JP2005503363A - ユーロチノンおよびその誘導体、それらを製造する方法、ならびにその使用 - Google Patents
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Abstract
【化1】
[式中、R(1)、R(2)、R(3)、R(4)は、独立して水素またはアルキル基を表す]の新規化合物に関する。式(I)の化合物は、KDR−キナーゼの阻害剤であり、抗脈管形成効果を有し、そして悪性疾患の予防および/または治療のために適している。式(I)の化合物は、微生物ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinalutum Delacroix)(DSM 13872)を培養することによるかまたは上記微生物を培養した後に得られる化合物を化学的に誘導体化することによって得ることができる。本発明はまた、式(I)の化合物を製造する方法、悪性疾患およびKDR−キナーゼを阻害することによって治療することができる疾患を治療するための薬剤を製造するため、および少なくとも1種の式(I)の化合物を含有する医薬製剤のための上記化合物の使用にも関する。
Description
【0001】
本発明は、式I
【化1】
[式中、R(1)、R(2)、R(3)およびR(4)は、相互に独立して水素またはアルキル基である]の新規化合物に関する。式Iの化合物は、KDRキナーゼの阻害剤であり、そしてその抗脈管形成効果のために、悪性疾患を予防および/または治療するために適している。式Iの化合物は、微生物ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)(DSM 13872)を培養することによるかまたは上記微生物を培養した後に得られる化合物を化学的に誘導体化することによって得ることができる。本発明は、その結果としてまた、式Iの化合物を製造する方法、悪性疾患およびKDRキナーゼを阻害することによって治療することができる疾患を治療するための医薬を製造するための式Iの化合物の使用、および少なくとも1種の式Iの化合物の成分を含む医薬製剤にも関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、大部分は致命的な転帰を有し、そして体自身の細胞の制御されない増殖によって引き起こされる、ヒトおよび動物の疾患である。癌は、悪性腫瘍[マリグノーマ(malignomas)]および新生物(腫瘍または癌腫)の形成に対するか、または白血球における悪性変性および成熟障害(白血病、血液癌)に対する用語である。癌細胞または腫瘍細胞は、体自身の細胞のトランスフォーメーションのために生じる。癌細胞の悪性度は、その成長の自律性で、すなわちその細胞が浸潤的に、阻害されることなく、器官の体制に正しく組み込まれることなくそして組織を破壊して、増殖する能力で表現される。悪性度の信頼できる徴候は、腫瘍細胞の血行性またはリンパ行性分散後の腫瘍からある距離をおいての転移の形成である。癌は、ヒトにおける最も頻度の高い死因の一つであり、そのため悪性変性を治癒または治療するための方法および手段に対する大きな要求がある。
【0003】
もし可能ならば腫瘍の完全な手術的除去は別として、悪性腫瘍を治療する可能性としては、X−線、α−線、β−線またはγ−線を使用する放射線療法、免疫療法および化学療法がある。現在のところ免疫療法は、限定された範囲にのみ使用することができる。腫瘍の化学療法は、局所的外科治療または放射線照射後に残留した腫瘍および腫瘍細胞を治療するための細胞毒(細胞増殖抑制剤)の投与であると理解される。これらの物質は、急速増殖腫瘍組織のような高比率の分裂細胞を含有する組織がより敏感に反応するように、細胞分裂における特定の場合に特異的に介入する。使用される化合物は、シクロホスファミド[ザ・メルク・インデックス(The Merck Index)、第12版、第463ページ]のようなアルキル化化合物、メトトレキセート[ザ・メルク・インデックス(The Merck Index)、第12版、第1025ページ]のような体謝拮抗剤、ビンクリスチン[ザ・メルク・インデックス(The Merck Index)、第12版、第1704ページ]のようなアルカロイド、およびダウノマイシン[ザ・メルク・インデックス(The Merck Index)、第12版、第479ページ]およびアドリアマイシン[ザ・メルク・インデックス(The Merck Index)、第12版、第581−582ページ]のような抗生物質である。大きな副作用のために、これらの薬剤はすべて、重大な不利益を受け、その結果、冒された患者の死を、遅らせるだけで避けられない。その上、使用する薬剤に対する耐性が変性(癌)細胞において発生し、目下使用されている薬剤は、その後もはや細胞増殖抑制効果を有さず、代わりに副作用の結果として毒性効果を有する。さらに、細胞増殖抑制剤の組み合わせまたは逐次使用は、単一の細胞増殖抑制剤の活性[単独療法]を超え、そして結果的に多剤化学療法に関連する実質的な副作用が単純に加法的ではないことが可能であることが見出された。これらのすべての理由のために、新規な化学療法剤は、緊急に必要とされており、そしてそのため世界中で探求されている。
【0004】
腫瘍の増殖は、その腫瘍が酸素を十分に供給されていることを前提とし、これは十分な血液供給(血管新生)を提供されている腫瘍によってのみ保証されるものである。腫瘍は、新しい血管を形成すること(=脈管形成)ができず;代わりにそれらは、周囲の結合組織を誘導してこの脈管形成を遂行させなくてはならない。
【0005】
