JP5522884B2 - ウイルス療法の抗癌作用増強剤、癌の予防または治療方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インターロイキンを有効成分として含む、ウイルス療法の抗癌作用増強剤に関する。また、本発明は、組換え単純ヘルペスウイルスとインターロイキンとを併用投与することを特徴とする癌の予防または治療方法に関する。
近年、ウイルス感染の分子細胞的機構および癌発生に関する遺伝学的機序や癌細胞増殖の分子生物学的機構などの知見に基づいて、ウイルスゲノムを遺伝子工学的に改変し、癌細胞で選択的に複製するウイルスを作製して、癌治療に応用する試みがなされている。
遺伝子組換えウイルスを癌治療に応用するという概念は、1991年にMartuzaらにより提唱された(例えば、非特許文献1を参照。)。ウイルスはそれ自体病原性を有するものが多く、そのままヒト等に投与すると正常細胞にも悪影響を及ぼす。しかし、遺伝子組換えで特定の遺伝子を欠失させることによって、正常細胞ではウイルスDNAを合成できず複製できないが、増殖が盛んな腫瘍細胞では欠落した遺伝子の機能が補償されて複製できるウイルスを作製することができる。
遺伝子組換えによって癌細胞内のみで選択的に複製するよう改変された癌治療ウイルスは、癌細胞に感染するとin situで複製し、その過程で宿主の癌細胞を死滅させる。複製したウイルスは周囲に散らばって再び癌細胞に感染し、その後、複製→細胞死→感染を繰り返して抗腫瘍効果を現す。一方、正常細胞に感染した治療用ウイルスは複製しないため、正常組織には害が生じない。
このような変異ウイルスとして、例えば、単純ヘルペスウイルスI型(以下「HSV−1」という。)ゲノムから、チミジンキナーゼ(tk)遺伝子を欠失させた変異ウイルス(以下「dlsptk」という。)が挙げられる。dlsptkは、正常細胞ではウイルスDNAを合成できず複製できないが、増殖が盛んな腫瘍細胞では、細胞のtk活性が高いため、欠落したウイルスtkが代償され、ウイルスは複製することができる。このdlsptkを腫瘍細胞に感染させると、腫瘍細胞のみを特異的に破壊させ、治療効果を発揮することが動物の脳腫瘍モデルで示されている(例えば、非特許文献1を参照)。
HSV−1は、エンベロープを有する二本鎖DNAウイルスに分類され、癌治療に有利な以下の特徴を備えている。1)ヒトのあらゆる種類の細胞に感染可能である;2)ウイルスの生活環とゲノム配列が解明されている;3)ウイルス遺伝子の大半は機能が判明しており、遺伝子操作を加えることが可能である;4)ウイルスゲノムが大きい(約152kb)為に、大きな遺伝子や複数の遺伝子を組み込むことができる。さらに、HSV−1は臨床応用に適した以下の利点を備える;5)比較的低いmultiplicity of infection(MOI)で全ての細胞の死滅が可能である;6)増殖を抑制する抗ウイルス薬が存在する;7)血中抗HSV−1抗体は、ウイルスの細胞から細胞への感染拡大に影響しない;8)HSV−1に感受性を示すマウスやサルが存在するために、動物で安全性や効果の前臨床的評価を行える;9)ウイルスDNAが宿主細胞のゲノムに取り込まれず染色体外に存在する。
これまでに本発明者は、癌治療用ウイルスとして、γ34.5遺伝子を欠失させ、ICP6遺伝子を不活化させたHSV−1(以下「G207」と言う。)の開発に重要な役割を果たし(例えば、非特許文献2〜14を参照)、また、上記2つの遺伝子に加えてさらにICP47遺伝子(α47遺伝子ともいう)も不活化させたHSV−1(以下「G47Δ」と言う。例えば、特許文献1および非特許文献15を参照。)を発明し、開発した。G207およびG47Δは、正常組織での複製能は失われているが、腫瘍細胞では複製する能力を保持する。特にG47Δは、3つの遺伝子を変異させたことにより、腫瘍特異性および安全性が高く治療用ウイルスとして非常に有用である。
さらに、本発明者は、免疫系が正常なマウスを用いた研究により、腫瘍内投与された遺伝子組換えHSV−1は、腫瘍内で増殖して殺細胞効果を示すばかりでなく、特異的抗腫瘍免疫を惹起して、その抗腫瘍効果を増強することを明らかにした(例えば非特許文献6、7および16を参照)。例えば、A/Jマウスの皮下に作成したN18腫瘍(神経芽腫)へG207を腫瘍内投与すると、N18細胞に対する特異的な細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocytes; CTL)の活性上昇を伴う全身性抗腫瘍免疫が誘導され、遠隔の皮下腫瘍あるいは脳内腫瘍の増大も抑制された。G207治療で治癒したマウスは腫瘍特異的な防御免疫を獲得し、N18細胞特異的CTL活性上昇は1年以上維持された。すなわち、癌治療用HSV−1の腫瘍内投与はin situの癌ワクチンとしても作用し、腫瘍抗原の同定を必要とせず、腫瘍細胞などの培養を必要とするex vivo法に比べて簡便であり、原発巣を治療すると全身性抗腫瘍免疫を介して転移巣をも制御できる可能性もあって臨床上非常に有利である。
