JP2005509654A - 血液の保存に有用な抗病原体組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
ヒトおよび動物のドナーからの血液製剤は治療、診断および実験目的のために幅広く使用されている。ヒトおよび動物のドナーからの血液製剤の使用に伴なう根強い問題は、これらの製剤が血行性ウイルスおよび細菌のような他の微生物による汚染にさらされていることである。特に脅威なのはB型肝炎ウイルス、非A、非B型肝炎ウイルスまたはウイルス群を含む様々な形態の肝炎を引き起こしそうなウイルスである。他に重要なのはサイトメガロウイルスおよびEBウイルスである。
全血および赤血球、血漿や血漿分画を含む血液製剤をウイルス、細菌および他の微生物を有意に不活性にするのに十分な程強力な消毒剤で消毒することは、病原体を不活性にするのに十分な程強力な活性剤が典型的に細胞の血液成分を損傷する、または血漿および血漿タンパク分画を不活性にするため一般に無視されている。さらに、輸血される血液製剤中に残留する消毒剤の存在は被輸血者にとって有害である。
血液製剤に使用される消毒剤の1つはβ−プロピオラクトンである。しかしながら、β−プロピオラクトンは知られているカルシノーゲンであり、そのため潜在的に非常に危険である。この物質が有意な残留量で実際に輸血される血液製剤中に残存する限り、プロピオラクトンの使用は潜在的に危険である。
および圧力への暴露による一般的な影響から傷つきやすい血液細胞および血中タンパクを十分に保護しない。
ヒト血液製剤を処理および消毒する方法を提供することが非常に望まれる。
全血、血液細胞、血漿タンパクおよび血漿を、診断、治療または研究のために安全かつ効果的に使用することができるように、これらを消毒する方法を提供することが非常に望まれる。
病原体、典型的にはウイルス、細菌、原生動物、真菌または寄生虫により引き起こされる病的状態を抑制するための血管系への適用法を提供することが非常に望まれる。
本発明の他の目的はヒト血液製剤を処理および消毒する方法を提供することである。
本発明の他の目的は全血、血液細胞、血漿タンパクおよび血漿を、診断、治療または研究のために安全かつ効果的に使用することができるように、これらを消毒する方法を提供することである。
本発明の他の目的は病原体、典型的にはウイルス、細菌、原生動物、真菌または寄生虫により引き起こされる病的状態を抑制するための血管系への適用法を提供することである。
本発明の好ましい抗病原体組成物はさらにビスグアニジン化合物を含有する。
本発明の好ましい抗病原体組成物において、第4アンモニウム化合物は2種またはそれ以上の第4アンモニウム化合物の混合物からなる。
表面は容器、フィルター、チューブ、シール、クランプ、移動レッグクロージャ、医療用具、手術台および診察台からなる群より選択される。
容器は生体液の容器または水の容器であってよい。
容器は血液または血液製剤の容器、例えば献血バッグまたはボトルである。
血液製剤は血漿、濃縮赤血球、多血小板血漿、濃縮血小板およびクリオプレシピテートからなる群より選択される。
本組成物はクリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、粉末、洗浄剤、石鹸、液体または固体の形態である。
医療用具は生体液の容器、例えば献血バッグまたはボトル;個体への送達前に血液または血液製剤が通過するインラインフィルター;および個体からの採血時に血液または血液製剤が通過するインラインフィルターである。
本発明の好ましい医療用具はさらに前記抗病原体組成物を分配するための多孔質媒体を含有する。
本発明によれば、試験管内または生体外で生体液中のヒト免疫不全ウイルスの感染または複製を阻害する方法であって、前記生体液を薬学的に許容しうる担体、例えばDMSOと組合せた有効に阻害する量のビス−グアニジン化合物またはその誘導体および少なくとも1種の第4アンモニウム化合物で処理することからなる前記方法が提供される。
a)前記赤血球を、消毒用組成物と、前記赤血球に存在する病原体を不活性にするのに十分な時間接触させ、ここで前記消毒用組成物は本質的に、消毒する濃度のビス−グアニジン化合物と、等張に有効な濃度の溶質の溶液からなり、それにより前記消毒用組成物は実質的に血液と等張であり、そして
b)前記血液細胞を前記消毒用組成物から単離する
工程からなる前記方法が提供される。
