JP2005340090A - イオン発生電極およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 寿命を延ばすことがが可能なイオン発生電極およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】 正方形の市松模様のレジスト膜、言い換えれば、正方形の市松模様の開口パターンを有するレジスト膜をマスクとして、単結晶シリコン基板をドライエッチングする。それにより、市松模様に対応する窪みが形成される。その後、レジスト膜を除去し、窪みを有する単結晶シリコン基板をウエットエッチングする。それにより、最終的に形成される針部の形状は正四角錐の凹凸繰り返しパターンが連続して並んだ形状となる。
【選択図】 図3
【解決手段】 正方形の市松模様のレジスト膜、言い換えれば、正方形の市松模様の開口パターンを有するレジスト膜をマスクとして、単結晶シリコン基板をドライエッチングする。それにより、市松模様に対応する窪みが形成される。その後、レジスト膜を除去し、窪みを有する単結晶シリコン基板をウエットエッチングする。それにより、最終的に形成される針部の形状は正四角錐の凹凸繰り返しパターンが連続して並んだ形状となる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、電圧が印加されてイオンを発生するイオン発生電極およびその製造方法に関するものである。
特開2001−46908号公報には、シリコン基板中の不純物析出領域をマイクロマスクとして、シリコン基板を高選択比異方性エッチングすることによって、図13に示すような多数の鋭い針電極を一括して形成する技術が開示されている。この針電極は、平板の電極に対向するように形成されている。
特開2001−46908号公報
不純物析出領域をマスクとして用いる前述の針電極の形成方法においては、たとえば、シリコン基板と不純物析出領域との選択比が10であれば、針部の長さが析出物の10倍以上になるような針電極を形成することができない。さらに、不純物析出領域は単一組織ではないので、選択比自体が定まらない。一方、析出物を大きくすれば、針部を長くすることができる。しかしながら、針部を長くすれば、針の先端の曲率半径が大きくなるため、針部の先端での電界集中が生じ難くなる。そのため、針部に印加する電圧を高くする必要があるとともに、イオン発生電極を内装したイオン発生装置が大きくなってしまう。
本発明は、前述のような問題に鑑みてなされたものであり、その一の目的は、針部に印加する電圧を低くすることができるとともに、イオン発生電極を内装したイオン発生装置の大きさを小さくすることができるイオン発生電極およびその製造方法を提供することである。
また、前述の針電極の形成方法によれば、シリコン基板中の不純物の位置および大きさによって針部の分布および長さが決定されるため、針部の分布および長さにばらつきが生じ易い。その結果、針電極の寿命が短くなる。
本発明の他の目的は、針部の分布および長さの均一化を図ることによって針電極の寿命を延ばすことができるイオン発生電極およびその製造方法を提供することである。
さらに、前述の従来の針電極の形成工程は、ドライエッチングによって行われる。そのため、100μm程度の長さの針部を形成するためには、かなりの加工時間が必要となる。その結果、針電極の製造コストは高くなる。したがって、針部の長さを100μm程度にまで長くすることは現実的ではない。
本発明のさらに他の目的は、針部の形成工程を短時間で行うことが可能なイオン発生電極およびその製造方法を提供することである。
本発明のイオン発生電極は、突起形状の凹凸繰り返しパターンを有する針部に電圧が印加されてイオンを発生させるものである。このイオン発生電極によれば、細長く延びる針部に比較して突起形状の凹凸繰り返しパターンの方が損傷し難いため、針部の寿命を延ばすことができる。
また、前述の針部は、三角錐または四角錐の凹凸繰り返しパターンを有する錐状針部である。このイオン発生電極によれば、凹凸繰り返しパターンを容易に形成することができる。
また、前述の針部は単結晶シリコンからなることが望ましい。この構造によれば、針部をより先鋭な形状にすることができるため、針部において電界集中が生じ易くなる。その結果、針部に印加する電圧を低くすることができるとともに、イオン発生電極を内装したイオン発生装置の大きさおよび消費電力を小さくすることができる。
また、前述の針部の表面部にシリコン酸化膜を有することが望ましい。この構造によれば、針部がシリコン酸化膜で保護されているため、針部の寿命を延ばすことができる。
