JP2002528118A - ヒト脂肪細胞に特異的なAPM1のゲノム配列および全cDNA配列ならびにそのバイアレリックマーカー - Google Patents

ヒト脂肪細胞に特異的なAPM1のゲノム配列および全cDNA配列ならびにそのバイアレリックマーカー

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規なAPM1ゲノム配列、ポリペプチド、抗体およびAPM1遺伝子座由来のバイアレリックマーカーを含む、ポリヌクレオチドを提供する。これらのバイアレリックマーカーに隣接する領域とハイブリダイズするプライマーも提供する。本発明はさらに、1以上の本発明のバイアレリックマーカーについて核酸含有試料を遺伝子型判定するのに適したポリヌクレオチドおよび方法も提供する。さらに、本発明は、バイアレリックマーカーアレルと表現型との間および/またはバイアレリックマーカーハプロタイプと表現型との間の統計的相関を検出する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本件特許出願は、Bougeleretによって1998年11月4日に発明の名称「APM1のゲ
ノム配列および全cDNA配列」として出願された米国仮特許出願第60/107,113号と
、Bougeleret et alによって1999年2月10日に発明の名称「APM1のゲノム配列お
よび全cDNA配列ならびにそのバイアレリックマーカー」として出願された米国仮
特許出願第60/119,593号(図面、表または図を含む形でその開示内容全体を本願
明細書に援用する)に対して優先権を主張するものである。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、APM1遺伝子のゲノム配列およびcDNA配列ならびに、これらのポリヌ
クレオチドを検出するための方法およびキットに関する。また、本発明は、調節
領域、特にAPM1遺伝子のプロモーター領域に関する。本発明には、肥満または肥
満に関連した障害の診断に有用となり得るAPM1遺伝子のバイアレリックマーカー
が含まれる。
【0003】 (背景) 肥満は広く一般に見られる重大な公衆衛生上の問題である。先進諸国における
人口の三分の一が理想体重を少なくとも20%上回っている。この現象は、地球上
の経済が近代化した領域で特に悪化する一方である。米国では、70年代終わりに
は全体の25%であった肥満人口が90年代始めには33%まで増加している。
【0004】 肥満によって、心臓血管系疾患や代謝疾患が発症する危険性が非常に高くなる
。人口全体が理想体重であれば、冠不全の危険性が25%減少し、心不全および脳
血管障害の危険性は35%減少するであろうと推測される。冠不全、アテローム性
疾患および心不全は、肥満によって誘発される心臓血管系の合併症の中で最も重
要なものである。30%を上回る過体重で50歳未満の被検体における冠疾患の出現
率が2倍になる。他の疾患について行われている研究も同じように重要である。
過体重20%で高血圧の危険性が2倍になる。過体重30%では非インスリン依存性糖
尿病発症の危険性が3倍になり、高脂血症の危険性が6倍になる。
【0005】 肥満によって発症が助長される疾患を数えあげるときりがない。高尿酸血症(
一般人口では3.4%であるのに対し、肥満の被検体では11.4%)、消化器系疾患、肝
機能障害、さらには特定の癌ですらあげられる。
【0006】 肥満に見られる生理学的な変化の特徴が、脂肪細胞数の増加と各脂肪細胞に蓄
積されたトリグリセリドの量の増加のいずれか一方であろうと両方であろうと、
過体重は主に摂取カロリー量と体が消費するカロリー量のアンバランスから生じ
るものである。このようなアンバランスが生じる原因に関する研究の中には、食
物が吸収される機作について研究すること、よって食物の取り込みと満腹感を制
御する分子の研究に的を絞ったものがある。また、体がそのカロリーを使う経路
を調べる点を特徴とする研究もある。
【0007】 肥満に対する治療法としてすでに提案されているものには4つのタイプがある
。1) 食餌制限が最も多く採り入れられている。肥満の個体には食習慣を変えて
摂取カロリー量を抑えるように指導がなされる。このタイプの治療は短期的には
有効であるが、再発率は極めて高い。2) 肉体的な運動によって消費カロリー量
を増やすことも提案されている。この治療は単独で行ってもあまり効果はないが
、低カロリーの食事をしている被検体では体重の落ちが良くなる。3) 胃腸管系
の手術を施して摂取されるカロリーの吸収を抑える方法も効果的であるが、副作
用を伴うため事実上この方法が採られることはなかった。4) 医療的な方法では
、中枢神経系レベルで関与している分子の食欲不振誘発作用を利用するか、熱の
生成を促してエネルギー消費量を増す分子の作用を利用する。この部類に属する
典型的な分子に、ミトコンドリア呼吸鎖の酸化的リン酸化の結合を解く甲状腺ホ
ルモンがある。ただし、このタイプの治療には副作用および毒性の点で危険を伴
う。食餌に含まれる脂質を消化管の管腔で遮断し、脂質の吸収を減らすことを意
図した方法も定着している。しかしながら、これによって、許容しがたい生理学
的アンバランス(脂溶性ビタミンの吸収障害、膨満および脂肪便)が誘発される。
どのような治療方法を想定しようとも、肥満の治療はいずれも再発率が極めて高
いことが特徴である。
【0008】 人間における肥満の一因である分子の機作は複雑であり、遺伝的な要因と環境
的な要因の両方が関与している。現在までのところ知られている治療の効率は低
いため、一層良い標的医薬品を開発する上でも、肥満の決定要因となる遺伝的な
メカニズムを早急に定義すべきである。
【0009】 肥満が一臨床症状となっている疾患と関連しているか、動物モデルで肥満に関
与する遺伝子と相同であるかのいずれかの理由で、20を超える数の遺伝子が考え
得る候補として研究されてきた。最も広く研究されている遺伝子のひとつに、7q
31染色体領域に座乗するOB遺伝子がある。その産物であるレプチンは満腹になる
機作に関与している。レプチンは、さまざまな刺激の作用下で脂肪細胞によって
産生される16kDaの血漿タンパク質である。ob/obタイプの肥満マウスにはレプチ
ン遺伝子が欠失しており、これらの動物の血漿からこのタンパク質を検出するこ
とはできない。遺伝子工学によって得られるレプチンをob/obマウスに投与する
と、相対的な過食症が補正され、体重が正常値になる。レプチンのこうした食欲
不振誘発作用には、中枢神経系のレセプターであるobレセプター(クラス1のサイ
トカインレセプターのファミリに属する)が利用されている。obレセプターはdb/
db株の肥満マウスには存在しない。これらのマウスにレプチンを投与しても食物
の摂取には何ら影響せず、実質的な体重の減少も起こらない。obレセプターが満
腹信号を伝達する機作は正確には分かっていないが、神経ペプチドYがその信号
伝達経路に関与している可能性がある。この段階で、obレセプターが単なる食欲
の調節因子というだけではないことを明言しておく必要がある。メラノコルチン
4レセプターを持たないマウスも肥満であるため、このレセプターも関与してい
る(Gura,(1997))。
【0010】 レプチンの発見と中枢神経系レベルでのレプチンレセプターの特徴づけによっ
て、肥満に対する医薬品を探る上での新たな道が開かれた。しかしながら、この
モデルでは無理があることがほどなくして明らかになった。特に、唯一の例外(M
ontague et al.,(1997))を除いて、レプチンまたはそのobレセプターをコードす
る遺伝子は、肥満の人間の被検体では普通に見られることが明らかになった。さ
らに、逆説的なことではあるが、肥満の人間の被検体ではほとんどの事例でレプ
チンすなわち満腹ホルモンの血漿濃度が異常に高いのである。
【0011】 当然ながら、人間の体重を減らすのに役立つ新規な医薬品に対する必要性が残
っている。このような薬学的組成物は肥満を制御する一助となり、肥満の状態に
関連して生じる心臓血管系の問題の多くを制御する一助となるであろう。
【0012】 脂肪組織の分泌タンパク質をコードするものにヒト脂肪細胞特異的APM1遺伝子
があるが、この遺伝子は肥満の病因に何らかの形で関与している可能性がある。
APM1ゲノム配列について、特にプロモーター配列およびスプライス結合配列の両
方について知ることで、脂質の代謝に作用し、肥満による障害を診断および治療
する上で有用な新規な診断薬および治療ツールを設計することができる。
【0013】 (発明の概要) 本発明は、調節領域を含むAPM1遺伝子のゲノム配列とAPM1タンパク質をコード
する全cDNA配列とを単離して特徴づけすることから出たものである。APM1のゲノ
ム配列を特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブおよびプライ
マーも本発明の一部である。本発明のさらに他の目的は、本発明に記載のいずれ
かの核酸配列を含む組換えベクター、特に、APM1のプロモーター領域またはAPM1
タンパク質をコードする配列を含む組換えベクターならびに、前記核酸配列また
は組換えベクターを含む細胞宿主にある。本発明はまた、APM1遺伝子の発現を調
節または阻害する分子のスクリーニング方法も包含する。また、本発明は、APM1
ゲノム配列内に位置するバイアレリックマーカーにも関するものである。これら
のバイアレリックマーカーは、APM1遺伝子の特定のアレルと肥満に関連した1つ
または複数の障害との間の統計的に有意な関連性を特定するための有用なツール
である。
【0014】 (配列表に列挙した配列の簡単な説明) 配列番号1は、5'調節領域(上流の非翻訳領域)と、エキソンおよびイントロン
と、3'調節領域(下流の非翻訳領域)とを有するAPM1のゲノム配列を含む。 配列番号2は、APM1遺伝子の5'調節領域(上流の非翻訳領域)を含む。 配列番号3は、APM1遺伝子の3'調節領域(下流の非翻訳領域)を含む。 配列番号4はAPM1の部分5'cDNAを含む。 配列番号5はヒトの全APM1 cDNAを含む。 配列番号6は、配列番号5のcDNAによってコードされるAPM1タンパク質を含む。 配列番号7は、実施例2にてさらに説明する別のPU5'配列を含むプライマーを含
む。 配列番号8は、実施例2にてさらに説明する別のRP5'配列を含むプライマーを含
む。
【0015】 配列表に関する規則によれば、配列表では以下のコードを使用して、配列内で
のバイアレリックマーカーの位置を示すと共に、多型塩基に存在する各アレルを
特定してある。配列中のコード「r」は、多型塩基の一方のアレルがグアニンで
他方のアレルがアデニンであることを示す。配列中のコード「y」は、多型塩基
の一方のアレルがチミンで他方のアレルがシトシンであることを示す。配列中の
コード「m」は、多型塩基の一方のアレルがアデニンで他方のアレルがシトシン
であることを示す。配列中のコード「k」は、多型塩基の一方のアレルがグアニ
ンで他方のアレルがチミンであることを示す。配列中のコード「s」は、多型塩
基の一方のアレルがグアニンで他方のアレルがシトシンであることを示す。配列
中のコード「w」は、多型塩基の一方のアレルがアデニンで他方のアレルがチミ
ンであることを示す。各バイアレリックマーカーのオリジナルアレルのヌクレオ
チドコードは以下のとおりである。
【0016】 バイアレリックマーカー オリジナルアレル 9-27-261 G 99-14387-129 A 9-12-48 T 9-12-124 T 9-12-355 G 9-12-428 A 99-14405-105 G
【0017】 場合によっては、コードされるポリペプチドのアミノ酸の正体がバイアレリッ
クマーカーの多型塩基によって変化する。これについて、フィーチャーVARIANT
を使用し、Xaaを多型アミノ酸の位置に置き、他の2つのアミノ酸をXaaで定義し
て添付の配列表に示す。たとえば、バイアレリックマーカーの一方のアレルがヒ
スチジンをコードするコドンCACであれば、このバイアレリックマーカーの他方
のアレルはグルタミンをコードするCAAである。コードされるポリペプチドを示
す配列表では、多型アミノ酸の位置にXaaを含む。この例では、Xaaはヒスチジン
またはグルタミンとして定義される。
【0018】 他の例では、ヌクレオチド配列が曖昧で正体が不明のアミノ酸にXaaをあてて
もよい。この例では、フィーチャーUNSUREを使用し、Xaaを未知のアミノ酸の位
置に置き、Xaaを20種のアミノ酸または遺伝コードによって示唆される一定数の
アミノ酸のうちいずれかとして定義する。
【0019】 (詳細な説明) 本発明の目的は、被検試料においてAPM1遺伝子の存在を検出する、あるいは、
被検試料中に存在するAPM1 mRNA分子を検出するための好適な手段を設計する上
で特に有用な、この遺伝子由来のポリヌクレオチドを提供することにある。また
、本発明では、APM1遺伝子の発現に関与し、APM1の発現を調節可能な手段を設計
する目的で用いることのできるポリヌクレオチドについても扱う。興味の対象で
ある所望のポリヌクレオチドを発現させるための好適な手段の設計に本発明の他
のポリヌクレオチドが有用である。また、本発明は、APM1遺伝子のバイアレリッ
クマーカーも包含する。
【0020】 (定義) 本発明を一層詳細に説明する前に、下記の定義によって、本願明細書において
本発明について説明する上で用いる用語の意味と範囲を示し、定義する。
【0021】 「APM1遺伝子」という用語は、本願明細書で使用するにあたり、ゲノムDNAの
未翻訳調節領域を含む、APM1タンパク質をコードするゲノム配列、mRNA配列およ
びcDNA配列を包含する。
【0022】 「異種タンパク質」という用語は、本願明細書で使用するにあたり、APM1タン
パク質以外のあらゆるタンパク質またはポリペプチドを示すことを意図している
。特に、異種タンパク質は、APM1調節領域を用いた実験でマーカーとして使用で
きる化合物である。
【0023】 「単離された」という表現で示す物質は、その本来あるべき環境(たとえば、
天然由来のものであれば自然環境)から外れたものでなければならない。たとえ
ば、生きた動物が持つ天然由来のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離さ
れたとは言わないが、同じポリヌクレオチドまたはDNAまたはポリペプチドを天
然系で共存しているいくつかの物質またはすべての物質から分離すると、これは
単離されたことになる。かかるポリヌクレオチドがベクターの一部である、およ
び/または、かかるポリヌクレオチドまたはポリペプチドが組成物の一部である
こともあるが、このような状態であっても、そのベクターや組成物が天然環境の
一部をなしているのでなければ、単離されているとする。
【0024】 「精製された」という表現は絶対的な純度を必要とするものではなく、相対的
に定義することを意図して用いられる。出発材料または天然材料を、少なくとも
1桁、好ましくは2桁または3桁、一層好ましくは4桁または5桁まで精製すること
が特に企図するところである。一例として、0.1%濃度から10%濃度への精製で2桁
の精製になる。
【0025】 本願明細書では、他の核酸、含水炭素、脂質およびタンパク質(ポリヌクレオ
チドの合成に使用される酵素など)を含むがこれに限定されるものではない他の
化合物から分離された本発明のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドベクタ
ー、あるいは線状ポリヌクレオチドから共有結合的に緊密なポリヌクレオチドを
分離することを示す上で、「精製されたポリヌクレオチド」または「精製された
ポリヌクレオチドベクター」という表現を使用する。ポリヌクレオチドは、試料
の少なくとも約50%、好ましくは60〜75%が単一のポリヌクレオチド配列およびコ
ンホメーション(線状vs.共有結合的に緊密)を呈する限り、実質的に純粋なもの
である。実質的に純粋なポリヌクレオチドは通常、核酸試料を約50%w/w、好まし
くは60〜90%w/w含み、より一般には純度が約95%、好ましくは約99%を上回る。ポ
リヌクレオチドの純度または均一性は、試料のアガロースゲル電気泳動またはポ
リアクリルアミドゲル電気泳動などの従来技術において周知のさまざまな手段を
適用し、ゲルの染色時に単一のポリヌクレオチドバンドを可視化するなどの方法
で示される。特定の目的では、HPLCまたは従来技術において周知の他の手段によ
って一層高い解像度を得ることができる。
【0026】 「ポリペプチド」という用語は、ポリマーの長さとは無関係にアミノのポリマ
ーを示す。したがって、ポリペプチドの定義には、ペプチド、オリゴペプチドお
よびタンパク質が含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの翻訳後修飾を特定
するものでもこれを除外するものでもない。たとえば、グリコシル基、アセチル
基、リン酸基、脂質基などが共有結合的に付加されたポリペプチドもポリペプチ
ドという用語に明示的に包含される。さらに、この定義には、1種またはそれ以
上のアミノ酸類似物(たとえば、非天然由来のアミノ酸、生物学的な独立系で天
然にのみ発生するアミノ酸、哺乳動物系由来の修飾アミノ酸などを含む)を含有
するポリペプチド、置換結合を有するポリペプチドの他、従来技術において周知
の天然由来および非天然由来の他の修飾も含まれる。
【0027】 本願明細書では、「組換え体のポリペプチド」という用語を、人為的に設計さ
れ、もとの天然環境にある連続したポリペプチド配列には見られないポリペプチ
ド配列を少なくとも2つ有するポリペプチドを示すものとして使用する。あるい
は、組換え体のポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドを示すものとして
使用する。
【0028】 本願明細書では、核酸、脂質、含水炭素、他のタンパク質を含むがこれに限定
されるものではない他の化合物から分離された本発明のポリペプチドを示す上で
、「精製されたポリペプチド」という表現を使用する。ポリペプチドは、試料が
少なくとも約50%、好ましくは60〜75%が単一のポリペプチド配列を含む限り、実
質的に純粋なものである。実質的に純粋なポリペプチドは通常、約50%w/w、好ま
しくは60〜90%w/w、より好ましくは95〜99%w/wのタンパク質試料を含む。ポリペ
プチドの純度または均一性は、試料のアガロースゲル電気泳動またはポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動などの従来技術において周知のさまざまな手段を適用し、
ゲルの染色時にポリペプチドバンドを可視化するなどの方法で示される。特定の
目的では、HPLCまたは従来技術において周知の他の手段によって一層高い解像度
を得ることができる。
【0029】 本願明細書において、「非ヒト動物」という用語は、人間以外のあらゆる脊椎
動物および鳥類を示し、通常は哺乳動物、好ましくは霊長類、ブタ、ヤギ、ヒツ
ジ、ロバおよびウマなどの家畜動物、ウサギすなわちげっ歯類、さらに好ましく
はラットまたはマウスである。本願明細書において、「動物」という用語は、あ
らゆる脊椎動物、好ましくは哺乳動物の意味で用いられる。「動物」および「哺
乳動物」のいずれの用語も、「非ヒト」という用語が明記されている場合を除き
、ヒトの被検体も明示的に含むものとする。
【0030】 本願明細書において、「抗体」という用語は、ポリペプチド単体または少なく
とも1つの結合ドメインで構成される複数のポリペプチドの集合を意味する。こ
の場合、抗体結合ドメインは、抗体分子の可変ドメインの折り畳みで形成され、
内面形状および電荷の分布が抗原の抗原決定基の特徴と相補的な三次元結合空間
を形成する。これによって、抗原に対する免疫反応が可能になる。抗体としては
、結合ドメインを有する組換えタンパク質の他、Fab、Fab'、F(ab)2およびF(ab'
)2フラグメントをはじめとするフラグメントがあげられる。
【0031】 本願明細書において、抗原-抗体反応の特異性を決定する抗原分子(本願の場合
はAPM1ポリペプチド)の一部が「抗原決定基」である。ポリペプチドの抗原決定
基は「エピトープ」と呼ばれる。エピトープは、空間コンホメーションにわずか
3個のアミノ酸を含むことができるが、これはエピトープに特有の特徴である。
通常、エピトープはこのようなアミノ酸少なくとも6個で構成され、一般にはこ
のようなアミノ酸少なくとも8〜10個で構成される。エピトープを構成している
アミノ酸の判定方法としては、x線結晶解析、二次元核磁気共鳴の他、H. Mario
Geysen et al. 1984. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:3998-4002、国際特許
出願公開第WO 84/03564号および同第WO 84/03506号に記載されているようなPeps
can法などのエピトープマッピングがあげられる。
【0032】 本願明細書全体を通して、ポリヌクレオチドまたは核酸を同じように示すのに
「ヌクレオチド配列」という表現を用いることがある。正確に言うと、「ヌクレ
オチド配列」という表現は、核材料自体を包含するため、特定のDNA分子またはR
NA分子を生化学的に特徴付ける配列情報(すなわち、塩基を示す4つの文字を組み
合わせた文字列)に限定されるものではない。
【0033】 本願明細書において同義に用いられるものとして、「核酸」「オリゴヌクレオ
チド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、2つ以上のヌクレオチドの一
本鎖または二本鎖のいずれかで構成されるRNA配列、DNA配列またはRNA/DNAハイ
ブリッド配列を含む。本願明細書において、形容詞としての「ヌクレオチド」と
いう用語は、特に長さを限定せず一本鎖または二本鎖のRNA配列、DNA配列または
RNA/DNAハイブリッド配列を含む分子を示す。本願明細書では、「ヌクレオチド
」という用語を、個々のヌクレオチドまたは多種多様なヌクレオチドすなわち1
つの分子、あるいは、プリンまたはピリミジン、リボースまたはデオキシリボー
ス糖部分と、リン酸基あるいは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに
含まれるヌクレオチドである場合はリン酸ジエステル連鎖を含む、大きな核酸分
子に含まれる個々の単位を示す名詞としても使用する。本願明細書では、「ヌク
レオチド」という用語を、(a)選択的結合基、(b)プリンに類似の形態、(c)ピリ
ミジンに類似の形態、(d)類似の糖類のうち少なくとも1つの修飾を含む「修飾ヌ
クレオチド」を包含するものとして使用する。これには、類似の結合基、プリン
、ピリミジンおよび糖などのうち少なくとも1つを含むものも包含される(たとえ
ば、国際特許出願公開第WO 95/04064号を参照のこと)。本発明のポリヌクレオチ
ド配列は、合成、組換え、ex vivo生成またはこれらの組み合わせの他、従来技
術において周知の精製方法を用いるなど、周知のどのような方法で調製したもの
であってもよい。
【0034】 「プロモーター」という用語は、遺伝子の特異的な転写を開始するのに必要な
細胞の合成装置が認識できるDNA配列を示す。
【0035】 プロモーターなどの制御配列に「作用的に結合した」配列は、前記調節要素の
核酸に対する位置および配向が正しく、興味の対象となる核酸の発現とRNAポリ
メラーゼの開始を制御できる状態を意味する。本願明細書において、「作用的に
結合した」という用語は、ポリヌクレオチド要素が機能的に連鎖をなした状態を
示す。たとえば、プロモーターまたはエンハンサーがコード配列の転写に影響す
るような場合、これらのプロモーターやエンハンサーがコード配列に作用的に結
合しているという。より正確には、2つのポリヌクレオチド間の連鎖の性質によ
って、(1) フレームシフト変異の導入が生じない、あるいは、(2) プロモーター
を有するポリヌクレオチドがコーディングポリヌクレオチドの転写を指示する機
能に何ら影響がでない場合に、これら2つのDNA分子(プロモーター領域を有する
ポリヌクレオチドと所望のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするポ
リヌクレオチドなど)が「作用的に結合した」状態にあるという。
【0036】 「プライマー」という用語は、標的ヌクレオチド配列と相補であり、標的ヌク
レオチド配列とハイブリダイズするのに使用される特定のオリゴヌクレオチド配
列を示す。プライマーは、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素
のいずれかが触媒するヌクレオチド重合の開始点として機能する。
【0037】 「プローブ」という用語は、試料中に存在する特定のポリヌクレオチド配列の
同定に使用できる定義済の核酸セグメント(あるいは下記において定義するポリ
ヌクレオチドなどのヌクレオチド類似セグメント)であって、同定対象となる特
定のポリヌクレオチド配列の相補配列であるヌクレオチド配列を有する前記核酸
セグメントを示す。
【0038】 「形質」および「表現型」という用語は、本願明細書では同義に用いられ、生
物の可視的な性質、検出可能な性質またはこれ以外の場合であれば測定可能な性
質一切を意味するものであり、一例として疾患の徴候または疾患に対する感受性
があげられる。本願明細書では通常、肥満または肥満に関連した障害、特に、ア
テローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性、高血圧症、2型糖尿病の肥満個体に
おける細小血管障害、2型糖尿病の肥満個体における細小血管障害に関連した眼
病変、または2型糖尿病の肥満個体における細小血管障害に関連した腎病変の症
状またはこれらに対する羅患性を示すときに「形質」または「表現型」という用
語を用いる。
【0039】 「アレル」という用語は、本願明細書では、ヌクレオチド配列の変異体を示す
。バイアレリック多型は2つの形態を有する。一般に、最初に同定されたアレル
が起始アレル、他方のアレルが選択的アレルとされる。複相生物は、アレル形態
がホモ接合性のこともあればヘテロ接合性のこともある。
【0040】 「ヘテロ接合率」という用語は、本願明細書では、特定のアレルでヘテロ接合
的である個体が個体群に出現する率を示す。バイアレリック系では、ヘテロ接合
率は平均で2Pa(1-Pa)に等しい(式中、Paは共通性が最も乏しいアレルの頻度を意
味する)。遺伝研究に役立つものとするために、遺伝マーカーのヘテロ接合性を
適当なレベルに定め、無作為に選択した個人がヘテロ接合的になる確率が最も高
くなるようにする必要がある。
【0041】 「遺伝子型」という用語は、本願明細書では、個体または試料中に存在するア
レルの正体を示す。本発明の文脈では、遺伝子型は、個体または試料中に存在す
るバイアレリックマーカーアレルのことを示すものであると好ましい。試料また
は個体のバイアレリックマーカーの「遺伝子型を判定する」という表現は、個体
のバイアレリックマーカー部分にある特定のヌクレオチドまたは特定のアレルを
判定することを指す。
【0042】 「変異」という用語は、本願明細書では、異なるゲノムまたは個体間の頻度1%
未満のDNA配列の違いを示す。
【0043】 「ハプロタイプ」という用語は、個体または試料中に存在するアレルの組み合
わせを示す。本発明の文脈では、ハプロタイプは、特定の個体において見出され
、表現型に関連している場合があるバイアレリックマーカーアレルの組み合わせ
を示すものであると好ましい。
【0044】 「多型」という用語は、本願明細書では、異なるゲノムまたは個体間で2以上
の選択的ゲノム配列またはアレルが出現することを示す。「多型の」という表現
は、特定のゲノム配列の2以上の変異体が個体群に見出される可能性がある状態
を示す。「多型部位」は、バリエーションが発生する座である。単一ヌクレオチ
ド多型は、多型部位で1つのヌクレオチドが別のヌクレオチドに置換されたもの
である。1つのヌクレオチドの欠失または1つのヌクレオチドの挿入によっても単
一ヌクレオチド多型が生じる。本発明の文脈では、「単一ヌクレオチド多型」は
、1つのヌクレオチドの置換を示すものであると好ましい。一般に、異なる個体
間では、多型部位を2つの異なるヌクレオチドが占めている場合がある。
【0045】 「バイアレリック多型」および「バイアレリックマーカー」という用語は、本
願明細書では同義のものとして用いられ、個体群に2つのアレルを極めて高い頻
度で有する単一ヌクレオチド多型を示す。「バイアレリックマーカーアレル」は
、バイアレリックマーカー部位に存在するヌクレオチド変異体を示す。一般に、
本発明によるバイアレリックマーカーでは、共通性の乏しいアレルの頻度が1%を
上回り、好ましくは頻度が10%を上回り、さらに好ましくは頻度が少なくとも20%
(すなわち、ヘテロ接合率は少なくとも0.32)、さらに一層好ましくは頻度が少な
くとも30%(すなわち、ヘテロ接合率は少なくとも0.42)であることが実証されて
いる。共通性の乏しいアレルの頻度が30%以上であるバイアレリックマーカーを
「高品質バイアレリックマーカー」とする。
【0046】 ポリヌクレオチドに含まれるヌクレオチドの、ポリヌクレオチドの中心に対す
る位置を、本願明細書では以下の通り定義する。ポリヌクレオチドに含まれるヌ
クレオチドの数が奇数である場合は、ポリヌクレオチドの3'末端および5'末端か
ら等距離にあるヌクレオチドをそのポリヌクレオチドの「中心に」あるとみなし
、中心のヌクレオチドに隣接するヌクレオチドまたは中心のヌクレオチド自体を
「中心から1ヌクレオチド以内」とする。ポリヌクレオチドに含まれるヌクレオ
チドの数が奇数であれば、たとえばポリヌクレオチドの中心にある5カ所のヌク
レオチド位置はいずれも中心から2ヌクレオチド以内ということになる。ポリヌ
クレオチドに含まれるヌクレオチドの数が偶数である場合は、このポリヌクレオ
チドには結合が含まれ、ポリヌクレオチドの中心のヌクレオチドは存在しない。
したがって、中心の2つのヌクレオチドがいずれも「中心から1ヌクレオチド以内
」とみなされ、ポリヌクレオチドの中心にある4つのヌクレオチドはいずれも「
中心から2ヌクレオチド以内」という具合になる。1つ以上のヌクレオチドの置換
、挿入または欠失が絡む多型の場合は、その多型の、置換、挿入または欠失され
たポリヌクレオチドとポリヌクレオチドの3'末端からの距離と、その多型の、置
換、挿入または欠失されたポリヌクレオチドとポリヌクレオチドの5'末端からの
距離との差が、0ヌクレオチドまたは1ヌクレオチドの場合に、その多型、アレル
またはバイアレリックマーカーがポリヌクレオチドの「中心にある」とする。こ
の差が0〜3の場合、その多型は「中心から1ヌクレオチド以内」であるとされる
。差が0〜5の場合、その多型は「中心から2ヌクレオチド以内」であるとされる
。差が0〜7であれば、その多型は「中心から3ヌクレオチド以内」という具合に
なる。
【0047】 「上流」という用語は、本願明細書では、特定の基準点からポリヌクレオチド
の5'末端に向かう位置を示す。
【0048】 「塩基対の」および「Watson & Crick塩基対の」という表現は、本願明細書で
は同義に用いられ、二重らせん状のDNAにおいて見られるものと同様に、アデニ
ン残基が2つの水素結合によってチミン残基またはウラシル残基と結合し、3つの
水素結合によってシトシン残基とグアニン残基とが結合するという配列の正体に
基づいて互いに水素結合可能なヌクレオチドを示す(Stryer, L., Biochemistry,
4th edition, 1995を参照のこと)。
【0049】 「相補的」または「その相補体」という用語は、本願明細書では、相補領域全
体がそのまま別の特定のポリヌクレオチドとWatson & Crick塩基対を形成するこ
とのできるポリヌクレオチドの配列を示す。本発明の目的で、第1のポリヌクレ
オチドの各塩基がその相補塩基と対になっている場合に、この第1のポリヌクレ
オチドは第2のポリヌクレオチドと相補であるとみなす。相補塩基は一般に、Aと
T(あるいはAとU)、またはCとGである。本願明細書では、「相補」という語を「
相補ポリヌクレオチド」「相補核酸」および「相補ヌクレオチド配列」の同義語
として使用する。これらの用語は、その配列のみに基づいてポリヌクレオチドの
対に適用されるものであり、2つのポリヌクレオチドが事実上結合状態にある特
定のセットに適用されるものではない。
【0050】 本願明細書において、「非遺伝的な」という用語は、配列番号1のヒトAPM1ゲ
ノム配列に認められるヌクレオチド位置の外に出現するAPM1関連バイアレリック
マーカーならびにポリヌクレオチドおよびプライマーを示すものとして用いられ
る。本願明細書において、「遺伝的な」という用語は、配列番号1のヒトAPM1ゲ
ノム配列に認められるヌクレオチド位置の中に出現するAPM1関連バイアレリック
マーカーならびにポリヌクレオチドおよびプライマーを示すものとして用いられ
る。
【0051】 (変異体およびフラグメント) 本発明は、本願明細書において述べるポリヌクレオチドの変異体およびフラグ
メント、特に、本発明による1つまたはそれ以上のバイアレリックマーカーを含
むAPM1遺伝子の変異体およびフラグメントにも関するものである。
【0052】 ポリヌクレオチドの変異体は、本願明細書で使用する用語として、基準ポリヌ
クレオチドとは異なるポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドの変異体は、
天然由来のバイアレリック変異体などの天然由来の変異体であっても、天然には
産生されないことが分かっている変異体であってもよい。上記のような非天然由
来のポリヌクレオチド変異体は、ポリヌクレオチド、細胞または有機体に適用さ
れる技術をはじめとする突然変異誘起技術によって作製できるものである。通常
は配列の違いには限度があるため、基準のヌクレオチド配列と変異体のヌクレオ
チド配列は全体的に見れば類似しており、多くの領域が同一である。
【0053】 本発明によるポリヌクレオチドの変異体としては、配列番号1〜4からなる群か
ら選択されるポリヌクレオチドと、あるいは配列番号1〜3からなる群から選択さ
れるポリヌクレオチドの連続した少なくとも8ヌクレオチドからなる任意のポリ
ヌクレオチドフラグメントと、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列があ
げられるが、これに限定されるものではなく、配列番号1〜5からなる群から選択
されるポリヌクレオチドと、あるいは配列番号1〜3からなる群から選択されるポ
リヌクレオチドの連続した少なくとも8ヌクレオチドからなる任意のポリヌクレ
オチドフラグメントと、好ましくは少なくとも99%同一であり、一層好ましくは
少なくとも99.5%同一であり、最も好ましくは少なくとも99.8%同一である。
【0054】 変異体のポリヌクレオチドに存在するヌクレオチドの変化がサイレントな場合
もあるが、これはそのポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸には変化
がないことを意味する。しかしながら、ヌクレオチドが変化することで、基準配
列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸に置換、付加、欠失、融合およ
び切り詰めが生じることもある。置換、欠失または付加には、1つまたはそれ以
上のヌクレオチドが必要な場合がある。変異体もコード領域または非コード領域
の一方または両方で変化する場合がある。コード領域が変わると、保存的または
非保存的なアミノ酸置換、欠失または付加が生じ得る。
【0055】 本発明の文脈では、APM1成熟タンパク質と実質的に同じ生物学的機能または活
性を維持するか、当該機能または活性を高めるポリペプチドをポリヌクレオチド
がコードする実施形態、あるいは、特定の生物学的活性を抑制または維持しつつ
第2の生物学的活性を維持または増大するポリペプチドをポリヌクレオチドがコ
ードする実施形態が特に好ましいものである。
【0056】 ポリヌクレオチドフラグメントは、特定のヌクレオチド配列、好ましくはAPM1
遺伝子のヌクレオチド配列およびその変異体と一部が完全に同一であるが全てが
同じではない配列を有するポリヌクレオチドである。このフラグメントは、APM1
遺伝子のイントロンの一部であってもよい。また、このフラグメントは、APM1の
調節領域、好ましくはAPM1遺伝子のプロモーター配列の一部であってもよい。こ
のようなフラグメントには、バイアレリックマーカーA1〜A8のうち少なくとも1
つまたはその相補体、あるいはバイアレリックマーカーA1〜A8の1つまたはそれ
以上と連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマーカーが含まれると好ましい。
【0057】 このようなフラグメントは、「自立状態」すなわち、他のポリヌクレオチドの
一部でなくても他のポリヌクレオチドと融合したものでなくてもよく、このフラ
グメントよりも大きな単一のポリヌクレオチドでその一部または領域をなすもの
であってもよい。特に、上記のフラグメントのうちいくつかが、これよりも大き
なポリヌクレオチド1つに存在していてもよい。
【0058】 任意に、かかるフラグメントは、少なくとも8、10、12、15、18、20、25、35
、40、50、70、80、100、250、500または1000ヌクレオチド長の連続スパンから
なる、または実質的にこの連続スパンからなる。好ましいフラグメントのセット
には、本願明細書に記載のAPM1遺伝子のバイアレリックマーカーA1〜A8またはそ
の相補体のうち少なくとも1つが含まれる。
【0059】 (核酸またはポリペプチドの同一性) 「配列同一性率」および「相同率」という用語は、本願明細書ではポリヌクレ
オチドおよびポリペプチドの比較結果を示すものとして同義に用いられ、比較ウ
ィンドウで最適な状態に整列された配列2つを比較することによって求められる
ものである。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の比較ウィ
ンドウ内の部分には、2つの配列の最適なアライメントについての基準配列(他の
配列に付加が含まれていればギャップが生じることもあるが、ここでの基準配列
は付加や欠失がないものとする)と比較したときに、付加または欠失(すなわちギ
ャップ)が含まれる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの
配列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マ
ッチ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に100を掛け
て配列同一性のパーセンテージを算出する。相同については、従来技術において
周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適当なもの
を用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、TBLAST
N、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALW(Pearson and Lipman, 1988, Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 85(8):2444-2448、 Altschul et al., 1990, J. Mol. Bio
l. 215(3):403-410、Thompson et al., 1994, Nucleic Acids Res. 22(2):4673-
4680、Higgins et al., 1996, Methods Enzymol. 266:383-402、Altschul et al
., 1990, J. Mol. Biol. 215(3):403-410、Altschul et al., 1993, Nature Gen
etics 3:266-272)があげられるが、何らこれに限定されるものではない。特に好
ましい実施形態では、従来技術において周知のBasic Local Alignment Search T
ool (BLAST)(たとえば、Karlin and Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 87:2267-2268、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410、Alts
chul et al., 1993, Nature Genetics 3:266-272、Altschul et al., 1997, Nuc
. Acids Res. 25:3389-3402を参照のこと)を用いてタンパク質および核酸配列の
相同性を評価する。特に、5つの専用BLASTプログラムを用いて以下の作業を実施
する。
【0060】 (1) BLASTPおよびBLAST3でアミノ酸のクエリー配列をタンパク質配列データベ
ースと比較 (2) BLASTNでヌクレオチドのクエリー配列をヌクレオチド配列データベースと
比較 (3) BLASTXでヌクレオチドのクエリー配列(両方の鎖)を6つの読み枠で変換し
た概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと比較 (4) TBLASTNでタンパク質のクエリー配列を6つの読み枠(両方の鎖)すべてで変
換したヌクレオチド配列データベースと比較 (5) TBLASTXでヌクレオチドのクエリ配列を6つの読み枠で変換したものを、6
つの読み枠で変換したヌクレオチド配列データベースと比較
【0061】 BLASTプログラムは、アミノ酸のクエリ配列または核酸のクエリ配列と、好ま
しくはタンパク質配列データベースまたは核酸配列データベースから得られた被
検配列との間で、本願明細書では「ハイスコアセグメント対」と呼ぶ類似のセグ
メントを特定することによって相同配列を同定するものである。ハイスコアセグ
メント対は、多くのものが従来技術において周知のスコアリングマトリックスに
よって同定(すなわち整列化)されると好ましい。好ましくは、スコアリングマト
リックスとしてBLOSUM62マトリックス(Gonnet et al., 1992, Science 256:1443
-1445、Henikoff and Henikoff, 1993, Proteins 17:49-61)を使用する。このマ
トリックスほど好ましいものではないが、PAMまたはPAM250マトリックスも使用
できる(たとえば、Schwartz and Dayhoff, eds., 1978, Matrices for Detectin
g Distance Relationships: Atlas of Protein Sequence and Structure, Washi
ngton: National Biomedical Research Foundationを参照のこと)。BLASTプログ
ラムは、同定されたすべてのハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価し
、好ましくはユーザー固有の相同率などのユーザーが独自に定める有意性の閾値
レベルを満たすセグメントを選択する。統計的な有意性を求めるKarlinの式を用
いてハイスコアセグメント対の統計的な有意性を評価すると好ましい(Karlin an
d Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2267-2268参照のこと)。
【0062】 (厳密なハイブリダイゼーション条件) 一例であり限定するものではないが、厳密度の高い条件を用いて行われる手順
は次の通りである。6ラSSC、トリス-HCl(pH7.5)50mM、EDTA 1mM、0.02% PVP、0.0 2%フィコール、0.02% BSAおよび変性サケ精子DNA 500μg/mlで構成される緩衝液
にて、65℃で8時間から一晩かけて、DNAを含有するフィルタをプレハイブリダイ
ゼーションする。好ましいハイブリダイゼーション温度である65℃にて48時間、
変性サケ精子DNA 100μg/mlと32P標識プローブ5〜20ラ106cpmとを含むプレハイブ リダイゼーション混合物中でフィルタをハイブリダイズさせる。あるいは、SSC
緩衝液(1ラSSCが0.15M NaClおよび0.05M Naクエン酸塩に相当)の存在下、65℃で ハイブリダイゼーションステップを行うことができる。続いて、2ラSSC、0.01% P VP、0.01%フィコールおよび0.01%BSAを含有する溶液中で37℃で1時間、次いで0.
