JP2005350703A - 袋状ワークの電解めっき方法、電解めっき用袋状ワーク保持治具及び袋状ワークの電解めっき装置 - Google Patents

袋状ワークの電解めっき方法、電解めっき用袋状ワーク保持治具及び袋状ワークの電解めっき装置 Download PDF

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Kiyoshi Kida
潔 木田
Yoji Nakagawa
洋二 中川
Hidemi Ishikawa
秀美 石川
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Abstract

【課題】袋ナット等の袋状ワークの内面の表面処理を施す場合に、良好なめっき被膜を形成する袋状ワークの電解めっき方法、電解めっき装置、および電解めっき用保持具を提供する。
【解決手段】上面と下面とを貫通する貫通孔を有する基底部と、基底部の貫通孔上の上面から延びた第1支持部材と、基底部から延びた第2部材ガイド部と、第1支持部材と第2部材ガイド部とが挿入される挿入孔を有し、第2部材ガイド部に沿って摺動可能な第2支持部材と、第2部材ガイド部を支持する支持部とを備える電解めっき用保持具を使用する。第1支持部材は、袋状ワークの内面を突き上げた状態で支持することができ、この状態で外面めっきを施す。また第2支持部材は、袋状ワークを着座させて支持することができ、この状態で内面めっきを施す。
【選択図】図2

Description

この発明は、袋状ワークの電解めっき方法、電解めっき用袋状ワーク保持治具及び袋状ワークの電解めっき装置に関する。
従来、袋状ワーク(例えば車両のホイールをハブに固定するハブナットとしての袋ナット等)の電解めっきおいては、特許文献1及び2に示されるように、木の枝状になったワーク保持治具の各枝部に形成された斜めに突出した突起(一般には抜け落ち防止のために板ばねや線ばねが付随している)に、1個ずつ袋状ワーク(例えば袋ナット)をばねの弾性力が作用するように差し入れて保持し、そのように手作業で多数の袋状ワークを入れたワーク保持治具を電解めっきの液槽に浸漬して電解めっきを行っていた。
特開昭62−127498 特開2001−335993
このため、袋状ワークの上記治具への取付けにかなりの労力を必要とし、そのことがめっき工程の生産効率を上げる上での一つの障害となっていた。
この発明は、袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、袋状ワーク保持治具に上向きに形成された複数の突起をそれらの先端が一平面上に位置するように一段分配置し、複数の袋状ワークを一括して又は順次前記複数の上向きの突起に上方から供給して、それら複数の袋状ワークの開口部に前記上向きの突起が入り込んで複数の袋状ワークを突き上げ状態で一段分だけ保持させ、その状態で上向きの突起から又は別の通電経路から各袋状ワークに通電して電解めっきを施すことを特徴とする袋状ワークの電解めっき方法である。
また、この発明は、袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材とを備えたワーク保持治具を使用し、そのワーク保持治具の前記位置決め部及び突き上げ部材に対し、袋状ワーク供給手段により前記複数のワークを上方から一括して又は順次供給することによって、前記複数の袋状ワークを前記保持部材の位置決め部で位置決めし、かつ前記突き上げ部材により前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で、当該突き上げ部材から又は別の通電経路から各袋状ワークに通電してそれら袋状ワークに電解めっきを施すことを特徴とする袋状ワークの電解めっき方法である。
さらにこの発明は、袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材とを備えたワーク保持治具を使用し、そのワーク保持治具の前記位置決め部及び突き上げ部材に対し、袋状ワーク供給手段により前記複数のワークを上方から一括して又は順次供給することによって、前記複数の袋状ワークを前記保持部材の位置決め部で位置決めし、そこに着座させた状態で前記保持部材から袋状ワークに通電した状態でその袋状ワークに電解めっきを施し、また前記袋状ワークを前記突き上げ部材により前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で、当該突き上げ部材から又は別の通電経路から各袋状ワークに通電してそれら袋状ワークに電解めっきを施すことを特徴とする袋状ワークの電解めっき方法である。
また、この発明は、袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材とを備えたことを特徴とするワーク保持治具である。
さらにこの発明は、袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材と、
