JP2005349553A - 研磨用複合素材、研磨工具、研磨用回転工具、および研磨用複合素材の製造方法 - Google Patents

研磨用複合素材、研磨工具、研磨用回転工具、および研磨用複合素材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属製のワークなどを好適に研磨可能な研磨用複合素材、それを砥材として用いた研磨工具、研磨用回転工具、および研磨用複合素材の製造方法を提供すること。
【解決手段】 シート状研磨用複合素材1Aは、研磨用回転工具においてシート状砥材として使用可能な素材であり、複数本の無機長繊維20が高硬度の第1の熱硬化性樹脂31で結合された繊維束2が複数束、所定の間隔で並列された状態で弾性を備えた第2の熱硬化性樹脂32によりシート状に固定されている。無機長繊維20は、ガラス長繊維、アルミナ長繊維、ボロン長繊維、炭化ケイ素長繊維などである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バリ取り用、研磨用、水研用の砥材などとして利用可能な研磨用複合素材、それを用いた研磨工具、研磨用回転工具、および当該研磨用複合素材の製造方法に関するものである。
従来、自動車の車体水研用ブラシなどには、砥粒を合成樹脂等のバインダ内に含有させて砥材としたものが用いられているが、このような砥材では、砥粒が脱落するなどの問題があり、均一な研磨力を長期間にわたって発揮することが不可能である。そこで、アルミナ長繊維や炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維を基材シートの片面上に複数本、所定の間隔で並列し、それを樹脂によりシート状に固定した砥材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、アルミナ長繊維や炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維は、通常、平均繊維径が3〜40μm程度であるため、それを特許文献1のように1本、1本並列させることは極めて手間のかかる作業であり、生産性が極めて低いという問題点がある。
そこで、本願出願人は、複数本の無機長繊維からなる繊維束を複数束、所定の間隔で並列された状態でシリコーン樹脂によりシート状に固定した砥材を提案している(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−92373号公報 特開2001−353662号公報
しかしながら、アルミナ長繊維や炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維は、金属と比較して高い硬度を備えているが、それ単独では腰が無いため、特許文献1、2に記載の砥材を構成するにあたって、シリコーン樹脂などといった弾性を備えたもので無機長繊維を固定すると、砥材の腰が弱く、金属材料を研磨、研削する能力が不十分であるという問題点がある。
これに対して、エポキシ樹脂などといった高硬度のもので無機長繊維を固定すると、砥材の硬度が高すぎてワークとの馴染みが悪く、均一な研磨を行えないという問題点がある。また、砥材の硬度が高い場合、研磨の際に過大な力が加わると、削り過ぎが発生するという問題点がある。それ故、砥材の自由端部の長さ寸法(ブラシ状砥石における毛丈寸法)を長めに設定するなどの方法で砥材を弾性変形可能な状態で使用する方法も考えられるが、このような方法で砥材に弾性を付与すると砥材が破損しやすく、また、突出寸法を長くするとワークの隙間内などといった狭い部分の研磨を行えないという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、金属製のワークなどを好適に研磨可能な研磨用複合素材、それを砥材として用いた研磨工具、研磨用回転工具、および研磨用複合素材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る研磨用複合素材は、複数本の無機長繊維が第1の樹脂により結合された繊維束が複数束、前記第1の樹脂に比して弾性をもつ第2の樹脂により固定されていることを特徴とする。
アルミナ長繊維や炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維は、金属と比較して高い硬度を備えているが、それ単独では腰が無いため、金属材料を研磨、研削する能力が不十分である。しかるに本発明では、複数本の無機長繊維が第1の樹脂で固定されて繊維束になっている。また、繊維束において無機長繊維同士を結合する第1の樹脂が弾性を備えていると、繊維束の状態でも充分な腰が得られないが、本発明では、第1の樹脂として、高硬度の樹脂を用いて繊維束を構成するため、適度な腰を有する。それ故、本発明に係る研磨用複合素材によれば、金属材料を好適に研磨、研削することができる。また、高硬度の樹脂で繊維束を構成し、かつ、高硬度の樹脂で繊維束同士を固定すると、屈曲性が低下し、ワークとの馴染みが低下するが、本発明では、繊維束を複数束、弾性を備えた第2の樹脂で固定しているので、研磨用複合素材は、それ全体としてみた場合、弾性変形可能であり、屈曲性を備えている。従って、本発明に係る研磨用複合素材(砥材)は、ワークとの馴染みがよいので、均一なバリ取りや研磨を行うことができる。また、バリ取りや研磨の際に過大な力が加わっても、このような力は、研磨用複合素材自身の弾性変形で吸収できるので、削り過ぎが発生せず、かつ、研磨用複合素材が破損しない。さらに、研磨用複合素材が弾性変形可能であるため、繊維束の自由端部分の寸法(ブラシ状砥石における毛丈寸法)が短くても折れることがないので、ワークの隙間内などといった狭い部分のバリ取りや研磨を容易に行うことができる。さらにまた、無機長繊維は、第1の樹脂で結合された繊維束の状態で弾性を備えた第2の樹脂で覆われているので、第1の樹脂での破断面の発生を第2の樹脂の弾性で補うことができるので、研磨用複合素材の寿命が長い。