本発明の好ましい方法はさらに病原体を不活性にした後に本組成物を除去すること、または生体液を処理した後に本組成物を除去することを包含する。
本発明は血液成分の治療的輸血のために献血を処理するシステム、特に病原体のない、または病原体を不活性にした血液または血液成分を作成するための改良された方法および装置に関する。本発明はまた処理された生体液をその種々の成分に分離する生体液分離システムに関する。
のレベルを減少させる組成物および方法に関する。特に、本発明者らは赤血球組成物を第4アンモニウム化合物のような1種またはそれ以上の張力活性な界面活性剤を有する組成物中の、またはそれと一緒のビスグアニジン化合物に暴露することは、赤血球または他の血液成分に損傷を与えることなく、血液または血液製剤を輸血するべく十分に病原体を不活性にすることを見出した。
本発明は全血および血液製剤の効果的および安全な消毒を包含する。本発明は輸血用全血、血液細胞、血漿および血漿タンパクのようなすべての血液製剤に幅広く適用される。全血はめったに使用されないため、本発明は特に赤血球および/または血漿を含有する組成物を消毒する方法に関する。
本発明はまた、血液または血液製剤を本発明の1種またはそれ以上の化合物または活性剤を含有する組成物と接触させることを包含する血液または血液製剤を処理する方法であり、前記化合物は血液中の1種またはそれ以上の病原体を不活性にするのに十分で、そして本化合物による病原体の不活性化を可能にする量で存在する。本法はさらに血液または血液製剤から本化合物を除去することを包含することができる。
本発明はまた、移植に使用される組織および臓器のウイルス不活性化に応用することができ、皮膚または上皮疾患の治療あるいは局所的汚染除去のために局所用クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、粉末、液体、固体、洗浄剤または石鹸として使用することができる。
本発明はまた、特に生の、自力で生きられない、または弱毒化されたウイルス性ワクチンを産生する人間または動物に使用されるウイルス性ワクチンの製造において使用することができる。
本発明はまた、本発明の1種またはそれ以上の化合物を含有する血液の容器など、例えば血液または血液製剤の輸血バッグである。
本発明の最も好ましい態様において、活性剤として第4アンモニウム化合物を単独または混合物で含有する組成物は血液または血液製剤と混合され、血液を消毒するために使用される。本組成物は血液、血液製剤、生体組織および他の生体液を処理するのに効果的である。活性剤はウイルス、細菌、原生動物、寄生虫、真菌および他の病原体を含むがこれらに限定されない広範囲の病原体に対して有用である。最も好ましい組成物は1種またはそれ以上の第4アンモニウム化合物および場合によりビス−グアニジン化合物を含有する。
例えばDMSOを含むがこれに限定されない混合液中の上記化学薬品を包含する。好ましい活性剤はアルキルトリメチル第4アンモニウムクロルヘキシドリン(およびそれらのハロゲン化物);ジアルキルジメチルベンジル第4アンモニウムクロルヘキシドリンである。典型的な第4アンモニウム化合物はMarchisioらのJ. Biomater. Sci. Polymer Edn. 6, 533〜539 (1994年)およびCadwalladerらのJ. Pharm. Sci., 7, 1010〜1012 (1965年)に記載されており、これらは全体として参照により本明細書に加入される。
「生体組織」なる用語は移植に使用される皮膚および臓器を意味する。
本明細書で使用される「生体液」とは患者または患者の循環系に直接注入することができる液体を意味する。典型的な生体液には全血;抗凝固処理全血(AWB);AWBから得られる濃縮赤血球;AWBから得られる多血小板血漿(PRP);AWBまたはPRPから得られる濃縮血小板(PC);AWBまたはPRPから得られる血漿;血漿から分離し、生体液中で再懸濁した赤血球;および血漿から分離し、生体液中で再懸濁した血小板があるが、これらに限定されない。血液製剤または生体液には生体と関係がある何れかの処理または未処理液体、特に全血、温血、冷血、保存血液または新鮮血を含む血液;例えば塩水、栄養液および/または抗凝血剤溶液を含むがこれらに限定されない生理溶液で希釈された血液を含む処理血液;1種またはそれ以上の血液成分、例えば濃縮血小板(PC)、多血小板血漿(PRP)、血小板を含まない血漿、血小板の少ない血漿、血漿または濃縮赤血球(PRC);血液または血液成分由来、あるいは骨髄由来の類似血液製剤もまた含まれる。生体液は白血球を含有してもよく、または白血球を除去するために処理してもよい。本明細書で使用される「血液製剤または生体液」とは上記成分、さらに他の手段により得られる類似の特性を有する類似の血液製剤または生体液を意味する。本発明によれば、これらの血液製剤または生体液はそれぞれ本明細書で開示した方法で処理することができる。
