JP2002515442A - 癌を処置するためのアデノウィルス−化学治療剤のコンビネーション - Google Patents

癌を処置するためのアデノウィルス−化学治療剤のコンビネーション

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JP2002515442A
JP2002515442A JP2000549268A JP2000549268A JP2002515442A JP 2002515442 A JP2002515442 A JP 2002515442A JP 2000549268 A JP2000549268 A JP 2000549268A JP 2000549268 A JP2000549268 A JP 2000549268A JP 2002515442 A JP2002515442 A JP 2002515442A
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カーン,デビッド
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Abstract

(57)【要約】 アデノウィルスと化学治療剤とのコンビネーションから成る癌の処置又は予防のための組成物及び方法を開示する。かかるコンビネーションは癌を殺す又はその増殖を阻止するのに相乗的に作用する。ここでその癌は好ましくは再発性又は転移性鱗状細胞癌である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本明細書に記載の発明は一般に癌に、そしてアデノウィルスを化学治療剤と組
合せて用いる癌を治療又は予防するための方法及び組成物に関連する。
【0002】発明の背景 複製ウィルスを利用する癌の処置のためのウィルス療法はここ何年もの間試ま
れているが、残念ながらたいした成果はあげられていない。最も注目に値する研
究は1960年代及び1970年代に実施されていた臨床試験である。Southam,
C.M., and Moore, A.E. Cancer 1952、第5巻、pp. 1025-1034を参照のこと。
この研究において、その患者は多種多様なタイプの癌を有する患者を処置するた
めに西ナイル(West Nile)ウィルス、Egypt 101の株を使用
した。残念ながら、最も有望なリンパ腫の患者における研究でさえも新形成退行
を示す患者は10%に満たなかった。更に、このウィルスは90%の患者におい
てウィルス血症を引き起こし、そして有意な人数が脳炎にも罹った。ウィルスの
神経向性的性質を考慮すればそれは驚くべき結果ではない。
【0003】 第二の研究はSmith and Collinsにより1956年に行われた。Smith Rら、Cancer
(1956), vol. 9, pp. 1211-1218を参照のこと。彼らは頸部の発達した類表皮癌
腫を有する30人の患者において野生型アデノウィルスを試験した。様々な量の
ウィルスを直接新形成内接種により、又は動脈灌流により与えた。様々なアデノ
ウィルス系列タイプを使用し、そして患者の抗アデノウィルス中和抗体の事前状
態をウィルスの注射前に決定しておいた。40種のウィルス接種のうち約26が
注射した骨盤腫瘍の中央部において壊死領域をもたらすことが観察された。また
、正常骨盤組織に対しては何ら損傷がないことが認められた。腫瘍壊死は30日
の期間まで認められた;しかしながら、腫瘍が全体的に破壊されたケースはなか
った。抗アデノウィルス抗体を予めもっている患者はこのウィルスに対する免疫
力のない患者ほどによくならないことが認められた。これはウィルスの拡布が宿
主免疫反応により制限されうることを示唆する。
【0004】 癌を処置するための第三の抗ウィルスアプローチはAsada により行われた。As
ada, Cancer (1974) vol. 34, pp. 1907-1928 を参照のこと。この研究において
は、オタフクカゼウィルスを進行した癌を有する患者の処置に用いている。この
ウィルスを様々な悪性腫瘍を有する90人の患者に投与した。副作用はほとんど
又は全く認められず、そして90人の患者のうちの37人において、腫瘍は消失
するか、又はそのもとのサイズの半分以下にまで縮小した。更に、他の42人の
患者ではささいな応答が認められた。このウィルスは二段階で作用するようであ
る:第一段階は、注射の数日後に起こり、ウィルス複製が顕著な腫瘍崩壊をもた
らし、そして第二段階では、腫瘍の再増殖が静止する後続期間であった。残念な
がら、その他の試験で認められたように、全ケースにおいて癌は最終的に再増殖
した。
【0005】 このような試みにおいて示されるウィルス療法の制約された効果を考慮すると
、このアプローチが本質的に脱落したことは驚くべきことではないが、2つの注
目に値する最近の例外がある。第一はMartuza らの研究であり、癌の処置のため
の単純ヘルペスの利用に関連する(PCT/US96/08621参照のこと)
。ここで、その戦略は必須単純ヘルペスウィルス遺伝子に作用可能式に連結され
た腫瘍又は細胞特異的転写調節配列を発現する複製−コンピテント単純ヘルペス
の利用にある。更に、このウィルスを適当な突然変異を通じて非神経毒性にする
試みがなされている。残念ながら、かかる突然変異体は有意な残留神経毒性を保
持し、そしてそれらが癌の処置に究極的にどれぐらい有用かは不明である。
【0006】 第二のアプローチは米国特許第5,677,178号(発明者 McCormick)に
記載されている。このアプローチは癌細胞における腫瘍サプレッサータンパク質
の損失の利点を利用する。おそらく、最も注目に値するかかる腫瘍サプレッサー
タンパク質はp53である。p53の機能はDNA損傷に応答して哺乳動物細胞
が細胞周期へと進行するのを阻止することにある。野生型アデノウィルスのel
b p55タンパク質はp53を示すアデノウィルス感染細胞におけるp53結
合し、そしてp53機能の相当な不活性化を供する。機能性アデノウィルスel
b p55タンパク質は機能性p53を含む細胞における効率的なアデノウィル