本発明において、前記無機長繊維は、ガラス長繊維、アルミナ長繊維、ボロン長繊維、および炭化ケイ素長繊維からなる群から選ばれた無機長繊維であることが好ましい。このような無機長繊維を用いた研磨工具であれば、金属製のワークに対してバリ取りや研磨を行った際、ワイヤブラシなどと比較して磨耗が少ない。特にアルミナ長繊維の場合、適度に高硬度であるため、切削、研磨能力が適度に高いので、アルミニウムやマグネシウムなどの成形品に対するバリ取りや研磨などを効率よく行うことができる。しかも、アルミナ長繊維は、磨耗が小さいので、回転工具の交換頻度が少なくて済むという利点がある。
本発明において、前記繊維束は、その一部が前記第2の樹脂で覆われて、複数束が第2の樹脂で固定されている構成であってもよいが、全体が前記第2の樹脂で覆われている構成であってもよい。
本発明において、前記繊維束は、複数束が並列された状態で前記第2の樹脂によりシート状に固定されていることが好ましい。シート状であれば、研磨用複合素材の弾性変形を大きくできるので、ワークとの馴染みなどをさらに向上することができる。また、基材シートを用いずに繊維束を並列された状態で第2の樹脂によりシート状に固定した場合には、両面において無機長繊維の先端を刃先としてバリ取り作業や研磨作業を行うことができる。
ここで、前記繊維束は、複数束が基材シートの両面側の各々において並列された状態で前記第2の樹脂によりシート状に固定されている構成を採用してもよい。基材シートの両面に繊維束を固定すれば、基材シートを用いた場合でも、両面双方に無機長繊維が存在することになるので、基材シートの両面において無機長繊維の先端を刃先としてバリ取り作業や研磨作業を行うことができる。
この場合、前記基材シートの一方面側に配列された前記繊維束は、前記基材シートの他方面側に配列された前記繊維束の間に配置されていることが好ましい。このように構成すると、複合部材の薄型化を図ることができる。
本発明において、前記繊維束は、複数束が基材シートの片面側で並列された状態で前記第2の樹脂によりシート状に固定されている構成であってもよい。
本発明を適用した研磨用複合素材は、研磨工具の砥材として用いられる。
また、本発明を適用した研磨用複合素材は、研磨用回転工具の砥材として用いられる。かかる研磨用回転工具では、例えば、回転中心軸に対して前記繊維束が直交するようにシート状の前記研磨用複合素材がシート状砥材として複数枚、前記回転中心軸を中心に放射状に配置されている。このように構成した研磨用回転工具では、シート状砥材として用いたシート状研磨用複合素材は、それ自身、薄いため、弾性変形可能である。従って、ワークとの馴染みがよいので、ワークを均一に研磨できる。また、過大な力が加わったときには、かかる力は、シート状砥材が弾性変形して吸収される。従って、ワークを過剰に削ってしまうことがなく、かつ、シート状砥材が破損することもない。
この場合、前記複数枚のシート状砥材の間には、当該複数のシート状砥材を略等角度に位置規定するスペーサが配置されていることが好ましい。このように構成すると、前記シート状研磨用複合素材を容易に回転中心軸の周りに等角度間隔で配置できる。
本発明に係る研磨用複合素材の製造方法では、複数本の無機長繊維に第1の樹脂を含浸した後、当該第1の樹脂を硬化させた繊維束を複数束、所定の状態に配列させる繊維束配列工程と、該繊維束配列工程で配列させた前記複数束の繊維束を覆うように、前記第1の樹脂より弾性を備えた第2の樹脂を含浸する第2樹脂含浸工程と、前記第2の樹脂を硬化させる硬化工程とを行うことを特徴とする。
また、本発明に係る研磨用複合素材の別の製造方法では、複数本の無機長繊維に第1の樹脂を含浸するとともに、当該第1の樹脂が未硬化状態の繊維束を複数束、所定の状態に配列させる繊維束配列工程と、該繊維束配列工程で配列させた前記複数束の繊維束を覆うように、前記第1の樹脂より弾性を備えた第2の樹脂を含浸する第2樹脂含浸工程と、前記第1の樹脂および第2の樹脂を同時に硬化させる硬化工程とを行うことを特徴とする。このような製造方法を採用すると、硬化工程が1回で済むという利点がある。また、第1の樹脂と第2の樹脂との境界部分に明確な界面ができないので、第1の樹脂と第2の樹脂との境界部分で剥離が発生しない。それ故、充分な研磨・研削能力、充分な屈曲性、および充分な耐久性を備えた研磨用複合素材を提供することができる。
本発明では、複数本の無機長繊維が、高硬度の第1の樹脂で固定されて繊維束になっているため、適度な腰を有するので、金属材料を好適に研磨、研削することができる。また、繊維束を複数束、弾性を備えた第2の樹脂で固定しているので、研磨用複合素材は、それ全体としてみた場合、弾性変形可能であり、屈曲性を備えている。それ故、本発明に係る研磨用複合素材は、ワークとの馴染みがよいので、均一なバリ取りや研磨を行うことができる。また、バリ取りや研磨の際に過大な力が加わっても、このような力は、研磨用複合素材自身の弾性変形で吸収できるので、削り過ぎが発生せず、かつ、研磨用複合素材が破損しない。さらに、研磨用複合素材が弾性変形可能であるため、繊維束の自由端部分の寸法(ブラシ状砥石における毛丈寸法)が短くても折れることがないので、ワークの隙間内などといった狭い部分のバリ取りや研磨を容易に行うことができる。さらにまた、無機長繊維は、第1の樹脂で結合された繊維束の状態で弾性を備えた第2の樹脂で覆われているので、第1の樹脂での破断面の発生を第2の樹脂の弾性で補うことができるので、研磨用複合素材の寿命が長い。