US2002/0187163A1号公報 Martuza, R.L. et al.; Science 252: 854-6 (1991) Chahlavi, A. et al.; Neoplasia 1: 162-169 (1999) Hunter, W. D. et al.; J Virol 73: 6319-6326 (1999) Chahlavi, A. et al.; Gene Ther 6: 1751-1758 (1999) Nakamura, S. et al.; Glia 28: 53-65 (1999) Todo, T. et al,; Hum Gene Ther 10: 2741-2755 (1999) Todo, T. et al,; Hum Gene Ther 10: 2869-2878 (1999) Todo, T. et al,; Cancer Gene Ther. 7: 939-946 (2000) Markert, JM. et al,; Gene Ther. 7: 867-874 (2000) Todo, T. et al,; Mol. Ther. 2: 588-595 (2000) Nakano, K. et al,; Mol. Ther. 3: 431-437 (2001) Varghese, S. et al,; Hum. Gene Ther. 12: 999-1010 (2001) Jorgensen, TJ. et al,; Neoplasia 3: 451-456 (2001) Todo, T. et al,; San Diego, Academic Press:45-75 (2001) Todo, T. et al,; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 6396-6401 (2001) Toda M. et al,; Hum. Gene Ther., 10: 385-393 (1999)
G207等の組換え単純ヘルペスウイルス(以下、単に「組換えHSV」という。)を用いた癌の治療では、十分な量のウイルスが腫瘍組織内に送り込まれることが、その効果を発揮する条件の一つである。しかしながら、そのような理想的な状況は、臨床において常に実現されるとは限らない。
組換えHSVによる抗癌作用を、副作用を生じることなく増強できる方法や医薬があれば、ウイルス療法はより有用なものとなる。また、特にウイルス療法の抗癌作用のうち、抗腫瘍免疫効果を増強することができれば、ウイルスを投与した癌組織以外の部位にも抗癌作用が及び、転移巣等においてもより高い治療効果を得ることができるものと考えられる。
そこで、本発明は、ウイルス療法の抗癌作用、特に抗腫瘍免疫作用を効果的かつ安全に増強する医薬、およびこの医薬を利用した癌の予防または治療方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、癌治療において、癌細胞で選択的に増幅する組換えHSVを投与する際、インターロイキン18(以下「IL−18」という。)を併用投与することによって治療効果を増強できること、およびこの効果がHSVを投与した癌組織以外の部位においても十分に得られることを見出した。また、インターロイキン18を全身投与する場合に、インターロイキン12を腫瘍局所に投与または発現することにより、その効果はさらに増強されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルスと併用して全身投与されることを特徴とする、インターロイキンを有効成分として含むウイルス療法の抗癌作用増強剤;
〔2〕前記インターロイキンが、インターロイキン18である、上記〔1〕に記載の剤;
〔3〕前記抗癌作用が、抗腫瘍免疫の惹起を含む、上記〔1〕または〔2〕に記載の剤;
〔4〕前記組換え単純ヘルペスウイルスは、そのγ34.5遺伝子およびICP6遺伝子が欠失または不活化されている、上記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の剤;
〔5〕前記組換え単純ヘルペスウイルスは、さらにそのICP47遺伝子が欠失または不活化されている、上記〔4〕に記載の剤;
〔6〕前記組換え単純ヘルペスウイルスは、そのゲノムDNAにインターロイキン12をコードする遺伝子が発現可能な構成で挿入されている、上記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の剤;
〔7〕癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルスと、インターロイキンとを併用投与することを特徴とする、癌の予防または治療方法;
〔8〕前記インターロイキンが、インターロイキン18である、上記〔7〕に記載の方法;
〔9〕前記インターロイキン18を、全身投与する、上記〔7〕または〔8〕に記載の方法;
〔10〕さらに、インターロイキン12を、腫瘍組織周辺に局所投与する、上記〔9〕に記載の方法;
〔11〕前記組換え単純ヘルペスウイルスは、そのゲノムDNAにインターロイキン12をコードする遺伝子が発現可能な構成で挿入されている、上記〔9〕に記載の方法;
〔12〕前記組換え単純ヘルペスウイルスは、そのγ34.5遺伝子およびICP6遺伝子が欠失または不活化されている、上記〔7〕から〔11〕のいずれか1項に記載の方法;
〔13〕前記組換え単純ヘルペスウイルスは、さらにそのICP47遺伝子が欠失または不活化されている、上記〔12〕に記載の方法;
〔14〕前記癌の予防または治療方法が、前記組換え単純ヘルペスウイルスを投与された腫瘍組織以外の部位の癌の予防または治療方法である、上記〔7〕から〔13〕のいずれか1項に記載の方法;
〔15〕インターロイキン18の全身投与と併用して腫瘍組織内に注射投与されることを特徴とする、癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルスを含む癌の治療剤または予防剤であって、前記組換え単純ヘルペスウイルスは、そのγ34.5遺伝子およびICP6遺伝子が欠失または不活化されており、且つゲノムDNAにインターロイキン12をコードする遺伝子が発現可能な構成で挿入されている、癌の治療剤または予防剤;