針部は、一の針部と他の針部とを有し、一の針部に正の電圧が印加されるとともに他の針部に負の電圧が印加されることにより、針部の近傍においてプラスイオンおよびマイナスイオンのそれぞれがほぼ同量ずつ生成される。この構成によれば、イオン発生電極において除菌作用を有するイオンを効率的に発生させることができる。
本発明のイオン発生電極の製造方法によれば、単結晶シリコン部の表面上に所定のパターンが形成されたマスクを形成する工程と、マスクを用いて、単結晶シリコン部をエッチングすることにより、単結晶シリコン部に所定のパターンに対応する窪み部を形成する工程と、マスクを除去する工程と、窪み部が形成された単結晶シリコン部をウエットエッチングすることにより、単結晶シリコン部に突起形状の凹凸繰り返しパターンを有する針部を形成する工程とを備えている。
上記の製法によれば、針部の先端の形状が先鋭になるため、針部において電界集中が生じ易くなる。その結果、針部に印加する電圧を低くすることができるとともに、イオン発生電極を内装したイオン発生装置を小さくすることができる。また、針部の分布および長さの均一化を図ることができる。さらに、従来の技術に比較して、針部の製造時間を短縮することができる。
また、針部を有する単結晶シリコン部の表面を酸化する工程をさらに備えていることが望ましい。この製法により形成されたイオン発生電極は、シリコン酸化膜が針部を保護するため、その寿命が延びる。
以下、本発明の実施の実施の形態のイオン発生装置を図面を参照しながら説明する。
図1〜図6を用いて、本実施の形態のイオン発生装置の錐状針部の構造を説明する。
本実施の形態のイオン発生装置は、図1および図2に示すように、四角錐の凹凸繰り返しパターン5が前後方向および左右方向に連続して設けられた構造である。図1においては、外周以外の実線は、凸部の屈曲部を示し、破線は凹部の屈曲部を示し、二点鎖線は、凹凸繰り返しパターンを上下に二等分する仮想の基準面と凹凸繰り返しパターンとが交差する仮想線を示す。また、図2においては、凹凸繰り返しパターン5のうち、一部のパターンのみが示されているが、これは、凹凸繰り返しパターン5の理解を容易にするためであり、本来のイオン発生電極は、図2に示す構造が前後方向および左右方向に連続して多数並べられている。また、図2においては、破線は、斜視図としては見えない部分の屈曲部を示し、二点鎖線は、凹凸繰り返しパターンを上下に二等分する仮想の基準面と凹凸繰り返しパターンとが交差する仮想線を示す。また、図3は、図1のIII−III線断面図である。図3においては、イオン発生装置の断面形状は、二等辺三角形が連続して一直線上に並んだような形状になっている。
また、図1〜図3には、イオン発生装置として、四角錐の凹凸繰り返しパターン5を有する構造が示されているが、四角錐の凹凸繰り返しパターン5の代わりに、図4〜図6に示す三角錐の凹凸繰り返しパターン5を有する構造が用いられてもよい。図4においては、外周以外の実線は、凸部の屈曲部を示し、破線は凹部の屈曲部を示し、二点鎖線は、凹凸繰り返しパターンを上下に二等分する仮想の基準面と凹凸繰り返しパターンとが交差する仮想線を示す。また、図5においては、凹凸繰り返しパターン5のうち、一部のパターンのみが示されているが、これは、凹凸繰り返しパターン5の理解を容易にするためであり、本来のイオン発生電極は、図5に示す構造が、互いに120°の交差角を有する3方向のそれぞれに連続して多数並べられている。また、図5においては、破線は、斜視図としては見えない部分の屈曲部を示し、二点鎖線は、凹凸繰り返しパターンを上下に二等分する仮想の基準面と凹凸繰り返しパターンとが交差する仮想線を示す。また、図6は、図4のVI−VI線断面図である。図6においては、イオン発生電極の断面形状は、二等辺三角形以外の三角形となっている。また、先端が尖った針状の角錐が形成されれば、その突起の形状は、図1〜図6に示すものに限定されず、他のいかなるものであってもよい。
なお、本明細書において凹凸繰り返しパターンとは、仮想の基準面より上側に突出する凸部と、仮想の基準面より下側に突出する凹部とが、所定の方向において、連続して繰り返されるように、並んで設けられているパターンである。また、図1〜図6に図示する構造は、理論的な構造であって、実際に形成される凹凸繰り返しパターンは、図1〜図6に示す構造とわずかに異なる場合がある。
次に、図1〜図6に示す構造のイオン発生電極の製造方法を、図7〜図10を用いて説明する。
