JP2005510842A - 改善されたレーザー脱離イオン化タンデム質量分析のための方法および装置 - Google Patents

改善されたレーザー脱離イオン化タンデム質量分析のための方法および装置 Download PDF

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Abstract

レーザー脱離/イオン化タンデム質量分析計器具(100)、ならびに増加した感度およびイオン収量を達成する、このような器具を使用する分析方法が提供され、この器具は、イオン化プローブインターフェース(10)およびバルクヘッド(42)(ポストソース衝突冷却を備える)を備えるレーザー脱離イオン化源(13)、ならびにタンデム質量分析計(14)を備える。レーザー脱離/イオン化質量分析方法もまた提供され、この方法は、アルカリ金属スカベンジャーと組み合わせて低融点エネルギー吸収分子を有するマトリックスと、親和性捕獲プローブとを組み合わせることによって、感度および相対イオン収量を改善する。

Description

(関連出願の引用)
本願は、2001年11月27日に出願された、米国仮出願番号60/333,909(この開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される)の利益を主張する。
(発明の分野)
本発明は、化学分析および生化学分析の分野であり、そしてレーザー脱離イオン化タンデム質量分析のための、改善された装置および方法に関する。
(発明の背景)
電子スプレーイオン化(ESI)技術およびマトリックス補助レーザー脱離/イオン化(MALDI)技術の出現は、質量分析器の改善された性能および低い費用と組み合わせて、過去10年間において、質量分析(MS)に、生物学的に関連のある巨大分子(例えば、タンパク質)の研究において使用される分析用ツールのうちでも重要な位置を占めさせている。
例えば、ペプチド質量フィンガープリンティングとして公知の技術において、質量分析は、生物学的サンプルから精製されたタンパク質を同定するために使用されている。同定は、精製されたタンパク質のタンパク質分解フラグメントの質量スペクトルを、データベースに以前に記入された一次配列から推定された質量と適合させることによってなされる。Roepstorff,The Analyst 117:299−303(1992);Pappinら、Curr.Biol.3(6):327−332(1993);Mannら、Biol.Mass Spectrom.22:338−345(1993):Yatesら、Anal.Biochem.213:397−408(1993);Henzelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5011−5015(1993);Jamesら、Biochem.Biophys.Res.Commun.195:58−64(1993)。
単離されたタンパク質の、少なくとも部分的な新規配列決定を可能にする質量分析技術がまた開発された。Chaitら、Science 262:89−92(1993):Keoughら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.96:7131−6(1999);Bergman,EXS 88:133−44(2000)の概説。
さらなる分析能力(power)が、MALDIポストソース(post−source)崩壊(PSD)または衝突誘導脱離(CID)のいずれかから得られたフラグメント質量スペクトルを使用するMS/MS分析の導入によって達成された。Engら、J.Am.Soc.Mass.Spectrom.5:976−989(1994);Griffinら、Rapid Commun.Mass Spectrom.9:1546−1551(1995);Yatesら、米国特許第5,538,897号および同第6,017,693号;Mannら、Anal.Chem.66:4390−4399(1994)。
MALDI飛行時間(TOF)PSD分析は、選択された親から娘イオンを生成するための、ドリフト領域における準安定崩壊に依存する;その結果、フラグメント化の程度は、制御または予測することが困難である。この分析はまた、乏しい感度および質量の精度に悩まされる。最近、Lobodaら、Rapid Communic.Mass Spectrom.14:1044−1057(2000)は、MALDI源(これは、CID MS/MS分析の利点をMALDI源サンプルにもたらす)を有するタンデム四重極TOF質量分析計を記載した。
複雑な不均質な生物学的サンプルの質量分析研究におけるさらなる改善が、親和性捕獲レーザー脱離イオン化(LDI)アプローチの開発から生じた。Hutchensら、Rapid Commn.Mass Spectrom.7:576−580(1993);米国特許第5,719,060号、同第5,894,063号、同第6,020,208号、同第6,027,942号、および同第6,225,047号。
親和性捕獲LDIにおいて、少なくとも1つの表面上に親和性試薬を有する、レーザー脱離プローブが使用される。親和性試薬は、所望の分析物を、不均質なサンプルから吸着し、これらの分析物を、引き続くレーザー脱離イオン化のために適切な形態で、プローブ表面上に濃縮する。分析物の吸着と脱離との直接のカップリングは、オフライン精製アプローチを取り除き、より少ない初期サンプルの分析を可能にし、そして質量分析の前にプローブ表面上で直接、サンプル修飾のアプローチを容易にする。
Merchantら、Electrophoresis 21:1164−1167(2000)は、親和性捕獲プローブを使用するように適合された、タンデム四重極/飛行時間質量分析計を記載し、これは、質量精度の高いCID MS/MS分析を、親和性捕獲レーザー脱離イオン化プローブ技術に組み合わせる。
