JP2005340920A - 信号処理装置、符号化方法および復号方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低コストで、演算処理時間が短いLDPC符号の符号化器および復号器を備えた信号処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 L行L列の正方行列FおよびK行M列の行列Pを用いて、K行N列の生成行列GおよびM行N列のパリティ検査行列Hを定義することにより、Kビットの情報ビットにMビットの検査ビットを付加してNビットの符号語を生成する低密度パリティ検査符号の符号化器と、Nビットの符号語に基づいてKビットの情報ビットを復元する低密度パリティ検査符号の復号器とを簡単に構成できる信号処理装置を提供する。
【選択図】 図9
Description
本発明は、ディジタル情報を伝送路に送信して、これを受信する通信装置における信号処理装置、あるいはディジタル情報を記録媒体に記録して再生する記録再生装置における信号処理装置、あるいは信号処理装置における符号化方法および復号方法に関する。
従来より、誤り訂正符号の一種として、低密度パリティ検査(LDPC)符号が知られている。このLDPC符号の符号化器は、ハミング符号などの誤り訂正符号と同様に、Kビットの情報ビットにMビットの検査ビットを付加してN=K+Mビットの符号語を生成する。このとき、従来のハミング符号などと同様に、Kビットの情報ビットにK行N列の生成行列を乗じればNビットの符号語を生成できる。
一方、LDPC符号の復号器は、N=K+M ビットの符号語に基づいて、Kビットの情報ビットを復元する。このとき、M行N列のパリティ検査行列に基づいてSum−product復号法と呼ばれる繰返し演算処理を行なうと、強力な誤り訂正が可能となり、高い復号性能を得ることができる。
LDPC符号は、一般に、M行N列のパリティ検査行列によって定義される。このパリティ検査行列の要素は大半が0であり、1は稀にしか存在しない。このようにパリティ検査行列においては、要素1の密度が低いため、特に、低密度パリティ検査符号と呼ばれている。また、このパリティ検査行列の構成法としては、非特許文献1および2あるいは特許文献1に記載された方法が知られている。
R.G.Gallager、 "Low−Density Parity−Check Codes、" Cambridge、 MA:MIT Press、 1963. D.J.C.MacKay、 "Good Error−Correcting Codes Based on Very Sparse Matrices、" IEEE Trans. Inform. Theory、 vol.45、 No.2、 pp.399−431、 Mar. 1999. 特開2003−115768号公報
R.G.Gallager、 "Low−Density Parity−Check Codes、" Cambridge、 MA:MIT Press、 1963. D.J.C.MacKay、 "Good Error−Correcting Codes Based on Very Sparse Matrices、" IEEE Trans. Inform. Theory、 vol.45、 No.2、 pp.399−431、 Mar. 1999.
ここで、非特許文献1に記載された方法は、規則的な要素配列を有する部分行列を複数個並べた後、コンピュータで発生した乱数に基づいて、行列の列配置を入れ替えてパリティ検査行列を生成するものである。そして、こうして得られたパリティ検査行列に対して、ガウス消去法をはじめとする複数ステップの行列演算処理を施すことにより、生成行列を算出できるというものである。
図10に、非特許文献1に記載された方法で生成したパリティ検査行列の例を示す。ここで、図10の行列の1行目から5行目は、要素1が規則的に並んでいる。また、5行目から10行目は、一定の規則に従って1行目から5行目の列配置を入れ替えたものであり、11行目から15行目は、乱数を用いて1行目から5行目の列配置をランダムに入れ替えたものである。
非特許文献2に記載された方法は、コンピュータで発生した乱数に基づいて、パリティ検査行列の要素が1となる位置を決めるが、その位置がLDPC符号の性能上望ましくない場合には修正を施すという試行錯誤を必要とする。こうして得られたパリティ検査行列に対して、複数ステップの行列演算処理を施すことにより、生成行列を算出できる。
特許文献1に記載された方法は、規則的な要素配列を有する部分行列を一定の規則に従って複数個並べることにより、演繹的にパリティ検査行列を生成するものである。そして、こうして得られたパリティ検査行列に対して、複数ステップの行列演算処理を施すことにより、生成行列を算出できる。
