JP2005353329A - 絶縁性碍子カバー - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、仮に降雨時に、送電用鉄塔上で、例えばペンキ塗装作業を行おうとも、作業中にフラッシオーバーを起こし難い絶縁性碍子カバーを提供することにある。
【解決手段】 本発明の絶縁性碍子カバー3は、碍子装置の外周部の一部または全部を包囲するカバー本体4と、碍子延在方向に一個または所定間隔をおいて複数個の前記カバー本体外面から延びる笠部13とを有していることを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば送電用鉄塔の塗装作業中に、近くにある碍子装置にペンキ等の塗装剤が飛散して碍子に付着するのを防止すべく碍子装置を覆う、絶縁性碍子カバーに関するものである。
従来、例えば送電用鉄塔のペンキ塗り替え作業の時には、作業中に風等でペンキが飛んで碍子装置に付着しないように、絶縁性の防護シート等で碍子装置を覆っている。しかしながら防護シートで覆っただけでは、風でこの防護シートがめくれるなどして、その際に飛散したペンキが碍子装置に付着する、という問題があった。
また平面状の防護シートで形状の入り組んだ碍子装置を手早く覆うことは困難で、しかも覆った後、これを紐で固縛する必要があるが、特に風の強い場合にはこの作業が極めて困難であった。
そこで特許文献1に記載されているように碍子装置の形状に合わせた専用の碍子カバーを作って、これで碍子装置を覆う、という提案がなされている。
この碍子カバー3は、図6が示すように、支持部材1で支持され、直線状に並べられた複数の碍子2(点線で示す)からなる碍子装置を外側からすっぽり覆っている。因みに図では省略しているが、支持部材1の左端は鉄塔に、右端は電線側に連結されている。
さてこの碍子カバー3は、主として複数の碍子2の外側を包囲するカバー本体4と、碍子延在方向に沿ってカバー本体4の内周面に間隔をおいて設けられた複数の骨格部材5とで構成されている。そしてこのカバー本体4は、例えば絶縁性の合成樹脂製シートからなっていて、碍子装置の周面におおよそ沿うような形状に湾曲されている。
また骨格部材5は、例えば絶縁被覆されたピアノ線等からなっている。そしてこの碍子カバー3は碍子2の延在方向に沿って蛇腹状になっていて、碍子延在方向に伸縮可能になっている。
またカバー本体4の両端の開口部6の周縁には袋状の周縁部7が設けられていて、この周縁部7の中に紐8が通されている。それ故、碍子カバー3を碍子装置に被せた後に、紐8の両端を引けば、開口部6は絞られて碍子装置と碍子カバーとの隙間をなくすことができるようになっている。
また符合9、10は碍子カバー3の合わせ目、すなわち開口部分の両側の縁である。碍子カバー3を碍子装置に装着するときには、碍子カバー3を碍子装置に被せた後、両縁9、10を合わせ、この両縁9、10に数箇所装着されている各々対になっている連結金具11で両側の縁9、10を連結し固定する。
このようにしてなる従来の碍子カバー3は、碍子延在方向に伸縮自在で、しかもカバー本体4の環状の一部が開口しているから、ペンキ塗装作業のような場合には、長手方向に収縮させた状態の碍子カバー3の前記開口部分を左右に押し広げて簡単に碍子装置に被せることができる。
その後碍子カバー3を碍子延在方向に伸ばして碍子装置全体を覆ったら、端部の開口部6においては紐8を引っ張って開口部6を絞り、周方向については縁9、10を合わせた後連結金具11で連結すれば、碍子装置を碍子カバー3で完全に覆うことができる。
それ故、塗装作業中に仮に風が強くなってペンキが飛散しても、飛散したペンキが碍子装置に付着するような事態は防止することができるようになっている。
特開2001−155568号公報
ところで、前述した図6に示す碍子カバーにあっては、送電用鉄塔でのペンキ塗装作業が、送電停止状態で行われるような場合にはあまり問題はないが、活線状態で行われるような場合には、電気絶縁性の性能に問題が出てくる。すなわち、特許文献1のような構造の碍子カバーでは沿面距離が短いために、例えば塗装作業が降雨のもとで行われるような場合、フラッシオーバーを起こし電力供給に支障をきたす可能性がある。
そこで本発明の目的は、仮に降雨時に、送電用鉄塔上で、例えばペンキ塗装作業を行おうとも、作業中にフラッシオーバーを起こし難い絶縁性碍子カバーを提供することにある。
前記目的を達成すべく請求項1記載の絶縁性碍子カバーは、碍子装置の外周部の一部または全部を包囲するカバー本体と、碍子延在方向に一個または所定間隔をおいて複数個の前記カバー本体外面から延びる笠部とを有していることを特徴とするものである。
