JP2005344865A - 作動液異物含有度合い検出装置および液圧ブレーキシステム - Google Patents

作動液異物含有度合い検出装置および液圧ブレーキシステム Download PDF

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Abstract

【課題】液圧制御装置における作動液の異物含有度合いを検出する作動液異物含有度合い検出装置およびその検出装置を備えた液圧ブレーキシステムを提供する。
【解決手段】制御弁が開状態から閉状態に移行した後、制御弁における液漏れ有無の検出を行い、S72において、液漏れの有無を検出した回数に対する液漏れの発生を検出した回数の比率である漏れ発生率を求める。その液漏れ発生率と作動液の異物含有度合いとの間には相関性があり、S86において、漏れ発生率に基づいて作動液の異物含有度合いを推定する。既に、液漏れ検出装置が設けられている場合には、その検出装置のコンピュータ等に作動液の含有度合いを推定するプログラムを追加すれば、本発明に係る作動液含有度合い検出装置が得られ、きわめて安価に目的を達し得る。
【選択図】 図4

Description

本発明は、液圧制御装置における作動液の異物含有度合いを検出する作動液異物含有度合い検出装置およびその検出装置を備えた液圧ブレーキシステムに関するものである。
開状態と閉状態とをとり得る制御弁を備えた液圧制御装置において、制御弁が閉状態において作動液の流れを完全に阻止し得なくなるいわゆる液漏れが発生することがある。この液漏れが発生すれば、液圧を比較的長い時間一定に保つことができなくなり、甚だしい場合は液圧制御精度が低下する。そこで、従来から、例えば下記引用文献1に記載されているように、制御弁を含む各部の液漏れを検出する装置が提案されている。引用文献1には、ブレーキ液圧制御装置において発生する複数種類の液漏れを判別することや、僅かな漏れを検出することも記載されている。引用文献2,3にも液漏れの検出に関連する発明が記載されている。特に、特許文献2には車両の停止中における液漏れの検出について記載されている。
特開平11−180294号公報 特開2000−233731号公報 特開2000−219128号公報
本発明は、以上の事情の下において、制御弁の液漏れの一因に、作動液に含まれている異物の噛み込みにより制御弁が完全に閉じなくなることがあり、このことを、作動液内の異物の含有度合いの推定に利用し得ることに気付いて為されたものである。
本発明によれば、閉状態と開状態とをとり得る制御弁を含み、作動液の液圧を制御する液圧制御装置における作動液の異物含有度合いを検出する装置であって、(a)前記制御弁が開状態から閉状態に移行した後、その制御弁における液漏れの有無を検出する漏れ検出部と、(b)少なくとも、その漏れ検出部が液漏れの有無を検出した回数に対する液漏れの発生を検出した回数の比率である漏れ発生率に基づいて、前記作動液が異物を含有している度合いである作動液異物含有度合いを取得する異物含有度合い取得部とを含むことを特徴とする作動液異物含有度合い検出装置が得られる。
制御弁の液漏れ発生率と作動液の異物含有度合いとの間には相関性があり、制御弁の液漏れ発生率が高くなれば、作動液の異物含有度合いが大きくなったと推定することができる。制御弁の液漏れは望ましいものではないため、それの検出自体が有益なものであるが、本発明によれば、その上、作動液の異物含有度合いを推定することが可能となる。特に、制御弁の液漏れ検出装置が既に設けられている場合には、その制御弁の液漏れ検出装置を主要構成要素とし、例えば、その検出装置のコンピュータに作動液の含有度合いを推定するプログラムを追加すれば、本発明に係る作動液異物含有度合い検出装置が得られるため、きわめて安価に目的を達し得る。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項,(2)項,(3)項がそれぞれ請求項1,2,3に相当し、(5)項が請求項4に、(9)項および(10)項を合わせたものが請求項5に、(13)項が請求項6に、(14)項,(15)項および(16)項を合わせたものが請求項7に、それぞれ相当する。
(1)閉状態と開状態とをとり得る制御弁を含み、作動液の液圧を制御する液圧制御装置における作動液の異物含有度合いを検出する装置であって、
前記制御弁が開状態から閉状態に移行した後、その制御弁における液漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
少なくとも、その漏れ検出部が液漏れの有無を検出した回数に対する液漏れの発生を検出した回数の比率である漏れ発生率に基づいて、前記作動液が異物を含有している度合いである作動液異物含有度合いを取得する異物含有度合い取得部と
を含むことを特徴とする作動液異物含有度合い検出装置。
漏れ発生率は、実際に、漏れ検出部が液漏れの発生を検出した回数を液漏れの有無を検出した回数で割って取得されるようにしてもよいが、予め定められた液漏れ有無の検出回数内における液漏れ発生検出回数で取得されるようにしてもよい。いずれの場合も、「液漏れの有無を検出した回数」は、連続した回数であることが望ましく、例えば、(i)N回の連続した液漏れ有無検出回数のうちの液漏れ発生検出回数または液漏れ発生検出率を記憶し、あるいは設定回数または設定率と比較した後、新たな連続N回について同様なことを繰り返したり、(ii)新たに1回の液漏れ有無検出が行われる度にその最新の検出結果を加える一方、最も古い1回の液漏れ有無検出の検出結果を削除して、常に最新の連続N回の液漏れ有無の検出の結果を得、その結果を設定回数や設定率と比較したりすることができる。
(2)前記漏れ検出部が、前記制御弁が閉状態に移行することにより密封状態となる密封部の液圧変化に基づいて液漏れを検出する液圧変化依拠漏れ検出部を含む(1)項に記載の作動液異物含有度合い検出装置。
