JP2005335205A - 型内被覆成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金型キャビティ内で成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間であって、塗料で被覆する部分と被覆しない部分の境界部分にシートSを挟み込むことによって、塗料注入に必要な空隙を形成するとともに、被覆部分以外に塗料が漏れ出すことを防止する。前記構成による本発明は、シートSの厚みを変えることにより被覆膜の厚みを調整でき、また、シートSの材質を金型キャビティ面より塗料が付着しやすい材質に選定することによって漏れ出した塗料TをシートSに付着させて金型100から除去して、漏れ出した塗料Tにより金型が傷つくという問題を防止する。さらに、本発明でシートSの形状を部分被覆の形状に合わせて変更すれば、所望する部分だけ部分被覆することが可能である。
【選択図】 図4
Description
塗料注入後は、金型内で塗料を硬化させて、塗料が乾燥及び硬化した後に、金型を開いて塗料で被覆した樹脂成形品を金型より取り出す。
そして、金型をわずかに開くことにより、型内で成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に生じた隙間(空隙と称することもある)に、塗料注入機を使用して塗料を注入する。
塗料注入後は、金型を再度型締することにより樹脂成形品の表面に塗料を均一に流動させた後、塗料を硬化させて、塗料が硬化した後に、金型を開いて塗料で被覆した樹脂成形品を型内被覆成形品として金型より取り出す。
そのため、外観に対して高い品質が要求される自動車用の部品、例えば、バンパー、ドア、ドアミラーカバー、フェンダー等多くの部品には、前述の型内被覆成形方法の利用が検討されている。
そのため、従来の型内被覆成形方法を実施する際において、硬化前の塗料が金型パーティング面等から金型キャビティの外に漏れ出して、金型に付着してしまうという問題があった。
シール機構の例として、例えば、特許文献2に記載されるような塗料の漏れ止め機構を(シール部材)を設ける、パーティング面を食い切り構造にする、又、塗料硬化用ヒータにより金型キャビティ末端の塗料を強制的に硬化させて塗料の漏れ出しを防止する等といった手法が既に公知である。
特に、パーティング面を食い切り構造としてシール機構を構成する従来技術のような場合に、製品形状により構造的に使用できない場合もあり、金型加工上の制約によって樹脂成形品の形状に制限を受ける場合が多かった。
また、金型の構造に大きく依存する従来のシール機構は、型内被覆成形品の仕様変更等によって、塗料による被覆の厚みを変化させる場合等において、金型を改造せざるを得ない場合も多い。
しかし、型内被覆成形品に要求される外観によっては、樹脂成形品の一部分のみを被覆しなければならない場合もあり、例えば、樹脂成形品の塗料注入機を配した側の表面に、星型やハート型の形状の被覆を施さなければならない場合もある。
一般的にこのような被覆を部分被覆と言うが、このような場合には、予め、部分被覆の形状を想定して、金型にシール機構を配さなければならない。
そのため、前記部分被覆の形状を変更しなければならないような事態が生じた場合においては、金型を大きく改造する必要があって、被覆部分の形状に関する変更に係る対応がが非常に困難である。
(1) 固定型と可動型により形成される金型キャビティを有して、該金型キャビティで成形される樹脂成形品の表面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用の金型を用いて、該金型を型締めして形成した金型キャビティに樹脂を充填して樹脂成形品を成形する第1の工程、該金型キャビティで成形した樹脂成形品が型開しても形状を保持できるまで冷却してから該金型を開く第2の工程、該金型を開いた際に、該樹脂成形品と型開方向に離間する金型キャビティ面で、被覆する部分と被覆しない部分の境界部分にシートを配する第3の工程、該境界部分にシートを配した状態で該金型を再型締めすることにより該金型キャビティで成形した樹脂成形品と該金型キャビティ面との間に空隙を生じさせる第4の工程、及び、該空隙に塗料を注入して樹脂成形品を被覆する第5の工程を備え、該第1の工程から第5の工程までを順次行なう構成とした。
そして、塗料注入のための空隙をシートの厚みにより調整する本願発明の方法は、所謂食い切り構造の金型を使用する必要がなく、金型の構造を簡素化できる。
なお、前記シートを樹脂成形品の被覆する部分を囲むよう枠状に形成して配することによって、塗料の漏れ止めと、塗膜厚みの確保をより確実に行うことが可能である。
図1〜図6は本発明の実施形態に係わり、図1及び図2は本実施形態に用いた型内被覆成型用金型について概略の構造を説明するための図であって、図1は金型全体の要部断面図であり、図2(1)は固定型側から見た可動型の平面図とその要部断面図であり、図2(2)は可動型側から見た固定型の平面図とその要部断面図である。
また、図3は本実施形態に用いたシートの配置を説明するための図である。
図4は型内被覆成形方法の工程を説明するため樹脂、シート、及び塗料の挙動を示した概念図であり、図5は型内被覆成形方法の工程を記載したフローチャートである。
図6は、本実施形態に用いたシートの形状を説明するための図である。
図1に示した金型100は、可動型10、固定型20、及び塗料注入機50等を備えており、可動型10に形成した金型キャビティ15Aと、固定型20に形成した金型キャビティ15Bを、それぞれ対向するように組合わせて型締めすることにより、金型100内に所望する形状の金型キャビティ15を形成する構造となっている。
ここで、図2に示した金型100は、金型キャビティ15Bの中心付近にゲート部8が形成されたセンターゲートの金型であるとともに、金型キャビティ15で成形される樹脂成形品の形状は、矩形の平板を中心として、その外周部を囲むようにして側壁が形成された形状である。
