JP2005508965A - 常磁性錯体への可逆性結合による基質画像診断の増強 - Google Patents

常磁性錯体への可逆性結合による基質画像診断の増強 Download PDF

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Abstract

本発明は、水とは異なる基質分子の磁気共鳴画像診断及び磁気共鳴分光画像診断の方法であって、常磁性キレート錯体への基質分子の可逆性結合によってNMRシグナルを増強する方法ならびに当該方法における常磁性キレート錯体の使用及び当該方法で使用するための医薬組成物に関する。

Description

本発明は、磁気共鳴画像診断の分野に関する。特に、本発明は、水とは異なる基質分子の磁気共鳴画像診断及び磁気共鳴分光画像診断の方法であって、常磁性キレート錯体への基質分子の可逆性結合によってNMRシグナルを増強する方法に関する。
本発明はまた、当該方法における常磁性キレート錯体の使用及び当該方法で使用するための医薬組成物に関する。
発明の背景
磁気共鳴画像診断(MRI)及び磁気共鳴分光画像診断(MRSI)を含む、核磁気共鳴原理に基づく画像診断(以下まとめてMRIと記す)は、日々の臨床検査にとって強力なツールとなる十分に確立された画像診断法である。
MRI法の大多数は、人体中の濃度が約55.6Mである非常に強い水シグナルを扱う。たいていの場合、検査される器官又は人体組織の1H−MR画像は、臨床的に対象となる領域における水密度の差違及び/又は水プロトンの緩和率の位相的表現に対応する。
これらの画像におけるコントラストは、MRI用の造影剤として知られる、水プロトンの緩和時間T1及びT2を変化させる特定の物質の使用によって増強することができる。
多くの常磁性物質が、緩和時間に影響するそれらの能力のおかげで、造影剤としての潜在能力を有している。しかし、実際には、1個以上の不対電子を含有する結果として常磁性である金属錯体又はクラスタ錯体しか、MRI常磁性造影剤として使用されていない。
MRI用造影剤のもっとも重要なクラスは、常磁性キレート化合物、特に以下の常磁性イオンGd(III)、Mn(II)、Fe(III)及びCr(III)のいずれかを含有するものによって代表される。
水プロトンの緩和率に対するそれらの影響は通常、所与の観察周波数(多くの場合20MHz)及び温度(通常は39℃)で測定したそれらの緩和度(r1)、すなわち1mM濃度の常磁性錯体によって促進される水プロトンの緩和増大率を通じて評価される。
所与の常磁性錯体の緩和度r1は、水プロトンと常磁性中心との間の異なる反応形態を反映する種々の寄与度の和と見なすことができる。
これらの寄与度のもっとも重要なものr1 isは、以下の等式にしたがって、所与の常磁性キレート化合物に結合した水の濃度と水の全濃度との比に正比例的に依存し、常磁性キレート錯体に配位した水分子のプロトンの緩和時間T1Mと滞留時間τMとの和に反比例的に依存する。
Figure 2005508965
式中、〔H2O〕boundは、所与の常磁性錯体の濃度×金属中心に直接配位した水分子の数(q)に相当する。たいていの場合、q=1であり、〔H2O〕total=55.6Mであるため、1mM濃度の常磁性キレート化合物の場合、比〔H2O〕bound/〔H2O〕totalは固定値(1.8・10-5)である。これは、水シグナルのMR画像の場合、この比をより大きな程度に増すことができないことを意味する。
たいていの常磁性金属錯体は、1H水プロトンの共鳴に基づくMRI法のために開発されている。当該錯体の例及び通常の1H水プロトン磁気共鳴画像診断法におけるそれらの使用は、とりわけ、WO00/38738、US5977353、FR2725449、FR2802928及びJ. Alloys and Compounds, 249(1997) 185-190で報告されている。
MRI臨床用途の比較的小さな部分は、1H水プロトン以外の1Hプロトンの共鳴の画像診断を扱う。
このような場合、多くの組織中に存在する脂質成分のような比較的多量に存在する種(E. L. Thomas and J. D. Bell in "Methods in Biomedical Magnetic Resonance Imaging and Spectroscopy", Wiley; 2000. Vol. 2, p837-845及びその中で引用されている文献)又は洗練された専用の技術及び器具の使用(インビボラクテート視覚化に関するEP−A−370333)が注目されている。
また、プロトンとは異なる核のMR画像の取得は、生物学的系ではむしろ異例である。第一に、そのような系では、十分に高い濃度で天然に存在する、又は対象となる同位体中での富化が実際に可能である磁気的に活性の核、すなわち核スピン≠0の核を見いだすことが容易ではない。
第二に、かつ主として、これら1H以外の磁気的に活性の核の緩和時間はしばしば1秒を超え、良好な画像を得るのに十分なシグナルノイズ比(SNR)を得るための数の減衰シグナルの蓄積に非常に時間がかかる。
一般に、実際、妥当な時間内での良好な基質画像の生成は、多数の減衰シグナルを蓄積して、それによってシグナルノイズ比を改善するために、短いT1を特徴とするシグナルを扱うことを要する。
それにもかかわらず、バックグラウンドからのシグナルの不在が、得られるMR画像の診断内容を改善するのに非常に有用であることは確かであるため、水プロトンとは異なる核の画像を記録する可能性は非常に魅力的に思われる。
そのうえ、臨床的観点からその画像診断がきわめて興味深く、有用であろう内因性物質が数多くある。このような物質の非限定的なリストは、代謝産物及び基質、たとえばラクテート、シトレート、カーボネート、ホスフェート、ピルベート、天然アミノ酸、オキサレート、タルトレート、スクシネート、コリン、クレアチン、アセテート、マロネートを含む。これらの分子はいくつかのヒト代謝過程に関与し、それらの正常な産生及びそれらの生体分布の変化は一般に病的状態に関連するかもしれない。
たとえばラクテートは、特定の診断に関連する内因性代謝産物である。これは、嫌気性解糖の最終生成物であり、したがって、組織中のその濃度の増大は、一部の固形腫瘍中に見られるように、低酸素症の明確な表れとなることがある。高レベルのラクテートはさらに、大脳の発作もしくは冠状動脈の梗塞で起こる血流減少状態又は代謝障害もしくはI型糖尿病の存在において見られる。
インビボマッピングが非常に有用であろうもう一つの重要な代謝産物はシトレートである。前立腺腫瘍の場合のその濃度は、良性前立腺肥大(BPH、高濃度)と悪性前立腺癌(低濃度)とで有意に異なる。
したがって、水とは異なる分子の画像診断を、通常の作動モードによって通常の医療の実施に適切な時間内で可能にするであろう磁気共鳴画像診断法がなおも要望されている。
発明の概要
今、基質分子と適切な常磁性キレート錯体との間の非共有結合的可逆性結合を利用することにより、水とは異なる基質分子の磁気核の緩和時間(T1及びT2)の顕著な短縮を得ることができるということがわかった。