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面において、各部材を認識容易とするために各部材の縮尺を異ならせてある。
[実施の形態1]
図1(A)、(B)は、本発明の実施の形態1に係るシート状研磨用複合素材の構成を模式的に示す説明図、およびこのシート状研磨用複合素材に用いた繊維束の説明図である。図2(A)、(B)は、本発明に係るシート状研磨用複合素材をシート状砥材として用いた研磨用回転工具の斜視図、およびその縦断面図である。
(シート状研磨用複合素材の構成)
図1(A)において、本形態のシート状研磨用複合素材1Aは、後述する研磨用回転工具においてシート状砥材として使用可能な素材であり、複数本の無機長繊維からなる繊維束2が複数束、所定の間隔で並列された状態で、後述する2種類の樹脂3によりシート状に固定されている。
図1(B)に示すように、繊維束2は、ガラス長繊維、アルミナ長繊維、ボロン長繊維、炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維20を複数本、集合させたものである。無機長繊維20は、被研磨材に対して相対的に研磨性を有する材料、すなわち、研磨するワークよりも硬くてかつ脆い材料が用いられ、その種類は特に限定されるものではない。但し、アルミナ長繊維や炭化ケイ素長繊維は、鉄系、非鉄系金属に対する研磨性が非常によく、本形態では、アルミナ長繊維が用いられている。繊維束2としては、単繊維の平均繊維径が3〜40μm程度のものが使用可能であり、本形態では、6〜35μm程度のアルミナ長繊維を1000本、集合させたものが用いられている。これは、アルミナ長繊維として現在ヤーンとして市販されている一番細い繊維が3μmであり、また、単繊維の平均繊維径が40μmを越えると非常に取り扱いが難しくなるからである。繊維束重量は、例えば、90〜3000tex程度のものが使用可能である。
図1(A)、(B)において、樹脂3は、繊維束2において複数本の無機長繊維20同士を結合させる第1の熱硬化性樹脂31と、複数の繊維束2同士を結合させるための第2の熱硬化性樹脂32とからなる。第1の熱硬化性樹脂31としては比較的高硬度の樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、第1の熱硬化性樹脂31と比較して硬度が低く、弾性の高い樹脂が用いられている。このため、本形態のシート状研磨用複合素材1Aでは、複数本の無機長繊維20が第1の熱硬化性樹脂31により結合された繊維束2が複数束、第1の熱硬化性樹脂31に比して弾性をもつ第2の熱硬化性樹脂32により固定された構造になっている。本形態において、第1の熱硬化性樹脂31、および第2の熱硬化性樹脂32としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂など、あるいはそれらを混合したものが用いられるが、いずれの場合も、第2の熱硬化性樹脂32としては、第1の熱硬化性樹脂31と比較して弾性を備えた樹脂が用いられる。例えば、本形態では、第1の熱硬化性樹脂31としてエポキシ樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、エポキシ樹脂と変性シリコーン樹脂とを混合したものが用いられている。さらに具体的には、本形態では、第1の熱硬化性樹脂31としてエポキシ樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、80部の変性シリコーン樹脂と、100部のエポキシ樹脂とを混合したものが用いられている。
(シート状研磨用複合素材1の製造方法)
本形態のシート状研磨用複合素材1Aの製造工程では、予め、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら束とした後、第1の熱硬化性樹脂31を硬化させ、それを繊維束2として用いる。そして、繊維束2をローラ面上などで所定の間隔で複数束、並列させ(繊維束配列工程)、次に、複数束の繊維束2を覆うように、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、しかる後に、第2の熱硬化性樹脂32を硬化させる(硬化工程)。
また、シート状研磨用複合素材1Aを製造するにあたっては、以下の方法を採用してもよい。まず、複数本の無機長繊維20に、エポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら繊維束2としてローラ面上に所定の間隔で複数束、並列させ(繊維束配列工程)、次に、第1の熱硬化性樹脂31が未硬化のまま、複数束の繊維束2を覆うように、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、しかる後に、第1の熱硬化性樹脂31および第2の熱硬化性樹脂32を同時に硬化させる(硬化工程)。このような製造方法を採用すると、硬化工程が1回で済むという利点がある。また、第1の熱硬化性樹脂31と第2の熱硬化性樹脂32との境界部分に界面ができないので、剥離が起こりにくい。
(研磨用回転工具の構成)
