JP2005507182A - 狭帯域カオス周波数位相変調を用いた送受信方法、システム、プログラム記憶装置 - Google Patents

狭帯域カオス周波数位相変調を用いた送受信方法、システム、プログラム記憶装置 Download PDF

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Abstract

狭帯域カオス周波数位相変調によって信号を送受信するシステム(110)および方法は、入力データを受信する順方向誤り訂正エンコーダ(118)と、順方向誤り訂正エンコーダに結合されるデータ・パケッタイザ(120)と、データ・パケッタイザに結合される圧縮エンコーダ(122)と、圧縮エンコーダと通信する無線周波リンク(114)と、無線周波リンクと通信する圧縮デコーダ(124)と、圧縮デコーダに結合されるデータ・デパケッタイザ(126)と、カオスの軌道を制御することによって入力データを回復する、データ・デパケッタイザに結合される順方向誤り訂正デコーダ(128)とを含み、この方法は、カオス周波数位相変調済みデータを示す信号を送信するステップと、送信信号を狭い周波数帯域内で伝搬するステップと、カオスの軌道を制御することにより、示されるデータを実質的に劣化させることなく伝搬した信号を受信するステップとを含んでいる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、信号の送受信に関する。
【背景技術】
【0002】
コカレブ氏(Kocarev)が提案した手法(1992年)や、ベルスキー氏(Belsky)とドミトリーブ氏(Dmitriev)による手法(1993年)、クオモ氏(Cuomo)による手法(1993年)、ペコラ氏(Pecora)とキャロル氏(Carrol)による手法(1993年)、ドミトリーブ氏(Dmitriev)とスターコブ氏(Starkov)による手法(1997年)など、カオス(chaos)に基づいて通信システムを設計する手法は、既に幾つか存在している。これら従来の手法は、アナログ・スペクトラム拡散型のシステムに関心を寄せたものであり、従って広帯域にならざるを得なかった。更に、シンボル制約(symbol constraint)を通じてカオス・システムの状態空間軌道を制限する試みは行っていなかった。これら従来のシステムおよびその他の同様のシステムについて性能評価が行われているが、これらのシステムでは、記号力学制御(Symbol Dynamic Control)またはチャネル帯域幅制御(Channel Bandwidth Control)は行われていなかった。
【0003】
以下、本明細書の理解の助けとなる幾つかの定義を示す。
【0004】
幾何学においては、「線形性(linearity)」とは、直線や平面、(平坦な)3次元空間などのユークリッド物体を指す。これらの物体は、どのように調べても同じように見える。例えば、球体などの非線形物体は、尺度が違えば異なった見え方をする。非線形物体は、接近して見ると平面のように見えるが、離れて見ると点のように見える。代数では、「線形性」は、f(x+y)=f(x)+f(y)およびf(ax)=a・f(x)という性質を持つ関数で定義される。「非線形性(nonlinearity)」は、線形性の否定として定義される。これは、f(x+y)という結果が、入力xおよび/またはyに比例しないこともあるということである。従って、非線形系は、重ね合わせの原理に従わない。
【0005】
力学系は、任意の瞬間における力学的状態を記述する座標を備えた関連する抽象位相空間または状態空間と、全ての状態変数の現在の値が与えられているものとしてそれら状態変数のその直後の傾向を指定する力学的規則とを有する。力学系は、あらゆる状態に対して一意的な結果がある場合には、「決定性(determinictic)」であるとされ、ある確率分布から通常は選択される複数の結果がある場合には、「確率的(stochastic)」または「ランダム(random)」であるとされる。力学系は、離散時間または連続時間に対して定義される。離散時間の場合は、z=f(z)という写像で定義される。これは、最初の状態zから生じる、次の離散時間値における状態zを与えるものである。連続時間の場合は、z(t)=ψ(t)(z)kという「フロー(flow)」で定義される。これは、時間0において状態がzであったと仮定して時間tにおける状態を与えるものである。滑らかなフローは、時間について微分して、微分方程式dz/dt=F(z)を与えることができる。この場合、F(z)はベクトル場と呼ばれ、位相空間内のあらゆる点における速度の方向を指すベクトルを与える。
【0006】
位相空間または状態空間は、力学系の起こりうる状態の集合である。状態空間は、有限である(例えば、理想的なコイン・トス(投げ)では、表か裏の2状態しかない)ことも、可算的に無限である(例えば、状態変数が整数である場合)ことも、不可算的に無限である(例えば、状態変数が実数である場合)こともあり得る。状態空間または位相空間の概念では、位相空間内のある特定の状態はその系を完全に指定するという暗黙の了解がある。すぐ後の未来を完全に知るためには、その系について知っていさえすればよい。
【0007】
従って、平面振り子の位相空間は、位置または角度と速度とからなる2次元である。ベクトル場の写像が明らかに時間に依存している非自律系(例えば、太陽束(太陽からの電磁波)に左右される植物の成長のモデルなど)では、位相空間の定義により、その後の動きを知るためには具体的な時間(例えば、火曜日の午後3時など)を指定しなければならないので、時間を位相空間座標として含めなければならない。従って、dz/dt=F(z、t)は、新しい動的なdt/dt=1が加えられることで、(z、t)からなる位相空間上の力学系となる。初期値問題の解が辿る位相空間内の経路は、力学系の軌道または軌跡と呼ばれる。状態変数が連続体において実数値をとる場合には、連続時間系の軌道は曲線となり、離散時間系の軌道は点の連続となる。
【0008】
ハミルトン系で用いられるような自由度の概念は、1つの正準共役対、つまり配置(configuration)qとその共役運動量(conjugate momentum)pを意味する。ハミルトン系は、常にこのような変数対を複数有するので、位相空間は偶数次元である。散逸系(dissipative system)では、「位相空間(phase space)」という用語はこれとは異なる意味でしばしば用いられ、位相空間の単一の座標次元を示す。
【0009】
写像は、現在の状態zが与えられたときに、その系の次の状態f(z)(即ち、像)を与える位相空間上の関数fである。関数は各状態ごとに1つの値をもたなければならないが、幾つかの異なる状態が同じ像を生じることはある。位相空間のあらゆる状態を知ることができ、且つ各状態に対して正確に1つのプレ像(pre‐image)を有する(即ち1対1の対応を有する)写像は可逆である。更に、写像とその逆写像が位相空間座標zに関して連続である場合には、これを同相写像(homeomorphism)と呼ぶ。ある写像を反復するとは、その前に行った写像の結果を繰り返し写像することを意味する。従って、次のような数列を作成することを意味する。
【0010】
【数1】
Figure 2005507182
この数列は、初期状態をzとする力学系の軌道(orbit)または軌跡(trajectory)である。
【0011】
あらゆる微分方程式は、写像(map)を生じる。時間1写像は、フロー(flow)を1単位時間だけ進める。微分方程式が時間Tで周期的な項を1つまたは複数含む場合には、ある系の時間T写像は、ポワンカレ・セクション(Poincare section)を表す。この写像は、周期Tに同調させたストロボスコープを用いて位相空間内の位置を効果的に見ているので、ストロボ写像とも呼ばれる。時間を位相空間座標とする必要がなくなるので、これは有用である。
【0012】
自律系(autonomous system)(即ち方程式に時間依存項がない系)では、位相空間座標を1つ減らすようにポワンカレ・セクションを規定することができることもある。ここで、ポワンカレ・セクションは、一定の時間間隔ではなく、位相空間内の固定表面と軌道が交差する連続的な時間によって規定される。ストロボ・サンプリングで生じる写像またはあるフローのポワンカレ・セクションは、そのフローが位相空間内の任意の点を通る一意的な解を有するので、必ずしも可逆である必要はない。従って、その解は、時間的に前後に一意的である。
【0013】
アトラクタ(attractor)は、単に系が整定していく状態であり、散逸が必要であることを暗に示す。従って、散逸力学系は、長い時間の間に、あるアトラクタに整定していくことがある。アトラクタは、あらゆる点がその付近に留まり、時間が無限に進むにつれてアトラクタに接近していくような近傍を有する位相空間として定義することもできる。最終的にアトラクタに接近する点の近傍が「吸引域(basin of attraction」である。
【0014】
カオス(chaos)は、決定性力学系が初期条件の影響を受け易いことから決定性力学系に生じる、有効な予測不能長期挙動として定義される。但し、その初期条件が分かっていれば決定性力学系は完全に予測可能であり、実際に短期間では常に予測可能であることを強調しておく。長期間の予測不能性の重要なポイントは、初期条件に対する感度と呼ばれる性質である。力学系がカオスになるためには、その力学系がかなり不安定な初期条件を多数有していなければならない。どれほど精密に初期条件を測定しても、その後の動きの予測は、最終的には完全な誤りとなる。
【0015】
リヤプノフ(Lyapunov)指数は、付近の軌道が収束または発散する速度を示すものである。リヤプノフ指数は、系の状態空間の次元と同じ数だけ存在するが、通常は最大のものが最も重要である。簡単に言えば、最大リヤプノフ指数は、付近の2つの軌道の間の距離を表す数式の時定数λである。λが負であれば、それらの軌道は時間と共に収束し、力学系は初期条件の影響を受けない。λが正であれば、付近の軌道の間の距離は時間と共に指数関数的に大きくなり、系は初期条件の影響を受け易くなる。
【0016】
リヤプノフ指数は、2つの方法で計算することができる。1つの方法では、近接した2つの点を選択し、これらの点を時間と共に展開して、それら2点間の距離の拡大速度を測定するものである。この方法には、拡大速度が実際には局所的な結果ではないという欠点がある。拡大を測定するより良い方法は、所定の軌道に対する接線ベクトルの拡大速度を測定するものである。
【0017】
【数2】
Figure 2005507182
上記のように定義して、λ>0であれば発散の平均速度が与えられ、λ<0であれば、これは収束を示す。