前記袋状ワークを前記保持部材の位置決め部に着座させた状態と、袋状ワークを前記突き上げ部材で突き上げて前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で支持する状態とにワーク保持状態を切り換える切換機構と、
を備えたことを特徴とする電解めっき用袋状ワーク保持治具である。
またこの発明は、袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材とを備えた袋状ワーク保持治具と、
そのワーク保持治具の前記位置決め部及び突き上げ部材に対し、前記複数のワークを上方から一括して又は順次供給する袋状ワーク供給装置と、
その袋状ワーク保持治具をめっきラインに沿って間欠的に送りつつ各液槽に浸漬させていく移送・昇降装置と、
めっきラインの終端において前記袋状ワーク保持治具から複数の袋状ワークを一括して又は順次取り出すワーク取出装置と、
を含むことを特徴とする袋状ワークの電解メッキ装置である。
このようにすれば、袋状ワークをワーク保持治具へ装着(取り付ける)ために、従来は手作業で行っていたものが、ワーク供給装置により自動供給することが可能となった。すなわち、上述のように従来の木の枝状(ツリー状)のワーク保持治具のばね状保持部に1個ずつ作業者が手作業で袋状ワークを差し込んで装着することに比べて、この発明では、一平面上に位置する一段の上向きの突起や、穴部もしくは切欠部等の位置決め部(着座部)に対して、複数の袋状ワークを一括で又は順次、負圧又は電磁力等を利用した吸着ヘッド、または複数の機械的に把持する把持ヘッドを備えた供給装置(供給ロボット等)により、自動的に供給することができるから、ワーク保持治具に対するワーク装着が著しく省力化され、このことがめっき生産工程の効率を飛躍的に高めることを可能にする。
また、めっき後の袋状ワークをワーク保持治具から取り出すとき(アンロード時)にも、一平面状に保持されている複数の袋状ワークを供給装置と同様の吸着ヘッド、把持ヘッド等を備えた取出し装置により、自動取り出しが可能となり、このように袋状ワークのワーク保持治具に対する装着・離脱を自動化すれば、めっき工程の生産性(ライン速度)は一層高速化することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例を説明する。図1は袋状ワークの一例として袋ナットを示すものである。袋ナット1は、めねじ部4を有する本体2と、本体2におねじ部材の螺入側とは反対側の開口を塞ぐキャップ部3とを備え、めねじ部4とその奥部の空所(ボルト等のおねじ部材の先端部が進入する部分)とにより袋状の空間(閉鎖空間)5が形成される。本体2の外面には、側方にせり出したフランジ7を有する。このような袋ナットの一例として、ハブナットが挙げられる。このような袋ナット1が、鍛造加工さらに転造もしくは切削等によるねじ加工、キャップ部3の溶接及び必要に応じて熱処理の後、洗浄や防錆、めっき等のために所定の液槽に浸漬される。
その際、図2に示すような電解めっき用保持具である浸漬保持具21を用いる。この浸漬保持具21は、上面と下面とを貫通する貫通孔を有する基底部27、基底部27の上面側の貫通孔上から延びた吸引管(または吐出管)となる第1支持部材としての軸状に形成された突起管25、基底部27から延びた第2部材ガイド部としてのガイド軸24、複数の突起管25とガイド軸24とが挿入される挿入孔(貫通孔)を有する第2支持部材としての摺動板26、ガイド軸24を支持する支持軸23a,23b、さらにその支持軸23a,23bと接続される本体フレームの一部を構成する支持板22を備える。この浸漬保持具21は、電流を流すことができるように、金属などの導体によって形成される。例えば、チタンを使用することができる。ただし、支持板22は、支持軸23aと支持軸24bとの絶縁をとるために不導体で形成される(支持軸23aと支持軸24bとの絶縁がとれれば、支持板22の全体が不導体である必要はない)。支持板22は、搬送ラインに連結され得る形状であれば、図のような形状に限られない。基底部27が、2列並列に形成されているが、必ずしも2列、または並列に形成される必要はない。また突起管が各基底部27上に3本形成されているが、突起管の数は、3本に限られない。基底部の数や突起管の数を増やすと、多くの袋状ワークを同時に処理することが可能となる。
従来の多段の袋状ワーク保持部を有する浸漬保持具の場合、前処理やめっき処理を施す液槽が深く形成される必要があるのに対し、この浸漬保持具21は、突起管25が一面上に並ぶため、前処理やめっき処理を施す液槽の深さを浅くすることができる。水洗槽も浅くすることができるため、給水量や放水量が少なくなる。まためっき処理ラインを設置する建屋を従来よりも低くできる。さらに従来の多段の浸漬保持具の場合は、上段に保持された袋状ワークと、下段に保持された袋状ワークとのめっき厚に差が生じるが、この浸漬保持具21は、一段に形成されているため、袋状ワークのめっき厚に差が生じにくい。従来の多段の浸漬保持具では、めっき厚を25μmとするためにめっき処理を施すと、製品間に10μm程度のめっき厚のばらつきが生じていた。この浸漬保持具は、被めっき物が、一面上にならぶ一段構造であるため、製品間のめっき厚のばらつきを2〜3μm程度に抑えることができる。
