JP2005505752A - 電気泳動用の改善されたゲルとその使用 - Google Patents
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Abstract
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3の少なくとも1つの化合物、(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び場合により(III)非還元性架橋剤〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕、を含むモノマーの重合化混合物を含む、固定化pH勾配(IPG)ゲル。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動用の改善されたゲル、ならびに、サンプル中の少なくとも1種の高分子の分離及び/又は分析に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子を分析する分野では、一次元及び二次元ゲル電気泳動が、高分子を分離及び可視化するための標準的手段となっている。
【0003】
一次元ゲル電気泳動は、変性条件下のポリアクリルアミドゲルにおいて電気泳動を行うことにより、タンパク質のような高分子の混合物を質量差に応じて、個々の成分に分離するために用いられる。
【0004】
二次元ゲル電気泳動は、電気泳動により、酸性及び塩基性残基の相対含量に基づいてタンパク質を分離する、等電点電気泳動を含む。印加された電場の影響下で、高度荷電タンパク質は、サイズ又は形状は同程度であるがこれより低荷電のタンパク質より速く移動する。タンパク質をサンプルゾーンから非対流媒質(典型的には、ポリアクリルアミドのようなゲル)を介して移動させると、電気泳動による分離が起こる。タンパク質の実効電荷がゼロであるpH値(等電点、pl)を有する領域にそのタンパク質が入ると、媒質に対して移動を停止する。さらに、この移動が、陽極から単調に増大するpH勾配によって起こる場合には、タンパク質は、その等電点に「泳動(集束;focus)」する。従って、異なる比率の荷電又は滴定アミノ酸を有する2つのタンパク質は、それらの異なる等電点によって分離することができる。
【0005】
等電点電気泳動ゲルの一実施形態は、固定化pH勾配(IPG)ゲルであり、このゲルにおいてpH勾配の形成を引き起こす緩衝基はアクリルアミド誘導体であり、これは、アクリルアミドと架橋剤によりゲルに共重合化されている。これらの誘導体は、製造者であるファルマシア(Pharmacia)により「イモビリン(immobiline)」と称される。これらの「イモビリン」基の勾配は、ポリアクリルアミドと架橋する。市販のIPGのポリアクリルアミドは、ビス−アクリルアミド又はピペラジン−ジ−アクリルアミド(PDA)により架橋される。
【0006】
ビス−アクリルアミドにより架橋されたポリアクリルアミドを含むポリアクリルアミドゲルは、主に、タンパク質分析に適した媒質である。重要なことは、プロテオーム研究が、目的とする系に含まれる全種のタンパク質を扱わなければならないことである。残念ながら、現在利用可能なゲルは、非溶解性であり、第2の次元へのトランスファー後も、IPGストリップ内にタンパク質(例えば、膜タンパク質)の残存が繰り返し認められている。その上、いったん第2の次元で分離しても、直前操作でさらなる残存及び喪失が起こり、問題を一層大きくしている。伝統的方法、すなわち、機械的、電子−溶離、及び拡散方法を用いて、80〜90%の回収率が得られるが、完全な回収が達成されるのことはほとんどない。さらに、ゲルマトリックスの化学的破壊は、往々にしてタンパク質の天然の特徴を変え、タンパク質を改変してしまうため、後の同定にも悪い影響を及ぼす。ウエスタンブロッティングのような日常的手順でさえ、アレイからのタンパク質の喪失を引き起こすことが多い。2D方法の各ステップで、現在利用可能なゲルが、マトリックス内のタンパク質残存により、情報喪失を起こすのは避けられない。
【0007】
1976年、J. N. Hansenは、架橋剤として、ビス−アクリルアミドの代わりにビス−アクリロイル−シスタミン(BAC)を用いることにより、溶解性ゲルマトリックスを開発した。BACは、ビスアクリルアミドと類似した構造を有するが、例えば、β−メルカプトエタノール又はジチオトレイトールのような還元剤により、穏やかな還元条件下で、容易に破壊することができるジスルフィド結合を含む。ジスルフィド結合の切断により、ゲルは再可溶化し、マトリックス内のあらゆるタンパク質を放出する。架橋剤しか破壊されないため、長いアクリルアミドポリマー鎖(BACの還元部分を含む)はその後も存在しており、これは、必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、又は超遠心分離のような方法により除去することができる。
【0008】
BACを含むゲルマトリックスを用いた作業のほとんどは、主に分子分野での用途に集中している。ジスルフィド結合の性質のために、この分離方法は、高度塩基性染色体タンパク質を分離及び分析するために用いられている。BACを含むゲルマトリックスは、現在、ヒストン精製、DNA及びRNA単離、ミオシン重鎖及び免疫沈降抗原に用いられている。ゲルマトリックスとしては、単純なSDS−PAGEから、酸性尿素及びアガロース−アクリルアミド(BAC)複合ゲルまで多様にある。
【0009】
BACを含むゲルは、BACマトリックスと相互作用するため、現在、還元タンパク質調製物(例えば、チオール含有タンパク質)を分離及び分析するために有用ではないと考えられている。さらに、サンプルの事前還元を必要とする分析及び分離方法は、還元剤に対するBACの感受性のために、上記ゲルで用いるのに適していない。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、その様々な実施形態において、電気泳動に使用できるゲル、及び電気泳動方法を提供する。好ましくは、これらのゲルは、以下に示す特徴のうち1以上を含む、改善された特徴を有する:
a)複合混合物からの高分子の前分画の改善及び/又は精製若しくは濃縮の改善、
b)高分子量成分を含む高分子のエントリーの増大、
c)次元間の高分子トランスファーの改善、
d)ブロッティング中の高分子トランスファーの効率改善、
e)タンパク質スポットのトリプシンによる消化の効率向上、及び/又は
f)トリプシンによる消化タンパク質からのペプチド回収の向上。
【0011】
本発明者らは、電気泳動用の改良IPGゲルが、ポリアクリルアミドと、ビス−アクリロイルシスタミン(BAC)(CH2=CHCONHCH2CH2−S−)2のような還元性架橋剤とのハイブリッドマトリックスを形成することにより、得られることをみいだした。本明細書で用いる「BAC」とは、置換又は非置換のBACを意味することは理解されよう。好ましくは、ハイブリッドゲルは、タンパク質が残存しないという改善を示し、しかも溶解性である。
【0012】
さらに、本発明のゲルは、サンプル内の高分子量成分をエントリー及び泳動可能なように設計できることも見出された。
【0013】
様々なpH勾配のIPGゲルは、非還元性架橋剤、並びに、還元性架橋剤、例えば、PDA及びBACの組合せを含んでもよい。非還元性及び還元性架橋剤の組合せの使用により、還元剤と接触させた後、ゲルの物理的構造を制御することが可能になる。例えば、非還元性架橋剤と還元性架橋剤の比を適切に選択することにより、ゲルの可溶性を完全可溶性(その場合、全ゲル構造が失われる)から、部分的可溶性(その場合、ゲル構造の一部又は実質的に全部が維持される)まで変動させることも可能である。ゲル構造の一部を残す利点は、可溶化タンパク質の著しい分散/拡散が避けられることである。
【0014】
非還元性架橋剤を含有させた場合には、BAC誘導単位のジスルフィド結合の全部又は一部を切断することにより、ゲルの孔サイズを制御することも可能になる。
【0015】
例えば、IPGゲルは、再水和中に部分的に可溶化させることにより、高分子量分子(例えば、糖タンパク質及びムチン)をエントリー及び泳動させたり、あるいは、電気泳動中若しくは電気泳動後に可溶化させることにより、高分子(例えば、タンパク質、ペプチド、タンパク質複合体若しくはムチン)の放出及び/又はトランスファーを改善することができる。
【0016】
別の態様では、本発明は、単一パーセントT又はポリアクリルアミド勾配を含む、還元性架橋ゲルに関する。好ましくは、この還元性架橋剤はBACである。一実施形態では、このゲルはSDS−PAGEゲルである。一実施形態では、このゲルはアガロースを含む。好ましくは、このゲルは、ウエスタンブロッティング時の膜に対するトランスファー効率を増大させる。BAC架橋SDS−PAGEゲルはまた、質量分光学分析を目的とする、トリプシン消化後のペプチド回収の改善を示しうる。一実施形態では、ゲルスポットを、トリプシンによる消化前又は後に溶解させる。これは、好ましくは100%BAC架橋ゲルを用いて実施する。
【0017】
好ましくは、BAC−アガロース複合ゲルは、ムチン、タンパク質、糖タンパク質及びその他の高分子のプロテオーム研究で使用するのに適している。
【0018】
従って、第1の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)式CH2=CR1−CO−NR2R3の少なくとも1つの化合物、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)場合により、少なくとも1つの非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含む、固定化pH勾配(IPG)ゲルを提供する。好ましくは、R1、R2及びR3は、Hである。
【0019】
本発明の第1態様の一実施形態では、BACが唯一の架橋剤である、すなわち、非還元性架橋剤は用いない。既に記載したように、このようなゲルは、BACのジスルフィド結合の切断により完全に可溶化することができる。
【0020】
好ましくは、BACの原液は、ホルムアミドのような実質的に有機性の溶剤を用いて調製する。好ましくは、BACは、水性溶液と比較して、ホルムアミド溶液中における保存安定性の改善を呈示する。さらに、好ましくはホルムアミドの使用により、還元によって溶解しやすく、しかも、重合ステップで必要とするTEMEDがより少ないBAC架橋ゲルが得られる。一実施形態では、ホルムアミドの使用によるTEMEDの最小限化は、過剰のTEMEDを除去するためにゲルを前泳動させる必要がなくなるため、8%以上の%Tを含むゲルにとって重要である。別の実施形態では、ホルムアミドに完全又は部分的に代わるものとして、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドのような有機溶剤を用いる。
【0021】
一実施形態では、アクリルアミド及びその架橋剤の溶剤としてホルムアミドを用いて、RNA及びDNA分子を分析する。
【0022】
一実施形態では、例えば、ホルムアミドを含むアクリルアミドバッファーの調製により、BACと架橋したアルカリ性pHのIPG勾配が形成される。好ましくは、ホルムアミドのような有機溶剤を用いて、全アクリルアミドバッファーを調製することにより、BAC架橋IPGゲルが得られ、これは、これまでより安定し、かつ、本明細書に記載するように、pH範囲全体を通じて、穏やかな還元条件下で完全に可溶性である。
【0023】
好ましい実施形態では、IPGゲルは、アクリルアミドとBACの混合物を含む。
【0024】
一実施形態では、IPGゲルは、約1%〜約30%T、好ましくは、約2%〜20%Tを含む。上記ゲルは、好ましくは約2%〜約15%T、さらに好ましくは約2%〜約10%T、好ましくは約3%〜約6%T、最も好ましくは約4%Tを含む。
【0025】
一実施形態では、IPGゲルは、約1%C〜約8.5%Cを含む。上記ゲルは、好ましくは約2%C〜約6%C、さらに好ましくは約3%C〜約5%C、最も好ましくは約4%Cを有する。
【0026】
本発明の第1態様の好ましい実施形態では、IPGゲルは、4%T/4%Cを含む。
【0027】
好ましくは、20%T/4%Cアクリルアミド−BAC原液を用いて、IPGゲルを作製する。
【0028】
別の実施形態では、IPGゲルを、還元性架橋剤(II)、及び非還元性架橋剤(III)を含むモノマー混合物(I)を重合することにより形成する。
【0029】
本明細書で用いる用語「非還元性架橋剤」とは、BAC誘導単位のジスルフィド結合が切断される穏やかな還元条件下で、上記ゲルにおける架橋結合を実質的に保持する架橋剤を意味する。好ましくは、非還元性架橋剤は、ジスルフィド結合を含まないため、還元条件により切断することができない。
【0030】
好ましくは、モノマー混合物に化合物(III)を含有させることにより、穏やかな還元条件下で、BAC誘導単位のジスルフィド結合が切断された後、IPGゲルが維持するその構造の度合いを制御する能力が付与される。従って、架橋剤(還元性(BAC)及び非還元性架橋剤(III))の組合せのパーセント比を変動させることにより、非還元性架橋剤により付与されるゲル構造の一部を保持しながら、ゲルマトリックスの少なくとも部分的可溶化が可能となる。好ましくは、上記ゲル構造は、PDA又はビスアクリルアミドにより部分的に維持されるため、可溶化タンパク質の著しい分散/拡散が防止される。
【0031】
単位(II):単位(III)のモル比は、好ましくは約1:5〜約5:1であり、さらに好ましくは約1:4〜約4:1、さらに好ましくは約1:3〜約3:1、またさらに好ましくは約1:2〜約2:1、最も好ましくは上記モル比は約1:1である。
【0032】
非還元性架橋剤(III)の非制限的例としては、ビスアクリルアミド、PDA及びN,N’−ジアリルタルタルジアミド(DATD)、又はその組合せが挙げられる。
【0033】
好ましい実施形態では、上記ゲルは、アクリルアミド、BAC及びPDAの混合物を含む。
【0034】
好ましくは、IPGゲルは、40%T/2.5%Cアクリルアミド−PDA原液と混合した40%T/2.5%Cアクリルアミド−BAC原液を用いて、4%T/2.5%Cを含む。
【0035】
本発明の第1態様のIPGゲルは、ストリップ又はスラブの形態としうる。好ましくは、上記スラブは、多区画型電気泳動(MCE)装置に用いるのに適している。
【0036】
第2の態様では、本発明は、サンプル中の高分子を分離又は分析する方法を提供し、該方法は、本明細書に記載されている本発明のIPGゲルを用いて、サンプルの等電点電気泳動を実施することを含む。
【0037】
高分子は、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、又はムチンのようなタンパク質性分子でよい。このムチンは、高分子量ムチンとしうる。
【0038】
上記サンプルは、組織サンプル、腺の分泌物、細胞サンプル、微生物サンプル、及び培養物サンプルからなる群より選択することができる。サンプルの好ましい例としては、大腸菌、血漿及び唾液サンプルが挙げられる。
【0039】
好ましくは、上記方法はさらに、サンプルを処理することを含む。
【0040】
好ましくは、サンプルの処理は、サンプル中に存在するタンパク質チオールをアルキル化する、又は、サンプル中の高分子のシステイン残基を還元及びアルキル化することを含む。
【0041】
このような処理を実施することにより、サンプル内のタンパク質を含むシスチン/システインに関して、BACマトリックスとの相互作用を阻止することができる。好ましくは、サンプル還元が完了した後、存在するあらゆる過剰チオールをアルキル化により中和する。
【0042】
このアルキル化は、カルボキシメチル化、カロボキサミドメチル化、ピリジルエチル化、アミドプロピオニル化、ジメチルアミドプロピオニル化、N−イソプロピルカルボキシアミドメチル化からなる群より選択することができる。好ましくは、タンパク質還元剤は、ジチオトレイトールやメルカプトエタノールのようなチオール還元剤、並びに、トリブチルホスフィンのようなホスフィン還元剤からなる群より選択される。