特に、基質分子と適切な常磁性キレート錯体との間の可逆性結合が、画像診断法にとって対象となる基質核の緩和特性の特異的かつ選択的な高い増強を可能にし、それが、容易かつ直接的な基質の画像診断をもたらすということがわかった。
常磁性錯体によって誘発される基質核の緩和増大率εは、定量的に、以下の比に換算して表すことができる。
Figure 2005508965
式中、Ri sは、常磁性促進なしでの対象となる基質核の観察される緩和速度を表し、Ri s*は、常磁性キレート化合物が溶液中に存在する場合に観察される対応する緩和速度である。
緩和速度Riは1/Tiに等しい(i=1又は2)。
したがって、本発明の第一の目的は、ヒト又は動物の身体器官又は組織中の水とは異なる基質分子の磁気共鳴画像診断の方法であって、基質分子に非共有結合的に結合する常磁性キレート錯体を使用し、前記結合の結果として、画像診断法の対象となる基質核の緩和増大率(ε)が39℃及びpH7.4で少なくとも2になることを特徴とする方法である。
本発明はまた、ヒト又は動物の身体器官又は組織中の水とは異なる基質分子の磁気共鳴画像診断のための増強剤を調製するための、基質分子に非共有結合的に結合して、対象となる基質核の緩和増大率(ε)が39℃及びpH7.4で少なくとも2になるようにすることができる常磁性キレート錯体又は生理的に耐性のその塩の使用に関する。
好ましくは、前記緩和増大率は、少なくとも10、より好ましくは少なくとも30であり、前記緩和増大率値は、印加される磁場強度から独立して得られる。
常磁性キレート錯体と基質分子とのこの非共有結合的結合は、前記基質分子の磁気核の緩和時間(T1及びT2)の顕著な短縮を可能にして、そのような方法で、臨床的実施と適合する、短時間内での特に多数の減衰シグナルの取得及び短時間内での鮮明で診断的に有用な画像の位置合わせを可能にする。
そのうえ、本発明の方法による常磁性錯体の使用により、水から生じる大きなシグナルの存在にもかかわらず基質の1H画像を得ることが可能である。これに関して、実際、本発明にしたがって、対象となる基質が常磁性錯体と相互作用するとき、スペクトル取得に要する時間が相当に短くなる。そのうえ、非常に急速な反復時間のおかげで水シグナル強度が有意に低下し、適切なパルスシーケンスの使用によってそれをさらに低下させることができる。
本発明の方法による適切な常磁性キレート錯体の使用によって磁気共鳴画像診断が増強される基質分子は、1個以上の磁気核、すなわち核スピン≠0の核を含む、水とは異なるいかなる分子をも含む。
前記磁気核はまた、基質分子中に生来豊富に存在することもできるし、診断法の対象となる基質分子中に臨機応変に導入又は富化することもできる。
画像診断法の対象となる基質核の非限定的な例は、1H、19F、31P、13C、15Nを含み、その場合、基質分子が場合によっては19F、31P、13C、15Nで標識されている。
好ましくは、前記基質分子は、内因性基質又は内因的に生成される基質であり、本明細書で使用する「内因性基質」とは、細胞及び組織の生化学的過程の正常な挙動又は病的な挙動から生じる基質をいい、本明細書で使用する「内因的に生成される基質」とは、診断検定の目的で投与される物質の転換から部分的又は全体的に生じる基質をいう。
より好ましくは、内因性基質は、ラクテート、シトレート、カーボネート、ホスフェート、ピルベート、天然アミノ酸、オキサレート、タルトレート、スクシネート、コリン、クレアチン、アセテート及びマロネートからなる群より選択され、内因的に生成される基質は、適当に標識された前駆体(たとえば13C富化ラクテートを代謝的に生じさせる13C富化グルコース)が投与されると体内で生成されるラクテート、シトレート、カーボネート、ホスフェート、ピルベート、天然アミノ酸、オキサレート、タルトレート、スクシネート、コリン、クレアチン、アセテート及びマロネートからなる群より選択される。
特に好ましい基質はヒト代謝産物であり、ラクテート、シトレート、カーボネート又はホスフェートがもっとも好ましい。
そのうえ、本発明の基質分子は非内因性物質であることもでき、本明細書で使用する「非内因性」とは、常磁性錯体への適切な結合を可能にする及び/又は画像診断法の対象となる磁気的に活性の核を導入するために場合によっては改質されている薬理学的又は診断的に対象となるいかなる物質をいう。
好ましくは、非内因性基質は、フッ素化又は13Cもしくは15N標識された薬物、フッ素化又は13Cもしくは15N標識された代謝産物からなる群より選択される。トリフルオロラクテート、フッ素化シトレート、13C標識ラクテート、13C標識シトレートが特に好ましい。
画像診断される基質分子が非内因性である場合、それは、場合によっては生理的に耐性の担体を含む無菌水溶液又は懸濁液として患者に投与することができる。
これは、画像診断の前に、常磁性キレート錯体と同時に投与することができる。また、場合によっては、常磁性錯体の投与の前又は後のいずれかで投与することもできる。
基質核に望まれる緩和増大率を得るためには、常磁性錯体と基質分子との付加物のKAが少なくとも10M-1であることが必要である。
付加物の熱力学的安定性を表す定数KAは、通常の等式
Figure 2005508965
によって求められる。
平衡に関与する2種の常磁性種、すなわち基質分子に結合している種及び結合していない種の緩和度は異なるため、十分に確立されているプロトン緩和増大(PRE)法(Aime S, Fasano M, Terreno E, Botta M in The Chemistry of Contrast Agents in Medical Magnetic Resonance Imaging, Merbach AE, Toth E (eds), Wiley & Sons: Chichester, 2001, 203-209)を好都合に使用して、基質分子に対する常磁性錯体の親和力を推定することができる。
以下に開示する付加物に関して得られたKA値は、このPRE法にしたがって計測したものである。
そのうえ、基質分子と常磁性キレート錯体との結合相互作用は、限られた量の常磁性キレート錯体(ML)の存在ですべての基質分子(S)に影響するためには、動力学的に化学変化を起こしやすいものでなければならない。
常磁性錯体に結合した基質分子の滞留寿命τMがT1M以下である場合(急速交換条件)に、好適な動力学的な易化学的変化性が得られる。
キレート化配位子が、常磁性金属イオンの配位数を飽和させない系からなる、生理的に許容しうる常磁性キレート錯体を使用することが好ましい。
本発明の生理的に許容しうる常磁性錯体のさらに好ましいクラスは、正電荷を帯びた分子とで密なイオン対を形成することができる対象となる基質、たとえばLnDOTP4-とで強力な会合を形成することができる系によって代表される。