するのに適しているものである。感染性病原体の量を減少させることは換言すれば全てまたは実質的に全ての感染性病原体を破壊および/または不活性化することを意味する。本発明の好ましい態様において、感染性病原体の量を減少させることは血液または血液製剤を輸血できるように、または他の形で使用できるように病原体を十分に破壊または不活性化することを意味する。
消毒剤組成物を血液または血液製剤と混合することは、血液または血液製剤および消毒剤組成物を適当な容器中で簡単に混ぜ合わせて、血液と消毒剤組成物の十分な相互作用を確実にするために軽く攪拌することにより行なうことができる。適当な容器には血液採取バッグおよび血液保存用具があるが、これらに限定されない。しかしながら、当該技術分野で知られている自動細胞洗浄装置を使用することが好ましく、それらはCobe社などのいろいろなメーカーから入手できる。
本発明はまた、血液または血液製剤を容器に採取し、場合により血液製剤、例えば血漿を除去または分離し、そして血液または血液製剤を血液または血液製剤中の病原体を不活性にするのに十分な量の活性剤を含有する組成物と接触させることからなる血液を採取お
よび処理する方法を包含する。
幾つかの追加容器は生体液処理システムとつながっており、別の流路を定めるために使用することができる。例えば、生体液を含有する追加のサテライトバッグは生体液処理システムとつないで配置することができる。
次の実施例を参照することにより本発明はより容易に理解されるが、該実施例は本発明を詳しく説明するためのものであって、その範囲を制限するものではない。
様々な実験法を使用してHIVの阻害についてビス−グアニジンを選別することができる。ある方法はヒト末梢血単核細胞(PBM)におけるウイルス複製の阻害を包含する。発生したウイルスの量は培地に存在するウイルス−コード化逆転写酵素(レトロウイルスで見られる酵素)の量を測定することにより定量される。他には、細胞を含まない系で精製逆転写酵素活性の阻害を測定することからなる方法がある。当業者に知られているスクリーニング法の例は下記でより詳細に説明される。
HIV−1およびBウイルス血清反応陰性のドナーからの細胞をFicoll−Hypaque不連続勾配遠心法により1,000回/gで30分間遠心することにより単離し、PBS中で2回洗浄し、そして10分間300回/gでペレット化する。感染前に、細胞を16.7μg/mlの濃度のフィトヘムアグルチニン(PHA)により、15%加熱不活性化ウシ胎仔血清、1.5mMのL−グルタミン、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)および4mM重炭酸ナトリウム緩衝液を補足したRPMI 1640培地中で3日間刺激する。
HIV−1(LAV−1株)はアトランタの疾病防疫センターから入手し、PHAを含まず、7%インターロイキン−2(Advanced Biotechnologies社、シルバースプリング、メリーランド州)、7μg/mlのDEAE−デキストラン(Pharmacia社、ウプサラ、スウェーデン)および370U/mlの抗ヒト白血球(α)インターフェロン(ICN, Lisle, III)を補足した上記のようなRPMI 1640培地を使用してPHA−刺激ヒトPBM細胞において増殖させる。ウイルスは細胞を含まない培養上清から得られ、使用するまで−70℃で一定量に分けて保存する。
T細胞で行なわれている細胞毒性の試験では、その培地は10%ウシ胎仔血清(BIO−LAB)、1%グルタミン(GIBCO)、1%抗生物質(PSN, GIBCO)を補足したRPMI 1640である。
ウイルス調製液の処理後に残留する感染強度の試験では、正常ヒトTリンパ球の培地(完全培地)は上記培地に10%インターロイキンII、ポリブレン(2mg/ml)およびヒト抗インターフェロン血清(1.2500 (M.A.Reyら), Biochem. Biophys. Res. Com., 121 126〜133(1984年))を加えたものである。
