JP2005336094A - 変異単純ヘルペスウイルスからなる転移性乳癌および再発性乳癌の治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ヒト転移性乳癌または再発性乳癌の新規治療剤を提供すること。
【解決手段】 本発明は、UL56遺伝子が不活化されている変異単純ヘルペスウイルスからなるヒトの転移性乳癌または再発性乳癌の治療剤を提供する。好ましくは、変異単純ヘルペスウイルスは単純ヘルペスウイルスタイプ1 HF10株である。転移性乳癌を有する患者について、再発性乳癌の皮下腫瘍部位に弱毒化単純ヘルペスウイルスからなる本発明の治療剤を接種する第I相臨床試験を行い、ウイルスが患者に有害な影響を与えることなく転移巣を縮小させることが示された。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明は、UL56遺伝子が不活化されている変異単純ヘルペスウイルスからなるヒトの転移性乳癌または再発性乳癌の治療剤を提供する。好ましくは、変異単純ヘルペスウイルスは単純ヘルペスウイルスタイプ1 HF10株である。転移性乳癌を有する患者について、再発性乳癌の皮下腫瘍部位に弱毒化単純ヘルペスウイルスからなる本発明の治療剤を接種する第I相臨床試験を行い、ウイルスが患者に有害な影響を与えることなく転移巣を縮小させることが示された。
【選択図】図1
Description
本発明は、弱毒化ウイルスを用いるヒトの転移性乳癌および再発性乳癌の治療に関する。
乳癌は最も一般的かつ危険な癌の1つである。新規な化学療法剤およびホルモン剤等の多くの治療法が開発されているにもかかわらず、進行性または転移性/再発性乳癌の患者の予後は悪い。日本では、食物の変化、ライフスタイル、ストレスなどのために乳癌患者の数は増加傾向にある。したがって、転移性乳癌および再発性乳癌を治療する新たな治療法が求められている。
癌の治療法の1つとして、弱毒化単純ヘルペスウイルス(HSV)を用いる方法が提案されている。このウイルスは、以下のような有用な特性を有する:1)HSVはほとんどすべての種類の細胞に感染することができる、2)HSVの感染能力は他のウイルス、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)等より高い、3)HSVゲノムのすべての基本的な配列が解明されている、4)HSVは低用量で感染細胞を死滅させることができる、5)HSVに対する抗ウイルス剤が利用可能である。
世界中で多くのHSV変異体が遺伝子工学的に改変され、癌の治療における治療剤としての効力について評価されている。そのようなHSV変異体の例としては、G207、NV1020およびMGH1が挙げられる。G207は、両コピーのガンマ34.5(γ134.5)の欠損と、UL39にEscherichia coli lacZ遺伝子の挿入を有しており、NV1020は、片方のガンマ34.5座に1つの欠失を、内部反復領域に欠失およびUL23の欠失を有する。これらはいずれも、ガンマ34.5座を不活化することによりウイルスを弱毒化するよう作成された。しかし、これらのウイルスは弱毒化されすぎて悪性細胞を充分に殺すことができなかったため、米国におけるNV1020およびG207を用いるほとんどすべての臨床試験は安全面を除いて癌縮小効果では十分な効果をあげることができなかった。
外来性自殺遺伝子が組み込まれている単純ヘルペスウイルス(HSV)タイプ1の弱毒化変異体が癌の治療に有効であることが開示されている(特開2002−218975)。また、ある種の遺伝子が不活化されている単純ヘルペスウイルス弱毒化変異体が、腫瘍細胞を接種したヌードマウスの生存期間を延長させることが報告されている(Teshigahara, et al., J. Surg. Oncol., 85: 42-47, 2004、WO02/092826)。しかし、このような変異単純ヘルペスウイルスが実際にヒトの癌の治療において有効性を有するか、さらに転移性または再発性の癌の治療にも用いることができるかについては、予測することができなかった。
