JP2005332647A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒層に残留する水も十分に除去可能とし、円滑な起動を実現する。
【解決手段】性能が低下した発電セルの回復操作時や燃料電池システムの運転停止時といった所定のタイミングで、燃料電池1のアノード2又はカソード3の少なくとも一方に対して、ガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスの供給を行うようにする。
【選択図】図1
【解決手段】性能が低下した発電セルの回復操作時や燃料電池システムの運転停止時といった所定のタイミングで、燃料電池1のアノード2又はカソード3の少なくとも一方に対して、ガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスの供給を行うようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池を備えた燃料電池システムに関するものであり、特に、燃料電池内部の水分を除去する手法の改良に関する。
近年の環境問題、特に自動車の排出ガスによる大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化の問題等に対する対策として、クリーンな排気及び高エネルギ効率を可能とする燃料電池技術が注目を浴びている。燃料電池は、燃料となる水素あるいは水素リッチな改質ガス及び空気を、電解質・電極触媒複合体に供給し、電気化学反応を起こし、化学エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換システムである。中でも、固体高分子膜を電解質として用いた固体高分子電解質型燃料電池は、低コストでコンパクト化が容易であり、しかも高い出力密度を有することから、自動車等の移動体用電源としての用途が期待されている。
ところで、固体高分子電解質型燃料電池においては、固体高分子膜は、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能するとともに、水素と酸素とを分離する機能も有する。固体高分子膜の含水量が不足すると、イオン抵抗が高くなり、水素と酸素とが混合して燃料電池としての発電ができなくなってしまう。
一方で、発電により水素極で分離した水素イオンが電解質膜を通るときには、水も一緒に移動するため、水素極側は乾燥する傾向にある。また、供給する水素または空気に含まれる水蒸気が少ないと、それぞれの反応ガス入口付近で固体高分子膜が乾燥する傾向にある。
このようなことから、固体高分子電解質型燃料電池における固体高分子膜は、外部から水分を供給して積極的にこれを加湿する必要があり、電解質自体を加湿したり、供給される水素や空気を加湿する等、何らかの加湿手段が設けられている。
ただし、システム運転停止後に燃料電池内部に水分が残存しているると、外気温によっては燃料電池が凍結状態となって円滑な始動が妨げられたり、電解質膜等の破損に繋がるおそれがある。そこで、従来より、システム運転停止後における燃料電池の凍結を防止するために、燃料電池内部の水分を除去してコンディショニングを図る技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、燃料電池の凍結防止のためのコンディショニングの手法として、燃料電池の発電が終了した後、システムを停止する際に、燃料電池を実質的に脱水するのに十分な状態にまで減圧することが開示されている。
特開2001−185179号公報
しかしながら、本発明者が種々検討を重ねたところ、特許文献1に記載されるような減圧だけでは、その効果が不十分であることがわかった。例えば、1度の減圧で取り除ける水の量は、燃料電池を構成する発電セルやスタックの構造にもよるが、電極1cm2当たり10μg程度にすぎない。水分を取り除きたい部分は、主に触媒層であるが、触媒層以外のガス拡散層やセパレータ内のガス流路に残留している水を考えると、この程度の脱水では触媒層からはほとんど水を取り除くことができないことになる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、十分な脱水効果を得ることができ、例えば触媒層に残留する水を十分に取り除き凍結を回避することが可能で、電解質膜等を損傷することがなく、円滑な起動が可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の燃料電池システムは、アノード及びカソードを有する燃料電池を備えた燃料電池システムであり、前記目的を達成するために、所定のタイミングで、燃料電池のアノード又はカソードの少なくとも一方に対して、ガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスの供給を行うようにしている。
本発明によれば、燃料電池のカソード或いはアノードを減圧するだけでなく、乾燥ガスの供給も行うようにしているので、例えば触媒層に残留する水も十分に取り除くことができ、燃料電池内における凍結を回避することが可能で、電解質膜等を損傷することがなく、円滑な起動が可能な燃料電池システムを提供することが可能である。
先ず、本発明を適用した燃料電池システムの具体的な説明に先立ち、図1を用いて本発明の概要を説明する。
本発明を適用した燃料電池システムが備える燃料電池1は、図1に示すように、水素ガス等の燃料ガスが供給されるアノード2、空気等の酸化剤ガスが供給されるカソード3、及びこれらの間に介在される電解質膜4を有する。