【0043】
本発明の第2態様の方法は、IPGゲルを可溶化又は部分的に可溶化するさらなるステップと、次に、高分子を分離又は回収するさらなるステップを含んでもよい。
【0044】
第2態様の方法は、さらに、IPGゲルを第2の次元のゲルにトランスファーし、IPGゲルを少なくとも部分的に可溶化させ、高分子を第2ゲルに放出させることを含んでもよい。好ましくは、上記方法はさらに、第2ゲル上で電気泳動を実施することを含む。
【0045】
一実施形態では、「トランスファー」という用語は、IPGゲルを第2の次元のゲルの上に載せることを意味する。好ましくは、第2の次元のゲル上での電気泳動は、IPGゲルに用いたものに対して垂直の方向で行なう。
【0046】
別の実施形態では、IPGゲルを、ふるいではなく(non-sieving)孔サイズの大きいスタッキングゲルの上に載せ、これをふるいの第2の次元のゲルの上に固定する。
【0047】
第2ゲルは、変性(すなわち、SDS−PAGE)若しくは天然ゲルであってもよいし、又はIPGゲルであってもよい。
【0048】
別の実施形態では、上記方法はさらに、IPGゲルから高分子を含む画分を切り出すことを含む。
【0049】
上記IPGゲルを染色することにより、そこに含まれる高分子を可視化することができる。
【0050】
好ましくは、切り出した画分を可溶化することにより、そこに含まれる高分子を放出する。一実施形態では、切り出した画分は、DTTを含むサンプルバッファー中に可溶化させる。好ましくは、切り出し及び可溶化させた画分を第2ゲル上に再泳動させ、好ましくはその後第3ゲルにおいて分離させる。
【0051】
好ましい実施形態では、第2及び第3ゲルは、SDS−PAGEゲル及び/又はIPGゲルである。
【0052】
さらに別の実施形態形態では、限定するものではないが、チオール還元剤(例えば、ジチオトレイトール(DTT))のような還元剤を、電気泳動しようとするサンプル溶液中に含有させる。電気泳動中に、DTTは、IPGマトリックスを部分的に溶解するため、さらに孔の大きなゲルマトリックスが形成され、これによって、高分子量、例えば、約200kDa以上の高分子の吸収及び泳動が可能になる。
【0053】
一実施形態では、上記方法は、さらに、複合混合物内の高分子の特定のサブセクションの前分画(plに応じて)と、それに続く濃縮を含む。
【0054】
一実施形態では、第2の態様の方法は、さらに、第2ゲルにIPGゲルをトランスファーした後、IPGゲルを少なくとも部分的に可溶化することにより、高分子を第2ゲルに放出させることを含む。好ましくは、この方法はさらに、第2ゲル上で電気泳動を実施することを含む。
【0055】
別の実施形態では、上記方法はさらに、IPGゲルから、高分子を含む画分を切り出すことを含む。好ましくは、切り出した画分を可溶化することにより、そこに含まれる高分子を放出させる。
【0056】
第3の態様では、本発明は、サンプル中の高分子を分離及び分析するための、本明細書に記載した本発明のIPGゲルの使用を提供する。
【0057】
本発明の第4の態様では、本発明は、電気泳動に使用するためのゲルに関し、該ゲルは、置換又は非置換のアクリルアミド、アクリロイルアミノエトキシエタノール(AAEE)、若しくはアクリロイルアミノプロパノール(AAP);(II)BAC(CH2=CHCONHCH2CH2S)2;及び場合により(III)非還元性架橋剤;及び/又は(IV)アガロース、の重合化混合物を含み、単一の%T、又はポリアクリルアミド勾配を含むものである。
【0058】
さらに好ましい実施形態では、上記ゲルは、PDA又はN,Nメチレンビス−アクリルアミドのような非還元性架橋剤を含む。
【0059】
上記ゲルは、好ましくは約2%〜約10%C、さらに好ましくは約3%〜約6%C、さらに好ましくは約4%〜約5%C、最も好ましくは約4%Cを含む。
【0060】
上記ゲルは、好ましくは約0〜約30%T、さらに好ましくは約0〜約25%T、さらに好ましくは約0〜約20%T、好ましくは約0〜約15%T、好ましくは約0〜約10%T、好ましくは約0〜約7.5%Tのポリアクリルアミド勾配を含む。これに代わり、上記ゲルは、約2〜約14%T、さらに好ましくは約3〜約10%T、さらに好ましくは約3〜約8%T、又は、約4〜約12%T、あるいは、約5〜約15%T、さらに好ましくは約7〜約15%Tのポリアクリルアミド勾配を含む。
【0061】
好ましい一実施形態では、上記ゲルは、4%Cと、0〜12%Tのアクリルアミド勾配を含む。
【0062】
一実施形態では、上記ゲルは、SDS−PAGEゲルである。
【0063】
一実施形態では、上記ゲルは、(I)アクリルアミド(CH2=CH−CO−NH2)、及び(II)BAC(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2、(IV)アガロース、及び場合により(III)非還元性架橋剤、の混合物を含む。
【0064】
上記ゲルは、約0.1%〜約1%の均一濃度のアガロースを含んでいてよい。
【0065】
別の実施形態では、上記ゲルは、約0〜約1%アガロースのアガロース勾配を含む。好ましくは、上記ゲルは、約0〜約0.5%、約0.5%〜約1%、約1〜約0.5%、又は約0.5%〜約0%アガロースのアガロース勾配を含む。
【0066】
好ましくは、上記ゲルは、アガロースと組み合わせて用いる場合、約0〜約8%Tを含む。
【0067】
別の実施形態では、上記ゲルは、(I)アクリルアミド(CH2=CH−CO−NH2)、(II)BAC(CH2=CHCONHCH2CH2S)2、及び(III)非還元性架橋剤、の重合化モノマー単位の混合物を含む。好ましくは、単位(III)は、PDA(C10H14N2O2)である。
【0068】
第5の態様では、本発明は、サンプル中の高分子を分離又は分析するための、本発明のゲルの使用を提供する。
【0069】
好ましくは、上記高分子は、約15kDa〜約750kDaの分子量を有する。
【0070】
第6の態様では、本発明は、サンプル中の高分子を分離又は分析する方法を提供し、該方法は、以下の(i)及び(ii):
(i)サンプルを処理して、サンプル中に存在する遊離タンパク質チオールをアルキル化するか、又はサンプル中のタンパク質シスチン/システインを還元及びアルキル化する工程;
(ii)本発明の第4の態様のゲルを用いて、処理されたサンプルに対し電気泳動を実施する工程
を含む。
【0071】
本発明の第6態様の一実施形態では、SDS−PAGEゲルを可溶化若しくは部分的に可溶化し、高分子を回収するか、又は更なる分離ステップに付す。
【0072】
高分子を含むサンプルは、組織サンプル、腺分泌物、血漿サンプル、細胞サンプル、微生物、又は培養物サンプルからなる群より選択することができる。好ましいサンプルの例として、限定するものではないが、大腸菌、血漿及び唾液が挙げられる。
【0073】
好ましい実施形態では、本発明の方法はさらに、ステップ(ii)から得たゲルを第2ゲルにトランスファーすることを含む。好ましくは、上記方法は、さらに、ステップ(ii)からのゲルを少なくとも部分的に可溶化して、第2ゲルに高分子を放出させることを含む。好ましくは、上記方法は、第2ゲル上で電気泳動を実施することを含む。
【0074】
第2ゲルは、IPGゲル、ポリアクリルアミドゲル又はSDS−ポリアクリルアミドゲルとしうる。
【0075】
本発明の第6態様の方法を2回以上繰り返すことにより、分離を改善することができる。
【0076】
一実施形態では、上記方法は、トリプシンを用いた消化の前又は後のいずれかに、そしてMALDI−TOF−MS分析のための抽出前に、限定するものではないが、DTT及びβ−メルカプト−エタノールのようなチオール還元剤などの還元剤を用いて、ゲルを溶解させることを含む。
【0077】
別の実施形態では、上記方法は、ウエスタンブロット法を実施中、膜支持体へのトランスファー時に、ゲルマトリックスを溶解させることを含む。
【0078】
さらに別の実施形態では、(i)サンプル中の高分子を分離手順に付す工程の前に、好ましくは、複合混合物内の高分子の特定のサブセクションの前分画(plに応じて)と、それに続く濃縮を含む。
【0079】
さらに好ましい実施形態では、上記ゲルは部分的に、PDA又はN,Nメチレンビス−アクリルアミドのような非還元性架橋剤を含むと共に、該ゲルを部分的に可溶化する。
【0080】
第7の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含む重合化混合物を含むポリマーゲルを提供し、このゲルは、BAC誘導単位のジスルフィド結合が切断されるときに、ゲル構造を保持するようなゲルである。
【0081】
さらに別の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)ピペラジンジ−アクリルアミド(PDA)
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含むポリマーゲルを提供する。
【0082】
また別の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含むポリマーゲルを提供し、該重合化混合物のジスルフィド結合の少なくとも一部分が切断されたものである。好ましくは、ジスルフィド結合は切断されている。好ましくは、ポリマー混合物に還元剤を添加することにより、ジスルフィド結合が切断されている。好ましくは、還元剤は、チオール還元剤である。
【0083】
一実施形態では、上記ポリマーゲルは、電気泳動ゲルの形態をしている。好ましくは、ジスルフィド結合は、ゲルによる電気泳動に付すサンプルに含まれる還元剤によって切断される。
【0084】
別の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含むポリマーゲルの多孔度を制御する方法を提供し、該方法は、該ポリマーゲルを処理することにより、BACのジスルフィド結合の少なくとも一部分を切断することを含む。好ましくは、すべてのジスルフィド結合を切断する。好ましくは、上記ポリマーゲルは電気泳動ゲルである。一実施形態では、ゲルを用いて、サンプルに対し電気泳動を実施する前に、ジスルフィド結合を切断する。好ましくは、ゲルでの電気泳動に付そうとするサンプルに還元剤を含有させることにより、ジスルフィド結合を切断する。一実施形態では、還元剤はチオールである。
【0085】
本明細書に記載する方法を通常の分離方法と組み合わせて、分離及び分析の改善を達成できることは理解すべきである。一実施形態では、第6の態様に記載の方法をウエスタンブロット法に用いることにより、この方法を実施中にゲルを可溶化させ、ゲルマトリックスからの全タンパク質を支持体膜に結合させることができる。好ましくは、ウエスタンブロット法の実施中、ゲルを可溶化すれば、ゲルマトリックスからのタンパク質が、好適な支持体膜により効率的にトランスファーされるため、情報力が増加した2Dアレイブロットが得られる。
【0086】
別の実施形態では、トリプシン消化前又は後に、ゲルマトリックスを溶解させるMALDI−MS分析と、本明細書に記載の方法を組み合わせることにより、ペプチド回収を向上させる。好ましくは、7〜15%Tの範囲にあるポリアクリルアミドのゲルでは、市販の調製された4〜12%Tビス架橋対応物と同様の分離度を達成する。本発明に係るゲルをMALDi−MSにより分析したところ、本明細書に概要を示したゲル系は、市販の対応物と同様のシグナル強度を生成することがわかり、示差的に放出されるペプチド断片の存在を示すプロフィールが得られた。
【0087】
当業者であれば理解されるように、本発明は、「オールインワン」タイプの2D分離系の生産を可能にする。例えば、少なくとも一方が溶解可能なゲルである2つのゲルは、面を接触させることができる。このようなゲルの構成は、2D分離技法において明らかに有利であろう。
【0088】
略語:
10%APS:10%w/v過硫酸アンモニウム
20%T/4%C:20%全モノマー(そのうち4%は架橋モノマーのもの)を含むポリアクリルアミド溶液
アガロース:アガロースは、基本反復単位アガロビオース(ガラクトースと3,6−アンヒドロガラクトースの単位を交互に含む)から構成される直鎖状多糖(平均分子量は約12,000)である
ASB−14:アミドスルホベタイン
BAC:N,N’−ビス(アクリロイル)−シスタミン
ビス−アクリルアミド:N,N−メチレン ビス−アクリルアミド
β−ME:ベータ−メルカプトエタノール
DTT:ジチオトレイトール
FA:ギ酸
ゲルバッファー:375mM Tris/HClバッファー(pH8.8)
IAA:ヨードアセトアミド
IEF:等電点電気泳動
IPG:固定化pH勾配
MALDI−MS:マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法
MeCN:アセトニトリル
MilliQ:18.2メガオームでのMilliQ水
MOPS泳動バッファー:50mM MOPS、50mM Tris、1mM EDTA、及び3.5mM SDS
MOPS:3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸
PAS染色:炭水化物のための過ヨウ素酸/シッフ試薬染色
PDA:ピペラジンジアクリルアミド
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
シグマキット(Sigma Kit)C溶液3:7M尿素、2Mチオ尿素、40mM Tris、及び1%ASB−14
TBP:トリ−ブチルホスフィン
TEMED:N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン
TFA:トリ−フルオロ酢酸
Tris:トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン
Tris/HCl:塩酸を用いて必要なpHに調節されたTris塩基性溶液
【実施例】
【0089】
本発明の特性がさらに明確に理解されるように、その好ましい形態を以下の非制限的実施例を参照にして説明する。
【0090】
材料:
アクリルアミド(非安定化)(BDH)生産番号4429940
アクリルアミドバッファー粉末(Fluka)
pK3.1 カタログ番号01713
pK3.6 カタログ番号01715
pK4.6 カタログ番号01717
pK6.2 カタログ番号01719
pK7.0 カタログ番号01727
pK8.5 カタログ番号01735(これは、0.1%ヒドロキノンで安定化させた1gとして供給され、液体である)
pK9.3 カタログ番号01738(イソプロパノール中の200mM溶液としてのみ供給)
pK10.3 カタログ番号01739(これは、0.1%ヒドロキノンで安定化させた1gとして供給され、液体である)
アミノ−n−カプロン酸(Sigma)カタログ番号A−2504
APS(Biorad)カタログ番号161−0700
ASB−14 シドニー有機合成ユニット(Sydney Organic Synthesis Unit)
β−ME(Sigma)カタログ番号M−6250
ダイレクトブルー71(Aldrich)カタログ番号21,240−7
大腸菌(K−12株)(Sigma)カタログ番号EC−1
ホルムアミド(Sigma)カタログ番号F−5786
ゲルボンド(GelBond)PAGフィルム(Amersham)カタログ番号80−1129−37
イモビリロン(Immobiline)−PSQ(Millipore)カタログ番号ISEQ00010
MOPS(Sigma)カタログ番号M−1254
N,N’−ビス(アクリロイル)−シスタミン(Sigma)カタログ番号A−5912
N,Nメチレンビスアクリルアミド(Biorad)カタログ番号161−0200
6〜15%線形勾配ゲルチップ(GelChip)(Proteome Systems Ltd.)
ゲルチップ泳動バッファー(Tris/トリシン/SDS)(Proteome Systems Ltd.)
