JP2005343752A - Iii−v族化合物半導体結晶の製造方法 - Google Patents

Iii−v族化合物半導体結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低コストで、半導体結晶の長さ方向におけるカーボン濃度を均一にでき、かつカーボン濃度の高い半導体結晶を得ることのできるIII−V族化合物半導体結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】 るつぼ1内に、GaAs原料4および酸化ホウ素5が充填される。そのるつぼ1が、GaAs原料4外に配置されたカーボン源とともにアンプル7内に密封される。その状態でGaAs原料4が加熱溶融される。この際、酸化ホウ素5の開口からGaAs原料4の融液表面がアンプル7内のカーボンを含むガス雰囲気に直接曝される。溶融したGaAs原料4が固化されて、カーボンが添加されたGaAs単結晶が形成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、III−V族化合物半導体結晶の製造方法に関するものであり、特に、カーボンが添加されたIII−V族化合物半導体結晶の製造方法に関するものである。
カーボンが添加されたIII−V族化合物半導体結晶の製造方法に関しては、従来より以下のような種々の先行技術があった。
たとえば以下の特許文献1には、単結晶GaAs(ヒ化ガリウム)を垂直ブリッジマン法(VB法)で製造する方法が開示されている。
図11は、特許文献1に開示されたカーボン添加GaAs単結晶の製造方法を説明するための図である。図11を参照して、るつぼ51内に種結晶53と、GaAs原料54とが配置され、るつぼ51の上端はキャップ手段52により閉じられる。キャップ手段52には開口部52aが設けられており、この開口部52a上に炭素のディスク56が配置される。この状態でるつぼ51などがアンプル57内に密封される。このアンプル57が縦型炉に設置されて加熱されることでGaAs原料54と種結晶53の上半分とが溶融される。そして、単結晶GaAsを成長させるために上部が高温域となり下部が低温域となるように温度勾配を生じさせた状態で炉がアンプル57に対して上方へ移動される。これにより溶融していたGaAs原料54bが種結晶53側から凝固して固体単結晶54aが成長する。
この方法によれば、炭素のディスク56はGaAs原料54と流体連絡しており、ガスの移動が可能である。
また、たとえば以下の非特許文献1、2および特許文献2の各々には、単結晶GaAsを垂直温度勾配凝固法(VGF法)で製造する方法が開示されている。
図12は、非特許文献1に開示されたカーボン添加GaAs単結晶の製造方法を説明するための図である。図12を参照して、種結晶63、GaAs原料64および酸化ホウ素(B23)65を装填したるつぼ61と、蒸気圧制御用のAs(ヒ素)とがアンプル67内に封止される。このアンプル67が成長装置にセットされた後にヒータ69により昇温が行なわれる。種結晶63の上端をメルトバックすることによりシーディングが行なわれ、これによりGaAs単結晶が成長する。
この非特許文献1では、GaAs原料64中にカーボンが含まれていたことにより、GaAs単結晶中にカーボンが含まれることが記載されている。
図13は、非特許文献2に開示されたカーボン添加GaAs単結晶の製造方法を説明するための図である。図13を参照して、るつぼ71内に種結晶73と、GaAs原料74と、酸化ホウ素(図示せず)とが配置され、るつぼ71の上端が蓋72により覆われ、その蓋72の上方にカーボン源76が配置される。この状態でるつぼ71などがアンプル77内に密封される。そして、GaAs原料74を加熱により溶融させた後、凝固させることにより、カーボンが添加されたGaAs単結晶が製造される。
図14は、特許文献2に開示されたカーボン添加GaAs単結晶の製造方法を説明するための図である。図14を参照して、るつぼ81内に種結晶83と、GaAs原料84と、酸化ホウ素(B23)85とが配置され、この状態でるつぼ81がアンプル87内に密封される。るつぼ81外であってアンプル87内の最下部には、カーボン源86が配置される。加熱によりGaAs原料84が溶融される。GaAs原料84中の固−液界面が種結晶83の上端部(シードエンド)からGaAs原料84の上端部(テールエンド)へと移行され、これによりGaAs原料84が種結晶83側から凝固して固体単結晶が成長する。
この加熱の際にカーボン源86とアンプル87の材質であるSiO2の酸素との反応で生じた一酸化炭素が生じ、この一酸化炭素や他の酸化炭素によってGaAs融液にカーボンが添加されると記載されている。
特開平3−122097号公報 岡部 他、「VGF法による無添加半絶縁性GaAs単結晶」、日本結晶成長学会誌 Vol.18(1991)、pp.502−509 C. HANNIG et al., "Incorporation of Carbon by VGF-Growth of GaAs", Cryst. Res. Technol. 34 (1999) pp.189-195 国際公開03/005417号パンフレット
しかしながら、特許文献1の第2表などの記載によれば、GaAs結晶の先端(シードエンド側)よりも末尾(テールエンド側)のカーボン濃度が減少する傾向にあり、GaAs結晶の長さ方向(シードエンド側からテールエンド側の方向)においてカーボン濃度が均一とならない。
