JP2005502702A - 結晶テトラヒドロベンゾチエピンの調製法 - Google Patents
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Abstract
いくつかの態様の中で、本発明は、テトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド化合物を調製するための改善されたプロセスを提供し;テトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド化合物の単一のジアステレオマーからそのような化合物のジアステレオマー混合物を調製するプロセスを提供し;3-ブロモ-2-置換プロピオンアルデヒド化合物を調製するプロセスを提供し;3-チオ-2-置換プロピオンアルデヒド化合物を調製するプロセスを提供し;かつ高純度で溶媒不純物のレベルが低い、ASBT阻害剤の単結晶を調製するプロセスを提供する。
Description
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、頂端ナトリウム共依存性胆汁酸輸送(apical sodium co-dependent bile acid transport:ASBT)阻害剤の結晶体の調製、特に最終生成物中に残存する溶媒レベルが低い、ベンゾチエピンASBT阻害剤の調製に関する。本発明は特に、テトラヒドロベンゾチエピンオキシドASBT阻害剤の調製法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
回腸組織を通過しての胆汁酸の輸送を阻害する物質が血清中のコレステロールレベルの低下も引き起こしうることは十分に確立されている。「Interaction of bile acids and cholesterol with nonsystemic agents having hypocholesterolemic properties」、Biochimica et Biophysica Acta, 1210 (1994) 255-287でStedronskiは胆汁酸およびコレステロール周辺の生化学、生理学、および既知の活性物質につて論じている。胆汁酸は、回腸胆汁酸輸送体(IBAT)としても知られている、頂端ナトリウム共依存性胆汁酸輸送体(ASBT)により、回腸組織を通過して能動的に輸送される。
【0003】
一連のASBT阻害化合物は、最近になって血清コレステロールレベルに影響をおよぼすのに有用であることが判明し、テトラヒドロベンゾチエピンオキシド(THBO化合物、PCT特許出願国際公開公報第96/08484号)を含む。さらに、ASBT阻害剤として有用なTHBO化合物は、PCT特許出願国際公開公報第97/33882号に記載されている。ASBT阻害剤として有用な他のTHBO化合物は、米国特許第5,994,391号に記載されている。さらに、ASBT阻害剤として有用なTHBO化合物は、PCT特許出願国際公開公報第99/64409号に記載されている。THBO群に含まれるものとしては、テトラヒドロベンゾチエピン-1-オキシドおよびテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドがある。THBO化合物は、フェニル環が7員環に縮合している化学構造を有する。
【0004】
THBO化合物調製のための発表されている方法には、芳香族スルホンアルデヒド中間体を通じての合成が含まれる。例えば、式1に示すとおり、1-(2,2-ジブチル-3-オキソプロピルスルホニル)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)ベンゼン(29)をカリウムt-ブトキシドで環化させてテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド(syn-24)が生成した。
【0005】
化合物29は、2-クロロ-5-ニトロ安息香酸塩化物をアニソールと、三塩化アルミニウム存在下で反応させることによりクロロベンゾフェノン化合物を生成し;クロロベンゾフェノン化合物をトリフルオロメタンスルホン酸およびトリエチルシラン存在下で還元してクロロジフェニルメタン化合物を生成し;クロロジフェニルメタン化合物を硫化リチウムおよび2,2-ジブチル-3-(メタンスルホナート)プロパナールで処理して1-(2,2-ジブチル-3-オキソプロピルチオ)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)-4-ジメチルアミノベンゼン(40)を生成し;かつ40をm-クロロ過安息香酸で酸化して29を生成した。化合物29の調製法の第一段階は、対応するカルボン酸と五塩化リンとの反応により調製した腐蝕性で反応性のカルボン酸塩化物の使用を必要とする。五塩化リンは容易に加水分解して揮発性で危険な塩化水素を生成する。2,2-ジブチル-3-(メタンスルホナート)プロパナールの硫化リチウムおよびクロロジフェニルメタン化合物との反応は、2,2-ジブチル-3-(メタンスルホナート)プロパナールのtheを生じるために環状スズ化合物の仲介を必要とした。スズ化合物は高価であり、有毒な廃水を生じる。
【0006】
国際公開公報第97/33882号では、化合物syn-24を三臭化ホウ素を用いて脱アルキル化し、フェノール化合物28を生成した。三臭化ホウ素は、臭化水素ガスを発生し、特別な取り扱いを要する、腐蝕性で危険な物質である。加水分解により、三臭化ホウ素はホウ酸塩も生じるが、分離および処分に費用と時間がかかる。
THBO化合物調製の別法が国際公開公報第97/33882号に記載されており、そこでは1,3-プロパンジオールを塩化チオニルと反応させて環状亜硫酸エステル化合物を生成した。環状亜硫酸エステル化合物を酸化して環状硫酸エステル化合物を生じた。環状硫酸エステル化合物を、水素化ナトリウムで脱プロトン化した2-メチルチオフェノールと縮合させた。縮合生成物は(2-メチルフェニル)(3'-ヒドロキシプロピル)チオエーテル化合物であった。チオエーテル化合物を酸化してチオエーテルアルデヒド化合物を生成した。チオエーテルアルデヒド化合物はさらに酸化してアルデヒドスルホン化合物を生じ、これは次にカリウムt-ブトキシド存在下で環化させて4-ヒドロキシテトラヒドロベンゾチエピン1,1-ジオキシド化合物を生成した。このTHBO化合物への環状硫酸エステル経路は、高価な触媒を必要とする。加えて、取り扱いに特別な装置を必要とするSOCl2を使用しなければならない。
【0007】
PCT特許出願国際公開公報第97/33882号は、フェノール化合物28をそのフェノールヒドロキシ基で反応させて、4級アンモニウム基などの様々な官能基を分子に結合する方法を記載している。例えば、(4R,5R)-28を1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン(?,??'-ジクロロ-p-キシレン)と反応させてクロロメチルベンジルエーテル(4R,5R)-27を生じた。化合物(4R,5R)-27をジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)で処理して、(4R,5R)-1-((4-(4-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンゾチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩化物(41)を生成した。この方法は、化合物(4R,5R)-28の二つの分子が1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼンの一つの分子と反応して、ビス(ベンゾチエピン)付加物を生じる傾向があるため、収率が低いという欠点がある。ビス付加物がいったん生成すると、化合物(4R,5R)-27の反応性クロロメチル基はアミンと反応して4級アンモニウム生成物を生じることができない。
【0008】
鏡像異性的に純度が高いテトラヒドロベンゾチエピンオキシドの調製法がPCT特許出願国際公開公報第99/32478号に記載されている。この方法では、アリール-3-ヒドロキシプロピルスルフィド化合物を不斉酸化剤、例えば(1R)-(-)-(8,9-ジクロロ-10-カンファースルホニル)オキサジリジンで酸化して、キラルなアリール-3-ヒドロキシプロピルスルホキシドが得られた。アリール-3-ヒドロキシプロピルスルホキシドの三酸化硫黄ピリジン複合体などの酸化剤との反応により、アリール-3-プロパナールスルホキシドが生じた。アリール-3-プロパナールスルホキシドをカリウムt-ブトキシドなどの塩基で環化させて、テトラヒドロベンゾチエピン-1-オキシドがエナンチオ選択的に生成した。テトラヒドロベンゾチエピン-1-オキシドをさらに酸化して、テトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドを生じた。この方法は鏡像異性的に高純度のテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドを生成しうるが、高価な不斉酸化剤を使用しなければならない。
【0009】
いくつかの5-アミドベンゾチエピン化合物およびそれらの製造法が、PCT特許出願国際公開公報第92/18462号に記載されている。
【0010】
Synlett, 9, 943-944(1995)では、2-ブロモフェニル-3-ベンゾイルオキシ-1-ブテン-4-イルスルホンを水素化トリブチルスズおよびAIBNで処理して3-ベンゾイルオキシテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドを生成した。
【0011】
所望のASBT阻害剤を生成することに加えて、高純度で残留溶媒不純物のレベルが低いASBT阻害剤を生成することも望ましい。これは、正に荷電した置換基を有するASBT阻害剤、例えば41(上記)および60(下記)で示す化合物に関して特にあてはまる。
【0012】
さらに、そのような高純度ASBT阻害剤の製造法を提供することも望ましい。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
テトラヒドロベンゾチエピン合成および4-ヒドロキシ-5-フェニルテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド化合物のコレステロール低下治療薬としての有用性の分野における進行中の研究は、これらの化合物の経済的かつ実用的調製法が継続的に必要とされていることを示している。
【0014】
発明者らはここに、最終生成物中の溶媒不純物のレベルが低い、高純度テトラヒドロベンゾチエピン化合物の新規調製法を報告する。本発明のいくつかの態様の中でも、テトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド化合物を調製するための改善されたプロセスの提供;テトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド化合物の単一のジアステレオマーからそのような化合物のジアステレオマー混合物を調製するプロセスの提供;3-ブロモ-2-置換プロピオンアルデヒド化合物を調製するプロセスの提供;3-チオ-2-置換プロピオンアルデヒド化合物を調製するプロセス;および最終生成物中の溶媒不純物のレベルが低い、高純度ASBT化合物、例えば正に荷電した置換基を有するASBT化合物、式41(上記)および60(下記)のASBT化合物を生成するための再結晶手順の提供が注目される。
【0015】
したがって要するに、本発明は式60の構造を有するベンジルアンモニウム化合物:
の調製法、および化合物60の結晶体を得るための化合物60の再結晶法であって、式61の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物:
を誘導体化条件下で処理して式62の構造を有する誘導体化ベンジルエーテル化合物:
を生成する段階と、
誘導体化ベンジルエーテル化合物を式42の構造を有するアミン:
とアミノ化条件下で接触させ、それによりベンジルアンモニウム化合物またはその誘導体を生成する段階と
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-は薬学的に許容される陰イオンであり、Mは薬学的に許容される陽イオンであり;かつ
Xは求核置換脱離基である)、
化合物60の精製結晶体を得るのに十分な再結晶条件下で化合物60を再結晶化する段階とを含む方法を目的とする。
【0016】
本発明は式1の構造を有するベンジルアンモニウム化合物:
の調製法であって、式6の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物:
を誘導体化条件下で処理して式2の構造を有する誘導体化ベンジルエーテル化合物:
を生成する段階と、
誘導体化ベンジルエーテル化合物を式42の構造を有するアミン:
とアミノ化条件下で接触させ、それによりベンジルアンモニウム化合物またはその誘導体を生成する段階と(式中:R1、R2、R3、R4、R5、およびXは前述の定義のとおりである)、
化合物1の精製結晶体を得るのに十分な再結晶条件下で化合物1を再結晶化する段階とを含む方法も目的とする。
【0017】
本発明はさらに、式1の構造を有するベンジルアンモニウム化合物の調製法であって、式14の構造を有する保護フェノール化合物:
を式15の構造を有する置換ベンゾイル化合物:
によりアシル化条件下で処理して式13の構造を有する置換ベンゾフェノン化合物:
を生成する段階と;
置換ベンゾフェノン化合物を還元して式11の構造を有する置換ジフェニルメタン化合物:
を生成する段階と;
置換ジフェニルメタン化合物を式12の構造を有する置換プロピオンアルデヒド化合物:
と硫黄供給源存在下でカップリングさせて式10の構造を有するニトロスルフィドアルデヒド化合物:
を生成する段階と;
ニトロスルフィドアルデヒド化合物を酸化して式9の構造を有するニトロスルホンアルデヒド化合物:
を生成する段階と;
ニトロスルホンアルデヒド化合物を還元的にアルキル化して式8の構造を有するアミノスルホンアルデヒド化合物:
を生成する段階と;
アミノスルホンアルデヒド化合物を環化条件下で処理して式7の構造を有する保護フェノール化合物:
を生成する段階と;
保護フェノール化合物を脱保護して式4の構造を有するフェノール化合物:
を生成する段階と;
フェノール化合物を式5の構造を有する置換キシレン:
と置換条件下でカップリングさせて式6の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物を生成する段階と、ベンジルアルコールエーテル化合物を誘導体化条件下で処理して式2の構造を有する誘導体化ベンジルエーテル化合物を生成する段階と;誘導体化ベンジルエーテル化合物を式42の構造を有するアミンとアミノ化条件下で処理してベンジルアンモニウム化合物1を生成する段階と;(式中:R1、R2、R3、R4、およびR5は前述の定義のとおりであり;R6は保護基であり、XおよびX4は独立に求核置換脱離基であり、X2はクロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、およびトリフルオロメタンスルホナートからなる群より選択され;X3は芳香族置換脱離基であり;かつX5はヒドロキシおよびハロからなる群より選択される);化合物1の精製結晶体を得るのに十分な再結晶条件下で化合物1を再結晶化する段階とを含む方法も目的とする。
【0018】
本発明は式1の構造を有するベンジルアンモニウム化合物の調製法であって、式18の構造を有するアセタール化合物:
を熱分解して式16の構造を有するアルケニルスルホンアルデヒド化合物:
を生成する段階
(式中、R1およびR6は前述の定義のとおりであり;R7はHおよびC1から約C17ヒドロカルビルからなる群より選択され;かつR13はHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択される)を含む方法も目的とする。
【0019】
もう一つの態様において、本発明は式22の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマー:
(ただし式22は(4S,5S)ジアステレオマー、(4R,5R)ジアステレオマー、(4R,5S)ジアステレオマー、および(4S,5R)ジアステレオマーからなる群より選択される(4,5)-ジアステレオマーを含み、かつ式中:
R8はH、ヒドロカルビル、複素環、((ヒドロキシアルキル)アリール)アルキル、((シクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、((ヘテロシクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、((4級ヘテロシクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、および4級ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、
ただしヒドロカルビル、複素環、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、および4級ヘテロアリールアルキルは選択的に、O、NR3、N+R3R4A-、S、SO、SO2、S+R3A-、PR3、P+R3R4A-、P(O)R3、フェニレン、炭水化物、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドからなる群より選択される部分で置き換えられた一つまたは複数の炭素を有し、かつ
R8はスルホアルキル、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択される一つまたは複数の部分で選択的に置換されており;
R1、R2、R3、R4、R5、R9、R23およびR24、n、A-、ならびにMは前述の定義のとおりであり;
X7はS、NH、またはOであり;かつ
xは1または2である)を処理して(4S,5S)ジアステレオマーおよび(4R,5R)ジアステレオマーを含む混合物を生成する方法であって、塩基をテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーを含む供給材料組成物と接触させ、それによりテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーの混合物を生成する段階を含む方法を目的とする。
【0020】
さらにもう一つの態様において、本発明は式22の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーを処理する方法であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーを脱離条件下で処理して式23の構造を有するジヒドロベンゾチエピン化合物:
(式中:
R1、R2、R8、R9、X7、およびnは前述の定義のとおりであり;かつ
xは0、1、または2である)
を生成する段階と、ジヒドロベンゾチエピン化合物を酸化してジアステレオマーの混合物を生成する段階とを含む方法を目的とする。
【0021】
本発明のもう一つの態様は、式12の構造を有する置換プロピオンアルデヒド化合物の調製法であって、式35の構造を有する置換プロパノール化合物:
(式中R1およびR2は前述の定義のとおりであり、かつX4は求核置換脱離基である)
を酸化する段階を含む方法を目的とする。
【0022】
もう一つの態様において、本発明は式(2)の構造を有する化合物(式中、R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり、かつXはBr、Iおよび化合物に酸素原子を介して共有結合された求核置換脱離基からなる群より選択される)を目的とする。
【0023】
もう一つの態様において、本発明は式71の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物:
またはその鏡像異性体の結晶体であって、約278℃から約285℃の融点または分解点を有し、かつ検定結果より化合物71の総重量に基づき、純度が少なくとも約99.0または約99.5%、ケトン溶媒含量が多くても約1.0重量%(好ましくは多くても0.5重量%)、および有機非ケトン溶媒(例えばトルエン)含量が多くても0.01重量%(好ましくは多くても0.004重量%、より好ましくは多くても0.001重量%、さらにより好ましくは多くても0.0005重量%)である結晶体を提供する。
【0024】
本発明のもう一つの態様は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の結晶体であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物は式71の構造を有し、かつ結晶体試料を本質的に乾燥窒素パージ下、本質的に相対湿度0%、約25℃で、試料が時間の関数として本質的に変化を示さなくなるまで乾燥した後、試料を相対湿度約80%、約25℃で平衡化した場合に、その重量増加がそれ自体の重量の1%未満であり、かつ検定結果より化合物71の総重量に基づき、純度が少なくとも約99.5%、ケトン溶媒含量が多くても約1.5重量%(好ましくは多くても1.3重量%)、およびトルエン溶媒含量が多くても0.5重量%(好ましくは多くても0.3重量%、より好ましくは多くても0.1重量%、さらにより好ましくは多くても0.01重量%)である結晶体を提供する。
【0025】
本発明のさらにもう一つの態様は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の結晶体であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物は式71またはその鏡像異性体の構造を有し、かつ結晶体はテトラヒドロベンゾチエピン化合物をメチルエチルケトン(またはその等価物)を含む溶媒から結晶化し、次いで化合物71をメチルエチルケトン(MEK;またはアセトン、メチルイソブチルケトンなどのその等価物)および水(またはエタノールなどのその等価物)を含む溶媒系から再結晶化することによって生成される結晶体を提供する。好ましくは、本発明の結晶体は化合物71の(4R,5R)-鏡像異性体を含む。
【0026】
もう一つの態様において、本発明は式63の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物:
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R9、およびnは前述の定義のとおりである)
の結晶体の調製法であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物をケトン(例えばメチルエチルケトンまたはアセトン、好ましくはメチルエチルケトン)、および水(ならびにそれらそれぞれの等価物)を含む溶媒系から結晶化と、次いで再結晶化する段階を含む方法を提供する。式63において、Q-は薬学的に許容される陰イオンである。
【0027】
もう一つの態様において、本発明は式41の化合物構造を有し、約278℃から約285℃の融点または分解点を有し、かつ検定結果より化合物71の総重量に基づき、純度が少なくとも約99.0%または約99.5%、ケトン溶媒含量が多くても約1.0重量%(好ましくは多くても0.5重量%)、および有機非ケトン溶媒(例えばトルエン)含量が多くても0.01重量%(好ましくは多くても0.004重量%、より好ましくは多くても0.001重量%、さらにより好ましくは多くても0.0005重量%)である、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の生成物結晶体の調製法であって、約220℃から約235℃の融点または分解点を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物の初期結晶体に熱をかけ、それにより生成物結晶体を形成する段階と、生成物結晶体をメチルエチルケトン(またはその等価物)および水(またはその等価物)を含む溶媒に溶解または再溶解する段階と、得られた溶液を加熱する段階と、化合物71の飽和または過飽和溶液(好ましくは、過飽和溶液の溶媒濃度は飽和溶液の濃度の4倍以上であるべきではない)を得るのにちょうど十分な追加のMEKを加える段階と、十分な量のMEKを加えて、最終生成物の総重量に基づき、ケトン溶媒含量が多くても1.0重量%で、いかなる他の有機溶媒含量も多くても0.01重量%である単結晶生成物を生成する段階とを含む方法を提供する。本発明が適用可能なさらなる範囲は、下記の詳細な説明を読めば明らかになると思われる。しかし、この詳細な説明から当業者であれば本発明の精神および範囲内での様々な変更および改変が明らかになると思われるため、下記の詳細な説明および実施例は、本発明の好ましい態様を示してはいるが、例示のために示すにすぎない。
【0028】
好ましい態様の詳細な説明
下記の詳細な説明は、当業者が本発明を実施する際の一助となるように提供するものである。それでも、本明細書の態様における改変および変動は当業者であれば本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができるため、この詳細な説明は本発明を不等に限定すると解釈されるべきではない。
【0029】
本明細書において引用される各文献の内容は、これらの最初の文献内に引用される文献の内容も含めて、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0030】
a. 定義
下記の定義は読者が本発明の詳細な説明を理解する際の一助となるように提供するものである:
【0031】
「ヒドロカルビル」とは、炭素および水素原子からなる有機化学基を意味する。その定義を限定する意味はないが、ヒドロカルビルなる用語にはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、炭素環、およびポリアルキルが含まれる。
【0032】
「アルキル」、「アルケニル」、および「アルキニル」は、特に記載のないかぎり、それぞれ本発明においてアルキルについては1から約20炭素、アルケニルおよびアルキニルについては2から約20炭素の直鎖または分枝鎖炭化水素基であり、したがってそれぞれ例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルと、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニル、およびエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、またはヘキシニルならびにその異性体を意味する。
【0033】
「アリール」とは、完全に不飽和の単環または多環式炭素環を意味し、置換または無置換フェニル、ナフチル、またはアントラセニルが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0034】
「複素環」とは、一つまたは複数の炭素原子がN、S、P、またはOで置換されていてもよい、飽和または不飽和単環または多環式炭素環を意味する。これには、例えば下記の構造:
(式中、Z、Z1、Z2またはZ3の一つが二重結合でもう一つのZ原子に結合されているか、またはもう一つのOもしくはS原子に結合されている場合、これは炭素以外であるがOまたはSではないとの条件で、Z、Z1、Z2またはZ3はC、S、P、O、またはNである)が含まれる。さらに、選択的置換基はZ、Z1、Z2またはZ3のそれぞれがCである場合にのみこれらに結合することが理解される。
【0035】
「ヘテロアリール」なる用語は、完全に不飽和の複素環を意味する。
【0036】
「複素環」または「ヘテロアリール」のいずれかにおいて、目的の分子への結合点はヘテロ原子でも、環内の他の部位でもよい。
【0037】
「4級複素環」なる用語は、少なくとも一つのヘテロ原子、例えばO、N、S、またはPがヘテロ原子が正に荷電されるような数の結合を有している複素環を意味する。4級複素環の目的の分子への結合点はヘテロ原子でも、他の部位でもよい。
【0038】
「4級ヘテロアリール」なる用語は、少なくとも一つのヘテロ原子、例えばO、N、S、またはPがヘテロ原子が正に荷電されるような数の結合を有しているヘテロアリールを意味する。4級ヘテロアリールの目的の分子への結合点はヘテロ原子でも、他の部位でもよい。
【0039】
「ハロゲン」なる用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード基を意味する。
【0040】
「ハロアルキル」なる用語は、一つまたは複数のハロゲンで置換されたアルキルを意味する。
【0041】
「シクロアルキル」なる用語は、各環が3から10個の炭素原子を含み、任意の環が一つまたは複数の二重または三重結合を含んでいてもよい、単環または多環式炭素環を意味する。例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロアルケニル、およびシクロヘプチルなどの基が含まれる。「シクロアルキル」なる用語は、シクロアルキル環が炭素環原子をベンゾチエピンの7員複素環と共有しているスピロ系をさらに含む。
【0042】
「オキソ」なる用語は二重結合された酸素を意味する。
【0043】
「ポリアルキル」なる用語は、約20,000まで、より好ましくは約10,000まで、最も好ましくは約5,000までの分子量を有する分枝または直鎖炭化水素鎖を意味する。
【0044】
「アリールアルキル」なる用語は、ベンジルなどのアリール置換アルキル基を意味する。「アルキルアリールアルキル」なる用語は、アリール基上で一つまたは複数のアルキル基によって置換されたアリールアルキル基を意味する。
【0045】
「ヘテロシクリルアルキル」なる用語は、一つまたは複数の複素環基で置換されたアルキル基を意味する。好ましいヘテロシクリルアルキル基は1から10個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数の複素環基を有する「低級ヘテロシクリルアルキル」基である。
【0046】
「ヘテロアリールアルキル」なる用語は、一つまたは複数のヘテロアリール基で置換されたアルキル基を意味する。好ましいヘテロアリールアルキル基は1から10個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数のヘテロアリール基を有する「低級ヘテロアリールアルキル」基である。
【0047】
「4級ヘテロシクリルアルキル」なる用語は、一つまたは複数の4級複素環基で置換されたアルキル基を意味する。好ましい4級ヘテロシクリルアルキル基は1から10個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数の4級複素環基を有する「低級4級ヘテロシクリルアルキル」基である。
【0048】
「4級ヘテロアリールアルキル」なる用語は、一つまたは複数の4級ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を意味する。好ましい4級ヘテロアリールアルキル基は1から10個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数の4級ヘテロアリール基を有する「低級4級ヘテロアリールアルキル」基である。
【0049】
「アルコキシ」なる用語は、メトキシ基などの酸素原子に結合されたアルキル基を含む基を意味する。より好ましいアルコキシ基は1から10個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。そのような基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシおよびtert-ブトキシが含まれる。
【0050】
「カルボキシ」なる用語は、カルボキシ基、-CO2H、またはその塩を意味する。
【0051】
「カルボアルコキシアルキル」なる用語は、一つまたは複数のアルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基を意味する。好ましいカルボアルコキシアルキル基は1から6個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数のアルコキシカルボニル基を有する「低級カルボアルコキシアルキル」基である。
【0052】
組み合わせて、例えば「アルキルアリール」または「アリールアルキル」で用いる場合、前述の個々の用語は前述の意味を有する。
【0053】
本明細書において用いられるMeはメチルを意味し;Etはエチルを意味し;Prはプロピルを意味し;i-PrまたはPriはそれぞれイソプロピルを意味し;Buはブチルを意味し;t-BuまたはButはそれぞれtert-ブチルを意味し;Pyはピリジンを意味する。
【0054】
「誘導体」なる用語は、別の化学物質のものと類似の構造部分を含む化合物を意味する。誘導体なる用語には、例えば共役酸、共役塩基、遊離塩基、遊離酸、ラセミ体、塩、エステル、保護基で保護された化合物、互変異性体、立体異性体、置換化合物、およびプロドラッグが含まれる。
【0055】
化合物が少なくとも一つのキラル中心を有する場合、「立体異性体」なる用語は各鏡像異性体および各ジアステレオマーを含む。化合物が脂肪族二重結合を有する場合、「立体異性体」なる用語は各シスまたはZ異性体ならびに各トランスまたはE異性体を含む。
【0056】
構造図において、化学結合が白い楔形で表されている場合、そのような表示は結合がページの平面から下向き、またはページの平面から上向きのいずれかでありうることを意味している。構造図において、複数の結合が図中で白い楔形で表されている場合(例えば式1の構造)、そのように示された結合はシン配座である。すなわち、そのような結合はすべてページの平面から下向きであるか、またはそのような結合はすべてページの平面から上向きである。
【0057】
構造図において、化学結合が黒塗りの楔形で表されている場合、そのような表示は結合がページの平面から上向きであることを意味し、特定の立体化学を表している。
【0058】
構造図において、化学結合が破線の楔形で表されている場合(例えば化合物41の構造)、そのような表示は結合がページの下向きであることを意味し、特定の立体化学を表している。
【0059】
構造図において、化学結合が波線で表されている場合(例えば化合物24の構造)、そのような表示は結合が任意の立体化学をとることができ、その隣接する任意の結合とシン、アンチ、シス、またはトランスでありうることを意味している。
【0060】
b. プロセスの詳細
本発明に従い、式1の構造を有するベンジルアンモニウム化合物を経済的に調製するためのプロセスであって、式6の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物を誘導体化条件下で処理して式2の構造を有する誘導体化ベンジルエーテル化合物を生成する段階と、誘導体化ベンジルエーテル化合物を式42の構造を有するアミンとアミノ化条件下で接触させ、それによりベンジルアンモニウム化合物またはその誘導体を生成する段階と(式中:R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;かつXは求核置換脱離基である);最終的に化合物1を再結晶して、検定結果より化合物1の総重量に基づき、純度が少なくとも約99.0%または約99.5%、ケトン溶媒含量が多くても約1.0重量%(好ましくは多くても0.5重量%)、および有機非ケトン溶媒(例えばトルエン)含量が多くても0.01重量%(好ましくは多くても0.004重量%、より好ましくは多くても0.001重量%、さらにより好ましくは多くても0.0005重量%)である、化合物 1 の精製結晶体を得る段階とを含むプロセスが見いだされた。化合物(6)の化合物(1)への変換を反応式2に示す。
【0061】
基R3、R4、およびR5は独立にその構造および組成が大きく変動することがあるが、これらは本発明の範囲内である。一つの態様において、R3、R4、およびR5は独立にHまたはC1から約C20ヒドロカルビルでありうる。好ましくは、R3、R4、およびR5は独立にHまたはC1から約C10ヒドロカルビル;より好ましくは独立にC1から約C10ヒドロカルビル;さらにより好ましくは独立にC1から約C5ヒドロカルビルでありうる。好ましい態様において、R3、R4、およびR5は独立にメチル、エチル、またはプロピルでありうる。例えば、R3、R4、およびR5はそれぞれメチルであってもよく、式42のアミンはトリメチルアミンであってもよい。または、R3、R4、およびR5はそれぞれエチルであってもよく、式42のアミンはトリエチルアミンであってもよい。
【0062】
もう一つの態様において、式42のアミンはその構造として、またはその下部構造の一つとして、複素環を含むこともできる。アミンは複数の環を有していてもよく、例えば、二環式複素環を含んでいてもよい。好ましい態様において、アミンは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)であり、ベンジルアンモニウム化合物は式3の構造を有する。
【0063】
基R1およびR2も本発明の方法において大きく変動することがある。例えば、R1およびR2は独立にC1から約C10ヒドロカルビル;好ましくはR1およびR2は独立にC1から約C5ヒドロカルビルでありうる。一つの好ましい態様において、R1およびR2はいずれもブチルである。
【0064】
ベンジルアンモニウム化合物1は本質的に鏡像異性体のラセミ混合物であってもよく、または一つの鏡像異性体がもう一方の鏡像異性体よりも多くてもよい。例えば、R1およびR2がいずれもブチルである場合、化合物1は本質的に鏡像異性体のラセミ混合物であってもよく、または化合物1は(4S,5S)鏡像異性体よりも多い(4R,5R)鏡像異性体を含んでいてもよい。
【0065】
もう一つの好ましい態様において、R1およびR2の一方はエチルであり、R1およびR2の他方はブチルである。そのような場合、化合物1は本質的に鏡像異性体のラセミ混合物であってもよく、または化合物1は(3S)鏡像異性体よりも多い(3R)鏡像異性体を含んでいてもよい。または、化合物1は(3R)鏡像異性体よりも多い(3S)鏡像異性体を含んでいてもよい。
【0066】
式1の構造におけるXは大きく変動することがあり、薬学的に許容される陰イオンまたは薬学的に許容される陰イオンと交換可能な陰イオンを生じる任意の求核脱離基を本質的に表していてもよい。すなわち、X-は薬学的に許容される陰イオンであるか、または薬学的に許容される陰イオンと交換可能な陰イオンである。例えば、Xはクロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、およびトリフルオロメタンスルホナートでありうる。好ましくはXはクロロ、ブロモ、またはヨードであり、より好ましくはXはクロロである。
【0067】
薬学的に許容される塩は、対応する親または中性化合物に比べて水溶性が高いため、これらは本発明の方法の生成物として特に有用である。そのような塩は薬学的に許容される陰イオンまたは陽イオンを有していなければならない。本発明の化合物の適当な薬学的に許容される酸付加塩には、可能であれば、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、フルオロホウ酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、炭酸(炭酸陰イオンおよび炭酸水素陰イオンを含む)、スルホン酸、および硫酸などの無機酸、ならびに酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸、およびトリフルオロ酢酸などの有機酸由来のものが含まれる。塩化物塩は医薬品用に特に好ましい。適当な薬学的に許容される塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩、ならびにマグネシウムおよびカルシウム塩などのアルカリ土類塩が含まれる。
【0068】
化合物1を生成する場合、これは調製したままで用いることもでき、またはさらに加工することもできる。例えば、陰イオンX-は、例えばイオン交換クロマトグラフィなどのイオン交換法によって任意の薬学的に許容される陰イオンと交換することができる。
【0069】
化合物2および化合物42が反応してベンジルアンモニウム化合物1を生じるアミノ化条件は強く、大きく変動することもある。例えば、アミノ化は溶媒なしのニートで実施することもでき、またはアミノ化条件は溶媒を含んでいてもよい。溶媒を用いる場合、その溶媒は親水性もしくは疎水性の性質を有していてもよく、または親水性および疎水性の両方の性質を有していてもよい。溶媒が親水性溶媒を含む場合、親水性溶媒は、例えば水;アセトニトリルなどのニトリル;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、もしくはメチルt-ブチルエーテルなどのエーテル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、もしくはブタノールなどのアルコール;アセトンもしくはメチルエチルケトンなどのケトン;または酢酸エチルなどのエステルを含むことができる。溶媒が疎水性溶媒を含む場合、疎水性溶媒は、例えばC1から約C20脂肪族炭化水素などの脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、もしくはメシチレンなどの芳香族溶媒;または塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリフルオロメチルベンゼン、もしくはクロロベンゼンなどのハロゲン化溶媒を含むことができる。または溶媒は親水性および疎水性溶媒の混合物を含むこともできる。一つの好ましい態様において、溶媒はメチルエチルケトンおよび水の混合物を含む。さらなる好ましい態様において、溶媒はメチルエチルケトン、トルエン、および水の混合物を含む。化合物42よりも求核性の低い本質的にいかなる溶媒も、アミノ化反応における溶媒として用いることができる。好ましくは、アミノ化は、試薬および生成物が反応の大部分において実質的に均質な溶液である条件下で実施する。
【0070】
アミノ化は広い温度範囲で進行することができ、好ましくは約0℃から約120℃、より好ましくは約15℃から約110℃、さらにより好ましくは約30℃から約100℃、さらにより好ましくは約45℃から約90℃の範囲内で実施する。アミノ化は、還流中のメチルエチルケトンなどの還流中の溶媒中で都合よく実施することもできる。好ましくは、メチルエチルケトン中の還流は周囲温度で実施する。
【0071】
ベンジルアルコールエーテル化合物6を反応させて式2の誘導体化ベンジルエーテル化合物を生成する誘導体化条件は、ベンジルアルコール基をアミノ化条件などの求核置換条件下で不安定な基に変換するための当技術分野において公知の本質的にいかなる条件も含むことができる。例えば、誘導体化条件は、化合物6をハロゲン化剤と接触させることを含んでいてもよい。有用なハロゲン化剤には、ハロゲン化チオニル、ハロゲン化スルフリル、三ハロゲン化リン、五ハロゲン化リン、ハロゲン化オキサリル、およびハロゲン化水素が含まれる。本発明のプロセスにおいて有用なハロゲン化剤は、好ましくは塩素化剤または臭素化剤であり、より好ましくは塩素化剤である。例えば、ハロゲン化剤は塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、または塩化水素であってもよく、好ましくはハロゲン化剤は塩化チオニル、三塩化リン、および五塩化リンから選択される。より好ましくは、ハロゲン化剤は塩化チオニルである。または、ハロゲン化剤はトリフェニルホスフィンなどのホスフィンと、四塩化炭素などの四ハロゲン化炭素との混合物を含むこともできる。ハロゲン化剤は反応混合物にいかなる形で加えることもできる。例えば、ハロゲン化剤は固体として、もしくは液体(例えば、ハロゲン化剤の融点よりも高い液体として、または溶媒中の溶液として)として加えることができ、またはハロゲン化剤は反応混合物に周囲圧、周囲よりも低い圧、もしくは高圧下のガスとして接触させることもできる。
【0072】
ハロゲン化剤が塩化チオニルである場合、ハロゲン化反応は広範な条件下で実施することができる。反応はニートで行うこともでき、または溶媒存在下で行うこともできる。特に有用な溶媒は非プロトン性溶媒である。例えば、溶媒は芳香族溶媒、塩素化溶媒、エーテル、アミド、エステル、または炭化水素を含むことができる。好ましい溶媒には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、およびN,N-ジメチルアセトアミドが含まれる。ハロゲン化剤が塩化チオニルである場合、反応は好ましくはトルエン中、本質的にいかなる好都合な温度でも実施することができる。好ましくは、反応は約0℃から約150℃、より好ましくは約10℃から約125℃、より好ましくは約15℃から約100℃、さらにより好ましくは約20℃から約75℃、さらにより好ましくは約20℃から約50℃の温度で行うことができる。
【0073】
または、化合物6を反応させて化合物2を生成する誘導体化条件は、化合物6のヒドロキシ基をスルホン化試薬でスルホン化してスルホン化化合物を生成する段階と、次いでスルホン化化合物をハロゲン化水素またはハロゲン化物塩などのハロゲン化物供給源で処理して化合物2を生成する段階とを含むこともできる。
【0074】
もう一つの態様において、誘導体化条件は、ベンジルヒドロキシル基を酸素脱離基、例えばメタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、またはトリフルオロメタンスルホナートに変換する条件を含んでいてもよい。ベンジルアルコールエーテル化合物6を、例えば、ハロゲン化アルキルスルホニル試薬またはハロゲン化アリールスルホニル試薬などのスルホン化試薬で処理することもできる。そのようなハロゲン化アルキルまたはアリールスルホニル試薬には、ハロゲン化メタンスルホニル、ハロゲン化トルエンスルホニル、ハロゲン化ベンゼンスルホニル、またはハロゲン化トリフルオロメタンスルホニルが含まれうる。好ましくは、試薬は塩化アルキルスルホニル試薬、塩化アリールスルホニル試薬、臭化アルキルスルホニル試薬、または臭化アリールスルホニル試薬である。より好ましくは、ハロゲン化スルホニル試薬は塩化メタンスルホニル、塩化トルエンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、または塩化トリフルオロメタンスルホニルなどの塩化スルホニル試薬である。
【0075】
本発明のプロセスにおいて、ベンジルアルコールエーテル化合物6を本質的に鏡像異性体のラセミ混合物として用いることもでき、または一つの鏡像異性体がもう一つの鏡像異性体より多くてもよい。例えば、化合物6は主に(4R,5R)絶対配置を有していてもよく、または主に(4S,5S)絶対配置を有していてもよい。または、化合物6は(4R,5R)および(4S,5S)絶対配置の混合物を含むこともできる。
【0076】
本発明の調製法は、式4の構造を有するフェノール化合物を式5の構造を有する置換キシレン化合物と置換条件下で接触させて、式6の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物を生成する段階(式中、X2は脱離基である)をさらに含むこともできる。フェノール化合物4は本質的にラセミ混合物を含んでいてもよく、または主に(4R,5R)の絶対配置を含んでいてもよい。または、化合物4は主に(4S,5S)の絶対配置を含んでいてもよい。化合物4の化合物6への変換を反応式3に示す。
【0077】
X2は本質的にベンジル炭素における求核置換のための当技術分野において公知のいかなる脱離基であってもよい。例えば、X2はハロまたはメタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、もしくはトリフルオロメタンスルホナートなどのスルホナート基であってもよい。好ましくはX2はハロであり、より好ましくはクロロ、ブロモ、またはヨードである。さらにより好ましくはX2はクロロである。
【0078】
化合物4の化合物6への変換は、望まれるならば、溶媒存在下で実施することもできる。本質的には、反応物をある程度溶解し、反応物に対して本来非反応性であるいかなる溶媒も有用であると考えられる。例えば、溶媒は芳香族溶媒、アミド、エステル、ケトン、エーテルまたはスルホキシドを含みうる。好ましくは、溶媒はN-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはアミド溶媒などの非プロトン性溶媒である。好ましくは、溶媒はアミド溶媒である。より好ましくは、アミドはジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群より選択され、さらにより好ましくは、溶媒はN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)である。
【0079】
化合物4の化合物6ヘの変換はさらに、塩基存在下で実施することもできる。有用な塩基には、金属水酸化物、金属アルコラート、金属水素化物、アルキル金属複合体、金属炭酸塩、およびアミド塩基が含まれる。好ましくは、塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、または水酸化カルシウムなどの金属水酸化物を含む。より好ましくは、塩基は水酸化ナトリウムである。塩基が金属炭酸塩である場合、好ましくは塩基はアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩である。例えば、塩基は炭酸カリウムであってもよい。
【0080】
本発明の調製法は、式7の構造を有する保護フェノール化合物(式中、R6は保護基である)を脱保護してフェノール化合物4を生成する脱保護段階をさらに含むことができる。
化合物7の化合物4への変換を反応式4に示す。保護基は分子内の反応性部位を一時的にブロックする任意の化学基であり、一方で化学反応は同じ分子内の別の反応性部位で、または保護した分子と同じ反応混合物中にある別の分子内の反応性部位で選択的に実施する。GreeneおよびWuts(Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999, pp. 249-287、この開示は参照として本明細書に組み込まれる)に記載の多くの保護基は、本発明のプロセスにおいてフェノール官能基を保護するのに有用である。例えば、R6はメチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基、もしくはベンジル基などのヒドロカルビル基;メトキシメチル基もしくはベンジルオキシメチル基などのアルコキシメチル基;メチルチオメチル基などのアルキルチオメチル基;トリメチルシリル基などのシリル基;ホルミル基、アセチル基、もしくはベンゾイル基などのアシル基;炭酸メチル基などの炭酸エステル基;ホスフィン酸エステル基;またはスルホン酸エステル基でありうる。一つの態様において、R6はC1から約C10ヒドロカルビル基、好ましくはC1から約C10アルキル基、より好ましくはC1から約C5アルキル基、さらにより好ましくはメチルである。
【0081】
R6がメチル基である場合、脱保護段階で広範な条件を用いることができる。例えば、脱保護段階の条件は化合物7を脱保護試薬で処理する段階を含んでいてもよい。有用な脱保護試薬には、ヨードトリメチルシランなどのハロトリメチルシラン;18-クラウン-6との組み合わせでのリチウムもしくはナトリウムなどのアルカリ金属;硫化ナトリウムもしくは硫化リチウムなどのアルカリ金属硫化物;ヨウ化リチウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物;三臭化アルミニウムなどのアルミニウム三ハロゲン化物;アルミニウム三ハロゲン化物およびエタンチオールなどのアルキルチオール;求核性硫黄供給源との組み合わせでの強酸;三臭化ホウ素もしくは三塩化ホウ素などのホウ素三ハロゲン化物;ヨウ化水素、臭化水素、もしくはヨウ化水素などのハロゲン化水素;またはヒドロカルビルチオ酸金属塩が含まれるが、これらに限定されることはない。脱保護試薬がホウ素三ハロゲン化物を含む場合、試薬は好ましくは三臭化ホウ素を含む。脱保護試薬がヒドロカルビルチオ酸金属塩を含む場合、試薬は好ましくはヒドロカルビルチオ酸リチウム、より好ましくはC1から約C10アルキルチオ酸リチウム、さらにより好ましくはエタンチオ酸リチウムである。脱保護試薬が求核性硫黄供給源との組み合わせでの強酸である場合、好ましくは強酸は例えば硫酸、スルホン酸、ルイス酸、またはリンオキソ酸でありうる。好ましくは、強酸は硫酸またはスルホン酸、より好ましくはスルホン酸である。強酸がスルホン酸である場合、好ましくは強酸はメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはトルエンスルホン酸であり;より好ましくは強酸はメタンスルホン酸である。求核性硫黄供給源は、例えばメチオニンであってもよい。
【0082】
本発明の方法において、化合物7はラセミ化合物であってもよく、または立体異性体の混合物として用いることもでき、または主にその立体異性体の一つとして用いることもできる。好ましくは、化合物7は(4R,5R)の絶対配置を有する。または、化合物7は(4S,5S)の絶対配置を有していてもよい。
【0083】
脱保護試薬がメチオニンとの組み合わせでのスルホン酸である場合、本発明の方法の脱保護段階において様々な条件を用いることができる。反応は実質的にニートで(実質的に溶媒を加えることなく)行うこともでき、または溶媒を加えることもできる。試薬を溶解し、試薬に対してほぼ非反応性である、本質的にいかなる溶媒もこの反応において有用であると考えられる。有用な溶媒には、アルカンなどの炭化水素溶媒、ベンゼンまたはトルエンなどの芳香族溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、またはトリフルオロメチルベンゼンなどの塩素化溶媒;およびSO2などの無機溶媒が含まれる。
【0084】
脱保護段階は広い範囲の温度で実施することができる。好ましくは温度は約0℃から約150℃、より好ましくは約25℃から約130℃、さらにより好ましくは約50℃から約110℃、さらにより好ましくは約65℃から約100℃の範囲である。
【0085】
もう一つの態様において、本発明の方法は、式8aの構造を有するアミノ硫黄酸化物アルデヒド化合物を環化条件下で処理して式7aの構造を有する保護フェノール化合物を生成する環化段階(式中、R1、R2、およびR6は前述の定義のとおりであり、かつyは1または2である)をさらに含んでいてもよい。8aから7aへの環化を反応式5に示す。
【0086】
環化は、アミノ硫黄酸化物アルデヒドを塩基で処理する段階を含む条件によって仲介されうる。この反応において有用な塩基には、MOR11、金属水酸化物、またはアルキル金属複合体(式中、R11はC1から約C10ヒドロカルビル基であり、Mはアルカリ金属である)が含まれる。好ましくは塩基はMOR11である。塩基がMOR11である場合、Mは好ましくはリチウムまたはカリウムである。特に有用な態様において、R11はC1から約C10アルキル基、好ましくはC1から約C5アルキル基であり、より好ましくはR11はメチル、エチル、イソプロピル、またはtert-ブチルであり、さらにより好ましくはR11はtert-ブチルである。
【0087】
環化段階の条件は溶媒を含むこともできる。溶媒は親水性溶媒であってもよく、好ましくは溶媒は親水性非プロトン性溶媒である。溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサン、グリム、またはジグリムなどの環状または非環状エーテルであってもよい。好ましくは溶媒はテトラヒドロフランである。または、溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、またはt-ブチルアルコールなどのアルコールであってもよい。
【0088】
環化段階は様々な温度で実施することができる。好ましくはこの段階は約-20℃から約50℃、好ましくは約-10℃から約35℃、より好ましくは約0℃から約25℃の温度で実施する。
【0089】
yが1である場合、本発明の方法はアミノスルホキシドアルデヒド(8a、y=1)をアミノスルホンアルデヒド(8a、y=2)に変換するための酸化段階をさらに含むことができる。例えば、酸化段階は、アミノスルホキシドアルデヒドを次亜塩素酸ナトリウムで処理する段階を含んでいてもよい。または、アミノスルホキシドアルデヒドを、好ましくはイミダゾールおよびテトラフェニルポルフィリン塩化Fe(III)存在下、過酸化水素で処理してもよい。もう一つの代替法において、アミノスルホキシドアルデヒドをメチルトリオキソレニウム存在下、過酸化水素で処理することもできる。アミノスルホキシドアルデヒドのスルホンへの変換は、スルホキシドをアセトニトリルおよび炭酸カリウムなどの塩基存在下、過酸化水素で処理することによっても達成される。もう一つの有用な酸化は、アミノスルホキシドアルデヒドをO2および例えばイソバレルアルデヒド存在下、ジアセトニルアセトンコバルト(Co(acac)2)で処理する段階も含む。さらにもう一つの有用な酸化は、アミノスルホキシドアルデヒドをO2存在下、2-メチルプロパナールで処理する段階を含む。または、酸化はアミノスルホキシドアルデヒドをt-ブチルヒドロペルオキシド存在下、シリカゲルで処理することにより実施される。変換は、アミノスルホキシドアルデヒドを、例えば三塩化ルテニウム水和物存在下、過ヨウ素酸で処理した場合にも起こる。酸化の代替条件は、アミノスルホキシドアルデヒドを過酸化水素存在下、尿素および無水フタル酸で処理する段階を含んでいてもよい。もう一つの例において、アミノスルホキシドアルデヒドの酸化は、シリカゲルまたは湿モンモリロナイト粘土存在下、オキソンモノ過硫酸塩化合物(2KHSO5・KHSO4・K2SO4)での処理によって実施される。
【0090】
環化段階中、好ましくはyは2である。
【0091】
さらにもう一つの態様において、本発明の方法は、式9aの構造を有するニトロ硫黄酸化物アルデヒド化合物を還元的にアルキル化して、アミノ硫黄酸化物アルデヒド化合物8bを生成する還元的アルキル化段階(式中、R1、R2、およびR6は前述の定義のとおりであり、かつzは0、1、または2である)をさらに含むこともできる。好ましくはzは2である。化合物9aを還元的にアルキル化する条件は、例えば、9aを触媒存在下、ホルムアルデヒド供給源およびH2供給源と接触させる段階を含んでいてもよい。還元的アルキル化は、好ましくは高圧のH2下で実施する。還元的アルキル化を、約100から約700,000kPa、好ましくは約200から約300,000kPa、より好ましくは約300から約100,000kPa、さらにより好ましくは約350から約10,000kPa、さらにより好ましくは約400から約1000kPaの範囲のH2圧で行うことが有用である。化合物9aの化合物8bへの変換を反応式6に示す。
【0092】
本明細書に記載の還元的アルキル化は、好ましい場合には、反応式8bに示すとおり、化合物9aのアセタール誘導体で実施することもできる。
【0093】
ホルムアルデヒド供給源は、CH2Oの等価物を生じる、本質的にいかなる供給源であってもよい。例えば、ホルムアルデヒド供給源はホルマリン、ジメトキシメタン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、またはCH2Oの任意のポリマーであってもよい。ホルムアルデヒド供給源はホルマリン、好ましくは約30%から約37%ホルマリンであることが好都合である。
【0094】
還元的アルキル化のための触媒は、不均一触媒または均一触媒のいずれでもよい。好ましくは触媒は金属、例えば、貴金属触媒である。有用な貴金属触媒には、Pt、Pd、Ru、およびRhが含まれる。好ましくは貴金属触媒はPd触媒である。または、金属触媒はニッケル触媒、例えばラネーニッケルなどの高表面積ニッケル触媒であってもよい。触媒は均一触媒でも、不均一触媒でもよく、好ましくは不均一触媒である。触媒が貴金属触媒である場合、触媒は金属自体で用いることもでき、または金属を炭素などの固体支持体と組み合わせて用いることもできる。または、金属触媒は固定金属または助触媒金属などの別の金属との組み合わせで用いてもよい。特に好ましい態様において、触媒は炭素担持Pdを含む。
【0095】
還元的アルキル化中、反応混合物中に酸が存在してもよい。好ましくは、酸は強酸であり、より好ましくは強鉱酸である。例えば、酸は硫酸でありうる。
【0096】
反応混合物は還元的アルキル化中に都合よく溶媒を含むことができる。有用な溶媒には、アルコール、芳香族溶媒、エーテル溶媒、およびハロゲン化芳香族溶媒などのハロゲン化溶媒が含まれる。好ましくは溶媒はエタノールなどのアルコール溶媒である。
【0097】
還元的アルキル化反応はいかなる好都合な温度、例えば約0℃から約200℃、好ましくは 約10℃から約150℃、より好ましくは約15℃から約125℃、さらにより好ましくは約20℃から約100℃、さらにより好ましくは約25℃から約80℃、さらにより好ましくは約30℃から約75℃で行うことができる。
【0098】
還元的アルキル化は、別法として、2段階で実施することもできる。例えば、第一段階において、化合物9aのニトロ基をアミノ基に還元し、次いでアミノ基をメチル化することができる。例えば、ニトロ硫黄酸化物アルデヒド化合物9aを還元して式39の構造を有するアニリン硫黄酸化物化合物
(式中、R1、R2、R6、およびzは前述の定義のとおりである)を生成することができる。この方法は、アニリン硫黄酸化物化合物をメチル化条件下で処理して、アミノ硫黄酸化物アルデヒド化合物8aを生成するメチル化段階をさらに含むことができる。ニトロ基のアミノ基への還元は、例えば、接触水素添加により達成することができる。化合物39を生成するための接触水素添加は、例えば、化合物9aを水素添加触媒存在下、H2に接触させることによって達成される。有用な水素添加触媒は、例えば、炭素担持パラジウム(Pd/C)などのパラジウム触媒である。水素添加は約100から約700,000kPa、好ましくは約200から約300,000kPa、より好ましくは約300から約100,000kPa、さらにより好ましくは約350から約10,000kPa、さらにより好ましくは約400から約1000kPaの範囲のH2圧で行うことが有用である。メチル化段階は広範なメチル化条件下で実施することができる。または、39を生成するための9aの還元は、9aを酢酸存在下、鉄で処理する、または9aを塩酸存在下、スズで処理するなどの他の還元条件下で実施することもできる。
【0099】
メチル化条件は、例えば、化合物39をハロゲン化メチルまたはスルホン酸メチルなどのメチル化試薬で処理する段階を含むこともできる。有用なハロゲン化メチルには、塩化メチル、臭化メチル、及びヨウ化メチルが含まれる。有用なスルホン酸メチルには、メタンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル、およびトリフルオロメチルスルホン酸メチルが含まれる。または、メチル化条件は、化合物39をH2および水素添加触媒存在下、ホルムアルデヒド供給源で処理する段階を含んでいてもよい。化合物9aの化合物8bへの還元的アルキル化に有用な条件は、化合物39のメチル化にも有用である。
【0100】
もう一つの態様において、本発明の方法は、式10の構造を有するニトロスルフィドアルデヒド化合物を酸化して化合物9aを生成する酸化段階(式中、R6は保護基であり、かつzは1または2である)をさらに含んでいてもよい。好ましくは、化合物10を酸化条件下で処理して式9のニトロスルホンアルデヒド化合物を生成する。酸化反応は、10を酸化剤で処理することにより実施することができる。有用な酸化剤には、例えば、過酸、アルキルヒドロペルオキシド、または過酸化水素が含まれる。酸化剤が過酸である場合、例えば、過酢酸またはm-クロロ過安息香酸が好都合である。好ましくは、酸化剤は過酢酸を含む。化合物10の化合物9aへの変換を反応式7に示す。
【0101】
本発明の方法は、化合物9a(zは1である)を酸化してスルホン化合物9とする段階をさらに含んでいてもよい。そのような酸化は、9a(zは1である)を、例えば、過酸、アルキルヒドロペルオキシド、または過酸化水素で処理することによって実施することができる。
【0102】
反応式8の酸化段階中、化合物10のアルデヒド官能基を、例えば対応するカルボン酸の生成を防ぐために、酸化から保護することは好都合である。アルデヒドをカルボン酸への酸化から保護するための様々な保護基が当技術分野において公知で、そのような保護基を本発明の方法において用いることができる。アルデヒドを保護する多くの方法がGreeneおよびWuts(Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999, pp. 297-368、この開示は参照として本明細書に組み込まれる)によって記載されており、本明細書において有用である。例えば、化合物10のアルデヒド基は、ジメチルアセタールまたはジエチルアセタールなどのアセタールとして保護することができる。本質的に、GreenおよびWutsによって記載されたいかなるアセタール生成法も、本発明において有用である。10をオルトギ酸トリメチル、p-トルエンスルホン酸などの酸、およびメタノールと接触させることにより、10のアルデヒド基をジメチルアセタールとして保護することは好都合である。10は溶媒存在下、オルトギ酸トリメチル、酸、およびメタノールと都合よく接触させることができる。有用な溶媒はベンゾ三フッ化物(BTF)である。酸化段階の後、アルデヒド基を当技術分野において公知の方法により脱保護することができる。例えば、ジメチルアセタールを水および硫酸または塩酸などの酸で処理することにより、アルデヒドに変換することができる。
【0103】
または、本発明の方法は、条件がエナンチオ選択的酸化条件を含む、酸化段階を含むこともできる。そのようなエナンチオ選択的酸化条件は、PCT特許出願国際公開公報第99/32478号に記載されており、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。例えば、ニトロスルフィドアルデヒド化合物10はエナンチオ選択的に酸化してキラルなニトロスルホキシドアルデヒド化合物(9a、zは1である)とすることができる。キラルなニトロスルホキシドアルデヒド化合物の塩基(例えばカリウムt-ブトキシドなどの金属アルコキシド)処理による閉環は、テトラヒドロベンゾチエピン-1-オキシド化合物の一つの鏡像異性体または一組のジアステレオマーを選択的に生成することになり、これらをさらにテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドへと酸化して選択的に主に一つの鏡像異性体または選択的に一組のジアステレオマーとすることができる。
【0104】
本発明の方法は、式11の構造を有する置換ジフェニルメタン化合物を硫黄供給源存在下、式12aの構造を有する置換プロピオンアルデヒド等価化合物とカップリングさせて、ニトロスルフィドアルデヒド化合物10を生成するスルフィド生成段階(式中、R1、R2、およびR6は前述の定義のとおりであり;R27はアルデヒド基(-CHO)またはアセタールなどの保護アルデヒド基であり;X3は芳香族置換脱離基であり;かつX4は求核置換脱離基である)をさらに含むことができる。この全スルフィド生成段階を反応式8に示す。
R27がアルデヒド基である場合、化合物12aは式12の構造を有する。
【0105】
反応式8の反応において、R27が-CH2OH(または保護アルコール)または-CO2H(または保護カルボン酸)であることも可能である。R27が-CH2OH(または保護アルコール)である場合、化合物12aの付加に続き、アルコール官能基を酸化してアルデヒドまたはカルボン酸官能基とする酸化段階を都合よく行うことができる。R27が-CO2H(または保護カルボン酸)である場合、化合物12aの付加に続き、還元段階を都合よく行うことができる。または、R27が-CO2H(または保護カルボン酸)である場合、化合物12aの付加に続き、環化段階および/または硫黄酸化段階を行って環状ケトンを生成し、これをアルコール7aへと還元することもできる。
【0106】
硫黄供給源は、例えば、硫化リチウム(Li2S)、硫化ナトリウム(Na2S)、またはNa2S2などの金属硫化物であってもよい。好ましくは、硫黄供給源はNa2SまたはLi2Sであり、より好ましくはNa2Sである。X3は本質的にいかなる好都合な芳香族置換脱離基であってもよい。例えば、X3はハロゲン、スルホナート基、またはニトロ基でありうる。好ましくは、X3はハロゲン、より好ましくはClまたはBr、さらにより好ましくはClである。X3がスルホナート基である場合、これは例えばメタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、またはトルエンスルホナートであってもよく;好ましくはX3はトリフルオロメタンスルホナートである。X3がスルホナート基である場合、スルフィド生成反応は好ましくはPd(O)などの貴金属および金属硫化物存在下で実施する。
【0107】
X4は本質的に、置換されると反応条件に化学的および物理的に適合性の陰イオンを生じるいかなる求核置換脱離基であってもよい。例えば、X4はクロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、およびトリフルオロメタンスルホナートでありうる。好ましくはX4はクロロ、ブロモ、またはヨードであり、より好ましくはX4はブロモである。
【0108】
本発明の反応のスルフィド生成段階において、ジフェニルメタン化合物11を硫黄供給源と接触させて中間体チオラート陰イオン44を生成した後、置換プロピオンアルデヒド化合物12と接触させることが好ましい。
【0109】
本発明の方法のスルフィド生成段階において、硫黄供給源と化合物11との接触は、いかなる好都合な温度でも行うことができる。好ましくは、接触は約0℃から約150℃、より好ましくは約0℃から約100℃、さらにより好ましくは約10℃から約75℃、さらにより好ましくは約20℃から約50℃、さらにより好ましくは25℃付近から約45℃の範囲の温度で実施する。硫黄供給源、例えば硫化ナトリウムを化合物11と反応時間接触させた後、混合物に置換プロピオンアルデヒド化合物12を加えることが有益である。適切に、反応時間は約5分から約10時間、好ましくは約10分から約7時間、より好ましくは約20分から約5時間、さらにより好ましくは約30分から約3時間でありうる。
【0110】
選択的に、陰イオン44を例えば水または酸で失活させてチオール化合物45を生成することができる。チオール45は単離、保存、輸送、または使用するまで溶液中で維持することができる。化合物10を調製するためにチオール45を使用する準備ができれば、チオール45を金属アルコキシド、金属水素化物、アルキル金属複合体、または他の塩基などの適当な塩基で処理して、陰イオン44を生成することができる。適当な塩基には、例えば、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、およびカリウムt-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが含まれる。有用な金属水素化物には水素化ナトリウムおよび水素化カルシウムが含まれる。
【0111】
しかし、陰イオン44を失活しない、またはチオール化合物45を単離することが好ましい。陰イオン44は失活せずに保存または輸送するのに十分安定である。または、硫黄供給源の添加および置換プロピオンアルデヒド化合物12との反応は、一つの反応容器内で、または中間体構造を単離することなく一つの反応混合物中で実施することができる。
【0112】
または、スルフィド生成段階は、ジフェニルメタン化合物11を前述のカップリング条件下でチオプロピル化合物12bと接触させてスルフィド10aを生成する、反応式8aの反応の後に実施することもできる。反応式8aにおいて、R1、R2、R6、R27、およびX3は前述の定義のとおりであり、かつR28はHまたはアシル基などの不安定なチオール保護基、好ましくはアセチル基である。
【0113】
反応式8aの反応は塩基存在下で都合よく実施することができる。有用な塩基にはアルカリ金属塩基またはアルカリ土類金属塩基が含まれる。有用なアルカリ金属塩基には水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が含まれる。反応式8aの反応は溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒、より好ましくは極性非プロトン性溶媒存在下で都合よく実施することができる。反応式8aの反応にとって好ましい溶媒はDMSOである。
【0114】
反応式8aのスルフィド生成段階は溶媒存在下で都合よく実施することができる。有用な溶媒には極性非プロトン性溶媒が含まれる。有用な極性非プロトン性溶媒には、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN-メチルピロリドン(NMP)が含まれるが、これらに限定されることはない。好ましくは溶媒はDMACである。
【0115】
反応式8aのR27がアセタール基などの保護アルデヒド基である場合、望まれるならば化合物10aをさらに反応させて、保護アセタール基を脱保護することもできる。または、化合物10aを本明細書に記載のスルフィド酸化条件下で直接酸化して、スルフィド化合物10cを生成することもできる。望まれるならば、反応式8bに示すとおり、化合物10cを本明細書に記載の還元的アルキル化条件下で処理して、ジメチルアミノアルデヒド化合物10bを生成することもできる。
【0116】
図1は、置換プロピオンアルデヒド化合物12を調製することができる全プロセスを示している。化合物12は、例えば、式37の構造を有するジオール化合物を、式38の構造を有するカルボニル化合物およびX4の供給源存在下で反応させて、式36の構造を有する酸エステルを生成することにより製造することができる。X6はヒドロキシ、ハロ、または-OC(O)R18であってもよく;好ましくはヒドロキシまたはハロである。X6がハロである場合、好ましくはクロロ、ブロモ、またはヨード;より好ましくはクロロである。または、X6はヒドロキシであってもよい。X6がヒドロキシである場合、化合物37のカルボニル化合物38との反応は強酸、好ましくは強鉱酸存在下で有利に実施される。有用な強酸にはHCl、HBr、HI、硫酸、またはスルホン酸が含まれる。有用なスルホン酸にはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸が含まれる。好ましくは強酸はHBrである。R10およびR18は独立にC1から約C20ヒドロカルビル;好ましくはC1から約C10アルキル;より好ましくはC1から約C5アルキル;さらにより好ましくはメチル、エチル、またはプロピル;さらにより好ましくはメチルでありうる。R1、R2、およびX4は前述の定義のとおりである。X4の供給源は、例えば、ハロゲン化物の供給源であってもよい。ハロゲン化物の供給源は、ハロゲン化物が-OC(O)R10などのアシルオキシ基を求核的に置換することができる、いかなる供給源であってもよい。例えば、ハロゲン化物の供給源は強酸であれば有利となることもあり、強酸はHCl、HBr、またはHIである。好ましくは、ハロゲン化物の供給源はNaBr、LiBr、またはHBrなどの臭化物の供給源である。臭化物の供給源がNaBrまたはLiBrである場合、反応を酸触媒存在下で実施することが有利である。好ましくは、ハロゲン化物の供給源はHBrまたはHI、より好ましくはHBrである。有利なことに、化合物36を生成する反応は広範な温度で実施することができる。好ましくは、反応は約50℃から約175℃、より好ましくは約65℃から約150℃、さらにより好ましくは約70℃から約130℃で実施する。
【0117】
