JP2005332837A - ウェハ保持体 - Google Patents

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益宏 夏原
Hirohiko Nakada
博彦 仲田
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啓 柊平
Kenji Niima
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Abstract

【課題】 ウェハ保持体に温度差がついても破損し難く、信頼性の高い半導体製造装置用ウェハ保持体を提供する。
【解決手段】 本発明のウェハ保持体は、ウェハを保持し加熱するためのヒータ部と、該ヒータ部を支持する支持部とからなるウェハ保持体であって、前記ヒータ部と支持部は接合されており、該接合部付近およびその外側に一つまたは複数の環状溝が形成されていることを特徴とする。あるいは、前記接合部付近に環状溝が形成されており、該環状溝の内部にさらに溝が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、エッチング装置、スパッタ装置、プラズマCVD装置、減圧プラズマCVD装置、メタルCVD装置、絶縁膜CVD装置、低誘電率膜(Low−K)CVD装置、MOCVD装置、デガス装置、イオン注入装置、コータデベロッパなどの半導体製造装置に使用されるウェハ保持体に関するものである。
従来、半導体の製造工程では、被処理物である半導体基板(ウェハ)に対して成膜処理やエッチング処理など様々な処理が行われる。このような半導体基板に対する処理を行う半導体製造装置では、半導体基板を保持し、半導体基板を加熱するためのセラミックスヒータが用いられている。
このような従来のセラミックスヒータは、例えば特開平4−78138号公報に開示されている。特開平4−78138号公報に開示されたセラミックスヒータは、抵抗発熱体が埋設され、容器内に設置され、ウェハー加熱面が設けられたセラミックス製のヒータ部と、このヒータ部のウェハー加熱面以外の面に設けられ、前記容器との間で気密性シールを形成する凸状支持部と、抵抗発熱体へと接続され、容器の内部空間へと実質的に露出しないように容器外へ取り出された電極とを有する。
この発明では、それ以前のヒータである金属製のヒータで見られた汚染や、熱効率の悪さの改善が図られているが、昇温、降温を繰り返すと、気密性シールが損なわれるという問題があった。そこで、例えば特開2000−021957号公報では、前記気密性が損なわれることを防ぐために、セラミックスヒータと筒状支持体との接合部に、環状溝を形成する構造が提案されている。
しかし、半導体製造工程においては、被処理物であるウェハの温度を均一にするために、ヒータ部の、中心付近と外周部の温度に差を付ける必要がある。また、支持部のヒータ部とは反対側は、半導体製造装置の容器(チャンバー)に設置されることが多く、支持部のチャンバー側とヒータ部側とでは、大きな温度差が発生する。しかし、前記特許文献1や特許文献2のウェハ保持体において、ヒータ部の中心付近の温度と外周部の温度に差を付けたり、支持部に大きな温度差が発生したりすると、ヒータ部と支持部との接合部付近に熱応力が発生し、ウェハ保持体が破損するという問題があった。
特開平04−078138号公報 特開2000−021957号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、ウェハ保持体に温度差がついても破損し難く、信頼性の高い半導体製造装置用ウェハ保持体を提供することを目的とする。
本発明のウェハ保持体は、ウェハを保持し加熱するためのヒータ部と、該ヒータ部を支持する支持部とからなるウェハ保持体であって、前記ヒータ部と支持部は接合されており、該接合部付近およびその外側に一つまたは複数の環状溝が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の別の形態のウェハ保持体は、ウェハを保持し加熱するためのヒータ部と、該ヒータ部を支持する支持部とからなるウェハ保持体であって、前記ヒータ部と支持部は接合されており、該接合部付近に環状溝が形成されており、該環状溝の内部にさらに溝が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ヒータ部と支持部との接合部付近に環状溝を形成し、さらにその外側に一つまたは複数の環状溝を形成する、あるいは、接合部付近に形成した溝の内部にさらに溝を形成することにより、ウェハ保持体の温度差に起因する熱応力を分散させることができるので、ウェハ保持体の破損を防ぐことができるので、信頼性の高いウェハ保持体を得ることができる。このようなウェハ保持体を搭載した半導体製造装置は、信頼性が高く、長期にわたって、その性能を低下させることがなく使用することができる。
