JP2005340863A - 研磨パッド及び化学的機械研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 化学的機械研磨が行なわれた被研磨膜に対してバフ研磨を行なう際に、局所的な残存段差及び点欠陥耐性を向上させると共に、研磨砥粒が蓄積されたときにコンディショニングを行なえるようにする。
【解決手段】 バフ研磨用パッド201は、被研磨膜側に設けられた発泡ポリウレタン部201aと、定盤貼付面側に設けられた不織布部201bとが貼り合わされた積層構造を有している。発泡ポリウレタン部201aの厚さは不織布部201bの厚さよりも大きく、例えば、発泡ポリウレタン部201aの厚さと不織布部201bの厚さとの比はほぼ3:1である。
【選択図】 図8

Description

本発明は、半導体集積回路の多層配線工程又は素子分離工程において導電膜又は絶縁膜の平坦化に用いられる化学的機械研磨方法、該研磨方法に用いられる研磨パッドに関する。
以下、従来の化学的機械研磨用研磨パッド(以下、単に研磨パッドと称する。)について、図11(a)〜(c)を参照しながら説明する。
図11(a)は、絶縁膜又は導電膜からなる被研磨膜側に設けられた発泡ポリウレタンからなる硬質研磨パッド1aと、研磨定盤側に設けられた不織布からなる軟質研磨パッド1bとが貼り合わされた積層構造を有する研磨パッド(以下、単に積層研磨パッドと称する。)1の断面構造を示しており、該積層研磨パッド1における硬質研磨パッド1aの厚さと軟質研磨パッドとの厚さとの比は1:1である。また、図11(b)は、全体が発泡ポリウレタンからなる単層硬質研磨パッド2の断面構造を示しており、図11(c)は、全体が不織布である単層軟質研磨パッド3の断面構造を示している。
積層研磨パッド1、単層硬質研磨パッド2及び単層軟質研磨パッド3は、被研磨膜の種類に応じて使い分けられる。
積層研磨パッド1及び単層硬質研磨パッド2は、主として絶縁膜又は導電膜からなる被研磨膜に対する化学的機械研磨に用いられる。絶縁膜の化学的機械研磨とは、絶縁膜表面の段差を平坦化すると共に絶縁膜を所定の膜厚にまで削り込む工程であり、導電膜の化学的機械研磨とは、絶縁膜に形成された孔又は溝に埋め込まれた導電膜の余分な部分を削って除去することにより、埋め込みプラグ又は埋め込み配線を形成する工程である。
図12は、積層研磨パッド1が貼着された化学的機械研磨装置を示しており、積層研磨パッド1は回転可能に設けられた研磨定盤4の上に、該研磨定盤4の上面と軟質研磨パッド1bとが対向するように貼着されている。研磨定盤4の上方には、被研磨基板5を保持すると共に回転可能且つ上下動可能である基板ホルダー6と、研磨剤7を積層研磨パッド1上に供給する研磨剤供給管8とが設けられている。従って、被研磨基板5と積層研磨パッド1の硬質研磨パッド1aとが対向する。
図13は、単層硬質研磨パッド2が貼着された化学的機械研磨装置を示している。単層硬質研磨パッド2は回転可能に設けられた研磨定盤4の上に貼着されており、該研磨定盤4の上方には、被研磨基板5を保持する基板ホルダー6と、研磨剤7を単層硬質研磨パッド2上に供給する研磨剤供給管8とが設けられている。
いる。
以下、積層研磨パッド1又は単層硬質研磨パッド2を用いて行なう化学的機械研磨法について、図12又は図13を参照しながら説明する。
積層研磨パッド1又は単層硬質研磨パッド2が貼着された研磨定盤4を回転させると共に研磨剤7を研磨剤供給管8から積層研磨パッド1又は単層硬質研磨パッド2の上に供給しながら、基板ホルダー6を回転させつつ下降させる。このようにすると、基板ホルダー6に保持された被研磨基板5は、積層研磨パッド1の硬質研磨パッド1a又は単層硬質研磨パッド2に押し付けられるので、研磨剤7によって化学的機械研磨される。尚、被研磨膜の種類に応じて研磨剤7は選択される。
一方、単層軟質研磨パッド3は、主として、化学的機械研磨が行なわれた絶縁膜又は導電膜からなる被研磨膜の表面をバフ研磨する際に用いられる。バフ研磨とは、化学的機械研磨によって絶縁膜又は導電膜の表面に発生したマイクロスクラッチ又は残留研磨砥粒を除去する工程である。
以下、単層軟質研磨パッド3を用いて行なうバフ研磨について、図14を参照しながら説明する。