酸エステル36を加溶媒分解して式35の構造を有する置換プロパノール化合物を生成することができる。加溶媒分解反応は、X4を置換することなく、カルボン酸エステルの加溶媒分解のための当技術分野において公知の条件下で実施することができる。加溶媒分解は酸触媒存在下で実施すると好都合である。有用な酸触媒は鉱酸または有機酸でありうる。酸触媒が鉱酸である場合、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸、またはスルホン酸であってもよい。有用なスルホン酸にはメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸が含まれる。有用なハロゲン化水素酸には塩酸、臭化水素酸、およびヨウ化水素酸が含まれる。加溶媒分解は溶媒存在下で実施してもよい。好ましくは、溶媒はC1から約C10アルコール溶媒;より好ましくはC1から約C5アルコール溶媒;さらにより好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、または2-プロパノール;さらにより好ましくはエタノールである。
【0118】
化合物36および35を生成するための反応は、別々に生成物を個別に単離して実施することができる。または、反応は一つの反応容器内で、または化合物36を単離することなく一つの反応媒質中で実施することができる。
【0119】
置換プロパノール化合物35を酸化して、置換プロピオンアルデヒド化合物12を生成することができる。これは、化合物35を酸化剤と接触させることにより達成することができる。酸化条件は、アルコール基がX4存在下で酸化されるのに適当でなければならない。例えば、酸化条件は、三酸化硫黄-ピリジン複合体などの緩和な酸化剤を含むこともできる。他の有用な酸化条件には、例えば、35をDMSOなどの反応物存在下、塩化オキサリルおよびトリエチルアミンと接触させる段階が含まれる。有用な酸化条件のもう一つの例は、35を2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ遊離基(TEMPO)存在下、次亜塩素酸ナトリウムと接触させる段階を含む。酸化剤が三酸化硫黄-ピリジン複合体である場合、酸化は約10℃から約100℃;好ましくは約20℃から約75℃;より好ましくは約20℃から約50℃の温度で実施すると有利でありうる。酸化は溶媒存在下で実施することもできる。有用な溶媒には、例えば、DMSOなどのスルホキシド;または塩化メチレン、クロロホルム、もしくは四塩化炭素などの塩素化溶媒が含まれる。酸化剤が三酸化硫黄-ピリジン複合体である場合、複合体は反応混合物に溶媒中のスラリーとして加えてもよく、または好ましくは固体として一定の時間(例えば約1から約15時間)をかけて加えることもできる。
【0120】
化合物12調製の一つの好ましい態様において、R1およびR2はいずれもブチルである。別の好ましい態様において、R1およびR2の一方はエチルであり、R1およびR2の他方はブチルである。R1およびR2の一方がエチルであり、R1およびR2の他方がブチルである場合、化合物12は4級炭素原子についてRの絶対配置を有しうる。または、化合物12は4級炭素原子についてSの絶対配置を有することもある。
【0121】
化合物12調製のために有用な本明細書に記載の反応は、個々にまたは組み合わせて実施することができる。図2は、本発明の方法を用いて2,2-ジブチル-3-ブロモプロピオンアルデヒドを調製することができる好ましいプロセスを示している。
【0122】
本発明の一つの態様を反応式8cに示すが、ここで化合物12bは化合物12dの構造を有していてもよい。反応式8cは、本発明において有用なチオアシルアセタール化合物(アシル基およびアセタール基は独立に構造が大きく変動しうる)を製造することができる、様々な方法の例である。反応式8cにおいて、ブロモアルデヒド化合物53をチオ酢酸カリウムで処理してチオアセチルアルデヒド化合物12cを生成する。化合物12cをスルホン酸触媒(好ましくはトルエンスルホン酸)などの酸触媒存在下、ギ酸トリエチルなどのギ酸トリアルキルで処理して、化合物12d(Etはエチルである)を生成する。アセタール生成段階は、望まれるならば、溶媒、例えばアルコール溶媒存在下で実施することができる。生成するアセタールがエチルアセタールである場合、溶媒はエタノールであることが好都合でありうる。
【0123】
図1aは、ニトロスルフィドアセタール化合物67(R1およびR2がいずれもブチルであり、かつR27がジエチルアセタール基である10a)を調製することができ、かつ化合物67を用いて化合物29を生成することができる、典型的な全プロセスを示している。
【0124】
化合物12bは、望まれるならば、いくつかの他の方法で調製することもできる。例えば、反応式8dに示すとおり、アクロレイン化合物77をチオアシル化合物78と接触させて、アシルチオメチルアルデヒド化合物79を生成することができる。反応式8dにおいて、R29はC1から約C20ヒドロカルビル、好ましくはC1から約C10ヒドロカルビル、より好ましくはC1から約C5ヒドロカルビル、さらにより好ましくはエチルまたはブチルでありうる。R30はC1から約C20ヒドロカルビル、好ましくはC1から約C10ヒドロカルビル、より好ましくはC1から約C5ヒドロカルビル、さらにより好ましくはメチルでありうる。好ましくは、反応式8dの反応はアミン触媒などの塩基触媒存在下で実施する。例えば、アミン触媒はトリアルキルアミンなどのアルキルアミンであってもよい。
【0125】
反応式8eに示すとおり、化合物79を化合物20と接触させてアシルチオメチルアルケンアルデヒド化合物80を生成することができる。反応式8eの反応は、好ましくは酸触媒、好ましくは硫酸またはスルホン酸などの硫黄酸触媒存在下で実施する。例えば、酸触媒はp-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、またはトリフルオロメタンスルホン酸であってもよい。反応は加熱条件下、例えば約50℃から約150℃、好ましくは約75℃から約125℃、より好ましくは約100℃から約115℃の温度で都合よく実施することができる。
【0126】
化合物80をアセタール生成条件下で誘導体化して、不飽和アセタール化合物81を生成することができる。化合物81において、R31およびR32は独立にC1から約C20アルコキシであってもよく、またはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環状アセタールを形成してもよい。R31およびR32がアルコキシである場合、好ましくはそれらはC1から約C10アルコキシ、より好ましくはC1から約C5アルコキシ、さらにより好ましくはメチルまたはエチル、さらにより好ましくはメチルである。R31およびR32が一緒になって環状アセタールを形成する場合、好ましくはそれらはエチレングリコールアセタールまたは1,3-プロパンジオールアセタール、より好ましくはエチレングリコールアセタールを形成する。例えば、化合物80を酸触媒などの触媒存在下、アルコールまたはアルコール混合物と接触させることができる。または、化合物80をオルトギ酸トリエチルまたはオルトギ酸トリメチルなどのオルトギ酸エステルで処理してアセタールを生成することもできる。
【0127】
化合物81を還元してチオメチルアセタール化合物82を生成することができる。当業者が本開示を参照すれば、反応式8aの反応において化合物12bの代わりに化合物82を用いてスルフィド10aを生成しうることは明らかであると思われる。化合物81を化合物82に変換するための還元条件は大きく変動しうる。例えば、化合物81をピペリジンなどのアミン存在下、p-トルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジドで処理して、化合物82を生成することができる。
【0128】
スルフィド生成段階でニトロスルフィドアルデヒド化合物10がいったん生成すれば、当技術分野において公知の方法によって10を単離してもよく、または前述の方法により10を酸化して、ニトロスルホンアルデヒド化合物9を生成することもできる。中間体化合物を選択的に単離、保存、または輸送することもできるが、スルフィド生成段階および酸化段階を、中間体構造を単離することなく、一つの反応容器内で実施することが好都合である。
【0129】
本発明の方法は、置換ベンゾフェノン化合物13を還元して置換ジフェニルメタン化合物11を生成する還元段階(R6およびX3は前述の定義のとおりである)をさらに含むことができる。還元段階を反応式9に示す。
例えば、還元段階は、化合物13をトリフルオロメタンスルホン酸(トリフリック酸)およびトリエチルシランなどのシランと接触させることにより実施することができる。還元段階を溶媒、例えばトリフルオロ酢酸などの強酸溶媒存在下で実施することが有用である。溶媒としてトリフルオロ酢酸を用いる場合、好ましくはトリフリック酸を触媒量で用いる。特に、13をトリフルオロ酢酸に溶解し、トリフリック酸を加え、次いでトリエチルシランを加えることが有用である。トリエチルシラン添加中の反応温度は、必要があれば、冷却によって制御してもよい。反応温度は約25℃から約100℃、好ましくは約30℃から約75℃、より好ましくは約45℃から約50℃の範囲で制御することができる。本発明の反応において他のシラン、例えばポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)または他のトリアルキルシランも有用である。
【0130】
または、13の11への還元は、塩化メチレンなどの溶媒中、トリフリック酸およびトリエチルシランなどのシラン存在下で実施することができる。反応混合物中にトリフルオロ酢酸が存在しない場合、典型的には触媒量よりも多くのトリフリック酸が必要である。13を11に還元するもう一つの方法は、13を塩化アルミニウムなどのルイス酸およびトリエチルシランなどのシランで処理する段階を含むことになる。もう一つの代替法において、還元は13を触媒存在下、水素化ホウ素ナトリウムで処理して実施することができる。さらなる代替法において、還元は13をパラジウム触媒、好ましくはPd/Cなどの貴金属触媒存在下、硫酸で処理して実施することができる。さらなる代替法において、13は例えば水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素化合物により、対応するアルコールに還元することができる。得られたアルコールを、例えば、水素化ホウ素ナトリウムおよびトリエチルシランなどのシランで処理してもよい。アルコールは他の手段、例えば、アルコールを塩化メタンスルホニルまたは塩化トルエンスルホニルなどのスルホン化試薬で処理し、次いで得られたスルホン酸エステルを水素化ホウ素ナトリウムで処理することにより、11に還元することもできる。
【0131】
本発明の方法は、式14の構造を有する保護フェノール化合物
をアシル化条件下、式15の構造を有する置換ベンゾイル化合物
で処理して式13の構造を有する置換ベンゾフェノン化合物を生成するアシル化段階(式中、R6およびX3は前述の定義のとおりであり;X5はヒドロキシ、ハロ、または-OR14であってもよく;かつR14はアシル基であってもよい)もさらに含むことができる。この全アシル化段階を反応式10に示す。
【0132】
アシル化条件はフリーデル-クラフツのアシル化条件を含むこともできる。例えば、アシル化条件はルイス酸をさらに含んでいてもよい。有用なルイス酸には、三ハロゲン化アルミニウムなどのアルミニウム含有ルイス酸;三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテラート、または三塩化ホウ素などのホウ素含有ルイス酸;SnCl4などのスズ含有ルイス酸;HFなどのハロゲン含有ルイス酸;FeCl3などの鉄含有ルイス酸;SbF5などのアンチモン含有ルイス酸;およびZnI2またはZnCl2などの亜鉛含有ルイス酸が含まれる。ルイス酸が三ハロゲン化アルミニウムである場合、好ましくはこれはAlCl3またはAlBr3、より好ましくはAlCl3である。または、ルイス酸は粘土などの固体支持体上に支持することもできる。例えば、ルイス酸はEnvirocatなどの粘土組成物上にFeCl3を含むこともできる。
【0133】
または、アシル化は硫酸;リン酸、例えばo-リン酸もしくはポリリン酸(PPA);またはスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの強プロトン酸存在下で行うことができる。
【0134】
X5はヒドロキシ、ハロ、または-OR14であってもよい。例えば、X5はヒドロキシ、ブロモ、ヨード、または-OR14であってもよい。
【0135】
X5がハロである場合、好ましくはこれはクロロ、ブロモ、またはヨードである。一つの有用な態様において、X5はクロロである。もう一つの有用な態様において、X5はブロモまたはヨード、好ましくはブロモである。X5がハロである場合、アシル化条件は前述のルイス酸、例えば三ハロゲン化アルミニウムをさらに含むことが好ましい。有用な三ハロゲン化アルミニウムには三臭化アルミニウムおよび三塩化アルミニウム、好ましくは三塩化アルミニウムが含まれる。
【0136】
X5がヒドロキシである場合、アシル化条件は強プロトン酸をさらに含むことが好ましい。いくつかの有用な強プロトン酸には、硫酸、スルホン酸、またはリンオキソ酸が含まれる。有用なリンオキソ酸には、オルトリン酸(一般にリン酸、H3PO4として知られている)、ピロリン酸(H4P2O7)、またはポリリン酸(PPA)が含まれる。好ましくは、リンオキソ酸はリン酸またはポリリン酸、好ましくはポリリン酸である。リンオキソ酸の組み合わせも本発明において有用である。リンオキソ酸は酸自体として加えることもでき、または例えばPCl5などのハロゲン化リン化合物の加水分解により、またはP2O5などの酸化リン化合物の加水分解によりインサイチューで生成することもできる。
【0137】
R14が-OR14であり、R14がアシル基である場合、化合物15はカルボン酸無水物である。酸無水物は対称構造を有することがある。すなわち、X5は式46の構造を有することがある。または、酸無水物は混合無水物であってもよい。例えば、R14はホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基またはいかなる他の好都合なアシル基であってもよい。
【0138】
X5が-OR14である場合、アシル化条件は前述のルイス酸、例えば三ハロゲン化アルミニウムをさらに含むことが好ましい。有用な三ハロゲン化アルミニウムには、三臭化アルミニウムおよび三塩化アルミニウム、好ましくは三塩化アルミニウムが含まれる。
【0139】
化合物13の調製の代替法を反応式11に示す。化合物15のX5がハロまたは-OR14である場合、化合物15をアリール金属複合体56(式中、Lは金属含有部分であり、R6は前述のとおりである)で処理することができる。基Lは、例えば、MgX6(X6はハロゲンである)、Na、またはLiでありうる。LがMgX6である(すなわち56がグリニャール試薬である)場合、Xは好ましくはBr、Cl、またはI;より好ましくはBrまたはClである。
【0140】
本発明の方法は、式16の構造を有するニトロアルケニルアルデヒド化合物を還元および還元的にアルキル化して式17の構造を有するアミノアルキルアルデヒド化合物を生成する、一つまたは複数の段階(反応式12、式中、R1およびR6は前述の定義のとおりであり、R7はHまたはC1から約C17ヒドロカルビルであり、かつtは0、1、または2である。好ましくはR7はC1から約C10アルキル基、より好ましくはC1から約C5アルキル基、さらにより好ましくはC1から約C3アルキル基、さらにより好ましくはメチルである。好ましくはtは2である)をさらに含んでいてもよい。
【0141】
化合物16の化合物17への還元および還元的アルキル化は、一段階で実施することもでき、または別々の段階で実施することもできる。例えば、二重結合の還元をニトロ基の還元的アルキル化と同時に行うこともできる。または、化合物16の脂肪族C-C二重結合を、ニトロ基のジメチルアミノ基への還元的アルキル化とは別の段階で還元して一重結合とすることもできる。もう一つの代替法として、第一段階で化合物16のニトロ基およびアルケン二重結合を還元してそれぞれアミノ基およびアルキル基とし、次いでアミノ基をメチル化することもできる。ニトロ基およびアルケン二重結合の還元は、当技術分野において公知の水素添加触媒を用いることにより、容易に実施されると考えられる。そのような還元はH2存在下で行う。還元されたアミノ基のメチル化は、当技術分野において公知の本質的にいかなるメチル化剤でも、例えば、ヨウ化メチル、臭化メチル、または塩化メチルなどのハロゲン化メチルでも実施することができる。もう一つの有用なメチル化剤は硫酸ジメチルである。
【0142】
化合物16を還元および還元的にアルキル化する条件は、例えば、16を触媒存在下、ホルムアルデヒド供給源およびH2供給源と接触させる段階を含む。変換は好ましくは高圧のH2で実施する。約100から約700,000kPa、好ましくは約200から約300,000kPa、より好ましくは約300から約100,000kPa、さらにより好ましくは約350から約10,000kPa、さらにより好ましくは約400から約1000kPaの範囲のH2圧で変換を実施することが有用である。
【0143】
ホルムアルデヒド供給源はCH2Oの等価物を生成する、本質的にいかなる供給源であってもよい。例えば、ホルムアルデヒド供給源はホルマリン、ジメトキシメタンなどのホルムアルデヒドのアセタール、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、またはCH2Oのいかなるポリマーであってもよい。ホルムアルデヒド供給源はホルマリン、好ましくは約35%から約37%ホルマリンであることが好都合である。
【0144】
還元および還元的アルキル化のための触媒は、不均一触媒または均一触媒のいずれでもよい。好ましくは触媒は金属であり、例えば、触媒は貴金属触媒であってもよい。有用な貴金属触媒には、Pt、Pd、Ru、およびRhが含まれる。好ましくは貴金属触媒はPd触媒である。貴金属触媒は均一または不均一な形のいずれでも用いることができる。不均一な形で用いる場合、触媒は例えば金属自体で用いることもでき、または炭素もしくは酸化アルミニウムなどの固体支持体上で用いることもできる。特に好ましい態様において、触媒はパラジウムおよびより好ましくは炭素担持Pdを含む。もう一つの態様において、触媒は高表面積ニッケル触媒などのニッケル触媒を含む。有用な高表面積ニッケル触媒はラネーニッケルである。
【0145】
還元および還元的アルキル化中、反応混合物中に酸が存在してもよい。好ましくは、酸は強酸であり、より好ましくは強鉱酸である。例えば、酸は硫酸でありうる。
【0146】
還元および還元的アルキル化中、反応混合物中に溶媒が都合よく存在してもよい。有用な溶媒には、アルコール、エーテル、カルボン酸、芳香族溶媒、アルカン、シクロアルカン、または水が含まれる。好ましくは溶媒は、C1から約C10アルコール;より好ましくはC1から約C5アルコール;さらにより好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、またはイソプロピルアルコールなどのアルコール溶媒である。特に好ましい態様において、溶媒はエタノールである。
【0147】
還元および還元的アルキル化反応はいかなる好都合な温度、例えば約0℃から約200℃、好ましくは約10℃から約150℃、より好ましくは約15℃から約100℃、さらにより好ましくは約20℃から約75℃、さらにより好ましくは約25℃から約60℃、さらにより好ましくは約30℃から約40℃で行うことができる。
【0148】
または、16から17への変換は、別々の段階で実施することもできる。例えば、第一段階において、化合物16のニトロ基およびアルケン二重結合をそれぞれアミノ基およびアルキル基に還元してもよい。第二段階で、アミノ基をメチル化することができる。ニトロ基およびアルケン二重結合の還元は、当技術分野において公知の水素添加触媒を用いることにより、容易に実施することができる。そのような還元はH2存在下で行うことになる。還元されたアミノ基のメチル化は、当技術分野において公知の本質的にいかなるメチル化剤でも、例えば、ヨウ化メチル、臭化メチル、または塩化メチルなどのハロゲン化メチルでも実施することができる。もう一つの有用なメチル化剤は硫酸ジメチルである。
【0149】
化合物17への代替経路を反応式13(式中、化合物16aのuは0または1である、すなわち、化合物16aはスルフィドまたはスルホキシド化合物である)に示す。この経路において、化合物16aを本明細書に記載の方法(例えば、16aをH2およびP/Cなどの水素添加触媒に接触させること)により還元して、化合物57を生成することができる(式中、uは0または1であり、R1、R6、およびR7は前述の定義のとおりであり、かつR19は-NH2、-NHOH、または-NO2でありうる)。化合物57を酸化(例えば、スルフィドまたはスルホキシドをスルホンに変換するための、本明細書に記載の方法により)して化合物58とすることができる(式中、R1、R6、およびR7は前述の定義のとおりであり、かつR20は-NH2、-NHOH、または-NO2でありうる)。化合物58を本明細書に記載の方法でアルキル化または還元的にアルキル化して化合物17を生成することができる(式中tは2である)。
【0150】
本発明の方法は、式18(t=2)の構造を有するアセタール化合物を熱分解してニトロアルケニルアルデヒド化合物16を生成する熱分解段階(式中、R1、R6、およびtは前述のとおりであり;R7はHまたはC1から約C17ヒドロカルビルであってもよく;かつR13はHまたはC1から約C20ヒドロカルビルであってもよい)をさらに含んでいてもよい。熱分解段階を反応式14に示す。
好ましくはtは2である。好ましくはR7はC1から約C10アルキル基、より好ましくはC1から約C5アルキル基、さらにより好ましくはC1から約C3アルキル基、さらにより好ましくはメチルである。R13は好ましくはC1から約C10ヒドロカルビル基、より好ましくはC1から約C10アルケニル基、さらにより好ましくはC1から約C5アルケニル基、さらにより好ましくはC1から約C4アルケニル基である。一つの好ましい態様において、R13は式43の構造を有する基である(式中、R7は前述の定義のとおりである)。好ましくはR13は1-ブテン-3-イルである。
【0151】
熱分解反応は塩基存在下で有利に実施することができる。有用な塩基には金属水素化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、または金属炭酸水素塩が含まれるが、これらに限定されることはない。好ましくは、金属は水素化カルシウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、または水素化カリウムなどの金属水素化物である。より好ましくは、塩基は水素化カルシウムである。他の有用な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、または炭酸水素ナトリウムが含まれる。熱分解反応は、例えば、化合物18を好ましくは本質的に無水条件下、一定期間塩基と接触させることにより行うことができる。驚くことに、18aの47への変換中に、トリエチルアミンまたはピリジンなどの可溶性塩基の存在を有利に用いて、可溶性塩基が存在しない反応条件に比べて反応速度を遅延させることができる。熱分解は溶媒存在下で行うことができる。熱分解反応条件下で非反応性の本質的にいかなる溶媒も有用である。非プロトン性溶媒が特に有用であり、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、およびナフタレンなどの芳香族溶媒が好ましい。特に好ましい溶媒には、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、またはメシチレン;より好ましくはトルエン、o-キシレン、m-キシレン、またはp-キシレン;さらにより好ましくはトルエンまたはo-キシレンが含まれる。他の有用な溶媒にはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、もしくはジフェニルエーテルなどのエーテル;酢酸エチルなどのエステル;エタノールもしくはt-ブチルアルコールなどのアルコール;またはアセトンもしくはベンゾフェノンなどのケトンが含まれる。
【0152】
もう一つの態様において、熱分解はニート、すなわち溶媒非存在下で実施することができる。例えば、化合物18をニートで加熱して、化合物16aを生成することができる。化合物18をニートで加熱する場合、熱分解は、望まれるならば、周囲圧よりも低い圧で行うことができる。例えば、熱分解は、熱分解によって生じた脱離生成物を蒸発させる圧で実施することができる。反応をそのような条件下で行うことは、熱分解反応を完了させる一助となると思われる。有利なことに、熱分解中の反応圧は約760mmHg(101kPa)未満、好ましくは約500mmHg(66.6kPa)未満、より好ましくは約250mmH(33.3kPa)未満、さらにより好ましくは約100mmHg(13.3kPa)未満、さらにより好ましくは約50mmHg(6.7kPa)未満、さらにより好ましくは約10mmHg(1.3kPa)未満であってもよい。
【0153】
熱分解は広範な温度で行うことができる。例えば、熱分解は約10℃から約250℃、好ましくは約50℃から約200℃、より好ましくは約75℃から約175℃、さらにより好ましくは約100℃から約150℃の範囲の温度で行うことができる。熱分解は還流中の溶媒、例えば、還流中のo-キシレン中で都合よく行うことができる。または、熱分解は周囲圧よりも高い圧で行うこともでき、それにより溶媒の周囲圧での沸点よりも高い温度で反応を進行させることができる。
【0154】
熱分解反応は好ましくは、逆反応および副産物生成を防ぐため、乾燥または本質的に無水条件下、かつ酸非存在下で実施する。
【0155】
本発明の範囲を限定する意図はないが、化合物16を生成するための熱分解反応はエノールエーテル化合物の仲介により進行すると考えられる。例えば、反応式15に示すとおり、ビス-ブテニルアセタール化合物18aは3-ブテン-2-オールの分子を脱離してエノールエーテル47(クライゼン前駆中間体)を生成すると考えられる。次いで、反応式16に示すとおり、化合物47は[3,3]-シグマトロピー転位(クライゼン転位としても知られている)を受けてブテニルスルホンアルデヒド化合物31を生成する。化合物47はメタンスルホニル部分とアルコキシ部分との間の二重結合をはさんでE-配置を有するように示しているが、この化合物をZ-配置で生成することも可能である。
【0156】
18aから31への変換は、例えば、18aを含む混合物または18aと47との混合物のトルエンまたはo-キシレン溶液を、好ましくは水素化カルシウム存在下、145℃で加熱して実施することができる。または、18aから31への変換は、粗18aを加熱前にシリカゲルなどの酸性媒質または塩基性アルミナなどの塩基性媒質を通してろ過し、達成することができる。
【0157】
18aの47への変換中に、望まれるならば、トリエチルアミンまたはピリジンなどの可溶性塩基を添加して、可溶性塩基が存在しない場合に比べて熱分解反応速度を遅延させることができる。
【0158】
化合物18は、式19の構造を有するモノアルキルアルデヒド化合物を式20の構造を有するアリルアルコール化合物と、HOR13の構造を有するヒドロキシル化溶媒存在下で反応させて、式18の構造を有するアセタール化合物を生成する段階(式中、R1、R6、R7、R13、およびtは前述の定義のとおりである)によって調製することができる。好ましくはtは2である。好ましい態様において、R13は式43の構造を有する。例えば、この態様は、アリルアルコール化合物20自体を別のヒドロキシル化溶媒よりも多量に存在するヒドロキシル化溶媒として、または本質的に別のヒドロキシル化溶媒非存在下で用いる場合に、実現することができる。化合物19の化合物18への変換を反応式17に示す。
【0159】
アセタール化合物18を、当技術分野において公知の様々な条件を用いる多くの方法によって調製することができる。アセタールを生成する反応は、好ましくは酸触媒存在下で実施する。触媒は、例えば、硫酸、塩酸、ホスホラス酸(phosphorus acid)、リン酸、トリフルオロ酢酸、またはスルホン酸などの強酸でありうる。有用なスルホン酸には、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトリフルオロスルホン酸が含まれる。しかし、有機酸および酸性不均一触媒、例えばp-トルエンスルホン酸ピリジニウム、酢酸、プロピオン酸、Amberlyst 15、酸性ゼオライト、酸性粘土、Pd(PhCN)2Cl2、およびAlCl(CH2CH3)2もこの反応を仲介するのに役立つ。実質的にいかなるブレーンステッド-ローリーまたはルイス酸も触媒として用いることができる。アセタール生成反応は、望まれるならば、溶媒存在下で実施することができる。有用な溶媒には、塩化メチレン、クロロホルム、もしくは四塩化炭素などの塩素化溶媒;ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、もしくはトリフルオロメチルベンゼンなどの芳香族溶媒;CH3CN、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、1,4-ジオキサンを含む非プロトン性溶媒;または-ブテン-2-オールなどのアルコールが含まれる。反応は、出発原料または生成物のいちじるしい分解をきたすことのない、本質的にいかなる好都合な温度でも行うことができる。例えば、温度は約0℃から約200℃;好ましくは約20℃から約150℃;より好ましくは約30℃から約135℃の範囲でありうる。反応は還流中の塩化メチレンなどの還流中の溶媒中でも実施することができる。変換は、溶媒および水の共沸除去(蒸留)中に都合よく実施することができる。例えば、変換はトルエン(約105℃から約115℃)またはキシレン(約125℃から約135℃)の共沸除去中に実施することができる。
【0160】
選択的に、反応中または反応と同時の水の除去を、変換または収率を高めるために都合よく用いることができる。本発明の範囲を限定する意味はないが、水の除去はアセタール生成反応を完了させると考えられる。例えば、ディーン-スタークトラップまたは共沸蒸留装置に類似の処理器具を用いて水を除去することができる。モレキュラーシーブス(ゼオライト)、酢酸イソプロペニル、およびオルトギ酸トリメチルなどの他の方法も用いることができる。
【0161】
18aから47への変換および47から31への変換は、単離することなく一つの反応容器内、または一つの反応混合物中で連続的もしくは同時に有利に実施することができる。さらに有利には、アルデヒド19からアセタール18の調製、18の対応するエノールエーテル中間体への変換、およびエノールエーテル中間体の31への変換はすべて、一つの反応容器または反応混合物中で実施することができる。例えば、2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナールを、トルエンなどの溶媒中、3-ブテン-2-オールおよびp-トルエンスルホン酸存在下、水を除去(例えば、ディーン-スタークトラップで)しながら加熱して、2-ブチル-2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサ-4-エナールを生成することができる。
【0162】
2-アルケニル-2,2-二置換アルデヒド49を調製するためのこの有用で驚くべき全方法は一般に認められている。反応式18に示すとおり、3-硫黄-プロピオンアルデヒド化合物48の3-硫黄-プロピオンアルデヒドオレフィン化合物49への変換において、一般法を用いることができる。化合物19を化合物16に変換するための前述の条件は、反応式18の広範な反応において有用である。
反応式18の反応において:
R15はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルアリール、およびアシルからなる群より選択され、ただしアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルアリール、およびアシルは少なくとも一つのR22基で選択的に置換されており;
R16、R17、R21a、およびR21bは独立にHおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R22はH、-NO2、アミノ、C1から約C10アルキルアミノ、ジ(C1から約C10)アルキルアミノ、C1から約C10アルキルチオ、ヒドロキシ、C1から約C10アルコキシ、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、OR6、SR6、SR6R6a、およびNR6R6aからなる群より選択され;
R6およびR6aは独立にHおよび保護基からなる群より選択され;かつ
qは0、1、または2である。
【0163】
好ましくは、R15はアリール、アルキルアリール、およびアリールアルキルアリールからなる群より選択される。より好ましくは、R15はアリール、アルキルアリール、およびアリールアルキルアリールからなる群より選択され、ただしアリール、アルキルアリール、およびアリールアルキルアリールは少なくとも一つのR22基で選択的に置換されている。さらにより好ましくは、R15は少なくとも一つのR22基で選択的に置換されたアリールアルキルアリールであり、さらにより好ましくは、R15は少なくとも一つのR22基で選択的に置換された2-(フェニルメチル)フェニルである。したがって、R15は表Aに示すいかなる部分(R6は前述の定義のとおりである)も含むことができるが、これらに限定されることはない。
【0164】
(表A)
【0165】
R16がヒドロカルビルである場合、これは無置換ヒドロカルビル、例えばC1から約C10アルキル、好ましくはC1から約C5アルキルであってもよい。より好ましくは、R16が無置換ヒドロカルビルである場合、これはエチルまたはブチルである。
【0166】
反応式18の反応において、R17は好ましくはヒドロカルビルであり、より好ましくはC1から約C10アルキル、さらにより好ましくはC1から約C5アルキル、さらにより好ましくはメチルである。
【0167】
R21aおよびR21bは好ましくは独立にH、C1から約C10アルキル、C2から約C10アルケニル、およびC2から約C10アルキニルからなる群より選択され;より好ましくはR21aおよびR21bはいずれもHである。
【0168】
反応式18の反応において、好ましくはqは2である。
【0169】
反応式18の反応は、出発原料または生成物のいちじるしい分解をきたすことのない、本質的にいかなる好都合な温度でも行うことができる。例えば、温度は約0℃から約200℃;好ましくは約20℃から約150℃;より好ましくは約30℃から約135℃;さらにより好ましくは約30℃から約100℃の範囲でありうる。
【0170】
化合物48を様々な方法のいずれかにより調製することができる。例えば、48は、アクロレイン化合物(65)を求核性有機硫黄化合物(66)で処理して化合物48を生成する、反応式18aの反応によって調製することができる。反応式18aの反応は、好ましくは塩基、好ましくはアミン、より好ましくはトリエチルアミンなどのアルキルアミン存在下で実施する。好ましくは、塩基は触媒量で存在する。反応式18aにおいて、R15、R16、R21a、R21b、およびqは前述の定義のとおりである。
【0171】
モノアルキルスルホンアルデヒド化合物19は、置換ジフェニルメタン化合物11をスルフィン化条件下で処理し、これを式21の構造を有する2-置換アクロレイン化合物とカップリングさせて化合物19を生成することによる、スルホン生成反応で調製することができる。スルホン生成反応を反応式19に示す。
スルフィン化条件は、例えば、化合物11をNa2S、Na2S2、またはLi2Sなどの金属硫化物供給源、好ましくはNa2S2で処理する段階を含んでいてもよい。スルフィン化条件はさらに水を含んでいてもよい。金属硫化物で処理した後、基質を酸化してスルフィン酸51またはその塩を生成する(反応式20)。様々な酸化条件を用いて、この酸化を行うことができる。例えば、有用な酸化剤には過酸化水素供給源が含まれる。
【0172】
金属硫化物の添加中、混合物の温度は広範囲にわたって変動しうる。化合物11を金属硫化物と、約25℃から約125℃、好ましくは約40℃から約100℃、より好ましくは約50℃から約80℃の温度で反応させることが有用である。この反応は、溶媒存在下で行うことができる。本発明の反応にとって、過酸化水素が溶解しうる本質的にいかなる溶媒も有用である。有用な溶媒には、C1から約C10アルコール;好ましくはC1から約C5アルコール;より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、または2-プロパノール;さらにより好ましくはエタノールなどのアルコールが含まれる。他の有用な溶媒には、ジメチルアセトアミドなどのアミドが含まれる。過酸化水素による酸化中、反応は好ましくは約30℃未満、より好ましくは約25℃未満、より好ましくは約20℃未満に維持する。望まれるならば、スルフィン酸化合物51は酸として、または好ましくは塩として単離することができる。
【0173】
または、51は単離して、または単離せずにさらに用いることができる。例えば、51はアクロレイン化合物21で処理して、モノアルキルスルホンアルデヒド化合物19を生成することもできる。化合物21との反応は、周囲温度を含む本質的にいかなる好都合な温度でも行うことができる。本発明の反応は溶媒存在下でも行うことができる。有用な溶媒にはアセトニトリルなどのニトリル;ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、もしくはメシチレンンなどの芳香族溶媒;または塩化メチレンなどの塩素化溶媒が含まれる。一つの態様において、本発明の反応はヨウ化テトラブチルアンモニウム存在下、二相性条件下で行う。
【0174】
R6がメチルであり、かつR1が2-ブチルアクロレインである場合、スルホン生成段階の生成物はブチルスルホンアルデヒド32である。
【0175】
本明細書に記載の反応は、個別に、例えば保存、他の反応における使用、または商業用の中間体化合物を調製するために行うことができる。または、複数の反応を組み合わせることもできる。例えば、ベンジルアンモニウム化合物1調製のための全プロセスを図3に示す。本開示に記載の方法および試薬を図3のプロセスで用いることができる。ジフェニルメタン化合物11も、望まれるならば、本明細書に記載の方法および試薬を用いて、図4に示すプロセスにより調製することができる。
【0176】
本明細書に記載の方法は、当技術分野における他の反応と組み合わせることもでき、本発明の精神および範囲内である。例えば、PCT特許出願国際公開公報第99/32478号は、不斉酸化剤を用いて、化合物(4R,5R)-24(国際公開公報第99/32478号の実施例9)などの鏡像異性的に純度が高いテトラヒドロベンゾチエピンオキシドを調製する方法を記載している。図5のプロセスは、鏡像異性的に純度が高いテトラヒドロベンゾチエピンオキシド24(例えば、(4R,5R)-24)を本発明の方法との組み合わせで用いて鏡像異性的に純度が高いベンジルアンモニウム化合物(例えば、(4R,5R)-1、より具体的には(4R,5R)-41)を調製することができる、多くの方法の一つを示している。用いる鏡像異性的に純度が高い化合物24は国際公開公報第99/32478号のとおりに調製することができ、または下記に開示する方法を用いて調製することもできる。本明細書において用いられる、化学構造中のアステリスクはキラル中心を示す。
【0177】
本発明のプロセスにおいて他の方法を代わりに用いて鏡像異性的に純度が高いベンジルアンモニウム化合物を得ることもできる。例えば、図3の一つまたは複数のキラル中心を有する中間体または生成物の一つを光学分割してもよい。光学分割は、それにより化合物の鏡像異性体の濃度が化合物のもう一つの鏡像異性体に比べて高くなる任意の技術である。光学分割の有用な方法には、キラルな物質との共結晶化、例えば、光学活性な対イオンとの塩として、すなわちジアステレオマー塩の結晶化が含まれる。本発明の化合物を光学分割するためのもう一つの有用な方法は、一つまたは複数のキラル中心を有する化合物を光学活性な誘導体化材で誘導体化し、それによりジアステレオマー誘導体を生成することである。次いで、ジアステレオマー誘導体を個々のジアステレオマーに、例えば分別結晶またはクロマトグラフィによって分離することができる。
【0178】
本発明のプロセスにおいて、中間体または生成物を光学分割するために有用なもう一つの方法はキラルクロマトグラフィである。本発明において、数種のキラルクロマトグラフィのいずれも用いることができる。例えば、キラルクロマトグラフィ技術には連続クロマトグラフィ、半連続クロマトグラフィ、または単一カラム(バッチ)クロマトグラフィが含まれうる。連続クロマトグラフィの例は擬似移動床式クロマトグラフィ(SMB)である。米国特許第2,985,589号(参照として本明細書に組み込まれる)はSMBの一般的理論を記載している。SMBの一般的理論を記載しているもう一つの文献は米国特許第2,957,927号(参照として本明細書に組み込まれる)である。SMBを記載しているさらにもう一つの文献は米国特許第5,889,186号である。
【0179】
本発明において有用なさらにもう一つのキラルクロマトグラフィ技術は、定期的プロフィール内注入による閉ループ再循環(close-loop recycling with periodic intra-profile injection:CLRPIPI)などの半連続技術である。
【0180】
単一カラムまたはバッチクロマトグラフィも本発明において光学分割を行うために有用である。
【0181】
本明細書において参照したキラルクロマトグラフィ技術のいずれにおいても、様々な条件を用いることができる。各技術には固定相および移動相が必要である。固定相はキラル基質を含んでいてもよい。例えば、キラル基質はアミロース、セルロース、キシラン、カードラン、デキストラン、またはイヌラン糖類または多糖などの糖類または多糖を含んでいてもよい。キラル基質は選択的にシリカゲル、ジルコニウム、アルミナ、粘土、ガラス、樹脂、またはセラミックなどの固体支持体上に固定することもできる。キラル基質は、例えば、固体支持体によって吸収、固体支持体上に吸着、または固体支持体に化学結合することができる。または、固定相は酒石酸誘導体などのもう一つのキラル基質を含むこともできる。もう一つの代替法において、固定相はPirkle吸着剤などの誘導体化シリカ吸着剤を含むこともできる。
【0182】
本発明のキラルクロマトグラフィ技術は移動相も含む。各鏡像異性体を固定相と移動相との間で区別して分配することができるいかなる移動相も、本発明において有用である。例えば、移動相は水、アルコール、炭化水素、ニトリル、エステル、塩素化炭化水素、芳香族溶媒、ケトン、またはエーテルを含むことができる。移動相がアルコールを含む場合、好ましくはそれはC1から約C10アルコール、より好ましくはC1から約C8アルコール、より好ましくはC1から約C5アルコールである。移動相が炭化水素を含む場合、好ましくはそれはC1から約C20炭化水素、より好ましくはC1から約C15炭化水素、より好ましくはC1から約C10炭化水素である。他の有用な溶媒には、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、塩化メチレン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、アセトン、メチルt-ブチルエーテル、またはジエチルエーテルが含まれる。好ましくは移動相はアセトニトリル、トルエン、またはメチルt-ブチルエーテルを含む。移動相は溶媒の混合物も含んでいてもよい。好ましい移動相混合物はトルエンおよびメチルt-ブチルエーテルを含む。移動相は超臨界CO2などの超臨界流体も含んでいてもよい。二酸化炭素は、液体CO2などの亜臨界状態で移動相として用いることもできる。超臨界または亜臨界CO2は前述の他の移動相のいずれかと組み合わせて用いることもできる。
【0183】
キラル分離はいかなる好都合な温度でも実施することができるが、好ましくは約5℃から約45℃、より好ましくは約20℃から約40℃の温度で実施することができる。
【0184】
光学分割は、ベンジルアンモニウム化合物調製においてキラル中心を有するいかなる好都合な化合物または中間体に対しても実施することができる。例えば、光学分割は化合物1、2、4、6、7、8、9、10、12、35、36、または37のいずれか一つまたは複数に対して実施することができる。一つの好ましい態様において、光学分割は化合物7に対して実施する。さらなる好ましい態様は、化合物7が化合物24、好ましくは化合物syn-24によって表されるものである。
【0185】
典型的には光学分割において、二つの鏡像異性体は部分的または本質的に完全に互いから分離される。分離のゴールが一方の所望の鏡像異性体を高濃度に含む試料を得ることであれば、他方の鏡像異性体を所望の鏡像異性体に、または鏡像異性体の本質的にラセミ混合物に変換または再循環させて、さらなる光学分割を実施可能にする方法が有用である。分子に複数のキラル中心がある場合、複数のジアステレオマーが存在しうる。同様に、ジアステレオマーを分離して、一つまたは複数の所望のジアステレオマーを高濃度に含む試料を得ることもできる。一つまたは複数の他のジアステレオマーを所望の一つまたは複数のジアステレオマーに、またはジアステレオマー混合物に変換して、さらなる分離を実施可能にする方法もさらに有用である。
【0186】
驚くことに、この立体異性体の変換または再循環は、本発明のプロセスにおいて実施することができる。本明細書において用いられる「立体異性体」なる用語は、鏡像異性体およびジアステレオマーを含む。テトラヒドロベンゾチエピン化合物22
(ここで、式22は(4S,5S)-ジアステレオマー、(4R,5R)-ジアステレオマー、(4R,5S)-ジアステレオマー、および(4S,5R)-ジアステレオマーからなる群より選択される(4,5)-立体異性体を含む)の立体異性体を処理して、(4S,5S)-ジアステレオマーおよび(4R,5R)-ジアステレオマーを含む混合物を生成する方法であって、塩基をテトラヒドロベンゾチエピン化合物の(4,5)-立体異性体を含む供給材料組成物と接触させ、それによりテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマー混合物を生成する段階(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R8はH、ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、((ヒドロキシアルキル)アリール)アルキル、((シクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、((ヘテロシクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、((4級ヘテロシクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、および4級ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、
ただしヒドロカルビル、複素環、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、および4級ヘテロアリールアルキルは一つまたは複数の炭素がO、NR3、N+R3R4A-、S、SO、SO2、S+R3A-、PR3、P+R3R4A-、P(O)R3、フェニレン、炭水化物、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドからなる群より選択される部分で選択的に置換されており、かつ
R8はスルホアルキル、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択される一つまたは複数の部分で選択的に置換されており;
R3、R4、およびR5は前述の定義のとおりであり;
R23およびR24はR3およびMからなる置換基から独立に選択され;
A-は薬学的に許容される陰イオンであり、Mは薬学的に許容される陽イオンであり;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
nは0から4の数字であり;
X7はS、NH、またはOであり;かつ
xは1または2である)を含む方法をここで開示する。
【0187】
好ましくは、化合物22の基X7R8はフェニル基の3'または4'位、より好ましくは4'位にある。好ましくは、X7はNHまたはOであり、より好ましくはOである。
【0188】
様々な塩基を用いて本発明の立体異性体の変換または再循環を行うことができる。例えば、塩基はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、金属水素化物、アルカリ金属アミド、およびアルカリ金属ヒドロカルビル塩基でありうる。好ましくは、塩基はアルカリ金属アミド、金属水素化物、またはアルカリ金属アルコキシドである。有用なアルカリ金属アミドには、リチウムジエチルアミド(LDA)、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムN-メチルアニリド、リチウムメチルアミド、カリウムアミド、ソーダアミド、および((CH3)3Si)2NNaが含まれる。有用な金属水素化物には、水素化リチウム、水素化ナトリウム、および水素化カルシウムが含まれる。有用なアルカリ金属アルコキシドには、例えばリチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、およびカリウムアルコキシド;好ましくはナトリウムアルコキシドまたはカリウムアルコキシドが含まれる。アルコキシドは好ましくはC1から約C10アルコキシド;より好ましくはC1から約C6アルコキシド;さらにより好ましくはメトキシド、エトキシド、n-プロポキシド、イソプロポキシド、n-ブトキシド、sec-ブトキシド、イソブトキシド、t-ブトキシド、またはt-アミレートなどのC1から約C5アルコキシドである。特に有用なアルコキシドはカリウムt-ブトキシドである。R8は例えばH、C1から約C20アルキル、ヒドロキシアルキルアリールアルキル、またはヘテロシクロアルキルアルキルアリールアルキルでありうる。好ましくは、R8はH、またはC1から約C20アルキル;より好ましくはC1から約C20アルキル;さらにより好ましくはC1から約C10アルキル;さらにより好ましくはC1から約C5アルキルである。特に好ましい態様において、R8はメチルである。R9は例えばH、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、またはニトロ;好ましくはHまたはアルキルアミノ、より好ましくはアルキルアミノ、さらにより好ましくはジメチルアミノである。特に好ましい態様において、R9はジメチルアミノであり、nは1である。R9がジメチルアミノで、nが1である場合、R9はテトラヒドロベンゾチエピン化合物構造の7位に位置することが好ましい。R1およびR2は前述の定義のとおりである。一つの好ましい態様において、R1およびR2はいずれもブチルである。もう一つの好ましい態様において、R1およびR2の一方はエチルであり、R1およびR2の他方はブチルである。化合物22の(4,5)-立体異性体は(4S,5S)-ジアステレオマー、(4R,5S)-ジアステレオマー、または(4S,5R)-ジアステレオマーであることが好ましく;より好ましくは(4S,5S)-ジアステレオマーである。本発明の変換条件は溶媒を含むこともできる。有用な溶媒には、反応条件下で塩基に対して本質的に非反応性のいかなる溶媒も含まれる。好ましい溶媒には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、もしくはジオキサンなどのエーテル;またはC1から約C10アルコールなどのアルコールが含まれる。溶媒がアルコールである場合、好ましくはそれはC1から約C6アルコール;より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t-ブチルアルコール、またはt-アミルアルコール;さらにより好ましくはエタノール、t-ブチルアルコール、またはt-アミルアルコール;さらにより好ましくはt-ブチルアルコールである。本発明の変換は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物が式24の構造を有する場合に特に有利である。
【0189】
本発明の立体異性体変換において用いる供給材料は、アミノスルホンアルデヒド化合物8(R1、R2、およびR6は前述の定義のとおりである)をさらに含んでいてもよい。
【0190】
本発明の立体異性体変換の別法は、化合物22を脱離条件下で処理して、式23の構造を有するジヒドロベンゾチエピン化合物
を生成する段階と、ジヒドロベンゾチエピン化合物を酸化して(4S,5S)-ジアステレオマーおよび(4R,5R)-ジアステレオマーの混合物を生成する段階とを含む。R1、R2、R8、R9、n、X7、およびxは前述の定義のとおりである。脱離条件は酸を含んでいてもよく、もしくは条件は塩基を含んでいてもよく、または脱離条件は中性pHでもよい。脱離条件は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーを誘導体化して、4位に脱離不安定性基を有するテトラヒドロベンゾチエピン誘導体を生成する段階と、脱離不安定性基を脱離してジヒドロベンゾチエピン化合物を生成する段階とをさらに含むことができる。脱離不安定性基は、例えば、酸不安定性または塩基不安定性でありうる。脱離不安定性基は熱不安定性であってもよい。例えば、そのような基は酢酸エステル基または3-ブテン-2-オキシ基であってもよい。酸化段階は、ジヒドロベンゾチエピン化合物をアルコール生成条件下で反応させてテトラヒドロベンゾチエピン化合物の立体異性体の混合物を生成する、アルコール生成段階を含むこともできる。例えば、アルコール生成条件はオキシ水銀化-脱水銀化を含んでいてもよい。もう一つの例において、アルコール生成条件はエポキシ化と、それに続くPCT特許出願国際公開公報第97/33882号(参照として本明細書に組み込まれる)に記載の条件を用いた還元を含んでいてもよい。好ましくは、(4,5)-ジアステレオマーは(4S,5S)-ジアステレオマー、(4R,5S)-ジアステレオマー、および(4S,5R)-ジアステレオマー;より好ましくは(4S,5S)-ジアステレオマーからなる群より選択される。特に好ましい態様において、テトラヒドロベンゾチエピン化合物は化合物24の構造を有し、ジヒドロベンゾチエピン化合物は化合物25の構造を有する。
【0191】
取り扱いが容易で、形態の再現性があり、調製が容易で、非吸湿性のテトラヒドロベンゾチエピン化合物の形態が特に有用であると考えられる。吸湿性化合物は水分を例えば大気から吸収し、化合物試料は水分をさらに吸収して重量が増加することもある。化合物試料中への水分の吸収は化合物の測定、例えば赤外スペクトルに影響をおよぼすこともある。薬学的化合物の吸湿性は、その化合物が秤量および測定を困難にする程度および速度で水分を吸収する場合には問題となりうる。薬学的化合物の正確な秤量および測定は、患者に確実に適当な用量を投与するために重要である。
【0192】
本明細書に記載のテトラヒドロベンゾチエピン化合物、特に化合物41の結晶体をここで開示する。
【0193】
化合物41またはその鏡像異性体の第一の結晶体(I型)の融点または分解点は約220℃から約235℃、好ましくは約228℃から約232℃、より好ましくは約230℃である。I型は、例えば化合物41またはその鏡像異性体の、アセトニトリル、メタノール、またはメチルt-ブチルエーテルを含む溶媒からの結晶化により調製することができる。好ましくは、I型は化合物41またはその鏡像異性体の、メタノールまたはメチルt-ブチルエーテルを含む溶媒から、より好ましくはメタノールおよびメチルt-ブチルエーテルを含む溶媒からの結晶化により調製することができる。I型の調製法には、米国特許第5,994,391号(参照として本明細書に組み込まれる)、実施例1426および1426aに記載のものが含まれる。
【0194】
化合物41またはその鏡像異性体のもう一つの結晶形(II型)の融点または分解点は約278℃から約285℃である。II型は、例えば化合物41またはその鏡像異性体の、溶媒、好ましくはケトン溶媒、より好ましくはメチルエチルケトン(MEK)またはアセトンを含むケトン溶媒からの結晶化により調製することができる。例として、化合物41またはその(4S,5S)鏡像異性体をMEKを含む溶媒中で混合し、II型をその溶液から結晶化するよう誘導することもできる。好ましくは、化合物41またはその(4S,5S)鏡像異性体をMEKなどのケトンおよび一定量の水(例えば、約0.5から約5重量%、好ましくは1から約4重量%、より好ましくは2から約4重量%の水)を含む溶媒中に溶解する。結晶化は、例えば溶媒を蒸発させる(例えば、蒸留または一定時間、空気または窒素などの気流への曝露により)、または水を蒸発させる(例えば、蒸留または共沸により)ことによって誘導することができる。または、結晶化は冷却などの他の伝統的結晶化法により、または別の溶媒の添加もしくは種結晶の添加により誘導されると考えられる。もう一つの代替法として、結晶化は追加のMEKを加える(結晶化溶媒中の水の重量%を低下させる)ことにより誘導することもできる。II型は、化合物41を調製する反応(例えば、(4R,5R)-27のDABCOとの反応)をMEKを含む溶媒中、好ましくはMEKおよび約0.5から約5重量%の水を含む溶媒中で行うことにより、反応混合物から都合よく沈殿させることもできる。沈殿は反応混合物から溶媒を留去することによって促進することができる。
【0195】
したがって、一つの態様において、本発明はテトラヒドロベンゾチエピン化合物を有用な結晶体で提供する。特に、本発明は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物が式71の構造を有し、結晶体の融点または分解点が約278℃から約285℃である、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の結晶体(すなわちII型)を提供する。好ましくは、II型の融点または分解点は約280℃から約283℃、より好ましくは約282℃である。
【0196】
好ましくは、式71の化合物は(4R,5R)の絶対配置を有し(すなわち、化合物41)、これがII型の結晶構造を形成する化合物として好ましい絶対配置である。しかし、化合物71の(4S,5S)鏡像異性体も本発明の結晶体で調製することができる。
【0197】
図6は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的X線粉末回折パターンを示している。好ましくは、II型結晶体は図6、プロット(b)に示すX線粉末回折パターンを有する。典型的に、II型は2θが約9.2度、約12.3度、および約13.9度にピークを示すX線粉末回折パターンを有する。II型のX線粉末回折パターンには典型的に2θが約7.2度および約11.2度のピークが欠損している。表1はI型およびII型の顕著なX線粉末回折ピークの比較を示している。
【0198】
図7は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示している。好ましくは、II型結晶体は図7、プロット(b)に示す赤外(IR)スペクトルを有する。典型的に、II型は約3245cm-1から約3255cm-1にピークを示すIRスペクトルを有する。好ましくは、II型は1600cm-1にもIRピークを有する。同様に好ましくは、II型は1288cm-1にもIRピークを有する。表2はI型およびII型の顕著なFTIRピークの比較を示している。
【0199】
図8は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的固体状態炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示している。好ましくは、II型結晶体は図8、プロット(b)に示す固体状態炭素-13NMRスペクトルを有する。典型的に、II型は約142.3ppm、約137.2ppm、および約125.4ppmにピークを示す固体状態炭素-13NMRスペクトルを有する。表3はI型およびII型の顕著な固体状態炭素-13NMRピークの比較を示している。
【0200】
図9は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的示差走査熱量測定プロフィールを示している。
【0201】
融点または分解点が約278℃から約285℃の結晶体(すなわちII型)の乾燥試料は、25℃、相対湿度(RH)80%の空気中で平衡化させた場合、重量増加は典型的にはそれ自体の重量の約1%未満である。そのような結晶体は本質的に非吸湿性である。例えば、化合物41またはその鏡像異性体のII型結晶体の試料を本質的にRH 0%、約25℃で、本質的に乾燥した窒素パージ下、試料が時間の関数として重量変化を本質的に示さなくなるまで乾燥すると、試料の重量増加は、約25℃、RH約80%の空気中で平衡化させた場合、それ自体の重量の約1%未満である。本発明のために、「本質的にRH 0%」なる用語はRH約1%未満を意味する。「平衡化」なる用語は、所与の相対湿度における試料重量の経時変化が0.0003%((dm/dt)/m0×100、ただしmは質量(mg)であり、m0は初期質量であり、tは時間(分)である)未満であることを意味する。
【0202】
本発明は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物が式71の構造を有し、結晶体がテトラヒドロベンゾチエピン化合物をメチルエチルケトンを含む溶媒から結晶化することにより生成される、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の結晶体を提供する。好ましくは本発明の結晶体において、化合物71は(4R,5R)絶対配置を有する(すなわち化合物41)。または、本発明の結晶体は化合物71の(4S,5S)-鏡像異性体をメチルエチルケトンを含む溶媒から結晶化することにより調製することができる。
【0203】
本発明は、本発明の結晶体の調製法を提供する。特に、本発明は式63の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5はHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMからなる置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-およびQ-は独立に薬学的に許容される陰イオンであり;かつ
Mは薬学的に許容される陽イオンである)の結晶体の調製法であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物をメチルエチルケトンを含む溶媒から結晶化する段階を含む方法を提供する。
【0204】
好ましくは、本発明の方法において、テトラヒドロベンゾチエピン化合物は式64の構造を有し、より好ましくは化合物41の構造を有する。
【0205】
本発明は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物またはその鏡像異性体をケトン溶媒を含む溶媒から結晶化することにより生成する、化合物41またはその鏡像異性体の結晶体も提供する。好ましくは、ケトン溶媒はメチルエチルケトン、アセトン、またはメチルイソブチルケトンである。より好ましくは、ケトンはメチルエチルケトンである。
【0206】
本発明のもう一つの局面は、化合物41のII型(「生成物結晶体」)の化合物41のI型(「初期結晶体」)からの調製法であって、I型に熱をかける段階を含む方法を具体化している。したがって本発明は、融点または分解点が約278℃から約285℃である、式41の化合物構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物のII型の調製法であって、融点または分解点が約220℃から約235℃である、テトラヒドロベンゾチエピン化合物のI型に熱をかけ、それにより化合物41のII型を生成する段階を含む方法を提供する。本発明の方法において、I型を約20℃から約150℃、好ましくは約50℃から約125℃、より好ましくは約60℃から約100℃の温度まで加熱すると好都合である。この方法は、I型を加熱する段階の後に冷却段階をさらに含んでいてもよい。望まれるならば、I型のII型への変換は溶媒存在下で実施することができる。例えば、変換はI型を溶媒と混合したスラリーで実施してもよい。溶媒は本質的にいかなる好都合な溶媒も含みうる。好ましくは溶媒はケトンを含み、より好ましくはケトンはメチルエチルケトン、アセトン、またはメチルイソブチルケトンである。さらにより好ましくはケトンはメチルエチルケトンである。しかし、変換は、望まれるならば、アセトン中で実施することもできる。または、変換はメチルイソブチルケトン中で実施してもよい。
【0207】
再結晶手順
下記の再結晶手順は、化合物41、60、1、71、63、3および64(これらの構造は前述の定義のとおりである)を含むが、これらに限定されることはない、下記の化合物のいかなる一つまたは複数にも適用することができる。再結晶手順は化合物41、60、1、71、63、3および64のI型(吸湿型)またはII型(本質的に非吸湿型)のいずれにも適用することができる。再結晶手順を、例えば化合物41および/または71のII型に適用することが好ましい。化合物41および71のIおよびII型は前述している。便宜上、化合物41、60、1、71、63、3および64の構造を以下に再現する。
【0208】
下記の再結晶手順を、41、60、1、71、63、3および64で示した前述の化合物の任意の一つまたは複数に適用する。選択的に、脱塩プロセスを用いて、本明細書に記載の本発明の再結晶プロセスの前に本発明の化合物から塩を除去することもできる。例えば、過剰の塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどを除去するための例示的脱塩プロセスを下記の実施例119に記載する。
【0209】
本発明の再結晶手順を下記のチャート1に示す。
チャート1
前述のプロセスを実施して、およそ≧99重量%、好ましくは≧99.5重量%、より好ましくは≧99.9重量%の純度を有する単結晶生成物を得る。全体として、前述のプロセスは下記の段階を含む:
(a)不活性雰囲気下、化合物41、60、1、71、63、3または64(またはその混合物)のいずれか一つを水混和性共溶媒および水を含む溶媒系に可溶化する段階と;
(b)選択的に、不活性雰囲気下、該溶媒系の水含有量を調節して、該溶媒系中の該一つまたは複数の化合物の飽和溶液を生成する段階と;
(c)不活性雰囲気下、該溶媒系の水含有量を調節して、該溶媒系から該一つまたは複数の化合物の実質的に単結晶を再結晶化する段階と;
(d)該単結晶を該溶媒系から分離する段階。
【0210】
全再結晶プロセスに関して、所望の生成物(化合物41、60、1、71、63、3および64)は空気中で安定でないため、反応混合物の空気への曝露を防ぐことが重要である。したがって、再結晶プロセスは不活性ガス条件下で行うべきである。本発明に従い、例示的再結晶プロセスを以下に記載する。
【0211】
一つの態様による手順
段階1:四頸ジャケット付反応フラスコを撹拌機、不活性ガス注入口、冷却器、熱電対、およびパドル撹拌機(例えば、テフロンパドル撹拌機)と共に組み立てる。フラスコを窒素またはアルゴンなどの適当な不活性ガスでパージする。窒素およびアルゴンが例示的不活性ガスであるが、元素周期表に掲載されている不活性ガスのいずれも用いうることに留意されたい。
【0212】
段階2:前述の化合物(例えば、化合物41、60、1、71、63、3または64)のいずれか一つを反応容器に加える。選択的に、複数の化合物41、60、1、71、63、3および64を反応容器に加えてもよい。
【0213】
段階3:さらに、DABCOなどの化合物(例えば、前述の段階2で加えた、またはこのプロセス中に反応容器に加える化合物41、60、1、71、63、3および64の1モルごとに10モルパーセント)を反応容器に加える。DABCOを用いることが好ましいが、化合物41、60、1、71、63、3または64の再結晶に有害な干渉をしない、DABCOなどのいかなる塩基性化合物も用いることができる。DABCOの代わりに、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせを含むが、これらに限定されることはない、下記の化合物をそれらの代わりに用いても(またはDABCOに加えて添加しても)よい。好ましくは、DABCOまたは前述のその代替物などのこれらの化合物を、単独または組み合わせで加えた化合物41、60、1、7 1、63、3または64の1モルごとに約10モルパーセントの量で、再結晶用の反応容器に加える。
【0214】
段階4:再度、反応フラスコを窒素または適当な不活性ガスでパージする。
【0215】
段階5:次に、十分な量のケトン溶媒(好ましくは、水混和性ケトン溶媒)を反応容器に、好ましくは少なくともスラリーを形成するのに十分な量を加える。好ましくは、ケトン溶媒はメチルエチルケトン(MEK)またはその等価物などの水に混和性のものである。
【0216】
段階6:十分な量の水(好ましくは脱イオン(DI)水)を加えて、ケトンおよび水の全量に対し約4体積%よりも高い水濃度のケトン:DI水溶媒系を得る。好ましくは、加える水の量はケトンおよび水の全量に対し約4〜10%の水濃度となるのに十分な量の水を含むケトン:DI水溶媒系を得るのに十分な量である。より好ましくは、加える水の量はケトン/水溶媒系において約3〜8体積%または約4〜7体積%の水濃度を得るのに十分な量である。さらにより好ましくは、加える水の量はケトン/水溶媒系において約5体積%の水濃度を得るのに十分な量である。段階5および6はまずケトン溶媒を加えた後に水添加段階を示しているが、段階5および6を逆にしてまず水を加えた後にケトン溶媒を加えてもよいことに留意されたい。
【0217】
段階7:段階2で加えた本発明の化合物と、段階5および6で加えたケトンおよび水溶媒を含む反応フラスコの内容物を撹拌する。撹拌は、好ましくは澄明な溶液が得られるまで続けるべきである。清澄ろ過段階が必要であれば、選択的にこの時点で行い、反応フラスコ中のいかなる不溶性材料も除去する。再度、全再結晶手順を、相当量の空気が系に入って、段階2で加えた化合物を分解する(かなりの、または望ましくないレベルまで)ことがないような様式で実施するべきである。
【0218】
段階8:次に、段階7からの溶液を好ましくは約65℃から約73℃の温度に加熱する。この段階において、加熱により反応フラスコ中の溶液が混濁することがある。
【0219】
段階9:段階5および6において、十分な量の水を反応容器に加えて、段階2で加えた化合物の澄明溶液を生成する。ここで、十分な量のケトン溶媒(またはその等価物)を加えて、ケトンおよび水の全量に対し約4から約5体積%の水を含むケトン/水溶媒系を生成することが好ましい。好ましくは、ケトン溶媒は溶液の温度が約65℃に維持されるような速度で加える。同様に好ましくは、ケトン溶媒はこの段階で撹拌しながら加える。
【0220】
段階10:選択的に、段階9からの反応フラスコの内容物を約65℃の温度で数分間、例えば1〜3分間維持する。理論にとらわれことはないが、この時点での反応容器中の溶液は過飽和であると考えられる。さらに、この時点での反応容器中の溶液は混濁でも澄明でもよい。それには関わりなく、次の段階に続く。
【0221】
段階11:十分な量のケトン溶媒を反応フラスコに追加して、ケトンおよび水の全量に対し水含有量が約1.8から約2体積%のケトン/水溶媒系を生成する。この段階で加えるケトン溶媒の添加速度は、好ましくは、ケトン溶媒を少なくとも約2時間かけて加えるような速度である。理論にとらわれることなく、ケトン溶媒の添加速度は重要であると考えられる。このケトン添加段階で少なくとも約2時間の添加時間を要するよりも速い添加速度では、この再結晶手順により、所望の単結晶とは異なる望ましくない凝集結晶が得られることもある。選択的に、この段階の最初または途中で、単結晶最終生成物(例えば、再結晶生成物の全重量に対し単結晶生成物約85重量%、約90重量%、約95重量%、または約99重量%以上程度の、相当量の単結晶生成物または多量の単結晶生成物)の生成を促進するのに十分な種結晶を反応容器に加えてもよい。
【0222】
段階12:反応混合物を少なくとも約30分間、65℃に維持する。再度、この段階は選択的である。
【0223】
段階13:選択的に、反応混合物を約25℃に冷却する。冷却速度は重要でないと考えられるが、収率を最大とするために反応物の温度は約15℃未満にしないことが重要であることに留意されたい。さらに、理論にとらわれることなく、最終生成物の溶解性は実際は高温よりも低温の方が高いと考えられる。したがって、高い温度が好ましい。
【0224】
段階14:選択的に、反応混合物を少なくとも約30分間、25℃に維持する。
【0225】
段階15:ろ過し、選択的に段階14終了時(または段階14を省略した場合には段階13終了時)に生成した結晶を洗浄し、集めたケークをケトン溶媒(またはその等価物)で洗浄する。
【0226】
段階16:選択的に、固体を減圧下、約80℃で乾燥する。
【0227】
前述の再結晶手順は典型的に収率約85%以上である。乾燥した結晶生成物中のケトン含有量は、本発明に従って再結晶化した化合物41、60、1、71、63、3または64の全重量に対し、多くても約1.0重量%(好ましくは、多くても0.5重量%)で、有機非ケトン溶媒(例えばトルエン)含有量は多くても0.01重量%(好ましくは多くても0.004重量%、より好ましくは多くても0.001重量%、さらにより好ましくは多くても0.0005重量%)である。再結晶最終生成物の検定値は典型的には99%よりも高く、99.0または99.5%よりも高いことが多い。
【0228】
代替再結晶手順
または、前述の段階9および11で示したケトン溶媒を加える代わりに、蒸発性結晶化手順を用いて再結晶生成物を得ることができる。この手順では、同じケトン-水溶媒系を用い、ケトン溶媒および水を共沸蒸留プロセスで除去することにより再結晶を促進する。
【0229】
本出願の説明および実施例は、ベンゾチエピン環の5位にパラ置換フェニル基を有するテトラヒドロベンゾチエピンオキシドの調製を例示しているが、適当な出発原料を選択することにより、5位にメタ置換フェニル基を有するテトラヒドロベンゾチエピンオキシドを調製することもできる。例えば、本出願の適用可能なプロセスにおいて式7の化合物のメタ置換フェニル類縁体を用いれば、5位にメタ置換フェニル基を有する、対応するテトラヒドロベンゾチエピンオキシドを生じると考えられる。選択した適当な出発原料の調製は、米国特許第5,994,391号(実施例1398a、1400、1425、1426および1426aに記載のものなど)に開示されている。その他の化合物の調製は、米国特許商標庁に2001年3月8日に出願された特許出願第09/802,279号('279号出願;処理番号61765.00036(3212/1/US))に開示されている。'279号出願はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0230】
c. 詳細な調製法
本発明の調製法において用いるための出発原料は公知であるか、または当業者には公知の通常法により、もしくは当技術分野において記載されているプロセスと類似の様式で調製することができる。
【0231】
一般に、本発明のプロセス法は下記のとおりに実施することができる。
【0232】
実施例1.
