JP2005336683A - 紙料叩解パルパー - Google Patents

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将継 森実
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Abstract

【課題】高品質のフィブリル化繊維が得られ、高濃度の叩解が可能であって、離解・叩解処理工程の省スペース化と省力化が達成できる紙料叩解パルパーを提供する。
【解決手段】有底円筒状のタンク1と、タンク1の底部中心に固定されたステータ31と、その上面に配置された回転ロータ32を有する叩解機3とからなる。叩解機3は、回転ロータ32の中心開口にシュラウド33を有しており、ステータ31の中心を貫通して、先端部が回転ロータ32の中心に位置する回転軸5が設けられており、シュラウド33と回転軸の先端部との間に、押込み羽根6が形成されている。シュラウド33の上方に円筒状の案内筒7が形成され、案内筒7の外周にスクリュー羽根8が形成されている。回転ロータ32に結合され、タンク1の下方に延びる回転軸5と、回転軸5を軸方向に昇降させるジャッキ装置9とからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、紙料叩解パルパーに関する。さらに詳しくは、製紙原料の調整工程で、木材パルプその他の繊維を離解し、叩解する工程を一工程で行える紙料叩解パルパーに関する。
機械による製紙は、主として原料に木材パルプを使用する。木材パルプの元である木材はセルロースを主成分とした繊維が無数に集合したものであるが、ヘミセルロースやリグニンなどの中間層が繊維と繊維の間を接着している。この接着をはがして繊維を取り出すことをパルプ化といい、得られたものがパルプである。機械的に分離したパルプを砕木パルプといい、化学反応によって分離したものを化学パルプという。
ところでパルプ中には繊維の離解が不完全な繊維束を含むことがあり、また離解した繊維も長さや太さが大きすぎることもあり、さらに性状が硬くて抄造に適さないこともある。
そこで、パルプ繊維を水中で機械的に処理して抄紙しやすい性状にときほぐし、とくにフィブリル化する工程が必要となり、その工程を叩解という。
叩解の主たる目的であるフィブリル化は、繊維の第二次膜およびその内部組織を構成している比較的大きなフィブリルをほぐり出し、その表面に微細なミクロフィブリルを毛羽立てることであって、その結果繊維の外部表面積は極度に大きくなる。フィブリル化が充分行われていると、抄紙後の紙が柔らかくなり、しかも結合強度が強くなって破れにくいものとなる。
従来よりパルプ繊維の離解と叩解は、パルパーと叩解機を組み合わせて行っている(非特許文献1)。なぜならば、パルパーは、木材パルプの繊維を、切断せずに能率よく離解するが、完全に離解するには相当な時間を要する。そこで、パルパーではある程度の離解で止め、完全な離解あるいは叩解は叩解機に任すことが効率的だからである。
図6はパルパーと叩解機を組み合わせた従来の紙料調整設備を示している。
パルパー101 は、槽底に羽根あるいはスクリューを備えた特殊な回転盤があって、この回転盤を高速で回転させ、槽内に激しい渦巻きを起こすもので、投入されたパルプは渦の中心部と外側部とで大きい速度差を持っているため、強い内部摩擦を生じて繊維が離解されることになる。繊維が離解された紙料は排出管を通りポンプ102 によりサイクリングタンク103 に送られる。紙料濃度は普通5%位までで運転される。紙料濃度とは水と紙料との重量割合をいい、紙料濃度4%とは、水96%に対し紙料4%をいう。このように、低濃度での運転が多いのは、槽内に渦流を発生させなければならず、渦流には水分が多くないと発生しないからである。操業可能な紙料濃度を、中濃度や12〜18%程度の高濃度に高めたパルパーも存在するが、これらは大型のスクリューを用いるものであり、運転駆動力が非常に大きなものとなる。また、そのような高濃度対応のパルパーであっても、完全な離解には、やはり時間を必要としている。
