JP2005342505A - 加熱治療装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃焼捧の交換や燃焼灰の処理の必要性がなく、手持ち可能で、且つ十分な高温での加熱治療を安全に行い得る加熱治療装置をもたらすことにある。
【解決手段】放熱用開口部1aを持つ椀状のハウジング1と、前記放熱用開口部1aへ向けて放熱するように前記ハウジング1内に収容された電熱体2と、前記電熱体2に給電するとともにその電熱体2の発熱量を制御するコントローラ3と、を具えてなる加熱治療装置である。
【選択図】図1
【解決手段】放熱用開口部1aを持つ椀状のハウジング1と、前記放熱用開口部1aへ向けて放熱するように前記ハウジング1内に収容された電熱体2と、前記電熱体2に給電するとともにその電熱体2の発熱量を制御するコントローラ3と、を具えてなる加熱治療装置である。
【選択図】図1
Description
この発明は、皮膚上の患部あるいは皮膚の奥の体内の患部を加熱してガン等の疾病を効果的に治療する加熱治療装置に関するものである。
皮膚上あるいはその奥の患部を温めて疾病を治療する装置としては従来、例えば燃焼捧を熱源とする温熱供給装置が知られている(特許文献1参照)。
この温熱供給装置は、支持筒内に艾を棒状に固めた燃焼捧を支持し、その燃焼捧の先端部の燃焼により加熱された支持筒内の空気を電動ファンで照射口から温風として患部付近の皮膚に吹き付けるものである。
しかしながらこの温熱供給装置では、燃焼捧の使用に伴って燃焼捧の交換や燃焼灰の処理が必要となって煩わしいとともにベッドや布団内等で使用すると火傷や火災の心配があり、また電動ファンが大きくてその重量も嵩むため手持ちでは患部付近の皮膚に温風を長時間当て続けていることが困難であるという問題があった。
この一方、上記不都合を改善するものとして従来、例えば電熱体の一種であるセラミックヒータを熱源とする加温装置も知られている(特許文献2参照)。
この加温装置は、前方に開口部が設けられた厚い円盤状のカバー内にその開口部へ向けて円板状のセラミックヒータを配置してなる直径4cm程度の円盤状のパッドと、そのセラミックヒータにケーブルを介して給電するバッテリ装置とを具え、そのパッドを患部付近の皮膚上に粘着シートやバンドで固定してからセラミックヒータに一定電力で給電することで患部を加温するものである。
しかしながらこの加温装置では、携帯性を重視してパッドの直径を小さくしたことから開口部の直径が2cm程度と小さいため熱量が皮膚の一箇所に集中し、そのセラミックヒータの発熱量を制御する機能もないため、安全上から皮膚を温める程度の治療しかできず、ガン等の治療に効果的な十分な高温での加熱治療が困難であるという問題があった。
実開昭63−103618号公報
特開2001−276236号公報
それゆえこの発明は、燃焼捧の交換や燃焼灰の処理の必要性がなく、手持ち可能で、且つ十分な高温での加熱治療を安全に行い得る加熱治療装置をもたらすことを目的としている。
上記課題を有利に解決するこの発明の加熱治療装置は、放熱用開口部を持つ椀状のハウジングと、前記放熱用開口部へ向けて放熱するように前記ハウジング内に収容された電熱体と、前記電熱体に給電するとともにその電熱体の発熱量を制御するコントローラと、を具えてなるものである。
かかるこの発明の加熱治療装置によれば、ハウジングの放熱用開口部を患部付近の皮膚へ向けた状態で、手持ちあるいは後述する装具を用いてそのハウジングを保持しつつ、コントローラで電熱体に給電することで、放熱用開口部へ向けて放熱する電熱体がその全体で椀状のハウジング内の空気を加熱して空気の対流で皮膚に熱を伝えるとともにその先端部からの輻射によっても皮膚に熱を伝えるので、皮膚上の患部あるいはその皮膚の奥の体内に位置する患部を継続的に加熱することができる。