ス複製のために必須である。p53に結合する能力を実質的に欠くアデノウィル
ス突然変異体は正常なレベルの機能性p53を有する非複製、非新形成細胞にお
いて複製不能である。しかしながら、かかるアデノウィルス突然変異体はp53
機能を欠く細胞(例えば、実質的に欠失したp53アレルに対してホモ接合性で
ある細胞、本質的に非機能性である突然変異p53タンパク質を含んで成る細胞
)において複製表現型を示し、それ故かかる細胞の死をもたらす。まだ続行中の
臨床試験において、上記のアデノウィルスは生物学的に活性であり、そして頭部
及び頸部癌において部分的な腫瘍壊死を引き起こすことが示されている。
【0007】 60年代及び70年代のウィルス療法臨床試験は公然とした成功は収めていな
いものの、この分野におけるより最近の研究のための基礎を設定した。このよう
な研究において観察されるウィルス抗癌効果は、ウィルス処置を癌の処置のため
の標準的な形態、例えば化学療法を組合せると、増強される可能性がある。
【0008】発明の概要 本発明の第一の目的は、癌の処置を要する患者に複製アデノウィルスベクター
を化学治療剤と組合せて投与することから成る癌の処置のための方法の発表にあ
る。
【0009】 本発明の第二の目的は癌の処置を要する患者に複製アデノウィルスベクターを
化学治療剤と組合せて投与することから成る癌の処置のための方法であって、か
かる組合せが抗癌相乗効果を引き起こすような方法の発表にある。
【0010】 本発明の第三の目的は鱗状細胞癌の処置のための方法であって、この癌に対す
る相乗効果の発揮のための癌へのアデノウィルスの直接注射及び化学治療剤の投
与から成る方法の発表にある。
【0011】 本発明の第四の目的は鱗状細胞癌を処置するための方法であって、この癌に対
する相乗効果を発揮するためのこの癌へのアデノウィルスの直接注射並びに2種
類の化学治療剤、シスプラチン及び5−フルオロウラシルの投与から成る方法の
発表にある。
【0012】 本発明の第五の目的は頭部及び首の鱗状細胞癌を処置するための方法であって
、この癌に対する相乗効果を発揮するためのこの癌へのアデノウィルスの直接注
射並びに2種類の化学治療剤、シスプラチン及び5−フルオロウラシルの投与か
ら成る方法の発表にある。
【0013】 本発明の第六の目的は癌に対して相乗効果を発揮するアデノウィルス及び化学
治療剤とから成る組成物の発表にある。
【0014】 本発明の第七の目的は癌に対して相乗効果を発揮するアデノウィルス並びに2
種類の化学治療剤、シスプラチン及び5−フルオロウラシルから成る組成物の発
表にある。
【0015】 本発明のこれら及びその他の目的は以下の明細書内の本発明の様々な観点を通
読することにより当業者に明らかとなるであろう。本発明の上記及びその他の観
点は図面、詳細な説明及び以降の実施例により一層詳しく説明する。
【0016】発明の詳細な説明 本明細書において列挙した全ての公開物及び特許出願は本明細書に引用するこ
とで組入れる。
【0017】定義 何らことわりのない限り、本明細書において用いる全ての技術的及び科学的用
語は本発明の属する業界における通常の知識を有する者により一般的に把握され
るものと同じ意味を有する。一般に、本明細書において用いる命名法及び下記の
実験手順は周知であり、そして当業界において一般的に採用されているものであ
る。標準の技術が組換核酸方法、ポリヌクレオチド合成、並びに微生物の培養及
び形質転換(例えばエレクトロポレーション、リポフェクション)のために利用
される。一般的な酵素反応及び精製工程は製造者の仕様に従って実施する。この
ような技術及び手順は一般に当業界における慣用の方法及び本明細書全体にわた
って紹介する様々な一般の文献に従って実施する(一般には、Sambrookら、Mole cular Cloning : A Laboratory Manual 第2版(1989) Cold Spring Harbor Lab
oratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照のこと:引用することで本明
細書に組入れる)。本明細書において用いている命名法並びに以下に記載の分析
化学、有機合成化学及び医薬製剤における実験手順は周知であり、そして当業界
において一般に採用されている。標準の技術が化学合成、化学分析、医薬製剤及
びそのデリバリー、並びに患者の処置のために利用されている。
【0018】 本明細書を通じて利用されている下記の用語は、何らかのことわりのない限り
、以下の意味を有するものと理解されるであろう: 「アデノウィルス」なる語はヒトから並びにその他の哺乳動物及び鳥類から単
離された40を超えるアデノウィルスサブタイプを意味する。Strauss「Adenovi
rus infections in humans」 The Adenoviruses, Ginsberg、編、Plenum Press,
New York, NY, pp. 451-596 (1984) を参照のこと。この語は好ましくは2種類
のヒト血清型、Ad2及びAd5に適用される。
【0019】 「新形成細胞」又は「新形成」とは、比較的自律性な増殖を示し、それ故細胞
増殖の制御の有意な損失を特徴とする異常な増殖表現型を示す細胞を意味する。
新形成細胞は活発に複製しうる又は一時的に非複製休息状態(G1 又はG0 )に
おける細胞を含んで成る;同様に、新形成細胞は良好に分化した表現型を有する
細胞、あまり分化していない表現型を有する細胞、又は双方のタイプの細胞の混
合物を含んで成りうる。かくして、所定時点において全ての新形成細胞が複製細
胞である必要はない。新形成細胞として定義するセットは良性新形成細胞及び悪
性(又は明白な)新形成細胞から成る。ここで、明白な新形成細胞とは往々にし
て癌又は癌細胞と称される。一般に、内胚葉又は外胚葉組織学的起源の細胞に由
来するなら癌腫と、又は中胚葉に由来する細胞タイプを起源とするなら肉腫と称
される。
【0020】 「生理学的条件」又は「生理学的溶液」とは、無傷の哺乳動物細胞又は生存哺
乳動物の組織空間もしくは器官内の条件と実質的に類似のイオン強度、pH及び温
