JP2005349489A - 多自由度多指ハンド - Google Patents

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Abstract

【課題】親指や人差し指等の自由度をより高くしても、ワイヤーのパス長やリード線のパス長を一定に維持することが可能な多自由度多指ハンドを提供する。
【解決手段】親指A及び各親指モータA13、A14、A15を親指フレーム102に搭載して、親指Aを親指フレーム102と共に回転させるので、親指Aの各プーリと各親指モータA13、A14、A15のモータプーリ間の位置関係が変わらず、各ワイヤーのパス長も変わらず、各ワイヤーの張力を一定に維持することができ、常に、親指Aの各関節a2〜a4を滑らかに回転させて、親指Aを滑らかに屈伸させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、複数の指を作動させて、手作業等を行うことが可能な多自由度多指ハンドに関する。
この種の従来の装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。ここでは、各モータのプーリと指の各関節のプーリ間にそれぞれのワイヤーを巻装し、各モータの回転をそれぞれのワイヤーを介して各関節のプーリに伝達して、各関節を回転させ、指を屈伸させている。
この様な指の機構では、指の各関節を個別に回転させることができ、指の自由度を高く設定することができる。
特開平6−8178号公報
ところで、特許文献1の様に各モータのプーリと指の各関節のプーリ間にそれぞれのワイヤーを巻装するに、各ワイヤーを各関節を経由して張架しなければならない。また、指を滑らかに屈伸させるには、各ワイヤーの張力を一定に維持して、各モータのプーリと指の各関節のプーリ間の動力伝達を滑らかにする必要がある。このため、通常は、各関節を1軸周りのみに回転させていた。この場合は、各関節の回転角度が変動しても、各モータのプーリから各関節のプーリまでのそれぞれのワイヤーのパス長が変化せず、各ワイヤーの張力も変化せず、各ワイヤーの張力を一定に維持することができる。
しかしながら、親指や人差し指等の自由度をより高くするために、例えば指の付け根の関節を2軸周りに回転させる場合は、関節の2軸周りの回転角度が変動すると、各モータのプーリから各関節のプーリまでのそれぞれのワイヤーのパス長が変化して、各ワイヤーの張力が変化し、各関節を滑らかに回転さることができず、指が滑らかに屈伸しなくなった。
従って、親指や人差し指等の自由度をより高くし、かつ指の屈伸動作を滑らかにすることは極めて困難であった。
また、各関節の回転角度を検出するセンサのリード線や指の触覚センサのリード線を各関節を経由して配線する場合は、ワイヤーのパス長の変化と同様に、各リード線のパス長も変化することになるので、各リード線を十分に長くせねばならず、各リード線の引き回しが難しくなった。
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、親指や人差し指等の自由度をより高くしても、ワイヤーのパス長やリード線のパス長を一定に維持することが可能な多自由度多指ハンドを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、複数の指を駆動する複数の駆動源を手の平もしくは甲に配置し、各駆動源の駆動力をそれぞれの動力伝達機構を通じて各指に伝達する多自由度多指ハンドにおいて、少なくとも1本の指及び該指を駆動する少なくとも1つの駆動源は、手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持されて、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源により共に作動される。
また、本発明においては、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源上に、各駆動源の制御回路を搭載している。
更に、本発明においては、制御回路は、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源周辺の凹所に嵌め入れられる。
また、本発明においては、少なくとも2本の指別に、指及び該指を駆動する少なくとも1つの駆動源が、手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持されて、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源により共に作動される。
更に、本発明においては、駆動源は、モータである。
また、本発明においては、手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持された指及び駆動源は、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源からギヤもしくはスクリューナットを通じての駆動力の伝達により共に作動される。
更に、本発明においては、指の各関節は、駆動源からプーリ及びワイヤーを通じての駆動力の伝達により駆動される。
本発明によれば、少なくとも1本の指及び該指を駆動する少なくとも1つの駆動源は、手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持されて、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源により共に作動される。例えば、親指及び該親指の駆動源を手の平に対して平行回転可能に共に支持し、親指及び該親指の駆動源を手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源により共に平行回転させる。また、親指を該親指の駆動源により手の平に対して垂直回転させる。従って、親指を手の平に対して平行回転及び垂直回転させることができ、親指の自由度が高くなる。しかも、親指及び該親指の駆動源は、手の平に対して平行回転可能に共に支持されているので、この平行回転により相互の位置関係が変わることがない。このため、例えばプーリとワイヤーを用いて、親指と該親指の駆動源間の動力伝達を行っても、この平行回転によりワイヤーのパス長が変化することはなく、ワイヤーの張力を一定に維持することができる。同様に、例えば親指のセンサのリード線をワイヤーに沿わせれば、少なくともワイヤーに沿う範囲では、リード線のパス長も変化しない。
また、本発明によれば、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源上に、各駆動源の制御回路を搭載している。この場合は、駆動源やセンサ等の多数のリード線を手の平もしくは甲の制御回路まで引き回して接続すれば良い。本発明の多自由度多指ハンドは、別体のアームに連結されて用いられるので、この多自由度多指ハンドの多数のリード線を手の平もしくは甲の制御回路に接続し、この制御回路の少数のリード線をアームの各関節を経由して外部へと引き回すのが好ましい。仮に、この多自由度多指ハンドの多数のリード線をそのままアームの各関節を経由して外部へと引き回すならば、それらの配線が困難であり、多自由度多指ハンド及びアームの組み立てやメンテナンスも困難になり、アームの関節でのリード線の断線発生率も高くなり、トラブルの大きな原因となる。
