JP2005507013A

JP2005507013A - 石油留出物の粘度の変更

Info

Publication number: JP2005507013A
Application number: JP2003537798A
Authority: JP
Inventors: ムーディクリフ、ティモシー、アイ．
Original assignee: エス．シー．ジョンソンアンドサン、インコーポレイテッド
Priority date: 2001-10-22
Filing date: 2002-10-22
Publication date: 2005-03-10
Also published as: WO2003035243A2; KR100612898B1; TWI290168B; EP1439903A2; MXPA04003785A; CA2464120A1; CN1610578A; AR036923A1; CN1321733C; BR0213460A; KR20040065210A; US20030083209A1; WO2003035243A3; AU2002348377B2

Abstract

鉱油製品の粘度を高める方法であって、粘度を高めた鉱油製品はずり流動化を示し、非加圧噴霧機構によって表面に塗布可能になる。石油留出物に添加される増粘剤は、トリブロックコポリマーと炭化水素油との混合物、及びN−ラウロイルグルタミン酸ジ−ｎ−ブチルアミドから成る群から選択される揺変性増粘剤で構成される。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、粘度が変更され、且つスプレーボトル又はポンプ装置によってスプレーとして放出されるのに適した剪断特性を有する、石油留出物製品を調製する方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
石油留出物製品は、ベビーオイルや家具磨き剤等の一般的な家庭用製品を含む多数の製品において、ビヒクルや溶媒等の他の薬品と組み合わせて用いられることが知られているが、また、摂取又は吸入された場合には非常に危険な特性を有することも知られている。一般的に、石油留出物の毒性は材料の粘度に間接的に比例しており、粘度が高い製品ほど毒性が低いと考えられている。３０〜３５ＳＵＳ（Saybolt Universal Seconds）の範囲又はそれ以下の粘度を有する製品は、非常に高い吸入危険性を示し、家具磨き剤に見られる鉱油、ミネラルスピリット、ナフタレン、及び菜種油や堅果油等の植物油等の物質を含む。たとえ少量の低粘度材料であっても、吸入された場合には、肺のかなりの部分を巻き込んで、薬品による肺炎（pneumoritis）を生じ得る。石油留出物の経口摂取は、しばしば、粘膜の刺激、嘔吐及び中枢神経系の抑制といった症状を伴う。
【０００３】
従って、石油留出物系の家具磨き剤等の製品には、例えば、現在、１０パーセントを超える石油留出物を含む非乳化液体家具磨き製品は、原則的にトリガ式噴霧器に入れた状態では合法的に販売できないといった、制限が設けられている。消費者は、クリーニング組成物等の液体をトリガ式噴霧器又はポンプ式ボトルを用いて塗布することを好むことが知られているので、消費者は、スプレーボトルに入った家具磨き剤、クリーニングオイル等の家庭用製品を含む石油留出物を歓迎すると予想できよう。しかし、今日まで、噴霧塗布用の石油留出物組成物が華氏１００度で１００ＳＵＳを超える粘度を示すことを実際上要求する、消費者製品安全委員会（Consumer Product Safety Comission：以下ＣＰＳＣ）の要件（１６ＣＦＲ１７００．１４（ａ）（２））を満たすような製品は入手可能ではない。更に、ＣＰＳＣは最近、ほとんどの油性の家庭用製品に対して、対小児安全包装（child-resistant packaging）を要求する規制を承認した。この新たに承認されたＣＰＳＣの規則は、自由流動性であって、飲み込んだ際に吸入又は吸引の可能性がある、少なくとも１０重量パーセントの炭化水素を含む粘度の低い水状の製品に適用されるものである。より濃くて粘度の高い液体は吸入されにくいので、これらの要求は、そのような液体には適用されないことは明らかである。
【０００４】
スラッシャー（Thrasher）の米国特許第５，３４２，４３６号（特許文献１）は、密閉剤及び保護仕上剤として木材又は他の表面に局所的に塗布するための液相組成物を教示している。この組成物は、鉱油及び増量剤中に分散されたパラフィンワックス及び様々なオプションの添加剤を含む。クリーム状の形態にするために、揮発性低粘度シリコーン等の増粘剤及び可溶化剤を添加してもよい。この組成物は、バフ磨きをほとんど又は全く必要としない家具磨き剤として、木材に塗布され得る。この組成物は明らかに粘度が高められており、スポンジ、ブラシ等で広げることによって表面に塗布される。