MALDIおよび親和性捕獲LDIタンデム質量分析計(それぞれ、LobodaらおよびMerchantらに記載される)は、飛行時間検出器に直交して、イオンを抽出する。直交した抽出は、質量分析からの脱離プロセスを解放するように働き、これは、較正をより単純かつより安定したものにし、サンプルの取り扱いにより融通を利かせ、そして(単一MSモードにおいてさえ)平行(軸方向)注入より優れた他の利点を提供する。
しかし、平行イオン抽出構成(このためには、イオンは、TOF分析および検出まで、10〜300マイクロ秒のオーダーしか残る必要がない)とは対照的に、直交加速TOFは、TOF分析および最終的な検出まで、少なくとも1〜3ミリ秒残らなければならないイオンの形成を必要とする。Krutchinksyら、Rapid Commun.Mass Spectromtry,12:508−518(1998);Chernushevichら、「Orthogonal−Injection TOFMS for Analyzing Biomolecules」、Anal.Chem.71,452A−461A(1991年7月1日)を参照のこと。
種々の生体高分子(例えば、タンパク質およびペプチド)について、イオン安定性、および従って、最終的な寿命は、多数の要因に依存し、この要因としては、以下が挙げられる:
(1)アミノ酸残基および他の成分の、新生の結合エネルギー;
(2)脱離の初期熱エネルギー
(3)イオン化の初期熱エネルギー;
(4)脱離後衝突のエネルギーおよび頻度;ならびに
(5)脱離/イオン化後の気相反応。
新生結合エネルギーは、分析されるべき生体分子において固有であり、従って、当該分野において、脱離の初期熱エネルギーを低下させ、イオン化の初期熱エネルギーを低下させ、脱離後衝突のエネルギーおよび頻度を低下させ、そして/または気相分解反応を減少させることによって、イオンの寿命を増加させる装置および方法の必要性が存在する。
(発明の要旨)
本発明は、当該分野におけるこれらおよび他の必要性を、第一の局面において、分析機器を提供することによって解決する。この分析機器は、レーザー脱離イオン化源、プローブインターフェース、およびタンデム質量分析器を備える。衝突冷却(collisional cooling)が、プローブインターフェースにおいて直接行われ、その後、タンデム質量分析計へのイオン導入が行われる;この即時のポストソース衝突冷却は、イオン安定性を増加させることによってと同様に、感度およびイオン収量を劇的に改善する。
このプローブインターフェースは、バルクヘッドを備え、そしてこのプローブインターフェースは、レーザー脱離/イオン化プローブを、レーザー源に対して応答可能な関係で配置し得、そして同時に、バルクヘッドの開口部を通してタンデム質量分析計へとイオンを流入させる。即時のポストソース衝突冷却を起こすために、プローブインターフェースは、このように配置された、レーザーで応答されるプローブの表面と、インターフェースバルクヘッドとの間に、ガスを直接導入するための手段をさらに備える。
1つの実施形態において、プローブインターフェースは、プローブホルダをさらに備え、このプローブホルダは、レーザー脱離/イオン化プローブを係合し得、そしてこのプローブをおよそ位置付け得る。この実施形態において、ガス導入手段は、プローブホルダとバルクヘッドとの間に、ガスを導入し得る。さらなる実施形態において、バルクヘッドは、静電レンズであり、これは、質量分析計へのイオンの導入を容易にする。この後者の実施形態において、ガス導入手段は、プローブホルダと静電レンズとの間にガスを導入し得る。
なおさらなる実施形態において、本発明の好ましいプローブホルダは、静電レンズの表面に密着して係合し得る。プローブがプローブホルダに係合した状態で、静電レンズへのプローブホルダの密着した係合は、プローブホルダ、プローブのレーザー応答面(laser interrogated surface)、および静電レンズと境界を接する空間を規定し、そしてガス導入手段は、この境界を接する空間に、ガスを導入し得る。
タンデム質量分析計は、四重極−TOF MS、イオントラップMS、イオントラップTOF MS、TOF−TOF MS、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴MSからなる群より選択され得、直交加速四重極TOF−MSが、特に有用な実施形態である。
第二の関連する局面において、本発明は、レーザー脱離/イオン化プローブ上に存在する分析物を分析する方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:分析物を脱離およびイオン化する工程;脱離したイオンをタンデム質量分析計に導入する工程;ならびに次いで、導入されたイオンの少なくとも1つ、またはその少なくとも1つのフラグメントに対して、質量分析を実施する工程。プローブは、まず、このプローブ上に存在する分析物の脱離およびイオン化のために配置され、そして同時に、バルクヘッドの開口部を通して、タンデム質量分析計にイオンを流入させ、次いで、ガスが、プローブとバルクヘッドとの間に直接導入される。
これらの方法における脱離およびイオン化は、レーザー脱離イオン化源によってなされ、従って、この方法は、代表的に、以下の先行する工程を包含する:レーザー脱離イオン化源に対して応答可能な関係で、プローブを配置し、同時に、バルクヘッドの開口部を通してタンデム質量分光計内へと、イオンを流入させる工程;次いで、プローブとバルクヘッドとの間に、ガスを直接導入する工程。
プローブを配置する工程は、プローブをプローブホルダに係合させる工程、次いで、プローブホルダをバルクヘッドに密着させて係合させる工程、次いで、プローブホルダをバルクヘッドに密着させて係合させる工程を包含し得、このバルクヘッドは、プローブホルダとタンデム質量分析計との間に介在する、静電レンズであり得る。
本発明のこの第二の局面の分析方法において使用される、タンデム質量分析計は、四重極−TOF MS、イオントラップMS、イオントラップTOF MS、TOF−TOF MS、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴MSからなる群より選択され得、特定の利点は、直交加速四重極TOF−MSの使用からくる。
