JP2005353189A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】湿度変化に対して寸法変化が小さく、高記録密度化に対応できる磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性支持体の少なくとも一方の面に磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性層を設けた磁気記録媒体において、非磁性支持体が3層もしくは4層以上の層からなり、そのうちの表層以外の層が、極性基の含有量が1モル%未満の熱可塑性樹脂からなる構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、非磁性支持体の少なくとも一方の面に磁性層を設けた磁気記録媒体に関し、さらに詳しくはその構成要素である非磁性支持体の構造に関する。
磁気記録媒体は、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータテープ、磁気ディスクなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数100GB以上の記録容量を持つ磁気テープが商品化されている。また、今後1TBを超える大容量バックアップテープが提案されており、その高記録密度化は不可欠である。
磁気テープに記録できるデータの容量を増大させるため、データトラックの幅を狭くしてデータトラックの本数を増大させる、いわゆるデータトラックの高記録密度化が進められている。例えば1/2インチ幅の磁気テープでは、データトラックの本数が数100本程度に達し、各データトラックの幅は20μm以下という非常に狭い幅となってきている。
これに対応して、磁気テープにデータを記録/再生するヘッドとしては、複数の磁気ヘッドをヘッドユニット上に配設したマルチチャンネルヘッドが採用されている。このマルチチャンネルヘッドにおいては、各磁気ヘッドが幅の狭い各データトラック上を正確にトレースできるようにするため、ヘッドユニットを磁気テープの幅方向に位置制御するトラッキングサーボ技術が導入されている。
前記トラッキングサーボ技術は、磁気テープに予め書き込まれたサーボ信号をヘッドユニットに設けたサーボヘッドで読み取り、その読み取り信号に応じてアクチュエータを駆動することにより、ヘッドユニットを磁気テープの幅方向に位置制御して各磁気ヘッドを各データトラックに追従させる技術である。このようなトラッキングサーボ技術は、例えば特許文献1や特許文献2に記載されている。
しかしながら、磁気テープの高記録密度化の流れの中で、今後ますますデータトラックの幅が狭くなる傾向にあり、磁気テープの記録・再生時におけるテープ幅方向の揺動だけではなく、温度・湿度の変化、特に湿度によるテープ幅方向の寸法変化が生じた場合の磁気ヘッドとデータトラックとの位置関係のずれ、すなわち、サーボトラックとデータトラックとの距離と、サーボヘッドと記録・再生ヘッドとの距離との差が無視できないレベルにまでなってきて、データを正確に読み出せなくなる恐れが出てきた。これに対して、磁気記録媒体において非磁性支持体(ベースフィルム)として用いられている熱可塑性フィルムの少なくとも一方の面に、金属、半金属、金属酸化物、無機物などの層を設けることが提案されている(例えば、特許文献3〜5)。
特開2002−157722号公報 特開2003−173508号公報 特開平7−272247号公報 特開平11−339251号公報 特開平12−11376号公報
しかしながら、上記のような熱可塑性フィルムに少なくとも一方の面に金属、半金属、金属酸化物、無機物などの層を設ける構成では、加工効率が悪く生産性が上がらず、コストが高くなるという問題や、金属が腐食し、磁気記録媒体としての性能が低下するという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、その目的は、湿度変化に対して寸法変化が小さく、高記録密度化に対応できる磁気記録媒体を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明は、非磁性支持体の少なくとも一方の面に磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性層を設けた磁気記録媒体において、前記非磁性支持体が3層もしくは4層以上の層からなり、そのうちの表層(非磁性支持体の一方の面側の表層と他方の面側の表層の両方)以外の層が、極性基の含有量が1モル%未満の熱可塑性樹脂からなる構成としたものである。
ここで、非磁性支持体において3層以上の層構成としたのは、2層であれば層構成が厚さ方向に大きく非対称となり、温度、湿度等の環境変化で、非磁性支持体が湾曲するなどして変形しやすいからである。また、非磁性支持体における表層以外の層を、極性基の含有量が1モル%未満の熱可塑性樹脂からなる構成としたのは、後述する本発明実施例および比較例の結果(表1参照)からも明らかなように、極性基の量が1モル%以上になると、吸湿性が大きくなって、湿度による寸法変化が大きくなるからである。表層を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂など、従来公知の非磁性支持体用の樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、表面粗さや摩擦係数等の物性を磁気記録媒体用の支持体として好ましい範囲に制御しやすく、表層用樹脂として好ましい。なお、これらの樹脂は、本発明で言うところの極性基の含有量が通常1モル%以上である。
本発明によれば、非磁性支持体中に、極性基の含有量の少ない熱可塑性樹脂の層を設けているので、湿度変化に対して寸法変化が少なく、トラックずれの小さな磁気記録媒体が得られる。
本発明の実施形態について磁気テープを例にとって説明するが、磁気ディスクについても実施可能であることは言うまでもない。
図1に、本発明に係る磁気記録媒体(磁気テープ)の一構造例を示す。この磁気記録媒体1は、非磁性支持体4の一方の面に設けられた磁性層2と、非磁性支持体4と磁性層との間に設けられた非磁性層(下塗層)3と、非磁性支持体4の他方の面に設けられたバック層5とを有する。
〈非磁性支持体〉
