JP2005508151A - メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドおよび遺伝子 - Google Patents
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Abstract
本発明は、Myxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドおよびこれらのペプチドをコードする遺伝子を包含する。本発明はまた、組成物およびこれらのペプチドを生成する方法ならびにこれらのペプチドを用いて微生物感染を予防および処置する方法を包含する。本発明の単離された核酸分子は、1つ以上の発現制御エレメントに作動可能に連結され得る。本発明はさらに、上記の単離された核酸分子のいずれかを含むベクターおよびこのベクターを含む宿主細胞を包含する。
Description
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2002年7月30日に出願された、米国仮出願60/308,652の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、抗生ペプチドに対する遺伝子およびこのペプチドを生成するためのそれらの使用に関する。本発明はまた、抗菌ペプチドおよび抗生物質としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
カテリシジン遺伝子ファミリー(Zanettiら(1995)FEBS Letters 374,1−5;Zanettiら(1997)Ann.New York.Acad.Sci.147−162;Gennaroら(2000)Biopolymers Peptide Science 55,31−49)は、シグナル配列、カテリン様酸性スペーサー、および抗生ペプチドからなるプレプロペプチドをコードする(図1)。以下のような種々の哺乳動物由来のカテリシジンが、現在知られている:Bos taurus(ウシ)、Capra hircus(ヤギ)、Cavia porcellus(モルモット)、Equus caballus(ウマ)、Homo sapiens(ヒト)、Mus musculus(マウス)、Oryctolagus cunniculus(ウサギ)、Ovis aries(ヒツジ)、およびSus scrofa(ブタ)。公知の抗生ペプチドは、哺乳動物種内および哺乳動物種間の両方で、大きく異なるが、cDNAクローンの配列分析により明らかにされたように、関連するシグナル配列およびカテリン様酸性スペーサーは、抗生ペプチド自体が異なる種の間で大いに保存されている。
【0004】
哺乳動物カテリシジンは、主に、骨髄性細胞において合成され、そして循環好中球に豊富である。20数個のカテリシジン遺伝子の構造が公知であり、そして通常4つのエキソンを含み、そのうちの最後のエキソンは、カテリンのいくつかのC末端残基と共に抗生ペプチドをコードする。8、11、およびそれ以上の番号を付されたカテリシジン遺伝子のクラスターが、それぞれ、Ovis、Bos、およびSusにおいて報告されている(Gennaroら(2000)Biopolymers Peptide Science 55,31−49)。
【0005】
2つの抗生ペプチドが、Myxine glutinosa(大西洋メクラウナギ)(哺乳動物にわずかにしか関連しない遠縁の脊椎動物脊索動物分類群)の腸組織から単離された(Kaumayaら(1996)Peptides:Chemistry and Biology,Mayflower Scientific,189〜191頁)。これらのペプチドは、1つまたは2つの臭素化トリプトファンを含有するという点で、抗菌ペプチド間で独特である。本明細書中には、以前に単離された抗生ペプチドと同じファミリー由来の2つの新規抗生ペプチドをコードするメクラウナギcDNA配列が記載される。これらの配列は、Myxine抗生ペプチドをカテリシジンファミリーのメンバーとして同定する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、以下:配列番号2または4を含むMyxine glutinosaカテリン(catheline)関連抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子;およびストリンジェントな条件下で、配列番号2または4を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の相補体にハイブリダイズする単離された核酸分子、からなる群より選択される単離された核酸分子を包含する。いくつかの実施形態において、この核酸分子は、配列番号1および3;配列番号1のヌクレオチド4〜540;配列番号1のヌクレオチド427〜540;配列番号3のヌクレオチド2〜505;または配列番号3のヌクレオチド416〜505を含む。
【0007】
本発明はまた、以下:配列番号5または6を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子;およびストリンジェントな条件下で、配列番号5または6を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の相補体にハイブリダイズする単離された核酸分子、からなる群より選択される、単離された核酸分子を包含する。
【0008】
本発明の単離された核酸分子は、1つ以上の発現制御エレメントに作動可能に連結され得る。本発明はさらに、上記の単離された核酸分子のいずれかを含むベクターおよびこのベクターを含む宿主細胞を包含する。
【0009】
本発明は、ペプチドまたはそのフラグメントを生成するための方法を包含する。この方法は、上記宿主細胞を、上記核酸分子によりコードされるタンパク質またはタンパク質フラグメントが発現される条件下で培養する工程を包含する。この宿主細胞は、原核生物または真核生物であり得る。本発明は、この方法によって生成される組換えペプチドおよびそのフラグメントを包含する。
【0010】
本発明は、以下:配列番号2、4、5、または6に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたペプチド;配列番号2、4、5、または6に示される配列のいずれかの少なくとも6アミノ酸を含む、単離されたペプチドフラグメント;配列番号2、4、5、または6に示される配列のいずれかの保存的アミノ酸置換を含む、単離されたペプチド;および配列番号2、4、5、または6に示されるアミノ酸配列のいずれかの天然に存在するアミノ酸配列ペプチド改変体、からなる群より選択される、単離されたペプチドまたはそのフラグメントを包含する。
【0011】
本発明はさらに、本発明の1つ以上のペプチドを含む抗菌組成物を包含する。この抗菌組成物は、局所投与または非経口投与に適切であり得る。
【0012】
本発明は、哺乳動物における微生物感染を処置または予防する方法を包含する。この方法は、この哺乳動物に、有効量のMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドを投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、Myxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドは、配列番号2、4、5、または6からなる群より選択され、そして哺乳動物は、細菌感染または真菌感染の危険を有するか、それに罹患しているヒトである。Myxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチド含有組成物は、経口経路、局所経路、および非経口経路からなる群より選択される経路により投与され得る。局所投与が用いられる場合、投与は吸入により達成され得る。非経口経路が用いられる場合、投与は静脈内投与、皮下投与、または筋内投与により達成され得る。
【0013】
(詳細な説明)
(概説)
出願人らは、大西洋メクラウナギ(Atlantic hagfish)(Myxine glutinosa)由来の2つの新規の遺伝子を単離し、そして配列決定した。これらの遺伝子(配列番号1および3、図1)は、2つのタンパク質(配列番号2および4、図1)をコードし、これらタンパク質の各々は、N末端のシグナル配列、カテリン(cathelin)様配列、およびC末端の抗菌ペプチドをコードする。これらの遺伝子由来の抗細菌ペプチド配列(GWFKKAWRKVKHAGRRVLDTAKGVGRHYLNNWLNRYRG(配列番号5)、およびGWFKKAWRKVKNAGRVLKGVGIHYGVGLIG(配列番号6))は、米国特許第5,734,015に記載されたメクラウナギのペプチドに高度に類似であるが異なっている(図4)。従って、本発明は、単離されたメクラウナギ遺伝子およびそれらにコードされるカテリン関連抗菌性ペプチドを包含する。
【0014】
本発明において、C末端グリシン残基が翻訳後に、ペプチジルグリシンα−アミド化モノオキシゲナーゼ(PAM)(Priggeら(2000)Cell.Mol.Life Sci.57、1236−1259)のような酵素によってC末端のアミノ残基に転換された抗菌性ペプチド(配列番号11および12)、そして/または1つ以上のTrp残基が翻訳後にブロモ化酵素によってBr−Trp残基に転換された抗菌性ペプチド(Shinnarら、(2000)FASEB Journal 14、A1448)が包含される。
【0015】
また本発明において、メクラウナギカテリン関連遺伝子ファミリー、それらのコードするタンパク質、およびそれらの抗菌性ペプチドが包含される。別の実施形態は、これら遺伝子の発現およびこれらを含む細胞についての方法である。メクラウナギカテリン関連遺伝子によってコードされるタンパク質の組換え産生は、これが関連の抗菌性ペプチドの産生である場合、本発明に包含される。
【0016】
(定義)
本明細書中で使用される場合、用語「抗菌」とは、ある化合物が微生物の増殖を阻害するかまたは不可逆的に防止する能力をいう。このような阻害または防止は、殺菌性活性または静菌性阻害を介し得る。従って、用語「殺菌性阻害」とは、本明細書中で使用される場合、ある化合物が標的の微生物を殺すかまたは微生物に不可逆的に損傷を与える能力をいう。用語「静菌性阻害」とは、本明細書中で使用される場合、抗菌化合物が、標的微生物を殺さずに増殖を阻害する能力をいう。微生物の増殖を示す現況(治療状態)または微生物の増殖を支援するリスクのある環境(予防)における微生物の殺菌性阻害または静菌性阻害は、この定義のうちに包含される。
【0017】
本明細書中で使用される場合、「細胞株」は、インビトロで多世代にわたって安定に増殖し得る、初代細胞のクローンである。
【0018】
DNA「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に配置される場合に、インビボで転写され、そしてポリペプチドへと翻訳される、二重鎖DNA配列である。コード配列の境目は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列は、通常、コード配列から3’側に位置付けられる。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「核酸分子」とは、デオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、および/もしくはシトシン)、またはリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、ウラシル、および/もしくはシトシン)のポリマー形態をいい、そしてその一本鎖形態、または二重鎖ヘリックス形態およびRNAのいずれかを含み得る。この用語は、分子の一次構造および二次構造のみをいい、そしていずれかの特定の三次形態に限定されない。特定の二重鎖DNA分子の構造を考察する際、配列は、翻訳されないDNA鎖(例えば、mRNAに相同な配列を有する鎖)に沿う、5’から3’方向での配列のみを提供する通常の慣習に従って、本明細書中に記載され得る。転写制御配列および翻訳制御配列は、宿主細胞中でコード配列の発現のために提供されるDNA調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーターなど)である。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼを結合し得、そして下流(3’方向)のコード配列の転写を開始し得るDNA調節配列である。本発明の定義の目的のために、プロモーター配列は、転写開始部位の側のその配列の3’末端で(包括的に)結合され、そして上流(5’方向)に延びて、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始するための最小の塩基数またはそれに必須なエレメントを含む。プロモーター配列中には、転写開始部位、およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメインが見出される。真核生物のプロモーターは、しばしば、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含むが、必ずしも含むとは限らない。
【0021】
「シグナル配列」は、コード配列の前方に含まれ得るか、またはエンベロープタンパク質由来のネイティブなアミノ酸シグナル配列が使用され得る。この配列は、細胞表面にそのポリペプチドを向けるか、または培地中にそのポリペプチドを分泌するように宿主細胞に伝えるシグナルペプチド(ポリペプチドに対してN末端)をコードする。このシグナルペプチドは、タンパク質が細胞から離れる前に宿主細胞によって切り取られる。シグナル配列は、原核生物および真核生物にネイティブな、種々のタンパク質に関連して見出され得る。例えば、ネイティブな酵母タンパク質のα因子、は、酵母から分泌され、そしてそのシグナル配列が異種性タンパク質に結合されて媒地中に分泌され得る(例えば、米国特許第4,546,082号およびEP0116201を参照のこと)。さらに、このα因子およびそのアナログは、種々の酵母(例えば、SaccharomycesおよびKluyveromyces(EP88312306.9;EP0324274公開およびEP0301669))から異種性タンパク質を分泌することを見出された。哺乳動物細胞における使用例は、第VIIIc因子軽鎖を発現するために使用されるtPAシグナルである。
【0022】
外来性DNAまたは異種性DNAが細胞内に導入される場合、細胞は、このようなDNAによって「形質転換」されている。形質転換DNAは、細胞ゲノムを構築する染色体DNA中に組み込まれても(共有結合で連結されても)よいし、組み込まれなくても(共有結合で連結されなくても)よい。例えば、原核生物において、形質転換DNAは、プラスミドまたはウイルスベクターのようなエピソーム性エレメント上で維持され得る。真核生物に関して、安定に形質転換された細胞とは、その形質転換DNAが染色体中に組み込まれて、その結果染色体複製を介して娘細胞に遺伝される細胞である。この安定性は、真核生物細胞が、この形質転換DNAを含有する娘細胞の集団を含む細胞株または細胞クローンを構築する能力によって実証される。
【0023】
コード配列は、細胞内で、RNAポリメラーゼがmRNAにコード配列を転写し、次いでコード配列によってコードされたタンパク質へと翻訳される場合に、転写制御配列および翻訳制御配列の「制御下」にある。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「ベクター」は、結合されたセグメントの複製を引き起こすよう別のDNAセグメントが結合されたレプリコン(例えば、プラスミド、ウイルス、ファージまたはコスミド)である。
【0025】
(核酸分子)
2つのcDNA配列(図1)は、848ヌクレオチド(配列番号1)および863ヌクレオチド(配列番号2)からなる。配列番号1の配列は、開始コドンおよび5’側の3つのさらなるヌクレオチドを含む;配列番号3の配列は、配列番号1とのアラインメントにより判断すると、5’末端に8つのコードヌクレオチドの欠損を有する。図1のアラインメントにおいて、814ヌクレオチドが2つの配列間で相当しており、785ヌクレオチドが合致する(96.4%)。これら2つの推定のシグナル配列およびカテリン配列をコードするヌクレオチドは、非常に類似しており、70個のシグナルヌクレオチドのうち69個が同一(98.6%)であり、そして345個のカテリンヌクレオチドのうち332個(96.2%)が合致し;全体で415個のうち401個(96.6%)が合致する。cDNA配列のこれらの部分において、挿入も欠失も認められない。
【0026】