しかしながら、上記の従来技術においては、DSP(DSP:Digital Signal Processor)等を用いたソフトウェア演算で符号化器を実現する場合、符号語を生成するために複数ステップにわたる煩雑な行列演算を行なう必要があった。このため符号化に要する演算処理時間が長くなるという問題点があった。
また、LSI(LSI:Large Scale Integrated circuit)等を用いたハードウェア回路で符号化器を実現する場合、予めパリティ検査行列に行列演算処理を施して生成行列を算出しておけばよいが、こうして得られた生成行列は、パリティ検査行列とは違って要素1の密度が高い。一般に、符号化器の回路規模は、生成行列における要素1の密度にほぼ比例するため、従来技術においては、符号化器が複雑となるという問題点があった。
さらに、LSI等を用いたハードウェア回路で復号器を実現する場合、非特許文献1および2に記載された方法では、パリティ検査行列における要素1の配置が不規則であるため、復号器のメモリ制御回路が複雑になり、この結果復号器が複雑となるという問題点があった。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ソフトウェア演算で実現された演算処理時間が短いLDPC符号の符号化器を有する信号処理装置を提供することを目的としている。
また、ハードウェア回路で実現された簡単で低コストのLDPC符号の符号化器および復号器を備えた信号処理装置を提供することを目的としている。
また、ハードウェア回路で実現された簡単で低コストのLDPC符号の符号化器および復号器を備えた信号処理装置を提供することを目的としている。
請求項1に係る発明は、Kビットの情報ビットにMビットの検査ビットを付加してNビットの符号語を生成する低密度パリティ検査符号の符号化器と、Nビットの符号語に基づいてKビットの情報ビットを復元する低密度パリティ検査符号の復号器とを有し、数1に示すL行L列の正方行列Fを用いて、数2のK行M列の行列Pを構成したときに、前記符号化器におけるK行N列の生成行列Gが数3で与えられ、前記復号器におけるM行N列のパリティ検査行列Hが数4で与えられることを特徴とする信号処理装置を提案している。
この発明によれば、要素1の密度が低い正方行列Fのべき乗を用いて生成行列を定義したので、ソフトウエア演算で符号化器を構成する場合、演算処理を高速化できる。また、ハードウエア回路で符号化器を実現する場合には、構成を簡素化することができる。さらに、正方行列Fのべき乗を用いてパリティ検査行列を定義したので、ハードウエア回路で復号器を実現する場合、メモリ制御の簡素化が可能であるため、復号器全体の構成を簡素化することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された信号処理装置について、前記数2の行列Pにおいて、列方向の指数n1j , n2j , n3j ,・・・, naj は等差級数であり、各列の等差級数の公差が相異なることを特徴とする信号処理装置を提案している。
この発明によれば、数2の行列Pにおいて、列方向の指数n1j , n2j , n3j ,・・・, naj は等差級数であり、各列の等差級数の公差は相異なるようにしたので、任意に選んだ長方形の頂点がすべて1となるようなパリティ検査行列を生成することがない。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載された信号処理装置について、前記数2の行列Pにおいて、一列の指数n1k , n2k , n3k ,・・・, nakが全て同一であり、その他の列の指数n1j , n2j , n3j ,・・・, najが等差級数であり、各列の等差級数の公差が相異なることを特徴とする信号処理装置を提案している。
この発明によれば、前記数2の行列Pにおいて、一列の指数n1k , n2k , n3k ,・・・, nakが全て同一であり、その他の列の指数n1j , n2j , n3j ,・・・, najは等差級数であり、各列の等差級数の公差は相異なるようにしたので、任意に選んだ長方形の頂点がすべて1となるようなパリティ検査行列を生成することがない。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載された信号処理装置について、前記数2の行列Pにおいて、指数nij のLに関する剰余nij mod Lは、任意に選んだ長方形の4つの頂点で数5に示す配列にならないことを特徴とする信号処理装置を提案している。