プロテオプレップ(ProteoPrep)キット(Proteome Systems Ltd.)カタログ番号ProtTot
PDA(Biorad)カタログ番号161−0202
SDS(Sigma)カタログ番号L−3771
TEMED(Sigma)カタログ番号T−9281
Tris(BDH)生産番号103157P
【0091】
設備:
バイオラド電源(Biorad)
プロテオームシステムズ570−90電源
プロテオームシステムズ:第2の次元の泳動タンク
イモビリンドライストリップキット(Immobiline Drystrip Kit)(Pharmacia)
ブランソンデジタルソニフィアー(Branson Digital Sonifier)モデル450
トランスソニックT700/H超音波水浴(John Morris Scientific)
【0092】
コンピュータープログラム:
Dr pH(著作権1993、Hoefer Scientific Instruments)
【0093】
実施例1
アクリルアミド/BAC溶液(40%T/2.5%C)
39gアクリルアミド
1gBAC
80mlホルムアミドに粉末を添加し、60℃に加熱することにより、BACの溶解を促進した。溶解させた後、ホルムアミドを用いて量を100mlに調節した後、溶液を室温まで冷却させた。得られた40%T/2.5%C溶液をホイルで被覆したびんに入れて室温で保存した。
【0094】
アクリルアミドバッファー原液(ホルムアミド中200mM):
100%ホルムアミドを用いて、適切なアクリルアミドバッファー粉末を溶解することにより、全てのアクリルアミドバッファーの200mM原液を調製した。全てのアクリルアミドバッファーの分子量は異なるため、各々5mlの溶液を調製することにより、最終濃度を200mMとした。
【0095】
5mlを生成するのに用いた重量:
pK3.1MWt=5ml中に溶解した重量163Da=163mg
pK3.6MWt=5ml中に溶解した重量129Da=129mg
pK4.6MWt=5ml中に溶解した重量157Da=157mg
pK6.2MWt=5ml中に溶解した重量190Da=190mg
pK7.0MWt=5ml中に溶解した重量200Da=200mg
pK8.5MWt=5ml中に希釈した量142Da=142μl
pK10.3MWt=5ml中に希釈した量184Da=184μl
【0096】
pK9.3アクリルアミドバッファーは、イソプロパノール中の200mM溶液としてしか得ることができないため、溶剤としてホルムアミドを用いて、200mM原液を調製するためには、高速真空(speedy vac)を用いて、少量の残留液が残るまで、イソプロパノールを蒸発させる。次に、この溶液を、100%ホルムアミドで元の量まで再希釈する。一般に、3mlの溶液を乾燥させた(約50〜100μlの残留液が残る)後、前記のように再懸濁して3mlに戻す。
【0097】
実施例2
BAC−IPG
Dr PHプログラム(用いた勾配及びそれらのミックスについては付録Bを参照のこと)を用いて、目的のpH範囲を獲得するのに必要なイモビリンミックスを計算した後、4%TのBAC−IPGスラブゲル(0.5mm、長さ11cm)(そこから、個別のストリップを切り出した)を流し込んだ。アクリルアミドバッファーの水中pKをDr pHプログラムに入れて、勾配構成を計算した。これに代わり、アクリルアミドバッファーの各々について、尿素中のpKも用いることができるが、この場合、同じpH勾配を形成するのに必要なアクリルアミドバッファーの各々の量に変化が生じる。最も標準的に用いられているpH4〜7勾配の構成を以下に示す:
【0098】
酸性溶液(pH4.0)
イモビリンpH3.1 257.2μl
イモビリンpH4.6 254.2μl
イモビリンpH6.2 288.5μl
1M Tris 62.9μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6337μl
塩基性溶液(pH7.0)
イモビリンpH4.6 271.6μl
イモビリンpH6.2 244.1μl
イモビリンpH7.0 102.2μl
イモビリンpH8.5 182.1μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 2364μl
【0099】
触媒:TEMED 16μl/8mlゲル溶液(0.1%最終)
20%APS 40μl/8mlゲル溶液(0.2%最終)
【0100】
触媒をゲル溶液に添加した後、溶液を勾配形成装置内に導入し、バルブを開ける。60ml/分のポンプ速度を用いて、IPGを流し込んだ後、ゲルに水飽和イソブタノールを重層して、50℃で60分かけて重合させた。
【0101】
ブタノールを洗い流した後、合わせガラス板を取り外し、ゲルを下記の洗浄液で洗浄した:
2×10% メタノール 各15分
2×20% メタノール 各15分
(最後の20%メタノール洗浄液は、5%グリセロールを含む)。
【0102】
次に、IPGをガラス板支持体に固定してから、化学物質の蒸気の乾燥器中で一晩乾燥させた。完全に脱水したら、IPGをグラドラップ(Glad Wrap)で被覆し、−20℃で保存した。
【0103】
実施例3(図5を参照)
改良3単位pH IPG勾配
pH3〜6
酸性溶液(pH3.0)
イモビリンpH3.6 187.5μl
イモビリンpH4.6 196μl
イモビリンpH6.2 5μl
1M Tris 75μl
40%T/2.5%C(BAC) 800μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6736μl
塩基性溶液(pH6.0)
イモビリンpH3.6 33μl
イモビリンpH4.6 322μl
イモビリンpH6.2 309μl
イモビリンpH9.3 137μl
1M Tris 1μl
40%T/2.5%C(BAC) 800μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 6337μl
【0104】
pH5〜8
酸性溶液(pH5.0)
イモビリンpH3.1 163μl
イモビリンpH4.6 262μl
イモビリンpH6.2 344μl
イモビリンpH7.0 31μl
1M Tris 162μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6238μl
塩基性溶液(pH8.0)
イモビリンpH4.6 220μl
イモビリンpH6.2 46μl
イモビリンpH7.0 303μl
イモビリンpH8.5 195μl
イモビリンpH9.3 36μl
1M酢酸 66μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 4733μl
【0105】
pH7〜10
酸性溶液(pH7.0)
イモビリンpH4.6 315μl
イモビリンpH6.2 366μl
イモビリンpH7.0 119μl
1M酢酸 31μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6369μl
塩基性溶液(pH10.0)
イモビリンpH4.6 38μl
イモビリンpH7.0 333μl
イモビリンpH8.5 235μl
イモビリンpH9.3 194μl
1M酢酸 142μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 4638μl
【0106】
IPGゲルはすべて、下記量の2種の触媒を用いて重合化した:
TEMED 16μl/8mlゲル溶液(0.1%最終)
20%APS 40μl/8mlゲル溶液(0.2%最終)
【0107】
実施例4
IEFのサンプル調製物:
90mgの大腸菌K−12株(乾燥凍結)(Sigma、EC-1)を15mlのプロテオプレップ(Proteoprep)キット(7M尿素、2Mチオ尿素、40mM Tris、及び1%C7)中に再懸濁させ、最終濃度を6mg/mlとした。70%振幅で懸濁液を6×10秒間音波破砕するが、その際、破砕と破砕の間の1〜2分間を氷上で冷却することにより、タンパク質のカルバミル化を最小限に抑えた。
【0108】
5mM TBPを用いて、溶解物を室温で1時間還元した後、室温の暗所にて、15mM IAAを用いて1時間かけてサンプルを完全にアルキル化した。21,000gでのマイクロ遠心分離により、可溶化タンパク質から細胞残屑を分離した後、アリコートに分け、−20℃で保存した。
【0109】
BAC−IPG系で用いるために、プロテオプレップ(Proteoprep)キットを用いて、6mg/ml大腸菌溶解物をさらに3mg/mlの最終濃度まで希釈した後、微量の1%オレンジGを追跡色素として添加した。一般に、220μlを用いて、11cmIPGスラブから3mm幅のストリップを再水和させ、又は、2〜3cm幅のスラブについての比例量についても試験した。再水和は、室温にて6〜8時間で完了した。
【0110】
血漿
一般に規定された方法を用いて、全血を回収及び処理することにより、血漿サンプルを取得し、これを−20℃で保存した。2D電気泳動に使用するための血漿サンプルにその後実施した追加処理について以下に概説する。
【0111】
アセトン沈降を実施することにより、生物学的液体からのタンパク質の沈降により、サンプルの脱塩を効果的に行なう。基本的には、CHAPSを最終濃度0.5%まで1mlの血漿に添加する。次に、−20℃まで前冷却したアセトンで、血漿/CHAPSを10mlまで希釈し、沈降を−20℃で30分かけて実施した。5,000×g及び4℃での遠心分離により沈降物を回収した後、70%振幅で3×15秒のプローブ音波破砕により、10mlの7M尿素、2Mチオ尿素、40mM Tris及び2%CHAPS中に再懸濁させるが、その際、音波破砕と音波破砕の間に氷上で冷却した。
【0112】
血漿タンパク質の脱塩後、サンプルを還元及びアルキル化した。5mM TBPを用いて、室温で1時間標準的還元を実施した後、室温の暗所にて、15mM IAAでサンプルを1時間アルキル化した。次に、サンプルをアリコートに分け、−20℃で保存した。
【0113】
血漿サンプルを100%濃度で用いるか、必要であれば、サンプル溶液だけを用いて希釈することによりレベルを低下させた。
【0114】
唾液
唾液(10ml)を氷上で回収した後、10mM DTTを添加し、20分静置してから、2mlアリコートにおいて、21,000xgで10分マイクロ遠心分離した。次に、ペレット化材料及び表面上で分離した脂質を避けるために、得られた上清の中心部から1mlを採取した。
【0115】
こうして、遠心した唾液の5mlを用いて、以下に概説するサンプル溶液の成分を可溶化した。
【0116】
唾液サンプル(7M尿素、2Mチオ尿素、40mM Tris及び1%CHAPS中の唾液)
2.1g 尿素
761mg チオ尿素
24.2mg Tris
50mg CHAPS
【0117】
遠心した唾液で5mlまでサンプルを調製する。振とう器(rocker)に載せて溶解させる。尚、唾液中に存在するムチンなどの完全性を維持するため、いずれの段階でもサンプルは音波破砕してはならないことに注意すべきである。
【0118】
次に、室温の暗所にて、15mM IAAで唾液サンプルを1時間アルキル化した。それから、唾液サンプルをアリコートに分け、−20℃で保存した。
【0119】
こうして得られた唾液サンプルをこれ以上希釈せずに、直接用いて、IPGストリップを再水和した。いくつかの事例では、粉末状の0.1M以下のDTTをサンプルに添加することにより、水和段階で、マトリックス内のBAC架橋を溶解させる。本発明者らは、これにより、高分子量成分がサンプル内に入りやすくなると推定する。また、この過程を促進するために、能動的(active)再水和を実施してもよい。
【0120】
実施例5
BAC−IPG
第1の次元では、BAC−IPGストリップ、及び、対照として、ファルマシア(Pharmacia)pH4〜7イモビリンドライストリップ(Immobiline Drystrip)11cm IPGストリップを用いた:
泳動パラメーター
下記の勾配での泳動:(50μA/ストリップ限界)
300V急傾斜(4時間)
10,000V線形傾斜(6時間)
10,000V急傾斜(6〜10時間)
【0121】
次に、泳動した(focused)ストリップを、バンド抽出に用いるか、あるいは、平衡させて第2の次元のゲル上で泳動させるか、あるいは、気密容器内に密封し、−20℃で保存した。
【0122】
実施例6
バンド抽出
大腸菌の泳動BAC−IPG及びPDA−BAC−IPGスラブをクーマシーブリリアントブルーG−250(0.1%G−250、17%硫酸アンモニウム、34%メタノール、及び、3%オルト−リン酸)で6時間からO/Nまで染色した後、1%酢酸で脱染しておいたものをバンド抽出実験に用いた。
【0123】
照明ボックスを用いてバンドの可視化を促進し、バンドを選択してから、まず、清浄な小刀の刃でバンドの両側に沿って切断することにより、切り出した。改変されたイエローチップ(付録Aを参照)を用いて、バンドを回収した後、50μlβ−MEを含む500μlプロテオプレップキットの入ったエッペンドルフ管に移した。このバンドを音波水浴中で、10分以下又はバンドの完全な溶解が達成するまで、音波破砕した(カルバミル化を最小限に抑えるため、溶液を加熱しないよう注意しなければならない)。
【0124】
溶解したバンドは、第2ラウンドの等電点電気泳動のために、新しいIPGストリップを直接再水和するのに用いるか、あるいは、後の使用のために−20℃で保存することができる。
【0125】
バンド抽出前の大腸菌タンパク質のBAC−IPG及びPDA−BAC−IPG染色スラブの例を図3に示す。図3に示したBAC−IPG及びPDA−BAC−IPGスラブからの2Dアレイの一例を図1に示す。
【0126】
図4は、BAC−IPG及びPDA−BAC−IPGスラブの各々からの3mmIPGストリップの1×再充填時に、再泳動した抽出バンド(パネルA+B)及び抽出ゾーン(パネルC+D)から発生した2Dアレイを示す。
【0127】
実施例7
第2の次元のゲルへのタンパク質のトランスファー増大
pH3〜10の勾配を有するIPGゲルを生成するための配合を概説する。この態様に加えた主な構造的改変は、還元性及び非還元性架橋剤を組み合わせて、保持力の低いIPGマトリックスを取得することである。この例は、PDA−BACハイブリッドゲルである。
【0128】
酸性溶液(pH3.0)
イモビリンpH3.1 66.2μl
イモビリンpH4.6 364.4μl
1M Tris 84.6μl
40%T/2.5%C(PDA) 400μl
40%T/2.5%C(BAC) 400μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6684.8μl
塩基性溶液(pH10.0)
イモビリンpH4.6 19.2μl
イモビリンpH6.2 443.0μl
イモビリンpH7.0 144.6μl
イモビリンpH8.5 74.6μl
イモビリンpH9.3 118.5μl