対照的に、このペプチドおよび3’非翻訳配列は、いくつかの挿入/欠失の変化の証拠を示し、この証拠は、これら配列の類似性の比較を困難にする。ペプチドコード配列において、配列番号3は、配列番号1との比較において、3つのギャップ(3ヌクレオチド、9ヌクレオチドおよび4ヌクレオチド)を有し;最後のギャップは終結コドンの直前の17ヌクレオチドの代わりにフレームシフトを生じる。配列番号1のペプチドコード配列は、配列番号3の配列に対して、21ヌクレオチドのギャップを有し;この結果、配列に沿ってさらに26ヌクレオチド先の新規の終結コドンが、配列番号1のペプチドの末端の印となる。このアラインメントにおいて、配列番号1についての最後の10個のコードヌクレオチドは、配列番号3のcDNAの3’非翻訳領域における10個のヌクレオチドに対応する。全体で、ペプチドをコードする98ヌクレオチドは比較可能であり;これらのうちの89個(90.8%)が合致する。
【0027】
両方のcDNAの3’非翻訳末端は、−tgg−反復を有する(配列番号1については10マー、そして配列番号3については17マー)。この−tgg−反復を除いて、3’末端にある248ヌクレオチドを比較し得る;これらのうち、243(98.0%)がマッチする。
【0028】
本発明の核酸分子は、配列番号2を有するタンパク質、配列番号4を有するタンパク質、および本明細書中に記載される関連のタンパク質をコードする核酸分子(好ましくは、単離された形態)を含む。本明細書中で使用される場合、「核酸」は、上記に定義されるようなタンパク質もしくはペプチドをコードするか、またはそのようなペプチドをコードする核酸配列に対して相補的であるか、または適切なストリンジェンシーの条件下でそのような核酸にハイブリダイズし、そしてそれらに結合したまま安定に残存するか、またはそれらのペプチド配列と、少なくとも55%の配列同一性、85%の配列同一性、好ましくは、少なくとも85%、そしてより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95〜99%の配列同一性を共有するポリペプチドをコードする、RNAもしくはDNAとして規定される。特に意図されるのは、天然供給源に由来するものであれ合成であれ、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、およびアンチセンス分子、ならびに、代替的な骨格に基づくかまたは代替的な塩基を含む核酸である。しかし、このようなハイブリダイズする核酸または相補的な核酸は、あらゆる先行技術の核酸(本発明に従うタンパク質をコードする核酸をコードするもの、そのような核酸に適切なストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするもの、またはそのような核酸に対して相補的であるものを含む)に対して新規かつ非自明であるものとしてさらに規定される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、本発明のメクラウナギカテリン関連タンパク質をコードする核酸分子(例えば、配列番号1もしくは配列番号1のヌクレオチド4〜540(または543)により規定されるオープンリーディングフレームを含む核酸分子、配列番号1もしくは配列番号1のヌクレオチド4〜540(または543)により規定されるオープンリーディングフレームから本質的になる核酸分子、または配列番号1もしくは配列番号1のヌクレオチド4〜540(または543)により規定されるオープンリーディングフレームからなる核酸分子;あるいは例えば、配列番号3もしくは配列番号3のヌクレオチド2〜505(または508)により規定されるオープンリーディングフレームを含む核酸分子、配列番号3もしくは配列番号3のヌクレオチド2〜505(または508)により規定されるオープンリーディングフレームから本質的になる核酸分子、または配列番号3もしくは配列番号3のヌクレオチド2〜505(または508)により規定されるオープンリーディングフレームからなる核酸分子)である。本発明のさらに好ましい実施形態は、本発明のメクラウナギ抗菌ペプチドをコードする核酸分子(例えば、配列番号1のヌクレオチド427〜540、配列番号2のアミノ酸142〜179をコードするヌクレオチドもしくは配列番号5をコードするヌクレオチドを含む核酸分子、配列番号1のヌクレオチド427〜540、配列番号2のアミノ酸142〜179をコードするヌクレオチドもしくは配列番号5をコードするヌクレオチドから本質的になる核酸分子、または配列番号1のヌクレオチド427〜540、配列番号2のアミノ酸142〜179をコードするヌクレオチドもしくは配列番号5をコードするヌクレオチドからなる核酸分子;あるいは例えば、配列番号3のヌクレオチド416〜505、配列番号4のアミノ酸139〜168をコードするヌクレオチドもしくは配列番号6をコードするヌクレオチドを含む核酸分子、配列番号3のヌクレオチド416〜505、配列番号4のアミノ酸139〜168をコードするヌクレオチドもしくは配列番号6をコードするヌクレオチドから本質的になる核酸分子、または配列番号3のヌクレオチド416〜505、配列番号4のアミノ酸139〜168をコードするヌクレオチドもしくは配列番号6をコードするヌクレオチドからなる核酸分子)である。
【0030】
ヌクレオチド配列レベルまたはアミノ酸配列レベルでの相同性または配列同一性は、配列類似性検索のために調整されたプログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxによって使用されるアルゴリズム(Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25、3389−3402およびKarlinら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87、2264−2268(両方とも全体的に参考として援用される))を使用して、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)分析によって決定される。このBLASTプログラムによって使用されるアプローチは、照会(query)配列とデータベース配列との間で、ギャップを有する(非連続性)およびギャップを有さない(連続性)類似のセグメントをまず考慮に入れ得、次いで、同定されたすべてのマッチの統計学的有意性を評価し得、そして最後に、予め選択された有意性閾値を満たすマッチのみをまとめ得る。配列データベースの類似性検索に関する基本的な問題の考察については、Altschulら(1994)Nature Genetics 6、119−129(これは、全体的に参考として援用される)を参照のこと。ヒストグラム、記述、アラインメント、期待値(すなわち、データベース配列に対するマッチを報告するための統計学的有意性の閾値)、カットオフ、マトリクス、およびフィルター(低複雑性)の検索パラメーターは、デフォルト設定である。blastp、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるデフォルトのスコア付けマトリクスは、85以上のヌクレオチド長またはアミノ酸長に対する照会配列について推奨される、BLOSUM62マトリクス(Henikoffら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、10915−10919(全体的に参考として援用される))である。
【0031】
blastnについて、スコア付けマトリクスは、M(すなわち、マッチ残基の対についての報酬(reward)スコア)対N(すなわち、ミスマッチ残基についてのペナルティスコア)の比によって設定され、ここでMおよびNについてのデフォルト値は、それぞれ、+5および−4である。4つのblastnパラメーターを、以下のように調整した:Q=10(ギャップ作成ペナルティ);R=10(ギャップ伸長ペナルティ);wink=1(照会物に沿って、wink番目の位置毎におけるワードヒットを作成する);およびgapw=16(ギャップ形成されたアラインメントを作成するウィンドウ幅を設定する)。等価なBlastpパラメーター設定は、以下の通りであった:Q=9;R=2;wink=1;およびgapw=32。GCGパッケージバージョン10.0において利用可能である、配列間のBestfit比較は、DNAパラメーターGAP=50(ギャップ作成ペナルティ)およびLEN=3(ギャップ伸長ペナルティ)を使用し、そしてタンパク質比較における等価な設定は、GAP=8およびLEN=2である。
【0032】
「ストリンジェント条件」とは、(1)洗浄のために低イオン強度および高温を使用する条件(例えば、50℃での、0.015M NaCl/0.0015クエン酸ナトリウム/0.1%SDS)、または(2)ハイブリダイゼーションの間に、ホルムアミドのような変性剤を使用する条件(例えば、42℃での、0.1%ウシ血清アルブミンを伴う50%(容量/容量)ホルムアミド/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムを伴う50mMリン酸ナトリウム緩衝剤(pH6.5))である。別の例は、42℃での50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理済サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%デキストラン硫酸中におけるハイブリダイゼーションと、0.2×SSCおよび0.1%SDS中において42℃での洗浄である。当業者は、明瞭かつ検出可能なハイブリダイゼーションシグナルを得るために適切にストリンジェンシー条件を容易に決定し得、そして変動させ得る。好ましい核酸分子は、配列番号1または3の相補体に上記条件下でハイブリダイズし、そして抗菌活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子である。さらにより好ましい核酸分子は、配列番号1または3のオープンリーディングフレームの相補鎖に上記条件下でハイブリダイズする核酸分子である。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「単離された」核酸分子は、そのネイティブの環境から取り出されたか、または核酸分子がその核酸供給源由来の他のポリペプチドをコードする夾雑核酸から実質的に分離されている場合の、核酸分子、DNAまたはRNAを意味する。例えば、ベクター中に含まれる組換えDNA分子は、本発明の目的のために、単離されたとみなされる。単離されたDNA分子のさらなる例としては、異種宿主細胞中に維持されている組換えDNA分子、または溶液中にある精製(部分的または実質的)されたDNA分子が挙げられる。単離されたRNA分子としては、本発明のDNA分子のインビボまたはインビトロでのRNA転写物が挙げられる。本発明に従う単離された核酸分子はさらに、合成的に生成されたこのような分子を含む。本発明の単離された核酸分子としては、配列番号1または3に示されるオープンリーディングフレーム(ORF)を含むDNA分子;成熟抗菌ペプチドタンパク質のコード配列を含むDNA分子;および上記の配列とは実質的に異なる配列を含むが、遺伝暗号の縮重に起因して、なお抗菌ペプチドタンパク質をコードするDNA分子が挙げられる。遺伝暗号は当該分野で周知であるので、このような縮重改変体を生成することは当業者には慣用的である。別の局面では、本発明は、本発明の核酸分子のポリヌクレオチドの一部に対して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する。本発明はさらに、抗菌ペプチドタンパク質の部分、アナログまたは誘導体をコードする、本発明の核酸分子の改変体に関する。改変体は、天然の対立遺伝子改変体のように、天然において生じ得る。「対立遺伝子改変体」とは、生物の染色体上にある所定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替的形態のうちの1つを意図する。
【0034】
本発明はさらに、コード核酸分子のフラグメントを提供する。本明細書中で使用される場合、コード核酸分子のフラグメントは、タンパク質コード配列全体のなかの小さな部分をいう。フラグメントのサイズは、意図される用途によって決定される。例えば、フラグメントが、タンパク質の活性部分をコードするように選択される場合、フラグメントは、そのタンパク質の機能的領域(1つまたは複数)をコードするのに十分な大きさである必要があるか、または図1(配列番号2および4)のメクラウナギタンパク質の間の相同性領域をコードし得る。本発明の1つの実施形態において、抗菌ペプチドフラグメントは、好ましくは少なくとも15〜20アミノ酸、より好ましくは20〜30アミノ酸、そして最も好ましくは30〜40アミノ酸である。フラグメントが核酸プローブまたはPCRプライマーとして使用される場合、フラグメントの長さは、プロービング/プライミングの間に比較的少数の偽陽性を得るように選択される。
【0035】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのプローブもしくは特異的プライマーとして使用されるか、または本発明のタンパク質をコードする遺伝子配列を合成するために使用される、本発明のコード核酸分子のフラグメント(すなわち、合成オリゴヌクレオチド)は、化学技術(例えば、Matteucciら(1981)J.Am.Chem.Soc.103、3185−3191)のホスホトリエステル方法または自動化合成方法の使用)によって、容易に合成され得る。さらに、より大きなDNAセグメントは、周知の方法(例えば、遺伝子の種々のモジュールセグメントを規定するオリゴヌクレオチド群を合成し、次いで、オリゴヌクレオチドを連結して完全な改変遺伝子を構築すること)によって、容易に調製され得る。
【0036】
本発明のコード核酸分子はさらに、診断目的およびプローブ目的のために検出可能な標識を含むように改変され得る。種々のこのような標識が当該分野で公知であり、そして本明細書中に記載されるコード分子と共に容易に使用され得る。このような標識としては、ビオチン、放射性標識ヌクレオチドなどが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、当該分野で公知の任意の標識を使用して、標識されたコード核酸分子を獲得し得る。
【0037】
翻訳の間にタンパク質配列に組み込まれるアミノ酸を欠失、付加または変更することよる、一次構造自体に対する改変が、そのタンパク質の活性を壊すことなくなされ得る。このような置換または他の変更は、本発明の意図される範囲内にある核酸によってコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質を生じさせる。
【0038】
(他の関連核酸分子の単離)
上記のように、配列番号1および3を有するメクラウナギ核酸分子の同定は、当業者が、本明細書中に記載される配列に加えて、カテリン関連タンパク質ファミリーの他のメンバーをコードする核酸分子を単離することを可能にする。
【0039】
基本的に、当業者は容易に、配列番号2または4のアミノ酸配列を使用して、適切な細胞から調製される発現ライブラリーをスクリーニングするための抗体プローブを作製し得る。代表的には、精製タンパク質(以下に記載される)で免疫された哺乳動物(例えば、ウサギ)由来のポリクローナル抗血清またはモノクローナル抗体を使用して、哺乳動物のcDNAライブラリーまたはゲノム発現ライブラリー(例えば、λgtllライブラリー)を探索し、このタンパク質ファミリーの他のメンバーの適切なコード配列を獲得し得る。クローン化されたcDNA配列は、融合タンパク質として発現され得るか、それ自体の制御配列を使用して直接的に発現され得るか、またはタンパク質発現のために使用される特定の宿主に適切な制御配列を使用した構築物により発現され得る。
【0040】
あるいは、本明細書中に記載されるコード配列の一部分を合成し得、そして任意の哺乳動物生物由来のメクラウナギカテリン関連タンパク質ファミリーのメンバーをコードするDNAを回収するためのプローブとして使用し得る。約18〜20ヌクレオチドを含むオリゴマー(約6〜7アミノ酸のストレッチをコードする)を調製し、そしてストリンジェントな条件下または過度な偽陽性レベルを排除するに十分なストリンジェンシーの条件下においてハイブリダイゼーションを得るように、ゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用し得る。
【0041】
さらに、オリゴヌクレオチドプライマーの対が、コード核酸分子を選択的にクローン化するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における使用のために調製され得る。このようなPCRプライマーを使用するためのPCRの変性/アニール/伸長サイクルは、当該分野で周知であり、そして他のコード核酸分子を単離する際の使用のために容易に適合され得る。
【0042】
(組換え核酸分子)
本発明はさらに、メクラウナギカテリン関連タンパク質コード配列を含む組換えDNA分子(rDNA)を提供する。本明細書中で使用される場合、rDNA分子は、インビトロでの分子操作に供されたDNA分子である。rDNA分子を作製する方法は当該分野で周知である(例えば、Sambrookら(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)。好ましいrDNA分子では、コードDNA分子は、発現制御配列および/またはベクター配列に作動可能に連結される。
【0043】