さらにこの発明の加熱治療装置によれば、電熱体を用いるので燃焼捧の交換や燃焼灰の処理の問題が生じず何時でも、ベッドでも布団の中でも使用することができ、しかもコントローラで発熱量を調節しながら電熱体に給電するので、皮膚を55℃乃至60℃程度の高温に安全に加熱して、皮膚上あるいは皮膚の奥に位置する患部を、ガン等の治療に効果的な十分な高温に加熱することができる。
ちなみに、本願発明者による自分自身の体を披験体とした使用実験では、皮膚に40℃程度の熱を加えた場合はむしろ患部の前立腺ガンの症状が悪化する体内感覚があったが、皮膚に55℃乃至60℃程度の熱を加えると血液がやや滾る感じがして、筋肉に生気が呼び起こされるように感じられ、この高温の加熱を繰り返すことにより、後述のように自分自身の前立腺ガンが完治するに至った。
なお、この発明の加熱治療装置においては、前記ハウジングの放熱用開口部の直径が4cm以上6cm以下であり、前記電熱体の先端部がその放熱用開口部から1cm以上3cm以下引っ込んだ位置に位置すると好ましい。このようにすれば、直径が4cm以上6cm以下の放熱用開口部が電熱体の熱の過度の集中および過度の拡散を防止し、その放熱用開口部から1cm以上3cm以下引っ込んだ位置に先端部が位置する棒状の電熱体が、椀状のハウジング内の空気を全体的に加熱して空気の対流で皮膚に熱を伝えるとともに先端部からの赤外線輻射によっても皮膚に熱を伝えるので、皮膚上あるいはその奥の患部を十分な高温に、さらに安全に加熱することができる。
また、この発明の加熱治療装置においては、前記ハウジングと前記電熱体との間に断熱材が介挿されていると好ましい。このようにすれば、電熱体の熱によるハウジングの温度上昇を抑制し得て、患者がハウジングを手持ちする場合の患者の負担を減らすことができる。
さらに、この発明の加熱治療装置においては、前記ハウジングと前記電熱体との間には反射板が介挿されていると好ましい。このようにすれば、電熱体の熱によるハウジングの温度上昇を抑制して手持ちの場合の患者の負担を減らしつつ、ハウジング内の空気の加熱および皮膚への赤外線輻射の効率を高めることができる。
さらに、この発明の加熱治療装置においては、前記ハウジングは、プラスチックで形成されていても良いが、木材またはセラミックスで形成されていると好ましい。一般に木材やセラミックスは金属と比較すると熱伝導率が大幅に低いので、ハウジングを木材またはセラミックスで形成すれば電熱体の熱によるハウジングの温度上昇を抑制し得て、患者がハウジングを手持ちする場合の患者の負担を減らすことができる。
さらに、この発明の加熱治療装置においては、前記ハウジングの前記放熱用開口部の内側に網状部材が設けられていると好ましい。このようにすれば、ベッドや布団内で加熱治療を行う場合やタオルを用いてハウジングを皮膚上に押える場合等に、それらの布がハウジングの放熱用開口部内に入り込んだり、誤って指先がハウジングの放熱用開口部内に入り込んだりするのを網状部材で確実に防止することができる。
さらに、この発明の加熱治療装置においては、前記ハウジングの前記放熱用開口部付近に温度センサが設けられ、前記コントローラが前記温度センサの出力信号に基づき前記電熱体の発熱量を制御すると好ましい。このようにすれば、人手でコントローラを操作しなくても、コントローラが皮膚に近い位置での温度データに基づき自動的に電熱体の発熱量を適正に制御するので、加熱治療中の温度調節の手間が省け、加熱治療中に睡眠をとることもできる。なお、前記コントローラには、電熱体への給電の開始時間や終了時間、給電継続時間等を設定し得るタイマーが設けられていても良い。
さらに、この発明の加熱治療装置においては、前記コントローラに、前記電熱体の発熱量を変化させる温度調節つまみおよび、その温度調節つまみの回動位置と加熱温度との関係を色分け表示した表示部が設けられていると好ましい。このように、例えば40℃以上45℃未満を「白」、45℃以上50℃未満を「緑」、50℃以上55℃未満を「黄」、55℃以上60℃以下を「赤」といった温度範囲あるいは概略温度の色分け表示を表示部に施せば、その色分け表示に従って温度調節つまみを回動させるだけで、皮膚が所望の温度になるようにコントローラを設定できるので、当該装置の操作を極めて容易なものとすることができる。
