JP2005505608A - 糖尿病性神経障害でのgp130アクチベーターの使用法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、真性糖尿病および末梢神経系障害の分野にある。特に、本発明は、糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のためのgp130を介してシグナル伝達する物質の使用に関する。IL−6、またはIL−6R/IL−6キメラが、この特異的な医学的適応症(medical indication)において使用されることが好ましい。
【背景技術】
【0002】
真性糖尿病は、炭化水素代謝の障害、すなわち、インスリン分泌および/またはインスリン作用の絶対的または相対的損傷から生じる高血糖症により特徴付けられる症候群である。
【0003】
真性糖尿病の分類は、国立糖尿病データグループおよびWHO(国際保健機構)によって採用されるものに基づく。以前には、それは、その疾患の発症時の年齢、期間および合併症に基づいた。妊娠真性糖尿病は、現在の妊娠中に発症(onset)または最初に認められた可変重度の炭水化物不耐症である。インスリン依存性DM(IDDM)または若年性発症糖尿病としても知られるI型真性糖尿病(DM)の患者は、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を発症する可能性がある。非インスリン依存性DM(NIDDM)としても知られるII型DM(真性糖尿病)の患者は、非ケトン性高血糖性高浸透圧性昏睡(NKHHC)を発症する可能性がある。代表的な後期細小血管合併症としては、網膜症、ネフロパシー、ならびに末梢および自律神経性神経障害があげられる。大血管合併症としては、アテローム硬化性冠動脈および末梢動脈疾患が挙げられる。
【0004】
I型真性糖尿病:あらゆる年齢層で発症し得るが、I型真性糖尿病は、幼年期または青年期に通常発症し、30歳前に診断されるDMの主要な病型である。この型の糖尿病は、DMの全症例の10〜15%を占め、高血糖症および糖尿病性ケトアシドーシス傾向により臨床的に特徴付けられる。その膵臓は、インスリンをほとんどまたはまったく産生しない。
【0005】
I型DM患者の約80%は、検出可能な血清中の膵島細胞(serum islet cell)の細胞質抗体および膵島細胞表面抗体(グルタミン酸脱炭酸酵素に対する抗体、およびインスリンに対する抗体が、同様の割合で(in a similar proportion of cases)見出される)と関連した特異的HLA表現型を有する。
【0006】
これらの患者では、I型DMは、遺伝的に影響されやすく、免疫を介した、インスリン分泌細胞の>90%の選択的破壊から生じる。彼らの膵島は、膵島炎を示し、該膵島炎は、マクロファージとBリンパ球を伴うTリンパ球の浸潤により、ならびにほとんどのベータ細胞の損失により、グルカゴン分泌アルファ細胞の関与なしに特徴付けられる。診断時に存在する抗体は、通常、数年後には検出不可能になる。それらは、主にベータ細胞破壊に対する応答であり得るが、ベータ細胞に対して細胞毒性のものもあり、それらの損失の一因でもあり得る。I型DMの臨床兆候は、潜在的な自己免疫過程が知らない間に始まってから数年後に起こる患者もいる。これらの抗体のためのスクリーニングは、数多くの進行中の予防的研究に含まれる。
【0007】
II型真性糖尿病:II型DMは、通常、>30歳の患者で診断される糖尿病の型であるが、しかし、子供および青少年でも起こり得る。その臨床的特徴は、高血糖症とインスリン耐性である。糖尿病性ケトアシドーシスはまれである。ほとんどの患者は、食事、運動および経口薬で治療されるが、高血糖症状を制御し、非ケトン性高血糖性高浸透圧性昏睡を予防するためにインスリンを断続的に、または持続的に必要とする患者もいる。一卵性双生児でのII型DMについての一致率は、>90%である。II型DMは、一般に、肥満、特に上半身(内臓/腹部)の肥満に関連し、体重増加の期間を経て現われることが多い。加齢に伴う耐糖能障害は、典型的な体重増加と密接な相関関係にある。内臓/腹部の肥満を示すII型DM患者は、減量後に、正常なグルコース濃度となることがある。
【0008】
II型DMは、異質な疾患の集団であり、グルコースに対するインスリン分泌応答の障害と骨格筋によるグルコース取り込みの刺激および肝臓グルコース産生の抑制(インスリン抵抗性)におけるインスリンの効果的な作用の減少との両方により、高血糖がもたらされる。しかしながら、インスリン抵抗性は一般的であり、インスリン抵抗性を示すほとんどの患者が、糖尿病を発生しないのは、体が、インスリン分泌を適切に増加させることにより補うためである。II型DMの一般的な種類でのインスリン抵抗性は、インスリン受容体またはグルコーストランスポーターにおける遺伝的改変の結果ではない。しかし、遺伝的に決定されたポスト受容体細胞内欠損は、役割を果たしている可能性はある。生じた高インスリン血症は、他の一般的症状、たとえば肥満(腹部)、高血圧、高脂血症、および冠動脈疾患など(インスリン抵抗性症候群)を導き得る。
【0009】
遺伝的因子は、II型DMの発症の主要な決定因子に見えるが、まだ、II型DMと特異的HLA表現型または膵島細胞の細胞質抗体との関連性は証明されていない。例外は、検出可能な膵島細胞細胞質抗体を有し、HLA表現型の内の1つを有し、そして最終的にI型DMを発生し得る非肥満成人の小集団である。
【0010】
糖尿病が発症する以前に、患者は、通常、グルコースに対する初期のインスリン分泌反応を失い、そして比較的多量のプロインスリンを分泌し得る。糖尿病が確立すると、空腹時の血漿中インスリン濃度は、II型DM患者では正常であり得るか、または増大されさえする可能性があるが、グルコース刺激インスリン分泌は、明らかに減少される。インスリン濃度の減少は、インスリンを介するグルコースの取り込みを減少させ、肝臓のグルコース産生を抑制することができない。
【0011】
高血糖症は、結果であるばかりでなく、高血糖症が、インスリン感受性を減少させ、そして肝臓のグルコース産生を増大させるので、糖尿病患者のさらなる耐糖能障害(グルコース毒性)の原因でもあり得る。いったん患者の代謝制御が改善すれば、インスリンまたは血糖降下薬の投与量は、通常減量される。
【0012】
II型DMのある種の症例は、常染色体優性遺伝を示す若い非肥満青少年(若年者の成人発症型糖尿病[MODY])に発症する。MODYを有する多くの家族は、グルコキナーゼ遺伝子に突然変異を有する。インスリン分泌および肝臓のグルコース調節における障害が、これらの患者で示された。
【0013】
インスリン異常症(insulinopathies)は、DMのまれな症例で、II型DMの臨床特徴を示し、欠損遺伝子の異種接合遺伝から生じ、インスリン受容体に正常に結合しないインスリンを分泌するようになる。これらの患者は、外因性インスリンに対する正常な血漿中グルコース反応と関連した血漿免疫反応性インスリン濃度をおおいに上昇させた。
【0014】
糖尿病は、膵臓疾患に起因し得る:慢性膵炎、特にアルコール中毒では、糖尿病を伴うことが多い。このような患者は、インスリン分泌島およびグルカゴン分泌島の両方を失う。したがって、彼らは、軽度の高血糖をであり、そして低用量のインスリンに対して感受性があり得る。有効な対抗調節(グルカゴンによる抵抗のない外因性インスリン)の欠如を考慮すると、彼らは、頻繁に、低血糖症の急速な発症に悩まされている。アジア、アフリカ、およびカリブ海地域では、DMは、若者において、重度のタンパク質欠乏症および膵臓疾患の重症栄養障害のある患者がよく観察される;これらの患者は、糖尿病ケトアシドーシス傾向はないが、しかしインスリンを必要とし得る。
【0015】
真性糖尿病の診断:無症状の患者では、空腹時高血糖症についての診断基準に合致する場合に、DMと確立される:成人または子供での2回測定した一晩絶食後の血漿(または血清)中グルコース濃度が、>=140mg/dl(>=7.77mmol/l)。
【0016】
経口ブドウ糖負荷試験は、その空腹時ブドウ糖が、115mg/dlと140mg/dl(6.38と7.77mmol/L)のあいだにある患者でのII型DMを診断する上で、そして診断未確定DMに関連があり得る臨床症状(たとえば、多発性神経障害、網膜障害)を示す患者に有用であり得る。
【0017】
真性糖尿病の治療:糖尿病の長期細小血管合併症の多くの原因は高血糖症である。それは、HbA1C(以下参照)の濃度と、合併症の発症率とのあいだの線形関係を証明した。他の研究は、HbA1C<8%が閾値であり、それ以下で、ほとんどの合併症を防ぐことができることを示唆した。したがって、I型DMについての療法は、低血糖症の発作を避けながら、HbA1Cを下げるために代謝制御を強化することを試みるべきである。しかしながら、治療は、個人に合わせたものでなければならず、いかなる低血糖の危険も許容されない状況(たとえば、余命の短い患者や、脳血管または心血管疾患の患者)の場合または患者の低血糖のリスクが増大する(たとえば、信頼できない患者や自律神経障害を有する患者)場合には改変されるべきである。
【0018】
減量を達成するための食事療法は、II型DMの肥満患者に最も重要である。食事療法によって高血糖症の改善が達成されない場合、経口薬の試用を開始すべきである。
【0019】
患者は、合併症の症状または兆候について定期的に評価してもらうべきで、これには足の検査、足と下肢の脈拍および感覚の検査、ならびにアルブミンについての尿検査が含まれる。定期的な検査評価としては、脂質プロファイル、BUN(血中尿素窒素)および血清中クレアチニン濃度、ECG、および年一回の全面的な眼科評価が挙げられる。
【0020】
高コレステロール血症または高血圧症は、特異的後期合併症についての危険を増大させ、特定の注意と適切な治療が必要とされる。プロプラノロールなどのベータアドレナリン作動性受容体遮断剤であるβ遮断薬は、ほとんどの糖尿病で安全に使用され得るが、それらは、インスリン誘発性低血糖症のβ−アドレナリン作動性症状を隠蔽し、正常な拮抗調節反応を害し得る。したがって、ACE阻害剤およびカルシウム拮抗剤が、しばしば、最適な薬剤である。
【0021】
血漿中グルコースの監視は、全ての患者によって行なわれるべきであり、インスリン治療患者は、それに応じて彼らのインスリン投与量を調節することを教えられるべきである。グルコース濃度は、指先の血液1滴を用いて、容易に使用できる家庭用分析器で検査することができる。指先の血液サンプルを得るためには、バネ式のランセット針を推奨する。検査の頻度は、個別に決定される。インスリン治療糖尿病患者は、理想的には、食前に、食後1から2時間までに、そして就寝時に、彼らの血漿中グルコースを毎日検査すべきである。
【0022】
ほとんどの医師は、経時的に、検査前1〜3ヵ月のあいだの血漿中グルコース制御を評価するためにグリコシル化ヘモグロビン(HbA1C)を測定する。HbA1Cは、血漿中グルコースによるHbの非酵素的グリコシル化の安定な産物であり、そして増大する血漿中グルコース濃度と共に増大する速度で形成される。ほとんどの実験室で、正常なHbA1C濃度は、約6%である;ほとんど制御されない糖尿病患者では、濃度は、9〜12%までの範囲にある。HbA1Cは、糖尿病を診断するための特異的な検査ではない;しかし、上昇したHbA1Cは、しばしば、既存の糖尿病を示す。
【0023】
別の検査は、フルクトサミン濃度を測定する。フルクトサミンは、血漿中タンパク質とのグルコースの化学反応により形成され、そして先の1か〜3週間でのグルコース制御に反映する。したがって、このアッセイは、HbA1Cより前のコントロールでの変化を示し、しばしば、強化治療が行なわれるときや、短期的な臨床試験に有用である。
【0024】
インスリン治療を考慮すると、インスリン治療を開始では、動物由来の変異体より抗原性が少ないので、ヒトインスリンがしばしば好ましい。しかし、通常には非常に低い、検出可能なインスリン抗体濃度は、ヒトインスリン製剤を投与されている者を含めてほとんどのインスリン治療患者で発生する。
【0025】
インスリンは、日常的に、100U/ml(U−100インスリン)を含む製剤で提供され、そして使い捨てインスリンシリンジで皮下に注射される。1/2mlシリンジは、一般には、それらが、さらに容易に読取ることができ、そして小用量の正確な測定を促進できるので、<=50Uの用量を日常的に注射する患者に好ましい。一般にインスリンペンと称される複数回用量インスリン注射デバイス(ノボリンペン(NovolinPen))は、数日の投与量を含むカートリッジを使用するように設計される。インスリンは、冷蔵されるべきであるが、しかし決して凍結させるべきでない。しかし、ほとんどのインスリン製剤は、数ヶ月間、室温で安定であり、仕事中および旅行時に容易に使用できる。
【0026】
糖尿病は、他の内分泌疾患と関連し得る。II型DMは、クッシング症候群、末端肥大症、褐色細胞腫、グルカゴノーマ、原発性アルドステロン症、またはソマトスタチノーマに続発し得る。これらの障害のほとんどは、末梢または肝臓のインスリン耐性に関連する。いったんインスリン分泌も減少されると、多くの患者は、糖尿病になる。I型DMの有病率は、ある種の自己免疫性内分泌疾患、たとえば、グレーブス病、ハシモト甲状腺炎、および特発性アジソン病の患者で増大される。
【0027】
糖尿病は、ベータ細胞トキシンによっても誘導され得る。たとえば、ストレプトゾトシンは、ラットにおいて実験的糖尿病を誘導し得るが、ヒトにおいては糖尿病はまれにしか引き起さない。
【0028】
糖尿病の後期合併症は、数年間の高血糖症の制御の不良の後に起こる。インスリンを介したグルコースの取り込みがある細胞(主に筋肉)を除き、グルコース濃度は、全ての細胞で増大し、結果としてグリコシル化および他の代謝経路の活性が増大する。これは合併症により引起され得る。ほとんどの細小血管合併症は、厳重な血糖制御、すなわち、ほぼ正常なグリコシル化ヘモグロビン(HbA1C)により反映される、ほぼ正常な空腹時および食後のグルコース濃度を達成することにより遅延、予防、または逆行さえさせることができる。アテローム硬化症のような巨大血管の疾患は、兆候的な冠動脈疾患、跛行、皮膚崩壊、および感染をもたらすことがある。高血糖症は、アテローム硬化症を促進し得るが、糖尿病(インスリン耐性を示す)の発症に先行する長年の過剰インスリン症が、重要な開始の役割を果たし得る。重篤な末梢血管疾患、断続的な跛行および壊疽についての下肢の切断が、なお多く見られる。バックグランド網膜症(検眼鏡検査試験または網膜写真で見つかる最初の網膜変化)は、視覚を明らかには変化させないが、しかしそれは、網膜剥離または出血と共に筋肉浮腫または増殖性網膜症に進行する可能性があり、そしてそれは、失明を引き起す可能性がある。全ての糖尿病の約85%は、最終的に、ある程度の網膜症を発症する。糖尿病性神経障害は、最終段階の腎臓疾患を発症するまで、通常無症状であるが、しかしそれは、ネフローゼ症候群を引き起し得る。
【0029】
糖尿病性神経障害は、糖尿病の別の合併症であるが、他の疾患と関係して共通でもある。
【0030】
多重単神経障害は、通常、コラーゲン血管障害(たとえば、結節性多発性動脈炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、シューグレン症候群、慢性関節リウマチ(RA))、類肉腫症、代謝疾患(たとえば、糖尿病、アミロイド症)または感染疾患(たとえば、ライム病、HIV感染)には二次的である。微生物は、神経への直接浸入により多重単神経障害を引き起し得る(たとえば、ライで)。