この発明によれば、数2の行列Pにおいて、指数nij のLに関する剰余nij mod Lは、任意に選んだ長方形の4つの頂点で数5のように一致しないように構成したため、任意に選んだ長方形の頂点がすべて1となるようなパリティ検査行列を生成することがない。
請求項5に係る発明は、請求項1に記載された信号処理装置について、前記数2の行列Pにおいて、指数nij のLに関する剰余nij mod Lは、任意に選んだ長方形の4つの頂点で数6のように一致しないことを特徴とする信号処理装置を提案している。
この発明によれば、数2の行列Pにおいて、指数nij のLに関する剰余nij mod Lは、任意に選んだ長方形の4つの頂点で数6のように一致しないように構成したため、任意に選んだ長方形の頂点がすべて1となるようなパリティ検査行列を生成することがない。
請求項6に係る発明は、Kcビットの情報ビットにMcビットの検査ビットを付加してNcビットの符号語を生成する低密度パリティ検査符号の符号化器と、Ncビットの符号語に基づいてKcビットの情報ビットを復元する低密度パリティ検査符号の復号器とを有し、前記数2の行列Pから少なくとも一つの行を削除して、あるいは少なくとも一つの列を削除して、あるいは少なくとも一つの行と少なくとも一つの列を削除して、Kc行Mc列の行列Pcを構成したときに、前記符号化器におけるKc行Nc列の生成行列Gcが数7で与えられ、前記復号器におけるMc行Nc列のパリティ検査行列Hcが数8で与えられることを特徴とする信号処理装置を提案している。
この発明によれば、生成行列Gcおよびパリティ検査行列Hcを数7および数8のように定義することにより、任意の情報ビット数Kc、検査ビット数Mc、符号ビット数Ncを有する低密度パリティ検査符号を用途に応じて自由に設計することができる。
請求項7に係る発明は、低密度パリティ検査符号のパラメータを決定するステップと、 正方行列を定義するステップと、該正方行列のべき乗で構成される部分行列を定義するステップと、該部分行列と単位行列とで構成される生成行列を定義するステップと、該定義された生成行列と情報ビットとを乗じて低密度パリティ検査符号を生成するステップとを有することを特徴とする低密度パリティ検査符号の符号化方法を提案している。
請求項8に係る発明は、低密度パリティ検査符号のパラメータを決定するステップと、 正方行列を定義するステップと、該正方行列のべき乗で構成される部分行列を定義するステップと、該部分行列と単位行列とで構成されるパリティ検査行列を定義するステップと、 該定義されたパリティ検査行列に基づいて、繰返し演算処理を実行して低密度パリティ検査符号を復号するステップとを有することを特徴とする低密度パリティ検査符号の復号方法を提案している。
本発明のLDPC符号は、正方行列の行数L、情報ビット数K、検査ビット数M、符号語長Nを任意に選択することができるため、応用事例に適合した符号設計が可能である。また、符号化器、復号器も、ソフトウェア演算量あるいはハードウェア回路量と復号性能とに応じて自由度の高い設計が可能である。
また、本発明のLDPC符号の符号化器をDSP等のソフトウェア演算で実現する場合、符号語を生成するために複数ステップにわたる煩雑な行列演算を行なう必要がなく、このため符号化に要する演算処理時間を短縮できるという効果がある。また、本発明のLDPC符号の符号化器をLSI等のハードウェア回路で実現する場合、生成行列における要素1の密度が低いため検査ビットを生成する回路が簡単になり、この結果符号化器が簡単となる効果がある。
さらに、本発明のLDPC符号の復号器をLSI等のハードウェア回路で実現する場合、パリティ検査行列における要素1の配置が規則的であるため、復号器のメモリ制御回路が簡単になり、この結果復号器が簡単となる効果がある。したがって、本発明のLDPC符号化器と復号器は、ソフトウェア実現する場合には演算処理時間が短く、ハードウェア実現する場合には簡単で低コストであり、特に、符号語長Nが長い場合や複数のLDPC符号を併用する場合に、その効果は顕著である。
以下、図1から図9を参照して、本発明の実施例について詳細に説明する。
本発明の信号処理装置におけるLDPC符号を用いた符号化処理は、図9(a)に示すような処理過程により実現される。すなわち、まず最初に、LDPC符号のパラメータを決定する(ステップ101)。LDPC符号のパラメータが決定すると、次に、正方行列F、部分行列P、生成行列Gをそれぞれ順に定義する(ステップ102から104)。LDPC符号のパラメータが決定され、正方行列F、部分行列P、生成行列Gがそれぞれ定義されると、情報ビット列に対して、定義された生成行列Gを乗ずることによりLDPC符号が生成される(ステップ105)。
これを、具体例に基づいて、説明すると以下のようになる。