好ましくは、キレート化配位子は、直鎖状又は環式のポリアミノポリカルボン酸、ポリアミノポリホスホン酸又はポリアミノポリホスフィン酸残基もしくはそれらの誘導体、たとえばアミド及びエステル誘導体ならびに適切な官能性置換基を構造上に含む官能性誘導体、大環状シッフ塩基、ポルフィリン又は所与の常磁性金属イオンとの錯体が対象となる基質とで三元錯体を形成することができる配位子を含む。常磁性イオンは、原子番号58〜70のランタニド金属イオン又は原子番号21〜29及び42〜44の遷移金属イオンである。好ましくは、常磁性イオンは、ガドリニウム(III)、鉄(II)、鉄(III)、マンガン(II)、マンガン(III)、クロム(III)、コバルト(III)、銅(II)、ニッケル(II)、ジスプロシウム(III)、エルビウム(III)、テルビウム(III)、ホルミウム(III)、ツリウム(III)、イッテルビウム(III)、ユーロピウム(II)及びユーロピウム(III)からなる群より選択される。ガドリニウム(III)、マンガン(II)及びマンガン(III)が特に好ましい。
本発明の方法における使用に特に好ましい常磁性錯体は、そのキレート化配位子がEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、PCTA(3,6,9,15−テトラアザビシクロ〔9.3.1〕ペンタデカ−1(15)11,13−トリエン−3,6,9−三酢酸)、PCTP(3,6,9,15−テトラアザビシクロ〔9.3.1〕ペンタデカ−1(15)11,13−トリエン−3,6,9−トリス(メタンホスホン酸))、DOTP(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(メタンホスホン酸))及びDO3A(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸)(非カルボキシレート窒素原子がペンダント基又は官能基で好適に置換されているDO3A誘導体を含む)から選択される錯体である。
特に好ましいDO3A誘導体は、10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリス−〔(アミノカルボニル)メチル〕である。そのガドリニウム錯体を本明細書でGd−1錯体と呼ぶ。
もう一つの好ましいDO3A誘導体は、10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸である。そのガドリニウム錯体を本明細書でGd−2錯体と呼ぶ。
第三の好ましい化合物は、10−〔(4−カルボキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸であり、そのガドリニウム錯体を本明細書でGd−3錯体と呼ぶ。
これらすべての配位子ならびにガドリニウムイオンとのそれらの常磁性キレート錯体は新規であり、本発明のさらなる目的である。
生理的に許容しうる常磁性キレート錯体は、適切な有機又は無機の酸又は塩基との塩の形態で使用することもできる。
好ましい無機塩基のカチオンは、アルカリ又はアルカリ土類金属、たとえばカリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びそれらの混合物のイオンを含む。
好ましい有機塩基のカチオンは、第一級、第二級及び第三級アミン、たとえばエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N−メチルグルカミン及びN,N−ジメチルグルカミンのプロトン化によって得られるカチオンを含む。
無機酸のアニオンは、好ましくは、ハロ酸のイオン、すなわち塩化物、臭化物、ヨウ化物又は種々のイオン、たとえば硫酸イオンを含む。
有機酸のアニオンは、好ましくは、塩基性物質を塩化するために使用されるアニオン、たとえば酢酸イオン、コハク酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン及びマレイン酸イオンを含む。
アミノ酸のカチオン及びアニオンは、たとえば、タウリン、グリシン、リシン、アルギニン、オルニチン、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含む。
塩化性のカチオン及びアニオンは、明らかに、画像診断法を妨げないように選択される。特に、画像診断される基質分子に対応するカチオン及びアニオンを避けるべきである。
本発明の方法で使用するための常磁性錯体は、1個の分子によって代表されることもできるし、場合によっては、共有結合又は非共有結合した種々のサイズの凝集体の形態で投与することもできる。
たとえば、特定の薬理学的又は診断的性質を付与された分子に結合させることもできるし、タンパク質、ポリアミノ酸、高分子基質に共有結合的又は非共有結合的に結合させることもできる。同様に、キレート化合物の表面に適切な官能基が導入されると、他の分子、タンパク質、ポリアミノ酸又は高分子系とで超分子付加物を形成することもできる。
そのうえ、常磁性錯体又はその適切な凝集体は、場合によっては、所望の身体領域、組織又は器官へのターゲッティングを担う適切な基に結合していてもよい。適切な基の非限定的な例は、病的状態の存在で過剰に発現するペプチド及びその断片ならびにターゲッティングレセプタを含む。
さらに、常磁性錯体は、場合によっては、リポソーム、小胞又は他の適切な担体中に球状化することができる。
請求項に係る使用及び方法に適した常磁性金属錯体の最終的な選択は、金属錯体及び基質の両方の電荷及び溶解構造、画像診断される組織又は器官中の相互作用相手の濃度、意図する分析の機器的条件を含むいくつかの性質に依存する。熟練した実施者は、どうにかして、例で詳述するように通例の方法を適用するだけで、適切な錯体を選択することができるであろう。特に、第一の選択は、意図する基質の構造的特徴、特にその電荷、そのキレート化基(たとえばカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、ホスホネート基、チオ基、スルホネート基など)のドナー能力及びその全体的な立体障害を考慮することによって行われる。基質の前記構造的特徴に適合する常磁性金属錯体は通常、公知のクラスの常磁性金属錯体、たとえば直鎖状又は環式ポリアミノポリカルボン酸、ポリアミノポリホスホン酸又はポリアミノポリホスフィン酸配位子、たとえばEDTA、PCTA、PCTP、DOTP及びDO3Aの錯体から選択することができる。必要ならば、非共有結合的結合を改善する及び/又は基質の遊離形態と金属錯体結合形態との交換率を高めると予想される適切な官能基を挿入する(たとえば水素結合によって、あるいは他のイオン性及び/又は疎水性相互作用を利用することによって)ことにより、配位子のコアを改質することもできる。そして、緩和増大率ε及び親和力定数KAの測定を実施して、選択段階で実施した理論的予想を確認する。
本発明の方法で使用される常磁性錯体は、好適には、単独で又は場合によっては他の生理的に許容しうる成分とともに、pHが6.0〜8.5の範囲であることができる無菌水溶液又は懸濁液として調合することができる。医薬製剤は、好適には、血管内(たとえば静脈内、動脈内、心室内など)に注入することもできるし、鞘内、腹腔内、リンパ内、腔内、経口又は経腸投与することもできる。
これらの水溶液又は懸濁液は安定であり、そのままで調合することもできるし、凍結乾燥物として調合し、使用直前に再構成することもできる。これらは、0.0001〜1.0Mの範囲の濃度で投与することができる。