制御弁が閉状態に保たれている間、密封部の液圧は原則として変化しないはずであるので、その密封部の液圧が明瞭に変化した場合に、制御弁に液漏れが発生したとすることができる。液圧変化依拠漏れ検出部は、例えば、それぞれ予め定められた条件を満たす2時点間における液圧変化量、時間に対する液圧変化勾配等が、設定変化量,設定変化勾配以上である場合に、液漏れが発生したとするものとすることができる。
(3)前記漏れ検出部が、前記制御弁が閉状態に保たれている間に前記密封部の液圧を複数回検出し、それら複数回の検出結果に基づいて前記液漏れの有無を検出するものである(2)項に記載の作動液異物含有度合い検出装置。
微小な液漏れに起因する液圧変化は僅かであるので、1回の液圧検出の結果に基づいて液漏れの有無を確実に検出することは容易ではない。微小漏れを確実に検出できるようにしようとすると、漏れてないのに漏れたと検出されてしまい、それを回避しようとすると、漏れているのに検出されない場合が生じる。したがって、制御弁が閉状態に保たれている間は液漏れ状態が変わらないことが多いため、その間に複数回の液圧検出を行い、その検出結果の統計的処理により液漏れの有無が判定されるようにすることが望ましい。例えば、複数時点における検出液圧値の回帰直線(近似直線)を求め、その直線の勾配を液圧変化勾配としたり、予め定められた条件を満たす2時点の各々において、短時間中に複数回検出された液圧の平均値である2つの平均液圧の差を、2時点間における液圧変化量としたりすることができる。
(4)前記漏れ検出部が、前記制御弁が閉状態に保たれている間に前記液漏れの有無の検出を複数回行うものである(1)項に記載の作動液異物含有度合い検出装置。
複数回の液漏れ有無の検出の各々を、上記(3)項におけるように複数回の液圧検出を行った結果に基づくものとしても、1回の液圧検出の結果に基づくものとしてもよい。(3)項および本項の特徴は、作動液異物含有度合いの検出とは別に、液漏れ検出装置自体にも適用可能である。
(5)前記漏れ検出部による液漏れ発生の検出パターンに基づいて、作動液の異物含有に起因する液漏れと、制御弁の故障に起因する液漏れとを判別する原因判別部を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置。
異物の噛み込みによる制御弁の液漏れは、制御弁が一旦開かれれば解消されることが多い。それに対して、弁子や弁座に疵が発生したり、弁子と弁座とが偏心する等、制御弁の故障に起因して発生した液漏れは、制御弁が一旦開かれても解消されない。後者の液漏れは、作動液の異物含有度合いとは関係がないため、前者と判別して、作動液の異物含有に起因する液漏れの発生率には含まれないようにすることが望ましい。
本項ないし(7)項の特徴は、作動液異物含有度合いの検出とは別に、制御弁の液漏れの原因判別に適用することもできる。
(6)前記検出パターンが前記液漏れ発生の連続性に関するパターンであり、前記原因判別部が、前記漏れ検出部による液漏れ発生の検出の連続回数が第一設定回数以下の場合に前記作動液の異物含有に起因する液漏れと判別し、前記第一設定回数より多い第二設定回数以上の場合に前記制御弁の故障に起因する液漏れと判別する連続性依拠判別部を含む(5)項に記載の作動液異物含有度合い検出装置。
前述のように、制御弁の故障に起因して発生した液漏れは、制御弁が一旦開かれても解消されないため、液漏れが第二設定回数以上連続して検出されることとなる。それに対し、作動液の異物含有に起因する液漏れが連続して発生する可能性は低く、第一設定回数を超えては連続して発生しない。したがって、本項の連続性依拠判別部によれば、作動液の異物含有に起因する液漏れと、制御弁の故障に起因する液漏れとを容易に判別し得る。第一設定回数と第二設定回数とは、微小な液漏れの発生検出には液圧検出誤差等に起因する誤検出の可能性があることを考慮して設定されることが望ましい。
(7)前記検出パターンが前記漏れ発生率の増大パターンであり、前記原因判別部が、前記漏れ発生率の増大率が第一設定増大率以下である場合に前記作動液の異物含有に起因する液漏れと判別し、第二設定増大率以上である場合に前記制御弁の故障に起因する液漏れと判別する増大率依拠判別部を含む(5)項または(6)項に記載の作動液異物含有度合い検出装置。
前述のように、制御弁の故障に起因する液漏れが一旦発生すれば、連続的に液漏れが検出されるため、液漏れ発生率が急激に増大する。それに対し、作動液の異物含有に起因する液漏れの発生率は緩やかに増大するのが普通であるため、本項の増大率依拠判別部によれば、作動液の異物含有に起因する液漏れと、制御弁の故障に起因する液漏れとを容易に判別し得る。特に、制御弁の故障に起因する液漏れ量が僅かで、液漏れが検出されたり、されなかったりする場合には、連続性依拠判別部によっては制御弁の故障に起因する液漏れと判別できないにもかかわらず、増大率依拠判別部によれば判別できる事態が生じ得る。したがって、連続性依拠判別部と増大率依拠判別部との両方を設けることが望ましい。
(8)前記異物含有度合い取得部により取得された作動液異物含有度合いを表示する表示部を含む(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置。
表示部は、例えば、作動液異物含有度合いを示す数値やグラフを表示するディスプレイや、数字を表示する数字表示器により構成することができる。
(9)前記異物含有度合い取得部により取得された作動液異物含有度合いを表す情報を記憶する記憶部を含む(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置。