これを、具体例に基づいて、説明すると以下のようになる。
すなわち、本発明のLDPC符号は、L行L列の正方行列を構成要素として、生成行列とパリティ検査行列を定義する。例えばL=6とし、数1のような正方行列Fを定義する。ここで、行列のべき乗を記号^で表記し、正方行列Fのべき乗F^2, F^3、・・・、F^5、 F^6を計算すると、数2から数5のようになる。
すなわち、F^6が単位行列となるため、正方行列Fの任意のべき乗F^nはF^(nmod 6)で表現できる。なお、本発明の一実施例においては、数1の正方行列Fを用いて数6に示す行列Pを構成し、生成行列Gを数7でパリティ検査行列Hを数8で定義する。
ここで、生成行列Gの行数は情報ビット数Kを表し、パリティ検査行列の行数は検査ビット数Mを表し、両行列の列数は符号語長Nを表す。よって、上記例の場合、K=24、M=18、N=K+M=42である。数7の生成行列を図1に、数8のパリティ検査行列を図2に示す。図中、行列Oは全要素が0である零行列を示す。
このように本発明においては、図1の生成行列Gも図2のパリティ検査行列Hも要素0が大半を占めており、要素1の密度が低くなっている。また、従来のようにパリティ検査行列から生成行列を算出する必要は無く、パリティ検査行列Hと同時に生成行列Gを定義できる。したがって、本実施例の符号化器においては、容易に符号語を生成することができる。
符号化器は、数9のように情報ビット列sに生成行列Gを乗じて符号語cを生成する。ここで、情報ビット列sはK行1列の列ベクトル、符号語cはN行1列の列ベクトルである。
復号器は、後述するSum−product復号法を用いて符号語cを復元するが、符号語cにパリティ検査行列Hを乗じると、数10のように全要素がゼロであるM行1列の列ベクトルoが得られるので、復号結果の正誤を簡単に確認できる。
一般に、LDPC符号のパリティ検査行列の中で任意に選んだ長方形の4つの頂点全てに要素1が存在する、すなわち、数11に示すようなパターンが存在すると、復号性能が悪化することが知られている。
数6の行列Pにおいて正方行列Fの指数に着目すると、各列の指数は(1、2、3、4)、(5、4、3、2)、(1、3、5、7)となっており、各々公差が1、−1、2と異なる等差級数になっている。このように、等差級数の公差が互いに異なるように行列Pを構成するとともに、数12あるいは数13というパターンが存在しないように行列Pを構成することにより、パリティ検査行列Hにおいて数11に示すようなパターンが発生しなくなる。
前述のように、図1の生成行列と図2のパリティ検査行列で定義されるLDPC符号は、情報ビット数K=24、検査ビット数M=18、符号語長N=K+M=42であった。これに対し図3のように、図2のパリティ検査行列Hから左端の4列を削除したパリティ検査行列Hcを用いて、情報ビット数Kc=20、検査ビット数Mc=18、符号語調Nc=Kc+Mc=38の符号を構成することができる。また、図4のように、図2のパリティ検査行列Hから下端の3行と右端の3列を削除したパリティ検査行列Hdを用いて、情報ビット数Kd=24、検査ビット数Md=15、符号語長Nd=Kd+Md=39の符号を構成することができる。
次に、図9(b)を用いて、本実施例の復号器におけるLDPC符号の復号処理について説明する。
本実施例の復号器におけるLDPC符号の復号処理は、まず最初に、LDPC符号のパラメータを決定する(ステップ201)。LDPC符号のパラメータが決定すると、次に、正方行列F、部分行列P、パリティ検査行列Hをそれぞれ順に定義する(ステップ202から204)。LDPC符号のパラメータが決定され、正方行列F、部分行列P、パリティ検査行列Hがそれぞれ定義されると、パリティ検査行列Hに基づく、Sum−Product復号法を実行することにより、LDPC符号が復号される(ステップ205)。
本実施例の復号器におけるLDPC符号の復号処理は、まず最初に、LDPC符号のパラメータを決定する(ステップ201)。LDPC符号のパラメータが決定すると、次に、正方行列F、部分行列P、パリティ検査行列Hをそれぞれ順に定義する(ステップ202から204)。LDPC符号のパラメータが決定され、正方行列F、部分行列P、パリティ検査行列Hがそれぞれ定義されると、パリティ検査行列Hに基づく、Sum−Product復号法を実行することにより、LDPC符号が復号される(ステップ205)。
これを、具体例、特に、Sum−product復号法と呼ばれるアルゴリズムを中心に、以下において説明する。
[ステップ1 初期化]
パリティ検査行列の(m、n)成分が1である、すなわちHmn=1である全ての組(m、n)に対して対数事前値比βmn=0とする。
[ステップ1 初期化]