1ラSSCで50℃にて45分かけてフィルタを洗浄することができる。あるいは、2ラSSC と0.1% SDSまたは0.5ラSSCと0.1% SDSまたは0.1ラSSCと0.1% SDSを含有する溶液で 68℃にて15分の間隔でフィルタを洗浄することができる。洗浄ステップの後、ハ
イブリダイズしたプローブをオートラジオグラフィによって検出することが可能
である。厳密度が高く使用可能な他の条件は当業者間で周知のものであり、Samb
rook et al., 1989およびAusubel et al., 1989に引用されている(その記載内容
全体を本願明細書に援用する)。これらのハイブリッド条件は、約20ヌクレオチ
ド長の核酸分子に適している。上述したハイブリッド条件が当業者間で周知の技
術を用いて所望の核酸長に応じて調整される。ハイブリッド条件は、たとえば、
Hames and Higgins(1985)またはSambrook et al.(1989)の本に開示されている教
示内容に沿ったものなどである。
【0063】 (APM1のゲノム配列) 本発明は、APM1のゲノム配列に関する。本発明は、配列番号1の配列からなる
か、実質的に配列番号1の配列からなる、あるいは配列番号1の配列を有する、ポ
リヌクレオチド、APM1遺伝子またはAPM1ゲノム配列、これらと相補な配列ならび
にそのフラグメントおよび変異体を包含する。これらのポリヌクレオチドは、精
製された、単離されたまたは組換え体のポリヌクレオチドであってもよい。FISH
での解析によれば、APM1のゲノム配列は3p27に座乗している。
【0064】 また、本発明には、配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも70%、75%、80%
、85%、90%あるいは95%のヌクレオチド同一性を有するヌクレオチド配列または
その相補配列またはそのフラグメントを有する、精製された、単離されたまたは
組換え体のポリヌクレオチドも包含される。配列番号1のヌクレオチド配列との
ヌクレオチド差異部分については、核酸全体にほぼランダムに分布したものでよ
い。とはいえ、配列番号1のヌクレオチド配列に対するヌクレオチド差異部分が
主に、エキソンに含まれるコード配列の外に位置する核酸が好ましい。これらの
核酸ならびにそのフラグメントおよび変異体を、オリゴヌクレオチドプライマー
またはプローブとして使用して、被検試料に含まれるAPM1遺伝子のコピーの存在
を検出したり、あるいはAPM1配列内で標的ヌクレオチド配列を増幅したりするこ
とができる。
【0065】 本発明の別の目的は、上記にて定義した厳密なハイブリダイゼーション条件で
配列番号1のヌクレオチド配列またはその相補配列またはその変異体とハイブリ
ダイズされる、精製された核酸、単離された核酸または組換え核酸からなる。
【0066】 本発明の特に好ましい核酸としては、配列番号1またはその相補体の少なくと
も12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500
または1000ヌクレオチドの連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組
換え体のポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオ
チド位置1〜3528、4852〜15143、15366〜16276および20560〜20966のうち少なく
とも1、2、3、5または10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本
発明の他の好ましい核酸としては、配列番号1またはその相補体の少なくとも12
、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500また
は1000ヌクレオチドの連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え
体のポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1の位置4150〜415
4または位置17169〜17170を含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明
の別の好ましい核酸としては、配列番号1またはその相補体の少なくとも12、15
、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または10
00ヌクレオチドの連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体の
ポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号1の位置3787のG、位置
3809のG、位置4311のT、位置4328のA、位置4683のAまたは位置15319のAを含む、
前記ポリヌクレオチドがあげられる。このセクションで述べるポリヌクレオチド
が、どのようなサイズおよび配列の核酸フラグメントを構成してもよいことに注
意されたい。本発明の他の特に好ましい核酸としては、配列番号1またはその相
補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100
、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンを含む、単離された、精
製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列
番号1のヌクレオチド位置1〜4833のうち少なくとも1、2、3、5または10を含んで
なる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。
【0067】 APM1ゲノム核酸には3つのエキソンが含まれている。エキソン1は、配列番号1
のヌクレオチド配列の位置4812のヌクレオチドで開始して位置4851のヌクレオチ
ドで終止する。エキソン2は、配列番号1のヌクレオチド配列の位置15144のヌク
レオチドで開始して位置15365のヌクレオチドで終止する。エキソン3は、配列番
号1のヌクレオチド配列の位置16277のヌクレオチドで開始して位置20559のヌク
レオチドで終止する。したがって、本発明は、APM1遺伝子の3つのエキソンまた
はこれと相補な配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、精製さ
れた、単離されたまたは組換え体のポリヌクレオチドを企図する。また、本発明
は、APM1遺伝子の少なくとも2つのエキソンの組み合わせを含み、ポリヌクレオ
チドが前記核酸の5'末端から3'末端まで配列番号1と同じ順序で核酸内に所在す
る、精製された核酸、単離された核酸または組換え核酸についても扱う。
【0068】 イントロン1(エキソン1とエキソン2の間に位置するヌクレオチド配列)は、配
列番号1のヌクレオチド配列の位置4852のヌクレオチドで開始して位置15143のヌ
クレオチドで終止する。イントロン2(エキソン2とエキソン3の間に位置するヌク
レオチド配列)は、配列番号1のヌクレオチド配列の位置15366のヌクレオチドで
開始して位置16276のヌクレオチドで終止する。したがって、本発明は、APM1遺
伝子のイントロン1およびイントロン2と、これらと相補な配列とからなる群から
選択されるヌクレオチド配列を含む、精製された、単離されたまたは組換え体の
ポリヌクレオチドを例示するものである。
【0069】 このセクションには「APM1のゲノム配列」というタイトルを付したが、このセ
クションで述べるポリヌクレオチドが、APM1のゲノム配列を片側および/または
このようなゲノム配列2つ以上の間でフランキングして任意のサイズおよび配列
の核酸フラグメントで構成されたものを含む、どのようなものであってもよいこ
とに注意されたい。
【0070】 (APM1 cDNA配列) APM1遺伝子の発現によって、配列番号5の核酸配列を有するmRNA種が少なくと
も1つ産生されることが分かっている。
【0071】 本発明の別の目的は、配列番号5のヌクレオチド配列、その相補配列ならびに
そのアレル変異体およびそのフラグメントを含む、精製された核酸、単離された
核酸または組換え核酸である。さらに、本発明の好ましいポリヌクレオチドとし
ては、配列番号5の配列からなるか、実質的に配列番号5の配列からなる、あるい
は配列番号5の配列を有する、精製されたAPM1 cDNA、単離されたAPM1 cDNAまた
は組換えAPM1 cDNAがあげられる。本発明の特に好ましい実施形態としては、配
列番号5またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、6
0、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンを含
む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドであって、前記
連続スパンが、配列番号5の位置93のヌクレオチドT、位置1154〜1157、位置1997
のヌクレオチドG、位置2083〜2086、位置2367のヌクレオチドC、位置2456、位置
2467、位置2475または2631、位置2778のヌクレオチドA、位置2785〜2788、位置2
797〜2801、位置3594のヌクレオチドT、位置3684のヌクレオチドG、位置3697〜3
701、位置4026〜4027および位置4053、位置4078、位置4533または4536のヌクレ
オチドTからなる群から選択される位置を含む、前記ポリヌクレオチドがあげら
れる。本発明の別の特に好ましい実施形態としては、配列番号5またはその相補
体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、1
50、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンを含む、単離された、精製さ
れたまたは組換え体のポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号
5のヌクレオチド位置1〜22のうち少なくとも1、2、3、5または10を含んでなる、
前記ポリヌクレオチドがあげられる。
【0072】 配列番号5のcDNAは、配列番号5の位置1のヌクレオチドで開始して位置48のヌ
クレオチドで終止する5'-UTR領域を含む。配列番号5のcDNAは、配列番号5の位置
785のヌクレオチドで開始して位置4545のヌクレオチドで終止する3'-UTR領域を
含む。配列番号5の位置2937〜2942および位置4525〜4530に少なくとも2つのポリ
アデニル化部位が存在する。
【0073】 したがって、本発明は、APM1 cDNAの5'UTRのヌクレオチド配列、これと相補な
配列またはそのアレル変異体を含む、精製された核酸、単離された核酸および組
換え核酸に関する。
【0074】 このcDNAの5'末端の配列、特に、配列番号5の1〜367を含むヌクレオチド配列
が、ヒトのジストロフィー筋cDNAライブラリから得られた5'-ESTのヌクレオチド
配列に相当し、国際特許出願公開第WO96/34981号および1997年8月1日出願の米国
特許出願第08/905,134号の教示内容に従って特徴づけされている。この5'-ESTを
含むポリヌクレオチドも本発明の一部である。この5'ESTを配列番号4に示す。
【0075】 このセクションには「APM1 cDNA配列」というタイトルを付したが、このセク
ションで述べるポリヌクレオチドが、APM1のゲノム配列および/またはこのよう
なゲノム配列2つ以上の間でフランキングして任意のサイズおよび配列の核酸フ
ラグメントで構成されたものを含む、どのようなものであってもよいことに注意
されたい。
【0076】 (APM1の制御配列) APM1遺伝子のゲノム配列では、この遺伝子の3つのエキソンを含むAPM1コード
領域の境界をなす5'フランキング非コード領域と3'-フランキング非コード領域
の両方ならびにイントロンに制御配列が含まれている。
【0077】 APM1遺伝子の5'制御配列は、配列番号2のヌクレオチド配列と、配列番号1の1
〜4811とを含む。このポリヌクレオチドには、プロモーター部位が含まれる。
【0078】 APM1遺伝子の3'制御配列は、配列番号3のヌクレオチド配列と、配列番号1の20
560〜20966とを含む。
【0079】 配列番号2または3由来のポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列
またはそのフラグメントの少なくともコピーが被検試料中にあることを検出する
上で有用なものである。
【0080】 APM1の調節領域のプロモーター活性を後述するようにして評価することができ
る。
【0081】 配列番号2および3の生物学的に活性な関連のポリヌクレオチドフラグメントま
たは変異体を同定するための方法は当業者間で周知であり、一例としての方法が
Sambrook et al. (Sambrook, 1989)に記載されている。たとえば、被検配列(配
列番号2および3のフラグメントまたは変異体など)を、プロモーター(または他の
制御配列)が被検配列中に存在する場合にのみ発現されるマーカー遺伝子(すなわ
ち、βガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールトランスフェラーゼなど)を有
する組換えベクターにスプライシングすることによって、被検配列中のプロモー
ター(または他の制御配列)の存在を判定することができる。APM1遺伝子の第1エ
キソン上流に位置するゲノム配列を、クロンテック社から入手可能なpSEAP-Basi
c、pSEAP-Enhancer、pβgal-Basic、pβgal-EnhancerまたはpEGFP-1プロモータ
ーレポーターベクターなどの適当なプロモーターレポーターベクター、あるいは
、pGL2-basicまたはpGL3-basicプロモーターレスルシフェラーゼレポーター遺伝
子ベクター(いずれもプロメガ社)にクローニングすることができる。簡単に説明
すると、これらのプロモーターレポーターベクターは各々複数のクローニング部
位を含み、これらのクローニング部位は、分泌後のアルカリホスファターゼ、ル
シフェラーゼ、βガラクトシダーゼまたは緑色蛍光タンパク質などの容易にアッ
セイ可能なタンパク質をコードするレポーター遺伝子の上流に位置する。APM1コ
ード領域上流の配列をレポーター遺伝子上流のクローニング部位に両方の向きで
挿入し、適当な宿主細胞に導入する。レポータータンパク質のレベルをアッセイ
し、クローニング部位にインサートがないベクターでのレベルと比較する。イン
サートを含むベクターでの発現レベルの方が対照ベクターでの場合よりも高いこ
とから、インサートにプロモーターが存在することが分かる。必要であれば、エ
ンハンサーを含むベクターに上流の配列をクローニングし、弱いプロモーター配
列での転写レベルを増大させてもよい。発現レベルがインサートのないベクター
で観察されたレベルを有意に上回ることから、挿入された上流配列にプロモータ
ー配列が存在することが分かる。
【0082】 エキソヌクレアーゼIIIまたは適当な制限エンドヌクレアーゼでの消化などの
従来の手法を用いて上流DNAに入れ子状態5'および/または3'欠失を構築すること
によって、上流のゲノムDNA内のプロモーター配列をさらに定義することができ
る。たとえば、Coles et al.(1998)によって説明されているように、上記のよう
にして得られる欠失フラグメントをプロモーターレポーターベクターに挿入し、
欠失によってプロモーター活性が低減または消失したか否かを判断することがで
きる。このようにしてプロモーターの境界を定義することができる。必要であれ
ば、部位定方向突然変異誘発またはリンカースキャニングによってプロモーター
内の個々の潜在的な調節部位を同定し、プロモーター内の潜在的な転写因子結合
部位を個々にまたは組み合わせで消失させてもよい。これらの変異種が転写レベ
ルに対しておよぼす影響については、プロモーターレポーターベクターのクロー
ニング部位に変異種を挿入することで判断することができる。このタイプのアッ
セイは当業者間で周知であり、国際特許出願公開第WO97/17359号、米国特許第5,
374,544号、欧州特許第582 796号、米国特許第5,698,389号、同第5,643,746号、
同第5,502,176号および同第5,266,488号(図面、表または図を含むその内容全体
を本願明細書に援用する)に記載されている。
【0083】 異なるタイプの細胞および組織でAPM1プロモーターに作用的に結合する検出可
能なポリヌクレオチドの発現レベルに基づいて、APM1遺伝子のプロモーターの強
度と特異性を評価することができる。検出可能なポリヌクレオチドは、あらかじ
め定義されたオリゴヌクレオチドプローブと特異的にハイブリダイズされるポリ
ヌクレオチドか、APM1ポリペプチドまたはそのフラグメントまたはその変異体を
含む、検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドのいずれであっても
よい。このタイプのアッセイは当業者間で周知であり、米国特許第5,502,176号
および同第5,266,488号(図面、表または図を含むその内容全体を本願明細書に援
用する)に記載されている。また、これらの方法のうちいくつかについては、以
下において詳細に説明する。
【0084】 APM1コード領域の5'末端と3'末端に調節要素のあるポリヌクレオチドを有効に
利用して、興味の対象となる異種ポリヌクレオチドの転写翻訳活性を制御するこ
とができる。
【0085】 したがって、本発明は、配列番号2および3のヌクレオチド配列、これらと相補
な配列またはその変異体またはその生物学的に活性なフラグメントからなる群か
ら選択されるポリヌクレオチドを含む、精製された核酸または単離された核酸に
も関するものである。
【0086】 また、本発明は、配列番号2および3のヌクレオチド配列からなる群から選択さ
れるポリヌクレオチドに対するヌクレオチド同一性が少なくとも95%であり、配
列番号2および3のヌクレオチド配列、これらと相補な配列またはその変異体また
はその生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択されるポリヌクレオチ
ドに対するヌクレオチド同一性が99%であると都合がよく、ヌクレオチド同一性
が99.5%であると好ましく、ヌクレオチド同一性が99.8%であると最も好ましいポ
リヌクレオチドを含む、精製された核酸または単離された核酸にも関するもので
ある。
【0087】 本発明のもう1つの目的は、本願明細書にて定義する厳密なハイブリダイゼー
ション条件下で、配列番号2および3のヌクレオチド配列、その相補配列またはそ
の変異体またはその生物学的に活性なフラグメントからなる群から選択されるポ
リヌクレオチドとハイブリダイズされるポリヌクレオチドを含む、精製された核
酸、単離された核酸または組換え核酸からなる。
【0088】 配列番号2の核酸の好ましいフラグメントは、約1500または1000ヌクレオチド
長、好ましくは約500ヌクレオチド長、さらに好ましくは約400ヌクレオチド長、
一層好ましくは300ヌクレオチド長、最も好ましくは約200ヌクレオチド長である
。好ましくは、配列番号2のフラグメントは位置1〜3528の間にある。
【0089】 配列番号3の核酸の好ましいフラグメントは、少なくとも50、100、150、200、
300または400塩基長である。
【0090】 配列番号1、2および3の「生物学的に活性な」ポリヌクレオチド誘導体は、組
換え細胞宿主で組換え体のポリヌクレオチドまたは組換え体のポリヌクレオチド
を発現するための調節領域として機能するポリヌクレオチドのフラグメントを有
するまたは選択的にこのフラグメントからなる前記ポリヌクレオチドである。こ
のポリヌクレオチドは、エンハンサーまたはリプレッサーとして機能できる。
【0091】 本発明の目的で、核酸またはポリヌクレオチドは、前記調節ポリヌクレオチド
が転写翻訳調節情報を持つヌクレオチド配列を含み、このような配列が所望のポ
リペプチドまたは所望のポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列と「作
用的に結合」している場合に、組換え体のポリペプチドまたは組換え体のポリヌ
クレオチドを発現するための調節領域として「機能する」。
【0092】 本発明の調節ポリヌクレオチドは、たとえばSambrook et al.(1989)に記載さ
れているように、適当な制限酵素を用いて切断することで、配列番号1、2および
3のヌクレオチド配列のいずれからでも調製可能なものである。
【0093】 また、Bal31(Wabiko et al., 1986)などのエキソヌクレアーゼ酵素で配列番号
1、2および3のいずれかを消化して上記の調節ポリヌクレオチドを調製すること
も可能である。
【0094】 さらに、本願明細書の他の箇所で述べるような核酸の化学合成によって調節ポ
リヌクレオチドを調製することもできる。
【0095】 本発明による調節ポリヌクレオチドは、所望の宿主細胞または宿主生物でのコ
ード配列の発現に使用できる組換え発現ベクターの一部をなすものであってもよ
い。本発明による組換え発現ベクターについては、本願明細書の他の部分で説明
してある。
【0096】 本発明の好ましい5'調節ポリヌクレオチドとしては、APM1 cDNAの5'非翻訳領
域(5'-UTR)、あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体があげら
れる。
【0097】 本発明の好ましい3'調節ポリヌクレオチドとしては、APM1 cDNAの3'非翻訳領
域(3'-UTR)、あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体があげら
れる。
【0098】 本発明のさらに他の目的は、 a)(i)配列番号2のポリヌクレオチドまたはその相補配列を含むヌクレオチド配
列と、 (ii)配列番号2のヌクレオチド配列に対するヌクレオチド同一性が少なくとも9
5%であるポリヌクレオチドまたはその相補配列を含むヌクレオチド配列と、 (iii)配列番号2のヌクレオチド配列と厳密なハイブリッド条件下でハイブリダ
イズされるポリヌクレオチドまたはその相補配列を含むヌクレオチド配列と、 (iv)(i)、(ii)および(iii)のポリヌクレオチドの生物学的に活性なフラグメン
トまたは変異体と、 からなる群から選択される調節ヌクレオチド配列を有する核酸と、 b)上記(a)にて定義した核酸に作用的に結合した、興味の対象となる所望のポ
リペプチドまたは核酸をコードするポリヌクレオチドと、 c)任意に、3'調節ポリヌクレオチド、好ましくはAPM1遺伝子の3'調節ポリヌク
レオチドを有する核酸と、 を有する、精製された核酸または単離された核酸からなるものである。
【0099】 上記にて定義した核酸の特定の実施形態では、前記核酸が、APM1 cDNAの5'非
翻訳領域(5'-UTR)あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体を含
む。
【0100】 上記にて定義した核酸の第2の特定の実施形態では、前記核酸が、APM1 cDNAの
3'非翻訳領域(3'-UTR)あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体
を含む。
【0101】 配列番号2の調節ポリヌクレオチドおよびその生物学的に活性なフラグメント
または変異体を、所望のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするポリ
ヌクレオチドの5'末端に作用的に結合させる。
【0102】 配列番号3の調節ポリヌクレオチド、またはその生物学的に活性なフラグメン
トまたは変異体を、所望のポリペプチドまたはポリヌクレオチドをコードするポ
リヌクレオチドの3'末端に作用的に結合させると都合がよい。
【0103】 上述した核酸によってコードされる所望のポリペプチドは、さまざまな性質ま
たは由来のものでよく、原核生物または真核生物由来のタンパク質もこれに包含
される。APM1調節領域の制御下で発現されるポリペプチドとしては、バクテリア
抗原、菌抗原またはウイルス抗原があげられる。また、「ハウスキーピング」タ
ンパク質といった細胞内タンパク質を含むがこれに限定されるものではない真核
生物タンパク質、レセプターなどの膜結合タンパク質、サイトカインなどの内在
性メディエーターのような分泌タンパク質も包含される。所望のポリペプチドは
、APM1タンパク質、特に、配列番号6のアミノ酸配列のタンパク質またはそのフ
ラグメントまたはその変異体であってもよい。
【0104】 通常はRNA分子である上述したポリヌクレオチドによってコードされる核酸は
、APM1コード配列などのコーディングポリヌクレオチドに対して相補なものであ
ってもよいため、アンチセンスポリヌクレオチドとして有用である。
【0105】 このようなポリヌクレオチドを組換え発現ベクターに組み込み、宿主細胞また
は宿主生物で所望のポリペプチドまたは所望の核酸を発現させてもよい。上述し
たものなどのポリヌクレオチドを含む好適な組換えベクターは、本願明細書の他
の部分にて開示されている。
【0106】 (コード領域) APM1読み枠は、配列番号5の対応するmRNAに含まれている。正確に言うと、有
効なAPM1コード配列(CDS)は、配列番号5の位置49に位置するヌクレオチド(ATGコ
ドンの最初のヌクレオチド)と位置783に位置するヌクレオチド(TGAコドンの最後
のヌクレオチド)との間の領域を含む。本発明はまた、配列番号6の少なくとも6
アミノ酸、好ましくは少なくとも8または10アミノ酸、より好ましくは少なくと
も12、15、20、25、30、40、50または100アミノ酸の連続スパンを含むポリペプ
チドをコードする、単離された、精製されたおよび組換え体のポリヌクレオチド
であって、前記連続スパンが、配列番号6のアミノ酸位置56のグルタミン酸残基
を含む、前記ポリヌクレオチドを例示するものである。
【0107】 APM1のコード配列は、このポリヌクレオチドを適当な発現シグナルの制御下に
おけば、所望の宿主細胞または所望の宿主生物で発現させることができるもので
ある。発現シグナルは、本発明のAPM1遺伝子の調節領域に含まれる発現シグナル
であっても、外来調節核酸配列であってもよい。適当な発現シグナル下におくこ
とで、このようなポリヌクレオチドをその発現および/または増幅用のベクター
に挿入することができるものである。
【0108】 (ポリヌクレオチドコンストラクト) 本願明細書では、「ポリヌクレオチドコンストラクト」および「組換え体のポ
リヌクレオチド」という用語を同義なものとして使用する。この用語は、人為的
に設計され、もとの天然環境にある連続したヌクレオチド配列には見られないヌ
クレオチド配列を少なくとも2つ有する、線状または環状の、精製または単離さ
れたポリヌクレオチドを示す。
【0109】 (組換え細胞宿主およびトランスジェニック動物での時間的および空間的APM1遺
伝子発現を指示できるDNAコンストラクト) APM1タンパク質の合成がなされなくなることで生理面および表現型の面でどの
ような結果が生じるのかについて研究するために、細胞レベルと多細胞生物レベ
ルの両方で、本発明は、APM1ゲノム配列またはcDNAの特異的アレル、さらには、
配列番号1と配列番号5のAPM1ヌクレオチド配列またはそのフラグメントに対して
1つ以上の塩基が置換、欠失、あるいは付加された、上記のゲノム配列またはcDN
Aのコピーをコンディショナル発現できるDNAコンストラクトおよび組換えベクタ
ーを包含する。これらの塩基置換、欠失または付加は、エキソン、イントロンま
たは制御配列のいずれかに位置するが、5'制御配列またはAPM1ゲノム配列のエキ
ソン、あるいは配列番号5のAPM1 cDNA内に位置していると好ましい。好ましい実
施形態では、APM1配列が本発明のバイアレリックマーカーを含む。
【0110】 本発明はまた、配列番号6の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8ま
たは10アミノ酸、より好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、40、50または
100アミノ酸の連続スパンを含むポリペプチドをコードする、単離された、精製
されたまたは組換え体のポリヌクレオチドからなる組換えベクターであって、前
記連続スパンが、配列番号6のアミノ酸位置56のグルタミン酸残基を含む、前記
組換えベクターを例示するものである。本発明の特に好ましい実施形態としては
、配列番号5またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、5
0、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパン
を含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドからなる組
換えベクターであって、前記連続スパンが、配列番号5の位置93のヌクレオチドT
、位置1154〜1157、位置1997のヌクレオチドG、位置2083〜2086、位置2367のヌ
クレオチドC、位置2456、位置2467、位置2475または2631、位置2778のヌクレオ
チドA、位置2785〜2788、位置2797〜2801、位置3594のヌクレオチドT、位置3684
のヌクレオチドG、3位置697〜3701、位置4026〜4027および位置4053、位置4078
、位置4533または4536のヌクレオチドTからなる群から選択される位置を含む、
前記組換えベクターがあげられる。本発明の別の特に好ましい実施形態としては
、配列番号5またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、5
0、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパン
を含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドからなる組
換えベクターであって、前記連続スパンが、配列番号5のヌクレオチド位置1〜22
のうち少なくとも1、2、3、5または10を含んでなる、前記組換えベクターがあげ
られる。かかる実施形態は、発現ベクターにおいて、安定して宿主細胞および動
物にトランスフェクトさせた場合に特に有用である。本発明の特に好ましい組換
えベクターは、配列番号1またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、3
0、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチド
の連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチ
ドであって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜3528、4852〜
15143、15366〜16276および20560〜20966のうち少なくとも1、2、3、5または10
を含んでなる、前記ポリヌクレオチドで構成される。本発明の他の好ましい組換
えベクターは、配列番号1またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、3
0、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチド
の連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチ
ドであって、前記連続スパンが、配列番号1の位置4150〜4154または位置17169〜
17170を含む、前記ポリヌクレオチドで構成される。本発明の別の好ましい組換
えベクターは、配列番号1またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、3
0、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチド
の連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチ
ドであって、前記連続スパンが、配列番号1の位置3787のG、位置3809のG、位置4
311のT、位置4328のA、位置4683のAまたは位置15319のAを含む、前記ポリヌクレ
オチドで構成される。本発明の他の特に好ましい組換えベクターとしては、配列
番号1またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60
、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンを含む
、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドであって、前記連
続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜4833のうち少なくとも1、2、3、5
または10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。
【0111】 第1の好ましいDNAコンストラクトは、Gossen et al.(1992, 1995)およびFurth
et al.(1994)に記載されているように、APM1遺伝子発現を制御するためにE. co
li転移因子Tn110から得たテトラサイクリン耐性オペロンtetを主な構成要素とす
るものである。このようなDNAコンストラクトは、Tn10(tetop)から得られるtet
オペレーター配列を7つ含み、これらの配列がAPM1遺伝子の最小プロモーターま
たは5'調節配列に融合している。前記最小プロモーターまたは前記APM1調節配列
は、センスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドか、ポリ
ペプチド(APM1ポリペプチドまたはそのペプチドフラグメントを含む)かのいずれ
かをコードする、興味の対象であるポリヌクレオチドに作用的に結合されている
。このDNAコンストラクトは、HCMVIE1エンハンサー/プロモーターまたはMMTV-LT
Rなどのプロモーターによる制御下にある、単純ヘルペスウイルスのウイルスタ
ンパク質VP16の活性ドメインに融合した野生型(tTA)レプレッサーまたはミュー
タント(rTA)レプレッサーのいずれかをコードするヌクレオチド配列を同じ細胞
が含む場合に、興味の対象となるヌクレオチド配列のコンディショナル発現系と
して機能する。特に、本発明の好ましいDNAコンストラクトは、tetオペレータ配
列を含むポリヌクレオチドと、tTAレプレッサーまたはrTAレプレッサーをコード
する配列を含むポリヌクレオチドの両方を含む。
【0112】 特定の実施形態では、コンディショナル発現DNAコンストラクトが、ミュータ
ントテトラサイクリンレプレッサーrTAをコードする配列を含む。ここで、興味
の対象となるポリヌクレオチドの発現は、テトラサイクリンの非存在下でサイレ
ントであり、テトラサイクリンが存在すると誘起される。
【0113】 (相同組換えを可能にするDNAコンストラクト: 交換ベクター(replacement vec
tor)) 第2の好ましいDNAコンストラクトは、5'末端から3'末端に、(a)APM1ゲノム配
列に含まれる第1のヌクレオチド配列と、(b)ネオマイシン耐性(neo)に対するマ
ーカーなどのポジティブ選択マーカーを含むヌクレオチド配列と、(c)APM1ゲノ
ム配列に含まれ、第1のAPM1ヌクレオチド配列(a)よりも下流に位置する第2のヌ
クレオチド配列と、を含む。
【0114】 好ましい実施形態では、このDNAコンストラクトは、ヌクレオチド配列(a)の上
流またはヌクレオチド配列(c)の下流に位置するネガティブ選択マーカーも含む
。ネガティブ選択マーカーは、チミジンキナーゼ(tk)遺伝子(Thomas et al., 19
86)、ハイグロマイシンβ遺伝子(Te Riele et al., 1990)、hprt遺伝子(Van der
Lugt et al., 1991、Reid et al., 1990)またはジフテリア毒Aフラグメント(Dt
-A)遺伝子(Nada et al., 1993、Yagi et al. 1990)からなるものであると好まし
い。ポジティブ選択マーカーは、APM1タンパク質をコードする配列を中断するよ
うにAPM1エキソン配列内に位置するものであると好ましい。これらの交換ベクタ
ーについては、たとえば、Thomas et al.(1986、1987)、Mansour et al.(1988)
およびKoller et al.(1992)に記載されている。
【0115】 第1のヌクレオチド配列(a)および第2のヌクレオチド配列(c)は、APM1制御配列
、イントロン配列、エキソン配列、あるいは制御配列および/またはイントロン
配列および/またはエキソン配列の両方を含む配列内に位置する。ヌクレオチド
配列(a)および(c)のサイズは、1〜50kb、好ましくは1〜10kb、さらに好ましくは
2〜6kb、最も好ましくは2〜4kbの範囲である。
【0116】 (相同組換えを可能にするDNAコンストラクト: Cre-LoxP系) これらの新規なDNAコンストラクトでは、P1ファージの部位特異的組換え系を
利用している。P1ファージはCreと呼ばれるリコンビナーゼを有するが、このリ
コンビナーゼは34塩基対のloxP部位と特異的に相互作用する。loxP部位は、8bp
の保存配列で分離された13bpのパリンドローム配列2つで構成される(Hoess et a
l., 1986)。同一の配向を有する2つのloxP部位間のCre酵素による組換えによっ
て、DNAフラグメントに欠失が生じる。
【0117】 Cre-loxP系を相同組換え法と併用することが、Gu et al.(1993, 1994)によっ
て説明された。簡単に言うと、ゲノムの標的位置に挿入する対象となる問題のヌ
クレオチド配列が少なくとも2つのloxP部位を同一配向で有し、これらの部位が
組換えゲノムから切除すべきヌクレオチド配列の両末端に位置する。切除現象を
起こすには、組換え細胞宿主の核内にリコンビナーゼ(Cre)酵素がなければなら
ない。リコンビナーゼ酵素は、(a)Araki et al.(1995)に記載されているようにC
re酵素を直接所望の細胞に接種するか、あるいはBaubonis et al.(1993)に記載
されているように酵素を細胞にリポフェクションすることによって、この酵素を
含む培地で組換え細胞宿主をインキュベートする方法、(b)組換え細胞宿主で機
能するプロモーター(任意に誘導性であってもよい)と作用的に結合されたCreコ
ード配列を含み、Gu et al.(1993)およびSauer et al.(1988)に記載されている
ようにして組換え細胞宿主に導入されるベクターと、細胞宿主とをトランスフェ
クトする方法、(c)組換え細胞宿主で機能するプロモーター(任意に誘導性であっ
てもよい)と作用的に結合されたCreコード配列を含み、Gu et al.(1994)に記載
されているようにランダム挿入現象または相同組換え現象によって細胞宿主のゲ
ノムに挿入されるポリヌクレオチドを、細胞宿主のゲノムに導入する方法のいず
れかによって、提供可能なものである。
【0118】 特定の実施形態では、選択可能なマーカーが同一配向のloxP部位によってフラ
ンキングされるような形で、相同組換えによってAPM1遺伝子に挿入される配列を
含むベクターが構築される。Cre酵素を用いて相同組換え現象によって挿入され
ていた興味の対象であるAPM1配列を残したまま、選択可能なマーカーを除去する
ことができる。繰り返すが、2つの選択可能なマーカーすなわち、組換え現象を
探査するためのポジティブ選択マーカーと、相同組換え現象を探査するためのネ
ガティブ選択マーカーが必要である。Cre-loxP系で用いられるベクターおよび方
法については、Zou et al.(1994)に記載されている。
【0119】 このため、本発明の第3の好ましいDNAコンストラクトは、5'末端から3'末端に
、(a)APM1ゲノム配列に含まれる第1のヌクレオチド配列と、(b)ポジティブ選択
マーカーをコードするポリヌクレオチドを含み、loxP部位などのリコンビナーゼ
によって認識される部位を定義する2つの配列を同一配向でさらに有するヌクレ
オチド配列と、(c)APM1ゲノム配列に含まれ、第1のAPM1ヌクレオチド配列(a)よ
りも下流のゲノムに位置する第2のヌクレオチド配列と、を含む。
【0120】 loxP部位などのリコンビナーゼによって認識される部位を定義する配列は、ヌ
クレオチド配列(b)内でコンディショナル切除が探査されるヌクレオチド配列の
境界となる適当な位置にあるのが好ましい。特定の一実施形態では、2つのloxP
部位がポジティブ選択マーカー配列の両側に位置し、相同組換え現象から所望の
時間経過後にその切除がなされるようになっている。
【0121】 上述した第3のDNAコンストラクトを使用する方法の好ましい実施形態では、リ
コンビナーゼが認識する2つの部位、好ましくは2つのloxP部位で境界が定められ
ているポリヌクレオチドフラグメントが所望のタイミングで切除される。これは
、組換え宿主細胞のゲノム内に、プロモーター配列、好ましくは誘導性プロモー
ター、より好ましくは組織特異的プロモーター配列、最も好ましくはGu et al.(
1994)に記載されているような誘導性で組織特異的なプロモーター配列に作用的
に結合されたCre酵素をコードする配列が存在するためである。
【0122】 組換え細胞宿主のゲノム中にCre酵素が存在するのは、上述したようなloxP部
位を含む興味の対象であるAPM1由来の配列を持つ第1のトランスジェニック動物
と、Gu et al.(1994)に記載されているように適当なプロモーター配列に作用的
に結合されたCreコード配列を持つ第2のトランスジェニック動物の2種類のトラ
ンスジェニック動物が繁殖した結果である可能性がある。
【0123】 AntonおよびGraham(1995)およびKanegae et al.(1995)に記載されているよう
に、Cre遺伝子を含むがゆえにCre酵素の移入に必要な細胞の感染または器官のin
vivo感染が可能なアデノウイルスベースのベクターを用いることで、Cre酵素発
現の空間時間制御を行うことができる。
【0124】 上述したDNAコンストラクトを使用して、本発明の所望のヌクレオチド配列、
好ましくはAPM1ゲノム配列またはAPM1 cDNA配列、最も好ましくはAPM1ゲノム配
列またはcDNA配列の変化したコピーを、標的ゲノムの予め定められた位置内に導
入し、標的遺伝子の変化したコピーを作出する(ノックアウト相同組換え)か、あ
るいは標的遺伝子のコピーを相同組換え現象が可能な程度に十分な相同性を持つ
別のコピーと交換する(ノックイン相同組換え)ことができる。特定の実施形態で
は、上述したDNAコンストラクトを使用して、本発明のバイアレリックマーカー
を少なくとも1つ、好ましくはA1〜A8からなる群から選択されるバイアレリック
マーカーを少なくとも1つ有するAPM1ゲノム配列またはAPM1 cDNA配列を導入する
ことができる。
【0125】 (核アンチセンスDNAコンストラクト) 他の組成物に、対応するAPM1遺伝子の発現を阻害するアンチセンスツールとし
て、配列番号5の核酸配列のオリゴヌクレオチドフラグメント、好ましくはAPM1
遺伝子の開始コドンを含むフラグメントを有する本発明のベクターが含まれてい
る。本発明によるアンチセンスポリヌクレオチドを用いた好ましい方法は、Scza
kiel et al.(1995)または国際特許出願公開第WO 95/24223号(図面、図または表
を含むその内容全体を本願明細書に援用する)に記載されている。
【0126】 APM1 mRNAの5'末端と相補であるポリヌクレオチド(15〜200bp長)からアンチセ
ンスツールを選択すると好ましい。一実施態様では、所望の標的遺伝子の異なる
部分に対して相補である異なるアンチセンスポリヌクレオチドの組み合わせを使
用する。
【0127】 本発明による好ましいアンチセンスポリヌクレオチドは、翻訳開始コドンATG
またはスプライス部位のいずれかを含むAPM1のmRNA配列に対して相補なものであ
る。さらに好ましいアンチセンスポリヌクレオチドは、APM1 mRNAのスプライス
部位に対して相補なものである。
【0128】 好ましくは、本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、RNAポリメラーゼII
転写が3'末端でポリ(A)なしで行われるよう自己切断リボザイム配列と交換され
た3'ポリアデニル化シグナルを有する。これらのアンチセンスポリヌクレオチド
は、(Liu et al.(1994))などに記載されているように、核からの搬出ができない
ものである。好ましい実施形態では、これらのAPM1アンチセンスポリヌクレオチ
ドは、Eckner et al.(1991)に記載されている構造のように、切断された転写物
を安定させて3'-5'ポリヌクレオチド末端加水分解しないようにするためのヒス
トンの幹-ループ構造をリボザイムカセット内に含む。
【0129】 (オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー) APM1遺伝子由来のポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列、その
フラグメント、相補体または変異体の少なくともコピーが被検試料中にあること
を検出する上で有用なものである。
【0130】 本発明によるプライマーおよびプローブは、 a)配列番号1のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始して位置4811
のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと相補
な配列、特に、配列番号1のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始し
て位置3528のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体または
これと相補な配列、 b)配列番号1のヌクレオチド配列の位置4853のヌクレオチドから開始して位置1
5143のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと
相補な配列、 c)配列番号1のヌクレオチド配列の位置15366のヌクレオチドから開始して位置
16276のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれ
と相補な配列、 d)配列番号1のヌクレオチド配列の位置20560のヌクレオチドから開始して位置
20966のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれ
と相補な配列、 e)配列番号5のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始して位置22の
ヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと相補な
配列、 からなる群から選択される核酸の少なくとも12、15、18、20、25、30、40、50ま
たは100の連続したヌクレオチドを含む核酸からなる。
【0131】 したがって、本発明は、上記にて定義した厳密なハイブリダイゼーション条件
下で、 a)配列番号1のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始して位置4811
のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと相補
な配列、特に、配列番号1のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始し
て位置3528のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体または
これと相補な配列、 b)配列番号1のヌクレオチド配列の位置4853のヌクレオチドから開始して位置1
5143のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと
相補な配列、 c)配列番号1のヌクレオチド配列の位置15366のヌクレオチドから開始して位置
16276のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれ
と相補な配列、 d)配列番号1のヌクレオチド配列の位置20560のヌクレオチドから開始して位置
20966のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれ
と相補な配列、 d)配列番号5のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始して位置22の
ヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと相補な
配列、 からなる群から選択される核酸と特異的にハイブリダイズされることを特徴とす
る核酸プローブにも関する。
【0132】 安定したハイブリッドの形成は、DNAの融点(Tm)に左右される。Tmは、プライ
マー長またはプローブ長、溶液のイオン強度およびG+C含有量に左右される。プ
ライマーまたはプローブのG+C含有量が高くなればなるほど融点も高くなる。G:C
対は水素結合3つで保持されているが、A:T対には水素結合が2つしかないためで
ある。本発明のプローブのGC含量は一般に10〜75%、好ましくは35〜60%、より好
ましくは40〜55%の範囲である。
【0133】 本発明によるプローブまたはプライマーは8〜1000ヌクレオチド長であり、好
ましくは配列番号1〜3のヌクレオチド配列またはその変異体またはその相補配列
の少なくとも8、10、12、15、18または20〜25、35、40、50、60、70、80、100、
250、500または1000の連続したヌクレオチドの範囲であり、あるいは、配列番号
1〜3またはその変異体またはその相補配列のヌクレオチド配列の少なくとも12、
15、18、20、25、35、40、50、60、70、80、100、250、500または1000の連続し
たヌクレオチドとして特定される。特に、これらのプローブの長さは、8、10、1
5、20、あるいは30〜100ヌクレオチドの範囲とすることができ、好ましくは10〜
50、さらに好ましくは15〜30ヌクレオチドの範囲とすることができる。この範囲
よりも短いプローブは標的核酸配列に対する特異性に欠けることが多く、一般に
鋳型との間で十分に安定したハイブリッド複合体を形成するには温度を下げてや
る必要がある。一方、上記の範囲よりも長いプローブは作製に費用がかかり、ま
れに自家ハイブリダイズによってヘアピン構造が形成されてしまう。特定のアッ
セイ条件下でのプライマーおよびプローブの最適な長さは、当業者らが経験的に
判断するものである。好ましいプローブまたはプライマーは、B1〜B15、C1〜C15
、D1〜D8およびE1〜E8からなるヌクレオチド配列からなる群から選択されるポリ
ヌクレオチドを含む核酸からなるものである。
【0134】 さらに、本発明によるプローブの他の好ましい実施形態は、A1〜A8またはその
相補体からなる群から選択されるバイアレリックマーカーを含む核酸からなるも
のである。一例としてのプローブを実施例の表4にあげておく。
【0135】 本発明の特に好ましいプローブおよびプライマーとしては、配列番号1または
その相補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90
、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンを含む、単離された
、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、
配列番号1のヌクレオチド位置1〜3528、4852〜15143、15366〜16276および20560
〜20966のうち少なくとも1、2、3、5または10を含んでなる、前記ポリヌクレオ
チドがあげられる。本発明の他の好ましいプライマーおよびプローブとしては、
配列番号1またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50
、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンを
含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドであって、前
記連続スパンが、配列番号1の位置4150〜4154または位置17169〜17170を含む、
前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発明の別の好ましいプライマーおよびプ
ローブとしては、配列番号1またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25
、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチ
ドの連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオ
チドであって、前記連続スパンが、配列番号1の位置3787のG、位置3809のG、位
置4311のT、位置4328のA、位置4683のAまたは位置15319のAを含む、前記ポリヌ
クレオチドがあげられる。本発明の他の特に好ましいプライマーおよびプローブ
としては、配列番号1またはその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、3
5、40、50、60、70、80、90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連
続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドで
あって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜4833のうち少なく
とも1、2、3、5または10を含んでなる、前記ポリヌクレオチドがあげられる。
【0136】 本発明の別の目的は、配列番号5のヌクレオチド配列、その相補配列ならびに
その変異体およびそのフラグメントを含む、精製されたプライマーおよびプロー
ブ、単離されたプライマーおよびプローブまたは組換えプライマーおよびプロー
ブである。さらに、本発明の好ましいプライマーおよびプローブとしては、配列
番号5の配列からなるか、実質的に配列番号5の配列からなる、あるいは配列番号
5の配列を有する、精製されたAPM1 cDNA、単離されたAPM1 cDNAまたは組換えAPM
1 cDNAがあげられる。本発明の特に好ましい実施形態としては、配列番号5また
はその相補体の少なくとも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、
90、100、150、200、500または1000ヌクレオチドの連続スパンを含む、単離され
た、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが
、配列番号5の位置93のヌクレオチドT、位置1154〜1157、位置1997のヌクレオチ
ドG、位置2083〜2086、位置2367のヌクレオチドC、位置2456、位置2467、位置24
75または2631、位置2778のヌクレオチドA、位置2785〜2788、位置2797〜280、位
置3594のヌクレオチドT、位置3684のヌクレオチドG、位置3697〜3701、位置4026
〜4027および位置4053、位置4078、位置4533または位置4536のヌクレオチドTか
らなる群から選択される位置を含む、前記ポリヌクレオチドがあげられる。本発
明の別の特に好ましい実施形態としては、配列番号5またはその相補体の少なく
とも12、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、5
00または1000ヌクレオチドの連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは
組換え体のポリヌクレオチドであって、前記連続スパンが、配列番号5のヌクレ
オチド位置1〜22のうち少なくとも1、2、3、5または10を含んでなる、前記ポリ
ヌクレオチドがあげられる。
【0137】 一実施形態では、本発明は、配列番号1の8〜50ヌクレオチドの連続スパンおよ
びその相補体からなる、または実質的にかかる連続スパンおよびその相補体から
なる、単離された、精製されたおよび組換え体のポリヌクレオチドであって、前
記スパンが、前記配列中にAPM1関連バイアレリックマーカーを含む、前記ポリヌ
クレオチを包含する。任意に、前記APM1関連バイアレリックマーカーが、A1、A2
、A3、A5、A6およびA7からなる群から選択され、任意に、前記APM1関連バイアレ
リックマーカーが、A4またはA8のいずれかであり、任意に、前記連続スパンが18
〜35ヌクレオチド長であり、前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌクレオチ
ドの中心から4ヌクレオチド以内にあり、任意に、前記ポリヌクレオチドが前記
連続スパンからなり、前記連続スパンが25ヌクレオチド長であり、前記バイアレ
リックマーカーが前記ポリヌクレオチドの中心にあり、任意に、前記連続スパン
の3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端に存在し、任意に、前記連続スパンの
3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端に位置し、前記バイアレリックマーカー
が前記ポリヌクレオチドの3'末端に存在する。
【0138】 もう1つの実施形態では、本発明は、配列番号1またはその相補体の8〜50ヌク
レオチドの連続スパンからなる、または実質的にかかる連続スパンまたはその相
補体からなる、単離された、精製されたおよび組換え体のポリヌクレオチドであ
って、前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端に位置し、前記
ポリヌクレオチドの3'末端が、前記配列中のAPM1関連バイアレリックマーカーの
上流20ヌクレオチド以内に位置し、任意に、前記APM1関連バイアレリックマーカ
ーが、A1、A2、A3、A5、A6およびA7からなる群から選択されるか、あるいは、前
記APM1関連バイアレリックマーカーがA4またはA8のいずれかである、前記ポリヌ
クレオチドを包含する。任意に、前記ポリヌクレオチドの3'末端が、前記配列中
の前記APM1関連バイアレリックマーカーの1ヌクレオチド上流に位置し、任意に
、前記ポリヌクレオチドが、実質的に、配列D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、
E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7およびE8から選択される配列からなる。
【0139】 さらに他の実施形態では、本発明は、配列B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、
B9、B10、B11、B12、B13、B14、B15、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C1
0、C11、C12、C13、C14およびC15から選択される配列からなる、または実質的に
当該配列からなる、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチド
を包含する。
【0140】 他の実施形態では、本発明は、ハイブリダイゼーションアッセイ、シークエン
シングアッセイおよびアレル特異的増幅アッセイに使用して、配列番号1または
その相補体のAPM1関連バイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの正体を判
定するためのポリヌクレオチドならびに、配列番号1またはその相補体のAPM1関
連バイアレリックマーカーを含むヌクレオチドのセグメントを増幅するためのポ
リヌクレオチドであって、任意に、前記APM1関連バイアレリックマーカーが、A1
、A2、A3、A5、A6およびA7からなる群から選択されるか、あるいは、前記APM1関
連バイアレリックマーカーがA4またはA8のいずれかである、前記ポリヌクレオチ
ドを包含する。
【0141】 たとえば適当な配列のクローニングおよび制限の他、Narang et al.(1979)の
リン酸ジエステル法、Brown et al.(1979)のリン酸ジエステル法、Beaucage et
al.(1981)のジエチルホスホラミダイト法およびEP 0 707 592に記載されている
固相支持体法などの方法による直接的な化学合成による方法をはじめとする適当
な方法を用いて、プライマーおよびプローブを調製することができる。これらの
文献の開示内容をいずれも本願明細書に援用する。
【0142】 検出プローブは一般に、国際特許出願公開第WO 92/20702号に開示されている
ペプチド核酸などの核酸配列または電荷を持たない核酸類似物ならびに、米国特
許第5,185,444号、同第5,034,506号および同第5,142,047号に開示されているモ
ルホリノ類似物である。プローブに別のdNTPが付加されることがないという点で
プローブを「非伸長可能な」状態にしてもよい。類似物は一般にそれ自体が非伸
長可能であり、核酸プローブについては、ヒドロキシル基が伸長に関与できなく
なるようプローブの3'末端を修飾することで、これを非伸長可能にすることがで
きる。たとえば、プローブの3'末端を捕捉標識または検出標識で官能化し、ヒド
ロキシル基を消費するかブロックする。あるいは、3'ヒドロキシル基を切断、置
換または修飾してもよい。1993年4月19日出願の米国特許出願第07/049,061号に
は、プローブを非伸長可能にするのに使用できる修飾について記載されている。
【0143】 必要であれば、本発明のポリヌクレオチドはいずれも、分光学的、光化学的、
生化学的、免疫化学的または化学的な手段によって検出可能な標識を取り込んで
標識可能なものである。たとえば、有用な標識として、放射性物質(32P、35S、3 H、125I)、蛍光染料(5-ブロモデソキシウリジン(5-bromodesoxyuridin)、フルオ
レセイン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニンン)およびビオチンがあ
げられる。好ましくは、ポリヌクレオチドの3'末端および/または5'末端を修飾
する。核酸フラグメントの非放射性標識の一例が、フランス特許第FR-7810975号
またはUrdea et al(1988)またはSanchez-Pescador et al(1988)に記載されてい
る。また、本発明によるプローブは、シグナル増幅を可能にする構造上の特徴を
有する場合がある。このような構造上の特徴としては、たとえば、Urdea et al.