上記非磁性支持体4は、図示例では上側の表層4aと中層4bと下側の表層4cとからなる3層構造である。生産性や製造コスト等を考慮すると、このような3層構造の非磁性支持体を使用するのが好ましいが、別にこれに限られるわけではない。すなわち、本発明の磁気記録媒体で用いられる非磁性支持体は、少なくとも3層からなっていれば良く、4層あるいはそれ以上の多層からなる構成であってもよい。非磁性支持体4における表層4a・4c以外の層(図示例では中層4b)は、極性基の含有量が1モル%未満の熱可塑性樹脂で構成する。先にも述べたように、3層以上の層構成とするのは、2層であれば層構成が厚さ方向に大きく非対称となり、温度、湿度等の環境変化で、支持体が湾曲するなど、変形しやすいからであり、極性基の含有量を1モル%未満としたのは、極性基の量が1モル%以上になると、吸湿性が大きくなって、湿度による寸法変化が大きくなるからである。また、表層4a・4c以外の層(図示例では中層4b)を2層以上の構成としてもよい。例えば、中層4bをさらに第1層(図示せず)と第2層(図示せず)の2層の構成とし、この中層4bの第1層と第2層とにおいて後述する不活性粒子の種類・量を変えることができる。こうすることにより、非磁性支持体の磁性層を設ける側の面と、その反対側の面の表面粗さを、それぞれ好ましく制御することが可能となる。
以上の条件を満たす熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフイン樹脂、ポリスチレン樹脂、P−ジビニルベンゾール樹脂、P−メチルスチレン樹脂、α−メチルスチレン樹脂、4−メチルペンテン−1樹脂、テルペン樹脂、ポリビスジエン樹脂などがある。これらの樹脂を単独で、もしくは複数混合して使用できる。また、極性基を有する樹脂を混合してもよいが、その場合は極性基の含有量が樹脂全体に対して1モル%未満となるように調整して、単層または複数の中層を形成することが好ましい。
また、中層に用いる樹脂のTg(ガラス転移温度)は、高いほうが好ましく、50℃以上であると高温での走行安定性が良好となるので、より好ましい。
ここでいう極性基とは、いかなる原子から構成された原子集団でもよく、電子密度の偏在等により極性を示し、吸湿性を発現するものであり、例えば分子主鎖骨格を形成する原子集団であるエステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、カーボネート結合、アミド結合、イミド結合等や、分子主鎖骨格に官能基側鎖として存在する原子集団である水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、スルホン基、硫酸基、りん酸基、硝酸基、エポキシ基、スルフィド基、ハロゲン基、ニトリル基等の極性を有する官能基をいう。
表層を形成する熱可塑樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂など、従来公知の非磁性支持体用の樹脂を用いることができる。
極性基の含有量が1モル%未満の前記熱可塑性樹脂は、表層に用いられる樹脂よりも湿度膨張係数が小さいので、前記熱可塑性樹脂を中層(表層以外の層)に用いることで、非磁性支持体の湿度膨張係数を小さくすることができ、ひいては湿度膨張係数の小さな磁気記録媒体を実現することができる。
表層と中層との厚さ構成については、湿度膨張係数低減の観点からいえば、中層は厚ければ厚いほど好ましいが、均一な厚さで、所定の平滑性、表面形状を有する表層を形成するためには、非磁性支持体の全厚に対して、表層(両面の合計)の厚さは5〜60%、中層は40〜95%とすることが好ましい。この範囲を外れると前記目的を達成することができない。
表層および中層には、走行性向上や平滑性のコントロールのために不活性粒子を含有することが好ましい。不活性粒子としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式の球状シリカ、コロイド状の球状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸やスチレン等を構成成分とする高分子架橋粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子等を挙げることができる。この中でも、高分子架橋粒子、アルミナ、球状シリカ、ケイ酸アルミニウムが特に好ましい。前記不活性粒子の粒子径としては、数平均粒子径が0.01〜1μmのものが好ましく、添加量としては、これらが添加される層のそれぞれにおいて0.001〜10重量%の範囲が好ましい。
図示例で、非磁性支持体4における上側の表層(磁性層2が設けられている側の表層)4aとその反対側の表層(下側の表層)4cとで、不活性粒子の種類、添加量を変えて、表面粗さを別々にコントロールすることが好ましい。通常、磁性層を設ける側の表層4aは、反対側の表層4cに比較して、表面を平滑にし、突起の高さと数を小さくする。
また、必要に応じて、その他の各種添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤などを添加することもできる。
非磁性支持体としては多層フィルムを使用することができる。この場合の多層フィルムは、例えば3層であれば、それぞれに異なる不活性粒子を含む前記樹脂の溶融液を、共押出法等の方法により積層することによって製造することができ、さらに4層以上の場合も同様である。これら積層の方法としては、周知の方法、例えば、ダイ内での積層、複合ダイでの積層や、一旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法などがある。また、あらかじめ形成しておいた各層を張り合わせてもよい。
層形成をした未延伸フィルムは、二軸延伸し、二軸配向させることが好ましい。延伸方法としては、逐次二軸延伸または同時二軸延伸など従来公知の方法を用いることができる。
なお、磁気テープの場合、テープ1巻当たりの巻き数を増やして記録容量を大きくするには非磁性支持体は薄いほどよいが、薄すぎるとそのぶん例えば剛性や強度等が低下し、テープの走行性や耐久性等が悪化する。このような点を考慮すると、本発明の磁気記録媒体において使用する非磁性支持体の厚さは、2μm以上、10μm未満が好ましく、3μm以上、8μm未満がより好ましく、4μm以上、6μm未満が最も好ましい。