本発明を適用したシート状研磨用複合素材1Aは、例えば、図2(A)に示す研磨用回転工具10において、シート状砥材15として用いることができる。この研磨用回転工具10では、回転中心軸11に対して繊維束2が直交するように、シート状研磨用複合素材1Aがシート状砥材15として複数枚、回転中心軸11に接着剤などによって固定されており、複数枚のシート状砥材15が回転中心軸11から放射状に延びている。ここで、各シート状砥材15の間には、複数のシート状砥材15を略等角度に位置規定するスペーサ14が配置されており、本形態では、各シート状砥材15の両面にシート状のスペーサ14が両面テープなどで固着されている。このため、シート状砥材15を容易に回転中心軸11の周りに等角度間隔で配置できる。
また、本形態では、シート状砥材15を回転中心軸11に接着剤で固定するにあたって、回転中心軸11には突起16を形成する一方、シート状砥材15の内側の側端面に、突起16が入り込む凹部15が形成されている。このため、シート状砥材15の軸線方向のずれを防止することができる。なお、突起16は、回転中心軸11の一部を張り出させてもよいが、回転中心軸11にワッシャを固定してもよい。
このように構成した研磨用回転工具10については回転中心軸11の端部を回転エアードリル(図示せず)に連結し、回転中心軸11を矢印Aの方向、あるいは矢印Bの方向に回転させる。その結果、シート状砥材15が回転中心軸11周りに回転するので、シート状砥材15の外端部をワークに当てれば、ワークのバリ取りや研磨を行うことができる。すなわち、シート状砥材15では、回転中心軸11に対して繊維束2が直交するように延びており、シート状砥材15の外端部では、繊維束2の各無機長繊維20の先端が刃先としてワークのバリ取りや研磨を行う。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のシート状研磨用複合素材1A(シート状砥材15)では、アルミナ長繊維などの無機長繊維20が複数本、第1の熱硬化性樹脂31で結合された繊維束2が複数束、並列された状態で第2の熱硬化性樹脂32でシート状に固定されているため、無機長繊維20を1本、1本並列させる必要がない。従って、シート状研磨用複合素材1(シート状砥材15)および研磨用回転工具10の生産性が高い。
また、アルミナ長繊維や炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維20は、金属と比較して高い硬度を備えているが、それ単独では腰が無いため、金属材料を研磨、研削する能力が不十分である。しかるに本形態では、複数本の無機長繊維20が第1の熱硬化性樹脂31で固定されて繊維束2になっている。また、繊維束2において無機長繊維20同士を結合する第1の熱硬化性樹脂31が弾性を備えていると、繊維束2の状態でも充分な腰が得られないが、本形態では、第1の熱硬化性樹脂31として、高硬度の樹脂を用いて繊維束2を構成するため、適度な腰を有する。それ故、本形態のシート状研磨用複合素材1A(シート状砥材15)によれば、金属材料を好適に研磨、研削することができる。
また、高硬度の樹脂で繊維束2を構成し、かつ、高硬度の樹脂で繊維束2同士を固定すると、弾性、屈曲性が低下し、ワークとの馴染みが低下するが、本形態では、繊維束2を複数束、弾性を備えた第2の熱硬化性樹脂32で固定しているので、シート状研磨用複合素材1Aは、それ全体としてみた場合、弾性変形可能であり、屈曲性を備えている。従って、本形態のシート状研磨用複合素材1Aは、ワークとの馴染みがよいので、均一なバリ取りや研磨を行うことができる。また、バリ取りや研磨の際に過大な力が加わっても、このような力は、シート状研磨用複合素材1Aの弾性変形で吸収できるので、削り過ぎが発生せず、かつ、シート状研磨用複合素材1Aが破損しない。さらに、シート状研磨用複合素材1Aが弾性変形可能であるため、繊維束2の自由端部分の寸法(ブラシ状砥石における毛丈寸法)が短くても折れることがないので、ワークの隙間内などといった狭い部分のバリ取りや研磨を容易に行うことができる。さらにまた、無機長繊維20は、第1の熱硬化性樹脂31で結合された繊維束2の状態で、弾性を備えた第2の熱硬化性樹脂32で覆われているため、第1の熱硬化性樹脂31での破断面の発生を第2の熱硬化性樹脂32の弾性で補うことができるので、シート状研磨用複合素材1Aの寿命が長い。
さらに、複数本の無機長繊維20からなる繊維束2を複数束、所定の間隔で並列された状態で樹脂によりシート状に固定してあるので、両面双方に無機長繊維20が存在することになる。従って、シート状砥材15の両面に無機長繊維20の先端からなる刃先が形成されているので、図2(A)の矢印A、Bのいずれの方向に研磨用回転工具10を回転させた場合も、ワークのバリ取りや研磨を行うことができる。
しかも、アルミナ長繊維などの無機長繊維20の種類、本数などを変えれば、その研磨能力などを任意に変更できるので、プラスチック成形品などの材質が柔らかいものから金属加工品などの材質が硬いものまで、様々な材質のワークのバリ取りや研磨を行うことができる。
[実施の形態2]
図3(A)、(B)は、本発明の実施の形態2に係るシート状研磨用複合素材の構成を模式的に示す説明図、およびこのシート状研磨用複合素材に用いた繊維束の説明図である。