パルパー101 である程度離解された木材パルプは、既述のごとくサイクリングタンク103 に貯えられるが、ついでポンプ104 で引き出して叩解機105 に送られ、叩解機105 で叩解される。この叩解機105 は、円板の一面に放射状の刃を設けた回転ロータと同様の刃を設けたステータを互いに向き合わせており、回転ロータを回転させながら2枚の刃の間に紙料を通す構造となっている。したがって紙料は、まず回転ロータとステータの間に圧入され、次に回転ロータの刃により回転させられ、遠心力が付加され、回転ロータとステータの間を通過する際に、各部の刃により、機械的衝撃をうけて離解、叩解され、出口から出ていく。したがって叩解機の作用は、パルプ繊維を離解すると共に叩解することにある。このようにして叩解機105 から送り出された木材パルプは再びサイクリングタンク103 に返され、何度も叩解機105 を通すことによって、叩解による紙料のフィブリル化が均一的に行われて、紙料調整が仕上がることになる。
調整を終えた紙料は完成チェスト106 に送られ、そこからポンプ107 で抄紙機に供給させることになる
しかるに、前記従来例では、次のような問題がある。
1)叩解処理は、叩解機の刃物間のクリアランスを狭くしていく調整で叩解度を上げることが出来るが、低濃度の処理条件ではクリアランスを限りなく狭くしていかなければならず、この場合は繊維を切断することが多かった。そして、切断が多くなると、紙の結合強度が弱くなる。
2)繊維質原料の叩解工程は、高濃度原料の移送ポンプと叩解機の構造上、濃度が高いと詰りが発生しやすいので、処理濃度は5%位が限界であった。したがって、目標のフィブリル化を進めるには、長時間の叩解処理を行わなければならなかった。
3)サイクリングタンク内の原料が全て均一に、リファイナを通過するとは限らないので、叩解の度合、つまり紙料の品質にバラツキができる。
4)離解・叩解工程で運転する機械が、大型のものだけでもパルパーと叩解機の2台が必要であり、その間に紙料を移送するポンプも数台必要とするので、設置スペースも多くとり、運転動力も大きくなる
「製紙工学」 194頁〜196頁、205頁〜222頁 昭和59年4月10日 増訂14版 著者 村井 操、中西 篤 工学図書株式会社発行
本発明は上記事情に鑑み、原料繊維の切断等の損傷を防ぎ、フィブリル化の均一化を図って高品位の紙料を供給でき、かつ高濃度の叩解も可能であって、離解・叩解処理工程の省スペース化と省力化が達成できる紙料叩解パルパーを提供することを目的とする。
第1発明の紙料叩解パルパーは、有底円筒状のタンクと、前記タンクの底部中心に固定されたステータと、その上面に回転自在に配置された回転ロータからなり、互いの対向面に歯を形成している叩解機と、前記叩解機のステータと回転ロータの間に向けて、タンク内の紙料を押込む押込み羽根とからなることを特徴とする。
第2発明の紙料叩解パルパーは、第1発明において、前記叩解機が、前記回転ロータの中心開口にシュラウドを有しており、前記ステータの中心を貫通して、先端部が前記回転ロータの中心に位置する回転軸が設けられており、該シュラウドと前記回転軸の先端部との間に、前記押込み羽根が形成されていることを特徴とする。
第3発明の紙料叩解パルパーは、第1発明において、前記シュラウドの上方に円筒状の案内筒が形成されていることを特徴とする。
第4発明の紙料叩解パルパーは、第1発明において、前記案内筒の外周にスクリュー羽根が形成されており、該スクリュー羽根が、タンク内の紙料をタンク底部に向けて押し出す羽根車であることを特徴とする。
第5発明の紙料叩解パルパーは、第1発明において、前記回転ロータに、その先端が結合され、前記タンクの下方に延びる回転軸と、該回転軸にカップリングを介して連結された回転駆動装置と、前記回転軸を軸方向に昇降させるジャッキ装置とからなることを特徴とする。