(10)前記異物含有度合い取得部により取得された作動液異物含有度合いを表す情報を供給する情報供給部を含む(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置。
情報供給部は、例えば、車両のディーラや修理工場に設置され、作動液異物含有度合いを表す情報を有線または無線の通信により受信し得る情報受信装置からの要求に応じて情報を供給し得るもの、あるいは情報供給部から能動的に情報を供給し得るものとすることができる。情報供給部が、上記情報受信装置等の外部装置からの要求に応じて情報を供給するものである場合には、(9)項の記憶部をも含む構成とされることが望ましい。
(11)前記異物含有度合い取得部により取得された作動液異物含有度合いが設定度合いを超えた場合に、その事実を報知する報知部を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置。
例えば、作動液異物含有度合いが設定度合いを超えた場合にその事実が報知部により報知されるようにし、かつ、設定度合いを作動液の交換が必要な異物含有度合いに設定しておけば、運転者や保守点検者に作動液の交換が必要になったことを簡潔に知らせることができる。
(12)前記作動液の温度を検出する温度センサと、
その温度センサにより検出された作動液の温度が設定温度以下の場合には、前記漏れ検出部による液漏れの有無検出を禁止する低温時禁止部と
を含む(1)項ないし(11)項のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置。
設定温度以下の低温時と、設定温度を超える通常温時とでは液漏れの量が異なるのが普通である。したがって、低温時には液漏れの検出が行われないようにすることが望ましい。特に、漏れ検出部が液圧変化依拠漏れ検出部である場合には一層望ましい。その理由は実施例の項において説明する。
(13)作動液の液圧で作動するブレーキシリンダを含み、車両の車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記ブレーキシリンダに加圧した作動液を供給する液圧源装置と、
少なくとも1つの制御弁を含み、前記液圧源装置からの作動液の液圧を制御して前記ブレーキシリンダに供給する液圧制御弁装置と、
(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置であって、前記漏れ検出部が、前記少なくとも1つの制御弁の少なくとも1つにおける液漏れの有無を検出するものと
を含む液圧ブレーキシステム。
ブレーキシステムは、液圧制御弁装置に包含される制御弁の微小な液漏れの影響を、液圧制御精度に敏感に受けるものであるから、本発明が特に有効である。
(14)前記少なくとも1つの制御弁の少なくとも1つが、前記液圧源装置と前記ブレーキシリンダとの間に設けられ、ブレーキシリンダへの作動液の流入を許容する増圧状態と、ブレーキシリンダからの作動液の流出を許容する減圧状態と、流入も流出も許容しない保持状態とをとり得る増・減圧弁装置を含む(13)項に記載の液圧ブレーキシステム。
増・減圧弁装置は、液圧源装置とブレーキシリンダとの間に設けられ、ブレーキシリンダへの作動液の流入を許容する状態と阻止する状態とをとり得る増圧弁と、ブレーキシリンダと低圧源との間に設けられ、ブレーキシリンダからの作動液の流出を阻止する状態と許容する状態とをとり得る減圧弁とを含むものとしたり、1つの方向切換弁としたりすることができる。
(15)前記漏れ検出部が、前記増・減圧弁の前記保持状態において、その増・減圧弁より前記ブレーキシリンダ側の部分の液圧変化に基づいて液漏れを検出するブレーキシリンダ側液圧変化依拠漏れ検出部を含む(14)項に記載の液圧ブレーキシステム。
(16)前記ブレーキが、前記車輪と共に回転するブレーキ回転体と、そのブレーキ回転体に前記ブレーキシリンダにより押圧される摩擦部材とを含む液圧式摩擦ブレーキであり、かつ、前記漏れ検出部が、前記増・減圧弁より前記ブレーキシリンダ側の部分の液圧変化から、少なくとも前記ブレーキ回転体の回転周期に対応する周波数成分を除去するフィルタ部を含む(15)項に記載の液圧ブレーキシステム。
例えば、ブレーキ回転体がディスクロータである場合には周方向における肉厚の不均一等により、ブレーキドラムである場合には真円度の低下等により、ブレーキ回転体の回転に伴う液圧変動が発生する。この変動を除去すれば、微小な液漏れに起因する微小な液圧変化も高い信頼性をもって検出することが可能となる。
(17)前記漏れ検出部が、前記車輪の停止中に前記液漏れの有無の検出を行う停止中液漏れ検出部を含む(13)項ないし(16)項のいずれかに記載の液圧ブレーキ装置。
車輪の回転停止中は液圧変動が少ないため、あるいは、ブレーキシリンダの液圧を長時間にわたって一定に保持することが許容される機会が多いため、車輪の回転停止中に液漏れ検出を行うことは望ましいことである。本項が(16)項に従属する態様では、車輪の回転中と、回転停止中との両方において液漏れ検出が行われることとなる。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
本発明の一実施例である作動液異物含有度合い検出装置を備える液圧ブレーキシステムの回路図を図1に示す。液圧ブレーキシステムは、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル10,マスタシリンダ12,液圧源装置14,液圧制御弁装置16,ブレーキシリンダ20,22,24,26等を備えており、通常は、液圧源装置14に発生させられた液圧が、液圧制御弁装置16により制御されてブレーキシリンダ20〜26に伝達され、左右前輪30,32および左右後輪34,36の各車輪とともに回転するブレーキ回転体としてのディスクロータに、非回転体に保持された摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。