1-クロロ-2-(4-メトキシフェニル)メチル-4-ニトロベンゼン、33の調製
【0233】
段階 A. 2- クロロ -5- ニトロフェニル -4'- メトキシフェニルケトン、 34 の調製
方法1.
不活性雰囲気下で、五塩化リン(68.3g、0.328mole、Aldrich)を500mL二頸丸底フラスコに量り込む。フラスコにN2注入アダプターおよびスバシール(suba seal)を取り付ける。不活性雰囲気から取り出し、N2パージを開始する。無水クロロベンゼン(50mL、Aldrich)をPCl5にシリンジから加え、磁気撹拌子による撹拌を開始する。
【0234】
2-クロロ-5-ニトロ安息香酸(60g、0.298mole、Aldrich)を秤量する。2-クロロ-安息香酸をクロロベンゼン溶液に、N2パージ下にゆっくり加える。室温で終夜撹拌する。室温で20時間撹拌後、油浴に入れ、50℃で1時間加熱する。クロロベンゼンを高減圧下で除去する。残渣を無水ヘキサンで洗浄する。酸塩化物を乾燥する(重量=61.95g)。不活性乾燥雰囲気下で保存する。
【0235】
不活性雰囲気下で、酸塩化物を無水アニソール(105mL、0.97mole、Aldrich)に溶解する。溶液を500mL二頸丸底フラスコに入れる。
【0236】
三塩化アルミニウム(45.1g、0.34mole、Aldrich)を秤量し、固体添加漏斗に入れる。反応フラスコに添加漏斗およびN2注入アダプターを取り付ける。不活性雰囲気から取り出す。反応溶液を氷浴で冷却し、N2パージを開始する。AlCl3を冷却溶液にゆっくり加える。添加完了後、室温に戻す。終夜撹拌する。
【0237】
反応を1N HCl(300mL)溶液および氷中に注いで停止する。15分間撹拌する。エーテルで2回抽出する。有機層を合わせ2%NaOHで2回抽出し、次いで脱イオン水で2回抽出する。MgSO4で乾燥し、ろ過し、ロータリーエバポレーターで乾固する。アニソールを高減圧下で除去する。生成物を90%エタノール/10%酢酸エチルから結晶化する。減圧ライン上で乾燥する。重量=35.2g。収率41%。質量分析(m/z=292)。
【0238】
方法2.
2-クロロ-5-ニトロ安息香酸(CNBA)(230kg)をN2気流を通した清潔な乾燥反応器に移す。反応器にアニソール(460kg)を加える。撹拌を開始し、混合物を90℃に加熱してほとんどのCNBAを溶解する。反応器にポリリン酸(PPA)を加える。粘土を下げるために、PPAを加える前にPPA容器を加熱器(70℃)内で加温する。二相が得られる。上相は大部分のCNBAおよびアニソールを含む。下相はほとんどのPPAを含む。この反応状態を5時間維持し、その時点でサンプリングを初めて、残存CNBAを定量する。試料の分析はガスクロマトグラフィで行う。残存CNBAが1.0%になれば反応を停止する。反応はH2O(796kg)内で停止する。反応停止した塊の温度を60℃に調節し、単離するまでこの温度で維持する。撹拌を止め、相を分離する。下の消費した酸の相は廃棄する。上の生成物相を炭酸水素ナトリウム(18kg)/水(203kg)で洗浄し、次いで飲用水(114kg)で洗浄する。撹拌を止め、相を分離する。上の水相は廃棄する。下の生成物相を約0℃に冷却し、ヘプタン(312kg)を加える。オルト-およびパラ-置換生成物の混合物(合計10kg)が溶液から沈殿し、これを加圧ろ過により回収する。生成物相にさらにヘプタン(134kg)を加えて、さらにオルト-およびパラ-置換生成物の混合物(317kg)を沈殿させる。沈殿を加圧ろ過により回収する。湿ケークをヘプタンで洗浄して残存アニソールを除去する。湿ケークを回転減圧乾燥器中、60℃で乾燥する。34の最終収率は65.1%(オルト置換生成物の収率30.3%)である。
【0239】
段階 B. 1- クロロ -2-(4- メトキシフェニル ) メチル -4- ニトロベンゼン、 33 の調製
清潔で乾燥し、窒素パージした500mL丸底フラスコに34(60.0g、0.206mole)を加えた。トリフルオロ酢酸(100g、約67mL)を反応器に加え、得られた懸濁液を30℃に加熱して、均質なワイン色の溶液を得た。次に、トリエチルシラン(71.0g、0.611mole)を滴加漏斗に入れ、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフリック酸)(1.7g、0.011mole)を反応器に加えた。色が赤紫から緑褐色に変化した。トリエチルシランを溶液に30℃で滴加した。バッチの色は草色に変わり、その後発熱反応が起こった。発熱により、水浴でわずかに冷却したバッチの温度は45℃に上昇した。反応温度は滴加中45〜50℃に制御した。トリエチルシランの滴加は1時間で完了した。バッチの色は完了時には緑褐色になった。バッチを40℃でさらに3時間撹拌し、次いで冷却した。バッチ温度が約30℃になった時点で、生成物が結晶化し始めた。バッチをさらに水/氷浴中で1〜2℃まで冷却し、1〜2℃でさらに30分撹拌した後、スラリーをろ過した。結晶性固体をヘキサン(60mL×2)で、一回目は置換洗浄として、二回目はフィルター上で再スラリー化のために洗浄した。固体をフィルター上、窒素気流下で、乾燥するまで減圧ろ過し、次いで固体を清潔な容器に移した。合計49.9gの物質を単離した。融点87.5〜90.5℃およびHNMRは33の公知の試料と同じであった。生成物のGC(HP-5 25メートルカラム、100℃で1mL N2/分、300℃でFIT検出、スプリット50:1)は均質な物質を示していた。33の単離収率は88%であった。
【0240】
実施例2.
2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオール、54の調製
(この方法は米国特許第5,994,391号、スキームXI、段階1、カラム264に対応する実施例に記載のものと類似である。)水素化アルミニウムリチウム(662ml、1.2当量、0.66mol)の1M THF(662mL)溶液を、無水THF(700ml)中、マロン酸ジブチル-ジエチル(150g、0.55mol)(Aldrich)の撹拌溶液に、反応混合物の温度をアセトン/ドライアイス浴を用いて約-20℃から約0℃の間に維持しながら滴加した。次いで、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を-20℃に冷却し、水(40ml)、10%NaOH(80ml)および水(80ml)を連続して滴加した。得られた懸濁液をろ過した。ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、ジオールを油状物で得た(98.4g、収率95%)。プロトンNMR、炭素NMR、およびMSにより生成物を確認した。
【0241】
この化合物54の調製において有用な代替の還元剤には、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)または水素化ビス(2-メトキシエチキシ)アルミニウムナトリウム(例えば、Aldrichから供給されるRed-Al)が含まれる。
【0242】
実施例3.
1-ブロモ-2-ブチル-2-(ヒドロキシメチル)ヘキサン、52の調製
250mL三頸丸底フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、J-Kem温度制御装置に連結された熱電対およびアナログデータ収集ソフトウェアに連結された熱電対、ならびにマントルヒーターを取り付けた。フラスコを窒素でパージし、54(20g)を加えた。これに、酢酸中HBrの30重量%溶液(57g)を加えた。混合物を80℃で4時間加熱した。溶媒を20分かけてポット温度125℃まで蒸留して除去した。これにより残存HBrはほとんど除去される。混合物を80℃に冷却し、エタノール2B(100mL、供給源:Aeper)を一度に加えた。次に、濃硫酸(1.0mL)を加えた。溶媒を留去した(79〜80℃で溶媒10〜15ml)。混合物を2時間還流した。さらに10〜15mlの溶媒を留去し、混合物を再度還流温度で2時間維持した。溶媒をさらにポット温度125℃まで蒸留して除去し、次いでフラスコ内容物を25.0℃まで冷却した。フラスコに酢酸エチル(100mL)および2.5N水酸化ナトリウム(100mL)を加えた。混合物を15分間撹拌し、水層を分離した。ポットに水(100mL)を追加し、内容物を15分間撹拌した。水層を分離し、溶媒をポット温度125℃まで蒸留して除去した。このプロセス中に水を酢酸エチルとの共沸蒸留により除去した。生成物を減圧濃縮して生成物52を含む褐色油状物を得た(26.8g、GC:HP1カラム;初期温度50℃、2.5分間維持、勾配10℃/分で最終温度275℃、最終時間15分により96.81%)。
【0243】
実施例3a.
1-ブロモ-2-ブチル-2-(ヒドロキシメチル)ヘキサン、52の調製別法
250mL三頸丸底フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、J-Kem温度制御装置に連結された熱電対およびアナログデータ収集ソフトウェアに連結された熱電対、ならびにマントルヒーターを取り付ける。フラスコを窒素でパージし、54(20g)を加える。これに、酢酸中HBrの30重量%溶液(57g)を加える。混合物を80℃で4時間加熱する。溶媒を20分かけてポット温度90℃まで減圧蒸留して除去する。これにより残存HBrはほとんど除去される。混合物を80℃に冷却し、エタノール2B(100mL、供給源:Aeper)を一度に加える。次に、濃硫酸(1.0mL)を加える。溶媒を留去する(79〜80℃で溶媒10〜15ml)。混合物を2時間還流する。さらに10〜15mlの溶媒を留去し、混合物を再度還流温度で2時間維持する。溶媒をさらにポット温度85℃まで蒸留して除去し、次いでフラスコ内容物を25.0℃まで冷却する。フラスコに酢酸エチル(100mL)および2.5N水酸化ナトリウム(100mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、水層を分離する。ポットに水(100mL)を追加し、内容物を15分間撹拌する。水層を分離し、溶媒をポット温度85℃まで蒸留して除去する。このプロセス中に水を酢酸エチルとの共沸蒸留により除去する。材料を減圧濃縮して生成物52を得る。
【0244】
実施例4.
2-(ブロモメチル)-2-ブチルヘキサノール、53の調製
500mL三頸丸底フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、J-Kem温度制御装置に連結された熱電対およびアナログデータ収集ソフトウェアに連結された熱電対、ならびにマントルヒーターを取り付けた。フラスコを窒素ガスでパージし、52(26.0g)およびトリエチルアミン(15.6g)を加えた。250mlフラスコ中で、DMSO(50mL)中、三酸化硫黄-ピリジン(37.6g)をスラリー化した。DMSOスラリーを丸底フラスコに滴加漏斗で15分かけて加えた。滴加は温度22℃で開始し、最高41℃に達した。(18.0℃未満の温度でスラリーを滴加すると反応が非常に遅くなって、三酸化硫黄が蓄積し、温度が25℃を上回ると吸息に反応することになる。)混合物を15分間撹拌した。混合物に、2.5N HCl(100mL)を5分かけて加えた。温度は35℃未満に維持した、次に、酢酸エチル(100mL)を加え、混合物を15分間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、水層を分離した。ポットに水(100mL)を加え、混合物を15分間撹拌した。水層を分離した。溶媒をポット温度115℃まで蒸留し、残留物質を減圧濃縮して、生成物53を含む褐色油状物を得た(21.8g、GC:HP1カラム;初期温度50℃、2.5分間維持、勾配10℃/分で最終温度275℃、最終時間15分により95.1%)。
【0245】
実施例4a.
2-(ブロモメチル)-2-ブチルヘキサノール、53の調製別法および精製
a. 化合物 52 の調製
反応器に、2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオールと、続いて酢酸中30重量%のHBrを加える。容器を密封し、内部温度約80℃に加熱して、約7時間維持し、圧は25psia未満に維持する。反応混合物のGCを測定して、反応の完了(すなわち、2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオールの3-アセトキシ-2,2-ジブチル-1-プロパノールへの変換)を調べる。この時点で反応が完了していなければ、混合物をさらなる時間加熱して、変換を完了させてもよい。次いで、酢酸/HBrを施設減圧装置(約25mmHg)を用い、最高内部温度約90℃までで除去する。次いで、エタノールと、続いて硫酸を加える。エタノールの一部(加えたエタノールの約4分の1)を大気圧蒸留により除去する。次いで、3-アセトキシ-2,2-ジブチル-1-プロパノールを含む反応器にエタノール(およそ蒸留中に除去された量)を加え、内容物を還流点まで加熱(ジャケット温度95℃で約80℃)し、次いで約8時間還流を続ける。次いでエタノールを、ジャケット温度95℃を用いて最高内部温度85℃まで大気圧蒸留して除去する。GCを測定して、反応の完了(すなわち、3-アセトキシ-2,2-ジブチル-1-プロパノールの化合物52への変換)を調べる。反応が完了していなければ、反応器にエタノールを加え、内容物を還流点まで加熱し、次いでさらに4時間還流を続ける(ジャケット95℃で約80℃)。次いで、エタノールを、ジャケット温度95℃を用いて最高内部温度85℃まで大気圧蒸留して除去する。GCを測定して、反応の完了(すなわち、3-アセトキシ-2,2-ジブチル-1-プロパノールの化合物52への変換)を調べる。いったん反応が完了したと思われれば、残存エタノールを最高内部温度125℃まで大気圧蒸留して除去する。次いで、メチルt-ブチルエーテルと、続いて5%炭酸水素ナトリウム溶液を加える。層を分離し、水層をMTBEで一回抽出し、有機抽出物を合わせ、水で一回洗浄し、MgSO4で乾燥し、施設減圧装置(約25mmHg)で、最高内部温度60℃までで濃縮する。得られた油状物を、さらなる処理が必要になるまでクーラーに保存する。
【0246】
b. 化合物 53 の調製
メチルスルホキシドと、続いて化合物52およびトリエチルアミンを反応器に加える。次いで、ピリジン-三酸化硫黄複合体を反応器に、内部温度を<35℃に維持しながら、分割して加える。ピリジン-三酸化硫黄複合体の添加が完了すれば、反応混合物のGCを測定して、反応完了(すなわち、52の53への変換)を調べる。この時点で反応が完了していなければ、混合物をさらなる時間撹拌して、変換を完了させてもよい。反応を11重量%HCl水溶液で停止する。酢酸エチルを加え、層を分離し、水層を酢酸エチルで一回抽出し、有機抽出物を合わせ、水で一回洗浄し、MgSO4で乾燥し、施設減圧装置(約25mmHg)で、最高内部温度30℃までで濃縮する。得られた油状物を、さらなる処理が必要になるまでクーラーに保存する。
【0247】
c. 化合物 53 の調製別法
化合物52および塩化メチレンと、続いてTEMPOを反応器に加える。溶液を約0〜5℃に冷却する。臭化カリウムおよび炭酸水素ナトリウムを別々の反応器で溶解し、52およびTEMPOの溶液に0〜5℃で加える。二相性混合物を0〜5℃に冷却し、次亜塩素酸ナトリウムを内部温度0〜5℃が維持されるような速度で加える。添加が完了すれば、反応混合物のGCを行って、反応の完了を調べた。反応が完了していなければ(>1%の52が残っていれば)、さらに次亜塩素酸ナトリウムを加えて、反応を完了させてもよい。反応の完了が認められればその直後に、亜硫酸ナトリウムの水溶液を加えて、残存する次亜塩素酸ナトリウムを失活させる。層を分離し、水層を塩化メチレンで逆抽出し、合わせた有機分画を洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥する。次いで、化合物53を最高内部温度約30℃までで、減圧蒸留により濃縮する。粗アルデヒドをさらなる処理が必要になるまでクーラーに保存する。
【0248】
d. 化合物 53 の精製
Wiped Film Evaporated(WFE)装置を以下の条件に設定する:
エバポレーター温度90℃、減圧約0.2mmHgおよびワイパー速度800rpm。粗化合物53を1.0〜1.5kg/時の速度で供給する。蒸留中の残渣に対する生成物の比率はおよそ90:10である。
【0249】
実施例5.
1-(2,2-ジブチル-S,S-ジオキシド-3-オキソプロピルチオ)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)-4-ニトロベンゼン、30の調製
1000mL四頸ジャケット付Aceフラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、4つの内部バッフル、および28mmテフロンタービン撹拌機を取り付けた。フラスコを窒素ガスでパージし、33(75.0g)を加えた。次に、フラスコにジメチルアセトアミド(DMAC、315.0g)を加え、撹拌を開始し、混合物を30℃に加温した。亜硫酸ナトリウム(39.2g)を別のフラスコ内の水(90ml)に溶解した。亜硫酸ナトリウム水溶液をフラスコに25分かけて加えた。添加完了時に温度は37℃に達した。溶液は直ちに暗赤色に変わり、少量の泡様小球を生じたようで、これは反応器の壁に付着した。温度を40℃で2時間維持した。フラスコに53(77.9g)を全部一度に加えた。反応混合物を65℃に加熱し、2時間維持した。次に水(270ml)を65℃で加えた。混合物を15分間撹拌した。次いで、フラスコにベンゾトリフルオリド(315ml)を加え、混合物を15分間撹拌した。水層を50℃で分離した。有機層を3%塩化ナトリウム溶液(315ml)で洗浄した。水層を50℃で分離した。溶媒を195から200mmHgでポット温度63℃まで蒸留した。フラスコ内容物を60℃まで冷却し、これにオルトギ酸トリメチル(87.7g)、およびメタノール(164.1mL)に溶解したp-トルエンスルホン酸(5.2g)を加えた。混合物を還流点の60〜65℃で2時間加熱した。溶媒を195から200mmHgでポット温度63℃まで蒸留し、メタノールおよびギ酸メチルを除去した。次いで、フラスコにベンゾトリフルオリド(252ml)を加え、次いで15℃まで冷却した。次に酢酸ナトリウム(22.2g)を水(30ml)中のスラリーとしてフラスコに加えた。次いで、フラスコに市販の過酢酸(256.7g、検定値公称30〜35%)を20分かけて加え、15℃から始めて発熱させ、30〜35℃に達した。添加は初期発熱を制御するため、最初はゆっくり行った。最初に1当量加えた後、発熱は収まった。混合物を30℃に加温し、3時間維持した。水層を30℃で分離した。有機層を6%亜硫酸ナトリウム(315ml)で洗浄した。水層を分離した。次いで、フラスコに40重量%の硫酸を加え、75℃で2時間加熱した。水層を40〜50℃で下から分離した。フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム(315ml)を加え、内容物を15分間撹拌した。水層を分離した。溶媒を195から200mmHgで反応器温度63℃まで蒸留した。次に、イソプロピルアルコール(600ml)を10分かけて加え、温度を50℃に維持した。反応器を38℃まで冷却し、1時間維持した。(生成物は最初わずかに油状化することがあり、その後温度維持中に結晶化する。生成物が38℃で油状化するか、または結晶化しない場合、冷却前に種を加えて結晶化を促進すべきである。)反応器を15℃まで30分かけて冷却し、次いで60分間維持した。固体をろ過し、乾燥して結晶性黄色固体(102.1g)を得た。10℃のIPA(150ml)で洗浄した。HPLC(Zorbax RX-C8カラム、0.1%TFA水溶液/アセトニトリル勾配移動相、225nmでUV検出)分析により97.7重量%の30が認められ、単離モル補正収率79.4%であった。
【0250】
実施例5a.
1-(2,2-ジブチル-S,S-ジオキシド-3-オキソプロピルチオ)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)-4-ニトロベンゼン、30の調製別法
段階 1. スルフィドアルデヒド化合物 69 の調製
1000mL四頸ジャケット付Ace反応器に撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗、熱電対、4つの内部バッフル、および28mmテフロンタービン撹拌機を取り付ける。フラスコを窒素ガスでパージし、33(145g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、609mL)を加える。撹拌を開始し、混合物を30℃に加温する。別のフラスコ内で、Na2S(スペクトル、72.3g)を水(166.3ml)に溶解する。Na2S水溶液をフラスコに約90分かけて加える。反応温度を35℃未満に維持するよう、添加速度を調節しなければならない。混合物を35℃で2時間撹拌し、次いで化合物53(150.7g)を全部一度に加える。混合物を70℃に加熱し、2時間維持する。混合物を50℃に調節し、これに水(442.7ml)を加え、混合物を15分間撹拌する。次いで、反応器にベンゾトリフルオリド(609ml)を加えた後、15分間撹拌する。水層を50℃で分離する。有機層を3%NaCl水溶液で洗浄する。水層を50℃で分離する。有機層は化合物69を含む。有機層は安定で、無期限に保存することができる。
【0251】
段階 2. 化合物 70 の調製
段階1で得た有機層から溶媒を195から200mmHgで約63℃から66℃で蒸留し、ベンゾトリフルオリドの3分の1から半分量を蒸留する。混合物を約60℃まで冷却し、オルトギ酸トリメチル(169.6g)、およびメタノール(317.2mL)に溶解したp-トルエンスルホン酸(約10g)を加える。(注:他のアセタールを得るために、オルトギ酸トリメチルの代わりに別のオルトギ酸エステル、例えばオルトギ酸トリエチルを用いることができる。)反応器に冷却器および蒸留ヘッドを取り付ける。混合物を沸点まで加熱し、これからメタノール5mLを蒸留して冷却器から残存する水を除去し、混合物を還流点の60〜65℃で2時間維持する。溶媒を195から200mmHgでポット温度60℃から66℃まで蒸留し、メタノールおよびギ酸メチルを除去する。混合物にベンゾトリフルオリド(355.4mL)を加え、混合物を15℃まで冷却する。反応器に水(77.2mL)注でスラリー化した酢酸ナトリウム(32.1g)を加える。反応を72時間維持する。次いで、反応器に過酢酸(340.4g)を15℃から始め、2時間かけて加える。添加は温度を20℃以下に維持するよう調節した。次いで、混合物を25℃で4時間に加温した。水(上)層を25℃で分離し、有機層を10%亜硫酸ナトリウム(190ml)で洗浄した。有機層は化合物70を含み、無期限に保存することができる。
【0252】
段階 3. 化合物 30 の調製
段階2の有機層に濃硫酸(383.8g)を加える。混合物を75℃で2時間加熱し、水(下)層を40〜50℃で分離する。反応器に10%炭酸水素ナトリウム(609mL)を加え、混合物を15分間撹拌する。水(上)層を分離する。溶媒を有機層から195から200mmHgで63から66℃で蒸留する。反応器にイソプロピルアルコール(1160mL)を50℃で10分かけて加える。反応器を38℃まで冷却し、1時間維持する。一部結晶化が起こる。反応器を15℃まで30分かけて冷却し、次いで120分間維持して30をさらに結晶化させる。結晶をろ過し、乾燥して結晶性黄色固体(200.0g)を得る。30の結晶を10℃のイソプロピルアルコール(290mL)で洗浄する。
【0253】
実施例6.
1-(2,2-ジブチル-S,S-ジオキシド-3-オキソプロピルチオ)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)-4-ジメチルアミノベンゼン、29の調製
300mlオートクレーブにStirmix中空軸ガス撹拌機、自動冷熱温度調節器、および焼結金属フィルター付きの反応器内サンプリングラインを取り付けた。20℃でオートクレーブに30(15.0g)、Pd/C触媒(2.5g)、エタノール(60g)、ホルムアルデヒド(36%水溶液、10.0g)、および濃硫酸(0.55g)を加えた。反応器を閉じ、窒素で60psig(515kPa)まで加圧して漏れがないか調べた。次いで、圧を1〜2psig(108〜115kPa)に下げた。パージを3回繰り返した。次いで、反応器温度を22℃に維持しながら、オートクレーブをH2で60psig(515kPa)に加圧した。撹拌機を始動して800〜1000rpmに設定し、反応器温度調節器を30〜40℃に設定した。温度を制御するための冷却能力が不十分な場合、撹拌機のrpmまたは反応器圧を下げて、設定温度を維持する。約45分後、熱放出が収まってきた(水素使用量の約70%が反応した)時点で、温度を60℃に上昇させた。次いで水素を放出し、オートクレーブを窒素で3回パージした。反応器の内容物を60℃で焼結金属フィルターを通して加圧ろ過した。ろ液を撹拌し、1〜2時間かけて室温まで冷却し、水(50g)を1時間かけて加えた。混合物を4℃で終夜ゆっくり撹拌し、Buche型フィルターを通してろ過した。ケークを風乾して29を検定値99+%で得た(13.0g)。単離収率は89%であった。
【0254】
実施例7.
syn-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシド-4-ヒドロキシ-5-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾチエピン、syn-24の調製
撹拌機および加熱/冷却浴を取り付けた250ml丸底ガラス反応器を窒素でパージした。カリウムt-ブトキシド/THF溶液(45g)を反応器に加え、撹拌を開始した。別の容器内で、29(18g)をTHF(25g)に溶解した。29/THF溶液を滴加漏斗から約2.0時間かけて反応器に加えた。反応器温度は約16〜20℃に制御した。29のおよそ半分を加えた後、塩が沈殿した。スラリーを16〜20℃で1時間撹拌した。反応器温度を16〜24℃に維持しながら、7.4%塩化アンモニウム水溶液(54g)を約30分かけて加え、反応停止した。すべての塩が溶解するまで(約10分)、混合物をゆっくり撹拌した。撹拌を停止し、相を分離させた。水層を排出した。有機層に水(50ml)およびイソプロピルアルコール(25g)を加えた。撹拌機を始動し、結晶化を起こさせた。周囲圧下、沸点60から65℃、ポット温度70から77℃で、THFを蒸留した。結晶は容器を加熱すると溶解し、THFを蒸留し始めると再度生成した。蒸留完了後、スラリーを2〜3時間かけて4℃までゆっくり冷却し、数時間ゆっくり撹拌した。スラリーを150ml Bucheフィルターでろ過し、ケークを冷却した水/イソプロピルアルコール2:1溶液(10g)で洗浄した。ろ過は約5分以内で完了した。ケークを風乾して、syn-24を検定値99+%、R,RおよびS,S異性体50/50混合物で得た(16.7g)。
【0255】
実施例8a.
化合物(4R,5R)-24の光学分割の条件
下記の擬似移動床式クロマトグラフィ(SMB)条件を用いて、化合物syn-24の(4R,5R)および(4S,5S)鏡像異性体を分離した。
SMB性能:
保持時間の短い鏡像異性体純度(%):92.8%
保持時間の短い鏡像異性体濃度:10g/L
保持時間の長い鏡像異性体回収収率(%):99.3%
保持時間の長い鏡像異性体濃度:7g/L
【0256】
実施例8b.
化合物(4R,5R)-24の光学分割の別条件
下記の擬似移動床式クロマトグラフィ(SMB)条件を用いて、化合物syn-24の(4R,5R)および(4S,5S)鏡像異性体を分離した。
SMB性能:
保持時間の短い鏡像異性体純度(%):>98%
保持時間の短い鏡像異性体回収収率(%):>95%
【0257】
実施例8c.
化合物(4R,5R)-24の光学分割の別条件
下記の擬似移動床式クロマトグラフィ(SMB)条件を用いて、化合物syn-24の(4R,5R)および(4S,5S)鏡像異性体を分離した。
SMB性能:
保持時間の短い鏡像異性体純度(%):>98%
保持時間の短い鏡像異性体回収収率(%):>95%
【0258】
実施例8d.
化合物(4S,5S)-24のラセミ化
撹拌機および加熱/冷却浴を取り付けた250mL丸底ガラス反応器を窒素ガスでパージする。フラスコ内で、(4S,5S)-24(実施例8a〜8cで保持時間の長い鏡像異性体として得られた、18g)を無水THF(50g)に溶解する。この溶液を反応器に加え、撹拌しながら約23〜25℃とする。反応器にカリウムt-ブトキシド/THF溶液(1M、Aldrich、45g)を滴加漏斗から0.5時間かけて加える。スラリーが生成する。スラリーを約24〜26℃で約1〜1.5時間撹拌する。反応器温度を23〜26℃に維持しながら、7.5%塩化アンモニウム水溶液(54g)で反応停止する。まず、塩化アンモニウム溶液の約20%をスラリーが希薄になるまでゆっくり加え、次いで塩化アンモニウム溶液の残りを約0.5時間かけて加える。すべての塩が溶解するまで混合物をゆっくり撹拌する。撹拌を停止し、相を分離させる。水層を除去する。有機層に水(50ml)およびイソプロピルアルコール(25g)を加える。撹拌機を始動し、結晶化を起こさせる。周囲圧での蒸留によりTHFを除去する。結晶は容器を加温すると溶解し、THFを蒸留し始めると再度生成する。得られたスラリーを2〜3時間かけて4℃までゆっくり冷却し、1〜2時間ゆっくり撹拌する。スラリーを150ml Bucheフィルターでろ過し、0〜4℃のイソプロピルアルコール(20g)で洗浄する。ケークを約50〜60℃、減圧下で風乾して、ラセミ体24を得る(16.7g)。
【0259】
実施例9.
(4R,5R)-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシド-4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾチエピン、(4R,5R)-28の調製
1000mL四頸Relianceジャケット付反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗、冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、およびテフロンパドル撹拌機を取り付けた。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-24(41.3g)およびメチオニン(18.7g)と、続いてメタンスルホン酸(240g)を加えた。混合物を75℃に加熱し、8時間撹拌した。次いで、混合物を25℃まで冷却し、3-ペンタノン(480mL)を加えた。溶液は均質であった。次に、フラスコに希釈水(320mL)を加え、15分間撹拌した。水層を分離し、有機層に飽和炭酸水素ナトリウム(250mL)を加えた。混合物を15分間撹拌し、水層を分離した。溶媒を50℃、減圧下でおよそ半量まで蒸留した。フラスコにトルエン(480mL)を加えて澄明な溶液を生成した。100mmHgで溶媒のおよそ半量を除去した。混合物を10℃に冷却し、終夜撹拌した。結晶をろ過し、冷トルエン(150mL)で洗浄し、減圧下で乾燥した。29.9gを検定値96.4重量%で得た。ろ液を濃縮し、トルエンを加えて第二収量の結晶(2.5g)を得た。乾燥した灰白色結晶性(4R,5R)-28(合計32.1g)を得た。
【0260】
実施例9a.
(4R,5R)-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシド-4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾチエピン、(4R,5R)-28の調製別法
1000mL四頸Aceジャケット付反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗、冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、およびテフロンパドル撹拌機を取り付ける。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-24(40.0g)およびメチオニン(17.8g)と、続いてメタンスルホン酸(178.6g)を加える。混合物を80℃に加熱し、12時間撹拌する。次いで、混合物を15℃まで冷却し、水(241.1mL)を30分かけて加える。次いで、反応器に3-ペンタノン(361.7mL)を加える。次に、フラスコを15分間撹拌する。水層を分離し、有機層に飽和炭酸水素ナトリウム(361.7mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、水層を分離した。溶媒を50℃、減圧下でおよそ半量まで蒸留する。この時点で結晶が生成し始める。フラスコにトルエン(361.7mL)を加え、混合物を0℃に冷却する。結晶を生成させる。結晶をろ過し、冷トルエン(150mL)で洗浄し、50℃、減圧下で乾燥する。灰白色結晶性(4R,5R)-28(34.1g)を得る。
【0261】
実施例9b.
(4R,5R)-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシド-4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾチエピン、(4R,5R)-28の調製別法
第一の45L反応器を窒素ガスでパージする。これに(4R,5R)-24(2.5kg)と続いてメチオニン(1.1kg)およびメタンスルホン酸(11.1kg)を加える。反応混合物を撹拌しながら85℃で7時間加熱する。次いで、反応混合物を5℃まで冷却し、水(17.5L)を第一の反応器にゆっくり加える。反応温度は約57℃に達する。次に、メチルイソブチルケトン(MIBK、17.5L)を第一の反応器に加え、反応混合物を30分間撹拌する。混合物を30分間放置し、層を分離する。水相を第二の45L反応器に移し、MIBK(10L)を第二の反応器に加える。第二の反応器およびその内容物を30分間撹拌し、次いで30分間放置して相を分離する。有機相を第二の反応器から分離し、第一の反応器内で二つの有機相を合わせる。第一の反応器に炭酸水素ナトリウム水溶液(1.4kg)を注意深く加える。混合物を30分間撹拌し、次いで30分間放置する。相を分離する。水相のpHが6未満であれば、二回目の炭酸水素塩洗浄を行う。炭酸水素塩洗浄後、水(15L)を第一の反応器に加え、混合物を40℃に加熱する。混合物を30分間撹拌し、次いで30分間放置する。相を分離する。有機相を減圧蒸留により濃縮して、濃縮物中におよそ5LのMIBKが残るようにする。バッチ温度が1psiaで35℃の時点で蒸留が始める。バッチ温度が約47.8℃に達した時点で蒸留を完了する。次いで、バッチ温度を45℃に調節し、生成混合物にヘプタン(20L)を20分かけて加える。得られたスラリーを20℃まで冷却する。生成物スラリーをろ過(10ミクロン布フィルター)し、20%MIBK/ヘプタン溶液(8L)で洗浄する。または、MIBK/ヘプタン溶液の代わりにMIBK/ヘキサン溶液を用いてもよい。生成物をフィルター上、80℃、減圧下で21時間乾燥する。白色結晶性(4R,5R)-28(合計2.16kg)を得る。
【0262】
実施例9c.
化合物(4R,5R)-28(または化合物(4S,5S)-28)のアセトニトリル溶液からのバッチ単離
1L反応器にバッフルおよび4-ブレードラジアルフロータービンを取り付ける。反応器を窒素ガス(1L)でパージし、水(300mL)を加える。水を5℃、最低速度300rpmで撹拌する。反応器に(4R,5R)-28/アセトニトリル溶液(20重量%、125〜185mL)を1.4mL/分の速度で加える。添加後ただちに、結晶が生成し始める。アセトニトリル溶液の添加後、結晶をブフナー漏斗でろ過する。ケークを3倍量の水および/または1〜2倍量の氷冷イソプロピルアルコールで洗浄した後、乾燥する。または、この手順を(4S,5S)-28のアセトニトリル溶液に用いて(4S,5S)-28を単離することもできる。
【0263】
実施例9d.
化合物(4R,5R)-28(または化合物(4S,5S)-28)のアセトニトリル溶液からの連続単離
1L反応器にバッフルおよび4-ブレードラジアルフロータービンを取り付ける。反応器を窒素ガス(1L)でパージし、水(60g)およびアセトニトリル(30g)を加える。混合物を5℃、300rpmで撹拌する。反応器に水(300mL)および20重量%の(4R,5R)-28/アセトニトリル溶液(125mL)をそれぞれ1.7mL/分および1mL/分の速度で加える。反応器の内容物が反応器容量の70〜80%に達したら、反応器内で最低限撹拌できるレベルまでスラリーをフィルターに排出し、その後さらに供給する。または、供給を続けながら反応器から連続的に排出することもできる。水/アセトニトリルの比率は約2:1から約3:1の範囲でありうる。ろ過したケークを実施例9cに記載のとおりに処理することができる。または、この手順を(4S,5S)-28のアセトニトリル溶液に用いて(4S,5S)-28を単離することもできる。
【0264】
実施例10.
1-(クロロメチル)-4-(ヒドロキシメチル)ベンゼン、55の調製
窒素注入口および排出口、還流冷却器、および磁気撹拌機を取り付けた反応フラスコを窒素でパージした。フラスコに4-(クロロメチル)安息香酸(25g)を加えた。フラスコにTHF(75mL)を周囲温度で加えた。撹拌により懸濁液が生じた。吸熱反応が起こり、反応混合物の温度は22℃から14℃に低下した。反応混合物にボラン-THF付加物(175mL)を滴加漏斗から約30分かけて加えた。この発熱滴加中、外部からの冷却用に氷浴を用い、温度を30℃未満に維持した。反応混合物を20℃で1時間撹拌し、次いで0℃まで冷却した。反応混合物に1M硫酸をゆっくり加えて反応停止した。得られた反応混合物をt-ブチルメチルエーテル(TBME、150mL)で希釈し、少なくとも20分間撹拌して、ホウ酸エステルを分解した。層を分離し、水層をさらに50mLのTBMEで洗浄した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)で二回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム(11g)で乾燥し、ろ過した。溶媒をロータリーエバポレーターにより45℃(浴温)および<350mbarで蒸発させて、無色油状物を得た。油状物に種結晶を加え、得られた固体55を減圧下で乾燥した。収量:19.7g(86%)。GC(HP-5 25メートルカラム、100℃で1mL N2/分、300℃でFID検出、スプリット50:1)による検定。
【0265】
実施例11.
(4R,5R)-1-((4-(4-(3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンジチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンクロリド、41の調製
段階 1. (4R,5R)-26 の調製
1000mL四頸ジャケット付Ace反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、4つの内部バッフル、および28mmテフロンタービン撹拌機を取り付けた。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-28(25.0g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、125mL)を加えた。これに50%水酸化ナトリウム(4.2g)を加えた。混合物を50℃に加温し、15分間撹拌した。フラスコにDMAC(10mL)に溶解した55(8.3g)を全部一度に加えた。温度を24時間50℃に維持した。フラスコにトルエン(250mL)と、続いて希釈水(125mL)を加えた。混合物を15分間撹拌し、次いで50℃で層を分離させた。次いで、フラスコに飽和塩化ナトリウム溶液(125mL)を加え、15分間撹拌した。層は50℃で30秒以内にきれいに分離した。溶媒のほぼ半量を50℃、減圧下で蒸留により除去した。残存反応混合物は(4R,5R)-26を含んでいた。
【0266】
段階 2. (4R,5R)-27 の調製
段階1の反応混合物にトルエンを加え、混合物を35℃に冷却した。次いで、混合物に塩化チオニル(7.0g)を5分かけて加えた。反応は発熱反応で、39℃に達した。反応混合物は塩化チオニルの最初の添加により混濁し、部分的に澄明となり、最終的には混濁したままであった。混合物を0.5時間撹拌し、次いで0.25N NaOHで洗浄した。混合物は少量の固体を生じたようであったが、撹拌により減少し、層はきれいに分離した。溶媒を50℃、減圧下で最低限撹拌できる量まで蒸留した。残存反応混合物は(4R,5R)-27を含んでいた。
【0267】
段階 3. 41 の調製
段階2の反応混合物に、メチルエチルケトン(MEK、350mL)と、続いて水(10.5mL)およびMEK(10mL)に溶解したジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO、6.4g)を加えた。混合物を加熱還流し、HPLCにより<0.5%の(4R,5R)-27が示された。反応は最初は均質のままであったが、反応完了時には結晶化した。水(5.3mL)をフラスコに追加して、生成物を再度溶解した。約160mlの溶媒を大気圧で蒸留した。溶媒70mLを蒸留した後に混合物は結晶を生成し始めた。留出物から水が分離し、トルエン、水およびメチルエチルケトン(MEK)の間で三元共沸が起こったことが明らかとなった。次いで、混合物を25℃に冷却した。固体をろ過してMEK(150mL)で洗浄し、減圧下、60℃で乾燥した。灰白色結晶41(29.8.0g)を単離した。
【0268】
実施例11a.
(4R,5R)-1-((4-(4-(3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンジチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンクロリド、41のII型の調製別法
1000mL四頸ジャケット付Ace反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、4つの内部バッフル、および28mmテフロンタービン撹拌機を取り付ける。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-28(25.0g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、100mL)を加える。混合物を50℃に加温し、これに50%水酸化ナトリウム(4.02g)を加える。混合物を30分間撹拌する。フラスコにDMAC(12.5mL)に溶解した55(8.7g)を全部一度に加える。添加容器をDMAC(12.5mL)で洗浄し、洗液を反応器に加える。反応器を3時間撹拌する。反応器に49.4% NaOH水溶液(0.19mL)を加え、混合物を2時間撹拌する。混合物にDMAC(12.5mL)に溶解したDABCO(0.9g)を加える。混合物を50℃で30から60分間撹拌する。フラスコにトルエン(225mL)と、続いて希釈水(125mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、次いで50℃で層を分離させる。下の水層を除去するが、分離しきれない層があれば保持する。次いで、フラスコに5%塩酸溶液(175mL)を加え、15分間撹拌する。層を50℃で分離し、下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。溶媒のほぼ半量を減圧下、最高ポット温度80℃で蒸留により除去する。残存反応混合物は(4R,5R)-26を含む。
【0269】
段階 2. (4R,5R)-27 の調製
段階1の反応混合物にトルエン(225mL)を加え、混合物を30℃に冷却する。次いで、混合物に塩化チオニル(6.7g)を30から45分かけて加える。温度を35℃未満に維持する。反応混合物は塩化チオニルの最初の添加により混濁し、約30分で層は一緒になって澄明な混合物を生成する。混合物を0.5時間撹拌し、次いで4% NaOH洗浄液(156.6mL)を30分かけて加える。混合物のpHが8.0から10.0に達すれば、洗浄液の添加を止める。下の水層を30℃で除去し、分離しきれない層があれば有機層と共に保持する。混合物に飽和NaCl洗浄液(175mL)を撹拌しながら加える。層を30℃で分離し、下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。溶媒を80℃、減圧下で最低限撹拌できる量まで蒸留する。残存反応混合物は(4R,5R)-27を含む。
【0270】
段階 3. 41 の調製
段階2の反応混合物に、メチルエチルケトン(MEK、325mL)および水(13mL)を加える。次に、反応器にMEK(25mL)に溶解したジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO、6.2g)を加える。混合物を加熱還流し、30分間維持する。次いで溶媒量のおよそ10%を留去する。蒸留中に混合物は結晶を生成し始める。次いで、混合物を20℃で1時間冷却する。灰白色結晶41(II型)をろ過し、MEK(50mL)で洗浄し、減圧下、100℃で乾燥する。
【0271】
実施例11b.
(4R,5R)-1-((4-(4-(3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンジチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンクロリド、41のII型の調製別法
1000mL四頸ジャケット付Ace反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、4つの内部バッフル、およびテフロンタービン撹拌機を取り付ける。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-28(25.0g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、125mL)を加える。混合物を50℃に加温し、これに30%水酸化ナトリウム(7.11g)を撹拌市ながら15から30分かけて加える。混合物を30分間撹拌する。フラスコに固体の55(9.5g)を加える。反応器を3時間撹拌する。混合物に固体のDABCO(1.2g)を加える。混合物を50℃で30から60分間撹拌する。フラスコにトルエン(225mL)と、続いて水(125mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、次いで50℃で層を分離させる。下の水層を除去するが、分離しきれない層があれば有機層と共に保持する。次いで、フラスコに5%塩酸溶液(175mL)を加え、15分間撹拌する。層を50℃で分離し、下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。次いで、フラスコに水(225mL)を加え、15分間撹拌する。層を50℃で分離する。下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。溶媒のほぼ半量を減圧下、最高ポット温度80℃で蒸留により除去する。残存反応混合物は(4R,5R)-26を含む。
【0272】
段階 2. (4R,5R)-27 の調製
段階1の反応混合物にトルエン(112.5mL)を加え、混合物を25℃に冷却する。次いで、混合物に塩化チオニル(7.3g)を15から45分かけて加える。混合物の温度を20℃より高く40℃未満に維持する。反応混合物は塩化チオニルの最初の添加により混濁し、約30分で層は一緒になって澄明な混合物を生成する。混合物に次いで4% NaOH洗浄液(179.5mL)を30分かけて加える。この間、混合物を20℃より高く40℃未満に維持する。混合物のpHが8.0から10.0に達すれば、洗浄液の添加を止める。混合物を40℃で、少なくとも1時間かけて分離させる。下の水層を30℃で除去し、分離しきれない層があれば有機層と共に保持する。混合物に希釈水(200mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、40℃で、少なくとも1時間かけて分離させる。下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。溶媒を80℃、減圧下で最低限撹拌できる量まで蒸留する。残存反応混合物は(4R,5R)-27を含む。
【0273】
段階 3. 41 の調製
段階2の反応混合物に、メチルエチルケトン(MEK、350mL)および水(7mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、混合物の温度を25℃に調節する。次に、反応器に固体のジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO、6.7g)を加える。混合物を25℃で3から4時間維持する。次いで、65℃に加熱し、この温度で30分間維持する。次いで、混合物を25℃で1時間冷却する。灰白色結晶41(II型)をろ過し、MEK(50mL)で洗浄し、減圧下、100℃で乾燥する。
【0274】
実施例12.
(4R,5R)-1-((4-(4-(3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンジチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンクロリド、41のI型の調製別法
(4R,5R)-27(乾燥状態で2.82kg、4.7mol)をMTBE(9.4L)に溶解した。(4R,5R)-27の溶液を0.2mmフィルターカートリッジを通して供給容器に入れた。フラスコをMTBE(2×2.5L)で洗浄した。カートリッジフィルターを通して得られた溶液を、供給容器内の(4R,5R)-27の溶液に加えた。DABCO(ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、0.784kg、7.0mol)をMeOH(14.2L)に溶解した。DABCO溶液をフィルターカートリッジを通して、100Lの窒素を流した反応器に入れた。Pyrex容器およびカートリッジフィルターをMeOH(7.5L)で洗浄し、溶液を反応器に加えた。(4R,5R)-27溶液を供給容器から反応器に、37℃で撹拌しながら10分かけて加えた。メタノール(6.5L)をPyrex容器に加え、カートリッジフィルターから供給容器に加えて、残りの(4R,5R)-27を反応器に洗い込んだ。反応混合物を10〜20分かけて50〜60℃とし、その温度で約1時間撹拌した。混合物を1時間かけて20〜25℃に冷却した。反応混合物に、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)(42L)を1時間かけて加え、20〜25℃で最低1時間撹拌した。懸濁液をブフナー漏斗でろ過した。反応器およびフィルターケークをMTBE(2×14L)で洗浄した。固体をロータリーエバポレーターにより、20Lフラスコ内、400〜12mbar、40℃で22時間乾燥した。白色結晶性固体を得た。41(I型)の収量は3.08kg(乾燥状態で2.97kg、93.8%)、純度99.7面積%(HPLC;Kromasil C 4、250×4.6mmカラム;H2O中0.05%TFA/ACN中0.05%TFAの勾配、215nmでのUV検出)であった。
【0275】
実施例12a.
化合物41のI型から化合物41のII型への変換
400mlジャケット付反応器内の41のI型(10.0g)にMEK(140mL)を加える。反応器を23℃で10分間撹拌(358rpm)し、次いで撹拌速度を178rpmに変更する。懸濁液を、バッチ温度調節器(カスケードモード)を用いてプログラムした温度勾配(0.95℃/分)を用い、1時間加熱還流する。デルタTmaxを5℃に設定する。混合物を還流温度で1時間維持する。混合物を25℃に冷却する。25℃で3時間後、混合物の試料をろ取する。ろ過は速やか(数秒)で、ろ液は無色澄明である。白色固体を減圧オーブン(80℃、25in.Hg)で乾燥して、白色固体を得る。懸濁液の残りを25℃で18時間撹拌する。混合物をろ過し、母液がケークの上部に達した時点で、ケークは縮み始める。ろ過を停止し、反応器をMEK(14mL)で洗浄する。反応器の撹拌機速度を100から300rpmに上げて、反応器を洗浄する。洗液をフィルターに)加え、固体を速い空気流で5分間乾燥する。固体を減圧オーブン内、25in.Hgで84時間乾燥して、41のII型を得る。
【0276】
実施例13.
2-(フェニルチオメチル)ヘキサナールの調製
n-ブチルアクロレイン(9.5ml、71.3mmol)およびEt3N(0.5mL、3.6mmol)の混合物を0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら、これにチオフェノール(7.3mL、71.3mmol)を5分で加える。混合物を室温まで30分で加温する。反応混合物試料の1H NMRにより定量的変換が示されることになる。Et3Nを減圧下で除去する。
【0277】
実施例14.
2-((4-メトキシフェニルチオ)メチル)ヘキサナールの調製
n-ブチルアクロレイン(2.66ml、20mmol)およびEt3N(0.14mL、1mmol)の混合物を0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら、これに4-メトキシチオフェノール(2.46mL、20mmol)を5分で加える。混合物を室温まで30分で加温する。反応混合物試料の1H NMRにより定量的変換が示されることになる。Et3Nを減圧下で除去する。
【0278】
実施例15.