そして、この発明の加熱治療装置においては、前記ハウジングの放熱用開口部を患部付近に固定するための、例えば面ファスナで長さ調節や形状変更が可能なベルト等の装具を具えていると好ましい。このようにすれば、加熱治療の際にハウジングを手持ちしなくて済むので患者の負担をさらに減らすことができるとともに、繰り返しの加熱治療に際しても毎回常に患部付近の正確な位置にハウジングをセットできるので、治療効果を高めることができる。
以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の加熱治療装置の一実施例を患部付近の皮膚に密着させた使用状態で示す断面図であり、この実施例の加熱治療装置は、前部(図1では下部)に放熱用開口部1aを持つ椀状のハウジング1と、先端部2aをその放熱用開口部1aへ向けてハウジング1内に収容された棒状の電熱体としての例えば概略直径9mmで概略長さ27mmのカートリッジヒータ(例えばワトロー・ジャパン株式会社の商品名FIREROD)2と、そのカートリッジヒータ2に給電するとともにそのカートリッジヒータ2の発熱量を制御するコントローラ3と、を具えている。
ここで、ハウジング1は比較的断熱性の高い材料である木材(例えば樫木等)で形成され、そのハウジング1の放熱用開口部1aの直径は4cm以上6cm以下、好ましくは概略4.5cmとされている。またカートリッジヒータ2は、先端部2aが放熱用開口部1aから1cm以上3cm以下、好ましくは概略2cm引っ込んだ位置に位置するように、ハウジング1内の中央部に配置されている。
ハウジング1内には、裁頭円錐状の反射部4aと円筒状の支持部4bとを持つ反射板4が、その反射部4aとハウジング1の内壁との間に隙間が空くように配置されており、その反射板4の支持部4bはハウジング1の後部(図1では上部)に支持され、その支持部4bとハウジング1の後部との間には円筒状の断熱材(例えばセラミックファイバ)5が介挿されている。
カートリッジヒータ2の後端部は、反射板4の支持部4b内に嵌め合わされて支持されており、反射板4の支持部4b内にはカートリッジヒータ2の、その支持部4bを貫通した給電線2bを固定するために、耐熱性樹脂6が充填されている。
さらにハウジング1の放熱用開口部1aの内側には、ハウジング1内への指や布等の侵入を防止するための網状部材(例えばカーボン繊維で編んだ網)7が設けられている。またハウジング1の前端部には、周方向に等間隔に複数箇所に通気用凹部1bが設けられ、それらの通気用凹部1bの一つの内側にはハウジング1の前端部を皮膚Sに当てた場合に皮膚Sに接し得るように温度センサ(例えばサーミスタ)8が配置されている。
一方、ここにおけるコントローラ3は、図2に示すように、AC100Vの商用電源をカートリッジヒータ2に適した電力に調整するとともに電源スイッチ11aとパイロットランプ11bとを持つ電源回路11と、図1に示す温度調節つまみ12aの回動操作で電源スイッチ11aと連動して抵抗値を変化させる可変抵抗器12bを持つとともに温度センサ8を接続されて電源回路11から供給された電力をそれら可変抵抗器12bと温度センサ8との抵抗値に基づき調節して創生した制御信号を出力する温度制御回路(例えばアナログ回路やマイクロコンピュータ)12と、その温度制御回路12が出力する制御信号(例えば制御電流)により電源回路11から供給される電力を調節してカートリッジヒータ2に給電することでカートリッジヒータ2の発熱量を制御するヒータ駆動回路(例えば既知のトライアックとダイアックとの組合せ回路)13とを有している。