【0018】
カオスについての最小位相空間寸法は、その解が考察している系のタイプによって決まるので、若干入り組んだ問題である。まず、微分方程式のフローまたは系について考える。この場合、ポワンカレ・ベンディクソンの定理(Poincare−Bendixson theorem)により、1次元または2次元の位相空間にはカオスが存在しないことが示される。カオスは、3次元フローにのみ存在することができる。フローが非自律である(即ち、時間に依存する)場合には、時間が位相空間の座標となる。従って、2つの物理変数に加えて時間変数を備えた系は3次元であり、カオスが存在することが可能となる。
【0019】
写像では、写像が可逆ではない場合にのみ、1次元のカオスを有することができる。有名な例は次のようなロジスティック写像(logistic map)である。
【0020】
【数3】
Figure 2005507182
この方程式は、4およびその他の多くの値であるrに対して証明可能にカオス的である。1/2未満となるあらゆる点f(x)で、この関数は2つのプレ像を有し、従って可逆ではないことに留意されたい。この方法は系を実施する際に使用する回路の様々なトポロジ(topology)を特徴付けるために使用することができるので、この概念は重要である。
【0021】
M−ary位相変調(PSK:Phase Shift Keying)やM−ary直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)など、より高次の変調システムを旨く展開するためには、高レベルのチャネル線形性が必要となる。M−ary位相変調(PSK)システムおよびM−ary直行振幅変調(QAM)システムは、米国の連邦通信委員会(FCC)のスペクトル規格に準拠したアーキテクチャにするために必要なシステムが複雑であることから、展開するのに費用がかかる。M−aryQAMまたはM−aryPSKのアーキテクチャを備えたシステムは、通常の受信機が周波数変調(FM)復調器を使用してベースバンド情報を回復しているので、高速副搬送波信号を複合するためにセット・トップ・ボックス(STB)を有する。更に、M−aryシステムでは、シンボルごとに複数のビットを利用する変調方式であるために帯域幅圧縮のレベルが高くなることに伴うパワー損も生じる。M−aryシステムは、実際に実施するには損失が大きすぎ、上限を超えてしまうことになる。
【発明の開示】
【0022】
(発明の概要)
狭帯域カオス周波数位相変調によって信号を送受信するシステムおよび方法により、従来技術による上記その他の欠点および不都合を解決する。
【0023】
このシステムは、入力データを受信する順方向誤り訂正エンコーダと、順方向誤り訂正エンコーダに結合されるデータ・パケッタイザ(packetizer:パケット化器)と、データ・パケッタイザに結合される圧縮エンコーダ(符号化器)と、圧縮エンコーダに結合される無線周波リンクと、無線周波リンクに結合される圧縮デコーダ(復号化器)と、圧縮デコーダに結合されるデータ・デパケッタイザ(depacketizer)と、カオスの軌道を制御することによって入力データを回復する、データ・デパケッタイザに結合される順方向(前方)誤り訂正デコーダとを含んでいる。
【0024】
関連する方法は、カオス周波数位相変調済みデータを示す信号を送信するステップと、送信信号を狭い周波数帯域内で伝搬するステップと、カオスの軌道を制御することにより、示されるデータを実質的に劣化させることなく伝搬した信号を受信するステップとを含んでいる。
【0025】
本発明の上記その他の態様、特徴および利点は、以下の例示的な実施形態の説明を添付の図面と関連して読めば明らかになるであろう。
【0026】
本発明は、例示的な図面に従って狭帯域カオス周波数位相変調を開示するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、周波数位相変調によって搬送波信号に変調したコンポジット(composite)情報/カオス(chaos)信号を用いた信号の送受信に関する。本発明は、送信機と受信機の間の同期を助けるためのテント写像によって駆動されるコルピッツ発振器の例示的な非線形動作を用いてカオス生成に対処するものである。例示的な実施形態では、変調器は、タンク回路の高Qをそれほど損なうことなく広いプリング(pulling)範囲を可能にする広帯域電圧制御型水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillator)である。これにより、搬送波より50dBc低い側波帯を用いたクリーンな変調プロセスが得られる。図1は、本発明の例示的な実施形態における狭帯域カオス周波数位相変調を行うシステム110を示すブロック図である。システム110は、送信機部分112、送信機112と通信する無線周波(RF)リンク114、およびRFリンク114と通信する受信機部分116を含んでいる。送信機部分112は、入力データを受信するための、リード・ソロモン(RS:Reed Solomon)誤り訂正コードを使用する順方向誤り訂正(FEC)エンコーダ118と、FECエンコーダ118に結合されてFECコード化データを受信するデータ・パケッタイザ120と、データ・パケッタイザ120に結合されて変調用符号化データをRFリンク114に供給する圧縮エンコーダ122とを含んでいる。受信機部分116は、RFリンクから符号化データを受信する圧縮デコーダ124と、圧縮デコーダ124に結合されるデータ・デパケッタイザ126と、FECコード化データを受信して出力データを供給するための、データ・デパケッタイザ126に結合され、RS誤り訂正コードを使用するFECデコーダ128とを含んでいる。
【0028】
図2を参照すると、狭帯域カオス変調送信機210は、図1の送信機112の例示的な実施形態を表している。送信機210は、エンコーダ214において高速データ・ビット・ストリーム212を受信する。信号シェーパ(shaper:整形器)217は、エンコーダ214に結合されており、広帯域コルピッツ電圧制御型水晶発振器(VCXO)を含む第1の局部発振器218に対して供給を行う。第1の局部発振器218は、増幅器222に対して供給を行う。中間周波数(IF)フィルタ224は増幅器222に結合されており、増幅器セクション226に対して供給を行う。増幅器セクション226は、第1の90°位相遅延ユニット227および乗算器228に対して供給を行う。第2の局部発振器230も乗算器228に対して供給を行い、また、第2の90°位相遅延ユニット232に対しても供給を行う。第1および第2の90°位相遅延ユニット227および232は、それぞれ、乗算器234で入力として受信される。乗算器234は、加算器236の第1の正の入力に接続される。加算器226は、乗算器228から第2の正の入力を受信し、電力増幅器238に対して供給を行う。電力増幅器238は、出て行く通信バッファ240に対して供給を行う。
【0029】
順番をとばして図13を参照すると、曲線250は、タンク回路の高Qをそれほど犠牲にすることなく広いプリング範囲を可能にする広帯域電圧制御型水晶発振器(VCXO)を含む例示的な実施形態の変調器の出力を示している。曲線250は、これにより搬送波より50dBc低い側波帯を用いたクリーンな変調プロセスが得られることを示している。変調用信号はレベル/時間変換プロセスに基づいているので、信号の幅は入力データ・ストリームに対して所定の方法で変化する。VCXOのタンク回路に接続されたバラクタ・ダイオードにこの信号が供給されると、タンク回路によって与えられる有効インダクタンスの変化により、この発振器の定常カオス力学系が変化する。こうして、曲線250に見られるように、発振器からの出力は、少なくとも50〜60dB低い変調成分でクリーン(clean)となる。信号は、位相(フェイズ)ロック・ループ(PLL)または高速検出器で制限され、検出することができる。例示的な実施形態では、送信機と受信機の間の同期を助けるためのテント写像により駆動されるコルピッツ発振器の例示的な非線形動作を用いることによりカオス生成が実現される。
【0030】
次に図3において、エンコーダ310は、図2のエンコーダ214の例示的な実施形態を表すものである。エンコーダ310は、18.432MHzの局所クロック信号を受信して4.096MHzの信号を供給する、4.5で分周する(「×4.5」)分周器312を含んでいる。この局所クロック信号は、分周器314でも受信される。エッジ(edge:端)検出器316は、入力データを受信して、分周器314並びに第1のシーケンス生成器318および第2のシーケンス生成器320にエッジ信号を供給する。分周器314は、CLK9信号を第1のシーケンス生成器318および第2のシーケンス生成器320に供給する。MUX(マルチプレクサ)322は、シーケンス生成器318および320からSEQ1信号およびSEQ2信号をそれぞれ受信し、更にその出力選択端子で入力データ信号も受信する。MUX322は、符号化データ信号出力を生成する。
【0031】
図4に示すように、狭帯域カオス通信受信機410は、図1の受信機116の例示的な実施形態を表している。受信機410は、低ノイズ増幅器(LNA:Low−Noise Amplifier)およびまたはミクサー414に結合される入力通信バッファ412を含んでいる。局部発振器416も、低ノイズ増幅器(LNA)/ミクサー414に対して供給を行う。同調可能帯域フィルタ418は、2kHzの帯域幅を有する10.7MHz中心周波数帯域を中間周波(IF)増幅器420へ通過させ、中間周波(IF)増幅器420は復調器422に対して供給を行う。レベル変換器/フィルタ・セクション424は復調器422に結合されており、復調器422は、位相ロック・ループ(PLL)、弁別器(discriminator)および高速検出器を含んでいる。復調器422は高速検出器425に対して供給を行い、高速検出器425は、高速データ・チャネルに出力するデータ・デコーダ426に対して供給を行う。
【0032】