【0031】
急性熱病による多発性神経障害は、トキシン(たとえば、ジフテリアで)または自己免疫反応(たとえば、ギャン−バレー症候群で)に起因し得る。時に免疫化に付随する多発性神経障害も、おそらく自己免疫性である。
【0032】
毒物は、一般に、多発性神経障害を引き起こすが、単神経障害を引き起こすこともある。それらとしては、エメチン、ヘキソバルビタール、バルビタール、クロロブタノール、スルホンアミド、フェニトイン、ニトロフラントイン、ビンカアルカノイド、重金属、一酸化炭素、トリオルトクレシルホスフェート、オルトジニトロフェノール、多くの溶媒、他の工業用毒、および特定のAIDS薬(たとえば、ザルシタビン、ジダノシン)があげられる。
【0033】
栄養不足および代謝障害は、多発性神経障害を生じ得る。ビタミンB欠乏は、しばしば原因である(たとえば、アルコール中毒、脚気、悪性貧血、イソニアジド誘導ピリドキシン欠乏、吸収不全症候群、および妊娠悪阻において)。多発性神経障害は、甲状腺機能低下症、ポルフィリン症、類肉腫症、アミロイド症、および尿毒症でも起こる。
【0034】
妊娠は、単一クローン性高ガンマグロブリン血症(多発性骨髄腫、リンパ腫)、アミロイド浸潤、または栄養失調を介して、または腫瘍随伴性症候群として多発性神経障害を引起し得る。
【0035】
真性糖尿病または腎不全のような、代謝障害による多発性神経障害は、ゆっくりと、しばしば数ヵ月または数年かけて進行する。それは、頻繁には、近傍でよりも遠位でいっそう重篤である下肢における感覚異常を伴って始まる。末梢刺痛、麻痺、灼熱痛、または関節固有感覚および振動感覚における欠陥は、しばしば重要である。痛みは、よく夜に悪化し、そして患部領域に触れることによって、または温度変化によって悪化され得る。重篤な症例では、特に、靴下−手袋型分布で感覚消失の客観的な兆候がある。アキレス腱および他の深部の腱反射は、減少されるか、または消失している。指節間関節またはシャルコー関節での無痛腫瘍は、感覚消失が根深いときに発生し得る。感覚または固有受容欠損は、歩行異常を導き得る。運動関与は、遠位筋肉弱体化および萎縮を生じる。自律神経系は、付加的にまたは選択的に関係し得、そして夜間下痢、尿および便失禁、不能、または体位性低血圧に至る。血管運動症状は変化する。皮膚は、正常より蒼白で乾燥しており、そして薄黒い変色を伴うこともある。発汗は過剰であり得る。栄養変化(平滑でそして輝いた皮膚、陥凸形成または畝状爪、骨粗鬆症)は、重篤で長期化した症例に共通である。
【0036】
全身性障害(たとえば、真性糖尿病、腎不全、多発性骨髄腫、腫瘍)の治療は、進行するのを阻止し、そして症状を改善し得るが、しかし回復はゆっくりである。エントラップメント神経障害は、コルチコステロイド注射または外科的除圧を必要とする可能性がある。物理的治療および副子は、拘縮の見込みまたは重度を減らす。
【0037】
真性糖尿病は、感覚運動性遠位多発性神経障害(最も一般的)、多発性単神経障害、および病巣の単神経障害(たとえば、動眼神経または外転脳神経)を引起し得る。多発性神経障害は、一般に、感覚欠損を引起す遠位の対称的な主に感覚の多発性神経障害として起こり、そしてそれは、靴下−手袋型分布で始まり、そしてそれにより通常に印をつけられる。
【0038】
一般に、末梢神経障害は、感覚消失、筋肉弱体化および萎縮の症状、深部腱反射から減少したこと、および血管運動症状を、単独で、またはあらゆる組合せとして定義される。疾患は、単神経(単神経障害)、別個の領域で2つまたはそれより多くの神経(多重単神経障害)、または同時に多くの神経(多発性神経障害)に影響し得る。軸索は、原発的に影響を受け得るか(真性糖尿病、ライム病、または尿毒症での、または毒物でのような)、またはミエリン鞘またはシュバン細胞(急性または慢性炎症性多発性神経障害、白質萎縮、またはギャン−バレー症候群でのような)であり得る。小さな未ミエリン化およびミエリン化線維に対する損傷は、第一に、温度および痛感覚の消失を生じる。大きなミエリン化線維に対する損傷は、運動または固有感覚の欠損を生じる。ある種の神経障害(たとえば、鉛毒性、ダプソン使用、マダニ刺傷、ポルフィリン症またはギャン−バレー症候群による)は、第一に運動線維に影響を及ぼす;他のもの(たとえば、癌、ライ、AIDS、真性糖尿病、または慢性ピリドキシン中毒による脊髄神経節)は、脊髄神経節または感覚線維に影響を及ぼし、そして感覚症状を生じる。偶然にも、脳神経も、含まれる(たとえば、ギャン−バレー症候群、ライム病、真性糖尿病およびジフテリアに)。
【0039】
外傷は、単神経に対する局在化損傷の最も一般的な原因である。過激な筋肉活動または強制的な関節の過剰伸長は、小さな外傷(たとえば、小型ツールの密着した拘束、空気ハンマーからの過剰の振動)を繰返し得るとおり、病巣の神経障害を生じ得る。圧力またはエントラップメント麻痺は、通常、骨の隆起(たとえば、正常な睡眠のあいだで、または細身または悪液質のヒトでの、そしてしばしばアルコール中毒での麻酔のあいだで)で、または狭いチャネル(たとえば、手根管症候群での)で浅神経(尺骨、撓骨、腓骨)に影響を及ぼす。圧迫麻痺は、腫瘍、骨の隆起、ギプス包帯、松葉づえ、または長期化した窮屈な姿勢(たとえば、園芸での)からも生じ得る。神経への出血および冷気または照射への接触も、神経障害を引起し得る。単神経障害は、さらに、直接的腫瘍浸潤から生じ得る。
【0040】
糖尿病性多発性神経障害は、四肢のしびれ、刺痛および感覚異常や、頻度は少ないが、衰弱をもたらす重度で根深い痛みおよび知覚過敏を引き起こし得る。くるぶし反射は、通常には減少されるか、または消失している。多発性神経障害の他の原因は、排除されなければならない。第3、第4または第6の脳神経、並びに大腿のような他の神経に影響する急性の痛みのある単神経障害は、数週から数ヶ月かけて自発的に改善し、高齢の糖尿病患者でいっそう頻繁に起こり、神経の梗塞に起因する。自律神経性神経障害は、多発性神経障害のある糖尿病患者で主に起こり、そして体位性低血圧、発汗障害、男性での不能および逆行性射精、膀胱機能障害、胃内容排泄遅延(時に、ダンピング症候群を伴う)、食道機能不全、便秘または下痢、ならびに夜間下痢を引き起し得る。バルサルバ手技または起立時の心拍反応の減少や、深呼吸時の心拍変動の無変化は、糖尿病患者での自律神経の神経障害の証拠となる。
【0041】
糖尿病性多発性神経障害は、足の潰瘍および関節障害についての主要な原因であり、それらは、真性糖尿病での病的症状の重要な原因である。糖尿病性多発性神経障害では、感覚の脱神経は、合わない靴や小石(pebble)のような通常の原因による外傷の認知を妨げる。固有感覚における変性は、異常なパターンの体重負荷や、時には、シャルコー関節の発生に至る。
【0042】
感染性の足の潰瘍を患う患者は、しばしば、神経障害のために痛みを感じず、そして無視された経過の後期まで、全身性症状を示さない。深部潰瘍および特になんらかの検出可能な蜂巣炎と関連した潰瘍は、全身性毒性および永久的な障害が発生し得るので、即時入院を必要とする。早期の外科的な壊死組織の切除は、治療の必須部分であるが、しかし時々切断が必要である。
【0043】
インターロイキン−6(IL−6)は、数種の異なるタイプの細胞により産生および分泌される多機能性サイトカインである。この多面性サイトカインは、免疫応答、急性期反応および造血などの細胞防御機序で中心的役割を果たす。IL−6は、先にクローン化された185個のアミノ酸を有する20から26kDaの糖タンパク質である(May et al., (1986); Zilberstein et al., (1986); Hirano et al., (1986))。以前、IL−6は、B細胞刺激因子2(BSF−2)、インターフェロン−ベータ2および肝細胞刺激因子として引用されている。IL−6は、肝臓、脾臓、および骨髄などの多数の異なる組織により、そして単球、線維芽細胞、内皮細胞、BおよびT細胞などの多様なタイプの細胞により分泌される。IL−6は、ウイルス、二本鎖RNA、細菌および細菌性リポ多糖、ならびにIL−1およびTNFのような炎症性サイトカインなどの多様なシグナルにより転写レベルが活性化される。
【0044】
IL−6は、ヒト炎症性CNS疾患の病因に関係しているとみなされている。IL−6の血漿中および脳脊髄液中濃度の増加が、たとえば、多発性硬化症の患者において示された(Frei et al., 1991)。
【0045】
中枢および末梢神経系の細胞でのIL−6の効果に関する最近の実験は、IL−6が、神経細胞での保護効果、ならびに炎症性神経変性過程に対するある種の影響を有することを示す(Gadient and Otten, 1997, Mendel et al., 1998)。IL−6は、海馬のニューロン(Yamada et al., 1994)ならびに線条体のニューロン(Toulmond et al., 1992)でのグルタミン酸誘導性細胞死を防ぐことが分かった。高濃度のヒトIL−6とヒト可溶性IL−6R(sIL−6R)の両方を発現するトランスジェニックマウスでは、加速された神経再生が、脳における舌下の核の逆行標識により示されるように、舌下神経の損傷ののちに観察された(Hirota et al., 1996)。さらに、IL−6が、神経性疾患、脱ミエリン化障害、多発性硬化症(MS)において含蓄されるというある種の証拠があった(Mendel et al., 1998)。IL−6遺伝子欠損マウスは、疾患の実験的誘導に耐性があった。他方では、IL−6が、神経外傷の後の早期外傷後段階のあいだのニューロンの生存に負の効果を有することを示す報告があった(Fisher et al., 2001)。
【0046】
IL−6の生物学的活性は、一方はIL−6受容体またはgp80と名づけられ、そして他方はgp130と名づけられた2つの異なるタンパク質を含む膜受容体系によって仲介される(Hirano et al., 1994により検証された)。gp130は、277個のアミノ酸の細胞内ドメインを含む918個のアミノ酸の長さを有する膜貫通型糖タンパク質であり、IL−6、IL−11、LIF、オンコスタチンM、CNTF(毛様体神経栄養因子)、CT−1などのいくつかのサイトカイン受容体のサブユニット構成成分である。IL−6が、gp130を介して作用するサイトカインのプロトタイプであるので、このサイトカインファミリーは、「IL−6型サイトカイン」とも称される。
【0047】
gp130は、低親和性受容体鎖に結合することによって、これらのサイトカインに対する高親和性受容体の形成に関与する。したがって、gp130は、「親和性コンバーター」とも呼ばれる。サイトカイン受容体に結合するリガンドは、gp130の二量体化(IL−6受容体に関して見られる)またはLIFRベータサブユニットとして知られるgp130関連タンパク質との異種二量体化(LIF、オンコスタチンM、およびCNTF受容体に関して見られる)を導く。それぞれのリガンドの結合は、細胞内シグナル伝達の第一段階として、ジャヌスキナーゼ(JAKs)として知られるチロシンキナーゼのファミリーの活性化/連結に関連する。細胞内シグナル伝達過程は、チロシンリン酸化とSTATs(転写のシグナルトランスデューサーおよびアクチベーター)と呼ばれる因子の活性化を含む。
【0048】
ヒトgp130遺伝子産物は、染色体5および17上の2つの別個の染色体遺伝子座と相同であるように見える。2つの別個のgp130遺伝子配列の存在は、霊長類に限定され、他の脊椎動物で見られない。
【0049】
IL−6、IL−11、CNTF、オンコスタチンMおよびLIFのシグナル伝達活性が、gp130に対する種々のモノクローナル抗体により特異的に遮断され得ることが示された。これに加えて、サイトカインまたはそれらの受容体の存在と独立して、gp130を直接的に活性化するモノクローナル抗体が見出された。
【0050】
gp130に対する他のモノクローナル抗体は、IL−6仲介機能を阻害することが示された。90および110Kdaの分子質量を有する可溶性型gp130(sgp130)が、ヒト血清中に見出された。それらは、構成成分としてgp130を有する受容体系を利用するそれらのサイトカインの生物学的機能を阻害し得る。
【0051】
gp80の細胞外ドメインに対応する可溶性型IL−6R gp80(sIL−6R)は、血中および尿中に、糖タンパク質として見出されるヒトの体の天然産物である(Novick et al., 1990, 1992)。sIL−6R分子の異例な性質は、それらが、ヒト細胞などの多くの細胞型にIL−6の強力なアゴニストとして作用することである(Taga et al., 1989; Novick et al., 1992)。たとえgp80の細胞質内ドメインがなくても、sIL−6Rは、IL−6に応答してgp130の二量体化を誘発する能力がなおあり、そして次には、それに続くIL−6特異的シグナル伝達および生物学的効果を仲介する(Murakami et al., 1993)。sIL−6Rは、gp130と2つのタイプの相互作用を示し、それらは両方とも、IL−6特異的生物学的活性に必須である(Halimi et al., 1995)。そして活性IL−6受容体複合体は、2つのgp130鎖、2つのIL−6Rおよび2つのIL−6リガンドにより形成される六量体構造であることが提唱された(Ward et al., 1994; Paonessa et al., 1995)。
【0052】
可溶性IL−6受容体およびIL−6を一緒に連結するキメラ分子は、記載されている(Chebath et al., 1997、Fischer et al., 1997、国際公開第99/02552号パンフレットおよび国際公開第97/32891号パンフレット)。それらは、それぞれ、IL−6R/IL−6キメラおよびハイパー−IL−6と称され、以下ではIL−6R/IL−6と呼ばれる。IL−6R/IL−6キメラは、可溶性IL−6受容体(sIL−6R)およびIL−6をコードするcDNAの全コーディング領域を融合することにより産生された(Fischer et al., 1997; Chebath et al., 1997)。組換えIL−6R/IL−6キメラは、CHO細胞で産生された(Chebath et al., 1997、国際公開第99/02552号パンフレット)。IL−6R/IL−6キメラは、インビトロで、IL−6とsIL−6Rとの混合物が結合するより高い効率でgp130鎖に結合する(Kollet et al., 1999)。
【発明の開示】
【0053】
本発明によって、gp130を介してシグナル伝達する物質の投与が、結果として糖尿病性神経障害の樹立動物モデルで明らかに有益な効果を生じることが見出された。試験された模範的な物質は、IL−6およびIL−6R/IL−6キメラであった。両物質とも、神経活力に関連する数種の項目の改善により示されるとおり、糖尿病性神経障害で統計的に有意で有益な効果を示した。
【0054】
したがって、本発明は、糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のための、gp130を介してシグナル伝達する物質の使用に関する。
【0055】
糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のための、gp130を介してシグナル伝達する物質を発現する細胞の使用は、本発明の別の目的である。さらに、本発明によって、gp130を介してシグナル伝達する物質についてのコーディング配列を含むベクターは、糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明は、gp130を介してシグナル伝達する物質の投与が、糖尿病性神経障害の樹立動物モデルにおいて有意な抗侵害受効果および神経再生効果を生じるという知見に基づく。したがって、本発明は、糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のための、ヒトインターロイキン−6(IL−6)受容体gp130を介してシグナル伝達を起こす物質の使用に関連する。
【0057】
本明細書中で使用される場合、「gp130を介してシグナル伝達する物質」は、gp130を介するシグナル伝達カスケードを活性化するあらゆる分子、すなわち、IL−6受容体複合体のgp130部分のアゴニスト、刺激剤、またはアクチベーターである。刺激は、直接的でも良い。すなわち、活性化は、gp130に対して直接的に結合することによって誘発しても良い。このような直接的アクチベーターについての例は、IL−6R/IL−6キメラである。刺激は、別の細胞表面受容体に結合することにより間接的であっても良く、該受容体がgp130と複合体を形成し、それによりgp130を活性化する。IL−6は、gp130のこのような間接的アクチベーターについての例である。gp130を介してシグナル伝達する物質の別の例としては、IL−11、LIF、オンコスタチンM(OSM)、CNTF(毛様体神経栄養因子)、およびカルジオトロピン−1(CT−1)があげられ、それらは、いわゆる「IL−6型サイトカイン」である。これらのサイトカインは、JAK/STAT経路を誘発する。その第1の事象は、シグナル伝達受容体サブユニットのリガンド誘導ホモ−またはヘテロ二量体化である。全てのIL−6型サイトカインは、それらの受容体複合体にgp130を補充する。それらは、gp130単独、またはgp130とLIFRもしくはOSMRとの組合せのいずれかでシグナル伝達し、全て、Jakを活性化でき、そしてSTATタンパク質を補充できる。IL−6は、gp130ホモ二量体を誘導するのに対して、CNTF、LIFおよびCT−1は、gp130とLIFRとのヘテロ二量体を介してシグナル伝達する。
【0058】
本明細書中で使用される場合、用語「治療」および「予防」は、糖尿病性神経障害の1つまたはそれ以上の症状または原因、ならびに糖尿病性神経障害に付随する症状、疾患または合併症を予防、阻害、弱体化(attenuating)、緩和または逆行させることと理解されるべきである。糖尿病性神経障害を「治療する」場合、本発明による物質は、その疾患の発症後に与えられ、「予防」は、疾患のあらゆる兆候が、患者に気付かれる前の物質の投与に関する。予防的投与は、すでに長期間真性糖尿病を患ってきた患者のような危険の高い患者に特に有用である。
【0059】
用語「糖尿病性神経障害」は、あらゆる形態の糖尿病性神経障害に、または糖尿病性神経障害に付随するか、または起因する1つまたはそれ以上の症状または障害に、または上の導入で詳細に記述したように神経に影響を及ぼす糖尿病の合併症に関する。
【0060】
本発明の好ましい実施態様では、糖尿病性神経障害は、多発性神経障害である。糖尿病性多発性神経障害では、多くの神経が、同時に影響を及ぼされる。
【0061】
別の好ましい実施態様では、糖尿病性神経障害は、単神経障害である。病巣の単神経障害では、疾患は、動眼または外転脳神経のような単一の神経を冒す。その障害は、2つまたはそれ以上の神経が、別個の領域で冒される場合、多重単神経障害と称される。
【0062】
好ましくは、物質は、
a)IL−6;
b)gp80に結合し、そしてgp130を介してシグナル伝達を起こす、a)の断片;
c)a)またはb)と少なくとも70%配列同一性を示し、gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)またはb)の変異体;
d)中程度にストリンジェントな条件下でa)またはb)をコードする天然のDNA配列の相補鎖にハイブリダイズするDNA配列によりコードされ、gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)またはb)の変異体;または
e)gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)、b)、c)またはd)の塩、融合タンパク質または機能的誘導体
である。
【0063】
IL−6それ自身の使用は、本発明により非常に好ましい。IL−6は、天然のIL−6、すなわち、天然源から単離されたIL−6、または組換えで産生されたIL−6であり得る。組換えIL−6は、本発明により特に好ましい。
【0064】
本発明のさらに好ましい実施態様では、物質は、
a)IL−6R/IL−6キメラ;
b)gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)の断片;
c)a)またはb)と少なくとも70%配列同一性を示し、gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)またはb)の変異体;
d)中程度にストリンジェントな条件下でa)またはb)をコードするDNA配列の相補鎖にハイブリダイズするDNA配列によりコードされ、gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)またはb)の変異体;または
e)gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)、b)、c)またはd)の塩、融合タンパク質または機能的誘導体
である。
【0065】
本明細書中で使用される場合、「IL−6R/IL−6キメラ」(「IL−6R/IL−6」または「IL−6キメラ」とも称される)は、インターロイキン−6の全てまたは生物学的に活性な部分に融合したgp130の可溶性部分を包含するキメラ分子である。キメラタンパク質の部分は、互いに直接的に融合され得るか、またはそれらは、ジスルフィド架橋またはポリペプチドリンカーなどのあらゆる適切なリンカーによって連結され得る。リンカーは、長さ1から3個までのアミノ酸残基と同じくらい短いか、またはより長く、たとえば、長さ13または18個のアミノ酸残基である短リンカーペプチドであり得る。該リンカーは、たとえば、配列E−F−M(Glu−Phe−Met)のトリペプチドであっても良く、または可溶性IL−6受容体gp130とIL−6配列とのアミノ酸配列間に導入されるGlu−Phe−Gly−Ala−Gly−Leu−Val−Leu−Gly−Gly−Gln−Phe−Metを含む13−アミノ酸リンカー配列であっても良い。IL−6R/IL−6キメラの例は、当技術分野で知られており、そしてたとえば、国際公開第99/02552号パンフレットまたは国際公開第97/32891号パンフレットに詳細に記述されている。本発明により使用され得るIL−6R/IL−6キメラ分子についての例は、図2に概略的に表現されている。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「変異体」は、IL−6RまたはIL−6キメラの類似体であって、本来のIL−6またはIL−6R/IL−6キメラと比較して、得られる産物の活性を相当に変化することなく、IL−6R/IL−6の天然に存在する成分のアミノ酸残基の1つまたはそれより多くが、異なるアミノ酸残基に置換されるか、または欠失されるか、または1つまたはそれより多くのアミノ酸残基がIL−6またはIL−6R/IL−6の本来の配列に付加される、IL−6RまたはIL−6キメラの類似体を意味する。これらの変異体は、公知の合成により、および/または位置指定突然変異誘発技術により、またはそのために適切な他のあらゆる公知技術によって製造される。
【0067】
本発明による変異体としては、中程度にストリンジェントな条件またはストリンジェントな条件下で、IL−6またはIL−6R/IL−6をコードするDNAまたはRNAの相補鎖にハイブリダイズするDNAまたはRNAなどの核酸によりコードされるタンパク質があげられる。用語「ストリンジェントな条件」は、当業者が、慣習的に、「ストリンジェント」と呼ぶハイブリダイゼーションおよびその後の洗浄条件を意味する。Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, supra, Interscience、N.Y., §§6.3 and 6.4 (1987, 1992)、およびSambrook et al. (Sambrook, J.C., Fritsch, E.F. and Maniatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Habor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)を参照。
【0068】
制限なく、ストリンジェントな条件の例は、たとえば2×SSCおよび0.5%のSDSを5分間、2×SSCおよび0.1%のSDSを15分間;0.1×SSCおよび0.5%のSDSを37℃で30〜60分間、ついで0.1×SSCおよび0.5%のSDSを68℃で30〜60分間で、試験下のハイブリッドの推定Tmの12〜20℃低い洗浄条件を含む。当業者であれば、ストリンジェントな条件がDNA配列、オリゴヌクレオチドプローブ(たとえば10〜40塩基)または混合オリゴヌクレオチドプローブの長さに依存することは理解される。もし混合プローブを用いる場合、SSCの代わりにテトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)を用いることが好ましい。Ausebel, supra参照。「中程度にストリンジェントな条件」とは、42℃での0.2×SSC/0.1%SDSでのような、低温、低塩または低洗浄剤濃度での洗浄条件を意味する。(Ausubel et al., 1989, supra)。
【0069】
あらゆるこのような変異体は、好ましくは、IL−6またはIL−6R/IL−6に比較して、実質的に類似か、またはより良くさえある活性を有するような、IL−6またはIL−6R/IL−6のものが充分に複製されるアミノ酸の配列を有する。
【0070】
IL−6の特徴的活性は、IL−6受容体のgp80部分に結合するその能力であり、そしてIL−6R/IL−6キメラの特徴的活性は、gp130に結合するその能力である。gp130に対するIL−6R/IL−6キメラの結合を測定するためのELISA型アッセイは、ここに参考文献として完全に組み込まれる国際公開第99/02552号パンフレットの39頁の実施例7に詳細に記述されている。当業者は、類似のELISA型アッセイが、gp80に対するIL−6の結合のために開発され得ることを理解するであろう。変異体が、gp80またはgp130の個々の結合領域に対して実質的な結合活性を示すかぎり、IL−6またはIL−6R/IL−6キメラと実質的に類似の活性を示すと考えられ得る。したがって、あらゆる所定の変異体が、国際公開第99/02552号パンフレットの実施例7で記述されるように、たとえば、このような変異体を、簡易サンドイッチ結合アッセイにかけて、それが、固定化gp80またはgp130に結合するかどうかを決定することを含む、通常の実験を用いて、IL−6またはIL−6R/IL−6と少なくとも実質的に同じ活性を有するかどうかについて決定され得る。
【0071】
好ましい実施態様では、あらゆるこのような変異体は、国際公開第99/02552号パンフレットに含まれる成熟IL−6またはIL−6R/IL−6キメラ分子の配列と少なくとも40%同一性または相同性を有する。さらに好ましくは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または最も好ましくは少なくとも90%同一性または相同性を有する。
【0072】
同一性は、2つまたはそれ以上のポリペプチド配列間、または2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の、該配列の比較によって決定された関係を反映する。一般的に、同一性は、比較されている配列の全長に渡って、それぞれ2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の、ヌクレオチド−ヌクレオチド、またはアミノ酸−アミノ酸間の正確な一致をいう。
【0073】
正確な一致がない配列に対しては、「%同一性」が決定され得る。一般的に、比較されるべき2つの配列は、該配列間に最大の相関関係が得られるように整列される。これは、整合の程度を高めるために、片方または両方の配列のいずれかにおける「ギャップ(gap)」の挿入を含む。%同一性は、比較される各配列の全長に渡って決定されても良く(いわゆるグローバルアラインメント)、またはより短く定義された長さに渡って決定されても良い(いわゆるローカルアラインメント)。グローバルアラインメントは、同じかまたは非常に類似した長さの配列に特に適しており、ローカルアラインメントは、不同の長さの配列により適している。
【0074】
2つまたはそれより多くの配列の同一性と相同性を比較する方法は、当該分野においてよく知られている。したがって、たとえば、ウィスコンシン シークエンス アナリシス パッケージ、バージョン9.1(Wisconsin Sequence Analysis Package, version 9.1)(Devereux J et al., 1984)で使用可能なプログラム、たとえばBESTFITおよびGAPなどのプログラムが、2つのポリヌクレオチド間の%同一性ならびに2つのポリペプチド間の%同一性および%相同性を決定するために使用され得る。BESTFITは、スミスとウォーターマン(Smith and Waterman)の「ローカルホモロジー」アルゴリズム(1981)を使用し、2つの配列間の相同性の最適な単一領域を見つける。配列間の同一性および/または相同性を決定するための他のプログラムも、当業者に知られており、たとえば、BLASTファミリーのプログラム(Altschul S F et al, 1990, Altschul S F et al, 1997, www.ncbi.nlm.nih.govでNCBIのホームページから利用可能である。)およびFASTA(Pearson W R, 1990; Pearson 1988)である。
【0075】
本発明によって使用され得るIL−6またはIL−6R/IL−6キメラの変異体、またはそれをコードする核酸としては、本明細書中に表わされる教示および指針に基づいて、過度の実験なしに、通常の当業者により日常的に得られ得る置換ペプチドまたはヌクレオチドとして実質的に対応する有限の配列が包含される。
【0076】
