JP2005351766A - 耐汚染性試験方法及び試験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 建材外壁等の汚染度をより自然状況に近い状態の再現を簡単な設備で短時間に行う。
【解決手段】 本発明の耐汚染性試験方法及び装置は、汚染物質含有液を上部の定位置から一定量の滴下と水洗を繰り返すことで試料表面に汚染物質を付着させるとした塵埃について評価する。
【解決手段】 本発明の耐汚染性試験方法及び装置は、汚染物質含有液を上部の定位置から一定量の滴下と水洗を繰り返すことで試料表面に汚染物質を付着させるとした塵埃について評価する。
Description
本発明は、住宅・ビルの外壁等に使用される材料の汚染に対する抵抗性を評価するための耐汚染性試験方法に関する。
従来、材料の汚染に関する評価は自然状況と同じ条件のもとに晒らすべく試料を実際に屋外に長期間暴露する方法がとられていた。しかし、暴露試験では長期間の時間を要するので、短期間で塵埃汚染を促進させる代替方法が種々考えられている。
例えば、自然状況に近い状態が再現できるとして、加温、乾燥に先立って、汚染物質を水に懸濁して試料表面にかけ流している。又、上記手段では帯電状態及び帯磁状態での塵埃付着が欠落しているとして、試験体を帯電状態にしておいて、これに汚染物質を放出させて付着させるとしている。その他、塵埃を含んだ気流の作用による汚染と水滴の洗浄作用による回復性とをみなければ自然状況に合わないとして、試料に汚染物質を吹付けた後、試料を散水洗浄して汚染状態を評価した例もある。
特公平3−58661号公報
特開平10−38790号公報
特開2003−28784号公報
前述の諸例にあっては、以下に述べる難点がみられる。すなわち、最初のもの(特公平3−58661号公報)にあっては、汚染物質には、土粒子などの水になじみやすい物質のほかに、排気ガスや煤煙等に含まれる疎水性カ−ボンのように水になじみにくい性質のものがある。そのため、汚染物質を水に懸濁する方法では、疎水性カ−ボンのように水になじみにくい性質のものを均一に混ぜることが不可能なため有効化することができず、屋外の環境と異なってしまうため汚染状態を十分再現することができない。また、第2のもの(特開平10−38790号公報)にあっては、水による影響が考慮されないため、雨水によってもたらされる塵埃による汚染の評価は困難である。第3のものにあっては、立設させた外壁試験体の上方に設けた庇の上に汚れ物質を懸濁させた懸濁液を噴霧し、この噴霧した懸濁液を庇から外壁試験体の表面上に流下させ、次に、同じ庇の上に水を噴霧し、この噴霧した水を庇から外壁試験体の表面上に流下させ、その後、外壁試験体を乾燥する操作を複数回繰り返す方法および装置が開示され、設置場所やメンテナンスなどの煩わしさがある。
実際の建物外壁の塵埃による汚染箇所を考慮した場合、窓の下部のように上部からの塵埃を含んだ水により塵埃がもたらされ材料に直接付着し、塵埃に含まれる疎水性汚れが固着することにより汚染が進行する場合が大部分であるため、試料表面に吹付けた塵埃を散水により洗浄する方法では水の物理力による洗浄の影響は把握できるが、上部から運ばれる汚染物質の影響、それに伴う材料表面を流れる間の疎水性汚れ付着の影響を考慮しなければならない。
そもそも、住宅・ビル等の外壁は、塵埃の付着や微生物の付着、生育によって汚染が進行する。土粒子や排気ガスに含まれるカ−ボンが雨水によって外壁表面にもたらされ、それが付着して汚れが進行する割合は高く、塵埃による汚染を考える場合に雨水による影響を無視することはできない。住宅・ビル等の外壁の塵埃による汚染の多くは、窓の下部や突起物の下部あるいはパラペットの下面部に見られるがそれらはすべて上部に堆積した塵埃が雨水によって壁面に運ばれ、付着しやすい箇所である。そのような箇所の汚染を短期間で再現し、材料の塵埃汚染に対する抵抗性を正しく評価するためには、排気ガス等に含まれる疎水性カ−ボンのような水に混ざりにくい汚染物質をも付着させて、上部から水の影響により塵埃が流れ落ちる過程で試料に塵埃が付着する機会を与えることができなければならない。
その点、第3のものは外壁を模した方法および装置を紹介しているが、庇を設けた試験体の規模を考慮すると複雑で多大な設置面積を要し、試験終了後のメンテナンス等の労力も要ることから、簡単な設備で短時間に実際の外壁汚れを再現できる試験方法や装置が望まれていた。
本発明は、かかる観点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、より自然状況に近い状態の再現を簡単な装置で期することにある。