そしてコントローラ3には、図1に示すように、温度調節つまみ12aの回動位置とカートリッジヒータ2による皮膚の加熱温度との関係を表示した表示部14が設けられており、この表示部14には、予め実験により求めた結果から、例えば40℃以上45℃未満を「白」、45℃以上50℃未満を「緑」、50℃以上55℃未満を「黄」、55℃以上60℃以下を「赤」といったように、温度範囲毎の色分け表示がなされている。なお、皮膚Sの温度が50℃〜60℃になる場合のカートリッジヒータ2の温度は、本願発明者の実験では概ね160℃〜180℃であった。
かかる実施例の加熱治療装置を使用する際には、図3に示すように、ハウジング1を患者自身または看護者が手Hで持ってその加熱用開口部1aを患部付近の皮膚Sに当てるとともに、コントローラ3の温度調節つまみ12aを回動させて先ず電源スイッチ11aをオンにし、さらに温度調節つまみ12aの△マークが所望の温度範囲に向くようにその温度調節つまみ12aの回動位置を調節する。
これによりコントローラ3は、温度センサ8から皮膚S付近のハウジング1内の温度データをフィードバックされつつ、皮膚Sの温度が温度調節つまみ12aで設定された温度範囲内になるようにカートリッジヒータ3への給電電流を制御する。
これによりコントローラ3は、温度センサ8から皮膚S付近のハウジング1内の温度データをフィードバックされつつ、皮膚Sの温度が温度調節つまみ12aで設定された温度範囲内になるようにカートリッジヒータ3への給電電流を制御する。
従ってこの実施例の加熱治療装置によれば、放熱用開口部1aに先端部2aを向けたカートリッジヒータ2がその全体で椀状のハウジング1内の空気を加熱して空気の対流で皮膚Sに熱を伝えるとともにその先端部2aからの輻射によっても皮膚Sに熱を伝えるので、皮膚S上の患部あるいはその皮膚Sの奥の体内に位置する患部Aを十分に含む範囲Rを継続的に加熱することができる。
さらにこの実施例の加熱治療装置によれば、カートリッジヒータ2を用いるので燃焼捧の交換や燃焼灰の処理の問題が生じず何時でも、ベッドでも布団の中でも使用することができ、しかもコントローラ3で発熱量を調節しながらカートリッジヒータ2に給電するので、皮膚Sを55℃乃至60℃程度の高温にも安全に加熱して、皮膚S上あるいは皮膚Sの奥に位置する患部Aを、ガン等の治療に効果的な十分な高温に加熱することができる。
さらにこの実施例の加熱治療装置によれば、直径が4cm以上6cm以下、好ましくは概略4.5cmの放熱用開口部1aがカートリッジヒータ2の熱の過度の集中および過度の拡散を防止し、その放熱用開口部1aから1cm以上3cm以下、好ましくは概略2cm引っ込んだ位置に先端部2aが位置するカートリッジヒータ2が、椀状のハウジング1内の空気を全体的に加熱して空気の対流で皮膚Sに熱を伝えるとともに先端部2aからの赤外線輻射によっても皮膚Sに熱を伝えるので、図1に示すように、皮膚S上のみならず皮膚Sから数cm奥までも、奥に行く程狭まるもののある程度の広さにわたって高温の領域Rとすることができ、このことにより皮膚Sから数cm奥の患部Aでもその全体を十分な高温に、安全に加熱することができる。
さらにこの実施例の加熱治療装置によれば、ハウジング1とカートリッジヒータ2との間に断熱材5が介挿されていることから、カートリッジヒータ2の熱によるハウジング1の温度上昇を抑制し得て、患者や看護者がハウジング1を手持ちする場合の患者や看護者の負担を減らすことができる。
さらにこの実施例の加熱治療装置によれば、ハウジング1とカートリッジヒータ2との間に反射板4が介挿されていることから、カートリッジヒータ2の熱によるハウジング1の温度上昇を抑制して手持ちの場合の患者や看護者の負担を減らしつつ、図1中に矢印で示すようにカートリッジヒータ2全体からの赤外線輻射を放熱用開口部1aへ向け得て、ハウジング1内の空気の加熱および皮膚Sへの赤外線輻射の効率を高めることができる。
さらにこの実施例の加熱治療装置によれば、ハウジング1が、一般に金属と比較して熱伝導率が大幅に低い木材で形成されているので、カートリッジヒータ2の熱によるハウジング1の温度上昇を抑制し得て、患者や看護者がハウジング1を手持ちする場合の患者や看護者の負担を減らすことができる。