尚、制御回路を手の甲側に配置した場合は、制御回路が多自由度多指ハンドの作業の障害にならずに済む。
更に、本発明によれば、制御回路を手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源周辺の凹所に嵌め入れるので、制御回路を含む多自由度多指ハンドの厚みを抑えることができる。
また、本発明によれば、少なくとも2本の指別に、指及び該指を駆動する少なくとも1つの駆動源が、手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持されて、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源により共に作動される。これにより、2本の指の自由度が高くなる。人間の手作業では、親指及び人差し指の役目が重要である。このため、2本の指として、親指及び人差し指を選択して、親指及び人差し指の自由度を高く設定すれば、人間の手作業を代行することが可能になる。
例えば、駆動源は、モータである。
また、手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持された指及び駆動源は、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源からギヤもしくはスクリューナットを通じての駆動力の伝達により共に作動される。
更に、指の各関節は、駆動源からプーリ及びワイヤーを通じての駆動力の伝達により駆動される。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1乃至図4は、本発明の多自由度多指ハンドの実施例1を示している。図1は多自由度多指ハンドを手の甲側から見て示す正面図であり、図2は多自由度多指ハンドを親指側から見て示す右側面図であり、図3は多自由度多指ハンドを小指側から見て示す左側面図であり、図4は多自由度多指ハンドを手の平側から見て示す背面図である。
本実施例の多自由度多指ハンドでは、メインフレーム101を手の平もしくは甲に相当するものとし、親指フレーム102を手の平と平行回転する様にメインフレーム101上で軸支し、親指Aを親指フレーム102上で支持している。また、人差し指フレーム103を手の平と平行回転する様にメインフレーム101上で軸支し、人差し指Bを人差し指フレーム103上で支持している。更に、中指C、薬指D、及び小指Eをメインフレーム101上で支持している。
また、親指Aの腹と人差し指Bの腹が相互に対向する様に親指Aと人差し指Bを配置し、かつ人差し指B、中指C、薬指D、及び小指Eを並設している。
更に、各指A〜Eの動きを制御する制御回路111をメインフレーム101の手の甲に相当する部位に搭載している。
メインフレーム101上には、親指モータA11及びスクリューナット部A12を搭載しており、親指モータA11の出力軸の回転によりスクリューナット部A12を作動させ、スクリューナット部A12により図5に示す様に親指フレーム102を手の平に対して平行回転させる。この親指フレーム102の軸を親指Aの関節a1とすると、親指Aが関節a1周りで親指フレーム102と共に手の平に対して平行回転する。
親指フレーム102には、3個の親指モータA13、A14、A15を搭載しており、各親指モータA13、A14、A15の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて親指Aの各関節a2、a3、a4に伝達して、親指Aの各関節a2、a3、a4を回転させ、図6に示す様に親指Aを屈伸させる。
従って、親指Aは、4個の親指モータA11、A13〜A15により4個の関節a1〜a4を個別に回転されるものであり、自由度4を有する。
また、メインフレーム101上には、人差し指モータB11及びスクリューナット部B12を搭載しており、人差し指モータB11の出力軸の回転によりスクリューナット部B12を作動させ、スクリューナット部B12により図7に示す様に人差し指フレーム103を手の平に対して平行回転させる。この人差し指フレーム103の軸を人差し指Bの関節b1とすると、人差し指Bが関節b1周りで人差し指フレーム103と共に手の平に対して平行回転する。
人差し指フレーム103には、3個の人差し指モータB13、B14、B15を搭載しており、各人差し指モータB13、B14、B15の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて人差し指Bの各関節b2、b3、b4に伝達して、人差し指Bの各関節b2、b3、b4を回転させ、図8に示す様に人差し指Bを屈伸させる。
従って、人差し指Bも、親指Aと同様に、4個の人差し指モータB11、B13〜B15により4個の関節b1〜b4を個別に回転されるものであり、自由度4を有する。
また、メインフレーム101上には、2個の中指モータC11、C12を搭載しており、各中指モータC11、C12の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて中指Cの各関節c1、c2に伝達して、各関節c1、c2を回転させ、更に関節c2の回転を回転伝達機構を通じて関節c3に伝達して、関節c3を従動回転させ、図9に示す様に中指Cを屈伸させる。
従って、中指Cは、2個の中指モータC11、C12により2個の関節c1、c2を個別に回転されるものであり、自由度2を有する。尚、関節c2に従動回転する関節c3の自由度は、関節c2の自由度1に含まれる。
また、メインフレーム101上には、1個の薬指小指モータDE11を搭載しており、薬指小指モータDE11の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて薬指Dの各関節d1、d2及び小指Eの各関節e1、e2に伝達して、薬指Dの各関節d1、d2及び小指Eの各関節e1、e2を回転させ、図10に示す様に薬指D及び小指Eを屈伸させる。
従って、薬指D及び小指Eは、1個の薬指小指モータDE11により薬指Dの各関節d1、d2及び小指Eの各関節e1、e2を回転されるものであり、自由度1を有する。
この様な多自由度多指ハンドには、合計で11個のモータが搭載され、このハンドの総自由度が11である。
ここで、メインフレーム101上側には、親指モータA11、人差し指モータB11、及び2個の中指モータC11、C12を配置している。また、メインフレーム101下側には、人差し指フレーム103の各人差し指モータB13、B14、B15、及び薬指小指モータDE11を配置している。更に、メインフレーム101から下方に離間している親指フレーム102には、各親指モータA13、A14、A15を配置している。従って、多自由度多指ハンドの11個のモータは、メインフレーム101上側、メインフレーム101下側、メインフレーム101から下方に離間している親指フレーム102に分けて配置されている。すなわち、多自由度多指ハンドの11個のモータが3層に分けて配置されている。これにより、多自由度多指ハンドの全てのモータを該ハンドの手の平に集約させながらも、手の平のサイズを抑えることができる。
また、メインフレーム101上側に、親指モータA11、人差し指モータB11、及び2個の中指モータC11、C12等を固定配置し、メインフレーム101下側に、人差し指フレーム103及び親指フレーム102等を回転可能に支持している。つまり、メインフレーム101上側と下側に固定部品と可動部品を振り分けて配置している。このため、可動部品が固定部品に干渉することはなく、干渉防止のための余分な空間を設ける必要がない。これによっても、多自由度多指ハンドの小型化が可能になる。