によって1991に説明されたものや欧州特許第EP 0 225 807(Chiron)号に記載され
ているものなどの枝分れDNAプローブがあげられる。
【0144】 また、標識を使用してプライマーを捕捉し、プライマーまたは増幅DNAなどの
プライマー伸長産物の固相支持体への固定化を容易にすることもできる。捕捉さ
れた標識はプライマーまたはプローブに結合するため、固相試薬の特異的結合メ
ンバー(ビオチンおよびストレプトアビジンなど)との間で結合対を形成する特異
的結合メンバーとなり得る。したがって、ポリヌクレオチドまたはプローブに付
した標識のタイプに応じて、これを標的DNAの捕捉または検出用に用いることが
できる。さらに、本願明細書において提供するポリヌクレオチド、プライマーま
たはプローブは、それ自体が捕捉標識として機能するものであることは理解でき
よう。たとえば、固相試薬の結合メンバーが核酸配列である場合、プライマーま
たはプローブの相補部分を結合し、これによってプライマーまたはプローブを固
相に固定化するように固相試薬を選択することができる。ポリヌクレオチドプロ
ーブ自体が結合メンバーとして機能する場合は、標的に対して相補的ではない配
列すなわち「尾」がプローブに含まれることは当業者であれば理解できよう。ポ
リヌクレオチドプライマー自体が捕捉標識として機能する場合は、プライマーの
少なくとも一部が固相上で核酸と自由にハイブリダイズされる。DNA標識法は当
業者間で周知のものである。
【0145】 本発明のプローブはさまざまな目的に有用である。特に、これらのプローブを
、ゲノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーションに利用することができる。
また、プローブを用いてPCR増幅産物を検出することもできる。さらに、従来技
術において周知の他の手法を用いて、APM1遺伝子またはmRNAにおけるミスマッチ
の検出に利用することもできる。
【0146】 本発明のポリヌクレオチド、プライマーおよびプローブはいずれも、固相支持
体に適宜固定化することができるものである。固相支持体は当業者間で周知のも
のであり、反応トレーの穴の壁面、試験管、ポリスチレンビーズ、磁気ビーズ、
ニトロセルロースストリップ、膜、ラテックス粒子などの微粒子、ヒツジ(また
は他の動物)の赤血球細胞、duracytesなどを含む。固相支持体が何であるかは重
要ではなく、当業者が選択可能である。したがって、ラテックス粒子、微粒子、
磁気ビーズまたは非磁気ビーズ、膜、プラスチックチューブ、マイクロタイター
の穴の壁、ガラスチップまたはシリコンチップ、ヒツジ(または他の適した動物)
の赤血球細胞およびduracytesはいずれも、好適な例である。固相に核酸を固定
化するための好適な方法としては、イオン的相互作用、疎水的相互作用、共有結
合的相互作用などがあげられる。本願明細書では、固相支持体は不溶性または以
後の反応によって不溶性にすることのできるあらゆる材料を意味する。捕捉試薬
を引きつけて固定化する固有の性能に応じて固相を選択することができる。ある
いは、捕捉試薬を引きつけて固定化する機能を有する別のレセプターを固相に保
定することができる。別のレセプターとしては、捕捉試薬自体または捕捉試薬に
共役結合される荷電物質と反対の電荷に荷電した荷電物質をあげることができる
。さらに別の選択肢として、レセプター分子は、固相支持体に固定化(結合)され
、特異的結合反応によって捕捉試薬を固定化する機能を有するものであれば、ど
のような特異的結合メンバーであってもよい。レセプター分子は、アッセイの実
行前またはアッセイの実行時に捕捉試薬の固相支持体材料への間接的な結合を可
能にするものである。このため、プラスチック、誘導体化プラスチック、磁性ま
たは非磁性金属、試験管のガラス表面またはシリコン表面、マイクロタイターウ
ェル、シート、ビーズ、微小粒子、チップ、ヒツジ(または他の適した動物)の赤
血球細胞、duracytesおよび当業者間で周知の他の構成などを固相とすることが
できる。本発明のポリヌクレオチドは、固相支持体にて個々にまたは少なくとも
2、5、8、10、12、15、20または25の本発明のポリヌクレオチドのグループで単
一の固相支持体に結合または固定化することができるものである。1種またはそ
れ以上の本発明のポリヌクレオチドを結合する固相支持体に、本発明によるもの
以外のポリヌクレオチドを結合させてもよい。
【0147】 結果として、本発明は、配列番号1〜5、そのフラグメントまたは変異体、ある
いはこれらに対する相補配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む
核酸の試料中における有無の検出方法であって、 a)配列番号1〜5のヌクレオチド配列、そのフラグメントまたは変異体、あるい
はその相補配列からなる群から選択される核酸に含まれるヌクレオチド配列とハ
イブリダイズ可能な1つまたは複数の核酸プローブとアッセイ対象試料とを接触
させるステップと、 b)試料中でプローブと核酸との間に生成されるハイブリッド錯体を検出するス
テップと、を含む検出方法についても扱う。
【0148】 本検出方法の第1の好ましい実施形態では、前記核酸プローブまたは複数の当
該核酸プローブを検出可能な分子で標識する。前記方法の第2の好ましい実施形
態では、前記核酸プローブまたは複数の当該核酸プローブが支持体に固定化する
。第3の好ましい実施形態では、核酸プローブまたは複数の当該核酸プローブが
、配列番号B1〜B15、C1〜C15、D1〜D8およびE1〜E8のヌクレオチド配列からなる
群から選択される配列か、A1〜A8またはその相補体からなる群から選択されるバ
イアレリックマーカーのいずれかを含む。
【0149】 本発明はさらに、配列番号1〜5、そのフラグメントまたは変異体、あるいはそ
の相補配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸の試料中にお
ける有無の検出キットであって、 a)配列番号1〜5のヌクレオチド配列、そのフラグメントまたは変異体、あるい
はこれらに対する相補配列からなる群から(form)選択される、核酸に含まれるヌ
クレオチド配列とハイブリダイズ可能な1つまたは複数の核酸プローブと、 b)任意に、ハイブリダイゼーション反応を行うのに必要な試薬と、を有する検
出キットに関する。
【0150】 検出キットの第1の好ましい実施形態では、前記核酸プローブまたは複数の当
該核酸プローブを検出可能な分子で標識する。検出キットの第2の好ましい実施
形態では、核酸プローブまたは複数の当該核酸プローブを支持体に固定化する。
検出キットの第3の好ましい実施形態では、核酸プローブまたは複数の当該核酸
プローブが、配列番号B1〜B15、C1〜C15、D1〜D8およびE1〜E8のヌクレオチド配
列からなる群から選択される配列か、A1〜A8またはその相補体からなる群から選
択されるバイアレリックマーカーのいずれかを含む。
【0151】 (オリゴヌクレオチドアレイ) 本発明の複数のオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブを含む基質を用
いて、APM1遺伝子の標的配列を検出または増幅することができる。また、これを
用いてAPM1遺伝子のコード配列または非コード配列の変異を検出することもでき
る。
【0152】 本願明細書に記載のポリヌクレオチドはいずれも、固相支持体上のオーバーラ
ップ領域内または無作為に選択した位置に結合できるものである。あるいは、一
定順序のアレイとして本発明のポリヌクレオチドを結合させてもよいが、この場
合、各ポリヌクレオチドは、固相支持体上の他のいかなるポリヌクレオチドの結
合部位とも重複しない、明確に認識できる領域に結合される。好ましくは、これ
らの明確に認識できる位置を記録し、アッセイ手順の一部としてアクセスできる
ように、このようなポリヌクレオチドの一定順序のアレイを「アドレス指定可能
な」ように設計する。アドレス指定可能なポリヌクレオチドアレイは一般に、異
なる既知の位置にある基質の表面に結合する複数の異なるオリゴヌクレオチドプ
ローブを含む。各ポリヌクレオチドを正確に知ることで、これらの「アドレス指
定可能な」アレイがハイブリダイゼーションアッセイにおいて特に有用なものと
なる。当業者間で周知のアドレス指定可能なアレイテクノロジーを本発明のポリ
ヌクレオチドと併用することが可能である。これらのポリヌクレオチドアレイの
特定の一実施形態がGenechips(登録商標)として周知であり、米国特許第5,143,8
54号、国際特許出願公開第WO 90/15070号および同第92/10092号にその概略が説
明されている。これらのアレイは一般に、機械的な合成方法または光指向性合成
方法を用いて作製できる。これらの方法では、フォトリソグラフィによる方法と
固相オリゴヌクレオチド合成との組み合わせを利用している(Fodor et al., 199
1)。オリゴヌクレオチドアレイの固相支持体への固定化は、一般に「Very Large
Scale Immobilized Polymer Synthesis(VLSIPS(登録商標))」と呼ばれるテクノ
ロジーの開発によって可能になったものである。このテクノロジーでは一般に、
チップの固体表面上でプローブを高密度アレイ状に固定化する。VLSIPS(登録商
標)テクノロジーの一例は、米国特許第5,143,854号および同第5,412,087号なら
びに国際特許出願公開第WO 90/15070号、同第WO 92/10092号および同第WO 95/11
995号にあげられている。これらの公報では、光指向性合成法などの手法によっ
てオリゴヌクレオチドアレイを形成する方法について説明されている。固相支持
体に固定化されるヌクレオチドのアレイを提供することを目的とした設計戦略で
は、ハイブリダイゼーションパターンと配列情報を最大化しようという試みの中
で、チップ上でオリゴヌクレオチドアレイを順序付けて表示するための別のプレ
ゼンテーション戦略が開発された。このようなプレゼンテーション戦略の一例が
、国際特許出願公開第WO 94/12305号、同第WO 94/11530号、同第WO 97/29212号
および同第WO 97/31256号に開示されている。
【0153】 本発明のオリゴヌクレオチド配列の別の実施形態では、オリゴヌクレオチドプ
ローブマトリックスを有効利用してAPM1遺伝子、好ましくはその調節領域に生じ
る変異を検出することができる。この特定の目的のために、(1つまたは複数のヌ
クレオチドの欠失、挿入または置換のいずれかによって)既知の変異を持つ遺伝
子とのハイブリッド形成が可能なヌクレオチド配列が含まれるように、プローブ
を特別に設計する。既知の変異とは、たとえばHuang et al.(1996)またはSamson
et al.(1996)によって用いられている手法などを用いてすでに同定されている
、APM1遺伝子上の変異を意味する。
【0154】 APM1遺伝子の変異の検出に用いられるもう1つの手法は、高密度DNAアレイであ
る。高密度DNAアレイの単位要素を構成している各オリゴヌクレオチドプローブ
を、APM1ゲノムDNAまたはcDNAの特異的なサブシーケンスに一致するように設計
する。このため、標的遺伝子配列のサブシーケンスに対して相補な野生型Apm1オ
リゴヌクレオチドからなるアレイを用いて標的配列の同一性を判断し、その量を
測定し、標的配列と基準配列との差を検出する。このような設計のうちの1つ(4L
タイル状アレイ)では、4つ一組のプローブ(A、C、G、T)、好ましくは15個のヌク
レオチドオリゴマーを利用している。4つのプローブのセット各々において、ミ
スマッチのあるプローブよりも完全な補体の方が強くハイブリダイズされる。し
たがって、4Lのプローブを含むタイル状アレイすなわち、既知の野生型基準配列
に含まれている可能性のあるすべての変異を含む全プローブセットで、長さLの
核酸標的の変異が探査される。標的配列に1塩基でも違いがあると、15merプロー
ブセットのタイル状アレイのハイブリッドシグナルが乱れる。結果として、変異
位置をフランキングするシグナルすなわちプローブの「足跡」に特徴の損失がで
きることになる。この手法はChee et al.によって1996年に説明されているもの
であり、その内容を本願明細書に援用する。
【0155】 結果として、本発明は、プローブおよびプライマーとして上述したポリヌクレ
オチドを少なくとも1つ有する核酸分子のアレイに関する。好ましくは、本発明
は、プローブおよびプライマーとして上述したポリヌクレオチドを少なくとも2
つ有する核酸配列のアレイに関する。
【0156】 本発明のさらに他の目的は、配列番号B1〜B15、C1〜C15、D1〜D8およびE1〜E8
またはこれらと相補な配列からなる群から選択される配列少なくとも1つ、ある
いはその少なくとも8、10、12、15、18、20、25、30または40の連続したヌクレ
オチドからなるフラグメント、あるいはA1〜A8またはこれらの相補体からなる群
から選択されるバイアレリックマーカーを有する配列を少なくとも1つを有する
核酸配列のアレイで構成される。
【0157】 本発明はまた、配列番号B1〜B15、C1〜C15、D1〜D8およびE1〜E8またはこれら
と相補な配列からなる群から選択される配列少なくとも2つ、あるいはその少な
くとも8の連続したヌクレオチドからなるフラグメント、あるいはA1〜A8からな
る群から選択されるバイアレリックマーカーまたはこれらの相補体を有する配列
を少なくとも2つを有する核酸配列のアレイで構成される。
【0158】(APM1タンパク質およびポリペプチドフラグメント) 「APM1ポリペプチド」という用語は、本願明細書では、本発明のあらゆるタン
パク質およびポリペプチドを含むものとする。また、本発明のポリヌクレオチド
にコードされたポリペプチドならびにこのようなポリペプチドを含む融合ポリペ
プチドも本発明の一部を構成する。本発明は、単離または精製されたAPM1タンパ
ク質を含む、ヒトから得たAPM1タンパク質であって、配列番号6の配列からなる
、あるいは実質的に配列番号6の配列からなる、あるいは配列番号6の配列を含む
、APM1タンパク質を例示するものである。本発明のAPM1タンパク質は、アミノ酸
位置56のアスパラギン酸残基をグルタミン酸残基で置換した、ヒトAPM1のアミノ
酸配列の天然由来の変異体をベースにしたものであることに注意されたい。本願
明細書では、配列番号6のアミノ酸位置56を含む変異体タンパク質およびそのフ
ラグメントを総称して「56-Glu変異体」と呼ぶ。
【0159】 本発明は、配列番号6の少なくとも6アミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10ア
ミノ酸、さらに好ましくは配列番号6の少なくとも12、15、20、25、30、40、50
または100アミノ酸の連続スパンを含み、前記連続スパンが、配列番号6のアミノ
酸位置56にグルタミン酸残基を含む、単離された、精製されたおよび組換え体の
ポリペプチドを例示するものである。他の好ましい実施形態では、アミノ酸の連
続スパンが、APM1タンパク質配列のアミノ酸の欠失、付加、交換、切断を含む突
然変異部位または機能的突然変異を含む。
【0160】 APM1タンパク質は、ヒトまたは哺乳動物の組織試料から単離されるか、あるい
はヒトまたは哺乳動物の遺伝子から発現されたものであると好ましい。本発明の
APM1ポリペプチドは、従来技術において周知の一般に用いられる発現方法によっ
て生成できる。所望のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、好都合な
宿主に適した発現ベクターに連結する。組換え体のポリペプチドの形成には真核
生物宿主系と原核生物宿主系の両方が使用されるが、本願明細書では一般的な系
のうちのいくつかについて概説する。ポリペプチドを連結後の細胞または培地か
ら単離し、意図した用途に合う程度まで精製する。精製は、微分抽出、塩分画、
クロマトグラフィ、遠心などの従来技術において周知のいずれかの方法で行う。
タンパク質のさまざまな精製方法については、たとえば、Methods in Enzymolog
yを参照のこと。
【0161】 また、短めのタンパク質フラグメントであれば化学的な合成によって作出する
ことができる。あるいは、本発明のタンパク質をヒトまたは非ヒト動物の細胞ま
たは組織から抽出する。タンパク質の精製方法は従来技術において周知であり、
一例としては、洗浄剤またはカオトロピック剤を使用して粒子を破壊した後、イ
オン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、密度による遠心沈
降およびゲル電気泳動などによってポリペプチドを微分抽出および分離すること
があげられる。
【0162】 配列番号5をはじめとするどのようなAPM1 cDNAを用いてAPM1タンパク質および
ポリペプチドを発現させてもよい。従来のクローニングテクノロジーを使用して
、発現対象となるAPM1タンパク質またはポリペプチドをコードする核酸を発現ベ
クターでプロモーターに作用的に結合させる。発現ベクター中のAPM1インサート
は、APM1タンパク質またはその一部の全コード配列を含むものであってもよい。
たとえば、APM1由来のインサートが、配列番号6のAPM1タンパク質の少なくとも1
0の連続したアミノ酸を含み、前記連続したアミノ酸がアミノ酸位置56にグルタ
ミン酸残基を有するポリペプチドをコードしてもよい。
【0163】 発現ベクターは、従来技術において周知の哺乳動物、酵母、昆虫またはバクテ
リアの発現系であればどのようなものであってもよい。ジェネティクスインステ
ィテュート社(マサチューセッツ州Cambridge)、ストラタジーン社(カリフォルニ
ア州La Jolla)、プロメガ社(ウィスコンシン州Madison)およびインビトロゲン社
(カリフォルニア州San Diego)をはじめとするさまざまな提供業者から、市場販
売されているベクターおよび発現系を入手することができる。必要であれば、Ha
tfield, et al.の米国特許第5,082,767号に説明されているように発現ベクター
を導入する生物での発現に合わせて配列のコドンコンテキストおよびコドンペア
リングを最適化し、発現を促進して正しいタンパク質折り畳みを容易にすること
ができる。
【0164】 一実施形態では、cDNAのポリAシグナルによるAPM1 cDNAの全コード配列を発現
ベクターでプロモーターに作用的に結合させる。あるいは、APM1タンパク質の一
部をコードする核酸に開始部位として機能するメチオニンがない場合は、従来の
手法を利用して開始メチオニンを核酸の第1コドンの隣に導入することができる
。同様に、APM1 cDNAから得たインサートにポリAシグナルがない場合は、BglIお
よびSalI制限エンドヌクレアーゼ酵素を用いてpSG5(ストラタジーン)からポリA
シグナルを抜き、これを哺乳動物の発現ベクターpXT1(ストラタジーン)に組み込
むことで、上記の配列をコンストラクトに付加することができる。pXT1は、Molo
neyマウス白血病ウイルスから得られるLTRとgag遺伝子の一部とを含む。コンス
トラクトにおけるLTRの位置がゆえに、安定したトランスフェクションを効率よ
く行うことができる。ベクターは、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプ
ロモーターおよび選択可能なネオマイシン遺伝子を含む。配列番号5のAPM1 cDNA
を含むバクテリアベクターからAPM1タンパク質またはその一部をコードする核酸
をPCRによって得る。使用するオリゴヌクレオチドプライマーについては、APM1
タンパク質またはその一部をコードする配列がポリAシグナルに対して正しい位
置にくるように慎重に注意を払いながら、APM1 cDNAまたはその一部と相補的で
あり、かつ、5'プライマーに組み込まれたPst Iに対する制限エンドヌクレアー
ゼ配列と、これに対応するcDNA 3'プライマーの5'末端におけるBglIIに対する制
限エンドヌクレアーゼ配列とを含有するものを選択する。このようにして起こる
PCR反応で得られる精製フラグメントをPstIで消化し、エキソヌクレアーゼでブ
ラントエンド化し、Bgl IIで消化し、精製してpXT1に連結する。
【0165】 産物についての説明部分に概説された条件下でリポフェクチン(ニューヨーク
州Grand Island、ライフテクノロジーズ社)を使用し、連結産物をマウスNIH 3T3
細胞にトランスフェクトする。G418(ミズーリ州St. Louis、シグマ社)600μg/ml
中にてトランスフェクト細胞の成長後にポジティブなトランスフェクタントを選
択する。
【0166】 あるいは、APM1タンパク質またはその一部をコードする核酸をpED6dpc2(マサ
チューセッツ州Cambridge、ジェネティクスインスティテュート社)にクローニン
グする。このようにして得られるpED6dpc2コンストラクトを、COS 1細胞などの
適当な宿主細胞にトランスフェクトする。メトトレキサート耐性細胞を選択し、
拡大した。
【0167】 上述した手順を用いて、検出可能な表現型またはその一部の原因であるミュー
タントAPM1タンパク質を発現させることもできる。
【0168】 硫酸アンモニウム沈降またはクロマトグラフィを用いた分取などの従来の精製
法を利用して、サイズまたは電荷に応じて発現タンパク質を精製する。核酸イン
サートによってコードされたタンパク質を、標準的な免疫クロマトグラフィ法を
用いて精製してもよい。このような手順では、細胞エキスなど発現APM1タンパク
質またはその一部を含有する溶液を、APM1タンパク質またはその一部に対する抗
体を仕込んだカラムに入れ、これをクロマトグラフィのマトリックスに取り付け
る。発現タンパク質を免疫クロマトグラフィのカラムに結合させる。その後、カ
ラムを洗浄して非特異的に結合したタンパク質を除去する。特異的に結合した発
現タンパク質をカラムから分離し、標準的な手法を用いて回収する。
【0169】 APM1タンパク質またはその一部の発現を確認するには、APM1タンパク質または
その一部をコードするインサートを含む発現ベクターを含有する宿主細胞で発現
したタンパク質を、インサートを含まない発現ベクターを含有する宿主細胞から
発現したタンパク質と比較すればよい。インサートを含む発現ベクターを含有す
る細胞から得た試料には、インサートを含まない発現ベクターを含有する細胞か
ら得た試料にはないバンドが存在することから、APM1タンパク質またはその一部
が発現されていることが分かる。通常、このバンドの易動度はAPM1タンパク質ま
たはその一部で想定されるものと同じである。ただし、このバンドの易動度は、
グリコシル化、ユビキチン結合または酵素切断などによる修飾の結果として生じ
るはずの易動度とは異なる場合もある。
【0170】 発現APMタンパク質またはその一部を特異的に認識できる抗体については後述
する。
【0171】 抗体産生ができない場合は、APM1タンパク質またはその一部をコードする核酸
を、キメラポリペプチドを用いる精製スキームで使用するように設計した発現ベ
クターに組み込めばよい。このような戦略では、APM1タンパク質またはその一部
をコードする核酸を、キメラのもう片方をコードする遺伝子と共にフレームに挿
入する。キメラのもう片方は、たとえばβ-グロビンまたはニッケル結合ポリペ
プチドコード化配列であってもよい。このようにして、β-グロビンまたはニッ
ケルに対する抗体を有するクロマトグラフィのマトリックスを用いてキメラタン
パク質を精製することができる。プロテアーゼ切断部位をβ-グロビン遺伝子ま
たはニッケル結合ポリペプチドとAPM1タンパク質またはその一部との間で操作す
る。これによって、キメラの2つのポリペプチドがプロテアーゼで消化されて互
いに分離する。
【0172】 β-グロビンキメラの生成に有用な発現ベクターの1つに、pSG5(ストラタジー
ン)があげられる。これは、ウサギβ-グロビンをコードするものである。ウサギ
β-グロビン遺伝子のイントロンIIによって、発現転写物のスプライシングが容
易になり、コンストラクトに組み込まれたポリアデニル化シグナルによって発現
のレベルが増大する。これらの手法は分子生物分野の当業者間で周知のものであ
る。標準的な方法は、Davis et al.、(Basic Methods in Molecular Biology, L
.G. Davis, M.D. Dibner, and J.F. Battey, ed., Elsevier Press, NY, 1986)
などの方法テキストにおいて公開されている。さらに、ストラタジーン社、ライ
フテクノロジーズ社またはプロメガ社からの多くの方法を利用できる。また、In
vitro Express(登録商標)Translation Kit(ストラタジーン)などのin vitro翻
訳系を用いてコンストラクトからポリペプチドを生成してもよい。
【0173】(本発明のAPM1ポリペプチドを結合する抗体) 発現されたAPM1タンパク質またはそのフラグメントに上述したように特異的に
結合できる抗体を生成するには、どのようなAPM1ポリペプチドまたはタンパク質
全体を利用してもよい。本発明の抗体組成物は、APM1タンパク質の56-Glu変異体
に特異的に結合またはこれを特異的に結合できる。APM1の56-Glu変異体に特異的
に結合する抗体組成物として機能するには、ELISAやRIA、他の抗体ベースの結合
実験において、APM1の56-Asp変異体の結合親和性よりもAPM1の56-Glu変異体の結
合親和性の方が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、50%あるいは100%高くなけ
ればならない。
【0174】 本発明の好ましい実施形態では、抗体組成物が、配列番号6の少なくとも6アミ
ノ酸、好ましくは少なくとも8〜10アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12、1
5、20、25、30、40、50または100アミノ酸の連続スパンを含むポリペプチドのエ
ピトープ含有フラグメントに選択的に結合またはこれを選択的に結合可能であり
、前記エピトープが、配列番号6のアミノ酸位置56にグルタミン酸残基を有し、
前記抗体組成物が任意にポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。
【0175】 また、本発明は、APM1ポリペプチドの少なくとも6アミノ酸、好ましくは少な
くとも8〜10アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも12、15、20、25、50または1
00アミノ酸の連続スパンを含み、前記連続スパンが、配列番号6のアミノ酸位置5
6にグルタミン酸残基を有するポリペプチドを、抗体の作出に使用すること対象
としている。好ましい実施形態では、かかるポリペプチドは、56-Glu変異体の有
無を検出する抗体の作出に有用なものである。
【0176】 抗体の調製には、抗体が結合すると望ましいAPM1とは異なる種のAPM1を発現す
る、野生型またはトランスジェニック動物での非ヒト動物または哺乳動物と、AP
M1を発現しない動物(すなわち本願明細書で説明するAPM1ノックアウトアニマル)
が特に有用である。APM1ノックアウトアニマルは、APM1曝露領域の大半または全
体を外来抗原として認識し、APM1エピトープのアレイが拡がった抗体を産生する
。さらに、56-Glu変異体に対する特異的結合を得る上で、アミノ酸を10〜30しか
含まない小さめのポリペプチドが有用なこともある。また、APM1の抗原配列と類
似の種を産生する動物の体液性免疫系は、動物の天然APM1種と抗原配列との違い
を優先的に認識し、抗原配列における独特な部位に対する抗体を産生する。この
ような手法は、56-Glu変異体に特異的に結合される抗体を得る上で特に有用であ
る。
【0177】 (APM1遺伝子の増幅) (1. DNA抽出) 解析対象となるゲノムDNAのソースに関して言えば、特に制限なくほぼどのよ
うな被検試料でも用いることが可能である。これらの被検試料としては、本願明
細書において説明する本発明の方法によって試験可能な生物学的試料があげられ
る。また、全血、血清、血漿、脳脊髄液、尿、リンパ液の他、呼吸器、腸管およ
び泌尿生殖器、涙、唾液、乳、白血球、骨髄腫などでのさまざまな外分泌液、細
胞培養の上澄み液などの生物学的な流体、腫瘍組織および非腫瘍組織、リンパ節
組織を含む固定組織標本、骨髄吸引液および固定細胞標本などのヒトおよび動物
の体液もあげられる。本発明の文脈で使用されるゲノムDNAの好ましいソースは
、各ドナーの辺縁末梢静脈血から採取したものである。
【0178】 DNA抽出の手法は当業者間で周知である。かかる手法については、特にLin et
al.(1998)およびMackey et al.(1998)によって説明されている。
【0179】 (2. DNA増幅) DNA増幅手法は当業者間で周知である。本発明の文脈で使用できる増幅手法と
しては、欧州特許出願公開第EP-A-320 308号、国際特許出願公開第WO 9320227号
および欧州特許出願公開第EP-A-439 182号(これらの内容全体を本願明細書に援
用する)に記載されているリガーゼ連鎖反応(LCR)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR、
RT-PCR)、Guatelli J. C., et al.(1990)およびCompton J.(1991)に記載されて
いる核酸配列にもとづく増幅法(NASBA)、欧州特許出願第4544610号に記載されて
いるようなQ-β増幅、Walker et al.(1996)および欧州特許出願公開第EP A 684
315号に記載されているようなSDA、国際特許出願公開第WO 9322461号(その内容
を本願明細書に援用する)に記載されているような標的媒介増幅などの手法があ
げられるが、これに限定されるものではない。mRNAの増幅について見ると、mRNA
をcDNAに逆転写し、続いてポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を行うこと、米国特許
第5,322,770号に記載されているように両方のステップに1つの酵素を用いること
、あるいはMarshall et al.(1994)に記載されているように非対称Gap LCR(RT-AG
LCR)を使用することは、いずれも本発明の範囲内である。AGLCRはGLCRに手を加
えてRNAの増幅を可能にしたものである。
【0180】 PCRテクノロジーは、本発明で用いられる好ましい増幅手法である。さまざま
なPCR手法が当業者間で周知である。PCRテクノロジーについては、White(1997)
および「PCR Methods and Applications」というタイトルの刊行物(1991, Cold
Spring Harbor Laboratory Press)を参照のこと。これらのPCR手順ではいずれも
、増幅対象となる核酸配列の片側のPCRプライマーを、dNTPおよびTaqポリメラー
ゼ、PfuポリメラーゼまたはVentポリメラーゼなどの熱安定性ポリメラーゼと共
に、適宜調製した核酸試料に付加する。試料中の核酸を変性させ、PCRプライマ
ーを試料中の相補核酸配列に特異的にハイブリダイズさせる。ハイブリダイズ後
のプライマーを伸長させる。その後、修飾、ハイブリダイゼーションおよび伸長
をもう1サイクル開始する。このサイクルを複数回繰り返し、プライマー部位間
に核酸配列のある増幅フラグメントを作出する。PCRについては、米国特許第4,6
83,195号、同第4,683,202号および同第4,965,188号をはじめとするいくつかの特
許にも説明されている。各公報の内容を本願明細書に援用する。
【0181】 本発明の一態様は、好ましくはPCRテクノロジーを用いて行う、ヒトAPM1遺伝
子、特に配列番号1のゲノム配列または配列番号5のcDNA配列、あるいはそのフラ
グメントまたはその変異体の被検試料における増幅方法である。この方法は、標
的APM1コード配列またはその一部を含んでいる可能性のある被検試料と、一対の
増幅プライマーおよび最終的にはいくつかの例で単位複製配列の内部領域とハイ
ブリダイズ可能な検出プローブを有する増幅反応試薬とを接触させ、所望の増幅
反応が起こっているか否かを確認するステップを含む。
【0182】 このため、本発明は、ヒトAPM1遺伝子配列、特に配列番号1のゲノム配列また
は配列番号5のcDNA配列の一部、あるいはその変異体の被検試料における増幅方
法であって、 a)配列番号1および配列番号5、そのフラグメントまたは変異体からなる群から
選択されるヌクレオチド配列で構成される標的APM1遺伝子配列を含んでいる疑い
のある被検試料と、上述したような一対の増幅プライマーを有し、増幅対象とな
るポリヌクレオチド領域のいずれかの側に所在する増幅反応試薬とを接触させる
ステップと、 b)任意に、増幅産物を検出するステップと、を含む方法にも関する。
【0183】 上記の増幅方法の第1の好ましい実施形態では、増幅領域に対して相補な配列
を有する標識プローブとのハイブリダイゼーションによって増幅産物を検出する
。第2の好ましい実施形態では、核酸プライマーが、B1〜B15、C1〜C15、D1〜D8
およびE1〜E8からなる群から選択される配列を有する。プライマーは、特に、増
幅対象となる領域に近い位置のゲノム配列の鎖のいずれかの配列、たとえば、増
幅されるエキソンに隣接する非コード配列との間で、十分な相補性を有すること
を特徴とするものである。
【0184】 本発明はまた、ヒトAPM1遺伝子配列、特に配列番号1のゲノム配列または配列
番号5のcDNA配列の一部、あるいはその変異体を被検試料において増幅するため
のキットであって、 a)増幅対象となるAPM1領域のいずれかの側に所在する一対のオリゴヌクレオチ
ドプライマーと、 b)任意に、増幅反応に必要な試薬と、を含むキットにも関する。
【0185】 上記の増幅キットの一実施形態では、増幅領域に対して相補な配列を有する標
識プローブとのハイブリダイゼーションによって増幅産物を検出する。
【0186】 上記の増幅キットのもう1つの実施形態では、プライマーが、B1〜B15、C1〜C1
5、D1〜D8およびE1〜E8からなる群から選択される配列を有する。
【0187】 (APM1関連バイアレリックマーカー) バイアレリックマーカーは一般に、単一の塩基1カ所における多型で構成され
る。したがって、各バイアレリックマーカーがポリヌクレオチド配列の2種類の
形態に対応することになり、これらを互いに比較すると、1カ所でヌクレオチド
に修飾が見られる。通常、ヌクレオチドの修飾ではヌクレオチド同士の入れ替え
が起こる(たとえばTの代わりにCなど)。
【0188】 (本発明のバイアレリックマーカーの利点) 本発明のAPM1関連バイアレリックマーカーには、RFLP(制限酵素フラグメント
長多型)マーカーおよびVNTR(タンデムリピートの繰り返し数)マーカーなどの他
の遺伝マーカーにはない多くの重要な利点がある。
【0189】 第1系統のマーカーはRFLPであったが、これは制限酵素フラグメントの長さの
違いを検出するマーカーの一種である。しかしながら、RFLPの同定およびタイプ
判別に用いられる方法では、材料や手間、時間の無駄が比較的多い。第2系統の
遺伝マーカーはVNTRであったが、これはミニサテライトまたはマイクロサテライ
トのいずれかに分類できる。ミニサテライトは5〜50bpを単位として繰り返され
るタンデムリピートのDNA配列であり、ヒト染色体の0.1〜20kb長の範囲の領域に
沿って分布している。ミニサテライトには考え得るアレルが多く存在するため、
ミニサテライトが持つ情報性は極めて高い。サザンブロットによってミニサテラ
イトの違いを解析し、被検個体から採取した試料に含まれるタンデムリピートの
数を確認する。しかしながら、サザンブロッティング法でタイプ判別ができる潜
在的VNTRはわずか104しかない。さらに、多数を開発およびアッセイしようとす
ると、RFLPマーカーとVNTRマーカーのいずれもコスト高かつ時間のかかるもので
ある。
【0190】 単一ヌクレオチド多型またはバイアレリックマーカーをRFLPおよびVNTRと同じ
ように使用して、いくつかの利点を得ることができる。SNPは、ヒトゲノム中に
高密度で存在し、最も頻度の高いタイプの変異を示す。推定で107を上回る数の
部位がヒトゲノムの3×109個の塩基対に沿って分散している。したがって、RFLP
マーカーまたはVNTRマーカーよりも高い頻度かつ高い均一性で発生するのである
が、これは、かかるマーカーが興味の対象となる遺伝座に極めて近いところで見
つかる可能性が極めて大きいことを意味している。SNPはVNTRマーカーと比べる
と可変性に欠けるが、突然変異という点ではVNTRマーカーよりも安定している。
【0191】 さらに、本発明のバイアレリックマーカーなど、特徴づけ済の異なる形態の単
一ヌクレオチド多型は容易に識別できることが多いため、定法でタイプ判別をす
ることができる。バイアレリックマーカーには単一ヌクレオチドベースのアレル
が含まれており、共通のアレルは2つしかないため、並列性の高い検出と自動ス
コアリングを行うことができる。本発明のバイアレリックマーカーによれば、多
数の個体について遺伝子型を高速かつ高スループットで得られる可能性がある。
【0192】 バイアレリックマーカーは、ゲノム中に高密度で含まれており、十分に情報性
があり、多数をアッセイすることが可能である。これらの利点が組み合わさるこ
とで、バイアレリックマーカーがゲノム研究において極めて価値のあるものとな
る。バイアレリックマーカーは、家系での連鎖解析やアレル共有法、個体群での
連鎖不平衡解析、症例-対照個体群または形質陽性個体群と形質陰性個体群の関
連性解析などに使用できる。本発明の重要な態様は、バイアレリックマーカーを
用いることで、関連性解析を行って複雑な形質に関与している遺伝子を同定でき
るという点にある。関連性解析では、血縁のない症例個体群と対照個体群の頻度
を解析するものであり、一般に多因子性の形質または散発性の形質の検出に用い
られる。関連性解析は個体群全体に対して実施できるものであり、羅患家系に含
まれる関連した個体で実施する解析(連鎖解析)に限定されるものではない。異な
る遺伝子のバイアレリックマーカーを、疾病や治療に対する応答との直接的な関
連性に関して並列にスクリーニングすることができる。このような多遺伝子法を
使用すると、特定の表現型や医薬品応答、散発性形質または複雑な遺伝的病因が
絡む疾病状態に複数の遺伝因子がどのような相乗効果をおよぼすか検討する上で
必要な統計力になるため、多遺伝子法はさまざまなヒトゲノム解析での強力なツ
ールである。
【0193】 (本発明の候補遺伝子) その他にも、ゲノムレベルでの関連性解析、候補領域関連性解析、候補遺伝子
関連性解析といったさまざまな方法を利用して、関連性解析を実施することも可
能である。ゲノムレベルでの関連性解析では、ゲノム全体にわたって等間隔で配
座した遺伝マーカーをスクリーニングすることを基本としている。候補遺伝子を
用いる方法は、興味の対象となる形質に関連する生物学的経路に関与している可
能性のある遺伝子に特異的に所在する遺伝マーカーを研究することに基づくもの
である。本発明では、APM1が候補遺伝子である。特に、APM1遺伝子は肥満や肥満
と関連した他の障害に関与しているように思われる。候補遺伝子解析では、形質
のバイオロジーに関する情報がいくらかでも入手可能である場合に、特定の形質
に関する遺伝子と遺伝子多型を明らかに手っ取り早く得ることができる。しかし
ながら、本願にて開示するバイアレリックマーカーはいずれも、ゲノムレベルで
の関連性解析の一部として、あるいは、候補領域関連性解析の一部として利用す
ることができるものであり、かかる用途も本発明および請求の範囲にて特に企図
されていることに注意されたい。
【0194】 (APM1関連バイアレリックマーカーおよびこれに関連したポリヌクレオチド) 本発明はまた、APM1関連バイアレリックマーカーにも関するものである。本願
明細書において、「APM1関連バイアレリックマーカー」という用語は、APM1遺伝
子と連鎖不平衡状態にある一連のバイアレリックマーカーに関する。APM1関連バ
イアレリックマーカーという用語には、A1〜A8で示すバイアレリックマーカーを
含む。
【0195】 本発明のバイアレリックマーカーの一部を表Aおよび表Bに示す。これらのマー
カーのAPM1遺伝子上の位置を表Aおよび表Bに示し、一塩基多型として配列番号1
のフィーチャーにも示す。1つのAPM1バイアレリックマーカーの多型塩基を含有
する核酸の増幅を可能にする複数対のプライマーを実施例2の表1に列挙する。
【0196】
【表1】
【0197】
【表2】
【0198】 本発明は、APM1遺伝子の配列、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8ならびに
これらの相補体からなる群から選択されると好ましいバイアレリックマーカーの
配列に所在するバイアレリックマーカーの多型塩基を有する精製および/または
単離されたヌクレオチド配列にも関するものである。この配列は8〜1000ヌクレ
オチド長であり、好ましくは、配列番号1および配列番号5またはその変異体、あ
るいはこれらに対する相補配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有
する、少なくとも8、10、12、15、18、20、25、35、40、50、60、70、80、100、
250、500または1000の連続したヌクレオチドを有する。これらのヌクレオチド配
列は、考慮対象のバイアレリックマーカーのアレル1またはアレル2のいずれかの
多型塩基を有する。任意に、前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌクレオチ
ドの中心から6、5、4、3、2または1ヌクレオチドの位置にあってもよく、あるい
は前記ポリヌクレオチドの中心にあってもよい。任意に、前記連続スパンの3'末
端が前記ポリヌクレオチドの3'末端に存在してもよい。任意に、バイアレリック
マーカーが前記ポリヌクレオチドの3'末端に存在してもよい。任意に、前記ポリ
ヌクレオチドの3'末端が、前記配列におけるAPM1遺伝子のバイアレリックマーカ
ーから2、4、6、8、10、12、15、18、20、25、50、100、250、500または1000ヌ
クレオチド以内または少なくとも2、4、6、8、10、12、15、18、20、25、50、10
0、250、500または1000ヌクレオチド上流に位置してもよい。任意に、前記ポリ
ヌクレオチドの3'末端が、前記配列におけるAPM1遺伝子のバイアレリックマーカ
ーから1ヌクレオチド上流に位置してもよい。任意に、前記ポリヌクレオチドが
さらに標識を有していてもよい。任意に、前記ポリヌクレオチドが固相支持体に
結合可能なものであってもよい。さらに他の実施形態では、上記にて定義したポ
リヌクレオチドを単独または組み合わせで使用することができる。
【0199】 好ましい実施形態では、表Aおよび表Bに列挙するバイアレリックマーカーのう
ちの1つの多型塩基を含む配列が、9-27、99-14387、9-12、9-13、99-14405およ
び9-16として示す核酸配列(表1に列挙)またはその変異体またはその相補配列か
