JP2005509423A - ヒト成長ホルモン変異の検出方法、変異ならびに用途 - Google Patents

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Abstract

本発明は自然発生する成長ホルモンの突然変異、こうした突然変異を検出するための方法及び成長ホルモン異常について患者をスクリーニングするうえでの当該突然変異の用途、またはこうした異常の治療に適した変異体タンパク質を製造するための方法に関する。本発明の一側面においては、個人におけるGH機能不全の指標として有効に機能するGH1の変異を検出するための検出方法が開示される。この方法は、(a)ヒトGH1遺伝子のヌクレオチド配列を含む試験試料を個人から得る工程と、(b)前記試験試料から得られた配列を、ヒトGH1遺伝子の配列であることが知られている標準配列と比較する工程であって、試験配列と標準配列との間の差異がGH1機能不全の指標として有効に機能する変異体の存在(以下「GH1の変異体」)を示す工程とを含む方法であり、前記試験試料は、当該技術分野で知られる標準的方法によって診断される不十分な胎児身長速度として定義される、子宮内発育遅延(IUGR);及び/または、当該技術分野で知られる標準的方法によって診断される、不十分な(小さい)胎児身体のサイズ(体重及び/または体長)として定義される、妊娠期間に比して小さく産まれること(SGA)の一方または両方を示す個人から得られることを特徴とする方法である。

Description

本発明は自然に発生する成長ホルモンの突然変異、こうした突然変異を検出するための方法及び成長ホルモン異常について患者をスクリーニングするうえでの当該突然変異の用途、またはこうした異常の治療に適した変異体タンパク質を製造するための方法に関するものである。
ヒトの身長が遺伝性の因子によって支配されているということは100年以上前から知られていた。家族性低身長は通常劣性であるその遺伝様式とともに1912年には既に認識されていたが、こうした家系が科学文献で正しく取り上げられるようになるまでには更に四半世紀を要した。劣性遺伝する低身長症では一般に成長ホルモン(GH)の単独欠損をともなうとの認識が得られたのはようやく1966年になってからのことである。
GH欠損症にともなう低身長は、新生児で1/4000〜1/10000の発生率で発生すると推定されている。これらの症例の多くは散発性かつ突発性であるが、5〜30%が低身長の第1度近親者を有し、この病態に遺伝的病因が存在することと符合する。GH欠損症に遺伝的病因が存在することは、家族性低身長の分子遺伝学的分析と、罹患者の脳下垂体で発現する成長ホルモン(GH1)遺伝子で突然変異性損傷が早期に見られることから確認される。家族性低身長は他の多くの遺伝子(例、POU1F1、PROP1及びGHRHR)の突然変異によっても発生し、これらの異なる病型を区別することが重要である。
成長ホルモン(GH)は様々な作用によって骨及び軟部組織の生後の成長を促進する多機能ホルモンであるが、GHの直接、間接的な作用の相対的寄与度に関しては議論がなされている。GHの直接的作用は各種の組織や臓器で証明されており、多くのタイプの細胞においてGH受容体の存在が示されている一方で、GHの効果の大半はGH依存型インスリン様成長因子I(IGF−I)の作用によって媒介されることを示す多くのデータが存在する。IGF−1は多くの組織、主として肝臓で産生され、その受容体を介して作用して、骨、軟骨、及び骨格筋など多くの組織の増殖や成熟を促進する。GHは組織の成長を促進する以外にも、乳腺刺激作用、糖尿病誘発作用、脂肪分解作用、タンパク質同化作用、ナトリウム及び水の貯留など、他の様々な生物学的作用を示すことが示されている。
正常な成長を維持するには幼児期を通じて適量のGHが必要とされる。GH欠損症の新生児では通常体長と体重は正常であるが、一部において矮小陰茎または空腹時低血糖症が見られ、生後成長率は低くかつ直線状である。こうした場合、生後成長率は年齢とともに徐々に低下する。遺伝性成長ホルモン単独欠損症(IGHD)の新生児では骨成熟は通常遅延しており、身長の伸びも遅滞している。躯幹部の肥満、実年齢よりも若く見える顔貌、及び第2生歯の遅滞がしばしば見られる。低身長症の成人では早老で見られるものと同様の皮膚の変化を生ずる場合もある。
家族性IGHDでは特徴的な遺伝様式を有する複数の異なる疾患が見られる。GH1遺伝子座の欠陥にともなって見られるこれらのIGHDの型を、これまでに検出されている異なるタイプの原因遺伝子損傷とともに第1表に示した。
Figure 2005509423
これらの損傷を特徴付けることによって、これらのIGHDの型間での、臨床上の重篤度、遺伝様式、及び外部から投与されたGHに対する抗体産生能の差異に対する説明を与えるうえでの一助となると思われる。多くの症例は散発的であり、脳浮腫、染色体異常、ヒスチオサイトーシス、感染症、放射線被曝、中隔視神経異形成、外傷または、視床下部若しくは脳下垂体の腫瘍を含む脳の傷害や欠陥から発生すると考えられる。磁気共鳴イメージングによる検査によってIGHDの患者の約12%で視床下部または脳下垂体の異常が検出された。
低身長、「身長速度」すなわち成長速度の遅延、及び骨成熟の遅延は、GH欠損症ではすべてが見られるが、これらの中でこの疾患に特有のものはなく、他の全身性疾患によってもこうした症状が見られる場合がある。本明細書の全体を通じて「身長速度」及び成長速度はいずれも、例えばセンチメートル/年として測定されるような、被験者または患者の身長の変化の速度を意味するものとして解釈されるべきである。
GH欠損症を証明するための刺激試験では、L−ドーパ、インスリン誘導低血糖、アルギニン、インスリン−アルギニン、クロニジン、グルカゴン、またはプロプラノロールを用いる。不適当なGHピーク応答(通常7〜10ng/mLよりも少ない)は試験毎に異なる。随伴するLH、FSH、TSH、及びACTHの欠損症についても試験を行って脳下垂体の機能不全の程度を判定し、最適な治療を計画するべきである。
組換え体由来のGHは全世界で利用されており、皮下注射によって投与する。最適な成績を得るためにはIGHDの子供で通常は診断が確定次第、代償療法を開始する。組換えGHの初期用量は体重や体表面積に基づいたものであるが、正確な使用量及び投与頻度は異なるプロトコール間で異なり得る。用量は思春期における最大量にまで体重の増加とともに増加させる。その後、GH治療を一時的に中断し、その間に患者のGH分泌能力を再評価する。GH欠損症であることが確認された患者には成人期に外因性のGHを低用量で投与する。
GHで治療される状態としては、(i)GHが有効であることが証明されているもの、(ii)GHの使用が報告されてはいるが、標準的な慣例としては受け容れられていない種々の他の状態が含まれる。GH治療が有効であることが証明されている疾患としては、単独かまたは複合下垂体ホルモン欠損症(CPHD)をともなったGH欠損症、及びターナー症候群が挙げられる。最初の2つの疾患を有する患者のGH代償療法に対する臨床的応答は、(i)GH欠損症の重篤度及び成長に対するその悪影響、治療開始時の年齢、出生体重、現在の体重、及びGHの用量、ならびに(ii)甲状腺ホルモン欠損症などの関連欠損症の治療に対する認識及び応答、ならびに(iii)抗GH抗体の産生によって治療が困難となるか否か、に応じて異なる。ターナー症候群の患者に対する治療成績は、患者の低身長の重篤度、患者の染色体組、及び治療開始時の年齢に応じて異なる。
GHの使用が報告されている更なる疾患としては、軟骨形成不全症などの特定の骨格形成異常、プラダー−ウィリ症候群、外因性ステロイドの副作用としてあるいはリウマチ性関節炎などの慢性炎症疾患にともなう成長抑制、慢性腎不全、極度突発性低身長、ラッセル−シルバー症候群、及び子宮内発育遅延が挙げられる。
分子遺伝学的レベルでの家族性IGHDのキャラクタリゼーションは、幾つかの理由から重要である。関与する遺伝子座が同定されることによって、成長遅延の重篤度ばかりではなく、より重要な点として、現在利用可能な各種の治療レジメンが適当であるか否かが示されるであろう。更に、原因となる遺伝子損傷を検出することにより、その病態の遺伝学的病因が確認される。原因となる遺伝子損傷の検出は、(i)成長遅延の重篤度、及び(ii)GH治療後の抗GH抗体形成の確率を予測するうえで診断上の価値も有する。一部の例では、こうした病理学的損傷の知識がこの疾患の特徴的な遺伝様式を説明するうえでの一助となることから、GH欠損症の家族のカウンセリングに不可欠である。最後に、GH分子が機能不全(機能喪失ではなく)であるIGHDの原因である突然変異損傷のキャラクタリゼーションによって、GHの構造及び機能の新たな知見が得られる可能性がある。
細胞レベルでは、1個のGH分子が2個のGH受容体分子(GHR)に結合してこれらを二量化させる。この2個のGH結合GHR分子の二量化は、チロシンキナーゼJAK2が関与するシグナルトランスダクションに必要であると考えられている。GHの多様な作用は、異なる細胞質ドメインを有するか異なる組織で異なるリン酸化部位を有する1種類のGHR分子によって媒介されていると提唱されている。これらの異なる細胞質ドメインは、JAK2によって活性化されると異なるリン酸化経路を辿り、その内の1つは成長効果を、他の経路は異なる代謝効果を奏する。
GHは下垂体前葉の成長ホルモン分泌細胞から分泌される22kDaのタンパク質である。X線結晶解析によれば、GHは上−上−下−下という配置で配された互いに平行な2対のα−へリックスからなるコア構造を有する。この構造は2個の分子内ジスルフィド結合(Cys53−Cys165及びCys182−Cys189)によって安定化されている。2個の成長ホルモン受容体(GHR)分子がGH分子上の2つの構造的に異なる部位に結合する。これはGHRが最初に部位1に、次いで部位2に結合することによって順次進行するプロセスである。GHRのGHへの結合によってGHR分子の二量化が促進される。
GH分子のスキャニング突然変異誘発法による研究により、GHとその受容体間の結合相互作用の実態が明らかとなったのと同時に、部位特異的突然変異誘発法を用いて特定の残基の機能が調べられた。すなわち、Gly120(ヒトGHの第3番目のα−へリックスに存在)のArgによる置換によってGHRは部位2に結合できなくなり、GHRの二量化が阻害される。同様にヒトGHタンパク質の残基Phe44はプロラクチン受容体への結合に重要である。最後に、残基Asp115、Gly119、Ala122、及びLeu123はマウスGH分子の成長促進能にとって重要であることが示されている。
二量化したGHRと細胞内のチロシンタンパク質キナーゼJAK2との相互作用によって、下流のシグナルトランスダクション分子のチロシンのリン酸化、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼの刺激、及びシグナルトランスデューサーや翻訳の活性化因子(STATタンパク質)の誘導が生じる。このように、GHは多くの異なるシグナリング経路を通じて複数の遺伝子の発現に影響を与えることができるのである。
GH1遺伝子の発現によって複数の異なるGHが生ずる(図5にGH1の参照配列を示した)。GH1転写産物の9%においてエクソン2が、エクソン3に45bpだけ入り込んだ別のアクセプタースプライス部位にスプライシングされ、これにより32番目〜46番目のアミノ酸残基が欠失して、正常な22kDaのタンパク質の代わりに20kDaのアイソフォームを生じる。この20kDaのアイソフォームは、成長及び分化を刺激することが可能であるようである。別のアクセプタースプライス部位の選択の決定に関与している因子は、未だにキャラクタライズされていないが複雑な性質のものであることは明らかである。エクソン3によってコードされるコドン32〜71の欠失によって生じる17.5kDaのアイソフォームも下垂体腫瘍組織から微量だけ検出されている。エクソン3及び4またはエクソン2、3、4のいずれかを欠くスプライシング産物が下垂体組織で報告されているが、これらは不活性なタンパク質産物をコードしているようである。GHのグリコシル化された24kDaの変異体も知られている。22kDaの主アイソフォームのアミノ酸配列が図6に示されているが、この配列はGH1遺伝子のコード領域のヌクレオチド配列及び26個のアミノ酸からなるリーダーペプチドを含んだタンパク質のアミノ酸配列を示している。横に記した数字はアミノ酸残基の番号を示す。アミノ酸配列を挟み込んだ太字の縦向き矢印の数字は、エクソンの境界を特定している。終止コドンはアスタリスクで示している。
下垂体成長ホルモン(GH1)をコードした遺伝子は、染色体17q23の5個の関連遺伝子のクラスター内に位置している(図1)。この66.5kbのクラスターは現在ではその配列の全体が決定されている(Chen et al. Genomics 479−497 (1989)及び図5を参照)。この成長ホルモン遺伝子クラスター内に存在する他の遺伝子座は、2個の絨毛性体乳腺発育ホルモン遺伝子(CSH1及びCSH2)、絨毛性体乳腺発育ホルモン偽遺伝子(CSHP1)、及び成長ホルモン遺伝子(GH2)である。これらの遺伝子は長さ6〜13kbの遺伝子間領域で隔てられており、同じ転写方向を有し、胎盤で発現し、下流の組織特異的エンハンサーの支配下にある。GH2遺伝子座は13個のアミノ酸残基においてGH1由来成長ホルモンと異なるタンパク質をコードしている。5個の遺伝子はすべて非常に似通った構造を有し、5個のエクソンが短いイントロンによって同じ位置で分断されている(図2)。イントロンの長さはGH1の場合では長さ260bp、209bp、92bp、及び253bpである。