本発明の機器と分析方法との両方において、プローブインターフェースに導入されるべきガスは、大気ガス、調整大気ガス、窒素、および希ガスからなる群より選択され得、そして少なくとも1ミリトルの圧力、および代表的には約1トル以下の圧力に導入され、10ミリトルが、代表的である。
本発明のこの局面の方法において、分析物は、通常、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドであり、そしてプローブは、通常、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを結合し得る、親和性捕獲プローブである。
本発明者らは、おそらく、イオン安定性を増加させることによって、分析物を、(i)低融点エネルギー吸収分子、および(ii)アルカリ金属を補足し得る分子と共結晶化させることによって、驚くべき優れた結果が、レーザー脱離イオン化質量分析において得られ得ることを、さらに発見した。
第一の実施形態において、エネルギー吸収分子は、約210℃以下の融点を有する。他の実施形態において、エネルギー吸収分子は、約200℃以下の融点を有し、そして他の実施形態において、約160℃以下の融点を有する。現在好ましい実施形態において、エネルギー吸収分子は、2,6−ジヒドロキシアセトフェノンである。
アルカリ金属スカベンジャーは、有用には、有機酸のアンモニウム塩であり得、例えば、クエン酸水素二アンモニウム、酒石酸アンモニウムである。2,6−ジヒドロキシアセトフェノンとクエン酸水素二アンモニウムとの組み合わせが、好ましい。
本発明の上記局面は、組み合わせられて、分析物を分析する方法を提供し得、この方法は、以下の工程を包含し得る:分析物を、親和性捕獲レーザー脱離/イオン化プローブに吸着させる工程;この分析物を、(i)低融点エネルギー吸収分子、および(ii)アルカリ金属を捕捉し得る分子と共結晶化させる工程、このプローブを、レーザー脱離イオン化源と応答可能な関係に配置し、同時に、イオンの流れを、タンデム質量分析計と流体連絡させる工程;配置されたプローブとタンデム質量分析計との間に、ガスを直接導入する工程;ならびに次いで、導入されたイオンの少なくとも1つ、またはその少なくとも1つのフラグメントについて、質量分析を実施する工程。
本発明の上記および他の目的および利点は、添付の図面と組み合わせて、以下の詳細な説明を考慮する際に、明らかになる。図面において、同じ文字は、全体を通して同じ部品を表す。
(発明の詳細な説明)
直交抽出は、イオン形成から飛行時間測定を解放することにより、レーザー脱離飛行時間質量分析計における軸方向抽出アプローチを超える多数の有意な利点を提供する。
例えば、レーザー流束量に関連した問題(例えば、イオン遮蔽およびイオン加速電場崩壊に起因するピーク広幅化)が除去される。これは、脱離プルームのイオンが、TOF質量分析計への直交抽出および加速の前に拡大および冷却するのに長期間(代表的には、数ミリ秒)を有するからである。
さらに、直交抽出は、マトリックスのエネルギー吸収分子(EAM)の過度の中性物質(neutral)負荷により作出される化学ノイズに起因する高いレーザーエネルギーの従来の抽出スペクトルの始まりで異常に見られる大きなハンプおよびベースラインのほとんどを除去する。中性物質(neutrals)は、TOF分析器に侵入するように抽出されないので、イオンのみが検出器に伝達され、化学ノイズは、認識される程度に減少する。
これらの要因は、平行の連続的なイオン抽出アプローチまたは遅延イオン抽出アプローチの間に通常使用されるものの2〜3倍のレーザー流束量の使用を可能にする。正味の結果は、乏しいサンプル−EAM均質性の存在下ですら「スイートスポット」について捜索および検索する必要性をほとんど完全に除去し、そして外部標準質量精度決定が改善され(代表的な誤差は、20〜50ppmである)、定量再現性が改善され、シグナル対ノイズが改善される。
さらなる利点は、広いm/z範囲のイオンを分析するために低レーザーエネルギー走査および高レーザーエネルギー走査を実施する必要性を取り除くことである。単一レーザー流束量は、低mwのイオンおよび高mwのイオンの両方を見るために使用され得、未知の混合物の分析を大いに簡易化する。
おそらく、従来の平行抽出アプローチと比較した場合の直交抽出の最も印象的な利点の1つは、この直交抽出が平行抽出デバイスの厳密なサンプル位置づけ要求を取り除くことができることである。TOF測定がイオン形成プロセスから実質的に除去されるので、イオンの元の位置はもはや重要ではない。優れた外部標準質量精度遂行をなお維持しながら、簡易な二次元サンプル操縦器が使用され得る。
しかし、平行イオン抽出幾何学(これは、イオンが、TOF分析および検出前に10〜300マイクロ秒の程度でのみ生存する必要がある)とは対照的に、直交加速TOFは、TOF分析および最終的な検出前に少なくとも2〜3msecの間生存しなければならないイオンの形成を必要とする。Krutchinksyら、Rapid Commun.Mass Spectrometry,12:508−518(1998);Chernushevichら、「Orthogonal−Injection TOFMS for Analyzing Biomolecules」,Anal.Chem.71,452A−461A(1991年7月1日)を参照のこと。
本発明者らは、イオン安定性における有意な改善(OA−QqTOFタンデム質量分析計を用いて実施される実験において感度および相対イオン収量における劇的な改善が伴った)は、タンデム質量分析の第一のRF四重極へのイオン導入前に、レーザー脱離/イオン化プローブのレーザー応答面で直接的に衝突冷却を生じさせることにより、達成され得ることを見出した。驚くべきことに、この効果は、脱離表面に周囲圧力の変化を必要とすることなく達成されるようである。
従って、第一の局面では、本発明は、即時のポストソース衝突冷却を組み込んだ分析機器を提供する。第二の関連した局面では、本発明は、このような即時のポストソース衝突冷却を包含する分析方法を提供する。
OA−QqTOF質量分析計の第一の四重極イオンガイドにおけるレーザー脱離イオンの衝突冷却が記載されている。