このような場合に、塗料が被覆する部分から被覆しない部分へ漏れ出すと、金型分割面に塗料が流れ込んでそこで硬化するため、前述した金型損傷と言う問題を引き起こす。
また、前述した部分被覆を行う場合に、塗料が被覆しない部分に流れ出すと、被覆部分の境界が明確にならないという問題を引き起こす。
従って、金型100の型内被覆成形品の被覆する部分と被覆しない部分の境界部分は、金型分割面に形成した側壁部分となるため、該側壁を形成するために形成した金型キャビティ15Bの溝部の形状を、型開閉方向と略直交する方向に、外周側に若干大きめに形成することによって、金型キャビティ面との間にシートSを挟み込むための樹脂部分(シール部分と称することもある)を形成する。
なお、詳細を後述するが、図1に示した実施形態において、金型キャビティ面との間にシートSを挟み込むための成形したシール部分は、型内被覆成形品成形後に切り落として取り除く(トリミング加工)する。
勿論、所望する型内被覆成形品の形状によっては、シートによるシール部分を一段下げずに、被覆する表面部分の延長上に設けても良い。
本実施の形態における塗料注入機50は、可動型10に取り付けられて、可動型10の金型キャビティ面に配設された塗料注入口51より金型キャビティ15内に塗料を注入することができるよう構成されている。
また、塗料注入機50の塗料注入口51には図示しないバルブが取りつけられており、基材である樹脂Jの射出成形時においては、該バルブが閉じられていることによって、金型100の金型キャビティ15内に射出された樹脂Jが塗料注入口51より塗料注入機50内に進入することを防止している。
なお、本実施の形態における塗料注入機50は、可動型10側の金型キャビティ面より塗料Tを注入するよう構成したが、これに限るものではなく、金型キャビティ15内で成形した樹脂成形品の被覆したい部分と金型キャビティ面との間に生じた空隙部分に塗料を注入できるよう構成すれば良く、その条件を満たせば塗料注入機50は固定型20に取りつけられる等しても良い。
本発明の特徴的な点は、前述したように、樹脂成形品と金型キャビティ面との間に挟み込んだシートSによって、金型キャビティ15から漏れ出す塗料Tをシールするとともに、該シートSの厚みにより塗膜の厚みを調整することにある。
前述したように、樹脂成形品と金型キャビティ面との間にシートSを挟み込むためには、樹脂成形品成形後の型開き工程の際において、シートSを挟み込む部分で、金型キャビティ面と樹脂成形品との間を離間させる必要がある。
なお、前述したように金型100において、型内被覆成形品の被覆する部分は、可動型10側の表面である。従って、金型100においては、該被覆する部分から金型パーティング面に塗料Tが流れ込まないよう、平板の外周部に沿って形成された側壁部に隣接してシートSを配する必要があって、これは、前述した樹脂成形品のシール部分の形状に対応する形状となる。
従って、シートSは、表面が平滑なフィルム状の樹脂シートが良く、塗料注入時の圧力や熱によって損傷しないことが好ましい。また、シートSの取り扱いが楽なように発泡シートをシートSとして使用することも可能である。
なお、一般的な型内被覆成形方法により被覆する塗膜の厚みから考えると、シートSの厚みは10μm(マイクロメータ)〜2mm程度の範囲が適当である。
従って、シートSの材質は、塗料Tに対して大きな固着性を有する材質であることが好ましい。
本実施形態に用いたシートSの材質は、単層のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂であって、その厚みが約0.15mm程度のシートである。
なお、その際に、挟んだシートSの厚みの影響により、金型キャビティ面と樹脂成形品との間にわずかな空隙が生じる。
なお、塗料注入だけで塗料が被覆部分全体に広がらない場合には、塗料注入後に型締力を増加させても良い。
なお、型締めされた際におけるシートSの厚みと、塗料注入時の金型キャビティ15の変形量は、使用するシートSの種類と、塗料注入時における成形条件等により決まるものであるので、それらを勘案して、所望する塗膜の厚みより、若干厚みが大きめのシートSを使用することにより、所望する厚みの塗膜を得ることができる。
その後、図4(8)に示すように余分なシール部分をトリミング加工して、型内被覆成形品より削除する。
また、シートSをシール式シートとして、前述した第3の工程で所望する部分にシートSを貼付できるようにしておけば、成形が効率的となる。
15 金型キャビティ
15A 金型キャビティ(可動型側)
15B 金型キャビティ(固定型側)
10 可動型
20 固定型
50 塗料注入機
51 塗料注入口
100 型内被覆成形用金型
J 樹脂
S シート
T 塗料
Claims (3)
- 固定型と可動型により形成される金型キャビティを有して、該金型キャビティで成形される樹脂成形品の表面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用の金型を用いて、該金型を型締めして形成した金型キャビティに樹脂を充填して樹脂成形品を成形する第1の工程、該金型キャビティで成形した樹脂成形品が型開しても形状を保持できるまで冷却してから該金型を開く第2の工程、該金型を開いた際に、該樹脂成形品と型開方向に離間する金型キャビティ面で、被覆する部分と被覆しない部分の境界部分にシートを配する第3の工程、該境界部分にシートを配した状態で該金型を再型締めすることにより該金型キャビティで成形した樹脂成形品と該金型キャビティ面との間に空隙を生じさせる第4の工程、及び、該空隙に塗料を注入して樹脂成形品を被覆する第5の工程を備え、該第1の工程から第5の工程までを順次行なう樹脂の型内被覆成形方法。
- 前記シートが、金型キャビティの外周部分を囲む枠状に形成された請求項1記載の型内被覆成形方法。
- 前記シートが、金型キャビティを形成する金属より、塗料が付着しやすい材質で形成された請求項1又は請求項2記載の型内被覆成形方法。
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