マスタシリンダ12は2つの加圧室を備え、その2つの加圧室には、常開の電磁開閉弁であるマスタカット弁40,42を経て、それぞれ左右前輪30,32のブレーキシリンダ20,22が接続されている。また、マスタシリンダ12は、常閉の電磁開閉弁44を経てストロークシミュレータ46に接続されている。マスタシリンダ12には、ブレーキ液を蓄えるリザーバ48が接続されており、このリザーバ48は、液圧源装置14とも接続されている。
液圧源装置14は、リザーバ48からブレーキ液を汲み上げるポンプ50と、ポンプ50を駆動する電動モータ52と、ポンプ50から吐出されたブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータ54と、ポンプ50の吐出圧を設定値以下に規制するリリーフ弁56とを含んでいる。
液圧制御弁装置16は、ポンプ50から各ブレーキシリンダ20〜26へのブレーキ液の流入を制御する増圧弁60,62,64,66と、各ブレーキシリンダ20〜26からリザーバ48へのブレーキ液の流出を制御する減圧弁70、72,74,76とを含んでいる。それら増圧弁60〜66および減圧弁70〜76は、供給電流に応じてリニアに液圧を制御するリニア液圧制御弁である。増圧弁60〜66および前輪側の減圧弁70,72は、常閉の電磁制御弁であり、後輪側の減圧弁74,76は、常開の電磁制御弁である。
ポンプ50と増圧弁60〜66との間に液圧源液圧センサ80が設けられて液圧源装置14の液圧が検出され、ブレーキシリンダ20〜26の各液圧がブレーキシリンダ圧センサ82により検出される。また、マスタシリンダ12の2つの加圧室の各々とマスタカット弁40,42との間にそれぞれマスタシリンダ圧センサ84が設けられ、2つの加圧室にそれぞれ発生させられる液圧が検出される。
通常、運転者によりブレーキ操作が行われれば、マスタカット弁40,42が閉状態とされてマスタシリンダ12とブレーキシリンダ20〜26とが遮断されるとともに、ストロークシミュレータ46がマスタシリンダ12に連通させられて運転者に操作感を付与するようにされる。一方、液圧制御弁装置16においては、運転者によるブレーキペダル10の操作量(操作ストロークと操作力との少なくとも一方)や、車輪速度,車体速度などに基づいて、ブレーキECU(電気制御ユニット)90により増圧弁60〜66および減圧弁70〜76の制御が行われて、各ブレーキシリンダ20〜26内の液圧が増圧,減圧されることにより、車両の減速度がブレーキペダル10の操作量に対応した大きさとなるようにされる。制動時に車輪のスリップが過大となることを防止するアンチロック制御,加速時に車輪のスリップが過大となることを防止するトラクション制御,車両が操舵操作通りに走行するようにするビークルスタビリティ制御等のためのブレーキシリンダ20〜26の液圧制御も行われる。
液圧ブレーキシステムは、ブレーキECU(電子制御ユニット)90の指令に基づいて制御される。ブレーキECU90は、コンピュータを主体とするもので、CPU92,ROM94,RAM96,入出力インタフェイス98等を備えている。入出力インタフェイス98には、液圧源液圧センサ80,ブレーキシリンダ圧センサ82,マスタシリンダ圧センサ84,ブレーキペダル10の操作ストロークを検出するペダルストロークセンサ100,各車輪30〜36の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ102,ブレーキ液の温度を検出する温度センサ104等が入力側に接続されるとともに、マスタカット弁40,42,シミュレータ制御弁44,増圧弁60〜66,減圧弁70〜76の各コイル、電動モータ52等が図示しない駆動回路を介して出力側に接続されている。さらに、入出力インタフェイス98の出力側には、報知装置106が接続されている。この報知装置106は、情報を文字または図形で表示するディスプレイ,警報ブザーおよび警報ランプを備えている。
ROM94には、図2のフローチャートで表される漏れ検出プログラムおよび図4で表される作動液異物含有度合い検出プログラム等が格納されている。
漏れ検出プログラムは、予め定められた設定時間(例えば5msec)毎に実行される。この処理では、密閉状態とされた増・減圧弁よりブレーキシリンダ側の部分の液圧に変化があったか否かにより、液漏れが発生したか否かが判定される。密閉部の液圧は、通常、変化しないはずであるので、その密閉部の液圧に変化があった場合に、液漏れが発生したとすることができる。この液漏れ検出プログラムは、各車輪のブレーキシリンダ毎に同様の処理が行われる。
ステップ10(以下、S10と略称する。他のステップについても同様とする。)において、温度センサ104により検出されたブレーキ液の温度が、設定温度以下か否かが判定される。低温時においては、作動液は粘性が高く、微小な異物の噛み込みによっては液漏れが生じにくかったり、ブレーキシリンダ圧センサが設けられた位置がブレーキシリンダから離れるほど液圧変化の遅れの影響を受け易かったりして、液漏れの発生を信頼性高く検出できない。例えば、ブレーキシリンダ圧センサ82が増圧弁60〜66近傍に配設されており、低温時に増圧弁が閉じた後、液圧伝達の遅れに起因してブレーキシリンダ圧センサ82によって検出される液圧が未だ変動(低下)しつつある間に、後述する液圧変化依拠漏れ検出部により液圧変化に基づいて液漏れの有無が検出されれば、液漏れが発生していないのに発生していると誤った検出が行われる可能性が高くなる。そのため、本実施例においては、低温時禁止部が設けられ、液漏れの検出が行われないようにされているのである。