1M酢酸 122.1μl
40%T/2.5%C(PDA) 400μl
40%T/2.5%C(BAC) 400μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 6337μl
【0129】
触媒:TEMED 16μl/8mlゲル溶液(0.1%最終)
20%APS 40μl/8mlゲル溶液(0.2%最終)
【0130】
勾配形成装置を用いて、ゲルを流し込み、50〜60ml/分の速度で供給し、50℃で2時間かけて重合してから、上に概説したように脱水した後、使用するまで−20℃で保存した。
【0131】
サンプルを泳動した後は、ストリップを平衡させて、6M尿素、2%SDS、112mM Tris/酢酸pH7.0ゲルバッファーの溶液中にSDS−PAGEに基づくゲル系において、室温で一定に揺動しながら20分使用した。
【0132】
実施例8
再水和中にマトリックスを溶解した場合のタンパク質エントリーの増大
前記実施例6に記載したように、ゲルを流し込んだ。
【0133】
再水和の際、DTT又はβ−MEをサンプル溶液に添加する。これにより、マトリックス内のすべてのBAC架橋を効果的に溶解することができ、多孔度がさらに高いゲルマトリックスを獲得することができる。本発明者らは、この態様によって、事前にサイズ排除した材料の泳動(集束)が可能となるに違いないと推定する。
【0134】
還元剤で再水和した後、PDA−BAC−IPGストリップを前記のように泳動させてから、平衡させ、SDS−PAGE第2の次元のゲル上で泳動させた。
【0135】
実施例9
SDS−PAGE−BACゲル
用いたゲルは、3〜8%、4〜12%及び6〜15%のいずれかのアクリルアミド勾配を有するか、又は全体を通じて10%T及び15%Tのような均一%Tであった。染色中に、取扱いを容易にし、かつ、ゲルサイズを維持しやすくするために、ゲルを含むBACをゲルボンド(GelBond)支持シート上に形成したが、これはゲルの形成には必須というわけではない。すべてのゲルを流し込む手順は同じであるが、各%Tゲルに用いられる水の量に対するアクリルアミド/BAC原液の量が変動する。
【0136】
4〜12%T
各ゲルチップ(GelChip)サイズゲル(8cm×13.5cm×1mm)につき、12mlの溶液を要する。従って、勾配ゲルを得るには、6mlの各溶液が必要である。
【0137】
【0138】
触媒:TEMED 12μl/6ml(0.1%)
20%APS 30μl/6ml(0.2%)
【0139】
10%均質ゲルについては下記の通りである:
【0140】
触媒:TEMED 24μl/6ml(0.1%)
20%APS 60μl/6ml(0.2%)
【0141】
1.0mmスペーサーを用いて、室温及び60ml/分の供給速度でゲルを流し込んでから、ブタノールを重層した後、50℃で1時間かけて重合した。
【0142】
ブタノールをMilliQですすいだ後、112mM Tris/酢酸pH7バッファーでゲルを覆った後、使用まで、ジップロック式プラスチック製袋に密封して−4℃で保存した。
【0143】
実施例10
SDS−PAGE用のサンプル調製
大腸菌溶解物(3mg/ml)の分子量標準物又は泳動したpH4〜7のIPGのいずれかをサンプルとして用いて、各種%Tゲルを試験することにより、15〜250+kDa程度の分離範囲を提供するゲルを取得した。
【0144】
6〜15%ゲルチップ第2の次元のゲルを比較対照ゲルとして用いた。
【0145】
5mM TBPを用いて、分子量標準物を1時間還元し、15mM IAAで1時間暗所にてアルキル化した後、BACに基づくゲルを用いることにより、標準物を含むシステインがゲルマトリックス内でBAC成分と相互作用するのを阻止した。用いた分子量標準物は、Bioradのブロードレンジ(Broad Range)ミックス又はカレイドスコープ(Kaleidoscope)前染色マーカーのいずれかであった。
【0146】
泳動したIPGストリップを用いようとする場合には、6M尿素、50mM Tris/酢酸pH7.2%、SDS、並びに、追跡色素として微量のブロモ−フェノールブルーを含む溶液中で、ストリップをまず平衡させた後、ゲルチップ対照又はアクリルアミド/BACゲルの上に載せた。
【0147】
実施例11
1×ゲルチップ泳動バッファー:
MilliQを用いて、泳動バッファーパック(Proteome Systems Ltd.)を溶解することにより、Tris/トリシン/SDSバッファーの10×原液を調製する。次に、これをMilliQで適宜希釈することにより、50mM Tris/50mMトリシン/2%SDSの最終1×溶液を取得する。
【0148】
実施例12
泳動パラメーター:
ゲルチップ及びゲルを含むBACの泳動条件は、50mA/ゲルの定電流であった。
【0149】
泳動は、ブロモ−フェノールブルー前端がゲルの底部から泳動し始めた直後に停止した。それから、ゲルサンドイッチを取り外し、クーマシーブリリアントブルーG−250で一晩染色した後、1%酢酸で脱染した。図1は、10%SDS−PAGE−BACゲル上で分離した大腸菌(3mg/ml)の2Dマップを示す。
【0150】
実施例13
2Dアレイのウエスタンブロット:
PDA、PDA−BAC、又はBAC架橋を用いた10%均質ゲルを用いて、pH4〜7の大腸菌アレイを作製した後、β−MEの存在又は非存在下で、これらをイモビロン(Immobilon)−PSQ膜にトランスファーした。
【0151】
トランスファーのために、上部2枚のブロッティング紙を溶液1(25mM Tris/40mMアミノ−n−カプロン酸/0.01%SDS/10%メタノール)に浸漬した後、MilliQで2分すすいでから、溶液1に5分浸漬して、積層(stack)を構築した。次に、これを膜の上に載せ、次の一枚のブロッティング紙を溶液2(25mM Tris/20%メタノール)に浸漬した。この積層を、溶液3(300mM Tris)に浸漬したブロッティング紙のイオントラップの上に載せた。ゲルを20mAで20分、次に400mAで30分、膜にトランスファーした後、ダイレクトブルー71(Direct Blue 71)で10分染色し、40%メタノール/10%酢酸で洗浄してから、空気乾燥させた。
【0152】
このようにしてダイレクトブルー71で染色したブロットを図6に示すが、同図から、ホルムアミド及びBACを含むゲルが、依然としてゲルマトリックスから効果的にトランスファーすることができることがわかる。図6に示すPDAの唯一の対照ブロットもβ−MEで処理してある。
【0153】
実施例14
アキシマ( Axima )質量分析計(M006)分析
図4、5及び6に記載したゲルから、MS分析のために、ゲルからタンパク質スポットを選択し切り出した(図4及び6の矢印で示す)。選択したスポットを次の2つの特性に基づいて選んだ:
染色度(ペプチド、及び放出されたあらゆる示差的ペプチドの抽出効率を試験するため)、及び
分子量(分離された%T範囲の可溶性を評価するため)。
【0154】
7〜15%のSDS−PAGE−BACゲルからの2セットの切り出したタンパク質スポットをノベックス(Novex)4〜12%B/Tズーム(Zoom)ゲルからの同じスポットと比較した。SDS−PAGE−BACスポットの一方のセットはノベックス切り出しスポットと同様に処理したが、SDS−PAGE−BACスポットのもう一方のセットは、50%振幅で2×1秒の超音波プローブを用いた音波破砕により、20μlの0.1M DTT(トリプシン消化後)中に溶解させた。
【0155】
用いられるMALDI−MA分析の一般的方法は下記の通りである:
【0156】
洗浄
150μLの洗浄液(50%v/vアセトニトリル(MeCN)、2.5mM Tris−HCl、pH8.5)を各ゲル片に添加した。このプレートを被覆し、振とう器に1時間載せることにより、脱染させた。(洗浄液は、一切のゲル片も失わないように、注意深く取り除いた)。
【0157】
シールテープをプレートに貼り、ゲル片を含むすべてのウェル上に孔を配置した。ゲル片を真空下で約15分乾燥させた。
【0158】
消化
1ゲル片ずつ含む各ウェルに、10μLのトリプシン(2.5mM Tris−HCl(pH8.5)中0.02μg/μLトリプシン)を添加し、被覆して、30℃で一晩消化させた。
【0159】
抽出
抽出液:50%v/v MeCN
0.5% v/v トリフルオロ酢酸(TFA)(噴煙フードを使用)
10μLの抽出液を各ウェルに添加した後、超音波浴中で10分音波破砕した。10μLのMQを各ウェルに添加し、蓋を外してから、インキュベーター内に10分置いた。これは、アセトニトリルの一部を蒸発させるためである。
【0160】
次に、ジップチップ(ZipTip)を用いて、サンプルを浄化した後、MALDIプレート上にスポットした。
【0161】
実施例15
ジップチップサンプルの浄化及び充填
必要な溶液:
90%v/v MeCN、5%v/vFA(2つの1mLエピ(eppi))
70%v/v MeCN、5%v/vFA(マトリックス(400μL)用)
5%v/v FA(1エピ当たり100μL、1スポット当たり1エピ)
マトリックス:
400μLの70%v/v MeCN、5%v/vFA中4μgのα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸
【0162】
新規のジップチップ/ゲル片を用いて1×90%v/v MeCNを引き上げて(draw up)カラムを湿潤/洗浄した後、2×5%v/v FAを引き上げてカラムを平衡させた。サンプルをカラムに3回通過させることにより、サンプルをカラムに結合させた。
【0163】
3×0.1%v/v TFAを用いて、サンプルを洗浄した後、1μlのマトリックスをジップチップ中に引き上げ、MAlDIプレート上にペプチドを溶離させた。
【0164】
次に、アキシマ(Axima)−CFR質量分析計(Kratos analytical)を用いて、スポットしたサンプルを分析した。
【0165】
参照文献
当業者であれば、広範に説明してきた本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、具体的な実施形態に示した本発明に様々な変更及び/又は改変を加えることができることは理解されよう。従って、本発明の実施形態は、あらゆる点で例示的であり、制限的であると考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】4〜7のpH勾配を有する、100%BAC及び50%BAC(50%PDA)架橋IPG(4%T)を用いた、プロテオプレップ(ProteoPrep)キット中の3mg/ml大腸菌を130kVhで泳動した2Dアレイの写真のコピーである。次に、これらを6〜15%ゲルチップの第2の次元のゲルにトランスファーしてから、クーマシーG−250で染色した。
【図2A】図2A及びBは、3mg/ml血漿を用いて泳動を行った50%BAC(pH4〜7)の写真のコピーである。パネルA及びBは、DTTのような還元剤の非存在下で泳動させた場合に得られる2Dアレイを示す。
【図2B】これに対し、パネルC+Dは、還元剤で処理した場合のIPGからのタンパク質のトランスファーの増大を示している。
【図3A】抽出前(パネルA)、及びバンドを除去した後(パネルB)の、pH4〜7のBAC−IPG(i)及びPDA−BAC−IPG(ii)を用いたスラブゲルの写真のコピーである。用いたサンプルは、2mg/ml大腸菌であり、泳動したスラブをクーマシーG−250で染色することにより、タンパク質を可視化した。抽出したバンドに隣接するゾーンも抽出のため取り出した。
【図3B】抽出前(パネルA)、及びバンドを除去した後(パネルB)の、pH4〜7のBAC−IPG(i)及びPDA−BAC−IPG(ii)を用いたスラブゲルの写真のコピーである。用いたサンプルは、2mg/ml大腸菌であり、泳動したスラブをクーマシーG−250で染色することにより、タンパク質を可視化した。抽出したバンドに隣接するゾーンも抽出のため取り出した。
【図4A】図4A及びBは、pH4〜7の市販のIPGゲル上で再泳動させた後の図3のBAC−IPG及びPDA−BAC−IPGから抽出したタンパク質バンド/ゾーンの2Dアレイの写真のコピーである。パネルA+Bは、スラブからのバンド2の再泳動を示す。
【図4B】これに対し、パネルC+Dは、再泳動したゾーン1を示す。
【図5A】図5A及びBは、100%BAC架橋を用いて形成された、改良3pH単位勾配の写真のコピーである。パネルAは、血漿のpH3〜5.5MCE画分を用いたpH3〜6のIPGを示し、パネルBは、pH5〜8のBAC−IPGにおける血漿のpH5.5〜6.5画分を示す。
【図5B】パネルCは、血漿のpH7〜10MCE画分を用いたpH7〜10のBAC−IPGを示す。
【図6】架橋剤としてPDA(パネルA)又はBAC(パネルB)のいずれかを用いた10%均質ゲル上で泳動させた際の大腸菌2Dアレイの写真のコピーである。いずれの場合も40%T/2.5%C原液がホルムアミド基剤を有することに留意されたい。ゲルの低分子量領域でスポットがやや不鮮明であるのは、ホルムアミドの分解によるものと考えられる。このような作用は、ゲルのプレ泳動により容易に排除することができると予想される。
【図7A】図7A及びBは、図6に示したような2Dアレイをトランスファーする際に生成されたブロットの写真のコピーである。パネルA+Bは、β−MEの非存在(A)及び存在(B)下での50%BAC架橋10%均質ゲルを示す。
【図7B】対照として、パネルCは、β−MEの存在下でゲルと架橋したPDAだけを示す。
【0001】
本発明は、電気泳動用の改善されたゲル、ならびに、サンプル中の少なくとも1種の高分子の分離及び/又は分析に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子を分析する分野では、一次元及び二次元ゲル電気泳動が、高分子を分離及び可視化するための標準的手段となっている。
【0003】
一次元ゲル電気泳動は、変性条件下のポリアクリルアミドゲルにおいて電気泳動を行うことにより、タンパク質のような高分子の混合物を質量差に応じて、個々の成分に分離するために用いられる。
【0004】
二次元ゲル電気泳動は、電気泳動により、酸性及び塩基性残基の相対含量に基づいてタンパク質を分離する、等電点電気泳動を含む。印加された電場の影響下で、高度荷電タンパク質は、サイズ又は形状は同程度であるがこれより低荷電のタンパク質より速く移動する。タンパク質をサンプルゾーンから非対流媒質(典型的には、ポリアクリルアミドのようなゲル)を介して移動させると、電気泳動による分離が起こる。タンパク質の実効電荷がゼロであるpH値(等電点、pl)を有する領域にそのタンパク質が入ると、媒質に対して移動を停止する。さらに、この移動が、陽極から単調に増大するpH勾配によって起こる場合には、タンパク質は、その等電点に「泳動(集束;focus)」する。従って、異なる比率の荷電又は滴定アミノ酸を有する2つのタンパク質は、それらの異なる等電点によって分離することができる。