常磁性キレート錯体は、画像診断される身体器官又は組織中に薬剤を分布させることができるよう、MRIモニタリングよりも十分に前もって投与される。
本発明の方法は、巨大な磁石の使用によって対象となるヒト又は動物の体、身体器官又は組織の周囲に磁場を発生させて、前記ヒト又は動物の体、身体器官又は組織の磁気モーメント≠0を有する磁気核をその磁場の方向に整列させるステップと、適当に選択された周波数の無線パルスを印加して前記磁気核の整列を乱すステップと、磁気核が平衡状態に戻るときに発される、空間及び強度情報を含む無線周波数を収集するステップと、それらを適切なコンピュータによって処理して身体器官又は組織の所望の画像を生成するステップとを含む。
印加される磁場の大きさは、地球の磁場の少なくとも60.000倍の強度であるが、インビボ画像診断のための3テスラよりも実質的に大きくはなく、エクスビボサンプルの場合にはさらに高くすることもできる。印加される無線パルスの周波数は、画像診断法の対象となる磁気核の歳差運動周波数にしたがって適切に選択される。正しいパルス周波数の選択が、たとえば、直接的な13C観察及びそれらの観察に基づく直接画像診断を可能にする。
1H画像が望まれる場合、本発明の画像診断法の十分な活用は、好ましくは、たとえそれに限定されないとしても、反転検出画像を記録する可能性に基づく。この実験形態を通じて、適切なパルスシーケンスの使用により、13C核に結合したプロトンからのシグナルだけを収集した1H画像を得ることが可能である。この手法はなおも、直接13C観察の場合と同様に、バックグラウンドシグナルなしで画像を生じさせ、しかもより著しい高感度の核の観察のおかげで、大幅な感度増を示す。
1H画像は、種々の実験形態、たとえば基質分子の濃度が十分でない場合でも利用することができ、適切に標識された基質の付随的な存在を要しないMRSI画像診断技術を使用して得ることもできる。
磁気共鳴画像診断は、1980年から利用可能な画像診断法である。しかし、この技術は当業者には周知であり、ここでは詳述しない。いずれにしても、非常に重要なことは、画像診断装置が、たとえば検査を受ける器官又は組織から求められる情報にしたがって変化させることができる励起無線周波数選択パルスならびに採用されるMR画像診断パラメータに依存して、種々のモードで作動することができることを指摘することである。これらはすべて、操作者により、場合によって利用可能なプロトコルに基づいて、所与の制限の範囲内で選択して、融通性を生み出すことができる。
本発明のさらなる目的は、常磁性キレート錯体又は生理的に許容しうるその塩を生理的に耐性の担体とともに含む医薬組成物であって、常磁性キレート錯体が基質分子に非共有結合的に結合して、それにより、基質核の緩和を39℃及びpH7.4で少なくとも2高める医薬組成物である。
医薬組成物はまた、場合によっては、非内因性基質分子、たとえば特定の基質核もしくは同位体で人工的に富化されているか、それで標識されている基質分子又は時間が経つと薬剤、たとえば酵素、酸化剤、還元剤、酸、塩基もしくはイオンの作用によって診断的に活性な適切な形態に転換するその適切なプロドラッグを含むこともできる。
本発明はさらに、非内因性基質分子、たとえば特定の基質核もしくは同位体で人工的に富化されているか、それで標識されている分子又はその適切なプロドラッグを、たとえば適切な常磁性キレート錯体及び非内因性基質分子を異なるタイミングで投与しなければならない場合に有利に利用することができる生理的に耐性の担体とともに含む医薬組成物に関する。
医薬組成物は、血管内、すなわち静脈内、動脈内、冠状動脈内に注入することもできるし、鞘内、腹腔内、腔内、リンパ内、経腸又は経口の投与によって使用することもできる。
画像診断される基質分子が非内因性である場合、それは、画像診断の前に、常磁性キレート錯体と同時に患者に投与してもよいし、場合によっては、その投与の前又は後のいずれかで投与してもよい。
したがって、本発明のさらなる目的は、非内因性基質分子又はそのプロドラッグを生理的に耐性の担体とともに含む第一の医薬組成物と、生理的に許容しうる常磁性キレート錯体又はその塩を生理的に耐性の担体とともに含む第二の医薬組成物とを含む、本発明の方法で使用するためのキットであって、常磁性キレート錯体が非共有結合的に非内因性基質に結合し、前記結合の結果として、画像診断法の対象となる基質核の緩和増大率(ε)が39℃及びpH7.4で少なくとも2になるように、前記非内因性基質分子及び前記常磁性キレート錯体が適切に選択されているキットである。
本発明のキットに好ましい非内因性基質は、トリフルオロラクテート、フッ素化シトレート、13C標識ラクテート、13C標識シトレートである。
これらのキットは、最適な非内因性基質の選択を可能にして、基質分子に対する常磁性錯体の注入のタイミングの最適な選択を許しながらも対象となる身体器官又は組織の最良の視覚化を提供する。
ラクテートの画像診断
本発明の広範囲の用途の非限定的な例として、常磁性錯体の使用による、ラクテートの緩和速度、ひいてはMR画像におけるそのシグナルの増大を以下に報告する。
先に指摘したように、ラクテートは、解糖が加速するとき増大した速度で産生される内因性代謝産物である。一部の身体器官又は組織中のその存在及び蓄積量が病的活性化の間に変化し、一般に病的状態の存在を示す。
たとえば、正常状態では、ラクテートは脳中には検出されない。その存在は、細胞レベルでの正常な酸化呼吸が変化し、炭水化物が嫌気性通路によって異化されていることを示す。この状況は、血液供給よりも増すと考えられるいくつかの細胞及び代謝の損傷で起こる。したがって、ラクテートの存在は、重度の悪性疾患を示しているおそれがある。そのようなものとして、この代謝産物は多形グリア芽細胞腫で見いだされる。
ラクテートレベルの増大はまた、急性脳梗塞及び発作によって生じる。
本発明の常磁性錯体の使用によって増強されるこの基質の画像診断が、関連の疾病の臨床検査において強力な支援を提供することは確かである。
ラクテートは二座配位子であるため、常磁性錯体の金属中心に二つの配位空間が利用可能である場合、当然ながら良好な結合が得られる。ラクテートは2個の酸素供与体原子を介して配位結合し、したがって、「ハード」イオンであるGd(III)イオンが十分に適している。毒性のGd(III)イオンの放出に伴う問題を防ぐため、金属イオンは適切な形態で投与されなければならない。いくつかの可能性のうち、Gd(III)及び配位子DO3A(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸)によって形成される中性錯体が、本発明の目的を示すための良好な選択を代表する。事実、DO3Aは、3個の窒素だけが配位結合性アセチックアームを有するテトラアザシクロドデカン環に基づく七座配位子である。この配位子を有するGd(III)イオンの配位数は9であり、したがって、GdDO3Aの2個の空間が2個の水分子によって占有される。GdDO3Aの生成定数は約1021であり、すなわち「インビボ」用途にとって非常に安全な値である。