【０００５】
カスプルザーク（Kasprzak）の米国特許第４，２１８，２５０号（特許文献２）は、ワックス及び／又は研磨剤並びに、溶媒、界面活性剤、増粘剤、耐洗剤添加剤、着色剤、付臭剤及び他の従来の磨き剤成分から成る群の少なくとも１つの部材を含み、これにシクロジメチルシロキサン液、コポリマー及び水が添加される、磨き剤の製剤を教示している。このような磨き剤製剤で一般的に用いられるものとして示されている増粘剤は、大豆レシチン及びメチルセルロースである。得られた改良された磨き剤は３０〜９５パーセントの水を含み、乾いた布で塗布位置に擦りつけることにより塗布可能な粘度の高い非流動性のペースト状磨き剤組成物か、又は、エアゾール磨き剤組成物としてのものであった。従って、この特許の増粘剤は、この製剤の水成分の粘度を高めるのに有効である。
【０００６】
ウォントリング（Wantling）は米国特許第６，０６６，２０１号（特許文献３）において、ワックス、乳化剤及びナフテン油を含む、揺変性ワックス乳液組成物を教示している。このような組成物は、ポンプを介するなどして剪断された際には流動し、剪断が中断された際には元の状態に戻る、即ち粘度が高まる液体を含む。華氏１００度で４０〜５０００ＳＵＳの粘度を有するナフテン油が好ましい。この特許の組成物は変性されたスラックワックス乳液を含むが、任意の適切な炭化水素ワックスが用いられてよい。一般的なワックスは、５０パーセントを超えるスラックワックス及び４０パーセントを超える水を含み、残りはナフテン油、湿潤剤、石鹸系及び他の制御添加剤である。この組成物は揺変性であるが、この材料をトリガ式スプレーボトルによって塗布可能であるという教示はなく、実際には、この特許はこのような塗布方法とは一致しない使用法を示している。ここでも、この特許の増粘剤は、水中油乳液環境、ワックス乳液において有効である。
【特許文献１】
米国特許第５，３４２，４３６号明細書
【特許文献２】
米国特許第４，２１８，２５０号明細書
【特許文献３】
米国特許第６，０６６，２０１号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
今日まで、トリガ式噴霧手段又はポンプ式噴霧手段によって放出され得ると共に、無水の非乳化製剤であって、ＣＰＳＣの最低粘度要件を超える、石油留出物系の家庭用製品は入手可能ではない。従って、トリガ式スプレーボトルによって安全に放出され得るように、石油留出物の粘度を高める手段を提供することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上述の目標及び他の目標を達成するために、本発明は、表面への噴霧塗布用の液相石油留出物製品を提供する。この石油留出物液体組成物の静止時の粘度は、華氏１００度の温度において１００ＳＵＳを超える。この組成物は、揺変性のずり流動化（shear-thinning）増粘剤を用いて、静止時の粘度が高くなる液体を設ける。「ずり流動化」とは、剪断下では組成物の粘度が低くなることであり、従って、噴霧された際にノズルを通過して霧を形成し得る。この組成物がずり流動化しなければ、粘度が高くなった石油留出物は、トリガ式噴霧塗布器等のノズルを通過して霧又はスプレーを形成することができない。この液体は、噴霧後に剪断が除去されると、噴霧された表面に接触する前に粘度が高くなる。本発明は、このように変性された石油留出物製品を提供することにより、家具磨き剤等の製品にしばしば用いられる、鉱油やミネラルスピリットを含むもの等の、従来の石油留出物系製品に固有の複数の問題を克服する。この性質の従来の石油留出物製品は、低い粘度に起因して垂直面を流れ落ちる傾向があり、塗り広げることをより困難にする。更に重要なのは、このような低粘度の石油留出物製品は、もし飲み込んだ場合に有害なことである。しかし、本発明の変性された製品は、垂直面をよりゆっくりと流れ落ちると共に、たとえ人の喉の奥に向けて噴霧されたとしても、そこに接触する前に粘稠化する。更に、最も粘度が低い鉱油は、放出された際に霧よりも流れを形成し得るので、非加圧容器からスプレーとして放出するのが困難であるが、本発明の粘稠化された鉱油は、トリガ式噴霧機構又はポンプ式ディスペンサ機構を介して放出されると、霧又はスプレーを形成する。この揺変性粘稠化組成物に剪断力を加えると、組成物の粘度が下がってより適切な粘度になり、トリガ式噴霧器又はポンプ式ディスペンサのノズルを通過可能になる。噴霧ノズルの通過後、組成物は再び粘稠化して、より粘度の高い液体になる。