らなる群から選択されるポリヌクレオチドの連続スパンを有する、またはかかる
ポリヌクレオチドからなる、かかるポリヌクレオチドに含まれる、あるいはかか
るポリヌクレオチドを含む、ヌクレオチド配列からなる群から選択される。
【0200】 本発明はさらに、APM1タンパク質をコードする核酸であって、前記核酸が、A1
、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8およびこれらの相補体からなる群から選択さ
れるバイアレリックマーカーの多型塩基を有する核酸に関する。
【0201】 本発明は、APM1関連バイアレリックマーカーでの1つまたはそれ以上のヌクレ
オチドの正体を判定するためのあらゆるポリヌクレオチドまたはこれを判定する
のに使用されるあらゆるポリヌクレオチドを使用することも包含する。また、AP
M1関連バイアレリックマーカーでの1つまたはそれ以上のヌクレオチドの正体を
判定するのに使用される本発明のポリヌクレオチドは、本願明細書の開示内容に
記載の限定事項を含むポリヌクレオチドあるいは、下記のポリヌクレオチドを単
独または組み合わせたものを包含する。任意に、前記APM1関連バイアレリックマ
ーカーが、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8およびその相補体からなる群か
ら選択されるものであってもよい。任意に、前記ポリヌクレオチドが、本願明細
書に開示の配列を含んでもよい。任意に、前記ポリヌクレオチドが、本願明細書
にて述べるいずれのポリヌクレオチドからなるものであってもよく、あるいは実
質的にこれらのポリヌクレオチドからなるものであってもよい。任意に、前記判
定を、ハイブリダイゼーションアッセイ、シークエンシングアッセイ、マイクロ
シークエンシングアッセイまたはアレル特異的増幅アッセイにおいて行ってもよ
い。任意に、前記ポリヌクレオチドを、固相支持体、アレイまたはアドレス指定
可能なアレイに結合させてもよい。任意に、前記ポリヌクレオチドを標識しても
よい。好ましいポリヌクレオチドをハイブリッドアッセイに使用し、APM1遺伝子
のバイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの正体を判断してもよい。別の
好ましいポリヌクレオチドをシークエンシングまたはマイクロシークエンシング
に使用して、APM1遺伝子のバイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの正体
を判断してもよい。第3の好ましいポリヌクレオチドをアレル特異的増幅アッセ
イに使用して、APM1遺伝子のバイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの正
体を判定してもよい。APM1遺伝子のバイアレリックマーカーを含むポリヌクレオ
チドのセグメントの増幅に、第4の好ましいポリヌクレオチドを使用してもよい
。任意に、上述したいずれかのポリヌクレオチドを、固相支持体、アレイまたは
アドレス指定可能なアレイに結合させてもよい。任意に、前記ポリヌクレオチド
を標識してもよい。
【0202】 また、本発明は、APM1関連バイアレリックマーカーを含むヌクレオチドセグメ
ントの増幅に任意のポリヌクレオチドを使用すること、またはこの増幅のための
任意のポリヌクレオチドを包含する。また、APM1関連バイアレリックマーカーを
含むヌクレオチドセグメントの増幅に使用するための本発明のポリヌクレオチド
は、本願明細書で開示したいずれかの限定事項のあるポリヌクレオチド、あるい
は単独または組み合わせで特定されるポリヌクレオチドを包含する。任意に、前
記APM1関連バイアレリックマーカーが、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8お
よびその相補体からなる群から選択される。任意に、前記ポリヌクレオチドが、
本願明細書に開示の配列を含んでもよい。任意に、前記ポリヌクレオチドが、本
願明細書にて述べるいずれのポリヌクレオチドからなるものであってもよく、あ
るいは実質的にこれらのポリヌクレオチドからなるものであってもよい。任意に
、前記増幅をPCRまたはLCRによって行ってもよい。任意に、前記ポリヌクレオチ
ドを、固相支持体、アレイまたはアドレス指定可能なアレイに結合させてもよい
。任意に、前記ポリヌクレオチドを標識してもよい。
【0203】 従来技術において周知のいずれかの方法用に開示された配列から、本発明のバ
イアレリックマーカーを含むポリヌクレオチドの増幅またはシークエンシング反
応用のプライマーを設計してもよい。プライマーの好ましいセットは、配列番号
1または5からなる群から選択される配列またはその相補配列またはその変異体に
対して同一性を持つ連続スパンの3'末端が、プライマーの3'末端に存在するよう
に作られたものである。このような配置によって、プライマーの3'末端を選択し
た核酸配列とのハイブリダイズが可能になり、プライマーの増幅反応効率または
シークエンシング反応効率が劇的に高くなる。バイアレリックマーカーの多型塩
基が連続スパンの3'末端に位置し、この連続スパンがプライマーの3'末端に存在
するように、アレル特異的プライマーを設計してもよい。このようなアレル特異
的プライマーは、バイアレリックマーカーに存在する2つのアレルのうち一方を
含む核酸試料と併用する限りにおいて、増幅反応またはシークエンシング反応を
選択的に刺激しやすいものである。本発明のプライマーの3'末端は、前記配列の
APM1のバイアレリックマーカー内またはこのバイアレリックマーカーの少なくと
も2ヌクレオチド、4ヌクレオチド、6ヌクレオチド、8ヌクレオチド、10ヌクレオ
チド、12ヌクレオチド、15ヌクレオチド、18ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25
ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、250ヌクレオチド、500ヌク
レオチドまたは1000ヌクレオチド上流あるいは、シークエンシング、増幅におけ
る意図した用途に適した他の任意の位置または新規な配列またはマーカーの位置
に所在してもよい。したがって、増幅プライマーの他の好ましいセットは、実質
的に、配列番号1および5からなる群から選択される配列の8〜50ヌクレオチドの
連続スパンまたはその相補配列またはその変異体からなる単離されたポリヌクレ
オチドであって、前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端に位
置し、前記ポリヌクレオチドの3'末端が前記配列のAPM1遺伝子のバイアレリック
マーカーの上流に位置する。好ましくは、これらの増幅プライマーは、配列B1〜
B15およびC1〜C15からなる群から選択される配列を含む。3'末端がAPM1のバイア
レリックマーカーの1ヌクレオチド上流に位置するプライマーには、マイクロシ
ークエンシングアッセイで特別な用途がある。好ましいマイクロシークエンシン
グプライマーを表3に示す。任意に、APM1遺伝子のバイアレリックマーカーが、A
1、A2、A3、A5、A6およびA7およびその相補体からなる群から選択されるもので
あってもよい。任意に、APM1遺伝子のバイアレリックマーカーが、A4およびA8お
よびその相補体からなる群から選択されるものであってもよい。任意に、マイク
ロシークエンシングプライマーが、ヌクレオチド配列D1〜D8およびE1〜E8からな
る群から選択されるものであってもよい。一層好ましいマイクロシークエンシン
グプライマーは、ヌクレオチド配列D3、E4、E5、E6、D7およびD8からなる群から
選択される。
【0204】 従来技術において周知の何らかの方法、特に、本願明細書に開示のマーカーが
存在する場合の試験が可能な方法に対して開示された配列から、本発明のプロー
ブを設計することができる。どのような特定のアッセイ条件の組み合わせであっ
てもバイアレリックマーカーの一方のアレルとは選択的に結合するが、他方のア
レルには結合しないように、周知の方法で、本発明のハイブリダイゼーションア
ッセイにおいて使用するための好ましいプローブのセットを設計してもよい。好
ましいハイブリダイゼーションプローブは、考慮対象のバイアレリックマーカー
のアレル1またはアレル2のいずれかの多型塩基を含む。任意に、前記バイアレリ
ックマーカーは、ハイブリダイゼーションプローブの中心から6、5、4、3、2ま
たは1ヌクレオチドの位置または前記プローブの中心にあってもよい。プローブ
の一例を実施例の表4に示す。
【0205】 本発明のポリヌクレオチドは、配列表に列挙した多型塩基を取り囲む正確なフ
ランキング配列を有するものに限定されるものではない。バイアレリックマーカ
ーを取り囲むフランキング配列を意図した用途に合わせて任意の度合いで伸長ま
たは短縮してもよく、本発明では特にこのような配列も企図している。連続した
範囲の外にあるフランキング領域がヒトの被検体で起こることが知られている天
然フランキング配列と相同である必要はない。ヌクレオチドの意図した用途に合
うヌクレオチド配列が特に企図される。
【0206】 「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」で説明したように、プライ
マーおよびプローブを標識または固相支持体に固定化してもよい。
【0207】 固相支持体に結合する本発明のポリヌクレオチドは、本願明細書の開示内容に
記載の限定事項を含むポリヌクレオチドあるいは、下記のポリヌクレオチドを単
独または組み合わせたものを包含する。任意に、前記ポリヌクレオチドが、単独
でまたは少なくとも2、5、8、10、12、15、20または25の本発明の異なるポリヌ
クレオチドで構成されるグループで単一の固相支持体に結合するものであっても
よい。任意に、本発明のポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドが、本発明の
ポリヌクレオチドと同一の固相支持体に結合していてもよい。任意に、多数のポ
リヌクレオチドを固相支持体に結合させる場合、これらのポリヌクレオチドを無
作為に定まる位置に結合させてもよいし、順序の決まったアレイで結合させても
よい。任意に、前記順序の決まったアレイがアドレス指定可能なものであっても
よい。
【0208】 また、本発明は、生物学的試料において、A1、A2、A3、A5、A6およびA7および
その相補体からなる群から選択されるAPM1遺伝子のバイアレリックマーカーでの
ヌクレオチドの正体を判断することを含む遺伝子型判定方法に関する。
【0209】 本発明はさらに、生物学的試料において、APM1関連バイアレリックマーカー、
好ましくはA3およびA8およびその相補体からなる群から選択されるAPM1遺伝子の
バイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの正体を判定することを含む、遺
伝子型判定方法についても扱うものである。
【0210】 任意に、生物学的試料が単一の被検体由来のものであってもよい。任意に、前
記バイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの正体を前記個体のゲノムに存
在する前記バイアレリックマーカーの両方のコピーについて判定してもよい。任
意に、生物学的試料が複数の被検体由来のものであってもよい。任意に、上述し
た遺伝子型判定方法がさらに、前記判定ステップの前にバイアレリックマーカー
を含む前記配列の部分をPCR増幅などによって増幅することを含んでもよい。
【0211】 上記の遺伝子型判定方法の判断するステップを、ハイブリッドアッセイ、シー
クエンシングアッセイ、アレル特異的増幅アッセイまたはマイクロシークエンシ
ングアッセイを使用して行ってもよい。したがって、本発明は、APM1関連バイア
レリックマーカーにおけるヌクレオチドの正体を判断することを含む、生物学的
試料の遺伝子型判定方法も包含する。また、本発明の遺伝子型判定方法には、本
願開示内容に記載の限定内容を含むあらゆる方法、あるいは下記の方法を単独ま
たは組み合わせたものが包含される。任意に、前記APM1関連バイアレリックマー
カーを、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8およびその相補体からなる群から
選択してもよい。任意に、前記生物学的試料が単一の個体または被検体由来のも
のであってもよい。任意に、前記方法をin vitroにて実施してもよい。任意に、
前記バイアレリックマーカーを、前記個体のゲノムに存在する前記バイアレリッ
クマーカーの2つのコピー両方について判定してもよい。任意に、前記生物学的
試料が複数の被検体または個体由来のものであってもよい。任意に、前記方法が
さらに、前記判定ステップの前にバイアレリックマーカーを含む前記配列の部分
を増幅することを含んでもよい。任意に、ここで、前記増幅を、宿主細胞中に複
製起点および前記一部を含む組換えベクターのPCR、LCRまたは複製によって行っ
てもよい。任意に、ここで、前記判定を、ハイブリダイゼーションアッセイ、シ
ークエンシングアッセイ、マイクロシークエンシングアッセイまたはアレル特異
的増幅アッセイによって行ってもよい。
【0212】 本発明は、1種またはそれ以上の本発明のポリヌクレオチドと、必要な試薬の
一部またはすべてと、APM1のバイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの正
体を判断することによって、被検体の遺伝子型を判定するための指示書とを含む
診断キットも包含する。キットに含まれるポリヌクレオチドは、任意に、固相に
結合されていてもよく、あるいは、ポリヌクレオチドのアレイの一部であるかま
たはアドレス指定可能なアレイであってもよい。このキットでは、シークエンシ
ングアッセイ法、マイクロシークエンシングアッセイ法、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイ法またはアレル特異的増幅法を含むがこれに限定されるものではない
従来技術で周知のいずれかの方法で、マーカー位置におけるヌクレオチドの正体
を判定することができる。任意に、被検体が肥満または肥満に関連した障害に羅
患する危険性に鑑みて、判断結果をスコアリングするための指示書をキットに入
れておいてもよい。
【0213】 (バイアレリックマーカーの新規な同定方法) ゲノムフラグメントを単一ヌクレオチド多型についてスクリーニングする際に
は、オリゴヌクレオチドプローブとのディファレンシャルハイブリダイゼーショ
ン、ゲル電気泳動で測定される易動度の変化の検出または増幅した核酸の直接シ
ークエンシングなど、さまざまな方法のうちどれを使用してもよい。バイアレリ
ックマーカーを同定するための好ましい方法は、血縁のない適当数の個体に由来
するゲノムDNAフラグメントの比較シークエンシングを必要とするものである。
【0214】 第1の実施形態では、血縁のない個体から得たDNA試料を一緒にプールし、続い
て興味の対象となるゲノムDNAを増幅して配列決定する。このようにして得られ
たヌクレオチド配列を解析し、有意な多型を同定する。この方法の大きな利点の
1つは、DNA試料をプールすることで、実施しなければならないDNA増幅反応とシ
ークエンシング反応の回数が実質的に減ることにつながるという事実にある。さ
らに、この方法は非常に感受性の高いものであるため、この方法で得られるバイ
アレリックマーカーでは、関連性解析を行う際に有用となる共通性の乏しいアレ
ルが十分な頻度を示すのが普通である。
【0215】 第2の実施形態では、DNA試料のプールを設けず、増幅とシークエンシングを個
別に行う。この方法は、候補遺伝子内での関連性解析を行うためにバイアレリッ
クマーカーの同定が必要な場合に用いると好ましいことが多い。好ましくは、プ
ロモーター領域またはエキソン領域などの極めて関係の深い遺伝子領域を、バイ
アレリックマーカーについてスクリーニングする。この方法で得られるバイアレ
リックマーカーの方が、関連性解析を行うための情報性という点で劣ることがあ
る。たとえば、頻度の低いアレルの頻度が約10%未満になることもあり得るので
ある。しかしながら、かかるバイアレリックマーカーは関連性解析を行う上では
十分に情報性のあるものであるため、このような情報性の低いバイアレリックマ
ーカーを本発明のゲノム関連性解析に含めると、場合によっては原因変異を直接
同定できることがあるが、浸透度次第では珍しい変異である可能性が残ることも
理解できよう。
【0216】 以下、本発明のバイアレリックマーカーを同定するために本願発明者らが使用
した好ましい方法の様々なパラメーターについて説明する。
【0217】 (ゲノムDNA試料) 本発明のバイアレリックマーカーを作出する上でのソースとなるゲノムDNA試
料は、民族性のバックグラウンドが明らかになっている異種起源の個体群に対応
する、血縁のない個体から得たものであると好ましい。DNA試料を得る個体の数
は、好ましくは約10〜約1000、好ましくは約50〜約200の範囲で実質的に変える
ことができる。通常、特定の個体群の多型性に十分な多様性を持たせ、できるだ
け多くのマーカーを同定し、かつ統計的に有意な結果を生成するためには、少な
くとも約100個体からDNA試料を集めることが好ましい。
【0218】 解析対象となるゲノムDNAのソースに関して言えば、特に制限なくどのような
被検試料でも用いることが可能である。これらの被検試料としては、本願明細書
において説明する本発明の方法によって試験可能な生物学的試料があげられる。
また、全血、血清、血漿、脳脊髄液、尿、リンパ液の他、呼吸器、腸管および泌
尿生殖器、涙、唾液、乳、白血球、骨髄腫などでのさまざまな外分泌液、細胞培
養の上澄み液などの生物学的な流体、腫瘍組織および非腫瘍組織、リンパ節組織
を含む固定組織標本、骨髄吸引液および固定細胞標本などのヒトおよび動物の体
液もあげられる。本発明に使用されるゲノムDNAの好ましいソースは、各ドナー
の辺縁末梢静脈血から採取したものである。ゲノムDNAを生物学的試料から調製
する手法は当業者間で周知である。好ましい実施形態を実施例1で詳細に説明す
る。当業者であれば、プールしたDNA試料またはプールしていないDNA試料のどち
らかを選択して増幅できる。
【0219】 (DNA増幅) DNA増幅方法を用いることで、ゲノムDNA試料でのバイアレリックマーカーの同
定を容易にすることができる。増幅ステップのためにDNA試料をプールしてもプ
ールせずにおいてもよい。DNA増幅手法は当業者間で周知である。バイアレリッ
クマーカーを有するDNAフラグメントを増幅するためのさまざまな方法について
は、上記「APM1遺伝子の増幅」においてさらに詳細に説明してある。PCRテクノ
ロジーは、新しいバイアレリックマーカーの同定に使用される好ましい増幅手法
である。本発明の目的に適したPCR反応の代表例を実施例2に示す。
【0220】 本発明の第1の実施形態では、本願発明者らによって生成されたゲノム配列情
報を使用して、バイアレリックマーカーを同定する。配列決定後のゲノムDNAフ
ラグメントを使用して、500bpのフラグメント増幅用のプライマーを設計する。
これらの500bpのフラグメントをゲノムDNAから増幅し、バイアレリックマーカー
をスキャンする。OSPソフトウェア(Hillier L.およびGreen P., 1991)を用いて
プライマーを設計してもよい。いずれのプライマーも、シークエンシングプライ
マーとして機能する共通のオリゴヌクレオチド尾を特定の標的塩基の上流に含む
ものであってもよい。当業者であれば、こうした目的で利用できるプライマー伸
長物に馴染みがあるであろう。
【0221】 候補遺伝子をコードするゲノム配列の増幅に有用な好ましいプライマーとして
は、遺伝子のプロモーター、エキソンおよびスプライス部位に的が絞られる。遺
伝子のこうした機能的領域に所在すると、バイアレリックマーカーが最終的に原
因変位をとげる確率が高くなる。本発明の好ましい増幅プライマーとしては、実
施例2に開示する核酸配列番号B1〜B15および核酸配列番号C1〜C15があげられる
【0222】 (増幅したゲノムDNAの配列決定と一ヌクレオチド多型の同定) 次に、上述したようにして生成した増幅産物の配列を、当業者が容易に利用で
きる周知の適当な方法で決定する。ジデオキシ媒介法(Sanger法)またはMaxam-Gi
lbert法のいずれかを用いたDNAのシークエンシング方法は当業者間で周知である
。かかる方法は、たとえば、Sambrook et al.(1989)に開示されている。他の方
法としては、Chee et al.(1996)に記載されているような高密度DNAプローブ配列
へのハイブリダイゼーションがあげられる。
【0223】 好ましくは、染料プライマーサイクルシークエンシングプロトコルを使用して
、増幅したDNAで自動ジデオキシターミネーターシークエンシング反応を行う。
シークエンシング反応での反応産物をシークエンシングゲルに仕込み、ゲル画像
解析によって配列を求める。多型探査は、同一の位置に異なる塩基が発生するこ
とで泳動パターンのピークに重畳が見られることに基づいて行われる。各ジデオ
キシターミネーターには異なる蛍光分子で標識がしてあるため、バイアレリック
部位に対応する2つのピークが配列上の同一位置にある2つの異なるヌクレオチド
に対応する別の色として現れる。しかしながら、2つのピークが存在するのは自
然放射によるノイズが原因のアーチファクトの可能性もある。このようなアーチ
ファクトを排除するために、2つのDNA鎖を配列決定し、ピークとの比較を実施す
る。多型配列として登録されるためには、両方の鎖で多型が検出される必要があ
る。
【0224】 上述した手順によって、バイアレリックマーカーを含む増幅産物を同定するこ
とができる。100個体からなるシークエンシングプールによって検出されるバイ
アレリック多型頻度の検出限界を既知のアレル頻度のシークエンシングプールで
確認したところ、マイナーアレルで約0.1である。しかしながら、プーリング法
によって検出されたバイアレリック多型のうち90%を超える多型では、マイナー
アレルの頻度が0.25を上回っている。したがって、この方法で選択したバイアレ
リックマーカーの頻度は、マイナーアレルで少なくとも0.1、メジャーアレルで0
.9未満である。好ましくはマイナーアレルで少なくとも0.2、メジャーアレルで0
.8未満、さらに好ましくはマイナーアレルで少なくとも0.3、メジャーアレルで0
.7未満であり、ヘテロ接合率は0.18を上回る値、好ましくは0.32を上回る値、さ
らに好ましくは0.42を上回る値である。
【0225】 別の実施形態では、個々のDNA試料のシークエンシングによってバイアレリッ
クマーカーを検出するが、このようなバイアレリックマーカーのマイナーアレル
の頻度は0.1未満であってもよい。
【0226】 (本発明のバイアレリックマーカーの確認) 個体群に両方のアレルが存在することを確認して、遺伝マーカーとしての多型
の有用性を評価する。バイアレリックマーカーの確認は、本発明の方法で個体の
グループの遺伝子型を判定し、両方のアレルが存在することを示して行う。アレ
ルの遺伝子型判定に使うものとしては、マイクロシークエンシングが好ましい方
法である。遺伝子型判定ステップによる確認は、グループの各個体から採取した
個体試料ごとに行ってもよいし、2つ以上の個体から採取した試料のプールにつ
いて遺伝子型を判定して行ってもよい。問題のアレルに対して個体がヘテロ接合
的なものである場合には、1個体でグループを形成することもできる。好ましく
は、1つのグループに少なくとも3個体が含まれるようにし、さらに好ましくは1
つのグループに5個体または6個体が含まれるようにする。これによって、1回の
確認試験で試験対象となるバイアレリックマーカー2つ以上を確認できることが
多いためである。しかしながら、確認試験を行う対象が小さなグループの場合、
サンプリングエラーが原因で被検個体のいずれにも2つのアレルがなかった場合
に、偽の負の結果となってしまうことがある。したがって、配列内の特定の位置
に真のバイアレリックマーカーがあることを示す場合よりも、特定の最初の結果
がアーチファクトであるということを示す上で確認プロセスの有用性が落ちてし
まう。本発明の遺伝子型判定法、ハプロタイプ判定法、関連性解析法および相互
作用解析法はいずれも、任意に、有用性が確認できたバイアレリックマーカーを
用いて単独で実施できるものである。
【0227】 (本発明のバイアレリックマーカーの頻度の評価) バイアレリックマーカー部位における共通性が最も乏しいアレルの頻度を決定
することにより、有効なバイアレリックマーカーの遺伝マーカーとしての有用性
をさらに評価する。共通性の乏しいアレルの頻度が高くなればなるほど、関連性
解析および相互作用解析でのバイアレリックマーカーの有用性は高くなる。共通
性が最も乏しいアレルの決定は、本発明の方法で個体のグループの遺伝子型を判
定し、両方のアレルが存在することを示して行う。遺伝子型判定ステップによる
頻度判断は、グループの各個体から採取した個体試料ごとに行ってもよいし、2
つ以上の個体から採取した試料のプールについて遺伝子型を判定して行ってもよ
い。このグループの大きさは、全体が個体群を代表できるだけのものでなければ
ならない。好ましくは、このグループには少なくとも20個体が含まれ、さらに好
ましくはグループには少なくとも50個体が含まれ、最も好ましくはグループには
少なくとも100個体が含まれる。もちろん、グループが大きくなればなるほどサ
ンプリングエラーが減るため、頻度決定の精度も高くなる。本発明の特定のバイ
アレリックマーカーの共通性の乏しいアレルの頻度については、表Aおよび表Bを
参照のこと。共通性の乏しいアレルの頻度が30%以上のバイアレリックマーカー
を「高品質バイアレリックマーカー」とする。本発明の遺伝子型判定法、ハプロ
タイプ判定法、関連性解析法および相互作用解析法はいずれも、任意に、高品質
のバイアレリックマーカーを用いて単独で実施できるものである。
【0228】 また、本発明は、個体群におけるアレル頻度の推定方法であって、前記個体群
におけるAPM1関連バイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの比例表現を決
定する方法に関する。また、本発明の個体群におけるアレル頻度の推定方法には
、本願開示内容に記載の限定内容を含むあらゆる方法、あるいは下記の方法を単
独または組み合わせたものが包含される。任意に、前記APM1関連バイアレリック
マーカーが、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8およびこれらの相補体からな
る群から選択されるものであってもよい。任意に、APM1関連バイアレリックマー
カーでのヌクレオチドの比例表現の決定が、前記個体群の各個体のゲノムに存在
する前記バイアレリックマーカーの両方のコピーについてヌクレオチドの正体を
判断し、個体群ごとに前記APM1関連バイアレリックマーカーでの前記ヌクレオチ
ドの比例表現を算出することによってなされるものであってもよい。任意に、比
例表現の決定が、前記個体群の特定数の個体または各個体から採取した生物学的
試料のプールに本発明の遺伝子型判定を行い、前記ヌクレオチドの比例量を算出
して全体と比較してなされるものであってもよい。
【0229】 (バイアレリックマーカーでの個体の遺伝子型判定方法) 本発明の1種またはそれ以上のバイアレリックマーカーでの遺伝子型を生物学
的試料で判定するための方法が得られる。これらの方法はいずれも、in vitroに
て行うことのできるものである。かかる遺伝子型判定方法は、従来技術において
周知の手法でAPM1バイアレリックマーカー部位でのヌクレオチドの正体を判断す
ることを含む。これらの方法には、関連性解析時の遺伝子型判定症例-対照個体
群での用途の他、特定の形質に関連していることが知られているバイアレリック
マーカーのアレルを検出する状況で用途がある。いずれの場合も、個体のゲノム
中に含まれるバイアレリックマーカーの両方のコピーを判断し、個体が特定のア
レルについてホモ接合性であるかヘテロ接合性であるかを判断することができる
【0230】 これらの遺伝子型判定方法は、単一の個体またはプールしたDNA試料から得た
核酸試料で行うことができる。
【0231】 バイアレリックマーカーの同定について上述した方法と同様の方法を用いて、
あるいは後述するような他の遺伝子型判定方法を用いて、遺伝子型判定を行うこ
とができる。好ましい実施形態では、異なる個体から採取して増幅したゲノムフ
ラグメントの配列同士を比較し、新しいバイアレリックマーカーを同定するが、
診断や関連性解析での用途で既知のバイアレリックマーカーの遺伝子型を判定す
る場合はマイクロシークエンシングを使用する。
【0232】 一実施形態では、本発明は、生物学的試料において配列番号1またはその相補
体のAPM1関連バイアレリックマーカーのヌクレオチドの正体を判定することを含
む、遺伝子型判定方法を包含する。任意に、前記生物学的試料が単一の被検体に
由来するものであってもよい。任意に、前記バイアレリックマーカーにおけるヌ
クレオチドの正体を前記個体のゲノムに存在する前記バイアレリックマーカーの
両方のコピーについて判断してもよい。任意に、生物学的試料が複数の被検体由
来のものであってもよい。任意に、この方法は、前記判定ステップの前に、バイ
アレリックマーカーを含む前記配列の部分を増幅するステップをさらに含む。任
意に、増幅ステップをPCRによって行ってもよい。任意に、判定ステップを、ハ
イブリダイゼーションアッセイ、シークエンシングアッセイ、マイクロシークエ
ンシングアッセイまたはアレル特異的増幅アッセイによって行ってもよい。
【0233】 (遺伝子型判定対象DNAのソース) 所望の特異核酸配列を含んでいることが明らかであるか、あるいはその疑いが
認められるのであれば、精製状態または非精製状態のどのような核酸ソースでも
起始核酸として使用できる。上述したように、細胞、組織、体液などからDNAま
たはRNAを抽出すればよい。本発明の遺伝子型判定方法に用いられる核酸はどの
ような哺乳動物ソース由来のものであってもよいものではあるが、核酸試料を採
取する被検体および個体は一般にヒトであると理解される。
【0234】 (バイアレリックマーカーを有するDNAフラグメントの増幅) 本発明によるバイアレリックマーカーを1種またはそれ以上含むヌクレオチド
セグメントを増幅するための方法およびポリヌクレオチドが得られる。バイアレ
リックマーカーを有するDNAフラグメントの増幅は、さまざまな方法や目的で利
用されるものであり、遺伝子型判定に限定されるものではないことは理解できよ
う。ただし、すべてではないとはいえ多くの遺伝子型判定法では、興味の対象と
なっているバイアレリックマーカーを有するDNA領域をあらかじめ増幅しておく
必要がある。このような方法によって、バイアレリックマーカーにわたっている
か、あるいはこれに対して遠位または近位にある部位と配列を含む配列の濃度ま
たは総数が明らかに増す。診断アッセイでも本発明のバイアレリックマーカーを
持つDNAセグメントの増幅に依存する場合がある。DNAの増幅は従来技術において
周知のいずれかの方法で行えばよい。増幅手法については、「APM1遺伝子の増幅
」のセクションにて説明したとおりである。
【0235】 後述するように、これらの増幅方法の中には、単一ヌクレオチド多型の検出に
特に適しており、標的配列の増幅と多型ヌクレオチドの同定を同時に行うことの
できるものがある。
【0236】 バイアレリックマーカーを上述したようにして同定することで、本発明のバイ
アレリックマーカーを含むDNAフラグメントを増幅するためのプライマーとして
利用可能な適切なオリゴヌクレオチドを設計できる。増幅は、本願明細書に記載
の新規なバイアレリックマーカーの発見にもともと使っていたプライマーか、あ
るいは本発明のバイアレリックマーカーを含むDNAフラグメントの増幅が可能な
任意のプライマーのセットを用いて行うことができる。
【0237】 いくつかの実施形態では、本発明によって、本発明のバイアレリックマーカー
1種またはそれ以上を有するDNAフラグメントを増幅するためのプライマーが得ら
れる。好ましい増幅プライマーを実施例2に列挙する。列挙したプライマーはご
く一例であり、1つまたはそれ以上の本発明のバイアレリックマーカーを含む増
幅産物を産生する他のどのようなプライマーセットでもよいことは理解できよう
【0238】 増幅対象となるセグメントの長さはプライマー間の間隔によって決まる。本発
明の文脈では、バイアレリックマーカーを持つ増幅セグメントは大きさが少なく
とも約25bp〜35kbpであることができる。25〜3000bpの増幅フラグメントが一般
的であり、50〜1000bpのフラグメントが好ましく、100〜600bpのフラグメントが
極めて好ましい。バイアレリックマーカーに対する増幅プライマーは、マーカー
を持つDNAフラグメントの特異的な増幅が可能なものであればどのようなもので
あってもよいことは理解できよう。「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライ
マー」で説明したように、増幅プライマーを標識または固相支持体に固定化して
もよい。
【0239】 (バイアレリックマーカーでのDNA試料の遺伝子型判定方法) 従来技術において周知の適当な方法を用いて、バイアレリックマーカー部位に
存在するヌクレオチドを同定することができる。検出対象となるバイアレリック
マーカーアレルが同定され、本発明において具体的に明記されているため、この
検出は、当業者であればさまざまな手法のうち適当なものを用いて実施できる単
純なものである。多くの遺伝子型判定方法では、興味の対象となっているバイア
レリックマーカーを持つDNA領域をあらかじめ増幅しておく必要がある。現時点
では標的またはシグナルを増幅するのが好ましいが、超高感受性で増幅を必要と
しない方法も本遺伝子型判定方法に包含される。バイアレリック多型の検出に利
用することのできる当業者間で周知の方法としては、従来のドットブロット解析
、Orita et al.(1989)に記載されている一本鎖立体構造多型解析(SSCP)、変性剤
濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)、ヘテロ二重鎖解析、ミスマッチ切断検出、Sheffi
eld et al.(1991)、White et al.(1992)、Grompe et al.(1989および1993)に記
載されている他の従来の手法があげられる。特定の多型部位に存在するヌクレオ
チドの正体を判定するためのもう1つの方法に、米国特許第4,656,127に記載され
ているような特別なエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体を用いるものが
ある。
【0240】 好ましい方法は、シークエンシングアッセイ、アレル特異的増幅アッセイまた
はハイブリダイゼーションアッセイによって、バイアレリックマーカー部位に存
在するヌクレオチドの正体を直接判定することを含む。いくつかの好ましい方法
について以下に述べる。極めて好ましい方法はマイクロシークエンシング法であ
る。「シークエンシング」という用語は、本願明細書では、二重鎖プライマー/
鋳型錯体のポリメラーゼ伸長を意味し、従来のシークエンシングとマイクロシー
クエンシングの両方を含むものとする。
【0241】1) シークエンシングアッセイ シークエンシング法によって、多型部位に存在するヌクレオチドを判定するこ
とができる。好ましい実施形態では、シークエンシングの前に上述したようにし
てDNA試料をPCR増幅する。DNAシークエンシング法については、「増幅ゲノムDNA
のシークエンシングと単一ヌクレオチド多型の同定」に記載してある。
【0242】 好ましくは、染料プライマーサイクルシークエンシングプロトコルを使用して
、増幅したDNAで自動ジデオキシターミネーターシークエンシング反応を行う。
配列解析によって、バイアレリックマーカー部位に存在する塩基を同定すること
ができる。
【0243】2) マイクロシークエンシングアッセイ マイクロシークエンシング法では、単一ヌクレオチドプライマー伸長反応によ
って標的DNAの多型部位にあるヌクレオチドを検出する。この方法は、標的核酸
の興味の対象となっている多型塩基のすぐ上流でハイブリダイズされる適切なマ
イクロシークエンシングプライマーを必要とするものである。ポリメラーゼを使
用して、多型部位のヌクレオチドと相補な1つのシングルddNTP(鎖ターミネータ
ー)でプライマーの3'末端を特異的に伸長する。次に、組み込まれたヌクレオチ
ドの正体を適当な方法で判定する。
【0244】 一般に、マイクロシークエンシング反応は蛍光ddNTPを用いて行われ、伸長し
たマイクロシークエンシングプライマーをABI 377シークエンシング装置での泳
動によって解析し、EP 412 883に記載されているようにして取り込まれたヌクレ
オチドの正体を判定する。あるいは、キャピラリー泳動を用いてさらに多数の検
定を同時に行うようにすることもできる。本発明の文脈で使用可能な一般的なマ
イクロシークエンシング手順の一例を実施例4に示す。
【0245】 さまざまな方法を利用してddNTPの標識と検出を行うことができる。Chen およ
びKwok(1997)ならびにChen et al.(1997)に、蛍光共鳴エネルギー移動を利用し
た均一相検出方法が説明されている。この方法では、多型部位を有する増幅ゲノ
ムDNAフラグメントを、アレル染料標識ジデオキシリボヌクレオシドトリホスフ
ェートおよび修飾Taqポリメラーゼの存在下、5'-フルオレセイン標識プライマー
でインキュベートする。鋳型に存在するアレルに特異な染料ターミネーターによ
って、染料標識プライマーを1塩基分だけ伸長する。遺伝子型判定反応の終了時
、反応混合物における2種類の染料の蛍光強度を、分離または精製などの処理を
行わずに直接解析する。これらのステップはいずれも同一のチューブで行うこと
ができるものであり、蛍光の変化をリアルタイムに監視できる。あるいは、MALD
I-TOF質量スペクトロメトリによって伸展したプライマーを解析してもよい。マ
イクロシークエンシングプライマーに加わった質量によって多型部位の塩基を同
定する(Haff and Smirnov, 1997を参照のこと)。
【0246】 確立されたマイクロシークエンシング法あるいはこれに手を加えて開発または
変更したものによって、マイクロシークエンシングを行ってもよい。他の選択肢
としては、いくつかの固相マイクロシークエンシング法があげられる。プライマ
ーまたは標的分子を固相支持体に固定化または捕捉する不均一相(hetelogeneous
)検定で行うこと以外、基本的なマイクロシークエンシングプロトコルは先に説
明したものと同じである。プライマーの分離と末端ヌクレオチドの付加解析を容
易にするために、オリゴヌクレオチドを固相支持体に結合させるか、親和分離と
ポリメラーゼ伸長とが可能な方法で修飾する。合成オリゴヌクレオチドの5'末端
および内部ヌクレオチドをさまざまな方法で修飾し、ビオチン化などの異なる親
和分離法を可能にすることができる。単一の親和性基をオリゴヌクレオチド上で
使用する場合、取り込まれたターミネーターのリジェント(regent)からオリゴヌ
クレオチドを分離することができる。これによって、物理的な分別またはサイズ
による分別が必要なくなる。2つ以上の親和基を使用すれば、2つ以上のオリゴヌ
クレオチドをターミネーター試薬から分離して同時に解析することができる。こ
れによって、1回の伸長反応で複数の核酸種または一層多くの核酸配列情報を解
析することができる。親和基は必ずしも初回刺激オリゴヌクレオチド上にある必
要はなく、鋳型上にあってもよい。たとえば、ビオチン標識DNAとストレプトア
ビジン被覆マイクロ滴定ウェルまたはアビジン被覆ポリスチレン粒子との相互作
用を利用して固定化を行うことができる。同様に、オリゴヌクレオチドまたは鋳
型を高密度状で固相支持体に結合させてもよい。このような固相マイクロシーク
エンシング反応では、取り込まれたddNTPを放射線標識する(Syvanen, 1994)か、
あるいはフルオレセインと結合させる(LivakおよびHainer, 1994)ことができる
。放射線標識ddNTPの検出は、シンチレーションベースの手法で行うことができ
る。フルオレセイン結合ddNTPの検出は、アルカリホスファターゼと抱合した抗
蛍光抗体の結合後、色素生産性基質(p-ニトロフェニルホスフェートなど)と共に
インキュベートすることを基本としている。考え得る他のレポーター検出対とし
ては、ジニトロフェニル(DNP)に結合したddNTPと抗DNPアルカリホスファターゼ
抱合体(Harju et al. 1993)またはo-フェニレンジアミンを基質として用いたビ
オチン標識ddNTPと西洋わさびペルオキシダーゼ抱合ストレプトアビジン(WO 92/
15712)があげられる。さらに他の固相マイクロシークエンシング手順として、Ny
ren et al.(1993)は、enzymatic luminometric inorganic pyrophosphate detec
tion assay (ELIDA)でDNAポリメラーゼ活性を検出することに依存した方法を示
した。
【0247】 Pastinen et al.(1997)は、固相ミニシークエンシング原理をオリゴヌクレオ
チドアレイフォーマットに適用する単一ヌクレオチド多型の複合検出方法につい
て説明している。固相支持体(DNAチップ)に結合したDNAプローブの高密度アレイ
については後述する。
【0248】 一態様では、本発明によって、ポリヌクレオチドと、マイクロシークエンシン
グアッセイを行うことによって本発明のバイアレリックマーカー1種またはそれ
以上の遺伝子型を判定する方法が得られる。好ましいマイクロシークエンシング
プライマーとしては、ヌクレオチド配列D1〜D8およびE1〜E8があげられる。さら
に好ましいマイクロシークエンシングプライマーは、ヌクレオチド配列D3、E4、
E5、E6、D7およびD8からなる群から選択される。実施例4に列挙するマイクロシ
ークエンシングプライマーはごく一例であり、多型ヌクレオチドのすぐ隣に3'末
端があるどのようなプライマーでも使用できることは理解できよう。同様に、マ
イクロシークエンシング解析が、どのようなバイアレリックマーカーまたは本発
明のバイアレリックマーカーの組み合わせに対して実行してもよいものであるこ
とも理解できよう。本発明の一態様は、バイアレリックマーカー部位でのヌクレ
オチドの正体を判断するため、実施例4に列挙するマイクロシークエンシングプ
ライマー、あるいは、少なくとも8、12、15、20、25、30、40または50の連続し
たヌクレオチドからなる、かかるプライマーのフラグメントであって、対応する
バイアレリックマーカーのすぐ上流に3'末端を有するフラグメントのうち1つま
たはそれ以上を含む固相支持体である。
【0249】3) アレル特異的増幅アッセイ法 一態様では、本発明は、ポリヌクレオチドと、アレル特異的増幅アッセイによ
って、生物学的試料で本発明の1種またはそれ以上のバイアレリックマーカーの
アレルを判定する方法とを提供するものである。本発明のバイアレリックマーカ
ーを含むDNAフラグメントを増幅するための方法については、上記の「バイアレ