GH1遺伝子のエクソン1は、60bpの5’末端側非翻訳配列(ただし別の転写開始部位が−54の位置に存在する)、コドン−26〜−24、及び26個のアミノ酸からなるリーダー配列の開始点に当るコドン−23の最初のヌクレオチドを含んでいる。エクソン2はリーダーペプチドの残りと、成熟GHの最初の31個のアミノ酸をコードしている。エクソン3〜5はそれぞれアミノ酸32〜71、72〜126、及び127〜191をコードしている。エクソン5はまたポリアデニル化部位に最も特徴的な112bpの3’末端側非翻訳配列をコードしている。GH1のポリアデニル化部位の3’末端側100bpの位置にはAlu反復配列エレメントが存在している。これら5個の関連遺伝子は5’末端側のフランキング領域及びコーディング領域において高い相同性を有するが、3’末端側のフランキング領域において異なっている。
GH1とGH2遺伝子は、そのmRNAのスプライシングのパターンにおいて異なっている。上述したように、GH1の転写産物の9%においてエクソン2はエクソン3に45bpだけ入り込んだ別のアクセプタースプライス部位にスプライシングされ、正常な22kDaのタンパク質の代わりに20kDaのアイソフォームを生じる。GH2遺伝子ではこのような別のスプライシングは見られない。GH1のエクソン3によってコードされる40個のアミノ酸を欠いた17.5kDaの第3の変異体も報告されている。
CSH1とCSH2遺伝子座は、同じ配列のタンパク質をコードし、GH1配列に対してDNAレベルで93%の相同性を有する。CSH遺伝子の配列との比較によれば、CSHP1偽遺伝子は、その「エクソン」内に25個のヌクレオチド置換を含み、イントロン2のドナースプライス部位の絶対的+1の位置にその発現を部分的に不活性化するG→Aの変化を含んでいる。
多くの2対立遺伝子型制限酵素断片長多型(RFLP)がGH遺伝子領域内で報告されている。これらの内、5つのもの(2箇所のBglII、2箇所のMspI、及び1箇所のHincI)が白人及び黒人で見られるのに対して、1個のBamHI多型が更に主として黒人に見られる。これらの多型間の相関には強い不均衡が見られ、この遺伝子クラスターが比較的最近進化を遂げたことと一致する。HincIIとBamHI多型はGH1遺伝子の直ぐ5’側で見られる。−75のヌクレオチドの位置でのA/G二多型に帰因するRsaI多型がGH1プロモーター領域で見られるのに対して、比較的高頻度のSph1多型は完全にキャラクタライズされていない。GH1遺伝子の約19kb3’側に極めて情報量に富んだ(83%ヘテロ)可変数の反復多型が見つかっている。この多型の18個の異なるアレルをPCR用にフォーマット化することでフラグメントのサイズ別(201〜253bp)に区別することができる。
最後に、GH1遺伝子プロモーター/5’側非翻訳領域は、570bpの長さの範囲内に17種の変異体ヌクレオチドという極めて高レベルの配列多型を有することが示された(第2表A)。
Figure 2005509423
−1、+3、+59の位置の多型が、GH1遺伝子プロモーターのこの領域によってコードされていると思われるGHDTAタンパク質のアミノ酸置換を招くことが予想される(下記参照)。一部の配列変異は、GH1遺伝子が他の胎盤発現遺伝子と異なっている位置と同じ位置に見られた。このことはこの機構が遺伝子転換である可能性を示すものであり、胎盤発現遺伝子が転換される配列の供与源として機能していることを示すものである。
GH不全症を有する思春期前の低身長の子供を用いた研究において、長谷川等[J. Clin. Endocrinol Metab 85 1290−1295 (2000)]は、GH1遺伝子上の3つの多型[IVS4C→T1101(下記第7表A及び7Bにも報告されている)、T/G−278、及びT/G−57]とGH分泌及び身長の高さとの関連を報告している。
最初のGH1遺伝子欠失が報告されて以来、各種のより細かな損傷が報告されてきた。こうした損傷が特異なタイプのGH欠損症と関連していた場合もあり、GHの構造と機能の新たな知見を得る手段として潜在的に重要である。
成長ホルモンをコードする遺伝子(GH1)はクローン化されたヒト遺伝子としては最初のものの1つであり、遺伝性の成長ホルモン欠損症の原因となる大規模遺伝子欠失(6.7kbのタイプ)の最初のものがサザンブロット法によって間もなく検出された。GH1遺伝子が関与する大規模欠失はそのすべてが、GHがまったく産生されないことを特徴とする重篤な(IA型)欠損症を引き起こす。GH1遺伝子のキャラクタライズされている欠失の約70%は長さ6.7kbのものであるが、残りの大部分は7.6kbまたは7.0kbのものである(第2表B−GH欠損症及び低身長を引き起こすGH1遺伝子またはGH1遺伝子の隣接部分の関与する大規模欠失)。
Figure 2005509423
Figure 2005509423
更に、より低頻度で生ずる欠失の例もいくつか報告されている。近年、突然変異のスクリーニングツールとしてサザンブロットから離れてPCRに基づいた手法へと移行する様々な試みがなされてきた。GH1遺伝子がホモである場合、その欠失は、GH1遺伝子及びフランキング領域のPCR増幅の後、得られたPCR産物を制限酵素で消化することによって比較的容易に検出することが可能である。この手法はリスクをともなう妊娠においてGH1遺伝子についてホモ接合を排除するために有効に用いられてきたが、野性型遺伝子についてのホモ接合を、特定の遺伝子の欠失についてのヘテロ接合性から区別することは困難であった。更にこの手法ではGH1遺伝子のみが除去される比較的短い6.7、7.0及び7.6kbの欠失以外の欠失の検出も不可能であった。
GH1遺伝子を直接フランキングし、コントロールDNA試料から790bpのフラグメントを生成するPCRプライマーが設計されている。このフラグメントが生成されない場合にはGH1遺伝子が欠失していると考えられるが、PCR増幅用の内部コントロールとして「非特異的PCRフラグメント」を使用しているためにこの方法の信頼性にはいささか疑義があるといわざるを得ない。
大規模欠失とならんで、GH1遺伝子の微小欠失についても3例報告されている。これらの患者のうち、2名は6.7kbのGH1遺伝子欠失についてもヘテロであった(第3表)。
Figure 2005509423

GH1遺伝子のコード領域内からは7例の異なる一塩基対置換が報告されたのみであった(第4表)。
Figure 2005509423
これらの一塩基対置換のうち2例はシグナルペプチドのアミノ酸残基Trp−7とGlu−4を停止コドンに変換するナンセンス突然変異である。これらの突然変異は、遺伝子欠失ではないIA型欠損症を引き起こすことが知られている唯一のGH1遺伝子損傷である。これらの損傷はシグナルペプチド内で翻訳の停止を予測するものであるため、機能性GH分子の生成と相容れない。他の5例の一塩基対置換(巨人症の治療と関連して欧州特許出願公開第790305号明細書に開示される、コドン77でのR→Cを含む)は機能不全の成長ホルモン分子が生成するミスセンス突然変異である。このような自然発生突然変異は、基本的に臨床的表現型、すなわち問題となる患者の身長に直接関連付けられる場合があることから、人工的に誘発させた突然変異と比較して得られる情報量ははるかに大きいといえる。
病理学的に重要と考えられるプロモーター領域の一塩基対置換は、IGHD IA型を有する3人の中国人患者と2人のコントロールにおいてGH1遺伝子のプロモーター領域の配列を決定する(転写開始部位に対して−60〜+70の間)ことによって初めに調べられた。幾つかの相違が認められたが、これらは通常想定される多型であり、更にキャラクタライズすることはしなかった。上記に述べたように、GH1遺伝子のプロモーター領域は570bpの長さの範囲内に17種の変異体ヌクレオチドという極めて高レベルの配列多型を有することが示されている(図3)。しかしながら、これらの配列変異体はコントロールと比較して患者の体内で過剰発現しているわけではないようである。
GH1プロモーターの変異について更に個別に調べ、全体で22種の変異体多型部位が検出され、そのうちの大部分は一塩基対置換であった。これらのうち、17種はATG開始コドンの5’側550bpの領域で見られ、3種はATGの5’側−1075の位置付近で見られ、2種類がイントロン1(IVS1)内のそれぞれ位置76及び219で見られた[Wagner et al, Eur J Endocrinol 137 474−81 (1997)]。これらの変異体は4種を除いてすべてがコントロールでも見られたがこれら4種の変異体が成長ホルモン欠損症の原因とは考えられなかった。これらの変異体部位の内、1つのみが転写因子結合部位に相同な配列内で見られた。すなわち、潜在的(証明されていない)NF−1結合部位内の−333の位置におけるCCAGAとGAGAG配列が交互に存在する部分である。
したがってこれまでのところ、GH1遺伝子プロモーター内で病理学的に重要な突然変異は報告されていない。
mRNAのスプライシングに影響するGH1遺伝子内の一塩基対置換についても開示されている。それらの大半はGH欠損症の比較的稀な優性型に関連したものである(第5表)。
Figure 2005509423
トランスフェクトした細胞のmRNA in vitroでの発現解析によってイントロン4のドナースプライス部位におけるトランスバージョンは、エクソン4内の潜在的スプライス部位を活性化することが示された。このスプライス部位はエクソン4のドナースプライス部位の5’側73bpの位置に存在する。したがってエクソン4によってコードされるアミノ酸103〜126を欠いた異常スプライシング産物が生成することが予想され、リーディングフレームがシフトすることによって、通常は翻訳されないGH1遺伝子の3’側の非コード領域が読まれることによる29個を含む、94個の新たなアミノ酸が取り込まれることになる。
エクソン4及び5によってコードされるGHタンパク質のこの領域はGHタンパク質の分泌小胞への正確なターゲティングにとって重要であると考えられることから、こうした異常タンパク質は正常に分泌されないものと予想された。ところがIB型のGH欠損症の患者では外因性のGHに対して抗体の産生は認められなかった。したがってこの免疫寛容の回避は、異常タンパク質の少なくとも一部は分泌されて血液循環中に部分的に安定して存在しうることを示唆していると考えられる。IVS3内の7つの既知のスプライシング突然変異(第5表)がGH欠損症の家系で常染色体優性遺伝するII型の欠損状態にともなって見られる。
GH1の短縮型突然変異またはホモ接合性遺伝子欠失を有するGH欠損症患者では、GH治療に際して抗GH抗体を産生するリスクが非常に高い。対照的に、スプライス部位内でのミスセンス突然変異または一塩基対置換を有する患者でアロ抗体が産生されたという報告は本発明者等の知る限りでは存在しない。
これまでのところ突然変異体の遺伝子型と臨床的表現型との間には他の相関関係はなんら報告されていない。文献に見られる必要なデータは乏しいものであり、また質も非常にまちまちであるが、本発明者等は大規模遺伝子欠失を有する患者が、臨床上かつ表現型上の続発症においてスプライス部位突然変異を有する患者と異なっているか否かを評価する手段として、おおまかなメタ分析を行った。GH1欠失を有する患者の身長が平均で7.3SDだけ年齢調整平均(n=29)よりも低かったのに対して、GH1スプライシング突然変異を有する患者では平均値(n=17)よりも平均で5.4SD低かった。欠失患者では骨年齢の遅延は大きく、成長速度もより低かったものの、こうした所見は確信によるバイアスの影響を受けやすいので極めて解釈が難しい。
以上に述べてきた家族性GH欠損症は、多くの場合、常染色体劣性形質として遺伝するため、受け継がれた欠損状態の一部の例では、家族のサイズが小さいことにより認識されなかったものがある可能性が高い。同様に、GH1遺伝子のde novo突然変異によるGH欠損症の症例は散発性として分類されている可能性があり、その場合疾患の遺伝学的説明は考慮も探求もなされなかったであろう。最後に、欠損症の状態を定義するうえで用いられる基準によっては、GH欠損症の表現型及び遺伝子型の全体像が臨床上の注意をまったく喚起することがなかったということもありうる。こうした理由から、現在用いられているGH欠損症の罹患率の推定値は不正確であり、集団内での真の罹患率を大きく過小評価している可能性がある。
多くの研究者によって支持されているIGHDの定義とは、(a)上述したように身長が−4.5SDよりも低いことによってしばしば定義される重篤な成長遅延、(b)刺激/誘発に対するGH応答の低下(4ng/mlよりも低い血清GH濃度)、及び(c)成長遅延となる他の要因がないこと、を組み合わせたものである。このようなGH欠損症の構成要因の正式な定義が厳密に守られてきたことと、研究用の患者の選別にあたってこれらの基準、特に基準(b)が比較的広く受け容れられてきた[Shalet SM et al. Endocrine Rev 19 203−223 (1998)]ために、これまでに記載されてきたGH1突然変異のスペクトルは完全とはほど遠いものであるばかりか、より広範な突然変異のスペクトルを反映しないものになっていると考えられる。したがって、SDスコアがそれほど重篤でなかったり、GHレベルがより低い(例、遺伝子のコード領域内のミスセンス突然変異またはプロモーターの突然変異)GH欠損状態を引き起こす突然変異は臨床上の注意をより喚起しにくかったであろう。実際、このことはこれまでにGH1遺伝子でミスセンス突然変異が5例しか報告されていないことをある程度説明していると考えられる。ミスセンス突然変異の報告例が5例に過ぎないということは、分子レベルでほぼ20年にわたって研究されてきた比較的一般的な疾患としては実際に類のないことである(The Human Gene Mutation Database; Krawczak et al, Hum Mutation 15, 45−51 (2000))。
GHが完全に欠失している場合には容易に認識可能である重篤な臨床上の表現型が見られ、こうした表現型については詳しく研究されている。患者の表現型がそれほど重篤ではなく、患者の選別基準が実際に特定されているような研究報告では、患者の特定策において、成長不全の診断指標として患者の年齢に対する平均身長からの患者の身長の偏差が一般に用いられてきた。