単層軟質研磨パッド3が貼着された研磨定盤4を回転させると共に研磨剤7を研磨剤供給管8から単層軟質研磨パッド3の上に供給しながら、基板ホルダー6を回転させつつ下降させる。このようにすると、基板ホルダー6に保持された被研磨基板5は、単層軟質研磨パッド3に押し付けられるので、研磨剤7によってバフ研磨される。
ところで、絶縁膜又は導電膜からなる被研磨膜に対する化学的機械研磨には、研磨レート、研磨レートの面内均一性、平坦化特性及び欠陥特性等の基本特性のすべてにおいて優れていることが望まれる。
平坦化特性の評価対象となる残存段差は、局所的な残存段差と大規模な残存段差とに分類される。図15は、研磨前及び所定時間に亘って研磨を行なった後における絶縁膜の表面を示しており、局所的な残存段差DLTは、所定時間研磨後に、層間絶縁膜の表面における配線側端部と対応する部分に残存する段差のことであって、大規模な残存段差DGTは、1チップ内の配線占有率の差によって発生する段差のことであって、グローバル段差とも呼ばれる。
局所的な残存段差DLTは、研磨の進行に伴って減少していき、高密度プラズマCVD以外の成膜方法により堆積された層間絶縁膜では、局所的な残存段差の初期値DL0は配線高さと考えてよい。一方、大規模な残存段差DGTは、局所的な残存段差DLTとは異なり、研磨の進行に伴って増加していき、高密度プラズマCVD以外の成膜方法により堆積された層間絶縁膜では、大規模な残存段差の初期値DG0は0と考えてよい。局所的な残存段差DLT及び大規模な残存段差DGTの両方の値が小さければ小さいほど、優れた平坦化特性を有していると判断できる。
また、欠陥特性の評価対象となる欠陥は、点欠陥、マイクロスクラッチ及び粗大ダストである。
本願発明者が、従来の積層研磨パッド1及び単層硬質研磨パッド2の平坦化特性及び欠陥特性を評価したところ、以下のような結果を得た。
まず、従来の積層研磨パッド1は、大規模な残存段差以外の点については良好な特性を示している。積層研磨パッド1を用いたときに大規模な残存段差が劣化する原因は、積層研磨パッド1は単層硬質研磨パッド2に比べて実効的な硬度が低いため、積層研磨パッド1がパターン形状に追随するためであると考えられる。また、積層研磨パッド1が研磨レートの面内ばらつき及びマイクロスクラッチ耐性の点で優れている理由は、軟質研磨パッド1bが面内ばらつきの変動原因及びマイクロスクラッチの発生要因を吸収してしまうからであると考えられる。
次に、単層硬質研磨パッド2は、研磨レートの面内ばらつき及びマイクロスクラッチ耐性以外の点については、良好な特性を示している。単層硬質研磨パッド2を用いたときに、研磨レートの面内ばらつきが発生したり又はマイクロスクラッチ耐性が劣化したりするの原因は、単層硬質研磨パッド2の硬度が高すぎるためであると考えられる。
以上のように、従来の積層研磨パッド1及び単層硬質研磨パッド2は、絶縁膜又は導電膜に対して化学的機械研磨を行なうために必要な基本特性をすべて満足しているとは言えない。
ところで、バフ研磨については、一般的に研磨量が少ないと共に研磨面がほぼ平坦であるため、研磨レート、研磨レートの面内ばらつき及び大規模な残存段差については特に問題にはならない。しかしながら、局所的な残存段差及び点欠陥耐性の点で劣るのは問題である。
また、従来のバフ研磨には単層軟質研磨パッド3が用いられてきた。単層軟質研磨パッド3は不織布という軟らかい物質からなるため、その表面をダイヤモンドドレッサでコンディショニングすることはできない。そのため、処理枚数が増えるに伴って、単層軟質研磨パッド3の表面に研磨砥粒が蓄積し、これによって、バフ研磨された被研磨膜の表面に研磨砥粒を付着させてしまうという問題が発生する。
また、化学的機械研磨が行なわれた導電膜に対して単層軟質研磨パッド3を用いてバフ研磨を行なうと、導電膜に形状劣化が引き起こされるという問題が発生する。以下、この問題について図16(a)〜(c)を参照しながら説明する。
まず、図16(a)に示すように、半導体基板10の上に堆積された絶縁膜11に形成された孔12にタングステン膜13を充填した後、タングステン膜13に対して積層研磨パッド1又は単層硬質研磨パッド2を用いて化学的機械研磨を行なって、図16(b)に示すように、タングステン膜13における絶縁膜11の上に存在する部分を除去して、タングステンプラグ14を形成する。通常、研磨剤にはタングステン膜13と化学反応する物質が含まれているため、図16(b)に示すように、タングステンプラグ14の表面にリセス部が形成される。
