JP2005338634A - 画像形成装置および画像形成装置のヒータ出力最適化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 省エネモードから通常使用状態への復帰時に、制御すべき定着装置のローラ表面(ベルト表面)近傍に配置されている温度検知素子によりローラ表面の温度を検出し、定着ユニットのウォームアップ動作中のヒータ温度−時間特性を求め、その傾きに合わせて点灯デューティの演算補正を行って、ヒータ出力の最適化を行う。これにより、同じヒータ、同じ定着ユニットで、同じ電源事情、同じ温度検出素子であれば、同一のヒータ温度−時間特性が得られ、より正確な補正データを獲得し、より正確な温度制御が実現できる。
【選択図】 図1
Description
例えば、定着ユニット内の温度検知素子が取り付けられている位置の温度があらかじめ定められた設定温度となるようヒータ点灯を制御する場合、設定温度と現在温度との差分量から比例定数を掛けた量で点灯時間を決めるP(比例)制御、温度推移も考慮するPI(比例・積分)制御、時間応答も考慮するPID(比例・積分・微分)制御など、一般的な公知の自動制御手法を適用した例が多々ある。
しかしながら、これらの制御では制御系を構成する要素毎のばらつきは考慮されていないため、商品として設計する場合、ばらつき公差を考慮した余裕度の高い制御系を設計するか、ばらつきを検知して補正する制御系を設計するかの、どちらかの手段がとられる。後者の場合、種々様々な検討が行われており、多くの技術が発表されている。
特許文献1の技術では、通電開始から制御温度までの温度上昇率を算出し、予め用意された制御パターンを選択することで、ヒータ抵抗値のばらつきを補正している。また、ばらつき補正目的の対象、補正操作の対象が同一である。
また、特許文献2の技術は、サーミスタ出力の時間遅れ対策のために昇温勾配を測定して、サーミスタ出力を補正していることが前提であり、その昇温勾配により入力電圧の変動を検知し、ヒータのON/OFFdutyを補正している。
また、特許文献3の技術では、所定時間内におけるヒータ点灯時間と温度上昇データから温度制御方式を求めている。これにより、熱定着装置の熱伝導性などの特性ばらつきに対し、適正な温度制御が可能となり、熱定着装置を交換されても常に最適な温度制御が実現できる。
但し、上記点灯dutyを決定する際の定数は、制御系を構成する要素のばらつきを考慮して設計されるものではあるが、そのばらつきが大きい程、制御の正確性、追従性は下がる傾向にあり、その考慮したばらつき量を越えた場合、狙いのヒータ出力を得られないという不具合が生じる。
例えば、制御系を構成する温度検知素子、ヒータといったもののばらつきは部品仕様として管理されているので、これらの要素のばらつきで、出力設計仕様を外れることはない。しかし、もう一つの要素である電源事情といった場合、定格入力(日本国内であればAC100V)の±何%と規定して設計しても、ユーザのあらゆる条件を網羅しきれるものではなく、場合によっては狙いのヒータ出力が得られないという不具合が生じる。
所定時間内におけるヒータ点灯時間と温度上昇データから温度制御方式を求めることにより熱定着装置の熱伝導性などの特性ばらつき、設置環境の違い(電源事情)に対し、適正な温度制御が可能となる技術がある。
この場合、ヒータの温度−時間特性がON時突入電流により変化してしまい、また、そのON時突入電流はヒータ雰囲気温度により特性が変化してしまうため、定着ユニット外の温度検知素子により検知された雰囲気温度を用いて、補正のためのデータ取りのタイミングや補正演算というものを規定している。
そこで、製品(機械システム)として用意された省エネモードに着目する。例えば、複写機の場合、国際規格(エナジースター計画)に基づいたモードが用意されており、これによると、通常のプリントやコピーできる待機状態でのヒータ目標温度に対し、この省エネモードでは、ある程度目標温度を下げた状態でヒータ点灯制御が行われる。ある一定時間プリントやコピーに使われていないと、消費電力削減のために、このモードに遷移し、プリントやコピーに使う時には、ある時間内に使用可能状態にならなければならないというもので、そのため、この省エネモード時、完全にヒータOFF状態にするのではなく、ある程度目標温度を下げた状態でヒータ点灯制御が行われている。このとき、ヒータおよび、ヒータにより暖められる部材(定着ユニットのローラやベルト)の温度が制御されることになるので、ヒータ雰囲気も制御されることになる。すなわち、ON時突入電流も管理されたものとなる。