本発明は、かかる観点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、より自然状況に近い状態の再現を簡単な装置で期することにある。
上記目的を達成するために、本発明の耐汚染性試験方法は、下記の如くなされる。住宅・ビルの外壁等の塵埃による汚染の
多くは、雨水の影響を受けており、塵埃が雨の水滴中に混ざり込んで運ばれたり、建物の構造上、上部に堆積した塵埃が雨水の流れによって運ばれることを繰り返すことによって塵埃の微粒子が材料表面や空隙中に付着することで生じる。大気中に浮遊する塵埃には、水に懸濁しやすい土粒子のほか水に懸濁しない疎水性のカ−ボン等がある。
多くは、雨水の影響を受けており、塵埃が雨の水滴中に混ざり込んで運ばれたり、建物の構造上、上部に堆積した塵埃が雨水の流れによって運ばれることを繰り返すことによって塵埃の微粒子が材料表面や空隙中に付着することで生じる。大気中に浮遊する塵埃には、水に懸濁しやすい土粒子のほか水に懸濁しない疎水性のカ−ボン等がある。
本発明では、塵埃が堆積する部分や窓等の塵埃が付着しやすい部分を模擬した。汚染物質含有液を上部の定位置から一定量の滴下と水洗を繰り返すことで試料表面に汚染物質を付着させるとした塵埃についての耐汚染性試験方法であり、水に懸濁しない疎水性の物質も加えるようにして、実際の環境に近づけた。試料に土粒子、疎水性カ−ボン等の汚染物質含有液をノズルにより滴下することで、試料の上部から筋状に塵埃が試料表面を流れ落ちる。その後強制乾燥することなく、汚染物質含有液の滴下用ノズルとは別経路で該ノズルよりも上方に設けたノズルから水を散布する水洗を繰り返し、水の表面張力の影響や試料表面から空隙に入り込むことによって塵埃が試料表面に付着する。これを繰り返すことにより、住宅・ビルの外壁等の建造物の塵埃汚染を正確に再現できるとした。
住宅・ビル外壁の垂直面の汚染では上部から雨水で運ばれる塵埃の影響の方が雨滴による洗浄の影響よりもはるかに大きく、また、雨滴自体にも塵埃物質が含まれており洗浄だけでなく汚染ももたらす。材料の使用される建物の部位、状況により汚染の状況も異なるため、試験においては、汚染物質含有液の滴下、水洗の順序、時間及び滴下量、水洗及び試料上部に設ける板の形状、大きさ、取り付け方法は材料の使用される建物の部位、状況により変化させることで対応することが望ましい。
本発明は以上の如く構成されるので、住宅・ビルの外壁等に使用される材料の汚染状況を自然状況に同じく正確に再現することが可能になり、塵埃汚染に対する材料の抵抗性を短時間で評価できる。
以下に本発明の実施の形態を説明する。図1に示すように架台1に試料2をマグネット3で固定する。図2に示すように、図1で示した架台1をあらかじめ水を満たした水槽4に設置する。水槽4の上部に汚染物質含有液滴下用ノズル5と、その上部に別経路による複数個の散水用ノズル6を配置し、それぞれポンプ制御用タイマー7によって制御される汚染物質含有液滴下用ポンプ8と散水用ポンプ9が付属する構成からなる、耐汚染性試験装置を用いて行なった。すなわち、試料2の上部に窓等を模擬した塵埃の付着しやすい雨筋状になるように汚染物質含有液10を試料2に滴下し、その後強制乾燥せずにその上部に設けた散水用ノズル5から散水し、取りつけた試料全体を水洗した。架台1には汚染物質捕集フィルター11がついており、試料を水洗して汚染された洗浄水および、試料に滴下された汚染物質含有液は図3に示すように、汚染物質捕集フィルター11を通過することで汚染物質は除去される。これにより、水槽4の水は常に綺麗な状態を保持でき、水洗用として再利用できる。汚染物質含有溶液10にはカーボンブラックを水に0.1重量%添加したものを使用し、試験中はカーボンブラックの沈降を防止するため撹拌器12による撹拌を行った。
なお、各図面には試料2が1つずつ記載されているが、複数のノズルおよび配管などにより、複数の試料を並列させてもよい。
なお、各図面には試料2が1つずつ記載されているが、複数のノズルおよび配管などにより、複数の試料を並列させてもよい。
汚染物質含有液の滴下条件および、散水の条件は次のとおりである。
1洗浄→2停止→3汚染物質含有液滴下→4洗浄→5休止
60秒間水洗した後、停止し汚染物質含有液を15秒間滴下(3ml)した後、直ちに30秒間水洗し休止する。これを1サイクルとし、複数回繰り返した。
比較として、屋外雨筋暴露1年経過後の評価結果を用いた。屋外雨筋暴露評価方法は雨筋を付着しやすくするため、垂直に取り付けられた試験片の上部に傾斜を付けた波板を設置し、降雨時に波板から流れてきた雨水が試験片の表面を流れる落ちる構造として1年間試験を実施した。
耐汚染性の指標として試験前と試験後の明度(L値)を測定し、明度差(ΔL)で汚染度を評価した結果の一例を表1に示す。