順番をとばして図12を参照すると、図4の高速検出器425の例示的な実施形態が、参照番号425で概略的に示してある。検出器425は、図4のフィルタ424の出力を受信するリミッタ430を含み、この出力は、図4のIF増幅器420からのIF入力を示す。リミッタ430は、注入増幅器432に対して供給を行い、注入増幅器432は、変調ストリッパ434および位相比較器436に対して供給を行う。位相比較器436は、代替実施形態では、D型フリップ・フロップまたは排他的論理和(EX−OR)デバイスで置き換えることもできる。位相比較器436は、テンプレート挿入ブロック(template insertion block)438に対して供給を行い、テンプレート挿入ブロック438は変調ストリッパ(modulation stripper)434の第2の入力に対して供給を行う。変調ストリッパ434の出力は、位相比較器436の第2の入力に対して供給を行う。位相比較器436の出力は、第1のモノ・ショット(monoshot)438および第2のモノ・ショット440に供給される。モノ・ショット438は、クロック生成器442に対して供給を行い、クロック生成器442はD型フリップ・フロップ444の第1の入力に対して供給を行う。モノ・ショット440は、D型フリップ・フロップ444の第2の入力に対して供給を行う。D型フリップ・フロップ444は、図4のデータ・デコーダ426に結合されるデータ信号を生成する。
【0033】
次に図5において、デコーダ510は、図4のデコーダ426の例示的な実施形態を表すものである。デコーダ510は、符号化データを受信し、且つ第1の7ビット・バイナリ(2進)カウンタ516および第2の7ビット・バイナリ(2進)カウンタ520にEDGE信号を生成するエッジ検出器512を含んでいる。クロック分周器514は、18.432MHzのクロック信号を受信し、CLK×72信号を第1のカウンタ516および第2のカウンタ520に供給する。64カウント検出器518は第1のカウンタ516と通信を行って、第2のカウンタ520にリセット信号を送る。64/80カウント検出器522は、第2のカウンタ520に結合されており、負荷値関数(load value function)524および同期関数526のそれぞれに対して供給を行い、複合データをラッチ528に供給する。負荷値関数524は、第2のカウンタ520に供給を行う。同期関数526は、クロック分周器514からCLK×1信号を受信し、×1(1倍)のビットレートでSYNCクロックをラッチ528に供給する。ラッチは、出力データを生成する。
【0034】
図6に示すように、例示的なコルピッツ発振器を、参照番号610で概略的に示す。発振器610は、陽極が大地に接続され陰極がCvarコンデンサ614に結合されたダイオード612を含み、Cvarコンデンサ614は、C0コンデンサ616に結合される。コンデンサ616は、大地に接続されたLインダクタ618に結合される。コンデンサ616は、Ccコンデンサ620にも結合される。コンデンサ620は、C1コンデンサ622と、トランジスタ624のベースとに結合される。トランジスタ624のコレクタはVccに結合され、エミッタはコンデンサ622の出力に結合される。この出力は、大地に接続されたC2コンデンサ626、大地に接続されたIq電流源628、および出力バッファ630に結合される。トランジスタ624のベースは、Rb抵抗器632に結合され、Vbias電圧バイアス出力を発生する。
【0035】
動作に於いて、システムは、非線形システムのアーキテクチャによって決まる様々なフローを有する。無線周波(RF)変換は、基本的に全ての場合において同じである。主な違いは、写像、フローおよび同期回路の実施態様に見られる。最初に、写像およびフローの生成について考える。
【0036】
図7および図8を参照すると、第1の例示的な非対称テント写像(skewed tent map)関数f(x)が、図7の参照番号710で概略的に示してあり、第2の例示的な非対称テント写像関数810が、図8の参照番号810で概略的に示してある。非対称テント写像を利用した情報の伝送は、0を中心とした非対称テント写像710または810を反復して考える。この力学系の唯一の状態変数は直接伝送されるので、これは非線形力学系に対する非常に直接的な手法である。周期の分周が非対称的であるため、この非対称テント写像は常に不可逆である。このことは、時間次元も要因としてこの系で考慮する場合には、フローを呈する1Dの非対称テント写像が生じることを意味する。符号化アルゴリズムは以下のように定義される。
【0037】
符号化プロセスを行うために、×9(9倍)クロックを使用して全ビット幅を9個の均等な小間隔に分割する。着信ビット・ストリームが「0」から「1」への遷移を有する場合には、エンコーダは、×9クロックの均等間隔の10個分の幅を出力する。「1」から「0」への遷移がある場合には、×9クロック8サイクル分に相当する幅を符号化に使用する。データに変化がない場合には、クロック・パルス9個分の幅に相当する幅を符号化する。テント写像がフローを呈するためには、区画内に非対称性がなければならない。従って、「9」の幅が出力されたときには、フローはない。
【0038】
受信機では、送信機の写像の正確な複製を比較のために生成し、訂正用の誤り信号を生成する。初期パターンによって復号アルゴリズムを同期させ、その後、マスタ・クロックの周期リセットを行うことができる。このようにして、カオスの軌道を制御する。この同期方法は、回復した軌跡に基づいて行う。
【0039】
非対称テント写像f:[0、1]→[0、1]は、図7の関数710で表すように、次のように与えられる。
【0040】
【数4】
Figure 2005507182
これは、単位間隔をそれ自身に変換する不可逆変換である。この変換は、パラメータ「a」によって決まり、パラメータ「a」は、0.5<a<1の範囲によって満たすことができる。この変換は連続的であり、且つ区分的に線形であり、線形領域は[0、a]および[a、1]である。
【0041】
写像x(k)=f(x(0))=f(f(...f(x(0))...))、(k=0、1、2、...)を反復することによって得られる力学系の代表的な軌跡x(k)を、代表的な軌跡の300個の点について図10に示す。本発明の手法独自の特徴は、符号化プロセスを操作して、同期およびデータ送信両方の助けとなるように、非対称テント写像を生成することである。これを行うために、同期を達成できる前に何サイクルも写像を反復する必要がある。この反復プロセスの助けとなるように、非対称テント写像を、最初にそれより高い中間周波数に変換し、その後、これを使用して、その写像外のより低い周波数の信号を反復する。これは、この概念が、より低いベースバンド写像周波数には直接作用しないからである。
【0042】
次に、k=1、2、...、Nについてのx(k)を送信信号とし、k=1、2、...、Nについてのy(k)を受信信号として、x(0)およびy(0)から始まる両関数について考える。両軌跡が時間kまで同じ領域内にある場合には、以下のようになる。
【0043】
【数5】
Figure 2005507182
ここで、f′(x)は点xにおけるfの導関数を表す。従って、以下のように書ける。
【0044】
【数6】
Figure 2005507182
上記方程式は、以下のように書き直すこともできる。
【0045】
【数7】
Figure 2005507182
jの限界は0からk−1である。これを説明すると、λは、λ>0である場合には2つの軌跡の発散の平均速度を与え、λ<0である場合には2つの軌跡の収束の平均速度を与える。シミュレーションにより、軌跡が収束するためには、約10から15のサイクルが通常必要になることが分かっている。これは、クリーンでバーストのない同期を得るためには、非対称テント写像を転写している中間周波数が、写像周波数の50倍から100倍であることが好ましいことを意味している。安定のために同期ループが必要とする限界サイクルの数は、中間周波数の選択に影響を与える。
【0046】
λの上限および下限は、f(x)の導関数であるf′(x)をとることにより導出される。非対称テント写像を見ると、左側の分枝の傾きは1/a>1であり、右側の分枝の傾きは−1/(1−a)<−1である。これにより、f(x)の導関数の限界は1<1/a≦1/(1−a)と定義できる。
【0047】
λの下限および上限は、0<−In(a)≦λ≦−In(1−a)と導出できる。この場合には、a=0.55であり、λの境界は0<0.597≦λ≦0.798である。λの値が>0であるので、これは発散系を示す。kを超えてもx(k)およびy(k)両方の軌跡を辿っていくと、最終的に、それらは異なる線形領域に入ることになる。λの境界(限界)が存在し、それが特定の軌跡とはある程度まで無関係であることにより、写像fの作用を受けても不変の一意的な確率密度が生じることになる。この非対称テント写像については、[0、1]における確率密度を表す方程式は以下のように表される。
【0048】
【数8】
Figure 2005507182
ハスラー氏(Hasler)およびマイストレンコ氏(Maistrenko)によれば、非対称テント写像は一定の確率密度を有することになり、リヤプノフ指数λは次のように定義することができる。
【0049】
【数9】
Figure 2005507182
非対称テント写像および一定の確率密度については、上記数式は以下のようになる。
【0050】
【数10】
Figure 2005507182
【0051】
従って、a=0.55であれば、λ=0.688となる。確実に同期させるためには、結合パラメータδおよびεを用いた結合を選択する。送信機の写像が受信機の写像と結合されると、2次元写像は以下のように定義される。
【0052】
【数11】
Figure 2005507182
結合パラメータδおよびεは、任意の値をとることができる。結局、この系の定性的挙動は基本的にδ+εによって決まる。δ=0と設定した場合には、同時にε=0にならない限り、x(k)は影響を受けない。x(k)はy(k)に影響を及ぼすので、これはマスタ・スレーブ関係と呼ぶ。以下の(11)の関係が成り立つ場合には、この系を同期していると定義する。
【0053】
【数12】
Figure 2005507182
x=yとしたときのこの状態を表すヤコビ行列は、次のように表すことができる。
【0054】
【数13】
Figure 2005507182
ここで、a≦x≦1であればc=−1/(1−a)、0≦x≦aであればc=1/aである。固有ベクトルは以下の通りである。
【0055】
【数14】
Figure 2005507182
【0056】
【数15】
Figure 2005507182
【0057】
【数16】
Figure 2005507182
【0058】
横リヤプノフ指数(transverse Lyapunov exponent)は、λ=−aIn(a)−(1−a)In(1−a)+In(1−d)である。ここで、d=δ+εである。上記の方法で結合した全く同じ非対称テント写像(例えば、送信機と受信機)の性質として、結合パラメータd=δ+εがその間隔[1−Δ]、[1+Δ]に属していれば必ず、それらの写像が常に横リヤプノフ指数を有するということがある。ここで、Δは以下で与えられる。
【0059】
