JP2005338209A - 光導波路構造体及びその形成方法、並びに、レーザ発光装置 - Google Patents

光導波路構造体及びその形成方法、並びに、レーザ発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の導波特性を有する光導波路を、コストの高い製造プロセスを用いることなく簡素な方法で製造することを可能とする光導波路構造体の形成方法を提供する。
【解決手段】光導波路構造体の形成方法においては、基体10上に複数の微粒子11を堆積させることによって、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層12を形成した後、微粒子層12の一部分を帯状に加熱、冷却して、微粒子層12と微粒子層12とによって挟まれ、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光導波路構造体及びその形成方法、並びに、レーザ発光装置に関する。
半導体集積回路は急激な進化を遂げており、高密度、高性能、高速動作になってきている。これに伴い、半導体チップにおけるデータの入出力に必要なピン数も急激に増大している。そして、将来、1半導体チップ当り5千本を越すピン数になると、配線による対応が難しくなると云われている。また、必ずしも半導体チップ間だけでなく、半導体チップ内あるいはプリント基板間でも配線が一般に用いられているが、これらにおいても、今後、配線数が急激に増加すると予測されている。
このような配線数の急激な増加といった状況に対する解決策の1つとして、光導波路を用いた光インターコネクト技術を挙げることができる。この光インターコネクト技術によれば、半導体チップ間や半導体チップ内、プリント基板間で授受され、受け渡されるべき情報(信号)を光信号に基づき高速にて処理することが可能となる。ところで、このような光導波路に用いられる材料系として、大きく分けて、無機材料系と高分子材料系を挙げることができる。
無機材料系として、シリカガラスや石英ガラスが一般に多く用いられている。無機材料系から成る光導波路の利点は、光損失が小さいこと、耐熱性や耐光性等の信頼性が高いことにある。このような光導波路の製造方法が、例えば、特開2003−215375から公知である。この特許公開公報に開示された技術においては、透明な低屈折率材質の内部(又は、表面)に集光ビームを結像、集束し、照射して、その照射部を高屈折率に改質して光伝搬層を連続的に形成する。透明な低屈折率材質の層は、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、ゾル・ゲル法等を用いて成膜してもよいとされている。
半導体レーザの一種に、回折格子が活性層に沿って形成されている分布帰還型(DFB型)が知られている。この分布帰還型半導体レーザは、通常、各種の化合物半導体材料を用いて製造される。
特開2003−215375 K. Nagayama, J. Soc. Powder Technol. Japan (1995), 32, 476 J. D. Joannopoulos, Nature (2001), 414(15), 257 Yong-Hong Ye et al., Appl. Phys. Lett. (2001), 78(1), 52 H. Miguez et al., Adv. Mater. (1998), 10(6), 480 B. Gates, D. Qin, Y. Xia, Adv. Mater. (1999), 11, 466
無機材料系から成る光導波路は、多くの利点がある反面、特開2003−215375に開示された技術のように、その製造のために真空プロセス等のコストの高い製造プロセスを、屡々、必要とするといった問題がある。
一方、高分子材料系から成る光導波路は、比較的簡便な塗布技術を応用して製造することができるので、低コストであるといった利点を有する反面、塗布技術にあっては、導波特性を決定する光導波路の厚さの制御を行うことが、一般に難しいといった問題がある。
分布帰還型半導体レーザにおいても、同様に、化合物半導体材料を構成材料として使用するので、その製造のために真空プロセス等のコストの高い製造プロセスを、屡々、必要とするといった問題がある。
従って、本発明の第1の目的は、所望の導波特性を有する光導波路を、コストの高い製造プロセスを用いることなく簡素な方法で製造することを可能とする光導波路構造体の形成方法、及び、係る光導波路構造体の形成方法に基づき得られた光導波路構造体を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、コストの高い製造プロセスを用いることなく簡素な方法で製造することを可能とするレーザ発光装置を提供することにある。
上記の第1の目的を達成するための本発明の光導波路構造体の形成方法は、
(A)基体上に複数の微粒子を堆積させることによって、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層を形成した後、
(B)微粒子層の一部分を帯状に加熱、冷却して、微粒子層と微粒子層とによって挟まれ、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路を形成することを特徴とする。
本発明の光導波路構造体の形成方法においては、前記工程(B)に引き続き、微粒子層及び光導波路の上に複数の微粒子を堆積させることによって、充填率η2(但し、η2<ηLG)、実効屈折率nef-2(但し、nef-LG>nef-2)を有する第2微粒子層を形成する工程を更に含む構成とすることができる。また、このような構成を含む本発明の光導波路構造体の形成方法においては、前記工程(A)に先立ち、即ち、基体上に微粒子層を形成する前に、充填率η0(但し、η0<ηLG)、実効屈折率nef-0(但し、nef-LG>nef-0)を有する下地微粒子層を形成する工程を更に含み、前記工程(A)においては、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層を下地微粒子層上に形成する構成とすることができる。
上記の第1の目的を達成するための本発明の光導波路構造体は、
(a)基体上に形成され、複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層、並びに、
(b)該基体上に形成され、且つ、該微粒子層を帯状に加熱、冷却することで形成され、該微粒子層と該微粒子層とによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路、
から成ることを特徴とする。
上記の第2の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るレーザ発光装置は、
(a)基体上に形成され、複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有し、フォトニック結晶として機能する微粒子層、
(b)該基体上に形成され、且つ、該微粒子層を帯状に加熱、冷却することで形成され、該微粒子層と該微粒子層とによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路、
(c)光導波路に隣接した該微粒子層の一部の領域から構成され、レーザ媒体が充填されたレーザ発光部、並びに、
(d)光導波路を介してレーザ媒体を励起するための光(励起光)を射出する励起光源、
から成ることを特徴とする。
上記の第2の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るレーザ発光装置は、
(a)基体上に形成され、発光性色素又は発光性半導体微粒子を内部に含んだ複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有し、フォトニック結晶として機能する微粒子層、
(b)該基体上に形成され、且つ、該微粒子層を帯状に加熱、冷却することで形成され、該微粒子層と該微粒子層とによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路、
(c)光導波路に隣接した該微粒子層の一部の領域から構成されたレーザ発光部、並びに、
(d)光導波路を介して発光性色素又は発光性半導体微粒子を励起するための光(励起光)を射出する励起光源、
から成ることを特徴とする。
本発明の光導波路構造体、あるいは又、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係るレーザ発光装置においては、微粒子層及び光導波路の上に形成され、複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η2(但し、η2<ηLG)、実効屈折率nef-2(但し、nef-LG>nef-2)を有する第2微粒子層を更に備えている構成とすることができる。また、このような構成を含む本発明の光導波路構造体、あるいは又、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係るレーザ発光装置においては、微粒子層及び光導波路と基体との間に、充填率η0(但し、η0<ηLG)、実効屈折率nef-0(但し、nef-LG>nef-0)を有する下地微粒子層を更に備えている構成とすることができる。