本発明のタンパク質ファミリーコード配列の1つが作動可能に連結されるベクターおよび/または発現制御配列の選択は、当該分野で周知のように、所望される機能的特性(例えば、タンパク質発現)および形質転換される宿主細胞に直接的に依存する。本発明により意図されるベクターは、少なくとも、複製または宿主染色体への挿入を指示し得、そして好ましくは、そのrDNA分子中に含まれる構造遺伝子の発現をもまた指示し得る。
【0044】
作動可能に連結されたタンパク質コード配列の発現を調節するために使用される発現制御エレメントは、当該分野で公知であり、そしてこれには、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、分泌シグナル、および他の調節エレメントが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、誘導性プロモーターは、容易に制御される(例えば、宿主細胞の培地中の栄養素に対して応答性である)。
【0045】
1実施形態において、コード核酸分子を含むベクターは、原核生物レプリコン(すなわち、自律的な複製を指向する能力、および形質転換された原核生物宿主(例えば、細菌宿主細胞)内の染色体外の組換えDNA分子の維持力を有するDNA配列)を含む。このようなレプリコンは、当該分野で周知である。さらに、原核生物レプリコンを含むベクターはまた、その発現によって薬物耐性のような検出可能なマーカーを与える遺伝子を含み得る。代表的な細菌薬物耐性遺伝子は、アンピシリンまたはテトラサイクリンに対する耐性を与える遺伝子である。
【0046】
原核生物レプリコンを含むベクターは、細菌宿主細胞(例えば、E.coli.)におけるコード遺伝子の発現(転写および翻訳)を指向し得る原核生物プロモーターまたはバクテリオファージプロモーターをさらに含み得る。プロモーターは、RNAポリメラーゼが結合しそして転写を生じることを可能にするDNA配列によって形成される発現制御エレメントである。細菌宿主と適合性のプロモーター配列は、代表的には、本発明のDNAセグメントの挿入のために都合のよい制限部位を含むプラスミドベクター中に提供される。このようなベクタープラスミドの代表的なものは、pUC8、pUC9、pBR322およびpBRB29(Bio−Rad Laboratories)、pPL223、およびpKK223(Pharmacia)である。
【0047】
真核生物細胞に適合性である(好ましくは、脊椎動物細胞と適合性である)発現ベクターはまた、コード配列を含むrDNA分子を形成するために使用され得る。真核生物細胞発現ベクターは当該分野において周知であり、そしていくつかの市販供給元から利用可能である。代表的には、このようなベクターは、所望のDNAセグメントの挿入のために都合のよい制限部位を含んで提供され得る。このようなベクターの代表的なものは、pSVLおよびpKSV−10(Pharmacia)、pBPV−1/pML2d(International Biotehnologies)、pTDT1(ATCC)、本明細書中に記載のベクターpCDM8ならびに同様の真核生物発現ベクターである。
【0048】
本発明のrDNA分子を構築するのに使用される真核生物発現ベクターは、真核生物中で有効な選択マーカー(好ましくは、薬物耐性選択マーカー)をさらに含み得る。さらに、好ましい薬物耐性マーカーは、その発現によってネオマイシン耐性(すなわち、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子)を生じる遺伝子である(Southern,P.L.ら、1982.J Mol Appl Genet 1(4):327−41)。あるいは、この選択マーカーは、別個のプラスミド上に存在し得、そして、これらの2つのベクターは宿主細胞の同時トランスフェクトによって導入され、そして、この選択マーカーにとって適切な薬物の中で培養されることによって選択される。
【0049】
(外因性供給コード核酸分子を含む宿主細胞)
本発明は、さらに、本発明のメクラウナギカテリン(cathelin)結合タンパク質をコードする核酸分子(好ましくは、配列番号1または3)で形質転換された宿主細胞が提供される。この宿主細胞は、原核生物または真核生物のいずれかであり得る。本発明のタンパク質の発現にとって有用な真核生物細胞は、その細胞株が細胞培養方法に適合しそして発現ベクターの増殖およびその遺伝子産物の発現に適合する限り、限定されるものではない。好ましい宿主細胞としては、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞(好ましくは、マウス細胞株、ラット細胞株、サル細胞株、またはヒト細胞株)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましい真核生物宿主細胞としては、メクラウナギ、ATCCからCCL61として入手可能であるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ATCCからCRL 1658として入手可能なNIH Swissマウス胚性細胞NIH/3T3、胎仔ハムスター腎細胞(BHK)ならびに同様の真核生物組織培養細胞株から樹立される細胞株を含む。
【0050】
任意の原核宿主細胞は、本発明のタンパク質をコードするrDNA分子を発現するために使用され得る。好ましい原核生物宿主は、E.coliである。
【0051】
本発明のrDNA分子を有する適切な細胞宿主の形質転換は、使用されるベクターの型および使用される宿主系に代表的には依存する周知の方法によって達成される。原核生物宿主細胞の形質転換に関して、エレクトロポレーションおよび塩処理法が代表的には使用される(Cohenら(1972)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69,2110〜2112およびSambrookら(2001)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press)。rDNAを含むベクターを用いる脊椎動物細胞の形質転換に関して、エレクトロポレーション、カチオン性脂質および塩処理法が代表的には使用される(例えば、Grahamら(1973)Virol.52、456〜458;Wiglerら(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76,1373〜1376)。
【0052】
首尾よく形質転換された細胞(すなわち、本発明のrDNA分子を含む細胞)は、選択マーカーについての選択を含む周知の技術によって同定され得る。例えば、本発明のrDNAの導入から得られる細胞は、単一のコロニーを産生するためにクローニングされ得る。これらのコロニー由来の細胞が回収、溶解され得、そして、それらのDNA含有量が、存在するrDNAについて、Southern(1975)J.Mol.Biol.98,503〜506またはBerentら(1985)Biotech.3,208〜209に記載されるような方法を使用して調べられるか、またはその細胞から産生され得るタンパク質が、免疫学的方法を介してアッセイされ得る。
【0053】
(組換えタンパク質の産生)
本発明はさらに、本明細書に記載の核酸分子を使用する、メクラウナギカテリン結合タンパク質を産生するための方法を提供する。一般的な関係において、タンパク質の組換え形態の産生は、代表的には、以下の工程を包含する:
第1に、本発明のメクラウナギカテリン結合タンパク質をコードする核酸分子(例えば、配列番号1を含むか、本質的にはそれからなるか、もしくはそれからなるか、または、配列番号1のヌクレオチド4位〜540(または543)位によって定義されるオープンリーディングフレーム;あるいは、配列番号3を含むか、本質的にはそれからなるか、もしくはそれからなるか、または、配列番号3のヌクレオチド2位〜505(または508)位によって定義されるオープンリーディングフレーム)が得られる。あるいは、本発明のメクラウナギ抗微生物ペプチドをコードする核酸分子(例えば、配列番号1のヌクレオチド427〜540を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなるか、または、配列番号2のアミノ酸残基142〜179をコードするかもしくは配列番号5をコードするか;あるいは、例えば、配列番号3のヌクレオチド416〜505を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなるか、配列番号4のアミノ酸139〜168をコードするか、または配列番号6をコードする、核酸分子)が得られる。コード配列がイントロンによって中断されておらず、このオープンリーディングフレームがそのままである場合、これは、任意の宿主での発現に直接適切である。
【0054】
次いで、この核酸分子は、好ましくは、上記のような適切な制御配列と作動可能に連結されて配置されて、タンパク質オープンリーディングフレームを含む発現単位を形成する。発現単位を使用して、適切な宿主を形質転換し、そしてこの形質転換した宿主を、組換えタンパク質の産生を可能にする条件下で培養する。必要に応じて、この組換えタンパク質を、培地または細胞から単離する;このタンパク質の回収および精製は、いくらかの不純物が許容され得るいくつかの場合には、必要でないかもしれない。
【0055】
上記の工程の各々は、種々の方法で行われ得る。例えば、所望のコード配列は、ゲノムフラグメントから得られ得、そして適切な宿主において直接使用され得る。種々の宿主において作動可能な発現ベクターの構築は、上記のような適切なレプリコンおよび制御配列を使用して達成される。制御配列、発現ベクターおよび形質転換方法は、遺伝子を発現するために使用される宿主細胞の型に依存し、そして上記でより詳細に記載した。適切な制限部位が、通常では利用可能でない場合、これらのベクター中に挿入される切り出し可能な遺伝子を提供するために、コード配列の末端に付加され得る。当業者は、組換えタンパク質を産生するために本発明の核酸分子と共に使用するための、当該分野で公知の任意の宿主/発現系を容易に適合し得る。
【0056】
別の実施形態において、ポリペプチドは、改変形態(例えば、融合タンパク質)で発現され得、そして分泌シグナルだけでなく、さらなる異種性の機能的領域もまた含み得る。例えば、さらなるアミノ酸(特に、荷電したアミノ酸)の領域が、ポリペプチドのN末端に付加されて、複製または引き続く取り扱いおよび保存の間の、宿主細胞における安定性および持続性を改善し得る。また、ペプチド部分が、精製を容易にするためにこのポリペプチドに付加され得る。このような領域は、ポリペプチドの最終的な調製の前に、除去され得る。とりわけ、分泌または排出を生じるため、安定性を改善するため、および精製を容易にするための、ポリペプチドに対するペプチド部分の付加は、当該分野でよく知られた慣用技術である。
【0057】
(メクラウナギカテリン(cathelin)関連タンパク質)
アミノ酸配列(配列番号2および配列番号4)(図1)は、抗菌活性に関連するペプチドの領域が異なるのに主に起因して、異なる。シグナル配列は26残基で同一であり;そしてカテリンは、その115残基中91.3%を共有する。対照的に、配列番号2のアミノ酸残基142〜179からなる抗菌ペプチドGWFKKAWRKVKHAGRRVLDTAKGVGRHYLNNWLNRYRG(配列番号5)は、配列番号4のアミノ酸残基139〜168からなる抗菌ペプチドGWFKKAWRKVKNAGRVLKGVGIHYGVGLIG(配列番号6)の30残基に対して、38残基を有する。しかし、3つのギャップが配列番号6に挿入される場合、配列番号5の配列に対して30残基中23残基(76%)が同一である。配列番号5および配列番号6の両方は、米国特許第5,734,015号に記載されるメクラウナギ抗菌ペプチドと同様に、おそらくC末端アミドが翻訳後に変更されるC末端グリシン残基を有する。
【0058】
本明細書中で使用される場合、メクラウナギカテリン関連タンパク質に関連するタンパク質のファミリーとは、メクラウナギまたはメクラウナギに密接に関連する生物から単離され得る他のカテリン関連タンパク質をいう。メクラウナギカテリン関連タンパク質に関連するタンパク質の他のファミリーメンバーを同定および単離するために使用される方法を、以下に記載する。
【0059】
本発明のタンパク質は、好ましくは単離形態である。本明細書中で使用される場合、物理的方法、機械的方法または化学的方法を使用して、タンパク質に通常結合する細胞構成成分からタンパク質を取り出す場合、タンパク質は単離されると言われる。当業者は、単離されたタンパク質を得るために標準的な精製方法を使用し得る。単離されるとは、本発明のメクラウナギカテリン関連タンパク質または抗菌ペプチドは、他の成分との混合物の一部であり、そして本発明のタンパク質またはペプチドプチドは、混合物中の総タンパク質の少なくとも約10%、好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも20%、より好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも30%、なおより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも40%、さらにより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも50%、なおより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも60%、さらにより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも70%、なおより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも80%、さらにより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも90%、なおより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも95%、そして最も好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも99%を含むことをさらに意味する。
【0060】
本発明のタンパク質はさらに、本明細書中に記載されるタンパク質の保存的改変体を含む。本明細書中で使用される場合、保存的改変体とは、タンパク質の生物学的機能に有害な影響を与えないアミノ酸配列の変更をいう。置換、挿入または欠失は、変更された配列が、タンパク質に関連する生物学的機能を防御または破壊する場合、タンパク質に有害な影響を与えることをいう。例えば、タンパク質の全体的な変化、構造または疎水性/親水性の特性は、生物学的活性に有害な影響を与えることなく変更され得る。従って、アミノ酸配列は、例えば、タンパク質の生物学的活性に有害な影響を与えることなく、ペプチドをより疎水性または親水性にするように変更され得る。
【0061】
通常、対立遺伝子改変体、保存的置換改変体およびタンパク質ファミリーのメンバーは、配列番号2、4、5または6に記載される配列と、少なくとも約85%、より好ましくは約90%、なおより好ましくは約95%、最も好ましくは約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。このような配列に関する同一性または相同性は、必要に応じて、その配列を整列させギャップを導入して、最大%相同性を実現した後に、既知のペプチドと同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書中に規定され、そして保存的置換を配列同一性の一部分として認めない。N末端、C末端または内部伸長、欠失あるいはペプチド配列中への挿入は、相同性に影響すると解釈されない。
【0062】
従って、本発明のタンパク質としては、以下が挙げられる:配列番号2、4、5および6に開示されるアミノ酸配列を含む、それらから本質的になる、あるいはそれらから構成される分子;メクラウナギカテリン関連タンパク質またはその抗菌ペプチドの少なくとも3、4、5、6、10、15、20、25、30、35、38またはそれより多いアミノ酸残基の保存的配列を有するそれらのフラグメント;このような配列のアミノ酸配列改変体、ここで、アミノ酸残基は、開示される配列のN末端もしくはC末端に挿入されるか、または開示される配列中に挿入される;および開示される配列のアミノ酸配列改変体、または(別の残基によって置換された)、あるいは上に規定されるようなそれらのフラグメント。企図される改変体は、例えば、以下:相同組換え、部位指向性突然変異誘発またはPCR突然変異誘発、および他の動物種(ウサギ、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマおよび非ヒト霊長類種が挙げられるが、これらに限定されない)の対応タンパク質、および対立遺伝子またはタンパク質ファミリーの他の天然に存在する改変体;ならびに誘導体(このタンパク質は、天然に存在するアミノ酸以外の部分(例えば、酵素もしくはラジオアイソトープのような検出可能部分)で、置換、化学的手段、酵素的手段、または他の適切な手段によって、共有結合的に改変されている)。
【0063】
(治療的適用および添加剤適用)
