JP2005341708A - 無停電電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、回復充電時間の短い無停電電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入力端子A,Bに供給される電力を出力端子C,Dへ供給しつつバッテリ6を充電し、入力端子への電力の供給が断たれたときにバッテリから出力端子へ電力を供給する無停電電源装置において、前記バッテリの充電電力最大値を制御するバッテリ充電最大電力値制御手段として、入力電流を検出する電流検出器4、バッテリ充電電流を検出する電流検出器5、及びこれら電流検出器からの電流値情報Ii及びIcを受けて充電電力最大値を設定するための電圧値Icsetを生成するA/Dコンバータ1009、CPU1010及びD/Aコンバータ1011を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、無停電電源装置に関し、特に、無停電電源装置の回復充電時間の短縮に関するものである。
コンピュータをはじめとする情報機器や情報処理システムの信頼性や運用性を向上させるために種々の手段が考慮されている。無停電電源装置もそのような手段の一つとして効果の著しいもので、電源供給がシステム稼働に必要不可欠であることから、システムの信頼性や運用性の向上に大いに寄与している。
従来の無停電電源装置の一例として図10に示すようなものがある。
図10の無停電電源装置7は、入力端子A及びBと、入力端子A及びBに接続されたフィルタ回路2と、フィルタ回路2に接続された過電流保護器3と、過電流保護器3に接続された高力率整流回路30と、高力率整流回路30に接続されたインバータ回路40と、インバータ回路40に接続された出力端子C及びDと、過電流保護器3と高力率整流回路30との接続点である交流入力端子E及びFに接続された充電回路20と、充電回路20に接続されたバッテリ6と、高力率整流回路30とインバータ回路40との接続点である直流端子G及びHと充電回路20とバッテリ6との接続点であるバッテリ電圧端子I及びJとの間に接続された昇圧回路50と、充電回路20とバッテリ6との間に流れる充電電流を検出する電流検出器5と、電流検出器5及びバッテリ電圧端子Iに接続されるとともに前記充電回路に接続される充電器制御回路60とを備えている(例えば、非特許文献1参照。充電器制御回路60については、例えば、非特許文献2参照。)。
図10の無停電電電装置において、入力端子A及びBから入力される交流電力は、フィルタ回路2、過電流保護器3、及び交流入力端子E及びFを介して高力率整流回路30に入力される。
高力率整流回路30は、例えば、リアクトルと高速スイッチング素子MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)とを備え、MOSFETを開閉制御することにより交流入力端子E及びFを介して入力される交流電源電圧を昇圧して電圧が安定化された直流電力を直流端子G、Hに供給するとともに入力電流波形を入力電圧波形と相似形になるように制御し、結果として力率改善制御を実施する。高力率整流回路30から直流端子G、Hに供給された直流電力は、インバータ回路40に入力される。
また、交流入力端子E及びFに供給された交流電力は、充電制御回路60により出力電圧(充電電圧)を安定化制御される充電回路20にも入力される。
充電回路20は、例えば、図示のようにMOSFET2009とトランス2008と整流ダイオード2001〜2004,2007及び2010〜2011とリアクトル2005及び2012とコンデンサ2006及び2013とを備えている。そして、充電回路20は、充電器制御回路60の制御に従いMOSFET2009を開閉し、交流入力端子E及びFを介して入力される交流電源電圧を所定の安定化直流電圧に変換し、バッテリ充電電力としてバッテリ電圧端子I及びJを介してバッテリ6に供給する。
充電器制御回路60は、例えば、図示のように誤差増幅器1001及び1006、基準電圧源1005及び6001、抵抗器1002及び1007、比較器1003、鋸歯状波発生部1008,及び駆動回路1004を備えている。充電器制御回路60は、電流検出器5からの充電電流情報に基づいてバッテリ充電電圧値を制御し、バッテリ充電電流が所定の電流値以上の場合には充電回路20からの安定化出力電圧値が所定の量以下(充電電流が所定値以下)になるように制御し、結果的にバッテリ6にとって定電流定電圧充電がなされるようにしている。
充電回路20の出力は、上述したようにバッテリ電圧端子I及びJを介してバッテリ6に供給されるとともに、昇圧回路50にも入力される。昇圧回路50の出力は、直流端子G及びHを介してインバータ回路40に入力される。
高力率整流回路30の出力及び昇圧回路50の出力が供給されるインバータ回路40は、例えば、MOSFETとトランスとリアクトル及びコンデンサによるACフィルタを備えており、MOSFETを開閉制御することにより、直流端子G及びHを介して入力される直流電圧を断続させる。このMOSFETの開閉制御によりトランスの二次側に誘起される所定の断続電圧は、前記ACフィルタ回路に与えられる。前記ACフィルタ回路はこの断続電圧を平滑して、所定の交流出力電圧Voとして出力端子C及びDを介して負荷機器(図示せず)に供給する。
上記構成において停電が発生した場合、即ち入力端子A、B間(あるいは交流入力端子E、F間)に入力される交流電力が途絶えた場合、充電回路20および高力率整流回路30からそれぞれ出力される所定の直流電力は絶たれる。このとき、バッテリ6からの直流電力が、必要に応じて昇圧回路50によって昇圧され、直流端子G及びHを介してインバータ回路40に供給される。その結果、停電が発生した場合であっても、インバータ回路40は所定の交流出力電圧Voの交流電力を、所定の時間、出力端子C及びDを介して負荷機器に供給することができる。
上述したような無停電電源装置の性能の優劣を決定する大きな要因としての定格出力電力(大きいほど良い)と、回復充電時間(短いほど良い)に対応する充電初期電力の合算値(Pout+Pcha)は、入力許容最低電圧(Viacmin)と入力電流の制限値(Iiaclim×α)から決定付けられる。即ち、入力電流をIiac、許容出力電力をPout、充電初期電力をPcha、全体効率をη、全体力率をξ、入力許容最低電圧をViacmin、過電流保護器3の過電流検出電流をIiaclim、過電流保護器3の低減率をαとすると、これらの関係は数式1により表される。
Figure 2005341708
ここで一般的に流通している、出力容量が1,000[W]程度で、バッテリバックアップ時間が6分程度で、高力率整流回路を有する常時インバータ型無停電電源装置を考える。このような無停電電源装置において、その全体効率η、全体力率ξ等は使用される回路や部品等に依存するが、現状では、経済性等の理由により、全体効率ηが0.85〜0.90程度、全体力率ξが0.95〜0.99程度である。ここでは、全体効率η=0.87、全体力率ξ=0.97とする。また、使用されるバッテリ6の容量は、概ね12V28Ah程度が選択され、また過電流保護器3の過電流検出電流Iiaclimは15[A]が選択され、また過電流保護器3の低減率α=0.95程度が選択される。ここでは、これらの値を採用する。このような条件下で、入力許容最低電圧をViacmin=85[V]とすれば、充電初期電力Pchaに消費可能な電力は数式2により求められる。