非磁性支持体フィルムの長手方向のヤング率は5.88GPa(600kg/mm2 )以上が好ましく、6.86GPa(700kg/mm2 )以上がより好ましい。非磁性支持体フィルムの長手方向のヤング率が5.88GPa(600kg/mm2 )以上がよいのは、長手方向のヤング率5.88GPa(600kg/mm2 )未満では、テープ走行が不安定になるためである。また、ヘリキャルスキャンタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、0.60〜0.80の特異的範囲が好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、0.65〜0.75の範囲がより好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、0.60〜0.80の特異的範囲がよいのは、0.60未満または0.80を越えると、メカニズムは現在のところ不明であるが、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が大きくなるためである。このばらつきは長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が0.70付近で最小になる。さらに、リニアレコーディングタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、理由は明らかではないが、0.70〜1.30の範囲が好ましい。
以下、本発明の他の構成要素および必要に応じて加えられる要素等について説明する。
〈磁性層〉
磁性層の厚さは、0.01μm以上、0.15μm以下が好ましい。この範囲が好ましいのは、0.01μm未満では得られる出力が小さく、また均一な磁性層を塗布するのが困難となり、0.15μmを超えると短波長信号の解像度が悪くなるからである。
短波長記録特性をさらに向上させるためには、磁性層の厚さは0.01〜0.1μmであることがより好ましく、0.02〜0.06μmが最も好ましい。
なお、図1に示した磁気記録媒体1では、磁性層2は非磁性支持体4の一方の面にしか設けられていないが、磁気記録媒体の容量を大きくするために、非磁性支持体4の両面に磁性層を設ける構成としてもよい。
磁性層の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、100〜300kA/mがより好ましく、120〜280kA/mがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、80kA/m未満では記録波長を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になるためである。
磁性層(後述する下塗層の場合も同様)に用いるバインダ樹脂(結合剤)としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂とを組み合わせたものなどが挙げられる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリエステルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン樹脂などがある。
官能基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2 [これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す]、−OH、−NR' R''、−N+ R''' R''''R''''' [これらの式中、R' 、R''、R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基を示す]、エポキシ基を有する高分子からなる塩化ビニル系樹脂やウレタン樹脂等のバインダ樹脂が使用される。このようなバインダ樹脂を使用するのは、上述のように磁性粉末などの分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基同士の組み合わせが好ましい。
これらのバインダ樹脂は、磁性粉末100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、バインダ樹脂として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
これらのバインダ樹脂とともに、バインダ樹脂中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが好ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、バインダ樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部の割合で用いられる。より好ましくは5〜20重量部である。しかし、下塗層の上にウエット・オン・ウエットで磁性層が塗布される場合には下塗塗料からある程度のポリイソシアネートが拡散供給されるので、ポリイソシアネートを併用しなくても磁性層はある程度架橋される。
上記のような、熱硬化性のバインダ樹脂の代わりに、放射線硬化性樹脂を用いてもよい。放射線硬化性樹脂としては、上記熱硬化性樹脂をアクリル変性し放射線感応性二重結合を持たせたものや、アクリルモノマー、アクリルオリゴマーが用いられる。
磁性層中に含ませる磁性粉末の平均粒子径は、5nm以上、60nm未満の範囲にあるのが好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が5nm未満では、粒子の表面エネルギーが大きくなって分散が困難になり、平均粒子径が60nm以上になるとノイズが大きくなるためである。磁性粉末としては、強磁性鉄系金属磁性粉末や窒化鉄磁性粉末、板状の六方晶Ba−フエライト磁性粉等が好ましい。
強磁性鉄系金属磁性粉末には、Mn、Zn、Ni、Cu、Coなどの遷移金属を合金として含ませてもよい。その中でも、Co、Niが好ましく、とくにCoは飽和磁化を最も向上できるので、好ましい。上記の遷移金属元素の量としては、鉄に対して、5〜50原子%とするのが好ましく、10〜30原子%とするのがより好ましい。また、イツトリウム、セリウム、イツテルビウム、セシウム、プラセオジウム、サマリウム、ランタン、ユ―ロピウム、ネオジム、テルビウムなどから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を含ませても良い(焼結防止剤)。その中でも、セリウム、ネオジムとサマリウム、テルビウム、イツトリウムを用いたときに、形状が良好に保持され、磁性粉表面に均一なセラミック層が形成されるので好ましい。希土類元素の量は鉄に対して0.2〜25原子%、好ましくは0.3〜20原子%、より好ましくは0.5〜15原子%である。