リックマーカーを有するDNAフラグメントの増幅」ですでに説明した。
【0250】 (アレル特異的増幅プライマー) アレル特異的増幅すなわち選択的な戦略によって、バイアレリックマーカーの
2つのアレルを区別することができる。これによって、一方のアレルが増幅され
ることなく他方のアレルだけが増幅される。これは、多型塩基を一方の増幅プラ
イマーの3'末端に所在させることによって達成される。プライマーの3'末端から
の伸長がゆえに、この位置近辺でのミスマッチは増幅に阻害的な悪影響を及ぼす
。したがって、適切な増幅条件下で、これらのプライマーはその相補アレルでの
み増幅を指示する。正確なミスマッチ位置の判断方法およびこれに対応するアッ
セイ条件については当業者間で周知である。
【0251】 (ライゲーション/増幅を利用した方法) 「オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ」(OLA)では、標的分子の一本
鎖の当接配列にハイブリダイズできるように設計された2つのオリゴヌクレオチ
ドを利用する。一方のオリゴヌクレオチドをビオチン標識し、他方を検出可能な
状態で標識する。正確な相補配列が標的分子中に見つかった場合は、末端が当接
して捕捉および検出が可能なライゲーション基質が得られるようにオリゴヌクレ
オチドをハイブリダイズさせる。OLAは、単一ヌクレオチド多型を検出でき、Nic
kerson et al.(1990)に説明されているPCR法と有利に併用される。この方法では
、PCRを用いて標的DNAの指数的な増幅を行い、OLAを用いてこれを検出する。
【0252】 単一ヌクレオチド多型の検出に特に適している他の増幅方法としては、上記の
「APM1遺伝子の増幅」において説明したLCR(リガーゼ連鎖反応)およびGap LCR(G
LCR)があげられる。LCRでは二対のプローブを用いて特定の標的を指数的に増幅
する。各オリゴヌクレオチド対の配列を選択し、これらの対が標的の同一鎖の当
接配列とハイブリダイズできるようにする。かかるハイブリダイゼーションによ
って、鋳型依存性リガーゼの基質が形成される。本発明によれば、バイアレリッ
クマーカー部位の同一鎖の近位配列と遠位配列とを有するオリゴヌクレオチドを
用いてLCRを実施することができる。一実施形態では、どちらのオリゴヌクレオ
チドを設計してバイアレリックマーカー部位を持たせてもよい。かかる実施形態
では、オリゴヌクレオチド上のバイアレリックマーカーと相補な特異的ヌクレオ
チドが標的分子に含まれているかまたは欠けている場合にオリゴヌクレオチドが
連結されるように反応条件を選択する。別の実施形態では、国際特許出願公開第
WO 90/01069号に記載されているように、オリゴヌクレオチドにはバイアレリッ
クマーカーを持たせず、標的分子とハイブリダイズさせたときに「間隙」が形成
されるようにする。この間隙に相補dNTPまたは別のオリゴヌクレオチド対を「満
たす」(DNAポリメラーゼによって媒介)。このように、各サイクルの終了時、各
一本鎖には次のサイクルの間に標的として機能できる相補体があり、所望の配列
の指数関数的なアレル特異的増幅が達成される。
【0253】 核酸分子のあらかじめ選択された部位でのヌクレオチドの正体を判定するため
のもう1つの方法に、リガーゼ/ポリメラーゼ媒介Genetic Bit Analysis(登録商
標)がある(WO 95/21271)。この方法は、あらかじめ選択された部位に存在するヌ
クレオチドと相補なヌクレオシド三リン酸をプライマー分子の終端に組み入れ、
第2のオリゴヌクレオチドと連結させるものである。反応の固相に付加された特
異的ラベルの検出または溶液での検出によって反応を監視する。
【0254】4) ハイブリダイゼーションアッセイ法 バイアレリックマーカー部位に存在するヌクレオチドの正体を判定するための
好ましい方法は、核酸ハイブリダイゼーションを利用するものを含む。かかる反
応で都合良く用いることのできるハイブリダイゼーションプローブには、本願明
細書で定義するプローブを含むと好ましい。サザンハイブリダイゼーション、ノ
ーザンハイブリダイゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーションおよび
固相ハイブリダイゼーションなど、どのようなハイブリダイゼーションアッセイ
を用いてもよい(Sambrook et al., 1989を参照のこと)。
【0255】 ハイブリダイゼーションとは、相補的な塩基対によって2本の一本鎖核酸が二
本鎖構造に形成されることを意味する。ハイブリダイゼーションは、正確に相補
関係にある核酸鎖間またはミスマッチのマイナーな領域を含む核酸鎖間で起こり
得る。一方の形式のバイアレリックマーカーとハイブリダイズされ、他方とはハ
イブリダイズされずに、異なるアレル型を区別することのできる特異的プローブ
を設計することができる。アレル特異的プローブは対で用いられることが多く、
対の一方が起始アレルを含む標的配列とマッチし、他方が選択的アレルを含む標
的配列と完全にマッチする。ハイブリダイゼーション条件は、アレル間のハイブ
リダイゼーション強度に有意な差が認められる程度に厳密なものでなければなら
ず、好ましくは本質的にバイナリ応答を呈し、これによってプローブが一方のア
レルとハイブリダイズされる。厳密な配列特異的ハイブリダイゼーション条件の
下で、プローブは正確に相補関係にある標的配列とのみハイブリダイズされるが
、このような条件は従来技術において周知である(Sambrook et al., 1989)。厳
密な条件は配列依存であり、環境によって異なるものである。通常、厳密な条件
は、規定のイオン強度およびpHでの特異配列の融点(Tm)よりも約5℃低い温度に
選択される。かかるハイブリダイゼーションは溶液中で行うことができるもので
はあるが、固相ハイブリダイゼーションアッセイを利用すると好ましい。ハイブ
リダイゼーション反応の前に本発明のバイアレリックマーカーを含む標的DNAを
増幅してもよい。プローブと標的DNAとの間に形成される安定したハイブリッド
二重鎖の有無を検出することによって、試料中の特定のアレルの存在を検出する
。ハイブリッド二重鎖の検出は、さまざまな方法で行うことができる。標的また
はプローブに結合する検出可能な標識を利用し、ハイブリッド二重鎖の検出を可
能にするさまざまな検出アッセイ形式が周知である。一般に、ハイブリダイゼー
ション二重鎖をハイブリダイズされなかった核酸から分離し、二重鎖に結合した
標識を検出する。当業者であれば、洗浄ステップを取り入れて余分な標的DNAま
たはプローブ、結合せずに残ったコンジュゲートなどを洗い流してもよいことは
理解できよう。さらに、プライマーおよびプローブにある標識を用いてハイブリ
ッドを検出するには、標準的な異種アッセイフォーマットが適している。
【0256】 最近開発された2種類のアッセイでは、分離または洗浄を必要とせずにハイブ
リッドベースのアレルを区別できる(Landegren U. et al., 1998を参照のこと)
。TaqManアッセイでは、累積する増幅産物に特異的にアニールされたDNAプロー
ブを消化する。蛍光エネルギー移動によって相互作用するドナーアクセプター染
料対でTaqManプローブを標識する。増幅時に進行中のポリメラーゼによってTaqM
anプローブが切断されると、消光アクセプター染料からドナー染料が解離し、ド
ナー蛍光が大幅に増大する。2つのアレル変異体を検出するのに必要なすべての
試薬を反応の最初に組み合わせ、結果をリアルタイムで監視することができる(L
ivak et al., 1995を参照のこと)。選択的均質ハイブリダイゼーションを利用し
た手順では、分子的な指標がアレルの区別に用いられる。分子的な指標は、均質
溶液中での特異的核酸の存在を示すヘアピン形のオリゴヌクレオチドプローブで
ある。標的に結合すると、内部的に消光するフルオロフォアを保持する立体配置
的な再編成が起こる(Tyagi et al., 1998)。
【0257】 本願明細書において提供されるポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションア
ッセイに利用して、生物学的試料のバイアレリックマーカーアレルを検出するこ
とのできるプローブを作出できる。これらのプローブは、好ましくは8〜50ヌク
レオチドを含み、本発明のバイアレリックマーカーを有する配列に対して十分に
相補であってこの配列とハイブリダイズすることができ、かつ、好ましくは一方
のヌクレオチドにおける変化のみについての標的配列を区別できる程度に特異的
であることを特徴とする。特に好ましいプローブは25ヌクレオチド長である。好
ましくは、バイアレリックマーカーがポリヌクレオチドプローブの中心から4ヌ
クレオチド以内にある。特に好ましいプローブでは、バイアレリックマーカーが
前記ポリヌクレオチドの中心にある。好ましいプローブは、9-27、99-14387、9-
12、9-13、99-14405および9-16およびこれらと相補な配列またはそのフラグメン
トからなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、前記フラグメントが、連
続した少なくとも約8ヌクレオチドを含み、好ましくは連続した10、15、20、さ
らに好ましくは連続した25、30、40、47または50ヌクレオチドを含み、多型塩基
を含有する。好ましい実施形態では、多型塩基が前記ポリヌクレオチドの中心か
ら5、4、3、2、1ヌクレオチド以内にあり、さらに好ましくは前記ポリヌクレオ
チドの中心にある。
【0258】 好ましくは、本発明のプローブを標識または固相支持体に固定化する。標識お
よび固相支持体については、「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」
の部分でさらに説明してある。このプローブは、「オリゴヌクレオチドプローブ
およびプライマー」の部分で説明した通り、非伸長可能なものであってもよい。
【0259】 アレル特異的プローブへのハイブリダイゼーションをアッセイすることによっ
て、特定の試料中でのバイアレリックマーカーアレルの有無を検出することがで
きる。「ハイブリダイゼーションアッセイ」にはアレイ形式の高スループット並
列ハイブリダイゼーションが特に包含され、これについては後述する。
【0260】5) オリゴヌクレオチドのアドレス指定可能なアレイに対するハイブリダイゼー
ション オリゴヌクレオチド配列に基づくハイブリダイゼーションアッセイでは、完全
にマッチする標的配列変異体とミスマッチ変異体とに対する短いオリゴヌクレオ
チドのハイブリダイゼーション安定性の違いを利用している。オリゴヌクレオチ
ドプローブの高密度アレイが選択された位置で固相支持体(チップなど)に結合し
た基本的な構造によって、多型情報に効率的にアクセスできる。各DNAチップに
は、格子状のパターンに配置され、ダイム硬貨程度の大きさまで小型化された個
々の合成DNAプローブを数千から数百万含むことができる。
【0261】 チップテクノロジーは、すでにさまざまな事例に応用されて成功をおさめてい
る。たとえば、突然変異のスクリーニングが、BRCA1遺伝子、S. cerevisiaeミュ
ータント株およびHIV-1ウイルスのプロテアーゼ遺伝子でなされる(Hacia et al.
1996、Shoemaker et al. 1996、Kozal et al. 1996)。カスタマイズベースで、
Affymetrix (GeneChip(登録商標))、Hyseq (HyChip and HyGnostics)およびPr
otogene Laboratoriesなどで、バイアレリック多型検出用のさまざまな形態のチ
ップを作製することができる。
【0262】 一般に、これらの方法では、標的配列に多型性のマーカーが含まれる個体から
得た標的核酸配列セグメントと相補関係にあるオリゴヌクレオチドプローブの配
列を利用している。欧州特許第EP 785280号には、単一のヌクレオチド多型検出
用のタイリング(tiling)戦略について記載されている。簡単に説明すると、この
アレイは一般に、多数の特異的多型について「タイル張り」できるものである。
「タイリング」という用語は一般に、興味の対象となっている標的配列に相補な
配列と、この配列のあらかじめ選択されたバリエーション(1カ所またはそれ以上
の特定の位置でモノマーの基本セットのメンバすなわちヌクレオチド1つまたは
それ以上で置換されているなど)で構成される、規定されたオリゴヌクレオチド
プローブのセットの合成を意味する。タイリング戦略はさらに、国際特許出願公
開第WO 95/11995号に記載されている。特定の態様では、多数の同定された特異
的バイアレリックマーカー配列でアレイをタイル張りする。特に、アレイにタイ
ル張りをして、それぞれが特定のバイアレリックマーカーまたはバイアレリック
マーカーのセットに特異な多数の検出ブロックが含まれるようにする。たとえば
、検出ブロックをタイル張りして多数のプローブが含まれるようにし、これらの
プローブが特定の多型を含む配列セグメントにまたがるようにすることができる
。各アレルに対して相補関係にあるプローブが必ず得られるようにするために、
バイアレリックマーカーで異なる対のプローブを合成する。多型塩基で異なるプ
ローブだけでなく、一置換プローブも検出ブロックの中にタイル張りされるのが
普通である。これらの一置換プローブは、多型自体の部分に塩基を有し、かつ多
型からいずれかの方向に一定数まで塩基を有する。これが残りのヌクレオチド(A
、T、G、C、Uから選択される)で置換されている。一般に、タイル張りされた検
出ブロック内のプローブには、バイアレリックマーカーから5塩基離れたところ
までの配列位置の置換基が含まれる。一置換プローブによって、タイル張りされ
たアレイの内部が制御され、実際のハイブリダイゼーションと人為的なクロスハ
イブリダイゼーションとを区別できる。標的配列とのハイブリダイゼーションお
よびアレイの洗浄が終了したら、このアレイをスキャンしてアレイ上での位置を
判定し、この位置に標的配列をハイブリダイズさせる。次に、スキャン後のアレ
イから得られるハイブリダイゼーションデータを解析し、バイアレリックマーカ
ーのアレルのうち試料中に存在するもの(1つまたは複数)を特定する。ハイブリ
ダイゼーションおよびスキャンは、国際特許出願公開第WO 92/10092号および同
第WO 95/11995号、さらに米国特許第5,424,186号に記載されているようにして行
うことができる。
【0263】 したがって、いくつかの実施形態では、チップが約15ヌクレオチド長のフラグ
メントの核酸配列のアレイを含むものであってもよい。さらに他の実施形態では
、チップが、9-27、99-14387、9-12、9-13、99-14405および9-16およびその相補
配列からなる群から選択される配列またはそのフラグメントのうち少なくとも1
つを含むアレイを含むものであってもよく、前記フラグメントは、連続した少な
くとも約8ヌクレオチドを含み、好ましくは連続した10、15、20、さらに好まし
くは連続した25、30、40、47または50ヌクレオチドを含み、かつ多型塩基を含有
する。好ましい実施形態では、多型塩基は前記ポリヌクレオチドの中心から5、4
、3、2、1ヌクレオチド以内にあり、さらに好ましくは前記ポリヌクレオチドの
中心にある。いくつかの実施形態では、チップは本発明のポリヌクレオチドの少
なくとも2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上のアレイを含むものであってもよ
い。本発明の固相支持体および固相支持体に結合されるポリヌクレオチドについ
ては、「オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー」の部分でさらに説明し
てある。
【0264】6) 統合系 多型の解析に使用できるもう1つの技術にマルチコンポーネント統合系があげ
られる。この系では、PCRおよびキャピラリー電気泳動反応などのプロセスを単
一機能の装置で簡略化かつ区分化する。かかる手法の模範例が、PCR増幅とキャ
ピラリー電気泳動とをチップに統合することについて説明した米国特許第5,589,
136号に開示されている。
【0265】 主にマイクロ流体系を使用する場合に統合系の使用を考慮することができる。
これらの系は、ガラス、ケイ素、石英またはプラスチックウェーハ上に設計され
たマイクロチャネルのパターンがマイクロチップ内に含まれたものである。試料
の動きを、マイクロチップの異なるエリアで印加される電力、電気浸透的または
流体静動力によって制御し、機能的な顕微値を得ると共に稼働部材なしでポンプ
移動させる。電圧を変えることでマイクロ加工されたチャネル間での流体の流れ
を制御し、マイクロチップの異なる部分にポンプ送りする流体の流量を変化させ
る。
【0266】 バイアレリックマーカーの遺伝子型を判定するために、核酸増幅、マイクロシ
ークエンシング、毛細管電気泳動、蛍光検出などのレーザー誘導検出方法に、マ
イクロ流体系を組み合わせてもよい。
【0267】 第1のステップでは、好ましくはPCRによってDNA試料を増幅する。次に、ddNTP
(各ddNTPに特異的な蛍光)と、標的多型塩基のすぐ上流でハイブリダイズさせた
適当なオリゴヌクレオチドマイクロシークエンシングプライマーとを用いて、増
幅産物の自動マイクロシークエンシング反応を行う。3'末端での伸長終了後、キ
ャピラリー電気泳動によって、取り込まれなかった蛍光ddNTPからプライマーを
分離してを除去する。キャピラリー電気泳動で用いられる分離媒質としては、た
とえば、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコールまたはデキストランを用
いることができる。単一ヌクレオチドプライマー伸展産物に取り込まれたddNTP
を蛍光検出によって同定する。このマイクロチップを使用すれば、少なくとも96
〜384個の試料を並行して処理できる。これには、ddNTPの通常の4色レーザー誘
起蛍光検出を使うことができる。
【0268】 (本発明のバイアレリックマーカーを用いた遺伝的解析の方法) 複雑な形質の遺伝的解析にはいくつかの方法が利用できる(LanderおよびSchor
k, 1994を参照のこと)。家系解析を用いて1つの座と推定形質座との間の同時分
離について証拠を探査する連鎖手法と、アレルと形質または形質誘発アレルとの
間の統計的に有意な関連性について証拠を探査する関連性手法の2つの主な方法
を利用して、疾病感受性遺伝子の探査を行う(Khoury et al., 1993)。概して、
本発明のバイアレリックマーカーは、遺伝子型と表現型との間の統計的に有意な
相関を示すための従来技術において周知のどのような方法においても用途がある
。バイアレリックマーカーをパラメトリックな連鎖解析法とノンパラメトリック
な連鎖解析法に利用できる。好ましくは、本発明のバイアレリックマーカーを使
用して、関連性解析によって検出可能な形質に関連のある遺伝子を同定する。こ
の方法では、羅患家系を使用する必要がなく、複雑で散発性の形質に関連のある
遺伝子でも同定できる。
【0269】 本発明のバイアレリックマーカーを用いた遺伝的解析は、どのような規模で行
ってもよい。候補遺伝子に対応する、本発明のバイアレリックマーカーのセット
全体または本発明のバイアレリックマーカーのサブセットを使用する。さらに、
本発明のバイアレリックマーカーを含むどのような遺伝マーカーのセットも使用
できる。本発明のバイアレリックマーカーと併用して遺伝マーカーとして使用可
能なバイアレリック多型のセットについては、国際特許出願公開第WO98/20165号
に記載されている。上述したように、本発明のバイアレリックマーカーは、ヒト
ゲノムの完全または部分的な遺伝地図に含まれていてもよいことに注意されたい
。これらの異なる用途は、本発明および請求の範囲において特に企図されている
ものである。
【0270】 また、本発明は、遺伝子型と表現型との間の関連性を検出するための方法であ
って、a)本発明の遺伝子型判定方法に従って、形質陽性個体群における少なくと
も1つのAPM1関連バイアレリックマーカーの遺伝子型を判定するステップと、b)
本発明の遺伝子型判定方法に従って、対照個体群における前記APM1関連バイアレ
リックマーカーの遺伝子型を判定するステップと、c)前記遺伝子型と前記表現型
との間に統計的に有意な関連性があるか否かを判定するステップと、を含む方法
も包含する。また、本発明の遺伝子型と表現型との間の関連性を検出するための
方法は、本願明細書で開示したいずれかの限定事項のある方法、あるいは単独ま
たは組み合わせで特定される下記の方法を包含する。任意に、前記APM1関連バイ
アレリックマーカーが、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8およびその相補体
からなる群から選択されるものであってもよい。任意に、前記対照個体群が形質
陰性個体群または無作為個体群であってもよい。任意に、前記遺伝子型判定ステ
ップa)およびb)の各々を、前記個体群の各々に由来するプールした生物学的試料
について行ってもよい。任意に、ステップa)およびb)の前記遺伝子型判定の各々
を、前記個体群の各個体に由来する生物学的試料またはそのサブサンプルについ
て別々に行ってもよい。任意に、前記表現型が肥満または肥満に関連した障害で
あってもよい。任意に、前記肥満に関連した障害が、アテローム性動脈硬化症、
インスリン抵抗性、高血圧症、2型糖尿病の肥満個体における細小血管障害、2
型糖尿病の肥満個体における細小血管障害に関連した眼病変、および2型糖尿病
の肥満個体における細小血管障害に関連した腎病変からなる群から選択されるも
のであってもよい。
【0271】 また、本発明は、個体群において一組のバイアレリックマーカーについてハプ
ロタイプ頻度を推定する方法であって、a)本発明の遺伝子型判定方法に従って、
前記個体群の各個体またはそのサブサンプルについて、少なくとも2つのAPM1関
連バイアレリックマーカーの遺伝子型を判定するステップと、b)ステップa)で判
定されたヌクレオチドの正体にハプロタイプ判定法を適用し、前記頻度の推定値
を得るステップと、を含む方法も包含する。また、本発明のハプロタイプ頻度の
推定方法には、本願開示内容に記載の限定内容を含むあらゆる方法、あるいは下
記の方法を単独または組み合わせたものが包含される。任意に、前記バイアレリ
ックマーカーが、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8およびその相補体からな
る群から選択されるものであってもよい。任意に、前記ハプロタイプ決定方法を
、非対称PCR増幅、特異的アレルの二重PCR増幅、クラークアルゴリズム、期待値
最大化アルゴリズムによって実施してもよい。
【0272】 本発明のさらに他の実施形態は、ハプロタイプと表現型との間の関連性を検出
する方法であって、a)本発明のハプロタイプ頻度推定方法によって、形質陽性個
体群における少なくとも1種のハプロタイプの頻度を推定するステップと、b)本
発明のハプロタイプ頻度推定方法によって、対照個体群での前記ハプロタイプ頻
度を推定するステップと、c)前記ハプロタイプと前記表現型との間に統計的に有
意な関連性が存在するか否かを判断するステップと、を含む方法を包含する。ま
た、本発明のハプロタイプと表現型との間の関連性を検出する方法には、本願開
示内容に記載の限定内容を含むあらゆる方法、あるいは下記の方法を単独または
組み合わせたものが包含される。任意に、前記バイアレリックマーカーが、A1、
A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8およびその相補体からなる群から選択されるも
のであってもよい。任意に、前記対照個体群が、形質陰性個体群または無作為に
定まる個体群であってもよい。任意に、前記表現型が肥満または肥満に関連した
障害であってもよい。任意に、前記方法が、ステップc)の前に、前記形質陽性個
体群と前記対照個体群にて表現型を判断するステップをさらに含む。任意に、前
記肥満に関連した障害が、アテローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性、高血圧
症、2型糖尿病の肥満個体における細小血管障害、2型糖尿病の肥満個体におけ
る細小血管障害に関連した眼病変、および2型糖尿病の肥満個体における細小血
管障害に関連した腎病変からなる群から選択されるものであってもよい。
【0273】 (連鎖解析) 連鎖解析では、一家系の複数世代にわたって遺伝マーカーの伝達と特異的な形
質の伝達との間の相関を確立することを基本としている。したがって、連鎖解析
の目的は、系図において興味の対象となる形質と同時分離を見せるマーカー座を
検出することにある。
【0274】 (パラメトリックな方法) 連続した世代からデータを入手できる場合、対になった座の間の連鎖の度合い
を研究することができる。組換え画分を推定することで、遺伝地図上で座を順序
付け、そこに配置することができる。遺伝マーカーである座を用いて、遺伝地図
を確立し、次いでマーカーと形質との間の連鎖の強さを計算し、これらの形質に
影響するマーカーおよび遺伝子の相対位置を示すことができる(Weir, 1996)。連
鎖解析の伝統的な方法は、オッズ比の対数値(lod)のスコアリング(Morton, 1955
、Ott, 1991を参照のこと)である。lodスコアを算出するには、その疾病の遺伝
機序が詳細に分かっている必要がある(パラメトリックな方法)。一般に、連鎖解
析で同定される候補領域の長さは2〜20Mbである。上述したようにして候補領域
を特定した後、さらに別のマーカーを用いて組換え個体の解析を行うことで、候
補領域を正確に把握することができる。連鎖解析研究では一般に、最大5,000の
マイクロサテライトマーカーを使用するため、連鎖解析の理論解像度はどんなに
良くても平均約600kb程度に限られてしまう。
【0275】 明確なメンデル遺伝パターンを示し、浸透度(すなわち、アレルαの形質ポジ
ティブ保因者の数と個体群におけるα保因者の総数の比)の高い単純な遺伝形質
のマッピングには、連鎖解析が効果的に利用されている。しかしながら、パラメ
トリックな連鎖解析にはさまざまな欠点がつきまとう。まず、検討対象となる形
質ごとに適した遺伝モデルを選ぶ上での信頼性が制約となる。さらに、上述した
ように、連鎖解析を使用して得られる解像度には限りがあり、連鎖解析によって
最初に同定された2Mb〜20Mbの典型的な領域を追加研究でさらに正確に分析する
必要がある。また、パラメトリックな連鎖解析法は、同義遺伝子および/または
環境因子がさまざまに作用する遺伝形質などの複雑な遺伝形質に適用するのは困
難であることが分かっている。これらの因子をlodスコア解析で適切な状態にモ
デル化するのは極めて困難である。このような場合、Risch, N.およびMerikanga
s,K.によって最近発表された(1996)ように、こうした状況に連鎖解析を適用でき
るだけの数の羅患家系を集めるのに労力と費用がかかりすぎてしまう。
【0276】 (ノンパラメトリックな方法) いわゆるノンパラメトリックな連鎖解析方法の利点は、疾病の遺伝機序が詳細
に分かっている必要がないという点にあり、この方法は複雑な形質の解析で一層
有用なものとなることが多い。ノンパラメトリックな方法では、羅患した親族が
偶然とは思えないほどの高い確率で染色体領域の同一のコピーを継承することを
示し、この領域の遺伝パターンがランダムなメンデル分離とは一致しないことを
実証しようとしている。羅患した親族は、たとえ浸透度が不完全なポリジーン遺
伝であったとしても過剰な「アレル共有」を示すはずである。ノンパラメトリッ
クな連鎖解析では、同質的である(IBS)アレルの数または同祖的である(IBD)アレ
ルの数によって、2つの個体のマーカー座における一致度を測定することができ
る。羅患した兄弟姉妹ペアの解析は周知の特殊な事例であり、これらの方法の最
も単純な形である。
【0277】 本発明のバイアレリックマーカーは、パラメトリックな連鎖解析とノンパラメ
トリックな連鎖解析のいずれにも使用できる。好ましくは、複雑な形質に関与し
ている遺伝子のマッピングが可能なノンパラメトリックな方法にバイアレリック
マーカーを使用するとよい。本発明のバイアレリックマーカーをIBD法とIBS法の
両方に使用して、複雑な形質に影響している遺伝子をマッピングすることもでき
る。かかる解析では、バイアレリックマーカーの高い密度を有効に利用し、いく
つかの隣接するバイアレリックマーカー座をプールして複数のアレルマーカーで
達成される有効性を得ることができる(Zhao et al., 1998)。
【0278】 (個体群関連性解析) 本発明は、本発明のバイアレリックマーカーを用いて、APM1遺伝子が検出可能
な形質に関連しているか否かを識別するための方法を含む。一実施形態では、本
発明は、バイアレリックマーカーアレルまたはバイアレリックマーカーハプロタ
イプと形質との関連性を検出するための方法を含む。さらに、本発明は、本発明
のバイアレリックマーカーアレルとの連鎖不平衡をアレルに引き起こす形質を同
定するための方法を含む。
【0279】 上述したように、選択的な方法を利用して関連性解析すなわち、ゲノムレベル
での関連性解析、候補領域の関連性解析および候補遺伝子の関連性解析を行うこ
とができる。好ましい実施形態では、本発明のバイアレリックマーカーを用いて
候補遺伝子の関連性解析を行う。候補遺伝子解析では、形質のバイオロジーに関
する情報がいくらかでも入手可能である場合に、特定の形質に関する遺伝子と遺
伝子多型を明らかに手っ取り早く得ることができる。さらに、ゲノムレベルでの
関連性解析を行うために、本発明のバイアレリックマーカーをヒトゲノムの遺伝
マーカーの適当な地図に取り入れてもよい。米国仮特許出願第60/082,614号に、
バイアレリックマーカーの高密度地図を作製するための方法が記載されている。
ゲノムの特異的候補領域(特異的染色体または特異的染色体セグメントなど)を示
す適当な地図に、本発明のバイアレリックマーカーをさらに取り入れてもよい。
【0280】 上述したように、関連性解析は一般的な個体群の中で行うことができるもので
あり、羅患した家系での血縁個体についての研究に限られるわけではない。関連
性解析は、散発性の形質または多因子性の形質を解析できる極めて価値ある手法
である。さらに、関連性解析では、連鎖解析よりも数段精細に形質誘発アレルを
マッピングできる精細マッピングのための強力な方法が得られる。系図に基づく
研究は、形質誘発アレルの所在を狭めてしまうにすぎない。したがって、本発明
のバイアレリックマーカーを用いる関連性解析法を用いて、連鎖解析法によって
同定された候補領域における形質誘発アレルの所在を正確に判定できる。さらに
、興味の対象となっている染色体セグメントを同定した後は、興味の対象となっ
ている領域に本発明の候補遺伝子などの候補遺伝子が存在することで、形質誘発
アレルを同定するための手軽な方法が得られる。本発明のバイアレリックマーカ
ーを用いて、候補遺伝子が形質に関連していることを示すことができる。このよ
うな用途は、本発明において具体的に企図されているものである。
【0281】 (バイアレリックマーカーアレルまたはバイアレリックマーカーハプロタイプの
個体群での頻度の判定) 関連性解析は、座の間でのアレルのセットについて、頻度の関係を探索するも
のである。
【0282】(個体群におけるアレル頻度の判定) 「バイアレリックマーカーでの個体の遺伝子型判定方法」という見出しの部分
で上述した方法のうちいずれか1つ、あるいは、このような目的に適した任意の
遺伝子型判定方法を用いて、個体群におけるバイアレリックマーカーのアレル頻
度を判断することができる。プールした試料または個々の試料について、個体群
のバイアレリックマーカーアレルの頻度を判定できる。必要な遺伝子型判定数を
減らす方法の1つに、標本プールを使用することがあげられる。標本プールを使
用する上で主な妨げとなるものに、プールを構築する際における正確なDNAレベ
ルを判定するための精度と再現性に関することがある。個々の標本を遺伝子型判
定すれば、感受性、再現性および精度が高くなるため、本発明における好ましい
方法でもある。好ましくは、各個体を個別に遺伝子型判定し、単純な遺伝子カウ
ントを適用して、特定の個体群でのバイアレリックマーカーのアレルまたは遺伝
子型の頻度を判定する。
【0283】(対照個体群でのハプロタイプ頻度の判定) 2つ以上の座で複相個体がヘテロ接合する場合、ハプロタイプの配偶子相は分
からない。家系における系統学的な情報を用いて配偶子相を推論できることもあ
る(Perlin et al., 1994)。系統学的な情報が得られない場合は、別の戦略を使
ってもよい。1つの可能性として、多発性部位ヘテロ接合的な複相体を解析から
除外し、ホモ接合体と単一部位ヘテロ接合体の個体のみを保持するようにしても
よいが、この方法では、試料構成の偏りと低頻度ハプロタイプの過小評価が生じ
る可能性がある。もう1つの可能性としては、非対称性PCR増幅(Newton et al.,
1989、Wu et al., 1989を参照のこと)または限界希釈によって1本の染色体を単
離し、次いでPCR増幅する(Ruano et al., 1990を参照のこと)などの方法で、1本
の染色体を独立に研究することができる。さらに、十分に近い関係のバイアレリ
ックマーカーを得るために、特異的アレルの二重PCRによって試料をハプロタイ
プ判定してもよい(Sarkar, G.およびSommer S.S., 1991)。これらの方法は、技
術的に複雑である、追加コストがかかる、大規模で一般化できない、あるいは偏
りが出る可能性があるなどの理由で、完全に満足のいくものというわけではない
。こうした問題を解決するために、PCR増幅したDNA遺伝子型の相を推論するClar
k A.G.(1990)が導入したアルゴリズムを使用してもよい。簡単に説明すると、こ
の原理では、曖昧さのない個体である完全ホモ接合体と単一部位ヘテロ接合体を
調べ、試料に存在するハプロタイプの予備リストを埋める。次に、同一試料に含
まれる他の個体で前に認識したハプロタイプが出現する可能性をスクリーニング
する。結果がポジティブであったものについては、すべての個体の相情報が解明
されるか、あるいは未解明として定められるかのいずれかになるまで、すでに認
識されたハプロタイプのリストに相補ハプロタイプを追加する。この方法では、
二重ヘテロ接合性の個体各々に単一のハプロタイプを割り当てるが、これらの個
体に2つ以上のヘテロ接合部位がある場合には複数のハプロタイプもあり得る。
あるいは、ハプロタイプを各個体に割り当てずに個体群においてハプロタイプ頻
度を推定する方法を利用することもできる。好ましくは、ハーディワインベルグ
比を推測してハプロタイプ頻度の最大尤度推定値が得られる期待値最大化(EM)ア
ルゴリズム(Dempster et al., 1977)に基づく方法(無作為交配)を使用する(Exco
ffier L.およびSlatkin M., 1995を参照のこと)。EMアルゴリズムは、データが
曖昧であるおよび/または不完全である場合に有用な繰り返し最尤推定法を汎用
化したものである。EMアルゴリズムを用いてヘテロ接合体をハプロタイプに分け
る。ハプロタイプ推定については、「統計的手法」という見出しの部分でさらに
説明する。個体群におけるハプロタイプの頻度の判断または推定には、従来技術
において周知の他のどのような方法を用いてもよい。
【0284】 (連鎖不平衡解析) 連鎖不平衡は、2つ以上の座におけるアレルの非ランダムな関連性であり、疾
患の形質に関与する遺伝子をマッピングする上での強力なツールとなる(Ajioka
R.S. et al., 1997を参照のこと)。バイアレリックマーカーは、ヒトゲノム中で
密に配置され、他の遺伝マーカー(RFLPマーカーまたはVNTRマーカーなど)よりも
多くの数で遺伝子型判定可能であるため、連鎖不平衡に基づく遺伝的解析におい
ては特に有用なものである。
【0285】 病因変異を最初に個体群に導入する(新しく発生させた変異または変異保因者
からの移植による)際には、1本の染色体に含まれ、被結合マーカーの単一の「背
景」または「祖先の」ハプロタイプに所在するようにしておくことが必須である
。結果として、これらのマーカーと病因変異との間には完全な不平衡ができあが
る。このとき、病因変異は特異的マーカーセットアレルの存在下に限って認めら
れる。以後の世代では、病因変異とマーカー多型との間に組換えイベントが起こ
り、不平衡は次第に消失する。この消失のペースは組換え頻度の関数になるため
、病因遺伝子から離れた位置にあるマーカーよりも病因遺伝子に最も近い位置に
あるマーカーの方で明らかに高い不平衡のレベルが認められることになる。組換
えによって途切れてしまわない限り、「先祖の」ハプロタイプおよび異なる座に
あるマーカーアレル間の連鎖不平衡を系図と個体群の両方から追跡することがで
きる。連鎖不平衡は通常、1つの座における特定のアレルと他の座における別の
特定のアレルとの間の関連性として現れてくる。
【0286】 病因座とマーカー座との間の不平衡を示すパターンまたは曲線には、病因座に
対応する部分に極大が認められると思われる。したがって、病因アレルとこれに
近い位置で結合された遺伝マーカーとの間の連鎖不平衡の量から、病因遺伝子の
位置に関する価値ある情報が得られる場合がある。病因座に関する精細マッピン
グでは、研究対象とした領域内のマーカー間に存在する連鎖不平衡のパターンに
ついて知ることが大切である。上述したように、連鎖不平衡の解析によって得ら
れるマッピング解像度は、連鎖解析によって得られる解像度よりもかなり高い。
連鎖不平衡解析と併用したバイアレリックマーカーの密度の高さから、精細マッ
ピング用の強力なツールが得られる。「統計的手法」という見出しの部分で、連
鎖不平衡を算出するための別の方法についても説明する。
【0287】 (個体群ベースの形質-マーカー関連性の症例対照解析) 上述したように、特異的アレル対は同一染色体上の異なる座に偶然に発生する
わけではなく、偶然との違いが連鎖不平衡と呼ばれる。関連性解析は個体群頻度
に的をあてており、連鎖不平衡の現象に頼っている。特定の遺伝子における特異
的アレルが特定の形質Tの発生に直接的に関与している場合は、その頻度は羅患
(形質陽性)個体群の方が形質陰性個体群または無作為個体群よりも統計的に高
くなる。連鎖不平衡が存在する結果、形質誘発アレルを持つハプロタイプに存在
する他のすべてのアレルの頻度も、形質陰性個体やランダムな対照例よりも形質
陽性個体での方が高くなる。したがって、形質誘発アレルと連鎖不平衡状態にあ
る任意のアレル(特にバイアレリックマーカーアレル)と形質との間の関連性が分
かれば、そこから特定の領域に形質関連遺伝子が存在するかどうかを十分に推測
することができる。バイアレリックマーカーで症例対照個体群の遺伝子型を判定
し、狭い範囲に絞って形質誘発アレルの所在を特定することができる。形質に関
連した特定の1つのマーカーと連鎖不平衡状態にあるマーカーは、いずれも形質
に関連することになる。連鎖不平衡によって、考えられるあらゆる機能的多型を
スクリーニングする方法に代わる手段として症例対照個体群での限られた数の遺
伝的多型(特にバイアレリックマーカー)の相対頻度を解析し、形質誘発アレルを
見出すことが可能になる。関連性解析では、無相関症例対照個体群でのマーカー
アレルの頻度を比較し、複雑な形質を詳細に解析する強力なツールが得られる。
【0288】(症例対照個体群(組み入れ基準)) 個体群ベースの関連性解析では、家系での継承にはこだわらず、特定の遺伝マ
ーカーまたはマーカーのセットの有病率を症例対照個体群で比較する。これは、
血縁のない症例(未羅患または形質陽性)個体と血縁のない対照(未羅患、形質陰
性または無作為)個体とを比較することに基づく症例対照研究である。この対照
群は、未羅患個体または形質陰性個体で構成されると好ましい。また、対照群は
、民族が症例個体群と一致すると好ましい。さらに、対照群は、研究対象となる
形質についての既知の主な混乱要因が症例個体群と一致する(たとえば、年齢に
依存する形質の場合は年齢が一致する)ものであると好ましい。理想的には、2つ
の試料の個体を疾患の状態だけが異なると思われる形でペアにする。本願明細書
では、「形質陽性個体群」、「症例個体群」および「羅患個体群」という用語を
同義のものとして使用する。
【0289】 関連性解析を用いた複雑な形質の詳細な解析において重要なステップは、症例
対照個体群の選択である(Lander and Schork, 1994を参照のこと)。症例対照個
体群の選択時の主なステップは、特定の形質または表現型を臨床的に定義するこ
とである。形質陽性表現型の群と形質陰性表現型の群に入れる個体を慎重に選択
すれば、本願明細書において提案する関連性による方法でどのような遺伝的形質
でも解析することができる。臨床表現型、発病年齢、家族歴および重症度の4つ
の基準を用いるとよいことが多い。連続的形質または定量的形質(たとえば血圧
など)の選択手順としては、解析対象の形質の表現型分布の両端で個体を選択し
、形質陽性個体群と形質陰性個体群に、表現型に重複のない個体が含まれるよう
にする。症例対照個体群は、表現型的にみて一様な個体群であると好ましい。形
質陽性個体群および形質陰性個体群は、各々が解析対象の個体群全体の1〜98%、
好ましくは1〜80%、より好ましくは1〜50%、さらに好ましくは1〜30%、最も好ま
しくは1〜20%であり、好ましくは重複のない表現型を示す個体から選択される、
表現型的にみて一様な個体の個体群で構成される。2つの形質表現型の違いが明
確になればなるほど、バイアレリックマーカーで関連性を検出できる確率が高く
なる。劇的に異なるが比較的均一な表現型を選択すると、研究対象となる個体群
のサンプルサイズが十分に有意であるという前提で、関連性解析において効率的
な比較を行うことができ、遺伝レベルでの著しい差異を検出できる可能性もある
【0290】 好ましい実施形態では、50〜300の形質陽性個体、好ましくは約100個体からな
る第1の群を、その表現型に基づいて募集する。これらの解析には、ほぼ同数の
対照個体も含める。
【0291】 本発明では、組み入れ基準の典型的な例として、肥満および肥満に関連した障
害があげられる。
【0292】(関連性解析) 候補遺伝子を含む領域由来のバイアレリックマーカーを用いて関連性解析を行
うための汎用的な戦略は、個体を2つのグループ(症例対照個体群)に分けてスキ
ャンし、両方のグループに含まれる本発明のバイアレリックマーカーのアレル頻
度を計測して統計的に比較することである。
【0293】 解析したバイアレリックマーカーのうち少なくとも1つまたはそれ以上で形質
との間の統計的に有意な関連性が特定された場合、関連アレルが形質を誘発する
直接の原因である(すなわち、関連アレルが形質誘発アレルである)か、あるいは
関連アレルが形質誘発アレルとの間で連鎖不平衡状態にあるという仮説を立てる
ことができる。このうち、後者の方が可能性としては高い。通常、候補遺伝子の
機能に鑑みた関連アレルの特異的な特徴から、関連アレルと形質との関連性に関
して別の見通し(原因性または連鎖不平衡)が立つのが普通である。候補遺伝子内
の関連アレルは形質誘発アレルではない可能性が最も高いが、実際の形質誘発ア
レルとの間で連鎖不平衡状態にあるということが、何らかの証拠によって示され