Figure 2005341708
また、48V7Ahの容量を持つバッテリ6として、市場に広く流通している12V7Ahのバッテリを4個直列に接続して使用する場合について検討する。一般に、12Vバッテリに対し、バッテリメーカーから提示されている推奨充電電圧は13.65V程度であり、このようなバッテリを4個直列に使用する場合の充電電圧は54.60V程度となる。上記数式2で求めたように、バッテリ充電電圧として消費可能な充電初期電力は22[W]以下なので、充電初期電流は0.40(=22(W)/54.6(V))[A]以下となる。仮に充電初期電流を0.35[A]とした場合、この充電電流CA値は0.05(=0.35/7)となる。この場合の回復充電時間は、図3(充電初期電流(CA)vs回復充電時間(時))で示される例では12時間であり、この回復充電時間は実際に使用される出力電力に依存せずに一定の値となる。つまり、従来の無停電電源装置の回復充電時間は、結果的に充電制御回路60における基準電圧源6001の設定電圧により一義的に決まる。
平地克也、「ミニUPSの回路方式の変遷と今後の課題」、信学技報、社団法人電子情報通信学会、2004年2月、EE2003−57、p.1−6(特に、p.2−4) 長谷川彰、「スイッチング・レギュレータ設計ノウハウ」、CQ出版、昭和60年4月10日、p.115−119
従来の無停電電源装置は、上述したように、定電流定電圧充電がなされるように構成されているため、無停電電源装置の実負荷電力の負荷率に関係なく、回復充電時間は一定の時間となっている。ところが、現実の無停電電源装置の使用形態としては、バッテリ寿命末期のバッテリバックアップ時間の低下(1/2程度となる)を考慮して、無停電電源装置の定格出力電力より低い負荷電力で使用されることが多い。このように負荷電力が定格出力電力よりも低い場合には、より多くの電力をバッテリの充電に振り向けることができるはずである。つまり、無停電電源装置の過電流保護器3の制限電流内で、より多くの電流をバッテリの充電に利用することができ、それによって回復充電時間を短縮することができるはずである。それにも関わらず、従来の無停電電源装置では、定格出力電力から制限される一定の充電初期電力に依存する長い回復充電時間がかかってしまう。換言すれば、従来の無停電電源装置は、所定のバッテリバックアップ時間を保証できる満充電あるいは90%充電状態に至るまでの時間が必要以上に長くかかり、結果としてシステムの運用性を十分に向上させられないといった問題点がある。
本発明は、回復充電時間の短い無停電電源装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下のような特徴を有する。
本発明の第1の態様によれば、外部から入力端子に供給される電力を出力端子へ供給しつつバッテリを充電し、前記入力端子への電力の供給が断たれたときに前記バッテリから前記出力端子へ電力を供給する無停電電源装置において、前記バッテリの充電電力最大値を制御するバッテリ充電最大電力値制御手段を備えていることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様によれば、前記無停電電源装置において、前記バッテリ充電最大電力値制御手段が、前記入力端子に流れる入力電流の大きさを表す入力電流値に基づいて前記充電電力最大値を制御するようにしたことを特徴とする。
さらに、本発明の第3の態様によれば、前記無停電電源装置において、前記バッテリ充電最大電力値制御手段が、予め設定された入力電流制限値と、前記入力電流値との差を低減するように前記充電最大電力値を制御するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、バッテリの充電電力最大値を制御するバッテリ充電最大電力値制御手段を備えたことにより、バッテリの回復充電時間を従来よりも短縮することができ、もって、運用性の高い無停電電源装置を提供することができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無停電電源装置1−1を示す回路図である。同図において、従来と同一のものには同一符号を付し、その説明を省略する。
図示の無停電電源装置1−1は、従来の構成加え、過電流保護器3と交流入力端子Eとの間に流れる電流(入力電流)を検出し、その大きさを表す入力電流情報Iiを発生する電流検出器4を有している。また、この無停電電源装置1−1は、従来の充電器制御回路60に代えて、充電器制御回路10を有している。
充電器制御回路10は、従来の基準電圧源6001に代えて、電流検出器4からの入力電流情報Iiと電流検出器5からの充電電流情報Icとを受け、これらをA/D変換して入力電流情報Iidと充電電流情報Icdとを出力するA/Dコンバータ1009と、A/Dコンバータ1009からの入力電流情報Iidと充電電流情報Icdとに基づいて充電電流設定値(目標電流値)Icdsetを発生するCPU(演算部)1010と、充電電流設定値Icdsetに対応する電圧値Icsetを出力するD/Aコンバータ1011とを有している。これら電流検出器4及び5、A/Dコンバータ1009、CPU1010及びD/Aコンバータ1011が、バッテリ充電最大電力値制御手段として働く。
以下、図1の無停電電源装置1−1の動作について、従来の無停電電源装置7と異なる点を中心に説明する。
入力端子A及びBに供給された交流電力が、フィルタ回路2、過電流保護器3、電流検出器4及び交流入力端子E及びFを介して充電回路20及び高力率整流回路30に供給されると、電流検出器4は過電流保護器3と交流入力端子Eとの間に流れる電流を検出する。そして、電流検出器4は、検出した電流の大きさを表す入力電流情報Iiを出力する。
充電器制御回路10では、A/Dコンバータ1009が電流検出器4から出力される入力電流情報Iiと、電流検出器5から出力される充電電流情報IcをA/D変換して、CPU1010へ供給する。CPU1010は、例えば、図2に示すように動作する。
図2を参照すると、CPU1010は、まずステップS2−1において、A/Dコンバータ1009を介して数値化された入力電流情報Iidと入力電流制限値Iidlimitを比較する。ここで、入力電流制限値Iidlimitは、過電流保護器3の過電流検出電流Iiaclimに基づいて決められる最大値(<Iiaclim)よりも小さい値であれば任意に設定可能である。入力電流制限値Iidlimitは、図示しない入力設定部より予め入力設定され、図示しないメモリに格納される。
CPU1010は、ステップS2−1の比較の結果、Iid>Iidlimitであると判断すると、ステップS2−2に進み、充電電流設定値Icdsetを、例えば所定量、減少させる。