第6発明の紙料叩解パルパーは、第1発明において、前記回転ロータと前記ステータとの間のクリアランスを最初は大きく設定して運転開始し、運転中は前記叩解機の運転負荷を検出して、この運転負荷の変動に応じて前記クリアランスを徐々に狭くしていく自動クリアランス調整装置を備えたことを特徴とする。
第1発明によれば、押込み羽根が回転すると、叩解機の回転ロータとステータの間に紙料が押し込まれ、回転ロータとステータとの間を通過する間に紙料の離解と叩解が進められる。そして回転ロータとステータとの間から押出された紙料は、タンクの内壁に当って上昇し、再びタンクの中央付近に回流してくるので、再度押込み羽根で叩解機に通すことができる。このように、タンク内で紙料の回流を生じさせ、回流の通過位置に叩解機を置いているので、タンク内の紙料に叩解してないものが生じにくく、均一に叩解できるので、短時間で高品位の紙料を得ることができる。
第2発明によれば、シュラウドによって、タンク内の紙料の叩解機内への取込みが効率的に行え、回転軸からの回転トルクが、押込み羽根とシュラウドを介して回転ロータに伝達されるため、回転ロータの駆動機構が単純となり、しかも剛性を上げることが出来るので、損傷しにくく長寿命の紙料叩解パルパーが得られる。
第3発明によれば、叩解機の上方に案内筒があることによって、タンク内で回流する紙料が叩解機に向けて流れるよう案内するので、タンク内の紙料中に叩解機を通らないものを減少させ、叩解度の均一化をより向上させ、しかも原料が高濃度であっても叩解することができる。
第4発明によれば、スクリュー羽根には回転軸の回転トルクが、押込み羽根とシュラウドと案内筒を介して伝達され、このスクリュー羽根が回転すると、タンク内の紙料をタンク底部に向けて押し出す。このため、タンク内における紙料の回流が一層促進されるので、叩解機を通らない紙料が一層減少し、叩解度の均一化をさらに向上させ、しかも叩解機の回転ロータとステータの間に紙料を強制的に送り込む度合が高くなるので、高濃度であっても運転でき、処理時間も早くなる。
第5発明によれば、ジャッキ装置によって回転軸を上昇させると回転ロータも上昇してステータとの間のクリアランスを大きくし、回転軸を下降させると回転ロータも下降してクリアランスが小さくなる。このようにクリアランス調整をジャッキ装置によって行えるので、手間がかからず、紙料調整がタイミングよく適確に行える。
第6発明によれば、運転開始時にはクリアランスを大きくして高濃度紙料の叩解を可能とし、その後徐々にクリアランスを小さくしていくことで、原料繊維のフィブリル化を進め、最終的にはクリアランスを極限まで小さくすることによって叩解されない原料繊維を可能な限り少なくし、フィブリル化を均一に行い、高品質のフィブリル化繊維を供給することができる。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係わる紙料叩解パルパーの概略正面図である。図2は同紙料叩解パルパーにおける叩解機と駆動機構の概観図である。図3は同紙料叩解パルパーにおける叩解機と駆動機構の断面図である。図4は(A)図は回転ロータの平面図、(B)図は同回転ロータの断面図である。
図1において、1はタンク、2は架台である。タンク1は円筒状で底のある筒体である。タンク1の底部には、後述する叩解機3が設置されるが、その周囲には斜め傾斜板1aが取付けられ、タンク1の底部を漏斗状に形成している。このタンク1の底面には紙料の取出管4が接続されている。また、タンク1の上面は開口したままか、適当な蓋が取り付けられる。架台2は、タンク1を支える部材であり、その内部には、叩解機3の回転軸5やジャッキ装置9、減速機16等が配置される。
図2および図3に基づきさらに詳細に説明する。