た場合、関連マーカー付近のシークエンシングと、互いに関連のある多型の関連
性解析をさらに繰り返すことによって、形質誘発アレルを見出すことができる可
能性がある。
【0294】 関連性解析は通常、連続した2つのステップで行われる。第1フェーズでは、候
補遺伝子から得た少数のバイアレリックマーカーの頻度を、形質陽性個体群と形
質陰性個体群の両方で判定する。解析の第2フェーズでは、関連の領域から得た
さらに高密度のマーカーを用いて、特定の形質の原因である遺伝子座の位置をさ
らに正確に求める。しかしながら、APM1の場合などでそうであるが、解析対象の
候補遺伝子が比較的短い場合、有意な関連性を得るには第1フェーズのみで十分
なこともある。
【0295】(ハプロタイプ解析) 上述したように、突然変異または転移のいずれかによって病因アレルを持つ染
色体が最初に個体群に現れたとき、突然変異遺伝子は必ず、被結合マーカーのセ
ットを持つ染色体すなわち先祖のハプロタイプ上にある。このハプロタイプを複
数の個体群にわたって追跡し、特定の形質との統計的な関連性を解析することが
できる。個別に行う(アレルごとの)関連性解析を、ハプロタイプ解析とも呼ばれ
る多点関連性解析で補足することによって、関連性解析の統計的な効果が大きく
なる。このように、ハプロタイプ関連性解析によって、先祖のキャリアハプロタ
イプの頻度とタイプを定義することができる。ハプロタイプ解析は、個々のマー
カーでの解析の統計的な力を高めるという点で重要なものである。
【0296】 ハプロタイプ頻度解析の第1ステージでは、同定された本発明のバイアレリッ
クマーカーのさまざまな組み合わせに基づいて考え得るハプロタイプの頻度を判
定する。次に、このハプロタイプ頻度を形質陽性個体と対照個体の異なる個体群
と比較する。統計的に有意な結果を得るのにこの解析で使わなければならない形
質陽性個体の数は通常、30〜300の範囲であり、好ましい個体数は50〜150の範囲
である。同じことが解析に使う未羅患個体(または無作為対照個体)にもあてはま
る。最初の解析の結果から、症例対照個体群でのハプロタイプ頻度が得られ、評
価した各ハプロタイプ頻度について、オッズ比が算出される。統計的に有意な関
連性が見出されると、解析対象の形質で影響された特定のハプロタイプを有する
個体について、相対リスクを概算することができる。
【0297】(相互作用解析) 本発明のバイアレリックマーカーを用いて、ポリジーンの相互作用によって生
じる検出可能な形質に関連のあるバイアレリックマーカーのパターンを特定する
ことができる。未結合座に位置するアレル間の遺伝的相互作用の解析を行うため
には、本願明細書に記載の手法を用いた個体の遺伝子型判定が必要となる。選択
したバイアレリックマーカーセットに関して適切な統計的有意性をもってなされ
るアレル相互作用解析はハプロタイプ解析とみなすことができる。相互解析は、
第1の座についての特定のハプロタイプを基準として症例対照個体群を層別化し
、各亜個体群で第2の座との間のハプロタイプ解析を実施することからなる。
【0298】 (関連性解析に用いられる統計的手法) (関連性が存在する中での連鎖の試験) 本発明のバイアレリックマーカーをTDT(伝播不平衡テスト)にさらに使用して
もよい。連鎖および関連性を対象としたTDT法はいずれも個体群の層別化に影響
されることはない。TDTに必要なのは、羅患個体とその両親に関するデータか、
両親ではなく未羅患の兄弟姉妹から得たデータである(Spielmann S. et al., 19
93、Schaid D.J. et al., 1996、Spielmann S. and Ewens W.J., 1998を参照の
こと)。このような併用試験では一般に、別々に解析したときに発生するような
擬-正誤差を減らすことができる。
【0299】 (統計的手法) 一般に、形質および遺伝子型のいずれかを試験して統計的に有意な相関性を示
すための従来技術において周知の方法であれば、どのような方法でも利用できる
【0300】 1) 連鎖解析での方法 連鎖解析に有用な統計的手法およびコンピュータプログラムは、当業者間で周
知である(Terwilliger J.D. and Ott J., 1994、Ott J., 1991を参照のこと)。
【0301】 2) 個体群でのハプロタイプ頻度の推定方法 上述したように、遺伝子型をスコアリングしても、ヘテロ接合体を区別できな
いことは珍しくないため、ハプロタイプ頻度の推論は決して容易ではない。配偶
子フェーズが分からない場合、多座の遺伝子型データからハプロタイプ頻度を推
定することができる。当業者間で周知の適当な方法を用いてハプロタイプ頻度を
推定することができる(Lange K., 1997、Weir, B.S., 1996を参照のこと)。期待
値最大化(EM)アルゴリズムを用いて、最尤ハプロタイプ頻度を算出すると好まし
い(Dempster et al., 1977、Excoffier L. and Slatkin M., 1995を参照のこと)
。この手順は、配偶子のフェーズが不明である場合に多座の遺伝子型データから
ハプロタイプ頻度の期待値最大化値を得ることを意図した繰り返しのプロセスで
ある。ハプロタイプ推定は通常、EM-HAPLOプログラム(Hawley M.E. et al., 199
4)またはArlequinプログラム(Schneider et al., 1997)などを使用して、EMアル
ゴリズムを応用することによって行われる。EMアルゴリズムは、繰り返し期待値
最大化法を汎用化した方法であるが、これを以下に簡単に説明する。
【0302】 このセクション、本テキストの「個体群でのハプロタイプ頻度の推定方法」で
は、フェーズが不明の多座の遺伝子型を表現型とし、フェーズが分かっている多
座の遺伝子型を遺伝子型とすることに留意されたい。
【0303】 血縁のない個体N個からなる標本をK個のマーカーについてタイプ分けする。観
察するデータはフェーズが不明のK座表現型であり、これをF種類の表現型に分類
できるものとする。考えられる基礎ハプロタイプがH個あるとする(Kがバイアレ
リックマーカーの場合、H=2K)。
【0304】 表現型jについて遺伝子型cjがあり得ると仮定する。よって、以下の式が得ら
れる。
【数1】 式中、Pjは表現型jの確率、hkおよびhlは遺伝子型iを構成する2つのハプロタイ
プである。ハーディワインベルグ平衡に基づいて、pr(hk,hl)は次のようになる
【数2】
【0305】 EMアルゴリズムの連続したステップは次のように説明できる。
【0306】 ハプロタイプ頻度のofの初期値(initial values of the of haplotypes frequen
cies)
【数3】 から開始して、これらの初期値から遺伝子型頻度を推定(推測ステップ)し、もう
一組のハプロタイプ頻度(最大化ステップ)すなわち
【数4】 を推定する。ハプロタイプ頻度のセットの変化が極めて小さくなるまで上記の2
つのステップを繰り返す。
【0307】 停止基準は、2回の繰り返しでハプロタイプ頻度間に見られる差が最大でも10- 7 未満になった時点とすることができる。所望の推定精度でこれらの値を調節す
ることができる。
【0308】 特定のs回目の繰り返しの時点で、推測ステップで以下の式から遺伝子型頻度
を算出する。
【数5】
【0309】 この場合、表現型jに遺伝子型iが発生し、hkおよびhlが遺伝子型を構成する。
それぞれの確率は、上記の式1および式2から導き出される。
【0310】 次に、最大化ステップでは、特定の遺伝子型についてもう一組のハプロタイプ
頻度を推定するだけである。この方法は、遺伝子カウント法(Smith, 1957)とし
て周知である。
【数6】 式中、δitは遺伝子型iにおけるハプロタイプtの数を示す指標変数である。この
指標変数の値は、0、1または2である。
【0311】 最終的に得られる推定値が期待値最大化値になるようにするためには、出発値
がいくつか必要である。得られた推定値を比較し、推定値間に差がある場合は最
尤度につながる推定値の方を保持する。
【0312】 3) マーカー間の連鎖不平衡算出方法 さまざまな方法を用いて任意の2つの遺伝位置間の連鎖不平衡を算出すること
ができる。実用上、個体群から得たハプロタイプデータに統計的な関連性試験を
適用して連鎖不平衡を求める。
【0313】 マーカーMiにアレル(ai/bi)を有し、マーカーMjにアレル(aj/bj)を有する本発
明のバイアレリックマーカー(Mi, Mj)を少なくとも1つ含む任意のバイアレリッ
クマーカー対間の連鎖不平衡を、Piazzaの式によってアレルの組み合わせ(ai, a j; ai, bj; bi, ajおよびbi, bj)それぞれについて算出することができる。
【0314】 Δaiaj=√θ4-√(θ4+θ3)(θ4+θ2)、式中、 θ4= - - = Miにアレルaiがなく、Mjにアレルajがない遺伝子型の頻度 θ3= - + = Miにアレルaiがなく、Mjにアレルajがある遺伝子型の頻度 θ2= + - = Miにアレルaiがあり、Mjにアレルajがある遺伝子型の頻度
【0315】 Weir(Weir B.S.、1996)によって説明されているようなδ(複合連鎖不平衡係数
)に対する期待値最大化(MLE)法に基づいて、アレルの組み合わせ(ai, aj; ai, b j; bi, ajおよびbi, bj)それぞれについてバイアレリックマーカー対(Mi, Mj)間
の連鎖不平衡(LD)を算出することもできる。複合連鎖不平衡に対するMLEは次の
とおりである。
【0316】 Daiaj=(2n1 + n2 + n3 + n4/2)/N 2(pr(ai).pr(aj)) (式中、n1=Σ表現型(ai/ai, aj/aj)、n2=Σ表現型(ai/ai, aj/bj)、n3=Σ表現型
(ai/bi, aj/aj)、n4=Σ表現型(ai/bi, aj/bj)、Nは試料中の個体の数である。)
【0317】 ハプロタイプデータがなく遺伝子型データしか利用できない場合でも、この式
によってアレル間の連鎖不平衡を推定することができる。
【0318】 マーカー間の連鎖不平衡を算出するためのもう1つの手段は以下のとおりであ
る。ハーディワインベルグ平衡を満たす一対のバイアレリックマーカーマーカー
Mi(ai/bi)およびMj(aj/bj)について、上述した方法で特定の個体群から4つの可
能なハプロタイプ頻度を推定することができる。
【0319】 aiとajとの間の配偶子不平衡の推定は、単に、
【数7】 である。式中、pr(ai)はアレルaiの確率であり、pr(aj)はアレルajの確率である
。また、pr(haplotype(ai, aj))は、上記の式3において推定されるとおりである
【0320】 一対のバイアレリックマーカーでは、MiとMjとの間の関連性を説明するのに必
要な不平衡値は1つのみである。
【0321】 次に、上記の値に対する正規化値を次のようにして算出する。
【0322】 D'aiaj = Daiaj / max(-pr(ai).pr(aj),-pr(bi).pr(bj))(Daiaj<0) D'aiaj = Daiaj / max(pr(bi).pr(aj), pr(ai).pr(bj))(Daiaj>0)
【0323】 他のLD方法を使用してもよいことは、当業者であれば容易に理解できよう。
【0324】 適当なヘテロ接合率を持つ一組のバイアレリックマーカーでの連鎖不平衡を求
めるには、50〜1000の血縁のない個体、好ましくは75〜200、より好ましくは100
前後の血縁のない個体を遺伝子型判定すればよい。
【0325】 4) 関連性試験 表現型と遺伝子型、ここではバイアレリックマーカーにおけるアレルまたはか
かるアレルで構成されるハプロタイプでのアレルの相関の統計的な有意性を判断
する方法を従来技術において周知の統計的試験によって判断できるが、この場合
は統計的な有意性の許容閾値が必要である。特定の方法および有意性閾値の利用
方法は当業者間で周知のものである。
【0326】 症例個体群と対照個体群とにおけるバイアレリックマーカーアレルの頻度を判
断し、これらの頻度を統計的な試験結果と比較して関連性を試験し、研究対象の
バイアレリックマーカーアレルと形質との相関を表す頻度に何らかの統計的な有
意差が認められるか否かを判断する。同様に、症例個体群と対照個体群において
、特定のバイアレリックマーカーセットについて考え得るあらゆるハプロタイプ
の頻度を推定してハプロタイプ解析を行い、これらの頻度を統計的な試験結果と
比較して研究対象の表現型(形質)とハプロタイプとの間に統計的に有意な相関が
認められるか否かを判断する。遺伝子型と表現型との間の統計的に有意な関連性
を調べるための試験に有用な統計的なツールを用いてもよい。好ましくは、ここ
で用いる統計的試験は自由度1のカイ二乗試験である。P値を算出する(P値は、観
察された値以上の統計値が偶然に発生する確率を示す)。
【0327】(統計的な有意性) 好ましい実施形態では、別の診断試験用の前向きなものとしてか、あるいは早
期の予防的治療用の予備的な起始点としての診断上の有意性、バイアレリックマ
ーカー関連性に関係のあるp値が、単発のバイアレリックマーカー解析では好ま
しくは約1ラ10-2以下、さらに好ましくは約1ラ10-4以下であり、2つまたはそれ以 上のマーカーを利用するハプロタイプ解析では、約1ラ10-3以下、さらに好ましく は1ラ10-6以下、最も好ましくは約1ラ10-8以下である。これらの値は、マーカーが 1つであろうと複数のマーカーを併用したものであろうと、どのような関連性解
析にも応用できるものと思われる。
【0328】 当業者であれば、上述した値の範囲を起始点として使用し、本発明のバイアレ
リックマーカーを用いた関連性解析を行うことができる。この場合、本発明のバ
イアレリックマーカーと肥満または肥満に関連した障害との間の有意な関連性を
証明し、診断や薬剤スクリーニングの目的で利用することができる。
【0329】(表現型並べ替え検定) 上述した第1段階でのハプロタイプ解析の統計的有意性を確認するために、症
例対照個体から得た遺伝子型判定データをプールし、形質表現型に関して無作為
化して、さらに別の解析を行うとよい場合がある。個々の遺伝子型判定データを
2つのグループに無作為に割り当てる。このとき、各グループには第1段階で得ら
れたデータの蓄積に用いた症例対照個体群から同数ずつの個体が含まれるように
する。第2のステージでのハプロタイプ解析は、これらの人為的なグループ、好
ましくは第1段階での解析のハプロタイプに含まれていたマーカーのうち相対危
険度係数が最も高かったマーカーについて行うと好ましい。この実験を少なくと
も100〜10000回繰り返す。このように繰り返し行うことで、有意なp値レベル約1
ラ10-3未満で得られるハプロタイプの比率を求めることができる。
【0330】(統計的関連性の評価) 偽陽性の問題に対処するために、同一の症例対照個体群について無作為に定め
たゲノム領域で同様の解析を行ってもよい。1998年11月10日出願で発明の名称が
「Methods, Software And Apparati For Identifying Genomic Regions Harbori
ng A Gene Associated With A Detectable Trait(検出可能な形質に関連のある
遺伝子を持つゲノム領域を同定するための方法、ソフトウェアおよび装置)」で
ある係属中の米国仮特許出願第60/107,986号(その内容全体を本願明細書に援用
する)に記載されているようにして、無作為に定めた領域と候補領域で得られる
結果を比較する。
【0331】 5) 危険因子の評定 危険因子(遺伝疫学では、危険因子はマーカー座における特定のアレルまたは
ハプロタイプの有無である)と疾患との間の関連性は、オッズ比(OR)および相対
危険度(RR)によって測定される。P(R+)がRを持った個体で疾患が発症する可能性
、P(R-)が危険因子のない個体での確率である場合、相対危険度は2つの確率の比
にすぎない。すなわち、
【0332】 RR= P(R+)/P(R-)
【0333】 症例対照研究では、サンプリング設計であるために相対危険度の直接的な基準
を得ることができない。しかしながら、オッズ比から出現率の低い疾患の相対危
険度に良く近似した値を得ることができる。この値は次のように算出できる。
【0334】 OR=(F+/(1-F+))/(F-/(1-F-))
【0335】 ここで、F+は症例で危険因子に曝露される頻度であり、F-は対照例で危険因子
に曝露される頻度である。F+およびF-は、研究のアレル頻度またはハプロタイプ
頻度を使用して算出され、基本となる遺伝モデル(優性、劣性、相加など)によっ
て変わるものである。
【0336】 特定の危険因子の形質を示す個体群における個体の割合について説明する、寄
与危険度(AR)をさらに推定することができる。この測定は、疾患病因論および危
険因子の公衆衛生的な影響に関する特異的因子の役割の定量化する上で重要であ
る。この測定の公衆衛生との関係は、興味の対象となる曝露がなければ防止可能
な個体群における疾患症例の割合を推定することにある。ARは次のように定めら
れる。
【0337】 AR = PE(RR-1)/ (PE(RR-1)+1) ARは、バイアレリックマーカーアレルまたはバイアレリックマーカーハプロタ
イプに起因する危険である。PEは、個体群全体でアレルまたはハプロタイプに曝
露される頻度である。RRは、解析の対象となる形質の個体群全体における出現率
が比較的低い場合、オッズ比で近似できる相対的危険度である。
【0338】 (本発明のバイアレリックマーカーと連鎖不平衡状態にあるバイアレリックマー
カーの同定) 第1のバイアレリックマーカーを興味の対象となるゲノムの領域で同定した後
、本発明の教示内容を使用する当業者の医師であれば、この第1のマーカーと連
鎖不平衡状態にある別のバイアレリックマーカーを容易に同定することができる
。上述したように、形質に関連した第1のマーカーと連鎖不平衡状態にあるマー
カーはいずれも形質に関連することになる。したがって、特定のバイアレリック
マーカーと形質の間で関連性が実証された後は、この形質に関連した別のバイア
レリックマーカーを見出すことが、特にこの領域のバイアレリックマーカーの密
度を増加させるために非常に興味深いこととなる。形質との相関が最も高い1つ
のマーカーまたは複数のマーカーのセット付近で原因遺伝子または突然変異が見
出されるであろう。
【0339】 特定のマーカーとの連鎖不平衡状態にある別のマーカーの同定には、(a)複数
の個体から得た第1のバイアレリックマーカーを有するゲノムフラグメントを増
幅するステップと、(b)前記第1のバイアレリックマーカーを持つゲノム領域で第
2のバイアレリックマーカーを同定するステップと、(c)前記第1のバイアレリッ
クマーカーと第2のバイアレリックマーカーとの間の連鎖不平衡解析を実施する
ステップと、(d)前記第2のバイアレリックマーカーを前記第1のマーカーと連鎖
不平衡状態にあるとして選択するステップと、を含む。ステップ(b)と(c)のサブ
コンビネーションも企図される。
【0340】 バイアレリックマーカーの同定および連鎖不平衡解析の指示方法については本
願明細書にて開示されており、本願の範囲を超える実験を行うことなく当業者ら
が実施可能なものである。したがって、本発明は、特定のバイアレリックマーカ
ーA1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8と連鎖不平衡状態にあり、特定の形質と
の関連性という点でそれぞれ同様の特徴をみせると思われるバイアレリックマー
カーにも関するものである。
【0341】 (マッピング解析: 機能的変異の同定) 本発明のバイアレリックマーカーで陽性の関連性を確認した後、選択した数の
形質陽性個体と形質陰性個体の配列を比較することによって、関連した候補領域
(APM1遺伝子の連鎖不平衡内)の遺伝子の変異をスキャニングすることができる。
好ましい実施形態では、APM1遺伝子のエキソンおよびスプライス部位、プロモー
ターおよび他の調節領域などの機能領域の変異をスキャニングする。好ましくは
、形質と関連するであろうことが示されるハプロタイプを有するものが形質陽性
個体であり、形質と関連したハプロタイプまたはアレルを持たないものが形質陰
性個体である。変異検出手順はバイアレリック部位の同定で用いたものと本質的
には同じである。
【0342】 このような変異の検出に用いられる方法は通常、(a)形質陽性患者および形質
陰性対照例のDNA試料から得た形質に関連のあるバイアレリックマーカー1つまた
はバイアレリックマーカーのグループを含む候補遺伝子の領域を増幅するステッ
プと、(b)増幅した領域を配列決定するステップと、(c)形質陽性患者のDNA配列
と形質陰性対照例のDNA配列とを比較するステップと、(d)形質陽性患者に特異な
変異を判断するステップと、を含む。ステップ(b)と(c)のサブコンビネーション
も企図される。
【0343】 次に、本願明細書に記載するものなどの適当な遺伝子型判定手順によって、好
ましくは個々の試験フォーマットについて述べる部分で後述するようなマイクロ
シークエンシング法を使用して、症例と対照の大きな個体群をスクリーニングす
ることによって候補多型を立証すると好ましい。多型は、それが症例および対照
において予想した関連性に匹敵する頻度で現れる場合に候補変異であるとみなさ
れる。
【0344】 (遺伝診断法での本発明のバイアレリックマーカー) 本発明のバイアレリックマーカーを利用して、特定の遺伝子型の結果として検
出可能な形質を発現する個体または遺伝子型がゆえに後に検出可能な形質が発生
する危険性のある個体を特定できる診断試験を開発することができる。
【0345】 もちろん、肥満および肥満と関連した障害を治療または診断する現場にいる当
業者の方々には、本発明は、肥満および肥満に関連した障害を伴う特定タイプの
疾患を発症する危険性のある個体を絶対的に特定することを意図したものではな
く、疾患を発症する度合いまたは尤度を示すことを意図したものであることを理
解して頂きたい。しかしながら、特定の環境では、この情報を用いて予防治療を
開始したり、有意なハプロタイプを持っている個体で、マイナーな症候群などの
危険な徴候を予測できるという点で、この情報は極めて価値のあるもなのである
。発作が極めて激しく、適切な処置をすみやかに施さないと致命傷ともなり得る
疾患では、潜在的な素因について知っていれば、たとえこの素因が絶対的なもの
でなかったとしても、極めて有意な形で効率的な治療を行いやすくなる。
【0346】 本発明による診断手法では、被検者が検出可能な形質が発生する危険度増大に
関連のあるバイアレリックマーカーパターンを有するか否か、あるいは特定の突
然変異の結果として個体に検出可能な形質が認められるか否かを、家系解析、単
精子DNA解析または体細胞ハイブリッドなど、ハプロタイピングについての個体
染色体の解析が可能な方法をはじめとするさまざまな方法を利用して判断できる
。本診断法を用いて解析する形質は、肥満および肥満と関連した障害をはじめと
するどのような検出可能な形質であってもよい。
【0347】 本発明のもう1つの態様は、個体に形質が発生する危険性があるか否か、ある
いは特定の形質誘発アレルが存在する結果、その形質が個体に発現されるか否か
を判断する方法に関する。本発明は、個体に複数の形質が発生する危険性がある
か否か、あるいは特定の形質誘発アレルが存在する結果、複数の形質が個体に発
現されるか否かを判断する方法に関する。これらの方法には、個体から核酸試料
を採取し、この核酸試料に、形質が発生する危険性を示すか、あるいは特定の形
質誘発アレルが存在する結果、その形質が個体に発現されることを示す、1種ま
たはそれ以上のバイアレリックマーカーの1種またはそれ以上のアレルが含まれ
ているか否かを判断することを含む。
【0348】 本願明細書において説明するように、この診断は単一のバイアレリックマーカ
ーに基づくものであってもバイアレリックマーカーのグループに基づくものであ
ってもよい。
【0349】 (組換えベクター) 本願明細書では、二本鎖または一本鎖で、環状または線状であり、細胞宿主あ
るいは単細胞の宿主生物または多細胞の宿主生物に転写する対象として探査され
る興味の対象となるポリヌクレオチドを少なくとも1つ有するDNAまたはRNA分子
を示すのに「ベクター」という用語を用いる。
【0350】 本発明は、APM1ゲノム配列由来の調節ポリヌクレオチドを有する組換えベクタ
ーのファミリあるいはAPM1ゲノム配列から得られるコードポリヌクレオチドを包
含する。したがって、本発明はさらに、配列番号2および3の核酸で構成された調
節ポリヌクレオチドまたはAPM1コード配列を有するポリヌクレオチドの一方また
は両方を有する組換えベクターについても扱う。
【0351】 第1の好ましい実施形態では、本発明の組換えベクターを使用して、配列番号1
、2および3の核酸からなる群から選択されるAPM1ゲノム配列由来またはAPM1 cDN
A由来のポリヌクレオチド、たとえば配列番号5のcDNAを、適当な細胞宿主に挿入
したものを増幅する。このポリヌクレオチドは、組換えベクターの複製ごとに増
幅される。
【0352】 一般に、本発明の組換えベクターは、制御配列およびコード配列ならびに上記
にて定義したような任意のAPM1プライマーまたはプローブを含む、本願明細書に
て説明するポリヌクレオチドのうちいずれを有するものであってもよい。
【0353】 本発明による組換えベクターの第2の好ましい実施形態は、本発明の調節ポリ
ヌクレオチドまたはコード核酸のいずれか一方または両方を含む発現ベクターか
らなる。特定の実施形態では、発現ベクターを用いてAPM1ポリペプチドを発現さ
せ、これを精製したり、たとえば、配位子スクリーニングアッセイで利用、ある
いはAPM1タンパク質に対する特異的な抗体を産生するための免疫原として利用す
ることができる。他の実施形態では、発現ベクターを用いてトランスジェニック
動物を作出したり、発現ベクターを遺伝子治療に利用したりする。発現を起こさ
せるには、ベクターに適当なシグナルを与えてやる必要がある。前記シグナルと
しては、宿主細胞で興味の対象となる遺伝子の発現を促進するウイルスソースお
よび哺乳動物ソースの両方から得られるエンハンサー/プロモーターなどのさま
ざまな調節要素があげられる。本発明の発現ベクターには一般に、産物を発現す
る永久的で安定した細胞クローンを作出するための主要な薬剤選択マーカーが含
まれている。これらのベクターは、ポリペプチドの発現と薬剤選択マーカーの発
現とを結びつける要素だからである。
【0354】 特に、本発明は、APM1調節ポリヌクレオチドから選択される制御配列の制御下
、あるいは外因性制御配列の制御下で、APM1タンパク質、好ましくは配列番号6
のアミノ酸配列のAPM1タンパク質またはその変異体またはフラグメントをコード
する核酸を含む、発現ベクターに関する。
【0355】 したがって、本発明の好ましい発現ベクターは、(a) その中に含まれるAPM1制
御配列がこれと作用的に結合したコードポリヌクレオチドの発現を促進する(b)
APM1コード配列が制御配列と作用的に結合し、適当な細胞宿主および/または宿
主生物での発現が可能になっている群から選択される。
【0356】 配列番号2またはその生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体からな
る群から選択される核酸を含む組換え発現ベクターも本発明の一部である。
【0357】 好ましい実施形態では、本発明の組換え発現ベクターは、 (i) 配列番号2のポリヌクレオチドを含むヌクレオチド配列またはその相補
配列と、 (ii) 配列番号2のヌクレオチド配列に対するヌクレオチド同一性が少なくと
も95%であるポリヌクレオチドを含むヌクレオチド配列またはその相補配列と、 (iii) 厳密なハイブリダイゼーション条件下で配列番号2のヌクレオチド配
列またはその相補配列とハイブリダイズされるポリヌクレオチドを含むヌクレオ
チド配列と、 (iv) (i)、(ii)および(iii)のポリヌクレオチドの生物学的に活性なフラグ
メントまたは変異体と、 からなる群から選択される調節ヌクレオチド配列を含む。
【0358】 また、本発明は、a) (i) 配列番号2のポリヌクレオチドを含むヌクレオチド配
列またはその相補配列と、 (ii) 配列番号2のヌクレオチド配列に対するヌクレオチド同一性が少なくと
も95%であるポリヌクレオチドを含むヌクレオチド配列またはその相補配列と、 (iii) 厳密なハイブリダイゼーション条件下で配列番号2のヌクレオチド配
列またはその相補配列とハイブリダイズされるポリヌクレオチドを含むヌクレオ
チド配列と、 (iv) (i)、(ii)および(iii)のポリヌクレオチドの生物学的に活性なフラグ
メントまたは変異体と、 からなる群から選択される調節ヌクレオチド配列を含む核酸と、 b) 上記の(a)で定義した核酸と作用的に結合された、所望のポリペプチドまた
は興味の対象である核酸をコードするポリヌクレオチドと、 含む組換え発現ベクターも包含する。
【0359】 また、上述した組換え発現ベクターは、3'調節ポリヌクレオチド、好ましくは
APM1遺伝子の3'調節ポリヌクレオチドを含む核酸を含むものであってもよい。AP
M1 3'調節ポリヌクレオチドは、配列番号5のヌクレオチド配列に含まれる3'-UTR
配列を含むものであってもよい。
【0360】 5'調節ポリヌクレオチドについても、APM1 cDNAの5'-UTR 配列またはその生物
学的に活性なフラグメントまたはその変異体を含むものであってもよい。
【0361】 また、本発明は、APM1コード配列の発現に有用な組換え発現ベクターであって
、配列番号5の核酸を含む前記ベクターに関する。
【0362】 他の好ましい組換え発現ベクターは、APM1コード配列を発現するためのベクタ
ーであって、配列番号1の核酸またはそのフラグメントあるいは、配列番号1のポ
リヌクレオチドまたはそのフラグメントに対するヌクレオチド同一性が少なくと
も95%である核酸を含む前記ベクターからなるものである。
【0363】 APM1関連バイアレリックマーカーを含む核酸を含む組換えベクターも本発明の
一部である。好ましい実施形態では、前記バイアレリックマーカーが、A1、A2、
A3、A4、A5、A6、A7およびA8およびその相補体からなる群から選択される。
【0364】 本発明のベクターで見つけることのできる要素のうちのいくつかについて、下
記のセクションで一層詳細に説明する。
【0365】 (1. 本発明の発現ベクターの一般的な特徴) 本発明による組換えベクターは、染色体性、非染色体性、半合成および合成DN
Aからなるものであってもよい、YAC(酵母人工染色体)、BAC(バクテリア人工染色
体)、ファージ、ファージミド、コスミド、プラスミドまたは線状DNA分子さえも
含むが、これに限定されるものではない。かかる組換えベクターは、以下に示す
ものの組み合わせを含む転写単位を有するものであってもよい。 (1) 遺伝子発現において調節的な役割を有する遺伝因子または要素、たとえば
プロモーターまたはエンハンサーなど。エンハンサーはDNAのシス調節要素であ
り、通常は長さ約10〜300bpでプロモーターに作用して転写量を増す。 (2) mRNAに転写され、最終的にはポリペプチドに翻訳される構造配列またはコ
ード配列。前記構造配列またはコード配列は、(1)で述べた調節要素と作用的に
結合している。 (3) 適当な転写開始配列および転写終結配列。酵母または真核生物の発現系で
使用することを意図した構造単位は、宿主細胞による翻訳タンパク質の細胞外分
泌を可能にするリーダー配列を含むものであると好ましい。あるいは、リーダー
配列または輸送配列のない状態で組換えタンパク質を発現させる場合、N末端残
基を含むものであってもよい。この残基を後に組換えタンパク質から切断し、あ
るいは切断せずに、最終産物を得るようにしてもよい。
【0366】 一般に、組換え発現ベクターには、複製開始点、宿主細胞の形質転換を可能に
する選択可能なマーカー、下流の構造配列の転写を指図するための高度に発現さ
れた遺伝子に由来するプロモーターが含まれる。翻訳開始配列および翻訳終結配
列、好ましくは翻訳されたタンパク質の分泌を指示できるリーダー配列と共に、
適当な相で異種構造配列を細胞周辺腔あるいは細胞外培地にアセンブルする。所
望の配列を哺乳動物の宿主細胞で形質転換および発現するようにベクターを調節
した特定の実施形態では、好ましいベクターに、所望の宿主での複製開始点、好
適なプロモーターおよびエンハンサー、さらには必要なリボソーム結合部位、ポ
リアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終結配列、
5'-フランキング非転写配列が含まれることになる。SV40起源などSV40ウイルス
ゲノム由来のDNA配列、初期プロモーター、エンハンサー、スプライス部位およ
びポリアデニル化部位を用いて所望の非転写遺伝因子を得るようにしてもよい。
【0367】 宿主生物における在来遺伝子の発現あるいは生物学的に不活性なAPM1タンパク
質の産生に関係のある遺伝子の欠失を補正する上で、配列番号6のAPM1ポリペプ
チドあるいはそのフラグメントまたは変異体をin vivoで発現させると有益なこ
とがある。
【0368】 本発明ではさらに、主に、治療対象となる患者の体内に適切な遺伝物質を導入
することによって、配列番号6のAPM1ポリペプチドまたはそのフラグメントまた
は変異体をin vivoで産生するために設計された組換え発現ベクターについても
扱う。この遺伝物質をあらかじめ生物から抽出した抽出した細胞にin vitroで導
入し、続いて修飾された細胞を前記生物で適当な組織にin vivoにて直接再導入
してもよい。
【0369】 (2. 調節要素) (プロモーター) 異種遺伝子が発現される細胞宿主を考慮して、本発明による発現ベクターで使
用する好適なプロモーター領域を選択する。興味の対象となる核酸配列の発現制
御用のプロモーターが標的細胞で核酸の発現を指示できるのであれば、どのプロ
モーターを使うかは重要ではない。したがって、ヒトの細胞が標的である場合は
、ヒトまたはウイルスのプロモーターなどのヒトの細胞で発現可能なプロモータ
ーに隣接し、このプロモーターの制御下にある核酸コード領域の位置決めをする
と好ましい。
【0370】 適切なプロモーターは、発現を制御する対象となる核酸や発現対象となるコー
ド配列を含む在来ポリヌクレオチドに内在し得る核酸とは異種のものであっても
よい。また、プロモーターは一般に、コンストラクトプロモーター/コード配列
が挿入された組換えベクター配列とは異種のものである。
【0371】 たとえばCAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクター、さらに好
ましくはpKK232-8およびpCM7ベクターなどを使用して、所望の遺伝子から任意に
プロモーター領域を選択することができる。
【0372】 好ましいバクテリアプロモーターは、LacI、LacZ、T3またはT7バクテリオファ
ージRNAポリメラーゼプロモーター、gpt、λPR、PLおよびtrpプロモーター(EP 0
036776)、ポリヘドリンプロモーター、あるいはバキュロウイルス由来のp10タン
パク質プロモーター(Kit Novagen)(Smith et al., 1983; O'Reilly et al., 199
2)、λPRプロモーターまたはtrcプロモーターである。
【0373】 真核生物のプロモーターとしては、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナ
ーゼ、初期SV40および後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、マウスメタロチオ
ネイン-Lがあげられる。好都合なベクターおよびプロモーターの選択方法につい
ては当業者の知識の範囲内である。
【0374】 プロモーターの選択についても遺伝子工学分野の当業者であればなし得ること
である(Sambrook et al.(1989)および Fuller et al.(1996))。
【0375】 (他の調節要素) cDNAインサートを使用する場合、一般に、遺伝子転写物を適宜ポリアデニル化
するためにポリアデニル化シグナルを含む形が必要になる。ポリアデニル化シグ
ナルの性質は、本発明を正しく実施する上で重要なことではないと思われる。ま
た、かかる配列のうちヒト成長ホルモンおよびSV40ポリアデニル化シグナルなど
の任意のものを利用できる。さらに、ターミネーターも発現カセットの要素とし
て考えられる。これらの要素は、メッセージレベルを高め、カセットから他の配
列へのリードスルーを最小限にするよう機能するものである。
【0376】 上述したような適当なDNA配列、さらに好ましくは、APM1遺伝子調節ポリヌク
レオチド、配列番号1またはそのフラグメントまたはその変異体および配列番号5
からなる群から選択されるAPM1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、あ
るいはその両方を含むベクターを利用して、適当な宿主を形質転換し、所望のポ
リペプチドまたはポリヌクレオチドの発現を可能にすることができる。
【0377】 (3. 選択可能なマーカー) 好適なマーカーは、発現コンストラクトを含む細胞の容易な同定を可能にする
細胞を同定可能な状態で変化させるものである。形質転換した宿主細胞の選択用
の選択可能なマーカー遺伝子は、真核生物の細胞培養物ではジヒドロ葉酸レダク
ターゼ耐性またはネオマイシン耐性であり、S. cerevisiaeまたはテトラサイク
リンにはTRP1、E. coliではリファンピシン耐性またはアンピシリン耐性、放線
菌ではレバンサッカラーゼであると好ましい。後者のマーカーはネガティブ選択
マーカーである。
【0378】 (4. 好ましいベクター) (バクテリアベクター) 代表的ではあるが限定するものではない一例として、バクテリアで使用するの
に有用な発現ベクターには、遺伝因子pBR322(ATCC 37017)を有する業務販売され
ているプラスミドに由来する複製物のバクテリア起源および選択可能なマーカー
があげられる。かかる業務用ベクターとしては、たとえば、pKK223-3(スウェー
デンUppsalaのファルマシア社)GEM1(米国ウィスコンシン州Madisonのプロメガバ
イオテク社)があげられる。
【0379】 当業者間では好適なベクターが他にも多数知られており、業務販売されている
が、これには次にあげるバクテリアベクターなどがある。pQE70、pQE60、pQE-9(
キアゲン)、pbs、pD10、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A
、pNH16A、pNH18A、pNH46A(ストラタジーン); ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、p
DR540、pRIT5(ファルマシア); pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG(ストラタジ
ーン); pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(ファルマシア); pQE-30(QIAエクスプレス)。
【0380】 (バクテリオファージ ベクター) P1バクテリオファージベクターには、約80〜約100kbの範囲の大きなインサー
トが含まれていることがある。
【0381】 p158またはp158/neo8などのP1バクテリオファージベクターの作出については
、Sternberg(1992, 1994)に非常によく説明されている。40kbを上回る大きなポ
リヌクレオチドを挿入するために、APM1核酸配列を持つ組換えP1クローンを設計
することができる(Linton et al., 1993)。遺伝子組換え実験用のP1 DNA作出用
としては、McCormick et al.,(1994)に記載されているプロトコルが好ましいプ
ロトコルである。簡単に説明すると、P1プラスミドを有するE. coli(好ましくは
菌株NS3529)をカナマイシン25μg/ml含有の適当なブイヨン培地で終夜増殖する
。Qiagen Plasmid Maxiキット(キアゲン社、米国カリフォルニア州Chatsworth)
を使用して、メーカーの取扱説明書に従ってアルカリ法でE. coliからP1 DNAを
調製する。キットに含まれている洗浄溶出緩衝液を用いて、Qiagen-tip 500の2
本のカラムで溶菌液からP1 DNAを精製する。次に、フェノール/クロロホルム抽
出を行い、さらに70%エタノールでDNAを沈降させる。TE(トリス-HCl 10mM、pH 7
.4、EDTA 1mM)にてDNAを可溶化した後、DNA濃度を分光光度法によって評価する
【0382】 トランスジェニック動物(一般にはトランスジェニックマウス)でAPM1ヌクレオ
チド配列を有するP1クローンを発現させるためには、P1ポリリンカー内の稀切断
部位(rare-cutting site)(SfiI、NotIまたはSalI)でP1 DNAを切断するなどの方
法で、P1 DNAフラグメントからベクター配列を除去すると望ましい。DNAを単離
する目的ではじめて報告された(Schedl et al., 1993a、Peterson et al., 1993
)方法と同様の方法を用いて、パルスフィールドアガロースゲルでP1インサート
をベクター配列から精製する。この段階で、必要であればMillipore Ultrafree-
MC Filter Unit(ミリポア社、米国マサチューセッツ州Bedford、限界分子量30,0
00)にて上記のようにして得られた精製インサートDNAを濃縮し、NaCl 100mM、ス
ペルミン30μM、スペルミジン70μMを含有するマイクロインジェクション緩衝液
(トリス-HCl 10mM、pH7.4、EDTA 250μM)に対して、マイクロダイアリシス(micr
odyalisis)膜(VS型、0.025μM、ミリポア社)で透析することができる。1%アガロ
ース(Sea Kem GTG; FMC Bio-products)パルスフィールドゲルでの泳動と臭化エ
チジウム染色によって精製P1 DNAインサートの完全さを評価した。
【0383】 (バキュロウイルスベクター) 配列番号6のAPM1ポリペプチドまたはそのフラグメントまたは変異体の発現に
適したベクターが、昆虫細胞および昆虫株化細胞で増殖可能なバキュロウイルス
ベクターである。特定の適した宿主ベクター系に、Spodoptera frugiperda由来
のSF9株化細胞(ATCC NーCRL 1711)をトランスフェクトするのに用いられるpVL139
2/1393バキュロウイルス伝達ベクター(Pharmingen)がある。
【0384】 配列番号6のPCTA-1ポリペプチドまたはそのフラグメントまたは変異体のバキ
ュロウイルス発現系での発現に適した他のベクターとしては、Chai et al.(1993
)、Vlasak et al.(1983)およびLenhard et al.(1996)によって説明されているも
のがあげられる。
【0385】 (ウイルスベクター) 特定の一実施形態では、アデノウイルスからベクターを得る。本発明による好
ましいアデノウイルスベクターは、FeldmanおよびSteg(1996)またはOhno et al.