また、非特許文献1に記載された方法によれば、GaAs結晶中のカーボン濃度は図12に示すGaAs原料64中に含有されていたカーボンに依拠しているため、GaAs結晶中のカーボン濃度を高濃度とすることができない。また、非特許文献1のTable 1によれば、GaAs結晶のシードエンドのカーボン濃度は5×1014cm-3であり、テールエンドのカーボン濃度は4×1014cm-3であり、いずれも1015cm-3未満である。このように、非特許文献1の方法では、高カーボン濃度のGaAs結晶を成長することができない。
また、非特許文献2のTable 2によれば、酸化ホウ素を用いた場合、GaAs結晶のシードエンド側よりもテールエンド側のカーボン濃度が増加する傾向にあり、GaAs結晶の長さ方向(シードエンド側からテールエンド側の方向)においてカーボン濃度が均一とならない。また酸化ホウ素を用いた場合、GaAs結晶のカーボン濃度は、酸化ホウ素を用いない場合よりも低くなっており、カーボン濃度の高いGaAs結晶が得られていない。
また、特許文献2に記載された方法によれば、図14に示すように酸化ホウ素85がGaAs原料84の上方全面を覆っているため、カーボンはGaAs結晶にほとんど入らないか、または全く入らない。このため、アンプル87内の雰囲気の酸化炭素ガスを高くしないと融液中のカーボン濃度が高くならない。しかし、ヒ素圧制御部を持たないアンプル87では、酸化炭素ガスの圧力を高くするとアンプル87が膨張するため、カーボン濃度の高いGaAs結晶を成長させることができない。
本発明の目的は、低コストで、半導体結晶の長さ方向におけるカーボン濃度を均一にでき、かつカーボン濃度の高い半導体結晶を得ることのできるIII−V族化合物半導体結晶の製造方法を提供することである。
本発明のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法は、カーボンが添加されたIII−V族化合物半導体結晶の製造方法であって、るつぼ内に、予備合成されたIII−V族化合物原料および酸化ホウ素を充填するステップと、化合物原料および酸化ホウ素が充填されたるつぼを、化合物原料の外に配置されたカーボン源とともに、ガス不透過性材料からなる気密性容器内に密封するステップと、気密性容器内に密封した状態で化合物原料を加熱溶融し、化合物原料の融液表面の一部を酸化ホウ素から露出させて気密性容器内のカーボンを含むガス雰囲気に曝すステップと、溶融した化合物原料を固化させて、カーボンが添加された化合物半導体結晶を成長するステップとを備えている。
本発明のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法によれば、酸化ホウ素の開口から化合物原料の融液表面が、カーボンを含むガス雰囲気に露出している。このため、ガス雰囲気からカーボンが効率良く化合物原料の融液に供給される。
また、化合物原料の融液中の酸素濃度が高くなると、熱力学的平衡状態を保つために化合物原料の融液中のカーボン濃度が低下する。このため、化合物原料の融液中の酸素濃度を低くすれば、その融液中のカーボン濃度は高くなるものと考えられる。ここで、酸化ホウ素中の水分は結晶中へのカーボンの取り込みに影響を及ぼしていると考えられる。つまり、水分濃度が高い酸化ホウ素を使用すると化合物原料の融液中の酸素濃度が高くなってカーボン濃度が低くなるが、水分濃度の低い酸化ホウ素を使用すると化合物原料の融液中の酸素濃度が低くなってカーボン濃度が高くなると考えられる。
このように化合物原料の融液表面をカーボンを含むガス雰囲気に露出させることにより、化合物原料の融液中のカーボン濃度を高く制御することができ、カーボン濃度の高い化合物半導体結晶を得ることができる。
また、ガス雰囲気からカーボンを化合物原料の融液中に常時供給することが可能となるため、結晶の長さ方向におけるカーボン濃度を均一にすることができる。
また、酸化ホウ素と化合物原料との接触面積が大きいほど、融液の酸素濃度が高くなると考えられるが、本発明では酸化ホウ素は開口を有しているため、酸化ホウ素と化合物原料との接触面積を小さくでき、融液の酸素濃度を低くすることができる。
また酸化ホウ素中の水分は、化合物原料中の不純物を除去するためにも有効である。
酸化ホウ素中の水素含有量は少ないことが好ましく、酸化ホウ素は、200質量ppm未満の水分を含有していることが好ましい。また酸化ホウ素は、150質量ppm未満の水分を含有していることがより好ましく、100質量ppm未満の水分を含有していることがさらに好ましい。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、酸化ホウ素の一部を開口し、その開口から化合物原料の融液表面を露出させて気密性容器内のガス雰囲気に曝すために治具が用いられる。
治具を用いることにより、酸化ホウ素の量を制限しなくとも化合物原料の融液表面を酸化ホウ素から露出させることができるとともに、その融液の露出面積を一定に保つことが容易となる。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、治具はガス透過性材料よりなっている。
このようなガス透過性材料を雰囲気ガスは通過するため、化合物原料の融液表面を雰囲気ガスに開放するのと同じ効果がある。
ガス透過性材料は、窒化ホウ素の焼結体であることが好ましい。窒化ホウ素の焼結体は、化合物半導体の原料融液を汚染せず、高純度の化合物半導体結晶が得られることを本発明者は見出した。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、治具は化合物原料の融液の露出表面へ酸化ホウ素が流れ込むことを防ぐ形状を有している。
