bp〜35kbpであるとよい。25〜3000bpの増幅フラグメントが一般的であ
り、50〜1000bpのフラグメントが好ましく、100〜600bpのフラグメントが極めて
好ましい。バイアレリックマーカー用の増幅プライマーは、マーカーを含むDNA
フラグメントの特異的な増幅が可能なものであれば、どのような配列であっても
よいことは理解できよう。「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」で
説明したように、増幅プライマーを標識または固相支持体に固定化してもよい。
【0277】 バイアレリックマーカーでのDNA試料の遺伝子型判定方法 従来技術において周知の適当な方法を用いて、バイアレリックマーカー部位に
存在するヌクレオチドを同定することができる。検出対象となるバイアレリック
マーカーアレルが同定され、本発明において具体的に明記されているため、この
検出は、当業者であればさまざまな手法のうち適当なものを用いて実施できる単
純なものである。多くの遺伝子型判定方法では、興味の対象となっているバイア
レリックマーカーを持つDNA領域をあらかじめ増幅しておく必要がある。現時点
では標的またはシグナルを増幅するのが好ましいが、超高感受性で増幅を必要と
しない方法も本遺伝子型判定方法に包含される。バイアレリック多型の検出に利
用することのできる当業者間で周知の方法としては、従来のドットブロット解析
、Orita et al.(1989)に記載されている一本鎖コンフォーメーション多型解析(S
SCP)、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)、ヘテロ二本鎖解析、ミスマッチ切断
検出、Sheffield et al.(1991)、White et al.(1992)、Grompe et al.(1989およ
び1993)に記載されている他の従来の手法があげられる。特定の多型部位に存在
するヌクレオチドの同一性を判定するためのもう1つの方法に、米国特許第4,656
,127に記載されているような特別なエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体
を用いるものがある。
【0278】 好ましい方法では、シークエンシングアッセイ、酵素ベースのミスマッチ検出
アッセイまたはハイブリダイゼーションアッセイによって、バイアレリックマー
カー部位に存在するヌクレオチドの同一性を直接判定する。いくつかの好ましい
方法について以下に述べる。極めて好ましい方法はマイクロシークエンシング法
である。「シークエンシング」という用語は、本願明細書では主に、二重鎖プラ
イマー/鋳型錯体のポリメラーゼ伸展を意味し、従来のシークエンシングとマイ
クロシークエンシングの両方を含むものとする。
【0279】 1) シークエンシングアッセイ シークエンシング法によって多型部位に存在するヌクレオチドを判定すること
ができる。好ましい実施形態では、シークエンシングの前に上述したようにして
DNA試料をPCR増幅する。DNAシークエンシング法については、「増幅したゲノムD
NAのシークエンシングと単一ヌクレオチド多型の同定」に記載してある。
【0280】 好ましくは、染料プライマーサイクルシークエンシングプロトコルを使用して
、増幅したDNAで自動ジデオキシターミネーターシークエンシング反応を行う。
配列解析によって、バイアレリックマーカー部位に存在する塩基を同定すること
ができる。
【0281】 2) マイクロシークエンシングアッセイ マイクロシークエンシング法では、単一ヌクレオチドプライマー伸展反応によ
って標的DNAの多型部位にあるヌクレオチドを検出する。この方法は、標的核酸
の興味の対象となっている多型塩基のすぐ上流でハイブリダイズされる適切なマ
イクロシークエンシングプライマーを必要とするものである。ポリメラーゼを使
用して、多型部位のヌクレオチドと相補な1つのシングルddNTP(鎖ターミネータ
ー)でプライマーの3'末端を特異的に伸展させる。次に、組み込まれたヌクレオ
チドの同一性を適当な方法で判定する。
【0282】 一般に、マイクロシークエンシング反応は蛍光ddNTPを用いて行われ、伸展さ
れたマイクロシークエンシングプライマーをABI 377シークエンシング装置での
泳動によって解析し、EP 412 883(その開示内容全体を本願明細書に援用する)に
記載されているようにして取り込まれたヌクレオチドの同一性を判定する。ある
いは、キャピラリー泳動を用いてさらに多数のアッセイを同時に行うようにする
こともできる。本発明の文脈で使用可能な代表的なマイクロシークエンシング手
順の一例を実施例4に示す。
【0283】 ddNTPの標識および検出には異なる方法を使用することができる。Chen and Kw
ok(1997)およびChen et al.(1997)に、蛍光共鳴エネルギー移動を利用したホモ
ジニアス検出法が説明されている。この方法では、多型部位を含む増幅ゲノムDN
Aフラグメントを、アレル染料標識ジデオキシリボヌクレオシドトリホスフェー
トおよび修飾Taqポリメラーゼの存在下、5'-フルオレセイン標識プライマーでイ
ンキュベートする。鋳型に存在するアレルに特異な染料ターミネーターによって
、染料標識プライマーを1塩基分だけ伸展させる。遺伝子型判定反応の終了時、
反応混合物における2種類の染料の蛍光強度を、分離または精製などの処理を行
わずに直接解析する。これらのステップはいずれも同一のチューブで行うことが
できるものであり、蛍光の変化をリアルタイムに監視できる。あるいは、伸展し
たプライマーをMALDI-TOF質量スペクトロメトリによって解析してもよい。マイ
クロシークエンシングプライマーに加わった質量によって多型部位の塩基を同定
する(Haff and Smirnov, 1997を参照のこと)。
【0284】 確立されたマイクロシークエンシング法あるいはこれに手を加えて開発または
変更したものによって、マイクロシークエンシングを行うことができる。他の選
択肢としては、いくつかの固相マイクロシークエンシング法があげられる。プラ
イマーまたは標的分子を固相支持体に固定化または捕捉するヘテロジニアス解析
で行うこと以外、基本的なマイクロシークエンシングプロトコルは先に説明した
ものと同じである。プライマーの分離と末端ヌクレオチドの付加解析を容易にす
るために、オリゴヌクレオチドを固相支持体に結合させるか、アフィニティ分離
とポリメラーゼ伸展とが可能な方法で修飾する。合成オリゴヌクレオチドの5'末
端および内部ヌクレオチドをさまざまな方法で修飾し、ビオチン化などの異なる
アフィニティ分離法を可能にすることができる。単一の親和性基をオリゴヌクレ
オチド上で使用する場合、取り込まれたターミネーターのリジェント(regent)か
らオリゴヌクレオチドを分離することができる。これによって、物理的な分別ま
たはサイズによる分別が必要なくなる。2つ以上の親和基を使用すれば、2つ以上
のオリゴヌクレオチドをターミネーター試薬から分離して同時に解析することが
できる。これによって、1回の伸展反応で複数の核酸種または一層多くの核酸配
列情報を解析することができる。親和基は必ずしも初回刺激オリゴヌクレオチド
上にある必要はなく、鋳型上にあってもよい。たとえば、ビオチン標識DNAとス
トレプトアビジン被覆マイクロ滴定ウェルまたはアビジン被覆ポリスチレン粒子
との相互作用を利用して固定化を行うことができる。同様に、オリゴヌクレオチ
ドまたは鋳型を高密度状で固相支持体に結合させてもよい。ddNTPを取り入れた
このような固相マイクロシークエンシング反応は、放射線標識可能なものであり
(Syvanen1994)、あるいは、フルオレセインに結合させることも可能である(Liva
k and Hainer, 1994)。放射線標識ddNTPの検出は、シンチレーションベースの手
法で行うことができる。フルオレセイン結合ddNTPの検出は、アルカリホスファ
ターゼと抱合した抗蛍光抗体の結合後、色素生産性基質(p-ニトロフェニルホス
フェートなど)と共にインキュベートすることを基本としている。考え得る他の
レポーター検出イオン対としては、ジニトロフェニル(DNP)に結合したddNTPと抗
DNPアルカリホスファターゼ抱合体(Harju et al., 1993)またはo-フェニレンジ
アミンを基質として用いたビオチン標識ddNTPと西洋わさびペルオキシダーゼ抱
合ストレプトアビジン(WO 92/15712)があげられる。もう1つの選択的固相マイク
ロシークエンシング手順として、Nyren et al.(1993)は、Enzymatic Luminometr
ic Inorganic Pyrophosphate Detection Assay(ELIDA)によってDNAポリメラーゼ
活性を検出することを主体とする方法について述べた。
【0285】 Pastinen et al.(1997)は、固相ミニシークエンシング原理をオリゴヌクレオ
チドアレイフォーマットに適用する単一ヌクレオチド多型の複合検出方法につい
て説明している。固相支持体(DNAチップ)に結合されたDNAプローブの高密度アレ
イについては後述する。
【0286】 一態様では、本発明によって、ポリヌクレオチドと、マイクロシークエンシン
グアッセイを行うことによって本発明のバイアレリックマーカー1種またはそれ
以上の遺伝子型を判定する方法が得られる。好ましいマイクロシークエンシング
プライマーとしては、ヌクレオチド配列D1〜D125およびE1〜E125があげられる。
さらに好ましいマイクロシークエンシングプライマーは、ヌクレオチド配列D15
、D24、D30、D34、D36、D38、D41、D44、D50、D53、D54、D56、D57、D59、D76、
D85、D93、D108、D111、D115、D124、E11、E14、E22、E25、E26、E35、E42、E52
、E53、E55、E56、E60、E61、E64、E73、E75、E93、E96からなる群から選択され
る。実施例4に列挙するマイクロシークエンシングプライマーはごく一例であり
、多型ヌクレオチドのすぐ隣に3'末端があるどのようなプライマーでも使用でき
ることは理解できよう。同様に、マイクロシークエンシング解析が、どのような
バイアレリックマーカーまたは本発明のバイアレリックマーカーの組み合わせに
対して実行してもよいものであることも理解できよう。本発明の一態様は、実施
例4に列挙するマイクロシークエンシングプライマー、あるいは、連続した少な
くとも8、12、15、20、25、30、40または50ヌクレオチド(かかる長さが上述した
プライマーと矛盾しない限り)を含むそのフラグメントを1つまたはそれ以上含み
、対応するバイアレリックマーカーのすぐ上流に3'末端があり、バイアレリック
マーカー部位のヌクレオチドの同一性を判定できる固相支持体である。
【0287】 3) ポリメラーゼおよびリガーゼを利用したミスマッチ検出アッセイ 一態様では、本発明によれば、ポリヌクレオチドと、ポリメラーゼおよび/ま
たはリガーゼに基づくミスマッチ検出アッセイによって、生物学的試料で本発明
の1つまたはそれ以上のバイアレリックマーカーのアレルを判定する方法とが得
られる。これらのアッセイは、ポリメラーゼおよびリガーゼの特異性を利用した
ものである。重合反応では、増幅プライマーの3'末端の正しい塩基対形成という
点で特に厳密であり、標的DNA配列にハイブリダイズされた2つのオリゴヌクレオ
チドの結合は、ライゲーション部位付近、特に3'末端でのミスマッチに対して極
めて感受性が高い。本発明のバイアレリックマーカーを含むDNAフラグメントを
増幅するための方法については、上記の「バイアレリックマーカーを含むDNAフ
ラグメントの増幅」ですでに説明した。
【0288】 アレル特異的増幅プライマー アレル特異的増幅すなわち選択的な戦略によって、バイアレリックマーカーの
2つのアレルを区別することができる。これによって、他方のアレルが増幅され
ることなく一方のアレルだけが増幅される。アレル特異的増幅では、対のプライ
マーのうち少なくとも1つのメンバが、PCTA-1遺伝子の本発明のバイアレリック
マーカーの多型塩基を有する領域とハイブリダイズして増幅を開始できる程度の
相補性を有するものである。このようなプライマーは、バイアレリックマーカー
の2つのアレルを区別することができる。
【0289】 これは、多型塩基を一方の増幅プライマーの3'末端に所在させることによって
達成される。プライマーの3'末端からの伸展がゆえに、この位置近辺でのミスマ
ッチは増幅に阻害的な悪影響を及ぼす。したがって、適切な増幅条件下で、これ
らのプライマーはその相補アレルでのみ増幅を指示する。正確なミスマッチ位置
の判断方法およびこれに対応するアッセイ条件については当業者の知識の範囲で
ある。
【0290】 ライゲーション/増幅を利用した方法 「オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ」(OLA)では、標的分子の一本
鎖の隣接配列にハイブリダイズできるように設計された2つのオリゴヌクレオチ
ドを利用する。一方のオリゴヌクレオチドをビオチン標識し、他方を検出可能な
状態で標識する。正確な相補配列が標的分子中に見つかった場合は、末端が隣接
して捕捉および検出が可能なライゲーション基質が得られるようにオリゴヌクレ
オチドをハイブリダイズさせる。OLAは、単一ヌクレオチド多型を検出でき、Nic
kerson et al.(1990)に説明されているPCR法と有利に併用できる。この方法では
、PCRを用いて標的DNAの指数増幅を行い、これをOLAを用いて検出する。
【0291】 単一ヌクレオチド多型の検出に特に適している他の増幅方法としては、上記の
「DNA増幅」において説明したLCR(リガーゼ連鎖反応)およびGap LCR(GLCR)があ
げられる。LCRでは二対のプローブを用いて特定の標的を指数増幅する。各オリ
ゴヌクレオチド対の配列を選択し、これらの対が標的の同一鎖の隣接配列とハイ
ブリダイズできるようにする。かかるハイブリダイゼーションによって、鋳型依
存性リガーゼの基質が形成される。本発明によれば、バイアレリックマーカー部
位の同一鎖の近位配列と遠位配列とを有するオリゴヌクレオチドを用いてLCRを
実施することができる。一実施形態では、どちらのオリゴヌクレオチドを設計し
てバイアレリックマーカー部位を持たせてもよい。かかる実施形態では、オリゴ
ヌクレオチド上のバイアレリックマーカーと相補な特異的ヌクレオチドが標的分
子に含まれているかまたは欠けている場合にオリゴヌクレオチドが連結されるよ
うに反応条件を選択する。別の実施形態では、国際特許出願公開第WO90/01069に
記載されているように、オリゴヌクレオチドにはバイアレリックマーカーを持た
せず、標的分子とハイブリダイズさせたときに「間隙」が形成されるようにする
。この間隙に相補dNTPまたは別のオリゴヌクレオチド対を「満たす」(DNAポリメ
ラーゼによって媒介)。このように、各サイクルの終了時、各一本鎖には次のサ
イクルの間に標的として機能できる相補体があり、所望の配列の指数関数的なア
レル特異的増幅が達成される。
【0292】 核酸分子のあらかじめ選択された部位でのヌクレオチドの同一性を判定する ためのもう1つの方法に、リガーゼ/ポリメラーゼGenetic Bit Analysis(登録商
標)がある(国際特許出願公開第WO95/21271)。この方法は、あらかじめ選択され
た部位に存在するヌクレオチドと相補なヌクレオシド三リン酸をプライマー分子
の終端に組み入れ、第2のオリゴヌクレオチドと連結させるものである。反応の
固相に付加された特異的ラベルの検出または溶液での検出によって反応を監視す
る。
【0293】 4) ハイブリダイゼーションアッセイ法 バイアレリックマーカー部位に存在するヌクレオチドの同一性を判定するため
の好ましい方法は、核酸ハイブリダイゼーションを利用するものである。かかる
反応で都合良く用いることのできるハイブリダイゼーションプローブには、本願
明細書で定義するプローブを含むと好ましい。サザンハイブリダイゼーション、
ノーザンハイブリダイゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーションおよ
び固相ハイブリダイゼーションをはじめとして、どのようなハイブリダイゼーシ
ョンアッセイを用いてもよい(Sambrook et al., 1989を参照のこと)。
【0294】 ハイブリダイゼーションとは、相補的な塩基対によって2本の一本鎖核酸が二
本鎖構造に形成されることを意味する。ハイブリダイゼーションは、正確に相補
関係にある核酸鎖間またはミスマッチのマイナーな領域を含む核酸鎖間で起こり
得る。一方の形式のバイアレリックマーカーとハイブリダイズされ、他方とはハ
イブリダイズされずに、異なるアレル型を区別することのできる特異的プローブ
を設計することができる。アレル特異的プローブは対で用いられることが多く、
対の一方が起始アレルを含む標的配列とマッチし、他方が選択的アレルを含む標
的配列と完全にマッチする。ハイブリダイゼーション条件は、アレル間のハイブ
リダイゼーション強度に有意な差が認められる程度に厳密なものでなければなら
ず、好ましくは実質的にバイナリ応答を呈し、これによってプローブが一方のア
レルとハイブリダイズされる。厳密な配列特異的ハイブリダイゼーション条件の
下で、プローブは正確に相補関係にある標的配列とのみハイブリダイズされるが
、このような条件は従来技術において周知である(Sambrook et al., 1989)。厳
密な条件は配列依存であり、環境によって異なるものである。通常、厳密な条件
は、規定のイオン強度およびpHでの特異配列の融点(Tm)よりも約5℃低い温度に
選択される。かかるハイブリダイゼーションは溶液中にて行うことのできるもの
であるが、固相ハイブリダイゼーションアッセイを採用すると好ましい。ハイブ
リッド反応の前に本発明のバイアレリックマーカーを含む標的DNAを増幅しても
よい。プローブと標的DNAとの間に形成される安定したハイブリッド二重鎖の有
無を検出することによって、試料に含まれる特定のアレルの存在を検出する。ハ
イブリッド二重鎖の検出は、さまざまな方法で行うことができる。標的またはプ
ローブに結合する検出可能な標識を利用し、ハイブリッド二重鎖の検出を可能に
するさまざまな検出アッセイ形式が周知である。一般に、ハイブリダイゼーショ
ン二重鎖をハイブリダイズされなかった核酸から分離し、二重鎖に結合した標識
を検出する。当業者であれば、洗浄ステップを取り入れて余分な標的DNAまたは
プローブ、結合せずに残ったコンジュゲートなどを洗い流してもよいことは理解
できよう。さらに、プライマーおよびプローブにある標識を用いてハイブリッド
を検出するには、標準的な異種アッセイフォーマットが適している。
【0295】 最近開発された2種類のアッセイでは、分離または洗浄を必要とせずにハイブ
リッドベースのアレルを区別できる(Landegren U. et al., 1998を参照のこと)
。TaqManアッセイでは、累積する増幅産物に特異的にアニールされたDNAプロー
ブを消化する。蛍光エネルギー移動によって相互作用するドナーアクセプタ染料
対でTaqManプローブを標識する。増幅時に進行中のポリメラーゼによってTaqMan
プローブが切断されると、消光アクセプタ染料からドナー染料が解離し、ドナー
蛍光が大幅に増大する。2つのアレル変異体を検出するのに必要なすべての試薬
を反応の最初に組み合わせ、結果をリアルタイムで監視することができる(Livak
et al., 1995を参照のこと)。別のホモジニアスハイブリダイゼーションを利用
した手順では、Molecular Beaconがアレルの区別に用いられる。Molecular Beac
onは、均質溶液中での特異的核酸の存在を示すヘアピン形のオリゴヌクレオチド
プローブである。標的に結合すると、内部的に消光するフルオロフォアを保持す
る立体配置的な再編成が起こる(Tyagi et al.、1998)。
【0296】 本願明細書において提供されるポリヌクレオチドを、生物学的試料のバイアレ
リックマーカーアレルを検出するハイブリダイゼーションアッセイに利用可能な
プローブの産生に利用することができる。これらのプローブは、好ましくは8〜5
0ヌクレオチドを含み、本発明のバイアレリックマーカーを有する配列に対して
十分に相補であってこの配列とハイブリダイズすることができ、かつ、好ましく
は一方のヌクレオチドにおける変化のみについての標的配列を区別できる程度に
特異的であることを特徴とする。特に好ましいプローブは25ヌクレオチド長であ
る。他の特に好ましいプローブは47ヌクレオチド長である。好ましくは、バイア
レリックマーカーはポリヌクレオチドプローブの中心から4ヌクレオチド以内に
ある。特に好ましいプローブでは、バイアレリックマーカーは前記ポリヌクレオ
チドの中心にある。好ましいプローブは、表1に示す単位複製配列およびその相
補配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含
み、前記フラグメントが、連続した少なくとも約8ヌクレオチドを含み、好まし
くは連続した10、15、20、さらに好ましくは連続した25、30、40、47または50ヌ
クレオチドを含み、多型塩基を含有する。好ましいプローブは、P1〜P125および
その相補配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。好ましい実施
形態では、前記ポリヌクレオチドの中心から多型塩基は5、4、3、2、1ヌクレオ
チド以内にあり、さらに好ましくは前記ポリヌクレオチドの中心にある。
【0297】 好ましくは、本発明のプローブを固相支持体に標識または固定化する。標識お
よび固相支持体については、「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」
の部分でさらに説明してある。このプローブは、「オリゴヌクレオチドプローブ
およびプライマー」の部分で説明した通り、非進展可能なものであってもよい。
【0298】 アレル特異的プローブへのハイブリダイゼーションをアッセイすることによっ
て、特定の試料中でのバイアレリックマーカーアレルの有無を検出することがで
きる。「ハイブリダイゼーションアッセイ」はアレイ形式の高スループット並列
ハイブリダイゼーションを特に包含するものであり、これについては後述する。
【0299】 5) オリゴヌクレオチドのアドレス指定可能なアレイに対するハイブリダイゼー
ション オリゴヌクレオチド配列に基づくハイブリダイゼーションアッセイでは、完全
にマッチする標的配列変異体とミスマッチ変異体とに対する短いオリゴヌクレオ
チドのハイブリダイゼーション安定性の違いを利用している。オリゴヌクレオチ
ドプローブの高密度アレイが選択された位置で固相支持体(チップなど)に結合し
た基本的な構造によって、多型情報に効率的にアクセスできる。各DNAチップに
は、格子状のパターンに配置され、ダイム硬貨程度の大きさまで小型化された個
々の合成DNAプローブを数千から数百万含むことができる。
【0300】 チップテクノロジーは、すでにさまざまな事例に応用されて成功をおさめてい
る。たとえば、突然変異のスクリーニングが、BRCA1遺伝子、S. cerevisiaeミュ
ータント株およびHIV-1ウイルスのプロテアーゼ遺伝子でなされる(Hacia et al.
, 1996、Shoemaker et al., 1996、 Kozal et al., 1996)。カスタマイズベース
で、Affymetrix(GeneChip(登録商標)、Hyseq(HyChipおよびHyGnostics)および
Protogene Laboratoriesなどで、バイアレリック多型検出用のさまざまな形態の
チップを作製することができる。
【0301】 一般に、これらの方法では、標的配列に多型性のマーカーが含まれる個体から
得た標的核酸配列セグメントと相補関係にあるオリゴヌクレオチドプローブの配
列を利用している。EP 785280には、単一のヌクレオチド多型検出用のタイリン
グ戦略について記載されている。簡単に説明すると、このアレイは一般に、多数
の特異的多型について「タイル張り」してもよいものである。「タイリング」と
いう用語は一般に、興味の対象となっている標的配列に相補な配列と、この配列
のあらかじめ選択されたバリエーション(1カ所またはそれ以上の特定の位置でヌ
クレオチドの基本セットのメンバ1つまたはそれ以上で置換されているなど)で構
成される、規定されたオリゴヌクレオチドプローブのセットの合成を意味する。
タイリング戦略はさらに、国際特許出願公開第WO95/11995号に記載されている。
特定の態様では、多数の同定された特異的バイアレリックマーカー配列でアレイ
をタイル張りする。特に、アレイにタイル張りをして、それぞれが特定のバイア
レリックマーカーまたはバイアレリックマーカーのセットに特異な多数の検出ブ
ロックが含まれるようにする。たとえば、検出ブロックをタイル張りして多数の
プローブが含まれるようにし、これらのプローブが特定の多型を含む配列セグメ
ントにまたがるようにしてもよい。各アレルに対して相補関係にあるプローブが
必ず得られるようにするために、バイアレリックマーカーで異なる対のプローブ
を合成する。多型塩基で異なるプローブだけでなく、一置換プローブも検出ブロ
ックの中にタイル張りされるのが普通である。これらの一置換プローブは、多型
自体の部分に塩基を有し、かつ多型からいずれかの方向に一定数まで塩基を有す
る。これが残りのヌクレオチド(A、T、G、C、Uから選択される)で置換されてい
る。一般に、タイル張りされた検出ブロック内のプローブには、バイアレリック
マーカーから5塩基離れたところまでの配列位置の置換基が含まれる。一置換プ
ローブによって、タイル張りされたアレイの内部が制御され、実際のハイブリダ
イゼーションと人為的なクロスハイブリダイゼーションとを区別できる。標的配
列とのハイブリダイゼーションおよびアレイの洗浄が終了したら、このアレイを
スキャンしてアレイ上での位置を判定し、この位置に標的配列をハイブリダイズ
させる。次に、スキャン後のアレイから得られるハイブリダイゼーションデータ
を解析し、バイアレリックマーカーのアレルのうち試料中に存在するもの(1つま
たは複数)を特定する。ハイブリダイゼーションとスキャンは、国際特許出願公
開第WO92/10092号および同第WO 95/11995号、さらに米国特許第5,424,186号に記
載されているようにして行うことができるものである。
【0302】 したがって、いくつかの実施形態では、チップが約15ヌクレオチド長のフラグ
メントの核酸配列のアレイを含むものであってもよい。さらに他の実施形態では
、チップが、表1に列挙する単位複製配列およびその相補配列からなる群から選
択される配列またはそのフラグメントのうち少なくとも1つを含むアレイを含む
ものであってもよく、前記フラグメントは、連続した少なくとも約8ヌクレオチ
ドを含み、好ましくは連続した10、15、20、さらに好ましくは連続した25、30、
40、47または50ヌクレオチドを含み、かつ多型塩基を含有する。好ましい実施形
態では、多型塩基は前記ポリヌクレオチドの中心から5、4、3、2、1ヌクレオチ
ド以内にあり、さらに好ましくは前記ポリヌクレオチドの中心にある。いくつか
の実施形態では、チップは本発明のポリヌクレオチド少なくとも2、3、4、5、6
、7、8またはそれ以上のアレイを含むものであってもよい。本発明の固相支持体
および固相支持体に結合されるポリヌクレオチドについては、「オリゴヌクレオ
チドプローブおよびプライマー」の部分でさらに説明してある。
【0303】 6) 統合系 多型の解析に使用できるもう1つの技術にマルチコンポーネント統合系があげ
られる。この系では、PCRおよびキャピラリー電気泳動反応などのプロセスを単
一機能の装置で簡略化かつ区分化する。かかる手法の模範例が、PCR増幅とキャ
ピラリー電気泳動とをチップに統合することについて説明した米国特許第5,589,
136号に開示されている。
【0304】 主にマイクロ流体系を使用する場合に統合系の使用を考慮することができる。
これらの系は、ガラス、ケイ素、石英またはプラスチックウェーハ上に設計され
たマイクロチャネルのパターンがマイクロチップ内に含まれたものである。試料
の動きを、マイクロチップの異なるエリアで印加される電力、電気浸透または流
体静動力によって制御し、機能的な顕微値を得ると共に稼働部材なしでポンプ移
動させる。
【0305】 バイアレリックマーカーの遺伝子型を判定するために、核酸増幅、マイクロシ
ークエンシング、キャピラリー電気泳動、蛍光検出などのレーザー誘導検出方法
に、マイクロ流体系を組み合わせてもよい。
【0306】 本発明のバイアレリックマーカーを用いた遺伝的解析の方法 複雑な形質の遺伝的解析にはさまざまな方法が利用できる(Lander and Schork
, 1994を参照のこと)。家系解析を用いて1つの座と推定形質座との間の同時分離
について証拠を探査する連鎖手法と、アレルまたは形質誘発アレルと形質との間
の統計的に有意な関連性について証拠を探査する関連性手法の2つの主な方法を
利用して、疾病感受性遺伝子の探査を行う(Khoury et al., 1993)。概して、本
発明のバイアレリックマーカーは、遺伝子型と表現型との間の統計的に有意な相
関を示すための従来技術において周知のどのような方法においても用途がある。
バイアレリックマーカーをパラメトリックな連鎖解析法とノンパラメトリックな
連鎖解析法に利用できる。好ましくは、本発明のバイアレリックマーカーを使用
して、関連性解析によって検出可能な形質に関連のある遺伝子を同定する。この
方法では、羅患家系を使用する必要がなく、複雑で散発性の形質に関連のある遺
伝子でも同定できる。
【0307】 本発明のバイアレリックマーカーを用いた遺伝的解析は、どのような規模で行
ってもよい。候補遺伝子に対応する、本発明のバイアレリックマーカーのセット
全体または本発明のバイアレリックマーカーのサブセットを使用する。さらに、
本発明のバイアレリックマーカーを含むどのような遺伝マーカーのセットも使用
できる。本発明のバイアレリックマーカーと併用して遺伝マーカーとして使用可
能なバイアレリック多型のセットについては、国際特許出願公開第WO98/20165号
に記載されている。上述したように、本発明のバイアレリックマーカーは、ヒト
ゲノムの完全または部分的な遺伝地図に含まれていてもよいことに注意されたい
。これらの異なる用途は、本発明および請求の範囲において特に考慮されている
ものである。
【0308】 連鎖解析 連鎖解析では、一家系内で複数の世代にわたって遺伝マーカーの伝達と特異的
な形質の伝達との間の相関を確立することを基本としている。したがって、連鎖
解析の目的は、系図において興味の対象となる形質と同時分離を見せるマーカー
座を検出することにある。
【0309】 パラメトリックな方法 連続した世代からデータを入手できる場合、対になった座の間で連座の程度を
研究することができる。組換え画分を評価することで、遺伝地図上で座を順序付
け、そこに配置することができる。遺伝マーカーである座を用いて、遺伝地図を
確立し、次いでマーカーと形質との間の連鎖の強さを計算し、これらの形質に影
響するマーカーおよび遺伝子の相対位置を示すことができる(Weir, 1996)。連鎖
解析の伝統的な方法は、オッズ比の対数値(lod)のスコアリング(Morton, 1955、
Ott, 1991を参照のこと)である。lodスコアの算出には、疾病についての遺伝機
序の詳細が必要である(パラメトリックな方法)。一般に、連鎖解析で同定される
候補領域の長さは2〜20Mbである。上述したようにして候補領域を特定した後、
さらに別のマーカーを用いて組換え個体の解析を行うことで、候補領域を正確に
把握することができる。連鎖解析研究では一般に、最大5,000のマイクロサテラ
イトマーカーを使用しているため、連鎖解析の理論解像度はどんなに良くても平
均約600kb程度に限られてしまう。
【0310】 明確なメンデル遺伝パターンを示し、浸透度(すなわち、アレルαの形質ポジ
ティブ保因者の数と個体群におけるα保因者の総数の比)の高い単純な遺伝形質
のマッピングには、連鎖解析が効果的に利用されている。しかしながら、パラメ
トリックな連鎖解析にはさまざまな欠点がつきまとう。連鎖解析には、検討対象
となる形質ごとに適した遺伝モデルの選択肢に対する信頼性の面で制約がある。
さらに、上述したように、連鎖解析を使用して得られる解像度には限度があり、
追加研究を行って連鎖解析によって最初に同定された2Mb〜20Mbの一般的な領域
をさらに正確に分析する必要がある。また、パラメトリックな連鎖解析法は、同
義遺伝子および/または環境因子の作用が様々に組み合わさる状況などの複雑な
遺伝形質に利用するのは困難であることが分かっている。これらの因子をlodス
コア解析で適切な状態でモデル化するのは極めて困難である。このような場合、
Risch, N.およびMerikangas,K. (1996)によって最近発表されたように、こうし
た状況に連鎖解析を適用する上で必要な羅患家系を相当数集めるのに労力と費用
がかかりすぎてしまう。
【0311】 ノンパラメトリックな方法 いわゆるノンパラメトリックな連鎖解析方法の利点は、疾病についての遺伝機
序の詳細が必要ないという点にあり、この方法は複雑な形質の解析で一層有用な
ものとなることが多い。ノンパラメトリックな方法では、羅患した親族が偶然に
生じると思われるよりも高い率で同一領域のコピーを継承するということを示し
、染色体領域の遺伝パターンがランダムなメンデル分離とは一致しないことを証
明しようと試みている。羅患した親族は、たとえ浸透度が不完全かつポリジーン
遺伝であったとしても過剰な「アレル共有」を示すはずである。ノンパラメトリ
ックな連鎖解析では、同質的である(IBS)アレルの数または同祖的である(IBD)ア
レルの数によって、2個体でのマーカー座での一致度を測定することができる。
羅患した兄弟姉妹ペアの解析は周知の特殊な事例であり、これらの方法の最も単
純な形である。
【0312】 本発明のバイアレリックマーカーは、パラメトリックな連鎖解析とノンパラメ
トリックな連鎖解析のいずれにも使用できる。好ましくは、複雑な形質に関与し
ている遺伝子のマッピングが可能なノンパラメトリックな方法にバイアレリック
マーカーを使用するとよい。本発明のバイアレリックマーカーは、複雑な形質に
影響している遺伝子をマップする上でIBD法とIBS法のいずれにも使用できる。か
かる解析では、バイアレリックマーカーの高い密度を有効に利用し、いくつかの
隣接するバイアレリックマーカー座をプールして複数のアレルマーカーで達成さ
れる有効性を得ることができる(Zhao et al., 1998)。
【0313】 個体群関連性解析 本発明は、本発明のバイアレリックマーカーを用いて、PCTA-1遺伝子が検出可
能な形質に関連したものであるか否かを識別するための方法を含む。一実施形態
では、本発明は、バイアレリックマーカーアレルまたはバイアレリックマーカー
ハプロタイプと形質との関連性を検出するための方法を含む。さらに、本発明は
、本発明のバイアレリックマーカーアレルとの連鎖不平衡をアレルに引き起こす
形質を同定するための方法を含む。
【0314】 別の方法を利用して、関連性解析すなわちゲノムレベルでの関連性解析、候補
領域の関連性解析および候補遺伝子の関連性解析を行うことができる。好ましい
実施形態では、本発明のバイアレリックマーカーを用いて候補遺伝子の関連性解
析を行う。候補遺伝子解析では、形質のバイオロジーに関する情報がいくらかで
も入手可能である場合に、特定の形質に関する遺伝子と遺伝子多型を明らかに手
っ取り早く得ることができる。さらに、ゲノムレベルでの関連性解析を行うため
に、本発明のバイアレリックマーカーをヒトゲノムの遺伝マーカーの適当な地図
に取り入れてもよい。米国仮特許第60/082,614号に、バイアレリックマーカーの
高密度地図を作製するための方法が記載されている。ゲノムの特異的候補領域(
特異的染色体または特異的染色体セグメントなど)を示す適当な地図に、本発明
のバイアレリックマーカーをさらに取り入れてもよい。
【0315】 上述したように、関連性解析は一般の個体群で行ってもよいものであり、羅患
した家系での血縁個体についての研究に限られるわけではない。関連性解析は、
散発形質または多因子形質を解析できる極めて価値ある手法である。さらに、関
連性解析では、連鎖解析よりも数段精細に形質誘発アレルをマッピングできる精
細マッピングのための強力な方法が得られる。系図に基づく研究は、形質誘発ア
レルの位置を狭めてしまうにすぎない。したがって、本発明のバイアレリックマ
ーカーを用いる関連性解析法を用いて、連鎖解析によって同定された候補領域に
おける形質誘発アレルの位置を正確に判定できる。さらに、興味の対象となって
いる染色体セグメントを同定した後は、興味の対象となっている領域に本発明の
候補遺伝子などの候補遺伝子が存在することで、形質誘発アレルを同定するため
の手軽な方法が得られる。本発明のバイアレリックマーカーを用いて、候補遺伝
子が形質に関連していることを示すことができる。このような用途は、本発明に
おいて特に考慮しているものである。
【0316】 バイアレリックマーカーアレルまたはバイアレリックマーカーハプロタイプの個
体群での頻度の判定 関連性解析は、座の間でのアレルのセットについて、頻度の関係を探索するも
のである。
【0317】 個体群におけるアレル頻度の判定 「個体のバイアレリックマーカーでの遺伝子型判定方法」という見出しで上述
した方法の1つ、あるいはこのような目的に適した他の遺伝子型判定手順を使用
して、個体群でのバイアレリックマーカーのアレル頻度を判定できる。プールし
た試料または個々の試料について、個体群のバイアレリックマーカーアレルの頻
度を判定できる。必要な遺伝子型判定数を減らす方法の1つに、標本プールを使
用することがあげられる。標本プールを使用する上で主な妨げとなるものに、プ
ールを構築する際における正確なDNAレベルを判定するための精度と再現性に関
することがある。個々の標本を遺伝子型判定すれば、感受性、再現性および精度
が高くなるため、本発明における好ましい方法でもある。好ましくは、各個体を
個別に遺伝子型判定し、単純な遺伝子カウントを適用して、特定の個体群でのバ
イアレリックマーカーのアレルまたは遺伝子型の頻度を判定する。
【0318】 本発明はまた、a)本発明の方法によって、前記バイアレリックマーカーについ
て前記個体群に含まれる個体の遺伝子型を判定するステップと、b)前記個体群に
おける前記バイアレリックマーカーの比例表現を決定するステップと、を含む、
個体群においてPCTA-1関連バイアレリックマーカーアレルの頻度を推定するため
の方法に関するものである。また、本発明の個体群におけるアレル頻度の推定方
法には、本願開示内容に記載の限定内容を含むあらゆる方法、あるいは下記の方
法を単独または組み合わせたものが包含される。任意に、前記PCTA-1関連バイア
レリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連
鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、
前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A46〜A53、A57、A58、A62
〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A125ならびにその相補体
、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーから
なる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A45
、A54、A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109、A110、A114お
よびA122ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にある
バイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイ
アレリックマーカーが、A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A108、A111〜A113、A
115〜A117およびA119〜A121ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連
鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、
個体群でのバイアレリックマーカーアレル頻度の判定を、前記個体群の各個体の
ゲノムに存在する前記バイアレリックマーカーの両コピーについてヌクレオチド
の同一性を判定し、個体群における前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーの前
記ヌクレオチドの比例表現を算出して達成してもよく、任意に、比例表現の判断
が、前記個体群の特定数の個体または各個体から採取した生物学的試料のプール
に本発明の遺伝子型判定を行い、前記ヌクレオチドの比例量を算出して全体と比
較してなされるものであってもよい。
【0319】 個体群でのハプロタイプ頻度の判定 2つ以上の座で複相個体がヘテロ接合する場合、ハプロタイプの配偶子相は分
からない。家系における系統学的な情報を用いて配偶子相を推論できることもあ
る(Perlin et al., 1994)。系統学的な情報が得られない場合は、別の戦略を使
ってもよい。1つの可能性として、多発性部位ヘテロ接合的な複相体を解析から
除外し、ホモ接合体と単一部位ヘテロ接合体の個体のみを保持するようにしても
よいが、この方法では、試料構成の偏りと低頻度ハプロタイプの過小評価が生じ
る可能性がある。もう1つの可能性としては、非対称性PCR増幅(Newton et al.,
1989、Wu et al., 1989を参照のこと)または限界希釈によって1本の染色体を単
離し、次いでPCR増幅する(Ruano et al., 1990を参照のこと)などの方法で、1本
の染色体を独立に研究することができる。さらに、十分に近い関係のバイアレリ
ックマーカーを得るために、特異的アレルの二重PCRによって試料をハプロタイ
プ判定してもよい(Sarkar, G. and Sommer S.S., 1991)。これらの方法は、技術
的に複雑である、追加コストがかかる、大規模で一般化できない、あるいは偏り
が出る可能性があるなどの理由で、完全に満足のいくものというわけではない。
こうした問題を解決するために、PCR増幅したDNA遺伝子型の相を推論するClark
A.G.(1990)が導入したアルゴリズムを使用してもよい。簡単に説明すると、この
原理では、曖昧さのない個体である完全ホモ接合体と単一部位ヘテロ接合体を調
べ、試料に存在するハプロタイプの予備リストを埋める。次に、同一試料に含ま
れる他の個体で前に認識したハプロタイプが出現する可能性をスクリーニングす
る。結果がポジティブであったものについては、すべての個体の相情報が解明さ
れるか、あるいは未解明として定められるかのいずれかになるまで、すでに認識
されたハプロタイプのリストに相補ハプロタイプを追加する。この方法では、二
重ヘテロ接合性の個体各々に単一のハプロタイプを割り当てるが、これらの個体
に2つ以上のヘテロ接合部位がある場合には複数のハプロタイプもあり得る。あ
るいは、ハプロタイプを各個体に割り当てずに個体群においてハプロタイプ頻度
を推定する方法を利用することもできる。好ましくは、ハーディワインベルグ比
を推測してハプロタイプ頻度の最大尤度推定値が得られる期待値最大化(EM)アル
ゴリズム(Dempster et al.、1977)に基づく方法(無作為交配)を使用する(Excoff
ier L.およびSlatkin M.、1995を参照のこと)。EMアルゴリズムは、データが曖
昧であるおよび/または不完全である場合に有用な繰り返し期待値最大化法を汎
用化したものである。EMアルゴリズムを用いてヘテロ接合体をハプロタイプに分
ける。ハプロタイプ推定については、以下の「統計的手法」というタイトルの部
分でさらに説明する。個体群のハプロタイプ頻度を判定または推定するための他
の周知の方法を使用してもよい。
【0320】 本発明は、個体群におけるバイアレリックマーカーのセットでのハプロタイプ
頻度の推定方法であって、a)前記個体群における各個体について、本発明の方法
に従って少なくとも1つのPCTA-1関連バイアレリックマーカーの遺伝子型を判定
するステップと、b)前記個体群の各個体のゲノムに存在する第2のバイアレリッ
クマーカーの両コピーについて、前記第2のバイアレリックマーカー部位におけ
るヌクレオチドの同一性を判定することによって前記第2のバイアレリックマー
カーの遺伝子型を判定するステップと、c)ステップa)およびb)において特定され
たヌクレオチドの同一性にハプロタイプ決定法を適用し、前記頻度の推定値を得
るステップと、を含む方法も包含する。また、本発明のハプロタイプ頻度の推定
方法は、本願明細書で開示したいずれかの限定事項のあるいずれかの方法、ある
いは単独または組み合わせで特定される下記の方法を包含する。任意に、前記PC
TA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意
に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択
され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A46〜A53
、A57、A58、A62〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A125なら
びにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリッ
クマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマ
ーカーが、A45、A54、A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109
、A110、A114およびA122ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不
平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記
PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A108
、A111〜A113、A115〜A117およびA119〜A121ならびにその相補体、あるいは任意
に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択
され、任意に、前記ハプロタイプ決定方法を、非対称PCR増幅、特定アレルの二
重PCR増幅、クラーク(Clark)アルゴリズム、期待値最大化アルゴリズムによって
実施してもよい。
【0321】 連鎖不平衡解析 連鎖不平衡は、2つ以上の座におけるアレルの非ランダムな関連性であり、疾
病形質に関与する遺伝子のマッピングを行う上での強力なツールとなる(Ajioka