次に、タングステンプラグ14のリセス部を解消するために、単層軟質研磨パッド3を用いると共に絶縁膜用の研磨剤を用いてバフ研磨を行なうと、単層軟質研磨パッド3がパターン形状に追従すると共に絶縁膜11がタングステンプラグ14よりも多く研磨されるため、図16(c)に示すように、タングステンプラグ14の表面部が絶縁膜11から突出してしまう。タングステンプラグ14の表面部が絶縁膜11から突出すると、図示は省略しているが、以下の問題が発生する。すなわち、絶縁膜11の上に堆積された層間絶縁膜に配線溝を形成した後、該配線溝が充填されるように銅膜を堆積し、その後、銅膜に対して化学的機械研磨を行なって埋め込み配線を形成すると、銅膜が配線溝からはみ出してしまう。つまり、銅膜が層間絶縁膜の上に残存してしまう。このため、隣り合う埋め込み配線同士が層間絶縁膜の上に残存する銅膜を介して電気的に接続してしまい、埋め込み配線が短絡するという問題が発生する。
前記に鑑み、本発明は、被研磨膜に対して化学的機械研磨を行なう際に、研磨レート、研磨レートの面内均一性、平坦化特性及び欠陥特性等の基本特性のすべてを満足できるようにすることを第1の目的とし、化学的機械研磨が行なわれた被研磨膜に対してバフ研磨を行なう際に、局所的な残存段差及び点欠陥耐性を向上させると共に、研磨砥粒が蓄積されたときにコンディショニングを行なえるようにすることを第2の目的とする。
前記の第2の目的を達成するため、本発明に係る研磨パッドは、研磨定盤の上に貼着され、絶縁膜又は導電膜からなり化学的機械研磨が行なわれた被研磨膜に対してバフ研磨を行なう際に用いられる研磨パッドであって、研磨定盤側に設けられた不織布部と、被研磨膜側に設けられた発泡ポリウレタン部とからなる積層構造を有し、前記研磨パッドにおける前記不織布部の占める割合は、1/2よりも大きく且つ3/4以下に設定されている。
本発明に係る研磨パッドは、研磨定盤側に設けられた不織布部と被研磨膜側に設けられた発砲ポリウレタン部との積層構造を有するため、研磨パッドの表面をコンディショニングして研磨砥粒を除去できるので、バフ研磨の対象となる被研磨膜に研磨砥粒が付着する事態を防止できる。また、被研磨膜側に発泡ポリウレタン部を有しているため、パターン形状に追従し難くなるので、導電膜からなるパターンの形状が劣化する事態を防止できる。
また、研磨パッドにおける不織布部の占める割合が、1/2よりも大きく且つ3/4以下に設定されているため、単層軟質研磨パッドが有する短所である、局所的な残存段差特性及び点欠陥特性は、発泡ポリウレタン部の厚さと不織布部の厚さとがほぼ等しい積層構造の積層研磨パッドによって補われるので、局所的な残存段差特性及び点欠陥特性が向上する。
また、前記の第2の目的を達成するため、本発明に係る化学的機械研磨方法は、研磨定盤の上に貼着された研磨パッドを用いて、絶縁膜又は導電膜からなり化学的機械研磨が行なわれた被研磨膜に対してバフ研磨を行なう化学的機械研磨方法であって、前記研磨パッドは、研磨定盤側に設けられた不織布部と被研磨膜側に設けられた発泡ポリウレタン部とからなる積層構造を有し、前記研磨パッドにおける前記不織布部の占める割合は、1/2よりも大きく且つ3/4以下に設定されている。
本発明に係る化学的機械研磨方法によると、本発明に係る研磨パッドを用いて化学的機械研磨を行なうため、バフ研磨の対象となる被研磨膜に研磨砥粒が付着する事態及び導電膜からなるパターンの形状が劣化する事態を防止することができると共に、局所的な残存段差特性及び点欠陥特性が向上する。
本発明に係る研磨パッド又は化学的機械研磨方法によると、バフ研磨の対象となる被研磨膜に研磨砥粒が付着する事態及び導電膜からなるパターンの形状が劣化する事態を防止することができると共に、バフ研磨工程における局所的な残存段差特性及び点欠陥特性が向上する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る化学的機械研磨用研磨パッド(以下、単に研磨パッドと称する。)及び化学的機械研磨方法について説明する。