出発点として既存の脈管系を使用する新しい血管の形成は、胚の発生および器官の発生のために中心的に重要である。異常に増大した脈管形成は、なかんずく慢性関節リウマチ、糖尿病性網膜症および腫瘍増殖において観察される(Folkman、1995、Nat.Med.,1、27−31)。脈管形成は、内皮細胞の活性化、移動、増殖および生存を包含する複雑な多段階過程である。他の内皮−特異性シグナル系と共同して、血管内皮細胞増殖因子(VEGFRs)と命名されるものは、内皮細胞の移動、増殖および生存に対するシグナルを伝達する。VEGFRファミリーには、サブタイプVEGFR−1(Flt−1)、VEGFR−2(KDR)およびVEGFR−3(Flt−4)が包含される。VEGFR−1およびVEGFR−2は、内皮細胞の共通の調節因子として機能し、VEGFR−3は、主にリンパ管系の増殖を制御する。VEGFRは、脈管形成過程のすべての段階において鍵となる役割を演じる。
【0006】
最近の20年の間に腫瘍脈管形成の分野で実施された広範囲にわたる研究は、多数の有力な治療標的、例えばキナーゼ、プロテアーゼおよびインテグリン、を記載してきた。これは、多数の新規抗脈管形成剤の発見となり、そのいくつかは、すでに臨床的に試験されている(Jekunen外、1997、Cancer Treatment Rev.,23、263−286)。腫瘍の化学療法治療に関して、脈管形成阻害剤を、単独療法用および他の細胞増殖抑制剤との組み合わせ療法中の両方に使用することができる。これに加えて、治療が完了した後に腫瘍がもう一度増殖することを予防するためにそれらを使用することを考えることが可能である。
【0007】
VEGFR−2(KDR)の阻害または調節は、多数の充実性腫瘍を治療するための新規方法を提示する反応機構である。こうして、このチロシンキナーゼ受容体の活性化は、脈管形成に関連して内皮細胞増殖および新しい血管の形成のために重大であり、そしてその結果として腫瘍増殖および転移の形成に影響を有する。これに加えて、VEGFの発現が放射線療法または化学療法後の腫瘍細胞の生存に寄与することを示唆するための新しい証拠がある[Lee C.G.,Heijn M.外、2000、Cancer Research、60(19)、5565−70]。これは、相乗的に作用すると考えられるKDR阻害剤および先に公知の細胞増殖抑制剤の重要性を予告する。
【0008】
驚くべきことに、微生物ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)(DSM 13872)が、KDRキナーゼに著しい阻害効果を示し、その結果として脈管形成の有効な阻害剤を構成する活性化合物を形成することができることが発見された。新規化合物は、以下でユーロチノン(eurotinone)と呼ばれ、ユーロチノン誘導体とともに本発明の主題の一部である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため本発明は、そのすべての立体化学形、およびいずれかの比率のこれらの形の混合物の、式I
【化2】
[式中、
R(1)、R(2)、R(3)およびR(4)は、相互に独立して、各々水素またはアルキル基である]の化合物、およびその生理学的に許容される塩に関する。式I中のアルキル基は、例えば(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル;C3−C6−シクロアルキルまたは(C1−C3)−アルキル−(C3−C6)−シクロアルキルであることができる。
【0010】
(C1−C6)−アルキルは、メチル、エチル、i−プロピル、tert−ブチルおよびヘキシルのような1ないし6個のC原子を有する直鎖または分枝状アルキルであることができ;
(C2−C6)−アルケニルは、アリル、クロチルおよびペンテニルのような2ないし6個のC原子を有する直鎖または分枝状アルケニルであることができ;
(C2−C6)−アルキニルは、プロピニル、ブチニルおよびペンチニルのような2ないし6個のC原子を有する直鎖または分枝状アルキニルであることができ;
(C3−C6)−シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0011】
上記のアルキル基は、1個またはそれ以上の基によって置換されていることができる。これらは、例えば、塩素、臭素またはフッ素のようなハロゲン;ヒドロキシル;1−4個のC原子を有するアルコキシ、特にメトキシ、および/またはトリフルオロメチルである。
【0012】
好ましくは、式I中のR(1)−R(4)は、各々、相互に独立して、水素または(C1−C6)−アルキルである。
【0013】
好ましいのは、特に、そのすべての立体化学形およびいずれかの比率のこれらの形の混合物の、
a)R(1)−R(4)が水素である(=ユーロチノン);
b)R(1)−R(3)が水素であり、そしてR(4)が(C1−C6)−アルキル、特にメチル、である;または
c)R(1)およびR(2)が水素であり、そしてR(3)およびR(4)が(C1−C6)−アルキル、特にメチル、である;
式Iの化合物、およびまたその生理学的に許容される塩である。
【0014】
本発明はこの結果として、特に式
【化3】
のユーロチノンおよびその生理学的に許容される塩に関する。
【0015】
本発明はさらに、式
【化4】
の2,12−ジメチルユーロチノンおよび式
【化5】
の2−メチルユーロチノン、およびその生理学的に許容される塩に関する。
【0016】