本発明の別の局面は、微生物の増殖を阻害するための方法である。本発明のメクラウナギカテリン関連抗菌ペプチド(配列番号5および6により例示される)を使用して、種々の状況下で微生物の増殖を阻害し得る。例えば、本発明のペプチドは、治療的に投与して、微生物感染から生じる個体における疾患を処置または予防し得る。種々の微生物感染が、本発明の抗菌ペプチドを用いて処置され得る。例えば、本発明の抗菌ペプチドは、真菌感染または細菌感染の処置のための抗菌剤として使用され得る。
【0064】
好ましい実施形態において、微生物感染は、細菌感染である。特に、本発明のペプチドの治療的投与は、細菌感染を阻害し、そして逆転し得る。細菌の新しい耐性株の発生および蔓延は、ますます公衆衛生に脅威を与えている。本発明の抗菌ペプチドは、現在公衆衛生を脅かしている微生物のこれらの耐性株に罹患している患者を処置する際に有用である。多くの細菌感染は、感染した個体において細菌性敗血症を引き起こす。敗血症性細菌感染に罹患した個体へのこのペプチドの投与は、感染により生じる敗血症、および感染自体を低減することにより、有意な治療効果を生じる。
【0065】
処置に適切な個体は、上記の微生物感染の1つ以上に罹患しているか、そうでなければ感受性である任意の動物(哺乳動物またはその他)である。好ましい実施形態において、この個体はヒトである。別の実施形態において、この個体は、家畜動物である。別の実施形態において、この動物は、鑑賞用(show)動物または家庭用のペットである。
【0066】
本発明のメクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドの個体への投与は、全身または局所的であり、そして主として処置される特定の感染により決定される。全身投与は、いくつかの経路(静脈内投与、吸入、粘膜、および食物摂取を含むがこれらに限定されない)により達成され得る。局所的投与は、表面または内部であり得る。このような投与は、いくつかの経路(皮下、皮膚、皮内、口腔内、粘膜、腹腔内、膣、吸入、および食物摂取を含むがこれらに限定されない)により達成され得る。
【0067】
薬学的に受容可能なキャリアを含む、本発明のペプチドの処方物を投与することが、しばしば利用される。治療的投与に可能な処方物は、種々の薬学的組成物を含み、これらの適切な使用は、処置に必要とみなされる投与経路に依存する。局所投与に有用ないくつかの処方物は、例えば、点眼剤、点耳剤、または歯肉適用(例えば、点滴剤、うがい薬、クリームまたはペースト)である。患者に対する治療に役立つ投与レジメン(例えば、経路、用量および過程)は、処置される患者(例えば、健康、体重、代謝)、感染部位、および感染している病原体によって変化する。治療レジメンは、実験的観察と組み合わせて、同様の治療剤を用いる処置からの推定により開発されるべきである。個体における微生物感染を予防するための本発明のペプチドの投与は、上記の方法に類似する。
【0068】
一般的提案として、用量あたりの非経口的に投与される抗菌ペプチドの薬学的有効量の合計は、患者の体重の約0.001mg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲であるが、上記のように、この範囲は、治療的裁量に供される。より好ましくは、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日であり、このペプチドに関してヒトに対して最も好ましくは約0.01mg/kg/日と1mg/kg/日との間である。連続的に投与される場合、この抗菌ペプチドは、1日あたり1回〜4回の注射によるか、または例えばミニポンプを使用する連続的な皮下注入のいずれかにより、代表的には、約0.001mg/kg/時間〜約0.050mg/kg/時間の用量速度で投与される。静脈内バッグ液剤もまた使用され得る。
【0069】
本発明のメクラウナギカテリン関連抗菌ペプチド(配列番号5および6により例示される)はまた、他の抗菌薬または抗菌剤の治療作用を増強するために有用である。本発明の抗菌ポリペプチドとの他の抗菌剤の同時投与は、相乗抗菌効果を生じる。抗菌剤との本発明のペプチドの同時投与は、より低い用量の抗菌剤を用いる患者の治療的処置を可能にする。より低い用量は、高価な薬物、または所望でない副作用を生じる薬物、またはインビボでのその短い半減期により、有効であるために必要な濃度よりも低い濃度に急速に減少する薬物を用いて処置する場合のような状況において好ましい。さらに、抗菌剤または抗菌薬との同時投与はまた、より短い治療期間および/または耐性表現型の逆転を可能にし得る。限定することなく、その体内薬物濃度を低減すること(例えば、その薬物の減少した膜透過性または増加した細胞輸送もしくは代謝)により抗菌薬に抵抗する微生物は、これらのペプチドの相乗作用に特に感受性であることが期待される。
【0070】
本発明の抗菌薬およびメクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドまたは機能的改変体の投与レジメンは、患者および特定の感染によって変化し、そして症例毎に当業者により決定され得る。ポリペプチドの処方は、投与レジメンに依存し、例が上に記載される。
【0071】
本発明のポリペプチドは、薬学的薬剤および機能性食品用剤としてだけではなく、食品および医薬または非医薬製品のような任意の製品のための添加剤としても使用され得、これらの製品は、体内に摂取されるか、あるいは他の方法でヒトもしくは他の動物の体表面、またはヒトもしくは他の動物由来の体液、器官、および細胞上に塗布されるかまたは接触される。
【0072】
本発明は、種々の製品を処理するのに有用である。生物学的製品(本明細書中では、生物学的な生物またはプロセスに由来する製品として規定される)は特に、生物による汚染の危険に曝されている。生物学的製品の例としては、限定することなく、食品、組織、生存細胞、生存細胞由来の産物、血液またはその成分、任意の他の体液、薬物または他の分子調製物が挙げられる。非生物学的製品(本明細書中では、生物学的な生物またはプロセスから直接的には由来しない製品として規定される(例えば、ガラス製品、手術器具、合成薬物または他の分子調製物))もまた処理され得る。本発明の有効な使用のために、処理される製品は、このようにして適用されるペプチドの量の全ての抗菌活性を完全に不活化する活性を有さないべきである。本発明のペプチドは、微生物の増殖による汚染を予防するかまたは阻害することが一般的に所望される任意の製品に添加され得るか、組み合わせられ得るか、噴霧され得るか、製品上にコーティングされ得るか、吸着され得るか、化学的に架橋され得るか、または製品中に含浸され得る。あるいは、本発明のペプチドは、表面上に固定化され得、この表面上に製品を通して、その製品における微生物増殖を除去するかまたは阻害する。抗菌ペプチドで処理されてその抗菌ペプチドを保持する製品は、接触する別の製品を処理するためにさらに使用され得る。
【0073】
さらに記載しなくても、当業者は、上述の記載および以下の例示的実施例を使用して、本発明を作製および利用し、特許請求の範囲に記載される方法を実施し得る。従って、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に示し、そして本開示の残りの部分をいかなるようにも限定すると解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0074】
(メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドの遺伝子の単離)
成体タイセイヨウメクラウナギ(Myxine glutinosa Linnaeus,1758;Myxinidae)を、Huntsman Marine Science Centre(New Brunswick,Canada)から購入した。この魚を、氷のスラリー中で麻酔し、そして断頭した。腸を取り出し、そして内容物を洗い流し、液体N2中で凍結しそして−80℃で貯蔵した。
【0075】
組織を液体窒素中で粉砕し、そしてグアニジニウムイソチオシアネート溶液(Chirgwinら(1979)Biochemistry 18,5294−5299)に移した。この溶液は、細胞分裂の間RNase活性を阻害する。全RNAを、CsCl段階勾配による遠心分離により単離し;ポリアデニル化RNAをオリゴ(dT)セルロース(Stratagene)により回収した。逆転写したcDNAを、Stratageneのプロトコルに従って、最初にアダプターアーム、次いで、ファージλZapIIにライゲーションした。
【0076】
20マーオリゴヌクレオチドプローブ5’−AARAARGCNTGGMGNAARGT−3’(配列番号11:256倍縮重)を、メクラウナギ腸組織から以前に単離されたペプチドのアミノ酸残基4〜10に基づいて設計した。相同配列を含むファージ粒子を、少数の粒子をXL1 Blue MRF(Stratagene)の菌叢にプレーティングすることにより単離した。cDNA挿入物を、インビボ切断により、ファージミドpBluescriptにおいて単離した。2つの挿入物を、両方向で、サンガーのジデオキシ法(Barnesら(1983)Nucleic Acids Res.11,349−368)を使用して配列決定した。
【0077】
相同配列を、GenBankのBLASTX(Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25,3389−3402)検索を使用して同定した。相同配列を、ESEE(Cabotら(1989)Compu.Appl.Biosci.5,233−234)を使用して整列した。
【0078】
インサイチュハイブリダイゼーションのために、配列番号1からの挿入物31〜52を含むプラスミドDNAを、Stylを用いて線状化し、そしてセンスプローブおよびアンチセンスプローブの両方を酵素により32Pで標識し、そしてオートラジオグラフィーにより検出した。
【実施例2】
【0079】
(メクラウナギカテリン関連配列と他のカテリン関連配列との比較)
BLASTNを使用する、デフォルト値を用いたGenBankの検索により、2つのペプチドのコード領域のみを参照として使用した場合も、コード領域全体を使用した場合のいずれの場合でもマッチが全く得られなかった。しかし、各タンパク質およびBLASTXに利用可能なコード配列全体を使用する(同一アミノ酸および保存アミノ酸に基づいてより遠い関係について検索する)と、多数のマッチが得られた。正確なリーディングフレームのものは、特に、カテリン様酸性スペーサーを含む哺乳動物抗菌ペプチドのプレプロペプチドのcDNA配列を含んでいた。
【0080】
見出されたマッチの中で、Capra hircus(ヤギ)の骨髄細胞から単離された、Capra MAP28の配列は、抗菌ペプチドと2つのMyxineペプチドのうちの一方との間で少なくとも弱いマッチを示す点において独特であった。Capra MAP28を含むメクラウナギ配列のうちの一つのコード領域の妥当と思われるアラインメントを、図2に示す。
【実施例3】
【0081】
(カテリン関連抗菌ペプチドの抗菌活性)
カテリン関連抗菌ペプチドの抗菌活性を、National Committee for Clinical Laboratory Standardsのガイドライン(Document M7−T2(1988)第8巻,第8号)に基づく以下の抗菌アッセイにより決定する。
【0082】
試験ペプチドのストック溶液を、滅菌脱イオン蒸留水中の512μg/mlの濃度で調製し、そして−70℃で貯蔵する。このストックペプチド溶液を、ウェル中のペプチドの最終濃度が、0.25、0.50、1、2、4、8、16、32、64、128および256μg/mlになるように、ミクロタイタープレートのウェルに沿って連続希釈(1:2)で希釈する。1.5´105CFU/mlの試験微生物を、中対数期培養物からの完全強度のMueller Hintonブロス(BBL 11443)でこれらのウェルに添加する。接種物を、600nmにおいて分光光度測定法により標準化し、そしてコロニー係数により確認する。これらのプレートを、37℃で16〜24時間インキュベートし、そして各ペプチドについての最少阻害濃度(MIC)を決定する。最少阻害濃度は、ミクロタイタープレートにおいて清澄なウェルを生じるペプチドの最低濃度として規定される。
【0083】
本発明を、種々の具体的な材料、手順および実施例を参照して記載し、そして例示してきたが、本発明は、その目的のために選択される材料および手順の特定の組合せに制限されないことが理解される。このような細部の多数の改変は、当業者により理解されると推定され得る。本明細書および実施例は、例示のみとみなされ、本発明の真の範囲および本質は、添付の特許請求の範囲により示されることが意図される。本明細書中で参照される全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】図1Aは、メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドのヌクレオチド配列(配列番号1および3)およびアミノ酸配列(配列番号2および4)の比較を示す。推定されるシグナル、カテリン、ペプチド、および3’非翻訳領域の開始点に印を付している。そのペプチドアミノ酸を、斜体の太字で示し;開始コドンおよび停止コドンを大文字で示し;ポリアデニル化部位に下線を付している。ドットは、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸を示し、ダッシュは、挿入または欠失を示す。*は、この抗生ペプチドにおける推定C末端アミド化部位を示す。
【図1B】図1Bは、メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドのヌクレオチド配列(配列番号1および3)とアミノ酸配列(配列番号2および4)の比較を示す。推定されるシグナル、カテリン、ペプチド、および3’非翻訳領域の開始点に印を付している。そのペプチドアミノ酸を、斜体の太字で示し;開始コドンおよび停止コドンを大文字で示し;ポリアデニル化部位に下線を付している。ドットは、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸を示し、ダッシュは、挿入または欠失を示す。*は、この抗生ペプチドにおける推定C末端アミド化部位を示す。
【図2】図2は、配列番号3および4と、Capra hircus MAP28との、ヌクレオチドおよび暗示されるアミノ酸残基の比較を示す。哺乳動物遺伝子構造により示唆されるエキソン間の境界に垂線を付す。
【図3】図3は、メクラウナギ抗体ペプチドのアミノ酸配列(配列番号5および6)の比較を示す。ダッシュは、アラインメントを最大限にするために挿入されたギャップを示す。
【図4】図4は、メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドのアミノ酸配列(配列番号5および6)と、米国特許第5,734,015号に記載されるメクラウナギ腸組織から単離された抗菌ペプチド(配列番号9および10)との比較を示す。ダッシュは、アラインメントを最大限にするために挿入されたギャップを示す。X=Br−TrpおよびZは、C末端アミドを示す。
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2002年7月30日に出願された、米国仮出願60/308,652の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、抗生ペプチドに対する遺伝子およびこのペプチドを生成するためのそれらの使用に関する。本発明はまた、抗菌ペプチドおよび抗生物質としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
カテリシジン遺伝子ファミリー(Zanettiら(1995)FEBS Letters 374,1−5;Zanettiら(1997)Ann.New York.Acad.Sci.147−162;Gennaroら(2000)Biopolymers Peptide Science 55,31−49)は、シグナル配列、カテリン様酸性スペーサー、および抗生ペプチドからなるプレプロペプチドをコードする(図1)。以下のような種々の哺乳動物由来のカテリシジンが、現在知られている:Bos taurus(ウシ)、Capra hircus(ヤギ)、Cavia porcellus(モルモット)、Equus caballus(ウマ)、Homo sapiens(ヒト)、Mus musculus(マウス)、Oryctolagus cunniculus(ウサギ)、Ovis aries(ヒツジ)、およびSus scrofa(ブタ)。公知の抗生ペプチドは、哺乳動物種内および哺乳動物種間の両方で、大きく異なるが、cDNAクローンの配列分析により明らかにされたように、関連するシグナル配列およびカテリン様酸性スペーサーは、抗生ペプチド自体が異なる種の間で大いに保存されている。
【0004】