尚、メインフレーム101上側に、人差し指フレーム103及び親指フレーム102等の可動部品を配置し、メインフレーム101下側に、親指モータA11、人差し指モータB11、及び2個の中指モータC11、C12等の固定部品を配置しても構わない。
また、指先には大きな力を必用とせず、指先の関節を駆動するモータを小さくしても構わないので、親指Aの関節a4を回転させるモータを該親指Aの各関節a3とa4間に内蔵したり、人差し指Bの関節b4を回転させるモータを該人差し指Bの関節b3とb4間に内蔵しても良い。
次に、親指A、人差し指B、中指C、薬指D、及び小指Eに係わる構成を詳細に説明する。
まず、図1乃至図4、図5及び図6、図11〜図19等を参照しつつ、親指Aに係わる構成を説明する。
親指Aは、図6に示す様に親指フレーム102、中空の各指胴部A21、A22、及び中空の指先部A23を有しており、関節a1に対応する軸A24により親指フレーム102をメインフレーム101に対して回転自在に支持し、関節a2に対応する軸A25により指胴部A21を親指フレーム102に対して回転自在に支持し、関節a3に対応する軸A26により指胴部A22を指胴部A21に対して回転自在に支持し、関節a4に対応する軸A27により指先部A23を指胴部A22に対して回転自在に支持している。
尚、図6においては、後で述べる軸A25のアイドラープーリやワイヤー等を省略している。
図11は、親指フレーム102とメインフレーム101との連結箇所を部分的に破断して示す図である。また、図12は、図11のF−Fに沿う縦断面図である。図11及び図12に示す様に関節a1に対応する軸A24は、親指フレーム102に接続固定されて、メインフレーム101側で回転自在に軸支され、また回転角度センサA61の検出軸に接続され、更にスクリューナット部A12のヨークA32に接続固定されている。
スクリューナット部A12では、スクリューA33の両端を回転自在に軸支して、スクリューA33の一端にギヤA34を固定し、このギヤA34を親指モータA11の出力軸のギヤA35に歯合させている。また、ナットA36をスクリューA33に螺合させてから、ナットA36の側面に板片A37を当接して、ナットA36の回転を禁止し、この状態でナットA36の突起A38をヨークA32の長孔A39に差し入れている。
親指モータA11の出力軸が回転すると、各ギヤA34、35が回転して、スクリューA33が回転し、回転を禁止されたナットA36がスクリューA33に沿って移動し、ヨークA32の長孔A39がナットA36の突起A38に追従移動して、ヨークA32が親指フレーム102の軸A24と共に回転し、親指フレーム102も回転し、親指Aが関節a1周りで手の平に対して平行回転する。回転角度センサA61は、親指フレーム102の軸A24の回転角度、つまり手の平に対する親指Aの平行回転角度を検出する。例えば、親指Aの平行回転角度の目標値を設定し、回転角度センサA61により検出された親指Aの平行回転角度が目標値となる様に親指モータA11により親指Aを回転させる。
図13は、親指フレーム102上の各親指モータA13、A14、A15、及び各指胴部A21、A22、及び指先部A23等を部分的に破断して示す横断面図である。図13に示す様に親指フレーム102には、関節a2に対応する軸A25を支持するための一対の支持片102aを突設している。軸A25には、該軸A25と共に回転する従動プーリA41を接続固定し、各アイドラープーリA42、A43を該軸A25並びに従動プーリA41に対して回転自在に支持し、また回転角度センサA62の検出軸を接続している。従動プーリA41には、指胴部A21の連結片A44を接続固定しているので、指胴部A21が関節a2周りで従動プーリA41と共に回転する。
また、指胴部A21の先端側で関節a3に対応する軸A26を支持している。軸A26には、該軸A26と共に回転する従動プーリA45を接続固定し、アイドラープーリA46を該軸A26並びに従動プーリA45に対して回転自在に支持し、また回転角度センサA63の検出軸を接続している。従動プーリA45には、指胴部A22の連結片A47を接続固定しているので、指胴部A22が従動プーリA45と共に回転する。
更に、指胴部A22の先端側で関節a4に対応する軸A27を支持している。軸A27には、該軸A27と共に回転する従動プーリA48を接続固定し、また回転角度センサA64の検出軸を接続している。従動プーリA48には、指先部A23の連結片A49を接続固定しているので、指先部A23が従動プーリA49と共に回転する。
図14は、親指フレーム102上の各親指モータA13、A14、A15、及び指胴部A21等を示す側面図である。図13及び図14に示す様に親指モータA13の出力軸のモータプーリA51と軸A25の従動プーリA41には、2本のワイヤーA52を張架している。
図15は、張架された状態の各ワイヤーA52の形状を示す斜視図である。図15に示す様に各ワイヤーA52は、各プーリA51、A41間で交差されて張架され、それらの一端P1をモータプーリA51に固定され、それらの他端P2を従動プーリA41に固定されている。
親指モータA13の出力軸が回転すると、モータプーリA51が回転し、このモータプーリA51の回転が各ワイヤーA52を介して従動プーリA41に伝達され、従動プーリA41が軸A25及び連結片A44と共に回転し、指胴部A21が関節a2周りで回転する。このとき、回転角度センサA62(図13に示す)は、軸A25(関節a2)の回転角度を検出する。例えば、関節a2の回転角度の目標値を設定し、回転角度センサA62により検出された関節a2の回転角度が目標値となる様に親指モータA13により関節a2を回転させる。
図16は、親指フレーム102上の各親指モータA13、A14、A15、及び各指胴部A21、A22等を部分的に破断して示す側面図である。図13及び図16に示す様に親指モータA14の出力軸のモータプーリA53と、軸A25のアイドラープーリA42と、軸A26の従動プーリA45には、2本のワイヤーA54を張架しており、各ワイヤーA54を中空の指胴部A21に通している。
図17は、張架された状態の各ワイヤーA54の形状を示す斜視図である。図17に示す様に各ワイヤーA54は、各プーリA53、A42間で交差され、各プーリA42、A45間でも交差されて張架され、それらの一端P1をモータプーリA53に固定され、それらの他端P2を従動プーリA45に固定されている。
親指モータA14の出力軸が回転すると、モータプーリA53が回転し、このモータプーリA53の回転が各ワイヤーA54を介してアイドラープーリA42及び従動プーリA45に伝達され、アイドラープーリA42が空転し、従動プーリA45が軸A26及び連結片A47と共に回転し、指胴部A22が関節a3周りで回転する。このとき、回転角度センサA63(図13に示す)は、軸A26(関節a3)の回転角度を検出する。この回転角度センサA63により検出された関節a3の回転角度が目標値となる様に親指モータA14により関節a3を回転させる。
図18は、親指フレーム102上の各親指モータA13、A14、A15、及び各指胴部A21、A22、指先部A23等を部分的に破断して示す側面図である。図13及び図18に示す様に親指モータA15の出力軸のモータプーリA55と、軸A25のアイドラープーリA43と、軸A26のアイドラープーリA46と、軸A27の従動プーリA48には、2本のワイヤーA56を張架しており、各ワイヤーA56を中空の各指胴部A21、A22に通している。