【0005】
等電点電気泳動ゲルの一実施形態は、固定化pH勾配(IPG)ゲルであり、このゲルにおいてpH勾配の形成を引き起こす緩衝基はアクリルアミド誘導体であり、これは、アクリルアミドと架橋剤によりゲルに共重合化されている。これらの誘導体は、製造者であるファルマシア(Pharmacia)により「イモビリン(immobiline)」と称される。これらの「イモビリン」基の勾配は、ポリアクリルアミドと架橋する。市販のIPGのポリアクリルアミドは、ビス−アクリルアミド又はピペラジン−ジ−アクリルアミド(PDA)により架橋される。
【0006】
ビス−アクリルアミドにより架橋されたポリアクリルアミドを含むポリアクリルアミドゲルは、主に、タンパク質分析に適した媒質である。重要なことは、プロテオーム研究が、目的とする系に含まれる全種のタンパク質を扱わなければならないことである。残念ながら、現在利用可能なゲルは、非溶解性であり、第2の次元へのトランスファー後も、IPGストリップ内にタンパク質(例えば、膜タンパク質)の残存が繰り返し認められている。その上、いったん第2の次元で分離しても、直前操作でさらなる残存及び喪失が起こり、問題を一層大きくしている。伝統的方法、すなわち、機械的、電子−溶離、及び拡散方法を用いて、80〜90%の回収率が得られるが、完全な回収が達成されるのことはほとんどない。さらに、ゲルマトリックスの化学的破壊は、往々にしてタンパク質の天然の特徴を変え、タンパク質を改変してしまうため、後の同定にも悪い影響を及ぼす。ウエスタンブロッティングのような日常的手順でさえ、アレイからのタンパク質の喪失を引き起こすことが多い。2D方法の各ステップで、現在利用可能なゲルが、マトリックス内のタンパク質残存により、情報喪失を起こすのは避けられない。
【0007】
1976年、J. N. Hansenは、架橋剤として、ビス−アクリルアミドの代わりにビス−アクリロイル−シスタミン(BAC)を用いることにより、溶解性ゲルマトリックスを開発した。BACは、ビスアクリルアミドと類似した構造を有するが、例えば、β−メルカプトエタノール又はジチオトレイトールのような還元剤により、穏やかな還元条件下で、容易に破壊することができるジスルフィド結合を含む。ジスルフィド結合の切断により、ゲルは再可溶化し、マトリックス内のあらゆるタンパク質を放出する。架橋剤しか破壊されないため、長いアクリルアミドポリマー鎖(BACの還元部分を含む)はその後も存在しており、これは、必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、又は超遠心分離のような方法により除去することができる。
【0008】
BACを含むゲルマトリックスを用いた作業のほとんどは、主に分子分野での用途に集中している。ジスルフィド結合の性質のために、この分離方法は、高度塩基性染色体タンパク質を分離及び分析するために用いられている。BACを含むゲルマトリックスは、現在、ヒストン精製、DNA及びRNA単離、ミオシン重鎖及び免疫沈降抗原に用いられている。ゲルマトリックスとしては、単純なSDS−PAGEから、酸性尿素及びアガロース−アクリルアミド(BAC)複合ゲルまで多様にある。
【0009】
BACを含むゲルは、BACマトリックスと相互作用するため、現在、還元タンパク質調製物(例えば、チオール含有タンパク質)を分離及び分析するために有用ではないと考えられている。さらに、サンプルの事前還元を必要とする分析及び分離方法は、還元剤に対するBACの感受性のために、上記ゲルで用いるのに適していない。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、その様々な実施形態において、電気泳動に使用できるゲル、及び電気泳動方法を提供する。好ましくは、これらのゲルは、以下に示す特徴のうち1以上を含む、改善された特徴を有する:
a)複合混合物からの高分子の前分画の改善及び/又は精製若しくは濃縮の改善、
b)高分子量成分を含む高分子のエントリーの増大、
c)次元間の高分子トランスファーの改善、
d)ブロッティング中の高分子トランスファーの効率改善、
e)タンパク質スポットのトリプシンによる消化の効率向上、及び/又は
f)トリプシンによる消化タンパク質からのペプチド回収の向上。
【0011】
本発明者らは、電気泳動用の改良IPGゲルが、ポリアクリルアミドと、ビス−アクリロイルシスタミン(BAC)(CH2=CHCONHCH2CH2−S−)2のような還元性架橋剤とのハイブリッドマトリックスを形成することにより、得られることをみいだした。本明細書で用いる「BAC」とは、置換又は非置換のBACを意味することは理解されよう。好ましくは、ハイブリッドゲルは、タンパク質が残存しないという改善を示し、しかも溶解性である。
【0012】
さらに、本発明のゲルは、サンプル内の高分子量成分をエントリー及び泳動可能なように設計できることも見出された。
【0013】
様々なpH勾配のIPGゲルは、非還元性架橋剤、並びに、還元性架橋剤、例えば、PDA及びBACの組合せを含んでもよい。非還元性及び還元性架橋剤の組合せの使用により、還元剤と接触させた後、ゲルの物理的構造を制御することが可能になる。例えば、非還元性架橋剤と還元性架橋剤の比を適切に選択することにより、ゲルの可溶性を完全可溶性(その場合、全ゲル構造が失われる)から、部分的可溶性(その場合、ゲル構造の一部又は実質的に全部が維持される)まで変動させることも可能である。ゲル構造の一部を残す利点は、可溶化タンパク質の著しい分散/拡散が避けられることである。
【0014】
非還元性架橋剤を含有させた場合には、BAC誘導単位のジスルフィド結合の全部又は一部を切断することにより、ゲルの孔サイズを制御することも可能になる。
【0015】
例えば、IPGゲルは、再水和中に部分的に可溶化させることにより、高分子量分子(例えば、糖タンパク質及びムチン)をエントリー及び泳動させたり、あるいは、電気泳動中若しくは電気泳動後に可溶化させることにより、高分子(例えば、タンパク質、ペプチド、タンパク質複合体若しくはムチン)の放出及び/又はトランスファーを改善することができる。
【0016】
別の態様では、本発明は、単一パーセントT又はポリアクリルアミド勾配を含む、還元性架橋ゲルに関する。好ましくは、この還元性架橋剤はBACである。一実施形態では、このゲルはSDS−PAGEゲルである。一実施形態では、このゲルはアガロースを含む。好ましくは、このゲルは、ウエスタンブロッティング時の膜に対するトランスファー効率を増大させる。BAC架橋SDS−PAGEゲルはまた、質量分光学分析を目的とする、トリプシン消化後のペプチド回収の改善を示しうる。一実施形態では、ゲルスポットを、トリプシンによる消化前又は後に溶解させる。これは、好ましくは100%BAC架橋ゲルを用いて実施する。
【0017】
好ましくは、BAC−アガロース複合ゲルは、ムチン、タンパク質、糖タンパク質及びその他の高分子のプロテオーム研究で使用するのに適している。
【0018】
従って、第1の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)式CH2=CR1−CO−NR2R3の少なくとも1つの化合物、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)場合により、少なくとも1つの非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含む、固定化pH勾配(IPG)ゲルを提供する。好ましくは、R1、R2及びR3は、Hである。
【0019】
本発明の第1態様の一実施形態では、BACが唯一の架橋剤である、すなわち、非還元性架橋剤は用いない。既に記載したように、このようなゲルは、BACのジスルフィド結合の切断により完全に可溶化することができる。
【0020】
好ましくは、BACの原液は、ホルムアミドのような実質的に有機性の溶剤を用いて調製する。好ましくは、BACは、水性溶液と比較して、ホルムアミド溶液中における保存安定性の改善を呈示する。さらに、好ましくはホルムアミドの使用により、還元によって溶解しやすく、しかも、重合ステップで必要とするTEMEDがより少ないBAC架橋ゲルが得られる。一実施形態では、ホルムアミドの使用によるTEMEDの最小限化は、過剰のTEMEDを除去するためにゲルを前泳動させる必要がなくなるため、8%以上の%Tを含むゲルにとって重要である。別の実施形態では、ホルムアミドに完全又は部分的に代わるものとして、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドのような有機溶剤を用いる。
【0021】
一実施形態では、アクリルアミド及びその架橋剤の溶剤としてホルムアミドを用いて、RNA及びDNA分子を分析する。
【0022】
一実施形態では、例えば、ホルムアミドを含むアクリルアミドバッファーの調製により、BACと架橋したアルカリ性pHのIPG勾配が形成される。好ましくは、ホルムアミドのような有機溶剤を用いて、全アクリルアミドバッファーを調製することにより、BAC架橋IPGゲルが得られ、これは、これまでより安定し、かつ、本明細書に記載するように、pH範囲全体を通じて、穏やかな還元条件下で完全に可溶性である。
【0023】
好ましい実施形態では、IPGゲルは、アクリルアミドとBACの混合物を含む。
【0024】
一実施形態では、IPGゲルは、約1%〜約30%T、好ましくは、約2%〜20%Tを含む。上記ゲルは、好ましくは約2%〜約15%T、さらに好ましくは約2%〜約10%T、好ましくは約3%〜約6%T、最も好ましくは約4%Tを含む。
【0025】
一実施形態では、IPGゲルは、約1%C〜約8.5%Cを含む。上記ゲルは、好ましくは約2%C〜約6%C、さらに好ましくは約3%C〜約5%C、最も好ましくは約4%Cを有する。
【0026】
本発明の第1態様の好ましい実施形態では、IPGゲルは、4%T/4%Cを含む。
【0027】
好ましくは、20%T/4%Cアクリルアミド−BAC原液を用いて、IPGゲルを作製する。
【0028】
別の実施形態では、IPGゲルを、還元性架橋剤(II)、及び非還元性架橋剤(III)を含むモノマー混合物(I)を重合することにより形成する。
【0029】
本明細書で用いる用語「非還元性架橋剤」とは、BAC誘導単位のジスルフィド結合が切断される穏やかな還元条件下で、上記ゲルにおける架橋結合を実質的に保持する架橋剤を意味する。好ましくは、非還元性架橋剤は、ジスルフィド結合を含まないため、還元条件により切断することができない。
【0030】
好ましくは、モノマー混合物に化合物(III)を含有させることにより、穏やかな還元条件下で、BAC誘導単位のジスルフィド結合が切断された後、IPGゲルが維持するその構造の度合いを制御する能力が付与される。従って、架橋剤(還元性(BAC)及び非還元性架橋剤(III))の組合せのパーセント比を変動させることにより、非還元性架橋剤により付与されるゲル構造の一部を保持しながら、ゲルマトリックスの少なくとも部分的可溶化が可能となる。好ましくは、上記ゲル構造は、PDA又はビスアクリルアミドにより部分的に維持されるため、可溶化タンパク質の著しい分散/拡散が防止される。
【0031】
単位(II):単位(III)のモル比は、好ましくは約1:5〜約5:1であり、さらに好ましくは約1:4〜約4:1、さらに好ましくは約1:3〜約3:1、またさらに好ましくは約1:2〜約2:1、最も好ましくは上記モル比は約1:1である。
【0032】
非還元性架橋剤(III)の非制限的例としては、ビスアクリルアミド、PDA及びN,N’−ジアリルタルタルジアミド(DATD)、又はその組合せが挙げられる。
【0033】
好ましい実施形態では、上記ゲルは、アクリルアミド、BAC及びPDAの混合物を含む。
【0034】
好ましくは、IPGゲルは、40%T/2.5%Cアクリルアミド−PDA原液と混合した40%T/2.5%Cアクリルアミド−BAC原液を用いて、4%T/2.5%Cを含む。
【0035】
本発明の第1態様のIPGゲルは、ストリップ又はスラブの形態としうる。好ましくは、上記スラブは、多区画型電気泳動(MCE)装置に用いるのに適している。
【0036】
第2の態様では、本発明は、サンプル中の高分子を分離又は分析する方法を提供し、該方法は、本明細書に記載されている本発明のIPGゲルを用いて、サンプルの等電点電気泳動を実施することを含む。
【0037】
高分子は、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、又はムチンのようなタンパク質性分子でよい。このムチンは、高分子量ムチンとしうる。
【0038】
上記サンプルは、組織サンプル、腺の分泌物、細胞サンプル、微生物サンプル、及び培養物サンプルからなる群より選択することができる。サンプルの好ましい例としては、大腸菌、血漿及び唾液サンプルが挙げられる。
【0039】
好ましくは、上記方法はさらに、サンプルを処理することを含む。
【0040】
好ましくは、サンプルの処理は、サンプル中に存在するタンパク質チオールをアルキル化する、又は、サンプル中の高分子のシステイン残基を還元及びアルキル化することを含む。
【0041】
このような処理を実施することにより、サンプル内のタンパク質を含むシスチン/システインに関して、BACマトリックスとの相互作用を阻止することができる。好ましくは、サンプル還元が完了した後、存在するあらゆる過剰チオールをアルキル化により中和する。
【0042】
このアルキル化は、カルボキシメチル化、カロボキサミドメチル化、ピリジルエチル化、アミドプロピオニル化、ジメチルアミドプロピオニル化、N−イソプロピルカルボキシアミドメチル化からなる群より選択することができる。好ましくは、タンパク質還元剤は、ジチオトレイトールやメルカプトエタノールのようなチオール還元剤、並びに、トリブチルホスフィンのようなホスフィン還元剤からなる群より選択される。
【0043】
本発明の第2態様の方法は、IPGゲルを可溶化又は部分的に可溶化するさらなるステップと、次に、高分子を分離又は回収するさらなるステップを含んでもよい。
【0044】
第2態様の方法は、さらに、IPGゲルを第2の次元のゲルにトランスファーし、IPGゲルを少なくとも部分的に可溶化させ、高分子を第2ゲルに放出させることを含んでもよい。好ましくは、上記方法はさらに、第2ゲル上で電気泳動を実施することを含む。
【0045】
一実施形態では、「トランスファー」という用語は、IPGゲルを第2の次元のゲルの上に載せることを意味する。好ましくは、第2の次元のゲル上での電気泳動は、IPGゲルに用いたものに対して垂直の方向で行なう。
【0046】
別の実施形態では、IPGゲルを、ふるいではなく(non-sieving)孔サイズの大きいスタッキングゲルの上に載せ、これをふるいの第2の次元のゲルの上に固定する。
【0047】
第2ゲルは、変性(すなわち、SDS−PAGE)若しくは天然ゲルであってもよいし、又はIPGゲルであってもよい。