本発明に従えば、式Iの化合物は、微生物ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)(DSM 13872)、またはその変異体または突然変異体を適当な条件下で培養することによって得ることができる。ユーロチノンは、その後化合物を単離し、そして必要によってそれらを化学誘導体およびその生理学的に許容される塩に変換することによって得られる。
【0017】
そのため本発明は、さらに、微生物ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)(DSM 13872)、またはその変異株または突然変異体を、培地中、適当な条件下でユーロチノンが培地中または微生物中に集積するまで培養すること、およびその後培地または微生物からユーロチノンを単離すること、および必要によってそれを化学誘導体および/または生理学的に許容される塩に変換することを含む、式Iの化合物を製造する方法に関する。
【0018】
フェノールをアルキル化するための多くの反応が文献に記載されてきた。そのため本化合物のフェノール性OH基のアルキル化は、それ自体公知である化学反応を使用して実施することができる。ユーロチノンのアルキル化誘導体を得るための誘導体化は、例えばユーロチノンを臭化アルキルまたはヨウ化アルキルのようなハロゲン化アルキル、メシレート、トシレートまたはトリフレートのようなアルキルスルホン酸エステル、そしてまたジアゾメチレンまたはトリメチルシリルジアゾメタンのようなジアゾアルカンと反応させることによって、実施することができる。
【0019】
以下に本発明を、特にその好ましい態様において、詳細に説明するであろう。
【0020】
本発明に従うユーロチノンは、真菌ユーロチウム・エキヌラタム(Eurotium echinulatum)によって、好ましくはユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)DSM 13872によって、産生される。
【0021】
真菌ユーロチウム(Eurotium)は、黄色/褐色基質菌糸体および僅かに気中菌糸体を有する。培養中にそれは、子実体、すなわち閉鎖子嚢果、を形成するが、これは、ユーロチウムに特徴的である。子嚢胞子は、扁平になった球体である。これらは、典型的な赤道面上の帯状隆起を有する。この真菌は、遍在し、乾燥した環境を好む。呼称アスペルギルス・エキヌラタス(Aspergillus echinulatus)もまた、異名としてまだ使用される。
【0022】
ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)の分離菌は、ブダペスト条約の規定に従って、ドイチェ・サムルンク・フォン・ミクロオーガニスメン・ウント・ゼルクルツレン(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen)[ドイツの微生物および細胞培養物のコレクション]GmbH(DSMZ)、Mascheroder Weg 1B、38124 ブルンスウィック(Brunswick)、ドイツ、において2000年11月15日に下記番号:DSM 13872で寄託された。
【0023】
ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)DSM 13872は、炭素源および窒素源および通例の無機塩を含有する固形および液体培地上で本発明に従ってユーロチノンを産生する。
【0024】
菌株ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)DSM 13872の代わりに、同様に本発明に従ってユーロチノン類を合成するその突然変異体および変異株を使用することも可能である。
【0025】
これらの突然変異体は、物理的手段、例えば、紫外線またはX−線を使用するような放射線照射、を用いるか、またはメタンスルホン酸エチル(EMS)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(MOB)またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)のような化学的突然変異誘発を用いるか、または組換え法を用いる、公知方法で発生させることができる。
【0026】
以下に記載する培養条件は、ユーロチウム・エキヌラタム(Eurotium echinulatum)、寄託された分離菌ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)DSM 13872、そしてまたこれらの生体の突然変異体および変異株に対して有効である。
【0027】
本発明に従う方法は、実験室規模(ミリリットルないしリットルの範囲)および工業的規模(立方メートル規模)での培養について使用することができる。他に指示しないかぎり、すべてのパーセント値は、重量を指す。他に指示しないかぎり、液体の場合の混合比は、体積を指す。
【0028】
本発明に従う方法は、ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872、その突然変異体および/または変異株を、炭素源および窒素源、無機塩および必要によって微量元素を含有する培地中で好気条件下で培養することを含む。菌株ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872は、グルコース、デンプン、ロールドオートまたはグリセロールを含有する栄養溶液上でユーロチノンを形成する。
【0029】