図19は、張架された状態の各ワイヤーA56の形状を示す斜視図である。図19に示す様に各ワイヤーA56は、各プーリA55、A43間で交差され、各プーリA43、A46間及び各プーリA46、A48間でもそれぞれ交差されて張架され、それらの一端P1をモータプーリA55に固定され、それらの他端P2を従動プーリA48に固定されている。
親指モータA15の出力軸が回転すると、モータプーリA55が回転し、このモータプーリA55の回転が各ワイヤーA56を介してアイドラープーリA43、アイドラープーリA46、及び従動プーリA48に伝達され、各アイドラープーリA43、A46が空転し、従動プーリA48が軸A27及び連結片A49と共に回転し、指先部A23が関節a4周りで回転する。このとき、回転角度センサA64(図13に示す)は、軸A27(関節a4)の回転角度を検出する。この回転角度センサA64により検出された関節a4の回転角度が目標値となる様に親指モータA15により関節a4を回転させる。
この様な親指Aに係わる構成においては、親指A及び各親指モータA13、A14、A15を搭載した親指フレーム102をメインフレーム101側で回転自在に支持して、この親指フレーム102をメインフレーム101側の親指モータA11及びスクリューナット部A12により回転させている。このため、親指Aが親指フレーム102と共に回転されても、親指Aの各プーリと各親指モータA13、A14、A15のモータプーリA51、A53、A55間の位置関係が変わらず、各ワイヤーA52、A54、A56のパス長も変わらず、各ワイヤーA52、A54、A56の張力を一定に維持することができ、常に、親指Aの各関節a2〜a4を滑らかに回転させて、親指Aを滑らかに屈伸させることができる。すなわち、親指Aの自由度を4に設定しながらも、親指Aの各関節a2〜a4を回転させるための各ワイヤーA52、A54、A56のパス長を一定に維持して、親指Aを滑らかに屈伸させることができる。
また、各回転角度センサA62〜A64のリード線(図示せず)も、各ワイヤーと同様に、親指Aの各関節a2〜a4を経由するので、該各リード線のパス長も一定に維持することができ、該各リード線が短くなって、それらの引き回しが容易になり、該各リード線のストレスを抑えて、該各リード線の断線の発生確率を抑えることができる。
更に、親指Aの先端周りや腹に触覚センサを配置して、触覚センサの各リード線を親指Aの各関節a2〜a4を経由させる場合も、該各リード線のパス長を一定に維持することができ、該各リード線の引き回しが容易になり、該各リード線のストレスを抑えて、該各リード線の断線の発生確率を抑えることができる。
次に、図1乃至図4、図7及び図8、図20〜図28等を参照しつつ、人差し指Bに係わる構成を説明する。
人差し指Bは、図8に示す様に人差し指フレーム103、中空の各指胴部B21、B22、及び中空の指先部B23を有しており、関節b1に対応する軸B24により人差し指フレーム103をメインフレーム101に対して回転自在に支持し、関節b2に対応する軸B25により指胴部B21を人差し指フレーム103に対して回転自在に支持し、関節b3に対応する軸B26により指胴部B22を指胴部B21に対して回転自在に支持し、関節b4に対応する軸B27により指先部B23を指胴部B22に対して回転自在に支持している。
尚、図8においては、後で述べる軸B25のアイドラープーリやワイヤー等を省略している。
図20は、人差し指フレーム103とメインフレーム101との連結箇所を部分的に破断して示す図である。また、図21は、図20のF−Fに沿う縦断面図である。図20及び図21に示す様に関節b1に対応する軸B24は、人差し指フレーム103に接続固定されて、メインフレーム101側で回転自在に軸支され、また回転角度センサB61の検出軸に接続され、更に人差し指フレーム103を介してスクリューナット部B12のヨークB32に接続固定されている。
スクリューナット部B12では、スクリューB33の両端を回転自在に軸支して、スクリューB33の一端を人差し指モータB11の出力軸に接続している。また、ナットB36をスクリューB33に螺合させてから、ナットB36の側面に板片B37を当接して、ナットB36の回転を禁止し、この状態でナットB36の突起B38をヨークB32の長孔B39に差し入れている。
人差し指モータB11の出力軸が回転すると、スクリューB33が回転し、回転を禁止されたナットB36がスクリューB33に沿って移動し、ヨークB32の長孔B39がナットB36の突起B38に追従移動して、ヨークB32が人差し指フレーム103の軸B24と共に回転し、人差し指フレーム103も回転し、人差し指Bが関節b1周りで手の平に対して平行回転する。このとき、回転角度センサB31は、人差し指フレーム103の軸B24の回転角度、つまり手の平に対する人差し指Bの平行回転角度を検出する。この回転角度センサB61により検出された人差し指Bの平行回転角度が目標値となる様に人差し指モータB11により人差し指Bを回転させる。
図22は、人差し指フレーム103上の各人差し指モータB13、B14、B15、及び各指胴部B21、B22、及び指先部B23等を部分的に破断して示す図である。図22に示す様に人差し指フレーム103には、関節b2に対応する軸B25を支持するための一対の支持片103aを突設している。軸B25には、該軸B25と共に回転する従動プーリB41を接続固定し、各アイドラープーリB42、B43を該軸B25並びに従動プーリB41に対して回転自在に支持し、また回転角度センサB62の検出軸を接続している。従動プーリB41には、指胴部B21の連結片B44を接続固定しているので、指胴部B21が関節b2周りで従動プーリB41と共に回転する。
また、指胴部B21の先端側で関節b3に対応する軸B26を支持している。軸B26には、該軸B26と共に回転する従動プーリB45を接続固定し、アイドラープーリB46を該軸B26並びに従動プーリB45に対して回転自在に支持し、また回転角度センサB63の検出軸を接続している。従動プーリB45には、指胴部B22の連結片B47を接続固定しているので、指胴部B22が関節b3周りで従動プーリB45と共に回転する。
更に、指胴部B22の先端側で関節b4に対応する軸B27を支持している。軸B27には、該軸B27と共に回転する従動プーリB48を接続固定し、また回転角度センサB64の検出軸を接続している。従動プーリB48には、指先部B23の連結片B49を接続固定しているので、指先部B23が関節b4周りで従動プーリB48と共に回転する。
尚、人差し指フレーム103の一対の支持片103bにより支持された軸103cは、各人差し指モータB13、B14、B15と同一高さに3個のアイドラープーリB40を回転自在に軸支している。
図23は、人差し指フレーム103上の各人差し指モータB13、B14、B15、及び指胴部B21等を示す側面図である。図22及び図23に示す様に人差し指モータB13の出力軸のモータプーリB51と、アイドラープーリB40と、軸B25の従動プーリB41には、2本のワイヤーB52を張架している。
図24は、張架された状態の各ワイヤーB52の形状を示す斜視図である。図24に示す様に各ワイヤーB52は、各プーリB51、B40間で交差され、各プーリB40、B41間でも交差されて張架され、それらの一端P1をモータプーリB51に固定され、それらの他端P2を従動プーリB41に固定されている。