上記の各種好ましい構成を含む本発明の光導波路構造体の形成方法、あるいは、本発明の光導波路構造体において、微粒子層、第2微粒子層、下地微粒子層((以下、これらを総称して、単に、微粒子層等と呼ぶ場合がある))は、フォトニック結晶として機能することが好ましい。尚、上記の各種好ましい構成を含む本発明の光導波路構造体の形成方法、あるいは、本発明の光導波路構造体、あるいは、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係るレーザ発光装置(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、「微粒子層等は、フォトニック結晶として機能する」とは、より具体的には、微粒子層等を構成する微粒子1つ1つの並びが恰も原子のように配列されており、微粒子層等全体としてフォトニック結晶としての挙動を示す状態にあることを意味する。また、本発明において、微粒子層等を構成する微粒子は、SiOX(但し、0<X≦2)から成る構成とすることができるが、このような構成に限定するものではない。即ち、微粒子層等を構成する微粒子として、その他、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ニオブ、酸化錫、酸化タングステン、酸化インジウム、Pb(Zr,Ti)O3、TiSrO3といった無機酸化物材料;ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカプロラクトンやポリビニルトルエン、各種液晶を含む各種の有機材料;BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs(AlGaAs等を含む)、GaSb、InN、InP(GaInAsP等を含む)、InAs、InSbといった組成式で表されるIII−V族化合物材料;ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeといった組成式で表されるII−VI族化合物材料;炭素、ケイ素、ゲルマニウムといった半導体材料;非晶質炭素、カーボンブラック、黒鉛といった炭素系材料;金、銀、白金、パラジウム、銅、ニッケル、コバルト、鉄等の金属を挙げることができる。尚、微粒子層等を構成する微粒子は、一種類の微粒子から構成されていてもよいし、複数種の微粒子の混合物であってもよい。これらの微粒子は、構成する材料に依存するが、例えば、ゾル−ゲル法、分子線エピタキシー法、化学的気相成長法(CVD法)、所謂逆ミセル法、所謂ホットソープ法、燃焼方法、粉砕法、溶液からの沈殿法や、超臨界液体中での反応を利用する方法といった、種々の物理的方法や化学的方法によって得ることができる。
本発明において、微粒子層等を構成する微粒子の平均粒径は、限定するものではないが、1.0×10-8m乃至1.0×10-5mの範囲にあることが好ましい。微粒子の径は揃っていることが望ましく、微粒子の径のばらつきの度合いを標準偏差σで表したとき、限定するものではないが、標準偏差σの値は平均粒径の±10%以内、好ましくは±8%以内の範囲内にあることが望ましい。
本発明において、微粒子層の一部分を帯状に加熱する方法として、レーザビームを用いる方法、電子ビームを用いる方法、加熱プリント法に基づく方法を例示することができる。
本発明において、微粒子層の充填率η1とは、微粒子層の単位体積当たり、微粒子が占める体積を意味する。また、光導波路の充填率ηLGとは、光導波路の単位体積当たり、加熱、冷却された微粒子が占める体積を意味する。更には、第2微粒子層の充填率η2とは、第2微粒子層の単位体積当たり、微粒子が占める体積を意味し、下地微粒子層の充填率η0とは、下地微粒子層の単位体積当たり、微粒子が占める体積を意味する。
微粒子層や光導波路、第2微粒子層、下地微粒子層における微粒子と微粒子との間に存在する空間の屈折率(例えば、この空間に空気が存在する場合には空気の屈折率)をn’(空気の場合、n’=1)、微粒子層を構成する微粒子の屈折率をn1、光導波路を構成する加熱、冷却された微粒子の屈折率をnLG、第2微粒子層を構成する微粒子の屈折率をn2、下地微粒子層を構成する微粒子の屈折率をn0としたとき、微粒子層の実効屈折率nef-1、光導波路の実効屈折率nef-LG、第2微粒子層の実効屈折率nef-2、下地微粒子層の実効屈折率nef-0は、以下の式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)で表すことができる。
ef-1 =η1×n1 +(1−η1)×n’ (1)
ef-LG=ηLG×nLG+(1−ηLG)×n’ (2)
ef-2 =η2×n2 +(1−η2)×n’ (3)
ef-0 =η0×n0 +(1−η0)×n’ (4)
微粒子層、第2微粒子層、下地微粒子層が自己組織化に基づき最密充填構造になっている場合の充填率η1,η2,η0は0.74となる。即ち、一般に、微粒子層、第2微粒子層、下地微粒子層を構成する微粒子の大きさが同じとした場合、充填率η1,η2,η0の最大値は0.74となる。また、一般に、微粒子層の一部分を帯状に加熱、冷却して得られた光導波路における充填率ηLGは、η1<ηLG≦1、η2<ηLG≦1、η0<ηLG≦1となる。
微粒子層を構成する微粒子、光導波路を構成する微粒子、第2微粒子層を構成する微粒子、下地微粒子層を構成する微粒子の材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。微粒子の材質を同じとしても、微粒子の屈折率n1,nLG,n2,n0は、微粒子の密度(微粒子中に含まれる空孔の割合の大小)によっても変化する。
また、小さい粒子の上に大きい粒子を積層する方が、大きな粒子の上に小さな粒子を積層する場合よりも、凹凸が少ない平坦な下地の上に微粒子を堆積させることになるので、微粒子が自己組織化に基づき規則正しく配列され易い。従って、限定するものではないが、微粒子層を構成する微粒子の平均粒径よりも下地微粒子層を構成する微粒子の平均粒径の方が小さいことが好ましく、第2微粒子層を構成する微粒子の平均粒径よりも微粒子層を構成する微粒子の平均粒径の方が小さいことが好ましい。
本発明においては、限定するものではないが、微粒子層や光導波路、第2微粒子層、下地微粒子層における微粒子は配向した状態となっていることが好ましい。ここで、微粒子が配向した状態とは、基体の法線方向に沿った微粒子の並び状態(配列状態)に規則性が有ることを意味し(即ち、規則配列構造を有し)、具体的には、基体の法線方向に沿って、少なくとも部分的に、ABCABC・・・の状態に配列された状態(立方最密構造を有する状態)、あるいは又、ABABAB・・・の状態に配列されている状態(六方最密構造を有する状態)を挙げることができる。
本発明における基体として、可視光を透過するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリカーボネートPC樹脂で例示されるプラスチックスから成るフィルムや基板、シートあるいはガラス基板を例示することができる。あるいは又、その他、サファイヤやZnO等の酸化物基板を挙げることもできる。尚、基体の屈折率は微粒子の屈折率よりも小さいことが、光導波路からの光の漏れ出しを抑制するといった観点から望ましい。あるいは又、基体を、微粒子層や光導波路、第2微粒子層、下地微粒子層を通過した可視光を吸収する材料から構成することもでき、具体的には、基体として、SiやGaAs、InP等の可視光を吸収する半導体基板;カーボン層等の可視光を吸収する無機材料層が表面に形成されたPET樹脂やPC樹脂で例示されるプラスチックスから成るフィルムや基板、シート;カーボン等の可視光を吸収する無機材料が練り込まれたPET樹脂やPC樹脂で例示されるプラスチックスから成るフィルムや基板、シート;サンドブラスト処理やサンドマット加工等によって表面が粗面化(例えば、表面の凹凸の高さが0.8μm〜4μm)された可視光を吸収するPET樹脂やPC樹脂で例示されるプラスチックスから成るフィルムや基板、シート;カーボン層等の可視光を吸収する無機材料層が表面に形成されたガラス基板;可視光を透過するPET樹脂やPC樹脂で例示されるプラスチックスから成るフィルムや基板、シートあるいはガラス基板の裏面に可視光吸収層(例えば、カーボンから成る)が形成されたものを例示することができる。
微粒子層や第2微粒子層、下地微粒子層の形成方法として、微粒子分散溶液を使用した、引き上げ法、自然沈降法、微粒子よりも大きなスペーサーを挟んだマイクロセルを用いる方法、メニスカスを応用する方法を挙げることができる。
引き上げ法では、例えば微粒子を分散媒に分散させて微粒子分散溶液とし、微粒子分散溶液に対して親和性のよい基体を微粒子分散溶液中に垂直に浸漬した後、この基体を微粒子分散溶液から引き上げていく。この基体の引き上げ時に、適量の微粒子分散溶液が基体表面に移し取られる。その後、移し取られた微粒子分散溶液から分散媒が蒸発していく過程で微粒子の自己組織化が起こり、微粒子が規則的に配列した微粒子集合体が基体上に形成される(例えば、K. Nagayama, J. Soc. Powder Technol. Japan (1995), 32, 476 や、J. D. Joannopoulos, Nature (2001), 414(15), 257、Yong-Hong Ye et al., Appl. Phys. Lett. (2001), 78(1), 52 を参照)。
自然沈降法では、引き上げ法と同様に、微粒子分散溶液を調製した後、基体を微粒子分散溶液の下部に静置する。微粒子は、自身の重みによって徐々に基体上に沈降し、微粒子が規則的に配列した微粒子集合体が形成される(例えば、H. Miguez et al., Adv. Mater. (1998), 10(6), 480 参照)。
微粒子よりも大きなスペーサーを挟んだマイクロセルを用いる方法では、微粒子よりも大きなスペーサーを挟んだマイクロセルを、微粒子分散溶液中に垂直に浸漬し、静置する。微粒子分散溶液は、毛管現象に基づきマイクロセル内に充填される。その後、マイクロセル内に充填された微粒子分散溶液から分散媒が蒸発していく過程で微粒子の自己組織化が起こり、微粒子が規則的に配列した微粒子集合体がマイクロセル内に形成される(例えば、B. Gates, D. Qin, Y. Xia, Adv. Mater. (1999), 11, 466 参照)。
メニスカスを応用する方法にあっては、微粒子分散溶液を基体上に塗布して微粒子分散溶液層を形成した後、メニスカス形成手段をこの微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の微粒子層を得ることができる(このような方法を、便宜上、第1のメニスカス応用方法と呼ぶ)。
尚、この第1のメニスカス応用方法を拡張して、微粒子が配向した状態のM層から成る微粒子層多層構造を得る方法に適用する場合には、
第1番目の微粒子分散溶液を基体上に塗布して第1番目の微粒子分散溶液層を形成した後、第1番目のメニスカス形成手段を該第1番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の第1番目の微粒子層を得た後、
第(m+1)番目(但し、m=1,2・・・M−1であり、M≧2)の微粒子分散溶液を第m番目の微粒子層上に塗布して第(m+1)番目の微粒子分散溶液層を形成した後、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を該第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、第m番目の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(m+1)番目の微粒子層を得る工程を、(M−1)回、繰り返せばよい。
あるいは又、メニスカスを応用する方法にあっては、基体の上又は上方にメニスカス形成手段を配置した状態で、このメニスカス形成手段を介して微粒子分散溶液を基体上に塗布し、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の微粒子層を得ることができる(このような方法を、便宜上、第2のメニスカス応用方法と呼ぶ)。