【0048】
別の実施形態では、上記方法はさらに、IPGゲルから高分子を含む画分を切り出すことを含む。
【0049】
上記IPGゲルを染色することにより、そこに含まれる高分子を可視化することができる。
【0050】
好ましくは、切り出した画分を可溶化することにより、そこに含まれる高分子を放出する。一実施形態では、切り出した画分は、DTTを含むサンプルバッファー中に可溶化させる。好ましくは、切り出し及び可溶化させた画分を第2ゲル上に再泳動させ、好ましくはその後第3ゲルにおいて分離させる。
【0051】
好ましい実施形態では、第2及び第3ゲルは、SDS−PAGEゲル及び/又はIPGゲルである。
【0052】
さらに別の実施形態形態では、限定するものではないが、チオール還元剤(例えば、ジチオトレイトール(DTT))のような還元剤を、電気泳動しようとするサンプル溶液中に含有させる。電気泳動中に、DTTは、IPGマトリックスを部分的に溶解するため、さらに孔の大きなゲルマトリックスが形成され、これによって、高分子量、例えば、約200kDa以上の高分子の吸収及び泳動が可能になる。
【0053】
一実施形態では、上記方法は、さらに、複合混合物内の高分子の特定のサブセクションの前分画(plに応じて)と、それに続く濃縮を含む。
【0054】
一実施形態では、第2の態様の方法は、さらに、第2ゲルにIPGゲルをトランスファーした後、IPGゲルを少なくとも部分的に可溶化することにより、高分子を第2ゲルに放出させることを含む。好ましくは、この方法はさらに、第2ゲル上で電気泳動を実施することを含む。
【0055】
別の実施形態では、上記方法はさらに、IPGゲルから、高分子を含む画分を切り出すことを含む。好ましくは、切り出した画分を可溶化することにより、そこに含まれる高分子を放出させる。
【0056】
第3の態様では、本発明は、サンプル中の高分子を分離及び分析するための、本明細書に記載した本発明のIPGゲルの使用を提供する。
【0057】
本発明の第4の態様では、本発明は、電気泳動に使用するためのゲルに関し、該ゲルは、置換又は非置換のアクリルアミド、アクリロイルアミノエトキシエタノール(AAEE)、若しくはアクリロイルアミノプロパノール(AAP);(II)BAC(CH2=CHCONHCH2CH2S)2;及び場合により(III)非還元性架橋剤;及び/又は(IV)アガロース、の重合化混合物を含み、単一の%T、又はポリアクリルアミド勾配を含むものである。
【0058】
さらに好ましい実施形態では、上記ゲルは、PDA又はN,Nメチレンビス−アクリルアミドのような非還元性架橋剤を含む。
【0059】
上記ゲルは、好ましくは約2%〜約10%C、さらに好ましくは約3%〜約6%C、さらに好ましくは約4%〜約5%C、最も好ましくは約4%Cを含む。
【0060】
上記ゲルは、好ましくは約0〜約30%T、さらに好ましくは約0〜約25%T、さらに好ましくは約0〜約20%T、好ましくは約0〜約15%T、好ましくは約0〜約10%T、好ましくは約0〜約7.5%Tのポリアクリルアミド勾配を含む。これに代わり、上記ゲルは、約2〜約14%T、さらに好ましくは約3〜約10%T、さらに好ましくは約3〜約8%T、又は、約4〜約12%T、あるいは、約5〜約15%T、さらに好ましくは約7〜約15%Tのポリアクリルアミド勾配を含む。
【0061】
好ましい一実施形態では、上記ゲルは、4%Cと、0〜12%Tのアクリルアミド勾配を含む。
【0062】
一実施形態では、上記ゲルは、SDS−PAGEゲルである。
【0063】
一実施形態では、上記ゲルは、(I)アクリルアミド(CH2=CH−CO−NH2)、及び(II)BAC(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2、(IV)アガロース、及び場合により(III)非還元性架橋剤、の混合物を含む。
【0064】
上記ゲルは、約0.1%〜約1%の均一濃度のアガロースを含んでいてよい。
【0065】
別の実施形態では、上記ゲルは、約0〜約1%アガロースのアガロース勾配を含む。好ましくは、上記ゲルは、約0〜約0.5%、約0.5%〜約1%、約1〜約0.5%、又は約0.5%〜約0%アガロースのアガロース勾配を含む。
【0066】
好ましくは、上記ゲルは、アガロースと組み合わせて用いる場合、約0〜約8%Tを含む。
【0067】
別の実施形態では、上記ゲルは、(I)アクリルアミド(CH2=CH−CO−NH2)、(II)BAC(CH2=CHCONHCH2CH2S)2、及び(III)非還元性架橋剤、の重合化モノマー単位の混合物を含む。好ましくは、単位(III)は、PDA(C10H14N2O2)である。
【0068】
第5の態様では、本発明は、サンプル中の高分子を分離又は分析するための、本発明のゲルの使用を提供する。
【0069】
好ましくは、上記高分子は、約15kDa〜約750kDaの分子量を有する。
【0070】
第6の態様では、本発明は、サンプル中の高分子を分離又は分析する方法を提供し、該方法は、以下の(i)及び(ii):
(i)サンプルを処理して、サンプル中に存在する遊離タンパク質チオールをアルキル化するか、又はサンプル中のタンパク質シスチン/システインを還元及びアルキル化する工程;
(ii)本発明の第4の態様のゲルを用いて、処理されたサンプルに対し電気泳動を実施する工程
を含む。
【0071】
本発明の第6態様の一実施形態では、SDS−PAGEゲルを可溶化若しくは部分的に可溶化し、高分子を回収するか、又は更なる分離ステップに付す。
【0072】
高分子を含むサンプルは、組織サンプル、腺分泌物、血漿サンプル、細胞サンプル、微生物、又は培養物サンプルからなる群より選択することができる。好ましいサンプルの例として、限定するものではないが、大腸菌、血漿及び唾液が挙げられる。
【0073】
好ましい実施形態では、本発明の方法はさらに、ステップ(ii)から得たゲルを第2ゲルにトランスファーすることを含む。好ましくは、上記方法は、さらに、ステップ(ii)からのゲルを少なくとも部分的に可溶化して、第2ゲルに高分子を放出させることを含む。好ましくは、上記方法は、第2ゲル上で電気泳動を実施することを含む。
【0074】
第2ゲルは、IPGゲル、ポリアクリルアミドゲル又はSDS−ポリアクリルアミドゲルとしうる。
【0075】
本発明の第6態様の方法を2回以上繰り返すことにより、分離を改善することができる。
【0076】
一実施形態では、上記方法は、トリプシンを用いた消化の前又は後のいずれかに、そしてMALDI−TOF−MS分析のための抽出前に、限定するものではないが、DTT及びβ−メルカプト−エタノールのようなチオール還元剤などの還元剤を用いて、ゲルを溶解させることを含む。
【0077】
別の実施形態では、上記方法は、ウエスタンブロット法を実施中、膜支持体へのトランスファー時に、ゲルマトリックスを溶解させることを含む。
【0078】
さらに別の実施形態では、(i)サンプル中の高分子を分離手順に付す工程の前に、好ましくは、複合混合物内の高分子の特定のサブセクションの前分画(plに応じて)と、それに続く濃縮を含む。
【0079】
さらに好ましい実施形態では、上記ゲルは部分的に、PDA又はN,Nメチレンビス−アクリルアミドのような非還元性架橋剤を含むと共に、該ゲルを部分的に可溶化する。
【0080】
第7の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含む重合化混合物を含むポリマーゲルを提供し、このゲルは、BAC誘導単位のジスルフィド結合が切断されるときに、ゲル構造を保持するようなゲルである。
【0081】
さらに別の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)ピペラジンジ−アクリルアミド(PDA)
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含むポリマーゲルを提供する。
【0082】
また別の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含むポリマーゲルを提供し、該重合化混合物のジスルフィド結合の少なくとも一部分が切断されたものである。好ましくは、ジスルフィド結合は切断されている。好ましくは、ポリマー混合物に還元剤を添加することにより、ジスルフィド結合が切断されている。好ましくは、還元剤は、チオール還元剤である。
【0083】
一実施形態では、上記ポリマーゲルは、電気泳動ゲルの形態をしている。好ましくは、ジスルフィド結合は、ゲルによる電気泳動に付すサンプルに含まれる還元剤によって切断される。
【0084】
別の態様では、本発明は、以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含むポリマーゲルの多孔度を制御する方法を提供し、該方法は、該ポリマーゲルを処理することにより、BACのジスルフィド結合の少なくとも一部分を切断することを含む。好ましくは、すべてのジスルフィド結合を切断する。好ましくは、上記ポリマーゲルは電気泳動ゲルである。一実施形態では、ゲルを用いて、サンプルに対し電気泳動を実施する前に、ジスルフィド結合を切断する。好ましくは、ゲルでの電気泳動に付そうとするサンプルに還元剤を含有させることにより、ジスルフィド結合を切断する。一実施形態では、還元剤はチオールである。
【0085】
本明細書に記載する方法を通常の分離方法と組み合わせて、分離及び分析の改善を達成できることは理解すべきである。一実施形態では、第6の態様に記載の方法をウエスタンブロット法に用いることにより、この方法を実施中にゲルを可溶化させ、ゲルマトリックスからの全タンパク質を支持体膜に結合させることができる。好ましくは、ウエスタンブロット法の実施中、ゲルを可溶化すれば、ゲルマトリックスからのタンパク質が、好適な支持体膜により効率的にトランスファーされるため、情報力が増加した2Dアレイブロットが得られる。
【0086】
別の実施形態では、トリプシン消化前又は後に、ゲルマトリックスを溶解させるMALDI−MS分析と、本明細書に記載の方法を組み合わせることにより、ペプチド回収を向上させる。好ましくは、7〜15%Tの範囲にあるポリアクリルアミドのゲルでは、市販の調製された4〜12%Tビス架橋対応物と同様の分離度を達成する。本発明に係るゲルをMALDi−MSにより分析したところ、本明細書に概要を示したゲル系は、市販の対応物と同様のシグナル強度を生成することがわかり、示差的に放出されるペプチド断片の存在を示すプロフィールが得られた。
【0087】
当業者であれば理解されるように、本発明は、「オールインワン」タイプの2D分離系の生産を可能にする。例えば、少なくとも一方が溶解可能なゲルである2つのゲルは、面を接触させることができる。このようなゲルの構成は、2D分離技法において明らかに有利であろう。
【0088】
略語:
10%APS:10%w/v過硫酸アンモニウム
20%T/4%C:20%全モノマー(そのうち4%は架橋モノマーのもの)を含むポリアクリルアミド溶液
アガロース:アガロースは、基本反復単位アガロビオース(ガラクトースと3,6−アンヒドロガラクトースの単位を交互に含む)から構成される直鎖状多糖(平均分子量は約12,000)である
ASB−14:アミドスルホベタイン
BAC:N,N’−ビス(アクリロイル)−シスタミン
ビス−アクリルアミド:N,N−メチレン ビス−アクリルアミド
β−ME:ベータ−メルカプトエタノール
DTT:ジチオトレイトール
FA:ギ酸
ゲルバッファー:375mM Tris/HClバッファー(pH8.8)
IAA:ヨードアセトアミド
IEF:等電点電気泳動
IPG:固定化pH勾配
MALDI−MS:マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法
MeCN:アセトニトリル
MilliQ:18.2メガオームでのMilliQ水
MOPS泳動バッファー:50mM MOPS、50mM Tris、1mM EDTA、及び3.5mM SDS
MOPS:3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸
PAS染色:炭水化物のための過ヨウ素酸/シッフ試薬染色
PDA:ピペラジンジアクリルアミド
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
シグマキット(Sigma Kit)C溶液3:7M尿素、2Mチオ尿素、40mM Tris、及び1%ASB−14
TBP:トリ−ブチルホスフィン
TEMED:N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン
TFA:トリ−フルオロ酢酸
Tris:トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン
Tris/HCl:塩酸を用いて必要なpHに調節されたTris塩基性溶液
【実施例】
【0089】
本発明の特性がさらに明確に理解されるように、その好ましい形態を以下の非制限的実施例を参照にして説明する。
【0090】
材料:
アクリルアミド(非安定化)(BDH)生産番号4429940
アクリルアミドバッファー粉末(Fluka)
pK3.1 カタログ番号01713
pK3.6 カタログ番号01715
pK4.6 カタログ番号01717
pK6.2 カタログ番号01719
pK7.0 カタログ番号01727
pK8.5 カタログ番号01735(これは、0.1%ヒドロキノンで安定化させた1gとして供給され、液体である)
pK9.3 カタログ番号01738(イソプロパノール中の200mM溶液としてのみ供給)
pK10.3 カタログ番号01739(これは、0.1%ヒドロキノンで安定化させた1gとして供給され、液体である)
アミノ−n−カプロン酸(Sigma)カタログ番号A−2504
APS(Biorad)カタログ番号161−0700
ASB−14 シドニー有機合成ユニット(Sydney Organic Synthesis Unit)
β−ME(Sigma)カタログ番号M−6250
ダイレクトブルー71(Aldrich)カタログ番号21,240−7
大腸菌(K−12株)(Sigma)カタログ番号EC−1
ホルムアミド(Sigma)カタログ番号F−5786
ゲルボンド(GelBond)PAGフィルム(Amersham)カタログ番号80−1129−37
イモビリロン(Immobiline)−PSQ(Millipore)カタログ番号ISEQ00010
MOPS(Sigma)カタログ番号M−1254
N,N’−ビス(アクリロイル)−シスタミン(Sigma)カタログ番号A−5912
N,Nメチレンビスアクリルアミド(Biorad)カタログ番号161−0200
6〜15%線形勾配ゲルチップ(GelChip)(Proteome Systems Ltd.)
ゲルチップ泳動バッファー(Tris/トリシン/SDS)(Proteome Systems Ltd.)