S10においてブレーキ液の温度が低温でない場合には、S12において、車速が0か否か(厳密には0に近い停止判定車速以下であるか否か)が判定される。車速は、車輪速センサ102により検出される車輪速に基づいて求められ、車速が0ではなく走行中であれば、S14において、運転者がブレーキの操作量を一定に保持する意図があるか否かが判定される。本実施例では、ブレーキペダル10の操作力に対応するマスタシリンダ圧の変化量(または変化勾配の絶対値)が一定範囲内であれば、保持意図があると判定される。
なお、保持意図の判断は、ペダルストロークセンサ100により検出されたストロークの変化量または変化勾配の絶対値に基づいて行われようにしてもよいし、ブレーキペダル10の操作力を検出する操作力センサを設け、操作力センサによる検出値の変化量または変化勾配の絶対値に基づいて行われるようにしてもよい。
マスタシリンダ圧変化量が一定範囲内であり、S14においてYESと判定されれば、S16において、液漏れ検出フラグがONにセットされているか否かが判定される。液漏れ検出フラグは、液漏れ有無の検出結果が記憶された場合にONにセットされ、後述のS32の待機状態への復帰処理においてOFFにリセットされるものである。液漏れ検出フラグがONであれば、増・減圧弁が保持状態とされた後に、既に1回、液漏れ有無の検出が行われたため、それ以上はS18以下が実行されない。液漏れ検出フラグがOFFであれば、S18において、増・減圧弁が保持状態とされ、微少な運転者の操作量変化によりブレーキシリンダの液圧が変化しないようにされる。
S12において車速が0であれば、S14,S16と同様に、S24において運転者にブレーキ操作量の保持意図があるか否か、S26において液漏れ検出フラグがONか否かが判定される。マスタシリンダ圧変化量が一定範囲内であり、かつ、液漏れ検出フラグがOFFであれば、S28において増・減圧弁が保持状態とされる。この場合には、そのときのブレーキ液圧、あるいは予め定められた液圧(必要に応じて増圧あるいは減圧されて)に保持される。
S18,S28において増・減圧弁が保持状態とされている間、それぞれS22,S30において、図3のフローチャートで表される液圧変化依拠漏れ検出処理ルーチンが実行され、液漏れ有無の検出が行われる。この処理では、密閉状態とされた増・減圧弁よりブレーキシリンダ側の部分の液圧に変化があったか否かにより、液漏れが発生したか否かが判定される。密閉部の液圧は、増・減圧弁が保持状態とされている限り変化しないはずであるので、その密閉部の液圧に変化があった場合に、液漏れが発生したとすることができる。さらに、微少な液圧変化を検出できるように、まず、予め定められた条件を満たす複数時点の各々において、短時間中に複数回検出された液圧の平均値が求められる。次に、その複数時点における平均液圧値の回帰直線が求められ、その直線の勾配が液圧変化勾配とされる。
ただし、車速が0ではなく走行中の場合には、S20において、ブレーキ回転体の回転周期に従って発生する液圧変動の除去が行われる。本実施例のようにディスクロータである場合には、周方向における肉厚の不均一等により液圧変動が発生するため、検出されたブレーキシリンダ圧から、車輪速センサ102の検出値に基づいて得られたディスクロータの回転周期に対応する周波数成分が除去されるのであり、それにより、漏れに起因する微少な液圧変化の検出も可能となる。
S14またはS24においてNOと判定された場合には、上記S18,S20,S22,S28およびS30において行われた設定や記憶が、S32においてリセットあるいはクリアされる。液漏れ有無の検出が開始されても、1回の検出が終了しないうちに運転者がブレーキペダル10の踏込みを解除し、あるいは踏み増すことがあり、その場合には、途中まで実行された液漏れ有無検出のために行われた設定や記憶をリセットあるいはクリアして、次の液漏れ有無検出に備えて待機する状態に戻されるのである。なお、詳細は省略するが、S32においては、S14,S24における判定がYESからNOに変わった後始めてS32が実行される場合にのみ上記待機状態への復帰処理が行われ、2回目以降に実行される場合には行われないようになっている。
図3の液圧変化依拠漏れ検出処理ルーチンについて説明する。S40において、平均液圧検出フラグがONか否かが判定される。初期においては、平均液圧検出フラグはOFFに設定されており、S48以下が実行されるが、後述の平均液圧値が得られたときにONにセットされる。微少な液圧変化を検出するためには、ある程度の時間経過が必要であり、次に平均液圧を求めるまでの所定時間内は、S48以下を実行する必要がない。ここでは、S42において1回の実行毎にカウント値Cに1が加えられ、S44においてカウント値Cが設定値以上か否かが判定される。カウント値Cが設定値以上となれば、S46において平均液圧フラグがOFFとされ、S48以下の液圧検出が行われる。
S48において、車速が0の場合は、ブレーキシリンダ圧センサ82により検出された液圧が読み込まれ、車速が0でない場合は、前述のフィルタの掛けられた液圧が読み込まれる。併せて、液圧を検出した回数N1に1が加えられる。次いでS50において、その液圧検出回数N1が設定数以上か否かが判定され、設定数以上となれば、S52において、検出された液圧の平均値が演算されRAM96に記憶される。以上で1時点の平均液圧値が得られたため、平均液圧値を検出した回数N2に1が加えられ、平均液圧検出フラグがONにセットされる。また、次の平均液圧値検出の準備として、N1が0にリセットされる。
S54において、平均液圧検出回数N2が設定数以上か否かが判定される。N2が設定数以上となれば、所定数の時点における平均液圧値が求められたため、S56において、時間に対する平均液圧値の回帰直線が求められ、その直線の勾配が液圧変化勾配Spとされる。