尚、この第2のメニスカス応用方法を拡張して、微粒子が配向した状態のN層から成る微粒子層多層構造を得る方法に適用する場合には、
基体の上又は上方に第1番目のメニスカス形成手段を配置した状態で、該第1番目のメニスカス形成手段を介して第1番目の微粒子分散溶液を基体上に塗布し、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の第1番目の微粒子層を得た後、
第n番目(但し、n=1,2・・・N−1であり、N≧2)の微粒子層の上又は上方に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置した状態で、該第(n+1)番目のメニスカス形成手段を介して第(n+1)番目の微粒子分散溶液を第n番目の微粒子層上に塗布し、以て、第n番目の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(n+1)番目の微粒子層を得る工程を、(N−1)回、繰り返せばよい。
これらのメニスカスを応用する方法にあっては、微粒子分散溶液として、上述した各種の微粒子を分散媒に分散させたものを挙げることができる。ここで、分散媒として、水や純水、メチルアルコールやエチルアルコール、トルエン等の有機溶剤を例示することができる。また、塗布方法として、引き上げ法、自然沈降法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、噴霧法等を例示することができる。尚、メニスカス形成手段を介して微粒子分散溶液を塗布する形態には、メニスカス形成手段を介在させた状態で微粒子分散溶液を塗布する形態が包含される。
ここで、第1のメニスカス応用方法及び第2のメニスカス応用方法におけるメニスカス形成手段として、多数の開口を有するシート状あるいは板状の部材であるメッシュを挙げることができる。メッシュとして、具体的には、網目状部材や篩状部材、ストライプ形状の開口を多数有するシート状あるいは板状の部材を挙げることができ、メッシュに設けられた開口の平面形状を、円形、楕円形、正方形、矩形、多角形、丸みを帯びた正方形や矩形、丸みを帯びた多角形、ストライプ形状等、任意の形状とすることができる。メッシュにおける開口率(メッシュ単位面積当たりの開口の占める面積の割合)は、本質的に、任意の値とすることができる。メッシュを構成する材料として、各種の金属や合金から成るシート状あるいは板状の部材、天然繊維や合成繊維、金属線材を例示することができ、周知の方法で製造することができる。尚、メニスカス形成手段としてのメッシュにあっては、開口の中心から隣接する開口の中心までの距離であるメッシュのピッチは、一定であってもよいし、メッシュの位置によって異なっていてもよいし、ランダムな値としてもよい。あるいは又、メニスカス形成手段として、例えばガラスから作製されたチップ状の短い糸や、チップ状の短い糸が枝分かれしたもの、表面が起毛状態にあるシート部材や板状部材を例示することができる。チップ状やチップ状の短い糸が枝分かれしたものは、最終的に、微粒子層から除去されてもよいし、微粒子層に残されてもよい。
微粒子分散溶液の組成にも依るが、第1のメニスカス応用方法にあっては、メニスカス形成手段を微粒子分散溶液層に接触した状態とした後、あるいは又、第1番目のメニスカス形成手段を第1番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とした後、あるいは又、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とした後、微粒子分散溶液あるいは第1番目の微粒子分散溶液あるいは第(m+1)番目の微粒子分散溶液を乾燥させることが好ましく、第2のメニスカス応用方法にあっては、微粒子分散溶液を基体上に塗布した後、あるいは又、第1番目の微粒子分散溶液を基体上に塗布した後、あるいは又、第(n+1)番目の微粒子分散溶液を第n番目の微粒子層上に塗布した後、微粒子分散溶液あるいは第1番目の微粒子分散溶液あるいは第(n+1)番目の微粒子分散溶液を乾燥させることが好ましい。尚、これらの場合、メニスカス形成手段と微粒子分散溶液とが接した状態で、微粒子分散溶液を乾燥させる。
第1のメニスカス応用方法においては、メニスカス形成手段を微粒子分散溶液層に接触した状態とし、あるいは又、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とするが、これらの状態においては、メニスカス形成手段は、基体あるいは第m番目の微粒子層と接触した状態としてもよいし、接触していない状態としてもよい。そして、これらのいずれの状態にあっても、更には、必要に応じて微粒子分散溶液を乾燥させている間に、メニスカス形成手段と基体あるいは第(m+1)番目の微粒子分散溶液層との相対的な位置関係が変化しないように、メニスカス形成手段と基体とを任意の手段によって固定することが好ましい。メニスカス形成手段を、基体あるいは第m番目の微粒子層と接触した状態とする場合、メニスカス形成手段を微粒子分散溶液層に接触した状態とし、あるいは又、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を第(m+1)番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とした後、直ちに、あるいは、所定の時間経過後に、メニスカス形成手段と基体あるいは第m番目の微粒子層との接触状態を解除してもよいし、メニスカス形成手段と基体あるいは第m番目の微粒子層との接触状態を保持し続けてもよい。
一方、第2のメニスカス応用方法においては、基体の上にメニスカス形成手段を配置し、あるいは又、第n番目の微粒子層の上に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置するが、これらの状態においては、メニスカス形成手段は基体と接触した状態である。あるいは又、基体の上方にメニスカス形成手段を配置し、あるいは又、第n番目の微粒子層の上方に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置するが、これらの状態においては、メニスカス形成手段は基体と接触していない状態である。そして、これらのいずれの状態にあっても、微粒子分散溶液を塗布している間に、更には、必要に応じて微粒子分散溶液を乾燥させている間に、メニスカス形成手段と基体あるいは第n番目の微粒子層との相対的な位置関係が変化しないように、メニスカス形成手段と基体とを任意の手段によって固定することが好ましい。また、基体の上にメニスカス形成手段を配置し、あるいは又、第n番目の微粒子層の上に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置した場合には、微粒子分散溶液を基体上あるいは第n番目の微粒子層上に塗布した後、直ちに、あるいは、所定の時間経過後に、メニスカス形成手段と基体あるいは第n番目の微粒子層との接触状態を解除してもよいし、メニスカス形成手段と基体あるいは第n番目の微粒子層との接触状態を保持し続けてもよい。
以上に説明したメニスカスを応用する方法にあっては、基本的には、微粒子分散溶液を基体上に塗布して微粒子分散溶液層を形成した後、メニスカス形成手段を微粒子分散溶液層に接触した状態とし、あるいは又、基体の上又は上方にメニスカス形成手段を配置した状態で、メニスカス形成手段を介して微粒子分散溶液を基体上に塗布する。従って、メニスカス形成手段と微粒子分散溶液とが接する領域においては、微粒子分散溶液にメニスカスが形成され、その結果、微粒子分散溶液中の微粒子が順序よく集合する。それ故、基体表面に対して微粒子が配向した状態の、即ち、欠陥の少ない微粒子層を得ることができる。このように、メニスカスを応用する方法にあっては、容易な方法であるにも拘わらず、塗布むらや、基体の濡れ性の不均一性に起因した塗布むら等による欠陥の発生が効果的に抑制され、均一な厚さを有する微粒子層を得ることが可能となるし、欠陥部分が少ないが故に光導波路における導波光の散乱が少なくなり、光損失を低減することが可能となり、良好な導波特性を有する光導波路構造体を得ることができる。
本発明の第1の態様に係るレーザ発光装置におけるレーザ媒体、あるいは、本発明の第2の態様に係るレーザ発光装置における発光性色素は、色素レーザに用いられる周知の材料とすることができ、例えば、Rhodamine 6G、Rhodamine B、Rhodamine 110、Rhodamine 101、Rhodamine 19、Kiton Red S に代表されるローダミン系色素;Cresyl Violet、Nile Blue A、Oxazine 1、Oxazine 170、Oxazine 750 に代表されるオキサジン系色素;Coumarin 120、Coumarin 2、Coumarin 1、Coumarin 102、Coumarin 500、Coumarin 6、Coumarin 152A、Coumarin 522、Coumarin 153、4-Methylumbelliferone に代表されるクマリン誘導体;DOTC、HDITC、IR 5、IR 26、IR 125、IR 140、HITC に代表されるシアニン系色素;DCM、Pyridine 1、Pyridine 2、Styryl 8、Styryl 9M、Styryl 14 に代表されるスチリル系色素;DPS、Stilbene 1、Stilbene 3 に代表されるスチルベン誘導体;POPOP、BBD、Butyl-PBD、Bis-MSB に代表されるオキサゾール・オキシジアゾール誘導体;p-Terphenyl、BBQ、Polyphenyl 1 に代表されるパラ−オリゴフェニレン誘導体を例示することができる。
また、本発明の第2の態様に係るレーザ発光装置における発光性半導体微粒子として、Si微粒子、CdS微粒子、InP微粒子、CdTe微粒子、CdSe微粒子、GaAs微粒子、ZnSe微粒子、GaN微粒子、InN微粒子等を例示することができる。
本発明の第1の態様に係るレーザ発光装置においては、レーザ発光部にレーザ媒体が充填されているが、このレーザ媒体の充填方法として、具体的には、
(1)微粒子層を形成し、更に、光導波路を形成した後、光導波路に隣接した微粒子層の一部に、レーザ媒体分散溶液を塗布法等によって浸漬させ、その後、レーザ媒体分散溶液を乾燥させる方法、
(2)微粒子層を形成した後、微粒子層にレーザ媒体分散溶液を塗布法等によって浸漬し、その後、レーザ媒体分散溶液を乾燥させ、次いで、光導波路を形成する方法、