特開2002−218975
WO02/092826
J. Surg. Oncol., 85: 42-47, 2004
本発明は、転移性乳癌または再発性乳癌の新規治療剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、転移性乳癌を有する患者について、再発性乳癌の皮下腫瘍部位に弱毒化単純ヘルペスウイルスを接種する第I相臨床試験を行い、ウイルスが患者に有害な影響を与えることなく転移病巣を縮小させることを見いだした。すなわち、本発明は、UL56遺伝子が不活化されている変異単純ヘルペスウイルスからなるヒトの転移性乳癌または再発性乳癌の治療剤を提供する。好ましくは、変異単純ヘルペスウイルスは単純ヘルペスウイルスタイプ1 HF10株である。
単純ヘルペスウイルスのUL56蛋白質は、ゴルジ装置およびエンドソームに局在するテールアンカータイプII膜蛋白質である。UL56蛋白質の機能はまだよく解明されていないが、ウイルス感染細胞での小胞輸送における役割を果たしているようであり(J. Virol. 76: 6718-6728, 2002)、このことは、UL56がウイルスエンベロープ糖蛋白質の順行性軸索輸送に関与している可能性があることを示す。
UL56遺伝子が不活化されている変異単純ヘルペスウイルスは、既知の方法によりUL56遺伝子の一部を突然変異または欠失させるか、UL56遺伝子中に別の遺伝子断片を挿入することにより作製することができる。このような方法の例としては、相同性を持たせた遺伝子部位で目的とする変異部位を挟んだ遺伝子鎖を作成して遺伝子導入する相同性遺伝子導入法などが挙げられる。また、UL56遺伝子が不活化されている自然発生の変異体を用いてもよい。
このような変異体の1つの好ましい例はHF10株である(例えば、Arch Virol., 148 (4): 813-825, 2003を参照)。HF10はHSV−1のHF株に由来するものであり、感染細胞において広範な細胞膜融合を引き起こすクローンである。HF10のゲノム構造は図1に示される。その特徴は次のとおりである:(i)ヌクレオチド116,514−120,347の3,832塩基対(bp)が欠失しており、このことは、HF10がICP0の完全なオープンリーディングフレーム(ORF)を含むが、UL56のORF中に部分的な欠失を有しており、プロモーターは完全に欠失していることを示す;(ii)TRLからヌクレオチド6,025−8,319の配列が欠失しており、ヌクレオチド110,488−116,514の6,027bpのDNAが逆向きに挿入されている。その結果、HF10は、UL53、UL54、およびUL55の2つの完全なコピー、UL52の1つの完全なコピーおよび1つの部分的なコピー、およびプロモーターを含まないUL56の2つの不完全なコピーを含む(Arch Virol., 148 (4): 813-825, 2003)。HF10は、結腸癌、乳癌、黒色腫および肉腫に由来する腫瘍細胞を接種したヌードマウスの生存期間を延長させることが報告されている(J. Surg. Oncol., 85: 42-47, 2004)。また、HF10はマウスに腹腔内接種したときに無毒性であった。
本発明のUL56遺伝子が不活化されている変異単純ヘルペスウイルスは、既知の方法により増殖させることができる。例えば、アフリカミドリザル腎細胞由来であるVero細胞がウイルスの感染により、細胞が内部にウイルスを含んだラウンドフォーム(Round form)となったことを確認し、これを採集し、連続した3回の凍結融解の操作を加えた後、遠心分離にて細胞成分を沈殿させてウイルス含有上清液を採取する。増殖させた変異単純ヘルペスウイルスは、滅菌水、滅菌生理食塩水または適当なバッファー中に懸濁させて、注射液として製剤化することができる。製剤にはさらに、安定化剤、保存剤などを加えてもよい。