本発明は、この省エネモードから通常使用状態へ遷移する時のヒータ温度−時間特性を用いることで、取得される特性ばらつきを抑え、同じヒータ、同じ定着ユニットで、同じ電源事情、同じ温度検知素子であれば同一のヒータ温度−時間特性を得られるようにしたものである。これにより、より正確な補正データを獲得し、より正確な温度制御を実現し、定着温度を設定温度に素早く且つ不必要なオーバーシュートを生じずに到達・維持させることが可能となる。
特許文献1の技術では、予め用意された制御パターンを選択することで、ヒータ抵抗値のばらつきを補正するので、ばらつき量に追従した正確な制御ができない。それに対して、本願発明では制御パターンを用意するのではなく、演算補正を行っているため、ばらつき量に追従した正確な制御が可能である。
特許文献2の技術では、ヒータのON/OFFdutyを、テーブル方式で補正するため、ばらつき量に追従したより正確な制御ができない。しかし、本願発明では、補正操作の対象がヒータ点灯dutyであることは同一であるが、昇温勾配により、サーミスタ出力の時間遅れの補正は行っておらず、演算方式で補正しているため、ばらつき量に追従したより正確な制御が可能である。
特許文献3の技術では、最小自乗法のような複雑な演算処理により補正を行っており、そのため制御を行うマイコンの負荷が非常に重い。これに対し、本願発明では単純な演算でヒータ点灯dutyを補正するため、マイコンの負荷としては軽く、他制御への負担とはならない。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、省エネモードに遷移してから、所定時間以上経過したときに前記画像形成装置として用意された省エネモードからの復帰時に、前記定着ユニットのウォームアップ動作中のヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、ヒータ出力の最適化を行うことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、該画像形成装置として用意された省エネモードが、ヒータの温度が目標温度となるように制御された状態であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、トナー定着用にヒータおよび温度検知素子を具備する定着ユニットと、該定着ユニット外の雰囲気温度を検出する温度検知素子を具備し、前記定着ユニットのウォームアップ動作時に、ヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、前記ヒータのばらつきに関わらずヒータ出力の最適化を行う画像形成装置のヒータ出力最適化方法において、該画像形成装置として用意された省エネモードからの復帰時に、前記定着ユニットのウォームアップ動作中のヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、ヒータ出力の最適化を行うことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置のヒータ出力最適化方法において、省エネモードに遷移してから、所定時間以上経過したときに前記画像形成装置として用意された省エネモードからの復帰時に、前記定着ユニットのウォームアップ動作中のヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、ヒータ出力の最適化を行うことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置のヒータ出力最適化方法において、該画像形成装置として用意された省エネモードが、ヒータの温度が目標温度となるように制御された状態であることを特徴とする。
これにより、結果として得られる温度制御もより正確で、定着温度を設定温度に素早く、且つ、不必要なオーバーシュートを生じずに到達・維持させることが可能となる。
また、ヒータ点灯dutyの補正は、単純な演算で行えるので、マイコンの負荷としては軽く、他制御への負担とはならない。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のヒータ出力の制御回路の構成例を示している。定着装置の構成および制御回路系は、従来のものと同一でよいため、定着装置の詳細な説明はここでは省略する。
図1において、定着ユニット1内には制御対象であるヒータ3および温度検知素子2を具備しており、ヒータ3はトライアックのような双方向スイッチング素子7、図示していないが安全回路としての電流検知ヒューズ等を介し、商用交流電源8に接続されている。双方向スイッチング素子7のドライブには、入出力の絶縁されたフォトカプラ等がよく用いられ、2次側電源で動作するCPU5によりON/OFF制御させる。