図3に浸漬保持具21の拡大断面図を示す。基底部27には、複数の貫通孔28が形成され(図2の実施例の場合、一つの基底部27には、3箇所の貫通孔)、その貫通孔28上に突起管25が形成されている。突起管25の先端部35を除く部分の表面には、絶縁部12(例えば、樹脂モールド)が形成されている。突起管25の貫通孔34と、基底部27の貫通孔28は連なって形成されており、基底部貫通孔28の下部から突起管貫通孔34の上部へ、あるいは突起管貫通孔34の上部から基底部貫通孔28の下部へと、気体または液体が流動可能である。これら突起管34の先端部35に1つずつ袋ナット1が装着される。摺動板26には、ガイド軸24a、突起管25を挿入するための貫通孔33が形成されており、摺動板26は、ガイド軸24aにガイドされ、ガイド軸24aに沿って摺動可能である。摺動板26、ガイド軸24によって支持部材移動機構が構成されている。さらに浸漬保持具21にモータなどの駆動装置を備えて上下移動させてもよい。この場合、駆動装置も支持部材移動機構に含まれる。また摺動板26の貫通孔33内に突起管25が位置する。ガイド軸24aと基底部27とは、絶縁部11(例えば、塩化ビニル)によって電気的に絶縁されている。
図4に浸漬保持具21の拡大斜視図を示す。真中の突起管25に袋ナット1が装着された例を示す。袋ナット1は、突起管25の先端部35に被せる状態で装着される。図は、他の突起管25に袋ナット1が装着されていないが、表面処理工程においては、通常、すべての突起管25の先端部に袋ナットを装着する。また図は、摺動板26が、上に移動した上昇位置にセットされているところを示す。摺動板26が、上昇位置にある状態では、後述するように内面めっきを施すことができる。この実施例の場合は、突起管が3本であるが、突起管の数は、3本に限られない。さらにガイド軸と複数の突起管が一直線上に並ぶ必要は、必ずしもない。
図5に電解めっきラインの例を示す。各処理工程を施すための液槽51ないし67が並んで設置され、その上方に浸漬保持具21を搬送するための搬送ライン72が設置されている。さらに搬送ライン72や各液槽の諸条件を制御するための制御盤71が設置されている。搬送ライン72は、浸漬保持具21を上下させるための昇降装置73と、浸漬保持具21を連結するための連結部74を備える(半光沢槽59上以外の浸漬保持具21、連結部74、昇降装置73は、省略されて描かれていない)。各液槽において順次処理が行われることにより、袋状ワークとしての袋ナット1に電解めっき(例えばニッケルクロムメッキ等)が施される。
まず、ロード/アンロード工程(ステーション)(図示されていない)で、浸漬保持具21の突起管25に、袋ナット1が、開口が下を向くようにして取り付けられる。そして、袋ナット1が突起管25に装着された浸漬保持具21は、搬送ライン72に連結され、その巡回搬送路に沿って搬送されつつ、それぞれの液槽に浸漬される。
巡回搬送路72は、例えばチェーン等の無限軌道が、モーター等の駆動装置により巡回させられるものである。巡回搬送路72の連結部74および昇降装置73は、巡回搬送路72に沿って巡回する。
ある浸漬保持具21は、巡回搬送路72に沿って間欠的に送られつつ、各液槽上において停止し、下降してその液槽に浸漬される。そして液槽から引き上げられ、次の液槽へ送られる。前進、停止、下降、上昇、前進により、各液槽を一巡して、その浸漬保持具21に装着されている袋ナットに電解めっきが施される。そしてこれらの工程終了後、ロード/アンロードステーションに戻り、袋ナット1ごと浸漬保持具21が連結部74から取り外され、代わりに、未処理の袋ナット1を多数保持する別の浸漬保持具21が連結部74に装着される。
次に各工程について説明する。電解めっきの工程に先立ち、脱脂等の前工程が施される。主要なものは、脱脂槽51における脱脂工程、陰極酸電解槽52における電解(スケール除去)工程、酸洗槽54における酸洗工程、陽極電解脱脂槽56における電解脱脂(活性化)工程、中和槽57における中和工程である。これらの間に、水洗槽53、55、58が配置されて、洗浄される。前工程が終了すると、続いてめっき工程が実施される。めっき工程は、半光沢槽59、トリNi槽60、光沢Ni61、ジュールNi槽62、クロム槽64によって行われる。また水洗槽63,65,66によって洗浄され、乾燥槽67にて乾燥されて、ロード/アンロードステーション(図示されていない)によって、処理の行われた袋ナットが取り外され、未処理の袋ナットが装着される。つまり浸漬保持具21は、間欠的に巡回移動して、各液槽51〜66等への浸漬を繰り返し、各種処理が施される。間欠移動の停止時に、各浸漬保持具21が一斉に下降することにより、脱脂、洗浄、めっき等の工程が並列的に実施される。