培養のために好ましくて適当である炭素源は、グルコース、ラクロース、スクロースまたはD−マンニトールのような同化性炭水化物および糖アルコール、およびまた麦芽エキスまたは酵母エキスのような炭水化物−含有天然産物である。適当な窒素含有栄養素は:アミノ酸、ペプチドおよび、カゼイン、ペプトンまたはトリプトンのようなタンパク質およびまたその分解生成物、および、加えて、肉エキス、酵母エキス、粉にした種子、例えばトウモロコシ、小麦、豆、大豆またはコットンプラント、製造しているアルコール、肉ミールまたは酵母エキスからの蒸留残留物、およびまたアルミニウム塩および硝酸塩、およびまた、特に合成によりまたは生合成により得られるペプチド、である。栄養溶液中に存在することができる無機塩の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、鉄、亜鉛、コバルトおよびマンガンの塩化物、炭酸塩、硫酸塩またはリン酸塩である。
【0030】
本発明に従うユーロチノンは、例えば約0.05ないし5%、好ましくは1ないし2%、の麦芽エキス、約0.05ないし3%、好ましくは0.05ないし1%、の酵母エキス、0.2ないし5%、好ましくは0.5ないし2%、のグルコース、および0.5ないし3%、好ましくは1.5ないし3%、のロールドオート、を含有する栄養溶液中で、特に効果的に形成される。パーセント値は、各々全栄養溶液の重量に基づいている。
【0031】
微生物は、好気的に、すなわち例えば、振盪フラスコまたは培養槽内で振盪させるかまたは撹拌しながら液内で、または固形培地上で必要によって空気または酸素を導入しながら、培養される。培養は、約15ないし35℃の温度範囲、好ましくは約20ないし35℃、特に25ないし30℃、で実施することができる。pH範囲は、3ないし10、好ましくは6.5ないし7.5であるべきである。微生物は、一般に、これらの条件下で48ないし720時間、好ましくは72ないし720時間、かけて培養される。有利には、それは、数工程で培養される、すなわち1種またはそれ以上のプレ培養物がまず第一に液体栄養培地中に調製され、次にこのプレ培養物が実際の産生培地内に、例えば体積比1:10〜1:100で、一面に接種される、すなわち本培養、プレ培養物は、例えば菌糸体を栄養溶液内に接種して、それを約20ないし120時間、好ましくは48ないし72時間、成長させることによって得られる。菌糸体は、例えば菌株を約1ないし40日間、好ましくは15ないし20日間、固形または液体栄養培地、例えば酵母−麦芽寒天、ロールドオート寒天またはジャガイモデキストロース寒天、上で成長させることによって、得ることができる。
【0032】
真菌ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872は、固形栄養培地上での表面培養または静置培養において化合物ユーロチノンを形成することができる。固形栄養培地は、例えば寒天またはゼラチン、を水性栄養培地に加えることによって、調製される。しかしながら、真菌ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872を液内法で、すなわち水性懸濁液中で、培養することによってユーロチノンを得ることも可能である。ユーロチノンは、菌糸体中および培養濾液中の両方に存在することができるが;過半量は、通常培養濾液中に位置する。もし培養が液体培養であるならば、まず第一に慣習法を使用して菌糸体を培養ブロスから分離し、そしてその後、有機溶媒を使用してユーロチノンを細胞集団から抽出するが、この有機溶媒は、もし必要ならば水と混和性であることができる。有機溶媒相は、本発明に従う天然産物を含有し;この相は、必要によって真空で、濃縮され、そして下記のようにしてさらに精製される。
【0033】
培養濾液は、必要によって、菌糸体抽出物の濃縮物と合わせて、水と混和性でない適当な有機溶媒で、例えばn−ブタノールで、抽出する。その後有機相を分離して、必要によって真空で濃縮する。培養濾液を下記のようにクロマトグラフィーによって直接分画することが好ましい。
【0034】
表面培養は、好都合には、最初に凍結乾燥させてから、メタノールまたは2−プロパノールで抽出するが;しかしながら、その他の溶媒を使用することも可能である。次に、得られる抽出物を凍結乾燥させる。
【0035】
本発明に従うユーロチノンのそれ以上の精製は、適当な物質上、例えば分子ふるい上、シリカゲルまたは酸化アルミニウムのような順相保持体上、またはイオン交換体上、しかしながら好ましくは吸着樹脂上、および逆相(RP)上、のクロマトグラフィーによって実施される。このクロマトグラフィーは、ユーロチノンを単離するために使用される。クロマトグラフィーは、緩衝化水溶液または水溶液と有機溶液との混合物を使用して実施される。
【0036】
水溶液または有機溶液の混合物は、10ないし80%溶媒、好ましくは15ないし55%溶媒の、濃度の、水と混和性であるすべての有機溶媒、好ましくはメタノール、2−プロパノールおよびアセトニトリル、さもなければ有機溶媒と混和性であるすべての緩衝化水溶液、を意味するものとして理解される。
【0037】
緩衝化または酸性化水溶液は、例えば水、1mMないし0.5Mの濃度のリン酸塩緩衝液、酢酸アンモニウムまたはクエン酸塩緩衝液、およびまた好ましくは0.01ないし3%、特に0.1%の濃度の、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸または当業者には公知のすべての市販の酸を意味するものとして理解される。
【0038】
クロマトグラフィーは、100%水性緩衝液で始まり、そして100%溶媒、好ましくは2−プロパノールまたはアセトニトリル、で終了する勾配を使用して実施される。好ましくは、緩衝化水溶液中の10から60%までのアセトニトリルの直線勾配で、本発明に従うユーロチノンの精製を行う。