図1中では、CPU5はベースエンジンコントロールユニット(以下BCU)4に搭載されている。一方、温度検知素子2は、制御すべき定着装置のローラ表面(ベルト表面)近傍に配置されており、一般的には安価なサーミスタが用いられている。以後、温度検知素子としてサーミスタを例に説明する。
温度検知素子(サーミスタ)2は、検出温度により抵抗値が変化する特性を有しており、電圧変換が行われ、BCU4のA/D入力に取り込み温度として検知される。以上のような制御系の構成により、定着ユニット1のローラ(ベルト)表面温度があらかじめ決められた設定温度に推移できるよう、または保持できるよう、CPU5がヒータのON/OFFを制御する。
図3を用いて説明すると、ある制御単位時間t0ごとにサーミスタ2により温度を検知し、t0サイクル中の何%の時間(t1、t2、t3、…)を点灯させるか否かの値を算出し、ON/OFFを制御することになる。このとき、設定温度との差が大きいほど点灯時間は長くなり、設定温度との差が小さいほど点灯時間は短くなる。なお、制御単位時間は、CPU性能、点灯時間の必要設定分解能から決まる。
以上は、基本制御をP制御とした場合であるが、制御系をそのままにして、マイコンにより温度推移、温度変化率も考慮して点灯dutyを決めれば、PI制御、PID制御も可能である。
これらは、従来の技術として確立されたものであるが、それぞれの制御の定数Kp、Ki、Kdの設計としては、制御系を構成する要素の持つ公差(ばらつき)を考慮してなされるのが一般的である。しかしながら、その考慮により発生するばらつきは、制御操作の対象に掛かってくることになり、すなわち本制御系ではduty制御後のヒータ出力(供給するヒータ熱量)が装置ごとにばらつくことになる。
本発明では、上記のような制御系要素のばらつきが制御操作量に影響ないよう補正するものであり、まず制御系要素の一つである温度検知素子のばらつき(公差)によってヒータ出力(ヒータ熱量)の変動が発生しないようよう補正する場合について説明する。
本発明の補正タイミングとしては、主に温度検知素子を積むユニットの工場出荷時になり、その補正処理のための事前データ収集を行う治具を用意している。基本的な構成は図1と変わらないが、ヒータ3の出力が標準(公差±0%)品であること、電源8が定格入力(±0%)であることが規定されており、また、データ収集をするためだけの治具であるので、取り外しの利便性を考慮した構造となっている。なお、この治具内でのサーミスタへの熱伝導性は、正規定着ユニットとの熱伝導性と同等なものでなければならない。
図2の例では、50℃から100℃までの温度推移時間を計測しており、ヒータON後、サーミスタ検知温度をCPU5が監視しており、50℃を検知後、タイマをスタートさせ、100℃検知でタイマストップし、ヒータをOFFしている。その計測された時間としてはtm1=b−aとなる。なお、この調整モードでのヒータ出力としては固定のdutyとしておく必要があり、そのdutyとしては、サーミスタの検知温度の推移が図2のような1次直線となるdutyを選択する。
また、図2中、50℃〜100℃間の時間を測定しているが、サーミスタの特性として、温度―電圧の特性がリニアで誤差の少ない区間であれば問題ない。このような設定下で計測された時間tm1は、あらかじめ測定しておいたサーミスタの公差±0%:r0での温度推移時間tSより、サーミスタの公差d[%]が、下式(1)より求まる。
d=e・(tS/tm1) (1)
ここで、eは任意定数となっているが、サーミスタのばらつきによる上式(1)の特性をあらかじめ測定しておくことで、その制御系固有の値として求めておくことができる。これより、ヒータ点灯dutyの補正係数αは、下式(2)となる。
α=1+d
=1+e・(tS/tm1) (2)
そこで本発明では、サーミスタの検知温度が常温であること、および雰囲気温度が常温であることを規定することで、このばらつきの発生を押さえている。具体的には、温度検知素子が定着ユニット外に配置され、その出力をBCU4のA/D入力に取り込み、ユニット外雰囲気温度として検知され、該ユニット外雰囲気温度と温度検知素子2により検知された温度両方を監視することで実現する。
なお、その監視温度を常温としている理由は、電源ON後のヒータトリガスタートの雰囲気温度として最低値が常温であるためで、この規定温度が高い場合、電源ON後の突入電流量が変わってしまい、結果としてトータルヒータ電力量が変わってしまうからである。
以上のような条件のもと、本発明では通常のヒータduty制御に対し、式(2)で得られたαを乗算することになる。なお、データ収集の実施タイミングとしては、ばらつき補正の対象が部品特有のばらつきであること、上記治具の条件を正規定着ユニットでは作り出せないこと等により、機械組付前に実施しておくことになる。