ここで、一つの浸漬保持具21に着目し、それに保持された複数の袋ナットに対する各工程を順に説明する。ロード/アンロードステーションで、浸漬保持具21を介して工程ライン(巡回搬送路)に供給された多数の袋ナットは、そのステーションから一定量前進して停止し、アルカリ脱脂工程で所定のアルカリ溶液(脱脂層51)に浸漬(下降)されてアルカリ脱脂が行われる。次に、ここから引き上げられ(上昇)、一定量前進してから、熱処理により袋ナットに生じているスケールを除去する(スケールとばし)陰極酸電解工程が電解槽52において実施される。続いて、ここから引き上げられ(上昇)、一定量前進してから水洗槽53に浸漬(下降)されて、水洗工程53が実施される。その水洗の後、袋ナットは(浸漬保持具21と共に)引き上げられ、また一定量前進して、今度は袋ナットが硫酸溶液等(酸洗槽54)に浸漬(下降)される。
それから、袋ナットは、水洗槽55で、上記と同様の水洗工程により上記硫酸溶液等が洗われた後、めっきの付きを良くするために、所定のアルカリ溶液(陽極電解脱脂槽56)に浸漬され、表面を活性化する陽極電解脱脂工程が施される。さらに、中和工程(中和槽57)、上記と同様の水洗工程(水洗槽58)を経て、めっき工程に至る。
めっき工程においては、半光沢槽59、トリNi槽60、光沢Ni槽61、ジュールNi槽62の各槽においてニッケルめっきが施される。めっき槽57に多数の袋ナットが浸漬保持具21に保持された状態で浸漬(下降)され、袋ナットにめっき層が形成される。半光沢槽59においては、後述するように、内面めっき、外面めっきが施される。続くトリNi槽60、光沢Ni槽61、ジュールNi槽62の各槽においては、外面めっきが施される。
このようなめっき工程により、内面に半光沢めっき、外面に光沢めっきを施すことができる。外面は、光沢仕上げにできるため装飾効果を確保できる。つまり内面と外面とを異なるめっき層として仕上げることができる。また内面全体にめっき処理を施すことができるため、内面においても防錆効果が得られるばかりではなく、内面は半光沢めっきで薄く仕上げることができるために、ねじの精度を確保しやすい。
このめっき工程が終われば、一定量前進してから、水洗槽63に浸漬されて水洗される。そしてさらにクロム槽64に浸漬され、クロムめっきが施される。続いて水洗工程の水洗槽65,66に至り、そこでめっき液が洗われる。
浸漬保持具21の使用は、必ずしも上記のようなめっき工程に限られない。必要に応じて一部めっき工程を行わないこともできるし、あるいはさらに別の工程を行うこともできる。
図6を用いて、浸漬保持具21を使用した電解めっきラインにおける処理工程について説明する。浸漬保持具21に保持された袋ナット1は、前処理工程の液槽に順次浸漬されて表面を清浄化され、水洗槽58で洗浄された後、めっき工程の半光沢槽59へ移動する。半光沢槽59において、内面めっき、外面めっきを施される。(a)に示すように、半光沢めっき槽59上に移動した浸漬保持具21は、下降して、(b)に示すように、半光沢めっき槽59に浸漬される。半光沢めっき槽59には、ノズル86を有する流動補助具85が設置されている。流動補助具を図7に示す。流動補助具85は、上面にノズル86を複数有する。このノズル86には、貫通孔(図示されていない)が形成され、貫通孔は、流動補助具85の下面に連結されているパイプ87と接続されている。そして図6に示すように、流動補助具85の下面から、パイプ87によってポンプ75へと接続されている。
図6(b)に示すように、流動補助具85の上面に形成されたノズル86に浸漬保持具21の基底部27の貫通孔28(図3参照)が当接する。内面めっきを施す場合には、摺動板26は、上昇位置にセットされる。
図8を用いて、半光沢槽59内における内面めっきと外面めっきの浸漬保持具21の摺動板26の位置を説明する。図の左側において内面めっき、右側において外面めっきを施す。(a)に示すように袋ナット1を水洗槽58で洗浄した後、まず半光沢槽59の前部(図の左側)において、摺動板26を上げた位置にして、基底部27の貫通孔28が、流動補助具85のノズル86に当接された状態で、袋ナット1に内面めっきを施す。図に示すようにストッパー37を液槽に備え、これに摺動板26が載ることにより、摺動板26を上昇位置としてもよい。あるいは、浸漬保持具21にモータなどの駆動装置を備えて上下に移動させてもよい。これらは、支持部材相対位置変換装置である。(b)に突起管25の先端部分の拡大図を示す。摺動板26が上昇位置にある場合、図の左側に示すように、突起管25の先端部分は、袋ナット1の内面と非接触状態である。この状態で内面めっきを施すことができる。続いて、(a)の右側に示すように、半光沢槽59の後部(図の右側)において、摺動板26を下げた位置にして、袋ナット1に外面めっきを施す。(b)の右側に、突起管の先端部分の拡大図を示す。摺動板26が下降位置にある場合、図に示すように突起管25の先端部分は、袋ナット1の内面に接触した状態である。この状態で電圧を印加して、外面めっきを施すことができる。なお前部(図の左側)において摺動板26が下がる状態になり、後部(図の右側)において摺動板26が上がる状態となるようにし、外面めっき、内面めっきの順にめっき処理を行ってもよい。