細胞毒性は未熟Tリンパ球系のCEM細胞クローンにおいて試験される。
感染力は、健康なヒトドナーの抹消血から得られ、Ficoll勾配法により分離されたTリンパ球において試験される。
リンパ球は1/500に希釈したフィトヘムアグルチニンP(PHA P)により3日間刺激し、完全培地で培養する。残留する感染強度を明らかにするために、芽球T細胞に、処理した、または処理していないウイルスを感染させる。
ウイルスはHIV−1に感染したCEM細胞の培養上清から得られる。このHIV−1に感染したTリンパ芽球状細胞はウイルス産生に使用される。
使用される上清物質の力価はウイルスの逆転写酵素活性(ATI)の定量分析後に評価される。
次の試験では上清物質を使用し、そのATIは1.8×106 cpm/mlであった。
T細胞に対する化合物の細胞毒性試験
細胞:1×106細胞/mlのCEMクローンの細胞懸濁液。
製剤:RPMI 1640培地による様々な希釈液は化合物のQAC, バルダック22(R)から調製される。
24ウェルの細胞培養プレートにおいて、0.5mlの各希釈液を0.5mlのCEMクローン(5×105細胞)の細胞懸濁液と一緒に培養器中、37℃でインキュベートする。
細胞増殖は細胞懸濁液を未処理細胞からなる対照と比較してトリプタンブルー(R)でカウントした後に評価される。
ウイルス溶液の調製:1mlのウイルス上清(ATI 1.8×106cmp/ml)を入れた数本のチューブを超遠心分離法により濃縮する。得られる残留ウイルスを無菌の再蒸留水中に作成したQACの様々な希釈液のそれぞれに、または水(未処理の対照ウイルス)に取る。
ウイルス調製液の処理:濃縮したウイルス調製液をすべて次の手順に従って処理する:
処理したウイルス試料:超遠心分離法により濃縮した残留ウイルスを100μlの各濃度の試験製剤(QAC)中で再懸濁し、10分間インキュベートする。
対照のウイルス試料:未処理の対照ウイルス:製剤の代わりに100μlの無菌の再蒸留水を使用する。
この10分間のインキュベーション後、各試料中に存在するウイルスをリンスし、12mlのRPMI 1640培地を加えて超遠心分離法により再び濃縮する。次に、残留ウイルスを1mlの完全培地に取り、正常ヒトTリンパ球に感染させるのに使用する。
各試料の感染力の測定:4×106正常ヒトTリンパ球を上記の処理した各ウイルス調製液または対照で感染させる。T細胞の感染は前記の方法(F.Barre Sinoussiらの“Science”, 220, 868〜871(1983年))に従って行なわれる:要約すると、1mlの完全培地で4×106細胞の懸濁液を1mlの処理した各ウイルス調製液または対照と一緒に37℃で1時間インキュベートする。
数ミリリットルの培地を使用して2回洗浄した後、細胞懸濁液を1×106細胞/mlの濃度に調整する。感染日を第0日とする。
対照細胞:すべての他の試料と同じ条件下で4×106Tリンパ球を培養し、3または4日毎に感染させる。
この対照は処理過程でのウイルス産生の陰性対照である。
時間経過中のウイルス産生は下記の方法を使用して培養上清に存在する逆転写酵素活性を測定することにより定量される。
この定量分析により初期試料中の非不活性化残留ウイルスの存在を評価することができる。それは2または3日毎に採取された1mlの培養上清および超遠心分離法に基づいて行なわれる。
酵素活性は50mMのトリス(pH7.8)、20mMのMgCl2、 20mMのKCl、2mMのジチオトレイトール、0.25OD/mlのオリゴdT、0.25OD/mlのポリrA、0.1%トリトンX100および2.5μCiの3H DTTPを含有する50μlの反応混合物中で測定される。
37℃で1時間インキュベートした後、10μlの0.2M EDTAを加えて反応を終了させ、試料をDE81膜に付着させる。
5% Na2HPO4、次に蒸留水を使用して数回洗浄した後、膜を乾燥し、βシンチレーション計数器(PACKARD社)により放射能を測定する。
表1はHIV−1ウイルスの感染力における種々の製剤によるウイルス試料の処理効果を示す。
B型肝炎ウイルスのB型肝炎ウイルス抗原(AgHB)の試験管内分解における作用:殺ウイルス剤+B型肝炎の患者から採取したヒト血清(1/1000)
残留B型肝炎ウイルスの抗原だけが試験したバルダック(R)−CHG混合物の識別を可能にする。
