JP2005335532A5 - - Google Patents

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ステアリングコラム装置
本発明はステアリングコラム装置、特に、自動車の盗難防止のため、イグニションキーを鍵穴から抜いた状態で、ステアリングホイールの操作を不可能にするステアリングロック装置を有するステアリングコラム装置に関する。
ステアリングロック装置を有するステアリングコラム装置では、ステアリングロック状態でステアリングホイールに大きな回転トルクを与えると、ロックピンが係合して回り止めされたステアリングシャフトが曲げられるため、ステアリングシャフトをステアリングコラムに軸支する軸受に大きな荷重が作用する。特に、アッパー側軸受は、スペースが限られるため、負荷容量の小さい薄肉の軸受を使用しており、大きな荷重が作用すると、破損する場合がある。
近年特に、ステアリングコラムの短縮化が進んでいるため、アッパー側軸受とロアー側軸受との間の軸方向の間隔が小さくなり、ステアリングシャフトを軸支する軸受に大きな荷重が作用するようになってきた。ステアリングロック状態でステアリングホイールに大きな回転トルクが作用した際の、ステアリングシャフトの撓みを抑制するようにしたステアリングコラム装置として、特許文献1、特許文献2に示すステアリングコラム装置がある。
特許文献1のステアリングコラム装置は、ステアリングコラムの内周にステアリングシャフト側に向かって突出する凸部を設けたものである。特許文献2のステアリングコラム装置は、ステアリングシャフトの外周にステアリングコラム側に向かって突出する凸部を設けたものである。
図7は、従来のステアリングコラム装置を示し、(1)は、ステアリングコラムの内周にステアリングシャフト側に向かって突出する凸部を設けた、従来のステアリングコラム装置を下方から見た断面図であって、ステアリングコラムとステアリングシャフトのみを示す断面図である。(2)は(1)のE−E断面図である。
図7に示すように、円筒状のインナーコラム91には、車体後方側(図7の右側)にステアリングホイール(図示せず)を装着したアッパー側ステアリングシャフト92が、アッパー側軸受93とロアー側軸受94によって回転可能に軸支されている。アッパー側ステアリングシャフト92の車体前方側(図7の左側)には、自在継手95を介して、図示しないロアー側ステアリングシャフトが連結されている。
アッパー側ステアリングシャフト92の外周には、ステアリングロック装置のロックピン96が係合する係止凹部97A、97Bが形成され、インナーコラム91には、この係止凹部97A、97Bに整合する軸方向位置に、ロックピン96を通すための通孔98が形成されている。
インナーコラム91には、軸心に向かって半径方向内側に突出し、アッパー側ステアリングシャフト92の外周に接近する凸部99A、99Bが、二箇所形成されている。凸部99A、99Bは、通孔98と同じ軸方向位置で、通孔98の中心位置から90°+α位相がずれた角度位置に形成されている。
ところが、このような従来の凸部99A、99Bを有するステアリングコラム装置では、ステアリングロック状態でステアリングホイールに大きな回転トルクが作用した時、アッパー側軸受93に加わる荷重が期待値まで軽減されず、また車種によって異なるステアリングコラムの仕様によって、凸部の効果が安定しないという問題があった。
特開平8−295202号公報 特開平10−86792号公報
本発明は、ステアリングシャフトを軸支する軸受、特にアッパー側軸受に作用する荷重を最も軽減する位置に凸部を配置したステアリングコラム装置を提供することを課題とする。
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、車体に取付け可能な車体取付けブラケット、上記車体取付けブラケットに支持され、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを軸方向の両端二箇所で回動可能に軸支する中空円筒形状のステアリングコラム、上記ステアリングシャフトの外周に形成された係止凹部、上記ステアリングコラムに上記係止凹部に整合する軸方向位置に形成された通孔、上記通孔を通して上記係止凹部に係合可能なロックピン、上記二箇所の軸支部ので上記ステアリングコラムの内周に形成され、上記ステアリングシャフトの外周に接近する方向に突出する凸部を備えたことを特徴とするステアリングコラム装置である。