本発明の変異単純ヘルペスウイルスからなる治療剤は、癌の治療剤として有用である。本発明の治療剤は、腫瘍部位に直接接種することにより投与することができる。本発明の治療剤は、特に転移性乳癌または再発性乳癌の治療剤として高い効力を示す。以下の実施例に示されるように、投与部位の癌細胞は細胞死に至り、病理組織学的に30%−100%の癌細胞の死滅が認められた。この他、本発明の治療剤を用いることができる適応症としては、例えば、消化器癌(胃癌、食道癌、膵癌、大腸癌、肝癌)、皮膚癌などが考えられる。
本発明の変異単純ヘルペスウイルスからなる治療剤は、非常に弱毒化されており、その神経毒性は非常に低下しているので、患者における副作用はほとんど生じないであろうと考えられる。万一、若干の有害な事象が生じたとしても、弱毒化ヘルペスウイルスはアシクロビルやガンシクロビル等の抗ヘルペス剤に高度な感受性をもつため、安全のために患者にこのような薬剤を投与することが可能である。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
患者および方法
6名の患者はすべて女性であり、年齢は48−76歳であり、乳癌であると診断されている。全員が乳房切除術を受けたが、再発し、補助化学療法および/または内分泌療法および/または放射線療法を受けている。再発病巣は進行性であり、皮膚または皮下領域に転移し、これは再発性乳癌であることが病理組織学的に証明された。患者の特徴を表1に示す。
6名の患者はすべて女性であり、年齢は48−76歳であり、乳癌であると診断されている。全員が乳房切除術を受けたが、再発し、補助化学療法および/または内分泌療法および/または放射線療法を受けている。再発病巣は進行性であり、皮膚または皮下領域に転移し、これは再発性乳癌であることが病理組織学的に証明された。患者の特徴を表1に示す。
本発明の変異ヘルペスウイルスHF10のヒト疾病における治療上の可能性を評価するために、第1相試験として、皮下再発性乳癌を有する6名の患者において毒性および効力の試験を行った。各患者について、HF10の希釈物を種々の用量で試験腫瘍部位に注射した:患者1:1x104pfu/0.5ml、患者2:1xl05pfu/0.5ml、患者3:1x105pfu/0.5mlx3日間、患者4:5xl05pfu/0.5ml、患者5および6:5xl05pfu/0.5mlx3日間。対照としては、第2の腫瘍部位に0.5mlの滅菌生理食塩水を注射した。すべての患者は、局所的および全身的な有害事象についてモニターし、体温、局所熱感、腫瘍部位のサイズ、発赤、炎症の程度などについて調べた。
治療応答の評価
治療応答の評価においては、日本乳癌学会により作成された治療効果のための病理組織学的分類に従った。
治療応答の評価においては、日本乳癌学会により作成された治療効果のための病理組織学的分類に従った。
結果
6名の患者はすべて臨床試験に良好な許容性を示した。癌細胞は30−100%死滅し、病理組織学的に変性した。すべての患者において、局所および全身の有害な副作用は観察されなかった。
6名の患者はすべて臨床試験に良好な許容性を示した。癌細胞は30−100%死滅し、病理組織学的に変性した。すべての患者において、局所および全身の有害な副作用は観察されなかった。
肉眼的所見
肉眼的には、1xl05 pfu/0.5 ml x3日間のHF10を注射した患者3の再発性腫瘍部位では腫瘍部位の高さが減少していた。図2は、患者3の乳癌の皮下転移の超音波検査画像を示す。図2aはHF10注射前の、図2bは注射から10日後の同じ病巣の超音波検査図の画像を示し、その高さは図2aと比較して約30%減少していた。他の患者においては、腫瘍部位の肉眼的なサイズの明らかな減少を示さなかった。
肉眼的には、1xl05 pfu/0.5 ml x3日間のHF10を注射した患者3の再発性腫瘍部位では腫瘍部位の高さが減少していた。図2は、患者3の乳癌の皮下転移の超音波検査画像を示す。図2aはHF10注射前の、図2bは注射から10日後の同じ病巣の超音波検査図の画像を示し、その高さは図2aと比較して約30%減少していた。他の患者においては、腫瘍部位の肉眼的なサイズの明らかな減少を示さなかった。