上記に述べたような基準(a)及び(b)を用いた患者の選択法は、重度のIGHD関連成長不全の患者を定義するものである。本発明者等は、研究用の患者の選択に用いられる基準を緩和することによって成長不全の原因がGH欠損症のスペクトルの異なる部分に帰因する患者をも包含することが可能であり、これにより新たな原因突然変異損傷の群が定義されうると提唱してきた。これらの新たな損傷の中には、正常な免疫学的応答性を示すが生物学的活性はほとんどあるいはまったく示さない、安定しているがその機能は不全であるGH分子を生成するものが含まれる。ラジオイムノアッセイ試験の結果に基づいた場合、機能不全のGH分子は誤って正常な分子とみなされてきた可能性があるのである。仮にこうした機能不全の変異体が一般的であるとすると、ラジオイムノアッセイに基づいたGH「機能試験」に我々が現在依存していることでGH欠損症が過小診断されていることになる。更に、このことは真の機能性診断アッセイの開発が急務であることを実証するものである。
アルバートソン−ウィクランド等(Albertsson−Wiklund et al (Horm Res 49(2) 7−13 (1998))は妊娠期間に比して小さく産まれた(SGA)子供の出生後の発育パターン及び最終身長を特徴付け、SGAで出生した別群の子供の青春期前においてホルモンの状態を評価する研究を行った。彼等の研究によると、SGAの子供の大半で出生後最初の2年間で成長が追いつき、GH結合タンパク質のレベルは先に「正常な」子供について報告されている範囲内の値を示した。これに対し、IGF−1、IGFBP−3、及びレプチンのレベルは大幅に低下した。この研究ではSGAを機能不全GH変異体の同定または存在と関連付けることは行っていない。
本発明者等は、既存の基準には、対象となる患者もしくは個人が関連の測定を行ううえで少なくとも幼年期に達していなければならないという難点があるものと考える。現段階では、出生時もしくは出生以前に可能な測定に基づいた基準は存在していないのが実情である。更に本発明者等は、身長速度は絶対身長測定と比較してより高感度の成長不全の指標であると考える。子宮内で測定される胎児の身長速度(他の変量は正常であるものとして、必要に応じて、より後期の発生段階での身長速度、及び/または成長不全、及び/または低身長、及び/または身長速度の低下、及び/または骨年齢の遅延、とともに)によって、GHをまったく有さない古典的なIGHD患者の表現型と比較して軽度の表現型を有するが、身長測定値のみに基づいて選別される患者と比較してGH1遺伝子の損傷を有する可能性が高い一群の患者の特定が可能となったのである。
すなわち本発明は、個人におけるGH機能不全の指標として有効なGH1の変異を検出するための検出方法であって、
(a)個人からヒトGH1遺伝子のヌクレオチド配列を含む試験試料を得る工程と、
(b)前記試験試料から得られた配列をヒトGH1遺伝子の配列であることが分かっている標準配列と比較する工程とを含み、試験試料の配列と標準配列との相違によって、GH機能不全の指標として有効な変異(以下、「GH1の変異体」と称する)の存在が示される検出方法において、当該技術分野における常法によって診断される不十分な胎児身長速度として定義される子宮内発育遅延(IUGR)を示すこと、及び/または、当該技術分野における常法によって診断される妊娠期間に比して不十分な(小さな)胎児身体サイズ(体重及び/または体長)として定義される、妊娠期間に比して小さいこと(SGA)の一方もしくは両方の性質を示す個人から前記試験試料は得られることを特徴とする検出方法を提供する。
例えばIUGRの判定法として受け容れられている方法は、ダン(Dunn. Acta Pediatr Scan 319 [Suppl] 7−16 (1985))及びデ・ジガー(de Zegher et al in J Clin Endocrinol Metab 82:2021−2026 (1997))によって述べられている。IUGRは子宮内評価または「出生時」評価により定義することが可能である。妊娠期間は子宮内でのあるいは出生時の発育状態の評価に常に関係していることから、胎児あるいは赤ちゃんの発育が妊娠期間に比して遅れているか否かの判定に極めて重要である。子宮内評価法としては、赤ちゃんの妊娠期間中の異なる時点で超音波測定を2回行うことによる2回直接子宮内発育評価法で行うことが可能である。
IUGRを判定するための別の方法では、出生時における体長の評価を行う。これはSGA(体長)の判定にも適当な方法であり、任意の子供に対して妊娠期間での基準となる体長/身長チャートに関連付けて行う。したがって測定値が一般集団のデータに関連付けられることから、こうした判定を行ううえで両親の身長を知る必要がない。測定された体長が標準値から少なくとも2×標準偏差分だけ異なる場合、その個人はIUGRであるか、SGAであると考えられる。SGAでは、同様の判定を体重に関して行うことも可能である。ここでもやはり、集団の基準値を2SD以上下回る場合にはその個人はSDAとみなされる。こうしたSDA法は当業者にも周知のものであって、アッシャー(Usher et al. J Pediatr 74 901−910 (1969))等、ニクラソン(Niklasson et al. Acta Paediatr Scand 80 756−762 (1991))等、及びランケ(Ranke et al. Horm Res 48 [Suppl 1] 72−4 (1997))等によって述べられている。
専門家の中には特に体長の測定値に関してIUGRとSGAを互換可能に用いるものもいる。一方の状態を他方の状態の指標として用いることも可能である。例えば体重に基づいたSGAは、妊娠期間に比して低体重である(SGA)ことがIUGRであることの指標となることから重要である。しかしながらこれら2つの状態は常に同時に生ずるわけではない。ある個人がIUGRであればSGAであるが、SGAが体重で評価されていて(かつ個人がこの基準を満たし)なおかつIUGRが体長で評価されて(かつ個人がこの基準を満たさない)いる場合にはIUGRでなくともSGAであり得る。
本発明は更に本発明の上記の方法にしたがって検出されるかあるいは検出可能なGH1の変異体を提供するものである。
本発明は更に、GH1の変異体によってコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質などのGH1の変異体(以下、「GH変異体」)の転写産物を提供するものである。ただし、この場合のGH1の変異体は本発明の上記の方法にしたがって検出されるかあるいは検出可能なものである。
(本発明のコンテキストでは、「患者」、及び「個人」なる用語は相互に互換可能に用いられている。)。
本発明の好ましい一検出方法では、前記の試験試料は、上記のIUGR及び/またはSGAの他に1以上の更なる基準を示す個人から得られる。すなわち、
(i)所定の発育パターン(複数の身長測定値によって与えられる。(Brook CDG (Ed) Clinical Paediatric Endocrinology 3rd Ed, Chapter 9, p141 (1995, Blackwell Science)))として定義される成長不全(この発育パターンは、標準身長チャート(Tanner et al Arch Dis Child 45 755−762 (1970))上にプロットした場合に両親の身長に基づくその個人の推定目標成人身長の範囲を逸脱する個人の成人身長を予測するものである。)、及び/または、
(ii)その年齢に比して25パーセンタイル未満の身長速度、及び/または、
(iii)実年齢と比較した場合に少なくとも2年のタナー−ホワイトハウススケールに基づいた骨年齢の遅延(ただし5歳以下の子供または思春期の発育の臨床所見の見られた子供を除く)、及び/または、
(iv)IUGRまたはSGAを引き起こす他の疾患が見られないか、上記基準(i)〜(iii)に含まれること、及び/または
(v)試験の種類、試験結果、又は実際子供が試験に参加したか否かと関わりなく、GH分泌試験が適性に行われるうえで充分な臨床上の注意を喚起するに足る臨床的表現型、である。
基準(iv)及び(v)は、「観察された成長不全を説明するGH軸欠陥の可能性以外に特定可能な病理がない」こととしてまとめられる。重要な基準として、子供の評価を行う医師がGH分泌試験が適性に行われるよう子供の発育パターンに関して充分に注意を払うべきであった点がある。選択された子供は示した。
好ましくは、基準(i)〜(v)は、特定の個人/患者に関して(i)、(ii)、(iii)、(iv)ならびに(v)がそれぞれ満たされなければならないため、累積的に用いられることが好ましい。しかしながら、5歳以下の子供ならびに思春期の発育期にある子供の場合では、こうした段階での骨成長における差が説明されるように骨年齢遅延の基準を改変する必要がある。したがって基準(i)、(ii)、(iv)ならびに(v)が満たされることがより好ましい。
基準(i)〜(iv)に関しては、下記に詳述するような、容易に利用可能かつ当該技術分野において記載されている周知の方法ならびにパラメータにしたがって各基準の評価を行うことが可能である。
基準(i)の参照用として有用なものに、Tanner and Whitehouse Arch Dis Child 51 170−179 (1976)がある。患者の目標成人身長範囲は、両親身長中央値(MPH)として算出される。MPHは性別に依存し、10〜90パーセンタイルの範囲である。
男子の場合のMPH=(父親の身長+(母親の身長+13))/2±6〜8cm(通常は7.5cm)、及び
女子の場合のMPH=((父親の身長−13)+母親の身長)/2±6〜8cm(通常は6cm)
これらは、ヒト成長に関する分野で用いられる標準的な試験及び測定値であり、他の許容される任意の計算方法を用いて成長不全を判定することも可能であるが、目標身長範囲の限界値の予測に用いられる公式に関するブルックの記載(前出、1996)ならびに標準身長チャートに関するタナーの記載(前出、1970)に基づいた上記の方法が本発明では好ましい。
したがってこれはGH機能不全の患者の特定において従来用いられてきたものとは実質的に異なる基準であり、両親の身長に基づいて患者の(将来的な)成人身長の予測を行うものである。
(ii)タナー J.M.、ホワイトハウス R.H.によるAtlas of Children’s Growth(1982, London: Academic Press)ならびにバトラー等によるAnn Hum Biol 17 177−198(1990)は、その患者の身長速度が患者の年齢では25パーセンタイル未満にあるかという上記の基準の判定を可能にする統計のソースである。
(iii)骨年齢遅延の年数を評価するタナー−ホワイトハウススケールは、タナー J.M.、ホワイトハウス R.H.、キャメロン N等によりAssessment of Skeletal Maturity and Prediction of Adult Height (1983, London: Academic Press)に述べられている。本発明の方法では、個人は好ましくは約3.5〜4年の骨年齢遅延を示す(実年齢と比較して)。個人における骨年齢遅延の評価は、1回以上評価が行われる場合や個人が若いほど変動のレベルが大きく、例えば、2歳児の複数回の評価を行う場合には骨年齢の変動は±6ヶ月であるが、3歳児では変動は±4ヶ月である、といった具合である。
(iv)低身長はGH機能不全以外の状態の副次効果である可能性もあることから、こうした疾患を有する患者からの試験試料は本発明の方法から除外する。その患者がGH機能不全と同様の症状を呈する他の疾患を有さないことはベースライン調査によって判定する。したがって「ベースライン調査」には、特に甲状腺機能低下症;偽副甲状腺機能低下症;小児脂肪便症などの栄養障害;腎及び肝疾患;貧血などの血液学的疾患;及び、ターナー症候群などの染色体疾患が成長不全の原因ではないことを確認するための核型を除外する試験が含まれる。患者は更に、例えば先天性心疾患などの心疾患、リューマチ性関節炎や炎症性腸疾患などの慢性自己免疫疾患、重篤な喘息や嚢胞性繊維症などの慢性呼吸器疾患、及び軟骨形成不全などの骨障害など、成長不全の他の原因を除外する目的で詳細な臨床試験を受けていてもよい。上記に特定した物理的疾患ばかりではなく、小児期の成長不全の別のよく知られた原因である心理社会的遮断を除外する目的で完全な既往歴を得て医学的検査を補ってもよい。
必要に応じて(v)。患者に1以上の成長ホルモン機能試験が行われていてもよい。「成長ホルモン機能試験」なる用語は、特にインスリン誘発低血糖試験(IST)のような、上述の刺激試験などの成長ホルモン分泌の試験のことである。
GH機能試験は通常、身長が低く、内分泌科への2回以上の来院にわたって臨床的評価が行われるとともに身長のモニタリングが行われ、他の検出可能な成長不全の原因がなく、したがってインスリンの静脈内投与による血糖値の大幅な低下といった適当な刺激の後に脳下垂体から成長ホルモンを分泌する能力について評価を行うことが妥当であると考えられる患者に対して行われる。本発明の方法では個人の成長ホルモン機能試験の結果は正常であることが好ましい。
したがって本発明に基づく検出方法では、測定値は出生前または出生時の基準に依存もしくは関係するのに対して、従来の検出方法は出生後の個人の成長に関係する生後のイベントならびに個人の身長とその両親の身長との関係に注目したものである。GHは胚の成長に一定の役割を果たすがそれは小さなものであると広く考えられている(Gluckman et al in .J Pediatr 121 920−3(1992))。更に、生後最初の2〜3年の急速だが急激に減速する成長率(成長の幼児期の要素)は、栄養学的に定まるところが大きいようである。GHの分泌に大きく左右されるのは成長の次のフェーズである小児期の要素である(Clinical Paediatric Endocrinology, Third Edition, Edited by Charles G.D Brook chapter 6, page85−106)。したがって本発明はIUGR及び/またはSGAのような出生前または出生時の基準がGH1の状態に関連付けられることを期せずして発見したものである。