めっき処理を施す場合の電圧印加は、半光沢槽59に図9に示すような通電装置となる電圧印加部を形成することによって行うことができる。(a)は、半光沢槽59の電極印加部を説明するための図である。半光沢槽59の前部(図の左側)において、内面めっき、後部(図の右側)において、外面めっきを施す。電圧印加部76,78は、負の電圧、電圧印加部77は、正の電圧を印加することができる。そして、この電圧印加部76,77,78に浸漬保持具21が設置される。これら電圧印加部76,77,78が電圧極性変換装置をなす。
図9(b)に示すように、内面めっきを施す場合には、電圧印加部76,77に、浸漬保持具21が設置される。そして電源線79aにより電圧印加部76から支持軸23aへ負の電圧が印加される。さらに電源線79bにより、電圧印加部77から支持軸23bへ、正の電圧が印加される。
図10を用いて、内面めっきの処理を説明する。内面めっきを施す場合は、摺動板26を上昇位置(第1位置)にする。これにより、袋ナット1の袋状空間の頭部面6と突起管25の先端面29とは、接触せずに間隙を有する状態となる。この状態で、半光沢槽59に浸漬し、図9に示したように浸漬保持具21を電圧印加部76,77に設置して、一方の支持軸23aからガイド軸24aに負、他方の支持軸23bからガイド軸24bに、正の電圧を印加する。ガイド軸24aと基底部27とは、絶縁部11により電気的に絶縁されている。また摺動板26とガイド軸24bとは、絶縁部13により電気的に絶縁されている。これによりガイド軸24a、摺動板26から袋ナット1の外面に負の電圧が印加される。さらにガイド軸24b、基底部27から突起管25に正の電圧が印加される。袋ナット1が負、その袋状空間内に挿入された突起管25が正に印加されることから、袋状ナット1の内面にめっきが施される。なお外部アノードを設置して、このアノードに通電すれば、内面めっきと同時に外面めっきも施すことができる。
袋ナットを浸漬保持具21で保持した状態で、めっき液48中に単に浸漬した場合は、袋ナット1の袋状空間5に、空気等の気体が存在するために、内面が十分にめっきされない。そこで内面めっきを施す場合には、図11(a)に示すように、突起管25、流動補助具85につながる負圧吸引装置としてのポンプ75によって、袋状空間5内の気体や液体を吸引する。袋状空間5内の気体を吸引することにより、液槽内のめっき液48が袋状空間内に流入して、袋状空間内を充満することができる。すなわち吸引することによりめっき液を流動させつつ、電解めっきのための電圧を印加する。あるいは、流動させた後に電圧を印加させるようにしてもよい。従来は、袋状空間5に満たされた気体により、めっき液48が袋状空間の奧部まで侵入しないため、袋状空間の開口周辺しか、めっき処理を施すことができなかったが、このように吸引することにより袋状空間5をめっき液48で満たすことができ、また袋ナット1の内面に対向して正電極(突起管25)を配置し、袋ナットの内面に電流を十分流すことができることから、袋ナット1の内面全域をめっきすることができる。さらに吸引を続けると、めっき液48が流動して、良好なめっき処理が可能となる。あるいは(b)に示すように、加圧吐出装置として、例えばポンプを使用して、突起管25からめっき液48を袋ナットの袋状空間5に噴出させて、めっき処理を行ってもよい。噴出させることにより、内面全体にめっき処理を施すことができる。この場合、内面に圧力がかかることになるため、図12(a)に示すように、袋ナット1の頭部3を固定部材41で抑えて袋ナット1を強制的に固定するとよい。または、図12(b)に示すようにフランジ部7を固定部材42で抑えるようにしてもよい。なお図11においては、突起管が袋状空間内に挿入されているが、図13に示すように開口部近傍に端部が位置するようにして、同様に処理してもよい。この場合も袋状空間5内をめっき液48で充満させることができ、また袋ナット1の内面に電流を十分流すことができる。
次に外面めっきについて、図14を用いて説明する。外面めっきを施す場合には、摺動板26を下降位置(第2位置)にセットする。そして電圧印加部78(図9参照)によって、支持軸23b、ガイド軸24b、基底部27、突起管25に負の電圧が印加される。また電圧印加部78から、支持軸23a、ガイド軸24a、摺動板26、基底部27と負の電圧が印加される。摺動板26が下降位置にある場合には、袋ナット1の袋状空間の頭部面6は、突起管25の先端面29と接触している。このため突起管25から袋ナット1に負の電圧が印加される。また図15に示すように、半光沢槽59内にアノード91を設置する。このようにして袋ナット1側が負、アノード側が正の電圧となることによって、袋ナット1の外面にめっき処理を施すことができる。