度を有する水性環境を意味する。典型的には、生理学的条件は約150mMのNa
Cl,pH6.5〜7.6及び約22〜37℃の温度を有する水性溶液を含んで成
る。一般に、生理学的条件は生物学的巨大分子の分子間会合のための適切な結合
条件をいう。例えば、37℃にて150mMのNaCl,pH7.4の生理学的条件
が一般的に適切である。
【0021】 本明細書における化学的用語は当業界における慣用の用法に従って用いており
、それはMcGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(Parker, S 編、1985), M
cGraw-Hill, San Francisco (引用することで本明細書に組入れる)に例示され
ている。
【0022】 DNA領域はそれらが互いと機能的に関連し合っているとき作用可能式に連結
されている。例えば、プロモーターはそれが配列の転写を制御しているならコー
ド配列と作用可能式に連結している;リボソーム結合部位は翻訳を可能にするよ
うに配置されているならコード配列と作用可能式に連結されている。一般に作用
可能式に連結とは連続を意味し、そしてリーダー配列の場合、連続であり、且つ
リーディングフレーム内にあることを意味する。
【0023】 複製アデノウィルスベクターとは癌細胞内で複製可能なアデノウィルス又はそ
の突然変異体を意味する。それには野生型アデノウィルス、又は以下に一層詳し
く説明する通り、所定のタイプの癌細胞、好ましくは1又は複数のサプレッサー
タンパク質を欠くものにおいて選択的に複製可能なアデノウィルスの突然変異体
が挙げられうる。
【0024】 アデノウィルスと化学治療剤との相乗活性を説明する特定の理論に拘束される
つもりはないが、アデノウィルス及び化学治療剤の好適なコンビネーションはア
デノウィルスElb−突然変異体と、シスプラチン及び5−フルオロウラシル(
5−Fu)とのコンビネーションである。
【0025】アデノウィルス 本発明はアデノウィルスタイプ5の観点で説明しているが、その他の類似のア
デノウィルス血清型で実施し得ることに注目すべきである。アデノウィルスゲノ
ムの一般的な構造は血清型間で保存されており、そして特異的な機能は似たよう
に備わっている。更に、アデノウィルス5ゲノムはGenbank受託番号M7
3260として登録されており、そしてこのウィルスは American Type Culture
Collection, Rockville, Maryland, U.S.A から受託番号UR−5で入手できる
。アデノウィルス突然変異体の構築のための方法は当業界に一般に知られている
。Mittal, S.K., Virus Res., 1993, vol : 28, pp 67-90を参照のこと。アデノ
ウィルス突然変異体を構築するのに用いる所定の材料及び方法はHanke, T. ら(
1990) Virology, vol. 177, pp. 437-444 及び Bett, A.J.ら(993) J. Virol.
Vol. 67, pp. 5911-5921、及びPCT/CA96/00375に記載されている
。Microbix Biosystems, Inc. (341 Bering Avenue, Toronto, Ontario Canada)
はアデノウィルス突然変異体を構築するための多数の材料を販売しており、そし
てそれらを作製するための製品情報紙を提供する。
【0026】 ここで注目される抗癌相乗作用を発揮するために化学治療剤と組合せて利用で
きる好適なアデノウィルス突然変異体はp53を不活性化するウィルスタンパク
質を発現する能力を欠くものである。かかるタンパク質はアデノウィルスゲノム
のELB及びE4ORF6領域により少なくともコードされる。細胞性リンタン
パク質p53の機能は哺乳動物細胞がその細胞周期へと進行するのを阻止するこ
とにある。野生型Elb p55タンパク質はp53を有する感染細胞内のp5
3と結合し、そしてp53を不活性型に封鎖するかのように、p53機能の相当
な不活性化をもたらす。機能性Elb p55タンパク質は機能性p53を含む
細胞内での効率的なアデノウィルス複製のために必須である。従って、p53に
結合する能力を実質的に欠くアデノウィルス変異体は正常なレベルの機能性p5
3を有する非複製、非新形成細胞において複製不能である。
【0027】 ヒト癌細胞は往々にして突然変異(例えば、置換、欠失、フレームシフト突然
変異)p53アレルに対してホモ接合又はヘテロ接合性であり、そして細胞周期
の正常な制御のために必要なp53機能を欠いている(Hollstein ら(1991) Sc ience 253 : 49 ; Levine ら、(1991)前掲;引用することで本明細書に組入れる
)。かくして、多くの新形成細胞はp53(-) であり、なぜならそれは十分なレ
ベルのp53を欠くから、及び/又はそれらは実体的なp53機能を発揮できな
いp53の突然変異形態を発現し、そして野生型p53が存在しているときでさ
えもp53機能を実質的に消失せしめうる(例えば、機能性多量体の形成を阻害
することにより)からである。一部の新形成細胞は本質的な野生型p53タンパ
ク質をコードするアレルを含んで成るが、p53機能を実質的に消失せしめる第
二部位突然変異、例えば核の中ではなく細胞質内にp53タンパク質を局在せし
める突然変異を含んで成りうる;かかる第二部位突然変異もp53機能を実質的
に欠く。
【0028】 p53と複合する能力を欠くが、その他の必須のウィルス複製機能を実質的に
保持する複製欠陥アデノウィルス種はp53機能を欠く細胞(例えば、実質的に
欠失したp53アレルに対してホモ接合性である細胞、本質的に非機能的である
突然変異p53タンパク質を含んで成る細胞)では複製表現型を示すが、非複製
、非新形成細胞では複製表現型を示さないであろう。かかる複製欠陥アデノウィ
ルス種は本明細書において便宜上Elb−p53(-) 複製欠陥アデノウィルスと
称する。
【0029】 p53機能を欠く新形成細胞のサブ集団及び必須の正常p53機能を発現する
非新形成細胞のサブ集団を含んで成る細胞集団(例えば、混合細胞培養物又はヒ