(3)微粒子分散溶液を用いて基体上に複数の微粒子を堆積させるときに、この微粒子分散溶液中にレーザ媒体も分散させておき、微粒子層を形成し、更に、光導波路を形成する方法、
を例示することができる。尚、レーザ発光部にレーザ媒体が充填されている形態の一例として、レーザ発光部を構成する微粒子の表面にレーザ媒体が付着している形態を挙げることができる。
本発明の第2の態様に係るレーザ発光装置において、微粒子は、その内部に、発光性色素又は発光性半導体微粒子を含んでいるが、このような微粒子は、微粒子の製造時に発光性色素又は発光性半導体微粒子が微粒子の内部に含まれるように、微粒子を製造すればよい。
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係るレーザ発光装置において、レーザ発光部は、光導波路に隣接した微粒子層の一部の領域から構成されているが、具体的には、光導波路と微粒子層との境界領域から、例えば1μm離れた微粒子層の部分までが、レーザ発光部として機能すればよい。
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係るレーザ発光装置における励起光源として、例えば発光波長405nmの光(励起光)を射出するGaN系半導体レーザ、波長650nmのAlGaInP系半導体レーザ、波長510nmのZnSe系半導体レーザ、波長488nmのアルゴンガスレーザ等を例示することができる。
本発明にあっては、微粒子層の加熱によって、微粒子層を構成する微粒子は、例えば、部分的に溶融したり燃焼、焼結する。その結果、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層から、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路が形成される。ここで、nLG=n1とすれば、式(1)及び式(2)から、
ef-LG−nef-1
=(ηLG×nLG−η1×n1)−(ηLG−η1)×n’
=(ηLG−η1)(n1−n’)
ここで、微粒子層の加熱によって、微粒子層を構成する微粒子を、例えば、部分的に溶融したり燃焼、焼結するが故に、η1<ηLG≦1を満足するし、一般に、n1−n’>0である。従って、(nef-LG−nef-1)>0となるが故に、本発明にあっては、確実に光導波路として機能させることができる。しかも、微粒子層をフォトニック結晶として機能させれば、フォトニック結晶に特有な効果、例えばレーザにおける自然放出光の抑制や急峻に曲げた光導波路の実現等といった利点を発揮することができる。
そして、このようにして得られた光導波路構造体と、発光デバイス、受光デバイスとを組み合わせることで光インターコネクトを得ることができる。更には、光導波路に隣接した微粒子層の一部の領域を光導波路と共に機能させることで、新しい光機能デバイス(例えば、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係るレーザ発光装置)を得ることができる。
即ち、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係るレーザ発光装置にあっては、光導波路内を励起光が導波されるとき、光導波路からの励起光(導波光)の滲み出しにより、レーザ媒体あるいは発光性色素、発光性半導体微粒子が励起されて反転分布が生じ、且つ、各微粒子内部におけるブラッグ反射による閉じ込め効果によって、即ち、基本的には、分布帰還型(DFB型)と同じ原理に基づき、レーザ発振が生じる。そして、ブラッグの回折条件によりレーザ光の出射方向が決まり、面発光レーザにもなり得る。
本発明においては、光導波路を簡便なプロセスで作製できる。従って、光損失が小さく、且つ、高い信頼性を有する光導波路を容易に形成することができる。また、形成された光導波路の厚さを容易に制御することができる。とりわけ高分子材料系においては光導波路の厚さ制御が、従来の技術に比べて容易であり、安価、且つ、高い信頼性を有する光インターコネクトの実現が可能である。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の光導波路構造体の形成方法、及び、本発明の光導波路構造体に関する。実施例1における光導波路構造体の模式的な一部断面図を、図1の(D)に示す。また光導波路構造体の幅方向における実効屈折率を、図1の(E)に模式的に示す。尚、図1の(D)、図4、図5の(A)、図5の(B)、図7の(B)、図8の(B)に示す光導波路構造体を構成する微粒子層等における微粒子の積層数は、単に図示の目的のためであり、簡素化してある。
この実施例1における光導波路構造体は、
(a)基体10上に形成され、複数の微粒子11が堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層12、並びに、
(b)基体10上に形成され、且つ、微粒子層12を帯状に加熱、冷却することで形成され、微粒子層12と微粒子層12とによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13、
から成る。
ここで、基体10としてガラス基板を用い、微粒子として平均粒径2.8×10-7m(280nm)のシリカ(SiOXであり、具体的には、Xの値は約2である)を用いた。このシリカの屈折率n1の値を表1に示す。実施例1における微粒子層12はフォトニック結晶として機能する。即ち、微粒子層12を構成する微粒子11の1つ1つの並びが恰も原子のように配列されており、微粒子層12全体としてフォトニック結晶としての挙動を示す状態にある。
以下、実施例1の光導波路構造体を、基体等の模式的な一部断面図である図1の(A)及び(B)、並びに、微粒子層の模式的な部分的斜視図である図1の(C)を参照して説明する。
先ず、引き上げ法に基づき、基体10上に複数の微粒子11を堆積させることによって、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層12を形成した(図1の(A)参照)。具体的には、平均粒径280nmのシリカが20重量%、純水に分散された微粒子分散溶液を準備した。そして、基体10をこの微粒子分散溶液に垂直に浸漬した後、基体10を微粒子分散溶液から30mm/秒の速度で垂直に引き上げ、次いで、基体10を水平に保持し、1時間、この状態を維持し、微粒子分散溶液を自然乾燥させることで、基体10上に微粒子層12を形成することができた。微粒子層12の厚さを、表1に示す。この微粒子層12の走査型電子顕微鏡写真を図2に示すが、微粒子11が、自己組織化に基づき、最密充填構造に配列していることが判る。
次に、図1の(B)及び図1の(C)に模式的に示すように、微粒子層12の一部分を帯状に加熱、冷却することによって、微粒子層12と微粒子層12とによって挟まれ、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13を形成した。具体的には、炭酸ガスレーザビームを用いて微粒子層12の一部分を帯状に加熱した。炭酸ガスレーザビームの強度を2.8×106J/cm2/秒とし、照射時間を12秒(スキャン速度:1mm/秒)とした。尚、微粒子層12の一部分の冷却は、自然冷却とした。
レーザ照射後の微粒子層12の領域である光導波路13の表面を走査型電子顕微鏡で観察して得られた写真を図3に示す。図3からも明らかなように、レーザ照射された微粒子層12の領域(光導波路13)の表面からは凹凸が無くなり、平坦な表面となっていた。
微粒子層12を構成する微粒子の屈折率n1、充填率η1、実効屈折率nef-1、微粒子層12の厚さ、光導波路13を構成する加熱、冷却された微粒子の屈折率nLG、充填率ηLG、及び、実効屈折率nef-LGの値は、以下の表1のとおりであった。
[表1]
屈折率n1 :1.46
充填率η1 :0.74
実効屈折率nef-1 :1.46×0.74+1.0×(1−0.74)=1.34
微粒子層12の厚さ:5μm
屈折率nLG :1.46
充填率ηLG :1.0
実効屈折率nef-LG :1.46×1.0=1.46
こうして得られた光導波路構造体は、光損失の小さい導波特性を示し、レーザ光を横から入光させたところレーザ光を導波することが確認でき、光導波路として機能を十分に果たしていることが判明した。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2においては、レーザビームを用いる代わりに、電子ビームを用いて微粒子層12の一部分を帯状に加熱した。電子ビームの強度を3×106J/cm2/秒とし、照射時間を10秒(スキャン速度:1mm/秒)とした。これによっても、レーザビームを用いたと同様の光導波路構造体を得ることができた。
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3においては、図4に模式的に示すように、凹凸基板20の全体を、例えば、1300゜Cに加熱した後、凹凸基板20の凸部21(幅は例えば0.1μm)を微粒子層12に圧力10Paにて10秒間、押し付けるといった、加熱プリント法に基づき微粒子層12の一部分を帯状に加熱することによっても、レーザビームを用いたと同様の光導波路構造体を得ることができた。
実施例4も実施例1の変形である。実施例4においては、微粒子を高分子材料系とした。具体的には、微粒子として、平均粒径2.5×10-7m(0.25μm)のポリスチレン微粒子)を用いた。また、この微粒子が20重量%、純水に分散された微粒子分散溶液を用いた。この点を除き、実施例1と同様の方法で光導波路構造体を形成した。その結果、実施例1と同様の光導波路構造体を得ることができた。尚、微粒子層を構成する微粒子の屈折率n1、充填率η1、実効屈折率nef-1、微粒子層12の厚さ、光導波路13を構成する加熱、冷却された微粒子の屈折率nLG、充填率ηLG、及び、実効屈折率nef-LGの値は、以下の表2のとおりであった。
[表2]
屈折率n1 :1.59
充填率η1 :0.74
実効屈折率nef-1 :1.59×0.74+1.0×(1−0.74)=1.44
微粒子層12の厚さ:5μm
屈折率nLG :1.59
充填率ηLG :1.0
実効屈折率nef-LG :1.59×1.0=1.59