(1994)によって説明されているものである。本発明の特定の実施形態による別の
好ましい組換えアデノウイルスに、ヒトアデノウイルス2型または5型(Ad 2また
はAd 5)または動物起源のアデノウイルスがある(フランス特許出願第FR-93.0595
4号)。
【0386】 レトロウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクターも一般に、外因性
ポリヌクレオチドを特にヒトを含む哺乳動物にin vivoで伝達する上で利用でき
る組換え遺伝子移入系であるとされている。これらのベクターによって、遺伝子
を効率よく細胞に移入し、伝達された核酸を宿主の染色体DNAに安定して取り込
むことができる。
【0387】 本発明のレトロウイルスによるin vitroまたはin vitroでの遺伝子移入ビーク
ルの調製または構築用として特に好ましいレトロウイルスとしては、Mink-Cell
Focus Inducingウイルス、マウス肉腫ウイルス、細網内皮症ウイルスおよびラウ
ス肉腫ウイルスからなる群から選択されるレトロウイルスがあげられる。特に好
ましいマウス白血病ウイルスとしては、4070Aウイルスおよび1504Aウイルス、Ab
elson(ATCC No VR-999)、Friend(ATCC No VR-245)、Gross(ATCC No VR-590)、Ra
uscher(ATCC No VR-998)およびMoloneyマウス白血病ウイルス(ATCC No VR-190、
国際特許出願公開第WO 94/24298号)があげられる。特に好ましいラウス肉腫ウイ
ルスは、Bryanハイタイター(ATCC Nos VR-334、VR-657、VR-726、VR-659およびV
R-728)を含んでいる。他の好ましいレトロウイルスベクターに、Roth et al.(19
96)、国際特許出願公開第WO93/25234号、同第WO94/ 06920号、Roux et al., 198
9、Julan et al., 1992およびNeda et al., 1991に記載されているものがある。
【0388】 本発明で企図しているさらに他のウイルスベクター系にアデノ随伴ウイルス(A
AV)がある。アデノ随伴ウイルスは、効率的な複製および生産的なライフサイク
ルを得るためのヘルパーウイルスとして、アデノウイルスまたはヘルペスウイル
スなどの別のウイルスを必要とする天然由来の欠損性ウイルスである。(Muzyczk
a et al., 1992)。また、これは自己のDNAを非分割細胞に組み込み、安定した組
み込みの頻度を高くすることのできる限られたウイルスのうちの1つである。(Fl
otte et al., 1992; Samulski et al., 1989; McLaughlin et al., 1989)。AAV
の持つ有利な特徴の1つは、形質転換細胞に対する一次細胞の形質導入効率が落
ちることで得られるものである。
【0389】 (BACベクター) 大きなゲノムDNAフラグメント(100〜300kb)をE. coliに安定して維持するため
に、バクテリア人工染色体(BAC)クローニング系(Shizuya et al., 1992)を開発
した。好ましいBACベクターは、Kim et al.(1996)に記載されているpBeloBAC11
ベクターからなるものである。ベクターのBam HI部位またはHind III部位への連
結を可能にする酵素で部分消化済のサイズ選択ゲノムDNAを用いて、上記のベク
ターでBACライブラリを作製する。これらのクローニング部位をフランキングす
るのは、RNA転写またはPCR法による末端プローブの作出に使用可能なT7およびSP
6 RNAポリメラーゼ転写開始部位である。E. coliでのBACライブラリの作製後、
宿主細胞から超らせん円(circle)としてBAC DNAを精製する。サイズ判定とBACの
レシピエント細胞への導入前に、これらの円形分子を線状にする。2つのNot I部
位によってクローニング部位をフランキングし、クローニングしたセグメントを
Not Iでの消化によってベクターから切除できるようにする。あるいは、独特のc
osN部位で切断を行う市販の酵素λ-Terminaseを用いるBACベクター処理によって
、pBeloBAC11ベクターに含まれるDNAインサートを直線化してもよいが、この切
断法を用いて得られるのはインサートDNAとBAC配列の両方を含む完全長BACクロ
ーンである。
【0390】 (5. 組換えベクターの移入) 本発明のポリヌクレオチドコンストラクトおよびポリヌクレオチドコンストラ
クトを発現させるためには、これらのコンストラクトを細胞に移入しなければな
らない。この移入は、実験室での株化細胞の形質転換手順などでin vitroにて実
施してもよいし、あるいは特定の疾患状態の治療などでin vivoまたはex vivoで
実施してもよい。
【0391】 1つの機序が、発現コンストラクトを感染性のウイルス粒子に包埋するウイル
ス感染である。
【0392】 本発明では、ポリヌクレオチドを哺乳動物の培養細胞に伝達するための非ウイ
ルス的な方法もいくつか考慮している。これらの方法としては、リン酸カルシウ
ム沈澱反応(Graham et al., 1973; Chen et al., 1987)、DEAE-デキストラン(Go
pal、1985)、エレクトロポレーション(Tur-Kaspa et al., 1986; Potter et al.
, 1984)、指向性マイクロインジェクション(Harland et al., 1985)、DNA担持リ
ポソーム(Nicolau et al., 1982; Fraley et al., 1979)、受容体媒介トランス
フェクション(WuおよびWu、1987; 1988)があげられるが、これに限定されるもの
ではない。これらの手法の中には、in vivoまたはex vivoでの用途にうまく適合
させられるものもある。
【0393】 発現ポリヌクレオチドを細胞に移入した後、これをレシピエント細胞のゲノム
に安定して組み入れることができる。この組み入れは、相同組換え(遺伝子交換)
によって同族位置および配向で行ってもよいし、あるいは無作為に非特異的な位
置に統合(遺伝子増強)してもよい。さらに別の実施形態では、DNA別個のエピゾ
ーム型セグメントとして核酸を細胞で安定して維持することができる。このよう
な核酸セグメントすなわち「エピゾーム」は、宿主細胞のサイクルとは独立した
、あるいはこれと同期した維持と複製ができる程度に配列をコードする。
【0394】 タンパク質またはペプチドをin vivoにて脊椎動物の細胞に移入する方法につ
いての特定の一実施形態は、興味の対象となるポリペプチドを作用的にコードす
る、生理学的に許容可能なキャリアと未変性ポリヌクレオチドとを有する調製物
を細胞を有する組織の間質空間に導入し、これによって未変性ポリヌクレオチド
を細胞の内部に取り込んで生理学的な効果を持たせるステップを含む。これは特
にin vitroでの伝達に適用可能であるが、in vivoでも同様に適用できる。
【0395】 「未変性」ポリヌクレオチドを含む、in vitroおよびin vivoで使用される組
成物については、国際特許出願公開第WO 90/11092号(Vical Inc.)および同第WO
95/11307号(Institut Pasteur, INSERM, Universite d'Ottawa)ならびにTacson
et al.(1996)およびHuygen et al.(1996)による文献に記載されている。
【0396】 本発明のさらに他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドコンストラクト
を含む本発明の未変性ポリヌクレオチド細胞へのの伝達を、粒子衝突(biolistic
)で行う。前記粒子は、Klein et al.(1987)によって説明されているように、細
胞膜を穿孔して細胞を死滅させずに細胞に入り込むことができるように高い速度
まで加速されたDNA被覆微粒子である。
【0397】 さらに他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドをリポソームに包埋する
(GhoshおよびBacchawat, 1991; Wong et al., 1980; Nicolau et al., 1987)。
【0398】 特定の実施形態において、本発明によれば、本願明細書に記載のAPM1タンパク
質またはポリペプチドのin vivo産生用の組成物が得られる。この組成物は、こ
のポリペプチドを作用的にコードする未変性ポリヌクレオチドを生理学的に許容
されるキャリアの溶液中に含み、組織に導入して組織の細胞に前記タンパク質ま
たはポリペプチドを発現させるのに適している。
【0399】 所望の宿主生物に注入するベクターの量は、注入部位によってさまざまである
。表示用量としては、ベクター0.1〜100μgの範囲で動物の体、好ましくはマウ
スの体などの哺乳動物の体に注入する。
【0400】 本発明によるベクターの別の実施形態では、宿主細胞、好ましくは処理対象と
なる動物から事前に採取した宿主細胞、さらに好ましくは筋細胞などの体細胞に
in vitroにてベクターを導入することができる。以後のステップで、所望のAPM1
ポリペプチドまたはその所望のフラグメントをコードするベクターで形質転換し
た細胞を動物の体に再導入し、体内の組換えタンパク質を局所的または体全体に
移入する。
【0401】 (細胞宿主) 本発明の別の目的は、本願明細書に記載のポリヌクレオチド、一層正確に言う
と、配列番号1またはそのフラグメントまたはその変異体および配列番号5からな
る群から選択されるAPM1調節ポリヌクレオチドまたはAPM1ポリペプチドのコーデ
ィング配列を含むポリヌクレオチドのうちの1つで形質転換した宿主細胞または
これに感染させた宿主細胞からなる。上述したものなどの組換えベクターで形質
転換された(原核細胞)宿主細胞またはこれに感染させた(真核細胞)宿主細胞があ
げられる。
【0402】 大まかに言うと、本発明の組換え宿主細胞は、本願明細書に記載のポリヌクレ
オチドまたは組換えベクターのうち任意のものを含む。
【0403】 本発明による好ましい組換え宿主細胞は、 a) APM1ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントまたはその変異体をコ
ードする、精製された核酸または単離された核酸と、 b) 1) 配列番号1のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始して位置
4811のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと
相補な配列、特に、配列番号1のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開
始して位置3529のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体ま
たはこれと相補な配列、 2) 配列番号1のヌクレオチド配列の位置4852のヌクレオチドから開始して位置
15142のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれ
と相補な配列、 3) 配列番号1のヌクレオチド配列の位置15366のヌクレオチドから開始して位
置16276のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこ
れと相補な配列、 4) 配列番号1のヌクレオチド配列の位置20560のヌクレオチドから開始して位
置20966のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこ
れと相補な配列、 からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも8、好ましくは少なく
とも15、より好ましくは少なくとも25の連続したヌクレオチドを含む精製された
核酸または単離された核酸と、 c) 少なくとも8の連続したヌクレオチドを含み、好ましくは、配列番号5のヌ
クレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始して位置22のヌクレオチドで終
止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと相補な配列を少なくとも
15含む、精製された核酸または単離された核酸と、 d) APM1遺伝子のエキソン、これと相補な配列またはその変異体を含む、精製
された核酸または単離された核酸と、 e) APM1遺伝子の少なくとも2つのエキソンまたはこれと相補な配列の組み合わ
せを含み、ポリヌクレオチドが前記核酸の5'末端から3'末端まで配列番号1と同
じ順序で核酸内に所在する、精製された核酸または単離された核酸と、 f) 配列番号2のヌクレオチド配列またはこれと相補な配列またはその生物学的
に活性なフラグメントまたはその変異体を含む精製された核酸または単離された
核酸と、 g) 配列番号3のヌクレオチド配列またはこれと相補な配列またはその生物学的
に活性なフラグメントまたはその変異体を含む、精製された核酸または単離され
た核酸 h) (1) 配列番号2の調節ポリヌクレオチドまたはこれと相補な配列またはその
生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体を含む核酸、 (2) 所望のポリペプチドまたは核酸をコードするポリヌクレオチド、または (3) 任意に、配列番号3の調節ポリヌクレオチドを含む核酸またはこれと相補
な配列またはその生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体からなるポリ
ヌクレオチドと、 i) 本願明細書において上述したようなDNAコンストラクトと、 からなるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチドを有する。
【0404】 本発明による他の好ましい組換え細胞宿主は、そのゲノムまたは遺伝的なバッ
クグラウンド(染色体、プラスミドを含む)が、配列番号5のAPM1ポリペプチドま
たはそのフラグメントまたはその変異体をコードする核酸によって修飾されてい
る点が特徴である。
【0405】 本発明によるさらに他の組換え細胞宿主は、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およ
びA8およびその相補体からなる群から選択されるバイアレリックマーカーを含む
ポリヌクレオチドを含む。
【0406】 本発明の発現ベクター用のレシピエントとして用いる好ましい宿主細胞は次の
とおりである。 a) 原核生物の宿主細胞:大腸菌株(I.E.DH5-α菌株)、枯草菌、サルモネラ菌
、シュードモナス、ストレプトマイセスおよびスタフィロコッカスなどの種から
得られる菌株、 b) 真核生物の宿主細胞:HeLa細胞(ATCC NーCCL2、NーCCL2.1、NーCCL2.2)、Cv 1
細胞(ATCC NーCCL70)、COS細胞(ATCC NーCRL1650、NーCRL1651)、Sf-9細胞(ATCC Nー
CRL1711)、C127細胞(ATCC Nー CRL-1804)、3T3(ATCC Nー CRL-6361)、CHO(ATCC Nー
CCL-61)、ヒト腎293(ATCC Nー 45504、Nー CRL-1573)およびBHK(ECACC Nー 841005
01、Nー 84111301)、および c) 他の哺乳動物の宿主細胞。
【0407】 ヒトをはじめとする哺乳動物の細胞でのAPM1遺伝子発現を不完全にするか、あ
るいは本発明に従って動物細胞のゲノムにおけるAPM1遺伝子相当物をAPM1ポリヌ
クレオチドと交換してAPM1ゲノム配列またはAPM1 cDNA配列を挿入した状態でAPM
1遺伝子発現を行うことができる。このような遺伝的な変化は、上述した特異的D
NAコンストラクトを用いる相同組換え現象によって生み出すことのできるもので
ある。
【0408】 使用できる宿主細胞にはマウス接合体などの哺乳動物接合体がある。たとえば
、NaCl 100mM、スペルミン30μM、スペルミジン70μMを含有する、トリス-HCl 1
0mM、pH7.4、EDTA 250μM中、BACインサートであれば1ng/mL、P1バクテリオファ
ージインサートであれば3ng/μLからの濃度範囲にあらかじめ調節した精製DNA分
子などの、興味の対象となっている精製DNA分子をマウス接合体に微量注射する
。微量注射するDNAの大きさが大きい場合、Schedl et al.(1993b)に記載されて
いるように、ポリアミンを用いて塩濃度を高くし、DNAが機械的に破壊されてし
まうのを防止することができる。
【0409】 本願明細書で説明したDNAコンストラクトをはじめとする本発明のポリヌクレ
オチドのうちいずれかを、胚性幹細胞(ES)、好ましくはマウスのES細胞に導入す
る。着床前胚盤胞の内部細胞塊の多分化能を持つ未分化細胞からES細胞株を得る
。好ましいES細胞株としては、ES-E14TG2a(ATCC nー CRL-1821)、ES-D3(ATCC nー
CRL1934およびnー CRL-11632)、YS001(ATCC nー CRL-11776)、36.5(ATCC nー CRL-1
1116)があげられる。ES細胞を未分化状態に維持するために、胚性表現型を保存
する適当なシグナルを提供し、かつES細胞接着のマトリックスとして機能する成
長抑制支持細胞の存在下でこれを培養する。好ましい支持細胞は、実質的にどの
ようなマウス菌株でも13〜14日目の胚組織から樹立される一次胚線維芽からなる
ものであり、これをAbbondanzo et al.(1993)に記載されているようにして培養
中で保持し、Robertson(1987)に記載されているようにして輻射によって成長を
抑制するか、あるいはPease and Williams(1990)に記載されているように抑制濃
度のLIFを用いることで成長を抑制する。
【0410】 宿主細胞中のコンストラクトを従来の方法で利用して、組換え配列にコードさ
れた遺伝子産物を得ることができる。
【0411】 宿主を適宜形質転換して増殖させて適切な細胞密度にした後、温度シフトまた
は化学誘導などの適切な手段によって、選択したプロモーターを誘発し、細胞を
さらに培養する。
【0412】 一般に、細胞を遠心分離によって回収し、物理的または化学的な手段で破壊し
、得られる粗エキスを以後の精製用に保持する。
【0413】 凍結融解サイクルの繰り返し、超音波処理、機械的な破壊または細胞溶解剤を
使用するなどの都合の良い方法によって、タンパク質の発現に使用される微生物
細胞を破壊することができる。かかる方法は当業者間で周知のものである。
【0414】 (トランスジェニック動物) 本願明細書では、「トランスジェニック動物」または「宿主動物」という用語
を、本発明の核酸のうち1つが含まれるようゲノムを遺伝的および人工的に操作
した動物を示すものとして用いる。好ましい動物は、非ヒト哺乳動物であり、本
発明による核酸の挿入によってゲノムを人工的かつ遺伝的に変化させたMus(マウ
スなど)、Rattus(ラットなど)およびOryctogalus(ウサギなど)から選択される属
に分類されるものが含まれる。一実施形態では、本発明は、ノックアウトベクタ
ーでの相同組換えによって破壊された本発明の組換えベクターまたはAPM1遺伝子
を有する動物および非ヒト宿主哺乳動物を包含する。
【0415】 本発明のトランスジェニック動物はいずれも、その複数の細胞の中に、クロー
ニングによって得られた組換えDNA配列または合成DNA配列を有する。この配列は
、具体的には、APM1コード配列、APM1調節ポリヌクレオチドまたは本願明細書に
て説明するようにアンチセンスポリヌクレオチドをコードするDNA配列を含む精
製された核酸または単離された核酸のうちの1つである。
【0416】 本発明による好ましいトランスジェニック動物は、その体細胞系および/また
は生殖細胞系の細胞に、 a) APM1ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントまたはその変異体をコ
ードする、精製された核酸または単離された核酸と、 b) 1) 配列番号1のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始して位置
4811のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと
相補な配列、特に、配列番号1のヌクレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開
始して位置3529のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体ま
たはこれと相補な配列、 2) 配列番号1のヌクレオチド配列の位置4852のヌクレオチドから開始して位置
15142のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれ
と相補な配列、 3) 配列番号1のヌクレオチド配列の位置15366のヌクレオチドから開始して位
置16276のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこ
れと相補な配列、 4) 配列番号1のヌクレオチド配列の位置20560のヌクレオチドから開始して位
置20966のヌクレオチドで終止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこ
れと相補な配列、 からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも8、好ましくは少なく
とも15、より好ましくは少なくとも25の連続したヌクレオチドを含む精製された
核酸または単離された核酸と、 c) 少なくとも8の連続したヌクレオチドを含み、好ましくは、配列番号5のヌ
クレオチド配列の位置1のヌクレオチドから開始して位置22のヌクレオチドで終
止するヌクレオチド配列またはその変異体またはこれと相補な配列を少なくとも
15含む、精製された核酸または単離された核酸と、 d) APM1遺伝子のエキソン、これと相補な配列またはその変異体を含む、精製
された核酸または単離された核酸と、 e) APM1遺伝子の少なくとも2つのエキソンまたはこれと相補な配列の組み合わ
せを含み、ポリヌクレオチドが前記核酸の5'末端から3'末端まで配列番号1と同
じ順序で核酸内に所在する、精製された核酸または単離された核酸と、 f) 配列番号2のヌクレオチド配列またはこれと相補な配列またはその生物学的
に活性なフラグメントまたはその変異体を含む精製された核酸または単離された
核酸と、 g) 配列番号3のヌクレオチド配列またはこれと相補な配列またはその生物学的
に活性なフラグメントまたはその変異体を含む、精製された核酸または単離され
た核酸 と、 h) (1) 配列番号2の調節ポリヌクレオチドまたはこれと相補な配列またはその
生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体を含む核酸、 (2) 所望のポリペプチドまたは核酸をコードするポリヌクレオチド、または (3) 任意に、配列番号3の調節ポリヌクレオチドを含む核酸またはこれと相補
な配列またはその生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体からなるポリ
ヌクレオチドと、 i) 本願明細書において上述したようなDNAコンストラクトと、 からなるポリヌクレオチドの群から選択されるポリヌクレオチドを有する。
【0417】 このように、本発明のトランスジェニック動物は、上記にて詳細に説明した核
酸配列のように外来遺伝子材料の特異配列を有する。
【0418】 本発明のさらに他のトランスジェニック動物は、その体細胞および/または生
殖系列細胞に、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7およびA8、これらの相補体からなる
群から選択されるバイアレリックマーカーを有するポリヌクレオチドを含有する
【0419】 第1の好ましい実施形態では、これらのトランスジェニック動物は、細胞の分
化に関係のあるさまざまな病理の研究、特に、天然のAPM1タンパク質あるいはミ
ュータントAPM1タンパク質をコードするポリヌクレオチドの1つまたは複数のコ
ピーをゲノム内に挿入したトランスジェニック動物に関する研究を行う上での良
好な実験モデルとなり得る。
【0420】 第2の好ましい実施形態では、これらのトランスジェニック動物が、APM1遺伝
子の調節ポリヌクレオチドの制御下で、興味の対象となっている所望のポリペプ
チドを発現させ、興味の対象となっているタンパク質の合成において高い収率を
あげ、結果としてかかるタンパク質を組織特異的に発現させることができる。
【0421】 本発明のトランスジェニック動物は、当業者間で周知の従来の手法で設計でき
るものである。トランスジェニック動物、特にトランスジェニックマウスの作出
方法の詳細については、1989年10月10日発行の米国特許第4,873,191号,1995年11
月7日発行の米国特許第5,464,764号および1998年8月4日発行の米国特許第5,789,
215号などに記載されている。トランスジェニックマウスの作出方法を開示する
ために、これらの文書を本願明細書に援用する。
【0422】 本発明のトランスジェニック動物は、ゲノムに外来遺伝子物質が組み込まれた
動物を生み出す手順を応用することによって作出される。この手順では、APM1コ
ード配列、APM1調節ポリヌクレオチド、または本願明細書に記載したようなAPM1
アンチセンスポリヌクレオチドをコードするDNA配列のうち、いずれかをコード
する遺伝物質またはその一部を採取する必要がある。
【0423】 本発明の組換え体のポリヌクレオチドを胚性細胞またはES幹細胞株に挿入する
。この挿入は、Thomas et al.(1987)に記載されているように、エレクトロポレ
ーションで行うのが好ましい。エレクトロポレーションの対象となる細胞をスク
リーニング(たとえば選択可能なマーカーによる選択、PCR解析またはサザンブロ
ット解析など)し、好ましくは相同組換え現象によってゲノムに外来性の組換え
体のポリヌクレオチドが組み込まれたポジティブ細胞を見出す。本発明で利用で
きるポジティブ-ネガティブ選択手順の一例は、Mansour et al.(1988)に説明さ
れている。
【0424】 次に、Bradley(1987)に記載されているように、ポジティブ細胞を単離し、ク
ローニングし、3.5日胚のマウス胚盤胞に注入する。次に、胚盤胞をメスの宿主
動物に挿入し、妊娠満期まで成長させる。
【0425】 あるいは、Wood et al.(1993)またはNagy et al.(1993)に記載されているよう
に、2.5日胚、8〜16細胞期(桑実胚)の時点でポジティブES細胞を胚と接触させる
。内部移行中のES細胞は、生殖細胞系を生み出す細胞を含む胚盤胞を迅速にコロ
ニー化する。
【0426】 メスの宿主の子孫を試験し、どの動物がトランスジェニックであるか(たとえ
ば、どの動物が外来性DNA配列を有し、どの動物が野生型なのか)を判断する。
【0427】 このため、本発明は、本発明による核酸、組換え発現ベクターまたは組換え宿
主細胞を含むトランスジェニック動物にも関するものである。
【0428】 (本発明のトランスジェニック動物由来の組換え株化細胞) 本発明のさらに他の目的は、本願明細書において説明するトランスジェニック
動物から得られる組換え宿主細胞からなるものである。一実施形態では、本発明
は、非ヒト宿主哺乳動物由来の細胞および本発明の組換えベクターまたはノック
アウトベクターを用いた相同組換えによって破壊されたAPM1遺伝子を有する動物
由来の細胞を包含する。
【0429】 Chou(1989)およびShay et al.(1991)に記載されているようにして、たとえばS
V40ラージT抗原などのonc-geneを発現するベクターでの一次細胞培養物のトラン
スフェクションなどによって、本発明によるトランスジェニック動物のいずれか
の組織から得られる細胞から組換え細胞系をin vitroにて樹立する。
【0430】 (APM1ポリペプチドの産生方法) プラスミド、ファージまたはファージミドなどの発現ベクターによる遺伝子工
学の手法を用いて、タンパク質を簡単に大量生産することが可能である。興味の
対象であるポリペプチドをin vitroにて生成すべく、APM1タンパク質をコードす
るポリヌクレオチドを適当な発現ベクターに挿入する。
【0431】 したがって、本発明は、APM1タンパク質、特に配列番号6のポリペプチド用の
方法であって、 a) APM1タンパク質をコードする核酸を含む組換えベクターであらかじめ形質
転換またはトランスフェクトした細胞宿主を適当な培地中にて培養し、 b) たとえば超音波処理または浸透圧衝撃によって、上記のようにして調節す
るか細胞宿主を溶解させた培地を収穫し、 c) 前記培地から、あるいは得られる宿主細胞可溶化物から、上記のようにし
て生成した興味の対象であるポリペプチドを分離または精製し、 d) 任意に、興味の対象である生成後のポリペプチドを特徴づけする、ことを
含む方法にも関するものである。
【0432】 上記の方法の特定の実施形態では、任意に、増幅後の核酸を1種または複数種
の制限エンドヌクレアーゼで適当に切断した後、このAPM1タンパク質をコードす
る核酸を適当なベクターに挿入する。好ましい実施形態では、APM1タンパク質を
コードする核酸を、配列番号1またはそのフラグメントおよび配列番号5からなる
群から選択する。さらに他の実施形態では、APM1タンパク質をコードする核酸が
、バイアレリックマーカーA1〜A8のうち少なくとも1つのアレルを含む。APM1タ
ンパク質をコードする核酸は、(SDA、TAS、3SR NASBA、TMAなどによって)本発明
による一対のプライマーを使用する増幅反応の結果として得られる産物であって
もよい。
【0433】 配列番号6のポリペプチド用のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体
をあらかじめ固定しておいたイムノアフィニティクロマトグラフィのカラムに結
合させることによって、本発明によるポリペプチドを特徴づけしてもよい。
【0434】 このようにして得られるポリペプチドまたはペプチドを、Rougeot et al.(199
4)によって説明されているように、たとえば逆相HPLCおよび/または陽イオン交
換HPLCなどの高性能液体クロマトグラフィによって精製してもよい。この種のペ
プチドまたはタンパク質精製を好む理由として、溶出試料に見られるような副産
物がないため、得られる精製タンパク質またはペプチドを治療用として一層好適
なものにできる点があげられる。
【0435】 (APM1遺伝子の制御配列と相互作用する物質のスクリーニング方法) また、本発明は、たとえばプロモーター配列またはエンハンサー配列など、AP
M1遺伝子の制御配列と相互作用できる物質または分子のスクリーニング方法にも
関する。
【0436】 APM1遺伝子の制御配列と相互作用できるタンパク質をコードする核酸、特に、
配列番号2および3のポリヌクレオチドまたはそのフラグメントまたはその変異体
、好ましくは本発明のバイアレリックマーカーのうちいずれか1つを含む変異体
からなる群から選択されるヌクレオチド配列は、クロンテック社から入手可能な
Matchmaker One-Hybrid Systemキット(カタログNo. K1603-1)に付随のマニュア
ル(その技術的な教示内容を本願明細書に援用する)に記載されているものなどの
ワンハイブリッドシステムを使用して同定することができる。簡単に説明すると
、標的ヌクレオチド配列を選択可能なレポーター配列の上流にクローニングし、
得られるDNAコンストラクトを酵母ゲノム(Saccharomyces cerevisiae)に組み込
む。次に、APM1の制御配列に結合するよう候補タンパク質をコードするcDNAとGA
L4などの酵母転写因子の活性化因子ドメインをコードする配列との融合分子から
なるライブラリでゲノムにレポーター配列を含む酵母細胞を形質転換する。この
組換え酵母細胞を培養ブロスに蒔き、レポーター配列を発現する細胞を選択する
。このようにして選択した組換え酵母細胞には、APM1遺伝子の標的制御配列と結
合できる融合タンパク質が含まれる。次に、融合タンパク質をコードするcDNAの
シークエンシングを行い、これをin vitroにて発現ベクターまたは転写ベクター
にクローニングすることができる。ゲルリターデーションアッセイまたはDNAse
保護アッセイなどの当業者間で周知の手法によって、コードされたポリペプチド
のAPM1遺伝子の標的制御配列への結合を確認できる。
【0437】 FriedおよびCrothers(1981)、GarnerおよびRevzin(1981)およびDentおよびLat
chman(1993)(これらの刊行物の教示内容を本願明細書に援用する)によって説明
されているように、APM1遺伝子の制御配列と相互作用できる候補分子をスクリー
ニングするために、独立にゲルリターデーションアッセイを行ってもよい。これ
らの手法は、タンパク質に結合したDNAフラグメントが未結合の同一のDNAフラグ
メントよりもゆっくりと移動する原理に基づくものである。簡単に説明すると、
標的ヌクレオチド配列を標識する。次に、標識した標的ヌクレオチド配列を、転
写因子を含む細胞からの全核抽出物または試験対象となる異なる候補分子のいず
れかと接触させる。ゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動後に、移動速度の
差に基づいてAPM1遺伝子の標的制御配列と候補分子または転写因子との間の相互
作用を検出する。
【0438】 (APM1遺伝子の発現を調節するリガンドのスクリーニング方法) 本発明の他の主題は、APM1タンパク質の発現を変調させる分子のスクリーニン
グ方法である。このようなスクリーニング方法は、 a) APM1タンパク質またはその変異体またはフラグメントをコードするヌクレ
オチド配列で、その自己のプロモーターの制御下においてトランスフェクトした
原核生物細胞または真核生物細胞を培養し、 b) 培養細胞と被検分子とを接触させ、 c) APM1タンパク質またはその変異体またはフラグメントの発現を定量化する
ことを含む。
【0439】 一実施形態では、APM1タンパク質またはその変異体またはフラグメントをコー
ドするヌクレオチド配列は、バイアレリックマーカーA1、A2、A3、A4、A5、A6、
A7〜A8およびその相補体のうち少なくとも1つのアレルを含む。
【0440】 当業者間で周知のDNA組換え手法を用いて、DNA配列をコードするAPM1タンパク
質をそのプロモーター配列の下流で発現ベクターに挿入する。一例として、APM1
遺伝子のプロモーター配列が配列番号2の核酸に含まれる。
【0441】 APM1タンパク質の発現の定量化は、mRNAレベルあるいはタンパク質レベルで実
現できる場合がある。後者の場合、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗
体を使用し、ELISAあるいはRIAアッセイなどで産生されたAPM1タンパク質の量を
定量化することができる。
【0442】 好ましい実施形態では、APM1 mRNAの定量化は、APM1に特異なプライマーの対
を使用して、培養したAPM1-トランスフェクト宿主細胞の全mRNAの逆転写によっ
て得られたcDNAの定量的PCR増幅によって実現される。
【0443】 また、本発明は、APM1遺伝子の発現レベルを増大または反対に低減させること
のできる物質または分子のスクリーニング方法にも関するものである。かかる方
法によって、当業者は、APM1遺伝子の発現レベルに調節作用をもたらし、これが
APM1遺伝子の発現調節に障害がある患者、特に肥満の患者を治療するための製剤
組成物に含まれる活性成分として有用なものとなり得る物質を選択することがで
きる。
【0444】 また、本発明は、APM1遺伝子の発現調節用の候補物質または分子のスクリーニ
ング方法であって、 a)検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドの上流に位置する配列
番号2のヌクレオチド配列またはその生物学的に活性なフラグメントまたはその
変異体を含む核酸を含む組換え細胞宿主を提供し、 b)候補物質を得て、 c)候補物質の、検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現レ
ベルを調節する機能を判定する、ことを含む、スクリーニング方法を特徴とする
【0445】 特定の実施形態では、配列番号2のヌクレオチド配列またはその生物学的に活
性なフラグメントまたはその変異体をを含む核酸が、A1、A2、A3、A4、A5、A6、
A7およびA8またはその相補体からなる群から選択されるバイアレリックマーカー
を含む。
【0446】 さらに他の実施形態では、配列番号2のヌクレオチド配列またはその生物学的
に活性なフラグメントまたはその変異体を含む核酸が、配列番号5のAPM1 cDNAの
5'UTR領域、あるいはその生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体のう
ちの1つを含む。
【0447】 検出可能なタンパク質をコードする好ましいポリヌクレオチドとしては、βガ
ラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびクロラムフェニコールアセチ
ルトランスフェラーゼ(CAT)をコードするポリヌクレオチドがあげられる。
【0448】 また、本発明は、上述したスクリーニング方法を実施するのに有用なキットに
も関する。好ましくは、かかるキットは、検出可能なタンパク質またはAPM1タン
パク質またはそのフラグメントまたはその変異体をコードするポリヌクレオチド
の上流に位置し、かかるポリヌクレオチドに作用的に結合された、配列番号2の
ヌクレオチド配列またはその生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体の
発現を可能にする組換えベクターを含む。
【0449】 他の実施形態では、APM1遺伝子の発現を変調する候補物質または分子をスクリ
ーニングする方法が、 a) 配列番号5のAPM1 cDNAの5'UTR配列、あるいは、検出可能なタンパク質をコ
ードするポリヌクレオチドに作用的に結合された、その生物学的に活性なフラグ
メントまたはその変異体のうち1つを含む核酸を含む組換え宿主細胞を提供し、 b) 候補物質を得て、 c) 候補物質が検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現レ
ベルを変調させる機能を判定する、ことを含む。
【0450】 上述したスクリーニング方法の具体的な実施形態では、配列番号5のAPM1 cDNA
の5'UTR配列のうちの1つからなる群から選択されるヌクレオチド配列またはその
生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体を含む核酸が、APM1 5'UTR配列
に鑑みると内因性のものであるプロモーター配列を含む。
【0451】 上述したスクリーニング方法の他の具体的な実施形態では、配列番号5のAPM1
cDNAの5'UTR配列のうちの1つからなる群から選択されるヌクレオチド配列または
その生物学的に活性なフラグメントまたはその変異体を含む核酸が、本願明細書
に定義するAPM1 5'UTR配列に鑑みると外来のものであるプロモーター配列を含む
【0452】 さらに他の好ましい実施形態では、APM1 cDNAの5'-UTR配列または配列番号5ま
たはその生物学的に活性なフラグメントを含む核酸が、A1、A2、A3、A4、A5、A6
、A7およびA8からなる群から選択されるバイアレリックマーカーまたはその相補
体を含む。
【0453】 本発明はさらに、APM1遺伝子の発現を調節する候補物質をスクリーニングする
ためのキットであって、前記キットが、配列番号5のAPM1 cDNAの5'UTR配列また
はその生物学的に活性なフラグメントまたは変異体を含む核酸を有する組換えベ
クターを含み、5'UTR配列またはその生物学的に活性なフラグメントまたは変異
体が、検出可能なタンパク質をコードするポリヌクレオチドと作用的に結合され
ている、キットについても扱うものである。
【0454】 上述したスクリーニング方法の実施に有用である好適な組換えベクターの設計
については、本発明の好ましい組換えベクターが詳細に説明されている本願明細
書のセクションにて触れるものとする。
【0455】 国際特許出願公開第WO 97/05277(図面、表、参考文献を含むその内容全体を本
願明細書に援用する)に記載されているような長いプローブを用いて、溶液ハイ
ブリダイゼーションによってAPM1の発現レベルおよびパターンを解析する。簡単
に説明すると、上述したAPM1 cDNAまたはAPM1ゲノムDNAまたはそのフラグメント
を、バクテリオファージ(T3、T7またはSP6)RNAポリメラーゼプロモーターのすぐ
下流にクローニング部位に挿入し、アンチセンスRNAを作出する。好ましくは、
このAPM1インサートは、ゲノムDNA配列またはcDNA配列のうち少なくとも100以上
の連続したヌクレオチドを含むものである。プラスミドを直線化し、修飾リボヌ
クレオチド(すなわち、ビオチン-UTPおよびDIG-UTP)を含むリボヌクレオチドの
存在下、転写を行う。過剰な二重標識RNAを興味の対象となる細胞または組織か
ら採取したmRNAと溶液中でハイブリダイズさせる。このハイブリダイゼーション
は、標準的な厳密さの条件下(80%ホルムアミド、0.4M NaCl緩衝液中、pH7〜8に
て40〜50℃で16時間)で行う。ハイブリダイズされなかったプローブを、一本鎖R
NA特異なリボヌクレアーゼ(すなわち、RNase CL3、T1、Phy M、U2またはA)で消
化して除去する。ビオチン-UTP修飾が存在することで、ストレプトアビジン被覆
したマイクロタイタープレート上でハイブリッドを捕捉できる。DIG修飾が存在
することで、アルカリホスファターゼに結合した抗DIG抗体を使用するELISAによ
ってハイブリッドを検出して定量化できる。
【0456】 アレイを用いてAPM1遺伝子発現の定量解析を行ってもよい。本願明細書におい
て、本願明細書において、アレイという用語は、これとハイブリダイズできるmR
NAの発現を特異的に検出できるだけの十分な長さの複数の核酸で構成される、一
次元、二次元または多次元の集合体を意味する。たとえば、このアレイは、発現
レベルを評価したい遺伝子由来の複数の核酸を含むものであってもよい。このア
レイには、APM1ゲノムDNA、APM1 cDNA配列またはこれと相補な配列またはそのフ
ラグメント、特に少なくとも1つの本発明のバイアレリックマーカーを有する配
列、好ましくはバイアレリックマーカーA1〜A8のうち少なくとも1つを含んでも
よい。好ましくは、このフラグメントは少なくとも15ヌクレオチド長である。他
の実施形態では、このフラグメントは少なくとも25ヌクレオチド長である。いく
つかの実施形態では、フラグメントは少なくとも50ヌクレオチド長である。より
好ましくは、フラグメントは少なくとも100ヌクレオチド長である。もう1つの好
ましい実施形態では、フラグメントは100ヌクレオチド長よりも長いものである
。いくつかの実施形態では、フラグメントは500ヌクレオチド長よりも長いもの
であってもよい。
【0457】 たとえば、Schena et al.(1995および1996)によって説明されているように、c
DNAマイクロアレイを用いてAPM1遺伝子発現の定量解析を行うことができる。完
全長APM1 cDNAまたはそのフラグメントをPCR増幅し、高速の装置を用いてシリル
化顕微鏡スライドガラス上で96穴マイクロタイタープレートからアレイ化する。
プリントされたアレイを湿ったチャンバ内でインキュベートし、アレイの要素を
再水和させ、0.2%SDSで1分間を1回と、水で1分間を2回、水素化ホウ素ナトリウ
ム溶液中で5分間を1回のサイクルで洗浄する。このアレイを95℃で2分間、水中
に沈め、0.2%SDSに移して1分おき、2回水洗し、空気乾燥させて25℃で暗所に保
管する。
【0458】 細胞または組織のmRNAを単離するか、あるいは市販されているものを入手し、