これにより、化合物原料の融液表面を雰囲気ガスに開放できるとともに、その融液の露出面積を一定に保つことが容易となる。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、カーボン源は、化合物原料を加熱溶融する前に気密性容器内に予め封入された酸化炭素ガスおよび固体カーボンの少なくともいずれかである。
酸化炭素ガスおよび固体カーボンのいずれを用いても、化合物原料の融液にカーボンを供給することができる。特に固体カーボンを用いる場合には、るつぼ内で蒸発した酸化ホウ素に起因したガス状物質(水蒸気、酸化物のガス)が固体カーボンと反応して酸化炭素ガス(主に一酸化炭素ガス)を発生させ、この酸化炭素ガスから化合物原料の融液にカーボンが供給される。また、酸化ホウ素が水分を含有することにより蒸気圧が数桁上昇するため、酸化ホウ素が酸化炭素ガス発生に効果的に寄与する。なお、カーボンの材質は、グラファイトの焼結体、パイロリティックグラファイト、グラッシーカーボンまたはアモルファスカーボン、ダイヤモンドなどである。
また、酸化ガリウム、酸化ヒ素、酸化ホウ素(るつぼに入れない)などの酸素源が用いられてもよい。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、気密性容器内に封入された酸化炭素ガスの圧力は、室温25℃において13.3Pa(0.1Torr)以上13332Pa(100Torr)以下である。
室温25℃における酸化炭素ガスの圧力が13.3Pa(0.1Torr)未満では化合物原料中にカーボンを十分に供給することができず、13332Pa(100Torr)を超えると結晶の成長後半において気密性容器が異常膨張する可能性がある。上記の室温25℃における酸化炭素ガスの圧力は、より好ましくは26.7Pa(0.2Torr)以上8000Pa(60Torr)以下であり、さらに好ましくは40.0Pa(0.3Torr)以上4000Pa(30Torr)以下である。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、化合物原料にはるつぼ内に充填される前に予めカーボンが添加されている。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、るつぼ内に充填される前の化合物原料の平均カーボン濃度は、1×1015atms・cm-3より大きく30×1015atms・cm-3以下である。
化合物原料に予め添加されたカーボンは酸化ホウ素と反応するため、成長する半導体結晶に取り込まれるカーボンの量は添加量の2分の1〜10分の1程度である。このため比較的カーボン濃度の高い化合物原料を使用する必要がある。このため、化合物原料中の平均のカーボン濃度は1×1015atms・cm-3より大きく30×1015atms・cm-3以下であることが好ましい。上記のカーボン濃度は、より好ましくは4×1015atms・cm-3より大きく30×1015atms・cm-3以下であり、さらに好ましくは7×1015atms・cm-3より大きく30×1015atms・cm-3以下である。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、溶融した化合物原料を固化させて結晶成長する前に、その化合物原料が溶融した状態で一定時間保持される。
これにより、溶融した化合物原料中にカーボン源から充分なカーボンを添加することができる。また、この処理によって、化合物原料の融液の温度を安定化させ、融液中のカーボン濃度および不純物濃度を均一にすることが可能となる。また、この処理によって、化合物原料に含まれているSi(シリコン)などの不純物を、酸化ホウ素によりゲッタリングして除去することができる。なお、一般に、HB(水平ブリッジマン)法で合成した原料には、1×1016cm-3程度のSiが不純物として含まれているが、この処理を施した半導体結晶中のSiは1×1015cm-3未満で、分析装置の検出限界以下であった。一方、この処理を施さなかったものでは、1×1015cm-3を超えるSiが検出された。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、化合物原料を溶融した状態で保持する時間は、1時間以上20時間以下である。
保持時間が1時間未満では上記の効果が十分に得られず、20時間を超えると生産性が低下する可能性がある。上記の保持時間は、より好ましくは2時間以上15時間以下であり、さらに好ましくは3時間以上10時間以下である。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、るつぼはpBN(熱分解窒化ホウ素)からなる。
るつぼの構成元素によっては、酸化ホウ素やカーボンとるつぼが反応し、原料融液が汚染される恐れがある。したがって、酸化ホウ素やカーボンと反応して原料融液を汚染しないpBNが、るつぼの材料としてpBNが最適である。
上記のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法において好ましくは、III−V族化合物半導体結晶はGaAs結晶である。つまり、本発明は、特にGaAs結晶へのカーボン添加方法として有効である。