0.025%CHGと組合せた0.02%バルダック(R)は0.1%バルダック(R)と同程度の有効性があると考えられる。バルダック(R)は特にエラストマーに対して毒性であるため、この5分の1への減少は特にエラストマー材料に関連する本発明の組成物の使用において有意かつ重要である。
試験管内試験
実施した試験
ウイルス株:これはヘルペスウイルスホミニス1型の株、Bey株(HSV1)であり、ヒト線維芽細胞またはKB細胞で生かされており、どちらかのタイプの細胞で幾つかの重要な変化が生じている。
接種材料から殆んどの細胞残屑を除去する前遠心処理なしに、少なくとも80%の細胞が達した細胞変性効果が得られた後−80℃で凍結されたウイルスバッチが使用される;実際にウイルスの感染力は細胞外で非常に急速に消失し、その結果ウイルス粒子がまだ細胞残屑に存在しうるウイルスバッチを使用する場合は生体内感染の実態により近いものであると考えられる。
・10倍に希釈し、8個の培養管に希釈:106mlにより接種し、そして
・ペトリ皿(35mm)に培養物を接種し、液体培地中に放出されるウイルス粒子を中和するために抗−HSV1血清をその上澄みに加えることにより、ゾーンのカウントを可能にする(10-4に希釈した0.5mlのウイルス溶液を接種した皿1個あたり100〜150単位を形成するゾーン)。
細胞毒性のチェックは試験で使用される細胞培養物、すなわちヒト線維芽細胞に対する製剤に関して行なわれる。
細胞は10%ウシ胎仔血清を補足したダルベッコ培地で培養する;使用時に、細胞を洗浄し、同じ培地であるがウシ胎仔血清を含まない培地を使用する。
各試験製剤または各組成物について、10個の細胞培養管を使用し、製剤の接種後に培養管を3日間観察し続けた。
各製剤をそのままで、および10-1、10-2、10-3に希釈して連続的に使用し、1mlの栄養培地を含有する培養管に0.1mlの容量で加えた。
・バルダック(R)の0.04%溶液:10-3の希釈度では非毒性
・クロロヘキシジンジグルコネートの0.05%溶液:非毒性
活性の測定:0.2mlのウイルス懸濁液を0.2mlの試験化合物の何れかの希釈液と混合する。次に、製剤の活性を停止する10-4の割合で0.2mlの混合物を希釈する。この希釈した混合物を直径6cmのペトリ皿で培養したベロ細胞の層に1mlの容量で付着させる。
1時間吸着させた後、その上澄み液を取り除き、動物血清を含まないが、それに1%の1型ポリクローナルウサギ血清、抗ヘルペス型を加えた5mlの培地に代える。
これは細胞間ウイルスの増殖を妨げないが、感染した細胞の破壊中に液相に入る粒子を
中和する;第4〜5日の終わりに、油のスポットのように広がる細胞溶解ゾーンを肉眼で観察することが可能であり、それぞれ理論上、培養物に付着させたウイルス希釈液に存在する“ゾーン形成単位”(UFP)の増幅に相当する。ゾーン形成単位は感染する粒子またはウイルス粒子とおおよそ同等であると評価することができる。
0.2mlの非希釈ウイルス懸濁液を0.2mlの2種の次の混合物とそれぞれ混合する:
・0.04%バルダック(R)+0.05%CHG(ジグルコネート)
・0.02%バルダック(R)+0.025%CHG
1、5および15分間のインキュベーション後、一滴の混合物を5個の培養管に接種し、5日間観察し続ける。
対照として、混合物の代わりに希釈したウイルスを同様に培地に接種する。
ウイルス懸濁液に浸した針で筋肉注射した、または感染した(すなわちウイルス懸濁液に浸した)針が下記(実施例8、試料1)のようなラテックスで被覆されたマイクロカプセルを通過した後に注射したヌードマウスで試験を行なった。針がマイクロカプセルを通過する注射の場合に極めて有意で即効性の動物感染が可能であることがわかった。
操作手順はヘルペスウイルスに適した培地を使用することを除けば実施例8と同様である。
試験1
材料
試験した微生物
・参照菌株:
・緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)CIP A22
・大腸菌(Escherichia coli)CIP 54127
・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)CIP 5314 オックスフォード株
・院内感染菌:
・緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
・大腸菌(Escherichia coli)
・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
