JP2005353332A - マグネトロン - Google Patents

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Abstract

【課題】 大掛かりな放熱構造を設けることなく、マグネトロンの温度変化に対しても、安定した発振特性を維持することができる構造のマグネトロンを提供する。
【解決手段】 円筒状のアノード1の中心部にアノード1の軸方向に沿ってカソード2が設けられ、カソード2とアノード1との間に形成される作用空間14にカソード2とほぼ平行な磁界を印加し得るように、一端部3aが所定のギャップで対向するように一対のポールピース3が設けられている。一対のポールピース3のそれぞれの他端部3b側はマグネット4およびヨーク5を介して直列に接続され、ギャップを含む磁気回路が形成されている。この磁気回路に並列に整磁鋼6が設けられ、アノード1で発生する熱がマグネット4に伝導する熱伝導より、整磁鋼6に伝導する熱伝導を大きくしている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波を発振するマグネット内蔵型のマグネトロンに関する。さらに詳しくは、温度上昇によるマグネットの磁束密度の低下に対しても、特性変化を軽減できる構造のマグネトロンに関する。
従来のマグネット内蔵型のマグネトロンは、図7に断面説明図が示されるような構造になっている。すなわち、円筒状のアノードシェル11の内周壁に中心に向かって放射状に延びるベーン12が複数個設けられ、そのベーン12間に共振空胴を形成したアノード1と、ベーン12の先端部で囲まれた空間にカソード2が設けられている。ベーン12には、1枚おきに電気的に接続する金属からなるストラップ13が設けられ、ベーン12により囲まれる共振空胴の位相をπラジアンずつ異ならせ、πモードで発振しやすくされている。3は、一対(1組)のポールピースで、マグネット4の磁界を磁性体からなるヨーク5を介して、ベーン12の先端とカソード2との間の作用空間14にカソード2とほぼ平行に印加し得るように、その一端部側を所定のギャップで対向させて設けられている。その結果、一対のポールピース3のギャップを含む磁気回路がマグネット4を挟んで形成されている。なお、マグネット4は、図7に示される棒状のものではなく、円柱またはドーナッツ状の形状にして直接ポールピース3の少なくとも一方の他端部側に接触させて設けられる場合もある。
この構造で真空封止された後に、アノード1とカソード2との間に陽極電圧が、一対のポールピース3間のギャップに所定の磁界が、それぞれ印加されると、カソード2から引き出される電子は、印加される磁界によりその進行方向を変えられ、カソード2の周りを周回する運動をする。このときの電界は陽極電圧Va(V)として与えられ、その磁束密度B(作用空間の磁束密度:T)との関係は、次式(1)のように示される。
Va=942(ra 2−rc 2)(10・B−10650/nλ)/nλ (1)
ここで、raはアノード半径(ベーン先端部の内接円の半径;cm)、rcはカソード半径(cm)、nは分割数(ベーンの数)/2、λは発振波長(cm)である。
マグネトロンの発振効率は、通常40〜70%であり、入力電力に対してマイクロ波電力に変換されない分の大半は、アノード1で熱となり、エネルギー消費がなされる。このため、アノード1が昇温することになる。その温度は、周囲温度の上昇の影響も受け、100〜120℃に到達する。その昇温による熱が伝わり、マグネット4が昇温すると、通常は磁束密度が低下することになる。磁束密度の温度係数は、表1に示されるように、材料によって異なるが、いずれの材料でも、温度が上昇すると磁束密度が減少する。
Figure 2005353332
このように、磁束密度が低下すると、前述の磁束密度と陽極電圧との関係から明らかなように、マグネトロンの特性に対する影響は非常に大きいものとなる。すなわち、作用空間の磁束密度Bが変化すると、発振が行われる陽極電圧Vaが変化することになる。したがって、温度の変化によりマグネットの磁束密度が低下すると、マグネトロンの動作点が変化することになり、従来の陽極電圧Vaを加えたままだと、陽極電流が多く流れ、正常な発振を行うことができず、特性が低下する(たとえば特許文献1参照)。
特開2001−243887号公報(段落0007)