本発明では、アノード2又はカソード3の少なくとも一方に対して、ガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスの供給を行うが、燃料電池1の発電時に生成水が生じて触媒層に残留するのは主にカソード3であるので、ガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスを供給する操作は、特にカソード3に対して行うことが有効である。図1では、カソード3のガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスを供給する場合を例示している。
例えば、燃料電池システムの運転停止後に燃料電池1内部に水が残留した状態とされると、寒冷地等においては燃料電池1の凍結を招き、次回の起動時に円滑な起動が妨げられることとなり、また、電解質膜4等の破損を招くことになる。そこで、本発明では、燃料電池システムの運転停止時や、燃料電池システムの運転中で燃料電池1を構成する発電セルの液水滞留による性能低下を回復させる操作(以下、セル回復操作という。)を行うときに、カソード3のガス出口側を減圧し、同時にガス入口側から乾燥ガスを導入する。このとき、アノード2についても、同様にガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスを導入するようにしてもよいが、両極に乾燥ガスを流すと、電解質膜4が乾燥して抵抗が増大し、次回の発電時に抵抗が回復するのに時間がかかることがあるので、アノード2に対しては、ガス出口側の減圧を行わず、またガス入口側からは加湿ガスを流すようにしている。
前述の通り、従来のように燃料電池内部を減圧するだけでは、十分に水を取り除くことができず、特にカソード3やアノード2の触媒層内に水が残留する。これに対して、本発明では、図1にも示すように、ただ単に燃料電池1のカソード3やアノード2(図1に示す例ではカソード3)を減圧するだけでなく、乾燥ガスの供給も行うようにしているので、例えば触媒層等においても速やかに排水が進行する。すなわち、減圧するだけでなく乾燥ガスを供給することにより、ガスが流れ続けるので継続的に排水が進行し、同時に、減圧状態では水滴(ミスト)の平均自由行程が大きくなり、これらが相俟って脱水が効率的に進行する。その結果、表面張力によって捕らわれて排出が困難になっている触媒層のミクロポア内の水滴も、速やかに排水されることになる。
次に、本発明を適用した燃料電池システムの具体的な実施形態について、図2乃至図4を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態では、燃料電池を構成する発電セルのセル回復操作として、上述した減圧及び乾燥ガスの供給を行う例について説明する。
本実施形態では、燃料電池を構成する発電セルのセル回復操作として、上述した減圧及び乾燥ガスの供給を行う例について説明する。
図2は、本実施形態の燃料電池システムの主要部分の構成を示すものである。図2に示すように、本実施形態の燃料電池システムは、主に、発電を行う燃料電池11と、この燃料電池11に酸化剤である空気を供給する空気供給手段、燃料である水素を供給する水素供給手段とを備える。
燃料電池11は、水素が供給されるアノードと、空気が供給されるカソードとが電解質を挟んで重ね合わされて構成される発電セルを主要な構成要素とするものである。本実施形態では、簡単のために、電極面積300cm2の単セル構造の燃料電池11を例示して説明するが、燃料電池11としては、複数の発電セルが多段積層されたスタック構造のものを用いてもよい。
燃料電池11では、電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換する。すなわち、アノードでは、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、カソードにそれぞれ移動する。カソードでは、供給された空気中の酸素とアノードからの水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。
燃料電池11の電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
燃料電池11の主要な構成要素である発電セルの構造を図3に示す。発電セルは、導電性のカーボングラファイトプレートの片面に空気供給路、もう片面に水素供給路である溝を有するセパレータ12,13を備え、その間に電池として機能するMEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)14が挟まれて構成される。MEA14は、電解質膜(パーフルオロスルホン酸ポリマー:商品名ナフィオン)15を挟んで両側に反応触媒層(白金担持カーボンブラック)16,17、さらにその外側にカーボン層(撥水処理したカーボンブラック)18,19、及びガス拡散層(GDL、カーボンペーパー)20,21が配置されて構成される。
なお、本例では、セルの外側、すなわちセパレータ12,13の外側には、エンドプレート22,23が配置されており、セルの保護及び固定がこのエンドプレート22,23によって行われている。また、MEA14においては、最外周部分がガスシール24によってシールされており、水素の漏洩等を防止する構成とされている。