図3(A)において、本形態のシート状研磨用複合素材1Bも、実施の形態1と同様、図2(A)に示した研磨用回転工具10においてシート状砥材15として使用可能な素材であり、複数本の無機長繊維20からなる繊維束2が、不織布などからなる基材シート4の両面側の各々において所定の間隔で並列された状態で、後述する2種類の樹脂3によりシート状に固定されている。ここで、基材シート4の一方面側41に配列された繊維束2は、基材シート4の他方面側42に配列された繊維束2の間に配置されている。従って、無機長繊維20同士が重なった状態と比較して、シート状研磨用複合素材1Bの薄型化を図ることができる。ここで、基材シート4は緩く波打った状態にあるが、真っ直ぐ平面的に延びている構成であってもよい。
図3(B)に示すように、繊維束2は、ガラス長繊維、アルミナ長繊維、ボロン長繊維、炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維20を複数本、集合させたものであり、本形態では、アルミナ長繊維が1000本、集合させたものが用いられている。
図3(A)、(B)において、樹脂3は、繊維束2において複数本の無機長繊維20同士を結合させる第1の熱硬化性樹脂31と、複数の繊維束2同士を結合させるための第2の熱硬化性樹脂32とからなる。ここで、第1の熱硬化性樹脂31としては比較的高硬度の樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、第1の熱硬化性樹脂31と比較して硬度が低く、弾性の高い樹脂が用いられている。さらに具体的には、本形態では、第1の熱硬化性樹脂31としてエポキシ樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、80部の変性シリコーン樹脂と、100部のエポキシ樹脂とを混合したものが用いられている。
このようなシート状研磨用複合素材1Bの製造工程では、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら束とした後、第1の熱硬化性樹脂31を硬化させ、第1の熱硬化性樹脂31で無機長繊維20を固定した繊維束2を準備する。次に、かかる繊維束2をローラ面上で所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、その上に、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、次に、その表面に基材シート4を被せる。次に、基材シート4の上に、第1の熱硬化性樹脂31で無機長繊維20を固定した繊維束2を所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、しかる後に、第2の熱硬化性樹脂32を硬化させる(硬化工程)。
また、シート状研磨用複合素材1Bを製造するにあたっては、以下の方法を採用してもよい。まず、複数本の無機長繊維20に、エポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら繊維束2としてローラ面上に所定の間隔で複数束、並列させる(繊維束配列工程)。次に、複数束の繊維束2を覆うように、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、次に、その表面に基材シート4を被せる。次に、基材シート4の上に、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら繊維束2を所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、しかる後に、第1の熱硬化性樹脂31および第2の熱硬化性樹脂32を同時に硬化させる(硬化工程)。このような製造方法を採用すると、硬化工程が1回で済むという利点がある。また、第1の熱硬化性樹脂31と第2の熱硬化性樹脂32との境界部分に界面ができないので、剥離が起こりにくい。
このように構成した本形態のシート状研磨用複合素材1Bも、図2(A)、(B)を参照して説明した研磨用回転工具10のシート状砥材15として用いると、シート状砥材15として用いたシート状研磨用複合素材1Bは、それ自身、薄いため、弾性変形可能である。しかも、無機長繊維20同士は、繊維束2の状態で高硬度の第1の熱硬化性樹脂31で固定されているが、繊維束2同士は、弾性を備えた第2の熱硬化性樹脂32で固定されている。従って、本形態のシート状研磨用複合素材1Bは、弾性面で優れている。このため、ワークとの馴染みがよいので、ワークを均一に研磨できる。また、過大な力が加わったときには、かかる力は、シート状砥材15が弾性変形して吸収される。従って、ワークを過剰に削ってしまうことがなく、かつ、シート状砥材15が破損することもないなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
また、複数本の無機長繊維20からなる繊維束2を複数束、所定の間隔で並列された状態で基材シート4の両面に固定してあるので、両面双方に無機長繊維20が存在することになる。従って、シート状砥材の両面に無機長繊維20の先端からなる刃先が形成されているので、図2(A)の矢印A、Bのいずれの方向に研磨用回転工具10を回転させた場合も、ワークのバリ取りや研磨を行うことができるなど、この点でも、実施の形態1と同様な効果を奏する。
[実施の形態2の変形例]
図4(A)、(B)は、本発明の実施の形態2の変形例に係るシート状研磨用複合素材の構成を模式的に示す説明図、およびこのシート状研磨用複合素材に用いた繊維束2の説明図である。
