JP2005505747A - ペプチドもしくはタンパク質マイクロアッセイ方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明はペプチドもしくはタンパク質マイクロアッセイ方法およびマイクロアッセイ装置を提供すること。
【解決手段】関心の対象となる、広範な発色性もしくは蛍光発生性のペプチドもしくはタンパク質基質が親水性担体中へ個別に懸濁もしくは溶解され、各基質のアリコートは反応ローカス(locus)または「ドット」であるアレイもしくはマイクロアレイに沈着される。各ドットは、このようにして、関心の対象であるペプチドもしくはタンパク質が含まれる個別の反応器を与える。そこへ生体試料がアッセイを目的として適用される。試料は、クロスコンタミネーションを生じそうなドット間に流体通路を形成することなく、各ドットへ様々な集束的試料適用技術(試料のエアロゾル噴霧もしくはミスト噴霧、または試料のターゲット適用を含む)の一つによってアレイもしくはマイクロアレイのドットへ適用される。
【解決手段】関心の対象となる、広範な発色性もしくは蛍光発生性のペプチドもしくはタンパク質基質が親水性担体中へ個別に懸濁もしくは溶解され、各基質のアリコートは反応ローカス(locus)または「ドット」であるアレイもしくはマイクロアレイに沈着される。各ドットは、このようにして、関心の対象であるペプチドもしくはタンパク質が含まれる個別の反応器を与える。そこへ生体試料がアッセイを目的として適用される。試料は、クロスコンタミネーションを生じそうなドット間に流体通路を形成することなく、各ドットへ様々な集束的試料適用技術(試料のエアロゾル噴霧もしくはミスト噴霧、または試料のターゲット適用を含む)の一つによってアレイもしくはマイクロアレイのドットへ適用される。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的研究および生物医学診断において使用される、ペプチドもしくはタンパク質による分析のためのマイクロアッセイチップおよびマイクロアッセイ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的研究、生物医学および産業上の応用において、ゲノム内の特定遺伝子もしくはDNA配列、1塩基遺伝子多型性(SNP)のような特定の遺伝子変異、およびmRNA種を検出するためのラージスケールのゲノム評価は、充分に確立された方法論である。これらの方法論では、アレイ(array)上における極めて局在化された個別の位置に、特定の核酸配列が合成されるかまたは配置されたDNAチップおよびマイクロアレイが利用される。核酸配列を含むこれらのアレイは、シリコンもしくはガラスのような固体、またはナイロン膜のような材料により支持される。個々の「ドット(dots)」もしくは「ピクセル(pixels)」が、サブミリメートルという特徴的な長さを有しているため、核酸配列はアレイ内に103もしくは104個のオーダーの個別微小試料として存在することができる。これらのチップは、ゲノム中における遺伝子の存在を検出し、同定するための(遺伝子タイピング)、あるいは細胞系および組織系における遺伝子調節のパターンを評価するための(mRNAプロファイリング)多数の応用を有している反面、これら核酸ベースのシステムは、遺伝子の産生物すなわち合成されたタンパク質の活性もしくは制御についての情報は何ら与えない。
【0003】
現在のところ、DNAチップおよびマイクロアレイは、リン酸化もしくは開裂の状態により調節される酵素の活性に関する情報を提供することなく遺伝子タイピングと発現プロファイリングを可能としている。これまでのタンパク質チップは、固定化DNA配列、あるいは固定化したペプチド、抗体またはタンパク質のライブラリーへのタンパク質の捕捉を含むものであった。タンパク質アレイの主要3形式では、平坦なガラススライド、3次元ゲルパッドチップ(「マトリックス」チップ)またはナノウェルチップ(nanowell chips)が使用される。しかしながら、これらの形式のいずれも、単純な一アッセイで多数の酵素を同定するのに可溶性基質を利用していない。
【0004】
プロテオミクス手法は典型的には、タンパク質を分離するために二次元電気泳動ゲルを使用し、次いでゲル中の関連する個々のタンパク質の特性を明らかにするために酵素消化マッピングおよび/または質量スペクトル法を利用する。しかし、DNAチップと二次元電気泳動法のいずれも、タンパク質の活性またはその反応速度論についての情報を提供しない。例えば、酵素は完全な活性をもつためにリン酸化もしくは脱リン酸化を必要とするが、従来のチップ技術ではこれについての情報を与えない。
【0005】
現在では、酵素活性は、その開裂生成物が強力に発色して特定波長の光を吸収するようになる発色基質とともに酵素をインキュベーションすることによって測定することができる。これに代わり基質は、開裂されることによって、特定波長(8−EX)で励起された際に強く蛍光を発する脱離基を生じる蛍光発光の基質であってもよい。脱離基の蛍光発光の波長は、極大波長8−EMから上下に10〜20nmの広がりを示す。このことは、単一試料について3つの異なる酵素活性をアッセイしようとすると、各基質からの発光が他の基質からの発光と大きく重なるために、2つまたは3つ以上の異なる蛍光発生性基質を使用することの妨げとなる。広幅バンドの発光は色の混信を生じ、誤った信号を与え得るのである。このように蛍光発光が著しく重なり合うために、単一の流体試料(fluid sample)へ10〜100種の異なる蛍光発生性基質を添加することは不可能である。そこで、これらの反応は通常、0.2〜3mlの作業容量をもつ蛍光光度計のキュベットかあるいはプレートリーダー内でモニタされる。このため、試料の相当な希釈が生じてしまう。
【0006】
微小な生体試料(1.0〜100nL)中の様々なタンパク質および/または酵素の評価は、多方面の研究分野におけるタンパク質および/または酵素の活性分析に有用である。細胞生物学と癌の分野では、多数のサイクリン依存性キナーゼ(cdk)、cAMP依存性キナーゼ(PKA)、cGMP依存性キナーゼ(PKG)、カルシウム依存性タンパク質キナーゼ(PKC)、チロシンキナーゼ、およびチロシンホスファターゼによって細胞分裂のタイミングが調節される。血液学の分野では、血液の機能は、血栓形成および血栓溶解の機構に必要なプロテアーゼおよび阻害剤である、様々な凝固因子、補体因子および繊維素溶解因子によって調節される。アポトーシス(計画化された細胞死)の最中においては、種々のカスパーゼが事象カスケードに欠かせない。同様に敗血症、血栓形成または感染の最中における好中球の活性化は、エラスターゼ、プロテアーゼまたは他の酵素類の放出と連携している。悪性腫瘍の浸潤と血管内膜過形成(intimal hyperplasis)は、金属メタロプロテアーゼ(MMPs)とメタロプロテアーゼの組織インヒビター(tissue inhibitor of metalloprotease(TIMPs))の活性化を伴う。様々なウイルスの活性(例えばプロテアーゼ)は、プロテアーゼ阻害剤についての薬剤スクリーニングの検出には適当であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ペプチドおよびタンパク質チップの領域における先行技術の発展にもかかわらず、このように、診断、予後および臨床の医学におけるペプチドおよびプロテインのマイクロアレイの需要は大きいが、その需要は満たされていない。懸濁されるかまたは可溶性である多種類の発色基質もしくは蛍光発生性基質を支持体表面のアレイへ単一に沈着するとともに、そこへ評価のために試料流体を適用するだけのチップは、従来技術には存在しない。本明細書記載時において、例えば標準的な接触型もしくは非接触型のマイクロアレイヤー(microarrayer)を使用して直接に作成可能なペプチドおよびプロテインチップは存在しない。さらに、拘束されていない基質分子上へ液状試料を適用することは、このような液体試料層が必然的にクロスコンタミネーションを引き起こすため、なおさら考えられないと思われる。このため、簡素、効果的で、しかも廉価なペプチドもしくはタンパク質アレイシステム、またはマイクロアレイシステムの必要性が依然として存在している。それは、標準的なマイクロアレイヤー機器を使用して簡単に作成されるチップを提供するものであり、ペプチドもしくはタンパク質の結合、またはクエンチング層という手の込んだ補整を必要としないシステムを提供し、試料を単純且つ容易に適用することができるシステムである。同様に、少量の液体試料をアレイもしくはマイクロアレイの個別反応位置へ、反応位置間でのクロスコンタミネーションを生じることなく迅速に送達することができるようなシステムに対する必要性も根強く存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このニーズを満たすために、本発明はペプチドもしくはタンパク質マイクロアッセイ方法およびマイクロアッセイ装置を提供する。そこでは関心の対象となる、広範な発色性もしくは蛍光発生性のペプチドもしくはタンパク質基質が親水性担体中へ個別に懸濁もしくは溶解され、各基質のアリコートは反応ローカス(locus)または「ドット」であるアレイもしくはマイクロアレイに沈着(deposit)される。各ドットは、このようにして、関心の対象であるペプチドもしくはタンパク質が含まれる個別の反応器を与える。そこへ生体試料がアッセイを目的として適用される。試料は、クロスコンタミネーションを生じそうなドット間に流体通路を形成することなく、各ドットへ様々な集束的試料適用技術(試料のエアロゾル(aerosol)噴霧もしくはミスト噴霧、または試料のターゲット適用を含む)の一つによってアレイもしくはマイクロアレイのドットへ適用される。本発明の一態様では、試料はエアロゾル化もしくはミスト化され、エアロゾル化された試料をドットへ適用することによって、試料は個別ドットに吸着されることとなり、他方ドット間の過剰の試料液滴は最も近いドットへ向かって移動して吸着されるか、あるいは蒸発する傾向があり、これにより流体反応物を他のいずれのドットへも液絡することなく各ドットを分割された反応器として残存させる。
【0009】
アレイのドット中に存在するか、または存在しない反応指示体を分析するために、公知のスキャニング技術とデータベース生成技術が使用されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、関心の対象である、広範な発色性もしくは蛍光発生性のペプチドもしくはタンパク質基質が親水性担体中へ個別に懸濁もしくは溶解され、各基質のアリコートは、反応ローカスまたは「ドット」であるアレイもしくはマイクロアレイ中に沈着されることを特徴とするペプチドもしくはタンパク質マイクロアッセイ方法およびマイクロアッセイ装置である。各ドットは、このようにして、関心の対象であるペプチドもしくはタンパク質が含まれる個別の反応器を与える。そこへ生体試料がアッセイを目的として適用される。試料は、クロスコンタミネーションを生じそうなドット間に流体通路を形成することなく、各ドットへ様々な集束的試料適用技術(試料のエアロゾル噴霧もしくはミスト噴霧、または試料のターゲット適用を含む)の一つによってマイクロアレイのドットへ適用される。本発明の一態様では、試料はエアロゾル化もしくはミスト化され、エアロゾル化された試料をドットへ適用することによって、試料は個別のドットにより吸着されることとなり、他方ドット間の過剰の試料液滴は最も近いドットへ向かって移動して吸着されるか、あるいは蒸発する傾向があり、これにより流体反応物を他のいずれのドットへも液絡することなく各ドットを分割された反応器として残存させる。アレイのドット中に存在するか、または存在しない反応指示体を分析するために、公知のスキャニング技術とデータベース生成技術が使用されてもよい。
【0011】
通常、本発明はバイオテクノロジーおよび生物医学分野の研究に適用することができる。さらに具体的には本発明は、酵素の補酵素、阻害剤および活性化剤の研究とともに、酵素活性の研究に使用することができる。一つの応用では、本アッセイは、化合物の大規模なコンビナトリアルライブラリーの、通常十〜数千種の酵素の活性に対する効果のスクリーニングによるドラッグリサーチ、すなわちドラッグ探索、あるいは血液化学、細胞間質メタロプロテアーゼ、血管新生、チロシンリン酸化タンパク質ホスファターゼ、またはアポトーシス調節における薬物相互作用に使用される。
【0012】
本アッセイは、ゲノミクス研究もしくはプロテオミクス研究、特に、酵素システムの後生的調節に応用することができる。さらに他の応用では、本アッセイは、遺伝子調節におけるキナーゼおよびホスファターゼといったシグナル伝達経路の研究に使用することができる。本アッセイは、酵素基質特異性に対する点突然変異を伴うコンビナトリアル研究のうち、構造および機能リサーチにも使用される。本アッセイは、血液研究、すなわち血液凝固診断および血栓溶解リサーチに応用され、あるいは、ウイルス研究とウイルスプロテアーゼおよび活性処理についての診断に応用することができる。本アッセイはこのように、その簡易性と多用途性のために、生物学的研究における様々な分野を通して用いることができる。上述したように、本アッセイは、既存のスキャニング技術を適所に用いて、ゲノム研究に使用するのに適当である。
【0013】