燃料電池11の発電時には、水素がガス流路を通ってアノードに供給され、ガス拡散層20及びカーボン層18を介して反応触媒層16へ拡散して到達する。そして、反応触媒層16の白金上で触媒反応(H2→2H++2e−)を生じる。この反応により生じたプロトン(H+)は、電解質膜15をアノードからカソードに向かって移動する。また、電子はセル外部へ供給され電流が流れる。同時に、空気がガス流路を通ってカソードに供給され、ガス拡散層21及びカーボン層19を介して反応触媒層17へ拡散して到達する。これにより反応触媒層17の白金上で触媒反応(1/2O2+2H++2e−→H2O)が生じる。このように電解質膜15を移動したプロトンと、外部回路を通過した電子と、空気中の酸素とが反応することにより水を生じる。生じた水は水蒸気として排気される。
空気供給手段は、外気を吸入し燃料電池11のカソードに空気を圧送するためのコンプレッサ25、圧力調整弁26、空気供給流路27、及びカソード排ガスを排出するための空気排気流路28とから構成されており、前記コンプレッサ25により空気が空気供給流路27に送り込まれ、燃料電池11のカソードに供給される。燃料電池11で消費されなかった酸素及び空気中の他の成分は、空気排気流路28から排出される。
また、前記空気供給手段においては、空気排気流路28には、減圧器29が切り替え弁30を介して接続されており、燃料電池11のカソードを出口側から減圧する構成とされている。さらに、空気供給流路27には、切り替え弁31,32を介して加湿器33が接続されており、燃料電池11のカソードへ供給されるガス(空気)は、これら切り替え弁31,32を切り替えることで、加湿器33により加湿できるように構成されている。
水素供給手段は、水素供給源である水素ボンベ34、圧力調整弁35、水素供給流路36、及び水素排気流路37からなり、水素排気流路37には、先のカソードの空気排気流路28と同様、減圧器38が切り替え弁39を介して接続されており、燃料電池11のアノードを出口側から減圧する構成とされている。水素供給源である水素ボンベ34から供給される水素ガスは、圧力調整弁35で減圧され、前記水素供給流路36を通って燃料電池11のアノードに送り込まれる。水素供給流路36には、切り替え弁40を介して前記加湿器33が接続されており、燃料電池11のアノードに供給されるガスを、水素と加湿空気のいずれかに切り替えることができるようになっている。
燃料電池11には、負荷41がインバータ42を介して接続されており、さらにはこれら負荷41やインバータ42を制御する制御回路43が設けられている。発電により燃料電池11の発電セルから取り出された電力は、インバータ42を通して交流に変換され、負荷41であるモータ等を駆動する。
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、当該燃料電池システムの運転状態、すなわち燃料電池11の発電セルでの発電状態をモニタするために、空気供給流路27、空気排気流路28、水素供給流路36、及び水素排気流路37にそれぞれ圧力計44,45,46,47が設けられており、発電セルのガス入口及びガス出口において、カソード側及びアノード側のガス圧力の計測が可能となっている。さらに、燃料電池11の発電セルにおいては、前記エンドプレート22,23にヒータ48が取り付けられて、発電セルの温度を調節できるようにされており、また、熱電対(温度計)49が発電セルに取り付けられて、発電セルの温度を計測できるように構成されている。
以上のように構成される本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池11のアノードには水素ボンベ34から水素、カソードにはコンプレッサ25から空気が圧力調整弁26,35を通して供給され、セル入口配管から発電セル内部に導入されたされた水素・空気は、それぞれアノード・カソード電極での反応により消費される。そして、未反応ガスや生成水蒸気は、セル出口配管から発電セルの外部に排気される。このとき、燃料電池11の運転とともに次第にMEA14を構成するカソード側の反応触媒層17に水が溜まり、拡散分極や活性化分極が増大してくる。そこで、本実施形態では、反応触媒層17に水が溜まり、拡散分極や活性化分極が増大した発電セルに対し、減圧及び乾燥ガスの供給によるセル回復操作を行うようにしている。以下、このセル回復操作の具体的な実施例について説明する。
本実施例では、カソード側の反応触媒層17に水が溜まり、拡散分極・活性化分極が増大した発電セルに対し、先ず、発電セルの温度が70℃程度になるようにエンドプレート22,23に取り付けられたヒータ48で燃料電池11を加熱して、燃料電池11の温度調節を行った。また、アノード側には加湿した空気を、カソード側には乾燥した空気をそれぞれ8L/minの割合で供給した。さらに、70℃での飽和水蒸気圧は約30kPaであるので、発電セル入口のガス圧力がこの飽和水蒸気圧以下になるように、減圧器29によってカソードのガス出口側を減圧した。具体的には、発電セルの圧損が20kPaであったので カソードのガス出口側の圧力が10kPa以下となるように、減圧器29による減圧能力を設定した。
このような状態を30分間保持し、発電セルの性能の回復を確認したところ、電流300Aにおける電圧が20mV上昇しており、発電セルの性能が回復していることが確認された。これは、セル回復操作によりカソードの反応触媒層17の水が除去されたためと考えられる。なお、本実施例では カソードに乾燥空気を流して減圧し、アノードに加湿ガスを流したが、反対にアノードに乾燥空気を流して減圧し、カソードに加湿ガスを流すようにしてもよい。この場合にはアノード側の反応触媒層16の水が有効に除去されることになる。また、本実施例では、乾燥ガスとして乾燥空気を用いたが 窒素をはじめとする不活性ガスを用いてもよい。