一方、CPU1010は、ステップS2−1において、Iid≦Iidlimitであると判断すると、ステップS2−3に進み、充電電流を制限する必要があるバッテリであるのか否か(即ち、バッテリの種類)を判断する。この判断は、予め入力設定器より入力され、メモリに格納されたバッテリ情報に基づいて行う。
ステップS2−3における判断の結果、制限不要(例えば、フロート充電が可能な鉛蓄電池)と判断されると、CPU1010は、ステップS2−4に進み、充電電流設定値Icdsetを、例えば所定量、増加させる。
一方、ステップS2−3において、充電電流に制限が必要と判断すると、CPU1010は、ステップS2−5に進み、A/Dコンバータ1009を介して数値化された充電電流情報Icdと充電電流に制限が必要なバッテリの充電電流制限値Icdlimitとを比較する。なお、バッテリの充電電流制限値は、前述したバッテリ情報に含まれている。
ステップS2−5において、Icd≦Icdlimitと判断すると、CPU1010は、ステップS2−4に進み、前述のように、充電電流設定値Icdsetを増加させる。
一方、ステップS2−5において、Icd>Icdlimitと判断すると、CPU1010は、ステップ2−6に進み、充電電流設定値Icdsetを減少させる。
図1に戻ると、上述したような処理を経て得られる充電電流設定値Icdsetは、CPU1010からD/Aコンバータ1011に供給される。D/Aコンバータ1011は、充電電流目標電流値(充電電流最大値)である充電電流設定値IcdsetをD/A変換し、対応する電圧値Icsetとして、誤差増幅器1006の反転入力端子へ出力する。
誤差増幅器1006には、その非反転入力端子に電流検出器5からの充電電流情報Icが入力されている。誤差増幅器1006は、この電流検出器5からの充電電流情報Icと、D/Aコンバータ1011からの充電電流設定値Icsetとの差に応じた出力電圧を発生する。即ち、誤差増幅器1006は、充電電流情報Icと充電電流設定値Icsetとの差(Ic−Icset)のβ6倍(=誤差増幅器1006の増幅率)に相当する誤差増幅電圧E6を出力する。この誤差増幅電圧E6は、一端が誤差増幅器1001の出力端子に接続される抵抗器1002の他端と比較器1003の反転入力端子との接続点に供給される。
他方、誤差増幅器1001の非反転入力端子には充電回路20からのバッテリ充電電圧Vchが入力され、反転入力端子にはバッテリ充電電圧を設定する基準電圧Vrefが基準電圧源1005から入力されている。誤差増幅器1001は、バッテリ充電電圧Vchと基準電圧Vrefとの差(Vch−Vref)のβ1倍(=誤差増幅器1001の増幅率)に相当する誤差増幅電圧E1を出力する。この誤差増幅電圧E1は、抵抗器1002を介して比較器1003の反転入力端子に供給される。
抵抗器1002及び1007を介して加算される誤差増幅器1001及び1006の誤差増幅電圧E1及びE6は、制御用信号Eとして比較器1003の反転入力端子に入力される。比較器1003の非反転入力端子には鋸歯状波発生器1008からの鋸歯状波信号Sが入力される。比較器1003は、制御用信号Eと鋸歯状波信号Sとを比較し、制御用信号Eのレベルに応じたパルス幅Δtを持つパルス信号を生成する。
比較器1003により生成されたパルス信号は、駆動回路1004に供給される。駆動回路1004は、比較器1003からのパルス信号に応じて制御パルス信号T1を発生し、充電回路20のMOSFET2009の開閉制御を行う。
以上のように動作する結果、図1の無停電電源装置1−1では、バッテリ充電電流値が、入力電流制限やバッテリの充電電流制限値を加味されて設定される充電電流設定値Icset以上となる場合には、充電回路20からバッテリ6へ供給される安定化出力電圧値(充電電圧Vch)を低下させるようMOSFET2009が制御され、結果的にバッテリ6は定電流定電圧充電される。
図1の無停電電源装置1−1においても、定格出力電力(大きいほど良い)と、回復充電時間(短いほど良い)を決定付ける充電初期電力の合算値は、入力許容最低電圧と入力電流の制限値から決定付けられる。即ち、入力電流Iiac、許容出力電力をPout、充電初期電力をPcha、全体効率をη、全体力率をξ、入力許容最低電圧をViacmin、過電流保護器3の過電流検出電流をIiaclim、過電流保護器3の低減率をαとするとして、これらの関係は数式3(=数式1)により表される。
Figure 2005341708
ここで、出力容量が1,000[W]、バッテリバックアップ時間が6分、全体効率η=0.85、全体力率ξ=0.97、使用するバッテリの容量=12V28Ah、過電流保護器3の過電流検出電流Iiaclim=15[A]、過電流保護器3の低減率α=0.95、入力許容最低電圧Viacmin=85[V]とすれば、充電初期電力Pchaに消費可能な電力は数式4で与えられる。
Figure 2005341708
同様に、出力容量が983[W]、945[W]、907[W]及び792[W]の場合に充電初期電力Pchaとして消費可能な電力は、それぞれ数式5乃至8で与えられる。
Figure 2005341708
Figure 2005341708
Figure 2005341708
Figure 2005341708
本実施の形態に係る無停電電源装置1−1では、入力電流制限値Iidlimitとして、出力容量に応じた値を設定することにより、充電初期電流の大きさ(充電電力最大値)を変更することができる。充電初期電流(CA)と回復充電時間との関係は図3のようなものであるため、充電初期電流を大きくすることにより、回復充電時間を従来よりも短縮できる。具体例を図4に示す。
図4の例は、使用バッテリとして、市場に広く流通している12V7Ahのバッテリを4個直列に使用する場合を想定したものである。12Vバッテリに対してバッテリメーカーから提示されている推奨充電電圧は13.65V程度であるため、このバッテリを4個直列に使用する場合の充電電圧は54.60V程度となる。この時、上述した5種類の出力容量の各々について、バッテリ充電電圧として消費可能な充電初期電力、その場合の充電初期電流、その充電初期電流に対応した充電時間の関係は図4のようになる。
このように、本実施の形態に係る無停電電源装置1−1は、バッテリ充電電流値として、入力電流制限値やバッテリの充電電流制限値を加味されて設定される充電電流設定値Icdsetに対応した充電初期電流値を自動設定することが可能となり、出力容量に見合った回復充電時間の短縮が図4の表のとおり可能となる。これにより、無停電電源装置の運用性の向上を図ることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る無停電電源装置1−2について図5を参照して詳細に説明する。以下では、主に第1の実施の形態に係る無停電電源装置1−1と異なる点について説明する。
図5の無停電電源装置1−2が図1の無停電電源装置1−1と異なる点は、充電器制御回路10及び充電回路20がそれぞれ2象限チョッパ制御回路11及び2象限チョッパ回路21に変更されている点、2象限チョッパ回路21の入力兼出力端子が直流端子G、Hに接続されている点、及び昇圧回路50が削除されている点である。