第2番目の発明は、第1番目の発明のステアリングコラム装置において、上記凸部は、上記ステアリングコラムの外周を軸心に向かって押圧することによって形成されていることを特徴とするステアリングコラム装置である。
第3番目の発明は、第1番目または第2番目のいずれかの発明のステアリングコラム装置において、上記凸部は、上記通孔から略90°円周方向にずれた角度位置に二箇所形成されていることを特徴とするステアリングコラム装置である。
第4番目の発明は、第1番目または第2番目のいずれかの発明のステアリングコラム装置において、上記凸部は、上記ステアリングコラムの内周に全周にわたって形成されていることを特徴とするステアリングコラム装置である。
本発明のステアリングコラム装置では、ステアリングシャフトを軸支する両端の軸支部ののステアリングコラムの内周に、ステアリングシャフトの外周に接近する方向に突出する凸部を形成したので、軸支部の軸受に作用する荷重が軽減され、軸受の破損を未然に防止することが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態のステアリングコラム装置の一部断面を含む側面図である。図2は図1の平面図である。図3は図1のA−A断面図である。図4(1)は図1のB−B断面図であり、ステアリングコラムとステアリングシャフトのみを示す断面図である。図4(2)は図4(1)のC−C断面図である。
図1から図4は、チルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置に本発明を適用した実施形態を示す。逆U字型の車体取付けブラケット2には、車体前方側(図1の左側)の両側に、ロアー側車体取付け部21、21が一体的に形成され、車体後方側(図1の右側)の両側には、アッパー側車体取付け部22、22が一体的に形成されている。車体取付けブラケット2は、ロアー側車体取付け部21及びアッパー側車体取付け部22によって、図示しない車体に取付けられている。
車体取付けブラケット2の左右の側板23、24の内側には、アウタージャケット3が挟み込まれており、アウタージャケット3の車体前方側は、車体取付けブラケット2にピボットピン25、25によってチルト位置調整可能に軸支されている。
車体取付けブラケット2の側板23、24には、チルト用長溝231、241が形成されている。チルト用長溝231、241は、上記したピボットピン25を中心とする円弧状に形成されている。アウタージャケット3の左右のクランプ部31、32には、円形の貫通穴311、321が形成されている。
丸棒状の締付けロッド4が、上記チルト用長溝231、241及び貫通穴311、321を通して、図3の右側から挿入されている。締付けロッド4の右端には円筒状の頭部41が形成され、頭部41の左側外径部には、チルト用長溝241の溝幅よりも若干幅の狭い矩形断面の回り止め部42が形成されている。回り止め部42はチルト用長溝241に嵌入して、締付けロッド4を車体取付けブラケット2に対して回り止めするとともに、チルト位置調整時に、チルト用長溝241に沿って、締付けロッド4を摺動させる。
締付けロッド4の左端外周には、その左側から、固定カム51、可動カム52、スラスト軸受53、調整ナット54が、この順で外嵌され、調整ナット54の内径部に形成された雌ねじ541が、締付けロッド4の左端に形成された雄ねじ43にねじ込まれている。
可動カム52の左端面には操作レバー55が固定され、この操作レバー55によって操作される可動カム52と固定カム51によって、カムロック機構が構成されている。固定カム51は、チルト用長溝231に係合して車体取付けブラケット2に対して非回転であり、チルト位置調整時に、チルト用長溝231に沿って固定カム51を摺動させる。
これによって、チルト・テレスコピック締付け時に、操作レバー55が回動されると、固定カム51の山に可動カム52の山が乗り上げて、固定カム51を図3の右側に押すと同時に、締付けロッド4を左側に引くことによって、側板23、24を締付け、アウタージャケット3のクランプ部31、32を締付ける。
チルト・テレスコピック解除時には、操作レバー55を逆方向に回動し、固定カム51の山に可動カム52の谷が入り込み、固定カム51を右側に押す力を解除すると同時に、締付けロッド4を左側に引く力を解除することによって、側板23、24を離間させ、アウタージャケット3のクランプ部31、32の締付けを解除する。