ラクテートをGdDO3A水溶液に加えることにより、以下の平衡が起こる。
GdDO3A(H2O)2+ラクテート←→GdDO3A(ラクテート)+2H2
平衡に関与する2種のGd(III)種の緩和度が異なるため(GdDO3A(H2O)2の方が高い)、十分に確立されているプロトン緩和増大(PRE)法(Aime S, Fasano M, Terreno E, Botta M in The Chemistry of Contrast Agents in Medical Magnetic Resonance Imaging, Merbach AE, Toth E (eds), Wiley & Sons: Chichester, 2001, 203-209)を好都合に使用して、ラクテートに対するGdDO3A錯体の親和力を推定することができる。
これに基づき、pH7及び25℃で150M-1のKA値を測定した。そして、ラクテート10mM及びGdDO3A1mMを含有する溶液中、〔Lac〕bound/〔Lac〕totalの比は5.8・10-2であり、すなわち、同じ濃度のGdDO3Aを用いて実施される、水プロトンを扱う実験における〔H2O〕bound/〔H2O〕total比の値よりも3桁高い。
遊離ラクテートと結合ラクテートとの間の速やかな交換の条件が立証された。
常磁性Gd(III)中心におけるラクテートの可逆性相互作用は、その共鳴のT1及びT2の劇的な減少を促進する。事実、GdDO3A 1mM及びラクテート10mMを含有する溶液中、1Hメチル共鳴のT1(7.05T及び39℃)は2.9sから8.0msまで通過し、類似の実験では、13Cメチル共鳴のT1は3.5sから30.0msまで通過し、1H−メチルの緩和増大率1Hεは362.5であり、13Cεは116.7である。
図1は、GdDO3A 1mMを用いない場合(トレースA)と用いた場合(トレースB)とでのラクテート溶液(メチル基で50%13C富化)10mMの13C NMRスペクトル(1H減結合)を示す。
7.05T及び25℃で、通常のT1重み付けスピンエコー(SE)シーケンスを通じて1分17秒で1k減衰シグナルの取得を実施した。ラクテートの13Cメチル共鳴の長いT1は、常磁性錯体の非存在では、シグナルの明確な検出を許さない。逆に、同じ実験をGdDO3Aの存在で繰り返すと、比較的強いシグナルが出現する。
直接13C観察の他に、常磁性緩和剤の存在における1H及び13Cラクテート共鳴の顕著な緩和増大を十分に利用する代替手法は、反転検出画像を記録する可能性に基づく。この実験形態を介して、適切なパルスシーケンスの使用により、13C核に結合したプロトンからのシグナルだけを収集した1H画像を得ることが可能である。この手法はなおも、直接13C観察の場合と同様に、バックグラウンドシグナルなしで画像を生じさせ、しかもより著しい高感度の核の観察のおかげで、大幅な感度増を示す。そのうえ、取得されるシグナルが、結合された13C核スピンの緩和時間よりも有意に短い1H緩和時間に依存するということから、画像を取得するための取得時間のさらなる短縮が得られる。
11.75Tで作動する5mmのマイクロイメージングプローブを備えた高解像度分光計で、通常の勾配エコー(GE)パルスシーケンスの前に挿入されたHMQCパルスシーケンスに基づくT1重み付け画像を記録した。
HMQC(ヘテロ核多重量子コヒーレンス)パルスシーケンスは、異核スカラーカップリングによるプロトンとそれらの結合した異核(この場合13C)との相関を提供する。このシーケンスは、最低感度の低ガンマ異核の検出ではなくプロトン検出に基づくため、非常に高感度である。
結果が図2(右)に報告されている。左には、異なるサンプルを局在化するため、水プロトンからのシグナルを報告する通常の1H画像が示されている。ファントムは、水を入れた5mmのNMR管の内側の5個の毛管(直径約1mm)によって形成した。サンプルは、種々の濃度のGdDO3A(A=GdDO3Aなし、B=0.25mM、C=0.5mM、D=1mM、E=2mM)を含有するラクテート10mMの水溶液(メチル基で100%13C富化)からなるものであった。
反転検出画像は、20msの反復時間(TR)及び1.8msのエコー時間(TE)で512個の減衰シグナルを収集することにより、5分20秒で得た。サンプルAに関してはシグナルは検出されないが、他のサンプルには十分なシグナル強度がある。興味深いことに、最高量のGdDO3Aを含有するサンプルEは、C及びDよりも弱いシグナルしか示していない。これは、比較的高濃度の常磁性緩和剤の存在における1Hメチルラクテートシグナルの非常に短いT2緩和時間によるT2効果の影響である。換言するならば、より高いGdDO3A濃度が、ラクテートの総量を一定に維持することにより、〔Lac〕bound/〔Lac〕total比の増大をもたらし、ひいては、1Hメチル共鳴のT1及びT2を両方とも減少させる。これに基づくと、サンプルEから出現する比較的弱いシグナルは、共鳴の広範化の結果である。最低濃度のGdDO3Aを含有するサンプルBに関して検出されたシグナルは、サンプルEと非常に類似しているが、これは、少量の緩和剤の存在におけるラクテートの1Hメチル共鳴の比較的長いT1によるものである。最大のコントラストノイズ比(CNR)が比較的低いGdDO3A濃度で達成されることを意味するため、これは興味深い結果である。
上述したように、本発明の目的は、非内因性基質の画像を得るための常磁性錯体の使用である。
本発明のこのさらなる態様を例示するための非限定的な例として、画像診断される基質としてトリフルオロラクテートを使用した。
19Fは、1/2の核スピン及び100%の同位体自然存在比を有する。
7.05T及び312゜Kで、CF3−CH(OH)−COO-の10mM溶液の19F共鳴の緩和時間T1は4.5sである。
GdDO3A0.9mMを添加すると、T1値は23.0msになるが、緩和増大率19Fεは195.6である。
図3は、これら2種の水溶液の19F−NMRスペクトル(T1重み付けSEシーケンス)を示す(トレースA=GdDO3Aなし)。
常磁性基質との相互作用によって促進される観察される増大は、19F核スピンのより高いγ値又は各トリフルオロメチル基中の3個の等しい19F核の存在のいずれかの理由で、13Cメチル共鳴に関して図1で先に示した増大よりもさらに高い。
図4(右)は、5mmマイクロイメージングプローブ上で7.1Tで得られたトリフルオロラクテートの19F画像を示す。また、同図の左には、水プロトンの場合の通常のGE画像が示されている。5個すべての毛管(直径約1mm)は、非内因性基質トリフルオロラクテートの10mM溶液及び種々の濃度の緩和剤GdDO3A(A=GdDO3Aなし、B=0.25mM、C=0.5mM、D=1mM、E=2mM)を含有する。毛管は、硫酸銅(II)でドーピングされた水を含有する5mm NMR管に導入した。左の画像は、種々のサンプルの同定を可能にする。右の画像(19F)は、通常のGEシーケンスを用いて、512個の減衰シグナルの取得によって5分15秒で得られたものである(TR=20ms、TE=1.1ms)。この場合、最良のCNR値は、最高濃度のGdDO3Aを含有するサンプルEに対応するが、サンプルBに関しても比較的良好なコントラストを観察することができ、常磁性錯体なしのサンプルではシグナルは検出されない。