また、そのデータから求められた式(2)の値は、機械自体に記憶させておき、通常制御中の点灯dutyに乗算することになるので、工場での機械組付後の火入れ時の調整工程などでデータ入力してメモリに保存しておくことになる。なお、ばらつきを発生するのは機械というよりは、機械に使われているサーミスタという部品であるので、その部品交換時もしくは定着ユニットとしてのユニット交換時には、工場出荷時と同様な調整が必要となる。
また、本発明のマイコン負荷を考えると、式(2)の演算は機械稼働時には行わないもので、通常制御中は式(2)で求められたαを点灯dutyに乗算するのみであるので、マイコン負荷としても非常に少ないものとなっている。
以上より、サーミスタの(許容公差内での)ばらつきに影響されることなく、公差±0%サーミスタと同等な検知が得られることになるので、制御系設計としても部品ばらつきを考慮しなくてもすみ非常により容易なものとなる。また、結果として得られる温度制御もより正確なものとなり、定着温度を設定温度に素早く且つ不必要なオーバーシュートを生じずに、到達・維持させることが可能となる。
図2は、その調整モード時の定着ユニット1内のサーミスタ2の検知温度−時間特性を示しており、動作としては、前述のサーミスタばらつきの補正の場合と同様、まずヒータをONさせ、サーミスタの検知温度がある温度からある温度に到達するまでの時間をカウントし、ヒータをOFFさせている。
図2の例では、50℃から100℃までの温度推移時間を計測しており、ヒータON後、サーミスタの検知温度をCPU5が監視しており、50℃を検知後、タイマをスタートさせ、100℃検知でタイマストップし、ヒータをOFFしている。
その計測された時間としてはtm2=b−aとなる。なお、この調整モードでのヒータ出力としては固定のdutyとしておく必要があり、そのdutyとしては、サーミスタの検知温度の推移が図2のような1次直線となるdutyを選択する。また、図2中、50℃−100℃間の時間を測定しているが、サーミスタの特性として、温度―電圧の特性がリニアで誤差の少ない区間であれば問題ない。このような設定下で計測された時間tmsは、予め測定しておいたヒータ出力公差±0%:W0での温度推移時間tSより、公差を含んだヒータでの出力Wが、下式(3)より求まる。
W=f・(tS/tm2)・W0 (3)
ここで、fは任意定数となっているが、ヒータ出力のばらつきによる上式(3)の特性をあらかじめ測定しておくことで、その制御系固有の値として求めておくことができる。これより、ヒータ点灯dutyの補正係数βは、下式(4)となる。
β=W0/W
=1/(f・(tS/tm2)) (4)
α・β=(1+e・(tS/tm1))・(1/(f・(tS/tm2))) (5)
なお、調整モードの実施タイミングとしては、ばらつき補正の対象がその機械特有のばらつきであり、部品であるヒータ自体の出力ばらつきだけでなく、定着ユニット自体の熱伝導ばらつきを考えると、ユニット組付後の調整工程で実施するのが望ましい。もちろんユニット自体の熱伝導ばらつきが少ない場合は、本実施形態1で示したように、治具を用いて部品単体でデータ収集するのでも構わない。但し、電源が定格入力(±0%)でのデータ収集が絶対条件である。また、このデータ収集から求められた式(4)若しくは式(5)の値は、機械自体に記憶させておき、通常制御中の点灯dutyに乗算することになるので、工場での機械組付後の火入れ時の調整工程などでデータ入力してメモリに保存しておくことになる。なお、ばらつきを発生するのは機械というよりは、機械に使われているヒータという部品、若しくは定着ユニットであるので、その部品交換時、若しくは定着ユニットとしてのユニット交換時には、工場出荷時と同様な調整が必要となる。
また、本発明のマイコン負荷を考えると、式(2)の演算は機械稼働時には行わないもので、通常制御中は式(2)で求められたβ若しくは、α・βを点灯dutyに乗算するのみであるので、マイコン負荷としても非常に少ないものとなっている。
また、この場合においても、前述の温度推移時間データ獲得時の条件が適用され、サーミスタの検知温度、雰囲気温度ともに常温である必要がある。
以上により、ヒータの(許容公差内での)ばらつきに影響されることなく、公差±0%ヒータ出力と同等な出力が得られることになり、制御系設計としても部品ばらつきを考慮しなくてもすむので非常により容易なものとなる。また、結果として得られる温度制御もより正確なものとなり、定着温度を設定温度に素早く、且つ、不必要なオーバーシュートを生じずに、到達・維持させることが可能となる。
以上が、本実施形態1の前提条件であり、その補正のための事前収集データの獲得タイミングは工場出荷時、もしくはユニット出荷時になり、いわゆる部品に依存するばらつきを補正していることになる。