・プロテウス ブルガリス(Proteus vulgaris)
・カンジダ アルビカンス(Candida albicans)
ミリポア膜:HAE P047SO(0.45μm)
ミューラー ヒントン2ゲロース:4 3301(Biomerieux社)
無菌のアピロジェニック(apyrogenic)蒸留水(biosedra)
菌株の維持
各菌株を使用前にミューラーヒントンゲロースで二次培養を24時間毎に3回行なった。
接種菌の調製
・初期細菌懸濁液:A
細菌単離に基づいて調製した。それはMcFarlandスケールにおいてポイント1と同等の
不透明度に相当する。それは最終試験で使用される。
・対照および予備試験に使用される懸濁液:B
それは懸濁液Aを10-6まで連続希釈することにより調製される。
対照グループ
1mlの懸濁液Bを“全体として”ミューラーヒントンゲロースに接種する。
対照ろ過カウント
1mlの懸濁液Bをミリポア膜上でろ過し、50mlの蒸留水で洗浄する。
37℃で24時間後にコロニーの計数。
4種の各殺菌混合物および各菌株について、次の試験を行なった:
・1mlの殺菌混合物のろ過
・洗浄(50mlの蒸留水で2回)
・1mlの懸濁液Bのろ過
・50mlの蒸留水を使用してリンス
・37℃で24時間後に膜上のコロニーの計数
最終試験
2倍濃度の各殺菌混合物を1、5および10分間、1mlの懸濁液Aと接触させ、次にろ過する。
予備試験で定義された洗浄工程後、膜を37℃で25時間放置する。
結果の解釈
採用した方法では、殺菌を目的とする混合物は所定の接触時間後に接種菌を少なくとも5対数まで減少させた場合、殺菌性があるとみなされる。
この効果は最終試験膜についてコロニーの数を同じ菌株および同じ混合物に対応する予備試験で観察されたものと比較してカウントすることにより確認される。
1分間の接触では、試験したすべての菌株について有効な混合物はなかった。しかしながら、混合物No.2はプロテウスブルガリス(Proteus vulgaris)だけが不感受性であると考えられるため最も有効である。
5分間の接触では、混合物No.2は有効であるとみなされるが、製剤に抵抗する同一株のプロテウスブルガリス(Proteus vulgaris)に対しては、5分後でさえ有効ではない。
10分間の接触では、混合物No.1および2は試験したすべての菌株について満足のいく結果を与える。
次の溶液に基づいて別の試験を行なった。
・100mlの0.1%クロロヘキシジンジグルコネート溶液(pH6);および
・100mlの0.1%バルダック22(R)溶液
単独の、または組合せたこれらの溶液の活性は特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC 6538、大腸菌(Escherichia coli)ATCC 11229およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)ATCC 10231に関して試験した。
試験は1981年1月1日時点で「Tichtlinien fuer die Pruefung und Bewertung chemischer Desinfekutionsverfahren der DGHM/Guidelines for Testing and Evaluating Chemical Disinfection Processes of DGHM」の第I章/2.1および2.2に記載の手順に従って行なった。
A:3%ツイーン(R)80+0.3%レシチン+0.1%システイン
B:3%ツイーン(R)80+3%サポニン+0.1%システイン+0.1%ヒスチジン
C:3%ツイーン(R)80+0.3%レシチン+0.1%ヒスチジン+0.5%チオ硫酸ナトリウム
これらの表において、記号の“+”は増加を示し、記号の“−”は増殖がないことを示している。
手順
種々の精子試料(1試料あたり1滴の精子)は健康なボランティアから得られる。
活力の測定
1滴の精子をエオシン−ニグロシンにより処理する。次に、塗抹標本を作製し、100個の精子を顕微鏡で検査する。死んだ細胞を完全にまたは部分的に赤に着色する。生きている細胞は無色である。
試験した物質
試験した物質はバルダック(R)およびクロロヘキシジンジグルコネートであり、単独で本発明に従ってまたは組合せて試験した。手順のいろいろな段階を表XV〜XVIIに示す。
