JP2005350676A - 潤滑油組成物用の清浄添加剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に関して、潤滑油組成物における清浄剤としての、油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の使用を提供し、該縮合物は以下の構造を持つ:
ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくはヒドロカルビルフェノールホルムアルデヒド縮合物である。
本明細書に使用される“ヒドロカルビル”という用語は、関係する基が主に水素原子および炭素原子で構成されており、かつ、炭素原子を介して分子の残りの部分に結合していることを意味するが、この基の実質的な炭化水素特性を失わせるに至らない割合で含まれる他の原子または基の存在を排除するものではない。ヒドロカルビル基は好ましくは水素原子と炭素原子のみで構成される。有利には、ヒドロカルビル基は脂肪族基、好ましくはアルキル基またはアルキレン基、特にアルキル基であり、それは直鎖または分岐鎖であってもよい。Rは好ましくはアルキル基またはアルキレン基である。Rは分岐鎖であることが好ましい。
MALDI-TOF(マトリクス支援レーザー脱離イオン化法-飛行時間型)質量分析法で測定される該ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の重量平均分子量(Mw)は、1280〜1650、好ましくは1300〜1650、より好ましくは1350〜1600の範囲内である。
該ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくは、少なくとも1つのアルデヒドもしくはケトンまたは反応性を有するその同等物と、少なくとも1つのヒドロカルビルフェノールとの縮合反応によって得ることが可能であり、ここで該反応は例えばアルキルベンゼンスルホン酸などの酸触媒の存在下で行われる。生成物についてはストリッピングを行って、未反応のいかなるヒドロカルビルフェノールを、その量が好ましくは5.0質量%未満、より好ましくは3.0質量%未満、さらにより好ましくは1.0質量%未満となるまで除去することが好ましい。最も好ましくは、該生成物は0.5質量%未満、例えば0.1%未満の未反応ヒドロカルビルフェノールを含む。
具体的には、ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくは分岐鎖ドデシルフェノールホルムアルデヒド縮合物、例えばテトラプロペニルテトラマーフェノールホルムアルデヒド縮合物などである。
ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物は、好ましくは潤滑油組成物の質量を基準として0.1〜20質量%、より好ましくは0.2〜15質量%、そして最も好ましくは0.3〜10質量%の範囲の量で潤滑油組成物に存在する。
前記潤滑油組成物は、潤滑粘性(lubricating viscosity)を有する油を含む。潤滑粘性を有する油(潤滑油とも表される)は、乗用車、船舶、鉄道および工業用エンジンの潤滑に適したあらゆる油であり得る。適切には、潤滑油は動物油、植物油、または鉱物油であり得る。適切には、該潤滑油は、例えばナフテン系基油、パラフィン系基油、または混合基油などの石油由来の潤滑油である。あるいは、潤滑油は合成潤滑油であってもよい。適切な合成潤滑油としては、ジオクチルアジパート、ジオクチルセバカート、およびトリデシルアジパートなどのジエステルを含む合成エステル潤滑油、または、例えば液体ポリイソブテンおよびポリアルファオレフィンなどのポリマー炭化水素潤滑油が挙げられる。一般には鉱物油が使用される。潤滑油は通常60質量%より多い、典型的には70質量%より多い潤滑剤を含む。該潤滑油は典型的には100℃における動粘性率が2〜40mm2s-1、例えば3〜15mm2s-1であり、粘度指数は80〜100、例えば90〜95である。
前記油は‘ブライトストック’を含んでもよく、ここで‘ブライトストック’は溶剤抽出しアスファルトを除いた減圧残渣由来の生成物を表し、その100℃における動粘性率は通常28〜36mm2s-1であり、そして典型的には組成物の重量を基準として30質量%未満、好ましくは20質量%未満、より好ましくは15質量%未満、最も好ましくは10質量%未満、例えば5質量%未満の割合で使用される。
最も好ましくは、潤滑粘性を有する油は、潤滑油組成物を基準として50質量%より多い、より好ましくは60質量%より多い、そして最も好ましくは65質量%より多い量で潤滑油組成物中に存在する。
潤滑油組成物は金属“石鹸”、即ち酸性有機化合物の金属塩に基づく1以上の清浄添加剤を含んでもよく、それは時に界面活性剤と呼ばれる。
金属は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、バリウムおよびマグネシウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属であり得る。カルシウムが好ましい。
界面活性剤はサリチラート、スルホナート、カルボキシラート、フェナート、チオホスファート、またはナフテナートであり得る。
清浄剤は、1種より多いカルシウムアルキルフェナートおよびカルシウムアルキルサリチラートなどの金属界面活性剤の混合物から調製された複合/混成の清浄剤であってもよい。そのような複合清浄剤は、過塩基化工程の間に例えばフェナートおよびサリチラートなどの界面活性基が導入された混成物質である。複合清浄剤の例は当技術分野、例えばEP 902 827Bなどにおいて説明されている。