また、以上のようにヒータ48による加熱によって発電セルの暖機を行った場合、減圧器29の減圧能力は小さくて済むので減圧器29の小型化を図る上では有利であるが、発電セルを70℃程度にまで暖機せずに25℃程度の室温で減圧(飽和水蒸気圧は3.1kPaであるので、ガス出口側の圧力はこれ以下に減圧)することも可能である。発電セルの温度が室温の場合、減圧器29にある程度の減圧能力を確保することが必要となるが、乾燥ガスを流して減圧してもそれほど電解質膜15は乾燥しないので、この場合には、アノード・カソード両方で減圧することも考えられる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池11を構成する発電セルのアノード又はカソードの少なくとも一方(上述した実施例ではカソード)に対して、ガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスを流すことにより、反応触媒層16,17に残留している水を取り除き易くすることができる。すなわち、表面張力によって捕らわれて排出できなくなっている反応触媒層16,17のミクロポア内の水滴を排水することが可能になる。しかも、ガスが流れ続けるので、継続的に排水することができる。また、減圧状態では水滴(ミスト)の平均自由行程が大きくなるため、この点からも排水し易くなる。
また、アノード及びカソードの両極に乾燥ガスを流すと電解質膜15が乾燥して膜の抵抗が増大し、次回の発電時に抵抗が回復するのに時間がかかることがあるが、一方の電極には湿潤ガスを流すことにより 電解質膜15の乾燥を防ぐことができる。具体的には、発電時に生成水が生じて反応触媒層などに水が残留するのはカソードであるので、カソード側については減圧しながら乾燥ガスを供給して水を取り除き、アノード側については減圧せずに湿潤ガスを流して、電解質膜15が乾燥するのを防ぐ。
さらに、飽和水蒸気圧以下では水は液水として存在できないので、ガス入口側の圧力が飽和水蒸気圧以下となるように減圧することで、反応触媒層16,17内の水を蒸発させてガスの流れとともに水蒸気として排出することができ、除水性能を安定させることができる。ガス入口側の圧力を飽和水蒸気圧以下となるようにするには、供給する乾燥ガスの流量、燃料電池11の温度、ガス出口側の減圧能力(減圧器29,38の減圧能力)の少なくともいずれかを調整すればよい。なお、減圧及び乾燥ガスの供給を行う際には、発電セルの温度(燃料電池11の温度)は50℃以上とすることが好ましい。燃料電池11の温度を上げると飽和水蒸気圧が十分高くなるので、水の排出能力が向上することになる。
また、以上説明した例では、燃料電池11が単セル構造であることを前提として説明したが、燃料電池11が複数の発電セルから構成される場合には、性能が低下した発電セルに対してのみ前記減圧及び乾燥ガスの供給を行えばよい。発電セルの性能の低下は、反応触媒層内に残留した水が原因であるので、性能が低下した発電セルの反応触媒層から水を取り除くことにより、燃料電池11全体の性能を回復させることができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、燃料電池システムの運転停止時に減圧及び乾燥ガスの供給を行う例について説明する。なお、燃料電池システムの構成は、上述した第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略する。
本実施形態では、燃料電池システムの運転停止時に減圧及び乾燥ガスの供給を行う例について説明する。なお、燃料電池システムの構成は、上述した第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略する。
本実施形態における燃料電池システム運転停止時のフローを図4に示す。燃料電池システムの運転停止時には、先ず、ステップS1で燃料電池11での発電を停止させた後、ステップS2において水素供給手段からの水素の供給及び空気供給手段からの空気の供給を停止させる。そして、ステップS3において、各発電セルのアノード・カソード間を短絡させる。
ステップS3でのアノード・カソード間の短絡によって発電セル内の水素・酸素が消費されるので、発電セルの電圧は徐々に低下することになる。ステップS4では、この発電セルの電圧をモニタリングして、発電セルの電圧が所定電圧以下に低下した段階で、ステップS5に進む。
ステップS5では、空気供給手段のコンプレッサ25を起動して、燃料電池11における発電セルのアノード・カソード両極に対して、空気の供給を開始する。このとき、切り替え弁31,32や切り替え弁40を操作して、コンプレッサ25からの空気が加湿器33経由で水素供給流路36に流れ込むと共に、空気供給流路27には加湿器33を迂回した空気が流れ込むようにする。これにより、アノードに対しては加湿器33で加湿された空気(湿潤ガス)が供給され、カソードに対しては乾燥した状態の空気(乾燥ガス)が供給されることになる。この時点では、発電セル内のアノードにおける水素濃度は十分に低下しているので、アノード側に空気を供給しても特に問題は生じない。