さらにこの実施例の加熱治療装置によれば、ハウジング1の放熱用開口部1aの内側に網状部材7が設けられていることから、ベッドや布団内で加熱治療を行う場合やタオルを用いてハウジング1を皮膚S上に押える場合等に、それらの布がハウジング1の放熱用開口部1a内に入り込んだり、誤って指先がハウジング1の放熱用開口部1a内に入り込んだりするのを網状部材7で確実に防止することができる。
さらにこの実施例の加熱治療装置によれば、ハウジング1の放熱用開口部1a付近に温度センサ8が設けられ、コントローラ3が温度センサ8の出力信号に基づきカートリッジヒータ2の発熱量を制御することから、人手でコントローラ3の温度調節つまみ12aを操作しなくても、コントローラ3が皮膚Sに近い位置での温度データに基づき自動的にカートリッジヒータ2の発熱量を適正に制御するので、加熱治療中の温度調節の手間が省け、加熱治療中に睡眠をとることもできる。
さらにこの実施例の加熱治療装置によれば、コントローラ3に、カートリッジヒータ2の発熱量を変化させる温度調節つまみ12aおよび、その温度調節つまみ12aの回動位置と加熱温度との関係を色分け表示した表示部14が設けられており、その表示部14は、例えば40℃以上45℃未満を「白」、45℃以上50℃未満を「緑」、50℃以上55℃未満を「黄」、55℃以上60℃以下を「赤」といったように温度範囲毎に色分け表示されていることから、その色分け表示に従って温度調節つまみ12aを回動させるだけで、皮膚Sが所望の温度になるようにコントローラ3を設定できるので、当該装置の操作を極めて容易なものとすることができる。
図4は、上記実施例の加熱治療装置から反射板4を省略するとともに温度センサ8を省略して温度データのフィードバックをなくし、コントローラ3として市販の調光器(例えばトヨスター株式会社の商品名ルーコンTMC-201W)を使用すること等で構成を簡略化した、この発明の加熱治療装置の他の一実施例を用いて、本願発明者自身による使用実験を行った結果を示す特性線図である。
本願発明者は2003年1月末に日本赤十字広尾病院の人間ドックに入院中、前立腺ガンの疑いがあると診断され、同年2月8日から10日まで同病院に入院して精密検査したところ、同年2月10日の採血による検査の結果、血清青ブレイン分のマーカ値が、正常では5以下であるところ7.5であり、前立腺ガンであると診断された。その後、2003年6月23日の同病院での精密検査では、血清青ブレイン分のマーカ値が8.4に上昇していた。
この時点で、医者の意見では前立腺を除去する必要まではないとのことであったので、やや不安に感じた本願発明者はお灸による治療を試みた。病院から薬は出ていたがお灸の効果を確認するためその薬は服用しなかった。お灸の位置はツボを参考にして自分で決め、臍下部の上下に並んだ三箇所と、会門部(会陰部)一箇所とした。お灸は毎日一回行った。
このお灸の効果は感じられたが、お灸では本願の従来技術でも述べたように燃焼灰の処理等の問題があったため、本願発明者は上記簡略化した実施例の加熱治療装置を開発し、お灸に代えてこの実施例の装置を2003年7月22日から使用開始して加熱位置はお灸の場合と同様とし、様子を見つつ使用した。病院から薬は出ていたが加熱治療装置の効果を確認するためその薬は服用しなかった。
その後、2003年9月29日の同病院での精密検査では、血清青ブレイン分のマーカ値が7.9に低下し、2004年1月6日の同病院での精密検査では、血清青ブレイン分のマーカ値がさらに6.8まで低下していた。2004年の4月2日から4月19日までは毎日、臍下部と会門部(会陰部)とをそれぞれ約1時間ずつ、合計で約2時間ずつ、この実施例の加熱治療装置で皮膚が50℃乃至60℃になるように加熱したところ、18日後の2004年4月20日の同病院での精密検査では、血清青ブレイン分のマーカ値がさらに1.0まで低下しており、本願発明者の前立腺ガンは完治するに至ったと判断された。