逆転写のサイクルを1回行ってプローブを調製する。このプローブを14ラ14mmのカ バーガラス下で60℃にて6〜12時間で1cm2のマイクロアレイとハイブリダイズさ
せる。このアレイを厳密度の低い洗浄用緩衝液(1ラSSC/0.2%SDS)中にて25℃で5分 間洗浄した後、厳密度の高い洗浄用緩衝液(0.1ラSSC/0.2%SDS)中にて室温で10分 間洗浄する。独自に用意したフィルタセットを用いた蛍光レーザー走査装置によ
って、0.1ラSSC中でアレイをスキャンする。独立した2つのハイブリダイゼーショ ンの比の平均を取ることによって、正確な分化発現(differential expression)
測定値を得る。
【0459】 Pietu et al.(1996)によって説明されているように、cDNA配列の完全長APM1 c
DNAまたはそのフラグメントを用いてAPM1遺伝子発現の定量解析を行ってもよい
。完全長APM1 cDNAまたはそのフラグメントをPCR増幅し、膜に接種する。次に、
さまざまな組織または細胞由来のmRNAを放射性ヌクレオチドで標識する。ハイブ
リダイゼーションと制御した条件下での洗浄後、ホスホイメージングまたはオー
トラジオグラフィによって、ハイブリダイズされたmRNAを検出する。実験を2回
重複して行った後、分化的に発現されたmRNAの定量解析を行う。
【0460】 あるいは、Lockhart et al.(1996)およびSosnowsky et al.(1997)によって説
明されているように、高密度ヌクレオチド配列を利用して、APM1ゲノムDNA、APM
1 cDNAまたはそのフラグメントを用いた発現解析を行うこともできる。APM1ゲノ
ムDNA配列、APM1 cDNA配列、特に少なくとも1つの本発明のバイアレリックマー
カーを有する配列、好ましくはA1〜A8からなる群から選択される少なくとも1つ
のバイアレリックマーカーをコードする配列、あるいはこれと相補な配列からヌ
クレオチド15〜50個で構成されるオリゴヌクレオチドをチップ上で直接合成する
(Lockhart et al., 上記)か、あるいは合成後にチップにアドレス指定する(Sosn
owski et al., 上記)。好ましくは、オリゴヌクレオチドは約20ヌクレオチド長
のものである。
【0461】 ビオチン、ジゴキシゲニンまたは蛍光染料などの適当な化合物で標識したAPM1 cDNAプローブを適当なmRNA集団から合成した後、平均サイズ50〜100ヌクレオチ
ドにランダムにフラグメント化する。次いで、前記プローブをチップとハイブリ
ダイズさせる。上記Lockhart et al.によって説明されているように洗浄し、異
なる電界を印加(Sosnowsky et al., 1997)した後、染料または標識化合物を検出
して定量化する。ハイブリダイゼーションを2回重複して行う。異なるcDNA試料
で同一の標的オリゴヌクレオチドについてcDNAプローブからのシグナル強度を比
較解析することで、APM1 mRNAが分化的に発現していることが分かる。
【0462】 (APM1遺伝子の発現を阻害するための方法) 本発明による他の治療用組成物には、APM1の核配列のオリゴヌクレオチドフラ
グメントが対応するAPM1遺伝子の発現を阻害するアンチセンスツールまたは三重
らせんツールとして都合よく含まれる。APM1の核配列の好ましいフラグメントに
は、バイアレリックマーカーA1〜A8のうち少なくとも1つのアレルが含まれる。
【0463】 (アンチセンスによる方法) 本発明によるアンチセンスポリヌクレオチドを用いた好ましい方法は、Sczaki
el et al.(1995)によって説明されている手順である。
【0464】 APM1 mRNAの5'末端と相補であるポリヌクレオチド(15〜200bp長)からアンチセ
ンスツールを選択すると好ましい。他の実施形態では、所望の標的遺伝子の異な
る部分に対して相補である異なるアンチセンスポリヌクレオチドの組み合わせを
使用する。
【0465】 本発明による好ましいアンチセンスポリヌクレオチドは、翻訳開始コドンATG
またはスプライシングドナーまたはアクセプター部位のいずれかを含むAPM1のmR
NAsの配列に対して相補なものである。
【0466】 アンチセンス核酸は、二重鎖でのAPM1 mRNAの発現を抑制するのに十分な安定
性を持つ細胞内二重鎖が形成されるだけの長さと融点を持つものでなければなら
ない。遺伝子治療に利用するのに適したアンチセンス核酸の設計戦略については
、本願明細書に援用するGreen et al.(1986)およびIzant and Weintraub(1984)
に開示されている。
【0467】 いくつかの戦略では、細胞で正常に転写されるものとは逆の鎖が転写されるよ
うに、APM1コード領域の配向をプロモーターとは逆にすることによって、アンチ
センス分子を得る。転写物の生成にT7またはSP6ポリメラーゼを用いるものなど
のin vitro転写系を用いてアンチセンス分子を転写することができる。もう1つ
の方法は、アンチセンス配列を持つDNAを好適な発現ベクターでプロモーターに
作用的に結合させることによって、APM1アンチセンス核酸をin vivoにて転写す
るものである。
【0468】 あるいは、好適なアンチセンス戦略が、国際特許出願公開第WO94/23026号、同
第WO95/04141号、同第WO92/18522号および欧州特許出願公開第EP 0 572 287 A2
号において、Rossi et al.(1991)によって説明されている。
【0469】 本発明にしたがって使用されるアンチセンステクノロジーに代わるものとして
、自己の相補ポリヌクレオチド尾によって標的配列と結合し、対応するRNAの標
的部位を加水分解することによってこれを切断するリボザイム(すなわち「ハン
マーヘッドリボザイム」を使用することがあげられる。簡単に説明すると、ハン
マーヘッドリボザイムの単純なサイクルは、(1)相補アンチセンス配列による標
的RNAへの配列特異的な結合、(2)標的鎖の切断可能なモチーフの部位特異的な加
水分解、(3)他の触媒サイクルを生む切断産物の放出からなる。特に、長鎖アン
チセンスポリヌクレオチド(少なくとも30塩基長)またはリボザイムを長いアンチ
センス腕と併用すると好都合である。これらのアンチセンスリボザイムを親油基
に共有結合させるか、あるいは都合のよいベクターとしてリポソームを使用する
ことで、好ましいアンチセンスリボザイム用の好ましい送達系が達成される。本
発明による好ましいアンチセンスリボザイムは、Sczakiel et al.(1995)によっ
て説明されているようにして調製される。上記の文献に引用されている具体的な
調製手順を本願明細書に援用する。
【0470】 (三重らせんによる方法) APM1ゲノムDNAを、細胞内での三重らせん形成を主体にしたAPM1遺伝子発現の
抑制に使用してもよい。
【0471】 三重らせんオリゴヌクレオチドを用いてゲノムからの転写を抑制する。これら
のオリゴヌクレオチドが特定の遺伝子と関連している場合に、細胞活性の変化を
研究する上で特に有用である。
【0472】 同様に、APM1ゲノムDNAの一部を用いて、細胞内でのAPM1転写の効果を研究す
ることができる。従来、三重らせんでの戦略にはホモプリン配列が最も有用であ
るとされてきた。しかしながら、ホモピリミジン配列でも遺伝子発現を抑制する
ことができる。このようなホモピリミジンオリゴヌクレオチドは、ホモプリン:
ホモピリミジン配列の主溝に結合する。このため、APM1ゲノムDNAから得られる
配列はどちらのタイプも本発明の範囲に包含される。
【0473】 三重らせんによる方法を用いて遺伝子療法戦略を実施するために、APM1ゲノム
DNAの配列をスキャンし、10merから20merのホモピリミジンまたはホモプリンの
伸展を同定する。これを三重らせん主体の戦略に利用してAPM1の発現を抑制する
ことができる。ホモピリミジンまたはホモプリンの候補伸展の同定後、候補配列
を含むオリゴヌクレオチドを、APM1遺伝子を発現する組織培養細胞にさまざまな
量で導入することによって、そのAPM1発現抑制効率を評価する。
【0474】 リン酸カルシウム沈降法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、
リポソーム媒介トランスフェクション法または天然状態での取り込みなどを含む
がこれに限定されるものはない、当業者間で周知のさまざまな方法を利用して、
細胞にオリゴヌクレオチドを導入することができる。
【0475】 ノーザンブロット、RNase保護アッセイ、PCR法を主体とした戦略などの手法を
用いて、処理済細胞の細胞機能またはAPM1発現の低下を監視し、オリゴヌクレオ
チドで処理した細胞でのAPM1遺伝子の転写レベルをモニタリングする。
【0476】 次に、アンチセンスによる方法で上述したような方法を用いて、アンチセンス
による方法で行ったin vitroでの結果に基づいて投与量を算出し、この投与量で
組織培養細胞での遺伝子発現の抑制に効果的なオリゴヌクレオチドをin vivo導
入してもよい。
【0477】 いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド単位の天然(β)アノマーの代わ
りにαアノマーを用いてオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を高めることが
できる。さらに、臭化エチジウムなどのインターカレート剤をαオリゴヌクレオ
チドの3'末端に付加し、三重らせんを安定させることも可能である。三重らせん
形成に適したオリゴヌクレオチドの生成方法については、本願明細書に援用する
Griffin et al.(1989)を参照のこと。
【0478】(実施例) (実施例) (バイアレリックマーカーの同定−DNA抽出) 血縁がなく健常なドナーを用いた。ドナーはフランス人の異種個体群として十
分な多様性を呈していた。100名の個体からDNAを抽出し、バイアレリックマーカ
ーを検出するために試験を行った。
【0479】 各ドナーからEDTAの存在下で辺縁末梢静脈血30mLを採取した。2000rpmで10分
間遠心後に細胞(ペレット)を収集した。溶解液(最終容積50mL、トリス10mM、pH7
.6、MgCl2 5mM、NaCl 10mM)で赤血球を溶解した。溶解液中にペレットの懸濁液
を再懸濁させた後、上澄み中に残留している赤血球を除去するのに必要な回数だ
けこの溶液を遠心(10分間、2000rpm)した。
【0480】 白血球のペレットを以下の組成を有する溶解液3.7mlで42℃で終夜溶解した。
3mL TE 10-2(トリス-HCl 10mM、EDTA 2mM)/NaCl 0.4M 200μL SDS 10% 500μL K-プロテイナーゼ(TE 10-2 /NaCl 0.4M中にK-プロテイナーゼ2mg)
【0481】 タンパク質を抽出するために、1mL飽和NaCl(6M)(1/3.5v/v)を添加した。強く
撹拌した後、溶液を1000rpmで20分間遠心した。
【0482】 DNAを沈降させるために、100%エタノール2〜3容量を上記の上澄みに添加し、
この溶液を2000rpmで30分間遠心した。DNA溶液を70%エタノールで3回洗浄して塩
を除去し、2000rpmで20分間遠心した。ペレットを37℃で乾燥させ、TE 10-1を1m
Lまたは水1mLの中に再懸濁させた。260nmODを測定することによって(1単位OD=5
0μg/mL DNA)、DNA濃度を評価した。
【0483】 DNA溶液中にタンパク質が存在すると判断するために、OD 260/OD 280の比を求
めた。後述する以後のステップではOD 260/OD 280比が1.8〜2の間にあるDNA沈降
物のみを使用した。
【0484】 各個体から得たDNAを等量ずつ混合してプールを作出した。
【0485】(実施例2) (バイアレリックマーカーの同定: PCRによるゲノムDNAの増幅)
先に得たDNAのプールについて、実施例1のDNA試料の特異的ゲノム配列を増幅
した。また、50個体の試料を同様に増幅した。
【0486】 下記のプロトコルでPCRアッセイを行った。 最終容量 25μL DNA 2ng/μL MgCl2 2mM dNTP(各) 200μM プライマー(各) 2.9ng/μL Ampli Taq Gold DNAポリメラーゼ 0.05単位/μL PCR緩衝液(10ラ=0.1Mトリス-HCl pH8.3 0.5M KCl 1×
【0487】 本願明細書に開示するAMP1遺伝子の配列情報およびOSPソフトウェア(Hillier
& Green, 1991)を用いて、第1のプライマーの各対を設計した。この第1のプライ
マー対は約20ヌクレオチド長であり、その配列は表1におけるPUおよびRPの欄に
示す配列番号位置に対応していた。
【0488】
【表3】
【0489】 好ましくは、プライマーは、シークエンシングに有用である、増幅対象の特異
塩基の上流に共通のオリゴヌクレオチドの尾を含んでいた。
【0490】 プライマーPUは、PU5'付加配列TGTAAAACGACGGCCAGTを含み、プライマーRPは、
RP5'配列CAGGAAACAGCTATGACCを含む。PU5'付加配列を含むプライマーを配列番号
7として列挙し、RP5'付加配列を含むプライマーを配列番号8として列挙する。
【0491】 GENSET UFPS 24.1合成機において、ホスホラミダイト法によってこれらのプラ
イマーを合成した。
【0492】 DNA増幅はGenius IIサーモサイクラーで行った。95℃で10分間加熱した後、40
サイクルを行った。各サイクルの構成は、95℃で30秒、54℃で1分、72℃で30秒
である。最終的な伸長のために、72℃で10分間で増幅を終了した。蛍光計および
インターカレート剤(分子プローブ)としてのPicogreenを用いて、96穴マイクロ
タイタープレート上で、どの程度の量の増幅産物が得られたのかを判断した。
【0493】(実施例3) (バイアレリックマーカーの同定: 増幅ゲノムDNAのシークエンシングと多型
の同定) 実施例2で得られた増幅DNAのシークエンシングをABI 377シークエンサで実施
した。ダイターミネーターでのサイクルシークエンシングプロトコルを用いた自
動ジデオキシターミネーター塩基配列決定反応によって、増幅産物の配列を判断
した。シークエンシング反応での反応産物をシークエンシングゲルに仕込み、ゲ
ル画像解析(ABI Prism DNA Sequencing Analysisソフトウェア(2.1.2バージョン
))と所有権のある上述した「Trace」basecaller)とを使用して配列を求めた。
【0494】 プールした増幅フラグメントでのバイアレリックマーカーの有無を検出するた
めの上述した多型解析ソフトウェアを使用して、配列データをさらに評価した。
多型探査は、上述したようにして同一位置に異なる塩基が座位することで生じる
電気泳動パターンのピークの重畳の有無に基づいて行った。
【0495】 15個の増幅フラグメントを解析した。これらのセグメントのうち5つにおいて
、8個のバイアレリックマーカーが検出された。これらのバイアレリックマーカ
ーの位置を表2に示す。
【0496】
【表4】
【0497】(実施例4) (マイクロシークエンシングによる多型の確認) 実施例3で同定したバイアレリックマーカーをさらに確認し、マイクロシーク
エンシングによってそれぞれの頻度を判断した。マイクロシークエンシングを実
施したのは実施例1で述べた各個体のDNA試料であった。
【0498】 バイアレリックマーカーの検出について上述したようにして、同一のプライマ
ーセットを使用し、PCRによって個体をゲノムDNAから増幅した(表1)。
【0499】 マイクロシークエンシングで使用する好ましいプライマーは約19ヌクレオチド
長であり、考慮対象の多型塩基のすぐ上流でハイブリダイズされた。本発明によ
れば、マイクロシークエンシングに使用するプライマーは以下の表3に示すとお
りである。
【0500】
【表5】
【0501】 Mis 1およびMis 2はそれぞれ、APM1遺伝子の非コード鎖とハイブリダイズされ
たマイクロシークエンシングプライマーおよびAPM1遺伝子のコード鎖とハイブリ
ダイズされたマイクロシークエンシングプライマーを示す。
【0502】 マイクロシークエンシング反応を次のようにして実施した。
【0503】 増幅産物の精製後、製造業者の推奨事項に従って、マイクロシークエンシング
オリゴヌクレオチド10pmolと、1U Thermosequenase(アマシャムE79000G)と、The
rmosequenase緩衝液(260mMトリスHCl pH9.5、65mM MgCl2)1.25μLと、各被検バ
イアレリックマーカーの多型部位におけるヌクレオチドに対して相補なる多型部
位でヌクレオチドに対して相補な2種類の適当な蛍光ddNTP(Perkin Elmer, Dye T
erminator Set 401095)とを添加し、マイクロシークエンシング反応混合物を最
終容量20μLで調製した。94℃で4分間の後、Tetrad PTC-225サーモサイクラー(M
Jリサーチ)にて、55℃で15秒、72℃で5秒、94℃で10秒のPCRサイクルを20回実施
した。取り込まれなかったダイターミネーターをエタノール沈殿によって除去し
た。最後に、試料をホルムアミドEDTA添加液に再懸濁させ、95℃で2分間加熱し
た後、ポリアクリルアミドシークエンシングゲルに添加した。ABIプリズム377 D
NAシークエンサーでデータを収集し、遺伝子SCANソフトウェア(パーキンエルマ
ー)を用いて処理した。
【0504】 ゲル解析に続いて、各増幅フラグメントに存在するバイアレリックマーカーの
アレルの判定を可能にするソフトウェアでデータを自動的に処理した。
【0505】 ソフトウェアは、上記のマイクロシークエンシング法によって得られるシグナ
ルの強度が、弱い、標準、飽和、あるいはシグナルが曖昧かといった要因を評価
する。また、このソフトウェアは著しいピーク(形状および高さの判定条件によ
る)を特定する。有意なピークの中から、標的部位に対応するピークをそれらの
位置に基いて特定する。有意なピーク2つが同じ位置について検出された場合、
高さ比に基いて各試料を同型接合あるいはヘテロ接合のタイプとして分けられた
分類に入る。
【0506】 ハイブリダイゼーションアッセイによるバイアレリックマーカーの遺伝子型判
定にオリゴヌクレオチドプローブを用いることができる。検出可能な表現型に関
連のある1種またはそれ以上のアレルに特異的にハイブリダイズされる1種または
それ以上のアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブと核酸試料とを接触させる
。これらのプローブは25merであり、APM1関連バイアレリックマーカーが中心位
置にある。ハイブリダイゼーションアッセイに使用されるプローブは、以下の表
4に示すプローブを含むものであってもよい。
【0507】
【表6】
【0508】(実施例5) (APM1の56-Glu変異体に対する抗体組成物の調製) APM1タンパク質またはその一部をコードする発現ベクターを含むトランスフェ
クトした細胞または形質転換細胞から、実質的に純粋なタンパク質またはポリペ
プチドを単離する。たとえばAmiconフィルタ装置での濃度などによって、最終調
製物のタンパク質濃度を数μg/mlのレベルに調節する。この状態で、タンパク質
に対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を以下のようにして調製
する。
【0509】(A. ハイブリドーマ融解によるモノクローナル抗体産生) Kohler, G. and Milstein, C., Nature 256:495(1975)の古典的な方法または
これから派生した方法によって、APM1タンパク質またはその一部のエピトープに
対するモノクローナル抗体をマウスハイブリドーマから調製することができる。
Harlow, E., and D. Lane. 1988、Antibodies A Laboratory Manual. Cold Spri
ng Harbor Laboratory. pp. 53-242も参照のこと。
【0510】 簡単に説明すると、数週間にわたって、数マイクログラムのAPM1タンパク質ま
たはその一部をマウスに繰り返し接種する。このマウスを屠殺し、脾臓の抗体産
生細胞を単離する。ポリエチレングリコールによって脾臓細胞をマウス骨髄腫細
胞と融合させ、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)で系を成長させて過剰
な未融合細胞を破壊する。融合が成功した細胞を稀釈し、稀釈アリコートをマイ
クロタイタープレートのウェルに接種して培養成長を継続する。ウェルの上澄み
液中の抗体を、Engvall, E., Meth. Enzymol. 70:419(1980)が初めて明らかにし
たようなELISAなどのイムノアッセイまたはこれから派生した方法によって検出
し、抗体産生クローンを同定する。選択された陽性クローンを培養し、そのモノ
クローナル抗体産物を収集して使用できるようにする。モノクローナル抗体を得
るための詳細な手順については、Davis, L. et al. Basic Methods in Molecula
r Biology Elsevier, New York. Section 21-2に記載されている。
【0511】(B. 免疫化によるポリクローナル抗体産生) 適当な非ヒト動物をAPM1タンパク質またはその一部で免疫化することによって
、APM1タンパク質またはその一部の異種起源のエピトープに対する抗体を含むポ
リクローナル抗血清を調製することができる。これは、免疫原性を高めるように
修飾してもよいし修飾せずにおくことも可能である。適当な非ヒト動物は、好ま
しくは非ヒト哺乳動物が選択され、通常、マウス、ラット、ウサギ、ヤギまたは
ウマである。あるいは、APM1濃度を高めた未精製調製物を用いて抗体を作出する
こともできる。このようなタンパク質、フラグメントまたは調製物を、従来技術
において周知の適当なアジュバント(たとえば、水酸化アルミニウム、RIBIなど)
の存在下で非ヒト哺乳動物に導入する。また、タンパク質、フラグメントまたは
調製物を抗原性を高める作用薬で前処理してもよい。このような作用薬は従来技
術において周知であり、一例としては、メチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)、ウ
シ血清アルブミン(BSA)、B型肝炎表面抗原およびキーホールリンペットヘモシア
ニン(KLH)などがあげられる。周知の手順に従って免疫化動物から得られる血清
を収集し、これを処理して試験する。血清に望ましくないエピトープに対するポ
リクローナル抗体が含まれている場合、免疫親和性クロマトグラフィによってポ
リクローナル抗体を精製してもよい。
【0512】 抗原と宿主種の両方に関係のある多くの要因が効果的なポリクローナル抗体産
生に影響する。また、接種部位および用量に対する宿主動物の応答性には差があ
り、抗原量が不適切な場合と過剰な場合はいずれも低力価抗血清が作出される。
少量(ngレベル)の抗原を複数の皮内部位に投与すると最も信頼性の高い結果が得
られるように思われる。ポリクローナル抗血清を作出して処理するための手法は
従来技術において周知である。たとえば、Mayer and Walker(1987)などを参照の
こと。Vaitukaitis, J. et al. J. Clin. Endocrinol. Metab. 33:988-991(1971
)にはウサギでの効果的な免疫化プロトコルが記載されている。
【0513】 一定間隔で追加免疫注射を行い、たとえば濃度が分かっている抗原に対する寒
天での二重免疫拡散によって半定量的に測定した抗体力価が低下しはじめたとこ
ろで、抗血清を収集することができる。たとえば、Ouchterlony, O. et al., Ch
ap. 19 in: Handbook of Experimental Immunology D. Wier (ed) Blackwell(19
73)などを参照のこと。この抗体のプラトー濃度は通常、血清(約12μM)の0.1〜0
.2mg/mlの範囲にある。Fisher,(1980)に記載されているようにして競合的結合曲
線を作成し、抗血清の抗原に対する親和性を判定する。この抗体のプラトー濃度
は通常、血清(約12μM)の0.1〜0.2mg/mlの範囲にある。Fisher, D., Chap. 42 i
n: Manual of Clinical Immunology, 2d Ed. (Rose and Friedman, Eds.) Amer.
Soc. For Microbiol., Washington, D.C. (1980)に記載されているようにして
競合的結合曲線を作成し、抗血清の抗原に対する親和性を判定する。
【0514】 モノクローナル抗体法またはポリクローナル抗体法のいずれかに従って調製し
た抗体調製物は、生物学的試料中の抗原産生物質の濃度を判断する定量的なイム
ノアッセイにおいて有用なものである。また、これらの調製物は、生物学的試料
中の抗原の存在を半定量的あるいは定性的に同定するのにも用いられる。さらに
、タンパク質を発現する細胞を殺す目的あるいは体内のタンパク質濃度を落とす
目的で治療用組成物に抗体を使用してもよい。
【0515】 以上、本発明の好ましい実施形態について例示および説明してきたが、本発明
の趣旨および範囲を逸脱することなく当業者によってさまざまな変更が可能であ
ることは理解できよう。
【0516】 参考文献 Abbondanzo S.J. et al. (1993) Methods in Enzymology, Academic Press, New
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【0517】 配列表自由文字列 添付の配列表には次の文字列を用いる。 5' regulatory region 3' regulatory region polymorphic base or complement probe homology with 5' EST in private bank potential sequencing oligonucleotide primer PU sequencing oligonucleotide primer RP
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のバイアレリックマーカーを有するヒトAPM1(Adipose Most A
bundant Gene Transcript 1)のゲノム配列のマップである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 G01N 33/53 M C12Q 1/68 33/566 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/53 F 33/566 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ビヘイン,バーナード アメリカ合衆国 92024 カリフォルニア 州 アンシニタス, ビュー レーン 238 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA44 BA80 CA01 CA04 CA09 DA02 EA04 GA11 HA01 HA12 4B029 AA07 BB11 BB20 CC03 FA12 4B063 QA01 QA13 QA17 QA19 QQ02 QQ03 QQ42 QR08 QR42 QR56 QR62 QR66 QS25 QS34 QS36 QX02 4B065 AA90X AA93Y AB01 AB02 BA01 CA24 CA25 CA46 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1またはその相補体の少なくとも12ヌクレオチドの
    連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチド
    であって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜3528、4852〜15
    143、15366〜16276および20560〜20966のうち少なくとも1つを含んでなる、前記
    ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 配列番号1またはその相補体の少なくとも12ヌクレオチドの
    連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチド
    であって、前記連続スパンが、配列番号1の位置4150〜4154または17169〜17170
    を含む、前記ポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 配列番号1またはその相補体の少なくとも12ヌクレオチドの
    連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチド
    であって、前記連続スパンが、配列番号1の位置3787のG、位置3809のG、位置431
    1のT、位置4328のA、位置4683のAまたは位置15319のAを含む、前記ポリヌクレオ
    チド。
  4. 【請求項4】 配列番号1またはその相補体の少なくとも12ヌクレオチドの
    連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチド
    であって、前記連続スパンが、配列番号1のヌクレオチド位置1〜4833のうち少な
    くとも1つを含んでなる、前記ポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 配列番号5またはその相補体の少なくとも12ヌクレオチドの
    連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチド
    であって、前記連続スパンが、配列番号5の位置93のヌクレオチドT、位置1154〜
    1157、位置1997のヌクレオチドG、位置2083〜2086、位置2367、2456、2467、247
    5または2631のヌクレオチドC、位置2778のヌクレオチドA、位置2785〜2788、位
    置2797〜2801、位置3594のヌクレオチドT、位置3684のヌクレオチドG、位置3697
    〜3701、位置4026〜4027および位置4053、4078、4533または4536のヌクレオチド
    Tからなる群から選択される位置を含む、前記ポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 配列番号5またはその相補体の少なくとも12ヌクレオチドの
    連続スパンを含む、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオチド
    であって、前記連続スパンが、配列番号5のヌクレオチド位置1〜22のうち少なく
    とも1つを含んでなる、前記ポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 実質的に、配列番号1またはその相補体の8〜50ヌクレオチド
    の連続スパンからなる、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオ
    チドであって、前記スパンが、前記配列中にAPM1関連バイアレリックマーカーを
    含む、前記ポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 前記APM1関連バイアレリックマーカーが、A1、A2、A3、A5、
    A6およびA7からなる群から選択される、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
  9. 【請求項9】 前記APM1関連バイアレリックマーカーが、A4またはA8のいず
    れかである、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 前記連続スパンが18〜35ヌクレオチド長であり、前記バイ
    アレリックマーカーが前記ポリヌクレオチドの中心から4ヌクレオチド以内にあ
    る、請求項7〜9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  11. 【請求項11】 前記ポリヌクレオチドが前記連続スパンからなり、前記連
    続スパンが25ヌクレオチド長であり、前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌ
    クレオチドの中心にある、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端
    に存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端
    に位置し、前記バイアレリックマーカーが前記ポリヌクレオチドの3'末端に存在
    する、請求項7〜9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
  14. 【請求項14】 実質的に、配列番号1またはその相補体の8〜50ヌクレオチ
    ドの連続スパンからなる、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレ
    オチドであって、前記連続スパンの3'末端が前記ポリヌクレオチドの3'末端に位
    置し、前記ポリヌクレオチドの3'末端が、前記配列中のAPM1関連バイアレリック
    マーカーの上流20ヌクレオチド以内に位置し、任意に、前記APM1関連バイアレリ
    ックマーカーが、A1、A2、A3、A5、A6およびA7からなる群から選択されるか、あ
    るいは、前記APM1関連バイアレリックマーカーがA4またはA8のいずれかである、
    前記ポリヌクレオチド。
  15. 【請求項15】 前記ポリヌクレオチドの3'末端が、前記配列中の前記APM1
    関連バイアレリックマーカーの1ヌクレオチド上流に位置する、請求項14に記載
    のポリヌクレオチド。
  16. 【請求項16】 前記ポリヌクレオチドが、実質的に、配列D1、D2、D3、D4
    、D5、D6、D7、D8、E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7およびE8から選択される配列か
    らなる、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
  17. 【請求項17】 実質的に、配列B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B1
    0、B11、B12、B13、B14、B15、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11
    、C12、C13、C14およびC15から選択される配列からなる、単離された、精製され
    たまたは組換え体のポリヌクレオチド。
  18. 【請求項18】 配列番号6の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含むポリ
    ペプチドをコードする、単離された、精製されたまたは組換え体のポリヌクレオ
    チドであって、前記連続スパンが、配列番号6のアミノ酸位置56のグルタミン酸
    残基を含む、前記ポリヌクレオチド。
  19. 【請求項19】 配列番号1またはその相補体中のAPM1関連バイアレリック
    マーカーのヌクレオチドの正体を判定するハイブリダイゼーションアッセイに使
    用するためのポリヌクレオチド。
  20. 【請求項20】 配列番号1またはその相補体中のAPM1関連バイアレリック
    マーカーのヌクレオチドの正体を判定するシークエンシングアッセイに使用する
    ためのポリヌクレオチド。
  21. 【請求項21】 配列番号1またはその相補体中のAPM1関連バイアレリック
    マーカーのヌクレオチドの正体を判定するアレル特異的増幅アッセイに使用する
    ためのポリヌクレオチド。
  22. 【請求項22】 配列番号1またはその相補体中のAPM1関連バイアレリック
    マーカーを含むヌクレオチドのセグメントの増幅に使用するためのポリヌクレオ
    チド。
  23. 【請求項23】 固相支持体に結合された、請求項1〜22のいずれか1項に記
    載のポリヌクレオチド。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載のポリヌクレオチド少なくとも1個を含む
    ポリヌクレオチドアレイ。
  25. 【請求項25】 前記アレイがアドレス指定可能なものである、請求項24に
    記載のアレイ。
  26. 【請求項26】 標識をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載のポ
    リヌクレオチド。
  27. 【請求項27】 請求項1、2、3、4、5、6および18のいずれか1項に記載の
    ポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
  28. 【請求項28】 請求項27に記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
  29. 【請求項29】 請求項27に記載の組換えベクターを含む非ヒト宿主動物ま
    たは哺乳動物。
  30. 【請求項30】 ノックアウトベクターを用いた相同的組換えによって破壊
    されたAPM1遺伝子を含む哺乳動物宿主細胞。
  31. 【請求項31】 ノックアウトベクターを用いた相同的組換えによって破壊
    されたAPM1遺伝子を含む非ヒト宿主哺乳動物。
  32. 【請求項32】 生物学的試料において配列番号1またはその相補体のAPM1
    関連バイアレリックマーカーのヌクレオチドの正体を判定することを含む、遺伝
    子型判定方法。
  33. 【請求項33】 前記生物学的試料が単一の被検体に由来するものである、
    請求項32に記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記バイアレリックマーカーのヌクレオチドの正体を、前
    記個体のゲノムに存在する前記バイアレリックマーカーの両コピーについて判定
    する、請求項33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 前記生物学的試料が複数の被検体に由来するものである、
    請求項32に記載の方法。
  36. 【請求項36】 前記判定ステップの前に、バイアレリックマーカーを含む
    前記配列の部分を増幅するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
  37. 【請求項37】 前記増幅をPCRによって行う、請求項36に記載の方法。
  38. 【請求項38】 前記判定をハイブリダイゼーションアッセイによって行う
    、請求項32に記載の方法。
  39. 【請求項39】 前記判定をシークエンシングアッセイによって行う、請求
    項32に記載の方法。
  40. 【請求項40】 前記判定をマイクロシークエンシングアッセイによって行
    う、請求項32に記載の方法。
  41. 【請求項41】 前記判定をアレル特異的増幅アッセイによって行う、請求
    項32に記載の方法。
  42. 【請求項42】 個体群でのアレルの頻度を推定する方法であって、前記個
    体群由来のプールした生物学的試料において、配列番号1またはその相補体のAPM
    1関連バイアレリックマーカーでのヌクレオチドの比例表現を決定することを含
    む方法。
  43. 【請求項43】 遺伝子型と表現型との間の関連性を検出する方法であって
    、 a) 請求項32に記載の方法に従って、形質陽性個体群において少なくとも1つの
    APM1関連バイアレリックマーカーの遺伝子型を判定するステップと、 b) 請求項32に記載の方法に従って、対照個体群において前記APM1関連バイア
    レリックマーカーの遺伝子型を判定するステップと、 c) 前記遺伝子型と前記表現型との間に統計的に有意な関連性が存在するか否
    かを判定するステップと、を含む方法。
  44. 【請求項44】 個体群におけるバイアレリックマーカーのセットについて
    のハプロタイプの頻度を推定する方法であって、 a) 前記個体群における各個体について、請求項33に記載の方法に従って少な
    くとも1つのAPM1関連バイアレリックマーカーの遺伝子型を判定するステップと
    、 b) 前記個体群の各個体のゲノムに存在する第2のバイアレリックマーカーの両
    コピーについて、前記第2のバイアレリックマーカーにおけるヌクレオチドの正
    体を判定することによって前記第2のバイアレリックマーカーの遺伝子型を判定
    するステップと、 c) ステップa)およびb)において特定されたヌクレオチドの正体にハプロタイ
    プ決定法を適用し、前記頻度の推定値を得るステップと、を含む方法。
  45. 【請求項45】 前記ハプロタイプ決定法が、非対称PCR増幅、特定のアレ
    ルの二重PCR増幅、クラーク(Clark)アルゴリズム、または期待値最大化アルゴリ
    ズムからなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
  46. 【請求項46】 前記第2のバイアレリックマーカーが、配列番号1中のAPM1
    関連バイアレリックマーカーである、請求項44に記載の方法。
  47. 【請求項47】 ハプロタイプと表現型との間の関連性を検出する方法であ
    って、 a) 請求項44に記載の方法に従って、形質陽性個体群における少なくとも1つの
    ハプロタイプの頻度を推定するステップと、 b) 請求項44に記載の方法に従って、対照個体群における前記ハプロタイプの
    頻度を推定するステップと、 c) 前記ハプロタイプと前記表現型との間に統計的に有意な関連性があるか否
    かを判定するステップと、を含む方法。
  48. 【請求項48】 前記対照個体群が形質陰性個体群である、請求項43または
    47に記載の方法。
  49. 【請求項49】 前記対照個体群が無作為個体群である、請求項43または47
    に記載の方法。
  50. 【請求項50】 ステップa)およびb)の前記遺伝子型判定の各々を、前記個
    体群の各々に由来する単一のプールした生物学的試料について行う、請求項43に
    記載の方法。
  51. 【請求項51】 ステップa)およびb)の前記遺伝子型判定を、前記個体群の
    各個体に由来する生物学的試料について別々に行う、請求項43に記載の方法。
  52. 【請求項52】 前記表現型が、肥満または肥満に関連した障害を伴う疾患
    である、請求項43または47に記載の方法。
  53. 【請求項53】 前記肥満に関連した障害が、アテローム性動脈硬化症、イ
    ンスリン抵抗性、高血圧症、2型糖尿病の肥満個体における細小血管障害、2型
    糖尿病の肥満個体における細小血管障害に関連した眼病変、および2型糖尿病の
    肥満個体における細小血管障害に関連した腎病変からなる群から選択される、請
    求項52に記載の方法。
  54. 【請求項54】 配列番号6の少なくとも6アミノ酸の連続スパンを含む、単
    離された、精製されたまたは組換え体のポリペプチドであって、前記連続スパン
    が、配列番号6のアミノ酸位置56のグルタミン酸残基を含む、前記ポリペプチド
  55. 【請求項55】 請求項54に記載のポリペプチドのエピトープ含有フラグメ
    ントに選択的に結合可能な単離または精製された抗体組成物であって、前記エピ
    トープが配列番号6のアミノ酸位置56のグルタミン酸残基を含む、前記抗体組成
    物。
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