例えば、WO99/30351は、質量分析計にESI源を連結する四重極イオンガイドにおける衝突冷却が、初期速度の減衰後に四重極軸上のイオンの集束を容易にすることを教示する。
別の例として、図1は、Lobodaら、Rapid Communic.Mass Spectrom.14:1047−1057(2000)に記載のように、マトリクス補助レーザー脱離/イオン化(MALDI)源を受容するように適合された直交加速タンデム四重極/飛行時間質量分析計の概略図である。
このデバイスでは、サンプルは、真空ロック82を介して挿入されたMALDIプローブ80のチップ上に導入される。プローブチップ84は、RF四重極イオンガイド86の入り口から約4mmの位置にあり(「q0」)、そして接地を約30〜200V上回る電位で保持される。図1に示されるように、この領域における圧力は、代表的には、約10mTorrの程度であり、この圧力は、出口88に伝達可能に装着されたポンプによって維持される。q0に存在するバックグラウンドガスは、プローブチップ84から脱離され、そしてイオン化されたイオンの衝突冷却を行うのに十分である。
このデバイスのq0における衝突冷却は、四重極質量フィルタ「Q1」への導入およびTOF質量分析計90への続く直交注入に適した半径方向速度分布および軸方向速度分布の減少を伴って、パルス化MALDIビームを準連続ビームに変換することが認識されている。Lobodaら、Rapid Communic.Mass Spectrom.14:1047−1057(2000)。
本発明者らは、衝突冷却における有意な改善は、q0からレーザー脱離プローブを伝達可能に分離し、そしてそのように定義された分離間隙に冷却ガスを導入することにより達成され得ることを見出した。
図2は、レーザー脱離イオン化源13、プローブインターフェース10、およびタンデム質量分析計14を備える分析機器100を示す。
プローブインターフェース10は、プローブ16とタンデム質量分析計14との間にバルクヘッド42を挿入することにより、プローブ16をタンデム質量分析計14から分離する。バルクヘッド42(図1のデバイスにおいては対応物がない)は、プローブ16とタンデム質量分析計14との間のイオン流動連結を可能にする開口部を有する。
示されるようなプローブインターフェース10は、親和性捕獲レーザー脱離/イオン化プローブ(例えば、ProteinChip(登録商標)Arrays(Ciphergen Biosystems,Inc.,Fremont,CA))を係合し、そして位置付けするように特に適合される。他の実施形態では、プローブインターフェース10は、標準的なMALDIプローブを係合および位置付けするように適合され得る。
図1に示されるデバイスと同様に、q0衝突冷却は、図2に示されるデバイスにおいて行われ得る。
図2を参照すると、タンデム質量分析計14の第一の四重極46(q0)を囲むチャンバ20における圧力は、約10mTorrの程度であり得、この圧力は、出口50に伝達可能に装着されたポンプによって維持される。10mTorrで、バックグラウンドガスは、プローブ16からの脱離およびイオン化されたイオンのq0において衝突冷却を行うのに十分である。
上述したように、バルクヘッド42の開口部は、プローブ16とq0との間のイオン伝達を可能にし、そしてガス圧の平衡を、プローブインターフェース10とタンデム質量分析計14の間隙20との間と等しくなるようにすべきである。
しかし、驚くべきことに、圧力がバルクヘッド42における開口部を横断して平衡化することができるにもかかわらず、本発明者らは、感度および相対イオン収量における有意な改善が、q0にではなく、バルクヘッド42とプローブ16のレーザー応答面との間に定義された間隙に冷却ガスを導入することにより行われ得ることを見出した。
図3は、本発明によるデバイスの側面断面図であり、特に、プローブインターフェース10およびタンデム分光器14の接合部を示す。
プローブ16は、プローブホルダ40に係合されて示され、このプローブホルダそれ自体がバルクヘッド42に密に係合されて示され、これは、この側面断面図において2回挟まれている。そのように係合されているので、プローブホルダ40、プローブ16、およびバルクヘッド42は、チャンバ44を規定し、境界を定める。
しかし、チャンバ44は、完全に囲まれていない。バルクヘッド42は、チャンバ44とチャンバ20との間をイオンおよびガスが流れることを可能にする中央の開口部を有し、後者のチャンバは、タンデム質量分析計14の第一の四重極46(q0)を含む。
レーザー脱離源13からのレーザー光の経路40もまた示される。
有用なことに、バルクヘッド42は、イオン収集アセンブリの第一要素を形成し得、このイオン収集アセンブリは、プローブインターフェース10の脱離チャンバ内で脱離されたイオンを収集し、そしてこれらのイオンを質量分析計入口に向けるように機能する。
このような実施形態において、バルクヘッド42は、質量分析計のプローブ16と第一四重極46(q0)との間で、プローブ16のレーザー応答面から0.2mm〜4mmの間で配置された抽出器レンズである。抽出器レンズは、直径2mm〜20mmの範囲の開口部を備え、この開口部は、脱離位置の中心から質量分析計入口の中心へと延びる垂直軸の周りに、同軸に位置づけられる。
これらの実施形態において、プローブ16およびホルダ40は、集合的に、イオン収集アセンブリの第二要素を形成し得る。独立したDC電位が、静電アセンブリの第一および第二の要素に適用されて、プローブから静電(抽出器)レンズの開口部に向けて、イオン流を駆動する。
プローブ16のレーザー応答面とバルクヘッド(代表的には、静電レンズ)42との間のチャンバ44に冷却ガスを直接送達するための手段もまた、示される。示される実施形態において、ガス送達手段は、チューブ48を備え、このチューブ48は、プローブホルダ40を介して嵌合された、1/4インチのOD、1/16インチのIDのチューブである。