【0039】
当業者に公知の方法を、ユーロチノンおよび誘導された式Iの化学誘導体を相当する生理学的に許容される塩に変換するために使用することができる。
【0040】
式IおよびIIの化合物の生理学的に許容される塩は、Remington’s Pharmaceutical Sciences[第17版、第1418ページ(1985)]に記載されたとおりに、その有機塩およびその無機塩の両方を意味するものとして理解される。その物理的および化学的安定性および溶解性のために、なかんずくナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアンモニウム塩が酸基に対して好ましく;塩酸、硫酸またはリン酸の塩、または酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸およびp−トルエンスルホン酸のようなカルボン酸またはスルホン酸の塩が塩基性基に対して好ましい。
【0041】
本発明は、式Iの化合物のすべての立体異性体形を包含する。式Iの化合物中に存在する不斉の中心は、すべて、相互に独立して、S配置またはR配置を有する。本発明は、すべての可能なエナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにすべての比率の2個またはそれ以上の立体異性体形の混合物、例えばエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物、を包含する。その結果、左旋性および右旋性鏡像異性体、SおよびR配置、の両方としてのエナンチオマー的に純粋な形、ラセミ化合物の形およびすべての比率の2つのエナンチオマーの混合物の形、のエナンチオマーは、本発明の主題の一部である。シス/トランス異性が存在するときは、シス形およびトランス形の両方、およびすべての比率のこれらの形の混合物が本発明の主題の一部である。
【0042】
ユーロチノンの生物学的活性を決定するための試験:
チロシンキナーゼ受容体KDRが試験標的である。KDRは、内皮の増殖および脈管形成において鍵となる役割を演じ、その結果としてまた腫瘍の発生にも関係する。KDRは、その結果、癌疾患およびその他の増殖性疾患に対する重要な治療標的分子である。試験においては、KDRキナーゼの活性を、特異的ペプチド基質のリン酸化を基にして測定する。その上記キナーゼに関する阻害活性に加えて、ユーロチノンはまた、同様に癌の発生または炎症カスケードに関係する他のキナーゼをも阻害する。
【0043】
その価値ある薬理学的特性のために、本発明に従う化合物は、ヒト医学および/または獣医学における医薬として特異的に使用されるために適当である。本発明に従う化合物は、癌疾患に関連して、特に化学療法剤として、使用することができる。その抗脈管形成特性およびそれに関連する抗腫瘍活性のために、それらは、特に、動物およびヒトにおける悪性変性に対する治療薬として使用することができる。
【0044】
これに加えて、治療が完了した後に腫瘍がもう一度増殖することを予防するためにそれらを使用することを考えることが可能である。化学療法による腫瘍治療に関して、本発明に従う式Iのユーロチノンは、単独療法用および他の細胞増殖抑制剤との組み合わせ療法中の両方に使用することができる。細胞増殖抑制剤および脈管形成阻害剤が異なる攻撃点を有するために、組み合わせ療法は、KDR阻害剤および先に公知の細胞増殖抑制剤の相乗効果をもたらすことができる。
【0045】
本発明はまた、1種またはそれ以上の本発明に従う式Iのユーロチノンおよびまた必要によって、なおその上に付加的な活性化合物としての細胞増殖抑制剤を含む医薬製剤にも関する。適当な補助物質またはキャリヤー物質との混合物でユーロチノンを使用することが好ましい。すべての薬理学的に許容されるキャリヤー物質および/または補助物質を、ヒトにおけるキャリヤー物質として使用することができる。
【0046】
本発明はまた、少なくとも1種の本発明に従う化合物を、薬学的に適当で、生理学的に許容されるキャリヤーおよび、必要によってその他の適当な活性化合物、添加剤または補助物質とともに適当な投与形にすることを含む、本発明に従う医薬を製造する方法にも関する。
【0047】
一般に、本発明に従う医薬は、経口的、局所的または非径口的に投与されるが;しかしながら、直腸内使用もまた、原則として可能である。適当な固体または液体ガレン製剤形は、顆粒剤、散剤、錠剤、糖衣錠、(マイクロ)カプセル剤、坐剤、シロップ剤、エマルジョン、懸濁剤、エーロゾル、ドロップ剤およびアンプル形の注射溶剤、およびまた活性化合物の遅延放出を有する製剤であり、その製造に関連しては、キャリヤー物質および、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、滑沢剤または潤滑剤、フレーバー、甘味料および可溶化剤のような添加剤および/または補助物質、を慣例的に使用する。言及することができるしばしば使用されるキャリヤー物質または補助物質の例は、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトールおよびその他の糖類、滑石、乳タンパク質、ゼラチン、デンプン、ビタミン、セルロースおよびその誘導体、動物または植物油、ポリエチレングリコールおよび、滅菌水、アルコール、グリセロールおよび多価アルコールのような溶媒である。
【0048】
必要によって、放出を遅らせるかまたは比較的長期間にわたってそれを延長するために、例えばコーティングするかまたは適当なポリマー、ロウなどの中に粒子の形で活性化合物を包埋することによって、投与単位を経口投与用にマイクロカプセル化することができる。