〔16〕前記組換え単純ヘルペスウイルスは、さらにそのICP47遺伝子が欠失または不活化されている、上記〔15〕記載の癌の治療剤または予防剤、に関する。
本発明によれば、毒性のない程度の十分に低容量のインターロイキン、特にIL−18を含む抗癌作用増強剤を、癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルスと併用投与することにより、ウイルス療法の効果を顕著に高めることができる。また、IL−18を全身投与する場合に、IL−12を腫瘍局所に投与することによって、当該効果をさらに増強することができる。これらのインターロイキンの併用投与は、特にウイルス療法による抗腫瘍免疫を増強し、ウイルスを投与した腫瘍組織以外の部位における治療効果も向上させる。このことは、本発明に係る方法が、複数箇所に発生した転移巣にも有効であることを示唆し、ウイルス療法をより一層有用性の高いものとする。
以下、本発明に用いられる用語等の意義を明確にし、本発明を詳細に説明する。
本発明において「ウイルス療法」とは、遺伝子工学的に改変することにより、あるいは自然変異や元来の性質により、癌細胞で選択的に複製し、正常細胞では複製できないウイルスを投与することによって、癌細胞のみを破壊して癌を治癒せしめる療法を意味する。
本発明においてウイルス療法で用いられるウイルスとしては、例えば、癌細胞選択的に複製するように改変された組換えHSVや、癌細胞選択的に複製する自然変異単純ヘルペスウイルスが挙げられる。このようなウイルスとしては、γ34.5遺伝子およびICP6遺伝子が欠失または不活化されているHSV、さらにICP47遺伝子が欠失または不活化されているHSV等が挙げられる。
γ34.5遺伝子産物は、double-stranded RNA-activated protein kinase(PKR)の機能に拮抗するタンパク質である。正常細胞では、HSV−1感染に呼応してPKRがリン酸化され、それが翻訳開始因子eIF−2αをリン酸化し、その結果ウイルスのタンパク質合成が抑制される。従って、γ34.5遺伝子が機能しないと、正常細胞ではウイルスの複製が抑制されることになる。しかし、癌細胞、特にRasシグナル伝達経路が活性化している細胞ではPKRがすでに抑制されているため、γ34.5を欠失した変異HSV−1でもウイルスの複製が可能となる。
ICP6遺伝子は、リボヌクレオチド還元酵素(ribonucleotide reductase; RR)の大サブユニットをコードする遺伝子である。RR遺伝子を除去または不活化すると、HSV−1は非分裂細胞(正常細胞)では複製できない。しかし、分裂が盛んでRR活性が上昇した細胞では、ウイルスの欠落酵素が補われて複製が可能となる。
ICP47タンパク質は、transporter associated with antigen processing (TAP)を阻害することによって、感染細胞のMHC Class Iの発現を低下させ、ウイルスが宿主の免疫サーベイランスから逃れるように作用する。このため、ICP47遺伝子を不活化すると、感染癌細胞のMHC Class I発現が維持されるため、抗腫瘍免疫が増強される。
γ34.5遺伝子およびICP6遺伝子が欠失または不活化されたHSVとしては、例えば上述のG207が挙げられ、γ34.5、ICP6およびICP47遺伝子の3つが欠失若しくは不活化されたHSVとしては、例えば上述のG47Δが挙げられる。中でも、G47Δは三重変異により、複製の腫瘍特異性および安全性が高く、ウイルス療法に好適である。
これらの組換えHSVは、上記文献に記載の方法またはそれに準ずる方法によって、当業者であれば適宜作製することができる。
本発明に係るウイルス療法の抗癌作用増強剤は、インターロイキンを有効成分として含む。インターロイキンは、リンパ球や単球、マクロファージなど免疫担当細胞の産生するタンパク質性の生物活性物質の総称であり、これまでにIL−1〜IL−29の29種類が知られている。本発明に係る抗癌作用増強剤に含まれるインターロイキンは、ウイルス療法と併用することによって、その抗癌作用を増強する限り特に限定されないが、ナチュラルキラー細胞刺激因子であるIL−12や、クッパー細胞の産生するサイトカインとしてクローニングされたIL−18、IL−12と同じくp40サブユニットを有し、記憶Tリンパ球の増殖を強力に誘導する因子として発見されたIL−23(Cordoba-Rodriguez, R.; Expert Opin Biol Ther. 2003 Aug; 3(5) 715-23のほか、IL−27等(Cordoba-Rodriguez, R.; Expert Opin Biol Ther. 2003 Aug; 3(5) 715-23)が好ましく、中でもIL−18およびIL−12が好適である。
IL−18は、インターフェロンγ誘導因子(Interferon γ inducing factor; IGIF)として知られる分子量18,000の炎症性サイトカインであり、T細胞やNK細胞におけるインターフェロンγ(以下「IFN−γ」という。)産生の誘導、NK細胞の活性増強、リンパ球でのFasリガンドの発現の増強、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子産生の誘導などの生物活性を有することが知られている。
インターロイキンは、単独でも抗癌作用を示すとの報告もあるが、十分な効果を得るためには高濃度で投与しなければならず、副作用等の観点からも実用性が低い。しかしながら、本発明に係る抗癌作用増強剤として組換えHSVと併用する場合は、毒性を示さない程度に十分な低濃度のインターロイキンを投与することによって、ウイルスを単独に用いた場合よりも顕著に高い抗癌効果を得ることができる。