本発明による変異体についての好ましい変化は、「保存的」置換として知られるものである。IL−6またはIL−6R/IL−6キメラの保存的アミノ酸置換は、充分に類似した物理化学的な特性を有する群の範囲内の同義アミノ酸を含み得るものであり、その群のメンバー間における置換は分子の生物学的機能を保存するものであろう(Grantham, 1974)。とくに挿入または欠失が、たとえば30以下、好ましくは10以下のわずかなアミノ酸のみを含むものであり、たとえばシステイン残基など機能的配座に重要なアミノ酸の除去または入れ替えをしない場合、アミノ酸の挿入および欠失もまた、その機能を変化させることなく前記配列内でなされることは明らかである。このような欠失および/または挿入によって産生されるタンパク質およびその変異体は、本発明の範囲内である。
【0077】
好ましくは、同義のアミノ酸群は、表1に規定される群である。より好ましくは、同義のアミノ酸群は、表2に規定される群である。そして、最も好ましくは、同義のアミノ酸群は、表3に規定される群である。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
本発明に使用するためのIL−6またはIL−6R/IL−6キメラのムテインを得るために使用され得る、タンパク質でのアミノ酸置換の製造例としては、マーク(Mark)らによる米国特許第4,959,314号明細書、同第4,588,585号明細書および同第4,737,462号明細書;コース(Koths)らによる同第5,116,943号明細書、ナーメン(Namen)らによる同第4,965,195号明細書、コング(Chong)らによる同第4,879,111号明細書、リー(Lee)らによる同第5,017,691号明細書などにおいて示された周知の方法手順;および米国特許第4,904,584号明細書(Shaw et al)に示されたリジン置換タンパク質などがあげられる。
【0082】
本発明との関連において有用であるIL−6の特異的変異体は、記述されている(国際公開第9403492A1号パンフレット)。さらに、欧州特許第667872B1号は、野生型IL−6を超える改善された生物学的活性を示す突然変異体IL−6を記載する。これに加えて、欧州特許第656117B1号は、IL−6のスーパーアゴニストを単離する方法を記載する。突然変異体またはスーパーアゴニストは、本発明により使用され得る。
【0083】
用語「融合タンパク質」は、たとえば体液内において長期の滞留時間を有する他のタンパク質と融合された、IL−6またはIL−6R/IL−6キメラ、またはその変異体または断片からなるポリペプチドのことをいう。したがって、IL−6またはIL−6R/IL−6キメラは、たとえば免疫グロブリンまたはその断片といった他のタンパク質、ポリペプチドなどと融合され得る。
【0084】
本明細書中で使用される場合、「機能的誘導体」は、本技術分野において周知の方法で、残基の側鎖またはN末もしくはC末基として存在する官能基から製造され得るIL−6またはIL−6R/IL−6キメラの誘導体、ならびにそれらの変異体および融合タンパク質を含み、薬学的に許容し得るかぎり、すなわちIL−6またはIL−6R/IL−6の活性と実質的に類似しているタンパク質の活性を破壊せず、それを含む組成物において毒性を与えないかぎり、本発明に含まれる。
【0085】
これらの誘導体としては、たとえば、ポリエチレングリコール側鎖を含むことができ、該側鎖は、抗原部位を覆い、かつIL−6R/IL−6の体液中での滞留を拡大し得る。他の誘導体としては、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたは一級アミンもしくは二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部分(たとえば、アルカノイル基または炭素環式アロイル基)と形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体、あるいはアシル部分と形成される遊離ヒドロキシル基(たとえば、セリル基またはトレオニル基のヒドロキシル基)のO−アシル誘導体があげられる。
【0086】
本発明による「断片」は、たとえば、IL−6またはIL−6R/IL−6の活性部分であり得る。用語、断片は、分子のあらゆる小集合、すなわち、所望の生物学的活性を保持する、すなわち、gp130のアゴニスト活性を示す短ペプチドを意味する。断片は、IL−6またはIL−6R/IL−6分子のいずれかの末端からアミノ酸を除去し、そして結果物断片を、それぞれ、gp80またはgp130に結合するそれの特性について試験することにより容易に製造され得る。ポリペプチドのN末端またはC末端のいずれかから一度に、1つのアミノ酸を除去するプロテアーゼは、当技術分野で既知であり、よって、所望の生物学的活性を保持する断片を決定することは、純粋にルーチンな実験による。
【0087】
IL−6またはIL−6R/IL−6キメラ、それの変異体および融合タンパク質の断片として、本発明は、さらに、該部分が、gp130上で、特にgp130上でアゴニスト活性を示すという条件で、タンパク質分子単独の、または関連分子またはそこに連結した残基、たとえば、糖またはリン酸残基と一緒のポリペプチド鎖のあらゆる断片または前駆体、またはタンパク質分子の凝集体、または糖残基それら自身を網羅する。
【0088】
本明細書中で、用語「塩」は、IL−6またはIL−6R/IL−6分子のカルボキシル基の塩、およびIL−6またはIL−6R/IL−6分子のアミノ基の酸付加塩の両方、またはそれらの類似体をいう。カルボキシル基の塩は、当業者に周知である手段によって形成され得、無機塩(たとえば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、または亜鉛の塩など)、およびたとえばトリエタノールアミン、アルギニン、またはリジン、ピペリジン、プロカインなどのアミンと形成される有機塩基の塩などを含む。酸付加塩は、たとえば、塩酸または硫酸などの無機酸の塩、およびたとえば酢酸、シュウ酸などの有機酸の塩を含む。もちろん、それらの塩はいずれも、IL−6またはIL−6R/IL−6キメラの生物学的活性、すなわち、gp130を介するシグナル伝達を活性化する能力を保持していなければならない。
【0089】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の物質は、1つまたはそれより多くの部位でグリコシル化される。
【0090】
グリコシル化形態のIL−6R/IL−6キメラは、国際公開第99/02552号(PCT/IL98/00321)パンフレットに記述されており、それは、本発明により非常に好ましいキメラ分子である。そこに記載されるIL−6R/IL−6キメラは、それらは共にヒト起源である、天然に存在する可溶性IL−6受容体δ−Val(Novick et al., 1990)の全コーディング配列を、成熟な天然に存在するIL−6の全コーディング配列に、融合して得られた組換え糖タンパク質である。当業者は、グリコシル化IL−6が、同様に組換え手段によって、すなわち、真核生物の発現系での発現により産生され得ることを予測する。
【0091】
本発明により、アゴニストは、酵母細胞、昆虫細胞、細菌などのようなあらゆる適切な真核生物または原核生物の細胞型で産生され得る。それは、好ましくは哺乳類細胞で、最も好ましくは国際公開第99/02552号パンフレットでIL−6R/IL−6について記述されるとおり遺伝子操作されたCHO細胞で産生されるのが好ましい。ヒト起源由来のタンパク質が好ましい場合、本明細書中に記載される生物学的活性を保持する限り、あらゆる他の起源の類似の融合タンパク質が、本発明により使用され得ることが当業者により予測される。
【0092】
本発明の別の実施態様では、本発明の物質は、グリコシル化されない。有利には、キメラ分子は、その後にグリコシル残基を合成する能力はないが、しかし通常、高収量の産生組換えタンパク質を有する細菌細胞で産生され得る。非グリコシル化IL−6の産生は、たとえば、欧州特許第504751B1号で詳細に記載されている。
【0093】
さらに別の実施態様では、本発明による物質は、免疫グロブリン融合体を包含する。すなわち、本発明による分子は、免疫グロブリンの全部または一部に、そして特に、免疫グロブリンのFc断片に融合される。免疫グロブリン融合タンパク質を作製する方法は、たとえば国際公開第01/03737号パンフレットに記載されたもののように、当技術分野において公知である。当業者であれば、本発明の得られる融合タンパク質が、IL−6またはIL−6R/IL−6キメラの生物学的活性、すなわち、gp130シグナル伝達の刺激を保持することを理解する。得られた融合タンパク質は、理想的には、体液内での長い滞留時間(半減期)、増大した特異的な活性、上昇した発現レベルまたは融合タンパク質の精製が容易になるなどの改善された性質を有する。
【0094】
好ましくは、本発明の物質は、Ig分子の定常領域に融合される。それは、たとえばヒトのIgG1のCH2およびCH3ドメインのような重鎖領域に融合され得る。IgG2もしくはIgG4、またはたとえばIgMもしくはIgAのような他のIgクラスのアイソフォームなど、Ig分子の他のアイソフォームもまた、本発明における融合タンパク質の産生に適する。融合タンパク質は、モノマーまたはマルチマー、ヘテロもしくはホモのマルチマーであり得る。
【0095】
本発明の物質の機能的誘導体は、安定性、半減期、バイオアベイラビリティー、ヒトの体による寛容性、または免疫原性のようなタンパク質の特性を改善するために、ポリマーに接合され得る。
【0096】
したがって、本発明の好ましい実施態様は、アミノ酸残基上の1つまたはそれより多くの側鎖として生じる1つまたはそれより多くの官能基に結合した少なくとも1つの部分からなる本発明の物質の機能的誘導体に関する。
【0097】
非常に好ましい実施態様は、ポリエチレングリコール(PEG)に連結した本発明の物質に関する。ポリエチレングリコール化(PEGylation)は、たとえば国際公開第92/13095号パンフレットに記載されている周知の方法によって行なわれ得る。
【0098】
好ましくは、gp130を介してシグナル伝達する物質は、約0.1〜1000μg/kg、または約1〜500μg/kg、または約100μg/kgより少ない範囲にある量で使用される。約1μg/kg、または3μg/kg、または10μg/kg、または30μg/kgの量でgp130を介してシグナル伝達する物質を使用することが、さらに好ましい。
【0099】
本発明の好ましい実施態様では、gp130を介してシグナル伝達する物質を、毎日投与する。別の好ましい実施態様では、gp130を介してシグナル伝達する物質は、週に3回投与される。さらに別の好ましい実施態様では、gp130を介してシグナル伝達する物質は、週に1回投与される。
【0100】
本発明の物質は、任意の適切な経路によって投与され得る。皮下経路は、本発明により非常に好ましい。
【0101】
本発明の物質は、任意の適切な処方で、それの作用部位に送達され得る。好ましくは、IL−6、IL−6R/IL−6キメラ、変異体、融合タンパク質またはそれの活性部分を発現および/または分泌する細胞の形態で送達され得る。以下の実施例で説明するように、充分な量でのIL−6R/IL−6キメラを発現および分泌する細胞は、適切な発現ベクターを使用して細胞にトランスフェクションさせることによって産生された。
【0102】
したがって、本発明は、さらに糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のための、本発明による物質を発現する細胞の使用に関する。細胞を、任意の適切な形態で投与し得る。しかし、重合体封入IL−6またはIL−6R/IL−6キメラを発現、そして好ましくは分泌する細胞は、IL−6R/IL−6キメラの送達の非常に好ましいモデルである。封入手段は、たとえば、Emerichら(1994)または米国特許第5,853,385号により詳細に記述される。適切な細胞株および適切な発現系は、当技術分野で周知である。
【0103】
本発明による物質の送達は、IL−6、IL−6R/IL−6キメラ、変異体、融合タンパク質またはそれの断片のコーディング配列を含む発現ベクターのようなベクターを使用して行なっても良い。ベクターは、ヒトの体内における、好ましくは末梢神経性細胞における所望のタンパク質の発現のために必要とされる全ての調節配列を含む。発現ベクター用の調節配列は、当業者により既知である。したがって、本発明は、糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のための本発明による物質のコーディング配列を含むベクターの使用にも関する。
【0104】
当技術分野で既知のあらゆる発現ベクターは、本発明により使用され得る。しかし、ウイルス由来の遺伝子治療用ベクターの使用が、非常に好ましい。
【0105】
本発明の物質は、医薬組成物としてヒトの体に投与することが好ましい。医薬組成物は、糖尿病性神経障害の治療および/または予防のために、本発明のポリペプチド自体、または該ポリペプチドを発現する細胞または発現ベクター、特に、IL−6、IL−6R/IL−6キメラまたは変異体、融合タンパク質またはそれの断片のコーディング配列を含むレンチウイルス性遺伝子療法用ベクターを、任意に、1つまたはそれより多くの薬学的に許容し得る担体、希釈剤または賦形剤と共に含み得る。
【0106】
「薬学的に許容し得る」の定義は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨害せず、それが投与される宿主に対して毒性がない任意の担体を包含することが意味される。たとえば、非経口投与については、活性成分は、生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルブミンおよびリンガー溶液のようなビヒクル中で注射のための単位投与量形態で処方され得る。
【0107】
活性成分は、多様な方法で患者に投与することができる。投与経路としては、皮内、経皮(たとえば、徐放処方で)、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、硬膜外、局所、および鼻内経路があげられる。あらゆる他の治療に有効な投与経路を使用することができる。たとえば、上皮または内皮組織を通しての吸着、またはDNA分子を、患者に(ベクターを介して)投与し、インビボで活性ポリペプチドが発現または分泌される遺伝子療法などが使用できる。さらに、活性分子を、薬学的に許容し得る界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤およびビヒクルなどの生物学的活性剤の他の成分と一緒に投与することができる。
【0108】
非経口(たとえば、静脈内、皮下、筋肉内)投与については、活性成分は、薬学的に許容し得る非経口ビヒクル(たとえば、水、生理食塩水、デキストロース溶液)および等張性を維持する添加物(たとえばマンニトール)または化学安定性を維持する添加物(たとえば防腐剤および緩衝液)と共同して、溶液、懸濁液、エマルジョンまたは凍結乾燥粉末として製剤化され得る。製剤は、一般に使用される技術により無菌化される。
【0109】
本発明のさらなる目的は、糖尿病性神経障害を治療および/または予防するための方法であって、治療を必要とする患者に、ヒトgp130受容体を介してシグナル伝達を起こす物質の有効量を、任意に、薬学的に許容し得る担体と一緒に投与することを含む方法を提供することである。
【0110】
