JP2005506086A - トロンビン切断性キメラタンパク質 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、トロンビン切断性キメラタンパク質、特に、ヒトプロテインCおよびヒト第X因子由来のタンパク質、ならびにその治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインC(以下、PCとして示す)は、「抗凝固経路」と名付けられた凝固を調節する主要な機構に必須の因子である。活性型PC(活性化プロテインC、以下、PCaとして示す)は、別のコファクター(プロテインS)と会合した場合、トロンビンの大量産生に必須の凝固カスケードの2つの因子(第Va因子および第VIIIa因子)を分解する、セリンプロテアーゼである。これらの因子の破壊は、形成されるトロンビンの量をネガティブに調節し、抗凝固効果を生じる。第X因子(以下に、FXとして示す)は、凝固カスケードの必須の因子である。活性化型のFX(活性化第X因子、以下、FXaとして示す)は、そのコファクター(凝固因子Va)と結合してプロトロンビンをトロンビンに活性化できる唯一のセリンプロテアーゼである。
【0003】
PCは、肝臓において合成される62000Daの糖タンパク質である。それが、血漿へと分泌される前に、そのポリペプチド鎖は、いくつかの翻訳後成熟を受けて、機能的プロ酵素になる。これらの成熟は、プレペプチドおよびプロペプチドの切断、アミノ末端領域の最初の9個のグルタミン酸のγ−カルボキシル化、71位のアスパラギン酸のβ−ヒドロキシル化、その配列に沿って分布する4残基のグリコシル化およびLys156−Arg157ダブレットの切り出しを含み、これにより、その(アミノ末端)軽鎖および(カルボキシ末端)重鎖を分離し、そしてPCの成熟形態を生じる。肝細胞による成熟の間のLys156−Arg157ダブレットの不完全な切り出しに起因して、血漿PCの10〜20%が、一本鎖形態のままである。しかし、主要な血漿形態は、ジスルフィド架橋により連結された2本のポリペプチド鎖から構成される。21000Daの軽鎖は、155アミノ酸からなり、これは、γ−カルボキシグルタミン酸を保有する小ドメインを含み、この後に、2つの上皮増殖因子(EGF)型ドメインが続く。41000Daの重鎖は、262アミノ酸から構成され、セリンプロテアーゼファミリーのSAクラスに分類される将来の触媒ドメインを表す(SHENおよびDAHLBACK、Handbook of proteolytic enzymes: Protein C.Barrett,A.J.、Rawlings,N.D.、Woessner J.F.編、Academic Press、Orlando、FL.1998)。
【0004】
FXは、肝臓において合成される59000Daの糖タンパク質である。それが血漿に分泌される前に、そのポリペプチド鎖は、いくつかの翻訳後成熟を受けて、機能的プロ酵素になる。これらの成熟は、プレペプチドおよびプロペプチドの切断、アミノ末端領域の最初の11個のグルタミン酸のγ−カルボキシル化、103位のアスパラギン酸のβ−ヒドロキシル化、少なくとも5残基(活性化ペプチド上の4つを含む)のグリコシル化およびArg180−Lys181−Arg182トリペプチドの切り出しを含む。PCとは異なり、血漿中で循環する、実質的に全ての成熟FXが、二本鎖形態であり、これらの鎖は、ジスルフィド架橋により連結されている。16900Daの軽鎖は、139アミノ酸から構成され、γ−カルボキシグルタミン酸を保有する小ドメインを含み、その後に、2つのEGFドメインが続く。42100Daの重鎖は、306アミノ酸から構成され、セリンプロテアーゼファミリーのSAクラスに分類される将来の触媒ドメインを表す(STENFLO、Handbook of proteolytic enzymes: Factor X.Barrett,A.J.、Rawlings,N.D.、Woessner J.F.編、Academic Press、Orlando、FL.1998)。
【0005】
ほとんどのセリンプロテアーゼ前駆体のように、PCおよびFXは、触媒活性を欠損するチモーゲンである。その活性化は、これらの重鎖のタンパク質分解性切断の結果である。PCにおいて、この切断は、重鎖のN末端で生じ、12アミノ酸「活性化」ペプチドを放出する。FXにおいて、この切断は、Arg234残基とIle235残基との間で生じ、また、52アミノ酸の「活性化」ペプチドを放出する。
【0006】
成熟形態のPCの重鎖および軽鎖のポリペプチド配列は、配列番号1の下で、図1および添付の配列表に表される。PCの主要な領域が、図1の配列上に示される。重鎖には、下線が付されている。Lys156−Arg157ダブレットが、太字で表される。活性化ペプチドが、ボックスで囲まれている。
【0007】
成熟形態のFXの重鎖および軽鎖のポリペプチド配列が、図2および配列番号23の下で添付の配列表に表される。FXの主要な領域が、図2の配列上に示される。重鎖に下線が付される。Arg180−Lys181−Arg182トリプレットが、太字で表される。活性化ペプチドが、ボックスで囲まれている。
【0008】
PCの配列に対してアミノ酸配列を位置付けるために、種々のナンバリングシステム、特に、以下のものが用いられ得る:
PCのcDNAから推定される配列を参照したナンバリングシステム(BECKMANら、Nucleic Acid Res.、13、5233−5247、1995);このナンバリングは、図1において、そのペプチド配列の下に示されている;
キモトリプシンの触媒ドメインの残基のナンバリングを参照した、PCの重鎖の残基のナンバリングシステム(MATHERSら、EMBO J.、15、6822−6831、1996)。このナンバリング(一般的に、セリンプロテアーゼについて用いられる)は、これらの酵素の間に存在する、トポロジーの類似性に基づき、これは、これらの酵素の比較を非常に容易にする。このナンバリングは、cDNA配列を参照したナンバリングの下に、図1に斜体で表される。
【0009】
FXの配列に対してアミノ酸残基を位置付けるために、これらの種々のナンバリングシステム、特に以下のもの、もまた用いられ得る:
FXのcDNAから推定される配列を参照したナンバリングシステム(MESSIERら、Gene、99、291−294、1991);このナンバリングは、図2において、ペプチドの配列の下に表される;
キモトリプシンの触媒ドメインの残基のナンバリングを参照した、FXの重鎖の残基のナンバリングシステム(PADMANABHANら、J.Mol.Biol.、232、1−20、1993)。このナンバリングは、cDNA配列を参照したナンバリングの下に、図2に斜体で表される。
【0010】
例えば、ナンバリングが成熟形態のPCを参照してなされる場合、PCaに生じるタンパク質分解性切断部位の境をなすArg残基およびLeu残基は、Arg169位およびLeu170位により同定され;このナンバリングが、キモトリプシンの触媒ドメインを参照してなされる場合、これらの同じ残基は、Arg15位およびLeu16位により同定される。同様に、このナンバリングが、成熟形態のFXを参照してなされる場合、FXaに生じるタンパク質分解性切断部位の境をなすArg残基およびIle残基が、Arg234位およびIle235位により同定され;このナンバリングがキモトリプシンの触媒ドメインを参照してなされる場合、これらの同じ残基は、Arg15位およびIle16位により同定される。
【0011】
別の一般的なナンバリングシステムもまた、このタンパク質分解性切断部位を言及するために用いられる。アミノ酸の位置が、その切断部位から増加する順番で与えられる。この部位の上流の位置が、Pにより同定され、そしてこの部位の下流の位置がP’により同定される。したがって、PCの場合、P12は、活性化ペプチドのN末端アミノ酸(切断部位からもっとも遠い)を表し、そしてP1は、活性化ペプチドのC末端アミノ酸を表し;P1’は、PCaのN末端アミノ酸を表す。
【0012】
PCの活性化は、それが血管内皮に存在する膜結合コファクター(トロンボモジュリン)と複合体化したトロンビンにより切断されることの結果である。トロンボモジュリンの非存在下で、トロンビンによるPCの活性化は、約1000倍遅く、そして無視できる量のPCaしか産生しない。
【0013】
血管の断面を考慮すると、容量当りに灌注するトロンボモジュリン分子の量は、微小循環系において、大口径の血管よりも多い。この結果、トロンビンの存在下で、PCaの産生は、微小循環系において迅速であるが、大口径の血管において遅い。従って、抗凝固経路の生理学的役割は、微小循環系に限定される。
【0014】
抗凝固経路の重要性は、この系に関与するタンパク質における遺伝的または後天性の欠乏症の重篤さにより裏付けられ;PCもしくはプロテインSにおける欠乏またはPCaによる不活化に対する第Va因子の耐性が、血栓性アクシデントの30%より多くにおいて同定されている(AIACHら、Seminars in Haematology、34、205−217、1997)。PC遺伝子が不活化されているか(JALBERTら、J.Clin.Invest.102(8)、1481−1488、1998)またはトロンボモジュリン遺伝子が機能しない(WEILER−GUETTLERら、J.Clin.Invest.、101、1983−1991、1998)トランスジェニックマウスは、種々の器官において、特に、フィブリン沈着出現により特に具現化される、凝固の異常を示す。
【0015】
種々の研究は、PCが多面性の生物学的活性:抗トロンビン活性(TAYLORら、J.Clin.Invest.、79、918−925、1987;GRUBERら、Blood、73、639−642、1989;Circulation、82、578−585、1990;CHESEBROら、Circulation、86、III100−110、1992;HANSONら、J.Clin.Invest.、92、2003−2012、1993;ARNLJOTSら、Thromb.Haemost.、72、415−420、1994;SAKAMOTOら、Circulation、90、427−432、1994;JANGら、Circulation、92、3041−3050、1995;KURZら、Blood、89、534−540、1997;GRESELEら、J.Clin.Invest.、101、667−676、1998;MIZUTANIら、Blood、95、3781−3787、2000;BERNARDら、N.Engl.J.Med.、344、699−709、2001)だけでなく、抗炎症活性(ESMON、Biochim.Biophys.Acta.、1477、349−360、2000)、抗アポトーシス活性(JOYCEら、J.Biol.Chem.、276、11199−11203、2001)、およびプロフィブリノリティック活性(pro−fibrinolytic activity)(COMP & ESMON、J.Clin.Invest.、68、1221−1228、1981;REZAIE、J.Biol.Chem.、276、15567−15570、2001)を有することを示している。この生理病理学において、この血栓プロセスに関連した炎症反応および、時々細胞死が存在するので、この薬理学的スペクトルは、それを血栓症疾患の処置のための優秀な候補物にする。
【0016】
さらに、PC活性化の誘導性機構は、それを自己調節抗血栓剤にし、その作用が、血栓に標的化され、従って、従来の抗血栓剤に固有の出血の危険性を制限する。
【0017】
PC濃縮物の投与が、同型接合性遺伝的PC欠乏症および後天性欠乏症(例えば、purpura fulminansに関連する髄膜炎菌感染)の処置において有用であることを証明している(GERSONら、Pediatrics、91、418−422、1993;OKAJIMAら、Am.J.Hematol.、33、277−278、1990;DREYFUSら、N.Engl.J.Med.、325、1565−1568、1991;MANCO−JOHNSON & NUSS、Am.J.Hematol.、40、69−70、1992;RINTALAら、Lancet、347、1767、1996;SMITHら、Lancet、350、1590−1593、1997;WHITEら、Blood、96、3719−3724、2000)。この置換治療は、循環するPCのストックを再構築することにより、これらの欠乏症に関連する障害を矯正することを可能にする。
【0018】
しかし、大血管の、動脈または静脈の血栓の場合における抗血栓処置としてのPC濃縮物の使用は認識され得ない。上述のように、利用可能なトロンボモジュリンの量は、限定要因を構成し、PCの飽和濃度を用いてさえも、その活性化は、適切な治療効果を得るのには、遅すぎるままである。
【0019】
血管領域全体に対するPCの抗凝固経路の生物学的活性を拡大するために、PCaの直接的な使用が提唱されている。この解決法が効果的であることは証明されているが(BERNARDら、N.Engl.J.Med.、344、699−709、2001)、その使用は、循環中におけるPCaの非常に短い半減期(約30分)により制限されている。実際、ほとんどの活性化セリンプロテアーゼと同様に、PCaは、血漿中に存在するインヒビター(セルピン)により迅速に中和される。従って、この治療効果は、連続的注入を用いてのみ得ることが出来る。
【0020】
この制限を克服するために認識される解決法の1つは、血漿インヒビターに対するPCaの耐性を増加させるようにPCaを改変することからなる。しかし、PCaの使用がPCの主要な利点(すなわち、トロンビンの存在により誘導される活性化)から利益を得ることを可能にしないという事実によって、別の問題が提示される。インヒビターに対して耐性であり、その形成が調節され得ないPCaは、従来の抗血栓剤の欠点(すなわち、血栓領域に限定されない抗凝固作用、およびその後に引き続く潜在的な出血の危険性)を有する。
【0021】
提唱されている別のアプローチは、血管内皮の直近のみでなく血栓を通してのPCaの形成を可能にすることを目的として、トロンボモジュリンの非存在下でトロンビンにより直接活性化させるように、PCを改変することを探求することを包含する。
【0022】
従って、米国特許第5 453 373号は、以下の種々のPC誘導体を記載する:
F167と呼ばれる誘導体は、成熟形態のPCの167位(活性化ペプチドのP3位)のAsp残基をPhe残基で置換することから生じ;この誘導体は、トロンボモジュリンの非存在下で、トロンビンによって、ネイティブのPCより12倍速い速度で活性化される;