本発明のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法によれば、低コストで、結晶の長さ方向におけるカーボン濃度を均一にすることができ、かつカーボン濃度の高いIII−V族化合物半導体結晶を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図1を参照して、まずるつぼ1内に、種結晶3と、GaAs原料4と、水分を含有する酸化ホウ素(B23)5とが充填される。種結晶3はるつぼ1の最下端部に収容され、GaAs原料4はGa(ガリウム)とAs(ヒ素)とが予備合成された多結晶体として準備される。
この状態でるつぼ1が石英製アンプル(気密性容器)7内にカーボン源とともに密封される。このカーボン源はGaAs原料4の外に配置され、酸化炭素ガスおよび固体カーボンのいずれか一方であってもよく、双方の組合せであってもよい。なお、酸化炭素ガスは、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO2)ガスなどである。
この後、石英製アンプル7が縦型炉の支持台8に設置されて、ヒータ9により加熱される。この加熱により、酸化ホウ素5とGaAs原料4と種結晶3の上部とが溶融される。このとき、酸化ホウ素5の量を調整することにより、酸化ホウ素5の一部が開口し、その酸化ホウ素5の開口部からGaAs原料4の融液の表面中央部が露出する。これにより、酸化ホウ素5から露出したGaAs原料4の融液の表面中央部は、石英製アンプル7内のカーボンを含むガス雰囲気に直接曝される。
なお、上記のカーボン源として固体カーボンを用いた場合には、上記の加熱時にるつぼ1内で酸化ホウ素5が蒸発して酸化ホウ素5に起因したガス状物質(水蒸気、酸化物のガス)が生じ、このガス状物質が固体カーボンと反応して酸化炭素ガス(主に一酸化炭素ガス)が発生する。この酸化炭素ガスが生じる化学反応は、以下のようになっているものと思われる。
C+H2O→CO+H2
3C+B23→3CO+2B
これにより、カーボン源として固体カーボンを用いた場合および酸化炭素ガスを用いた場合のいずれにおいても、石英製アンプル7内のガス雰囲気がカーボンを含むことになる。そして、このガス雰囲気からGaAs原料4の融液はカーボンを供給される。
この後、単結晶GaAsを成長させるために上部が高温域となり下部が低温域となるような温度勾配をヒータ9によって生じさせる。この状態で、GaAs原料4中の固−液界面を種結晶3の上端部(シードエンド)からGaAs原料4の上端部(テールエンド)へと移行させることにより、GaAs原料4が種結晶3側から凝固して固体単結晶が成長する。
このようにしてカーボンが添加されたGaAs単結晶が得られる。
上記において酸化ホウ素5が含有する水分量は200質量ppm未満であることが好ましい。
また、GaAs原料4を加熱溶融する前に石英製アンプル7内に酸化炭素ガスが予め封入されていることが好ましい。GaAs原料4を加熱溶融する前に石英製アンプル7内に予め封入される酸化炭素ガスの圧力は、室温25℃において13.3Pa以上13332Pa以下であることが好ましい。
また、GaAs原料4にはるつぼ1内に充填される前に予めカーボンが添加されていることが好ましい。るつぼ1内に充填される前のGaAs原料4に添加される平均カーボン濃度は1×1015atms・cm-3より大きく30×1015atms・cm-3以下であることが好ましい。
また、溶融したGaAs原料4を固化させて結晶成長する前に、溶融した状態で一定時間保持することが好ましい。また、溶融したGaAs原料4を溶融した状態で保持する時間は1時間以上20時間以下であることが好ましい。
また、るつぼ1はpBNからなることが好ましい。
以下、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、酸化ホウ素5の開口からGaAs原料4の融液表面が、カーボンを含むガス雰囲気に露出している。このため、ガス雰囲気からカーボンが効率良くGaAs原料4の融液に供給される。
また、GaAs原料4の融液中の酸素濃度が高くなると、熱力学的平衡状態を保つためにGaAs原料4の融液中のカーボン濃度が低下する。このため、GaAs原料4の融液中の酸素濃度を低くすれば、その融液中のカーボン濃度は高くなるものと考えられる。ここで、酸化ホウ素5中の水分は結晶中へのカーボンの取り込みに影響を及ぼしていると考えられる。つまり、水分濃度が高い酸化ホウ素5を使用するとGaAs原料4の融液中の酸素濃度が高くなってカーボン濃度が低くなるが、水分濃度が低い酸化ホウ素5を使用するとGaAs原料4の融液中の酸素濃度が低くなってカーボン濃度が高くなると考えられる。
このようにGaAs原料4の融液表面をカーボンを含むガス雰囲気に露出させることにより、GaAs原料4の融液中のカーボン濃度を高く制御することができ、カーボン濃度の高いGaAs結晶を得ることができる。
また、ガス雰囲気からカーボンをGaAs原料4の融液中に常時供給することが可能となるため、GaAs結晶の長さ方向におけるカーボン濃度を均一にすることができる。
また、酸化ホウ素5とGaAs原料4との接触面積が大きいほど、融液の酸素濃度が高くなると考えられるが、本発明では酸化ホウ素5は開口を有しているため、酸化ホウ素5とGaAs原料4との接触面積を小さくでき、融液の酸素濃度を低くすることができる。
また酸化ホウ素5中の水分は、GaAs原料4中の不純物を除去するためにも有効である。