実施例5も、実施例1の変形である。実施例5においては、図5の(A)に模式的な一部断面図を示すように、微粒子層12及び光導波路13の上に形成され、複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η2(但し、η2<ηLGであり、具体的には、η2=0.74)、実効屈折率nef-2(但し、nef-LG>nef-2であり、具体的には、nef-2=1.34)を有する第2微粒子層16を更に備えている。また、実施例5における光導波路の形成方法にあっては、微粒子層12及び光導波路13の上に、複数の微粒子15を堆積させることによって、充填率η2(但し、η2<ηLG)、実効屈折率nef-2(但し、nef-LG>nef-2)を有する第2微粒子層16を形成する工程を更に含む。ここで、実施例5においては、微粒子層12を構成する微粒子11として、実施例1にて使用したシリカを用い、第2微粒子層16を構成する微粒子15として、平均粒径2.5×10-7m(0.25μm)のシリカ(屈折率n2=1.46)を用いた。また、微粒子11が分散された微粒子分散溶液(第1番目の微粒子分散溶液)、及び、微粒子15が分散された微粒子分散溶液(第2番目の微粒子分散溶液)における分散媒として純水を用いた。どちらの微粒子分散溶液も、純水100グラムに微粒子25グラムを分散させたもの(20重量%の微粒子分散溶液)である。
また、基体10として、サンドマット加工によって表面が粗面化されたPET基板を用いた。尚、PET基板の厚さを0.05mm、PET基板の表面の凹凸の高さを、0.1μm乃至2μmとした。サンドマット加工によって表面が粗面化されたPET基板の表面は、微粒子分散溶液に対する濡れ性がよい。更には、微粒子分散溶液を基体10上に塗布して微粒子分散溶液層を形成する方法として、引き上げ法を採用した。また、メニスカス形成手段40として、太さ0.1mmのステンレス鋼線材を縦横に張架した篩状部材から成るメッシュ(メッシュのピッチpM=6mm)を用いた。このメッシュの開口形状は概ね一辺が5.5mmの正方形である。メッシュのピッチpMは、メッシュのどの位置においても一定の値である構成とした。
実施例5においては、基体上に複数の微粒子を堆積させる方法として、第1のメニスカス応用方法を採用した。この第1のメニスカス応用方法にあっては、微粒子分散溶液を基体上に塗布して微粒子分散溶液層を形成した後、メニスカス形成手段をこの微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の微粒子層を得る。
尚、実施例5においては、微粒子層12及び第2微粒子層16の2層の微粒子層を形成するので、上述の第1のメニスカス応用方法を一般化すると、以下のとおりとなる。即ち、
第1番目[第1層目]の微粒子分散溶液を基体上に塗布して第1番目[第1層目]の微粒子分散溶液層を形成した後、第1番目のメニスカス形成手段を第1番目[第1層目]の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の第1番目[第1層目]の微粒子層を得た後、
第(m+1)番目(但し、m=1,2・・・M−1であり、M≧2)[第(m+1)層目]の微粒子分散溶液を第m番目[第m層目]の微粒子層上に塗布して第(m+1)番目[第(m+1)層目]の微粒子分散溶液層を形成した後、第(m+1)番目のメニスカス形成手段を第(m+1)番目[第(m+1)層目]の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、第m番目[第m層目]の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(m+1)番目[第(m+1)層目]の微粒子層を得る工程を、(M−1)回、繰り返し、微粒子が配向した状態のM層から成る微粒子層多層構造を得る。
尚、実施例5においては、具体的には、M=2である。また、以下の説明における第1番目[第1層目]の微粒子層は微粒子層12であり、第2番目[第2層目]の微粒子層は第2微粒子層16である。
実施例5においては、具体的には、上述した第1番目の微粒子分散溶液中に、基体10を垂直に浸漬し、次いで、基体10を第1番目の微粒子分散溶液から30mm/秒の速度で垂直に引き上げた。こうして、第1番目の微粒子分散溶液を基体10上に塗布して第1番目の微粒子分散溶液層を基体10上に形成することができた。
次いで、室内において基体10を水平に保持し、メニスカス形成手段40であるメッシュをこの第1番目の微粒子分散溶液層112に接触した状態とした(図6の(A)及び(B)の模式的な一部平面図及び一部端面図を参照)。具体的には、第1番目の微粒子分散溶液層112に、メニスカス形成手段40であるメッシュを被せた。このとき、メニスカス形成手段40を基体10から浮かせ、メニスカス形成手段40と基体10とを非接触状態とした。そして、1時間、この状態を維持し、第1番目の微粒子分散溶液層112を自然乾燥させた。
こうして、図6の(C)に模式的に示すように、基体10の表面に対して微粒子11が配向した状態の微粒子層(第1番目の微粒子層)12を得ることができた。即ち、基体10の法線方向に沿った微粒子の並び状態(配列状態)に規則性が有る状態を得ることができ、より具体的には、基体10の法線方向に沿って、少なくとも部分的に、ABCABC・・・の状態に配列された状態(立方最密構造を有する状態)と、ABABAB・・・の状態に配列されている状態(六方最密構造を有する状態)とが混在した状態を得ることができた。尚、この混在状態にあっても、ブラッグ波長は同じである。微粒子層(第1番目の微粒子層)12の厚さを3μmとした。
次に、実施例1、実施例2あるいは実施例3にて説明した方法に基づき、微粒子層12の一部分を帯状に加熱、冷却して、微粒子層12と微粒子層12とによって挟まれ、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13を形成した。以上の工程を経ることで、実施例1〜実施例3と同じ光導波路13を得ることができる。また、実施例4と同じ微粒子を用いれば、実施例4と同じ光導波路13を得ることができる。
実施例5においては、その後、第(m+1)番目[但し、m=1であり、具体的には第2番目]の微粒子分散溶液を第m番目[具体的には第1番目]の微粒子層上に塗布して第(m+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子分散溶液層を形成した後、第(m+1)番目[具体的には第2番目]のメニスカス形成手段をこの第(m+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、第m番目[具体的には第1番目]の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(m+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子層を得る。第(m+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子層(第2微粒子層16)を得る具体的な方法は、第1番目の微粒子層(微粒子層12)を得るために先に説明したと同様の方法とすればよい。尚、第2番目の微粒子層(第2微粒子層16)の厚さを3μmとした。
こうして、微粒子が配向した状態のM層(実施例5においては2層)から成る微粒子層多層構造(微粒子層12及び第2微粒子層16)を得ることができた。第1番目及び第2番目の微粒子層(微粒子層12及び第2微粒子層16)においては、基体10の法線方向に沿った微粒子の並び状態(配列状態)に規則性が有る状態を得ることができ、微粒子層12及び第2微粒子層16はフォトニック結晶として機能することが判った。また、こうして得られた光導波路構造体は、光損失の小さい導波特性を示し、光導波路として機能を十分に果たしていることが確認できた。
尚、室内において基体10を水平に保持し、第1番目〜第2番目の微粒子分散溶液層にメッシュを被せたとき、メッシュと基体10あるいは微粒子層とを接触状態として、第1番目〜第2番目の微粒子層を形成した。こうして得られた第1番目〜第2番目の微粒子層(微粒子層12及び第2微粒子層16)も、メッシュと基体10あるいは微粒子層とを非接触状態として得られた上述の第1番目〜第2番目の微粒子層(微粒子層12及び第2微粒子層16)と、同じ特性を示した。
また、メッシュの代わりに、長さ1mm乃至2mmのガラス製のチップ状の短い糸をメニスカス形成手段として使用して、第1番目〜第2番目の微粒子層(微粒子層12及び第2微粒子層16)を形成した。具体的には、微粒子分散溶液中に基体10を垂直に浸漬し、次いで、基体10を微粒子分散溶液から垂直に引き上げた後、室内において基体10を水平に保持し、メニスカス形成手段であるチップ状の短い糸をこれらの微粒子分散溶液層(第1番目の微粒子分散溶液層及び第2番目の微粒子分散溶液層)上にばらまいた。そして、所定の時間、この状態を維持し、微粒子分散溶液層(第1番目の微粒子分散溶液層及び第2番目の微粒子分散溶液層)を自然乾燥させた。こうして得られた2層の微粒子層多層構造(微粒子層12及び第2微粒子層16)も、メッシュを使用して得られた上述の2層の微粒子層多層構造と、同じ特性を示した。尚、次に説明する実施例6においても、メッシュの代わりに、長さ1mm乃至2mmのガラス製のチップ状の短い糸をメニスカス形成手段として用いることができる。
実施例6は、実施例5の変形である。実施例6においては、図5の(B)に模式的な一部断面図を示すように、微粒子層12及び光導波路13と基体10との間に、充填率η0(但し、η0<ηLGであり、具体的には、η0=0.74)、実効屈折率nef-0(但し、nef-LG>nef-0であり、具体的には、nef-0=1.34)を有する下地微粒子層18を更に備えている。また、実施例6にあっては、基体10上に微粒子層12を形成する前に、充填率η0(但し、η0<ηLG)、実効屈折率nef-0(但し、nef-LG>nef-0)を有する下地微粒子層18を形成する工程を更に含み、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層12を下地微粒子層18上に形成する。形成方法は、具体的には、第1のメニスカス応用方法に基づいている。実施例6においては、下地微粒子層18を構成する微粒子17として、平均粒径2×10-7m(0.25μm)のシリカ(屈折率n0=1.46)を用いた。また、微粒子層12を構成する微粒子11、及び、第2微粒子層16を構成する微粒子15は、実施例5と同じものを用いた。微粒子17が分散された微粒子分散溶液(第1番目の微粒子分散溶液)、微粒子11が分散された微粒子分散溶液(第2番目の微粒子分散溶液)、及び、微粒子15が分散された微粒子分散溶液(第3番目の微粒子分散溶液)における分散媒として純水を用いた。全ての微粒子分散溶液は、純水100グラムに微粒子25グラムを分散させたもの(20重量%の微粒子分散溶液)である。また、基体10及びメニスカス形成手段40であるメッシュとして、実施例5にて説明した基体及びメッシュを用いた。
実施例6においては、具体的には、M=3である。また、以下の説明における第1番目[第1層目]の微粒子層は下地微粒子層18であり、第2番目[第2層目]の微粒子層は微粒子層12であり、第3番目[第3層目]の微粒子層は第2微粒子層16である。