人差し指モータB13の出力軸が回転すると、モータプーリB51が回転し、このモータプーリB51の回転が各ワイヤーB52を介してアイドラープーリB40及び従動プーリA41に伝達され、アイドラープーリB40が空転し、従動プーリB41が軸B25及び連結片B44と共に回転し、指胴部B21が関節b2周りで回転する。このとき、回転角度センサB62(図22に示す)は、軸B25(関節b2)の回転角度を検出する。この回転角度センサB62により検出された関節b2の回転角度が目標値となる様に親指モータB13により関節b2を回転させる。
図25は、人差し指フレーム103上の各人差し指モータB13、B14、B15、及び各指胴部B21、B22等を部分的に破断して示す側面図である。図22及び図25に示す様に人差し指モータB14の出力軸のモータプーリB53と、アイドラープーリB40と、軸B25のアイドラープーリB42と、軸B26の従動プーリB45には、2本のワイヤーB54を張架しており、各ワイヤーB54を中空の指胴部B21に通している。
図26は、張架された状態の各ワイヤーB54の形状を示す斜視図である。図26に示す様に各ワイヤーB54は、各プーリB53、B40間で交差され、各プーリB40、B42間及び各プーリB42、B45間でも交差されて張架され、それらの一端P1をモータプーリB53に固定され、それらの他端P2を従動プーリB45に固定されている。
人差し指モータB14の出力軸が回転すると、モータプーリB53が回転し、このモータプーリB53の回転が各ワイヤーB54を介してアイドラープーリB40、アイドラープーリB42、及び従動プーリB45に伝達され、各アイドラープーリB40、B42が空転し、従動プーリB45が軸B26及び連結片B47と共に回転し、指胴部B22が関節b3周りで回転する。このとき、回転角度センサB63(図22に示す)は、軸B26(関節b3)の回転角度を検出する。この回転角度センサB63により検出された関節b3の回転角度が目標値となる様に親指モータB14により関節b3を回転させる。
図27は、人差し指フレーム103上の各人差し指モータB13、B14、B15、及び各指胴部B21、B22、指先部B23等を部分的に破断して示す側面図である。図22及び図27に示す様に人差し指モータB15の出力軸のモータプーリB55と、アイドラープーリB40と、軸B25のアイドラープーリB43と、軸B26のアイドラープーリB46と、軸B27の従動プーリB48には、2本のワイヤーB56を張架しており、各ワイヤーB56を中空の各指胴部B21、B22に通している。
図28は、張架された状態の各ワイヤーB56の形状を示す斜視図である。図28に示す様に各ワイヤーB56は、各プーリB55、B40間で交差され、各プーリB40、B43間、各プーリB43、B46間、及び各プーリB46、B48間でもそれぞれ交差されて張架され、それらの一端P1をモータプーリB55に固定され、それらの他端P2を従動プーリB48に固定されている。
人差し指モータB15の出力軸が回転すると、モータプーリB55が回転し、このモータプーリB55の回転が各ワイヤーB56を介してアイドラープーリB40、アイドラープーリB43、アイドラープーリB46、及び従動プーリB48に伝達され、各アイドラープーリB40、B43、B46が空転し、従動プーリB48が軸B27及び連結片B49と共に回転し、指先部B23が関節b4周りで回転する。このとき、回転角度センサB64(図22に示す)は、軸B27(関節b4)の回転角度を検出する。この回転角度センサB64より検出された関節b4の回転角度が目標値となる様に親指モータB15により関節b3を回転させる。
この様な人差し指Bに係わる構成においては、人差し指B及び各人差し指モータB13、B14、B15を搭載した人差し指フレーム103をメインフレーム101側で回転自在に支持して、この人差し指フレーム103をメインフレーム101側の人差し指モータB11及びスクリューナット部B12により回転させている。このため、人差し指Bが人差し指フレーム103と共に回転されても、人差し指Bの各プーリと各人差し指モータB13、B14、B15のモータプーリB51、B53、B55間の位置関係が変わらず、各ワイヤーB52、B54、B56のパス長も変わらず、各ワイヤーB52、B54、B56の張力を一定に維持することができ、常に、人差し指Bの各関節b2〜b4を滑らかに回転させて、人差し指Bを滑らかに屈伸させることができる。すなわち、人差し指Bの自由度を4に設定しながらも、人差し指Bの各関節b2〜b4を回転させるための各ワイヤーB52、B54、B56のパス長を一定に維持して、人差し指Bを滑らかに屈伸させることができる。
また、各回転角度センサB62〜B64のリード線(図示せず)も、各ワイヤーと同様に、人差し指Bの各関節b2〜b4を経由するので、該各リード線のパス長も一定に維持することができ、該各リード線の引き回しが容易になり、該各リード線のストレスを抑えて、該各リード線の断線の発生確率を抑えることができる。
更に、人差し指Bの先端周りや腹に触覚センサを配置して、触覚センサの各リード線を人差し指Bの各関節b2〜b4を経由させる場合も、該各リード線のパス長を一定に維持することができ、該各リード線が短くなって、それらの引き回しが容易になり、該各リード線のストレスを抑えて、該各リード線の断線の発生確率を抑えることができる。
次に、図1乃至図4、図9、図29〜図35等を参照しつつ、中指Cに係わる構成を説明する。
中指Cは、図9に示す様に中空の各指胴部C21、C22、及び中空の指先部C23を有しており、関節c1に対応する軸C24により指胴部C21をメインフレーム101に対して回転自在に支持し、関節c2に対応する軸C25により指胴部C22を指胴部C21に対して回転自在に支持し、関節c3に対応する軸C26により指先部C23を指胴部C22に対して回転自在に支持している。
尚、図9においては、後で述べる軸C24のアイドラープーリやワイヤー等を省略している。
図29は、メインフレーム101上の各中指モータC11、C12、及び各指胴部C21、C22、及び指先部C23等を部分的に破断して示す図である。図28に示す様にメインフレーム101には、関節c1に対応する軸C24を支持するための一対の支持片101aを突設している。軸C24には、該軸C24と共に回転する従動プーリC31を接続固定し、アイドラープーリC32を該軸C24並びに従動プーリC31に対して回転自在に支持し、また回転角度センサC51の検出軸を接続している。従動プーリC31には、指胴部C21の連結片C33を接続固定しているので、指胴部C21が関節c1周りで従動プーリC31と共に回転する。
また、指胴部C21の先端側で関節c2に対応する軸C25を支持している。軸C25には、該軸C25と共に回転する従動プーリC34及び動力伝達プーリC35を接続固定し、また回転角度センサC52の検出軸を接続している。従動プーリC34には、指胴部C22の連結片C36を接続固定しているので、指胴部C22が関節c2周りで従動プーリC34と共に回転する。
更に、指胴部C22の先端側で関節c3対応する軸C26を支持している。軸C26には、該軸C26と共に回転する従動プーリC37を接続固定している。従動プーリC37には、指先部C23の連結片C38を接続固定しているので、指先部C23が関節c3周りで従動プーリC37と共に回転する。