しかしながら、残る要素して電源事情が挙げられ、定格入力(日本国内であればAC100V)の±何%と規定して設計しても、ユーザのあらゆる条件を網羅しきれるものではなく、場合によっては、狙いのヒータ出力が得られないという不具合(制御不能)が生じる。本発明では、この電源事情を補正するもので、以下、図2を用いて補正のための制御を説明する。
図2は、その調整モード時の定着ユニット1内のサーミスタ2検知温度−時間特性を示しており、動作としてはまずヒータをONさせ、サーミスタ検知温度がある温度からある温度に到達するまでの時間をカウントし、ヒータをOFFさせている。
図2の例では、50℃から100℃までの温度推移時間を計測しており、ヒータON後、サーミスタ検知温度をCPU5が監視しており、50℃を検知後、タイマをスタートさせ、100℃検知でタイマストップし、ヒータをOFFしている。その計測された時間としてはtm3=b−aとなる。なお、この調整モードでのヒータ出力としては固定のdutyとしておく必要があり、そのdutyとしては、サーミスタの検知温度の推移が図2のような1次直線となるdutyを選択する。
V=g・(tS/tm3)・V0 (6)
ここで、gは任意定数となっているが、電源電圧のばらつきによる上式(6)の特性をあらかじめ測定しておくことで、その制御系固有の値として求めておくことができる。
電源電圧が求まると、その環境下でのヒータ出力を求めることが可能であり、定格入力でのヒータ出力をW0、その環境下でのヒータ出力をWとすると、下式(7)が成り立つ。
W=(V/V0)h・W0 (7)
ここで、hはヒータ製品固有の値(データをヒータメーカより入手可能)である。
式(6)および式(7)より、ヒータ点灯dutyの補正係数γは、下式(8)となる。
γ=W0/W
=1/(g・(tS/tm3))h (8)
本発明では、通常のヒータduty制御に対し、式(8)で得られたγを乗算することになる。なお、温度検知素子ばらつき、ヒータばらつきの補正と合わせると、ヒータ点灯のdutyとしては、式(9)で得られた値を乗算することになる。
α・β・γ
=(1+e・(t0/t1))・(1/(f・(t0/t2)))
・(1/(g・(t0/t3))h) (9)
これにより、装置が設置された場所の電源事情(入力電圧)に影響されることなく、定格入力でのヒータ出力と同等な出力が得られ、素早く且つ不必要なオーバーシュートを生じずに温度を設定温度に到達・維持させることが可能となる。
機械設置時のみであれば、通常制御中は式(8)若しくは式(9)で求められたγ、もしくはα・β・γを点灯dutyに乗算するのみであるのでマイコン負荷も少なく、時々刻々と電圧事情が変化する環境であれば、より頻繁に(電源ON時毎などに)補正のためのデータ収集を行い、γを更新することで対応することになる。ただし、ユーザの使用の妨げとならないことが望ましい。
そこで問題となるのは、ヒータON時の突入電流が、ヒータの温度−時間特性に与える影響である。
ある一定時間プリントやコピーに使われていないと、消費電力削減のために、このモードに遷移し、プリントやコピーに使う時には、ある時間内に使用可能状態にならなければならないというもので、そのため、この省エネモード時、完全にヒータOFF状態にするのではなく、ある程度目標温度を下げた状態でヒータ点灯制御が行われている。このとき、ヒータおよび、ヒータにより暖められる部材(定着ユニットのローラやベルト)の温度が制御されることになるので、ヒータ雰囲気も制御されることになる。すなわち、ON時突入電流も管理されたものとなる。
本発明は、この省エネモードから通常使用状態へ遷移時のヒータ温度−時間特性を用いることで、取得される特性ばらつきをおさえ、同じヒータ、同じ定着ユニットで、同じ電源事情、同じ温度検知素子であれば同一のヒータ温度−時間特性を得られるようにしたものである。これにより、より正確な補正データを獲得し、より正確な温度制御を実現し、定着温度を設定温度に素早く且つ不必要なオーバーシュートを生じずに到達・維持させることが可能となる。
以上が本実施形態1であるが、「省エネモードへ遷移→通常モードへの復帰」というのは、常に一定した状況となるわけではないため、上記のような定義だけでは意図通りに動作しないところもある。
これは、省エネモードへ遷移後、ヒータの目標制御温度が小さくなるが、その間、ヒータ温度、ヒータ雰囲気温度も遷移状態となる。すなわち、そのような状況から、通常モードへ復帰させたとしても、ヒータの温度−時間特性は一定値とはならないため、意図(温度が管理された一定値の状態からのヒータONを行った時のヒータの温度−時間特性である。)と違ってしまうことになる。