【数17】
Figure 2005507182
この例示的な系では、a=0.55である。従って、Δは値0.5025を有し、δ=0であれば、In(1−d)=0.4974であるときにのみ同期が起こる。
【0060】
次に、カオス信号の情報搬送能力について考える。駆動応答系における情報の生成と消滅は、ベルヌーイ写像または非対称テント写像の何れかで表すことができ、その場合、単位間隔のそれ自体への動的写像が観察される。同期の境界はλがゼロ未満になるところにあることが分かっている。切断フィードバック・ループを有する無雑音チャネルでは、d=1およびλ=0が同期安定性の境界を決定する。
【0061】
【数18】
Figure 2005507182
【0062】
受信機にフィードバックおよび外部ノイズがない場合には、これは容量C=無限大の通信チャネルに相当する。カオス系がどれほど速い速度で情報を生成しても同期が可能である。このことは、ノイズのない状態で駆動応答系を同期させるためには、λ=λlog(e)として情報搬送容量がC>λであるチャネルを備えていれば十分であることを示している。ここで、リヤプノフ指数は、底(e)単位で表される情報生成速度として表され、λは反復ごとのビット数として表される。この場合、10.7MHz/128kHzから反復回数=84であり、反復ごとのビット数は以下のようになる。
【0063】
【数19】
Figure 2005507182
【0064】
従って、生成される情報の平均値は、1秒当たり、84×0.9926=83.3784ビットとなる。この結果をシャノン・ハートレーのチャネル容量の定理に当てはめると、C=Wlog(P+N)/Nとなる。ここで、Cはチャネル容量、Wはチャネル帯域幅、(P+N)/Nは信号対雑音比である。標準的な線形通信システムと比較すると、本発明の方法では、チャネル帯域幅に変化がないものと仮定すると、平均情報処理能力を83倍に高めることが可能である。一方、チャネル帯域幅を83分の1に縮小した場合には、本発明の信号対雑音比は基本的に線形通信システムと同程度のままである。帯域幅を狭くするために信号対雑音比が損なわれることがないことは、この狭帯域カオス変調システムの重要な利点である。
【0065】
これに対して、固定チャネル容量Cを有する従来の通信システムを用いると、信号が占める帯域幅を縮小した場合に、該方程式を成り立たせるためにより大きな(P+N)/Nが必要となる。例えば、1ビット/秒/ヘルツの帯域幅効率を有する変調方式を使用して830Kbpsのデータを送信する必要がある場合には、少なくとも830kHzの帯域幅が必要となる。本発明の実施形態では、帯域幅効率が向上しているので、10kHzの帯域幅で830kbpsを送信することができる。従来の線形システムでは、必要とされる(P+N)Nが物理的に実現不可能であるため、10kHzの帯域幅で830kbpsを送信することはできない。
【0066】
次に、コルピッツ発振器における定常カオス信号生成について考える。発散力学系の安定した周期的な自律発振は、位相空間内の安定リミット・サイクルで表される。一般に、発振器を外部から強制的に動かすと、この単純な力学系は崩れる。強制関数の影響を定量化するためには、非強制系(unforced system)の新しい変数、即ち、位相(phase)および振幅(amplitude)を導入する必要がある。位相は、位相体積が膨張も収縮もしない方向に沿ったリミット・サイクルに沿った運動に対応する変数である。これは、「ゼロ・リヤプノフ指数」状態に相当する。従って、発振器の位相の力学は、次のように表すことができる。
【0067】
【数20】
Figure 2005507182
【0068】
力学系の振幅およびその他全ての変数は、負のリヤプノフ指数に対応するサイクルを局所的に横切る。このようにリヤプノフ指数を用いて説明すると、位相が力学系の例外的な変数である理由が分かる。位相は、唯一の中立に安定な方向に対応するので、振幅とは対照的に、非常に弱い外部作用によって制御することができる。振幅に弱い摂動(perturbation)があると、その安定値は緩和することになる。しかし、位相の小さな摂動は成長も減衰もしない。従って、位相では、小さな摂動でも蓄積することができる。
【0069】
図6に戻って、コルピッツ発振器の回路は、分析に使用することができる。このモデルは、3つの力学的要素、C、CおよびLを含んでいる。統計的トランジスタ・モデルは3つの要素しか含まないので、力学系は3次である。この系が非線形性であるのは、トランジスタ624においてVBEとIの関係が非線形であるからである。ここで、I=f(VBE)=Iexp{VBE/mV}である。
【0070】
ベース・エミッタ分岐Ibに流れる電流は、この分岐の電圧VBEの非線形関数である。コレクタ・エミッタ分岐Iに流れる電流は、I=βIの関係に従ってIによって線形に電流制御されるので、Iもまた、非線形的にVBEによって決まる。定数I、mVおよびβは、トランジスタの定数である。コルピッツ発振器の回路網分析から、独立な2つのノード方程式と1つのメッシュ方程式とが得られる。回路網のデバイスの電圧電流関係と合わせると、以下の方程式のセットが得られる。
【0071】
【数21】
Figure 2005507182
【0072】
【数22】
Figure 2005507182
【0073】
【数23】
Figure 2005507182
ここで、Vbe=VC1である。以下の代入によって上記方程式を正規化する。
【0074】
【数24】
Figure 2005507182
送信機については、上述の方程式(1)、(2)および(3)は、次のように書き直すことができる。
【0075】
【数25】
Figure 2005507182
【0076】
【数26】
Figure 2005507182
【0077】
【数27】
Figure 2005507182
受信機については、次のように書き直すことができる。
【0078】
【数28】
Figure 2005507182
【0079】
【数29】
Figure 2005507182
【0080】
【数30】
Figure 2005507182
ここで、結合が指向性であり、1/Rに等しいので、ε21=0である。
【0081】
符号化アルゴリズムの第1の部分910および第2の部分912を、図9の(a)および図9の(b)にそれぞれ示す。第1の部分910では、D/A変換器916と連絡した標準的なシフト・レジスタ914を用いてベルヌーイ・シフト・プロセスを実施し、xk+1=2xmod[1]に相当する信号918を生成する。第2の部分912では、バイナリ・グレイ変換919の結果を、ベルヌーイ・シフト・プロセスによって与えられる参照番号920で表す定義方程式xk+1=2xmod[1]から、参照番号922で表すグレイ・レベル(gray−level)方程式xk+1=1−2|x−0.5|への変換として示す。
【0082】
図10および図11を参照すると、力学解法ソフトウェア(dynamics solver software)を用いた上記の非線形方程式の分析が示してある。図10の場合には、α=2、y=0.0015、ρ=10、x=3×10−2、β=100で、応答930が生じた。図11の場合には、α=2、y=0.001、ρ=10、x=3×10−2、β=100で、応答940が生じた。応答940は、10サイクル後に安定周期軌道が存在することを示している。この系は、安定であり、約10サイクルの後にy−z平面内で安定な固定点に近づく。同期時にはx=x、y=y、z=zである。
【0083】
変調伝送では、タンク回路の両端間にバラクタ・ダイオードが接続されることにより、変調はタンク回路に与えられる。テント写像、ベルヌーイ写像、エノン(Henon)写像、またはベーカ(baker’s)写像の何れかを有する符号化信号をバラクタに与えると、共振周波数が変化し、その結果としてインダクタンスの有効値が変化する。これにより、yの値が若干変化することになり、様々なリミット・サイクル・パターンが生じることになる。αは常に1未満であるので、この系は安定であり、リミット・サイクル(limit cycle)を有することになる。
【0084】
図10および図11のシミュレーション結果は、刺激が異なればリミット・サイクル・パターンも異なることを示しており、この変分特徴を、注入ロック位相検出器を用いた受信機における信号の検出に活用する。本発明のもう1つの特徴は、符号化テント写像を高周波数発振器に適用することにより、ベースバンドではなく無線周波数(RF)でリミット・サイクルが発生することである。符号化波形に課せられる制約により、情報を送信するのに必要な帯域幅が非常に狭くなることが保証される。送信機および受信機は、それぞれ図2および図4に示すブロック図によるものである。
【0085】
このシステム・アーキテクチャでは、本発明の実施形態は、符号化方式、信号処理、およびチャネルを介して情報を送信するために必要な帯域幅を制限するための送信機の諸要素の変調の能力を含んでいる。復調は、位相ロック・ループ(PLL)や周波数変調(FM)弁別器、高利得位相検出器など、様々な方法で行われる。M−ary技術を利用して普及している変調方式のほとんどは、全シンボル時間にわたって変調器を「オン」または「オフ」に保つ。例えば、フェへ−ル氏(Feher)の変調方式や最小位相変調(MSK:Minimum Shift Keying)、レイズド・コサイン(2乗余弦)オフセット直交位相変調(OQPSK:Offset Quadrature Phase Shift Keying)など、ある種の帯域幅効率の良い方式では、変調成分の帯域幅を制限しようとする。使用する波形は周期的であり、明確な境界を有するので、補間技術を適用して受信機に戻った信号を再構成することができる。チャネルを介して情報を送信するために必要な最小帯域幅は、エネルギー/ビットおよびノイズ帯域幅の強い関数(strong function)である。本明細書に開示の例示的なシステムでは、ノイズ帯域幅を縮小し、また強制周波数の特定の振幅において発振器周波数を強制周波数の周波数にモード・ロックすることによって変調を水晶の動作周波数に伝送することができる、写像によって強制される電圧制御型水晶発振器(VCXO)を利用することにより、チャネル容量を最大限に高めるための制限条件を統合する。
【0086】