R.S. et al., 1997を参照のこと)。バイアレリックマーカーは、ヒトゲノム中で
密に配置され、他のタイプの遺伝マーカー(RFLPマーカーまたはVNTRマーカーな
ど)よりも多数を遺伝子型判定可能であるため、連鎖不平衡に基づく遺伝的解析
においては特に有用なものである。
【0322】 病因変異を最初に個体群に導入する(新しく発生させた変異または変異保因者
からの移植による)際には、この変異が1本の染色体に含まれ、被結合マーカーの
単一の「背景」または「祖先の」ハプロタイプに位置するようにしておくことが
必須である。したがって、これらのマーカーと病因変異との間には完全な不平衡
状態がある。このとき、病因変異は特定のマーカーセットアレルの存在下に限っ
て認められる。以後の世代では、病因変異とマーカー多型との間に組換えイベン
トが起こり、不平衡は次第に消失する。この消失のペースは組換え頻度の関数に
なるため、病因遺伝子から離れた位置にあるマーカーよりも病因遺伝子に最も近
い位置にあるマーカーの方で明らかに高い不平衡のレベルが認められることにな
る。組換えによって途切れてしまわない限り、「先祖の」ハプロタイプおよび異
なる座にあるマーカーアレル間の連鎖不平衡を系図と個体群の両方から追跡する
ことができる。連鎖不平衡は通常、1つの座における特定のアレルと他の座にお
ける別の特定のアレルとの間の関連性として現れてくる。
【0323】 病因座とマーカー座との間の不平衡を示すパターンまたは曲線には、病因座に
対応する部分に極大が認められると思われる。したがって、病因アレルとこれに
近い位置で結合された遺伝マーカーとの間の連鎖不平衡の量から、病因遺伝子の
位置に関する価値ある情報が得られる場合がある。病因座に関する精細マッピン
グでは、研究対象とした領域内のマーカー間に存在する連鎖不平衡のパターンに
ついて知ることが大切である。上述したように、連鎖不平衡の解析によって得ら
れるマッピング解像度は、連鎖解析によって得られる解像度よりもかなり高い。
連鎖不平衡解析と併用したバイアレリックマーカーの密度の高さから、精細マッ
ピング用の強力なツールが得られる。「統計的手法」という見出しの部分で、連
鎖不平衡を算出するための別の方法についても説明する。
【0324】 個体群ベースの形質-マーカー関連性の症例対照解析 上述したように、特異的アレル対は同一染色体上の異なる座に偶然に発生する
わけではなく、偶然との違いが連鎖不平衡と呼ばれる。関連性解析では、個体群
の頻度に焦点を絞っており、連鎖不平衡現象に依存している。特定の遺伝子にお
ける特異的アレルは特定の形質の発生に直接関与しており、形質陰性個体群また
はランダムな対照個体群での場合と比べると、羅患(形質陽性)個体群ではその発
生頻度が統計的に高くなる。連鎖不平衡が存在する結果、形質誘発アレルを持つ
ハプロタイプに存在する他のすべてのアレルの頻度も、形質陰性個体やランダム
な対照例よりも形質陽性個体での方が高くなる。したがって、形質誘発アレルと
連鎖不平衡状態にあるいずれかのアレル(特にバイアレリックマーカーアレル)と
形質との間の関連性は、その特定の領域に形質関連遺伝子が存在することを暗示
するには十分なものである。バイアレリックマーカーで患者対照個体群の遺伝子
型を判定し、狭い範囲に絞って形質誘発アレルの位置を特定することができる。
形質に関連のある特定の1マーカーと連鎖不平衡状態にあるマーカーは、その形
質と関連することになる。連鎖不平衡によって、考えられるあらゆる機能的多型
をスクリーニングする方法に代わる手段として患者対照個体群での限られた数の
遺伝的多型(特にバイアレリックマーカー)の相対頻度を解析し、形質誘発アレル
を見出すことが可能になる。関連性解析では、血縁のない患者対照個体群でのマ
ーカーアレルの頻度を比較し、複雑な形質を詳細に解析する強力なツールが得ら
れる。
【0325】 症例対照個体群(組み入れ基準) 個体群ベースの関連性解析では、家系での継承とは無関係であるが、特定の遺
伝マーカーまたはマーカーのセットの有病率を症例対照個体群で比較する。これ
は、血縁のない症例(未羅患または形質陽性)個体と血縁のない対照(未羅患、形
質陰性または無作為)個体とを比較することに基づく症例対照研究である。この
対照群は、未羅患個体または形質陰性個体で構成されると好ましい。また、対照
群は、民族が症例個体群と一致すると好ましい。さらに、対照群は、研究対象と
なる形質についての既知の主な混乱要因が症例個体群と一致する(たとえば、年
齢に依存する形質の場合は年齢が一致する)ものであると好ましい。理想的には
、2つの試料の個体を疾患の状態だけが異なると思われる形でペアにする。本願
明細書では、「形質陽性個体群」、「症例個体群」および「羅患個体群」という
用語を同義のものとして使用する。
【0326】 関連性解析を用いた複雑な形質の詳細な解析において重要なステップは、症例
対照個体群の選択である(Lander and Schork, 1994を参照のこと)。症例対照個
体群の選択時の主なステップは、特定の形質または表現型を臨床的に定義するこ
とである。形質陽性表現型の群と形質陰性表現型の群に入れる個体を慎重に選択
すれば、本願明細書において提案する関連性による方法でどのような遺伝的形質
でも解析することができる。臨床表現型、発病年齢、家族歴および重症度の4つ
の基準を用いるとよいことが多い。連続的形質または定量的形質(たとえば血圧
など)の選択手順としては、解析対象の形質の表現型分布の両端で個体を選択し
、形質陽性個体群と形質陰性個体群に、表現型に重複のない個体が含まれるよう
にする。症例対照個体群は、表現型的にみて一様な個体群であると好ましい。形
質陽性個体群および形質陰性個体群は、形質陽性個体群および形質陰性個体群は
、各々が解析対象の個体群全体の1〜98%、好ましくは1〜80%、より好ましくは1
〜50%、さらに好ましくは1〜30%、最も好ましくは1〜20%であり、好ましくは重
複のない表現型を示す個体から選択される、表現型的にみて一様な個体の個体群
で構成される。2つの形質表現型の違いが明確になればなるほど、バイアレリッ
クマーカーで関連性を検出できる確率が高くなる。劇的に異なるが比較的均一な
表現型を選択すると、研究対象となる個体群のサンプルサイズが十分に有意であ
るという前提で、関連性解析において効率的な比較を行うことができ、遺伝レベ
ルでの著しい差異を検出できる可能性もある。
【0327】 好ましい実施形態では、50〜300の形質陽性個体、好ましくは約100個体からな
る第1の群は、その表現型に基づいて募集される。これらの解析には、ほぼ同数
の対照個体も含める。
【0328】 本発明では、組み入れ基準の典型的な例としては、前立腺癌または前立腺癌腫
瘍の攻撃性を含むが、これに限定されるものではない。本発明の好ましい一実施
形態では、前立腺癌の有(形質陽性)無(形質陰性)に基づいて関連性解析を実施す
る。
【0329】 関連性解析は、先に定義した本発明のバイアレリックマーカーを使用して、異
なる形質陽性個体群または形質陰性個体群で当業者が実施可能なものである。バ
イアレリックマーカーA1〜A125をはじめとするPCTA-1遺伝子のバイアレリックマ
ーカーを用いた関連性解析の他の好適な例には、次の個体群に関する解析が含ま
れる。 癌に羅患した形質陽性個体群と、健常な未羅患個体群、あるいは、 前立腺癌に羅患して前立腺癌に作用する薬剤での治療を受け、かかる治療の結
果として副作用が生じた形質陽性個体群と、前立腺癌に羅患し、同一の薬剤で治
療を受けたが実質的な副作用が認められなかった形質陰性個体群、あるいは、 前立腺癌に羅患して前立腺癌に作用する薬剤での治療を受け、有効な応答が見
られた形質陽性個体群と、前立腺癌に羅患し、同一の薬剤で治療を受けたが何ら
有効な応答が認められなかった形質陰性個体群、あるいは、 前立腺癌に羅患し、前立腺癌腫瘍の攻撃性が極めて高い形質陽性個体群と、前
立腺癌に羅患し、前立腺癌腫瘍の攻撃性のない形質陰性個体群。
【0330】 関連性解析 候補遺伝子を含む領域由来のバイアレリックマーカーを用いて関連性解析を行
うための汎用的な戦略は、個体を2つのグループ(症例対照個体群)に分けてスキ
ャンし、両方のグループに含まれる本発明のバイアレリックマーカーのアレル頻
度を計測して統計的に比較することである。
【0331】 解析したバイアレリックマーカーのうち少なくとも1つまたはそれ以上で形質
との間の統計的に有意な関連性が特定された場合、関連アレルが形質を誘発する
直接の原因である(すなわち、関連アレルが形質誘発アレルである)か、あるいは
関連アレルが形質誘発アレルとの間で連鎖不平衡状態にあるという仮説を立てる
ことができる。このうち、後者の方が可能性としては高い。通常、候補遺伝子の
機能に鑑みた関連アレルの特異的な特徴から、関連アレルと形質との関連性に関
して別の見通し(原因性または連鎖不平衡)が立つのが普通である。候補遺伝子内
の関連アレルは形質誘発アレルではない可能性が最も高いが、実際の形質誘発ア
レルとの間で連鎖不平衡状態にあるということが、何らかの証拠によって示され
た場合、関連マーカー付近のシークエンシングと、互いに関連のある多型の関連
性解析をさらに繰り返すことによって、形質誘発アレルを見出すことができる可
能性がある。
【0332】 関連性解析は通常、連続した2つのステップで行われる。第1フェーズでは、候
補遺伝子から得た少数のバイアレリックマーカーの頻度を、形質陽性個体群と対
照個体群の両方で判定する。解析の第2フェーズでは、関連の領域から得たさら
に高密度のマーカーを用いて、特定の形質の原因である遺伝座の位置をさらに正
確に求める。しかしながら、PCTA-1の場合などでそうであるが、解析対象の候補
遺伝子が比較的短い場合、有意な関連性を得るには第1フェーズのみで十分なこ
ともある。
【0333】 本発明の他の目的は、PCTA-1遺伝子の1つまたはそれ以上のバイアレリックマ
ーカーのアレルと形質との間の関連性の特定および特徴づけのための方法を提供
することにある。この方法は、 形質陽性個体群および対照個体群における1つのマーカーまたはバイアレリッ
クマーカーのグループの遺伝子型を判定するステップと、 少なくとも1つのマーカーの1つのアレルと形質との間に統計的に有意な関連性
を確立するステップと、を含む。
【0334】 対照個体は、無作為個体群または形質陰性個体群であることができる。好まし
くは、形質陽性個体および形質陰性個体を、解析対象の形質に関連するオーバー
ラップのない表現型から選択する。いくつかの実施形態では、バイアレリックマ
ーカーが、配列P1〜P125およびその相補配列のうち1つまたはそれ以上からなる
ものである。
【0335】 また、本発明は、遺伝子型と表現型との間の関連性を検出するための方法であ
って、a)本発明の遺伝子型判定方法に従って、形質陽性個体群における少なくと
も1つのPCTA-1関連バイアレリックマーカーの頻度を判定するステップと、b)本
発明の遺伝子型判定方法に従って、対照個体群における前記PCTA-1関連バイアレ
リックマーカーの頻度を判定するステップと、c)前記遺伝子型と前記表現型との
間に統計的に有意な関連性があるか否かを判定するステップと、を含む方法も含
む。また、本発明の遺伝子型と表現型との間の関連性を検出するための方法は、
本願明細書で開示したいずれかの限定事項のある方法、あるいは単独または組み
合わせで特定される下記の方法を包含し、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリッ
クマーカーが、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平
衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PC
TA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A46〜A53、A57、A58、A62〜A76
、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A125ならびにその相補体、ある
いは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群
から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A45、A54、
A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109、A110、A114およびA12
2ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイア
レリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリ
ックマーカーが、A55、A56、A59、A92、A94〜A101、A108、A111〜A113、A115〜A
117およびA119〜A121ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平
衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記対
照個体群が形質陰性個体群あるいは無作為個体群であってもよく、任意に、前記
遺伝子型を判定するステップa)およびb)の各々を、前記個体群の各々から得てプ
ールした単一の生物学的試料について行ってもよく、任意に、前記遺伝子型を判
定するステップa)およびb)の各々を、前記個体群またはそのサブサンプルにおけ
る各個体由来の生物学的試料について別々に行ってもよく、任意に、PCTA-1遺伝
子のバイアレリックマーカーのヌクレオチドの同一性をステップa)およびb)で判
定してもよい。任意に、前記表現型が、好ましくは前立腺癌である癌の徴候また
は癌に対する羅患性、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、前立腺癌の早期発症、前立
腺癌に対する治療に関する有効な応答または副作用であってもよい。
【0336】 形質が前立腺癌の治療に対する有効な応答またはこれとは逆に副作用である場
合は、上記にて述べた本発明の方法はさらに、 前立腺癌に羅患しているとして診断された被検体の個体群または同齢集団を選択
するステップと、 特定の前立腺癌治療薬を前記被検体の同齢集団に投与するステップと、 医薬品投与の成果をモニタリングし、治療に対して形質陽性または形質陰性で
ある個体を特定するステップと、 DNAを含む生物学的試料を前記同齢集団から採取し、PCTA-1遺伝子のバイアレ
リックマーカーの特定のアレルまたは複数のアレルのセットの有無について、こ
のDNAを試験するステップと、 形質陽性個体と形質陰性個体との間でバイアレリックマーカーでのアレルの分
布を解析するステップと、 統計分析を行って、PCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーのアレルの有無と
治療関連の形質との間の統計的に有意な関連性を判断するステップと、のうち、
いくつかまたはすべてを含む。
【0337】 ハプロタイプ解析 上述したように、突然変異または転移のいずれかによって病因アレルを含む染
色体が最初に個体群に現れたとき、突然変異遺伝子は必ず、被結合マーカーのセ
ットを含む染色体すなわち先祖のハプロタイプ上にある。このハプロタイプを複
数の個体群にわたって追跡し、特定の形質との統計学的な関連性を解析すること
ができる。個別に行う(アレルごとの)関連性解析を、ハプロタイプ解析とも呼ば
れる多点関連性解析で補足することによって、関連性解析の統計学的な効果が増
す。このように、ハプロタイプ関連性解析によって、先祖のキャリアハプロタイ
プの頻度とタイプを定義することができる。ハプロタイプ解析は、個々のマーカ
ーでの解析の統計学的な効力を高めるという点で重要なものである。
【0338】 ハプロタイプ頻度解析の第1ステージでは、同定された本発明のバイアレリッ
クマーカーのさまざまな組み合わせに基づいて考え得るハプロタイプの頻度を判
定する。次に、このハプロタイプ頻度を形質陽性個体と対照個体の異なる個体群
と比較する。統計的に有意な結果を得るのにこの解析で使わなければならない形
質陽性個体の数は通常、30〜300の範囲であり、好ましい個体数は50〜150の範囲
である。同じことが解析に使う未羅患個体(または無作為対照個体)にもあてはま
る。最初の解析の結果から、症例対照個体群でのハプロタイプ頻度が得られ、評
価した各ハプロタイプ頻度について、オッズ比が算出される。統計的に有意な関
連性が見出されると、解析対象の形質で影響された特定のハプロタイプを有する
個体について、相対リスクを概算することができる。
【0339】 また、本発明によれば、PCTA-1遺伝子のゲノム配列の複数のバイアレリックマ
ーカーのアレルを含むハプロタイプと形質との間の関連性の特定および特徴づけ
のための方法が得られる。この方法は、 形質陽性個体群および対照個体群における本発明のバイアレリックマーカーの
グループの遺伝子型を判定するステップと、 ハプロタイプと形質との間に統計的に有意な関連性を確立するステップと、を
含む。
【0340】 好ましくは、対照個体は、無作為個体群または形質陰性個体群であることがで
きる。いくつかの実施形態では、ハプロタイプには、配列P1〜P125およびその相
補配列からなる2以上のバイアレリックマーカーが含まれる。
【0341】 本発明のさらに他の実施形態は、ハプロタイプと表現型との間の関連性を検出
する方法であって、a)本発明のハプロタイプ頻度推定方法によって、形質陽性個
体群における少なくとも1種のハプロタイプ頻度を推定するステップと、b)本発
明のハプロタイプ頻度推定方法によって、対照個体群での前記ハプロタイプ頻度
を推定するステップと、c)前記ハプロタイプと前記表現型との間に統計的に有意
な関連性が存在するか否かを判定するステップと、を含む方法を包含する。また
、ハプロタイプと表現型との間の関連性を検出する本発明による方法は、本願明
細書の開示内容に記載の限定事項のある方法すなわち後述するような方法も包含
する。任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A125およびその
相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカ
ーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが
、A1〜A44、A46〜A53、A57、A58、A62〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118
およびA123〜A125ならびにその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状
態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択され、任意に、前記PCTA-1
関連バイアレリックマーカーが、A45、A54、A60、A61、A77〜A80、A83〜A85、A9
3、A102〜A106、A109、A110、A114およびA122ならびにその相補体、あるいは任
意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選
択され、任意に、前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A55、A56、A59、A
92、A94〜A101、A108、A111〜A113、A115〜A117およびA119〜A121ならびにその
相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカ
ーからなる群から選択され、任意に、前記対照個体群が、形質陰性個体群または
無作為個体群であってもよく、任意に、前記表現型が、好ましくは前立腺癌であ
る癌の徴候または癌に対する羅患性、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、前立腺癌の
早期発症、前立腺癌に対する治療に関する有効な応答または副作用であってもよ
く、任意に、前記方法が、ステップc)の前に、前記形質陽性個体群と前記対照個
体群において表現型を判定するステップをさらに含む。
【0342】 相互作用解析 本発明のバイアレリックマーカーを用いて、ポリジーンの相互作用によって生
じる検出可能な形質に関連のあるバイアレリックマーカーのパターンを特定する
ことができる。未結合座に位置するアレル間の遺伝的相互作用の解析を行うため
には、本願明細書に記載の手法を用いた個体の遺伝子型判定が必要となる。選択
したバイアレリックマーカーセットに関して適切な統計学的有意性をもってなさ
れるアレル相互作用解析はハプロタイプ解析とみなすことができる。相互解析は
、第1の座についての特定のハプロタイプを基準として症例対照個体群を層別化
し、各亜個体群で第2の座との間のハプロタイプ解析を実施することからなる。
【0343】 関連性解析に用いられる統計的手法の詳細については後述する。
【0344】 関連性が存在する中での連鎖の試験 本発明のバイアレリックマーカーをTDT(伝播不平衡テスト)にさらに使用して
もよい。連鎖および関連性を対象としたTDT法はいずれも個体群の層別化に影響
されることはない。TDTに必要なのは、羅患個体とその両親に関するデータか、
両親ではなく未羅患の兄弟姉妹から得たデータである(Spielmann S. et al., 19
93、Schaid D.J. et al., 1996、Spielmann S. and Ewens W.J., 1998を参照の
こと)。このような併用試験では一般に、別々に解析したときに発生するような
擬-正誤差を減らすことができる。
【0345】 本発明のバイアレリックマーカーと前立腺癌との関連性 形質陽性個体群と対照個体群 全形質陽性個体群と形質陰性個体群に前立腺癌に羅患した個体491例と前立腺
癌の徴候が全く認められない個体313例を含む形で、個体を2つのグループに分け
て使用した。形質陽性個体と形質陰性個体からDNA試料を採取するための特定の
プロトコルについて実施例5で説明する。前立腺癌に羅患した491例の個体を、65
歳未満で前立腺癌が発症した個体の個体群と、65歳以降に前立腺癌が発症した個
体の個体群とに小分類することができる。65歳未満の個体の個体群を用いて、前
立腺癌の早期発症との関連性を判定した。さらに、羅患個体を家族性症例と散発
症例に小分類することもできる。
【0346】 形質陰性個体で前立腺癌がない場合の確実性をできるだけ高めるために、この
個体群でPSA値解析を実施すると好ましい。業務用のアッセイにいくつか使用可
能なものがある(本願明細書に援用する国際特許出願公開第WO96/21042号)。好ま
しい一実施形態では、Hybritechアッセイ使用し、形質陰性個体として選択する
条件を血清PSA値2.8ng/ml未満とする。他の好ましい実施形態では、Yangアッセ
イを使用し、形質陰性個体として解析対象の個体群に含めることができる条件を
血清PSA値4ng/ml未満とする。
【0347】 関連性解析 PCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーと前立腺癌との間に相関が認められる
本発明の好ましい一実施形態では、関連性解析の結果(その詳細については実施
例5で説明する)から、前立腺癌、好ましくは家族性の前立腺癌、さらに好ましく
は家族性早発性前立腺癌は、特に関心を示すバイアレリックマーカーA(99-1572/
440)およびA41(5-171/204)と最も大きく関連しているように思われる。これらの
解析結果は、前立腺癌、好ましくは家族性の前立腺癌、さらに好ましくは家族性
早期性前立腺癌に対する個体の遺伝的な羅患性を研究するための新たな要素とな
る。この関連性解析に関する詳細については後述する。
【0348】 前立腺癌と最も大きく関連しているバイアレリックマーカーすなわちA30およ
びA41は、PCTA-1遺伝子の調節領域、具体的にはプロモーター領域に位置してい
る。これらの領域にこれらのマーカーが存在することでどのような結果が生じる
かについては後述する。
【0349】 さらに、前立腺癌、具体的には散発性の前立腺癌には、バイアレリックマーカ
ーA2(99-1601/402)が関連していることも分かった。このバイアレリックマーカ
ーは、PCTA-1遺伝子の5'調節領域に位置している。
【0350】 本発明の範囲内で、バイアレリックマーカーA1〜A125をはじめとして、好まし
くは上述したような前立腺癌と関連のあるマーカーと連鎖不平衡状態にあるバイ
アレリックマーカーである他のバイアレリックマーカーでも同様の関連性解析を
行うことができる。
【0351】 バイアレリックマーカー関連性の解析 PCTA-1遺伝子のコード領域で前立腺癌に関連のある多型を同定することはでき
るが、これらの多型はPCTA-1遺伝子上流の調節領域にあるものほど有意であるよ
うには思えない。また、得られた結果から、形質誘発変異はPCTA-1遺伝子の5'調
節領域内に位置していることが多いことも考えられる。本発明のバイアレリック
マーカーを少なくとも2つ必要とするハプロタイプ解析を使用すれば、PCTA-1の
コード領域内に認められるマーカーが癌に関して有意である度合いを判定するこ
とができる。
【0352】 本発明のバイアレリックマーカーのうち6つでPCTA-1タンパク質のアミノ酸配
列の変化が生じる。これらの6つのバイアレリックマーカーは、A54、A56、A60、
A75、A76およびA85である。こうした変異によって、PCTA-1タンパク質の機能お
よび/または安定性が変化する場合がある。PCTA-1タンパク質のアミノ酸の変化
は、PCTA-1の生物学的活性に変化をもたらすことがある。機能の変化または安定
性の増大は、前立腺癌の発症に関与している可能性がある。
【0353】 さらに、PCTA-1遺伝子の発現は主に前立腺癌細胞で報告されているため、その
発現は癌の発症、特に前立腺癌の発症と密接に関係していると推測できる。一般
に、遺伝子の発現は主に転写開始レベルによって制御される。この開始には、転
写因子結合部位の集まりであるとみなすことができるプロモーターが関与してい
る。また、転写の開始には、開始の効率を調節し、遺伝子の3'または5'から一定
の距離をおいた部分にある考慮対象の遺伝子の調節領域に位置するDNA結合部位
であるエンハンサーも関与している。
【0354】 本発明による前立腺癌に関与したPCTA-1遺伝子のバイアレリック多型の大半は
、PCTA-1遺伝子の転写開始部位上流の調節領域、特にプロモーター内に位置して
いる。バイアレリックマーカーA41は、最初のエキソン(エキソン0)の開始位置よ
り約120bp上流に位置しており、PCTA-1遺伝子の近位プロモーターに含まれてい
る場合がある。このバイアレリックマーカーは、前立腺癌の形質誘発変異の可能
性がある。バイアレリックマーカーA30は、最初のエキソン(エキソン0)の開始位
置より約1.5kb上流に位置しており、PCTA-1遺伝子の遠位プロモーターに含まれ
ている場合がある。バイアレリックマーカーA2はPCTA-1遺伝子の5'調節領域に位
置している。
【0355】 PCTA-1遺伝子の発現は主に前立腺癌細胞で報告されているので、PCTA-1遺伝子
の発現は発癌の間に修飾される。PCTA発現が修飾される正確な機序は分かってい
ない。しかしながら、多型A41、A30およびA2がDNA結合タンパク質を介してPCTA-
1転写を調節することによって、PCTA-1の発現が調節される可能性がある。その
詳細については後述する。
【0356】 PCTA-1発現の調節は、癌、特に前立腺癌の発病時および発症の間の重要な要因
である。この点に鑑みて、PCTA-1遺伝子の5'調節領域に位置する多型は、癌とPC
TA-1との関連性に最も重要な役割を果たしているものと思われる。転写開始部位
に隣接したプロモーター領域に見出される多型、特に近位PCTA-1プロモーターに
位置している多型は、この部位よりさらに上流に位置している他のプロモーター
要素の多型よりも明らかに前立腺癌に対して大きく関連しているように思われる
。さらに、バイアレリックマーカーA41など、多型の中には早発性前立腺癌と明
らかに関連しているものもある。5'調節領域の近位2000〜3000bpに見られる多型
は、早発性前立腺癌に関連している。本願発明者らは、PCTA-1ゲノムDNAの3'末
端に位置する本発明のバイアレリックマーカーのうちのいくつかと前立腺癌との
関連性も示した。
【0357】 関連性のある多型が前立腺癌細胞でのPCTA-1の発現の調節に関与していること
を後述のアッセイによって確認することができる。
【0358】 特定の多型の有無についてタイプ分けした個体から得た組織試料を解析するこ
とで、異なる組織において、PCTA-1遺伝子、好ましくは本発明によるバイアレリ
ックマーカーを少なくとも1つを含む遺伝子の発現レベルを判定することができ
る。ノーザンブロット、ドットブロットまたは他のハイブリダイゼーション解析
、mRNA定量化用の定量的RT-PCR、ウェスタンブロットELISA、タンパク質定量化
用RIAなど、都合の良い方法を適宜使用することができる。このようにして、組
織特異的発現と遺伝子型とを相関させることができる。これらの方法のうちのい
くつかについて、下記の「スクリーニング方法」という見出しを付した部分で詳
細に説明する。
【0359】 特定のプロモーター配列についての発現アッセイで発現レベルを判定すること
で、PCTA-1遺伝子の調節領域、特にプロモーターの配列での調節の効果を解析す
ることができる。レポーター遺伝子を使用して、PCTA-1コード配列または検出可
能なマーカー配列でアッセイを行う。組織特異性を判断するために、異なるソー
スから得た細胞でアッセイを行う。健常な組織細胞と同一組織型の癌細胞(前立
腺細胞と前立腺癌細胞など)でアッセイを行うと好ましい。さらに好ましくは、
悪性腫瘍レベルがさらに高い広い範囲の株化細胞でアッセイを実施する。いくつ
かの方法について、下記の「スクリーニング方法」という見出しを付した部分で
詳細に説明する。
【0360】 配列多型がPCTA-1の発現におよぼす影響を判断するためのアッセイを、無細胞
抽出物上、あるいは一過性トランスフェクションアッセイまたは安定したトラン
スフェクションアッセイなどの細胞培養アッセイで実施してもよい。このアッセ
イも本発明の範囲内である。発現の変化は、1以上の細胞型で発現されるPCTA-1
mRNAおよび/またはタンパク質の基本量の増減と相関している場合がある。従来
技術において周知のさまざまな方法を用いて、異なるアレルの発現レベル同士を
比較する。プロモーター配列またはエンハンサー配列がトリガーとなった発現の
レベルが前記配列の解析対象アレルによって増減するか否かを判定するための方
法には、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質またはクロ
ラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼなどのレポーター遺伝子を前記配
列上流のベクターに挿入することがふくまれる。発現したレポータータンパク質
を定量化して発現レベルをアッセイすることで、手軽な定量化を実施できる。
【0361】 PCTA-1発現が変化するのは、PCTA-1遺伝子の転写の活性化または開始が可能な
DNA結合タンパク質によってPCTA-1転写の変調が調節されたことが原因である可
能性がある。「DNA結合タンパク質」という用語は、特に転写因子を包含するこ
とを意図したものである。プロモーターに位置する部位でのタンパク質の結合は
、ポリメラーゼが正しい結合を行う上で必須であり、よって転写の開始には欠か
せないものである。転写は上流の5'調節領域に位置する部位でのタンパク質の結
合によって調節される。
【0362】 DNA結合タンパク質、好ましくは転写因子の結合部位は一般に、6〜20ヌクレオ
チド長である。転写因子結合部位内に位置する多型部位が原因で、多型の2つの
アレル間に前記転写因子の結合親和性の差が生じることがある。この親和性の差
が、PCTA-1遺伝子の発現に変化が起こる原因であろう。
【0363】 癌に関連したPCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーの1つ以上のアレルが、
受胎以来個体のゲノムの中にあるのだとすると、PCTA-1発現の急激な増大を刺激
する何らかのイベントがあるはずである。このイベントを説明するために打ち立
てることができる、考え得る仮説には少なくとも2つある。まず、癌は一連の突
然変異の結果であり、1つの突然変異が新しいDNA結合活性の発現あるいは、多型
を含み、PCTA-1遺伝子の転写に関与している部位に結合するDNA結合因子の過剰
発現を引き起こすことがある。第2に、DNA結合因子は、健常な細胞ではPCTA-1の
転写を活性化できないかPCTA-1転写開始のリプレッサーであるのだが、このよう
な細胞で多型を含む部位と容易に結合される。転写因子での突然変異が原因で、
転写因子はそれがアクティベーターの場合は機能的になり、リプレッサーの場合
は非機能的になることができる。同様に、別のタンパク質での変異が原因で、DN
A結合因子がPCTA-1遺伝子の転写を活性化するのに必要なタンパク質の結合が誘
発されることがある。
【0364】 本発明のバイアレリックマーカーを含む部位に対する転写因子の結合能を確認
し、考慮対象のバイアレリックマーカーの2つのアレルの親和性の違いを評価し
てこれらの仮説同士を正しく区別するために、ゲルリターデーションアッセイま
たはDNA移動度シフトアッセイを実施することができる。このタイプのアッセイ
は当業者間で周知であり、米国特許第5,698,389号、同第5,502,176号、Fried an
d Crothers(1981)、Garner and Revzin(1981)およびDent and Latchman(1993)に
記載されている。
【0365】 このタイプの方法は、タンパク質が結合したDNAのフラグメントの方が、タン
パク質の結合していない同じDNAフラグメントよりもゲル電気泳動での移動性が
低いという原理に基づいたものである。したがって、DNA移動度シフトアッセイ
を実施する際は、まずタンパク質結合特性がすでに解明されている特定のDNAセ
グメントを標識する。次に、標識したDNAを、DNA結合タンパク質を含むようにし
て用意した核細胞(Dignam et al., 1983、Schreiber et al., 1989、Muller et
al., 1989、Mizokami et al., 1994)または細胞のホールセル(Manley et al., 1
980)抽出物と共にインキュベートする。次に、DNAタンパク質錯体を形成させる
。これらの錯体を非変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、標識DNAの位置
を適当な手法で可視化する。当業者であれば、さまざまなタイプの好適な標識を
選択することができる。特に、放射性標識が適している。DNAに結合したタンパ
ク質がなければ、標識はすべて自由に泳動できるが、標識タンパク質DNA錯体は
これよりも速度が遅いため、ゲルの一番上に近い非結合DNAのシグナルとは別の
シグナルが得られる。標識されたDNAセグメントに相当する非標識DNAセグメント
の量を増やしてゲルリターデーションアッセイを実施することで、相互作用特異
性を推定することができる。アンドロゲン応答性要素を含むオリゴヌクレオチド
でポジティブな対照を実現することができる。
【0366】 調査したDNAセグメントは、本発明の多型のアレルを含む潜在的な結合部位の
配列を含むものであると好ましく、P1〜P125およびその相補配列から選択される
配列を含むものであると一層好ましく、P1〜P43およびその相補配列から選択さ
れる配列を含むものであるとさらに好ましい。一実施形態では、多型部位はDNA
フラグメントの中心に位置している。他の実施形態では、多型部位はたとえば末
端から6ヌクレオチド離れた位置などDNAフラグメントの末端付近に位置すること
ができる。DNAフラグメントは、相補鎖とのハイブリダイズによって安定した二
本鎖を形成可能なだけの十分な長さのものである。たとえば、DNAフラグメント
は、少なくとも8ヌクレオチド、好ましくは少なくとも20ヌクレオチド、さらに
好ましくは30ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、DNAフラグメントは、
フラグメントの中心に興味の対象である配列を含み、いくつかのポリG、ポリCま
たはポリGCを5'末端および/または3'末端に含む。
【0367】 好ましい実施形態では、DNAセグメントは、表Cに列挙し、配列番号1の特徴と
して詳細に示すオリゴ1〜オリゴ60からなる群から選択されるオリゴヌクレオチ
ドからなるものである。各多型部位について、4つのオリゴヌクレオチドが生成
され、考慮対象とする多型の2つのアレル各々のDNAの2本の相補鎖に対応してい
る。DNAセグメントは、多型塩基が各側で14のヌクレオチドに囲まれるなどの状
態に設計される。
【0368】
【表3】
【0369】 オリゴ1〜オリゴ60から選択されるオリゴヌクレオチドは各々、その5'末端に4
つの付加塩基すなわちGATCがある。
【0370】 好ましい実施形態では、核細胞またはホールセル抽出物のいずれかを健常な細
胞と癌細胞、特に正常な前立腺細胞および前立腺癌細胞から取得する。たとえば
、好適な細胞抽出物は、PZ-HPV-7(ATCC: CRL-2221)、CA-HPV-10(ATCC: CRL-2220
)、PC-3(ATCC: CRL-1435)、DU 145(ATCC: HTB-81)、LNCaP-FGC(ATCC: CRL-10995
およびCRL-1740)またはNCI-H660(ATCC: CRL-5813)細胞から得ることが可能であ
る。さらに好ましい実施形態では、PNT1A、PNT2、LNCaP-JMV、DU145(ATCC Nr: H
TB-81)またはPC3(ATCC Nr: CRL-1435)細胞から細胞抽出物を得る。
【0371】 新しい転写因子が癌細胞で特異的に発現された場合、ゲルリターデーションア
ッセイでは、DNAを前立腺癌細胞から得た細胞抽出物と共にインキュベートした
場合にのみ遅滞またはシフトしたバンドが見られる。健常な細胞にDNA結合活性
がすでに存在する場合、ゲルリターデーションアッセイでは、健常な前立腺細胞
と前立腺癌細胞のどちらから得た細胞抽出物でもシフトしたバンドが認められる
。また、ゲルリターデーションアッセイでは、DNA結合因子と考慮対象の多型の2
つのアレルを含む結合部位の親和性の有意な差を示すことが可能である。
【0372】 転写因子と共に上述したDNAセグメントの相互作用を、BIACOREなどの光学バイ
オセンサを用いて解析することができる。このテクノロジーは当業者間で周知で
あり、Szabo et al.(1995)およびEdwards et al.(1997)に記載されている。この
方法の主要な利点は、調査対象のDNAフラグメントとDNA結合タンパク質との間の
関連率を判定できるということである。一般に、先に定義したようなDNAセグメ
ントをその5'末端または3'末端でビオチン化し、ストレプトアビジン被覆センサ
ーチップに固定化する。次に、細胞のホールセル抽出物または核細胞抽出物をDN
Aセグメントと接触させる。DNA結合タンパク質とDNAフラグメントとの結合によ
って、屈折率および/または膜厚が変化する。この変化がエバネッセント場で生
じれば、これをBiosensorで検出することができる。次に、DNAフラグメントに対
するDNA結合タンパク質の親和性を測定する。
【0373】 転写因子の結合部位を正確に位置決めするために、本発明の多型のアレルを含
む潜在的な結合部位の配列、好ましくは、P1〜P125およびその相補配列から選択
される配列を含む配列、さらに好ましくはP1〜P43およびその相補配列から選択
される配列を含む配列を含むDNAフラグメントを用いて、DNAse Iフットプリント
法またはDMS保護フットプリント法によるいアッセイを実施することができる。
このタイプのアッセイは当業者間で周知であり、Galas and Schmitz(1978)およ
びDynan and Tjian(1983)に記載されている。簡単に説明すると、DNAse Iフット
プリント法によるアッセイでは、末端標識したDNAをタンパク質抽出物と一緒に
インキュベートし、次いでDNAse Iで部分消化する。タンパク質のDNAへの特異的
な結合によって、相互作用部位でのヌクレアーゼ消化が遊離DNAの場合とは違っ
たものになり、標識DNAの抽出と配列ゲルでの電気泳動後に可視化可能な「痕跡
」が残る。
【0374】 当業者間で周知かつSiebenlist and Gilbert(1980)およびMaxam and Gilbert(
1980)に記載されているメチル化干渉法によるアッセイによって、転写因子との
相互作用を解析することができる。簡単に説明すると、この方法はDMSのG残基を
メチル化する機能を利用したものであり、これをピペラジンで切断することがで
きる。DNA分子1個あたり平均で1つのG残基がメチル化されるように標的DNAを部
分的にメチル化する。これらの部分的にメチル化された分子を、転写因子を含む
適当な細胞抽出物と一緒にDNA移動度シフト実験に使用する。電気泳動後、タン
パク質に結合したDNAによって生成されるバンドと、未結合のDNAによって生成さ
れるバンドをゲルから取り出し、ピペラジンで処理し、メチル化されていないG
残基の部分でDNAを切断しないようにしてメチル化したG残基の部分でのみDNAを
切断する。特定のG残基のメチル化によって転写因子の結合が妨げられる場合、
このメチル化G残基での切断はタンパク質と結合できなかったDNAでのみ観察され
ることになる。
【0375】 癌細胞でPCTA-1の転写調節因子に対する結合部位としてのバイアレリックマー
カーを含有する特定のPCTA-1由来配列との関わりを確認するために、一過性発現
アッセイを実施することができる。クロラムフェニコールアセチルトランスフェ
ラーゼなどのレポーター遺伝子と作用的に結合されるHSV1チミジンキナーゼプロ
モーター上流の考慮対象の結合部位を含むベクターを適当な株化細胞でトランス
フェクトする。このアッセイは当業者間で周知であり、Doucas et al.(1991)に
記載されている。このアッセイはまた、Coles et al.(1998)に記載されているよ
うに、SV40プロモーター上流の考慮対象の結合部位をpGL3-プロモータールシフ
ェラーゼベクター(プロメガ社)にクローニングすることによって実現することも
可能なものである。健常な細胞と癌細胞、具体的には前立腺から採取した健常な
細胞と癌細胞を前記ベクターでトランスフェクトする。レポーター遺伝子の発現
レベルによって、結合部位、特に結合部位に含まれるアレルによる影響を評価す
ることができる。
【0376】 本願発明者らは、これらの多型、特にポリアデニル化部位に位置する多型また
はポリアデニル化部位付近に位置する多型が、前立腺癌の発症に直接的ではある
が緩徐な何らかの影響をおよぼしているものと考えている。
【0377】 ハプロタイプ解析 本発明の文脈では、ハプロタイプを、特定の個体に見られ、適切な統計的解析
を行うと特定の形質の発現と多かれ少なかれ有意に関連しているバイアレリック
マーカーの組み合わせとして定義することができる。
【0378】 マーカーA30およびA41(それぞれTTアレル)を含む2-マーカーハプロタイプが、
前立腺癌、好ましくは家族性の前立腺癌、さらに好ましくは家族性早発性前立腺
癌と有意に関連していることが分かった。表8に示すように、家族性早発性前立
腺癌に対する「TT」ハプロタイプのp値は2.5×10-6である(実施例5を参照のこと
)。
【0379】 マーカーA2、A30およびA41(それぞれATTアレル)を含む3-マーカーハプロタイ
プが、前立腺癌、好ましくは家族性の前立腺癌、さらに好ましくは家族性早発性
前立腺癌と有意に関連していることが分かった。表8に示すように、家族性早発
性前立腺癌に対する「ATT」ハプロタイプのp値は2.5×10- 7である(実施例5を参
照のこと)。
【0380】 マーカーA2およびA57(99-1605/112)(それぞれTAアレル)を含む最初の2-マーカ
ーハプロタイプが、前立腺癌、好ましくは散発性前立腺癌と有意に関連している
ことが分かった。表8に示すように、情報のある散発性前立腺癌に対する「TA」
ハプロタイプのp値は3.4×10- 5である(実施例5を参照のこと)。マーカーA2およ
びA55(5-2/178)(それぞれTTアレル)を含む2番目の2-マーカーハプロタイプが、
前立腺癌、好ましくは散発性前立腺癌と有意に関連していることが分かった。表
8に示すように、情報のある散発性前立腺癌に対する「TT」ハプロタイプのp値は
1×10- 5である(実施例5を参照のこと)。
【0381】 したがって、家族性の前立腺癌に関連する本発明の好ましいハプロタイプは、
A30(アレルT)、A41(アレルT)、A2(アレルA)、A55(アレルC)およびA57(アレルG)
からなる群から選択されるバイアレリックマーカーを含む。家族性の前立腺癌に
関連する本発明のもう1つの好ましいハプロタイプは、A30(アレルT)、A41(アレ
ルT)およびA2(アレルA)からなる群から選択されるバイアレリックマーカーを含
む。家族性の前立腺癌に関連する本発明のさらに他のハプロタイプは、A30(アレ
ルT)およびA41(アレルT)からなる群から選択されるバイアレリックマーカーを含
む。
【0382】 さらに、散発性の前立腺癌に関連する本発明の好ましいハプロタイプは、A2(
アレルT)、A55(アレルT)、A57(アレルA)、A30(アレルT)およびA41(アレルT)から
なる群から選択されるバイアレリックマーカーを含む。散発性の前立腺癌に関連
する本発明のもう1つの好ましいハプロタイプは、A2(アレルT)、A41(アレルT)、
A55(アレルT)、A57(アレルA)からなる群から選択されるバイアレリックマーカー
を含む。
【0383】 並べ替え検定では、これらのハプロタイプと前立腺癌との間の関連性が統計的
に有意なものであることが明らかに確認された(実施例5を参照のこと)。これら
のハプロタイプはいずれも、前立腺癌の診断、具体的には家族性前立腺癌または
散発性前立腺癌の診断に使用可能である。
【0384】 家族性の前立腺癌症例に関連したハプロタイプは、散発性の前立腺癌症例には
関連しておらず、散発性の症例に関連したハプロタイプは家族性の症例には関連
していないということが観察される(実施例5の表7を参照のこと)。また、バイア
レリックマーカーA2を除き、家族性および散発性のハプロタイプは共通のバイア
レリックマーカーを持たない。したがって、先祖のハプロタイプは異なるもので
あり、形質アレルを引き起こすものは同一ではない。
【0385】 この情報は極めて価値のあるものである。前立腺癌に対する潜在的な遺伝素因
を知ることで、これが絶対的な素因ではなかったとしても、前立腺癌の治療の有
効性や新たな治療ツールおよび診断ツールの開発に極めて有意に貢献することは
間違いないであろう。