【0049】
各単位が活性成分として特定用量の本発明に従う式Iのユーロチノン類の1種またはそれ以上の化合物を含有する、投与単位の医薬製剤を製造し、そして投与することが好ましい。1日当たり、錠剤、カプセル剤および坐剤のような固体投与単位の場合には、この用量は約500mgまでであることができるが、しかしながら好ましくは約0.1ないし200mgであり、そしてアンプル形の注射溶剤の場合には、約500mgまで、しかしながら好ましくは約0.1ないし100mgであることができる。
【0050】
投与すべき日用量は、その患者の体重、年令、性別および状態に依存する。しかしながら、より高いかまたはより低い日用量も多分適当であろう。日用量は、単一投与単位の形でまたはそうでなければいくつかのより小さい投与単位で1回だけ投与すること、および予め決定した間隔で小分けした用量を繰り返し投与すること、の両方により投与することができる。
【0051】
本発明は、下記の実施例において明らかにされる。パーセント値は、重量を指す。他に指示しないかぎり、液体の場合の混合比は、体積を指す。
【実施例1】
【0052】
ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872のグリセロール培養物の調製
無菌の100mlエルレンマイアーフラスコ中の30mlの栄養溶液[麦芽エキス2.0%、酵母エキス0.2%、グルコース1.0%、(NH4)2HPO4 0.05%、pH6.0]に菌株ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872を接種して、回転振盪機上で25℃、140rpmで6日間インキュベートした。その後1.5mlのこの培養物を2.5mlの80%グリセロールで希釈して、−135℃で保存した。
【実施例2】
【0053】
エルレンマイアーフラスコ中でユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872のプレ培養物の調製
無菌の300mlエルレンマイアーフラスコ中の100mlの栄養溶液[麦芽エキス2.0%、酵母エキス0.2%、グルコース1.0%、(NH4)2HPO4 0.05%、pH6.0]に菌株ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872を接種して、回転振盪機上で25℃、140rpmで7日間インキュベートした。その後2mlのこのプレ培養物(preculture)を本培養物を調製するために使用した。
【実施例3】
【0054】
固形培地平板上でのユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872の本培養物の調製
200mlの下記の栄養溶液:20gの麦芽エキス/l、20gのロールドオート/l、2%寒天およびpH7.0、を用いて30枚の無菌の25×25cm平板に注いだ。これらの平板に2mlのプレ培養物を接種して、25℃でインキュベートした。ほぼ360時間後に本発明に従うユーロチノンの最大生産量に達した。
【実施例4】
【0055】
ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)、DSM 13872の液体本培養物の調製
100mlの下記の栄養溶液:麦芽エキス2.0%、酵母エキス0.2%、グルコース1.0%、(NH4)2HPO4 0.05%、pH6、を含有する無菌の300mlエルレンマイアーフラスコに、傾斜管(同一栄養溶液であるが2%の寒天を含有する)上で増殖させた培養物または2mlのプレ培養物(実施例2参照)を接種して、振盪機上で25℃、140rpmでインキュベートした。ほぼ360時間後に本発明に従うユーロチノンの最大生産量を達成した。同一栄養溶液からの96ないし144時間を経た液内培養物(接種量ほぼ10%)は、10ないし200lの容積の培養槽に接種するために十分であった。これらの培養槽に対する条件は:
温度25℃
撹拌速度:200rpm
通気15l分-1
泡沫の形成は、エタノール性ポリオール溶液を繰り返し添加することによって抑制することができた。生産量の最大値にはほぼ96ないし144時間後に達した。
【実施例5】
【0056】
固形培地上の培養からのユーロチノンの単離
実施例3に記載したとおりにインキュベートした150枚の固形培地平板を凍結乾燥させ、そしてその後凍結乾燥産物をメタノール(20−30l)で抽出した。メタノール抽出物を真空下で10lまで減少させ、そしてメタノール含量10%まで水で希釈した。その後この希釈した抽出物を、ほぼ2リットルのMCl−Gel(R)CHP−20P マテリアル[三菱ケミカルズ(Mitsubishi Chemicals)、日本、からの吸着樹脂]を充填した分取用ガラスカラム[BPG 100、4lの内容積、ファーマシア・バイオテク(Pharmacia Biotech)から]上に負荷した。このカラムを100%水ないし100%イソプロピルアルコールの勾配で溶離した。カラムフロースルー(1l/6分)を分画(各々1l)にして集めた。すべての分画をKDR検定で試験して、活性な分画(分画6−14)をプールした。これらの分画を真空下で約10lまで減少させ、この溶液を、出発溶液の含量が10%になるように再度水で希釈した。得られた溶液を再度、ほぼ1.5リットルのMCl−Gel(R)CHP−20P マテリアルを充填したカラム(上記参照)上に負荷した。このカラムを100%水ないし100%アセトニトリルの勾配で溶離した。カラムフロースルー(1l/6分)を分画(各々1l)にして集めて、試験において活性であった分画(分画4−11)を再度プールした。これらの分画を真空下で濃縮して体積減少させ、その後凍結乾燥させて、ほぼ16gの褐色粉末を得た。