ト癌患者)を感染性条件下(即ち、細胞集団のアデノウィルス感染に適当な条件
、典型的には生理学的条件)で感染用量のElb−p53(-) 複製欠陥アデノウ
ィルスを含んで成る組成物と接触させることができる。かかる接触はElb−p
53(-) 複製欠陥アデノウィルスによる細胞集団の感染をもたらす。この感染は
p53を欠く新形成細胞のサブ集団を含んで成る大量の細胞において複製表現型
の優先的な発現を供するが、必須の正常p53機能のない非新形成細胞のサブ集
団においては複製表現型の実質的な発現を供しない。感染p53(-) 細胞におけ
る複製表現型の発現は例えば細胞病理作用(CPE)、細胞溶解、アポプトシス
等により細胞死を招き、細胞集団からの新形成p53(-) 細胞の選択的消滅をも
たらす。
【0030】 典型的には、p53(-) 新形成細胞を選択的に殺すのに適当なElb−p53 (-) 複製欠陥アデノウィルス構築体はElb p55ポリペプチドがp53タン
パク質に効率的に結合する能力を不活性化せしめる突然変異(例えば欠失、置換
、フレームシフト)を含んで成る。かかる不活性化突然変異は一般にp53に結
合するp55の領域内に認められる。任意的に、この突然変異Elb領域はEl
b領域によりコードされる機能性p19タンパク質をコード及び発現し得、そし
てElaポリペプチドの非存在下でアデノウィルス早期遺伝子のトランス活性化
において機能性である。
【0031】 本発明の方法及び組成物において利用するための適当なElb−p53(-)
製欠陥アデノウィルス構築体には、限定することなく、下記の例が挙げられる:
(1)アデノウィルスタイプ2dl1520:これはp55の翻訳の開始のため
に用いられるAUGコドンの3アミノ酸下流に停止コドンをもたらす位置202
2においてのC→T突然変異及びヌクレオチド3336において第二停止コドン
をもたらす小リンカー挿入で置き換えられたヌクレオチド2496と3323と
の間での欠失を含む;p19タンパク質の発現は本質的に影響されない(Barker
and Berk (1987) Virology 156 : 107 ; 引用することで本明細書に組入れる)
;並びに(2)複合アデノウィルス構築体:これは少なくとも位置2022の突
然変異及び/又は2496−3323欠失突然変異を含んで成るアデノウィルス
2型dl1520又はその実体部、及びp19cyt突然変異を供するp19に
おける追加の突然変異を含んで成る;この複合ウィルス構築体はp55を欠き、
そしてp19cyt突然変異の増強した細胞病理作用を含んで成る。Ad2dl
1520はDr. A. Berk, University of California, Los Angeles, Los Angele
s, CA から入手でき、そしてBarker and Berk (1987) Virology 156 : 107 等の
文献に記載されている。
【0032】 本来Elb−p53(-) 突然変異体の複製を支持するであろう新形成細胞にお
ける感染性ビリオンの形成を阻害するようかかるアデノウィルス構築体の中に追
加の突然変異を組込むことが好適でありうる。かかる追加の不活性化突然変異は
、隣接細胞へと広がって感染することのできる感染性ビリオンを形成する完全ウ
ィルス複製が所望されない治療的手段において好ましいであろう。このような完
全に不活性化された突然変異体は非複製Elb−p53(-) 突然変異体と称され
る。かかる非複製突然変異体はp53(-) RB(-) 細胞においてさえも感染性ビ
リオンの形成を阻止する突然変異を含んで成る。かかる突然変異は一般に必須ビ
リオンタンパク質又はプロテアーゼにおける構造突然変異である。
【0033】 しかしながら、多くの手段において、突然変異ウィルスは複製可能であり、且
つ拡布してその他の細胞に感染し、突然変異ウィルスの第一投与の抗新形成作用
を増幅する突然変異ウィルスゲノムを含む感染性ビリオンを形成するものである
ことが所望される。
【0034】 p53に結合する能力を欠く追加のElb(-) 突然変異体は当業者により、p
55ポリペプチドをコードするElb遺伝子領域において突然変異を作製し、突
然変異p55ポリペプチドを発現させ、この突然変異p55ポリペプチドをp5
3又はp53の結合フラグメントと水性結合条件下で接触させ、そして本発明に
おいて使用するために適当なElb(-) 突然変異体の候補となるp53に特異的
に結合しない突然変異Elbポリペプチドを同定することにより作製できうる。
【0035】 所望の野生型アデノウィルス又はその突然変異体とは関係なく、関連の細胞選
択的癌殺傷は、PCT/US96/01957に記載の方法を利用してウィルス
の外部結合タンパク質を改変させることにより、又は所定のプロドラッグアクチ
ベーター遺伝子(PCT/GB95/00322参照)の発現を駆動せしめるウ
ィルス組織特異的プロモーター(PCT/US95/14461参照)へとウィ
ルスを構築せしめることにより、ウィルスを癌細胞を標的とさせることにより高
めることができうる。
【0036】製剤 アデノウィルス突然変異体を含むアデノウィルスは患者への治療及び診断投与
のために処方されうる。治療的又は予防的利用のため、医薬的に有効な用量のア
デノウィルスを含む無菌組成物を例えば新形成症状の処置のためにヒト患者又は
獣医学的非ヒト患体に投与する。一般に、この組成物は水性懸濁物内に約103
〜1015又はそれより多くのアデノウィルス粒子を含んで成るであろう。医薬的
に許容される担体又は賦形剤は往々にしてかかる無菌組成物において採用される
。様々な水性溶液、例えば水、緩衝水、0.4%の食塩水、0.3%のグリシン
等が利用されうる。これらの溶液は無菌であり、そして一般に所望のアデノウィ
ルスベクター以外の粒状物質を含まない。これらの組成物は生理学的条件に近づ
けるために適宜医薬的に許容される補助物質、例えばpH調整剤及び緩衝剤、毒性
調整剤等、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシ
ウム、乳酸ナトリウム、等を含みうる。アデノウィルスによる細胞の感染性を高
める賦形剤も含ませてよい。