詳述すると、図5の無停電電源装置1−2の2象限チョッパ回路21は、高効率整流回路30とインバータ回路40との接続点である直流端子G及びHに接続されるとともにバッテリ6が接続されるバッテリ電圧端子I及びJに接続されている。また、2象限チョッパ制御回路11は、直流端子G及びHとバッテリ電圧端子I及びJとに接続されるとともに、電流検出器4及び5に接続されている。
以下、図5の無停電電源装置1−2の動作について説明する。
入力端子A、Bから入力される交流電力は、フィルタ回路2、過電流保護器3、電流検出器4、交流入力端子E及びFを介して、高力率整流回路30に入力される。高力率整流回路30は、入力される交流電源電圧を昇圧して電圧が安定化された直流電力を直流端子G及びHに供給する。高力率整流回路30から直流端子G及びHへ出力された直流電力は、インバータ回路40及び2象限チョッパ回路21に入力される。
2象限チョッパ回路21は、例えば、図示のようにMOSFET2101及び2102と、リアクトル2103と、コンデンサ2104とを備えている。MOSFET2101及び2102は、2象限チョッパ制御回路11から与えられるゲート駆動信号T2、T3により開閉制御される。
交流入力受電時、2象限チョッパ回路21は高力率整流回路30からの直流電圧を降圧制御(安定化制御)し、バッテリ6に対する充電器として動作する。この場合、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T3は常にLレベルとなり、従ってMOSFET2102は常にOFF状態にある。一方、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T2は、このときHレベルとLレベルとを交互に繰り返す。
ゲート駆動信号T2がHレベルのときはMOSFET2101がONし、直流端子G→MOSFET2101→リアクトル2103→電流検出器5→バッテリ電圧端子I→バッテリ6→バッテリ電圧端子J→直流端子Hの経路で電流が流れ、リアクトル2103にエネルギーが蓄積される。また、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T2がLレベルのときはMOSFET2101がOFFし、リアクトル2103に蓄積されたエネルギーは、リアクトル2103→電流検出器5→バッテリ電圧端子I→バッテリ6→バッテリ電圧端子J→MOSFET2102のボディーダイオード(図示せず)→リアクトル2103の経路で電流が循環してバッテリ6に供給される。
ゲート駆動信号T2のHレベルの期間を大に、Lレベルの期間を小とすると、2象限チョッパ回路21の出力電圧と出力電流は増加する。逆にゲート駆動信号T2のHレベルの期間を小に、Lレベルの期間を大とすると、2象限チョッパ回路21の出力電圧と出力電流は減少する。
以上のように交流入力受電時はMOSFET2101のゲート駆動信号T2のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、2象限チョッパ制御回路11にて2象限チョッパ回路21の出力電圧と電流、即ちバッテリ充電電圧、電流を所望の値に制御することができる。
上記構成において停電が発生した場合、高力率整流回路30から出力される所定の直流電力は絶たれるが、バッテリ6からのバッテリ電圧に対して2象限チョッパ回路21は昇圧(安定制御)器として働き、所定の時間、インバータ回路40に対し所定の直流電力を供給する。その結果、インバータ回路40からは所定の交流出力電圧Voの交流電力が所定の時間、出力端子C、Dを介して負荷機器に供給される。
停電発生時、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T2は常にLレベルとなり、従ってMOSFET2101は常にOFF状態にある。一方、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T3はHレベルとLレベルとを交互に繰り返す。
2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T3がHレベルのときはMOSFET2102がONし、バッテリ6→バッテリ電圧端子I→電流検出器5→リアクトル2103→MOSFET2102→バッテリ電圧端子J→バッテリ6の経路で電流が流れ、リアクトル2103にエネルギーが蓄積される。また、2象限チョッパ制御回路11から出力されるゲート駆動信号T3がLレベルのときはMOSFET2102はOFFし、リアクトル2103に蓄積されたエネルギーは、リアクトル2103→MOSFET2101のボディーダイオード(図示せず)→直流端子G→インバータ回路40及び出力端子C,Dに接続された負荷機器(図示せず)→直流端子H→バッテリ電圧端子J→バッテリ6→バッテリ電圧端子I→電流検出器5→リアクトル2103の経路で電流が循環して負荷機器に無停電電力を供給する。
ゲート駆動信号T3のHレベルの期間を大に、Lレベルの期間を小とすると、2象限チョッパ回路21の出力電圧と出力電流は増加する。逆にゲート駆動信号T3のHレベルの期間を小に、Lレベルの期間を大とすると、2象限チョッパ回路21の出力電圧と出力電流は減少する。
以上のように停電時はMOSFET2102のゲート駆動信号T3のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、2象限チョッパ制御回路11にて2象限チョッパ回路21の出力電圧、即ちインバータ回路40の入力電圧を所望の値に制御することができる。
2象限チョッパ制御回路11は、上記のように2象限チョッパ回路21を制御するため、A/Dコンバータ1009、CPU1010、D/Aコンバータ1011、2象限チョッパ電圧制御回路1101、誤差増幅器1102、及び抵抗器1103を備えている。
2象限チョッパ制御回路11では、電流検出器4からの入力電流情報Iiと、電流検出器5からの充電電流情報IcをA/Dコンバータ1009で入力電流情報Iidと充電電流情報Icdに変換しCPU1010に供給する。CPU1010は、第1の実施の形態の場合と同様(図2参照)に動作して、入力された入力電流情報Iidと充電電流情報Icdとに基づいて充電電流設定値Icdsetを生成し、D/Aコンバータ1011へ出力する。D/Aコンバータ1011は、CPU1010の処理結果を変換し、目標電流値に対応した電圧値Icsetとして誤差増幅器1102の反転入力端子へ出力する。
誤差増幅器1102の非反転入力端子には電流検出器5からの充電電流情報Icが入力されている。そして、誤差増幅器1102は、この充電電流情報Icと反転入力端子に入力されるD/Aコンバータ1011からの目標電流値に対応した電圧値Icsetとの差(Ic−Icset)のβ2(誤差増幅器1102の増幅率)倍に相当する誤差増幅電圧E2を発生し、抵抗器1103を介して2象限チョッパ電圧制御回路1101に供給する。
2象限チョッパ電圧制御回路1101は、誤差増幅器1102から抵抗器1103を介して供給される誤差増幅電圧E2の他、直流端子G及びHとバッテリ電圧端子I及びJとからの電位Vg、Vh、Vi及びVjが与えられている。2象限チョッパ電圧制御回路1101は、これら電圧E2及び電位Vg〜Vjに基づき、公知の方法により2象限チョッパ回路21に与えるゲート駆動信号T2、T3を生成する。