半導体製造装置に用いられるウェハ保持体は、図1に示すように、電極4が結合された発熱体3をその内部または表面に有するヒータ部1と、該ヒータ部を支持する支持部2とからなる。支持部2のヒータ部とは反対側は、半導体製造装置のチャンバーに設置されることが一般的である。半導体製造工程においては、被処理物であるウェハを処理する温度は、数百度以上であり、場合によっては700℃以上で使用することもある。
一方、チャンバーは、気密性シールなどの要求を満たすために、せいぜい200℃程度までしか、その温度を上げることができない。このため、支持部は、例えば、200℃から700℃の温度差がつくことになる。この温度差によって、支持部とヒータ部との接合部付近に応力が集中し、場合によってはその応力中心部付近からウェハ保持体が破損する。そこで、図2に示すように、前記接合部付近に環状溝10を形成すれば、前記応力が集中せず、ウェハ保持体の破損を低減することができる。
しかし、ウェハの温度を均一にする目的で、ヒータ部の中心付近と外周部とに温度差を設けると、図2の構造では、ウェハ保持体の破損を完全に無くすことができないことを発見した。そこで、発明者等は、ウェハ保持体の破損の原因を鋭意研究した結果、前記支持部の温度差に起因する応力と、前記ヒータ部の温度差に起因する応力が、いずれも前記環状溝10に集中していることによって、ウェハ保持体の破損が発生していることを見出した。
そこで、この集中する応力を分散させるための方策を研究した結果、前記環状溝の外側に、更に一つ以上の環状溝を形成することにより、応力を分散させることができ、ウェハ保持体の破損を大幅に低減できることを見出した。すなわち、図3に示すように、ヒータ部と支持部の接合部付近に形成した環状溝10の外側に、さらに環状溝11を形成すれば、前記支持部の温度差に起因する応力は環状溝10に集中し、前記ヒータ部の温度差に起因する応力は、環状溝11に集中するので、両方の応力が一つの環状溝に集中することがなくなるので、ウェハ保持体の破損を大幅に低減できることを見出した。
あるいは、図4に示すように、接合部付近の環状溝10の内部に、更に環状溝12を形成することによっても、前記応力集中を分散できることを見出した。このような構成とすれば、環状溝10に集中する応力が、環状溝12にも分散されるので、ウェハ保持体の破損を低減することができることを見出した。
更に、例えば、図5に示すように、接合部付近の環状溝10の内部に、複数の環状溝13を形成すれば、更に集中応力を分散させることができ、ウェハ保持体の信頼性を高めることができる。このように、接合部付近の環状溝の外側に一つ以上の環状溝を形成することと、環状溝の内部にさらに環状溝を形成することを組み合せることによって、更に信頼性の高いウェハ保持体とすることができる。
本発明のウェハ保持体の材質は、セラミックスが好ましい。金属を用いた場合は、ウェハ上にパーティクルが付着するという問題があるので好ましくない。セラミックスとしては、温度分布の均一性を重視するならば、熱伝導率の高い窒化アルミニウムや炭化珪素が好ましい。信頼性を重視するならば、窒化珪素が高強度で熱衝撃にも強いので好ましい。コストを重視するのであれば、酸化アルミニウムが好ましい。
これらのセラミックスの中でも、性能とコストのバランスを考慮すれば、熱伝導率が高く、耐食性にも優れた窒化アルミニウム(AlN)が好適である。以下に、本発明のウェハ保持体の製造方法をAlNの場合で詳述する。
AlNの原料粉末は、比表面積が2.0〜5.0m/gのものが好ましい。比表面積が2.0m/g未満の場合は、窒化アルミニウムの焼結性が低下する。また、5.0m/gを超えると、粉末の凝集が非常に強くなるので取扱いが困難になる。更に、原料粉末に含まれる酸素量は、2wt%以下が好ましい。酸素量が2wt%を超えると、焼結体の熱伝導率が低下する。また、原料粉末に含まれるアルミニウム以外の金属不純物量は、2000ppm以下が好ましい。金属不純物量がこの範囲を超えると、焼結体の熱伝導率が低下する。特に、金属不純物として、SiなどのIV族元素や、Feなどの鉄族元素は、焼結体の熱伝導率を低下させる作用が高いので、含有量は、それぞれ500ppm以下であることが好ましい。