「有効量」は、前記の疾患の経過および重症度に影響を及ぼし、このような病理学の減少または寛解にを誘導するのに充分である活性成分の量を意味する。有効量は、投与の経路および患者の症状に依存する。
【0111】
単回または複数回投与として個体に投与される服用量は、薬物動態特性、投与経路、患者の状態や特徴(性別、年齢、体重、健康状態、サイズ)、症状の程度、同時治療、治療の頻度ならびに望ましい効果などの多様な因子に依存して変化する。確立される服用量の範囲の調整や操作は、充分に当業者の能力の範囲内である。
【0112】
糖尿病性神経障害を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、IL−6またはIL−6R/IL−6キメラ、または変異体、融合タンパク質、それの活性部分を発現する細胞の有効量を投与することを含む方法も、本発明により考慮される。糖尿病性神経障害を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、IL−6またはIL−6R/IL−6キメラ、変異体、融合タンパク質、それの活性部分のコーディング配列を含む発現ベクターを投与することを包含する方法は、本発明の別の目的である。
【0113】
本発明の好ましい実施態様では、発現ベクターは、遺伝子治療ベクターである。ウイルス性ベクター、特にレンチウイルス性ベクターの使用が、非常に好ましい。
【0114】
本発明は、ここで、以下の限定されない実施例および添付の図面でさらに詳細に記述される。
【0115】
ここまで本発明を充分に説明してきたので、同様のことが等しいパラメーター、濃度および条件の範囲内で、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、また過度の実験をすることなく行なうことができるということは当業者によって充分理解されるであろう。
【0116】
本発明は、その特定の実施態様に関連して説明されているが、さらなる変更が可能であるということは理解されるであろう。この出願は、概して本発明の原理を受けて本発明の任意の変化、用途、適応を保護することを意図しており、本発明の属する技術分野の既知のまたは一般的な手法の範囲内となる本開示からの逸脱および下記の通り添付のクレームの範囲で前記の本質的な特徴にあてはまるような本発明からの逸脱も含む。
【0117】
本明細書において引用される、雑誌の論文もしくは要旨、公開もしくは未公開の米国もしくは外国特許出願、公布された米国もしくは外国特許または任意のほかの参考文献などのすべての参考文献は、引用される参考文献に示されたすべてのデータ、表、図および文章を含めて、本明細書において完全に参考のために組み込まれる。さらに、本明細書において引用される参考文献中で引用される参考文献の全内容も、参考のために完全に組み込まれる。
【0118】
既知の方法手段、常套的な方法手段、既知の方法または常套的な方法への言及は、本発明のあらゆる局面、記載または実施態様が関連技術において開示、教示または示唆されるものであると認めるものではない。
【0119】
特定の実施態様の先行する記載は、第三者が、当業者の知識(本明細書で引用された参考文献の内容を含む)を適用することによって、過度の実験をすることなく、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、特定の実施態様などのさまざまな適用のために、容易に修飾および/または適応させることができるほど、本発明の全体的な性質を充分に示すものであろう。したがって、本明細書で紹介された教示および手引きに基づく、そのような適応および修飾は、開示された実施態様と同等の範囲の意味であると意図される。本明細書の表現または専門用語は、本明細書で紹介された教示および手引きによる見地と当業者の知識とを組み合わせて、当業者に理解されるものであるため、本明細書での表現または専門用語は、説明を目的とするものであって限定するためのものではない。
【実施例1】
【0120】
CHO細胞でのIL−6およびIL−6R/IL−6キメラの産生
【0121】
IL−6R/IL−6キメラ
可溶性IL−6受容体(尿中で見出された天然型sIL−6R、Oh et al., 1997)をコードするcDNA配列を、成熟IL−6をコードする配列と融合した。3架橋アミノ酸(EFM)についての配列も存在した。融合遺伝子を、CMVプロモーターの制御下で発現ベクターに挿入し、そしてCHO細胞に導入した。産生プロセスを展開し、得られた組換えタンパク質を、抗IL−6Rモノクローナル抗体を用いて免疫精製により精製した。精製IL−6キメラは、グリコシル化され、85′000の見かけのMWを示すことが示された。
【0122】
図10は、IL−6R/IL−6キメラの組成を概略的に示す。成熟タンパク質は、524個のアミノ酸を含む。
【0123】
上に概説されるように産生および精製されたタンパク質は、本発明により投与されるのに適切である。
【0124】
IL−6
遺伝子操作されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で組換えヒトIL−6(r−hIL−6)を産生する。産生プロセスは、ワーキング・セル・バンク(WCB)からの細胞の増殖および拡張から開始し、r−hIL−6が、培養培地に分泌される条件下で継続する。r−hIL−6収穫培養培地を、特異的抗−IL−6モノクローナル抗体(mAB)を用いて免疫クロマトグラフィーにより精製する。さらなる精製工程を使用して、非常に高いレベルの純度を示す産物を得る。
【0125】
r−hlL−6を、適切な賦形剤を含む無菌の凍結乾燥調製品として提供する。それは、2種類の量、35μgおよび350μgで利用可能であり、そして注射用水で使用のためにもどされる。最終処方産物の1バイアルに対する戻り容積(reconstitution volume)は、正常には0.5mlの水である。最終産物は、25℃より低い温度でそれの当初の容器に保存されるべきである。
【0126】
r−hIL−6の構造を、高速原子衝撃質量分析法(FAB−MS)、トリプシンによるマッピングおよびアミノ酸配列決定によって確認した。FABおよびエレクトロスプレー質量分析学を使用して、組成を決定し、そしてFABおよびエレクトロスプレー質量分析学を使用して、IL−6の炭水化物部分の組成および構造を決定した。残基アスパラギン−46を、Nグリコシル化部位として同定し、N連結炭水化物の予備分析により、主要な種が、モノシアリルフコシル二分岐およびジシアリルフコシル二分岐構造であることが示された。O−グリコシル化部位は、スレオニン−138または−139のいずれかとして同定された。
【実施例2】
【0127】
腹腔内投与によるストレプトゾトシン誘導糖尿病性神経障害モデルでのIL−6の効果
材料および方法
動物
6週齢の雄性スプレーグドーリー(Sprague Dawley)ラット(ジャンビエ(Janvier)、ルジェネサンイル(Le−Genest−St−Isle)、フランス)を、乱数表により9つの実験群(n=10)に分配した:(a)ビヒクルコントロール群、生理食塩水−BSA 0.02%(重量/体積)の無菌溶液を注射した;(b)生理食塩水−BSA 0.02%の無菌溶液に溶解したIL−6を、100μg/kgの用量で注射した動物から構成されるコントロール群;(c)生理食塩水−BSA 0.02%の無菌溶液を注射したストレプトゾトシン(STZ)中毒群;(d)5つの異なる用量:1、3、10、30および100μg/kgでIL−6化合物の注射を受けている動物から構成される5つの治療されたSTZ中毒群;(e)STZ中毒群および参照化合物での治療群:10μg/kgの用量で4−メチルカテコール(4−MC)。
【0128】
それらを、群で収容し(ケージ当たり2匹の動物)、そして制御温度(21−22℃)および可逆明暗サイクル(12時間/12時間)で、そして食物および水は自由に利用できる状態で部屋に維持した。研究所の指針にしたがって全実験を行なった。
【0129】
糖尿病の誘導および薬理学的治療
55mg/kg体重の用量で、手術的に露出させた左の伏在静脈マグナ(magna)中へのストレプトゾトシン(シグマ、リルダボーシェネ(L′Isle d′Abeau-Chesnes)、フランス)緩衝溶液の注射により、糖尿病を誘導した。薬物を、0.1モル/l クエン酸緩衝液(pH4.5)に注射の直前に溶解させた。STZ注射の日を、0日(D)とした。
【0130】
1週間後、D10に、尾部静脈血を、糖測定器(グルコトレンド試験、ロッシュ、マンハイム、ドイツ)を用いて各個別の動物で血糖を分析した。260mg/dlより下の値を示す動物を、研究から除外した。実験の終わり、D40に血糖を再検査した。
【0131】
IP治療(ビヒクル、IL−6および4−MC)を、D11からD40まで、毎日行なった。
【0132】
実験計画
体重および生存率を毎日記録した。
【0133】
尾部の動きおよびEMG検査を、以下の時機として週に1回行なった:
D−7:ベースライン(尾部の動きおよびEMG)
D0:STZ注射による糖尿病の誘導
D10:血糖の測定
D11:治療の開始(IL−6および4−MC)
D25:EMGおよび尾部の動き検査
D40:血糖の制御、EMGおよび尾部の動き検査、坐骨神経の除去
【0134】
感受性検査:テイル・フリック
ラットの尾部を、熱源としてのシャッター制御ランプ(バイオセブ(Bioseb)、パリ、フランス)の下に置いた。ラットが、熱源からその尾部を動かすまでの潜伏時間を記録した。感覚変化は、動きの潜時間を増大させる。2回試行し、平均値を計算して固有値として保存した。
【0135】
筋電図検査法
ニューロマチック2000M筋電計(EMG)(ダンテック(Dantec)、レジュリス(Les Ulis)、フランス)を用いて、電気生理学的記録を行なった。ラットを、60mg/kgケタミン塩酸塩(Imalgene 500(登録商標)、ローヌメリックス(Rhone Merieux)、リヨン、フランス)の腹腔内注射により麻酔にかけた。正常な体温を、加熱ランプを用いて30℃に維持させ、そして尾部表面に置かれた接触温度計(クイック、バイオブロック サイエンティフィック(Bioblock Scientific)、イールキルシェ(Illkirch)、フランス)により制御した。
【0136】
坐骨神経の刺激後に、複合筋肉活動電位(CMAP)を、腓腹筋で記録した。参照電極および活性針を、後足に設置した。接地針を、ラットの下部背中(lower back)に挿入した。坐骨神経を、最大限の強度で、0.2ms単パルスで刺激した。運動波の速度を記録し、msで表わした。
【0137】
感覚神経伝導速度(SNCV)も記録した。尾部皮膚電極を、以下のとおり設置した。参照針を、尾の根元に挿入し、そして陽極(anoe)針を、参照針から尾部の末端に向かって30mm離して置いた。接地針電極を、陽極と参照電極のあいだに挿入した。尾の神経を、12.8mAの強度で、一連の20パルス(0.2msとして)で刺激した。速度をm/sで表した。
【0138】
形態測定分析
形態測定分析を、研究の終わり(D40)に行った。動物に、100mg/kgのImalgene 500(登録商標)のIP(腹腔内)注射により麻酔をかけた。坐骨神経の5mmセグメントを、組織学用に切除した。組織を、4%グルタルアルデヒド(シグマ、リルダボーシェネ、フランス)溶液のリン酸緩衝溶液(pH=7.4)で一晩固定し、そして使用するまで、+4℃で、30%ショ糖中に保持した。神経サンプルを、2%四酸化オスミウム(シグマ、リルダボーシェネ、フランス)溶液のリン酸緩衝溶液で2時間固定し、順次アルコール溶液で脱水し、そしてエポン(Epon)に埋設した。その後、埋設組織を、3日間の重合のあいだ、+70℃に置いた。1.5μmの横断面を、ミクロトームで切断し、2分間、1%トルイジンブルー溶液(シグマ、リルダボーシェネ、フランス)で染色し、脱水し、そしてEukitt中に埋め込んだ。サンプル当たり20個の切片を、光学顕微鏡(ニコン、東京、日本)を用いて調べ、そして6個の無作為に選択したスライスを、半自動化デジタル画像解析ソフトウエア(バイオコム(Biocom)、フランス)を使用して分析した。スライス当たり2つの無作為に選択したフィールドを詳しく調べた。以下の項目を算出した:(a)線維の直径、(b)軸索の直径、(c)ミエリンの厚さ(下記参照)。
【0139】
神経切片当たりの線維の総数を計数するために、サンプル当たり3つの無作為スライスを選択し、そしてスライス当たり2つのフィールドを分析した。
【0140】
データ解析
データの全体的な解析は、1因子または反復測定分散分析(ANOVA)および一元配置(one way)ANOVAを用いて行なった。アノバ検定が、有意差を示した場合に、ダネット検定を用いた。ポストホックテストは行なわなかった。有意差のレベルを、p<0.05に設定した。結果は、平均±平均の標準誤差(s.e.m.)として表わす。
【0141】
結果
動物の体重
図1に示されるとおり、体重の進展における群間の有意差を、この試験で記録した[f(8,296)=19.47およびp<0.001;反復測定ANOVA]。5日から40日までで、STZ中毒/IL−6治療動物は、体重の有意な減少を示した(p<0.05;一元配置ANOVAおよびp<0.05コントロール対(vs)STZ;コントロール/il−6(100μg/kg)対STZ;コントロール対STZ+il−6およびコントロール/il−6(100μg/kg)対STZ+IL−6;ダネット検定)。
【0142】
10μg/kgの用量でIL−6治療した糖尿病動物は、il−6の他の用量のものより有意に高い体重を示した[f(5,185)=1.16およびp=0.08;反復測定ANOVA]。
【0143】
100μg/kgの用量でSTZ中毒/IL−6治療した動物は、研究の間中(治療の開始から始めて)減少した体重を示したことが注目され得る。
【0144】
血糖
図2aは、d10で、コントロール動物が、100mg/dlと同等の血糖値を表わしたことを示す。他方で、STZ中毒ラットは、260mg/dlより高い血漿中グルコース濃度を示し、糖尿病と判断された。
【0145】
図2bは、STZ中毒ラットがd40でなお糖尿病であったことを示す。
【0146】
感受性試験:テイル・フリック
テイル・フリック試験の遂行の進展で、群間に有意差があった[F(8,16)=2.07およびp=0.013;反復測定ANOVA](図3)。ラットが、熱源からその尾部を動かすまでの潜伏時間は、糖尿病の治療なしの動物で有意に増大した(コントロール対/ビヒクル 対 STZ/ビヒクル p<0.001;ダネット検定)。D25およびD40で、反応時間は、1、3、10および100μg/kgの用量で、IL−6で治療した動物、および10μg/kgの4−MCで治療した動物では増加しなかった。実際に、これらの群間に有意差は見られなかった(p<0.05;ダネット検定)。
【0147】
電気生理学的測定
複合筋肉活動電位の潜伏時間
研究の間中、CMAPの潜伏時間に関して群間に有意差があった[F(8,16)=5.901およびp<0.001;反復測定ANOVA]。潜伏時間は、糖尿病の未治療ラットで有意に増加した(25および40日目に:p<0.001;一元配置ANOVA)。この増加は、IL−6治療群ではあまり重要でなく;特に、25および40日目に、コントロール/ビヒクル群の潜伏時間の値との間に有意差を示さないIL−6(10μg/kg)治療群については、あまり重要でなかった(図4)。