LINと呼ばれる誘導体は、成熟形態のPCの172位(タンパク質分解性切断部位に対するP3’位)のAsp残基をAsn残基で置換することにより生じ;この誘導体は、トロンボモジュリンの非存在下で、トロンビンによって、ネイティブのPCより4倍速い速度で活性化される;
FLINと呼ばれる誘導体は、成熟形態のPCの167位のAsp残基をPhe残基で置換し、そして成熟形態のPCの172位のAsp残基をAsn残基で置換することにより生じ;この誘導体は、トロンボモジュリンの非存在下で、トロンビンによって、ネイティブのPCより30倍の速度で活性化される;
Q313およびQ329と呼ばれる誘導体は、それぞれ、成熟形態のPCの313位のAsn残基または329位のAsn残基をGln残基で置換することにより生じ;これらの改変は、これらのAsn残基でのグリコシル化部位を欠損させて、PCaの抗凝固活性を増加させるために実施された。誘導体Q313は、トロンビンによって、ネイティブのPCより2倍速い速度で活性化され;その抗凝固活性は、PCaのそれより1.8倍高く;誘導体Q329は、トロンビンによって、ネイティブのPCより迅速でなく活性化される;
Q3Q9と呼ばれる誘導体は、成熟形態のPCの313位のAsn残基および329位のAsn残基を、Gln残基で置換することにより生じ;この誘導体は、トロンボモジュリンの非存在下で、トロンビンによって、ネイティブのPCより3.3倍の速度で活性化される。
【0023】
FLIN−Q313およびFLIN−Q3Q9と呼ばれる誘導体は、これらの種々の改変を組み合わせている;これらは、トロンビン単独によって、それぞれ、ネイティブのPCより61倍、および84倍高く活性化される。これらの活性化速度は、トロンボモジュリンの存在下において、ネイティブPCのそれより非常に低い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、トロンボモジュリンに依存せず、トロンビンによって、その活性化速度をより有意に増加させることを可能にする、PCの他の改変を調査した。
【0025】
従って、本発明者らは、(生理学的条件下で、かつトロンボモジュリンの非存在下での)トロンビンによるPC活性化の促進を増進する2つの型の改変を実証した。さらに、これらの改変を組み合わせることは、改変PCを得ることを可能にし、トロンボモジュリンの非存在下でのその活性化は、同じ条件下で、ネイティブPCの活性化より500倍まで迅速であり、そして改変PCaを産生し、その血漿中半減期は、ネイティブPCaより長い。
【0026】
第一カテゴリーの改変は、活性化ペプチドに関する:本発明者らは、このペプチドをフィブリノーゲンのフィブリノペプチドA(FpA)のアミノ酸P10〜P1(タンパク質分解性切断部位を参照してナンバリングされている)で置換することにより、正常の(normal)PCが同じ条件下で発現および特徴付けた活性化速度より40倍速い活性化速度を得ることが可能になることを見出した(比較として、活性化ペプチドのp3位にAsp→Phe置換を保有する、米国特許第5 453 373号に記載される誘導体F167は、トロンビンによって、ネイティブのPCよりたった12倍迅速に活性化される)。
【0027】
血液凝固は、酵素反応のカスケードから生じ、その最終的な段階は、トロンビンの産生であり、これは、血管開口部を密封し得る凝塊の形成を誘導する。これらの反応のほとんどが、活性セリンプロテアーゼへの不活性チモーゲンのタンパク質分解性活性化を含む。この反応カスケードは、従来、FXの活性化が第IXa因子または第VIIa因子で切断されて生じるのかに依存して、「内因性経路」および「組織因子経路」、または「外因性経路」と呼ばれる2つの経路へと分類される。従って、これらの経路は、FXからFXaへの活性化に収束させる。FXaは、重要な凝固酵素の1つであり、なぜならそのコファクター(第Va因子)へのその結合が、プロトロンビンをトロンビンに活性化するプロトロンビナーゼ複合体を形成するからである。
【0028】
凝固に関与するタンパク質のうちの1つにおける質的または量的な欠陥は、しばしば、重篤な血栓または出血の発現を導き、可能性として、生存予後を脅かす。この文脈において、特に、夫々、第VIII因子または第IX因子の欠乏から生じる血友病AおよびBが言及される。
【0029】
現時点で提唱される血友病の処置は、置換型の処置または欠乏段階をバイパスする1つ以上の分子の使用に基づく処置のいずれかである(HEDNER、Thromb.Haemost.、82、531−539、1999)。
【0030】
置換的処置の主要な欠点は、レシピエントの免疫系により異質であるとみなされ得る、注射される分子の潜在的な抗原性にある。用いられる因子に向けられる中和性同種異系抗体の発生は、置換的処置の重篤な合併症であり、これは、その処置を少しずつ効果のないものにする。現在利用可能または試験中の「バイパス」処置の主要な欠点は、自己調節の不存在(特に、トロンビン産生の局在化および/または自己増幅の不存在)である。これらは、以下の、まれであるが重篤な副作用を導き得る:アナフィラキシーショックおよび血栓性アクシデント(心筋梗塞、汎発性血管内凝固症候群)。
【0031】
従って、これらの欠点を有さない利用可能な処置を有することが所望されるようである。この目的のために、本発明者らは、凝固カスケードの欠乏段階をバイパスするだけでなく、トロンビン産生の自己増幅を再構築することを可能にするトロンビン活性化可能なFX誘導体を調査した。活性化形態のこのFX誘導体(FXa*)は、実際、(第Va因子と組み合わせて)、機能的プロトロンビナーゼ複合体の形成を可能にし、従って、プロトロンビンをトロンビンに活性化する能力を有する。次いで、トロンビンは、さらにFX誘導体分子を活性化する。
【0032】
従って、本発明者らは、PCについて上で言及した型と同じ型のFX改変に導いた。本発明者らは、FXの活性化ペプチドをフィブリノペプチドAのアミノ酸P10〜P1で置換することにより、正常のFXと異なり、トロンビンにより活性化可能である改変FXを得ることが出来ることを見出した。
【0033】
従って、トロンビン活性化チモーゲンのネイティブ活性化ペプチドをFpA、またはその少なくともアミノ酸P10〜P1を含むペプチドで置換することが、このチモーゲンの活性化速度を増加することを可能にするようである。さらに、これらのN末端にフィブリノペプチドAの少なくともアミノ酸P10〜P1を含むペプチドに引き続き、トロンビンの切断部位の少なくともアミノ酸P1’、P2’およびP3’を配置することによって、別のセリンプロテアーゼにより活性化可能なチモーゲンから、または任意のポリペプチドからさえ、トロンビン切断タンパク質を構築することが可能であるようである。トロンビンによる切断部位を構築するためにP1’位、P2’位、およびP3’位で使用され得るアミノ酸自体が、知られており、これらは、例えば、米国特許第5 688 664号におけるDAWSONら(J.Biol.Chem.、269、15989−15992、1994)またはLE BONNIECら(Biochemistry、35、7114−7122、1996)に記載されている。
【0034】
他方、先行技術において、切断部位のP2位でのプロリン残基の存在が、トロンビンによる最適な切断に必要であると考えられてきたが(特に、上に引用されるDAWSONら、および米国特許第5 688 664号を参照のこと)、本発明は、P2位の残基がバリンであるトロンビン切断可能タンパク質を提供する。この残基、およびFpAのP9位のフェニルアラニンおよびP6位のグルタミン酸が、正常のPCの切断のためには用いられない、トロンビンに対するさらなる結合部位の使用を可能にすると推定されている。
【0035】
本発明の目的は、そのN末端に活性化ペプチドと、引き続くトロンビン切断部位のアミノ酸P1’−P2’−P3’を含むトロンビン切断キメラタンパク質であり、この活性化ペプチドが、フィブリノペプチドA、またはこのフィブリノペプチドAの少なくともアミノ酸P10〜P1を含む、その一部である点において特徴付けられる(P1’−P2’−P3’が配列Gly−Pro−Argであるキメラタンパク質は除く)。
【0036】
本発明の主題は、トロンビン切断配列P10P9P8P7P6P5P4P3P2P1P1’P2’P3’を含むキメラタンパク質であり、前記配列がフィブリノペプチドAのアミノ酸P10〜P1およびトロンビン切断部位のアミノ酸P1’−P2’−P3’(フィブリノーゲンのα鎖の配列を除く)を含む人工配列である点において特徴付けられる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態に従って、このキメラタンパク質は、セリンプロテアーゼのチモーゲンの活性化ペプチドを、フィブリノペプチドA、または前記フィブリノペプチドAの少なくともアミノ酸P10〜P1を含むその一部を用いて置換することにより、前記チモーゲンから誘導される。有利には、このチモーゲンは、PCまたはFXである。
【0038】
本発明のキメラタンパク質を得るために、任意の動物種のFpA(またはその少なくともアミノ酸P10−P1)の使用を認識することが可能であり、ここで、このFpAの配列は、特に、P9位のフェニルアラニン、P6位のグルタミン酸、およびP2位のバリンに関して、種の間で十分に保存されている。しかし、ヒトの医薬において使用されることが意図された、例えば、PC誘導体またはFX誘導体のキメラタンパク質を産生するために、好ましくは、ヒトFpA、またはヒトFpAのアミノ酸P10〜P1に対応するペプチド配列DFLAEGGGVR(配列番号2)が利用される。これらのペプチドが天然で、循環するフィブリノーゲンに曝されているので、実際、これらのペプチドは、潜在的に比較的非免疫原性であるという利点を有する。
【0039】
上に示すように、トロンビンによる切断を可能にする多くのP1’−P2’−P3’配列自体が公知であり;これらは、特に、トロンビン活性化チモーゲンの形態で天然に存在するタンパク質のトロンビン切断部位のP1’−P2’−P3’配列である。フィブリノーゲンのα鎖のトロンビン切断部位のP1’−P2’−P3’配列に対応する、Gly−Pro−Argを除くこれらの配列が、本発明の文脈において用いられ得る。
【0040】
例えば、本発明に従うキメラタンパク質の産生に関して、PCに由来する、P1’−P2’−P3’配列は、配列Leu−Ile−Aspであり得、これは、PCのネイティブのP1’−P2’−P3’配列に対応する。同様に、FX由来の本発明に従うキメラタンパク質の産生に関して、このP1’−P2’−P3’配列は、配列Ile−Val−Glyであり得、これは、FXのネイティブのP1’−P2’−P3’配列に対応する。
【0041】
有利には、1つ以上のP1’残基、P2’残基またはP3’残基が、トロンビンによる活性化の速度をさらに改善するように改変され得る。トロンビンによる活性化に影響する種々の改変が、例えば、上に引用される、LE BONNIECら(1996)による刊行物に記載される。
【0042】
残基P1’〜P3’(キモトリプシンナンバリングによる16〜18)は、セリンプロテアーゼにおいて、切断から生じる活性酵素の触媒ドメインのアミノ末端を構成する。
【0043】
これらは、セリンプロテアーゼ中で十分に保存されている:コンセンサス配列は、Ile16−Val17−Gly18である。特に、P1’位およびP2’位が、ほとんど全体において、脂肪族側鎖を有する疎水性残基により占められており、これらの残基は、活性化セリンプロテアーゼの触媒部位の形成および安定化において重要な役割を果たす疎水性相互作用を発生させる。
【0044】
PCaの場合、残基16(P1’)は、ロイシンであり、残基17(P2’)は、イソロイシンであり、そして残基18(P3’)は、アスパラギン酸である。FXの場合、残基16(P1’)は、イソロイシンであり、残基17(P2’)は、バリンであり、そして残基18(P3’)は、グリシンである。
【0045】
しかし、これらの残基でのトロンビンによる切断についての最適配列は、(それぞれP1’位、P2’位、およびP3’位での)Ser−Phe−Arg、すなわち、特に、P1’位の親水性残基(セリン)の存在に起因して、セリンプロテアーゼのコンセンサス配列とPCまたはFXの特定の配列の両方から十分に離れた配列である。
【0046】
これらの条件下で、特に、PCおよびFXの場合、リスクのある活性化速度を増加させるトロンビンについての親和性の増加は、触媒ドメインの安定性、従って、PCaおよびFXaの活性の損害が増大する可能性があるようである。
【0047】
しかし、本発明者らは、活性化切断部位の上流にFpA配列を保有することに加えて、PCのロイシンもしくはFXのイソロイシンに対する置換基として切断部位のP1’位にアラニンもしくはセリンを導入し、そして/またはPCのイソロイシンもしくはFXのバリンに対する置換基としてP2’位にフェニルアラニンを導入し、そして/またはPCのアスパラギン酸に対する置換基としてP3’位にグリシンを導入するように改変されたPC誘導体およびFX誘導体を構築した。
【0048】
従って、これらの変異がトロンビンによるPCおよびFXの活性化切断を促進し、そしてさらに、これらから生じるPCa誘導体およびFXa誘導体が、触媒活性を保存し、この触媒活性は、減少しているが、正常な生理学的機能に適合し;さらに触媒活性におけるこの減少が、PCaおよびFXaの変異されてないホモログと比較した半減期の増加(10倍まで)により補償されることに注目した。この半減期の増加は、これらの変異により与えられる、血漿中でのセリンプロテアーゼインヒビターに対する、より良好な耐性の結果である。
【0049】
本発明に従うセリンプロテアーゼチモーゲン誘導体、特に、PC誘導体またはFX誘導体の好ましい実施形態に従って、このチモーゲンのネイティブのP1’−P2’−P3’配列もまた、P1’位のアミノ酸をアラニンまたはセリンで置換することによって改変される。
【0050】
ネイティブのP1’−P2’−P3’配列の他の有利な改変としては、例えば、以下が挙げられる:
フェニルアラニンによるP2’位のアミノ酸の置換;
グリシンによるP3’位のアミノ酸の置換。
【0051】
特に好ましい誘導体は、P1’位のアミノ酸が、アラニンで置換されているものである。
【0052】
本発明の主題はまた、切断部位の残基P1’、残基P2’または残基P3’のうち1つ以上が上で示されるように改変されている、本発明に従うチモーゲン誘導体のトロンビン切断により得ることが出来る、任意のセリンプロテアーゼ誘導体、特にPCa誘導体またはFXa誘導体である。
【0053】
本発明に従うセリンプロテアーゼ誘導体は、血漿セルピンに対して、対応するネイティブのセリンプロテアーゼより耐性であり、従って、より長い半減期を有するという利点を有する。