上記および以降の記述において、次の用語は以下のように理解される。反応ローカスは、通常は固体表面上における流体の粘着性かつ非延展性の塊である。反応スポットは、「スポット」、「ドット」、「反応ゾーン」、「反応中心」、「マイクロドット」または「マイクロアッセイ」とも言及される。チップは、非延展性の反応ドットを含む平坦表面である。チップは、「ガラススライド」、「スライド」、「表面」、「固体基材」、「バイオ反応マイクロアレイ(bioreaction microarray)」、「バイオ反応チップ」および「バイオ反応スライド」とも言及される。スプレーとは、反応スポットを含む固体表面への、液体試料エアロゾルを移送することをいう。スプレーは、「ミスト」、「エアロゾル」、「微粒子化ミスト」「液滴」または「霧化ミスト」とも言及される。
【0014】
本アッセイは、ペプチドもしくはタンパク質基質、親水性担体溶媒および揮発性溶媒の流体混合物の微小容量を、非多孔性表面へ適用することにより形成される液相でのミクロ反応を含み、これにより揮発性溶媒が蒸発すると、極めて局在化し且つ長く持続する液体もしくは半固体のドットあるいは親水性担体溶媒中における基質のマイクロドット残留物を生じることとなる。基質は、試料適用後に親水性担体中にいくらかでもあれば、その反応の分析を可能とすべく蛍光発生性もしくは発色性である。流体混合物送達用の非多孔性面として、シリコン、ガラス、シリカ、石英、ポリスチレン、または他の非多孔性ポリマー膜が挙げられる。全般的にアッセイの成分は通常、一緒になっており、コンピュータ制御適用システムを介して適用され、ミクロ反応はコンピュータに基づくスキャニングシステムおよびデータベース形成システムを介してモニタされる。
【0015】
特に関与するアレイがマイクロアレイである場合には、揮発性溶媒を存在させると、形態形成的な流体混合物全体の粘度を減少させることによって流体のマイクロドット生成が促進される。揮発性溶媒は通常、蒸発する能力があり、適切な揮発性溶媒としては、特に限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO);クロロホルム;アセトン;酢酸;水;メタノール、エタノールまたはプロパノールのようなアルコール;エチルエーテルまたはアルカンが挙げられる。流体混合物を非多孔性表面へ適用した後、揮発性溶媒は蒸発して、親水性担体溶媒ならびに懸濁もしくは溶解した発色性もしくは蛍光発生性の基質を含むマイクロドットが残留する。これらの構成成分は、基質の結晶もしくは沈殿を生じることなく液体状態もしくは半固体状態としてとどまる。
【0016】
試料の適用時において、後に適用される生体試料とのバイオ反応ポテンシャルを最大にするために、親水性担体に基質が懸濁もしくは溶解される。親水性担体は通常、次の特性を有している:揮発性溶媒との相溶性;水との相溶性;水性の生体流体(biological fluids)との相溶性;蛍光発生性基質もしくは発色基質の安定な溶液もしくは懸濁液を高濃度で維持するための適合性;1センチポイズから10,000センチポイズの間の適度な粘度;核酸、ペプチド、タンパク質および糖といった生体分子との親和性;中空チップであるマイクロアレイピンもしくはマイクロシリンジのようなアレイ化(arraying)に使用するマイクロキャピラリー・デバイスの内外へ移動するのに適切な流動性;アレイ化後のスポット中にあるバイオ反応流体が延展せずに、安定な極限レンズを形成するために充分な特定の接触角(接触角>0度が必要である);スポットの粘着性が限定されて基材上で延びてしまうほどに低すぎる粘着性を有しない、安定な付着レンズを形成するのに充分に小さい特定の接触角(接触角<90度が必要である);反応ゾーンが蒸発しないような低揮発性。これらすべての特性を備える流体の例として、グリセロール(1,2,3−プロパントリオール)が挙げられる。その他の親水性担体溶媒としては、例えば1,2−エタンジオールまたは2,3−ブタンジオールといったポリアルコールが挙げられる。さらに、担体溶媒は、デキストラン、pluronic acid、ペントースの炭水化物、リボース類もしくはヘキソース類または関連する多糖類、またはポリエチレングリコールポリマーのような増粘剤を含んでもよい。
【0017】
マイクロドットは通常、マイクロアレイ配置内の非多孔性表面へ適用される。揮発性溶媒が蒸発した後のマイクロドットの最終的な容量は、直径10μmのマイクロドットに対する約1nLから、直径100μmのドットに対する約1〜10nLの範囲である。マイクロドットは、直接容積式ポンピング(direct positive displacement pumping )の流体操作方法により適用することができる。これに代えて、マイクロドットは、「アレイ化(arraying)」により適用することができ、この場合コンピュータ制御された金属チップ、ガラスチップまたはプラスチックチップで、毛細管作用によって流体の液滴を貯留槽からピックアップし、固体表面に接触させる。あるいはレーザ印刷技術もしくはジェット印刷技術によって適用してもよい。
【0018】
アレイ化は、充分に確立されたピン技術(すなわち、Telechem Pins、GemeMachine arrayer)を使用して行うことができる。マイクロドット間を分ける間隔は、50〜1000μmの範囲である。マイクロドットを形成するには、1〜10nLの調製液を送達するだけで充分である。
【0019】
それぞれに他の可能な反応修飾剤とともに特定の蛍光発生性もしくは発色性のレポーター基質が含まれるマイクロドットの高密度アレイを形成した後、生体流体の微小試料が該マイクロドットへ適用される。各マイクロドットには、通常バイオチップ上への微細ミストの沈着を通じて、生体流体の適用によって試料が混入される。該ミストは湿潤膜を形成しないように、そして2つの隣接するグリセロール液滴を決して連絡しないように適用される。言い換えれば、エアロゾル化された試料をドットへ適用することによって、その結果、試料は個別のドットに吸着されるとともに、他方ドット間の過剰の試料液滴は、最も近いドットへ向かって移動して吸着されるか、あるいは蒸発してしまい、流体反応物質を他のいずれのドットへも連通させることなく、分離された反応チャンバとして各ドットを残留させる。対応する関係酵素を含む生体流体を送達することによって、各グリセロール液滴中で、発色基質もしくは蛍光発生性基質の反応とこれに付随する活性化が生じる。言い換えれば、生体流体の酵素もしくは化学構成成分は、マイクロドット中の蛍光発生性基質の活性化もしくは活性化に対する拮抗作用を導き出し、エピ蛍光スキャニング(epifluorescence scanning)もしくは共焦点スキャニング(confocal scanning)、直接画像化法または光吸収により読み出し可能な蛍光もしくは発色信号を生成する。個別のチップは、それぞれの関心対象である反応のための個々のドット内もしくはマイクロドット・ローカス内における多数のプロテアーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、オキシドレダクターゼ、リパーゼおよびこれらの阻害剤もしくは活性化剤の活性を通報するように配置させることができる。
【0020】
本発明のペプチドもしくはタンパク質チップは、ペプチドもしくはタンパク質を直接にガラススライドもしくはチップへ物理的に吸着させるかまたは結合させるための手段を含むか、あるいは、特に限定されないが、クエンチング被覆層(quenching overlayer)、ゲルパッド、または本発明の反応ローカスよりも複雑な他の特徴などに例示される複数の要素を含み、ほとんどの(すべてではないが)従来技術の構成に比べて著しく簡易であることに注目されたい。
【0021】
本発明の実施と相容れない構成成分とは、親水性担体が、関心あるペプチドもしくはタンパク質と、試料の吸収、反応および反応の検出を促進するように意図された他の構成要素とを含む独立の反応室を与えることを妨げるいかなる類のものであろう。
【0022】
図1〜5に基づき本発明をさらに説明する。
【0023】
図1では、バイオチップ10上に複数の反応ローカス12がアレイ化され、その上にエアロゾル化されるか、ミスト化されるかまたはインクジェット印刷される試料液滴14が適用される。垂直の矢印は、試料液滴14が垂直に沈着することを示す。
【0024】
図2A、2Bおよび2Cは、本発明におけるアレイ化、エアロゾル試料の沈着および基質の変換をそれぞれ示した側面図である。図2Aでは、マイクロアレイヤーチップ16が反応ローカス12をバイオチップ10上に沈着する様子を示している。図2Bでは、エアロゾル化もしくはミスト化された試料液滴14が、反応ローカス12上へ沈着される過程が示されている。図2Cでは、試料液滴14は反応ローカス12中に吸収されるか、あるいはバイオチップ10から完全に蒸発して消滅している。図2Cでは、個々の反応ローカス12は基質変換の結果として発色もしくは蛍光を生成することができる。
【0025】
図3Aは、正方形もしくは長方形状(rectangular)の配置形18でバイオチップ10の反応ローカス12のすべてにわたり、一面におおって試料適用した様子を示す模式図である。他方、図3Bの反応物質は、バイオチップ10の反応ローカス12の境界内だけに付着しているのみである。図3Bに示される結果は、様々な機構によって生じ得るものである。それには一面全体への試料の適用が含まれ(これに特に限定されるものではないが)、反応ローカス12の間から蒸発するエアロゾルもしくはミストの適用であるものであるか;レーザプリンタもしくはインクジェットプリンタによるように、試料が反応ローカス12へ適用されるように標的化されているか;あるいは、試料が、反応ローカス12以外のいずれの領域への試料の適用もブロックするマスクもしくはテンプレートを通して適用されてもよい。
【0026】
図4は、断面で、内部に試料26を有する容器25を受容するように適合させ、液体22を満たした超音波発生器(トランスデューサ)21を含む噴霧器20を示し、トランスデューサ21により試料26にエネルギーを付与することによって、試料26から作られたエアロゾルミストはノズル32からバイオチップ10上に沈着するために出て行く。必要に応じて、キャリアガス24がインレット23を経由して容器へ導入され、キャリアガス24はバイオチップ10上へ沈着させるエアロゾル化された試料26を移動するのを補助する。図4の目的のために、バイオチップ10は他の図面に示されるバイオチップ位置に対比すると逆転させられていることに注目されたい。噴霧器20は、必要に応じて、同図に示すようにノズル32が容器25の中を通して延出する該容器の蓋30とともに、容器25を所定位置に保持するための載置ガイド28をも含む。
【0027】
図5は、バイオチップ10、反応ローカス12および試料液滴14に隣接して配置される、本アッセイシステムの様々な要素を並置した概略を図示したものである。これらの要素としては、特に限定されないが、他の要素の中で、試料適用のための印刷ヘッド、xyzポジショナ、電源、コントローラ、ならびに励起光を与え発光信号を検出する手段が挙げられる。特に、アッセイシステム(装置)の主要要素として、シリアルポートもしくはパラレルポートを介して、開始、停止、操作のセットポイントの確定、およびアッセイデバイスのサブコンポーネントの制御のための信号を送信する操作指示のセット(コンピュータソフトウェア内に内蔵される)が含まれる。その場合、各サブコンポーネントは内部もしくは外部の常駐コントローラもしくはドライバを有してもよい。デバイスのサブコンポーネントは次のものを含む:複式の容積式マイクロシリンジポンプ;加圧ノズル、超音速ノズル、インクジェット印刷ヘッド、位置作動式(position-actuated)インクジェット印刷ヘッド、表面作動式(surface-actuated)インクジェット印刷ヘッド、流体接触型もしくは流体非接触型超音波トランスデューサ;ガス流量計/コントローラ;xyポジショナ・システム;および排気/濾過ファン。
【0028】
エアロゾル化された試料の適用は、コンピュータ制御されたマイクロシリンジの使用により容易となる。コンピュータ制御されたマイクロシリンジは、一定の低速度での時限式試料送達用に使用され、それぞれの容積式シリンジは、1.0μL〜1000μLの生体試料を保持することができる。このような生体試料としては、有機分子、蛍光発生性分子、ペプチド、タンパク質、脂質、ポリマー希釈溶液、コーティングされたマイクロビーズを有する液体、試料緩衝液、緩衝液洗浄生物学的細胞、細胞フラクションなどが挙げられる。それぞれの容積式ポンプは、試料をエアロゾル生成位置へ送達する。容積式ポンプは、冷却されるか、室温か、あるいは加温された環境に維持される。容積式ポンプは、コンピュータからの信号を受信するデバイスにより制御される。
【0029】
本システムへ適用するため、試料をエアロゾル化する様々な方法がある。一つのシステムは、加圧ノズルによるものであり、エアロゾル化される流体試料は微小なオリフィスノズルを通して高圧でポンプ送液される結果、エアロゾルスプレーを発生させる。幾つかのノズルでは、流体は窒素、ヘリウム、空気または酸素といった加圧した不活性なキャリアガスにより移送される。ベルヌーイ効果により流体試料をノズル内へ引き込み、ノズルオリフィスを通すために高速度のガス流を使用することができる。キャリアガスは、次いでエアロゾルをバイオチップへ送達し、個々の反応ドット上に沈着させる。ノズルは、エアロゾル生成を容易にするための内部部品を備えていてもよい。一例として、微量生体試料(0.1〜1ml)は、加圧ガス流(窒素、5〜30psig)によりノズル内へ引き込まれ、噴霧化を容易にするための内部ニードル(210μm)を有する250μmのオリフィスを通される。
【0030】