ビット幅が変化する強制周波数がバラクタに与えられると、遷移点に対応して、ステップ応答が生成される。超階段(hyper−abrupt)バラクタ・ダイオードの電圧に対する周波数の特性が線形であるので、周波数領域におけるベルヌーイ写像に対応するランプが生じる。負に向かうパルスは、局部発振器(LO)のAcos(ωt−ψ)またはAcos(ωt−ψ)の位相シフトを生じる。ψは、π/mで計算され、この特定の場合にはm=9である。通常は、変調信号の位相変化点における摂動は、2から3回の搬送波サイクルの間に定常状態に達する。この符号化プロセスでは、位相変化の周期性は0.44から0.55のビットレートの範囲内で起こることが保証される。局部発振器は、この例示的な実施形態では、10.7MHzになるように選択される。側波帯は、少なくとも55〜60dB低い。発振器の出力は、バラクタの変調点からとられ、バッファされ、半格子フィルタを通されて、送信機において搬送波対ノイズ比を更に改善される。この信号を更に、影像阻止ミキシング(image reject mixing)を用いて、送信に適した帯域に上方変換する。上記の方法は、様々な周波数で使用することができる。第1の局部発振器(LO)の選択は、第1のLOが、変調信号ビット境界間に少なくとも10〜20の搬送波サイクルを有していなければならないという基準に基づいて行う。
【0087】
この系のもう1つの要素は、入って来る非ゼロ復帰(NRZ)ビット・ストリームを可変ビット幅ストリームに変換し、それにより元のNRZ信号のスペクトル特性を変化させる符号化/復号システムである。この符号化の規則は、以下の通りである。
1)0から1への変化がある場合には、×9クロックを8サイクル含むようにビット幅を符号化する。
2)変化がない場合には、9サイクルの×9クロックで符号化する。
3)1から0への遷移がある場合には、×9クロックを10サイクル含むようにビット幅を符号化する。
【0088】
このタイプの写像は、単位周期をそれ自体に写像するものであり、フローを有する非反転写像である。パルス幅を増大および/または減少させて8クロック・サイクル、9クロック・サイクルまたは10クロック・サイクルを含むようにすることは例示的な実施形態である。符号化クロック・サイクルをより多くすることも可能であるが、ゼロ公差検出精度と絡めたマルチパス効果の点でのシステム性能は、符号化クロックおよび/または復号クロックが所定のシステムで有さなければならない最大周波数に影響を及ぼす可能性のある要素となる。
【0089】
符号化波形を接近して観察した場合に、元の非ゼロ復帰(NRZ)波形に1から0への遷移があるか0から1への遷移があるかによって、符号化波形が、ビット境界に関連した位相変化点より後または前に位相変化点を有するという点で、このコード化技術は独特である。元のNRZ波形のレベルに変化がないときには、繰返しビットの場合と同様に、9サイクルの×9クロックに相当する幅が埋め込まれる。この場合はa=0.5であるので、フローはない。受信機側では、遷移はビット当たり1回しか起こらず、受信機における信号の再構成では、隣接するパルス間の周期を利用してNRZ情報を回復する。エンコーダの出力は、電圧制御型水晶発振器(VCXO)上のバラクタに供給される。
【0090】
受信機側では、受信信号は中間周波数(IF)に変換され、位相遷移境界と一致するように90°の位相シフトを与えられる(例えば、送信信号の位相はバラクタにおける周波数領域写像中の積分プロセスによって90°の位相シフトを有する)。中間周波数(IF)は、システムの低コスト設計が容易になるように選択される。その他の実施形態では、入手が容易であることから、6MHz、10.7MHz、21.4MHz、70MHz、140MHzなどのフィルタを使用することができる。「帯域外(out of band)」フーリエ成分を濾波するためには、線形位相帯域フィルタが必要である。このフィルタの出力は、位相変調または周波数変調の形で組み込まれた情報を有する。この信号は、900MHzの周波数帯域に周波数変換される。好ましい実施形態では、送信機の周波数は、902.77MHzになるように選択される。ディジタル副搬送波は10.7MHzである。第2の局部発振器(LO)は892.07MHzになるように選択される。従って、全ディジタル信号送信スペクトルは、約10kHzの帯域幅に収まる。
【0091】
受信機は、892.07MHzのダウン・コンバータを含んでいる。ダウン・コンバータからの出力は10.7MHzである。この信号は、十分に帯域通過フィルタリングされ、リミッタによって増幅された後で処理される。10.7MHzフィルタは、最小群遅延特性を処理しなければならない。使用する狭帯域フィルタは、アマチュア無線で使用され、ズベレブ氏(Zverev)の「フィルタ設計ハンドブック(Filter Design Handbook)」に報告されている半格子フィルタ(semi−lattice filter)に非常によく似ている。位相変化検出器として、送信機のものと同様の可変ビット幅信号を検出および再生するために使用することができるFM弁別器またはPLLが含まれる。信号の時空的特性を利用して明白な検出を行うので、検出器の利得が高くなれば、システムの最大信号検出能力も高くなる。正しく検出するためには、PLLは適当な信号対雑音比を有する必要がある。更に、狭い追従範囲で速い追従(トラッキング)能力を有することは困難である。FM弁別器には、検出器利得がきわめて低いという欠点がある。受信機では適当な振幅および位相の元の信号の自己相似複製が検出に必要なので、上記システムは共に、低い信号対雑音比では動作効率が悪い。
【0092】
これらの欠点に対処するために、図4および図12に示す新しい高速検出器425を提供する。制限部からの信号は、入力レベルの変化に対して出力レベルを一定に保つのに役立つ注入増幅器(injection amplifier)に送られる。注入増幅器は、その追従範囲内の群遅延を最小限に抑えた高速追従フィルタとして働く。更に、注入増幅器からの出力は、2つに分岐される。一方の分岐は高Qタンク回路を有する10.7MHzの発振器に通される。この動作では、実質的に、リミッタから出る信号から全ての変調を除去し、基準信号を形成する。この分岐を、変調除去分岐と呼ぶ。もう一方の分岐は、D型フリップ・フロップまたは排他的オア(EX−OR)ゲートに送られる。排他的オア(EX−OR)ゲートまたはD型フリップ・フロップの出力は、位相変化点を示すことになる。FM弁別器、PLLまたは新しい位相変化検出器のゼロ交差点は、様々な瞬間に発生する一連のパルスであるから、この検出器の出力は、送信された符号化波形と同様に、周期が変化することになる。信号の大部分は送信機および受信機の両方においてフィルタで除去されているので、検出器から出るスパイクのエネルギーは非常に低く、各応答間にその他のスパイクが存在することになる。この問題を軽減するために、ワン・ショット(one shot)を使用する。送信機を変調するために最初に使用したパルス幅は3つであったが、検出器の出力のパルス幅は2つしかない。これは、基本的にパルス検出器が0からπの範囲を有するからである。変調ビット幅が「5」である場合には、信号位相はπを超える可能性がある。この場合には、応答は「4」が起こる位置に折り返される。しかし、両方の幅が同時に起こることはないので、符号間干渉(ISI)の問題は起きない。位相検出用の排他的オア(EX−OR)またはD型フリップ・フロップの代わりに、変調除去分岐から送られた基準信号および注入増幅器から出て比較分岐に向かう信号と共に平衡変調器を使用することができる。中間周波(IF)出力ポートは、明らかに位相変化点を示す。性能を向上させるためには、検出分岐ではノイズを最小限に抑えておかなければならない。この信号は、元の非ゼロ復帰(NRZ)信号を再構成するためのこのビット・ストリームである。モノ・ショット(mono shot)からの位相変化出力は、1つのパルスしか捕捉しない。これはビット幅「4」に相当する。デコーダを刻時することができるように、この信号からクロック信号が生成される。位相変化検出器からのもう1つの出力は、両パルスを捕捉するがそれらの間の全てのスパイクをフィルタ除去するモノ・ショットを介して処理される。選択した信号は、D型フリップ・フロップに送られ、クロック信号で刻時される。このフリップ・フロップの出力が、再生された元のデータ・ストリームとなる。
【0093】
ベースバンド・データ処理方法について、図1に戻ると、外部ソースからのプレーン・データは、最初にブロック符号化され、リード・ソロモン(RS)誤り訂正コードを使用した順方向誤り訂正(FEC)を施される。パケッタイザが、ヘッダおよびその他の冗長ビットをFECブロックに付加して、データ・パケットを形成する。パケット化されたデータは圧縮チャネル符号化を施される。次いで、符号化されたデータが無線周波(RF)回路によって変調され、RFリンクを介して送信される。
【0094】
受信機では、無線周波(RF)リンクを介して受信した符号化データを復調してベースバンド信号にし、デコーダに渡す。復号されたデータはパケット化解除され、FECデータ・ブロックがリード・ソロモン(RS)デコーダ回路に送られる。RSデコーダ回路は、誤りを検査し、訂正する。誤りのない元のプレーン・データ・ストリームは、宛先に送られる。符号化プロセスおよび復号プロセスで行われる各ステップについて、以下で更に述べる。
【0095】
送信機112はFECエンコーダ118を含み、ここで生ユーザ・データはそれぞれ235バイトのブロックにグループ化される。RSコード化(255、235)を各ブロックに適用する。235バイトのブロックでは、20バイトの誤り検査バイトが付加される。パケッタイザ120は、FEC符号化データ・ブロックにヘッダ・ビットおよびトレーラ・ビットを付加し、パケットとして送信する。圧縮エンコーダ122は、一意的な符号化方式を使用して、圧縮のためにデータ・パケットを符号化する。
【0096】
受信機116は圧縮デコーダ124を含み、ここでRF段からの受信されたデータ・ストリームは復号され、元のデータ・パケットが取り出される。デパケッタイザ126は、受信したデータ・パケットからヘッダおよびその他のプリアンブルを除去する。更に、FECデコーダ128は、FECコード化された受信したデータ・ブロックを、誤り訂正のために処理する。
【0097】
符号化方式は、入力データのエッジ遷移に基づいている。符号化データの幅は、入力データの遷移に応じて変化する。データ・ビット・レートの9倍の高いクロックを使用する。このクロックは、CLK_9またはCLK×9と呼ぶ。その結果生じるコードは、入力データの遷移に応じて、CLK_9の幅の8倍、9倍、または10倍という、3つの位相位置を有する。低状態から高状態への遷移は、8クロック周期で表され、高状態から低状態への遷移は10クロック周期で表され、遷移なしは9クロック周期で表される。
【0098】
符号化データは、各入力データ・ビットに対して遷移を有する。これにより、コードは、ベースバンド・スペクトラムが2つの帯域の近傍に集まる2相コード化の利点を実現することができる。更に搬送波抑圧を使用すると、高い帯域幅効率が達成される。更に、出力コード遷移は各ビットの中心にある。これにより、帯域幅効率が改善される。