種々の物質および精子の最大接触時間は使用条件下で本法の有効性を保証するために3分間に限定された。精子中の活性溶液の濃度は粘膜に関して製剤の毒性のリスクを下げるために10%に制限された。
照明から離れた位置にあるプラスチックバイアル中、室温(20℃±1℃)ですべての混合物を重量/重量百分率で調製した。
これらのバイアルの毎日の観察により白色沈殿物の存在が検出されるかどうかを決定した。これは(沈殿が生成する場合)多数のバイアルの残留物だけでなく、液体でぬれた内壁にも存在する。
試験は第1段階において、様々な濃度の活性成分の水溶液について行なったが、2種の活性成分(バルダック(R)およびクロロヘキシジンジグルコネート)の混合物については等比(50/50)のものを用いた:
・活性成分の30%溶液−24時間で沈殿した。
・活性成分の20%溶液−24時間で沈殿した。
・活性成分の10%溶液−24時間で沈殿した。
・活性成分の5%溶液−24時間で沈殿した。
・活性成分の1%溶液−24時間で沈殿した。
第2段階において、活性成分の濃度を10%および20%に固定したが、2種の活性成分の割合を変えた。
水について示した割合での溶解は2種の製剤をグリセロール中に溶解する場合と同じである。
物質および方法
ポリビニルまたはラテックスクロスに含まれる2種のマイクロカプセル試料:
試料1:本発明の組成物を含有し、PVDCに含まれるマイクロカプセル。マイクロカプセルを覆うクロスの厚さは約500μmであり、クロスの全厚は約1300μmであり、針(0.5×16mm)でクロスを引き裂いた後に得られる消毒剤の量は約1.5μgである;
試料2:試料1と同じタイプの本発明の組成物を含有し、EVAに含まれるマイクロカプセル。マイクロカプセルを覆うクロスの厚さは約500μmであり、針(0.5×16mm)でクロスを引き裂いた後に得られる消毒剤の量は約0.4μgである。
菌株をCSL培地(Merck社)において37℃で24時間培養し、次に10-3〜10-6の希釈液を0.9%塩化ナトリウム溶液で調製する。
得られる様々な培養物(希釈および非希釈)をそれぞれ1mlずつ9mlの不活性化ヒト血清プールに加える。試験溶液1mlあたりの微生物の数を次の表XXに記載する。
3種類の針を使用した:0.7×30mm(22G×1/4インチ, Terumo社)、0.5×16mm(25G×5/8インチ, Terumo社)、0.3×13mm(30G×1/2インチ, Microlance, Becton Dickinson社)。
これらの針を1mlのシリンジに取り付け 、上記のような微生物溶液に浸し(少なくとも1cmの針を溶液に浸さなければならない)、0.1mlの溶液を吸引する。それを次に上記クロスに突き刺し、この針と一緒にカソ寒天(casoagar;Merck社, 3%のツイーン(R)80および0.3%レシチンを補足した培地)で被覆したペトリ皿に入れる。
針で寒天に接種する部位に印を付け 、培地を37℃で72時間インキュベートしてから結果を読み取る。
表XXは0.3×13mmの針(30G×1/2インチ, Microlance, Becton Dickinson社)による穿孔(1回の試験につき5回の穿孔)後に得られる陽性培養物の数、および上記のように補足したカソ寒天培地(Merck社)における穿孔したクロスの培養を示している。
さらに、これらの結果は試料1のマイクロカプセル(PVDC)が試料2のマイクロカプセル(EVA)よりも有効であることを示している。
試料1を使用して行なった試験から、マイクロカプセルに組み込まれた本発明の組成物は病院で遭遇するものと近い条件下で実質的に即時の消毒効果を示すことがわかる。
試験管内でのヘパリン添加全血の赤血球溶血における本化合物の効果を分光光度法により監視する。
様々な配合および濃度の試験化合物をヘパリン添加ウシ血に加え、1.5mlのマイクロ遠心管中で穏やかに混合する。試料を37℃で1時間インキュベートする。インキュベーションの終了後、試料を培養器から取り出し、2000rpmで5分間遠心する。200μlのアリコートの上澄みを各試料から採取して96ウェルのマイクロプレートに入れ、413nmで読取る。試験試料の吸光度をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)を含有する対照試料と比較する。吸光度の測定値が対照試料よりも高い試験試料は溶血性であると考えられる。
表XXIに試験条件下で非溶血性である試験化合物の濃度および成分をまとめる。