AlNは難焼結性材料であるので、AlN原料粉末に焼結助剤を添加することが好ましい。添加する焼結助剤は、希土類元素化合物が好ましい。希土類元素化合物は、焼結中に窒化アルミニウム粉末粒子の表面に存在するアルミニウム酸化物あるいはアルミニウム酸窒化物と反応して、窒化アルミニウムの緻密化を促進するとともに、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を低下させる原因となる酸素を除去する働きもあるので、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を向上させることができる。
希土類元素化合物は、特に酸素を除去する働きが顕著であるイットリウム化合物が好ましい。添加量は、0.01〜5wt%が好ましい。0.01wt%未満であると、緻密な焼結体を得ることが困難であるとともに、焼結体の熱伝導率が低下する。また、5wt%を超えると、窒化アルミニウム焼結体の粒界に焼結助剤が存在することになるので、腐食性雰囲気で使用する場合、この粒界に存在する焼結助剤がエッチングされ、脱粒やパーティクルの原因となる。更に、好ましくは焼結助剤の添加量は、1wt%以下である。1wt%以下であれば、粒界の3重点にも焼結助剤が存在しなくなるので、耐食性が向上する。
また、希土類元素化合物は、酸化物、窒化物、フッ化物、ステアリン酸化合物などが使用できる。この中で、酸化物は安価で入手が容易であり好ましい。また、ステアリン酸化合物は、有機溶剤との親和性が高いので、窒化アルミニウム原料粉末と焼結助剤などを有機溶剤で混合する場合には、混合性が高くなるので特に好適である。
次に、これら窒化アルミニウム原料粉末や焼結助剤粉末に、所定量の溶剤、バインダー、更には必要に応じて分散剤や邂逅剤を添加し、混合する。混合方法は、ボールミル混合や超音波による混合等が可能である。このような混合によって、原料スラリーを得ることができる。
得られたスラリーを成形し、焼結することによって窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。その方法には、コファイアー法とポストメタライズ法の2種類の方法が可能である。
まず、ポストメタライズ法について説明する。前記スラリーをスプレードライアー等の手法によって、顆粒を作成する。この顆粒を所定の金型に挿入し、プレス成形を施す。この時、プレス圧力は、9.8MPa以上であることが望ましい。9.8MPa未満の圧力では、成形体の強度が充分に得られないことが多く、ハンドリングなどで破損し易くなる。
成形体の密度は、バインダーの含有量や焼結助剤の添加量によって異なるが、1.5g/cm以上であることが好ましい。1.5g/cm未満であると、原料粉末粒子間の距離が相対的に大きくなるので、焼結が進行しにくくなる。また、成形体密度は、2.5g/cm以下であることが好ましい。2.5g/cmを超えると、次工程の脱脂処理で成形体内のバインダーを充分除去することが困難となる。このため、前述のように緻密な焼結体を得ることが困難となる。
次に、前記成形体を非酸化性雰囲気中で加熱し、脱脂処理を行う。大気等の酸化性雰囲気で脱脂処理を行うと、AlN粉末の表面が酸化されるので、焼結体の熱伝導率が低下する。非酸化性雰囲気ガスとしては、窒素やアルゴンが好ましい。脱脂処理の加熱温度は、500℃以上、1000℃以下が好ましい。500℃未満の温度では、バインダーを充分除去することができないので、脱脂処理後の積層体中にカーボンが過剰に残存するので、その後の焼結工程での焼結を阻害する。また、1000℃を超える温度では、残存するカーボンの量が少なくなり過ぎるので、AlN粉末表面に存在する酸化被膜の酸素を除去する能力が低下し、焼結体の熱伝導率が低下する。
また、脱脂処理後の成形体中に残存する炭素量は、1.0wt%以下であることが好ましい。1.0wt%を超える炭素が残存していると、焼結を阻害するので、緻密な焼結体を得ることができない。