このようにしてなる請求項1記載の絶縁性碍子カバーによれば、絶縁碍子カバーがカバー本体外面から延びる笠部を、その長手方向、すなわち碍子延在方向に有しているので、この絶縁性碍子カバーの沿面距離が大きくなって、フラッシオーバーをより起こし難くなる。それ故、ペンキ塗装作業中に仮に降雨に見舞われても、電力供給に支障を来たす恐れを低減できる。
また請求項2記載の絶縁性碍子カバーは、請求項1記載の絶縁性碍子カバーにおいて、前記絶縁性碍子カバーは、前記碍子装置の碍子延在方向に少なくとも1箇所以上分断されていて、漏洩電流で焼損するヒューズで連結されていることを特徴とするものである。
このようにしてなる請求項2記載の絶縁性碍子カバーによれば、この絶縁性碍子カバーを繰り返し使用していると、経時的にこの絶縁性碍子カバーの絶縁性が劣化する場合もあり得るが、この請求項2記載の発明のように、絶縁性碍子カバーが前記碍子装置の碍子延在方向で、例えば2つに分断されていて、分断されている両者が漏洩電流で焼損するヒューズで連結されていると、絶縁性碍子カバーの絶縁劣化に伴って増加する漏洩電流によってフラッシオーバーが発生する前に、前記漏洩電流によってヒューズが切れてフラッシオーバーを事前に防止することができる。
以上のように本発明によれば、仮に降雨時に、送電用鉄塔上で、例えばペンキ塗装作業を行おうとも、作業中にフラッシオーバーを起こし難い絶縁性碍子カバーを提供することができる。
以下に本発明の絶縁性碍子カバーの実施例を図1〜図5により詳細に説明する。
図1は、本発明の絶縁性碍子カバーの第一実施例の一部断面側面図である。すなわち、わかり易いように本発明の絶縁性碍子カバーのみ断面図にしたものである。また図2は図1におけるA−A断面図である。
図1が示すように、この第一実施例においては、支持部材1に直線状に並べられた状態で支持された複数の碍子2からなる碍子装置の外周に、碍子装置を全体をほぼ覆うように湾曲されたカバー本体4を有する絶縁性碍子カバー3が被せられている。
この絶縁性碍子カバー3の大きな特徴は、絶縁性碍子カバー3の長手方向、すなわち、碍子延在方向に間欠的に、かつ絶縁性碍子カバー3の軸方向に対して任意の角度を有して、カバー本体4の外面から延びる笠部13が複数個設けられている点にある。
このように絶縁性碍子カバー3のカバー本体4の外面に笠部13を設けると、碍子2の沿面距離よりも大きな沿面距離をこの絶縁性碍子カバー3で構成できるので、フラッシオーバーをより確実に防止できる。
因みに、この笠部13は1個でも問題はないが、図1が示すように碍子延在方向に所定間隔をおいて間欠的に複数個設けておくと、沿面距離がその分長くなって、例えば降雨時に鉄塔のペンキ塗装作業を行ったとしても、よりフラッシオーバーを起こし難くなり好ましい。
また図1が示すように、笠部13を鉄塔側(図1の左側)から電線側(図1における右側)に傾けておくと、笠部の外径を同じくした場合、笠部13が傾いていないものより笠部13が傾いていた方がより沿面距離が長くでき好ましい。
ところで図2が示すように、この絶縁性碍子カバー3は、碍子装置の碍子延在方向に連続して環状の一部が切り開かれた開口14を有している。そのため、この絶縁性碍子カバー3を碍子装置に被せる場合、この開口14部分の両縁を左右に押し広げれば、容易に碍子装置に被せることができ、絶縁性碍子カバー3の碍子装置への装着作業がより簡単にできるようになっている。
図3は本発明の第二の実施例を示す側面図である。図3が示すように、この第二実施例の絶縁性碍子カバー3は、碍子2からなる碍子装置が支持体15で連結された2連のものに適用した例である。この場合にも絶縁性碍子カバー3の下部には開口14が設けられて、碍子装置に絶縁性碍子カバー3を被せ易くなっている。
因みに、前記第一実施例のものも含め、開口14の開口角度θを180°以下にする方が飛散してくるペンキが碍子装置に付着し難くなり好ましい。
次に本発明の第三実施例を図4に示す。図4が示すものは2つの特徴がある。まずその第一点は、笠部13の大きさが左側から右側にいくに従って小さくなっている点、すなわち笠部13の外径が鉄塔側、すなわち図4における左側から右側の電線側に向かうに従って次第に小さくなっている点である。
もう一点は、絶縁性碍子カバー3が碍子装置の一部、具体的には鉄塔側は覆っているが電線側は一部覆っていない点にある。この理由は、ペンキ塗装作業は鉄塔側で行われているため、風があまり強くないような場合には、鉄塔から遠い電線側まで全長覆わなくても問題ない場合が多いからである。
ここで電線側(図4の右側)に近づくほど笠部13の外径を小さくしている根拠は、鉄塔側に一番近い笠部13の外径を最大にして、ペンキが鉄塔側から電線側に飛散するのをまず防止し、かつそれ以外の笠部13を小さくしたのは必要最小限の沿面距離を確保すると同時に絶縁性碍子カバー3の材料費を低減し、安価な絶縁性碍子カバー3を得るためである。