図30は、メインフレーム101上の各中指モータC11、C12、及び指胴部C21等を示す側面図である。図29及び図30に示す様に中指モータC11の出力軸のモータプーリC41と軸C24の従動プーリC31には、2本のワイヤーC42を張架している。
図31は、張架された状態の各ワイヤーC42の形状を示す斜視図である。図31に示す様に各ワイヤーC42は、各プーリC31、C41間で交差されて張架され、それらの一端P1をモータプーリC41に固定され、それらの他端P2を従動プーリC31に固定されている。
中指モータC11の出力軸が回転すると、モータプーリC41が回転し、このモータプーリC41の回転が各ワイヤーC42を介して従動プーリC31に伝達され、従動プーリC31が軸C24及び連結片C33と共に回転し、指胴部C21が関節c1周りで回転する。このとき、回転角度センサC51(図29に示す)は、軸C24(関節c1)の回転角度を検出する。この回転角度センサC51により検出された関節c1の回転角度が目標値となる様に中指モータC11により関節c1を回転させる。
図32は、中指フレーム101上の各中指モータC11、C12、及び各指胴部C21、C22等を部分的に破断して示す側面図である。図29及び図32に示す様に中指モータC12の出力軸のモータプーリC43と、軸C24のアイドラープーリC32と、軸C25の従動プーリC34には、2本のワイヤーC44を張架しており、各ワイヤーC44を中空の指胴部C21に通している。
図33は、張架された状態の各ワイヤーC44の形状を示す斜視図である。図33に示す様に各ワイヤーC44は、各プーリC43、C32間で交差され、各プーリC32、C34間でも交差されて張架され、それらの一端P1をモータプーリC43に固定され、それらの他端P2を従動プーリC34に固定されている。
中指モータC12の出力軸が回転すると、モータプーリC43が回転し、このモータプーリC43の回転が各ワイヤーC44を介してアイドラープーリC32及び従動プーリC34に伝達され、アイドラープーリC32が空転し、従動プーリC34が軸C25及び連結片C36と共に回転し、指胴部C22が関節c2周りで回転する。このとき、回転角度センサC52(図29に示す)は、軸C25(関節c2)の回転角度を検出する。この回転角度センサC52により検出された関節c2の回転角度が目標値となる様に中指モータC12により関節c2を回転させる。
図34は、各指胴部C21、C22、及び指先部C23等を部分的に破断して示す側面図である。図29及び図34に示す様に軸C25の動力伝達プーリC35と、軸C26の従動プーリC37には、2本のワイヤーC45を張架しており、各ワイヤーC45を中空の指胴部C22に通している。
図35は、張架された状態の各ワイヤーC45の形状を示す斜視図である。図35に示す様に各ワイヤーC45は、各プーリC35、C37間で交差されて張架され、それらの一端P1を動力伝達プーリC35に固定され、それらの他端P2を従動プーリC37に固定されている。
先に述べた様に中指モータC12の出力軸が回転して、従動プーリC34が軸C25と共に回転すると、動力伝達プーリC35も軸C25と共に回転し、この動力伝達プーリC35の回転が各ワイヤーC45を介して従動プーリC37に伝達されて、従動プーリC37が軸C26及び連結片C38と共に回転し、指先部C23が関節c3周りで回転する。
この様な中指Cに係わる構成においては、中指Cの各プーリC31、C32、C34と各中指モータC11、C12のモータプーリC41、C43間の位置関係が変わらず、各ワイヤーC42、C44のパス長も変わらず、各ワイヤーC42、C44の張力を一定に維持することができ、常に、中指Cの各関節c1、c2を滑らかに回転させて、中指Cを滑らかに屈伸させることができる。
また、各回転角度センサC51、C52のリード線(図示せず)も、各ワイヤーと同様に、中指Cの各関節c1、c2を経由するので、該各リード線のパス長も一定に維持することができ、該各リード線の引き回しが容易になり、該各リード線のストレスを抑えて、該各リード線の断線の発生確率を抑えることができる。
更に、中指Cの先端周りや腹に触覚センサを配置して、触覚センサの各リード線を中指Cの各関節c1、c2を経由させる場合も、該各リード線のパス長を一定に維持することができ、該各リード線の引き回しが容易になり、該各リード線のストレスを抑えて、該各リード線の断線の発生確率を抑えることができる。
次に、図1乃至図4、図10、図36〜図40等を参照しつつ、薬指D及び小指Eに係わる構成を説明する。
薬指Dは、図10に示す様に中空の各指胴部D21、D22、及び中空の指先部D23を有しており、関節d1に対応する軸DE24により指胴部D21をメインフレーム101に対して回転自在に支持し、関節d2に対応する軸D25により指胴部D22を指胴部D21に対して回転自在に支持し、関節d3に対応する軸D26により指先部D23を指胴部D22に対して回転自在に支持している。同様に、小指Eも、図10に示す様に中空の各指胴部E21、E22、及び中空の指先部E23と、関節e1に対応する軸DE24、関節e2に対応する軸E25、関節e3に対応する軸DE26を有している。
尚、図10においては、後で述べる軸DE24のアイドラープーリやワイヤー等を省略している。
図36は、メインフレーム101上の薬指小指モータDE11の周辺を部分的に破断して示す横断面図である。また、図37は、図36のF−Fに沿う縦断面図である。図36及び図37に示す様にメインフレーム101には、各関節d1、e1に対応する軸DE24を回転自在に軸支するための一対の支持片101cを突設している。軸DE24には、ギヤDE31を固定支持し、また一対のプーリD32、E32を回転自在に通して、各プーリD32、E32をそれぞれの支持片101cに固定している。ギヤボックスDE32は、ギヤDE33、一対のベベルギヤDE34、及び一対のギヤDE35等を歯合させたものであり、各ギヤDE35の一方を薬指小指モータDE11の出力軸に接続して、この出力軸の回転をギヤDE33に伝達し、このギヤDE33に歯合されるギヤDE31を回転させる。
図38は、メインフレーム101上の軸DE24、各指胴部D21、D22、指先部D23、各指胴部E21、E22、指先部E23等を部分的に破断して示す図である。図38に示す様に軸DE24のギヤDE31には、各指胴部D21、E21の連結片D33、E33を接続固定している。このため、各指胴部D21、E21が各関節d1、e1周りでギヤDE31と共に回転する。
また、指胴部D21の先端側で関節d2に対応する軸D25を支持している。軸D25には、該軸D25と共に回転する従動プーリD34を接続固定し、また回転角度センサDE41の検出軸を接続している。従動プーリD34には、指胴部D22の連結片D35を接続固定しているので、指胴部D22が関節d2周りで従動プーリD34と共に回転する。
同様に、指胴部E21の先端側で関節e2に対応する軸E25を支持している。軸E25には、該軸E25と共に回転する従動プーリE34を接続固定している。従動プーリE34には、指胴部E22の連結片E35を接続固定しているので、指胴部E22が関節e2周りで従動プーリE34と共に回転する。
図39は、各指胴部D21、D22を部分的に破断して示す側面図である。図38及び図39に示す様に軸DE24のプーリD32と軸D25の従動プーリD34には、2本のワイヤーD36を張架している。
図40は、張架された状態の各ワイヤーD36の形状を示す斜視図である。図40に示す様に各ワイヤーD36は、各プーリD32、D34間で交差されて張架され、それらの一端P1をプーリD32に固定され、それらの他端P2を従動プーリD34に固定されている。