次いで、焼結を行う。焼結は、窒素やアルゴンなどの非酸化性雰囲気中で、1700〜2000℃の温度で行う。この時、使用する窒素などの雰囲気ガスに含有する水分は、露点で−30℃以下であることが好ましい。これ以上の水分を含有する場合、焼結時にAlNが雰囲気ガス中の水分と反応して酸窒化物が形成されるので、熱伝導率が低下する可能性がある。また、雰囲気ガス中の酸素量は、0.001vol%以下であることが好ましい。酸素量が多いと、AlNの表面が酸化して、熱伝導率が低下する可能性がある。
更に、焼結時に使用する治具は、窒化ホウ素(BN)成形体が好適である。このBN成形体は、前記焼結温度に対し充分な耐熱性を有するとともに、その表面に固体潤滑性があるので、焼結時に積層体が収縮する際の治具と積層体との間の摩擦を小さくすることができるので、歪みの少ない焼結体を得ることができる。
得られた焼結体は、必要に応じて加工を施す。次工程の導電ペーストをスクリーン印刷する場合、焼結体の表面粗さは、Raで5μm以下であることが好ましい。5μmを超えるとスクリーン印刷により回路形成した際に、パターンのにじみやピンホールなどの欠陥が発生しやすくなる。表面粗さはRaで1μm以下であればさらに好適である。
上記表面粗さを研磨加工する際には、焼結体の両面にスクリーン印刷する場合は当然であるが、片面のみにスクリーン印刷を施す場合でも、スクリーン印刷する面と反対側の面も研磨加工を施す方がよい。スクリーン印刷する面のみを研磨加工した場合、スクリーン印刷時には、研磨加工していない面で焼結体を支持することになる。その時、研磨加工していない面には突起や異物が存在することがあるので、焼結体の固定が不安定になり、スクリーン印刷で回路パターンがうまく描けないことがあるからである。
また、この時、両加工面の平行度は0.5mm以下であることが好ましい。平行度が0.5mmを超えるとスクリーン印刷時に導電ペーストの厚みのバラツキが大きくなることがある。平行度は0.1mm以下であれば特に好適である。さらに、スクリーン印刷する面の平面度は、0.5mm以下であることが好ましい。0.5mmを超える平面度の場合にも、導電ペーストの厚みのバラツキが大きくなることがある。平面度も0.1mm以下であれば特に好適である。
研磨加工を施した焼結体に、スクリーン印刷により導電ペーストを塗布し、電気回路の形成を行う。導電ペーストは、金属粉末と必要に応じて酸化物粉末と、バインダーと溶剤を混合することにより得ることができる。金属粉末は、セラミックスとの熱膨張係数のマッチングから、タングステンやモリブデンあるいはタンタルが好ましい。
また、AlNとの密着強度を高めるために、酸化物粉末を添加することもできる。酸化物粉末は、IIa族元素やIIIa族元素の酸化物やAl、SiOなどが好ましい。特に、酸化イットリウムはAlNに対する濡れ性が非常に良好であるので、好ましい。これらの酸化物の添加量は、0.1〜30wt%が好ましい。0.1wt%未満の場合、形成した電気回路である金属層とAlNとの密着強度が低下する。また30wt%を超えると、電気回路である金属層の電気抵抗値が高くなる。
導電ペーストの厚みは、乾燥後の厚みで、5μm以上、100μm以下であることが好ましい。厚みが5μm未満の場合は、電気抵抗値が高くなりすぎるとともに、密着強度も低下する。また、100μmを超える場合も、密着強度が低下する。
また、形成する回路パターンが、ヒータ回路(発熱体回路)の場合は、パターンの間隔は0.1mm以上とすることが好ましい。0.1mm未満の間隔では、発熱体に電流を流したときに、印加電圧及び温度によっては漏れ電流が発生し、ショートする。特に、500℃以上の温度で使用する場合には、パターン間隔は1mm以上とすることが好ましく、3mm以上であれば更に好ましい。
次に、導電ペーストを脱脂した後、焼成する。脱脂は、窒素やアルゴン等の非酸化性雰囲気中で行う。脱脂温度は500℃以上が好ましい。500℃未満では、導電ペースト中のバインダーの除去が不十分で金属層内にカーボンが残留し、焼成したときに金属の炭化物を形成するので、金属層の電気抵抗値が高くなる。
焼成は、窒素やアルゴンなどの非酸化性雰囲気中で、1500℃以上の温度で行うのが好適である。1500℃未満の温度では、導電ペースト中の金属粉末の粒成長が進行しないので、焼成後の金属層の電気抵抗値が高くなり過ぎる。また、焼成温度はセラミックスの焼結温度を超えない方がよい。セラミックスの焼結温度を超える温度で導電ペーストを焼成すると、セラミックス中の含有する焼結助剤などが揮散しはじめ、更には導電ペースト中の金属粉末の粒成長が促進されてセラミックスと金属層との密着強度が低下する。