非内因性基質とでより強力に相互作用することができるGd(III)錯体を使用することにより、トリフルオロラクテートにおける19F核の緩和増大率の顕著な増加を得ることができる。Gd−2錯体は、298Kで60のトリフルオロラクテートでのKA値、すなわちGdDO3Aよりも約6倍の大きさのKA値を有する。
この理由のため、Gd−2の0.9mM溶液中の基質(10mM)の19F核に関して312Kで11.8msのT1値及び381.3の緩和増大率が計測された。
シトレート問題
本発明はさらに、ラクテート分布を示す増強された画像診断に加えて、人体組織中の、主に前立腺に向けられたシトレートの有利な視覚化を可能にする。
上記で論じたように、正常な前立腺中のシトレート濃度は、良性前立腺肥大(BPH)及び悪性前立腺癌における対応する濃度と有意に異なる。今や前立腺癌は、肺癌をも凌ぐ、男性でもっとも一般的に発生する悪性疾患であり、癌関連死の二番目に大きな原因となる。
本発明によって得られるシトレート分子の増強された画像診断は、前立腺組織中のこの代謝産物の分布及び濃度のマッピングを可能にし、その結果、患者にとって侵襲的で損傷的である外科的な生検の必要なく、前立腺癌と良性疾患との区別をもたらす。
化学的には、シトレートは、ヒドロキシ−トリカルボン酸であり、原則的に、種々の形態の常磁性錯体と結合することができる。それにもかかわらず、シトレートは、ラクテートよりも弱くGdDO3Aと結合する(pH7及び25℃で40M-1のKA)。シトレートは、ラクテートと同様に、主に3位置のカルボキシレート及びヒドロキシ基を介してGdDO3Aと相互作用することができると思われるが、この場合、シトレートの2個のアセテート基が結合にとって立体障害となる。
シトレートに対する増大した親和力は、10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリス−〔(アミノカルボニル)メチル〕キレート化配位子のガドリニウム錯体であるGdDO3Aの、3個のカルボキシル基がカルボキサミド基に転換され、大員環の第四の窒素原子(GdDO3A中のN−H)が3−(メトキシフェニル)メチル置換基で置換されている誘導体によって示される。得られる3個の正電荷を帯びた常磁性キレートGd−1は、pH7及び25℃で20000M-1以上のKA値でシトレートと非常に強力に結合する。
GdDO3AとGd−1との間でのシトレートに対する親和力の大きな違いは、異なる電荷のせいであり、また、おそらくはより小さな程度に、大員環の窒素上の非配位結合性置換基の存在のせいである。事実、このような位置へのペンダント置換基の導入が基質と常磁性GdDO3A誘導体との結合を強めることができることを認めた。
シトレートとGd−1錯体との相互作用から誘導される三元錯体〔Gd−1(シトレート)〕は新規であり、本発明のさらなる目的である。
他の基質
本発明の常磁性錯体の使用はさらに、多数の基質の増強された画像診断を可能にする。非限定的なリストは、一部の髄膜腫中に高濃度で存在することがわかっている非必須アミノ酸であるアラニン、最も重要な代謝産物の一つであり、原発性及び続発性脳腫瘍で存在及び濃度が増すコリン、アデノシン三リン酸の産生に関与し、いくつかの脳腫瘍で減少した濃度で存在するクレアチン及びホスホクレアチン、検出が神経損失に関する情報を提供することができる細胞内代謝産物であるN−アセチルアスパルテート、エネルギー代謝過程に関与する無機ホスフェート及びホスホリル化代謝産物を含む。
後者の基質の場合もまた、GdDO3Aは、緩和剤として良好な候補物質となる。GdDO3Aと無機ホスフェートとの間の結合強度はpH7.4及び25℃で50M-1であり、基質は、常磁性錯体に対して単座配位子として作用する。これは、1個の残留水分子が三元錯体中のGd(III)イオンの内部配位圏になおも存在することを意味する。
31Pは、1/2の核スピン、100%の同位体自然存在比を有するが、γ値は1H及び19Fよりも小さい。
7.1T、pH7.4及び39℃での無機ホスフェートの20mM溶液のT1は非常に長く(約10s)、しかし、GdDO3A0.2mMの存在では、36msまで劇的に短縮する(31Pε=277.8)。1H、13C及び19Fラクテートに対して非常に短い31PホスフェートのT1は、31P核が三元錯体の金属中心により近接していることによる。
図5の31Pは、種々の濃度のGdDO3Aの存在における無機ホスフェート20mMの画像を示す。画像は、通常のSEシーケンス(取得時間1時間、TR=13ms、TE=1.5ms、10000個の減衰シグナルを取得)を使用することにより、5mmマイクロイメージングプローブ上に11.75Tで得られたものである。
ファントムは、水を入れた5mmのNMR管に導入した5個の1mm毛管からなる。毛管内のGdDO3A濃度は、0(サンプルA)、0.25mM(サンプルB)、0.5mM(サンプルC)、1mM(サンプルD)及び2mM(サンプルE)である。図2に示す画像と同様に、T2効果のせいで、最高GdDO3A濃度のサンプルで最良のCNRは認められない。
生物学的に関連する基質に対するGd(III)錯体の認識能力を扱う他の例は、Gd−2及びタルトレート(298K及びpH7で3000のKA)、Gd−3及びオキサレート(298K及びpH7でKAが50000を超える非常に高い親和力)ならびにGd−3及びアスパルテート(298K及びpH7で120のKA)を含む。
これまで例示した特に臨床的に対象となる代謝産物の増強された画像診断に加えて、本発明の方法はさらに、異なる性質及び生物学的機能の物質、たとえば抗原及びレセプタの視覚化を可能にする。
さらなる態様で、本発明はまた、本発明の方法にしたがって基質分子に非共有結合的に結合し、さらに、画像診断法で対象となる器官又は組織成分によって十分に認識される適切なターゲッティングベクターに結合しているか、それで官能化されている適切な常磁性キレート錯体を本発明の方法に使用することによる、ヒト又は動物の器官又は組織成分、特に抗原又はレセプタのターゲッティング及び増強された視覚化に関する。
特に、このターゲッティングされる常磁性錯体を含む医薬組成物の本発明の方法への使用は、膜レセプタ、たとえば前立腺細胞の細胞膜レセプタであるPSMA、悪性腫瘍における微小血管化系の発現を担う内皮成長因子であるEGF又は一部の腫瘍及び悪性疾患の存在で解糖度が変化する膜レセプタであるMUC1の増強された視覚化を可能にする。
このような膜レセプタの画像診断は、本発明の方法で使用するための医薬組成物、たとえば、GdDO3A錯体及び、好ましくは、対象となるレセプタによって十分に認識され、それに結合する、ポリペプチド、抗体又は適切なFabの中から選択される適切なターゲッティングベクターに結合しているか、それで官能化されている多数のGdDO3A又はGdDO3A誘導体単位を含有するポリマーの患者への投与によって実際に得ることができる。