2-((4-クロロフェニルチオ)メチル)ヘキサナールの調製
n-ブチルアクロレイン(5.32ml、40mmol)およびEt3N(0.28mL、2mmol)の混合物を0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら、これに4-クロロチオフェノール(5.78g、40mmol)を5分で加える。混合物を室温まで30分で加温する。反応混合物試料の1H NMRにより定量的変換が示されることになる。Et3Nを減圧下で除去する。
【0279】
実施例16.
2-(アセチルチオメチル)ヘキサナールの調製
n-ブチルアクロレイン(13.3ml、100mmol)およびEt3N(0.7mL、5mmol)の混合物を0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら、これにチオ酢酸(7.2mL、100mmol)を5分で加える。混合物を室温まで30分で加温する。反応混合物試料の1H NMRにより定量的変換が示されることになる。Et3Nを減圧下で除去する。
【0280】
実施例17.
2-メチル-3-フェニルチオプロパナールの調製
メタクロレイン(51.4g、0.733mole)およびトリエチルアミン(2g、0.018mole)の混合物を0〜5℃で撹拌しながら、これにベンゼンチオール(80.8g、0.733mole)をゆっくり加える。添加速度は温度が10℃未満であるように調節する。反応混合物を0〜5℃で1時間撹拌する。混合物をロータリーエバポレーターにセットし、トリエチルアミンを除去する。
【0281】
実施例18.
2-(((4-クロロフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナールの調製
酢酸(20mL)中、4-クロロベンゼンスルフィナートナトリウム塩(4.10g、20.81mmol)の溶液を60℃で撹拌しながら、これに2-ブチルアクロレイン(3.8mL、28.56mmol)をゆっくり加える。反応混合物を50℃で3.5時間維持する。混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(2×10mL)で抽出する。合わせた抽出物を飽和NaHCO3、水、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、生成物を帯黄色のわずかに粘稠油状物として収率94%で得る。
【0282】
実施例19.
2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナールの調製
酢酸(35mL)中、4-トルエンスルフィナートナトリウム塩(10.10g、56.68mmol)の溶液を50℃で撹拌しながら、これに2-ブチルアクロレイン(10.6mL、79.66mmol)をゆっくり加える。反応混合物を50℃で3時間維持する。室温まで冷却後、混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2×25mL)で抽出する。合わせた抽出物を飽和NaHCO3、水、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、生成物を黄色の液体として収率75%で得る。
【0283】
実施例20.
(4E)-2-(アセチルチオメチル)-2-ブチルヘキサ-4-エナールの調製
ディーンスタークトラップを取り付けた500-mL RBF内でキシレン(325mL)中、2-(アセチルチオメチル)ヘキサナール(32.6g、0.173mole)の溶液を撹拌しながら、これに2-ヒドロキシ-3-ブテン(22.5mL、0.259mole)と、続いてp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(4.34g、0.017mole)を室温、窒素雰囲気下で加える。混合物を終夜加熱還流する。室温まで冷却後、キシレン溶液を飽和NaHCO3溶液(300mL)で洗浄する。水相を酢酸エチル(300mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を食塩水(200mL)および水(200mL)で洗浄する。溶媒除去後、生成物を減圧蒸留(157〜160℃/1.5mmHg)により収率80.5%で得る。
【0284】
実施例21.
(4E)-2-ブチル-2-(フェニルチオメチル)ヘキサ-4-エナールの調製
2-(フェニルチオメチル)ヘキサナール(2.67g、12mmol)、3-ブテン-2-オール(5mL、58mmol)、およびp-トルエンスルホン酸(0.05g、0.26mmol)をキシレン(25ml)に加える。反応混合物を、水を回収するためにディーンスタークトラップを用いて加熱還流する。3時間後、混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、これを飽和NaHCO3溶液、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、粗生成物クロマトグラフィで精製する。生成物を無色油状物として78.6%で得る。
【0285】
実施例22.
(4E)-2-メチル-2-(フェニルチオメチル)ヘプタ-4-エナールの調製
2-メチル-3-フェニルチオプロパナール(9.07g、0.05mole)、1-ペンテン-3-オール(21.67g、0.25mole)、およびp-トルエンスルホン酸(0.24g、0.0013mole)をキシレン(90ml)に加える。反応混合物を、水を回収するためにディーンスタークトラップを用いて加熱還流する。3時間後、混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO3溶液(30ml)で反応停止する。二相を分離し、水相を酢酸エチル(30ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を食塩水(30ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥する。溶媒除去後、粗生成物クロマトグラフィで精製する。生成物を無色油状物として77%で得る。
【0286】
実施例23.
(4E)-2-メチル-2-(フェニルチオメチル)ヘキサ-4-エナールの調製
2-メチル-3-フェニルチオプロパナール(9.07g、0.05mole)、3-ブテン-2-オール(18.04g、0.25mole)、およびp-トルエンスルホン酸(0.24g、0.0013mole)をキシレン(90ml)に加える。反応混合物を、水を回収するためにディーンスタークトラップを用いて加熱還流する。3時間後、混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO3溶液(30ml)で反応停止する。二相を分離し、水相を酢酸エチル(30ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を食塩水(20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥する。溶媒除去後、粗生成物クロマトグラフィで精製する。生成物を無色油状物として74.3%で得る。
【0287】
実施例24.
(4E)-2-ブチル-2-(((4-クロロフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサ-4-エナールの調製
ディーンスタークトラップを取り付けたRBF内でトルエン(30mL)中、2-(((4-クロロフェニル)-スルホニル)メチル)ヘキサナール(3.38g、11.73mmol)の溶液を撹拌しながら、これに2-ヒドロキシ-3-ブテン(5mL、57.73mmol)と、続いてp-トルエンスルホン酸(0.13g)を室温、窒素雰囲気下で加える。混合物を20時間加熱還流する。室温まで冷却後、トルエン溶液を酢酸エチル(10mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液(10mL)で洗浄する。水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を水(2×10mL)、食塩水(1×10mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、生成物を帯褐色油状物として収率98%で得る。
【0288】
実施例25.
(4E)-2-ブチル-2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサ-4-エナールの調製
ディーンスタークトラップを取り付けたRBF内でトルエン(35mL)中、2-(((4-メチルフェニル)-スルホニル)メチル)ヘキサナール(5.63g、21mmol)の溶液を撹拌しながら、これに2-ヒドロキシ-3-ブテン(10mL、115mmol)と、続いてp-トルエンスルホン酸(0.13g)を室温、窒素雰囲気下で加える。混合物を終夜加熱還流する。室温まで冷却後、トルエン溶液を飽和NaHCO3溶液(2×10mL)、水(2×20mL)、食塩水(1×20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、生成物を帯褐色油状物として定量的収率、GC純度89%で得る。
【0289】
実施例26.
2-ブチル-2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナールの調製
トルエン(30mL)中、2-ブチル-2-(((4-エチル-フェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナール(0.5g)の溶液に37%ホルムアルデヒド(5mL)および20%Pd(OH)2/C触媒(220mg)を加える。反応混合物を乾燥窒素ガス(3×)および水素ガス(3×)でパージし、60psiのH2により、60℃で15時間水素添加する。触媒をろ去し、エタノール(2×20mL)で洗浄する。合わせた洗液およびろ液の溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を得る。
【0290】
下記の実施例について、1Hおよび13C NMRスペクトルはVarian 300分光計により、それぞれ300および75MHzで記録した。1H化学シフトはテトラメチルシランから低磁場へのppmで報告する。13C化学シフトはCDCl3(77.0ppm)の中心線に対するppmで報告する。融点はBuchi 510融点測定器で記録し、未補正である。HPLCデータはBeckman Ultrasphere C18 250×4.6mmカラムを用いてSpectra Physics 8800 Chromatographで得た。HPLC条件:検出器波長=254nm、サンプルサイズ=10μl、流速=1.0mL/分、移動相=(A)0.1%トリフルオロ酢酸水溶液:(B)アセトニトリル。定量的HPLC分析は、既知濃度の粗生成物および精製生成物の試料を分析し、濃度差についてピーク面積を調節し、粗試料のピーク面積を精製試料のピーク面積で除することにより行った。
HPLC勾配:
【0291】
実施例27.
化合物32の調製
手順A:Na2S・9H2O(8.64g、36.0mmol)および硫黄(1.16g、36.0mmol)を50mL丸底フラスコ内で混合した。混合物を均質になるまで50℃に加熱し、水(10.0mL)を加えた。化合物33(10.00g、36.0mmol)およびエタノール(100mL)を500mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、撹拌機を取り付けた。反応混合物を均質になるまで65℃に加熱し、次いで74℃に上げた。ジスルフィド溶液を500mL反応フラスコに10分かけて加えた。1.5時間還流後、一定量のHPLC分析により、33の完全な変換が示された。18%NaOH水溶液(20.0g、90.0mmol)を5分かけて加えた(吸熱)。15分後、反応混合物を0℃に冷却し、30%H2O2(16.00g、140.0mmol)を、温度を20℃未満に維持しながら滴加した。<20℃で1.5時間後、一定量のHPLC分析により、ナトリウムチオフェノラート中間体の完全な酸化が示された。エタノールを減圧下、<65℃で除去した。水(100mL)を加え、混合物をCH2Cl2(100mL)で洗浄した。10%HCl(約40mL)をpH=1になるまで加え、反応混合物をCH2Cl2(100.0mL)で抽出した。2-ブチルアクロレイン(5.20mL、39.2mmol)を有機抽出物に加え、混合物を1時間撹拌した。一定量のHPLC分析により、非常に少量のスルフィン酸中間体が示された。有機層を減圧濃縮して、琥珀色の固体を得た(14.19g)。定量的HPLC分析により純度84%が示され、これはマイケル付加物11.92gに相当する(33からの32の収率79%)。
【0292】
手順B:化合物33(4.994g、17.98mmol)およびジメチルアセトアミド(21.0mL)を乾燥した250mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機を取り付け、40℃で混合物が均質になるまで加熱した。Na2S・3H2O(2.91g、22.37mmol)および水(4.0mL)を別のフラスコ内で混合し、55℃で均質になるまで加熱した。次いで、Na2S溶液を反応フラスコに25分かけて少量ずつ加えた。40℃で2.5時間後、一定量のHPLC分析により、33の完全な変換が示された。さらに2時間後、反応混合物を30℃に冷却し、18%NaOH水溶液(10.02g、44.90mmol)を加えた。20分後、反応混合物を0℃に冷却し、30%H2O2(8.02g、70.6mmol)を、温度を15℃未満に維持しながら30分かけて滴加した。10分後、一定量を取り出してHPLC分析し、これによりナトリウムチオフェノラート中間体の>93%の酸化が示された。1時間後、Na2SO3(6.05g、48.0mmol)および水(50.0mL)を加え、冷却浴を除去した。20分後、混合物をトルエン(またはCH2Cl2)(2×50.0mL)で洗浄した。トルエン(またはCH2Cl2)(50.0mL)、2-ブチルアクロレイン(2.60mL、19.6mmol)、およびn-Bu4NI(0.032g、0.087mmol)を加え、反応混合物を0℃に冷却した。これに、10%HCl(約30mL)をpH=1になるまで加えた。冷却浴を除去し、反応混合物を30分間撹拌した。水層の一定量のHPLC分析により、非常に少量のスルフィン酸中間体が示された。さらに30分後、水層を分離して廃棄した。有機層を-10℃で終夜維持し、室温で5時間撹拌した。トルエン溶液の定量的HPLC分析によりマイケル付加物6.444gが示された(33からの32の収率85%)。
【0293】
特徴づけのために、粗生成物の一部を減圧濃縮し、エチルエーテルから沈殿させて、黄色固体を得た:
【0294】
実施例28.
化合物18aの調製
手順A:化合物32(11.577g、27.598mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.6115g、3.21mmol)、CH2Cl2(70ml)および3-ブテン-2-オール(13.91mL、160.5mmol)を乾燥した250mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機、ディーンスタークトラップ、および還流冷却器を取り付けた。反応混合物を加熱還流した。10.25時間後、一定量のHPLC分析により、18a 78.6%、クライゼンエノールエーテル前駆体13.3%、32 3.7%および副生成物約4%が示された。反応フラスコにK2CO3(1.50g、10.8mmol)を加えた。2.5時間後、CH2Cl2(50.0mL)を加え、混合物をセライトを通してろ過した。ろ液を回収し、減圧濃縮して、琥珀色の油状物を得た(15.73g)。精製した18aの試料を用いて、定量的HPLCを行った。粗生成物の全ピーク面積は、クライゼンエノールエーテル前駆体および18aのピークを合計することにより求めた。これらは同じHPLC応答因子を有すると考えられた。定量的HPLCにより純度90%が示され、これは14.20gの18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47に相当する(32からの18aの収率94%)。
【0295】
手順B:化合物32(5.43g、12.9mmol)、3-ブテン-2-オール(76.16g、85.4mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.258g、1.36mmol)およびトルエン(51.0ml)を100mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機、ディーンスタークトラップ、冷却器、および減圧ラインを取り付けた。冷却器をCryocool浴で-10℃に冷却し、ディーンスタークトラップに3-ブテン-2-オール(約11mL)を充填した。反応フラスコを圧力調節器で107.5mmHgまで減圧し、49℃に加熱した。4時間後、反応フラスコを室温まで冷却し、30℃で減圧濃縮した。粗生成物を琥珀色の油状物として回収した(8.154g)。精製した18aの試料を用いて、定量的HPLCを行った。粗生成物の全ピーク面積は、クライゼンエノールエーテル前駆体および18aのピークを合計することにより求めた。これらは同じHPLC応答因子を有すると考えられた。定量的HPLC分析により純度69%が示され、これは5.626gの18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47に相当する(32からの18aの収率80%):
【0296】
実施例29.
化合物31の調製
手順A:18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47の粗混合物(13.636g、24.989mmol)、o-キシレン(75.0mL)、および水素化カルシウム(0.334g、7.93mmol)を乾燥した250mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機を取り付け、145℃に加熱した。3時間後、一定量を取り出し、HPLCにより分析したところ、31 93%、32 1%、クライゼンエノールエーテル前駆体47 3%、および副生成物4%が示された。反応混合物を室温まで冷却し、セライトを通してろ過し、o-キシレン(50.0mL)で洗浄した。粗生成物を減圧濃縮し、琥珀色の油状物として回収した(11.525g)。定量的HPLC分析により純度86%が示され、これは9.9115gのクライゼン生成物に相当する(31およびクライゼンエノールエーテル前駆体47の混合物からの収率80%)。
【0297】
手順B:18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47の粗混合物(2.700g、4.948mmol)、トルエン(15.0mL)、および水素化カルシウム(0.0704g、1.67mmol)を乾燥したフィッシャー-ポーター容器内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機を取り付け、145℃に加熱した。10時間後、一定量のHPLC分析により、クライゼン生成物31 90.9%、クライゼンエノールエーテル前駆体47 2.8%、18a 1.3%、および副生成物5%が示された。次いでトルエン(30.0mL)を加え、混合物をセライトを通してろ過した。ろ液を減圧濃縮して、粗生成物を琥珀色の油状物として得た(2.6563g)。定量的HPLC分析により純度82%が示され、これは2.1782gのクライゼン生成物31に相当する(18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47の混合物からの収率93%)。
【0298】
手順C:精製した18a(0.228g、0.417mmol)を100mL丸底フラスコに加えた。反応フラスコをクーゲルロール装置に入れ、100mtorrまで減圧した。1時間後、装置を40℃に加温した。さらに15分後、装置を145℃に加熱した。1時間後、装置を室温まで冷却して濃色油状物を得た(0.171g)。HPLC分析により、クライゼン生成物31 88%、クライゼンエノールエーテル前駆体47 3%、18a 3%、および副生成物6%が示された。これは18aからの収率81%に相当する。定量的HPLCは行わなかった。
【0299】
特徴づけのために、残渣の一部をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc/ヘキサンで溶出)で精製し、減圧濃縮し、所望の生成物を琥珀色の油状物として回収した:
【0300】
クライゼン生成物31を生成する他の反応
アセタールの他の反応のための一般的手順:典型的反応において、精製したアール18aを溶媒、塩基および水除去剤と混合し(示している場合)、加熱する。ゼオライトおよびモレキュラーシーブスを300℃で活性化する。報告した変換はHPLCデータの31と18aのピーク面積に基づいている。報告した収率はHPLCデータの生成物と副生成物のピーク面積に基づいている。結果の概要を以下に示す。
【0301】
アセタール18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47を生成する他の反応
一般的手順:典型的反応において、スルホンアルデヒド32を3-ブテン-2-オール(約5から約50当量)、示した溶媒および酸供給源と混合する。示している場合には、4Aモレキュラーシーブス(50重量%)、およびオルトギ酸トリメチル(TMOF、1.2当量)を反応フラスコに加える。溶媒を示していない場合、3-ブテン-2-オールが溶媒である。ゼオライトおよびモレキュラーシーブスを300℃で活性化する。観察される生成物は、LCMSおよびNMRで測定してアセタール18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体の混合物である。報告した変換はHPLCデータの一つまたは複数の生成物と32のピーク面積に基づいている。報告した収率はHPLCデータの生成物と副生成物のピーク面積に基づいている。結果の概要を以下に示す。
【0302】
実施例104.
化合物29の調製
熱エタノール(30mL)中の化合物31(0.434g)の溶液に、37%ホルムアルデヒド(5mL)および20%Pd(OH)2/C触媒(220mg)を加えた。反応混合物を窒素ガス(3×)およびH2(3×)でパージし、60psi、60℃で15時間水素添加した。触媒をろ去し、エタノール(2×20mL)で洗浄した。合わせた洗液およびろ液の溶媒を除去して、粗29を得た(370mg、85%)。エタノールおよび水からの再結晶により分析試料を得た。
【0303】
実施例105.
化合物12cの調製
1L三頸ジャケット付フラスコにバッフル、底部弁、オーバーヘッド撹拌、滴加漏斗、およびNeslab冷却浴を取り付ける。反応器にチオ酢酸カリウム(35g)を加える。反応器に窒素ガスを流し、これにジメチルホルムアミド(DMF、85mL)を加える。180rpmで混合を開始し、浴を18℃に冷却する。反応器に再度窒素ガスを流し、これに化合物53(73.9g)を滴加漏斗から20分かけて加える。滴加中、ポット温度を23℃に維持する。混合物を約23℃から27℃で1時間撹拌する。次いで、混合物に水(80mL)と、続いて酢酸エチル(100mL)を加える。混合物を20分間撹拌する。層を分離させ、水層を排出する。ポットに水(50mL)を追加し、混合物を15分間撹拌する。層を分離し、水層を排出する。次いで、ポットに食塩水(50mL)を加え、混合物をさらに15分間撹拌する。層を分離し、水層を除去する。有機層を47℃で減圧(水流吸引器圧)濃縮して、橙色油状物の化合物12cを得る(68.0g)。
【0304】
実施例106.
ジエチルアセタール化合物12dの調製
250mL三頸丸底フラスコにオーバーヘッド撹拌機、テフロンコーティング温度プローブ、および分液漏斗を取り付ける。フラスコに化合物12c(78g)およびエタノール(200mL)を加える。反応器に窒素ガスを流し、これにオルトギ酸トリエチル(60mL)を加える。次いで、フラスコにp-トルエンスルホン酸(4g)を加える。混合物を室温で16時間撹拌する。次いで、混合物を減圧濃縮し、フラスコに酢酸エチル(100mL)を加える。次に、水(50mL)中の炭酸水素ナトリウム(1.7g)を加える。混合物を3分間撹拌する。層を分離させ、水層を排出する。有機層を硫酸ナトリウムのパッドを通してろ過し、有機層を減圧(水流吸引器圧)濃縮して、橙色油状物の化合物12dを得る(96.42g)。
【0305】
実施例107.
ジエチルアセタール化合物67の調製
0.5L三頸ジャケット付フラスコにバッフル、底部弁、オーバーヘッド撹拌機、滴加漏斗、窒素注入口、シリコンオイルバブラー、テフロンコーティング温度プローブ、およびPolyScience冷却/加熱浴を取り付ける。フラスコに化合物33(48.85g)を加える。フラスコに窒素ガスを流し、これにDMF(75mL)を加える。混合物に窒素ガスを再度流し、撹拌を開始する。ジャケット温を40℃に設定し、フラスコに化合物12d(56.13g)を加える。撹拌を30分間続け、混合物に50%NaOH水溶液(28mL)を滴加漏斗から120分かけてゆっくり加える。ジャケット温を40℃に維持しながら、混合物を3時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、混合物を15時間(終夜)撹拌する。次いで、ジャケット温を5℃に調節し、混合物に水(300mL)をゆっくり加える。反応は発熱反応である。二相性混合物を分液漏斗に移し、混合物を酢酸エチル(2×150mL)で抽出する。層を30分間分離させ、水層を排出した。酢酸エチル層を合わせる。合わせた酢酸エチル混合物を水400mLおよび100mLで逐次抽出する。層が30分以内に容易に分離しない場合には、混合物に食塩水(50mL)を加えて層の分離を助けてもよい。水層を排出する。次いで、酢酸エチル層を食塩水(100mL)で抽出する。次いで、酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固体を活性炭/Supercel Hyflowのプラグを通してろ去する。ろ液を減圧濃縮し、減圧下で18時間乾燥して、橙褐色粘稠油状物(化合物67、91.98g)を得る。
【0306】
実施例108.
ジエチルアセタール化合物67の1-(2,2-ジブチル-3-オキソプロピルスルホニル)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)ベンゼン(29)への変換
化合物67(36mgを酢酸エチル122mLに溶解)、酢酸(300mL)、37重量%ホルムアルデヒド(27.3g)、および水(50mL)を、Parr振盪機内の500mL一頸丸底フラスコに加える。混合物に5%Pd/C(7.4mg、乾燥、Johnson Mathey)を加える。反応器を窒素ガスで3回パージし、次いで水素ガスで3回パージする。反応器を60psiまで加圧し、60℃に加熱する。温度および圧を16時間維持し、その後反応器を室温まで冷却する。反応混合物をcoarse溶融ガラスフィルター上のsolka flockのパッドを通してろ過する。ケークを酢酸(40mL)で2回洗浄し、減圧下で濃縮乾固する。固体をエタノール(100mL)と混合し、すべての固体が溶解するまで80℃に加熱する。これに水道水(20mL)を加えて、均質な溶液とする。混合物を室温まで冷却し、これに酢酸エチル(3mL)を加える。白色スラリーが生成する。スラリーを均質な溶液になるまで60℃に加熱する。混合物を室温まで冷却し、2時間放置する。この間に化合物29が結晶化する。固体を粗溶融ガラスフィルターを通してろ過する。ケークを20体積%エタノール/水溶液(40mL)で2回洗浄する。ケークを減圧乾燥器内40〜50℃で重量低下が認められなくなるまで乾燥する。
【0307】
実施例109.
2-(アセチルチオメチル)-2-ブチル-4-ヘキセナールエチレングリコールアセタール、74の調製
【0308】
段階 1. 2-( アセチルチオメチル ) ヘキサナール、 72 の調製
1L三頸丸底フラスコに磁気撹拌子、窒素注入口、温度モニターに連結した温度計プローブ、50mL滴加漏斗、および氷水浴を取り付ける。フラスコにチオール酢酸(37.0mL)を加え、フラスコ内容物を氷水浴中で0〜5℃に冷却する。次いで、フラスコにブチルアクロレイン(69.0mL)を滴加漏斗から2分かけて加える。温度は最高約21℃まで上昇する。次いで、反応混合物を約10℃まで冷却し、フラスコにトリエチルアミン(0.72mL)を加える。温度は約1分以内に約57℃に上昇する。温度が約15℃に下がるまで撹拌を続ける。得られた生成混合物は化合物72を含む。
【0309】
段階 2. 2-( アセチルチオメチル )-2- ブチル -4- ヘキセナール、 73 の調製
本実施例の段階1の器具に、ディーンスタークトラップおよび冷水冷却器をさらに取り付ける。段階1の生成混合物を含む反応フラスコに、3-ブテン-2-オール(50.0mL)、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.987g)、およびトルエン(600mL)をさらに加える。混合物を撹拌しながら約105〜110℃で約24時間加熱する。この間に、水ならびにいくらかの3-ブテン-2-オールおよびトルエンがディーンスタークトラップに回収される。それ以上水が蒸留されなくなれば、反応は完了である。望まれる場合には、さらに0.5当量の3-ブテン-2-オールをフラスコに加えて、蒸留による損失を補うこともできる。混合物を室温まで冷却する。得られたアルデヒド混合物は化合物73を含む。
【0310】
段階 3. 2-( アセチルチオメチル )-2- ブチル -4- ヘキセナールエチレングリコールアセタール、 74 の調製
本実施例の段階2の器具および得られたアルデヒド混合物に、エチレングリコール(31.0mL)をさらに加える。混合物を撹拌しながら105〜110℃で2時間加熱する。この間に、水およびトルエンがディーンスタークトラップに回収される。それ以上水が蒸留されなくなれば、反応は完了である。混合物を室温まで冷却し、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)、水(100mL)、および食塩水(100mL)で逐次洗浄する。溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発により除去する。化合物74の収量は149gである。
【0311】
実施例110.
化合物67の調製
【0312】
段階 1. 2-( アセチルチオメチル )-2- ブチル -4- ヘキセナールジエチルアセタール、 75 の調製
250mL三頚丸底フラスコに、オーバーヘッド撹拌機、テフロンコーティング温度プローブ、および分液漏斗を取り付ける。フラスコに化合物74(78g)およびエタノール(200mL)を加える。反応器に窒素ガスを流し、これにオルトギ酸トリエチル(60mL)を加える。次いで、フラスコにp-トルエンスルホン酸(4g)を加える。混合物を室温で16時間撹拌する。次いで、混合物を減圧濃縮し、フラスコに酢酸エチル(100mL)を加える。次に、水(50mL)中の炭酸水素ナトリウム(1.7g)を加える。混合物を3分間撹拌する。層を分離させ、水層を排出する。有機層を硫酸ナトリウムのパッドを通してろ過し、有機層を減圧(水流吸引器圧)濃縮して化合物75を得る。
【0313】
段階 2. 2- ブチル -2-( チオメチル ) ヘキサナールジエチルアセタール、 76 の調製
500mL三頚丸底フラスコに冷却器、磁気撹拌子、窒素注入口、温度制御装置に連結された熱電対、およびマントルヒーターを取り付ける。フラスコに窒素ガスをパージし、化合物75(19.2g)、N-メチルピロリドン(NMP、96mL)、p-トルエンスルホニルヒドラジド(28.3g、2.5当量)、およびピペリジン(18mL、3.0当量)を加える。撹拌しながら、混合物を約100℃で2時間加熱する。必要があれば熱を除去することにより、温度を107℃未満に維持する。混合物を室温まで冷却する。生成混合物は化合物76を含む。望まれる場合には、この反応を2.5当量のp-トルエンスルホニルヒドラジドおよび2.5当量のピペリジンを用いて実施することもできる。
【0314】
段階 3. 化合物 67 の調製
本実施例の段階2の装置および生成混合物をこの段階で用いる。段階2の生成混合物を含むフラスコに、化合物33(13.46g)および50重量%NaOH水溶液(11.2mL)を加える。混合物を混合しながら100℃に加熱し、その温度で2.5時間維持する。混合物を室温まで冷却し、フラスコに酢酸エチル(100mL)を加える。この混合物を水(100mL)で洗浄する。水層を分離し、酢酸エチル(100mL)で洗浄する。酢酸エチル層を合わせ、水(13×100mL)および食塩水(2×50mL)で逐次洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで減圧下に除去する。化合物67の収量は帯赤褐色油状物として26gである。
【0315】
実施例111.
示差走査熱量測定(DSC)
DSC実験はPerkin Elmer Pyris 7 Differential Scanning CalorimeterまたはTA Instruments Differential Scanning Calorimeterのいずれかで、蓋に穴を一つ開けた標準のアルミニウム皿(40マイクロリットル)に密封した5〜10mgの試料を用いて実施する。同じ型の空の皿を基準として用いる。加熱速度は乾燥窒素パージしながら10℃/分である。図9は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的DSC温度記録図を示している。
【0316】
実施例112.
X線粉末回折パターン
X線粉末回折実験は2kW通常焦点X線管(銅)を備えたInelθ/θ回折システムで行う。X線散乱データは0から80°の2θから収集する。試料をバルク構造で分析する。データはDellコンピューターでInelのソフトウェアにより収集し、解析する。少なくとも一つの場合、試料をガラス毛細管に入れ、末端を封管して溶媒の損失を防ぐ。毛細管をX線ビーム経路の特定のアダプターに固定し、データを収集した。
【0317】
または、X線回折実験は2kW通常焦点X線管(銅)を備えたSiemens D5000回折システムを含むシステムで行う。システムにはθ-θ試料配向の自動サンプラーシステムが備わっている。データ収集および解析は、MSウィンドウズコンピューターでSiemensの所有ソフトウェアにより実施する。
【0318】
図6は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的X線粉末回折パターンを示している。表1はI型およびII型の顕著なX線粉末回折ピークの比較を示している。
【0319】
【表1】
【0320】
実施例113.
フーリエ変換赤外スペクトル
化合物41のI型およびII型のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルは、装置の試料区画に取り付けたマイクロ-ATR(減衰全反射法)ビームコンデンサー(IBM Corporation)を備えたBio-Rad FTS-45フーリエ変換赤外分光計を用いて得る。分光計の試料区画および光学ベンチは窒素パージ下にある。装置を操作し、スペクトルを収集するために用いるソフトウェアはBio-Radのウィンドウズ98用Win-IRソフトウェアである。スペクトルは8-波数分解能および16走査を用いて得る。
【0321】
少量の試料を5×10×1mm KRS5(IRの分野で一般に用いられる赤外透過物質の一種)ATR結晶の片側に置き、試料が結晶表面にしっかり接触するように、ステンレス製のスパチュラで軽く突き固める。結晶をATRビームコンデンサー内にセットし、試料区画を数分間パージして、水蒸気および二酸化炭素を除去する(これらが存在するとスペクトルの質が低下する)。これは操作卓のスクリーン上で監視することができ、許容できるレベルまで下がれば16走査を収集して干渉図形を得る。試料の分析前に、正常なKRS5結晶をATRアクセサリーにセットし、背景干渉図形を収集する。背景を収集するためのパージ時間および走査数は試料を分析するために用いるものと同じであるべきである。
【0322】
得られた干渉図形のフーリエ変換は自動的に行われ、スペクトルがスクリーン上に現れる。次いで、必要があれば得られたスペクトルを平滑化して基準線を補正し、次いでATRを補正して吸収または透過スペクトルと比較可能なスペクトルを得る。
【0323】
図7は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的FTIRスペクトルを示している。表2はI型およびII型の顕著なFTIRピークの比較を示している。
【0324】
【表2】
【0325】
実施例114.
固体状態炭素-13 NMR解析
固体状態NMR
交差分極マジック角度回転(CPMAS)13C NMRスペクトルをMonsanto製分光計をプロトン共鳴振動数127.0MHzで操作して収集した。試料を二重軸受け回転子システムにおける磁場に関してマジック角度で3kHzの速度で回転させた。CPMAS13C NMRスペクトルを、2-msマッチド、50-kHz 1H-13C 交差分極接触の後に31.9MHzで得た。データ収集中は強力プロトン双極デカップリング(H1(H)=65〜75kHz)を用いた。残存スピニングサイドバンドをTOSS(Total Suppression of Sidebands)法を用いて抑制した。各実験において、I型約219mgおよびII型約142mgを用いる。
【0326】
図8は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的固体状態13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示している。表3はI型およびII型の顕著な固体状態13C NMRピークの比較を示している。
【0327】
【表3】
【0328】
実施例115.
水吸収実験
水吸収実験をDynamic Vapor Sorption(DVS)装置(Surface Measurements Systems, Inc.製のDVS-1000)で実施する。実験はまず、乾燥窒素でパージすることにより、目的物質(試料約10mg)を相対湿度(RH)30%(室温条件)からRH約9%まで段階的様式(RH 10%段階)で、それ以上の重量変化が認められなくなるまで乾燥して、25℃で実施する。次いで、試料をRH約0から約90%までのRHの段階的(RH 10%段階)上昇に曝露する。それぞれ連続する段階は、その相対湿度での重量の経時変化が0.0003%((dm/dt)/m0×100、ただしmは質量(mg)、m0は初期質量、およびtは時間(分)である)未満となった時点で開始する。次いで、試料に段階的RH%上昇の逆を行う。データをコンピューターで収集し、SMSの所有MS-エクセルマクロインターフェースソフトウェアを用いて解析する。図10は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の吸水等温線結果を示している。表4は25℃でのI型およびII型の水吸収および脱着等温線の比較を示している。
【0329】
【表4】
【0330】
本明細書における実施例は、前述の実施例で用いた反応物および/または操作条件の代わりに、本発明の一般にもしくは特別に記載された反応物および/または操作条件を用いることにより実施することができる。
【0331】
実施例116.
A. 化学反応図:
【0332】
B. 材料
【表5】
この再結晶手順は、凝集や溶媒および不純物の同伴を最小限に抑えるため、結晶の核生成および成長を特に制御している。
【0333】
C. 段階的説明:
用いる器具:撹拌機、窒素注入口、冷却器、熱電対およびテフロンパドル撹拌機を備えた1000mL四頸ジャケット付Ace反応器。再結晶中を通して、空気が系内に入らないように する。また、必要な時間以上、高温で維持しない。これは結晶化によって除去することができない極性不純物の生成を避けるためである。
1. フラスコを窒素でパージする。
2. 41(未精製)を加える。
3. DABCOを加える。
4. フラスコを窒素でパージする。
5. MEK(溶解用)を加える。注:スラリーが生じる。
6. 水(溶解用)を加える。
7. 澄明な溶液が得られるまで撹拌する。注:実験室レベルでは約2〜3分かかる。プラントレベルで清澄ろ過が必要であれば、ここでその段階を組み込む。
8. バッチを65℃に加熱する。注:バッチが混濁することがある。
9. MEK(水を5%にするため)を加える。注:MEKはバッチ温度が65℃に維持されるような速度で加える。
10. バッチを65℃で1時間維持する。注:バッチが結晶化/混濁することがある。この時点でバッチが過飽和になることはほとんどない。バッチが澄明溶液であっても次の段階に進む。
11. MEK(水を2%にするため)を少なくとも2時間かけて加える。注:添加速度が重要である。添加速度が速いと凝集結晶を生じることがある。MEK添加をこのように分割する(段階9および段階10)ことで、次の添加前に系を完全に平衡化(段階9)できることに留意されたい。このようにして、非常に高度の過飽和形成を避けることができる。
12. 65℃で少なくとも30分間維持する。
13. 25℃に冷却する。注:冷却速度は重要ではない。しかし、ジャケット温度を15℃未満にすると、収率低下が起こることがあるため、これは使用しない。溶解性は実は低温の方が高いことに留意されたい。
14. 25℃で少なくとも30分間維持する。
15. ろ過し、ケークをMEKで洗浄する。
16. 固体を減圧下、80℃で乾燥する。
【0334】
結晶化収率は約90%である。乾燥固体中のMEKは典型的に<0.3%で、トルエンは通常検出されないレベルである。検定値は典型的に>99%である。MEK、トルエンはGCで、および/または検定値はHPLCで測定する。下記の実施例120参照。
【0335】
実施例117
実施例116の手順(DABCOを用いて、または用いずに)を実験室で繰り返した(用いた反応器サイズは250mlから100mlの範囲で、実験スケールは12〜18g)。パイロットプラントでも、これらより大量のパイロットプラントスケールで行った。パイロットプラントスケール用の材料の量は約18kgである(反応器サイズは100ガロン反応器から350ガロン反応器の範囲)。
【0336】
【表6】
【0337】
実施例118
化合物41をMEK/DI水溶媒系から再結晶化するために、実施例116に記載のものと同じ手順を用いた。しかし、段階11のMEK添加速度を変動させた。そのような試験の結果を下記の表8に示す。
【0338】
【表7】
【0339】
実施例119
脱塩手順
下記は再結晶化する化合物中に存在しうるいかなる過剰の塩も除去するための例示的脱塩手順である。選択的に、本明細書に記載の脱塩手順は前述の再結晶手順の前に行うべきである。理論に縛られることはないが、下記のイオン交換反応スキームが化合物41、61、1、71、63、3、および64からの過剰の塩除去に関与すると考えられる:
【0340】
反応スキーム
Na+Cl-+OH-(陰イオン樹脂)++H+(陽イオン樹脂)-→
Na+(陽イオン樹脂)-+Cl-(陰イオン樹脂)++H2O
【0341】
材料
【表8】
【0342】
段階的実験室脱塩手順(例えば塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの除去)
1)1L反応器を窒素で徹底的にパージする。
2)反応器に41(50g)、樹脂(48〜50%LOD)(ロットK1Aの場合は40g、またはK1Bの場合は35g)を加える。窒素による徹底的なパージの後。反応器にMEK(423g)およびDI水(27g)を加える。
3)反応器を窒素雰囲気下、25℃で1時間撹拌し、断熱温度上昇は約3℃である。pHは速やかに上昇し、次いでゆっくり低下して約30分で約7〜9の平衡に達する。41または樹脂で調節して、pHを6〜10の間、好ましくは8〜9の間に維持する。調節のための添加がすべて終了後、30分間撹拌する。
4)スラリーを窒素雰囲気下でろ過する。樹脂は洗浄せずに廃棄する。
5)ろ液を18〜20''の減圧下でホールドアップなしに蒸留する。沸点は約33〜43℃である。
6)約250gのMEKを蒸留した後、同量の新しいMEKを加える。
7)さらに250gの留出物を集めた後、IPC試料をKF分析のために採取する。水の量が<1.5%であれば、蒸留を停止して8)に進む。水の量が>1.5%であれば、水濃度が1.5%以下に達するまでMEK添加および蒸留手順を繰り返す。二回目の蒸留中に結晶が現れ始めるべきである。スラリーの扱いを容易にするため、スラリー中の固体濃度を20〜30%に維持するようつとめる。
8)スラリーを20〜25℃に冷却し、ろ過する。ケークをその1から3倍量のMEKで洗浄し、28''の減圧下、90℃で乾燥する。
【0343】
実験結果
前述の脱塩手順の例示的実験結果を下記の表10に示す。
【0344】
【表9】
【0345】
実施例120
2. HPLCによる検定
2.1. 試薬
a. アセトニトリル(ACN)、HPLC等級以上の純度
b. 水(H2O)、 HPLC等級以上の純度
c. 過塩素酸、70%
d. 化合物(41)、参考標準
【0346】
2.2. バルク溶液の調製
a. 試料希釈液:試料希釈液各1Lに対し、水500mLとアセトニトリル500mLを混合する。この溶液は周囲条件で3ヶ月まで保存することができる。
b. 移動相(水相):HPLC等級の水各1Lに過塩素酸1.0mLを加え、よく混合する。この溶液は周囲条件で1ヶ月まで保存することができる。
【0347】
2.3. 標準/標準チェック標準の調製
二つ同じように、(41)参考標準(約30.2mg)を100mLメスフラスコに正確に量り込む。試料希釈液で溶解し、一定容量まで希釈する。これらはSTD-1およびCHECK-STDで、約0.30mg/mLを含む。これらは周囲条件で1週間まで保存することができる。
【0348】
2.5. 感度標準の調製
(41)標準溶液(上でSTD-1として調製)を試料希釈液でl.d.から50.0mLまで、および1.0から50.0mLまで連続希釈する。この溶液は周囲条件で1週間まで保存することができる。
【0349】
2.6. 試料の調製
三つ同じように、(41)試料(約30±2mg)を100mLメスフラスコに正確に量り込む。試料希釈液で溶解し、一定容量まで希釈する。これらは周囲条件で1週間まで保存することができる。
【0350】
2.7. 推奨クロマトグラフィ条件
カラム:Waters Xterra RP8 150×内径4.6mm 粒径3.5[im
カラム温度:50℃
オートサンプラー温度:室温
勾配プログラム:
流速:1.0ml/分
注入量:15μl
検出:UV 0 226nn
フルスケール範囲:2AU(吸光度単位)
実行時間:65分
注:同じ勾配にすることができるならば、溶離剤を事前混合してもよい。
【0351】
2.8. 分析手順
a, カラムを70%ACN勾配組成物により1.0mt.f分で約20分間と、次いで初期勾配条件で約20分間または安定な規準線が得られるまで平衡化する。
b. STD-1を分析実行中少なくとも6回注入する。CHECK-STDを実行開始付近で1回注入する。試料希釈液を実行開始付近で2回と、実行終了時に1回注入する。感度標準を一連の標準注入の前に毎回注入し、実行中最低3回の注入を行う。試料の注入はSTD-1および感度標準の最初と最後の注入の間に行うべきである。長い実行に対しては、注入9〜12回ごとにSTD-1および感度標準の追加注入を行う。
c. 典型的注入順序
希釈液
感度標準
STD-1
STD-1
STD-1
CHECK-STD
試料1〜12
希釈液
感度標準
STD-1
試料13〜24
希釈液
感度標準
STD-1
STD-1
d. 試料分析が完了したら、系を50150 ACN/水により流速1mU分で少なくとも30分間洗浄する。
【0352】
2.9. 計算
系の適合性
a. STD-1注入におけるSri-(41)ピークのピーク面積応答のRSDが<_0.7であることを確認する。<_0.7でなければ、系の成分の操作をチェックする、および/または新しい標準を調製して、検定を繰り返す。
b. チェック標準の計算を行う。チェック標準の結果が98〜102%となることを確認する。
c. 感度標準が回収率80〜120%となることを確認する。この計算には力価因子は適用しない。
d. マーカー混合物注入において下記の化合物が保持時間ウィンドウ内で溶出されることを確認する。
【0353】
2.10. 検定値の決定
a. 下記の等式を用い、STD-1の全注入を用いた平均応答因子を計算する:
式中:
R;=注入#iのSTD-1のピーク面積応答
C=STD-1の濃度(ug/mL)
n=分析した標準注入数
b. 下記の等式を用いて(41)の検定値%を計算する:
式中:
R,=試料のピーク面積応答
Vx=希釈体積(mL)
Rf,=STD-1で得られた応答因子
Wx=試料重量(gg)
PP=標準の力価因子。>99%であれば使用しない。
100=パーセントへの変換
個々の値、平均および標準偏差を小数点以下第1位まで報告する。
【0354】
10. 有機揮発性不純物
(GCによる溶媒)
10.1. 試薬(ACS試薬等級または等価物)
a. 2-ブタノン(メチルエチルケトン、MEK)
b. トルエン
c. ジメチルアセトアミド(DMAC)
d. ジメチルスルホキシド(DMSO)
【0355】
10.2. 標準の調製
a. 保存液-A:ガラス製メスピペットを用い、MEK(5ml)と、トルエンおよびDMAC(各1mL)を、約50mLのDIMSOを含む100mLメスフラスコに移す。DMSOで一定容量に希釈し、よく混合する。MEK、トルエン、およびDMACの濃度はそれぞれ40,270pglmL、8669t,gfmLおよび9370gghnLとなる。
b. 保存液-B:保存液-A(5mL)を、約100mLのDMSOを含む250mLメスフラスコにピペットで量り込む。一定容量に希釈し、よく混合する。MEK、トルエン、およびDMACの濃度はそれぞれ805.41.tg/mL、173.38pglmLおよび187.4gg/mLとなる。
c. 標準:保存液-B(25mL)を、約100mLのDMSOを含む250mLメスフラスコにピペットで量り込む。DMSOで一定容量に希釈し、よく混合する。MEK、トルエン、およびDMACの濃度はそれぞれ80.54pgImL、17.3 17.338Itg/mLおよび18.74pgImLとなる。この溶液は周囲条件で4日まで保存することができる。
d. 感度標準:標準(6mL)を、25mLのDMSOを含む50mLメスフラスコにピペットで正確に量り込む。DMSOで一定容量に希釈し、よく混合する。LOQ(定量限界)濃度は下記のとおりである:
e. ガラス製メスピペットを用い、標準(8mL)を5つ以上のヘッドスペースバイアルに移し(実際の数は分析する試料の数によって異なる)、ただちにバイアルを密封する。注入中の標準溶液とヘッドスペースニードルとの接触を最小限にするために、標準と隔壁との接触を避けるように注意する。
1CRC Handbook of Chemistry and physics, 70'h版から得た濃度値
2濃度値を用いて体積体積希釈を重量体積濃度(ppm)に変換した。試料濃度をDMSO 1mLあたり20mgと仮定して、(41)薬物中のSTD1濃度を1VIEK 4027ppm(0.4%)、トルエン867ppm(0.087%)、およびDMAC 937ppm(0.094%)に変換した。
【0356】
10.3. 試料の調製
a. 三つ同じように、試料(約500mg)を25mLメスフラスコに正確に量り込む。これらの各フラスコにDMSO(約20mL)を加え、超音波処理して溶解を助ける。フラスコを平衡化し、DMSOで一定容量まで希釈し、よく混合する。ガラス製メスピペットを用い、各試料溶液(8mL)をヘッドスペースバイアルに移し、ただちにバイアルを密封する。試料溶液は周囲条件で4日まで保存することができる。
b. DMSOブランク:分析する試料の数に応じて、DMSO(8mL)をガラス製メスピペットを用いてヘッドスペースバイアルに移し、ただちにバイアルを密封する。
【0357】
10.4. 推奨ガスクロマトグラフィ条件
装置:Hewlett-Packard 5890ガスクロマトグラフまたは同等のもの
カラム:Reatek RTX-5 Amine(塩基非活性化5%フェニル95%メチルポリシロキサンカラム)、30m×0.32mm、プレ膜厚1.5
ガードカラム:なし
検出:水素炎イオン化
ガス:He
カラム流量:4mU分
ヘッド圧:約15.4psi
立ち上げ:30mL/分
水素 30mL/nzinute
空気 300niL/分
注入器温度:190℃
注入量:ヘッドスペース
注入:スプリット
スプリット流量約90mL/分
検出器温度:280℃
オーブン温度:初期温度:40℃
初期時間:3分
速度:12℃l分
最終温度:244℃
最終時間:0分
平衡化時間:0.5分
実行時間:20分
注:GC注入口は内径0.1mmまたは0.2mmの非活性化スプリット注入口ライナー、好ましくは0.1mmのものを有するべきである。
【0358】
10.5. 推奨ヘッドスペース条件
装置:PE HS-40または同等のもの
ヘリウムバイアル圧:30psi
サンプリング温度:130℃
ニードル温度:140℃
トランスファーライン温度:170℃
GCサイクル時間:35分
サーモスタット時間:60分
加圧時間:1.5分
注入時間:0.07分
ニードル引き抜き時間:1.0分
バイアルシェーカー:オン
試料量:8mL
【0359】
10.6. 分析手順
a, 前述の初期条件下で30分間または安定な規準線が得られるまで平衡化する。
b. DMSOブランクを実行開始時に2回と終了時に1回、さらに標準と試料との間および異なる試料の間に注入する。標準を実行開始時のブランクの後に3回と、終了時に1回注入する。試料の注入は標準と一緒に行うべきである。少なくとも4回のSTD-1注入と、実行の長さが4試料を超える場合には、9〜12回の注入ごとに続いてSTD-1注入を追加で行う。注入順序の開始付近、真ん中、および終了時に感度標準を注入する。
【0360】
10.7. 系の適合性
a. 標準溶媒ピークの保持時間に著しい干渉がないことを確認する。
b. STDの全ての注入における各溶媒のRSD%が55%であることを確認する。
c. 感度標準の注入における各溶媒について、各溶媒の見かけの回収率がb0〜140%であることを確認する。各溶媒について20%のRSD 5であることを確認する。
【0361】
10.8. 計算
標準および試料における各溶媒のピーク面積応答を正確に求める。下記の等式を用いて各溶媒の量を計算する:
式中:
S=溶媒濃度、ppm(薬物のuglg)
RX=試料注入における溶媒のピーク面積応答
V=試料の希釈量、mL
Rf,=STD-1における溶媒の平均応答因子
W=試料の重量、mg
1000=ppmへの変換
重複測定の一測定値、平均、および標準偏差をppmの単位で整数値で報告する。すべての溶媒について報告する。下記の表の定量限界を用いて、重複測定の個々の測定値について、それぞれのLOQ以上のものを報告する。検出されたが、LOQ未満の測定値については、<Xと報告する。XがそれぞれのLOQに等しい場合。検出されないか、または溶媒がLOD未満で存在する場合、NDと報告する。各溶媒について、各測定値z LOQを平均し、平均値を整数で報告する。測定値がLOQとLODとの間であり、LOQである測定値がない場合、平均は<LOQと報告する。
*(41)薬物1gあたりμg
【0362】
本発明をこのように記載してきたが、本発明は多くの様式で変動しうることは明らかである。そのような変動は本発明の趣旨および範囲からの逸脱であると考えるべきではなく、すべてのそのような改変および等価物は、当業者には明白であるとおり、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0363】
【図1】置換プロピオンアルデヒド化合物12を調製することができる全プロセスを示す図である。
【図1a】ニトロスルフィドアセタール化合物67を調製することができ、かつ化合物67を用いて化合物29を生成することができる、典型的な全プロセスを示す図である。
【図2】本発明の方法を用いて2,2-ジブチル-3-ブロモプロピオンアルデヒドを調製することができるプロセスを示す図である。
【図3】ベンジルアンモニウム化合物1調製の全プロセスを示す図である。
【図4】ジフェニルメタン化合物11調製の全プロセスを示す図である。
【図5】鏡像異性的に純度が高いテトラヒドロベンゾチエピンオキシド24(例えば(4R,5R)-24)を本発明の方法との組み合わせで用いて、鏡像異性的に純度が高いベンジルアンモニウム化合物を調製することができる方法を示す図である。
【図6】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的X線粉末回折パターンを示す図である。横軸の値は2θの角度である。
【図7】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す図である。横軸の値はcm-1である。
【図8】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的固体状態炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。横軸の値はppmである。
【図9】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的示差走査熱量測定プロフィールを示す図である。
【図10】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の吸水等温線を示す図である。
【図11】本発明の一態様に従って再結晶化する前の、実施例117および表6に記載の凝集結晶の写真を示す図である。
【図12】本発明の一態様に従って再結晶化した後に生じた、実施例117および表6に記載の非凝集単結晶の写真を示す図である。
【図13】本発明の一態様に従って再結晶化する前の、実施例117および表6に記載の凝集結晶の走査電顕画像を示す図である。
【図14】本発明の一態様に従って再結晶化した後に生じた、実施例117および表6に記載の非凝集単結晶の走査電顕画像を示す図である。
【0001】
発明の分野
本発明は、頂端ナトリウム共依存性胆汁酸輸送(apical sodium co-dependent bile acid transport:ASBT)阻害剤の結晶体の調製、特に最終生成物中に残存する溶媒レベルが低い、ベンゾチエピンASBT阻害剤の調製に関する。本発明は特に、テトラヒドロベンゾチエピンオキシドASBT阻害剤の調製法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
回腸組織を通過しての胆汁酸の輸送を阻害する物質が血清中のコレステロールレベルの低下も引き起こしうることは十分に確立されている。「Interaction of bile acids and cholesterol with nonsystemic agents having hypocholesterolemic properties」、Biochimica et Biophysica Acta, 1210 (1994) 255-287でStedronskiは胆汁酸およびコレステロール周辺の生化学、生理学、および既知の活性物質につて論じている。胆汁酸は、回腸胆汁酸輸送体(IBAT)としても知られている、頂端ナトリウム共依存性胆汁酸輸送体(ASBT)により、回腸組織を通過して能動的に輸送される。
【0003】
一連のASBT阻害化合物は、最近になって血清コレステロールレベルに影響をおよぼすのに有用であることが判明し、テトラヒドロベンゾチエピンオキシド(THBO化合物、PCT特許出願国際公開公報第96/08484号)を含む。さらに、ASBT阻害剤として有用なTHBO化合物は、PCT特許出願国際公開公報第97/33882号に記載されている。ASBT阻害剤として有用な他のTHBO化合物は、米国特許第5,994,391号に記載されている。さらに、ASBT阻害剤として有用なTHBO化合物は、PCT特許出願国際公開公報第99/64409号に記載されている。THBO群に含まれるものとしては、テトラヒドロベンゾチエピン-1-オキシドおよびテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドがある。THBO化合物は、フェニル環が7員環に縮合している化学構造を有する。
【0004】
THBO化合物調製のための発表されている方法には、芳香族スルホンアルデヒド中間体を通じての合成が含まれる。例えば、式1に示すとおり、1-(2,2-ジブチル-3-オキソプロピルスルホニル)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)ベンゼン(29)をカリウムt-ブトキシドで環化させてテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド(syn-24)が生成した。
【0005】
化合物29は、2-クロロ-5-ニトロ安息香酸塩化物をアニソールと、三塩化アルミニウム存在下で反応させることによりクロロベンゾフェノン化合物を生成し;クロロベンゾフェノン化合物をトリフルオロメタンスルホン酸およびトリエチルシラン存在下で還元してクロロジフェニルメタン化合物を生成し;クロロジフェニルメタン化合物を硫化リチウムおよび2,2-ジブチル-3-(メタンスルホナート)プロパナールで処理して1-(2,2-ジブチル-3-オキソプロピルチオ)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)-4-ジメチルアミノベンゼン(40)を生成し;かつ40をm-クロロ過安息香酸で酸化して29を生成した。化合物29の調製法の第一段階は、対応するカルボン酸と五塩化リンとの反応により調製した腐蝕性で反応性のカルボン酸塩化物の使用を必要とする。五塩化リンは容易に加水分解して揮発性で危険な塩化水素を生成する。2,2-ジブチル-3-(メタンスルホナート)プロパナールの硫化リチウムおよびクロロジフェニルメタン化合物との反応は、2,2-ジブチル-3-(メタンスルホナート)プロパナールのtheを生じるために環状スズ化合物の仲介を必要とした。スズ化合物は高価であり、有毒な廃水を生じる。
【0006】
国際公開公報第97/33882号では、化合物syn-24を三臭化ホウ素を用いて脱アルキル化し、フェノール化合物28を生成した。三臭化ホウ素は、臭化水素ガスを発生し、特別な取り扱いを要する、腐蝕性で危険な物質である。加水分解により、三臭化ホウ素はホウ酸塩も生じるが、分離および処分に費用と時間がかかる。
THBO化合物調製の別法が国際公開公報第97/33882号に記載されており、そこでは1,3-プロパンジオールを塩化チオニルと反応させて環状亜硫酸エステル化合物を生成した。環状亜硫酸エステル化合物を酸化して環状硫酸エステル化合物を生じた。環状硫酸エステル化合物を、水素化ナトリウムで脱プロトン化した2-メチルチオフェノールと縮合させた。縮合生成物は(2-メチルフェニル)(3'-ヒドロキシプロピル)チオエーテル化合物であった。チオエーテル化合物を酸化してチオエーテルアルデヒド化合物を生成した。チオエーテルアルデヒド化合物はさらに酸化してアルデヒドスルホン化合物を生じ、これは次にカリウムt-ブトキシド存在下で環化させて4-ヒドロキシテトラヒドロベンゾチエピン1,1-ジオキシド化合物を生成した。このTHBO化合物への環状硫酸エステル経路は、高価な触媒を必要とする。加えて、取り扱いに特別な装置を必要とするSOCl2を使用しなければならない。
【0007】
PCT特許出願国際公開公報第97/33882号は、フェノール化合物28をそのフェノールヒドロキシ基で反応させて、4級アンモニウム基などの様々な官能基を分子に結合する方法を記載している。例えば、(4R,5R)-28を1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン(?,??'-ジクロロ-p-キシレン)と反応させてクロロメチルベンジルエーテル(4R,5R)-27を生じた。化合物(4R,5R)-27をジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)で処理して、(4R,5R)-1-((4-(4-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンゾチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩化物(41)を生成した。この方法は、化合物(4R,5R)-28の二つの分子が1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼンの一つの分子と反応して、ビス(ベンゾチエピン)付加物を生じる傾向があるため、収率が低いという欠点がある。ビス付加物がいったん生成すると、化合物(4R,5R)-27の反応性クロロメチル基はアミンと反応して4級アンモニウム生成物を生じることができない。
【0008】
鏡像異性的に純度が高いテトラヒドロベンゾチエピンオキシドの調製法がPCT特許出願国際公開公報第99/32478号に記載されている。この方法では、アリール-3-ヒドロキシプロピルスルフィド化合物を不斉酸化剤、例えば(1R)-(-)-(8,9-ジクロロ-10-カンファースルホニル)オキサジリジンで酸化して、キラルなアリール-3-ヒドロキシプロピルスルホキシドが得られた。アリール-3-ヒドロキシプロピルスルホキシドの三酸化硫黄ピリジン複合体などの酸化剤との反応により、アリール-3-プロパナールスルホキシドが生じた。アリール-3-プロパナールスルホキシドをカリウムt-ブトキシドなどの塩基で環化させて、テトラヒドロベンゾチエピン-1-オキシドがエナンチオ選択的に生成した。テトラヒドロベンゾチエピン-1-オキシドをさらに酸化して、テトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドを生じた。この方法は鏡像異性的に高純度のテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドを生成しうるが、高価な不斉酸化剤を使用しなければならない。
【0009】
いくつかの5-アミドベンゾチエピン化合物およびそれらの製造法が、PCT特許出願国際公開公報第92/18462号に記載されている。
【0010】
Synlett, 9, 943-944(1995)では、2-ブロモフェニル-3-ベンゾイルオキシ-1-ブテン-4-イルスルホンを水素化トリブチルスズおよびAIBNで処理して3-ベンゾイルオキシテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドを生成した。
【0011】
所望のASBT阻害剤を生成することに加えて、高純度で残留溶媒不純物のレベルが低いASBT阻害剤を生成することも望ましい。これは、正に荷電した置換基を有するASBT阻害剤、例えば41(上記)および60(下記)で示す化合物に関して特にあてはまる。
【0012】
さらに、そのような高純度ASBT阻害剤の製造法を提供することも望ましい。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
テトラヒドロベンゾチエピン合成および4-ヒドロキシ-5-フェニルテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド化合物のコレステロール低下治療薬としての有用性の分野における進行中の研究は、これらの化合物の経済的かつ実用的調製法が継続的に必要とされていることを示している。
【0014】
発明者らはここに、最終生成物中の溶媒不純物のレベルが低い、高純度テトラヒドロベンゾチエピン化合物の新規調製法を報告する。本発明のいくつかの態様の中でも、テトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド化合物を調製するための改善されたプロセスの提供;テトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシド化合物の単一のジアステレオマーからそのような化合物のジアステレオマー混合物を調製するプロセスの提供;3-ブロモ-2-置換プロピオンアルデヒド化合物を調製するプロセスの提供;3-チオ-2-置換プロピオンアルデヒド化合物を調製するプロセス;および最終生成物中の溶媒不純物のレベルが低い、高純度ASBT化合物、例えば正に荷電した置換基を有するASBT化合物、式41(上記)および60(下記)のASBT化合物を生成するための再結晶手順の提供が注目される。
【0015】
したがって要するに、本発明は式60の構造を有するベンジルアンモニウム化合物:
の調製法、および化合物60の結晶体を得るための化合物60の再結晶法であって、式61の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物:
を誘導体化条件下で処理して式62の構造を有する誘導体化ベンジルエーテル化合物:
を生成する段階と、
誘導体化ベンジルエーテル化合物を式42の構造を有するアミン:
とアミノ化条件下で接触させ、それによりベンジルアンモニウム化合物またはその誘導体を生成する段階と
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-は薬学的に許容される陰イオンであり、Mは薬学的に許容される陽イオンであり;かつ
Xは求核置換脱離基である)、