【0386】 統計的手法 一般に、形質および遺伝子型のいずれかを試験して統計的に有意な相関性を示
すための従来技術において周知の方法であれば、どのような方法でも利用できる
【0387】 1) 連鎖解析での方法 連鎖解析に有用な統計的手法およびコンピュータプログラムは、当業者間で周
知である(Terwilliger J.D. and Ott J., 1994、Ott J., 1991を参照のこと)。
【0388】 2) 個体群でのハプロタイプ頻度の推定方法 上述したように、遺伝子型をスコアリングしても、ヘテロ接合体を区別できな
いことは珍しくないため、ハプロタイプ頻度の推論は決して容易ではない。配偶
子フェーズが分からない場合、多座の遺伝子型データからハプロタイプ頻度を推
定することができる。当業者間で周知の適当な方法を用いてハプロタイプ頻度を
推定することができる(Lange K., 1997、Weir, B.S., 1996を参照のこと)。期待
値最大化(EM)アルゴリズムを用いて、最尤ハプロタイプ頻度を算出すると好まし
い(Dempster et al., 1977、Excoffier L. and Slatkin M., 1995を参照のこと)
。この手順は、配偶子のフェーズが不明である場合に多座の遺伝子型データから
ハプロタイプ頻度の期待値最大化値を得ることを意図した繰り返しのプロセスで
ある。ハプロタイプ推定は通常、EM-HAPLOプログラム(Hawley M.E. et al., 199
4)またはArlequinプログラム(Schneider et al., 1997)などを使用して、EMアル
ゴリズムを応用することによって行われる。EMアルゴリズムは、繰り返し期待値
最大化法を汎用化した方法であるが、これを以下に簡単に説明する。
【0389】 このセクション、本テキストの「個体群でのハプロタイプ頻度の推定方法」で
は、フェーズが不明の多座の遺伝子型を表現型とし、フェーズが分かっている多
座の遺伝子型を遺伝子型とすることに留意されたい。
【0390】 血縁のない個体N個からなる標本をK個のマーカーについてタイプ分けする。観
察するデータはフェーズが不明のK座表現型であり、これをF種類の表現型に分類
できるものとする。考えられる基礎ハプロタイプがH個あるとする(Kがバイアレ
リックマーカーの場合、H=2K)。
【0391】 表現型jについて遺伝子型cjがあり得ると仮定する。よって、以下の式
【数1】 (式中、Pjは表現型jの確率、hkおよびhlは遺伝子型iを構成する2つのハプロタ
イプである)が得られる。ハーディワインベルグ平衡に基づいて、pr(hk,hl)は
次のようになる。
【数2】
【0392】 EMアルゴリズムの連続したステップは次のように説明できる。 ハプロタイプ頻度のofの初期値(initial values of the of haplotypes frequen
cies)すなわちP1 (0),P2 (0),......PH (0)から開始して、これらの初期値から遺伝
子型頻度を推定(推測ステップ)し、もう一組のハプロタイプ頻度(最大化ステッ
プ)すなわちP1 (1),P2 (1),......PH (1)を推定する。ハプロタイプ頻度のセットの
変化が極めて小さくなるまで上記の2つのステップを繰り返す。
【0393】 停止基準は、2回の繰り返しでハプロタイプ頻度間に見られる差が最大でも10- 7 未満になった時点とすることができる。所望の推定精度でこれらの値を調節す
ることができる。
【0394】 特定のs回目の繰り返しの時点で、推測ステップで以下の式から遺伝子型頻度
を算出する。
【数3】 この場合、表現型jに遺伝子型iが発生し、hkおよびhlが遺伝子型を構成する。そ
れぞれの確率は、上記の式1および2から導き出される。
【0395】 次に、最大化ステップでは、特定の遺伝子型についてもう一組のハプロタイプ
頻度を推定するだけである。この方法は、遺伝子カウント法(Smith, 1957)とし
て周知である。
【数4】 式中、δitは遺伝子型iにおけるハプロタイプtの数を示す指標変数である。この
指標変数の値は、0、1または2である。
【0396】 最終的に得られる推定値が期待値最大化値になるようにするためには、出発値
がいくつか必要である。得られた推定値を比較し、推定値間に差がある場合は最
尤度につながる推定値の方を保持する。
【0397】 3) マーカー間の連鎖不平衡算出方法 さまざまな方法を用いて任意の2つの遺伝位置間の連鎖不平衡を算出すること
ができる。実用上、個体群から得たハプロタイプデータに統計学的な関連性試験
を適用して連鎖不平衡を求める。
【0398】 マーカーMiにアレル(ai/bi)を有し、マーカーMjにアレル(aj/bj)を有する本発明
の両アレル性マーカー(Mi, Mj)を少なくとも1つ含む任意のバイアレリックマー
カー対間の連鎖不平衡を、Piazzaの式によってアレルの組み合わせ(ai, aj; ai,
bj; bi, ajおよびbi, bj)それぞれについて算出することができる。 Δaiaj=ルートθ4-ルート(θ4+θ3)(θ4+θ2)、式中、 θ4= - - = Miにアレルaiがなく、Mjにアレルajがない遺伝子型の頻度 θ3= - + = Miにアレルaiがなく、Mjにアレルajがある遺伝子型の頻度 θ2= + - = Miにアレルaiがあり、Mjにアレルajがある遺伝子型の頻度
【0399】 Weir(Weir B.S.、1996)によって説明されているようなδ(複合連鎖不平衡係数
)に対する期待値最大化(MLE)法に基づいて、アレルの組み合わせ(ai, aj; ai, b j; bi, ajおよびbi, bj)それぞれについてバイアレリックマーカー対(Mi, Mj)間
の連鎖不平衡(LD)を算出することもできる。複合連鎖不平衡に対するMLEは次の
とおりである。
【0400】 Daiaj=(2n1 + n2 + n3 + n4/2)/N 2(pr(ai).pr(aj)) (式中、n1=Σ表現型(ai/ai, aj/aj)、n2=Σ表現型(ai/ai, aj/bj)、n3=Σ表現型
(ai/bi, aj/aj)、n4=Σ表現型(ai/bi, aj/bj)、Nは試料中の個体の数である。)
【0401】 ハプロタイプデータがなく遺伝子型データしか利用できない場合でも、この式
によってアレル間の連鎖不平衡を推定することができる。
【0402】 マーカー間の連鎖不平衡を算出するためのもう1つの手段は以下のとおりであ
る。ハーディワインベルグ平衡を満たす一対のバイアレリックマーカーマーカー
Mi(ai/bi)およびMj(aj/bj)について、上述した方法で特定の個体群から4つの可
能なハプロタイプ頻度を推定することができる。
【0403】 aiとajとの間の配偶子不平衡の推定は、単に、
【数5】 である。式中、pr(ai)はアレルaiの確率であり、pr(aj)はアレルajの確率である
。また、pr(ハプロタイプ(ai, aj))は、上記の式3において推定されるとおりで
ある。
【0404】 一対のバイアレリックマーカーでは、MiとMjとの間の関連性を説明するのに必
要な不平衡値は1つのみである。
【0405】 次に、上記の値に対する正規化値を次のようにして算出する。 D'aiaj = Daiaj / max(-pr(ai).pr(aj),-pr(bi).pr(bj)) (Daiaj<0) D'aiaj = Daiaj / max(pr(bi).pr(aj), pr(ai).pr(bj)) (Daiaj>0)
【0406】 他の連鎖不平衡算出方法を使用してもよいことは、当業者であれば容易に理解
できよう。
【0407】 適当なヘテロ接合率を持つ一組のバイアレリックマーカーでの連鎖不平衡を求
めるには、50〜1000の血縁のない個体、好ましくは75〜200、より好ましくは100
前後の血縁のない個体を遺伝子型判定すればよい。
【0408】 4) 関連性試験 表現型と遺伝子型、ここではバイアレリックマーカーにおけるアレルまたはか
かるアレルを構成するハプロタイプでのアレルの相関の統計的な有意性を判断す
る方法を従来技術において周知の統計学的試験によって判断できるが、この場合
は統計的な有意性の許容閾値が必要である。特定の方法および有意性閾値の利用
方法は当業者間で周知のものである。
【0409】 症例個体群と対照個体群とにおけるバイアレリックマーカーアレルの頻度を判
断し、これらの頻度を統計的な試験結果と比較して関連性を試験し、解析対象の
バイアレリックマーカーアレルと形質との相関を表す頻度に何らかの統計的な有
意差が認められるか否かを判断する。同様に、症例個体群と対照個体群において
、特定のバイアレリックマーカーセットについて考え得るあらゆるハプロタイプ
の頻度を推定してハプロタイプ解析を行い、これらの頻度を統計的な試験結果と
比較して解析対象の表現型(形質)とハプロタイプとの間に統計的に有意な相関が
認められるか否かを判断する。遺伝子型と表現型との間の統計的に有意な関連性
を調べるための試験に有用な統計ツールを用いてもよい。好ましくは、ここで用
いる統計学的試験は自由度1のカイ二乗試験である。P値を算出する(P値は、観察
された値以上の統計値が偶然に発生する確率を示す)。
【0410】 統計的な有意性 好ましい実施形態では、別の診断試験用の前向きなものとしてか、あるいは早
期の予防的治療用の予備的な起始点としての診断上の有意性、バイアレリックマ
ーカー関連性に関係のあるp値が、単発のバイアレリックマーカー解析では好ま
しくは約1ラ10-2以下、さらに好ましくは約1ラ10-4以下であり、2つまたはそれ以 上のマーカーを利用するハプロタイプ解析では、約1ラ10-3以下、さらに好ましく は1ラ10-6以下、最も好ましくは約1ラ10-8以下である。これらの値は、マーカーが 1つであろうと複数のマーカーを併用したものであろうと、どのような関連性解
析にも応用できるものと思われる。
【0411】 当業者であれば、上述した値の範囲を起始点として使用し、本発明のバイアレ
リックマーカーを用いた関連性解析を行うことができる。これを行うにあたり、
本発明のバイアレリックマーカーと、前立腺癌、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、
前立腺癌の早期発症または前立腺癌に対する治療に関する有効な応答または副作
用との有意な関連性を証明し、診断や薬剤スクリーニングの目的で利用すること
ができる。
【0412】 表現型並べ替え検定 上述した第1段階でのハプロタイプ解析の統計学的有意性を確認するために、
症例対照個体から得た遺伝子型判定データをプールし、形質表現型に関して無作
為化して、さらに別の解析を行うとよい場合がある。個々の遺伝子型判定データ
を2つのグループに無作為に割り当てる。このとき、各グループには第1段階で得
られたデータの蓄積に用いた症例対照個体群から同数ずつの個体が含まれるよう
にする。第2のステージでのハプロタイプ解析は、これらの人為的なグループ、
好ましくは第1段階での解析のハプロタイプに含まれていたマーカーのうち相対
危険度係数が最も高かったマーカーについて行うと好ましい。この実験を少なく
とも100〜10000回繰り返す。このように繰り返し行うことで、試験したハプロタ
イプが偶然に得られる確率を判断することができる。
【0413】 統計的関連性の評価 偽陽性の問題に対処するために、同一の症例対照個体群について無作為に定め
たゲノム領域で同様の解析を行ってもよい。1998年11月10日出願で発明の名称が
「Methods, Software And Apparati For Identifying Genomic Regions Harbori
ng A Gene Associated With A Detectable Trait(検出可能な形質に関連のある
遺伝子を持つゲノム領域を同定するための方法、ソフトウェアおよび装置)」で
ある係属中の米国仮特許出願第60/107,986号に記載されているようにして、無作
為に定めた領域と候補領域で得られる結果を比較する。
【0414】 5) 危険因子の評定 危険因子(遺伝疫学では、危険因子はマーカー座における特定のアレルまたは
ハプロタイプの有無である)と疾患との間の関連性は、オッズ比(OR)および相対
危険度(RR)によって測定される。P(R+)がRを持った個体で疾患が発症する可能性
、P(R-)が危険因子のない個体での確率である場合、相対危険度は2つの確率の比
にすぎない。すなわち、 RR= P(R+)/P(R-)
【0415】 症例対照研究では、サンプリング設計であるために相対危険度の直接的な基準
を得ることができない。しかしながら、オッズ比から出現率の低い疾患の相対危
険度に良く近似した値を得ることができる。この値は次のように算出できる。 OR=(F+/(1-F+))/(F-/(1-F-))
【0416】 ここで、F+は症例で危険因子に曝露される頻度であり、F-は対照例で危険因子
に曝露される頻度である。F+およびF-は、研究のアレル頻度またはハプロタイプ
頻度を使用して算出され、基本となる遺伝モデル(優性、劣性、相加...)によっ
て変わるものである。
【0417】 特定の危険因子の形質を示す個体群における個体の割合について説明する、寄
与危険度(AR)をさらに推定することができる。この測定は、疾患病因論および危
険因子の公衆衛生的な影響に関する特異的因子の役割の定量化する上で重要であ
る。この測定の公衆衛生との関係は、興味の対象となる曝露がなければ防止可能
な個体群における疾患症例の割合を推定することにある。ARは次のように求めら
れる。 AR = PE(RR-1)/(PE(RR-1)+1)
【0418】 ARは、バイアレリックマーカーアレルまたはバイアレリックマーカーハプロタ
イプに起因する危険である。PEは、個体群全体でアレルまたはハプロタイプに曝
露される頻度である。RRは、解析の対象となる形質の個体群全体における出現率
が比較的低い場合、オッズ比で近似できる相対的危険度である。
【0419】 PCTA-1関連バイアレリックマーカーと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマー
カーの同定 特定のバイアレリックマーカーと形質との間の関連性さえ分かれば、形質に関
連し、かつ本願明細書に開示するバイアレリックマーカーと連鎖不平衡状態にあ
る別のバイアレリックマーカーを当業者は容易に発見することができる。
【0420】 したがって、本発明は、上述した特定のバイアレリックマーカー、特に、バイ
アレリックマーカーA1〜A125と連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーに
も関するものであり、これらのマーカーは特定の形質との関連性という点でそれ
ぞれ同様の特徴をみせるものと思われる。
【0421】 したがって、形質と特定のバイアレリックマーカーとの間の連鎖不平衡さえ分
かれば、特定のバイアレリックマーカーと連鎖不平衡状態にあることが示された
バイアレリックマーカーはすべて特定の形質との関連性という点でそれぞれ同様
の特徴をみせるものと思われる。原因変異はマーカー1つまたはマーカーのセッ
トの近辺で見つかるため、形質に関連した別のバイアレリックマーカーを見出す
ことが、特にこの領域のバイアレリックマーカーの密度を増加させるために非常
に興味深いこととなる。本願の教示内容を用いて当業者が同定およびシークエン
シングが可能な上記の別のマーカーも、本発明の範囲内に包含される。
【0422】 また、本発明は、PCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーと連鎖不平衡状態に
あるバイアレリックマーカー、好ましくは1つのアレルが形質と関連しているPCT
A-1遺伝子のバイアレリックマーカーを同定および特徴づけするための方法に関
する。一実施形態では、PCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーがPCTA-1遺伝子
自体の外にある。別の実施形態では、PCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーと
連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカー自体がPCTA-1遺伝子内に位置する
。この方法は、(a)第1のバイアレリックマーカーを含むと好ましい、複数の個体
から得たゲノムフラグメントを増幅するステップと、(b)前記増幅部分で第2のバ
イアレリックマーカーを同定するステップと、(c)前記第1のバイアレリックマー
カーと第2のバイアレリックマーカーとの間の連鎖不平衡解析を実施するステッ
プと、(d)前記第1のマーカーと連鎖不平衡状態にある第2のバイアレリックマー
カーを同定するステップと、を含む。ステップ(b)と(c)のサブコンビネーション
も考慮される。任意に、第1のバイアレリックマーカーが、A1〜A125およびその
相補体からなる群から選択される。好ましくは、第1のバイアレリックマーカー
が、A2、A30、A41、A55、A57およびその相補体からなる群から選択される。
【0423】 バイアレリックマーカーの同定および連鎖不平衡解析の指示方法については本
願明細書にて開示されており、本願の範囲を超える実験を行うことなく当業者ら
が実施可能なものである。
【0424】 同定後は、バイアレリックマーカーと形質との関連性を判断する方法、形質の
素因を有する個体を特定する方法、予防薬または治療薬の投与方法、疾病の治療
、前記薬剤での治療にポジティブまたはネガティブな応答を示す可能性のある個
体を特定する方法、医薬品およびワクチンの使用方法をはじめとして、本願明細
書に記載のどの方法にもPCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーと連鎖不平衡状
態にある配列を利用できる。
【0425】 特定の形質に関連した第1のマーカーの位置について先に得た知識に基づいて
、形質に関連した別のバイアレリックマーカーを同定する例を以下にあげる。
【0426】 特定のマーカーApo E4と連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカー apoE4アレルと連鎖不平衡状態にあるマーカーの同定に関する以下の例は、標的
遺伝子とLD状態にあるマーカーを同定する本発明の手順を代表するものである。
等電点電気泳動によってヒトアポリポタンパク質Eの3つの主要アイソフォーム(a
poE2、apoE3およびapoE4)が同定されており、ApoE遺伝子の3つのアレル(ε2、3
および4)によってコードされる。1993年にStrittmatter et al.およびSaunders
et al.によって初めて報告されたように、Apo E4アレルは家族性遅発性アルツハ
イマー病(AD)と散発性アルツハイマー病の両方に大きく関連している。
【0427】 Apo Eε4アレルと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーを同定した。
この例は、に関連したバイアレリックマーカーの生成が、形質に関連しているこ
とがすでに分かっているいずれかのバイアレリックマーカーと連鎖不平衡状態に
あるマーカーにつながるという一般的な原理を例示するものである。
【0428】 Apo Eマーカーを使用して、ヒトゲノムBACライブラリをスクリーニングした。
BACはFISHによって染色体領域19q13.2.3で独特なハイブリダイゼーションシグナ
ルを出したが、これをバイアレリックマーカーの探査用に選択した。
【0429】 このBACには205kbのインサートが含まれていたが、これをサブクローニングし
た。50のBACサブクローンを無作為に選択し、シークエンシングを行った。25の
サブクローン配列を選択し、約500bpの単位複製配列を生成できるPCRプライマー
25対の設計に使用した。次に、これらのPCRプライマーを使用して、上述したよ
うにして100個体(フランス人由来、血液ドナー)から採取したDNAのプールで対応
するゲノム配列を増幅した。プールしたDNAから得られる増幅産物をシークエン
シングし、本願明細書に記載のソフトウェアを用いてバイアレリック多型の存在
を解析した。100個体のプールで5つの単位複製配列に多型塩基が含まれているこ
とが分かったため、これらの多型(99-366/274、99-344/439、99-365/344、99-35
9/308、99-355/219)をApo E遺伝子付近で無作為バイアレリックマーカーとして
選択した。
【0430】 Apo Eのすでに分かっている多型(99-2452/54 C/T)を持つゲノムフラグメントの
増幅を可能にする別のプライマー対を設計した。
【0431】 次に、関連性解析を実施した。予想通り、アルツハイマー病(AD)とすでに分か
っているApo E4多型(バイアレリックマーカー99-2452/54)との間には明らかな関
連性があり、解析したAD対照個体群に対して解析対象のAD症例個体群ではCアレ
ル頻度が26%増大した(この差のp値=2×10-21)。
【0432】 また、Apo E遺伝子の近辺で生成した無作為マーカーでの関連性解析によって
、バイアレリックマーカー99-365/344 C/TもADと関連していることが分かり、解
析対象のAD対照個体群に対してAD症例個体群ではTアレル頻度が17%増大した(こ
のアレル頻度差のp値=7×10-10)。このように、バイアレリックマーカー99-365
/344にTアレルを持つ個体にはAD発症の危険性がある。
【0433】 Apo E領域で生成されたバイアレリックマーカーのうち、99-365/344はすでに
分かっているApo E4マーカー99-2452/54とLD状態にある。連鎖不平衡を対照個体
群(LD値=0.08)で検出したところ、AD症例個体群で明らかな増大が認められる(L
D=0.21)。したがって、アルツハイマー病に関連のある、生成されたバイアレリ
ックマーカー、すなわちバイアレリックマーカー99-365は、この疾病と関連して
いることがすでに分かっているバイアレリックマーカー99-2452と連鎖不平衡状
態にある。
【0434】 PCTA-1遺伝子での形質誘発変異の同定 解析したPCTA-1関連バイアレリックマーカー少なくとも1つまたはそれ以上に
形質との間に統計的に有意な関連性があることが確認できた場合、関連のあるア
レルが形質を誘発する直接的な原因になっているか、あるいは、関連のあるアレ
ルが形質誘発アレルと連鎖不平衡状態にある(後者の方が可能性が大きい)かのい
ずれかになるであろうと仮定できる。さらには、形質誘発変異が関連のあるバイ
アレリックマーカーの近くで見つかる可能性はさらに大きい。
【0435】 形質陽性個体および形質陰性個体から得たPCTA-1遺伝子の配列を比較すること
で、検出可能な表現型の原因であるPCTA-1遺伝子での変異を同定できる。シーク
エンシング対象の形質陽性個体は、形質に関連していることが分かっている単一
マーカーアレルまたはハプロタイプを持つものであると好ましく、シークエンシ
ング対象の形質陰性個体は、形質に関連した上記のようなアレルまたはハプロタ
イプを持たないものであると好ましい。検出可能な表現型は、癌、好ましくは前
立腺癌、前立腺癌に作用する予防薬または治療薬に関する応答または副作用、前
立腺癌腫瘍の攻撃性、PCTA-1遺伝子の発現、PCTA-1タンパク質の変更産生または
すでに起こりかけている産生、あるいは修飾PCTA-1タンパク質の産生を含んでも
よい。変異には、PCTA-1遺伝子の点変異、欠失または挿入が含まれる場合がある
。これらの変異は、形質誘発変異と呼ばれ、個体で検出可能な特定の表現型に原
因の少なくとも一部である。このような変異は、PCTA-1タンパク質に対するコー
ド配列内あるいは、1つ以上の転写因子結合部位を含む、スプライス部位、5'UTR
、3'UTRおよびプロモーター配列をはじめとするPCTA-1遺伝子のイントロン領域
および/または調節領域内に存在する場合がある。
【0436】 本発明のさらに他の実施形態は、本発明のバイアレリックマーカーのうちの1
つまたは複数と特定の形質との間の関連性の検出に続いて、PCTA-1遺伝子で形質
誘発変異を同定する方法である。
【0437】 この方法は、 形質陽性個体および形質陰性個体のDNA試料から得たPCTA-1遺伝子のうち、考
慮対象の形質に関連したバイアレリックマーカー1つまたはバイアレリックマー
カーのグループを含む領域を増幅するステップと、 形質陽性個体から得たDNA配列と形質陰性個体から得たDNA配列とを比較するス
テップと、 形質陽性患者に特有の変異を判定するステップと、を含む。
【0438】 いくつかの実施形態では、増幅領域はPCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカー
付近に位置する領域である。さらに他の実施形態では、増幅領域はバイアレリッ
クマーカーA1〜A125およびその相補体の1つまたはそれ以上の近辺に位置してい
る。好ましい実施形態では、増幅領域はバイアレリックマーカーA2、A30、A41、
A55、A57およびその相補体の1つまたはそれ以上の近辺に位置している。
【0439】 上述したようにしてオリゴヌクレオチドプライマーを構成し、PCTA-1遺伝子の
エキソン、イントロン、プロモーター領域および調節領域の各々の配列を増幅す
る。増幅は、好ましくは上記の例で述べたPCR条件を用いて、形質陽性患者と形
質陰性の対照から採取したゲノムDNA試料について行う。次に、ゲノムPCRから得
られる増幅産物に、好ましくは自動ジデオキシターミネーター塩基配列決定反応
でのシークエンシングを行い、好ましくはABI 377シークエンサにて電気泳動さ
せる。ゲル画像解析およびDNA配列抽出に続いて、ABI配列データを自動的に解析
して形質陽性個体と形質陰性個体における配列のバリエーションの有無を検出す
る。各個体について両方のDNA鎖の配列を判定することによって、配列を確認す
る。
【0440】 次に、上述した手法などの多型解析手法を利用して、形質陽性個体と形質陰性
個体の以前より大きな個体群をスクリーニングすることによって、検出可能な表
現型の原因である疑いのある候補多型を確認する。検出可能な表現型との間に統
計的に有意な相関を呈する多型が、検出可能な表現型の原因であると思われる。
【0441】 また、本発明は、形質誘発変異を含む変異PCTA-1遺伝子、特に上述したプロセ
スによって得られる変異遺伝子にも関する。
【0442】 変異PCTA-1遺伝子は、大多数の形質陰性個体で見られるPCTA-1遺伝子のヌクレ
オチド配列とは異なるヌクレオチド配列によって、修飾PCTA-1タンパク質または
未変性PCTA-1タンパク質のいずれかをコードする遺伝子であると定義できる。
【0443】 PCTA-1遺伝子の検出可能な表現型の原因である変異を含んでいる領域を後述す
るものなどの診断手法に利用してもよい。たとえば、本願明細書にて説明するよ
うなマイクロシークエンシングオリゴヌクレオチド、増幅用の検出可能な表現型
の原因である変異を含んでいるオリゴヌクレオチド、あるいはハイブリダイゼー
ションに基づく診断を利用して、検出可能な表現型に羅患している個体や後に検
出可能な表現型を発症する危険性のある個体を検出することができる。また、検
出可能な表現型の原因であるPCTA-1アレルを遺伝子治療に利用してもよい。検出
可能な表現型の原因であるPCTA-1アレルを発現ベクターにクローニングし、本願
明細書で説明するようなミュータントPCTA-1タンパク質を発現させることもでき
る。
【0444】 ゲノム診断方法における本発明のバイアレリックマーカー 本発明のバイアレリックマーカーを利用して、特定の遺伝子型があるために検
出可能な形質を発現する個体またはこの遺伝子型がゆえに後に検出可能な形質が
発生する危険性のある個体を特定できる診断試験を開発することができる。本診
断法を用いて解析する形質は、癌、好ましくは前立腺癌に対する羅患性、前立腺
癌腫瘍の攻撃性レベル、前立腺癌の早期発症、前立腺癌に対する治療に関する有
効な応答または副作用を含む、どのような検出可能な形質であってもよい。
【0445】 単一マーカーの関連性から得られた情報やハプロタイプ解析用の情報は、特定
の環境では、予防治療を開始したり有意なハプロタイプを持っている個体でマイ
ナーな徴候などの危険なサインを予測できるという点で、極めて価値のあるもの
である。早い段階で適切に止めなければ転移が致命的と成り得る、前立腺癌など
の疾病では、潜在的な素因について知っていれば、治療の有効性に極めて有意な
形で貢献できる。同様に、潜在的な副作用に対する診断素因を治療にあたる医師
に認識させ、かかる副作用が治験時に認められないようにすることも可能であろ
う。
【0446】 本発明は、形質、好ましくは前立腺癌、前立腺癌の早期発症、前立腺癌に対す
る羅患性、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、PCTA-1遺伝子の発現レベルから選択さ
れる形質に関連したPCTA-1関連バイアレリックマーカーのアレルを個体で検出す
るための方法に関する。この方法を用いて得られる情報は、前立腺癌の診断、病
期判定、監視、予後推測および/または予防療法または治療を行う上で有用であ
る。また、この方法は、変化したPCTA-1タンパク質をコードする、PCTA-1 mRNA
または変化したPCTA-1 mRNAを修飾レベルで発現するPCTA-1遺伝子内に存在する
特定のアレルの検出にも関するものである。「バイアレリックマーカーで個体の
遺伝子型を判定する方法」において上述した遺伝子型判定方法のうち任意のもの
を使用して、多型塩基の同一性を判定することができる。特に、本発明は、ヌク
レオチド配列P1〜P125およびその相補配列のうち少なくとも1つを含む、PCTA-1
核酸の検出に関するものである。この方法は、 被検個体から核酸試料を得るステップと、 かかる試料において、単独またはPCTA-1遺伝子のもう1つ/他のバイアレリック
マーカー1つ/複数との組み合わせで得た場合に、前立腺癌、前立腺癌の早期発症
、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、PCTA-1遺伝子の変更発現もしくはすでに起こり
かけている発現、PCTA-1タンパク質の変更産生もしくはすでに起こりかけている
産生、または修飾PCTA-1タンパク質の産生を示す、PCTA-1遺伝子のバイアレリッ
クマーカーのアレルまたはバイアレリックマーカーのグループのアレルの有無を
判定するステップと、を含む。
【0447】 いくつかの実施形態では、バイアレリックマーカーは、配列P1〜P125およびそ
の相補配列によって定義されるバイアレリックマーカー少なくとも1つ、さらに
好ましくは、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡
状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択されるバイアレリックマ
ーカー少なくとも1つを含む。好ましい実施形態では、バイアレリックマーカー
は、配列P2、P30、P41、P55、P57およびその相補配列によって定義されるバイア
レリックマーカー少なくとも1つ、特に、A2、A30、A41、A55、A57およびその相
補体からなる群から選択されるバイアレリックマーカー少なくとも1つを含む。
好ましい実施形態では、この検出方法は、バイアレリックマーカーを含むPCTA-1
遺伝子のヌクレオチド配列を増幅するステップをさらに含む。任意に、増幅プラ
イマーが、B1〜B47およびC1〜C47からなる群から選択されるものであってもよい
【0448】 上述した検出方法の好ましい実施形態では、PCTA-1遺伝子の1つまたはそれ以
上のバイアレリックマーカのアレルの有無をマイクロシークエンシング反応によ
って判定する。任意に、マイクロシークエンシングプライマーが、D1〜D125およ
びE1〜E125からなる群から選択される。任意に、マイクロシークエンシングプラ
イマーを、好ましくは適当なチップに結合されるプライマーのアレイの形で固相
支持体に結合ささてもよく、あるいは、マイクロ流体デバイスで使用してもよい
。このようなアレイについては、「オリゴヌクレオチドアレイ」のセクションで
詳細に説明してある。任意に、マイクロシークエンシングプライマーを標識して
もよい。
【0449】 検出方法の別の好ましい実施形態では、PCTA-1遺伝子の1つまたはそれ以上の
バイアレリックマーカのアレルの有無をアレル特異的増幅アッセイまたは酵素ベ
ースのミスマッチ検出アッセイによって判定する。任意に、アレル特異的増幅ア
ッセイは、増幅産物の存在を検出するステップを含む。
【0450】 検出方法のさらに別の好ましい実施形態では、PCTA-1遺伝子の1つまたはそれ
以上のバイアレリックマーカのアレルの有無をハイブリダイゼーションアッセイ
によって判定する。ハイブリダイゼーションアッセイに使用されるプローブとし
ては、P1〜P125、その相補配列または多型塩基を含むそのフラグメントからなる
群で選択されるプローブがあげられる。好ましくは、プローブを標識する。
【0451】 本発明による診断方法は、形質誘発変異を含むPCTA-1遺伝子のアレルの検出か
らなるものであってもよい。
【0452】 本発明は特に、前立腺癌に羅患した個体または前立腺癌を発症する疑いのある
個体が、前立腺癌に対して作用する選択された薬剤での治療にポジティブな応答
を示す可能性が高いか否かを判定する方法に関する。
【0453】 この方法は、 被検個体からDNA試料を得るステップと、 前記DNA試料を解析し、薬剤での治療に対するポジティブな応答に関連した1つ
またはそれ以上のバイアレリックマーカーのアレルが含まれているか否か、およ
び/または薬剤での治療に対するネガティブな応答に関連した1つまたはそれ以上
のバイアレリックマーカーのアレルが含まれているか否かを判定するステップと
、を含む。
【0454】 好ましい実施形態では、バイアレリックマーカーは、A1〜A125およびその相補
体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーか
らなる群から選択される。
【0455】 本発明の検出方法は、たとえば、前立腺癌に羅患した患者個体群の予備スクリ
ーニングに適用可能である。この予備スクリーニングは、必要に応じて適切な治
療を開始したり、新規な化合物の臨床試験に適した患者個体群を判定および選択
したりして、特定の副作用が起こる可能性を回避または有効な患者応答の確率を
高める上で有用である。被検個体群に合わせて遺伝子型の選択肢を一様に前もっ
て決めておくことで、医薬品の有効性および/または毒性の評価を一層容易に行
うことができ、個体群の応答の違いに影響されることが少なくなる。この方法を
用いると、薬理遺伝学の研究で得られる患者個体群ターゲッティングに基づいて
、より良い治療方法を生むことができる。
【0456】 また、本発明は、DNA試料において、形質、好ましくは前立腺癌、前立腺癌の
早期発症、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、PCTA-1遺伝子の変更発現もしくはすで
に起こりかけている発現、PCTA-1タンパク質の変更産生もしくはすでに起こりか
けている産生、または修飾PCTA-1タンパク質の産生に関連したアレルの有無を判
定するのに有用な診断用キットにも関するものである。この診断用キットは、本
発明のいずれのポリヌクレオチドをも含むことができる。
【0457】 第1の実施形態では、このキットは、上述したものなどのプライマー、好まし
くは、PCTA-1遺伝子またはそのフラグメントの増幅に使用されるフォワードプラ
イマーおよびリバースプライマーを含む。いくつかの実施形態では、プライマー
の少なくとも1つが、前立腺癌、前立腺癌の早期発症、前立腺癌腫瘍の攻撃性レ
ベル、PCTA-1遺伝子の変更発現もしくはすでに起こりかけている発現、PCTA-1タ
ンパク質の変更産生もしくはすでに起こりかけている産生、または修飾PCTA-1タ
ンパク質の産生に関連したバイアレリックマーカーを含むPCTA-1遺伝子のヌクレ
オチド配列と相補である。一実施形態では、バイアレリックマーカーが、配列P1
〜P125およびその相補配列のうち1つに含まれる。任意に、上記のキットが、A1
〜A125およびその相補体からなる群から選択されるバイアレリックマーカー少な
くとも1つの多型塩基を含む増幅プライマーを含んでもよい。好ましい実施形態
では、このキットは、配列B1〜B47およびC1〜C47のうち1つまたはそれ以上を含
む。さらに好ましい実施形態では、キットは、配列B1、B16、B20、B23、B24およ
びC1、C16、C20、C23、C24のうち1つまたはそれ以上を含む。
【0458】 第2の実施形態では、キットはマイクロシークエンシングプライマーを含み、
前記プライマーの少なくとも1つが、A1〜A125およびその相補体からなる群から
選択されるバイアレリックマーカー、好ましくはD1〜D125およびE1〜E125、さら
に好ましくはD2、D30、D41、D55、D57およびE2、E30、E41、E55、E57の多型塩基
のすぐ上流のコード鎖または非コード鎖のいずれかとハイブリダイズ可能なオリ
ゴヌクレオチドである。
【0459】 第3の実施形態では、上記のキットが、PCTA-1遺伝子またはそのフラグメント
とハイブリダイズ可能であり、好ましくはPCTA-1遺伝子の、本発明のバイアレリ
ックマーカーのアレル、さらに好ましくは、前立腺癌、前立腺癌の早期発症、前
立腺癌に対する羅患性、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、PCTA-1遺伝子の変更発現
もしくはすでに起こりかけている発現、PCTA-1タンパク質の変更産生もしくはす
でに起こりかけている産生、または修飾PCTA-1タンパク質の産生と関連したアレ
ルとを含む領域とハイブリダイズ可能である、固相支持体に固定化されたハイブ
リダイゼーションDNAプローブまたは最終的に固相支持体に固定化されるハイブ
リダイゼーションDNAプローブを含む。好ましい実施形態では、プローブが、P1
〜P125およびその相補配列、あるいは多型塩基を含むそのフラグメントからなる
群から選択される。さらに好ましい実施形態では、プローブが、P2、P30、P41、
P55、P57およびその相補配列、あるいは多型塩基を含むそのフラグメントからな
る群から選択される。
【0460】 また、本発明のキットは、このキットが プライマーや、ハイブリダイゼーシ
ョン反応に有用な試薬、標識ハイブリダイゼーションプローブと少なくとも1つ
のバイアレリックマーカーを含むPCTA-1遺伝子との間にハイブリダイゼーション
反応が起こっていることを証明するのに有用な試薬を含む場合に、DNAポリメラ
ーゼなどの適当な増幅試薬を含む光学要素も有する。
【0461】 癌または前立腺癌の治療 また、本発明は、前立腺癌に対する羅患性、前立腺癌の攻撃的な形態または前
立腺癌に作用する有効量の薬剤での治療に対するポジティブまたはネガティブな
応答に関連した、バイアレリックマーカー1つまたはバイアレリックマーカーの
グループ、好ましくはPCTA-1遺伝子のマーカーのアレルを用いて、前立腺癌を治
療する方法に関するものである。
【0462】 前立腺癌の転移は致命的なものとなり得るため、個体の前立腺癌の羅患性を検
出することは需要である。このため、本発明は、 DNAが前立腺癌に関連したバイアレリックマーカー1つまたはバイアレリックマ
ーカーのグループのアレル、好ましくはPCTA-1遺伝子のマーカーのアレルを含む
個体を選択するステップと、 前立腺での腫瘍の出現(および任意に発症)について前記個体をフォローアップ
するステップと、 前立腺癌の適当な病期に前立腺癌に作用する有効量の薬剤を前記個体に投与す
るステップと、を含む前立腺癌の治療方法にも関するものである。
【0463】 いくつかの実施形態では、バイアレリックマーカーが、配列P1〜P125およびそ
の相補配列のうちの1つに含まれる。好ましくは、バイアレリックマーカーが、A
1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバ
イアレリックマーカーからなる群から選択される少なくとも1つのバイアレリッ
クマーカーである。特定の実施形態では、個体が、本発明のバイアレリックマー
カー1つまたはそれ以上の遺伝子型判定によって選択される。
【0464】 治療薬の予防的な投与によって、癌細胞の成長を防止、低減または阻害するこ
とができる。
【0465】 したがって、本発明の他の実施形態は、 DNAが、前立腺癌に関連したバイアレリックマーカー1つまたはバイアレリック
マーカーのグループのアレル、好ましくはPCTA-1遺伝子のマーカーのアレルを含
む個体を選択するステップと、 前記個体に、好ましくは前立腺癌の予防治療薬として、4HPRなどの前立腺癌に
作用する有効量の薬剤またはPCTA-1関連前立腺癌に対する免疫を付与できるワク
チン組成物を投与するステップと、を含む前立腺癌の治療方法からなるものであ
る。
【0466】 いくつかの実施形態では、バイアレリックマーカーが、配列P1〜P125およびそ
の相補配列のうちの1つに含まれる。好ましくは、バイアレリックマーカーが、A
1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバ
イアレリックマーカーからなる群から選択される少なくとも1つのバイアレリッ
クマーカーである。さらに好ましくは、バイアレリックマーカーが、A2、A30、A
41、A55、A57およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあ
るバイアレリックマーカーからなる群から選択されるバイアレリックマーカー少
なくとも1つである。特定の実施形態では、個体が、本発明のバイアレリックマ
ーカー1つまたはそれ以上の遺伝子型判定によって選択される。
【0467】 さらに他の実施形態では、本発明は、 DNAが、前立腺癌の羅患性に関連したバイアレリックマーカー1つまたはバイア
レリックマーカーのグループのアレル、好ましくはPCTA-1遺伝子のマーカーのア
レルを含む個体を選択するステップと、 前記個体に、前立腺癌の予防治療薬として、4HPRなどの前立腺癌に作用する有
効量の薬剤またはPCTA-1関連前立腺癌に対する免疫を付与できるワクチン組成物
を投与するステップと、 前立腺での腫瘍の出現および発症について前記個体をフォローアップするステ
ップと、 任意に、前立腺癌の適当な病期に前立腺癌に作用する有効量の薬剤を前記個体
に投与するステップと、を含む前立腺癌の治療方法に関するものである。
【0468】 いくつかの実施形態では、バイアレリックマーカーが、配列P1〜P125およびそ
の相補配列のうちの1つに含まれる。好ましくは、バイアレリックマーカーが、A
1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバ
イアレリックマーカーからなる群から選択される少なくとも1つのバイアレリッ
クマーカーである。さらに好ましくは、バイアレリックマーカーが、A2、A30、A
41、A55、A57およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあ
るバイアレリックマーカーからなる群から選択されるバイアレリックマーカー少
なくとも1つである。特定の実施形態では、個体が、本発明のバイアレリックマ
ーカー1つまたはそれ以上の遺伝子型判定によって選択される。
【0469】 前立腺癌の治療の適切な開始時期の選択肢を判断するために、本発明はまた、 DNAが、前立腺癌腫瘍の攻撃性に関連したバイアレリックマーカー1つまたはバ
イアレリックマーカーのグループのアレル、好ましくはPCTA-1遺伝子のマーカー
のアレルを含む、前立腺癌に羅患した個体を選択するステップと、 前立腺癌に作用する有効量の薬剤を前記個体に投与するステップと、を含む前
立腺癌の治療方法にも関するものである。
【0470】 いくつかの実施形態では、バイアレリックマーカーが、配列P1〜P125およびそ
の相補配列のうちの1つに含まれる。好ましくは、バイアレリックマーカーが、A
1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバ
イアレリックマーカーからなる群から選択される少なくとも1つのバイアレリッ
クマーカーである。さらに好ましくは、バイアレリックマーカーが、A2、A30、A
41、A55、A57およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあ
るバイアレリックマーカーからなる群から選択されるバイアレリックマーカー少
なくとも1つである。特定の実施形態では、個体が、本発明のバイアレリックマ
ーカー1つまたはそれ以上の遺伝子型判定によって選択される。
【0471】 本発明は、選択した前立腺癌に作用する薬剤での治療に対して被検体がポジテ
ィブな応答を示す可能性が高いか否かを判定する方法に関する。
【0472】 本発明は、個体の選択した個体群で前立腺癌を治療する方法であって、 前立腺癌に羅患した個体を選択するステップと、 そのDNAが、前立腺癌に作用する有効量の薬剤での治療に対するポジティブな
応答と関連した、バイアレリックマーカー1つまたはバイアレリックマーカーの
グループのアレル、好ましくはPCTA-1遺伝子のマーカーのアレルを含み、 および/またはそのDNAが、前記薬物での治療に対するネガティブな応答に関連
した、バイアレリックマーカー1つまたはバイアレリックマーカーのグループの
アレル、好ましくはPCTA-1遺伝子のマーカーのアレルを含まず、 前記選択した個体に有効量の前記薬剤を適当な間隔で投与するステップと、を
含む方法にも関する。
【0473】 いくつかの実施形態では、バイアレリックマーカーが、配列P1〜P125およびそ
の相補配列のうちの1つに含まれる。好ましくは、バイアレリックマーカーが、A
1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバ
イアレリックマーカーからなる群から選択される少なくとも1つのバイアレリッ
クマーカーである。特定の実施形態では、個体が、本発明のバイアレリックマー
カー1つまたはそれ以上の遺伝子型判定によって選択される。
【0474】 本発明のもう1つの態様は、前立腺癌に作用する薬剤の使用方法である。この
方法は、被検体からDNA試料を得、このDNA試料が薬剤に対するポジティブな応答
に関連したバイアレリックマーカー1つまたはそれ以上を含むか否か、および/ま
たはDNA試料が、薬剤に対するネガティブな応答に関連したバイアレリックマー
カー1つまたはそれ以上を含むか否かを判定し、DNA試料に薬剤に対するポジティ
ブな応答に関連したバイアレリックマーカー1つまたはそれ以上が含まれている
場合、あるいは、DNA試料に薬剤に対するネガティブな応答に関連したバイアレ
リックマーカー1つまたはそれ以上が含まれていない場合に、被検体に薬剤を投
与する、ことを含む。
【0475】 また、本発明は、薬剤、好ましくは前立腺癌に作用する薬剤を臨床的に試験す
る方法にも関する。
【0476】 いくつかの実施形態では、DNA試料に薬剤に対するポジティブな応答に関連し
たバイアレリックマーカー1つまたはそれ以上が含まれている場合、あるいは、D
NA試料に薬剤に対するネガティブな応答に関連したバイアレリックマーカー1つ