GH1の突然変異のスペクトルの幅が大きくなることによって分子遺伝学のタームにおける遺伝性GH欠損症の再定義は避けられない。更に新たなタイプの低身長が認識されることによって疾病単位としてのGH欠損症の再分類が必要となろう。このことは、成長ホルモンによる治療が有効と考えられる低身長の個人のスクリーニング及び同定にとって重要な意味を有することは明らかであろう。
本発明の検出方法で患者から得られる試験試料は、頬粘膜のスメア、血液試料や毛髪など標準的手法によって患者のリンパ細胞から抽出したゲノムDNAを含むことが好ましい。この後、これらに限定されるものではないがゲルまたはキャピラリー電気泳動質量分析やピロシークエンシングなどの遺伝子配列決定または多型検出用の任意の適当な方法によってGH1遺伝子分析を行う。これは好ましくは以下の工程にしたがって行う。
1(a).GH1遺伝子の全体(プロモーター、コード領域の5個のエクソン、イントロン、及び非翻訳領域)を含む3.2kbのフラグメントの増幅、好ましくはPCR増幅の後、GH1遺伝子に特異的であるように設計されたプライマーを用いて、重複した、より小さな構成フラグメントのnestedPCRを行う。6種の既知のプライマーを使用する場合と同様、パラロガスで緊密にリンクし、高い相同性を有するGH2、CSH1及びCSH2遺伝子、ならびにCSHP1偽遺伝子が不用意にPCR増幅されることによって起こるクロスコンタミネーションを防止するうえで新規なGH1特異的遺伝子の設計が重要であることが示された。したがって本発明の方法では、GH1遺伝子に特異的なフラグメントと1以上のGH1遺伝子に特異的なプライマーを用いて、個人すなわち機能不全のGHを有することが疑われる任意の個人のGH1遺伝子をPCR増幅する。GH1遺伝子に特異的なフラグメントとは、その配列がGHクラスターの他の4つのパラロガス(GH1ではない)な遺伝子に見られないGH1遺伝子に固有のフラグメントであり、1以上のGH1遺伝子に特異的なプライマーとは、GHクラスターの他の4つのパラロガス(GH1ではない)な遺伝子の相同なフランキング領域に結合できないものである。好ましくは増幅されたGH1遺伝子全体;及び/又は
1(b).患者のGH1遺伝子の約15kb上流に位置する遺伝子座調節領域(超高感度部位I及びII)にまたがるゲノムDNAの全体またはフラグメントの増幅、好ましくはPCR増幅(Jones et al Mol Cell Biol 15 7010−21 (1995))。遺伝子座調節領域(LCR)はGH1転写のレベル及び時間に影響するエンハンサー領域である。LCRはGH1遺伝子の5’側14kbに位置し、GH遺伝子クラスターの遺伝子の調和した発現を制御している。新規なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して特定の患者(実施例5)の2個の重複するフラグメント(254bp及び258bp)にPCR増幅を行ったところ、全ての患者で1.9kbのLCRフラグメントが増幅された(実施例5A)。
2.必要に応じて、トランスゲノミック社のWAVE(商標)システムを使用した変性高速液体クロマトグラフィ(DHPLC)によって全GH1遺伝子またはそのフラグメントについて突然変異スクリーニングを行うことが好ましい(O’Donovan et al Genomics 52 44−49 (1998))。このスクリーニング法は、極めて高速、安価、高感度、かつ再現性が高いことから選択され、少なくとも本発明者等の研究では95%よりも高い検出効率を示した。DHPLCによって検出される「バンドシフト」は、潜在的なDNA配列の変異体を表していると考えられる(そうでない場合、3.2kbのGH1遺伝子を含むPCRフラグメントをDHPLC工程を行わずに直接DNA配列決定してもよい)。;及び
3.DNA配列決定によるこうした変異体のキャラクタリゼーション(自動化あるいはマニュアルの方法による)、及び必要に応じて好ましくは、
4.GH1遺伝子損傷の位置に合わせた方法を用いたこうした遺伝子損傷の機能的キャラクタリゼーション、及び示唆される機能不全のメカニズム。
したがって本発明は更に、上記に述べたGH1の分析で使用するための新規なGH1特異的プライマーを提供するものである。このプライマーとしては、前記DHPLC工程での使用に適したプライマー(更なる詳細については実施例3、第6表を参照):
CTC CGC GTT CAG GTT GGC (GHD1F);
AGG TGA GCT GTC CAC AGG (GHD1R);
CTT CCA GGG ACC AGG AGC (GHD2R);
CAT GTA AGC CAA GTA TTT GGC C (GHD3F);
GGA GAA GGC ATC CAC TCA CGG (GHD4R);
TCA GAG TCT ATT CCG ACA CCC (GHD5F);
CGT AGT TCT TGA GTA GTG CGT CAT CG (GHD6R);及び
TTC AAG CAG ACC TAC AGC AAG TTC G (GHD7F);
及び前記LCR工程での使用に適したプライマー(すべて5’→3’)、実施例5及び5Aを更に参照:
GTGCCCCAAGCCTTTCCC (LCR15: 1159−1177);
TGTCAGATGTTCAGTTCATGG (LCR13: 1391−1412);
CCTCAAGCTGACCTCAGG (LCR25: 1346−1363); 及び
GATCTTGGCCTAGGCCTCG (LCR23: 1584−1602);ならびに
LCR 5A (5’ CCAAGTACCTCAGATGCAAGG 3’);及び
LCR 3.0 (5’ CCTTAGATCTTGGCCTAGGCC 3’); ならびに
LCR 5.0 (5’ CCTGTCACCTGAGGATGGG 3’);
LCR 3.1 (5’ TGTGTTGCCTGGACCCTG 3’);
LCR 3.2 (5’ CAGGAGGCCTCACAAGCC 3’);及び
LCR 3.3 (5’ ATGCATCAGGGCAATCGC 3’) が1.9kbのフラグメントの配列決定に適している。
GH1遺伝子の全体のPCR増幅に使用するための他のプライマーとしては次のものが含まれる:
GH1G5 (5'GGTACCATGGCTACAGGTAAGCGCC 3');
GH1G3 (5'CTCGAGCTAGAAGCCACAGCTGCCC 3');
BGH3 (5' TAGAAGGCACAGTCGAGG 3');

GH1R5 (5' ATGGCTACAGGCTCCCGG 3');及び
GH1R3 (5'CTAGAAGCCACAGCTGCCC 3')。
本発明の検出方法ならびにこれにより同定可能もしくは検出可能なGH1の変異体は次の更なる利点を有する。
1.新たな損傷の特定及びキャラクタリゼーションによるGH1遺伝子突然変異の既知のスペクトルの拡張、
2.低身長の病因におけるGH1遺伝子突然変異の役割の評価、
3.新たなGH1遺伝子損傷の遺伝様式の特定、
4.突然変異体の遺伝子型と臨床上の表現型との間の関係の解明、
である。これはGH欠損症の早期検出ならびに適当な臨床管理を行ううえで不可欠であると考えられる。
5.GH分子の構造及び機能に対するGH1突然変異の影響の評価。これは、低身長の臨床上のスペクトルの穏和な側に臨床上の表現型を有する子供の評価において特に重要である。この患者群では、免疫学的に活性であるためにGH機能試験では正常範囲となる機能不全GHが産生されている可能性がある。
6.遺伝性GH欠損症の高速DNA診断試験の開発。
7.現在、GH欠損症は集団で過小診断、過小評価されているという本発明者等の仮定の評価。
したがって更なる自然発生GH1損傷のキャラクタリゼーションはGHの構造、機能、及び発現の研究にとって極めて重要となろう。新規なコード配列変異体の研究によって、GHの機能のみばかりか、GHとその受容体(GHR)との間の相互作用、及びGHRによって媒介されるシグナルトランスダクションプロセスの理解が深まるはずである。得られる知見は新世代の治療薬の合理的な設計に関連性を有するものである可能性がある。同様にプロモーター領域の自然発生GH1損傷の研究によってGH1の遺伝子発現の調節に対する新たな知見が与えられるはずである。したがって広範なスペクトルの突然変異性損傷によって、遺伝性のGH欠損症における突然変異体の遺伝子型と臨床上の表現型との間の関係に対する我々の理解は必ずや深まるものと考えるものである。家族性GH欠損症の早期検出及び適切な臨床管理を行ううえでこれらの研究が不可欠であることは明らかである。
したがって本発明は更にGH1の変異体を提供するものである。この変異体はGH1とは異なるであって、本発明の方法によって検出可能であるが、従来用いられてきた方法では検出できない。本発明のこうしたGH1変異体には、実施例6、特に下記第7表Bでキャラクタライズされるものが含まれる。
上記に示したようにGH分泌を評価するための現在の試験には多くの異なるものが存在するが、現時点で利用可能な試験で理想的なものはどれひとつとしてない。ヒトGHの分泌はパルス型であり、GHパルスの振幅及び振動数は極めて変動しやすい(対象となる個人の睡眠、運動、ストレスや思春期段階などの多くの内的、外的因子によって影響される)ことから、精度の高い情報を与える試験では、専用の研究棟で患者を厳密に監視する必要がある。したがってこうした試験は時間がかかり、高価であって、患者とその家族に大きなストレス及び苦痛を強いる。インスリン誘発低血糖試験(IST)は特に注目に値する。この試験は上述のように多くの医師によってGH分泌を評価する目的で使用されているが、試験を実施するうえでの必要条件として患者で誘導される低血糖に対する必要な処置による死亡例が発生している。したがってISTなどの試験を行う決定が、低身長の子供の評価において所定の地位を与えられる以前に慎重に考慮されることは極めて重要である。したがって低身長の患者のスクリーニングに用いるためのDNA試験の開発は現在利用されている他の試験と比較して多くの利点を有する。
そこで本発明は機能不全GHを有することが疑われる患者をスクリーニングするためのスクリーニング方法を提供するものである。本スクリーニング方法は、
(a)患者からヒトGH1遺伝子のヌクレオチド配列又はこれによってコードされるポリペプチド配列を含む試験試料を得る工程と、
(b)前記試験試料より得られた配列の所定の領域を、所定の配列の対応する領域と比較する工程とを含むスクリーニング方法において、前記所定の配列は本発明の上記の方法にしたがって検出されるGH1の変異体またはこれによってコードされるポリペプチドから選択されることを特徴とする方法である。
より詳細には本発明のスクリーニング方法は、前記所定の配列が変異体GH1遺伝子の所定領域に対応する所定の核酸配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とする。この領域は、野性型配列の対応する領域と比較した場合、少なくとも1つの変異を有するものである。
特に好ましいのは、前記の変異が、後述の実施例6及び第7表で特定されるもののいずれかのように、本発明の検出方法によって検出可能なものである場合である。
好ましくは、前記試験試料は従来の方法で抽出可能なゲノムDNAである。
したがって本発明は更に、GH機能不全を判定するためのスクリーニング方法であって、
(a)GH機能不全が疑われる個人から第1の試験試料を得ることと、
(b)以下の特徴、すなわち、当該技術分野で知られる標準的方法によって診断される不十分な胎児身長速度として定義される、子宮内発育遅延(IUGR)、及び/または、当該技術分野で知られる標準的方法によって診断される、不十分な(小さい)胎児身体のサイズ(体重及び/または体長)として定義される、妊娠期間に比して小さく産まれること(SGA)、の一方または両方を示すとともに、更に場合に応じて、
(i)所定の発育パターン(複数の身長測定値によって与えられる。(Brook CDG (Ed) Clinical Paediatric Endocrinology 3rd Ed, Chapter 9, p141 (1995, Blackwell Science)))として定義される成長不全(この発育パターンは、標準身長チャート(Tanner et al Arch Dis Child 45 755−762 (1970))上にプロットした場合に両親の身長に基づくその個人の推定目標成人身長の範囲を逸脱する個人の成人身長を予測するものである。)、及び/または、
(ii)その年齢で25パーセンタイル未満の身長速度、及び/または、
(iii)実年齢と比較した場合に少なくとも2年のタナー−ホワイトハウススケールに基づいた骨年齢の遅延(ただし5歳以下の子供または思春期の発育の臨床所見の見られた子供を除く)、及び/または、
(iv)IUGRまたはSGAを引き起こす他の疾患が見られないか、上記基準(i)〜(iii)に含まれること、及び/または
(v)試験の種類、試験結果、又は実際子供が試験に参加したか否かと関わりなく、GH分泌試験が適性に行われるうえで充分な臨床上の注意を喚起する臨床的表現型、の内の1以上を示す個人に由来する第2の試験試料から得られるGH1変異体の対応する遺伝子、これによりコードされるポリペプチド、またはそのフラグメントと、前記第1の試験試料中のGH1遺伝子またはこれによりコードされるポリペプチド、またはこれから得られるフラグメント(例、cDNA)とを比較することとを含む、GH機能不全を判定するためのスクリーニング方法を提供するものである。
本発明はGHの機能不全が疑われる患者をスクリーニングするためのスクリーニング方法であって、
(a)患者からヒトGH1遺伝子のヌクレオチド配列を含む試験試料を採取する工程と、
(b)前記試験試料から得た前記配列の所定領域を、所定の配列の対応する領域と比較する工程とを含み、前記所定配列は本発明の検出方法によって同定されるかもしくは同定可能なGH1変異体から選択されることを特徴とする方法を提供するものである。