【0037】 本発明のアデノウィルス又はその中に含まれているDNAはリポソーム又は免
疫リポソームデリバリーにより新形成細胞へと輸送してもよい;かかる輸送は新
形成細胞集団上に存在する細胞表層特性(例えば、免疫リポソーム中のイムノグ
ロブリンに結合する細胞表層タンパク質の存在)を基礎に新形成細胞を選択的に
標的とすることができうる。例えば、慣用の方法によりアデノウィルスビリオン
の懸濁物をミセルの中に封入して免疫リポソームを形成することができる(米国
特許第5,043,164号;米国特許第4,957,735号;米国特許第4
,925,661号;Connor and Huang (1985) J. Cell. Biol. 101 : 582 ; L
asic DD (1992) Nature 355 : 279 ; Novel Drug Delivery (編Prescott LF and
Nimmo WS : Wiley, New York, 1989) ; Reddy ら(1992) J. Immunol. 148 : p
p. 1585)。個体の癌細胞上に存在する癌細胞抗原(例えばCALLA,CEA)
に対して特異的に結合する抗体を含んで成る免疫リポソームがビリオン又はビリ
オンDNAをそのような細胞を標的とするために使用することができうる。
【0038】 当該アデノウィルス又はそのカクテルを含む組成物は新形成病の予防的及び/
又は治療的処置のために投与してよい。治療的用途においては、組成物を特定の
新形成疾患により既に冒されている患者にその症状及びその合併症を治癒又は少
なくとも部分的に軽減するのに十分な量で投与する。これを達成するために適当
な量は「治療的に有効な用量」又は「有効用量」と規定する。この用途に効果的
な量は症状のひどさ、患者の一般的状態、及び投与のルートに依存するであろう
【0039】 予防的用途では、本発明のアデノウィルス又はそのカクテルを含む組成物をま
だ新形成病状態に至っていない患者に投与し、癌の再発に対して患者の抵抗を強
めるか又は小康時間を延長させる。かかる量は「予防的有効用量」と規定する。
この用途では、ここでもその正確な量は患者の健康状態及び一般的な免疫力レベ
ルに依存する。
【0040】治療方法 標的癌:本発明の重要な観点は、アデノウィルスと所定の化学治療剤との組合
せが癌に対する相乗効果を奏するという発見にある。かくして、新形成病の治療
は、野生型又は突然変異体のアデノウィルス、好ましくはElb突然変異体と、
化学治療剤との組合せから成る組成物を患者に投与することにより、提供する。
相乗効果を供するためにアデノウィルスと組合されるであろう化学治療剤のタイ
プは処置すべき癌のタイプに依存し、そしてこの業界の熟練された医師により容
易に決定される。例えば、頭部及び首癌の場合、実施例において一層詳しく論じ
る通り、好適な化学治療養生法は2種類の化学治療剤、シスプラチン及び5−フ
ルオロウラシルの利用にある。
【0041】 様々な癌が本発明のアデノウィルス/化学治療剤のコンビネーションにより処
置されうる。例えば、限定することなく、気管支原性癌腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌
腫、小細胞及び非小細胞肺癌腫、肺アデノ癌腫、肝癌腫、膵臓癌腫、膀胱癌腫、
結腸癌腫、乳癌腫、頸部癌腫、卵巣癌腫又はリンパ球白血病がアデノウィルスの
有効抗新形成用量の投与により処置されうる。本発明のアデノウィルス/化学治
療剤コンビネーションにより処置されるのに好ましい癌は鱗状細胞癌腫固形癌で
あり、より好ましくは頭部及び首の癌である。
【0042】 頭部及び首の鱗状細胞癌腫はヨーロッパ、北米及び極東の先進国において年間
推定125,000人が罹っている。米国では、年間の発症率は45,000症
例と推定され、15,000人が死に関連している。頭部及び首癌は45〜70
%の症例においてp53突然変異を保有するものと報告されている。アルコール
及びタバコの双方の利用がこのような突然変異に関連している。局部的な疾患の
ための一次癌法は外科的及び補助的な放射線療法である。
【0043】 癌は手術を受けた患者の約3分の1において再発する。大半の場合、それらは
もとの一次新形成領域において再発し、そして疼痛並びに口腔咽頭及び喉頭閉塞
に基づく重篤な病的状態、更にはその結果としての飲み込み及び言語困難に至る
。癌が再発及び/又は転移すると、患者は治癒不能と考えられる。姑息的な手術
は困難且つ好ましくなく、そして更なる放射線療法は一般に数ヶ月以上有益なも
のではない。頭部及び首の再発性鱗状細胞癌腫においていくつかの化学治療剤が
利用されている。コンビネーション養生法は患者の30〜40%において応答を
誘導することが示されるが、その療法は毒性であり、そして生存に対する明白な
インパクトはない。患者の癌が化学療及び/又は放射線療法に対して難治の場合
、メジアン生存期待期間は3ヶ月であり、そして第二線又は第三線化学治療剤に
対する癌応答は≦15%である。かくして、本発明はこのような末期障害の患者
のための一層有効な治療法の緊急ニーズを満たすものである。
【0044】 感染性アデノウィルス粒子の懸濁物は静脈内、動脈内、腫瘍内、腹腔内、筋肉
内、皮下及び局所ルートを含む様々なルートにより新形成組織へと適用されうる
。約103 〜1012又はそれより多くのビリオン粒子を1ml当りに含むアデノウ
ィルス懸濁物はミストとして吸入するか(例えば、気管支原性癌腫、小細胞肺癌
腫、非小細胞肺癌腫、肺アデノ癌腫又は喉頭癌を処置するための肺デリバリー)
又は癌に直接すりつけるか(例えば気管支原性癌腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、頸
部癌腫)、又は点滴により投与するか(例えば卵巣癌を処置するために腹膜腔に
、肝臓癌腫又は非肝臓一次癌由来の肝転移を処置するための門脈静脈及び/もし
くは肝動脈への点滴)、又はその他の適当なルート、例えば癌塊(例えば乳癌)
への直接注射、注腸(例えば結腸癌)、又はカテーテル(例えば膀胱癌)により
投与されうる。
【0045】 アデノウィルス及び化学治療剤の有意義な相乗効果を得るため、アデノウィル