またはそれ以上が含まれていない場合に、臨床試験で被検体に薬剤を投与するこ
とができる。好ましい実施形態では、この薬剤が前立腺癌に作用する医薬品であ
る。他の実施形態では、バイアレリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体
、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーから
なる群から選択される。
【0477】 本発明の方法を使用して、薬剤に対して好ましい応答を示す可能性の高い個体
の個体群で医薬品の有効性の評価を行うことができる。
【0478】 また、本発明は、薬剤、好ましくは前立腺癌に作用する薬剤の臨床試験方法に
も関する。この方法は、 薬剤、好ましくは前立腺癌に作用すると思われる薬剤を、個体の異種個体群に
投与するステップと、 前記薬剤にポジティブに応答した個体の第1の個体群と、前記薬剤にネガティ
ブに応答した個体の第2の個体群とを特定するステップと、 前記薬物に対するポジティブな応答に関連した前記第1の個体群においてバイ
アレリックマーカーを同定するステップと、 前記薬物に対するポジティブな応答に関連したバイアレリックマーカーがDNA
に含まれる個体を選択するステップと、 前記薬剤を前記個体に投与するステップと、を含む。
【0479】 このような方法は、望ましくない副作用を引き起こす場合があるおよび/また
はこの薬剤が通常投与される患者個体群の一部に効果がない場合がある、薬剤の
投与に起因する効果/危険比を増加させるのに非常に有用であると考えられる。
【0480】 個体が前立腺癌に羅患していると診断された場合、選択試験を実施し、治療に
対するポジティブな応答、あるいは、副作用または無応答を含んでもよい治療に
対するネガティブな応答に関連したバイアレリックマーカー1つまたはバイアレ
リックマーカーのグループのアレルが個体のDNAに含まれているか否かを判断す
る。
【0481】 上述した検査方法によって本発明の方法を用いた治療の対象とする患者を選択
することができる。選択対象となる個体は、治療に対するネガティブな応答に関
連のあるバイアレリックマーカー1つまたはバイアレリックマーカーのグループ
のアレルがDNAに含まれていない個体であると好ましい。特定の薬物に対する無
応答または副作用についての個体の遺伝素因に関して知ることで、臨床家が前立
腺癌に対する適切な医薬品に治療の方向を向けることができる。
【0482】 患者の遺伝素因を判断したら、臨床家は、ネガティブな応答、特に副作用が全
く報告されていない、あるいは報告されてはいるがわずかである適当な治療法を
選ぶことができる。
【0483】 組換えベクター 本願明細書では、二本鎖または一本鎖で、環状または線状であり、細胞宿主あ
るいは単細胞の宿主生物または多細胞の宿主生物に転写する対象として探査され
る興味の対象となるポリヌクレオチドを少なくとも1つ有するDNAまたはRNA分子
を示すのに「ベクター」という用語を用いる。
【0484】 本発明の他の実施形態は組換えベクターである。この組換えベクターは、PCTA
-1遺伝子の調節領域、PCTA-1遺伝子のプロモーター領域、PCTA-1遺伝子のイント
ロン、PCTA-1遺伝子のエキソン0および/またはエキソン1、PCTA-1遺伝子のエキ
ソン6bis、PCTA-1遺伝子のエキソン9bis、PCTA-1遺伝子のゲノム配列、PCTA-1遺
伝子のcDNA配列、あるいはこのような配列の組み合わせ、またはその相補配列ま
たはフラグメントまたは変異体をコードするヌクレオチド配列を含む。このよう
な発現ベクターに含まれる好ましいヌクレオチド配列としては、配列番号1、2、
3、4、8からなる群から選択されるヌクレオチド配列のうち少なくとも1つまたは
そのフラグメントまたは変異体またはその相補配列があげられる。
【0485】 一般に、本発明の組換えベクターは、制御配列およびコード配列ならびに上記
にて定義したような任意のPCTA-1プライマーまたはプローブを含む、本願明細書
にて説明するポリヌクレオチドのうちいずれを含むものであってもよい。特に、
本発明の組換えベクターは、「PCTA-1 cDNA配列」「コード領域」「オリゴヌク
レオチドプローブおよびプライマー」の各セクションに記載したポリヌクレオチ
ドのうちいずれを含むものであってもよい。
【0486】 もう1つの実施形態では、ベクターは、本願明細書に記載のバイアレリックマ
ーカー少なくとも1つを含む、PCTA-1遺伝子またはcDNAまたはそのフラグメント
、さらに好ましくは、形質誘発変異、特に上述した方法を用いて判定される変異
を含む変異PCTA-1遺伝子またはcDNAを含む。好ましくは、バイアレリックマーカ
ーは、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平衡状態に
あるバイアレリックマーカーからなる群から選択される。
【0487】 本発明の一実施形態は、PCTA-1タンパク質自体のプロモーターまたは外来プロ
モーターの制御下でPCTA-1タンパク質を産生することである。本発明はまた、未
変性PCTA-1調節領域、好ましくは、本発明のバイアレリックマーカー少なくとも
1つを含む未変性PCTA-1プロモーター、特に、A1〜A43およびその相補体のうち少
なくとも1つを含む未変性PCTA-1プロモーター、または外来プロモーターの制御
下で、未変性または変異したPCTA-1タンパク質をコードする核酸を含む発現ベク
ターにも関する。
【0488】 特に、本発明は、選択したいずれかのPCTA-1調節ポリヌクレオチドの制御下、
あるいは、外来制御配列の制御下で、PCTA-1タンパク質、好ましくは、配列番号
5、6、7、9からなる群から選択されるアミノ酸配列またはその変異体またはフラ
グメントを含むPCTA-1タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターに関する
【0489】 また、本発明は、PCTA-1調節領域またはその(タンパク質をコードするヌクレ
オチド配列の発現を調節でき、調節領域に作用的に結合されている)10〜3000ヌ
クレオチド長の任意の配列を含む発現ベクターに関する。さらに好ましい調節領
域はプロモーター配列である。この点について、プロモーターの一部がこれに作
用的に結合したコード配列の転写に影響をおよぼすことのできるものであれば、
このようなプロモーターの一部を発現ベクターで使用できることに注意されたい
【0490】 興味の対象であるポリペプチドをコードする任意のヌクレオチド配列を、PCTA
-1調節領域を含み、これに作用的に結合された発現ベクターに含めることができ
る。好ましいポリペプチドは、治療用タンパク質であるり、その詳細については
後述する。
【0491】 いくつかの実施形態では、発現ベクターを用いてPCTA-1ポリペプチドを発現さ
せ、これを精製したり、たとえば、配位子スクリーニングアッセイで利用、ある
いはPCTA-1タンパク質に対する特異的な抗体を産生するための免疫原として利用
することができる。他の実施形態では、発現ベクターを用いてトランスジェニッ
ク動物を作出したり、発現ベクターを遺伝子治療に利用したりする。
【0492】 本発明のベクターで見つけることのできる要素のうちのいくつかについて、下
記のセクションで一層詳細に説明する。
【0493】 1. 本発明の発現ベクターの一般的な特徴 本発明による組換えベクターは、染色体性、非染色体性、半合成および合成DNA
からなるものであってもよい、YAC(酵母人工染色体)、BAC(バクテリア人工染色
体)、ファージ、ファージミド、コスミド、プラスミドおよび線状DNA分子ですら
も含むが、これに限定されるものではない。かかる組換えベクターは、以下に示
すものの組み合わせを含む転写単位を有するものであってもよい。 (1) 遺伝子発現において調節的な役割を有する遺伝因子または要素、たとえ
ばプロモーターまたはエンハンサーなど。エンハンサーはDNAのシス調節要素で
あり、通常は長さ約10〜300bpでプロモーターに作用して転写量を増す。 (2) mRNAに転写され、最終的にはポリペプチドに翻訳される構造配列または
コード配列。前記構造配列またはコード配列は、(1)で述べた調節要素と作用的
に結合している。 (3) 適当な転写開始配列および転写停止配列。酵母または真核生物の発現系
で使用することを意図した構造単位は、宿主細胞による翻訳タンパク質の細胞外
分泌を可能にするリーダー配列を含むものであると好ましい。あるいは、リーダ
ー配列または輸送配列のない状態で組換えタンパク質を発現させる場合、N末端
残基を含むものであってもよい。この残基を後に組換えタンパク質から切断し、
あるいは切断せずに、最終産物を得るようにしてもよい。
【0494】 一般に、組換え発現ベクターには、複製開始点、宿主細胞の形質転換を可能にす
る選択可能なマーカー、下流の構造配列の転写を指図するための高度に発現され
た遺伝子に由来するプロモーターが含まれる。翻訳開始配列および翻訳終結配列
、好ましくは翻訳されたタンパク質の分泌を指示できるリーダー配列と共に、適
当な相で異種構造配列を細胞周辺腔あるいは細胞外培地にアセンブルする。所望
の配列を哺乳動物の宿主細胞で形質転換および発現するようにベクターを調節し
た特定の実施形態では、好ましいベクターに、所望の宿主での複製開始点、好適
なプロモーターおよびエンハンサー、さらには必要なリボソーム結合部位、ポリ
アデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列、5'
-フランキング非転写配列が含まれることになる。SV40起源などSV40ウイルスゲ
ノム由来のDNA配列、初期プロモーター、エンハンサー、スプライス部位および
ポリアデニル化部位を用いて所望の非転写遺伝因子を得るようにしてもよい。
【0495】 宿主生物における在来遺伝子の発現あるいは生物学的に不活性なPCTA-1タンパ
ク質の産生に関係のある遺伝子の欠失を補正する上で、PCTA-1ポリペプチドをin
vivoで発現させると有益なことがある。
【0496】 本発明ではさらに、主に、治療対象となる患者の体内に適切な遺伝物質を導入
することによって、配列番号5、6、7、9のPCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグ
メントまたは変異体をin vivoで産生するために設計された組換え発現ベクター
についても扱う。
【0497】 2. 調節要素 プロモーター 異種遺伝子が発現される細胞宿主を考慮して、本発明による発現ベクターで使
用する好適なプロモーター領域を選択する。興味の対象となる核酸配列の発現制
御用のプロモーターが標的細胞で核酸の発現を指示できるのであれば、どのプロ
モーターを使うかは重要ではない。したがって、ヒトの細胞が標的である場合は
、ヒトまたはウイルスのプロモーターなどのヒトの細胞で発現可能なプロモータ
ーに隣接し、このプロモーターの制御下にある核酸コード領域の位置決めをする
と好ましい。
【0498】 適切なプロモーターは、発現を制御する対象となる核酸や発現対象となるコー
ド配列を含む在来ポリヌクレオチドに内在し得る核酸とは異種のものであっても
よい。また、プロモーターは一般に、コンストラクトプロモーター/コード配列
が挿入された組換えベクター配列とは異種のものである。
【0499】 たとえばCAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクター、さらに好
ましくはpKK232-8およびpCM7ベクターなどを使用して、所望の遺伝子から任意に
プロモーター領域を選択することができる。
【0500】 好ましいバクテリアプロモーターは、LacI、LacZ、T3またはT7バクテリオファ
ージRNAポリメラーゼプロモーター、gpt、λPR、PLおよびtrpプロモーター(EP 0
036776)、ポリヘドリンプロモーター、あるいはバキュロウイルス由来のp10タン
パク質プロモーター(Kit Novagen)(Smith et al., 1983、O'Reilly et al., 199
2)、λPRプロモーターまたはtrcプロモーターである。
【0501】 真核生物のプロモーターとしては、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナ
ーゼ、初期SV40および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、マウスメタロチオ
ネイン-Lがあげられる。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当業者で
あればなし得ることである。
【0502】 プロモーターの選択についても遺伝子工学分野の当業者であればなし得ること
である。たとえば、Sambrook et al.(1989)の本やFuller et al.(1996)によって
説明されている手順を参照すればよい。
【0503】 他の調節要素 cDNAインサートを使用する場合、一般に、遺伝子転写物を適宜ポリアデニル化
するためにポリアデニル化シグナルを含む形が必要になる。ポリアデニル化シグ
ナルの性質は、本発明を正しく実施する上で重要なことではないと思われる。ま
た、かかる配列のうちヒト成長ホルモンおよびSV40ポリアデニル化シグナルなど
の任意のものを利用できる。さらに、ターミネーターも発現カセットの要素とし
て考えられる。これらの要素は、メッセージレベルを高め、カセットから他の配
列へのリードスルーを最小限にするよう機能するものである。
【0504】 上述したような適当なDNA配列、さらに好ましくは、PCTA-1遺伝子調節ポリヌ
クレオチド、配列番号1またはそのフラグメントまたはその変異体および配列番
号2、3、4、8からなる群から選択されるPCTA-1ポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチド、あるいはその両方を含むベクターを利用して、適当な宿主を形質転
換し、所望のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現を可能にすることがで
きる。
【0505】 3. 選択可能なマーカー このようなマーカーは、発現コンストラクトを含む細胞の容易な同定を可能に
する細胞を同定可能な状態で変化させるものである。形質転換した宿主細胞の選
択用の選択可能なマーカー遺伝子は、真核生物の細胞培養物ではジヒドロ葉酸レ
ダクターゼ耐性またはネオマイシン耐性であり、S. cerevisiaeまたはテトラサ
イクリンにはTRP1、E. coliではリファンピシン耐性またはアンピシリン耐性、
放線菌ではレバンサッカラーゼであると好ましい。後者のマーカーはネガティブ
選択マーカーである。
【0506】 4. 好ましいベクター バクテリアベクター 代表的ではあるが限定するものではない一例として、バクテリアで使用するの
に有用な発現ベクターには、遺伝因子pBR322(ATCC 37017)を有する業務販売され
ているプラスミドに由来する複製物のバクテリア起源および選択可能なマーカー
があげられる。かかる業務用ベクターとしては、たとえば、pKK223-3(スウェー
デンUppsalaのファルマシア社)GEM1(米国ウィスコンシン州Madisonのプロメガバ
イオテク社)があげられる。
【0507】 当業者間では好適なベクターが他にも多数知られており、業務販売されている
が、これには次にあげるバクテリアベクターなどがある。pQE70、pQE60、pQE-9(
キアゲン)、pbs、pD10、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A
、pNH16A、pNH18A、pNH46A(ストラタジーン)、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、p
DR540、pRIT5(ファルマシア)、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG(ストラタジ
ーン)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(ファルマシア)、pQE-30(QIAエクスプレス)。
【0508】 バクテリオファージベクター P1バクテリオファージベクターには、約80〜約100kbの範囲の大きなインサー
トが含まれていることがある。
【0509】 p158またはp158/neo8などのP1バクテリオファージベクターの作出については
、Sternberg(1994)に非常によく説明されている。40kbを上回る大きなポリヌク
レオチドを挿入するために、PCTA-1核酸配列を持つ組換えP1クローンを設計する
ことができる(Linton M.F. et al., 1993)。遺伝子組換え実験用のP1 DNA作出用
としては、McCormick et al.,(1994)に記載されているプロトコルが好ましいプ
ロトコルである。簡単に説明すると、P1プラスミドを有するE. coli(好ましくは
菌株NS3529)をカナマイシン25μg/ml含有の適当なブイヨン培地で終夜増殖する
。Qiagen プラスミド Maxiキット(キアゲン社、米国カリフォルニア州Chatswort
h)を使用して、メーカーの取扱説明書に従ってアルカリ法でE. coliからP1 DNA
を調製する。キットに含まれている洗浄溶出緩衝液を用いて、Qiagen-tip 500の
2本のカラムで溶菌液からP1 DNAを精製する。次に、フェノール/クロロホルム抽
出を行い、さらに70% エタノールでDNAを沈降させる。TE(トリス-HCl 10mM、pH
7.4、EDTA 1mM)にてDNAを可溶化した後、DNA濃度を分光光度法によって評価する
【0510】 トランスジェニック動物(一般にはトランスジェニックマウス)でPCTA-1核酸配
列を有するP1クローンを発現させることが最終目的である場合、P1ポリリンカー
内の稀切断部位(rare-cutting site)(SfiI、NotIまたはSalI)でP1 DNAを切断す
るなどの方法で、P1 DNA フラグメントからベクター配列を除去すると望ましい
。DNAを単離する目的ではじめて報告された(Schedl et al., 1993a、Peterson e
t al., 1993)方法と同様の方法を用いて、パルスフィールドアガロースゲルでP1
インサートをベクター配列から精製する。この段階で、必要であればMillipore
Ultrafree-MC Filter Unit(米国マサチューセッツ州Bedford、ミリポア社、限界
分子量30,000)にて上記のようにして得られた精製インサートDNAを濃縮し、NaCl
100mM、スペルミン30μM、スペルミジン70μMを含有するマイクロインジェクシ
ョン緩衝液(トリス-HCl 10mM、pH7.4、EDTA 250μM)に対して、マイクロダイア
リシス膜(VS型、0.025μM、ミリポア社)で透析することができる。1%アガロース
(Sea Kem GTG、FMC Bio-products)パルスフィールドゲルでの泳動と臭化エチジ
ウム染色によって精製P1 DNAインサートの完全さを評価した。
【0511】 バキュロウイルスベクター 配列番号5、6、7、9のPCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグメントまたは変異
体の発現に適したベクターが、昆虫細胞および昆虫株化細胞で増殖可能なバキュ
ロウイルスベクターである。特定の適した宿主ベクター系に、Spodoptera frugi
perda由来のSF9株化細胞(ATCC NーCRL 1711)をトランスフェクトするのに用いら
れるpVL1392/1393バキュロウイルス伝達ベクター(Pharmingen)がある。
【0512】 配列番号5、6、7、9のPCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグメントまたは変異
体のバキュロウイルス発現系での発現に適した他のベクターとしては、Chai et
al.(1993)、Vlasak et al.(1983)およびLenhard et al.(1996)によって説明され
ているものがあげられる。
【0513】 ウイルスベクター 特定の一実施形態では、アデノウイルスからベクターを得る。本発明による好
ましいアデノウイルスベクターは、FeldmanおよびSteg(1996)またはOhno et al.
(1994)によって説明されているものである。本発明の特定の実施形態による別の
好ましい組換えアデノウイルスに、ヒトアデノウイルス2型または5型(Ad 2また
はAd 5)または動物起源のアデノウイルスがある(フランス特許出願第FR-93.0595
4号)。
【0514】 レトロウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクターも一般に、外因性
ポリヌクレオチドを特にヒトを含む哺乳動物にin vivoで伝達する上で利用でき
る組換え遺伝子移入系であるとされている。これらのベクターによって、遺伝子
を効率よく細胞に移入し、伝達された核酸を宿主の染色体DNAに安定して取り込
むことができる。
【0515】 本発明のレトロウイルスによるin vitroまたはin vitroでの遺伝子移入ビーク
ルの調製または構築用として特に好ましいレトロウイルスとしては、Mink-Cell
Focus Inducingウイルス、マウス肉腫ウイルス、細網内皮症ウイルスおよびラウ
ス肉腫ウイルスからなる群から選択されるレトロウイルスがあげられる。特に好
ましいマウス白血病ウイルスとしては、4070Aウイルスおよび1504Aウイルス、Ab
elson(ATCC No VR-999)、Friend(ATCC No VR-245)、Gross(ATCC No VR-590)、Ra
uscher(ATCC No VR-998)およびMoloneyマウス白血病ウイルス(ATCC No VR-190、
国際特許出願公開第WO94/24298号)があげられる。特に好ましいRous Sarcomaウ
イルスは、Bryanハイタイター(ATCC Nos VR-334、VR-657、VR-726、VR-659およ
びVR-728)を含んでいる。他の好ましいレトロウイルスベクターに、Roth et al.
(1996)、国際特許出願公開第WO93/25234号、同第WO94/ 06920号、Roux et al.,
1989、Julan et al., 1992およびNeda et al., 1991に記載されているものがあ
る。
【0516】 本発明で考慮しているさらに他のウイルスベクター系にアデノ随伴ウイルス(A
AV)がある。アデノ随伴ウイルスは、効率的な複製および生産的なライフサイク
ルを得るためのヘルパーウイルスとして、アデノウイルスまたはヘルペスウイル
スなどの別のウイルスを必要とする天然由来の欠損性ウイルスである。(Muzyczk
a et al., 1992)。また、これは自己のDNAを非分割細胞に組み込み、安定した組
み込みの頻度を高くすることのできる限られたウイルスのうちの1つである。(Fl
otte et al., 1992、Samulski et al., 1989、McLaughlin et al., 1989)。AAV
の持つ有利な特徴の1つは、形質転換細胞に対する一次細胞の形質導入効率が落
ちることで得られるものである。
【0517】 BACベクター 大きなゲノムDNAフラグメント(100〜300kb)をE. coliに安定して維持するため
に、バクテリア人工染色体(BAC)クローニング系(Shizuya et al., 1992)を開発
した。好ましいBACベクターは、Kim et al.(1996)に記載されているpBeloBAC11
ベクターからなるものである。ベクターのBam HI部位またはHind III部位への連
結を可能にする酵素で部分消化済のサイズ選択ゲノムDNAを用いて、上記のベク
ターでBACライブラリを作製する。これらのクローニング部位をフランキングす
るのは、RNA転写またはPCR法による末端プローブの作出に使用可能なT7およびSP
6 RNAポリメラーゼ転写開始部位である。E. coliでのBACライブラリの作製後、
宿主細胞から超らせん構造(circle)でBAC DNAを精製する。サイズ判定とBACのレ
シピエント細胞への導入前に、これらの円形分子を線状にする。2つのNot I部位
によってクローニング部位をフランキングし、クローニングしたセグメントをNo
t Iでの消化によってベクターから切除できるようにする。あるいは、独特のcos
N部位で切断を行う市販の酵素λ-Terminaseを用いるBACベクター処理によって、
pBeloBAC11ベクターに含まれるDNAインサートを直線化してもよいが、この切断
法を用いて得られるのはインサートDNAとBAC配列の両方を含む完全長BACクロー
ンである。
【0518】 5. 組換えベクターの移入 本発明のポリヌクレオチドコンストラクトおよびポリヌクレオチドコンストラ
クトを発現させるためには、これらのコンストラクトを細胞に移入しなければな
らない。この移入は、実験室での株化細胞の形質転換手順などでin vitroにて実
施してもよいし、あるいは特定の疾患状態の治療などでin vivoまたはex vivoで
実施してもよい。
【0519】 1つの機序が、発現コンストラクトを感染性のウイルス粒子に包埋するウイル
ス感染である。
【0520】 本発明では、ポリヌクレオチドを哺乳動物の培養細胞に伝達するための非ウイ
ルス的な方法もいくつか考慮している。これらの方法としては、リン酸カルシウ
ム沈澱法(Graham et al., 1973、Chen et al., 1987)、DEAEデキストラン法(Gop
al, 1985)、エレクトロポレーション法(Tur-Kaspa et al., 1986、Potter et al
., 1984)、直接導入式のマイクロインジェクション法(Harland et al., 1985)、
DNA結合リポソーム法(Nicolau et al., 1982、Fraley et al., 1979)、レセプタ
ー媒介トランスフェクション(WuおよびWu, 1987、1988)があげられるが、これに
限定されるものではない。これらの手法の中には、in vivoまたはex vivoでの用
途にうまく適合させられるものもある。
【0521】 発現ポリヌクレオチドを細胞に移入した後、これをレシピエント細胞のゲノム
に安定して組み入れることができる。この組み入れは、相同的組換え(遺伝子交
換)によって同族位置および配向で行ってもよいし、あるいは無作為に非特異的
な位置に統合(遺伝子増強)してもよい。さらに別の実施形態では、DNA別個のエ
ピゾーム型セグメントとして核酸を細胞で安定して維持することができる。この
ような核酸セグメントすなわち「エピゾーム」は、宿主細胞のサイクルとは独立
した、あるいはこれと同期した維持と複製ができる程度に配列をコードする。
【0522】 タンパク質またはペプチドをin vivoにて脊椎動物の細胞に移入する方法につ
いての特定の一実施形態は、興味の対象となるポリペプチドを作用的にコードす
る、生理学的に許容可能なキャリアと未変性ポリヌクレオチドとを有する調製物
を細胞を有する組織の間質空間に導入し、これによって未変性ポリヌクレオチド
を細胞の内部に取り込んで生理学的な効果を持たせるステップを含む。これは特
にin vitroでの伝達に適用可能であるが、in vivoでも同様に適用できる。
【0523】 「未変性」ポリヌクレオチドを含む、in vitroおよびin vivoで使用される組
成物については、国際特許出願公開第WO90/11092号(Vical Inc.)および同第WO 9
5/11307号(Institut Pasteur, INSERM, Universite d'Ottawa)ならびにTacson e
t al.(1996)およびHuygen et al.(1996)による文献に記載されている。
【0524】 本発明のさらに他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドコンストラクト
を含む本発明の未変性ポリヌクレオチド細胞への伝達を、粒子衝突(バイオリス
ティック)で行う。前記粒子は、Klein et al.(1987)によって説明されているよ
うに、細胞膜を穿孔して細胞を死滅させずに細胞に入り込むことができるように
高い速度まで加速されたDNA被覆微粒子である。
【0525】 さらに他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドをリポソームに包埋する
(GhoshおよびBacchawat, 1991、Wong et al., 1980、Nicolau et al., 1987)。
【0526】 特定の実施形態において、本発明によれば、本願明細書に記載のPCTA-1タンパ
ク質またはポリペプチドのin vivo産生用の組成物が得られる。この組成物は、
このポリペプチドを作用的にコードする未変性ポリヌクレオチドを生理学的に許
容されるキャリアの溶液中に含み、組織に導入して組織の細胞に前記タンパク質
またはポリペプチドを発現させるのに適している。
【0527】 所望の宿主生物に注入するベクターの量は、注入部位によってさまざまである
。表示用量としては、ベクター0.1〜100μgの範囲で動物の体、好ましくはマウ
スの体などの哺乳動物の体に注入する。
【0528】 本発明によるベクターの別の実施形態では、宿主細胞、好ましくは処理対象と
なる動物から事前に採取した宿主細胞、さらに好ましくは筋細胞などの体細胞に
in vitroにてベクターを導入することができる。以後のステップで、所望のPCTA
-1ポリペプチドまたはその所望のフラグメントをコードするベクターで形質転換
した細胞を動物の体に再導入し、体内の組換えタンパク質を局所的または体全体
に移入する。
【0529】 細胞宿主 また、本発明は、好ましくは本願明細書に記載のバイアレリック多型を少なく
とも1つ含み、さらに好ましくは上述した方法によって判定される形質誘発変異
を含む変異PCTA-1遺伝子を含む、PCTA-1遺伝子にコードされる異種タンパク質、
PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントを産生する、上述したベクターのうち
の1つによって形質転換された宿主細胞にも関する。
【0530】 本発明のもう1つの目的は、本願明細書に記載のポリヌクレオチドのうちの1つ
、特に、PCTA-1調節ポリヌクレオチドを含むか、または配列番号1、2、3、4、8
またはそのフラグメントまたはその変異体からなる群から選択されるPCTA-1ポリ
ペプチドのコード配列を含むポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェク
トした宿主細胞からなる。上述したものなどの組換えベクターで形質転換された
(原核細胞)宿主細胞またはこれに感染させた(真核細胞)宿主細胞があげられる。
特に、本発明の細胞宿主は、「PCTA-1 cDNA配列」「コード領域」および「オリ
ゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」の各セクションに記載のどのような
ポリヌクレオチドでも含むことができる。
【0531】 本発明による他の組換え細胞宿主は、A1〜A125およびその相補体からなる群か
ら選択されるバイアレリックマーカーを含むポリヌクレオチドを含む。
【0532】 大まかに言うと、本発明の組換え宿主細胞は、本願明細書に記載のポリヌクレ
オチドまたは組換えベクターのうち任意のものを含む。
【0533】 本発明の発現ベクター用のレシピエントとして用いる好ましい宿主細胞は次の
とおりである。 a) 原核宿主細胞大腸菌株(I.E.DH5-α菌株)、枯草菌、サルモネラ菌、シュー
ドモナス、ストレプトマイセスおよびスタフィロコッカスなどの種から得られる
菌株。 b) 真核宿主細胞HeLa細胞(ATCC NーCCL2、NーCCL2。1、NーCCL2.2)、Cv 1細胞(A
TCC NーCCL70)、COS細胞(ATCC NーCRL1650、NーCRL1651)、Sf-9細胞(ATCC NーCRL171
1)、C127細胞(ATCC Nー CRL-1804)、3T3(ATCC Nー CRL-6361)、CHO(ATCC Nー CCL-6
1)、ヒト腎293(ATCC Nー 45504、Nー CRL-1573)およびBHK(ECACC Nー 84100501、Nー
84111301)。 c) 他の哺乳動物の宿主細胞。
【0534】 ヒトをはじめとする哺乳動物の細胞でのPCTA-1遺伝子発現を不完全にするか、
あるいは本発明に従って動物細胞のゲノムにおけるPCTA-1遺伝子相当物をPCTA-1
ポリヌクレオチドと交換してPCTA-1ゲノム配列またはPCTA-1 cDNA配列を挿入し
た状態でPCTA-1遺伝子発現を行うことができる。このような遺伝的な変化は、上
述した特異的DNAコンストラクトを用いる相同的組換え現象によって生み出すこ
とのできるものである。
【0535】 使用できる宿主細胞の1種にマウス接合体などの哺乳動物接合体がある。たと
えば、NaCl 100mM、スペルミン30μM、スペルミジン70μMを含有する、トリス-H
Cl 10mM、pH 7.4、EDTA 250μM中、BACインサートであれば1ng/ml、P1バクテリ
オファージインサートであれば3ng/μlからの濃度範囲にあらかじめ調節した精
製DNA分子などの、興味の対象となっている精製DNA分子をマウス接合体に微量注
射する。微量注射するDNAの大きさが大きい場合、Schedl et al.(1993b)に記載
されているように、ポリアミンを用いて塩濃度を高くし、DNAが機械的に破壊さ
れてしまうのを防止することができる。
【0536】 本願明細書で説明したDNAコンストラクトをはじめとする本発明のポリヌクレ
オチドのうちいずれかを、胚性幹細胞(ES)、好ましくはマウスのES細胞に導入す
る。着床前胚盤胞の内部細胞塊の多分化能を持つ未分化細胞からES細胞株を得る
。好ましいES細胞株としては、ES-E14TG2a(ATCC nー CRL-1821)、ES-D3(ATCC nー
CRL1934およびnー CRL-11632)、YS001(ATCC nー CRL-11776)、36.5(ATCC nー CRL-1
1116)があげられる。ES細胞を未分化状態に維持するために、胚性表現型を保存
する適当なシグナルを提供し、かつES細胞接着のマトリックスとして機能する成
長抑制支持細胞の存在下でこれを培養する。好ましい支持細胞は、実質的にどの
ようなマウス菌株でも13〜14日目の胚組織から樹立される一次胚線維芽からなる
ものであり、これをAbbondanzo et al.(1993)に記載されているようにして培養
中で保持し、Robertson(1987)に記載されているようにして輻射によって成長を
抑制するか、あるいはPease and Williams(1990)に記載されているように抑制濃
度のLIFを用いることで成長を抑制する。
【0537】 宿主細胞中のコンストラクトを従来の方法で利用して、組換え配列にコードさ
れた遺伝子産物を得ることができる。
【0538】 宿主を適宜形質転換して増殖させて適切な細胞密度にした後、温度シフトまた
は化学誘導などの適切な手段によって、選択したプロモーターを誘発し、細胞を
さらに培養する。
【0539】 一般に、細胞を遠心分離によって回収し、物理的または化学的な手段で破壊し
、得られる粗エキスを以後の精製用に保持する。
【0540】 凍結融解サイクルの繰り返し、超音波処理、機械的な破壊または細胞溶解剤を
使用するなどの都合の良い方法によって、タンパク質の発現に使用される微生物
細胞を破壊することができる。かかる方法は当業者間で周知のものである。
【0541】 トランスジェニック動物 本発明は、好ましくは本願明細書に記載のバイアレリック多型のうち少なくと
も1つを含む、外来PCTA-1調節領域またはPCTA-1遺伝子を有するトランスジェニ
ック動物にも関し、さらに好ましくは、上述した方法を用いて判定される形質誘
発変異を含む変異PCTA-1遺伝子に関するものである。好ましくは、バイアレリッ
クマーカーが、A1〜A125およびその相補体、あるいは任意に、これらと連鎖不平
衡状態にあるバイアレリックマーカーからなる群から選択される。他の実施形態
では、本発明は、動物、好ましくは修飾またはノックアウトされたマウスPCTA-1
遺伝子を含むマウスに関する。これらの動物を使用して興味の対象である化合物
をスクリーニングすることができる。
【0542】 本願明細書では、「トランスジェニック動物」または「宿主動物」という用語
を、本発明の核酸のうち1つが含まれるようゲノムを遺伝的および人工的に操作
した動物を示すものとして用いる。好ましい動物は、非ヒト哺乳動物であり、本
発明による核酸の挿入によってゲノムを人工的かつ遺伝的に変化させたMus(マウ
スなど)、Rattus(ラットなど)およびOryctogalus(ウサギなど)から選択される属
に分類されるものが含まれる。
【0543】 一実施形態では、本発明は、ノックアウトベクターでの相同的組換えによって
破壊された本発明の組換えベクター、本発明によるポリヌクレオチドコンストラ
クトまたはPCTA-1遺伝子を有する動物および非ヒト宿主哺乳動物を包含する。大
まかに言うと、本発明によるトランスジェニック動物は、本発明で説明するポリ
ヌクレオチド、組換えベクターおよび細胞宿主のうちいずれを含むものであって
もよい。特に、本発明によるランスジェニック動物は、「PCTA-1 cDNA配列」「
コード領域」および「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」の各セク
ションに記載のどのようなポリヌクレオチドでも含むことができる。
【0544】 本発明のトランスジェニック動物はいずれも、その複数の細胞の中に、クロー
ニングによって得られた組換えDNA配列または合成DNA配列を有する。この配列は
、具体的には、PCTA-1コーディング配列、PCTA-1調節ポリヌクレオチドまたは本
願明細書にて記載したようなアンチセンスポリヌクレオチドをコードするDNA配
列、さらに好ましくは、PCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカー少なくとも1つ
のアレルを含むヌクレオチドを含む精製された核酸または単離された核酸のうち
の1つである。
【0545】 第1の好ましい実施形態では、これらのトランスジェニック動物は、癌、好ま
しくは前立腺癌の研究、特に、天然のPCTA-1タンパク質あるいはミュータントPC
TA-1タンパク質をコードするポリヌクレオチドの1つまたは複数のコピーをゲノ
ム内に挿入したトランスジェニック動物に関する研究を行う上での良好な実験モ
デルとなり得る。
【0546】 第2の好ましい実施形態では、これらのトランスジェニック動物が、PCTA-1遺
伝子の調節ポリヌクレオチドの制御下で、興味の対象となっている所望のポリペ
プチドを発現させ、興味の対象となっているタンパク質の合成において高い収率
をあげ、結果としてかかるタンパク質を組織特異的に発現させることができる。
【0547】 本発明のトランスジェニック動物は、当業者間で周知の従来の手法で設計でき
るものである。トランスジェニック動物、特にトランスジェニックマウスの作出
方法の詳細については、1989年10月10日発行の米国特許第4,873,191号、1995年1
1月7日発行の米国特許第5,464,764号および1998年8月4日発行の米国特許第5,789
,215号を参考にできる。
【0548】 本発明のトランスジェニック動物は、ゲノムに組み込まれる外来遺伝子物質が
組み込まれた動物を生み出す手順を応用することによって作出される。この手順
では、PCTA-1コーディング配列、PCTA-1調節ポリヌクレオチド、または本願明細
書に記載したようなPCTA-1アンチセンスポリヌクレオチドをコードするDNA配列
のうち、いずれかをコードする遺伝物質またはその一部を採取する必要がある。
【0549】 本発明の組換えポリヌクレオチドを胚性細胞またはES幹細胞株に挿入する。こ
の挿入はエレクトロポレーションで行う。エレクトロポレーションの対象となる
細胞をスクリーニング(たとえばサザンブロット解析など)し、ゲノムに外来性の
組換えポリヌクレオチドが組み込まれたポジティブ細胞を見出す。本発明で利用
できるポジティブ-ネガティブ選択手順の一例は、Mansour et al.(1988)に説明
されている。
【0550】 次に、ポジティブ細胞を単離し、クローニングし、3.5日胚のマウス胚盤胞に
注入する。次に、胚盤胞をメスの宿主動物に挿入し、妊娠満期まで成長させる。
【0551】 あるいは、Wood et al.(1993)またはNagy et al.(1993)に記載されているよう
に、2.5日胚、8〜16細胞期(桑実胚)の時点でポジティブES細胞を胚と接触させる
。内部移行中のES細胞は、生殖細胞系を生み出す細胞を含む胚盤胞を迅速にコロ
ニー化する。
【0552】 メスの宿主の子孫を試験し、どの動物がトランスジェニックであるか(たとえ
ば、どの動物が外来性DNA配列を有し、どの動物が野生型なのか)を判断する。
【0553】 このため、本発明は、本発明による核酸、組換え発現ベクターまたは組換え宿
主細胞を含むトランスジェニック動物にも関するものである。
【0554】 本発明のトランスジェニック動物由来の組換え株化細胞 本発明のさらに他の目的は、本願明細書において説明するトランスジェニック
動物から得られる組換え宿主細胞からなるものである。一実施形態では、本発明
は、非ヒト宿主哺乳動物由来の細胞および本発明の組換えベクターまたはノック
アウトベクターを用いた相同的組換えによって破壊されたPCTA-1遺伝子を有する
動物由来の細胞を包含する。
【0555】 Chou(1989)およびShay et al.(1991)に記載されているようにして、たとえばS
V40ラージT抗原などのonc-geneを発現するベクターでの一次細胞培養物のトラン
スフェクションなどによって、本発明によるトランスジェニック動物のいずれか
の組織から得られる細胞から組換え細胞系をin vitroにて樹立する。
【0556】 前立腺癌に作用する薬剤のスクリーニング さらに他の実施形態では、本発明は、癌、好ましくは前立腺癌に作用し、癌、
好ましくは前立腺癌、前立腺癌の早期発症または前立腺癌腫瘍の攻撃性、あるい
は、より一般的にはPCTA-1遺伝子の変更発現もしくはすでに起こりかけている発
現、PCTA-1タンパク質の変更産生もしくはすでに起こりかけている産生、または
修飾PCTA-1タンパク質の産生に関連したPCTA-1遺伝子のアレルがDNAに含まれる
患者の治療に適している場合がある新規な薬剤または候補物質のスクリーニング
方法にも関する。
【0557】 好ましい実施形態では、本発明は、癌治療用の候補物質、好ましくは前立腺癌
治療用の候補物質のスクリーニング方法に関する。この方法は、 PCTA-1遺伝子またはそのフラグメント、好ましくはPCTA-1遺伝子の調節領域ま
たはプロモーター領域を発現する株化細胞、器官、または哺乳動物を提供するス
テップと、 候補物質、好ましくは転写因子のPCTA-1調節領域への結合を阻害できる候補物
質を得るステップと、 候補物質の、癌、好ましくは前立腺癌の徴候を減らすおよび/またはPCTA-1の
発現レベルを変調させる機能を試験するステップと、を含む。
【0558】 いくつかの実施形態では、株化細胞、器官または哺乳動物が異種タンパク質を
発現し、そのコード配列がPCTA-1調節またはプロモーター配列に作用的に結合さ
れる。他の実施形態では、株化細胞、器官または哺乳動物は、癌、好ましくは前
立腺癌、前立腺癌の早期発症あるいは前立腺癌腫瘍の攻撃性に関連した1つまた
はそれ以上のバイアレリックマーカーのアレルを含むPCTA-1遺伝子または上述し
た方法を用いて判定される形質誘発変異を含む変異PCTA-1遺伝子を発現する。任
意に、バイアレリックマーカーが、A1〜A125およびその相補体からなる群から選
択される。好ましくは、バイアレリックマーカーが、A2、A30、A41、A55、A57お
よびその相補体からなる群から選択される。さらに他の実施形態では、配列番号
9の核酸配列またはその変異体またはフラグメントによってコードされるPCTA-1
タンパク質、好ましくはマウスPCTA-1タンパク質を発現するマウスを使用して、
癌、好ましくは前立腺癌に作用する薬剤をスクリーニングすることができる。
【0559】 候補物質は、結合または他の分子間相互作用によって、PCTA-1の発現、安定性
および機能に相互作用またはこれを調節できる物質である。かかる物質は、既存
の薬物に応答しない患者またはこれによって副作用が生じた患者にとっては関心
の的となり得るものである。スクリーニングについては、in vitroでの方法また
はin vivoでの方法のいずれかを用いて実施すればよい。
【0560】 このような方法は、PCTA-1遺伝子の考慮対象のアレルを発現する形質転換細胞
で、マウスなどで前記形質転換細胞を誘発する腫瘍で、あるいはPCTA-1の考慮対
象のアレル変異体によってコードされるPCTA-1タンパク質でなど、さまざまな形
で実施できるものである。この方法は、特定の1つまたはそれ以上のバイアレリ
ックマーカーのアレルおよび/または上述した形質誘発変異を含むPCTA-1配列の
異なる形態を用いて形質転換細胞を得ることを含むものであると好ましい。任意
に、バイアレリックマーカーがA1〜A125およびその相補体からなる群から選択さ
れる。
【0561】 本発明のスクリーニングアッセイは主に、候補物質の、細胞毒性を示し、増殖
能や浸潤能などの形質転換細胞の特性を変化させ、腫瘍の成長に影響をおよぼし
、あるいはPCTA-1の発現レベルを調節する機能を判定することによるものである
【0562】 このような薬物スクリーニングアッセイの代表的な例を以下にあげておく。当
業者であれば、過度に実験を行わなくてもこれらの例で用いるパラメーターを変
更できることは理解できよう。
【0563】 PCTA-1遺伝子の制御配列と相互作用する物質のスクリーニング また、本発明は、たとえば、プロモーターまたはエンハンサー配列などのPCTA
-1遺伝子の制御配列と相互作用できる物質または分子をスクリーニングする方法
にも関するものである。
【0564】 PCTA-1遺伝子の制御配列と相互作用できるタンパク質をコードする核酸、特に
、5'調節領域および3'調節領域のポリヌクレオチドまたはそのフラグメントまた
はその変異体、好ましくは本発明のバイアレリックマーカーのうちいずれか1つ
を含む変異体からなる群から選択されるヌクレオチド配列は、クロンテック社か
ら入手可能なMatchmaker One-Hybrid Systemキット(カタログ No. K1603-1)に付
随のマニュアルに記載されているものなどのワンハイブリッドシステムを使用し
て同定することができる。簡単に説明すると、標的ヌクレオチド配列を選択可能
なレポーター配列の上流にクローニングし、得られるDNA コンストラクトを酵母
ゲノム(Saccharomyces cerevisiae)に組み込む。次に、制御配列に結合するよう