【0054】
従って、本発明の実施は、以下のことを可能にする:
この酵素への天然基質を構成しないタンパク質のトロンビン切断を得ること、または天然ではトロンビンにより徐々に切断されるのみであるタンパク質の切断を促進すること;従って、特に、入手が容易で安価な酵素であるトロンビンを用いる単純な切断によって、チモーゲンから活性タンパク質を、容易かつ比較的安価に得ることが可能である;
さらに、切断部位の残基P1’、残基P2’、または残基P3’のうち1つ以上の、上で示されるような改変体が産生される際、インヒビターに対して耐性であり、従って、より長い血漿中半減期を有するセリンプロテアーゼ誘導体を得ること。
【0055】
従って、例として、PCの場合、本発明の実施は、トロンボモジュリンの非存在下でのトロンビンによる活性化の速度が、従来技術のPC誘導体のものより非常に速いPC誘導体を得ることを可能にする。さらに、それは、非常に高価であるヘビ毒から抽出されるアクチベーターがネイティブPCからPCaを調製するために従来用いられているが、トロンビンを用いて、これらの誘導体から活性化PCを調製することを可能にする。本発明に従い得ることができるPCa誘導体に関して、これらの比較的低い活性が、第一に活性化の速度によって、そして第二にこれらの血漿セルピンに対する相当な耐性によって、補償される。この結果は従来技術のPCaまたはPC誘導体より良好に標的化されかつより容易に制御される治療効果である。
【0056】
また、例として、本発明の実施は、トロンビン活性化可能なFX誘導体を得ることを可能にする。さらに、非常に高価であるヘビ毒から抽出されるアクチベーターがネイティブFXからFXaを調製するために従来用いられているが、それは、トロンビンを用いて、これらの誘導体からFXaを調製することを可能にする。本発明に従い得ることができるFXa誘導体に関して、これらの可能な低い活性が、第一にトロンビンに対するこれらの感受性によって、そして第二にこれらの血漿セルピンに対して比較的耐性であることによって、補償される。この結果は、従来技術において等価なもののない、注目すべき潜在的な治療効果である。
【0057】
必要に応じて、本発明の誘導体に特異的な改変を、選択されるタンパク質の異なるドメインに関しかつその特性のいくつかを改善することを可能にし得る他の改変と組み合わせることが可能である。従って、本発明のPC誘導体またはPCa誘導体の場合、例えば、わずかに高い抗凝固活性を有するPCa誘導体を得ることが所望される場合に、米国特許第5 453 373号に記載されるように、(成熟形態のPCを参照して)313位および329位のAsn残基を置換することが可能である。本発明のFX誘導体またはFXa誘導体の場合、成熟γ−カルボキシル化タンパク質のより高い収率を得ることが所望される場合、CAMIREら(Biochemistry、39、14322−14329、2000)に記載されるように、ネイティブのFXのプロペプチドをプロトロンビンのプロペプチドで置換することが可能である。
【0058】
本発明の主題はまた、キメラタンパク質、特にPC誘導体またはFX誘導体、または本発明に従う他のセリンプロテアーゼ誘導体をコードする核酸分子である。
【0059】
これらの核酸分子を、当業者に周知の従来法、特に、トロンビンによる切断を可能にするかまたは促進することが所望されるネイティブタンパク質をコードする遺伝子の位置指定突然変異誘発によって得ることが出来る。
【0060】
本発明はまた、位置指定突然変異誘発により本発明に従うPC誘導体をコードする核酸分子を得るために用いられ得るヌクレオチドプライマー対、特に、以下のプライマー対を包含する:
配列番号5および配列番号6により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号7および配列番号8により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号9および配列番号10により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号11および配列番号12により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号13および配列番号14により規定されるオリゴヌクレオチド対。
【0061】
本発明はまた、部位指定突然変異誘発により本発明に従うFX誘導体をコードする核酸分子を得るために用いられ得るヌクレオチドプライマー対、特に、以下のプライマー対を包含する:
配列番号15および配列番号16により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号17および配列番号18により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号19および配列番号20により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号21および配列番号22により規定されるオリゴヌクレオチド対。
【0062】
本発明はまた、本発明の核酸分子が、転写(特に、プロモーターおよび必要に応じてターミネーター)および必要に応じて翻訳を制御に適するエレメントと結合した発現カセット、ならびに本発明に従う核酸分子が挿入された組換えベクターを包含する。これらの組換えベクターは、例えば、クローニングベクター、または発現ベクターであり得る。
【0063】
本発明はまた、インビボまたはエキソビボ(ex vivo)での遺伝子治療において用いられ得る本発明の核酸分子を含む遺伝子送達系を包含する。これは、例えば、ウイルストランスファーベクター(viral transfer vector)(例えば、遺伝子治療において従来用いられている、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス由来のもの)を包含する。これはまた、本発明の核酸分子および非ウイルス遺伝子送達ビヒクルを含む遺伝子送達系を包含する。非ウイルス遺伝子送達ビヒクルの例としては、リポソームおよびポリマー(例えば、ポリエチレンイミン、シクロデキストリン、ヒスチジン/リジン(HK)ポリマーなど)が挙げられる。
【0064】
本発明の主題はまた、少なくとも1つの本発明に従う核酸分子を用いて遺伝的に形質転換された原核生物または真核生物宿主細胞である。好ましくは、キメラタンパク質、特に、本発明に従うPCまたはFX誘導体を発現および産生するために、真核生物細胞、特に哺乳動物細胞が選択される。
【0065】
本発明はまた、少なくとも本発明の発現カセットを含むトランスジーンを保有する(hosting)トランスジェニック動物、特にトランスジェニック非ヒト哺乳動物を包含する。これらのトランスジェニック動物が、例えば、BRINKら、(Theriologenology、53、139−148、2000)により既に記載されているように、本発明のキメラタンパク質を産生するために用いられ得る。
【0066】
本発明に従う発現ベクターの構築、宿主細胞の形質転換、およびトランスジェニック動物の産生が、従来の分子生物学的技術を用いて実施され得る。
【0067】
本発明のキメラタンパク質、特にPCもしくはFX誘導体、またはセリンプロテアーゼ誘導体を、例えば、本発明に従い遺伝的に形質転換された細胞を培養する工程、およびこの細胞により発現される誘導体を培養物から回収する工程により得ることが出来る。次いで、これらは、必要な場合、当業者に公知の従来の手順よって(例えば、分別沈降(fractionated precipitation)(特に硫酸アンモニウム沈降)、電気泳動、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィーなどによって)精製され得る。
【0068】
特に、組換えタンパク質を調製および精製するための従来の方法が、本発明に従うタンパク質を産生するために用いられ得る。例えば、本発明に従うPC誘導体を産生するために、米国特許第4 992 373号または米国特許第4 981 952号に記載される方法が用いられ得る。
【0069】
本発明の主題はまた、医薬品を産生するための、本発明に従う、少なくとも1種のキメラタンパク質、またはそのトロンビン切断産物、特に、本発明に従う、PC、PCa、FX、もしくはFXa誘導体、またはこれらの誘導体をコードする核酸分子の使用である。これらの医薬品もまた本発明の一部である。これらとしては、例えば、以下が挙げられる:
適切な賦形剤と組み合わせた、本発明に従う、少なくとも1つのキメラタンパク質、またはそのトロンビン切断産物、特に、本発明に従う、PC、PCa、FXもしくはFXa誘導体の少なくとも1つを含む薬学的組成物、
ウイルス性または非ウイルス性の遺伝子送達ビヒクルと結合させた本発明の核酸分子を含む薬学的組成物。これらの薬学的組成物は、インビボまたはエキソビボでの遺伝子治療に、有利に用いられ得る。遺伝子治療において従来用いられているベクター(例えば、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス型またはレトロウイルス型のベクター)、リポソームなど)が、本発明に従う医薬品を産生するために用いられ得る。
【0070】
例えば、本発明に従うPCまたはPCa誘導体から得られる医薬品が、PCまたはPCaの全ての通常の適用において、特に、凝固性亢進に関与する病理学の予防または処置の文脈において、抗血栓剤、抗炎症剤および抗アポトーシス剤ならびに血栓溶解剤(profibrinolytics)として、用いられ得る。例として、静脈または動脈の血栓、特に、大口径の血管に影響する血栓、心筋梗塞、血栓性疾患、肺塞栓、血管形成後の冠状動脈の再閉塞の予防または血栓溶解が言及され、そしてまた、PCの遺伝子またはトロンボモジュリンの遺伝子に影響する遺伝的異常に罹患する患者における凝固異常の処置または予防も言及される。
【0071】
本発明に従うFXまたはFXa誘導体から得られる医薬品が、凝血促進剤として用いられ得る。例として、特に、第VIII因子、第IX因子、または第XI因子欠乏に続く出血型の凝固性病理の予防または処置が言及される。これらは、特に、A型血友病またはB型血友病であり得、これらは、インヒビター(処置のために従来用いられる第VIII因子または第IX因子に対して指向される中和同種異系抗体)の存在により併発しても併発しなくてもよく;これらはまた、別の病理(自己免疫疾患、癌、リンパ組織増殖性症候群、突発性障害など)に関連する自己抗体の存在から生じる後天性の血友病であり得る。
【0072】
本発明は、以下のさらなる記載から、より明確に理解され、この記載は、本発明に従うPC誘導体およびFX誘導体の調製および特徴付けの非限定の例を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
実施例1:PC変異型の発現のためのベクターの構築
PC変異型の発現のために意図されるベクターを、出発物質としてベクターpCI−neo−PC(これは、哺乳動物細胞へのトランスフェクション後に正常のヒトプロテインCを発現する)を用いて構築した。
【0074】
PCcDNAを、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、ヒト肝細胞から単離した;cDNAをベクターpCI−Neo(PROMEGA,Madison、USA)にクローニングするために用いられる方法は、文献に記載される方法に従う(SAMBROOKら、「Molecular cloning、A laboratory manual」(第2版)、Cold Spring Harbor Laboratry Press、1989;WHITE、PCR Protocols、Methods in Molecular Biology、Walker J.H.編、Humana Press、Totowa、New Jersey、1993)。
【0075】
ベクターpCI−neo−PCの位置指定突然変異誘発
PCアナログの発現のために意図されるベクターを調製するために、ベクターpCI−neo−PCの位置指定突然変異誘発を、JONESらの方法(Nature、344、793−794、1990)から導いた方法を用いて実施した。活性化ペプチドの代わりにFpA配列を導入することを可能にするPC cDNAの改変体を、マトリクスとしてベクターpCI−neo−PCを、そしてプライマーとして表Iに示されるオリゴヌクレオチド対を用いて、単一のPCR工程から得た。
【0076】
【表1】
この表において、第一の欄は、活性化ペプチドへと導入された改変を示し:DFLAEGGGVRは、調製された誘導体において、活性化ペプチドがフィブリノペプチドA配列を用いて置換されたことを示す;ΔDTEDQEDは、調製された誘導体において、正常の活性化ペプチドの最初の7残基が欠失したことを示す。各突然変異誘発について、用いられるオリゴヌクレオチド対の配列(センスおよびアンチセンス)を、右側の欄に示す。表の中央の欄は、活性化部位のP1’、P2’およびP3’のアミノ酸配列を示す。
【0077】
PCRを、製造者により推奨される緩衝液中の2.5単位のPfu DNAポリメラーゼ(STRATAGENE;Amsterdam Zuidoost、the Netherlands)、各dNTPの等モル混合物(0.5mM)、125ngの各プライマー(センスおよびアンチセンス、表Iを参照のこと)および50ngのマトリクスを含む50μl容量で実施する。PCRを、DNA Thermal Cycler type 480(PERKIN ELMER、Roissy、France)を用いて実施する。各反応は、95℃で5分間の最初の変性の工程と、引き続く、15回の同一のサイクルを含み、該サイクルは、各々が、95℃で30秒間、55℃または60℃で60秒間、そして68℃で20分間の3つの連続するフェーズ(変性、ハイブリダイゼーション、および伸長)からなる。
【0078】
残基P1’−P3’(すなわち、天然の残基)に対してLIDを有するDFLAEGGGVR変異体を調製するための、プライマーハイブリダイゼーション温度は、60℃である。
【0079】
この変異体をコードするcDNAを、P1’−P3’配列が、LIDと異なる他の変異体を調製するために用い;ハイブリダイゼーション温度は、55℃である。
【0080】
これらの15サイクルの最後に、マトリクスとして用いたベクターを、10単位のDpnI制限エンドヌクレアーゼ(OZYME、Saint Quentin en Yvelincs、France)を用いて、37℃で60分間、分解する。
【0081】