アウタージャケット3のクランプ部31、32には、その下側に、その軸方向全長にわたって、スリットSが形成されている。アウタージャケット3の軸心に形成された内径孔33には、円筒状のインナーコラム1の外周が包持され、インナーコラム1はアウタージャケット3の軸方向にテレスコ移動可能に支持されている。
インナーコラム1の内周13には、車体後方側にステアリングホイール(図示せず)を装着したアッパー側ステアリングシャフト6が、アッパー側軸受11及びロアー側軸受12によって回転可能に軸支されている(図4)。アッパー側ステアリングシャフト6の車体前方側は、上自在継手71を介して、ロアー側ステアリング筒72に連結されている。
ロアー側ステアリング筒72の車体前方側の内径部には雌スプラン721が形成され、ロアー側ステアリング軸73の車体後方側に形成された雄スプライン731が、雌スプラン721にテレスコ摺動可能に嵌合している。ロアー側ステアリング軸73の車体前方側には、下自在継手74が連結されている。
従って、アウタージャケット3のクランプ部31、32の締付けを解除すると、ピボットピン25を支点としてアウタージャケト3はチルト位置が調整可能である。また、インナーコラム1は、アッパー側ステアリングシャフト6と一緒に、アウタージャケット3に対してその軸方向にテレスコ移動し、このテレスコ移動時に、ロアー側ステアリング筒72はロアー側ステアリング軸73に対してテレスコ移動する。
図1、図2に示すように、インナーコラム1の車体後方側には、ステアリングロック装置のキーシリンダ8が装着されている、図4に示すように、イグニションキーをキーシリンダ8の鍵穴から抜くと、ロックピン81が、アッパー側ステアリングシャフト6の軸心に向かって入り込む。
アッパー側ステアリングシャフト6の外周62には、ロックピン81が係合する係止凹部61A、61Bが形成され、インナーコラム1には、この係止凹部61A、61Bに整合する軸方向位置に、ロックピン81を通すための通孔14が形成されている。
インナーコラム1には、軸心に向かって半径方向内側に突出し、アッパー側ステアリングシャフト6の外周62に接近する凸部15A、15Bが、二箇所形成されている。凸部15A、15Bは、アッパー側軸受11とロアー側軸受12との間の軸方向の間隔の略中間位置に形成されている。
従って、凸部15A、15Bは、通孔14よりもロアー側軸受12側に寄った軸方向の位置に形成されている。また、凸部15A、15Bの円周方向の位相は、通孔14の中心位置から、時計方向及び反時計方向に各々90°離れた角度位置に形成されている。
凸部15A、15Bは、インナーコラム1の外周16を、軸心に向かってポンチによって押圧することにより形成しているが、凸部15A、15Bの寸法は、10mm角以上の大きさにするのが好ましい。
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図5は第2の実施形態を示すステアリングコラムとステアリングシャフトの断面図であって、図5(1)は図1のB−B断面図相当である。図5(2)は図5(1)のD−D断面図である。以下の説明では、第1の実施形態と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。
第2の実施形態の凸部は、インナーコラム1の内周13を全周にわたって小径にして、アッパー側ステアリングシャフト6の外周62との隙間を全周にわたって小さくしたものである。図5に示すように、インナーコラム1には、軸心に向かって半径方向内側に突出し、アッパー側ステアリングシャフト6の外周62に接近する凸部17が、全周にわたって形成されている。凸部17は、アッパー側軸受11とロアー側軸受12との間の軸方向の間隔の略中間位置に形成され、凸部17の軸方向の長さLは、第1の実施形態よりも長く形成されている。
図6は、凸部の形状に応じて、ステアリングホイールに加わる回転トルクとアッパー側軸受に作用する荷重との関係を、FEM(有限要素法)構造解析により算出した結果を示す線図である。図6で、横軸はステアリングホイールに加わる回転トルクを表し、縦軸はアッパー側軸受に作用する荷重を表す。
図6で、黒丸印の線が、図7の従来の凸部形状の場合を示し、黒四角印の線が、凸部無しの場合を示す。黒三角印で示す第2の実施形態の凸部形状の場合、従来の凸部形状と比較して、アッパー側軸受に作用する荷重が最も小さくなる(回転トルクが330N・mの時、荷重が約1000N小さくなる)ため、好ましい。