【実施例6】
【0057】
クロマトグラフィーを使用したユーロチノンの精製
ほぼ2gの実施例5に記載したとおりにして得た粉末をLUNA(R)10μ C18(2)プレカラム(サイズ:21.2mm×60mm)を備えたLUNA(R)10μ C18(2)カラム[サイズ:50mm×250mm、フェノメネクス(Phenomenex)、ドイツ、から]上に負荷して、0.1%酢酸アンモニウム/水中の10%ないし40%アセトニトリルの勾配を使用して40分かけてクロマトグラフにかけた。溶離剤の流量は、125ml/分であり、そして分画サイズは、125mlであった。ユーロチノンは、分画14および15中にあった。これらの分画を凍結乾燥させて、ほぼ320mgの濃縮されたユーロチノンを得た。上記と同一のRP−18カラム上で実施するHPLCによるそれ以上の精製工程を、30分で20%から30%までの勾配を使用して実施した。ユーロチノンを含有する分画を合わせて、脱塩し、そして凍結乾燥させた。この結果210mgのユーロチノン(化合物1)(純度>95%)を得た。この場合にも、個々の分離工程からのすべての分画を生物学的検定法で研究した。
【実施例7】
【0058】
ユーロチノンのメチル化
35mg(=0.12ミリモル)の実施例6に記載したとおりにして得たユーロチノンをMeOH(5ml)に溶解させて、その後トリメチルシリルジアゾメタンを6−倍モル過剰で加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌してから、濃縮乾燥させた。得られた混合物をLUNA(R)5μ C18(2)カラム(サイズ:10mm×250mm)上でクロマトグラフにかけて分別した。0.1%酢酸アンモニウムを加えて存在させた水中の20%から60%までのアセトニトリルの勾配を使用して、流量6.5ml/分で50分かけて溶離を実施した。カラム流動を分画(各々6.5mlづつの分画)にして集めた。分画19−22は、7.5mgのジメチル誘導体2,12−ジメチルユーロチノン(化合物2)を含有し、一方分画23−25は、6mgのモノメチル誘導体2−メチルユーロチノン(化合物3)を含有した。
【実施例8】
【0059】
ユーロチノン(化合物1)の特性決定
ユーロチノンの物理化学的および分光特性を下記のように要約することができた:
実験式:C15H12O6
構造式:
【化6】
分子量:288
UV最大:200、262および330nm
1H NMRおよび13C NMR:表1参照
【0060】
【表1】
【実施例9】
【0061】
2,12−ジメチルユーロチノン(化合物2)の特性決定
2,12−ジメチルユーロチノンの物理化学的および分光特性を下記のように要約することができた:
実験式:C17H16O6
構造式:
【化7】
分子量:316
UV最大:200、262および330nm
1H NMRおよび13C NMR:表2参照
【0062】
【表2】
【実施例10】
【0063】
2−メチルユーロチノン(化合物3)の特性決定
2−メチルユーロチノンの物理化学的および分光特性を下記のように要約することができた:
実験式:C16H14O6
構造式:
【化8】
分子量:302
UV最大:200、262および330nm
1H NMRおよび13C NMR:表3参照
【0064】
【表3】
【実施例11】
【0065】
KDRキナーゼ活性の研究
KDRキナーゼは、384−ウェルの微量定量プレート[コーテッド・フラッシュプレーツ(Coated FlashPlates)、NEN ライフ・サイエンス(Life Science)]中で精製した酵素を使用して決定した。酵素活性は、特異ペプチド基質をリン酸化することによって決定した。先に調製した、濃度100、50、25、12.5、6.25、3.125、1.5625、0.7813、0.3906、0.195、0.094、0.047および0μMを有する一連のユーロチノンの希釈溶液を、相当する順序で実験検定中にピペットで加えた。次に反応混合物(放射性標識したATP、pH7.4の緩衝溶液および酵素溶液)を加えて、全体を室温で1時間インキュベートした。
【0066】
KDR検定の説明:
物質および方法:
プレート:NEN ライフ・サイエンス(life science)からの384−ウェルのフラッシュプレーツ(FlashPlates)
リーダー:ワラック・マイクロベータ・トリラックス(Wallac MicroBeta Trilux)計数器
試薬:
基質ペプチド:PLCγ1
酵素:KDRキナーゼ(VEGF受容体)
キナーゼ緩衝剤:
50mM MOPS、pH7.4、10mM MgCl2、2mM DTT、2.5mM
EDTA、10mM β−グリセロホスフェート、1mMオルトバナデートおよび1mMフッ化ナトリウム。
コーティング用溶液:
20μgペプチド基質/ml PBS緩衝液(Mg++を含まない、Ca++を含まない)
ATP溶液:25μCiの33P−γ−ATP/mlおよび12.5μMの冷ATP
KDR酵素溶液:3.5μg/mlキナーゼ緩衝液
洗浄溶液:PBS(Mg++を含まない、Ca++を含まない)
384−ウェルのフラッシュプレーツ(FlashPlates)を4℃で一晩、60μl(1.2μg/ウェル)のペプチド基質でコーティングした後、3×各々80μlのPBSで洗浄した。こうしてコーティングしたプレートは、4℃で比較的短時間、そして−20℃でより長期間保存することができた。
反応:最終体積50μl中に、検定は、
10μlの希釈したユーロチノン溶液
20μlの濃度3.5μg/mlの酵素溶液(70ng/ウェル)