次に、形成した金属層の絶縁性を確保するために、金属層の上に絶縁性コートを形成することができる。絶縁性コートの材質は、電気回路との反応性が小さく、AlNとの熱膨張係数差が、5.0x10−6/K以下であれば特に制約はない。例えば、結晶化ガラスやAlN等が使用できる。これらの材料を例えばペースト状にして、所定の厚みのスクリーン印刷を行い、必要に応じて脱脂を行った後、所定の温度で焼成することにより形成することができる。
この時、添加する焼結助剤量は、0.01wt%以上であることが好ましい。0.01wt%未満では、絶縁性コートが緻密化せず、金属層の絶縁性を確保することが困難となる。また、焼結助剤量は20wt%を超えないことが好ましい。20wt%を超えると、過剰の焼結助剤が金属層中に浸透するので、金属層の電気抵抗値が変化してしまうことがある。塗布する厚みに特に制限はないが、5μm以上であることが好ましい。5μm未満では、絶縁性を確保することが困難となるからである。
また、導電ペーストとして、銀やパラジウム、白金などの混合物や合金を使用することも可能である。これらの金属は、銀の含有量に対してパラジウムや白金を添加することによって、導体の体積抵抗率が増加するため、回路パターンに応じてその添加量を調整すればよい。またこれらの添加物は回路パターン間のマイグレーションを防止する効果があるため、銀100重量部に対して、0.1重量部以上添加することが好ましい。
これらの金属粉末に、AlNとの密着性を確保するために、金属酸化物を添加することが好ましい。例えば酸化アルミニウムや酸化ケイ素、酸化銅、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化鉛、希土類酸化物、遷移金属元素酸化物、アルカリ土類金属酸化物などを添加することができる。添加量としては、0.1wt%以上50wt%以下が好ましい。含有量がこれより少ないと、窒化アルミニウムとの密着性が低下するため好ましくない。また、含有量がこれより多いと、銀等の金属成分の焼結が阻害されるため好ましくない。
これら金属粉末と無機物の粉末を混合し、更に有機溶剤やバインダーを添加し、ペースト状にし、上記同様スクリーン印刷により回路形成することができる。この場合、形成した回路パターンに対して、窒素などの不活性ガス雰囲気中もしくは大気中にて700℃から1000℃の温度範囲にて焼成する。
更にこの場合、回路間の絶縁を確保するために、結晶化ガラスやグレーズガラス、有機樹脂などを塗布し、焼成、もしくは硬化させることで絶縁層を形成することができる。ガラスの種類としては硼珪酸ガラス、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、などが使用できる。これら粉末に有機溶剤やバインダーを添加し、ペースト状にし、スクリーン印刷により塗布する。塗布する厚みに特に制限はないが、5μm以上であることが好ましい。5μm未満では、絶縁性を確保することが困難となるからである。また焼成温度としては、上記回路形成時の温度より低温であることが好ましい。上記回路焼成時より高い温度で焼成すると、回路パターンの抵抗値が大きく変化するため好ましくない。
次に、必要に応じて更にセラミックス基板を積層することができる。積層は、接合剤を介して行うのが良い。接合剤は、酸化アルミニウム粉末や窒化アルミニウム粉末に、IIa族元素化合物やIIIa族元素化合物とバインダーや溶剤を加え、ペースト化したものを接合面にスクリーン印刷等の手法で塗布する。塗布する接合剤の厚みに特に制約はないが、5μm以上であることが好ましい。5μm未満の厚みでは、接合層にピンホールや接合ムラ等の接合欠陥が生じやすくなる。
接合剤を塗布したセラミックス基板を、非酸化性雰囲気中、500℃以上の温度で脱脂する。その後、積層するセラミックス基板を重ね合わせ、所定の荷重を加え、非酸化性雰囲気中で加熱することにより、セラミックス基板同士を接合する。荷重は、5kPa以上であることが好ましい。5kPa未満の荷重では、充分な接合強度が得られないか、もしくは前記接合欠陥が生じやすい。
接合するための加熱温度は、セラミックス基板同士が接合層を介して十分密着する温度であれば、特に制約はないが、1500℃以上であることが好ましい。1500℃未満では、十分な接合強度が得られにくく、接合欠陥を生じやすい。前記脱脂ならびに接合時の非酸化性雰囲気は、窒素やアルゴンなどを用いることが好ましい。