前記所定の配列は変異体GH1遺伝子の所定領域に対応した核酸配列を有するオリゴヌクレオチドであることが好ましい。この領域は野性型配列の対応する領域と比較した場合に少なくとも1つの変異を有する。
本発明のスクリーニング方法において第1の試験試料又は試験試料はゲノムDNAを含むことが好ましい。
本発明のスクリーニング方法において前記比較工程は、特に検出/比較を行う変異体の数が比較的少ない場合、例えばGH1遺伝子の適当な領域の配列を決定するなど、従来の方法にしたがって行うことが可能である。比較的多数の変異体が用いられる場合にはDNAチップ技術を利用することができる。こうした技術では例えばチップは小型の並列分析素子であり、これを用いて複数の既知の突然変異について又はすべての可能な突然変異についてスクリーニングを行う。スクリーニングは固体支持体に固定された突然変異特異的オリゴヌクレオチドプローブのマイクロアレイに標識した試料DNA(患者から得たcDNAまたはゲノムDNA)をハイブリダイズさせることによって行われる[Southern, Trends Genet 12 110−115 (1996)]。
現在用いられている試験と比較した場合の本発明に基づくDNAスクリーニング方法の利点として以下が挙げられる。
1.患者にとって個人病院で行うことのできる程度の血液検査を一回行うだけでよい。現在用いられている試験の多くと同様、入院、長期にわたる医師による監視、及び多数回の血液採取を必要としない。したがって発生するコスト、専門家の拘束時間、及び試験を受ける各患者の苦痛が軽減される。
2.患者の機能性GH欠損症の早期診断が可能である。本DNAスクリーニングは容易に行うことができることから医師が患者の管理上、こうした診断結果をより早期に検討することが可能となる。現時点ではGH分泌に関する試験に内在する問題のため、医師は子供にISTを行う前に、長期、時に数年にわたって外来専用の個人病院で子供を評価することを行っている。こうしたGH欠損症の遺伝学的病因の早期診断によってGHによる早期治療が可能となり、月単位、更により表現型の重篤度が低い患者では年単位で患者の治療を適切に行うことが可能となる。
3.GH機能不全についてより多くの患者を試験することができる。本DNA試験は容易に行えることから、患者の内分泌科での初診時に医師は全低身長患者の初期評価の一部としてこれを行うことが可能である。これによって、重篤な成長障害を引き起こすGH1遺伝子の損傷を有する患者や、より穏和な損傷(例、コーディング領域のミスセンス突然変異)を有する患者が検出される可能性が高くなる。これらの患者は、臨床上/表現型上の障害がISTで検出されるほど重篤ではなかったために臨床的に見落とされていた可能性があるが、こうした患者でもGHによる治療が有効である可能性がある。
4.生涯にわたってGHによる治療を要する患者の早期特定が可能である。GH分泌についての初期試験または再試験を行うことなく、また進行度を評価するためのGH未投与期間(「無治療試験」)をおくことなく、こうした患者を適切に特定、治療することが可能である。
5.GH機能不全を有する家族を容易かつ早期に特定することが可能である。ある患者で成長障害を引き起こす遺伝子損傷が見つかった場合、患者の他の家族を同じ遺伝子損傷について評価し、GHによる治療が有効であるかを検討することは比較的容易である。
6.診断精度が向上する。GH分泌についての試験は、同じ研究機関内や異なる研究機関間でアッセイの結果の再現性に関して変動が大きいことで悪評高い。本DNAスクリーニングによればこの問題は過去のものとなろう。更にGH分泌試験の結果は、例えば患者が更に甲状腺機能低下症を併発していたり、遅発思春期である場合など特定の状況では解釈が非常に困難である。本DNAスクリーニングによってこうした疑いがなくなり、GHによる治療が有効と考えられる患者で治療開始の遅れが防止される。
そこで本発明は更に本発明のスクリーニング方法を行ううえで使用するのに適したキットを提供するものである。本キットには:
(a)変異体GH1遺伝子の所定領域に対応した核酸配列を有するオリゴヌクレオチドであって、対応する野性型配列からの本発明に基づく変異を前記領域が少なくとも1つ有するようなオリゴヌクレオチド、
(b)(a)で特定された領域内の野性型配列に対応する核酸配列を有するオリゴヌクレオチド、及び必要に応じて、
(c)患者のDNAの所望の領域を増幅するためのPCRを行うのに適した1以上の試薬
を含む。
こうした試薬としては、例えばGH1遺伝子の特定のエクソンに対応したPCRプライマー、及び/または本明細書中で述べたようなプライマー、特に上記に述べたような新規なプライマー、及び/またはTaqDNAポリメラーゼなどのPCRで使用する他の試薬が含まれる。
好ましくは本キットのオリゴヌクレオチドは、前記変異体配列については例えば20塩基対など20〜25塩基対の範囲であり、前記野性型については変異が1塩基対の置換である場合には20、また変異が5塩基対の欠失である場合には25塩基対からなる。いずれの場合も本発明のオリゴヌクレオチドは、選択された領域に固有となるように、かつ、ゲノムのどこかで重複しないものとなるように選択されることが必要である。
明らかなことであるが、15〜20以上など、複数の変異についてスクリーニングすることが望ましい状況では、ヌクレオチド40種以上からなるキットが必要となる。したがってDNAチップ技術を利用した別のスクリーニング方法では本発明は更に、固体支持体に固定された、上記キットの構成要素(a)として定義された複数種のオリゴヌクレオチドを提供するものである。
ナノテクノロジー分野で開発が進められているシグナル増幅法(Q−Dotsなど)などの他のヌクレオチド検出法を利用することも可能である。また1分子検出法を利用することも可能である(STMなど)。その場合、本発明に基づくキットにはこうした別法で使用される1以上の試薬が含まれる。
また、本発明に基づくスクリーニング方法及びこれに対応したキットは、タンパク質/アミノ酸配列(例、GH1の変異体またはGH変異体に対して特異的な抗体)などのGH1の変異体若しくはGH変異体の存在を示すか又は相関のある1以上の所謂「代用マーカー」に基づいたものであってもよい。こうした「代用マーカー」は、
(a)任意の生体分子(ヌクレオチド、タンパク質、糖類、脂質など、ただしこれに限定されない);
(b)化合物(薬物、その代謝産物、及び他の化合物など、ただしこれに限定されない);かつ/または
(c)所定の物理的特性、を備え、患者の体内におけるその存在、非存在、又は量が測定可能であってGH変異体またはGH1の変異体の存在を示すかその存在と相関しているものを使用することができる。
更に、本発明に基づく好適な別のスクリーニング方法では、従来のタンパク質配列決定法(質量分析法、マイクロアレイ分析、ピロシークエンシングなど)、及び/または抗体に基づいた検出法(例、ELISA)、及び1以上のこうしたタンパク質配列決定法を行うことによって同定可能なGH変異体(本発明の方法によって検出されるGH1の変異体によってコードされるものなどのhGHの変異体を含むタンパク質/ペプチド配列)を含む試験試料を得てもよい。
こうした別例では本発明に基づくキットはこうした別法で用いられる1以上の試薬を含んでいてもよい。
本発明の方法によって検出可能なGH1変異体には、GH機能不全のスクリーニング試験で用いるスタンダードとしての用途の他にも更なる用途が考えられる。例えば、変異がGH1遺伝子のプロモーター領域にあるもの以外の変異体を使用して、脳下垂体性巨人症や末端肥大症の場合のようにGH産生が過剰刺激されている患者を治療することができる。
本発明は更に、
(a)2個の終止突然変異を有する1以上のGH変異体又はGH1の変異体の用途であって、成長ホルモンをまったく産生せず、かつ従来の診断法によって古典的GHDとして分類される患者の特定における用途、
(b)成長ホルモン受容体またはその結合タンパク質へのGHの結合を改変するGH変異体またはGH1の変異体であって、該改変によって変異体GHが結合タンパク質に結合することによる下垂体からの輸送が低減または阻害されて未結合タンパク質が組織受容体に到達する間に破壊されるようなGH変異体又はGH1の変異体、
(c)下垂体でのGHタンパク質の亜鉛二量体貯蔵型の生成を阻害するGH変異体又はGH1の変異体、
(d)GH変異体又はGH1の変異体によって発現されるタンパク質であって、GH受容体に対して拮抗性を有するタンパク質であるとともにその受容体結合定数は変異体タンパク質の効果及び阻害作用に打ち勝つ(変異体タンパク質は受容体への結合で野性型と競合する)ために患者を治療するうえで必要な外因性GHの量(用量)を決定するようなタンパク質、
(e)治療、診断、又は検出方法のための本発明に基づくGH変異体又はGH1の変異体の用途、
(f)疾患に対する個人の感受性を判定するための本発明に基づくGH変異体又はGH1の変異体の用途、
(g)糖尿病、肥満、感染症、癌、又は心臓疾患に対する感受性を判定するための本発明に基づくGH変異体又はGH1の変異体の用途、
(h)結合欠陥及び/又は下垂体貯蔵欠陥を判定するための本発明に基づくGH変異体又はGH1の変異体の用途、
(i)末端肥大症における拮抗剤治療の診断用量を決定するための本発明に基づくGH変異体又はGH1の変異体の用途、
(j)医療措置における本発明に基づくGH変異体又はGH1の変異体の用途、
(k)遺伝子療法における本発明に基づくGH1の変異体の用途、
(l)病態に関連した1以上の多型を判定するための本発明に基づくGH変異体又はGH1の変異体の用途、
(m)医薬組成物、診断用組成物若しくはキット、または検出キットを調製するための本発明に基づくGH変異体又はGH1の変異体の用途、
(n)変異体GH1遺伝子の所定領域に対応した核酸配列を有する長さ約20ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであって、前記領域は対応する野性型配列と比較した場合に少なくとも1つの変異を有し、該変異は1以上の本発明に基づく変異を含むようなオリゴヌクレオチド、
(o)(n)のオリゴヌクレオチドの相補体を含むオリゴヌクレオチド、
(p)前記変異に対応するヌクレオチドが該分子の3’末端に位置する(n)のオリゴヌクレオチド、
(q)変異体GH1遺伝子にはハイブリダイズするが野性型GH1遺伝子にはハイブリダイズしない一本鎖DNAプローブであって、該変異体GH1遺伝子は本発明に基づくものから選択されるようなDNAプローブ、
(r)固体支持体に固定された核酸分子のアレイであって、(q)に記載の一本鎖DNAプローブを有するアレイ、
(s)GH機能不全が疑われる患者をスクリーニングするためのスクリーニング方法であって、
(i)患者からヒトGH1遺伝子のヌクレオチド配列を含む試験試料を得る工程と、
(ii)(n)に記載の変異体GH1遺伝子の所定領域に対応する前記患者からのヒトGH1遺伝子の所定領域の配列を比較する工程と、を含むスクリーニング方法、
(t)前記比較工程は前記所定配列とのハイブリダイズを行うことを含む(s)に記載の方法、
(u)前記比較工程はヒトGH1をコードした核酸の少なくとも一部を増幅することを含む(s)に記載の方法、
(v)前記比較工程は、本明細書中に述べられるものの中から選択される1以上のオリゴヌクレオチドによってヒトGH1をコードした核酸の少なくとも一部を増幅することを含む(s)に記載の方法、
(w)本明細書中に述べられるものの中から選択される増幅オリゴヌクレオチド、
(x)本明細書中に述べられるような患者のGH1遺伝子の1以上の変異(野性型に対する置換、挿入、または欠失など)、特に上記(n)〜(q)の1以上に記載の変異の種類を決定するために必要な構成要素を含む診断キットで、特に多型部位を有するこうした遺伝子のセグメントの増幅に使用されるオリゴヌクレオチドを含む診断キット、
(y)参照hGH配列からの本明細書中に述べられるような変異を示すアミノ酸位置を有する1以上のエピトープに対する抗体群から選択される抗体であって、そのアミノ酸の位置で前記変異体と野性型アミノ酸を区別することが可能な抗体、及び
(z)(y)に記載の抗体を含む診断キット
を提供するものである。
本発明は更に、本発明のGH変異体、特に本発明の検出方法によって検出可能な本明細書中に述べられるような変異体を薬学的に許容されるその担体とともに含む組成物を提供する。
本発明を以下に実施例によって説明する。
実施例1−患者の選別
患者のソース
カーディフのウェールズ大学医学部、地域小児科成長、内分泌、糖尿病サービスからの紹介、ならびに他の同様の英国内のセンター(ニューポート、バーミンガム、ブリストル、レクサム、リバプール、ストーク・オン・トレント、ポーツマス、及びサウサンプトン)の協力により低身長症の子供を同定した。家族歴、家系図、成長パラメータの記録、及び以前に行われた内分泌に関する調査を含む完全な病歴を得た。指標となる例、両親、兄弟について可能な限り正確な成長学を記録した。指標例及び適当な近縁者から分子遺伝学的分析のための血液サンプルを採取した。更なる家族をジョン A.フィリップ三世教授(米国テネシー州ナッシュビル在住)、モハマド マグニー博士(イタリア パビア在住)、ならびにタマス ニーダーランド博士(ハンガリー ジェール在住)から紹介いただいた。現在までに69例のGH欠損症家系からサンプルを得た。
使用基準
第5表B中のすべての患者についてSGAを基準として使用した。SGAは出生体重及び/または出生体長が出生時の妊娠期間に比して−2SD未満であることによって定義される。行頭に「IUGR」と示された行で「Y」とある患者は上記に定義したような子宮内発育遅延も呈した患者である。
行頭に「CF」と示された行で「Y」とある患者は更に以下の基準を満たす患者である。
(i)本発明に基づく基準(i)に関して上記に定義したような標的身長範囲率(%)の下限を下回る成長。
(ii)25パーセンタイル未満の身長速度。
(iii)実年齢と比較した場合に少なくとも2年、例として患者18の場合では3.5〜4年の骨年齢の遅延。ただし5歳以下の子供または思春期の発育の臨床所見の見られた子供を除く。