窒化鉄磁性粉末は,公知のものを用いることができ,形状は針状の他に球状や立方体形状などの不定形のものを用いることができる。粒子径や比表面積については磁気記録用の磁性粉末としての要求特性をクリアするためには,限定した磁性粉末の製造条件とすることが必要である(参考特許:特開2000−277311号公報)。
強磁性鉄系金属磁性粉末および窒化鉄磁性粉末の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、80〜200A・m2 /kg(80〜200emu/g)が好ましく、100〜180A・m2 /kg(100〜180emu/g)がより好ましい。
強磁性鉄系金属磁性粉末および窒化鉄磁性粉末の平均粒子径としては、5nm以上、60nm未満が好ましく、15〜40nmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が5nm未満となると、保磁力が低下したり、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中での分散が困難になったり、平均粒子径が60nm以上であると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなるためである。また、この強磁性粉末のBET比表面積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上がより好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。通常100m2 /g以下である。
また、前記強磁性鉄系金属時性粉末、窒化鉄磁性粉末をAl,Si,P,Y,Zrまたは、これらの酸化物で表面処理して使用してもかまわない。
六方晶Ba−フエライト磁性粉の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、40〜70A・m2 /kg(40〜70emu/g)が好ましい。また、粒子径(板面方向の大きさ)は10〜50nmが好ましく、10〜30nmがより好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。粒子径が10nm未満となると、粒子の表面エネルギーが増大するため塗料中への分散が困難になり、50nmを越えると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。なお、上記の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真から各粒子の最大径(針状粉では長軸径、板状粉では板径)を実測し、100個の平均値により求めたものである。また、板状比(板径/板厚)は2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、六方晶Ba−フエライト磁性粉のBET比表面積は、1〜100m2 /gが好ましく用いられる。
なお、これらの強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1273.3kA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
また、上記の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真から各粒子の最大径(針状粉では長軸径、板状粉では板径の最大値)を実測し、100個の平均値により求めたものである。
磁性層には、必要に応じて、従来公知の研磨剤を添加することができる。これらの研磨剤としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上のものが単独または組み合わせで使用される。研磨剤の粒子サイズとしては、通常、平均粒子径で10nm〜200nmとすることが好ましい。
さらに、必要に応じて、導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラックを添加してもよい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどを使用できる。なお、平均粒子径が10nm〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。また、必要に応じて、異なる平均粒子径のカーボンブラックを2種類以上用いてもかまわない。
〈下塗層〉
高記録密度の磁性層を得るためには、磁性層の厚さを薄くすることが好ましく、耐久性のある薄層の磁性層を安定して得るためには、磁性層と非磁性支持体との間に下塗層(非磁性層)を設けることが好ましい。下塗層の厚さは0.2μm以上、1.5μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.8μm以下がさらにより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2μm未満では、磁性層の厚さむら低減効果、耐久性向上効果が小さいためである。1.5μmを越えると磁気テープの全厚が厚くなり過ぎてテープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。
下塗層には非磁性粉末を添加するのが好ましい。この場合の非磁性粉末としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム等があるが、酸化鉄、酸化チタン単独または酸化鉄と酸化アルミニウムの混合系が好ましく使用される。非磁性粉末の粒子形状は球状、板状、針状、紡錘状のいずれでもよいが、針状、紡錘状の場合は、通常、長軸長20〜200nm、短軸長5〜200nmのものが好ましい。非磁性粉末を主に、必要に応じて粒子径0.01〜0.1μmのカーボンブラック、粒子径0.05〜0.5μmの酸化アルミニウムを補助的に含有させることが多い。下塗層を平滑に、かつ厚みムラを少なく塗布するためには、上記非磁性粒子およびカーボンブラックは特に粒度分布がシャープなものを用いることが好ましい。