ガスは、大気ガス、調整(conditioned)大気ガス、窒素、およびアルゴンのような希ガスからなる群より選択される。大気ガスの調整としては、例えば、水分トラップを使用する水分の除去および/または種々の孔隙率の1つ以上のフィルタを使用する粒状物の除去が挙げられ得る。
イオン集団の、この供給源直後の冷却または減衰は、q0衝突冷却と、3つの主要な利点を共有する。
第一に、冷却は、脱離されたイオンの最初のエネルギー分布を除外し、そしてその熱エネルギーを近似する点まで、その総エネルギーを低減させる。このことは、直交抽出要件を単純化し、イオン位置およびエネルギーにおけるバリエーションを補償し、従って、最終的な分解能を改善する。この分解能の改善の直接的な結果は、低いppmレベルまで下がる、増強された質量精度である。
衝突冷却の第二の利点は、質量分析計へのイオンの偽連続流入の生成中に存在する。q0でのイオン衝突は、q0の軸に沿って脱離雲を広げる。この広がりは、種々の脱離事象由来のイオンが重複し始める状況を生み、分析計へのイオンの電気スプレー様の連続的な導入を生成する。
衝突冷却の第三の主要な利点は、プローブ表面または第一の四重極イオンガイド46(q0)のいずれであれ、長期のイオン減衰の速度を低減させるその能力である。ガス衝突は、内部励起を緩和し、そしてペプチドイオンおよびタンパク質イオンの安定性を改善する。より速い減衰機構(即発性かつインソース(in−source)型の減衰)が、なお生じる。
しかし、RFイオンガイド46(q0)におけるイオン冷却とは対照的に、チャンバ44への冷却ガスの直接的導入は、感度および相対的イオン収量における劇的な改善を付与する。
図4Aは、図2に従う分析機器を使用した、親和性捕獲プローブから脱離したペプチド混合物のOA−QqTOF MS走査である。比較として、図4Bは、本発明の分析機器を使用して獲得された、図4Aにおいて分析したのと同じペプチド混合物のOA−QqTOF MS走査であり、ここで、冷却ガスは、図3に示されるように、チャンバ44に直接送達される。
容易に見られるように、イオン994、1268、1482、1571、1773および2722についての感度および相対的イオン収量において、顕著な増加が存在する。理論によって束縛されることを意図せずに、これらの改善は、イオンのより直ぐの冷却から生じ、従って、引き続いてそれらの安定性を改善すると考えられる。イオンをq0へと引き込む静電レンズの開口部を介した、親和性捕獲プローブ表面からの、導入されたガス流としてのイオンの空気力収集によって、二次的な利点が生じ得る。
驚くべきことに、感度およびイオン収量の増加は、q0におけるイオン導入と比較して、プローブ応答面の周りの全圧を必ずしも変えずに得られる。
ガスは、少なくとも約1ミリトルかつ約1トル以下、代表的には少なくとも約5ミリトル、しばしば少なくとも約10ミリトル、しばしば少なくとも約10ミリトル、20mトル、30mトル、40mトルおよび少なくとも約50mトルさえ、かつ、しばしば750mトル以下、しばしば約500mトル以下、400mトル以下、300mトル以下、250mトル以下、そしてさらに約100mトル以下の平衡圧力まで、チャンバ44に導入される。
上記のように、図4Aおよび4Bの両図に示されるデータは、親和性捕獲プローブを使用するために適合されたOA−QqTOF MSを使用して得た。
「親和性捕獲プローブ」(「レーザー脱離/イオン化親和性捕獲プローブ」も同様)は、プローブが不均一な混合物から分析物を抽出および濃縮することを可能にするのに十分な相互作用によって分析物に結合する、レーザー脱離/イオン化プローブをいう。純粋にまで濃縮する必要はない。結合相互作用は、代表的に、プローブの吸着表面への分析物の吸着によって媒介される。用語「ProteinChip(登録商標)Array」は、本発明において使用するための、Ciphergen Biosystems,Inc.、Fremont、Californiaから市販される親和性捕獲プローブをいう。
しかし、本発明の分析機器は、親和性捕獲プローブを使用するために適合された機器には限定されない;本発明の分析機器は、標準的なMALDIプローブを受容および位置付けするために適合されたプローブインターフェースを容易に備え得る。
さらに、図4Aおよび4Bに示されるデータは、OA−QqTOF MOSタンデム質量分析計を使用して得たが、本発明の分析機器としては、他の型のタンデム質量分析計(四重極−TOF MS、イオントラップMS、イオントラップTOF MS、TOF−TOF MSおよびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴MSからなる群より選択されるタンデム質量分析計を含む)が挙げられ得る。
第二の局面において、本発明は、レーザー脱離/イオン化プローブ上に存在する分析物を分析する方法を提供し、この方法は、本発明の分析機器を使用する。第一の実施形態において、この方法は、分析物を脱離およびイオン化する工程;脱離されたイオンをタンデム質量分析計に導入する工程;ならびに、次いで、導入されたイオンの少なくとも1つまたは少なくとも1つのそのフラグメントについて、質量分析を実施する工程、を包含する。これらの工程の前に、プローブは、プローブ上に存在する分析物の脱離およびイオン化のために、そして同時に、タンデム質量分析計へのバルクヘッドの開口部を介したイオン流入のために、最初に位置付けられる。その後、脱離およびイオン化の前に、ガスは、これらのプローブ間に直接導入される。
脱離およびイオン化は、レーザースポットを用いて、プローブの質量分析計に近い表面で応答することによってもたらされ、このレーザースポットは、レーザー光学縦列によって、レーザー源からプローブ表面へと向けられる(例えば、図2のレーザー光学縦列11を参照のこと);このレーザー光学縦列は、プローブ表面の所望の位置に、所望の大きさおよび流束量のビームを集中させる。
従って、この方法は、代表的に、レーザー脱離イオン化供給源に対して応答可能な関係でプローブを位置づけ(代表的には、レーザー光学縦列に関してプローブを位置づける)、そしてバルクヘッドの開口部を介した、タンデム質量分析計へのイオン流入のためにプローブを同時に位置づけることによって、開始される。このことは、プローブインターフェース10において、プローブホルダ40へとプローブ16を取り外し可能に係合することによって、有用にもたらされる。