化合物60の精製結晶体を得るのに十分な再結晶条件下で化合物60を再結晶化する段階とを含む方法を目的とする。
【0016】
本発明は式1の構造を有するベンジルアンモニウム化合物:
の調製法であって、式6の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物:
を誘導体化条件下で処理して式2の構造を有する誘導体化ベンジルエーテル化合物:
を生成する段階と、
誘導体化ベンジルエーテル化合物を式42の構造を有するアミン:
とアミノ化条件下で接触させ、それによりベンジルアンモニウム化合物またはその誘導体を生成する段階と(式中:R1、R2、R3、R4、R5、およびXは前述の定義のとおりである)、
化合物1の精製結晶体を得るのに十分な再結晶条件下で化合物1を再結晶化する段階とを含む方法も目的とする。
【0017】
本発明はさらに、式1の構造を有するベンジルアンモニウム化合物の調製法であって、式14の構造を有する保護フェノール化合物:
を式15の構造を有する置換ベンゾイル化合物:
によりアシル化条件下で処理して式13の構造を有する置換ベンゾフェノン化合物:
を生成する段階と;
置換ベンゾフェノン化合物を還元して式11の構造を有する置換ジフェニルメタン化合物:
を生成する段階と;
置換ジフェニルメタン化合物を式12の構造を有する置換プロピオンアルデヒド化合物:
と硫黄供給源存在下でカップリングさせて式10の構造を有するニトロスルフィドアルデヒド化合物:
を生成する段階と;
ニトロスルフィドアルデヒド化合物を酸化して式9の構造を有するニトロスルホンアルデヒド化合物:
を生成する段階と;
ニトロスルホンアルデヒド化合物を還元的にアルキル化して式8の構造を有するアミノスルホンアルデヒド化合物:
を生成する段階と;
アミノスルホンアルデヒド化合物を環化条件下で処理して式7の構造を有する保護フェノール化合物:
を生成する段階と;
保護フェノール化合物を脱保護して式4の構造を有するフェノール化合物:
を生成する段階と;
フェノール化合物を式5の構造を有する置換キシレン:
と置換条件下でカップリングさせて式6の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物を生成する段階と、ベンジルアルコールエーテル化合物を誘導体化条件下で処理して式2の構造を有する誘導体化ベンジルエーテル化合物を生成する段階と;誘導体化ベンジルエーテル化合物を式42の構造を有するアミンとアミノ化条件下で処理してベンジルアンモニウム化合物1を生成する段階と;(式中:R1、R2、R3、R4、およびR5は前述の定義のとおりであり;R6は保護基であり、XおよびX4は独立に求核置換脱離基であり、X2はクロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、およびトリフルオロメタンスルホナートからなる群より選択され;X3は芳香族置換脱離基であり;かつX5はヒドロキシおよびハロからなる群より選択される);化合物1の精製結晶体を得るのに十分な再結晶条件下で化合物1を再結晶化する段階とを含む方法も目的とする。
【0018】
本発明は式1の構造を有するベンジルアンモニウム化合物の調製法であって、式18の構造を有するアセタール化合物:
を熱分解して式16の構造を有するアルケニルスルホンアルデヒド化合物:
を生成する段階
(式中、R1およびR6は前述の定義のとおりであり;R7はHおよびC1から約C17ヒドロカルビルからなる群より選択され;かつR13はHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択される)を含む方法も目的とする。
【0019】
もう一つの態様において、本発明は式22の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマー:
(ただし式22は(4S,5S)ジアステレオマー、(4R,5R)ジアステレオマー、(4R,5S)ジアステレオマー、および(4S,5R)ジアステレオマーからなる群より選択される(4,5)-ジアステレオマーを含み、かつ式中:
R8はH、ヒドロカルビル、複素環、((ヒドロキシアルキル)アリール)アルキル、((シクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、((ヘテロシクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、((4級ヘテロシクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、および4級ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、
ただしヒドロカルビル、複素環、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、および4級ヘテロアリールアルキルは選択的に、O、NR3、N+R3R4A-、S、SO、SO2、S+R3A-、PR3、P+R3R4A-、P(O)R3、フェニレン、炭水化物、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドからなる群より選択される部分で置き換えられた一つまたは複数の炭素を有し、かつ
R8はスルホアルキル、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択される一つまたは複数の部分で選択的に置換されており;
R1、R2、R3、R4、R5、R9、R23およびR24、n、A-、ならびにMは前述の定義のとおりであり;
X7はS、NH、またはOであり;かつ
xは1または2である)を処理して(4S,5S)ジアステレオマーおよび(4R,5R)ジアステレオマーを含む混合物を生成する方法であって、塩基をテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーを含む供給材料組成物と接触させ、それによりテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーの混合物を生成する段階を含む方法を目的とする。
【0020】
さらにもう一つの態様において、本発明は式22の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーを処理する方法であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーを脱離条件下で処理して式23の構造を有するジヒドロベンゾチエピン化合物:
(式中:
R1、R2、R8、R9、X7、およびnは前述の定義のとおりであり;かつ
xは0、1、または2である)
を生成する段階と、ジヒドロベンゾチエピン化合物を酸化してジアステレオマーの混合物を生成する段階とを含む方法を目的とする。
【0021】
本発明のもう一つの態様は、式12の構造を有する置換プロピオンアルデヒド化合物の調製法であって、式35の構造を有する置換プロパノール化合物:
(式中R1およびR2は前述の定義のとおりであり、かつX4は求核置換脱離基である)
を酸化する段階を含む方法を目的とする。
【0022】
もう一つの態様において、本発明は式(2)の構造を有する化合物(式中、R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり、かつXはBr、Iおよび化合物に酸素原子を介して共有結合された求核置換脱離基からなる群より選択される)を目的とする。
【0023】
もう一つの態様において、本発明は式71の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物:
またはその鏡像異性体の結晶体であって、約278℃から約285℃の融点または分解点を有し、かつ検定結果より化合物71の総重量に基づき、純度が少なくとも約99.0または約99.5%、ケトン溶媒含量が多くても約1.0重量%(好ましくは多くても0.5重量%)、および有機非ケトン溶媒(例えばトルエン)含量が多くても0.01重量%(好ましくは多くても0.004重量%、より好ましくは多くても0.001重量%、さらにより好ましくは多くても0.0005重量%)である結晶体を提供する。
【0024】
本発明のもう一つの態様は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の結晶体であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物は式71の構造を有し、かつ結晶体試料を本質的に乾燥窒素パージ下、本質的に相対湿度0%、約25℃で、試料が時間の関数として本質的に変化を示さなくなるまで乾燥した後、試料を相対湿度約80%、約25℃で平衡化した場合に、その重量増加がそれ自体の重量の1%未満であり、かつ検定結果より化合物71の総重量に基づき、純度が少なくとも約99.5%、ケトン溶媒含量が多くても約1.5重量%(好ましくは多くても1.3重量%)、およびトルエン溶媒含量が多くても0.5重量%(好ましくは多くても0.3重量%、より好ましくは多くても0.1重量%、さらにより好ましくは多くても0.01重量%)である結晶体を提供する。
【0025】
本発明のさらにもう一つの態様は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の結晶体であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物は式71またはその鏡像異性体の構造を有し、かつ結晶体はテトラヒドロベンゾチエピン化合物をメチルエチルケトン(またはその等価物)を含む溶媒から結晶化し、次いで化合物71をメチルエチルケトン(MEK;またはアセトン、メチルイソブチルケトンなどのその等価物)および水(またはエタノールなどのその等価物)を含む溶媒系から再結晶化することによって生成される結晶体を提供する。好ましくは、本発明の結晶体は化合物71の(4R,5R)-鏡像異性体を含む。
【0026】
もう一つの態様において、本発明は式63の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物:
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R9、およびnは前述の定義のとおりである)
の結晶体の調製法であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物をケトン(例えばメチルエチルケトンまたはアセトン、好ましくはメチルエチルケトン)、および水(ならびにそれらそれぞれの等価物)を含む溶媒系から結晶化と、次いで再結晶化する段階を含む方法を提供する。式63において、Q-は薬学的に許容される陰イオンである。
【0027】
もう一つの態様において、本発明は式41の化合物構造を有し、約278℃から約285℃の融点または分解点を有し、かつ検定結果より化合物71の総重量に基づき、純度が少なくとも約99.0%または約99.5%、ケトン溶媒含量が多くても約1.0重量%(好ましくは多くても0.5重量%)、および有機非ケトン溶媒(例えばトルエン)含量が多くても0.01重量%(好ましくは多くても0.004重量%、より好ましくは多くても0.001重量%、さらにより好ましくは多くても0.0005重量%)である、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の生成物結晶体の調製法であって、約220℃から約235℃の融点または分解点を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物の初期結晶体に熱をかけ、それにより生成物結晶体を形成する段階と、生成物結晶体をメチルエチルケトン(またはその等価物)および水(またはその等価物)を含む溶媒に溶解または再溶解する段階と、得られた溶液を加熱する段階と、化合物71の飽和または過飽和溶液(好ましくは、過飽和溶液の溶媒濃度は飽和溶液の濃度の4倍以上であるべきではない)を得るのにちょうど十分な追加のMEKを加える段階と、十分な量のMEKを加えて、最終生成物の総重量に基づき、ケトン溶媒含量が多くても1.0重量%で、いかなる他の有機溶媒含量も多くても0.01重量%である単結晶生成物を生成する段階とを含む方法を提供する。本発明が適用可能なさらなる範囲は、下記の詳細な説明を読めば明らかになると思われる。しかし、この詳細な説明から当業者であれば本発明の精神および範囲内での様々な変更および改変が明らかになると思われるため、下記の詳細な説明および実施例は、本発明の好ましい態様を示してはいるが、例示のために示すにすぎない。
【0028】
好ましい態様の詳細な説明
下記の詳細な説明は、当業者が本発明を実施する際の一助となるように提供するものである。それでも、本明細書の態様における改変および変動は当業者であれば本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができるため、この詳細な説明は本発明を不等に限定すると解釈されるべきではない。
【0029】
本明細書において引用される各文献の内容は、これらの最初の文献内に引用される文献の内容も含めて、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0030】
a. 定義
下記の定義は読者が本発明の詳細な説明を理解する際の一助となるように提供するものである:
【0031】
「ヒドロカルビル」とは、炭素および水素原子からなる有機化学基を意味する。その定義を限定する意味はないが、ヒドロカルビルなる用語にはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールアルキル、炭素環、およびポリアルキルが含まれる。
【0032】
「アルキル」、「アルケニル」、および「アルキニル」は、特に記載のないかぎり、それぞれ本発明においてアルキルについては1から約20炭素、アルケニルおよびアルキニルについては2から約20炭素の直鎖または分枝鎖炭化水素基であり、したがってそれぞれ例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルと、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニル、およびエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、またはヘキシニルならびにその異性体を意味する。
【0033】
「アリール」とは、完全に不飽和の単環または多環式炭素環を意味し、置換または無置換フェニル、ナフチル、またはアントラセニルが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0034】
「複素環」とは、一つまたは複数の炭素原子がN、S、P、またはOで置換されていてもよい、飽和または不飽和単環または多環式炭素環を意味する。これには、例えば下記の構造:
(式中、Z、Z1、Z2またはZ3の一つが二重結合でもう一つのZ原子に結合されているか、またはもう一つのOもしくはS原子に結合されている場合、これは炭素以外であるがOまたはSではないとの条件で、Z、Z1、Z2またはZ3はC、S、P、O、またはNである)が含まれる。さらに、選択的置換基はZ、Z1、Z2またはZ3のそれぞれがCである場合にのみこれらに結合することが理解される。
【0035】
「ヘテロアリール」なる用語は、完全に不飽和の複素環を意味する。
【0036】
「複素環」または「ヘテロアリール」のいずれかにおいて、目的の分子への結合点はヘテロ原子でも、環内の他の部位でもよい。
【0037】
「4級複素環」なる用語は、少なくとも一つのヘテロ原子、例えばO、N、S、またはPがヘテロ原子が正に荷電されるような数の結合を有している複素環を意味する。4級複素環の目的の分子への結合点はヘテロ原子でも、他の部位でもよい。
【0038】
「4級ヘテロアリール」なる用語は、少なくとも一つのヘテロ原子、例えばO、N、S、またはPがヘテロ原子が正に荷電されるような数の結合を有しているヘテロアリールを意味する。4級ヘテロアリールの目的の分子への結合点はヘテロ原子でも、他の部位でもよい。
【0039】
「ハロゲン」なる用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード基を意味する。
【0040】
「ハロアルキル」なる用語は、一つまたは複数のハロゲンで置換されたアルキルを意味する。
【0041】
「シクロアルキル」なる用語は、各環が3から10個の炭素原子を含み、任意の環が一つまたは複数の二重または三重結合を含んでいてもよい、単環または多環式炭素環を意味する。例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロアルケニル、およびシクロヘプチルなどの基が含まれる。「シクロアルキル」なる用語は、シクロアルキル環が炭素環原子をベンゾチエピンの7員複素環と共有しているスピロ系をさらに含む。
【0042】
「オキソ」なる用語は二重結合された酸素を意味する。
【0043】
「ポリアルキル」なる用語は、約20,000まで、より好ましくは約10,000まで、最も好ましくは約5,000までの分子量を有する分枝または直鎖炭化水素鎖を意味する。
【0044】
「アリールアルキル」なる用語は、ベンジルなどのアリール置換アルキル基を意味する。「アルキルアリールアルキル」なる用語は、アリール基上で一つまたは複数のアルキル基によって置換されたアリールアルキル基を意味する。
【0045】
「ヘテロシクリルアルキル」なる用語は、一つまたは複数の複素環基で置換されたアルキル基を意味する。好ましいヘテロシクリルアルキル基は1から10個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数の複素環基を有する「低級ヘテロシクリルアルキル」基である。
【0046】
「ヘテロアリールアルキル」なる用語は、一つまたは複数のヘテロアリール基で置換されたアルキル基を意味する。好ましいヘテロアリールアルキル基は1から10個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数のヘテロアリール基を有する「低級ヘテロアリールアルキル」基である。
【0047】
「4級ヘテロシクリルアルキル」なる用語は、一つまたは複数の4級複素環基で置換されたアルキル基を意味する。好ましい4級ヘテロシクリルアルキル基は1から10個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数の4級複素環基を有する「低級4級ヘテロシクリルアルキル」基である。
【0048】
「4級ヘテロアリールアルキル」なる用語は、一つまたは複数の4級ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を意味する。好ましい4級ヘテロアリールアルキル基は1から10個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数の4級ヘテロアリール基を有する「低級4級ヘテロアリールアルキル」基である。
【0049】
「アルコキシ」なる用語は、メトキシ基などの酸素原子に結合されたアルキル基を含む基を意味する。より好ましいアルコキシ基は1から10個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。そのような基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシおよびtert-ブトキシが含まれる。
【0050】
「カルボキシ」なる用語は、カルボキシ基、-CO2H、またはその塩を意味する。
【0051】
「カルボアルコキシアルキル」なる用語は、一つまたは複数のアルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基を意味する。好ましいカルボアルコキシアルキル基は1から6個の炭素原子を有するアルキル基に結合された一つまたは複数のアルコキシカルボニル基を有する「低級カルボアルコキシアルキル」基である。
【0052】
組み合わせて、例えば「アルキルアリール」または「アリールアルキル」で用いる場合、前述の個々の用語は前述の意味を有する。
【0053】
本明細書において用いられるMeはメチルを意味し;Etはエチルを意味し;Prはプロピルを意味し;i-PrまたはPriはそれぞれイソプロピルを意味し;Buはブチルを意味し;t-BuまたはButはそれぞれtert-ブチルを意味し;Pyはピリジンを意味する。
【0054】
「誘導体」なる用語は、別の化学物質のものと類似の構造部分を含む化合物を意味する。誘導体なる用語には、例えば共役酸、共役塩基、遊離塩基、遊離酸、ラセミ体、塩、エステル、保護基で保護された化合物、互変異性体、立体異性体、置換化合物、およびプロドラッグが含まれる。
【0055】
化合物が少なくとも一つのキラル中心を有する場合、「立体異性体」なる用語は各鏡像異性体および各ジアステレオマーを含む。化合物が脂肪族二重結合を有する場合、「立体異性体」なる用語は各シスまたはZ異性体ならびに各トランスまたはE異性体を含む。
【0056】
構造図において、化学結合が白い楔形で表されている場合、そのような表示は結合がページの平面から下向き、またはページの平面から上向きのいずれかでありうることを意味している。構造図において、複数の結合が図中で白い楔形で表されている場合(例えば式1の構造)、そのように示された結合はシン配座である。すなわち、そのような結合はすべてページの平面から下向きであるか、またはそのような結合はすべてページの平面から上向きである。
【0057】
構造図において、化学結合が黒塗りの楔形で表されている場合、そのような表示は結合がページの平面から上向きであることを意味し、特定の立体化学を表している。
【0058】
構造図において、化学結合が破線の楔形で表されている場合(例えば化合物41の構造)、そのような表示は結合がページの下向きであることを意味し、特定の立体化学を表している。
【0059】
構造図において、化学結合が波線で表されている場合(例えば化合物24の構造)、そのような表示は結合が任意の立体化学をとることができ、その隣接する任意の結合とシン、アンチ、シス、またはトランスでありうることを意味している。
【0060】
b. プロセスの詳細
本発明に従い、式1の構造を有するベンジルアンモニウム化合物を経済的に調製するためのプロセスであって、式6の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物を誘導体化条件下で処理して式2の構造を有する誘導体化ベンジルエーテル化合物を生成する段階と、誘導体化ベンジルエーテル化合物を式42の構造を有するアミンとアミノ化条件下で接触させ、それによりベンジルアンモニウム化合物またはその誘導体を生成する段階と(式中:R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;かつXは求核置換脱離基である);最終的に化合物1を再結晶して、検定結果より化合物1の総重量に基づき、純度が少なくとも約99.0%または約99.5%、ケトン溶媒含量が多くても約1.0重量%(好ましくは多くても0.5重量%)、および有機非ケトン溶媒(例えばトルエン)含量が多くても0.01重量%(好ましくは多くても0.004重量%、より好ましくは多くても0.001重量%、さらにより好ましくは多くても0.0005重量%)である、化合物 1 の精製結晶体を得る段階とを含むプロセスが見いだされた。化合物(6)の化合物(1)への変換を反応式2に示す。
【0061】
基R3、R4、およびR5は独立にその構造および組成が大きく変動することがあるが、これらは本発明の範囲内である。一つの態様において、R3、R4、およびR5は独立にHまたはC1から約C20ヒドロカルビルでありうる。好ましくは、R3、R4、およびR5は独立にHまたはC1から約C10ヒドロカルビル;より好ましくは独立にC1から約C10ヒドロカルビル;さらにより好ましくは独立にC1から約C5ヒドロカルビルでありうる。好ましい態様において、R3、R4、およびR5は独立にメチル、エチル、またはプロピルでありうる。例えば、R3、R4、およびR5はそれぞれメチルであってもよく、式42のアミンはトリメチルアミンであってもよい。または、R3、R4、およびR5はそれぞれエチルであってもよく、式42のアミンはトリエチルアミンであってもよい。
【0062】
もう一つの態様において、式42のアミンはその構造として、またはその下部構造の一つとして、複素環を含むこともできる。アミンは複数の環を有していてもよく、例えば、二環式複素環を含んでいてもよい。好ましい態様において、アミンは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)であり、ベンジルアンモニウム化合物は式3の構造を有する。
【0063】
基R1およびR2も本発明の方法において大きく変動することがある。例えば、R1およびR2は独立にC1から約C10ヒドロカルビル;好ましくはR1およびR2は独立にC1から約C5ヒドロカルビルでありうる。一つの好ましい態様において、R1およびR2はいずれもブチルである。
【0064】
ベンジルアンモニウム化合物1は本質的に鏡像異性体のラセミ混合物であってもよく、または一つの鏡像異性体がもう一方の鏡像異性体よりも多くてもよい。例えば、R1およびR2がいずれもブチルである場合、化合物1は本質的に鏡像異性体のラセミ混合物であってもよく、または化合物1は(4S,5S)鏡像異性体よりも多い(4R,5R)鏡像異性体を含んでいてもよい。
【0065】
もう一つの好ましい態様において、R1およびR2の一方はエチルであり、R1およびR2の他方はブチルである。そのような場合、化合物1は本質的に鏡像異性体のラセミ混合物であってもよく、または化合物1は(3S)鏡像異性体よりも多い(3R)鏡像異性体を含んでいてもよい。または、化合物1は(3R)鏡像異性体よりも多い(3S)鏡像異性体を含んでいてもよい。
【0066】
式1の構造におけるXは大きく変動することがあり、薬学的に許容される陰イオンまたは薬学的に許容される陰イオンと交換可能な陰イオンを生じる任意の求核脱離基を本質的に表していてもよい。すなわち、X-は薬学的に許容される陰イオンであるか、または薬学的に許容される陰イオンと交換可能な陰イオンである。例えば、Xはクロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、およびトリフルオロメタンスルホナートでありうる。好ましくはXはクロロ、ブロモ、またはヨードであり、より好ましくはXはクロロである。
【0067】
薬学的に許容される塩は、対応する親または中性化合物に比べて水溶性が高いため、これらは本発明の方法の生成物として特に有用である。そのような塩は薬学的に許容される陰イオンまたは陽イオンを有していなければならない。本発明の化合物の適当な薬学的に許容される酸付加塩には、可能であれば、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、フルオロホウ酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、炭酸(炭酸陰イオンおよび炭酸水素陰イオンを含む)、スルホン酸、および硫酸などの無機酸、ならびに酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸、およびトリフルオロ酢酸などの有機酸由来のものが含まれる。塩化物塩は医薬品用に特に好ましい。適当な薬学的に許容される塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩、ならびにマグネシウムおよびカルシウム塩などのアルカリ土類塩が含まれる。
【0068】
化合物1を生成する場合、これは調製したままで用いることもでき、またはさらに加工することもできる。例えば、陰イオンX-は、例えばイオン交換クロマトグラフィなどのイオン交換法によって任意の薬学的に許容される陰イオンと交換することができる。
【0069】
化合物2および化合物42が反応してベンジルアンモニウム化合物1を生じるアミノ化条件は強く、大きく変動することもある。例えば、アミノ化は溶媒なしのニートで実施することもでき、またはアミノ化条件は溶媒を含んでいてもよい。溶媒を用いる場合、その溶媒は親水性もしくは疎水性の性質を有していてもよく、または親水性および疎水性の両方の性質を有していてもよい。溶媒が親水性溶媒を含む場合、親水性溶媒は、例えば水;アセトニトリルなどのニトリル;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、もしくはメチルt-ブチルエーテルなどのエーテル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、もしくはブタノールなどのアルコール;アセトンもしくはメチルエチルケトンなどのケトン;または酢酸エチルなどのエステルを含むことができる。溶媒が疎水性溶媒を含む場合、疎水性溶媒は、例えばC1から約C20脂肪族炭化水素などの脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、もしくはメシチレンなどの芳香族溶媒;または塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリフルオロメチルベンゼン、もしくはクロロベンゼンなどのハロゲン化溶媒を含むことができる。または溶媒は親水性および疎水性溶媒の混合物を含むこともできる。一つの好ましい態様において、溶媒はメチルエチルケトンおよび水の混合物を含む。さらなる好ましい態様において、溶媒はメチルエチルケトン、トルエン、および水の混合物を含む。化合物42よりも求核性の低い本質的にいかなる溶媒も、アミノ化反応における溶媒として用いることができる。好ましくは、アミノ化は、試薬および生成物が反応の大部分において実質的に均質な溶液である条件下で実施する。
【0070】
アミノ化は広い温度範囲で進行することができ、好ましくは約0℃から約120℃、より好ましくは約15℃から約110℃、さらにより好ましくは約30℃から約100℃、さらにより好ましくは約45℃から約90℃の範囲内で実施する。アミノ化は、還流中のメチルエチルケトンなどの還流中の溶媒中で都合よく実施することもできる。好ましくは、メチルエチルケトン中の還流は周囲温度で実施する。
【0071】
ベンジルアルコールエーテル化合物6を反応させて式2の誘導体化ベンジルエーテル化合物を生成する誘導体化条件は、ベンジルアルコール基をアミノ化条件などの求核置換条件下で不安定な基に変換するための当技術分野において公知の本質的にいかなる条件も含むことができる。例えば、誘導体化条件は、化合物6をハロゲン化剤と接触させることを含んでいてもよい。有用なハロゲン化剤には、ハロゲン化チオニル、ハロゲン化スルフリル、三ハロゲン化リン、五ハロゲン化リン、ハロゲン化オキサリル、およびハロゲン化水素が含まれる。本発明のプロセスにおいて有用なハロゲン化剤は、好ましくは塩素化剤または臭素化剤であり、より好ましくは塩素化剤である。例えば、ハロゲン化剤は塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、または塩化水素であってもよく、好ましくはハロゲン化剤は塩化チオニル、三塩化リン、および五塩化リンから選択される。より好ましくは、ハロゲン化剤は塩化チオニルである。または、ハロゲン化剤はトリフェニルホスフィンなどのホスフィンと、四塩化炭素などの四ハロゲン化炭素との混合物を含むこともできる。ハロゲン化剤は反応混合物にいかなる形で加えることもできる。例えば、ハロゲン化剤は固体として、もしくは液体(例えば、ハロゲン化剤の融点よりも高い液体として、または溶媒中の溶液として)として加えることができ、またはハロゲン化剤は反応混合物に周囲圧、周囲よりも低い圧、もしくは高圧下のガスとして接触させることもできる。
【0072】
ハロゲン化剤が塩化チオニルである場合、ハロゲン化反応は広範な条件下で実施することができる。反応はニートで行うこともでき、または溶媒存在下で行うこともできる。特に有用な溶媒は非プロトン性溶媒である。例えば、溶媒は芳香族溶媒、塩素化溶媒、エーテル、アミド、エステル、または炭化水素を含むことができる。好ましい溶媒には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、およびN,N-ジメチルアセトアミドが含まれる。ハロゲン化剤が塩化チオニルである場合、反応は好ましくはトルエン中、本質的にいかなる好都合な温度でも実施することができる。好ましくは、反応は約0℃から約150℃、より好ましくは約10℃から約125℃、より好ましくは約15℃から約100℃、さらにより好ましくは約20℃から約75℃、さらにより好ましくは約20℃から約50℃の温度で行うことができる。
【0073】
または、化合物6を反応させて化合物2を生成する誘導体化条件は、化合物6のヒドロキシ基をスルホン化試薬でスルホン化してスルホン化化合物を生成する段階と、次いでスルホン化化合物をハロゲン化水素またはハロゲン化物塩などのハロゲン化物供給源で処理して化合物2を生成する段階とを含むこともできる。
【0074】
もう一つの態様において、誘導体化条件は、ベンジルヒドロキシル基を酸素脱離基、例えばメタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、またはトリフルオロメタンスルホナートに変換する条件を含んでいてもよい。ベンジルアルコールエーテル化合物6を、例えば、ハロゲン化アルキルスルホニル試薬またはハロゲン化アリールスルホニル試薬などのスルホン化試薬で処理することもできる。そのようなハロゲン化アルキルまたはアリールスルホニル試薬には、ハロゲン化メタンスルホニル、ハロゲン化トルエンスルホニル、ハロゲン化ベンゼンスルホニル、またはハロゲン化トリフルオロメタンスルホニルが含まれうる。好ましくは、試薬は塩化アルキルスルホニル試薬、塩化アリールスルホニル試薬、臭化アルキルスルホニル試薬、または臭化アリールスルホニル試薬である。より好ましくは、ハロゲン化スルホニル試薬は塩化メタンスルホニル、塩化トルエンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、または塩化トリフルオロメタンスルホニルなどの塩化スルホニル試薬である。
【0075】
本発明のプロセスにおいて、ベンジルアルコールエーテル化合物6を本質的に鏡像異性体のラセミ混合物として用いることもでき、または一つの鏡像異性体がもう一つの鏡像異性体より多くてもよい。例えば、化合物6は主に(4R,5R)絶対配置を有していてもよく、または主に(4S,5S)絶対配置を有していてもよい。または、化合物6は(4R,5R)および(4S,5S)絶対配置の混合物を含むこともできる。
【0076】
本発明の調製法は、式4の構造を有するフェノール化合物を式5の構造を有する置換キシレン化合物と置換条件下で接触させて、式6の構造を有するベンジルアルコールエーテル化合物を生成する段階(式中、X2は脱離基である)をさらに含むこともできる。フェノール化合物4は本質的にラセミ混合物を含んでいてもよく、または主に(4R,5R)の絶対配置を含んでいてもよい。または、化合物4は主に(4S,5S)の絶対配置を含んでいてもよい。化合物4の化合物6への変換を反応式3に示す。
【0077】
X2は本質的にベンジル炭素における求核置換のための当技術分野において公知のいかなる脱離基であってもよい。例えば、X2はハロまたはメタンスルホナート、トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、もしくはトリフルオロメタンスルホナートなどのスルホナート基であってもよい。好ましくはX2はハロであり、より好ましくはクロロ、ブロモ、またはヨードである。さらにより好ましくはX2はクロロである。
【0078】
化合物4の化合物6への変換は、望まれるならば、溶媒存在下で実施することもできる。本質的には、反応物をある程度溶解し、反応物に対して本来非反応性であるいかなる溶媒も有用であると考えられる。例えば、溶媒は芳香族溶媒、アミド、エステル、ケトン、エーテルまたはスルホキシドを含みうる。好ましくは、溶媒はN-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはアミド溶媒などの非プロトン性溶媒である。好ましくは、溶媒はアミド溶媒である。より好ましくは、アミドはジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドからなる群より選択され、さらにより好ましくは、溶媒はN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)である。
【0079】
化合物4の化合物6ヘの変換はさらに、塩基存在下で実施することもできる。有用な塩基には、金属水酸化物、金属アルコラート、金属水素化物、アルキル金属複合体、金属炭酸塩、およびアミド塩基が含まれる。好ましくは、塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、または水酸化カルシウムなどの金属水酸化物を含む。より好ましくは、塩基は水酸化ナトリウムである。塩基が金属炭酸塩である場合、好ましくは塩基はアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩である。例えば、塩基は炭酸カリウムであってもよい。
【0080】
本発明の調製法は、式7の構造を有する保護フェノール化合物(式中、R6は保護基である)を脱保護してフェノール化合物4を生成する脱保護段階をさらに含むことができる。
化合物7の化合物4への変換を反応式4に示す。保護基は分子内の反応性部位を一時的にブロックする任意の化学基であり、一方で化学反応は同じ分子内の別の反応性部位で、または保護した分子と同じ反応混合物中にある別の分子内の反応性部位で選択的に実施する。GreeneおよびWuts(Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999, pp. 249-287、この開示は参照として本明細書に組み込まれる)に記載の多くの保護基は、本発明のプロセスにおいてフェノール官能基を保護するのに有用である。例えば、R6はメチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基、もしくはベンジル基などのヒドロカルビル基;メトキシメチル基もしくはベンジルオキシメチル基などのアルコキシメチル基;メチルチオメチル基などのアルキルチオメチル基;トリメチルシリル基などのシリル基;ホルミル基、アセチル基、もしくはベンゾイル基などのアシル基;炭酸メチル基などの炭酸エステル基;ホスフィン酸エステル基;またはスルホン酸エステル基でありうる。一つの態様において、R6はC1から約C10ヒドロカルビル基、好ましくはC1から約C10アルキル基、より好ましくはC1から約C5アルキル基、さらにより好ましくはメチルである。
【0081】
R6がメチル基である場合、脱保護段階で広範な条件を用いることができる。例えば、脱保護段階の条件は化合物7を脱保護試薬で処理する段階を含んでいてもよい。有用な脱保護試薬には、ヨードトリメチルシランなどのハロトリメチルシラン;18-クラウン-6との組み合わせでのリチウムもしくはナトリウムなどのアルカリ金属;硫化ナトリウムもしくは硫化リチウムなどのアルカリ金属硫化物;ヨウ化リチウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物;三臭化アルミニウムなどのアルミニウム三ハロゲン化物;アルミニウム三ハロゲン化物およびエタンチオールなどのアルキルチオール;求核性硫黄供給源との組み合わせでの強酸;三臭化ホウ素もしくは三塩化ホウ素などのホウ素三ハロゲン化物;ヨウ化水素、臭化水素、もしくはヨウ化水素などのハロゲン化水素;またはヒドロカルビルチオ酸金属塩が含まれるが、これらに限定されることはない。脱保護試薬がホウ素三ハロゲン化物を含む場合、試薬は好ましくは三臭化ホウ素を含む。脱保護試薬がヒドロカルビルチオ酸金属塩を含む場合、試薬は好ましくはヒドロカルビルチオ酸リチウム、より好ましくはC1から約C10アルキルチオ酸リチウム、さらにより好ましくはエタンチオ酸リチウムである。脱保護試薬が求核性硫黄供給源との組み合わせでの強酸である場合、好ましくは強酸は例えば硫酸、スルホン酸、ルイス酸、またはリンオキソ酸でありうる。好ましくは、強酸は硫酸またはスルホン酸、より好ましくはスルホン酸である。強酸がスルホン酸である場合、好ましくは強酸はメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはトルエンスルホン酸であり;より好ましくは強酸はメタンスルホン酸である。求核性硫黄供給源は、例えばメチオニンであってもよい。
【0082】
本発明の方法において、化合物7はラセミ化合物であってもよく、または立体異性体の混合物として用いることもでき、または主にその立体異性体の一つとして用いることもできる。好ましくは、化合物7は(4R,5R)の絶対配置を有する。または、化合物7は(4S,5S)の絶対配置を有していてもよい。
【0083】
脱保護試薬がメチオニンとの組み合わせでのスルホン酸である場合、本発明の方法の脱保護段階において様々な条件を用いることができる。反応は実質的にニートで(実質的に溶媒を加えることなく)行うこともでき、または溶媒を加えることもできる。試薬を溶解し、試薬に対してほぼ非反応性である、本質的にいかなる溶媒もこの反応において有用であると考えられる。有用な溶媒には、アルカンなどの炭化水素溶媒、ベンゼンまたはトルエンなどの芳香族溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、またはトリフルオロメチルベンゼンなどの塩素化溶媒;およびSO2などの無機溶媒が含まれる。
【0084】
脱保護段階は広い範囲の温度で実施することができる。好ましくは温度は約0℃から約150℃、より好ましくは約25℃から約130℃、さらにより好ましくは約50℃から約110℃、さらにより好ましくは約65℃から約100℃の範囲である。
【0085】
もう一つの態様において、本発明の方法は、式8aの構造を有するアミノ硫黄酸化物アルデヒド化合物を環化条件下で処理して式7aの構造を有する保護フェノール化合物を生成する環化段階(式中、R1、R2、およびR6は前述の定義のとおりであり、かつyは1または2である)をさらに含んでいてもよい。8aから7aへの環化を反応式5に示す。
【0086】
環化は、アミノ硫黄酸化物アルデヒドを塩基で処理する段階を含む条件によって仲介されうる。この反応において有用な塩基には、MOR11、金属水酸化物、またはアルキル金属複合体(式中、R11はC1から約C10ヒドロカルビル基であり、Mはアルカリ金属である)が含まれる。好ましくは塩基はMOR11である。塩基がMOR11である場合、Mは好ましくはリチウムまたはカリウムである。特に有用な態様において、R11はC1から約C10アルキル基、好ましくはC1から約C5アルキル基であり、より好ましくはR11はメチル、エチル、イソプロピル、またはtert-ブチルであり、さらにより好ましくはR11はtert-ブチルである。
【0087】
環化段階の条件は溶媒を含むこともできる。溶媒は親水性溶媒であってもよく、好ましくは溶媒は親水性非プロトン性溶媒である。溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、1,4-ジオキサン、グリム、またはジグリムなどの環状または非環状エーテルであってもよい。好ましくは溶媒はテトラヒドロフランである。または、溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、またはt-ブチルアルコールなどのアルコールであってもよい。
【0088】
環化段階は様々な温度で実施することができる。好ましくはこの段階は約-20℃から約50℃、好ましくは約-10℃から約35℃、より好ましくは約0℃から約25℃の温度で実施する。
【0089】
yが1である場合、本発明の方法はアミノスルホキシドアルデヒド(8a、y=1)をアミノスルホンアルデヒド(8a、y=2)に変換するための酸化段階をさらに含むことができる。例えば、酸化段階は、アミノスルホキシドアルデヒドを次亜塩素酸ナトリウムで処理する段階を含んでいてもよい。または、アミノスルホキシドアルデヒドを、好ましくはイミダゾールおよびテトラフェニルポルフィリン塩化Fe(III)存在下、過酸化水素で処理してもよい。もう一つの代替法において、アミノスルホキシドアルデヒドをメチルトリオキソレニウム存在下、過酸化水素で処理することもできる。アミノスルホキシドアルデヒドのスルホンへの変換は、スルホキシドをアセトニトリルおよび炭酸カリウムなどの塩基存在下、過酸化水素で処理することによっても達成される。もう一つの有用な酸化は、アミノスルホキシドアルデヒドをO2および例えばイソバレルアルデヒド存在下、ジアセトニルアセトンコバルト(Co(acac)2)で処理する段階も含む。さらにもう一つの有用な酸化は、アミノスルホキシドアルデヒドをO2存在下、2-メチルプロパナールで処理する段階を含む。または、酸化はアミノスルホキシドアルデヒドをt-ブチルヒドロペルオキシド存在下、シリカゲルで処理することにより実施される。変換は、アミノスルホキシドアルデヒドを、例えば三塩化ルテニウム水和物存在下、過ヨウ素酸で処理した場合にも起こる。酸化の代替条件は、アミノスルホキシドアルデヒドを過酸化水素存在下、尿素および無水フタル酸で処理する段階を含んでいてもよい。もう一つの例において、アミノスルホキシドアルデヒドの酸化は、シリカゲルまたは湿モンモリロナイト粘土存在下、オキソンモノ過硫酸塩化合物(2KHSO5・KHSO4・K2SO4)での処理によって実施される。
【0090】
環化段階中、好ましくはyは2である。
【0091】
さらにもう一つの態様において、本発明の方法は、式9aの構造を有するニトロ硫黄酸化物アルデヒド化合物を還元的にアルキル化して、アミノ硫黄酸化物アルデヒド化合物8bを生成する還元的アルキル化段階(式中、R1、R2、およびR6は前述の定義のとおりであり、かつzは0、1、または2である)をさらに含むこともできる。好ましくはzは2である。化合物9aを還元的にアルキル化する条件は、例えば、9aを触媒存在下、ホルムアルデヒド供給源およびH2供給源と接触させる段階を含んでいてもよい。還元的アルキル化は、好ましくは高圧のH2下で実施する。還元的アルキル化を、約100から約700,000kPa、好ましくは約200から約300,000kPa、より好ましくは約300から約100,000kPa、さらにより好ましくは約350から約10,000kPa、さらにより好ましくは約400から約1000kPaの範囲のH2圧で行うことが有用である。化合物9aの化合物8bへの変換を反応式6に示す。
【0092】
本明細書に記載の還元的アルキル化は、好ましい場合には、反応式8bに示すとおり、化合物9aのアセタール誘導体で実施することもできる。
【0093】
ホルムアルデヒド供給源は、CH2Oの等価物を生じる、本質的にいかなる供給源であってもよい。例えば、ホルムアルデヒド供給源はホルマリン、ジメトキシメタン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、またはCH2Oの任意のポリマーであってもよい。ホルムアルデヒド供給源はホルマリン、好ましくは約30%から約37%ホルマリンであることが好都合である。
【0094】
還元的アルキル化のための触媒は、不均一触媒または均一触媒のいずれでもよい。好ましくは触媒は金属、例えば、貴金属触媒である。有用な貴金属触媒には、Pt、Pd、Ru、およびRhが含まれる。好ましくは貴金属触媒はPd触媒である。または、金属触媒はニッケル触媒、例えばラネーニッケルなどの高表面積ニッケル触媒であってもよい。触媒は均一触媒でも、不均一触媒でもよく、好ましくは不均一触媒である。触媒が貴金属触媒である場合、触媒は金属自体で用いることもでき、または金属を炭素などの固体支持体と組み合わせて用いることもできる。または、金属触媒は固定金属または助触媒金属などの別の金属との組み合わせで用いてもよい。特に好ましい態様において、触媒は炭素担持Pdを含む。
【0095】
還元的アルキル化中、反応混合物中に酸が存在してもよい。好ましくは、酸は強酸であり、より好ましくは強鉱酸である。例えば、酸は硫酸でありうる。
【0096】
反応混合物は還元的アルキル化中に都合よく溶媒を含むことができる。有用な溶媒には、アルコール、芳香族溶媒、エーテル溶媒、およびハロゲン化芳香族溶媒などのハロゲン化溶媒が含まれる。好ましくは溶媒はエタノールなどのアルコール溶媒である。
【0097】
還元的アルキル化反応はいかなる好都合な温度、例えば約0℃から約200℃、好ましくは 約10℃から約150℃、より好ましくは約15℃から約125℃、さらにより好ましくは約20℃から約100℃、さらにより好ましくは約25℃から約80℃、さらにより好ましくは約30℃から約75℃で行うことができる。
【0098】
還元的アルキル化は、別法として、2段階で実施することもできる。例えば、第一段階において、化合物9aのニトロ基をアミノ基に還元し、次いでアミノ基をメチル化することができる。例えば、ニトロ硫黄酸化物アルデヒド化合物9aを還元して式39の構造を有するアニリン硫黄酸化物化合物
(式中、R1、R2、R6、およびzは前述の定義のとおりである)を生成することができる。この方法は、アニリン硫黄酸化物化合物をメチル化条件下で処理して、アミノ硫黄酸化物アルデヒド化合物8aを生成するメチル化段階をさらに含むことができる。ニトロ基のアミノ基への還元は、例えば、接触水素添加により達成することができる。化合物39を生成するための接触水素添加は、例えば、化合物9aを水素添加触媒存在下、H2に接触させることによって達成される。有用な水素添加触媒は、例えば、炭素担持パラジウム(Pd/C)などのパラジウム触媒である。水素添加は約100から約700,000kPa、好ましくは約200から約300,000kPa、より好ましくは約300から約100,000kPa、さらにより好ましくは約350から約10,000kPa、さらにより好ましくは約400から約1000kPaの範囲のH2圧で行うことが有用である。メチル化段階は広範なメチル化条件下で実施することができる。または、39を生成するための9aの還元は、9aを酢酸存在下、鉄で処理する、または9aを塩酸存在下、スズで処理するなどの他の還元条件下で実施することもできる。
【0099】
メチル化条件は、例えば、化合物39をハロゲン化メチルまたはスルホン酸メチルなどのメチル化試薬で処理する段階を含むこともできる。有用なハロゲン化メチルには、塩化メチル、臭化メチル、及びヨウ化メチルが含まれる。有用なスルホン酸メチルには、メタンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル、およびトリフルオロメチルスルホン酸メチルが含まれる。または、メチル化条件は、化合物39をH2および水素添加触媒存在下、ホルムアルデヒド供給源で処理する段階を含んでいてもよい。化合物9aの化合物8bへの還元的アルキル化に有用な条件は、化合物39のメチル化にも有用である。
【0100】
もう一つの態様において、本発明の方法は、式10の構造を有するニトロスルフィドアルデヒド化合物を酸化して化合物9aを生成する酸化段階(式中、R6は保護基であり、かつzは1または2である)をさらに含んでいてもよい。好ましくは、化合物10を酸化条件下で処理して式9のニトロスルホンアルデヒド化合物を生成する。酸化反応は、10を酸化剤で処理することにより実施することができる。有用な酸化剤には、例えば、過酸、アルキルヒドロペルオキシド、または過酸化水素が含まれる。酸化剤が過酸である場合、例えば、過酢酸またはm-クロロ過安息香酸が好都合である。好ましくは、酸化剤は過酢酸を含む。化合物10の化合物9aへの変換を反応式7に示す。
【0101】
本発明の方法は、化合物9a(zは1である)を酸化してスルホン化合物9とする段階をさらに含んでいてもよい。そのような酸化は、9a(zは1である)を、例えば、過酸、アルキルヒドロペルオキシド、または過酸化水素で処理することによって実施することができる。
【0102】
反応式8の酸化段階中、化合物10のアルデヒド官能基を、例えば対応するカルボン酸の生成を防ぐために、酸化から保護することは好都合である。アルデヒドをカルボン酸への酸化から保護するための様々な保護基が当技術分野において公知で、そのような保護基を本発明の方法において用いることができる。アルデヒドを保護する多くの方法がGreeneおよびWuts(Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999, pp. 297-368、この開示は参照として本明細書に組み込まれる)によって記載されており、本明細書において有用である。例えば、化合物10のアルデヒド基は、ジメチルアセタールまたはジエチルアセタールなどのアセタールとして保護することができる。本質的に、GreenおよびWutsによって記載されたいかなるアセタール生成法も、本発明において有用である。10をオルトギ酸トリメチル、p-トルエンスルホン酸などの酸、およびメタノールと接触させることにより、10のアルデヒド基をジメチルアセタールとして保護することは好都合である。10は溶媒存在下、オルトギ酸トリメチル、酸、およびメタノールと都合よく接触させることができる。有用な溶媒はベンゾ三フッ化物(BTF)である。酸化段階の後、アルデヒド基を当技術分野において公知の方法により脱保護することができる。例えば、ジメチルアセタールを水および硫酸または塩酸などの酸で処理することにより、アルデヒドに変換することができる。
【0103】
または、本発明の方法は、条件がエナンチオ選択的酸化条件を含む、酸化段階を含むこともできる。そのようなエナンチオ選択的酸化条件は、PCT特許出願国際公開公報第99/32478号に記載されており、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。例えば、ニトロスルフィドアルデヒド化合物10はエナンチオ選択的に酸化してキラルなニトロスルホキシドアルデヒド化合物(9a、zは1である)とすることができる。キラルなニトロスルホキシドアルデヒド化合物の塩基(例えばカリウムt-ブトキシドなどの金属アルコキシド)処理による閉環は、テトラヒドロベンゾチエピン-1-オキシド化合物の一つの鏡像異性体または一組のジアステレオマーを選択的に生成することになり、これらをさらにテトラヒドロベンゾチエピン-1,1-ジオキシドへと酸化して選択的に主に一つの鏡像異性体または選択的に一組のジアステレオマーとすることができる。
【0104】
本発明の方法は、式11の構造を有する置換ジフェニルメタン化合物を硫黄供給源存在下、式12aの構造を有する置換プロピオンアルデヒド等価化合物とカップリングさせて、ニトロスルフィドアルデヒド化合物10を生成するスルフィド生成段階(式中、R1、R2、およびR6は前述の定義のとおりであり;R27はアルデヒド基(-CHO)またはアセタールなどの保護アルデヒド基であり;X3は芳香族置換脱離基であり;かつX4は求核置換脱離基である)をさらに含むことができる。この全スルフィド生成段階を反応式8に示す。
R27がアルデヒド基である場合、化合物12aは式12の構造を有する。
【0105】
反応式8の反応において、R27が-CH2OH(または保護アルコール)または-CO2H(または保護カルボン酸)であることも可能である。R27が-CH2OH(または保護アルコール)である場合、化合物12aの付加に続き、アルコール官能基を酸化してアルデヒドまたはカルボン酸官能基とする酸化段階を都合よく行うことができる。R27が-CO2H(または保護カルボン酸)である場合、化合物12aの付加に続き、還元段階を都合よく行うことができる。または、R27が-CO2H(または保護カルボン酸)である場合、化合物12aの付加に続き、環化段階および/または硫黄酸化段階を行って環状ケトンを生成し、これをアルコール7aへと還元することもできる。
【0106】
硫黄供給源は、例えば、硫化リチウム(Li2S)、硫化ナトリウム(Na2S)、またはNa2S2などの金属硫化物であってもよい。好ましくは、硫黄供給源はNa2SまたはLi2Sであり、より好ましくはNa2Sである。X3は本質的にいかなる好都合な芳香族置換脱離基であってもよい。例えば、X3はハロゲン、スルホナート基、またはニトロ基でありうる。好ましくは、X3はハロゲン、より好ましくはClまたはBr、さらにより好ましくはClである。X3がスルホナート基である場合、これは例えばメタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、またはトルエンスルホナートであってもよく;好ましくはX3はトリフルオロメタンスルホナートである。X3がスルホナート基である場合、スルフィド生成反応は好ましくはPd(O)などの貴金属および金属硫化物存在下で実施する。
【0107】
X4は本質的に、置換されると反応条件に化学的および物理的に適合性の陰イオンを生じるいかなる求核置換脱離基であってもよい。例えば、X4はクロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホナート、トルエンスルホナート、およびトリフルオロメタンスルホナートでありうる。好ましくはX4はクロロ、ブロモ、またはヨードであり、より好ましくはX4はブロモである。
【0108】
本発明の反応のスルフィド生成段階において、ジフェニルメタン化合物11を硫黄供給源と接触させて中間体チオラート陰イオン44を生成した後、置換プロピオンアルデヒド化合物12と接触させることが好ましい。
【0109】
本発明の方法のスルフィド生成段階において、硫黄供給源と化合物11との接触は、いかなる好都合な温度でも行うことができる。好ましくは、接触は約0℃から約150℃、より好ましくは約0℃から約100℃、さらにより好ましくは約10℃から約75℃、さらにより好ましくは約20℃から約50℃、さらにより好ましくは25℃付近から約45℃の範囲の温度で実施する。硫黄供給源、例えば硫化ナトリウムを化合物11と反応時間接触させた後、混合物に置換プロピオンアルデヒド化合物12を加えることが有益である。適切に、反応時間は約5分から約10時間、好ましくは約10分から約7時間、より好ましくは約20分から約5時間、さらにより好ましくは約30分から約3時間でありうる。
【0110】
選択的に、陰イオン44を例えば水または酸で失活させてチオール化合物45を生成することができる。チオール45は単離、保存、輸送、または使用するまで溶液中で維持することができる。化合物10を調製するためにチオール45を使用する準備ができれば、チオール45を金属アルコキシド、金属水素化物、アルキル金属複合体、または他の塩基などの適当な塩基で処理して、陰イオン44を生成することができる。適当な塩基には、例えば、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、およびカリウムt-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが含まれる。有用な金属水素化物には水素化ナトリウムおよび水素化カルシウムが含まれる。
【0111】
しかし、陰イオン44を失活しない、またはチオール化合物45を単離することが好ましい。陰イオン44は失活せずに保存または輸送するのに十分安定である。または、硫黄供給源の添加および置換プロピオンアルデヒド化合物12との反応は、一つの反応容器内で、または中間体構造を単離することなく一つの反応混合物中で実施することができる。
【0112】
または、スルフィド生成段階は、ジフェニルメタン化合物11を前述のカップリング条件下でチオプロピル化合物12bと接触させてスルフィド10aを生成する、反応式8aの反応の後に実施することもできる。反応式8aにおいて、R1、R2、R6、R27、およびX3は前述の定義のとおりであり、かつR28はHまたはアシル基などの不安定なチオール保護基、好ましくはアセチル基である。
【0113】
反応式8aの反応は塩基存在下で都合よく実施することができる。有用な塩基にはアルカリ金属塩基またはアルカリ土類金属塩基が含まれる。有用なアルカリ金属塩基には水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が含まれる。反応式8aの反応は溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒、より好ましくは極性非プロトン性溶媒存在下で都合よく実施することができる。反応式8aの反応にとって好ましい溶媒はDMSOである。
【0114】
反応式8aのスルフィド生成段階は溶媒存在下で都合よく実施することができる。有用な溶媒には極性非プロトン性溶媒が含まれる。有用な極性非プロトン性溶媒には、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN-メチルピロリドン(NMP)が含まれるが、これらに限定されることはない。好ましくは溶媒はDMACである。
【0115】
反応式8aのR27がアセタール基などの保護アルデヒド基である場合、望まれるならば化合物10aをさらに反応させて、保護アセタール基を脱保護することもできる。または、化合物10aを本明細書に記載のスルフィド酸化条件下で直接酸化して、スルフィド化合物10cを生成することもできる。望まれるならば、反応式8bに示すとおり、化合物10cを本明細書に記載の還元的アルキル化条件下で処理して、ジメチルアミノアルデヒド化合物10bを生成することもできる。
【0116】
図1は、置換プロピオンアルデヒド化合物12を調製することができる全プロセスを示している。化合物12は、例えば、式37の構造を有するジオール化合物を、式38の構造を有するカルボニル化合物およびX4の供給源存在下で反応させて、式36の構造を有する酸エステルを生成することにより製造することができる。X6はヒドロキシ、ハロ、または-OC(O)R18であってもよく;好ましくはヒドロキシまたはハロである。X6がハロである場合、好ましくはクロロ、ブロモ、またはヨード;より好ましくはクロロである。または、X6はヒドロキシであってもよい。X6がヒドロキシである場合、化合物37のカルボニル化合物38との反応は強酸、好ましくは強鉱酸存在下で有利に実施される。有用な強酸にはHCl、HBr、HI、硫酸、またはスルホン酸が含まれる。有用なスルホン酸にはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸が含まれる。好ましくは強酸はHBrである。R10およびR18は独立にC1から約C20ヒドロカルビル;好ましくはC1から約C10アルキル;より好ましくはC1から約C5アルキル;さらにより好ましくはメチル、エチル、またはプロピル;さらにより好ましくはメチルでありうる。R1、R2、およびX4は前述の定義のとおりである。X4の供給源は、例えば、ハロゲン化物の供給源であってもよい。ハロゲン化物の供給源は、ハロゲン化物が-OC(O)R10などのアシルオキシ基を求核的に置換することができる、いかなる供給源であってもよい。例えば、ハロゲン化物の供給源は強酸であれば有利となることもあり、強酸はHCl、HBr、またはHIである。好ましくは、ハロゲン化物の供給源はNaBr、LiBr、またはHBrなどの臭化物の供給源である。臭化物の供給源がNaBrまたはLiBrである場合、反応を酸触媒存在下で実施することが有利である。好ましくは、ハロゲン化物の供給源はHBrまたはHI、より好ましくはHBrである。有利なことに、化合物36を生成する反応は広範な温度で実施することができる。好ましくは、反応は約50℃から約175℃、より好ましくは約65℃から約150℃、さらにより好ましくは約70℃から約130℃で実施する。
【0117】
酸エステル36を加溶媒分解して式35の構造を有する置換プロパノール化合物を生成することができる。加溶媒分解反応は、X4を置換することなく、カルボン酸エステルの加溶媒分解のための当技術分野において公知の条件下で実施することができる。加溶媒分解は酸触媒存在下で実施すると好都合である。有用な酸触媒は鉱酸または有機酸でありうる。酸触媒が鉱酸である場合、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸、またはスルホン酸であってもよい。有用なスルホン酸にはメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸が含まれる。有用なハロゲン化水素酸には塩酸、臭化水素酸、およびヨウ化水素酸が含まれる。加溶媒分解は溶媒存在下で実施してもよい。好ましくは、溶媒はC1から約C10アルコール溶媒;より好ましくはC1から約C5アルコール溶媒;さらにより好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、または2-プロパノール;さらにより好ましくはエタノールである。
【0118】
化合物36および35を生成するための反応は、別々に生成物を個別に単離して実施することができる。または、反応は一つの反応容器内で、または化合物36を単離することなく一つの反応媒質中で実施することができる。
【0119】
置換プロパノール化合物35を酸化して、置換プロピオンアルデヒド化合物12を生成することができる。これは、化合物35を酸化剤と接触させることにより達成することができる。酸化条件は、アルコール基がX4存在下で酸化されるのに適当でなければならない。例えば、酸化条件は、三酸化硫黄-ピリジン複合体などの緩和な酸化剤を含むこともできる。他の有用な酸化条件には、例えば、35をDMSOなどの反応物存在下、塩化オキサリルおよびトリエチルアミンと接触させる段階が含まれる。有用な酸化条件のもう一つの例は、35を2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ遊離基(TEMPO)存在下、次亜塩素酸ナトリウムと接触させる段階を含む。酸化剤が三酸化硫黄-ピリジン複合体である場合、酸化は約10℃から約100℃;好ましくは約20℃から約75℃;より好ましくは約20℃から約50℃の温度で実施すると有利でありうる。酸化は溶媒存在下で実施することもできる。有用な溶媒には、例えば、DMSOなどのスルホキシド;または塩化メチレン、クロロホルム、もしくは四塩化炭素などの塩素化溶媒が含まれる。酸化剤が三酸化硫黄-ピリジン複合体である場合、複合体は反応混合物に溶媒中のスラリーとして加えてもよく、または好ましくは固体として一定の時間(例えば約1から約15時間)をかけて加えることもできる。
【0120】
化合物12調製の一つの好ましい態様において、R1およびR2はいずれもブチルである。別の好ましい態様において、R1およびR2の一方はエチルであり、R1およびR2の他方はブチルである。R1およびR2の一方がエチルであり、R1およびR2の他方がブチルである場合、化合物12は4級炭素原子についてRの絶対配置を有しうる。または、化合物12は4級炭素原子についてSの絶対配置を有することもある。
【0121】
化合物12調製のために有用な本明細書に記載の反応は、個々にまたは組み合わせて実施することができる。図2は、本発明の方法を用いて2,2-ジブチル-3-ブロモプロピオンアルデヒドを調製することができる好ましいプロセスを示している。
【0122】
本発明の一つの態様を反応式8cに示すが、ここで化合物12bは化合物12dの構造を有していてもよい。反応式8cは、本発明において有用なチオアシルアセタール化合物(アシル基およびアセタール基は独立に構造が大きく変動しうる)を製造することができる、様々な方法の例である。反応式8cにおいて、ブロモアルデヒド化合物53をチオ酢酸カリウムで処理してチオアセチルアルデヒド化合物12cを生成する。化合物12cをスルホン酸触媒(好ましくはトルエンスルホン酸)などの酸触媒存在下、ギ酸トリエチルなどのギ酸トリアルキルで処理して、化合物12d(Etはエチルである)を生成する。アセタール生成段階は、望まれるならば、溶媒、例えばアルコール溶媒存在下で実施することができる。生成するアセタールがエチルアセタールである場合、溶媒はエタノールであることが好都合でありうる。
【0123】
図1aは、ニトロスルフィドアセタール化合物67(R1およびR2がいずれもブチルであり、かつR27がジエチルアセタール基である10a)を調製することができ、かつ化合物67を用いて化合物29を生成することができる、典型的な全プロセスを示している。
【0124】
化合物12bは、望まれるならば、いくつかの他の方法で調製することもできる。例えば、反応式8dに示すとおり、アクロレイン化合物77をチオアシル化合物78と接触させて、アシルチオメチルアルデヒド化合物79を生成することができる。反応式8dにおいて、R29はC1から約C20ヒドロカルビル、好ましくはC1から約C10ヒドロカルビル、より好ましくはC1から約C5ヒドロカルビル、さらにより好ましくはエチルまたはブチルでありうる。R30はC1から約C20ヒドロカルビル、好ましくはC1から約C10ヒドロカルビル、より好ましくはC1から約C5ヒドロカルビル、さらにより好ましくはメチルでありうる。好ましくは、反応式8dの反応はアミン触媒などの塩基触媒存在下で実施する。例えば、アミン触媒はトリアルキルアミンなどのアルキルアミンであってもよい。
【0125】
反応式8eに示すとおり、化合物79を化合物20と接触させてアシルチオメチルアルケンアルデヒド化合物80を生成することができる。反応式8eの反応は、好ましくは酸触媒、好ましくは硫酸またはスルホン酸などの硫黄酸触媒存在下で実施する。例えば、酸触媒はp-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、またはトリフルオロメタンスルホン酸であってもよい。反応は加熱条件下、例えば約50℃から約150℃、好ましくは約75℃から約125℃、より好ましくは約100℃から約115℃の温度で都合よく実施することができる。