さらに、本発明においては、IL−18を全身投与することにより、ウイルスを投与した腫瘍組織とは異なる部位においても抗癌効果が大きく向上することが見出された。このことは、IL−18が、ウイルス療法の抗癌作用のうち、特に抗腫瘍免疫の増強に寄与したことを示し、本発明に係る抗癌作用増強剤が、複数箇所に発生した癌や転移巣を有する癌患者にも有用であることを示す。
また、本発明においては、IL−18の全身投与による上記効果は、IL−12を腫瘍組織周辺に局所投与することにより、さらに増強されることが見出された。一般に、IL−18およびIL−12を全身投与すると抗癌作用を示すものの強い副作用が現れることが多い。しかしながら、本発明に係る方法では、IL−12の局所投与で、組換えHSVとIL−18の併用による抗癌作用を増強する効果が得られ、副作用の発生を抑制することが可能である。IL−12の局所投与の方法は特に限定されないが、例えば、本発明で用いられる組換えHSVのゲノムDNAに、IL−12をコードする遺伝子を発現可能に挿入し、当該組換えHSVを投与する方法を用いることができる。本方法の場合、組換えHSVは、注射投与によって腫瘍組織周辺にのみ投与してもよいし、静脈内投与などにより全身投与してもよい。本発明に係る組換えHSVは、癌細胞選択的に増殖するため、全身投与しても腫瘍細胞においてのみIL−12が発現するからである。また、組換えHSVとは別にIL−12タンパク質を直接投与する場合には、腫瘍組織周辺に注射等によって局所投与するとよい。
なお、組換えHSVのゲノムDNAにIL−12をコードする遺伝子が発現可能に挿入されているとは、該遺伝子が組換えHSVのゲノムDNAにおいてプロモーターの下流に機能的に結合した状態で挿入されていることを意味する。「機能的に結合した」とは、転写因子が上記プロモーターに結合することにより、その下流に位置するIL−12遺伝子の転写が開始されるように、プロモーターとIL−12遺伝子が結合していることを意味する。プロモーターは、HSVのゲノムDNAにもともと存在するものを利用してもよいし、IL−12遺伝子とともに発現カセットとしてHSVのゲノムDNAに挿入することもできる。
本発明に係る抗癌作用増強剤に含まれるインターロイキンは、生体由来のものであってもよいし、遺伝子工学的手法により産生されたものであってもよい。なお、ヒトの治療に用いられる場合は、ヒトインターロイキンを用いることが最も好ましい。
本発明に係る抗癌作用増強剤の投与形態は特に限定されず、経口でも非経口的でもよい。哺乳類(例えばヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ウマ、サル、等)、特にヒトに投与する場合の投与量は、症状の程度、患者の年齢、性別、体重、感受性差、投与方法、投与時期、投与間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類等によって異なり特に限定されないが、有効成分として含まれるインターロイキンの量が、約2μgないし約5g、好ましくは約20μgないし約500mg、さらに好ましくは約100μgないし約25mg、注射投与の場合は約0.03ないし3000μg/kg、好ましくは0.1ないし1000μg/kgの範囲となるようにして、それぞれ1回または数回に分けて投与することができる。
本発明にかかる抗癌作用増強剤は、インターロイキンを自体公知の薬学的に許容できる担体等と混合し、慣用される方法により製剤化することが可能である。剤形は特に限定されず、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤等が挙げられるが、特に好ましくは注射剤である。製剤化には、通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、および必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤などを使用することができ、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を配合して常法により製剤化可能である。
例えば大豆油、牛脂、合成グリセライド等の動植物油;流動パラフィン、スクワラン、固形パラフィン等の炭化水素;ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;シリコン樹脂;シリコン油;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の界面活性剤;ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースなどの水溶性高分子;エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール;グルコース、ショ糖などの糖;無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸アルミニウムなどの無機粉体;精製水などがあげられる。賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素等;結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール・ポリオキシエチレン・ブロックポリマー、メグルミン、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン等;崩壊剤としては、例えば澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース・カルシウム等;滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油、等;着色剤としては医薬品に添加することが許可されているものであれば、いかなるものでもよく;矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等;抗酸化剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、等、医薬品に添加することが許可されているものがそれぞれ用いられる。