その後、ステップS6において、発電セルのカソードにおけるガス入口側の圧力を圧力計45で計測しながら、このガス入口側の圧力が所望の圧力になるように、減圧器29によるガス出口側の減圧を開始させる。そして、ステップS7において、減圧器29の弁を調整してカソードのガス入口側圧力を所定範囲に調整した後、外気温度や発電セルの温度等の条件に応じて、発電セルのMEA14、マニホールド、ガス配管が適度に乾燥する時間をタイマでセットする。そして、ステップS8においてタイマによる時間経過が計測され、タイマが切れた段階、すなわち所定時間が経過した段階で、ステップS9において燃料電池システムの運転を停止させる。
本実施形態の効果を確かめる目的で、燃料電池システムの運転停止時に、燃料電池における発電セルのカソードに対して、以上のような減圧及び乾燥ガスの供給を行った場合(実施例)と、従来通り減圧のみを行って乾燥ガスの供給を行わない場合(比較例)の双方について、運転停止後に燃料電池を氷点下20℃の環境下に放置して、氷点下からの発電が成功する確率を調べた。ここで「成功する」とは、発電セルに水素及び空気を供給して電流の取り出しを開始して、発電を継続できる状態になることをいう。また、失敗理由は2つあり、一つは ガス流路に残留した水が凍結し流路が塞がり、燃料電池の電極にガスが供給できないために、水素及び空気を供給しても電圧が生じなかったり、ガス入口側の圧力が警報圧力を越えてしまう状態になったりする場合である。もう一つは、燃料電池の発電セルを構成するMEAが過剰に乾燥状態となったために、水素及び空気の供給を開始して電流の取り出しを試みたときに、電解質膜やアイオノマーの抵抗が大きすぎるために電圧が低下し、電力を取り出せない状態になる場合である。このような基準で成否を判定した結果、実施例では10回中9回成功するのに対して、比較例では10回中6回の成功にとどまった。
以上の結果から、燃料電池システムの運転停止時に減圧及び乾燥ガスの供給を行って燃料電池内部の水分を除去することが、低温起動性を高める上で非常に有効であることが分かった。
1,11 燃料電池
2 アノード
3 カソード
14 MEA
25 コンプレッサ
27 空気供給流路
29 減圧器
33 加湿器
34 水素ボンベ
36 水素供給流路
38 減圧器
2 アノード
3 カソード
14 MEA
25 コンプレッサ
27 空気供給流路
29 減圧器
33 加湿器
34 水素ボンベ
36 水素供給流路
38 減圧器
Claims (10)
- アノード及びカソードを有する燃料電池を備えた燃料電池システムであって、
所定のタイミングで、前記燃料電池のアノード又はカソードの少なくとも一方に対して、ガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスの供給を行うことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記燃料電池のアノード又はカソードの少なくとも一方のガス出口側に減圧器を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 所定のタイミングで、前記燃料電池のアノード又はカソードの何れか一方に対してガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスの供給を行うと共に、他方に対してガス出口側を減圧せずにガス入口側から加湿ガスの供給を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池のアノード又はカソードの少なくとも一方のガス入口側に加湿手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 所定のタイミングで、前記燃料電池のカソードに対してガス出口側を減圧しながらガス入口側から乾燥ガスの供給を行うと共に、前記燃料電池のアノードに対してガス出口側を減圧せずにガス入口側から加湿ガスの供給を行うことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記ガス出口側の減圧は、前記燃料電池内部におけるガス圧が飽和水蒸気圧以下となるように実施することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記ガス入口側から供給される乾燥ガスの圧力が飽和水蒸気圧以下となるように、前記乾燥ガスの流量、前記燃料電池の温度、前記ガス出口側の減圧能力の少なくとも何れかを調整することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池を構成する複数の発電セルのうちで性能が低下した発電セルに対して、前記ガス出口側の減圧及びガス入口側からの乾燥ガスの供給を行うことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記所定のタイミングは、前記燃料電池を構成する発電セルの回復操作時であることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記所定のタイミングは、当該燃料電池システムの運転停止時であることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の燃料電池システム。
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2004
- 2004-05-19 JP JP2004148593A patent/JP2005332647A/ja active Pending
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