低粘度の石油留出物に、有効量のずり流動化揺変性増粘剤を添加することを含む本発明の方法は、家具用オイル、家具磨き剤及び家具クリーナー、ベビーオイル、日焼け止め剤、マニュキュア乾燥剤、ヘアーオイル、バスオイル、ボディオイル及びマッサージオイル、化粧落とし剤、ガソリン添加剤、燃料噴射クリーナー及びキャブレタークリーナー等の幾つかの自動車用薬品、洗浄用溶剤、ミネラルスピリットを含む撥水剤、一般的な家庭用オイル、灯油を含む銃の手入れ用の溶剤等の、家庭用製品における使用に適した石油留出物に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明は、一般的に華氏１００度において約５０ＳＵＳ程度の粘度を有する石油留出物組成物に、揺変性増粘剤を添加することを含む。石油留出物製品の例には、上述したような家庭用製品に一般的に用いられる油が含まれ、特に華氏１００度において１３０ＳＵＳ未満の粘度を有する鉱油、より好ましくは華氏１００度において１００ＳＵＳ未満の粘度を有する鉱油が含まれる。
【００１０】
この点に関して有用であることがわかった増粘剤は、石油留出物にずり流動化属性を与える増粘剤を含み、無水であることが必須である。従って、理論的には、そのような増粘剤は、水相が油相中に完全にカプセル封入された油中水乳液でも有効であり得るが、本発明を、石油留出物を用いた水中油乳液または油中水乳液で用いることは意図されない。
【００１１】
非常に限られた数のこのような増粘剤が、本発明で有用であることがわかった。このような揺変性増粘剤の１つは、ペンレコ社（Penreco）から入手可能な、バーサゲル（Versagel）^TMＭ１６００という、鉱油／クラトン（Kraton）(R)ブロックコポリマー組成物である。クラトン(R)は、シェル・ケミカル・カンパニー（Shell Chemical Company）より市販されている熱可塑性ゴムタイプのポリマーである。米国特許第５，８７９，６９４号（参照して本明細書に組み込む）に記載されているように、この油／コポリマー材料は、過去においてはゲル状ロウソクの製造に用いられていたが、現在では、無水状態で石油留出物と混合された場合に、揺変性増粘剤として作用することがわかっている。このようなブロックコポリマーは、パラフィン油、ナフテン油、天然鉱油等の炭化水素油、特にホワイト油と混合され、非水性石油留出物製品で用いるのに好ましいずり流動化揺変性増粘剤を構成する。
【００１２】
もう１つの適切な増粘剤は、Ｎ−ラウロイルグルタミン酸ジ−ｎ−ブチルアミドであることがわかった。鉱油の粘度を高める１つの試みでは、この増粘剤を添加すると、華氏１００度において粘度が２０００ＳＵＳになったが、鉱油は噴霧可能であった。
【００１３】
このような揺変性増粘剤は、非常に少量の添加で、石油留出物の粘度を急速に増加させるので、非常に節約して用いられてもよい。例えば、５０ＳＵＳの粘度を有する鉱油に、バーサゲル^TMＭ１６００を９．００パーセント添加すると、１８０ＳＵＳの粘度を有する増粘された組成物を急速に生じる。過剰な増粘剤を添加すると、たとえずり流動性があっても噴霧するには粘度が高すぎる組成物を生じる場合もあり得る。任意の特定の石油留出物に対して適切な揺変性増粘剤を慎重に選択することにより、静止時には依然として高い粘度を保ちつつトリガ式噴霧機構によって表面に塗布できるように、選択された石油留出物の粘度を高めることができ、ＣＰＳＣが要求する特別な包装を必要とせずに従来の容器に包装できるであろう。本発明の目的のために、粘度を高めた石油留出物製品には、約０．１〜約１５重量パーセントの増粘剤が存在することが示唆される。増粘剤は、好ましくは約０．２〜約１２重量パーセント、より好ましくは約０．２〜約９パーセントの量で存在すべきである。
【実施例】
【００１４】
例１
５０ＳＵＳの粘度を有する鉱油と香料とを含む混合液に、Ｎ−ラウロイルグルタミン酸ジ−ｎ−ブチルアミドを含む１．０重量パーセントの揺変性増粘剤を添加した。得られた混合液は、室温において１９００ｃＰｓの粘度を示した。次に、この混合液をトリガ式スプレーボトルに入れ、トリガーを作動させることによりノズルを通して放出した。この組成物は細かい霧として放出された。揺変性増粘剤を含まない、鉱油と香料との初期混合液を、トリガ式噴霧ディスペンサを有する同様の容器に入れた。ディスペンサのトリガー作用を受けて放出された液体は、スプレーや霧ではなく液流であった。
【００１５】
例２
以下の表Ａに示した処方に従って、家具磨き剤組成物を調整した。組成物の粘度を測定し、華氏１１０度において１１０ＳＵＳであることがわかった。この家具磨き剤組成物を、トリガ式噴霧機構及びノズルを有するスプレーボトルに入れ、テーブルの表面に噴霧した。磨き剤は細かい霧状に付着し、容易に広がって均一なコーティングを形成し、乾燥すると高い光沢を有する仕上がりとなった。少量の磨き剤を表面に噴霧し、回収して評価たところ、直ちに噴霧前の粘度に戻ることがわかった。逆に、実施例の揺変性増粘剤を含まない、華氏１００度において６０ＳＵＳの粘度を有するテスト用油は、同じトリガ式噴霧機構及びノズルを介してスプレーとして放出することができなかった。
【００１６】
【表１】