この他、スプレーエアロゾル化は超音速ノズルの使用によっても生じ、これによって低容量の流量で一様な低速度(10cm/秒以下)ミストが与えられる。ノズル内の超音波の定在波によりノズル端部で流体が微粒化される。直径5〜15μmの平均液滴サイズを有するミストを形成するために、25kHz〜240kHzで作動する圧電超音波トランスデューサ(piezoelectric ultrasound transducer)を備えるノズル本体へ、マイクロポンプで試料を送達することにより、0.01〜1000μL/秒の低流量が得られる。圧電超音波トランスデューサへ与える電力として、試料への不必要な加熱を避けるために低ワット(0.1〜25ワット)が利用できる。例えば、粘度0.01ポイズの生体試料が、マイクロシリンジポンプにより0.1〜1μL/秒の流量で、120kHz(0.1〜1ワット)で作動する超音速ノズル内へポンプ供給される。ノズル外部のキャリアガス流は、ミストをバイオ反応チップの表面の方へ向ける補助をする。
【0031】
エアロゾル化された試料を形成する他の手段では、流体がウェル内に収容されており、その底部に圧電超音波トランスデューサを備える接触式超音波噴霧器による。そのトランスデューサは1.0〜3.0MHzで作動する。試料室内にある液体の上部表面における高周波振動により、流体液滴による微粒化雲もしくは霧化雲の形成が促進される。霧化の作用により、霧化されたエアロゾルは、チャンバから、チャンバ頂部に浮かされたバイオ反応チップ表面に向けて上昇する。加えて、霧化雲を上方へ移動させるためにキャリアガスを霧化チャンバ内へ導入することができる。この代わりとして霧化エアロゾルをベルヌーイ効果によりキャリア流中へ引き込むために、キャリアガスを霧化チャンバ全体にわたって通過させることができる。そのキャリアガスは、エアゾルを受け取るために試料の方へ向けられている。微粒化流体の粒子径(d)は、表面張力(T)、密度(p)および周波数(f)と、次の近似式:d 〜(T/pf3)1/3による関係がある。例えば、水の霧化(T=0.0729N/m、f=2.4MHz)によって、1.7μmのミスト液滴が生成される。
【0032】
エアロゾル化された試料を形成するさらに別の手段は、非接触式の超音波噴霧器によるものであり、送達される流体は、超音波伝送に好適な薄壁状のプラスチック底を有するチューブ内へ収容される。該チューブは超音波トランスデューサと接触している伝達流体(conducting fluid)内に置かれ、よってエアロゾル化される流体試料は超音波トランスデューサ自体とは決して接触することにはならない。トランスデューサは一般的に1.0〜3.0MHzで作動し、試料チューブ内にある液体上部表面での高周波振動によって、試料チューブ内での流体液滴による微粒化雲もしくは霧化雲の生成が促進される。霧化の作用により、霧化されたエアロゾルはチャンバ内を上昇し、キャリアガスが試料チューブ内に送り込まれ、ミストを(必要に応じて、大きい液滴を除去するため粗い捕集フィルタを通して)バイオ反応チップへ送達させる。この非接触式超音波噴霧器により形成された霧化流体試料は、通常1〜25μmの液滴サイズを有する。
【0033】
最後に、バイオ反応スポットへ試料流体を推進させるために、非加熱型インクジェット技術を利用した印刷ヘッドへ生体流体を送達するインクジェット圧電印刷(ink-jet Piezo-printing)が使用される。ピエゾ印刷による最初のアプローチとしては、印刷ヘッドは反応スポット上またはガラス上の全体にわたりその位置を区別することなく、スライド全体にわたりラスタパターン印刷で連続的に生体流体を“印刷”する。この非特定的な操作モードにおいてインクジェットは、スプレーヘッドとして機能する。もっともそれは極めて狭いスプレーゾーンを形成するものであり、しかもバイオ反応スライド全体を作動させるために該スライド上を時間とともにxy位置決めする必要があるものではある。このアプローチでは、調製流体(グリセロール)の反応ゾーンの新規な分離手法と、湿潤膜または印刷された生体流体連続層を形成することなく印刷する能力とによって表面全体が印刷されるにもかかわらず、スポット−スポット間において相互に液絡することなく反応のコンパートメント化がなされる。
【0034】
圧電印刷による第2のアプローチでは、印刷ヘッドは生体流体を時間を区切って送達する。流体液滴の反応スポットへの送達は、(1)反応スポットについて知られた位置に対するその位置の情報を知ることにより、あるいは(2)インクジェット印刷による反応スポットへの流体の送達を始動するグリセロールスポットの特性を感知することによって始動される。例えば、二股の光学ファイバで反応スポット内の蛍光色素を励起し、その蛍光発光を光学ファイバ・ケーブルを介して発光フィルタおよび光電子増倍管へ導光することができる。光電子増倍管からの出力は増幅され、デジタル化され、印刷事象を始動する。これに代えてバイオ反応ゾーンの活性化を始動するために、反応スポットのどのような光学的性質を感知してもよい。
【0035】
上記の試料適用技術またはそれらと等価な技術とともに、マイクロドットへの直接的な試料適用を補助するためにマスキング装置を使用してもよい。テンプレートもしくはパターンのようなマスキングデバイスが、ドットアレイもしくはマイクロアレイ上に一時的に載置されてもよく、あるいは、マスキング材料が試料適用装置に取り込まれる。マスキングは、本発明においてあくまでも任意的なものとして理解されるべきである。
【0036】
アッセイは、好ましくはコンピュータ制御されたガス流量率測定システムの中に組み込まれる。不活性キャリアガスは、レギュレータにより高圧で供給され、システム内の圧力は50psig以下に制御される。その圧力は通常、5〜15psigに設定される。活性化するターゲットスライドの方へエアロゾル流を向けるために、ガスフローにはベルヌーイ効果を利用する。キャリアガスには、次のいずれを使用してもよい:空気、酸素、窒素、ヘリウムまたはアルゴン。様々なノズルからのエアロゾルの方向づけを補助するために、ガス流量率は0.1〜5L/分とすることができる。この他、ベルヌーイ効果により液体試料を加圧ノズル内へ搬入するためにガスフローを使用してもよい。しかしながら、これらのキャリアガスの使用は、本方法および装置においてあくまでも任意的なものとして理解されるべきである。
【0037】
試料の適用およびアッセイのモニタリングのために、アッセイシステムは、好ましくは独立したx移動軸およびy移動軸を有するコンピュータ制御のxyポジショナを含む。そのxyポジショナは、マイクロドット適用およびアッセイ活性化の用意ができたアッセイチップが出入り可能なハウジングを含む可動性ステージを移動させる。該移動ステージは、操作者と個々のスライドとの間で手が接触することを避けながらアレイヤーからスプレイヤーへ移動させ、次いでインキュベータ内へ移動することを可能とする。xyポジショナは、0.1m×0.1mから10m×10mまでの範囲の移動を許容する。xyポジショナ・ステージのより小さい距離移動は、線形ステッパモータ(linear stepper motor)もしくはサーボモータによって行うことができる。長距離の移動は、主操作コンピュータからの駆動信号を受信する個別のドライバにより制御されるモータによる、モータ化ベルト駆動アセンブリによって行うことができる。エアロゾル下でのスライドの速やかな移動を0.1〜20in/秒の速度で行うことができる。
【0038】
具体的には、アッセイ方法は蛍光発現性基質を10μM〜1M濃度でDMSOの一容量に溶解することを伴う。次いで0.1〜1容量のグリセロールが、基質DMSO溶液と混合される。この溶液は、小径の金属もしくはプラスチックのプローブによるマイクロマニピュレーションによってガラス基板へ送達される。マイクロドットは室温でその揮発性DMSO成分を放出する。マスクが該ガラス基板へ載置され、マイクロドット間の領域の少なくとも一部が覆われる。そして、生体流体のマイクロスプレーが該マスクを通して表面のマイクロドットへ送達される。マイクロドットアレイは、4〜37℃、0〜100%の湿度において0〜180分間インキュベートされる。マイクロドット内での基質の変換は、利用可能な任意の検知手段を使用して、光励起(350〜400nm)と420nmより長波長の発光により検知される。
【0039】
本発明の実施において、基質は、試料をアッセイする過程において後の段階で発色性または蛍光発生性となるのであれば、最初から発色性または蛍光発生性である必要はない。レポーター基質を含む二次スプレーについては、以下の実施例1の最後に記述される。
[実施例]
【実施例1】
【0040】
各グリセロールスポット(直径50〜250μm、スポット間の間隔50〜500μm)が、タンパク質もしくはタンパク質フラグメント;合成ペプチド;小型有機分子;核酸配列または合成ポリマーといった単一分子種“A”を含むグリセロールローカスのマイクロアレイが作製される。この分子種は、10ピコモルから10ミリモルの間のモル濃度でスポット内に存在する。1″×3″のガラススライドが、100〜1000スポット/cm2でアレイ化された10cm2超のグリセロールローカスを与えるように配置される。
【0041】
酵素(1picomolar〜10millimolar)を含むエアロゾルがアレイへ送達され、これによって酵素の液滴が反応スポットと融合されるとともに、スライドに当たった液滴は迅速に蒸発する。一定時間に、通常は1〜60分の間に、酵素と上記化学種との結合平衡が生じる。二次スプレーは、酵素活性を検知するためのレポーターシステムを含む。このようなレポーターシステムは、蛍光発生性基質;発色基質;補助因子変換を検出するシステムと一緒の補助因子;または補助因子と基質とからなり、補助因子変換は検出信号を生成する。このレポーターシステムは、蛍光発生性基質とともに10nM〜100mMの濃度で送達することができる。分子種“A”が酵素“E”の活性部位またはアロステリック位置に結合すると、レポーターシステムの活性化(例えば蛍光発生性基質の変換)が妨げられる。レポーター信号を生成しないか、または減少したレポーター信号が生成された反応ゾーンは、該酵素の反応阻害剤として同定される。この阻害効果は、拮抗阻害剤;自殺阻害剤;非拮抗阻害剤;アロステリックモジュレータ;基質に対する複合体形成剤;補助因子の結合のアンタゴニスト;補助因子もしくは非拮抗阻害剤に対する複合体形成剤として作用する分子種“A”によるものである。
【実施例2】
【0042】
マイクロアレイが抗原と抗体との結合事象を分析するために準備される。最初に、ポリクロナール抗体もしくはモノクロナール抗体が、金コロイド(10〜200nM)またはラテックスビーズ(10〜200nM)のようなコロイド対象物と化学的に結合される。
【0043】
抗体と共有結合したラテックスビーズは、グリセロールへ添加され、マイクロアレイ化のために調製された懸濁液が形成される。このグリセロールは、検出される特定の抗原に対するポリクロナール抗体もしくはモノクロナール抗体もまた、非結合状態で含む。ビーズに共有結合した抗体濃度は、ビーズとして1平方ミクロンあたり1〜10,000サイトの範囲である。溶液中における遊離の抗体の濃度は、0〜100μMの範囲とすることができる。
【0044】
スポットのアレイが形成される(スポットサイズ:直径50〜250μm、スポット間の間隔50〜500μm)。各スポットは独自の組成を有しており、抗体が結合されたコロイド対象物は単一濃度に維持され、クエンチングする遊離の抗体は、一連のスポットにおいて濃度が増加するように維持される。検出する抗原を含む生体試料は、スプレー機構によりアレイに送達される。各反応スポットにおいて、クエンチング抗体は抗原と結合する(遊離の抗体はビーズに束縛された抗体と比較して大きくブラウン運動をするため、より速い反応である。)。もし抗原の濃度がクエンチング抗体の濃度を超える場合、遊離の抗原が残るためビーズへの結合に利用できる。ビーズは抗原を介して凝集する。凝集した金コロイドもしくはラテックスビーズは、コンピュータ利用による凝集体のイメージング、凝集体により増強した光散乱、または凝集体により減少した光透過によって定量される。一連のスポットにおいてクエンチング抗体の増加する既知濃度の利用を通じ、抗原濃度は、凝集を妨げるクエンチング抗体の最小濃度に等しいとして見積ることができる。
【実施例3】
【0045】
生体流体中の抗原の検出は、未知濃度の非蛍光性種により行うことができる。それぞれが結合部位をもつ蛍光種を含む一連のグリセロール液滴がアレイ化される。レポーター分子は30kDaを下回る。このようなレポーター分子として、単一鎖Fvフラグメントが検出する抗原に対して高い結合親和性を有するGFP−ScFvキメラタンパク質が挙げられる。
【0046】
検出する抗原はアレイ表面にスプレーされ、抗原は検出分子/抗原複合体の総分子量において著しい変化を生じさせるように充分に大きい(5kDaより大きい量)。検出分子/抗原複合体は、システムを偏光で励起した際に、レポーター分子単独による蛍光発光よりも大きい複合体の蛍光発光の偏光度により分析される。
【実施例4】
【0047】
30年間以上にわたりよく特徴づけされた、血漿凝固経路のセリンプロテアーゼが、複雑な酵素流体のマイクロアッセイへの送達をモニタするシステムとして選択された。DMSO/グリセロール中の蛍光発生性基質がガラススライドに対してアッセイされた。
【0048】
スプレー適用した後、トロンビンは、boc−VPR−MCA基質の変換後、蛍光活性において65倍の増加をもたらした。アレイ上に沈着した際に、純粋なプラスミン(1μM)は、トロンビン基質とカリクレイン基質について検出可能な活性でもって、boc−VLK−MCA基質に対して強い信号(バックグラウンド上で25倍)を与えた。プラスミンは、boc−VPR−MCAおよびZ−FR−MCAに対して活性を有するとともに、tPAおよびXa因子の基質に対して検出可能な活性を有さないと報告されている(Morita,1977)。検知アレイへ純粋なtPA(10μM)をエアロゾル沈着させることによって、tPA、トロンビンおよびXaの基質の相当量の開裂を生じ、バックグラウンド上で18〜20倍の蛍光を生じた。