これは、ガン細胞は42℃以上の熱で死滅するという学説に従えば、この実施例の加熱治療装置は上述のように、直径が4cm以上6cm以下、好ましくは概略4.5cmの放熱用開口部1aがカートリッジヒータ2の熱の過度の集中および過度の拡散を防止し、その放熱用開口部1aから1cm以上3cm以下、好ましくは概略2cm引っ込んだ位置に先端部2aが位置するカートリッジヒータ2が、椀状のハウジング1内の空気を全体的に加熱して空気の対流で皮膚Sに熱を伝えるとともに先端部2aからの赤外線輻射によっても皮膚Sに熱を伝えるので、皮膚Sから数cm奥までもある程度の広さにわたって高温の領域Rとすることができるため、皮膚Sが患者の耐え得る範囲内で比較的高い55℃乃至60℃の高温になれば、皮膚Sから4cm程度奥の前立腺ガンのガン細胞でもその全体を50℃前後の十分な高温に晒すことができたからであると推察される。
このことから、この実施例の加熱治療装置がガンの治療にも効果があることは明らかである。
図5は、この発明の加熱治療装置のさらに他の実施例を示す平面図であり、この実施例の加熱治療装置は、ハウジング1の放熱用開口部1aを患部付近に固定するための装具としてのベルト15を具える点のみ、最初の実施例と異なっており、他の点は最初の実施例と同一の構成を具えている。
ここにおけるベルト15は、例えば革製で、概略H字状をなしており、その中央部の孔にハウジング1の後部を貫通固定されるとともに、そのH字の四本の腕部に面ファスナ(例えば商品名マジックテープ(登録商標))15aを有し、例えば図5中仮想線で示すように四本の腕部をそれぞれ患者の脚の付根に廻して長さ調節しつつ二本の環状に繋ぐことで、上述した会門部にもハウジング1を装着することができ、またそれぞれ患者の胴体に廻して長さ調節しつつ二本の環状に繋ぐことで、上述した齊下部にもハウジング1を装着することができ、さらにX字状に繋げることで乳ガンの場合に胸部に用い得る等、高い装着自由度を有している。
従ってこの実施例の実施例の加熱治療装置によれば、加熱治療の際にハウジングを手持ちしなくて済むので患者の負担をさらに減らすことができるとともに、繰り返しの加熱治療に際しても毎回常に患部付近の正確な位置にハウジングをセットできるので、治療効果を高めることができる。
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、前記電熱体は、投光方向を主として放熱用開口部1aへ向けてハウジング1内に配置したハロゲンランプ等の電球でも良く、また放熱方向を主として放熱用開口部1aへ向けてハウジング1内に配置したニクロム線等の電熱線でも良い。
さらに、前記コントローラには、電熱体への給電の開始時間や終了時間、給電継続時間等を設定し得るタイマーが設けられていても良い。また、前記ハウジングは、耐熱性プラスチックやセラミックスで形成されていても良い。
さらに、前記装具は、上記実施例のものに限られず、ハウジングが固定された中央部に必要に応じて複数本、好ましくは三本以上の腕部(ベルト)が一体的に若しくは面ファスナやスナップ等で腕部同士の角度を変更可能に結合されていて、それらの腕部が患者の脚や腕や胴体等に廻された後に、それらの腕部の先端部が相互にあるいは中央部に面ファスナやスナップ等で固定されるようになっていれば良い。
そしてこの発明の加熱治療装置は、ガン以外の疾病の治療にも有効に用い得ることはもちろんである。
かくしてこの発明の加熱治療装置によれば、電熱体を用いるので燃焼捧の交換や燃焼灰の処理の問題が生じず何時でも、ベッドでも布団の中でも使用することができ、しかもコントローラで発熱量を調節しながら電熱体に給電するので、皮膚を55℃乃至60℃程度の高温に安全に加熱して、皮膚上あるいは皮膚の奥に位置する患部を、ガン等の治療に効果的な十分な高温に加熱することができる。
1 ハウジング
1a 放熱用開口部
1b 通気用凹部