前述のようなマグネットを内蔵するマグネトロンでは、マグネットがアノードの近傍にあるため、アノードからの熱伝導により温度が上昇しやすい。しかし、前述のように、マグネットの温度が上昇するとその磁束密度が低下し、陽極電圧と磁束との関係式からはずれて陽極電流が大きくなるように動作点が変化する。その結果、異常な陽極電流が流れて発振出力が変動したり、本来の最適化された動作点からはずれることにより、スペクトラムが乱れ、または帯域幅が広がったり、プッシングの特性から周波数が変動したりするなどの問題が生じる。これらの問題を解決するためには、放熱構造を大掛かりにしてマグネットの温度が上昇しないようにする必要があり、コストが非常に増大するという問題がある。なお、前述の特許文献1では、ポールピースのテーパ部の厚さと作用空間中心の磁束密度との関係を一定の範囲に制御することが開示されている。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、大掛かりな放熱構造を設けることなく、マグネトロンの温度変化に対しても、安定した発振特性を維持することができる構造のマグネトロンを提供することを目的とする。
本発明によるマグネトロンは、円筒状のアノードシェル内周側に複数個に分割された共振空胴が形成されるアノードと、該アノードの中心部に前記アノードシェルの軸方向に沿って設けられるカソードと、該カソードと前記アノードとの間に形成される作用空間に前記カソードとほぼ平行な磁界を印加し得るように、前記アノードシェルの両端部側に一端部がそれぞれ所定のギャップで対向するように設けられる一対のポールピースと、該一対のポールピースの他端部側に接続されるマグネットと、該マグネットおよび前記ギャップを含む磁気回路を構成するように接続されるヨークと、前記マグネットに並列に接続される整磁鋼とを有することを特徴とする。
具体的には、前記整磁鋼が、前記アノードシェルの外周に接触して設けられる、前記ポールピースより熱伝導率の大きい部材に接触して設けられたり、前記アノードを構成する部分の一部に直接接触して設けられたりすることにより、アノードの温度変化による整磁鋼の温度変化を大きくすることができる。
本発明によれば、マグネットに並列に整磁鋼が接続されている。整磁鋼は、温度が上昇すると急激に磁束密度を低下させる特性を有しているので、磁気回路の一部に岐路として使用されることにより、温度上昇に伴う磁気回路の磁束変化を補償する材料として知られている。しかし、温度係数の大きいマグネットを用いるマグネトロンにこれを使用するとマグネトロンの重量の10%以上に当たる非常に多くの整磁鋼を使用しなければならず、大型化し、重量も重くなると共に取付け場所も制約されることから実用化されていない。しかし、本発明では、この整磁鋼にアノードで発生する温度を効率よく伝達させることにより、マグネットより整磁鋼の温度が高くなるように整磁鋼が設けられているため、マグネットの量の5%程度と少ない量で、温度変化による磁束密度の変化が顕著となり、マグネットの温度変化による磁束密度の変化を充分に補償することができる。その結果、大掛かりな放熱構造や大量の整磁鋼を設けることなく、非常に安価な構造でマグネトロン動作時の温度変化による特性の低下を抑制することができる。
つぎに、図面を参照しながら本発明のマグネトロンについて説明をする。本発明によるマグネトロンは、図1にその一実施形態の断面説明図が示されるように、円筒状のアノードシェル11の内周側に複数個に分割された共振空胴が形成されるアノード1の中心部にアノードシェル11の軸方向に沿ってカソード2が設けられ、カソード2とアノード1との間に形成される作用空間14にカソード2とほぼ平行な磁界を印加し得るように、アノードシェル11の両端部側に一端部3aがそれぞれ所定のギャップで対向するように一対のポールピース3が設けられ、その一対のポールピース3のそれぞれの他端部3b側がマグネット4およびヨーク5を介して直列に接続されることにより、作用空間14に形成される所定のギャップを含む磁気回路が形成されている。この磁気回路にマグネット4に対して並列に整磁鋼6が設けられ、アノード1で発生する熱がマグネット4に伝導する熱伝導より、整磁鋼6に伝導する熱伝導を大きくすることにより、整磁鋼6の温度がマグネット4の温度より高くなるように整磁鋼6が設けられている。