実施例6においては、具体的には、上述した第1番目の微粒子分散溶液中に、基体10を垂直に浸漬し、次いで、基体10を第1番目の微粒子分散溶液から30mm/秒の速度で垂直に引き上げた。こうして、第1番目の微粒子分散溶液を基体10上に塗布して第1番目の微粒子分散溶液層を基体10上に形成することができた。
次いで、室内において基体10を水平に保持し、図6の(A)及び(B)に示したと同様に、メニスカス形成手段40であるメッシュをこの第1番目の微粒子分散溶液層に接触した状態とした。具体的には、第1番目の微粒子分散溶液層にメッシュを被せた。このとき、メッシュを基体10から浮かせ、メッシュと基体10とを非接触状態とした。そして、1時間、この状態を維持し、第1番目の微粒子分散溶液層を自然乾燥させた。
こうして、図6の(C)に示したと同様に、基体10の表面に対して微粒子17が配向した状態の下地微粒子層(第1番目の微粒子層)18を得ることができた。即ち、基体10の法線方向に沿った微粒子の並び状態(配列状態)に規則性が有る状態を得ることができ、より具体的には、基体10の法線方向に沿って、少なくとも部分的に、ABCABC・・・の状態に配列された状態(立方最密構造を有する状態)と、ABABAB・・・の状態に配列されている状態(六方最密構造を有する状態)とが混在した状態を得ることができた。尚、この混在状態にあっても、ブラッグ波長は同じである。下地微粒子層(第1番目の微粒子層)18の厚さを3μmとした。
次に、実施例6にあっては、第(m+1)番目[但し、m=1であり、具体的には第2番目]の微粒子分散溶液を第m番目[具体的には第1番目]の微粒子層上に塗布して第(m+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子分散溶液層を形成した後、第(m+1)番目[具体的には第2番目]のメニスカス形成手段をこの第(m+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、第m番目[具体的には第1番目]の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(m+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子層である微粒子層12を得る。第(m+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子層を得る具体的な方法は、第1番目の微粒子層を得るために先に説明したと同様の方法とすればよい。尚、第2番目の微粒子層(微粒子層12)の厚さは、実施例5にて説明したと同様とすればよい。
その後、実施例1、実施例2あるいは実施例3にて説明した方法に基づき、微粒子層12の一部分を帯状に加熱、冷却して、微粒子層12と微粒子層12とによって挟まれ、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13を形成した。以上の工程を経ることで、実施例1〜実施例3と同じ光導波路13を得ることができる。
実施例6においては、次に、第(m+1)番目[但し、m=2であり、具体的には第3番目]の微粒子分散溶液を第m番目[具体的には第2番目]の微粒子層上に塗布して第(m+1)番目[具体的には第3番目]の微粒子分散溶液層を形成した後、第(m+1)番目[具体的には第3番目]のメニスカス形成手段をこの第(m+1)番目[具体的には第3番目]の微粒子分散溶液層に接触した状態とし、以て、第m番目[具体的には第2番目]の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(m+1)番目[具体的には第3番目]の微粒子層(第2微粒子層16)を得る。第(m+1)番目[具体的には第3番目]の微粒子層を得る具体的な方法は、第1番目の微粒子層を得るために先に説明したと同様の方法とすればよい。尚、第3番目の微粒子層(第2微粒子層16)の厚さは、実施例5にて説明したと同様とすればよい。
こうして、微粒子が配向した状態のM層(実施例6においては3層)から成る微粒子層多層構造(下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16)を得ることができた。第1番目、第2番目及び第3番目の微粒子層(下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16)においては、基体10の法線方向に沿った微粒子の並び状態(配列状態)に規則性が有る状態を得ることができ、下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16はフォトニック結晶として機能することが判った。また、こうして得られた光導波路構造体は、光損失の小さい導波特性を示し、光導波路として機能を十分に果たしていることが確認できた。
尚、代替的に、室内において基体10を水平に保持し、第1番目〜第3番目の微粒子分散溶液層にメッシュを被せたとき、メッシュと基体10あるいは下地微粒子層、微粒子層とを接触状態として、第1番目〜第3番目の微粒子層を形成した。こうして得られた第1番目〜第3番目の微粒子層(下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16)も、メッシュと基体10あるいは下地微粒子層、微粒子層とを非接触状態として得られた上述の第1番目〜第3番目の微粒子層(下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16)と、同じ特性を示した。
実施例7も実施例5の変形であり、第2のメニスカス応用方法に基づき、微粒子層12及び第2微粒子層16を得る。即ち、基体の上又は上方にメニスカス形成手段を配置した状態で、このメニスカス形成手段を介して微粒子分散溶液を基体上に塗布し、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の微粒子層を得る。
尚、実施例7においても、微粒子層12及び第2微粒子層16の2層の微粒子層を形成するので、上述の第2のメニスカス応用方法を一般化すると、以下のとおりとなる。即ち、
基体の上又は上方に第1番目のメニスカス形成手段を配置した状態で、第1番目のメニスカス形成手段を介して第1番目の微粒子分散溶液を基体上に塗布し、以て、基体表面に対して微粒子が配向した状態の第1番目の微粒子層を得た後、
第n番目(但し、n=1,2・・・N−1であり、N≧2)の微粒子層の上又は上方に第(n+1)番目のメニスカス形成手段を配置した状態で、第(n+1)番目のメニスカス形成手段を介して第(n+1)番目の微粒子分散溶液を第n番目の微粒子層上に塗布し、以て、第n番目の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(n+1)番目の微粒子層を得る工程を、(N−1)回、繰り返し、微粒子が配向した状態のN層から成る微粒子層多層構造を得る。
実施例7においては、実施例5と同じ微粒子11、第1番目の微粒子分散溶液層、微粒子15及び第2番目の微粒子分散溶液層を用い、メッシュ、基体も実施例5と同じメッシュ、基体を用いた。実施例7においては、具体的には、N=2である。また、以下の説明における第1番目[第1層目]の微粒子層は微粒子層12であり、第2番目[第2層目]の微粒子層は第2微粒子層16である。
以下、実施例7の第2のメニスカス応用方法を適用した光導波路の形成方法を説明するが、実施例7においては、基体10と第1番目のメニスカス形成手段とを非接触状態とする。更には、第n番目の微粒子層と第(n+1)番目のメニスカス形成手段とも非接触状態とする。
実施例7にあっては、先ず、室内において基体10を水平に保持し、基体10の上方0.1mm乃至0.5mmのところにメニスカス形成手段であるメッシュを適切な方法で配置する。即ち、メッシュを、基体10から浮き上がった状態とする。そして、この状態で、実施例5と同様の引き上げ法に基づき、但し、メニスカス形成手段を介して、即ち、メニスカス形成手段を介在させた状態でメニスカス形成手段の上方から微粒子分散溶液を基体10上に塗布した。次いで、1時間、この状態を維持し、微粒子分散溶液層を自然乾燥させた。
こうして、実施例5と同様に、基体10の表面に対して微粒子11が配向した状態の微粒子層(第1番目の微粒子層)12を得ることができた。尚、第1番目の微粒子層(微粒子層12)の厚さは、実施例5にて説明したと同様とすればよい。
次に、実施例1、実施例2あるいは実施例3にて説明した方法に基づき、微粒子層12の一部分を帯状に加熱、冷却して、微粒子層12と微粒子層12とによって挟まれ、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13を形成した。以上の工程を経ることで、実施例1〜実施例3と同じ光導波路13を得ることができる。また、実施例4と同じ微粒子を用いれば、実施例4と同じ光導波路13を得ることができる。
実施例7においては、その後、第n番目[但し、n=1であり、具体的には第1番目]の微粒子層の上方に第(n+1)番目[具体的には第2番目]のメニスカス形成手段を配置した状態で、この第(n+1)番目[具体的には第2番目]のメニスカス形成手段を介して第(n+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子分散溶液を第n番目[具体的には第1番目]の微粒子層上に塗布し、以て、第n番目[具体的には第1番目]の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(n+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子層を得る。第(n+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子層を得る具体的な方法は、第1番目の微粒子層を得るために先に説明したと同様の方法とすればよい。尚、第2番目の微粒子層(第2微粒子層16)の厚さは、実施例5にて説明したと同様とすればよい。
こうして、実施例5と同様に、微粒子が配向した状態のN層(実施例7においては2層)から成る微粒子層多層構造(微粒子層12及び第2微粒子層16)を得ることができた。第1番目及び第2番目の微粒子層(微粒子層12及び第2微粒子層16)においては、基体10の法線方向に沿った微粒子の並び状態(配列状態)に規則性が有る状態を得ることができ、微粒子層12及び第2微粒子層16はフォトニック結晶として機能することが判った。また、こうして得られた光導波路構造体は、光損失の小さい導波特性を示し、光導波路として機能を十分に果たしていることが確認できた。また、実施例7における微粒子層12、光導波路13、第2微粒子層16の構成、構造、特性は、実施例5において説明した微粒子層12、光導波路13、第2微粒子層16の構成、構造、特性と同じであった。