候補タンパク質をコードするcDNAとGAL4などの酵母転写因子の活性化因子ドメイ
ンをコードする配列との融合分子からなるライブラリでゲノムにレポーター配列
を含む酵母細胞を形質転換する。この組換え酵母細胞を培養ブロスに蒔き、レポ
ーター配列を発現する細胞を選択する。このようにして選択した組換え酵母細胞
には、PCTA-1遺伝子の標的制御配列と結合できる融合タンパク質が含まれる。次
に、融合タンパク質をコードするcDNAのシークエンシングを行い、これをin vit
roにて発現ベクターまたは転写ベクターにクローニングすることができる。ゲル
リターデーションアッセイまたはDNAse保護アッセイなどの当業者間で周知の手
法によって、コードされたポリペプチドのPCTA-1遺伝子の標的制御配列への結合
を確認できる。このようなアッセイの詳細については、「前立腺癌での本発明の
バイアレリックマーカーの解析」セクションで述べる。
【0565】 発現修飾因子でのスクリーニング PCTA-1遺伝子は、転写プロセスの少なくとも1ステップの変化をほぼ間違いな
く含むであろう一連のイベントに関与しているように見える。実際、上述したよ
うに、PCTA-1調節領域のいくつかの部位へのDNA結合因子の結合効率にこの変化
が直接関連している可能性が非常に高い。
【0566】 スクリーニングプログラムを使用し、通常はDNA転写因子に結合するPCTA-1プ
ロモーター部位に拮抗的に結合させるか、あるいはDNA結合因子それ自体に直接
結合させるかのいずれかによって、潜在的治療化合物を試験することができる。
これらの化合物は、癌に関係のあるPCTA-1の発達につながるイベントのカスケー
ドがが起こる速度を落すことができる。事実、いくつかのDNA結合部位の組み合
わせが前立腺癌に関係のあるPCTA-1の発達に関与しているかもしれないことが明
らかに思われても、PCTA-1の産生とこれに続く癌の増殖に十分なインパクトを与
えるには、少数の部位での結合阻害があれば十分なことが多い。
【0567】 発現修飾因子はPCTA-1遺伝子のアレル1つまたはアレルのグループに特異な修
飾因子の検出に利用できるものであるため、この因子のスクリーニングは重要で
ある。in vitroでの転写アッセイで、候補の修飾因子を投与または動物または細
胞などの発現系と組み合わせることによって、修飾因子に対する応答のPCTA-1発
現での変化を判断できる。
【0568】 「発現修飾因子」という用語には、PCTA-1遺伝子発現の変調によってPCTA-1の
作用を調整する化合物およびポリペプチドも包含するがこれに限定されるもので
はないことを意図している。
【0569】 修飾因子がPCTA-1転写および/または定常のmRNAレベルにどのような影響をお
よぼすのかを判断できる。基本的な発現レベルの場合と同様に、組織特異的な相
互作用が興味の対象となる。発現修飾因子のPCTA-1活性に対して影響をおよぼす
機能と標的多型の存在との相関を得る。多種多様な条件での効果を判断するため
に、さまざまな修飾因子の群をスクリーニングしてもよい。
【0570】 本発明の他の主題は、PCTA-1タンパク質の発現を変調させる分子のスクリーニ
ング方法である。このようなスクリーニング方法は、 a) PCTA-1タンパク質またはその変異体またはフラグメントをコードするヌク
レオチド配列で、その自己のプロモーターの制御下においてトランスフェクトし
た原核生物細胞または真核生物細胞を培養するステップと、 b) 培養細胞と被検分子とを接触させるステップと、 c) PCTA-1タンパク質またはその変異体またはフラグメントの発現を定量化す
るステップと、を含む。
【0571】 一実施形態では、PCTA-1タンパク質またはその変異体またはフラグメントをコ
ードするヌクレオチド配列は、バイアレリックマーカーA1〜A125、好ましくは A
2、A30、A41、A55、A57およびその相補体のうち少なくとも1つのアレルを含む。
【0572】 当業者間で周知のDNA組換え手法を用いて、DNA配列をコードするPCTA-1タンパ
ク質をそのプロモーター配列の下流で発現ベクターに挿入する。
【0573】 PCTA-1タンパク質の発現の定量化は、mRNAレベルあるいはタンパク質レベルで
実現できる場合がある。後者の場合、ポリクローナル抗体またはモノクローナル
抗体を使用し、ELISAあるいはRIAアッセイなどで産生されたPCTA-1タンパク質の
量を定量化することができる。
【0574】 好ましい実施形態では、PCTA-1 mRNAの定量化は、PCTA-1に特異なプライマー
の対を使用して、培養したPCTA-1-トランスフェクト宿主細胞の全mRNAの逆転写
によって得られたcDNAの定量的PCR増幅によって実現される。
【0575】 したがって、PCTA-1遺伝子の発現を変調した候補物質または分子をスクリーニ
ングする方法も本発明の一部である。この方法は、 検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドの上流に位置する、5'調
節領域のヌクレオチド配列またはその生物学的に活性なフラグメントまたはその
変異体を含む核酸を含む組換え細胞宿主を提供するステップと、 候補物質を得るステップと、 候補物質が検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現レベル
を変調させる機能を判定するステップと、を含む。
【0576】 さらに他の実施形態では、5'調節領域のヌクレオチド配列またはその生物学的
に活性なフラグメントまたはその変異体を含む核酸が、PCTA-1 cDNAの5'UTR領域
、あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体のうちの1つを
含む。
【0577】 検出可能なタンパク質をコードする好ましいポリヌクレオチドとしては、ルシ
フェラーゼ、βガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびクロラムフ
ェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)をコードするポリヌクレオチドが
あげられる。
【0578】 PCTA-1遺伝子の発現を変調する候補物質または分子をスクリーニングする方法
の他の実施形態では、前記方法が、 a) PCTA-1 cDNAの5'UTR配列、あるいは、検出可能なタンパク質をコードする
ポリヌクレオチドに作用的に結合された、その生物学的に活性なフラグメントま
たはその変異体のうち1つを含む核酸を含む組換え宿主細胞を提供するステップ
と、 b) 候補物質を得るステップと、 c) 候補物質が検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現レ
ベルを変調させる機能を判定するステップと、を含む。
【0579】 上述したスクリーニング方法の特定の一実施形態では、PCTA-1 cDNAの5'UTR配
列のうちの1つからなる群から選択されるヌクレオチド配列またはその生物学的
に活性なフラグメントまたはその変異体を含む核酸が、本願明細書に定義するPC
TA-1 5'UTR配列に鑑みると外来のものであるプロモーター配列を含む。さらに他
の好ましい実施形態では、PCTA-1 cDNAの5'-UTR配列またはその生物学的に活性
なフラグメントを含む核酸が、A1〜A125からなる群から選択されるバイアレリッ
クマーカー、好ましくはA2、A30、A41、A55、A57またはその相補体を含む。
【0580】 本発明はまた、本願明細書にて説明するスクリーニング方法を実施する上で有
用なキットにも関するものである。好ましくは、このようなキットは、上流に位
置し、検出可能なタンパク質またはPCTA-1タンパク質をコードするポリヌクレオ
チドまたはそのフラグメントまたはその変異体に作用的に結合された5'調節領域
のヌクレオチド配列またはその生物学的に活性な フラグメントまたはその変異
体の発現を可能にする組換えベクターを含む。さらに、このキットは、PCTA-1 c
DNAの5'-UTR配列、あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたはその変異
体を含む核酸を含む組換えベクターを含むものであってもよく、前記核酸は、検
出可能なタンパク質またはPCTA-1タンパク質をコードするポリヌクレオチドまた
はそのフラグメントまたはそのその変異体に作用的に結合されている。
【0581】 上述したスクリーニング方法の実施に有用である好適な組換えベクターの設計
については、本発明の好ましい組換えベクターが詳細に説明されている本願明細
書のセクションにて触れるものとする。
【0582】 国際特許出願公開第WO97/05277号に記載されているような長いプローブを用い
て、溶液ハイブリダイゼーションによってPCTA-1の発現レベルおよびパターンを
解析する。簡単に説明すると、上述したPCTA-1 cDNAまたはPCTA-1ゲノムDNAまた
はそのフラグメントを、バクテリオファージ(T3、T7またはSP6)RNAポリメラーゼ
プロモーターのすぐ下流にクローニング部位に挿入し、アンチセンスRNAを作出
する。好ましくは、このPCTA-1インサートは、ゲノムDNA配列またはcDNA配列、
特に本発明のバイアレリックマーカー少なくとも1つ、好ましくはバイアレリッ
クマーカーA1〜A125およびその相補体のうち少なくとも1つを含む配列、あるい
は形質誘発変異を含む配列をコードする配列のうち、連続した少なくとも100ま
たはそれ以上のヌクレオチドを含むものである。プラスミドを直線化し、修飾リ
ボヌクレオチド(すなわち、ビオチン-UTPおよびDIG-UTP)を含むリボヌクレオチ
ドの存在下、転写を行う。過剰な二重標識RNAを興味の対象となる細胞または組
織から採取したmRNAと溶液中でハイブリダイズさせる。このハイブリダイゼーシ
ョンは、標準的な厳密さの条件下(80%ホルムアミド、0.4M NaCl緩衝液中、pH7〜
8にて40〜50℃で16時間)で行う。ハイブリダイズされなかったプローブを、一本
鎖RNA特異なリボヌクレアーゼ(すなわち、RNase CL3、T1、Phy M、U2またはA)で
消化して除去する。ビオチン-UTP修飾が存在することで、ストレプトアビジン被
覆したマイクロタイタープレート上でハイブリッドを捕捉できる。DIG修飾が存
在することで、アルカリホスファターゼに結合した抗DIG抗体を使用するELISAに
よってハイブリッドを検出して定量化できる。
【0583】 アレイを用いてPCTA-1遺伝子発現の定量解析を行ってもよい。本願明細書にお
いて、本願明細書において、アレイという用語は、これとハイブリダイズできる
mRNAの発現を特異的に検出できるだけの十分な長さの複数の核酸で構成される、
一次元、二次元または多次元の集合体を意味する。たとえば、このアレイは、発
現レベルを評価したい遺伝子由来の複数の核酸を含むものであってもよい。この
アレイには、PCTA-1ゲノムDNA、PCTA-1 cDNA配列またはその相補配列またはその
フラグメント、特に本発明のバイアレリックマーカー少なくとも1つ、好ましく
は、バイアレリックマーカーA1〜A125およびその相補体のうち少なくとも1つを
含む配列、あるいは形質誘発変異を含む配列を含んでもよい。好ましくは、この
フラグメントは少なくとも15ヌクレオチド長である。他の実施形態では、このフ
ラグメントは少なくとも25ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、フ
ラグメントは少なくとも50ヌクレオチド長である。より好ましくは、フラグメン
トは少なくとも100ヌクレオチド長である。もう1つの好ましい実施形態では、フ
ラグメントは100ヌクレオチド長よりも長いものである。いくつかの実施形態で
は、フラグメントは500ヌクレオチド長よりも長いものであってもよい。
【0584】 たとえば、Schena et al.(1995および1996)によって説明されているように、c
DNAマイクロアレイを用いてPCTA-1遺伝子発現の定量解析を行うことができる。
完全長PCTA-1 cDNAまたはそのフラグメントをPCR増幅し、高速の装置を用いてシ
リル化顕微鏡スライドガラス上で96穴マイクロタイタープレートからアレイ化す
る。プリントされたアレイを湿ったチャンバ内でインキュベートし、アレイの要
素を再水和させ、0.2%SDSで1分間を1回と、水で1分間を2回、水素化ホウ素ナト
リウム溶液中で5分間を1回のサイクルで洗浄する。このアレイを95℃で2分間、
水中に沈め、0.2%SDSに移して1分おき、2回水洗し、空気乾燥させて25℃で暗所
に保管する。
【0585】 細胞または組織のmRNAを単離するか、あるいは市販されているものを入手し、
逆転写のサイクルを1回行ってプローブを調製する。このプローブを14ラ14mmのカ バーガラス下で60℃にて6〜12時間で1cm2のマイクロアレイとハイブリダイズさ
せる。このアレイを厳密度の低い洗浄用緩衝液(1ラSSC/0.2%SDS)中にて25℃で5分 間洗浄した後、厳密度の高い洗浄用緩衝液(0.1ラSSC/0.2%SDS)中にて室温で10分 間洗浄する。独自に用意したフィルタセットを用いた蛍光レーザースキャン装置
によって、0.1ラSSC中でアレイをスキャンする。独立した2つのハイブリダイゼー ションの比の平均を取ることによって、正確な差次的遺伝子発現測定値を得る。
【0586】 Pietu et al.(1996)によって説明されているように、cDNA配列の完全長PCTA-1
cDNAまたはそのフラグメントを用いてPCTA-1遺伝子発現の定量解析を行っても
よい。完全長PCTA-1 cDNAまたはそのフラグメントをPCR増幅し、膜に接種する。
次に、さまざまな組織または細胞由来のmRNAを放射性ヌクレオチドで標識する。
ハイブリダイゼーションと制御した条件下での洗浄後、ホスホイメージングまた
はオートラジオグラフィによって、ハイブリダイズされたmRNAを検出する。実験
を2回重複して行った後、差次的に発現されたmRNAの定量解析を行う。
【0587】 あるいは、Lockhart et al.(1996)およびSosnowsky et al.(1997)によって説
明されているように、高密度ヌクレオチド配列を利用してPCTA-1ゲノムDNA、PCT
A-1 cDNAまたはそのフラグメントを用いた発現解析を行うこともできる。PCTA-1
ゲノムDNA配列、PCTA-1 cDNA配列、特に本発明のバイアレリックマーカー少なく
とも1つ、好ましくは、バイアレリックマーカーA1〜A125およびその相補体のう
ち少なくとも1つを含む配列、あるいは形質誘発変異を含む配列またはその相補
配列を含む配列から15〜50ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドをチップ上で直接
合成する(上記Lockhart et al.)か、あるいは合成後にチップにアドレス指定す
る(上記Sosnowski et al.)。
【0588】 ビオチン、ジゴキシゲニンまたは蛍光染料などの適当な化合物で標識したPCTA
-1 cDNAプローブを適当なmRNA集団から合成した後、平均サイズ50〜100ヌクレオ
チドに無作為にフラグメント化する。次いで、前記プローブをチップとハイブリ
ダイズさせる。上記Lockhart et al.によって説明されているように洗浄し、異
なる電界を印加(Sosnowsky et al.、1997)した後、染料または標識化合物を検出
して定量化する。ハイブリダイゼーションを二重に実施する。異なるcDNA試料で
同一の標的オリゴヌクレオチドについてcDNAプローブからのシグナル強度を比較
解析することで、PCTA-1 mRNAが差次的に発現することが分かる。
【0589】 PCTA-1タンパク質と相互作用する分子でのスクリーニング 上述したPCTA-1タンパク質またはそのフラグメントを薬物スクリーニング手順
に使用し、PCTA-1活性のアゴニスト、アンタゴニスト、あるいはインヒビターで
ある分子を同定することができる。好ましい実施形態では、PCTA-1タンパク質ま
たはそのフラグメントが、本発明のバイアレリックマーカーによって得られた変
異を少なくとも1つ、好ましくは、バイアレリックマーカーA54、A56、A60、A75
、A76、A85または本発明による形質誘発変異によってコードされる変異少なくと
も1つを含む。かかる解析に使用するPCTA-1タンパク質またはそのフラグメント
については、溶液中に遊離させた状態であっても固相支持体に結合させておいて
もよい。この細胞は、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントを自然に発現す
るか、あるいは、上述したものなどの発現ベクターからPCTA-1タンパク質または
そのフラグメントを発現する。
【0590】 薬物スクリーニングの方法の1つでは、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメ
ントが発現されるように組換えポリヌクレオチドで安定して形質転換された真核
生物または原核生物の宿主細胞を従来の競合的結合実験または標準的な指向的結
合試験に使用する。
【0591】 PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと医薬品または小さな分子(化学的
な方法を組み合わせて生成される分子など)との相互作用を検討するために、マ
イクロダイアリシスをWang et al.(1997)に記載されたHPLC法と組み合わせたも
のや、Busch et al.(1997)に記載されたアフィニティーキャピラリー電気泳動法
を使用することができる。
【0592】 さらに他の方法では、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと相互作用す
る分子を以下のようなアッセイによって同定できる。結合試験対象の分子を蛍光
、放射線または酵素タグなどの検出可能な標識で標識し、特異的な結合が起こる
条件下で、固定化したPCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと接触させる。
非特異的な結合分子を除去した後、適当な手段を用いて結合分子を検出する。
【0593】 本発明の他の目的は、PCTA-1ポリペプチドと相互作用する候補物質をスクリー
ニングする方法およびキットからなるものである。
【0594】 候補物質のスクリーニング用の方法は、a)PCTA-1タンパク質またはそのフラグ
メントからなるポリペプチドを提供するステップと、b)候補物質を得るステップ
と、c)前記ポリペプチドを前記候補物質と接触させるステップと、d)ポリペプチ
ドと前記候補物質との間に形成される錯体を検出するステップと、を含む。任意
に、前記PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントが、配列番号5、6、7、9のポ
リペプチドおよびそのフラグメントからなる群から選択される。
【0595】 また、本発明は、上述したスクリーニング法を実施するのに有用なキットに関
するものである。好ましくは、このようなキットは、PCTA-1ポリペプチドまたは
そのフラグメントを含み、任意に、PCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグメント
と候補物質との間に形成される錯体を検出するのに有用な手段を含む。好ましい
実施形態では、検出手段が、対応するPCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグメン
ト用のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体で構成される。
【0596】 さまざまな候補物質または分子のPCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと
の相互作用について解析することができる。これらの物質または分子としては、
ポリペプチド、抗体、脂肪酸、リポタンパクなどの生物由来の天然有機化合物ま
たは合成有機化合物または分子があげられるが、これに限定されるものではない
。候補物質または分子がポリペプチドからなる場合、このポリペプチドは、ファ
ージベースのランダムペプチドライブラリに属するファージをクローニングして
得られる発現産物であってもよく、あるいは、ポリペプチドは、2ハイブリッド
スクリーニングアッセイを実施するのに適したベクターにおいてクローニングさ
れたcDNAライブラリから得られる発現産物であってもよい。
【0597】 本発明の目的で、配位子は、タンパク質、ペプチド、抗体、脂肪酸、リポタン
パクなどの分子、あるいは、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントに結合で
きる任意の合成化学物質を意味する。
【0598】 A. ランダムペプチドライブラリから得られる候補配位子 スクリーニング法の特定の実施形態において、ファージベクター(Parmley and
Smith, 1988)に含まているDNAインサートの発現産物が推定配位子である。具体
的には、ランダムペプチドファージライブラリを使用する。無作為のDNAインサ
ートで8〜20アミノ酸長のペプチドをコードする(Oldenburg K.R. et al., 1992
、Valadon P., et al., 1996、Lucas A.H., 1994、Westerink M.A.J., 1995、Fe
lici F. et al., 1991)。この特定の実施形態によれば、固定化したPCTA-1タン
パク質またはそのフラグメントに結合されるタンパク質を発現する組換えファー
ジが保存され、次いでPCTA-1ポリペプチドと組換えファージとの間に形成される
錯体をPCTA-1ポリペプチド用のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体に
よって免疫沈降させてもよい。
【0599】 組換えファージで配位子ライブラリを構築した後、ファージ個体群を固定化し
たPCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと接触させる。次に、錯体調製物を
洗浄し、非特異的に結合した組換えファージを除去する。その後、PCTA-1タンパ
ク質またはそのフラグメントに特異的に結合するファージを緩衝剤(酸性pH)によ
って溶出するか、抗PCTA-1ハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗
体によって免疫沈殿し、次いでこのファージ個体群を細菌(たとえばE. coli)の
過剰感染によって増幅する。選択ステップを数回、好ましくは2〜4回繰り返し、
さらに特異性の高い組換えファージクローンを選択するようにしてもよい。最終
ステップは、感染した細菌での発現と単離、他の宿主ベクター系でのファージイ
ンサートの発現、あるいは選択した組換えファージを含むインサートのシークエ
ンシングなどによって、選択された組換えファージクローンによって産生される
ペプチドを特徴づけすることにある。
【0600】 B. 拮抗実験によって得られる候補配位子 あるいは、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントに結合するペプチド、医
薬品または小さな分子を拮抗実験で同定してもよい。このようなアッセイでは、
PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントをプラスチック板などの表面に固定化
する。検出可能に標識した周知のPCTA-1タンパク質配位子の存在下で、固定化し
たPCTA-1タンパク質またはそのフラグメントにペプチド、医薬品または小さな分
子を相当量接触させる。たとえば、蛍光タグ放射性タグ、酵素タグなどでPCTA-1
配位子を検出可能に標識してもよい。被検分子の存在下で結合された、検出可能
に標識された周知の配位子の量を測定することによって、被検分子のPCTA-1タン
パク質またはそのフラグメントに結合する能力を判定する。試薬分子が存在する
とき、PCTA-1タンパク質に結び付けられた、既知の配位子の量の減少またはその
フラグメントは、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントに試薬分子が包帯を
することができることを示した。被検分子が存在するとPCTA-1タンパク質または
そのフラグメントに結合した周知の配位子の量が減ったことから、被検分子がPC
TA-1タンパク質またはそのフラグメントと結合できることが分かる。
【0601】 C. アフィニティクロマトグラフィによって得られる候補配位子 PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントを仕込んだアフィニティカラムを使
用して、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと相互作用するタンパク質ま
たは他の分子を見出すことができる。アガロース、Affi Gel(登録商標)や当業
者間で周知の他の基質などの好適なカラム基質への化学的結合などの従来の手法
を用いて、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントをカラムに固定することが
できる。この方法のいくつかの実施形態では、アフィニティーカラムにキメラタ
ンパク質を含み、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントがグルタチオンSト
ランスフェラーゼ(GST)と融合しているものがある。細胞タンパク質または上述
したような発現タンパク質のプールの混合物をアフィニティーカラムに適用する
。Ramunsen et al.(1997)に記載されているようにして、カラムに結合したPCTA-
1タンパク質またはそのフラグメントと相互作用するタンパク質または他の分子
を単離し、2D泳動ゲルで解析することができる。あるいは、アフィニティーカラ
ムに残ったタンパク質を泳動主体の方法によって精製し、配列決定する。これと
同一の方法を用いて、抗体を単離し、ファージディスプレイ産物をスクリーニン
グし、あるいはファージディスプレイ法によるヒト抗体をスクリーニングするこ
とができる。
【0602】 D. 光学バイオセンサ法によって得られる候補配位子 Edwards and Leatherbarrow(1997)やSzabo et al.(1995)に記載されているよ
うな光学バイオセンサを用いて、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと相
互作用するタンパク質をスクリーニングすることができる。この手法を用いるこ
とで、標識した分子を使わずにリアルタイムで分子間の相互作用を検出すること
ができる。この手法は、表面プラズモン共鳴(SPR)現象を利用したものである。
簡単に説明すると、試験対象の候補配位子分子を表面(カルボキシメチルデキス
トラン基質など)に結合させる。被検試料を含んでいない表面の側に向けて光線
を照射すると、この光線は前記表面によって反映される。SPR現象によって、角
度と波長が特定の関係になると反射光の強度が落ちる。候補配位子分子が結合す
ることが原因で、その表面での屈折率の変化が生じる(この変化はSPR信号の変化
として検出される)。PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと相互作用でき
る候補配位子分子または物質のスクリーニングのために、PCTA-1ポリペプチドを
表面に固定化する。この表面は細胞の1つの側をなし、アッセイ対象の候補分子
はここを通過して流動する。PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントへの候補
分子の結合は、SPR信号の変化として検出される。試験される候補分子は、タン
パク質、ペプチド、糖質、脂質または組合せ化学によって生成される小さな分子
などであればよい。この手法はさらに、真核生物細胞または裸核細胞を固定化す
ること、あるいは、それらの表面で内因的または組換え的に発現されるPCTA-1タ
ンパク質を呈するベシクルによって実施できる。
【0603】 この方法の主要な利点は、PCTA-1タンパク質と相互作用するPCTA-1タンパク質
と分子との間の関連度を判定できることにある。したがって、強い会合定数また
は逆に弱い会合定数によって、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメントと相互
作用する配位子分子を特異的に選択することが可能である。
【0604】 E. 2ハイブリッドスクリーニングアッセイによって得られる候補配位子 酵母2ハイブリッド系を設計し、in vivoでのタンパク質-タンパク質相互作用
について検討(Fields and Song, 1989)し、酵母Gal4タンパク質のDNA結合ドメイ
ンに対する餌タンパク質の融合に依存する。この手法は、米国特許第5,667,973
号および同第5,283,173号(Fields et al.)にも記載されている。
【0605】 2ハイブリッドアッセイによるライブラリースクリーニングの一般的な手順は
、Harper et al.(1993)またはCho et al.(1998)、あるいはFromont-Racine et a
l.(1997)によって説明されているようにして行うことができる。
【0606】 餌タンパク質またはポリペプチドは、PCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグメ
ントからなる。
【0607】 正確には、PCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするヌクレオ
チド配列を、GAL4タンパク質のDNA結合ドメインをコードするポリヌクレオチド
に融合させ、融合ヌクレオチド配列をたとえばpAS2またはpM3などの好適な発現
ベクターに挿入する。
【0608】 次に、GAL4タンパク質の転写ドメインをコードするベクターでヌクレオチド配
列にヒトcDNAインサートが融合するように、特別に設計したベクターでヒトcDNA
ライブラリを構築する。好ましくは、使用するベクターはpACT ベクターである
。ヒトcDNAライブラリのヌクレオチドインサートによってコードされるポリペプ
チドを「pray」ポリペプチドとする。
【0609】 第3のベクターが、転写活性化ドメインとDNA結合ドメインの両方を含む完全Ga
l4タンパク質の結合に影響する調節配列の制御下におかれる窿Kラクトシダーゼ
遺伝子またはCAT遺伝子などの検出可能なマーカー遺伝子を含んでいる。たとえ
ば、ベクターpG5ECを使用できる。
【0610】 2種類の酵母菌株も使用する。2種類の酵母菌株の一例としては、次のものがあ
げられるがこれに限定されるものではない。 Y190、その表現型は(MATa、Leu2-3、112 ura3-12、trp1-901、his3-D200、 ade2-101、gal4Dgal180D URA3 GAL-LacZ、LYS GAL-HIS3、cyhr)、 Y187、その表現型は(MATa gal4 gal80 his3 trp1-901 ade2-101 ura3-52 leu2-3、-112 URA3 GAL-lacZmet-)、であり、これらはY190の逆交配型である。
【0611】 簡単に説明すると、pAS2/PCTA-1 20μgと、pA-cDNAライブラリ20μgを酵母菌
株Y190に同時形質転換する。トランスフォーマントを選択し、ヒスチジン、ロイ
シンおよびトリプトファンを含まないがヒスチジン合成インヒビター3-AT(50mM)
を含有する最少培地で成長させる。フィルタリフトアッセイによって、βガラク
トシダーゼでポジティブコロニーをスクリーニングする。次に、ヒスチジン、ロ
イシンを含まないがトリプトファンとシクロヘキシミド(10mg/ml) を含むプレートでダブルポジティブコロニー(His+、beta-gal+)を成長させ、 pACT-cDNA ライブラリ プラスミドのpAS2/PCTA-1プラスミドbu保存損失を選択す
る。このようにして得られるY190菌株を、Harper et. al.(1993)およびBram et
al.(1993)に記載されているようにして、シクロフィリンB、ラミンまたはSNF1、
Gal4融合物などのPCTA-1または無関係の対照タンパク質を発現するY187菌株と交
配させ、フィルタリフトアッセイによって窿Kラクトシダーゼについてスクリー
ニングする。対照のGal4融合物と交配させた後のβgalである酵母クローンを擬
陽性とみなす。
【0612】 本発明による2ハイブリッド法の他の実施形態では、PCTA-1またはそのフラグ
メントと細胞性タンパク質との間の相互作用を、Matchmaker Two Hybrid System
2(カタログNo. K1604-1、クロンテック社)を使用して評価することができる。M
atchmaker Two Hybrid System 2(カタログNo. K1604-1、クロンテック社)に添付
のマニュアルに説明されているように、PCTA-1タンパク質またはそのフラグメン
トをコードする核酸を、酵母の転写活性因子GAL4のDNA結合ドメインをコードす
るDNAと同一フレーム内にくるように発現ベクターに挿入する。所望のcDNA、好
ましくはヒトcDNAを、GAL4の活性化ドメインをコードするDNAと同一フレームに
くるように第2の発現ベクターに挿入する。2つの発現プラスミドを酵母へ形質転
換し、各発現ベクターでの選択可能なマーカーの発現と、HIS3遺伝子のGAL4依存
性発現のみを選択的に行う選択培地プレートに上記の酵母を蒔く。ヒスチジンを
含まない培地で成長できるトランスフェクタントをGAL4依存性lacZ発現について
スクリーニングする。ヒスチジン選択とlacZアッセイのいずれにおいても陽性で
ある細胞では、PCTA-1タンパク質と最初に選択されたcDNAインサートによってコ
ードされるタンパク質またはペプチドとが相互作用する。
【0613】 特発性転移アッセイによるスクリーニング Nihei et. al.(1995)に記載されているような特発性転移アッセイによって、
新規な化合物のスクリーニングを実施できる。したがって、前記化合物の治療に
関係のある形質転換細胞の転移の可能性の減少を評価することが可能になり得る
。確かに、本発明によれば、細胞の転移の可能性は、前立腺癌腫瘍の攻撃性の主
な判定条件をなす。
【0614】 転移能力を査定するために、癌、好ましくは前立腺癌、前立腺癌腫瘍の攻撃性
に関連したバイアレリックマーカー1つまたはそれ以上のアレルのPCTA-1遺伝子
を発現する細胞約5×105個を、オスの無胸腺ヌードマウスの側腹部に皮下注射す
る。これらのマウスをスクリーニングした化合物で処理する。腫瘍量と腫瘍量倍
増時間を腫瘍成長率の指数として用いて、Isaacs & Hukku, 1988)に記載されて
いるようにして判定する。腫瘍のある動物を、突然死したときか、接種35日後に
殺した時点で肺転移に応じてスコアリングする。
【0615】 遺伝子療法 遺伝子療法は一般に、細胞の遺伝子型の内容を変えることによって、通常は癌
細胞である標的細胞の表現型発現を変化させることを含む。遺伝子療法の所望の
効果は腫瘍成長の低減または妨害、あるいは理想的に、細胞それ自身の破壊であ
る。遺伝子療法に適した遺伝子は、成長を遅くする、局所的な浸潤の可能性を少
なくする、あるいはアポトーシスを引き起こすために、癌細胞の生物学的挙動を
変化させることができるものでなければならない。PCTA-1遺伝子あるいはその特
定の部分が遺伝子療法の優れた候補なのである。
【0616】 本発明はさらに、アンチセンス戦略および三重らせん戦略などの遺伝子療法戦
略や、遺伝子治療戦略において、上述したゲノムPCTA-1 DNAまたはそのフラグメ
ントを使用することを含む。遺伝子療法に有用な好ましいヌクレオチド配列とし
ては、配列番号1、2、3、4、8の配列、その相補配列およびそのフラグメントが
あげられる。特に、好ましいヌクレオチド配列は、「PCTA-1 cDNA配列」「コー
ド領域」「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」の各セクションに記
載したポリヌクレオチドのうちいずれを含むものであってもよい。このような方
法で使用するのに好ましいPCTA-1 DNAフラグメントは、PCTA-1調節領域またはそ
のフラグメントを含むヌクレオチド配列を含むフラグメントである。特に、この
調節領域は、本発明によるバイアレリックマーカー少なくとも1つを含み、特に
、A1〜A125、好ましくは A2、A30、A41、A55、A57からなる群から選択されるバ
イアレリックマーカーまたは形質誘発変異、あるいはその相補配列または変異体
またはフラグメントを含む。
【0617】 第1の実施形態では、本発明は、前立腺癌の治療方法に関する。この方法は、(
a)DNAが前立腺癌の羅患性に関連したバイアレリックマーカー1つまたはバイアレ
リックマーカーのグループのアレル、好ましくはPCTA-1遺伝子のマーカーのアレ
ルを含む個体を選択するステップと、(b)PCTA-1遺伝子の発現を変更できる有効
量の分子を個体に投与するステップと、を含む。
【0618】 一実施形態では、分子が、PCTA-1ゲノム配列の転写によって生じるmRNA配列と
拮抗結合し、前記mRNAの翻訳を防止可能なアンチセンスヌクレオチド配列である
。本方法の好ましい実施形態では、アンチセンス ヌクレオチド配列は、PCTA-1
遺伝子のエキソン、好ましくはこのようなエキソンの、本発明のバイアレリック
マーカーのうちの1つのアレル少なくとも1つを含む領域とハイブリダイズされる
ことを特徴とするものである。任意に、アンチセンスヌクレオチド配列が、PCTA
-1遺伝子のエキソン0、1、6bis、9または9terとハイブリダイズされる。
【0619】 他の実施形態では、この分子は、前記ゲノムがmRNAに転写されるのを防止する
ために、PCTA-1ゲノムDNAのホモプリンまたはホモピリジン配列と相補なホモプ
リンまたはホモピリジン、好ましくは10-mer〜20-merのホモプリンまたはホモピ
リジンを含むヌクレオチド配列である。
【0620】 さらに他の実施形態では、この分子は、前立腺癌細胞を死滅させるかまたは機
能不能にするようにPCTA-1遺伝子のプロモーターと作用的に結合され、発現させ
ると前記前立腺癌細胞に対する治療効果を発揮できるタンパク質をコードするDN
A配列を含むヌクレオチド配列である。
【0621】 また、本発明は、 個体に、PCTA-1遺伝子のプロモーターと作用的に結合され、発現させると前立
腺癌細胞に対する治療効果を発揮できるタンパク質をコードするDNA配列を含む
ヌクレオチド配列を有効量で投与するステップを含む、前立腺癌の治療方法にも
関する。
【0622】 前立腺癌細胞に対して治療効果を発揮できるタンパク質をコードする遺伝子を
、本願では治療遺伝子と呼ぶ。いくつかの実施形態では、治療遺伝子は、細胞毒
性あるいは細胞増殖抑制性の遺伝子産物をコードする毒素遺伝子である。他の実
施形態では、治療遺伝子は、免疫系に対して高度に可視的である免疫原の抗原を
コードする遺伝子である。さらに他の実施形態では、治療遺伝子は、抗腫瘍免疫
応答を活性化するリンフォカインをコードする遺伝子である。他の実施形態では
、治療遺伝子は、標的として細胞の増殖または生存に必要な必須遺伝子のコード
領域を含むアンチセンス配列をコードする。
【0623】 アンチセンスによる方法 アンチセンスによる方法では、標的mRNAと相補な核酸配列をmRNAと細胞内ハイ
ブリダイズさせ、これによってmRNAにコードされたタンパク質の発現をブロック
する。アンチセンス配列は、さまざまな機序によって遺伝子の発現を妨害してい
る。たとえば、アンチセンス配列によって、リボソームがmRNAを翻訳する機能が
阻害される場合がある。 また、アンチセンス配列によって、核から細胞質へのm
RNAの輸送がブロックされ、翻訳に利用できるmRNAの量が限られてしまう場合も
ある。 アンチセンス配列が遺伝子発現を阻害するもう1つの機序として、mRNAス
プライシングへの干渉があげられる。 さらに別の戦略では、標的mRNAに対する
特異的切断能を有するリボザイムにアンチセンス核酸を組み込むことができる。
【0624】 遺伝子治療に利用されるアンチセンス核酸分子は、DNA配列またはRNA配列のい
ずれかであってもよい。これらの配列は、PCTA-1ゲノムDNAまたはPCTA-1 cDNAの
標的配列に対して相補なヌクレオチド配列を含むものであってもよい。標的DNA
またはRNA配列は、 本発明によるバイアレリックマーカーを少なくとも1つ、特
に、A1〜A125およびその相補体からなる群から選択されるバイアレリックマーカ
ー含むものであると好ましく、あるいは、形質誘発変異を含むものであると好ま
しい。好ましい実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的PCTA-1
遺伝子の少なくとも1つのスプライシング部位、3'UTRまたは5'UTR、エキソン0、
1、6bis、9または9ter、あるいは本発明のバイアレリックマーカー少なくとも1
つまたは形質誘発変異を含むエキソン領域とハイブリダイズ可能である。
【0625】 本発明によるアンチセンスポリヌクレオチドを用いた好ましい方法は、Sczaki
el et al.(1995)によって説明されている手順である。
【0626】 PCTA-1 mRNAの5'末端と相補であるポリヌクレオチド(15〜200bp長)からアンチ
センスツールを選択すると好ましい。他の実施形態では、所望の標的遺伝子の異
なる部分に対して相補である異なるアンチセンスポリヌクレオチドの組み合わせ
を使用する。
【0627】 本発明による好ましいアンチセンスポリヌクレオチドは、翻訳開始コドンATG
またはスプライシングドナーまたはアクセプター部位のいずれかを含むPCTA-1の
mRNAの配列に対して相補なものである。
【0628】 アンチセンス核酸は、二重鎖でのPCTA-1 mRNAの発現を抑制するのに十分な安
定性を持つ細胞内二重鎖が形成されるだけの長さと融点を持つものでなければな
らない。遺伝子治療に利用するのに適したアンチセンス核酸の設計戦略について
は、Green et al.(1986)およびIzant and Weintraub(1984)に開示されている。
【0629】 いくつかの戦略では、細胞で正常に転写されるものとは逆の鎖が転写されるよ
うに、PCTA-1コード領域の配向をプロモーターとは逆にすることによって、アン
チセンス分子を得る。転写物の生成にT7またはSP6ポリメラーゼを用いるものな
どのin vitro転写系を用いてアンチセンス分子を転写することができる。もう1
つの方法は、アンチセンス配列を持つDNAを好適な発現ベクターでプロモーター
に作用的に結合させることによって、PCTA-1アンチセンス核酸をin vivoにて転
写するものである。
【0630】 あるいは、好適なアンチセンス戦略が、国際特許出願公開第WO94/23026号、同
第WO95/04141号、同第WO92/18522号、同第WO96/31523号および欧州特許出願公開
第EP 0 572 287 A2号において、Rossi et al.(1991)によって説明されている。
【0631】 本発明にしたがって使用されるアンチセンステクノロジーに代わるものとして
、があげられる。自己の相補ポリヌクレオチド尾によって標的配列と結合し、対
応するRNAの標的部位を加水分解することによってこれを切断するリボザイム(す
なわち「ハンマーヘッドリボザイム」を使用することがあげられる。簡単に説明
すると、ハンマーヘッドリボザイムの単純なサイクルは、(1)相補アンチセンス
配列による標的RNAへの配列特異的な結合、(2)標的鎖の切断可能なモチーフの部
位特異的な加水分解、(3)他の触媒サイクルを生む切断産物の放出からなる。特
に、長鎖アンチセンス ポリヌクレオチド(少なくとも30塩基長)またはリボザイ
ムを長いアンチセンス腕と併用すると好都合である。これらのアンチセンスリボ
ザイムを親油基に共有結合させるか、あるいは都合のよいベクターとしてリポソ
ームを使用することで、好ましいアンチセンスリボザイム用の好ましい送達系が
達成される。本発明による好ましいアンチセンスリボザイムは、Sczakiel et al
.(1995)によって説明されているようにして調製される。
【0632】 三重らせんによる方法 好ましくは本発明によるバイアレリックマーカー少なくとも1つを含み、さら
に好ましくはA1〜A125からなる群から選択されるバイアレリックマーカー少なく
とも1つを含むか、あるいは、形質誘発変異、その相補配列または変異体または
フラグメントを含む、PCTA-1 ゲノムDNAを、細胞内での三重らせん形成を主体に
した遺伝子治療法に使用してもよい。
【0633】 三重らせんオリゴヌクレオチドを用いてゲノムからの転写を抑制する。これら
のオリゴヌクレオチドが特定の遺伝子と関連していると、細胞活性の変化を研究
する上で特に有用である。PCTA-1 ゲノムDNAのフラグメントを用いて、前立腺癌
またはもう1つの検出可能な表現型に羅患した個体、あるいはPCTA-1遺伝子型が
原因で後に前立腺癌またはもう1つの検出可能な表現型が発生する危険性のある
個体での遺伝子発現を抑制することができる。
【0634】 同様に、PCTA-1ゲノムDNAの一部を用いて、細胞内でのPCTA-1転写の効果を研
究することができる。従来、三重らせんでの戦略にはホモプリン配列が最も有用
であるとされてきた。しかしながら、ホモピリミジン配列でも遺伝子発現を抑制
することができる。このようなホモピリミジンオリゴヌクレオチドは、ホモプリ
ン:ホモピリミジン配列の主溝に結合する。したがって、PCTA-1ゲノムDNAの配列
、好ましくは本発明によるバイアレリックマーカー少なくとも1つ、さらに好ま
しくはバイアレリックマーカーA1〜A125のうち少なくとも1つを含むか、あるい
は、形質誘発変異、その相補配列、その変異体を含む配列から得た両方のタイプ
の配列も本発明の範囲に包含される。
【0635】 三重らせんによる方法を用いて遺伝子療法を実施するために、PCTA-1ゲノムDN
A、好ましくは本発明によるバイアレリックマーカー少なくとも1つ、あるいは、
形質誘発変異、その相補配列またはその変異体を含む配列をまずスキャンし、10
merから20merのホモピリミジンまたはホモプリンの伸展を同定する。これを三重
らせん主体の戦略に利用してPCTA-1発現を抑制することができる。ホモピリミジ
ンまたはホモプリンの候補伸展の同定後、候補配列を含むオリゴヌクレオチドを
、PCTA-1遺伝子を発現する組織培養細胞にさまざまな量で導入することによって
、そのPCTA-1発現抑制効率を評価する。
【0636】 リン酸カルシウム沈殿法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、リ
ポソーム媒介トランスフェクション法または天然状態での取り込みなどを含むが
これに限定されるものはない、当業者間で周知のさまざまな方法を利用して、細
胞にオリゴヌクレオチドを導入することができる。