下塗層には、平均粒子径が10nm〜100nmの非磁性板状粉末を添加してもよい。非磁性板状粉末の成分としては、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄等の元素の酸化物または複合酸化物が挙げられる。導電性改良の目的で、平均粒子径10〜100nmのグラファイトのような板状炭素性粉末や平均粒子径10〜100nmの板状ITO(インジウム、スズ複合酸化物)粉末などを添加してもよい。前記、非磁性板状粉末を添加することで、膜厚の均一性、表面平滑性、剛性、寸法安定性が改善される。
なお、下塗層に使用するバインダ樹脂は、先に述べた磁性層と同様のものを用いることができる。
〈潤滑剤〉
磁性層、下塗層には磁性層、下塗層に含まれるそれぞれ全粉体に対して0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.5〜5.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させることが好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.5重量%未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起こりやすく焼付き防止効果が小さく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生するおそれがあるからである。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、5.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われるおそれがあるからである。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、テープとヘッドが貼り付く等の副作用を生じるおそれがあるためである。高級脂肪酸としては、炭素数10以上の脂肪酸を用いるのが好ましく、高級脂肪酸エステルは前記高級脂肪酸のエステルを用いるのが好ましい。炭素数10以上の脂肪酸としては、直鎖、分岐、シス・トランスなどの異性体のいずれでもよいが、潤滑性能にすぐれる直鎖型が好ましい。このような脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などが好ましい。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではなく、上記潤滑剤が下塗層に含まれる場合には、磁性層に潤滑剤を含ませなくてもよい。また、逆に磁性層に含ませるだけで効果が発現する場合には、下塗層に含ませなくてもよい。
〈分散剤〉
下塗層や磁性層に含まれる非磁性粉末やカーボンブラック、磁性粉末を良好に分散させるために分散剤を使用することができる。このような分散剤としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸(RCOOH、Rは炭素数11〜17個のアルキル基、又はアルケニル基)、前記脂肪酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属からなる金属石けん、前記の脂肪酸エステルのフッ素を含有した化合物、前記脂肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンは、エチレン、プロピレンなど)、硫酸塩、スルホン酸塩、りん酸塩、及び銅フタロシアニンなど、従来公知の分散剤を使用することができる。このような分散剤で上記磁性粉末等を表面処理したり、分散剤とともに上記粉末を混合・分散して所要の下塗層用塗料や磁性層用塗料を製造したりしてもよい。これらは、単独でも組み合わせて使用しても良い。分散剤は、いずれの層においてもバインダ樹脂(結合剤)100重量部に対して通常、0.5〜20重量部の範囲で添加される。
〈バック層〉
本発明の一実施形態である磁気テープには、走行性向上等を目的にバック層を設けることが好ましい。バック層の厚さは0.05〜0.8μmが良い。この範囲が良いのは、0.05μm未満では、走行性向上効果が不充分で、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。バック層としては、通常、非磁性粉末と結合剤とを含むバック層が設けられるが、走行性向上の効果を有するものであれば、他の形態のものであってもかまわない。
バック層に添加するカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒子径カーボンブラックと大粒子径カーボンブラックを使用する。小粒子径カーボンブラックには、平均粒子径が5nm〜200nmのものが使用されるが、平均粒子径10nm〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、平均粒子径が10nmより小さいとカーボンブラックの分散が難しく、平均粒子径が100nmより大きいと多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒子径カーボンブラックとして、小粒子径カーボンブラックの5〜15重量%、平均粒子径200〜400nmの大粒子径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒子径カーボンブラックと大粒子径カーボンブラック合計の添加量は無機粉体重量を基準にして60〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましい。中心線平均表面粗さRaは3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。バック層に磁性があると磁気記録層の磁気信号が乱れる場合があるので、通常、バック層は非磁性である。
バック層には、強度、温度・湿度寸法安定性向上等を目的に、平均粒子径が10nm〜100nmの非磁性板状粉末を添加することができる。この場合の非磁性板状粉末は、酸化アルミニウムに限らず、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄等の元素の酸化物または複合酸化物を成分として含むものが用いられる。導電性改良の目的で、平均粒子径が10nm〜100nmの板状炭素性粉末や平均粒子径が10nm〜100nmの板状ITO粉末などを添加してもよい。また、必要に応じて、平均粒子径が0.1μm〜0.6μmの粒状酸化鉄粉末を添加してもよい。添加量はバック層中の全無機粉体の重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。また、平均粒子径が0.1μm〜0.6μmのアルミナを添加すると、耐久性がさらに向上するので好ましい。