叩解機3は主としてステータ31と回転ロータ32から構成されている。図4にも示すように、ステータ31の上面と回転ロータ32に下面には、それぞれ刃31a,32a が形成されており、この構造は従来からの叩解機と本質的に変るものではない。
叩解機3は前記タンク1の底部中心に配置される。具体的には、前記ステータ31は前記タンク1の底部に固定される。このステータ31の中心には孔が開口しており、回転軸5の上端部が貫通している。この回転軸5の上端から下の部分は、タンク1の下方である架台2内に延びている。
前記回転軸5の上端部には、円錐状のボス51が取付けられている。一方、回転ロータ32の中心にも開口が形成されており、この開口の周縁からは円錐筒状のシュラウド33が立上がっている。そして、このシュラウド33と前記回転軸5のボス51との間には、押込み羽根6が設けられている。この押込み羽根6は、回転すると紙料を上方から吸込み、ステータ31と回転ロータ32の間に押込むよう働く羽根である。また、この構成により回転軸5が回転すると、回転トルクがボス51と押込み羽根6を介してシュラウド33に伝達され、回転ロータ32が回転するようになっている。しかも、この構成は剛性が高く損傷しにくく長寿命が達成できるという利点がある。
前記叩解機3のシュラウド33の上方には円筒形の案内筒7が取付けられている。この案内筒7は前記シュラウド33とほぼ同じ内径を有し、後述する紙料タンク1内での回流を受け、叩解機3内に向けて流すよう案内するものである。
また、案内筒7の外周にはスクリュー羽根8が形成されている。このスクリュー羽根8は、タンク1内の紙料をタンク1の底部に向けて押出すための羽根である。
前記回転軸5は、前記架台2内の適所で、上下2カ所の軸受10,20で回転自在に支持されている。上方の軸受10は、回転軸5の外周に嵌められたベアリング11とそのベアリングケース12とからなる。そして、ベアリングケース12は、支持ケース13内に入れられており、上下摺動自在に支持されている。
下部の軸受20は、回転軸5の外周に嵌められたベアリング21と、そのベアリングケース22とからなる。そして、ベアリングケース22は、支持ケース23内に入れられており、上下摺動自在に支持されている。
前記上下の支持ケース13,23は架台2内に設けられた内部架台2Aに対し、固定的に取付けられている。
前記内部架台2Aは、下方部分に固定テーブル2Bを備えている。この固定テーブル2Bと前記上部の軸受10におけるベアリングケース12との間にはジャッキ装置9が設けられている。このジャッキ装置はベアリングケース12を介して回転軸5を上下に上げ下げできるものであれば、どのような機構を用いてもよいが、モータ駆動のネジジャッキであると、微小な昇降量を正確に制御できるので好適である。このような、ネジジャッキ9Aを複数本、回転軸5の周囲に配置すると、回転軸5をコゼることなく昇降させることができる。
このジャッキ装置9によって回転軸5を上昇させると叩解機3の回転ロータ32も上昇し、ステータ31とのクリアランスが広がる。逆に、回転軸5を下降させると、回転ロータ32も下降しステータ31とのクリアランスが狭くなる。
この構成であると、回転ロータ32とステータ31間のクリアランスを、モータ駆動で調整できるので、簡便に行えるという利点がある。
図1および図2に示すように、回転軸5の下端はカップリング15を介して減速機16に接続されている。減速機16のプーリー17は図示しないモータとベルト伝動等で連結されている。前記カップリング15は、前記回転軸5の上下動を許容するよう軸のスライドが可能なものである。
つぎに、上記実施形態の紙料叩解パルパーにおける紙料の離解、叩解作用を説明する。
本発明で叩解できる紙料には、木材繊維だけでなくフィブリル化可能な全ての繊維が含まれ、パルプに任意の合成繊維を混合したものも含まれる。