【0637】 ノーザンブロット、RNase保護アッセイ、PCR法を主体とした戦略などの手法を
用いて、処理済細胞の細胞機能またはPCTA-1発現の低下を監視し、オリゴヌクレ
オチドで処理した細胞でのPCTA-1遺伝子の転写レベルをモニタリングする。
【0638】 次に、アンチセンスによる方法で上述したような方法を用いて、アンチセンス
による方法で行ったin vitroでの結果に基づいて投与量を算出し、この投与量で
組織培養細胞での遺伝子発現の抑制に効果的なオリゴヌクレオチドをin vivo導
入してもよい。
【0639】 いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド単位の天然(β)アノマーの代わ
りにαアノマーを用いてオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を高めることが
できる。さらに、臭化エチジウムなどのインターカレート剤をαオリゴヌクレオ
チドの3'末端に付加し、三重らせんを安定させることも可能である。三重らせん
形成に適したオリゴヌクレオチドの生成方法については、Griffin et al.(1989)
を参照のこと。
【0640】 治療遺伝子の導入 本発明の重要な一態様は、前立腺癌細胞において特異的に発現されるプロモー
ターに関するものである。特に、本発明は、制御配列および特にPCTA-1遺伝子の
プロモーターに関する。PCTA-1の発現は前立腺癌細胞特異的なものに思われる。
【0641】 「特異的な」という用語は、本願明細書でプロモータについて使用するにあた
り、前立腺癌でこのような細胞の代謝に有意な影響をおよぼすのに十分なレベル
で特異的に発現されるプロモーターを示すことを意図している。換言すれば、プ
ロモーターは、活性、効果または機能の点で特異なものである。しかしながら、
この用語は、必ずしも前立腺癌細胞で単独に発現されるプロモーターを示すもの
ではない。確かに、抗体、プローブまたはPCRを用いたハイブリダイゼーション
を必要とするものなど、現在の検出手法では検出できないほど十分に低いレベル
で、PCTA-1遺伝子がそのプロモーターの制御下で他の細胞において発現される可
能性はある。PCTA-1遺伝子のプロモーターを、前立腺癌細胞で特異的に発現され
る治療遺伝子の導入に有効利用できる。
【0642】 したがって、本発明は、機能性タンパク質、特に、前立腺癌細胞で特異的に発
現されるPCTA-1遺伝子のプロモーターに作用的に結合された、前立腺癌細胞に対
する治療効果を発揮できる機能性タンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベ
クターに関する。
【0643】 さらに、PCTA-1プロモーターは、好ましくは本発明によるバイアレリックマー
カー、特に上述したバイアレリックマーカーを含むものであると好ましい。本発
明のバイアレリックマーカーのアレルの中には、前立腺癌との関連性を示し、前
立腺癌細胞中のPCTA-1遺伝子の変更発現もしくはすでに起こりかけている発現に
関与する場合がある。したがって、このようなアレルを含むPCTA-1プロモーター
を使用して前立腺癌細胞でのその発現を増強するよう治療遺伝子を導入すると好
都合である。
【0644】 「治療遺伝子」という用語は、前立腺癌細胞を死滅させるかまたは機能不能に
することで、このような細胞に対する治療効果を発揮できる、あるいは、前立腺
細胞の重要な機能の発現に対する調節効果を持つ機能ペプチドまたはタンパク質
に対応するアミノ酸配列をコードするDNAを示すことを意図している。
【0645】 一実施形態では、組織特異性の面で妥協せずに治療遺伝子の発現を増幅する1
つまたは複数のエンハンサー要素もPCTA-1遺伝子のプロモーターと結合させるこ
とができる。好ましい実施形態では、エンハンサー要素は、サイトメガロウイル
スLTR、SV40エンハンサー配列、あるいはMMTV LTRの一部であってもよい。好ま
しくは、エンハンサー要素は、 PCTA-1プロモーターの上流に位置している。
【0646】 「エンハンサー要素」という用語は、治療遺伝子あるいは興味の対照である遺
伝子の転写率を高めるが、プロモーター活性はもたないヌクレオチド配列を示す
ことを意図したものである。エンハンサーは、有意な活性損失を伴わずにPCTA-1
プロモーターの上流、下流あるいは他の側に移動可能である。
【0647】 好ましい実施形態では、治療遺伝子をPCTA-1プロモーターの下流に挿入するこ
とによってベクターが構築される。治療遺伝子は、プロモーターに作用的に結合
されるように挿入される。
【0648】 治療遺伝子の一例として、自殺者遺伝子があげられる。これらの遺伝子は遺伝
子配列であり、その発現によって、前立腺腫瘍細胞の成長を阻害するか、あるい
は前立腺腫瘍細胞死を誘発するタンパク質または薬剤が産生される。興味の対象
である遺伝子としては、酵素、発癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、毒素をコードする
遺伝子、サイトカインをコードする遺伝子あるいはオンコスタチンをコードする
遺伝子があげられる。治療遺伝子の目的は、前立腺癌細胞の成長を阻害またはこ
れを死滅させるか、あるいは直接的または間接的に前立腺癌細胞の成長を阻害ま
たはこれを死滅させるサイトカインまたは他の細胞毒性剤を産生することである
【0649】 好適な酵素としては、チミジンキナーゼ、キサンチングアニンホスホリボシル
トランスフェラーゼ、シトシンデアミナーゼおよびヒポキサンチンフォスフォリ
ボシルトランスフェラーゼがあげられる。好適な発癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝
子としては、neu、EGF、ras、p53、網膜芽腫腫瘍抑制遺伝子(Rb)、Wilmの腫瘍遺
伝子産物、フォスフォチロシンフォスファターゼおよびnm23があげられる。好適
な毒素としては、緑膿菌外毒素AおよびS、ジフテリア毒素、大腸菌LT毒素、Shig
a毒素、Shiga様毒素、リシン、アブリン、サポリンおよびゲロニンを含んでいる
。好適なサイトカインとしては、インターフェロン、GM-CSFインターロイキン、
腫瘍ネクローシス要因を含んでいる。Suitable cytokines include interferons
、GM-CSF interleukins、腫瘍壊死因子があげられる。
【0650】 他の遺伝子療法戦略としては、少なくとも約30 bp、好ましくは50bpで、標的
として細胞の増殖または生存度に必須の遺伝子のコード配列を有する、上述した
ようなアンチセンスの配列があげられる。翻訳、代謝経路、cytostructural遺伝
子に関連した多数のタンパク質を標的として使用することができ、好ましくは比
較的低レベルで存在する必須のタンパク質、特に癌細胞に関連したタンパク質を
標的として使用することができる。
【0651】 ウイルスベクターを用いたトランスフェクション、脂質との融合およびカチオ
ン支持DNA導入という現在利用できる3通りのDNA送達方法が当業者間で周知であ
る。好適なDNA送達方法は、1) 特定の標的細胞型に治療用ポリヌクレオチドを
向けることができる、2) 標的細胞への治療用ポリヌクレオチドの摂取を媒介す
る上で非常に効率的である、3)治療の用途でin vivoで使用するのに適している
という基準を満たすものでなければならない
【0652】 好ましい方法は、レトロウイルスゲノムの一部として治療用ポリヌクレオチド
配列を含む、複製不完全なウイルスベクターに依存したものである。本発明で使
用するのに好ましいベクターは、アデノウイルス、レトロウイルスベクターおよ
びアデノ関連ウイルスベクターをはじめとするウイルスである。レトロウイルス
ベクターおよびアデノウイルスは、効率的かつ有用で、現在最も特徴付けられた
、哺乳動物細胞で効率的に外来遺伝子を導入および発現する手段である。これら
のベクターは、宿主および細胞型の範囲が非常に広く、遺伝子を安定して効率的
に発現する。
【0653】 細胞へ遺伝子移動に使用できる他のウイルスベクターとしては、Moloneyマウ
スの白血病ウイルスなどのレトロウィルス、JC、SV40、ポリオーマウイルスおよ
びアデノウイルスなどのパポバウィルス、エプスタイン・バールウィルス、ウシ
乳頭腫ウィルス型Iなどの乳頭腫ウイルス、ワクシニアおよびポリオウィルスが
あげられる。
【0654】 他の遺伝子移動方法は、リポソームに治療用ポリヌクレオチドを含むプラスミ
ドDNAを、前立腺、好ましくはin situで腫瘍細胞に物理的に移動することである
。おそらく前立腺細胞に特異な表面抗原に結合する特異抗体を封入するリポソー
ムの場合と比較して、免疫リポソームが細胞型特異性を改善するかもしれない。
一実施形態では、前立腺癌細胞に特有のPCTA-1タンパク質に対して抗体が向けら
れる。
【0655】 標的細胞に対する治療用ポリヌクレオチドを含む裸のDNAを直接身体に応用す
ることは、多くの症例で好まれると思われる。
【0656】 ワクチン組成物 本発明は、 a) 配列番号5の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記連続スパンが、 i) 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位
のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基を含む、前記ポリペプチドと、 b) 配列番号6の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記連続スパンが、 i) 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位
のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または iii) エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、2つ、
3つ、5つまたは10、特に、配列番号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2
つ、3つ、5つまたは10を含む、前記ポリペプチドと、 c) 配列番号7の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドであって、前記連続スパンが、 i) 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/またはアミノ酸203位の
リシン残基、および/または ii) 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または iii) エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも
1つ、2つ、3つ、5つまたは10、特に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なく
とも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含む、前記ポリペプチドと、 d) 配列番号9の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含むポリペプチドと、のうち1つを含む予防接種薬を含むワクチ
ン組成物に関する。
【0657】 「ワクチン剤または予防接種薬」は、患者に適量投与すると、前立腺癌の患者
に免疫を授けることができるか、あるいは表面にPCTA-1タンパク質またはそのフ
ラグメントがある前立腺癌細胞を死滅させるまたは機能不能にできる免疫原反応
を生む機能を有する物質を示すことを意図している。
【0658】 本発明のワクチン組成物は、PCTA-1タンパク質を発現する癌細胞の成長を阻害
するのに十分な量で患者に投与することを意図したものである。特に、このワク
チン組成物は、前立腺癌細胞の成長率、分裂速度あるいは生存度を落とすことを
意図したものである。
【0659】 本発明のワクチン組成物は、「予防」あるいは「治療」のいずれの目的で投与
してもよいものである。予防的に提供する場合、このワクチン剤は、前立腺癌の
徴候が認められる前に提供される。ワクチン剤を予防的に投与することで、前立
腺癌細胞の成長を防止、軽減または抑制することができる。ワクチン剤を治療目
的で投与すると、前立腺癌の病理徴候を軽減し、癌腫瘍の大きさを制限または癌
腫瘍の成長および/または転移を抑え、あるいはこれらを除去することができる
【0660】 「成長の阻害」という用語は、本願では、問題の細胞の成長率、分裂速度ある
いは生存度を落とすことを意味する。
【0661】 特に、PCTA-1遺伝子は前立腺癌細胞で特異的に発現されるため、これらのワク
チン剤は、好ましくは表面に、PCTA-1、PCTA-1のフラグメント、あるいはその1
つまたはそれ以上のPCTA-1エピトープペプチドを有する細胞を溶解し、PCTA-1タ
ンパク質を含む癌の成長の阻害に結びつける、PCTA-1特異細胞毒性Tリンパ球の
産生を開始することができる。
【0662】 活性物質としてタンパク質またはペプチド 配列を含むワクチン調製物は一般
に、従来技術において周知であり、米国特許第4,608,251号、同第4,601,903号、
同第4,599,231号、同第4,599,230号、同第4,596,792号および同第4,578,770号に
例示されている。
【0663】 本発明によるワクチンは、担体、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、アジュバントお
よび防腐剤などの補助ワクチン成分をさらに含んでもよい。
【0664】 変異PCTA-1タンパク質から得られるポリペプチドの免疫原特性を高めるために
、ポリペプチドをホモポリマー(互いに結合した複数の同一のポリペプチド)また
はヘテロポリマー(互いに結合した少なくとも2つの異なる複数のポリペプチド)
として調製することができる。
【0665】 本発明のワクチン剤はそのままの状態で使用することもできるし、あるいは、
修飾して化学的誘導体を形成するようにすることもできる。本願明細書では、分
子が通常は自己の一部ではない別の化学部分を含む場合に、その分子は他の分子
の「化学的誘導体」であるとする。このような部分によって、分子の可溶性、吸
収性、生物学的半減期などが改善されることがある。あるいは、これらの部分が
、分子の毒性を落とし、分子の望ましくない副作用を排除または軽減するなどの
場合もある。このような効果を媒介できる部分については、Remington's Pharma
ceutical Sciences(1980)に開示されている。
【0666】 本発明のワクチン剤は、経口経路、局所経路、静脈内経路、腹腔内経路、筋内
経路、皮下経路、鼻内経路あるいは皮内経路など、都合のよい方法で投与できる
。本発明のワクチン剤は、治療および/または特定適応症の予防に有効な量で投
与される。一般に、このようなワクチン剤は、日量で体重1kgあたり少なくとも
約10μg、ほとんどの場合は日量で体重1kgあたり約8mgを超えない量で投与され
る。ほとんどの場合、投与経路、徴候などを考慮して、用量は日量で体重1kgあ
たり約10μg〜約1mgである。
【0667】 本発明のワクチン剤を患者に投与する場合、投与ワクチン剤の用量は、患者の
年齢、体重、性別、一般的な医学条件、既往歴などの要因によって変わる。一般
に、レシピエントに体重1kgあたり約1pg〜10 mgの範囲の用量でワクチン剤を与
えると望ましいが、これよりも低用量または高用量での投与も可能である。本発
明のワクチン剤または他の薬剤の併用で、治療効果のある量を落とすことができ
る。
【0668】 ワクチン剤は通常、一般に6回接種を超えない回数、さらに一般には4回接種を
超えない回数、好ましくは1回またはそれ以上の接種、さらに好ましくは約3回の
接種で複数回投与する必要がある。予防接種は一般に、2〜12週間の間隔、さら
に一般には3〜5週間の間隔で行われる。防御免疫レベルを維持する上では、1〜5
年の間隔で周期的に追加免疫を施すことが望ましい。
【0669】 本発明のワクチン剤は、PCTA-1タンパク質を有する癌細胞の成長(上記にて定
義)を阻害するのに十分な量でレシピエント被検者に供給されることを意図した
ものである。
【0670】 メモリTリンパ球から放出されるIFN-γを測定することで、本発明のワクチン
剤の効果を評価できる。免疫応答が強くなればなるほど、より多くのIFN-γが放
出される。したがって、本発明によるワクチンは、メモリT-リンパ球から少なく
とも1500pg/ml、好ましくは 200pg/ml、さらに好ましくは300pg/mlのIFN-γを放
出できるポリペプチドを含む。実用上は、被検ワクチン剤で共培養した末梢血リ
ンパ球のin vitro増殖アッセイで、初回抗原したリンパ球からのIFN-γレベルを
測定する。これらの手法は周知であり、このようなタイプのアッセイの一例とし
て、米国特許第3,791,932号、同第4,174,384号および同第3,949,064号などのさ
まざまな特許において見出すことができる。
【0671】 本発明のワクチン剤は、「予防」あるいは「治療」のいずれの目的で投与して
もよいものである。予防的に投与する場合、このワクチン剤は、何らかの前立腺
癌の徴候が認められる前に提供される。ワクチン剤を予防的に投与することで、
前立腺癌細胞の成長を防止、軽減または抑制することができる。ワクチン剤を治
療目的で投与すると、前立腺癌の病理徴候を軽減し、前立腺癌腫瘍の大きさを制
限し、あるいはこれらを除去することができる。
【0672】 一般的に、このようなワクチン剤は、溶液または懸濁液のいずれかとして注射
可能のものとして調製される。液体に溶解して溶液または懸濁液にするのに適し
た固体形状で調製される場合もある。調製物を乳化させてもよい。薬学的に許容
され、ワクチン剤と相溶の賦形剤と活性免疫原成分とが混合されることも多い。
好適な賦形剤としては、たとえば、水、食塩水、デキストロース、エタノールや
これらの組み合わせがあげられる。また、必要であれば、湿潤剤または乳化剤、
pH緩衝剤、あるいはワクチンの効果を高めるアジュバントなどの補助物質を少量
ワクチンに含有させてもよい。
【0673】 PCTA-1タンパク質およびペプチド、好ましくは変異させたPCTA-1タンパク質お
よびペプチドを中性または塩の形態でワクチンに配合してもよい。薬学的に許容
される塩としては、ペプチドの遊離アミノ基間で形成される酸付加塩、塩化水素
またはリン酸などの無機酸、あるいは、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸な
どの有機酸があげられる。さらに、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カル
シウムあるいは水酸化第二鉄などの無機塩基、あるいは、イソプロピルアミン、
トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの
有機塩基から、遊離カルボキシル基で形成される塩も誘導できる。
【0674】 本発明のワクチン剤のポリペプチドの中には、ワクチンで十分な免疫原性を有
するが、ワクチンにアジュバント物質を含有させれば免疫応答を高めることがで
きる。
【0675】 ワクチン用アジュバント効果を達成するためのさまざまな方法には、リン酸緩
衝食塩水に水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの薬剤を溶解して
一般に0.05〜0.1%溶液として使用すること、0.25%溶液として用いられる糖(Carb
opol)の合成ポリマーと混合すること、70℃〜101℃の範囲の温度でそれぞれ30秒
〜2分間熱処理することによって、ワクチンでタンパク質を会合させることが含
まれる。ペプシン処理した抗体(Fab)との反応によるアルブミンへの会合、C. pa
rvumなどの細菌細胞またはグラム陰性菌の内毒素またはリポ多糖成分との混合、
マンニドモノレアート(Aracel A)などの生理学的に許容される油ビヒクル中での
乳化またはブロック置換物として用いられる過フッ化炭素(Fluosol-DA)の20%溶
液を用いた乳化も利用できる。本発明によれば、ジメチルジオクタデシルアンモ
ニウムブロミドがアジュバントとして興味深い候補であるが、Freundの完全アジ
ュバントまたは不完全アジュバントならびにQuilAおよびRIBIも興味深い可能性
である。他の可能性としては、リンフォカインなどの免疫変調物質(IFN-γ、IL-
2およびIL-12)を使用すること、あるいは、ポリI:Cなどの合成IFN-γ誘発物質を
上述したアジュバントと併用することがあげられる。
【0676】 本発明のワクチン剤を周知の方法に従って配合して薬学的に有用な組成物を調
製し、これによって免疫原性ペプチドまたはその機能的誘導体と薬学的に許容さ
れるキャリアビヒクルとを混合物中で混合することができる。ヒト血清アルブミ
ンなどの他のヒトタンパク質を含む、好適なビヒクルおよびその配合については
、Remington's Pharmaceutical Sciences(1980)に記載されている。効果的な投
与に適した薬学的に許容される組成物を形成するために、適量のキャリアビヒク
ルと共に本発明のワクチン剤1種またはそれ以上を有効量で上記の組成物に含有
させる。
【0677】 別の薬学的方法を用いて作用の持続期間を制御してもよい。錯体に対するポリ
マーを使用するか、あるいは本発明のワクチン剤1種またはそれ以上を吸収する
ことによって、徐放製剤を得ることができる。制御された送達は、放出を制御す
るために、適切なマクロ分子(たとえば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビ
ニル、ピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、プロタミンまたは硫酸エステルなど)と、マクロ分子の濃度
ならびにとり込み方法を選択することにより行うことができる。徐放製剤による
作用の持続期間を制御する他の考え得る方法は、ポリエステル、ポリアミノ酸、
ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレンビニルアセテートコポリマーなどの高分
子材料の粒子に本発明のワクチン剤を組み入れることである。あるいは、重合体
粒子にこれらのワクチン剤を組み入れるのではなく、コアセルベーション手法ま
たは界面重合によって作成したマイクロカプセル(それぞれヒドロキシメチルセ
ルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マ
イクロカプセルなど)、orinコロイド薬剤送達系(たとえばリポソーム、アルブミ
ンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセルなど)
、あるいはマクロエマルションにこれらの材料を捕捉することも可能である。こ
のような手法はRemington's Pharmaceutical Sciences(1980)に記載されている
【0678】 さらに、本発明によれば、本発明のワクチン組成物1種またはそれ以上が充填
された容器1つまたは複数を含む製薬パックまたはキットが得られる。
【0679】 コンピュータ関係の実施形態 本願明細書で使用するにあたり、「本発明の核酸コード」は、 a) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンであって、前
記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜70715、70795〜82207、82297
〜83612、83824〜85297、85418〜86388、86446〜87495、87523〜88294、88384〜
89483、89650〜92748、97156〜98309、98476〜99329、99491〜100026、100212〜
100281、100396〜100538、100682〜100833、100995〜101920、102087〜102970、
103264〜103724および103753〜106746のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまた
は10を含んでなるもの、 b) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号1の70728位、87860位、88297位、94
432位および95340位のヌクレオチドG、配列番号1の82218位、83644位、83808位
、87787位、87806位、94218位および97144位のヌクレオチドA、配列番号1の8790
2位、88215位、88283位、92760位、93726位および94422位のヌクレオチドCなら
びに配列番号1の93903位および94170位のヌクレオチドTからなる群から選択され
るヌクレオチド少なくとも1つを含むもの、 c) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号1の86435位、93592位、93680位、93
681位、93682位、93728位、93761位および95445位のヌクレオチドG、配列番号1
の86434位、88355位、93240位、93471位および93747位のヌクレオチドA、配列番
号1の93683位、95126位および95444位のヌクレオチドCならびに配列番号1の9415
4位および94430位のヌクレオチドTからなる群から選択されるヌクレオチド少な
くとも1つを含むもの、 d) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置92975〜92977
、93711〜93715、94151〜94153、94240〜94243、94770〜94773、94804〜94808、
95121〜95122、95129〜95135、95148〜95153、95154〜95159、95173〜95178、95
367〜95374、95410〜95413、95418〜95420、95430〜95436、95533〜95535および
95677〜95677からなる群から選択されるヌクレオチド位置を含んでなるもの、 e) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1〜162のうち
少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 f) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号2の253位、363位、527位、2471位お
よび5397位のヌクレオチドA、配列番号2の1013位、1979位および2675位のヌクレ
オチドC、配列番号2の176位、749位、2685位、3593位のヌクレオチドGならびに
配列番号2の2156位および2423位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレ
オチド少なくとも1つを含むもの、 g) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号2の708位、807位、1493位、1724位
および2000位のヌクレオチドA、1936位、3379位および3697位のヌクレオチドC、
709位、1845位、1933位、1934位、1935位、1981位、2014位および3698位のヌク
レオチドGならびに2407位および2683位のヌクレオチドTからなる群で選択される
ヌクレオチド少なくとも1つを含むもの、 h) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1229〜1231、1
964〜1968、2404〜2406、2493〜2496、3023〜3026、3057〜3061、3374〜3375、3
382〜3388、3401〜3406、3407〜3412、3426〜3431、3620〜3627、3663〜3666、3
671〜3673、3683〜3689、3786〜3788および3930〜3932からなる群から選択され
るヌクレオチド位置を含んでなるもの、 i) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1〜162および7
47〜872のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 j) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号3の253位、363位、527位、2597位お
よび5523位のヌクレオチドA、配列番号3の1139位、2105位および2801位のヌクレ
オチドC、配列番号3の176位、875位、2811位、3719位のヌクレオチドGならびに
配列番号3の2282位および2549位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレ
オチド少なくとも1つを含むもの、 k) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号3の708位、807位、1619位、1850位
および2126位のヌクレオチドA、2062位、3505位および3823位のヌクレオチドC、
709位、1971位、2059位、2060位、2061位、2107位、2140位および3824位のヌク
レオチドGならびに2533位および2809位のヌクレオチドTからなる群で選択される
ヌクレオチド少なくとも1つを含むもの、 l) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1355〜1357、1
892〜1894、2090〜2094、2530〜2532、2619〜2622、3149〜3152、3183〜3187、3
500〜3501、3508〜3514、3527〜3532、3533〜3538、3552〜3557、3746〜3749、3
789〜3792、3797〜3799、3809〜3815、3912〜3914および4056〜4058からなる群
から選択されるヌクレオチド位置を含んでなるもの、 m) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1〜162のうち
少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 n) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号4の253位、363位、527位および2460
位のヌクレオチドA、配列番号4の1013位のヌクレオチドCならびに配列番号4の17
6位および749位のヌクレオチドGからなる群で選択されるヌクレオチド少なくと
も1つを含むもの、 o) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号4の708位および807位のヌクレオチ
ドAならびに709位のヌクレオチドGからなる群で選択されるヌクレオチド少なく
とも1つを含むもの、 p) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1136〜1137の
対を含んでなるもの、 q) 配列番号8の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
補体であって、前記連続スパンが、配列番号8のヌクレオチド位置1〜500、501〜
1000、1001〜1500および1501〜1738のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは
10を含んでなるもの、 r) 前記ヌクレオチド配列のいずれか1つに対して相補的であるヌクレオチド
配列、 のうちいずれか1つを含む、実質的にそのいずれか1つからなる、あるいはそのい
ずれか1つからなる、ヌクレオチド配列を包含する。
【0680】 また、「本発明の核酸コード」はさらに、 a) 前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜70715、70795〜8220
7、82297〜83612、83824〜85297、85418〜86388、86446〜87495、87523〜88294
、88384〜89483、89650〜92748、97156〜98309、98476〜99329、99491〜100026
、100212〜100281、100396〜100538、100682〜100833、100995〜101920、102087
〜102970、103264〜103724および103753〜106746のうち少なくとも1つ、2つ、3
つ、5つまたは10を含んでなるもの、b) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20
、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレ
オチドの連続スパンまたはその相補体であって、前記連続スパンが、配列番号2
のヌクレオチド位置1〜162のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含ん
でなるもの、c) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50
、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンま
たはその相補体であって、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1〜
162および747〜872のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなる
もの、d) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、7
0、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはそ
の相補体であって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1〜162の
うち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、e) 配列番号8
の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150
、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体であって、前
記連続スパンが、配列番号8のヌクレオチド位置1〜500、501〜1000、1001〜1500
および1501〜1738のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるも
の、f) 前記配列のすべてに対して相補的である配列、に対して相同なヌクレオ
チド配列を包含する。相同配列とは、これらの連続スパンに対して少なくとも 9
9%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%または75%相同性を有する配列を意味す
る。相同については、BLAST2Nをデフォルトのパラメーターで使用したり、いず
れかのパラメーターを変更して使用するなど、本願明細書に記載のいずれかの方
法で判断できる。相同配列には、本発明の核酸コードのチミンの代わりにウリジ
ンがあるRNA配列を含んでもよい。本発明の核酸コードが、伝統的な一符号形式(
Stryer, Lubert. Biochemistry、第3版 W. H Freeman & Co., New Yorkの裏表紙
の内側を参照のこと)または配列でのヌクレオチドの同一性を記録する他の任意
の形式またはコードで表現できることは理解できよう。
【0681】 本願明細書において使用するにあたり、「本発明のポリペプチドコード」とい
う用語は、 a) 配列番号5の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含み、前記連続スパンが、 i) 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位
のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基、を含むもの、 b) 配列番号6の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含み、前記連続スパンが、 i) 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位
のリシン残基ならびに/または ii) 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または iii) エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、2つ、
3つ、5つまたは10、特に、配列番号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2
つ、3つ、5つまたは10、を含むもの、 c) 配列番号7の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパンを含み、前記連続スパンが、 i) 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/またはアミノ酸203位の
リシン残基および/または ii) 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
らなる群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または iii) エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも
1つ、2つ、3つ、5つまたは10、特に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なく
とも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含むもの、 d) 配列番号9の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸
、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸
の連続スパン、を含むポリペプチド配列を包含する。
【0682】 本発明のポリペプチドコードが、伝統的な一符号形式または三文字形式(Strye
r, Lubert. Biochemistry、第3版 W. H Freeman & Co., New Yorkの裏表紙の内
側を参照のこと)または配列でのヌクレオチドの同一性を記録する他の任意の形
式またはコードで表現できることは理解できよう。
【0683】 本発明の核酸コードおよび本発明のポリペプチドコードは、コンピュータによ
る読み取りおよびアクセスが可能な任意の媒体に格納、記録および操作が可能な
ものであることは、当業者であれば理解できよう。本願明細書において、「記録
された」および「格納された」という語は、コンピュータ媒体に情報を格納する
プロセスを意味する。当業者であれば、コンピュータ読み取り可能な媒体に情報
を記録するための周知の方法のうち任意のものを採用し、本発明の核酸コード1
つまたはそれ以上、あるいは、本発明のポリペプチドコード1つまたはそれ以上
を有する製品を生成することが容易にできる。本発明のもう1つの態様は、本発
明の核酸コードが少なくとも2、5、10、15、20、25、30または50記録されたコン
ピュータ読み取り可能な媒体である。本発明のもう1つの態様は、本発明のポリ
ペプチドコードが少なくとも2、5、10、15、20、25、30または50記録されたコン
ピュータ読み取り可能な媒体である。
【0684】 コンピュータ読み取り可能な媒体としては、磁気的に読み取り可能な媒体、光
学的に読み取り可能な媒体、電子的に読み取り可能な媒体および磁気/光媒体が
あげられる。たとえば、コンピュータ読み取り可能な媒体としては、ハードディ
スク、フロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、デジタル多目的ディスク(DVD
)、ランダムアクセスメモリ(RAM)または読み取り専用メモリ(ROM)ならびに当業
者間で周知の他のタイプの他の媒体などが利用できる。
【0685】 本発明の実施形態は、システムを含み、特に、本願明細書に記載された配列情
報を記憶および操作するコンピュータシステムを含む。コンピュータシステム10
0の一例をブロック図形式で図3に示す。本願明細書で使用するにあたり、「コン
ピュータシステム」は、本発明の核酸コードの核酸配列または本発明のポリペプ
チドコードのアミノ酸配列の解析に使用される、ハードウェアコンポーネント、
ソフトウェアコンポーネント、データ記憶コンポーネントを意味する。一実施形
態では、コンピュータシステム100はSun Enterprise 1000サーバー(カリフォル
ニア州パロアルトのサンマイクロシステムズ社)である。コンピュータシステム1
00は、配列データを処理し、これにアクセスし、これを操作するためのプロセッ
サを含むものであると好ましい。プロセッサ105は、インテル社のPentium IIIや
、サン、モトローラ、コンパックまたはIBMなどの同様のプロセッサなど、周知
のどのようなタイプの中央処理装置であってもよい。
【0686】 コンピュータシステム100は、プロセッサ105と、データを格納するための1つ
またはそれ以上の内部データ記憶コンポーネント110と、データ記憶コンポーネ
ントに格納されたデータを検索するための1つまたはそれ以上のデータ検索装置
とを備える汎用システムであると好ましい。当業者であれば、現在入手可能なコ
ンピュータシステムであればいずれも適したものであることを容易に理解できよ
う。
【0687】 特定の一実施形態では、コンピュータシステム100には、(好ましくはRAMとし
て実装される)主記憶装置115に接続されたバスに接続されたプロセッサ105、ハ
ードドライブなどの1つまたはそれ以上の内部データ記憶デバイス110および/ま
たはデータが記録された他のコンピュータ読み取り可能な媒体が含まれる。いく
つかの実施形態では、コンピュータシステム100がさらに、内部データ記憶デバ
イス110に記憶されたデータを読み取るための1つまたはそれ以上のデータ検索デ
バイス118を含む。
【0688】 データ検索デバイス118の代表例としては、たとえば、フロッピーディスクド
ライブ、コンパクトディスクドライブ、磁気テープドライブなどがあげられる。
いくつかの実施形態では、内部データ記憶デバイス110が、フロッピーディスク
、コンパクトディスク、磁気テープなどの、制御ロジックおよび/またはデータ
が記録されたコンピュータ読み取り可能なリムーバブルメディアである。コンピ
ュータシステム100は、データ検索装置に挿入された後でデータ記憶コンポーネ
ントから制御ロジックおよび/またはデータを読み取るための適当なソフトウェ
アを含むかまたは適当なソフトウェアでプログラミングされたものであると都合
がよいことがある。
【0689】 コンピュータシステム100は、出力を表示してコンピュータのユーザーに示す
のに使用されるディスプレイ120を含む。また、コンピュータシステム100をネッ
トワークやワイドエリアネットワーク内の他のコンピュータシステム125a〜cに
接続し、コンピュータシステム100に対して集中アクセスできるようにしてもよ
いことに注意されたい。
【0690】 本発明の核酸コードの核酸配列、あるいは本発明のポリペプチドコードのアミ
ノ酸配列にアクセスしてこれを処理するためのソフトウェア(サーチツール、比
較ツール、モデリングツールなど)を実行時に主記憶装置115に常駐させておいて
もよい。
【0691】 いくつかの実施形態では、コンピュータシステム100がさらに、コンピュータ
読み取り可能な媒体に格納された上述の本発明の核酸コードまたは本発明のポリ
ペプチドコードと、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納された基準のヌクレ
オチド配列またはポリペプチド配列とを比較するための配列コンペアラを備える
ものであってもよい。「配列コンペアラ」は、コンピュータシステム100に実装
され、ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と、データ記憶手段に格納され
た他のヌクレオチド配列またはポリペプチド配列および/またはペプチド類、ペ
プチドを模倣した物質および化学物質を含むがこれに限定されるものではない化
合物とを比較する1つまたはそれ以上のプログラムを意味する。たとえば、配列
コンペアラは、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納された本発明の核酸コー
ドの核酸配列または本発明のポリペプチドコードのアミノ酸配列と、コンピュー
タ読み取り可能な媒体に格納された基準配列とを比較し、相同性、生物学的機能
と関係のあるモチーフまたは構造的なモチーフを特定するものであってもよい。
本願特許明細書の他の部分で述べるさまざまな配列コンペアラプログラムは、特
に本発明の態様で使用することを意図したものである。
【0692】 図4は、新たなヌクレオチド配列またはタンパク質配列と配列データベースと
を比較し、新たな配列とデータベース中の配列との相同率を判定するためのプロ
セス200の一実施形態を示す流れ図である。配列データベースは、コンピュータ
システム100に格納されたプライベートなデータベースであってもよいし、ある
いは、GENBANK、PIRまたはSWISSPROTなどのインターネット利用可能な公的デー
タベースであってもよい。
【0693】 start状態201でプロセス200が開始され、比較対象の新しい配列をコンピュー
タシステム100内のメモリに記憶する状態202に移る。上述したように、メモリは
RAMまたは内部記憶装置をはじめとして、どのようなタイプのメモリであっても
よい。
【0694】 次いで、プロセス200は、配列のデータベースを開いて分析および比較を行う
状態204に移る。その後、プロセス200は、データベースに記憶された第1の配列
がコンピュータ上のメモリに読み出される状態206に移る。次に、状態210で比較
を実行し、第1の配列が第2の配列と同一であるか否かを判定する。このステップ
はデータベース内の第1の配列と新しい配列とを正確に比較することに限定され
るものではないことに留意することが重要である。同一でないような場合でも、
2つのヌクレオチドまたはタンパク質の配列を比較する周知の方法が当業者間で
知られている。たとえば、一方の配列にギャップを導入し、2つの被検配列間の