(iv)他のすべての調査項目が正常値であること。すなわち、IUGRまたはSGAを引き起こすことが知られている他の疾患を有さないか、上記(i)〜(iii)の基準に包含される場合。
(v)成長ホルモン分泌試験の結果が正常値であること。
(vi)試験の種類、試験結果、又は実際子供が試験に参加したか否かと関わりなく、GH分泌試験が適性に行われるうえで充分な臨床上の注意を喚起する臨床的表現型。
第5表B中、GH FT:ピークは、1以上の標準成長ホルモン機能試験における活性の単位(IU/L)を示す。「ランダム」とは、ランダムに測定されたGH測定値を示す。NDは無試験を示す。身長のパーセンタイルは、後掲の第7表Bに示したデータとともに、50パーセンタイルを大幅に下回る身長を有することが不可欠な選択基準とはならないことを証明するために示したものである。本発明者等は身長がさほど低くない患者においても生ずるGH/GH1の変異を見出した。
Figure 2005509423
実施例2−GH1特異的フラグメントのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅
83名の無関係な患者で3.2kbのGH1特異的フラグメントのPCR増幅を行った。ゲノムDNAは標準的手法によって患者のリンパ球から抽出した。
Expand(商標名)ハイフィデリティシステム(ロシュ)を使用して、ヒトGH1遺伝子を含んだ3.2kbの単一のゲノムDNAフラグメントをPCR増幅するため、GH1特異的配列に対応したオリゴヌクレオチドプライマーとして、GH1F(5’GGGAGCCCCAGCAATGC3’;−615〜−599)及びGH1R(5’TGTAGGAAGTCTGGGGTGC3’;+2598〜+2616)を設計した。
各反応で2本の別個の肉薄の0.65ml PCRチューブを用いた。第1のチューブには、500ナノグラム(ng)ずつの各プライマー(GH1F及びGH1R)、各200μMのdATP、dTTP、dCTP及びdGTP、及び200ngの患者のゲノムDNAに滅菌水を加えて最終容量を25μlとした。第2のチューブには、5μlの10×反応バッファに滅菌水を加えて最終容量を24.25μlとした。両チューブを5分間氷冷した。この時間の後、0.75μlのExpand(商標名)ポリメラーゼミックスを第2のチューブに加え、内容物を混合して第1のチューブに移した。このチューブを30秒遠心して、反応混合物に30μlのライトミネラルオイル(シグマ)を重層した。次いでこの反応混合物を95℃に設定した480または9700プログラマブルサーマルサイクラー(パーキンエルマー)に入れた。
次いで反応混合物を以下の条件で増幅した。95℃で2分間の後、95℃で30秒、58℃で30秒、68℃で2分間を30サイクル。最後の20サイクルでは、68℃での伸長反応を各サイクルで5秒間延長して行った。この後、68℃で7分間更にインキュベートして、反応溶液を4℃に冷却してから更なる分析を行った。各反応溶液のセット毎にブランク(ネガティブコントロール)を設けた。このブランク反応液はゲノムDNA以外のすべてが含まれるものを使用し、これを使用してコンタミネートされた試薬がないことを確認した。
10分の1量(5μl)を1.5%アガロースゲルで分析してnestedPCRを行う前にPCR増幅がうまく行われたかを評価した。首尾よくPCR増幅が行われた試料は100分の1に希釈してからnestedPCRで使用した。
実施例3−nestedPCR
実施例2で得られたフラグメントでnestedPCRを行ってそれぞれについてGH1遺伝子の全体をカバーする7個の重複したサブフラグメントを生成した。更に3人の患者を除いてすべての患者でLCR(遺伝子座調節領域)をPCR増幅した(実施例5を参照)。
Taq GoldDNAポリメラーゼ(パーキンエルマー)を使用して最初の3.2kb PCR産物の7個の重複サブフラグメントをPCR増幅した。これらの反応で使用したオリゴヌクレオチドを、GH1遺伝子参照配列から決定した配列位置とともに第6表に示した。
希釈したロング(3.2kb)PCR産物の1μl量を肉薄の0.2ml PCRチューブまたは96穴マイクロタイタープレートのウェルの1個に入れた。これに5μl 10×反応バッファ、500ngの適当なプライマー対(例、GH1DF及びGH1DR)、dATP、dTTP、dCTP及びdGTPを200μMの最終濃度にまで加え、滅菌水を加えて容量を49.8μlとし、0.2μlのTaq Goldポリメラーゼを加えた。
このチューブまたはマイクロタイタープレートをPrimus96サーマルサイクラー(MWGバイオテック)に入れ、次の条件でサイクル反応を行った。95℃で12分の後、95℃で30秒、58℃で30秒、72℃で2分を32サイクル。この後、72℃で10分間更にインキュベートし、反応溶液を4℃に冷却してから更なる分析を行った。
得られた反応混合物の10分の1量(5μl)を0.8%アガロースゲルで分析して、WAVE(商標名)DNAフラグメント分析システム(トランスゲノミック社、イギリス国 チェシア クルー所在)で変性高圧液体クロマトグラフィ(DHPLC)を行うのに先立って反応が首尾よく行われたことを確認した。ヘテロ二本鎖の形成を促進するため、PCR産物を95℃で5分間変性した後、50℃で45分かけて徐々に再アニーリングを行った。得られた産物をDNAsepカラム(トランスゲノミック社)にかけ、0.1Mの酢酸トリエチルアミンバッファ(TEAA pH7.0)中、0.9ml/分の一定流速で2%/分のアセトニトリル(BDHメルク)の線形濃度勾配で溶出した。濃度勾配の開始点ならびに停止点は、PCR産物のサイズにしたがって調節した。分析に要した時間は、カラムの再生及び平衡化に要した時間を含めて増幅試料毎に6.5〜8.5分であった。各試料はDHPLCMeltソフトウェア(http://insertion.stanford.edu/melt.html)を使用して求め、第6表に示した融解温度(TM)にて分析を行った。溶出したDNAフラグメントはUV−C検出器(トランスゲノミック社)によって検出した。
Figure 2005509423
実施例4−GH1特異的ロングPCRフラグメントのDNA配列決定とクローニング
クローニング
DHPLC分析によって潜在的なDNA配列の変化を含むDNAフラグメントの同定が可能となった。どのアレルが潜在的な配列変化を有するかを決定するため、GH1−特異的なロング(3.2kb)PCRフラグメントをPCRプラスミドクローニングベクターpGEM−T(プロメガ)にクローニングした。クローニングは、1×反応バッファ及び1μl(3単位)のT4DNAリガーゼの存在下で50ngのGH1−特異的なロングPCRフラグメントを10ngのpGEM−Tに最終容量が10μlとなるように加えて行った。この反応溶液を10℃で16時間インキュベートした。この反応混合物の全体を1.5mlのチューブに入れて氷冷した。50μlのコンピテントなDH5α細胞(ライフ・テクノロジーズ)を加えてチューブを氷上に30分静置した。次いで混合物に37℃で20秒間ヒートショックを行い、再び2分間氷冷した。この後、0.95mlのYT×2培地(水1リットル当たり、16gトリプトン、10g酵母抽出物、5gNaCl)を加え、反応混合物を震盪しながら37℃で1時間インキュベートした。次いで混合物を50μg/mlのアンピシリン、IPTG及びX−galを含有する予め暖めたアガープレート上にプレーティングし、37℃で16時間インキュベートして個別のコロニーを成長させた。
各プレートから8個の白色のコロニーを選び、第2のグリッドプレートに移植した。各細菌コロニーの小量を、プライマーとしてGH1DFとGH1DR(実施例3、第6表参照)を用い、上記の条件でPCR増幅して、GH1−特異的なロングPCRフラグメントが首尾よくクローニングされたことを確認した。
GH1−特異的なロングPCRフラグメントを有するクローンを2mlのYT×2培地中で培養し、キアゲン・spin miniprepキットを製造者の指示にしたがって使用してこの細菌からプラスミドDNAを抽出した。このようにして抽出したDNAは、260nmにて光学濃度を測定し、0.8%アガロースゲル上で電気泳動して、クローンのサイズが適正であることを確認した。これらのクローンの内の4つについて配列決定を行った。
自動化DNA配列決定
Primus96(MWG)または9700(パーキンエルマー)PCRサーマルサイクラー上、0.2mlチューブまたは96穴マイクロタイタープレート中でBigDye配列決定キット(パーキンエルマー)を使用してGH1特異的ロングPCRフラグメントを含むクローンの配列決定を行った。配列決定に使用したオリゴヌクレオチドプライマーは次のとおり。

GH1S1(5’GTGGTCAGTGTTGGAACTGC3’:−556〜−537);
GH3DF(5’CATGTAAGCCAAGTATTTGGCC3’:+189〜+210);
GH4DF(5’GACTTTCCCCCGCTGTAAATAAG3’:+541〜+560):及び
GH6DF(5’TCCCCAATCCTGGAGCCCCACTGA3’:+1099〜+1122)
1μgのクローン化DNAを3.2pmolの適当なプライマー及び4μlのBigDye配列決定混合物を用いて20μlの最終容量で配列決定した。次いでこのチューブまたはマイクロタイタープレートをサーマルサイクラーに入れ、次の条件でサイクル反応を行った。96℃で2分の後、96℃で30秒、50℃で15秒、60℃で4分を30サイクル。この後反応溶液を4℃に冷却してから精製を行った。
反応が完了した配列決定用反応溶液に80μlの75%イソプロパノールを加えて精製を行った。反応溶液を混合し、室温で30分放置した。次いで反応溶液を室温にて14000rpmで20分遠心した。上清を除き、沈殿物に250μlの75%イソプロパノールを加えた。この試料を混合し、室温にて14000rpmで5分遠心した。上清を除き、ペレットを75℃で2分乾燥した。
この後、試料をABI Prism377又は3100DNAシーケンサーで分析した。
実施例5−成長ホルモンの遺伝子座調節領域の分析
ヒトGH1遺伝子の約14.5kb上流のDNA領域はGH1遺伝子の転写の組織特異的及び発生上の調節に関与していることが知られている(Jin et al Mol Endocrinol 13 1249-1266 (1999))。これは遺伝子座調節領域(LCR)として知られ、そのDNA配列をGenBank(アクセッション番号:AF010280)より入手した。ヌクレオチドの番号付けはGH LCR参照配列(図4)に基づいて行った。
1192番目の多型部位を太字かつ下線にて示した。この領域の一部をPCR及びDHPLCによって分析した。
この利用可能なDNA配列に基づいて設計された新規なオリゴヌクレオチドプライマーの使用によって、約400bpにまたがった2個の重複するPCRフラグメントが生成した。すなわち、

フラグメント1のプライマーは、LCR15(5’GTGCCCCAAGCCTTTCCC3’:1159−1177)及びLCR13(5’TGTCAGATGTTCAGTTCATGG3’:1391−1412)であり、
フラグメント2のプライマーは、LCR25(5’CCTCAAGCTGACCTCAGG3’:1346−1363)及びLCR23(5’GATCTTGGCCTAGGCCTCG3’:1584−1602)である。
TaqGoldポリメラーゼを用いてPCRを行った。1μlの患者のゲノムDNAを肉薄の0.2mlPCRチューブまたは96穴マイクロタイタープレートのウェルの1つに入れた。これに、5μlの10×反応バッファ、500ngの適当なプライマー対(例、GH1DF及びGH1DR)、dATP、dTTP、dCTP及びdGDPを最終濃度が200μMとなるように加え、49.8μlの容量にまで滅菌水を加えた後、0.2μlのTaqGoldポリメラーゼを加えた。次いでこのチューブまたはマイクロタイタープレートをPrimus96サーマルサイクラー(MWGバイオテック)に入れ、次の条件でサイクル反応を行った。95℃で12分の後、95℃で30秒、58℃で30秒、72℃で2分を32サイクル。この後72℃で10分更にインキュベートして反応溶液を4℃に冷却してから更なる分析を行った。
得られた反応混合物の10分の1量(5μl)を1.5%アガロースゲルで分析して、変性高圧液体クロマトグラフィ(DHPLC)を行うのに先立って反応がうまくいったことを確認した。実施例3で述べたようにして融解温度61℃でDHPLCによる分析を行った。
実施例5A−成長ホルモン遺伝子座調節領域の更なる分析
40人のコントロール群と遺伝性GH欠損症の患者40人から得た600ngのDNAを用い、下記の新規プライマー:
LCR 5A(5’CCAAGTACCTCAGATGCAAGG3’);及び
LCR 3.0(5’CCTTAGATCTTGGCCTAGGCC3’;図4参照)、
5mMの各dNTP、及びロシュ・ハイフィデリティDNAポリメラーゼを用いて1.9kbのLCRフラグメントのPCR増幅を行った。反応条件は、98℃×2分、94℃×15秒、58℃×30秒、72℃×1分×10サイクル、58℃×30秒、72℃×1分+各連続サイクルにつき5秒×20サイクル。PCR反応産物は2%アガロースゲル上で分離してLCRフラグメントに相当するバンドをメスで切りだした。アガロースをゲル抽出によって除去し、配列を決定するためにDNAを溶出した。この1.9kbのLCRフラグメントを下記の新規なプライマーを用いてABI3100自動シーケンサーで配列決定した。
LCR5.0(5’CCTGTCACCTGAGGATGGG3’);
LCR3.1(5’TGTGTTGCCTGGACCCTG3’);
LCR3.2(5’CAGGAGGCCTCACAAGCC3’);
及びLCR3.3(5’ATGCATCAGGGCAATCGC3’)を用いて該当領域をカバーした。
実施例5B−ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイによるGH1プロモーターハプロタイプ及び潜在的プロモーター突然変異のキャラクタリゼーション