哺乳動物カテリシジンは、主に、骨髄性細胞において合成され、そして循環好中球に豊富である。20数個のカテリシジン遺伝子の構造が公知であり、そして通常4つのエキソンを含み、そのうちの最後のエキソンは、カテリンのいくつかのC末端残基と共に抗生ペプチドをコードする。8、11、およびそれ以上の番号を付されたカテリシジン遺伝子のクラスターが、それぞれ、Ovis、Bos、およびSusにおいて報告されている(Gennaroら(2000)Biopolymers Peptide Science 55,31−49)。
【0005】
2つの抗生ペプチドが、Myxine glutinosa(大西洋メクラウナギ)(哺乳動物にわずかにしか関連しない遠縁の脊椎動物脊索動物分類群)の腸組織から単離された(Kaumayaら(1996)Peptides:Chemistry and Biology,Mayflower Scientific,189〜191頁)。これらのペプチドは、1つまたは2つの臭素化トリプトファンを含有するという点で、抗菌ペプチド間で独特である。本明細書中には、以前に単離された抗生ペプチドと同じファミリー由来の2つの新規抗生ペプチドをコードするメクラウナギcDNA配列が記載される。これらの配列は、Myxine抗生ペプチドをカテリシジンファミリーのメンバーとして同定する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、以下:配列番号2または4を含むMyxine glutinosaカテリン(catheline)関連抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子;およびストリンジェントな条件下で、配列番号2または4を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の相補体にハイブリダイズする単離された核酸分子、からなる群より選択される単離された核酸分子を包含する。いくつかの実施形態において、この核酸分子は、配列番号1および3;配列番号1のヌクレオチド4〜540;配列番号1のヌクレオチド427〜540;配列番号3のヌクレオチド2〜505;または配列番号3のヌクレオチド416〜505を含む。
【0007】
本発明はまた、以下:配列番号5または6を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする単離された核酸分子;およびストリンジェントな条件下で、配列番号5または6を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の相補体にハイブリダイズする単離された核酸分子、からなる群より選択される、単離された核酸分子を包含する。
【0008】
本発明の単離された核酸分子は、1つ以上の発現制御エレメントに作動可能に連結され得る。本発明はさらに、上記の単離された核酸分子のいずれかを含むベクターおよびこのベクターを含む宿主細胞を包含する。
【0009】
本発明は、ペプチドまたはそのフラグメントを生成するための方法を包含する。この方法は、上記宿主細胞を、上記核酸分子によりコードされるタンパク質またはタンパク質フラグメントが発現される条件下で培養する工程を包含する。この宿主細胞は、原核生物または真核生物であり得る。本発明は、この方法によって生成される組換えペプチドおよびそのフラグメントを包含する。
【0010】
本発明は、以下:配列番号2、4、5、または6に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたペプチド;配列番号2、4、5、または6に示される配列のいずれかの少なくとも6アミノ酸を含む、単離されたペプチドフラグメント;配列番号2、4、5、または6に示される配列のいずれかの保存的アミノ酸置換を含む、単離されたペプチド;および配列番号2、4、5、または6に示されるアミノ酸配列のいずれかの天然に存在するアミノ酸配列ペプチド改変体、からなる群より選択される、単離されたペプチドまたはそのフラグメントを包含する。
【0011】
本発明はさらに、本発明の1つ以上のペプチドを含む抗菌組成物を包含する。この抗菌組成物は、局所投与または非経口投与に適切であり得る。
【0012】
本発明は、哺乳動物における微生物感染を処置または予防する方法を包含する。この方法は、この哺乳動物に、有効量のMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドを投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、Myxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドは、配列番号2、4、5、または6からなる群より選択され、そして哺乳動物は、細菌感染または真菌感染の危険を有するか、それに罹患しているヒトである。Myxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチド含有組成物は、経口経路、局所経路、および非経口経路からなる群より選択される経路により投与され得る。局所投与が用いられる場合、投与は吸入により達成され得る。非経口経路が用いられる場合、投与は静脈内投与、皮下投与、または筋内投与により達成され得る。
【0013】
(詳細な説明)
(概説)
出願人らは、大西洋メクラウナギ(Atlantic hagfish)(Myxine glutinosa)由来の2つの新規の遺伝子を単離し、そして配列決定した。これらの遺伝子(配列番号1および3、図1)は、2つのタンパク質(配列番号2および4、図1)をコードし、これらタンパク質の各々は、N末端のシグナル配列、カテリン(cathelin)様配列、およびC末端の抗菌ペプチドをコードする。これらの遺伝子由来の抗細菌ペプチド配列(GWFKKAWRKVKHAGRRVLDTAKGVGRHYLNNWLNRYRG(配列番号5)、およびGWFKKAWRKVKNAGRVLKGVGIHYGVGLIG(配列番号6))は、米国特許第5,734,015に記載されたメクラウナギのペプチドに高度に類似であるが異なっている(図4)。従って、本発明は、単離されたメクラウナギ遺伝子およびそれらにコードされるカテリン関連抗菌性ペプチドを包含する。
【0014】
本発明において、C末端グリシン残基が翻訳後に、ペプチジルグリシンα−アミド化モノオキシゲナーゼ(PAM)(Priggeら(2000)Cell.Mol.Life Sci.57、1236−1259)のような酵素によってC末端のアミノ残基に転換された抗菌性ペプチド(配列番号11および12)、そして/または1つ以上のTrp残基が翻訳後にブロモ化酵素によってBr−Trp残基に転換された抗菌性ペプチド(Shinnarら、(2000)FASEB Journal 14、A1448)が包含される。
【0015】
また本発明において、メクラウナギカテリン関連遺伝子ファミリー、それらのコードするタンパク質、およびそれらの抗菌性ペプチドが包含される。別の実施形態は、これら遺伝子の発現およびこれらを含む細胞についての方法である。メクラウナギカテリン関連遺伝子によってコードされるタンパク質の組換え産生は、これが関連の抗菌性ペプチドの産生である場合、本発明に包含される。
【0016】
(定義)
本明細書中で使用される場合、用語「抗菌」とは、ある化合物が微生物の増殖を阻害するかまたは不可逆的に防止する能力をいう。このような阻害または防止は、殺菌性活性または静菌性阻害を介し得る。従って、用語「殺菌性阻害」とは、本明細書中で使用される場合、ある化合物が標的の微生物を殺すかまたは微生物に不可逆的に損傷を与える能力をいう。用語「静菌性阻害」とは、本明細書中で使用される場合、抗菌化合物が、標的微生物を殺さずに増殖を阻害する能力をいう。微生物の増殖を示す現況(治療状態)または微生物の増殖を支援するリスクのある環境(予防)における微生物の殺菌性阻害または静菌性阻害は、この定義のうちに包含される。
【0017】
本明細書中で使用される場合、「細胞株」は、インビトロで多世代にわたって安定に増殖し得る、初代細胞のクローンである。
【0018】
DNA「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に配置される場合に、インビボで転写され、そしてポリペプチドへと翻訳される、二重鎖DNA配列である。コード配列の境目は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列は、通常、コード配列から3’側に位置付けられる。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「核酸分子」とは、デオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、および/もしくはシトシン)、またはリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、ウラシル、および/もしくはシトシン)のポリマー形態をいい、そしてその一本鎖形態、または二重鎖ヘリックス形態およびRNAのいずれかを含み得る。この用語は、分子の一次構造および二次構造のみをいい、そしていずれかの特定の三次形態に限定されない。特定の二重鎖DNA分子の構造を考察する際、配列は、翻訳されないDNA鎖(例えば、mRNAに相同な配列を有する鎖)に沿う、5’から3’方向での配列のみを提供する通常の慣習に従って、本明細書中に記載され得る。転写制御配列および翻訳制御配列は、宿主細胞中でコード配列の発現のために提供されるDNA調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーターなど)である。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼを結合し得、そして下流(3’方向)のコード配列の転写を開始し得るDNA調節配列である。本発明の定義の目的のために、プロモーター配列は、転写開始部位の側のその配列の3’末端で(包括的に)結合され、そして上流(5’方向)に延びて、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始するための最小の塩基数またはそれに必須なエレメントを含む。プロモーター配列中には、転写開始部位、およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメインが見出される。真核生物のプロモーターは、しばしば、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含むが、必ずしも含むとは限らない。
【0021】
「シグナル配列」は、コード配列の前方に含まれ得るか、またはエンベロープタンパク質由来のネイティブなアミノ酸シグナル配列が使用され得る。この配列は、細胞表面にそのポリペプチドを向けるか、または培地中にそのポリペプチドを分泌するように宿主細胞に伝えるシグナルペプチド(ポリペプチドに対してN末端)をコードする。このシグナルペプチドは、タンパク質が細胞から離れる前に宿主細胞によって切り取られる。シグナル配列は、原核生物および真核生物にネイティブな、種々のタンパク質に関連して見出され得る。例えば、ネイティブな酵母タンパク質のα因子、は、酵母から分泌され、そしてそのシグナル配列が異種性タンパク質に結合されて媒地中に分泌され得る(例えば、米国特許第4,546,082号およびEP0116201を参照のこと)。さらに、このα因子およびそのアナログは、種々の酵母(例えば、SaccharomycesおよびKluyveromyces(EP88312306.9;EP0324274公開およびEP0301669))から異種性タンパク質を分泌することを見出された。哺乳動物細胞における使用例は、第VIIIc因子軽鎖を発現するために使用されるtPAシグナルである。
【0022】
外来性DNAまたは異種性DNAが細胞内に導入される場合、細胞は、このようなDNAによって「形質転換」されている。形質転換DNAは、細胞ゲノムを構築する染色体DNA中に組み込まれても(共有結合で連結されても)よいし、組み込まれなくても(共有結合で連結されなくても)よい。例えば、原核生物において、形質転換DNAは、プラスミドまたはウイルスベクターのようなエピソーム性エレメント上で維持され得る。真核生物に関して、安定に形質転換された細胞とは、その形質転換DNAが染色体中に組み込まれて、その結果染色体複製を介して娘細胞に遺伝される細胞である。この安定性は、真核生物細胞が、この形質転換DNAを含有する娘細胞の集団を含む細胞株または細胞クローンを構築する能力によって実証される。
【0023】
コード配列は、細胞内で、RNAポリメラーゼがmRNAにコード配列を転写し、次いでコード配列によってコードされたタンパク質へと翻訳される場合に、転写制御配列および翻訳制御配列の「制御下」にある。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「ベクター」は、結合されたセグメントの複製を引き起こすよう別のDNAセグメントが結合されたレプリコン(例えば、プラスミド、ウイルス、ファージまたはコスミド)である。
【0025】
(核酸分子)
2つのcDNA配列(図1)は、848ヌクレオチド(配列番号1)および863ヌクレオチド(配列番号2)からなる。配列番号1の配列は、開始コドンおよび5’側の3つのさらなるヌクレオチドを含む;配列番号3の配列は、配列番号1とのアラインメントにより判断すると、5’末端に8つのコードヌクレオチドの欠損を有する。図1のアラインメントにおいて、814ヌクレオチドが2つの配列間で相当しており、785ヌクレオチドが合致する(96.4%)。これら2つの推定のシグナル配列およびカテリン配列をコードするヌクレオチドは、非常に類似しており、70個のシグナルヌクレオチドのうち69個が同一(98.6%)であり、そして345個のカテリンヌクレオチドのうち332個(96.2%)が合致し;全体で415個のうち401個(96.6%)が合致する。cDNA配列のこれらの部分において、挿入も欠失も認められない。
【0026】
対照的に、このペプチドおよび3’非翻訳配列は、いくつかの挿入/欠失の変化の証拠を示し、この証拠は、これら配列の類似性の比較を困難にする。ペプチドコード配列において、配列番号3は、配列番号1との比較において、3つのギャップ(3ヌクレオチド、9ヌクレオチドおよび4ヌクレオチド)を有し;最後のギャップは終結コドンの直前の17ヌクレオチドの代わりにフレームシフトを生じる。配列番号1のペプチドコード配列は、配列番号3の配列に対して、21ヌクレオチドのギャップを有し;この結果、配列に沿ってさらに26ヌクレオチド先の新規の終結コドンが、配列番号1のペプチドの末端の印となる。このアラインメントにおいて、配列番号1についての最後の10個のコードヌクレオチドは、配列番号3のcDNAの3’非翻訳領域における10個のヌクレオチドに対応する。全体で、ペプチドをコードする98ヌクレオチドは比較可能であり;これらのうちの89個(90.8%)が合致する。
【0027】
両方のcDNAの3’非翻訳末端は、−tgg−反復を有する(配列番号1については10マー、そして配列番号3については17マー)。この−tgg−反復を除いて、3’末端にある248ヌクレオチドを比較し得る;これらのうち、243(98.0%)がマッチする。
【0028】
本発明の核酸分子は、配列番号2を有するタンパク質、配列番号4を有するタンパク質、および本明細書中に記載される関連のタンパク質をコードする核酸分子(好ましくは、単離された形態)を含む。本明細書中で使用される場合、「核酸」は、上記に定義されるようなタンパク質もしくはペプチドをコードするか、またはそのようなペプチドをコードする核酸配列に対して相補的であるか、または適切なストリンジェンシーの条件下でそのような核酸にハイブリダイズし、そしてそれらに結合したまま安定に残存するか、またはそれらのペプチド配列と、少なくとも55%の配列同一性、85%の配列同一性、好ましくは、少なくとも85%、そしてより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95〜99%の配列同一性を共有するポリペプチドをコードする、RNAもしくはDNAとして規定される。特に意図されるのは、天然供給源に由来するものであれ合成であれ、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、およびアンチセンス分子、ならびに、代替的な骨格に基づくかまたは代替的な塩基を含む核酸である。しかし、このようなハイブリダイズする核酸または相補的な核酸は、あらゆる先行技術の核酸(本発明に従うタンパク質をコードする核酸をコードするもの、そのような核酸に適切なストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするもの、またはそのような核酸に対して相補的であるものを含む)に対して新規かつ非自明であるものとしてさらに規定される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、本発明のメクラウナギカテリン関連タンパク質をコードする核酸分子(例えば、配列番号1もしくは配列番号1のヌクレオチド4〜540(または543)により規定されるオープンリーディングフレームを含む核酸分子、配列番号1もしくは配列番号1のヌクレオチド4〜540(または543)により規定されるオープンリーディングフレームから本質的になる核酸分子、または配列番号1もしくは配列番号1のヌクレオチド4〜540(または543)により規定されるオープンリーディングフレームからなる核酸分子;あるいは例えば、配列番号3もしくは配列番号3のヌクレオチド2〜505(または508)により規定されるオープンリーディングフレームを含む核酸分子、配列番号3もしくは配列番号3のヌクレオチド2〜505(または508)により規定されるオープンリーディングフレームから本質的になる核酸分子、または配列番号3もしくは配列番号3のヌクレオチド2〜505(または508)により規定されるオープンリーディングフレームからなる核酸分子)である。本発明のさらに好ましい実施形態は、本発明のメクラウナギ抗菌ペプチドをコードする核酸分子(例えば、配列番号1のヌクレオチド427〜540、配列番号2のアミノ酸142〜179をコードするヌクレオチドもしくは配列番号5をコードするヌクレオチドを含む核酸分子、配列番号1のヌクレオチド427〜540、配列番号2のアミノ酸142〜179をコードするヌクレオチドもしくは配列番号5をコードするヌクレオチドから本質的になる核酸分子、または配列番号1のヌクレオチド427〜540、配列番号2のアミノ酸142〜179をコードするヌクレオチドもしくは配列番号5をコードするヌクレオチドからなる核酸分子;あるいは例えば、配列番号3のヌクレオチド416〜505、配列番号4のアミノ酸139〜168をコードするヌクレオチドもしくは配列番号6をコードするヌクレオチドを含む核酸分子、配列番号3のヌクレオチド416〜505、配列番号4のアミノ酸139〜168をコードするヌクレオチドもしくは配列番号6をコードするヌクレオチドから本質的になる核酸分子、または配列番号3のヌクレオチド416〜505、配列番号4のアミノ酸139〜168をコードするヌクレオチドもしくは配列番号6をコードするヌクレオチドからなる核酸分子)である。