なお、酸化ホウ素5はGaAs原料4中の不純物をゲッタリング除去する効果を有する。特許文献1の酸化ガリウム(11頁左下欄8〜10行目)も同様の目的で用いられている。しかし、酸化ガリウムを用いた場合にはGaAs結晶中の酸素濃度が高くなり、電気特性に悪影響を及ぼす可能性がある。一方、酸化ホウ素5を用いた場合には、GaAs原料4の融液中の酸素濃度を充分に低く抑えることができ、高いカーボン濃度を実現することができる。また、そのような条件の下でも、酸化ホウ素はGaAs原料4の不純物を充分低い濃度まで除去することができる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図2を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態1の製造方法と比較して、GaAs原料4の融液表面を石英製アンプル7内の雰囲気ガスに曝すためにガス透過性材料からなる円板11aが用いられる点において異なる。このガス透過性材料からなる円板11aは、たとえば焼結BN(窒化ホウ素)により構成されており、GaAs原料4の融液表面に浮かべられる。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態1の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、石英製アンプル7内の雰囲気ガスは円板11aのようなガス透過性材料を通過するため、GaAs原料4の融液表面を雰囲気ガスに開放するのと同じ効果がある。これにより、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図3を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態1の製造方法と比較して、カーボン源として固体カーボン6が用いられており、この固体カーボン6はるつぼ1の下部に敷かれたカーボンキャップである点において異なる。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態1の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図4を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態2の製造方法と比較して、カーボン源として固体カーボン(カーボン板)6が用いられており、この固体カーボン6がるつぼ1内を半密閉状態にしている点において異なる。るつぼ1の上端には孔開き蓋2が配置されており、その孔開き蓋2の孔2aを塞ぐように固体カーボン6が孔開き蓋2上に配置されている。これにより、るつぼ1内は半密閉状態とされる。この孔開き蓋2は、たとえばpBNよりなっている。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態2の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、実施の形態2と同様の作用効果を得ることができるとともに、るつぼ1内を半密閉状態としているため酸化ホウ素5に起因したガス状物質と固体カーボン6とを効率良く反応させることが可能となり、GaAs結晶中のカーボン濃度を効率的に高くすることができる。
(実施の形態5)
図5は、本発明の実施の形態5におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図5を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態1の製造方法と比較して、カーボン源として固体カーボン(カーボン板)6が用いられており、この固体カーボン6がるつぼ1の上端を蓋する蓋体2上に配置されている点において異なる。この蓋体2は、たとえばpBNよりなっている。
本実施の形態においては、酸化ホウ素5に起因したガス状物質が、るつぼ1と蓋体2のわずかな隙間から漏出し、固体カーボン6と反応して酸化炭素ガスが生じ、この酸化炭素ガスによりGaAs原料4の融液中にカーボンが供給されると考えられる。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態1の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態6)
図6は、本発明の実施の形態6におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図6を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態2の製造方法と比較して、カーボン源として固体カーボン(カーボン板)6が用いられている点は同じであるが、固体カーボン6を覆うように、るつぼ1の上端に蓋体2Bを設けて、るつぼ1内を半密閉状態にしている点において異なる。
るつぼ1の上端は孔開き蓋2Aが配置されており、その孔開き蓋2Aの孔2aを塞ぐように固体カーボン6が孔開き蓋2A上に配置されている。また、固体カーボン6を覆うようにるつぼ1の上端が蓋体2Bにより蓋されており、これによりるつぼ1内は半密閉状態とされる。これらの孔開き蓋2Aおよび蓋体2Bは、たとえばpBNよりなっている。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態1の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、実施の形態2と同様の作用効果を得ることができるとともに、るつぼ1内を半密閉状態としているため固体カーボン6と酸化ホウ素5に起因したガス状物質とを効率良く反応させることが可能となり、GaAs結晶中のカーボン濃度を効率的に高くすることができる。