プロテオプレップ(ProteoPrep)キット(Proteome Systems Ltd.)カタログ番号ProtTot
PDA(Biorad)カタログ番号161−0202
SDS(Sigma)カタログ番号L−3771
TEMED(Sigma)カタログ番号T−9281
Tris(BDH)生産番号103157P
【0091】
設備:
バイオラド電源(Biorad)
プロテオームシステムズ570−90電源
プロテオームシステムズ:第2の次元の泳動タンク
イモビリンドライストリップキット(Immobiline Drystrip Kit)(Pharmacia)
ブランソンデジタルソニフィアー(Branson Digital Sonifier)モデル450
トランスソニックT700/H超音波水浴(John Morris Scientific)
【0092】
コンピュータープログラム:
Dr pH(著作権1993、Hoefer Scientific Instruments)
【0093】
実施例1
アクリルアミド/BAC溶液(40%T/2.5%C)
39gアクリルアミド
1gBAC
80mlホルムアミドに粉末を添加し、60℃に加熱することにより、BACの溶解を促進した。溶解させた後、ホルムアミドを用いて量を100mlに調節した後、溶液を室温まで冷却させた。得られた40%T/2.5%C溶液をホイルで被覆したびんに入れて室温で保存した。
【0094】
アクリルアミドバッファー原液(ホルムアミド中200mM):
100%ホルムアミドを用いて、適切なアクリルアミドバッファー粉末を溶解することにより、全てのアクリルアミドバッファーの200mM原液を調製した。全てのアクリルアミドバッファーの分子量は異なるため、各々5mlの溶液を調製することにより、最終濃度を200mMとした。
【0095】
5mlを生成するのに用いた重量:
pK3.1MWt=5ml中に溶解した重量163Da=163mg
pK3.6MWt=5ml中に溶解した重量129Da=129mg
pK4.6MWt=5ml中に溶解した重量157Da=157mg
pK6.2MWt=5ml中に溶解した重量190Da=190mg
pK7.0MWt=5ml中に溶解した重量200Da=200mg
pK8.5MWt=5ml中に希釈した量142Da=142μl
pK10.3MWt=5ml中に希釈した量184Da=184μl
【0096】
pK9.3アクリルアミドバッファーは、イソプロパノール中の200mM溶液としてしか得ることができないため、溶剤としてホルムアミドを用いて、200mM原液を調製するためには、高速真空(speedy vac)を用いて、少量の残留液が残るまで、イソプロパノールを蒸発させる。次に、この溶液を、100%ホルムアミドで元の量まで再希釈する。一般に、3mlの溶液を乾燥させた(約50〜100μlの残留液が残る)後、前記のように再懸濁して3mlに戻す。
【0097】
実施例2
BAC−IPG
Dr PHプログラム(用いた勾配及びそれらのミックスについては付録Bを参照のこと)を用いて、目的のpH範囲を獲得するのに必要なイモビリンミックスを計算した後、4%TのBAC−IPGスラブゲル(0.5mm、長さ11cm)(そこから、個別のストリップを切り出した)を流し込んだ。アクリルアミドバッファーの水中pKをDr pHプログラムに入れて、勾配構成を計算した。これに代わり、アクリルアミドバッファーの各々について、尿素中のpKも用いることができるが、この場合、同じpH勾配を形成するのに必要なアクリルアミドバッファーの各々の量に変化が生じる。最も標準的に用いられているpH4〜7勾配の構成を以下に示す:
【0098】
酸性溶液(pH4.0)
イモビリンpH3.1 257.2μl
イモビリンpH4.6 254.2μl
イモビリンpH6.2 288.5μl
1M Tris 62.9μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6337μl
塩基性溶液(pH7.0)
イモビリンpH4.6 271.6μl
イモビリンpH6.2 244.1μl
イモビリンpH7.0 102.2μl
イモビリンpH8.5 182.1μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 2364μl
【0099】
触媒:TEMED 16μl/8mlゲル溶液(0.1%最終)
20%APS 40μl/8mlゲル溶液(0.2%最終)
【0100】
触媒をゲル溶液に添加した後、溶液を勾配形成装置内に導入し、バルブを開ける。60ml/分のポンプ速度を用いて、IPGを流し込んだ後、ゲルに水飽和イソブタノールを重層して、50℃で60分かけて重合させた。
【0101】
ブタノールを洗い流した後、合わせガラス板を取り外し、ゲルを下記の洗浄液で洗浄した:
2×10% メタノール 各15分
2×20% メタノール 各15分
(最後の20%メタノール洗浄液は、5%グリセロールを含む)。
【0102】
次に、IPGをガラス板支持体に固定してから、化学物質の蒸気の乾燥器中で一晩乾燥させた。完全に脱水したら、IPGをグラドラップ(Glad Wrap)で被覆し、−20℃で保存した。
【0103】
実施例3(図5を参照)
改良3単位pH IPG勾配
pH3〜6
酸性溶液(pH3.0)
イモビリンpH3.6 187.5μl
イモビリンpH4.6 196μl
イモビリンpH6.2 5μl
1M Tris 75μl
40%T/2.5%C(BAC) 800μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6736μl
塩基性溶液(pH6.0)
イモビリンpH3.6 33μl
イモビリンpH4.6 322μl
イモビリンpH6.2 309μl
イモビリンpH9.3 137μl
1M Tris 1μl
40%T/2.5%C(BAC) 800μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 6337μl
【0104】
pH5〜8
酸性溶液(pH5.0)
イモビリンpH3.1 163μl
イモビリンpH4.6 262μl
イモビリンpH6.2 344μl
イモビリンpH7.0 31μl
1M Tris 162μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6238μl
塩基性溶液(pH8.0)
イモビリンpH4.6 220μl
イモビリンpH6.2 46μl
イモビリンpH7.0 303μl
イモビリンpH8.5 195μl
イモビリンpH9.3 36μl
1M酢酸 66μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 4733μl
【0105】
pH7〜10
酸性溶液(pH7.0)
イモビリンpH4.6 315μl
イモビリンpH6.2 366μl
イモビリンpH7.0 119μl
1M酢酸 31μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6369μl
塩基性溶液(pH10.0)
イモビリンpH4.6 38μl
イモビリンpH7.0 333μl
イモビリンpH8.5 235μl
イモビリンpH9.3 194μl
1M酢酸 142μl
40%T/2.5%C 800μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 4638μl
【0106】
IPGゲルはすべて、下記量の2種の触媒を用いて重合化した:
TEMED 16μl/8mlゲル溶液(0.1%最終)
20%APS 40μl/8mlゲル溶液(0.2%最終)
【0107】
実施例4
IEFのサンプル調製物:
90mgの大腸菌K−12株(乾燥凍結)(Sigma、EC-1)を15mlのプロテオプレップ(Proteoprep)キット(7M尿素、2Mチオ尿素、40mM Tris、及び1%C7)中に再懸濁させ、最終濃度を6mg/mlとした。70%振幅で懸濁液を6×10秒間音波破砕するが、その際、破砕と破砕の間の1〜2分間を氷上で冷却することにより、タンパク質のカルバミル化を最小限に抑えた。
【0108】
5mM TBPを用いて、溶解物を室温で1時間還元した後、室温の暗所にて、15mM IAAを用いて1時間かけてサンプルを完全にアルキル化した。21,000gでのマイクロ遠心分離により、可溶化タンパク質から細胞残屑を分離した後、アリコートに分け、−20℃で保存した。
【0109】
BAC−IPG系で用いるために、プロテオプレップ(Proteoprep)キットを用いて、6mg/ml大腸菌溶解物をさらに3mg/mlの最終濃度まで希釈した後、微量の1%オレンジGを追跡色素として添加した。一般に、220μlを用いて、11cmIPGスラブから3mm幅のストリップを再水和させ、又は、2〜3cm幅のスラブについての比例量についても試験した。再水和は、室温にて6〜8時間で完了した。
【0110】
血漿
一般に規定された方法を用いて、全血を回収及び処理することにより、血漿サンプルを取得し、これを−20℃で保存した。2D電気泳動に使用するための血漿サンプルにその後実施した追加処理について以下に概説する。
【0111】
アセトン沈降を実施することにより、生物学的液体からのタンパク質の沈降により、サンプルの脱塩を効果的に行なう。基本的には、CHAPSを最終濃度0.5%まで1mlの血漿に添加する。次に、−20℃まで前冷却したアセトンで、血漿/CHAPSを10mlまで希釈し、沈降を−20℃で30分かけて実施した。5,000×g及び4℃での遠心分離により沈降物を回収した後、70%振幅で3×15秒のプローブ音波破砕により、10mlの7M尿素、2Mチオ尿素、40mM Tris及び2%CHAPS中に再懸濁させるが、その際、音波破砕と音波破砕の間に氷上で冷却した。
【0112】
血漿タンパク質の脱塩後、サンプルを還元及びアルキル化した。5mM TBPを用いて、室温で1時間標準的還元を実施した後、室温の暗所にて、15mM IAAでサンプルを1時間アルキル化した。次に、サンプルをアリコートに分け、−20℃で保存した。
【0113】
血漿サンプルを100%濃度で用いるか、必要であれば、サンプル溶液だけを用いて希釈することによりレベルを低下させた。
【0114】
唾液
唾液(10ml)を氷上で回収した後、10mM DTTを添加し、20分静置してから、2mlアリコートにおいて、21,000xgで10分マイクロ遠心分離した。次に、ペレット化材料及び表面上で分離した脂質を避けるために、得られた上清の中心部から1mlを採取した。
【0115】
こうして、遠心した唾液の5mlを用いて、以下に概説するサンプル溶液の成分を可溶化した。
【0116】
唾液サンプル(7M尿素、2Mチオ尿素、40mM Tris及び1%CHAPS中の唾液)
2.1g 尿素
761mg チオ尿素
24.2mg Tris
50mg CHAPS
【0117】
遠心した唾液で5mlまでサンプルを調製する。振とう器(rocker)に載せて溶解させる。尚、唾液中に存在するムチンなどの完全性を維持するため、いずれの段階でもサンプルは音波破砕してはならないことに注意すべきである。
【0118】
次に、室温の暗所にて、15mM IAAで唾液サンプルを1時間アルキル化した。それから、唾液サンプルをアリコートに分け、−20℃で保存した。
【0119】
こうして得られた唾液サンプルをこれ以上希釈せずに、直接用いて、IPGストリップを再水和した。いくつかの事例では、粉末状の0.1M以下のDTTをサンプルに添加することにより、水和段階で、マトリックス内のBAC架橋を溶解させる。本発明者らは、これにより、高分子量成分がサンプル内に入りやすくなると推定する。また、この過程を促進するために、能動的(active)再水和を実施してもよい。
【0120】
実施例5
BAC−IPG
第1の次元では、BAC−IPGストリップ、及び、対照として、ファルマシア(Pharmacia)pH4〜7イモビリンドライストリップ(Immobiline Drystrip)11cm IPGストリップを用いた:
泳動パラメーター
下記の勾配での泳動:(50μA/ストリップ限界)
300V急傾斜(4時間)
10,000V線形傾斜(6時間)
10,000V急傾斜(6〜10時間)
【0121】
次に、泳動した(focused)ストリップを、バンド抽出に用いるか、あるいは、平衡させて第2の次元のゲル上で泳動させるか、あるいは、気密容器内に密封し、−20℃で保存した。
【0122】
実施例6
バンド抽出
大腸菌の泳動BAC−IPG及びPDA−BAC−IPGスラブをクーマシーブリリアントブルーG−250(0.1%G−250、17%硫酸アンモニウム、34%メタノール、及び、3%オルト−リン酸)で6時間からO/Nまで染色した後、1%酢酸で脱染しておいたものをバンド抽出実験に用いた。
【0123】
照明ボックスを用いてバンドの可視化を促進し、バンドを選択してから、まず、清浄な小刀の刃でバンドの両側に沿って切断することにより、切り出した。改変されたイエローチップ(付録Aを参照)を用いて、バンドを回収した後、50μlβ−MEを含む500μlプロテオプレップキットの入ったエッペンドルフ管に移した。このバンドを音波水浴中で、10分以下又はバンドの完全な溶解が達成するまで、音波破砕した(カルバミル化を最小限に抑えるため、溶液を加熱しないよう注意しなければならない)。
【0124】
溶解したバンドは、第2ラウンドの等電点電気泳動のために、新しいIPGストリップを直接再水和するのに用いるか、あるいは、後の使用のために−20℃で保存することができる。
【0125】
バンド抽出前の大腸菌タンパク質のBAC−IPG及びPDA−BAC−IPG染色スラブの例を図3に示す。図3に示したBAC−IPG及びPDA−BAC−IPGスラブからの2Dアレイの一例を図1に示す。
【0126】
図4は、BAC−IPG及びPDA−BAC−IPGスラブの各々からの3mmIPGストリップの1×再充填時に、再泳動した抽出バンド(パネルA+B)及び抽出ゾーン(パネルC+D)から発生した2Dアレイを示す。
【0127】
実施例7
第2の次元のゲルへのタンパク質のトランスファー増大
pH3〜10の勾配を有するIPGゲルを生成するための配合を概説する。この態様に加えた主な構造的改変は、還元性及び非還元性架橋剤を組み合わせて、保持力の低いIPGマトリックスを取得することである。この例は、PDA−BACハイブリッドゲルである。
【0128】
酸性溶液(pH3.0)
イモビリンpH3.1 66.2μl
イモビリンpH4.6 364.4μl
1M Tris 84.6μl
40%T/2.5%C(PDA) 400μl
40%T/2.5%C(BAC) 400μl
50%グリセロール 0μl
MilliQ水 6684.8μl
塩基性溶液(pH10.0)
イモビリンpH4.6 19.2μl
イモビリンpH6.2 443.0μl
イモビリンpH7.0 144.6μl
イモビリンpH8.5 74.6μl
イモビリンpH9.3 118.5μl
1M酢酸 122.1μl
40%T/2.5%C(PDA) 400μl
40%T/2.5%C(BAC) 400μl
50%グリセロール 1600μl
MilliQ水 6337μl
【0129】
触媒:TEMED 16μl/8mlゲル溶液(0.1%最終)
20%APS 40μl/8mlゲル溶液(0.2%最終)
【0130】
勾配形成装置を用いて、ゲルを流し込み、50〜60ml/分の速度で供給し、50℃で2時間かけて重合してから、上に概説したように脱水した後、使用するまで−20℃で保存した。
【0131】
サンプルを泳動した後は、ストリップを平衡させて、6M尿素、2%SDS、112mM Tris/酢酸pH7.0ゲルバッファーの溶液中にSDS−PAGEに基づくゲル系において、室温で一定に揺動しながら20分使用した。
【0132】
実施例8
再水和中にマトリックスを溶解した場合のタンパク質エントリーの増大
前記実施例6に記載したように、ゲルを流し込んだ。
【0133】
再水和の際、DTT又はβ−MEをサンプル溶液に添加する。これにより、マトリックス内のすべてのBAC架橋を効果的に溶解することができ、多孔度がさらに高いゲルマトリックスを獲得することができる。本発明者らは、この態様によって、事前にサイズ排除した材料の泳動(集束)が可能となるに違いないと推定する。
【0134】
還元剤で再水和した後、PDA−BAC−IPGストリップを前記のように泳動させてから、平衡させ、SDS−PAGE第2の次元のゲル上で泳動させた。
【0135】
実施例9
SDS−PAGE−BACゲル
用いたゲルは、3〜8%、4〜12%及び6〜15%のいずれかのアクリルアミド勾配を有するか、又は全体を通じて10%T及び15%Tのような均一%Tであった。染色中に、取扱いを容易にし、かつ、ゲルサイズを維持しやすくするために、ゲルを含むBACをゲルボンド(GelBond)支持シート上に形成したが、これはゲルの形成には必須というわけではない。すべてのゲルを流し込む手順は同じであるが、各%Tゲルに用いられる水の量に対するアクリルアミド/BAC原液の量が変動する。
【0136】
4〜12%T
各ゲルチップ(GelChip)サイズゲル(8cm×13.5cm×1mm)につき、12mlの溶液を要する。従って、勾配ゲルを得るには、6mlの各溶液が必要である。
【0137】
【0138】
触媒:TEMED 12μl/6ml(0.1%)
20%APS 30μl/6ml(0.2%)
【0139】
10%均質ゲルについては下記の通りである:
【0140】
触媒:TEMED 24μl/6ml(0.1%)
20%APS 60μl/6ml(0.2%)
【0141】
1.0mmスペーサーを用いて、室温及び60ml/分の供給速度でゲルを流し込んでから、ブタノールを重層した後、50℃で1時間かけて重合した。
【0142】
ブタノールをMilliQですすいだ後、112mM Tris/酢酸pH7バッファーでゲルを覆った後、使用まで、ジップロック式プラスチック製袋に密封して−4℃で保存した。
【0143】
実施例10
SDS−PAGE用のサンプル調製
大腸菌溶解物(3mg/ml)の分子量標準物又は泳動したpH4〜7のIPGのいずれかをサンプルとして用いて、各種%Tゲルを試験することにより、15〜250+kDa程度の分離範囲を提供するゲルを取得した。
【0144】
6〜15%ゲルチップ第2の次元のゲルを比較対照ゲルとして用いた。
【0145】
5mM TBPを用いて、分子量標準物を1時間還元し、15mM IAAで1時間暗所にてアルキル化した後、BACに基づくゲルを用いることにより、標準物を含むシステインがゲルマトリックス内でBAC成分と相互作用するのを阻止した。用いた分子量標準物は、Bioradのブロードレンジ(Broad Range)ミックス又はカレイドスコープ(Kaleidoscope)前染色マーカーのいずれかであった。