つまり、2象限チョッパ電圧制御回路1101は、交流入力(電源電圧)受電時は、ゲート駆動信号T3を常にLレベルにするとともに、バッテリ電圧端子I、J間の電圧、即ちバッテリ6に対するバッテリ充電電圧、を安定化制御するようにゲート駆動信号T2のHレベルとLレベルの時比率を制御する。このとき、2象限チョッパ電圧制御回路1101は、抵抗器1103を介して誤差増幅器1102から与えられる誤差増幅電圧E2に基づき、充電電流Icが充電電流設定値Icdsetより大きくならないようにゲート駆動信号T2のHレベルとLレベルの時比率を制限する。このようにして、2象限チョッパ電圧制御回路1101は、交流入力受電時に、2象限チョッパ回路21の出力電圧と電流、即ちバッテリ充電電圧、電流を所望の値に制御することができる。
一方、停電発生時には、2象限チョッパ回路21は、バッテリ6からのバッテリ電圧に対して昇圧器として働き、ゲート駆動信号T2を常にLレベルにするとともに、直流端子G、H間の電圧、即ちインバータ回路40の入力電圧、を安定化制御するようにゲート駆動信号T3のHレベルとLレベルの時比率を制御する。
以上のようにして、本実施の形態に係る無停電電源装置1−2においても、第1の実施の形態に係る無停電電源装置1−1と同様に、バッテリ充電電流値として、入力電流制限値やバッテリの充電電流制限値を加味されて設定される充電電流設定値Icdsetに対応した充電初期電流値を自動設定することが可能となり、出力容量に見合った回復充電時間の短縮が可能となる。これにより、無停電電源装置の運用性の向上を図ることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無停電電源装置について図6を参照して詳細に説明する。以下では、主に第1の実施の形態に係る無停電電源装置1−1と異なる点について説明する。
図6の無停電電源装置1−3が図1の無停電電源装置1−1と異なる点は、図1の充電器制御回路10及び充電回路20がそれぞれ双方向コンバータ制御回路12及び双方向コンバータ回路22に変更されている点と、双方向コンバータ回路22の入力兼出力端子が交流入力端子E及びFと出力端子C及びDとに接続されている点と、図1の高力率整流回路30、インバータ回路40及び昇圧回路50が削除されている点である。
詳述すると、図6の無停電電源装置1−3は、入力端子A及びBがフィルタ回路2、過電流保護器3、電流検出器4、及び交流入力端子E及びFを介して出力端子C及びDに接続されている。双方向コンバータ回路22は、交流端子E及びFに接続されるとともに、バッテリ電圧端子I及びJに電流検出器5を介して接続されている。また、双方向コンバータ制御回路12は、交流入力端子E及びFとバッテリ電圧端子I及びJとに接続されるとともに、電流検出器4及び5にも接続されている。
以下、図6の無停電電源装置1−3の動作について説明する。
入力端子A、Bに入力される交流電力は、フィルタ回路2、過電流保護器3、電流検出器4、交流入力端子E及びF、及び出力端子C及びDを介して負荷機器(図示せず)に供給される。また、交流電力は、交流入力端子E及びFから双方向コンバータ回路22及び双方向コンバータ制御回路12に入力される。
双方向コンバータ回路22は、例えば、図示のようにトランス2201、コンデンサ2202及び2208、リアクトル2203、MOSFET2204〜2207により構成される。この双方向コンバータ回路22は、双方向コンバータ制御回路12から与えられるゲート駆動信号T4〜T7によりMOSFET2204〜2207の開閉制御がなされ、交流入力(電源電圧)受電時には、バッテリ6に対する充電器として動作する。
詳述すると、交流入力受電時、交流入力端子Fの電位より交流入力端子Eの電位が高い期間(以降、「正の半サイクル」と称する。)、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4、T6及びT7は常にLレベルとなり、MOSFET2204、2206及び2207は常にOFF状態となる。このとき、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5がHレベルであれば、MOSFET2205がONし、交流入力端子E→トランス2201→交流入力端子Fの経路で流れる電流によりトランス2201の二次側に誘起された電流が、トランス2201→リアクトル2203→MOSFET2205→MOSFET2207のボディーダイオード(図示せず)→トランス2201の経路で流れ、リアクトル2203にエネルギーが蓄積される。
他方、正の半サイクル期間中、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5がLレベルのときはMOSFET2205がOFFし、リアクトル2203に蓄積されたエネルギーは、リアクトル2203→MOSFET2204のボディーダイオード(図示せず)→電流検出器5→バッテリ電圧端子I→バッテリ6→バッテリ電圧端子J→MOSFET2207のボディーダイオード(図示せず)→トランス2201→リアクトル2203の経路で電流が循環してバッテリ6に供給される。
正の半サイクルの期間において、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5のHレベル期間を長くすると(即ち、MOSFET2205のON期間を大にすると)リアクトル2203に蓄積されるエネルギーが大となりバッテリ6への充電電圧、電流は増加する。逆に双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5のLレベル期間を長くすると(即ち、MOSFET2205のOFF期間を大にすると)リアクトル2203に蓄積されるエネルギーが小となりバッテリ6への充電電圧、電流は減少する。
次に、交流入力受電時であって、交流入力端子Eの電位より交流入力端子Fの電位が高い期間(以降、「負の半サイクル」と記す)の動作について説明する。
負の半サイクルの期間中、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4、T5及びT6は常にLレベルとなり、MOSFET2204、2205及び2206は常にOFF状態となる。このとき、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T7がHレベルであれば、MOSFET2207がONし、交流入力端子F→トランス2201→交流入力端子Eに流れる電流によってトランス2201の二次側に誘起された電流は、トランス2201→MOSFET2207→MOSFET2205のボディーダイオード(図示せず)→リアクトル2203→トランス2201の経路で流れ、リアクトル2203にエネルギーが蓄積される。