S58において、液圧変化勾配Spの絶対値の大きさが設定勾配以下か否かが判定され、設定勾配以下であれば、S62において増・減圧弁に液漏れはないと判定される。設定勾配より大きい場合には、液漏れが発生していることになるが、S60において、液漏れが発生しているのが、増圧弁,減圧弁のどちらであるかが判定される。ブレーキシリンダ圧が上がってきていれば、つまり液圧変化勾配Spが正であれば、S64において増圧弁が漏れている旨の情報がRAM96に記憶され、逆に液圧変化勾配Spが負であれば、S66において減圧弁が漏れている旨の情報が記憶される。
上記RAM96内には、最新の定められた回数分の判定結果が記憶されるようになっており、新たに1つの判定結果が得られれば、最も古い判定結果が1つ削除される。また、走行中の液漏れ有無の検出結果と停車中の液漏れ有無の検出結果とは、別々に記憶される。これは、ブレーキ回転体の回転に伴う液圧変動をフィルタによって除去した走行中の検出結果に比較して、停車中の検出結果の方が信頼性が高く、後述の漏れ発生率を求める際の設定回数も少ない回数とすることができるためである。
以上のようにして1回の液漏れ有無の検出結果が得られれば、S68において、液漏れ検出フラグがONにセットされ、次の漏れ検出の準備としてN2が0にリセットされる。これで、液圧変化依拠漏れ検出処理ルーチンおよび漏れ検出プログラムの1回の実行が終了する。
以上のように、本実施例においては、複数回の液圧検出結果に基づいて1時点の液圧検出が行われ、さらに、設定時間間隔の複数時点における検出液圧に基づいて1回の液漏れ有無の検出が行われるようにされている。それによって、僅かな液漏れを高い信頼性をもって検出することができる。
漏れ検出プログラムにおいて、液漏れ検出結果が得られる毎に、すなわちS68で液漏れ検出フラグがONにされる毎に、図4のフローチャートで表される作動液異物含有度合い検出プログラムが実行される。このプログラムは、各ブレーキシリンダの各制御弁毎に同様に実行される。
まず、S70において、液漏れを検出した回数が設定数M以上か否かが判定される。前記RAM96内に、定められた回数M分の判定結果が記憶されたか否かが判定されるのである。判定がYESであれば、S72において、液漏れの有無を検出した回数Mに対する液漏れの発生を検出した回数の比率である漏れ発生率が求められる。漏れ発生率は、RAM96から読み出された最新の設定回数M分の液漏れ検出結果に基づいて演算される。RAM96の液漏れ検出結果は、後述の原因を判別する際にも用いられる。また、漏れ発生率も液漏れ有無検出結果と同様に、最新の定められた回数分の漏れ発生率がRAM96に記憶されるようになっている。
次に、S74において、図5のフローチャートで表される原因判別処理ルーチンが実行される。この処理では、作動液の異物含有に起因する液漏れと、制御弁の故障に起因する液漏れとが判別される。異物の噛み込みによる液漏れは、制御弁が一旦開かれれば解消されることが多いのに対し、弁子や弁座の疵や、弁子と弁座との偏心等の制御弁の故障による液漏れは、制御弁が一旦開かれても解消されないことに着目し、液漏れ発生の連続回数や液漏れ発生率の増大率に基づいて判別が行われる。
まず、液漏れの連続発生回数に基づいて原因判別が行われる。S100において、RAM96に記憶された液漏れ検出結果から、液漏れ連続発生回数N3が求められる。RAM96に記憶された液漏れ検出結果全体のうちで最大の連続発生回数が液漏れ連続発生回数N3とされるのであるが、通常、液漏れが連続的に検出されることはなく、作動液の異物含有度合いが増し、あるいは制御弁に故障が発生してから連続的に検出されることとなるため、RAM96に記憶された液漏れ検出結果のうち、最新の複数回の検出結果が最大の連続発生回数を表すこととなることが多い。求められた連続発生回数N3が、S102において、第一設定回数以下か否かが判定され、S104において、第一設定回数より大きい第二設定回数以上か否かが判定される。連続発生回数N3が第一設定回数以下であれば、少なくとも制御弁の故障である可能性はないとして、S114において、発生率に基づく判別が行われる。S72で求められた発生率が設定値以上か否かが判定されるのであり、非常に低い発生率であれば、液漏れは発生していないとして、S118において異物含有フラグおよび故障フラグが共にOFFにリセットされる。それに対し、液漏れ発生率が設定値以上であれば、作動液の異物含有に起因する液漏れと判別され、S116において異物含有フラグがONにセットされる。また、連続発生回数N3が第二設定回数以上であれば、制御弁の故障に起因する液漏れと判別され、S120において故障フラグがONにセットされる。
連続発生回数N3が第一設定回数より大きく、かつ、第二設定回数より小さければ、液漏れの連続回数による原因の判別は不可能であり、S106以下の漏れ発生率の増大率に基づく原因判別が行われる。その発生率の増大率は、RAM96に記憶された設定回数分の漏れ発生率の回帰直線が求められ、その直線の勾配に基づいて求められる。ここでは、S106において、漏れ発生率の検出回数が設定数以上か否かが判定され、設定数以上であれば、S108において液漏れ発生率の増大率が求められる。S106において、設定数に満たない場合は、増大率を求めるには不十分であり、連続性のみに基づいての原因判別をせざるを得ないのであるが、上記のようにそれは不可能であるため、液漏れが何に起因しているかは不明であるとして、S118において異物含有フラグおよび故障フラグが共にOFFにリセットされる。
S106の判定がYESとなり、S108において増大率が求められれば、S110において、求められた増大率が第一設定増大率以下か否かが判定される。この判定の結果がYESであれば、連続発生回数N3が第一設定回数より大きくても(S102の判定がYES)、少なくとも制御弁の故障が発生している可能性はないとして、S114において、異物含有に起因する漏れ発生の可能性があるか否かが判定される。また、S110の判定がNOであれば、S112において、第二設定増大率以上か否かにより制御弁の故障に起因する漏れか否かが判定される。この判定の結果がYESであれば、制御弁の故障に起因する漏れと判別され、S120において故障フラグがONにセットされる。