【0030】
ヌクレオチド配列レベルまたはアミノ酸配列レベルでの相同性または配列同一性は、配列類似性検索のために調整されたプログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxによって使用されるアルゴリズム(Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25、3389−3402およびKarlinら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87、2264−2268(両方とも全体的に参考として援用される))を使用して、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)分析によって決定される。このBLASTプログラムによって使用されるアプローチは、照会(query)配列とデータベース配列との間で、ギャップを有する(非連続性)およびギャップを有さない(連続性)類似のセグメントをまず考慮に入れ得、次いで、同定されたすべてのマッチの統計学的有意性を評価し得、そして最後に、予め選択された有意性閾値を満たすマッチのみをまとめ得る。配列データベースの類似性検索に関する基本的な問題の考察については、Altschulら(1994)Nature Genetics 6、119−129(これは、全体的に参考として援用される)を参照のこと。ヒストグラム、記述、アラインメント、期待値(すなわち、データベース配列に対するマッチを報告するための統計学的有意性の閾値)、カットオフ、マトリクス、およびフィルター(低複雑性)の検索パラメーターは、デフォルト設定である。blastp、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるデフォルトのスコア付けマトリクスは、85以上のヌクレオチド長またはアミノ酸長に対する照会配列について推奨される、BLOSUM62マトリクス(Henikoffら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、10915−10919(全体的に参考として援用される))である。
【0031】
blastnについて、スコア付けマトリクスは、M(すなわち、マッチ残基の対についての報酬(reward)スコア)対N(すなわち、ミスマッチ残基についてのペナルティスコア)の比によって設定され、ここでMおよびNについてのデフォルト値は、それぞれ、+5および−4である。4つのblastnパラメーターを、以下のように調整した:Q=10(ギャップ作成ペナルティ);R=10(ギャップ伸長ペナルティ);wink=1(照会物に沿って、wink番目の位置毎におけるワードヒットを作成する);およびgapw=16(ギャップ形成されたアラインメントを作成するウィンドウ幅を設定する)。等価なBlastpパラメーター設定は、以下の通りであった:Q=9;R=2;wink=1;およびgapw=32。GCGパッケージバージョン10.0において利用可能である、配列間のBestfit比較は、DNAパラメーターGAP=50(ギャップ作成ペナルティ)およびLEN=3(ギャップ伸長ペナルティ)を使用し、そしてタンパク質比較における等価な設定は、GAP=8およびLEN=2である。
【0032】
「ストリンジェント条件」とは、(1)洗浄のために低イオン強度および高温を使用する条件(例えば、50℃での、0.015M NaCl/0.0015クエン酸ナトリウム/0.1%SDS)、または(2)ハイブリダイゼーションの間に、ホルムアミドのような変性剤を使用する条件(例えば、42℃での、0.1%ウシ血清アルブミンを伴う50%(容量/容量)ホルムアミド/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムを伴う50mMリン酸ナトリウム緩衝剤(pH6.5))である。別の例は、42℃での50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理済サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%デキストラン硫酸中におけるハイブリダイゼーションと、0.2×SSCおよび0.1%SDS中において42℃での洗浄である。当業者は、明瞭かつ検出可能なハイブリダイゼーションシグナルを得るために適切にストリンジェンシー条件を容易に決定し得、そして変動させ得る。好ましい核酸分子は、配列番号1または3の相補体に上記条件下でハイブリダイズし、そして抗菌活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子である。さらにより好ましい核酸分子は、配列番号1または3のオープンリーディングフレームの相補鎖に上記条件下でハイブリダイズする核酸分子である。
【0033】
本明細書中で使用される場合、「単離された」核酸分子は、そのネイティブの環境から取り出されたか、または核酸分子がその核酸供給源由来の他のポリペプチドをコードする夾雑核酸から実質的に分離されている場合の、核酸分子、DNAまたはRNAを意味する。例えば、ベクター中に含まれる組換えDNA分子は、本発明の目的のために、単離されたとみなされる。単離されたDNA分子のさらなる例としては、異種宿主細胞中に維持されている組換えDNA分子、または溶液中にある精製(部分的または実質的)されたDNA分子が挙げられる。単離されたRNA分子としては、本発明のDNA分子のインビボまたはインビトロでのRNA転写物が挙げられる。本発明に従う単離された核酸分子はさらに、合成的に生成されたこのような分子を含む。本発明の単離された核酸分子としては、配列番号1または3に示されるオープンリーディングフレーム(ORF)を含むDNA分子;成熟抗菌ペプチドタンパク質のコード配列を含むDNA分子;および上記の配列とは実質的に異なる配列を含むが、遺伝暗号の縮重に起因して、なお抗菌ペプチドタンパク質をコードするDNA分子が挙げられる。遺伝暗号は当該分野で周知であるので、このような縮重改変体を生成することは当業者には慣用的である。別の局面では、本発明は、本発明の核酸分子のポリヌクレオチドの一部に対して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する。本発明はさらに、抗菌ペプチドタンパク質の部分、アナログまたは誘導体をコードする、本発明の核酸分子の改変体に関する。改変体は、天然の対立遺伝子改変体のように、天然において生じ得る。「対立遺伝子改変体」とは、生物の染色体上にある所定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替的形態のうちの1つを意図する。
【0034】
本発明はさらに、コード核酸分子のフラグメントを提供する。本明細書中で使用される場合、コード核酸分子のフラグメントは、タンパク質コード配列全体のなかの小さな部分をいう。フラグメントのサイズは、意図される用途によって決定される。例えば、フラグメントが、タンパク質の活性部分をコードするように選択される場合、フラグメントは、そのタンパク質の機能的領域(1つまたは複数)をコードするのに十分な大きさである必要があるか、または図1(配列番号2および4)のメクラウナギタンパク質の間の相同性領域をコードし得る。本発明の1つの実施形態において、抗菌ペプチドフラグメントは、好ましくは少なくとも15〜20アミノ酸、より好ましくは20〜30アミノ酸、そして最も好ましくは30〜40アミノ酸である。フラグメントが核酸プローブまたはPCRプライマーとして使用される場合、フラグメントの長さは、プロービング/プライミングの間に比較的少数の偽陽性を得るように選択される。
【0035】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのプローブもしくは特異的プライマーとして使用されるか、または本発明のタンパク質をコードする遺伝子配列を合成するために使用される、本発明のコード核酸分子のフラグメント(すなわち、合成オリゴヌクレオチド)は、化学技術(例えば、Matteucciら(1981)J.Am.Chem.Soc.103、3185−3191)のホスホトリエステル方法または自動化合成方法の使用)によって、容易に合成され得る。さらに、より大きなDNAセグメントは、周知の方法(例えば、遺伝子の種々のモジュールセグメントを規定するオリゴヌクレオチド群を合成し、次いで、オリゴヌクレオチドを連結して完全な改変遺伝子を構築すること)によって、容易に調製され得る。
【0036】
本発明のコード核酸分子はさらに、診断目的およびプローブ目的のために検出可能な標識を含むように改変され得る。種々のこのような標識が当該分野で公知であり、そして本明細書中に記載されるコード分子と共に容易に使用され得る。このような標識としては、ビオチン、放射性標識ヌクレオチドなどが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、当該分野で公知の任意の標識を使用して、標識されたコード核酸分子を獲得し得る。
【0037】
翻訳の間にタンパク質配列に組み込まれるアミノ酸を欠失、付加または変更することよる、一次構造自体に対する改変が、そのタンパク質の活性を壊すことなくなされ得る。このような置換または他の変更は、本発明の意図される範囲内にある核酸によってコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質を生じさせる。
【0038】
(他の関連核酸分子の単離)
上記のように、配列番号1および3を有するメクラウナギ核酸分子の同定は、当業者が、本明細書中に記載される配列に加えて、カテリン関連タンパク質ファミリーの他のメンバーをコードする核酸分子を単離することを可能にする。
【0039】
基本的に、当業者は容易に、配列番号2または4のアミノ酸配列を使用して、適切な細胞から調製される発現ライブラリーをスクリーニングするための抗体プローブを作製し得る。代表的には、精製タンパク質(以下に記載される)で免疫された哺乳動物(例えば、ウサギ)由来のポリクローナル抗血清またはモノクローナル抗体を使用して、哺乳動物のcDNAライブラリーまたはゲノム発現ライブラリー(例えば、λgtllライブラリー)を探索し、このタンパク質ファミリーの他のメンバーの適切なコード配列を獲得し得る。クローン化されたcDNA配列は、融合タンパク質として発現され得るか、それ自体の制御配列を使用して直接的に発現され得るか、またはタンパク質発現のために使用される特定の宿主に適切な制御配列を使用した構築物により発現され得る。
【0040】
あるいは、本明細書中に記載されるコード配列の一部分を合成し得、そして任意の哺乳動物生物由来のメクラウナギカテリン関連タンパク質ファミリーのメンバーをコードするDNAを回収するためのプローブとして使用し得る。約18〜20ヌクレオチドを含むオリゴマー(約6〜7アミノ酸のストレッチをコードする)を調製し、そしてストリンジェントな条件下または過度な偽陽性レベルを排除するに十分なストリンジェンシーの条件下においてハイブリダイゼーションを得るように、ゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用し得る。
【0041】
さらに、オリゴヌクレオチドプライマーの対が、コード核酸分子を選択的にクローン化するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における使用のために調製され得る。このようなPCRプライマーを使用するためのPCRの変性/アニール/伸長サイクルは、当該分野で周知であり、そして他のコード核酸分子を単離する際の使用のために容易に適合され得る。
【0042】
(組換え核酸分子)
本発明はさらに、メクラウナギカテリン関連タンパク質コード配列を含む組換えDNA分子(rDNA)を提供する。本明細書中で使用される場合、rDNA分子は、インビトロでの分子操作に供されたDNA分子である。rDNA分子を作製する方法は当該分野で周知である(例えば、Sambrookら(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)。好ましいrDNA分子では、コードDNA分子は、発現制御配列および/またはベクター配列に作動可能に連結される。
【0043】
本発明のタンパク質ファミリーコード配列の1つが作動可能に連結されるベクターおよび/または発現制御配列の選択は、当該分野で周知のように、所望される機能的特性(例えば、タンパク質発現)および形質転換される宿主細胞に直接的に依存する。本発明により意図されるベクターは、少なくとも、複製または宿主染色体への挿入を指示し得、そして好ましくは、そのrDNA分子中に含まれる構造遺伝子の発現をもまた指示し得る。
【0044】
作動可能に連結されたタンパク質コード配列の発現を調節するために使用される発現制御エレメントは、当該分野で公知であり、そしてこれには、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、分泌シグナル、および他の調節エレメントが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、誘導性プロモーターは、容易に制御される(例えば、宿主細胞の培地中の栄養素に対して応答性である)。
【0045】
1実施形態において、コード核酸分子を含むベクターは、原核生物レプリコン(すなわち、自律的な複製を指向する能力、および形質転換された原核生物宿主(例えば、細菌宿主細胞)内の染色体外の組換えDNA分子の維持力を有するDNA配列)を含む。このようなレプリコンは、当該分野で周知である。さらに、原核生物レプリコンを含むベクターはまた、その発現によって薬物耐性のような検出可能なマーカーを与える遺伝子を含み得る。代表的な細菌薬物耐性遺伝子は、アンピシリンまたはテトラサイクリンに対する耐性を与える遺伝子である。
【0046】
原核生物レプリコンを含むベクターは、細菌宿主細胞(例えば、E.coli.)におけるコード遺伝子の発現(転写および翻訳)を指向し得る原核生物プロモーターまたはバクテリオファージプロモーターをさらに含み得る。プロモーターは、RNAポリメラーゼが結合しそして転写を生じることを可能にするDNA配列によって形成される発現制御エレメントである。細菌宿主と適合性のプロモーター配列は、代表的には、本発明のDNAセグメントの挿入のために都合のよい制限部位を含むプラスミドベクター中に提供される。このようなベクタープラスミドの代表的なものは、pUC8、pUC9、pBR322およびpBRB29(Bio−Rad Laboratories)、pPL223、およびpKK223(Pharmacia)である。
【0047】
真核生物細胞に適合性である(好ましくは、脊椎動物細胞と適合性である)発現ベクターはまた、コード配列を含むrDNA分子を形成するために使用され得る。真核生物細胞発現ベクターは当該分野において周知であり、そしていくつかの市販供給元から利用可能である。代表的には、このようなベクターは、所望のDNAセグメントの挿入のために都合のよい制限部位を含んで提供され得る。このようなベクターの代表的なものは、pSVLおよびpKSV−10(Pharmacia)、pBPV−1/pML2d(International Biotehnologies)、pTDT1(ATCC)、本明細書中に記載のベクターpCDM8ならびに同様の真核生物発現ベクターである。
【0048】