スは好ましくは連続して数日間投与し、より好ましくは3〜7日間にわたり毎日
投与する。鱗状細胞癌、例えば頭部及び首癌の場合、最も好ましい投与スケジュ
ールは5日間連続で行う。しかしながら、実際の日数は処置すべき癌のタイプに
依存すること、及び本明細書に記載の開示内容から当業者が最大の相乗効果を達
成せしめる最良の投与養生法を容易に決定できることに注目すべきことが重要で
ある。
【0046】 本発明のアデノウィルスを利用するアデノウィルス療法はその他の抗新形成プ
ロトコール、例えば遺伝子治療と組合せてよい。上記の通り、本発明において利
用するためのアデノウィルス構築体は、好ましくはプロドラッグアクチベーター
遺伝子の発現が組織特異的プロモーターをオフにするにもかかわらず、特異的な
癌細胞の殺傷を発揮しうる。
【0047】 また、当該アデノウィルスベクター、例えば野生型又は突然変異ウィルスが宿
主動物におけるその効果を弱める免疫応答を誘導する状況でも、それらはその効
果を最大限とするように適当な免疫抑制薬と一緒に投与してよい。
【0048】 化学治療剤の投与:化学治療剤は当業者に周知の方法、例えば全身的、癌への
直接注射、又は所望の化学治療剤を適切な徐放材料と一体化することにより癌部
位に局在せしめることにより、又は腫瘍に動脈内灌流を施すことにより投与でき
うる。
【0049】 好適な化学治療剤はシスプラチンであり、そしてその好適な用量は処置すべき
癌の性質及びシスプラチンの投与において日常的に考慮すべきその他の要因に基
づき医師により選択されうる。好ましくは、シスプラチンは3〜6時間かけて5
0〜120mg/m2 の用量で静脈内投与されるであろう。より好ましくは、それ
は4時間かけて80mg/m2 の用量で静脈内投与される。更に、それは好ましく
はアデノウィルスの処置の1日目に投与される。
【0050】 シスプラチンと組合せて投与するのが好ましい第二の化学治療剤は5−フルオ
ロウラシルである。5−フルオロウラシルの好適な用量は5日間連続で800〜
1200mg/m2 /日である(連続点滴)。
【0051】 アデノウィルス/化学治療剤の相乗効果:本発明の観点は、アデノウィルス/
化学治療剤のコンビネーションについて観察された抗癌作用がいずれかの薬剤単
独での効果よりも大きい点にある。即ち、その効果は加算的な効果よりも大きい
。かくして、アデノウィルス/化学治療剤のコンビネーションは相乗的な抗癌作
用を有する。表1は化学治療剤で処置した患者についての5回のヒト臨床試験で
の再発頭部及び首癌の応答率を示す。試験についての完全応答(CR)及び部分
応答(PD)から成る平均応答率は37%であった。試験の考察は、Paredes, J
., ら Prospective randomized trial of high-dose cisplatin and fluorourac
il infusion with or without sodium diethyldithiocaramate in recurrent an
d/or metastatic squamous cell cancer of the head and neck, Journal of Cl
inical Oncology. 6 : 955-962, 1988 ; Jacods, C., ら Phase III randomized
study comparing cisplatin and fluorouracil as single agents and in comb
ination for advanced squamous cell carcinoma of the head and neck, Journ
al of Clinical Oncology. 10 : 257-263, 1992 ; Forastiere, A., ら Randomi
zed comparison of cisplatin plus fluorouracil and carboplatin plus fluor
ouracil versus methotrexate in advanced squamous cell carcinoma of the h
ead and neck : A southwest oncology group study, Journal of Clinical Onc
ology. 10 : 1245-1251, 1992 ; Schrijvers, D., ら Phase III trial of modu
lation of cisplatin/fluorouracil chemotherapy by interferon alfa-2b in p
atients with recurrent or metastatic head and neck cancer, Journal of Cl
inical Oncology. 16 : 1054-1059, 1998 ; LHNOG A phase III randomized tri
al of cisplatin, methotrexate, cisplatin + methotrexate and cisplatin +
5-FU in end stage squamous carcinoma of the head and neck, British Journ
al of Cancer. 61 : 311-315, 1990 ; Clavel, M., ら Randomized comparison
of cisplatin, methotrexate, bleomycin, and vincristine (CABO) versus cis
platin and 5-fluorouracil (CF) versus cisplatin (C), in recurrent or met
astatic squamous cell carcinoma of the head and neck. A Phase III study
of the EORTC head and neck cancer cooperative group, Annals of Oncology.