パリティ検査行列の(m、n)成分が1である、すなわちHmn=1である全ての組(m、n)に対して対数事前値比βmn=0とする。
[ステップ2 行処理]
m=1、 2、 …、 Mの各行において、Hmn=1である全ての組(m、n)に対して、数14により、対数外部値比αmnを計算する。数14において、signは極性を表す関数であり、数15で定義される。
m=1、 2、 …、 Mの各行において、Hmn=1である全ての組(m、n)に対して、数14により、対数外部値比αmnを計算する。数14において、signは極性を表す関数であり、数15で定義される。
また、関数f(x)はGallager関数と呼ばれ、数16で定義される。また、尤度情報qnは、記録LDPC符号cの第n列成分Cnが0である場合、あるいは1である場合に、再生信号のレベルがpとなる条件付確率の対数比であり、数17で与えられる。
さらに、数14において、数18は、列位置を表す変数n´を用いて第n列成分を除いた第m行の積あるいは和を求める演算を意味する。
[ステップ3 列処理]
n=1、 2、 …、 nの各列において、Hmn=1である全ての組(m、n)に対して、数19を用いて、対数事前値比βmnを計算する。
n=1、 2、 …、 nの各列において、Hmn=1である全ての組(m、n)に対して、数19を用いて、対数事前値比βmnを計算する。
数19において、数20は、行位置を表す変数m´を用いて第m行成分を除いた第n列の和を求める演算を意味する。このようなステップ2の行処理とステップ3の列処理を所定回数繰り返した後、ステップ4に移行する。
[ステップ4 符号語の復号]
n=1、 2、 …、 Nについて、数21を用いて再生符号rの第n列成分rnを復号し、アルゴリズムを終了する。数21において、数22は行位置を表す変数m´を用いて、第n列の和を求める演算を意味する。
n=1、 2、 …、 Nについて、数21を用いて再生符号rの第n列成分rnを復号し、アルゴリズムを終了する。数21において、数22は行位置を表す変数m´を用いて、第n列の和を求める演算を意味する。
以上のSum−product復号法を実行する復号器は、尤度情報qnを記憶するメモリMq、対数外部値比αmnを記憶するメモリMα、対数事前値比βmnを記憶するメモリMβを有し、メモリMαとメモリMβは、パリティ検査行列の要素1の数だけメモリアドレス(m、n)を有する。復号器はステップ2の行処理を行なう際、メモリMβのアドレス(m、n‘)に記憶されている対数事前値比βmn’を読み出して、数14の演算を行ない、演算の結果得られた対数外部値比αmnをメモリMαのアドレス(m、n)に書き込む。
また、復号器はステップ3の列処理を行なう際、メモリMαのアドレス(m‘、n)に記憶されている対数外部値比αm’nを読み出して数19の演算を行ない、演算の結果得られた対数事前値比βmnをメモリMβのアドレス(m、n)に書き込む。
本発明においては、パリティ検査行列における要素1の配置が規則的なので、メモリMαとメモリMβの読み出しと書き込みにおけるアドレス制御が容易である。例えば、図2のパリティ検査行列の場合、行列PTを構成する6行6列の正方行列の各行に一つずつ要素1が存在するとともに、各列に一つずつ要素1が存在する。このため復号器のメモリMαとメモリMβの読み出し回路は、6行6列の正方行列毎に6入力1出力のセレクタとセレクタ制御用のロジック回路を設けることにより簡単に実現できる。
以上の実施例では、数6から数8で生成行列とパリティ検査行列を定義したが、本発明はこれに限定されない。例えば、下記の数23から数25で生成行列とパリティ検査行列を定義してもよい。
数23の行列Pにおいては、正方行列Fの列方向の指数が(0、0、0、0)、(1、2、3、4)、(5、4、3、2)となっている。すなわち第1列の指数は全て同一であり、これは公差が0の等差数列とみなすことができる。数24の生成行列を図5に、数25のパリティ検査行列を図6に示す。
数23と数25とで定義されるパリティ検査行列は、6行6列の単位行列を多く含んでいる。単位行列に関しては、メモリMαとメモリMβの読み出し回路におけるセレクタ制御用のロジック回路が不要であり、復号器の回路規模をさらに削減することができる。
また、数6では、正方行列Fの指数が列方向に(1、2、3、4)、(5、4、3、2)、(1、3、5、7)と並んでおり、各々公差が1、−1、2の等差数列になっていた。しかし、本発明はこれに限定されず、行列Pにおいて数11のパターンが発生しなければ、正方行列Fの指数は等差数列でなくてもよい。
また、数26、数27のように、生成行列とパリティ検査行列において行列Pと単位行列の位置を左右で入れ替えてもよい。