本実施の形態のイオン発生電極の製造方法においては、錐状針部を形成するための基板として、シリコンウエハ等の単結晶からなる基板1または少なくとも表面層が単結晶シリコン膜である基板1が準備される。その後、レジスト膜2にマスクパターンをフォトリソグラフィを用いて形成する。より具体的には、まず、レジストを基板1の上に塗布し、レジスト膜2を形成する。その後、レジスト膜2にレチクルの開口パターンを通過する光を照射する。このとき、レジスト膜2の光が照射された部分は化学変化を起こす。次に、レジスト膜2をアルカリ溶液等に浸す。それにより、レジスト膜2のうち化学変化を起こしている部分がアルカリ溶液によって除去される。
その結果、図7または図8に示すように、基板1の上にレジスト膜2が形成される。なお、図7は、図1〜図3に示す四角錐の凹凸繰り返しパターン5を有するイオン発生電極を製造するときに用いられるレジスト膜のパターンであり、レジスト膜2の平面形状は、正方形である。また、図8は、図4〜図6に示す三角錐の凹凸繰り返しパターン5を有するイオン発生電極を製造するときに用いられるレジスト膜のパターンであり、レジスト膜2の平面形状は、正三角形である。なお、図7および図8に示す構造のIX−IX断面は、互いにほぼ同様の形状を有しており、その形状が図9に示されている。つまり、図9に示すように、レチクルの開口パターンに対応する開口パターン3を有するレジスト膜2が形成される。
図9に示す構造が形成された段階においては、レジスト膜2の平面形状は、図7または図8に示すように、レジスト膜2と開口パターンとが交互に並んだパターンを有している。したがって、図9に示すレジスト膜2を用いる場合には、最終的に形成される針部の形状は、正四角錐または正三角錐の凹凸繰り返しパターンが所定の方向に連続して並んだ形状となる。
次に、図9に示す状態で、開口パターン3を有するレジスト膜2をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチング、ウェットエッチング、または、ドライエッチングおよびドライエッチングの後のウエットエッチングを行うことによって、たとえば100nm程度、基板1が掘り下げられ、それにより、窪み4が形成される。なお、ドライエッチングの後にウエットエッチングする場合のドライエッチングにおいては、基板1を深く掘り下げる必要がないため、基板1とレジスト膜2との選択比を考慮したエッチングガス種の選択は必要ない。
次に、開口パターン3を有するレジスト膜2をアッシング処理および有機溶剤等によって基板1上から除去する。その結果、図10に示すように、窪み4を有する構造の基板1が形成される。その後、KOH水溶液などを用いて、図10に示す窪み4を有する構造の基板1をウェットエッチングする。それにより、基板1は異方性エッチングされる。その結果、エッチピットが成長する。このエッチピットが連結されることによって、図1〜図3または図4〜図6に示すような、四角錐または三角錐の凹凸繰り返しパターンからなる錐状針部を有するイオン発生電極が完成する。なお、窪み4を形成するための開口パターン3は小さくてもよいが、基板1の結晶面により決まるエッチピットの向きおよび形状と、開口パターン3の向きおよび形状とは一致していることが必要である。
上記のイオン発生電極の製造方法によれば、基板1の結晶方位またはレジスト膜2の開口パターン(模様および開口部間隔等)、エッチング時間、およびエッチング液等の変更をすることによって、錐状針部の長さおよび形状を調節したり、複数の錐状針部の形状を統一したりすることができる。また、錐状針部の先端の曲率半径は、単結晶シリコンの結晶面同士が交差する角部の曲率半径であるため、錐状針部の先端は、ナノメートルレベルの鋭さを有する。その結果、イオン発生電極に印加する電圧を低くすることができるとともに、イオン発生電極を内装したイオン発生装置自体を小さくすることができる。
言い換えれば、本実施の形態のイオン発生電極の製造方法によれば、単結晶シリコンの結晶面に沿うように単結晶シリコンがエッチングされるため、従来技術のように針部の長さが微小析出物のサイズに依存せず、かつ、角錐状の大きな針が均一かつ規則正しく連続して並んで形成される。
また、本実施の形態のイオン発生電極の製造方法によれば、放電によりプラズマにさらされてエッチングを受ける錐状針部の長さを均一にかつ長くするため、錐状針部の寿命を長くすることができる。