5 : 521-526, 1994 において紹介されている。
【0052】
【表1】
【0053】 化学治療剤と比べ、アデノウィルス単独に対する再発頭部及び首癌についての
応答率は26%である。ここでも、これは完全及び部分的応答を示す。これらの
結果を表2に示す。
【0054】 表2 ONYX−015頭部及び首癌研究: 全て単独薬剤ONYX−015データー、再発性の難治な頭部及び首癌 患者の番号 CR PR %応答 23 2 4 26
【0055】 化学治療剤又はアデノウィルス単独に対する応答率とは対称的に、再発性頭部
及び首癌についての化学治療剤及びアデノウィルスに対する応答率は、以下の実
施例により詳しく説明する通り、約90%である。
【0056】 以下の実施例は本発明の特定の態様及びその様々な用途の具体例である。それ
は例示の目的にすぎず、そして本発明を限定するものと解釈すべきでない。
【0057】 実施例 頭部及び首の鱗状細胞癌腫の処置 頭部及び首の鱗状細胞癌腫に苦しむ患者をアデノウィルスElb突然変異体d
l1520(ONYX−015とも称される)及び化学治療剤で下記に説明の通
りにして処置した。Dl1520はBerk, Virology 156 : pp. 107 (1987) に記
載され、そしてDr. Arnold Berk, Unirersity of California, Los Angeles, Ca
liforniaから入手できる。
【0058】 算入基準:患者を所定の算入基準に基づき臨床試験に参加させた。癌状態は、
口腔、咽頭及び喉頭等の頭部及び首の組織学的に確認された鱗状小細胞癌腫とし
た。それは再発性疾患であり、その再発性癌は予め化学治療剤で処置されていな
いものとした。再発性疾患とは外科及び/又は放射線による一次治療に進行する
癌(即ち、一次性の抗癌性癌を含む)を意味する。
【0059】 その一次頭部及び首癌について一次化学治療剤を受容し、且つこの一次化学治
療養生法の完了後4週間以内に進行していない患者も算入のために適切である。
【0060】 更に、癌全体はウィルスによる直接注射され易くなければならず、そして癌は
臨床学的及び/又はX線学的に測定され易くなければならない。また、癌は外科
又は放射線療法により治療不能とされたものでなければならない(診療外科医に
より規定)。
【0061】 X線学的に測定され、且つ明確に評価できない癌を有する患者の場合、ベース
ラインCTスキャンを評価した。もし癌が主任研究員による判定に従いCTスキ
ャン上で明確に測定可能なら、患者を参加させた。もし癌がCTスキャンにより
測定できなかったら、MRIスキャンをその部位にて実施し、そしてその後評価
した。もし癌がCTスキャン、MRIスキャン又は身体検査により測定されなか
ったら、その患者は参加させなかった。
【0062】 その他の算入基準は≧70%のKarnofsky性能状態及び≧3ヶ月の生
存期待期間とした。
【0063】 ONYX−015の投与:ONYX−015をTRISバッファー(10mMの
TRIS pH7.4,1mMのMgCl2 ,150mMのNaCl,10%のグリセ
ロール)中で無菌ウィルス溶液として調合した。ONYX−015溶液は保存剤
を含まない。このウィルスを使用前に凍結保存した。投与したONYX−015
の総用量は5日にわたり毎日1010pfu とした。1日目、ONYX−015処置
及び化学治療開始を朝に通常通りに行った。ONYX−015は1日目に化学治
療の開始前に投与した。ウィルス溶液を融解し、そしてまず生理学的溶液で適当
な希釈率にまで希釈した。融解したウィルスは希釈及び取り扱いの際に2〜8℃
に保ち、但し投与の直前に室温にまで温めた。このウィルス溶液を、適当な希釈
率に希釈した後、更に注射を施す推定癌容積の30%に等しい最終容積にまで希
釈した。癌の容積は最大の癌直径、その周囲及びその推定の深さの積を2で除し
た値として見積った。この見積った値は超音波、MRI、CTスキャン及び/又
は臨床検査で行った。発達した中央潰瘍を有する癌の場合、見積り癌容積は潰瘍
領域の容積を差し引くことにより調整した(後者は潰瘍を有する領域の最大直径
、その周囲及び推定の深さの積を2で除した値として見積った)。希釈は癌の注
射の直前に実施した。
【0064】 標的癌を癌鋳型地図の利用を通じて5等分した等間隔の区域へとマッピングし
た。ONYX−015注射の前に、患者を研究者の指示に従って、患者の現在の
痛み又は注射による予想される痛みを基礎に、局部又は全身麻酔により予備投薬
を施してよい。各処置サイクルの一日目に、癌内の中央壊死組織/流体の吸引を
一般に注射の前に試みた。5回の処置段階各々において、(25ゲージ又はそれ
より小さい針を使用して)注射を5箇所の癌区域の一つへと誘導し、そして癌区
域全体にわたって等容量のウィルスが分散されるように注射を行った。ウィルス
の注射の間、シリンジを引いて注射容量が針トラック全体にわたって均等に分布
されるようにした。重要なことは、利用する注射技術がウィルスを散布縁及び癌
の深遠部分へと分布されるようにすることにする。注射後、必要なら軽い圧力を
注射領域に2〜3分適用し、注射部位からのウィルス溶液の漏出を防ぐ。