(実施の形態7)
図7は、本発明の実施の形態7におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図7を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態1の製造方法と比較して、GaAs原料4の融液表面を石英製アンプル7内の雰囲気ガスに曝すためにリング状の治具11bが用いられる点において異なる。このリング状の治具11bは、たとえばpBNよりなっており、GaAs原料4の融液表面に浮かべられる。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態1の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態8)
図8は、本発明の実施の形態8におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図8を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態1の製造方法と比較して、GaAs原料4の融液表面を石英製アンプル7内の雰囲気ガスに曝すために天井付きリング状の治具11cが用いられる点において異なる。この天井付きリング状の治具11cは、その天井部に孔11c1を有している。そして、その孔11c1を有する天井部が上側となるようにGaAs原料4の融液表面に浮かべられる。この天井付きリング状の治具11cは、たとえばpBNよりなっている。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態1の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができるとともに、治具11cの天井により、上方からの落下物がGaAs融液に落ちることを防止することができる。
(実施の形態9)
図9は、本発明の実施の形態9におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図9を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態7の製造方法と比較して、リング状の治具11bの上端を閉じる蓋体11dが配置されている点において異なる。このリング状の治具11bおよび蓋体11dの各々は、たとえばpBNによりなっている。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態1の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができるとともに、蓋体11dにより、上方からの落下物がGaAs融液に落ちることを防止することができる。
(実施の形態10)
図10は、本発明の実施の形態10におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。図10を参照して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態1の製造方法と比較して、本実施の形態の製造方法は、上述した実施の形態1の製造方法と比較して、GaAs原料4の融液表面を石英製アンプル7内の雰囲気ガスに曝すためにガス透過性材料からなる天井付きリング状の治具11eが用いられる点において異なる。このガス透過性材料からなる天井付きリング状の治具11eは、たとえば焼結BNにより構成されており、GaAs原料4の融液表面に浮かべられる。
なお、本実施の形態の上記以外の構成および方法については上述した実施の形態1の構成および方法とほぼ同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態によれば、石英製アンプル7内の雰囲気ガスは天井付きリング状の治具11eのようなガス透過性材料を通過するため、GaAs原料4の融液表面を雰囲気ガスに開放するのと同じ効果がある。これにより、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、多孔質の天井付きリング状の治具11eにより、上方からの落下物がGaAs融液に落ちることを防止することができる。
なお、上記の実施の形態1〜10においては、III−V族化合物半導体結晶としてGaAs結晶について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のIII−V族化合物半導体結晶の製造にも適用することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
まず、図1に示すpBN製のるつぼ1内に、方位<100>のGaAs種結晶3と、10kgの無添加のGaAs原料4と、水分含有量95質量ppmの25gの酸化ホウ素5とを入れる。この状態で、るつぼ1をCO2ガスとともに、内径12cmの石英製アンプル7内に気密封止する。石英製アンプル7内のCO2ガスの分圧は400Pa(3Torr)とする。
この石英製アンプル7を支持台8上に載せ、チャンバー内に設けられたヒータ9内に設置し、種結晶3側の温度が低くなるように温度プロファイルを調整しながら、ヒータ9の温度を上昇させ、GaAs原料4と種結晶3上部とを融解する。このとき、酸化ホウ素5の一部が開口し、その酸化ホウ素5の開口部からGaAs原料4の融液の表面中央部が露出する。これにより、酸化ホウ素5から露出したGaAs原料4の融液の表面中央部は、石英製アンプル7内のカーボンを含むガス雰囲気に直接曝される。