他方、負の半サイクルの期間中、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T7がLレベルのときはMOSFET2207がOFFし、リアクトル2203に蓄積されたエネルギーは、リアクトル2203→トランス2201→MOSFET2206のボディーダイオード(図示せず)→電流検出器5→バッテリ電圧端子I→バッテリ6→バッテリ電圧端子J→MOSFET2205のボディーダイオード(図示せず)→リアクトル2203の経路で電流が循環してバッテリ6に供給される。
負の半サイクルの期間において、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T7のHレベル期間を長く(即ちMOSFET2207のON期間を大)にするとリアクトル2203に蓄積されるエネルギーが大となりバッテリ6への充電電圧、電流は増加する。逆に、負の半サイクルの期間中、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T7のLレベル期間を長く(MOSFET2207のOFF期間を大)にするとリアクトル2203に蓄積されるエネルギーが小となりバッテリ6への充電電圧、電流は減少する。
以上のように、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3では、交流入力受電時における正の半サイクル時はMOSFET2205のゲート駆動信号T5のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、交流入力受電時における負の半サイクル時はMOSFET2207のゲート駆動信号T7のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、双方向コンバータ制御回路12にて双方向コンバータ回路22の出力電圧と電流、即ちバッテリ充電電圧、電流を所望の値に制御(安定化制御)することができる。
次に、停電が発生した場合、即ち交流電源電圧が断した場合、の無停電電源装置1−3の動作について説明する。
停電が発生した場合、入力端子A及びBに入力され交流入力端子E及びFを介して双方向コンバータ回路22に供給される交流電力が途絶える。このとき、双方向コンバータ回路22は、バッテリ6からのバッテリ電圧に対してインバータとして動作し、所定の交流出力電圧Voの交流電力を、所定の時間、出力端子C、Dを介して負荷機器(図示せず)に供給する。
双方向コンバータ回路22のインバータとしての動作を、交流入力端子E及びFの電位に応じて場合分けして以下に説明する。
まず、双方向コンバータ回路22が、交流入力端子Eの電位より交流入力端子Fの電位が高い(以降、「正の半サイクル」と称す。)出力電圧を発生する期間について説明する。
双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4及びT7によりMOSFET2204とMOSFET2207が同時にONすると、トランス2201の2次コイル側にバッテリ電圧が正方向に印加される。次に、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4及びT6によりMOSFET2204とMOSFET2206が同時にONすると、トランス2201の2次コイル電圧はゼロとなる。つまり、MOSFET2204をONさせた状態で、MOSFET2206とMOSFET2207とを交互にON/OFFさせることにより、トランス2201の2次コイル側には、バッテリ電圧とゼロ電圧とを交互に繰り返すPWM波が印加される。このPWM波は交流フィルタを構成するリアクトル2203とコンデンサ2202とで平滑され、トランス2201の1次コイルには、1次コイルと2次コイルの巻数比に応じた電圧の正弦波が誘起され、この正弦波が交流入力端子E、F間に印加され、出力端子C、Dから出力される。
正の半サイクル期間中において、MOSFET2204とMOSFET2207が同時にONする期間を大にしMOSFET2204とMOSFET2206が同時にONする期間を小にすると、トランス2201の2次側はバッテリ電圧が印加される期間が大となりゼロ電圧が印加される期間が小となる。その結果、トランス2201の1次側に誘起される正弦波の平均電圧は増加し、交流入力端子E、F間に発生する電圧は増加する。
逆に、MOSFET2204とMOSFET2207が同時にONする期間を小にしMOSFET2204とMOSFET2206が同時にONする期間を大にすると、トランス2201の2次側はバッテリ電圧が印加される期間が小となりゼロ電圧が印加される期間が大となる。その結果、トランス2201の1次側に誘起される正弦波の平均電圧は減少し、交流入力端子E、F間に発生する電圧は減少する。
以上のようにして、MOSFET2204とMOSFET2207が同時にONする期間と、MOSFET2204とMOSFET2206が同時にONする期間の時比率を適切に制御することにより、交流入力端子EとFとの間には所望の振幅を有する正弦波の正の半サイクルを発生させることができる。
次に、双方向コンバータ回路22が、交流入力端子Eの電位より交流入力端子Fの電位が低い(以降、「負の半サイクル」と称す。)出力電圧を発生する期間について説明する。
双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5及びT6によりMOSFET2205とMOSFET2206が同時にONすると、トランス2201の2次コイル側にバッテリ電圧が負方向に印加される。また、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T5及びT7によりMOSFET2205とMOSFET2207が同時にONすると、トランス2201の2次コイル電圧はゼロとなる。つまり、MOSFET2205をONさせた状態で、MOSFET2206とMOSFET2207とを交互にON/OFFさせることにより、トランス2201の2次コイル側には、バッテリ電圧とゼロ電圧とを交互に繰り返すPWM波が印加される。このPWM波は交流フィルタを構成するリアクトル2203とコンデンサ2202とで平滑され、トランス2201の1次コイルには、1次コイルと2次コイルの巻数比に応じた電圧の正弦波が誘起され、この正弦波が交流入力端子E、Fの間に印加され、出力端子C、Dから出力される。
負の半サイクル期間中において、MOSFET2205とMOSFET2206が同時にONする期間を大にしMOSFET2205とMOSFET2207が同時にONする期間を小にすると、トランス2201の2次側にバッテリ電圧が負方向に印加される期間が大となりゼロ電圧が印加される期間が小となる。その結果、正弦波の平均電圧は負方向に増加し、交流入力端子E、F間に発生する電圧は負方向に増加する。
逆に、負の半サイクル期間中において、MOSFET2205とMOSFET2206が同時にONする期間を小にしMOSFET2205とMOSFET2207が同時にONする期間を大にすると、トランス2201の2次側はバッテリ電圧が負方向に印加される期間が小となりゼロ電圧が印加される期間が大となり、その結果正弦波の負方向の平均電圧は減少し、交流入力端子E、F間に発生する負方向の電圧は減少する。