【0065】 化学治療剤、シスプラチン及び5−FUの投与: ・シスプラチン80mg/m2 を4時間(±1時間)かけてIV投与した。前述の
通り、1日目にシスプラチン処置を1日目のONYX−015による処置の後に
行った。 ・5−FUを1,000mg/m2 /日において、院内で付与するなら2リット
ルまでの食塩水溶液中で投与し、又は非院内環境で付与するならポータブルポン
プにより0.5リットルまでの食塩水溶液で投与した。投与は1〜5日目におい
て毎日IV連続点滴とした(即ち、5,000mg/m2 の総用量/サイクル)。
【0066】 反復処置: 患者がONYX−015による少なくとも2個の処置サイクル後に標的癌部位
において進行性疾患の徴候を示さなかったら、同用量でのONYX−015及び
シスプラチン、5−FUによる反復処置を、全部で最大5サイクルの処置にて、
3週間毎(前の処置サイクルの1日目から計算)に投与することで、患者に施し
た。
【0067】 癌応答基準:下記の標準的な基準を利用し、応答を注射を施した標的癌につい
て別々に評価した。応答の時期及び進行−自由生存率を決定した。伝統的/標準
断面癌測定を利用して応答を評価し、そしてそれは下記の通りとした:〔最大癌
直径×外周直径〕。潰瘍化癌領域を全面積から差し引いた。コンピューター補助
付き断面測定をデジタルイメージ分析により実施した。癌のサイズの身体検査測
定を、それが所定の患者におけるX線スキャニングよりも正確であるとの心証を
受けたなら、癌応答を決定するために利用した。
【0068】 ウィルス/化学治療剤処置に対する癌応答は下記の通りに等級付けした: 完全応答(CR):評価した部位での癌の完全消失 部分応答(PR):癌の50〜100%の退行 微応答(MR):癌の50%未満の退行
【0069】 PRの場合、断面積のコンピューター補助付き計算は癌の壊死面積を含まない
。最後に、処置に対する全ての応答はそれらが適切に分類するには少なくとも4
週間続けなくてはならない。
【0070】結果 表3はONYX−015、並びにシスプラチン及び5−フルオロウラシルによ
り処置した10人の患者の結果を示す。
【0071】
【表2】
【0072】 表3のデーターから10人の患者のうちの9人が処置に対して応答したことが
すぐにわかる。この90%の応答率は、シスプラチン及び5−フルオロウラシル
についての37%(表1)及びアデノウィルス単独についての26%(表2)の
過去の応答率を基準とする標的頭部及び頸部癌に対する相乗効果を示唆する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,UZ,VN,YU,ZW

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アデノウィルス及び少なくとも一種の化学治療剤を含んで成
    る組成物。
  2. 【請求項2】 前記アデノウィルスがOnyx−015である、請求項1記
    載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記化学治療剤がシスプラチンを含んで成る、請求項2記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 前記化学治療剤がシスプラチン及び5−フルオロウラシルを
    含んで成る、請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】 癌の処置を要する患者の癌を処置するための方法であって: (a)当該癌をアデノウィルス及び少なくとも一種の化学治療剤とかかる癌を
    実質的に撲滅させるのに十分な量及び時間で接触させ、そして所望するならかか
    る癌の再発を防止するために工程(a)を繰り返す工程を含んで成る、方法。
  6. 【請求項6】 前記癌が鱗状細胞癌である、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記鱗状細胞癌が頭部及び首のそれである、請求項6記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 前記癌とアデノウィルスとの接触が、前記患者の前記癌への
    前記アデノウィルスの約108 〜1012プラーク形成単位の用量においての直接
    注射を介する投与を含んで成る、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記癌とアデノウィルスとの接触が、前記患者への前記アデ
    ノウィルスの静脈内投与を含んで成る、請求項5記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記癌との接触が、前記患者への前記アデノウィルスの投
    与後の前記化学治療剤の投与を含んで成る、請求項5記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記化学治療剤がシスプラチン及び5−フルオロウラシル
    を含んで成る、請求項5記載の方法。
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