ΔDTEDQED変異体の調製を、PCRマトリクスとして、正常のPCをコードする配列を含む、ベクターpCI−neo−PCを用いて同様の様式で実施する。ハイブリダイゼーション温度は、55℃である。
【0082】
活性化ペプチドの代わりにFpAを保有するPC誘導体の活性化部位のP1’−P3’における変異体を、マトリクスとしてベクターpCI−neo−PC−FpA(FpA配列を保有する)を、そして表Iに示されるような対応するオリゴヌクレオチド対を用いて、同様の様式で得た。
【0083】
pCI−neo−PC由来のベクターの調製
細菌である、DH5α株(Dam+)を、4℃で100mMのCaCl2中で洗浄することによりコンピテントにし、そして15%のグリセロールを含む100mMのCaCl2溶液中に−80℃で貯蔵した。コンピテント細菌のアリコート(100μl中に約106)を、DpnIで消化した5〜10μlのPCR産物を用いて形質転換する。この混合物を、4℃で30分間インキュベートし、次いで、42℃で2分間の熱ショックに供し、引き続き4℃で2分間、さらにインキュベートする。次いで、この細菌を、LB(LUTHIA BERTONI BROTH、INVITROGEN、Cergy Pontoise、France)培地中で、37℃で60分間、激しく攪拌しながらインキュベートする。2000rpmで5分間の遠心分離の後、このLB培地を、デカンテーションし、そしてこの細菌を、寒天上(100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地中、1.5%のAGAR−SELECT)にプレートする。ペトリ皿を、37℃のインキュベーター中で36時間インキュベートする。6〜12個のコロニーを単離し、そして100μg/mlのアンピシリンを含む5mlのLB培地中、37℃で、激しく攪拌しながら、一晩、増幅させる。アンピシリン耐性の原因であるベクターを、「煮沸溶解」法(上で引用するSAMBROOKら)により精製する。あるいは、より多い量のプラスミドを調製するために、「PLASMID MIDY KIT」(QIAGEN、Courtaboeuf、France)を、製造者の指示書に従って用いた。
【0084】
PC変異体のcDNAの配列決定
pCI−neo−PCの誘導体により保有されるcDNAの配列を、「ABI PRISM 377」シークエンサー(PERKIN ELMER)を用い、SANGERらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、74、5463−5467、1977)から導いた方法を用いて制御した。「ABI PRISM dRhodamine Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit」を、製造者の指示書に従って使用した。PC誘導体の全てのcDNAを、PC cDNA配列に沿って分配される6つのプライマーを用いて配列決定した。
【0085】
実施例2:PC変異体を発現する哺乳動物細胞のトランスフェクションおよび選択
HEK293細胞のトランスフェクション
トランクトフェクトされた細胞株は、American Type Culture Collectionからのヒト腎臓上皮細胞株であるHEK293(CRL−1573)である。これらの細胞を、リン酸カルシウム共沈殿法(上に引用されるSAMBROOKら)によってpCI−neo−PCから誘導したベクターを用いてトランスフェクトした。
【0086】
HEK293細胞を、完全培地(10%の胎児ウシ血清、2mMのグルタメート、5U/mlのペニシリンおよび5μg/mlのストレプトマイシン(全てINVITROGENにより提供される)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM))において、5%のCO2に富んだ大気の中で、ペトリ皿(直径80mm)中、37℃で培養する。細胞が80%のコンフルエンシーに達したとき、5〜40μgのトランスフェクトされるベクターを、220μlのH2Oで希釈し、そして280mMのNaCl、10mMのKCl、1.5mMのNa2HPO4および12mMのデキストロースを含む250μlの50mM HEPES緩衝液(pH 7.05)(HBS、Hepes緩衝化生理食塩水)を添加した。31μlの2.5M CaCl2を、滴下してゆっくり攪拌すること、引き続く周囲温度での30分間のインキュベーションにより、DNAの共沈殿を得た。これらの細胞をリン酸緩衝液(PBS、INVITROGEN)中で2回リンスし、次いで、新しい完全培地に戻す。次いで、DNA沈殿物を添加し、そして、37℃で4時間、HEK293細胞と接触させる。このインキュベーションの最後に、該細胞を、PBSで洗浄し、そして新しい完全培地に戻して24時間培養する。次いで、1.5mlのトリプシン−EDTA(INVITROGEN)の溶液の存在下、37℃での5分間のインキュベーションによって、これらの細胞を、ペトリ皿から脱着する。次いで、該細胞を3つのペトリ皿に分配し、そして1mg/mlのジェネチシン(INVITROGEN)を含む完全培地中で選択する。コロニーが得られるまで、この培養培地を2〜3週間、2日間毎に新しくする。約20個のコロニーを単離し、24ウェル培養プレートのウェル(2cm2)へと移し、そして選択薬剤を含む完全培地に戻して、コンフルエンシーまで培養する。次いで、各々の上清を、ELISA(以下を参照のこと)によりアッセイし、PC誘導体の存在を検出する。PC誘導体の最大の発現を示すクローンを増幅し、そして液体窒素中で(各々のバイアルは、10%(v/v)のDMSOと混合された1mlのウシ血清中に約106細胞を含む)冷凍することにより保護(make secure)した。
【0087】
PC変異体を発現するクローンの同定
PC誘導体を発現するクローンの同定および分泌される量の評価を、ELISAにより実施した。MILETICHおよびBROZEにより記載され(J.Biol.Chem.、265、11397−11404、1990)そしてSIGMA ALDRICHにより販売されるモノクローナル抗体であるP7058を用いる。この抗体を、50mMのNa2HCO3緩衝液(pH9.6)中に希釈し、そして「MAXISORP」滴定プレート(NUNC、POLYLABO、Strasbourg、France)上に4℃で一晩、吸着させる。該ウェルを、TTBS(150mMのNaClおよび0.5%(v/v)のTWEEN 20を含む、50mMのTris、pH7.5)中で3回洗浄し、次いで、周囲温度で1時間、TTBS中のウシ血清アルブミン(5%(w/v);1ウェル当り100μl)で飽和させる。試験される各々の上清のアリコート(5mMのEDTAを含むDMEM培地中に1/5に希釈されている、100μl)を、飽和したマイクロ滴定プレートのウェルの1つに添加し、そして周囲温度で1時間放置してインキュベートする。該ウェルを、TTBS中で3回洗浄し、そしてPCに向けられ、ウサギにおいて調製され、そしてペルオキシダーゼに結合された抗体(DAKO、Glostrup、Denmark)を、TTBS中1/1000までの希釈の後に添加する(1ウェル当り100μl)。周囲温度での1時間のインキュベーション後、該ウェルを、TTBS緩衝液中で3回、再び洗浄する。100μlのOPD溶液(0.5%のH2O2(v/v)および1mg/mlのオルトフェニレンジアミンを含む、0.1Mのクエン酸、0.1MのNa2HPO4、pH5.0)を添加することにより、一次抗体に結合したPCの存在が、二次抗体に保有されるペルオキシダーゼ活性を介して明らかになる。5〜15分後、100μlの0.15M H2SO4を添加することにより反応を停止し、そしてペルオキシダーゼ触媒反応の産物を、490nmでの吸光度を測定することにより定量する。
【0088】
実施例3:PC変異体の発現および精製
トランスフェクトされたHEK293細胞を、完全培地中で、5%のCO2を含む制御された雰囲気下、37℃でのインキュベーター中で単層培養する。トランスフェクトされたHEK293細胞から誘導され、かつPC変異体を分泌するクローンを、(300cm2まで)増加する表面積のフラスコ中で連続継代することによって増幅する。次いで、各々の300cm2のフラスコを、850cm2の表面積を有する2つの回転瓶に接種するために用いる。2〜6日後(細胞密度に依存する)に回収した上清を、5000rpmで10分間、遠心分離して細胞片を除去する。この培養培地中におそらく存在するプロテアーゼを5mMのEDTAおよび10mMのベンズアミジンを添加することによって阻害し、そしてこの培地を、組換えタンパク質を精製する前に−20℃で貯蔵する。
【0089】
3回のクロマトグラフィー工程によって、PC変異体を、培養上清から精製する。最初に、2リットルの培養上清を、陰イオン交換樹脂上への吸着により濃縮する。これらの2リットルの培養上清を、5mMのEDTAおよび10mMのベンズアミジンを含む、4リットルの50mM Tris緩衝液(pH7.5)中にあらかじめ希釈して、イオン強度を減少させ;次いで、4.5gのSEPHADEX QAEA50(AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH、Upsala、Sweden)を添加し、そしてこの混合物を、周囲温度で、1時間、ゆっくりと攪拌する。クロマトグラフィーカラム中へのSEPHADEXビーズの沈降の後、保持されたタンパク質(PCを含む)を、5mMのEDTAおよび10mMのベンズアミジンを含む、50mM Tris緩衝液中の0.5M NaCl(pH7.5)を用いて溶出する。次いで、活性化ペプチドのEDQVDPRLIDGK配列を認識するモノクローナル抗体(mab2)またはHPC4(ROCHE DIAGNOSTIC、Meylan、France)がグラフトされた樹脂を用いるイムノアフィニティクロマトグラフィーによって、PCを精製する。これらのモノクローナル抗体を、供給者(AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH)の推奨に従ってCNBr−活性化SEPHAROSE 4B(ゲル1ml当り約1mgの抗体)に結合させた。正常の組換えPCおよび活性化ペプチドが短縮されたそのアナログを、抗体HPC4に結合された樹脂を用いて精製した。
【0090】
アフィニティーカラムに、QAE樹脂からの溶出液を、Ca2+を5mMの濃度にした後にロードした。次いで、このカラムを、0.5MのNaClおよび5mMのCa2+を含む50mMのTris緩衝液(pH7.5)中で洗浄した。組換えPCを、0.15MのNaClおよび5mMのEDTAを含む、50mMのTris緩衝液、pH7.5を用いて溶出する。
【0091】
P3−P3’配列がもはやDPRLIDでないPCアナログを、抗体mab2に結合された樹脂を用いて精製した。この場合、アフィニティーカラムにQAE樹脂からの溶出液をロードし、そして0.5MのNaClおよび5mMのEDTAを含む50mMのTris緩衝液(pH7.5)中で洗浄した後に、0.1Mグリシン緩衝液(pH2.7)中で酸性化することにより組換えPCを溶出する。2MのTris(pH10)を添加することによって、溶出画分のpHを直ぐに7.5まで戻す。最後の精製工程は、さらなるイオン交換クロマトグラフィーであり、この目的は、アフィニティークロマトグラフィーからの溶出液を再濃縮および透析することである。この溶出液を、50mMのNaClを含む50mMのTris緩衝液(pH7.5)中に1/3まで希釈し、次いで、FAST Qゲル(AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH)上に吸着させる。希釈緩衝液(カラム容量の10倍)中で洗浄してグリシンおよびEDTAの全ての痕跡を除去した後、PCを、50mMのTris緩衝液中の0.5M NaCl(pH7.5)を用いて溶出する。PC濃度を、1.45のモル吸光係数(E0.1%)を用いて、280nmでのその吸光度から評価する。5%のβ−メルカプトエタノールの存在下でのインキュベーションによる変性およびジスルフィド架橋の還元及び変性の後、各々のPCアナログの純度を、ポリアクリルアミドゲル(12%、0.1%のSDSを含む)上で評価する。この分析の結果を、図3に例示する。
【0092】
図3の説明:
レーン1:分子量マーカー。レーン2〜7:夫々、2μgの変異体Fpa−LID、ΔDTEDQED、Fpa−LFG、Fpa−SIG、Fpa−AIGおよびFpa−LIG。見かけの分子量(kDa)を、ゲルの左に示す。正常のPCの一本鎖形態の位置、および正常のPCの重鎖および軽鎖の位置を、ゲルの右側に示す。
【0093】
得られた全てのPC調製物はSDSゲルにより純粋であるようであるが、2つの形態が存在する。二本鎖形態が、主要な成分(70〜90%)であり、見かけの分子量は、重鎖および軽鎖から推定される分子量(夫々、41 000Daおよび21 000Da)に匹敵する。残りの10〜30%は、62 000Daの見かけの分子量を有する一本鎖形態で得られる。一本鎖形態のパーセンテージは、考えられるアナログに依存しないようであるが、変異の性質に関わらず、調製物の由来する培養物上清のプールに依存するようである。
【0094】
しかし、この精製プロトコルの最後に、PC調製物の一部が活性化形態で得られる(50%まで)ことに注目すべきである。活性化形態がSDSポリアクリルアミドゲル分析によりチモーゲンから区別され得ないので、このパーセンテージを、調製物のアミド分解活性により評価する(以下を参照のこと)。活性化形態のパーセンテージは、考えられるPCアナログおよび考えられる調製物バッチの両方に依存するようである。それは、活性化部位のP1’位での正常のロイシンの代わりにセリンまたはアラニンを有するPCアナログについて特に高い。
【0095】
PC変異体の調製物中に存在する活性化形態の中和
各々のPC改変体のトロンビンによる活性化速度を正確に測定するために、この調製物中におそらく存在するPCaの全ての痕跡をあらかじめ中和することが必要不可欠である。この中和を、PCaの活性化部位の不可逆性阻害により実施する。用いられる共有結合インヒビターは、D−Phe−Pro−Arg−CH3Cl(PPACK、CALBIOCHEM、St Cloud、France)であり、これは、電荷安定化系(charge stabilization system)のHis57に結合する。実際には、5mMのPPACKを、PC調製物に添加し、そしてその混合物を周囲温度で1時間インキュベートする。このインキュベーションを、2回繰り返し、同量の(新しい)PPACKを添加する。次いで、反応しなかったPPACKを、イオン交換クロマトグラフィーにより除去する。50mMのNaClを含む50mMのTris緩衝液(pH7.5)中への希釈(1/10、v/v)の後、PCおよび阻害されたPCaが、RESSOURCE Qカラム(AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH)上に吸着される(遊離のPPACKではない)。50mM Tris緩衝液(pH7.5)中の1M NaClを用いる溶出の前に、このカラムを、その容量の20倍の希釈緩衝液を用いて洗浄する。処理後、活性形態のパーセンテージは、ほとんどのPC調製物について0.1%未満であるが、P1’位の残基がセリンであるPCアナログについては、0.4%を超えない。中和されたPCaの存在は、チモーゲン画分のトロンビン活性化を妨害しない。