【0099】
図2および図3を参照して、エンコーダの例示的な実施態様について説明する。奇数分周比では、MP3音源は、動作するためには4.096MHzのクロックを必要とする。本システムでは、18.432MHzの水晶を周波数源として使用する。これにより、4.5の奇数分周比が必要となる。分周は、有限状態機械設計を用いて実施する。基本カウンタは、000から111までカウントする。最上位ビットに対してこのクロックでXORを行い、カウント011から100に遷移する位置に追加エッジを与える。更に、このカウント・シーケンスは、状態マシンを用いて制御する。カウント4をカウント4.5に延ばすと効果的である。
【0100】
入力データ・エッジは、ディジタル技術を用いて検出する。入力データの正のエッジおよび負のエッジをそれぞれ捕捉するために2つのエッジ・トリガ式ラッチを使用する。これらのラッチは、同期して、クロックの立ち上がりエッジで生成される「ラッチ・クリア」信号でクリアされる。このタイプのエッジ検出には2つの利点がある。第1は、従来のエッジ検出とは異なり、外部の抵抗器およびコンデンサを使用せずに済むことである。第2の、より重要な利点は、全ての位相遷移の基準として使用される局所クロックの立ち上がりエッジまで、エッジが可視状態のままであることである。これにより、乱調状態によるエッジの見落としの問題が回避され、直接同期ディジタル設計の実施も可能となる。
【0101】
局所クロックを分周して、符号化に使用するCLK_9クロックを生成する。このクロック生成は、入力データのエッジと同期しており、シーケンス生成器への入力として使用される。2つのシーケンス生成器を使用して、符号化出力を生成する。一方の生成器は5個の1と4個の0とを生成し、もう一方の生成器は4個の1と5個の0とを生成する。このように5と4を選択することにより、各データ・ビットの中心で符号化波形を変化させることが可能になる。
【0102】
乗算器は、入力データの状態に応じて、シーケンス生成器の出力を選択する。乗算器の出力は圧縮符号化データである。エンコーダからの出力は、低域フィルタリングされている。これにより、可変幅パルスがテント写像および反転テント写像に与えられ、次いでこれを使用して10.7MHz副搬送波を変調する。
【0103】
復号は、図4および図5に示すように行う。復号方式は、符号化したデータ入力のエッジおよび幅に基づいて作用する。7ビット・バイナリ・カウンタを2つ使用して入来のデータの幅を測定し、出力データの判定は3つのカウンタに基づいて行う。入力エッジ検出回路は、カウンタの各値を同期させる。可変閾値を用いた軟判定技術を供給して、出力データの状態を判定する。データ・ビット・レートのクロックを局所的に生成して、入力データ・ストリームと同期させる。次いで、この同期クロックで出力データをラッチする。
【0104】
入力データ・エッジは、ディジタル技術を用いて検出する。これは、エンコーダで行うのと同じである。2つのエッジ・トリガ式ラッチを使用して、入力データの正のエッジおよび負のエッジをそれぞれ捕捉する。これらのラッチは、同期して、クロックの立ち上がりエッジで生成される「ラッチ・クリア」信号でクリアされる。
【0105】
18.432MHzの局所水晶クロック生成器は分割されて2つのクロック信号を生成する。CLK_144は、データ・レートの144倍である。これを使用して、データ・サンプリングおよび入力データ幅のカウントを行う。もう一方のクロックは、データ・レートと同じであり、最終データ出力をラッチするために使用する。
【0106】
第1のカウンタ(カウンタ1)を使用して、エンコーダCLK_9クロックからの入力データ幅4に追従する。デコーダでは、CLK_144クロックをカウンタに使用するので、カウント64は、幅4のパルスをカウントする事象を示す。
【0107】
カウンタ1のカウントが64に達すると、64カウント検出器518が、カウンタ2をリセットする。カウンタ2は、自走モードで0から127までをカウントする7ビット・バイナリ・カウンタである。64/80カウント検出器522は、カウンタ2のカウント・シーケンスを制御する。
【0108】
64/80カウント検出器522は、以下のように実施される。検出されたあらゆるエッジにおいて、定数がこのカウンタにロードされる。この定数値は、エッジにおけるカウントに基づいて決定され、以下に示す値のうちの1つにすることができる。即ち、エッジがリセットの64(即ち、8×8)カウント後に生じた場合には、定数値は48(即ち、128−80)である。エッジがリセットの80(即ち10×8)カウント後に生じた場合には、定数値は64(即ち、128−64)である。定数値は、次に入って来る符号化データ・ビットの開始時にカウンタのカウントが0になるように選択される。これを、出力データ遷移生成に使用する。64/80カウント検出器522によって決定された定数は、この回路に記憶され、符号化データの立ち上がりエッジの時にカウンタ2にロードされる。
【0109】
カウンタ2のカウントが0に達したことは、同期回路に記録され、局所生成クロックを同期するために使用される。復号データは、同期クロックでラッチされ、ラッチの出力は最終復号データとなる。
【0110】
このように、本発明は、カオス周波数変調を使用した新しいタイプの安全な同期通信システムを供給する。このシステムの新しい特徴は、有界状態空間領域内に収まるように、波形の起こりうる軌跡の結合した非対称テント写像を生成するようにして情報ビット・ストリームを符号化することである。付随的な利点として、変換は中間RF周波数へのものであるが、カオス摂動全体を非常に狭い帯域幅に収めることができ、従ってシステム中のノイズを低減することができる。ここで使用する技術は、アナログ信号をディジタル領域に符号化して、同じ帯域幅領域内のディジタル信号として処理することを可能にする。受信機側では、同様のアルゴリズム生成器を使用して、受信機を送信機に同期させる。
【0111】
ディジタル信号における非線形カオス・プロセスを損なうことなく、適当な解の近傍間の最大距離について記号力学および符号化を実施することにより、同期のためのシステム・パラメータ調整の柔軟性が得られる。本明細書に開示のシステムは、従来のシステムに優る重要な利点を有する。
【0112】
第1に、このシステムは完全にディジタルである。第2に、カオス・シーケンスは、記号エンコーダに遅延素子(排他的オア(EX−OR))要素を有している必要がある。本符号化シーケンスは、入力ディジタル・ストリームのレベル遷移に依存して、遅延を自動的に考慮にいれる。
【0113】
第3に、カオス同期は、エンコーダが位相摂動を探す高速検出器によって検出することができるコルピッツ発振器の定常カオス・プロセスを変更することにより生じる非対称テント写像により起こる。符号化アルゴリズムは、自動的に同期および情報伝送を可能にする。記号アルゴリズムと非線型カオス生成とを組み合わせることにより、無線周波(RF)テント写像が自動的に生成される。このプロセスは、送信機および受信機の両方における鮮鋭ノイズ削減フィルタを可能にし、優れたノイズ性能をもたらす点で特有のものである。
【0114】
第4に、符号化アルゴリズムの選択により、空間軌道の相対軌道をきわめて精密に制御することができる。これは、記号選択によって参照窓が極端に制限されることを意味する。帯域フィルタがカオス信号を忠実に通過させることができる限り、リヤプノフ指数が確実に負になるようにして受信機において復号を行うことができる。
【0115】
第5に、カオス・システムの従来の開示は、本質的に発散型または広帯域であり、データ転送量も比較的少なかった。本発明によるシステムは、60kHzの帯域幅で1〜2Mbpsの送信が可能である。これは、従来の意味のシャノン限界に束縛されない。コルモゴロフ・シナイの境界をエントロピー関数に適用して、演算理論を説明する。直観的に、これは厳密に制御された制約を有する時空的変調であるから、信号の相関関係のない部分は必要な情報を全くもたず、従ってフィルタで除去することができる。
【0116】
第6に、符号化方法を選択することにより、複雑なメディア・アクセス制御(Media Access Control:MAC)層を生み出すことなく様々な基準とのシームレスなインタフェースをとることが可能である。第7に、記号状態における本明細書に開示の制約は、その結果の変調の必要帯域幅を大幅に減少させる。
【0117】
従って、本発明によるアーキテクチャは、既存のシステムのコストおよび複雑さにおける諸制限に対処するものである。更に、システムの実施形態は、帯域幅制限されたRF帯域において複数の高速ディジタル・サービスを実現することができる。フレキシブルなアーキテクチャにより、任意の無線、テレビジョンまたはセルラ・ステーションは、FCC(Federal Communications Commission)のパワー・スペクトル規格を逸脱することなく、基本送信周波数の片側の別々の副搬送波で別々のディジタル情報を送信することができるようになる。変調プロセスおよび復調プロセスは従来の無線受信機と非常に類似しているので、既存の無線アーキテクチャと一体化することができる。
【0118】
要約すれば、本発明の実施形態は、本質的に安全で、メディア・アクセス制御(MAC)がなく、且つ既存のシステムと容易にインタフェースで接続することができる、複雑さが低くデータ・レートの高い通信システムを供給する。これらの実施形態では、検出のエネルギー利用が全ビット幅のきわめて小さな部分であるタイミング式変調方式を使用するので、マルチパスの影響は最小限に抑えられる。
【0119】
本発明の以上その他の特徴および利点は、当業者なら、本明細書の開示に基づいて容易に確認することができるであろう。本発明の開示は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特定目的プロセッサまたはそれらの組合せの様々な形態で実施することができることを理解されたい。
【0120】