薬指小指モータDE11の出力軸が回転すると、この出力軸の回転がギヤボックスDE32を介してギヤDE31に伝達されて、ギヤDE31が回転し、指胴部D21も関節d1周りで回転する。このとき、回転角度センサDE41(図38に示す)は、軸DE24(関節d1)の回転角度を検出する。この回転角度センサDE41により検出された関節d1の回転角度が目標値となる様に薬指小指モータDE11により関節d1を回転させる。
また、関節d1周りの指胴部D21の回転に伴って、各ワイヤーD35が軸DE24周りを周回するものの、支持片101cに固定されたプーリD32が回転しないことことから、各ワイヤーD36がプーリD32から繰り出されたり引き込まれて、従動プーリD34が軸D25及び連結片D35と共に回転し、指胴部D22が関節d2周りで回転する。従って、各指胴部D21、D22が同時に回転する。
また、各指胴部E21、E22、及び指先部E23についても、各指胴部D21、D22、及び指先部D23と同様に、軸DE24のプーリE32と軸E25の従動プーリE34に各ワイヤーE36を張架しているので、薬指小指モータDE11の出力軸が回転すると、指胴部E21が関節e1周りで回転すると共に、指胴部E22が関節e2周りで回転する。
この様な薬指D及び小指Eに係わる構成においては、薬指D及び小指EのプーリD34、E34とプーリD32、E32間の位置関係が変わらず、各ワイヤーD36、E36のパス長も変わらず、各ワイヤーD36、E36の張力を一定に維持することができ、常に、薬指D及び小指Eの各関節d1、d2、e1、e2を滑らかに回転させて、薬指D及び小指Eを滑らかに屈伸させることができる。
また、薬指D及び小指Eの先端周りや腹に触覚センサを配置して、触覚センサの各リード線を薬指D及び小指Eの各関節d1、d2、e1、e2を経由させる場合も、該各リード線のパス長を一定に維持することができ、該各リード線の引き回しが容易になり、該各リード線のストレスを抑えて、該各リード線の断線の発生確率を抑えることができる。
ところで、メインフレーム101上の制御回路111は、各指A〜Eの動きを制御するためのものであり、各指A〜Eを動かすための11個のモータのリード線、各指A〜Eの各関節の回転角度を検出するための11個の回転角度センサのリード線、及び各指A〜Eの先端や腹に設けられた各触覚センサのリード線が制御回路111まで引き回わされて、ここに接続されている。
制御回路111は、11個のモータのリード線を通じて、該各モータを駆動制御したり、11個の回転角度センサのリード線を通じて、各関節の回転角度を検出したり、各触覚センサのリード線を通じて、各指A〜Eによる対象物の把持力を検出する。そして、制御回路111は、先に述べた様に各指別に、指の各関節の回転角度の目標値を設定し、各回転角度センサにより検出された各関節の回転角度がそれぞれの目標値となる様に各モータにより各関節を回転させる。また、各指A〜Eによる対象物の把持に際し、制御回路111は、各触覚センサにより検出された各指A〜Eによる対象物の把持力が一定になる様に各モータにより各関節を回転させる。
この様に制御回路111を多自由度多指ハンドのメインフレーム101に搭載し、各モータのリード線、各回転角度センサのリード線、及び各触覚センサのリード線を制御回路111に接続し、制御回路111により各指A〜Eを制御しているので、これらのリード線を、多自由度多指ハンドを支持するアーム(図示せず)を通じて外部に引き回す必要がなく、制御回路111の少数のラインをアームの各関節を経由して外部コンピュータ(図示せず)に接続するだけで済み、ラインの断線発生率を抑えることができる。また、制御回路111と外部コンピュータ(図示せず)を1個のコネクタにより接続することができ、多自由度多指ハンドをアームから外しての修繕等が簡単になり、メンテナンス性が向上する。
仮に、各モータのリード線、各回転角度センサのリード線、及び各触覚センサのリード線をそのままアームの各関節を経由して引き回すならば、それらの配線が困難であり、多自由度多指ハンド及びアームの組み立てやメンテナンスも困難になり、関節でのリード線の断線発生率も高くなり、トラブルの大きな原因となる。
この様なリード線の断線発生率は、多自由度多指ハンドの自由度が高くなって、リード線の本数が増加したり、アームの自由度が高くなって、アームの各関節の動きが複雑になる程に高くなるので、制御回路111を多自由度多指ハンドに搭載することの利点は大きいと言える。
また、メインフレーム101にモータなどが可動配置されている上に制御回路111を設置すると、可動配置されている部材との干渉や、干渉による制御回路111の破損防止のため制御回路111は可動配置されている部材などと十分クリアランスをあけなければならない。しかし、モータなどが固定配置されている側、本実施例ではメインフレーム101上側、すなわち手の甲側に制御回路111を配置すれば、可動配置されている部材による干渉を避けるためのクリアランスを設ける必要もなく、更に制御回路111上の各電子部品は、メインフレーム101上の親指モータA11、人差し指モータB11、各スクリューナット部A12、B12、及び各中指モータC11、C12の隙間もしくは周辺の空きスペースに嵌め入れられる様に配置される。このため、制御回路111を含む多自由度多指ハンドの厚みを抑えることができる。
ただし、各モータのモータプーリや各指の関節のプーリから外れる様に、制御回路111を配置する。これにより、ワイヤーの張力調節等のときに、制御回路111を外す必要がなくなり、メンテナンス性が向上する。
また、制御回路111をフレームや各モータの金属部分に当接させる。これにより、制御回路111の熱をフレームや各モータに伝導して、制御回路111を放熱させることができ、格別の放熱用部品を用いる必要がなくなる。
更に、制御回路111をメインフレーム101上の手の甲に相当する部位に配置しているので、制御回路111が各指A〜Eによる対象物の把持等の作業の障害にならずに済む。
尚、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、親指、人差し指、中指、薬指、及び小指を設定しているが、指の数を減少させても良い。この場合は、親指及び人差し指を残しておけば、手の能力を大幅に劣化させずに済む。望ましくは、3本以上が良い。これにより、人間が用いる道具等を扱うことが可能になる。
また、指の関節を回転させるために、モータ、プーリ、及びワイヤーを組み合わせて用いたが、これだけではなく、形状記憶合金や高分子材料で作られた直動式のアクチュエータを適用しても良い。
更に、触覚センサとして、力の大きさだけではなく、力の方向も検出し得るものを適用しても良い。