【0148】
さらに、25日目に、各IL−6治療/STZ群は、ビヒクル/STZ群のCMAP潜伏時間より有意に短いCMAP潜伏時間を示した(p=0.001、ダネット検定)。
【0149】
40日目に、同じ結論が引き出された。
【0150】
IL−6治療/STZ動物(10mg/kg)と4つの他のIL−6治療群(1、3、10、30および100μg/kg)とのあいだに、有意差が見られた(D25:p=0.002、D40:p=0.003;一元配置ANOVA検定)。3μg/kgおよび10μg/kg治療動物は、25日目並びに40日目に、1、30および100μg/kgのIL−6治療/STZ群より有意に低い潜伏時間を示した(p<0.05;ダネット検定)。
【0151】
感覚神経伝導速度
研究の間中、群間でSNVCに有意差が記録された[F(8,16)=5.518およびp<0.001;反復測定ANOVA](図5)。糖尿病ラットは、コントロール/ビヒクル群と比較して、SNCVの有意な減少を示した(25および40日目に:p<0.001;一元配置ANOVA)。さらに、25日目に、コントロール/ビヒクル群と10μg/kgのIL−6治療群とのあいだに、有意差は観察されなかった(p=0.426;ダネット検定)。それに対して、全ての他の群間で有意差が見られた。25日目には、10および30μg/kgのみが、STZ/ビヒクル群と有意差を示した(10μg/kg 対 ビヒクルSTZ群:p<0.001、30μg/kg 対 STZ群、p=0.004、ダネット検定)。40日目には、10μg/kgで治療された動物は、STZ/ビヒクル治療動物となんらの有意差も示さなかったが、この群についてのSNCV値は、他のSTZ/IL−6治療動物より高かった。
【0152】
SNCVは、末梢神経構造の正常な成熟により、コントロール/ビヒクル動物においては研究の間中徐々に増大したことが注目され得る(Gao et al., 1995, Malone et al., 1996)。
【0153】
形態測定分析
軸索の直径
軸索の直径では、群間に有意差が見られた(p<0.001;一元配置ANOVA)(図6)。ビヒクル/STZ動物は、コントロールラットと比較して、軸索の直径に有意な減少を示した(p=0.08;ダネット検定)。IL−6を用いた治療は、3μg/kgの用量から、軸索の直径のこの減少を反転した(IL−6治療ラット 対 STZ/ビヒクル p<0.001;ダネット検定)。さらに、コントロール群とコントロール/IL−6(100μg/kg)群とのあいだで有意差が示された(p<0.001;ダネット検定)。コントロール/ビヒクル群と4−MC治療群とのあいだに有意差は見られなかった(p=0.657;ダネット検定)。
【0154】
線維の直径
図7は、線維の直径において9つの群のあいだで有意差があったことを示す(p<0.001;一元配置ANOVA)。STZ投与は、線維の直径の有意な減少を導く(コントロール/ビヒクル 対 STZ/ビヒクル p=0.005;ダネット検定)。ビヒクル/STZラットとIL−6治療/STZラットとのあいだに、有意差が観察された(p<0.005;ダネット検定)。IL−6治療動物は、ビヒクル/STZ動物より大きな線維の直径を示した。さらに、コントロール群とコントロール/IL−6(100μg/kg)群のあいだで、有意差が見られた(p<0.001;ダネット検定)。10μg/kgの用量で4−MCで治療された動物は、コントロール/ビヒクル群と有意差を表わさなかった(P=0.628;ダネット検定)。
【0155】
ミエリンの厚さ
ミエリンの厚さの比較は、9つの群のあいだの有意差を示した(p<0.001;一元配置ANOVA)(図8)。ミエリンの厚さは、コントロール/ビヒクルおよびIL−6治療動物(3、10、30および100μg/kg)よりビヒクル/STZ動物で有意に小さかった(p<0.01;ダネット検定)。すべてのIL−6治療/STZ動物が、ビヒクル/STZ群より有意に高いミエリンの厚さを表わすことに注目し得る。さらに、我々は、コントロール/ビヒクルおよびコントロール/IL−6(100μg/kg)群のあいだの有意差に気が付いた(p<0.001;ダネット検定)。
【0156】
ミエリン化された線維の総数
図9に示されるように、ミエリン化された線維の総数に群間で有意差があった(p<0.001;一元配置ANOVA)。ビヒクル/STZ動物は、コントロール動物より少ない数の線維を示した(p<0.001;ダネット検定)。対照的に、IL−6治療/STZ動物は、ビヒクル/STZ動物と比較した場合、繊維の数の増加を示した(p<0.001;ダネット検定)。4−MCで治療されたSTZ中毒動物は、コントロール動物のものと類似の線維の総数を示した。さらに、コントロール/ビヒクル群とコントロール/IL−6(100μg/kg)群とのあいだで有意差を示さなかった。
【0157】
結論
この研究で、ストレプトゾトシンで中毒にされ、そして数日後に糖尿病を発生する動物が、誘導神経障害のモデルとして使用された。動物は、誘導の3〜4日後に糖尿病になる。
【0158】
糖尿病動物は、30日間、慢性的に種々の用量のIL−6(1、3、10、30および100μg/kg)によって治療された。治療は、誘導の10日後に開始し、STZ誘導の40日後の動物の犠牲死まで、毎日、腹腔内に投与された。この治療は、IL−6が、長期化した高血糖症によって引起される最初の分子損傷の後に投与された点で、治療用処置と見なされ得る。
【0159】
本プロトコールは、30日間のIL−6治療が、糖尿病性神経障害に対して神経保護を促すことを示す。テイル・フリックおよびEMG試験(感覚および運動速度)を用いた行動分析は、特に3および10μg/kgの用量に関してIL−6の神経保護効果を示す。
【0160】
低い容量並びに高い濃度は、神経保護効果を示した。実際に、治療の用量がより増加するほど、神経保護効果は、目立たなくなる。さらに、最も高い用量(100μg/kg)は、明白な効果を示さず、そしてSTZ動物の全般的行動に対して毒性効果を示すようである。100μg/kgでIL−6により治療したコントロール動物(STZで治療されていない)は、ビヒクルコントロール動物または低濃度のIL−6で治療されたSTZラットよりいっそう刺激された。さらに、これらの動物(IL−6 100μg/kg)は、実験者にとって扱い難かった。STZ/IL−6 100μg/kgでも同様のことが観察された。それにもかかわらず、これらの動物は、ほとんど刺激されないようであった(おそらく、それらの体重の大きな損失によるそれらの衰弱により)。
【0161】
神経保護的効果は、感覚線維並びに運動線維に焦点が置かれる(CMAP速度は、IL−6治療で変化しなかった)。
【0162】
形態学的分析を考慮して、IL−6治療により誘導された神経保護は、全ての研究用量について非常に明らかである。STZ/ビヒクル動物の線維は、ミエリン鞘の減少および軸索の改変を示し、そしてそれは、最終的に線維の変性を誘導する(線維の総数の減少で示される)。
【0163】
IL−6(特に、10μg/kg)を用いた治療が、ミエリン鞘および軸索変性を保護することがこの研究で証明された。
【0164】
高用量のIL−6(100μg/kg)が、健全な動物で線維に有害な影響を誘導することに注目すべきである。実際に、線維は、病気になる(to suffer)ようであり、線維の損失はないが、線維の鞘および全般的態様が改変される。ところが、この効果は、高用量のIL−6で治療された糖尿病動物では記録されなかった(毒性効果は、体重の大きな減少によって特徴づけられる動物の全般的行動に主に焦点を当てている)。
【0165】
結論として、IL−6は、30日間の慢性的治療の後に、ならびに運動線維より感覚線維で、明確な神経保護的効果を誘導し、おそらく線維での直接的効果により作用し、そして神経変性の炎症過程を減少させる。
【実施例3】
【0166】
皮下投与によるストレプトゾトシン誘導糖尿病性神経障害モデルでのIL−6の効果
この研究の目的は、同じ神経障害のモデルでの様々な投与量およびタイミングで皮下経路を介してのIL−6の効果を評価することであった。
【0167】
動物
研究A
6週齢の雄性スプレーグドーリーラット(ジャンビエ、ルジェネサンイル、フランス)を、乱数表により6つの実験群に分配した:(a)ビヒクルコントロール群(n=4)、生理食塩水−BSA 0.02%(重量/体積)の無菌溶液を注射した;(b)生理食塩水−BSA 0.02%の無菌溶液を注射したストレプトゾトシン(STZ)中毒群(n=10);(c)4つの異なる用量:1、3、10、30μg/kgでIL−6化合物のSC注射を毎日受けている動物から構成される4つの治療されたSTZ中毒群(n=10)。
【0168】
それらを、群で収容し(ケージ当たり2匹の動物)、そして制御温度(21−22℃)および可逆明暗サイクル(12時間/12時間)で、そして食物および水は自由に利用できる状態で部屋に維持した。研究所の指針にしたがって全実験を行なった。
【0169】
研究B
6週齢の雄性スプレーグドーリーラット(ジャンビエ、ルジェネサンイル、フランス)を、乱数表により7つの実験群に分配した:(a)ビヒクルコントロール群(n=4)、生理食塩水−BSA 0.02%(重量/体積)の無菌溶液を注射した;(b)生理食塩水−BSA 0.02%の無菌溶液を注射したストレプトゾトシン(STZ)中毒群(n=10);(c)4つの異なる用量:1、3、10、30μg/kgでIL−6化合物のSC注射を1週間に3回受けている動物から構成される4つの治療されたSTZ中毒群(n=10);(d)10μg/kgでIL−6化合物のIP注射を受けている動物から構成される治療STZ中毒群(n=10)。
【0170】
それらを、群で収容し(ケージ当たり2匹の動物)、そして制御温度(21−22℃)および可逆明暗サイクル(12時間/12時間)で、そして食物および水は自由に利用できる状態で部屋に維持した。研究所の指針にしたがって全実験を行なった。
【0171】
研究C
6週齢の雄性スプレーグドーリーラット(ジャンビエ、ルジェネサンイル、フランス)を、乱数表により6つの実験群に分配した:(a)ビヒクルコントロール群(n=4)、生理食塩水−BSA 0.02%(重量/体積)の無菌溶液を注射した;(b)生理食塩水−BSA 0.02%の無菌溶液を注射したストレプトゾトシン(STZ)中毒群(n=10);(c)4つの異なる用量:1、3、10、30μg/kgでIL−6化合物のSC注射を週に1回受けている動物から構成される4つの治療されたSTZ中毒群(n=10)。
【0172】
それらを、群で収容し(ケージ当たり2匹の動物)、そして制御温度(21−22℃)および可逆明暗サイクル(12時間/12時間)で、そして食物および水は自由に利用できる状態で部屋に維持した。研究所の指針にしたがって全実験を行なった。
【0173】
糖尿病の誘導および薬理学的治療
55mg/kg体重の用量で、手術的に露出させた左の伏在静脈マグナ中へのストレプトゾトシン(シグマ、リルダボーシェネ、フランス)緩衝溶液の注射により、糖尿病を誘導した。薬物を、0.1モル/l クエン酸緩衝液(pH4.5)に注射の直前に溶解させた。STZ注射の日を、0日(D)とした。
【0174】
1週間後、D10に、尾部静脈血を、糖測定器(グルコトレンド試験、ロッシュ、マンハイム、ドイツ)を用いて各個別の動物で血糖を分析した。260mg/dlより下の値を示す動物を、研究から除外した。実験の終わり、D40に血糖を再検査した。
【0175】
治療(ビヒクルおよびIL−6)を、D11からD40まで行なった。
【0176】
実験計画
体重および生存率を毎日記録した。
【0177】
尾部の動きおよびEMG検査を、以下の時機として週に1回行なった:
D−7:ベースライン(テイル・フリック、運動活動およびEMG)
D0:STZ注射による糖尿病の誘導
D10:血糖の測定
D11:治療の開始(IL−6)
D24:テイル・フリック検査
D25:OF(オープンフィールド)での運動活動
D26:EMG検査
D38:テイル・フリック検査
D39:OFでの運動活動
D40:血糖の制御、EMG検査、坐骨神経の除去
【0178】
感受性検査:テイル・フリック
ラットの尾部を、熱源としてのシャッター制御ランプ(バイオセブ、パリ、フランス)の下に置いた。ラットが、熱源からその尾部を動かすまでの潜伏時間を記録した。感覚変化は、動きの潜時間を増大させる。2回試行し、平均値を計算して固有値として保存した。
【0179】
オープンフィールドでの運動活動
動物を、プレクシーグラス(Plexiglas)(80×80×40cm)オープンフィールド(OF)に置いた。床を、16個の等しい区画に分割した。各動物について、自発的運動活動および立ち上がりの数を、10分の期間中記録した。
【0180】
筋電図検査法
ニューロマチック2000M筋電計(EMG)(ダンテック、レジュリス、フランス)を用いて、電気生理学的記録を行なった。ラットを、60mg/kgケタミン塩酸塩(Imalgene 500(登録商標)、ローヌメリックス、リヨン、フランス)の腹腔内注射により麻酔にかけた。正常な体温を、加熱ランプを用いて30℃に維持させ、そして尾部表面に置かれた接触温度計(クイック、バイオブロック サイエンティフィック、イールキルシェ、フランス)により制御した。
【0181】
坐骨神経の刺激後に、複合筋肉活動電位(CMAP)を、腓腹筋で記録した。参照電極および活性針を、後足に設置した。接地針を、ラットの下部背中に挿入した。坐骨神経を、最大限の強度で、0.2ms単パルスで刺激した。運動波の速度を記録し、msで表わした。
【0182】
感覚神経伝導速度(SNCV)も記録した。尾部皮膚電極を、以下のとおり設置した。参照針を、尾の根元に挿入し、そして陽極(anoe)針を、参照針から尾部の末端に向かって30mm離して置いた。接地針電極を、陽極と参照電極のあいだに挿入した。尾の神経を、12.8mAの強度で、一連の20パルス(0.2msとして)で刺激した。速度をm/sで表した。
【0183】
形態測定分析
形態測定分析を、研究の終わり(D40)に行った。動物に、100mg/kgのImalgene 500(登録商標)のIP(腹腔内)注射により麻酔をかけた。坐骨神経の5mmセグメントを、組織学用に切除した。組織を、4%グルタルアルデヒド(シグマ、リルダボーシェネ、フランス)溶液のリン酸緩衝溶液(pH=7.4)で一晩固定し、そして使用するまで、+4℃で、30%ショ糖中に保持した。神経サンプルを、2%四酸化オスミウム(シグマ、リルダボーシェネ、フランス)溶液のリン酸緩衝溶液で2時間固定し、順次アルコール溶液で脱水し、そしてエポン(Epon)に埋設した。その後、埋設組織を、3日間の重合のあいだ、+70℃に置いた。1.5μmの横断面を、ミクロトームで切断し、2分間、1%トルイジンブルー溶液(シグマ、リルダボーシェネ、フランス)で染色し、脱水し、そしてEukitt中に埋め込んだ。サンプル当たり20個の切片を、光学顕微鏡(ニコン、東京、日本)を用いて調べ、そして6個の無作為に選択したスライスを、半自動化デジタル画像解析ソフトウエア(バイオコム(Biocom)、フランス)を使用して分析した。スライス当たり2つの無作為に選択したフィールドを詳しく調べた。以下の項目を算出した:(a)線維の直径、(b)軸索の直径、(c)ミエリンの厚さ。
【0184】
神経切片当たりの線維の総数を計数するために、サンプル当たり3つの無作為スライスを選択し、そしてスライス当たり2つのフィールドを分析した。