【0146】
泳動したIPGストリップを用いようとする場合には、6M尿素、50mM Tris/酢酸pH7.2%、SDS、並びに、追跡色素として微量のブロモ−フェノールブルーを含む溶液中で、ストリップをまず平衡させた後、ゲルチップ対照又はアクリルアミド/BACゲルの上に載せた。
【0147】
実施例11
1×ゲルチップ泳動バッファー:
MilliQを用いて、泳動バッファーパック(Proteome Systems Ltd.)を溶解することにより、Tris/トリシン/SDSバッファーの10×原液を調製する。次に、これをMilliQで適宜希釈することにより、50mM Tris/50mMトリシン/2%SDSの最終1×溶液を取得する。
【0148】
実施例12
泳動パラメーター:
ゲルチップ及びゲルを含むBACの泳動条件は、50mA/ゲルの定電流であった。
【0149】
泳動は、ブロモ−フェノールブルー前端がゲルの底部から泳動し始めた直後に停止した。それから、ゲルサンドイッチを取り外し、クーマシーブリリアントブルーG−250で一晩染色した後、1%酢酸で脱染した。図1は、10%SDS−PAGE−BACゲル上で分離した大腸菌(3mg/ml)の2Dマップを示す。
【0150】
実施例13
2Dアレイのウエスタンブロット:
PDA、PDA−BAC、又はBAC架橋を用いた10%均質ゲルを用いて、pH4〜7の大腸菌アレイを作製した後、β−MEの存在又は非存在下で、これらをイモビロン(Immobilon)−PSQ膜にトランスファーした。
【0151】
トランスファーのために、上部2枚のブロッティング紙を溶液1(25mM Tris/40mMアミノ−n−カプロン酸/0.01%SDS/10%メタノール)に浸漬した後、MilliQで2分すすいでから、溶液1に5分浸漬して、積層(stack)を構築した。次に、これを膜の上に載せ、次の一枚のブロッティング紙を溶液2(25mM Tris/20%メタノール)に浸漬した。この積層を、溶液3(300mM Tris)に浸漬したブロッティング紙のイオントラップの上に載せた。ゲルを20mAで20分、次に400mAで30分、膜にトランスファーした後、ダイレクトブルー71(Direct Blue 71)で10分染色し、40%メタノール/10%酢酸で洗浄してから、空気乾燥させた。
【0152】
このようにしてダイレクトブルー71で染色したブロットを図6に示すが、同図から、ホルムアミド及びBACを含むゲルが、依然としてゲルマトリックスから効果的にトランスファーすることができることがわかる。図6に示すPDAの唯一の対照ブロットもβ−MEで処理してある。
【0153】
実施例14
アキシマ( Axima )質量分析計(M006)分析
図4、5及び6に記載したゲルから、MS分析のために、ゲルからタンパク質スポットを選択し切り出した(図4及び6の矢印で示す)。選択したスポットを次の2つの特性に基づいて選んだ:
染色度(ペプチド、及び放出されたあらゆる示差的ペプチドの抽出効率を試験するため)、及び
分子量(分離された%T範囲の可溶性を評価するため)。
【0154】
7〜15%のSDS−PAGE−BACゲルからの2セットの切り出したタンパク質スポットをノベックス(Novex)4〜12%B/Tズーム(Zoom)ゲルからの同じスポットと比較した。SDS−PAGE−BACスポットの一方のセットはノベックス切り出しスポットと同様に処理したが、SDS−PAGE−BACスポットのもう一方のセットは、50%振幅で2×1秒の超音波プローブを用いた音波破砕により、20μlの0.1M DTT(トリプシン消化後)中に溶解させた。
【0155】
用いられるMALDI−MA分析の一般的方法は下記の通りである:
【0156】
洗浄
150μLの洗浄液(50%v/vアセトニトリル(MeCN)、2.5mM Tris−HCl、pH8.5)を各ゲル片に添加した。このプレートを被覆し、振とう器に1時間載せることにより、脱染させた。(洗浄液は、一切のゲル片も失わないように、注意深く取り除いた)。
【0157】
シールテープをプレートに貼り、ゲル片を含むすべてのウェル上に孔を配置した。ゲル片を真空下で約15分乾燥させた。
【0158】
消化
1ゲル片ずつ含む各ウェルに、10μLのトリプシン(2.5mM Tris−HCl(pH8.5)中0.02μg/μLトリプシン)を添加し、被覆して、30℃で一晩消化させた。
【0159】
抽出
抽出液:50%v/v MeCN
0.5% v/v トリフルオロ酢酸(TFA)(噴煙フードを使用)
10μLの抽出液を各ウェルに添加した後、超音波浴中で10分音波破砕した。10μLのMQを各ウェルに添加し、蓋を外してから、インキュベーター内に10分置いた。これは、アセトニトリルの一部を蒸発させるためである。
【0160】
次に、ジップチップ(ZipTip)を用いて、サンプルを浄化した後、MALDIプレート上にスポットした。
【0161】
実施例15
ジップチップサンプルの浄化及び充填
必要な溶液:
90%v/v MeCN、5%v/vFA(2つの1mLエピ(eppi))
70%v/v MeCN、5%v/vFA(マトリックス(400μL)用)
5%v/v FA(1エピ当たり100μL、1スポット当たり1エピ)
マトリックス:
400μLの70%v/v MeCN、5%v/vFA中4μgのα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸
【0162】
新規のジップチップ/ゲル片を用いて1×90%v/v MeCNを引き上げて(draw up)カラムを湿潤/洗浄した後、2×5%v/v FAを引き上げてカラムを平衡させた。サンプルをカラムに3回通過させることにより、サンプルをカラムに結合させた。
【0163】
3×0.1%v/v TFAを用いて、サンプルを洗浄した後、1μlのマトリックスをジップチップ中に引き上げ、MAlDIプレート上にペプチドを溶離させた。
【0164】
次に、アキシマ(Axima)−CFR質量分析計(Kratos analytical)を用いて、スポットしたサンプルを分析した。
【0165】
参照文献
当業者であれば、広範に説明してきた本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、具体的な実施形態に示した本発明に様々な変更及び/又は改変を加えることができることは理解されよう。従って、本発明の実施形態は、あらゆる点で例示的であり、制限的であると考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】4〜7のpH勾配を有する、100%BAC及び50%BAC(50%PDA)架橋IPG(4%T)を用いた、プロテオプレップ(ProteoPrep)キット中の3mg/ml大腸菌を130kVhで泳動した2Dアレイの写真のコピーである。次に、これらを6〜15%ゲルチップの第2の次元のゲルにトランスファーしてから、クーマシーG−250で染色した。
【図2A】図2A及びBは、3mg/ml血漿を用いて泳動を行った50%BAC(pH4〜7)の写真のコピーである。パネルA及びBは、DTTのような還元剤の非存在下で泳動させた場合に得られる2Dアレイを示す。
【図2B】これに対し、パネルC+Dは、還元剤で処理した場合のIPGからのタンパク質のトランスファーの増大を示している。
【図3A】抽出前(パネルA)、及びバンドを除去した後(パネルB)の、pH4〜7のBAC−IPG(i)及びPDA−BAC−IPG(ii)を用いたスラブゲルの写真のコピーである。用いたサンプルは、2mg/ml大腸菌であり、泳動したスラブをクーマシーG−250で染色することにより、タンパク質を可視化した。抽出したバンドに隣接するゾーンも抽出のため取り出した。
【図3B】抽出前(パネルA)、及びバンドを除去した後(パネルB)の、pH4〜7のBAC−IPG(i)及びPDA−BAC−IPG(ii)を用いたスラブゲルの写真のコピーである。用いたサンプルは、2mg/ml大腸菌であり、泳動したスラブをクーマシーG−250で染色することにより、タンパク質を可視化した。抽出したバンドに隣接するゾーンも抽出のため取り出した。
【図4A】図4A及びBは、pH4〜7の市販のIPGゲル上で再泳動させた後の図3のBAC−IPG及びPDA−BAC−IPGから抽出したタンパク質バンド/ゾーンの2Dアレイの写真のコピーである。パネルA+Bは、スラブからのバンド2の再泳動を示す。
【図4B】これに対し、パネルC+Dは、再泳動したゾーン1を示す。
【図5A】図5A及びBは、100%BAC架橋を用いて形成された、改良3pH単位勾配の写真のコピーである。パネルAは、血漿のpH3〜5.5MCE画分を用いたpH3〜6のIPGを示し、パネルBは、pH5〜8のBAC−IPGにおける血漿のpH5.5〜6.5画分を示す。
【図5B】パネルCは、血漿のpH7〜10MCE画分を用いたpH7〜10のBAC−IPGを示す。
【図6】架橋剤としてPDA(パネルA)又はBAC(パネルB)のいずれかを用いた10%均質ゲル上で泳動させた際の大腸菌2Dアレイの写真のコピーである。いずれの場合も40%T/2.5%C原液がホルムアミド基剤を有することに留意されたい。ゲルの低分子量領域でスポットがやや不鮮明であるのは、ホルムアミドの分解によるものと考えられる。このような作用は、ゲルのプレ泳動により容易に排除することができると予想される。
【図7A】図7A及びBは、図6に示したような2Dアレイをトランスファーする際に生成されたブロットの写真のコピーである。パネルA+Bは、β−MEの非存在(A)及び存在(B)下での50%BAC架橋10%均質ゲルを示す。
【図7B】対照として、パネルCは、β−MEの存在下でゲルと架橋したPDAだけを示す。
Claims (60)
- 以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)場合により、非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含む、固定化pH勾配(IPG)ゲル。 - アルキルがC1−C4アルキルである、請求項1に記載のIPGゲル。
- R1、R2及びR3の少なくとも1つがC1−C4アルキルである、請求項1に記載のIPGゲル。
- 2%〜20%Tを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 2%〜10%Tを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 2%〜8%Tを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 3%〜6%Tを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 4%Tを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 1%C〜8.5%Cを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 2%C〜6%Cを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 3%C〜5%Cを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 4%Cを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 4%T/2.5%Cを含む、請求項1に記載のIPGゲル。
- 非還元性架橋剤が存在しない、請求項1〜13のいずれか一項に記載のIPGゲル。
- モノマーの混合物が、(I)、(II)及び(III)を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載のIPGゲル。
- モル比が1:5〜5:1の(II):(III)を含む、請求項15に記載のIPGゲル。
- モル比が1:4〜4:1の単位(II):単位(III)を含む、請求項15に記載のIPGゲル。
- モル比が1:3〜3:1の単位(II):単位(III)を含む、請求項15に記載のIPGゲル。
- モル比が1:2〜2:1の単位(II):単位(III)を含む、請求項15に記載のIPGゲル。
- モル比が1:1の単位(II):単位(III)を含む、請求項15に記載のIPGゲル。
- 単位(III)がPDA(C10H14N2O2)又はN,Nメチレンビス−アクリルアミドである、請求項15に記載のIPGゲル。
- 電気泳動に用いるための固定化pH勾配(IPG)ゲルであって、アクリルアミド、BAC及びPDAの重合化モノマー単位の混合物を含むものであり、4%T/2.5%Cと、モル比が1:1のBAC:PDAを含む、上記ゲル。
- サンプル中の少なくとも1種の高分子を分析又は分離するための、請求項1に記載のIPGゲルの使用。
- サンプル中の高分子を分離又は分析する方法であって、請求項1に記載のIPGゲルを用いて、サンプルに対し等電点電気泳動を実施することを含む、上記方法。
- サンプルを処理することにより、サンプル中に存在するすべてのタンパク質チオールをアルキル化するか、又はサンプル中の高分子を還元及びアルキル化することを含む、請求項24に記載の方法。
- IPGゲルを第2ゲルにトランスファーし、IPGゲルを少なくとも部分的に可溶化することにより、高分子を第2ゲルに放出することを含む、請求項24に記載の方法。
- 第2ゲル上で電気泳動を実施することを含む、請求項26に記載の方法。
- 第2ゲルがSDS−PAGEゲルである、請求項26に記載の方法。
- 第2ゲルがIPGゲルである、請求項26に記載の方法。
- IPGゲルを染色することにより、そこに含まれる高分子を可視化することを含む、請求項24に記載の方法。
- IPGゲルから、高分子を含む画分を切り出すことをさらに含む、請求項24に記載の方法。
- 切り出した画分を少なくとも部分的に可溶化することを含む、請求項31に記載の方法。
- 以下の(I)〜(IV):
(I)置換又は非置換のアクリルアミド、アクリロイルアミノエトキシエタノール(AAEE)、アクリロイルアミノプロパノール(AAP)、
(II)BAC(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2、及び
(III)場合により、非還元性架橋剤、及び/又は
(IV)アガロース
の重合化混合物を含む電気泳動に使用するためのゲルであって、単一の%T、又はポリアクリルアミド勾配を含む、上記ゲル。 - 置換アクリルアミドがジメチルアクリルアミドである、請求項33に記載のゲル。
- 2%C〜10%Cを含む、請求項33に記載のゲル。
- 0〜30%Tのポリアクリルアミド勾配を含む、請求項33に記載のゲル。
- 3〜20%Tのポリアクリルアミド勾配を含む、請求項33に記載のゲル。
- 4%C、及び0〜7.5%Tのアクリルアミド勾配を含む、請求項33に記載のゲル。
- 0.1%〜1%アガロースの均一濃度を含む、請求項33に記載のゲル。
- 0〜1%アガロースのアガロース勾配を含む、請求項33に記載のゲル。
- (I)アクリルアミド(CH2=CH−CO−NH2)、
(II)BAC(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2、及び
(III)非還元性架橋剤
の重合化モノマー単位の混合物を含む、請求項33に記載のゲル。 - 非還元性架橋剤(III)がPDA(C10H14N2O2)である、請求項41に記載のゲル。
- SDS−PAGEゲルである、請求項33に記載のゲル。
- サンプル中の高分子を分離又は分析するための、請求項33に記載のゲルの使用。
- サンプル中の高分子を分離又は分析するための、請求項43に記載のゲルの使用。
- サンプル中の高分子を分離又は分析する方法であって、以下のi)及びii)の工程:
i)サンプルを処理し、サンプル中に存在する遊離タンパク質チオールをアルキル化するか、又はサンプル中のタンパク質シスチン/システインを還元及びアルキル化する工程;
ii)請求項33に記載のゲルを用いて、処理されたサンプルに対し電気泳動を実施する工程、
を含む、上記方法。 - 以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含む重合化混合物を含むポリマーゲルであって、BAC誘導単位のジスルフィド結合が切断されたときにゲル構造を保持するようなものである、上記ポリマーゲル。 - 以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)ピペラジンジ−アクリルアミド(PDA)
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含む、ポリマーゲル。 - 以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含むポリマーゲルであって、該重合化混合物のジスルフィド結合の少なくとも一部分が切断されたものである、上記ポリマーゲル。 - 実質的にすべてのジスルフィド結合が切断される、請求項49に記載のポリマーゲル。
- ポリマー混合物に還元剤を添加することにより、ジスルフィド結合が切断されたものである、請求項49に記載のポリマーゲル。
- 還元剤がチオール還元剤である、請求項51に記載のポリマーゲル。
- 電気泳動ゲルの形態である、請求項48に記載のポリマーゲル。
- ゲルを用いた電気泳動に付すサンプルに含まれる還元剤により、ジスルフィド結合が切断される、請求項53に記載のポリマーゲル。
- 以下の(I)〜(III):
(I)CH2=CR1−CO−NR2R3、
(II)(CH2=CHCONHCH2CH2S−)2(BAC)、及び
(III)非還元性架橋剤
〔式中、R1、R2及びR3は、同じ又は異なるものであり、水素又は場合により置換されていてもよいアルキル若しくはシクロアルキルである〕
を含むモノマーの重合化混合物を含むポリマーゲルの多孔度を制御する方法であって、該ポリマーゲルを処理することにより、BACのジスルフィド結合の少なくとも一部分を切断することを含む、上記方法。 - 実質的にすべてのジスルフィド結合が切断される、請求項55に記載の方法。
- ポリマーゲルが電気泳動ゲルである、請求項55に記載の方法。
- 上記ゲルを用いてサンプルに対し電気泳動を実施する前に、ジスルフィド結合を切断する、請求項55に記載の方法。
- ゲルでの電気泳動に付すサンプルに還元剤を含有させることにより、ジスルフィド結合を切断する、請求項55に記載の方法。
- 還元剤がチオールである、請求項59に記載の方法。
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