経口製剤は、賦形剤、さらに必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤等とする。
錠剤・顆粒剤の場合には、糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングすることはもちろん差支えない。
シロップ剤、注射用製剤、点眼剤、等の液剤の場合は、pH調整剤、溶解剤、等張化剤、等と、必要に応じて溶解補助剤、安定化剤、緩衝剤、懸濁化剤、抗酸化剤、等を加えて、常法により製剤化する。該液剤の場合、凍結乾燥物とすることも可能で、また、注射剤は静脈、皮下、筋肉内に投与することができる。懸濁化剤における好適な例としては、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、等;溶解補助剤における好適な例としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等;安定化剤における好適な例としては、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、エーテル等;保存剤における好適な例としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾール等があげられる。
上述の医薬組成物は、各種癌疾患の予防または治療に有用である。組換えHSVを用いたウイルス療法があらゆる種類の固形癌に有効であることがすでに知られており(例えば、上記非特許文献14を参照)、本発明に係る医薬組成物は、これらの癌すべてに用いることができる。具体的疾患としては、例えば脳腫瘍、頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、膀胱癌、黒色腫、神経芽腫等が挙げられる。中でも脳腫瘍と神経芽腫に有用である。
本発明に係る抗癌作用増強剤は、癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルスと併用投与されることを特徴とする。本発明において「併用投与」とは、併用による相乗効果が得られる投与の仕方であれば、その投与量、投与方法、投与時期等は特に限定されず、治療目的や疾患、投与対象によって適宜選択することができる。例えば、組換えHSVと抗癌作用増強剤とを同時に投与してもよいし、いずれか一方を先に投与してもよい。また、少なくとも一方を繰り返し投与しても、投与の頻度がそれぞれ異なっていてもよい。好ましくは、抗癌作用増強剤を繰り返し投与し、この期間中に組換えHSVをより低い頻度で投与する。
なお、組換えHSVの投与方法は、特に限定されず、組換えHSVをそのまま用いてもよいし、自体公知の薬学的に許容できる担体や安定化剤、乳化剤等と混合し、慣用される方法により製剤化してもよい。剤形は特に限定されず、カプセル剤、シロップ剤、吸入剤、注射剤、軟膏剤、眼軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、ローション剤等が挙げられるが、特に好ましくは注射剤である。
本発明はまた、癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルスと、インターロイキンとを併用投与することを特徴とする、癌の予防または治療方法を提供する。「癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルス」「インターロイキン」「併用投与」「癌」の用語については、上述の抗癌作用増強剤について用いられる場合と同義であるので、説明を省略する。
本発明に係る癌の予防または治療方法では、インターロイキンの中でもIL−18を用いることが好ましい。IL−18も、上述の抗癌作用増強剤について用いられる場合と同義であるので、説明を省略する。
本発明にかかる癌の予防または治療方法では、組換えHSVは、腫瘍組織内に注射投与することが好ましい。腫瘍組織内に注射投与することにより、その組織内の癌細胞に対して高い殺細胞効果を与えることができる。投与方法は上記説明の通りである。
一方、インターロイキン、特にIL−18は、全身投与することが好ましく、ヒトの場合、例えば、静脈内に注射または点滴投与することにより全身投与ができる。全身投与によって、単純ヘルペスウイルスによる抗腫瘍免疫を、ウイルスの投与部位以外でも増強することが可能となり、転移巣においても高い抗癌作用を得ることができる。なお、インターロイキンの投与方法は特に限定されず、インターロイキンをそのまま用いるか、または自体公知の薬学的に許容できる担体等と混合し、慣用される方法により製剤化して投与することも可能である。製剤化方法については、既述の通りであり、ここでは説明を省略する。