そこで、本発明の実施形態2では、省エネモードへの遷移からカウントするタイマ(具体的には、CPU5のペリフェラル機能を用いるのが一般的)を具備させ、ヒータ温度が目標温度一定値となる、予め分かっているモード遷移開始からの時間だけ管理し、その時間を経過後の通常モードへの復帰時にのみ、ヒータ温度−時間特性を収集させるものである。通常の補正演算に関しては、実施形態1で説明したものと同じである。
なお、管理すべきタイマカウント値に関しては、省エネモード時の電力測定を行えば、容易に導き出すことが可能であり、複写機設計としては、一般的に行われる評価の一部であるため、設計上の負荷とはなり得ない。
さらに、複写機やプリンタの省エネモード設計に関して、ヒータは完全にOFFしてしまい、全く温度制御を掛けない場合があり得る。その場合、上述した方法を使えないので、本実施形態3では、ヒータがある一定温度に制御されているという制約条件を上記実施形態1および2に適用するものである。
なお、ヒータの完全OFFというのも、目標温度を0℃と考え、遷移後の経過時間を管理して、0℃に落ち着いてさえいれば、本発明をそのまま使用可能である。しかし、その場合、温度が0℃まで落ちなければならないので、管理すべき経過時間が長くなってしまい、データ取得の機会が減ってしまうこともある。
しかしながら、設置時にその場でサービスマンがデータ取得を行ったりすることで補完が可能であり、本発明を未実施の機械と比較すれば、結果として得られる温度制御もより正確なものとなり、定着温度を設定温度に素早く、且つ、不必要なオーバーシュートを生じずに、到達・維持させることが可能となることは明らかである。
Claims (6)
- トナー定着用にヒータおよび温度検知素子を具備する定着ユニットと、該定着ユニット外の雰囲気温度を検出する温度検知素子を具備し、前記定着ユニットのウォームアップ動作時に、ヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、前記ヒータのばらつきに関わらずヒータ出力の最適化を行う画像形成装置において、該画像形成装置として用意された省エネモードからの復帰時に、前記定着ユニットのウォームアップ動作中のヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、ヒータ出力の最適化を行うことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1に記載の画像形成装置において、省エネモードに遷移してから、所定時間以上経過したときに前記画像形成装置として用意された省エネモードからの復帰時に、前記定着ユニットのウォームアップ動作中のヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、ヒータ出力の最適化を行うことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1または2に記載の画像形成装置において、該画像形成装置として用意された省エネモードが、ヒータの温度が目標温度となるように制御された状態であることを特徴とする画像形成装置。
- トナー定着用にヒータおよび温度検知素子を具備する定着ユニットと、該定着ユニット外の雰囲気温度を検出する温度検知素子を具備し、前記定着ユニットのウォームアップ動作時に、ヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、前記ヒータのばらつきに関わらずヒータ出力の最適化を行う画像形成装置のヒータ出力最適化方法において、該画像形成装置として用意された省エネモードからの復帰時に、前記定着ユニットのウォームアップ動作中のヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、ヒータ出力の最適化を行うことを特徴とする画像形成装置のヒータ出力最適化方法。
- 請求項1に記載の画像形成装置のヒータ出力最適化方法において、省エネモードに遷移してから、所定時間以上経過したときに前記画像形成装置として用意された省エネモードからの復帰時に、前記定着ユニットのウォームアップ動作中のヒータ温度−時間特性を求め、該ヒータ温度−時間特性の傾きに合わせて前記点灯デューティの演算補正を行って、ヒータ出力の最適化を行うことを特徴とする画像形成装置のヒータ出力最適化方法。
- 請求項1または2に記載の画像形成装置のヒータ出力最適化方法において、該画像形成装置として用意された省エネモードが、ヒータの温度が目標温度となるように制御された状態であることを特徴とする画像形成装置のヒータ出力最適化方法。
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