その後、ヒータ9の温度プロファイルを調整して種結晶3側から温度を降下させていき、GaAs原料4全体を固化させて単結晶を成長させる。そして室温まで温度を降下させた後、石英製アンプル7を切断開放して、るつぼ1からGaAs単結晶を分離する。
このようにして得られるGaAs単結晶中のカーボン濃度は、図15に示す肩部において6.2×1015atms・cm-3であり、テール部においては6.0×1015atms・cm-3であり、肩部からテール部にかけてカーボン濃度の変動が少ない結晶が得られる。
(実施例2)
まず、図2に示すpBN製のるつぼ1内に、方位<100>のGaAs種結晶3と、10kgの無添加のGaAs原料4と、水分含有量75質量ppmの100gの酸化ホウ素5とを入れる。この状態で、るつぼ1を直径50mmの焼結BN板およびCO2ガスとともに、内径12cmの石英製アンプル7内に気密封止する。石英製アンプル7内のCO2ガスの分圧は400Pa(3Torr)とする。
この石英製アンプル7を支持台8上に載せ、チャンバー内に設けられたヒータ9内に設置し、種結晶3側の温度が低くなるように温度プロファイルを調整しながら、ヒータ9の温度を上昇させ、GaAs原料4と種結晶3上部とを融解する。焼結BN板11aは多孔質であるため、焼結BN板11aが載せられたGaAs原料4の融液の表面中央部は、石英製アンプル7内のカーボンを含むガス雰囲気に曝される。
その後、ヒータ9の温度プロファイルを調整して種結晶3側から温度を降下させていき、GaAs原料4全体を固化させて単結晶を成長させる。そして室温まで温度を降下させた後、石英製アンプル7を切断開放して、るつぼ1からGaAs単結晶を分離する。
このようにして得られるGaAs単結晶中のカーボン濃度は、図15に示す肩部において3.0×1015atms・cm-3であり、テール部においては2.8×1015atms・cm-3であり、肩部からテール部にかけてカーボン濃度の変動が少ない結晶が得られる。
(実施例3)
まず、図3に示すpBN製のるつぼ1内に、方位<100>のGaAs種結晶3と、10kgの無添加のGaAs原料4と、水分含有量75質量ppmの25gの酸化ホウ素5とを入れる。この状態で、るつぼ1をカーボンキャップ6とともに、内径12cmの石英製アンプル7内に気密封止する。
この石英製アンプル7を支持台8上に載せ、チャンバー内に設けられたヒータ9内に設置し、種結晶3側の温度が低くなるように温度プロファイルを調整しながら、ヒータ9の温度を上昇させ、GaAs原料4と種結晶3上部とを融解する。このとき、酸化ホウ素5の一部が開口し、その酸化ホウ素5の開口部からGaAs原料4の融液の表面中央部が露出する。これにより、酸化ホウ素5から露出したGaAs原料4の融液の表面中央部は、石英製アンプル7内のカーボンを含むガス雰囲気に曝される。
その後、ヒータ9の温度プロファイルを調整して種結晶3側から温度を降下させていき、GaAs原料4全体を固化させて単結晶を成長させる。そして室温まで温度を降下させた後、石英製アンプル7を切断開放して、るつぼ1からGaAs単結晶を分離する。
このようにして得られるGaAs単結晶中のカーボン濃度は、図15に示す肩部において1.0×1015atms・cm-3であり、テール部においては0.9×1015atms・cm-3であり、肩部からテール部にかけてカーボン濃度の変動が少ない結晶が得られる。
(比較例)
まず、図3に示すpBN製のるつぼ1内に、方位<100>のGaAs種結晶3と、10kgの無添加のGaAs原料4と、水分含有量95質量ppmの100gの酸化ホウ素5とを入れる。この状態で、るつぼ1をカーボンキャップ6とともに、内径12cmの石英製アンプル7内に気密封止する。
この石英製アンプル7を支持台8上に載せ、チャンバー内に設けられたヒータ9内に設置し、種結晶3側の温度が低くなるように温度プロファイルを調整しながら、ヒータ9の温度を上昇させ、GaAs原料4と種結晶3上部とを融解する。このとき、酸化ホウ素5は、GaAs原料4の融液の表面全面を覆っている。これにより、GaAs原料4の融液の表面全面は、石英製アンプル7内のカーボンを含むガス雰囲気に曝されていない。
その後、ヒータ9の温度プロファイルを調整して種結晶3側から温度を降下させていき、GaAs原料4全体を固化させて単結晶を成長させる。そして室温まで温度を降下させた後、石英製アンプル7を切断開放して、るつぼ1からGaAs単結晶を分離する。
このようにして得られるGaAs単結晶中のカーボン濃度は非常に低く、図15に示す肩部、テール部ともに、測定装置の検出下限以下であった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、カーボンが添加されたIII−V族化合物半導体結晶の製造方法に特に有利に適用され得る。