2 カートリッジヒータ
2a 先端部
3 コントローラ
4 反射板
4a 反射部
4b 支持部
5 断熱材
6 耐熱性樹脂
7 網状部材
8 温度センサ
11 電源回路
11a 電源スイッチ
11b パイロットランプ
12 温度制御回路
12a 温度調節つまみ
12b 可変抵抗器
13 ヒータ駆動回路
14 表示部
A 患部
H 手
R 患部を充分に含む範囲
S 皮膚
1a 放熱用開口部
1b 通気用凹部
2 カートリッジヒータ
2a 先端部
3 コントローラ
4 反射板
4a 反射部
4b 支持部
5 断熱材
6 耐熱性樹脂
7 網状部材
8 温度センサ
11 電源回路
11a 電源スイッチ
11b パイロットランプ
12 温度制御回路
12a 温度調節つまみ
12b 可変抵抗器
13 ヒータ駆動回路
14 表示部
A 患部
H 手
R 患部を充分に含む範囲
S 皮膚
Claims (9)
- 放熱用開口部を持つ椀状のハウジングと、
前記放熱用開口部へ向けて放熱するように前記ハウジング内に収容された電熱体と、
前記電熱体に給電するとともにその電熱体の発熱量を制御するコントローラと、
を具えてなる、加熱治療装置。 - 前記ハウジングの放熱用開口部の直径は4cm以上6cm以下であり、前記電熱体の先端部はその放熱用開口部から1cm以上3cm以下引っ込んだ位置に位置することを特徴とする、請求項1記載の加熱治療装置。
- 前記ハウジングと前記電熱体との間には断熱材が介挿されていることを特徴とする、請求項1記載の加熱治療装置。
- 前記ハウジングと前記電熱体との間には反射板が介挿されていることを特徴とする、請求項1記載の加熱治療装置。
- 前記ハウジングは木材またはセラミックスで形成されていることを特徴とする、請求項1記載の加熱治療装置。
- 前記ハウジングの前記放熱用開口部の内側には網状部材が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の加熱治療装置。
- 前記ハウジングの前記放熱用開口部付近には温度センサが設けられ、
前記コントローラは前記温度センサの出力信号に基づき前記電熱体の発熱量を制御することを特徴とする、請求項1記載の加熱治療装置。 - 前記コントローラには、前記電熱体の発熱量を変化させる温度調節つまみおよび、その温度調節つまみの回動位置と加熱温度との関係を色分け表示した表示部が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の加熱治療装置。
- 前記ハウジングの放熱用開口部を患部付近に固定するための装具を具えることを特徴とする、請求項1から8までの何れか記載の加熱治療装置。
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Cited By (1)
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JP2022032582A (ja) * | 2020-08-12 | 2022-02-25 | 躍 李 | 温熱治療方法とその装置 |
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2005
- 2005-04-26 JP JP2005128226A patent/JP2005342505A/ja active Pending
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JP2022032582A (ja) * | 2020-08-12 | 2022-02-25 | 躍 李 | 温熱治療方法とその装置 |
JP7362564B2 (ja) | 2020-08-12 | 2023-10-17 | 躍 李 | 温熱式電気治療器 |
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