QuikChange(商標)部位特異的突然変異誘発キットを使用して特定配列の変異体をpGL3−GH1コンストラクトに組み込んだ。この方法では、それぞれが所望の突然変異を有する2個の相補的オリゴヌクレオチドプライマーを野性型コンストラクトの対向する鎖にアニールする。次いでこのプライマーをハイフィデリティーPfuDNAポリメラーゼで伸長すると、特定の突然変異の効率は高く、ランダムな突然変異のレベルは低くなる。最後に、damによりメチル化した親DNAを、メチル化または半メチル化されたDNAに特異的な制限酵素であるDpnIで消化して突然変異を有するプラスミドを選択する。
ラットGH3及びヒトHeLa細胞へのDNAの導入には、簡易性及び効率性から、リポソーム媒介トランスフェクション法を選択した。GH3細胞の一時的トランスフェクションにはTfx(商標)−50を試薬として使用した。これには合成カチオン性脂質分子である(N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジ(オレイルオキシ)−1,4−ブタンジアンモニウムアイオダイド)及びL−ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)からなる混合物が含まれる。これらの脂質は水で水和されると多層小胞を形成し、これが核酸と結合して細胞内への核酸の移行を促進する。細胞は96穴プレートフォーマットを用いてプレーティングした。コンフルエンスに達した細胞を培養フラスコから取出し、新鮮な培地で希釈したところ、細胞密度は、ウェル当たり160%コンフルエンスと計算された。希釈した細胞の200μl量を各ウェルに分注し、湿らせた紙片の入った箱の存在下でプレートを一晩37℃でインキュベートした。これにより細胞は翌日のトランスフェクトの時点で約80%のコンフルエンスに達していた。
トランスフェクション混合物は、無血清培地、DNA(pGL3−GH1及びpRL−CMV)及びTfx(商標)−50試薬を含んだものである。0.25μgのpGL3コンストラクト、2ngのpRL−CMV、及び0.5μlのTfx(商標)−50試薬(これによりTfx(商標)−50試薬の必要なDNAに対する比は3:1と最適な値となる)を含んだ全体量がウェル当たり90μlとなるように調製した。最初に培地とDNAを混合してからTfx(商標)−50試薬を混合した。この溶液を直ちにボルテックスにかけ、室温で20分インキュベートした。15分経った段階で培養したウェルをインキュベーターから取り出して増殖培地を除去した。Tfx(商標)−50試薬/DNAの混合物を手早くボルテックスにかけてから各ウェルに90μlずつを加えた。プレートを1時間再びインキュベーター内に置いてから、200μlの予め暖めた(37℃)完全培地を各ウェルに加えた。この細胞を更に24時間再びインキュベーター内に置き、レポーターアッセイ用に溶解した。HeLa細胞のトランスフェクションはGH3細胞と基本的に同様であった。異なる点としては、Tfx(商標)−50の代わりにTfx(商標)−20を使用し、1ngのpRL−CMVを同時トランスフェクトし、細胞密度がウェル当たり60%のコンフルエンスとなるように細胞を計算した点である。
培養し、トランスフェクトした細胞を37℃のインキュベーターから取出し、増殖培地を除去してから50μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えた。このプレートを静かに揺動した後、リンス溶液を除去した。20μlのpassive lysis bufferを細胞単層が完全に覆われるように各培養ウェルに加えた。このプレートを回転テーブル上に置いて室温で30分放置した後、−70℃で保存した。その後プレートを融解し、6000rpmで20秒間スピンした。マイクロプレート照度計を2秒間の予備測定の後、各レポーターアッセイにつき10秒の測定時間となるようにプログラムした。50μlのルシフェラーゼアッセイ試薬II(デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(英国 プロメガより販売))を第1のウェルに直接注入してホタルルシフェラーゼ活性を測定、記録した。次いで50μlのStop&Glo(商標)試薬を注入してRenillaルシフェラーゼ活性を記録した。この手順を各細胞溶解物について繰り返した。
実施例5C−GH変異体のシグナルトランスダクション活性のアッセイ
本発明者等のバイオアッセイで研究対象とするGH変異体のターゲットとしてHK293細胞のクローンを選択した。これはこの細胞ではGH受容体の発現レベルが上昇していることによる。アッセイに先立ち、細胞を24時間にわたって24穴プレート(ウェル当たり細胞100,000個)中に置き、STAT5応答性ルシフェラーゼレポーター遺伝子コンストラクト及び構成的に発現するβ−Galプラスミド(CMVプロモーター)で同時トランスフェクトしてトランスフェクション効率を補正した。一晩のトランスフェクションの後、細胞を洗い、既知の標準濃度範囲に希釈した変異体及び野性型GHと6時間インキュベートした。この間にGH受容体が活性化されればSTAT5が活性化されルシフェラーゼが発現する。したがってこのアッセイではルシフェラーゼの発現が、GH受容体の活性化の程度、ひいては細胞に作用したGHの生物学的活性の程度の目安となる。6時間のインキュベーション時間の後、細胞を溶解して標準的方法(Ross RJM et alのMolec Endocrin 11 265−73 (1997)の方法にしたがうアッセイ;キットは英国 プロメガ社より供給されたもの。)を用いてプレート読み取り用照度計でルシフェラーゼを測定した。
実施例6−GH1遺伝子突然変異及び多型
これまでに本発明に基づく選択に用いた特性により、後述の異なるタイプの証拠に基づけば低身長の病因に関係すると考えられるGH1遺伝子の3つの異なる新規な変異体(「突然変異」−表7B)のキャラクタリゼーションならびに同定がなされた。これらの新規な損傷は、プロモーター領域の1個のミスセンス突然変異と2個の異なる突然変異からなる。
表7Bにおいて、ヌクレオチドの番号付けは図5に示したGH1参照配列に基づいている。図5では、ヒトGH1のコード配列の5個のエクソンを大文字で示してある。また、翻訳開始(ATG)及び終止コドン(TAG)は下線で示してある。ポリ(アデニル化)シグナルは太字及び下線で示してある。3’UTR境界は+1642の位置であり、+1は転写開始部位である。本文中で述べられる突然変異損傷、多型、及びオリゴヌクレオチドプライマーのすべての番号(遺伝子座調節領域を除く。図4参照)は、GH1参照配列と関連付けることができる。
Figure 2005509423
Figure 2005509423
GH1参照配列はGenbankを通じてアクセスが可能な(アクセッション番号:J03071)Chen et al.から得た。分析を行った15人の患者の内、6人で突然変異が見出された。検出された突然変異はすべてヘテロの状態で見られた。
(a)ミスセンス突然変異
GH1遺伝子のコード領域内で、コードされるアミノ酸を変化させる2個の一塩基対置換が発見された。これらの1つ(Gln91Leu)は新規なものである。このミスセンス突然変異が病理学的に関与していることの証左は次の4つのソースから得られた。すなわち、(i)コントロール集団の研究、(ii)アミノ酸置換の性質及び問題とされる残基の進化上の保存度、(iii)分子モデリング、及び(iv)シグナルトランスダクション活性のin vitroアッセイである。
(i)コントロールにおけるGH1コード配列変異の研究
全部で80人の健康な白人系イギリス人をコントロールとしてGH1遺伝子のコード領域内の変異についてスクリーニングを行った。個別の患者で5例のサイレント置換が見出された[Asp26でのGAC(R)GAT、Ser85でのTCG(R)TCC、Ser85でのTCG(R)TCA、Thr123でのACG(R)ACA、及びAsn109でのAAC(R)AAT]。更に2個のミスセンス突然変異が見出された[AAC(R)GAC、Asn47(R)Asp;GTC(R)ATC、Val110(R)Ile、4/160個のアレル]。本発明者等の患者の研究ではVal110→Ileの置換のみが見出された(患者66)。Gln91Leu突然変異はコントロール集団では見られず、その病理学的関連性と一致する。
(ii)アミノ酸置換の性質及び関連する残基の進化上の保存
ミスセンス突然変異が臨床上の注意を喚起する確率は、問題とされる遺伝子の配列構造、アミノ酸置換の程度、タンパク質分子内での置換残基の正確な位置及び周辺環境、ならびにタンパク質の構造及び機能に対するその影響など、多くの因子に依存する(Wacey et al Hum Genet 94 594−608(1994))。検出されたミスセンス突然変異が病理学的に重要であるかを評価するため、これらの変化の生物物理学的性質を個別に調べた(第7表C)。
ミスセンス突然変異が病理に関与していることの証拠は、進化上の保存度のデータから得られる。これは進化上保存されているアミノ酸残基は所定の生物学的機能を有している確率が高いためである。逆に進化上保存されていない残基が機能的に重要である可能性は低い。したがって病理に関与する損傷は進化上保存された残基に見られる傾向があるのに対して、中立な多型やまれな変異体ではそうした傾向はみられない(Wacey et al,ibid)。そこで19種の他の脊椎動物のオーソロガスなGHタンパク質配列との比較を行うことによって、ミスセンス突然変異(Gln91)への関与が示されているGH残基を進化上の保存度について調べた(第7表C)。突然変異が影響する残基は保存されていることが示され、この損傷が病理的重要性を有するという見方を支持するものである。
Figure 2005509423
オーソロガスなGHタンパク質の比較
(一致率(%)、ヒトに対する保存的変化率(%))
マウス(66,77)、ラット(64,75)、ウサギ(66,77)、クジラ、イヌ(67,78)、ブタ(67,78)、ヒツジ(66,76)、ウシ(66,76)、シチメンチョウ(55,74)、ニワトリ(56,73)、アヒル(55,72)、カメ、カエル(45,68)、サメ、タイの一種、タラの一種、サケ、コイ(38,57)、金魚(37,57)。
(iii)分子モデリングによって提示される、機能的影響があると考えられるミスセンス突然変異
ヒト成長ホルモンのX線結晶解析構造において、適当なアミノ酸残基を単に置き換えることによってミスセンス突然変異のモデリングを行った。次いで野性型と突然変異体の「構造」を、静電相互作用、水素結合、疎水性相互作用、及び表面露出度について比較した。C末端のヘリックス2にGln91が存在している。Leuの導入によって疎水性が増大してタンパク質の折り畳みに影響する可能性がある。
(iv)GH変異体のシグナルトランスダクションのアッセイ
ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイシステム(Ross RJM et al, Molec Endocrin 11 265−73(1997))に基づく)を利用してGH変異体のシグナルトランスダクション活性(生物学的活性)をアッセイした。成長ホルモンが生物学的活性を有するためには2個のGH受容体に結合して受容体の二量化を引き起こす必要がある。これによりJAK−2として知られる細胞内チロシンキナーゼが活性化される。JAK−2は更に転写因子STAT5をリン酸化して活性化する。リン酸化されたSTAT5は二量化し、核に転位してSTAT5応答性プロモーターに結合することによりGH応答性遺伝子の発現のスイッチを入れる。ここで本発明者等が用いたGHの生物学的活性のアッセイではこの経路の全ての段階が機能性であることが必要である。
Figure 2005509423
結果は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイにおいて1nMの用量で野性型と比較した活性率(%)として表した(1nM=アッセイにおける野性型GHのED50(約))。pは観察された値と野性型で見られた値との差が有意であることを示す。NSは「有意でない」ことを示す。
(b)プロモーター突然変異
本発明者等の患者のコーホートで2個の新たなプロモーター変異体が検出された。無関連の3人の患者において一塩基対置換の1つ(−60G→A)と−48G→Aへの置換が見られた。損傷が実際のものであることの証拠を、(i)健康なコントロールでのGH1プロモーターの研究、(ii)異なる哺乳動物種での突然変異を生じたヌクレオチドの進化上の保存度の研究、(iii)ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイによるin vitroでのGH1プロモーター機能への遺伝子損傷の影響の決定、によって得た。
本発明者等の患者サンプルにおいて見出された3/6(50%)の突然変異アレルに相当する再発性突然変異(−48G→A)が見られた。このことは、GH1遺伝子で頻発する病理的損傷を速やかに検出する観点から極めて有望である。
(i)コントロールにおけるGH1プロモーター変異体
157人の健康な白人系イギリス人をコントロールとして突然変異についてGH1プロモーター領域をスクリーニングした。患者サンプルで見られた突然変異に対応した唯一の配列変化は、2名で検出された−48におけるG→Aへの変化であった。単一の複数個人でコントロールサンプルに特異的な更なる3個の置換が見られた(+62A→G、−123T→C、及び−373G→A)。最後に、1名で遺伝子変換が見られ(最小で−57〜−31、最大で−168〜−6)、これはコントロールサンプルでも特異的であった。したがって、患者と比較してコントロールではより少ない変化が数多く見られた。この発見は患者の突然変異が病理的重要性を有することと一致する。コントロールでは−60G→Aへの置換が見られなかったが、このことはこの置換の病理的関連性の証拠となるものである。
(ii)進化上の保存度