図1に示すように、第1の実施形態に係る研磨パッド101は、被研磨膜側に設けられた発泡ポリウレタン部101aと、研磨定盤側に設けられた不織布部101bとが貼り合わされた積層構造を有しており、発泡ポリウレタン部101aの厚さは不織布部101bの厚さよりも大きく、第1の実施形態においては、発泡ポリウレタン部101aの厚さと不織布部101bの厚さとの比はほぼ1:3である。
以下、積層研磨パッドにおいて、発泡ポリウレタン部101aの厚さを不織布部101bの厚さよりも大きくすると、研磨レート、研磨レートの面内ばらつき、局所的な残存段差特性、大規模な残存段差特性、マイクロスクラッチ耐性及び点欠陥耐性のすべての点において優れることになる理由について説明する。
以下、従来の積層研磨パッド1、単層硬質研磨パッド2及び単層軟質研磨パッド3を用いて化学的機械研磨を行なったときに得られる、研磨レート、研磨レートの面内ばらつき、平坦化特性(局所的な残存段差特性及び大規模な残存段差特性)並びに欠陥特性についての実験結果について説明する。
(研磨レート及びその面内ばらつき)
図3(a)〜(c)は、従来の研磨パッドを用いて化学的機械研磨を行なったときに得られる研磨レート及びその面内ばらつきの実験結果を示している。図3(a)〜(c)において、横軸は直径が200mmである半導体基板における中心点(0mmの位置)からの距離(単位:mm)を示し、縦軸はシリコン酸化膜の研磨レート(nm/分)及びその面内ばらつき(%)を示している。また、図3(a)は積層研磨パッド1を用いた場合であり、図3(b)は単層硬質研磨パッド2を用いた場合であり、図3(c)は単層軟質研磨パッド3を用いた場合である。また、図3(a)〜(c)において、それぞれ、●は第1の基板ホルダーを用いた場合の実験結果を示し、△は第2の基板ホルダーを用いた場合の実験結果を示している。
図3(a)から分かるように、積層研磨パッド1は、研磨レート及び研磨レートの面内ばらつきの両方の点で優れている。すなわち、第1の基板ホルダーを用いた場合には、研磨レートの平均値は277nm/分であり、研磨レートの面内ばらつきは4.4%であった。第2の基板ホルダーを用いた場合には、研磨レートの平均値は270nm/分であり、研磨レートの面内ばらつきは5.0%であった。
図3(b)から分かるように、単層硬質研磨パッド2は、研磨レートの点では優れているが研磨レートの面内ばらつきの点で劣っている。すなわち、第1の基板ホルダーを用いた場合には、研磨レートの平均値は272nm/分であり、研磨レートの面内ばらつきは14.0%であった。第2の基板ホルダーを用いた場合には、研磨レートの平均値は256nm/分であり、研磨レートの面内ばらつきは16.0%であった。
図3(c)から分かるように、単層軟質研磨パッド3は、研磨レート及び研磨レートの面内ばらつきの両方の点で劣っている。すなわち、第1の基板ホルダーを用いた場合には、研磨レートの平均値は205nm/分であり、研磨レートの面内ばらつきは21.70%であった。第2の基板ホルダーを用いた場合には、研磨レートの平均値は217nm/分であり、研磨レートの面内ばらつきは22.3%であった。
以上の結果から、研磨レート及びその面内ばらつきという観点からは、積層研磨パッド1は、単層硬質研磨パッド2及び単層軟質研磨パッド3よりも優れていると言える。
(平坦化特性)
図4は平坦化特性の評価に用いた評価パターンを示しており、図4に示すように、半導体基板120の上に高さが0.8μmであるアルミニウム配線121が、1000μm、500μm及び50μmの各間隔で配置されており、アルミニウム配線121の上に厚さが2.1μmである層間絶縁膜122が堆積されている。平坦化特性の評価は、化学的機械研磨の研磨時間を0秒(初期状態)、40秒、120秒及び200秒と段階的に変化させると共に、各研磨時間後に層間絶縁膜122(評価パターン)の表面段差を段差計で計測することによって行なった。評価対象の残存段差は、局所的な残存段差及び大規模な残存段差の2種類である。
図5(a)〜(c)は、従来の研磨パッドを用いて化学的機械研磨を行なったときの平坦化特性の実験結果を示している。図5(a)〜(c)において、横軸は評価パターンの水平方向の距離(単位:mm)を示し、縦軸は評価パターンの垂直方向の距離(単位:mm)を示している。また、図5(a)は積層研磨パッド1を用いた場合であり、図5(b)は単層硬質研磨パッド2を用いた場合であり、図5(c)は単層軟質研磨パッド3を用いた場合である。