さらに、行列Pを左右反転したり上下反転したりしてもよく、数11のパターンが発生しなければ、行列Pの列配置を入れ替えたり行配置を入れ替えたりしてもよい。
以上の実施例では、簡単のため符号語長Nが例えばN=42の場合について述べたが、実際のLDPC符号の符号語長は数百から数万と長いのが普通である。この場合でも本発明によれば、正方行列Fの行数L(列数L)を数十から数千と大きく設定することにより、符号語長Nが長いLDPC符号の生成行列Gとパリティ検査行列Hを容易に構成できる。
符号長Nが長い場合の具体例として、図7にL=35、K=1120、N=1260のLDPC符号の生成例を示す。また、図8にL=90、K=2160、N=2430のLDPC符号の生成行列を示す。このように本発明は、LDPC符号の生成行列とパリティ検査行列とを容易に定義することができ、設計の自由度が高いという長所がある。
また、本発明の符号化器および復号器は、DSP等を用いたソフトウェア演算でもLSI等を用いたハードウェア回路でも実現が容易であり、いずれの場合にも、高い復号性能が期待できる。よって、無線通信、有線通信、磁気記録、光記録のいずれも分野にも応用が可能である。
例えば、無線通信の場合、送信装置はLDPC符号の符号化を行なってから無線通信路に送信し、受信装置は無線通信路で雑音が重畳された受信信号に対してLDPC符号の復号を行ない、雑音によるデータ誤りを訂正することができる。また、例えば磁気記録の場合、記録装置はLDPC符号の符号化を行なってから磁気記録媒体に記録し、再生装置は磁気記録媒体で雑音が重畳された再生信号に対してLDPC符号の復号を行ない、雑音によるデータ誤りを訂正することができる。
Claims (8)
- Kビットの情報ビットにMビットの検査ビットを付加してNビットの符号語を生成する低密度パリティ検査符号の符号化器と、
Nビットの符号語に基づいてKビットの情報ビットを復元する低密度パリティ検査符号の復号器とを有し、
数1に示すL行L列の正方行列Fを用いて、数2のK行M列の行列Pを構成したときに、前記符号化器におけるK行N列の生成行列Gが数3で与えられ、前記復号器におけるM行N列のパリティ検査行列Hが数4で与えられることを特徴とする信号処理装置。
ただし、数2において、記号^は行列のべき乗を、n11〜nabは整数を表し、数3においてIKはK行K列の単位行列を表し、数4において記号T は行列の転置、IMはM行M列の単位行列を表す。
- 前記数2の行列Pにおいて、列方向の指数n1j , n2j , n3j ,・・・, naj は等差級数であり、各列の等差級数の公差が相異なることを特徴とする請求項1に記載された信号処理装置。
- 前記数2の行列Pにおいて、一列の指数n1k , n2k , n3k ,・・・, nakが全て同一であり、その他の列の指数n1j , n2j , n3j ,・・・, najが等差級数であり、各列の等差級数の公差が相異なることを特徴とする請求項1に記載された信号処理装置。
- Kcビットの情報ビットにMcビットの検査ビットを付加してNcビットの符号語を生成する低密度パリティ検査符号の符号化器と、
Ncビットの符号語に基づいてKcビットの情報ビットを復元する低密度パリティ検査符号の復号器とを有し、
前記数2の行列Pから少なくとも一つの行を削除して、あるいは少なくとも一つの列を削除して、あるいは少なくとも一つの行と少なくとも一つの列を削除して、Kc行Mc列の行列Pcを構成したときに、前記符号化器におけるKc行Nc列の生成行列Gcが数7で与えられ、前記復号器におけるMc行Nc列のパリティ検査行列Hcが数8で与えられることを特徴とする信号処理装置。
ただし、数7においてIKc はKc行Kc列の単位行列を表し、数8においてIMc はMc行Mc列の単位行列を表す。
- 低密度パリティ検査符号のパラメータを決定するステップと、
正方行列を定義するステップと、
該正方行列のべき乗で構成される部分行列を定義するステップと、
該部分行列と単位行列とで構成される生成行列を定義するステップと、
該定義された生成行列と情報ビットとを乗じて低密度パリティ検査符号を生成するステップとを有することを特徴とする低密度パリティ検査符号の符号化方法。 - 低密度パリティ検査符号のパラメータを決定するステップと、
正方行列を定義するステップと、
該正方行列のべき乗で構成される部分行列を定義するステップと、
該部分行列と単位行列とで構成されるパリティ検査行列を定義するステップと、
該定義されたパリティ検査行列に基づいて、繰返し演算処理を実行して低密度パリティ検査符号を復号するステップとを有することを特徴とする低密度パリティ検査符号の復号方法。
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