GH1遺伝子の転写開始部位の130bp上流に相当するDNA配列が10種の哺乳動物から得られている。確認が可能な部分では、患者57で変異しているヌクレオチド−60は進化上保存されていることが分かった。この発見はこのヌクレオチドが機能的重要性を有することと一致する。
(iii)GH1プロモーターの突然変異のルシフェラーゼレポーター遺伝子分析
レポーター遺伝子アッセイを行ってルシフェラーゼ遺伝子の発現を引き起こす能力について−48G→Aの突然変異を評価した(第7表G)。ラット脳下垂体GH3細胞及びヒトHeLa細胞のそれぞれで3つの異なる実験を6回ずつ繰り返して行った(全部で18回)。したがってこのレポーター遺伝子発現アッセイではこの損傷の病理への関与を支持する結果は得られなかった。
Figure 2005509423
下垂体成長ホルモン(GH1)をコードした遺伝子は、染色体17q23の5個の関連遺伝子のクラスター内に位置していることを示す図。 5個の遺伝子はすべて非常に似通った構造を有し、5個のエクソンが短いイントロンによって同じ位置で分断されていることを示す図。 ヒトGH1遺伝子プロモーター/5’側非翻訳領域の公知の多型を示す図。 GenBank(アクセッション番号:AF010280)の配列。 GenBank(アクセッション番号:AF010280)の配列。 GenBank(アクセッション番号:AF010280)の配列。 GH1の参照配列。 GH1の参照配列。 GH1遺伝子のコード領域のヌクレオチド配列及び26個のアミノ酸からなるリーダーペプチドを含んだタンパク質のアミノ酸配列。

Claims (26)

  1. 個人におけるGH機能不全の指標として有効なGH1の変異を検出するための検出方法であって、
    (a)個人からヒトGH1遺伝子のヌクレオチド配列を含む試験試料を得る工程と、
    (b)前記試験試料から得られた配列をヒトGH1遺伝子の配列であることが分かっている標準配列(図6、配列番号 )と比較する工程とを含み、試験試料の配列と標準配列との相違によって、GH機能不全の指標として有効な変異(以下、「GH1の変異体」と称する)の存在が示される検出方法において、
    試験試料が以下の性質の一方もしくは両方を示す個人から得られるものであること特徴とする方法:すなわち、当該技術分野における常法によって診断される不十分な胎児身長速度として定義される子宮内発育遅延(IUGR)、及び/または、当該技術分野における常法によって診断される妊娠期間に比して不十分な(小さな)胎児身体サイズ(体重及び/または体長)として定義される、妊娠期間に比して小さいこと(SGA)。
  2. IUGRを判定するための方法は、子宮内評価または「出生時」評価であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. IUGR判定では、前記個人の妊娠期間の異なる時点で2回の超音波測定を行うことによる2回直接子宮内成長評価法を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. IUGR判定及び/またはSGA(体長)は、出生時に評価され、任意の子供の妊娠期間における標準体長/身長チャートに関連付けられる前記個人の体長に基づくことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  5. SGAを判定する方法は、出生時に評価され、任意の子供の妊娠期間における標準体重チャートに関連付けられる前記個人の体重に基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記試験試料は出生時の妊娠期間に比して−2SDを下回る出生体重及び/または出生体長を有する個人から得られることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記試験試料はIUGR及び/またはSGAの他に下記の基準の1以上を満たす個人から得られることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の検出方法、すなわち、
    (i)標準身長チャート(Tanner et al Arch Dis Child 45 755−762 (1970))上にプロットした場合に両親の身長に基づく推定目標成人身長の範囲を逸脱する個人の成人身長を予測する所定の発育パターン(複数の身長測定値によって与えられる。(Brook CDG (Ed) Clinical Paediatric Endocrinology 3rd Ed, Chapter 9, p141 (1995, Blackwell Science)))として定義される成長不全、及び/または、
    (ii)その年齢に比して25パーセンタイル未満の身長速度、及び/または、
    (iii)実年齢と比較した場合に少なくとも2年のタナー−ホワイトハウススケールに基づいた骨年齢の遅延(ただし5歳以下の子供または思春期の発育の臨床所見の見られた子供を除く)、及び/または、
    (iv)IUGRまたはSGAを引き起こす他の疾患が見られないか、上記基準(i)〜(iii)に含まれること、及び/または
    (v)GH分泌試験が適性に行われるうえで充分な臨床上の注意を喚起するに足る臨床的表現型。
  8. 前記(i)、(ii)、(iv)及び(v)が前記個人に関してそれぞれ満たされていることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 骨年齢遅延が実年齢と比較した場合に2〜4年の範囲であることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記個人は標準成長ホルモン機能試験において正常な結果を示すことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記試験試料は、標準的手法によって患者のリンパ球、頬粘膜のスメア、血液試料または毛髪から抽出されたゲノムDNAを含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
  12. 検出方法は、個人のGH1遺伝子の配列を決定するための任意の配列決定方法を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
  13. 検出方法は、
    (c)(i)GH1遺伝子に固有のフラグメントであってその配列がGH1クラスターの残りの4個のパラロガス(GH1とは異なる)な遺伝子で見られないフラグメントであるGH1遺伝子特異的フラグメントと、(ii)GHクラスター中の残りの4個のパラロガス(GH1とは異なる)遺伝子中のホモロガスなフランキング領域に結合することのできない1以上のGH1遺伝子特異的プライマーとを使用して個人のGH1遺伝子のPCR増幅を行うことを含む、請求項1乃至12のいずれかに記載の検出方法。
  14. 前記GH1遺伝子特異的プライマーは、GH1F(5’GGGAGCCCCAGCAATGC3’;−615〜−599)及びGH1R(5’TGTAGGAAGTCTGGGGTGC3’;+2598〜+2616)から選択されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
  15. 検出方法は、個人のGH1遺伝子の全体をPCR増幅し、該個人のGH1遺伝子の重複構成フラグメントのnestedPCRを行うことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
  16. 検出方法では、GH1遺伝子の遺伝子座調節領域にまたがったゲノムDNAの全体またはフラグメントのPCR増幅を行うことを特徴とする請求項1乃至15に記載の方法。
  17. 検出方法では、DHPLCによる個人のGH1遺伝子の全体またはフラグメントの突然変異スクリーニングを行うことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかの記載の方法。
  18. CTC CGC GTT CAG GTT GGC (GHD1F);
    AGG TGA GCT GTC CAC AGG (GHD1R);
    CTT CCA GGG ACC AGG AGC (GHD2R);
    CAT GTA AGC CAA GTA TTT GGC C (GHD3F);
    GGA GAA GGC ATC CAC TCA CGG (GHD4R);
    TCA GAG TCT ATT CCG ACA CCC (GHD5F);
    CGT AGT TCT TGA GTA GTG CGT CAT CG (GHD6R);
    TTC AAG CAG ACC TAC AGC AAG TTC G (GHD7F);
    GTGCCCCAAGCCTTTCCC(LCR15:1159−1177);
    TGTCAGATGTTCAGTTCATGG(LCR13:1391−1412);
    CCTCAAGCTGACCTCAGG(LCR25:1346−1363);
    GATCTTGGCCTAGGCCTCG(LCR23:1584−1602);
    LCR5A(5’CCAAGTACCTCAGATGCAAGG3’);
    LCR3.0(5’CCTTAGATCTTGGCCTAGGCC3’);
    LCR5.0(5’CCTGTCACCTGAGGATGGG3’);
    LCR3.1(5’TGTGTTGCCTGGACCCTG3’);
    LCR3.2(5’CAGGAGGCCTCACAAGCC3’);
    LCR3.3(5’ATGCATCAGGGCAATCGC3’)
    GH1G5(5'GGTACCATGGCTACAGGTAAGCGCC3');
    GH1G3(5'CTCGAGCTAGAAGCCACAGCTGCCC3');
    BGH3(5'TAGAAGGCACAGTCGAGG3');
    GH1R5(5'ATGGCTACAGGCTCCCGG3');及び
    GH1R3(5'CTAGAAGCCACAGCTGCCC3')から選択される1以上のプライマーを使用することを更に含む請求項1乃至17のいずれかに記載の検出方法。
  19. 機能不全GHを有することが疑われる患者をスクリーニングするためのスクリーニング方法であって、
    (a)ヒトGH1遺伝子のヌクレオチド配列またはこれによりコードされるポリペプチドを含む試験試料を前記患者から得る工程と、
    (b)前記試験試料から得られた配列の所定領域を、所定の配列の対応する領域と比較する工程とを含む方法において、
    前記所定の配列は、請求項1乃至18のいずれかに記載の方法に基づいて検出可能なGH1の変異体またはこれによってコードされるポリペプチドから選択されることを特徴とする方法。
  20. 前記所定の配列は、野性型配列と比較した場合に少なくとも1個の変異を含む変異体GH1遺伝子の所定領域に対応した核酸配列を有するオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項19に記載のスクリーニング方法。
  21. (a)個人から第1の試験試料を得ることと、
    (b)前記第1の試験試料中のGH1遺伝子またはこれによりコードされるポリペプチドまたはそのフラグメントを、以下の特徴の一方または両方:すなわち、当該技術分野で知られる標準的方法によって診断される不十分な胎児身長速度として定義される、子宮内発育遅延(IUGR);及び/または、当該技術分野で知られる標準的方法によって診断される、不十分な(小さい)胎児身体のサイズ(体重及び/または体長)として定義される、妊娠期間に比して小さく産まれること(SGA)、を示す個人に由来する第2の試験試料から得ることが可能なGH1変異体の対応する遺伝子またはこれによりコードされるポリペプチドまたはそのフラグメントと比較することとを含む請求項19または20に記載のスクリーニング方法。
  22. 前記試験試料は、ゲノムDNAを含むことを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  23. 前記比較工程は、GH1遺伝子の適当な領域を決定する工程を含み、及び/または、DNAチップ技術を使用することを特徴とし、DNAチップ技術とは、チップが小型の並列分析素子であって、これを用いて標識試料DNAのハイブリダイゼーションにより複数の既知の突然変異について又はすべての可能な突然変異について同時にスクリーニングを行うものである請求項20乃至22のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  24. 前記比較工程は、質量分析、マイクロアレイ分析及びピロシークエンシングなどのタンパク質の配列決定法、及び/または、ELISAなどの抗体に基づく検出法によって前記ポリペプチドの同定を行うことを含む請求項20乃至22のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  25. GH1の変異体マーカーまたはGH変異体の存在を示すか又は相関のある1以上の「代用マーカー」を用いることを特徴とする請求項18乃至24のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  26. 前記「代用マーカー」は、個人におけるその存在、非存在、または量が測定可能であってGH変異体またはGH1の変異体の存在に関連付けられるような、(a)任意の生体分子(これらに限定されないが、ヌクレオチド、GH変異体またはGH1の変異体に対して特異的な抗体を含むタンパク質、糖、及び脂質)、(b)化合物(これらに限定されないが、薬剤ならびにその代謝産物)、及び/または、(c)物理的特性、であるかまたはこれらを含むものであることを特徴とする請求項25に記載のスクリーニング方法またはキット。
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