本発明に係る癌の治療剤および予防剤は、IL−18の全身投与と併用される、癌細胞選択的に複製する組換えHSVを含むものであり、そのγ34.5遺伝子およびICP6遺伝子が欠失または不活化されていると共に、ゲノムDNAにIL−12をコードする遺伝子が発現可能な構成で挿入されているものである。このような、組換えHSVは、上述したように、G207ウイルスゲノムに、IL−12をコードする遺伝子を発現可能な構成で挿入することによって作製することが可能である。また、上記癌の治療剤および予防剤は、IL−18と併用して投与されることを想定して、有効成分としてのHSVウイルスの濃度や量が最適化されたものとなっている。なお、本発明に係る癌の治療剤および予防剤は、癌細胞選択的に複製する組換えHSVを含むので、全身投与しても癌細胞のみにおいてIL−12を分泌させることができる。
本発明に係る癌の治療剤および予防剤に含まれる組換えHSVは、さらに、そのICP47遺伝子が欠失または不活化されていることが好ましい。このような組換えHSVは、上述したG47Δウイルスゲノムに、IL−12をコードする遺伝子を発現可能な構成で挿入することによって作製することが可能であり、ICP47遺伝子が欠失または不活化されていることによって、さらに安全性の高い組換えHSVとなる。
以下に示す本発明の参考例、実施例および試験例は例示的なものであり、本発明は以下に示す具体例に制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を最大限に実施することができ、かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。
〔IL−18とG47Δの併用投与の効果〕
マウス神経芽腫細胞株のNeuro2a(5×106個)をA/Jマウスの皮下に移植し、マウス腫瘍モデルとして用いた。Neuro2aは、HSV感染に感受性を有し、A/Jマウスにおいて免疫原性が低い。したがって、抗腫瘍免疫の惹起による抗腫瘍効果が最も現れにくいモデルであると考えられ、このモデルで有効性を示すことができれば、他の癌にも有効であると考えることができる(Todo, T. et al.; Cancer Res. 61: 153-161 (2001)、Katsanis, E. et al.; Cancer Gene Ther., 2: 39-46 (1995)、Katsanis, E. et al.; Cancer Gene Ther., 3: 75-82 (1996)、Heuer, J. G., et al.; Hum. Gene Ther., 7: 2059-2068 (1996))。
癌組織が5−6mmとなったモデルマウスを、6−7匹ずつ群に分け、2つのG47Δ投与群にはG47Δ(1×106pfu)を、2つのG47Δ非投与群(図中「mock」で示される)には、10%グリセロールを含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を、0日目と3日目の2回、直接癌組織内に注射投与した。
一方、G47Δ投与群および非投与群のそれぞれ1群に、IL−18(1μg/日)を、他の1群にはPBSを、0日目から6日目まで毎日、腹腔内に注射投与した。腫瘍組織を測定し、長さ×幅×高さ(mm)により体積を求めた。
上記試験を2回繰り返した結果を図1に示す。いずれの試験においても、G47Δ投与群は、G47非投与群に比較して、癌の体積の増加率が低いことが確認された。特に、併用投与群(■)は、G47Δ単独投与群(□)に比較してもかなり増加率が低く、併用投与による抗癌作用の増強効果が確認された。
また、2つのG47Δ非投与群(●および○)には差が見られず、1μg/日のIL−18単独投与では、抗癌作用を示さないことが確認された。
〔IL−18とG47Δの併用投与による抗腫瘍免疫の誘導〕
図1の右図の試験において、G47Δ投与/IL−18投与群、G47Δ投与/IL−18非投与群、G47Δ非投与/IL−18投与群、G47Δ非投与/IL−18非投与群のマウスから、20日目に3匹ずつ抽出し、各マウスの脾臓細胞を摘出した。脾臓細胞(各2×105個)は、マイトマイシンCで前処理Neuro2a細胞(5×105)の存在下または非存在下で、IFN−γ産生試験では24時間、IL−4産生試験では48時間それぞれ培養した。IFN−γまたはIL−4産生細胞の数は、ELISPOTアッセイにより測定した。
結果を図2に示す。G47ΔおよびIL−18を併用投与した群では、Neuro2a細胞の刺激によるIFN−γ産生細胞が、他の群に比較して顕著に増加した。IL−4産生細胞は、G47Δ投与/IL−18投与群で、2つのG47Δ非投与群よりも有意に増加したが、G47Δ投与/IL−18非投与群との間には有意な差が見られなかった。
〔G47Δ/IL−18併用投与の遠隔腫瘍組織に対する抗癌効果〕
G47ΔおよびIL−18の併用投与による、全身性抗腫瘍免疫惹起の増強を確認した。
左右両側の腹部に直径約4mmのNeuro2a皮下腫瘍組織を有するA/Jマウスを用い、G47Δ投与群には、左側の腫瘍組織内にのみG47Δ(2×106pfu)を、G47Δ非投与群には、左側の腫瘍組織内にのみ10%グリセロールを含むPBSを、それぞれ0日目と3日目の2回、注射投与した(各6匹ずつ)。
一方、IL−18投与群にはIL−18(1μg/日)を、IL−18非投与群にはPBSを、それぞれ0日目から6日目まで7回、腹腔内に注射投与した。腫瘍組織を測定し、長さ×幅×高さ(mm)により体積を求めた。
結果を図3に示す。右側の腫瘍の体積の増加に関しては、G47Δを単独投与した群(□)は、G47Δ非投与群(○および●)と有意な差が見られなかったが、G47ΔおよびIL−18の併用投与群(■)は、腫瘍の体積の増加が有意に抑制された。