本発明の開示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組合せとして実施することができる。更に、ソフトウェアは、プログラム記憶ユニットで具体的に実施されるアプリケーション・プログラムとして実施されることが好ましい。アプリケーション・プログラムは、任意の適当なアーキテクチャを含む機械にアップロードすることも、それによって実行することもできる。この機械は、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、入力/出力(I/O)インタフェースを有するハードウェアを有するコンピュータ・プラットフォーム上で実施されることが好ましい。このコンピュータ・プラットフォームは、オペレーティング・システムおよびマイクロ命令コードを含むこともできる。本明細書に記載の様々な処理および機能は、CPUによって実行することができる、マイクロ命令コードの一部とすることも、アプリケーション・プログラムの一部とすることも、またはそれらの任意の組合せにすることもできる。更に、追加のデータ記憶装置や出力装置など、様々な周辺機器をコンピュータに接続することもできる。
【0121】
更に、添付の図面に図示したシステムの構成要素および方法の機能ブロックはソフトウェアで実施することができるので、システム構成要素間またはプロセス機能ブロック間の実際の接続は、本発明をプログラムする方法によって異なることを理解されたい。本明細書の開示により、当業者なら、本発明の上記のまたそれと同様の実施態様または構成を企図することができるであろう。
【0122】
本明細書の開示に基づいて当業者なら分かるであろうが、代替の実施形態も可能である。本明細書に与えた本発明の開示により、当業者なら、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、送信機112および受信機116並びにシステム110のその他の要素の様々な代替の構成および実施態様を思いつくであろう。
【0123】
本明細書では、添付の図面を参照しながら例示的な実施形態について述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、当業者なら、本発明の特許請求の範囲または趣旨を逸脱することなく、それらに様々な変更および変更を行うことができることを理解されたい。これら全ての変更および変更は、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】狭帯域カオス周波数位相変調を行うシステムを示すブロック図である。
【図2】図1のシステムによる狭帯域カオス変調送信機を示すブロック図である。
【図3】図1および図2のシステムによるエンコーダを示すブロック図である。
【図4】図1のシステムによる狭帯域カオス通信受信機を示すブロック図である。
【図5】図1および図4のシステムによるデコーダを示すブロック図である。
【図6】図1によるシステムの動作を説明する際に使用する例示的なコルピッツ発振器を示す概略図である。
【図7】図1のシステムと共に使用する非対称テント写像の曲線を示す図である。
【図8】図1のシステムと共に使用する別の非対称テント写像の曲線を示す図である。
【図9】図9の(a)は図1のシステムと共に使用するベルヌーイ・シフト・プロセスであるシフト・レジスタを示す概略図であり、図9の(b)は図1のシステムと共に使用する図9の(a)のシフト・レジスタによる、シフト写像からテント写像への変換を示す関数図である。
【図10】図1のシステムと共に使用するカオス・リミット・サイクルの曲線を示す図である。
【図11】図1のシステムと共に使用するカオス限界サイクルの代替の曲線を示す図である。
【図12】図4のシステムによる高速位相変化検出器を示すブロック図である。
【図13】図1のシステムによる発振器出力の曲線を示す図である。

Claims (70)

  1. 信号を送受信する方法であって、
    カオス周波数位相変調済みのデータおよびカオス位相変調済みのデータを示す信号の少なくとも1つを送信するステップと、
    送信された信号を狭い周波数帯域内で伝搬するステップと、
    カオスの軌道を制御することにより、示されるデータを実質的に劣化させることなく、伝搬された信号を受信するステップとを含む方法。
  2. 前記送信ステップが、
    入力データを供給するステップと、
    供給されたデータを順方向誤り訂正のために符号化するステップと、
    符号化データをパケット化するステップと、
    パケット化したデータを圧縮して変調用の符号化データを供給するステップとを更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記狭い周波数帯域が、約10kHz未満の帯域幅を有する無線周波帯域を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記受信ステップが、
    伝搬された信号が示すデータを圧縮解除するステップと、
    圧縮解除したデータをパケット化解除するステップと、
    パケット化解除したデータを復号して、送信データから実質的に劣化していない出力データを供給するステップとを更に含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記符号化ステップが、周波数位相変調によってコンポジット情報/カオス信号を搬送波信号上に変調して、カオス周波数位相変調済みデータを形成するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
  6. 前記圧縮ステップが、コルピッツ発振器に従ってコンポジット情報/カオス信号を変調して搬送波信号にのせるステップを含む、請求項2に記載の方法。
  7. 前記圧縮ステップが、非対称テント写像に従ってビット間隔をそれ自体に写像するステップを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記非対称テント写像がフローを呈する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記復号ステップが、高速検出によってコンポジット情報/カオス信号を搬送波信号から復調して、送信データを実質的に回復するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
  10. 前記高速検出が位相検出および周波数検出の少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 符号化データが、リード・ソロモン誤り訂正コードで表される、請求項1に記載の方法。
  12. カオス周波数位相変調済みデータを示す信号が、前記送信と前記受信の同期を助けるための非線形写像関数によって駆動されるコルピッツ発振器の非線形動作を用いたカオス生成に応答する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記非線形写像関数が非対称テント写像を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号が、中間周波数信号である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号を伝搬する前にバッファリングするステップ、および
    前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号を伝搬した後でバッファリングするステップの少なくとも一方を更に含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記符号化ステップが、フローを呈する非線形写像関数に従って、周波数位相変調によってカオス信号を導出するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
  17. フローを呈する前記非線形写像関数が非対称テント写像である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記復号ステップが、フローを呈する非線形写像関数に従って、位相比較および周波数比較の少なくとも一方によってカオス信号を導出するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
  19. 前記非線形写像関数が非対称テント写像を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記復号ステップが、
    位相比較および周波数比較の前記少なくとも一方に従って、比較のための送信機写像の正確な複製を生成するステップと、
    訂正用の誤り信号を生成するステップとを更に含む、請求項18に記載の方法。
  21. 前記受信を初期パターンと同期させ、その後、カオスの軌道を制御するためにクロック信号を周期的にリセットするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
  22. 狭帯域カオス周波数位相変調を行うシステム(110)であって、
    入力データを受信する順方向誤り訂正エンコーダ(118)と、
    前記順方向誤り訂正エンコーダに結合されるデータ・パケッタイザ(120)と、
    前記データ・パケッタイザに結合される圧縮エンコーダ(122)と、
    前記圧縮エンコーダと通信する無線周波リンク(114)と、
    前記無線周波リンクと通信する圧縮デコーダ(124)と、
    前記圧縮デコーダに結合されるデータ・デパケッタイザ(126)と、
    カオスの軌道を制御することによって前記入力データを回復するための、前記データ・デパケッタイザに結合される順方向誤り訂正デコーダ(128)とを含むシステム。
  23. 前記順方向誤り訂正エンコーダが、
    高速ビット・ストリーム・データを受信するエンコーダ(214)と、
    前記エンコーダに結合される写像生成器(216)と、
    前記写像生成器に結合される局部発振器(218)と、
    前記局部発振器に結合される中間周波フィルタ(224)と、
    前記中間周波フィルタに結合され、無線周波フィルタ(232)および増幅器の少なくとも一方とを含み、前記少なくとも1つの無線周波フィルタまたHz往復器が搬送波信号に応答する、請求項22に記載のシステム。
  24. 前記エンコーダが、
    入力データを受信するエッジ検出器(316)と、
    クロック信号を受信するための、前記エッジ検出器に結合される少なくとも1つのクロック分周器(312、314)と、
    前記エッジ検出器および前記少なくとも1つのクロック分周器に結合され、少なくとも1つのシーケンス生成器(318、320)と、
    前記少なくとも1つのシーケンス生成器に結合される乗算器(322)とを含む、請求項23に記載のシステム。
  25. 前記順方向誤り訂正デコーダが、
    局部発振器(416)と、
    伝搬信号を受信するための、前記局部発振器に結合される低ノイズ増幅器およびミクサー(414)の少なくとも一方と、