相同性レベルを高めることができる。比較時にギャップまたは他の特徴を配列に
導入するかどうかを制御するパラメータは通常、コンピュータシステムのユーザ
ーが入力するものである。
【0695】 状態210で2つの配列の比較を実行したら、これらの2つの配列が同一であるか
否かの判定が判定状態210でなされる。もちろん、「同一である」という用語は
、完全に同一の配列に限定されるものではない。ユーザーが入力した相同性パラ
メータの範囲内にある配列であれば、プロセス200で「同一である」としてマー
クされることになる。
【0696】 2つの配列が同一であるという判定がなされると、プロセス200は、データベー
スからの配列の名前を表示してユーザに示す状態214に移る。この状態では、表
示された名前の配列が入力された相同性の制約を満たすことをユーザーに通知す
る。記憶された配列の名前をユーザーに示した後、プロセス200は、データベー
スにまだ他の配列が残っているか否かを判定する判定状態218に移る。データベ
ースには他に配列が存在しない場合、プロセス200はend状態220で終了する。し
かしながら、データベースにまだ他の配列が残っている場合、プロセス200は状
態224に移り、残っている配列を新しい配列と比較できるように次の配列にポイ
ンタを移動する。このようにして、新しい配列がデータベース内のすべての配列
と並べられ、比較される。
【0697】 判定状態212で配列が相同ではないという判定がなされると、プロセス200はす
みやかに判定状態218に移り、比較できる配列がデータベース内に他に残ってい
るか否かを判定することに注意されたい。
【0698】 したがって、本発明の一態様は、プロセッサと、本発明の核酸コードまたは本
発明のポリペプチドコードが格納されたデータ記憶装置と、本発明の核酸コード
または本発明のポリペプチドコードと比較される基準の核酸配列またはポリペプ
チド配列が検索可能な状態で格納されたデータ記憶装置と、比較を実行するため
の配列コンペアラとを備えるコンピュータシステムである。配列コンペアラは、
比較する配列同士の相同率示すものであってもよいし、あるいは本発明の核酸コ
ードおよび本発明のポリペプチドコードの構造的なモチーフを特定するものであ
ってもよい。また、配列コンペアラは、これらの核酸コードおよびポリペプチド
コードと比較される配列における構造的なモチーフを特定するものであってもよ
い。いくつかの実施形態では、本発明の核酸コードまたは本発明のポリペプチド
コード少なくとも2、5、10、15、20、25、30または50からなる配列をデータ記憶
装置に格納することができる。
【0699】 本発明のもう1つの態様は、本発明の核酸コードと基準のヌクレオチド配列と
の相同率を判断するための方法であって、相同率を判断するコンピュータプログ
ラムを用いて核酸コードと基準のヌクレオチド配列とを読み取るステップと、コ
ンピュータプログラムを使用して核酸コードと基準のヌクレオチド配列との相同
を判断するステップと、を含む方法である。このコンピュータプログラムは、相
同率を判断するためのさまざまなコンピュータプログラムのうち任意のものであ
ればよく、BLAST2Nをデフォルトのパラメーターで使用したり、いずれかのパラ
メーターを変更して使用するものなど、本願明細書に具体的に列挙するものを含
む。この方法は、上述したコンピュータシステムを用いて実現可能なものである
。また、コンピュータプログラムを用いて上述した本発明の核酸コード2、5、10
、15、20、25、30または50を読み取り、核酸コードと基準核酸配列との間の相同
性を判断して上記の方法を実施してもよい。
【0700】 図5は、コンピュータシステムで2つの配列が相同であるか否かを判定するため
のプロセス250の一実施形態を示すする流れ図である。プロセス250はstart状態2
52で開始し、次に、比較対象の第1の配列をメモリに記憶する状態254に移る。次
に、比較対象の第2の配列が状態256でメモリに記憶される。その後、プロセス25
0は、第1の配列の第1の文字を読み取る状態260、続いて第2の配列の第1の文字を
読み取る状態262に移る。配列がヌクレオチド配列である場合、この文字は通常
、A、T、C、GあるいはUのいずれか1つであることは理解できよう。配列がタンパ
ク質配列である場合、第1の配列と第2の配列とを容易に比較できるように、これ
は単一文字アミノ酸コードとすべきものであろう。
【0701】 続いて、判定状態264において、これらの2つの文字が同一であるか否か判定さ
れる。同一である場合、プロセス250は、第1の配列および第2の配列の次の文字
を読み取る状態268に移る。続いて、次の文字が同一であるか否か判定される。
同一である場合、プロセス250は、2つの文字が異なるまでループ処理を継続する
。次の2文字が異なっているという判定がなされると、プロセス250は状態274に
移り、いずれかの配列に読み取るべき文字が他にあるか否か判定する。
【0702】 読み取るべき文字がない場合、プロセス250は、第1の配列と第2の配列との間
の相同性レベルを表示してユーザに示す状態276に移る。相同性レベルは、第1の
配列における配列の総数に対する同一配列間の文字の比率を算出して求められる
。したがって、最初の100ヌクレオチド配列のすべての文字が第2の配列のすべて
の文字と整列配置された場合、相同性レベルは100%となる。
【0703】 あるいは、コンピュータプログラムは、本発明の核酸コードの核酸配列と基準
の核酸配列とを比較し、1つまたはそれ以上の位置で本発明の核酸コードが基準
の核酸配列と異なっているか否かを判断するコンピュータプログラムであっても
よい。任意に、かかるプログラムは、基準のポリヌクレオチドの配列または本発
明の核酸コードの配列に対する、挿入、欠失または置換されたヌクレオチドの長
さおよび同一性を記録する。一実施形態では、コンピュータプログラムは、本発
明の核酸コードの核酸配列が、基準のヌクレオチド配列に対する単一ヌクレオチ
ド多型(SNP)を1つまたはそれ以上含むか否かを判断するプログラムであってもよ
い。これらの単一のヌクレオチド多型が各々一塩基置換、挿入、または欠失を有
するものであってもよい。
【0704】 本発明のもう1つの態様は、本発明のポリペプチドコードと基準のポリペプチ
ド配列との相同率を判断するための方法であって、相同率を判断するコンピュー
タプログラムを用いて本発明のポリペプチドコードと基準のポリペプチド配列と
を読み取るステップと、コンピュータプログラムを使用してポリペプチドコード
と基準のポリペプチド配列との相同性を判断するステップと、を含む方法である
【0705】 したがって、本発明のもう1つの態様は、本発明の核酸コードが1つまたはそれ
以上のヌクレオチドで基準のヌクレオチド配列と異なっているか否かを判断する
ための方法であって、核酸配列同士の差を識別するコンピュータプログラムを用
いて核酸コードと基準のヌクレオチド配列とを読み取るステップと、コンピュー
タプログラムを使用して、核酸コードと基準のヌクレオチド配列との差を識別す
るステップと、を含む方法である。いくつかの実施形態では、コンピュータプロ
グラムが、単一ヌクレオチド多型を同定するプログラムである。この方法は、上
述したコンピュータシステムおよび図5に示す方法で実現可能なものである。ま
た、コンピュータプログラムを用いて本発明の核酸コード少なくとも2、5、10、
15、20、25、30または50と基準の核酸配列とを読み取り、コンピュータプログラ
ムを使用して核酸コードと基準の核酸配列との差を識別することによって上記の
方法を実施してもよい。
【0706】 他の実施形態では、コンピュータベースのシステムに、本発明の核酸コードの
核酸配列または本発明のポリペプチドコードのアミノ酸配列内の特徴を識別する
ための識別子をさらに備えてもよい。
【0707】 「識別子」は、上述した本発明の核酸コードの核酸配列または本発明のポリペ
プチドコードのアミノ酸配列内の特定の特徴を識別する1つまたはそれ以上のプ
ログラムを意味する。一実施形態では、識別子は、本発明のcDNAの読み枠を識別
するプログラムを含むものであってもよい。
【0708】 図6は、配列において特徴の存在を検出する識別子プロセス300の一実施形態を
示す流れ図である。プロセス300はstart状態302で開始され、特徴について確認
される最初の配列がコンピュータシステム100のメモリ115に記憶される状態304
に移る。その後、プロセス300は、配列の特徴データベースがオープンされる状
態306に移る。このようなデータベースは、各特徴の名前に加えてその特徴の属
性のリストを含む。たとえば、特徴名は「開始コドン」とすることができ、属性
は「ATG」となる。他の例として、特徴名「TAATAA Box」および特徴属性「TAATA
A」があげられる。このようなデータベースの一例が、ウィスコンシン大学遺伝
コンピュータグループ(www.gcg.com)によって作られている。
【0709】 特徴のデータベースが状態306で開かれたら、プロセス300は、第1の特徴がデ
ータベースから読み出される状態308に移る。その後、状態310において、第1の
特徴の属性と第1の配列とを比較する。次に、判定状態316において、特徴の属性
が第1の配列にあったか否か判定される。属性が見つかった場合、プロセス300は
、見つかった特徴の名前を表示してユーザに示す状態318に移る。
【0710】 その後、プロセス300は、移動の特徴がデータベースに存在するか否かを判定
する判定状態320に移る。それ以上特徴が存在しない場合、プロセス300はend状
態324で終了する。しかしながら、他の特徴がデータベースに存在する場合は、
プロセス300は、状態326で次の配列の特徴を読み出し、状態310に戻って次の特
徴の属性と第1の配列とを比較する。
【0711】 判定状態316で特徴の属性が第1の配列に見つからなかった場合は、プロセス30
0は判定状態320に直接移り、データベースにまだ特徴が残っているか否かを判定
することに注意されたい。
【0712】 他の実施形態では、識別子は、本発明のポリペプチドコードの三次元構造を決
定する、分子モデリングプログラムを含むものであってもよい。いくつかの実施
形態では、分子モデリングプログラムは、周知の三次元タンパク質構造の残基の
構造環境を表すプロフィールに最も近い標的配列を同定する(たとえば、1995年7
月25日発行、Eisenberg et al.の米国特許第5,436,850号を参照のこと)。他の手
法では、特定ファミリのタンパク質の周知の三次元構造を重畳し、そのファミリ
で構造的に保存された領域を定義する。このタンパク質モデリング手法でも相同
タンパク質の周知の三次元構造を使用し、本発明のポリペプチドコードの構造に
近いものを得ている。(たとえば、1996年9月17日発行、Srinivasan, et al.の米
国特許第5,557,535号を参照のこと)。従来の相同性モデリング手法を定法で使用
し、プロテアーゼおよび抗体のモデルを構築した(Sowdhamini et al., 1997)。
興味の対象であるタンパク質と鋳型タンパク質との間の配列同一性が少ない場合
、比較による方法を用いて三次元のタンパク質モデルを開発することができる。
場合によっては、タンパク質の配列相同性が極めて少ないにもかかわらず、これ
らのタンパク質が折り畳まれて同様の三次元構造になることもある。たとえば、
配列相同性は少ないが、多数のらせん状サイトカインの三次元構造が折り畳まれ
て同様の三次元トポロジーになる。
【0713】 スレッド法(threading method)の最近の開発によって、標的と鋳型との間の構
造的な関連性が配列レベルでは検出できない場合に、同様の折り畳みパターンを
さまざまな状況で同定することができる。Multiple Sequence Threading(MST)を
用いて折り畳みを認識するハイブリッド法、距離幾何学プログラムDRAGONを用い
てスレッディング出力から構造当量を推論し、低解像度モデルを構築し、QUANTA
などの分子モデリングパッケージを用いて全原子比例を構築する。
【0714】 この3ステップ法によれば、複数の整列配置配列スレッドを同時に1つまたはそ
れ以上の3D構造で実施できる新規な折り畳み認識アルゴリズムMSTを使用して、
まず候補鋳型を同定する。第2のステップでは、MST出力から得られる構造当量を
残基間距離抑制値に変換し、これを二次構造予測で得られた補助情報と共に距離
幾何学プログラムDRAGONに供給する。このプログラムは、公平な方法で抑制値を
組み合わせ、多数の低解像度モデルコンホメーションをすみやかに生成する。第
3のステップでは、これらの低解像度モデルコンホメーションを全原子モデルに
変換し、分子モデリングパッケージQUANTAを用いてエネルギ最小化を行う(Aszod
i et al., 1997などを参照のこと)。
【0715】 分子モデリング解析の結果を合理的な医薬品設計手法に使用して、本発明のポ
リペプチドコードの活性を変調する薬剤を同定することができる。
【0716】 したがって、本発明の他の態様は、本発明の核酸コード内または本発明のポリ
ペプチドコード内の特徴の同定方法であって、コード内の特徴を同定するコンピ
ュータプログラムを使用して、核酸コードまたはポリペプチドコードを読み出す
ステップと、核酸コードまたはポリペプチドコード内のコンピュータプログラム
によって同定するステップと、を含む。一実施形態では、コンピュータプログラ
ムは、読み枠を同定するコンピュータプログラムを含む。さらに他の実施形態で
は、コンピュータプログラムは、ポリペプチド配列の構造モチーフを同定する。
他の実施形態では、コンピュータプログラムは、分子モデリングプログラムを含
む。コンピュータプログラムを使用して、単一の配列または本発明の核酸コード
または本発明のポリペプチドコード少なくとも2、5、10、15、20、25、30または
50を読み出し、コンピュータプログラムを使用して、核酸コードまたはポリペプ
チドコード内の特徴を同定することによって、上記の方法を実施してもよい。
【0717】 本発明の核酸コードまたは本発明のポリペプチドコードについては、さまざまな
形式でさまざまなデータ処理装置プログラムに格納して操作することが可能であ
る。 たとえば、MicrosoftWORDまたはWORDPERFECTなどのワードプロセッサ用の
ファイルとしてテキスト形式で格納できる。あるいは、DB2、SYBASE、ORACLEな
どの当業者間で周知のさまざまなデータベースプログラムでASCIIファイルとし
て格納してもよい。 また、配列比較器、識別器、あるいは本発明の核酸コード
または本発明のポリペプチドコードとの比較に用いられる基準のヌクレオチド配
列またはポリペプチド配列のソースとして、多くのコンピュータプログラムおよ
びデータベースを利用できる。 以下、本発明を限定するものではないが、本発
明の核酸コードまたは本発明のポリペプチドコードと併用するのに有用なプログ
ラムおよびデータベースの参考として一覧をあげておく。 使用可能なプログラ
ムおよびデータベースとしては、MacPattern(EMBL)、DiscoveryBase(Molecular
Applications Group)、GeneMine(Molecular Applications Group)、Look(Molecu
lar Applications Group)、MacLook(Molecular Applications Group)、BLAST an
d BLAST2(NCBI)、BLASTN and BLASTX(Altschul et al, 1990)、FASTA(Pearsonお
よびLipman, 1988)、 FASTDB(Brutlag et al., 1990)、Catalyst(Molecular Sim
ulations Inc.)、Catalyst/SHAPE(Molecular Simulations Inc.)、Cerius2.DBAc
cess(Molecular Simulations Inc.)、HypoGen(Molecular Simulations Inc.)、I
nsight II、(Molecular Simulations Inc.)、Discover(Molecular Simulations
Inc.)、CHARMm(Molecular Simulations Inc.)、Felix(Molecular Simulations I
nc.)、DelPhi、(Molecular Simulations Inc.)、QuanteMM、(Molecular Simulat
ions Inc.)、Homology(Molecular Simulations Inc.)、Modeler(Molecular Simu
lations Inc.)、ISIS(Molecular Simulations Inc.)、Quanta/Protein Design(M
olecular Simulations Inc.)、WebLab(Molecular Simulations Inc.)、WebLab D
iversity Explorer(Molecular Simulations Inc.)、Gene Explorer(Molecular S
imulations Inc.)、SeqFold(Molecular Simulations Inc.)、EMBL/Swissprotein
データベース、MDL Available Chemicals Directoryデータベース、MDL Drug Da
ta Reportデータベース、Comprehensive Medicinal Chemistryデータベース、De
rwents's World Drug Indexデータベース、BioByteMasterFileデータベース、Ge
nbankデータベース、Genseqnデータベースがあげられるが、これに限定されるも
のではない。 本願明細書の開示内容から、当業者であれば他の多くのプログラ
ムおよびデータベースについても分かるであろう。
【0718】 上記のプログラムで検出可能なモチーフとしては、ロイシンジッパー、らせん
ターンらせんモチーフ、グリコシル化部位、ユビキチン結合部位、αらせんおよ
びβシートをコードする配列、コードされたタンパク質の分泌を指示するシグナ
ルペプチドをコードするシグナル配列、ホメオボックス、酸性伸展、酵素活性化
部位、基質結合部位および酵素切断部位などの転写調節に関与する配列があげら
れる。
【0719】 本願明細書全体を通して、さまざまな刊行物や特許公報、特許出願公開公報を
引用している。かかる刊行物や特許公報、公開特許明細書の開示内容を本願の開
示内容に援用し、本発明が属する技術分野の状況(sate)を一層明らかにする。
【0720】 (実施例) 実施例1 PCTA-1 バイアレリックマーカーの検出: DNA抽出 コーカソイドのフランス人由来の血液ドナーを得た。ドナーはフランス人の異
種個体群として十分な多様性を呈していた。血縁がなく健常な100名の個体からD
NAを抽出し、バイアレリックマーカーを検出するための試験を行った。各個体か
ら得たDNAを等量ずつ混合してプールを作出した。
【0721】 各ドナーからEDTAの存在下で辺縁末梢静脈血30mlを採取した。2000rpmで10分
間遠心後に細胞(ペレット)を収集した。溶解液(最終容積50ml、トリス10mM、pH7
.6、MgCl2 5mM、NaCl 10mM)で赤血球を溶解した。溶解液中にペレットの懸濁液
を再懸濁させた後、上澄み中に残留している赤血球を除去するのに必要な回数だ
けこの溶液を遠心(10分間、2000rpm)した。
【0722】 白血球のペレットを以下の組成を有する溶解液3.7mlで42℃で終夜溶解した。
3ml TE 10-2(トリス-HCl 10mM、EDTA 2mM)/NaCl 0.4M 200μl SDS 10% 500μl K-プロテイナーゼ(TE 10-2 /NaCl 0.4M中にK-プロテイナーゼ2mg)
【0723】 タンパク質を抽出するために、1ml飽和NaCl(6M)(1/3.5v/v)を添加した。強く
撹拌した後、溶液を1000rpmで20分間遠心した。
【0724】 DNAを沈降させるために、100%エタノール2〜3容量を上記の上澄みに添加し、
この溶液を2000rpmで30分間遠心した。DNA溶液を70%エタノールで3回洗浄して塩
を除去し、2000rpmで20分間遠心した。ペレットを37℃で乾燥させ、TE 10-1を1m
lまたは水1mlの中に再懸濁させた。260nmODを測定することによって(1単位OD=5
0μg/ml DNA)、DNA濃度を評価した。
【0725】 DNA溶液中にタンパク質が存在すると判断するために、OD 260/OD 280の比を求
めた。後述する以後のステップではOD 260/OD 280比が1.8〜2の間にあるDNA沈降
物のみを使用した。
【0726】 実施例2 バイアレリックマーカーの検出: ゲノムDNAのPCRによる増幅 先に得たDNAのプールについて、実施例1のDNA試料の特異的ゲノム配列を増幅
した。また、10個体の試料を同様に増幅した。
【0727】 下記のプロトコルでPCRアッセイを行った。 最終容量 25μl DNA 2ng/μl MgCl2 2mM dNTP(各) 200μM プライマー(各) 2.9ng/μl Ampli Taq Gold DNAポリメラーゼ 0.05単位/μl PCR緩衝液(10ラ=0.1M トリス-HCl pH8.3 0.5M KCl 1×
【0728】 本願発明者らによる全ゲノム配列の配列情報(配列番号1)およびOSPソフトウェ
ア(Hillier & Green, 1991)を用いて第1のプライマーの各対を設計した。これら
のプライマーは約20ヌクレオチド長であり、それぞれの配列を以下の表1に開示
するが、それぞれ表1において「配列番号1の増幅プライマーの位置範囲」および
「配列番号1の増幅プライマーの相補位置範囲」の列に開示する配列を有してい
た。
【0729】 プライマーは、シークエンシングに有用である、増幅対象の特異塩基の上流に
共通のオリゴヌクレオチドの尾を含んでいた。
【0730】 「配列番号1の増幅プライマーの位置範囲」の列に記載されたプライマーは、
付加PU 5'配列TGTAAAACGACGGCCAGTを含み、「配列番号1の増幅プライマーの相補
位置範囲」の列に記載されたプライマーは、RP 5'配列CAGGAAACAGCTATGACCを含
んでいる。付加PU 5'配列を含むプライマーを配列番号10で示す。付加RP 5'配列
を含むプライマーを配列番号11で示す。
【0731】 GENSET UFPS 24.1合成機において、ホスホラミダイト法によってこれらのプラ
イマーを合成した。
【0732】 DNA増幅はGenius IIサーモサイクラーで行った。94℃で10分間加熱した後、40
サイクルを行った。各サイクルの構成は、94℃で30秒、55℃で1分、72℃で30秒
である。最終的な伸長のために、72℃で7分間で増幅を終了した。蛍光計および
インターカレート剤(分子プローブ)としてのPicogreenを用いて、96穴マイクロ
タイタープレート上で、どの程度の量の増幅産物が得られたのかを判断した。
【0733】
【表4】
【0734】 実施例3 バイアレリックマーカーの検出: 増幅ゲノムDNAのシークエンシングと多型の
同定 実施例2で得られた増幅DNAのシークエンシングをABI 377シークエンサで実施
した。ダイターミネーターでのサイクルシークエンシングプロトコルを用いた自
動ジデオキシターミネーター塩基配列決定反応によって、増幅産物の配列を判断
した。ゲル画像解析(ABI Prism DNA Sequencing Analysisソフトウェア(2.1.2バ
ージョン))を用いて、シークエンシング反応での反応産物をシークエンシングゲ
ルに仕込み、配列を求めた。
【0735】 プールした増幅フラグメントでのバイアレリックマーカーの存在を検出するよ
うに設計された、上述した多型解析ソフトウェアを使用して、での両アレル性マ
ーカーの有無を検出することによって、配列データをさらに評価した。多型探査
については、上述したように、同一位置に異なる塩基が座位することで生じる電
気泳動パターンのピークの重畳の有無に基づいて行った。
【0736】 47個の増幅フラグメントを解析した。これらのセグメントでは、125のマーカ
ーが検出された。バイアレリックマーカーの局在位置を表2に示す。表3は、PCTA
-1関連バイアレリックマーカーを定義するポリヌクレオチドを含む。これらはプ
ローブとして使用できるものであり、その配列を表3の「配列番号1のプローブの
位置範囲」に開示する。
【0737】
【表5】
【0738】 BMは「バイアレリックマーカー」を示す。all1およびall2はそれぞれ、バイア
レリックマーカーのアレル1およびアレル2を示す。「頻度%」は、対照個体群で
のアレル頻度をパーセンテージで示したものである。頻度は、コーカソイドのフ
ランス人の無作為血液ドナー個体群に対応していた。
【0739】
【表6】
【0740】 実施例4 マイクロシークエンシングによる多型の確認 実施例3で同定したバイアレリックマーカーをさらに確認し、マイクロシーク
エンシングによってそれぞれの頻度を判断した。マイクロシークエンシングを実
施したのは実施例1で述べた各個体のDNA試料であった。
【0741】 バイアレリックマーカーの検出について上述したようにして、同一のプライマ
ーセットを使用し、PCRによって個体をゲノムDNAから増幅した(表1)。
【0742】 マイクロシークエンシングで使用する好ましいプライマーは約19ヌクレオチド
長であり、考慮対象の多型塩基のすぐ上流でハイブリダイズされた。その配列を
表4の「配列番号1のマイクロシークエンシングプライマーmis. 1の位置範囲」お
よび「配列番号1のマイクロシークエンシングプライマーmis. 2の相補位置範囲
」に開示する。
【0743】 Mis 1およびMis 2はそれぞれ、PCTA-1遺伝子の非コード鎖とハイブリダイズさ
れたマイクロシークエンシングプライマーまたはPCTA-1遺伝子のコード鎖とハイ
ブリダイズされたマイクロシークエンシングプライマーを示す。
【0744】 マイクロシークエンシング反応を次のようにして実施した。
【0745】 マイクロシークエンシングオリゴヌクレオチド(粗合成、5OD)10pmolと、Therm
osequenase(アマシャムE79000G)1Uと、Thermosequenase緩衝液(260 mMトリスHCl
、pH9.5、65mM MgCl2)1.25μlと、多型塩基(11.25nM TAMRA-ddTTP 、16.25nM RO
X-ddCTP 、1.675nM REG-ddATP、1.25nM RHO-ddGTP 、パーキンエルマー、ダイタ
ーミネーターセット401095)に対応する多型部位でヌクレオチドと相補な適当な
蛍光ddNTPと、を含有するマイクロシークエンシング反応混合物20μlにPCR産物1
0μlを添加した。サーモサイクラーにて、94℃で4分間経過後、55℃で15秒、72
℃で5秒、94℃で10秒のPCRサイクルを20回繰り返した。増幅後、取り込まれなか
ったダイターミネーターをエタノール沈降によって除去した。上澄みを破棄し、
マイクロプレートが乾燥するまで減圧下(Speed Vac)で蒸発させ、試料をホルム
アミドEDTA添加液2.5μLに再懸濁させ、95℃で2分間加熱した。マイクロシーク
エンシング反応物0.8μlを10%(19:1)ポリアクリルアミドシークエンシングゲル
に仕込んだ。ABIプリズム377 DNAシークエンサーでデータを収集し、遺伝子SCAN
ソフトウェア(パーキンエルマー)を用いて処理した。
【0746】 ゲル解析に続いて、各増幅フラグメントに存在するバイアレリックマーカーの
アレルの判定を可能にするソフトウェアでデータを自動的に処理した。
【0747】 ソフトウェアは、上記のマイクロシークエンシング法によって得られるシグナ
ルの強度が、弱い、標準、飽和、あるいはシグナルが曖昧かといった要因を評価
する。また、このソフトウェアは著しいピーク(形状および高さの判定条件によ
る)を特定する。有意なピークの中から、標的部位に対応するピークをそれらの
位置に基いて特定する。有意なピーク2つが同じ位置について検出された場合、
高さ比に基いて各試料を同型接合あるいはヘテロ接合のタイプとして分けられた
分類に入る。
【0748】
【表7】
【0749】 実施例5 前立腺癌とPCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーとの間の関連性解析 羅患個体および未羅患個体からのDNA試料の収集 羅患個体群: この関連性解析で扱った陽性の形質は前立腺癌であった。臨床的、組織学的お
よび生物学的な組み入れ基準の組み合わせに従って前立腺癌患者を募集した。臨
床基準には、直腸の診察および前立腺生体組織検査を含むことができる。生物学
的基準にはPSAアッセイを含むことができる。前立腺癌に羅患した少なくとも2名
が家系内で診断された場合に、羅患個体を家族性の形として記録した。残りの症
例を非家族性で情報のある症例(症例の少なくとも2名の兄弟姉妹がいずれも50歳
を超えても未羅患である)または非家族性で情報のない症例(50歳を超えた兄弟姉
妹に関する情報が全く入手できていない)として分類した。本特許での統計解析
に含めた羅患個体はすべて互いに血縁関係がなかった。また、早発性前立腺癌(6
5歳未満)と遅発性前立腺癌(65歳以上)という具合に診断年齢を基準にして症例を
分類した。
【0750】 未羅患個体群: この解析に含めた対照個体については、前立腺癌の存在または危険性を定義す
る臨床的な基準と生物学的な基準のいずれもない(PSA < 4)ことを確認(国際特許
出願公開第WO96/21042号)し、年齢も確認(65歳以上)した。本特許の統計解析に
含めた未羅患個体はいずれも互いに血縁関係がなかった。
【0751】 91個体が65歳未満で106個体が65歳以上である家族性症例197例と、散発性症例
294例の血縁関係のない491名の個体で羅患群を構成した。
【0752】 未羅患群については65歳以上の個体313個体が含まれるようにした。
【0753】 本願明細書において、「早発性癌」という用語は、個体が65歳未満である場合
の癌を意味する。
【0754】 羅患個体と対照個体の遺伝子型判定 関連性解析を行うための汎用的な戦略は、上述した個体群各々に含まれるすべ
ての個体から得たDNA試料を個々にスキャンし、これらの個体群各々での上述し
たバイアレリックマーカーのアレル頻度を求めることであった。特に、本関連性
解析で用いたバイアレリックマーカーは、A2、A9、A15、A22、A24、A25、A26、A
30、A34、A35、A36、A38、A41、A42、A44、A51、A52、A54、A55、A56、A57、A59
、A60、A64、A73、A75、A76、A85、A93、A96、A108、A111、A115である。
【0755】 各個体から得たDNA試料に対して行ったゲノムPCRによって得られた増幅フラグ
メントにマイクロシークエンシング反応を施し、各個体群における上述したバイ
アレリックマーカーのアレル頻度を判定した。上述したPCRおよびマイクロシー
クエンシングプライマーを使用して、実施例2および4において詳細に説明したよ
うにしてゲノムPCRおよびマイクロシークエンシングを実施した。
【0756】 前立腺癌とPCTA-1遺伝子のバイアレリックマーカーとの間の関連性解析 2つのバイアレリックマーカーのアレルすなわち(T)A30および(T)A41が、家族
性前立腺癌、特に早発性家族性前立腺癌と有意に関連していることが分かった。
確かに、バイアレリックマーカーA30のアレルTのp値は早発性家族性前立腺癌で1
.08×10-2、家族性前立腺癌で3.39×10-2であった。バイアレリックマーカーA41
のアレルTでは、早発性家族性前立腺癌でのp値が4.04×10-2であった。したがっ
て、これら2つのマーカーを診断に使用することができる。
【0757】 他のバイアレリックマーカーのいくつかすなわち、A54、A55、A56、A57、A59
、A60、A61、A85、A96、A108、A115も中程度の関連性を示した。これらのバイア
レリックマーカーは、PCTA-1遺伝子のエキソンおよびイントロンに位置している
【0758】 本願発明者らは、対照個体ではすべてのPCTA-1関連バイアレリックマーカーが
互いに連鎖不平衡状態にあることを観察した。前立腺癌の家族性症例では、PCTA
-1遺伝子のプロモーターに位置するバイアレリックマーカーは、エキソン領域お
よびイントロン領域に位置するバイアレリックマーカーとの間に連鎖不平衡を示
さず、互いに連鎖不平衡状態でもなかった。プロモーターのバイアレリックマー
カーがこのように連鎖不平衡ではないことから、この領域には形質誘発変異が含
まれ、ハプロタイプを生む原因であると説明できると考えられる。
【0759】 バイアレリックマーカーのアレルAと前立腺癌の散発性症例との間には高い関
連性が認められた。この関連性は、p値7.71×10-3と極めて有意である。したが
って、マーカーA2を診断に使用することができる。
【0760】 ハプロタイプ頻度解析 各マーカーの統計学的な力を高める方法の1つにハプロタイプ関連性解析があ
る。
【0761】 実施例5で述べた症例個体群および対照個体群において、A2、A9、A15、A22、A
24、A25、A26、A30、A34、A35、A36、A38、A41、A42、A44、A51、A52、A54、A55
、A56、A57、A59、A60、A64、A73、A75、A76、A85、A93、A96、A108、A111、A11
5 からなる群から選択されるバイアレリックマーカーを含む、考え得るハプロタ
イプすべての頻度を推定し、これらの頻度をカイ二乗統計試験(自由度1)によっ
て比較することで、PCTA-1マーカーと前立腺癌との間の関連性について、ハプロ
タイプ解析を行った。期待値最大化(EM)アルゴリズム(Excoffier L & Slatkin M
、1995)を適用し、EM-HAPLOプログラム(Hawley ME、Pakstis AJ & Kidd KK、199
4)を使用して、ハプロタイプを推定した。
【0762】 前立腺癌の家族性症例についてのハプロタイプ頻度解析 前立腺癌の家族性症例から得た最も有意なハプロタイプを表5に示す。これら
のハプロタイプは、バイアレリックマーカーA2、A30、A41、A55、A57および5-20
2/95を含む。
【0763】 好ましい2-マーカーハプロタイプを表5にPT2のH1〜H7として示す。より好まし
いハプロタイプは、ハプロタイプH1/PT2であり、バイアレリックマーカーA30(99
-1572/440アレルT)およびA41(アレルT)を含んでいる。このハプロタイプ のp値
は1.1×10-4、オッズ比は1.67であった。推定ハプロタイプ頻度は症例で57.2%、
対照例で44.4%であった。
【0764】 好ましい3-マーカーハプロタイプを表5にPT3のH1、H2、H3、H7、H8、H9、H10
、H11およびH12として示す。より好ましいハプロタイプは、ハプロタイプH1/PT3
であり、バイアレリックマーカーA2(アレルA)、A30(99-1572/440 アレルT)およ
びA41(アレルT)を含んでいる。このハプロタイプのp値は1.1×10-5、オッズ比は
1.84であった。推定ハプロタイプ頻度は症例で42.9%、対照例で29%であった。
【0765】 好ましい4-マーカーハプロタイプを表5にPT4のH1、H2、H4、H5、H7、H9、H16
、H17、H18およびH19として示す。
【0766】 結論として、前立腺癌の家族性症例に最も好ましいハプロタイプは、バイアレ
リックマーカーA30(99-1572/440 アレルT)および/またはA41(アレルT)を含むも
のである。前立腺癌の家族性症例に好ましい他のハプロタイプの中には、バイア
レリックマーカーA2(アレルA)を含むものがある。任意に、前立腺癌の家族性症
例に好ましいハプロタイプは、バイアレリックマーカーA55(アレルC)および/ま
たはA57(アレルG)を含む。これらのハプロタイプを前立腺癌の羅患性の診断に使
用することができる。
【0767】 前立腺癌の散発性症例についてのハプロタイプ頻度解析 前立腺癌の散発性症例から得た最も有意なハプロタイプを表6に示す。これら
のハプロタイプは、バイアレリックマーカーA2、A30、A41、A55、A57および5-20
2/95を含む。
【0768】 好ましい2-マーカーハプロタイプを表6にPT2のH1〜H4、H6およびH7として示す
。第1のより好ましいハプロタイプは、ハプロタイプH1/PT2であり、バイアレリ
ックマーカーA2(アレルT)およびA55(アレルT)を含んでいる。このハプロタイプ
のp値は2.4×10-4、オッズ比は1.94であった。推定ハプロタイプ頻度は症例で16
.2%、対照例で9%であった。第2のより好ましいハプロタイプはハプロタイプH2/P
T2であり、バイアレリックマーカーA2(アレルT)およびA57(アレルA)を含んでい
る。このハプロタイプのp値は5.3×10-4、オッズ比は1.84であった。推定ハプロ
タイプ頻度は症例で16.3%、対照例で9.5%であった。
【0769】 好ましい3-マーカーハプロタイプを表6にPT3のH1、H2、H3、H4、H6、H7および
H8として示す。より好ましいハプロタイプは、ハプロタイプH2/PT3であり、バイ
アレリックマーカーA2(アレルT)、A55(アレルT)およびA57(アレルA)を含んでい
る。このハプロタイプのp値は2.3×10-3、オッズ比は1.75であった。推定ハプロ
タイプ頻度は症例で15%、対照例で9.2%であった。
【0770】 好ましい4-マーカーハプロタイプを表6にPT4のH1、H2、H3、H4およびH6として
示す。
【0771】 結論として、前立腺癌の散発性症例に最も好ましいハプロタイプは、A2(アレ
ルT)、A55(アレルT)およびA57(アレルA)からなる群で選択されるバイアレリック
マーカーを含む。任意に、前立腺癌の家族性症例に好ましいハプロタイプはバイ
アレリックマーカーA30(アレルT)および/またはA41(アレルT)を含むものである
。これらのハプロタイプを前立腺癌の診断に使用することができる。
【0772】 ハプロタイプ頻度解析のまとめ 家族性前立腺癌および散発性前立腺癌に最も好ましい2-バイアレリックマーカ
ーハプロタイプおよび3-バイアレリックマーカーハプロタイプを表7にまとめて
おく。これらのハプロタイプを前立腺癌の羅患性の診断に使用することができる
【0773】 コンピュータで1000回または10,000回繰り返した表現型並べ替えアッセイを行
い、ハプロタイプ解析で得られた結果の統計学的な意義を評価した。このコンピ
ュータシミュレーションでは、症例個体および対照例の個体から得られたデータ
をプールし、ハプロタイプ頻度解析データを得るのに用いた症例対照個体群と同
数の個体を含む2つのグループに無作為に振り分けた。この人為的なグループで
、前立腺癌との間に強い関連性が見られた表7の5つのハプロタイプについてハプ
ロタイプ解析を実施した。この実験を1000回繰り返した。結果を表8に示す。
【0774】 表7のハプロタイプ1および2は明らかに家族性前立腺癌と関連しており、特に
、65歳未満の家族性症例および>3caPの家族性症例と関連している。並べ替え検
定から、1000回の繰り返しで、得られたハプロタイプのうち、家族性症例、65歳
未満の家族性症例および>3caPの家族性症例についての表7のハプロタイプ1およ
び2で得られたものにp値が匹敵するのはまったくなかったため、これらのハプロ
タイプと家族性前立腺癌との間の関連性の統計的な有意さが明らかに立証される
【0775】 表7のハプロタイプ3、4および5は明らかに散発性前立腺癌と関連している。並
べ替え検定から、1000回の繰り返しで、得られたハプロタイプのうちp値が散発
性の症例についての表7のハプロタイプ3、4および5で得られたものに匹敵するの
は6未満であったため、これらのハプロタイプと散発性前立腺癌との間の関連性
の統計的な有意さが明らかに立証される。さらに、1000回の繰り返しのうち、得
られたハプロタイプでp値が情報性のある散発性症例についての表7のハプロタイ
プ3、4および5で得られたものに匹敵するものはまったくなかった。
【0776】 寄与危険度 「統計的方法」の「危険因子の評価」で述べたようにして寄与危険度を算出し
た。結果を表9に示す。
【0777】 これらの結果から、本発明に開示される好ましいハプロタイプが前立腺癌にと
って極めて重要なものであることが分かる。特に、前立腺癌に一層関連の深いモ
デルである有意モデルを考慮して、散発性前立腺癌症例の16.92%が表7のハプロ
タイプ4を保因していた。さらに、有意モデルを考慮して、家族性早発性前立腺
癌症例の60.77%が表7のハプロタイプ1を保因していた。
【0778】
【表8】
【0779】
【表9】
【0780】
【表10】
【0781】
【表11】
【0782】 家族の中で少なくとも3人が前立腺癌に羅患した家族形態を本願では3CaP>とす
る。散発性の症例については、症例の兄弟姉妹少なくとも2名がいずれも50歳を
超えても未羅患であった場合に情報性のある散発性症例と分類した。
【0783】
【表12】 保因者: ハプロタイプを保因している個体 保因者のオッズ比(OR): 症例の保因者 *(1-対照の保因者)/ 対照の保因者 *(1
-症例の保因者) 寄与危険度(RR): 無作為対照の保因者 *(OR -1)/(無作為対照の保因者 *(OR -
1)+ 1) (参考: Epid駑iologie - Principes et m騁hodes quantitatives - J. Bouy
er、D. H駑on、S. Cordier 1995)
【0784】 実施例6 マウスPCTA-1タンパク質 本願発明者らは、PCTA-1タンパク質(配列番号8)のマウス相同体をコードするc
DNA分子をクローニングした。推論アミノ酸配列を配列番号9で示す。図7は、本
発明のヒトPCTA-1タンパク質配列とマウスPCTA-1タンパク質配列との間のアライ
メントならびにGenBank L78132のアライメントを示している。同図からヒトおよ
びマウス相同体は80%相同であることが分かる。
【0785】 潜在的に保存されたモチーフに鑑みた有意な多型の位置を考慮しつつ、これら
のマウスとヒトのcDNAおよびタンパク質配列をさらに比較することで、当業者で
あれば、好適なワクチンまたは治療薬候補の設計時に特定の生理学的意義を持つ
領域を同定できるであろう。図7に示す2つのガラクトシド結合部位が特に重要で
ある。これらの部位はPCTA-1タンパク質およびガレクチンの中にあって保存され
、癌との関連性が極めて高い細胞間相互作用や細胞マトリックス間相互作用に関
与しているように見える。他の2つの部位すなわち、HFNPRFおよびVVCNもこれら
のタンパク質の中での保存性が高い。
【0786】 実施例7 PCTA-1タンパク質に対する抗体組成物の調製 PCTA-1タンパク質またはその一部をコードする発現ベクターを含むトランスフ
ェクトした細胞または形質転換細胞から、実質的に純粋なタンパク質またはポリ
ペプチドを単離する。たとえばAmiconフィルタ装置での濃度などによって、最終
調製物のタンパク質濃度を数μg/mlのレベルに調節する。この状態で、タンパク
質に対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を以下のようにして調
製する。
【0787】 A. ハイブリドーマ融解によるモノクローナル抗体産生 Kohler et al.(1975)の古典的な方法またはこれから派生した方法によって、P
CTA-1タンパク質またはその一部のエピトープに対するモノクローナル抗体をマ
ウスハイブリドーマから調製することができる。Harlow et al. 1988も参照のこ
と。
【0788】 簡単に説明すると、数週間にわたって、数マイクログラムのPCTA-1タンパク質
またはその一部をマウスに繰り返し接種する。このマウスを屠殺し、脾臓の抗体
産生細胞を単離する。ポリエチレングリコールによって脾臓細胞をマウス骨髄腫
細胞と融合させ、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)で系を成長させて過
剰な未融合細胞を破壊する。融合が成功した細胞を稀釈し、稀釈アリコートをマ
イクロタイタープレートのウェルに接種して培養成長を継続する。ウェルの上澄
み液中の抗体を、Engvall,(1980)が初めて明らかにしたようなELISAなどのイム
ノアッセイまたはこれから派生した方法によって検出し、抗体産生クローンを同
定する。選択された陽性クローンを培養し、そのモノクローナル抗体産物を収集
して使用できるようにする。モノクローナル抗体を得るための詳細な手順につい
ては、Davis et al.に記載されている。
【0789】 B. 免疫化によるポリクローナル抗体産生 適当な非ヒト動物をPCTA-タンパク質またはその一部で免疫化することによっ
て、このPCTA-1タンパク質またはその一部の異種起源のエピトープに対する抗体
を含むポリクローナル抗血清を調製することができる。これは、免疫原性を高め
るように修飾してもよいし修飾せずにおくことも可能である。適当な非ヒト動物
は、好ましくは非ヒト哺乳動物が選択され、通常、マウス、ラット、ウサギ、ヤ
ギまたはウマである。あるいは、PCTA-1濃度を高めた未精製調製物を用いて抗体
を作出することもできる。このようなタンパク質、フラグメントまたは調製物を
、従来技術において周知の適当なアジュバント(たとえば、水酸化アルミニウム
、RIBIなど)の存在下で非ヒト哺乳動物に導入する。また、タンパク質、フラグ
メントまたは調製物を抗原性を高める薬剤で前処理してもよい。このような薬剤
は従来技術において周知であり、一例としては、メチル化ウシ血清アルブミン(m
BSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、B型肝炎表面抗原およびキーホールリンペット
ヘモシアニン(KLH)などがあげられる。周知の手順に従って免疫化動物から得ら
れる血清を収集し、これを処理して試験する。血清に望ましくないエピトープに
対するポリクローナル抗体が含まれている場合、免疫親和性クロマトグラフィに
よってポリクローナル抗体を精製してもよい。
【0790】 抗原と宿主種の両方に関係のある多くの要因が効果的なポリクローナル抗体産
生に影響する。また、接種部位および用量に対する宿主動物の応答性には差があ
り、抗原量が不適切な場合と過剰な場合はいずれも低力価抗血清が作出される。
少量(ngレベル)の抗原を複数の皮内部位に投与すると最も信頼性の高い結果が得
られるように思われる。ポリクローナル抗血清を作出して処理するための手法は
従来技術において周知である。たとえば、MayerおよびWalker(1987)などを参照
のこと。Vaitukaitis, et al.(1971)にはウサギでの効果的な免疫化プロトコル
が記載されている。
【0791】 一定間隔で追加免疫注射を行い、たとえば濃度が分かっている抗原に対する寒
天での二重免疫拡散によって半定量的に測定した抗体力価が低下しはじめたとこ
ろで、抗血清を収集することができる。たとえば、Ouchterlony, O. et al.(197
3)などを参照のこと。この抗体のプラトー濃度は通常、血清(約12μM)の0.1〜0.