以上のようにして、ウェハ保持体となるセラミックス積層焼結体を得ることができる。なお、電気回路は、導電ペーストを用いずに、例えば、ヒータ回路であれば、モリブデン線(コイル)、静電吸着用電極やRF電極などの場合には、モリブデンやタングステンのメッシュ(網状体)を用いることも可能である。
この場合、AlN原料粉末中に上記モリブデンコイルやメッシュを内蔵させ、ホットプレス法により作製することができる。ホットプレスの温度や雰囲気は、前記AlNの焼結温度、雰囲気に準ずればよいが、ホットプレス圧力は、0.98MPa以上加えることが望ましい。0.98MPa未満では、モリブデンコイルやメッシュとAlNの間に隙間が生じることがあるので、ヒータの性能が出なくなることがある。
次に、コファイアー法について説明する。前述した原料スラリーをドクターブレード法によりシート成形する。シート成形に関して特に制約はないが、シートの厚みは、乾燥後で3mm以下が好ましい。シートの厚みが3mmを超えると、スラリーの乾燥収縮量が大きくなるので、シートに亀裂が発生する確率が高くなる。
上述したシート上に所定形状の電気回路となる金属層を、導体ペーストをスクリーン印刷などの手法により塗布することにより形成する。導電ペーストは、ポストメタライズ法で説明したものと同じものを用いることができる。ただし、コファイアー法では、導電ペーストに酸化物粉末を添加しなくても支障はない。
次に、回路形成を行ったシート及び回路形成をしていないシートを積層する。積層の方法は、各シートを所定の位置にセットし、重ね合わせる。この時、必要に応じて各シート間に溶剤を塗布しておく。重ね合わせた状態で、必要に応じて加熱する。加熱する場合、加熱温度は、150℃以下であることが好ましい。これを超える温度に加熱すると、積層したシートが大きく変形する。そして、重ね合わせたシートに圧力を加えて一体化する。加える圧力は、1〜100MPaの範囲が好ましい。1MPa未満の圧力では、シートが充分に一体化せず、その後の工程中に剥離することがある。また、100MPaを超える圧力を加えると、シートの変形量が大きくなりすぎる。
この積層体を、前述のポストメタライズ法と同様に、脱脂処理並びに焼結を行う。脱脂処理や焼結の温度や、炭素量等はポストメタライズ法と同じである。前述した、導電ペーストをシートに印刷する際に、複数のシートにそれぞれヒータ回路や静電吸着用電極等を印刷し、それらを積層することで、複数の電気回路を有する通電発熱ヒータを容易に作成することも可能である。このようにして、ヒータとなるセラミックス積層焼結体を得ることができる。
なお、発熱体回路などの電気回路が、セラミックス積層体の最外層に形成されている場合は、電気回路の保護と絶縁性の確保のために、前述のポストメタライズ法と同様に、電気回路の上に絶縁性コートを形成することができる。
得られたセラミックス積層焼結体は、必要に応じて加工を施す。通常、焼結した状態では、半導体製造装置で要求される精度に入らないことが多い。加工精度は、例えば、被処理物搭載面の平面度は0.5mm以下が好ましく、さらには0.1mm以下が特に好ましい。平面度が0.5mmを超えると、被処理物とセラミックスヒータとの間に隙間が生じやすくなり、セラミックスヒータの熱が被処理物に均一に伝わらなくなり、被処理物の温度ムラが発生しやすくなる。
また、ウェハ保持面の面粗さは、Raで5μm以下が好ましい。Raで5μmを超えると、ウェハ保持体とウェハとの摩擦によって、AlNの脱粒が多くなることがある。この時、脱粒した粒子はパーティクルとなり、ウェハ上への成膜やエッチングなどの処理に対して悪影響を与えることになる。さらに、表面粗さは、Raで1μm以下であれば、好適である。
以上のようにして、ウェハ保持体のヒータ部を作製することができる。さらに、このヒータ部に支持部を取り付ける。支持部の材質は、ヒータ部のセラミックスの熱膨張係数と大きく違わない熱膨張係数のものであれば特に制約はないが、ヒータ部との熱膨張係数の差が5x10−6/K以下であることが好ましい。
熱膨張係数の差が、5x10−6/Kを超えると、取付時にヒータ部と支持部の接合部付近にクラックなどが発生したり、接合時にクラックが発生しなくても、繰り返し使用しているうちに接合部に熱サイクルが加わり、割れやクラックが発生することがある。例えば、ヒータ部がAlNの場合、支持部の材質は、AlNが最も好適であるが、窒化珪素や炭化珪素あるいはムライト等が使用できる。