    前記少なくとも1つの低ノイズ増幅器またはミクサーに結合される帯域フィルタ(418)と、
    前記帯域フィルタに結合される中間周波増幅器(420)と、
    前記中間周波増幅器に結合される復調器(422)と、
    前記復調器に結合されるレベル変換器およびフィルタ(424)の少なくとも一方と、
    高速データ・チャネルを駆動するための、前記少なくとも1つのレベル変換器またはフィルタに結合されるデータ・デコーダ(426)とを含む、請求項22に記載のシステム。
  26. 前記帯域フィルタが同調可能である、請求項25に記載のシステム。
  27. 前記データ・デコーダが、
    符号化データを受信するエッジ検出器(512)と、
    前記エッジ検出器に結合される少なくとも1つのカウンタ(516、520)と、
    前記少なくとも1つのカウンタに結合される少なくとも1つのカウント検出器(518、522)と、
    前記少なくとも1つのカウント検出器に結合されるシンクロナイザ(526)と、
    出力データをラッチするための、前記シンクロナイザに結合されるラッチ(528)とを含む、請求項25に記載のシステム。
  28. 前記データ・デコーダが、位相比較器および周波数比較器の少なくとも一方を更に含む、請求項25に記載のシステム。
  29. 信号を送受信するシステムであって、
    カオス周波数位相変調済みデータおよびカオス位相変調済みデータの少なくとも一方を示す信号を送信する手段と、
    送信された信号を狭い周波数帯域内で伝搬する手段と、
    カオスの軌道を制御することにより、示されるデータを実質的に劣化させることなく、伝搬された信号を受信する手段を含むシステム。
  30. 前記送信手段が、
    入力データを供給する手段と、
    供給されたデータを順方向誤り訂正のために符号化する手段と、
    符号化データをパケット化する手段と、
    パケット化したデータを圧縮して変調用の符号化データを供給する手段とを更に含む、請求項29に記載のシステム。
  31. 前記狭い周波数帯域が、約10kHz未満の帯域幅を有する無線周波帯域を含む、請求項29に記載のシステム。
  32. 前記受信手段が、
    伝搬された信号が示すデータを圧縮解除する手段と、
    圧縮解除したデータをパケット化解除する手段と、
    パケット化解除したデータを復号して、送信データから実質的に劣化していない出力データを供給する手段とを更に含む、請求項29に記載のシステム。
  33. 前記符号化手段が、周波数位相変調によってコンポジット情報/カオス信号を搬送波信号上に変調して、カオス周波数位相変調済みデータを形成する手段を更に含む、請求項30に記載のシステム。
  34. 前記圧縮手段が、コルピッツ発振器に従ってコンポジット情報/カオス信号を変調して搬送波信号にのせる手段を更に含む、請求項30に記載のシステム。
  35. 前記圧縮手段が、非対称テント写像に従ってビット間隔をそれ自体に写像する手段を含む、請求項34に記載のシステム。
  36. 前記非対称テント写像がフローを呈する、請求項35に記載のシステム。
  37. 前記復号手段が、高速検出手段によってコンポジット情報/カオス信号を搬送波信号から復調して、送信データを実質的に回復する手段を更に含む、請求項32に記載のシステム。
  38. 前記高速検出手段が、位相検出および周波数検出の少なくとも一方の手段を含む、請求項37に記載のシステム。
  39. 符号化データをリード・ソロモン誤り訂正コードで表す手段を更に含む、請求項29に記載のシステム。
  40. 前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号が、前記送信手段と前記受信手段の同期を助けるための非線形写像手段によって駆動されるコルピッツ発振器の非線形動作を用いたカオス生成に応答する、請求項29に記載のシステム。
  41. 前記非線形写像手段が非対称テント写像を定義する手段を含む、請求項40に記載のシステム。
  42. 前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号が、中間周波数信号である、請求項29に記載のシステム。
  43. 前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号を伝搬する前にバッファリングする手段、および
    前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号を伝搬した後でバッファリングする手段の少なくとも一方を更に含む、請求項29に記載のシステム。
  44. 前記符号化手段が、フローを呈する非線形写像手段に従って、周波数位相変調によってカオス信号を導出する手段を更に含む、請求項30に記載のシステム。
  45. フローを呈する前記非線形写像手段が非対称テント写像を定義する手段を含む、請求項44に記載のシステム。
  46. 前記復号手段が、フローを呈する非線形写像手段に従って、位相比較および周波数比較の少なくとも一方によってカオス信号を導出する手段を含む、請求項32に記載のシステム。
  47. 前記非線形写像手段が非対称テント写像を定義する手段を含む、請求項46に記載のシステム。
  48. 前記復号手段が、
    前記位相比較および周波数比較の少なくとも一方の手段に従って、比較のための送信機写像の正確な複製を生成する手段と、
    訂正用の誤り信号を生成する手段とを更に含む、請求項46に記載のシステム。
  49. 前記受信手段を初期パターンと同期させる手段と、
    カオスの軌道を制御するためにクロック信号を周期的にリセットする手段とを更に含む、請求項29に記載のシステム。
  50. 機械により実行可能な命令のプログラムを実施して信号の送受信のための方法ステップを実行する機械によって可読なプログラム記憶装置であって、前記方法ステップが、
    カオス周波数位相変調済みデータおよびカオス位相変調済みデータの少なくとも一方を示す信号を送信するステップと、
    送信された信号を狭い周波数帯域内で伝搬するステップと、
    カオスの軌道を制御することにより、示されるデータを実質的に劣化させることなく、伝搬された信号を受信するステップとを含む、プログラム記憶装置。
  51. 前記送信ステップが、
    入力データを供給するステップと、
    供給されたデータを順方向誤り訂正のために符号化するステップと、
    符号化データをパケット化するステップと、
    パケット化したデータを圧縮して変調用の符号化データを供給するステップとを更に含む、請求項50に記載のプログラム記憶装置。
  52. 前記狭い周波数帯域が、約10kHz未満の帯域幅を有する無線周波帯域を含む、請求項50に記載のプログラム記憶装置。
  53. 前記受信ステップが、
    伝搬された信号が示すデータを圧縮解除するステップと、
    圧縮解除したデータをパケット化解除するステップと、
    パケット化解除したデータを復号して、送信データから実質的に劣化していない出力データを供給するステップとを更に含む、請求項50に記載のプログラム記憶装置。
  54. 前記符号化ステップが、周波数位相変調によってコンポジット情報/カオス信号を搬送波信号上に変調して、カオス周波数位相変調済みデータを形成するステップを更に含む、請求項51に記載のプログラム記憶装置。
  55. 前記圧縮ステップが、コルピッツ発振器に従ってコンポジット情報/カオス信号を変調して搬送波信号にのせるステップを含む、請求項51に記載のプログラム記憶装置。
  56. 前記圧縮ステップが、非対称テント写像に従ってビット間隔をそれ自体に写像するステップを含む、請求項55に記載のプログラム記憶装置。
  57. 非対称テント写像がフローを呈する、請求項56に記載のプログラム記憶装置。
  58. 前記復号ステップが、高速検出によってコンポジット情報/カオス信号を搬送波信号から復調して、送信データを実質的に回復するステップを更に含む、請求項53に記載のプログラム記憶装置。
  59. 前記高速検出ステップが、位相検出および周波数検出の少なくとも一方を行うステップを含む、請求項58に記載のプログラム記憶装置。
  60. 符号化データが、リード・ソロモン誤り訂正コードで表される、請求項50に記載のプログラム記憶装置。
  61. 前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号が、前記送信ステップと前記受信ステップの同期を助けるための非線形写像関数によって駆動されるコルピッツ発振器の非線形動作を用いたカオス生成に応答する、請求項50に記載のプログラム記憶装置。
  62. 前記非線形写像関数が非対称テント写像を含む、請求項61に記載のプログラム記憶装置。
  63. 前記カオス2相位相変調済みデータを示す信号が、中間周波数信号である、請求項50に記載のプログラム記憶装置。
  64. 前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号の伝搬前のバッファリング、および
    前記カオス周波数位相変調済みデータを示す信号の伝搬後のバッファリングの少なくとも一方を行うステップを更に含む、請求項50に記載のプログラム記憶装置。
  65. 前記符号化ステップが、フローを呈する非線形写像関数に従って、周波数位相変調によってカオス信号を導出するステップを更に含む、請求項51に記載のプログラム記憶装置。
  66. フローを呈する前記非線形写像関数が非対称テント写像である、請求項65に記載のプログラム記憶装置。
  67. 前記復号ステップが、フローを呈する非線形写像関数に従って、位相比較および周波数比較の少なくとも一方によってカオス信号を導出するステップを更に含む、請求項53に記載のプログラム記憶装置。
  68. 非線形写像関数が非対称テント写像を含む、請求項67に記載のプログラム記憶装置。
  69. 前記復号ステップが、
    前記位相比較および周波数比較の少なくとも一方を行うステップに従って、比較のための送信機写像の正確な複製を生成するステップと、
    訂正用の誤り信号を生成するステップとを更に含む、請求項67に記載のプログラム記憶装置。
  70. 前記受信ステップを初期パターンと同期させるステップと、
    カオスの軌道を制御するためにクロック信号を周期的にリセットするステップとを更に含む、請求項50に記載のプログラム記憶装置。
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