まず、タンク1に紙料を入れ、モータで回転軸5を回転させる。回転軸5の回転により、叩解機3の回転ロータ32、押込み羽根6、案内筒7、スクリュー羽根8が、一体となって同一回転数で同一方向に回転する。
押込み羽根6が回転すると、案内筒7内の紙料が回転ロータ32とステータ31の間に押し込まれる。叩解機3の回転ロータ32とステータ31の刃は、対面した状態で互いに交差しているが、回転ロータ32の回転と共に交差角が大から小に変化するので、押込まれた紙料は半径方向外側へ向かって送り出される。そして、この回転ロータ32とステータ31との間を通過する間に紙料は離解と叩解が進められる。さらに、このようにして回転ロータ32とステータ31との間から半径方向外側に押出された紙料は、タンク1の内壁に当って上昇し、再びタンクの中央付近に回流してくる。すなわち、図3中の実線矢印のような回流が生じ、いったん上昇した紙料がタンク中央に集まり、再度下方に向って降りようとするとき、案内筒7内に入り込むようになる。そして、案内筒7内に入ってきた紙料は再び押込み羽根6で叩解機3に通されることになる。このように、タンク1内で紙料の回流を生じさせ、回流の通過位置に叩解機3を置いているので、タンク1内の紙料に叩解してないものが生じにくく、均一に叩解できるので、短時間で高品位の紙料を得ることができる。
しかも前記案内筒7は、タンク1内で回流する紙料を叩解機3に向けて流れるよう案内し、しかもシュラウド6は、案内筒7内の紙料の叩解機3内への取込みが効率的に行えるので、タンク1内の紙料中に叩解機3を通らないものを減少させ、叩解度の均一化をより向上させ、高品質のフィブリル化を達成することができる。さらに、案内筒7の案内と押込み羽根6による強制押込みが相乗的に作用するので、高濃度の紙料であっても叩解が可能である。
さらに本実施形態では、案内筒7の外側の紙料もスクリュー羽根8が回転することで、タンク1の底部へ押し下げ、押し下げられた紙料はタンク1の底壁に沿って半径方向外側へと流れ、ついで斜め傾斜板1aとタンク1側壁に沿って上昇流に転じるので、図示の回流を一層促進する。このため、叩解機3を通らない紙料が一層減少し、叩解度の均一化をさらに向上させ、しかも叩解機3の回転ロータ32とステータ31の間に紙料を強制的に送り込む度合が高くなるので、高濃度紙料の叩解がより容易となり、さらに処理時間も早くなる。
つぎに、上記紙料叩解パルパーにおいて自動運転に顕著な省人化効果を奏する自動クリアランス調整装置を説明する。
紙料叩解パルパーの運転中、叩解機3のロータ32とステータ31間のクリアランスは前記ジャッキ装置9により自動調整される。すなわち、クリアランスを最初は大きめに、例えば10mmにセットしておく。
そして、ジャッキ装置9のモータの負荷電流を常時検出しておき、負荷電流が小さくなるとジャッキ装置9によりクリアランスを小さくしていく。クリアランスが小さくなると負荷電流が大きくなるが、紙料の叩解が進むにしたがって負荷電流が小さくなるので、再びクリアランスを小さくしていく。このようなフィードバック制御によるクリアランス調整を備えておき、クリアランス調整を自動で繰り返していけば、最終のクリアランス値を極限まで、自動調整が行える。
上記の調整方法によれば、次の利点がある。
(1)最初のクリアランスを大きくすることによって、高濃度紙料の叩解を可能とし、しかも繊維の切断等を防止できる。
(2)次にクリアランスを段々と狭めてきた中間のクリアランス量では、やや叩解の進んだ繊維をさらに叩解していくので、この間にフィブリル化が効率よく行われる。
(3)クリアランスをさらに小さくしていった最終段階では、ほとんど叩解が行われた状態であるが、なお叩解が不充分なままで残っている原料の叩解を行うので、最終的には叩解されていない繊維はかなり少なくなる。このため、均一なフィブリル化が行われるので、高品質のフィブリル化繊維を供給することができる。
図5は本発明の紙料叩解パルパーを用いた紙料調整設備のブロック図である。