バック層には、バインダ樹脂として、前述した磁性層や下塗層に用いる樹脂と同じものを使用できるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂とを複合して併用することが好ましい。バインダ樹脂の含有量は、通常、前記カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。前記範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バック層の強度が不十分であり、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらにバインダ樹脂を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
バック層には、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤と同様の架橋剤を使用する。架橋剤の量は、バインダ樹脂100重量部に対して、通常、10〜50重量部の割合で用いられ、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。前記範囲が好ましいのは、10重量部未満ではバック層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとSUSに対する動摩擦係数(測定条件は、磁気メディア技術マニュアルNo.6−社団法人;日本磁気メディア工業会、1993年3月発行−に記載の方法に準拠)が大きくなるためである。
〈有機溶剤〉
磁性層用塗料(以下では「磁性塗料」ともいう)、下塗層(非磁性層)用塗料(以下では「下塗塗料」ともいう)、バック層用塗料に使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は混合して使用され、さらにトルエンなどと混合して使用される。
[実施例]
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。なお、以下の実施例および比較例における「部」は、特に断らない限り「重量部」を意味する。また、実施例および比較例における「平均粒子径」は、特に断らない限り「数平均粒子径」を意味する。
《非磁性支持体の作製》
架橋ポリスチレン樹脂粒子(平均粒子径:0.3μm)を0.05重量%、アルミナ粒子(平均粒子径:0.1μm)を0.06重量%含有した非磁性支持体a層用ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)(35℃でO−クロロフェノール溶媒中における固有粘度:0.60dl/g、Tm(融点):258℃、Tg:78℃)のペレットと、架橋ポリスチレン樹脂粒子(PSt)(平均粒子径:0.3μm)を0.13重量%、アルミナ粒子(平均粒子径:0.1μm)を0.15重量%含有した非磁性支持体b層用ポリスチレン樹脂(Tm:235℃、Tg:93℃、極性基なし)のペレットと、架橋ポリスチレン樹脂粒子(平均粒子径:0.6μm)を0.008重量%、架橋アクリル樹脂粒子(平均粒子径:0.3μm)を0.13重量%、アルミナ粒子(平均粒子径:0.1μm)を0.15重量%含有した非磁性支持体c層用ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)(35℃でO−クロロフェノール溶媒中における固有粘度:0.60dl/g、Tm:258℃、Tg:78℃)のペレットとを170℃で3時間乾燥した後、3台の押出機ホッパーに供給し、溶融温度300℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いてa層の片側にb層、c層を積層させ、表面仕上げ0.3S程度、表面温度25℃のキャスティングドラム上に押出し、積層未延伸フィルムを得た。なお、層厚み構成は3台の押出機の吐出量にて調整した。
このようにして得られた未延伸フィルムを75℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で14mm上方より830℃の表面温度のIRヒーターにて加熱して2.25倍に延伸し、急冷し、続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に3.6倍延伸した。さらに引き続いて110℃にて予熱し、低速、高速のロール間で2.5倍に縦方向に延伸し、更にステンターに供給し、210℃で10秒間熱固定し、全厚さ5.0μm、a層、c層それぞれの厚さ1.0μm、b層の厚さ3.0μmの二軸配向積層ポリエステルフィルム(a層、b層、c層の順に積層されてなる三層構造の二軸配向積層ポリエステルフィルム)を得た。得られたフィルムのヤング率は、長手方向7.7GPa、幅方向4.6GPaであった。
《下塗塗料成分》
(1)
・針状酸化鉄(平均粒子径:100nm) 68部
・粒状アルミナ粉末(平均粒子径:80nm) 8部
・カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 24部
・ステアリン酸 2.0部
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 8.8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
・シクロヘキサノン 25部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 10部
(2)
・ステアリン酸ブチル 1部
・シクロヘキサノン 70部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 20部
(3)
・ポリイソシアネート 1.4部
・シクロヘキサノン 10部
・メチルエチルケトン 15部
・トルエン 10部
《磁性塗料成分》
(1)混練工程成分
・針状強磁性鉄系金属粉 100部
(Co/Fe:24at%、
Y/(Fe+Co):7.9at%、
Al/(Fe+Co):4.7at%、
σs:119A・m2 /kg(119emu/g)、