この結果から、IL−18またはG47Δをそれぞれ単独で投与しても全身性抗腫瘍免疫が見られない場合においても、単独と同じ量のIL−18とG47Δを併用投与することによって全身性抗腫瘍免疫が惹起され、G47Δを投与していない遠隔腫瘍組織においても抗癌効果が得られることが確認された。
〔ヌードマウスにおけるIL−18とG47Δの併用投与の効果〕
本実施例では、Tリンパ球を欠損するヌードマウスにNeuro2a腫瘍細胞を皮下移植し、腫瘍組織が直径約6mmになったものを、各群6−7匹ずつとして、G47Δ投与/IL−18投与群、G47Δ投与/IL−18非投与群、G47Δ非投与/IL−18投与群、G47Δ非投与/IL−18非投与群の4群に分けた。投与量および投与方法は、上記実施例1と同様である。
結果を、図4に示す。2つのG47Δ投与群(□および■)は、2つのG47非投与群(○および●)に比較して、腫瘍体積の増加が有意に抑制されたが、G47Δ単独投与群(□)と、G47ΔおよびIL−18の併用投与群(■)には有意な差は見られなかった。
この結果から、IL−18併用投与によるG47Δ抗癌作用増強効果は、Tリンパ球の存在を必要とし、免疫を介する機序によるものであることが判明した。
〔癌組織内でのG47Δのウイルス複製に対するIL−18投与の影響〕
直径約6mmのNeuro2a皮下腫瘍を有するA/Jマウスを用い、腫瘍組織内にG47Δを注射投与した(0日目)。このマウスのうち、IL−18投与群にはIL−18(1μg/日)を、IL−18非投与群にはPBSを、0日目から6日目まで7回、腹腔内に注射投与した。G47Δ投与から、30分後、2日後、4日後、7日後および11日後にそれぞれ3匹のマウスから皮下腫瘍を摘出し、腫瘍内に存在するG47Δの力価を、プラークアッセイによって測定した。
結果を図5に示す。IL−18投与群(■)と非投与群(□)では、いずれの時点においても、腫瘍から検出されたG47Δの力価に統計的有意差を認めず、ウイルス複製能に有意な差は見られなかった。この結果は、同じプロトコールを用いた別の試験においても再現された。
この結果から、IL−18の併用投与によるG47Δの抗癌作用増強は、G47Δのウイルス複製能に影響しているものではないことがわかった。
〔Tリンパ球サブセット枯渇下におけるG47ΔとIL−18の併用投与の効果〕
坑CD4抗体または抗CD8抗体を用いて、Neuro2a皮下腫瘍を有するA/JマウスにおけるCD4陽性Tリンパ球またはCD8陽性Tリンパ球を枯渇させ、G47ΔおよびIL−18の併用効果におけるこれらの免疫細胞の寄与を検証した。
5−6mmのNeuro2a皮下腫瘍組織を有するA/Jマウスを、6−7匹ずつ群に分け、4つのG47Δ投与群にはG47Δ(2×106pfu)を、1つの対照群(図中「Mock+PBS」で示される)には、10%グリセロールを含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を、0日目と3日目の2回、直接癌組織内に注射投与した。
G47Δ投与群のうち半分に、IL−18(1μg/日)を、他の半分にはPBSを、0日目から6日目まで毎日、腹腔内に注射投与した。
CD4陽性Tリンパ球枯渇試験(左図)では、G47Δ投与/IL−18投与の2群とG47Δ投与/IL−18非投与の2群のうちそれぞれ1群に、抗CD4抗体(250μg)をG47Δ投与の1日前、2日目、6日目、12日目に腹腔内に投与した。坑CD4抗体を投与しない群には、対照としてラットIgGを同量、同じタイミングで投与した。
CD8陽性Tリンパ球枯渇試験(右図)は、坑CD4抗体の代わりに坑CD8抗体(50μg)を用いてCD4陽性Tリンパ球枯渇試験と同様に施行した。
腫瘍組織を測定し、長さ×幅×高さ(mm)により体積を求めた。
結果を図6に示す。G47Δ抗癌作用に対するIL−18併用による増強効果は、CD4陽性Tリンパ球の枯渇により影響を受けなかったが、CD8陽性Tリンパ球を枯渇させると、IL−18併用による抗癌作用増強効果が消失した。このことから、IL−18併用投与による効果には、CD8陽性Tリンパ球を要する機序が関与していることが明らかとなった。
〔脳腫瘍に対するG47ΔおよびIL−18の併用投与の効果〕
Neuro2a細胞をA/Jマウスの脳内に5×104個移植し、5日経過後、G47Δ投与群には、G47Δ(2×105pfu)を、G47Δ非投与群には10%グリセロールを含むPBSを、腫瘍組織内に注射投与した。それぞれの群のうち、IL−18投与群にはIL−18(1μg/日)を、非投与群にはPBSを、G47Δ投与0日目から6日目まで毎日、腹腔内に注射投与した。マウスの生存期間を観察した。
結果を図7に示す。G47ΔおよびIL−18の併用投与群の生存期間は、他の群に比較して有意に延長した。このことから、IL−18併用投与は、免疫効果が及びにくいとされる脳内の腫瘍に対しても、十分に抗癌作用増強効果を発揮することが確認された。
〔IL−12の局所投与による、組換えHSV(局所投与)とIL−18(全身投与)の抗腫瘍効果の増強〕
次に、上述の実施例に示したG47Δ(局所投与)とIL−18(全身投与)の併用に、さらにIL−12の局所投与を追加した場合の抗腫瘍効果の増強、および全身性抗腫瘍免疫を介した遠隔腫瘍に対する抗腫瘍効果の増強を確認した。
本実施例では、IL−12をコードする遺伝子を組換えHSVウイルスゲノムに挿入し、組換えHSVを投与することによって、IL−12を局所投与した。