【0185】
データ解析
データの全体的な解析は、1因子または反復測定分散分析(ANOVA)および一元配置ANOVAを用いて行なった。アノバ検定が、有意差を示した場合に、ダネット検定を用いた。ポストホックテストは行なわなかった。有意差のレベルを、p<0.05に設定した。結果は、平均±平均の標準誤差(s.e.m.)として表わす。
【0186】
結果
研究A
動物の体重
図11に示されるとおり、体重の進展における群間の有意差を、この試験で記録した[f(5,185)=9.20およびp<0.001;反復測定ANOVA]。5日から40日までで、STZ中毒/IL−6治療動物は、体重の有意な減少を示した(p<0.05;一元配置ANOVAおよびp<0.05コントロール 対(vs) STZ;コントロール 対 STZ+il−6;ダネット検定)。
【0187】
10μg/kgの用量でIL−6治療した糖尿病動物は、il−6の他の用量のものより有意に高い体重を示した[f(4,148)=2.93およびp<0.001;反復測定ANOVA]。
【0188】
血糖
図12は、10日目で、コントロール動物が、120mg/dlと同等の血糖値を表わしたことを示す。他方で、STZ中毒ラットは、260mg/dlより高い血漿中グルコース濃度を示し、糖尿病と判断された。
【0189】
STZ中毒ラットは、41日目になお糖尿病であったことが注目される(stz/IL−6(10μg/kg)群のラット(n°2)が、260mg/dlより低い血糖のため、その研究から除外された)。
【0190】
感受性検査:テイル・フリック
テイル・フリック検査の遂行の進展で、群間に有意差はなかった[F(5,10)=1.81およびp=0.072;反復測定ANOVA](図13)。それにもかかわらず、ラットが、熱源からその尾部を動かすまでの潜伏時間は、糖尿病の治療なし、および高用量のIL−6で治療した動物で増大した。D38で、反応時間は、1および3μg/kgの用量で、IL−6で治療した動物では増加しなかった。実際に、これらの群間に有意差は見られなかった(p<0.05;ダネット検定)。
【0191】
OFでの運動活動
図14Aおよび14Bに示されるように、研究の間中の、区画横切りおよび立ち上がりの回数で群間に有意差があった[それぞれ、p<0.001でF(5,10)=5.99およびp<0.001でF(5,10)=4.22;反復測定ANOVA]。25日目と40日目に、治療されたかまたはされていない糖尿病ラットは、区画横切りと立ち上がりの回数の有意な減少により特徴づけられた低い運動活動を示した(コントロール 対 STZ/ビヒクルおよびコントロール 対 STZ/IL−6 p<0.01;ダネット検定)。
【0192】
1および3μg/kgの用量で治療された動物が、STZ/ビヒクルラットより高い運動活動を表すことは注目され得る。
【0193】
電気生理学的測定
複合筋肉活動電位の潜伏時間
研究の間中、CMAPの潜伏時間に関して群間に有意差があった[F(5,10)=5.71およびp<0.001;反復測定ANOVA]。潜伏時間は、糖尿病の未治療ラットで有意に増加した(26および41日目に:p<0.01;一元配置ANOVA)。さらに、この増加は、各IL−6治療群ではあまり重要でなかった。(図15)。
【0194】
26日目および41日目に、各STZ/IL−6治療群は、STZ/ビヒクル群のCMAP潜伏時間より有意に短い潜伏時間を示した(p<0.05;ダネット検定)。
【0195】
感覚神経伝導速度
研究の間中、群間でSNVCに有意差が記録された[F(5,10)=3.78およびp<0.001;反復測定ANOVA](図16)。糖尿病ラットは、コントロール/ビヒクル群と比較して、SNCVの有意な減少を示した(26および41日目に:p<0.01;一元配置ANOVA)。
【0196】
26および41日目に、すべてのIL−6治療動物はSTX/ビヒクル群と有意差を示した(p<0.05;ダネット検定)。さらに、他のすべての群間で有意差が見られたのに対して、41日目には、コントロール/ビヒクル群と3および30μg/kgIL−6治療群との間に有意差は観察されなかった(それぞれ、p<=0.054およびp=0.184;ダネット検定)。
【0197】
形態測定分析
線維の直径
図17に示されるように、線維の直径において群間に有意差がみられた(p<0.001;一元配置ANOVA)。コントロール/ビヒクル群と比較すると、糖尿病のラットでは、線維の直径の減少が観察された(p<0.001;ダネット検定)。さらに、IL−6治療は、すべての試験用量に関して、有意にこの直径の減少を防いだ(STZ/ビヒクル 対 STZ/IL−6治療:p<0.05;ダネット検定)。
【0198】
軸索の直径
軸索の直径では、群間に有意差があった(p<0.001;一元配置ANOVA)(図18)。STZ/ビヒクル群は、軸索の直径の有意な減少を示した(コントロール/ビヒクル 対 STZ/ビヒクル:p<0.001;ダネット検定)。IL−6で治療した動物は、すべての試験用量で、糖尿病の未治療ラットよりも有意に大きい軸索の直径を表わした(p<0.05;ダネット検定)。
【0199】
ミエリンの厚さ
ミエリンの厚さでは、群間に有意差が見られた(p<0.001;一元配置ANOVA)(図19)。コントロール/ビヒクル動物と比較して、糖尿病のラットにおいてミエリンの厚さの有意な減少が観察された(p<0.001;ダネット検定)。さらに、この減少は、IL−6治療群においては顕著に重要ではなかった(p<0.05;ダネット検定)。
【0200】
変性した線維の割合
図20および21に示されるように、糖尿病で治療していないラットは、ミエリン化された線維の有意な減少を示した(p<0.001;一元配置ANOVA)。3、10および30μg/kgの用量での毎日のIL−6による治療は、STZ/ビヒクル群と比較して変性した線維の割合を有意に減少させた(p<0.001;ダネット検定)。
【0201】
研究B
動物の体重
体重の進展に群間の有意差があった[F(6,168)=9.24およびp<0.001;反復測定ANOVA](図22)。D5からD40までで、STZ中毒動物は、体重の有意な減少を示した(p<0.05;一元配置ANOVAおよびp<0.001 コントロール/ビヒクル 対 STZ;コントロール/ビヒクル 対 STZ+IL−6治療群;ダネット検定)。
【0202】
D5からD40までで、STZ/IL−6治療群間で体重に有意差は見られなかった[F(5,125)=1.08およびp=0.26;反復測定ANOVA]。
【0203】
血糖
図23に図示したように、D10で、コントロール動物が、約100mg/dlの血糖値を表わしたのに対し、STZ中毒ラットは、260mg/dlより高い血漿中グルコース濃度を示した。
【0204】
さらに、STZ中毒ラットは、D40でなお糖尿病であり、実際それらの血糖値は500mg/dlより高かった。
【0205】
感受性検査:テイル・フリック
テイル・フリック検査の遂行の進展では、群間に有意差があった[F(6,12)=2.13およびp=0.02;反復測定ANOVA](図24)。24日目および38日目に、糖尿病で治療していないラットは、コントロール/ビヒクルおよびSTZ/IL−6治療群と比較して、反応時間で有意な増加を示した(p<0.05;;ダネット検定)。
【0206】
さらに、反応時間は、10および30μg/kgの用量で、IL−6により治療した動物ではほとんど増加しなかった。
【0207】
OFでの運動活動
図25Aおよび25Bに示されるように、研究の間中の、区画横切りおよび立ち上がりの回数で群間に有意差があった[それぞれ、p<0.001でF(5,10)= およびp<0.001でF(5,10)= ;反復測定ANOVA]。25日目と40日目に、治療されたかまたはされていない糖尿病ラットは、区画横切りと立ち上がりの回数の有意な減少により特徴づけられた低い運動活動を示した(コントロール 対 STZ/ビヒクルおよびコントロール 対 STZ/IL−6 p<0.05;ダネット検定)。
【0208】
電気生理学的測定
複合筋肉活動電位の潜伏時間
図26に示されるように、研究の間中、CMAPの潜伏時間に関して群間に有意差があった[F(6,12)=3.97およびp<0.001;反復測定ANOVA]。D26およびD40に、糖尿病の未治療ラットと低用量でのIL−6による治療動物とにおいて潜伏時間の有意な増加が観察された(p<0.001;一元配置ANOVA)。さらに、コントロール/ビヒクルおよびSTZ/IL−6治療(10および30μg/kg)群の間に有意差は見られなかった(p<0.05;一元配置ANOVA)。
【0209】
感覚神経伝導速度
研究の間中、群間でSNVC測定に有意差があった[F(6,12)=3.38およびp<0.001;反復測定ANOVA](図17)。D26から、糖尿病で治療されているまたは治療されていないラットは、SNCVの減少を示した(D26:p<0.001およびD40:p<0.001;一元配置ANOVA)。
【0210】
D26に、コントロール/ビヒクルおよびSTZ/IL−6治療動物は、STZ/ビヒクルラットよりも有意に高いSNCVを示した(p<0.05;ダネット検定)。
【0211】
D40に、高用量のIL−6により治療されたラットは、STZ/ビヒクル群よりもより重要なSNCVの値を示した。
【0212】
形態測定分析
線維の直径
図28に示されるように、線維の直径における群間の有意差が注目された(p<0.045;一元配置ANOVA)。コントロール/ビヒクルラットと比較して、STZ中毒動物は線維の直径の有意な減少を示した(p<0.05;ダネット検定)。IL−6による毎日のIP治療は、この線維の直径の減少を防いだ(STZ/ビヒクル 対 STZ/IL−6IP:p=0.026;ダネット検定)。
【0213】
軸索の直径
軸索の直径では、群間に有意差があった(p=0.034;一元配置ANOVA)(図29)。STZ中毒動物では、軸索の直径の有意な減少が観察された(p<0.05;ダネット検定)。10μg/kgのIL−6でIP経路により治療したラットは、STZ/ビヒクル動物と有意差を示した(p<0.045;ダネット検定)。
【0214】
ミエリンの厚さ
ミエリンの厚さでは、群間に有意差が見られた(p<0.05;一元配置ANOVA)(図30)。STZ中毒動物は、ミエリンの厚さの有意な減少を示した(p<0.05;ダネット検定)。IL−6による毎日のIP治療は、このミエリンの厚さの減少を防いだ(STZ/ビヒクル 対 STZ/IL−6IP:p=0.005;ダネット検定)。
【0215】
変性した線維の割合
図31および32に図示されるように、変性した線維の割合において群間に有意差が見られた(p<0.001;一元配置ANOVA)。この割合は、コントロール/ビヒクル群よりもSTZ/ビヒクル群において有意に高かった(p<0.001;ダネット検定)。割合は、IL−6治療動物で有意に減少した(STZ/ビヒクル 対 STZ/IL−6:p<0.001;ダネット検定)。
【0216】
研究C
動物の体重
図33に図示されるように、体重の進展における群間の有意差が研究の間中観察された[F(5,145)=15.46およびp<0.001;反復測定ANOVA]。D5からD40までで、STZ中毒動物は、体重の有意な減少を示した(p<0.001;一元配置ANOVAおよびp<0.001 コントロール/ビヒクル 対 STZ;コントロール/ビヒクル 対 STZ−IL−6群;ダネット検定)。
【0217】
さらに、30μg/kgでIL−6により治療した動物は、他のIL−6治療群よりも有意にほとんど重要でない体重の減少を示した[F(4,104)=2.17およびp<0.001;反復測定ANOVA]。
【0218】
血糖
図34は、D10およびD40に、コントロール/ビヒクル群が、120mg/dlより低い血糖値を表わしたことを示す。他方で、STZ中毒ラットは、260mg/dlより高い血漿中グルコース濃度を示し、それでそれらは、D10およびD40に糖尿病と判断された。
【0219】
感受性検査:テイル・フリック
研究の間中、反応時間について、群間に有意差があった[F(5,10)=2.30およびp=0.02;反復測定ANOVA](図35)。ラットが、熱源からその尾部を動かすまでの潜伏時間は、STZ/ビヒクル動物で有意に増大した(D24およびD38で、p<0.005;反復測定ANOVA)。D24に、コントロール/ビヒクルとSTZ/IL−6(30μg/kg)群のあいだの反応の潜伏時間に有意差はなかった(p=0.31;ダネット検定)。D38に、10および30μg/kgで、IL−6で治療したラットは、コントロールと同様の反応時間を示した(p=0.03;ダネット検定)。
【0220】
OFでの運動活動
研究の間中の、区画横切りおよび立ち上がりの回数で群間に有意差があった(それぞれ、p< でF(5,10)= およびp=0.028でF(5,10)=2.15;反復測定ANOVA](図26Aおよび26B)。
【0221】
D25とD39に、治療されたかまたはされていないSTZ中毒動物は、コントロールラットよりも有意に低い運動活動を示した(p<0.05;ダネット検定)。この差異は、記録期間中の区画横切り平均回数と、立ち上がりの回数で示された。それでもなお、30μg/kgの用量で、IL−6で治療された動物の群は、STZ/ビヒクル群より大きな運動活動を表わした。
【0222】
電気生理学的測定
複合筋肉活動電位の潜伏時間
研究の間中、CMAPの潜伏時間に関して群間に有意差はなかった[F(5,10)=1.33およびp=0.23;反復測定ANOVA](図27)。それにもかかわらず、群間の有意差がD26およびD40に観察された(p<0.05;一元配置ANOVA)。STZ中毒ラットは、コントロール/ビヒクル群と比較して増大した潜伏時間を示した。さらに、この増大は、高用量のIL−6で治療された群ではほとんど重要でなく、実際、有意差は、STZ/ビヒクルおよびSTZ/IL−6のあいだで示された(D26に:STZ/ビヒクル 対 STZ/IL−6(3、10、30μg/kgで):p<0.005、およびD40に:STZ/ビヒクル 対 STZ/IL−6(30μg/kgで):p<0.005;ダネット検定)。
【0223】
感覚神経伝導速度
図38に示されるように、研究の間中、群間で感覚神経伝導速度に有意差が示された[F(5,10)=2.18およびp=0.025;反復測定ANOVA]。STZ中毒動物で速度の有意な減少が観察された(コントロール/ビヒクル 対 STZ/ビヒクルおよびSTZ/IL−6群:p<0.05;ダネット検定)。さらに、10および30μg/kgでのIL−6による治療は、糖尿病動物にほとんど重要でない速度の損失を導く(D26に、STZ/IL−6(10および30μg/kgで) 対 STZ/ビヒクル:p<0.05;ダネット検定)。
【0224】
形態測定分析
線維の直径
図39に示されるように、線維の直径における群間の有意差が示された(p<0.001;一元配置ANOVA)。コントロール/ビヒクルラットと比較して、STZ中毒動物は、線維の直径の有意な減少を示した(p<0.005;ダネット検定)。IL−6治療動物(すべての用量で)は、STZ/ビヒクルラットより有意に大きい直径の線維を示す(p<0.05;ダネット検定)。
【0225】
軸索の直径