Hc:181kA/m(2280Oe)、
平均軸長:60nm、軸比6)
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 14部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂(PU) 5部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
・粒状アルミナ(平均粒子径:80nm) 10部
・カーボンブラック(平均粒子径:75nm) 5部
・メチルアシッドホスフェート(MAP) 2部
・テトラヒドロフラン(THF) 20部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 9部
(2)希釈工程成分
・パルミチン酸アミド(PA) 1.5部
・ステアリン酸n−ブチル(SB) 1部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 250部
(3)配合工程成分
・ポリイソシアネート 1.5部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A) 129部
上記の下塗塗料成分において(1)を回分式ニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗塗料(下塗層用塗料)とした。
これとは別に、上記の磁性塗料の成分において(1)混連工程成分を予め高速混合しておき、その混合粉末を連続式2軸混練機で混練し、さらに(2)希釈工程成分を加え連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈を行い、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに(3)配合工程成分を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。
上記の下塗塗料を、作製した前記非磁性支持体のa層側の表面に、乾燥・カレンダ処理後の厚さが0.9μmとなるように塗布し、この塗布層(下塗層)の上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向・乾燥・カレンダー処理後の磁性層の厚さが0.09μmとなるようにウエット・オン・ウエットで塗布し、磁場配向処理、凝縮板乾燥、通風乾燥を経て磁気シートを得た。
《バック層用塗料成分》
・カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 80部
・カーボンブラック(平均粒子径:0.35μm) 10部
・粒状酸化鉄(平均粒子径:50nm) 10部
・ニトロセルロース 45部
・ポリウレタン樹脂(−SO3 Na基含有) 30部
・シクロヘキサノン 260部
・トルエン 260部
・メチルエチルケトン 525部
上記バック層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバック層用塗料を調整し、濾過後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面(非磁性支持体のc層側の表面)に、乾燥・カレンダ処理後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥させた。
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧196kN/mの条件で鏡面化処理(カレンダ処理)し、磁気シートをコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングして評価用の磁気シートを作製した。
実施例1における非磁性支持体b層用の熱可塑性樹脂を、ポリスチレン樹脂(PSt)(Tm:235℃、Tg:93℃、極性基なし)からポリプロピレン樹脂(PP)(Tm:140℃、Tg:−35℃、極性基なし)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る評価用の磁気シートを作製した。
実施例1における非磁性支持体b層用の熱可塑性樹脂を、ポリスチレン樹脂(PSt)(Tm:235℃、Tg:93℃、極性基なし)からPSt/ポリアクリル酸(PAA)混合樹脂(Tm:140℃、Tg:−35℃、混合樹脂中に−COOH基を0.9モル%含む)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る評価用の磁気シートを作製した。
[比較例1]
実施例1における非磁性支持体b層を設けず、a層、c層それぞれの厚さを2.5μmとなるように非磁性支持体を作製した以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る評価用の磁気シートを作製した。
[比較例2]
実施例1における非磁性支持体b層用の熱可塑性樹脂を、ポリスチレン樹脂(PSt)(Tm:235℃、Tg:93℃、極性基なし)からPSt/ポリアクリル酸(PAA)混合樹脂(Tm:140℃、Tg:−35℃、混合樹脂中に−COOH基を1.2モル%含む)に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2に係る評価用の磁気シートを作製した。
〔評価〕
以上のようにして得られた各実施例および比較例に係る評価用の磁気シートについて、以下のような測定を行って特性を評価した。
〈非磁性支持体の各構成層の厚さの測定〉
非磁性支持体全体の厚さはマイクロメータにてランダムに10点測定し、その平均値を用いる。a層およびc層の層厚は、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ5000nmの範囲のフィルム中の不活性粒子のうち最も高濃度の粒子に起因する金属元素(M+ )と熱可塑性樹脂の炭化水素(C+ )の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ5000nmまで厚さ方向の分析を行なう。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明の場合、図2に示すように、a層(あるいはc層)の表面から内部にM+ /C+ を見ていくと、当初表面から内部に入るほど粒子濃度が高くなるためM+ /C+ が上昇し、その後粒子濃度は一旦安定領域になり、更にb層界面に近づくと粒子濃度が低くなり、M+ /C+ が低下する。この分布曲線をもとに、粒子濃度が安定値の1/2になる深さ(この深さは安定値を与える深さよりも深い)をもって、a層(c層)の厚み(μm)とする。