さらに液槽内のアノード91以外に、補助陽極92を設置した例を図16に示す。図16は、液槽を上から眺めたところを示す。液槽内の両側にアノード91が対向して設置されている。そしてアノード間に複数の補助陽極92が設置されている。この補助陽極に囲まれた領域に、浸漬保持具21に保持された袋ナット1が、それぞれ設置されることになる。そしてアノード91、補助陽極92に正の電圧を印加し、前述のように電圧印加部78によって、支持軸23b、ガイド軸24b、基底部27、突起管25、袋ナット1に負の電圧が印加される。このようにして袋ナット1の外面にめっき処理を施すことができる。袋ナット1を取り囲むように補助陽極92が設置されていることから、電流が安定して、かつ均一に流れることができ、外面に、より一様な厚さのめっきを施すことができる。
図17に袋状ワーク保持用治具の変形例を示す。この浸漬保持具110は、上面と下面とを貫通する貫通孔を有する基底部27、基底部27の上面側の貫通孔上のから延びた突起管25、基底部27から延びたガイド軸24、複数の突起管25とガイド軸24とが挿入される挿入孔(貫通孔)を有する摺動板26、ガイド軸24を支持する支持軸23、さらにその支持軸23と接続される支持板22を備える。そして基底部27が、3列並列に形成されている。このよう基底部27の数を増やすことで、一度に多くの袋ナットを処理することができる。4列以上としてもよい。また突起管が各基底部27上に3本形成されているが、突起管の数は、3本に限られない。基底部の数や突起管の数を増やすと、多くの袋状ワークを同時に処理することが可能となる。
さらに図18に袋状ワーク保持用治具の変形例を示す。浸漬保持具111の基底部27は、互いを結合する結合部30を両端に有する。このような結合部30によって基底部27を結合することにより、基底部27やガイド軸24が浸漬保持具111の移動などにともなって、揺れたりすることを防いで、安定化することができる。また結合部30は、基底部27の両端を結合する形状に限られない。基底部27の中間領域を結合したり、3本以上の結合部30を形成したりしてもよい。さらに摺動板26にも同様の結合部30を形成してもよい。
内面めっきの他の方法について図19を用いて説明する。(a)に示すように、浸漬保持具の摺動板126によって保持された袋ナット1は、めっき液48上に移動される。そして液面上で、突起管125から、めっき液を噴出する。めっき液を噴出することにより、袋ナット1の内面全域をめっき処理することができる。このとき、噴出圧によって袋ナットが動かないように、袋ナット1の頭部等を抑えて固定しておくとよい。内面めっき処理工程が終了すると、続いて(b)に示すように、めっき液内に、袋ナットを浸漬し、外面めっきを施す。
図20を用いて、処理液循環方法を説明する。図20は、めっき槽151、例えば、半光沢槽を示す。このめっき槽151には、流出管135、ポンプ75、流入管136が備えられている。袋ナット1を、浸漬保持具によって保持して、めっき槽151へ浸漬し、流出管135の先端部が、袋ナット1の袋状空間に挿入されるようにする。あるいは、前述の浸漬保持具21のように突起管が袋状空間に挿入され、流動補助具85を経て、流出管135へ連結される構造としてもよい。この状態で、袋ナット1に電圧を印加して、めっき処理を施す。この時、ポンプ75で袋ナット1の袋状空間内の気体または液体を吸引する。そして流出管135、ポンプ75と吸入された気体または液体は、流入管136によってめっき槽151内へ、流入される。これにより、めっき槽151内の処理液に流動が起こり、めっき効率を上げることができる。
なお袋状ワークとして図22に示すような袋ナット301に対し本発明を適用することができる。
なお、以上の説明では、保持部材に対する通電と突起に対する通電とをプラスマイナスの極性を反転させる例を示したが、そのような極性反転はしないで、より単純な態様で実施することもできる。
図23及び図24は、複数の袋ナット1をワークパレット170等のワークストッカーから、ワーク供給装置171によりワーク保持治具172に自動供給する例を概念的に示すものである。ワーク供給装置171は、例えば図25に示すように、袋ナット1の一部(例えば頂部)の形状に対応する形状(例えば凹部)の保持ヘッド173を各袋ナット1ごとに1対1で備え、負圧吸着の場合は負圧ポンプ174により負圧経路175を介して各保持ヘッド173に負圧が作用して、複数の袋ナット1のそれぞれが1個ずつ保持ヘッド173に負圧吸着され、負圧が解除されれば、袋ナット1はその保持ヘッド173から自重で離脱する。また、例えば電磁力(ソレノイド)で電磁吸着する場合は、上記保持ヘッド173にソレノイド177が配置され、それが電源178によりオンオフさせられ、ソレノイド177の励磁により各袋ナット1が電磁吸着される。なお、これらの吸着方式ではなく、メカニカルチャック(機械的な爪又はハンド(マニュピレータ))等で個々の袋ナットを機械的に把持する構成でもよい。