【0126】
化合物80をアセタール生成条件下で誘導体化して、不飽和アセタール化合物81を生成することができる。化合物81において、R31およびR32は独立にC1から約C20アルコキシであってもよく、またはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環状アセタールを形成してもよい。R31およびR32がアルコキシである場合、好ましくはそれらはC1から約C10アルコキシ、より好ましくはC1から約C5アルコキシ、さらにより好ましくはメチルまたはエチル、さらにより好ましくはメチルである。R31およびR32が一緒になって環状アセタールを形成する場合、好ましくはそれらはエチレングリコールアセタールまたは1,3-プロパンジオールアセタール、より好ましくはエチレングリコールアセタールを形成する。例えば、化合物80を酸触媒などの触媒存在下、アルコールまたはアルコール混合物と接触させることができる。または、化合物80をオルトギ酸トリエチルまたはオルトギ酸トリメチルなどのオルトギ酸エステルで処理してアセタールを生成することもできる。
【0127】
化合物81を還元してチオメチルアセタール化合物82を生成することができる。当業者が本開示を参照すれば、反応式8aの反応において化合物12bの代わりに化合物82を用いてスルフィド10aを生成しうることは明らかであると思われる。化合物81を化合物82に変換するための還元条件は大きく変動しうる。例えば、化合物81をピペリジンなどのアミン存在下、p-トルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジドで処理して、化合物82を生成することができる。
【0128】
スルフィド生成段階でニトロスルフィドアルデヒド化合物10がいったん生成すれば、当技術分野において公知の方法によって10を単離してもよく、または前述の方法により10を酸化して、ニトロスルホンアルデヒド化合物9を生成することもできる。中間体化合物を選択的に単離、保存、または輸送することもできるが、スルフィド生成段階および酸化段階を、中間体構造を単離することなく、一つの反応容器内で実施することが好都合である。
【0129】
本発明の方法は、置換ベンゾフェノン化合物13を還元して置換ジフェニルメタン化合物11を生成する還元段階(R6およびX3は前述の定義のとおりである)をさらに含むことができる。還元段階を反応式9に示す。
例えば、還元段階は、化合物13をトリフルオロメタンスルホン酸(トリフリック酸)およびトリエチルシランなどのシランと接触させることにより実施することができる。還元段階を溶媒、例えばトリフルオロ酢酸などの強酸溶媒存在下で実施することが有用である。溶媒としてトリフルオロ酢酸を用いる場合、好ましくはトリフリック酸を触媒量で用いる。特に、13をトリフルオロ酢酸に溶解し、トリフリック酸を加え、次いでトリエチルシランを加えることが有用である。トリエチルシラン添加中の反応温度は、必要があれば、冷却によって制御してもよい。反応温度は約25℃から約100℃、好ましくは約30℃から約75℃、より好ましくは約45℃から約50℃の範囲で制御することができる。本発明の反応において他のシラン、例えばポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)または他のトリアルキルシランも有用である。
【0130】
または、13の11への還元は、塩化メチレンなどの溶媒中、トリフリック酸およびトリエチルシランなどのシラン存在下で実施することができる。反応混合物中にトリフルオロ酢酸が存在しない場合、典型的には触媒量よりも多くのトリフリック酸が必要である。13を11に還元するもう一つの方法は、13を塩化アルミニウムなどのルイス酸およびトリエチルシランなどのシランで処理する段階を含むことになる。もう一つの代替法において、還元は13を触媒存在下、水素化ホウ素ナトリウムで処理して実施することができる。さらなる代替法において、還元は13をパラジウム触媒、好ましくはPd/Cなどの貴金属触媒存在下、硫酸で処理して実施することができる。さらなる代替法において、13は例えば水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素化合物により、対応するアルコールに還元することができる。得られたアルコールを、例えば、水素化ホウ素ナトリウムおよびトリエチルシランなどのシランで処理してもよい。アルコールは他の手段、例えば、アルコールを塩化メタンスルホニルまたは塩化トルエンスルホニルなどのスルホン化試薬で処理し、次いで得られたスルホン酸エステルを水素化ホウ素ナトリウムで処理することにより、11に還元することもできる。
【0131】
本発明の方法は、式14の構造を有する保護フェノール化合物
をアシル化条件下、式15の構造を有する置換ベンゾイル化合物
で処理して式13の構造を有する置換ベンゾフェノン化合物を生成するアシル化段階(式中、R6およびX3は前述の定義のとおりであり;X5はヒドロキシ、ハロ、または-OR14であってもよく;かつR14はアシル基であってもよい)もさらに含むことができる。この全アシル化段階を反応式10に示す。
【0132】
アシル化条件はフリーデル-クラフツのアシル化条件を含むこともできる。例えば、アシル化条件はルイス酸をさらに含んでいてもよい。有用なルイス酸には、三ハロゲン化アルミニウムなどのアルミニウム含有ルイス酸;三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテラート、または三塩化ホウ素などのホウ素含有ルイス酸;SnCl4などのスズ含有ルイス酸;HFなどのハロゲン含有ルイス酸;FeCl3などの鉄含有ルイス酸;SbF5などのアンチモン含有ルイス酸;およびZnI2またはZnCl2などの亜鉛含有ルイス酸が含まれる。ルイス酸が三ハロゲン化アルミニウムである場合、好ましくはこれはAlCl3またはAlBr3、より好ましくはAlCl3である。または、ルイス酸は粘土などの固体支持体上に支持することもできる。例えば、ルイス酸はEnvirocatなどの粘土組成物上にFeCl3を含むこともできる。
【0133】
または、アシル化は硫酸;リン酸、例えばo-リン酸もしくはポリリン酸(PPA);またはスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの強プロトン酸存在下で行うことができる。
【0134】
X5はヒドロキシ、ハロ、または-OR14であってもよい。例えば、X5はヒドロキシ、ブロモ、ヨード、または-OR14であってもよい。
【0135】
X5がハロである場合、好ましくはこれはクロロ、ブロモ、またはヨードである。一つの有用な態様において、X5はクロロである。もう一つの有用な態様において、X5はブロモまたはヨード、好ましくはブロモである。X5がハロである場合、アシル化条件は前述のルイス酸、例えば三ハロゲン化アルミニウムをさらに含むことが好ましい。有用な三ハロゲン化アルミニウムには三臭化アルミニウムおよび三塩化アルミニウム、好ましくは三塩化アルミニウムが含まれる。
【0136】
X5がヒドロキシである場合、アシル化条件は強プロトン酸をさらに含むことが好ましい。いくつかの有用な強プロトン酸には、硫酸、スルホン酸、またはリンオキソ酸が含まれる。有用なリンオキソ酸には、オルトリン酸(一般にリン酸、H3PO4として知られている)、ピロリン酸(H4P2O7)、またはポリリン酸(PPA)が含まれる。好ましくは、リンオキソ酸はリン酸またはポリリン酸、好ましくはポリリン酸である。リンオキソ酸の組み合わせも本発明において有用である。リンオキソ酸は酸自体として加えることもでき、または例えばPCl5などのハロゲン化リン化合物の加水分解により、またはP2O5などの酸化リン化合物の加水分解によりインサイチューで生成することもできる。
【0137】
R14が-OR14であり、R14がアシル基である場合、化合物15はカルボン酸無水物である。酸無水物は対称構造を有することがある。すなわち、X5は式46の構造を有することがある。または、酸無水物は混合無水物であってもよい。例えば、R14はホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基またはいかなる他の好都合なアシル基であってもよい。
【0138】
X5が-OR14である場合、アシル化条件は前述のルイス酸、例えば三ハロゲン化アルミニウムをさらに含むことが好ましい。有用な三ハロゲン化アルミニウムには、三臭化アルミニウムおよび三塩化アルミニウム、好ましくは三塩化アルミニウムが含まれる。
【0139】
化合物13の調製の代替法を反応式11に示す。化合物15のX5がハロまたは-OR14である場合、化合物15をアリール金属複合体56(式中、Lは金属含有部分であり、R6は前述のとおりである)で処理することができる。基Lは、例えば、MgX6(X6はハロゲンである)、Na、またはLiでありうる。LがMgX6である(すなわち56がグリニャール試薬である)場合、Xは好ましくはBr、Cl、またはI;より好ましくはBrまたはClである。
【0140】
本発明の方法は、式16の構造を有するニトロアルケニルアルデヒド化合物を還元および還元的にアルキル化して式17の構造を有するアミノアルキルアルデヒド化合物を生成する、一つまたは複数の段階(反応式12、式中、R1およびR6は前述の定義のとおりであり、R7はHまたはC1から約C17ヒドロカルビルであり、かつtは0、1、または2である。好ましくはR7はC1から約C10アルキル基、より好ましくはC1から約C5アルキル基、さらにより好ましくはC1から約C3アルキル基、さらにより好ましくはメチルである。好ましくはtは2である)をさらに含んでいてもよい。
【0141】
化合物16の化合物17への還元および還元的アルキル化は、一段階で実施することもでき、または別々の段階で実施することもできる。例えば、二重結合の還元をニトロ基の還元的アルキル化と同時に行うこともできる。または、化合物16の脂肪族C-C二重結合を、ニトロ基のジメチルアミノ基への還元的アルキル化とは別の段階で還元して一重結合とすることもできる。もう一つの代替法として、第一段階で化合物16のニトロ基およびアルケン二重結合を還元してそれぞれアミノ基およびアルキル基とし、次いでアミノ基をメチル化することもできる。ニトロ基およびアルケン二重結合の還元は、当技術分野において公知の水素添加触媒を用いることにより、容易に実施されると考えられる。そのような還元はH2存在下で行う。還元されたアミノ基のメチル化は、当技術分野において公知の本質的にいかなるメチル化剤でも、例えば、ヨウ化メチル、臭化メチル、または塩化メチルなどのハロゲン化メチルでも実施することができる。もう一つの有用なメチル化剤は硫酸ジメチルである。
【0142】
化合物16を還元および還元的にアルキル化する条件は、例えば、16を触媒存在下、ホルムアルデヒド供給源およびH2供給源と接触させる段階を含む。変換は好ましくは高圧のH2で実施する。約100から約700,000kPa、好ましくは約200から約300,000kPa、より好ましくは約300から約100,000kPa、さらにより好ましくは約350から約10,000kPa、さらにより好ましくは約400から約1000kPaの範囲のH2圧で変換を実施することが有用である。
【0143】
ホルムアルデヒド供給源はCH2Oの等価物を生成する、本質的にいかなる供給源であってもよい。例えば、ホルムアルデヒド供給源はホルマリン、ジメトキシメタンなどのホルムアルデヒドのアセタール、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、またはCH2Oのいかなるポリマーであってもよい。ホルムアルデヒド供給源はホルマリン、好ましくは約35%から約37%ホルマリンであることが好都合である。
【0144】
還元および還元的アルキル化のための触媒は、不均一触媒または均一触媒のいずれでもよい。好ましくは触媒は金属であり、例えば、触媒は貴金属触媒であってもよい。有用な貴金属触媒には、Pt、Pd、Ru、およびRhが含まれる。好ましくは貴金属触媒はPd触媒である。貴金属触媒は均一または不均一な形のいずれでも用いることができる。不均一な形で用いる場合、触媒は例えば金属自体で用いることもでき、または炭素もしくは酸化アルミニウムなどの固体支持体上で用いることもできる。特に好ましい態様において、触媒はパラジウムおよびより好ましくは炭素担持Pdを含む。もう一つの態様において、触媒は高表面積ニッケル触媒などのニッケル触媒を含む。有用な高表面積ニッケル触媒はラネーニッケルである。
【0145】
還元および還元的アルキル化中、反応混合物中に酸が存在してもよい。好ましくは、酸は強酸であり、より好ましくは強鉱酸である。例えば、酸は硫酸でありうる。
【0146】
還元および還元的アルキル化中、反応混合物中に溶媒が都合よく存在してもよい。有用な溶媒には、アルコール、エーテル、カルボン酸、芳香族溶媒、アルカン、シクロアルカン、または水が含まれる。好ましくは溶媒は、C1から約C10アルコール;より好ましくはC1から約C5アルコール;さらにより好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、またはイソプロピルアルコールなどのアルコール溶媒である。特に好ましい態様において、溶媒はエタノールである。
【0147】
還元および還元的アルキル化反応はいかなる好都合な温度、例えば約0℃から約200℃、好ましくは約10℃から約150℃、より好ましくは約15℃から約100℃、さらにより好ましくは約20℃から約75℃、さらにより好ましくは約25℃から約60℃、さらにより好ましくは約30℃から約40℃で行うことができる。
【0148】
または、16から17への変換は、別々の段階で実施することもできる。例えば、第一段階において、化合物16のニトロ基およびアルケン二重結合をそれぞれアミノ基およびアルキル基に還元してもよい。第二段階で、アミノ基をメチル化することができる。ニトロ基およびアルケン二重結合の還元は、当技術分野において公知の水素添加触媒を用いることにより、容易に実施することができる。そのような還元はH2存在下で行うことになる。還元されたアミノ基のメチル化は、当技術分野において公知の本質的にいかなるメチル化剤でも、例えば、ヨウ化メチル、臭化メチル、または塩化メチルなどのハロゲン化メチルでも実施することができる。もう一つの有用なメチル化剤は硫酸ジメチルである。
【0149】
化合物17への代替経路を反応式13(式中、化合物16aのuは0または1である、すなわち、化合物16aはスルフィドまたはスルホキシド化合物である)に示す。この経路において、化合物16aを本明細書に記載の方法(例えば、16aをH2およびP/Cなどの水素添加触媒に接触させること)により還元して、化合物57を生成することができる(式中、uは0または1であり、R1、R6、およびR7は前述の定義のとおりであり、かつR19は-NH2、-NHOH、または-NO2でありうる)。化合物57を酸化(例えば、スルフィドまたはスルホキシドをスルホンに変換するための、本明細書に記載の方法により)して化合物58とすることができる(式中、R1、R6、およびR7は前述の定義のとおりであり、かつR20は-NH2、-NHOH、または-NO2でありうる)。化合物58を本明細書に記載の方法でアルキル化または還元的にアルキル化して化合物17を生成することができる(式中tは2である)。
【0150】
本発明の方法は、式18(t=2)の構造を有するアセタール化合物を熱分解してニトロアルケニルアルデヒド化合物16を生成する熱分解段階(式中、R1、R6、およびtは前述のとおりであり;R7はHまたはC1から約C17ヒドロカルビルであってもよく;かつR13はHまたはC1から約C20ヒドロカルビルであってもよい)をさらに含んでいてもよい。熱分解段階を反応式14に示す。
好ましくはtは2である。好ましくはR7はC1から約C10アルキル基、より好ましくはC1から約C5アルキル基、さらにより好ましくはC1から約C3アルキル基、さらにより好ましくはメチルである。R13は好ましくはC1から約C10ヒドロカルビル基、より好ましくはC1から約C10アルケニル基、さらにより好ましくはC1から約C5アルケニル基、さらにより好ましくはC1から約C4アルケニル基である。一つの好ましい態様において、R13は式43の構造を有する基である(式中、R7は前述の定義のとおりである)。好ましくはR13は1-ブテン-3-イルである。
【0151】
熱分解反応は塩基存在下で有利に実施することができる。有用な塩基には金属水素化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、または金属炭酸水素塩が含まれるが、これらに限定されることはない。好ましくは、金属は水素化カルシウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、または水素化カリウムなどの金属水素化物である。より好ましくは、塩基は水素化カルシウムである。他の有用な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、または炭酸水素ナトリウムが含まれる。熱分解反応は、例えば、化合物18を好ましくは本質的に無水条件下、一定期間塩基と接触させることにより行うことができる。驚くことに、18aの47への変換中に、トリエチルアミンまたはピリジンなどの可溶性塩基の存在を有利に用いて、可溶性塩基が存在しない反応条件に比べて反応速度を遅延させることができる。熱分解は溶媒存在下で行うことができる。熱分解反応条件下で非反応性の本質的にいかなる溶媒も有用である。非プロトン性溶媒が特に有用であり、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、およびナフタレンなどの芳香族溶媒が好ましい。特に好ましい溶媒には、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、またはメシチレン;より好ましくはトルエン、o-キシレン、m-キシレン、またはp-キシレン;さらにより好ましくはトルエンまたはo-キシレンが含まれる。他の有用な溶媒にはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、もしくはジフェニルエーテルなどのエーテル;酢酸エチルなどのエステル;エタノールもしくはt-ブチルアルコールなどのアルコール;またはアセトンもしくはベンゾフェノンなどのケトンが含まれる。
【0152】
もう一つの態様において、熱分解はニート、すなわち溶媒非存在下で実施することができる。例えば、化合物18をニートで加熱して、化合物16aを生成することができる。化合物18をニートで加熱する場合、熱分解は、望まれるならば、周囲圧よりも低い圧で行うことができる。例えば、熱分解は、熱分解によって生じた脱離生成物を蒸発させる圧で実施することができる。反応をそのような条件下で行うことは、熱分解反応を完了させる一助となると思われる。有利なことに、熱分解中の反応圧は約760mmHg(101kPa)未満、好ましくは約500mmHg(66.6kPa)未満、より好ましくは約250mmH(33.3kPa)未満、さらにより好ましくは約100mmHg(13.3kPa)未満、さらにより好ましくは約50mmHg(6.7kPa)未満、さらにより好ましくは約10mmHg(1.3kPa)未満であってもよい。
【0153】
熱分解は広範な温度で行うことができる。例えば、熱分解は約10℃から約250℃、好ましくは約50℃から約200℃、より好ましくは約75℃から約175℃、さらにより好ましくは約100℃から約150℃の範囲の温度で行うことができる。熱分解は還流中の溶媒、例えば、還流中のo-キシレン中で都合よく行うことができる。または、熱分解は周囲圧よりも高い圧で行うこともでき、それにより溶媒の周囲圧での沸点よりも高い温度で反応を進行させることができる。
【0154】
熱分解反応は好ましくは、逆反応および副産物生成を防ぐため、乾燥または本質的に無水条件下、かつ酸非存在下で実施する。
【0155】
本発明の範囲を限定する意図はないが、化合物16を生成するための熱分解反応はエノールエーテル化合物の仲介により進行すると考えられる。例えば、反応式15に示すとおり、ビス-ブテニルアセタール化合物18aは3-ブテン-2-オールの分子を脱離してエノールエーテル47(クライゼン前駆中間体)を生成すると考えられる。次いで、反応式16に示すとおり、化合物47は[3,3]-シグマトロピー転位(クライゼン転位としても知られている)を受けてブテニルスルホンアルデヒド化合物31を生成する。化合物47はメタンスルホニル部分とアルコキシ部分との間の二重結合をはさんでE-配置を有するように示しているが、この化合物をZ-配置で生成することも可能である。
【0156】
18aから31への変換は、例えば、18aを含む混合物または18aと47との混合物のトルエンまたはo-キシレン溶液を、好ましくは水素化カルシウム存在下、145℃で加熱して実施することができる。または、18aから31への変換は、粗18aを加熱前にシリカゲルなどの酸性媒質または塩基性アルミナなどの塩基性媒質を通してろ過し、達成することができる。
【0157】
18aの47への変換中に、望まれるならば、トリエチルアミンまたはピリジンなどの可溶性塩基を添加して、可溶性塩基が存在しない場合に比べて熱分解反応速度を遅延させることができる。
【0158】
化合物18は、式19の構造を有するモノアルキルアルデヒド化合物を式20の構造を有するアリルアルコール化合物と、HOR13の構造を有するヒドロキシル化溶媒存在下で反応させて、式18の構造を有するアセタール化合物を生成する段階(式中、R1、R6、R7、R13、およびtは前述の定義のとおりである)によって調製することができる。好ましくはtは2である。好ましい態様において、R13は式43の構造を有する。例えば、この態様は、アリルアルコール化合物20自体を別のヒドロキシル化溶媒よりも多量に存在するヒドロキシル化溶媒として、または本質的に別のヒドロキシル化溶媒非存在下で用いる場合に、実現することができる。化合物19の化合物18への変換を反応式17に示す。
【0159】
アセタール化合物18を、当技術分野において公知の様々な条件を用いる多くの方法によって調製することができる。アセタールを生成する反応は、好ましくは酸触媒存在下で実施する。触媒は、例えば、硫酸、塩酸、ホスホラス酸(phosphorus acid)、リン酸、トリフルオロ酢酸、またはスルホン酸などの強酸でありうる。有用なスルホン酸には、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトリフルオロスルホン酸が含まれる。しかし、有機酸および酸性不均一触媒、例えばp-トルエンスルホン酸ピリジニウム、酢酸、プロピオン酸、Amberlyst 15、酸性ゼオライト、酸性粘土、Pd(PhCN)2Cl2、およびAlCl(CH2CH3)2もこの反応を仲介するのに役立つ。実質的にいかなるブレーンステッド-ローリーまたはルイス酸も触媒として用いることができる。アセタール生成反応は、望まれるならば、溶媒存在下で実施することができる。有用な溶媒には、塩化メチレン、クロロホルム、もしくは四塩化炭素などの塩素化溶媒;ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、もしくはトリフルオロメチルベンゼンなどの芳香族溶媒;CH3CN、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、1,4-ジオキサンを含む非プロトン性溶媒;または-ブテン-2-オールなどのアルコールが含まれる。反応は、出発原料または生成物のいちじるしい分解をきたすことのない、本質的にいかなる好都合な温度でも行うことができる。例えば、温度は約0℃から約200℃;好ましくは約20℃から約150℃;より好ましくは約30℃から約135℃の範囲でありうる。反応は還流中の塩化メチレンなどの還流中の溶媒中でも実施することができる。変換は、溶媒および水の共沸除去(蒸留)中に都合よく実施することができる。例えば、変換はトルエン(約105℃から約115℃)またはキシレン(約125℃から約135℃)の共沸除去中に実施することができる。
【0160】
選択的に、反応中または反応と同時の水の除去を、変換または収率を高めるために都合よく用いることができる。本発明の範囲を限定する意味はないが、水の除去はアセタール生成反応を完了させると考えられる。例えば、ディーン-スタークトラップまたは共沸蒸留装置に類似の処理器具を用いて水を除去することができる。モレキュラーシーブス(ゼオライト)、酢酸イソプロペニル、およびオルトギ酸トリメチルなどの他の方法も用いることができる。
【0161】
18aから47への変換および47から31への変換は、単離することなく一つの反応容器内、または一つの反応混合物中で連続的もしくは同時に有利に実施することができる。さらに有利には、アルデヒド19からアセタール18の調製、18の対応するエノールエーテル中間体への変換、およびエノールエーテル中間体の31への変換はすべて、一つの反応容器または反応混合物中で実施することができる。例えば、2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナールを、トルエンなどの溶媒中、3-ブテン-2-オールおよびp-トルエンスルホン酸存在下、水を除去(例えば、ディーン-スタークトラップで)しながら加熱して、2-ブチル-2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサ-4-エナールを生成することができる。
【0162】
2-アルケニル-2,2-二置換アルデヒド49を調製するためのこの有用で驚くべき全方法は一般に認められている。反応式18に示すとおり、3-硫黄-プロピオンアルデヒド化合物48の3-硫黄-プロピオンアルデヒドオレフィン化合物49への変換において、一般法を用いることができる。化合物19を化合物16に変換するための前述の条件は、反応式18の広範な反応において有用である。
反応式18の反応において:
R15はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルアリール、およびアシルからなる群より選択され、ただしアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキルアリール、およびアシルは少なくとも一つのR22基で選択的に置換されており;
R16、R17、R21a、およびR21bは独立にHおよびヒドロカルビルからなる群より選択され;
R22はH、-NO2、アミノ、C1から約C10アルキルアミノ、ジ(C1から約C10)アルキルアミノ、C1から約C10アルキルチオ、ヒドロキシ、C1から約C10アルコキシ、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、OR6、SR6、SR6R6a、およびNR6R6aからなる群より選択され;
R6およびR6aは独立にHおよび保護基からなる群より選択され;かつ
qは0、1、または2である。
【0163】
好ましくは、R15はアリール、アルキルアリール、およびアリールアルキルアリールからなる群より選択される。より好ましくは、R15はアリール、アルキルアリール、およびアリールアルキルアリールからなる群より選択され、ただしアリール、アルキルアリール、およびアリールアルキルアリールは少なくとも一つのR22基で選択的に置換されている。さらにより好ましくは、R15は少なくとも一つのR22基で選択的に置換されたアリールアルキルアリールであり、さらにより好ましくは、R15は少なくとも一つのR22基で選択的に置換された2-(フェニルメチル)フェニルである。したがって、R15は表Aに示すいかなる部分(R6は前述の定義のとおりである)も含むことができるが、これらに限定されることはない。
【0164】
(表A)
【0165】
R16がヒドロカルビルである場合、これは無置換ヒドロカルビル、例えばC1から約C10アルキル、好ましくはC1から約C5アルキルであってもよい。より好ましくは、R16が無置換ヒドロカルビルである場合、これはエチルまたはブチルである。
【0166】
反応式18の反応において、R17は好ましくはヒドロカルビルであり、より好ましくはC1から約C10アルキル、さらにより好ましくはC1から約C5アルキル、さらにより好ましくはメチルである。
【0167】
R21aおよびR21bは好ましくは独立にH、C1から約C10アルキル、C2から約C10アルケニル、およびC2から約C10アルキニルからなる群より選択され;より好ましくはR21aおよびR21bはいずれもHである。
【0168】
反応式18の反応において、好ましくはqは2である。
【0169】
反応式18の反応は、出発原料または生成物のいちじるしい分解をきたすことのない、本質的にいかなる好都合な温度でも行うことができる。例えば、温度は約0℃から約200℃;好ましくは約20℃から約150℃;より好ましくは約30℃から約135℃;さらにより好ましくは約30℃から約100℃の範囲でありうる。
【0170】
化合物48を様々な方法のいずれかにより調製することができる。例えば、48は、アクロレイン化合物(65)を求核性有機硫黄化合物(66)で処理して化合物48を生成する、反応式18aの反応によって調製することができる。反応式18aの反応は、好ましくは塩基、好ましくはアミン、より好ましくはトリエチルアミンなどのアルキルアミン存在下で実施する。好ましくは、塩基は触媒量で存在する。反応式18aにおいて、R15、R16、R21a、R21b、およびqは前述の定義のとおりである。
【0171】
モノアルキルスルホンアルデヒド化合物19は、置換ジフェニルメタン化合物11をスルフィン化条件下で処理し、これを式21の構造を有する2-置換アクロレイン化合物とカップリングさせて化合物19を生成することによる、スルホン生成反応で調製することができる。スルホン生成反応を反応式19に示す。
スルフィン化条件は、例えば、化合物11をNa2S、Na2S2、またはLi2Sなどの金属硫化物供給源、好ましくはNa2S2で処理する段階を含んでいてもよい。スルフィン化条件はさらに水を含んでいてもよい。金属硫化物で処理した後、基質を酸化してスルフィン酸51またはその塩を生成する(反応式20)。様々な酸化条件を用いて、この酸化を行うことができる。例えば、有用な酸化剤には過酸化水素供給源が含まれる。
【0172】
金属硫化物の添加中、混合物の温度は広範囲にわたって変動しうる。化合物11を金属硫化物と、約25℃から約125℃、好ましくは約40℃から約100℃、より好ましくは約50℃から約80℃の温度で反応させることが有用である。この反応は、溶媒存在下で行うことができる。本発明の反応にとって、過酸化水素が溶解しうる本質的にいかなる溶媒も有用である。有用な溶媒には、C1から約C10アルコール;好ましくはC1から約C5アルコール;より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、または2-プロパノール;さらにより好ましくはエタノールなどのアルコールが含まれる。他の有用な溶媒には、ジメチルアセトアミドなどのアミドが含まれる。過酸化水素による酸化中、反応は好ましくは約30℃未満、より好ましくは約25℃未満、より好ましくは約20℃未満に維持する。望まれるならば、スルフィン酸化合物51は酸として、または好ましくは塩として単離することができる。
【0173】
または、51は単離して、または単離せずにさらに用いることができる。例えば、51はアクロレイン化合物21で処理して、モノアルキルスルホンアルデヒド化合物19を生成することもできる。化合物21との反応は、周囲温度を含む本質的にいかなる好都合な温度でも行うことができる。本発明の反応は溶媒存在下でも行うことができる。有用な溶媒にはアセトニトリルなどのニトリル;ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、もしくはメシチレンンなどの芳香族溶媒;または塩化メチレンなどの塩素化溶媒が含まれる。一つの態様において、本発明の反応はヨウ化テトラブチルアンモニウム存在下、二相性条件下で行う。
【0174】
R6がメチルであり、かつR1が2-ブチルアクロレインである場合、スルホン生成段階の生成物はブチルスルホンアルデヒド32である。
【0175】
本明細書に記載の反応は、個別に、例えば保存、他の反応における使用、または商業用の中間体化合物を調製するために行うことができる。または、複数の反応を組み合わせることもできる。例えば、ベンジルアンモニウム化合物1調製のための全プロセスを図3に示す。本開示に記載の方法および試薬を図3のプロセスで用いることができる。ジフェニルメタン化合物11も、望まれるならば、本明細書に記載の方法および試薬を用いて、図4に示すプロセスにより調製することができる。
【0176】
本明細書に記載の方法は、当技術分野における他の反応と組み合わせることもでき、本発明の精神および範囲内である。例えば、PCT特許出願国際公開公報第99/32478号は、不斉酸化剤を用いて、化合物(4R,5R)-24(国際公開公報第99/32478号の実施例9)などの鏡像異性的に純度が高いテトラヒドロベンゾチエピンオキシドを調製する方法を記載している。図5のプロセスは、鏡像異性的に純度が高いテトラヒドロベンゾチエピンオキシド24(例えば、(4R,5R)-24)を本発明の方法との組み合わせで用いて鏡像異性的に純度が高いベンジルアンモニウム化合物(例えば、(4R,5R)-1、より具体的には(4R,5R)-41)を調製することができる、多くの方法の一つを示している。用いる鏡像異性的に純度が高い化合物24は国際公開公報第99/32478号のとおりに調製することができ、または下記に開示する方法を用いて調製することもできる。本明細書において用いられる、化学構造中のアステリスクはキラル中心を示す。
【0177】
本発明のプロセスにおいて他の方法を代わりに用いて鏡像異性的に純度が高いベンジルアンモニウム化合物を得ることもできる。例えば、図3の一つまたは複数のキラル中心を有する中間体または生成物の一つを光学分割してもよい。光学分割は、それにより化合物の鏡像異性体の濃度が化合物のもう一つの鏡像異性体に比べて高くなる任意の技術である。光学分割の有用な方法には、キラルな物質との共結晶化、例えば、光学活性な対イオンとの塩として、すなわちジアステレオマー塩の結晶化が含まれる。本発明の化合物を光学分割するためのもう一つの有用な方法は、一つまたは複数のキラル中心を有する化合物を光学活性な誘導体化材で誘導体化し、それによりジアステレオマー誘導体を生成することである。次いで、ジアステレオマー誘導体を個々のジアステレオマーに、例えば分別結晶またはクロマトグラフィによって分離することができる。
【0178】
本発明のプロセスにおいて、中間体または生成物を光学分割するために有用なもう一つの方法はキラルクロマトグラフィである。本発明において、数種のキラルクロマトグラフィのいずれも用いることができる。例えば、キラルクロマトグラフィ技術には連続クロマトグラフィ、半連続クロマトグラフィ、または単一カラム(バッチ)クロマトグラフィが含まれうる。連続クロマトグラフィの例は擬似移動床式クロマトグラフィ(SMB)である。米国特許第2,985,589号(参照として本明細書に組み込まれる)はSMBの一般的理論を記載している。SMBの一般的理論を記載しているもう一つの文献は米国特許第2,957,927号(参照として本明細書に組み込まれる)である。SMBを記載しているさらにもう一つの文献は米国特許第5,889,186号である。
【0179】
本発明において有用なさらにもう一つのキラルクロマトグラフィ技術は、定期的プロフィール内注入による閉ループ再循環(close-loop recycling with periodic intra-profile injection:CLRPIPI)などの半連続技術である。
【0180】
単一カラムまたはバッチクロマトグラフィも本発明において光学分割を行うために有用である。
【0181】
本明細書において参照したキラルクロマトグラフィ技術のいずれにおいても、様々な条件を用いることができる。各技術には固定相および移動相が必要である。固定相はキラル基質を含んでいてもよい。例えば、キラル基質はアミロース、セルロース、キシラン、カードラン、デキストラン、またはイヌラン糖類または多糖などの糖類または多糖を含んでいてもよい。キラル基質は選択的にシリカゲル、ジルコニウム、アルミナ、粘土、ガラス、樹脂、またはセラミックなどの固体支持体上に固定することもできる。キラル基質は、例えば、固体支持体によって吸収、固体支持体上に吸着、または固体支持体に化学結合することができる。または、固定相は酒石酸誘導体などのもう一つのキラル基質を含むこともできる。もう一つの代替法において、固定相はPirkle吸着剤などの誘導体化シリカ吸着剤を含むこともできる。
【0182】
本発明のキラルクロマトグラフィ技術は移動相も含む。各鏡像異性体を固定相と移動相との間で区別して分配することができるいかなる移動相も、本発明において有用である。例えば、移動相は水、アルコール、炭化水素、ニトリル、エステル、塩素化炭化水素、芳香族溶媒、ケトン、またはエーテルを含むことができる。移動相がアルコールを含む場合、好ましくはそれはC1から約C10アルコール、より好ましくはC1から約C8アルコール、より好ましくはC1から約C5アルコールである。移動相が炭化水素を含む場合、好ましくはそれはC1から約C20炭化水素、より好ましくはC1から約C15炭化水素、より好ましくはC1から約C10炭化水素である。他の有用な溶媒には、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、塩化メチレン、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、アセトン、メチルt-ブチルエーテル、またはジエチルエーテルが含まれる。好ましくは移動相はアセトニトリル、トルエン、またはメチルt-ブチルエーテルを含む。移動相は溶媒の混合物も含んでいてもよい。好ましい移動相混合物はトルエンおよびメチルt-ブチルエーテルを含む。移動相は超臨界CO2などの超臨界流体も含んでいてもよい。二酸化炭素は、液体CO2などの亜臨界状態で移動相として用いることもできる。超臨界または亜臨界CO2は前述の他の移動相のいずれかと組み合わせて用いることもできる。
【0183】
キラル分離はいかなる好都合な温度でも実施することができるが、好ましくは約5℃から約45℃、より好ましくは約20℃から約40℃の温度で実施することができる。
【0184】
光学分割は、ベンジルアンモニウム化合物調製においてキラル中心を有するいかなる好都合な化合物または中間体に対しても実施することができる。例えば、光学分割は化合物1、2、4、6、7、8、9、10、12、35、36、または37のいずれか一つまたは複数に対して実施することができる。一つの好ましい態様において、光学分割は化合物7に対して実施する。さらなる好ましい態様は、化合物7が化合物24、好ましくは化合物syn-24によって表されるものである。
【0185】
典型的には光学分割において、二つの鏡像異性体は部分的または本質的に完全に互いから分離される。分離のゴールが一方の所望の鏡像異性体を高濃度に含む試料を得ることであれば、他方の鏡像異性体を所望の鏡像異性体に、または鏡像異性体の本質的にラセミ混合物に変換または再循環させて、さらなる光学分割を実施可能にする方法が有用である。分子に複数のキラル中心がある場合、複数のジアステレオマーが存在しうる。同様に、ジアステレオマーを分離して、一つまたは複数の所望のジアステレオマーを高濃度に含む試料を得ることもできる。一つまたは複数の他のジアステレオマーを所望の一つまたは複数のジアステレオマーに、またはジアステレオマー混合物に変換して、さらなる分離を実施可能にする方法もさらに有用である。
【0186】
驚くことに、この立体異性体の変換または再循環は、本発明のプロセスにおいて実施することができる。本明細書において用いられる「立体異性体」なる用語は、鏡像異性体およびジアステレオマーを含む。テトラヒドロベンゾチエピン化合物22
(ここで、式22は(4S,5S)-ジアステレオマー、(4R,5R)-ジアステレオマー、(4R,5S)-ジアステレオマー、および(4S,5R)-ジアステレオマーからなる群より選択される(4,5)-立体異性体を含む)の立体異性体を処理して、(4S,5S)-ジアステレオマーおよび(4R,5R)-ジアステレオマーを含む混合物を生成する方法であって、塩基をテトラヒドロベンゾチエピン化合物の(4,5)-立体異性体を含む供給材料組成物と接触させ、それによりテトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマー混合物を生成する段階(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R8はH、ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、((ヒドロキシアルキル)アリール)アルキル、((シクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、((ヘテロシクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、((4級ヘテロシクロアルキル)アルキルアリール)アルキル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、および4級ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され、
ただしヒドロカルビル、複素環、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、および4級ヘテロアリールアルキルは一つまたは複数の炭素がO、NR3、N+R3R4A-、S、SO、SO2、S+R3A-、PR3、P+R3R4A-、P(O)R3、フェニレン、炭水化物、アミノ酸、ペプチド、およびポリペプチドからなる群より選択される部分で選択的に置換されており、かつ
R8はスルホアルキル、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択される一つまたは複数の部分で選択的に置換されており;
R3、R4、およびR5は前述の定義のとおりであり;
R23およびR24はR3およびMからなる置換基から独立に選択され;
A-は薬学的に許容される陰イオンであり、Mは薬学的に許容される陽イオンであり;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
nは0から4の数字であり;
X7はS、NH、またはOであり;かつ
xは1または2である)を含む方法をここで開示する。
【0187】
好ましくは、化合物22の基X7R8はフェニル基の3'または4'位、より好ましくは4'位にある。好ましくは、X7はNHまたはOであり、より好ましくはOである。
【0188】
様々な塩基を用いて本発明の立体異性体の変換または再循環を行うことができる。例えば、塩基はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、金属水素化物、アルカリ金属アミド、およびアルカリ金属ヒドロカルビル塩基でありうる。好ましくは、塩基はアルカリ金属アミド、金属水素化物、またはアルカリ金属アルコキシドである。有用なアルカリ金属アミドには、リチウムジエチルアミド(LDA)、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムN-メチルアニリド、リチウムメチルアミド、カリウムアミド、ソーダアミド、および((CH3)3Si)2NNaが含まれる。有用な金属水素化物には、水素化リチウム、水素化ナトリウム、および水素化カルシウムが含まれる。有用なアルカリ金属アルコキシドには、例えばリチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、およびカリウムアルコキシド;好ましくはナトリウムアルコキシドまたはカリウムアルコキシドが含まれる。アルコキシドは好ましくはC1から約C10アルコキシド;より好ましくはC1から約C6アルコキシド;さらにより好ましくはメトキシド、エトキシド、n-プロポキシド、イソプロポキシド、n-ブトキシド、sec-ブトキシド、イソブトキシド、t-ブトキシド、またはt-アミレートなどのC1から約C5アルコキシドである。特に有用なアルコキシドはカリウムt-ブトキシドである。R8は例えばH、C1から約C20アルキル、ヒドロキシアルキルアリールアルキル、またはヘテロシクロアルキルアルキルアリールアルキルでありうる。好ましくは、R8はH、またはC1から約C20アルキル;より好ましくはC1から約C20アルキル;さらにより好ましくはC1から約C10アルキル;さらにより好ましくはC1から約C5アルキルである。特に好ましい態様において、R8はメチルである。R9は例えばH、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、またはニトロ;好ましくはHまたはアルキルアミノ、より好ましくはアルキルアミノ、さらにより好ましくはジメチルアミノである。特に好ましい態様において、R9はジメチルアミノであり、nは1である。R9がジメチルアミノで、nが1である場合、R9はテトラヒドロベンゾチエピン化合物構造の7位に位置することが好ましい。R1およびR2は前述の定義のとおりである。一つの好ましい態様において、R1およびR2はいずれもブチルである。もう一つの好ましい態様において、R1およびR2の一方はエチルであり、R1およびR2の他方はブチルである。化合物22の(4,5)-立体異性体は(4S,5S)-ジアステレオマー、(4R,5S)-ジアステレオマー、または(4S,5R)-ジアステレオマーであることが好ましく;より好ましくは(4S,5S)-ジアステレオマーである。本発明の変換条件は溶媒を含むこともできる。有用な溶媒には、反応条件下で塩基に対して本質的に非反応性のいかなる溶媒も含まれる。好ましい溶媒には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、もしくはジオキサンなどのエーテル;またはC1から約C10アルコールなどのアルコールが含まれる。溶媒がアルコールである場合、好ましくはそれはC1から約C6アルコール;より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t-ブチルアルコール、またはt-アミルアルコール;さらにより好ましくはエタノール、t-ブチルアルコール、またはt-アミルアルコール;さらにより好ましくはt-ブチルアルコールである。本発明の変換は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物が式24の構造を有する場合に特に有利である。
【0189】
本発明の立体異性体変換において用いる供給材料は、アミノスルホンアルデヒド化合物8(R1、R2、およびR6は前述の定義のとおりである)をさらに含んでいてもよい。
【0190】
本発明の立体異性体変換の別法は、化合物22を脱離条件下で処理して、式23の構造を有するジヒドロベンゾチエピン化合物
を生成する段階と、ジヒドロベンゾチエピン化合物を酸化して(4S,5S)-ジアステレオマーおよび(4R,5R)-ジアステレオマーの混合物を生成する段階とを含む。R1、R2、R8、R9、n、X7、およびxは前述の定義のとおりである。脱離条件は酸を含んでいてもよく、もしくは条件は塩基を含んでいてもよく、または脱離条件は中性pHでもよい。脱離条件は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物のジアステレオマーを誘導体化して、4位に脱離不安定性基を有するテトラヒドロベンゾチエピン誘導体を生成する段階と、脱離不安定性基を脱離してジヒドロベンゾチエピン化合物を生成する段階とをさらに含むことができる。脱離不安定性基は、例えば、酸不安定性または塩基不安定性でありうる。脱離不安定性基は熱不安定性であってもよい。例えば、そのような基は酢酸エステル基または3-ブテン-2-オキシ基であってもよい。酸化段階は、ジヒドロベンゾチエピン化合物をアルコール生成条件下で反応させてテトラヒドロベンゾチエピン化合物の立体異性体の混合物を生成する、アルコール生成段階を含むこともできる。例えば、アルコール生成条件はオキシ水銀化-脱水銀化を含んでいてもよい。もう一つの例において、アルコール生成条件はエポキシ化と、それに続くPCT特許出願国際公開公報第97/33882号(参照として本明細書に組み込まれる)に記載の条件を用いた還元を含んでいてもよい。好ましくは、(4,5)-ジアステレオマーは(4S,5S)-ジアステレオマー、(4R,5S)-ジアステレオマー、および(4S,5R)-ジアステレオマー;より好ましくは(4S,5S)-ジアステレオマーからなる群より選択される。特に好ましい態様において、テトラヒドロベンゾチエピン化合物は化合物24の構造を有し、ジヒドロベンゾチエピン化合物は化合物25の構造を有する。
【0191】
取り扱いが容易で、形態の再現性があり、調製が容易で、非吸湿性のテトラヒドロベンゾチエピン化合物の形態が特に有用であると考えられる。吸湿性化合物は水分を例えば大気から吸収し、化合物試料は水分をさらに吸収して重量が増加することもある。化合物試料中への水分の吸収は化合物の測定、例えば赤外スペクトルに影響をおよぼすこともある。薬学的化合物の吸湿性は、その化合物が秤量および測定を困難にする程度および速度で水分を吸収する場合には問題となりうる。薬学的化合物の正確な秤量および測定は、患者に確実に適当な用量を投与するために重要である。
【0192】
本明細書に記載のテトラヒドロベンゾチエピン化合物、特に化合物41の結晶体をここで開示する。
【0193】
化合物41またはその鏡像異性体の第一の結晶体(I型)の融点または分解点は約220℃から約235℃、好ましくは約228℃から約232℃、より好ましくは約230℃である。I型は、例えば化合物41またはその鏡像異性体の、アセトニトリル、メタノール、またはメチルt-ブチルエーテルを含む溶媒からの結晶化により調製することができる。好ましくは、I型は化合物41またはその鏡像異性体の、メタノールまたはメチルt-ブチルエーテルを含む溶媒から、より好ましくはメタノールおよびメチルt-ブチルエーテルを含む溶媒からの結晶化により調製することができる。I型の調製法には、米国特許第5,994,391号(参照として本明細書に組み込まれる)、実施例1426および1426aに記載のものが含まれる。
【0194】
化合物41またはその鏡像異性体のもう一つの結晶形(II型)の融点または分解点は約278℃から約285℃である。II型は、例えば化合物41またはその鏡像異性体の、溶媒、好ましくはケトン溶媒、より好ましくはメチルエチルケトン(MEK)またはアセトンを含むケトン溶媒からの結晶化により調製することができる。例として、化合物41またはその(4S,5S)鏡像異性体をMEKを含む溶媒中で混合し、II型をその溶液から結晶化するよう誘導することもできる。好ましくは、化合物41またはその(4S,5S)鏡像異性体をMEKなどのケトンおよび一定量の水(例えば、約0.5から約5重量%、好ましくは1から約4重量%、より好ましくは2から約4重量%の水)を含む溶媒中に溶解する。結晶化は、例えば溶媒を蒸発させる(例えば、蒸留または一定時間、空気または窒素などの気流への曝露により)、または水を蒸発させる(例えば、蒸留または共沸により)ことによって誘導することができる。または、結晶化は冷却などの他の伝統的結晶化法により、または別の溶媒の添加もしくは種結晶の添加により誘導されると考えられる。もう一つの代替法として、結晶化は追加のMEKを加える(結晶化溶媒中の水の重量%を低下させる)ことにより誘導することもできる。II型は、化合物41を調製する反応(例えば、(4R,5R)-27のDABCOとの反応)をMEKを含む溶媒中、好ましくはMEKおよび約0.5から約5重量%の水を含む溶媒中で行うことにより、反応混合物から都合よく沈殿させることもできる。沈殿は反応混合物から溶媒を留去することによって促進することができる。
【0195】
したがって、一つの態様において、本発明はテトラヒドロベンゾチエピン化合物を有用な結晶体で提供する。特に、本発明は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物が式71の構造を有し、結晶体の融点または分解点が約278℃から約285℃である、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の結晶体(すなわちII型)を提供する。好ましくは、II型の融点または分解点は約280℃から約283℃、より好ましくは約282℃である。
【0196】
好ましくは、式71の化合物は(4R,5R)の絶対配置を有し(すなわち、化合物41)、これがII型の結晶構造を形成する化合物として好ましい絶対配置である。しかし、化合物71の(4S,5S)鏡像異性体も本発明の結晶体で調製することができる。
【0197】
図6は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的X線粉末回折パターンを示している。好ましくは、II型結晶体は図6、プロット(b)に示すX線粉末回折パターンを有する。典型的に、II型は2θが約9.2度、約12.3度、および約13.9度にピークを示すX線粉末回折パターンを有する。II型のX線粉末回折パターンには典型的に2θが約7.2度および約11.2度のピークが欠損している。表1はI型およびII型の顕著なX線粉末回折ピークの比較を示している。
【0198】
図7は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示している。好ましくは、II型結晶体は図7、プロット(b)に示す赤外(IR)スペクトルを有する。典型的に、II型は約3245cm-1から約3255cm-1にピークを示すIRスペクトルを有する。好ましくは、II型は1600cm-1にもIRピークを有する。同様に好ましくは、II型は1288cm-1にもIRピークを有する。表2はI型およびII型の顕著なFTIRピークの比較を示している。
【0199】
図8は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的固体状態炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示している。好ましくは、II型結晶体は図8、プロット(b)に示す固体状態炭素-13NMRスペクトルを有する。典型的に、II型は約142.3ppm、約137.2ppm、および約125.4ppmにピークを示す固体状態炭素-13NMRスペクトルを有する。表3はI型およびII型の顕著な固体状態炭素-13NMRピークの比較を示している。
【0200】
図9は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的示差走査熱量測定プロフィールを示している。
【0201】
融点または分解点が約278℃から約285℃の結晶体(すなわちII型)の乾燥試料は、25℃、相対湿度(RH)80%の空気中で平衡化させた場合、重量増加は典型的にはそれ自体の重量の約1%未満である。そのような結晶体は本質的に非吸湿性である。例えば、化合物41またはその鏡像異性体のII型結晶体の試料を本質的にRH 0%、約25℃で、本質的に乾燥した窒素パージ下、試料が時間の関数として重量変化を本質的に示さなくなるまで乾燥すると、試料の重量増加は、約25℃、RH約80%の空気中で平衡化させた場合、それ自体の重量の約1%未満である。本発明のために、「本質的にRH 0%」なる用語はRH約1%未満を意味する。「平衡化」なる用語は、所与の相対湿度における試料重量の経時変化が0.0003%((dm/dt)/m0×100、ただしmは質量(mg)であり、m0は初期質量であり、tは時間(分)である)未満であることを意味する。
【0202】
本発明は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物が式71の構造を有し、結晶体がテトラヒドロベンゾチエピン化合物をメチルエチルケトンを含む溶媒から結晶化することにより生成される、テトラヒドロベンゾチエピン化合物の結晶体を提供する。好ましくは本発明の結晶体において、化合物71は(4R,5R)絶対配置を有する(すなわち化合物41)。または、本発明の結晶体は化合物71の(4S,5S)-鏡像異性体をメチルエチルケトンを含む溶媒から結晶化することにより調製することができる。
【0203】
本発明は、本発明の結晶体の調製法を提供する。特に、本発明は式63の構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5はHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より独立に選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMからなる置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-およびQ-は独立に薬学的に許容される陰イオンであり;かつ
Mは薬学的に許容される陽イオンである)の結晶体の調製法であって、テトラヒドロベンゾチエピン化合物をメチルエチルケトンを含む溶媒から結晶化する段階を含む方法を提供する。
【0204】
好ましくは、本発明の方法において、テトラヒドロベンゾチエピン化合物は式64の構造を有し、より好ましくは化合物41の構造を有する。
【0205】
本発明は、テトラヒドロベンゾチエピン化合物またはその鏡像異性体をケトン溶媒を含む溶媒から結晶化することにより生成する、化合物41またはその鏡像異性体の結晶体も提供する。好ましくは、ケトン溶媒はメチルエチルケトン、アセトン、またはメチルイソブチルケトンである。より好ましくは、ケトンはメチルエチルケトンである。
【0206】
本発明のもう一つの局面は、化合物41のII型(「生成物結晶体」)の化合物41のI型(「初期結晶体」)からの調製法であって、I型に熱をかける段階を含む方法を具体化している。したがって本発明は、融点または分解点が約278℃から約285℃である、式41の化合物構造を有するテトラヒドロベンゾチエピン化合物のII型の調製法であって、融点または分解点が約220℃から約235℃である、テトラヒドロベンゾチエピン化合物のI型に熱をかけ、それにより化合物41のII型を生成する段階を含む方法を提供する。本発明の方法において、I型を約20℃から約150℃、好ましくは約50℃から約125℃、より好ましくは約60℃から約100℃の温度まで加熱すると好都合である。この方法は、I型を加熱する段階の後に冷却段階をさらに含んでいてもよい。望まれるならば、I型のII型への変換は溶媒存在下で実施することができる。例えば、変換はI型を溶媒と混合したスラリーで実施してもよい。溶媒は本質的にいかなる好都合な溶媒も含みうる。好ましくは溶媒はケトンを含み、より好ましくはケトンはメチルエチルケトン、アセトン、またはメチルイソブチルケトンである。さらにより好ましくはケトンはメチルエチルケトンである。しかし、変換は、望まれるならば、アセトン中で実施することもできる。または、変換はメチルイソブチルケトン中で実施してもよい。
【0207】
再結晶手順
下記の再結晶手順は、化合物41、60、1、71、63、3および64(これらの構造は前述の定義のとおりである)を含むが、これらに限定されることはない、下記の化合物のいかなる一つまたは複数にも適用することができる。再結晶手順は化合物41、60、1、71、63、3および64のI型(吸湿型)またはII型(本質的に非吸湿型)のいずれにも適用することができる。再結晶手順を、例えば化合物41および/または71のII型に適用することが好ましい。化合物41および71のIおよびII型は前述している。便宜上、化合物41、60、1、71、63、3および64の構造を以下に再現する。
【0208】
下記の再結晶手順を、41、60、1、71、63、3および64で示した前述の化合物の任意の一つまたは複数に適用する。選択的に、脱塩プロセスを用いて、本明細書に記載の本発明の再結晶プロセスの前に本発明の化合物から塩を除去することもできる。例えば、過剰の塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどを除去するための例示的脱塩プロセスを下記の実施例119に記載する。
【0209】
本発明の再結晶手順を下記のチャート1に示す。
チャート1
前述のプロセスを実施して、およそ≧99重量%、好ましくは≧99.5重量%、より好ましくは≧99.9重量%の純度を有する単結晶生成物を得る。全体として、前述のプロセスは下記の段階を含む:
(a)不活性雰囲気下、化合物41、60、1、71、63、3または64(またはその混合物)のいずれか一つを水混和性共溶媒および水を含む溶媒系に可溶化する段階と;
(b)選択的に、不活性雰囲気下、該溶媒系の水含有量を調節して、該溶媒系中の該一つまたは複数の化合物の飽和溶液を生成する段階と;
(c)不活性雰囲気下、該溶媒系の水含有量を調節して、該溶媒系から該一つまたは複数の化合物の実質的に単結晶を再結晶化する段階と;
(d)該単結晶を該溶媒系から分離する段階。
【0210】
全再結晶プロセスに関して、所望の生成物(化合物41、60、1、71、63、3および64)は空気中で安定でないため、反応混合物の空気への曝露を防ぐことが重要である。したがって、再結晶プロセスは不活性ガス条件下で行うべきである。本発明に従い、例示的再結晶プロセスを以下に記載する。
【0211】
一つの態様による手順
段階1:四頸ジャケット付反応フラスコを撹拌機、不活性ガス注入口、冷却器、熱電対、およびパドル撹拌機(例えば、テフロンパドル撹拌機)と共に組み立てる。フラスコを窒素またはアルゴンなどの適当な不活性ガスでパージする。窒素およびアルゴンが例示的不活性ガスであるが、元素周期表に掲載されている不活性ガスのいずれも用いうることに留意されたい。
【0212】
段階2:前述の化合物(例えば、化合物41、60、1、71、63、3または64)のいずれか一つを反応容器に加える。選択的に、複数の化合物41、60、1、71、63、3および64を反応容器に加えてもよい。
【0213】
段階3:さらに、DABCOなどの化合物(例えば、前述の段階2で加えた、またはこのプロセス中に反応容器に加える化合物41、60、1、71、63、3および64の1モルごとに10モルパーセント)を反応容器に加える。DABCOを用いることが好ましいが、化合物41、60、1、71、63、3または64の再結晶に有害な干渉をしない、DABCOなどのいかなる塩基性化合物も用いることができる。DABCOの代わりに、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせを含むが、これらに限定されることはない、下記の化合物をそれらの代わりに用いても(またはDABCOに加えて添加しても)よい。好ましくは、DABCOまたは前述のその代替物などのこれらの化合物を、単独または組み合わせで加えた化合物41、60、1、7 1、63、3または64の1モルごとに約10モルパーセントの量で、再結晶用の反応容器に加える。
【0214】
段階4:再度、反応フラスコを窒素または適当な不活性ガスでパージする。
【0215】
段階5:次に、十分な量のケトン溶媒(好ましくは、水混和性ケトン溶媒)を反応容器に、好ましくは少なくともスラリーを形成するのに十分な量を加える。好ましくは、ケトン溶媒はメチルエチルケトン(MEK)またはその等価物などの水に混和性のものである。
【0216】
段階6:十分な量の水(好ましくは脱イオン(DI)水)を加えて、ケトンおよび水の全量に対し約4体積%よりも高い水濃度のケトン:DI水溶媒系を得る。好ましくは、加える水の量はケトンおよび水の全量に対し約4〜10%の水濃度となるのに十分な量の水を含むケトン:DI水溶媒系を得るのに十分な量である。より好ましくは、加える水の量はケトン/水溶媒系において約3〜8体積%または約4〜7体積%の水濃度を得るのに十分な量である。さらにより好ましくは、加える水の量はケトン/水溶媒系において約5体積%の水濃度を得るのに十分な量である。段階5および6はまずケトン溶媒を加えた後に水添加段階を示しているが、段階5および6を逆にしてまず水を加えた後にケトン溶媒を加えてもよいことに留意されたい。
【0217】
段階7:段階2で加えた本発明の化合物と、段階5および6で加えたケトンおよび水溶媒を含む反応フラスコの内容物を撹拌する。撹拌は、好ましくは澄明な溶液が得られるまで続けるべきである。清澄ろ過段階が必要であれば、選択的にこの時点で行い、反応フラスコ中のいかなる不溶性材料も除去する。再度、全再結晶手順を、相当量の空気が系に入って、段階2で加えた化合物を分解する(かなりの、または望ましくないレベルまで)ことがないような様式で実施するべきである。
【0218】
段階8:次に、段階7からの溶液を好ましくは約65℃から約73℃の温度に加熱する。この段階において、加熱により反応フラスコ中の溶液が混濁することがある。
【0219】
段階9:段階5および6において、十分な量の水を反応容器に加えて、段階2で加えた化合物の澄明溶液を生成する。ここで、十分な量のケトン溶媒(またはその等価物)を加えて、ケトンおよび水の全量に対し約4から約5体積%の水を含むケトン/水溶媒系を生成することが好ましい。好ましくは、ケトン溶媒は溶液の温度が約65℃に維持されるような速度で加える。同様に好ましくは、ケトン溶媒はこの段階で撹拌しながら加える。
【0220】
段階10:選択的に、段階9からの反応フラスコの内容物を約65℃の温度で数分間、例えば1〜3分間維持する。理論にとらわれことはないが、この時点での反応容器中の溶液は過飽和であると考えられる。さらに、この時点での反応容器中の溶液は混濁でも澄明でもよい。それには関わりなく、次の段階に続く。
【0221】
段階11:十分な量のケトン溶媒を反応フラスコに追加して、ケトンおよび水の全量に対し水含有量が約1.8から約2体積%のケトン/水溶媒系を生成する。この段階で加えるケトン溶媒の添加速度は、好ましくは、ケトン溶媒を少なくとも約2時間かけて加えるような速度である。理論にとらわれることなく、ケトン溶媒の添加速度は重要であると考えられる。このケトン添加段階で少なくとも約2時間の添加時間を要するよりも速い添加速度では、この再結晶手順により、所望の単結晶とは異なる望ましくない凝集結晶が得られることもある。選択的に、この段階の最初または途中で、単結晶最終生成物(例えば、再結晶生成物の全重量に対し単結晶生成物約85重量%、約90重量%、約95重量%、または約99重量%以上程度の、相当量の単結晶生成物または多量の単結晶生成物)の生成を促進するのに十分な種結晶を反応容器に加えてもよい。
【0222】
段階12:反応混合物を少なくとも約30分間、65℃に維持する。再度、この段階は選択的である。
【0223】
段階13:選択的に、反応混合物を約25℃に冷却する。冷却速度は重要でないと考えられるが、収率を最大とするために反応物の温度は約15℃未満にしないことが重要であることに留意されたい。さらに、理論にとらわれることなく、最終生成物の溶解性は実際は高温よりも低温の方が高いと考えられる。したがって、高い温度が好ましい。
【0224】
段階14:選択的に、反応混合物を少なくとも約30分間、25℃に維持する。
【0225】
段階15:ろ過し、選択的に段階14終了時(または段階14を省略した場合には段階13終了時)に生成した結晶を洗浄し、集めたケークをケトン溶媒(またはその等価物)で洗浄する。
【0226】
段階16:選択的に、固体を減圧下、約80℃で乾燥する。
【0227】
前述の再結晶手順は典型的に収率約85%以上である。乾燥した結晶生成物中のケトン含有量は、本発明に従って再結晶化した化合物41、60、1、71、63、3または64の全重量に対し、多くても約1.0重量%(好ましくは、多くても0.5重量%)で、有機非ケトン溶媒(例えばトルエン)含有量は多くても0.01重量%(好ましくは多くても0.004重量%、より好ましくは多くても0.001重量%、さらにより好ましくは多くても0.0005重量%)である。再結晶最終生成物の検定値は典型的には99%よりも高く、99.0または99.5%よりも高いことが多い。
【0228】
代替再結晶手順
または、前述の段階9および11で示したケトン溶媒を加える代わりに、蒸発性結晶化手順を用いて再結晶生成物を得ることができる。この手順では、同じケトン-水溶媒系を用い、ケトン溶媒および水を共沸蒸留プロセスで除去することにより再結晶を促進する。
【0229】
本出願の説明および実施例は、ベンゾチエピン環の5位にパラ置換フェニル基を有するテトラヒドロベンゾチエピンオキシドの調製を例示しているが、適当な出発原料を選択することにより、5位にメタ置換フェニル基を有するテトラヒドロベンゾチエピンオキシドを調製することもできる。例えば、本出願の適用可能なプロセスにおいて式7の化合物のメタ置換フェニル類縁体を用いれば、5位にメタ置換フェニル基を有する、対応するテトラヒドロベンゾチエピンオキシドを生じると考えられる。選択した適当な出発原料の調製は、米国特許第5,994,391号(実施例1398a、1400、1425、1426および1426aに記載のものなど)に開示されている。その他の化合物の調製は、米国特許商標庁に2001年3月8日に出願された特許出願第09/802,279号('279号出願;処理番号61765.00036(3212/1/US))に開示されている。'279号出願はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0230】
c. 詳細な調製法
本発明の調製法において用いるための出発原料は公知であるか、または当業者には公知の通常法により、もしくは当技術分野において記載されているプロセスと類似の様式で調製することができる。
【0231】
一般に、本発明のプロセス法は下記のとおりに実施することができる。
【0232】
実施例1.