【産業上の利用可能性】
【００１７】
本発明は、噴霧機構による塗布が可能な、家具用オイルやベビーオイル等の石油留出物系の家庭用製品の粘度の変更を提供する。石油留出物系製品に適切な揺変性増粘剤を添加することにより、従来の噴霧装置及び噴霧機構により表面に噴霧可能な、粘度を高めた液体を設けることができる。

Claims

石油留出物にずり流動化揺変性増粘剤を添加することを含む、石油留出物の粘度を高める方法。
前記揺変性増粘剤が、約２パーセント〜約３０パーセントのトリブロックコポリマーと約７０パーセント〜約９８パーセントの炭化水素油との混合物、及びN−ラウロイルグルタミン酸ジ−ｎ−ブチルアミドから成る群から選択される、請求項１に記載の方法。
前記揺変性増粘剤がトリブロックコポリマーを含み、前記増粘剤が前記組成物の約０．１〜約１５重量パーセントを構成する、請求項２に記載の方法。
前記揺変性増粘剤がジブロックコポリマーを更に含む、請求項３に記載の方法。
前記石油留出物の初期粘度が華氏１００度において約１３０ＳＵＳ未満である、請求項３に記載の方法。
前記石油留出物が、鉱油類、ミネラルスピリット類、ナフタレン及び植物油類から成る群から選択される、請求項２に記載の方法。
鉱油に有効量のずり流動化揺変性増粘剤を添加することを含む、鉱油の粘度を高める方法。
前記揺変性増粘剤が、約２パーセント〜約３０パーセントのトリブロックコポリマーと約７０パーセント〜約９８パーセントの炭化水素油の混合物、及びN−ラウロイルグルタミン酸ジ−ｎ−ブチルアミドから成る群から選択される、請求項７に記載の方法。
前記揺変性増粘剤がトリブロックコポリマーを含む、請求項８に記載の方法。
前記揺変性増粘剤がジブロックコポリマーを更に含む、請求項９に記載の方法。
前記石油留出物の粘度が華氏１００度において約１３０ＳＵＳ未満である、請求項８に記載の方法。
前記石油留出物が、鉱油類、ミネラルスピリット類、ナフタレン及び植物油類から成る群から選択される、請求項８に記載の方法。
石油留出物とずり流動化揺変性増粘剤とを含む、噴射機構を介して放出されるのに適した非水性石油留出物製品。
前記揺変性増粘剤が、約２パーセント〜約３０パーセントのトリブロックコポリマーと約７０パーセント〜約９８パーセントの炭化水素油の混合物、及びN−ラウロイルグルタミン酸ジ−ｎ−ブチルアミドから成る群から選択される、請求項１３に記載の製品。
前記揺変性増粘剤が、前記組成物の約０．２〜約１２重量パーセントの量で存在する、請求項１４に記載の製品。
前記石油留出物が、鉱油類、ミネラルスピリット類、ナフタレン及び植物油類から成る群から選択される、請求項１５に記載の製品。
前記石油留出物が鉱油である、請求項１６に記載の製品。
家具用オイル、家具磨き剤及び家具クリーナー、ベビーオイル、日焼け止め剤、マニュキュア乾燥剤、ヘアーオイル、バスオイル、ボディオイル、マッサージオイル、化粧品除去剤、ガソリン添加剤、燃料噴射クリーナー、キャブレタークリーナー、洗浄用溶剤、撥水剤、及び一般的な家庭用オイルから成る群から選択される、請求項１６に記載の製品。
前記石油留出物が鉱油であり、前記揺変性増粘剤が約２パーセント〜約３０パーセントのトリブロックコポリマーと約７０パーセント〜約９８パーセントの炭化水素油とを含む、家具用オイルを含む、請求項１８に記載の製品。
前記増粘剤が前記製品の約０．２〜約９パーセントを構成する、請求項１９に記載の製品。