1洗浄→2停止→3汚染物質含有液滴下→4洗浄→5休止
60秒間水洗した後、停止し汚染物質含有液を15秒間滴下(3ml)した後、直ちに30秒間水洗し休止する。これを1サイクルとし、複数回繰り返した。
比較として、屋外雨筋暴露1年経過後の評価結果を用いた。屋外雨筋暴露評価方法は雨筋を付着しやすくするため、垂直に取り付けられた試験片の上部に傾斜を付けた波板を設置し、降雨時に波板から流れてきた雨水が試験片の表面を流れる落ちる構造として1年間試験を実施した。
耐汚染性の指標として試験前と試験後の明度(L値)を測定し、明度差(ΔL)で汚染度を評価した結果の一例を表1に示す。
表1に示すように、本発明である耐汚染試験5サイクル後と屋外雨筋暴露1年経過後の明度差を比較した結果、撥水性塗装鋼板および親水性塗装鋼板ともに耐汚染試験5サイクル後の明度差の値は屋外雨筋暴露1年経過後とほぼ一致することが判った。
試料表面の対水接触角すなわち試料表面の親水・撥水性の違いによって、試験後の試料表面の明度差に差が出てくる。明度差が大きいほど塵埃による汚染が進行しやすいことを示している。対水接触角の高い試料である撥水性塗装鋼板の場合は、塵埃中の疎水性汚れと試料表面の付着力が大きく、一度付着した疎水性汚れは水の流れでは取り除かれず汚れが堆積し雨筋汚れとなる。一方、対水接触角の低い親水性塗装鋼板の場合は、塵埃中の疎水性汚れと試料表面の付着力が小さく、雨水や水洗時に汚れと試料表面の間に水膜が出来ることで、水の流れによって塵埃中の疎水性汚れが取り除かれやすくなる。そのために親水性の表面をもつ試料の明度差が小さくなり雨筋汚れが目立たないものと考えられる。
実際の建物外壁の塵埃による汚染箇所は、窓下部、パラペット下部、突起物の下部や庇の端部のように上部からの塵埃を含んだ水により塵埃がもたらされて汚染が進行する場合が大部分である。また、材料の汚染抵抗性を評価するには、各々の材料が同程度の塵埃の影響を受けるようにする必要がある。壁面に付着した塵埃が雨水の影響を受け、さらに壁面を汚染するという現象は少なく、建物外壁の汚染に及ぼす影響も非常に小さいと思われる。
以上に説明したように、本発明によれば建物外壁の塵埃による雨筋状の汚染度を簡単な設備で短時間に実際に則した状態にて予測でき、当該部位に使用しようとする材料の適性を確認できる。
1 架台
2 試料
3 マグネット
4 水槽
5 汚染物質含有液滴下用ノズル
6 散水用ノズル
7 ポンプ制御用タイマー
8 汚染物質含有液滴下用ポンプ
9 散水用ポンプ
10 汚染物質含有液
11 汚染物質捕集フィルター
12 撹拌器
13 滴下汚染物質含有液
14 汚染物質除去溶液
2 試料
3 マグネット
4 水槽
5 汚染物質含有液滴下用ノズル
6 散水用ノズル
7 ポンプ制御用タイマー
8 汚染物質含有液滴下用ポンプ
9 散水用ポンプ
10 汚染物質含有液
11 汚染物質捕集フィルター
12 撹拌器
13 滴下汚染物質含有液
14 汚染物質除去溶液
Claims (3)
- 汚染物質含有液を上部の定位置から一定量の滴下と水洗を繰り返すことで試料表面に汚染物質を付着させるとした塵埃についての耐汚染性試験方法。
- 上部に設けたノズルから筋状に該試料に汚染物質含有液の一定量滴下と、汚染物質含有液の滴下用ノズルとは別経路で該ノズルよりも上方に設けたノズルから水を散布する水洗を繰り返すことで試料表面に汚染物質を付着させるとした塵埃についての耐汚染性試験方法。
- 試料2を固定するマグネット3および汚染物質捕集フィルター11を設けた架台1と、汚染物質含有液10を滴下するために上部に設けたノズル5、水槽、ポンプ制御用タイマー7、汚染物質含有液滴下用ポンプ8、配管(ホース・チューブ)からなる汚染物質含有液の経路と、汚染物資含有液滴下用ノズル5よりも上方に設けた上水の散水用ノズル6、水槽4、ポンプ制御用タイマー、散水用ポンプ9、配管(ホース・チューブ)からなる上水散布の経路と、汚染物質の沈降を防止する攪拌器12からなる耐汚染性試験装置。
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JP2004172909A JP2005351766A (ja) | 2004-06-10 | 2004-06-10 | 耐汚染性試験方法及び試験装置 |
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WO2024154299A1 (ja) * | 2023-01-19 | 2024-07-25 | 日本電信電話株式会社 | 防汚性評価方法および防汚性評価装置 |
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