図5(a)から分かるように、積層研磨パッド1は、局所的な残存段差特性の点では優れているが、大規模な残存段差特性の点では劣っている。すなわち、研磨時間200秒後において、局所的な残存段差は20nm以下であって、800nmの初期段差を有する層間絶縁膜に対する平坦化特性は優れている。ところが、研磨時間200秒後における大規模な残存段差は約300nmにまで拡大している。
図5(b)から分かるように、単層硬質研磨パッド2は、局所的な残存段差特性及び大規模な残存段差特性の両方で優れている。すなわち、研磨時間200秒後において、局所的な残存段差は20nm以下であって、800nmの初期段差を有する層間絶縁膜に対する平坦化特性は優れている。また、研磨時間200秒後における大規模な残存段差は約70nmに留まっている。
図5(c)から分かるように、単層軟質研磨パッド3は、局所的な残存段差特性及び大規模な残存段差特性の両方で劣っている。すなわち、研磨時間200秒後において、局所的な残存段差は300〜600nmであって、800nmの初期段差を有する層間絶縁膜に対する平坦化特性は不十分である。また、研磨時間200秒後における大規模な残存段差は約300nmにまで拡大している。
以上の結果から、積層研磨パッドにおける硬質研磨パッドの割合を大きくして、研磨パッド全体の実効的な硬度(研磨パッド全体の硬度)を増加させると、大規模な残存段差を低減できることが分かる。
(欠陥特性)
図6は、従来の研磨パッドを用いて化学的機械研磨を行なったときにおける、研磨後のシリコン酸化膜表面の欠陥特性の実験結果を示している。欠陥は1個づつ光学顕微鏡によって分類され、分類の内訳は、径が1.0μm未満の点欠陥、マイクロスクラッチ、及び径が1.0μm以上の粗大ダストの3種類である。 図6から分かるように、単層軟質研磨パッド3では、総欠陥数が最も多いと共に、点欠陥数が総欠陥数の大部分を占めている。このことから、研磨パッド表面に硬質研磨パッドが存在すると、点欠陥数を低減できると言える。
歩留まりの低下に最も大きな影響を及ぼすマイクロスクラッチに注目すると、マイクロスクラッチは、単層硬質研磨パッド2で最も多く発生している一方、積層研磨パッド1及び単層軟質研磨パッド3では、同程度の低い数になっている。このことから、研磨パッド全体の実効的な硬度(研磨パッド全体としての硬度)を低くすると、マイクロスクラッチ耐性を向上させることができると言える。
(結論)
以上の実験結果から、次のような結論を導き出すことができる。
積層研磨パッド1は、研磨レート、研磨レートの面内ばらつき、局所的な残存段差特性、マイクロスクラッチ耐性及び点欠陥耐性に優れているが、大規模な残存段差特性で劣る。
単層硬質研磨パッド2は、研磨レート、局所的な残存段差特性、大規模な残存段差特性及び点欠陥耐性に優れているが、研磨レートの面内ばらつき及びマイクロスクラッチ耐性で劣る。
単層軟質研磨パッド3は、マイクロスクラッチ耐性に優れているが、研磨レート、研磨レートの面内ばらつき、局所的な残存段差特性、大規模な残存段差特性及び点欠陥耐性で劣る。
従って、積層研磨パッドは、総合的に優れているが、大規模な残存段差特性の点で劣るので、積層研磨パッドにおける大規模な残存段差特性を向上させるためには、積層研磨パッドにおける硬質研磨パッドの占める割合を、従来の積層研磨パッド1における硬質研磨パッドの占める割合(1/2)と、従来の単層硬質研磨パッド2における硬質研磨パッドの占める割合(1/1)との間に設定することが好ましい。換言すると、積層研磨パッドを採用すると共に、硬質研磨パッドの厚さを軟質研磨パッドの厚さよりも大きくすると、大規模な残存段差特性を向上させることができる。
特に、積層研磨パッドにおける硬質研磨パッドの占める割合を、従来の積層研磨パッド1における硬質研磨パッドの占める割合(1/2)と、従来の単層硬質研磨パッド2における硬質研磨パッドの占める割合(1/1)との中間の値(3/4)に設定すると、つまり硬質研磨パッドの厚さと軟質研磨パッドの厚さとの比をほぼ3:1に設定すると、研磨レート、研磨レートの面内ばらつき、平坦化特性(局所的な残存段差特性及び大規模な残存段差特性)、並びに欠陥特性(マイクロスクラッチ耐性及び点欠陥耐性)のすべての点において優れることになる。