上記のごとく、本発明の紙料叩解パルパーは、紙料に回流を生じさせることによって従来のパルパーが行っていた繊維の離解が行え、かつ同じタンク内の叩解機3で叩解作用を行える。しかも、パルプ繊維の離解と叩解を均一に行えるので、長時間の処理が必要なく短時間で効率よく処理できる。
このため紙料調整設備としては、図6に示すように、大きな設備としては本発明の紙料叩解パルパーAと完成チェストCで足りる。また、必要なポンプも紙料叩解パルパーAから完成チェストCへ送るポンプP1と、完成チェストCから抄紙機へ送るポンプP2の2台で足りる。よって、設備の省スペース化が図れ、かつ動力も少なくてすむ。
さらに本発明では、スクリュー羽根によって回流を生じさせるので、濃度が高くても適応可能であり、しかも叩解機3のクリアランスを広く設定しておいて自動的に狭くしていくので、濃度を上げて処理することによって、叩解機3の刃物だけによる叩解と共に、繊維間摩擦を利用した叩解ができるため、繊維を傷付けることなくフィブリル化を行うことができ、繊維間強度を増した品質の良い繊維が得られる。
本発明の紙料叩解パルパーは、紙だけでなく、タンク1内での回流と押込み羽根6による叩解機3への原料押込みが可能であるなら、どのような原料繊維であっても適用可能である。
本発明の一実施形態に係わる紙料叩解パルパーの概略正面図である。 同紙料叩解パルパーにおける叩解機と駆動機構の概観図である。 同紙料叩解パルパーにおける叩解機と駆動機構の断面図である。 (A)図は回転ロータの平面図、(B)図は同回転ロータの断面図である。 本発明の紙料叩解パルパーを用いた紙料調整設備のブロック図である。 従来の紙料調整設備のブロック図である。
符号の説明
1 タンク
3 叩解機
5 回転軸
6 押込み羽根
7 案内筒
8 スクリュー羽根
9 ジャッキ装置
10 軸受
20 軸受

Claims (6)

  1. 有底円筒状のタンクと、
    前記タンクの底部中心に固定されたステータと、その上面に回転自在に配置された回転ロータからなり、互いの対向面に歯を形成している叩解機と、
    前記叩解機のステータと回転ロータの間に向けて、タンク内の紙料を押込む押込み羽根とからなる
    ことを特徴とする紙料叩解パルパー。
  2. 前記叩解機が、前記回転ロータの中心開口にシュラウドを有しており、
    前記ステータの中心を貫通して、先端部が前記回転ロータの中心に位置する回転軸が設けられており、
    該シュラウドと前記回転軸の先端部との間に、前記押込み羽根が形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の紙料叩解パルパー。
  3. 前記シュラウドの上方に円筒状の案内筒が形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の紙料叩解パルパー。
  4. 前記案内筒の外周にスクリュー羽根が形成されており、
    該スクリュー羽根が、タンク内の紙料をタンク底部に向けて押し出す羽根車である
    ことを特徴とする請求項1記載の紙料叩解パルパー。
  5. 前記回転ロータに、その先端が結合され、前記タンクの下方に延びる回転軸と、
    該回転軸にカップリングを介して連結された回転駆動装置と、
    前記回転軸を軸方向に昇降させるジャッキ装置とからなる
    ことを特徴とする請求項1記載の紙料叩解パルパー。
  6. 前記回転ロータと前記ステータとの間のクリアランスを最初は大きく設定して運転開始し、運転中は前記叩解機の運転負荷を検出して、この運転負荷の変動に応じて前記クリアランスを徐々に狭くしていく自動クリアランス調整装置を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の紙料叩解パルパー。
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