マグネトロンの基本的な構成は通常のマグネトロンの構成と同じであるが、たとえば図1に縦断面の説明図が示されるように、たとえば無酸素銅などからなる円筒状のアノードシェル11の内周壁に、一端部が固着され、その一端部と対向する先端部がアノードシェル11の中心に向かって放射状に延びるように、複数個のベーン(アノード片)12が設けられることにより隣接するベーン12間に共振空胴が複数個形成され、この複数個の共振空胴の全体でアノード共振空胴が形成されることによりアノード1を構成しており、そのアノードシェル11の中心部に軸方向に沿ってカソード2が設けられている。このベーン12を1個おきに連結するストラップ13が設けられている。そして、ベーン12の先端部とカソード2とが対向する作用空間14にカソ−ド2とほぼ平行な磁界を印加し得るように、一対(1組)の鉄などからなるポールピース3が設けられている。カソード2から放出される電子は、作用空間14に印加される電磁界により曲げられ、周回することによりエネルギーを空胴に与え、発振するように形成されている。
この作用空間14に印加する磁界は、電磁石によりポールピース3を介して印加することもできるが、本発明では永久磁石(本明細書ではマグネット4という)を用い、ヨーク5を介してポールピース3、作用空間14(ギャップ)、ポールピース3、ヨーク5からマグネット4に戻るループを形成する磁気回路を構成している。マグネット4としては、保持力や最大エネルギー積の大きいものが小型で大きな磁力が得られるため好ましく、一般的には希土類磁石、フェライト磁石などが用いられる。しかし、前述のように、希土類磁石などは負の温度係数が大きく、温度が上昇するとその磁束密度が減少するという問題を有している。図1に示される例は、マグネトロン本体と離れたところにマグネット4が配置され、そのマグネット4とポールピース3との間がヨーク5で接続されているが、後述する図3〜4に示される例のように、マグネット4を直接ポールピース3と接触させて配置することもできる。ヨーク5は、磁束をできるだけ減衰させることなく伝達する磁路を構成するもので、鉄などの強磁性体により形成されている。
整磁鋼6は、磁気回路に使用する磁性材料の磁気的性質の温度変化を補償するもので、たとえばFe-Ni合金などからなり、Niの量により磁性を無くするキュリー温度を調整することができ、使用する温度に応じた温度特性が得られるように調整される。このNiの量を変えた材料の温度変化に対する磁束密度の変化の3種類の例を図6に示すように、温度の上昇と共に急激に磁束密度が低下(磁気抵抗が増大)する。このような整磁鋼6を磁気回路の温度補償に用いる場合、前述のキュリー温度の調整のみならず、整磁鋼材料の使用量も適合させる必要がある。すなわち、一般にマグネットの温度上昇による磁束密度の低下を補償するためには、マグネットの温度係数をXm、マグネットの磁束密度をBm、マグネットの使用量をVm、マグネットの温度をTm、整磁鋼の温度係数をXs、整磁鋼の磁束密度をBs、整磁鋼の使用量をVs、整磁鋼の温度をTsとすると、整磁鋼の必要量Vsは次式(2)を満たす必要があることが知られている。
Vs=Xm・Bm・Vm・Tm/Xs・Bs・Ts (2)
したがって、マグネットに温度係数Xmの大きいものを使用すると、整磁鋼6の量Vsを多くしなければならない。整磁鋼6の温度係数Xsは、1.25%/℃程度であり、希土類磁石の温度係数は、前述の通り、−0.08〜−0.12%/℃程度である。本来マグネット4は、アノード1近傍にあるから、昇温が大きく、整磁鋼6の2倍の昇温とし、また完全に昇温による磁束密度変化を補償すると、Bm=Bsとなる。これを上述の式(2)に当てはめると、整磁鋼6の必要量Vsは、マグネット4の0.16倍(16%)となる。マグネトロンの全重量の60〜70%はマグネット4の重量であり、この16%の重量増加は、マグネトロンの重量、整磁鋼の配置場所およびコストの面から実用的ではなく、前述のように実用化されていない。しかし、本発明者は、アノード1から整磁鋼6への熱伝導をマグネット4への熱伝導より良くして、整磁鋼6の温度Tsをマグネット4の温度Tmより高くすることにより、上述の式(2)の関係から、整磁鋼6の量Vsが小さくても温度補償をすることができることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明では、マグネット4と並列に挿入される整磁鋼6が、アノード1の熱を効率よく整磁鋼6に伝達させてマグネット4の温度より整磁鋼6の温度が高くなるように整磁鋼6が設けられていることに特徴がある。図1に示される例では、アノードシェル11の外壁に接触させた熱伝導板7を介して整磁鋼6が設けられている。熱伝導板7は、たとえば銅またはアルミニウムなどの熱伝導率の大きい材料で形成されている。さらに、この熱伝導板7は、アノードシェル11の熱を整磁鋼6に良好に伝達することを目的としているため、アノードシェル11および整磁鋼6と広い面積で接触することが必要であり、アノードシェル11との接触側はアノードシェル11の外形に合せた形状に、整磁鋼6との接触側は整磁鋼6の外形と合せた形状にそれぞれ形成され、ロウ付けやハンダ付け、ヒートシンク材などにより接触されている。この整磁鋼6は、後述するように、熱伝導板7を介さないで、直接アノード1またはその構成部品に接触させる構造にしてもよい。この場合、たとえばアノードシェル11と接触させるには、アノードシェル11は円筒形状であるため、その外周壁は凸型の円弧面になっているため、整磁鋼6の外形を凹型の円弧面に形成する。