さらに、錐状針部の側面は一定の面方位を有している。そのため、図11または図12に示すように、図7または図8に示す構造の基板1の表面部を熱酸化すれば、実施の形態2のイオン発生電極として、基板1の表面上に基板1の表面の形状に沿って均一でかつ強固な酸化膜6が形成されたイオン発生電極を形成することができる。この実施の形態2のイオン発生電極によれば、酸化膜6が基板1の錐状針部を保護するため、さらにイオン発生電極の寿命を長くすることができる。
従来のイオン発生電極の製造方法においては、複数枚の基板1のそれぞれに別個の工程において針部を形成するため、複数枚の基板1のそれぞれに長い針部を形成するには、ドライエッチング工程を長時間行なう必要があった。しかしながら、本実施の形態のイオン発生電極の製造方法においては、錐状針部をウエットエッチングよって形成するため、複数枚の基板1の全てに一括して針部を形成することができる。したがって、本実施の形態のイオン発生電極の製造方法を用いれば、イオン発生電極の製造時間を短縮することができる。
また、前述のイオン発生電極の錐状針部に電圧を印加し、錐状針部の近傍で放電を生じさせれば、錐状針部に対向する平板電極が設けられていなくても、放電によって発生したイオンは勢いよく錐状針部の先端から放出される。その結果、ファン等を用いて錐状針部の先端に強制的に送風しなくても、イオン発生電極の周辺にイオンを行き拡散させることができる。
また、前述の錐状針部の一の部分と他の部分とが分離された状態で、前述の一の部分に所定の大きさの正の電圧を印加し、前述の他の部分に前述の所定の大きさと略同じ大きさの負の電圧を印加すれば、プラスイオンおよびマイナスイオンを同量ずつ発生させることができる。それにより、空気中の菌およびウィルスを不活化することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基板、2 レジスト膜、3 開口パターン、4 窪み、5 凹凸繰り返しパターン、6 酸化膜。
Claims (7)
- 突起形状の凹凸繰り返しパターンを有する針部に電圧が印加されてイオンを発生させる、イオン発生電極。
- 前記針部は、三角錐または四角錐の凹凸繰り返しパターンを有する錐状針部である、請求項1に記載のイオン発生電極。
- 前記針部が単結晶シリコンからなる、請求項1に記載のイオン発生電極。
- 前記針部の表面部にシリコン酸化膜を有する、請求項3に記載のイオン発生電極。
- 前記針部は、一の針部と他の針部とを有し、
前記一の針部に正の電圧が印加されるとともに前記他の針部に負の電圧が印加されることにより、前記錐状針部の近傍においてプラスイオンおよびマイナスイオンのそれぞれがほぼ同量ずつ生成される、請求項1〜4のいずれかに記載のイオン発生電極。 - 単結晶シリコン部の表面上に所定のパターンが形成されたマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて、前記単結晶シリコン部をエッチングすることにより、前記単結晶シリコン部に前記所定のパターンに対応する窪み部を形成する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
前記窪み部が形成された前記単結晶シリコン部をウエットエッチングすることにより、前記単結晶シリコン部に突起形状の凹凸繰り返しパターンを有する針部を形成する工程とを備えた、イオン発生電極の製造方法。 - 前記針部を有する前記単結晶シリコン部の表面を酸化する工程をさらに備えた、請求項6に記載のイオン発生電極の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2004159588A JP2005340090A (ja) | 2004-05-28 | 2004-05-28 | イオン発生電極およびその製造方法 |
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Cited By (2)
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KR101263213B1 (ko) | 2011-03-30 | 2013-05-10 | 탑폴린테크(주) | 이온발생장치 |
CN103149751A (zh) * | 2013-02-19 | 2013-06-12 | 北京京东方光电科技有限公司 | 一种下部电极及其制作方法 |
-
2004
- 2004-05-28 JP JP2004159588A patent/JP2005340090A/ja not_active Withdrawn
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