1-クロロ-2-(4-メトキシフェニル)メチル-4-ニトロベンゼン、33の調製
【0233】
段階 A. 2- クロロ -5- ニトロフェニル -4'- メトキシフェニルケトン、 34 の調製
方法1.
不活性雰囲気下で、五塩化リン(68.3g、0.328mole、Aldrich)を500mL二頸丸底フラスコに量り込む。フラスコにN2注入アダプターおよびスバシール(suba seal)を取り付ける。不活性雰囲気から取り出し、N2パージを開始する。無水クロロベンゼン(50mL、Aldrich)をPCl5にシリンジから加え、磁気撹拌子による撹拌を開始する。
【0234】
2-クロロ-5-ニトロ安息香酸(60g、0.298mole、Aldrich)を秤量する。2-クロロ-安息香酸をクロロベンゼン溶液に、N2パージ下にゆっくり加える。室温で終夜撹拌する。室温で20時間撹拌後、油浴に入れ、50℃で1時間加熱する。クロロベンゼンを高減圧下で除去する。残渣を無水ヘキサンで洗浄する。酸塩化物を乾燥する(重量=61.95g)。不活性乾燥雰囲気下で保存する。
【0235】
不活性雰囲気下で、酸塩化物を無水アニソール(105mL、0.97mole、Aldrich)に溶解する。溶液を500mL二頸丸底フラスコに入れる。
【0236】
三塩化アルミニウム(45.1g、0.34mole、Aldrich)を秤量し、固体添加漏斗に入れる。反応フラスコに添加漏斗およびN2注入アダプターを取り付ける。不活性雰囲気から取り出す。反応溶液を氷浴で冷却し、N2パージを開始する。AlCl3を冷却溶液にゆっくり加える。添加完了後、室温に戻す。終夜撹拌する。
【0237】
反応を1N HCl(300mL)溶液および氷中に注いで停止する。15分間撹拌する。エーテルで2回抽出する。有機層を合わせ2%NaOHで2回抽出し、次いで脱イオン水で2回抽出する。MgSO4で乾燥し、ろ過し、ロータリーエバポレーターで乾固する。アニソールを高減圧下で除去する。生成物を90%エタノール/10%酢酸エチルから結晶化する。減圧ライン上で乾燥する。重量=35.2g。収率41%。質量分析(m/z=292)。
【0238】
方法2.
2-クロロ-5-ニトロ安息香酸(CNBA)(230kg)をN2気流を通した清潔な乾燥反応器に移す。反応器にアニソール(460kg)を加える。撹拌を開始し、混合物を90℃に加熱してほとんどのCNBAを溶解する。反応器にポリリン酸(PPA)を加える。粘土を下げるために、PPAを加える前にPPA容器を加熱器(70℃)内で加温する。二相が得られる。上相は大部分のCNBAおよびアニソールを含む。下相はほとんどのPPAを含む。この反応状態を5時間維持し、その時点でサンプリングを初めて、残存CNBAを定量する。試料の分析はガスクロマトグラフィで行う。残存CNBAが1.0%になれば反応を停止する。反応はH2O(796kg)内で停止する。反応停止した塊の温度を60℃に調節し、単離するまでこの温度で維持する。撹拌を止め、相を分離する。下の消費した酸の相は廃棄する。上の生成物相を炭酸水素ナトリウム(18kg)/水(203kg)で洗浄し、次いで飲用水(114kg)で洗浄する。撹拌を止め、相を分離する。上の水相は廃棄する。下の生成物相を約0℃に冷却し、ヘプタン(312kg)を加える。オルト-およびパラ-置換生成物の混合物(合計10kg)が溶液から沈殿し、これを加圧ろ過により回収する。生成物相にさらにヘプタン(134kg)を加えて、さらにオルト-およびパラ-置換生成物の混合物(317kg)を沈殿させる。沈殿を加圧ろ過により回収する。湿ケークをヘプタンで洗浄して残存アニソールを除去する。湿ケークを回転減圧乾燥器中、60℃で乾燥する。34の最終収率は65.1%(オルト置換生成物の収率30.3%)である。
【0239】
段階 B. 1- クロロ -2-(4- メトキシフェニル ) メチル -4- ニトロベンゼン、 33 の調製
清潔で乾燥し、窒素パージした500mL丸底フラスコに34(60.0g、0.206mole)を加えた。トリフルオロ酢酸(100g、約67mL)を反応器に加え、得られた懸濁液を30℃に加熱して、均質なワイン色の溶液を得た。次に、トリエチルシラン(71.0g、0.611mole)を滴加漏斗に入れ、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフリック酸)(1.7g、0.011mole)を反応器に加えた。色が赤紫から緑褐色に変化した。トリエチルシランを溶液に30℃で滴加した。バッチの色は草色に変わり、その後発熱反応が起こった。発熱により、水浴でわずかに冷却したバッチの温度は45℃に上昇した。反応温度は滴加中45〜50℃に制御した。トリエチルシランの滴加は1時間で完了した。バッチの色は完了時には緑褐色になった。バッチを40℃でさらに3時間撹拌し、次いで冷却した。バッチ温度が約30℃になった時点で、生成物が結晶化し始めた。バッチをさらに水/氷浴中で1〜2℃まで冷却し、1〜2℃でさらに30分撹拌した後、スラリーをろ過した。結晶性固体をヘキサン(60mL×2)で、一回目は置換洗浄として、二回目はフィルター上で再スラリー化のために洗浄した。固体をフィルター上、窒素気流下で、乾燥するまで減圧ろ過し、次いで固体を清潔な容器に移した。合計49.9gの物質を単離した。融点87.5〜90.5℃およびHNMRは33の公知の試料と同じであった。生成物のGC(HP-5 25メートルカラム、100℃で1mL N2/分、300℃でFIT検出、スプリット50:1)は均質な物質を示していた。33の単離収率は88%であった。
【0240】
実施例2.
2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオール、54の調製
(この方法は米国特許第5,994,391号、スキームXI、段階1、カラム264に対応する実施例に記載のものと類似である。)水素化アルミニウムリチウム(662ml、1.2当量、0.66mol)の1M THF(662mL)溶液を、無水THF(700ml)中、マロン酸ジブチル-ジエチル(150g、0.55mol)(Aldrich)の撹拌溶液に、反応混合物の温度をアセトン/ドライアイス浴を用いて約-20℃から約0℃の間に維持しながら滴加した。次いで、反応混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を-20℃に冷却し、水(40ml)、10%NaOH(80ml)および水(80ml)を連続して滴加した。得られた懸濁液をろ過した。ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して、ジオールを油状物で得た(98.4g、収率95%)。プロトンNMR、炭素NMR、およびMSにより生成物を確認した。
【0241】
この化合物54の調製において有用な代替の還元剤には、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)または水素化ビス(2-メトキシエチキシ)アルミニウムナトリウム(例えば、Aldrichから供給されるRed-Al)が含まれる。
【0242】
実施例3.
1-ブロモ-2-ブチル-2-(ヒドロキシメチル)ヘキサン、52の調製
250mL三頸丸底フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、J-Kem温度制御装置に連結された熱電対およびアナログデータ収集ソフトウェアに連結された熱電対、ならびにマントルヒーターを取り付けた。フラスコを窒素でパージし、54(20g)を加えた。これに、酢酸中HBrの30重量%溶液(57g)を加えた。混合物を80℃で4時間加熱した。溶媒を20分かけてポット温度125℃まで蒸留して除去した。これにより残存HBrはほとんど除去される。混合物を80℃に冷却し、エタノール2B(100mL、供給源:Aeper)を一度に加えた。次に、濃硫酸(1.0mL)を加えた。溶媒を留去した(79〜80℃で溶媒10〜15ml)。混合物を2時間還流した。さらに10〜15mlの溶媒を留去し、混合物を再度還流温度で2時間維持した。溶媒をさらにポット温度125℃まで蒸留して除去し、次いでフラスコ内容物を25.0℃まで冷却した。フラスコに酢酸エチル(100mL)および2.5N水酸化ナトリウム(100mL)を加えた。混合物を15分間撹拌し、水層を分離した。ポットに水(100mL)を追加し、内容物を15分間撹拌した。水層を分離し、溶媒をポット温度125℃まで蒸留して除去した。このプロセス中に水を酢酸エチルとの共沸蒸留により除去した。生成物を減圧濃縮して生成物52を含む褐色油状物を得た(26.8g、GC:HP1カラム;初期温度50℃、2.5分間維持、勾配10℃/分で最終温度275℃、最終時間15分により96.81%)。
【0243】
実施例3a.
1-ブロモ-2-ブチル-2-(ヒドロキシメチル)ヘキサン、52の調製別法
250mL三頸丸底フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、J-Kem温度制御装置に連結された熱電対およびアナログデータ収集ソフトウェアに連結された熱電対、ならびにマントルヒーターを取り付ける。フラスコを窒素でパージし、54(20g)を加える。これに、酢酸中HBrの30重量%溶液(57g)を加える。混合物を80℃で4時間加熱する。溶媒を20分かけてポット温度90℃まで減圧蒸留して除去する。これにより残存HBrはほとんど除去される。混合物を80℃に冷却し、エタノール2B(100mL、供給源:Aeper)を一度に加える。次に、濃硫酸(1.0mL)を加える。溶媒を留去する(79〜80℃で溶媒10〜15ml)。混合物を2時間還流する。さらに10〜15mlの溶媒を留去し、混合物を再度還流温度で2時間維持する。溶媒をさらにポット温度85℃まで蒸留して除去し、次いでフラスコ内容物を25.0℃まで冷却する。フラスコに酢酸エチル(100mL)および2.5N水酸化ナトリウム(100mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、水層を分離する。ポットに水(100mL)を追加し、内容物を15分間撹拌する。水層を分離し、溶媒をポット温度85℃まで蒸留して除去する。このプロセス中に水を酢酸エチルとの共沸蒸留により除去する。材料を減圧濃縮して生成物52を得る。
【0244】
実施例4.
2-(ブロモメチル)-2-ブチルヘキサノール、53の調製
500mL三頸丸底フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、J-Kem温度制御装置に連結された熱電対およびアナログデータ収集ソフトウェアに連結された熱電対、ならびにマントルヒーターを取り付けた。フラスコを窒素ガスでパージし、52(26.0g)およびトリエチルアミン(15.6g)を加えた。250mlフラスコ中で、DMSO(50mL)中、三酸化硫黄-ピリジン(37.6g)をスラリー化した。DMSOスラリーを丸底フラスコに滴加漏斗で15分かけて加えた。滴加は温度22℃で開始し、最高41℃に達した。(18.0℃未満の温度でスラリーを滴加すると反応が非常に遅くなって、三酸化硫黄が蓄積し、温度が25℃を上回ると吸息に反応することになる。)混合物を15分間撹拌した。混合物に、2.5N HCl(100mL)を5分かけて加えた。温度は35℃未満に維持した、次に、酢酸エチル(100mL)を加え、混合物を15分間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、水層を分離した。ポットに水(100mL)を加え、混合物を15分間撹拌した。水層を分離した。溶媒をポット温度115℃まで蒸留し、残留物質を減圧濃縮して、生成物53を含む褐色油状物を得た(21.8g、GC:HP1カラム;初期温度50℃、2.5分間維持、勾配10℃/分で最終温度275℃、最終時間15分により95.1%)。
【0245】
実施例4a.
2-(ブロモメチル)-2-ブチルヘキサノール、53の調製別法および精製
a. 化合物 52 の調製
反応器に、2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオールと、続いて酢酸中30重量%のHBrを加える。容器を密封し、内部温度約80℃に加熱して、約7時間維持し、圧は25psia未満に維持する。反応混合物のGCを測定して、反応の完了(すなわち、2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオールの3-アセトキシ-2,2-ジブチル-1-プロパノールへの変換)を調べる。この時点で反応が完了していなければ、混合物をさらなる時間加熱して、変換を完了させてもよい。次いで、酢酸/HBrを施設減圧装置(約25mmHg)を用い、最高内部温度約90℃までで除去する。次いで、エタノールと、続いて硫酸を加える。エタノールの一部(加えたエタノールの約4分の1)を大気圧蒸留により除去する。次いで、3-アセトキシ-2,2-ジブチル-1-プロパノールを含む反応器にエタノール(およそ蒸留中に除去された量)を加え、内容物を還流点まで加熱(ジャケット温度95℃で約80℃)し、次いで約8時間還流を続ける。次いでエタノールを、ジャケット温度95℃を用いて最高内部温度85℃まで大気圧蒸留して除去する。GCを測定して、反応の完了(すなわち、3-アセトキシ-2,2-ジブチル-1-プロパノールの化合物52への変換)を調べる。反応が完了していなければ、反応器にエタノールを加え、内容物を還流点まで加熱し、次いでさらに4時間還流を続ける(ジャケット95℃で約80℃)。次いで、エタノールを、ジャケット温度95℃を用いて最高内部温度85℃まで大気圧蒸留して除去する。GCを測定して、反応の完了(すなわち、3-アセトキシ-2,2-ジブチル-1-プロパノールの化合物52への変換)を調べる。いったん反応が完了したと思われれば、残存エタノールを最高内部温度125℃まで大気圧蒸留して除去する。次いで、メチルt-ブチルエーテルと、続いて5%炭酸水素ナトリウム溶液を加える。層を分離し、水層をMTBEで一回抽出し、有機抽出物を合わせ、水で一回洗浄し、MgSO4で乾燥し、施設減圧装置(約25mmHg)で、最高内部温度60℃までで濃縮する。得られた油状物を、さらなる処理が必要になるまでクーラーに保存する。
【0246】
b. 化合物 53 の調製
メチルスルホキシドと、続いて化合物52およびトリエチルアミンを反応器に加える。次いで、ピリジン-三酸化硫黄複合体を反応器に、内部温度を<35℃に維持しながら、分割して加える。ピリジン-三酸化硫黄複合体の添加が完了すれば、反応混合物のGCを測定して、反応完了(すなわち、52の53への変換)を調べる。この時点で反応が完了していなければ、混合物をさらなる時間撹拌して、変換を完了させてもよい。反応を11重量%HCl水溶液で停止する。酢酸エチルを加え、層を分離し、水層を酢酸エチルで一回抽出し、有機抽出物を合わせ、水で一回洗浄し、MgSO4で乾燥し、施設減圧装置(約25mmHg)で、最高内部温度30℃までで濃縮する。得られた油状物を、さらなる処理が必要になるまでクーラーに保存する。
【0247】
c. 化合物 53 の調製別法
化合物52および塩化メチレンと、続いてTEMPOを反応器に加える。溶液を約0〜5℃に冷却する。臭化カリウムおよび炭酸水素ナトリウムを別々の反応器で溶解し、52およびTEMPOの溶液に0〜5℃で加える。二相性混合物を0〜5℃に冷却し、次亜塩素酸ナトリウムを内部温度0〜5℃が維持されるような速度で加える。添加が完了すれば、反応混合物のGCを行って、反応の完了を調べた。反応が完了していなければ(>1%の52が残っていれば)、さらに次亜塩素酸ナトリウムを加えて、反応を完了させてもよい。反応の完了が認められればその直後に、亜硫酸ナトリウムの水溶液を加えて、残存する次亜塩素酸ナトリウムを失活させる。層を分離し、水層を塩化メチレンで逆抽出し、合わせた有機分画を洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥する。次いで、化合物53を最高内部温度約30℃までで、減圧蒸留により濃縮する。粗アルデヒドをさらなる処理が必要になるまでクーラーに保存する。
【0248】
d. 化合物 53 の精製
Wiped Film Evaporated(WFE)装置を以下の条件に設定する:
エバポレーター温度90℃、減圧約0.2mmHgおよびワイパー速度800rpm。粗化合物53を1.0〜1.5kg/時の速度で供給する。蒸留中の残渣に対する生成物の比率はおよそ90:10である。
【0249】
実施例5.
1-(2,2-ジブチル-S,S-ジオキシド-3-オキソプロピルチオ)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)-4-ニトロベンゼン、30の調製
1000mL四頸ジャケット付Aceフラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、4つの内部バッフル、および28mmテフロンタービン撹拌機を取り付けた。フラスコを窒素ガスでパージし、33(75.0g)を加えた。次に、フラスコにジメチルアセトアミド(DMAC、315.0g)を加え、撹拌を開始し、混合物を30℃に加温した。亜硫酸ナトリウム(39.2g)を別のフラスコ内の水(90ml)に溶解した。亜硫酸ナトリウム水溶液をフラスコに25分かけて加えた。添加完了時に温度は37℃に達した。溶液は直ちに暗赤色に変わり、少量の泡様小球を生じたようで、これは反応器の壁に付着した。温度を40℃で2時間維持した。フラスコに53(77.9g)を全部一度に加えた。反応混合物を65℃に加熱し、2時間維持した。次に水(270ml)を65℃で加えた。混合物を15分間撹拌した。次いで、フラスコにベンゾトリフルオリド(315ml)を加え、混合物を15分間撹拌した。水層を50℃で分離した。有機層を3%塩化ナトリウム溶液(315ml)で洗浄した。水層を50℃で分離した。溶媒を195から200mmHgでポット温度63℃まで蒸留した。フラスコ内容物を60℃まで冷却し、これにオルトギ酸トリメチル(87.7g)、およびメタノール(164.1mL)に溶解したp-トルエンスルホン酸(5.2g)を加えた。混合物を還流点の60〜65℃で2時間加熱した。溶媒を195から200mmHgでポット温度63℃まで蒸留し、メタノールおよびギ酸メチルを除去した。次いで、フラスコにベンゾトリフルオリド(252ml)を加え、次いで15℃まで冷却した。次に酢酸ナトリウム(22.2g)を水(30ml)中のスラリーとしてフラスコに加えた。次いで、フラスコに市販の過酢酸(256.7g、検定値公称30〜35%)を20分かけて加え、15℃から始めて発熱させ、30〜35℃に達した。添加は初期発熱を制御するため、最初はゆっくり行った。最初に1当量加えた後、発熱は収まった。混合物を30℃に加温し、3時間維持した。水層を30℃で分離した。有機層を6%亜硫酸ナトリウム(315ml)で洗浄した。水層を分離した。次いで、フラスコに40重量%の硫酸を加え、75℃で2時間加熱した。水層を40〜50℃で下から分離した。フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム(315ml)を加え、内容物を15分間撹拌した。水層を分離した。溶媒を195から200mmHgで反応器温度63℃まで蒸留した。次に、イソプロピルアルコール(600ml)を10分かけて加え、温度を50℃に維持した。反応器を38℃まで冷却し、1時間維持した。(生成物は最初わずかに油状化することがあり、その後温度維持中に結晶化する。生成物が38℃で油状化するか、または結晶化しない場合、冷却前に種を加えて結晶化を促進すべきである。)反応器を15℃まで30分かけて冷却し、次いで60分間維持した。固体をろ過し、乾燥して結晶性黄色固体(102.1g)を得た。10℃のIPA(150ml)で洗浄した。HPLC(Zorbax RX-C8カラム、0.1%TFA水溶液/アセトニトリル勾配移動相、225nmでUV検出)分析により97.7重量%の30が認められ、単離モル補正収率79.4%であった。
【0250】
実施例5a.
1-(2,2-ジブチル-S,S-ジオキシド-3-オキソプロピルチオ)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)-4-ニトロベンゼン、30の調製別法
段階 1. スルフィドアルデヒド化合物 69 の調製
1000mL四頸ジャケット付Ace反応器に撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗、熱電対、4つの内部バッフル、および28mmテフロンタービン撹拌機を取り付ける。フラスコを窒素ガスでパージし、33(145g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、609mL)を加える。撹拌を開始し、混合物を30℃に加温する。別のフラスコ内で、Na2S(スペクトル、72.3g)を水(166.3ml)に溶解する。Na2S水溶液をフラスコに約90分かけて加える。反応温度を35℃未満に維持するよう、添加速度を調節しなければならない。混合物を35℃で2時間撹拌し、次いで化合物53(150.7g)を全部一度に加える。混合物を70℃に加熱し、2時間維持する。混合物を50℃に調節し、これに水(442.7ml)を加え、混合物を15分間撹拌する。次いで、反応器にベンゾトリフルオリド(609ml)を加えた後、15分間撹拌する。水層を50℃で分離する。有機層を3%NaCl水溶液で洗浄する。水層を50℃で分離する。有機層は化合物69を含む。有機層は安定で、無期限に保存することができる。
【0251】
段階 2. 化合物 70 の調製
段階1で得た有機層から溶媒を195から200mmHgで約63℃から66℃で蒸留し、ベンゾトリフルオリドの3分の1から半分量を蒸留する。混合物を約60℃まで冷却し、オルトギ酸トリメチル(169.6g)、およびメタノール(317.2mL)に溶解したp-トルエンスルホン酸(約10g)を加える。(注:他のアセタールを得るために、オルトギ酸トリメチルの代わりに別のオルトギ酸エステル、例えばオルトギ酸トリエチルを用いることができる。)反応器に冷却器および蒸留ヘッドを取り付ける。混合物を沸点まで加熱し、これからメタノール5mLを蒸留して冷却器から残存する水を除去し、混合物を還流点の60〜65℃で2時間維持する。溶媒を195から200mmHgでポット温度60℃から66℃まで蒸留し、メタノールおよびギ酸メチルを除去する。混合物にベンゾトリフルオリド(355.4mL)を加え、混合物を15℃まで冷却する。反応器に水(77.2mL)注でスラリー化した酢酸ナトリウム(32.1g)を加える。反応を72時間維持する。次いで、反応器に過酢酸(340.4g)を15℃から始め、2時間かけて加える。添加は温度を20℃以下に維持するよう調節した。次いで、混合物を25℃で4時間に加温した。水(上)層を25℃で分離し、有機層を10%亜硫酸ナトリウム(190ml)で洗浄した。有機層は化合物70を含み、無期限に保存することができる。
【0252】
段階 3. 化合物 30 の調製
段階2の有機層に濃硫酸(383.8g)を加える。混合物を75℃で2時間加熱し、水(下)層を40〜50℃で分離する。反応器に10%炭酸水素ナトリウム(609mL)を加え、混合物を15分間撹拌する。水(上)層を分離する。溶媒を有機層から195から200mmHgで63から66℃で蒸留する。反応器にイソプロピルアルコール(1160mL)を50℃で10分かけて加える。反応器を38℃まで冷却し、1時間維持する。一部結晶化が起こる。反応器を15℃まで30分かけて冷却し、次いで120分間維持して30をさらに結晶化させる。結晶をろ過し、乾燥して結晶性黄色固体(200.0g)を得る。30の結晶を10℃のイソプロピルアルコール(290mL)で洗浄する。
【0253】
実施例6.
1-(2,2-ジブチル-S,S-ジオキシド-3-オキソプロピルチオ)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)-4-ジメチルアミノベンゼン、29の調製
300mlオートクレーブにStirmix中空軸ガス撹拌機、自動冷熱温度調節器、および焼結金属フィルター付きの反応器内サンプリングラインを取り付けた。20℃でオートクレーブに30(15.0g)、Pd/C触媒(2.5g)、エタノール(60g)、ホルムアルデヒド(36%水溶液、10.0g)、および濃硫酸(0.55g)を加えた。反応器を閉じ、窒素で60psig(515kPa)まで加圧して漏れがないか調べた。次いで、圧を1〜2psig(108〜115kPa)に下げた。パージを3回繰り返した。次いで、反応器温度を22℃に維持しながら、オートクレーブをH2で60psig(515kPa)に加圧した。撹拌機を始動して800〜1000rpmに設定し、反応器温度調節器を30〜40℃に設定した。温度を制御するための冷却能力が不十分な場合、撹拌機のrpmまたは反応器圧を下げて、設定温度を維持する。約45分後、熱放出が収まってきた(水素使用量の約70%が反応した)時点で、温度を60℃に上昇させた。次いで水素を放出し、オートクレーブを窒素で3回パージした。反応器の内容物を60℃で焼結金属フィルターを通して加圧ろ過した。ろ液を撹拌し、1〜2時間かけて室温まで冷却し、水(50g)を1時間かけて加えた。混合物を4℃で終夜ゆっくり撹拌し、Buche型フィルターを通してろ過した。ケークを風乾して29を検定値99+%で得た(13.0g)。単離収率は89%であった。
【0254】
実施例7.
syn-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシド-4-ヒドロキシ-5-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾチエピン、syn-24の調製
撹拌機および加熱/冷却浴を取り付けた250ml丸底ガラス反応器を窒素でパージした。カリウムt-ブトキシド/THF溶液(45g)を反応器に加え、撹拌を開始した。別の容器内で、29(18g)をTHF(25g)に溶解した。29/THF溶液を滴加漏斗から約2.0時間かけて反応器に加えた。反応器温度は約16〜20℃に制御した。29のおよそ半分を加えた後、塩が沈殿した。スラリーを16〜20℃で1時間撹拌した。反応器温度を16〜24℃に維持しながら、7.4%塩化アンモニウム水溶液(54g)を約30分かけて加え、反応停止した。すべての塩が溶解するまで(約10分)、混合物をゆっくり撹拌した。撹拌を停止し、相を分離させた。水層を排出した。有機層に水(50ml)およびイソプロピルアルコール(25g)を加えた。撹拌機を始動し、結晶化を起こさせた。周囲圧下、沸点60から65℃、ポット温度70から77℃で、THFを蒸留した。結晶は容器を加熱すると溶解し、THFを蒸留し始めると再度生成した。蒸留完了後、スラリーを2〜3時間かけて4℃までゆっくり冷却し、数時間ゆっくり撹拌した。スラリーを150ml Bucheフィルターでろ過し、ケークを冷却した水/イソプロピルアルコール2:1溶液(10g)で洗浄した。ろ過は約5分以内で完了した。ケークを風乾して、syn-24を検定値99+%、R,RおよびS,S異性体50/50混合物で得た(16.7g)。
【0255】
実施例8a.
化合物(4R,5R)-24の光学分割の条件
下記の擬似移動床式クロマトグラフィ(SMB)条件を用いて、化合物syn-24の(4R,5R)および(4S,5S)鏡像異性体を分離した。
SMB性能:
保持時間の短い鏡像異性体純度(%):92.8%
保持時間の短い鏡像異性体濃度:10g/L
保持時間の長い鏡像異性体回収収率(%):99.3%
保持時間の長い鏡像異性体濃度:7g/L
【0256】
実施例8b.
化合物(4R,5R)-24の光学分割の別条件
下記の擬似移動床式クロマトグラフィ(SMB)条件を用いて、化合物syn-24の(4R,5R)および(4S,5S)鏡像異性体を分離した。
SMB性能:
保持時間の短い鏡像異性体純度(%):>98%
保持時間の短い鏡像異性体回収収率(%):>95%
【0257】
実施例8c.
化合物(4R,5R)-24の光学分割の別条件
下記の擬似移動床式クロマトグラフィ(SMB)条件を用いて、化合物syn-24の(4R,5R)および(4S,5S)鏡像異性体を分離した。
SMB性能:
保持時間の短い鏡像異性体純度(%):>98%
保持時間の短い鏡像異性体回収収率(%):>95%
【0258】
実施例8d.
化合物(4S,5S)-24のラセミ化
撹拌機および加熱/冷却浴を取り付けた250mL丸底ガラス反応器を窒素ガスでパージする。フラスコ内で、(4S,5S)-24(実施例8a〜8cで保持時間の長い鏡像異性体として得られた、18g)を無水THF(50g)に溶解する。この溶液を反応器に加え、撹拌しながら約23〜25℃とする。反応器にカリウムt-ブトキシド/THF溶液(1M、Aldrich、45g)を滴加漏斗から0.5時間かけて加える。スラリーが生成する。スラリーを約24〜26℃で約1〜1.5時間撹拌する。反応器温度を23〜26℃に維持しながら、7.5%塩化アンモニウム水溶液(54g)で反応停止する。まず、塩化アンモニウム溶液の約20%をスラリーが希薄になるまでゆっくり加え、次いで塩化アンモニウム溶液の残りを約0.5時間かけて加える。すべての塩が溶解するまで混合物をゆっくり撹拌する。撹拌を停止し、相を分離させる。水層を除去する。有機層に水(50ml)およびイソプロピルアルコール(25g)を加える。撹拌機を始動し、結晶化を起こさせる。周囲圧での蒸留によりTHFを除去する。結晶は容器を加温すると溶解し、THFを蒸留し始めると再度生成する。得られたスラリーを2〜3時間かけて4℃までゆっくり冷却し、1〜2時間ゆっくり撹拌する。スラリーを150ml Bucheフィルターでろ過し、0〜4℃のイソプロピルアルコール(20g)で洗浄する。ケークを約50〜60℃、減圧下で風乾して、ラセミ体24を得る(16.7g)。
【0259】
実施例9.
(4R,5R)-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシド-4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾチエピン、(4R,5R)-28の調製
1000mL四頸Relianceジャケット付反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗、冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、およびテフロンパドル撹拌機を取り付けた。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-24(41.3g)およびメチオニン(18.7g)と、続いてメタンスルホン酸(240g)を加えた。混合物を75℃に加熱し、8時間撹拌した。次いで、混合物を25℃まで冷却し、3-ペンタノン(480mL)を加えた。溶液は均質であった。次に、フラスコに希釈水(320mL)を加え、15分間撹拌した。水層を分離し、有機層に飽和炭酸水素ナトリウム(250mL)を加えた。混合物を15分間撹拌し、水層を分離した。溶媒を50℃、減圧下でおよそ半量まで蒸留した。フラスコにトルエン(480mL)を加えて澄明な溶液を生成した。100mmHgで溶媒のおよそ半量を除去した。混合物を10℃に冷却し、終夜撹拌した。結晶をろ過し、冷トルエン(150mL)で洗浄し、減圧下で乾燥した。29.9gを検定値96.4重量%で得た。ろ液を濃縮し、トルエンを加えて第二収量の結晶(2.5g)を得た。乾燥した灰白色結晶性(4R,5R)-28(合計32.1g)を得た。
【0260】
実施例9a.
(4R,5R)-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシド-4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾチエピン、(4R,5R)-28の調製別法
1000mL四頸Aceジャケット付反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗、冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、およびテフロンパドル撹拌機を取り付ける。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-24(40.0g)およびメチオニン(17.8g)と、続いてメタンスルホン酸(178.6g)を加える。混合物を80℃に加熱し、12時間撹拌する。次いで、混合物を15℃まで冷却し、水(241.1mL)を30分かけて加える。次いで、反応器に3-ペンタノン(361.7mL)を加える。次に、フラスコを15分間撹拌する。水層を分離し、有機層に飽和炭酸水素ナトリウム(361.7mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、水層を分離した。溶媒を50℃、減圧下でおよそ半量まで蒸留する。この時点で結晶が生成し始める。フラスコにトルエン(361.7mL)を加え、混合物を0℃に冷却する。結晶を生成させる。結晶をろ過し、冷トルエン(150mL)で洗浄し、50℃、減圧下で乾燥する。灰白色結晶性(4R,5R)-28(34.1g)を得る。
【0261】
実施例9b.
(4R,5R)-3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシド-4-ヒドロキシ-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2,3,4,5-テトラヒドロベンゾチエピン、(4R,5R)-28の調製別法
第一の45L反応器を窒素ガスでパージする。これに(4R,5R)-24(2.5kg)と続いてメチオニン(1.1kg)およびメタンスルホン酸(11.1kg)を加える。反応混合物を撹拌しながら85℃で7時間加熱する。次いで、反応混合物を5℃まで冷却し、水(17.5L)を第一の反応器にゆっくり加える。反応温度は約57℃に達する。次に、メチルイソブチルケトン(MIBK、17.5L)を第一の反応器に加え、反応混合物を30分間撹拌する。混合物を30分間放置し、層を分離する。水相を第二の45L反応器に移し、MIBK(10L)を第二の反応器に加える。第二の反応器およびその内容物を30分間撹拌し、次いで30分間放置して相を分離する。有機相を第二の反応器から分離し、第一の反応器内で二つの有機相を合わせる。第一の反応器に炭酸水素ナトリウム水溶液(1.4kg)を注意深く加える。混合物を30分間撹拌し、次いで30分間放置する。相を分離する。水相のpHが6未満であれば、二回目の炭酸水素塩洗浄を行う。炭酸水素塩洗浄後、水(15L)を第一の反応器に加え、混合物を40℃に加熱する。混合物を30分間撹拌し、次いで30分間放置する。相を分離する。有機相を減圧蒸留により濃縮して、濃縮物中におよそ5LのMIBKが残るようにする。バッチ温度が1psiaで35℃の時点で蒸留が始める。バッチ温度が約47.8℃に達した時点で蒸留を完了する。次いで、バッチ温度を45℃に調節し、生成混合物にヘプタン(20L)を20分かけて加える。得られたスラリーを20℃まで冷却する。生成物スラリーをろ過(10ミクロン布フィルター)し、20%MIBK/ヘプタン溶液(8L)で洗浄する。または、MIBK/ヘプタン溶液の代わりにMIBK/ヘキサン溶液を用いてもよい。生成物をフィルター上、80℃、減圧下で21時間乾燥する。白色結晶性(4R,5R)-28(合計2.16kg)を得る。
【0262】
実施例9c.
化合物(4R,5R)-28(または化合物(4S,5S)-28)のアセトニトリル溶液からのバッチ単離
1L反応器にバッフルおよび4-ブレードラジアルフロータービンを取り付ける。反応器を窒素ガス(1L)でパージし、水(300mL)を加える。水を5℃、最低速度300rpmで撹拌する。反応器に(4R,5R)-28/アセトニトリル溶液(20重量%、125〜185mL)を1.4mL/分の速度で加える。添加後ただちに、結晶が生成し始める。アセトニトリル溶液の添加後、結晶をブフナー漏斗でろ過する。ケークを3倍量の水および/または1〜2倍量の氷冷イソプロピルアルコールで洗浄した後、乾燥する。または、この手順を(4S,5S)-28のアセトニトリル溶液に用いて(4S,5S)-28を単離することもできる。
【0263】
実施例9d.
化合物(4R,5R)-28(または化合物(4S,5S)-28)のアセトニトリル溶液からの連続単離
1L反応器にバッフルおよび4-ブレードラジアルフロータービンを取り付ける。反応器を窒素ガス(1L)でパージし、水(60g)およびアセトニトリル(30g)を加える。混合物を5℃、300rpmで撹拌する。反応器に水(300mL)および20重量%の(4R,5R)-28/アセトニトリル溶液(125mL)をそれぞれ1.7mL/分および1mL/分の速度で加える。反応器の内容物が反応器容量の70〜80%に達したら、反応器内で最低限撹拌できるレベルまでスラリーをフィルターに排出し、その後さらに供給する。または、供給を続けながら反応器から連続的に排出することもできる。水/アセトニトリルの比率は約2:1から約3:1の範囲でありうる。ろ過したケークを実施例9cに記載のとおりに処理することができる。または、この手順を(4S,5S)-28のアセトニトリル溶液に用いて(4S,5S)-28を単離することもできる。
【0264】
実施例10.
1-(クロロメチル)-4-(ヒドロキシメチル)ベンゼン、55の調製
窒素注入口および排出口、還流冷却器、および磁気撹拌機を取り付けた反応フラスコを窒素でパージした。フラスコに4-(クロロメチル)安息香酸(25g)を加えた。フラスコにTHF(75mL)を周囲温度で加えた。撹拌により懸濁液が生じた。吸熱反応が起こり、反応混合物の温度は22℃から14℃に低下した。反応混合物にボラン-THF付加物(175mL)を滴加漏斗から約30分かけて加えた。この発熱滴加中、外部からの冷却用に氷浴を用い、温度を30℃未満に維持した。反応混合物を20℃で1時間撹拌し、次いで0℃まで冷却した。反応混合物に1M硫酸をゆっくり加えて反応停止した。得られた反応混合物をt-ブチルメチルエーテル(TBME、150mL)で希釈し、少なくとも20分間撹拌して、ホウ酸エステルを分解した。層を分離し、水層をさらに50mLのTBMEで洗浄した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)で二回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム(11g)で乾燥し、ろ過した。溶媒をロータリーエバポレーターにより45℃(浴温)および<350mbarで蒸発させて、無色油状物を得た。油状物に種結晶を加え、得られた固体55を減圧下で乾燥した。収量:19.7g(86%)。GC(HP-5 25メートルカラム、100℃で1mL N2/分、300℃でFID検出、スプリット50:1)による検定。
【0265】
実施例11.
(4R,5R)-1-((4-(4-(3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンジチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンクロリド、41の調製
段階 1. (4R,5R)-26 の調製
1000mL四頸ジャケット付Ace反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、4つの内部バッフル、および28mmテフロンタービン撹拌機を取り付けた。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-28(25.0g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、125mL)を加えた。これに50%水酸化ナトリウム(4.2g)を加えた。混合物を50℃に加温し、15分間撹拌した。フラスコにDMAC(10mL)に溶解した55(8.3g)を全部一度に加えた。温度を24時間50℃に維持した。フラスコにトルエン(250mL)と、続いて希釈水(125mL)を加えた。混合物を15分間撹拌し、次いで50℃で層を分離させた。次いで、フラスコに飽和塩化ナトリウム溶液(125mL)を加え、15分間撹拌した。層は50℃で30秒以内にきれいに分離した。溶媒のほぼ半量を50℃、減圧下で蒸留により除去した。残存反応混合物は(4R,5R)-26を含んでいた。
【0266】
段階 2. (4R,5R)-27 の調製
段階1の反応混合物にトルエンを加え、混合物を35℃に冷却した。次いで、混合物に塩化チオニル(7.0g)を5分かけて加えた。反応は発熱反応で、39℃に達した。反応混合物は塩化チオニルの最初の添加により混濁し、部分的に澄明となり、最終的には混濁したままであった。混合物を0.5時間撹拌し、次いで0.25N NaOHで洗浄した。混合物は少量の固体を生じたようであったが、撹拌により減少し、層はきれいに分離した。溶媒を50℃、減圧下で最低限撹拌できる量まで蒸留した。残存反応混合物は(4R,5R)-27を含んでいた。
【0267】
段階 3. 41 の調製
段階2の反応混合物に、メチルエチルケトン(MEK、350mL)と、続いて水(10.5mL)およびMEK(10mL)に溶解したジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO、6.4g)を加えた。混合物を加熱還流し、HPLCにより<0.5%の(4R,5R)-27が示された。反応は最初は均質のままであったが、反応完了時には結晶化した。水(5.3mL)をフラスコに追加して、生成物を再度溶解した。約160mlの溶媒を大気圧で蒸留した。溶媒70mLを蒸留した後に混合物は結晶を生成し始めた。留出物から水が分離し、トルエン、水およびメチルエチルケトン(MEK)の間で三元共沸が起こったことが明らかとなった。次いで、混合物を25℃に冷却した。固体をろ過してMEK(150mL)で洗浄し、減圧下、60℃で乾燥した。灰白色結晶41(29.8.0g)を単離した。
【0268】
実施例11a.
(4R,5R)-1-((4-(4-(3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンジチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンクロリド、41のII型の調製別法
1000mL四頸ジャケット付Ace反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、4つの内部バッフル、および28mmテフロンタービン撹拌機を取り付ける。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-28(25.0g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、100mL)を加える。混合物を50℃に加温し、これに50%水酸化ナトリウム(4.02g)を加える。混合物を30分間撹拌する。フラスコにDMAC(12.5mL)に溶解した55(8.7g)を全部一度に加える。添加容器をDMAC(12.5mL)で洗浄し、洗液を反応器に加える。反応器を3時間撹拌する。反応器に49.4% NaOH水溶液(0.19mL)を加え、混合物を2時間撹拌する。混合物にDMAC(12.5mL)に溶解したDABCO(0.9g)を加える。混合物を50℃で30から60分間撹拌する。フラスコにトルエン(225mL)と、続いて希釈水(125mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、次いで50℃で層を分離させる。下の水層を除去するが、分離しきれない層があれば保持する。次いで、フラスコに5%塩酸溶液(175mL)を加え、15分間撹拌する。層を50℃で分離し、下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。溶媒のほぼ半量を減圧下、最高ポット温度80℃で蒸留により除去する。残存反応混合物は(4R,5R)-26を含む。
【0269】
段階 2. (4R,5R)-27 の調製
段階1の反応混合物にトルエン(225mL)を加え、混合物を30℃に冷却する。次いで、混合物に塩化チオニル(6.7g)を30から45分かけて加える。温度を35℃未満に維持する。反応混合物は塩化チオニルの最初の添加により混濁し、約30分で層は一緒になって澄明な混合物を生成する。混合物を0.5時間撹拌し、次いで4% NaOH洗浄液(156.6mL)を30分かけて加える。混合物のpHが8.0から10.0に達すれば、洗浄液の添加を止める。下の水層を30℃で除去し、分離しきれない層があれば有機層と共に保持する。混合物に飽和NaCl洗浄液(175mL)を撹拌しながら加える。層を30℃で分離し、下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。溶媒を80℃、減圧下で最低限撹拌できる量まで蒸留する。残存反応混合物は(4R,5R)-27を含む。
【0270】
段階 3. 41 の調製
段階2の反応混合物に、メチルエチルケトン(MEK、325mL)および水(13mL)を加える。次に、反応器にMEK(25mL)に溶解したジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO、6.2g)を加える。混合物を加熱還流し、30分間維持する。次いで溶媒量のおよそ10%を留去する。蒸留中に混合物は結晶を生成し始める。次いで、混合物を20℃で1時間冷却する。灰白色結晶41(II型)をろ過し、MEK(50mL)で洗浄し、減圧下、100℃で乾燥する。
【0271】
実施例11b.
(4R,5R)-1-((4-(4-(3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンジチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンクロリド、41のII型の調製別法
1000mL四頸ジャケット付Ace反応器フラスコに撹拌機、窒素注入口、滴加漏斗または冷却器または受器のついた蒸留ヘッド、熱電対、4つの内部バッフル、およびテフロンタービン撹拌機を取り付ける。フラスコを窒素ガスでパージし、(4R,5R)-28(25.0g)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC、125mL)を加える。混合物を50℃に加温し、これに30%水酸化ナトリウム(7.11g)を撹拌市ながら15から30分かけて加える。混合物を30分間撹拌する。フラスコに固体の55(9.5g)を加える。反応器を3時間撹拌する。混合物に固体のDABCO(1.2g)を加える。混合物を50℃で30から60分間撹拌する。フラスコにトルエン(225mL)と、続いて水(125mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、次いで50℃で層を分離させる。下の水層を除去するが、分離しきれない層があれば有機層と共に保持する。次いで、フラスコに5%塩酸溶液(175mL)を加え、15分間撹拌する。層を50℃で分離し、下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。次いで、フラスコに水(225mL)を加え、15分間撹拌する。層を50℃で分離する。下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。溶媒のほぼ半量を減圧下、最高ポット温度80℃で蒸留により除去する。残存反応混合物は(4R,5R)-26を含む。
【0272】
段階 2. (4R,5R)-27 の調製
段階1の反応混合物にトルエン(112.5mL)を加え、混合物を25℃に冷却する。次いで、混合物に塩化チオニル(7.3g)を15から45分かけて加える。混合物の温度を20℃より高く40℃未満に維持する。反応混合物は塩化チオニルの最初の添加により混濁し、約30分で層は一緒になって澄明な混合物を生成する。混合物に次いで4% NaOH洗浄液(179.5mL)を30分かけて加える。この間、混合物を20℃より高く40℃未満に維持する。混合物のpHが8.0から10.0に達すれば、洗浄液の添加を止める。混合物を40℃で、少なくとも1時間かけて分離させる。下の水層を30℃で除去し、分離しきれない層があれば有機層と共に保持する。混合物に希釈水(200mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、40℃で、少なくとも1時間かけて分離させる。下の水層を除去し、分離しきれない層があれば水層と共に廃棄する。溶媒を80℃、減圧下で最低限撹拌できる量まで蒸留する。残存反応混合物は(4R,5R)-27を含む。
【0273】
段階 3. 41 の調製
段階2の反応混合物に、メチルエチルケトン(MEK、350mL)および水(7mL)を加える。混合物を15分間撹拌し、混合物の温度を25℃に調節する。次に、反応器に固体のジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO、6.7g)を加える。混合物を25℃で3から4時間維持する。次いで、65℃に加熱し、この温度で30分間維持する。次いで、混合物を25℃で1時間冷却する。灰白色結晶41(II型)をろ過し、MEK(50mL)で洗浄し、減圧下、100℃で乾燥する。
【0274】
実施例12.
(4R,5R)-1-((4-(4-(3,3-ジブチル-7-(ジメチルアミノ)-2,3,4,5-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-1,1-ジオキシド-1-ベンジチエピン-5-イル)フェノキシ)メチル)フェニル)メチル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンクロリド、41のI型の調製別法
(4R,5R)-27(乾燥状態で2.82kg、4.7mol)をMTBE(9.4L)に溶解した。(4R,5R)-27の溶液を0.2mmフィルターカートリッジを通して供給容器に入れた。フラスコをMTBE(2×2.5L)で洗浄した。カートリッジフィルターを通して得られた溶液を、供給容器内の(4R,5R)-27の溶液に加えた。DABCO(ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、0.784kg、7.0mol)をMeOH(14.2L)に溶解した。DABCO溶液をフィルターカートリッジを通して、100Lの窒素を流した反応器に入れた。Pyrex容器およびカートリッジフィルターをMeOH(7.5L)で洗浄し、溶液を反応器に加えた。(4R,5R)-27溶液を供給容器から反応器に、37℃で撹拌しながら10分かけて加えた。メタノール(6.5L)をPyrex容器に加え、カートリッジフィルターから供給容器に加えて、残りの(4R,5R)-27を反応器に洗い込んだ。反応混合物を10〜20分かけて50〜60℃とし、その温度で約1時間撹拌した。混合物を1時間かけて20〜25℃に冷却した。反応混合物に、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)(42L)を1時間かけて加え、20〜25℃で最低1時間撹拌した。懸濁液をブフナー漏斗でろ過した。反応器およびフィルターケークをMTBE(2×14L)で洗浄した。固体をロータリーエバポレーターにより、20Lフラスコ内、400〜12mbar、40℃で22時間乾燥した。白色結晶性固体を得た。41(I型)の収量は3.08kg(乾燥状態で2.97kg、93.8%)、純度99.7面積%(HPLC;Kromasil C 4、250×4.6mmカラム;H2O中0.05%TFA/ACN中0.05%TFAの勾配、215nmでのUV検出)であった。
【0275】
実施例12a.
化合物41のI型から化合物41のII型への変換
400mlジャケット付反応器内の41のI型(10.0g)にMEK(140mL)を加える。反応器を23℃で10分間撹拌(358rpm)し、次いで撹拌速度を178rpmに変更する。懸濁液を、バッチ温度調節器(カスケードモード)を用いてプログラムした温度勾配(0.95℃/分)を用い、1時間加熱還流する。デルタTmaxを5℃に設定する。混合物を還流温度で1時間維持する。混合物を25℃に冷却する。25℃で3時間後、混合物の試料をろ取する。ろ過は速やか(数秒)で、ろ液は無色澄明である。白色固体を減圧オーブン(80℃、25in.Hg)で乾燥して、白色固体を得る。懸濁液の残りを25℃で18時間撹拌する。混合物をろ過し、母液がケークの上部に達した時点で、ケークは縮み始める。ろ過を停止し、反応器をMEK(14mL)で洗浄する。反応器の撹拌機速度を100から300rpmに上げて、反応器を洗浄する。洗液をフィルターに)加え、固体を速い空気流で5分間乾燥する。固体を減圧オーブン内、25in.Hgで84時間乾燥して、41のII型を得る。
【0276】
実施例13.
2-(フェニルチオメチル)ヘキサナールの調製
n-ブチルアクロレイン(9.5ml、71.3mmol)およびEt3N(0.5mL、3.6mmol)の混合物を0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら、これにチオフェノール(7.3mL、71.3mmol)を5分で加える。混合物を室温まで30分で加温する。反応混合物試料の1H NMRにより定量的変換が示されることになる。Et3Nを減圧下で除去する。
【0277】
実施例14.
2-((4-メトキシフェニルチオ)メチル)ヘキサナールの調製
n-ブチルアクロレイン(2.66ml、20mmol)およびEt3N(0.14mL、1mmol)の混合物を0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら、これに4-メトキシチオフェノール(2.46mL、20mmol)を5分で加える。混合物を室温まで30分で加温する。反応混合物試料の1H NMRにより定量的変換が示されることになる。Et3Nを減圧下で除去する。
【0278】
実施例15.
2-((4-クロロフェニルチオ)メチル)ヘキサナールの調製
n-ブチルアクロレイン(5.32ml、40mmol)およびEt3N(0.28mL、2mmol)の混合物を0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら、これに4-クロロチオフェノール(5.78g、40mmol)を5分で加える。混合物を室温まで30分で加温する。反応混合物試料の1H NMRにより定量的変換が示されることになる。Et3Nを減圧下で除去する。
【0279】
実施例16.
2-(アセチルチオメチル)ヘキサナールの調製
n-ブチルアクロレイン(13.3ml、100mmol)およびEt3N(0.7mL、5mmol)の混合物を0℃、窒素雰囲気下で撹拌しながら、これにチオ酢酸(7.2mL、100mmol)を5分で加える。混合物を室温まで30分で加温する。反応混合物試料の1H NMRにより定量的変換が示されることになる。Et3Nを減圧下で除去する。
【0280】
実施例17.
2-メチル-3-フェニルチオプロパナールの調製
メタクロレイン(51.4g、0.733mole)およびトリエチルアミン(2g、0.018mole)の混合物を0〜5℃で撹拌しながら、これにベンゼンチオール(80.8g、0.733mole)をゆっくり加える。添加速度は温度が10℃未満であるように調節する。反応混合物を0〜5℃で1時間撹拌する。混合物をロータリーエバポレーターにセットし、トリエチルアミンを除去する。
【0281】
実施例18.
2-(((4-クロロフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナールの調製
酢酸(20mL)中、4-クロロベンゼンスルフィナートナトリウム塩(4.10g、20.81mmol)の溶液を60℃で撹拌しながら、これに2-ブチルアクロレイン(3.8mL、28.56mmol)をゆっくり加える。反応混合物を50℃で3.5時間維持する。混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(2×10mL)で抽出する。合わせた抽出物を飽和NaHCO3、水、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、生成物を帯黄色のわずかに粘稠油状物として収率94%で得る。
【0282】
実施例19.
2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナールの調製
酢酸(35mL)中、4-トルエンスルフィナートナトリウム塩(10.10g、56.68mmol)の溶液を50℃で撹拌しながら、これに2-ブチルアクロレイン(10.6mL、79.66mmol)をゆっくり加える。反応混合物を50℃で3時間維持する。室温まで冷却後、混合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2×25mL)で抽出する。合わせた抽出物を飽和NaHCO3、水、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、生成物を黄色の液体として収率75%で得る。
【0283】
実施例20.
(4E)-2-(アセチルチオメチル)-2-ブチルヘキサ-4-エナールの調製
ディーンスタークトラップを取り付けた500-mL RBF内でキシレン(325mL)中、2-(アセチルチオメチル)ヘキサナール(32.6g、0.173mole)の溶液を撹拌しながら、これに2-ヒドロキシ-3-ブテン(22.5mL、0.259mole)と、続いてp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(4.34g、0.017mole)を室温、窒素雰囲気下で加える。混合物を終夜加熱還流する。室温まで冷却後、キシレン溶液を飽和NaHCO3溶液(300mL)で洗浄する。水相を酢酸エチル(300mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を食塩水(200mL)および水(200mL)で洗浄する。溶媒除去後、生成物を減圧蒸留(157〜160℃/1.5mmHg)により収率80.5%で得る。
【0284】
実施例21.
(4E)-2-ブチル-2-(フェニルチオメチル)ヘキサ-4-エナールの調製
2-(フェニルチオメチル)ヘキサナール(2.67g、12mmol)、3-ブテン-2-オール(5mL、58mmol)、およびp-トルエンスルホン酸(0.05g、0.26mmol)をキシレン(25ml)に加える。反応混合物を、水を回収するためにディーンスタークトラップを用いて加熱還流する。3時間後、混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、これを飽和NaHCO3溶液、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、粗生成物クロマトグラフィで精製する。生成物を無色油状物として78.6%で得る。
【0285】
実施例22.
(4E)-2-メチル-2-(フェニルチオメチル)ヘプタ-4-エナールの調製
2-メチル-3-フェニルチオプロパナール(9.07g、0.05mole)、1-ペンテン-3-オール(21.67g、0.25mole)、およびp-トルエンスルホン酸(0.24g、0.0013mole)をキシレン(90ml)に加える。反応混合物を、水を回収するためにディーンスタークトラップを用いて加熱還流する。3時間後、混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO3溶液(30ml)で反応停止する。二相を分離し、水相を酢酸エチル(30ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を食塩水(30ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥する。溶媒除去後、粗生成物クロマトグラフィで精製する。生成物を無色油状物として77%で得る。
【0286】
実施例23.
(4E)-2-メチル-2-(フェニルチオメチル)ヘキサ-4-エナールの調製
2-メチル-3-フェニルチオプロパナール(9.07g、0.05mole)、3-ブテン-2-オール(18.04g、0.25mole)、およびp-トルエンスルホン酸(0.24g、0.0013mole)をキシレン(90ml)に加える。反応混合物を、水を回収するためにディーンスタークトラップを用いて加熱還流する。3時間後、混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO3溶液(30ml)で反応停止する。二相を分離し、水相を酢酸エチル(30ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を食塩水(20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥する。溶媒除去後、粗生成物クロマトグラフィで精製する。生成物を無色油状物として74.3%で得る。
【0287】
実施例24.
(4E)-2-ブチル-2-(((4-クロロフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサ-4-エナールの調製
ディーンスタークトラップを取り付けたRBF内でトルエン(30mL)中、2-(((4-クロロフェニル)-スルホニル)メチル)ヘキサナール(3.38g、11.73mmol)の溶液を撹拌しながら、これに2-ヒドロキシ-3-ブテン(5mL、57.73mmol)と、続いてp-トルエンスルホン酸(0.13g)を室温、窒素雰囲気下で加える。混合物を20時間加熱還流する。室温まで冷却後、トルエン溶液を酢酸エチル(10mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液(10mL)で洗浄する。水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を水(2×10mL)、食塩水(1×10mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、生成物を帯褐色油状物として収率98%で得る。
【0288】
実施例25.
(4E)-2-ブチル-2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサ-4-エナールの調製
ディーンスタークトラップを取り付けたRBF内でトルエン(35mL)中、2-(((4-メチルフェニル)-スルホニル)メチル)ヘキサナール(5.63g、21mmol)の溶液を撹拌しながら、これに2-ヒドロキシ-3-ブテン(10mL、115mmol)と、続いてp-トルエンスルホン酸(0.13g)を室温、窒素雰囲気下で加える。混合物を終夜加熱還流する。室温まで冷却後、トルエン溶液を飽和NaHCO3溶液(2×10mL)、水(2×20mL)、食塩水(1×20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥する。溶媒除去後、生成物を帯褐色油状物として定量的収率、GC純度89%で得る。
【0289】
実施例26.
2-ブチル-2-(((4-メチルフェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナールの調製
トルエン(30mL)中、2-ブチル-2-(((4-エチル-フェニル)スルホニル)メチル)ヘキサナール(0.5g)の溶液に37%ホルムアルデヒド(5mL)および20%Pd(OH)2/C触媒(220mg)を加える。反応混合物を乾燥窒素ガス(3×)および水素ガス(3×)でパージし、60psiのH2により、60℃で15時間水素添加する。触媒をろ去し、エタノール(2×20mL)で洗浄する。合わせた洗液およびろ液の溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を得る。
【0290】
下記の実施例について、1Hおよび13C NMRスペクトルはVarian 300分光計により、それぞれ300および75MHzで記録した。1H化学シフトはテトラメチルシランから低磁場へのppmで報告する。13C化学シフトはCDCl3(77.0ppm)の中心線に対するppmで報告する。融点はBuchi 510融点測定器で記録し、未補正である。HPLCデータはBeckman Ultrasphere C18 250×4.6mmカラムを用いてSpectra Physics 8800 Chromatographで得た。HPLC条件:検出器波長=254nm、サンプルサイズ=10μl、流速=1.0mL/分、移動相=(A)0.1%トリフルオロ酢酸水溶液:(B)アセトニトリル。定量的HPLC分析は、既知濃度の粗生成物および精製生成物の試料を分析し、濃度差についてピーク面積を調節し、粗試料のピーク面積を精製試料のピーク面積で除することにより行った。
HPLC勾配:
【0291】
実施例27.