本発明の多自由度多指ハンドの実施例1を示す正面図である。 図1の多自由度多指ハンドを親指側から見て示す右側面図である。 図1の多自由度多指ハンドを小指側から見て示す左側面図である。 図1の多自由度多指ハンドを手の平側から見て示す背面図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける親指の回転動作を示す図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける親指の屈伸動作を示す図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける人差し指の回転動作を示す図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける人差し指の屈伸動作を示す図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける中指の屈伸動作を示す図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける薬指及び小指の屈伸動作を示す図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける親指フレームとメインフレームとの連結箇所を部分的に破断して示す図である。 図11のF−Fに沿う縦断面図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける親指フレーム上の各親指モータ及び親指等を部分的に破断して示す横断面図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける親指フレーム上の各親指モータ及び親指の1つの指胴部等を示す側面図である。 図14の親指モータのプーリと親指の指胴部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける親指フレーム上の各親指モータ及び親指の2つの指胴部等を部分的に破断して示す側面図である。 図16の親指モータのプーリと親指の各指胴部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける親指フレーム上の各親指モータ及び親指の各指胴部と指先部等を部分的に破断して示す側面図である。 図18の親指モータのプーリと親指の各指胴部、指先部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける人差し指フレームとメインフレームとの連結箇所を部分的に破断して示す図である。 図20のF−Fに沿う縦断面図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける人差し指フレーム上の各人差し指モータ及び人差し指等を部分的に破断して示す横断面図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける人差し指フレーム上の各人差し指モータ及び人差し指の1つの指胴部等を示す側面図である。 図23の人差し指モータのプーリと人差し指の指胴部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける人差し指フレーム上の各人差し指モータ及び人差し指の2つの指胴部等を部分的に破断して示す側面図である。 図25の人差し指モータのプーリと人差し指の各指胴部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける人差し指フレーム上の各人差し指モータ及び人差し指の各指胴部と指先部等を部分的に破断して示す側面図である。 図27の人差し指モータのプーリと人差し指の各指胴部、指先部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける中指フレーム上の各中指モータ及び中指等を部分的に破断して示す横断面図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける中指フレーム上の各中指モータ及び中指の1つの指胴部等を示す側面図である。 図30の中指モータのプーリと中指の指胴部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける中指フレーム上の各中指モータ及び中指の2つの指胴部等を部分的に破断して示す側面図である。 図32の中指モータのプーリと中指の各指胴部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける中指の各指胴部と指先部等を部分的に破断して示す側面図である。 図34の中指の各指胴部、指先部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。 図1の多自由度多指ハンドにおけるメインフレーム上の薬指小指モータの周辺を部分的に破断して示す横断面図である。 図36のF−Fに沿う縦断面図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける薬指及び小指等を部分的に破断して示す図である。 図1の多自由度多指ハンドにおける薬指及び小指の各指胴部と指先部等を部分的に破断して示す側面図である。 図39の薬指及び小指の各指胴部のプーリに張架された状態の各ワイヤーの形状を示す斜視図である。
符号の説明
101 メインフレーム
102 親指フレーム
103 人差し指フレーム
A 親指
A11、A13、A14、A15 親指モータ
A12 スクリューナット部
a1、a2、a3、a4 関節
B 人差し指
B11、B13、B14、B15 人差し指モータ
B12 スクリューナット部
b1、b2、b3、b4 関節
C 中指
C11、C12 中指モータ
c1、c2、c3 関節
D 薬指
DE11 薬指小指モータ
d1、d2 関節
E 小指
e1、e2 関節

Claims (7)

  1. 複数の指を駆動する複数の駆動源を手の平もしくは甲に配置し、各駆動源の駆動力をそれぞれの動力伝達機構を通じて各指に伝達する多自由度多指ハンドにおいて、
    少なくとも1本の指及び該指を駆動する少なくとも1つの駆動源は、手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持されて、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源により共に作動されることを特徴とする多自由度多指ハンド。
  2. 手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源上に、各駆動源の制御回路を搭載したことを特徴とする請求項1に記載の多自由度多指ハンド。
  3. 制御回路は、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源周辺の凹所に嵌め入れられることを特徴とする請求項2に記載の多自由度多指ハンド。
  4. 少なくとも2本の指別に、指及び該指を駆動する少なくとも1つの駆動源が、手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持されて、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源により共に作動されることを特徴とする請求項1に記載の多自由度多指ハンド。
  5. 駆動源は、モータであることを特徴とする請求項1に記載の多自由度多指ハンド。
  6. 手の平もしくは甲に対して可動状態で共に支持された指及び駆動源は、手の平もしくは甲に固定支持された他の駆動源からギヤもしくはスクリューナットを通じての駆動力の伝達により共に作動されることを特徴とする請求項1に記載の多自由度多指ハンド。
  7. 指の各関節は、駆動源からプーリ及びワイヤーを通じての駆動力の伝達により駆動されることを特徴とする請求項1に記載の多自由度多指ハンド。


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