Claims (25)
- 第4アンモニウム化合物、ビス−グアニジン化合物、並びに第4アンモニウム化合物および表面張力−活性化合物から選択される化合物からなる抗病原体組成物を含有する、液体および生体組織、並びに液体および/または生体組織で汚染された表面の消毒に使用するための抗病原体組成物。
- ビス−グアニジン化合物はクロロヘキシジングルコネートである請求項1記載の抗病原体組成物。
- 表面張力−活性化合物はTergitol NP−9およびリン酸トリ−n−ブチルから選択される請求項1記載の抗病原体組成物。
- 液体および生体組織は水、水性溶液、血液および血液製剤、移植用皮膚および臓器からなる群より選択される請求項1〜3の何れかに記載の抗病原体組成物。
- 表面は容器、フィルター、チューブ、シール、クランプ、移動レッグクロージャ、医療用具、手術台および診察台からなる群より選択される請求項1〜3の何れかに記載の抗病原体組成物。
- 容器は生体液の容器または水の容器である請求項5記載の抗病原体組成物。
- 容器は血液または血液製剤の容器である請求項5記載の抗病原体組成物。
- 容器は献血バッグまたはボトルである請求項5記載の抗病原体組成物。
- 血液は全血である請求項1〜3の何れかに記載の抗病原体組成物。
- 血液製剤は血漿、濃縮赤血球、多血小板血漿、濃縮血小板およびクリオプレシピテートからなる群より選択される請求項1〜3の何れかに記載の抗病原体組成物。
- 組成物はクリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、粉末、洗浄剤、石鹸、液体または固体の形態である請求項1〜3の何れかに記載の抗病原体組成物。
- 血液、血液製剤および容器のうち少なくとも1つを請求項1〜3の何れかに記載の組成物と接触させることからなる、容器に入っている血液または血液製剤中の病原体を不活性にする方法。
- 請求項1〜3の何れかに記載の抗病原体組成物で処理された少なくとも1つの表面を有する、または請求項1〜3の何れかに記載の少なくとも1種の抗病原体組成物を含有する医療用具。
- 医療用具は生体液の容器である請求項13記載の医療用具。
- 生体液の容器は献血バッグまたはボトルである請求項14記載の医療用具。
- 医療用具は個体へ送達される前に血液または血液製剤が通過するインラインフィルターである請求項13記載の医療用具。
- 医療用具は個体からの採血時に血液または血液製剤が通過するインラインフィルターである請求項13記載の医療用具。
- 抗病原体組成物を分配するための多孔質媒体をさらに含有する請求項13記載の医療用具。
- 生体液を容器に採取し、その生体液を請求項1〜3の何れかに記載の抗病原体組成物に暴露することからなる、試験管内または生体外で生体液を処理する方法。
- 試験管内または生体外で生体液中のヒト免疫不全ウイルスの感染または複製を阻害する方法であって、該生体液を、薬学的に許容しうる担体と組合せた阻害有効量のビス−グアニジン化合物またはその誘導体および少なくとも1種の第4アンモニウム化合物で処理することからなる上記方法。
- 担体はDMSOである請求項20記載の方法。
- 試験管内または生体外で赤血球を消毒する方法であって、
a)赤血球を、消毒用組成物と、該赤血球に存在する病原体を不活性にするのに十分な時間接触させ、ここで該消毒用組成物は本質的に、消毒する濃度のビス−グアニジン化合物と等張に有効な濃度の溶質の溶液からなり、それにより該消毒用組成物は実質的に血液と等張であり、そして
b)該血球を前記消毒用組成物から単離する
工程からなる上記方法。 - ビス−グアニジン化合物は第4アンモニウム化合物およびその組合せからなる群より選択される請求項22記載の方法。
- 病原体を不活性にした後に該組成物を除去する工程をさらに包含する請求項12記載の方法。
- 生体液を処理した後に該組成物を除去する工程をさらに包含する請求項19〜21の何れかに記載の方法。
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EP0605690A1 (en) | Povidone hydrogen peroxide preservation of blood, tissues and biological fluids |
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