2mg/mlの範囲にある。Fisher,(1980)に記載されているようにして競合的結合曲
線を作成し、抗血清の抗原に対する親和性を判定する。
【0792】 モノクローナル抗体法またはポリクローナル抗体法のいずれかに従って調製し
た抗体調製物は、生物学的試料中の抗原産生物質の濃度を判断する定量的なイム
ノアッセイにおいて有用なものである。また、これらの調製物は、生物学的試料
中の抗原の存在を半定量的あるいは定性的に同定するのにも用いられる。さらに
、タンパク質を発現する細胞を死滅させる目的あるいは体内のタンパク質濃度を
落とす目的で治療用組成物に抗体を使用してもよい。
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【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、本発明のバイアレリックマーカーの相対位置を示した、PC
TA-1遺伝子の図である。上のラインは、PCTA-1のゲノム配列を示す。真ん中のラ
インは、バイアレリックマーカー位置のあるエキソン6bisを含む他のcDNAを示す
。下のラインは、バイアレリックマーカーによる多型アミノ酸のあるPCTA-1タン
パク質を示す。*は、頻度の高いSNP(100DNAのプールで検出される)を示す。図1
Bは、PCTA-1の3通りのcDNAを示す図である。
【図2】 本発明のバイアレリックマーカーいくつかと前立腺癌との関連性を
示すグラフであり、y軸に各マーカーについてのカイ二乗値のp値のログ(ベース1
0)の絶対値を示し、x軸にはPCTA-1遺伝子要素に対しておおまかに推定した各マ
ーカーの位置を示す。
【図3】 コンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【図4】 新たなヌクレオチド配列またはタンパク質配列と配列データベース
とを比較し、新たな配列とデータベース内の配列との相同性レベルを判定するプ
ロセス200の一実施形態を示す流れ図である。
【図5】 2つの配列が相同であるか否かを判定する、コンピュータにおける
プロセス250の一実施形態を示す流れ図である。
【図6】 配列において特徴の存在を検出するための識別子プロセス300の一
実施形態を示す流れ図である。
【図7】 マウスPCTA-1タンパク質とヒトPCTA-1タンパク質とを並べた図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12M 1/00 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G11B 23/00 C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA G11B 23/00 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA19 CA03 CA09 CA20 DA02 GA11 GA25 HA11 HA13 HA14 4B029 AA07 AA27 BB20 CC01 CC03 CC08 FA12 FA15 4B063 QA13 QA17 QA19 QQ43 QQ53 QR08 QR14 QR32 QR40 QR56 QR62 QR84 QS16 QS25 QS34 QS39 QX02 QX10 4B065 AA90X AA93Y AB01 AC14 AC20 BA02 BA16 CA24 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA40 DA75 DA86 EA28 EA51 FA71 FA74

Claims (88)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1のヌク
    レオチド位置1〜70715、70795〜82207、82297〜83612、83824〜85297、85418〜8
    6388、86446〜87495、87523〜88294、88384〜89483、89650〜92748、97156〜983
    09、98476〜99329、99491〜100026、100212〜100281、100396〜100538、100682
    〜100833、100995〜101920、102087〜102970、103264〜103724および103753〜10
    6746のうち少なくとも1つを含んでなる、前記ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 配列番号1の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1の70728
    位、87860位、88297位、94432位および95340位のヌクレオチドG、配列番号1の82
    218位、83644位、83808位、87787位、87806位、94218位および97144位のヌクレ
    オチドA、配列番号1の87902位、88215位、88283位、92760位、93726位および944
    22位のヌクレオチドCならびに配列番号1の93903位および94170位のヌクレオチド
    Tからなる群から選択されるヌクレオチドを少なくとも1つ含む、前記ポリヌクレ
    オチド。
  3. 【請求項3】 配列番号1の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1の86435
    位、93592位、93680位、93681位、93682位、93728位、93761位および95445位の
    ヌクレオチドG、配列番号1の86434位、88355位、93240位、93471位および93747
    位のヌクレオチドA、配列番号1の93683位、95126位および95444位のヌクレオチ
    ドCならびに配列番号1の94154位および94430位のヌクレオチドTを含む、前記ポ
    リヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 配列番号1の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1のヌク
    レオチド位置92975〜92977、93711〜93715、94151〜94153、94240〜94243、9477
    0〜94773、94804〜94808、95121〜95122、95129〜95135、95148〜95153、95154
    〜95159、95173〜95178、95367〜95374、95410〜95413、95418〜95420、95430〜
    95436、95533〜95535および95677〜95677からなる群から選択されるヌクレオチ
    ド位置を含んでなる、前記ポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 配列番号2の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号2のヌク
    レオチド位置1〜162のうち少なくとも1つを含んでなる、前記ポリヌクレオチド
  6. 【請求項6】 配列番号2の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号2の253位
    、363位、527位、2471位および5397位のヌクレオチドA、配列番号2の1013位、19
    79位および2675位のヌクレオチドC、配列番号2の176位、749位、2685位、3593位
    のヌクレオチドG、ならびに配列番号2の2156位および2423位のヌクレオチドTか
    らなる群で選択されるヌクレオチドを少なくとも1つ含む、前記ポリヌクレオチ
    ド。
  7. 【請求項7】 配列番号2の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号2の708位
    、807位、1493位、1724位および2000位のヌクレオチドA、1936位、3379位および
    3697位のヌクレオチドC、709位、1845位、1933位、1934位、1935位、1981位、20
    14位および3698位のヌクレオチドG、ならびに2407位および2683位のヌクレオチ
    ドTからなる群で選択されるヌクレオチドを少なくとも1つ含む、前記ポリヌクレ
    オチド。
  8. 【請求項8】 配列番号2の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号2のヌク
    レオチド位置1229〜1231、1964〜1968、2404〜2406、2493〜2496、3023〜3026、
    3057〜3061、3374〜3375、3382〜3388、3401〜3406、3407〜3412、3426〜3431、
    3620〜3627、3663〜3666、3671〜3673、3683〜3689、3786〜3788および3930〜39
    32からなる群から選択されるヌクレオチド位置を含んでなる、前記ポリヌクレオ
    チド。
  9. 【請求項9】 配列番号3の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまたは
    その相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチド
    または組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号3のヌク
    レオチド位置1〜162および747〜872のうち少なくとも1つを含んでなる、前記ポ
    リヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 配列番号3の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまた
    はその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
    ドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号3の253
    位、363位、527位、2597位および5523位のヌクレオチドA、配列番号3の1139位、
    2105位および2801位のヌクレオチドC、配列番号3の176位、875位、2811位、3719
    位のヌクレオチドG、ならびに配列番号3の2282位および2549位のヌクレオチドT
    からなる群で選択されるヌクレオチドを少なくとも1つ含む、前記ポリヌクレオ
    チド。
  11. 【請求項11】 配列番号3の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまた
    はその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
    ドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号3の708
    位、807位、1619位、1850位および2126位のヌクレオチドA、2062位、3505位およ
    び3823位のヌクレオチドC、709位、1971位、2059位、2060位、2061位、2107位、
    2140位および3824位のヌクレオチドG、ならびに2533位および2809位のヌクレオ
    チドTからなる群で選択されるヌクレオチドを少なくとも1つ含む、前記ポリヌク
    レオチド。
  12. 【請求項12】 配列番号3の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまた
    はその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
    ドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号3のヌ
    クレオチド位置1355〜1357、1892〜1894、2090〜2094、2530〜2532、2619〜2622
    、3149〜3152、3183〜3187、3500〜3501、3508〜3514、3527〜3532、3533〜3538
    、3552〜3557、3746〜3749、3789〜3792、3797〜3799、3809〜3815、3912〜3914
    および4056〜4058からなる群から選択されるヌクレオチド位置を含んでなる、前
    記ポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 配列番号4の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまた
    はその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
    ドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号4のヌ
    クレオチド位置1〜162のうち少なくとも1つを含んでなる、前記ポリヌクレオチ
    ド。
  14. 【請求項14】 配列番号4の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまた
    はその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
    ドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号4の253
    位、363位、527位および2460位のヌクレオチドA、配列番号4の1013位のヌクレオ
    チドCならびに配列番号4の176位および749位のヌクレオチドGからなる群で選択
    されるヌクレオチドを少なくとも1つ含む、前記ポリヌクレオチド。
  15. 【請求項15】 配列番号4の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまた
    はその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
    ドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号4の708
    位および807位のヌクレオチドAならびに709位のヌクレオチドGからなる群で選択
    されるヌクレオチドを少なくとも1つ含む、前記ポリヌクレオチド。
  16. 【請求項16】 配列番号4の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまた
    はその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
    ドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号4のヌ
    クレオチド位置1136〜1137の対を含んでなる、前記ポリヌクレオチド。
  17. 【請求項17】 実質的に、配列番号1、2、3および4のいずれか1つの8〜50
    ヌクレオチドの連続スパンまたはその相補体からなる、単離されたポリヌクレオ
    チド、精製されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前
    記スパンが、前記配列中にPCTA-1関連バイアレリックマーカーを含む、前記ポリ
    ヌクレオチド。
  18. 【請求項18】 前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A125およ
    びその相補体からなる群から選択される、請求項17に記載のポリヌクレオチド。
  19. 【請求項19】 前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A44、A46
    〜A53、A57、A58、A62〜A76、A81、A82、A86〜A91、A107、A118およびA123〜A12
    5ならびにその相補体からなる群から選択される、請求項17に記載のポリヌクレ
    オチド。
  20. 【請求項20】 前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A45、A54、A6
    0、A61、A77〜A80、A83〜A85、A93、A102〜A106、A109、A110、A114およびA122
    ならびにその相補体からなる群から選択される、請求項14に記載のポリヌクレオ
    チド。
  21. 【請求項21】 前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A55、A56、A5
    9、A92、A94〜A101、A108、A111〜A113、A115〜A117およびA119〜A121ならびに
    その相補体からなる群から選択される、請求項17に記載のポリヌクレオチド。
  22. 【請求項22】 前記連続スパンが18〜47ヌクレオチド長であり、前記バイ
    アレリックマーカーが前記ポリヌクレオチドの中心から4ヌクレオチド以内にあ
    る、請求項17〜21のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  23. 【請求項23】 前記ポリヌクレオチドが前記連続スパンからなり、前記連
    続スパンが25ヌクレオチド長であり、前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌ
    クレオチドの中心にある、請求項22に記載のポリヌクレオチド。
  24. 【請求項24】 前記ポリヌクレオチドが、実質的に、配列P1〜P125および
    その相補配列から選択される配列からなる、請求項22に記載のポリヌクレオチド
  25. 【請求項25】 前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端
    に存在する、請求項1〜21のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  26. 【請求項26】 前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端
    に位置し、前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌクレオチドの3'末端に存在
    する、請求項17〜21のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  27. 【請求項27】 前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端
    に位置し、前記ポリヌクレオチドの3'末端が前記配列中のPCTA-1関連バイアレリ
    ックマーカーの20ヌクレオチド上流の範囲内に位置する、請求項17〜21のいずれ
    か1項に記載のポリヌクレオチド。
  28. 【請求項28】 前記ポリヌクレオチドの3'末端が、前記配列の前記PCTA-1
    関連バイアレリックマーカーの1ヌクレオチド上流に位置する、請求項27に記載
    のポリヌクレオチド。
  29. 【請求項29】 前記ポリヌクレオチドが、実質的に、配列D1〜D125および
    E1からE125から選択される配列からなる、請求項28に記載のポリヌクレオチド。
  30. 【請求項30】 実質的に、配列B1〜B47およびC1〜C47から選択される配列
    からなる、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチドまたは組
    換えポリヌクレオチド。
  31. 【請求項31】 配列番号5の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含むポリ
    ペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオ
    チドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
    ン残基ならびに/または 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基を含む、前記ポリヌクレオチド。
  32. 【請求項32】 配列番号6の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含むポリ
    ペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオ
    チドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位のリシ
    ン残基ならびに/または 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、特に、配列番
    号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含む、前
    記ポリヌクレオチド。
  33. 【請求項33】 配列番号7の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含むポリ
    ペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオ
    チドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
    ン残基ならびに/または 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、特
    に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10
    を含む、前記ポリヌクレオチド。
  34. 【請求項34】 配列番号8の少なくとも12ヌクレオチドの連続スパンまた
    はその相補体を含む、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオチ
    ドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号8のヌ
    クレオチド位置1〜500、501〜1000、1001〜1500および1501〜1738のうち少なく
    とも1つを含んでなる、前記ポリヌクレオチド。
  35. 【請求項35】 配列番号9の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含むポリ
    ペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド、精製されたポリヌクレオ
    チドまたは組換えポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号9の
    アミノ酸位置1〜50、51〜100、101〜150、151〜200、201〜250および251〜316の
    うち少なくとも1つを含んでなる、前記ポリヌクレオチド。
  36. 【請求項36】 PCTA-1関連バイアレリックマーカーまたはその相補体のヌ
    クレオチドの同一性を判定するハイブリダイゼーションアッセイに使用するため
    のポリヌクレオチド。
  37. 【請求項37】 PCTA-1関連バイアレリックマーカーまたはその相補体のヌ
    クレオチドの同一性を判定するシークエンシングアッセイに使用するためのポリ
    ヌクレオチド。
  38. 【請求項38】 PCTA-1関連バイアレリックマーカーまたはその相補体のヌ
    クレオチドの同一性を判定する酵素ベースのミスマッチ検出アッセイに使用する
    ためのポリヌクレオチド。
  39. 【請求項39】 PCTA-1関連バイアレリックマーカーまたはその相補体を含
    むヌクレオチドセグメントの増幅に使用するためのポリヌクレオチド。
  40. 【請求項40】 固相支持体に結合された、請求項1〜39のいずれか1項に記
    載のポリヌクレオチド。
  41. 【請求項41】 請求項37に記載の少なくとも1種のポリヌクレオチドを含
    むポリヌクレオチドのアレイ。
  42. 【請求項42】 前記アレイがアドレス指定可能なものである、請求項41に
    記載のアレイ。
  43. 【請求項43】 標識をさらに含む、請求項1〜39のいずれか1項に記載のポ
    リヌクレオチド。
  44. 【請求項44】 請求項1〜16および31〜35のいずれか1項に記載のポリヌク
    レオチドを含む組換えベクター。
  45. 【請求項45】 請求項44に記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
  46. 【請求項46】 請求項44に記載の組換えベクターを含む非ヒト宿主動物ま
    たは哺乳動物。
  47. 【請求項47】 請求項1〜16および31〜35のいずれか1項に記載のポリヌク
    レオチドを含むノックアウトベクターを用いた相同的組換えによって破壊された
    PCTA-1遺伝子を含む哺乳動物宿主細胞。
  48. 【請求項48】 請求項1〜16および31〜35のいずれか1項に記載のポリヌク
    レオチドを含むノックアウトベクターを用いた相同的組換えによって破壊された
    PCTA-1遺伝子を含む非ヒト宿主哺乳動物。
  49. 【請求項49】 生物学的試料においてPCTA-1関連バイアレリックマーカー
    またはその相補体のヌクレオチドの同一性を判定することを含む、遺伝子型判定
    方法。
  50. 【請求項50】 前記生物学的試料が単一の被検体に由来するものである、
    請求項49に記載の方法。
  51. 【請求項51】 前記バイアレリックマーカーのヌクレオチドの同一性を、
    前記個体のゲノムに存在する前記バイアレリックマーカーの両コピーについて判
    定する、請求項50に記載の方法。
  52. 【請求項52】 前記生物学的試料が複数の被検体に由来するものである、
    請求項49に記載の方法。
  53. 【請求項53】 前記判定ステップの前に、バイアレリックマーカーを含む
    前記配列の一部を増幅するステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
  54. 【請求項54】 前記増幅をPCRによって行う、請求項53に記載の方法。
  55. 【請求項55】 前記判定をハイブリダイゼーションアッセイによって行う
    、請求項49に記載の方法。
  56. 【請求項56】 前記判定をシークエンシングアッセイによって行う、請求
    項49に記載の方法。
  57. 【請求項57】 前記判定をマイクロシークエンシングアッセイによって行
    う、請求項49に記載の方法。
  58. 【請求項58】 前記判定を酵素ベースのミスマッチ検出アッセイによって
    行う、請求項49に記載の方法。
  59. 【請求項59】 個体群におけるPCTA-1関連バイアレリックマーカーのアレ
    ル頻度を推定する方法であって、 a) 請求項49に記載の方法によって、前記バイアレリックマーカーについて前
    記個体群に含まれる個体の遺伝子型を判定するステップと、 b) 前記個体群における前記バイアレリックマーカーの比例表現を決定するス
    テップと、を含む方法。
  60. 【請求項60】 遺伝子型と形質との間の関連性を検出するための方法であ
    って、 a) 請求項59に記載の方法に従って、形質陽性個体群における少なくとも1つ
    のPCTA-1関連バイアレリックマーカーの頻度を判定するステップと、 b) 請求項59に記載の方法に従って、対照個体群における少なくとも1つのPCT
    A-1関連バイアレリックマーカーの頻度を判定するステップと、 c) 前記遺伝子型と前記形質との間に統計的に有意な関連性があるか否かを判
    定するステップと、を含む方法。
  61. 【請求項61】 個体群におけるバイアレリックマーカーのセットについて
    のハプロタイプの頻度を推定する方法であって、 a) 前記個体群における各個体について、請求項50に記載の方法に従って少な
    くとも1つのPCTA-1関連バイアレリックマーカーの遺伝子型を判定するステップ
    と、 b) 前記個体群の各個体のゲノムに存在する第2のバイアレリックマーカーの
    両コピーについて、前記第2のバイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの
    同一性を判定することによって前記第2のバイアレリックマーカーの遺伝子型を
    判定するステップと、 c) ステップa)およびb)において特定されたヌクレオチドの同一性にハプロタ
    イプ決定法を適用し、前記頻度の推定値を得るステップと、を含む方法。
  62. 【請求項62】 前記ハプロタイプ決定法が、非対称PCR増幅、特定のアレ
    ルの二重PCR増幅、クラーク(Clark)アルゴリズムおよび期待値最大化アルゴリズ
    ムからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
  63. 【請求項63】 ハプロタイプと形質との間の関連性を検出する方法であっ
    て、 a) 請求項62に記載の方法に従って、形質陽性個体群における少なくとも1つ
    のハプロタイプの頻度を推定するステップと、 b) 請求項62に記載の方法に従って、対照個体群における前記ハプロタイプの
    頻度を推定するステップと、 c) 前記ハプロタイプと前記形質との間に統計的に有意な関連性があるか否か
    を判定するステップと、を含む方法。
  64. 【請求項64】 前記遺伝子型を判定するステップa)およびb)を、前記個体
    群の各々から得てプールした単一の生物学的試料について行う、請求項60に記載
    の方法。
  65. 【請求項65】 前記遺伝子型を判定するステップa)およびb)を、前記個体
    群における各個体由来の生物学的試料について別々に行う、請求項60に記載の方
    法。
  66. 【請求項66】 前記形質が、癌、前立腺癌、前立腺癌の早期発症、前立腺
    癌に対する治療またはワクチン接種に関する有効な応答または副作用、前立腺癌
    に対する羅患性、前立腺癌腫瘍の攻撃性レベル、PCTA-1遺伝子の変更発現もしく
    はすでに起こりかけている発現、PCTA-1タンパク質の変更産生もしくはすでに起
    こりかけている産生、または修飾PCTA-1タンパク質の産生である、請求項60また
    は63に記載の方法。
  67. 【請求項67】 前記形質が前立腺癌である、請求項66に記載の方法。
  68. 【請求項68】 前記対照個体群が形質陰性個体群である、請求項60または
    63に記載の方法。
  69. 【請求項69】 前記症例対照個体群が無作為個体群である、請求項60また
    は63に記載の方法。
  70. 【請求項70】 配列番号5の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含む、単
    離されたポリペプチド、精製されたポリペプチドまたは組換えポリペプチドであ
    って、前記連続スパンが、 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
    ン残基ならびに/または 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基を含む、前記ポリペプチド。
  71. 【請求項71】 配列番号6の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含む、単
    離されたポリペプチド、精製されたポリペプチドまたは組換えポリペプチドであ
    って、前記連続スパンが、 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位のリシ
    ン残基ならびに/または 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、特に、配列番
    号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含む、前
    記ポリペプチド。
  72. 【請求項72】 配列番号7の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含む、単
    離されたポリペプチド、精製されたポリペプチドまたは組換えポリペプチドであ
    って、前記連続スパンが、 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
    ン残基、ならびに/または 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、特
    に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10
    を含む、前記ポリペプチド。
  73. 【請求項73】 配列番号9の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含む、単
    離されたポリペプチド、精製されたポリペプチドまたは組換えポリペプチドであ
    って、前記連続スパンが、配列番号9のアミノ酸位置1〜50、51〜100、101〜150
    、151〜200、201〜250および251〜316のうち少なくとも1つを含んでなる、前記
    ポリペプチド。
  74. 【請求項74】 請求項70に記載のポリペプチドのエピトープ含有フラグメ
    ントに選択的に結合可能である、単離された抗体組成物または精製された抗体組
    成物であって、前記エピトープが、 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
    ン残基、ならびに/または 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基、を含む、前記抗体組成物。
  75. 【請求項75】 請求項71に記載のポリペプチドのエピトープ含有フラグメ
    ントに選択的に結合可能である、単離された抗体組成物または精製された抗体組
    成物であって、前記エピトープが、 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位のリシ
    ン残基ならびに/または 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または エキソン6bisによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、特に、配列番
    号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10、を含む、
    前記抗体組成物。
  76. 【請求項76】 請求項72に記載のポリペプチドのエピトープ含有フラグメ
    ントに選択的に結合可能である、単離された抗体組成物または精製された抗体組
    成物であって、前記エピトープが、 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位のリシ
    ン残基、ならびに/または 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン残基、
    アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基からなる
    群で選択される少なくとも1つの残基ならびに/または エキソン9bisおよび9terによってコードされるアミノ酸を少なくとも1つ、特
    に、配列番号7のアミノ酸313〜368位の少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10
    を含む、前記抗体組成物。
  77. 【請求項77】 請求項73に記載のポリペプチドのエピトープ含有フラグメ
    ントに選択的に結合可能である、単離された抗体組成物または精製された抗体組
    成物であって、前記エピトープが、配列番号9のアミノ酸位置1〜50、51〜100、1
    01〜150、151〜200、201〜250および251〜316のうち少なくとも1つを含んでなる
    、前記抗体組成物。
  78. 【請求項78】 個体に前立腺癌発症の危険性があるか否かを判定する方法
    であって、 a) 請求項51に記載の方法に従って、少なくとも1つのPCTA-1関連バイアレリ
    ックマーカーの遺伝子型を判定するステップと、 b) ステップa)で得られる結果と前立腺癌発症の危険性とを相関させるステッ
    プと、を含む方法。
  79. 【請求項79】 前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、A1〜A125およ
    びその相補体からなる群から選択される、請求項49、59、60、61、63および78の
    いずれか1項に記載の方法。
  80. 【請求項80】 前記PCTA-1関連バイアレリックマーカーが、バイアレリッ
    クマーカーA2、A30、A41、A55およびA57およびその相補体から選択される、請求
    項78に記載の方法。
  81. 【請求項81】 請求項17〜30、40および43のいずれか1項に記載のポリヌ
    クレオチドを含む診断用キット。
  82. 【請求項82】 a) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35
    、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続
    スパンであって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜70715、7
    0795〜82207、82297〜83612、83824〜85297、85418〜86388、86446〜87495、875
    23〜88294、88384〜89483、89650〜92748、97156〜98309、98476〜99329、99491
    〜100026、100212〜100281、100396〜100538、100682〜100833、100995〜101920
    、102087〜102970、103264〜103724および103753〜106746のうち少なくとも1つ
    、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 b) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号1の70728位、87860位、88297位、94
    432位および95340位のヌクレオチドG、配列番号1の82218位、83644位、83808位
    、87787位、87806位、94218位および97144位のヌクレオチドA、配列番号1の8790
    2位、88215位、88283位、92760位、93726位および94422位のヌクレオチドCなら
    びに配列番号1の93903位および94170位のヌクレオチドTからなる群から選択され
    るヌクレオチドを少なくとも1つ含むもの、 c) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号1の86435位、93592位、93680位、93
    681位、93682位、93728位、93761位および95445位のヌクレオチドG、配列番号1
    の86434位、88355位、93240位、93471位および93747位のヌクレオチドA、配列番
    号1の93683位、95126位および95444位のヌクレオチドCならびに配列番号1の9415
    4位および94430位のヌクレオチドTからなる群から選択されるヌクレオチドを少
    なくとも1つ含むもの、 d) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置92975〜92977
    、93711〜93715、94151〜94153、94240〜94243、94770〜94773、94804〜94808、
    95121〜95122、95129〜95135、95148〜95153、95154〜95159、95173〜95178、95
    367〜95374、95410〜95413、95418〜95420、95430〜95436、95533〜95535および
    95677〜95677からなる群から選択されるヌクレオチド位置を含んでなるもの、 e) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1〜162のうち
    少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 f) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号2の253位、363位、527位、2471位お
    よび5397位のヌクレオチドA、配列番号2の1013位、1979位および2675位のヌクレ
    オチドC、配列番号2の176位、749位、2685位、3593位のヌクレオチドGならびに
    配列番号2の2156位および2423位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレ
    オチドを少なくとも1つ含むもの、 g) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号2の708位、807位、1493位、1724位
    および2000位のヌクレオチドA、1936位、3379位および3697位のヌクレオチドC、
    709位、1845位、1933位、1934位、1935位、1981位、2014位および3698位のヌク
    レオチドGならびに2407位および2683位のヌクレオチドTからなる群で選択される
    ヌクレオチドを少なくとも1つ含むもの、 h) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1229〜1231、1
    964〜1968、2404〜2406、2493〜2496、3023〜3026、3057〜3061、3374〜3375、3
    382〜3388、3401〜3406、3407〜3412、3426〜3431、3620〜3627、3663〜3666、3
    671〜3673、3683〜3689、3786〜3788および3930〜3932からなる群から選択され
    るヌクレオチド位置を含んでなるもの、 i) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1〜162および7
    47〜872のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 j) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号3の253位、363位、527位、2597位お
    よび5523位のヌクレオチドA、配列番号3の1139位、2105位および2801位のヌクレ
    オチドC、配列番号3の176位、875位、2811位、3719位のヌクレオチドGならびに
    配列番号3の2282位および2549位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレ
    オチドを少なくとも1つ含むもの、 k) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号3の708位、807位、1619位、1850位
    および2126位のヌクレオチドA、2062位、3505位および3823位のヌクレオチドC、
    709位、1971位、2059位、2060位、2061位、2107位、2140位および3824位のヌク
    レオチドGならびに2533位および2809位のヌクレオチドTからなる群で選択される
    ヌクレオチドを少なくとも1つ含むもの、 l) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1355〜1357、1
    892〜1894、2090〜2094、2530〜2532、2619〜2622、3149〜3152、3183〜3187、3
    500〜3501、3508〜3514、3527〜3532、3533〜3538、3552〜3557、3746〜3749、3
    789〜3792、3797〜3799、3809〜3815、3912〜3914および4056〜4058からなる群
    から選択されるヌクレオチド位置を含んでなるもの、 m) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1〜162のうち
    少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 n) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号4の253位、363位、527位および2460
    位のヌクレオチドA、配列番号4の1013位のヌクレオチドCならびに配列番号4の17
    6位および749位のヌクレオチドGからなる群で選択されるヌクレオチドを少なく
    とも1つ含むもの、 o) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号4の708位および807位のヌクレオチ
    ドAならびに709位のヌクレオチドGからなる群で選択されるヌクレオチドを少な
    くとも1つ含むもの、 p) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1136〜1137の
    対を含んでなるもの、 q) 配列番号8の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号8のヌクレオチド位置1〜500、501〜
    1000、1001〜1500および1501〜1738のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは
    10を含んでなるもの、 r) 前記ヌクレオチド配列のいずれか1つに対して相補的であるヌクレオチド
    配列、 のうちいずれか1つを含む核酸コードからなる群から選択される配列を記憶させ
    た、コンピュータ読み取り可能な媒体。
  83. 【請求項83】 a) 配列番号5の少なくとも6アミノ酸の連続スパンであっ
    て、前記連続スパンが、 i) 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位
    のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
    残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
    らなる群で選択される少なくとも1つの残基を含むもの、 b) 配列番号6の少なくとも6アミノ酸の連続スパンであって、前記連続スパン
    が、 i) 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位
    のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
    残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基か
    らなる群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または iii) 配列番号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つを含んでなるもの、 c) 配列番号7の少なくとも6アミノ酸の連続スパンであって、前記連続スパン
    が、 i) 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位
    のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
    残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
    らなる群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または iii) 配列番号7のアミノ酸313〜368位のうち少なくとも1つを含んでなるも
    の、ならびに d) 配列番号9の少なくとも6アミノ酸の連続スパン、 を含むポリペプチドコードからなる配列を記憶させた、コンピュータ読み取り可
    能な媒体。
  84. 【請求項84】 プロセッサとデータ記憶デバイスとを備えるコンピュータ
    システムであって、前記データ記憶デバイスが、請求項82または83に記載のコン
    ピュータ読み取り可能な媒体であるコンピュータシステム。
  85. 【請求項85】 配列コンペアラと基準配列が記憶されているデータ記憶デ
    バイスとをさらに備える、請求項84に記載のコンピュータシステム。
  86. 【請求項86】 前記配列コンペアラが多型を示すコンピュータプログラム
    を含む、請求項85に記載のコンピュータシステム。
  87. 【請求項87】 前記配列の特徴を識別する識別子をさらに含む、請求項84
    に記載のコンピュータシステム。
  88. 【請求項88】 第1の配列と基準配列とを比較する方法であって、 配列を比較するコンピュータプログラムを用いて前記第1の配列および前記基
    準配列を読み取るステップと、 前記コンピュータプログラムを用いて前記第1の配列と前記基準配列との相違
    を確認するステップと、を含み、 前記第1の配列が、 a) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80
    、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンであって、前記
    連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜70715、70795〜82207、82297〜
    83612、83824〜85297、85418〜86388、86446〜87495、87523〜88294、88384〜89
    483、89650〜92748、97156〜98309、98476〜99329、99491〜100026、100212〜10
    0281、100396〜100538、100682〜100833、100995〜101920、102087〜102970、10
    3264〜103724および103753〜106746のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは
    10を含んでなるもの、 b) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号1の70728位、87860位、88297位、94
    432位および95340位のヌクレオチドG、配列番号1の82218位、83644位、83808位
    、87787位、87806位、94218位および97144位のヌクレオチドA、配列番号1の8790
    2位、88215位、88283位、92760位、93726位および94422位のヌクレオチドCなら
    びに配列番号1の93903位および94170位のヌクレオチドTからなる群から選択され
    るヌクレオチドを少なくとも1つ含むもの、 c) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号1の86435位、93592位、93680位、93
    681位、93682位、93728位、93761位および95445位のヌクレオチドG、配列番号1
    の86434位、88355位、93240位、93471位および93747位のヌクレオチドA、配列番
    号1の93683位、95126位および95444位のヌクレオチドCならびに配列番号1の9415
    4位および94430位のヌクレオチドTからなる群から選択されるヌクレオチドを少
    なくとも1つ含むもの、 d) 配列番号1の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置92975〜92977
    、93711〜93715、94151〜94153、94240〜94243、94770〜94773、94804〜94808、
    95121〜95122、95129〜95135、95148〜95153、95154〜95159、95173〜95178、95
    367〜95374、95410〜95413、95418〜95420、95430〜95436、95533〜95535および
    95677〜95677からなる群から選択されるヌクレオチド位置を含んでなるもの、 e) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1〜162のうち
    少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 f) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号2の253位、363位、527位、2471位お
    よび5397位のヌクレオチドA、配列番号2の1013位、1979位および2675位のヌクレ
    オチドC、配列番号2の176位、749位、2685位、3593位のヌクレオチドGならびに
    配列番号2の2156位および2423位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレ
    オチドを少なくとも1つ含むもの、 g) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号2の708位、807位、1493位、1724位
    および2000位のヌクレオチドA、1936位、3379位および3697位のヌクレオチドC、
    709位、1845位、1933位、1934位、1935位、1981位、2014位および3698位のヌク
    レオチドGならびに2407位および2683位のヌクレオチドTからなる群で選択される
    ヌクレオチドを少なくとも1つ含むもの、 h) 配列番号2の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号2のヌクレオチド位置1229〜1231、1
    964〜1968、2404〜2406、2493〜2496、3023〜3026、3057〜3061、3374〜3375、3
    382〜3388、3401〜3406、3407〜3412、3426〜3431、3620〜3627、3663〜3666、3
    671〜3673、3683〜3689、3786〜3788および3930〜3932からなる群から選択され
    るヌクレオチド位置を含んでなるもの、 i) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1〜162および7
    47〜872のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 j) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号3の253位、363位、527位、2597位お
    よび5523位のヌクレオチドA、配列番号3の1139位、2105位および2801位のヌクレ
    オチドC、配列番号3の176位、875位、2811位、3719位のヌクレオチドGならびに
    配列番号3の2282位および2549位のヌクレオチドTからなる群で選択されるヌクレ
    オチドを少なくとも1つ含むもの、 k) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号3の708位、807位、1619位、1850位
    および2126位のヌクレオチドA、2062位、3505位および3823位のヌクレオチドC、
    709位、1971位、2059位、2060位、2061位、2107位、2140位および3824位のヌク
    レオチドGならびに2533位および2809位のヌクレオチドTからなる群で選択される
    ヌクレオチドを少なくとも1つ含むもの、 l) 配列番号3の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号3のヌクレオチド位置1355〜1357、1
    892〜1894、2090〜2094、2530〜2532、2619〜2622、3149〜3152、3183〜3187、3
    500〜3501、3508〜3514、3527〜3532、3533〜3538、3552〜3557、3746〜3749、3
    789〜3792、3797〜3799、3809〜3815、3912〜3914および4056〜4058からなる群
    から選択されるヌクレオチド位置を含んでなるもの、 m) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1〜162のうち
    少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは10を含んでなるもの、 n) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号4の253位、363位、527位および2460
    位のヌクレオチドA、配列番号4の1013位のヌクレオチドCならびに配列番号4の17
    6位および749位のヌクレオチドGからなる群で選択されるヌクレオチドを少なく
    とも1つ含むもの、 o) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号4の708位および807位のヌクレオチ
    ドAならびに709位のヌクレオチドGからなる群で選択されるヌクレオチドを少な
    くとも1つ含むもの、 p) 配列番号4の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号4のヌクレオチド位置1136〜1137の
    対を含んでなるもの、 q) 配列番号8の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、8
    0、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンまたはその相
    補体であって、前記連続スパンが、配列番号8のヌクレオチド位置1〜500、501〜
    1000、1001〜1500および1501〜1738のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、5つまたは
    10を含んでなるもの、 r) 前記ヌクレオチド配列のいずれか1つに対して相補的であるヌクレオチド
    配列、 のうちいずれか1つを含む核酸コードと、 a) 配列番号5の少なくとも6アミノ酸の連続スパンであって、前記連続スパンが
    、 i) 配列番号5のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位
    のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号5のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
    残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
    らなる群で選択される少なくとも1つの残基を含むもの、 b) 配列番号6の少なくとも6アミノ酸の連続スパンであって、前記連続スパン
    が、 i) 配列番号6のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸245位
    のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号6のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
    残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸225位のアルギニン残基か
    らなる群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または iii) 配列番号6のアミノ酸183〜224位の少なくとも1つを含んでなるもの、 c) 配列番号7の少なくとも6アミノ酸の連続スパンであって、前記連続スパン
    が、 i) 配列番号7のアミノ酸170位のセリン残基および/もしくはアミノ酸203位
    のリシン残基、ならびに/または ii) 配列番号7のアミノ酸18位のチロシン残基、アミノ酸35位のシステイン
    残基、アミノ酸55位のメチオニン残基およびアミノ酸183位のアルギニン残基か
    らなる群で選択される少なくとも1つの残基、ならびに/または iii) 配列番号7のアミノ酸313〜368位のうち少なくとも1つを含んでなるも
    の、ならびに d) 配列番号9の少なくとも6アミノ酸の連続スパン、 を含むポリペプチドコードと、からなる群から選択される、前記方法。
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