いずれにしても、図23に示すように、ワークパレット170から複数の袋ナット1がワーク供給装置171の保持ヘッド173に保持され、その状態でそれら袋ナット1がワーク保持治具172に装着される。すなわち、このワーク保持治具172はその本体179に横方向に延びる板状の保持部材180が組み込まれ、この保持部材180には袋ナット1を嵌合・着座させて位置決めする穴部181が形成され、上記本体179には、その底部からそれら穴部181を緩く貫通して上部に延びる複数の突き上げ部材182が、それらの上端がほぼ同一平面上に位置するように配置されている。
前記ワーク供給装置171の各保持ヘッド173に保持された複数の袋ナット1は、ワーク保持治具172の突き上げ部材182及び穴部181にそれぞれ各袋ナット1が挿入・着座するように上方から供給される。つまり、ワーク保持治具172の穴部181及び突き上げ部材182の配置パターンと、ワーク供給装置171の保持ヘッド173の形成パターンとは全面的に又は部分的に互いに対応付けられている。そして、個々の袋ナット1が各穴部181及び突き上げ部材182上に位置決めされた状態で、ワーク供給装置171の保持ヘッド173における負圧吸引、電磁吸引あるいは機械的拘束が解除されれば、袋ナット1は自重により上記穴部181及び付き上げ部材182側に下降して、図24に示されるように、その穴部181により水平方向の位置決めがされ、かつその穴部181の開口部上面に袋ナット1のフランジ7が着座しようとするが、突き上げ部材182の上端が袋ナット1の内面(頂部内面)に当接して、袋ナット1を保持部材180の穴部181の開口部上面から多少離間させた状態となり、ほぼ水平な一平面上で複数の袋ナット1が保持される。
この状態で、めっき液の液槽184中にワーク保持治具172が浸漬され、例えば突き上げ部材182がマイナスに通電されて袋ナット1にマイナスの電圧が印加され、所定のアノード185に正極が印加されて、袋ナット1に対し電解めっきが施される。この際、袋ナット1は保持部材180の穴部上面からそのフランジ7がわずかに浮き上がった状態でめっきされるため、そのフランジ下面にもめっきが乗る。
上記のようにワーク保持治具172に保持された複数の袋ナット1は、前述のようなめっきラインを移送されつつ昇降され、最終的にめっきラインの終端に至るが、その際にも、上記したワーク供給装置171と同様の構成のワーク取り出し装置(アンロード装置)により、めっき後の複数の袋ナット1をワーク保持治具172から前述のようなワークパレット170(図23)に自動的に移載することができる。その際、めっきラインの始端と終端とが近傍に隣接するように、めっきラインを循環形態で構成すれば、上記ワーク供給装置171とワーク取り出し装置とを、一つの装置で兼用(共用)することができる。
なお、上記した例においても、前述の実施例と同様に、袋ナット1が保持部材180の穴部181に着座した状態と、突き上げ部材182で突き上げられてその穴部上面から浮き上がった状態とに切り換える切り換え機構を設けることもできる。
さらに、保持部材180を省略して、複数の突き上げ部材182(上向き突起)のみで構成し、それら上向き突起182の上端がほぼ水平な一平面上に位置するようにし、これら上向き突起182に上方から袋ナット1を挿入して、電解めっきを施すようにしてもよい。
以上の効果を確かめるために、めっき処理を行い、袋ナットのめっき層の厚さについて測定した。内面は、めっきによって十分に、全領域に渡り被覆されていることが確認された。
さらにアノードと補助陽極を使用して、ナットに外面めっきを施して、そのめっき厚を過電流式非破壊膜厚計を用いて測定を行った。測定箇所にばらつきが少なく、ほぼ同じ程度の膜厚を得ることができた。以上の試験から、両側のアノードと補助陽極を使用した場合には、外側のめっき膜厚のばらつきが小さく、一様にめっき処理が施されていることが確認された。
以上の内面めっきにおける袋状空間の気体または液体の吸引や噴出、このための浸漬保持具、補助陽極は、ニッケルめっきに限られない。さらに被めっき物は、袋状空間を有するワークであれば、袋ナットに限られない。内面めっきと外面めっきとを異なる工程において行うことで、内面と外面とを異なるめっき層に仕上げることができる。