本発明の実施の形態1におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態2におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態3におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態4におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態5におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態6におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態7におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態8におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態9におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態10におけるカーボン添加GaAs単結晶の製造方法の一例を説明するための図である。 特許文献1に開示されたカーボン添加GaAs単結晶の製造方法を説明するための図である。 非特許文献1に開示されたカーボン添加GaAs単結晶の製造方法を説明するための図である。 非特許文献2に開示されたカーボン添加GaAs単結晶の製造方法を説明するための図である。 特許文献2に開示されたカーボン添加GaAs単結晶の製造方法を説明するための図である。 結晶の各部位を説明するための図である。
符号の説明
1 るつぼ、2,2A,2B 蓋体(孔開き蓋)、2a 孔、3 種結晶、4 GaAs原料、5 酸化ホウ素、6 固体カーボン、7 石英製アンプル、8 支持台、9 ヒータ、11a ガス透過性材料からなる円板、11b,11c,11e 治具、11c1 孔、11d 蓋体。

Claims (14)

  1. カーボンが添加されたIII−V族化合物半導体結晶の製造方法であって、
    るつぼ内に、予備合成されたIII−V族化合物原料および酸化ホウ素を充填するステップと、
    前記化合物原料および前記酸化ホウ素が充填された前記るつぼを、前記化合物原料の外に配置されたカーボン源とともに、ガス不透過性材料からなる気密性容器内に密封するステップと、
    前記気密性容器内に密封した状態で前記化合物原料を加熱溶融し、前記化合物原料の融液表面の一部を、前記酸化ホウ素から露出させて前記気密性容器内のカーボンを含むガス雰囲気に曝すステップと、
    溶融した前記化合物原料を固化させて、カーボンが添加された化合物半導体結晶を成長するステップとを備える、III−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  2. 前記酸化ホウ素の一部を開口し、その開口から前記化合物原料の融液表面を露出させて前記気密性容器内のガス雰囲気に曝すために治具を用いることを特徴とする、請求項1に記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  3. 前記治具はガス透過性材料よりなっていることを特徴とする、請求項1または2に記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  4. 前記ガス透過性材料が、窒化ホウ素の焼結体であることを特徴とする、請求項3に記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  5. 前記治具は前記化合物原料の融液の露出表面へ前記酸化ホウ素が流れ込むことを防ぐ形状を有していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  6. 前記酸化ホウ素は200質量ppm未満の水分を含有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  7. 前記カーボン源は、前記化合物原料を加熱溶融する前に前記気密性容器内に予め封入された酸化炭素ガスおよび固体カーボンの少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  8. 前記気密性容器内に封入された前記酸化炭素ガスの圧力は、室温25℃において13.3Pa以上13332Pa以下であることを特徴とする、請求項7に記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  9. 前記化合物原料には前記るつぼ内に充填される前に予めカーボンが添加されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  10. 前記るつぼ内に充填される前の前記化合物原料の平均カーボン濃度は、1×1015atms・cm-3より大きく30×1015atms・cm-3以下であることを特徴とする、請求項9に記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  11. 前記溶融した化合物原料を固化させて結晶成長する前に、前記化合物原料が溶融した状態で一定時間保持することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  12. 前記化合物原料を溶融した状態で保持する時間は、1時間以上20時間以下であることを特徴とする、請求項11に記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  13. 前記るつぼはpBNからなることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
  14. 前記III−V族化合物半導体結晶はGaAs結晶であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のIII−V族化合物半導体結晶の製造方法。
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