このようにして、MOSFET2205とMOSFET2206が同時にONする期間と、MOSFET2205とMOSFET2207が同時にONする期間の時比率を適切に制御することにより、交流入力端子EとFとの間には所望の振幅を有する正弦波の負の半サイクルを発生させることができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3では、双方向コンバータ制御回路12から出力されるゲート駆動信号T4、T5、T6及びT7を制御することにより所望の振幅を有する正弦波の出力電圧を得ることが出来る。
次に、双方向コンバータ制御回路12の動作について説明する。
双方向コンバータ制御回路12のA/Dコンバータ1009、CPU1010、D/Aコンバータ1011、誤差増幅器1202及び抵抗器1203は、第2の実施の形態に係る無停電電源装置1−2のA/Dコンバータ1009、CPU1010、D/Aコンバータ1011、誤差増幅器1102及び抵抗器1103と同様に動作する。即ち、電流検出器4から入力される入力電流情報Iiと、電流検出器5から入力される充電電流情報Icに基づいて目標電流値に対応する電圧値Icsetを生成して誤差増幅器1202の反転入力端子へ出力する。誤差増幅器1202は、電流検出器5からの充電電流情報Icと、目標電流値に対応する電圧値Icsetとの差(Ic−Icset)のβ2(誤差増幅器1102の増幅率)倍に相当する誤差増幅電圧E2を生成し、抵抗器1203を介して双方向コンバータ電圧制御回路1201へ供給する。
双方向コンバータ電圧制御回路1201は、前記誤差増幅電圧E2と、交流入力端子E及びFとバッテリ電圧端子I及びJからの電位Ve、Vf、Vi、Vjとに基づいて、公知の方法で双方向コンバータ回路22に与えるゲート駆動信号T4、T5、T6、T7を生成する。
以上のように、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3では、交流入力受電時における正の半サイクル時はMOSFET2205のゲート駆動信号T5のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御し、交流入力受電時における負の半サイクル時はMOSFET2207のゲート駆動信号T7のHレベルとLレベルの時比率を適切に制御することにより、双方向コンバータ制御回路12にて双方向コンバータ回路22の出力電圧と電流、即ちバッテリ充電電圧、電流を所望の値に制御することができる。なお、双方向コンバータ電圧制御回路1201は、抵抗器1203を介して誤差増幅器1202から与えられる誤差増幅電圧E2に基づいて、充電電流Icが充電電流設定値Icdsetより大きくならないように、ゲート駆動信号のHレベルとLレベルの時比率に制限を加えている。
また、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3は、停電発生時において、双方向コンバータ回路22をバッテリ6からのバッテリ電圧に対してインバータとして働かせ、MOSFET2205とMOSFET2206が同時にONする期間と、MOSFET2205とMOSFET2207が同時にONする期間の時比率を適切に制御することにより、所望の振幅を有する正弦波出力電圧を得ることができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る無停電電源装置1−3においても、第1及び2の実施の形態に係る無停電電源装置1−1及び1−2と同様に、バッテリ充電電流値として、入力電流制限値やバッテリの充電電流制限値を加味されて設定される充電電流設定値Icdsetに対応した充電初期電流値を自動設定することが可能となり、出力容量に見合った回復充電時間の短縮が可能となる。これにより、無停電電源装置の運用性の向上を図ることができる。
次に、本発明の第1,2及び3の実施の形態に適用されるフローを図7を参照して詳細に説明する。
図7は、第1、2及び3の実施の形態に係る無停電電源装置1−1,1−2及び1−3にそれぞれ使用されるCPU1010における他の処理例を示すフローチャートである。
図7を参照すると、CPU1010は、まずステップS7−1にて、Iidlimitのマニュアル設定を受け付ける。即ち、図示しない入力設定部からのIidlimitの入力を受け付ける。ここでは、複数個のIidlimit候補I,I,・・・、が予めメモリに格納されており、それを指定するものとする。
CPU1010は、ステップS7−1でIidlimit候補が指定されると、指定されたIidlimit候補を、ステップS7−2において、Iidlimitに設定する。
以降は、図2と同じ処理(ステップS2−1〜S2−6)を繰り返し、Icdsetを制御する。
本実施の形態によれば、マニュアルでIidlimitを設定するようにしたことで、バッテリ6として任意のバッテリを使用することが可能になる。
なお、上記実施の形態では、予めメモリに格納されているIidlimit候補を指定する場合について説明したが、直接Iidlimitを設定するようにしてもよい。
次に、本発明の第1,2及び3の実施の形態に適用されるフローを図8を参照して詳細に説明する。
図8は、第1、2及び3の実施の形態に係る無停電電源装置1−1,1−2及び1−3にそれぞれ使用されるCPU1010における、さらに他の処理例を示すフローチャートである。図8においては、図7と同様、図2のフローチャートと同一のステップには同一符号が付されている。
図8を参照すると、CPU1010は、まずステップS2−1において、A/Dコンバータ1009を介して数値化された入力電流情報Iidと入力電流制限値Iidlimitと比較照合する。そして、Iid>Iidlimitと判断すると、CPU1010は、ステップS2−3に進み、バッテリが、その充電電流を制限する必要があるものなのか否か判断する。
ステップS2−3において、充電電流に制限が必要と判断すると、CPU1010は、ステップS8−1に進み、バッテリの種類を判別する。この判別は、例えば初期設定時にメモリに格納されるバッテリ情報に基づいて行ってもよいし、バッテリ種別を検出する検出手段を設け、検出結果に基づいて行ってもよい。
次に、CPU1010は、ステップS8−2において、バッテリの種類(例えばアルカリ電池など)に応じてIcdlimitを設定する。この設定は、例えば、図示しないメモリに、バッテリの種類に応じた複数のIcdlimit候補を予め格納しておき、判別したバッテリの種類に応じたIcdlimit候補を読み出すことにより行われる。
残りのステップについては、図2を参照して説明したとおりである。
本実施の形態によれば、バッテリの種類に応じてIidlimitを設定するようにしたことで、種類の異なるバッテリ6を使用することが容易にできる。
次に、本発明の第1,2及び3の実施の形態に適用されるフローを図9を参照して詳細に説明する。
図9は、第1、2及び3の実施の形態に係る無停電電源装置1−1,1−2及び1−3にそれぞれ使用されるCPU1010における、さらにもう一つの処理例を示すフローチャートである。図9のフローチャートが図8のフローチャートと異なる点は、ステップS8−1に代えてステップS9−1を有している点である。ステップS8−2とステップS9−2とは実質的に差異はない。