浸漬保持具が利用される袋状ワークの一例としての袋ナット。 浸漬保持具の実施例。 浸漬保持具の拡大断面図。 浸漬保持具の拡大斜視図。 めっき処理ラインの実施例。 めっき処理ラインにおける浸漬保持具の動作を説明する図。 流動補助具を説明する図。 内面めっき、外面めっきにおける浸漬保持具の使用状態を説明する図。 液槽の電圧印加部について説明する図。 内面めっきにおける摺動板の位置と電圧印加について説明する図。 内面めっきを施すための気体・液体の吸引または吐出について説明する図。 袋ナットの固定について説明する図。 突起管が開口部近傍に位置する場合を示す図。 外面めっきにおける摺動板の位置と電圧印加について説明する図。 液槽内のアノードについて説明する図。 アノードと補助陽極について説明する図。 浸漬保持具の第二の実施例。 浸漬保持具の第三の実施例。 処理液の吐出によるめっき処理について説明する図。 処理液の循環について説明する図。 従来の浸漬保持具とめっき処理を説明する図。 袋状ワークの他の実施例としての袋ナットの図。 本発明の他の実施例の工程図。 図23に続く工程図。 袋状ワークの供給装置の一例を概念的に示す説明図。 袋状ワークの供給装置の他の例を概念的に示す説明図。
符号の説明
1 袋ナット
21 浸漬保持具
24 ガイド軸
25 突起管
26 摺動板
27 基底部
59 半光沢槽
72 搬送ライン
75 ポンプ
76,77,78 電圧印加部
91 アノード
92 補助陽極

Claims (6)

  1. 袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、袋状ワーク保持治具に上向きに形成された複数の突起をそれらの先端が一平面上に位置するように一段分配置し、複数の袋状ワークを一括して又は順次前記複数の上向きの突起に上方から供給して、それら複数の袋状ワークの開口部に前記上向きの突起が入り込んで複数の袋状ワークを突き上げ状態で一段分だけ保持させ、その状態で上向きの突起から又は別の通電経路から各袋状ワークに通電して電解めっきを施すことを特徴とする袋状ワークの電解めっき方法。
  2. 袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材とを備えたワーク保持治具を使用し、そのワーク保持治具の前記位置決め部及び突き上げ部材に対し、袋状ワーク供給手段により前記複数のワークを上方から一括して又は順次供給することによって、前記複数の袋状ワークを前記保持部材の位置決め部で位置決めし、かつ前記突き上げ部材により前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で、当該突き上げ部材から又は別の通電経路から各袋状ワークに通電してそれら袋状ワークに電解めっきを施すことを特徴とする袋状ワークの電解めっき方法
  3. 袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材とを備えたワーク保持治具を使用し、そのワーク保持治具の前記位置決め部及び突き上げ部材に対し、袋状ワーク供給手段により前記複数のワークを上方から一括して又は順次供給することによって、前記複数の袋状ワークを前記保持部材の位置決め部で位置決めし、そこに着座させた状態で前記保持部材から袋状ワークに通電した状態でその袋状ワークに電解めっきを施し、また前記袋状ワークを前記突き上げ部材により前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で、当該突き上げ部材から又は別の通電経路から各袋状ワークに通電してそれら袋状ワークに電解めっきを施すことを特徴とする袋状ワークの電解めっき方法。
  4. 袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材とを備えたことを特徴とする電解めっき用袋状ワーク保持治具。
  5. 袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材と、
    前記袋状ワークを前記保持部材の位置決め部に着座させた状態と、袋状ワークを前記突き上げ部材で突き上げて前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で支持する状態とにワーク保持状態を切り換える切換機構と、
    を備えたことを特徴とする電解めっき用袋状ワーク保持治具。
  6. 袋状空間を有する袋状ワークをめっき液中でそれの開口部が下側を向くように保持するために、複数の袋状ワークを下側に向けてかつ一平面上に位置させる形態で上方から着座・嵌合させるように位置決めする穴部又は切欠部で形成された位置決め部を有する保持部材と、それら複数の袋状ワークの内面に当接してそれら袋状ワークを突き上げ前記保持部材の位置決め部から浮き上がらせた状態で保持する突き上げ部材とを備えた袋状ワーク保持治具と、
    そのワーク保持治具の前記位置決め部及び突き上げ部材に対し、前記複数のワークを上方から一括して又は順次供給する袋状ワーク供給装置と、
    その袋状ワーク保持治具をめっきラインに沿って間欠的に送りつつ各液槽に浸漬させていく移送・昇降装置と、
    めっきラインの終端において前記袋状ワーク保持治具から複数の袋状ワークを一括して又は順次取り出すワーク取出装置と、
    を含むことを特徴とする袋状ワークの電解めっき装置。
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