20μlのATP溶液(最終濃度0.5μCiの熱ATPおよび5μMの冷ATP/ウェル)
を含有した。
【0067】
反応混合物を室温で1時間放置した。
その後プレートを各々75μlの洗浄溶液で3回洗浄し、そしてマイクロベータ(MicroBeta)計数器[ワラック(Wallac)]中で30秒間かけて放射能を測定した。
【0068】
すべての試料を最終濃度1:30で二重反復して試験した。全酵素活性(=酵素制御)を試験するために各プレートについて16ウェルを使用した。非特異阻害について試験するために別の16ウェルを、基質を用いないで、4μgカゼイン/ウェルでコーティングした。
【0069】
KDRキナーゼの活性は、ATPからの放射性リン酸塩の基質への組み入れによって測定し、そしてユーロチノンの阻害効果(IC50)をこの組み入れから計算した。
阻害は:
[1−(試料CMP−非特異CMP)/(酵素制御CMP−非特異CMP)]×100(%)
として計算した。
IC50値[μM]:
ユーロチノン(化合物1): 22
2,12−ジメチルユーロチノン(化合物2) 155
2−メチルユーロチノン(化合物3) 18
Claims (19)
- そのすべての立体化学形、およびいずれかの比率のこれらの形の混合物の、R(1)、R(2)、R(3)およびR(4)が相互に独立して水素、(C1−C6)−アルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−アルキニル;C3−C6−シクロアルキルまたは(C1−C3)−アルキル−(C3−C6)−シクロアルキル(ここで上記のアルキル基は、必要によって、1個またはそれ以上の基によって置換されることができる)である請求項1に記載の式Iの化合物、およびその生理学的に許容される塩。
- そのすべての立体化学形、およびいずれかの比率のこれらの形の混合物の、R(1)、R(2)、R(3)およびR(4)が相互に独立して水素または(C1−C6)−アルキルである請求項1または2に記載の式Iの化合物、およびその生理学的に許容される塩。
- R(1)、R(2)、R(3)およびR(4)が相互に独立して水素またはメチルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の式Iの化合物、およびその生理学的に許容される塩。
- R(1)、R(2)、R(3)およびR(4)が水素である請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物、およびその生理学的に許容される塩。
- 微生物ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(Eurotium echinulatum Delacroix)(DSM 13872)、またはその変異株もしくは突然変異体の1種を、培地中、適当な条件下で1種またはそれ以上の式Iの化合物が集積するまで培養し、その後培地からこの化合物を単離し、そして必要によってそれを式Iの誘導体にまたは生理学的に許容される塩に変換することによって製造することができる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその生理学的に許容される塩。
- 微生物ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(DSM 13872)、またはその変異株もしくは突然変異体の1種を、培地中、適当な条件下で1種またはそれ以上の式Iの化合物が培地中に集積するまで培養すること、およびその後培地からそれを単離すること、および必要によってそれを式Iの誘導体にまたは生理学的に許容される塩に変換することを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその生理学的に許容される塩を製造する方法。
- 培養を温度20ないし35℃、そしてpH6.5ないし7.5で好気条件下で実施する、請求項9に記載の方法。
- ユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(DSM 13872)。
- 医薬として使用するための請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその生理学的に許容される塩。
- KDRキナーゼを阻害するための医薬として使用するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその生理学的に許容される塩。
- 脈管形成を阻害するための医薬として使用するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその生理学的に許容される塩。
- 少なくとも1種の請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその生理学的に許容される塩の成分を有する医薬製剤。
- 付加的に細胞増殖抑制剤を含む、請求項15に記載の医薬製剤。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその生理学的に許容される塩を適当な補助物質および/またはキャリヤー物質と共に適当な投与形にすることを含む、請求項15に記載の医薬製剤を製造する方法。
- 悪性疾患を治療するために使用するための、請求項15または16に記載の医薬製剤。
- KDRキナーゼ阻害剤を単離するためのユーロチウム・エキヌラタム・デラクロア(DSM 13872)の使用。
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