本発明のrDNA分子を構築するのに使用される真核生物発現ベクターは、真核生物中で有効な選択マーカー(好ましくは、薬物耐性選択マーカー)をさらに含み得る。さらに、好ましい薬物耐性マーカーは、その発現によってネオマイシン耐性(すなわち、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子)を生じる遺伝子である(Southern,P.L.ら、1982.J Mol Appl Genet 1(4):327−41)。あるいは、この選択マーカーは、別個のプラスミド上に存在し得、そして、これらの2つのベクターは宿主細胞の同時トランスフェクトによって導入され、そして、この選択マーカーにとって適切な薬物の中で培養されることによって選択される。
【0049】
(外因性供給コード核酸分子を含む宿主細胞)
本発明は、さらに、本発明のメクラウナギカテリン(cathelin)結合タンパク質をコードする核酸分子(好ましくは、配列番号1または3)で形質転換された宿主細胞が提供される。この宿主細胞は、原核生物または真核生物のいずれかであり得る。本発明のタンパク質の発現にとって有用な真核生物細胞は、その細胞株が細胞培養方法に適合しそして発現ベクターの増殖およびその遺伝子産物の発現に適合する限り、限定されるものではない。好ましい宿主細胞としては、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞(好ましくは、マウス細胞株、ラット細胞株、サル細胞株、またはヒト細胞株)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましい真核生物宿主細胞としては、メクラウナギ、ATCCからCCL61として入手可能であるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ATCCからCRL 1658として入手可能なNIH Swissマウス胚性細胞NIH/3T3、胎仔ハムスター腎細胞(BHK)ならびに同様の真核生物組織培養細胞株から樹立される細胞株を含む。
【0050】
任意の原核宿主細胞は、本発明のタンパク質をコードするrDNA分子を発現するために使用され得る。好ましい原核生物宿主は、E.coliである。
【0051】
本発明のrDNA分子を有する適切な細胞宿主の形質転換は、使用されるベクターの型および使用される宿主系に代表的には依存する周知の方法によって達成される。原核生物宿主細胞の形質転換に関して、エレクトロポレーションおよび塩処理法が代表的には使用される(Cohenら(1972)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69,2110〜2112およびSambrookら(2001)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press)。rDNAを含むベクターを用いる脊椎動物細胞の形質転換に関して、エレクトロポレーション、カチオン性脂質および塩処理法が代表的には使用される(例えば、Grahamら(1973)Virol.52、456〜458;Wiglerら(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76,1373〜1376)。
【0052】
首尾よく形質転換された細胞(すなわち、本発明のrDNA分子を含む細胞)は、選択マーカーについての選択を含む周知の技術によって同定され得る。例えば、本発明のrDNAの導入から得られる細胞は、単一のコロニーを産生するためにクローニングされ得る。これらのコロニー由来の細胞が回収、溶解され得、そして、それらのDNA含有量が、存在するrDNAについて、Southern(1975)J.Mol.Biol.98,503〜506またはBerentら(1985)Biotech.3,208〜209に記載されるような方法を使用して調べられるか、またはその細胞から産生され得るタンパク質が、免疫学的方法を介してアッセイされ得る。
【0053】
(組換えタンパク質の産生)
本発明はさらに、本明細書に記載の核酸分子を使用する、メクラウナギカテリン結合タンパク質を産生するための方法を提供する。一般的な関係において、タンパク質の組換え形態の産生は、代表的には、以下の工程を包含する:
第1に、本発明のメクラウナギカテリン結合タンパク質をコードする核酸分子(例えば、配列番号1を含むか、本質的にはそれからなるか、もしくはそれからなるか、または、配列番号1のヌクレオチド4位〜540(または543)位によって定義されるオープンリーディングフレーム;あるいは、配列番号3を含むか、本質的にはそれからなるか、もしくはそれからなるか、または、配列番号3のヌクレオチド2位〜505(または508)位によって定義されるオープンリーディングフレーム)が得られる。あるいは、本発明のメクラウナギ抗微生物ペプチドをコードする核酸分子(例えば、配列番号1のヌクレオチド427〜540を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなるか、または、配列番号2のアミノ酸残基142〜179をコードするかもしくは配列番号5をコードするか;あるいは、例えば、配列番号3のヌクレオチド416〜505を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなるか、配列番号4のアミノ酸139〜168をコードするか、または配列番号6をコードする、核酸分子)が得られる。コード配列がイントロンによって中断されておらず、このオープンリーディングフレームがそのままである場合、これは、任意の宿主での発現に直接適切である。
【0054】
次いで、この核酸分子は、好ましくは、上記のような適切な制御配列と作動可能に連結されて配置されて、タンパク質オープンリーディングフレームを含む発現単位を形成する。発現単位を使用して、適切な宿主を形質転換し、そしてこの形質転換した宿主を、組換えタンパク質の産生を可能にする条件下で培養する。必要に応じて、この組換えタンパク質を、培地または細胞から単離する;このタンパク質の回収および精製は、いくらかの不純物が許容され得るいくつかの場合には、必要でないかもしれない。
【0055】
上記の工程の各々は、種々の方法で行われ得る。例えば、所望のコード配列は、ゲノムフラグメントから得られ得、そして適切な宿主において直接使用され得る。種々の宿主において作動可能な発現ベクターの構築は、上記のような適切なレプリコンおよび制御配列を使用して達成される。制御配列、発現ベクターおよび形質転換方法は、遺伝子を発現するために使用される宿主細胞の型に依存し、そして上記でより詳細に記載した。適切な制限部位が、通常では利用可能でない場合、これらのベクター中に挿入される切り出し可能な遺伝子を提供するために、コード配列の末端に付加され得る。当業者は、組換えタンパク質を産生するために本発明の核酸分子と共に使用するための、当該分野で公知の任意の宿主/発現系を容易に適合し得る。
【0056】
別の実施形態において、ポリペプチドは、改変形態(例えば、融合タンパク質)で発現され得、そして分泌シグナルだけでなく、さらなる異種性の機能的領域もまた含み得る。例えば、さらなるアミノ酸(特に、荷電したアミノ酸)の領域が、ポリペプチドのN末端に付加されて、複製または引き続く取り扱いおよび保存の間の、宿主細胞における安定性および持続性を改善し得る。また、ペプチド部分が、精製を容易にするためにこのポリペプチドに付加され得る。このような領域は、ポリペプチドの最終的な調製の前に、除去され得る。とりわけ、分泌または排出を生じるため、安定性を改善するため、および精製を容易にするための、ポリペプチドに対するペプチド部分の付加は、当該分野でよく知られた慣用技術である。
【0057】
(メクラウナギカテリン(cathelin)関連タンパク質)
アミノ酸配列(配列番号2および配列番号4)(図1)は、抗菌活性に関連するペプチドの領域が異なるのに主に起因して、異なる。シグナル配列は26残基で同一であり;そしてカテリンは、その115残基中91.3%を共有する。対照的に、配列番号2のアミノ酸残基142〜179からなる抗菌ペプチドGWFKKAWRKVKHAGRRVLDTAKGVGRHYLNNWLNRYRG(配列番号5)は、配列番号4のアミノ酸残基139〜168からなる抗菌ペプチドGWFKKAWRKVKNAGRVLKGVGIHYGVGLIG(配列番号6)の30残基に対して、38残基を有する。しかし、3つのギャップが配列番号6に挿入される場合、配列番号5の配列に対して30残基中23残基(76%)が同一である。配列番号5および配列番号6の両方は、米国特許第5,734,015号に記載されるメクラウナギ抗菌ペプチドと同様に、おそらくC末端アミドが翻訳後に変更されるC末端グリシン残基を有する。
【0058】
本明細書中で使用される場合、メクラウナギカテリン関連タンパク質に関連するタンパク質のファミリーとは、メクラウナギまたはメクラウナギに密接に関連する生物から単離され得る他のカテリン関連タンパク質をいう。メクラウナギカテリン関連タンパク質に関連するタンパク質の他のファミリーメンバーを同定および単離するために使用される方法を、以下に記載する。
【0059】
本発明のタンパク質は、好ましくは単離形態である。本明細書中で使用される場合、物理的方法、機械的方法または化学的方法を使用して、タンパク質に通常結合する細胞構成成分からタンパク質を取り出す場合、タンパク質は単離されると言われる。当業者は、単離されたタンパク質を得るために標準的な精製方法を使用し得る。単離されるとは、本発明のメクラウナギカテリン関連タンパク質または抗菌ペプチドは、他の成分との混合物の一部であり、そして本発明のタンパク質またはペプチドプチドは、混合物中の総タンパク質の少なくとも約10%、好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも20%、より好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも30%、なおより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも40%、さらにより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも50%、なおより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも60%、さらにより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも70%、なおより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも80%、さらにより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも90%、なおより好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも95%、そして最も好ましくは混合物中の総タンパク質の少なくとも99%を含むことをさらに意味する。
【0060】
本発明のタンパク質はさらに、本明細書中に記載されるタンパク質の保存的改変体を含む。本明細書中で使用される場合、保存的改変体とは、タンパク質の生物学的機能に有害な影響を与えないアミノ酸配列の変更をいう。置換、挿入または欠失は、変更された配列が、タンパク質に関連する生物学的機能を防御または破壊する場合、タンパク質に有害な影響を与えることをいう。例えば、タンパク質の全体的な変化、構造または疎水性/親水性の特性は、生物学的活性に有害な影響を与えることなく変更され得る。従って、アミノ酸配列は、例えば、タンパク質の生物学的活性に有害な影響を与えることなく、ペプチドをより疎水性または親水性にするように変更され得る。
【0061】
通常、対立遺伝子改変体、保存的置換改変体およびタンパク質ファミリーのメンバーは、配列番号2、4、5または6に記載される配列と、少なくとも約85%、より好ましくは約90%、なおより好ましくは約95%、最も好ましくは約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。このような配列に関する同一性または相同性は、必要に応じて、その配列を整列させギャップを導入して、最大%相同性を実現した後に、既知のペプチドと同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書中に規定され、そして保存的置換を配列同一性の一部分として認めない。N末端、C末端または内部伸長、欠失あるいはペプチド配列中への挿入は、相同性に影響すると解釈されない。
【0062】
従って、本発明のタンパク質としては、以下が挙げられる:配列番号2、4、5および6に開示されるアミノ酸配列を含む、それらから本質的になる、あるいはそれらから構成される分子;メクラウナギカテリン関連タンパク質またはその抗菌ペプチドの少なくとも3、4、5、6、10、15、20、25、30、35、38またはそれより多いアミノ酸残基の保存的配列を有するそれらのフラグメント;このような配列のアミノ酸配列改変体、ここで、アミノ酸残基は、開示される配列のN末端もしくはC末端に挿入されるか、または開示される配列中に挿入される;および開示される配列のアミノ酸配列改変体、または(別の残基によって置換された)、あるいは上に規定されるようなそれらのフラグメント。企図される改変体は、例えば、以下:相同組換え、部位指向性突然変異誘発またはPCR突然変異誘発、および他の動物種(ウサギ、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマおよび非ヒト霊長類種が挙げられるが、これらに限定されない)の対応タンパク質、および対立遺伝子またはタンパク質ファミリーの他の天然に存在する改変体;ならびに誘導体(このタンパク質は、天然に存在するアミノ酸以外の部分(例えば、酵素もしくはラジオアイソトープのような検出可能部分)で、置換、化学的手段、酵素的手段、または他の適切な手段によって、共有結合的に改変されている)。
【0063】
(治療的適用および添加剤適用)
本発明の別の局面は、微生物の増殖を阻害するための方法である。本発明のメクラウナギカテリン関連抗菌ペプチド(配列番号5および6により例示される)を使用して、種々の状況下で微生物の増殖を阻害し得る。例えば、本発明のペプチドは、治療的に投与して、微生物感染から生じる個体における疾患を処置または予防し得る。種々の微生物感染が、本発明の抗菌ペプチドを用いて処置され得る。例えば、本発明の抗菌ペプチドは、真菌感染または細菌感染の処置のための抗菌剤として使用され得る。
【0064】
好ましい実施形態において、微生物感染は、細菌感染である。特に、本発明のペプチドの治療的投与は、細菌感染を阻害し、そして逆転し得る。細菌の新しい耐性株の発生および蔓延は、ますます公衆衛生に脅威を与えている。本発明の抗菌ペプチドは、現在公衆衛生を脅かしている微生物のこれらの耐性株に罹患している患者を処置する際に有用である。多くの細菌感染は、感染した個体において細菌性敗血症を引き起こす。敗血症性細菌感染に罹患した個体へのこのペプチドの投与は、感染により生じる敗血症、および感染自体を低減することにより、有意な治療効果を生じる。
【0065】
処置に適切な個体は、上記の微生物感染の1つ以上に罹患しているか、そうでなければ感受性である任意の動物(哺乳動物またはその他)である。好ましい実施形態において、この個体はヒトである。別の実施形態において、この個体は、家畜動物である。別の実施形態において、この動物は、鑑賞用(show)動物または家庭用のペットである。
【0066】
本発明のメクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドの個体への投与は、全身または局所的であり、そして主として処置される特定の感染により決定される。全身投与は、いくつかの経路(静脈内投与、吸入、粘膜、および食物摂取を含むがこれらに限定されない)により達成され得る。局所的投与は、表面または内部であり得る。このような投与は、いくつかの経路(皮下、皮膚、皮内、口腔内、粘膜、腹腔内、膣、吸入、および食物摂取を含むがこれらに限定されない)により達成され得る。
【0067】
薬学的に受容可能なキャリアを含む、本発明のペプチドの処方物を投与することが、しばしば利用される。治療的投与に可能な処方物は、種々の薬学的組成物を含み、これらの適切な使用は、処置に必要とみなされる投与経路に依存する。局所投与に有用ないくつかの処方物は、例えば、点眼剤、点耳剤、または歯肉適用(例えば、点滴剤、うがい薬、クリームまたはペースト)である。患者に対する治療に役立つ投与レジメン(例えば、経路、用量および過程)は、処置される患者(例えば、健康、体重、代謝)、感染部位、および感染している病原体によって変化する。治療レジメンは、実験的観察と組み合わせて、同様の治療剤を用いる処置からの推定により開発されるべきである。個体における微生物感染を予防するための本発明のペプチドの投与は、上記の方法に類似する。
【0068】