あるいはまた、GdDO3Aの蓄積は、非共有結合超分子付加物のセットアップを介して追跡することもできる。そのうえ、多数の常磁性剤の内部化によって対象となるレセプタを有する細胞の視覚化を追跡することもできる。
この医薬組成物の投与の約24時間後、13C富化されたラクテート又はトリフルオロラクテートを検査中の患者に投与する。標識されたラクテートは身体器官及び組織中に均一に分布し、内因性ラクテートとで入れ換わる。対象となる器官又は組織が画像診断されると、膜細胞にターゲッティングされたGdDO3A錯体に結合した1H、13Cカップリングしたメチルラクテート共鳴又はトリフルオロラクテートの19F共鳴だけを短時間で検出することができ、標的視覚化が可能になる。
加えて、錯体を対象となる膜レセプタにターゲッティングすることができるポリペプチド又は抗体で好適には官能化されているGdDO3A様の錯体を患者に投与する。ターゲッティング基の存在のおかげで、GdDO3A錯体誘導体は、ターゲッティングされた細胞中に内部化される。
そして、13Cメチル富化されたラクテート又はトリフルオロラクテートを患者に投与すると、それが身体器官及び組織中に分布する。対象となる身体領域の反転検出された1H/13C画像(又は直接19F画像)が取得されると、回収されたシグナルは、ターゲッティングされた細胞に内部化された標識されたラクテート分子のみから導出される。ラクテート−常磁性錯体の相互作用によって生じる、検査される核の短いT1は、短時間で膨大な数の減衰シグナルの収集を可能にし、それによってSNRを改善する。
実験部
a)式
Figure 2005508965
の10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリス−〔(アミノカルボニル)メチル〕ガドリニウム錯体(Gd−1錯体)の調製
以下の工程にしたがってこのキレート化配位子を合成した。
a.1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(TAZA)を、3−(メトキシフェニル)メチルブロミドと5:1の比で反応させることによってN−アルキル化した(溶媒アセトニトリル/水1:1、室温)。
b.アセトニトリルを除去し、残りの水溶液を酢酸エチルで抽出した。有機画分を蒸発させると、モノ及びビス−アルキル化TAZA誘導体を含有する生成物(淡黄色の油状物)が得られた。
c.ブロモアセトアミドを、乾燥アセトニトリル中、塩基としてのK2CO3の存在で、工程b)の中間体に加え、得られた溶液を30分間環流させた。ろ過により、反応混合物からモノ−アルキル化配位子が白色固体として得られた。
b)式
Figure 2005508965
の10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸ガドリニウム錯体(Gd−2錯体)の調製
このキレート化配位子の合成は、工程b)(配位子1の合成)の中間体から出発することによって実施した。ブロモ酢酸をこの生成物に加え(モル比4:1)、NaOH 10Nを加えることによって溶液のpHを10にした。6時間加熱(50〜60℃)したのち、溶液をろ過し、HCl 10%でpH2.5まで酸性化した。最終生成物を液体クロマトグラフィーによって精製した。生成物をビス−アルキル化TAZA誘導体から分離するため、Amberlite(登録商標)XAD1600を使用することによって一回目の溶離を実施した(溶離剤:水中40%までのメタノールの勾配)。次に、配位子2を塩及び過剰のブロモ酢酸から分離するため、Duolite(登録商標)C20MBを使用することによって二回目の溶離を実施した(溶離剤:NH4OH2.5M)。
c)式
Figure 2005508965
の10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸ガドリニウム錯体(Gd−3錯体)の調製
以下の工程にしたがってこのキレート化配位子を合成した。
a)1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(TAZA)を、3−(カルボキシフェニル)メチルブロミドと5:1の比で反応させることによってN−アルキル化した(溶媒、水、室温、一夜)。
b)HClを加えることによってpHを7にし、溶液を濃縮した。アルキル化生成物を無水エタノールで抽出し、得られた溶液を蒸発乾固させた。固体を水に溶解させ、カチオン交換クロマトグラフィーによってアルキル化生成物を分離した(溶離剤:NH4OH2N)。
c)ブロモ酢酸をアルキル化生成物に加え(モル比4:1)、NaOH 10Nを加えることによって溶液のpHを10にした。6時間加熱(50〜60℃)したのち、溶液をろ過し、HCl 10%でpH2.5まで酸性化した。最終生成物を液体クロマトグラフィーによって精製した。生成物をビス−アルキル化TAZA誘導体から分離するため、Amberlite(登録商標)XAD1600を使用することによって一回目の溶離を実施した(溶離剤:水中40%までのメタノールの勾配)。次に、配位子2を塩及び過剰のブロモ酢酸から分離するため、Duolite(登録商標)C20MBを使用することによって二回目の溶離を実施した(溶離剤:NH4OH2.5M)。
すべてのGd(III)錯体は、塩化Gd(III)を所与の配位子の水溶液に化学量論比1:1で加えることにより、水中で調製した(室温、pH7〜8)。反応後、溶液をろ過し(Millipore(登録商標))、濃縮し、Dowex(登録商標)カラムに通して脱塩すると、表記錯化合物が得られた。
GdDO3A 1mMを用いた場合(トレースB)と用いない場合(トレースA)とでのラクテート溶液(10mM、メチル位置で50%13C富化)の13C−NMRスピンエコースペクトルである。取得条件:7.1T、312K、溶液pH7。 5mmマイクロイメージングプローブ上で11.75Tで記録されたMRI画像である。左:通常のGEパルスシーケンスによって得られた水の1H−MRI。すべての毛管は、メチル位置で100%13C富化されたラクテート10mM及び種々の濃度のGdDO3Aを含有する(溶液のpH=7)。A=GdDO3Aなし、B=0.25mM、C=0.5mM、D=1mM、E=2mM。右:HMQC様のパルスシーケンスと、次いでGEシーケンスとからなるパルスシーケンスによって得られた同じファントムのラクテートの「反転検出」1H−MRI。 GdDO3Aを用いた場合(トレースB、0.9mM)と用いない場合(トレースA)とでのトリフルオロラクテートの10mM溶液の19F−NMRスピンエコースペクトルである(取得条件:7.1T、312K、pH7)。 5mmマイクロイメージングプローブ上で7.1Tで記録されたMRI画像である。左:通常のGEパルスシーケンスによって得られた水の1H−MRI。すべての毛管は、トリフルオロラクテート(pH7)10mM及び種々の濃度のGdDO3Aを含有する。A=GdDO3Aなし、B=0.25mM、C=0.5mM、D=1mM、E=2mM。5個の毛管の外側の溶液は、CuSO4でドーピングされた水によって表される。右:通常のGEシーケンスによって得られた同じファントムのトリフルオロラクテートの19F−MRI。 5mmマイクロイメージングプローブ上で11.75Tで記録された31P−MRI SE画像である。5個すべての毛管は、無機ホスフェートの20mM溶液(pH7.4)及び種々の濃度のGdDO3Aを含有する。A=GdDO3Aなし、B=0.25mM、C=0.5mM。