化合物32の調製
手順A:Na2S・9H2O(8.64g、36.0mmol)および硫黄(1.16g、36.0mmol)を50mL丸底フラスコ内で混合した。混合物を均質になるまで50℃に加熱し、水(10.0mL)を加えた。化合物33(10.00g、36.0mmol)およびエタノール(100mL)を500mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、撹拌機を取り付けた。反応混合物を均質になるまで65℃に加熱し、次いで74℃に上げた。ジスルフィド溶液を500mL反応フラスコに10分かけて加えた。1.5時間還流後、一定量のHPLC分析により、33の完全な変換が示された。18%NaOH水溶液(20.0g、90.0mmol)を5分かけて加えた(吸熱)。15分後、反応混合物を0℃に冷却し、30%H2O2(16.00g、140.0mmol)を、温度を20℃未満に維持しながら滴加した。<20℃で1.5時間後、一定量のHPLC分析により、ナトリウムチオフェノラート中間体の完全な酸化が示された。エタノールを減圧下、<65℃で除去した。水(100mL)を加え、混合物をCH2Cl2(100mL)で洗浄した。10%HCl(約40mL)をpH=1になるまで加え、反応混合物をCH2Cl2(100.0mL)で抽出した。2-ブチルアクロレイン(5.20mL、39.2mmol)を有機抽出物に加え、混合物を1時間撹拌した。一定量のHPLC分析により、非常に少量のスルフィン酸中間体が示された。有機層を減圧濃縮して、琥珀色の固体を得た(14.19g)。定量的HPLC分析により純度84%が示され、これはマイケル付加物11.92gに相当する(33からの32の収率79%)。
【0292】
手順B:化合物33(4.994g、17.98mmol)およびジメチルアセトアミド(21.0mL)を乾燥した250mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機を取り付け、40℃で混合物が均質になるまで加熱した。Na2S・3H2O(2.91g、22.37mmol)および水(4.0mL)を別のフラスコ内で混合し、55℃で均質になるまで加熱した。次いで、Na2S溶液を反応フラスコに25分かけて少量ずつ加えた。40℃で2.5時間後、一定量のHPLC分析により、33の完全な変換が示された。さらに2時間後、反応混合物を30℃に冷却し、18%NaOH水溶液(10.02g、44.90mmol)を加えた。20分後、反応混合物を0℃に冷却し、30%H2O2(8.02g、70.6mmol)を、温度を15℃未満に維持しながら30分かけて滴加した。10分後、一定量を取り出してHPLC分析し、これによりナトリウムチオフェノラート中間体の>93%の酸化が示された。1時間後、Na2SO3(6.05g、48.0mmol)および水(50.0mL)を加え、冷却浴を除去した。20分後、混合物をトルエン(またはCH2Cl2)(2×50.0mL)で洗浄した。トルエン(またはCH2Cl2)(50.0mL)、2-ブチルアクロレイン(2.60mL、19.6mmol)、およびn-Bu4NI(0.032g、0.087mmol)を加え、反応混合物を0℃に冷却した。これに、10%HCl(約30mL)をpH=1になるまで加えた。冷却浴を除去し、反応混合物を30分間撹拌した。水層の一定量のHPLC分析により、非常に少量のスルフィン酸中間体が示された。さらに30分後、水層を分離して廃棄した。有機層を-10℃で終夜維持し、室温で5時間撹拌した。トルエン溶液の定量的HPLC分析によりマイケル付加物6.444gが示された(33からの32の収率85%)。
【0293】
特徴づけのために、粗生成物の一部を減圧濃縮し、エチルエーテルから沈殿させて、黄色固体を得た:
【0294】
実施例28.
化合物18aの調製
手順A:化合物32(11.577g、27.598mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.6115g、3.21mmol)、CH2Cl2(70ml)および3-ブテン-2-オール(13.91mL、160.5mmol)を乾燥した250mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機、ディーンスタークトラップ、および還流冷却器を取り付けた。反応混合物を加熱還流した。10.25時間後、一定量のHPLC分析により、18a 78.6%、クライゼンエノールエーテル前駆体13.3%、32 3.7%および副生成物約4%が示された。反応フラスコにK2CO3(1.50g、10.8mmol)を加えた。2.5時間後、CH2Cl2(50.0mL)を加え、混合物をセライトを通してろ過した。ろ液を回収し、減圧濃縮して、琥珀色の油状物を得た(15.73g)。精製した18aの試料を用いて、定量的HPLCを行った。粗生成物の全ピーク面積は、クライゼンエノールエーテル前駆体および18aのピークを合計することにより求めた。これらは同じHPLC応答因子を有すると考えられた。定量的HPLCにより純度90%が示され、これは14.20gの18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47に相当する(32からの18aの収率94%)。
【0295】
手順B:化合物32(5.43g、12.9mmol)、3-ブテン-2-オール(76.16g、85.4mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.258g、1.36mmol)およびトルエン(51.0ml)を100mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機、ディーンスタークトラップ、冷却器、および減圧ラインを取り付けた。冷却器をCryocool浴で-10℃に冷却し、ディーンスタークトラップに3-ブテン-2-オール(約11mL)を充填した。反応フラスコを圧力調節器で107.5mmHgまで減圧し、49℃に加熱した。4時間後、反応フラスコを室温まで冷却し、30℃で減圧濃縮した。粗生成物を琥珀色の油状物として回収した(8.154g)。精製した18aの試料を用いて、定量的HPLCを行った。粗生成物の全ピーク面積は、クライゼンエノールエーテル前駆体および18aのピークを合計することにより求めた。これらは同じHPLC応答因子を有すると考えられた。定量的HPLC分析により純度69%が示され、これは5.626gの18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47に相当する(32からの18aの収率80%):
【0296】
実施例29.
化合物31の調製
手順A:18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47の粗混合物(13.636g、24.989mmol)、o-キシレン(75.0mL)、および水素化カルシウム(0.334g、7.93mmol)を乾燥した250mL丸底フラスコ内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機を取り付け、145℃に加熱した。3時間後、一定量を取り出し、HPLCにより分析したところ、31 93%、32 1%、クライゼンエノールエーテル前駆体47 3%、および副生成物4%が示された。反応混合物を室温まで冷却し、セライトを通してろ過し、o-キシレン(50.0mL)で洗浄した。粗生成物を減圧濃縮し、琥珀色の油状物として回収した(11.525g)。定量的HPLC分析により純度86%が示され、これは9.9115gのクライゼン生成物に相当する(31およびクライゼンエノールエーテル前駆体47の混合物からの収率80%)。
【0297】
手順B:18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47の粗混合物(2.700g、4.948mmol)、トルエン(15.0mL)、および水素化カルシウム(0.0704g、1.67mmol)を乾燥したフィッシャー-ポーター容器内で混合した。反応フラスコをN2でパージし、磁気撹拌機を取り付け、145℃に加熱した。10時間後、一定量のHPLC分析により、クライゼン生成物31 90.9%、クライゼンエノールエーテル前駆体47 2.8%、18a 1.3%、および副生成物5%が示された。次いでトルエン(30.0mL)を加え、混合物をセライトを通してろ過した。ろ液を減圧濃縮して、粗生成物を琥珀色の油状物として得た(2.6563g)。定量的HPLC分析により純度82%が示され、これは2.1782gのクライゼン生成物31に相当する(18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47の混合物からの収率93%)。
【0298】
手順C:精製した18a(0.228g、0.417mmol)を100mL丸底フラスコに加えた。反応フラスコをクーゲルロール装置に入れ、100mtorrまで減圧した。1時間後、装置を40℃に加温した。さらに15分後、装置を145℃に加熱した。1時間後、装置を室温まで冷却して濃色油状物を得た(0.171g)。HPLC分析により、クライゼン生成物31 88%、クライゼンエノールエーテル前駆体47 3%、18a 3%、および副生成物6%が示された。これは18aからの収率81%に相当する。定量的HPLCは行わなかった。
【0299】
特徴づけのために、残渣の一部をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc/ヘキサンで溶出)で精製し、減圧濃縮し、所望の生成物を琥珀色の油状物として回収した:
【0300】
クライゼン生成物31を生成する他の反応
アセタールの他の反応のための一般的手順:典型的反応において、精製したアール18aを溶媒、塩基および水除去剤と混合し(示している場合)、加熱する。ゼオライトおよびモレキュラーシーブスを300℃で活性化する。報告した変換はHPLCデータの31と18aのピーク面積に基づいている。報告した収率はHPLCデータの生成物と副生成物のピーク面積に基づいている。結果の概要を以下に示す。
【0301】
アセタール18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体47を生成する他の反応
一般的手順:典型的反応において、スルホンアルデヒド32を3-ブテン-2-オール(約5から約50当量)、示した溶媒および酸供給源と混合する。示している場合には、4Aモレキュラーシーブス(50重量%)、およびオルトギ酸トリメチル(TMOF、1.2当量)を反応フラスコに加える。溶媒を示していない場合、3-ブテン-2-オールが溶媒である。ゼオライトおよびモレキュラーシーブスを300℃で活性化する。観察される生成物は、LCMSおよびNMRで測定してアセタール18aおよびクライゼンエノールエーテル前駆体の混合物である。報告した変換はHPLCデータの一つまたは複数の生成物と32のピーク面積に基づいている。報告した収率はHPLCデータの生成物と副生成物のピーク面積に基づいている。結果の概要を以下に示す。
【0302】
実施例104.
化合物29の調製
熱エタノール(30mL)中の化合物31(0.434g)の溶液に、37%ホルムアルデヒド(5mL)および20%Pd(OH)2/C触媒(220mg)を加えた。反応混合物を窒素ガス(3×)およびH2(3×)でパージし、60psi、60℃で15時間水素添加した。触媒をろ去し、エタノール(2×20mL)で洗浄した。合わせた洗液およびろ液の溶媒を除去して、粗29を得た(370mg、85%)。エタノールおよび水からの再結晶により分析試料を得た。
【0303】
実施例105.
化合物12cの調製
1L三頸ジャケット付フラスコにバッフル、底部弁、オーバーヘッド撹拌、滴加漏斗、およびNeslab冷却浴を取り付ける。反応器にチオ酢酸カリウム(35g)を加える。反応器に窒素ガスを流し、これにジメチルホルムアミド(DMF、85mL)を加える。180rpmで混合を開始し、浴を18℃に冷却する。反応器に再度窒素ガスを流し、これに化合物53(73.9g)を滴加漏斗から20分かけて加える。滴加中、ポット温度を23℃に維持する。混合物を約23℃から27℃で1時間撹拌する。次いで、混合物に水(80mL)と、続いて酢酸エチル(100mL)を加える。混合物を20分間撹拌する。層を分離させ、水層を排出する。ポットに水(50mL)を追加し、混合物を15分間撹拌する。層を分離し、水層を排出する。次いで、ポットに食塩水(50mL)を加え、混合物をさらに15分間撹拌する。層を分離し、水層を除去する。有機層を47℃で減圧(水流吸引器圧)濃縮して、橙色油状物の化合物12cを得る(68.0g)。
【0304】
実施例106.
ジエチルアセタール化合物12dの調製
250mL三頸丸底フラスコにオーバーヘッド撹拌機、テフロンコーティング温度プローブ、および分液漏斗を取り付ける。フラスコに化合物12c(78g)およびエタノール(200mL)を加える。反応器に窒素ガスを流し、これにオルトギ酸トリエチル(60mL)を加える。次いで、フラスコにp-トルエンスルホン酸(4g)を加える。混合物を室温で16時間撹拌する。次いで、混合物を減圧濃縮し、フラスコに酢酸エチル(100mL)を加える。次に、水(50mL)中の炭酸水素ナトリウム(1.7g)を加える。混合物を3分間撹拌する。層を分離させ、水層を排出する。有機層を硫酸ナトリウムのパッドを通してろ過し、有機層を減圧(水流吸引器圧)濃縮して、橙色油状物の化合物12dを得る(96.42g)。
【0305】
実施例107.
ジエチルアセタール化合物67の調製
0.5L三頸ジャケット付フラスコにバッフル、底部弁、オーバーヘッド撹拌機、滴加漏斗、窒素注入口、シリコンオイルバブラー、テフロンコーティング温度プローブ、およびPolyScience冷却/加熱浴を取り付ける。フラスコに化合物33(48.85g)を加える。フラスコに窒素ガスを流し、これにDMF(75mL)を加える。混合物に窒素ガスを再度流し、撹拌を開始する。ジャケット温を40℃に設定し、フラスコに化合物12d(56.13g)を加える。撹拌を30分間続け、混合物に50%NaOH水溶液(28mL)を滴加漏斗から120分かけてゆっくり加える。ジャケット温を40℃に維持しながら、混合物を3時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、混合物を15時間(終夜)撹拌する。次いで、ジャケット温を5℃に調節し、混合物に水(300mL)をゆっくり加える。反応は発熱反応である。二相性混合物を分液漏斗に移し、混合物を酢酸エチル(2×150mL)で抽出する。層を30分間分離させ、水層を排出した。酢酸エチル層を合わせる。合わせた酢酸エチル混合物を水400mLおよび100mLで逐次抽出する。層が30分以内に容易に分離しない場合には、混合物に食塩水(50mL)を加えて層の分離を助けてもよい。水層を排出する。次いで、酢酸エチル層を食塩水(100mL)で抽出する。次いで、酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固体を活性炭/Supercel Hyflowのプラグを通してろ去する。ろ液を減圧濃縮し、減圧下で18時間乾燥して、橙褐色粘稠油状物(化合物67、91.98g)を得る。
【0306】
実施例108.
ジエチルアセタール化合物67の1-(2,2-ジブチル-3-オキソプロピルスルホニル)-2-((4-メトキシフェニル)メチル)ベンゼン(29)への変換
化合物67(36mgを酢酸エチル122mLに溶解)、酢酸(300mL)、37重量%ホルムアルデヒド(27.3g)、および水(50mL)を、Parr振盪機内の500mL一頸丸底フラスコに加える。混合物に5%Pd/C(7.4mg、乾燥、Johnson Mathey)を加える。反応器を窒素ガスで3回パージし、次いで水素ガスで3回パージする。反応器を60psiまで加圧し、60℃に加熱する。温度および圧を16時間維持し、その後反応器を室温まで冷却する。反応混合物をcoarse溶融ガラスフィルター上のsolka flockのパッドを通してろ過する。ケークを酢酸(40mL)で2回洗浄し、減圧下で濃縮乾固する。固体をエタノール(100mL)と混合し、すべての固体が溶解するまで80℃に加熱する。これに水道水(20mL)を加えて、均質な溶液とする。混合物を室温まで冷却し、これに酢酸エチル(3mL)を加える。白色スラリーが生成する。スラリーを均質な溶液になるまで60℃に加熱する。混合物を室温まで冷却し、2時間放置する。この間に化合物29が結晶化する。固体を粗溶融ガラスフィルターを通してろ過する。ケークを20体積%エタノール/水溶液(40mL)で2回洗浄する。ケークを減圧乾燥器内40〜50℃で重量低下が認められなくなるまで乾燥する。
【0307】
実施例109.
2-(アセチルチオメチル)-2-ブチル-4-ヘキセナールエチレングリコールアセタール、74の調製
【0308】
段階 1. 2-( アセチルチオメチル ) ヘキサナール、 72 の調製
1L三頸丸底フラスコに磁気撹拌子、窒素注入口、温度モニターに連結した温度計プローブ、50mL滴加漏斗、および氷水浴を取り付ける。フラスコにチオール酢酸(37.0mL)を加え、フラスコ内容物を氷水浴中で0〜5℃に冷却する。次いで、フラスコにブチルアクロレイン(69.0mL)を滴加漏斗から2分かけて加える。温度は最高約21℃まで上昇する。次いで、反応混合物を約10℃まで冷却し、フラスコにトリエチルアミン(0.72mL)を加える。温度は約1分以内に約57℃に上昇する。温度が約15℃に下がるまで撹拌を続ける。得られた生成混合物は化合物72を含む。
【0309】
段階 2. 2-( アセチルチオメチル )-2- ブチル -4- ヘキセナール、 73 の調製
本実施例の段階1の器具に、ディーンスタークトラップおよび冷水冷却器をさらに取り付ける。段階1の生成混合物を含む反応フラスコに、3-ブテン-2-オール(50.0mL)、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.987g)、およびトルエン(600mL)をさらに加える。混合物を撹拌しながら約105〜110℃で約24時間加熱する。この間に、水ならびにいくらかの3-ブテン-2-オールおよびトルエンがディーンスタークトラップに回収される。それ以上水が蒸留されなくなれば、反応は完了である。望まれる場合には、さらに0.5当量の3-ブテン-2-オールをフラスコに加えて、蒸留による損失を補うこともできる。混合物を室温まで冷却する。得られたアルデヒド混合物は化合物73を含む。
【0310】
段階 3. 2-( アセチルチオメチル )-2- ブチル -4- ヘキセナールエチレングリコールアセタール、 74 の調製
本実施例の段階2の器具および得られたアルデヒド混合物に、エチレングリコール(31.0mL)をさらに加える。混合物を撹拌しながら105〜110℃で2時間加熱する。この間に、水およびトルエンがディーンスタークトラップに回収される。それ以上水が蒸留されなくなれば、反応は完了である。混合物を室温まで冷却し、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)、水(100mL)、および食塩水(100mL)で逐次洗浄する。溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発により除去する。化合物74の収量は149gである。
【0311】
実施例110.
化合物67の調製
【0312】
段階 1. 2-( アセチルチオメチル )-2- ブチル -4- ヘキセナールジエチルアセタール、 75 の調製
250mL三頚丸底フラスコに、オーバーヘッド撹拌機、テフロンコーティング温度プローブ、および分液漏斗を取り付ける。フラスコに化合物74(78g)およびエタノール(200mL)を加える。反応器に窒素ガスを流し、これにオルトギ酸トリエチル(60mL)を加える。次いで、フラスコにp-トルエンスルホン酸(4g)を加える。混合物を室温で16時間撹拌する。次いで、混合物を減圧濃縮し、フラスコに酢酸エチル(100mL)を加える。次に、水(50mL)中の炭酸水素ナトリウム(1.7g)を加える。混合物を3分間撹拌する。層を分離させ、水層を排出する。有機層を硫酸ナトリウムのパッドを通してろ過し、有機層を減圧(水流吸引器圧)濃縮して化合物75を得る。
【0313】
段階 2. 2- ブチル -2-( チオメチル ) ヘキサナールジエチルアセタール、 76 の調製
500mL三頚丸底フラスコに冷却器、磁気撹拌子、窒素注入口、温度制御装置に連結された熱電対、およびマントルヒーターを取り付ける。フラスコに窒素ガスをパージし、化合物75(19.2g)、N-メチルピロリドン(NMP、96mL)、p-トルエンスルホニルヒドラジド(28.3g、2.5当量)、およびピペリジン(18mL、3.0当量)を加える。撹拌しながら、混合物を約100℃で2時間加熱する。必要があれば熱を除去することにより、温度を107℃未満に維持する。混合物を室温まで冷却する。生成混合物は化合物76を含む。望まれる場合には、この反応を2.5当量のp-トルエンスルホニルヒドラジドおよび2.5当量のピペリジンを用いて実施することもできる。
【0314】
段階 3. 化合物 67 の調製
本実施例の段階2の装置および生成混合物をこの段階で用いる。段階2の生成混合物を含むフラスコに、化合物33(13.46g)および50重量%NaOH水溶液(11.2mL)を加える。混合物を混合しながら100℃に加熱し、その温度で2.5時間維持する。混合物を室温まで冷却し、フラスコに酢酸エチル(100mL)を加える。この混合物を水(100mL)で洗浄する。水層を分離し、酢酸エチル(100mL)で洗浄する。酢酸エチル層を合わせ、水(13×100mL)および食塩水(2×50mL)で逐次洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで減圧下に除去する。化合物67の収量は帯赤褐色油状物として26gである。
【0315】
実施例111.
示差走査熱量測定(DSC)
DSC実験はPerkin Elmer Pyris 7 Differential Scanning CalorimeterまたはTA Instruments Differential Scanning Calorimeterのいずれかで、蓋に穴を一つ開けた標準のアルミニウム皿(40マイクロリットル)に密封した5〜10mgの試料を用いて実施する。同じ型の空の皿を基準として用いる。加熱速度は乾燥窒素パージしながら10℃/分である。図9は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的DSC温度記録図を示している。
【0316】
実施例112.
X線粉末回折パターン
X線粉末回折実験は2kW通常焦点X線管(銅)を備えたInelθ/θ回折システムで行う。X線散乱データは0から80°の2θから収集する。試料をバルク構造で分析する。データはDellコンピューターでInelのソフトウェアにより収集し、解析する。少なくとも一つの場合、試料をガラス毛細管に入れ、末端を封管して溶媒の損失を防ぐ。毛細管をX線ビーム経路の特定のアダプターに固定し、データを収集した。
【0317】
または、X線回折実験は2kW通常焦点X線管(銅)を備えたSiemens D5000回折システムを含むシステムで行う。システムにはθ-θ試料配向の自動サンプラーシステムが備わっている。データ収集および解析は、MSウィンドウズコンピューターでSiemensの所有ソフトウェアにより実施する。
【0318】
図6は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的X線粉末回折パターンを示している。表1はI型およびII型の顕著なX線粉末回折ピークの比較を示している。
【0319】
【表1】
【0320】
実施例113.
フーリエ変換赤外スペクトル
化合物41のI型およびII型のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルは、装置の試料区画に取り付けたマイクロ-ATR(減衰全反射法)ビームコンデンサー(IBM Corporation)を備えたBio-Rad FTS-45フーリエ変換赤外分光計を用いて得る。分光計の試料区画および光学ベンチは窒素パージ下にある。装置を操作し、スペクトルを収集するために用いるソフトウェアはBio-Radのウィンドウズ98用Win-IRソフトウェアである。スペクトルは8-波数分解能および16走査を用いて得る。
【0321】
少量の試料を5×10×1mm KRS5(IRの分野で一般に用いられる赤外透過物質の一種)ATR結晶の片側に置き、試料が結晶表面にしっかり接触するように、ステンレス製のスパチュラで軽く突き固める。結晶をATRビームコンデンサー内にセットし、試料区画を数分間パージして、水蒸気および二酸化炭素を除去する(これらが存在するとスペクトルの質が低下する)。これは操作卓のスクリーン上で監視することができ、許容できるレベルまで下がれば16走査を収集して干渉図形を得る。試料の分析前に、正常なKRS5結晶をATRアクセサリーにセットし、背景干渉図形を収集する。背景を収集するためのパージ時間および走査数は試料を分析するために用いるものと同じであるべきである。
【0322】
得られた干渉図形のフーリエ変換は自動的に行われ、スペクトルがスクリーン上に現れる。次いで、必要があれば得られたスペクトルを平滑化して基準線を補正し、次いでATRを補正して吸収または透過スペクトルと比較可能なスペクトルを得る。
【0323】
図7は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的FTIRスペクトルを示している。表2はI型およびII型の顕著なFTIRピークの比較を示している。
【0324】
【表2】
【0325】
実施例114.
固体状態炭素-13 NMR解析
固体状態NMR
交差分極マジック角度回転(CPMAS)13C NMRスペクトルをMonsanto製分光計をプロトン共鳴振動数127.0MHzで操作して収集した。試料を二重軸受け回転子システムにおける磁場に関してマジック角度で3kHzの速度で回転させた。CPMAS13C NMRスペクトルを、2-msマッチド、50-kHz 1H-13C 交差分極接触の後に31.9MHzで得た。データ収集中は強力プロトン双極デカップリング(H1(H)=65〜75kHz)を用いた。残存スピニングサイドバンドをTOSS(Total Suppression of Sidebands)法を用いて抑制した。各実験において、I型約219mgおよびII型約142mgを用いる。
【0326】
図8は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的固体状態13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示している。表3はI型およびII型の顕著な固体状態13C NMRピークの比較を示している。
【0327】
【表3】
【0328】
実施例115.
水吸収実験
水吸収実験をDynamic Vapor Sorption(DVS)装置(Surface Measurements Systems, Inc.製のDVS-1000)で実施する。実験はまず、乾燥窒素でパージすることにより、目的物質(試料約10mg)を相対湿度(RH)30%(室温条件)からRH約9%まで段階的様式(RH 10%段階)で、それ以上の重量変化が認められなくなるまで乾燥して、25℃で実施する。次いで、試料をRH約0から約90%までのRHの段階的(RH 10%段階)上昇に曝露する。それぞれ連続する段階は、その相対湿度での重量の経時変化が0.0003%((dm/dt)/m0×100、ただしmは質量(mg)、m0は初期質量、およびtは時間(分)である)未満となった時点で開始する。次いで、試料に段階的RH%上昇の逆を行う。データをコンピューターで収集し、SMSの所有MS-エクセルマクロインターフェースソフトウェアを用いて解析する。図10は、化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の吸水等温線結果を示している。表4は25℃でのI型およびII型の水吸収および脱着等温線の比較を示している。
【0329】
【表4】
【0330】
本明細書における実施例は、前述の実施例で用いた反応物および/または操作条件の代わりに、本発明の一般にもしくは特別に記載された反応物および/または操作条件を用いることにより実施することができる。
【0331】
実施例116.
A. 化学反応図:
【0332】
B. 材料
【表5】
この再結晶手順は、凝集や溶媒および不純物の同伴を最小限に抑えるため、結晶の核生成および成長を特に制御している。
【0333】
C. 段階的説明:
用いる器具:撹拌機、窒素注入口、冷却器、熱電対およびテフロンパドル撹拌機を備えた1000mL四頸ジャケット付Ace反応器。再結晶中を通して、空気が系内に入らないように する。また、必要な時間以上、高温で維持しない。これは結晶化によって除去することができない極性不純物の生成を避けるためである。
1. フラスコを窒素でパージする。
2. 41(未精製)を加える。
3. DABCOを加える。
4. フラスコを窒素でパージする。
5. MEK(溶解用)を加える。注:スラリーが生じる。
6. 水(溶解用)を加える。
7. 澄明な溶液が得られるまで撹拌する。注:実験室レベルでは約2〜3分かかる。プラントレベルで清澄ろ過が必要であれば、ここでその段階を組み込む。
8. バッチを65℃に加熱する。注:バッチが混濁することがある。
9. MEK(水を5%にするため)を加える。注:MEKはバッチ温度が65℃に維持されるような速度で加える。
10. バッチを65℃で1時間維持する。注:バッチが結晶化/混濁することがある。この時点でバッチが過飽和になることはほとんどない。バッチが澄明溶液であっても次の段階に進む。
11. MEK(水を2%にするため)を少なくとも2時間かけて加える。注:添加速度が重要である。添加速度が速いと凝集結晶を生じることがある。MEK添加をこのように分割する(段階9および段階10)ことで、次の添加前に系を完全に平衡化(段階9)できることに留意されたい。このようにして、非常に高度の過飽和形成を避けることができる。
12. 65℃で少なくとも30分間維持する。
13. 25℃に冷却する。注:冷却速度は重要ではない。しかし、ジャケット温度を15℃未満にすると、収率低下が起こることがあるため、これは使用しない。溶解性は実は低温の方が高いことに留意されたい。
14. 25℃で少なくとも30分間維持する。
15. ろ過し、ケークをMEKで洗浄する。
16. 固体を減圧下、80℃で乾燥する。
【0334】
結晶化収率は約90%である。乾燥固体中のMEKは典型的に<0.3%で、トルエンは通常検出されないレベルである。検定値は典型的に>99%である。MEK、トルエンはGCで、および/または検定値はHPLCで測定する。下記の実施例120参照。
【0335】
実施例117
実施例116の手順(DABCOを用いて、または用いずに)を実験室で繰り返した(用いた反応器サイズは250mlから100mlの範囲で、実験スケールは12〜18g)。パイロットプラントでも、これらより大量のパイロットプラントスケールで行った。パイロットプラントスケール用の材料の量は約18kgである(反応器サイズは100ガロン反応器から350ガロン反応器の範囲)。
【0336】
【表6】
【0337】
実施例118
化合物41をMEK/DI水溶媒系から再結晶化するために、実施例116に記載のものと同じ手順を用いた。しかし、段階11のMEK添加速度を変動させた。そのような試験の結果を下記の表8に示す。
【0338】
【表7】
【0339】
実施例119
脱塩手順
下記は再結晶化する化合物中に存在しうるいかなる過剰の塩も除去するための例示的脱塩手順である。選択的に、本明細書に記載の脱塩手順は前述の再結晶手順の前に行うべきである。理論に縛られることはないが、下記のイオン交換反応スキームが化合物41、61、1、71、63、3、および64からの過剰の塩除去に関与すると考えられる:
【0340】
反応スキーム
Na+Cl-+OH-(陰イオン樹脂)++H+(陽イオン樹脂)-→
Na+(陽イオン樹脂)-+Cl-(陰イオン樹脂)++H2O
【0341】
材料
【表8】
【0342】
段階的実験室脱塩手順(例えば塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの除去)
1)1L反応器を窒素で徹底的にパージする。
2)反応器に41(50g)、樹脂(48〜50%LOD)(ロットK1Aの場合は40g、またはK1Bの場合は35g)を加える。窒素による徹底的なパージの後。反応器にMEK(423g)およびDI水(27g)を加える。
3)反応器を窒素雰囲気下、25℃で1時間撹拌し、断熱温度上昇は約3℃である。pHは速やかに上昇し、次いでゆっくり低下して約30分で約7〜9の平衡に達する。41または樹脂で調節して、pHを6〜10の間、好ましくは8〜9の間に維持する。調節のための添加がすべて終了後、30分間撹拌する。
4)スラリーを窒素雰囲気下でろ過する。樹脂は洗浄せずに廃棄する。
5)ろ液を18〜20''の減圧下でホールドアップなしに蒸留する。沸点は約33〜43℃である。
6)約250gのMEKを蒸留した後、同量の新しいMEKを加える。
7)さらに250gの留出物を集めた後、IPC試料をKF分析のために採取する。水の量が<1.5%であれば、蒸留を停止して8)に進む。水の量が>1.5%であれば、水濃度が1.5%以下に達するまでMEK添加および蒸留手順を繰り返す。二回目の蒸留中に結晶が現れ始めるべきである。スラリーの扱いを容易にするため、スラリー中の固体濃度を20〜30%に維持するようつとめる。
8)スラリーを20〜25℃に冷却し、ろ過する。ケークをその1から3倍量のMEKで洗浄し、28''の減圧下、90℃で乾燥する。
【0343】
実験結果
前述の脱塩手順の例示的実験結果を下記の表10に示す。
【0344】
【表9】
【0345】
実施例120
2. HPLCによる検定
2.1. 試薬
a. アセトニトリル(ACN)、HPLC等級以上の純度
b. 水(H2O)、 HPLC等級以上の純度
c. 過塩素酸、70%
d. 化合物(41)、参考標準
【0346】
2.2. バルク溶液の調製
a. 試料希釈液:試料希釈液各1Lに対し、水500mLとアセトニトリル500mLを混合する。この溶液は周囲条件で3ヶ月まで保存することができる。
b. 移動相(水相):HPLC等級の水各1Lに過塩素酸1.0mLを加え、よく混合する。この溶液は周囲条件で1ヶ月まで保存することができる。
【0347】
2.3. 標準/標準チェック標準の調製
二つ同じように、(41)参考標準(約30.2mg)を100mLメスフラスコに正確に量り込む。試料希釈液で溶解し、一定容量まで希釈する。これらはSTD-1およびCHECK-STDで、約0.30mg/mLを含む。これらは周囲条件で1週間まで保存することができる。
【0348】
2.5. 感度標準の調製
(41)標準溶液(上でSTD-1として調製)を試料希釈液でl.d.から50.0mLまで、および1.0から50.0mLまで連続希釈する。この溶液は周囲条件で1週間まで保存することができる。
【0349】
2.6. 試料の調製
三つ同じように、(41)試料(約30±2mg)を100mLメスフラスコに正確に量り込む。試料希釈液で溶解し、一定容量まで希釈する。これらは周囲条件で1週間まで保存することができる。
【0350】
2.7. 推奨クロマトグラフィ条件
カラム:Waters Xterra RP8 150×内径4.6mm 粒径3.5[im
カラム温度:50℃
オートサンプラー温度:室温
勾配プログラム:
流速:1.0ml/分
注入量:15μl
検出:UV 0 226nn
フルスケール範囲:2AU(吸光度単位)
実行時間:65分
注:同じ勾配にすることができるならば、溶離剤を事前混合してもよい。
【0351】
2.8. 分析手順
a, カラムを70%ACN勾配組成物により1.0mt.f分で約20分間と、次いで初期勾配条件で約20分間または安定な規準線が得られるまで平衡化する。
b. STD-1を分析実行中少なくとも6回注入する。CHECK-STDを実行開始付近で1回注入する。試料希釈液を実行開始付近で2回と、実行終了時に1回注入する。感度標準を一連の標準注入の前に毎回注入し、実行中最低3回の注入を行う。試料の注入はSTD-1および感度標準の最初と最後の注入の間に行うべきである。長い実行に対しては、注入9〜12回ごとにSTD-1および感度標準の追加注入を行う。
c. 典型的注入順序
希釈液
感度標準
STD-1
STD-1
STD-1
CHECK-STD
試料1〜12
希釈液
感度標準
STD-1
試料13〜24
希釈液
感度標準
STD-1
STD-1
d. 試料分析が完了したら、系を50150 ACN/水により流速1mU分で少なくとも30分間洗浄する。
【0352】
2.9. 計算
系の適合性
a. STD-1注入におけるSri-(41)ピークのピーク面積応答のRSDが<_0.7であることを確認する。<_0.7でなければ、系の成分の操作をチェックする、および/または新しい標準を調製して、検定を繰り返す。
b. チェック標準の計算を行う。チェック標準の結果が98〜102%となることを確認する。
c. 感度標準が回収率80〜120%となることを確認する。この計算には力価因子は適用しない。
d. マーカー混合物注入において下記の化合物が保持時間ウィンドウ内で溶出されることを確認する。
【0353】
2.10. 検定値の決定
a. 下記の等式を用い、STD-1の全注入を用いた平均応答因子を計算する:
式中:
R;=注入#iのSTD-1のピーク面積応答
C=STD-1の濃度(ug/mL)
n=分析した標準注入数
b. 下記の等式を用いて(41)の検定値%を計算する:
式中:
R,=試料のピーク面積応答
Vx=希釈体積(mL)
Rf,=STD-1で得られた応答因子
Wx=試料重量(gg)
PP=標準の力価因子。>99%であれば使用しない。
100=パーセントへの変換
個々の値、平均および標準偏差を小数点以下第1位まで報告する。
【0354】
10. 有機揮発性不純物
(GCによる溶媒)
10.1. 試薬(ACS試薬等級または等価物)
a. 2-ブタノン(メチルエチルケトン、MEK)
b. トルエン
c. ジメチルアセトアミド(DMAC)
d. ジメチルスルホキシド(DMSO)
【0355】
10.2. 標準の調製
a. 保存液-A:ガラス製メスピペットを用い、MEK(5ml)と、トルエンおよびDMAC(各1mL)を、約50mLのDIMSOを含む100mLメスフラスコに移す。DMSOで一定容量に希釈し、よく混合する。MEK、トルエン、およびDMACの濃度はそれぞれ40,270pglmL、8669t,gfmLおよび9370gghnLとなる。
b. 保存液-B:保存液-A(5mL)を、約100mLのDMSOを含む250mLメスフラスコにピペットで量り込む。一定容量に希釈し、よく混合する。MEK、トルエン、およびDMACの濃度はそれぞれ805.41.tg/mL、173.38pglmLおよび187.4gg/mLとなる。
c. 標準:保存液-B(25mL)を、約100mLのDMSOを含む250mLメスフラスコにピペットで量り込む。DMSOで一定容量に希釈し、よく混合する。MEK、トルエン、およびDMACの濃度はそれぞれ80.54pgImL、17.3 17.338Itg/mLおよび18.74pgImLとなる。この溶液は周囲条件で4日まで保存することができる。
d. 感度標準:標準(6mL)を、25mLのDMSOを含む50mLメスフラスコにピペットで正確に量り込む。DMSOで一定容量に希釈し、よく混合する。LOQ(定量限界)濃度は下記のとおりである:
e. ガラス製メスピペットを用い、標準(8mL)を5つ以上のヘッドスペースバイアルに移し(実際の数は分析する試料の数によって異なる)、ただちにバイアルを密封する。注入中の標準溶液とヘッドスペースニードルとの接触を最小限にするために、標準と隔壁との接触を避けるように注意する。
1CRC Handbook of Chemistry and physics, 70'h版から得た濃度値
2濃度値を用いて体積体積希釈を重量体積濃度(ppm)に変換した。試料濃度をDMSO 1mLあたり20mgと仮定して、(41)薬物中のSTD1濃度を1VIEK 4027ppm(0.4%)、トルエン867ppm(0.087%)、およびDMAC 937ppm(0.094%)に変換した。
【0356】
10.3. 試料の調製
a. 三つ同じように、試料(約500mg)を25mLメスフラスコに正確に量り込む。これらの各フラスコにDMSO(約20mL)を加え、超音波処理して溶解を助ける。フラスコを平衡化し、DMSOで一定容量まで希釈し、よく混合する。ガラス製メスピペットを用い、各試料溶液(8mL)をヘッドスペースバイアルに移し、ただちにバイアルを密封する。試料溶液は周囲条件で4日まで保存することができる。
b. DMSOブランク:分析する試料の数に応じて、DMSO(8mL)をガラス製メスピペットを用いてヘッドスペースバイアルに移し、ただちにバイアルを密封する。
【0357】
10.4. 推奨ガスクロマトグラフィ条件
装置:Hewlett-Packard 5890ガスクロマトグラフまたは同等のもの
カラム:Reatek RTX-5 Amine(塩基非活性化5%フェニル95%メチルポリシロキサンカラム)、30m×0.32mm、プレ膜厚1.5
ガードカラム:なし
検出:水素炎イオン化
ガス:He
カラム流量:4mU分
ヘッド圧:約15.4psi
立ち上げ:30mL/分
水素 30mL/nzinute
空気 300niL/分
注入器温度:190℃
注入量:ヘッドスペース
注入:スプリット
スプリット流量約90mL/分
検出器温度:280℃
オーブン温度:初期温度:40℃
初期時間:3分
速度:12℃l分
最終温度:244℃
最終時間:0分
平衡化時間:0.5分
実行時間:20分
注:GC注入口は内径0.1mmまたは0.2mmの非活性化スプリット注入口ライナー、好ましくは0.1mmのものを有するべきである。
【0358】
10.5. 推奨ヘッドスペース条件
装置:PE HS-40または同等のもの
ヘリウムバイアル圧:30psi
サンプリング温度:130℃
ニードル温度:140℃
トランスファーライン温度:170℃
GCサイクル時間:35分
サーモスタット時間:60分
加圧時間:1.5分
注入時間:0.07分
ニードル引き抜き時間:1.0分
バイアルシェーカー:オン
試料量:8mL
【0359】
10.6. 分析手順
a, 前述の初期条件下で30分間または安定な規準線が得られるまで平衡化する。
b. DMSOブランクを実行開始時に2回と終了時に1回、さらに標準と試料との間および異なる試料の間に注入する。標準を実行開始時のブランクの後に3回と、終了時に1回注入する。試料の注入は標準と一緒に行うべきである。少なくとも4回のSTD-1注入と、実行の長さが4試料を超える場合には、9〜12回の注入ごとに続いてSTD-1注入を追加で行う。注入順序の開始付近、真ん中、および終了時に感度標準を注入する。
【0360】
10.7. 系の適合性
a. 標準溶媒ピークの保持時間に著しい干渉がないことを確認する。
b. STDの全ての注入における各溶媒のRSD%が55%であることを確認する。
c. 感度標準の注入における各溶媒について、各溶媒の見かけの回収率がb0〜140%であることを確認する。各溶媒について20%のRSD 5であることを確認する。
【0361】
10.8. 計算
標準および試料における各溶媒のピーク面積応答を正確に求める。下記の等式を用いて各溶媒の量を計算する:
式中:
S=溶媒濃度、ppm(薬物のuglg)
RX=試料注入における溶媒のピーク面積応答
V=試料の希釈量、mL
Rf,=STD-1における溶媒の平均応答因子
W=試料の重量、mg
1000=ppmへの変換
重複測定の一測定値、平均、および標準偏差をppmの単位で整数値で報告する。すべての溶媒について報告する。下記の表の定量限界を用いて、重複測定の個々の測定値について、それぞれのLOQ以上のものを報告する。検出されたが、LOQ未満の測定値については、<Xと報告する。XがそれぞれのLOQに等しい場合。検出されないか、または溶媒がLOD未満で存在する場合、NDと報告する。各溶媒について、各測定値z LOQを平均し、平均値を整数で報告する。測定値がLOQとLODとの間であり、LOQである測定値がない場合、平均は<LOQと報告する。
*(41)薬物1gあたりμg
【0362】
本発明をこのように記載してきたが、本発明は多くの様式で変動しうることは明らかである。そのような変動は本発明の趣旨および範囲からの逸脱であると考えるべきではなく、すべてのそのような改変および等価物は、当業者には明白であるとおり、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0363】
【図1】置換プロピオンアルデヒド化合物12を調製することができる全プロセスを示す図である。
【図1a】ニトロスルフィドアセタール化合物67を調製することができ、かつ化合物67を用いて化合物29を生成することができる、典型的な全プロセスを示す図である。
【図2】本発明の方法を用いて2,2-ジブチル-3-ブロモプロピオンアルデヒドを調製することができるプロセスを示す図である。
【図3】ベンジルアンモニウム化合物1調製の全プロセスを示す図である。
【図4】ジフェニルメタン化合物11調製の全プロセスを示す図である。
【図5】鏡像異性的に純度が高いテトラヒドロベンゾチエピンオキシド24(例えば(4R,5R)-24)を本発明の方法との組み合わせで用いて、鏡像異性的に純度が高いベンジルアンモニウム化合物を調製することができる方法を示す図である。
【図6】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的X線粉末回折パターンを示す図である。横軸の値は2θの角度である。
【図7】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す図である。横軸の値はcm-1である。
【図8】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的固体状態炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。横軸の値はppmである。
【図9】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の典型的示差走査熱量測定プロフィールを示す図である。
【図10】化合物41のI型(プロット(a))およびII型(プロット(b))の吸水等温線を示す図である。
【図11】本発明の一態様に従って再結晶化する前の、実施例117および表6に記載の凝集結晶の写真を示す図である。
【図12】本発明の一態様に従って再結晶化した後に生じた、実施例117および表6に記載の非凝集単結晶の写真を示す図である。
【図13】本発明の一態様に従って再結晶化する前の、実施例117および表6に記載の凝集結晶の走査電顕画像を示す図である。
【図14】本発明の一態様に従って再結晶化した後に生じた、実施例117および表6に記載の非凝集単結晶の走査電顕画像を示す図である。
Claims (189)
- 水混和性溶媒がケトン、アセトニトリル、フラン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項3記載のプロセス。
- ケトンがアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項4記載のプロセス。
- 溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項5記載のプロセス。
- 溶媒系がMEKおよび水を含む、請求項5記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がアセトニトリルを含む、請求項4記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項4記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が式(41)の化合物を溶媒系に溶解する段階を含む、請求項3記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約4体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項7記載のプロセス。
- 調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を該溶媒系の全量に基づき約0.5体積%から約3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項7記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約3体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項9記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を該溶媒系の全量に基づき約1体積%から約2.5体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項12記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を該溶媒系の全量に基づき約1.5体積%から約2.3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項14記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を該溶媒系の全量に基づき約1.8体積%から約2体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項15記載のプロセス。
- 段階(b)において、式(41)の化合物の単結晶の形成を促進するのに十分な少なくとも一つの種結晶を、溶媒系に加える段階(b')をさらに含む、請求項3記載のプロセス。
- 段階(a)および(b)の少なくとも一つにおいて、式(41)の化合物1モルあたり、DABCO、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせからなる群より選択されるメンバー10モル%を、溶媒系に加える段階(a')をさらに含む、請求項3記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(a)中に行う、請求項18記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(b)中に行う、請求項18記載のプロセス。
- 結晶体が式(41)の化合物の本質的に非吸湿性の単結晶II型である、請求項3記載のプロセス。
- 不純物が、式(41)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき1重量%未満のMEKを含む、請求項7記載のプロセス。
- 不純物が、式(41)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.01重量%未満のトルエンを含む、請求項22記載のプロセス。
- 不純物が、式(41)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.004重量%未満のトルエンを含む、請求項23記載のプロセス。
- 選択的分離段階(c)が、段階(b)において形成された化合物(41)の単結晶を溶媒系からろ過する段階を含む、請求項3記載のプロセス。
- 請求項3記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 請求項21記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 式(60)で表される化合物:
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたはそれ以上のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
X-およびA-は薬学的に許容される陰イオンであり、Mは薬学的に許容される陽イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(60)を、水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;ならびに
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を、該溶媒系から該化合物(60)の実質的単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階
を含むプロセス。 - 式(60)で表される化合物:
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたは複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
X-およびA-は薬学的に許容される陰イオンであり、Mは薬学的に許容される陽イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(60)を、水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を、該溶媒系から該化合物(60)の実質的単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階;ならびに
(c)該単結晶を該溶媒系から分離する段階
を含むプロセス。 - 式(60)で表される化合物:
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたは複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
X-およびA-は薬学的に許容される陰イオンであり、Mは薬学的に許容される陽イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(60)を、一定の濃度の水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を該溶媒系から該化合物(60)の単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階;ならびに
(c)選択的に、該単結晶を該溶媒系から分離し、選択的に乾燥する段階
を含むプロセス。 - 水混和性溶媒がケトン、アセトニトリル、フラン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項30記載のプロセス。
- ケトンがアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項31記載のプロセス。
- 溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項32記載のプロセス。
- 溶媒系がMEKおよび水を含む、請求項32記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がアセトニトリルを含む、請求項31記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項31記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、式(60)の化合物を溶媒系に溶解する段階を含む、請求項30記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約4体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項34記載のプロセス。
- 調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約0.5体積%から約3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項34記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約3体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項36記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1体積%から約2.5体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項39記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.5体積%から約2.3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項41記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.8体積%から約2体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項42記載のプロセス。
- 段階(b)において、式(60)の化合物の単結晶形成を促進するのに十分な少なくとも一つの種結晶を、溶媒系に加える段階(b')をさらに含む、請求項30記載のプロセス。
- 段階(a)および(b)の少なくとも一つにおいて、式(60)の化合物1モルあたり、DABCO、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせからなる群より選択されるメンバー10モル%を、溶媒系に加える段階(a')をさらに含む、請求項30記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(a)中に行う、請求項45記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(b)中に行う、請求項45記載のプロセス。
- 結晶体が式(60)の化合物の本質的に非吸湿性の単結晶II型である、請求項30記載のプロセス。
- 不純物が、式(60)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき1重量%未満のMEKを含む、請求項34記載のプロセス。
- 不純物が、式(60)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.01重量%未満のトルエンを含む、請求項49記載のプロセス。
- 不純物が、式(60)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.004重量%未満のトルエンを含む、請求項50記載のプロセス。
- 選択的分離段階(c)が、段階(b)において形成された化合物(60)の単結晶を溶媒系からろ過する段階を含む、請求項30記載のプロセス。
- 請求項30記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 請求項48記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 式(1)で表される化合物:
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたはそれ以上のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;かつ
X-は薬学的に許容される陰イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(1)を、水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;ならびに
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を、該溶媒系から該化合物(1)の実質的単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階
を含むプロセス。 - 式(1)で表される化合物:
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたはそれ以上のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;かつ
X-は薬学的に許容される陰イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(1)を水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を該溶媒系から該化合物(1)の実質的単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階;ならびに
(c)該単結晶を該溶媒系から分離する段階
を含むプロセス。 - 式(1)で表される化合物:
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;かつ
X-は薬学的に許容される陰イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(1)を、一定の濃度の水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を、該溶媒系から該化合物(1)の単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階;ならびに
(c)選択的に、該単結晶を該溶媒系から分離し、選択的に乾燥する段階
を含むプロセス。 - 水混和性溶媒がケトン、アセトニトリル、フラン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項57記載のプロセス。
- ケトンがアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項58記載のプロセス。
- 溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項59記載のプロセス。
- 溶媒系がMEKおよび水を含む、請求項59記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がアセトニトリルを含む、請求項58記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項58記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が式(1)の化合物を溶媒系に溶解する段階を含む、請求項57記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約4体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項61記載のプロセス。
- 調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約0.5体積%から約3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項61記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約3体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項63記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1体積%から約2.5体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項66記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.5体積%から約2.3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項68記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.8体積%から約2体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項69記載のプロセス。
- 段階(b)において、式(1)の化合物の単結晶形成を促進するのに十分な少なくとも一つの種結晶を、溶媒系に加える段階(b')をさらに含む、請求項57記載のプロセス。
- 段階(a)および(b)の少なくとも一つにおいて、式(1)の化合物1モルあたり、DABCO、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせからなる群より選択されるメンバー10モル%を、溶媒系に加える段階(a')をさらに含む、請求項57記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(a)中に行う、請求項72記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(b)中に行う、請求項72記載のプロセス。
- 結晶体が式(1)の化合物の本質的に非吸湿性の単結晶II型である、請求項57記載のプロセス。
- 不純物が、式(1)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき1重量%未満のMEKを含む、請求項61記載のプロセス。
- 不純物が、式(1)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.01重量%未満のトルエンを含む、請求項76記載のプロセス。
- 不純物が、式(1)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.004重量%未満のトルエンを含む、請求項77記載のプロセス。
- 選択的分離段階(c)が、段階(b)において形成された化合物(1)の単結晶を溶媒系からろ過する段階を含む、請求項57記載のプロセス。
- 請求項57記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 請求項75記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 水混和性溶媒がケトン、アセトニトリル、フラン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項84記載のプロセス。
- ケトンがアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項85記載のプロセス。
- 溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項86記載のプロセス。
- 溶媒系がMEKおよび水を含む、請求項86記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がアセトニトリルを含む、請求項85記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項85記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が式(71)の化合物を溶媒系に溶解する段階を含む、請求項84記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約4体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項88記載のプロセス。
- 調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約0.5体積%から約3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項88記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約3体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項90記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1体積%から約2.5体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項93記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.5体積%から約2.3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項95記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.8体積%から約2体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項96記載のプロセス。
- 段階(b)において、式(71)の化合物の単結晶形成を促進するのに十分な少なくとも一つの種結晶を、溶媒系に加える段階(b')をさらに含む、請求項84記載のプロセス。
- 段階(a)および(b)の少なくとも一つにおいて、式(71)の化合物1モルあたり、DABCO、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせからなる群より選択されるメンバー10モル%を、溶媒系に加える段階(a')をさらに含む、請求項84記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(a)中に行う、請求項99記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(b)中に行う、請求項99記載のプロセス。
- 結晶体が式(71)の化合物の本質的に非吸湿性の単結晶II型である、請求項84記載のプロセス。
- 不純物が、式(71)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき1重量%未満のMEKを含む、請求項88記載のプロセス。
- 不純物が、式(71)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.01重量%未満のトルエンを含む、請求項103記載のプロセス。
- 不純物が、式(71)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.004重量%未満のトルエンを含む、請求項104記載のプロセス。
- 選択的分離段階(c)が、段階(b)において形成された化合物(71)の単結晶を溶媒系からろ過する段階を含む、請求項84記載のプロセス。
- 請求項84記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 請求項102記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 式(63)で表される化合物:
(R1およびR2は独立にC1から約C10アルキルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたはそれ以上のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-およびQ-は薬学的に許容される陰イオンであり;かつ
Mは薬学的に許容される陽イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(63)を水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;ならびに
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を、該溶媒系から該化合物(63)の実質的単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階
を含むプロセス。 - 式(63)で表される化合物:
(R1およびR2は独立にC1から約C10アルキルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に複数のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-およびQ-は薬学的に許容される陰イオンであり;かつ
Mは薬学的に許容される陽イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(63)を水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を、該溶媒系から該化合物(63)の実質的単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階;ならびに
(c)該単結晶を該溶媒系から分離する段階
を含むプロセス。 - 式(63)で表される化合物:
(R1およびR2は独立にC1から約C10アルキルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたはそれ以上のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-およびQ-は薬学的に許容される陰イオンであり;かつ
Mは薬学的に許容される陽イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(63)を一定の濃度の水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を、該溶媒系から該化合物(63)の単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階;ならびに
(c)選択的に、該単結晶を該溶媒系から分離し、選択的に乾燥する段階
を含むプロセス。 - 水混和性溶媒が、ケトン、アセトニトリル、フラン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項111記載のプロセス。
- ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項112記載のプロセス。
- 溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項113記載のプロセス。
- 溶媒系がMEKおよび水を含む、請求項113記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がアセトニトリルを含む、請求項112記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項112記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が式(63)の化合物を溶媒系に溶解する段階を含む、請求項111記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約4体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項115記載のプロセス。
- 調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約0.5体積%から約3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項115記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約3体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項117記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1体積%から約2.5体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項120記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.5体積%から約2.3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項122記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.8体積%から約2体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項123記載のプロセス。
- 段階(b)において、式(63)の化合物の単結晶形成を促進するのに十分な少なくとも一つの種結晶を、溶媒系に加える段階(b')をさらに含む、請求項111記載のプロセス。
- 段階(a)および(b)の少なくとも一つにおいて、式(63)の化合物1モルあたり、DABCO、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせからなる群より選択されるメンバー10モル%を、溶媒系に加える段階(a')をさらに含む、請求項111記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(a)中に行う、請求項126記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(b)中に行う、請求項126記載のプロセス。
- 結晶体が式(63)の化合物の本質的に非吸湿性の単結晶II型である、請求項111記載のプロセス。
- 不純物が、式(63)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき1重量%未満のMEKを含む、請求項115記載のプロセス。
- 不純物が、式(63)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.01重量%未満のトルエンを含む、請求項130記載のプロセス。
- 不純物が、式(63)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.004重量%未満のトルエンを含む、請求項131記載のプロセス。
- 選択的分離段階(c)が、段階(b)において形成された化合物(63)の単結晶を溶媒系からろ過する段階を含む、請求項111記載のプロセス。
- 請求項111記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 請求項129記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 水混和性溶媒が、ケトン、アセトニトリル、フラン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項138記載のプロセス。
- ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項139記載のプロセス。
- 溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項140記載のプロセス。
- 溶媒系がMEKおよび水を含む、請求項140記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がアセトニトリルを含む、請求項139記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項139記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、式(3)の化合物を溶媒系に溶解する段階を含む、請求項138記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約4体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項142記載のプロセス。
- 調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約0.5体積%から約3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項142記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約3体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項144記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を該溶媒系の全量に基づき約1体積%から約2.5体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項147記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.5体積%から約2.3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項149記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を該溶媒系の全量に基づき約1.8体積%から約2体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項150記載のプロセス。
- 段階(b)において、式(3)の化合物の単結晶形成を促進するのに十分な少なくとも一つの種結晶を、溶媒系に加える段階(b')をさらに含む、請求項138記載のプロセス。
- 段階(a)および(b)の少なくとも一つにおいて、式(3)の化合物1モルあたり、DABCO、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせからなる群より選択されるメンバー10モル%を、溶媒系に加える段階(a')をさらに含む、請求項138記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(a)中に行う、請求項153記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(b)中に行う、請求項153記載のプロセス。
- 結晶体が式(3)の化合物の本質的に非吸湿性の単結晶II型である、請求項138記載のプロセス。
- 不純物が、式(3)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき1重量%未満のMEKを含む、請求項142記載のプロセス。
- 不純物が、式(3)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.01重量%未満のトルエンを含む、請求項157記載のプロセス。
- 不純物が、式(3)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.004重量%未満のトルエンを含む、請求項158記載のプロセス。
- 選択的分離段階(c)が、段階(b)において形成された化合物(3)の単結晶を溶媒系からろ過する段階を含む、請求項138記載のプロセス。
- 請求項138記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 請求項156記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 式(64)で表される化合物:
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたはそれ以上のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-およびQ-は独立に薬学的に許容される陰イオンであり;かつ
Mは薬学的に許容される陽イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(64)を水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;ならびに
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を、該溶媒系から該化合物(64)の実質的単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階
を含むプロセス。 - 式(64)で表される化合物:
(式中:
R1およびR2は独立にC1から約C20ヒドロカルビルであり;
R3、R4、およびR5は独立にHおよびC1から約C20ヒドロカルビルからなる群より選択され、ただし選択的にヒドロカルビルの一つまたは複数の炭素原子はO、N、またはSで置換され、かつ選択的に二つまたはそれ以上のR3、R4、およびR5はそれらが結合している原子と一緒になって環状構造を形成し;
R9はH、ヒドロカルビル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アンモニウムアルキル、ポリアルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、4級複素環、4級ヘテロアリール、OR3、NR3R4、N+R3R4R5A-、SR3、S(O)R3、SO2R3、SO3R3、オキソ、CO2R3、CN、ハロゲン、NCO、CONR3R4、SO2OM、SO2NR3R4、PO(OR23)OR24、P+R3R4R5A-、S+R3R4A-、およびC(O)OMからなる群より選択され;
R23およびR24はR3およびMを構成する置換基から独立に選択され;
nは0から4の数字であり;
A-およびQ-は独立に薬学的に許容される陰イオンであり;かつ
Mは薬学的に許容される陽イオンである)
における溶媒不純物を減少させるプロセスであって、
(a)不活性雰囲気下で、該化合物(64)を水を含む第一の溶媒および水混和性溶媒を含む第二の溶媒を含む溶媒系に可溶化する段階;
(b)不活性雰囲気下で、該溶媒系の水濃度を該溶媒系から該化合物(64)の実質的単結晶を再結晶化するのに十分な濃度に調節する段階;ならびに
(c)該単結晶を該溶媒系から分離する段階
を含むプロセス。 - 水混和性溶媒が、ケトン、アセトニトリル、フラン、およびその混合物からなる群より選択される、請求項165記載のプロセス。
- ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびその混合物からなる群より選択される、請求項166記載のプロセス。
- 溶媒系がアセトンおよび水を含む、請求項167記載のプロセス。
- 溶媒系がMEKおよび水を含む、請求項167記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がアセトニトリルを含む、請求項166記載のプロセス。
- 水混和性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)を含む、請求項166記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、式(64)の化合物を溶媒系に溶解する段階を含む、請求項165記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約4体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項169記載のプロセス。
- 調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約0.5体積%から約3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項169記載のプロセス。
- 可溶化段階(a)が、水濃度を該段階(a)で用いる溶媒系の全量に基づき約3体積%から約7体積%に調節する段階を含む、請求項171記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1体積%から約2.5体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項174記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.5体積%から約2.3体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項166記載のプロセス。
- さらに調節段階(b)が、溶媒系の水濃度を、該溶媒系の全量に基づき約1.8体積%から約2体積%の範囲に調節する段階を含む、請求項167記載のプロセス。
- 段階(b)において、式(64)の化合物の単結晶形成を促進するのに十分な少なくとも一つの種結晶を、溶媒系に加える段階(b')をさらに含む、請求項165記載のプロセス。
- 段階(a)および(b)の少なくとも一つにおいて、式(64)の化合物1モルあたり、DABCO、NaOH、KOH、ピリジン、トリメチルアミン、およびその組み合わせからなる群より選択されるメンバー10モル%を、溶媒系に加える段階(a')をさらに含む、請求項165記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(a)中に行う、請求項180記載のプロセス。
- 段階(a')を段階(b)中に行う、請求項180記載のプロセス。
- 結晶体が式(64)の化合物の本質的に非吸湿性の単結晶II型である、請求項165記載のプロセス。
- 不純物が、式(64)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき1重量%未満のMEKを含む、請求項169記載のプロセス。
- 不純物が、式(64)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.01重量%未満のトルエンを含む、請求項184記載のプロセス。
- 不純物が、式(64)の化合物の結晶の全乾燥重量に基づき0.004重量%未満のトルエンを含む、請求項185記載のプロセス。
- 選択的分離段階(c)が、段階(b)において形成された化合物(64)の単結晶を溶媒系からろ過する段階を含む、請求項165記載のプロセス。
- 請求項165記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
- 請求項183記載のプロセスによって製造される単結晶生成物。
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