図2は、第1の実施形態に係る研磨パッド101を用いて行なう化学的機械研磨方法を示しており、研磨パッド101は回転可能に設けられた研磨定盤110の上に、該研磨定盤101の上面と不織布部101bとが対向するように貼着されている。研磨定盤110の上方には、被研磨基板111を保持すると共に回転可能且つ上下動可能である基板ホルダー112と、研磨剤113を研磨パッド101上に供給する研磨剤供給管114とが設けられている。
研磨パッド101が貼着されている研磨定盤110を回転させると共に研磨剤113を研磨剤供給管114から研磨パッド101の上に供給しながら、基板ホルダー112を回転させつつ下降させる。このようにすると、基板ホルダー112に保持された被研磨基板111は、研磨パッド101の発泡ポリウレタン部101aに押し付けられるので、研磨剤113によって良好に化学的機械研磨される。
図7(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る化学的機械研磨方法を利用する半導体装置の製造方法の各工程を示し、局所的な残存段差の初期値及び大規模な残存段差の初期値がいずれも大きい場合であっても、第1の実施形態に係る研磨パッド101を用いて化学的機械研磨を行なうと、研磨の終了時には局所的な残存段差及び大規模な残存段差が消滅することを示している。
まず、図7(a)に示すように、半導体基板120の上に、異なる配線幅を持つアルミニウム配線121が形成され、該アルミニウム配線121の上に、高密度プラズマCVD法により堆積されたシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜123が形成され、該第1の層間絶縁膜123の上にプラズマTEOS法により堆積されたシリコン酸化膜からなる第2の層間絶縁膜124が形成されている。高密度プラズマCVDシリコン酸化膜は、配線幅が小さいアルミニウム配線121の上には僅かしか堆積されないが、配線幅が大きいアルミニウム配線121の上には設定値通りに堆積されるため、研磨の初期段階において、第2の層間絶縁膜124における配線幅の大きいアルミニウム配線121の上方に大規模な段差が発生している。
次に、第2の層間絶縁膜124に対して、第1の実施形態に係る研磨パッド101を用いて化学的機械研磨を行なうと、第1の実施形態に係る研磨パッド101は大規模な残存段差特性に優れているため、図7(b)に示すように、第2の層間絶縁膜124における大規模な残存段差は大きく低減し、化学的機械研磨が終了したときには、図7(c)に示すように、第2の層間絶縁膜124における局所的な残存段差及び大規模な残存段差はいずれも消滅する。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るバフ研磨用パッド及び化学的機械研磨方法について説明する。
図8に示すように、第2の実施形態に係るバフ研磨用パッド201は、被研磨膜側に設けられた発泡ポリウレタン部201aと、定盤貼付面側に設けられた不織布部201bとが貼り合わされた積層構造を有しており、発泡ポリウレタン部201aの厚さは不織布部201bの厚さよりも大きく、第2の実施形態においては、発泡ポリウレタン部201aの厚さと不織布部201bの厚さとの比はほぼ3:1である。
第2の実施形態に係るバフ研磨用パッド201は、被研磨膜側に発泡ポリウレタン部201aが設けられているため、バフ研磨用パッド201の表面部つまり発泡ポリウレタン部201aはダイヤモンドドレッサによりコンディショニングすることができる。このため、処理枚数が増加してバフ研磨用パッド201の表面に研磨砥粒が蓄積したときには、バフ研磨用パッド201の表面部をダイヤモンドドレッサによりコンディショニングすることによって、研磨砥粒を除去することができる。従って、バフ研磨の対象となる被研磨膜に研磨砥粒が付着する事態が解消する。
また、第2の実施形態に係るバフ研磨用パッド201は、被研磨膜側に発泡ポリウレタン部201aが設けられているため、パターン形状に追従し難くなるので、タングステンプラグが突出したりするパターン形状の劣化という問題は発生しない。以下、この点について図10(a)〜(c)を参照しながら説明する。