【0096】
実施例4:PC変異体の特徴付け
活性化速度の測定
PC変異体のトロンビン活性化の速度定数を、偽一次条件下で測定した。実際には、PC(1μM)を、速度論緩衝液(kinetic buffer)(0.15M NaCl、0.2% PEG 8000(w/v)、0.5mg/mlのウシ血清アルブミンおよび5mM CaCl2を含む50mM Tris、pH7.5)中でトロンビン(PC変異体に依存して、10〜50nM)の存在下でインキュベートする。種々のインキュベーション時間の後、(反応を停止し、トロンビンを中和するために)ヒルジン(200単位/ml)を反応混合物の5μlアリコートに添加する。
【0097】
次いで、産生されたPCaの量を、200μMのピロGlu−Pro−Arg−pNA(S2366、BIOGENIC、Lattes、France)の加水分解の初速度を測定することによって評価する。405nmでの吸光度のバリエーションを、マイクロプレートリーダーMR5000(DYNEX、Guyancourt、France)を用いて時間の関数として記録し、そしてPCa濃度を、標準曲線を参照して推定する。
【0098】
次いで、この反応についての速度定数を、以下の一次の指数関数的増加を示す等式を用いる、時間の関数としての、PCa濃度のバリエーションの非線形回帰により評価する:PCa(t)=PC(1−exp(−kt))+Cte;ここで、PCa(t)は、時間tでのPCaの濃度を表し;PCは、(活性化し得る)PCの総濃度を表し、そしてkは、一次速度定数を表し;Cteは、アクチベーターを添加する前の初期条件で存在する可能性のある(小さい)アミド分解活性(バックグラウンドノイズ)を考慮にいれるために加えられる定数である。kon(特異性定数)の値を、アクチベーター(トロンビン)の濃度に対するkの比率を形成することにより算出する。得られた値(M−1s−1)を、表IIにまとめる。
【0099】
【表2】
フィブリノペプチドAを用いるPCの活性化ペプチドの置換(変異体Fpa−LID)は、konの値を40倍増加させる。この変異体における、アスパラギン酸P3’のグリシンでの更なる置換(Fpa−LIG)は、konをわずかに増加させるのみであるが、さらに、P2’のイソロイシンが、フェニルアラニンで置換された場合(Fpa−LFG)、konの値は、正常のPCのkonの値より96倍高くなる。最後に、P1’のロイシンがアラニン(Fpa−AIG)またはセリン(Fpa−SIG)で置換された場合、konの値は、夫々、正常のPCのkonの値より100倍および500倍高くなる(この値は、トロンボモジュリンの存在下での正常のPC(PC+TM)の活性のkonとはあまり変わらない)。
【0100】
PC変異体の予備的活性化
機能的研究のために、PCおよびその誘導体を、Agkistrodon contortrix contortrix由来のヘビ毒から単離されたアクチベーター(PROTAC、KORDIA LEIDEN、the Netherland)を用いて予備的な量で活性化させた。9単位のPROTACを、製造者の推奨に従い、1mlの活性化SEPHAROSE−NHS(HI−TRAP、AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH)にカップリングした。
【0101】
活性化緩衝液(50mM NaCl、5mM EDTA、および0.2%(w/v)PEGを含む、50mM Tris、pH7.5)中の1mlのPCのアリコート(1μM)を、PROTACとグラフトしたカラム中に注入し、そして同じ緩衝液で平衡化する。カラムを、両方の端部で閉じ、そしてインキュベーションを、周囲温度に8時間維持する。2容量の活性化緩衝液を注入することにより、活性化PCをカラムから溶出する。
【0102】
あるいは、特に、トロンビンにより迅速に活性化され得るPC誘導体について、活性化を、精製したヒトトロンビン(1mg/mlのゲル)とグラフトしたSEPHAROSEカラム上で実施する。このゲルを調製し、そしてPROTACとグラフトしたカラムについての上記の条件と同じ条件で使用する。次いで、PCaを、MONO Qカラム(AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH)でのイオン交換クロマトグラフィーによって再濃縮する。HITRAPカラムからの溶出液を50mM Tris(pH7.5)中に希釈し(1/10;v/v)、そしてMONO Qカラムにロードし、そしてPCaを、50mM Tris(pH7.5)中の0.5M NaClを用いて溶出する。
【0103】
PCa変異体の滴定
活性化PCa誘導体の活性部位濃度を、PCaと等モル共有結合複合体を形成するPPACKを用いる滴定により測定する。
【0104】
1nM〜25μMの間の種々の濃度のPPACKを、速度論緩衝液中で滴定されるべき一定量のPCaと共にインキュベートする。この混合物を、反応が完了するまで周囲温度でインキュベートする。必要とされるインキュベーション時間は、考えられるPCa誘導体に依存し、そしてインキュベーションを延長することにより更なるPCa分子の阻害を導かないことを確保することが必要である:3時間のインキュベーションは、正常のPCaに対して十分であるが、16位にセリンまたはアラニンを有するPCa誘導体に対して、そしてまた17位にフェニルアラニンを有する誘導体については18時間が好ましい。
【0105】
このインキュベーションの最後に、PCaの残余濃度を、200μMのS2366の加水分解の初速度を測定することにより評価する。時間の関数としての405nmでの吸光度のバリエーション(vs)を、MR5000マイクロプレートリーダーを用いて記録する。最初に存在するPCaの有効濃度(Et)を、以下の「タイト−結合阻害(tight−binding−inhibition)」式(CHA、Biochem.Pharmacol.、24、2177−2185、1975;WILLIAMSおよびMORRISON、Methods Enzymol.、63、437−467、1979)を用いて、添加されるPPACKの濃度の関数としてのvsの依存の非線形回帰によって評価する:
vs=(v0/2[Et]){[(Ki+[PPACK]−[Et])2+4Ki[Et]]1/2−(Ki+[PPACK]−Et)}
ここで、v0は、インヒビターの非存在下でのS2366の加水分解の初速度であり、そしてKiは、酵素−インヒビター複合体についての見かけの阻害定数である。
【0106】
PCa変異体のアミド分解活性
PCa改変体の活性化部位を特徴付けるために、定数kcatおよびKMを、2つの色素産生基質(S2366およびD−Phe−Pip−Arg−pNA(S2238、BIOGENIC))の加水分解について測定した。加水分解を、周囲温度で、5mMのCaCl2または5mMのEDTAのいずれかを含む速度論緩衝液中で実施する。50〜3000μMの間の種々の濃度の基質を、一定量のPCa(変異体に依存して、10nM〜50nM)と共にインキュベートする。時間の関数としての405nmでの吸光度のバリエーションを、MR5000マイクロプレートリーダーを用いて、記録し、そして加水分解の初速度を最大で10%までの加水分解に対応する吸光度の線形回帰によって評価する。次いで、定数kcatおよびKMを、ミカエリス−メンテン式を用いて、基質の濃度の関数として、この初速度のバリエーションの非線形回帰によって評価する。
【0107】
得られた結果を表IIIにまとめる。
【0108】
【表3】
P1’の残基がアラニン(Fpa−AIG)またはセリン(Fpa−SIG)である活性型のPC誘導体、およびP2’にフェニルアラニンを保有する誘導体(Fpa−LFG)は、これらのアミド分解活性の減少を示す。ND:検出せず。基質S2366について、Ca2+の存在下で、P2’位でのイソロイシンのフェニルアラニンへの変異は、KMの8倍より高い増加、およびkcatの1.7倍の減少を示す。P1’のロイシンのアラニンまたはセリンでの置換は、夫々、KMの7倍および8倍の増加を導く。この変異体がP1’位にセリンを保有する場合、kcatは、3倍減少するが、一方で、アラニンを保有する変異体について、kcatは、PCaを用いて決定されるkcatと同等である。これら2つの基質の加水分解に関してPCaのCa2+依存性は、種々のPC変異体について保存される:EDTAの存在下で、kcat/KMは、わずかに減少する。
【0109】
活性化形態の変異体Fpa−SIGは、基質S2238およびS2366の加水分解についての特異性定数が最も減少するものである。
【0110】
PCa変異体の血漿中半減期の決定
PCa変異体の半減期を、正常のPCa(同じ条件下で調製した組換えPCaまたはヒト血漿から精製したPCa)の半減期と比較した。
【0111】
この半減期を評価するために、種々のPCaの残余活性を、ヒルジンを添加することにより凝固しなくなった正常の血漿において、種々の期間のインキュベーション後に測定する。この反応混合物は、80%(v/v)のクエン酸添加正常血漿のプールおよび150mMのNaCl、0.5mg/mlのウシ血清アルブミンおよび80U/mlのヒルジンを含む、50mMのTris緩衝液(pH7.5)中のPCa(変異体に依存して50〜200nM)から構成される。インキュベーションの後に、血漿/PCa/ヒルジン混合物(40μl)のアリコートを160μlの250μM S2366に添加し、基質の加水分解の初速度をMR5000マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度の増加を記録することによって測定する。
【0112】
次いで、各々の変異体の半減期を、以下の一次の指数関数的減少を表す式を用いる、時間の関数としての残余活性のバリエーションの非線形回帰によって評価する:
A(t)=A0exp(−k,t)+Cte;
ここで、A(t)は、時間tでのPCaの残余活性を表し、A0は、その初期条件での活性を表し、そしてkは、一次の速度定数を表す。定数Cteは、PCa変異体の活性から独立した、可能性のある活性(バックグラウンドノイズ)を考慮に入れるために加えられる。
【0113】
次いで、血漿中半減期を、ln(2)をkで除することによって算出する。
【0114】
得られた値(分−1)を、表IVにまとめる。
【0115】
【表4】
半減期を、時間の関数としてのPCa活性の減少を測定することによってクエン酸添加血漿中で決定した。P1’の残基がセリンでありそしてP3’の残基がグリシンであるPCa変異体(Fpa−SIG)についての半減期は、10倍長い。
【0116】
活性化形態の変異体Fpa−SIGの血漿中半減期は、正常のPCaと比較して10倍増加する。
【0117】
凝固試験
種々の濃度のPCaまたはその誘導体の1つの存在下で、再石灰化した(recalcified)クエン酸添加した正常血漿のプールのアクチベーターを用いるセファリン時間(cephalin time)の延長を測定することによって、PCaおよびその誘導体の抗凝固活性を決定した(RICHARDSONら、Nature、360、261−264、1992)。
【0118】
これらの試験を、ST4マシーン(DIAGNOSTICA STAGO、Asnieres France)で、二連で行う。活性化形態のPCaを、0.15M NaClおよび0.5mg/mlのウシ血清アルブミンを含む、50mMのTris緩衝液(pH7.5)中に希釈する。各々の試験について、PCaの50μLの希釈物、50μlの「APTT」試薬(ORGANON TECHNIKA、Fresnes、France)および50μlのクエン酸添加した血漿のプールを混合し、そして37℃で3分間インキュベートする。25mMのCaCl2を含む50μlの希釈緩衝液を添加することにより凝固を誘発する。
【0119】
表Vは、1nMの正常のPCaの抗凝固活性のパーセンテージとして表される、PCa誘導体の抗凝固活性を表す。
【0120】
【表5】
抗凝固活性のパーセンテージは、参照としての役割を果たす正常のPCaに対して表される(100%は、1nMのPCaの抗凝固活性に対応する)。各々の変異体について、1nMのPCaと等価な抗凝固活性を得るために必要とされる濃度を評価した。例えば、変異体Fpa−AIGの抗凝固活性は、正常のPCaの抗凝固活性の20%である(1nMの正常のPCaと同じ活性を得るために、5nMの変異体が必要とされる)。
【0121】
変異体Fpa−SIGの抗凝固活性は、正常のPCaの抗凝固活性の6%を表す。
【0122】
活性変異体Fpa−AIGおよびFpa−SIGとα 1 −アンチトリプシンとの複合体の形成の分析
活性化形態の変異体Fpa−AIGおよびFpa−SIGがα1−アンチトリプシン(CALBIOCHEM)と安定した複合体を形成する能力を、活性化PC変異体(5μM)を40μMのα1−アンチトリプシンと共に速度論緩衝液中、37℃で5時間インキュベートすることによって決定した。
【0123】
反応生成物を、変性条件下で、10%ポリアクリルアミドゲル上で分析した。これらの結果を図4に示す。
【0124】
図4の説明:
レーン1:α1−アンチトリプシンの存在下、37℃で5時間インキュベートしたFpa−AIG、レーン2:Fpa−AIG単独(2μg)。レーン3:α1−アンチトリプシンの存在下でインキュベートしたFpa−SIG、レーン4:Fpa−SIG単独。レーン5:α1−アンチトリプシンの存在下でインキュベートした正常のPCa、レーン6:正常のPCa単独。レーン7:α1−アンチトリプシン単独。全てのPCa変異体は、α1−アンチトリプシンと共有結合複合体を形成する。
【0125】
PCaとα1−アンチトリプシンとの間の安定した複合体の形成は、高分子量のバンド形成を生じる。このゲルは、触媒ドメインが16位にアラニンまたはセリンを有するPCa変異体が、セルピンの正常な生理学的濃度で、α1−アンチトリプシンと安定した複合体を形成できることを示す。