取付は、接合層を介して接合する。接合層の成分は、AlN及びAl並びに希土類酸化物からなることが好ましい。これらの成分は、ヒータ部や支持部の材質であるAlNなどのセラミックスと濡れ性が良好であるので、接合強度が比較的高くなり、また接合面の気密性も得られやすいので好ましい。
接合する支持部並びにヒータ部それぞれの接合面の平面度は0.5mm以下であることが好ましい。これを超えると接合面に隙間が生じやすくなり、十分な気密性を持つ接合を得ることが困難となる。平面度は0.1mm以下がさらに好適である。なお、ヒータ部の接合面の平面度は0.02mm以下であればさらに好適である。また、それぞれの接合面の面粗さは、Raで5μm以下であることが好ましい。これを超える面粗さの場合、やはり接合面に隙間が生じやすくなる。面粗さは、Raで1μm以下がさらに好適である。
次に、ヒータ部に電極を取り付ける。取付は、公知の手法で行うことができる。例えば、ヒータ部のウェハ保持面と反対側から電気回路までザグリ加工を施し、電気回路にメタライズを施すかあるいはメタライズなしで直接活性金属ろうを用いて、モリブデンやタングステン等の電極を接続すればよい。その後必要に応じて電極にメッキを施し、耐酸化性を向上させることができる。
最後に、ヒータ部と支持部との接合部付近とその外側に環状溝を機械加工で形成する。このようにして半導体製造装置用ウェハ保持体を作製することができる。なお、環状溝は、焼成前の成形体の状態で先に形成しておいてもよいし、支持部を接合する前に形成してもよい。
また、本発明のウェハ保持体を半導体装置に組み込んで、半導体ウェハを処理することができる。本発明のウェハ保持体は、ヒータ部と支持部との接合部の信頼性が高いので、長期間に渡って、安定して半導体ウェハを処理することができる。
99.5重量部の窒化アルミニウム(AlN)粉末に、ステアリン酸イットリウムをY換算で、0.5重量部添加し、ポリビニルブチラールをバインダー、ジブチルフタレートを溶剤として、それぞれ10重量部、5重量部混合して、スラリーを作製した。このスラリーをスプレードライにより顆粒状の完粉を作製した。この完粉をプレス成形により成形し、窒素雰囲気中700℃で脱脂し、窒素雰囲気中1900℃で焼結し、AlN焼結体を得た。なお、窒化アルミニウム粉末は、平均粒径0.6μm、比表面積3.4m/gのものを使用した。
でき上がったAlN焼結体を、直径330mm、厚さ8mmに機械加工した。このAlN焼結体を2枚用意し、1枚にヒータ回路パターンを形成した。抵抗発熱体は、次のようにして形成した。すなわち、平均粒径が2.0μmのW粉末を100重量部として、Yを1重量部と、5重量部のバインダーであるエチルセルロースと、溶剤としてブチルカルビトールを用いてWペーストを作製した。混合にはポットミルと三本ロールを用いた。このWペーストをスクリーン印刷で、前記AlN焼結体上に、ヒータ回路パターンを形成した。ヒータ回路パターンは、ヒータ部の内側と外側が別々に制御できるように、2ゾーンに分割されたパターンであり、給電のための電極を、その後に接合される支持部内に設置できるようにした。
ヒータ回路を印刷したAlN焼結体を窒素雰囲気中800℃で脱脂した後、窒素雰囲気中1850℃でヒータ回路を焼成した。このヒータ回路を保護するために、AlN粉末に1重量%のY粉末を加えた粉末に、有機溶剤とバインダーを添加し、ペースト状にしたものを、ヒータ回路を形成した面全面に、スクリーン印刷で、厚さ300μm塗布した。これを、窒素雰囲気中800℃で脱脂し、窒素雰囲気中1830℃で焼成し、保護層とした。
次に、前記保護層の上に、Al−Y−AlN系のペーストを塗布し、窒素雰囲気中800℃で脱脂した。この上に、もう1枚のAlN焼結体を積層し、窒素雰囲気中で約1MPaの荷重を徐々にかけながら、1850℃で接合し、ヒータ部を完成させた。なお、焼結後、ウェハー保持面はRaで1μm以下に、支持部の接合面はRaで5μm以下になるよう研磨加工を施した。また外径も仕上加工を行った。
支持部として、ヒータ部と同一のAlN完粉を、押出し成形にて円筒状に成形し、ヒータ部と同様に脱脂、焼結し、支持部を完成させた。前記ヒータ部の支持部を接合する部分に、支持部とほぼ同形状のパターンで、Al−Y−AlN系のペーストを塗布し、窒素雰囲気中800℃で脱脂した。前記支持部をペーストのパターンに合わせて積層し、5kPa程度の圧力を加えながら、窒素雰囲気中1830℃で接合した。