次いで、プローブホルダ40は、有用に、プローブホルダ16とタンデム質量分析計14との間に挟まれたバルクヘッド(代表的には、静電レンズ)42に、密封して係合され得、こうしてチャンバ44を規定し、そしてプローブ16のレーザー応答面と、プローブホルダ40と、静電レンズ42との間に形成されたチャンバ44に、ガスが直接導入される。
上記のように、タンデム質量分析計は、四重極TOF MS、イオントラップMS、イオントラップTOF MS、TOF−TOF MS、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴MSからなる群から選択され得、有意な利点は、OA−QqTOF質量分析計の使用によって達成される。下記でさらに記載されるように、ガスは、大気ガス、調整された大気ガス、窒素および希ガス(例えば、アルゴン)からなる群から選択され得る。大気ガスの調整は、例えば、水分トラップを使用する水分の除去および/または種々の孔隙率の1つ以上のフィルタを使用する粒子の除去を含み得る。
ガスは、チャンバ44中に、少なくとも約1ミリTorrかつ約1Torr以下の平衡圧まで、代表的には少なくとも約5ミリTorr、しばしば少なくとも約10ミリTorr、しばしば少なくとも約10ミリTorr、20mTorr、30mTorr、40mTorr、およびさらに少なくとも約50mTorr、そしてしばしば約750mTorr以下、しばしば約500mTorr以下、400mTorr以下、300mTorr以下、250mTorr以下、およびさらに100mTorr以下まで、導入される。
レーザー脱離イオン化プローブは、標準的なMALDIプローブまたは親和性捕獲プローブであり得る。この親和性捕獲プローブは、「クロマトグラフィー吸着表面」または「生体分子親和性表面」を有し得る。「クロマトグラフィー吸着表面」とは、分析物の間のクロマトグラフィー分別または分析物のクロマトグラフィー分離が可能な吸着剤を有する表面を意図する。従って、この句は、その用語がクロマトグラフィーの分野で理解されているような、アニオン交換部分、カチオン交換部分、逆相部分、金属親和性捕獲部分、および混合様式吸着剤を有する表面を包含する。「生体分子親和性表面」とは、特異的に結合し得る生体分子またはそれらの模倣物を含む吸着剤を有する表面を意図する。
本発明の方法は、多種多様な生体分子(タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、脂質および糖質を含む)の質量分析計分析のための利点を提供する。
本発明の分析機器および方法におけるレーザー脱離/イオン化の前に、分析物が付着するプローブが、エネルギー吸収分子と接触される。
「エネルギー吸収分子」およびその等価な略語の「EAM」とは、プローブに付着した場合、レーザー脱離イオン化源からのエネルギーを吸収し得、その後このプローブとの接触において、分析物の脱離およびイオン化に寄与し得る分子をいう。句は、米国特許第5,719,060号、同第5,894,063号、同第6,020,208号および同第6,027,942号においてこのように呼ばれる全ての分子を含み、これらの米国特許の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。この句は、明確に、ケイ皮酸誘導体、シナピン酸(sinapinic acid)(「SPA」)、シアノヒドロキシケイ皮酸(「CHCA」)およびジヒドロキシ安息香酸を含む。
マトリクス/分析物共結晶を作製するために使用されるエネルギー吸収分子の組成は、吸着イオンの安定性(例えば、初期熱エネルギーおよび初期速度)に寄与し得る種々のパラメーターに影響を与えることが、以前に示唆されている。さらに、本発明者らは、マトリクス/分析物共結晶内の不純物(例えば、外来金属、界面活性剤および塩)が、これらの不純物を含まない共結晶系と比較した場合、増加した単分子崩壊を生じることを観察した。
本発明者らは、低融点EAMと、アルカリ金属を捕捉し得る分子とを組み合わせることは、驚くほど優れたレーザー脱離イオン化マトリクスを提供することを発見した。これは、直交抽出質量分光法において特に有用であることを示し、この直交抽出質量分光法は、平行(軸方向)抽出MSが示すよりストリンジェントなイオン安定性についての要件を示し、そして親和性捕獲プローブを使用した場合に特に有用であり、これは標準的なMALDIプローブが生成するよりホットなイオンを生成する傾向がある。
図5Aは、親和性捕獲プローブに吸着され、そしてその上で、標準的なEAMであるα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸と共に結晶化された不安定なペプチド混合物のOA−QqTOF走査を示す。図5Bは、同じペプチド混合物であって、類似の親和性捕獲プローブに吸着され、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン(低融点EAM)およびクエン酸水素二アンモニウムの混合物と共に結晶化されたペプチド混合物のOA−QqTOF走査を示す。感度の改善は、直ちに明らかである。
従って、第3の局面において、本発明は、レーザー脱離イオン化質量分光法による、分析のために分析物を調製する方法を提供し、この方法は、分析物を、親和性捕獲レーザー脱離/イオン化プローブに吸着させる工程;次いでこの分析物を、(i)低融点エネルギー吸収分子、および(ii)アルカリ金属を捕捉し得る分子で共結晶化する工程、を包含する。
表1は、いくつかのEAMマトリクスの融点および初期吸着速度を示す:
Figure 2005510842