つぎに、本発明のマグネトロンによれば、少ない量の整磁鋼6を用いて、温度上昇した場合でも磁束密度を補償することができる理由について説明をする。図1に示される構造のマグネトロンの磁気回路を等価回路図で書くと、図2に示されるようになる。すなわち、作用空間14のギャップによる磁気抵抗をRi、ポールピース3の磁気抵抗をRpp、ヨーク5の磁気抵抗をRy、整磁鋼6の磁気抵抗をRsとすると、マグネット4(磁石)の両端に、Ryと、Rppと、Riとで磁気回路が形成され、Rsが磁石と並列に挿入された回路となっている。
前述のように、整磁鋼6は、熱伝導率の優れた無酸素銅からなるアノードシェル11に熱伝導率の良好な熱伝導板7(銅の0℃における熱伝導率403[W・m-1・K-1])を介して接続されているため、アノード1で発生する熱は、非常に小さい熱抵抗を経て整磁鋼6に達する。そのため、整磁鋼6はアノード1の温度が上昇すると直ちに温度が上昇すると共に、アノード1の温度とほぼ同じ温度である100〜120℃程度の高い温度になる。一方、アノード1で発生する熱は、ポールピース3およびヨーク5を介してマグネット4に達する。ポールピース3およびヨーク5は、共に鉄などの強磁性体により形成されており、その熱伝導率は、0℃で83.5[W・m-1・K-1]程度で、銅の場合の1/5程度となる。そのため、熱抵抗も大きく温度の上昇も60〜80℃程度で飽和する。すなわち、本発明による整磁鋼6の設け方をすることにより、整磁鋼6の温度をマグネット4の温度よりも高くすることができ、マグネットの量の4.8%程度の量で、式(2)を満たすことができた。従って、マグネトロン全体の重量に対する整磁鋼6を備えたことによる重量の増加は、3.4%程度にとどまった。
一方、整磁鋼6は、前述の図6に示されるように、熱による磁気抵抗の増大が大きい材料であり、温度が高くなることにより、その磁気抵抗が増大する。したがって、温度が上昇すると、前述の図2に示される等価回路図で、Rsが急速に大きくなるが、Ry、Rpp、Riは温度が上昇しても殆ど変化しない。そのため、温度が上昇するとマグネット4から発せられる磁束密度が小さくなっても、Ri側が増加することになる。すなわち、温度が上昇して、マグネット4の磁束密度が低下しても、整磁鋼6に流れる磁束が低下して作用空間のギャップに向かう磁束を殆ど変わらなくすることができ、マグネット4の温度による磁束密度の変化を補償することができる。
図3(a)は、マグネット4a、4bを2個ポールピース3に接触させて設けた例である。すなわち、1組のポールピース3の他端部側にそれぞれ直接マグネット4a、4bが設けられ、マグネット4a、4bのポールピース3と反対側にヨーク5が接続され、作用空間14(ギャップ)を含む磁気回路を形成している。この磁気回路の等価回路は図3(b)に示されるように、マグネット4bと並列になるように整磁鋼6が取付けられている。この場合、並列回路となっていない側のマグネット4aに対しては、温度補償がないことになるが、従来構造の補償効果がないものに比べれば、全体としての補償動作の効果は実用上十分な特性を得ることができる。もちろん、マグネットがいずれか一方のみに1個設けられる場合でも同様である。
この例の場合、マグネット4a、4bがポールピース3に直接接触して設けられているため、ヨーク5の熱伝導を経ることなく熱が伝わり、図1に示される例よりも温度が高くなる。しかし、整磁鋼6の温度よりは遥かに低い温度になる。
図4(a)は、さらに他の実施例を示す図である。すなわち、この例は整磁鋼を2個にして、それぞれの整磁鋼6a、6bをポールピース3とヨーク5との間に接続したものである。この場合の磁気回路の等価回路は、図4(b)に示されるようになり、整磁鋼6aは、マグネット4aに対して並列に挿入されている。従って、マグネット本来の磁束密度をショートし、低下させていることになる。通常、マグネトロンが昇温し、マグネットの磁束密度が低下すると特性が劣化してしまうが、図4(a)に示す構成のマグネトロンでは、昇温と共に整磁鋼6a、6bの磁気抵抗が急激に増大し、ショート量が減少する。そのため、磁石4a、4bの磁力が最大限Riに伝わり、磁束密度を殆ど一定に保つことができる。この場合も図3に示される例と同様に、マグネット4a、4bの温度は図1に示される例よりも高くなるが、ポールピース3の熱抵抗によりアノード温度より低くなる一方、整磁鋼6a、6bの温度は、アノード温度とほぼ同じ温度となり、ギャップでの磁束密度の変化を小さくすることができる。また、マグネットが1個の場合でも整磁鋼も1個になるが同様に調整することができる。