【0049】
低レベルのXa因子活性およびトロンビン活性のためによる、再石灰化された希釈血漿における凝固経路の穏やかな活性化がマイクロアレイによって検出された(Butenas,1997;Rand,1996)。XIIa因子を阻害するためにトウモロコシトリプシン阻害剤が存在しないことから(Rand,1996)、接触系ならびにカリクレイン生成の穏やかな活性化が、カリクレイン基質の変換により検出された。再石灰化されたクエン酸添加血漿は、プラスミン基質の変換が欠如していることと一致し、∀2−アンチプラスミンおよび∀2−マクログロブリンを超えてプラスミンを生成しない。マイクロアレイによって、カリクレイン基質の変換は、Z−FR−MCA基質のプラスミンによる非特異的開裂からではなく、プレカリクレインのカリクレインへの接触活性化により引き起こされることが明らかとなった。
【0050】
希釈した再石灰化クエン酸添加血漿にプラスミン(最終濃度0.43μM)を加えることによって、∀2−アンチプラスミンおよび∀2−マクログロブリンの阻害濃度を上回った。このプラスミン活性は、プラスミン基質のスポットにおける強い信号で検出された。プラスミンは、Xa因子を不活性化するが(Pryzdial,1999)、マイクロアッセイでこのXa因子活性の減少が観察された。プラスミンは、プレカリクレインをカリクレインに変換することができるXUa因子へのXU因子の強力な活性化剤である。プラスミン処理の血漿における高レベルのカリクレイン基質の変換が認められ、これはプラスミンを介したカリクレイン基質の変換からの予測を上回るものである。高レベルのプラスミン(最終濃度2.14〜1μM)を添加することによって、アレイ上における各基質の相当量が開裂することとなった。マイクロアレイによって、プラスミンが介在するXa因子のXaa因子へのタンパク質分解を上回るのに充分なXa因子の固有経路産生の増大とともに、プラスミンが介在するXIIaの活性化によりカリクレインが生成することが明らかとなった。
【実施例5】
【0051】
計画化された細胞死(アポトーシス)は、カルシウム流入;酸化ストレス;細胞骨格の障害;タンパク質合成の阻害剤;膜の崩壊またはDNAの崩壊といった様々な細胞での出来事によって始動され得る。多数の化学物質が、特定の細胞タイプでアポトーシスを誘起する。このような化学物質として、受容体リガンド(TRAIL,FasL);セラミドベースの脂質;タキソール(taxol);ビンブラスチン(vinblastine);サイトカラシンD(cytochalasin D);トポイソメラーゼ阻害剤(エトポシド(etoposide));DNA架橋剤;プロテインキナーゼ阻害剤およびミトコンドリア浸透剤(betulinic acid、ロテノン)などが挙げられる。
【0052】
アポトーシスは、表面の受容体が活性化/凝集した後に起こる。最も研究された細胞死の受容体は、TNFR1(p55もしくはCD120a)およびCD95(FasRもしくはApo1)である。その他の細胞死受容体として、DR3(Apo3)、DR4およびDR5(TRAIL−R2,Apo2)が挙げられる。ガン治療において、溶解性TRAIL(Apo2L)は、その受容体であるDR4およびDR5へ結合して、形質転換された細胞においてアポトーシスを活性化するが通常の細胞ではそうしない。細胞死受容体の下流シグナリングは充分に理解されているが複雑である。例えば、CD95Lのホモ3量体はCD95と結合する。このCD95はクラスターを生成して(clustering)、 カスパーゼ8(FLICE)を活性化するFas結合デス・ドメイン(FADD)タンパク質と結合する。カスパーゼ8はオリゴマー化した後に、自己活性化し、次いでカスパーゼ9を活性化する。TNFのTRNR1への結合、Apo3LのDR3への結合、およびApo2LのDR4もしくはDRSへの結合に対し遠位にある経路は、受容体、アダプターの多量体化およびカスパーゼ活性化を生じる。いくつかのカスパーゼは、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)をタンパク質分解的に不活性化し、アポトーシスの主要な特徴点である核ラミン(lamin)を分解することができる。
【0053】
アポトーシスにおけるミトコンドリアの役割は、祖先の20億年間の共生(これが真核細胞を生み出した)から生じたものと考えられる。ミトコンドリアが完全な状態を喪失すると、エネルギー(ATP)生産を乱し、カスパーゼの活性化を始動し、細胞の還元電位を乱す。カスパーゼの活性化において、ミトコンドリアから放出されたシトクロムc(アポトーシス阻害剤bcl−2によりブロックされる)は、Apaf−1およびプロカスパーゼ9と複合体を形成して、その結果カスパーゼ9の活性化を引き起こす。
【0054】
カスパーゼ(システイン-アスパラギン酸特異的プロテアーゼ)は、タンパク質基質をアスパラギン酸のカルボキシル末端側(P1位置)で開裂する。P2、P3およびP4の位置も基質の特異性に寄与し、P4残基はカスパーゼ間での基質選択性を決定するのに最も大きな役割を果たす。これまでに、全部で13個の異なるカスパーゼが同定されている。様々なカスパーゼが与えられた蛍光発生性基質を開裂させることができ、「カスパーゼ3基質」という用語の使用は、他のカスパーゼがこの基質を開裂しないことを意味するものでなく、あるいはカスパーゼ3は他の基質を開裂しないことを示すものでもない。発色性もしくは蛍光発生性のペプチドライブラリーの合成を通じて、カスパーゼの基質特異性が研究されてきた(Talanian,1997;Thornberry,1997)。Thornberryは、次のカスパーゼのカッコ内における特異性:カスパーゼ1[WEHD];カスパーゼ2[DEHD];カスパーゼ3[DEVD];カスパーゼ4[(W/L)EHD];カスパーゼ5[(W/L)EHD];カスパーゼ6[VEHD];カスパーゼ7[DEVD];カスパーゼ8[LETD];カスパーゼ9[LEHD]およびグランザイム(Granzyme)B[IEPD]を評価するために、60化合物の蛍光発生性ポジショナルスキャニングライブラリー(positional scanning library)Ac−X−X−X−Asp−AMCを使用した。同様に、様々なペプチドアルデヒドが、二次の速度定数>105M-1s-1である阻害特異性について検証された(Garcia−Calvo,1998)。
【0055】
【表1】
【実施例6】
【0056】
生体流体をエアロゾルとしてチップ表面に送達した。この流体は、血液;尿;唾液;生検物;微生物もしくは微生物の調製物;ウイルスもしくはウイルスの調製物;細胞溶解液もしくは細胞懸濁液、または食品もしくは農業生産物から得られる液体試料である。これに代えて、エアロゾルは、タンパク質、ウイルスまたは細菌の粒子が分散された試料ガスと混合された、空気もしくは窒素のような担体ガスから構成されていてもよい。蛍光発生性基質がグリセロールMCA基質および酵素においてアレイ化された試料について酵素活性を試験した。
【実施例7】
【0057】
細胞、DNA、全RNAまたはmRNAの懸濁液を、マイクロアッセイチップ上にアレイ化された反応ゾーンに送達した。個々の反応ゾーンは、PCRプライマー;逆転写酵素プライマー;色素標識オリゴ配列;核酸塩基もしくは蛍光性の塩基および酵素、例えば逆転写酵素;DNAポリメラーゼ;リボヌクレアーゼ;デオキシリボヌクレアーゼ;耐熱性DNAポリメラーゼ;または、開裂酵素を含む。チップはPCRのための熱サイクル、核酸合成、蛍光タグの導入、配列依存性反応によるクエンチされた実体の蛍光活性化を受ける。続く検出では、配列依存性反応によりクエンチされた分子をデクエンチする配列依存性反応によって近接して来た2つの独立した蛍光プローブ間のエネルギー移動を伴うことができる。応用として、mRNA種の表現型分析、DNA種の遺伝子型分析、および一塩基多型性(SNP)の検出が挙げられる。
【実施例8】
【0058】
マイクロアレイはプロテアーゼ技術およびプロテオミクスに多数の応用を有する。P2、P3またはP4位置に19個の異なるアミノ酸を有する蛍光発生性ペプチドの不変P1ポジショナルスキャニングライブラリー(57個のサブライブラリー)は、試剤の使用を最小限にして、1cm2未満のマイクロアレイにより収容することができる(Backes、2000年)。P1〜P4位置に19〜20個の異なるアミノ酸を有する完全なスキャニング蛍光発生性ライブラリー(1200スポット未満)(Harris、2000年)は、グリセロールスポッティングとエアロゾル沈着技術の許容範囲内において、1"×3"スライドウェルに収容することができた。この例では、単一のプロテアーゼが、ポジショナルスキャニングライブラリーからチップにアレイ化された個々の蛍光発生性基質に適用される。基質の変換および基質の特異性は、単一のマイクロアッセイチップについて決定される。また、各位置における各々のアミノ酸の同一性が充分に確立された蛍光ペプチドのコンビナトリアルライブラリーが、マイクロアッセイチップ上で用いられる。
【0059】
上記においては、本発明は、特定の材料および方法に関して記載されたが、本発明は添付される請求の範囲に示される限りにおいてのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明のアレイの部分斜視図である。
【図2】図2A、2Bおよび2Cはそれぞれ、アレイ化、エアロゾル試料の沈着および基質の変換の側面図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、試料適用前後におけるペプチドもしくはタンパク質マイクロアレイの概略図である。
【図4】図4は、超音波ミスト化装置の断面図である。
【図5】図5は、アッセイ装置の機能図である。
【図6】図6は、担体溶媒(グリセロール)マイクロドットによるアレイである。
【図7】図7は、担体溶媒(グリセロール)マイクロドットによる、スプレー前のアレイである。
【図8】図8は、水性試料をスプレーしたマイクロドットによるアレイである。
【図9】図9は、ミスト蒸発後における、スプレーされたマイクロドットアレイの近接図である。
【図10】図10は、活性化されたマイクロドットアレイである。
【図11】図11は、試料を含む水の液滴と、グリセロールマイクロドットとの融合を示す。
【図12】図12は、マイクロドットアッセイによるトロンビン活性の検出を示す。
【図13】図13A、13B、13Cおよび13Dは、試薬を個別反応コンパートメントへ移送するための微小流体工学技術を示す。
【図14】図14は、超音速ノズルから生成したスプレーを使用した、分子の反応スポットへの送達を示す。
【図15】図15は、超音波トランスデューサと非接触チャンバを使用した超微粒ミストの生成を示す。
【図16】図16は、超音波トランスデューサと非接触チャンバにより生成された微小液滴スプレーを使用した、分子の反応スポットへの送達を示す。
【図17】図17は、隣接する反応スポットが、ミストをスプレー送達した後にクロスコンタミネートしない様子を示す。
【図18】図18は、精製酵素とヒト血漿のマイクロアレイアッセイを示す。
【図19】図19は、カスパーゼ基質のマイクロアレイを示す。
【図20】図20は、活性化されたカスパーゼのマイクロアレイを示す。
【図21】図21は、アッセイシステムにより送達されたミストを示す。
【図22】図22は、マイクロアレイへ送達された蛍光性ミストを示す。
【図23】図23は、静電気の電荷を使用したミストのマイクロアレイへの捕捉を示す。
【符号の説明】
【0061】
10・・・バイオチップ
12・・・反応ローカス
14・・・試料液滴
16・・・マイクロアレイヤーチップ
18・・・パターン
20・・・噴霧器
21・・・トランスデューサ
22・・・液体
23・・・インレット
24・・・キャリアガス
25・・・容器
26・・・試料
28・・・ガイド
30・・・蓋
32・・・ノズル
【0001】
本発明は、生物学的研究および生物医学診断において使用される、ペプチドもしくはタンパク質による分析のためのマイクロアッセイチップおよびマイクロアッセイ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的研究、生物医学および産業上の応用において、ゲノム内の特定遺伝子もしくはDNA配列、1塩基遺伝子多型性(SNP)のような特定の遺伝子変異、およびmRNA種を検出するためのラージスケールのゲノム評価は、充分に確立された方法論である。これらの方法論では、アレイ(array)上における極めて局在化された個別の位置に、特定の核酸配列が合成されるかまたは配置されたDNAチップおよびマイクロアレイが利用される。核酸配列を含むこれらのアレイは、シリコンもしくはガラスのような固体、またはナイロン膜のような材料により支持される。個々の「ドット(dots)」もしくは「ピクセル(pixels)」が、サブミリメートルという特徴的な長さを有しているため、核酸配列はアレイ内に103もしくは104個のオーダーの個別微小試料として存在することができる。これらのチップは、ゲノム中における遺伝子の存在を検出し、同定するための(遺伝子タイピング)、あるいは細胞系および組織系における遺伝子調節のパターンを評価するための(mRNAプロファイリング)多数の応用を有している反面、これら核酸ベースのシステムは、遺伝子の産生物すなわち合成されたタンパク質の活性もしくは制御についての情報は何ら与えない。
【0003】