メッシュの代わりに、長さ1mm乃至2mmのガラス製のチップ状の短い糸をメニスカス形成手段として使用して、第1番目〜第2番目の微粒子層(微粒子層12及び第2微粒子層16)を形成した。具体的には、メニスカス形成手段であるチップ状の短い糸を、基体の上、あるいは、第n番目の微粒子層の上にばらまいた。そして、この状態で、上方から第1番目及び第2番目の微粒子分散溶液を塗布した後、所定の時間、この状態を維持し、第1番目及び第2番目の微粒子分散溶液層を自然乾燥させた。こうして得られた2層(微粒子層12及び第2微粒子層16)の微粒子層多層構造も、メッシュを使用して得られた上述の2層の微粒子層多層構造と、同じ特性を示した。尚、次に説明する実施例8においても、メッシュの代わりに、長さ1mm乃至2mmのガラス製のチップ状の短い糸をメニスカス形成手段として用いることができる。
実施例8は、実施例6及び実施例7の変形であり、第2のメニスカス応用方法に基づき、下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16を得る。
実施例8においては、具体的には、N=3である。また、以下の説明における第1番目[第1層目]の微粒子層は下地微粒子層18であり、第2番目[第2層目]の微粒子層は微粒子層12であり、第3番目[第3層目]の微粒子層は第2微粒子層16である。
実施例8において、下地微粒子層18を構成する微粒子17、微粒子層12を構成する微粒子11、及び、第2微粒子層16を構成する微粒子15は、実施例6と同じものを用いた。また、微粒子17が分散された微粒子分散溶液(第1番目の微粒子分散溶液)、微粒子11が分散された微粒子分散溶液(第2番目の微粒子分散溶液)、及び、微粒子15が分散された微粒子分散溶液(第3番目の微粒子分散溶液)における分散媒として純水を用いた。尚、全ての微粒子分散溶液は、純水100グラムに微粒子25グラムを分散させたもの(20重量%の微粒子分散溶液)である。更には、基体10及びメニスカス形成手段40であるメッシュとして、実施例5にて説明した基体及びメッシュを用いた。
実施例8にあっては、先ず、室内において基体10を水平に保持し、基体10の上方0.1mm乃至0.5mmのところにメニスカス形成手段であるメッシュを適切な方法で配置する。即ち、メッシュを、基体10から浮き上がった状態とする。そして、この状態で、実施例5と同様の引き上げ法に基づき、但し、メニスカス形成手段を介して、即ち、メニスカス形成手段を介在させた状態でメニスカス形成手段の上方から微粒子分散溶液を基体10上に塗布した。次いで、1時間、この状態を維持し、微粒子分散溶液層を自然乾燥させた。
こうして、実施例6と同様に、基体10の表面に対して微粒子17が配向した状態の下地微粒子層(第1番目の微粒子層)18を得ることができた。尚、第1番目の微粒子層(下地微粒子層18)の厚さは、実施例6にて説明したと同様とすればよい。
次に、実施例8においては、その後、第n番目[但し、n=1であり、具体的には第1番目]の微粒子層の上方に第(n+1)番目[具体的には第2番目]のメニスカス形成手段を配置した状態で、この第(n+1)番目[具体的には第2番目]のメニスカス形成手段を介して第(n+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子分散溶液を第n番目[具体的には第1番目]の微粒子層上に塗布し、以て、第n番目[具体的には第1番目]の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(n+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子層を得る。第(n+1)番目[具体的には第2番目]の微粒子層を得る具体的な方法は、第1番目の微粒子層を得るために先に説明したと同様の方法とすればよい。尚、第2番目の微粒子層(微粒子層12)の厚さは、実施例5にて説明したと同様とすればよい。
その後、実施例1、実施例2あるいは実施例3にて説明した方法に基づき、微粒子層12の一部分を帯状に加熱、冷却して、微粒子層12と微粒子層12とによって挟まれ、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13を形成した。以上の工程を経ることで、実施例1〜実施例3と同じ光導波路13を得ることができる。
実施例8においては、次に、第n番目[但し、n=2であり、具体的には第2番目]の微粒子層の上方に第(n+1)番目[具体的には第3番目]のメニスカス形成手段を配置した状態で、この第(n+1)番目[具体的には第3番目]のメニスカス形成手段を介して第(n+1)番目[具体的には第3番目]の微粒子分散溶液を第n番目[具体的には第2番目]の微粒子層上に塗布し、以て、第n番目[具体的には第2番目]の微粒子層表面に対して微粒子が配向した状態の第(n+1)番目[具体的には第3番目]の微粒子層を得る。第(n+1)番目[具体的には第3番目]の微粒子層を得る具体的な方法は、第1番目の微粒子層を得るために先に説明したと同様の方法とすればよい。尚、第3番目の微粒子層(第2微粒子層16)の厚さは、実施例5にて説明したと同様とすればよい。
こうして、微粒子が配向した状態のN層(実施例8においては3層)から成る微粒子層多層構造(下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16)を得ることができた。第1番目、第2番目及び第3番目の微粒子層(下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16)においては、基体10の法線方向に沿った微粒子の並び状態(配列状態)に規則性が有る状態を得ることができ、下地微粒子層18、微粒子層12及び第2微粒子層16はフォトニック結晶として機能することが判った。また、こうして得られた光導波路構造体は、光損失の小さい導波特性を示し、光導波路として機能を十分に果たしていることが確認できた。また、実施例8における下地微粒子層18、微粒子層12、光導波路13、第2微粒子層16の構成、構造、特性は、実施例6において説明した下地微粒子層18、微粒子層12、光導波路13、第2微粒子層16の構成、構造、特性と同じであった。
実施例9は、本発明の第1の態様に係るレーザ発光装置に関する。この実施例9のレーザ発光装置は、図7の(A)に模式的な一部平面図を示し、図7の(B)に模式的な部分的斜視図を示すように、
(a)基体10上に形成され、複数の微粒子11が堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有し、フォトニック結晶として機能する微粒子層12、
(b)基体10上に形成され、且つ、微粒子層12を帯状に加熱、冷却することで形成され、微粒子層12と微粒子層12とによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13、
(c)光導波路13に隣接した微粒子層12の一部の領域から構成され、レーザ媒体が充填されたレーザ発光部30、並びに、
(d)光導波路13を介してレーザ媒体を励起するための光を射出する励起光源(図示せず)、
から成る。
尚、図7の(A)及び(B)においては、レーザ発光部30を明示するために、レーザ発光部30に斜線を付した。ここで、レーザ発光部30は光導波路13に隣接した微粒子層12の一部の領域から構成されているが、具体的には、光導波路13と微粒子層12との境界領域から、約1μm離れた微粒子層12の部分までが、レーザ発光部30として機能する。
実施例9において、基体10、微粒子11、微粒子層12、光導波路13の構成、構造、特性を、実施例1にて説明した基体10、微粒子11、微粒子層12、光導波路13の構成、構造、特性と同じとした。尚、実施例9におけるレーザ媒体としてローダミンBを用いた。また、実施例9においては、光導波路13の幅を狭くして光導波路13からの励起光(導波光)の滲み出しが十分になるように、光導波路13の幅を0.1μm以下とした。更には、励起光源としては、レーザ媒体を励起できる波長の光が必要であり、405nmのレーザ光を射出するGaN系半導体レーザを励起光源として用いた。
このような実施例9におけるレーザ発光部30は、実施例1〜実施例8における光導波路13の形成後、例えば、レーザ発光部30を形成すべき、光導波路13に隣接した微粒子層12の一部の領域に、ローダミンBをエチルアルコール等の有機系溶媒に分散させた溶液を滴下し、乾燥させることで得ることができる。実施例9におけるレーザ発光部30においては、微粒子11の表面にレーザ媒体であるローダミンBが付着した状態にある。
このような構造にすることで、励起光源から光導波路13を励起光が導波されるとき、励起光(導波光)の光導波路13からの滲み出しによりレーザ媒体が励起されて反転分布を起こし、レーザ発光部30において、フォトニック結晶として機能する微粒子層12における各微粒子11内部でのブラッグ反射による閉じ込め効果に基づき、レーザ発振が生じる。尚、この場合、ブラッグの回折条件により出射方向が決まるし、レーザ媒体が存在する光導波路の近傍でレーザ発振が生じる。
尚、実施例9あるいは次に述べる実施例10のレーザ発光装置においては、実施例5〜実施例8にて説明した光導波路構造体を形成してもよい。
実施例10は、本発明の第2の態様に係るレーザ発光装置に関する。この実施例10のレーザ発光装置は、図8の(A)に模式的な一部平面図を示し、図8の(B)に模式的な部分的斜視図を示すように、
(a)基体10上に形成され、発光性色素又は発光性半導体微粒子を内部に含んだ複数の微粒子11Aが堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有し、フォトニック結晶として機能する微粒子層12A、
(b)基体10上に形成され、且つ、微粒子層12Aを帯状に加熱、冷却することで形成され、微粒子層12Aと微粒子層12Aとによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路13A、
(c)光導波路13Aに隣接した微粒子層12Aの一部の領域から構成されたレーザ発光部31、並びに、
(d)光導波路13Aを介して発光性色素又は発光性半導体微粒子を励起するための光を射出する励起光源(図示せず)、
から成る。