図4(A)において、本形態のシート状研磨用複合素材1Cは、実施の形態2と同様、複数本の無機長繊維20からなる繊維束2が基材シート4の両面側の各々において所定の間隔で並列された状態で、後述する2種類の樹脂3によりシート状に固定されている。ここで、基材シート4の一方面側41に配列された繊維束2は、基材シート4の他方面側42に配列された繊維束2の間に配置されている。また、基材シート4は大きく波打った状態にあり、基材シート4の一方面側41に配列された繊維束2と、基材シート4の他方面側42に配列された繊維束2とは、略同一仮想平面上にある。
図4(B)に示すように、繊維束2は、ガラス長繊維、アルミナ長繊維、ボロン長繊維、炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維20を複数本、集合させたものであり、本形態では、アルミナ長繊維が1000本、集合させたものが用いられている。
図4(A)、(B)において、樹脂3は、繊維束2において複数本の無機長繊維20同士を結合させる第1の熱硬化性樹脂31と、複数の繊維束2同士を結合させるための第2の熱硬化性樹脂32とからなる。ここで、第1の熱硬化性樹脂31としては高硬度の樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、第1の熱硬化性樹脂31と比較して硬度が低く、弾性の高い樹脂が用いられている。さらに具体的には、本形態では、第1の熱硬化性樹脂31としてエポキシ樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、80部の変性シリコーン樹脂と、100部のエポキシ樹脂とを混合したものが用いられている。
このようなシート状研磨用複合素材1Cの製造工程では、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら束とした後、第1の熱硬化性樹脂31を硬化させ、第1の熱硬化性樹脂31で無機長繊維20を固定した繊維束2を準備する。次に、かかる繊維束2をローラ面上で所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、その上に変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、次に、その表面に基材シート4を被せる。そして、基材シートを弾性をもって加圧し、基材シートを波打った状態にする。次に、基材シート4の凹部に相当する部分に対して、第1の熱硬化性樹脂31で無機長繊維20を固定した繊維束2を所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、しかる後に、第2の熱硬化性樹脂32を硬化させる(硬化工程)。
また、シート状研磨用複合素材1Cを製造するにあたっては、以下の方法を採用してもよい。まず、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら繊維束2としてローラ面上に所定の間隔で複数束、並列させる(繊維束配列工程)。次に、複数束の繊維束2を覆うように、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、次に、その表面に基材シート4を被せる。そして、基材シートを弾性をもって加圧し、基材シートを波打った状態にする。次に、基材シート4の凹部に相当する部分に対して、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら繊維束2を所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、しかる後に、第1の熱硬化性樹脂31および第2の熱硬化性樹脂32を同時に硬化させる(硬化工程)。このような製造方法を採用すると、硬化工程が1回で済むという利点がある。また、第1の熱硬化性樹脂31と第2の熱硬化性樹脂32との境界部分に界面ができないので、剥離が起こりにくい。
[実施の形態3]
図5(A)、(B)は、本発明の実施の形態3に係るシート状研磨用複合素材の構成を模式的に示す説明図、およびこのシート状研磨用複合素材に用いた繊維束の説明図である。
図5(A)において、本形態のシート状研磨用複合素材1Dは、複数本の無機長繊維20からなる繊維束2が基材シート4の片面側40において所定の間隔で並列された状態で、後述する2種類の樹脂3によりシート状に固定されている。
図5(B)に示すように、繊維束2は、ガラス長繊維、アルミナ長繊維、ボロン長繊維、炭化ケイ素長繊維などの無機長繊維20を複数本、集合させたものであり、本形態では、アルミナ長繊維が1000本、集合させたものが用いられている。
図5(A)、(B)において、樹脂3は、繊維束2において複数本の無機長繊維20同士を結合させる第1の熱硬化性樹脂31と、複数の繊維束2同士を結合させるための第2の熱硬化性樹脂32とからなる。ここで、第1の熱硬化性樹脂31としては比較的高硬度の樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、第1の熱硬化性樹脂31と比較して硬度が低く、弾性の高い樹脂が用いられている。さらに具体的には、本形態では、第1の熱硬化性樹脂31としてエポキシ樹脂が用いられ、第2の熱硬化性樹脂32としては、80部の変性シリコーン樹脂と、100部のエポキシ樹脂とを混合したものが用いられている。