一般的提案として、用量あたりの非経口的に投与される抗菌ペプチドの薬学的有効量の合計は、患者の体重の約0.001mg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲であるが、上記のように、この範囲は、治療的裁量に供される。より好ましくは、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日であり、このペプチドに関してヒトに対して最も好ましくは約0.01mg/kg/日と1mg/kg/日との間である。連続的に投与される場合、この抗菌ペプチドは、1日あたり1回〜4回の注射によるか、または例えばミニポンプを使用する連続的な皮下注入のいずれかにより、代表的には、約0.001mg/kg/時間〜約0.050mg/kg/時間の用量速度で投与される。静脈内バッグ液剤もまた使用され得る。
【0069】
本発明のメクラウナギカテリン関連抗菌ペプチド(配列番号5および6により例示される)はまた、他の抗菌薬または抗菌剤の治療作用を増強するために有用である。本発明の抗菌ポリペプチドとの他の抗菌剤の同時投与は、相乗抗菌効果を生じる。抗菌剤との本発明のペプチドの同時投与は、より低い用量の抗菌剤を用いる患者の治療的処置を可能にする。より低い用量は、高価な薬物、または所望でない副作用を生じる薬物、またはインビボでのその短い半減期により、有効であるために必要な濃度よりも低い濃度に急速に減少する薬物を用いて処置する場合のような状況において好ましい。さらに、抗菌剤または抗菌薬との同時投与はまた、より短い治療期間および/または耐性表現型の逆転を可能にし得る。限定することなく、その体内薬物濃度を低減すること(例えば、その薬物の減少した膜透過性または増加した細胞輸送もしくは代謝)により抗菌薬に抵抗する微生物は、これらのペプチドの相乗作用に特に感受性であることが期待される。
【0070】
本発明の抗菌薬およびメクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドまたは機能的改変体の投与レジメンは、患者および特定の感染によって変化し、そして症例毎に当業者により決定され得る。ポリペプチドの処方は、投与レジメンに依存し、例が上に記載される。
【0071】
本発明のポリペプチドは、薬学的薬剤および機能性食品用剤としてだけではなく、食品および医薬または非医薬製品のような任意の製品のための添加剤としても使用され得、これらの製品は、体内に摂取されるか、あるいは他の方法でヒトもしくは他の動物の体表面、またはヒトもしくは他の動物由来の体液、器官、および細胞上に塗布されるかまたは接触される。
【0072】
本発明は、種々の製品を処理するのに有用である。生物学的製品(本明細書中では、生物学的な生物またはプロセスに由来する製品として規定される)は特に、生物による汚染の危険に曝されている。生物学的製品の例としては、限定することなく、食品、組織、生存細胞、生存細胞由来の産物、血液またはその成分、任意の他の体液、薬物または他の分子調製物が挙げられる。非生物学的製品(本明細書中では、生物学的な生物またはプロセスから直接的には由来しない製品として規定される(例えば、ガラス製品、手術器具、合成薬物または他の分子調製物))もまた処理され得る。本発明の有効な使用のために、処理される製品は、このようにして適用されるペプチドの量の全ての抗菌活性を完全に不活化する活性を有さないべきである。本発明のペプチドは、微生物の増殖による汚染を予防するかまたは阻害することが一般的に所望される任意の製品に添加され得るか、組み合わせられ得るか、噴霧され得るか、製品上にコーティングされ得るか、吸着され得るか、化学的に架橋され得るか、または製品中に含浸され得る。あるいは、本発明のペプチドは、表面上に固定化され得、この表面上に製品を通して、その製品における微生物増殖を除去するかまたは阻害する。抗菌ペプチドで処理されてその抗菌ペプチドを保持する製品は、接触する別の製品を処理するためにさらに使用され得る。
【0073】
さらに記載しなくても、当業者は、上述の記載および以下の例示的実施例を使用して、本発明を作製および利用し、特許請求の範囲に記載される方法を実施し得る。従って、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に示し、そして本開示の残りの部分をいかなるようにも限定すると解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0074】
(メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドの遺伝子の単離)
成体タイセイヨウメクラウナギ(Myxine glutinosa Linnaeus,1758;Myxinidae)を、Huntsman Marine Science Centre(New Brunswick,Canada)から購入した。この魚を、氷のスラリー中で麻酔し、そして断頭した。腸を取り出し、そして内容物を洗い流し、液体N2中で凍結しそして−80℃で貯蔵した。
【0075】
組織を液体窒素中で粉砕し、そしてグアニジニウムイソチオシアネート溶液(Chirgwinら(1979)Biochemistry 18,5294−5299)に移した。この溶液は、細胞分裂の間RNase活性を阻害する。全RNAを、CsCl段階勾配による遠心分離により単離し;ポリアデニル化RNAをオリゴ(dT)セルロース(Stratagene)により回収した。逆転写したcDNAを、Stratageneのプロトコルに従って、最初にアダプターアーム、次いで、ファージλZapIIにライゲーションした。
【0076】
20マーオリゴヌクレオチドプローブ5’−AARAARGCNTGGMGNAARGT−3’(配列番号11:256倍縮重)を、メクラウナギ腸組織から以前に単離されたペプチドのアミノ酸残基4〜10に基づいて設計した。相同配列を含むファージ粒子を、少数の粒子をXL1 Blue MRF(Stratagene)の菌叢にプレーティングすることにより単離した。cDNA挿入物を、インビボ切断により、ファージミドpBluescriptにおいて単離した。2つの挿入物を、両方向で、サンガーのジデオキシ法(Barnesら(1983)Nucleic Acids Res.11,349−368)を使用して配列決定した。
【0077】
相同配列を、GenBankのBLASTX(Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25,3389−3402)検索を使用して同定した。相同配列を、ESEE(Cabotら(1989)Compu.Appl.Biosci.5,233−234)を使用して整列した。
【0078】
インサイチュハイブリダイゼーションのために、配列番号1からの挿入物31〜52を含むプラスミドDNAを、Stylを用いて線状化し、そしてセンスプローブおよびアンチセンスプローブの両方を酵素により32Pで標識し、そしてオートラジオグラフィーにより検出した。
【実施例2】
【0079】
(メクラウナギカテリン関連配列と他のカテリン関連配列との比較)
BLASTNを使用する、デフォルト値を用いたGenBankの検索により、2つのペプチドのコード領域のみを参照として使用した場合も、コード領域全体を使用した場合のいずれの場合でもマッチが全く得られなかった。しかし、各タンパク質およびBLASTXに利用可能なコード配列全体を使用する(同一アミノ酸および保存アミノ酸に基づいてより遠い関係について検索する)と、多数のマッチが得られた。正確なリーディングフレームのものは、特に、カテリン様酸性スペーサーを含む哺乳動物抗菌ペプチドのプレプロペプチドのcDNA配列を含んでいた。
【0080】
見出されたマッチの中で、Capra hircus(ヤギ)の骨髄細胞から単離された、Capra MAP28の配列は、抗菌ペプチドと2つのMyxineペプチドのうちの一方との間で少なくとも弱いマッチを示す点において独特であった。Capra MAP28を含むメクラウナギ配列のうちの一つのコード領域の妥当と思われるアラインメントを、図2に示す。
【実施例3】
【0081】
(カテリン関連抗菌ペプチドの抗菌活性)
カテリン関連抗菌ペプチドの抗菌活性を、National Committee for Clinical Laboratory Standardsのガイドライン(Document M7−T2(1988)第8巻,第8号)に基づく以下の抗菌アッセイにより決定する。
【0082】
試験ペプチドのストック溶液を、滅菌脱イオン蒸留水中の512μg/mlの濃度で調製し、そして−70℃で貯蔵する。このストックペプチド溶液を、ウェル中のペプチドの最終濃度が、0.25、0.50、1、2、4、8、16、32、64、128および256μg/mlになるように、ミクロタイタープレートのウェルに沿って連続希釈(1:2)で希釈する。1.5´105CFU/mlの試験微生物を、中対数期培養物からの完全強度のMueller Hintonブロス(BBL 11443)でこれらのウェルに添加する。接種物を、600nmにおいて分光光度測定法により標準化し、そしてコロニー係数により確認する。これらのプレートを、37℃で16〜24時間インキュベートし、そして各ペプチドについての最少阻害濃度(MIC)を決定する。最少阻害濃度は、ミクロタイタープレートにおいて清澄なウェルを生じるペプチドの最低濃度として規定される。
【0083】
本発明を、種々の具体的な材料、手順および実施例を参照して記載し、そして例示してきたが、本発明は、その目的のために選択される材料および手順の特定の組合せに制限されないことが理解される。このような細部の多数の改変は、当業者により理解されると推定され得る。本明細書および実施例は、例示のみとみなされ、本発明の真の範囲および本質は、添付の特許請求の範囲により示されることが意図される。本明細書中で参照される全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1A】図1Aは、メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドのヌクレオチド配列(配列番号1および3)およびアミノ酸配列(配列番号2および4)の比較を示す。推定されるシグナル、カテリン、ペプチド、および3’非翻訳領域の開始点に印を付している。そのペプチドアミノ酸を、斜体の太字で示し;開始コドンおよび停止コドンを大文字で示し;ポリアデニル化部位に下線を付している。ドットは、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸を示し、ダッシュは、挿入または欠失を示す。*は、この抗生ペプチドにおける推定C末端アミド化部位を示す。
【図1B】図1Bは、メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドのヌクレオチド配列(配列番号1および3)とアミノ酸配列(配列番号2および4)の比較を示す。推定されるシグナル、カテリン、ペプチド、および3’非翻訳領域の開始点に印を付している。そのペプチドアミノ酸を、斜体の太字で示し;開始コドンおよび停止コドンを大文字で示し;ポリアデニル化部位に下線を付している。ドットは、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸を示し、ダッシュは、挿入または欠失を示す。*は、この抗生ペプチドにおける推定C末端アミド化部位を示す。
【図2】図2は、配列番号3および4と、Capra hircus MAP28との、ヌクレオチドおよび暗示されるアミノ酸残基の比較を示す。哺乳動物遺伝子構造により示唆されるエキソン間の境界に垂線を付す。
【図3】図3は、メクラウナギ抗体ペプチドのアミノ酸配列(配列番号5および6)の比較を示す。ダッシュは、アラインメントを最大限にするために挿入されたギャップを示す。
【図4】図4は、メクラウナギカテリン関連抗菌ペプチドのアミノ酸配列(配列番号5および6)と、米国特許第5,734,015号に記載されるメクラウナギ腸組織から単離された抗菌ペプチド(配列番号9および10)との比較を示す。ダッシュは、アラインメントを最大限にするために挿入されたギャップを示す。X=Br−TrpおよびZは、C末端アミドを示す。
Claims (25)
- 以下:
(a)配列番号2または4を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする、単離された核酸分子;および
(b)ストリンジェントな条件下で、配列番号2または4を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の相補体にハイブリダイズする、単離された核酸分子、
からなる群より選択される、単離された核酸分子。 - 前記核酸分子が、配列番号1および3からなる群より選択される、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 前記核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド4〜540を含む、請求項2に記載の単離された核酸分子。
- 前記核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド427〜540を含む、請求項2に記載の単離された核酸分子。
- 前記核酸分子が、配列番号3のヌクレオチド2〜505を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 前記核酸分子が、配列番号3のヌクレオチド416〜505を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
- 以下:
(a)配列番号5または6を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする、単離された核酸分子;および
(b)ストリンジェントな条件下で、配列番号5または6を含むMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の相補体にハイブリダイズする、単離された核酸分子、
からなる群より選択される、単離された核酸分子。 - 前記核酸分子が、1つ以上の発現制御エレメントに作動可能に連結されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子を含む、ベクター。
- 請求項9に記載のベクターを含む、宿主細胞。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の核酸分子を含むよう形質転換された、宿主細胞。
- ペプチドまたはそのフラグメントを生成する方法であって、請求項11に記載の宿主細胞を、前記核酸分子によりコードされるタンパク質またはタンパク質フラグメントが発現される条件下で培養する工程を包含する、方法。
- 前記宿主細胞が、原核生物宿主および真核生物宿主からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
- 請求項12に記載の方法により生成される、単離されたペプチドまたはそのフラグメント。
- 以下:
(a)配列番号2、4、5、または6に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたペプチド;
(b)配列番号2、4、5、または6に示される配列のいずれかの少なくとも6アミノ酸を含む、単離されたペプチドフラグメント;
(c)配列番号2、4、5、または6に示される配列のいずれかの保存的アミノ酸置換を含む、単離されたポリペプチド;および
(d)配列番号2、4、5、または6に示されるアミノ酸配列のいずれかの天然に存在するアミノ酸配列ペプチド改変体、
からなる群より選択される、単離されたペプチドまたはそのフラグメント。 - 前記単離されたペプチドが、配列番号2、4、5、または6に示されるアミノ酸配列から本質的になる、請求項15に記載の単離されたタンパク質フラグメント。
- 請求項15に記載の1つ以上のペプチドを含む、抗菌組成物。
- 前記組成物が、局所投与または非経口投与に適している、請求項17に記載の抗菌組成物。
- 哺乳動物における微生物感染を処置または予防する方法であって、該哺乳動物に、有効量のMyxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドを投与する工程を包含する、方法。
- 前記Myxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドが、配列番号2、4、5、または6からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
- 前記哺乳動物が、ヒトである、請求項19に記載の方法。
- 前記微生物感染が、細菌感染および真菌感染からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
- 前記Myxine glutinosaカテリン関連抗菌ペプチドが、経口経路、局所経路、および非経口経路からなる群より選択される経路により投与される、請求項19に記載の方法。
- 前記局所投与が、吸入により達成される、請求項23に記載の方法。
- 前記非経口投与が、静脈内投与、皮下投与、または筋内投与により達成される、請求項24に記載の方法。
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