この理由から、一番左側の鉄塔に一番近い笠部13以外は、その大きさを右側にいくほど小さくする必要は必ずしもなく、沿面距離だけを考えてその大きさを変えればよいが、図4のように構成すると美観の点から好ましい。
さらに図5に本発明の絶縁性碍子カバー3の第四実施例を示す。図5が示す絶縁性碍子カバー3の特徴は、碍子延在方向に絶縁性碍子カバー3が碍子延在方向の任意の位置で、カバー本体4の部分で2つに分断されていて、かつ分断位置20で分断された絶縁性碍子カバー3、3が、絶縁性碍子カバー3に漏洩電流が発生した場合、この漏洩電流で焼損する太さのヒューズ21で連結されている点にある。
このようにヒューズ21で分断された絶縁性碍子カバー3同士を連結しておくと、部分放電が発生した場合に、碍子装置全体にフラッシオーバーが発生する前にヒューズ21が焼損し、フラッシオーバーの発生を事前に防止できるようになり好ましい。
尚、この分断箇所は図5が示すように1箇所である必要はなく、複数箇所であってもよい。
以上述べた実施例においては、絶縁性碍子カバー3の絶縁材料としてシリコーンゴムやEPDMを使用したが、材料はこれらに限定されるものではない。
尚、絶縁性碍子カバー3には、絶縁性と同時にある程度の剛性があった方が、絶縁性碍子カバー3を碍子装置に被せる場合、被せ易くもあるし、被せた後これが風などで煽られても碍子装置から外れ難くなり好ましい。同時に剛性があれば、多少の風があっても、碍子装置に被せた絶縁性碍子カバー3を紐等で縛る必要もない。
また、この絶縁性碍子カバー3を碍子装置に被せる場合、碍子装置との間の摩擦係数が小さい方がより被せ易い。それ故、前記シリコーンゴム等で絶縁性碍子カバー3を形成してもまだ摩擦係数が大きいような場合には、絶縁性の材料でかつ摩擦係数を小さくできる材料を選択して、絶縁性碍子カバー3の内面にこの種の材料からなる塗膜を形成すればよい。
このように剛性があって、摩擦係数の小さい絶縁性碍子カバー3であれば、碍子装置の鉄塔側から電線側に容易に滑らせて碍子装置に被せることができる。
また絶縁性碍子カバー3で碍子装置の外周全体を覆ってもよい。すなわち図2、図3が示す開口14の開口角度θを0°にして、開口14をほとんど線状のスリットにしてもよい。但し、一般的には絶縁性碍子カバー3の下部の開口14の角度を30〜120°くらいにしておけば、ペンキの碍子装置への付着は充分防止でき、絶縁性碍子カバー3の材料費も低減でき好ましい。
また前述したように絶縁性碍子カバー3の材料費も考慮し、碍子装置の碍子延在方向全長でなく、主として鉄塔側のみ覆うようにしてもよい。全長を覆うか一部を覆うか、あるいは開口14の開口角度θを何度にするか等は、鉄塔周辺の環境や、ペンキ塗装作業当日の気象条件等を考慮して適宜選択すればよい。
ところで本発明の絶縁性碍子カバー3は、ペンキ塗装作業が完了したら碍子装置から取り外すものであることはいうまでもない。
以上述べたように本発明の絶縁性碍子カバーによれば、仮に降雨時に、送電用鉄塔上で、例えばペンキ塗装作業を行おうとも、作業中にフラッシオーバーを起こし難い絶縁性碍子カバーを提供することができる。
また、従来のものでは絶縁性碍子カバーに用いている骨格部材は、例えば絶縁被覆されたピアノ線等からなっているが、絶縁被覆が施されているとはいっても金属線であるピアノ線等が、電圧が分布している碍子装置近傍に存在すると、碍子とピアノ線からなる骨格部材との間で放電が発生し、近隣に人家があった場合、電波障害を発生する懸念があるが、本発明の絶縁性碍子カバーにおいては金属を全く使用していないため、電波障害の発生を心配する必要がない、という利点もある。
本発明の絶縁性碍子カバーの第一実施例を示す一部断面側面図である。 図1におけるA−A断面図である。 本発明の第二実施例を示す側面図である。 本発明の絶縁性碍子カバーの第三実施例を示す一部断面側面図である。 本発明の第四実施例を示す斜視図である。 従来の絶縁性碍子カバーの側面図である。
符号の説明
1 支持部材
2 碍子
3 絶縁性碍子カバー
13 笠部
14 開口
20 分断位置
21 ヒューズ

Claims (2)

  1. 碍子装置の外周部の一部または全部を包囲するカバー本体と、碍子延在方向に一個または所定間隔をおいて複数個の前記カバー本体外面から延びる笠部とを有していることを特徴とする絶縁性碍子カバー。
  2. 前記絶縁性碍子カバーは、前記碍子装置の碍子延在方向に少なくとも1箇所以上分断されていて、漏洩電流で焼損するヒューズで連結されていることを特徴とする請求項1記載の絶縁性碍子カバー。
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