軸索の直径では、群間に有意差があった(p<0.001;一元配置ANOVA)(図40)。STZ中毒動物では、軸索の直径の有意な減少が観察された(p<0.01;ダネット検定)。1、3、10および30μg/kgのIL−6で治療したラットは、STZ/ビヒクル動物と有意差を示した(p<0.05;ダネット検定)。
【0226】
ミエリンの厚さ
ミエリンの厚さでは、群間に有意差が見られた(p<0.001;一元配置ANOVA)(図41)。STZ中毒動物は、ミエリンの厚さの有意な減少を示した(p<0.001;ダネット検定)。IL−6による毎日のSC治療は、このミエリンの厚さの減少を防いだ(STZ/ビヒクル 対 STZ/IL−6(1および30μg/kg):p=0.005;ダネット検定)。
【0227】
変性した線維の割合
図42および43に図示されるように、機能的にミエリン化した線維の割合において群間に有意差が見られた(p<0.001;一元配置ANOVA)。この割合は、コントロール/ビヒクル群よりもSTZ/ビヒクル群において有意に低かった(p<0.001;ダネット検定)。割合は、3、10および30μg/kgで、IL−6により治療した動物で有意に増加した(p<0.001;ダネット検定)。
【0228】
結論
この研究で、ストレプトゾトシンで中毒にされ、そして数日後に糖尿病を発生する動物が、誘導神経障害のモデルとして使用された。
【0229】
糖尿病動物は、30日間、慢性的に種々の用量のIL−6(1、3、10および30μg/kg)によって治療された。治療は、誘導の10日後に開始し、STZ誘導の40日後の動物の犠牲死まで、毎日(研究A)、週に3回(研究B)および週に1回(研究C)皮下に投与された。これらの治療は、IL−6が、長期化した高血糖症によって引起される最初の分子損傷の後に投与された点で、治療用処置と見なされ得る。
【0230】
本プロトコールは、どのような投与スケジュールでも、30日間のIL−6治療が、糖尿病性神経障害に対して神経保護を促すことを示す。テイル・フリックおよびEMG検査(感覚および運動速度)を用いた行動分析は、皮下経路により投与されるIL−6の神経保護効果を示す。
【0231】
神経保護効果は、感覚線維ならびに運動線維に焦点を合せた(CMAP速度は、動物がIL−6化合物で治療される際に変化しなかった)。化合物は、線維の、ミエリン鞘の損失および変性を予防する。
【0232】
毎日のIP治療(Neurofit、2001年8月に行われた先の研究を参照)と比較して、皮下経路により毎日投与されたIL−6は、全ての試験用量で、腹腔内治療(実施例2を参照)と同様に有効であるように見える。さらに、週当たり1回または3回のIL−6投与により特徴づけられる低い投与量は、化合物の神経保護効果の減少に至らない。週当たり3回の治療が、STZ動物の全般的行動において何の副作用もなしに、最高の神経保護効果(特に、10および30μg/kgで)を示すようである。
【0233】
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【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】実験動物における体重の進展を示す。
【図2】腹腔内投与を受けている一連の実験動物における、糖尿病誘導10日(A)および40日(B)後の血糖の程度を示す。
【図3】腹腔内投与を受けている動物が、熱源に置かれた尾部を動かすのにかかった時間を秒で示す。
【図4】秒による潜伏時間で表される、腹腔内投与を受けている動物の複合筋肉活動電位(CMAP)を示す。
【図5】腹腔内投与を受けている実験動物における感覚神経伝導速度(SNVC)をm/secで示す。
【図6】腹腔内投与を受けている実験動物における軸索の直径をマイクロメートルで示す。
【図7】腹腔内投与を受けている実験動物における線維の直径をマイクロメートルで示す。
【図8】腹腔内投与を受けている実験動物におけるミエリンの厚さをマイクロメートルで示す。
【図9】腹腔内投与を受けている実験動物におけるフィールド当たりのミエリン化された線維の数を示す。
【図10】IL−6R/IL−6キメラ構造を示す概略図である。
【図11】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における体重の進展を示す。
【図12】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における、糖尿病誘導10日および41日後の血糖の程度を示す。
【図13】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における、熱源に置かれた尾部を動かすのにかかった時間を秒で示す。
【図14】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における、区画横切り(A)および立ち上がり(B)の回数を示す。
【図15】秒による潜伏時間で表わされる、皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における複合筋肉活動電位(CMAP)を示す。
【図16】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における感覚神経伝導速度(SNVC)をm/secで示す。
【図17】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における線維の直径をマイクロメートルで示す。
【図18】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における軸索の直径をマイクロメートルで示す。
【図19】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物におけるミエリンの厚さをマイクロメートルで示す。
【図20】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物における変性した線維の割合を示す。
【図21】皮下投与を受けている動物のグループAの実験動物におけるミエリン化された線維の割合を示す。
【図22】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物における体重の進展を示す。
【図23】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物における、糖尿病誘導10日および40日後の血糖の程度を示す。
【図24】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物における、熱源に置かれた尾部を動かすのにかかった時間を秒で示す。
【図25】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物における、区画横切り(A)および立ち上がり(B)の回数を示す。
【図26】秒による潜伏時間で表わされる、皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物における複合筋肉活動電位(CMAP)を示す。
【図27】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物における感覚神経伝導速度(SNVC)をm/secで示す。
【図28】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物における線維の直径をマイクロメートルで示す。
【図29】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物にける軸索の直径をマイクロメートルで示す。
【図30】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物におけるミエリンの厚さをマイクロメートルで示す。
【図31】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物における変性した線維の割合を示す。
【図32】皮下投与を受けている動物のグループBの実験動物でのミエリン化された線維の割合を示す。
【図33】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物における体重の進展を示す。
【図34】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物における、糖尿病誘導10日および40日後の血糖の程度を示す。
【図35】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物における、熱源に置かれた尾部を動かすのにかかった時間を秒で示す。
【図36】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物における、区画横切り(A)および立ち上がり(B)の回数を示す。
【図37】秒による潜伏時間で表わされる、皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物における複合筋肉活動電位(CMAP)を示す。
【図38】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物における感覚神経伝導速度(SNVC)をm/secで示す。
【図39】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物における線維の直径をマイクロメートルで示す。
【図40】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物における軸索の直径をマイクロメートルで示す。
【図41】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物におけるミエリンの厚さをマイクロメートルで示す。
【図42】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物での変性した線維の割合を示す。
【図43】皮下投与を受けている動物のグループCの実験動物でのミエリン化された線維の割合を示す。
Claims (20)
- 糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のためのgp130を介してシグナル伝達する物質の使用。
- 糖尿病性神経障害が、多発性神経障害である請求項1記載の使用。
- 糖尿病性神経障害が、単神経障害である請求項1記載の使用。
- 前記物質が、
a)IL−6;
b)gp80に結合し、そしてgp130を介してシグナル伝達を起こす、a)の断片;
c)a)またはb)と少なくとも70%配列同一性を示し、gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)またはb)の変異体;
d)中程度にストリンジェントな条件下でa)またはb)をコードする天然のDNA配列の相補鎖にハイブリダイズするDNA配列によりコードされ、gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)またはb)の変異体;または
e)gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)、b)、c)またはd)の塩、融合タンパク質または機能的誘導体
である請求項1、2または3記載の使用。 - IL−6が、組換えIL−6である請求項4記載の使用。
- 前記物質が、
a)IL−6R/IL−6キメラ;
b)gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)の断片;
c)a)またはb)と少なくとも70%配列同一性を示し、gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)またはb)の変異体;
d)中程度にストリンジェントな条件下でa)またはb)をコードするDNA配列の相補鎖にハイブリダイズするDNA配列によりコードされ、gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)またはb)の変異体;または
e)gp130を介してシグナル伝達を起こす、a)、b)、c)またはd)の塩、融合タンパク質または機能的誘導体
である請求項1、2または3記載の使用。 - 物質が、1つまたはそれより多くの部位でグリコシル化される請求項1、2、3、4、5または6記載の使用。
- 物質が、グリコシル化されない請求項1、2、3、4、5、6および7記載の使用。
- 融合タンパク質が、免疫グロブリン(Ig)融合体を含む請求項4、5、6、7または8記載の使用。
- 機能的誘導体が、アミノ酸残基上の1つまたはそれより多くの側鎖として存在する1つまたはそれより多くの官能基に結合された少なくとも1つの部分を含有する請求項4、5、6、7、8または9記載の使用。
- 部分が、ポリエチレン部分である請求項10記載の使用。
- gp130を介してシグナル伝達する物質が、約0.1〜1000μg/kg、または約1〜500μg/kg、または約100μg/kgより少ない範囲にある量で使用される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の使用。
- gp130を介してシグナル伝達する物質が、約1μg/kgまたは約3μg/kgまたは約10μg/kgまたは約30μg/kgの量で使用される請求項12記載の使用。
- gp130を介してシグナル伝達する物質が、毎日投与される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13記載の使用。
- gp130を介してシグナル伝達する物質が、週に3回投与される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13記載の使用。
- gp130を介してシグナル伝達する物質が、週に1回投与される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13記載の使用。
- 糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のための、細胞でのIL−6の内因性生産を誘導および/または促進するためのベクターの使用。
- 糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のための、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に定義される物質を産生するために遺伝的に改変された細胞の使用。
- 糖尿病性神経障害の治療および/または予防のための医薬の製造のための、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に定義される物質のコーディング配列を含む発現ベクターの使用。
- 糖尿病性神経障害を治療および/または予防する方法であって、治療を必要とする患者に、有効量の請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に定義される物質を、任意には薬学的に許容し得る担体と一緒に投与することを含む方法。
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