血液検査
ウイルス注射後第0、1、3、7、14、21日に患者の血液検査を行って、白血球、HSVIgG、NK、IL10、IL12、IFNα、IFNβ等を測定した。これらのいずれの値にも変化はなかった。
ウイルス注射後第0、1、3、7、14、21日に患者の血液検査を行って、白血球、HSVIgG、NK、IL10、IL12、IFNα、IFNβ等を測定した。これらのいずれの値にも変化はなかった。
病理組織学的所見
ウイルス注射の14日後に腫瘍部位を切除してヘマトキシリン−エオジン(HE)染色により病理組織学的に調べた。図3aは、乳癌が皮下に転移した浸潤性腺癌を示す患者3のHF10注射前の標本のHE染色である。図3bは、HF10注射の14日後に切除した組織であり、悪性細胞の約2/3において細胞が死滅していることがわかる。乳癌細胞中に封入体が認められる。図3cは、乳癌が皮下に転移した粘液癌を示す患者5のHF10注射前の標本のHE染色であり、ムチンのまわりに腫瘍細胞が存在することを示す。図3dは、HF10注射の14日後に悪性細胞が完全に消失していたことを示す。
ウイルス注射の14日後に腫瘍部位を切除してヘマトキシリン−エオジン(HE)染色により病理組織学的に調べた。図3aは、乳癌が皮下に転移した浸潤性腺癌を示す患者3のHF10注射前の標本のHE染色である。図3bは、HF10注射の14日後に切除した組織であり、悪性細胞の約2/3において細胞が死滅していることがわかる。乳癌細胞中に封入体が認められる。図3cは、乳癌が皮下に転移した粘液癌を示す患者5のHF10注射前の標本のHE染色であり、ムチンのまわりに腫瘍細胞が存在することを示す。図3dは、HF10注射の14日後に悪性細胞が完全に消失していたことを示す。
全体として、変異単純ヘルペスウイルスの注射により悪性細胞の約30−100%が死滅し、患者1−5においては生理食塩水を注射した腫瘍部位において細胞の死滅は認められなかった。なお、患者6については、再発性腫瘍部位中の癌細胞がほとんどなかったため、ウイルスの効果は判定できなかった。
免疫染色法
ウイルス注射した腫瘍部位を切除し、抗単純ヘルペスウイルスタイプ1(DAKO Corporation,Glostrup,Denmark)を用いて免疫染色法により調べた。すべての患者において乳癌細胞に限定されたウイルス感染が存在することが確認された(図4)。さらに、6名すべての患者において、ウイルス処置腫瘍部位からの乳癌細胞中にウイルスが認められたが、隣接する正常組織においては抗原染色を認めなかった。各患者はウイルス注射の前にHSVについて血中抗体陽性であったことから、腫瘍細胞中で変異単純ヘルペスウイルスHF10が複製する能力は、以前にHSVに曝露されたことによっては妨げられないことがわかる。
ウイルス注射した腫瘍部位を切除し、抗単純ヘルペスウイルスタイプ1(DAKO Corporation,Glostrup,Denmark)を用いて免疫染色法により調べた。すべての患者において乳癌細胞に限定されたウイルス感染が存在することが確認された(図4)。さらに、6名すべての患者において、ウイルス処置腫瘍部位からの乳癌細胞中にウイルスが認められたが、隣接する正常組織においては抗原染色を認めなかった。各患者はウイルス注射の前にHSVについて血中抗体陽性であったことから、腫瘍細胞中で変異単純ヘルペスウイルスHF10が複製する能力は、以前にHSVに曝露されたことによっては妨げられないことがわかる。
Claims (2)
- UL56遺伝子が不活化されている変異単純ヘルペスウイルスからなるヒトの転移性乳癌または再発性乳癌の治療剤。
- 変異単純ヘルペスウイルスが単純ヘルペスウイルスタイプ1 HF10株である、請求項1記載の治療剤。
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