尚、図8の(A)及び(B)においては、レーザ発光部31を明示するために、レーザ発光部31に斜線を付した。実施例10においては、斜線を付したレーザ発光部31の外側に位置する微粒子層の領域(便宜上、外側領域12Bと呼ぶ)における微粒子11Aの内部にも発光性色素又は発光性半導体微粒子が含まれているが、励起光源から光導波路13を励起光が導波されるとき、光導波路13から滲み出した励起光(導波光)がこの外側領域12Bには十分なる光強度を持って到達しないので、この外側領域12Bではレーザ発振が生じない。具体的には、光導波路13と微粒子層12との境界領域から、約1μm離れた微粒子層12の部分までが、レーザ発光部31として機能する。
実施例10において、基体10、微粒子層12A、光導波路13Aの構成、構造、特性を、実施例1にて説明した基体10、微粒子層12、光導波路13の構成、構造、特性と同じとした。尚、実施例9における微粒子11Aの内部には、発光性色素(具体的には、ローダミンB)、又は、発光性半導体微粒子(具体的には、Si、GaAs、CdSe、CdS、ZnSe、CdTe、InP、GaN、InN等の発光性の半導体微粒子)が含まれている。また、実施例10においては、光導波路13Aの幅を狭くして光導波路13からの励起光(導波光)の滲み出しが十分になるように、光導波路13Aの幅を0.1μm以下とした。更には、励起光源としては、レーザ媒体を励起できる波長の光が必要であり、405nmのレーザ光を射出するGaN系半導体レーザを励起光源として用いた。
このような実施例10における微粒子層12A、光導波路13A及びレーザ発光部31は、実施例1〜実施例8における微粒子層12及び光導波路13の形成方法と実質的に同様の方法で形成することができる。
このような構造にすることで、励起光源から光導波路13Aを励起光が導波されるとき、励起光(導波光)の光導波路13Aからの滲み出しにより、レーザ発光部31を構成する微粒子11Aの内部の発光性色素又は発光性半導体微粒子が励起されて反転分布を起こし、レーザ発光部31において、フォトニック結晶として機能する微粒子層12Aにおける各微粒子11A内部でのブラッグ反射による閉じ込め効果に基づき、レーザ発振が生じる。尚、この場合、ブラッグの回折条件により出射方向が決まるし、レーザ媒体が存在する光導波路の近傍でレーザ発振が生じる。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した微粒子層の形成方法、あるいは、光導波路構造体の形成方法における各種の条件、使用した各種の材料等は例示であり、適宜、変更することができるし、光導波路構造体やレーザ発光装置の構成、構造等も例示であり、適宜、変更することができる。
場合によっては、微粒子層における微粒子と微粒子との間に存在する空間を高分子物質から成るバインダで充填してもよい。バインダの屈折率n’は微粒子の屈折率n1,nLG,n2,n0と異なっていることが必要とされる。具体的には、微粒子を構成する材料がシリカである場合、バインダとして、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリ酢酸ビニルといった樹脂を例示することができる。尚、微粒子層における微粒子と微粒子との間に存在する空間をバインダで充填する方法として、微粒子層にバインダを溶かした溶液を滲み込ませる方法、微粒子分散溶液にバインダを添加しておく方法を例示することができる。このように微粒子層における微粒子と微粒子との間に存在する空間をバインダで充填することで、微粒子層の機械的強度を向上させることができる。
図1の(A)及び(B)は、実施例1の光導波路構造体の形成方法を説明するための基体等の模式的な一部断面図であり、図1の(C)は、微粒子層の模式的な部分的斜視図であり、図1の(D)は、実施例1の光導波路構造体の模式的な一部断面図であり、図1の(E)は、光導波路構造体の幅方向における実効屈折率を示す模式図である。 図2は、実施例1におけるレーザ照射前の微粒子層の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図3は、実施例1におけるレーザ照射後の微粒子層の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図4は、加熱プリント法に基づき微粒子層の一部分を帯状に加熱する方法を説明するための微粒子層等の模式的な部分的斜視図である。 図5の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5及び実施例6の光導波路構造体の模式的な一部断面図である。 図6の(A)、(B)及び(C)は、実施例5の光導波路構造体の形成方法を説明するための図であり、図6の(A)及び(B)は、メニスカス形成手段をメッシュから構成した場合の一例の模式的な一部平面図及び一部端面図であり、図6の(C)は、基体上で微粒子分散溶液中の微粒子が順序よく集合する状態を示す模式図である。 図7の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例9のレーザ発光装置の模式的な一部平面図及び模式的な部分的斜視図である。 図8の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例10のレーザ発光装置の模式的な一部平面図及び模式的な部分的斜視図である。
符号の説明
10・・・基体、11,11A,15,17・・・微粒子、12,12A・・・微粒子層、112・・・第1番目の微粒子分散溶液層、13,13A・・・光導波路、16・・・第2微粒子層、18・・・下地微粒子層、20・・・凹凸基板、21・・・凸部、30,31・・・レーザ発光部、40・・・メニスカス形成手段

Claims (16)

  1. (A)基体上に複数の微粒子を堆積させることによって、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層を形成した後、
    (B)微粒子層の一部分を帯状に加熱、冷却して、微粒子層と微粒子層とによって挟まれ、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路を形成することを特徴とする光導波路構造体の形成方法。
  2. 微粒子層及び光導波路の上に複数の微粒子を堆積させることによって、充填率η2(但し、η2<ηLG)、実効屈折率nef-2(但し、nef-LG>nef-2)を有する第2微粒子層を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の光導波路の形成方法。
  3. 基体上に微粒子層を形成する前に、充填率η0(但し、η0<ηLG)、実効屈折率nef-0(但し、nef-LG>nef-0)を有する下地微粒子層を形成する工程を更に含み、
    充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層を下地微粒子層上に形成することを特徴とする請求項1に記載の光導波路の形成方法。
  4. 微粒子層はフォトニック結晶として機能することを特徴とする請求項1に記載の光導波路の形成方法。
  5. 微粒子はSiOX(但し、0<X≦2)から成ることを特徴とする請求項1に記載の光導波路の形成方法。
  6. レーザビームを用いて微粒子層の一部分を帯状に加熱することを特徴とする請求項1に記載の光導波路の形成方法。
  7. 電子ビームを用いて微粒子層の一部分を帯状に加熱することを特徴とする請求項1に記載の光導波路の形成方法。
  8. 加熱プリント法に基づき微粒子層の一部分を帯状に加熱することを特徴とする請求項1に記載の光導波路の形成方法。
  9. (a)基体上に形成され、複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有する微粒子層、並びに、
    (b)該基体上に形成され、且つ、該微粒子層を帯状に加熱、冷却することで形成され、該微粒子層と該微粒子層とによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路、
    から成ることを特徴とする光導波路構造体。
  10. 微粒子層及び光導波路の上に形成され、複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η2(但し、η2<ηLG)、実効屈折率nef-2(但し、nef-LG>nef-2)を有する第2微粒子層を更に備えていることを特徴とする請求項9に記載の光導波路構造体。
  11. 微粒子層及び光導波路と基体との間に、充填率η0(但し、η0<ηLG)、実効屈折率nef-0(但し、nef-LG>nef-0)を有する下地微粒子層を更に備えていることを特徴とする請求項9に記載の光導波路構造体。
  12. 微粒子層はフォトニック結晶として機能することを特徴とする請求項9に記載の光導波路構造体。
  13. 微粒子はSiOX(但し、0<X≦2)から成ることを特徴とする請求項9に記載の光導波路構造体。
  14. (a)基体上に形成され、複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有し、フォトニック結晶として機能する微粒子層、
    (b)該基体上に形成され、且つ、該微粒子層を帯状に加熱、冷却することで形成され、該微粒子層と該微粒子層とによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路、
    (c)光導波路に隣接した該微粒子層の一部の領域から構成され、レーザ媒体が充填されたレーザ発光部、並びに、
    (d)光導波路を介してレーザ媒体を励起するための光を射出する励起光源、
    から成ることを特徴とするレーザ発光装置。
  15. (a)基体上に形成され、発光性色素又は発光性半導体微粒子を内部に含んだ複数の微粒子が堆積されて成り、充填率η1、実効屈折率nef-1を有し、フォトニック結晶として機能する微粒子層、
    (b)該基体上に形成され、且つ、該微粒子層を帯状に加熱、冷却することで形成され、該微粒子層と該微粒子層とによって挟まれた、充填率ηLG(但し、η1<ηLG≦1)、実効屈折率nef-LG(但し、nef-LG>nef-1)を有する光導波路、
    (c)光導波路に隣接した該微粒子層の一部の領域から構成されたレーザ発光部、並びに、
    (d)光導波路を介して発光性色素又は発光性半導体微粒子を励起するための光を射出する励起光源、
    から成ることを特徴とするレーザ発光装置。
  16. 微粒子はSiOX(但し、0<X≦2)から成ることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載のレーザ発光装置。
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