現在のところ、DNAチップおよびマイクロアレイは、リン酸化もしくは開裂の状態により調節される酵素の活性に関する情報を提供することなく遺伝子タイピングと発現プロファイリングを可能としている。これまでのタンパク質チップは、固定化DNA配列、あるいは固定化したペプチド、抗体またはタンパク質のライブラリーへのタンパク質の捕捉を含むものであった。タンパク質アレイの主要3形式では、平坦なガラススライド、3次元ゲルパッドチップ(「マトリックス」チップ)またはナノウェルチップ(nanowell chips)が使用される。しかしながら、これらの形式のいずれも、単純な一アッセイで多数の酵素を同定するのに可溶性基質を利用していない。
【0004】
プロテオミクス手法は典型的には、タンパク質を分離するために二次元電気泳動ゲルを使用し、次いでゲル中の関連する個々のタンパク質の特性を明らかにするために酵素消化マッピングおよび/または質量スペクトル法を利用する。しかし、DNAチップと二次元電気泳動法のいずれも、タンパク質の活性またはその反応速度論についての情報を提供しない。例えば、酵素は完全な活性をもつためにリン酸化もしくは脱リン酸化を必要とするが、従来のチップ技術ではこれについての情報を与えない。
【0005】
現在では、酵素活性は、その開裂生成物が強力に発色して特定波長の光を吸収するようになる発色基質とともに酵素をインキュベーションすることによって測定することができる。これに代わり基質は、開裂されることによって、特定波長(8−EX)で励起された際に強く蛍光を発する脱離基を生じる蛍光発光の基質であってもよい。脱離基の蛍光発光の波長は、極大波長8−EMから上下に10〜20nmの広がりを示す。このことは、単一試料について3つの異なる酵素活性をアッセイしようとすると、各基質からの発光が他の基質からの発光と大きく重なるために、2つまたは3つ以上の異なる蛍光発生性基質を使用することの妨げとなる。広幅バンドの発光は色の混信を生じ、誤った信号を与え得るのである。このように蛍光発光が著しく重なり合うために、単一の流体試料(fluid sample)へ10〜100種の異なる蛍光発生性基質を添加することは不可能である。そこで、これらの反応は通常、0.2〜3mlの作業容量をもつ蛍光光度計のキュベットかあるいはプレートリーダー内でモニタされる。このため、試料の相当な希釈が生じてしまう。
【0006】
微小な生体試料(1.0〜100nL)中の様々なタンパク質および/または酵素の評価は、多方面の研究分野におけるタンパク質および/または酵素の活性分析に有用である。細胞生物学と癌の分野では、多数のサイクリン依存性キナーゼ(cdk)、cAMP依存性キナーゼ(PKA)、cGMP依存性キナーゼ(PKG)、カルシウム依存性タンパク質キナーゼ(PKC)、チロシンキナーゼ、およびチロシンホスファターゼによって細胞分裂のタイミングが調節される。血液学の分野では、血液の機能は、血栓形成および血栓溶解の機構に必要なプロテアーゼおよび阻害剤である、様々な凝固因子、補体因子および繊維素溶解因子によって調節される。アポトーシス(計画化された細胞死)の最中においては、種々のカスパーゼが事象カスケードに欠かせない。同様に敗血症、血栓形成または感染の最中における好中球の活性化は、エラスターゼ、プロテアーゼまたは他の酵素類の放出と連携している。悪性腫瘍の浸潤と血管内膜過形成(intimal hyperplasis)は、金属メタロプロテアーゼ(MMPs)とメタロプロテアーゼの組織インヒビター(tissue inhibitor of metalloprotease(TIMPs))の活性化を伴う。様々なウイルスの活性(例えばプロテアーゼ)は、プロテアーゼ阻害剤についての薬剤スクリーニングの検出には適当であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ペプチドおよびタンパク質チップの領域における先行技術の発展にもかかわらず、このように、診断、予後および臨床の医学におけるペプチドおよびプロテインのマイクロアレイの需要は大きいが、その需要は満たされていない。懸濁されるかまたは可溶性である多種類の発色基質もしくは蛍光発生性基質を支持体表面のアレイへ単一に沈着するとともに、そこへ評価のために試料流体を適用するだけのチップは、従来技術には存在しない。本明細書記載時において、例えば標準的な接触型もしくは非接触型のマイクロアレイヤー(microarrayer)を使用して直接に作成可能なペプチドおよびプロテインチップは存在しない。さらに、拘束されていない基質分子上へ液状試料を適用することは、このような液体試料層が必然的にクロスコンタミネーションを引き起こすため、なおさら考えられないと思われる。このため、簡素、効果的で、しかも廉価なペプチドもしくはタンパク質アレイシステム、またはマイクロアレイシステムの必要性が依然として存在している。それは、標準的なマイクロアレイヤー機器を使用して簡単に作成されるチップを提供するものであり、ペプチドもしくはタンパク質の結合、またはクエンチング層という手の込んだ補整を必要としないシステムを提供し、試料を単純且つ容易に適用することができるシステムである。同様に、少量の液体試料をアレイもしくはマイクロアレイの個別反応位置へ、反応位置間でのクロスコンタミネーションを生じることなく迅速に送達することができるようなシステムに対する必要性も根強く存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このニーズを満たすために、本発明はペプチドもしくはタンパク質マイクロアッセイ方法およびマイクロアッセイ装置を提供する。そこでは関心の対象となる、広範な発色性もしくは蛍光発生性のペプチドもしくはタンパク質基質が親水性担体中へ個別に懸濁もしくは溶解され、各基質のアリコートは反応ローカス(locus)または「ドット」であるアレイもしくはマイクロアレイに沈着(deposit)される。各ドットは、このようにして、関心の対象であるペプチドもしくはタンパク質が含まれる個別の反応器を与える。そこへ生体試料がアッセイを目的として適用される。試料は、クロスコンタミネーションを生じそうなドット間に流体通路を形成することなく、各ドットへ様々な集束的試料適用技術(試料のエアロゾル(aerosol)噴霧もしくはミスト噴霧、または試料のターゲット適用を含む)の一つによってアレイもしくはマイクロアレイのドットへ適用される。本発明の一態様では、試料はエアロゾル化もしくはミスト化され、エアロゾル化された試料をドットへ適用することによって、試料は個別ドットに吸着されることとなり、他方ドット間の過剰の試料液滴は最も近いドットへ向かって移動して吸着されるか、あるいは蒸発する傾向があり、これにより流体反応物を他のいずれのドットへも液絡することなく各ドットを分割された反応器として残存させる。
【0009】
アレイのドット中に存在するか、または存在しない反応指示体を分析するために、公知のスキャニング技術とデータベース生成技術が使用されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、関心の対象である、広範な発色性もしくは蛍光発生性のペプチドもしくはタンパク質基質が親水性担体中へ個別に懸濁もしくは溶解され、各基質のアリコートは、反応ローカスまたは「ドット」であるアレイもしくはマイクロアレイ中に沈着されることを特徴とするペプチドもしくはタンパク質マイクロアッセイ方法およびマイクロアッセイ装置である。各ドットは、このようにして、関心の対象であるペプチドもしくはタンパク質が含まれる個別の反応器を与える。そこへ生体試料がアッセイを目的として適用される。試料は、クロスコンタミネーションを生じそうなドット間に流体通路を形成することなく、各ドットへ様々な集束的試料適用技術(試料のエアロゾル噴霧もしくはミスト噴霧、または試料のターゲット適用を含む)の一つによってマイクロアレイのドットへ適用される。本発明の一態様では、試料はエアロゾル化もしくはミスト化され、エアロゾル化された試料をドットへ適用することによって、試料は個別のドットにより吸着されることとなり、他方ドット間の過剰の試料液滴は最も近いドットへ向かって移動して吸着されるか、あるいは蒸発する傾向があり、これにより流体反応物を他のいずれのドットへも液絡することなく各ドットを分割された反応器として残存させる。アレイのドット中に存在するか、または存在しない反応指示体を分析するために、公知のスキャニング技術とデータベース生成技術が使用されてもよい。
【0011】
通常、本発明はバイオテクノロジーおよび生物医学分野の研究に適用することができる。さらに具体的には本発明は、酵素の補酵素、阻害剤および活性化剤の研究とともに、酵素活性の研究に使用することができる。一つの応用では、本アッセイは、化合物の大規模なコンビナトリアルライブラリーの、通常十〜数千種の酵素の活性に対する効果のスクリーニングによるドラッグリサーチ、すなわちドラッグ探索、あるいは血液化学、細胞間質メタロプロテアーゼ、血管新生、チロシンリン酸化タンパク質ホスファターゼ、またはアポトーシス調節における薬物相互作用に使用される。
【0012】
本アッセイは、ゲノミクス研究もしくはプロテオミクス研究、特に、酵素システムの後生的調節に応用することができる。さらに他の応用では、本アッセイは、遺伝子調節におけるキナーゼおよびホスファターゼといったシグナル伝達経路の研究に使用することができる。本アッセイは、酵素基質特異性に対する点突然変異を伴うコンビナトリアル研究のうち、構造および機能リサーチにも使用される。本アッセイは、血液研究、すなわち血液凝固診断および血栓溶解リサーチに応用され、あるいは、ウイルス研究とウイルスプロテアーゼおよび活性処理についての診断に応用することができる。本アッセイはこのように、その簡易性と多用途性のために、生物学的研究における様々な分野を通して用いることができる。上述したように、本アッセイは、既存のスキャニング技術を適所に用いて、ゲノム研究に使用するのに適当である。
【0013】
上記および以降の記述において、次の用語は以下のように理解される。反応ローカスは、通常は固体表面上における流体の粘着性かつ非延展性の塊である。反応スポットは、「スポット」、「ドット」、「反応ゾーン」、「反応中心」、「マイクロドット」または「マイクロアッセイ」とも言及される。チップは、非延展性の反応ドットを含む平坦表面である。チップは、「ガラススライド」、「スライド」、「表面」、「固体基材」、「バイオ反応マイクロアレイ(bioreaction microarray)」、「バイオ反応チップ」および「バイオ反応スライド」とも言及される。スプレーとは、反応スポットを含む固体表面への、液体試料エアロゾルを移送することをいう。スプレーは、「ミスト」、「エアロゾル」、「微粒子化ミスト」「液滴」または「霧化ミスト」とも言及される。
【0014】
本アッセイは、ペプチドもしくはタンパク質基質、親水性担体溶媒および揮発性溶媒の流体混合物の微小容量を、非多孔性表面へ適用することにより形成される液相でのミクロ反応を含み、これにより揮発性溶媒が蒸発すると、極めて局在化し且つ長く持続する液体もしくは半固体のドットあるいは親水性担体溶媒中における基質のマイクロドット残留物を生じることとなる。基質は、試料適用後に親水性担体中にいくらかでもあれば、その反応の分析を可能とすべく蛍光発生性もしくは発色性である。流体混合物送達用の非多孔性面として、シリコン、ガラス、シリカ、石英、ポリスチレン、または他の非多孔性ポリマー膜が挙げられる。全般的にアッセイの成分は通常、一緒になっており、コンピュータ制御適用システムを介して適用され、ミクロ反応はコンピュータに基づくスキャニングシステムおよびデータベース形成システムを介してモニタされる。
【0015】
特に関与するアレイがマイクロアレイである場合には、揮発性溶媒を存在させると、形態形成的な流体混合物全体の粘度を減少させることによって流体のマイクロドット生成が促進される。揮発性溶媒は通常、蒸発する能力があり、適切な揮発性溶媒としては、特に限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO);クロロホルム;アセトン;酢酸;水;メタノール、エタノールまたはプロパノールのようなアルコール;エチルエーテルまたはアルカンが挙げられる。流体混合物を非多孔性表面へ適用した後、揮発性溶媒は蒸発して、親水性担体溶媒ならびに懸濁もしくは溶解した発色性もしくは蛍光発生性の基質を含むマイクロドットが残留する。これらの構成成分は、基質の結晶もしくは沈殿を生じることなく液体状態もしくは半固体状態としてとどまる。
【0016】
試料の適用時において、後に適用される生体試料とのバイオ反応ポテンシャルを最大にするために、親水性担体に基質が懸濁もしくは溶解される。親水性担体は通常、次の特性を有している:揮発性溶媒との相溶性;水との相溶性;水性の生体流体(biological fluids)との相溶性;蛍光発生性基質もしくは発色基質の安定な溶液もしくは懸濁液を高濃度で維持するための適合性;1センチポイズから10,000センチポイズの間の適度な粘度;核酸、ペプチド、タンパク質および糖といった生体分子との親和性;中空チップであるマイクロアレイピンもしくはマイクロシリンジのようなアレイ化(arraying)に使用するマイクロキャピラリー・デバイスの内外へ移動するのに適切な流動性;アレイ化後のスポット中にあるバイオ反応流体が延展せずに、安定な極限レンズを形成するために充分な特定の接触角(接触角>0度が必要である);スポットの粘着性が限定されて基材上で延びてしまうほどに低すぎる粘着性を有しない、安定な付着レンズを形成するのに充分に小さい特定の接触角(接触角<90度が必要である);反応ゾーンが蒸発しないような低揮発性。これらすべての特性を備える流体の例として、グリセロール(1,2,3−プロパントリオール)が挙げられる。その他の親水性担体溶媒としては、例えば1,2−エタンジオールまたは2,3−ブタンジオールといったポリアルコールが挙げられる。さらに、担体溶媒は、デキストラン、pluronic acid、ペントースの炭水化物、リボース類もしくはヘキソース類または関連する多糖類、またはポリエチレングリコールポリマーのような増粘剤を含んでもよい。