それに対し、増大率が第一設定増大率より大きく、かつ、第二設定増大率より小さければ、液漏れは原因不明であるとされ、S118において異物含有フラグおよび故障フラグが共にOFFにリセットされる。以上で、原因判別処理ルーチンの1回の実行が終了する。
S70において、漏れ検出回数が少なく設定数に満たない場合は、漏れ発生率の演算および原因判別処理の実行にはデータ量が不十分である。この場合でも、連続性に基づいて制御弁の故障が発生しているか否かを判別することは可能であるため、S76〜S80が実行される。これらのステップは前記S100,S104およびS120と同様であり、S76において連続発生回数N3が求められ、S78において連続発生回数N3が第二設定回数以上か否かが判定され、設定回数以上であればS80において故障フラグがONにセットされる。
なお、以上説明した原因判別処理ルーチンにおいては、S114の判定結果がNOとなった場合、すなわち液漏れは発生していない判定された場合も、S110,S112において液漏れの原因が不明であるとされた場合も共にS118が実行され、異物含有フラグおよび故障フラグが共にOFFにリセットされるようになっていたが、S114の判定結果がNOとなった場合には、S118とは別のステップにおいて「液漏れなし」との情報がRAM96に記憶され、それに基づいて液漏れなしの情報が、「原因不明」の情報とは別にディスプレイ等の報知装置に報知されるようにすることも可能である。
原因判別処理が終了すれば、作動液異物含有度合い検出プログラムのS82において故障フラグがONか否かが判定され、S84において異物含有フラグがONか否かが判定される。故障フラグがONであれば、S90において報知制御が行われる。この場合、運転者に警報を送る必要があり、警報ブザーが鳴動させられ、故障を示す警報ランプが点灯させられるとともに、ディスプレイに故障した制御弁および故障の内容が表示される。
異物含有フラグがONであれば、S86において、S72で求められた漏れ発生率に基づいて、異物含有度合いが求められる。異物含有度合いと漏れ発生率とは相関性があり、それを利用して異物含有度合いが求められるのであり、RAM96に記憶される。次に、S88において、求められた異物含有度合いが設定値以上か否かが判定される。設定値以上であれば、S90において報知制御が行われる。この場合の設定値は、作動液の交換が必要な度合いとされており、S90における報知制御はディスプレイに運転者に作動液交換を促す報知を行うものとされる。
また、本作動液異物含有度合い検出装置は、情報供給部を備えており、異物含有度合いや液漏れ有無検出結果,液漏れ発生率等の情報を、車両のディーラや修理工場に設置された情報受信装置からの要求に応じて供給することができる。
以上で、作動液異物含有度合い検出プログラムの1回の実行が終了する。
本実施例においては、ブレーキECU90の、漏れ検出プログラムのS22,S30を記憶,実行する部分等と、ブレーキシリンダ圧センサ82とによりブレーキシリンダ側液圧変化依拠漏れ検出部が構成され、ブレーキECU90のS20を記憶,実行する部分等によりフィルタ部が構成されている。また、ブレーキECU90のS10を記憶,実行する部分等と、温度センサ104とにより低温時禁止部が構成され、ブレーキECU90のS12,S24〜30を記憶,実行する部分等と、ブレーキシリンダ圧センサ82とにより停止中液漏れ検出部が構成されている。
さらに、ブレーキECU90の、作動液異物含有度合い検出処理プログラムのS76〜S80、および原因判別処理ルーチンのS100〜S104,S114〜S120を記憶,実行する部分等により連続性依拠判別部が構成され、ブレーキECU90の原因判別処理ルーチンのS106〜S120を記憶,実行する部分等により増大率依拠判別部が構成されている。
上記実施例においては、新たに1回の液漏れ有無検出が行われる度に、最新の連続した設定回数分の検出結果を用いて漏れ発生率が求めるられるようにされているが、漏れ発生率を1回求めた後、新たに連続したN回の液漏れ有無検出を行い、その検出結果から漏れ発生率が求めるられるようにしてもよい。
また、上記実施例の液圧変化依拠漏れ検出部は、時間に対する液圧変化勾配に基づいて液漏れを検出するものであったが、予め定められた条件を満たす2時点間における液圧変化量に基づいて検出するものでもよい。
さらに、上記実施例の停止中液漏れ検出部は、停車中のみ液漏れ検出を行うものであったが、駐車時に行うものでもよい。例えば、パーキングブレーキが作動させられ、運転者により液圧ブレーキが解除された後に、再び液圧ブレーキを作動させ、少なくとも1回の液漏れ検出を行うものとしたり、イグニッションスイッチが切られた後、液圧ブレーキのみ作動させ、液漏れ検出を行うものとしたりするのである。
また、前記実施例において、RAM96の「最新の定められた回数分の判定結果」や「最新の定められた回数分の漏れ発生率」の情報は、車両のイグニッションスイッチがOFFにされても消去されないで保持され、作動液異物含有度合い検出処理プログラムや原因判別処理ルーチンの実行に使用されるようにされていたが、イグニッションスイッチがOFFにされれば消去されるようにし、作動液異物含有度合い検出処理プログラムや原因判別処理ルーチンは、イグニッションスイッチがONに保たれている間に取得された情報に基づいて実行されるようにすることも可能である。また、RAM96の「最新の定められた回数分の判定結果」や「最新の定められた回数分の漏れ発生率」の情報が、設定時間毎や定められた作動回数毎等に消去されるようにし、設定時間毎や定められた作動回数毎等に、液漏れの発生を検出した回数を液漏れ有無検出回数で割って取得されるようにしてもよい。