【0126】
結論
PCの活性化ペプチドを改変する効果
活性化ペプチドの12残基のうち7つ(P12〜P6、すなわち、配列DTEDQED)を欠損するPC誘導体の場合、活性化速度は(生理学的条件下かつトロンボモジュリンの非存在下で)、同じ条件で発現および特徴付けられる正常のPCの活性化速度と比較して二倍である。従って、これは、活性化ペプチドが、トロンビンがPCを切断する能力を限定することを示し:トロンボモジュリンの非存在下でのその活性化を限定する障害の1つの構成すると考えられる。
【0127】
活性化ペプチドの12残基(P12〜P1、すなわち、配列DTEDQEDQVDPR)が除去され、そしてヒトFpAの配列(P10〜P1、すなわち、配列DFLAEGGGVR)と置換されているPC誘導体の場合、活性化速度は(生理学的条件下かつトロンボモジュリンの非存在下で)、同じ条件下で発現および特徴付けられる正常のPCの活性化速度と比較して40倍高い。概して、PCの活性化ペプチドの改変は、2×104M−1s−1の活性化速度定数を達成することを可能にする。
【0128】
PCの活性化部位の残基P1’、残基P2’、および残基P3’の最適化
本発明者らは、活性化切断部位の上流にFpA配列を保有することに加えて、16位、17位、および/または18位で改変されているPC変異体を発現および特徴付けた。16位で、ロイシンを、セリンまたはアラニンで置換し;17位で、イソロイシンを、フェニルアラニンで置換し;そして18位で、アスパラギン酸をグリシンで置換した。全てのこれらの変異は、トロンビンの最適な切断配列に近いPCの活性化部位を多少もたらし、そしてこれらの全ては、アクチベーターに対する各変異体の感受性を有効に増加させる。この差異は、特に16位にセリンおよび18位にグリシンを保有する変異体で著しい。なぜなら、得られる活性化定数の値(1.6×105M−1s−1)は、トロンボモジュリンの存在下で正常のPCについて得られる活性化定数の値(5×105M−1s−1、表II)と同じ桁であるからである。
【0129】
切断部位の上流にFpAを保有するのみのPC誘導体に対するこの変異体での増加は、10倍より高い。この増加は、特に、L16S変異からなり、なぜなら、D18G変異の寄与は、わずか1.6倍であるからである(表II)。
【0130】
残基16がアラニンである場合、この増加は、(FpAを保有し、かつD18Gの変異をしている変異体に対して)約2倍であり;これは、17位のイソロイシンをフェニルアラニンで置換した場合に得られるものと類似する。
【0131】
しかし、D18G突然変異を除いて、これらの改変は、(種々の程度までの)PCaの触媒活性に対する有害な結果を有する。残基16がセリンである場合、抗凝固活性は、正常のPCaより20倍低く、残基16がアラニンである場合、抗凝固活性は、5倍低く、残基17がフェニルアラニンである場合、それは、13倍低い。
【0132】
この活性の(相対的な)損失は、おそらく、触媒機構自体の欠陥を反映する。なぜなら色素産生基質(例えば、S2366またはS2238)についての特異性定数の値(kc at/KM)が、同様の割合で減少する(セリンが16位である場合27倍、それがアラニンである場合5倍、そして残基17がフェニルアラニンである場合12倍)。セリン、そしてより少ない程度であるがアラニンは、触媒機構の最大活性化に必要とされる全ての接触を形成することを可能にしないことは想像可能である;アラニンの疎水性は、他の脂肪族残基であるバリン、ロイシン、またはイソロイシンより低く、一方、セリン残基は、性質として、親水性である。他方、疎水性は、おそらく、17位での突然変異から生じる活性の損失の原因ではない。なぜなら、フェニルアラニンの疎水性が、ロイシンの疎水性に匹敵するからである。不安定化効果は、立体障害から生じ得、フェニルアラニンの側鎖は、ロイシンのそれ(124A3)より大きい容量(190A3)を保有し;あるいは、Asp189の電荷とフェニルアラニンの芳香環の部分的な電荷との間に反発が形成され得る。
【0133】
活性化変異体の触媒欠損は、明らかに、迅速に、変異に引き続く全体的な有効性増加の問題を提供する。一見、この増加は、好ましくない。なぜなら活性化速度の増加は、全体的には活性の欠損による損失のようであるからである:触媒活性の損失に対する活性化速度の増加の比率は、1未満である(16位でのセリンおよびアラニンについて10/20および2/5、17位でのフェニルアラニンについて2/13)。
【0134】
しかし、この活性の欠損は、血漿インヒビターに対する相対的な耐性を伴い、結果として、その作用を延長する。従って、正常のPCaと比較して、16位にセリンを保有する変異体の血漿中半減期は、10倍増加し、アラニンを保有する変異体の血漿中半減期は、5〜6倍増加し、そして17位にフェニルアラニンを保有する変異体の血漿中半減期は、7倍増加する。これらの条件下で、全体的に有効性の増加は、17位にフェニルアラニンを有する変異体について1未満のままであり、そしてL16S変異体については、0付近のままであり、16位にアラニンを保有する変異体が非常に好ましいことになる。概して、減少した触媒活性にも関わらず、活性化速度および血漿中半減期の増加は、L16A変異体を、現在記載される他の全てのPC誘導体よりも非常に有利なものにする。
【0135】
実施例5:FX変異体の発現のためのベクターの構築
哺乳動物細胞中へのトランスフェクション後に正常のヒトFXを発現するベクターpNUT−FXを出発物質として用いて、FX変異体の発現のために意図されるベクターを、構築した(BIANCHINIら、J.Biol.Chem.277、20577−20534、2002)。
【0136】
ベクターpNUT−FXの位置指定突然変異誘発
FXアナログの発現のために意図されるベクターを調製するために、ベクターpNUT−FXの位置指定突然変異誘発を、JONESら(上で引用される)の方法から導かれる方法により実施した。活性化ペプチドの代わりにFpA配列を導入するためのFX cDNAの改変を、マトリクスとしてベクターpNUT−FX、そしてプライマーとして表VIに示すオリゴヌクレオチド対を用いて、単一のPCR工程で得た。
【0137】
ネイティブのFXにおいて、切断部位の境界をなす残基P3−P2−P1−P1’−P2’−P3’の配列(切断は、P1とP1’との間で生じる)は、LTR−IVGである。4つのFXアナログを調製した:FpA−IVG、FpA−IFG、FpA−AVGおよびFpA−AFGは、配列P3−P2−P1−P1’−P2’−P3’に関して、夫々、GVR−IVG、GVR−IFG、GVR−AVGおよびGVR−AFGを有する。
【0138】
これらのFXアナログを発現するベクターを、位置指定突然変異誘発によって調製した。ベクターpNUT−FXの突然変異誘発のために用いたプライマーの配列を、表VIに示す。
【0139】
【表6】
この表において、最初のカラムは、活性化ペプチドに導入された改変を示す:DFLAEGGGVRは、調製された誘導体において、FXの活性化ペプチド全体がフィブリノペプチドAで置換されたことを示す。各々の突然変異誘発について、用いられるオリゴヌクレオチド対の配列(センスおよびアンチセンス)を、右側のカラムに示す。表の中央のカラムは、活性化部位のP1’、P2’、およびP3’のアミノ酸配列を示す。
【0140】
PCRを、製造者に推奨される緩衝液中に2.5単位のPfu DNAポリメラーゼ(STRATAGENE;Amsterdam Zuidoost、the Netherlands)、各dNTP(0.5mM)の等モル混合物、125ngの各プライマー(センスおよびアンチセンス、表VIを参照のこと)、および50ngのマトリクスを含む50μl体積中で実施する。誘導体DFLAEGGGVR−IVGおよびDFLAEGGGVR−IFGを調製するために用いられるマトリクスは、pNUT−FXであり;ハイブリダイゼーション温度は、55℃である。誘導体DFLAEGGGVR−AVGおよびDFLAEGGGVR−AFGを調製するために用いられるマトリクスは、pNUT−FX、あらかじめ誘導されたDFLAEGGGVR−IVGであり;ハイブリダイゼーション温度は、50℃である。PCRを、DNA Thermal Cycler type 480(PERKIN ELMER)を用いて実施する。各々の反応は、95℃で5分間の最初の変性の工程と、引き続く16回の同一のサイクルを包含し、このサイクルは、各々、95℃で45秒間、55℃(または50℃)で60秒間、そして68℃で26分間の3つのフェーズ(変性、ハイブリダイゼーション、および伸長)からなる。これらの16サイクルの最後に、マトリクスとしての役割を果たしたベクターを、10単位のDpnI(OZYME)を用いて、37℃で1時間分解する。
【0141】
pNUT−FX由来のベクターの調製
細菌である、DH5α株(Dam+)を、4℃で100mMのCaCl2中で洗浄することによりコンピテントにし、そして15%のグリセロールを含む100mMのCaCl2溶液中に−80℃で貯蔵した。コンピテント細菌のアリコート(100μl中に約106)を、DpnIで消化した5〜10μlのPCR産物を用いて形質転換する。この混合物を、4℃で30分間インキュベートし、次いで、42℃で2分間の熱ショックに供し、引き続き4℃で2分間、さらにインキュベートする。次いで、この細菌を、LB(LUTHIA BERTONI BROTH、INVITROGEN)培地中で、37℃で60分間、激しく攪拌しながらインキュベートする。2000rpmで5分間の遠心分離の後、このLB培地を、デカンテーションし、そしてこの細菌を、寒天上(100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地中、1.5%のAGAR−SELECT)にプレートする。ペトリ皿を、37℃のインキュベーター中で36時間インキュベートする。6〜12個のコロニーを単離し、そして100μg/mlのアンピシリンを含む5mlのLB培地中、37℃で、激しく攪拌しながら、一晩、増幅させる。アンピシリン耐性の原因となるベクターを、「煮沸溶解」法(上で引用するSAMBROOKら)により精製する。あるいは、より多い量のプラスミドを調製するために、「PLASMID MIDY KIT」(QIAGEN)を、製造者の指示書に従って用いた。
【0142】
FX変異体のcDNAの配列決定
pNUT−FXの誘導体により保有されるcDNAの配列を、「ABI PRISM 377」シークエンサー(PERKIN ELMER)を用い、SANGERらの方法(上で引用される)から導いた方法により制御した。「ABI PRISM dRhodamine Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit」を、製造者の指示書に従って使用した。pNUT−FXの誘導体に含まれるFX cDNA全体の配列を、FX cDNAの配列に沿って分配される最小限の6つのプライマーを用いて配列決定した。
【0143】
実施例6:FX変異体を発現する哺乳動物細胞のトランスフェクションおよび選択
BHK−21細胞のトランスフェクション
組換えタンパク質を、European Collection of Cell Cultures(Sofia−antipolis、France)により提供される新生ハムスター腎臓(BHK−21)細胞中で発現させた。これらの細胞を、リン酸カルシウム共沈殿法(上に引用されるSAMBROOKら)によって、pNUT−FXから誘導したベクターを用いてトランスフェクトした。
【0144】
BHK−21細胞を、10%の胎児ウシ血清(INVITROGEN)、2mMのL−グルタミン(INVITROGEN)、100単位/mlのペニシリン(INVITROGEN)および100μg/mlのストレプトマイシン(INVITROGEN)を補充した完全DMEM培地(ダルベッコ改変イーグル15培地;(INVITROGEN))において、5%のCO2の雰囲気下で、37℃のインキュベーター中のペトリ皿(直径80mm)中で培養する。これらの細胞が約80%のコンフルエンシーに達したとき、これらの細胞を、PBS緩衝液(INVITROGEN)中で2回リンスし、次いで、4mlのOPTI−MEM(INVITROGEN)中、37℃で1時間インキュベートする。
【0145】
50mM HEPES、1.5mM Na2HPO4、280mM NaCl、10mM KClおよび12mM デキストロースから構成される、正確に7.05のpHでの250μlの溶液に40nMのベクターpNUT−FXまたはその誘導体の1つ(蒸留水で調整した、220μlの容量中40μg)を添加することによってトランスフェクションを実施する。31μlの2.5M CaCl2を滴下し、そして一定に攪拌することによってDNAの共沈殿を得る。周囲温度での30分間のインキュベーション後、沈殿物を、細胞を覆う培地に添加し、そして37℃で3時間沈降させる。該細胞を、(ほとんどの沈殿物を除去するために)PBSを用いて洗浄し、そして完全DMEM培地中に戻して37℃で24時間培養する。0.5mg/mlのトリプシンを含む、2mlのEDTA(54mM、pH8.0)の溶液を用いて該細胞をペトリ皿から脱着し、選択培地(50mg/Lのメトトレキセート(TEVA、Courbevoie、France)を含む完全DMEM)中に再懸濁し、そして2つの新しいペトリ皿に再播種する。コロニーが得られるまでこの培養培地を、2〜3週間2日間毎に新しくし、このコロニーを、単離しそして培養プレートのウェル(2cm2)へと移す。ここで、これらの細胞は、選択培地中でコンフルエンシーまで増やされる。
【0146】
FX誘導体を産生するクローンの同定
FX誘導体を安定して発現するクローンを、イムノブロッティングにより検出する。少なくとも48時間トランスフェクト細胞と接触したままにされた、BHK−21細胞培養物の上清のアリコート(30μl)を、40%(v/v)のグリセロール、8%(w/v)のSDS、0.04%(w/v)のブロモフェノールブルーおよび20%(v/v)のβ−メルカプトエタノールを含む、10μlの100mM Tris(pH6.8)に添加する。サンプル中のタンパク質を、95℃で5分間変性し、そして0.1Mのグリシンおよび0.1%(w/v)SDSを含む、25mMのTris緩衝液(pH7.5)中の12%ポリアクリルアミドゲル(架橋29/1)上で分離する。
【0147】