【0017】
マイクロドットは通常、マイクロアレイ配置内の非多孔性表面へ適用される。揮発性溶媒が蒸発した後のマイクロドットの最終的な容量は、直径10μmのマイクロドットに対する約1nLから、直径100μmのドットに対する約1〜10nLの範囲である。マイクロドットは、直接容積式ポンピング(direct positive displacement pumping )の流体操作方法により適用することができる。これに代えて、マイクロドットは、「アレイ化(arraying)」により適用することができ、この場合コンピュータ制御された金属チップ、ガラスチップまたはプラスチックチップで、毛細管作用によって流体の液滴を貯留槽からピックアップし、固体表面に接触させる。あるいはレーザ印刷技術もしくはジェット印刷技術によって適用してもよい。
【0018】
アレイ化は、充分に確立されたピン技術(すなわち、Telechem Pins、GemeMachine arrayer)を使用して行うことができる。マイクロドット間を分ける間隔は、50〜1000μmの範囲である。マイクロドットを形成するには、1〜10nLの調製液を送達するだけで充分である。
【0019】
それぞれに他の可能な反応修飾剤とともに特定の蛍光発生性もしくは発色性のレポーター基質が含まれるマイクロドットの高密度アレイを形成した後、生体流体の微小試料が該マイクロドットへ適用される。各マイクロドットには、通常バイオチップ上への微細ミストの沈着を通じて、生体流体の適用によって試料が混入される。該ミストは湿潤膜を形成しないように、そして2つの隣接するグリセロール液滴を決して連絡しないように適用される。言い換えれば、エアロゾル化された試料をドットへ適用することによって、その結果、試料は個別のドットに吸着されるとともに、他方ドット間の過剰の試料液滴は、最も近いドットへ向かって移動して吸着されるか、あるいは蒸発してしまい、流体反応物質を他のいずれのドットへも連通させることなく、分離された反応チャンバとして各ドットを残留させる。対応する関係酵素を含む生体流体を送達することによって、各グリセロール液滴中で、発色基質もしくは蛍光発生性基質の反応とこれに付随する活性化が生じる。言い換えれば、生体流体の酵素もしくは化学構成成分は、マイクロドット中の蛍光発生性基質の活性化もしくは活性化に対する拮抗作用を導き出し、エピ蛍光スキャニング(epifluorescence scanning)もしくは共焦点スキャニング(confocal scanning)、直接画像化法または光吸収により読み出し可能な蛍光もしくは発色信号を生成する。個別のチップは、それぞれの関心対象である反応のための個々のドット内もしくはマイクロドット・ローカス内における多数のプロテアーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、オキシドレダクターゼ、リパーゼおよびこれらの阻害剤もしくは活性化剤の活性を通報するように配置させることができる。
【0020】
本発明のペプチドもしくはタンパク質チップは、ペプチドもしくはタンパク質を直接にガラススライドもしくはチップへ物理的に吸着させるかまたは結合させるための手段を含むか、あるいは、特に限定されないが、クエンチング被覆層(quenching overlayer)、ゲルパッド、または本発明の反応ローカスよりも複雑な他の特徴などに例示される複数の要素を含み、ほとんどの(すべてではないが)従来技術の構成に比べて著しく簡易であることに注目されたい。
【0021】
本発明の実施と相容れない構成成分とは、親水性担体が、関心あるペプチドもしくはタンパク質と、試料の吸収、反応および反応の検出を促進するように意図された他の構成要素とを含む独立の反応室を与えることを妨げるいかなる類のものであろう。
【0022】
図1〜5に基づき本発明をさらに説明する。
【0023】
図1では、バイオチップ10上に複数の反応ローカス12がアレイ化され、その上にエアロゾル化されるか、ミスト化されるかまたはインクジェット印刷される試料液滴14が適用される。垂直の矢印は、試料液滴14が垂直に沈着することを示す。
【0024】
図2A、2Bおよび2Cは、本発明におけるアレイ化、エアロゾル試料の沈着および基質の変換をそれぞれ示した側面図である。図2Aでは、マイクロアレイヤーチップ16が反応ローカス12をバイオチップ10上に沈着する様子を示している。図2Bでは、エアロゾル化もしくはミスト化された試料液滴14が、反応ローカス12上へ沈着される過程が示されている。図2Cでは、試料液滴14は反応ローカス12中に吸収されるか、あるいはバイオチップ10から完全に蒸発して消滅している。図2Cでは、個々の反応ローカス12は基質変換の結果として発色もしくは蛍光を生成することができる。
【0025】
図3Aは、正方形もしくは長方形状(rectangular)の配置形18でバイオチップ10の反応ローカス12のすべてにわたり、一面におおって試料適用した様子を示す模式図である。他方、図3Bの反応物質は、バイオチップ10の反応ローカス12の境界内だけに付着しているのみである。図3Bに示される結果は、様々な機構によって生じ得るものである。それには一面全体への試料の適用が含まれ(これに特に限定されるものではないが)、反応ローカス12の間から蒸発するエアロゾルもしくはミストの適用であるものであるか;レーザプリンタもしくはインクジェットプリンタによるように、試料が反応ローカス12へ適用されるように標的化されているか;あるいは、試料が、反応ローカス12以外のいずれの領域への試料の適用もブロックするマスクもしくはテンプレートを通して適用されてもよい。
【0026】
図4は、断面で、内部に試料26を有する容器25を受容するように適合させ、液体22を満たした超音波発生器(トランスデューサ)21を含む噴霧器20を示し、トランスデューサ21により試料26にエネルギーを付与することによって、試料26から作られたエアロゾルミストはノズル32からバイオチップ10上に沈着するために出て行く。必要に応じて、キャリアガス24がインレット23を経由して容器へ導入され、キャリアガス24はバイオチップ10上へ沈着させるエアロゾル化された試料26を移動するのを補助する。図4の目的のために、バイオチップ10は他の図面に示されるバイオチップ位置に対比すると逆転させられていることに注目されたい。噴霧器20は、必要に応じて、同図に示すようにノズル32が容器25の中を通して延出する該容器の蓋30とともに、容器25を所定位置に保持するための載置ガイド28をも含む。
【0027】
図5は、バイオチップ10、反応ローカス12および試料液滴14に隣接して配置される、本アッセイシステムの様々な要素を並置した概略を図示したものである。これらの要素としては、特に限定されないが、他の要素の中で、試料適用のための印刷ヘッド、xyzポジショナ、電源、コントローラ、ならびに励起光を与え発光信号を検出する手段が挙げられる。特に、アッセイシステム(装置)の主要要素として、シリアルポートもしくはパラレルポートを介して、開始、停止、操作のセットポイントの確定、およびアッセイデバイスのサブコンポーネントの制御のための信号を送信する操作指示のセット(コンピュータソフトウェア内に内蔵される)が含まれる。その場合、各サブコンポーネントは内部もしくは外部の常駐コントローラもしくはドライバを有してもよい。デバイスのサブコンポーネントは次のものを含む:複式の容積式マイクロシリンジポンプ;加圧ノズル、超音速ノズル、インクジェット印刷ヘッド、位置作動式(position-actuated)インクジェット印刷ヘッド、表面作動式(surface-actuated)インクジェット印刷ヘッド、流体接触型もしくは流体非接触型超音波トランスデューサ;ガス流量計/コントローラ;xyポジショナ・システム;および排気/濾過ファン。
【0028】
エアロゾル化された試料の適用は、コンピュータ制御されたマイクロシリンジの使用により容易となる。コンピュータ制御されたマイクロシリンジは、一定の低速度での時限式試料送達用に使用され、それぞれの容積式シリンジは、1.0μL〜1000μLの生体試料を保持することができる。このような生体試料としては、有機分子、蛍光発生性分子、ペプチド、タンパク質、脂質、ポリマー希釈溶液、コーティングされたマイクロビーズを有する液体、試料緩衝液、緩衝液洗浄生物学的細胞、細胞フラクションなどが挙げられる。それぞれの容積式ポンプは、試料をエアロゾル生成位置へ送達する。容積式ポンプは、冷却されるか、室温か、あるいは加温された環境に維持される。容積式ポンプは、コンピュータからの信号を受信するデバイスにより制御される。
【0029】
本システムへ適用するため、試料をエアロゾル化する様々な方法がある。一つのシステムは、加圧ノズルによるものであり、エアロゾル化される流体試料は微小なオリフィスノズルを通して高圧でポンプ送液される結果、エアロゾルスプレーを発生させる。幾つかのノズルでは、流体は窒素、ヘリウム、空気または酸素といった加圧した不活性なキャリアガスにより移送される。ベルヌーイ効果により流体試料をノズル内へ引き込み、ノズルオリフィスを通すために高速度のガス流を使用することができる。キャリアガスは、次いでエアロゾルをバイオチップへ送達し、個々の反応ドット上に沈着させる。ノズルは、エアロゾル生成を容易にするための内部部品を備えていてもよい。一例として、微量生体試料(0.1〜1ml)は、加圧ガス流(窒素、5〜30psig)によりノズル内へ引き込まれ、噴霧化を容易にするための内部ニードル(210μm)を有する250μmのオリフィスを通される。
【0030】
この他、スプレーエアロゾル化は超音速ノズルの使用によっても生じ、これによって低容量の流量で一様な低速度(10cm/秒以下)ミストが与えられる。ノズル内の超音波の定在波によりノズル端部で流体が微粒化される。直径5〜15μmの平均液滴サイズを有するミストを形成するために、25kHz〜240kHzで作動する圧電超音波トランスデューサ(piezoelectric ultrasound transducer)を備えるノズル本体へ、マイクロポンプで試料を送達することにより、0.01〜1000μL/秒の低流量が得られる。圧電超音波トランスデューサへ与える電力として、試料への不必要な加熱を避けるために低ワット(0.1〜25ワット)が利用できる。例えば、粘度0.01ポイズの生体試料が、マイクロシリンジポンプにより0.1〜1μL/秒の流量で、120kHz(0.1〜1ワット)で作動する超音速ノズル内へポンプ供給される。ノズル外部のキャリアガス流は、ミストをバイオ反応チップの表面の方へ向ける補助をする。
【0031】
エアロゾル化された試料を形成する他の手段では、流体がウェル内に収容されており、その底部に圧電超音波トランスデューサを備える接触式超音波噴霧器による。そのトランスデューサは1.0〜3.0MHzで作動する。試料室内にある液体の上部表面における高周波振動により、流体液滴による微粒化雲もしくは霧化雲の形成が促進される。霧化の作用により、霧化されたエアロゾルは、チャンバから、チャンバ頂部に浮かされたバイオ反応チップ表面に向けて上昇する。加えて、霧化雲を上方へ移動させるためにキャリアガスを霧化チャンバ内へ導入することができる。この代わりとして霧化エアロゾルをベルヌーイ効果によりキャリア流中へ引き込むために、キャリアガスを霧化チャンバ全体にわたって通過させることができる。そのキャリアガスは、エアゾルを受け取るために試料の方へ向けられている。微粒化流体の粒子径(d)は、表面張力(T)、密度(p)および周波数(f)と、次の近似式:d 〜(T/pf3)1/3による関係がある。例えば、水の霧化(T=0.0729N/m、f=2.4MHz)によって、1.7μmのミスト液滴が生成される。
【0032】
エアロゾル化された試料を形成するさらに別の手段は、非接触式の超音波噴霧器によるものであり、送達される流体は、超音波伝送に好適な薄壁状のプラスチック底を有するチューブ内へ収容される。該チューブは超音波トランスデューサと接触している伝達流体(conducting fluid)内に置かれ、よってエアロゾル化される流体試料は超音波トランスデューサ自体とは決して接触することにはならない。トランスデューサは一般的に1.0〜3.0MHzで作動し、試料チューブ内にある液体上部表面での高周波振動によって、試料チューブ内での流体液滴による微粒化雲もしくは霧化雲の生成が促進される。霧化の作用により、霧化されたエアロゾルはチャンバ内を上昇し、キャリアガスが試料チューブ内に送り込まれ、ミストを(必要に応じて、大きい液滴を除去するため粗い捕集フィルタを通して)バイオ反応チップへ送達させる。この非接触式超音波噴霧器により形成された霧化流体試料は、通常1〜25μmの液滴サイズを有する。
【0033】
最後に、バイオ反応スポットへ試料流体を推進させるために、非加熱型インクジェット技術を利用した印刷ヘッドへ生体流体を送達するインクジェット圧電印刷(ink-jet Piezo-printing)が使用される。ピエゾ印刷による最初のアプローチとしては、印刷ヘッドは反応スポット上またはガラス上の全体にわたりその位置を区別することなく、スライド全体にわたりラスタパターン印刷で連続的に生体流体を“印刷”する。この非特定的な操作モードにおいてインクジェットは、スプレーヘッドとして機能する。もっともそれは極めて狭いスプレーゾーンを形成するものであり、しかもバイオ反応スライド全体を作動させるために該スライド上を時間とともにxy位置決めする必要があるものではある。このアプローチでは、調製流体(グリセロール)の反応ゾーンの新規な分離手法と、湿潤膜または印刷された生体流体連続層を形成することなく印刷する能力とによって表面全体が印刷されるにもかかわらず、スポット−スポット間において相互に液絡することなく反応のコンパートメント化がなされる。