清浄剤は非硫化でも硫化でもよく、かつ、化学的に修飾されていても、および/または、さらなる置換基を含んでいてもよい。適切な硫化工程は当業者に知られる。
清浄剤は10〜50の低いTBN、50〜150の中程度のTBN、または150より大きい、例えば150〜400の高いTBNを持ち得る。
清浄剤は、潤滑油組成物の質量を基準として0.5〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%の範囲の割合で使用されてもよい。
潤滑剤組成物は少なくとも1つの分散剤を含んでもよい。分散剤とは、潤滑組成物用の添加剤であって、潤滑剤の中でのその主たる機能は、分散システムによって酸の中和を促進することである。
分散剤の特筆すべきクラスは“無灰分”であり、それは即ち燃焼の際に実質的に灰分を生成しない非金属有機物質を意味し、金属含有の(従って灰分を生成する)物質と対照的である。無灰分の分散剤は極性の先端を持つ長鎖炭化水素を含み、該極性は、O、P、またはN原子を含むことに由来する。該炭化水素は、油溶性をもたらす親油基であり、例えば40〜500個の炭素原子を持つ。従って、無灰分の清浄剤は、分散させる粒子と結合することが可能な官能基を持つ油溶性ポリマー炭化水素骨格を含み得る。
無灰分の分散剤の例は、スクシンイミド(例えばポリイソブテン無水琥珀酸);およびホウ酸処理されているまたはされていないポリアミン縮合生成物である。
該分散剤は、潤滑油組成物の質量を基準として0〜10.0質量%、好ましくは0.5〜6.0質量%、より好ましくは1.0〜4.0質量%の範囲の割合で使用し得る。
潤滑油組成物中に磨耗防止添加剤が存在してもよい。磨耗防止剤は金属性または非金属性であってもよいが、前者が好ましい。
本発明に使用し得る磨耗防止添加剤の例は、ジヒドロカルビルジチオホスファート金属塩である。ジヒドロカルビルジチオホスファート金属塩の中の金属は、アルカリもしくはアルカリ土類金属、または、アルミニウム、鉛、錫、モリブデン、マンガン、ニッケル、もしくは銅であり得る。亜鉛塩が好ましく、その量は潤滑油組成物全体の質量を基準として好ましくは0.1〜1.5質量%、好ましくは0.5〜1.3質量%の範囲であることが好ましい。これらは既知の技術によって調製し得、その技術とは、通常1以上のアルコールまたはフェノールをP2S5と反応させることによって、まずジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成し、次いで形成したDDPAを亜鉛化合物で中和するというものである。例えば、第一級および第二級アルコールの混合物を反応させることによってジチオリン酸を作製し得る。あるいは、全体が第二級であるヒドロカルビル基と全体が第一級であるヒドロカルビル基の両方を含む複合(multiple)ジチオリン酸を調製しうる。亜鉛塩の作製にはいかなる塩基性または中性の亜鉛化合物を使用してもよいが、オキシド、ヒドロキシド、およびカルボナートが最も一般的に使用される。市販の添加剤は、中和反応に過剰な塩基性亜鉛塩を使用していることに起因してしばしば亜鉛を過剰に含む。
[(RO)(R1O)P(S)S]2 Zn
ここで、式中、R および R1 は同一または異なるヒドロカルビル基であり得、ここで該基は1〜18個、好ましくは2〜12個の炭素原子を含み、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルカリル、および脂環基などの基が含まれる。R および R1基としては、2〜8個の炭素原子を持つアルキル基が特に好ましい。従って、該基は、例えば、エチル、n-プロピル、l-プロピル、n-ブチル、l-ブチル、sec-ブチル、アミル、n-ヘキシル、l-ヘキシル、n-オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであり得る。油への溶解性を維持するため、ジチオリン酸の中の炭素原子の合計数(即ちRとR1に含まれる数)は一般に5個以上となる。従って、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み得る。
磨耗防止添加剤は、潤滑油組成物の質量を基準として0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜1.3質量%、より好ましくは0.5〜0.9質量%の割合で使用し得る。
酸化防止剤もまた潤滑油組成物に添加されてもよい。これらはアミン系であってもフェノール系であってもよい。アミン系酸化防止剤の例として、ジアリールアミン(例えば各フェニル基が4〜15個の炭素原子を持つアルキル基で置換されているジフェニルアミンなど)などの第二級芳香族アミンが挙げられる。フェノール系酸化防止剤の例としては、モノフェノールおよびビスフェノールを含むヒンダードフェノールが挙げられる。酸化防止剤は3質量%までの量で存在し得る。
また、潤滑油組成物には以下の添加剤の1つ以上が存在してもよい:ポリメタクリラートまたはアルキル芳香族ポリマーなどの流動点降下剤;シリコーン消泡剤などの消泡剤;オレフィンコポリマーなどの粘度指数向上剤;色素;アリールチアジンなどの金属不活性剤;トリアゾールまたはアルキルで置換されたジメルカプトチアジアゾール;および乳化破壊剤。
最終調合物は典型的には約5〜40質量%の添加剤パッケージを含んでもよく、残りは基油である。