従って、本発明のこの局面の一実施形態において、EAMは、約210℃以下の融点を有し、従って、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸の使用を排除する。さらなる実施形態において、EAMは、約200℃以下、約190℃以下、180℃以下、約170℃未軟、そしてさらに約160℃未軟の融点を有する。この後者の実施形態において、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸および2,5−ジヒドロキシ安息香酸の両方が排除される。現在好ましい実施形態において、エネルギー吸収分子は、2,6−ジヒドロキシアセトフェノンである。
共結晶はさらに、アルカリ金属除去剤(例えば、有機酸のアンモニウム塩)を含む。
現在、クエン酸水素二アンモニウムを、2,6−ジヒドロキシアセトフェノンとの混合物で使用することが特に好ましい。このマトリクスは、1.0Mのクエン酸水素二アンモニウムと10:1で混合された、50/50の水およびアセトニトリルの溶液中100mMの2,6−ジヒドロキシアセトフェノンから構成される。
本発明のさらなる局面において、改良されたマトリクスは、増大した感度を有する分析方法を提供するために、即時ポストソース衝突冷却と組み合わされる。
本発明のこの後者の局面において、この方法は、分析物を、親和性捕獲レーザー脱離/イオン化プローブに吸着させる工程;この分析物を、(i)低融点エネルギー吸収分子および(ii)アルカリ金属を除去し得る分子と共結晶化する工程;このプローブを、レーザー脱離イオン化源に対して応答可能な関係で位置決めし、同時に、バルクヘッドの開口部を通るイオンの流れが、タンデム質量分析計に入るように位置決めする工程;ガスを、この位置決めされたプローブとタンデム質量分析計との間に直接導入する工程;および次いで、この導入されたイオンの少なくとも一種またはその少なくとも1種のフラグメントに対して、質量分光分析を実施する工程、を包含する。
本明細書中で記載される全ての特許、特許公開および他の公開された参考文献は、その各々が個々にかつ詳細に本明細書中に参考として援用されているかのように、その全体が本明細書中に参考として援用される。
特定の例が示されているが、上記の記載は例示的であり、制限的ではない。前記の実施形態の特徴の任意の1つ以上が、本発明における任意の他の実施形態の特徴の1つ以上と、任意の様式で組み合わされ得る。さらに、本発明の多くの改変が、本明細書を読んだ当業者に明らかである。従って、本発明の範囲は、上記の記載を参照して決定されるべきではなく、その代わり、等価物の全範囲と共に添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
図1は、MALDI源を備える、従来技術のOA−QqTOF質量分析計の概略図である。 図2は、タンデムMSの第一の四重極イオンガイドから、プローブを連絡可能に分離するプローブインターフェースを有する、OA−QqTOF質量分析計の概略図である。 図3は、本発明による分析機器のプローブインターフェースおよび第一のRFイオンガイド(q0)の、側面断面図である。 図4Aは、q0で衝突冷却を行って、図2による分析機器を使用して、親和性捕獲プローブから脱離したペプチド混合物の、OA−QqTOF MS走査である。 図4Bは、即時のポストソース衝突冷却を用いて、図3による本発明の分析機器を使用して、親和性捕獲プローブから脱離した、図4Aにおいて分析されたものと同じペプチド混合物の、OA−QqTOF MS走査である。 図5Aは、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸をマトリックスとして使用した、ペプチド混合物の、OA−QqTOF MS走査である。 図5Bは、2,6−ジヒドロキシケイ皮酸およびクエン酸水素二アンモニウムの混合物をマトリックスとして使用した、図4Aにおいて分析したものと同じペプチド混合物の、OA−QqTOF MS走査であり、改善された感度を示す。

Claims (34)

  1. 分析機器であって、以下:
    レーザー脱離イオン化源;
    プローブインターフェース;および
    タンデム質量分析計、
    を備え、ここで、該プローブインターフェースは、バルクヘッドを備え、そして該プローブインターフェースは、レーザー脱離イオン化プローブを、該レーザー源と応答可能な関係で配置し得、同時に、イオンが、該バルクヘッドにおける開口部を通って該タンデム質量分光計に流れ、そして
    ここで、該プローブインターフェースは、このように配置されたプローブのレーザー応答面と、該バルクヘッドとの間で、ガスを導入するための手段をさらに備える、分析機器。
  2. 前記プローブインターフェースが、プローブホルダをさらに備え、該プローブホルダは、レーザー脱離/イオン化プローブと係合し得、そして該プローブを、前記レーザー源と応答可能な関係で配置し得、同時に、イオンが、前記バルクヘッドを通って前記タンデム質量分析器へと流れ込み、そして該ガス導入手段は、該プローブホルダと該バルクヘッドとの間にガスを導入し得る、請求項1に記載の分析機器。
  3. 前記バルクヘッドが、静電レンズである、請求項2に記載の分析機器。
  4. 前記プローブホルダが、前記静電レンズの表面と密着して係合し得、前記ガス導入手段が、該密着して係合したプローブホルダと静電レンズとの間にガスを導入し得る、請求項3に記載の分析機器。
  5. 前記プローブホルダ内に係合したプローブをさらに備える、請求項4に記載の分析機器。
  6. 前記プローブが、親和性捕獲レーザー脱離イオン化プローブである、請求項5に記載の分析機器。
  7. 前記プローブホルダの、前記静電レンズへの密着係合が、該プローブホルダ、該プローブのレーザー応答面、および前記静電レンズと境界を接する空間を規定し、前記ガス導入手段が、該境界を接する空間内にガスを導入し得る、請求項5に記載の分析機器。
  8. 前記タンデム質量分析計が、四重極−TOF MS、イオントラップMS、イオントラップTOF MS、TOF−TOF MS、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴MSからなる群より選択される、請求項1に記載の分析機器。
  9. 前記タンデム質量分析計が、四重極−TOF MSである、請求項8に記載の分析機器。