電気泳動に続いて、25mMのTris緩衝液、20%のメタノールを含む、0.1Mグリシン(pH7.5)中のニトロセルロースメンブラン(TRANS−BLOT、BIO−RAD、Ivry sur Seine、France)上に移す。このメンブランを、150mMのNaClおよび0.1%のTween20を含む、Tris緩衝液(pH7.5)(TBBS)50mM中のスキムミルク(5%、w/v)の溶液中で、周囲温度で1時間のインキュベーションにより飽和させ、そして同じ緩衝液中10分間で3回、洗浄する。次いで、このメンブランを、TTBS中の50ng/mlのモノクローナル抗体9E10(CLONETECH、Palo Alto、CA、USA)の存在下で1〜12時間インキュベートする。
【0148】
(上記のような)3回の洗浄後、メンブランを、TTBS中に1/3000まで希釈されたアルカリホスファターゼ(BIO−RAD)で標識されたヤギ抗マウスIgGポリクローナル抗体の存在下で、周囲温度で1時間インキュベートする。このメンブランを色素産生基質(0.5MのMgCl2を含む、0.1MのTris緩衝液(pH9.5)中に希釈した等量の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート、トルイジン塩(BCIPT)および塩化ニトロテトラゾリウム(NTC)の混合物)の存在下でインキュベートすることによって、組換えFXの存在が明らかになる。
【0149】
実施例7:FX変異体の発現および精製
細胞培養および産生
FX誘導体を発現する細胞を、850cm2の瓶に接種するために用いられる150cm2のフラスコ中に連続継代によって増やす。(メタロチオネインプロモーターを誘導するための)50μMのZnCl2および翻訳後のγ−カルボキシル化を可能にするための5μg/mlのビタミンK(ROCHE、Neuilly sur Seine、France)を含む選択培地中で5%のCO2を含む制御した雰囲気下で、37℃で、この産生を実施する。培養物上清を、(細胞密度に依存して)2〜6日毎に回収し、5000gでの10分間の遠心分離によって澄まし、そして5mM EDTAおよび10mMのベンズアミジンの添加後に−20℃で貯蔵する。
【0150】
FX誘導体を、3段階で精製する。第一は、培養上清中に含まれるタンパク質を濃縮するためのアニオン交換樹脂への吸着である。該上清を、10mMのベンズアミジンおよび5mMのEDTAを含む、50mMのTris(pH7.5)中に、1/3まで希釈する。代表的に、2リットルの上清を、4リットルの緩衝液に希釈し、4.5グラムのQAE SEPHADEX A50(AMERSHAM PHAEMACIA BIOTECH)を添加し、そしてその混合物を、(ロータリーパドルスターラーを用いて)周囲温度で、30分間、ゆっくりと攪拌する。SEPHADEXビーズを放置して沈降させ、そして上清を廃棄する。ロードした樹脂をカラムに移し、そして吸着したタンパク質を0.5MのNaClを含む50mMのTris緩衝液(pH7.5)を用いて溶出する。第二段階は、FX誘導体を、QAE−SEPHADEX溶出液中に含まれる他のタンパク質から分離するためのアフィニティークロマトグラフィーである。溶出液を、モノクローナル抗体9E10(CLONETECH)でグラフト(ゲル1ml当り3mg)させたAFFI−PREP HZゲル(BIO−RAD)上にロードする。0.5MのNaClを含む、50mMのTris緩衝液(pH7.5)中での洗浄後、FX誘導体を0.1Mのグリシン−HCl緩衝液(pH2.7)中で溶出する。30μl/mlの2M Trisを添加することによって溶出液のpHを7.5に調整し、そしてカラムを、洗浄緩衝液中に再平衡化する。精製の最後の段階は、グリシンを除去し、そしてアフィニティーカラムから溶出した誘導体を濃縮するためのさらなるアニオン交換クロマトグラフィーである。合計1〜10mgのFX誘導体である複数の溶出液をプールし、5mM EDTAを含む50mM Tris緩衝液(pH7.5)中に1/4まで希釈し、そしてQ−SEPHAROSE FAST FLOWカラム(0.8×10cm)(AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH)上にロードする。希釈緩衝液中で洗浄した後、カラムを、0.5M NaClを含む、50mM Tris緩衝液(pH7.5)を用いて溶出する。
【0151】
最小限の1mgの各FX誘導体を調製する;サンプルの変性および還元の後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(12%、架橋29/1)およびクマシーブルーでの染色によって、各調製物の純度を制御する。得られる全ての調製物は、SDSポリアクリルアミドゲルにおいて純粋なようであるが、以下の2つの形態が組織的に存在する:FX誘導体の重鎖および軽鎖について推定される分子量に匹敵する見かけの分子量を有する、主要な二本鎖形態(80〜90%)、および46kDaの分子量を有する、少数の一本鎖形態(調製物に依存して、10〜20%)。一本鎖形態のパーセンテージは、導入される変異よりも、むしろ調製物が誘導される上清のプールに依存するようである:所定の変異について、一本鎖形態のパーセンテージは、精製の間で変化する。精製された誘導体を、アリコート化し、そして使用するまで−80℃で貯蔵する。アリコートの濃度を、吸光係数(e%280)として1.25g−1cm−1を用いて、280nmでのその吸光度から評価する。
【0152】
実施例8:FX変異体の特徴付け
トロンビンによる活性化速度の決定
FX変異体のトロンビン活性化についての速度定数を、偽一次条件下で決定した。実際には、FX誘導体(1または2μM)を、速度論緩衝液(0.15M NaCl、0.2% PEG 8000(w/v)および5mM CaCl2を含む50mM Tris、pH7.8)中のトロンビン(100nM)の存在下で37℃でインキュベートする。種々のインキュベーション時間の後で、ヒルジン(100単位/ml)を、(トロンビンを中和することにより反応を停止するために)反応混合物の5μlアリコートに添加する。
【0153】
次いで、100μMのN−α−Z−Arg−Gly−Arg−pNA(S2765、BIOGENIC)の加水分解の初速度を測定することによって、産生されたFXaの割合を評価する。405nmでの吸光度のバリエーションを、MR5000マイクロプレートリーダーを用いて、時間の関数として記録する。反応を、活性化プラトーに達する(トロンビンを用いるFX誘導体のより長いインキュベーションを用いてさえ、S2765の加水分解の速度がもはや増加しなくなる時点)まで継続する。
【0154】
次いで、反応についての速度定数を、一次の指数関数的増加を表す以下の式を用いて、S2765の加水分解速度のバリエーションの非線形回帰によって、トロンビンを用いるFX誘導体のインキュベーション時間の関数として評価する:v(t)=Vmax(1−exp(−k t)+V0;ここで、v(t)は、時間tでのS2765の加水分解の速度を表し;Vmaxは、(プラトーでの)加水分解の最大速度を表し、そしてkは、一次速度定数を表し;V0は、アクチベーターを添加する前の初期条件で存在する可能性のある(小さい)アミド分解活性(バックグラウンドノイズ)を考慮して加えられる定数である。kon(特異性定数)の値を、アクチベーター(トロンビン)の濃度に対するkの比率を形成することにより算出する。得られた値(M−1s−1)を、表VIIにまとめる。
【0155】
【表7】
従って、フィブリノペプチドAでのFXの活性化ペプチドの置換(変異体FpA−IVG)は、FX(そのトロンビン活性化は、検出不可能である:ND)を、トロンビン感受性チモーゲン(kon 4×102M−1s−1)へと変換することを可能にする。この変異体のP2’のバリンのフェニルアラニンでのさらなる置換(FpA−IFG)は、この速度を7.5倍増加させる。P1’のイソロイシンがアラニンで置換される場合(FpA−AVG)、この速度は、5.5倍増加する。最後に、P1’のイソロイシンがアラニンで置換され、そしてP2’のバリンがフェニルアラニンで置換される場合(FpA−AFG)、konの値は、FX誘導体FpA−IVGのkonの値より625倍高くなる。FpA−AIG、FpA−IFGおよび特にFpA−AFGから得られる活性化誘導体の触媒活性は、FpA−IVGから得られる活性誘導体と比較して非常に減少する。活性化の間に活性化ペプチドが放出されるので、活性化後に、誘導体FpA−IVGは、あらゆる点で、正常のFXaと同一であるFXaを生成する。他の誘導体は、多少触媒活性を妨げる、残基P1’および/または残基P2’が改変されたFXaを産生する。
【0156】
FX変異体の予備的活性化
機能的研究のために、Fxおよびその誘導体を予備的な量で活性化した。FX(トロンビン活性化でない)を、Russellヘビ毒ー(RVV−X、KORDIA、Leiden、the Netherlands)から単離したFXアクチベータをゲル1ml当り5mgでグラフトしたSEPHAROSE−NHS(HITRAP、AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH)のカラムを通して活性化し、そして製造者の推奨に従い調製した。トロンビン活性化可能なFX誘導体をトロンビンを用いてゲル1ml当り1mgでグラフトしたSEPHAROSE−NHSのカラムを通してFXa誘導体に活性化し、また製造者の推奨に従い調製した。
【0157】
速度論緩衝液中の4ミリグラムのFX誘導体を、活性化カラムに導入する。このカラムを、両方の端部で閉じ、そしてインキュベーションを、周囲温度で16時間維持する。0.5M NaClおよび5mM CaCl2を含む、50mM Tris(pH7.5)を用いて活性化誘導体を溶出する。溶出液は、活性化形態を含むが、活性化が必ずしも完全ではないので、幾分かの非活性化形態が可能性として残る。非活性化形態から活性化形態を分離するために、溶出液を、(イオン強度を減少させるために)5mMのCaCl2を含む50mM Tris(pH7.5)中に1/3まで希釈し、ヘパリン−SEPHAROSE HITRAPカラム(AMERSHAM PHARMACIA BIOTECH)上にロードし、そして0.5M NaClおよび5mMのCaCl2を含む、50mM Tris緩衝液(pH7.5)を用いて溶出する。
【0158】
FX変異体の活性化形態の滴定
活性化FX誘導体の活性部位濃度を、FXaと等モル共有結合複合体を形成するD−Phe−Phe−Arg−Ch3Cl(FFRCK;CALBIOCHEMにより販売される)を用いる滴定により測定する。
【0159】
20nM〜12μMの間の種々の濃度のFFRCKを、速度論緩衝液中で、滴定される一定量(0.5〜1μM)のFXa誘導体と共にインキュベートする。この混合物を、反応が完了するまで周囲温度でインキュベートする。必要とされるインキュベーション時間は、考えられるFXa誘導体に依存し、そしてインキュベーションを延長することにより更なるFXa分子の阻害を導かないことを確保することが必要である:3時間のインキュベーションは、正常のFXaおよび誘導体FpA−IVGの活性化形態に対して十分であるが、16位にアラニンを有し、そして/または17位にフェニルアラニンを有するFXa誘導体については18時間は、十分ではなく、これらは、本方法により滴定することが困難である。
【0160】
このインキュベーションの最後に、FXa誘導体の残留濃度を、100μMのS2765の加水分解の初速度を測定することにより評価する。時間の関数としての405nmでの吸光度のバリエーション(vs)を、MR5000マイクロプレートリーダーを用いて記録する。次いで、初期に存在するFXa誘導体の有効濃度(Et)を、以下の「タイト結合阻害(tight−binding−inhibition)」式(上で引用される、CHA;WILLIAMSおよびMORRISON)を用いて、添加されるFFRCKの濃度の関数としてのvsの依存の非線形回帰によって評価する:
vs=(v0/2[Et]){[(Ki+[FFRCK]−[Et])2+4Ki[Et]]1/2−(Ki+[FFRCK]−Et)}
ここで、v0は、インヒビターの非存在下でのS2765の加水分解の初速度であり、そしてKiは、酵素−インヒビター複合体についての見かけの阻害定数である。
【0161】
変異体FpA−IVGの活性化形態のアミド分解活性
変異体FpA−IVGの活性化形態の活性部位と正常のFXaとを比較するために、以下の2つの色素産生基質の加水分解についての定数kcatおよびKMを、決定した:BIOGENICから販売されるS2765およびベンジル−CO−Ile−Glu−(γ−OR)−Gly−Arg−pNA(S2222)。加水分解を、周囲温度で、速度論緩衝液中で実施する。6〜800μMの間の、種々の濃度の基質を、一定量の活性化FX誘導体(10nM)と共にインキュベートする。時間の関数としての405nmでの吸光度のバリエーションを、MR5000マイクロプレートリーダーを用いて記録し、加水分解の初速度を、多くても10%までの加水分解に対応する吸光度の線形回帰により評価する。次いで、定数kcatおよびKMを、ミカエリス−メンテン式を用いる、基質濃度の関数としての、この初速度のバリエーションの非線形回帰により評価する。
【0162】
得られた結果を、表VIIIにまとめる。
【0163】
【表8】
S2222およびS2765についての、kcatおよびKMの値、ならびにこれらの比率は同一ではないが、これらは、類似する。この結果は、誘導体FpA−IVGのトロンビン活性化により産生されるFXaが、実際に、FXのRVV−X活性化により産生されるものと同じであることを示唆する。
【0164】
FX変異体の活性化形態の抗トロンビン阻害
抗トロンビンは、FXaの主要な生理学的インヒビターである。従って、血漿中半減期の任意の変化がFX誘導体の血液凝固作用を改変するので、抗トロンビンがFX誘導体の活性化形態と相互作用する能力を決定することが必要不可欠である。
【0165】
本発明者らは、抗トロンビンと安定な共有結合複合体を形成するFXaの能力と、FX誘導体FpA−IVGおよびFpA−AVGの活性化形態のそれとを比較した。活性化形態のFX誘導体(1μM)と抗トロンビン(2μM;MCKAY(Thromb.Res.、21、375−25 382、1981)に記載される技術に従い、ヒト血漿から精製した)との間のこれらの複合体の実証を、2単位/mlのヘパリン(KORDIA)の存在下で実施する。インキュベーションを、周囲温度で、1時間にわたり維持し、そしてサンプルの変性および還元後、その反応混合物をポリアクリルアミドゲル電気泳動(10%、架橋29/1)により分析する。FX誘導体と抗トロンビンとの間の共有結合複合体の存在は、抗トロンビン(60kDa)に対応するバンドの強度の減少、活性化形態のFX誘導体(31kDa)に対応するバンドの強度の減少、および共有結合複合体に対応する、より高い分子量(約100kDa)を有する新しいバンドの出現を生じる。