さらに、前記実施例においては、漏れ発生率が、液漏れが発生した回数を予め定められた液漏れ有無検出回数で割って取得されるようにされていたが、イグニッションスイッチがONに保たれている間、予め定められた一定時間の間、あるいは予め定められたブレーキ作動回数の間の、液漏れ有無検出回数と液漏れが検出された回数との情報がRAM96に記憶され、その情報に基づいてイグニッションスイッチがONに保たれている間、予め定められた一定時間、あるいは予め定められたブレーキ作動回数毎の漏れ発生率が演算されるようにしてもよい。ただし、イグニッションスイッチがONに保たれていた時間が設定時間以下である場合には、不適切な漏れ発生率が取得される可能性あるため、漏れ発生率の取得は行われないようにすることが望ましい。また、「予め定められた一定時間の間」や「予め定められたブレーキ作動回数の間」は、イグニッションスイッチがONに保たれている間のそれらとすることも、イグニッションスイッチOFFを間に挟んだそれらとすることも可能である。後者の場合には、「予め定められた一定時間」はイグニッションスイッチがOFFにされている間は計測されないようにすることが望ましい。
本発明の一実施例である作動液異物含有度合い検出装置を備えた液圧ブレーキシステムの回路図である。 上記液圧ブレーキシステムのブレーキECUに記憶された漏れ検出プログラムを表すフローチャートである。 上記漏れ検出プログラムの一部を成す液圧変化依拠漏れ検出処理ルーチンを表すフローチャートである。 上記液圧ブレーキシステムのブレーキECUに記憶された作動液異物含有度合い検出プログラム表すフローチャートである。 上記作動液異物含有度合い検出プログラムの一部を成す原因判別処理ルーチンを表すフローチャートである。
符号の説明
10:ブレーキペダル 14:液圧源装置 16:液圧制御弁装置 20〜26:ブレーキシリンダ 60〜66:増圧弁 70〜76:減圧弁 82:ブレーキシリンダ圧センサ 90:ブレーキECU 100:ペダルストロークセンサ 102:車輪速センサ 104:温度センサ 106:報知装置


Claims (7)

  1. 閉状態と開状態とをとり得る制御弁を含み、作動液の液圧を制御する液圧制御装置における作動液の異物含有度合いを検出する装置であって、
    前記制御弁が開状態から閉状態に移行した後、その制御弁における液漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
    少なくとも、その漏れ検出部が液漏れの有無を検出した回数に対する液漏れの発生を検出した回数の比率である漏れ発生率に基づいて、前記作動液が異物を含有している度合いである作動液異物含有度合いを取得する異物含有度合い取得部と
    を含むことを特徴とする作動液異物含有度合い検出装置。
  2. 前記漏れ検出部が、前記制御弁が閉状態に移行することにより密封状態となる密封部の液圧変化に基づいて液漏れを検出する液圧変化依拠漏れ検出部を含む請求項1に記載の作動液異物含有度合い検出装置。
  3. 前記漏れ検出部が、前記制御弁が閉状態に保たれている間に前記密封部の液圧を複数回検出し、それら複数回の検出結果に基づいて前記液漏れの有無を検出するものである請求項2に記載の作動液異物含有度合い検出装置。
  4. 前記漏れ検出部による液漏れ発生の検出パターンに基づいて、作動液の異物含有に起因する液漏れと、制御弁の故障に起因する液漏れとを判別する原因判別部を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置。
  5. 前記異物含有度合い取得部により取得された作動液異物含有度合いを表す情報を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された作動液異物含有度合いを表す情報を供給する情報供給部とを含む請求項1ないし4のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置。
  6. 作動液の液圧で作動するブレーキシリンダを含み、車両の車輪の回転を抑制するブレーキと、
    前記ブレーキシリンダに加圧した作動液を供給する液圧源装置と、
    少なくとも1つの制御弁を含み、前記液圧源装置からの作動液の液圧を制御して前記ブレーキシリンダに供給する液圧制御弁装置と、
    請求項1ないし5のいずれかに記載の作動液異物含有度合い検出装置であって、前記漏れ検出部が、前記少なくとも1つの制御弁の少なくとも1つにおける液漏れの有無を検出するものと
    を含む液圧ブレーキシステム。
  7. 前記ブレーキが、前記車輪と共に回転するブレーキ回転体と、そのブレーキ回転体に前記ブレーキシリンダにより押圧される摩擦部材とを含む液圧式摩擦ブレーキであり、前記少なくとも1つの制御弁の少なくとも1つが、前記液圧源装置と前記ブレーキシリンダとの間に設けられ、ブレーキシリンダへの作動液の流入を許容する増圧状態と、ブレーキシリンダからの作動液の流出を許容する減圧状態と、流入も流出も許容しない保持状態とをとり得る増・減圧弁装置を含み、かつ、前記漏れ検出部が、その増・減圧弁の前記保持状態におけるその増・減圧弁より前記ブレーキシリンダ側の部分の液圧変化から、少なくとも前記ブレーキ回転体の回転周期に対応する周波数成分を除去するフィルタ部と、そのブレーキ回転体の回転周期に対応する周波数成分が除去された液圧変化に基づいて液漏れを検出するブレーキシリンダ側液圧変化依拠漏れ検出部とを含む請求項6に記載の液圧ブレーキシステム。
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