Claims (21)

  1. 以下の特性
    ―水以外の診断又は薬理学的に対象となる基質に対し、プロトン緩和増大法によって計測して少なくとも10M-1の強度で非共有結合的に結合する能力、
    ―前記非共有結合的結合の結果として、39℃及びpH7.4で少なくとも2の、前記生理学的基質の核の緩和増大率
    Figure 2005508965

    (式中、Ri sは、常磁性促進なしでの対象となる基質核の観察される緩和速度を表し、Ri s*は、常磁性キレート化合物が溶液中に存在する場合に観察される対応する緩和速度である)
    を有する常磁性キレート錯体の、
    ヒト又は動物の身体器官又は組織中の水とは異なる前記基質分子の磁気共鳴画像診断のための診断組成物を調製するための使用。
  2. 前記基質が、内因性であるか、又はその標識された前駆体から内因的に生成される、ラクテート、シトレート、カーボネート、ホスフェート、ピルベート、天然アミノ酸、オキサレート、タルトレート、スクシネート、コリン、クレアチン、アセテート及びマロネートから選択される、請求項1記載の使用。
  3. 前記基質がラクテートである、請求項2記載の使用。
  4. 脳腫瘍を画像診断するための、請求項3記載の使用。
  5. 基質がシトレートである、請求項2記載の使用。
  6. 前立腺腫瘍を画像診断するための、請求項5記載の使用。
  7. 基質がホスフェートである、請求項2記載の使用。
  8. 基質分子が、フッ素化又は13Cもしくは15N標識された薬物及びフッ素化又は13Cもしくは15N標識された代謝産物からなる群より選択される、請求項1記載の使用。
  9. 基質が、トリフルオロラクテートもしくはフッ素化シトレート又は13C標識ラクテートもしくは13C標識シトレートである、請求項8記載の使用。
  10. キレート化配位子が、キレート化された常磁性金属イオンの配位数を飽和させない系である、請求項1〜9のいずれか1項記載の使用。
  11. キレート化配位子が、直鎖状又は環式のポリアミノポリカルボン酸、ポリアミノポリホスホン酸又はポリアミノポリホスフィン酸残基もしくはそれらの誘導体、大環式シッフ塩基、ポルフィリンから選択される、請求項1〜10のいずれか1項記載の使用。
  12. 常磁性イオンが、原子番号58〜70のランタニド金属イオン又は原子番号21〜29及び42〜44の遷移金属イオンである、請求項1〜11のいずれか1項記載の使用。
  13. 常磁性イオンが、ガドリニウム(III)、鉄(II)、鉄(III)、マンガン(II)、マンガン(III)、クロム(III)、コバルト(III)、銅(II)、ニッケル(II)、ジスプロシウム(III)、エルビウム(III)、テルビウム(III)、ホルミウム(III)、ツリウム(III)、イッテルビウム(III)、ユーロピウム(II)及びユーロピウム(III)からなる群より選択される、請求項12記載の使用。
  14. 常磁性イオンが、ガドリニウム(III)、マンガン(II)又はマンガン(III)である、請求項13記載の使用。
  15. キレート化配位子が、10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリス−〔(アミノカルボニル)メチル〕、3,6,9,15−テトラアザビシクロ〔9.3.1〕ペンタデカ−1(15)11,13−トリエン−3,6,9−三酢酸(PCTA)、3,6,9,15−テトラアザビシクロ〔9.3.1〕ペンタデカ−1(15)11,13−トリエン−3,6,9−トリス(メタンホスホン酸)(PCTP)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(メタンホスホン酸)(DOTP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸(DO3A)から選択される、請求項1〜14のいずれか1項記載の使用。
  16. ヒト又は動物の身体器官又は組織中の水とは異なる内因性基質分子又は内因的に生成された基質分子の磁気共鳴画像診断の方法であって、基質分子に対して少なくとも10M-1の強度で非共有結合的に結合し、前記結合の結果として、39℃及びpH7.4で少なくとも2の基質核の緩和増大率(ε)を誘発する常磁性キレート錯体を磁気共鳴画像診断法の造影剤として使用することを特徴とする方法。
  17. 常磁性金属錯体のキレート化配位子が、直鎖状又は環式のポリアミノポリカルボン酸、又はポリアミノポリホスホン酸又はポリアミノポリホスフィン酸残基もしくはそれらの誘導体からなる、請求項16記載の磁気共鳴画像診断の方法。
  18. 常磁性キレート錯体又は生理的に許容しうるその塩を生理的に耐性の担体とともに含む医薬組成物であって、常磁性キレート錯体が基質分子に非共有結合的に結合し、前記結合の結果として、画像診断法の対象となる基質核の緩和増大率が39℃及びpH7.4で少なくとも2になり、場合によっては、常磁性錯体とのその直接相互作用を可能にする適切な形態又は場合によって適切なプロドラッグ形態に調合された非内因性基質分子をさらに含む医薬組成物。
  19. 非内因性基質分子が、人工的に、画像診断法の対象である特定の基質核又は同位体で富化されているか、それで標識されている、請求項18記載の医薬組成物。
  20. 非内因性基質分子又はそのプロドラッグを生理的に耐性の担体とともに含む第一の医薬組成物と、生理的に許容しうる常磁性キレート錯体又はその塩を生理的に耐性の担体とともに含む第二の医薬組成物とを含む、請求項16記載の方法で使用するためのキットであって、前記非内因性基質分子及び前記常磁性キレート錯体が、常磁性キレート錯体が非共有結合的に非内因性基質に結合し、前記結合の結果として、画像診断法の対象となる基質核の緩和増大率(ε)が39℃及びpH7.4で少なくとも2になるよう適切に選択されているキット。
  21. 10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリス−〔(アミノカルボニル)メチル〕及び場合によってはシトレートとの三元錯体の形態にあるそのガドリニウム錯体、10−〔(3−メトキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸及びそのガドリニウム錯体、10−〔(4−カルボキシフェニル)メチル〕−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸及びそのガドリニウム錯体から選択される化合物。
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