【0166】
これらの結果を図5に示す。
【0167】
レーン1:抗トロンビン単独;レーン2および3:抗トロンビンを伴わないおよび伴う(正常の)FXa誘導体;レーン4およびレーン5:抗トロンビンを伴わないおよび伴う活性化FpA−IVG誘導体。複合体の形成は、高分子量のバンドの出現を生じ(レーン3、5)、これは抗トロンビンを単独で用いるかまたは1つの活性化形態のFX誘導体を単独で用いる場合生じない(レーン2、4)。電気泳動の後、タンパク質を、クマシーブルーを用いて染色する。
【0168】
活性化形態のFX変異体FpA−IVGの血漿半減期の決定
活性化形態の変異体FpA−IVGの半減期を、正常のFXaのそれと比較した。
【0169】
この半減期を評価するために、ヒルジンの添加により凝固しないようにした正常の血漿中での種々の時間にわたるインキュベーションの後に、この変異体の残留活性を測定する。反応混合物は、80%(v/v)のクエン酸添加した正常の血漿および150mMのNaCl、40mMのCaCl2、0.5mg/mlのウシ血清アルブミン、400U/mlのヒルジンおよび50nMの(正常のまたは変異体FpA−IVGから調製した)FXaを含む20%の50mM Tris緩衝液(pH7.5)から構成される。インキュベーションの後、血漿/FXa/ヒルジン混合物のアリコート(40μl)を、160μlの100μM S2765に添加し、そして基質の加水分解の初速度を、MR5000マイクロプレートリーダーで405nmでの吸光度の増加を記録することによって測定する。
【0170】
各変異体の半減期を、一次の指数関数的減少を表す以下の式を用いる、時間の関数としての残留活性のバリエーションの非線形回帰によって評価する:A(t)=A0exp(−k t)+Cte;ここで、A(t)は、時間tでのFXaの残留活性を表し、A0は、その初期活性を表し、そしてkは、一次速度定数を表す。定数Cteを、FXaの活性から独立した、可能性のある活性を考慮に入れて加えた(バックグラウンドノイズ)。次いで、血漿中半減期を、ln(2)をkで除することによって算出する。
【0171】
得られた半減期の値(秒)を表IXにまとめる
【0172】
【表9】
従って、活性化形態の変異体Fpa−IVGの血漿半減期は、正常のFXaの血漿中半減期と同等であり、このことは、再び、これらの2つの分子が、類似であるか、または同一でさえあることを示唆する。
【0173】
FX誘導体FpA−IVGの抗血友病活性
産生されるトロンビンの量を経時的に測定することによって、FX誘導体FpA−IVGの抗血友病活性を試験した:一般的に「トロンビン産生時間」と呼ばれる試験。この測定を、再構築した正常の血漿(DIAGNOSTICA STAGO、Asnieres、France)または重篤な血友病Aを刺激するためのFVIIIを枯渇した血漿(これもまたDIAGNOSTICA STAGO)中で行う。凝固カスケードを、再石灰化および組織因子の添加により誘発する。種々の時間でアリコートを除去し得るように、LAUDANOら(Biochemistry 19、1013−1019、1980)に記載されるように2.5mMのペプチドGly−Pro−Arg−Pro(GPRP;SIGMA ALDRICH)を添加することによって、フィブリン凝塊の形成を阻害する。凝固カスケードの誘発の後、所定の時点で存在するトロンビンの量を、色素産生基質(S2238)を用いて測定する。
【0174】
実際には、150μlの再構成した血漿を、2.5mlのGPRPペプチドおよび必要に応じて50nMのFX誘導体FpA−IVGまたは1U/mlの組換え第VIII因子(HEMOFIL M、BAXTER、Maurepas、France、血友病に対する従来の処置に対応する)を含む150μlの速度論緩衝液と混合する。この混合物を、37℃で3分間プレインキュベートする。次いで、速度論緩衝液中に1/100まで希釈した300μlのNeoplastine(DIAGNOSTICA STAGO)の溶液を添加することによって、凝固カスケードを誘発する。種々の時間で20μlのアリコートを採取し、そして直ぐに、停止溶液(100mMのベンズアミジンおよび10mMのEDTAを含む、速度論緩衝液)中に1/5まで希釈する。180μlの200μM S2238に20μlの各々の希釈したアリコートを添加することによって、トロンビンの量を評価する。MR5000マイクロプレートリーダーを用いて、時間の関数としての405nmでの吸光度のバリエーションを記録し、そして対応する量のトロンビンを、標準曲線を参照して推定する。トロンビン濃度は、組織因子の添加後、最初の2分間の間、迅速に増加し、最大値に達し、次いで、抗トロンビンによるその非可逆的阻害の後に、徐々に減少する。到達される最大値、この最大値に達するために必要な時間、およびその曲線の下の面積は、「トロンビン産生時間」を表す。
【0175】
再構築された正常の血漿、第VIII因子枯渇血漿、第VIII因子を1U/mlで補充した第VIII因子枯渇血漿および50nMのFX誘導体FpA−IVGを補充した第VIII因子枯渇血漿を用いて得られた「トロンビン産生時間」を、図6に示す。
【0176】
1U/mlの第VIII因子(通常の治療的用量)の添加では、「トロンビン産生」を部分的に回復するのみであるが、50nMのFX誘導体FpA−IVGの添加は、正常の血漿で観察されるものに類似するトロンビン産生曲線を回復することを可能にする。
【0177】
結論
FXの活性化ペプチドの改変の効果
FXにおいて、活性化ペプチド全体(52残基)が、ヒトFpA(P10〜P1、すなわち、配列DFLAEGGGVR)で置換される場合、この誘導体は、その正常のホモログと異なり、トロンビン活性化可能になる(これは、生理学的条件である)。
【0178】
この誘導体が、トロンビンにより活性化される場合、得られた生成物は、正常のFXaに非常に類似するか、または同一でさえある(その共有結合アミノ酸構造は、同一である)。触媒活性、血漿中半減期、および抗トロンビンによるその阻害は、同等である。概して、FXの活性化ペプチドの改変は、第VIII因子枯渇血漿におけるトロンビン産生時間を修正することができるトロンビン活性化可能誘導体を得ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1−1】成熟形態のPCの重鎖および軽鎖のポリペプチド配列
【図1−2】成熟形態のPCの重鎖および軽鎖のポリペプチド配列
【図2−1】成熟形態のFXの重鎖および軽鎖のポリペプチド配列
【図2−2】成熟形態のFXの重鎖および軽鎖のポリペプチド配列
【図3】レーン1:分子量マーカー。レーン2〜7:夫々、2μgの変異体Fpa−LID、ΔDTEDQED、Fpa−LFG、Fpa−SIG、Fpa−AIGおよびFpa−LIG。見かけの分子量(kDa)を、ゲルの左に示す。正常のPCの一本鎖形態の位置、および正常のPCの重鎖および軽鎖の位置を、ゲルの右側に示す。
【図4】レーン1:α1−アンチトリプシンの存在下、37℃で5時間インキュベートしたFpa−AIG、レーン2:Fpa−AIG単独(2μg)。レーン3:α1−アンチトリプシンの存在下でインキュベートしたFpa−SIG、レーン4:Fpa−SIG単独。レーン5:α1−アンチトリプシンの存在下でインキュベートした正常のPCa、レーン6:正常のPCa単独。レーン7:α1−アンチトリプシン単独。全てのPCa変異体は、α1−アンチトリプシンと共有結合複合体を形成する。
【図5】レーン1:抗トロンビン単独;レーン2および3:抗トロンビンを伴わないおよび伴う(正常の)FXa誘導体;レーン4およびレーン5:抗トロンビンを伴わないおよび伴う活性化FpA−IVG誘導体。複合体の形成は、高分子量のバンドの出現を生じ(レーン3、5)、これは抗トロンビンを単独で用いるかまたは1つの活性化形態のFX誘導体を単独で用いる場合生じない(レーン2、4)。電気泳動の後、タンパク質を、クマシーブルーを用いて染色する。
【図6】再構築された正常の血漿、第VIII因子枯渇血漿、第VIII因子を1U/mlで補充した第VIII因子枯渇血漿および50nMのFX誘導体FpA−IVGを補充した第VIII因子枯渇血漿を用いて得られた「トロンビン産生時間」を、図6に示す。
【配列表フリーテキスト】
【0180】
配列番号3は、PCRプライマーである。
【0181】
配列番号4は、PCRプライマーである。
【0182】
配列番号5は、PCRプライマーである。
【0183】
配列番号6は、PCRプライマーである。
【0184】
配列番号7は、PCRプライマーである。
【0185】
配列番号8は、PCRプライマーである。
【0186】
配列番号9は、PCRプライマーである。
【0187】
配列番号10は、PCRプライマーである。
【0188】
配列番号11は、PCRプライマーである。
【0189】
配列番号12は、PCRプライマーである。
【0190】
配列番号13は、PCRプライマーである。
【0191】
配列番号14は、PCRプライマーである。
【0192】
配列番号15は、PCRプライマーである。
【0193】
配列番号16は、PCRプライマーである。
【0194】
配列番号17は、PCRプライマーである。
【0195】
配列番号18は、PCRプライマーである。
【0196】
配列番号19は、PCRプライマーである。
【0197】
配列番号20は、PCRプライマーである。
【0198】
配列番号21は、PCRプライマーである。
【0199】
配列番号22は、PCRプライマーである。
Claims (21)
- トロンビン切断配列P10P9P8P7P6P5P4P3P2P1’P2’P3’を含むキメラタンパク質であって、該配列が、フィブリノペプチドAのアミノ酸P10〜P1およびトロンビン切断部位のアミノ酸P1’−P2’−P3’(フィブリノーゲンのα鎖のトロンビン切断部位のアミノ酸を除く)を含む人工配列である、キメラタンパク質。
- セリンプロテアーゼのチモーゲンの活性化ペプチドを、フィブリノペプチドAまたはその一部で置換することにより該セリンプロテアーゼのチモーゲンから誘導されることを特徴とする、前記フィブリノペプチドの少なくともアミノ酸P10〜P1を含む、請求項1に記載のキメラタンパク質。
- 前記チモーゲンがプロテインCまたは第X因子である、請求項2に記載のキメラタンパク質。
- 前記チモーゲンのネイティブP1’−P2’−P3’配列が、P1’位のアミノ酸をアラニンまたはセリンで置換することによって改変されている、請求項2または3に記載のキメラタンパク質。
- 前記チモーゲンのネイティブP1’−P2’−P3’配列が、P2’位のアミノ酸をフェニルアラニンで置換することによって改変されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
- 前記チモーゲンのネイティブP1’−P2’−P3’配列が、P3’位のアミノ酸をグリシンで置換することによって改変されている、請求項2〜5のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載のキメラタンパク質のトロンビン切断により得ることができるセリンプロテアーゼ誘導体。
- 活性化プロテインC(PCa)誘導体または活性化第X因子(FXa)誘導体の中から選択される、請求項7に記載のセリンプロテアーゼ誘導体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のキメラタンパク質または請求項7もしくは8のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ誘導体をコードする核酸分子。
- 以下:
配列番号3および配列番号4により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号5および配列番号6により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号7および配列番号8により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号9および配列番号10により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号11および配列番号12により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号13および配列番号14により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号15および配列番号16により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号17および配列番号18により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号19および配列番号20により規定されるオリゴヌクレオチド対、
配列番号21および配列番号22により規定されるオリゴヌクレオチド対、
から選択される、増幅プライマー対。 - 請求項9に記載の核酸分子を含むことを特徴とする、組換えベクター。
- 請求項9に記載の核酸分子を含むことを特徴とする、遺伝子送達系。
- 請求項9に記載の核酸分子を用いて遺伝的に形質転換された宿主細胞。
- 医薬品を製造するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載のキメラタンパク質または請求項9に記載の核酸分子の使用。
- 医薬品を製造するための、請求項7に記載のセリンプロテアーゼ誘導体の使用。
- 請求項2〜6のいずれか一項に記載のキメラPC、または該キメラPCをコードする核酸分子が、抗血栓性医薬品を製造するために用いられる、請求項14に記載の使用。
- 請求項2〜6のいずれか一項に記載のキメラFX、または該キメラFXをコードする核酸分子が、凝血促進性医薬品を製造するために用いられる、請求項14に記載の使用。
- 請求項8に記載のPCa誘導体が、抗血栓性医薬品の製造のために用いられる、請求項15に記載の使用。
- 請求項8に記載のFXa誘導体が、凝血促進性医薬品の製造のために用いられる、請求項15に記載の使用。
- 適切な賦形剤と組み合わせて、請求項1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのキメラタンパク質、または請求項7もしくは8のいずれかに記載のセリンプロテアーゼ誘導体を含む、薬学的組成物。
- 請求項12に記載の遺伝子送達系を含む、薬学的組成物。
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