図6にバツ印で示されている第1の実施形態の凸部形状の場合、第2の実施形態の凸部形状の場合よりも、アッパー側軸受に作用する加重の軽減効果が小さい(回転トルクが330N・mの時、従来の凸部形状と比較して、荷重が約800N小さくなる)。しかし、第1の実施形態は、凸部を形成する箇所が円周の二箇所だけで済むため、限られたスペースの中で、インナーコラムを配置するための構成として最も好ましい。
上記実施形態では、チルト・テレスコ式のステアリングコラム装置に本発明を適用した実施例を説明したが、チルト式のステアリングコラム装置に本発明を適用してもよい。上記実施形態では、係止凹部61A、61Bとして、中空のステアリングシャフトの中空部に達する貫通孔の例を示したが、中空のステアリングシャフトの外周を押圧して形成した凹溝、あるいは、中実のステアリングシャフトに形成した凹溝でも良い。
本発明の第1の実施形態のステアリングコラム装置の一部断面を含む側面図である。 図1の平面図である。 図1のA−A断面図である。 (1)は図1のB−B断面図であり、ステアリングコラムとステアリングシャフトのみを示す断面図である。(2)は(1)のC−C断面図である。 第2の実施形態を示すステアリングコラムとステアリングシャフトの断面図であって、図1のB−B断面図相当である。(2)は(1)のD−D断面図である。 凸部の形状に応じて、ステアリングホイールに加わる回転トルクとアッパー側軸受に作用する荷重との関係をFEM構造解析により算出した結果を示す線図である。 従来のステアリングコラム装置を示し、(1)は、従来のステアリングコラム装置を下方から見た断面図であって、ステアリングコラムとステアリングシャフトのみを示す断面図である。(2)は(1)のE−E断面図である。
符号の説明
1 インナーコラム
11 アッパー側軸受
12 ロアー側軸受
13 内周
14 通孔
15A、15B 凸部
16 外周
17 凸部
2 車体取付けブラケット
21 ロアー側車体取付け部
22 アッパー側車体取付け部
23、24 側板
231、241 チルト用長溝
25 ピボットピン
3 アウタージャケット
31、32 クランプ部
311、321 貫通孔
33 内径孔
4 締付けロッド
41 頭部
42 回り止め部
43 雄ねじ
51 固定カム
52 可動カム
53 スラスト軸受
54 調整ナット
541 雌ねじ
55 操作レバー
6 アッパー側ステアリングシャフト
61A、61B 係止凹部
62 外周
71 上自在継手
72 ロアー側ステアリング筒
721 雌スプライン
73 ロアー側ステアリング軸
731 雄スプライン
74 下自在継手
8 キーシリンダ
81 ロックピン
91 インナーコラム
92 アッパー側ステアリングシャフト
93 アッパー側軸受
94 ロアー側軸受
95 自在継手
96 ロックピン
97A、97B 係止凹部
98 通孔
99A、99B 凸部

Claims (4)

  1. 車体に取付け可能な車体取付けブラケット、
    上記車体取付けブラケットに支持され、ステアリングホイールを装着したステアリングシャフトを軸方向の両端二箇所で回動可能に軸支する中空円筒形状のステアリングコラム、
    上記ステアリングシャフトの外周に形成された係止凹部、
    上記ステアリングコラムに上記係止凹部に整合する軸方向位置に形成された通孔、
    上記通孔を通して上記係止凹部に係合可能なロックピン、
    上記二箇所の軸支部ので上記ステアリングコラムの内周に形成され、上記ステアリングシャフトの外周に接近する方向に突出する凸部を備えたこと
    を特徴とするステアリングコラム装置。
  2. 請求項1に記載されたステアリングコラム装置において、
    上記凸部は、上記ステアリングコラムの外周を軸心に向かって押圧することによって形成されていること
    を特徴とするステアリングコラム装置。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載されたステアリングコラム装置において、
    上記凸部は、上記通孔から略90°円周方向にずれた角度位置に二箇所形成されていること
    を特徴とするステアリングコラム装置。
  4. 請求項1または請求項2のいずれかに記載されたステアリングコラム装置において、
    上記凸部は、上記ステアリングコラムの内周に全周にわたって形成されていること
    を特徴とするステアリングコラム装置
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