このようなシート状研磨用複合素材1Dの製造工程では、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら束とした後、第1の熱硬化性樹脂31を硬化させ、第1の熱硬化性樹脂31で無機長繊維20を固定した繊維束2を準備する。次に、かかる繊維束2を基材シート4の片面側40に所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、その上に変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、しかる後に、第2の熱硬化性樹脂32を硬化させる(硬化工程)。
また、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら束とした後、第1の熱硬化性樹脂31を硬化させ、第1の熱硬化性樹脂31で無機長繊維20を固定した繊維束2を準備する。次に、かかる繊維束2をローラ面上で所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、その上に変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、次に、その表面に基材シート4を被せた後、基材シート4を弾性をもって加圧し、しかる後に、第2の熱硬化性樹脂32を硬化させる(硬化工程)。
また、シート状研磨用複合素材1Dを製造するにあたっては、以下の方法を採用してもよい。まず、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら繊維束2として基材シート4の上に所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、複数束の繊維束2を覆うように、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、しかる後に、第1の熱硬化性樹脂31および第2の熱硬化性樹脂32を同時に硬化させる(硬化工程)。このような製造方法を採用すると、硬化工程が1回で済むという利点がある。また、第1の熱硬化性樹脂31と第2の熱硬化性樹脂32との境界部分に界面ができないので、剥離が起こりにくい。
また、複数本の無機長繊維20にエポキシ樹脂などからなる第1の熱硬化性樹脂31を含浸しながら繊維束2としてローラ面上に所定の間隔で複数束、並列させた後(繊維束配列工程)、複数束の繊維束2を覆うように、変性シリコーン樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂などからなる第2の熱硬化性樹脂32を塗布し(樹脂塗布工程)、次に、その表面に基材シート4を被せる。そして、基材シートを弾性をもって加圧した後、第1の熱硬化性樹脂31および第2の熱硬化性樹脂32を同時に硬化させる(硬化工程)。このような製造方法を採用すると、硬化工程が1回で済むという利点がある。また、第1の熱硬化性樹脂31と第2の熱硬化性樹脂32との境界部分に界面ができないので、剥離が起こりにくい。
このように構成した本形態のシート状研磨用複合素材1Dも、図2(A)、(B)を参照して説明した研磨用回転工具10のシート状砥材15として用いると、シート状砥材15として用いたシート状研磨用複合素材1Dは、それ自身、薄いため、弾性変形可能である。しかも、無機長繊維20同士は、繊維束2の状態で高硬度の第1の熱硬化性樹脂31で固定されているが、繊維束2同士は、弾性を備えた第2の熱硬化性樹脂32で固定されている。従って、本形態のシート状研磨用複合素材1Bは、弾性面で優れている。このため、ワークとの馴染みがよいので、ワークを均一に研磨できる。また、過大な力が加わったときには、かかる力は、シート状砥材15が弾性変形して吸収される。従って、ワークを過剰に削ってしまうことがなく、かつ、シート状砥材15が破損することもないなどの効果を奏する。
[その他の実施の形態]
上記実施の形態1〜3のいずれの形態でも、複数枚のシート状研磨用複合素材(シート状砥材)を放射状に配置した研磨用回転工具の例であったが、繊維束が回転中心軸から放射状に延びた複数枚の円形のシート状研磨用複合素材(シート状砥材)を軸線方向に複数枚、重ねて、ディスクブラシ状の研磨用回転工具を構成してもよい。
また、図6に示すブラシ状の研磨工具のように、シート状研磨用複合素材1A、1B、1C、1Dからなるシート状砥材15を複数枚、並列した状態にホルダ18に植立した構成であってもよい。
また、上記実施の形態1〜3のいずれの形態でも、繊維束2の全体が第2の熱硬化性樹脂32で覆われた構成であったが、例えば、図7(A)、(B)に示すように、繊維束2の基端側のみが第2の熱硬化性樹脂32で覆われ、繊維束2のうち、第2の熱硬化性樹脂32で覆われていない部分でワークに対するバリ取りや研磨を行う構成であってもよい。
さらに、上記実施の形態1〜3のいずれの形態でも研磨用複合素材がシート状であったが、図8(A)に示すように、複数本の無機長繊維20が第1の熱硬化性樹脂31により結合された繊維束2(図1(B)などを参照)を複数束、各基端側を第1の熱硬化性樹脂31に比して弾性をもつ第2の熱硬化性樹脂32により固定して研磨用複合素材を構成し、かかる研磨用複合素材を砥材としてホルダ19の各穴内に植立させてブラシ状の研磨工具を構成してもよい。このように構成すると、線状の繊維束2では、複数本の無機長繊維20が高硬度の第1の熱硬化性樹脂で固定されているが、複数の繊維束2の基端側同士が弾性の高い第2の熱硬化性樹脂32で固定されているので、繊維束2自身、線状であることによって弾性変形可能であるとともに、第2の熱硬化性樹脂32による固定部分でも弾性変形可能である。従って、ワークとの馴染みがよいので、均一なバリ取りや研磨を行うことができる。また、バリ取りや研磨の際に過大な力が加わっても、このような力は、研磨用複合素材全体の弾性変形で吸収できるので、削り過ぎが発生しない。