【0034】
圧電印刷による第2のアプローチでは、印刷ヘッドは生体流体を時間を区切って送達する。流体液滴の反応スポットへの送達は、(1)反応スポットについて知られた位置に対するその位置の情報を知ることにより、あるいは(2)インクジェット印刷による反応スポットへの流体の送達を始動するグリセロールスポットの特性を感知することによって始動される。例えば、二股の光学ファイバで反応スポット内の蛍光色素を励起し、その蛍光発光を光学ファイバ・ケーブルを介して発光フィルタおよび光電子増倍管へ導光することができる。光電子増倍管からの出力は増幅され、デジタル化され、印刷事象を始動する。これに代えてバイオ反応ゾーンの活性化を始動するために、反応スポットのどのような光学的性質を感知してもよい。
【0035】
上記の試料適用技術またはそれらと等価な技術とともに、マイクロドットへの直接的な試料適用を補助するためにマスキング装置を使用してもよい。テンプレートもしくはパターンのようなマスキングデバイスが、ドットアレイもしくはマイクロアレイ上に一時的に載置されてもよく、あるいは、マスキング材料が試料適用装置に取り込まれる。マスキングは、本発明においてあくまでも任意的なものとして理解されるべきである。
【0036】
アッセイは、好ましくはコンピュータ制御されたガス流量率測定システムの中に組み込まれる。不活性キャリアガスは、レギュレータにより高圧で供給され、システム内の圧力は50psig以下に制御される。その圧力は通常、5〜15psigに設定される。活性化するターゲットスライドの方へエアロゾル流を向けるために、ガスフローにはベルヌーイ効果を利用する。キャリアガスには、次のいずれを使用してもよい:空気、酸素、窒素、ヘリウムまたはアルゴン。様々なノズルからのエアロゾルの方向づけを補助するために、ガス流量率は0.1〜5L/分とすることができる。この他、ベルヌーイ効果により液体試料を加圧ノズル内へ搬入するためにガスフローを使用してもよい。しかしながら、これらのキャリアガスの使用は、本方法および装置においてあくまでも任意的なものとして理解されるべきである。
【0037】
試料の適用およびアッセイのモニタリングのために、アッセイシステムは、好ましくは独立したx移動軸およびy移動軸を有するコンピュータ制御のxyポジショナを含む。そのxyポジショナは、マイクロドット適用およびアッセイ活性化の用意ができたアッセイチップが出入り可能なハウジングを含む可動性ステージを移動させる。該移動ステージは、操作者と個々のスライドとの間で手が接触することを避けながらアレイヤーからスプレイヤーへ移動させ、次いでインキュベータ内へ移動することを可能とする。xyポジショナは、0.1m×0.1mから10m×10mまでの範囲の移動を許容する。xyポジショナ・ステージのより小さい距離移動は、線形ステッパモータ(linear stepper motor)もしくはサーボモータによって行うことができる。長距離の移動は、主操作コンピュータからの駆動信号を受信する個別のドライバにより制御されるモータによる、モータ化ベルト駆動アセンブリによって行うことができる。エアロゾル下でのスライドの速やかな移動を0.1〜20in/秒の速度で行うことができる。
【0038】
具体的には、アッセイ方法は蛍光発現性基質を10μM〜1M濃度でDMSOの一容量に溶解することを伴う。次いで0.1〜1容量のグリセロールが、基質DMSO溶液と混合される。この溶液は、小径の金属もしくはプラスチックのプローブによるマイクロマニピュレーションによってガラス基板へ送達される。マイクロドットは室温でその揮発性DMSO成分を放出する。マスクが該ガラス基板へ載置され、マイクロドット間の領域の少なくとも一部が覆われる。そして、生体流体のマイクロスプレーが該マスクを通して表面のマイクロドットへ送達される。マイクロドットアレイは、4〜37℃、0〜100%の湿度において0〜180分間インキュベートされる。マイクロドット内での基質の変換は、利用可能な任意の検知手段を使用して、光励起(350〜400nm)と420nmより長波長の発光により検知される。
【0039】
本発明の実施において、基質は、試料をアッセイする過程において後の段階で発色性または蛍光発生性となるのであれば、最初から発色性または蛍光発生性である必要はない。レポーター基質を含む二次スプレーについては、以下の実施例1の最後に記述される。
[実施例]
【実施例1】
【0040】
各グリセロールスポット(直径50〜250μm、スポット間の間隔50〜500μm)が、タンパク質もしくはタンパク質フラグメント;合成ペプチド;小型有機分子;核酸配列または合成ポリマーといった単一分子種“A”を含むグリセロールローカスのマイクロアレイが作製される。この分子種は、10ピコモルから10ミリモルの間のモル濃度でスポット内に存在する。1″×3″のガラススライドが、100〜1000スポット/cm2でアレイ化された10cm2超のグリセロールローカスを与えるように配置される。
【0041】
酵素(1picomolar〜10millimolar)を含むエアロゾルがアレイへ送達され、これによって酵素の液滴が反応スポットと融合されるとともに、スライドに当たった液滴は迅速に蒸発する。一定時間に、通常は1〜60分の間に、酵素と上記化学種との結合平衡が生じる。二次スプレーは、酵素活性を検知するためのレポーターシステムを含む。このようなレポーターシステムは、蛍光発生性基質;発色基質;補助因子変換を検出するシステムと一緒の補助因子;または補助因子と基質とからなり、補助因子変換は検出信号を生成する。このレポーターシステムは、蛍光発生性基質とともに10nM〜100mMの濃度で送達することができる。分子種“A”が酵素“E”の活性部位またはアロステリック位置に結合すると、レポーターシステムの活性化(例えば蛍光発生性基質の変換)が妨げられる。レポーター信号を生成しないか、または減少したレポーター信号が生成された反応ゾーンは、該酵素の反応阻害剤として同定される。この阻害効果は、拮抗阻害剤;自殺阻害剤;非拮抗阻害剤;アロステリックモジュレータ;基質に対する複合体形成剤;補助因子の結合のアンタゴニスト;補助因子もしくは非拮抗阻害剤に対する複合体形成剤として作用する分子種“A”によるものである。
【実施例2】
【0042】
マイクロアレイが抗原と抗体との結合事象を分析するために準備される。最初に、ポリクロナール抗体もしくはモノクロナール抗体が、金コロイド(10〜200nM)またはラテックスビーズ(10〜200nM)のようなコロイド対象物と化学的に結合される。
【0043】
抗体と共有結合したラテックスビーズは、グリセロールへ添加され、マイクロアレイ化のために調製された懸濁液が形成される。このグリセロールは、検出される特定の抗原に対するポリクロナール抗体もしくはモノクロナール抗体もまた、非結合状態で含む。ビーズに共有結合した抗体濃度は、ビーズとして1平方ミクロンあたり1〜10,000サイトの範囲である。溶液中における遊離の抗体の濃度は、0〜100μMの範囲とすることができる。
【0044】
スポットのアレイが形成される(スポットサイズ:直径50〜250μm、スポット間の間隔50〜500μm)。各スポットは独自の組成を有しており、抗体が結合されたコロイド対象物は単一濃度に維持され、クエンチングする遊離の抗体は、一連のスポットにおいて濃度が増加するように維持される。検出する抗原を含む生体試料は、スプレー機構によりアレイに送達される。各反応スポットにおいて、クエンチング抗体は抗原と結合する(遊離の抗体はビーズに束縛された抗体と比較して大きくブラウン運動をするため、より速い反応である。)。もし抗原の濃度がクエンチング抗体の濃度を超える場合、遊離の抗原が残るためビーズへの結合に利用できる。ビーズは抗原を介して凝集する。凝集した金コロイドもしくはラテックスビーズは、コンピュータ利用による凝集体のイメージング、凝集体により増強した光散乱、または凝集体により減少した光透過によって定量される。一連のスポットにおいてクエンチング抗体の増加する既知濃度の利用を通じ、抗原濃度は、凝集を妨げるクエンチング抗体の最小濃度に等しいとして見積ることができる。
【実施例3】
【0045】
生体流体中の抗原の検出は、未知濃度の非蛍光性種により行うことができる。それぞれが結合部位をもつ蛍光種を含む一連のグリセロール液滴がアレイ化される。レポーター分子は30kDaを下回る。このようなレポーター分子として、単一鎖Fvフラグメントが検出する抗原に対して高い結合親和性を有するGFP−ScFvキメラタンパク質が挙げられる。
【0046】
検出する抗原はアレイ表面にスプレーされ、抗原は検出分子/抗原複合体の総分子量において著しい変化を生じさせるように充分に大きい(5kDaより大きい量)。検出分子/抗原複合体は、システムを偏光で励起した際に、レポーター分子単独による蛍光発光よりも大きい複合体の蛍光発光の偏光度により分析される。
【実施例4】
【0047】
30年間以上にわたりよく特徴づけされた、血漿凝固経路のセリンプロテアーゼが、複雑な酵素流体のマイクロアッセイへの送達をモニタするシステムとして選択された。DMSO/グリセロール中の蛍光発生性基質がガラススライドに対してアッセイされた。
【0048】
スプレー適用した後、トロンビンは、boc−VPR−MCA基質の変換後、蛍光活性において65倍の増加をもたらした。アレイ上に沈着した際に、純粋なプラスミン(1μM)は、トロンビン基質とカリクレイン基質について検出可能な活性でもって、boc−VLK−MCA基質に対して強い信号(バックグラウンド上で25倍)を与えた。プラスミンは、boc−VPR−MCAおよびZ−FR−MCAに対して活性を有するとともに、tPAおよびXa因子の基質に対して検出可能な活性を有さないと報告されている(Morita,1977)。検知アレイへ純粋なtPA(10μM)をエアロゾル沈着させることによって、tPA、トロンビンおよびXaの基質の相当量の開裂を生じ、バックグラウンド上で18〜20倍の蛍光を生じた。
【0049】
低レベルのXa因子活性およびトロンビン活性のためによる、再石灰化された希釈血漿における凝固経路の穏やかな活性化がマイクロアレイによって検出された(Butenas,1997;Rand,1996)。XIIa因子を阻害するためにトウモロコシトリプシン阻害剤が存在しないことから(Rand,1996)、接触系ならびにカリクレイン生成の穏やかな活性化が、カリクレイン基質の変換により検出された。再石灰化されたクエン酸添加血漿は、プラスミン基質の変換が欠如していることと一致し、∀2−アンチプラスミンおよび∀2−マクログロブリンを超えてプラスミンを生成しない。マイクロアレイによって、カリクレイン基質の変換は、Z−FR−MCA基質のプラスミンによる非特異的開裂からではなく、プレカリクレインのカリクレインへの接触活性化により引き起こされることが明らかとなった。
【0050】
希釈した再石灰化クエン酸添加血漿にプラスミン(最終濃度0.43μM)を加えることによって、∀2−アンチプラスミンおよび∀2−マクログロブリンの阻害濃度を上回った。このプラスミン活性は、プラスミン基質のスポットにおける強い信号で検出された。プラスミンは、Xa因子を不活性化するが(Pryzdial,1999)、マイクロアッセイでこのXa因子活性の減少が観察された。プラスミンは、プレカリクレインをカリクレインに変換することができるXUa因子へのXU因子の強力な活性化剤である。プラスミン処理の血漿における高レベルのカリクレイン基質の変換が認められ、これはプラスミンを介したカリクレイン基質の変換からの予測を上回るものである。高レベルのプラスミン(最終濃度2.14〜1μM)を添加することによって、アレイ上における各基質の相当量が開裂することとなった。マイクロアレイによって、プラスミンが介在するXa因子のXaa因子へのタンパク質分解を上回るのに充分なXa因子の固有経路産生の増大とともに、プラスミンが介在するXIIaの活性化によりカリクレインが生成することが明らかとなった。
【実施例5】
【0051】
計画化された細胞死(アポトーシス)は、カルシウム流入;酸化ストレス;細胞骨格の障害;タンパク質合成の阻害剤;膜の崩壊またはDNAの崩壊といった様々な細胞での出来事によって始動され得る。多数の化学物質が、特定の細胞タイプでアポトーシスを誘起する。このような化学物質として、受容体リガンド(TRAIL,FasL);セラミドベースの脂質;タキソール(taxol);ビンブラスチン(vinblastine);サイトカラシンD(cytochalasin D);トポイソメラーゼ阻害剤(エトポシド(etoposide));DNA架橋剤;プロテインキナーゼ阻害剤およびミトコンドリア浸透剤(betulinic acid、ロテノン)などが挙げられる。
【0052】
アポトーシスは、表面の受容体が活性化/凝集した後に起こる。最も研究された細胞死の受容体は、TNFR1(p55もしくはCD120a)およびCD95(FasRもしくはApo1)である。その他の細胞死受容体として、DR3(Apo3)、DR4およびDR5(TRAIL−R2,Apo2)が挙げられる。ガン治療において、溶解性TRAIL(Apo2L)は、その受容体であるDR4およびDR5へ結合して、形質転換された細胞においてアポトーシスを活性化するが通常の細胞ではそうしない。細胞死受容体の下流シグナリングは充分に理解されているが複雑である。例えば、CD95Lのホモ3量体はCD95と結合する。このCD95はクラスターを生成して(clustering)、 カスパーゼ8(FLICE)を活性化するFas結合デス・ドメイン(FADD)タンパク質と結合する。カスパーゼ8はオリゴマー化した後に、自己活性化し、次いでカスパーゼ9を活性化する。TNFのTRNR1への結合、Apo3LのDR3への結合、およびApo2LのDR4もしくはDRSへの結合に対し遠位にある経路は、受容体、アダプターの多量体化およびカスパーゼ活性化を生じる。いくつかのカスパーゼは、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)をタンパク質分解的に不活性化し、アポトーシスの主要な特徴点である核ラミン(lamin)を分解することができる。