まず、図10(a)に示すように、半導体基板220の上に堆積された絶縁膜211には、接続孔又は配線溝となる凹部212が形成されており、該凹部212にタングステン膜213を充填する。次に、タングステン膜213に対して、従来の積層研磨パッド1若しくは単層硬質研磨パッド2又は第1の実施形態に係る研磨パッド101を用いて化学的機械研磨を行なって、図10(b)に示すように、タングステン膜213における絶縁膜211の上に存在する部分を除去して、タングステンプラグ214を形成する。通常、研磨剤にはタングステン膜213と化学反応する物質が含まれているため、図10(b)に示すように、タングステンプラグ214の表面にリセス部が形成される。
次に、タングステンプラグ214のリセス部を解消するべく、第2の実施形態に係るバフ研磨用パッド201を用いると共に絶縁膜用の研磨剤を用いてバフ研磨を行なうと、バフ研磨用パッド201は被研磨膜側に発泡ポリウレタン部201aを有しているためパターン形状に追従し難いため、図10(c)に示すように、タングステンプラグ214の表面は絶縁膜211の表面と面一になる。
以下、バフ用研磨パッド201において、発泡ポリウレタン部201aの厚さと不織布部201bの厚さとの比をほぼ1:3にすると、点欠陥耐性が向上する理由について説明する。
発明が解決しようとする課題の項において既に説明したように、バフ研磨については、一般的に研磨量が少ないと共に研磨面がほぼ平坦であるため、研磨レート、研磨レートの面内ばらつき及び大規模な残存段差特性については特に問題にはならないが、局所的な残存段差特性及び点欠陥耐性の点で劣るのは問題である。
ところが、従来の単層軟質研磨パッド3は、図3(c)を参照しながら説明したように、局所的な残存段差特性の点で劣ると共に、図6を参照しながら説明したように、点欠陥特性の点でも劣る。
これに対して、従来の積層研磨パッド1は、図5(a)を参照しながら説明したように、局所的な残存段差特性の点では優れていると共に、図6から分かるように、点欠陥特性の点でも悪くない。
従って、バフ研磨用パッドにおいて、局所的な残存段差特性及び点欠陥特性を向上させるためには、積層研磨パッドを採用すると共に、積層研磨パッドにおける軟質研磨パッドの占める割合を、従来の積層研磨パッド1における軟質研磨パッドの占める割合(1/2)と、従来の単層軟質研磨パッド3における軟質研磨パッドの占める割合(1/1)との間に設定することが好ましい。換言すると、積層研磨パッドを採用すると共に、軟質研磨パッドの厚さを硬質研磨パッドの厚さよりも大きくすると、バフ研磨用パッドの局所的な残存段差特性及び点欠陥耐性を向上させることができる。
特に、バフ研磨用パッドにおける軟質研磨パッドの占める割合を、従来の積層研磨パッド1における軟質研磨パッドの占める割合(1/2)と、従来の単層軟質研磨パッド3における軟質研磨パッドの占める割合(1/1)との中間の値(3/4)に設定すると、つまり軟質研磨パッドの厚さと硬質研磨パッドの厚さとの比をほぼ3:1にすると、バフ研磨用パッドの局所的な残存段差特性及び点欠陥耐性を大きく向上させることができる。
図9は、第2の実施形態に係るバフ研磨用パッド201を用いて行なう化学的機械研磨方法を示しており、バフ研磨用パッド201は回転可能に設けられた研磨定盤210の上に、該研磨定盤201の上面と不織布部201bとが対向するように貼着されている。研磨定盤210の上方には、被研磨基板211を保持すると共に回転可能且つ上下動可能である基板ホルダー212と、研磨剤213を研磨パッド201上に供給する研磨剤供給管214とが設けられている。
研磨パッド201が貼着されている研磨定盤210を回転させると共に研磨剤213を研磨剤供給管214から研磨パッド201の上に供給しながら、基板ホルダー212を回転させつつ下降させる。このようにすると、基板ホルダー212に保持された被研磨基板211は、バフ用研磨パッド201の発泡ポリウレタン部201aに押し付けられるので、研磨剤213によって良好にバフ研磨される。