ウェハ保持面の反対側の面から、前記ヒータ回路までザグリ加工を行い、ヒータ回路を一部露出させた。露出したヒータ回路部にMo製の電極を活性金属ろうを用いて直接接合した。図2に示すように、支持部の接合部付近に、幅5mmの環状溝10を形成した。これを試料1とする。
また、同様にして製作したウェハ保持体の幅5mmの環状溝10の外側に、図3に示すように幅5mmの環状溝11を形成した。これを試料2とする。また、図4に示すように、幅5mmの環状溝10の内側に、幅2mmの環状溝12を形成した。これを試料3とする。また、図5に示すように、幅5mmの環状溝10の内部に、幅1mmの環状溝13を2つ形成した。これを試料4とする。また、比較のために、図6に示すように、環状溝を形成しないものも作製した。これを試料5とする。
これらの試料1〜5の、Mo製の電極に給電することにより、500℃に加熱した。ヒータ部の中心部が500℃に加熱した状態で、ヒータ回路の外側のパターンに印加する電圧を変えて、ヒータ部の外周部の温度を最大550℃まで上昇させ、ウェハ保持体が破損するかどうかを確認した。その結果を表1に示す。なお、支持部は、チャンバーに見立てた台の上において、台の温度は200℃とした。
Figure 2005332837
表1から判るように、環状溝を形成することにより、ヒータ部の中央部と外周部の温度差が50℃までは、ウェハ保持体が破損しないことが確認できた。
ヒータ部の中心部の温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、ヒータ部の中心部と外周部の温度差をつけて、ウェハ保持体の破損状況を確認した。その結果を表2に示す。なお、実施例1で破損した試料5はテストしなかった。
Figure 2005332837
表2から判るように、環状溝を複数形成することにより、ヒータの温度が700℃と高温であっても、ヒータ部の中央部と外周部の温度差が50℃までは、ウェハ保持体が破損しないことが確認できた。
ヒータ部の中心部の温度を750℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、ヒータ部の中心部と外周部の温度差をつけて、ウェハ保持体の破損状況を確認した。その結果を表3に示す。なお、実施例1、2で破損した試料1、5はテストしなかった。
Figure 2005332837
表3から判るように、ヒータの温度がさらに高くなると、環状溝の内部にさらに環状溝を形成することにより、ヒータ部の中央部と外周部の温度差が50℃までは、ウェハ保持体が破損しないことが確認できた。
本発明によれば、ウェハ保持体のヒータ部と支持部との接合部付近に複数の環状溝を形成する、あるいは、前記接合部付近に形成した環状溝の内部に、更に幅の狭い溝を形成することにより、ウェハ保持体に温度差が発生しても、破損しにくい、信頼性の高いウェハ保持体を提供することができる。このようなウェハ保持体を搭載した半導体製造装置は、信頼性が高く、長期にわたって、その性能を低下させることがなく使用することができる。
ウェハ保持体の断面構造を示す。 図1A部の拡大図であり、従来のウェハ保持体を示す。 図1A部の拡大図であり、本発明のウェハ保持体の1例を示す。 図1A部の拡大図であり、本発明のウェハ保持体の他の1例を示す。 図1A部の拡大図であり、本発明のウェハ保持体の他の1例を示す。 図1A部の拡大図であり、比較例を示す。
符号の説明
1 ヒータ部
2 支持部
3 ヒータ回路
4 電極
10、11、12、13 環状溝

Claims (2)

  1. ウェハを保持し加熱するためのヒータ部と、該ヒータ部を支持する支持部とからなるウェハ保持体であって、前記ヒータ部と支持部は接合されており、該接合部付近およびその外側に一つまたは複数の環状溝が形成されていることを特徴とするウェハ保持体。
  2. ウェハを保持し加熱するためのヒータ部と、該ヒータ部を支持する支持部とからなるウェハ保持体であって、前記ヒータ部と支持部は接合されており、該接合部付近に環状溝が形成されており、該環状溝の内部にさらに溝が形成されていることを特徴とするウェハ保持体。





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