【0053】
アポトーシスにおけるミトコンドリアの役割は、祖先の20億年間の共生(これが真核細胞を生み出した)から生じたものと考えられる。ミトコンドリアが完全な状態を喪失すると、エネルギー(ATP)生産を乱し、カスパーゼの活性化を始動し、細胞の還元電位を乱す。カスパーゼの活性化において、ミトコンドリアから放出されたシトクロムc(アポトーシス阻害剤bcl−2によりブロックされる)は、Apaf−1およびプロカスパーゼ9と複合体を形成して、その結果カスパーゼ9の活性化を引き起こす。
【0054】
カスパーゼ(システイン-アスパラギン酸特異的プロテアーゼ)は、タンパク質基質をアスパラギン酸のカルボキシル末端側(P1位置)で開裂する。P2、P3およびP4の位置も基質の特異性に寄与し、P4残基はカスパーゼ間での基質選択性を決定するのに最も大きな役割を果たす。これまでに、全部で13個の異なるカスパーゼが同定されている。様々なカスパーゼが与えられた蛍光発生性基質を開裂させることができ、「カスパーゼ3基質」という用語の使用は、他のカスパーゼがこの基質を開裂しないことを意味するものでなく、あるいはカスパーゼ3は他の基質を開裂しないことを示すものでもない。発色性もしくは蛍光発生性のペプチドライブラリーの合成を通じて、カスパーゼの基質特異性が研究されてきた(Talanian,1997;Thornberry,1997)。Thornberryは、次のカスパーゼのカッコ内における特異性:カスパーゼ1[WEHD];カスパーゼ2[DEHD];カスパーゼ3[DEVD];カスパーゼ4[(W/L)EHD];カスパーゼ5[(W/L)EHD];カスパーゼ6[VEHD];カスパーゼ7[DEVD];カスパーゼ8[LETD];カスパーゼ9[LEHD]およびグランザイム(Granzyme)B[IEPD]を評価するために、60化合物の蛍光発生性ポジショナルスキャニングライブラリー(positional scanning library)Ac−X−X−X−Asp−AMCを使用した。同様に、様々なペプチドアルデヒドが、二次の速度定数>105M-1s-1である阻害特異性について検証された(Garcia−Calvo,1998)。
【0055】
【表1】
【実施例6】
【0056】
生体流体をエアロゾルとしてチップ表面に送達した。この流体は、血液;尿;唾液;生検物;微生物もしくは微生物の調製物;ウイルスもしくはウイルスの調製物;細胞溶解液もしくは細胞懸濁液、または食品もしくは農業生産物から得られる液体試料である。これに代えて、エアロゾルは、タンパク質、ウイルスまたは細菌の粒子が分散された試料ガスと混合された、空気もしくは窒素のような担体ガスから構成されていてもよい。蛍光発生性基質がグリセロールMCA基質および酵素においてアレイ化された試料について酵素活性を試験した。
【実施例7】
【0057】
細胞、DNA、全RNAまたはmRNAの懸濁液を、マイクロアッセイチップ上にアレイ化された反応ゾーンに送達した。個々の反応ゾーンは、PCRプライマー;逆転写酵素プライマー;色素標識オリゴ配列;核酸塩基もしくは蛍光性の塩基および酵素、例えば逆転写酵素;DNAポリメラーゼ;リボヌクレアーゼ;デオキシリボヌクレアーゼ;耐熱性DNAポリメラーゼ;または、開裂酵素を含む。チップはPCRのための熱サイクル、核酸合成、蛍光タグの導入、配列依存性反応によるクエンチされた実体の蛍光活性化を受ける。続く検出では、配列依存性反応によりクエンチされた分子をデクエンチする配列依存性反応によって近接して来た2つの独立した蛍光プローブ間のエネルギー移動を伴うことができる。応用として、mRNA種の表現型分析、DNA種の遺伝子型分析、および一塩基多型性(SNP)の検出が挙げられる。
【実施例8】
【0058】
マイクロアレイはプロテアーゼ技術およびプロテオミクスに多数の応用を有する。P2、P3またはP4位置に19個の異なるアミノ酸を有する蛍光発生性ペプチドの不変P1ポジショナルスキャニングライブラリー(57個のサブライブラリー)は、試剤の使用を最小限にして、1cm2未満のマイクロアレイにより収容することができる(Backes、2000年)。P1〜P4位置に19〜20個の異なるアミノ酸を有する完全なスキャニング蛍光発生性ライブラリー(1200スポット未満)(Harris、2000年)は、グリセロールスポッティングとエアロゾル沈着技術の許容範囲内において、1"×3"スライドウェルに収容することができた。この例では、単一のプロテアーゼが、ポジショナルスキャニングライブラリーからチップにアレイ化された個々の蛍光発生性基質に適用される。基質の変換および基質の特異性は、単一のマイクロアッセイチップについて決定される。また、各位置における各々のアミノ酸の同一性が充分に確立された蛍光ペプチドのコンビナトリアルライブラリーが、マイクロアッセイチップ上で用いられる。
【0059】
上記においては、本発明は、特定の材料および方法に関して記載されたが、本発明は添付される請求の範囲に示される限りにおいてのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明のアレイの部分斜視図である。
【図2】図2A、2Bおよび2Cはそれぞれ、アレイ化、エアロゾル試料の沈着および基質の変換の側面図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、試料適用前後におけるペプチドもしくはタンパク質マイクロアレイの概略図である。
【図4】図4は、超音波ミスト化装置の断面図である。
【図5】図5は、アッセイ装置の機能図である。
【図6】図6は、担体溶媒(グリセロール)マイクロドットによるアレイである。
【図7】図7は、担体溶媒(グリセロール)マイクロドットによる、スプレー前のアレイである。
【図8】図8は、水性試料をスプレーしたマイクロドットによるアレイである。
【図9】図9は、ミスト蒸発後における、スプレーされたマイクロドットアレイの近接図である。
【図10】図10は、活性化されたマイクロドットアレイである。
【図11】図11は、試料を含む水の液滴と、グリセロールマイクロドットとの融合を示す。
【図12】図12は、マイクロドットアッセイによるトロンビン活性の検出を示す。
【図13】図13A、13B、13Cおよび13Dは、試薬を個別反応コンパートメントへ移送するための微小流体工学技術を示す。
【図14】図14は、超音速ノズルから生成したスプレーを使用した、分子の反応スポットへの送達を示す。
【図15】図15は、超音波トランスデューサと非接触チャンバを使用した超微粒ミストの生成を示す。
【図16】図16は、超音波トランスデューサと非接触チャンバにより生成された微小液滴スプレーを使用した、分子の反応スポットへの送達を示す。
【図17】図17は、隣接する反応スポットが、ミストをスプレー送達した後にクロスコンタミネートしない様子を示す。
【図18】図18は、精製酵素とヒト血漿のマイクロアレイアッセイを示す。
【図19】図19は、カスパーゼ基質のマイクロアレイを示す。
【図20】図20は、活性化されたカスパーゼのマイクロアレイを示す。
【図21】図21は、アッセイシステムにより送達されたミストを示す。
【図22】図22は、マイクロアレイへ送達された蛍光性ミストを示す。
【図23】図23は、静電気の電荷を使用したミストのマイクロアレイへの捕捉を示す。
【符号の説明】
【0061】
10・・・バイオチップ
12・・・反応ローカス
14・・・試料液滴
16・・・マイクロアレイヤーチップ
18・・・パターン
20・・・噴霧器
21・・・トランスデューサ
22・・・液体
23・・・インレット
24・・・キャリアガス
25・・・容器
26・・・試料
28・・・ガイド
30・・・蓋
32・・・ノズル
Claims (18)
- 平坦表面と、その上の反応ローカスの配置との両方を有するアレイを含み、該ローカスの各々が実質的に、ペプチドもしくはタンパク質のための親水性担体中に少なくとも充分に懸濁もしくは溶解された少なくとも1種のペプチドもしくはタンパク質からなるアッセイデバイス。
- 前記平坦表面が、非多孔性チップもしくは非多孔性スライドをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアッセイデバイス。
- 前記非多孔性チップもしくは非多孔性スライドが、シリコン、ガラス、シリカ、石英、ポリスチレンおよびポリアルキレンポリマーからなる群より選ばれる成分を含むことを特徴とする請求項1に記載のアッセイデバイス。
- 前記反応ローカスの配置が、直交の格子の配置であることを特徴とする請求項1に記載のアッセイデバイス。
- 前記親水性担体が、糖類、アルキレンジオールおよびアルキレンポリオールからなる群より選ばれ、しかも前記反応ローカスが約10μmと約250μmとの間の寸法であることを特徴とする請求項1に記載のアッセイデバイス。
- 前記親水性担体が、デキストラン、pluronic acid、ペントースの炭水化物、リボース
類もしくはヘキソース類、多糖類、ポリエチレングリコールポリマー、1,2−エタンジオール、2,3−ブタンジオールおよび1,2,3−プロパントリオール(グリセロール)からなる群より選ばれ、しかも前記反応ローカスが約50μmと約100μmとの間の寸法であることを特徴とする請求項1に記載のアッセイデバイス。 - 前記反応ローカスが、補助因子、阻害剤、抗体、活性化剤および緩衝要素からなる群より選ばれる酵素反応成分をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアッセイデバイス。
- 前記反応ローカスが、タンパク質、ペプチド、核酸、酵素、抗体、脂質、細胞溶解物およびベシクルからなる群より選ばれる生体分子もしくは生体フラクションを含むことを特徴とする請求項1に記載のアッセイデバイス。
- 前記ローカスが、蛍光発生性基質、発色基質または他のレポーター基質をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアッセイデバイス。
- コンピュータソフトウェアに内蔵される操作指示のセットと、
コンピュータで制御されるドットアプリケータのセットと、
試料エアロゾルを形成するための、コンピュータ制御されるデバイスと、
コンピュータで制御されるxyポジショナと、
コンピュータおよび操作ソフトウェアと、
生物試料を制御するためのチャンバと
を含み、ドットアプリケータは、試料液滴とドット構成成分との間の反応についての、コンピュータで増進されるアッセイのために、エアロゾル化された試料液滴が適用される反応スポットを形成することを特徴とするアッセイシステム。 - 前記操作指示は、開始、停止、操作のセットポイントの確定、および前記デバイスのサブコンポーネントの制御のために、シリアルポートもしくはパラレルポートを介して信号
を送信し、それにより1つもしくはそれ以上のサブコンポーネントは、内部もしくは外部の常駐コントローラもしくはドライバを有することを特徴とする請求項10に記載のアッセイシステム。 - 複式の容積式マイクロシリンジポンプと、
加圧ノズル、超音速ノズル、インクジェット印刷ヘッド、位置作動式インクジェット印刷ヘッド、表面作動式インクジェット印刷ヘッド、流体接触型もしくは流体非接触型の超音波トランスデューサといったエアロゾル形成デバイスと、
ガス流量計/コントローラと、
xyポジショナシステムと、
排気/濾過ファンとをさらに含む請求項11に記載のサブコンポーネント。 - 前記マイクロシリンジが、1.0μL〜1000μLの生体試料を保持することを特徴とする請求項10に記載のアッセイシステム。
- 前記マイクロシリンジが、一定の流速で試料を送達することを特徴とする請求項10に記載のアッセイシステム。
- エアロゾル形成のための前記デバイスが超音波噴霧器であることを特徴とする請求項10に記載のアッセイシステム。
- a)平坦表面を選択し、
b)親水性担体を選択し、該平坦表面上の該親水性担体のアリコート内で個別の反応ローカスに複数の基質をアレイ化し、
c)約5μmと約15μmの間の試料液滴サイズを有する、エアロゾル化もしくはミスト化された試料を、工程(b)で形成されたアレイへ適用し、
d)試料と複数の基質との間のいずれの反応も検出すること
を含み、請求項1に記載のペプチドもしくはタンパク質チップを使用することを特徴とする生体試料のアッセイ方法。 - 請求項1に記載のペプチドもしくはタンパク質チップを使用し、エアロゾル化もしくはミスト化された試料を前記反応ローカスの配置へ適用し、試料の構成成分と前記反応ローカスの配置内に含まれる該ペプチドもしくはタンパク質とのいずれの反応も検出することを含む生体試料のアッセイ方法。
- 請求項1に記載のペプチドもしくはタンパク質チップを使用し、エアロゾル化もしくはミスト化された試料を、超音波噴霧器を使用して前記反応ローカスの配置へ適用し、試料の構成成分と前記反応ローカスの配置内に含まれる該ペプチドもしくはタンパク質とのいずれの反応も検出することを含む生体試料のアッセイ方法。
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