  10. 前記四重極−TOF MSが、直交加速四重極−TOF MSである、請求項9に記載の分析機器。
  11. 前記タンデム質量分析系が、直交加速四重極−TOF MSである、請求項7に記載の分析機器。
  12. レーザー脱離/イオン化プローブ上に存在する分析物を分析する方法であって、該方法は、以下:
    該分析物を脱離およびイオン化する工程;
    該脱離したイオンを、タンデム質量分析計に導入する工程;ならびに次いで、
    該導入されたイオンの少なくとも1つ、またはその少なくとも1つのフラグメントに対して、質量分析を実施する工程、
    を包含し、ここで、該プローブは、まず、該プローブ上に存在する分析物の脱離およびイオン化のため、ならびに同時に、該タンデム質量分析系内へとイオンを流すために配置され、次いでガスが、該プローブ間に直接導入される、方法。
  13. 前記脱離およびイオン化が、レーザー脱離イオン化源によって実施される、請求項12に記載の方法。
  14. 先行する以下の工程:
    前記プローブを、前記レーザー脱離イオン化源と応答可能な関係で配置し、同時にイオンを、バルクヘッドの開口部を通して前記タンデム質量分析計へと流入させる工程;次いで、該プローブと該質量分析計との間に、ガスを直接導入する工程、
    をさらに包含する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記配置する工程が、前記プローブをプローブホルダに係合させる工程、次いで、該プローブホルダを、該プローブホルダと前記タンデム質量分析計との間で、バルクヘッドに密着させて係合させる工程を包含する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記タンデム質量分析系が、四重極−TOF MS、イオントラップMS、イオントラップTOF MS、TOF−TOF MS、およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴MSからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
  17. 前記タンデム質量分析計が、四重極−TOF MSである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記四重極−TOF MSが、直交加速四重極−TOF MSである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記ガスが、大気ガス、調整大気ガス、窒素、および希ガスからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
  20. 前記ガスが、少なくとも1ミリトルの圧力まで導入される、請求項12に記載の方法。
  21. 前記ガスが、1トル以下の圧力まで導入される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記ガスが、約10ミリトルの圧力まで導入される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記レーザー脱離/イオン化プローブが、親和性捕獲プローブである、請求項12〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記分析物が、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドである、請求項12〜22のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記分析物が、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドである、請求項23に記載の方法。
  26. レーザー脱離イオン化質量分析による分析のために分析物を調製する方法であって、該方法は、以下:
    該分析物を、親和性捕獲レーザー脱離/イオン化プローブに吸着させる工程;および次いで、
    該分析物を、(i)低融点エネルギー吸収分子、および(ii)アルカリ金属を捕捉し得る分子と共結晶化させる工程、
    を包含する、方法。
  27. 前記エネルギー吸収分子が、約210℃以下の融点を有する、請求項26に記載の方法。
  28. 前記エネルギー吸収分子が、約200℃以下の融点を有する、請求項27に記載の方法。
  29. 前記エネルギー吸収分子が、約160℃以下の融点を有する、請求項28に記載の方法。
  30. 前記エネルギー吸収分子が、2,6−ジヒドロキシアセトフェノンである、請求項29に記載の方法。
  31. 前記アルカリ金属スカベンジャーが、有機酸のアンモニウム塩である、請求項26に記載の方法。
  32. 前記アルカリ金属スカベンジャーが、クエン酸水素二アンモニウムである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記エネルギー吸収分子が、2,6−ジヒドロキシアセトフェノンである、請求項32に記載の方法。
  34. 分析物を分析する方法であって、該方法は、以下:
    該分析物を、親和性捕獲レーザー脱離/イオン化プローブに吸着させる工程;
    該分析物を、(i)低融点エネルギー吸収分子、および(ii)アルカリ金属を捕捉し得る分子と共結晶化させ、該分析物を、親和性捕獲レーザー脱離/イオン化プローブに吸着させる工程;
    該プローブを、該レーザー脱離イオン化源と応答可能な関係で配置し、同時に、バルクヘッドの開口部を通してタンデム質量分析計へとイオンを流入させる、工程;
    該配置されたプローブと、該タンデム質量分析計との間に、ガスを直接導入する工程;ならびに次いで
    該導入されたイオンのうちの少なくとも1つ、または該イオンの少なくとも1つのフラグメントに対して、質量分析を実施する工程、
    を包含する方法。
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