本発明に係る研磨パッド又は化学的機械研磨方法によると、バフ研磨の対象となる被研磨膜に研磨砥粒が付着する事態及び導電膜からなるパターンの形状が劣化する事態を防止することができると共に、バフ研磨工程における局所的な残存段差特性及び点欠陥特性が向上する。
本発明の第1の実施形態に係る研磨パッドの断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る化学的機械研磨方法を示す断面図である。 (a)〜(c)は、従来の研磨パッドを用いて化学的機械研磨を行なったときに得られる研磨レート及びその面内ばらつきの実験結果を示し、(a)は従来の積層研磨パッドの場合であり、(b)は従来の単層硬質研磨パッドの場合であり、(c)は従来の単層軟質研磨パッドの場合である。 従来の研磨パッドの平坦化特性の評価に用いる評価パターンを示す断面図である。 従来の研磨パッドを用いて化学的機械研磨を行なったときの平坦化特性の実験結果を示し、(a)は従来の積層研磨パッドの場合であり、(b)は従来の単層硬質研磨パッドの場合であり、(c)は従来の単層軟質研磨パッドの場合である。 従来の研磨パッドを用いて化学的機械研磨を行なったときにおける、研磨後のシリコン酸化膜表面の欠陥特性の実験結果を示す図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態に係る化学的機械研磨方法を利用する半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る研磨パッドの断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る化学的機械研磨方法を示す断面図である。 (a)〜(c)は、第2の実施形態に係る化学的機械研磨方法を利用する半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。 (a)は従来の積層研磨パッドの断面図であり、(b)は従来の単層硬質研磨パッドの断面図であり、(c)は従来の単層軟質研磨パッドの断面図である。 従来の積層研磨パッドを用いて行なう化学的機械研磨方法を示す断面図である。 従来の単層硬質研磨パッドを用いて行なう化学的機械研磨方法を示す断面図である。 従来の単層軟質研磨パッドを用いて行なう化学的機械研磨方法を示す断面図である。 局所的な残存段差特性及び大規模な残存段差特性を説明する断面図である。 (a)〜(c)は、化学的機械研磨が行なわれた導電膜に対して単層軟質研磨パッドを用いてバフ研磨を行なうときの問題点を説明する断面図である。
符号の説明
101 研磨パッド
101a 発泡ポリウレタン部
101b 不織布部
110 研磨定盤
111 半導体基板
112 ホルダー
113 研磨剤
114 研磨剤供給管
120 半導体基板
121 アルミニウム配線
122 層間絶縁膜
123 第1の層間絶縁膜
124 第2の層間絶縁膜
201 研磨パッド
201a 発泡ポリウレタン部
201b 不織布部
210 研磨定盤
211 半導体基板
212 ホルダー
213 研磨剤
214 研磨剤供給管
220 半導体基板
211 絶縁膜
212 凹部
213 タングステン膜
214 タングステンプラグ

Claims (2)

  1. 研磨定盤の上に貼着され、絶縁膜又は導電膜からなり化学的機械研磨が行なわれた被研磨膜に対してバフ研磨を行なう際に用いられる研磨パッドであって、
    研磨定盤側に設けられた不織布部と、被研磨膜側に設けられた発泡ポリウレタン部とからなる積層構造を有し、
    前記研磨パッドにおける前記不織布部の占める割合は、1/2よりも大きく且つ3/4以下に設定されていることを特徴とする研磨パッド。
  2. 研磨定盤の上に貼着された研磨パッドを用いて、絶縁膜又は導電膜からなり化学的機械研磨が行なわれた被研磨膜に対してバフ研磨を行なう化学的機械研磨方法であって、
    前記研磨パッドは、研磨定盤側に設けられた不織布部と被研磨膜側に設けられた発泡ポリウレタン部とからなる積層構造を有し、
    前記研磨パッドにおける前記不織布部の占める割合は、1/2よりも大きく且つ3/4以下に設定されていることを特徴とする化学的機械研磨方法。
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