前述の各例では、アノード1からの熱伝導を行う熱伝導板7を介在させて整磁鋼6を設ける例であるが、アノードシェル11などのアノード1に直接接続させたり、予めアノード1に放熱や固定などのために部品が取り付けられている場合、これらのアノード1を構成する部品に接触させたりすることにより整磁鋼6が設けられてもよい。通常、マグネトロンのポールピース3付近の磁界に影響が出るとマグネトロンの発振特性を劣化させるため、整磁鋼6は作用空間14から離して距離を得るように配置する必要があるが、アノードシェル11の肉厚が5mm程度以上と厚い場合などには、自ずと距離を得ることが可能であり、また、相対的に作用空間14の磁束密度が大きい場合などには、整磁鋼6によりポールピース3付近の磁界分布を乱すことはなく、直接アノード1またはその構成部品に整磁鋼6を取り付けることができる。アノードシェル11など、アノード1の構成部品は通常銅を主とした材質により製作されるため、非磁性体で磁界分布には何ら影響しないと共に、熱伝導率は非常に高く、しかも整磁鋼6への熱伝導は直接となり、本発明の効果を大きく発揮する。
図5は、図1に示される構造のマグネトロンの温度に対する出力特性Aを従来の図7に示される構造のマグネトロンの出力特性Bと対比して示した図である。従来のマグネトロンでは、アノード温度(アノードシェル外周壁の温度)が120℃まで昇温すると、出力が93%まで低下し、図示されていないが、陽極電圧は5〜8%程度低下したのに対して、本発明のマグネトロンでは、同じ温度変化で出力は98%程度の低下で収まり、そのときの陽極電圧の低下も2%程度に止まった。これは、従来構造のマグネトロンでは、アノードの温度上昇と共にマグネットの温度も同時に昇温して、磁束密度が急速に低下し、作用空間における一対のポールピース間のギャップにおける磁束密度もそのまま低下するのに対して、本発明では、マグネットの昇温により磁束密度が低下しても、整磁鋼がそれ以上に昇温して磁気抵抗が増大し、整磁鋼と並列回路になっている作用空間でのギャップにおける磁束密度を相対的に大きくするため、一対のポールピース間のギャップにおける磁束密度が殆ど下がらないことに基づいている。
本発明によるマグネトロンの一実施形態を説明する図である。 図1に示されるマグネトロンの磁気回路の等価回路図である。 本発明によるマグネトロンの他の実施形態を説明する図である。 本発明によるマグネトロンのさらに他の実施形態を説明する図である。 図1に示される構造のマグネトロンで、アノード温度が変化したときの出力特性Aを、従来構造のマグネトロンの出力特性Bと対比して示した図である。 整磁鋼の温度変化に対する磁束密度の変化を示した図である。 従来のマグネトロンの構成説明図である。
符号の説明
1 アノード
2 カソード
3 ポールピース
4 マグネット
5 ヨーク
6 整磁鋼
7 熱伝導板
11 アノードシェル
14 作用空間

Claims (3)

  1. 円筒状のアノードシェル内周側に複数個に分割された共振空胴が形成されるアノードと、該アノードの中心部に前記アノードシェルの軸方向に沿って設けられるカソードと、該カソードと前記アノードとの間に形成される作用空間に前記カソードとほぼ平行な磁界を印加し得るように、前記アノードシェルの両端部側に一端部がそれぞれ所定のギャップで対向するように設けられる一対のポールピースと、該一対のポールピースの他端部側に接続されるマグネットと、該マグネットおよび前記ギャップを含む磁気回路を構成するように接続されるヨークと、前記マグネットに並列に接続される整磁鋼とを有することを特徴とするマグネトロン。
  2. 前記整磁鋼が、前記アノードシェルの外周に接触して設けられる、前記ポールピースより熱伝導率の大きい部材に接触して設けられてなる請求項1記載のマグネトロン。
  3. 前記整磁鋼が、前記アノードを構成する部分の一部に直接接触して設けられてなる請求項1記載のマグネトロン。
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