なお、本実施の形態に係る無停電電源装置1−1,1−2及び1−3は、図1,5及び6にそれぞれ示す構成に加え、周囲温度を検出するための温度検出器(図示せず)を備えているものとする。そして、その温度検出器からの検出出力が(A/Dコンバータ1009を介して)CPU1010に与えられているものとする。
図9を参照すると、CPU1010は、ステップS2−3において、バッテリが充電電流を制限する必要があるものなのか否か判断し、充電電流を制限する必要があると判断すると、ステップS9−1に進む。
ステップS9−1において、CPU1010は、温度検出器からの検出温度が、予め設定された複数の温度範囲のうち、どの範囲に含まれるのかを判別する。なお、複数の温度範囲には、それぞれ、設定すべきIidlimitが割り当てられており、その関係がメモリ(図示せず)に格納されている。
次に、CPU1010は、ステップS9−2において、検出温度が含まれる範囲に割り当てられたIidlimitをメモリから読み出して設定する。
残りのステップについては、図2と同様である。
本実施の形態によれば、無停電電源装置の周囲温度に応じてIidlimitを自動設定するようにしたことで、定電流定電圧充電を行った場合に、周囲温度が高くなるに従ってバッテリが過充電傾向を示すのを防止することができる。
以上、本発明についていくつかの実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、無停電電源装置の構成や制御方式に関しては、直流出力無停電電源装置を含め他の無停電電源装置の構成や制御方式、処理フローチャート等を用いる場合にも本発明が適用できる。また、上記実施の形態では、入力電流を検出して充電電力最大値を制御する場合について説明したが、出力端子C及びDから負荷に供給される出力電流を検出する出力電流を検出するようにしてもよい。この場合、検出した出力電流値をCPUに与え、CPUが負荷との関係に基づいて入力電流値に換算するようにすれば、上述した実施の形態と同様の制御が実現できる。
本発明の第1の実施の形態に係る無停電電源装置の構成を示す回路図である。 図1の無停電電源装置に含まれるCPUの動作を説明するためのフローチャートである。 バッテリの充電特性を示すグラブであって、充電初期電流(CA)と回復充電時間(時)との関係を示すグラフである。 バッテリの全体電力と、負荷電力と、充電初期電力と、充電電圧と、充電初期電流と、回復充電時間との関係を示す一覧表である。 本発明の第2の実施の形態に係る無停電電源装置の構成を示す回路図である。 本発明の第3の実施の形態に係る無停電電源装置の構成を示す回路図である。 図1、図5及び図6の無停電電源装置にそれぞれ含まれるCPUにおける他の処理を示すフローチャートである。 図1、図5及び図6の無停電電源装置にそれぞれ含まれるCPUにおけるさらに他の処理を示すフローチャートである。 図1、図5及び図6の無停電電源装置にそれぞれ含まれるCPUにおけるさらにもう一つの処理を示すフローチャートである。 従来の無停電電源装置の一構成例を示す回路図である。
符号の説明
1−1,1−2,1−3 無停電電源装置
2 フィルタ回路
3 過電流保護器
4,5 電流検出器
6 バッテリ
10 充電器制御回路
11 2象限チョッパ制御回路
12 双方向コンバータ制御回路
20 充電回路
21 2象限チョッパ回路
22 双方向コンバータ回路
30 高力率整流回路
40 インバータ回路
50 昇圧回路
A,B 入力端子
C,D 出力端子
E,F 交流入力端子
G,H 直流端子
I,J バッテリ電圧端子
1001,1006,1102,1202 誤差増幅器(E−AMP)
1002,1007,1103,1203 抵抗器
1003 比較器(CMP)
1004 駆動回路
1005,6001 基準電圧源
1008 鋸歯状波発生器
1009 A/Dコンバータ
1010 CPU
1011 D/Aコンバータ
1101 2象限チョッパ電圧制御回路
1201 双方向コンバータ制御回路
2101,2102,2204〜2207 MOSFET
2103,2203 リアクトル
2104,2202,2208 コンデンサ
2201 トランス

Claims (9)

  1. 外部から入力端子に供給される電力を出力端子へ供給しつつバッテリを充電し、前記入力端子への電力の供給が断たれたときに前記バッテリから前記出力端子へ電力を供給する無停電電源装置において、
    前記バッテリの充電電力最大値を制御するバッテリ充電最大電力値制御手段を備えていることを特徴とする無停電電源装置。
  2. 請求項1に記載された無停電電源装置において、
    前記バッテリ充電最大電力値制御手段が、前記入力端子に流れる入力電流の大きさを表す入力電流値に基づいて前記充電電力最大値を制御するようにしたことを特徴とする無停電電源装置。
  3. 請求項2に記載された無停電電源装置において、
    前記入力電流値を検出するための入力電流検出器を備えていることを特徴とする無停電電源装置。
  4. 請求項2に記載された無停電電源装置において、
    前記出力端子に流れる出力電流の大きさを表す出力電流値を検出するための出力電流検出器と、
    該出力電流検出器が検出した前記出力電流値に基づいて前記入力電流値を演算により求める演算部と、
    を備えていることを特徴とする無停電電源装置。
  5. 請求項2,3又は4に記載された無停電電源装置において、
    前記バッテリ充電最大電力値制御手段が、予め設定された入力電流制限値と、前記入力電流値との差を低減するように前記充電最大電力値を制御するようにしたことを特徴とする無停電電源装置。
  6. 請求項5に記載された無停電電源装置において、
    前記入力電流制限値を入力設定するための設定手段を備えていることを特徴とする無停電電源装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載された無停電電源装置において、
    前記バッテリの充電電流の大きさを表す充電電流値を検出する充電電流検出器を備え、
    前記バッテリ充電最大電力値制御手段が、さらに前記充電電流検出器が検出した前記充電電流値に基づいて前記バッテリ充電最大電力値を制御するようにしたことを特徴とする無停電電源装置。
  8. 請求項7に記載された無停電電源装置において、
    前記バッテリ充電最大電力値制御手段が、前記充電電流値が予め設定された充電電流制限値以下となるように前記バッテリ充電最大電力値を制御するようにしたことを特徴とする無停電電源装置。
  9. 請求項8に記載された無停電電源装置において、
    前記バッテリの使用環境温度を検出する温度検出器を備えるとともに、
    前記予め設定された充電電流制限値として複数の温度範囲に対応する複数の候補値を用意し、
    前記バッテリ充電最大電力値制御手段が、前記温度検出器が検出した前記使用環境温度に基づいて、前記複数の候補値の中から前記充電電流制限値を選択するようにしたことを特徴とする無停電電源装置。

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