まず、IL−12の局所発現のために、図8に示すように、IL−12をコードする遺伝子を発現可能な構成で挿入したG47ΔウイルスDNA(以下「T−mfIL12」という。)を作製した。図中、ライン上のボックスはヘルペスウイルスDNAに特有のUL配列およびUS配列に隣接するinverted repeat sequencesである。図示されるように、T−mfL12は、γ34.5の両コピーに1.0kbの欠失を、ICP47部位に312bpの欠失をそれぞれ有するとともに、ICP6遺伝子のScaI−XhoI部位間に894bpの欠失を有する。ICP6の欠失部位には、マウスIL−12遺伝子(図中、「transgene」で示される。)および、LacZ遺伝子を挿入した。図中、太い矢印が転写領域である。なお、NはNcoI、BsはBstEII、StはStuI、XはXhoI、BはBamHI、ScはScaI、GはBglII、ENはEcoNI、NrはNruIによる制限部位を示す。
左右両側の腹部に直径約5mmのNeuro2a皮下腫瘍組織を有するA/Jマウスを用い、T−mfIL12投与群には、左側の腫瘍組織内にのみT−mfIL12(1×106pfu)(10%グリセロールを含むPBS中)を、非投与群には、左側の腫瘍組織内にのみ10%グリセロールを含むPBSのみを、それぞれ0日目と3日目の2回注射投与した(各5−6匹ずつ)。
一方、IL−18投与群には、IL−18(1μg/日)を、IL−非投与群にはPBSを、それぞれ0日目から6日目まで7回、腹腔内に注射投与した。腫瘍組織を測定し、長さ×幅×高さ(mm)により体積を求めた。
結果を図9に示す。図中「Mock+PBS」は、T−mfIL12およびIL−18のいずれも投与しなかった群、「Mock+IL−18」はIL−18の全身投与のみ行ってウイルスを投与しなかった群、「T−mfIL12+PBS」はIL−12を発現する組換えHSVのみ投与してIL−18を投与しなかった群、「T−mfIL12+IL−18」は、IL−12を発現する組換えHSVの局所投与とIL−18の全身投与を併用した群、をそれぞれ示す。
左側の腫瘍に関しては、ウイルス非投与群(○および●)に比べて、T−mfIL12の単独投与(◇)でも腫瘍の増大が有意に抑制されたが、T−mfIL12とIL−18の併用(◆)により、さらに有意に強い抗腫瘍効果を示した。
また、右側の遠隔腫瘍に関しては、T−mfIL12単独投与群(◇)は、ウイルス非投与群に比べ軽度の腫瘍増大抑制が見られたのみであったが、IL−18の併用投与(◆)により、抗腫瘍効果が著明に増強され、T−mfIL12単独投与群と有意な差を示した。
この結果から、ウイルス投与腫瘍および非投与遠隔腫瘍のいずれにおいても、またIL−18の全身投与単独では腫瘍の増大が効果的に抑制できない場合においても、IL−12遺伝子を組み込んだ組換えHSVの抗腫瘍効果がIL−18の全身投与併用により増強されることが確認された。
皮下Neuro2a腫瘍を有するマウスへの、G47ΔおよびIL-18の併用投与の効果を試験した結果を示す。 G47ΔおよびIL-18の併用投与による、腫瘍細胞刺激に反応する脾細胞の誘導を検証する試験の結果を示す。 G47ΔおよびIL-18の併用投与による、G47Δ非投与の遠隔腫瘍組織に対する抗癌効果を試験した結果を示す。 ヌードマウスにおけるG47ΔおよびIL-18の併用投与の効果を試験した結果を示す。 IL-18投与による、癌組織内でのG47Δのウイルス複製への影響を試験した結果を示す。 CD4陽性またはCD8陽性Tリンパ球の枯渇下における、G47ΔおよびIL-18の併用投与の効果を試験した結果を示す。 脳腫瘍に対するG47ΔおよびIL-18の併用投与の効果を試験した結果を示す。 IL−12をコードする遺伝子を発現可能な構成で挿入したG47ΔウイルスDNA(T−mfIL12)の構造を示す。 両側に皮下Neuro2a腫瘍を有するマウスに、IL-12を発現するG47Δ(左側腫瘍へ局所投与)およびIL-18(全身投与)を併用投与した場合の、ウイルス投与を投与した腫瘍(左側)と遠隔腫瘍(右側)に対する抗腫瘍効果を試験した結果を示す。

Claims (7)

  1. 癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルスと併用して全身投与されることを特徴とする、インターロイキン18を有効成分として含むウイルス療法の抗癌作用増強剤。
  2. 前記抗癌作用が、抗腫瘍免疫の惹起を含む、請求項1に記載の剤。
  3. 前記組換え単純ヘルペスウイルスは、そのγ34.5遺伝子およびICP6遺伝子が欠失または不活化されている、請求項1又は2に記載の剤。
  4. 前記組換え単純ヘルペスウイルスは、さらにそのICP47遺伝子が欠失または不活化されている、請求項に記載の剤。
  5. 前記組換え単純ヘルペスウイルスは、そのゲノムDNAにインターロイキン12をコードする遺伝子が発現可能な構成で挿入されている、請求項1からのいずれか1項に記載の剤。
  6. インターロイキン18の全身投与と併用して腫瘍組織内に注射投与されることを特徴とする、癌細胞選択的に複製する組換え単純ヘルペスウイルスを含む癌の治療剤または予防剤であって、
    前記組換え単純ヘルペスウイルスは、そのγ34.5遺伝子およびICP6遺伝子が欠失または不活化されており、且つゲノムDNAにインターロイキン12をコードする遺伝子が発現可能な構成で挿入されている、癌の治療剤または予防剤。
  7. 前記組換え単純ヘルペスウイルスは、さらにそのICP47遺伝子が欠失または不活化されている、請求項に記載の癌の治療剤または予防剤。
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