本明細書に使用される‘油溶性’または‘油分散性’という用語は、その化合物または添加剤が必ずしもすべての割合で油に溶解する、混和する、または懸濁させることができることを示すものではない。しかしながら、これらの用語は、例えば、油が使用される環境においてその意図する効果を発揮するのに十分な程度にまでその化合物または添加剤の溶解または安定的な分散が可能であることを意味する。さらには、所望の場合、他の添加剤を別途混合することによっても特定の添加剤をより高いレベルで混合することが可能である。
以下の実施例を参照して本発明をより詳しく説明するが、それは例示に過ぎない。
反応構成物
上記の表において、重量平均分子量(Mw)が1100〜1700の範囲にあるヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物を調製するための反応構成物の量をグラム数で示す。
ドデシルフェノール、スルホン酸触媒、パラホルムアルデヒド、水、およびヘプタンを、スターラー(200rpm)、窒素ブランケット(600ml/分)、コンデンサー、ディーンスタークトラップ、温度制御装置、およびカーディス(Cardice)/アセトン・トラップ減圧システムを有する5Lバッフル付き反応器に加えた。反応構成物を周囲温度から80℃まで30分にわたって加熱し、そしてさらに80℃から100℃まで2時間にわたって加熱し、その間に共沸蒸留によって水を除いた。残ったヘプタンおよびドデシルフェノールを減圧下、200℃の反応混合物から取り除いた。最後に、温度を120℃まで下げ、そこでESN150を加えて所望のレベルの活性成分(A.I.)を生成した。
ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物(HPAC's)の重量平均分子量がキャタピラー1Nテストでの成績に及ぼす効果を明らかにするために、以下の調合物の試験を行った。
Claims (10)
- 潤滑油組成物における清浄剤としての、以下の構造を持つ油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の使用:
(式中、nは0〜10、好ましくは1〜8、より好ましくは2〜6、そして最も好ましくは3〜5であり;Yは2価の架橋基であり、好ましくはヒドロカルビル基で好ましくは1〜4個の炭素原子を持ち;そしてRは、4〜30個、好ましくは8〜18個、そして最も好ましくは9〜15個の炭素原子を持つヒドロカルビル基であり、ここで、MALDI-TOF(マトリクス支援レーザー脱離イオン化法-飛行時間型)質量分析法により測定されるこの油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の重量平均分子量(Mw)は1250〜1680である。) - MALDI-TOF(マトリクス支援レーザー脱離イオン化法-飛行時間型)質量分析法で測定される前記ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の数平均分子量(Mw)が、1280〜1650、好ましくは1300〜1650、より好ましくは1350〜1600の範囲内である、請求項1に記載の使用。
- 前記縮合物が、5.0質量%未満、より好ましくは3.0質量%未満、さらにより好ましくは1.0質量%未満の未反応ヒドロカルビルフェノールを含む、請求項1または2に記載の使用。
- 前記ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物が、少なくとも1つのアルデヒドもしくはケトンまたは反応性を有するその同等物と少なくとも1つのヒドロカルビルフェノールとの、酸触媒の存在下における縮合反応によって得ることができる、請求項1から3のいずれか1項に記載の使用。
- ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物の中のヒドロカルビル基が分岐鎖である、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用。
- 前記ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物がヒドロカルビルフェノールホルムアルデヒド縮合物である、請求項1から5のいずれか1項に記載の使用。
- 前記ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物がテトラプロペニルフェノールホルムアルデヒド縮合物である、請求項1から6のいずれか1項に記載の使用。
- 前記潤滑油組成物が以下の添加剤を1つ以上含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の使用:過塩基性金属清浄剤、分散剤、酸化防止剤、磨耗防止添加剤、流動点降下剤、消泡剤、粘度指数向上剤、色素、金属不活性剤、乳化破壊剤、またはこれらの混合物。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載のヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物を潤滑油組成物に添加する工程を含む、潤滑油組成物の清浄性を向上させる方法
- ヒドロカルビルフェノールとアルデヒドとの反応によって調製される油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物であって、該縮合物が好ましくは5.0質量%未満、より好ましくは3.0質量%未満、さらにより好ましくは1.0質量%未満の未反応ヒドロカルビルフェノール含み、縮合物が請求項1から9のいずれか1項によって定義される、上記縮合物。
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