また、図8(B)に示すように、複数本の無機長繊維20が第1の熱硬化性樹脂31により結合された繊維束2(図1(B)などを参照)を複数束、その全体を第1の熱硬化性樹脂31に比して弾性をもつ第2の熱硬化性樹脂32で棒状に固定して研磨用複合素材を構成し、かかる研磨用複合素材を砥材としてホルダ19の各穴内に植立させて研磨工具を構成してもよい。このように構成すると、線状の繊維束2では、複数本の無機長繊維20が高硬度の第1の熱硬化性樹脂で固定されているが、複数の繊維束2同士が弾性の高い第2の熱硬化性樹脂32で固定されているので、研磨用複合素材は、弾性変形可能である。従って、ワークとの馴染みがよいので、均一なバリ取りや研磨を行うことができる。また、バリ取りや研磨の際に過大な力が加わっても、このような力は、研磨用複合素材の弾性変形で吸収できるので、削り過ぎが発生しない。
(A)、(B)は、本発明の実施の形態1に係るシート状研磨用複合素材の構成を模式的に示す説明図、およびこのシート状研磨用複合素材に用いた繊維束の説明図である。 (A)、(B)は、本発明に係るシート状研磨用複合素材をシート状砥材として用いた研磨用回転工具の斜視図、およびその縦断面図である。 (A)、(B)は、本発明の実施の形態2に係るシート状研磨用複合素材の構成を模式的に示す説明図、およびこのシート状研磨用複合素材に用いた繊維束の説明図である。 (A)、(B)は、本発明の実施の形態2の変形例に係るシート状研磨用複合素材の構成を模式的に示す説明図、およびこのシート状研磨用複合素材に用いた繊維束の説明図である。 (A)、(B)は、本発明の実施の形態3に係るシート状研磨用複合素材の構成を模式的に示す説明図、およびこのシート状研磨用複合素材に用いた繊維束の説明図である。 本発明に係るシート状研磨用複合素材をシート状砥材として用いた研磨工具の斜視図である。 (A)、(B)は、本発明に係る別のシート状研磨用複合素材をシート状砥材として用いた研磨用回転工具の斜視図、および断面図である。 (A)、(B)は本発明に係る別の研磨用複合素材を砥材として用いた研磨工具の斜視図である。
符号の説明
1A、1B、1C、1D、1E シート状研磨用複合素材
2 無機長繊維の繊維束
3 樹脂
4 基材シート
10 研磨用回転工具
15 シート状砥材
20 無機長繊維
31 第1の熱硬化性樹脂
32 第2の熱硬化性樹脂

Claims (12)

  1. 複数本の無機長繊維が第1の樹脂により結合された繊維束が複数束、前記第1の樹脂に比して弾性をもつ第2の樹脂により固定されていることを特徴とする研磨用複合素材。
  2. 請求項1において、前記無機長繊維は、ガラス長繊維、アルミナ長繊維、ボロン長繊維、および炭化ケイ素長繊維からなる群から選ばれた無機長繊維であることを特徴とする研磨用複合素材。
  3. 請求項1または2において、前記繊維束は、全体が前記第2の樹脂で覆われていることを特徴とする研磨用複合素材。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記繊維束は、複数束が並列された状態で前記第2の樹脂によりシート状に固定されていることを特徴とする研磨用複合素材。
  5. 請求項4において、前記繊維束は、複数束が基材シートの両面側の各々において並列された状態で前記第2の樹脂によりシート状に固定されていることを特徴とする研磨用複合素材。
  6. 請求項5において、前記基材シートの一方面側に配列された前記繊維束は、前記基材シートの他方面側に配列された前記繊維束の間に配置されていることを特徴とする研磨用複合素材。
  7. 請求項4において、前記繊維束は、複数束が基材シートの片面側で並列された状態で前記第2の樹脂によりシート状に固定されていることを特徴とする研磨用複合素材。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに規定する研磨用複合素材を用いたことを特徴とする研磨工具。
  9. 請求項4ないし7のいずれかに規定する研磨用複合素材を用いた研磨用回転工具であって、
    回転中心軸に対して前記繊維束が直交するように前記研磨用複合素材がシート状砥材として複数枚、前記回転中心軸を中心に放射状に配置されていることを特徴とする研磨用回転工具。
  10. 請求項9において、前記複数枚のシート状砥材の間には、当該複数のシート状砥材を略等角度に位置規定するスペーサが配置されていることを特徴とする研磨用回転工具。
  11. 複数本の無機長繊維に第1の樹脂を含浸した後、当該第1の樹脂を硬化させた繊維束を複数束、所定の状態に配列させる繊維束配列工程と、
    該繊維束配列工程で配列させた前記複数束の繊維束を覆うように、前記第1の樹脂より弾性を備えた第2の樹脂を含浸する第2樹脂含浸工程と、
    前記第2の樹脂を硬化させる硬化工程と
    を行うことを特徴とする研磨用複合素材の製造方法。
  12. 複数本の無機長繊維に第1の樹脂を含浸するとともに、当該第1の樹脂が未硬化状態の繊維束を複数束、所定の状態に配列させる繊維束配列工程と、
    該繊維束配列工程で配列させた前記複数束の繊維束を覆うように、前記第1の樹脂より弾性を備えた第2の樹脂を含浸する第2樹脂含浸工程と、
    前記第1の樹脂および第2の樹脂を同時に硬化させる硬化工程と
    を行うことを特徴とする研磨用複合素材の製造方法。
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