また、表層から5000nmの範囲に最も多く存在する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合、SIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらFT−IR(フーリエトランスフォーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線光電分光法)などで上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚(μm)を求める。b層の層厚さは、前述の全厚さよりa層およびc層の層厚を引き算して求める。
〈ヤング率(幅方向)の測定〉
小型引っ張り試験機(横浜システム社製)を用い、25℃、75℃での歪み・引っ張り応力を測定した。測定長さは10mm、引っ張り速度10%歪み/分で引っ張り、得られた応力の0.3%歪みの値をもとに、0.3%伸び弾性率(ヤング率)を評価した。この評価は試料の幅方向で行った。この測定は、通常磁気シートおよび、非磁性支持体シートから測定試料を切り出して行うことが好ましいが、下記の方法により磁気テープからも求めることができる。
測定テープからテープの幅方向に3.81mm、長手方向に約1mmの短冊状の測定試料を切り出し、その長手方向の一端を加振機の振動部にはさみつけて固定して、試料の面方向に振動させる。振動周波数を低い所から高い所へゆるやかに変化させると同時に、試料の他端の振動を非接触変位計で測定し、その振幅が最も大きくなる時の加振周波数(共振周波数)を読み取り、下式にしたがって試料テープの幅方向のヤング率が求められる。
TD=a×((ρ×l4)/t2)×fTD
ここで、
TD:幅方向のヤング率(kg/mm2
a:定数(a=3.83)
ρ:テープの密度(g/cm3
l:振動部分の試料長さ(mm)
t:テープ厚み(mm)
TD:幅方向の共振周波数(Hz)
同様に、測定テープからテープの長手方向に約4mm、幅方向に約1mmの試料を切り出し、振動部分の長さを先の試料と同じになるように加振機に取り付けて、長手方向の共振周波数fMDを読み取る。こうすれば、EMD/ETDの値は下式で求められる。
MD/ETD=fMD/fTD
ここで、
MD:長手方向のヤング率(kg/mm2
この結果より、テープの長手方向のヤング率の値を引っ張り試験機で求めたうえで、テープの幅方向のヤング率を算出することができる。
〈ガラス転移温度の測定〉
動的粘弾性測定装置(Rheometrics Inc.社製、装置名;Solids Analyzer RSAII )を用い、昇温速度4℃/min.、測定周波数10Hzにて、非磁性支持体b層に使用する熱可塑性樹脂のガラス転移温度を測定した。非磁性支持体形成後、または磁気テープから分析を行う場合には、環境制御型プローブ顕微鏡(セイコーインスツルメント社製:Nano Navi E-Sweep )を用いて、試料断面のb層部分のガラス転移温度を測定しても良い。
〈湿度膨張係数の測定〉
試料シートから幅方向に約20mm×5mmの短冊状の測定試料を切り出し、TMA(Themal Mechanical Analysis)装置(セイコーインスツルメント社製:TMA/SS 100)を使用して、25℃、20%RHの環境下と25℃、60%RH環境下での測定試料の寸法変化を読み取って湿度膨張係数を求めた。寸法測定は、各環境下で24時間、測定試料を放置した後に行った。磁気テープから上記測定を行う場合には、試料長を磁気テープ幅として測定を行う。
〈極性基濃度の測定〉
非磁性支持体b層に使用する熱可塑性樹脂のIR分光分析を行い、IRスペクトルチャートの極性基に特有のピーク高さから極性基濃度を求めた。非磁性支持体形成後、または磁気テープから分析を行う場合には、磁気テープの磁性層、バック層、その他の層を有機溶剤で剥がし、非磁性支持体のみにしてから、ラマン分光分析にてb層の樹脂の種類、極性基濃度の定量を行う。
〈トラックずれによる出力劣化量〉
幅1/2インチ(2.54cm)のリニア記録・再生タイプデータストレージ磁気テープを想定し、サーボトラック−データトラック間距離(Dsd)=3000μm、記録トラック幅(Wr)=16μm、再生トラック幅(Wp)=10μm、湿度変化量(ΔH)=40%RHの条件を当てはめ、各試料の湿度膨張係数Chから下記の式(1)により最大トラックずれ量を求め、このずれ量と再生トラック幅の値とから下記の式(2)により出力劣化量を求めた。
最大トラックずれ量(μm)=Dsd×ΔH×Ch ・・・(1)
出力劣化量(%)=(最大トラックずれ量−(Wr−Wp)/2)/Wp×100
・・・(2)
表1に各磁気シートの評価結果を示した。表から明らかなように、本発明に係る実施例1〜3の磁気シートは、請求項1を満たさない比較例1、2の磁気シートに比較して湿度膨張係数が小さく、トラックずれによる出力低下量(計算値)が少ない。また、非磁性支持体b層に用いる熱可塑性樹脂のTgが50℃以下である実施例2の磁気シートに比較して、Tgが50℃以上である実施例1の磁気シートは高温でのヤング率の低下が小さく、より好ましいものであることもわかる。
Figure 2005353189
本発明に係る磁気記録媒体の一例を示す概略断面図である。 非磁性支持体の各構成層の厚さの測定について説明した際に使用した説明図である。
符号の説明
1 磁気記録媒体
2 磁性層
3 非磁性層
4 非磁性支持体
4a 非磁性支持体における一方の面側の表層a
4b 非磁性支持体中層b
4c 非磁性支持体における他方の面側の表層c
5 バック層

Claims (1)

  1. 非磁性支持体の少なくとも一方の面に磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性層を設けた磁気記録媒体において、前記非磁性支持体が3層もしくは4層以上の層からなり、そのうちの表層以外の層が、極性基の含有量が1モル%未満の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする磁気記録媒体。
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